小説「モーニングライダー」

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252モーニングライター

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「ねぇ、ところで、辻は?」
ひと通り周囲を見回した後、突然こう尋ねる飯田。
その質問に、中澤や安倍をはじめとしたメンバー達は
思わず目をそらした。
その話題だけには触れてはいけないという感じで
メンバーそれぞれがそっぽを向く。
「え、何?どうしたのよ?」
その妙な雰囲気を微妙に感じ取る飯田。
「・・・・・」
長い沈黙が続く。
「実はな、圭織…」
ついに、観念したように中澤が切り出した。

      ※

「・・・嫌ぁぁぁーーーーーー!」
中澤の話を聞いた瞬間、飯田は突然立ちあがり
半狂乱になりながら部屋を出て行った。
「カオリッ!」
安倍と中澤が急いで後を追ったが追いつけない。
2人は、そのまま飯田の姿を見失ってしまった。
253モーニングライター:01/12/23 00:58 ID:otXt1dww

無我夢中で走りながら飯田の頭の中には、
「モーニング娘。」時代の番組の中での辻との思い出が
まるでテレビドラマの回想シーンのように思い出されていた。

<<−−某番組スタッフ「中澤ちゃんの事好きなの?」
<<−−辻      「だいすきれす。」
<<−−中澤     「でも、ホントは私より飯田さんのほうが好きなの。」
<<−−辻      「てへへ。」照れる辻。     

「そんな、そんな・・・」
ちょっぴり泣き虫で焼きそばが食べられなかっただけで悔し泣きする辻。
あげぱんをねだる辻。
辻との色々な思い出が走馬灯のように思い出され
飯田の目には自然に涙が溢れ出て止まらなかった。

そして飯田は、そのままモーニング財団から姿を消した。