ニダー産業への就職を希望したニダダー青年。
結果が出るのを待っていたら、なぜか突然、社長自らが会いにきた。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 優秀な成績で入社試験を通った君に話があるニダ。
| わが社を落ちたことにして、モナー産業に就職してほしいニダ。
\
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
Λ_Λ ∧_∧ __
< #・∀・> . <`∀´丶>// |
( ) ~━⊂ へ ∩)// . |
| | | i'''<__〉 i'''i ̄,,,,,,,/
〈_フ__フ  ̄ <__〉|| ̄ ̄
|\
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| なぜです?モナー産業は御社のライバル企業で、いつも向こうが勝っています。
| この状況を我が手でひっくり返してみたくて、私は御社を志望したのに
\_________________________________
───────────────────────────────────
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 頼もしい限りニダ。だからこそ頼むニダ。モナー産業に潜り込み
| じっくり秘密を探り出してくれる人物を探していたニダ。
\
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
Λ_Λ ∧_∧ スパイノ起源ハウリナラニダ
<丶・∀・> <`∀´丶>// |
( ) ~━⊂ へ ∩)// . |
| | | i'''<__〉 i'''i ̄,,,,,,,/
〈_フ__フ  ̄ <__〉|| ̄ ̄
|\
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| なるほど。そこまで私を見込んで下さるのでしたら・・・・・
\_________________________
かくしてニダダーは産業スパイを引き受けることとなり
モナー産業に入社をはたした。
___ ___ ___
|採用|∧_∧ |採用| ∧_∧ |採用| ∧_∧
〃 ̄∩ ´∀`) 〃 ̄∩ ´∀`) 〃 ̄ ∩ ´∀`)
ヾ. ) ヾ. ) ヾ. )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \
\ \
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| . 人 事 担 当 |
| |
\| |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
Λ_Λ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<=( ´∀`) < 私は生粋のモナーですが御社の方針と将来性に(以下略)
( ) \_________________________
| | |
〈_フ__フ
だが、入社したばかりでは重要事項にはタッチできない。
彼はあせることなく、周囲の信頼を得ることを第一とした。
∧_∧ ∧_∧
(´∀` )=> (´∀` )カタカタ
_¢_ C___┌――┐)_
/旦/ / / |.VAIO..|ソ/./|
/|||||||| ̄ ̄ / ======// |
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
| | | /
| | |/
------------------------------------------------------------------
普通の社員だと、3年目くらいに倦怠期が訪れてくるものだが、彼は違った。
雄大な使命があるのだ。不満を持つどころか、仕事が楽しくてしょうがなかった。
+
+∧_∧ + ∧_∧
+ (´∀` )=> (´∀` ;)カタカタ ∧_∧
_¢_ C___┌――┐)_ (・∀・ )
/旦/ / / |.VAIO..|ソ/./| ( <V> )
/|||||||| ̄ ̄ / ======// | | | |
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . | (_(__)
| | | /
| | |/
↑ ↑
輝いている 実は2ちゃんねる見てる
勤勉で誠実(に見える)という人材なら、会社も放っておかない。
彼は異例の昇進で課長になった。機密に一歩近づいたのだ。
Λ_Λ ∧_∧
<=( ´∀`) (・∀・ )
( ) ⊂ <V> )
| | | .│ │ │
〈_フ__フ (__ (__)
------------------------------------------------------------
だが彼は、スパイとしての気配は少しもあらわさない。
もっと重大な機密を盗むための雄大な計画だ。彼はさらに働いた。
ダカダカダカ!! ______
∧_∧ ∧_∧≡つ |│\ \
(;・∀・). <=( ´∀`)≡つ||. | |
( <V> ) ┌(`≡つつつつ. ||/ ̄ ̄ ̄/
| | | | ヽ≡つ二二二」二二二二二|
(__)_)
企業秘密の売り渡しを企んでいる部下を見つけ、そいつを叩き出した。
自分以外のやつが機密を盗み出すようでは困るのだ。
(⌒\Λ_Λ
\ヽ<=( ´∀`)
(m ⌒\
ノ / /
( ∧ ∧
. ミヘ丿 ∩∀@;)
.(ヽ_ノゝ _ノ
------------------------------------------------------------
重役から、娘との結婚を申し込まれて、それを承知した。
スパイはドライなものだ。利用できるものなら利用すべきと考えたのだ。
∧ ∧ @∧,,∧@
<=( ´∀`) |゚ノ ^∀^)
( ≪∞≫@@*@@
| | | ミ⊃⊂彡
〈_フ__フ/∞ ∞\
〜〜〜〜〜
もちろん彼は、家庭でも良き夫を完璧に演じてのけた。
妻は実家に帰るたびに夫を誉め、それが会社での評価にもつながった。
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
XヘハヽヾX < Λ_Λ
(^∀^ヽ゚| │ <=( ´∀`)
⊂ つ__. │ ( )
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /| │ | | |
/∧_∧ .//| │ 〈_フ__フ
/_ ( )_// \_______
|| ̄( つ ||/
|| (_○___) ||
------------------------------------------------------------
今や彼は、役員会議に出席できるほどの地位を得ていた。企業の全貌をほぼ掴んだ。
しかし彼は考えた。もう少しがんばれば、さらに大きな収穫が得られるだろう。
計画は雄大なものだから、遅すぎるということもない。もう少し続けてみよう。
彡||ミ
彡||ミ
|| ____
|| | ∧_∧ | ∧_∧
| ̄| |(´∀`)=>| ( 从 从 )
| _|_ ( <V>___)__| ∬ 丶゚ ‐゚ ν
/ 凸 圖 / | 旦⊂_|:|_)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | /___\
|______|/ (_(_)
そしてついに目標に達する日がきた。彼はモナー産業の全てを知る立場になった。
つまり、社長に就任したのだ。
彡ミ | ̄| ̄ ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|ヽ | | <丶・∀・> ( ´∀`) < 長い道のりだった・・・もう情報にこだわる必要はない
|ヽ | | ( <∞> つ 富 | あとはうまく会社を潰せば、雄大なる使命は達成されるのだ
⊥ |  ̄| ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| \______________________
|__| ◎ ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
--------------------------------------------------------------------------
彡ミ | ̄| ̄ ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|ヽ | | <=( ´∀`) < ・・・しかし、なぜつぶす必要があるのだ?
