AAバトルロワイアル5 -You must survive.-
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■■■■■■AAバトルロワイアル雑談スレ■■■■■■
http://aa2.2ch.net/test/read.cgi/aasaloon/1067821682/ ※ここは本文を投稿するスレッドです。雑談や感想などは上記の雑談スレでお願いします
尚、この作品はAAバトルロワイアル4の続きではなく、完全なる別世界の物語です。
詳細は
>>2-6くらい
このスレは、小説「バトル・ロワイアル」と同様に
アスキーアート(AA)のキャラに「殺し合い」をさせるスレッドです。
内容はリレー小説形式ですが、もちろんAAも受け付けています。
ちなみにAAキャラは学生の設定になっているんでその辺りを了承しておいてください。
−−書き手のルール−−
投稿はsageでお願いします。dat落ちしないかと不安になりますが
基本的に書き込みのあるスレは落ちません。
スレが立ってから60日経つと、1日1度は書き込みがないと強制dat落ちになりますが
その場合、1日投稿がなさそうなら「保守書き込み」をされても結構です。
また、駄作を論議するという特質上、書き手はできるだけ固定ハンドルの着用をお願いします。
基本的には学生という設定のキャラを戦わせます。
あくまでも「普通の学生」なので、超人的な能力を持つようなキャラは敬遠するようにお願いします。
○ ハッキングのスキルを多少ながら持っている
× 傷が勝手に治る体質
また、プログラム運営側や、兵士達、更に反政府団体などの、「学生」以外のキャラが戦闘に参加したりするのは
過去に起こった騒動に発展する場合がありますので敬遠するようにしてください。
生徒はあくまでも平等に扱ってください。この物語の主人公は生徒であり、特定の人物ではありません。
生徒には始まると同時に武器や食料が入ったデイパックを支給されます。
支給される武器は基本的には何でもいいんですが、「あまりにも強すぎる武器」は敬遠するようにしてください。
○ サブマシンガン
× ロケットランチャー
人が書いていたキャラを書き続ける場合は、そのキャラの状況を、ログを読むなりして理解してください。
どこのエリアにいるのか、今は何時か、怪我を負っているか、誰かと一緒にいるのか、武器は何だ…など。
矛盾した設定を残すと後にも響いてくるんでこの辺りは特に気をつけるようにして下さい。
あまりに矛盾した内容の場合は雑談スレで議論後、スルーされることもあります。
そして、書くキャラの性格などを最初からつかんでおいて、その性格に沿った物語を展開していくと
読み手にも「ああ、コイツの性格が出てるなぁ」など読みやすくなります。
例えばモナー。彼がいきなり凶暴な殺戮キャラになったら、少々困惑してしまうものでしょう。
キャラの性格などは、「AA大辞典」や、各板にあるそのキャラの専用スレなどで掴むといいでしょう。
参考:AA大辞典(仮)
http://maruheso.at.infoseek.co.jp/aadic/
生徒名簿
AABR担当官:モララー
【男子1番】アサピー .【女子1番】あめねこ
【男子2番】アヒャ 【女子2番】ありす
【男子3番】
>>1さん 【女子3番】ぁゃなみレイ
【男子4番】イマノウチ 【女子4番】ガナー
【男子5番】ウワァァァン .【女子5番】ザーボン
【男子6番】おにぎり 【女子6番】しぃ
【男子7番】ギコ 【女子7番】ダヤース
【男子8番】キユ .【女子8番】づー
【男子9番】さいたま右 【女子9番】でぃ
【男子10番】坂田師匠 .【女子10番】ニラ茶娘
【男子11番】ショボーン 【女子11番】ねここ
【男子12番】シナー .【女子12番】・
【男子13番】ッパ .【女子13番】みるまら
【男子14番】ドクオ .【女子14番】モラリ
【男子15番】ネーノ 【女子15番】モナエ
【男子16番】八頭身 【女子16番】モネー
【男子17番】フェラーチョ .【女子17番】モナカ
【男子18番】ぼるじょあ 【女子18番】モニカ
【男子19番】メモラー 【女子19番】リル子
【男子20番】モナー 【女子20番】ルルカ
【男子21番】山崎 渉 【女子21番】レモナ
| A | B | C | D | E | F | G | H |
______.|_____|_____|._________|_____|_______|_______|._________|_____|
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1 | + + + + / 北
______.| +i''" ̄`i+ + + + + + + + +i ̄i + /. ↑
| +i" `i + + + i ̄ ̄ ̄ ̄i i ̄i+ +i ̄  ̄i + / 西←┼→東
2 | +i''" i' i ̄ ̄゛i+ + i i i  ̄ ̄ ___i/+ ↓
______.| + +i ̄ i i___  ̄ ̄ i i エリアC __i _!" + 南
| +i ̄  ̄i i i i _i/
3 | +i" i i エリアB i i _i ∠____ ├──┼──┤
______.| +i" エリアA i i i i i i" ̄ ̄ ̄`i | 0 1.5 3 (km)
| +i_ i i i i ____i i エリアD .i |
4 | +i_ i i i i__i┌┐i ____._i | 〜
______.| +i _____,i i、_________i__,, -ー" i i _i,-‐‐┘
| +i'' _i,.-----------┐i ̄ ̄i| ̄ ̄ ̄ i i__i/
