AAバトルロワイアル5 -You must survive.- Part2
「いまかんがえれば、ふりょうグループで、おれがまともにはなしてたのなんか、おまえだけ、だったよな。」
こっちが辛くなるだけなんだよ。もういいよ。分かった。分かったから。あああ
「しぃを、さ。みょうにかばってた、よな、お前。おれ、すごいおまえの事、ありがたくおもってた、ぜ。」
だから、もういいって。勘弁してくれよ、ギコ。ギコっ、くっ、ぐぅぅっ、
「そういや、ウワァァァンのやつもしんじゃったんだっけな。
あいつも、かわいそうなやつ、だった・・・はずかしい、ぜ。おれ、あいつのことみてみぬふり、してた。」
そんな事どうでもいいだろ。ウワァァァン君は、お前の事なんか恨んでなかったって。
「んで、しぃ・・・モナー・・・も・・・しんだ・・・それで・・・さ・・・」
ギコの声は、ほとんど聞き取れないほどに衰弱していた。
でも、彼はまだ喋り続けている。残る力を、全て喋る力に動員している。
「もういいよギコ!お前、もう何も言うな!!言いたい事があるなら・・・もう言ってくれ!」
俺は、たまりかねて、そう叫んだ。
ギコが、顔を力なくこちらへと向ける。
「だから、さ・・・」
「俺が死んでも・・・絶対泣くなよ。約束だぜゴルァ!」
そう言うと、ギコは、ふっと笑みを浮かべた。
・・・ように、見えただけなのかもしれない。
ともかく、ギコは・・・今・・・
『えーと、たった今ギコ君が死亡したよーです。また自殺ですかね。
面白くないなーお前ら。とにかく、生き残りはあと3人ですねッ。じゃ、頑張ってくだーさい!』
モララーの声が、部屋中に響き渡る。
聞きたくないのに、俺の耳の中にその声は何度も入ってきた。
部屋の中を、何度も反射して、ぶつかりあって、俺の耳の中に、何度も・・・何度も・・・
俺は、壁にへたり込んだまま動かなかった。
動く気が、全くといっていいほどおきなかった。
いわば、俺は完全に放心していたのだ。
あれ?
何かが、おかしくなっていた。
俺は、気が付けばギコの死体を凝視していた。
何かが、湧き上がってくる。
――・・・!!
俺は、全速力でその部屋を出た。
ギコの死体を振り返らずに、廊下を何歩か走る。
・・・今、俺は何を思っていた?ギコの死体を、いや、ギコの『血』を見て何を思っていた?
俺も、汚染されていっているのだろうか。
【ギコ死亡 残り3人】
どうすればいいの?
そうとしか考えられなかった。
クラスメイトを殺すなんて事は、絶対にしたくない。
だからって、死んでしまう、というのもそう容易い事ではない。
何をしていいか分からない。
どうすればいいの?
そうこう考えてるうちに、二回目の放送は流れた。
『えーと、たった今ギコ君が死亡したよーです。また自殺ですかね。
面白くないなーお前ら。とにかく、生き残りはあと3人ですねッ。じゃ、頑張ってくだーさい!』
「ああっ・・・!」
突然、何かが抜けたような気持ちになった。
・・・ギコ君が、死んだんだ。
おにぎり君に続いて、ギコ君までもが・・・
元気がよくて、クラスの雰囲気を自然と和ませていた、おにぎり君。
柄は悪いけど、根はいい奴で、情熱的だったギコ君。
二人とも、この『ゲーム』で、死んでいった。・・・二人とも、自殺で。
あたしは、無意識に右手に握られているナイフをちらりと見やった。
蛍光灯の光りに反射し、鈍く光を放っている。
・・・これで死んじゃおうかな・・・
そう考えたときだった。声が、した。
「あ、レモナ、さん・・・」
あたしの耳に、聞き覚えのある声がした。
・・・女の子の、声・・・・
あたし以外の女の子っていったら・・・
恐る恐る、顔を上げる。
そこには、予想通り、ありすさんが立っていた。
「あ、・・・ありすさん!」
私は、自分でもみっともないと思うくらい気の抜けた叫び声を発していた。
「よかった、ありすさん・・・貴女が来てくれなかったら、あたし壊れてたわ。ありがとう、ありがとう。」
何故感謝しているのかもよく分からないまま、あたしはありすさんに向かっていい続けた。
知ってる人が近くに居るだけで、大分心が安心する。
そうだ。あたしにとって、近くに人がいるだけってのも希望なんだわ・・・
ありすさんがいれば・・・他に人間が居れば・・・何か、何でも出来そうな気がする・・・
「ありすさん、あたしと一緒に居ましょ!」
あたしは、大喜びしながら、興奮したように言った。
と、次の瞬間、ありすさんが突然口を開いた。
「へぇ・・・貴女、何で『汚染』されてないの?」
「へ?」
ありすの声は、心なしかとても冷たく感じた。
無調で、抑揚の無い声。まったく人情という物が感じられない、乾ききった、その『声』。
そもそも、言ってる意味がよく分からない。
「少し、質問させてもらってもいいかしら?」
突然ありすさんは言った。
その、気持ち悪いくらいに感情が感じ取れない声のまま。
「あ、うん・・・」
あたしは、とりあえず頷くしかなかった。
頷いた拍子に、ありすさんの左手がボロボロに傷ついてるのが見えた。
「質問@。貴女は私を殺したくないの?」
ありすさんが言う。
「ううん。殺したいなんて思ってない・・・何でそんな不吉な事聞くのよ・・・」
あたしがそう言うと、ありすは少し腑に落ちないような表情を浮かべた。
「・・・じゃあ、質問A。・・・私は今からどうするでしょう?」
ありすさんは、先程よりも熱のこもった声で言った。
それと共に、あたしの顔をじぃっと見つめる。
「・・・あたしと一緒に居ようよ!今、無性に誰かに傍に居て欲しい気分だし、それに・・・!」
「無理。だって、私と貴女が一緒に居たら、私は貴女を殺しちゃうわ。」
あたしが言い終えるよりも先に、ありすは口を挟んだ。
ありすさんの声は、少し震えていた。
「最初、私はみんなを殺して脱出しようと思ってたの。」
突然、ありすさんが言い出した。
「何を・・・」
「でも、ね。影響されちゃったのよ。おにぎり君と・・・ッパ君に、さ。」
ありすさんは、またもあたしの言葉を途中でさえぎり、話し出した。
「あの二人は・・・こんな状況になっても、希望を捨てなかった。
私利私欲に絡まれずに・・・友情を貫いて・・・このゲームから脱出しようとしてたの。」
ありすさんは、そこまで言うと、何かを考えるようにすぅっと目を閉じた。
「で、ね。私も賭けて見たくなったの。あの二人に、ね。
・・・いわば、私にとって、あの二人は『希望』その物だったのね。」
ありすさんが、深く溜め息をつく。
「でも、死んじゃった。ッパ君は、私の見ていないときに。
そして、おにぎり君は、このサバイバルゲームで。」
あたしは、おにぎり君の死が発表された放送を自然と思い出した。
「ッパ君・・・立派な人だった。希望を捨てずに・・・前向きに、脱出の方法を考えて、さ。
おにぎり君も・・・立派な人だった。友達を心の底から信じて、心の底から思って、さ・・・
私、そんな二人をとても好きで、尊敬してたよ。」
ありすさんの声は、先程よりも一層震えていた。
「そんな二人の死が、教えてくれたんだ。私のすべき三つめの道を。」
ありすさんは、そこまで言うと再びあたしの目を見つめた。
ありすさんの目は、潤んでいた。・・・涙に濡れ、光っていた。
「一つは、脱出。一つは、みんなを殺して優勝する事。最後の一つはね・・・」
ありすは、力なく口元を引き攣らせた。
言い表し様の無い気分になる。
「・・・モララーに復讐する事だって、考えてたんだ。
