――モーニング財団本部――
ここは、関東近郊の海に面した場所に建てられたモーニング財団本部。
現在、その会議室には、つんくによって、
飯田とその監視をしている安倍と後藤以外の
中澤をはじめとしたモーニング財団のメンバー達が集められていた。
「今日、集まって貰ったのは他でもない。」
つんくはメンバー達を前にそう言うと、液晶プロジェクターの装置を操作する。
「最近、外国製スポーツカーばかりが不自然な事故を起こしている」
壁にかけられた大型液晶モニターに最近の新聞記事が映し出される。
「それらの全ての車には共通点があんねん」
そう言って一通りメンバー全員の顔を見回すと、
つんくは更に言葉を続けた。
「それは全員、事故直前まで何か謎のレースに
参加してたんやないかという噂なんや。」
「謎のレース?」
つんくの言葉にそう反応したのは矢口真里だった。
「そうや。だけどな、そのレースの詳細は
残念ながら誰にもわからへんのや」
つんくはそう言って話を続けた。
「と言いますと?」
中澤がつんくに尋ねる。
「その参加者は全て死亡しているからや」
「・・・」
つんくのその言葉に、メンバー全員、思わず黙り込んだ。
「で、その手口というのがやな。」
その沈黙を破るようにつんくが再び話し始めた。
「公には知られへんように、これはと思った車のワイパーの間に
紙を挟んでおくらしいんや。」
「ワイパーに紙って・・・、ずいぶん古典的な方法なんですね」
つんくの説明に矢口が苦笑いしながらこう言う。
「まあな。方法は金かかってへんけど
ターゲットは全て高級外国スポーツカーばかりや」
矢口の言葉につんくがそう付け加える。
「で、そのおとりに掛かって来た者は・・・」
「死あるのみ・・・」
その言葉に室内は静寂に包まれた。
バタン
「大変だよ、裕ちゃん!!」
急に扉が開いたと思うと、息を切らしながら
後藤が財団本部のラウンジに飛び込んできた
「なんや?そんなに息切らせて。どした、ごっつぁん」
「ノノが何か変な自動車レースに」
ブホッ
中澤は飲んでいたコーヒーを吹き出した。
「裕ちゃん、汚い!」
中澤の吹き出したコーヒーの直撃を受けた矢口が叫び声をあげた。