世界初 ガラス基板上にCPU<Z80※1>の形成に成功
シャープ株式会社(本社:大阪市阿倍野区、代表取締役社長:町田勝彦、以下シャープ)と株式会社半導体エネルギー研究所
(本社:神奈川県厚木市、代表取締役社長:山崎舜平、以下SEL)は、共同開発したCGシリコン※2技術により、世界で初めて、液晶用ガラス基板上に、
8ビットCPUを形成することに成功しました。
CGシリコン技術は、1998年に両社で共同開発した次世代の機能デバイス “システム液晶”の中核技術です。
結晶粒界で原子レベルの連続性を持たせることにより、電子の移動スピード(電子移動度)が、従来のアモルファスシリコンの約600倍、
多結晶シリコンに比べても約3倍と極めて高速で、液晶制御回路や電源回路、入出力インターフェイス回路、信号処理回路などのLSIを液晶ディスプレイと
同一のガラス基板上に形成することができることから、実装面積や外付け部品を大幅に削減できるうえ、セット商品の小型化・軽量化、
さらには信頼性の向上にも寄与します。
このたび、両社はこのCGシリコンの結晶性のさらなる向上と新規プロセス技術の導入により、世界で初めてガラス基板上に8ビットCPU<Z80>
を形成することに成功しました。これにより、液晶ディスプレイ部と液晶ドライバICをはじめとする周辺の機能部品だけでなく、CPU、メモリ、
画像の圧縮・伸長処理回路などの情報処理回路を同一ガラス基板上に一体形成することが見込めることから、夢の超薄型“シートコンピュータ”
や“シートテレビ”の実現への道を一歩踏み出しました。まさに、CGシリコン技術ならではの成果です。
>>Z80
Zilog社の8ビットマイクロプロセッサ(MPU)。Intel社の8080Aに対する上位互換性を持つ。パソコンの黎明期にCPUとしてよく採用されたプロセッサだが、
16ビット時代に入ってIntel社の競争に敗れたZilog社は、パソコン用MPU市場からは姿を消した。現在でも組み込み機器用に採用される例はある。
>>マイクロプロセッサ
コンピュータ内で基本的な演算処理を行う、いわばコンピュータの心臓部に当たる半導体チップ。「MPU」と略される。
マイクロプロセッサの基本設計は、大きく分けるとCISC方式とRISC方式の2つがある。
マイクロプロセッサには、1回の命令で同時に処理できるデータの量によって16ビット・32ビット・64ビットなどの種類があり、
一般に値が大きいものほど性能が高い。また、同じビット数でも、1秒間に実行できる命令の回数(「Hz」であらわされる)や、
バスと呼ばれる周辺装置とのデータ伝送路が一度に運べるデータの量(「ビット」であらわされる)、バスが1秒間に行える転送の回数
(「Hz」であらわされる)などに違いがあり、これらの値が大きいものほど性能が高くなる傾向がある。
マイクロプロセッサは元々コンピュータに搭載されるものとして作られていたが、最近ではコンピュータだけでなく、
家電製品や工業機器などの制御のためにも使われている。特に、高機能な携帯電話やPDAでは複雑な処理を行うことが多く、
パソコン並みの性能を誇るマイクロプロセッサを搭載した製品も出てきている。
シャープはすでにこの10月から、携帯電話やPDAなどのモバイル機器向けにシステム液晶の量産を開始していますが、ユビキタス・ネットワーク社会に
ふさわしい本格的なシステム・オン・パネルの実現に向け、今後さらに両社で技術革新を進めてまいります。
※1 Z80: 1976年にザイログ社が開発、シャープは1977年に生産。当時の8ビットパソコンの主流となったCPU。Z80はザイログ社の商標です。
※2 CG(Continuous Grain)シリコン:連続粒界結晶シリコン