でも・・・それも無理。・・・でも、さっき気付いた。そんな事より、もっと簡単な道があるって事。」
ありすの声は、くぐもっている。
「ねぇ、私の言いたいこと、分かる?」
ありすさんは、私に顔を更にグイと近づけ、言った。
あたしは、もう彼女が何を言いたいのか大分予想がついていた。
大分予想がついていた・・・
彼女の・・・三つ目の道・・・は・・・
「私に残された最後の道は・・・自ら命を絶つ事、よ。」
ありすは、その言葉と同時にあたしのいる方向と逆の方向に走り出した。
「駄目!駄目よありすさん!」
あたしは、そう叫んでありすさんを追いかけようとして走り出した。
「来ないで。」
ありすさんはそう叫ぶと、振り向き、右手に持ったナイフを私にむけた。
ナイフの切っ先には、赤くて茶色いものが染み付いている。
「ありがとね。私の声、聞いてくれて。最後の最後に誰かに私の声、聞いてもらいたかったんだ。」
ありすの頬に、一筋の涙が伝っていた。
「これが私の・・・最終結論。」
そう言うと、再びありすは何処かへ向かって走り出した。
・・・もはや、あたしは彼女を止める事は出来なかった。
彼女が走り出した後、あたしはその場にへたり込んでしまった。
涙が、止め処となく溢れ出てくる。
・・・冷たい、涙が。
あたしは、涙を流し、何分もその場で声を震わせ、泣き叫び続けていた。
『えー、ありすさんが死亡したよーですね。また自殺です。
・・・生き残りはあと二人!自殺なんかしないで、絶対に殺しあってください!んじゃ、さよならっ! 』
【ありす死亡 残り二人】
あたしは、糸が切れた人形のように、ふらふらと廊下を歩き続けた。
涙は既に枯れていた。
既に涙が出尽くし行き場の無くなった悲しみは、あたしの心に空虚だけを残していく。
・・・・これで、生き残りは・・・二人・・・かぁ・・・
元はといえば42人いた、あたしのクラス。
それが・・・今では・・・たった二人?
あたしと・・・ネーノ君・・・だけ・・・
たったそれだけに・・・なっちゃったんだよね・・・
ネーノ君?
そうだ。まだこの人がいたんだ。
みんなみんな死んでいった。けど、この人がまだいたんだ。
・・・ネーノ君。
彼なら・・・きっと・・・あたしとずっと一緒に居てくれるはず・・・
いや、一緒に居たいよ・・・ずぅっと・・・ずぅっ・・・と・・・
ネーノ君・・・
ネーノ君・・・
ネーノ君・・・
自然と、ネーノ君のことで頭が一杯になる。
もう心の拠り所は彼にしかないんだ。
あたしの存在を見つけてくれる人は、今、彼しかいないんだ。
・・・ネーノ君・・・会いたいよぉ・・・
ひたすらに悲しいのに、涙も流せないままあたしは俯いていた。
・・・何でそうしようとしたのか分からない。
あたしは、ふと顔を上げ、前も見つめたのだ。
そこには、いたんだ。都合よく、彼が。
「ネーノ君!」
あたしは、ネーノ君に飛びつくようにして駆け出していた。
いた。ネーノ君。唯一生き残っている、あたしのクラスメイト。
あたしの最後の心の拠り所。
ネーノ君!・・・会いたかった・・・!
「近づかないでくれ。」
ネーノ君は、突然そう冷たく言い放った。
普段の、ゲーム中の彼の温厚な声は、微塵も感じられなかった。
あたしは、ネーノ君の数p手前で立ち止まった。
ネーノ君の顔を見る。
ネーノ君の顔・・・・・・汗が流れ続けていた。
「それ以上近づかれたら・・・間違いなく俺は君を殺しちゃうよ。」
ネーノは、声を震わせながら言った。
あたしは、瞬時に感じ取った。
・・・彼も、多分このガスに『汚染』されかけているんだ。
「君は・・・平気なの?このガスに・・・『汚染』されていないの?」
ネーノが言う。
あたしは、すぐに力強く頷いた。
「何でだろうね。・・・不思議だ。・・・でも、俺はこの様だ。このガスに早速『汚染』されかけている。
その証拠に・・・君を殺したくて。」
ネーノの右手が小刻みに動き、コキコキと音が鳴っている。
「・・・不思議だね。・・・何でだろう。僕は君を全然殺したくないのに・・・でも殺したいんだ。
・・・全く、すごい効き目なんだ、このガスは・・・
今思えば、おにぎり君もギコ君もこのガスに引っかかっていた。そして、身を滅ぼしていったんだ。
でも・・・俺はこのガスに『免疫』があるのかどうか知らんが、効き目が薄い。
でも、・・・もう限界だ。これ以上は堪えられないよ。」
ネーノ君はそう一気に言い終えると、あたしに向かって一歩踏み出した。
一層ネーノ君の手の動きが早くなる。
「な、何よ!そんな頼りないこと言わないでネーノ君!
あたしはこの通り平気だよっ!貴方も大丈夫!正気を保とうよっ!」
あたしは、元気付けるように言った。
そうだ。ネーノ君だってこうやって言えばすぐに正気に戻るはず。
・・・その証拠に、あたしはこんなに平気なんだよ!
「・・・君はどうしたいの?」
ネーノが、不意に、本当に不意にそう言った。
「・・・え、どゆ事?」
思わずあたしはそう聞き返していた。
「つまり、生き残りたいのか死にたいのかどっちかって事。」
ネーノが、溜め息混じりに言った。
・・・いきなりそんな事言われても・・・
・・・・そうだ。
あたしは生き残りたいのか?それとも、別に生き残りたくないのか?
どっちなんだ?
あたしは勿論ネーノ君を殺したくない。
じゃあ、自分は死んでもいいのか?
否。
ネーノ君を殺し、自分だけで生き残る事なんて出来ない。
だが、自殺して死んでしまう、というのもいやだ。
理由は沢山ある。
まずは、痛いのが嫌だから。
そしてもう一つが・・・あたしが死んで悲しむ人が居るから。
あたしは、幾多もの死に立ち会って、無数の悲しみを得てきた。
そのおかげで、あたしは分かった。・・・自分が死んでしまうことは、自分以外の人にどれだけ悲しみを与えてしまうかを。
・・・特にお母さん。
・・・あたしがあそこから脱出した時以来、お母さんはずっと優しく、暖かく私を育ててきてくれた。
今も、恐らくあたしが生きて帰ってくれるのを待ってくれている筈だ。
今から帰って元気な顔をお母さんに見せてあげたい。
お母さんを、安心させてあげたい。
でも、ネーノ君は殺したくない。
・・・結論がつかない。
つけたくてもつけられない。
思考がループし続けている。
殺したくない、死にたくない、殺したくない、死にたくない
どう考えても、抜け道が見つからない。
まさに、『輪廻』だ。
同じ事を繰り返し何度も何度も、永遠に・・・思い続けて・・・結論がでずに・・・回り続けて・・・
ああああああああああああああ
無性に叫びたくなった。
衝動的に、腹の底から思い切り叫び声を上げたくなった。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
あたしは、叫んだ。
腹の底から、今出せる声を全て吐き出すように。
叫んだ。
いつの間にか、ネーノ君も一緒に叫び声を上げていた。
二つの叫び声が、その部屋に大きく響き渡る。
叫べば・・・何かが変わると思った訳じゃない。
・・・・ただ、叫びたかった。大声を上げたかった。それだけ。
「なんだって・・・。」
「そう、ありすくんは自殺した。」
モララーに突きつけたジェリコが震えた、彼の顔は絶望にゆがんでいた。
「くそ・・・くそおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
ズダアンッ!!!
「ああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!」
ズダアン!!ズダアン!!ズダアン!!ズダアン!!カチッ!!カチッ!!
彼は何度も何度もトリガーを引いた。
俺のせいだ。
俺のせいだ。
俺のせいだ。
俺のせいだ。
俺のせいだ。
俺のせいだ。
「ああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!」
カチッ!!カチッ・・・・・・・。
ようやく弾切れに気づいたのか彼はジェリコを落とした。
そして…。
彼はベルトにはさんでいた2丁目のジェリコを右手に持ち、建物に火を放った。
「送り火だ…。」
どうかこの火が、ありすの下へ届け・・・。
「俺の分まで。」
チャキッ…
ズダアンッ!!!
陸軍大臣編(暫定版)
スルーしてください
リアルタイムキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
「死にたくない…死にたくない!!でもお願いだからネーノ君、お願い、一人にしないで。
死なないで!!一緒にいよう…ねぇ、怖いの。傍にいてよぉ…!!」
頬を伝う涙にも気づかないまま、レモナがネーノに縋りつく。
喉の奥が熱くて痛くて苦しかった。
「もう時間がない」
レモナの背中を疼く右手でぎこちなく撫でながら、ネーノがぼそりと言う。
「これが最後だ。今すぐ逃げてくれ、俺から。…だめなんだ…もう、抑えられそうにない。
早くしないと君を殺してしまう」
「嫌…絶対やだ…どうして私を一人にするの…!!ネーノ君まで、何で…。みんなで逃げようって言ったじゃない!!」
嗚咽交じりにレモナが必死に叫ぶ。
ネーノは手を止め、顔を上げて、辺りに漂う白いガスを遠い目で見つめた。
「確かにみんなで逃げようと言った。でも、そのみんなはもういない。せめて二人で逃げられればどんなにいいか…。
なのにそれさえもできそうにない」
レモナの小刻みな震えが直に伝わってくる。
こんなゲームでただ一人の生き残りになることと、死ぬこと。
どちらの方が辛いのだろうか。
ネーノはレモナに視線を戻し、口調を強めて言う。
頼むから、逃げてくれ…。
「俺は君を殺したくない。今なら自殺することもできるかも知れない…みんなと同じように。
そして君が生き残るゆっくりんだ。何も考えるな。逃げてくれれば、それでいいんだ…」
そう言いながらも、右手がそろそろとレモナの首にゆっくり伸びていく。
早く…急げいでくれ。
「できるわけないじゃない!!何言ってんのよぉおぉぉぉぉおおおお!!」
いっそう強く抱きついてくるレモナを撥ねのけることはできそうもない。
指が、レモナの首に触れた。
「………それじゃあ、ここで死ぬのかい?」
レモナの肩がビクリと跳ねた。
「死にたいのか…一人残されるのが嫌なら?ならみんなのところに送ってあげようか」
違う違う違う違う違う違う違うんだこんなことを言いたいんじゃない。
頭がぼうっとしてくる。
左手がレモナの首を掴んでしまう前に、どうか。
間に合わなくなる―――――。
「みんなに会えるんだ。モナーもいる。ここに一人取り残されるより、ずっといいと思わないかい?」
「あぁ…ネーノ君…もう―――もう、嫌…」
レモナが嗚咽する喉から声を絞り出す。
私のせいでクラスのみんながこんなゲームに放り込まれて、死んでいった。
死にたくはない、でも自分が死ぬことでたった一人でもここから逃げられるなら…。
ネーノ君の言うように、みんなに会えるかもしれない。
むしろ今、生き残ることのほうに恐怖を感じる。
それなら―――死のうか?
ネーノ君に殺されるのなら、いいかもしれない。
終わりにしたい。
何もかも。
だから、死のうか?
「・・・ふぅ。」
モララーは、司令室にいる人間は、殺し合いの様子を中継しているモニターを見ていた。
元々生徒達が殺し合いを繰り広げているあの部屋には監視カメラが設置されているので、中継で見ることが出来るのだ。
「う〜ん・・・」
モララーは、何かが腑に落ちないような表情をして、椅子をクルクル回していた。
そのまま数十秒何も言わずそうしてたかと思うと、モララーは隣に座ってる副官に突然意見を求めた。
「何でレモナにはあのガスが効いてないの?あとネーノも。」
副官は、一瞬困惑の色を顔に浮かべたかと思うと、
「いや、そんなこと言われても・・・」
と返した。
モララーの表情が、険しくなる。
「生まれた直後に、色々な免疫を体の中に注入されたせいだよ。」
オレモナーが、突如話しに割って入った。
兵士達が一斉にオレモナーの方を向く。
モララーが、感心したように唸った。
「なーるほどぉ。そういうことかぁ・・・
そういや、レモナだっけ?あいつお前の子供で何年間かは政府の施設にいたんだもんなぁー・・・」
モララーは、もう一度大きく「ふ〜〜〜ん」と唸ると、再びモニターに目を注ぎ始めた。
横に居るジェントルモララーや一般兵士達も、そのモニターを食い入るように見つめている。
だが、只一人オレモナーだけはモニターを見ずに脇の椅子でぼぉっと何かを考えていた。
「 ・・・おい、オレモナー。お前も見ろよ・・・あと二人だし、盛り上がってるよ。」
モララーは、オレモナーの異変に気付いたのかスポーツ観戦でもしてるかのような調子でそう言った。
そして、モララーは再びモニターへと目を向けた。
「レモナ死ぬなよー。お前には金がたんまりかかってるんだからなー。
モララーは、ボソリと呟くように言った。
「もう・・・止めてくれ。」
突如、そう言った人がいた。・・・オレモナーが。
突然の出来事に、モララーも、ジェントルモララーも一斉にオレモナーの方を振り向く。
「何だよ。何が言いたいのオレモナー?」
モララーが、顔をしかめながら言う。
「このゲームを終わりにしようといったんだ。
あまりに酷すぎるよ。見てられない。」
オレモナーの思い切った発言に、その場全体が異様な雰囲気に包まれる。
一般兵士が、それぞれ顔を見合している。
「ちょ、ちょっと待てよ。何を今頃言ってるんだよ。」
モララーが焦ったように言い返した。
「だって、酷すぎるよ!こんな殺し合いなんて・・・
可愛いそうだと思わないのか!?
レモナだって・・・可愛そうに。混乱しちゃってるじゃないか!」
オレモナーは、叫び声を上げていた。
モララーは、滅多に聞かない彼の叫び声に困惑しながらも言い返した。
「そりゃあ多少は思うけどさ・・・でも仕方ないじゃないか!
これが俺の任務だからな!文句をつけるんじゃない!」
突然始まった言い合いに、周りの兵士、ジェントルは目を白黒させている。
「でも・・・この生徒達を使って賭けなんかしちゃったりしてさ・・・横暴にも程があるだろ!?
