加護ちゃんのクローン手に入れたらどうする?

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899名無し is mine !
結局、加護に計画の全貌を説明する事無く、計画実行日を迎えてしまった。修学旅行の前日という事もあり、早く
に終った学校を後にして家へと急いだ―。修学旅行の荷物準備は既に済んでいて、本当なら明日の旅行当日を目前
にしてワクワクしているのが本当だろけど、今の僕は計画の事で頭が一杯で、ワクワクというよりもドキドキして
いる。加護には計画が全部成功してから報告しようと思う。喜んで「バカだなぁ(笑)もぅ。」って笑ってくれた
ら嬉しいのだけれど―。

僕は黒のジャージに着替えて、計画に必要な道具を確認する事にした。帽子は目深に被って顔を隠すのに大切だ。
動き易いジャージはスムーズな移動を可能にし、年齢などを誤魔化すのに適している。近所の親しいお兄ちゃん
から借りたサーフボード入れ持ち運びできるバッグは、今回の計画には最も重要な道具の一つだ。
ベランダ口の窓から入る夕暮れ時のオレンジ色の光が、濃さを増して、実行時間に近づいているのを知らせてくれ
ている。僕は「フゥッ」と息を吐いた後、意を決するように口を強くむすんだ。

何やら階下から母さんの声が聞する。何を言っているか聞き取れないけど、いつもの様に適当に返事をする。
「うーん、わかった。わかったー」どうせ明日の準備の事か、晩飯の事だろう。今、僕はそれ所では無いのだ。
いつもなら諦めて直ぐに止める階下からの呼びかけ声が、続く。(なんだよ!もう!)僕は仕方なく部屋を出て
相手する事にした。部屋の扉を勢いよく開ける―。『ゴン!』鈍い音をたてて扉が外にある何かに当たった。
「いった〜い!」聞いたことのあるような(叫び)声が間近からした。
扉を完全に開けると、廊下で加護がオデコを手で押さえてうずくまり、泣き顔で見上げている。
僕は驚いて、「ゴ、ゴメンな〜」と謝る。
「いたいよ〜、もーぅ。」
「大丈夫か?誰もそんな所にいるなんて思わないからさ」そう言って僕は加護のオデコを軽く手で押さえる。
「火花が見えたよ〜。もう。痛いっていうより、ビックリしたよぉ」
「俺も、ビックリしたよ。何で加護がここにいるの?」
「何でって、とにかく扉にオデコぶつけにきたわけではないよぅ」
「ホントに悪かったよー。でも、本当に何で居るのココに。」
「お仕事は明日からだから今日はフリーなの。だから遊びにきたんだよ」
「加護ウチに来るの初めてだろ?ビックリするよ」
「う〜ん、なんていうか〜、胸騒ぎというか〜、何となく会いたくなって。」
うなずく素振りでそう言う加護に、僕はとても加護がカワイく思えた。
それにしても(胸騒ぎ)とは、加護の鋭さには毎度驚かされる。
ここにきての予定外の出来事に僕は混乱している。加護に話すべきだろうか、それとも計画どおりに―。
「どこかに出かけるとこだった?」
「いや、べつに・・」
「このでっかーいバッグ何?」
「えっ、これ?何だろうな。デカいよなー?」
あれっ何で俺が質問してるんだろ。思いっきり怪しいじゃないか〜
「う〜ん?あやしいぞ〜っ。なに企んでるの〜?」
こうなったら仕方が無い。お手上げです。僕は洗いざらい今回の計画について加護に話す事にした。
僕の説明を興味深々に聞いた加護は、開口一番とんでもない事を言い出した―。
「加護もやる!絶対一緒に行くからねー!」
『予定は未定』誰かが考えた言い回しがあるけど、今の僕に言わせればそんな生易しいものじゃない。
予定外でしかもぶっつけ本番、僕と加護2人だけの冒険がはじまってしまう?のだろうか・・。
その時、右腕で鳴った時計のアラームが計画実行1時間前である事を告げた―。