5 | +i ___i/ ┌'/ i|___,,  ̄ ̄ 〜
______.| +i__ i,i" 〜 i/ `ー---、| p
| +i,,/ |i__ i| ヽニ>
6 | /+ └、 i i| _
______.|/ + |i エリアE i|_|○|
| __|i i ○|←エリア51 〜
7 | 〜 Li_ i| ̄ ̄
______.| q \i,,__ i| p
| <ニ/  ̄|i_____ i| 〜 ヽニ>
8 | 〜  ̄ ̄|i___i|
______.|  ̄ ̄
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−会場地図−
バブル崩壊と同時に開発が閉ざされた地帯。
ゆえに様々な建物や、建設機具などが放置されている。
周囲は高圧電線で囲まれており、全部で五つのエリアに別れている。
・エリアA : 廃屋が立ち並ぶエリア。
・エリアB : 建物の無い荒れ地。
・エリアC : 建設途中のビルが多数あるエリア。
・エリアD : 夢の島のようなゴミ捨て場。
・エリアE : 高層ビルが立ち並ぶエリア。
・エリア51 : 本部があり、ゲームのスタート地点。
────────────────────────────────
※文章中で、できるだけ現在の場所などを読み取りこの地図を参考にして書き手は頑張ってください。
AAバトルロワイアルも5スレ目に突入しました、おめでとうございまーす!!
新スレを記念して、ちょっとした詩をどうぞ・・・・・・・・
なお、本編には一切関係ありません。
昨日までの僕らは何だったんだ?
一緒に勉強し、一緒に話し、同じ釜の飯を食った。
なのに、そいつらは皆、今僕を殺そうとしている。
牙をむき、刃を携えて。
なぜそうなったのかはもう分かっている。
生きて帰れないのはもう分かっている。
でも、君は生き残ることが出来る。
君と僕との絆はまだ失われてはいない。
生き残って、皆に伝えてくれ。
友と殺し合う悲劇を。
大人達がしている事の愚かさを。
このゲームの真実を。
どうか、君は生き延びてくれ。
いや、君は生き延びなければならない――――――
>>1 乙カレー!
>>6の詩も(・∀・)イイ!!
書き終わり次第投下するのでマターリと待っていてください。
書くのが遅くてスマソ。
新スレ乙彼です。>>6さんのプロローグ(?)もグッジョブです。
私も武 ◆HWJJFVYzzY さんが投稿しだい、投下してみます。
とりあえず雑談・感想・批判などは雑スレに書き込むがいいかと。
と言ってみるてst
根本に関わるんだが、マップって本当にあれでいいのか?
議論スレでもいろいろ言われてるようだが。
同志が作ってくれたマップ修正版
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暗い部屋。天井には古びた電灯が黄ばんだ光を出してはいるのだが、それでもこの部屋全体を照らしているわけではなく、部屋は暗かった。
異様な静けさが続く部屋の中は、奇妙なことに、大人数の人間がいた。しかし彼らは、部屋に置いてある何個もの机に身をあずけたまま、動かなかった。
もちろん彼らは死んでいるわけではなく、修学旅行に行くためのバスの中、突然入り込んできた人間達に睡眠ガスを撒かれ、まだ眠っているだけである。
この部屋の中は教室風になっており、正面には教壇、黒板の代わりに白いホワイトボードが立っていて、部屋には何個もの机が置いてあり、生徒一人一人が眠っている。
教壇の後ろには、一人の男が立っていた。黒いスーツに身を包んだその男は、眠っているわけでもなく、ただ何も言わず立っているだけである。
教室風の部屋の窓からは、黒く染まった海が見えた。海には大きな船が何隻か航行しているだけで、波の音だけが静かにこの「会場」を包んでいた。
そしてもう一つおかしな点は、机と椅子に体重を預け眠っている生徒達の首に、銀色の輪がはめられていた。しかも、全員。
しばらくして、部屋の扉ががらがらと開くと、そこから数人の人間がぞろぞろと入ってきた。その男達はヘルメットや軍服を装備し、肩にはライフルを吊っている。
いかにも、兵士らしき格好の者達であった。教壇にいた男が兵士らしき男たちを一目見て、頷いた。
そして静寂を保っていた部屋に、突然轟音が鳴り響いた。じりじりじりじりと、劇場の開幕ベルのような音が大音量で部屋の天井付近にあるスピーカーから流れた。
眠っていた生徒が次々と起きだし、この不可解な部屋、兵士や正面にいる男たち、自分たちの首にはめられた輪を見た後、ぞろぞろ生徒内だけでと話し始めた。
「ここどこだ?」
「アルェー、修学旅行じゃなかったのかYO」
「あの人誰?」
「あいつ銃持ってるぞー、何なんだ?」
「というかこの首のやつ何だよ」
しかしそれも、教壇にいた男がぱんぱんと手を叩き、静まった。これは明らかに何かおかしかった。生徒達は不吉な予感を感じつつも、正面の男に視線を合わせた。
教壇に立っていた男は、にやりと笑みを浮かべると、ようやく口を開けた。
「みなさん始めまして。残念ながら修学旅行は中止になりましたー。私は臨時教師のモララーです。えー修学旅行が中止になったのは残念ですがあ、これから楽しいゲームをやろうと思います」
再び、部屋の中がざわざわとし始めた。モララーと言った男は、ホワイトボードにある文字を書いた。"AABR"と。
「えー皆さん静かにしてください。これから何をするか説明をしま〜す。なーに簡単なことです。これから―――」
モララーが一息起き、にやっと表情を変えた後、続けた。
「これから殺し合いをしてもらいま〜す」
【残り42人】
モナー(男子20番)は、モララーが何を言ったのか、よく分からなかった。
殺し合い?何だ?殺し合い?修学旅行はどうなった?あの兵士みたいな人は?この首輪は?
