小説「モーニングライダー」

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360モーニングライター


−− ケータイ・コンビニ・イイダカオリ −−

飯田は、道路沿いに大きな駐車場を備えたコンビニを発見すると、
その駐車場にモーニング2000を乗り入れた。
その大きな駐車場の中の、公衆電話に比較的近い位置に
ノノを停めた飯田は、車から降りたつと
真っ直ぐに公衆電話に向かって歩いて行った。
すぐに戻ってくるつもりであったため、
モーニング2000の運転席の窓は開けっ放しのままになっていた。

しかし、その時、駐車場の奥からモーニング2000の姿を
じっと監視する不気味な青いコルベットの姿があることに
飯田は全く気づいていなかった・・・。
361モーニングライター:02/01/22 00:21 ID:mimp2TiN

「あー。ケータイくらい持ってくればよかったよ。」
慌わただしく飛び出してきたために、携帯も財布も持たずに
出てきてしまった飯田であったが、着ていた革のジャケットを
必死で探ると、かろうじてジャケットのポケットの奥から、
食べ終わったアメの包み紙や、街頭で貰ったサラ金会社の
ポケットティッシュに混じって、モーニング娘。時代に
大量に貰ったまま、未だに使っていなかったモーニング娘。の
テレホンカードが2枚程発見された。
「ラッキー」
飯田はそう独り言を呟くと、マニアが見たら涎を流して
欲しがりそうなそのテレホンカードを惜しげもなく公衆電話に入れ、
モーニング財団本部の電話番号をプッシュした。

362モーニングライター:02/01/22 00:24 ID:mimp2TiN

「はい、モーニング財団です。」
そう言って電話口に出てきた中澤と2〜3分程話した時であった。
不意に、飯田の後ろから車のドアが閉まる音が聞こえた。
「ん?」
その気配に気づいて、飯田が振り返った瞬間
何物かがモーニング2000に乗り込んで発進させるのが見えた。
「あぁーー!」
飯田は持っていた受話器を投げ捨て、慌ててモーニング2000を追った。
ガタッ
飯田の投げ捨てた受話器は激しく壁に打ちつけられた。

「おい、待てー!」
しかし、2〜3歩足を踏み出したところで飯田は、
猛スピードで発進して逃げていくモーニング2000には、
とても追いつけないと判断し、すぐさま電話機の方に引き返す。
そしてブラブラとぶら下がっていた公衆電話の受話器を掴むと
受話器の向こう側の中澤に向かってこう叫んだ。
「裕ちゃん、大変だよ、ノノが誰かに盗まれて乗ってかれちゃったよ」
363モーニングライター:02/01/22 00:27 ID:mimp2TiN

更にそんなモーニング2000の後を追うように
青いコルベットが一緒に駐車場から走り去って行った。
「あ、あの青い車は…」
飯田にはその青いコルベットには見覚えがあった。
そう、それは2ヶ月前に飯田と辻を瀕死の状態にまで追い込んだ
忘れたくても忘れられない自動車窃盗団の主犯格の車であった。
「まだ居たんだ・・・。」
飯田は、そう独り言を呟くと受話器に向かって叫んだ。
「裕ちゃん、例の青いコルベットだよ!
コルベットに2人で乗って来て、1人はノノに乗って行ったの!
あいつら窃盗団にノノを持ってかれたのよ!」
飯田は激しく興奮しながら中澤にこう告げた。