>>370つづき
◆有効性に?
20カ月以下の牛の検査の有効性に疑問符が付けられていることも、県の慎重姿勢に拍車を掛ける。
国内で見つかったBSE感染牛は33頭。最も若い牛は生後21カ月で20カ月以下はゼロだ。
「全頭検査神話史」などの論文を発表した唐木英明東大名誉教授は「24カ月以下の牛の脳にはBSEは蓄積せず、現行の検査では感染の有無は分からない」と指摘。
解体前に牛の脳にワイヤを挿入、処理しやすくする作業「ピッシング」が肉を汚染する危険性に触れたうえで、
「ピッシングをやめ、危険部位をきちんと除去すれば安全は確保できる。科学的に根拠のない全頭検査は(安心と思わせる)ポーズでしかなく、消費者のためにはなっていない」と話す。
厚生労働省も「検査の有無によってリスクに差が出ることはない。自治体が全頭検査を続けるのなら、納税者に理由を説明する必要がある」という。
◆28日に意見交換会
検査不要論に対し県生活協同組合連合会の入間田範子常務理事は
「危険部位を除去すれば安全と言うが、本当にそうなのかは研究者の間でも議論が続いている。検査がされなくなるのは主に安い肉で、一般家庭や子供の給食に未検査の肉がまぎれ込む恐れは高い」と危機感をあらわにする。
県も「他の自治体が全頭検査を続けた場合、宮城だけやめれば風評被害も考えられる」と他県の動向に気をもむ。
28日に仙台市青葉区のエルパーク仙台で、BSE対策について考える国主催の意見交換会が開かれる。
県は意見交換会での消費者や生産者の反応なども踏まえながら、「決断」を下す方針だ。
11月19日朝刊 最終更新:11月19日11時1分