和歌山市の毒物カレー事件の犠牲者4人の命日(26日)に毎年開催されている遺族らが
参列する慰霊祭と、地元自治会主催の夏祭りの日程が重なることが分かった。
夏祭りは地元住民を元気づけるために始まった経緯があるが、犠牲者は地区の夏祭りで
出されたカレーを食べて被害にあったとあって、「なにも慰霊祭の日にしなくても…」と
配慮のなさに憤る声も。
事件から10年を迎え、住民同士の“温度差”が浮き彫りになっている。
26日に開催される予定の夏祭りは「元気いさお夏祭り」。
事件で大きな痛手を受けた園部地区を元気づけようと、園部地区と六十谷(むそた)地区からなる
「有功(いさお)地区連合自治会」が主催し、事件から2年後の平成12年に始まった。
毎年約3000人の住民が参加し、今年で9回目。数年前から7月の最終土曜日に固定しており、
今年は慰霊祭と日程が重なった。
祭りの中心は地元婦人会らが行う盆踊りで、夕方にスタートし、今年は大橋建一市長も参加する予定。
会場は慰霊祭の行われる事件現場から北東約600メートルの園部公園で、慰霊祭も夕方から
始まるため、参列者の耳に盆踊りの音頭が届くことが予想される。
夏祭りを主催する有功地区連合自治会は、慰霊祭を開く園部第14自治会の上部組織だが、
「その日に慰霊祭があるとは知らなかった」という関係者もいる。
これに対し、事件の舞台になった園部地区に住む男性(66)は「慰霊祭の日に祭りをやる無神経さに
一番腹が立つ」と憤りを隠さず、「連合自治会にとっては(事件は)他人事」と冷ややかな視線を送る。
被害者の女性(51)は「色々な考えの人がいるから、何とも言えない」と言葉少なながら、複雑な表情をみせた。
産経新聞 2008.7.15 22:46
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080715/crm0807152247043-n1.htm