1 :
漏れ男。:
やけに明るかった照明のせいだろうか。目の前の光景は全て、現実感を
喪失して見えた。隊列を組み、山荘を取り囲む無数の制服警官。銀色の盾
をかざすその列はカメラの正面にしかなかった。
‥まるで、テレビ。
赤色灯をくるくる回しているパトカーはなぜか5ナンバーだった。
私はゆっくりと窓から離れて、手の中の拳銃に目を落とした。その手触りは
まぎれもなくプラスチックのものだった・・・。
2 :
漏れ男。:01/10/02 15:21 ID:lS5L4vW.
第1部
彼女に始めて出会った時のことを、私は今でもはっきりと思い出せる。あ
れは、入学式の日。前日テレビで心霊特集を見てしまった私はなかなか寝付かれず、
案の定ねぼうした私は、だいぶ遅れて学校についた。
雨の日だった。
式はとっくに始まっていて、会場の体育館は固く閉ざされていた。
3 :
漏れ男。:01/10/02 15:21 ID:lS5L4vW.
----------どうしたの?
高く澄んだその声に背後から呼びかけられたのは、絶望した私が排水溝に
溜まった無数の花びらを、ぼんやりと見つめていた時のことだ。心臓が止ま
りそうなくらい驚いて、反射的にふり返った私の視線の先には、上級生だろう
か、かたわらに黒いファイルを抱えた一人の女子生徒が立っていた。
「そんなにびっくりしないで。あなた、新入生?」
おだやかな微笑をうかべて私の様子をうかがう彼女に、
あわてて返事をしようとしてうなずいたけれども、声はうまく出なかった。
「だいじょうぶよ。式、まだ始まったばかりだから。
堂々と入ればいいのよ。
『挑戦 それは 何事も恐れないこと』」
彼女はそう言うと、いきなり入り口のドアを開け、私の背中をどんと押した。
私は床に倒れ込み、大きな音を立ててしまった。
「フェ〜ドアウト〜」
高く澄んだ声とともに、彼女は立ち去ってしまった。
会場の人たちの咎めるような視線は、私一人に注がれていた・・・。
4 :
名無しさん:01/10/02 16:16 ID:yNu.g.wg
最後までやり通せよ。応援してるから。
ワラタ
最後までやってくれ。ていうか、やれ。いや、やってください・・・
6 :
漏れ男。:01/10/02 19:53 ID:d7Aeg5Ps
「中澤先生はいつもああなの。もうたいへん。」
「石川さん、仲いいんですね。中澤先生と。」
「‥うん。」
と、とつぜん梨華は私の手首を掴んだ。
「あれ、吉澤さんも右の手首に痣があるんだね。私もあるよ、ほら。」
そう言って差し出された彼女の手首には、確かに小さな赤い痣があった。
私のものと場所も同じで、形もずいぶん良く似ている。しかし、
並べた二本の腕の色は対照的ともいえるほど異なっていた。
「私たち、全然違いますね。」
そのとき、私たちは痣のことなどすっかり忘れてしまっていた。
7 :
名無しさん:01/10/02 20:54 ID:OFdyY7n.
DTS
8 :
名無しさん:01/10/02 23:45 ID:ni5o83Ms
アイデアは何にも優れるという良い例だな。
本気で応援する。
つーか、100レス以内で終われよ。たぶん、飽きるから(w
10 :
漏れ男。:01/10/03 16:15 ID:iwIfZuCA
梨華はいた。トイレの前に。
便器の中には、まだ物体が残っていた。
臭気が大量に流れていた。
「しちゃったの」
私は初めて梨華のウ○コを見ました。
そして初めてキスもしました。
テレビにはマキちゃんが映っていた。
第一部 おわり
11 :
姉妹スレ:01/10/04 16:29 ID:zr/0NNaw
12 :
漏れ男。:01/10/04 17:08 ID:p84vDbnQ
>>3の続き
フェ〜ドアウト〜------アニメ声で、私に強烈な印象を与えた生徒。
あのとき名前を聞くことはできなかったけれど、
いわゆる彼女は目立たない生徒で、つまりは目立たなかった。
だから彼女の情報に関して不自由していた。
「ほいっ」「チャーミー」「ポジティブ」。
石川?あれ?清水だっけ?チャーミーだろ?
学校生活をしばらく送るうちに、ようやくそれだけがわかった。
13 :
漏れ男。:01/10/04 17:09 ID:p84vDbnQ
担任の中澤はいいかげんだった。テニス部での彼女はいいかげんだったが、
教室での中澤もいいかげんだった。彼女の専門は数学で、その授業はいいかげん
だった。彼女の解いた答えが合っていたかどうかについては疑問だ。
受け持ちの生徒への指導もいいかげんで、いかにもいいかげんな教師ぶりを
発揮していたが、教職を聖職と見ず、ある意味軽蔑さえしているような彼女の態度の
内側に、いいかげんさをかんじた。
わたしの好意が伝わっていたのかどうかはわからない。ただ、彼女も私のことを
いいかげんに考えてくれたようだった。
14 :
名無しさん:01/10/05 04:02 ID:AV3e9zWE
2レス目から読んでないけど、まぁ頑張ってね。
15 :
漏れ男。:01/10/05 14:44 ID:lQFQgFOs
2学期に入ったある日。相変わらず厳しい残暑が続くなか、その日は比較的に
すごしやすかった。開け放った窓から入る風はサラリとして心地いい。机に
座ってただ授業を受けているのが急にバカバカしくなった。不愉快なほど通る声
で話す社会科教師に向かって、私は手を挙げた。
「先生。」
「ああ?なんだ吉澤?」
強豪と言われるソフトボール部の顧問を務めるその男の、威圧的な態度が嫌いだ。
「気分が悪いので、保健室に行っていいですか?」
「お前、ほんとうか?顔色だってぜんぜん普通じゃないか。」
「‥ほんとうに、気持ちが悪いんです。」
私がそう答えると、その男はジロジロと探るような目で私を見た。
「本当か?よし、先生が調べてやる。」
そう言うと、その社会科教師はどこからか取り出した白衣を着始めた。
「さあ、脱いでごらん・・・。」
これまたどこからか取り出した聴診器をかざしながら、その男は
卑猥な声をかける。
「いえ・・・もう直りました。」
私はあっさりと先ほどの申し出を取り下げた。
16 :
漏れ男。:01/10/06 22:28 ID:7TGW0wos
放課後。日誌をつけ終えた私は部活用のユニフォームに着替え、軽く教
室の机を整頓してから職員室へと向かった。荷物を持って急ぐ私は数人
の生徒と衝突しそうになった。思ったより早く終ったので、急げば練習開始
までに間に合うかも知れない。そう考えた私は勢い良く階段をかけ降りた。
普段は閉じられている職員室のドアが、その日に限って明け放されて
いたのは偶然か。そのドアの向こうに、思いがけない光景を見た。
----------やろ?
----------何言ってるの、せんせい。
自分の席に座っている中澤と、その脇に立つスコート姿の梨華。
私はその様子を見たからといって一瞬たりとも立ち止まることはなかった。
なぜならば、急いでいたからだ。
18 :
名無しさん:
sage