1 :
名無し娘。:
過去ログ倉庫逝っちまったし、誰か新しく書いてくれ〜
2 :
( ^▽^):01/09/16 23:49 ID:Un9TKGS6
\(^▽^)/新スレおめでとうございまーす♪
3 :
名無し娘。:01/09/17 16:41 ID:r4TrwBhI
age
4 :
名無し娘。:01/09/17 17:54 ID:4WpKcA2g
あらすじ書いておくれ。書かないこともないから。
5 :
名無しさん:01/09/17 22:17 ID:JWpoGb.M
6 :
名無し娘。:01/09/17 22:52 ID:SHCZgQhM
ふむふむ、スレの最後から判断するに、ストロンガーを元にすればいいんかな。
7 :
名無し娘。:01/09/17 23:57 ID:SHCZgQhM
第9話 「電気人間ストロンガー」
ここは内浦湾。この平和な海を、幸せを求めるたくさんの人を乗せた船が、
今日も滑るように走っていた。
「本船は、ジェット燃料を使用して、船底から圧縮した空気を吹き出し、
水面から船体を浮き上がらせて飛ぶように走っております。
これまでの船に比べますと、操縦は実に簡単。
乗り心地も満点。そして時速100キロの・・・」
船内ガイドの声も滑らかに、いつもと変わらぬ風景がそこにあった。
しかし、あまりに突然に、その平和は崩れ去る。
「能書きはそのぐらいでいい」突然、一人の大男が立ち上がる。
いや、実際には男ではないのかも知れない。
けれど、その姿は人間とはまるでかけ離れており、
性別の判断は付きそうになかった。
男でもなく、女でもない。そして、
今までのゼティマの怪人ともまったく異なった姿であった。
8 :
名無し娘。:01/09/17 23:59 ID:fJrtWZsc
おぉ、遂に始まったな。頑張れ。
9 :
名無し募集中。。。 :01/09/18 00:15 ID:bmCF90kk
(ё) <相変わらずバカなことやってるわね(プ
10 :
名無し娘。:01/09/18 00:35 ID:3HoZHmXI
あえて言うならば、『機械』
ネジや鉄屑を人間の体全体に張り付けたようなそのフォルムは、
改造人間と言うよりも、ロボットに近い印象を与えていた。
怪人はその鋼鉄の両腕を振り上げながら言葉を続ける。
「俺の名は奇械人ガンガル 今からこの船は我々が操縦する」その声と同時に、
どこに隠れていたのかゼティマの戦闘員達が姿を現した。
船内から無数の悲鳴が上がる。
「安心しろ、殺しはしない。
お前達は、我がゼティマの改造人間として生まれ変わるのだ」
次々と捕らえられ、倉庫の中に放り込まれていく乗客達。
「今回もいい材料が手に入ったわ。おい、船の針路を基地へと変更しろ」
11 :
名無し娘。:01/09/18 23:57 ID:yx4IE.1E
「待ちなさい!」突然船内に声が響き渡る。
「何者だ!」ガンガルが後ろを振り返ると、
人間達を閉じこめていた倉庫の扉がいつの間にか開かれていた。
そしてその扉の前には、一人の女性が立っていた。
「人質は全て解放したわ、奇械人!」女性は怪人に向かって言った。
声からすると、まだ女性と言うには幼いのかも知れない。
しかし、この場合あまり年齢は関係なさそうだった。
なぜなら彼女は赤のスーツにミニスカート、全身を赤色で統一し、頭には「テントウ虫」としか言いようがない仮面を被っていたからだ。
どう見ても普通の人間ではない。
「貴様、タックルだな!」ガンガルは叫んだ。
「そう、私は、自由と平和の戦士、電波人間タックル!」
タックルと呼ばれたその女性は両手を十字に組みながら答える。
「おのれタックル、やれ、戦闘員共!」ガンガルの声と同時に戦闘員達がタックルに向かって襲いかかった。
12 :
名無し娘。:01/09/18 23:58 ID:yx4IE.1E
時間が無くてまともに書けない。。。読んでる人間いるかしらんけど。
13 :
名無し娘。:01/09/20 00:42 ID:KCaJasbY
しかし、タックルは自らに向かってきた戦闘員の一撃をひらりとかわすと、
何もない空間に両の手を互い違いに交差させた。
すろと飛びかかってきた戦闘員は見えない腕で投げられたかのように跳ね飛ばされてしまった。
これが彼女の唯一の必殺技「電波投げ」である。
戦闘員達はこの攻撃によってあっという間に倒され、
残るはガンガルだけになってしまった。
「さぁ、もうここにはあなたしかいないわ!大人しく観念なさい!!」
タックルのその言葉にも奇械人は機械音混じりの笑い声をあげた。
「愚か者めが、この俺を戦闘員ごときと一緒にするな。見るがいい!この俺の力を!」
そう言うとガンガルは一瞬のうちにタックルの懐に入り込んでいた。
「ここまで間合いを詰められれば投げ技は使えまい」
ガンガルはその言葉と同時にタックルの鳩尾に一撃を加えた。
「!!?」咳きこみながらその場に倒れ込むタックル。
「見たか、脳改造手術を終えていない貴様では完成品であるこの俺を倒すことはできんのだ」
そう言うとガンガルは壊れた玩具でも見るように倒れたタックルを一瞥した。
「貴様が研究所を脱出したことはすでに我々の耳にも入っている」ガンガルは言った。
「しかし、報告では脱走者は2名という事になっている…」そこまで言うとガンガルはタックルの腕を上から踏みつけた。
「うう…」タックルの口から押し殺した叫び声が漏れる。
「言え!仲間はどこだ!!」ガンガルはさらに強い力を足に込める。
14 :
名無しさん:01/09/20 09:05 ID:iPqpZ5oA
読んでます。
がんばってください。
15 :
名無しさん:01/09/21 00:15 ID:xOVqIGnY
「さ、さぁ…何のこと…」精一杯の強がりを見せるタックル。
「とぼけるな!」ガンガルはタックルのもう一方の腕をも踏みつける。
その瞬間、タックルは遂に気を失いその元の姿が露わになった。
その姿は、これといって特徴のない、ごく普通の少女だった。
強いて言うなら、ややぽっちゃりしているところが特徴だろうか。
「ふん、まぁいい。アジトに帰ってからゆっくり締め上げてやろう」
そのとき、この奇械人は裏切り者にどんな拷問を与えてやろうかという妄想で頭が一杯になっていた。
それゆえ、船の後方から派手に水飛沫をあげて近づいてくる一隻のモーターボートに全く気付かずにいたのも無理のないことだった。
そのボートのハンドルを握っていたのは一人の少女だった。
端整な顔立ちをしているが、どことなく田舎っぽさを感じさせる彼女はどことなく先ほどまで戦っていた少女に似たものを感じさせた。
「無茶してなければ、いいけど…」かけていたゴーグルの内側の目を細めつつ少女は呟く。
「どっちにしろ、急がなくちゃね…なっちが今行くから。待っててよ、あさみ」
そう言うと少女は一段とボートを加速させ、制圧された客船に勢いよく突っ込んだ。
16 :
名無しさん:01/09/21 03:05 ID:CHxbFumk
あさみかよ!
17 :
名無しさん:01/09/21 22:03 ID:engbCD.6
>94
ブラクラ、だと思う。
18 :
名無しさん:01/09/22 00:46 ID:uBNqTYzE
ボートが客船に衝突した瞬間、船体が大きく右に傾いた。
「な、何事だ!」初めて動揺を見せるガンガル。
そして、辺りを見回したその目には今まさにボートで飛び込んできた少女の姿が映った。
顔には何故か笑みを浮かべている。
「誰だ貴様は!」今までの余裕は何処へやら、動揺を隠せないガンガルが叫ぶ。
「貴様ってのはヒドいなー。これから度々お目にかかるゼティマの戦闘員諸君。名は名乗っとこうかな。姓は安倍、名はあつみ」
安倍と名乗った少女は奇械人にも臆することなく、にこやかな笑顔のままで答えた。
「我々をゼティマと知っている。そうか、貴様がこいつの仲間か」ガンガルが船面に倒れているタックルだった少女を見ながら言った。
「あさみ!」安倍は倒れている少女―――あさみを見て初めて顔色を変えた。が、しかし、それも僅かの間だけで、再び安倍は笑顔を見せる。その笑顔がガンガルにはますます気にくわなかった。
19 :
名無しさん:01/09/22 00:47 ID:uBNqTYzE
「貴様もまとめて始末してくれるわ」ガンガルがそう言いながら戦闘態勢を取ろうとした瞬間、突然の衝撃と共に客船が沈み出す。先ほどのボートの突撃で船底に穴が空いたのだった。
「ええい、くそっ!」慌てて体勢を整えるガンガル。
「どうやら勝負はお預けのようだ!この女を返して欲しければ我々のアジトまで来るんだな」
ガンガルが言い終わると、その場から煙幕が発生した。そして煙が晴れたときには奇械人ガンガル、戦闘員、そして倒されたタックルことあさみも既に姿を消していた。
「あ!」一瞬の出来事に安倍は思わず固まってしまった。
「あーもー、どーしよー」頭を抱える安倍。
やはり、二人では無理だったのかも知れない。相手は世界を統一しようなどと考える殺人集団なのだ。現にあさみも囚われの身となってしまった。安倍はぼんやりと考えていた。
しかし、ここで諦めるわけにはいかない。
何故ならこれは、自らが選んだ戦いだからだ。
20 :
名無しさん:01/09/22 00:49 ID:uBNqTYzE
安倍なつみは、ごく普通の高校生だった。女性には珍しく、『電気工学』というジャンルの学問に興味があった事が特別といえば特別ではあったが。
安倍には一人の親友がいた。彼女は安倍には無いものを持っており、それが元で反発し合うこともあったが、二人はお互いの実力を認め合っていて、良きライバルでもあった。
だが、二人の友情は敢えなく崩壊する。彼女は安倍の前から突然姿を消した。
それからしばらくして、安倍はニュースで彼女が死んだことを知った。
死体は原形を留めておらず、素人目にも事故かどうか判断は難しい事が一目瞭然だったが、
発見から僅か二日後の警察の公式発表は「事故と断定」であった。
安倍はそれを信じなかった。聞いていたのだ、彼女が何者かに狙われているということを。
「私、悪の組織に狙われてるんだ」
彼女は時々それを本気とも冗談ともつかない表情で語っていた。
安倍はそれを笑って聞き流していたが、彼女が死んだとを聞いたとき、
その言葉が不意に頭に蘇った。
そして、彼女の住んでいた家で自分宛の封筒を見つけ、思いは確信に変わった。
中に入っていた紙には一言だけ書かれていた。
「zetima」と。
21 :
名無しさん:01/09/22 20:22 ID:FsV3QpCc
それから安倍は、zetimaという言葉が、自らの親友の命を奪い去った元凶であることを突き止めた。
それは、通常の高校生の行動力を凌駕したものであった。
かけがえのない親友を失った、
その怒りでも憎しみでも、悲しみでもない不安定な感情のみが、
その時の安倍を動かす唯一の動力源だった。
そして、安倍が行ったたった一つの行動。
それは、ひたすらゼティマの名前を出すことであった。
ネット上、駅の伝言板、ガード下の落書き…
安倍は、ありとあらゆる場所に「zetima」の文字を書き込んだ。
案の定、安倍はゼティマの組織によって連れ去られることとなった。
しかし、それこそが安倍の考えた作戦だった。
22 :
名無しさん:01/09/22 20:49 ID:FsV3QpCc
ゼティマにわざと捕らえられ、改造手術を受ける、
そして、その力でゼティマに復讐する。
安倍は、脳改造手術の存在も知っていた。
それをされる前に、逃げ出さなくてはならない。
確率は、著しく低い。
それでも、安倍はその確率に賭けた。
どんなに小さな可能性でも、0ではない事を知っていたから。
そして、運命は安倍に味方した。
安倍の改造手術の日が訪れ、脳改造以外の全てが終了したその瞬間、
何という偶然だろうか、ゼティマ新冠研究所は、暴走したハカイダー・マキの襲撃を受けた。
安倍はそのどさくさの中で、脱走を謀ろうとしていたところ、一人の少女を見つけた。
それが、あさみ――電波人間タックルであった。
彼女もまた、ゼティマに捕らえられ改造手術を受けさせられていた。
安倍は、二人で逃げることを提案し、あさみもそれに同意した。
23 :
名無しさん:01/09/22 21:21 ID:FsV3QpCc
何とか研究所から脱出した二人は道中、お互いのことを話し合った。
本来あさみは、友達と牧場に勤めていたという。
その友達は、何かの試験に合格して、
現在はアメリカの宇宙研究施設にいるのだそうだ。
「先週、遊びに行くつもりだったんです」あさみは心底残念そうに話した。
家族は母親一人。
安倍がお父さんは、と聞くと、あさみは少し俯いて、
「あいつらに…」とだけ答えた。
安倍は大切な人間を失ったのが自分だけでない事を知り、
ゼティマに新たな怒りを覚えた。
安倍もあさみに自分のことを話した。
親友がゼティマに殺されたこと、その復讐の為にわざと捕まったこと。
そして、安倍は最後にこう言った。
「自分の私怨から、こんなお願いをするのはおかしいけど、
その、あなたも私と一緒に戦ってくれると嬉しいんけど…」
その言葉にあさみはちょっと考えたがすぐに
「やります。私も許せません。私のお父さんを奪ったあいつらを」
そう答えた。
24 :
名無しさん:01/09/22 21:39 ID:FsV3QpCc
「ありがとう、じゃあ宜しくね、あさみちゃん」
安倍が言うとあさみは笑いながら
「安倍さんの方が年上なんだから、呼び捨てでいいですよ」と答える。
「うん、わかったよ、あさみ、じゃあ、私もなっちでいいよ」安倍も言う。
「はい、なっちさん!」
「だからなっちでいいって」安倍は笑った。
本人は気付いていなかったが、
それは親友が死んでから久しぶりに見せた笑顔だった。
安倍はハッと目を覚ました。どうやらかなりの時間眠っていたようだ。
無理もない、今まで気を張りっぱなしだったのだ。
作戦としては、まずあさみが相手を牽制しつつ安倍の到着を待ち、
連携して奇械人を撃退するはずだった。
しかし、あさみの先走った行動で計画は失敗した。
けれども、安倍は彼女を責めるつもりはなかった。
何故なら、もし自分が先に潜入していたとしても、
おそらく同じ行動をとっていただろうから。
それくらい、ゼティマは安倍にも、あさみにも憎い存在だったからだ。
25 :
名無しさん:01/09/22 22:00 ID:FsV3QpCc
安倍は乗ってきたモーターボートを再び運転し、
岸に着けると、今度は脇に停めておいたバイクに跨った。
専用バイク「カブトロー」
その名前は、高機動戦術的何たらという英語の頭文字から取られているらしいが、
その事は安倍にはどうでもよかった。
安倍はただ「カブトロー」という響きが気に入っていただけだったのだ。
このカブトロー、動力は電気だが、空気中の静電気を集めて
エネルギーにしているので特に充電する必要がない。
普段は時速300kmまでしか出せないが、
雷などで大きなエネルギーを得ることにより1010kmまで出せるという、
とんでもない代物だった。
安倍はバイクのエンジンを右足で蹴り、
アクセルを回してけたたましい音と共にその場をあとにした。
目指すは、あさみが連れて行かれた室蘭の街。
自らの生まれ故郷、そして、悪の巣窟。
こんなに更新できた。休みっていいね。
書き込み後のエラーも消えてるし。
27 :
名無しさん:01/09/23 00:24 ID:w3sxjFOg
なつかしい。
V3の次に好きなんだよね。<ストロンガー
28 :
コテハン:01/09/24 15:59 ID:UIaVWErM
安倍はひたすらバイクを走らせた。
一分一秒でも早く、あさみを助けるために。
しかし、そこに『彼女』の声が突然耳に響いた。
「もっとクールになんなよ、なっち」
その声にハッとなった安倍は一旦脇にバイクを止めた。
たしかに、落ち着いて考えれば、それほど急ぐことはない。
木村麻美はあくまでテントウ虫の改造人間であり、
その力は一般の戦闘員には通用しても、
改造された奇械人には到底、歯が立たなかった。
有り体に言ってしまえば、タックルは弱い。
弱いのに、その場であっさりと殺さなかったのは何故か。
相手は、自分を誘い出し、二人まとめて始末しよう、という腹なのだ。
ならば少なくとも、自分が向こうに着くまでは安全のはず。
29 :
コテハン:01/09/24 15:59 ID:UIaVWErM
安倍はそこまでを頭の中で何とか整理した。
もうこの世にはいない、『彼女』に教えてもらった気がした。
安倍はヘルメットを脱いで、口笛を吹いた。
何となく作った歌。
ただの自慢になるが、自分でもなかなかの出来だと思っている。
ひょっとしたら、アイドルでデビューできたかも知れないな。
安倍は今になってそう思う。もう叶わない夢だが。
しばらくして、安倍は再びバイクを走らせた。
室蘭の街は、もう目の前になっていた。
30 :
コテハン:01/09/24 16:26 ID:UIaVWErM
安倍が室蘭市街の一歩手前に到着していた頃、
室蘭市内のホテルに、一人の怪しげな男が宿泊していた。
一見紳士的に見えるが、眼鏡の奥の瞳は氷のような冷えた謎の男。
彼こそ、ゼティマが北海道地区制圧のため送り込んだ、
ゼティマの大幹部『一つ目』タイタンである。
男は、自分の部屋に帰ると着ていた背広を脱ぎ捨てるや、
新しい上着を取り出した。そのクローゼットの中には、
同じ上着が何着も掛かっていた。この男、極度の潔癖性である。
男はソファーにどっしりと座ると、
いつの間にかタイタン本来のおぞましい姿を現していた。
顔はその『一つ目』の二つ名通り、
真っ黒い頭に爛々と光る大きな目玉が一つ。
ただそれだけだが、姿を見た相手を驚愕させるには十分すぎるほどの物だった。
31 :
コテハン:01/09/24 16:59 ID:UIaVWErM
「ガンガルがしくじったそうだな」男、タイタンは低く重い声で言った。
「は、なんでも脱走したタックル、
そして安倍なつみとかいうものの邪魔が入ったそうで」
側にいた戦闘員が答える。
「タックルの方は知っている。しかし、その安倍とかいう女、何者だ?」
「おそらく、タックルの仲間かと…」
「そんなことはわかっている」
タイタンが静かに、しかし威厳のある声で言った。
「私が言っているのは、そいつはどんな力を持っているのかと言うことだ」
タックルに関しては、タイタンの手元にも改造の資料があった。
しかし、安倍についての資料は、一切紛失していたのだった。
そして、ハカイダーの襲撃により、そこにいた研究員達も殆ど行方不明。
安倍なつみについては、ゼティマの上部も、
全く検討付かずの状態だった。
32 :
コテハン:01/09/24 17:00 ID:UIaVWErM
「しかしタイタン様」戦闘員が言った。
「タックルは既に捕らえられ、現在はゼティマドームに吊されている状態、
さらに、それを助けるために安倍なつみもドームに向かっております
まとめて始末するチャンス、とガンガルも言ってきております」
戦闘員の報告を聞き、立ち上がるタイタン。
「まあいい、ともかく警戒は怠らんように。ガンガルにもそう伝えろ」
そう言うと、タイタンはドアを開けて外に出たかと思うと、
一瞬にしてホテルから姿を消した。
そして自らの車に乗り込むとそのままどこかへと走り去ってしまった。
33 :
コテハン:01/09/24 17:03 ID:UIaVWErM
どーも、話が違いすぎるな。
実は昨日恥ずかしながらビデオ借りてみてみたんだけど、
自分の記憶とだいぶ違ってて鬱。
まあいいか。
34 :
名無しさん:01/09/25 03:57 ID:NDSJC18A
「氷川くん、また新メンバー増員よ」
もう・・・もう、いいだろぉっ!!
35 :
名無し募集中。。。:01/09/25 04:43 ID:.67vhb/6
U できてたんだ!
なつかっすぃーーー!!!!!
