1 :
名無し募集中。。。:
ちょっと昔の「娘。」が題材なんですけど、とりあえず俺から。
3 :
(`.∀´):01/10/11 19:58 ID:6nUunbGk
しわしわしわ〜。
死神娘。
天使って見たことありますか?
天使は私にこう言った。
「保田圭よ。あなたは明後日の午前0時でその寿命を終えます」
次の日
「あっ。保田さんおはようございます」
保田は後ろを振り返ると、笑顔が年相応にかわいい少女が立っていた。保田の唇が少し緩んだ。今日
初めて会う人が、辻というのがあまりにも普通すぎて。辻はそんな保田の表情の変化を見て、保田にい
つもと違う、どことなく優しい雰囲気を感じた。
「辻、早いね。今日は学校じゃないの?」
「はい。第二土曜日だから…」
「あっ。そうか。今は第二土曜は休みなんだ」
そう言うと保田は小さく笑った。
辻は何故かそんな保田の顔から目を離すことが出来なかった。保田の方から辻に笑いかけてくれると
いうことは今まで無かった。その時保田が見せた表情は、辻が今まで見たことの無い、輝きを持った表
情だった。
楽屋について荷物を降ろしていると、まだ集合時間の30分前だというのにメンバー全員が楽屋に到
着した。そんなことは娘。が結成されて以来、今まで一度も無かった。保田は独りはじの方に腰掛け、
メンバーの皆が談笑してるのをただ漠然と眺めていた。
不意に、中澤はそんな保田の方に視線を流した。
「圭坊、どうしたん?そんなとこおらへんで、こっちで皆と話そうや」
保田は我に返り、中澤と視線を合わせると、頷いて席を談笑の輪の中へと移動させた。
中澤は独り仲間外れで可哀想だから、保田に声を掛けてくれたのだ。保田は、そんな中澤の妙にリー
ダーっぽい優しさが結構好きだった。そこには、逆に打算は無いように感じられたからだ。保田にはや
ろうとしても出来ないものの様に思えた。
保田はあまり話したい気分では無かったので、皆の顔を見ていた。皆の顔をよく覚えてたいたかった
し、また皆に自分のことを覚えてて欲しかった。ふとまた中澤と目が合った。
「なんや、圭坊。先刻から皆の顔ばかり見つめて。まさかそっちのけがあるんやないやろな?」
「そんな。裕ちゃんじゃないんだから」
保田がそう言うと、中澤は笑った。
保田はその笑みを何処までも持って行きたいと思った。
稽古場へ向かう途中、矢口は保田に声を掛けた。
「圭ちゃ−ん。昨日紗耶香から電話掛かってきたんだよ。圭ちゃんは元気かー?って言ってた。たまに
は電話してあげなよ」
保田は少し間を開けてから答えた。
「うん、そうだね。今日のレッスンが終わったら電話してみるよ」
保田は矢口に向きなおり、微笑んだが、寂しそうに見えた。矢口の目には保田はそう映った。
そして保田の方から話し掛けてきた。
「紗耶香が居なくなってからもう半年近く経つんだね。ホテルで愚痴ってた頃から考えれば、なんか全
部夢見たいだね」
矢口には、保田が自分に言い聞かせてるように聞こえた。まるで「夢だったら良いのに」と言ってる
様に聞こえた。
矢口は明るく答えた。
「もう何言ってんのー、圭ちゃん。祐ちゃんのオバサン癖が移っちゃったんじゃないの?」
保田が心から笑ってくれることを期待していた。
保田は矢口の顔を見て、少し嬉しそうな顔をして言った。
「いままでありがとね、矢口」
そう言うと保田は稽古場の扉を開けて中に入っていってしまった。
保田の表情は稽古場の奥の方を眺めていて、確認できない。
矢口は何も言えず、しばしその場に立ち尽くしてしまった。
つんくは腰を下ろして、メンバーを見回す。最初に気付いたのは保田の明らかな不調だった。つんく
は保田のことを気にした。つんくはいわゆる「女好き」だ。女の子を見るとその娘のことをあれこれと
考えてしまう。そのつんくの保田の第一印象は「不器用な娘」だった。
休憩のとき、つんくは廊下に出た保田に近づく。
「保田、どっか調子でも悪いんか?無理してるんとちゃうか?」
