>>910つづき
一審判決は、事件当日、被告以外の人が高島さん宅にいた可能性も指摘。江角被告の弁護人によると、警察が撮影した殺害現場の写真には、テーブルの上に生命保険の書類と3つの湯飲みが写っていたという。
江角被告も取材に「殺害の直前、誰かが保険の話をしたはずなのに、解明されなかった」と捜査や裁判への不満を漏らした。
「人の罪はかぶることができない」と繰り返し、来年7月13日に第1回公判が開かれる控訴審でも無罪主張を貫く決意をにじませた。
身体が不自由で家族と離れて暮らす孤独な老人が狙われた事件。凶器や自白などの犯行を裏付ける直接証拠はない。
近い立場にいた元民生委員が犯行を否認したまま、来年の控訴審を迎える。
(社会部・北島忠輔)
【名古屋市北区の女性殺害事件】
2005年3月23日、名古屋市北区の市営住宅で1人暮らしをしていた無職高島静子さん=当時(83)=が絞殺体で見つかり、預金が引き出された事件。
江角一子被告は強盗殺人罪などの起訴内容を否認し検察側と全面対決したほか、多岐にわたる争点整理のため名古屋地裁での公判は長期化し、初公判から今年9月の判決まで3年7カ月かかった。
同地裁は状況証拠から江角被告を犯人と認定、無期懲役を言い渡した。