なんかいいね
36 :
(ё):01/09/25 06:31 ID:y62zrDOw
新メンは少年ライダー隊
37 :
名無し娘。:01/09/25 07:55 ID:kMnYPcWU
>18
とりあえず「あつみ」って誰?って突っ込んどく
38 :
コテハン:01/09/25 23:01 ID:kLprWc7o
あさみが捕らわれたゼティマドームとは、別に野球場ではない。
鉄骨が半球状に組み上げられただけの代物で、
あくまでドーム状の形をしているに過ぎない。
その中心部分に、あさみは逆さ吊りにされていた。
「いいざまだな、木村麻美」
天井からロープで吊されたあさみを、
奇械人ガンガルが嘲笑する。
ぎゅっと唇を噛み締め、あさみは顔を背けた。
「お前一人殺す事は訳ないことだ」ガンガルが言う。
「しかし、あの安倍なつみとかいう奴のことが気に掛かる。
そこで、お前は囮になってもらう。邪魔者二人を纏めて始末できれば、
タイタン様もさぞお喜びになるだろう」
「…お前なんかに、負けるわけ無い!」
あさみが大声でそう怒鳴る。
「この期に及んでいい度胸だ、しかし、貴様は現に捕らえられている、
この分ではあの娘も思っているほどではないかもしれんな」
ガンガルは低い声でゆっくりと言い返す。
「安倍さんバカにすんなぁ!」
感情が高ぶり、思わず訛り混じりの声になるあさみ。
39 :
コテハン:01/09/25 23:02 ID:kLprWc7o
しかし、どうやらそれが奇械人の癪に障ったようだ。
「気が変わった…」ガンガルは呟いた。
「本来なら安倍なつみが来るまで吊しておくつもりだったが、
ここには貴様の死体を吊しておくことにしよう」
そう言って、ガンガルが吊されたあさみに少し近寄った、
その時だった。
突然、ドームの周りに口笛の音が流れた。
優しい響きの、それでいてどこか寂しげな音色。
40 :
コテハン:01/09/25 23:05 ID:kLprWc7o
>37
渥美清で許して下さい。
41 :
コテハン:01/09/26 21:06 ID:8IaNdvQ6
「誰だ!姿を現せ!!」
ガンガルが辺りを見渡しながら大声を上げる。
「こっちだよ」
その声にガンガルが目を向けると、
ドームの右手の崖に、一人の少女の姿があった。
「とうとう来たな!」ガンガルは叫んだ。
その少女、安倍なつみはそのガンガルには構わずに、
ドームの天井部分に着地し、吊されたあさみのロープを解き始めた。
「のこのこと現れるとは、どうやら命を捨てる覚悟が出来たようだな」
ガンガルのその言葉に、安倍は僅かに動きを止める。
「…たしかに、こんな事をしていればいつ死んでも不思議じゃないけど」
そう言って安倍はガンガルをきっ、と見据える。
「でも、なっちはまだ、ここで死ぬわけにはいかない。絶対に」
見据えながら、きっぱりと安倍は言い放った。
42 :
コテハン:01/09/26 21:08 ID:8IaNdvQ6
ガンガルにはその言葉の意味は理解できなかった。
通常の怪人と違い、完全に脳改造された奇械人には、
死への恐怖とか、生への執着とか、そういう物は存在していないから。
いかに任務を的確に、且つ効率よく遂行できるか、
それこそが、奇械人の最優先事項。
そしてこの場合の任務は『安倍なつみの抹殺』
「安倍なつみ、死ねぇ!」
43 :
コテハン:01/09/26 21:13 ID:8IaNdvQ6
突然、ガンガルは未だロープを解ききっていない安倍に対して、
腹部に設置されたバズーカ砲を放った。
ちょうど、本物のカンガルーで言うところの、
ポケットの中にいる子供の口から発射されたと考えればいいだろう。
しかし、間一髪で安倍の動きが勝り、
安倍はあさみを抱えてロープから飛び降りた。
瞬間、ドームの天井部分の鉄骨が爆音と共に吹っ飛ぶ。
まともに喰らえば、ひとたまりも無かったろう。
「あさみ、大丈夫?」安倍はあさみに尋ねる。
「は、はい…なんとか…」あさみも何とかそれに答える。
「ふん、そいつを助けたところで、今はそいつは戦えまい。
たった一人でどうするつもりだ?」
見れば、10人以上の戦闘員がすでに戦闘態勢を取っており、
いつの間にか安倍とあさみの周りを取り囲んでいた。
「そうだね、この姿じゃ無理だよ」
そう言うと、安倍は身につけていた片方の手袋を外した。
44 :
コテハン:01/09/26 21:18 ID:8IaNdvQ6
そこには、鋼鉄のコイルが巻かれていた。
さらに安倍は、もう一方の手袋も外す。
同じようにコイルの巻かれた腕が姿を現した。
このコイルこそ、安倍なつみが改造人間である証しである。
本来なら、人工皮膚によってコイルはコーティングされ、
外から見ても判別できないようになるはずだった。
しかし、「ハカイダー襲撃事件」によって
脳改造直前に脱出した安倍には、その処置が施されていない。
その為、安倍は常に絶縁手袋で両腕を保護しなければならなかった。
45 :
コテハン:01/09/26 21:19 ID:8IaNdvQ6
唯一残った改造の痕跡、
それはまだ若い安倍にとって、相当な苦痛には違いない。
けれど、安倍は決してそれを恨んだりはしなかった。
むしろ自分には必要な物だと考えていた。
何故なら、安倍には、自分がただの人間ではないという事が、
ある種の勇気の源だったからだ。
ただの人間じゃないんだから、強い。
安倍はいつもそう考えていた。
そして、今この瞬間も。
46 :
名無しさん:01/09/26 23:03 ID:jRxkVHb.
ライダーの基本テーマは改造人間の苦悩。
内面描写が良いですね。
渋いストーリー展開でおもしろいです。
ところでこの話に区切りがついたら次書いても良いですか?
前に書いてた人見てますかね?
いしよしキカイダー編もらいたいんですけど。
47 :
名無し坊:01/09/26 23:20 ID:TMl8mGRs
過去ログ逝っちまったけど、8話の飯田スーパー1書いてた者です。
>>46 『リレー小説』って形のハズなんで、いいんじゃないですか?
俺個人としては、早く読みたいかぎりです。
48 :
名無しっぺ:01/09/27 21:36 ID:TFdjgqwU
>46
どうぞ、書いてください。いしよしをキカイダーにした張本人です・・・
49 :
名無しさん:01/09/27 22:32 ID:LBoeSu4A
>>47 スーパー1また続き見たいです。
>>48 ありがとうございます。では遠慮なく。
ナイスキャスティングだと思います(w
50 :
コテハン:01/09/27 22:35 ID:ZeuJG0QM
>>46 全然オケーです。話も最後に差し掛かってますし。
今週中に仕上げる予定です。
>>47-48
前の作者さん、結構見てらっしゃるんですね…拙い文章で済みません。
51 :
名無しっぺ:01/09/27 23:27 ID:TFdjgqwU
>>49-50
頑張って下さい。俺もなんか新キャラとか新しい話を
考えておきます。はい。
52 :
コテハン:01/09/28 00:26 ID:FLQzMgKk
安倍は、ゆっくりと両腕を上げ、コイルをクロスさせる。
次の瞬間、激しい火花が散ったかと思うと
腰のバックルが急速に回転を始めた。
そして、その回転が終わったとき、
安倍なつみの姿はすでにそこになかった。
そこにあったのは、一人の改造人間の姿。
全身は黒を基調とし、真紅のプロテクター、
頭には角のついたヘルメット。
そして、胸に輝くSの文字。
カブト虫の強靱な筋肉を移植され、
内蔵のかわりに小型の発電器を体内に搭載した、
電気仕掛けの改造人間。
それこそが、改造された安倍なつみの姿だった。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ、悪を倒せと私を呼ぶ!
正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
53 :
コテハン:01/09/28 00:28 ID:FLQzMgKk
「それが貴様の姿か、安倍なつみ!
いや、ストロンガー!ならばこちらも容赦はせん、かかれ!!」
ガンガルの号令と共に、
戦闘員が一斉にストロンガーへと襲いかかる。
が、ストロンガーはその大軍もものともせずに、
圧倒的な力で戦闘員を蹴散らしていった。
「おのれぇ!ストロンガー!これでも喰らえ!!」
そう叫びながら腹部のバズーカ砲を連射するガンガル。
しかし、ストロンガーはそれをあっさりかわすと、
一気に間合いを詰めたかと思うと、
ガンガルの腹のバズーカ発射口に一撃を加えた。
「もう、バズーカは役に立たないよ!」
54 :
コテハン:01/09/28 01:04 ID:FLQzMgKk
武器を破壊されたガンガルのとる行動は一つ、肉弾戦。
しかし、ガンガルの攻撃は、殆ど安倍に当たらない。
完全に動きを見切られている。
反対に、安倍の攻撃は、ガンガルに確実なダメージを与えていた。
モチーフとなったカブト虫の、
自重の何倍もの重量を持ち上げる筋力もさることながら、
体内で発電された電流を流すことで、
その拳や蹴りを帯電させ、威力を何倍にも高めているのである。
「ぐおっ!」
安倍の回し蹴りが、肩部に直撃すると同時に、
奇械人の呻き声が上がった。
蹌踉めきバランスを崩すガンガル。
その一瞬を逃さず、ストロンガーは大空に高く飛び上がった。
そして、自らの全電力を足先に集中させ、叫ぶ。
「電キィッッック!」
そのストロンガーのキックが、見事ガンガルの肩口に直撃した。
55 :
コテハン:01/09/28 01:11 ID:FLQzMgKk
「か、体が動かん、馬鹿な!やられたというのか!!」
そう呻きながら、倒れ込むガンガル。
そして、その体内では、
奇械人に備わった、最後のプログラムが起動していた。
自らが倒れても、目標を破壊する事の出来る最後の手段。
すなわち、自爆。
その爆発の衝撃で、
ゼティマドームは爆音と共に、一瞬にしてに崩れ落ちた。
しかし、そこにはストロンガーの姿はなかった。
その時すでにストロンガーはあさみをバイクに乗せ、
煙の中を走り去っていた。
そして、その姿を影から見つめる男がいた。
『一つ目』タイタンである。
「ふん、ガンガルでは歯が立たなかったか。
まあいい、お楽しみは、これからだ…」
そう呟くと彼は静かにその場から姿を消した。
56 :
コテハン:01/09/29 01:28 ID:h8Ip5mW2
『は〜い、北海道は相変わらずの寒さで〜す。
札幌の現在の気温は15℃、日中の気温は20℃まで上がるでしょ〜』
奇械人ガンガルとの戦闘を終えた翌朝、
安倍とあさみは市内の喫茶店にいた。
相変わらずテレビでは脳天気にアナウンサーが笑っている。
日本、いや世界全体がゼティマの危機に晒されているというのに。
この国は決して平和なわけではなく、
ただ危険を意図的に知らされていないだけだということに、
安倍は今更になって気が付く。
気付いたところで、どうなるものでもないが。
安倍はカウンター席に座って新聞を読んでいた。
そして、奇妙な違和感に襲われる。
それは最初言葉にならなかったが、
一瞬の後、安倍はその感覚が何であるのかを理解した。
載っていないのだ、今回の事件についての何もかもが。
57 :
コテハン:01/09/29 01:29 ID:h8Ip5mW2
奇械人の爆発は、相当の規模であった。
間違いなく、市内からもその爆発を目撃した人間はいるはずだ。
百歩譲って、爆発の目撃者がいなかったとしても、
その前のシージャック事件には、被害者もちゃんと存在している。
しかし、新聞のどこを見ても事件については全く触れられていない。
とはいえ、その被害者に事件について尋ねたところで、
知らぬ存ぜぬの一点張りだろう。
明らかな情報操作。
58 :
コテハン:01/09/29 01:30 ID:h8Ip5mW2
安倍は、改めてゼティマという組織の強大さに驚愕する。
もし、自分、そしてあさみが死んでも、
もとから存在しなかったものとして扱われてしまうのだろう。
戦うしかないのだ。
例え、死よりも辛い地獄のような毎日が待っていたとしても、
生き続け、戦うしかない。
それが『彼女』の代わりに生き残った自分の義務でもある。
安倍は新たな決意を胸にして、店の外に飛び出していった。
「なっちさーん、待ってくださいよー」
その後を、側にいたあさみが追いかける。
「あのー、もう教えてくださいよー。
安倍さんは、何のために戦ってるんですかー?」
59 :
コテハン:01/09/29 01:31 ID:h8Ip5mW2
あさみの問いに安倍は答える。
「大切な友達のために、ね」
「それ、誰なんですか?」
あさみはさらに質問を重ねる。
「ナイショだよナイショ」
「隠してないで教えてくださいよー」
「ダメだよ、だって言ったら意味なくなるもん」
60 :
コテハン:01/09/29 01:36 ID:h8Ip5mW2
安倍はそう言うと口笛を吹きながら、
軽やかに朝日の中を駆け抜けていった。
(そう、まだ今は言うべき時じゃない。
『彼女』のことを忘れるつもりはないけど
今のなっちは、復讐の為じゃなくて、
世界のみんなの、笑顔のために戦ってるんだ)
仮面ライダーストロンガー、安倍なつみ。
彼女の戦いは、まだ、始まったばかりである。
61 :
コテハン:01/09/29 01:47 ID:h8Ip5mW2
第9話 「電気人間ストロンガー」 おしまい
何とか書き終わりました。
最後まで文体が統一できなかったのが力不足で悔しいですが。
駄文に付き合っていただいた全ての皆様へ、
本当にありがとうございました。
日本語おかしいですね(w
おつかれ
お疲れ様でした。
戦いはまだ始まったばかり、次も期待してます(w
今晩から続きをいかせて頂きます。
今までと少し毛色の違う話になりそうなので心配ですが……。
全4回ぐらいと短いので次のかたはお早めに(w
64 :
名無しさん:01/09/29 14:16 ID:PwlCD5LQ
ちょっと、自分の方が手一杯なんで参加を断念してるのですが、
原作で本郷ライダーが脳みそだけの存在になって一文字に指示を
与えてたりとか、脳以外は全て機械の身体になってライダーとして
復帰する辺りを使って、技の加護一号と力の辻二号のダブル
ライダーとかはどうなんでしょうか?
ちょっと、今加護の復帰のつじつま合わせが浮んでないんですが
65 :
コテハン:01/09/29 16:04 ID:UlyMSfFk
>64
仮面ライダーのお約束、
「○○死亡→実は海外で戦っているとの報告→ピンチに帰ってくる」
でいいんじゃないでしょうか(w
ひょっこり、「やっほー」とかって帰ってくるのも加護らしい気がするし。
まあ、私個人では、
「1号2号揃わないとV3出せないじゃん」
としか思ってないんですが(w
66 :
名無しっぺ:01/09/29 19:26 ID:RbV29v.2
>64
「お約束」で、マンガや特撮の大概の不条理は解決されます。(W
にしても俺、松浦をV3にしようと思ってるんだけど・・・
あとは・・・・宇宙刑事とか出してもいいかな?なんて思ってみたり。
トテーモ面白いスレなので、毎回楽しみにしています!
ライダーに限らず「石之森章太郎」ものの特撮ならOK
なんですか?そしたらズバットでなんか書きたいなぁ。
>>67 と思ったらすでにあったよズバット。スマソ。
しょうがないから他の石之森ヒーローにします。
僭越ながら、続かせていただきますね。
「第10話 星雲仮面マシンマリ」
日曜の朝の日差しが、とても心地いい。なんだかとても目覚めの良い
朝だ。ふと、テーブルの上の時計に目をやる。よく見たらもう9時前。
いっけね、バイトにおくれちゃう!!
あわてて着替えていると、誰かがアタシの部屋のドアをノックする
音が聞こえてきた。
「真里〜!あんたもう9時前なんだけど〜?!まーたバイト遅刻
しちゃうよ?」
ドアの向こうで、彩っぺの声がする。アタシの義理のお姉さん。
「わかってるぅ、わかってるからぁ、朝ご飯の用意しといてよぉ〜!!」
きっとまた呆れて降りてったんだろうな。こんな事なら、昨日早く
寝れば良かったよ。
朝ご飯のトーストを頬張ったまま、アタシはダッシュで玄関を
飛び出すと、止めておいたスクーターにまたがる。そして、軽快な
エンジン音を響かせて、アタシを乗せたスクーターは一路バイト先の
ハンバーガー屋さんへちょっこ〜!!
快調に飛ばすマイスクーター。この調子だと、ぎりぎりセーフで
間に合うよね。日曜日の朝だって言うのにウソみたいに車がスムーズに
流れてるし、アタシって、もしかしてラッキーガール?幸運の女神?
そんなことを考えてると、私のポケットからピンク色の小さな何かが
顔を覗かせた。
「マリぃ〜!あと10分だよ〜。まーたあの店長に怒られるんだから。」
アタシの名前は真里。今はフリーターをやってる。ピッチピチセクシーな
18歳!んで、このちっちゃいのは「ミニモ」。アタシの友達、かな?
でも、実は誰にも知られちゃいけないもう一つの「顔」があるんだよ?
あら、書こうとしたら先客が……。
では私は11話を予約しときましょう。
少し話を変えないと……(w
>>71さん
申し訳ありません!やっぱりもう少し待ってからの方が良かったですね。
すぐ、すぐ終わらせますから。では、続きです。 実はアタシこそ、地球を遥か何百光年。ヴィーナス星団はセクシー星
からやってきたセクシーヒロインなんだぁ♪その名も・・・・
「星雲仮面マシンマリ」!きゃー、カッコいいー!!
なーんて事言ってると・・・あ〜あ、信号に捕まっちゃった。目の前には
「天王洲幼稚園」って書いてあるバスが止まってる。そういえばバスの近くって、
原チャリで走るのすごく怖いんだよね〜。横をすり抜けようとすると、すうっ
て引っ張り込まれそうになったこと、何回かあるんだ。ここでひっかかったら、
バイト間に合わないよぉ。どうしよう。
やがて、信号が青になった。やったね!目の前をふさいでたバスが走り出す。
アタシも急がなきゃ。
するとその時、またポケットの中からミニモが姿を現した。
「大変だよマリ!今の幼稚園バス、バスジャックされてるんだって!!」
え゛え゛〜っ!!マジぃぃぃ!!
「本当だよ。今ラジオの電波を受信したんだ。そしたら、朝一番のニュースで
やってるんだよ。ほら!」
アタシの耳にも聞こえるように、ミニモがラジオを受信してくれた。なんでも
遠足に向かう幼稚園のバスを、突然サラリーマンが乗っ取ったらしい。朝から
セクシーヒロインの目の前で一大事!幼稚園バスジャックといえば、悪の組織の
常套手段。これは正義の味方、マシンマリの出番ですね?私はスクーターを
さらに加速してバスと併走させると、ミニモをつまみ上げた。
「ちょっ、ちょっとマリ何するんだよぉ!!」
「ごめんねぇミニモ。いつものヤツ、たのんだよ♪」
ミニモが涙目でアタシを見てる。でも、わかってるよね?アタシはさらにバス
に接近すると、ミニモを放り投げた!
「うわぁぁぁぁ〜ん!!」
泣きながら宙を舞うミニモ。次の瞬間、ミニモはバスの窓ガラスにびったりと
へばりついた。あ、叩き付けられたって感じでもあるかも。こうして、窓の
外からミニモがバスの中を見張っててくれる。ここでアタシは、一度交差点を
曲がってバスから離れた。
そしてアタシはコンビニの裏手にいた。一応人がいないのを確認して、と。
「ドルフィーン!!」
ワープスロットルを掲げてアタシが叫べば、マシン空間ハイウェイを光に
乗ってマシンドルフィンが飛んでくる。フロントにMのマークが輝く、超
カッコいいスーパーマシン。そして、アタシはマシンドルフィンの中で強化
スーツをイクシード・コンバートすることでセクシーヒロイン、星雲仮面
マシンマリに変身する。そしたら光の速さで明日へダッシュ、じゃなくてバス
に追いつかなきゃね。確かにちょっとちっちゃめだけど、超光速ワープで
とっても速いんだよ?マシンドルフィンはミニマシン。マシンドルフィンは
いいにおい!
「こらガキぃ!お前らぁもうちょっと静かにしろ!」
不意にミニモからバスの中の映像が送られてきた。あれは・・・お向かいの
和田さん?!どうして?あんなに優しい人なのに!
「びっくりだよねマリ。あの和田さんがこんな事をするなんて。」
見張ってくれてるミニモも信じられないって感じだ。
バスの中では、たくさんのちびっ子達が怖くてふるえて泣いてるよ。早く
助けないと、あの子達がかわいそうだよ。アタシはドルフィンをマシン空間
ハイウェイに乗せると、バスの行き先を予想しながらカッ飛ばした。
バスはどうやら、港の方へ向かってるみたい。中では相変わらず、和田さん
が怖い顔して怒鳴り散らしてる。どうしてそんな風になっちゃったの?和田
さん・・・。もしかして、テンタクルスの仕業?
テンタクルス、それは子供をいじめて喜んでる変態科学者、プロフェッサー
Kの秘密組織。何でもゼティマとかいう大きな悪の組織の下部組織として
活動しているらしいんだ。おっと、そうこうしてるとバスが港の倉庫に
ついちゃった。和田さんを止めなきゃ!アタシは超光速で倉庫へワープした。
薄暗い倉庫の中。停車したバスから、一人の男が降りてくる。和田さんだ。
「ドリル男様。ご命令通り、クソガキどもを連れて参りました。」
ドリル男と呼ばれたロボット怪人が、高笑いしながら現れた。どうやら、
こいつが和田さんに命令してバスジャックさせたみたいだ。
「ご苦労だったな。こいつらを明日の改造人間候補生として連れて行けば、
ゼティマ幹部の方々にもさぞ覚えが良かろうて。」
「あひゃひゃひゃ。恐れ入ります。」
バスの中では、いたいけな子供達があまりの怖さに声を挙げて泣いている。
「さぁて、子供達よ。我々とともに来るのだ。」
悪の魔の手が子供達に迫る!その時だ。
「そこまでだ、テンタクルス!」
積み上げられた積み荷の上から声がする。ちびっ子達お待たせ!みんなの
セクシーヒロインが登場だよ!
「いたいけな子供達をさらって改造人間にしようなど、言語道断!」
アタシの姿を見つけた悪者が叫ぶ。
「ええい!誰だお前は!!」
聞かれりゃ名乗るがなんとやら。ここからがカッコいいところ。
「小さなセクシーヒロイン、星雲仮面マシンマリ!!」
眼の辺りをしっかり覆ったとんがりゴーグルに、超カッコいいヘルメット。
背中には収納自在のマント。そして黄色いプロテクターの胸に輝く、真っ赤な
Mマーク。見よ、これが僕らのマシンマリ!うーん、正義の味方の王道を
きっちり守っての登場だよ。アタシは積み荷の上から飛び降りると、
マントをはためかせてかっこよく悪党の目の前に着地して見せた。
そこへ、バスにへばり付いて見張っててくれてたミニモが半泣きで飛んで
きた。
「マリィ〜!怖かったよぉぉぉ〜!!」
ごめんねミニモ、お疲れさま。アタシは飛んできたミニモをスーツの間に
仕舞い込むと、悪人と対峙した。さあ、みんな応援してね〜!
「マシンマリだとぉ?ええい、者どもかかれ!」
ドリル男の命令で、倉庫に潜んでいたメカ戦闘員たちが一斉に姿を現した。
けれどこいつらは所詮雑魚キャラ。あっさりとマシンマリがやっつけて
しまったよ。楽勝だね♪
「おのれマシンマリ。今度はこのドリル男様が相手だ!!」
ドリル男のドリルがアタシを威嚇するかのようにうなりをあげて猛回転する。
そしてヤツはその切っ先をアタシの顔に向けて突きつけてきた。あんなのを
まともに食らっちゃったらさすがのマシンマリも危ないぞ。それにしても
どうしてこのドリル男って怪人なのに普通のスラックス穿いてるのかな?
良くわかんないぞ。悪者の定番、黒いロングタイツはどうしたのかな?
まぁでも、今はこいつとの戦いに集中しなきゃ。こんな危ないヤツ相手に
素手で戦うわけにはいかないよね。
「レーザーサーベル!!」
アタシも必殺武器を出す。これさえあれば、どんな怪人とも互角以上の戦いが
出来る。ドリル男はめちゃくちゃにドリルを振り回し、アタシを倒そうと
襲ってくる。もちろん、そんなめちゃくちゃな攻撃がセクシーヒロインに
当たるはずはないんだけどね。
と、思ってたらドリルのストレートパンチがアタシのナイスバディに迫る!
間一髪で身を反らしてかわすと、サーベルでドリルを受けた。あぶね〜!
「おのれぇ、やるな!」
そう簡単に正義の味方はやられないのさ。アタシはサーベルを握る手に力
を込め、少しずつドリルを押し返していく。そして鍔迫り合いの一瞬の
隙をつき、ドリル男の胸にキック一発!
