小説「モーニングライダー」

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395モーニングライター


−−乗り逃げNONO−−

一方、こちらは、コンビニで飯田を待っている最中に、
何物かに勝手に乗り込まれて乗り逃げされたノノ。

今まで黙って相手の様子を伺っていたのだが
「自分を売る」と言う話になっているのを聞き
ついに声を発した。

「なんれすか!私を売るとはとんでもないのれす!」

「うわ、な、何だ?」
自動車泥棒は急に発せられた声に激しく驚く。
「か、カーナビか?あぁレーダーか。」
男は自分なりの解答を得て納得している。
「私は、かーなびでも、れーだーでもないのれすよ。
今すぐ私から降りてくらさい。」
「だ、誰だ?どこから送信している!」
男は怒鳴る。
「送信ではないのれす。
どこからも何も私はあなたの目の前にいるのれすよ。」
396モーニングライター:02/01/29 00:50 ID:sIGflJtz

「な、なんだー?」
さすがの自動車泥棒も目を丸くする。
「あなたの目の前って・・・、車が喋ってんのか!?」
「失礼れすね、私は高性能こんぴゅーたーなのれすよ。」
「なにー?」
「最後警告れす。今すぐに車を停めなさい。」
「うるせえ、車に命令されるほど、まだ落ちぶれちゃぁいねえぞ!」
男はそう毒づくとアクセルを更に強く踏み込んだ。

「仕方ないれすね。」
ノノはそう言うと、全ての操作系をロックし自動操縦に切り替えた。
「なんだ、なんだ!」
突如、ハンドルの自由が利かなくなって焦る男。
「そっちがその気ならこっちにも考えがあるのれす。」
自動操縦に切り替えたノノは、そう言うと
スピードを思いっきりあげていった。
「うわ」
男は悲鳴をあげた。
397モーニングライター:02/01/29 00:54 ID:sIGflJtz

急にスピードが上がったノノに、慌ててスピードを上げて
離されまいと追跡してくる青いコルベット。
「おい!どうした?」
男の持っていた無線機からは青いコルベットに乗った仲間からの
無線の声が聞こえてくる。
「わー」
前方に交差点が見えてくると男は体を硬直させた。
猛スピードのまま、少しも速度を落とさずに交差点を
見事に曲がっていくノノ。
激しい白煙を上げながら次の交差点も猛スピードでクリアする。
人間の腕では神業であるが、ノノには何の事もなかった。
398モーニングライター:02/01/29 00:56 ID:sIGflJtz

「うわー、止めてくれー!降ろしてくれー!」
猛スピードで疾走するノノに恐れをなした男が叫ぶ。
「そうれすか。」
2つ目の交差点を曲がりきった所で突如ノノは
サイドブレーキを掛けるように後輪をロックさせると、
スピンターンするような形で車を急停止させた。
バン
「うぎゃっ」
男は激しくシートに叩きつけられた。
「お望みどうり降ろしてあげましょう。」
ウィーン
ノノはそういうと男が乗った運転席側のTバールーフを開いた。
「何する気だ…」
男が震える声でノノにたずねた。
399モーニングライター:02/01/29 01:00 ID:sIGflJtz

次の瞬間、先程の交差点の角を、大きくテールスライドさせながら
猛スピードで青いコルベットが曲がってきた。
交差点を曲がったとたんに、先程まで向かっていたのとは
逆の方向である自分の方向に頭を向けて停まっているノノに
気づいて、少し怯んだ様子の青いコルベット。
ノノとの衝突を避けようと急ブレーキを踏む。
キャァアアア
激しいスキール音と白煙。

「ぐっど らっく」
ノノはそう言うと、緊急脱出ボタンをONにした。
400モーニングライター:02/01/29 01:04 ID:sIGflJtz

バシュッ
「ぐわー!!!」
運転席シートの座面が天井方向に向かって発射され
男はTバールーフから空中に放り出された。
そして、次の瞬間
ガシャン
男は向かってくるコルベットのフロントガラスに
頭から突っ込んでいった。
青いコルベットは男に突っ込まれてフロントウインドウが
割れ、その衝撃からかハンドル操作を誤って、
豪快に歩道に乗りあがって停車した。