跡亡き楽園

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36名無しさん:01/10/30 08:00 ID:j80rJxcq
abe
37名無しさざん:01/11/01 02:52 ID:F0124UFD
ageちゃん
38名無し募集中。。。:01/11/02 08:19 ID:2Irv7/JP
保全
39名無し募集中。。。:01/11/03 12:34 ID:fvI6+0Ow
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40ねぇ、名乗って:01/11/04 23:36 ID:R7/yXdNj
41:01/11/04 23:56 ID:D/c8y17l
っと、あさ美は息をのんだ。
白い絹の様な糸の中にポッカリと糸以上に白い顔が浮かんでいたのだ。
必要以上に精巧に織り込まれたソレ等はある種の芸術を感じさせた。

人間の所業ではないとハッキリ解るような悪趣味さと共に、
その趣向を解らない愚かな人間を嘲笑うような高貴さを兼ね備えている、
その魅惑的なオブジェに、あさ美の心は徐々に取り込まれていった。

(里沙ちゃん・・・ 辻ちゃん・・・ な、何だか気持ちよさそう・・・)

蝋のように白い血の気の無い二人の顔からは、
まるで生気が感じられなかったが、かと言って生気が無い訳ではなかった。
二人とも、まるで普段より格段に深い眠りを
愉しんでいるかのような表情だった。

立ち尽くす紺野の斜め前方の空間が揺らぐと、見知った顔が現れた。
高橋愛だ。無論、高橋の部屋であるから
その事自体には、あさ美は大した違和感を覚えなかったが、
眼を惹いたのは、高橋が全裸であった事と、
彼女の右腕の肘から先が細かい黄色と黒の縞模様状に
繊毛で覆われており、その先にある爪は
鋭く巨大な漆黒のモノに変化していた事であった。

薄明かりに浮かび上がる、高橋の白い裸身と黒い髪、特異な右腕、
あさ美は言葉を失って、その光景に魅入られていた。
42:01/11/05 23:45 ID:MpaWeKyb
音も無く、滑るような足取りで高橋愛は、あさ美の真正面に移動した。
そして、その硬質で滑るように黒光りする巨大な爪を
ゆっくり持ち上げると、あさ美の特徴的な少し福よかな頬から
喉に向かってゆっくりと這わしていった。

高橋の大きな吸い込まれるような黒い瞳に、
対照的な赤い唇に、あさ美の何かが音を立てて引き込まれていった。
恐怖よりも、何か身体の深奥から熱いモノがこみ上げてくるような
不思議な感覚に、あさ美は包まれていた。

無言で頬を赤く染めている、あさ美の姿がよほど可笑しかったのであろうか、
高橋は冷たいながらも若干表情を崩し、僅かながら真紅の唇を動かした。

「何故声をあげないの?あさ美。 私が怖くないの?」
43名無し募集中。。。:01/11/07 08:21 ID:qxGJ/bIs
age
44ねぇ、名乗って:01/11/07 22:55 ID:67TfQ1Gz
sage
451:01/11/09 01:13 ID:fC0aMHsL
爪痕が二筋の紅い線となり、ぽつりぽつりと線上に紅い珠が姿を見せた。
やがて、ゆっくりと頬を伝い落ちる生暖かいソレが、
あさ美を情熱的に彩った。

高橋愛は底無しの優しさを込めて、尚も、あさ美に語りかけてくれた。

「どうしたの? 泣き叫んでも良いのよ。
 蔑みと、怒りと、憎しみと、悲しみと、哀れみの
 篭った視線を向けても良いのよ。
 何故、逃げ出さないの?」

高橋の爪がジリジリと、あさ美の白い喉に食い込み始めていた。
その黒い瞳を見ている限り、高橋に今この瞬間に害意が無いのは
あさ美には理解できていた。
高橋にとって、これはピンセットで豆腐を
摘み上げているようなものなのだろう。
そんな高橋の所業を責めるのは、あさ美には、とても出来なかった。
46ねぇ、名乗って:01/11/10 07:31 ID:XTvvS4mn
47ねぇ、名乗って:01/11/11 11:06 ID:cW/mkJKH
age
48ねぇ、名乗って:01/11/11 23:29 ID:nVL3GEW3
age
49ねぇ、名乗って:01/11/13 00:02 ID:nF6OR2UY
next
50:01/11/13 23:28 ID:1oTtFRpL
「・・・今日の様子は絶対普通じゃなかった。
 ねえ、圭ちゃんの思ってる事を全部言ってみてよ。
 ・・・その、心配させないように嘘をついても無駄だよ。
 後藤はさあ、圭ちゃんの嘘をつく時の癖を知ってるんだから・・・」