「あちょ〜っ!!」
決まったね。今の一撃でドリル男に大ダメージを与えたみたい。敵の
動きが鈍ってる。正義の味方ならこのチャンスを逃しちゃいけない。
さらにイクシードパンチで追い打ちをかけると、敵はもう完全グロッキー。
「今だっ!マシンサンダー!!」
ここがアタシの一番の見せ場。怪人の胸の辺りをめがけ、「M」の字に切り
刻む。その瞬間稲妻が走り、必殺マシンサンダーが炸裂だぁ!!
「こっ・・この俺様がぁ・・ぐああぁぁぁぁ!!」
アタシが怪人に背を向けた次の瞬間怪人は大爆発。やったぁ、決まったね!
今日もまた、いたいけな子供達の危機をマシンマリが救ったよ・・・。って
あ、忘れてた。和田さんが!!
和田さんはまだ子供たちをすごーく危ない目つきで見てる。大変だ!!
またバスの方に向かってるよ。きっと和田さんの洗脳はまだ解けていないんだ。
子供達が危ない!急いで駆け寄ったアタシは和田さんの肩を叩くと、注意を
こちらに向けた。
「なんだぁ!!このチビ助が!」
チビってこのオッサンはぁ・・・でもマジですげー怖い眼。よーし、
こうなったらアレを出すしかないか。アタシはとっておきの必殺技の構えを
取った。
「セクシービーム!!」
「うひゃああああ!!」
まぶしい光が、悪い心の和田さんを直撃する。さて、ここで説明しよう。
セクシービームとは、マシンマリだけに許されたスペシャルな必殺技で、
人生のホームページを更新・・・じゃない、悪人の心を清く正しくする効力
があるのだ!心の闇を切り裂いて、黒雲払う愛の風。それがセクシービーム
なのだ!なーんてね。
セクシービームを受けて失神してしまった和田さん。でもこれはいつもの
こと。すぐさま和田さんを抱き起こして活を入れる。
「うっ・・・俺は一体何をしていたんだ。」
「あなたは悪の組織に操られていたのです。もう大丈夫、お帰りなさい。」
「あなたは一体・・・・。」
立ち去ろうとするアタシの後ろ姿から聞こえた声。振り向いてアタシは
答える。
「星雲仮面マシンマリ!」
そう言い残し、アタシはドルフィンで光の彼方へ。かーっこいいーっ。アタシ
って、やっぱスーパーセクシーヒロインだよね〜。みんな、俺に惚れるなよ?
でも次の瞬間、はっと我に返る。ちょっとぉ、バイト完璧遅刻じゃん!!
あ〜あ、正義の味方ってつらいよ〜。このあと店長にしこたま怒られたのは
言うまでもないね。とほほ〜。
みんなで歌おう!『星雲仮面 マシンマリ』(テレビサイズ)
歌:矢口真里と東京児童合唱団
マシン空間光に乗って マシンドルフィン飛んで来る
マリとマシンが一つになって 胸に輝く「M」マーク
赤い太陽仮面に燃えて すっくと立った星雲仮面
心に星を持つ少女 強く優しい星雲仮面
あれはっ?(あれは?) あれはっ?(あれは?)
あれは僕らのマシンマリ マシンマリ
あれはっ?(あれは?) あれはっ?(あれは?)
あれは僕らのマシンマリ マシンマリ
第10話 星雲仮面マシンマリ おわり
以上です。乱文、まことに失礼いたしました。それと「石ノ森」、もろに
間違ってますね。併せてお詫びいたします。
80 :
名無しさん:01/09/30 07:45 ID:rDXErFQM
>>64-65
加護の死亡を確認した(明言した)のは加護博士だけです。
なので……。
>匿名仮面ナナシマン さん
OKです。気にしないでください。
でも、私のはやや重い話なので雰囲気が大幅に変わっちゃうんですよね(w
まあ、それもリレーらしいということで……。
82 :
.:01/09/30 11:52 ID:XoaW2Qac
ある町にジペットというという人形つくりのおじいさんがおりました。
おじいさんはある日、ピノキオというあやつり人形をつくりました。
……その夜、星のめがみさまがあらわれて、ピノキオを糸なしでうごけるようにしてくれました。
めがみさまは言いました。
「いいこでいたら、そのうちほんとうのこどもにしてあげますからね。
そこにいるコオロギのジェミニィ……。
──おまえをピノキオの”良心”にします。」
コッローディ原作「ピノキオ」より
83 :
.:01/09/30 11:53 ID:XoaW2Qac
第11話 「孤独な人形」
84 :
.:01/09/30 11:54 ID:XoaW2Qac
夕日を背に疾走するサイドカー。
ハンドルを握るのはギターを背にした端正な顔立ちの少女。
その隣に座るのは華奢な体つきの少女。
目的地があるわけではない。
二人はただひたすらにバイクを走らせる。
少女達のあてどない旅は沈黙のまま続けられた。
キィッと音を立ててサイドカーが止まる。
「今日はここで休もう」
ギターを背にした少女が話し掛ける。
隣の少女はこくりと頷いた。
休むといってもバイクを止めるだけだ。
どこかの部屋に入るわけでもなければ、横になるわけでもない。
この時期、夜の冷え込みはもう厳しい。
だが、それも彼女達には関係ない。
いくら寒さが厳しくとも。
いくら寝る場所が無くとも。
本来なら休息すら必要ない。
なぜなら彼女達は『ヒト』ではない。
人間によって創られた『機械』だったから。
85 :
.:01/09/30 11:54 ID:XoaW2Qac
吉澤ひとみと石川梨華、彼女たちはある目的のために創られた。
二人にインプットされた内容はただ一つ、悪の組織『ゼティマ』を倒す事。
しかし。
「ねえ、よっすぃー。本当に私たちだけで戦うつもり?」
こちらを伺う視線を受け止め、ひとみは凛とした口調で言った。
「残念だけど、一緒に戦ってくれる仲間は見つからなかった。
こうなったらあたし達だけでやるしかない。
奴らの手がかりをつかんで……倒す」
「でも、そうなったら私たちは兄弟と戦わなくてはいけなくなるわ」
梨華はそうつぶやくと眼を伏せた。
改造人間計画が軌道に乗る前、
つんく博士と加護博士の作ったロボットは全部で13体あった。
滅びゆく動物や昆虫に似せたそれらは、もちろん組織のために使われた。
ロボットはただ命令者の指令どおりに動く。
それがたとえどんなに悪いことであっても。
そんな悲しき人形を救うため、両博士はある装置の開発を進めた。
『良心回路』……善と悪の自律判断を可能にする装置。
『ジェミニィ』と名付けられ、ロボットに心をあたえるこの発明はしかし、
真の完成を迎える事は無かった。
86 :
.:01/09/30 11:59 ID:MzBLMMo6
「私には……私には自信が無い。
よっすぃーにはできるの?
兄弟を……殺すことが」
「わからない。あたしの回路は不完全だから」
ひとみよりも三ヶ月ほど早く完成した梨華には、
試作品ながら完成された『良心回路』が組み込まれていた。
だが、ひとみに装備された新型はまだ不完全なものだった。
組織の動きは思いのほか早く、完成を待つだけの時間的余裕は残念ながら無かった。
「博士はなんでこんな回路をつけたんだろう。
組織を倒すために必要なものではないのに」
「それは違うわ。博士は私達に心をくれたの。
ただ命令を実行するだけの機械じゃない、善と悪を判断する心を。
『ヒト』としての心を」
──そう、梨華ちゃんの言うことは正しい。
ひとみは思う。
梨華ちゃんの言うことはいつも正しい。
それは完全な『良心回路』を持つからだ。
だが現実にその正しさはあたし達を追い込んでいた。
組織を倒すだけなら、ただ命令を実行するだけのロボットを作ればよかった。
所詮あたし達は戦うためだけに造られた道具に過ぎない。
道具に心など必要なのだろうか。
心など無ければ、こんなに思い悩む必要などなかったのに。
こんなことならあたしは心なんか……。
87 :
.:01/09/30 12:00 ID:MzBLMMo6
「ねえ、よっすぃー」
その声にひとみは梨華のほうを向いた。
「なに? 梨華ちゃん」
「私の事好き?」
唐突にそんな質問をして不安げな顔でこちらを見る梨華に、ひとみは優しく笑いかけた。
「好きだよ」
「本当に?」
「本当だよ。だってあたし達は嘘がつけないんだから」
不完全ながらも『良心回路』を持つひとみは嘘をつく事ができない。
彼女達の口から出る言葉は常に真実だった。
「そうよね、ごめんなさい。
なんだか、よっすぃーが遠くへ行ってしまいそうな……。
そんな気がしたから」
「あたしはどこにも行かないよ。
あたし達は……二人っきりの仲間なんだから」
そっと身を寄せる梨華の髪をなでながら、ひとみは再びに考えに浸った。
博士は何故あたしに不完全な回路をつけたのだろう。
試作品とはいえ梨華ちゃんの『良心回路』は完成していた。
それなのにどうして。
……まただ。
造られたモノのくせに創造主への不満を持つなんて。
やはり、あたしは不完全なのだろうか。
ロボットでもない。人間でもない。
──不完全なデキソコナイ。
88 :
.:01/09/30 12:01 ID:MzBLMMo6
ふと二人が顔を見合わせる。
その顔に既に迷いは無く、緊張による硬い表情が見て取れた。
2kmの人間のひそひそ話も聞くことができる聴力。
それが捉えたのは一つの声だった。
「今のは……悲鳴」
「よっすぃー!」
「梨華ちゃんはここにいて。あたしがちょっと見てくる」
「そんな! 私も一緒に……」
「大丈夫。心配しないで」
この心優しい少女を争いにまきこみたくない。
悲しみを味あわせたくはない。
できることなら……。
すがるような視線を振り切り、ひとみはバイクを降りた。
89 :
64:01/09/30 23:29 ID:0otqesaA
一応、今日一日で加護の話は作っちゃったんですが、一気に
終わりまで載せて良いんでしょうか?それとも小出しにした方が
良いんでしょうか?
キカイダー編さんが終わったら載せようと思ってるんですが。
>64
次書く人がいないのなら、つなぎの意味もかねて
小出しのほうが良いのでは?
逆に次の予定が決まれば一気に読みたいですね。
こちらはあと3回で終わります。
91 :
.:01/09/30 23:46 ID:q8wBWVAI
宵闇の迫る倉庫街。
一人の女が必死に走っていた。
時折振り返るその表情には隠し切れないあせりの色が浮かぶ。
心臓は早鐘のように脈打ち、肺は酸素を求めてあえぐ。
「うわっ!」
もつれた足が女を地面に叩きつけた。
慌てて立ち上がろうとするその目に異様な足先が映る。
身を起こした女は絶望とともにその巨体を見上げた。
重厚な鎧を思わせるフォルム。
犀をイメージさせるその灰色の体は、まさに異形の怪物と呼ぶにふさわしかった。
「このグレイサイキングから逃げられると思っていたのか」
その声には抑揚が無く感情は一欠けらもこもっていない。
しゃがんだまま後づさる女の後ろを数体の人間型ロボットが取り囲む。
ゼティマの作った量産型ロボット──アンドロイドマンだ。
「組織をこそこそと嗅ぎまわるとは怪しい奴め。一体どこの犬だ」
「ふん、うちをなめたらあかんで。そんなこと死んだってしゃベらへん!」
恐怖を必死で押さえつけ叫ぶ。
「どうせFBIあたりか。まあいい、どうせおまえはここで死ぬ」
「くっ!」
「抵抗しても無駄だ」
丸太のように太い腕がゆっくりと持ち上がる。
圧倒的な力の差を感じ、女は唇を噛み締める。
「さあ、もう観念するんだな」
それでも力を失わない眼に、その凶悪な手が伸びたそのとき。
92 :
.:01/09/30 23:47 ID:q8wBWVAI
どこからとも無く聞こえるギターの音色。
http://www4.justnet.ne.jp/~heroak/JIRO.ra 「な、なんだ。このギターは。一体誰が!?
えーい、探せ! 探せ!」
「ギル! ギル!」
「ギル! ギル!」
「あ、あそこに!」
その声にその場にいた全員が指差された方を見上げた。
コンテナの上でギターを爪弾く一人の少女。
その端正な顔に浮かぶ孤独な表情。
「な、何者だ!」
バン!
ギターの音が不意に止まる。
ひとみは厳しい目で敵を見据えた。
「悪の組織『ゼティマ』の手先め。一体その人をどうするつもりだ!」
「我々のことを知るとは貴様も只者ではないな。
かまわん。あいつもまとめて殺してしまえ」
「ギル!」
「とー!」
93 :
.:01/09/30 23:49 ID:q8wBWVAI
コンテナから一気に飛び降りたひとみは、一番近くのアンドロイドマンを殴り飛ばす。
次々と襲い掛かってくる雑魚をものともせず、片っ端から蹴散らしてゆく。
あっという間に追われていた女の周りには何者もいなくなっていた。
ひとみは倒れたままになっていた女を引き起こすとその体を後ろにやった。
「あ、あんた一体……」
「そんなことより早く逃げて!」
「わ、わかった」
女を見送り、振り向いたところに灰色の塊が突進してきた。
すんでのところでかわす。
大きく通り過ぎた敵はゆっくりと振り返った。
「良くかわしたな。だが次は逃がさんぞ」
顔の真中に設置された角がドリルのように回転を始める。
それを見ながら、ひとみの表情は変わらぬままだった。
ぐっと三本の指を立てた右手を前に出す。
「チェインジ! スイッチオン! ワン・ツー・スリー!!」
掛け声とともに両肩のボタンを押す。
「トー!」
大きくジャンプした体が極彩色の光に包まれる。
一回転して着地した姿は先ほどまでと大きく変わっていた。
青く染まった右半身は、鋼鉄の硬さと絹のしなやかさを伺わせる洗練されたフォルム。
だがその左半身は、真紅のボディの所々が透明のまま、中のパーツが剥き出しになっていた。
青と赤、左右非対称な体。
完成と未完成、アンバランスなボディ。
正義と悪。
悲しみと怒り。
その姿は『ヒト』の持つ二面性を表しているようにも思えた。
不完全な魂を反映する不完全な体のまま、孤独な人形は叫ぶ。
「人造人間キカイダー!」
95 :
.:01/10/01 20:34 ID:ajceYPzE
「そうか、おまえがキカイダーか。
俺と同じ人造人間……」
「それじゃ、もしかして……」
「そうだ。おまえと同じつんく博士の作った機械だ」
「なら、手を引いて! あたしは兄弟とは戦いたくない!」
「何を馬鹿なことを。俺達ロボットは命令に従うだけだ。
おまえを倒すよう既に命令は出ている。覚悟しろ」
再びその巨体が突進してくる。
足のエアークラフトを吹かす。
戦車を思わせる突進を上空へ飛び上がることで回避する。
巨体はそのままコンテナにぶつかり、回転する角がそこに大きな穴をあけた。
ヒトミは上空を滑るように移動し、相手から距離をとって着地する。
「やめて! たとえ命令でも悪いことをしちゃいけない!
そんな命令は聞いちゃいけない!」
「悪いことだと。悪いこととは何だ。
命令に従うこと、それ以外に我々の存在意義はない」
「違う! それなら何故博士はあたしに『良心回路』をつけたの!?
何故あたしの心に『悪いことはいけない』と教えてあるの!?」
「……おまえの電子頭脳は狂っている。
命令に従わず、同じロボットを壊す。
そんなおまえはやはり壊れているのだ。
『不完全』なのだ」
96 :
.:01/10/01 20:34 ID:ajceYPzE
「うそだ! あたしは狂ってなんかいない!
壊れてなんかいない!
あたしは……、『不完全』なんかじゃない!」
首を振り思わず棒立ちになるキカイダーに、三度怒涛の突進が襲い掛かった。
「くっ!」
とっさに交差した両腕で、回転する角を受け止める。
「フフフ、死ね」
ドリルの先端が二色に分けられた顔面へと迫る。
だが、集まってきた電磁エネルギーが両手の交差したところでスパークした。
「な、なんだ」
ガキィッと音を立てて、斬られた角が上へと飛ぶ。
よろめく灰色の体に両手を交差したまま一気に飛び込む。
左右の手にプラスとマイナスのエネルギーが集まり、
電磁波が、両手を何者をも切り裂く電磁メスへと変える。
「デン! ジ・エンド!」
振り下ろされた腕がその硬い装甲をまるでダンボールのように切り裂いた。
巨体が後方へ吹き飛ぶ。
分厚い装甲の断面から内部の機械をはみ出しつつ、敵のロボットはうめいた。
「ぐうう、やはりおまえは壊れている。
同じロボットを壊すことは悪いことではないのか。
おまえは……おまえは狂っている」
次の瞬間、大音量と共にその巨大な体は吹き飛んだ。
熱風と煙の中、ギターを手にしたひとみはただ立ち尽くしていた。
97 :
.:01/10/01 20:35 ID:ajceYPzE
「よっすぃー」
「……梨華ちゃん」
どれくらいそうしていたのだろう。
何時の間にかひとみの後ろには梨華が寄り添っていた。
自分よりも高い肩に手をおき、そっと背に頬をあてる。
「あたしは……兄弟を…殺した……。
教えて梨華ちゃん。あたしは……あたしは壊れているの?
あたしは……狂っているの?」
「ううん。よっすぃーは壊れたりしてないよ。
あれは……あれは仕方のないことだったのよ。
やらなければこちらがやられていた。
だから……だから、よっすぃーは狂ってなんかない」
──そう、梨華ちゃんは正しい。
梨華ちゃんの言うことはいつも正しい。
あたしは壊れてなんかない。
あたしは狂ってなどいない。
あたしのなかの『良心回路』は不完全ながらも正常に動いている。
でも……。
でも、壊れてしまったのならどれだけ簡単なことだったろう……。
いっそ狂ってしまえばどれだけ楽だっただろう……。
あたしは……、あたしは何故、心を持って生まれてしまったのだろう……。
沈黙が闇に包まれゆく空気を堅いものへと変えてゆく。
だが、そんな堅い空気を一発の銃声が引き裂いた。
「だ、誰だ!」
「キカイダー! 殺す!」
声は上のほうから聞こえた。
弾かれるように上を向く。
先ほどのひとみと同じコンテナの上に、真っ黒のライダースーツを来た少女が立っていた。
「おまえは……ハカイダー、ハカイダー・マキ!!」
98 :
.:01/10/01 20:36 ID:ajceYPzE
それはプログラムの暴走によりゼティマの施設を破壊し、
あげくカメレオン男に捕らえられたはずのハカイダー・マキだった。
「キカイダー殺す!」
「やめて! マキ!」
「やめるんだ! あたし達は姉妹じゃないか!」
『ハハハ、無駄だ』
突然、辺りにしわがれた不気味な声が響き渡る。
「そ、その声はプロフェッサー・ギル!」
99 :
.:01/10/01 20:36 ID:ajceYPzE
その場から遠く離れた秘密基地の中にその老人はいた。
長く伸びた蓬髪。
病的にやせ細った顔。
その顔を覆う長い髭。
濃い隈に縁取られた残忍な眼。
ギルと呼ばれた老人は狂気を感じさせる笑みをその顔に浮かべながら言った。
『捕まえたハカイダーにわしの作った服従回路<イエッサー>を組み込んだ。
今のこいつはわしの言うことを聞くだけの人形に過ぎん』
「なに!」
「な、なんてことを!」
『ククク、だがそれだけではつまらんのでな。ついでに一つ改造をしておいた』
「改造だと!?」
『そうだ。そのハカイダー・マキの頭にはあるものが入っている』
「あるもの?」
『フフフ、おまえ達の生みの親の一人、つんく博士の脳がな』
「な、なんだって!」
「そんな! 博士は死んでしまったって」
『つんく博士は死んではおらん。ただ逃げ出そうとしたのでな。
二度と逃げ出せないように脳だけ取り出しておいたのさ』
「き、貴様!」
「ひどい!」
『ハハハ、どうした。ハカイダーを倒してみろ。
だがそんなことをすれば、つんく博士はもう二度と元には戻らん』
「ひ、卑怯な……」
拳を握る手に力がこもる。
だが、この状況を打開する手はひとみ達に残されてはいなかった。
100 :
.:01/10/01 20:52 ID:ajceYPzE
「キカイダー殺す!」
不意にマキの体がぼやける。
黒光りするボディ。
稲妻を思わせる頬のマーキング。
透明なフードに変わる頭の上半分。
その頭部に収められているのは悲しき天才科学者の脳。
変身を終えたハカイダーの銃口が二人に向けられる。
「だ、だめだ。梨華ちゃん、ここは逃げよう」
「わかったわ」
梨華の肩を抱え、ひとみが逃走に移る。
『フン、逃がしはせんぞ』
ギルは手にした杖をその唇に当てた。
蝙蝠の羽根を模したその杖から笛の音が響き渡る。
http://www4.justnet.ne.jp/~heroak/GIRU.ra 「うわああああ」
「よ、よっすぃー」
突然、ひとみが頭を抱えて倒れこむ。
ギルの持つ悪魔の笛はロボットの電子頭脳に直接命令を送り込む。
その悪魔の調べは、不完全な『良心回路』をもつひとみに善と悪の葛藤を引き起こさせる。
そしてそれは、苦痛となってひとみの身を苦しめるのだった。
「ぐうぅぅぅ」
「よっすぃー! しっかりして!」
「キカイダー……殺す」
「はっ! だ、駄目!」
華奢な体でひとみをかばう梨華に、ハカイダーの銃が向けられる。
その指が破壊をもたらす引き金をゆっくりと引いてゆく。
101 :
.:01/10/01 20:53 ID:ajceYPzE
「まつのれす!!」
気の抜けるような舌足らずな声でその場の空気を乱したのは、
まだ幼いといっても良い小さな少女だった。
ハカイダーよりもさらに高いコンテナの上からその場の三人を見下ろす。
『ぬう、小娘……。貴様何者だ!』
「ふうむ。そこのくろいひとがわるものれすね。かおをみればわかります。
おねえちゃんたち、ののがきたからにはもうあんしんれすよ」
「あ、安心って……」
「いくれす!
