−− 出動カローラランクス −−
「矢口と吉澤、そして加護っ!あんた達は
責任持って、もう一回、2ヶ月前の青いコルベットの現場の調査っ!」
「後のみんなは圭織の所に急行して!」
中澤はメンバー達にこう命じた。
「了解っ」
そう言うと中澤、石川以外の全員が一斉に財団本部の玄関を
飛び出し、長い階段を、まるでザ・ピースのイントロの
登場シーンのように並んで駆け降りて行った。
そして、その階段の脇に並べて停めてあった
安倍・後藤・吉澤・矢口
各々のカローラランクスに飛び乗った。
免許のない加護だけは、矢口の車の助手席の扉に飛びついた。
しかし、加護はイザ乗り込もうとして思わずこう言って顔をしかめた。
「矢口さーん、なんですかー?このくるまー」
そのシートには白いフワフワしたムートンのようなシートカバーが
被せられ、ルームミラーには大きな花輪がかけられている。
そして更にダッシュボードにもシートと同様に白いフワフワの
ムートンが掛けられていた。
いわゆる完璧なコギャル仕様である。
その上、加護の乗り込もうとした助手席には
巨大なクマのぷーさんのぬいぐるみが・・・
「なにー、文句言うならおいてくよー!」
ジャンピングシューズを脱いで、室内用の
スリッパに履き替えながら矢口はこう言う。
「あ、加護っ。あんたも靴脱いでね。この車、土足厳禁だから。」
よく見るとフロアマットも白いムートン調の素材で統一されていた。
「はぁ・・・」
渋々、加護も靴を脱ぐとクマのぬいぐるみを
抱き抱えるように矢口の車の助手席に乗り込んだ。
安倍・後藤・吉澤・矢口4台のカローラランクスが
モーニング財団本部から、一斉に飛び出して行った。
その様子を本部の窓から見ていた、未だ車の免許を取れない石川は
「うわー、カッコいいー!」
と両手を胸の前で組んで潤んだ目つきで、じっと見つめていた。
「あの−、ひとつ質問があるんですけど・・・」
妙なドレスを来た石川が、くるっと中澤の方に向きを変え、こう尋ねる。
「なんや?石川。」
「中澤さんは出動しないんですか?」
「財団の規則でな、本部には必ず誰か残らんとならん事になってんねん。」
「チャーミーがいるじゃないですかー」
そう言ってエッヘンと言う感じで自分の胸を叩く石川。
「アホか。お前の事なんか、元々、頭数に入っとらんねん。」
「そ、そんなーーー」