「星に願いを..ウシナッタキオク」
<契約書>
署名者(乙)は、その存在及び権利を甲に全て委ねるものとする。
甲:モーニング財団は、乙に関しての責任は一切負わない。
驚いた事に署名欄には既に僕の名前が書かれており拇印も押されている。よく見ても確かに僕の筆跡に似て
いる。こんな契約書に署名した記憶なんてない、全てに身に覚えの無い事だった。絶対にコレは捏造だ、僕は
強い口調で、矢口さんとミカさんに言った「こんな物知らないし、署名した憶えもないよ!」 そんな僕の答
えを予想していたかの様に、矢口さんは答える「これは確かにあなたの署名ですし、拇印もあなたのものです
この契約書は有効です」 さらにミカさんが続ける「それに証拠のビデオもありマス。見ますか?」
半信半疑だったが、こうなったら見せてもらおうじゃないか。そんな気になっていた。矢口さんが小型の液晶
画面付きの機械を取り出した、見た事が無い機械だ。映像が流れ出すと、そこには契約書の内容を読み、署名
し、拇印を押している僕の姿が映っていた。確かに僕だ、間違いない。「な、何で僕が...」言葉を失う...
「これで納得していただけましたか?何なら拇印も鑑定しますか?それも完全に一致すると思いますけど」
矢口さんは相変わらず冷静に対応する
「・・・・・。」僕は無言だった。反論の仕様が無かった。映っているのは間違いなく僕本人であり、署名も、
拇印もおそらく本物だろう。ただ、僕にその記憶が無いだけなんだ...
「では、ご理解いただけマシタ様なので、引越しをしていただきマス。いまごろは家全体の引越しの荷造りも
済んでいる事と思いマスから、後は体一つデ移動してもらうだけデス」
事の繋がりが理解出来てきた、そうか最初からそのつもりだったのか。20人の引越し要員も納得がいく。
家では既に僕の荷物も梱包されているという事か。強引なやり方だが用意周到で計画的でもある。契約の内容
も簡潔だが恐ろしい内容だ。僕は何だか得体の知れない巨大な存在を感じて、恐ろしくなってきていた。
僕は急に、家に残してきたあいぼんの事が心配になった。もしかしてこれは僕と彼女を引き離す為の罠なの
かもしれない。僕は立ち上がって、真剣な目で向かいに座る二人を睨む。しかし、そんな僕の心配さえも見透
かしているかの様に矢口さんが言った「彼女なら家に居ます、大丈夫です。それに彼女は、この事を知ってい
るいますし、理解しています」 彼女がこの事を知っている!?いったい何を知っているというのか...何も
かも理解できない僕は、呆然と立ち尽くしていた... 「これは彼女カラ話をしてもらった方が良いのカモし
れまセンね」ミカさんの言葉に、僕は頷きはしなかった。とにかく家に向った <To be continued...>