むううん………。へん…しん!」
少女の腰のベルトが回転を始める。
「とぉー!」
お下げ髪を揺らし少女が宙高く飛び上がる。
風を受けたベルトがさらに回転を増し、エネルギーがその小さな体に宿った。
反対側のコンテナに着地した小さな体。
その姿はバッタを思わせ、その首のマフラーは熱き血潮を感じさせた。
「仮面ライダーのの!」
仮面ライダー──辻希美はその小さな体でポーズを決めた。
『ええい! やれ!ハカイダー』
「殺す!」
梨華達に向けられていた銃口が上を向く。
放たれた銃弾をかわし、辻は大きく飛び上がった。
強化された眼が小さな虫の形をしたロボットを捉える。
「おねえちゃんをくるしめてるこのおとは、あいつがだしてるんれすね」
空中で姿勢を制御し、その小さな機械に狙いをつける。
「ののチョップ!!」
辻の手刀は狙いを違わず、笛の音を奏でていた虫を叩き落した。
「おのれ! 何ということだ!」
秘密基地の中でギルはきりきりと歯を噛み締めた。
笛の音を失ってしまえば、ハカイダーの制御までも難しくなる。
「く、くそ! このままでは……。
ええい、この場は引くか。
このカリはきっと返すぞ! 覚えておれ!」
「キ、キカイダー、おまえは……この私が絶対に倒してやる!」
ギルからの退却命令を受けたハカイダーはそう言うとコンテナから飛び降りた。
止めてあったバイクにまたがると、爆音を残して黒い破壊者は姿を消した。
「むう、くちほどにもないのれす」
腰に手を当てふんぞり返る辻。
「あの……。ありがとう」
よろけるひとみに肩を貸しながら梨華が辻に礼を言う。
「いいのれす。せーぎのみかたとしては、とーぜんのこーいなのれす。
それに……」
「おーい、つーじー!」
声のほうに目をやるとこちらに走ってくる三人の女性。
その中の一人がひとみに声を掛けてきた。
「はあはあ、さっきは助かったで。ありがとさん」
「あなたは……」
それは先ほど助け出した関西弁の女だった。
「稲葉貴子や、よろしゅうな」
そういって稲葉はリスに似た顔で不適に笑った。
「やっぱりあんたらやってんな。ひとみ、梨華」
「な、中澤さん! どうして……」
「あんたたちが助けてくれたこの人はFBIの捜査官でね。
あたしたちと今日コンタクトをとる予定だったんだよ」
「石黒さんまで……。
なんで? どういうことです? 何故あなたたちがこんなところに……。
それにこの変身する子は一体……」
「まあ、落ち着き。あせらんでも時間はある。
……なにせ、これからが本当の始まりなんやからな」
戦士達が集う夜。
正義という名のもとに、今ひとつの流れが生まれようとしていた。
その瞬間をいつの間にか浮かんだ月が、ただ静かに見下ろしていた。
第11話 「孤独な人形」 おわり
最後まで一気に行きました。
勝手にのの達も合流させてしまいましたが、よかったのかな?
つたない文章で失礼しました。
それでは、次の方どうぞ。
103 :
名無し坊:01/10/01 21:15 ID:R.KJz1fw
お疲れ様でした!
104 :
コテハン:01/10/01 22:03 ID:ERGJAbQ2
お疲れさまです。
おもしれーよ!
106 :
64:01/10/01 23:25 ID:bnurMuS.
では、予告どおり加護の話を書かせていただきます。
とりあえず、今日の分で約4分の一くらいな。
ここらで一旦、前スレのようにキャラの設定とか紹介
しませんか?キャラ同士の関係とか・・・
『…ミ…ギ……』
頭の中に聞こえた声に従い、仮面ライダーののは右に避ける。ナメクジ男の
吐き出した体液が先ほどまでライダーののがいた場所の後ろにあった街路灯を
みるみる溶かし始める。声が聞こえなければライダーののが代わりにドロドロに
溶けていただろう。最近頭の中に聞こえ始めた、この声にライダーののはまた
助けられた。
「ゲゲゲゲ。大した反射神経だな。だが、いつまで避けれるかな」
ナメクジ男は次々と体液をライダーののに向けて吐き出す。
「死ね死ね死ね死ね」
ナメクジ男の吐き出す体液とライダーののの避ける場所との距離がだんだんと
縮まってきた。
『イ…マウ…エ…』
ライダーののは常人とはかけ離れた能力でナメクジ男の頭上をジャンプで越える。
ライダーののの描いた軌跡を追ってナメクジ男の体液も発射される。
「し、しまった」
ナメクジ男の吐き出した体液はライダーののの存在していた真上に向かい、やがて
ナメクジ男に返ってくる。降り注ぐ自分の体液を避けるためとっさにナメクジ男は
後退るが、身体をかばって左手を失ってしまった。そして、身体を避けた先には
着地したライダーののがしゃがみこんで待ちうけている。
「おわりれす」
渾身の拳がナメクジ男を捕らえる。
「ば、ば……かな……」
搾り出すようにそう言い残すとナメクジ男の身体はぐらりと体勢を崩した。
大音響と共にナメクジ男の身体は爆発四散する。爆炎の中からゆっくりと
ライダーののが姿をあらわした。その姿はもう異形の者仮面ライダーののではなく
普通の少女辻希美の姿に戻っていた。
第X話 『あいと正義を守るため』
「らいじょうぶれすか」
辻は茂みに隠れていた少女に手を差し伸べる。とはいっても辻の身体はミニサイズ。
少女の方が背丈は大きかった。少女の外見は十代後半と見うけられ、先日出会った
アンドロイドの少女に似てなくもなかった。
「どうも、ありがとうございます」
少女は無表情に辻に礼を言う。
辻が今倒したナメクジ男の目的はこの少女だった。
ゼティマの怪人に追われると言う事は、彼女もなにかしらの彼らの陰謀に関係して
いるのだろう。
「私は大丈夫です」
怪人を見慣れているのだろうか、辻の変身後の姿を見ても驚く事もなく冷静なままだ。
「家まで送るれすよ」
「いえ、けっこ……」
急に少女は黙り込んで空を見上げた。
「ろうしたんれすか?」
「いえ、お礼がしたいので、是非ウチまでおいで下さい」
少女の案内で歩いて行くと辻は見慣れた風景に囲まれて行った。
「ここです」
少女が指示した場所は、良く見知った場所だった。
『加護生化学研究所』
かって辻の親友が生活し、そして辻自身がその生涯を変える運命となった場所だ。
少女は 音声認識の扉にひっかかる事もなく敷地に入っていく。
「ココは亜依ちゃんのお家れす。貴様、なにものなんれすか」
「ただのメイドです。さ、お嬢様がアナタをお待ちしております」
親友の亜依があの事故で亡くなり、辻を改造した加護博士も今は行方不明となって
この屋敷は無人のはずだった。この表情を出さない少女は何者なのだろう。辻が
普通の少女であった頃、この屋敷で何人かのメイドを見た事はあったがこの少女の
姿を目にした事は無かった。
「罠には引っかからないれすよ。ココは誰もいないはずれす」
少女はまた沈黙する。
「お嬢様が辻様のために美味しいモンブランも用意すると言っておりますが」
まだ名乗ってもいないのに少女は辻の名前を口にした。ますます罠の可能性が
高くなる。
「罠でもあやしい原因を知りたければ、飛びこんでみなきゃラメれすね」
辻は言葉を口にして自分にそう言い聞かせた。そう決してモンブランのためでは
ないのだ…。
誰も使う人のいないはずの屋敷は、あの頃と変わらず掃除が行き届いていた。
少女の先ほどの言葉を信じるならば、メイドである彼女がこれを全部こなしている
のだろうか。
「こちらでしばらくお待ち下さい」
少女に案内され、応接間で待たされる。大きな窓の外には、ほんの少し前まで
加護といっしょにかけ回っていた庭が見える。望んでも戻ってこない平和な
少女時代を思い出して、辻の心に寂しさが去来した。
「もう、戻れないんれすね」
「梨華美、お茶をお出しして」
「はい、お嬢様」
少女を梨華美と呼ぶ声が彼女に辻をもてなすように指示を出している。声の主が
辻をココに招待した『お嬢様』と呼ばれる人物なのだろう。亜依も博士もいない今、
この屋敷にいる辻を知る人物とは何者なのであろうか。
再び、応接間に戻った梨華美は紅茶一式とモンブランを乗せたワゴンを押してきた。
「どうぞ」
梨華美が辻のためにポットからティーカップに紅茶を注ぐ。
「奥に誰がいるんれすか。挨拶したいんれすが」
辻が立ち上がろうとすると、梨華美がその動きを制止した。
「ここから奥へは入ってはイケマセン」
「あやしいれす。おまえもこの屋敷も」
「…ではモンブランをお食べになるのやめますか?」
梨華美はワゴンからそっと身体を離し、攻撃には十分な間合いを取った。
「とりあえず、詮索はあとにするれすよ」
舐めたようにキレイになった皿が机の上に残る。
「さあ、話を聞かせてもらおうじゃないれすか」
「私に指示されているのは辻様にココでしばらくお待ちになっていただく事です」
梨華美は辻の側に立ち、余計な動きをしないように見張っている。
「どうして、ののの名前を知っているんれすか」
「お嬢様も私もあなたの事を良く知っているからですよ」
梨華美は相変わらずニコリともせず、そう言う。
「それならいい加減、顔を見せたらどうれすか」
辻は奥の部屋へと叫んでみる。が、返答はない。
「まだ、辻様をお嬢様に会わせる事は出来ません」
「そうれすか……でも、ののは気になる事があると眠れなくなるんれすよ」
辻は梨華美の一瞬の虚をつき、奥の部屋へとかけ込む。部屋の中はがらんとして
そこには人の姿はなく、小ぶりなスピーカーのみが置かれていた。
「良いわ、梨華美。地下へお連れして」
スピーカーから梨華美と会話をしていた声が聞こえてくる。
「わかりました。では、どうぞ」
梨華美は応接室の壁に飾られた絵を持ち上げるとその裏に隠されたスイッチを
押した。すぐ横にあった本棚が動き暗い穴がぽっかりと口を開く。
「さあ、こちらです」
辻が梨華美に続いて穴の中に足を踏み入れる。そこは、小さめのエレベーター
であった。
「ゴリヨウカイスウハ?」
エレベーターが無機質な声で聞いてくる。
「ライフステージまで」
梨華美の声にエレベーターが動き出した。
ずいぶんと深く潜っている。辻が見たあの地下室よりもさらに深いようだ。
エレベーターの扉が開くと、様々な実験道具が目に入る。辻が改造されたのとは
別種の研究施設のようだ。壁には色々な動物の標本が並んでいる。
その中でひときわ大きなガラスの円柱の中を見て辻は思わず声を飲んだ。
「あ、あいちゃん」
113 :
名無し:01/10/01 23:31 ID:T5NyvG/A
面白かったです。
次はいよいよ、加護復活編ですね。
どういう形で復活するのか楽しみです。
うわぁ、第X話のままだ。第12話だね。
>>107 いいですね。
とはいえ作家さん次第ですが…。
なにせ何人もの人が書いてますから。
116 :
名無し:01/10/02 23:15 ID:8HpRq1qQ
加護編すごい楽しみ。
哀しい再会でなければいいけど・・・。
新しく書こうかと思ってるけど、その度に自分と他の人が
書いた部分でおかしな所が出てないか何度も読み直してしまう・・・
というかもうおかしな所が出てるかな・・・?
矢口を石黒の義妹にしたあたりなんて、必要性ないっすね・・・
液体で満たされた円柱の中には加護亜依の身体ががプカプカと浮んでいた。親友が
標本としてその姿を晒している。彼女へのこのような辱めは辻にとって耐えられる
ものではなかった。
「あいちゃん、今出してあげますからね」
辻は拳を握り、円柱を破壊しようと腕を振り上げる。それを見て後ろから梨華美が
辻の腕をつかんで円柱への攻撃を押し留めた。
「お止め下さい」
「なんで邪魔するんれすか」
辻の顔にはっと驚きの表情が浮ぶ。改造人間の辻の行動を止める事が出来ると
いうことは、梨華美も人間ではないのか?
「まさか、おまえゼティマ」
辻は身構える。
「止むを追えませんね」
梨華美は表情を変えぬまま、辻の腕を握る手に力を入れた。改造人間の腕を
圧迫できる握力はやはり彼女が人間ではない証拠だ。
『…ヤ……メテ…』
あの声が頭に響く。
「わかりました、お嬢様」
梨華美にも同じ声が聞こえたらしく辻の腕を放す。
『…イ…イワ…オク…ヘ…』
「はい、お嬢様」
梨華美に連れて行かれた先には、直径50センチほどのガラスの円柱が
沢山の機械に囲まれて置いてあった。中には人の脳みそが収められている。
そして、いくつかのコードがそこにさし込まれ周りを囲む機械と脳を繋いでいた。
「これは?」
「お嬢様です」
不意に低く何かがうなる音がして部屋の照明が少し暗くなる。脳の入った円柱の
前に20センチほどの穴が開き、光の柱が立つ。光の中に次第に何かが焦点を結び、
それが安定し始めると、40センチほどの人の姿を立体映像が写し始めた。
「あいちゃんれす」
立体映像の加護は何かしゃべっている。が、聞こえない。
「あいちゃん、何を言ってるんれすか?」
辻は必死に立体映像の加護の口を読み取ろうとする。
『……ノ……ノ…』
頭の中に、かすかにあの声が聞こえてくる。
「アナタも加護博士に作られたなら聞こえるはずだわ。声に集中しなさい」
梨華美に言われ、立体映像ではなく声のほうに集中する。
『ノ…ノ…』
ラジオのチューニングを合わせるように次第に声がはっきりしてくる。
『のノ…』
声がはっきりすると、それが聞き覚えのあるものだと分かった。
『ののきこえるかぁ?』
懐かしい加護亜依の声が頭に響く。
「あいちゃん、死んだはずじゃ」
>>107さん
賛成です。でもちょっと待ってもらえれば、と言うのが本音です。許される
ことなら僕の書いたヤツをちゃんと「設定」に即した形にオチをつけたいな、
と思いますので。
>名無しっぺさん
必然性を損ねてしまったなら申し訳ありません。
>120
いえ、俺も適当にその場で考えて書いてただけ
なんで・・・ばっちり書いてください。はい。
122 :
名無し:01/10/04 23:05 ID:GhIchp9E
続きが楽しみ
実際、倉庫での事故で加護は死んでいた。いや、正確には死も同然であった。
事故の時、加護は炎の中、辻に燃え移った火を消そうと奮戦していた。そこへ
崩れ落ちた倉庫の一部が加護に降って来たのである。加護博士が扉をぶち破って
入るわずか数秒前の出来事であった。
落下物の下敷きになった加護の状態は外見上はキレイなままだったが、極めて
危険なものとなった。脊髄への損傷。脳からの伝達系統が損傷し全身麻痺で、
例え回復しても自らの意思で指先すら動かす事も難しく自活呼吸も危うい状態に
なっていたのだ。
そしてそれだけではなく、死にかけている孫娘の手に握られている布。そこに
書かれた文字に加護博士はかって自分が所属していた組織への狂おしいほどの
怒りの炎を燃え上がらせるのに充分過ぎるほどであった。
研究室に二人を運び込むとすぐに二つの案が狂える科学者の頭に浮ぶ。
老体となった自分の代わりにヤツラを地獄の底まで追い詰める復讐マシーンを
作り上げる事。そして、研究中の生体組織の再生促進技術を孫娘に使用する事だ。
すぐさま、それらは実行に移され、辻はやけどによって失った身体を人工物で
補い、孫娘の皮膚をまとった改造人間となった。彼女にとって与えるべきは、
真実ではない。強い復讐心を燃やすための親友の死だ。孫娘の真の容態は博士の
心の中にしまわれる事となったのだ。
辻が復讐の道具として生きる事に残りの人生を捧げる運命を歩み始めた頃、一方の
加護は新しい人生を始めるため無傷な部分を元に身体を再構築していた。
そのために要する期間は一年。新しい身体が出来あがるまで研究所の地下深くで
脳だけとなって深い眠りにつくこととなる。そして、脳には一つの細工が施された。
博士の持てる全ての知識・技術・その他諸々を孫娘の脳の中にインプットしたので
ある。孫娘に自分の遺産を残し後継者として…というわけではなく、自分の才能を
世に残すためのバックアップとして使用したのだ。孫娘を助ける技術を残すため
孫娘の脳みそを使う。方法と目的が逆転したのである。その頃にはもう老科学者の
頭の中には倫理も情もそんな言葉すら欠片もなくなってたのかもしれない。
孫娘を救うための選択肢は、実はもう一つあった。生体脳制御式アンドロイド。
通称ハカイダーシステム。後藤真希に使用されているプランだ。これならば加護
亜依と言う存在は一瞬たりともこの世から消えず身体の再生までの間、脳だけは
逃亡生活を送ってゼティマから逃れる時間を稼ぐ事が出来る。しかし、ハカイダー
マキの暴走を目の当たりにしていた加護博士にはそれは選ぶ事が出来なかった。
結果、消極的ではあるが地下深くに孫娘を眠らせ、3体のメイドに偽装した
アンドロイドに屋敷を守らせる事となったのだ。
3体のアンドロイドの目的は加護亜依を含めこの研究所を守るだけではなく、脳に
繋がれた機械を通して目覚めた亜依が新しい身体を得られるまで、その目となり
耳となりして情報を集め、手や足として亜依の代わりに行動することでもあった。
現在、無人となったこの研究所はゼティマからノーマークとなったので、研究所
自体に備え付けられている防衛機器で対処できると亜依は予想し、3体のアンド
ロイドは、普通の人に紛れて情報を収集していた。
彼女たちはこの研究所で作られ、ゼティマの支配下から除外された存在だった。
ゼティマがアンドロイドへの指令に使用する周波数ではなく博士専用の周波数に
のみ反応するように作られていたのだ。そして、辻もこの研究所で同じ作者に
よって作られたため、アンドロイド同様に亜依は辻の目を通して、全てを見る事が
出来ていたのである。
『ゴメンな、のの。じいちゃんのためにアンタまで巻き込んで』
「いいんれすよ、あいちゃん。また会えて嬉しいれす」
『本当は手術が終わってから、あんたとは会うつもりやったんやけど…』
久しぶりの亜依との会話に辻の心は弾む。
「声、あいちゃんだったんれすね」
『そうや。目が覚めてから、今までずっとののの事見とったんやで。ののの目は
ウチの目、ののの耳はウチの耳やったんや。ののの感じる事は全てウチも感じ
とったんや。ウチの魂は…ウチの脳みそは地下研究室のガラスの筒ん中やった
けど……、ののの戦いもののの苦しみもずっと一緒に体験しとったんや』
(あいちゃんはずっとそばにいてくれたんれすね。ののはあいちゃんと身も心も
一緒らったんれすね)
「あいちゃん、いつ手術して戻れるんれすか?」
『今日や。そのために梨華美に来てもらったんや』
加護博士は、自分の身に危険が迫った時のため、ひそかにメイドロボの梨華美に
自分の改造技術をプログラミングしておいたらしい。一部とは言え、博士の
技術を受け継いでいるため、梨華美はナメクジ男に追われたらしい。数々の場所を
転々としながらも、この日のため梨華美はこの研究所に戻ってきたのだ。
「辻様、アナタの手術も私がお手伝いしました」
「そうらったんれすか」
加護の身体が入った円柱から羊水が抜かれる。いよいよ加護に新しい身体が
与えられる時が来たのだ。最小限の生命維持装置に繋ぎ直された加護の脳みそも
手術室に運び込まれる。
「あいちゃん。元の身体になったらまた遊びましょうね」
今の加護にこの言葉は聞こえているかわからないが、きっと通じているはずだと
辻は思った。
「では、始めます」
:
:
:
手術は成功した。しかし、新しい身体に脳が馴染むかどうかは別問題だ。もし、
加護博士自身がこの手術を行えば、問題なく加護亜依は元の生活の戻ることが
できただろう。しかし、博士はもう存在せずその技術の一部を受け継ぐものの
仕事だ。もし拒絶反応が起これば、全ての記憶を失う事や最悪の場合事故当時と
同じように体の自由が利かない状態になってしまう可能性もある。
「あいちゃん、だいじょうぶれしょうか?」
辻と梨華美は加護の回復まで、応接室に戻っていた。
「待つしかありませんね」
梨華美の冷静な言葉に辻はカチンと来る。
「梨華美さんは冷たいんれすね」
「冷たい? 私はアンドロイドですから感情はありません」
「れも、ひとみちゃんは笑ったりするし、梨華ちゃんは怖がりれすよ」
「あの娘たちは特別ですから……」
表情のないはずの梨華美が少しさびしげな表情になった気がした。
「ところで、辻様。お嬢様の事よろしくお願いします」
「わかっているれすよ」
「お嬢様は博士の全てを引き継がれました。やつらは私たちの比ではない勢いで
お嬢様を狙う事でしょう。そうなれば、私たちでもお嬢様を守りきれるかどうか」
「まかしてくらさい」
辻は自分の胸をドンと打つ。
「お嬢様ならきっと博士の知識を平和のために使ってくれます」
「そうれすね」
「さあ、お嬢様が麻酔から覚めない今が一番危ない時です。地下の研究室へは
誰も近付けないように……」
不意に3人目の声がする。
「そうとわかれば、こいつはもう用無しだ」
梨華美の左腕が突然ボンと音をたてて吹っ飛ぶ。
127 :
名無し:01/10/05 05:14 ID:SDKn5BGg
そうすると、加護は1号?
なんか前に配役だいたい似たスレがあったような気が。
安倍と飯田の配役がぴったりのが。
128 :
名無し:01/10/05 05:17 ID:SDKn5BGg
でも、書いてる人上手いね。
読んでてすごく楽しい。
加護と辻がさらにパワーUPするとかしたらもっと面白いかも。
クウガのアルティメットとか、アギトのシャイニングみたいに。
129 :
22:01/10/05 05:23 ID:KxAZ3IgY
「大丈夫れすか」
「私は機械ですから。それより…」
「ゲゲゲゲ。せっかく加護博士の知識を受け継いだ人間だ。そのままゼティマが
いただく」
声の主を探す。梨華美の吹っ飛んだ左腕を見ると血の色に染まったナメクジが
止まっている。声はそこから発せられたものだった。
「ようやく探し出せたぜ。加護博士の遺産、このナメクジ男様のものだ」
「お、おまえ。やっつけたはずなのに」
確かにあの時、ナメクジ男の身体はバラバラに吹き飛んだはずだった。
「ココに忍び込むため、わざとやられたのさ」
ボト、ボト、ボトボトボトボト
何か落ちてきたのに気づき、上を見上げるといつのまにか天井にはびっしりと
ナメクジが張り付いていた。
天井から大量のナメクジが降って来て血色のナメクジを中心に一箇所に
集まり始める。やがて盛りあがったソレは人の形を成して行った。
「ゲゲゲゲゲ。この手柄で俺は幹部になってやる」
「まてぇぇぃ、ナメクジ男。おまえは生きて返さないのれす」
「ゲゲゲゲゲ。黙れノミ女」
「ノミじゃないれす。バッタなんれすよ―!!」
辻はナメクジ男にタックルすると窓を突き破って一緒に庭に転がり出る。
「ののを侮辱する貴様には、今度こそ死んでもらうれすよ」
「さて、どうかな」
辻は上着の下からベルトを露呈させると、顔の前に腕を伸ばし上半円を描く。
へ・ん・し・ん!
