加護ちゃんのクローン手に入れたらどうする?

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947名無し is mine !

僕の手を掴んだのは、トイレに行ったはずのレジ店員の兄ちゃんだった。
(どうする、、、とぼけて逃げようか。いや、そうなるともうチャンスは無くなる、、、。どうする、どうする、、)
掴まれた手と顔に冷や汗がにじみ出てくる。ヤバい、、怪しまれるよこれじゃあ。
だけども思いとは裏腹にだくだくと汗が―。(うわっ、この兄ちゃん思いきり俺を疑ってる顔してるよ〜)
「いやー、あのですね。このPOPがですねー気になりまして、、」
「君、これ盗もうとしてたのか?」
「いいえ、いいえ。とんでもないですよ。はい」
「君、ちょっとスタッフルームの方へ来てもらおうか」
(ヤバイよ、ヤバい。今逃げるならこの兄ちゃんぐらいは振り切れそうだけど・・。犯行を認めるようなものだし、
もし捕まったら・・・。でも奥に連れていかれたら、もっとヤバイ事になりそうだしな〜。)
「いえ、結構です。間に合ってます」
「何を言っているんだ。君、僕をなめているだろ。やっぱり店長の所へ行って貰うよ!」
もう冗談も通じない。なごますつもりが逆に、兄ちゃんの神経を逆撫でしたようだ。顔を真っ赤にして怒っている。
マズい。ひじょーにマズい。僕の腕を掴む手にも力が入ってきたのが解かる。

店員の兄ちゃんが僕の腕を引っ張り、奥へ行こうとする。店の奥へ向かい歩き出した店員の後ろから、思いもよら
ない計画外の訪問者、加護が姿をあらわした!
「にぃぇぇぇーっ!?」
思わず、何だか訳のわからない叫び声が出た。僕の奇声に驚き店員も振り向いた―。
948名無し is mine !:02/05/08 02:29 ID:3GiCT8fu

僕は驚いて一瞬時が止まった状態にいたのだけど、店員の兄ちゃんも加護があの加護だと気付いたようで、
(えっ!?)といった表情で固まっている。

「いやぁー、どうも、どうも〜。レポーターの〜『加護ちゃんです!』いやー今回はこちらのお店にお邪魔しまして
CDコーナーの売上状況をレポートしたいと思いますぅ。先ずわぁ恒例のーっ『加護ちゃーんチェック!!』
さてさて、このお店のミニモニの宣伝状況はどうでしょうか。おっと店員さんがいますので聞いてみましょう。すい
ませんミニモニの宣伝していただいてますかーっ?」
「・・・・・・・・・・・・えっ?加護ちゃんですか?モー娘の。どうして、ここに!?」
「すいませんねぇ突然お邪魔しまして。こちらの加護ちゃんのPOP少しの間貸していただけますか?使いたいもの
ですから。」
「えっ、はぁ、で、どうぞ。えっ?でも、どうして加護ちゃんが・・」
「いやーありがとうございますぅ。すいませんが店長さん呼んできていただけますかぁ?」
「あっ、は、はい。解かりました。すぐに呼んで来ます!」

店員の兄ちゃんは、いまだに信じられない事が起こったみたいな表情で2・3度振り向きながら店の奥へと店長を呼
びに行った。あの鼻の穴を広げて興奮した様子をみると、あの兄ちゃんモー娘のファンかもしれない。

僕はあわてて加護に言った
「でも何で加護ここにきたんだよ?」
「遅いから心配になって。それより逃げようよ!」
「えっ!あ、うん!逃げよう!!」
僕と加護は、等身大のPOPを持ち上げて2人で持つと、店から逃げ出した―。
949名無し is mine !:02/05/08 02:30 ID:3GiCT8fu

僕達が逃げ出した後、あの店ではレジ店員の兄ちゃんと店長の間で奇妙なやりとりが交わされていた―。
「何や、おい!ここにあったデカイPOP無くなっとるがな!」
「ですから言ってるじゃないですか、店長。ここにですね来たんですよムスメが!」
「娘?何処の娘?取っていったのかどっかの女の子がPOPを!」
「いえ、貸してくれって言われたものですから―」
「お前はアホか!貸してくれって、そりゃ盗られたって事だろうが!」
「いや、違うんですよ店長。あのですねモームスの加護ちゃんがですね」
「無くなったん、加護のPOPか〜。かー、ワシの娘に欲しいって言われとったんやで」
「いえ、そうじゃなくて」
「そうやろが。現に無くなっとるんは加護のやないか。他の3人のはあるがな。」
「ええ、そうなんですけど。加護ちゃんのPOPをですね、加護ちゃんが来まして、加護ちゃんのPOPを貸して
欲しいと言われたものですから。で、加護ちゃんが、加護ちゃんのPOPを借りるに当たって店長を呼んでくれと
加護ちゃんに言われまして・・。」
「はぁ?お前何言うとるんや。しっかりせいよ!」
「いえ、ぼ、僕は、事実をですねありのままにお話してるんですけど・・」
「ははーん、犯人はお前かぁ?さっきから訳解からん事言って、状況説明も出来へんし。お前確かモーニング娘の
ファンて言ってたなー。店の物に無断で手付たら泥棒やで!」
「ぼ、僕じゃありませんよ!ですからさっきから説明していますように、加護ちゃんがですね、加護ちゃんの・・・」
950 名無し is mine !:02/05/08 02:31 ID:3GiCT8fu

「早く!早く!」
店を出てからも僕達の逃走は続いていた。等身大POPをバッグにしまって、自転車に2人飛び乗る。バッグは2人
仲良く一緒に右側に抱え込むように持つ。大きな道路を避け、調べておいた裏道の逃走路をひたすら走った―。
「大丈夫かな?あの店員、店長を呼びに行っただろ」
「大丈夫だよ。きっとーテレビか何かだと勘違いしてるよ」
「でも、だましただろ?」
「だましてないよー。テレビだなんて言ってないし。それに貸してほしいってちゃんと聞いたよ〜」
「うん、まぁそうだけど・・」
「加護、頭いいでしょ。大活躍!」
「上手くいったから良かったけど、ホント驚かさないでくれよ」
「終わり良ければ〜」
「全て良し!」
「あーそれ〜、加護のセリフだよーっ!」
「アハハ。最後はいただきました〜。最後が良ければ全部良しなんだろ!」
「ズルいっ」
加護がそう言って、後ろからまわした左手で僕の体を揺さぶる。
『うわぁ!』
自転車のハンドルがぶれて、大きく蛇行した。あやうくこけそうになる。
「あぶないだろ!加護〜っ」
「わぁお、ドキドキしたね〜っ」
「俺は加護の行動には、ずぅぅぅーっとドキドキハラハラさせられっぱなしだよっ」

加護は揺れる自転車から落ちないようにしっかりと僕につかまって、僕の背中に耳を当てるようにして顔をつけた。
「すごい、音が聞こえるよ心臓がドキドキしてる」
加護の声とともにその振動も伝わってきた。僕と加護が一体化したような不思議な感触が心地よく響いた。
「・・うん。すごくドキドキしてるよ今」
それからしばらく加護は僕の背中から顔を離さずにいた。その間何もいわずに時間が過ぎていった。
空は夕暮れと夜の狭間紫紺色につつまれ、堤防沿いのサイクリングロードを走るふたり乗り自転車―。
僕は(加護は今どんな気持ちでいるんだろう?)とても気になった。