シアター

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472萌え男。
「ここは私の自宅。教団の人間にも所在を伏せてるから、
あなたたちはここにいれば安全よ。」
まだボーとして、夢見心地にいるような私に向かい後藤真希は話し始める。
え?安全?教団の人間に伏せてるから?
あなたはG教の教祖ではなかったの?
それよりなんであなたがここに現れるの?
保田さんに教わった携帯番号の主はあなたなの?
本当にあなたは後藤真希なの?
あとからあとから疑問は溢れ出るが、それが口から出てこようとしないのが
もどかしい。梨華も困惑しているのか、後藤真希の顔と私の顔を交互に見比べている。
473萌え男。  :01/12/25 09:45 ID:6+hmfhvu
「あなた、わからないって言ったよね」
え・・・?
「私の携帯にかけてきた時。どう?これで少しは信じた?」
「え、ええ・・。」
やっとそれだけ声が出た。
私は頷いたけれども、後藤真希が何を言ってるのかわからない。
男たちに追われたり、今この衝撃の対面があったりで、携帯電話での問答などすでに
記憶から吹っ飛んでしまっていた。
「フフ・・鳩が豆鉄砲くらったって顔ね。圭ちゃんから少しは事態の説明があったと
思っていたけど、ほんとあの人意地悪だから。」
圭ちゃん?・・ああ、保田さんのことか。
やっぱりこの人、保田さんと面識があるんだ。
保田さん、そんなことちっとも話してくれなかった。隠す理由があったんだろうか?
もともと謎だらけの人だったけど。
474萌え男。  :01/12/25 09:46 ID:6+hmfhvu
加護亜依はあいも変わらず、こちらの様子には興味を示さず、ビデオを観るのに夢中に
なっている。ビデオの内容は先程のワイドショーではなく、真希の歌番組出演時の映像
に変わっていた。ミリオンヒットを飛ばした名曲「愛のばかやろう!」が歌われている
ところだ。<これは小説の中だけの設定です・・・;>
加護はブラウン管の中の真希に合わせて、軽快に口ずさんでいる。
私もこの歌は、フルコーラス歌詞を暗記している。
「もう少し落ち着いてから全部説明してあげる。とりあえず2人とも逃げ回ったりで
相当疲れてるだろうから、ゆっくりしていきなよ。部屋、用意してあるから。」
そう言うと、今までこちらに無関心だった加護が合図を受けた犬のようにピョコンと
立ち上がり、私たちを部屋の出口へ促した。
475萌え男。:01/12/25 09:46 ID:6+hmfhvu
部屋を出ると、サンルーフ状になった天井から眩しい日光が照りつける。
そこは中央広間のようになっており、多数の熱帯植物が室内で育てられていた。
その広間を中心に、10を数える個室の扉が円形に並んでいる。
「すごい家だね・・・梨華ちゃん・・・・・・」
郊外とはいえ、これだけの間取りのマンションといったら相当高額だろう。
こんな所に住めるなんてさすがトップアイドル!
「そうね、すごいね。」
梨華のほうといえば、私に同意したもののさほど驚いている様子もない。ちょっと拍子抜け。
そりゃ梨華ちゃんは大豪邸で育ったお嬢様だけどさ・・・。
私たちは程なく、加護亜依によって寝室に案内された。

今日、私達の身に起こったことを少し整理してみようと思う。
梨華もそうしようと言った。

まず私たちはどこへ行こうとしてたんだっけ?
あ、そうだ。矢口さんのところへ行って結婚の真偽を確かめようとしてたんだ。
「もう!」出だしからすっぽ抜けた私の発言に、梨華がしかめっ面をする。
ブランクがあるからそりゃ忘れもするよ・・・・グス。
「へ?ブランクって?」
いや、こっちの話。