教室内は更にざわざわし始めた。隣に座っていた女子も、後ろの女子と話し始めた。
「ルールは簡単でぇす。」
モララーが少し大きな声で言った。ざわつきは収まらなかった。
確か今日は9月20日、2ちゃん中学校3年生は修学旅行の日だ。バスに乗って、目的地は・・・バス?確かバスに乗ったとき、変なやつらが入ってきて消火器みたいなのを・・・
モナーはようやく思い出した。バスの中に乱入してきた耐火服のようなものを着た、ガスマスクの男達。やつらが消火器のようなものを撒いて、突然眠くなって・・・。
そしてモナーは考えた。あの消火器みたいなものから出てきたのは、睡眠ガスのようなものだったのだろうか?そして僕達は眠って、ここにいるのだろうか?
窓の外を見た。既にモララーという男の話など耳に入ってはいなかった。殺し合い?馴れ合い?そんなのは今はどうでもいい、とにかく今はここがどこか―――
―――ちょっと待て。殺し合いと言ったのか?今の男は。
その時、ぱん、というでかい音が部屋のざわめきを消した。正面、モララーという男が立っていた方向を見ると、その男が拳銃を握って、正面に向けていた。
モナーが降りかえると、部屋の後方、既に塗装が半分はがれ落ちている壁に、不自然な小さい穴ができていた。これでも視力は高い。
「騒ぐと撃つぞー、静かにしるー」
モララーがなだめるような口調で言うと、部屋はすぐに静かになった。あれは本物の拳銃だろうか。とりあえず今は、騒がないほうがいいのか?
【残り42人】
「いいかー、お前らは今から殺し合いをしてもらいます。ルールはありません。殺すのはこの部屋にいる友達でぇす。」
少しざわつきが起きたが、さっきモララーが「騒ぐと撃つぞ」と言ったので、あまり言葉が出ないようだった。モララーは話を続けた。
「ルールは簡単、殺し合って最後に残った一人が優勝です。優勝者には小泉純一郎総理からの感動の言葉と、生涯の生活保障が与えられます。え、何でこんなことするかって?
いやあ世の中はすっかりダメになってしまいました。これからは自分たちの国を武力で守っていくことも大切です。いいですか、これは国民テストです。若者を戦わせて、データを収集し、
自衛隊などの国防に役立てていこう、というわけです。このために若い人の血が流れるのは大変惜しいですが、国のためだということを忘れないように」
モナーは少しずつ意味が分かってきた。殺し合いをするというのだ。普通なら冗談だろ、の一言で済むが、相手は銃みたいなものを持っていたし、大体あの兵士みたいなのは何だろうか?
