H2は、ストーリー主導型ではなく、映像美学主導型のドラマだ。
これは、DVDを買って、CMタイムを抜き、16:9比率の画面で見ると
納得がいくと思う。
そうして作りこまれているタイプのドラマだと、映画と同様に、
役者のこまかな表情変化が、映像としてフューチャーされることになる。
H2では、石原さとみはあくまでどんくさく鈍重に、
市川は、切れ味鋭い演技に、その表情変化のスピードに応じて
観られることになる。
しかし、「クロサギ」のようなストーリー主導のドラマ作りでは、
そうではない。
ストーリー主導のドラマ作りをする場合には、
ネタがいちど明らかになれば、「何度も繰り返して見たくはならない」ものなので、
役者は、「一回性の演技」をしたほうがいい。
つまり、大味な、一見、大根系の演技、じぶんのキャラを全面に展開する
ような、骨太のずうずうしい演技をしたほうが、お茶の間的には受けがいい。
たとえば「ナースあおい」の石原。
市原悦子。
江角。
天海など。