小説「モーニングライダー」

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662モーニングライター

――さらに飯田とノノ――

「はぁ、それにしてもどうすんのよ。
お金なくなっちゃって・・・これからどう生きてくのよ」
モーニング2000のドライバーズシートに収まりながら
恨めしそうな声でノノに文句を言う飯田。

「ん?何よこれ?」

ふと飯田は、ノノのフロントガラスとワイパーの間に
何か紙が挟まっているのを発見した。
飯田は車を停めるとパワーウインドーを開けると
身をよじりながら乗り出して、
ワイパーに挟まっている紙を取ってみる。

飯田が手に取ったその一枚の紙には
"キャノンボールレース 優勝賞金1000万円”
の文字が。

「すごいよ、ノノ!!一千万円だって。」
「一千万円って言ったら何でも買えるよ。」
「8段アイスなら30000個はかえるのれす」
「あんた、一体、何買うつもりよ・・・」

663モーニングライター:02/09/28 06:38 ID:M8LHZY+y

「ところで、レースに出るためにはどうしたらいいんだろう?」
先程のワイパーに挟まっていた紙を改めて見直す飯田。
「なになに?とりあえず来るようにって書いてあるよ。」

「で、どこよ場所は?東京都板橋区・・・って、
ふーん、ぜんぜん分かんないや。ノノ、この場所分かる?」
そう言ってノノのカメラに向けて紙を向ける飯田。
「ノノのカーナビに死角はないのれす。」
ノノはそう言うと車内のカーナビゲションのモニターに
地図を示して見せた。
664モーニングライター:02/09/28 06:44 ID:M8LHZY+y

「この場所か・・・」
飯田はカーナビの地図を見ながらそうつぶやくと、
何かを決心したように、片手をギュッと固く握り締めた。

そして窓から手を出すと、固く握り締められた手を開いて
くしゃくしゃに丸められた先程の紙を放り投げると、
意を決したように、大声でこう叫んだ。
「よーし、行くよー」
そんな飯田の声に応えるようにノノもこう叫んだ。
「レッツゴー」

かくして飯田とノノは出発した。