「殺し合いに関してあまりルールはいりません。友達を信じて一緒に行動するもよし、裏切って殺すのもよし、隠れるのもよし」
そう言ってモララーは今度は首を指差した。モララーの首には何もないが、生徒の首にはわけのわからない首輪がついている。勿論、モナーの首にもだ。
「その首輪はあなたの心音に反応した機能します。あなたが死ぬとこちらの生存ランプが消え、死んだことが分かります。死亡者は毎日6時間ごとに行われる放送で放送します。
この放送では6時間以内に死んだ生徒と、禁止エリアを放送します。ああ、禁止エリアというのは、最初に貰える地図を見れば分かると思います。これは、あとで説明するよ。
これからあなた達はこの施設から出発してゲームを始めます。ゲーム会場から抜け出すのは無理です。会場の端には高圧電流の柵があるので、触れると問答無用で死にます。
海も無駄です。あなた達の現在地は首輪を通してこちらにも分かりますが、海を泳いでる馬鹿者がいた場合は、こちらから信号を流します。ああ、信号を流すとどうなるかって?」
モララーは一息置いて、ゆっくりと続けた。
「ばくはつします」
首輪に触れていた何人かが慌てて手を離した。モララーはまたにやりと笑うと、続けて話し始めた。
「その首輪の中には爆弾が入っています。こちらから信号を送ったり、無理矢理はずそうとすると爆発します。解除は無理です。政府のプログラマなめるなよこの野郎。
そして首輪が爆発する理由がもう一つあります。禁止エリアです。出発する時地図を配りますが、その地図は「A-1」「A-2」「B-1」など、エリアで区切られています。
6時間ごとに放送があるってのはさっき話しましたが、禁止エリアのこともその時放送します。先生が放送で「1時間後から○-○エリアは危ないぞー」と言います。
指定した時間までそのエリアにいる馬鹿者は、やはり首輪が爆発します。こうすればだんだん戦えるエリアが狭くなり、死者も増えてきます。いい考えでしょ。
ちなみに放送では1時間後、3時間後、5時間後の禁止エリアを放送します。今は夜中の12時なので―――」
モナーはそう言われて腕時計を見た。時計はAM12:05、モララーの言葉に嘘はない。
嘘がないからこそ、これから殺し合いをすると言う現実が、ようやく怖く感じてきた。周りを見ると、震えている生徒も、いた。
それを見て、モナーも少し、恐怖が大きくなっていった。
【残り42人】
そんなモナーを尻目に、モララーのルール説明は進んでいた。
「ちなみにこのエリア、出発地点はF-7エリアにあたります。ここからみんなは出発するわけですが、このF-7エリアは、みんなが出発した後、禁止エリアにします。
理由は、本部を狙ってくる馬鹿者を防ぐためです。ちなみに出発順はあとで決めます。指定された人から男女、男女交互に2分間隔で出発します。
出発する時に、この部屋の外に山積みにされているデイパックを受け取ってもらいます」
そう言うと入り口付近にいた兵士ががらがらと扉を開けた。モナーの目には、デイパックらしきバッグの山が見えた。
モララーが入り口付近を一目見た後、続けた。
「このデイパックの中には、食料、水、地図、懐中電灯、コンパスが入っています。あと、君達が私物で持ってきた旅行用バッグも、机の下にあるので、同じく持っていってください。
それとデイパックの中には重要なものも入っています。武器です。武器の中身は人それぞれです。銃もあれば、どうしようもないものもあります。人間、生き残るためには運も必要だということです。
ま、基本的にはこんな感じです。出発したら会場範囲内ならどこに移動してもかまいません。ただし首輪の電波はどこまでも届きます。注意してください。それと、電話はつながりません。
携帯電話を持ってきてる人が数人いますが、つながらなかので電話で助けを呼ぼうとしても無駄ですそれと、24時間誰も死者が出なかった場合、全員の首輪が爆発するんで注意してください」
携帯電話は持ってきちゃいけない決まりだったような?ルール違反などという言葉が辞書にないモナーは疑問に感じた。
モララーが教壇の中から封筒を取り出した。さっきから持っていた拳銃を教壇の中にしまい、封筒の口を破って、中身を見て、すぐに中にに仕舞った。
「出発順が決まりました。男子11番、ショボーン君から順番に出ていってください」
モナーの右後方にいたショボーン(男子11番)がびくっと体を震わせた。普段目立つことのない彼に、クラス中の視線が注がれていた。
ショボーンはがくがくと震える足で何とか立つと、机の横にあった私物のバッグを取った。そのまま、ゆっくりと、入り口まで歩いて行った。
ちらっと、ショボーンが生徒達に振り返った。顔は青ざめてあり、ひざはまだがくがくと震えていた。
入り口付近にいた兵士からデイパックの一つを受け取り、ショボーンはゆっくりと、部屋を出ていった。しばらく歩いていたようだが、その後走ったような足音が聞こえ、すぐに聞こえなくなった。
ショボーンは内気で目立たないタイプだったはずだ。大丈夫だろうか、とモナーは考えながら、他の生徒達を見渡した。
自分は特にクラスでも普通のタイプで、まう人並みの人間だろう。仲の良いギコ(男子7番)や
>>1さん(男子3番)、特に好きというわけではないが近くにいるレモナ(女子21番)などのことを考えた。
「2分後に女子11番のねここさん、その2分後男子12番のシナー君、出発してください」
モララーが喋ったのをほぼ聞き流し、ギコたちのことを考えた。
ギコや
>>1さん、レモナ達なら自分を殺そうとはしないはずだ。いや、それにクラスメイトが殺し合いをすること自体ないんじゃないか。
普通のクラスだったけど、殺し合うようなクラスじゃないはずだ。―――しかし、そうだったらモララーが言っていた「24時間誰も死ななければ全員の首輪が爆発します」という言葉が気にかかった。
