後藤真希の新曲 あれ、完全にぱくり

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350第二話

ふたりっきりの旅行のつもりが、突然の訪問者。
こんなに口を開けるなっち自身も不思議だ。
歩いてる途中でもう一度学校のことを聞くと「別にええねん」と返事がきた。
「本当に良いの?」
「ええねん」
「お父さんとかお母さんとか」
「ええねん」
なんだかこの間の裕ちゃんとのやりとりを思い出す。もっと短かかったっけ?
「でも…」
「ええねんったらええねん」
まだ言い返そうと思ったそのとき、真希の笑い声が頭に響いた。
『なっちの負け』
私は口をとがらせた。
351第二話:02/02/02 12:14 ID:q1WnsGZr

「おばちゃんかて学生やろ? 学校は――」
その言葉を途中でさえぎる。負けてられない。
「お姉ちゃんだよ。なつみお姉ちゃんって言うの」
「おばちゃんやん」
「お姉ちゃん」
「うちから見たらおばちゃんやもん」
「お・ね・え・ちゃ・ん!」
そこで言葉が途切れた。うつむく亜依ちゃん。…勝ったのかな?
と思ったら。
「おばちゃん! おばちゃんったらおばちゃん!」
甘かった。
『うわぁ』
ものすごい大声に耳がキーンとなり、私は両手でふさぐ。
『またなっちの負けだね』
352第二話:02/02/02 12:15 ID:q1WnsGZr

「この辺でええかな」
そう呟いて亜依ちゃんは私の服のすそをきゅっとつかんだ。
「あんなぁ」
「うん」
大通りから二本ほど入った誰もいない路地で私達は歩くスピードを落とす。
いつの間にか建物の高さも低くなり、街路樹も多くなってきた。あざやかな緑に
目を奪われてると、さわさわと枝葉が風にこすれる音にまぎれるような
小さな声が聞こえた。
「おばちゃんの中に居る鬼って『魔鬼』っていう名前?」
『えっ…』
その言葉に立ち止まる。穏やかな気持ちは、一瞬で冷えた。
振り向けない。私は街路樹の葉をみつめたまま固まっていた。真希ですら驚いている。
怖いほどに知っている。真希の名前も、なっちが今日来ることも。
この子にはわかってしまうのだろうか? …そんなことあり得るの?
「そうなんや」
動かないなっちを肯定と受け取った亜依ちゃんを、ゆっくり振り返ると
その黒目がちの目が潤んで見えた。光りが反射する。
…泣いてる?
「実はな、頼みがあんねん」