加護ちゃんのクローン手に入れたらどうする?

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703名無し is mine !
僕だけだろうか、午後からの授業が退屈で眠たく感じるのは。いつもは睡魔と激しく戦っている時
間帯だけど、今日は昼間の出来事のせいか、眠くないどころか逆に高揚感を抑えられないくらいだ。
ただ彼女と、たわいも無い会話を交わしただけなんだけど、すごく彼女のことが気になった。普段
は午後の授業に居る事の少ない彼女の姿が、僕を非日常的な気持ちにさせたのかもしれない。

一番窓寄りの最後列にある彼女の席は、日頃から空席になる事が多い。そんな彼女の席を前の方に
するのは、教育上の見栄えが良くないからだろうか...日当たりの良い窓側なのは、せめて明るい席
を。という先生の事務的な優しさなのだろう。なにせよ彼女はクラスの席決めに参加する事は無かっ
たから。

授業を受ける彼女の表情は真剣で、一生懸命にノート取りに励んでいる。少し変わったシャーペン
の持ち方が、僕にはなんだか可愛く見える。彼女を見ているうちに、彼女がよく窓の外を見るのに
気付いた。空模様を眺めて何か物思いにふけっているのだろうか?もしかすると片思い?かもしれ
ない。誰か好きな人がいるんだろうか?彼女のことがとても気になる。放課後にそれとなく聞いて
みようか。いろんなを事を話したい。僕は、それからの授業が長く感じて仕方がなかった。

放課後、僕は先生から屋上の扉の鍵を受け取り、早速屋上へと向かった。屋上に繋がる階段は一つ
だけで、そこはあまり生徒や先生が通らないせいか、少しばかり埃っぽい匂いがした。鍵を開けて
屋上に出る。僕はこの屋上の空間がとても好きだ。限られた人しか入ることの出来ないという優越
感もまたその理由の一つだった。僕は一人で居る事が好きで、ここで寝そべって空を見上げ、いろ
んな事に思いを巡らしたり。あるいは何も考えずにただ雲を見ているのが楽しみだった。

僕は水やりの為の如雨露を2つ用意すると、いつもの様に寝そべって彼女を待つ事にした。彼女は
連絡事があるので先生に呼ばれ職員室へ行っている。待つ間、雲を見上げて彼女のことを考える―。
僕と彼女、同じ年だけど周りの世界はまるで違う。彼女は僕の同級生で有名人でアイドルで人気者。
僕はただの中学生。世界が違うと一体何が違うのだろうか?僕が彼女を好きなのはいけない事なの
だろうか?思う気持ちぐらいはいいだろう...かなわない思いでも、それを罰する法律なんてこの世
には無い。そう思うと気持ちが楽になった
閉じた瞼に影がかかった。目を開けると、彼女はしゃがみこんで僕の顔を覗きこんでいた―。