それでも同じ人間なのか!?疑わしくなるよ!」
オレモナーが吐き捨てるように言う
「うるさいうるさいうるさい!文句を言うな!そう思うんだったら見なきゃいいだろ!俺のやり方に口を出すなぁっ!!」
モララーも、対抗するように大声を出し、叫んだ。
二人とも、息を荒げながら睨み合う。
妙な沈黙、雰囲気が、辺りを侵食していく。
「・・・変わったね。モララー。」
そんな沈黙の中、不意にオレモナーが言った。
「え?」というようにモララーが顔をしかめる。
「よーく思い出してみなよ。君がこの政府の一員になった理由は何だった?
・・・俺だけには話してくれたよね。『この腐った政府を中身から変えてやる』ってさ。」
その言葉に、モララーの眉がピクリと反応する。
「君は、過去このゲームの優勝者だったんだよね。それで、君はこんな糞ゲームの犠牲者をもう出さないために、
こんなシステムを排除してしまう為に政府の軍隊になったんだよね?」
オレモナーが、冷静に、冷静に、過去の事を思い出しながら言っていく。
モララーは、言い表しようの無い気持ちでそれを聞いていた。
「昔は・・・君はあんなにいい奴だったじゃないか。
俺に子供が出来た時だって、祝ってくれたじゃんか。」
オレモナーが、思い出すように語っていく。
その台詞を聴いた途端、モララーの脳にほとんど忘れかけていたあの思い出が蘇ってきた。
”へ〜、レモナちゃんかー。可愛い名前だなぁ〜。”
”可愛いだろぉ。あー、でもねぇ。正直作っちゃった事後悔してるんだよなぁ・・・”
”何でよ?”
”だってさ、軍人の子供は軍人にしなきゃいけない規律がここにはあるじゃんよ。
規律に逆らうわけにはいかないしさ。幾らなんでも子供の頃から厳しい訓練をつむなんて可愛そうだよね?”
”そうかぁ〜?お前考える事が全然軍人ぽくないよな・・・”
「ま、もう十年以上前の事だから完全に忘れてるかもしれないけど。
・・・とにかく、何があったのか知らないけどさ、君は変わった。」
そこまで言うと、オレモナーは深く溜め息をついた。
・・・オレモナー・・・なんだよお前・・・
「何だね貴様ら。くだらない内輪話はやめなさい・・・」
突然、ジェントルモララー高官が話しに割って入ってきた。
・・・何か、無性に腹が立つ。
「黙ってて下さい高官!」
モララーは、気が付くと大声を上げていた。
ジェントルモララーは、ビクリと体を震わせると、何も言わずにすごすごと引き下がった。
モララーの叫び声に、ただならぬ迫力を感じたのだった。
「モララー・・・君、変わったよ。
変わりすぎて・・・もう・・・何が何だか・・・」
オレモナーは、呟くように言うと、泣きそうな顔で口元をゆがめた。
それとともに、右手を懐に入れる。
そして、次オレモナーが懐からそれを出した時には、その右手にあるモノが握られていた。
オレモナーは、そのモノをモララーに向けながら、こう言った。
「もうオレ、お前にはついていけないよ。」
彼の手には、しっかりと銃が握られていた。
黒い銃口が、俺に向けられる。
オレモナーが、俺に、俺に、銃を向けている?
オレモナーが?
「おい!ふざけるんじゃないぞ!!」
俺は、すぐさまオレモナーに飛びかかって銃をはたき落とそうとした。
ガァン
凄まじい音が鳴り響き、俺の足元が弾けた。
オレモナーの銃口から、薄い煙が染み出している。
撃った。
ウッタ
「近づかないでくれ。・・・本気なんだ。」
呟くように言うオレモナー。
心なしか、俺は震えていた。
芯から震えていた。
・・・オレモナー。
幼稚園から一緒だった、俺の幼馴染。
中学校では色々あり違う中学校になってしまったが、その後また大学で再会した。
彼は、俺の中学、俺の学年がAABRに巻き込まれたことを知っていた。
俺は、自分達のクラスがそのAABRの対象に選ばれた事、そして自分が沢山の人を殺し、優勝した事を全て言った。
でも、オレモナーは、仕方ないよっ、て言ってくれた。
いけないのは政府だよっ、て。君じゃないよっ、て・・・
それ以降、彼は俺のAABRのことについてあえて何も触れないでくれた。
驚くほど当時と人相が変わってしまった事、傷が増えた事、無愛想になった事・・・
そして、それから何年経っただろう。奇なる事に、俺とお前は政府の軍隊で一緒になった。
俺は驚いた。彼も驚いていた。「何で君が」って。
俺は正直に言った。「この腐った政府を中身から変えてやる」って。
・・・・彼も同じ答えだった。
短く「オレモナー」とだけ答えていた。
そんな彼が・・・今、俺に、銃を、向けて・・・
何で俺こんな事を思い出せるんだ?
あいつに、オレモナーに銃を向けられた時、あいつとの思い出が流れてくるように思い出せた。
前までは、あいつの子供の名前すら全然覚えていなかったのに。
何故?
・・・簡単な事じゃないか。
全 て が 壊 れ よ う と し て る か ら
「オレは君を殺す。そして、このゲームもろとも心中してやる。」
オレモナーが、落胆する俺に追い討ちをかけるように言った。
目の端で、ジェントルモララーがとてつもなく焦っているのが見える。
何だよお前。
俺を殺すって?
何年一緒に居たと思ってるんだ。
そんな俺を殺す?
殺すのか?
「何だよお前。俺を殺すって?
何年一緒に居たと思ってるんだ。
そんな俺を殺す?殺すのか?」
思ったことが自然に口からはみ出してしまった。
俺がそう言い終えてしまうと、オレモナーは力なく笑いながら首を捻った。
・・・震えていた。顔も、目も、・・・声も。
「うん。殺すよ。・・・・・・今のお前最悪だもん・・・
・・・最悪なお前なんか見てたくないもん・・・
・・・・・・俺が幼い頃から見てきたお前は・・・違かったよ。
・・・バカ正直で、正義感が強くて、前向きで・・・・・・『いい奴』だったんだよ。
・・・・・・大学でまた会ったときも、君は『いい奴』のままだったよ。
・・・・・・ココで再会した時も・・・まだ『いい奴』だった。
・・・・・・・・・でも何年か前、俺と君の配属が変わって、しばらく会えなくなって何年か経って・・・
・・・二人共、互いにいつでも自由に会えるような身分になった頃にはお前は・・・最悪だった。
・・・今も無論・・・目も当てられないぐらい・・・・・・最悪だ。」
何が言いたい。
何が言いたいんだよぉぉ
決意が揺らいだわけじゃない。
ああ、そうなんだよ。
じゃあいつからだ?
俺が『最悪』になったのは、いつからなんだよ?
・・・俺はいつもこうなんだよ?
人の苦しみを見るのが好きな・・・『最悪』な俺は、生まれた時から既に居たよ?
君に会った時から、俺は既に『最悪』だったんだよ?
何を今更言ってるんだ。
俺はずっと前から『最悪』だった。
そうだ。これが俺の本性なんだよ。
ずーっと前から、ずーっと前からさぁぁぁぁ
それを 何を今さら 何を今さらぁぁぁぁぁぁぁぁ あ ぁ
ああ、あ ああ あ、ア あぁぁ ぁ ああ?
「・・・返事が来ないね。
・・言い返す気・・・・・・ないのかな・・・?