正直な所、保田圭は後藤真希に圧倒されてしまった。
無論、悪い意味ではなくて、悪い気もしなかったが。

(ぼーっとしてるように見えて、この子は何てよく観察してるんだろう・・・)

圭は軽く溜息をついて、一つの決心を固めた。
後輩が此処まで心を開いて接してきてくれたのだから、
それ以上の対応をしてやらなければ、圭自身のプライドが許さなかった。

圭は、多少まどろっこしかったが、順追って後藤に事の流れを説明し始めた。
部屋の中では二人の呼吸音と時計の音だけが
その存在を激しく主張し続けていた。
51:01/11/15 00:01 ID:G517b6GL
「・・・私のお婆ちゃんが巫女をやってた。
 ううん、やってたって言うのは変かなあ・・・ 何て言うのかな。
 まあ、簡単に言えば、私はその血をひいているのよ。」

ふっと言葉を切った保田圭は、何時に無く神妙そうな顔で話の合間合間に
頷いている後藤真希の顔に、ちらりと視線を走らせた。

その圭の話を真剣に聞こうという後藤の姿勢が、
あまりに一生懸命なので、圭は笑みを堪えるのに、
若干の努力を必要としていた。

「・・・お母さんは全然その・・・
 そう言った意味での素質が無かったらしいけれど、
 お婆ちゃんに言わせると、私には素質があるらしいの。

 勿論、巫女になる気は無かったのだけど、
 それでもお婆ちゃんは、何かあった時にと、
 私に知識を教えてくれたり、素質を磨くような行を教えてくれたの・・・」

時計が無機質に、それでいて気に障るほど大きな音で時を刻み続けていた、
同じ頃、ドアの外では一人の少女が
圭の部屋を目指して廊下を疾走していた。
52ねぇ、名乗って:01/11/16 02:07 ID:38ufNQ/A
age
53名無し募集中。。。:01/11/17 05:25 ID:zqx7/sNG
age
54ねぇ、名乗って:01/11/17 11:48 ID:tODDoTN4
age
55名無しさん:01/11/18 02:51 ID:TjwUVksK
age
56:01/11/18 23:11 ID:7M1Uc92n
「・・・やっぱり、そう言った世界の事って普通と違うのよね。
 最初は誰も信じないだろうけどね。素質のある人。と言うか
 素質が在って偶々めぐり合わせが合っちゃた人は、ある日突然。
 その、別の世界が知覚できるようになるの。その時に、
 今までの世界観が音を立てて全て崩壊するのよ。

 それまでだったら笑い話でしかなかった妖怪とか魑魅魍魎と言った話が、
 冗談ではなく、所謂昔話が、ある面からのモノの真実を
 語っている事を否が応でも思い知るの・・・」

一瞬、圭は、ふっと言葉を切って後藤の様子を伺った。
失笑される事を、ある程度覚悟して語りだした事であったが、
後藤の様子は以前変わらず、否むしろ、頷く事を忘れているぐらい
話に聞き込んでいたので、圭は胸を撫で下ろした。

少しずつ気持ちが軽くなるのを感じながら
圭は話の続きを訥々と語りだした。

「・・・俗に言う『妖怪』は、私達に言わせると、
 別の世界の存在って言うだけで、『アヤシイ』訳ではないのよ。
 ただ普通には存在が判り難いだけなの。
 これは彼等の側の大半のモノも同じ事で、
 彼等の側からこちら側が、任意に知覚できる訳では無いのよ。
 世間の妖怪伝説って言うのは、何らかの偶発的要因で
 偶々、人間と彼等が遭遇したというパターンが殆どなの。」
57名無し募集中。。。:01/11/20 02:31 ID:fjS61Krc
age
58ねぇ、名乗って:01/11/20 23:51 ID:XqUT0QMA
age
59ねぇ、名乗って:01/11/22 00:01 ID:Rye/EQOM
sge
60名無し募集中。。。:01/11/23 04:12 ID:9PJ3XGHl
age
61名無し募集中。。。:01/11/24 02:38 ID:BKKkcYAf
age
62名無し募集中。。。:01/11/25 02:15 ID:GO/OXckj
age
63ねぇ、名乗って:01/11/26 01:02 ID:FnBmD9Rm
ageage
64:01/11/27 01:13 ID:Lc7bH6bC
「ただ彼等の中にも、その・・・ 力を持った存在も稀に存在するの。
 そう言うモノは行動に制約を受けない場合があるし、
 中には私達の理解できない程高次のモノもいるらしいの・・・