ベルトのバックルが開き風車が風を受けて回転する。辻の姿は一瞬のうちに
仮面ライダーののへと変化した。
「トォー」
ライダーのののパンチがナメクジ男に炸裂する。確かな手応えがあった。
「なにかしたのかな?」
効かない!?
パンチの連打をするが、ナメクジ男はびくともしない。
「どういうことれすか」
「ゲゲゲゲゲ。教えてやろう。俺様の身体は特別柔らかくて貴様の攻撃など
最初から効いてはいないのだよ。そら」
ナメクジ男はライダーののの顔を殴り飛ばす。吹き飛ばされたライダーののの
身体は辺りの立木をなぎ倒して止まる。
「キ、キックなら」
ライダーののの身体が宙を舞う。常人の域を越えたジャンプ力から繰り出される
キックはどんなものでもぶち破るはずだった。
「ゲゲ。効かぬと言ってるだろうがァ」
攻撃を寄せ付けないナメクジ男に対して、ライダーののはいまや防戦一方だった。
いつもならアドバイスをくれていた加護は眠りについたままだ。声が聞こえて
くる事はない。
(あいちゃん、どうしたらこいつを…)
ついに、ライダーののは追い詰められてしまった。
「これで貴様も最後だな。運が良ければお前の友達が再生してくれるだろうよ。
ゼティマの忠実なる兵士としてな」
「クッ」
「のの!」ダーーン、ダーーン
銃声が聞こえる。命中した弾丸はナメクジ男の身体に二つほど穴が開けたが
ナメクジ男の回復力によりすぐに埋まってしまう。
「ゲゲゲ。お前の友達がわざわざ捕まりに来てくれたぞ」
銃声のした方には頭に包帯を巻いた加護が猟銃を持って立っていた。
「あいちゃん、危ない逃げるれす」
「ゲゲゲ。お前の友達は俺に鉄砲なんて効かないと知らないらしいな」
ナメクジ男はライダーののの首をつかんで持ち上げ、その姿を加護の見せつけて叫ぶ。
「そんな猟銃で俺を倒せると思ったか。こいつを倒したらお前をすぐゼティマに
連れて行ってやるから待ってろ」
加護はニィッと笑う。
「だから、今打ちこんだのは塩や。ナメクジは塩に弱いんやろ」
「な、なにぃーー」
ナメクジ男は驚きの声を上げた。
「……なんてな。そんなあからさまな弱点を残しておくはずないだろ」
ナメクジ男は、加護に嘲りの笑いを返した。
(もう、ラメれすか…)
「ただの塩やったらな。のの、チョップや。そいつの腕を振り払え」
ライダーののは首を捕まれている腕にチョップを打つ。
「ゲゲゲ。無駄だと…」
チョップがあたった瞬間、ナメクジ男の腕はあっさりと身体から切り離される。
力をなくした腕が、ライダーののの首からボトリと落ちて解けて消えて行った。
「な、なぜだ」
「言ったやろ。ただの塩やないって」
「だ、だが……」
「ウチはののの目を通してあんたとの戦いも見てるんや。今の塩はアンタの身体を
つなぎとめる力をなくしてしまう特別製の塩なんやで」
「そ…んな…」
「のの、小パン連打や」
ライダーのののパンチが乱れ飛ぶ。パンチの一つ一つがナメクジ男の上半身を
こそぎ落とす。
下半身だけになって、なんとか逃げ出そうとナメクジ男が走り出した。
「のの、とどめや」
耳から聞こえる加護の声に従い、仮面ライダーののはその身体に力を溜め天高く
跳び上がる。
「ラァイダァーーーーのぉのぉーーキィィィィィックゥゥゥ!!」
上空からライダーののは正確にターゲットを捕らえナメクジ男の逃げる下半身に
蹴りこんでくる。蹴り先があたった瞬間、溶けるようにしてナメクジ男は消えて
行った。
「やったれす」
変身を解くと辻は加護の元へ真っ先に飛んで行った。
「まだや、のの」
加護はナメクジ男の溶けた跡に来ると地面に目を落とす。そこには、先ほどの
血の色のナメクジがのた打ち回っていた。
「コイツが本体や。コイツをつぶさな」
加護は、肩から下げたカバンからミニモニソルトを取り出しソレに振った。
「あいちゃん、手術成功したんれすね。良かったれす」
「おう、ピンピンや。ありがとうな、のの」
「ののはこんな身体になったけろ、これからも、ずっと友達でいてくらさいね」
「あたりまえやろ」
一年ぶりに見る加護の笑顔。また一緒だ。嬉しさで胸がいっぱいになる。
「なぁ、のの」
「なんれすか?」
「一つ頼みがあるんや」
「あいちゃんが戻ってきたお祝いれす。なんれも言ってみてくらさい」
「梨華美を手伝ってな。ウチをアンタと同じ改造人間にしてほしいんや」
亜依の台詞に辻は一瞬言葉を失ってしまった。
「な、なんれれすか。せっかくもとの姿の戻れたのに」
「元はウチから始まった事や。アンタだけに重荷は背負わせられへん。
うちもいっしょに戦うんや」
「れも」
「これからも、ゼティマはウチの頭脳を狙ってやってくるやろ。自分の身は
自分で守るためや」
「あいちゃんはののが守るれす。それに今はひとみちゃんも一緒れす」
「ありがとうな、のの。でも、もう決めた事なんや。ウチとおじいちゃんを
こんな目に会わせたやつらにウチの手で3倍返ししてやりたいんや」
亜依は笑顔で辻にそう言うが、目には強い意思が表れていた。
「あいちゃん」
「今まで何するのもいっしょやったろ。」
「うん」
「これからもずっといっしょや。ずーっとずっとな」
「うん、あいちゃん」
「いくでぇ、のの。これからもいつも二人や。二人でゼティマと戦うんや」
「うん、うん」
「さあ大仕事の始まりやでぇ」
第12話 『あいと正義のためを守るため』 終了
以上です。なんか、読みにくい話書いて反省。保田と辻が『トモダチ』する
話も書こうかと思ってたけど、しばらく修行かな。
135 :
名無し:01/10/06 02:19 ID:AZywgoS2
>ガオレンジャーさん
面白かったです。
ついにダブルライダー誕生ですね。
そして、次はV3ですか?
確か、松浦でという話が上がってましたよね。
136 :
名無し:01/10/07 00:02 ID:V0dfW41g
あと、出てないのは、平家とメロン記念日、ココナッツか。
どういう形で出てくるのがいいのかな?
平家withメロンでジャッカー電撃隊(w
村田(スペードエース)
大谷(ダイヤジャック)
斎藤(クローバーキング)
柴田(ハートクィン)
で平家がビッグワン(by宮内洋)
問題はストーリー覚えてないことだな(w
>コテハンさん
「ストロンガー」、「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ」そうそう
こんな感じでしたね。なっちのストロンガーなど思いがけない
キャスティングが、かえってドラマ性を高めてるような気がします
ね。スーパーストロンガー(でしたっけ?パワーアップ版。)や、
デルザー軍団との戦いなんかも読んでみたいところです。
>キカイダー編さん
ライダーやキカイダーが名作たり得たのは、やはり内面の葛藤が
描かれていたからだと思うんです。「重い話」とのことですが、
とんでもない!原作のような雰囲気、好きですね。奇をてらって
マシンマンやバイクロッサー方面に走ってしまった自分のが
なーんか異物感全開です。
>カオレンジャーさん
ダブルライダー編は原作もテレビ版も好きなエピソードです。
今回のエピソードは、原作版の一文字と本郷の再会シーンを
思い出します。辻加護の再会の場面でもしや?と思ったのですが、
想像以上にドラマとキャストが高い相乗効果を発揮していたのでは
ないでしょうか?
あと、もちろん前のスレッドの作者さん方の分も読ませて
いただいてます。アレがなければ僕もここまで刺激され
なかったわけですし。(感想については後々)今後も皆様の
作品楽しみにしています!
頑張ってください
次は誰?
141 :
名無し:01/10/09 07:47 ID:tYhcPXRA
松浦編じゃないのかなぁ?
名スレの予感
1 仮面ライダー(1号&2号)
組織名 ショッカー/ゲルショッカー
怪人モチーフ
ショッカー 生物(例:クモ男)
ゲルショッカー 生物の合成(例:ヒルカメレオン、ガニコウモル)
歴代幹部 旧1号編は幹部なし、以後旧2号編から
初代 ゾル大佐(黄金狼男) 2代 死神博士(イカデビル)
3代 地獄大使(ガラガランダ)
※ 死神博士は劇中、一度地獄大使に後を任せて離日します。その後再来日し
イカデビルに変身しライダーに挑むまでの間、死神博士と地獄大使の二人の
幹部が存在する期間があります。
ゲルショッカー幹部 ブラック将軍(ヒルカメレオン)
ショッカー首領 一つ目の怪人
※ ゲルショッカーは、ショッカーを見限った首領がアフリカ奥地に潜む
ゲルダム団と手を組んで作った組織。その際ショッカー残党の多くが粛正
されています。
2 仮面ライダーV3
組織名 デストロン
怪人モチーフは各幹部により異なるので、幹部とともに紹介。
歴代幹部 初代 ドクトルG(カニレーザー)
怪人モチーフ 生物と機械の合成(例:カメバズーカ)
2代 「キバ一族」キバ男爵(吸血マンモス)
怪人モチーフ 牙を持つ動物(例:原始タイガー)
3代 「ツバサ一族」ツバサ大僧正(死人コウモリ)
怪人モチーフ 飛行する動物(例:火炎コンドル)
4代 「ヨロイ軍団」ヨロイ元帥(ザリガーナ)
怪人モチーフ 硬い皮膚や甲羅を持つ生物(例:サイタンク)
(2代、3代はデストロンと結託した各種部族の長、と言う設定。)
デストロン首領 ドクロみたいなの、ショッカー首領と同一人物
145 :
名無し:01/10/12 04:03 ID:Nk8tqKwI
現在のキャラクター構成
加護=仮面ライダー1号(予定)
辻 =仮面ライダー2号
市井=ズバット
吉澤=キカイダー
石川=ビジンダー?(完全な良心回路がある、吉澤より先に完成から01もあり?)
後藤=ハカイダー
安倍=ストロンガー
矢口=星雲仮面マシンマン
中澤=加護博士、つんく博士の助手
石黒=中澤と同じく、矢口の義姉
稲葉=FBI捜査官
福田=死亡(原型を止めていない事から復活は無理?市井、安倍の親友)
後、予定ででているのは
松浦=VS(加護が加護博士の能力を引き継いでいるから、改造は加護と辻か?)
案が出ているのは
平家、村田、大谷、斎藤、柴田でジャッカ―電撃隊
146 :
名無し:01/10/12 04:04 ID:Nk8tqKwI
あ、そうだ
保田=仮面ライダーアマゾン
もでてるや。
147 :
名無し:01/10/12 04:06 ID:Nk8tqKwI
>145
一部間違いがありました。
松浦=V3
3 仮面ライダーX
組織名 GOD(ゴッド:Government Of Darknessの略)
怪人モチーフ 初期 ギリシャ神話(例:イカロス)
後期 歴史上の人物と生物の合成(例:ヒトデヒットラー)
※カメレオンファントマ、カブトムシルパンなどの例外もあり。
歴代幹部 初代 アポロガイスト 2代 キングダーク
首領 GOD総司令こと呪博士
149 :
名無し:01/10/13 00:38 ID:kbpymuwI
150 :
名無し:01/10/13 10:40 ID:5RTg.7W6
抜けてるところもあるので、補完。
加護=仮面ライダー1号(予定)
辻=仮面ライダー2号
市井=快傑ズバット
吉澤=キカイダー
石川=ビジンダー?キカイダー01?
後藤=ハカイダー
保田=仮面ライダーアマゾン
飯田=仮面ライダースーパー1
安倍=仮面ライダーストロンガー
矢口=星雲仮面マシンマン
あさみ=電波人間タックル
中澤=加護博士、つんく博士の助手
石黒=中澤と同じく、矢口の義姉
稲葉=FBI捜査官
福田=市井、安倍の親友、ゼティマの手により死亡
りんね=飯田の同僚、ゼティマの手により死亡
予定
松浦=仮面ライダーV3
案
平家=行動隊長ビックワン
村田=スペード・エース
大谷=ダイヤ・ジャック
斎藤=クローバー・キング
柴田=ハート・クィーン
で、ジャッカ―電撃隊
つなぎの意味でネタをひとつ書きました。
本編とは一切関係ありません。
こういうのお嫌いな方がいらしたらごめんなさい。
インタールード「改造人間と人造人間のいる風景」
「あら、裕ちゃん。おいしそうなもの飲んでるじゃない」
「お、彩っぺか。ええやろ、これ石川がいれてくれたジャスミンティーやねん」
「あー、いいなー。矢口も飲みたいよ」
「ん、ええで。これ飲み。ほら間接キッスやで」
「もー、やーだー」
「ちょっと、あの子達をお手伝いロボットにするのはやめてよね」
「ええやんか、よー働いてくれるで。
だいたい、あんたらが勝手にここに住んどるから、あたしは大変なんやで」
「う、それはそうだけど……」
「あー、お腹減ったな、のの」
「あい、おなかがすいたのれす。ごはんはまだれすか」
「あんたらさっきポテチをバリバリ食うとったやないか」
「あれは別腹やねん」
「(別腹って、ほんまに胃袋三つ入っとるくらいの腹しとるくせに)」
「お待たせしました」
「みなさーん、ご飯ですよー」
「お、今日は焼きそばか」
「ののはやきそばがだいすきなのれす」
「ののは食べるものなら何でもええんちゃうの」
「すききらいしたら、せがのびないのれす」
「くっ、あんただって牛乳飲めへんくせに……。だいたいあんまり身長変わらんやんか」
「まあまあ、お腹すいてるからけんかするんだよ。これ食べて……」
「ん? なんや?」
「こ、このにおいは……」
「このやきそばトイレのあじがするのれす!」
「こら石川! あんたこれになに入れた!?」
「え、ジャスミンティーですけど……」
「なんでそんなもんいれんねん!」
「だって、さっきおいしいって……」
「焼きそばに入れたってうまいわけないやろ!」
「あ、そうなんですか?」
「あの、あたし達には味覚がないんですよ」
「それを早く言わんかい!」
「ご、ごめんなさい」
「むう、たべるたのしみがないとはかなしいことなのれす」
「(あんたは少し楽しみを減らしな)」
「ん、たべないということは、もしかしてトイレ……」
「( ^▽^)>しないよ」
「ん!?」
「ど、どうしたの梨華ちゃん!?」
「あ、ごめんなさい。なんか口が勝手に」
「(……つんくか、あのマジヲタ、プログラムしてやがったな……)」
「くしゅん」
「どうしたマキ。(人造人間がくしゃみ?)」
「あ、ギル様。なんか頭の中がむずむずして」
「そうか。(さすがはつんく博士。より人に近い機械を目指していたのだな)」
「はー、なるほど『良心回路』ちゅーのはすごいもんやねんな」
「あんたらの頭にも埋め込んだほうがええんとちゃうか」
「ののたちはよいこだから、ひつようないのれす。おばちゃん」
「誰がおばちゃんやねん!!」
「ののはしょーじきものだからうそがつけないのれす」
「あたしはまだ28や!」
「ふう、悲しい人やな。もう充分おばちゃんなのにきづかへんとは。
な、梨華ちゃんもそう思うやろ?」
「え、わ、わたし!?」
「石川! あんたはどう思ってんねん!」
「あ、あの……。わ、わたしは……」
「はよ、答えんかい! どう思ってるんや!」
「あの……、その……」
ぷしゅー
「うわ! 石川が煙ふいた!」
「やばいよ、電子頭脳がハングアップしてる!」
「り、梨華ちゃん、しっかり……。
ああ、やっぱり機械に心なんて……」
「やれやれ、しょせん『ふかんぜん』な『ヒト』のつくったものなど
『かんぜん』であるわけないのれす」
「なにまとめとんねん! だいたい誰のせいでこうなったと……」
「ちょっと、そんなことより早く冷して!」
「わわわ、ドライバー、ドライバー……」
こうして今日も一日が過ぎてゆく。
世界の平和は……まだ遠い。
インタールード「改造人間と人造人間のいる風景」 おわり
4 仮面ライダーアマゾン
組織名 ゲドン/ガランダー帝国
怪人モチーフ 生物(獣人と呼称。例:モグラ獣人)
歴代幹部 ゲドン 十面鬼ゴルゴス ガランダー帝國 ゼロ大帝
首領 ゼロ大帝
157 :
名無し:01/10/16 06:28 ID:WPz1ing6
松浦V3か、メロンWith平家の物語書いてみたいんですが、
よろしいでしょうか?
あんまり自身はありませんが。
キャラクターファイル1
辻希美
仮面ライダーののに変身する。
倉庫での火災により瀕死の重傷をおうが、加護博士の手により
失った部分を人口物で置き換え、加護亜衣の皮膚を移植され
生まれ変わる。必殺技は、ライダーののキック。
本編の主人公。
キャラクターファイル2
加護亜衣
辻の親友。辻と同じく倉庫での建造物落下により瀕死の重傷を負う。
加護博士により、新しい体を組成されしばらく脳だけになって
研究所の地下で眠っていた。
新しい体を得て、復活するが、自らの願いにより辻とアンドロイドの
梨花美の手により改造され、辻と同じく仮面ライダーになる。
その頭脳は加護博士の全ての知識、経験、技術をインプットされている。
キャラクターファイル3
ひとみ
加護博士、つんく博士により作成された人造人間キカイダー。
いつも背にギターを背負っている。
不完全な良心回路を持つため、プロフェッサーギルの笛の音を
受けると善と悪の心の葛藤に悩まされる。
必殺技は、両手をクロスして放つデン・ジ・エンド
キャラクターファイル4
梨華
ひとみと同じく加護博士、つんく博士により作成された人造人間。
ひとみと違い華奢な体つきをしている。
チェンジ後の姿は不明。
ひとみより3ヶ月先に完成していたため、試作品ながら完成された
良心回路を持つ。
いつもひとみと行動を共にしている。
キャラクターファイル5
圭
祖父とともに、南米アマゾンで暮らしていたが、ゼティマの襲撃をうける。
その際、祖父の隠し持っていた腕輪とベルトを身につけ、その力により
仮面ライダーアマゾンに変身する。
ゼティマを倒すため、日本を目指す。
必殺技は、大切断。
キャラクターファイル6
市井紗耶香
生身の体ながら何をやらせても日本1の少女。
強化服と専用車ズバッカーを持ち、快傑ズバットになる。
親友福田明日香を殺害した犯人を探すうちにそれがゼティマの
仕業と知り、以来ゼティマを潰す為追う。
本来はスペースシャトルに乗るはずだった、加護博士の友人の娘。
キャラクターファイル7
飯田圭織
NASAの研究員。惑星開発用改造人間計画に自ら志願し、ヘンリー博士、
同僚のりんねの手によりコードネームスーパー1に改造される。
が、研究所はゼティマに破壊され博士、りんねは死亡。
その復讐と世界平和のため、仮面ライダースーパー1を名乗る。
必殺技はスーパーライダー月面キック、ファイブハンド。
キャラクターファイル8
安倍なつみ
ゼティマに親友を殺され、その復讐の為にゼティマに捕まりわざと
改造手術をうけ、カブトムシの強靭な筋肉と発電機をうめこまれて
仮面ライダーストロンガーになる。
同じく改造手術を受けた少女あさみこと電波人間タックルを助け
共に行動している。
必殺技は、電キック。
キャラクターファイル9
あさみ
ゼティマに捕らえられ、電波人間タックルに改造される。
しかし、脳改造前に安倍なつみに助けられ、共に戦うようになる。
彼女の友人りんねはNASAに勤務。
父はあさみと同じく改造され、ゼティマの手先となったがライダーのの
に倒されている。
必殺技は電波投げ。
キャラクターファイル10
真理
石黒の義妹。ゼティマに人質となって捕まっていた。
しかし、その正体はヴィーナス星雲、セクシ―星からやってきた
星雲仮面マシンマリ。
専用マシンドルフィンの中で変身する。
必殺技はマシンサンダ―、悪の心を消すセクシービーム。
新メン高橋はBlackって感じ。
落ちこぼれ紺野はスカイか?
新垣はライダーマンでいいや(w
つーことは小川がZX。
なんか違うな。
Xもいないし。
見た目だけなら
小川=ザビタン
高橋=イビル
紺野=ガブラ
でアクマイザー3なんだが(w
キャラクターファイル11
マキ
加護博士、つんく博士が作成した人造人間。
暴走して一時ゼティマに壊滅的なダメージを与えた。
のちにプロフェッサーギルの手で服従回路を搭載され、完全な
悪の僕となる。頭部にはつんく博士の脳が搭載されている。
キカイダーひとみを付狙う。
キャラクターファイル12
福田明日香
安倍と市井の親友。
安倍にとってはよきライバルでもあった。
ゼティマの手により、市井の目の前で原型を止めないまでに惨殺される。
以来、安倍と市井はゼティマへの復讐を誓い、ゼティマを追っている。
キャラクターファイル13
りんね
圭織と共に、NASAに勤務していた研究員。
ゼティマの研究所襲撃の際、自力変身がまだできなかった圭織をかばい
殺害される。
あさみは彼女の牧場時代の友人。
キャラクターファイル14
中澤裕子
加護博士、つんく博士の助手。
ハカイダーマキ襲撃の際、組織への疑問から脱走。
後に辻と出会い、彼女の保護者となる。
現在は同居人も増え、家もにぎやかしい限りである。
キャラクターファイル15
石黒彩
加護博士、つんく博士の助手。
真理の義理の姉。
薬物により洗脳されたうえ、義妹真理を人質にとられ、、
ゼティマで働いていたが最近は洗脳も解け、
中澤、辻、真理とともに暮らしている。
キャラクターファイル16
稲葉貴子
FBI捜査官。
中澤、石黒らとコンタクトをとる際、ゼティマに襲われ
キカイダーひとみに助けられる。
コンタクトの目的は現在不明だが、なんらかの重要な情報を
持っていると思われる。
あれ、匿名仮面ナナシマンさん。V3の話はこのままでいいんですか?
