【テレビ朝日a-friends 報道ブーメラン 第399号】冤罪事件をなくすために/ウナギ産地偽装の続報
http://www.tv-asahi.co.jp/a-friends/ ■02■記者コラム
「根深いウナギの『産地偽装』〜スーパーでは」 経済部 記者/村田 卓
宮崎県を舞台にしたウナギの産地偽装の実態をテレビ朝日が最初に放送したのが8月30日
ですが、(本メルマガでは「『ウナギ産地偽装』の衝撃」8月29日配信号に掲載)農林水産省
や宮崎県などは、その前後から一斉に立ち入り検査を始めていました。検査の範囲は宮崎、
鹿児島、熊本、福岡のほか、高知、静岡、東京、埼玉に広がっています。
すでに宮崎の卸売業者(原田穂積商店、石橋淡水)と、この2社のためにウナギを輸入して
いた埼玉の貿易会社(山商水産)が厳重注意処分を受けました。産地偽装に対する行政の
摘発が進んでいるように見えますが、本当にそうでしょうか。
上記3社の処分の中身は、いずれも「厳重注意」です。これはJAS法違反は問えないものの、
良くない行為として注意した、という形式的なものといえます。ミートホープ事件もそうでした
が、JAS法は消費者向けに食品の品質表示基準を定めていますが、業者間取引には及ば
ないという限界を露呈した結果です。罰金も、商行為の制限も受けない「厳重注意」で済む
なら、偽装をやめないという業者がいないとも限りません。
こんな話もありました。宮崎県の偽装業者の一つ、原田穂積商店は原田養鰻場という名前
で養殖場も経営しています。そこで、県内の養殖場の団体が除名処分を検討したのですが、
団体内の派閥争いで頓挫してしまいました。原田養鰻場が除名処分されれば、得をする業
者が出てくる、という反感からです。宮崎県も「(除名処分を巡り)団体が分裂するのだけは
避けてくれ」と懇願したといいます。この話が本当ならお粗末です。
養殖場の団体にも宮崎県にも、消費者を欺いていたことに対して、本当の意味で襟を正す
姿勢は感じられません。原田穂積商店は団体に対して「卸売業者としては偽装をしたが、
養殖場としてはやってない」と釈明しました。詭弁のようですが、今後も養殖場は続ける構え
です。実際、宮崎市にある偽装現場の隣には、広大な養殖場の拡張工事が行われています。