 肝心なのは、彼等は無条件で、人間に害意を抱いている訳ではないと言うこと。
 と、そして同時に、決して人間の味方と言う訳ではない、
 何かのきっかけで人間に害意を抱いても不思議ではないと言うことなのよ・・・」

言葉を切ると唇を軽く舐め、
今まさに額から右頬に流れ落ちようとしていた汗粒を拭い取った。
やがて、圭は一瞬の間を取り繕うように、少し上ずった調子で言葉を続けた。

「・・・で、要は昨日からチラチラと、そういったモノの気配を感じるのよ。
 その何かそっち系が関係あるとしたら、
 普通の人間にはとても解決できないからね・・・

 そう、そう言う意味で、マジで心配してたのよ。
 でも後藤が心配する事は無いのよ。

 因果関係が判らない気配を察知したってだけだからね・・・」

若干強引に話をまとめあげると、圭は大きく息を吐いた。
少し後藤から視線を逸らすと、圭は、最後に言えなかった一言を心の中で
ポツリと呟いた。

(・・・それも特大のヤツをね・・・)
65名無し募集中。。。:01/11/28 02:19 ID:JELDFYsq
age
66ねぇ、名乗って:01/11/28 08:35 ID:7sXi4+XJ
age
67ねぇ、名乗って:01/11/29 03:49 ID:g8Saw7A4
sageとく
68ねぇ、名乗って:01/11/29 23:45 ID:wQoLn49P
sage
69名無し募集中。。。:01/12/01 04:38 ID:3VPZXUME
sage?
70ねぇ、名乗って:01/12/02 01:11 ID:irzKNseW
sage〜
71名無し募集中。。。:01/12/03 04:41 ID:R2Unnw9L
sage
72ねぇ、名乗って:01/12/04 01:22 ID:Zgk4/pYw
sage
73ねぇ、名乗って:01/12/05 00:00 ID:JJekS2uc
ageてみよう。
74ねぇ、名乗って:01/12/06 01:36 ID:6hCsDqET
あげ
75名無し募集中。。。:01/12/06 23:03 ID:gdxfhpVW
sage
76ねぇ、名乗って:01/12/08 01:48 ID:QGsU9QLB
afe
77名無し募集中。。。:01/12/09 04:44 ID:hd6A4JWr
age
78ねぇ、名乗って:01/12/09 09:59 ID:HQovS2yz
あげ
79:01/12/10 00:53 ID:yO0djNmZ
小さな白い手が少し腫れ上がる程、
加護亜依は辻希美の部屋のドアをノックし続けていたが、
部屋の主からの応えは一向に亜依に届く事は無かった。

(希美・・・ お前、何処いったんや・・・)

部屋に電話した。携帯にも電話した。
こうして部屋を直接呼んでもウンともスンとも辻の気配は無い。

辻は人見知りするし、頭も良く無いし、
食い意地張っていて、変なプライドは高いし、
その他色々欠点もあるけれど、約束した事を絶対に守るヤツなのだ。
少なくともその点だけは、誰が何と言おうと
亜依は辻希美に全幅の信頼を置いていた。

(何でや? 九時にって言ったやないか・・・)

考えまいとは思ったが、思えば思うほど新垣の事が頭をよぎった。
亜依の背中に嫌な汗が這うようにゆっくりと流れ落ちた。
80名無し募集中。。。:01/12/11 04:12 ID:B6pQAyZn
age
81名無しさん:01/12/12 00:46 ID:hZrcMmP5
sage
82ねぇ、名乗って:01/12/13 00:08 ID:88CcfnSf
moge
83名無し募集中。。。:01/12/13 23:25 ID:D9ryn2Gn
sage
84ねぇ、名乗って:01/12/15 00:12 ID:S1RDZfn7
sage
85名無し募集中。。。
gesa