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一部の鶏をワクチンを打たない「おとり鶏」として残し、ウイルスがきたら症状が出て分かるよう
にすればよいとの提案もある。だが、おとり鶏が感染したら鶏舎の鶏をすべて殺処分するのが
ルールだ。ワクチンを打つ利益はない。ワクチンを使えば日本は、ウイルスが常に存在する
「非清浄国」とみなされる。ウイルスがいない「清浄国」へ鶏肉などを輸出できなくなるし、非清
浄国からの輸入も拒めない。輸入した鶏肉にウイルスがついてくる危険が増して、なかなか清
浄国に戻れないし、経済的損害も大きい。ワクチンを使ったメキシコやベトナムは、結局、国内
にウイルスが常在することになった。日本の感染は茨城県などに限られ、殺処分で清浄化が
できる。昨年、京都などで発生した高病原性鳥インフルエンザもワクチンなしで封じ込めができた。
■人物略歴 ◇しまだ・ひでゆき 岩手大大学院修了。獣医。70年に旧農林省に入省し畜産行政
を担当。01年から現職。60歳。
■人物略歴 ◇きだ・ひろし 北海道大大学院修了。農林水産省家きん疾病小委員会座長。61歳。
ウイルス学。