その言葉に、保田はつんくに向ける表情や仕草や言葉やその他のすべての態度をあらかじめ決めてお
くための時間を稼ぐかのように、ゆっくりと振り向いた。少し笑顔を作り、それから言葉を返した。
「大丈夫です」
その笑顔はいつもの笑顔とはどこか違う。つんくはその笑みを「どこかが違う」としか分からなかっ
た。
つんくは振り返り、稽古場のドアノブに手をかけた。それを後ろからの言葉で引きとめられる。
「つんくさん」
しかし保田はそのあと言いたかったことは言えず、つんくは中に戻ってしまう。
「ありがとうございました…」
保田は廊下で独り、昔と同じように不器用に呟くだけだった。
保田が稽古場に戻ると、すぐ近くで飯田が加護を叱っていた。それはレッスンの合間のちょっとした
ことで、たまにあることだった。そして保田の目にそんないつもの光景は少し可笑しく映った。
「加護〜。誰かが話しているときはうろちょろしないで、ちゃんと話を聞きなさい!」
加護は「はい」と言った。けれども少しもしょげた顔をしていない。それもいつものことだった。
飯田は横にいる保田に気付いて、話を振った。
「も〜…加護は。あ、圭ちゃん。圭ちゃんも加護に何か言ってやってよ」
保田は怒るときはきちんと怒る。それが悪いことだと分からせることがその人のためだと思っている
からだ。
だから保田は加護の方をじっと見つめた。そして、飯田に言葉を返した。
「大丈夫だよ、佳織。加護も佳織の言いたいことはしっかり分かってるから」
飯田は保田の性格をよく知っていた。だから加護に対して保田が怒らなかったこと以上に、保田に対し
ていつもと違う何か変な違和感を感じた。まるで、自分たちとは違うどこか遠くのところに行ってしまう
ような…。
加護は保田のことを見ていた。保田はそれに気付き、加護に向かって何か言おうとした。
「加護……これからしっかりね」
そう保田は笑って言った。怒れているのではない、と加護は分かった。しかし何でいつもと違うのかは
加護には分からなかった。
「ごっちん、ごっちん。今日さぁ、保田さんどっかおかしくない?」
「そうだね、圭ちゃん今日何か変だね。体調悪いのかな?」
後藤と吉澤はそんな会話をしていた。二人の視線の先にある保田の表情は、傾きかけた夕日と存在感
を現し始めた蛍光灯の光とが難しく重なり合って分かりにくかった。そして蛍光灯と窓の外の色が対照
的になったとき、レッスンは終了した。
「お疲れさまでしたー」
稽古場に終了の挨拶が響く。
保田は、終了の挨拶がやがて喧騒になるまでその場で立っていた。吉澤は挨拶が終わってからその場
を動かない保田に気を留めた。
「保田さ〜ん、どうかしたんですか?」
後藤もそれに気付いて、こっちに来た。
保田は何かに気付いたかのように二人を見て、言う。
「何言ってんの?別に何ともないけど」
後藤と吉澤はまだこっちを見ていた。
「それよりも……」と言って、保田は二人に今日のレッスンの細かい注意を並べ始めた。それは明らか
にいつものそれよりも長い。伝えられないことも全て教えて、後悔はしたくなかった。
二人はそんな保田の顔を見ていて、表情が急に曇ったことにすぐに気付く。しかしその途端、保田は
向こうを向いてしまった。振り向く前の一瞬の顔には光る涙が見えたような気がした。
「二人とも頑張ってね…」
そんな小言が聞こえたような気がした。そして保田はその場を逃げるように立ち去った。
二人は生まれてから今まで経験したことのない美しさを保田の涙に感じた。
石川は楽屋に戻る途中、一人で歩いている保田を見かけて声をかけた。
「保田さん、今日一緒に帰りましょ」
明るくて聞き易い声だ、と保田は思った。
「ん〜、私今日はもうちょっとゆっくりしてから帰るわ」
「え?そうなんですか」
保田はレッスン後も一人で残り練習することがある。石川もそれは知っていた。
「じゃあ、私、今日友達と待ち合わせしてるんでその時間まで一緒にいますよ」
石川は保田を慕っていた。それに対して保田はどう思っていたのか、よく分からなかった。
