短い小説を書いて職人さんにAAにしてもらおう

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3( ´∀)・∀),,゚Д)さん
ダンデライオン


「俺は寂しくなんかない!俺は強いんだ!!」
 ライオンはいつも一匹、本当は寂しがりや。寂しくて泣きたいときもある。でも、ライオンは泣くことはなかった。いつも強がって見せた。
 サバンナのみんなは、ライオンを怖がっていた。いつも強がりおぞましいライオンの風貌に近寄ろうとする者はいなかった。
 だからライオンはいつも一匹、寂しかった。
 寂しがりやのライオンはつり橋を渡る。つり橋の向こうには暖かい夕陽が見える。走る雲とともにライオンは夕陽に向かって歩いていた。
 その時、ライオンは不思議な奴と出会う。太陽に良く似た姿の“お前”。
 “お前”はライオンを怖がらなかった。ライオンも不思議だった。サバンナのみんなはライオンが近寄るだけで、逃げ出してしまうのに“お前”だけは逃げなかった。
 「お前は俺が怖くないのか?逃げないでいてくれるのか?」
 ライオンはとっさに聞く。なぜか声は震えていた。吹き抜ける風とともに“お前”は一度だけ頷いた。
 ライオンの目から涙が溢れてくる。どんなに寂しくても泣くことのなかったライオンの目から初めての涙が溢れてくる。涙の理由はわからない。
でも、濡れた頬の温かさは“お前”がくれたことだけはライオンにもわかった。
 ライオンはもう、寂しくはなかった。
 それからライオンは毎日つり橋を渡る、“お前”に会いに行くために。ライオンは“お前”に語りかける。
身近にあった出来事の話、西から溢れる太陽の話、きれいな石の話、飽きることなくライオンは語り続けた。
無口な“お前”はいつも頷いてばかり、でもライオンは楽しかった。
 ライオンはいつのまにか、“お前”に恋をしていた。
 “お前”とずっと一緒にいたい、でもそれを言葉にはできなかった。

 雨の日もライオンはつり橋を渡る、ライオンの宝物“金色の琥珀”を加えて、“金色の琥珀”は無口な“お前”にそっくりだった。
 今日こそライオンは言うつもりだった、“金色の琥珀”と共に「お前とずっと、一緒にいたい」と言葉にして伝えたい。
 雨は激しさを増し、雷鳴が聞こえてくる。雨が降り続けるなかライオンはつり橋を揺らす。無口な“お前”の喜ぶ姿を目に浮かばせながら、心の中では少し緊張していた。