|ヽ | | ( <∞> ) 富 | ニダー産業に戻っても、今より待遇は落ちるだけだ
⊥ |  ̄| ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| \______________________
|__| ◎ ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
ことの成り行きを見守っていたニダー産業の社長たちは、喜びながら吉報を待っていた。
+
. + ∧_∧ ∧__∧ ∧__∧ +
< `∀´∩<`∀´∩><丶`∀´>
+ (( (つ ノ(つ 丿 (つ つ )) +
ヽ ( ノ ( ヽノ ) ) )
〈へ〉レ' レ〈へ〉 〈_フ_フ
---------------------------------------------------------------------------
・・・しかし、いつまでたっても何の効果もあがらない。
アレ? ナンデ? ドウシテ?
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
< ;`Д´> < ;`Д´> < ;`Д´>
( ) ( ) ( )
| | | | | | | | |
〈_フ__フ 〈_フ__フ 〈_フ__フ
腹立ちまぎれに<モナー産業の社長はわが社のスパイ>といううわさを流した。
実際はうわさでなく真実だったのだが、これは逆効果だった。
┌────┐ ┌────┐
| ニダダー..| |逝ってよし│
| 反省しる .| ↓ | ニ ダ. |
└─┬──┘ ∧_∧ ∧_∧ ∧ξ∧ アイゴー! 888888
∧_∧. .|| 888888 < #.`Д´> <メ#`Д´> < #.`Д´> <;#`Д´>
< #.`Д´>|| <;#`Д´>┳∪━━∪━∪━━∪━∪━━∪━┳⊂┌斤Y斤⊃
( //つ ( //つ┃ 新社長はウリナラ起源ニダ .┃ / / .| | ヽ
(__Y__) (__Y__)┻━━━━━━━━━━━━━━━┻└-レ─レ─ゝ
---------------------------------------------------------------------------
このうわさを誹謗中傷ととらえたモナー産業の社員たちは、新社長の元団結し
激しい販売競走を続けたあげく、ニダー産業を倒産させてしまったのであった。
∧_∧
<=( ´∀`)
( <∞> )
|| ̄ ̄ ̄ ̄│
< /)__∧ Λ_Λ ∧__(\ >
< | |´∀`) ◯( ´∀` )◯ (´∀` | | >
< ( ) \ / ( ) .>
< / /> > |⌒I │ く く\ \ >
< <__)〈__) (_) ノ (__〉(__〉 .>
__
/ヘ~ヘ
|FF|ニ|
| ̄ |\ .|FF|ニ|
| 畷 |л |FF|ニ|
| 畷 |幵| |FF|ニ|
l ̄i\__ .| 畷 |幵| ::::/二ニ,ハ
|三lミ|三三| | 畷 |幵|;;::::::|EEE|日|
|三|ミl三三| | 畷 |幵|;;;:::::|EEE|日|;;;:::::::
|三lミ|三三| | 畷 |;;;;::::::::: |EEE|日|;;;:::::
彡 ビュウウウ… ::|三|ミl三三|;;;;;;;::: |::::::::::::: |EEE|;;;;;;;;::::::::::
彡 ::::::|三lミl三三|;;;;;::::::::::::::;;;;;;;:::::::::::::;;;:::::::::
彡 :::::::::::::|;;;;;;;;;;;::::::::::::;;;;::::::::::::
.∧ ∧
ヾ<,,`Д´>
人つゝ 人,,
Yノ人 ノ ノノゞ⌒〜ゞ
. ノ /ミ|\、 ノノ ( 彡
`⌒ .U~U`ヾ 丿 ,, 〜◇'
糸冬
原作:「盗賊会社(星新一/新潮文庫)」より