保田は近くのロビーのベンチに腰を下ろした。
そしていつものくだらないお喋り。
いつも多く喋る自分。保田はそれを聞く。
「そうだ、じゃあ今度一緒に遊びに行きましょうよ」
保田の目線は「そうだね」と言いながら落ちた。けれど目線はすぐに上がった。
「じゃあ今度の休みでもね」
「はい。あ、時間だ。じゃあ、保田さんお疲れまです。また明日」
石川は保田を残して玄関に向かう。
突然、ロビーに保田の大きな声が響いた。
「イシカワ、ファイト、ファイトー」
石川は驚いて振り向いた。そこに保田は立っていた。そして石川は笑顔で応えた。
「ハイ、ファイトー。保田さん、また明日!」
石川も大きな声で返して、保田と別れた。
安部は稽古場で、一人発声練習をしていた。そしてその稽古場のドア越しには保田がいて、保田は安
部のことを覗いていた。安部は不安定な娘だ。メインを張っていた人間の辛さ、そして今の辛さは保田
には分からない。けれど、それはメインを張らせてもらえないだろう保田の気持ちと重なった。だから、
保田は安部が心配だった。
でも、なっちなら大丈夫だな。
数時間後、練習を終えた安部はドア付近に誰かがいたであろう雰囲気を感じた。そして、それは何故だ
かすぐにいやな予感に変わった。その近くには手帳が落ちていた。
トゥルルルルル…♪
「あ、紗耶香。久しぶり〜」「あ、圭ちゃん。おひさ〜、どうしたの?今日は」
「ん?いや、別に用事はないんだけどね。最近紗耶香どうしてるかな〜と思って」
「あはは、別に変わんないよ〜。そうだな、ちょっと太ったかも」
「あはは、紗耶香は結構太りやすかったからね。娘。のときはその分動いてたから良かったんだけど」
「圭ちゃんの方こそどう?最近は?」
「うん、みんな元気だよ。後藤もしっかりやってるよ。新生プッチも頑張ってるしさ」
「ふーん。そっか、安心した」
「ねえ、紗耶香…」
「ん?」
「………いや、プッチモニのときって大変だったね」
「…どうしたの?何かあった?」
「ううん、何でもない。……そろそろ終わりかな」
「え?何」
「紗耶香…じゃあね、ずっと、ずっと、元気で……」
そう言って、市井の電話は電子音しか発しなくなった。
言葉の語尾は聞き取れなかった。
保田は最後まで言うことができなかった。
保田は屋上に出ていた。電源を切った携帯電話はポケットにしまった。
下を向いていることに気付いて、まだ涙が溜まっていたが保田は空を仰いだ。
少し張り詰めた、それでいて透き通っているような、クリスタルのような夜空。
保田はそんな夜空をもっと見ていたくて仰向けになる。
当たり前だが、地球は丸かった。そして広い。
そして、自分はもうすぐこの世界からの関係を終える。
よく見ると、10個の固まって輝く星とその脇にある3つの星が見えた。
また涙が出てきた。けれど、保田は星に向かって一生懸命笑顔を作った。
今までその日に出来ることは全てやって、一生懸命生きてきた。
今日だってちゃんとみんなにお別れできたし。
突然13個の星が赤く輝く。それは笑っているようにも見えた。
そして、そのうちの一つ更に赤く輝く。
「じゃあね」
終わり
どうです?詰まらなかったでしょ?
とりあえず前座は暖めるぐらいにはなったと思うので
あとは小説うまい人よろしく!
17 :
:01/10/14 03:42 ID:2YWR2WrQ
このまま捨てられるにはちょっともったいないな・・・
実際の保田には、天使と格闘し、倒して
運命を変えるくらいの力強さがあると信じたい
19 :
独り言:01/10/17 03:42 ID:dKgJEB0e
ここで小説を下ろすと、期待されそうで怖いなぁ・・・。
かなりの実験作だから危ない要素が多くて。
でも死にスレも見つからないし・・・。どうしよう・・・。
能書きはいい。
書けば分かる。
21 :
名無しさん:01/10/17 16:53 ID:inz6xxc2
25 :
名無しさん: