その4;アイディア・ストーリー
その4-1;アイディア
アイディアは、経験や知識の反映です。アイディアは、予め潜在意識に情報を入力
しておかなければ浮かびません。
この情報入力には、@好きなこと・関心のあることを楽しみながら情報を吸収して
いくケースと、A積極的に取材し情報を収集していくケース、とがあります。
いずれのケースにせよ予め「問題意識」を持っていることが大事です。予め関心・
疑問・何か気がかりになること等を持ち合わせていなければ、仮に重要な情報が目
の前にあってもそれが重要と気付かないからです。
尚、ここの「問題」とは具体的な問題でなくてはなりません。つまり抽象的に漠然と
ポカーンと考えているだけでは、結局「問題意識」がないのと大差ないようです。
その4-2;ストーリーの作り方
一、先ずは、得意なネタ、好きなネタ、思いつきからストーリーを作ればよいですが、
「継続」して創作するには、ネタを「取材」(情報入力)して描く能力が求められます。
二、典型例(これらは複合的に使われると思われます)。
1.部分から・全体から作る。
(1)起承転結から。
おおよその話の要旨を、「起承転結」「序破急」といった構成に当てはめて再構成
し、それに(面白い)ネタをちりばめて肉付けする。
(2)描きたいシーンから。
始めに描きたいシーンから考える。そして、あとから前後の骨組みを考えていく。
シーンはOP・ED・クライマックス・キャラの台詞・キャラ同士の会話など何でもよい。
(3)ネタの連想から(妄想から?)。
自分の一番好きなネタ、興味のあるネタ、或いは願望を展開していく。あるいは、
一つのネタを連想により、次々に展開していく(妄想展開・・・)。
2.ストーリーの内容から
(1)キャラクターの魅力を活かすエピソードを考える。
*英雄伝から抽出されたプロット(ジョージ・ルーカスによる)
(ア)故郷から主人公が旅立つ/周りに仲間が集まる
(イ)主人公、困難に遭遇/意外な者からの援助・助言等もあって乗り越える。
(ウ)主人公が自ら探し求めていたものに気付く・発見する
(エ)遠方での戦い
(オ)苦闘の末の勝利。/その際、意外な真実を告白されたりもする。
(カ)主人公がその地に留まる旨勧奨されるが振り切って遠方より帰還。
/帰還を応援して犠牲になる者もでる。
(2)キャラクター同士の「相関関係図」を描いて、その相関関係からドラマを考える。
(3)主人公に目標(或いは障害)を与え、その目標(或いは解決)に達するまでの
『行動』を考える。又は逆にキャラクターの『行動』を考え、そこから『動機』を考える。
*使用頻度の高い「動機」(クーンツによる)
(ア)恋愛、 (イ)好奇心(謎解き)、 (ウ)自己防衛、 (エ)金銭的欲望、
(オ)自己再認識、(カ)義務(義理)/要バックストーリー、 (キ)復讐
その4−3;シチュエーションの分類(参考)
1.シチュエーション分類その1
*「ポンティのドラマチックなシチュエーション36分類」として、知られるもの
(但し、カッコ内は勝手に付加)
01、哀願(或いは依頼。これによりスタートするストーリーは多い)
02、救助(救済、捕まった人の救出など)
03、復讐(仇討ち・報復・仕返し)
04、近親者の復讐(近親者同士の復讐、03より深刻、)
05、逃走(追跡、逃走劇・追跡劇)
06、苦難
07、残酷な、または不幸な渦に巻き込まれる
08、反抗(謀反、陰謀)
09、戦い(戦争・競技・喧嘩・競争など)
(ピカレスクでもない限りは何らかの正当性を与える必要がある。)
10、誘惑(誘拐を含む、この場合→02へ)
11、不審な人物、あるいは問題(謎の人物、謎、秘密の鍵)
12、目標への努力
(〔ストーリー全体というより、もっと小さい目的〕目標に向けた準備・努力)
13、近親の憎悪
14、近親間の争い(13がエスカレート、王位継承争い・相続争いなど)
15、姦通から生じた惨劇(復讐、私生児、異性恐怖など)
16、精神錯乱(挫折・洗脳、所謂「魔が差す」ケースなど)
17、運命的な手抜かり(浅い配慮、→後の大事件の起因となる)
18、知らずに犯す愛欲の罪(近親相姦など、後で「実は・・・」のパターン)
19、知らずに犯す近親の殺傷(後で「実は・・・」のパターン)
2.シチュエーション分類その2
*「ポンティのドラマチックなシチュエーション36分類」続き。
20、理想のための自己犠牲
21、近親者のための自己犠牲
22、情熱のための犠牲(自己目的のための犠牲)
23、愛するものを犠牲にしてしまう
24、三角関係
25、姦通(同意の上のエッチ)
26、不倫な恋愛関係
27、愛するものの不名誉の発見(→キャラに葛藤を与える)
28、愛人との間に横たわる障害(愛人というより恋人〔?〕)
29、敵を愛する場合(或いは、敵を許す場合、その葛藤)
30、大望(野心〔革命・天下平定など〕)
31、神に背く争い(或いは、絶対的な権力・力・権威などに背く戦い)
32、誤った嫉妬
33、誤った判断(→重大な事件の原因、17に関連)
34、悔恨
35、失われたものの探索と発見(探索の期限を切られることもある)
36、愛するものの喪失
※そのほか、プロップのファンクションとか、それを受けたロダーリの分類とか
色々な分析がありますが、余り凝らないように!凝ると有害です(w
※引用;「(前略)アイディアを生み出す能力というものは、学習能力のあるコンピュ
ータみたいなもので、描けば描くほど、ひとつの方程式みたいなものが、自然と頭
の中にインプットされていくのです。(中略)ですから、なるべく多くの作品を──
それが、ものになってもならなくてもけっして無駄ということにはなりませんので、
貯金だと考えてどんどん描かれることを、お薦めいたします(藤子F不二雄)。」
その4-4;そのほか
1.ドラマの原動力は次の(1)〜(3)です。但しバランスも大事です。
(1)主人公の動機 →に偏ると、先が見えてしまいます。
(2)周囲のキャラの動機 →に偏ると、主人公の主体性がなくなります。
(3)偶然 →に偏ると、ご都合主義の展開となります。
2.留意点
(1)キャラの人間的成長
人間的成長(≒心情・発想が前向きになる)が描かれることは、ドラマに深みを
与え、感動を生みます。
(2)伏線
伏線とは、のちのエピソードの原因や兆し・予兆を予め入れておく技法です。
これによって、ドラマの不自然な偶然や、ご都合主義を緩和できます。
(3)「謎」の扱い
基本的に、「一つの大きな謎」で読者を最後まで引っ張るのがミステリーとす
れば、次々と発生する謎・事件を解決しつつ、「謎のリレー」で読者を引っ張るの
がサスペンスといえるかもしれません。
何れにせよ、一度に多数の謎を作らない方が無難です。「謎は答えの先送り」
でもあるので、分かりづらい作品になってしまいます(作品自体が謎になる〔笑〕)。
3.一つのドラマに固有の、暗黙のルール
固有の、暗黙のルールをやぶると、そのドラマの世界観は崩壊してしまいます(ギャグ
作品でワザと壊す事もあるが、限度はある)。
この点で住人特にギャラリーが揉めだす事が往々にしてあります。
とはいえ、これを気にしすぎるとストーリーを作れません。一応自分なりの解釈で
投稿した後、場合により、適宜フォローを考えるくらいでよいのではないでしょうか。