なに、24時間なんて長い。みんな集まって、意見を出し合えば、ここを襲撃したり、脱出する案も浮かぶはずだ。
第1自分はクラスメイトを殺そうなんて思わないし、みんなも思うはずがないだろう。みんな人間なんだ。
そうこう思っているうちに自分の番が近づいてきた。自分の前のリル子(女子19番)が部屋を出て、「次、男子20番、モナー」というモララーの声が響いた。
大丈夫、大丈夫、大丈夫・・・そう自分に言い聞かせ、モナーは恐怖を押し消していた。すぐに2分が経ち、モララーが声を発した。
「男子20番モナー君、出発してください」
モナーはゆっくりと立ち上がった。私物のスポーツバッグを手に取り、まだ座っているギコや
>>1さん達に視線を合わせた。みんなこちらを向いていた。
大丈夫、そう言うようにモナーはみんなを見つめ、入り口まで歩いた。廊下付近に立っていた兵士からデイパックを受け取り、ゆっくりと、出口まで歩いて行った。
試合開始の笛が、音もなく鳴り始めた。既に時計は1時前を刺していた。9月の夜の風が、久しぶりにモナーの肌に触れ、モナーはそのまま、闇の中へと消えた。
【残り42人】
【男子17番】フェラーチョは、エリアDのゴミ捨て場をさ迷い歩いていた。
一面に広がるガラクタやゴミ。そして、悪臭。
彼は、とにかく遠くへ行こうと思い、本部から一気にここまで走ってきた。
多少息切れはしていたが、まあ全然歩ける。
フェラーチョは、学校一の不良学生であり、色々な悪事を働いてきた。
万引きや恐喝や強姦等は日常茶飯事であり、故に何度も少年院を出入りしているらしい。
しかし、フェラーチョはあまり殺しには乗り気ではなかった。
さすがに彼もまだ臆病な子供なのだ。そう容易く人を殺せる筈が無い。
・・・くそっ。今までのツケが今頃になって回ってきやがったのか・・・?
フェラーチョは小さく呟いた。
一面に立ち込める悪臭、霧がフェラーチョの鼻腔をくすぐる。
しかしフェラーチョの麻痺した感覚のせいで、特に気にはならなかった。
・・・俺が最後まで生き残るにはどうすればいいんだ?
勿論俺は他の奴を殺すなんて大それた事は出来ない。・・・何故なら臆病だからだ。
・・・そうだ。ずっと何処かに隠れてればいいんだ。
それで、他の奴らは殺しあって自分以外いなくなる・・・そして、俺だけが優勝・・・そうだ!それがいい!
フェラーチョはそう考えると、何処かに身を潜めそうなところを探した。
しかし、身を潜められそうな所など一つも無い。そういえばこのエリアは一面見通しがよ過ぎる。
こりゃアブねえよな・・・
そう悟ったフェラーチョは、すぐにこのエリアが脱出しようと思った。思えば俺は何でこんな所に来てしまったんだろう。
フェラーチョが一度来た道を戻ろうとすると、
「おい」
誰かの声。聞き覚えのある声。
フェラーチョの心臓がギョクン、と大きく鳴った。
フェラーチョは、恐る恐る後ろを向く。
「ここにいたのか。」
そこには、自分の子分である【男子15番】ネーノが立っていた。
ネーノがにこっとフェラーチョに微笑みかける。
「ネ、ネーノか・・・」
フェラーチョは、心の底から安心しきったような声を漏らした。
その場にへたり込むフェラーチョ。
「どうした?いきなりへたり込んで・・・」
ネーノが怪訝に尋ねる。
フェラーチョは、破顔したまま答えた。
「いや、後ろにいたのがお前でよかったんだよ・・・お前は俺に忠実だったし、だから安心しちまってな・・・」
ネーノがフッと笑った。
そして、へたり込んでいたフェラーチョに向かって手を差し伸べた。
「・・・ネーノ。」
フェラーチョは素直にネーノの手を掴み立ち上がった。
その瞬間彼は最早このゲームの緊張感を失くしてしまった。
「聞きたい事があるんだ。フェラッチョ。」
「何だ?」
ネーノがいつもの口調で言う。そういえばこいついつも冷静だ。
「俺ってそんなに信用が出来るか?」
ネーノは、静かに言った。驚くほど無表情だったが、フェラーチョは何も気にならなかった。
「ああ。さっきも言ったけどお前は俺に忠実だった・・・だから信用出来る。」
フェラーチョは素直に言った。
普段のつっぱっているフェラーチョは最早もうそこにはいない。
「そう・・・か。」
「ああ、そうだ。」
フェラーチョが笑い返す。ああ、俺自然に笑ったのいつぶりだっけな。
「・・・あ、そういえばフェラの武器は何だった?ちょっと見せてほしいんじゃネーノ?」
ネーノはそう言うと、手を差し出した。
・・・そういえばまだディパック開けてなかったな。
フェラーチョは突然ディパックの存在を思い出し、ディパックの中をあさり始めた。ネーノがその様子をじっと見ている。
ディパックの中には、食料、飲料、・・・なんだこれは。食料とか言って何のこじつけも無いロールパンかよ?ふざけるな。
と、フェラーチョの指先に固い感触が伝わった。
・・・銃。何の銃かは分からないが、とにかく大きく頼りになりそうだ。(ちなみにその銃はM4と言って立派なマシンガンである。
フェラーチョは、それをディパックから出し掲げた。
・・・黒い。この闇じゃよく分からないが、とにかく・・・大きい。強そうだ。
「それがお前の武器?」
ネーノが尋ねる。
フェラーチョは無駄に大きく頷いた。フェラーチョは今までに無いくらい興奮している。
・・・これを使えば誰でも殺せそうだ。
フェラーチョは、その強力な武器を手にした途端、突然ある考えが頭をよぎった。
「フェラ?・・・ちょっと俺にも触らしてくれよ。」
ネーノがしたから声を出した。
「あ、ああ。」
フェラーチョは、M4をネーノに渡した。
フェラーチョの手に、あの銃のゴツゴツした感触がまだ残っている。
・・・確かモララーとかいう奴言ってやがッた。・・・みんな殺さなきゃ生き残れないって。
・・・という事は、無論ネーノも殺さなければいけないという訳だ。
ネーノも、同じ不良グループである山崎の糞野郎と淫乱娘のモネー、それに生意気ギコも・・・?