このままでは、せっかく裏で話してた伊賀忍者とかパーフェクトサイボーグとか
「ありがとう、ミカちゃん。君が4人目のミニモニだ」とかが無駄になって
しまいますが?
177 :
名無し:01/10/17 01:02 ID:J4vdk/rA
裏行って来ました。
なるほど・・・いろいろと案があったわけですね。
というか、カオレンジャーさん、匿名仮面ナナシマンさんの案で
いいんじゃないでしょうか?
そのほうが面白そうだし。
ただ、裏スレというか設定スレみたいなのを作っておいたほうがいいかもしれない
です。
ここ、わりと人来てるみたいですし。
178 :
名無し坊:01/10/17 01:11 ID:TNiQhblR
長らく続いていた私事が終わり、そろそろ参戦できそうなので、
適当にタイミングを見計らって、『飯田&保田遭遇話』
書いてもいいですか?
もし、先に書きたいという方がいれば、先を譲りますが。
裏って消えてないですか?
180 :
名無し:01/10/17 01:26 ID:J4vdk/rA
えっとHTMLファイルが残ってたんでそれ読みました。
やっぱり、新しく設定用のスレ立てたほうがいいかもです。
シアターのつぼみたいな感じで。
182 :
名無し:01/10/17 06:59 ID:Uf/iCN2o
仮面ライアーののテーマ
迫るゼティマ 悪魔の軍団
我等を狙う 黒い影
世界の平和を 守るため
GO!GO!レッツゴー
輝くマシン
ライダー(ののジャンプ)
ライダー(ののキック)
仮面ライダーのの 仮面ライダーのの 仮面ライダーのの
183 :
名無し:01/10/17 11:46 ID:7bp0Piqc
BLACK(吉澤)
シャドームーン(石川)
バラオム(飯田)
ダロム(保田)
ビジュム(矢口)
剣聖ビルゲニア(?)(安倍)
バトルホッパー(辻)
ロードセクター(加護)
紀田克美(後藤)
創世王(つんく)
184 :
名無し:01/10/18 06:54 ID:AFXXnqck
>バトルホッパー(辻)
ロードセクター(加護)
ワラた。ヨッスィーにとってはまさにそんな感じかも。
なにげに石川と後藤が逆でもよかったかも。
185 :
名無し:01/10/18 10:13 ID:k+mFLnLK
やっぱし紀田克美(後藤)からクジラ怪人(後藤)にしよう
>ゲドン/ガランダー帝国の補足
※ 獣人はこれまでの怪人の概念である「改造によって動植物の能力を人間に
与えたもの」ではなく、「動植物に人間並みの頭脳を与えたもの」という事
になっています。ただ、トゲアリ獣人だけは人間を改造して作られた獣人
です。
うっ、しばらくさぼってたら打ち合わせスレはなくなってるし・・・
>カオレンジャーさん
お気遣いいただきありがとうございます。
ミカ編はまだですがV3は出来上がっています。すごく長くなりましたが。
>名無し坊さん
と言うわけで(?)名無し坊さんホント申し訳ありませんが、先、行かせて
いただきます。
第13話 「さらばマシンマリ!」
ふぅ〜。ようやくバイトも終わったよ。矢口真里、本日は直帰しま〜す!
なんてね。いつもだったら寄ってくところもあったんだけど、このごろ暗く
なるのが早いからね。
アタシを乗せたスクーターは一路、彩っぺの待つ我が家へ。渋滞をすり抜け、
家路を急ぐ車の流れを横目に、大通りを走る。やがて角を曲がると、我が家
に到着!今日も一日お疲れさま。って、多分誰も言ってくれないから自分に
言ってみたりする。
「ただいま〜!」
アタシはブーツを玄関に脱ぎ捨てると、リビングに向かってまっしぐら。
だってお腹空いたんだモン。
「あら、アンタ今日早かったんだね。」
ちょうどお夕飯の支度中だった彩っぺ。今日のお夕飯は何かな〜♪
「今日はね、ジャガイモが安かったから肉じゃがにしたんだ。もうすぐ
できるから待ってなよ?」
彩っぺのご飯ってハズレがないんだよね。どれもおいしいから、すごく
楽しみ。やがて裕ちゃんも帰ってきて、楽しい団らんのひととき。アタシ達
は今日一日の些細な出来事をいろいろ話し合った。
みんなが寝静まったころ、アタシは一人机に向かって「研究」の成果を
まとめていた。そんなアタシの姿を横でミニモが覗いてる。
「マリぃ、進んでるの?レポートは。」
「ん〜。ぼちぼち、かな?」
そう。実はアタシは故郷では大学生。地球には卒論の研究のためにやって
きたんだ。だから「専業セクシーヒロイン」って訳じゃないんだよね。
で、卒論のテーマはズバリ「太陽系の惑星群について」。今までいろんな星を
見てきて、そして一番最後に立ち寄ったのが地球なんだ。でもこのごろあんまり
進んでないんだよね・・・卒論。もぅテンタクルのバカ〜!もしアタシが卒業
できなかったら、アイツらのせいだ!
けど、のんきにレポート書いてる場合じゃないことも確かなんだよね。
みんなの知らないところで、地球に危機が迫ってる。そのことを考えると、
レポートなんて全然進まないよ。いつの間にかアタシは、初めてその「危機」
について知ったときのことを思い出してた。
アタシがここにお世話になるようになってすぐの頃、女のコばかりを
狙った連続殺人事件が発生していた。アタシは持ち前の正義感から、犯人を
捕まえてやろうと思って一人で「囮捜査」を仕掛けたんだ。計画通り犯人
と遭遇し、いざとなったら変身してやっつけようと思ってたんだけど、
犯人の方が一枚上手で捕まっちゃったんだ。結局アタシはテンガロンハット
の謎の人に助けて貰って家までたどり着いたんだけど、家に帰り着いたときの
ことは、今でも覚えてる。彩っぺは泣きながらアタシのこと抱きしめてくれた。
ホントのことを言うと、アタシと彩っぺは義理の姉妹とかじゃないし、まして
家族なんかじゃない。それはあくまでもアタシが地球にとどまるために
作り出した、偽の記憶。アタシは彩っぺを騙している。けれど・・・そんな
アタシを泣きながら抱きしめてくれた。
「あっ、ゴメンね・・・お姉ちゃん、心配で心配で・・・」
アタシあの時のこと、今でも忘れないよ。心配かけて、ごめんね。いざと
なったら変身すれば何でも解決できると思ってたけど・・・無謀だったよ、
アタシ。彩っぺの胸に顔を埋めたまま、涙が止まらなかった。
だから彩っぺだけは、アタシの力で守りたい。そう思って地球に残った
ってところもあるんだよね。そんなことを考えてたら、結局レポートは殆ど
進まずじまい。まぁ、時間はたっぷりあるし、明日また、ね?アタシは
レポートを切り上げてベッドに潜り込んだ。
ベッドの中で、アタシは一人考えていた。
ここ数日の間に、実はアタシにはいろいろな出会いがあった。同じ目的を持つ
少女達との出会い。彼女たちと過ごした時間。そしてそのたびに増えていった、
大切な地球での思い出。自分に繋がる、すべての人々との絆。それを守るためなら
このまま地球に残っても構わないって思えるほど、アタシにとっては大切なもの
だった。
明日も、あのコ達ときっとまたここで会える。アタシは信じてた。
それぞれがみな己の運命との闘いの日々を送る中、訪れるつかの間の平穏。
この時間が少しでも長く続けばいい。アタシはそう思っていた。
けど、アタシの願いは最悪の形で無惨にもうち砕かれることになるなんて、、
このときはまだ考えてもみなかったんだ・・・。
「ガシャーン!!」
真里、彩、裕子。3人だけの休日。そんな午後の平穏なひとときを襲った
突然の悲劇は、激しいガラスの割れる音でその幕が開いた。その直後、突如
として室内に押し入ってくる黒い男達。異変に気づいた3人は、すぐさま
応接間に向かった。そしてそこで彼女たち見たのは、今までに見たことの
ないようなゼティマ怪人とその軍団だった。
両腕の長い刃、そして鋭い牙を持つ豹の姿をした怪人。明らかに
今までの怪人とは違う、まるで刃と動物が一体化したようなそんな姿
をしている。
「クックック・・・裏切り者をまとめて2人も見つけるとは、とんだ
大収穫だ。」
高笑いする怪人。それを見つめる裕子の表情が凍り付く。
「なっ・・・なんでここにいるのがバレたんや?!」
狼狽する裕子と彩。そしてそれを不安げに見つめる。怪人はまたも
ふてぶてしく笑いながら言った。
「知りたいか?ならば教えてやろう。石黒 彩、お前の『鼻』が役に
たったのさ。お前は間抜けな赤鼻のトナカイだったってことさ。
クリスマスには早かったがな。」
「ま、まさか!!」
思わず鼻に手を当てる彩。そう、実はそのピアスに超小型の発信器が
取り付けられていたのだ。
「くっ・・・」
「ンハハハハハハ。そうとも。こういう事もあろうかと、事前に
策を施してあったのだ。お前達研究員が、例え脱走しようとも居場所
がわかるようにな。」
自分たちの居場所はとうに組織に知られていたのだ。それも、自分の
せいで。俯いて唇をかみしめる彩。
「裕ちゃん・・・ごめん・・・。」
強い自責の念に駆られ、呻くように裕子に詫びる彩。その眼には
うっすらと涙さえ浮かんでいる。
「案の定お前達はいわゆる『感動の再会』を果たし、今日に至ったと
いうわけだ。その間我々は、尻尾を掴むためにお前達を泳がせていた
のだ。」
卑劣なり、ゼティマ。裕子が怪人をにらみつけて叫ぶ。
「この人でなしがっ!こんなことして、こんなことして何が
楽しいんや!!」
またも怪人はせせら笑って言った。
「ハッハッハッ。もとより我々は人間ではない。いわば選ばれし
『神の子』なのだ。それをお前達は放棄したのだぞ。そしてあまつさえ
我々に反抗するとはな。」
両手の刃をぎらつかせ、怪人は周囲を睥睨してみせる。そして、裕子と
彩の二人を指し示した。
「お前達には、このハサミジャガー様が『審判』を下してくれよう。」
と、その時。傍若無人の徒、ハサミジャガーの前に彩が自ら進み出た。
「あたしを殺すのは構わない。アンタ達を裏切ったんだ、覚悟は
出来てる。けど義妹だけは、真里だけは助けてやって!!」
「クックック・・・麗しい姉妹愛だな。者ども、そこの小娘を連れて
行け!」
ハサミジャガーに命じられた戦闘員が真里を彩から引き離す。
羽交い締めにされた小さな身体は、身動き一つ取ることが出来ずに
ずるずると引きずられ、隣の部屋の奥へと連れ去られた。
「ガキはお前達の好きにしろ。」
「やめて!真里っ、真里ィィ!!」
非情な怪人の一言に、狂ったように泣き叫び妹の名を呼び続ける彩。
「黙れ!!」
そう言い放つと、彩を殴り倒すハサミジャガー。すかさず裕子が彩を
庇う。見下すような視線を落とす怪人の眼を睨み付ける裕子。
「アンタら・・・こんな事がいつまでも許されると思うたら・・・
大間違いや!」
「裏切り者が聞いた風なことを!!」
ハサミジャガーは裕子の顔を蹴り飛ばす。再び裕子は顔を上げたが、
唇が切れたせいか血が流れている。やがて続くもう一撃が彼女の腹部を
襲うと、裕子はそのまま倒れ込んでしまった。二人はこのまま怪人達の
手にかけられるというのか。と、その時だ。
「ゼティマの怪人!お前の命はあと3分だ!!」
隣の部屋のやりとりは、すべて聞いていた。アタシの血が逆流している。
こんなにも激しい怒りを覚えたのは今日が初めてだ。彩っぺと裕ちゃんの
秘密・・・二人が心ならずも悪の手先として働いていたことなど、アタシ
にはどうでも良いことだった。ただ、二人の平穏な暮らしを脅かす
ゼティマの手先を、アタシは決して許さない!!
「何があった!!そして貴様は誰だ?!」
「怒りのセクシーヒロイン、星雲仮面マシンマリ!!」
彩っぺと裕ちゃん、二人を助けるためにアタシは変身したんだけど、
このことが何を意味するかは、十分承知していたつもり。だって隣の部屋
だよ?普通なら・・・。
「マシンマリって、真里、アンタなの?!」
「矢口あかんっ!これはウチらの問題や!!」
そう。このことで二人はアタシの正体を知ってしまう。けれど、アタシの
大好きな二人をなくしてしまうくらいなら・・・アタシは覚悟を決めて
変身した。
「そうか、貴様がマシンマリか。テンタクルがさんざん手を焼いた
そうだが、この俺様がこの二人共々、『審判』を下してくれる。」
アタシに向かって殺到してくる、ゼティマの戦闘員。もはやアタシは
誰にも容赦しない。腰のプラスターを抜くと、戦闘員を次からつぎに
撃ちまくった。プラスターのエネルギーが切れると、今度は
レーザーサーベルを抜く。そして襲い来る戦闘員をバッタバッタと
なぎ倒す。今のアタシに近づくヤツは、怪我だけでは済まさない。
アタシは戦闘員達をすべて片づけると、残るは怪人ハサミジャガー
ただ一人。コイツが二人を傷つけた。許さない。てゆうか殺す!
それくらい激しい怒りがこみ上げてきた。
「ほう、少しはやるようだ。だが、そんなおもちゃで俺に勝てると
思うなよ?」
宇宙のテクノロジーがおもちゃだと?お前みたいな化け物は分子サイズ
まで切り刻んでやる!アタシは怒りにまかせて怪人に斬りかかる。
「うああああああっ!!」
上中下、右に左にサーベルを振るって攻撃する。けれど、アタシの攻撃
はすべて怪人に完全に防ぎきられてしまう。
「小娘め、お遊戯は終わりだ!」
そう言うと、今度は敵の反撃がアタシを襲う。巨大な刃で何度も
斬りつけられるコンバットスーツ。そのたびに内蔵されたいろんな装置が
ショートして火を噴き、特殊繊維は切り裂かれ、みるみるうちにアタシは
ボロボロになっていく。切り傷だっていっぱい出来た。しかし、アタシも
やられっぱなしじゃない。握ったサーベルを何とか振りかざして
斬りつける。
しかし、そんなアタシの精一杯の斬撃をかわしたハサミジャガー。
一瞬でアタシの後に回り込むと、次の瞬間アタシは二つの刃に挟まれて
いた。
「そうとも。俺様の刃は二つ重ね合わせることで巨大なハサミとなる。
このままザックリ切り落としてやるぞ。」
やがて耳の横でノイズが聞こえる。ヘルメットの「耳」が破壊されてる
からだ。アタシの頭はすっかりハサミに挟まれてしまっている。金属が
切れて壊れる耳障りな音がアタシの頭の中に響く。このままではヘルメット
ごと頭を真っ二つに切られてしまう。
「う゛ああぁぁぁっ!」
「クックック・・・どこまで持つかな?」
内側にへこむヘルメットの感触が耳元にまで伝わってくる。やばい・・・
殺られるっ?!
「とどめだっ!!」
ジャキン!!という鉄を切る音が、部屋中に響き渡る。血の付いた
ヘルメットの残骸が足下に転がり落ちた。
192 :
:01/10/18 23:43 ID:nZC8CyDs
>183
オープニング
君はみたか 写真集 真っ赤に萌えただろう
暗い闇の底で 危険なヲタが待つ
信じる奴が吉澤(ヨッスィ)真実の王女
夢を見つづけることが俺のファンタジー
目立つことが好きさ 蒼く浮かぶコスモ
梨花を越えろ メイン抱け 次の新曲に
熱く燃やせ 涙流せ 新人に負けずに
仮面ライダーヨッスィ 仮面ライダーヨッスィ
193 :
名無し:01/10/18 23:47 ID:nZC8CyDs
すんません
183 185 192
自分がカキコしましたスレ違い
おまけにちょっと自作自演でした
194 :
名無し:01/10/19 07:55 ID:IyWWk3Zt
age
後半に入る前に訂正です!
