(((調査捕鯨対象 ザトウとナガスの大型鯨)))

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米国・アンカレジで五月に開催された国際捕鯨委員会(IWC)年次会合の最終日、
日本は沿岸小型描鯨の捕獲枠が認められなかったことに強い不満を表明、
IWC脱退や新たな鯨類管理機関の設立を示唆した。

日本の提案は、沿岸小型挿鯨地域の窮状を救済するためにミンク鯨の捕獲枠を認め、
調査捕鯨をその分減らす、というものであった。
豪州など強硬な反捕鯨国には、同提案を認めれば、南極海での調査捕鯨で予定している
ザトウ鯨の捕獲を中止してもよい、と働きかけたが効果はなく、結局、日本は提案自体を撤回した。


調査捕鯨の捕獲数を交渉カードとした日本の交渉戦術は失敗に終わった。


その背景には、日本の調査捕鯨がその必要性や妥当性の点から常に批判されてきたことがある。
日本は開始当初は三〇〇頭程度だった調査捕鯨の捕獲数を二〇〇五年には約一二〇〇頭まで増やしたが、
これは、商業捕鯨が再開されなくても、日本は好きなだけ捕獲数を伸ばすことができる、
というメッセージとして、また、容認しがたい実力行使として受け取られただろう。


大久保彩子「日本の捕鯨外交を考える」(『外交フォーラム』)
http://www.toshishuppan.co.jp/gaikou_shousai.php

米国・アンカレジで五月に開催された国際捕鯨委員会(IWC)年次会合の最終日、
日本は沿岸小型描鯨の捕獲枠が認められなかったことに強い不満を表明、
IWC脱退や新たな鯨類管理機関の設立を示唆した。

日本の提案は、沿岸小型挿鯨地域の窮状を救済するためにミンク鯨の捕獲枠を認め、
調査捕鯨をその分減らす、というものであった。
豪州など強硬な反捕鯨国には、同提案を認めれば、南極海での調査捕鯨で予定している
ザトウ鯨の捕獲を中止してもよい、と働きかけたが効果はなく、結局、日本は提案自体を撤回した。


調査捕鯨の捕獲数を交渉カードとした日本の交渉戦術は失敗に終わった。


その背景には、日本の調査捕鯨がその必要性や妥当性の点から常に批判されてきたことがある。
日本は開始当初は三〇〇頭程度だった調査捕鯨の捕獲数を二〇〇五年には約一二〇〇頭まで増やしたが、
これは、商業捕鯨が再開されなくても、日本は好きなだけ捕獲数を伸ばすことができる、
というメッセージとして、また、容認しがたい実力行使として受け取られただろう。


大久保彩子「日本の捕鯨外交を考える」(『外交フォーラム』)
http://www.toshishuppan.co.jp/gaikou_shousai.php

現在のIWC交渉は著しく硬直化している。商業掃鯨モラトリアム継続を理由に、
自国の裁量による捕鯨を正当化できる日本やノルウェー、
こうした「勝手な行動」を批判することで鯨保護の姿勢をアピールできる反捕鯨国という、
皮肉にも非常に安定的な構造ができあがってしまっている。


だが、説明責任という点ではお粗末な状態だ。


反捕鯨国は現行の捕鯨に国際規制を課そうとはしておらず、
日本政府が

「商業捕鯨再開のため」

として税金を投入して実施している調査捕鯨は、
外交交渉上は商業捕鯨の再開にとって

「逆効果」

となっている。


日本は、調査捕鯨の拡大という従来の路線を変更し、
商業捕鯨再開に必要な行動をとることで、説明責任を果たすとともに、
国際的な鯨類資源管理の不在という現状を脱却するための第一歩を踏み出すべきである。


大久保彩子「日本の捕鯨外交を考える」(『外交フォーラム』)
http://www.toshishuppan.co.jp/gaikou_shousai.php