ふふふうははは、そうだ。隠れてるなんてそんな事しないで真っ直ぐに他の奴らを殺せばいいんじゃないか。
あの銃なら誰でも殺せる・・・・そうだ。誰でも殺せるんだ。あはははははははははははは
・・・ちっ、ネーノの野郎まだ銃をイジってやがる。
当たりの武器を引いたフェラーチョは、既にネーノを殺しの対象としてしか見ていない。
彼は、まだ人生を楽しみたかった。まだ遊び足りない。まだ女とヤリたりない。
ふふ・・・悪いなネーノ。俺のために死んでくれ。
「ネーノ!銃を返せ!」
フェラーチョは声を荒げて言った。
銃にしか関心が行ってなかったネーノがフェラーチョの方を振り向く。
「これを返して欲しいのか?」
ネーノが銃を片手に言う。
「ああ。」
「何でだ?」
「使うからだ。」
「ほぉ。そんな使いたいのか?」
「勿論だ。」
フェラーチョは興奮して軽く酔っていた。故に彼の口調の違和感には気付かない。
「じゃ、返すわけには行かないね。」
ネーノは、そう言うと銃を後方に大きくほおリ投げた。
銃は大きく孤を描き、トサッと音を立てて床に落ちた。
フェラーチョは、ネーノの予想外な行動に面を食らった。
・・・な に を し て る ん だ ね ー の ?
ネーノは、口元に笑みを浮かべている。
その笑みに、フェラーチョは無償に腹がたった。
・・・お前だけはマトモだと思ってたのに、お前もやっぱく ず だ 。
「ネーノ!てめぇ!」
キレたフェラーチョは、怒りのままにネーノに殴りかかった。
「痛てぇぇぇぇ!」
今俺の身に何が起こったんだ・・・?
俺が奴に殴りかかった。
奴は避けた。するりって・・・いともたやすく・・・
それで・・・俺が体制を崩してこけた・・・
それで・・・痛くて目を瞑って・・・それで・・・なんで、何で、ナンデ、
何で俺の腹にこんな物がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
フェラーチョの腹には、大きめのアーミーナイフが突き立っていた。
今まで感じたことの無いとてつもない痛みがフェラーチョの腹部から爪先まで電気のように行き渡る。
いたいいたいいたいいたい熱い!!
「うぎゃああああああああーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
フェラーチョは我慢できずに大声を張り上げた。
動こうとしたが、ネーノに体を固定されて動けない。
ネーノ・・・?・・・あいつ、俺の腹部のナイフを握ってやがル!
ど、どうするつもりだ・・・?もう、もう、おレぎゃあああああああああああ
「ひあああぁぁぁぁぁぁぁ!」
ネーノは、刺さったナイフを更に捻り込み、傷口の中に空気を送り込んだ。ネーノは微かに笑っている。
フェラーチョの傷口から血が滴り落ちた。
「もう・・・やめてくれ・・・ネーノ・・・なんでこんな事を・・・?」
フェラーチョは懇願するように言った。顔にはは涙やら涎やら色々な体液が出てきてていた。
いたいよぉぉぉぉぉ
「・・・別に止めてあげたっていいんじゃネーノ?」
え?
ネーノがナイフを捻るのを止め、すぐに引き抜いた。血が噴水さながら宙を舞う。
随分あっけなく止めてくれた。
そして、ネーノは血に濡れたナイフをそこに残し、その場を立ち去ってしまった。
・・・なゼ?
