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名無しさん@├\├\廾□`/:
「おい、雛苺」
すやすやと寝息を立てて眠るくるくるの金髪のチビ人形に話しかける
人形というだけあって、やっぱり顔は整っていて可愛らしい
「おやつだぞ、起きろよ雛苺」
おやつという言葉に反応し目をうっすらと開けた
「ん〜…あっジュン、おはようなの」
もそもそとのりが掛けてあげた毛布から出てきて、寝起きのふにゃっとした笑顔でそういった
脳みその方がまだ起きてないのか、足取りがフラフラしている
このままでは階段から落ちかねないと考えた僕は、後ろから雛苺を抱きかかえた
「ふぇ? だっこしてくれるの?」
軽く首を傾げ、窓から入る日光でキラキラと光る髪を揺らした
「よちよち歩いて階段から落ちて腕とれたりしたら嫌だろ?」
そういいながらジュンは雛苺の巻き髪に見とれた
風呂に入ってるわけでもないのに、ふわっと甘い匂いが雛苺からした
まだ眠そうな顔をしている雛苺が話しかけてきた
「ねーえ、ジュン」
「何だよ」
「雛ね、ジュンが、だーい好きなのよ…
アリスゲーム、が、終わっても…」
途切れ途切れにそこまでいうと、雛苺はジュンの腕の中でまた規則正しい寝息を立てた
「おい、寝るんじゃねーよ雛苺」
うとうとしている雛苺を揺すって起こす
「お前、巴も大好きだって言ってたよな?」
「うん、ヒナ、トモエもだーい好き…」
「で、その巴を半殺しにしたよな?」
「うゆ、ちがうの、それは…」
「うるせえよ!ウン百年も生きてきた呪い人形の癖して『どうなるか分からなかった』なんて言い訳は通らないぞ!
それにお前、巴が苺大福持ってきたらそっちに飛びつくんじゃないか。結局僕や巴が好きなんじゃなくて食い物が好きなだけだろ!」
「そ、そんなこと…ない…の…」
「そうかな?さっきだってぐっすり寝てて、おやつだって呼んだら起きてきやがって。お前は寝るか食うしかないんだよな!」
「お前は何にもしないでぐうたら三昧、家の食費は削られていくばかり、それに水銀燈みたいなのは襲ってくる、
それどころか今だって真紅を通して僕の力を吸い取ってるんだろ!僕の幸せな暮らしを奪うだけの豚め!」
ちょうど階段の降り口に差し掛かった
「お前には少しお仕置きが必要だな・・・」
雛苺を抱きかかえた手を脇腹に回しブランコのように揺する。雛苺の目線は階段の一番上から一番下までを泳ぐ形になった
「ひゃ、こわいの、やめて!やめてなの!」
「止めない。そーれ♪」