・・・・・・もう・・・終わりにしようよ。
・・・オレは終わりにしたいんだ。・・・このゲームも。・・・君も。・・・・・・オレも。
・・・・・一緒に、死のう。・・・モララー。」
もう・・・いいよ。
一瞬の出来事だった。
自己防衛の本能が働いたというべきなのだろうか。
初めて自分自身が『最悪』だと感じた瞬間だった。
無抵抗に崩れ落ちる、肉隗。
『ソレ』が生前美形だったという事を、その肉隗は一つも伝えていない。
・・・整っていたはずの顔は、今は見る影も無く崩れ、爛れている。
ぐ ち ゃ ぐ ち ゃ だ
「ひ、あ、いあああああああああああああああ!!!!?????」
そう。一瞬の出来事だったんだ。
オレモナーは、撃った。俺に銃を。
・・・でも、あろうことか俺は・・・本能的に撃ち返していたんだ・・・
長年培われていた軍人の本能、というべきなのだろうか。
とにかくそれが・・・俺を動かした。
何はともあれ俺は・・・近くに置いてあった銃を・・・取った。
オレモナーの銃弾は、俺の頬を掠めた。
・・・とっさに撃った俺の銃弾は・・・オレモナーの顔の中心を・・・正確に撃ち抜いた。
・・・・・・・・・オレモナーは・・・・・・・・・俺の親友は・・・・・・
はは、ははははははははははははは
何だよ。今更気付いたのかよ。
分かったよ、俺が最悪になっちまった訳が!
・・・オレモナー。・・・お前のせいだ!
お前が居なくなったから俺は最悪になったんだ!
・・・いつでも純粋無垢で、俺と常に一緒にいてくれた、オレモナー。
・・・あのAABRの時、どんくらいお前に会いたかったことか!
・・・お前の配属が変わって、俺の目の前から居なくなったせいで、俺は最悪になったんだ。
・・・・・・道を正す物が居なかった。
・・・一刻もお前に会いたいが為に、俺は常に訓練や軍事を優秀に冷静にこなしてきた。
機械のように・・・冷酷に・・・命令された事だけを忠実にこなす人間に・・・
・・・・・・そこから、だ。
偽りの非常さで心を塗り固め、冷酷、感情の無い男と称し、幾多もの人間を倒してきた。
そして、『中身から政府をぶっつぶす』という俺の最初の志を、俺はすっかり忘れていたんだ・・・
・・・そこで、道を正す物が居なかった。
・・・・・・その時点で、終わってたんだよな。
・・・で、来たんだ。あの電話がさ。
『次回AABRの担当になりませんか?』
俺さ、退屈だから断ろうとしたんだ。
でも、給料の額を知らされた時点で、俺、2回返事でお願いしますって言ってた。
何も考えず、目先の金の額だけに捉われて、俺、このAABRの担当官になったんだ。
あ り え な く な い ?
「おい!貴様、くだらない茶番劇はよしたまえ!データを早急に纏めるのだ!
・・・それと、その汚らわしい腐体を始末したまえ!」
いきなり、声が聞こえた。
ガァン
俺は、ためらいなく奴に、ジェントルモララーに向かって引き金を引いた。
・・・その引き金は、驚くほど柔らく感じた。
「こ、高官!」
兵士共が、俺の撃った男に群がる。
その数秒後、兵士達は一斉に俺をにらみつけ、銃を向けた。
「こんな事してただで済むと思ってるんですか・・・!?」
やけにごつい顔の兵士が言う。
「貴方がやった事は、れっきとした反乱になっちゃうんですよ!?」
ひょろっとした色白の兵士が続けて言う。
「うるさいねぇ君達・・・その発言は上司に対する反乱じゃないのか?
俺はお前たちみたいな一般兵士とは格がち・が・う・の。」
兵士達は、俺がそう軽く宥めただけで快く銃を下げてくれた。
一般兵士皆が、上目遣いで俺を見ている。
俺は、その兵士共に一歩近づき、言った。
「ねぇ、その銃貸してくれない?」
そう言うと、兵士は一瞬戸惑ったがすぐにその銃を俺に渡してくれた。
俺は、その黒光りする銃を、品定めを意識し手の平で何度も撫でた。
・・・イングラムM10マシンガンね・・・いい感触だ。
俺は、銃を撫でるだけ撫で終わったので、試し撃ちをしてみる事にした。
銃を構える。そこには、何人もの兵士がいる。
・・・兵士の顔色が変わる。
「わるいね。コレを無かった事にする。」
謝罪の言葉を一方的に浴びせ終わると、俺はためらいなく引き金を引いた。
心地よいミシン音が、部屋中に響く。
・・・ミシン音が鳴り止んだときには、5人位いた兵士達が一斉に床に這い蹲っていた。
「・・・ふぅ。」
一息つく。
・・・わずか数秒で、この司令室は死体だらけとなった。
・・・全部俺の手で、殺した。
・・・何の為に?
俺は、自分に問いかけた。
答えは出ている。
だが、念のためにもう一度だけ自分に聞いてみようと思った。
「モララー司令!」
すぐ後ろで声がした。
その方向を振り向く。
・・・あ、まだコイツがいたっけ。・・・AABR副官。
「何をしているんです!?せっかく上手く成功すると思ったのに!台無しじゃないですかっ!」
副官がヒステリー気味に叫ぶ。
「・・・何だようるさいな。・・・そう焦るなって。」
俺は、イングラムを床に捨てると部下をどなりつける時に使っていたW&Sを近くのテーブルから取った。
それと共に、ゆっくりと副官のこめかみの辺りにそれの銃口を添える。
「ひっ・・・・・・し・・・れ、い・・・」
副官の声が上ずる。
「残念ながら五月蝿い子には死んでもらいまっしょう♪」
そう言いながら、俺はゆっくりと引き金を引いた。
カチン
「弾切れ・・・か。こりゃ残念。」
副官の顔が一瞬緩む。
とりあえず、このままにしておくのも変だし、そのままW&Sで副官の頭を適当に殴りつけた。
勢い良く床に倒れ込む副官。
見た目失神しているようだが、血は流れていない。・・まぁ、あんま力入れてやってないし当たり前だね。
俺は、静かになった司令室を一度見渡した後、窓際の方に設置してある遊楽ソファに腰を落ち着けた。
別にあんまり長い時間経ってたわけではないが、座ったときの衝撃で体中が軋む。
・・・ぼんやりする。
頭に薄い霧がかかっているみたいだ。
・・・いや、夢みたい、だ。
・・・何の為にこいつらを殺した?
再び俺は、問いかけた。
思い出した。
AABRの時・・・俺、あいつを恨んでたんだ。
担当官ひろゆき。
何で俺達をこんなゲームにほーりこむんだよーって。
何でこんな可愛そうな俺達を助けてくれないんだよーって。
思ってた。
・・・んで、さ。
同じグループを組んでたクラスメイトの一人が裏切ったんだ。
俺以外の何人かを、確かそいつが不意打ちして殺した。
・・・でも、俺は殺せなかった。
・・・逆に、俺が殺した。
・・・そっからだったんだ。
緊張、恐怖、疑心暗鬼の末に・・・気が付けば優勝してた。
・・・優勝者としてヘリで送られる時・・・俺、笑ってた。
・・・泣きながらな。
それから、ずっと恨んでたんだ。政府のやつらを。
あのAABRで多少知恵を手に入れた俺は、政府の内部からシステムを破壊しようと考えた。
・・・随分大きな目標だったよなー、ホント。
・・・それを、さ。すっかり忘れてたんだよね。
何の為にココに入ったのか?そんな事も忘れてた。
忘れたまま・・・恨んでたはずの政府でのうのうと暮らし続けた。
挙句の果てには、AABRの担当官・・・
でも、今何もかも思い出した。
何の為にこいつらを殺した?