フェラーチョは、しばらく呆けたままそこに倒れていた。
しかし、すぐにネーノへの怒りが心をうめつくした。
あの野郎。俺の下僕の癖してこんな事を・・・殺してやるぜ猿がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
フェラーチョは、腹部の激しい痛みを抑えながら、立ち上がった。
そして、体を折り曲げ、ナイフを拾う。再び腹部に電撃のようなものが襲う。
しかし、痛がってられない。あいつを殺さねば、殺さねば、猿猿猿猿猿猿猿猿猿猿
フェラーチョは、背中を向けているフェラーチョに狙いを定めた。何かを拾っている。だがそんな事はどうでもいい。
「ぐおあああぁぁぁぁぁぁ!!」
フェラーチョは奇声を上げながらフェラーチョに走りよった。無論ナイフを持ちながら。
ネーノが驚いたように振り向く。だがもう遅いぃぃぃぃ、死ね猿がぁぁぁぁぁ
ぱららららららららら
ネーノは、ただ振り向いただけでなく、銃を撃った。
先ほど拾ったフェラーチョの支給武器・・・M4を。
フェラーチョは、叫び声を上げる余暇も無く、地に突っ伏した。顔に銃創が集中している。ぐちゃぐちゃだ。
ネーノは鼻をつまみ、顔をしかめながらフェラーチョの手からナイフをもぎ取り、M4と一緒にディパックにしまい込んだ。
「・・・何でも自分の思い通りになると思ったら間違いなんじゃネーノ?」
ネーノはそう言うと、返り血を拭き取りその場を後にした。彼の足取りは何故か妙に軽かった。
【残り41人】
これは
>>12さんの話の前に入ると考えてください。
2ちゃん中学校3年生の修学旅行当日―――
2ちゃん中学校3年生は修学旅行行きのバスに乗っている。今日は9月20日修学旅行だ。
いつものように、にぎやかで、窓ガラス越しに見える観光名所AAサロン山は有名だ。さらに窓の外には秋特有の紅葉やその他の自然が窺がえる。
後ろの座席に座っているのは、ネコ型AAのギコ(男子5番)彼は気性の荒い奴だが根はいい奴。モナー(男子20番)は普段からぼけ〜としてるが温厚だ。アヒャ顔が特徴のさいたま右(男子9番)は能天気で、いつも明るいAA。
彼ら3人が仲良く話している。彼らは2ch(2chとは謎が多い組織で、AAサロン板・・・いやどこの板の住民もその組織の実態を知る者が居ない。と言うほど不気味な組織だ。)の噂話について、面白がりながら語っているようだ。
窓際の一人席に静かにたたずんでいるのは、フェラーチョ(男子17番)パーマが特徴の彼は学校一の不良中学生で、そして、かなりのレイプ魔。そのおかげで過去に何度も警察に補導された事があったからたまったもんじゃない。(最近はやや落ち着いてるようだが・・・)
ちなみに、そんな彼の実際の生活を知る者はほとんど居なく、幼少時代の暮らしについては、まったく謎だ。
フェラーチョとは反対側の窓際の2人席に座っているのは金髪で上品にセットしてある髪が特徴の、1さん(男子3番)その1さんの隣に座っているのは、クラス1背が高く大柄な8頭身(男子16番)が座っている。
彼はとにかく1さん命で、いつもこそこそとストーカーをしつつ、「1さん(;´Д`)ハァハァ」などのキモイ言葉を口に出し、1さんをストーキングするのが趣味。ちなみに彼は1さんには嫌われていた。
そんな二人に偶然。いや神様が悪戯したのか彼らはたまたま同じ席になったのだ。8頭身はとにかく嬉しいらしく、1さんをずっと見つめては(;´Д`)ハァハァしてるようだ。(これだから1さんに嫌われる理由もわかる。もっとも1さん自体はもっと別の理由で8頭身が嫌いらしいが)
「1さ〜ん一緒の席になれてよかったね。(;´Д`)ハァハァ」
「ウワ〜ンキモイヨー」
あの二人はさておき、一番前の席ではガナー(女子4番)ギコと同じくネコ型AAのしぃ(女子6番)を初めとする女子グループが楽しそうに話をしているようだ。
中央の席に座っているのは、なぜかいつも笑顔の山崎渉(男子21番)と「アルェー」が口癖のぼるじょあ(男子18番)の不良二人組。フェラーチョとはまた違う不良連中だ。
「これからも僕を応援してくださいね。」
「アルェーサロン山が見えるYO!」
二人は修学旅行用の荷物から小さなケースのようなものを取り出し、中から煙草を取り出しそれにライターで火をつけた。煙草特有の嫌〜な匂いが漂って来る。
彼らが煙草を吸うのは日常茶飯事の事なので、誰も注意はしない。
いつもと変わらない日常を生徒達は満喫しながら、バスは順調に目的地に向かっていた。
バスが走って30分ほどがたった頃だろうか。
―――うん?・・・何だろう?・・・あれなんか眠いや・・・
突然辺りの視界がどんどんと白くなっていく感じがした。それはまるで、辺りが霧に包まれた感じだ。
さいたま右、いや生徒全員だろう・・・が急に変な空気に包まれ、なぜか眠気が襲ってくるような気がした。