>そしてそれを不安げに見つめる。
>そしてそれを不安げに見つめる真里。
の間違いです!すいません。それと、今回は最終的に2話完結の
ストーリーになってしまいました。続く14話でV3誕生編は完結
です。名無し坊さんのお話を待ってる方、そして名無し坊さん、
もうしばらくお待ち下さい。
「ガキを殺すのはさすがに後味が悪いな・・・。」
ハサミジャガーは足下に転がるヘルメットの残骸を確かめてみた。が、
そこに転がっていたのはヘルメットだけだった。
「ええ〜いっ!!」
怪人の腰に体当たりを食らわせた真里。思わず倒れ込むハサミジャガー。
「こしゃくな!生きていたのか!!」
ヘルメットが切断される寸前に真里はヘルメットを脱いでいたのだ。
しかし、それでも怪我を免れることは出来ず、頬は擦り切れ、首筋からは
血が流れている。
不意をつかれて倒れたままの怪人。チャンスとばかりに、真里は馬乗り
になると手にしたサーベルを振り下ろす。だが、サーベルをとっさに
防いだハサミジャガーは真里を蹴り飛ばす。強い力で蹴られた真里は
うずくまったまま立ち上がれない。
再び形勢は逆転し、ハサミジャガーが真里の元に近づいていく。
「手こずらせおって・・・死ねいっ!!」
ハサミジャガーがその凶刃を振り下ろした、その時だった。
「真里っ!」
そばにいた彩が真里を庇い、振り下ろされた刃を真里に代わってその身に
受けたのだ。飛び散り、流れ出た血はあたりを真っ赤に染めていく。
「彩っぺ!!」
「バカな女だ。結局自分で死に急ぐとは。さて、裏切り者は始末したし、
この場は引き上げるとしようか。」
怪人ハサミジャガーはそう言って部屋を後にした。戦い終わって真里に
残されたのは、愛する義姉の変わり果てた姿だった。しかし、激しすぎた
戦いはその身体をも蝕み、真里には義姉を抱き上げる力すら残っては
いなかったのだ。血の海に独り取り残された真里は、天を仰いだまま自分の
無力さに涙するしかなかった。
外は突然の激しい雨に見舞われた。辻希美と加護亜依は、約束の時間
よりも早く中澤家に到着した。
「たぶんののたちがいちばんのりれすね。」
「せやな。後はおばちゃんらにたーっぷりともてなして貰わんと。」
「ほんにんのめのまえでいったら、ぶっとばされるのれす。」
二人はチャイムを鳴らす。が、反応がない。もしかしたらまだ買い出し
から帰ってないのだろうか。そう思ったのだが、ノブに手をかけてみると
思いがけずあっさりとドアは開いた。雨が降っているし外で待つのも、と
思った二人は家の中に入ってみんなの帰りを待つことにした。
リビングに足を踏み入れた二人が見たのは、目を覆うばかりの惨状だった。
前のめりに倒れたまま身動き一つしない裕子と、重なり合うように倒れている
彩と真里。惨劇の舞台、文字通りの血の海の中に浮かぶ三人の姿をみた二人
は、その様子にしばし言葉を失った。だが、呆然としてばかりもいられない。
倒れている三人をなんとか助けなければならない。
「だっ、だいじょうぶれすか?いしぐろさん、なかざーさん、
やぐちさん!!」
やがて、裕子がかろうじて息を吹き返す。あらためてその惨状を目の当たり
にした彼女は、希美の身体にすがって泣き崩れた。
「あたしが・・・あたしがついとったのに・・・ごめんなぁ、
ごめんなぁ・・・。」
「中澤さん、何があったん?」
言葉をかけた亜依。と、その時、傍らで倒れていた真里の指が動いた。
「やぐちさんはまだいきているのれす!!」
「ののっ!はよ手当しぃ!!」
大慌てで救急箱を探す希美。そして意識を取り戻した裕子も手伝い、
とりあえず彩の下から真里を引っ張り出す。ずたずたに切り裂かれた
コンバットスーツは重なり合った二人の血で真っ赤に染まり、その表情から
はもはや生気が失せている。一生分の涙を使い果たしたかのような乾いた
うつろな目、そしてその頬には血のまじった涙の後が伝う。真里の上半身
を抱き起こした希美は、そんな真里を抱きしめ声をあげて泣いた。裕子も
また、二人に駆け寄って二人を抱きしめる。その様子を見ていた亜依の頬
にも涙が伝う。
その時、希美の腕の中にいた真里が、うわ言のように言った。
「アタシもいっしょに殺してくれれば良かったのに。そしたら・・・。」
「アホなこと言うたらあかんっ!アンタまで失ったら、あたしは
どうしたらええの?」
涙ながらの裕子の言葉も、真里の耳に届いたかどうか判らない。無力感と
と悲しみに打ちひしがれた彼女の心に届いたかどうか判らない。
が、そんな中で不意に真里が呟いた。
「力が・・・アタシにも力が欲しい・・・。」
再び真里の目から涙があふれ出す。そんな真里に頬を寄せる希美。
「アタシが弱かったから、裕ちゃんも、彩っぺも、守れなかった・・・。」
「そんなことはないのれす!やぐちさんはせいいっぱいやったのれす!!」
さっきよりももっと強く真里を抱きしめる希美。そして、潤んだ瞳で亜依の方
を見る。
「あいちゃん、ののたちがやぐちさんにあたらしい『ちから』を
あげましょう。」
「新しい力って・・・ののひょっとして・・・。」
希美は力強くうなずく。
「かいぞうれす。あたらしいせんし、『仮面ライダー3号』れす。」
裕子の協力で二人は降りしきる雨の中、真里を研究所へと搬送した。
第13話 「さらばマシンマリ!」 終わり
第14話 「新戦士登場!その名はV3」
裕子たちを乗せた車は、土砂降りの雨の中を生化学研究所への道を
急いでいた。研究所までの道のりは長く、真里の様態は一刻の猶予も
ならない状態だった。目に見える傷の止血はどうにか出来たものの、
スーツによって包まれた身体の目に見えないダメージは深刻で、
このままの状態が続けば死の危険性すらあったのだ。だが、それでも
裕子は車を飛ばし、その車内で亜依と希美は必死で手当を続けた。
やがて車は、生化学研究所の入り口に到着した。
事態は一刻を争う。3人は出迎えた梨華美の相手も早々にライフ
ステージを目指す。希美が甦った地下室よりも、さらに高度な機器が
そろったあの部屋なら、真里の命を救うことが出来るに違いない。
やがてエレベータがライフステージにたどり着くと、あわただしく
手術機材の並ぶ場所に移動する。そして、おっかなびっくりの裕子を
後目に、二人は真里を手術台の上に載せる。
やがて亜依によって梨華美らメイド達が呼び集められ、遂に改造手術
が始まった。初めのうちはコンバットスーツを剥がすのに手間取ったが、
何とか未知の繊維を切断し身体を露出させることが出来た。
こうなると、後は亜依の指示の元迅速に手術が進んでいく。驚くべき
事に、地球人と全く同じ身体の器官を持っていたマリ。そのため遂に
彼女が異星人であることは暴露されることなく手術は進行していった。
祖父から受け継いだ技術のすべてを駆使して手術に臨む亜依。希美も
また、自分で出来ることは積極的に手を貸していった。
だが、裕子だけはその様子を正視することが出来ず、足早に部屋を
出ていった。これまで幾度もの改造手術、生体実験に心ならずも手を
貸してきた彼女であったが、強い絆で結ばれた者の身体にメスが
入れられるのを目の当たりにしたとき、たとえそれが真里を救うため
の手術であったとしても、「改造手術」という手術の性格故にその
光景を正視することがどうしても出来なかったのだ。
自分たちが荷担した、狂った技術のメスが真里の身体に入れられる。
この事実に押しつぶされそうになった裕子は、いたたまれない思いで
部屋を出ていった。
しかし、そのとき大変な事態が裕子に告げられる。
身体の器官の多くを人工のものに取り替える改造手術。しかし、改造
人間とはいえ、頭脳に関しては人工のものに完全に交換するわけには
いかない。生身の人間として残される唯一の部位、それが頭脳なので
あり、それを維持するためには当然血液が必要なのだ。
だが、ハサミジャガーとの戦いの傷が元で真里は今著しく体内の血液が
不足している状態なのだ。人間の血液は25〜30%が失われると生命の
危機に陥るというが、今真里はまさしくその生死の境にいたのだ。
「やぐちさんのちがたりないのれす。」
「輸血できる血液、中澤さんの血を!お願いします!」
二人は裕子に輸血の協力を依頼した。この場に居合わせた人間で真里に
輸血できるのはO型の裕子と希美だけだった。希美は手術の助手として
欠けてはならないし、代用品を使おうにも人工血液は亜依の復活の際に
使用した分で切らしてしまっていた。かといって出来上がるのを待って
いるほど悠長なことは出来ない。二人は裕子の言葉を待った。
「改造手術なんて狂ってる。そんなんに・・・協力できるわけない
やんか。」
今の彼女の心情を察するならば、無理もない話だったのだが、
「このままやぐちさんをみごろしにするきれすか?」
希美の一言が心に突き刺さる。このまま輸血を拒否すれば真里は
助からない。だが、改造人間という狂気のテクノロジーに荷担すること
は出来ない。
だが、そんなとき亜依がこんな言葉を彼女にかけた。
「狂ってるのは改造人間の技術を悪用するゼティマの方や。じいちゃん
の研究は人間の未来を開く技術やって信じてる。ウチは矢口さんに新しい
力をあげたかった。人類の未来を取り戻す仲間になって欲しくて、ののと
手術を決心したんや。」
亜依の口から出たその言葉に、裕子の心は救われるようだった。人類の
未来のために。改造技術が、本来理想としていたのはそのことではなかった
のか?唇をかみしめて俯いていた裕子は、輸血を承諾する。
「わかった。けど、あんまり痛くせんといてな?」
メイド達の準備によって手早く輸血の体制が整う。このとき真里と裕子は
機材を介して一つになった。同じ血を分け合った二人。やがて裕子の腕から
機材の方へ、そして機材から真里の腕へと血が流れていく。その様子を
見守る二人。
そしていよいよ手術も大詰めを迎えた。摘出された真里の身体の殆どの
器官は人工強化器官に交換され、遂にその腰に「ベルト」が装着された。二人
が持つ一枚の風車のものと全く異なる、2枚の風車を持つベルト。そして、
その中心に輝く「V3」の文字。加護生化学研究所の最新高度のテクノロジー
を持ってしても、10時間余りにも及んだ大手術。それが終わりを告げた頃、空
は白み、朝日が既に顔を出し始めていた。
原子力発電所がゼティマの怪人達に襲撃されたのは、それから数日後の事
だった。操業開始直後、突如現れた怪人達によって発電所は占拠された。職員
を人質に所内に立てこもるのはハサミジャガー。そして、外でライダーを
待ち伏せして発電所ごと爆破しようと企むのは新たに加わったカメバズーカ。
その名の通りカメの改造人間で、背中の甲羅から大きなバズーカ砲が伸びている
独特の容姿を持つ怪人だ。2人の怪人によるライダー抹殺計画は、最悪の場合
深刻な放射能汚染を引き起こす可能性のある、凶悪テロ行為に他ならなかった。
しかし、怪人達の悪巧みはすぐさま二人のライダーの知るところとなり、
亜依と希美は怪人達の待つ発電所に急行した。二人は程なく発電所に到着。
しかし、当然それは怪人達の計画通りだった。
「ハハハハハ。愚かな奴らよ。これから発電所ごと吹っ飛ばされるとも
知らず、のこのこ現れおったわい。」
発電所の正門周辺にはすでに大勢の戦闘員が待ちかまえていた。亜依と希美
は次々と戦闘員をなぎ倒すと、易々と発電所の内部に進入した。しかし、
それこそ怪人達の思うつぼであることを、当然ながら知るよしはない。
「ハサミジャガー。奴らが施設内に入り込んできたぞ。」
「バカな奴らよ。これから死ぬとも知らずに。飛んで火にいる夏の
バッタだな。」
無線で連絡を取り合う怪人達は既に勝利を確信しているかのようですらある。
一方、所内に潜入することに成功した二人は、人質に取られているであろう
職員達の姿を捜して建物の中を走り回っていた。ここでも時折戦闘員達の襲撃
を受けたが、二人は難なくこれを退けると、ついに発電所職員達が捕らわれて
いる大食堂にたどり着いた。大食堂には職員全員が一カ所に集められていたが、
そこには首謀者と思われる怪人の姿はなかった。
「さぁ、ののたちがきたからにはもうあんしんなのれす。はやくにげるのれす。」
「はぁ?お嬢ちゃん達、何かの冗談ならやめてくれよ。」
職員達は希美の言葉が信じられない様子だ。無理もない。自分たちよりも遥かに
小さな少女二人が突然やってきて、自分たちを助けに来たなどと言われても
にわかに信じられるはずはないではないか。
「黙ってはよ逃げぇボケェ!、はよせなケツ蹴り上げるど!!」
突然ハードコアな口調で怒鳴る亜依。しかしこれが功を奏し、職員達は二人に
促されて通用口から外へ逃げ出した。
全員を避難させたことを確認した二人が正面玄関まで戻ってきたその時、外で
待ち受けていたのはゼティマの戦闘員達だった。二人の姿を見つけると、手に
した銃が一斉に火を噴く。
「うわっ!あいちゃん、うってきたのれす。」
「あかん、このままでは出られへん。一旦下がるで!」
二人は銃火の激しい玄関を一度離れて少し後退する。銃撃はなおも続き、二人は
全く外に出られない状態になってしまった。銃撃の度に硝煙が立ちこめ、
コンクリート片が飛び散る。
「ハハハハハ。これで良い。もう少し足止めしたところで、原子炉を砲撃して
くれるわ。」
そこへ建物から逃れてきたハサミジャガーが合流する。
「作戦成功だ。奴らはもう建物からは出られない。砲撃するなら今だぞ。」
カメバズーカは身体を大きくうち振るうと、発電所の建物にバズーカ砲を向けた。
「これで奴らもおしまいだ、ズーカ!!」
バズーカ砲が火を噴こうとした、その時。
「待て!!」
不意にどこからか声がした。あわてて周囲を見回すゼティマの怪人達。すると
発電所の給水タンクの上に何者かが立っているではないか。
「ええい、何者だ!!」
その姿に気づき、声の主に叫ぶ怪人達。
いよいよ復讐の時は来た。彩っぺを殺した奴らが目の前にいる。辻と加護に
もらった新しい「力」。その力で、必ず彩っぺの敵を取る!!アタシは給水タンク
の上から飛び降りると、怪人達が取り囲むど真ん中に着地した。
「お前は・・・あの時のガキ!!」
その声は・・・ハサミジャガー?!そう、彩っぺを手にかけた犯人だ。アタシは
ヤツを睨み付ける。
「彩っぺの敵、お前だけは許さない!」
怪人を守るように立ちふさがる戦闘員達。アタシ自身にも判らない新しい力。
それを試すには格好の相手だ。新生セクシーヒロインの実力、みせてやる!!
「者ども、かかれ!!」
合図とともに襲いかかる戦闘員達。今までだったら変身してから戦ってた相手
だったけど、アタシの中に漲る力がまるで「まだその時じゃない」って言ってる
みたい。アタシは自分の新しい力を信じ、こいつらとは変身せずに戦った。
すると信じられないことに、変身しなくてもアタシは戦闘員をパンチで
吹っ飛ばし、キックを出せば相手はコマみたいにくるくるまわって吹っ飛んでく。
すごい・・・これがアタシの力?気がつけば、沢山いたはずの戦闘員もアッという
間に全滅。
「やぐちさ〜ん!」
不意に建物の方から聞こえてきた声。あ、この声は辻と加護?もーぅ、新生
セクシーヒロイン大活躍だって言うのになんだってしゃしゃり出て・・・なんて
言ってられないね。この二人のおかげでアタシは本当に「生まれ変わる」ことが
できたんだから。駆け寄ってきた二人とともに、アタシは怪人達と対峙して
身構える。
「今こそ変身するんや!」
「へんしんするれす!」
変身・・・。いよいよアタシの真の力が目覚める瞬間だ。
「変身!!」
まずは辻と加護の二人が先に変身してみせた。仮面ライダーのの、そして
仮面ライダーあい。ダブルライダーが怪人達の前に颯爽と登場だ。二人とも、
見た目には余り大差ないって言うところが逆にこのコ達らしいよね。あ、そんな
こと言ってる場合じゃないや。
「つぎはやぐちさんのばんれす!」
「やりかたは教えた通り、あんじょう気張ってや!」
アタシは二人に習ったように変身のポーズを取った。そして、腰に輝くベルトは
ダブルタイフーン!!
「変・身、ブイスリャア!」
二つの風車が風のエネルギーを最大限に取り込んだとき、アタシの姿はまばゆい
閃光とともに新たなる戦士へと変貌を遂げる。緑色のボディ、そして真っ赤な
マスク。のの、あいとは明らかに違う姿。ダブルライダーの力と技を受け継いだ
第3の仮面ライダー。それがアタシ、仮面ライダーV3!!
「V3ィ?!」
怪人達が驚きの声をあげる。残るはカメバズーカ、そして憎きハサミジャガー
だけ。三人ライダーの力、思い知れ!
「小娘ェ!やはり貴様はあの時殺しておくべきだったか!」
ハサミジャガーがあたしの前に歩み出てきた。彩っぺを殺めたあの巨大な刃を
突きつけ、アタシに身構えてみせる。アタシと戦おうって気?臨むところだ!
アタシを生かしておいたこと、死ぬほど後悔させてやるんだから!!すると、
横から援護しようとカメバズーカがアタシの方にバズーカ砲を向ける。上等
じゃない、2対1でも相手になってやる!
「待ちや!お前の相手はうちらやで!」
するとそこへ辻加護が現れ、カメバズーカの前に立ちふさがる。
二人がカメバズーカを引き受けてくれた分、アタシはハサミジャガーとの戦い
に集中できる。さぁ、戦闘開始!
両手の刃を振りかざし、襲ってくるハサミジャガー。でも、信じられない
ことに今のアタシは相手の攻撃が全部見える。敵の攻撃に充分反応できる。
アタシはハサミジャガーの攻撃をすべて防御してみせた。
「やるな!貴様の変身、伊達ではないらしい!」
アタシと一旦距離を取って再び身構えるハサミジャガー。どうだ!もうアタシ
はあの時のアタシじゃないってこと、思い知ったか。さぁ、今度はアタシの
番だ。ハサミジャガーに駆け寄ってパンチ一撃!でもこれは敵に防がれた。
続く2発目もガードされたけど、アタシはすかさずキックで怪人の腹を蹴り
上げる。
「グオッ?!」
アタシのキックが効いたのか、よろめくハサミジャガー。相手のガードが
下がったら、顔をめがけて打つべし!打つべし!!パンチのラッシュで敵を
追いつめると、アタシはハサミジャガーの腕をとって捻りあげ、肩口に担ぐ。
こんなもの・・・こうしてやるっ!!両手で掴んだ相手の腕を強く引き下ろす。
アタシはヤツの腕を叩き折った。
「ギャアアアア!!」
痛みに呻くハサミジャガー。アタシはさらにもう片方の腕も同じように
へし折った。両腕を失って戦闘不能の怪人。さぁ、今度はアタシがアンタに
「審判」を下してやる番だよ。
「彩っぺの敵、覚悟しろ!!」
アタシはそう言うと空中高くジャンプする。そして、華麗に空中回転。発生
した遠心力を利用して勢いをつけ、必殺の一撃を繰り出す体勢を取った。
「ライダー遠心キィィーック!!」
次の瞬間、必殺のキックが怪人を直撃。吹っ飛ばされたハサミジャガーはその
直後、大きな火柱をあげて大爆発した。彩っぺ、見ててくれたかな・・・?
敵、とったよ。
一方、ダブルライダーもカメバズーカを相手に有利に戦いを進めていた。怪人を
挟み撃ちにしてキックパンチの雨霰!アッという間にカメバズーカをグロッキー
状態に追い込んだ。さすがは仮面ライダー。ちょっとあの二人を見直しちゃったぞ。
「いくで、のの!ダブルライダーキックや!!」
「はいれす!」
二人同時に華麗に宙を舞う。そして繰り出される必殺の一撃!!
「ダブルライダーキック!!」
決まった!次の瞬間、二人の稲妻のようなキックが怪人を直撃した。大きく
吹っ飛ばされるカメバズーカ。かろうじてよろよろと立ち上がるけど、その足元は
おぼつかない。
「ウハハハハ。いいか、良く聞け。俺様はただでは死なんぞ。俺様の体内には
時限式の核爆弾が内蔵されている。それは俺様が死んでからきっちり5分後に爆発
するようになっているのだ。お前ら三人、地獄への道連れだ・・・・!」
そう言うと事切れて大の字に倒れたカメバズーカ。怪人達の悪巧みをくじくこと
はできたけど、問題は体内に内蔵された核爆弾。これを処理しないと大変なことに
なってしまう。
「あいちゃん、どうしましょう?」
「どうって言われてもやな・・・。」
考えてるヒマはない。あと5分で核爆弾が爆発しちゃう!!ど〜しよう?!こんな
ことしてる間に時間は刻々と迫ってるんだよ?
「よし、わかった。」
加護が何かひらめいたみたい。一体どうするつもりだろう。建物の間から見える海。
その方向を指さして言った。
「この発電所の裏の海や。のの、海に捨てよか。」
「うみれすか。それならふかーいところにすてましょう。」
え?それってどういう事?海・・・?捨てる・・・?まさか!!
「やぐちさん。ののたちはかならずかえってくるのれす。」
「絶対帰ってくる。せやから待っててや!」
二人とも・・・コイツを海に沈めてこようって言うの?ダメ!危険すぎる!!海底で
爆発したらアンタ達がどうなるか判ってる?アタシは二人を止めようとした。
「アンタ達、何言ってるの?無茶だよ、危険すぎるっ!!」
しかしそう言う間もなく二人は怪人を抱えて海へとダッシュ。やがてアタシの視界
からどんどん遠ざかっていき、とうとう見えなくなった。その数分後。
「ドーン!!」
はるか彼方で立ち上がる水柱。核爆弾が海底で爆発したの?それじゃ二人は・・・?
アタシは目の前が真っ暗になるような気持ちに襲われた。せっかく三人そろって悪と
戦うつもりでいたのに、アタシはまたひとりぼっちなの?!
変身を解いたアタシはひとり、海に沈む夕日を眺めていた。
辻と加護から貰った新しい力で、アタシは彩っぺの敵を取ることが出来た。けど、
今度はその二人を失うなんて・・・。またアタシの頬を涙が伝う。と、その時。
「やぐちさ〜ん!!」
夕日の彼方から聞き覚えのある声がする。やがて夕日を背負い、小さな二つの影が
アタシの元に駆け寄ってくる。アンタ達、無事だったんだね?二人の姿をもっと近く
で見たくて、アタシも二人の元に駆け寄った。
「辻ぃ〜っ!加護ぉ〜っ!」
アタシ達は三人で抱き合った。アタシ達三人の力で、ちっちゃな身体に秘めた力で
大きな悪の陰謀を阻止したよ!もう誰も傷ついちゃいけない。もう誰の涙も見たくない。
自分の運命に打ち勝つこと。それは地球の危機を救うことに繋がる。アタシは必ず
ゼティマを倒してみせる。天国の彩っぺのために・・・。
しかし、突然加護の口から意外な事実が告げられた。
「実はな、石黒さんが無事らしいんや。」
え?!彩っぺが無事?!それ、一体どういう事?けど、アタシはすぐには信じられ
なかった。あの時の様子が思い出されると、なおさら疑う気持ちの方が大きくなる。
「ミニモがくわしく話してくれるよって。ほら、ミニモ!はよ出てきぃ!!」
そう言うと、加護の後に隠れてたミニモがひょっこり顔を出す。
「マリ・・・もう会えないかと思ってたよ。」
既にべそかいてるミニモ。でも、このまま泣かれても困る。彩っぺのこと、
聞き出さないと!
「アンタ、泣くのはちゃんと彩っぺの事話してからにしなさいよ!!」
「そんな・・・会えて嬉しくないの?」
まったく、そう言う問題じゃない!!アタシはミニモをひっつかんで思いっきり顔を
近づける。一体何がどうしたのよ?!
「みんながいなくなった後すぐに、突然知らない女のコが来たんだよ。その人が
手伝ってくれて、宇宙船で治療することが出来たんだ。」
その知らない女のコが彩っぺを助けてくれたって?それも宇宙船の設備を使って?
あの設備はアタシもあんまり使ったことがなくて操作法を良く知らないのに。
「見たことのない機械ばかりのはずだから、『大丈夫なの?』って聞いたら
『似たような機械は毎日使ってたから、多分大丈夫』って。けどそれでも難しい
手術だったみたいで、成功したって判ったらすごく喜んでたよ。」
ミニモの話によると、一命を取り留めた彩っぺは病院に搬送されて現在入院中との
ことらしい。場所は木村医院という総合病院。ここからちょっと遠いけど、アタシ達
は早速病院に直行した。病院に到着したアタシ達は、受付で病室を聞くと急いで病室へ。
するとそこには、包帯姿も痛々しい彩っぺの姿があった。
「あ、来てくれたんだ。」
アタシ達の姿に気づいた彩っぺ、身体を起こすと笑顔で迎えてくれた。アタシは
思わず彩っぺの胸に飛び・・・込もうとしたんだけど、ミニモがそんなアタシを
必死に止める。考えて見りゃそうだよね。傷に障るもの。けど、無事だったん
だね?
元気になったらまたご飯作ってくれるよね?アタシはもう訳が分かんなくなって、
病院中に聞こえるくらいの声で大泣きした。
「たった二人の姉妹なのに、アンタにだけは話しておけばよかったね。」
アタシに優しく言葉をかけてくれる。過去に何があったのかは、別にどうでも
いいんだ。ただ、本当に無事で良かった・・・。
「そんなことない・・・アタシだって彩っぺに隠し事してたんだし。」
涙声でしゃべっても良くわかんないよね?でも、そんなアタシにすごく優しい
笑顔を浮かべて、彩っぺは言った。
「忘れないでね。あたし達は、いつまでも姉妹だからね。」
もう・・・せっかく止まりかけてた涙がまたボロボロとこぼれ落ちて
きちゃったよ。
すると突然廊下の方からけたたましい足音が聞こえる。やがて病室のドア
がすごい勢いで開くと、足音の主は肩で息をしながら入ってきた。
「彩っぺ!彩っぺ!!生きとったんか!!」
聞き覚えのある声。裕ちゃんだ。
「もう、病院なんだから少しは静かにしなよ、アホ裕子!」
「なんや〜!なんでニュー矢口は裕ちゃんに冷たくなったん?」
なんて言いながらアタシに抱きついてキスしようとしてくるキス魔裕子。
そんな様子を見て、彩っぺも辻加護も笑ってる。アタシはうっとおしい!
って顔するけど、ホントは嬉しかったりするんだ。
辻と加護から話は聞いたよ。アタシの脳を活動させるために必要な血液を、
裕ちゃんが輸血してくれたこと。アタシ達は同じ血を分け合ってるんだね。
ありがとう裕ちゃん。でも、酒乱とかキス魔とか伝染ったらどうしよう・・・。
ちょっと心配。
しかし、それにしても誰が彩っぺを助けてくれたんだろう。ボロ泣き
状態から落ち着いてきたとき、ふと抱いた疑問。誰からとなくそのことが
口をついて出ると、彩っぺがこんな事を言いだした。
「あたしが病室で意識を取り戻したとき、実は女のコが一人ここに
いたんだ。そしたらなんかどっかで見た顔だ、って思って。」
「どこかでみたってどういうことれすか?」
口の周りをクリームだらけにした辻が不思議そうな顔をして尋ねる。あ!
あんたそれ、「8段アイス」?まったくいつの間にそんなもの買って
きたの?!