・・・うさばらしさ。
最後の最後のうさばらし・・・
・・・全く持って最悪極まりないよな俺・・・
AABRの苦しさを全部知ってるはずなのにさ・・・それを笑ってみているんだもんな、俺。
あの時の担当官、ひろゆきもきっとそうだったんだよな・・・
・・・俺、知らず知らずあいつと同じことをやってた。
でも、今からは違う。
最後の最後に・・・あの頃の夢を、俺は果たす。
『・・・ゲームは終わりです。エリアを遮断するドアのキーは解きました。存分に脱出して下さい。
・・・島から出たいときは、ここでのびてる副官・・・いや、角耳に言ってヘリを操縦してもらって下さいね。
脅してでもどうにでも構わないので。
・・・君たちは絶対に俺のようになっちゃ駄目ですよ!さよーならぁー♪』
俺は、言い終えると同時に建物内専用放送機器のスイッチをぶちんと勢い良くきった。
それと同時に、手馴れた操作で赤いスイッチを押す。
[保護エリア ドアロック解除しました]
大きなモニターに、不自然な日本語の文章が一瞬表れ、消えた。
・・・おわっ・・・たぁ・・・
俺は、そのまま椅子から落ちるように床に倒れ込んだ。
背中に地味な衝撃が走る。・・・落ちなきゃよかったなぁ。
・・・俺は、近くにほうり捨ててある銃を拾った。
40 SWs・・・オレモナーを撃ち殺した銃だ。
俺は、そのままそれをまっすぐこめかみに突きつけた。
・・・ひんやりと冷たく、心地よい。
・・・気持ち・・・いい・・・・・・なあぁ・・・・・・
”みんなで希望を持てば絶対に脱出できるよー!”
”はははは・・・僕が優勝者・・・!?・・・なんで・・・なんで分かってくれなかったんだよみんなぁぁぁぁ!!!”
”絶対!この糞プログラムをこの国から抹消させてみせるからなー!”
”今度会う時までに、絶対に国変えてやっからなぁ、達者でなオレモナー!”
”いつまでも・・・いつまでもこの恨みを胸に秘めたままっ!チャンスを待ち続けるからな!”
”オレモナー!絶対に変えような!この腐った国を、俺達ふったりっでさー!”
【モララー死亡 ゲーム中止 生き残り 【男子15番】ネーノ・.【女子21番】レモナ】
「終わった・・・?」
放送を聞いたネーノとレモナが同時に呟いた。
あちらこちらで、ガーッと言う音が聞こえる。
扉が開いている音だろう。
「フーッ」
殺気の抜けたネーノがペタンと座り込む。
「ホラ、休んでる暇はないわ、早く出口を探さなきゃ!」
「や、そうだけどさー、疲れちゃったから・・・」
「・・・そうね」
レモナも座り込む。
「俺さ・・・」
ネーノが何か喋りだす。
「俺さ、帰れたら反BR組織に入ろうと思ってる。」
「・・・でも今回のことで壊滅しちゃったかも・・・」
「だったら作るさ、こんなことで命を落とす子供なんかもういなくていいんだ。」
それだけ言うとネーノは立ち上がった。
「じゃぁ、行こう。」
「うん。」
少し歩いた二人の前に太陽の光が見えた。
出口から出るとそこは海の上に浮かぶヘリポートだった。
ヘリも数機停めてあった。
「・・・。」
「ねぇ今ひとつ思ったことがあるんだ・・・」
「何・・・?」
「これ、どうやって運転するの・・・?」
二人にヘリの運転経験などあるはずもない。
「・・・。」
「運転手が必要なんじゃネーノ・・・?」
「・・・。」
二人が途方にくれていたそのとき・・・
バリバリバリバリバリ
遠くからこんな音が聞こえた。
ネーノがそれを凝視してみた。
「・・・ヘリじゃネーノ・・・?」
「えっ嘘っ!」
レモナもその方向を見た確かに何かが音をたてて飛んでくる。
次第にそれはハッキリしていき、ヘリだということがわかった。
ヘリポート上空に来たヘリのスピーカーから声が出た。
『我々は反BR団体のものだ!!!!君達は生き残りの生徒か!!!!」
「そうでーす」と叫んでも聞こえるわけないので、二人で一生懸命に手を振る。
ヘリは次第に下降して、ヘリポートに足をつけた。
中から、迷彩服を着たAA達が4人ぐらい降りてきた。
「君達は、生き残りの生徒かい?」
「そうです。」
ネーノが応える。
「君達以外に生き残りは?」
「多分・・・いません・・・。」
ネーノが静に応えた。
「そうか・・・」
すすとその反BR隊の人は振り返り。
「おい!チャンコ、ぞにっく!此処の捜査をしろ!BRを管理してるやつらがまだいるやも知れん!」
と言った。
すぐに二人のAAが出て来て「ハッ!」と敬礼してから中へ入っていった。
二人はすぐに見えなくなった。
「さぁ君達、早くヘリへ乗りたまえ、何が起こるかわからない。」
「あの・・・」
ネーノが言った。
「二つ程お願いがあるんですが・・・」
「何だね?」
「僕を反BR組織に入れて下さい。」
そういったネーノを見てレモナもとっさに言った。
「わっ私も入れて下さい!こんなこと二度と起したくないんです!」
「・・・。」
その男は困ったように首をかしげた。
「でも、君達はまだ若い。いろいろ夢もあるだろう。」
そういった男に対して、
「クラスメートのほとんどが死んだなかで僕たちだけ夢を追うのは理不尽です!!」
「・・・またこのゲームが行われ、それを止めに行けば死ぬやも知れんぞ?」
これにはレモナが応えた。
「私たちは皆の分も生きなきゃいけません。でもまたこのプログラムが行われて、それを止めるためなら命も厭いません!」
「・・・そこまで覚悟しているのなら入るがいい。歓迎するよ。」
「ありがとうございます!」
ネーノとレモナが声を合わせて言った。
「で、もう一つの願いとはなんだね?」
「それは・・・この島にあるクラスメートの遺体を集めて一人一人のお墓をつくってほしいんです・・・」
「・・・わかった約束しよう。」
二人の顔に喜びの色が浮かぶ。」
「あ、あと、ギコ、しぃ、とッパ、おにぎり、ありすさんのお墓は近くにしてあげて下さい。制服に名前が縫ってあるからわかると思います。」
「あぁ、わかった。」
「それだけです。」
「そうか・・・では早くヘリに乗りたまえ。」
「ハイ。」
ネーノとレモナが歩きだそうとしたそのとき。
「あ、まだ名乗ってなかったね、私はフーン。反BR団体副長だ。よろしく。」
「よろしくお願いします。」
ネーノとレモナが敬礼をした。
フーンも敬礼をした。
ネーノとレモナが改めて歩き出した。
話している時は気付かなかったがいつのまにかヘリがもう4機ほど着ていた。
二人はフーンに先導され、ヘリに乗った。
すぐにそのヘリは飛び立った。
運転席ではフーンが無線で「生徒の遺体を・・・」みたいなことを話していた。
島が離れていく。
二人の頭に突然クラスメートとの思い出が蘇った。
ギコ、しぃ、モナー、>>1さん、ありす、ッパ、おにぎり、八頭身、イマノウチ・・・
二人の目に涙が溢れてきた。
その涙は故郷につくまで枯れることは無かった。
そして二人は帰って来た。
自分の町に・・・。
終わったのか?
