>>28 それを、「対中貿易赤字に悩む米国の嫌がらせ」「日本の反中主義者の誇大宣伝」などのトーンで反論すると、情報がオープンでない中国国民は本気でそう受け取る可能性がある。
それは国家的なマイナスにつながるであろう。
日本のホームページや週刊誌などには、悪意としか言いようのない、中国製品の誹謗中傷が氾濫していることは確かだが、多くの国民はそうした怪しげな情報を取捨選択する能力を持っている。
少なくとも、低次元の悪意に対する過剰反応は禁物だ。
■他人事ではない日本
赤城農相が日本産米の中国輸出再開の記念イベントに出席した際、食品問題に関する法律や検疫など、日中両国の専門家会合を開いて情報交換することで合意した。
こうした政府レベルの動きは、もっと早い方がよい。
この際、専門家だけといわずに、食品業界の実務家レベルの交流など、食の安全にかかわる具体的なノウハウを中国側に伝え、レベルアップを図ってもらう試みができないものだろうか。
食料自給率が低く、世界中から食品材料や製品を輸入している日本にとって、今の中国の苦境は他人事ではあるまい。
検疫などの水際作戦を厳格にすることも大事だが、現地進出している日系の食品関連企業が食品添加物や防腐剤など、安全面の技術指導にも積極的に参加すれば、感謝されると思うのだが……。(執筆者:経済ジャーナリスト 本間俊典)