「ののはいちおうちゃんとみんなにしらせてきたんれすよ?あいすを
かったのはそのかえりれす。」
「ののはさっきから自分ばっかり食うてるもんな。この薄情もん。」
「あいちゃんにもちゃんとおいしいところをあげるれすよ。」
相変わらず仲の良さそうなことで。まぁアンタたちの8段アイスはどうでも
いいけどね。
でも、一体誰が助けてくれたのかってことはアタシもすごく知りたい。
地球人には判らないはずの宇宙船の機材を操作できた女のコとは一体誰
なんだろう。似たような機械は毎日使ってた、ってどういう意味なんだろう。
それにしても、アタシに取って救いだったのは、みんな「宇宙船」って
言葉を思いっきり聞き流してること。いまではミニモの存在もすっかり
馴染んでしまってるし。もしかして、改造中にバレちゃった?でもいいや。
そんな話になったらその時だ。
と、その時彩っぺが何かを思いだして声をあげる。
「そうだ!思い出した。あのコだ。科学部門統括責任者だった・・・
ミカ・トッド!」
ミカ・トッド・・・そうか、その人が助けてくれたんだ。でも、
彩っぺの命を狙ったのがゼティマなら、助けたのもゼティマって一体
どうなってるの?考えただけで訳分かんなくなりそうだったけど、
今は彩っぺの無事をみんなで喜び合おう。謎の恩人の事は悪いけど
その後。久しぶりの笑顔が、病室いっぱいに溢れた。
第14話 「新戦士登場!その名はV3」 終わり
仕事の合間の書き込みだったので思ったより時間がかかってしまい
申し訳ありません。前後編でV3ようやく一段落です。長くなって
しまってホントすいません。名無し坊さんの前に割り込んだだけでなく
こんなに時間までかけてしまって。
209 :
名無し坊:01/10/21 22:59 ID:8s++c185
それでは、始めさせていただきます!
210 :
名無し坊:01/10/21 23:43 ID:8s++c185
第15話 『機械の女性 野生の女』
『原子力発電所襲撃 犯人の足取りつかめず』
「ふぅん・・・・・・・ 日本も結構ブッソウになったんだ・・・・」
買ってきたばかりの新聞の一面記事に目を通しながら、飯田圭織はそう呟いた。
新東京国際空港。
アメリカから一路、生まれ故郷である日本へと辿り着いた圭織がまずしたことは、
今日の新聞を買うことだった。
何しろ、日本に帰ってくるのは5年ぶりなのだ。
現在の日本で何が起こり、何が話題になっているかを知ることは、
これから日本で生活していくうえで大事な事である。
「日本を活動の拠点にしてるのは間違いないみたいだからね、ゼティマは・・・
どのくらい日本にいるかわからないんだから・・・・・」
圭織が、アメリカで『ゼティマが日本を活動の拠点としている』という話を知ったのは、
彼女が日本に来る、3ヶ月ほど前の事だった。
その後、日本へ行くため、そして、行ったあとの日本での活動資金を調達し、
今日、彼女は日本の土を踏んだのだった。
「まずは、情報収集が先よね・・・・・・・・
その後、カイザークロウが言ってた、仮面ライダーを探して・・・
それから・・・・・・・・・・・・・・」
虚空を見つめながらブツブツと呟く圭織を気味悪げに見ながら、周囲の人々は
足早にその場を通り過ぎていく。
「よしっ、決まった」
やがて、宇宙との交信を終えたのか、圭織は今まで座っていた空港ロビーのイスから
立ち、持っていた新聞を、背負っていたディパックに突っ込むと、
空港の出入り口へと向かった。
211 :
名無し坊:01/10/22 00:15 ID:5t5p22I7
出入り口を抜けると、圭織はそのまま、空港内の駐車場へと向かった。
アメリカから持ってきたバイクが、空港内の駐車場に置いてあるのだ。
そのバイクは圭織、惑星開発用改造人間、スーパー1専用に作られた特殊バイクだ。
『E&S』壊滅後、その瓦礫の中から、彼女が見つけ出したものである。
見つけ出した場所は、スーパー1のデータ採集用に設けられたスペースの一画で、
どうやら、見つけ出したバイクともう1台、ハーレーをベースに改造したバイク
があったようなのだが、それはすでに修復不可能なほどに壊れていた。
圭織が見つけ出したバイクは、そのハーレーの下敷きになる形で、
奇跡的に使えるものだったのだ。
その後、圭織が修復し、ボディーに刻まれた名前から、
『ブルーバージョン』と呼んでいる。
そのバイクを取りに、圭織は駐車場へと向かっていた。
その途中だった。
圭織が彼女と会ったのは。
いや、会ったとは言えないだろう。
一言も口を交わさず、ただすれ違っただけなのだから。
最初は、
(何、前から歩いてくるあの人・・・・・・?
緑色に赤、って・・・・・・・・
あれが、流行の最先端なの・・・・・・?)
と、思っただけだった。
深緑に、まるで血の跡のように赤いラインが横に走った服を着た女性が、
前から歩いてくるのだ。
見ると、服のあちこちに切れ目が入り、肌が露出している。
距離が近づくにつれ、左腕に奇怪な形の腕輪がつけられ、
赤い目のような二つの丸が付けられた、奇妙な装飾の白く大きなベルトが
腰に巻かれていることもわかった。
(なるべく、目を合わせないように・・・・・・・・)
そう思いながらも、つい圭織は、その女性の目をみてしまう。
そして相手の女性も、圭織を見ていたらしく、二人の視線が、
バッチリと絡みあってしまった。
その瞬間だった。
(!! 何!? この人の、この目は・・・・・・・・・・・・・)
圭織は驚いた。
女性の目は、驚くほど澄んでおり、同時に、一つの強い意志が感じられたのだ。
(闘う、意志・・・・・・・・・・?)
絡み合った視線は、一瞬後には解き放たれ、二人の女性はすれ違うと、
お互い、逆の方向へとまた、歩き出して行った。
しかし、圭織は感じていた。
「あの人とは、きっとどこかで、また、逢うことになる・・・・・・・・・」
確信めいた予感を、圭織は感じていた。
212 :
名無し坊:01/10/22 00:32 ID:5t5p22I7
駐車場の入り口近くにあったため、ブルーバージョンはすぐに見つけることができた。
シートにまたがり、黒いフルフェイスのヘルメットを被る。
「まずは情報収集・・・・・・・
その為には、少し派手に暴れてみた方がいいかな・・・・・・
もしかしたら、仮面ライダーとも会えるかも知れないし」
メーター類の配置されたパネルの中央に位置する、小さな黒い板に、
圭織は自分の親指を押し付ける。
「その後は、どうせ一つの場所には留まれないだろうから、
寝袋とか、歯ブラシとか買っといたほうがいいかな・・・・・・」
黒い板に電子線が走り、小さな電子音がした後、ブルーバージョンのエンジンがかかる。
黒い板は、指紋認識用のスキャナだったのだ。
ブルーバージョンは、スーパー1専用の特殊バイクのため、生身の人間が下手に乗ると、
制御しきれずに暴走し、最悪、乗っている人間を死に至らしめる事がある。
その為、エンジンの始動ができるのは、圭織の指紋のみとなっているのだ。
「それじゃ、そろそろ行こうか・・・・・・・
ゼティマを、倒しにね!!!」
爆音を轟かせ、圭織の乗ったブルーバージョンは、勢いよく駐車場から出て行った。
213 :
名無し坊:01/10/22 00:40 ID:5t5p22I7
久しぶりにまた始めさせていただきました。
よろしくお願い致します。
今日は、とりあえずここまでです。
ひょっとしたら、少し長めの話になってしまうかもしれません。
次は、保田(アマゾン)の主観で書こうと思っています。
それと、少しだけ蛇足を。
知らない方のために言うと、ブルーバージョンは、オフロードタイプのバイクです。
本家スーパー1では、あまり頻繁には登場せず、俺の話の中で再起不能にした、
ハーレー型バイク、Vジェットの方がよく出ていました。
ですが、2台も出しても、あまり両方を活躍させる機会がないので、
ブルーバージョンだけを残させていただきました。
それと、駐車場で圭織が被った黒いヘルメット。
あれは、クウガで五代が被っていたのと同じヤツだと思ってください(笑)。
そんな感じで、次回もよろしくお願いします!
>>ナナシマンさん
お疲れ様でした!
ガンバ!
215 :
コテハン:01/10/23 00:28 ID:3Pr5a9pk
とりあえず保全
216 :
名無し:01/10/23 03:40 ID:jBGp5r0X
頑張ってください!
217 :
名無し坊:01/10/23 23:20 ID:g8pUVqw5
月も見えない暗雲に覆われた夜。
ケイは叫んだ。
「アァァァァァァマァァァァァァゾォォォォォォォンッッ!!!!!!!!」
叫びとともに、ケイの体は異形の変貌を遂げる。
大蜥蜴を模したマスク。
深緑色の体には、血のように赤いラインがまだらに入り混じっている。
さらに両手足には、獲物を引き裂く為のヒレが備わっている。
「行くわよ・・・・・・・・・・・ ゼティマ!!!」
自分を取り囲むゼティマの部隊にそう言うと、ケイは敵の中へその身を躍らせた。
両手足のヒレ、アームカッターとフットカッターが、ケイに殺到する戦闘員を切り裂いていく。
「ッ!!」
そして、戦闘員のその奥。
自分から一番遠い位置に、戦闘員ではない、しかし、人ではない異形の姿をした
人影を見つけ、ケイはその人影に向かって行った。
「お前がこの部隊の怪人か!!!」
「その通り! 貴様は、このクモ獣人が葬ってくれるわ!!!」
「望むところだっ!!!」
ケイは高く飛び上がると、右腕のアームカッターを、クモ獣人めがけ、
一気に振り下ろした。
(背中に電気が疾るみたいな感覚はないから、あの大切断って技は使えないけど、
あいつぐらいならこのまま一気に決められる!)
「ハァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!」
しかし、そのケイの目論みは、もろくも崩れ去る事になる。
カシィィンッ!
「何ッ!?」
澄んだ音とともに、ケイの手刀は、クモ獣人の腕によってあっさりと受け止められた。
クモ獣人の腕は、見た目よりもずっと硬く、金属的だったのだ。
そして、受け止められたケイの手刀は、クモ獣人によって押さえられ、
一種の膠着状態を生み出していた。
期待age
応援
後は新メンをどうするかだなぁ。
けっこう思い浮かばないんだよね・・・。
>>220 最近のライダー(クウガとかアギトとか)
として登場して欲しいな。なんておもってます。
222 :
名無し坊:01/10/27 23:57 ID:O9FLO73s
「抜かったな・・・・・・ ゼティマによって生み出されたこのクモ獣人を
なめると、こういうことになるのだ・・・・・・・・・」
「くっ・・・・・・・・・・・・」
悔しいが、クモ獣人の言うとおりだ。
自らの慢心が、現在の危機を生み出してしまった。
「死ね!
シャァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!」
クモ獣人の口から、糸が放たれ始めた。
粘着質のその糸は、ケイの体をゆっくりと覆っていく。
(このままじゃ・・・・・・・・・・ やられる・・・・・・・・・・・・・!)
もがきながら、アームカッターやフットカッターでなんとか糸を断ち切ろうとするが、
クモ獣人の糸は、それらのカッターを避けるように動きながらケイの体をからめとっていく。
そして、ケイの体は完全に糸に包まれ、ひとつの繭となってしまった。
(いや・・・・ こんな所で終わるなんて・・・・・・・・・!
まだ、誰の仇も取ってないじゃないの・・・・・・
ゼティマを倒す前に、まず、自分に負けてちゃどうしようもないじゃないのよ・・・・・・!)
体の動きはおろか、五感さえ封じられた繭の中で、ケイの心は、自らへの憤りを感じていた。
(私は・・・・・ こんなところで終わるわけにはいかないのよ・・・・・・・
たくさんの罪も無い人たちの命を奪ったゼティマ・・・・・・・
こいつらだけは、何があっても許すわけにはいかない・・・・・・・・
だから私は、戦うことを決意したのよ。
おじいちゃんと、村のみんなと、そして・・・・・・・・・・・・)
「そしてこの、ギギの腕輪にかけて!!!!!」
223 :
名無し坊:01/10/27 23:58 ID:O9FLO73s
その時だった。
(汝、戦う力を欲するのか・・・・・・・・・・・?)
突然、ケイの耳に、誰かの声が聞こえた。
いや、聞こえたのは耳にではなかった。
(私の、頭の、中・・・・・・・・・・?)
再び声がする。
(汝、戦う力を欲するのか・・・・・・・・・・・?)
(・・・・・・・・・そうよ。あなたは誰?)
(・・・・・・我は・・・・・・・汝とともに在りしもの・・・・・・・)
(私とともに・・・?)
ケイの疑問にははっきりと答えず、謎の声は、再びケイに問いかける。
(汝、何故力を欲する)
(それは・・・・・・・・・・・・・・)
(汝は、手にせし強大な力を、御することができるのか・・・・・・・)
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
(力を御することが出来ぬ者に、力を行使する資格は無い。この場で朽ち果てよ)
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・いいえ。)
(・・・・・何・・・・・?)
(私は、ここで死ぬわけにはいかないのよ。
あいつらに奪われたたくさんの命・・・・・・・
そして、これからあいつらが存在する事で失われようとする命・・・・
そんなのを見過ごす事なんて、できないじゃない。
私は、力が欲しい。
命を守るための。
自分を守るための。
そして、あいつらを・・・ゼティマを倒す為の・・・・・・・・・・・・!)
224 :
名無し坊:01/10/27 23:59 ID:O9FLO73s
(・・・・・わかった。
汝のその意志に対し、我は再び、全ての力を汝に与えよう。
御してみせよ。この強大なる力を。
そして名乗るがよい。
戦士となった汝の名は、アマゾン・・・・・・・・・・・・・)
謎の声が聞こえなくなると同時に、ケイの体が光を放ち始めた。
(何これ・・・・・ 私の体が、光ってるの・・・・・・・・?)
五感をふさがれた状態にもかかわらず、ケイは、自分の体が光を放っている事をハッキリと感じていた。
その眩い光は、今にも止めを刺さんとするクモ獣人の目にも届いていた。
「な、なんだ!! この光はぁぁぁっ!!!」
光はドンドンと強くなり、そして、日の光に勝るとも劣らない閃光を放ち、消えた。
225 :
名無し坊:01/10/28 00:01 ID:cCw66NQC
「なんだったのだ・・・・・・・・・・・ ハッ!」
その時、クモ獣人は気付いた。
いつの間にか、自らの糸で絡めとっていたはずのあの蜥蜴のような戦士が、消えていたのだ。
「ど・・・どこだ!! 何処にいる!!!」
狼狽し、クモ獣人は周囲を見回が、見渡す限り、森の中には誰もいない。
「に・・・・・・ 逃げたのか・・・・・・・・・?」
「逃げてなんかないわよ」
声がしたのは、クモ獣人のすぐ後ろだった。
「なっ!・・・ いつの間に!」
驚愕と同時にクモ獣人が背後を振り返った瞬間。
「ケェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェンッ!!!!!!」
野獣のような咆哮を上げ、勢いよく腕を振り上げたケイは、アームカッターでクモ獣人の
腕を切り飛ばした!
「ギャァァァァァァァァァァァッ!!!」
右腕を吹き飛ばされた切り口から、オレンジ色の泡のような物が絶え間なく噴射されている。
恐らく、クモ獣人の血液なのだろう。
226 :
名無し坊:01/10/28 00:15 ID:cCw66NQC
中途半端になってしまいましたが、とりあえず今回はここまでです。
少々、『飯田保田の遭遇話』から離れてきている感がありますが、
軌道修正して完結させますので、もう少しだけお付き合いください。
>名無し坊さん
楽しみにしています。
頑張ってください。
228 :
名無し坊:01/10/30 23:33 ID:YV5UdNGe
「もう、手加減も油断もしないわよ・・・・・・・・・・・
あたしは、あんた達を全員ブッ潰す・・・・・・」
「ヒ・・・・ヒィィィィィッ!!」
静かに放たれるケイの言葉に、クモ獣人は激しく恐怖した。
先程までとは、放たれる空気が全く違う。
少し前まで感じられたスキや油断が全く無くなっている。
鬼だ。
「なんなのだ・・・・・・ 貴様は・・・・・・・ 一体、なんなのだぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
圧倒的な恐怖から、自棄になりながらもクモ獣人は抵抗しようと、残った腕を振り上げる。
「教えてあげるわよ・・・・・・」
向かってきたクモ獣人の腕を全てかわし、そして切り落とす。
目の前には、痛覚があるのだろう、痛みに震えながら無防備な体を晒した獲物の姿がある。
「あたしは、野獣の戦士。アマゾン」
ケイの背中に衝撃が疾る。
あの合図だ。
右腕のアームカッターに、全身全霊の力が込められる。
「大・切・断!!!!!!!!」
叫びとともに水平に振られたケイの右腕が、狂うとことなくクモ獣人の首を直撃する
クモ獣人の首が、空高く舞い上がる。
「正義のためなら、鬼となる戦士よ」
勢いよく吹き出るクモ獣人の血を浴びながら、ケイ、いや、戦士アマゾンは呟いた。
229 :
名無し坊:01/10/31 00:47 ID:yALniAEE
圭織が森の中に足を踏み入れたのは、アマゾンがクモ獣人を葬り去った直後の事だった。
最近この森に、クモの姿をした化け物が出るという情報を聞きつけ、確認の為に
来てみたのだ。
果たして、森の奥深くに、目当てのものはあった。
間違いなく、ゼティマに造られたクモ型の怪人だろう。
ただし、それは既に首を飛ばされ、死骸となってしまっていたが。
そしてその死骸の隣には、オレンジ色の血液を浴びて佇んでいた、一人の
戦士の姿があった。
圭織にはわからなかったが、アマゾンである。
(あの姿・・・・・ どうみても悪役よね。
仲違いでも起こしたのかしら・・・・
とにかく、目標の変更あったけど、ゼティマのアイツもゼティマの怪人には
違いないだろうし、倒すまでよ!)
本当は勘違いなのだが、それを注意するものもここにはおらず、
圭織は今まで隠れていた木の陰から出ると、いきなり
「変身!!」
と叫び、スーパー1への変身を始めた。
「ンッ?」
最大威力の大切断で力を使い果たし、アマゾンが圭織の存在に気付いたのは、
彼女が
「変身!」
と叫び、銀色の戦士に変身した時だった。
230 :
名無し坊:01/10/31 00:49 ID:yALniAEE
「何! あたしの他にも変身できる奴がいるの!?」
アマゾンが発した驚愕の声に、スーパー1に変身した圭織は応えず、
「ここで会ったが百年目、って奴ね・・・・・ ゼティマめ! 覚悟しなさい!!」
と叫び、アマゾンに向かって突進する!
「えっ!? ちょ、ちょっと! あたしはゼティマなんかじゃないわよ!!
あたしはアマゾ・・・・」
「問答無用!!」
スーパー1の音速を超える速度の突きが放たれるが、アマゾンはそれを紙一重でかわす。
「あたしの突きをかわすなんて・・・・・ やるわね・・・」
今度は蹴りが繰り出されるが、それもアマゾンはギリギリのところでかわした。
「だからちょっと待ちなさいよ!! あたしはゼティマなんかじゃないのよ!!」
スーパー1の攻撃を天性のスピードで避けつつ、アマゾンは説得を試みる。
「嘘をついて逃げようたってそういかないわよ!!
大体、そんな見るからに凶悪なマダラ模様が、正義の戦士なわけないでしょ!」
「なっ・・・・・ 待ちなさいよ!! あたしのこの姿のどこが凶悪なのよ!!
あたしはケイ! そして、大自然の戦士アマゾンなの!!
・・・・・・・でもさすがに、この姿をバカにされると腹が立つわね・・・・・
いいわよ。相手にとって不足はなさそうだし、戦ってやるわよ!!」
「こっちは最初からそのつもりよ!!」
231 :
名無し坊:01/10/31 00:50 ID:yALniAEE
アマゾンも戦闘態勢をとり、本格的な戦いが始まる。
「ケェェェェンッ!!」
アマゾンが咆哮とともに空中からスーパー1に飛びかかる。
スピードではアマゾンが勝るため、スーパー1はあえて避けず、
アマゾンのアームカッターを受け入れる。
「ハァッ!!」
受け入れた後のわずかなスキを縫って、スーパー1はアマゾンの腕を掴むと、
そのまま勢いに任せて地面に叩きつける!
「クッソォォオォォ!! 負けてたまるかぁぁっ!!」
「それはこっちのセリフ!!」
再び、激しい攻撃の応酬を繰り返すが、どれも相手を地に沈めるほどの決定打には
至っていない。
力が互角すぎるのだ。
それには、二人とも気付いていた。
「ハァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!」
「ケェェェェェェェェェェェン!!!!!!!」
そして、同時に放ったパンチが、お互いの胸に刺さり、二人は大きく吹き飛ばされた。
すぐさま身を起こし、構えるが、お互いの力が拮抗しているのがわかるため、
迂闊には攻撃できない。
すでに、二人の力は限界に達しつつあったのだ。
232 :
名無し坊:01/10/31 00:52 ID:yALniAEE
しばらくの沈黙が続いた後、最初に口を開いたのは、スーパー1だった。
「ねぇ・・・・・・ お互い、これが最後の攻撃、ってことにしない?」
「・・・賛成・・・・ 立ってたほうが勝ちね・・」
「いいわよ・・・・ でも、負けたほうはもう、一生起き上がらないだろうけど・・・」
「そうね・・・・・・・」
お互い、必殺技を放つべく、力をためる。
スーパー1は下半身、特に右脚に、残ったありったけの力を注ぎ込む。
アマゾンも、大切断を放つ右腕に、渾身の力を込める。
「・・・・・・・・・ 名前、聞いてもいい?・・・・・」
「・・・・圭織。飯田圭織よ。でも、この姿の時は、仮面ライダースーパー1」
「仮面・・ライダー・・・・・」
「そう。仮面ライダー。で、さっきも教えてくれたけど、そっちの名前は?」
「ケイよ。この姿の時は・・・・・ 大自然の戦士、アマゾン」
「そう・・・・・・・ いくわよ、アマゾン」
「望む所よ」
233 :
名無し坊:01/10/31 00:53 ID:yALniAEE
スーパー1が駆け出す。
アマゾンが飛ぶ。
「ハァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・ トォォォッ!!」
「フゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・ ケェェェン!!」
スーパー1が飛び、アマゾンがアームカッターを振り上げる!
「スーパーライダァァァァァッ!!! 月面ェェェェェェン!!
キィィィィ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ って。え?」
「大! 切!! だ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ はい?」
二人の叫び声が途切れると同時に、二人の放った必殺技も止まった。
空中の、その場だけ、時が止まったような静けさがした。
234 :
名無し坊:
キックを放ったスーパー1の脚を、銀色の手袋つけた手が掴み、
大切断を放ったアマゾンの手を、赤い手袋をつけた脚が蹴った。
そして
「ライダァァァァァ! きりもみシュートれす!!」
「ライダァァァァァ! 卍キックや!!!」
そんな女の子の声がした、と二人が思った時には、
スーパー1はきりもみしながら地面に墜落し、
アマゾンはもの凄いスピードで同じように地面に叩きつけられた。