陸軍大臣編(再暫定)
「ネーノ君に、レモナ君か・・・。」
陸軍大臣であり、レジスタンスの長でもある彼はそういった。
「ハッ!!陸軍大臣。しかし今回の騒動はあなたの管轄内にあり、近々解任になるとの噂もあります。」
「いいだろう。ただし・・・このくだらない制度をぶっ潰してからだ。」
陸軍大臣の手には何枚かの書類が握られていた。
「君、これを内閣に提出したまえ。私の解任と引き換えだ。」
「ハッ!!!」
(結局、俺は何が出来たんだろうか・・・。)
あのゲームから逃げ出して、人を殺してこの地位に上り詰め、そして何年も周りで人が殺されてるのを黙認した。
モララー
オレモナー
ありす
そして・・・・・。
(そうだ、北海道に家でも買って作家にでもなろうか。)
もともと文章構成はうまい方だし、まだ20代だ。
あいつの供養の為にも、おれの体験した地獄を一つ残らず小説に書いてやる。
それが俺の最後の抵抗だ。
「この糞野郎。」
彼はジェリコと軍人手帳を机の上に投げ捨てた。
「ネーノ君!」
声が、した。
後ろを向くと、こちらに手を振って走ってきているレモナの姿が見えた。
「こんな所で寝転がって何してるの?」
レモナが、身をかがめ俺の顔を見下ろすように言う。
「いや・・・ちょっと・・・引っかかることがあってさ・・・」
俺は、寝転がりながら言った。
数日前、俺達はこの町に帰って来た。
・・・『あのゲームは無かった事にする様に』と言われ、俺達は適当な駅から家へと帰っていった。
・・・・・・母親は、とても驚いていた。・・・そりゃそうだわな。死んだと思ってた息子がいきなり帰ってくるんだもの。
・・・とりあえず、その日は母親とたわいもない世間話を多々やった後に、眠った。・・・何時間くらい眠ったかな。
・・・で、朝になった。俺は自然の空気が吸いたくなった。で、ここへ来た。・・・あいつとよく来た中学校の裏山だ。
で、色々考え事してたら、何故かレモナがここへ来た。で、今に至る。
「気になる事?」
レモナが小首を傾げて言った。
「何でモララーが突然このゲームを終わらしたのか、って事・・・」
俺は呟くように言った。
「え・・・そう言われると・・・確かに・・・何でだろ・・・」
そうだ。何でなんだろう。
俺達が下であのゲームをやってる時に、上では何があったんだ?
俺達はゲームが終わった後、放送とかをしてた部屋を覗いていない。
そこで何があったんだ?
そこでどういう過程があってゲーム中止になったんだ?
「あ、そんな事どうでもいいの。電話、かかってきたよ。フーンさんから。」
レモナが思い出したように言う。
え、ええ?
「ちょ、それを先に言ってよ!」
反射的に俺は叫んでいた。
そうだよ。大事な事は先に言いましょう。
「この電話番号に、かけなおしてくれってさ。」
レモナが、手書きのメモ帳を手渡しす。
俺は、そのメモ帳に書いてある電話番号を、レモナの電話に一つ一つ丁寧に入力していく。
「あ、スピーカーつけといてね。それ、そのボタン。
あ、あたしの事は言わなくていいよ。もう言ってあるから。『入隊します』って。」
プルルルルル・・・プルルルルル・・・
無機質な呼び出し音が耳の奥をくすぐる。
・・・かかった。
やはりこちらからかけるとなると緊張するな・・・
・・・まず何て言おうか?
呼び出し音が鳴っている数秒の時間の中で、俺は考えた。
ストレートに『入隊する決心がつきましたっ!』か?
それとも回りくどく言うか?
そもそも一発で出るのか?・・・あ、これよく見たら携帯の番号だな。
・・・とりあえず、何を言おう?まず?
・・・いや、まずはあの事から聞こう。・・・彼なら、知っているはずだ。
『はいもしもし。フーンです。』
・・・電話が繋がった。
何だ。以外に一回で出たな。
「こんにちは。ネーノですけど・・・」
『やーぁこんにちはっ!反BR軍に入る決心ついた?
今、ちょっと人が死にすぎて資料纏めたりする人手が足りないからさあー。
もし入隊するなら来週くらいからすぐ来て欲しいんだけど・・・』
フーンさんの声は、あの時とは比べ物にならないほど陽気で弾んでいる。
これが素なのかな・・・まぁ、別にどーでもいいけど。
「あの・・・ちょっとその前に聞きたい事がありまして・・・」
『何だい?』
「AABRで貴方達が俺達を救出してくれたあの後・・・
貴方達あの本部の司令室・・・見ましたよね?・・・どういう状況だったんですか?」
俺がそう言い終えると、突然会話が止まった。
電話の奥でフーンが唸っているのが聞こえる。
『あ、その事については・・・直に見た奴に聞いてくれ。おれなーんも知らんし。んじゃま、変わるから。』
しばらく経った後、フーンがそう言った。
それと共に、受話器から丸い保留音が流れ出す。
・・・一息ついたな。
『はい、変わりましたチャンコですぅ。』
俺もレモナも黙りこくってから数分間、やっと声が聞こえてきた。
(・・・遅い。)
レモナがそう呟いてるのが、かろうじて聞こえた。
『えーっとね。君が聞きたいのは司令室の状況だけ?それともあそこで何があったのか聞きたいの?』
チャンコが言う。
「え、あそこで何が起こってたか知ってるんですか?」
『うん。AABR副官の角耳って奴が話してくれた。』
「・・・じゃあ、教えてください。貴方が知ってる事全部。」
『うん。分かった。』
チャンコがそう言うと、受話器の奥から紙の擦れる音が聞こえた。
紙に書かなきゃいけない程長い話なのだろうか。
とにかく数秒後、それは全て明らかになった。
『話を僕なりに纏めた奴なんだけどね。
・・・あ、途中で話を切るのはやめてくれな。興がそがれるから。
・・・えと、まず、モララー達が居る司令室では、さっき言った副官以外はみんな死んでいた。
数人のあちら側の兵士。政府のジェントルモララー高官。政府のオレモナー副官。
んでもって、君たちご存知の、AABR司令官モララー。・・・みんな、死体だったんだ。』
チャンコがすらりと言う。
みんな死んでいた?モララーも?
「ちょっと待ってください!何でモララーが死んでるんですか!?
少なくとも貴方達があの島に来る15分くらい前には生きて・・・」
『うるさいなぁ。途中で割り込むな言ったでしょ!
・・・で、話続けるよ。
AABR副官角耳・・・彼が言うにはね、色々なことがあったらしいんだ。
・・・まず、オレモナー。彼が突然自分達のやり方に異論を示し始めたんだと。
で、成り行きでモララーがオレモナーを殺しちゃって、それから何か突然暴走してみんな殺しちゃったんだと。
・・・ここまで言うと、まぁ、単にモララーが狂いだした、みたいに考える事が出来るけど・・・
何故かモララー自身も死んでたんだよね。』
モララーも・・・死んでいた・・・
という事は、あの放送が終わってからすぐに死んだのか。なぜ?
・・・えと、自殺でさ、死んでた。自らこめかみをズドン!さ。
・・・正直理由がわからないんだよなぁ。・・・でも、そこで止まらないのが僕。
ぞにっく君と一緒に彼、いや、彼らの過去とかを色々探ってみた所・・・大体分かってきた。
彼は・・・前AABRの優勝者だった。』
え?
あのモララーが?・・・前AABRの優勝者?
『で、その後政府に入ってきてるんだよ。
AABRで政府に苦渋を沢山飲まされた彼が?何で政府の軍隊に入隊するんだろう?
