小説「モーニングライダー」

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241モーニングライター

−−あれから2ヶ月−−

ここは関東近郊の某所に広大な面積を誇るモーニング財団本部。
その建物は、まるで中世ヨーロッパの古城を彷彿とさせるような
立派なつくりになっていた。
あたりを高い塀でぐるーっと囲まれたその内側には、
きれいに整備された芝生が敷き詰められた
巨大な庭が広がっている。

中澤は、大きな窓ガラス越しに、その芝生の庭を見ながら
「全くどいつもコイツも…。アホばかっや…。」
そう吐き捨てるように呟く。
きれいに手入れされたその芝生は、庭に設置された
水銀灯の灯りに照らされて、青々と輝いて見えた。
(ハァ、こんなきれいな庭見てたら心がなごむな・・・)
そんな事を思いながらボンヤリと窓の外を見ていた中澤の視界の片隅に、
何故か巨人軍3番のユニホームを着てバットを素振りする吉澤ひとみの姿が・・・
「・・・・」
中澤は片手で額を抱えると、とにかく誰の相手もしないように
足早に自分の部屋に戻った。
242モーニングライター:01/12/20 00:45 ID:r9gkMfvv

プロデューサーつんくに召集されて、“元モーニング娘。”
のメンバー達で結成された「モーニング財団」。
しかし、ある事件で飯田と辻が、ここから居なくなってから
残されたメンバー達の様子は少しずつおかしくなっていき
奇行が目立つようになってきた。
そう、飯田と辻の存在は、娘達にとってはとても大きなものだったのだ。

(このままだと、みんな駄目になってしまう…)
そう思いながらも中澤も酒におぼれる日々。
確実にメンバー達の歯車は狂いだしていた。
そんな事を思いながらも、中澤はいつしか眠っていた。
243モーニングライター:01/12/20 00:46 ID:r9gkMfvv

  ※

<<「腕を前から上に上げてー、大きく背伸びのうんどー。」>>
ようやく寝付いた中澤の枕元に響き渡る轟音。
「うるさーい!」
叫ぶ中澤。
「はっ、中澤さん」
そこに居たのは加護だった。
「早く寝ろ言うたやろ!!」
中澤は怒鳴る。
「で、でも、もう朝になりましたよ。」
明らかに不機嫌そうな中澤の様子に、少し震えながらこう答える加護。
「何?じゃあ、さっきのラジオ体操は何やったんや?」
「はいっ、加護の物まねラジオ体操です。
限りなくそっくりに出来るようになったんですよ。
ジーガー。まずはラジオをあわせる所からですよ!」

(あほや…これは何とかしないと真剣にヤバイ。)
中澤はそう思った。
が、二日酔い状態の中澤はそのまま、また眠りについた。

あの事件から2ヶ月。
モーニング財団のメンバー達の様子は完全におかしくなっていた。
244モーニングライター:01/12/20 00:48 ID:r9gkMfvv

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2ヶ月前のあの事件…

そう、それは2ヶ月前のある晩のこと・・・
“元モーニング娘。”の飯田圭織と辻希美は、
目の前で目撃した自動車窃盗事件の犯人一味の車を追跡中、
体勢を崩した黄色い暴走車の巻き添えとなり倒れた。
この事故により病院に搬送された飯田は、
モーニング財団総帥・プロデューサーつんくにより
ロボに改造された…

と思いきや、その直前に奇跡的に一命を取り留めた。
そう、ジョンソン・・・いや、飯田圭織は生きていた。
では、その飯田は一体どうなったのだろうか?