小説「モーニングライダー」

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261モーニングライター

−− 復活!つんく総帥 −−

それから数週間。
モーニング財団本部には、中澤と安倍によって
精神病院から引き取られてきたものの、
廃人同様の飯田の姿があった。
そんな飯田の目の前に"ねこじゃらし"のようなおもちゃを
ちらつかせて遊ぶ加護。
「コラーッ!加護っ。駄目でしょ、そんな事したら!」
安倍が走ってきて加護から、そのおもちゃを取り上げる。
しかし、そんな加護のちょっかいにも飯田は
ただボーッと宙を見つめたまま微動だにしなかった。
「もー、犬猫じゃあるまいし。何するべさ!」
「えへへ」
ここはモーニング財団本部のラウンジ。
「ハァ−」
そんな飯田の様子を見て中澤が溜息をつく。
その横で、ちっちゃな矢口がソファーの背もたれにあごを
乗せてじっと飯田の様子を見ていた。
262モーニングライター:01/12/25 01:36 ID:zQQpWFXH

カラカラカラカラ
それまで静かだった財団本部のラウンジに
不意に車輪が回転するような音が聞こえてきた。
と思ったとたん
「このままやと完全に飯田はあかんようになってしまう」
と背後から唐突に人の声が・・・。
その声の主は、モーニング財団総帥つんくだった。

「つんくサンっ!」
「大丈夫なんですか?」
予期せぬ人物の登場に驚いたメンバー達の声。
そこには付添い人に車椅子を押されて現れたつんくの姿があった。
先程のカラカラという音は車椅子の音だったのだ。
「すまんなぁ、心配掛けて。」
飯田同様、自動車窃盗団との対決の末に病院に搬送されて以来
初めて、メンバー達の前に姿を現すつんくにメンバー達は
皆、歓喜の声を上げた。
263モーニングライター:01/12/25 01:40 ID:zQQpWFXH

−− もう1人の財団メンバー ー−−

それ以上にメンバー達が驚いたのは、
つんくの車椅子を押してきた付添い人の姿だった。

「彩っぺ・・・」
中澤はそう呟いていた。
「何で・・・、なんで彩っぺがここに居るん?」
つんくに付き添って車椅子を押してきたのは、中澤と同じく
元モーニング娘。メンバーの石黒彩その人であった。
「みんな・・・久しぶりだね。
なんかさ、つんくサンに頭下げて頼まれちゃってさ、
モーニング財団を手伝ってくれって・・・」
石黒は、少し照れ臭そうに、こう口を開いた。
「今はね、つんくサンの秘書と
財団の経理担当みたいな事やってんの」
石黒はこう続ける。
「せや、その通りや。石黒には別の事務所で財団の
財務担当をやって貰っとったんや。」
石黒の言葉に続けてつんくがこう付け加えた。
264モーニングライター:01/12/25 01:42 ID:zQQpWFXH

「しっかし、あやっぺ・・・。あんた、全然変わってへんなぁ。
相変わらず夜の蛾みたいな格好して。」
きらきらした装飾品で身を固めた石黒の格好を見た中澤は苦笑しながらこう言う。
「あんた、財団の財務担当とか言うて自分の宝石なんか買うてるんとちゃうんやろな?」
「失礼ね、違うわよっ。この指輪やネックレスはダーリンが買ってくれたのよっ。ふふ」
「くぅぁー!それ私に対するあてつけかっ!」
中澤はそう言って石黒に怒鳴った。

ワハハハハハ
そんな2人のやり取りを見て思わず笑い出す、つんくをはじめとした
中澤以外のメンバー達。
久しぶりに財団本部に明るい笑い声が響き渡った。

しかし、飯田だけは笑っていなかった・・・