・・・そこは角耳が答えてくれたんだけど、どうやら、あれだ。
彼は、政府で偉くなり、そしてAABR等の腐ったシステムを一切排除する為に政府に入ったんだと。』
「え・・・」
俺は、思わず声を出していた。
モララーが?元は反政府だった・・・って?
どういう・・・事・・・だ?
『・・・驚いてる?・・・そりゃそうだよね。
・・・ま、ちょっと色つけてるんだけどさ、そんなトコ。
で、何で彼はこのAABRを受け持ったんだろう?
何で彼はこんなに変わってしまったんだろう?
・・・そこんとこは正直全然分からない。
・・・ま、僕としては彼の、モララーの親友であるオレモナー。彼が鍵を握っているんだと思うけど・・・
死者を蘇らせる事は出来ないしね。何より、オレモナーの死に方はひどかった。
・・・ま、とにかく、僕達が知ってるのはそれまで。
・・・じゃ、フーンさんにかわろっか?』
俺は、受話器の前で愕然としていた。
モララーが、前AABRの優勝者で、かつ反政府だったなんて・・・
知らない事を知りすぎた。
とてもフーンさんと話す気が起きないよ・・・
「・・・反BR組織に入隊します。・・・詳しい事は明日にしてください。・・・さよなら。」
受話器を切った。
途端に、辺りが静寂に包まれる。
「・・・信じられない・・・わね。」
レモナが呟くように言った。
俺は、無言で頷いた。
「・・・それに・・・オレモナー・・・って・・・」
レモナが小さく呟いた。
・・・レモナの顔は酷かった。
顔が小刻みに震え、青ざめている。
「どうかしたの?」
言いながら、彼女の顔を覗き込む。
だが、覗き込んだ途端に、レモナは何事もなかったかのように満面の笑みを俺に見せ、言った。
「ううん、なんでもない!気にしないでよ!」
・・・気にしないでだって?
・・・あんな酷い顔しといて気にならない訳ないじゃん・・・
・・・ま、でも・・・何かあるみたいだから・・・聞かないでおこう。
・・・とにかく・・・モララーは・・・
何があったか知らないけど・・・モララーは、最終的には決意も性格も変わってしまったんだ。
だから・・・それを何らかの方法であの時悟って・・・
言ったんだ。あの最後の放送のとき・・・
『君たちは絶対に俺のようになっちゃ駄目ですよ!』
・・・ああ、ならないさ。
絶対に、ならない。
もし、なりそうになってしまったら、お前のその言葉を思い出すよ。モララー。
一体、俺達は幾つの死を見てきただろう。
俺達は、何人もの死を見てきた。
その『死』は、癒える事無くいまだ心に深く刻まれている。
じぃ、しぃ、ギコ、モナー、おにぎり君、ありすさん、ウワァァァン君・・・
あめねこ、坂田師匠、1さん、フェラーチョ・・・
死は、絶対に消す事が出来ない物なんだ。
ならば、覚えていよう。
それは、償いでもあり、弔いでもあるんだ。
あのゲームの生存者として、死んでいったクラスメイト達の事を、『永遠に』忘れずに覚えていよう。
そして、終わらせるんだ。血塗られた殺し合いの歴史を・・・
「何カッコ付けてんの?フーンさん待ってるよ?」
「あ、・・・うん、分かった分かった!」
「おかーさんには連絡した?」
「うん、連絡したよ。」
「何て言ってた?」
「・・・あんな殺し合いから生き残って来れたんだから、今度も絶対生きて帰ってこれるだろうってさ。」
「・・・すごいお母さんね。なんか勇気あるぅー。」
「・・・いや、何か父さんもね・・・AABRの優勝者だったらしいんだ。
で、身内が死んだ試しがないから多分今回も大丈夫なんじゃネーノ?って。」
「ふーん。ホントすごいね・・・・・・で、そのお父さんには連絡したぁ?」
「お父さん?・・・知らないよ。物心ついたときには居なかったからさ。」
「へぇー。・・・離婚・・・なんだ?」
「いや、そうじゃないってかーさんは言ってたよ。俺を守るためには仕方がなかったのよとか言ってた。」
「ふーん。何かひっかかるねその言葉。」
「ああ、そうなんだよ。・・・それ以降の父さんについては何も教えてくれないんだよね。
・・・まぁ、どうでもいいんだけどさ。」
「・・・じゃあ、そろそろいこーよ。フーンさん、クラクション鳴らしてるよ。」
「うん。分かった!」
「・・・はぁ・・・・・・でも・・・あたし達、大丈夫かな・・・AABRを破壊するなんて・・・頑張れるかな・・・」
「・・・・・・俺達は生存者なんだからさ。
・・・AABRで死んだクラスメート達の分まで生きて、無念を晴らしてあげることくらいは出来ないと!」
「・・・そだね。あたし達は生存者なんだから、そんくらいやれないとね。」
「じゃ、いこーか!」
AAバトルロワイアル5 -You must survive.- end.
おめ。
465 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/09/08 20:34 ID:4/BqQv4A
エピローグは?
466 :
完成おめ:04/09/08 21:08 ID:7Z20bzO3
エピローグは458から?
次スレは建てるのか?
一応ほす。
ホッシュミ・д・ミホッシュ
保守。
補習。
h
475 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/10/11 15:42:45 ID:asWQ4XRf
保守age
未来に目を向け歩き出す。
その時は気づかない。
いつだって何だって続いている。
繰り返し。
ようやく掴んだ日常も幸せも、昔の絶望へと繋がっている。
二度と失うまいと強く掴んだ日常と共に、暗く深い絶望へ沈んでゆく…。
477 :
ピアニシモ:04/10/15 18:49:24 ID:370cE2KR
俺がやらずに誰が殺る?
未来なんてものは消えうせた・・・。
やってやるさ・・・。
自爆テロなんて、全然痛くなんか無い。爆弾を体中に巻いて死ぬんだぜ。
じゃあな。
| A | B | C | D | E | F | G | H |
______.|_____|_____|._________|_____|_______|_______|._________|_____|
|
1 | + + + + / 北
______.| +i''" ̄`i+ + + + + + + + +i ̄i + /. ↑
| +i" `i + + + i ̄ ̄ ̄ ̄i i ̄i+ +i ̄  ̄i + / 西←┼→東
2 | +i''" i' i ̄ ̄゛i+ + i i i  ̄ ̄ ___i/+ ↓
______.| + +i ̄ i i___  ̄ ̄ i i エリアC __i _!" + 南
| +i ̄  ̄i i i i _i/
3 | +i" i i エリアB i i _i ∠____ ├──┼──┤
______.| +i" エリアA i i i i i i" ̄ ̄ ̄`i | 0 1.5 3 (km)
| +i_ i i i i ____i i エリアD .i |
4 | +i_ i i i i__i┌┐i ____._i | 〜
______.| +i _____,i i、_________i__,, -ー" i i _i,-‐‐┘
| +i'' _i,.-----------┐i ̄ ̄ ̄ ̄ ̄i| i i__i/
5 | +i ___i/ ┌'/ i| . ̄ ̄ 〜
______.| +i__ i,i" 〜 i/ i| p
| +i,,/ |i__ i| ヽニ>
6 | /+ └、 i i| _
______.|/ + |i エリアE i|_|○|
| __|i i ○|←エリア51 〜
7 | 〜 Li_ i| ̄ ̄
______.| q \i,,__ i| p
| <ニ/  ̄|i_____ i| 〜 ヽニ>
8 | 〜  ̄ ̄|i___i|
______.|  ̄ ̄