右が耳をすますとブシュ―と空気を送り込むような音も微かに聞こえた。
生徒達はだんだんと自分達の目が無理矢理閉じられていくと感じたのは、妄想なのだろうか・・・
体中の力がすぅーと抜け、だんだんと意識が遠くなっていく中。さいたま右は一瞬運転手の姿が見えたのだ。その顔にはお面のような物を被っている。(まるでガスマスクのようにも見えた)
運転手に違和感を感じたが、もう何も感じることなく右の意識は途絶えた。
9月20日午前9時11分 2ちゃん中学校3年生拉致完了
【男子20番】モナーはエリアEを南へととぼとぼと歩いていた。
背中に背負っている荷物がやけに重い。
誰かと会って話し合いたいと思っていたのだが、
5メートル先を見ることさえ困難なこの暗闇の中ではそれはできなかった。
耳を澄ましてみたのだが、小さな人の声とタイプライターを叩くような微かな音が風に乗って聞こえただけで、それ以降は何も聞こえない。
ただ、自分の足音だけが響くだけ。
――誰も、いないモナ……
そう考えると、先ほど押し込めていた恐怖がまた蘇った。
そして、先程モララーがニヤつきながら話していた言葉も。
「殺し合い」
モナーは首を強く振ってその言葉を振り消した。
殺し合いなんて、できるわけが無いじゃないか。
ほんの少し前まで皆で授業を受けたり、遊んだりしていた仲間達となんて。
――そう、誰も殺し合いなんてしたくないはずなんだ。
そう考えると少し気が楽になり、モナーはビルの影に腰を下ろした。
「……あ、そうだ」
モナーはふとデイパックの存在を思い出した。
荷物が重かったのはこれのせいだったのか。
とりあえず、モナーは荷物を開けた。
……見るからに味気のなさそうなパン、ペットボトルに詰められた水。
地図に、コンパス。
「懐中電灯が入っていたモナ……」
これさえあればもっと楽に歩けていたはずなのに。
モナーはがくりと肩を落とした。
気を取り直して、懐中電灯を付けてさらに荷物を漁る。
確か、武器が入っていたはずだが。
「……これは」
鞘の中に収められた、小さなナイフ。どうやら果物ナイフのようだった。
それをディパックの中に放り込んで、モナーはぼんやりと空を見上げた。
明かりがないせいか、星がたくさん見える。
それを数えていると、今自分の身に起こっていること全てが嘘だったように感じられる。
――ああ、ずっとこうしていたいな。
モナーの気がふっと緩んだ。
瞬間、何かがモナーの頬を掠めた。
「……!?」
頬を何か生暖かい物が伝う。手で触れると、べとりとしていた。
もしかして、これって……
モナーの頭が混乱してくる。
固まる寸前の頭から滑り込むように一つの指令が下された。
――逃げろ!!
しかし、モナーの体は固まったまま動けない。がくがくと震えながら、闇の彼方を見ていた。
そこには、【男子11番】ショボーンがいた。
手に拳銃のような物を持ち、なにかぶつぶつと口にしている。
その銃口はモナーへと向けられていた。
微かに、煙を出しながら。
ショボーンが一歩こちらに踏み出す。
「……い」
モナーの耳にショボーンの声が届く。まるで囁くような声。
「怖い……怖い怖い怖い怖い、怖いよぉぉおおおおおお!!!」
ショボーンは叫び、そして引き金を引いた。
銃弾はモナーに当たらず、20cmほど離れた壁にのめりこんだ。
モナーの体は、やっとそれで弾かれたように動き出した。
「う、うわああああっ!!」
モナーは叫びながら、荷物を置いて逃げ出した。
ショボーンは尚も何か叫びながら銃を撃ち続けているが、それは幸運にもモナーに当たらなかった。
ショボーン(男子11番)はモナー(男子20番)がいなくなったのにようやく気付くと、マガジンの弾を全て撃ち尽くした支給武器のワルサーP38に弾を入れ直した。
ゲームの一番始めにエリア51を出たショボーンは、錯乱と恐怖でただ走るしかなかった。そして、やみくもに走り続けた後、とりあえず南の端辺りにあったビルの中に入り、そこで腰を落ちつけた。
10分ほど全力で走り続けた体は、運動が得意ではなかったショボーンを疲労させ、恐怖などを頭の中から少しだが減らしてくれた。
ビルの中は、10年間など放置されていたから当然汚く、部屋一つ一つに段ボールの空き箱やらゴミやらが転がっている有り様だが、汚いものが嫌いだったショボーンは一室のゴミを払い、私物の中に入っていたシートを広げてそこに座った。
ようやく少しばかり冷静になったところでデイパックを開けた。中には支給武器であろうワルサーP38が入っており、おおよそ銃器に無関心だったショボーンは説明書を何度も読んで使い方を理解した。
一通りマガジンに付属してあった鉛弾を詰めたあと、これからどうするかを一人で考え始めた。
―――何で僕が、こんな目に遭わなければいけない。
頭の中はその考えだけが駆け巡り、脱出などの事は全く頭になかった。どうやって「優勝」するかが問題であった。
誰かと一緒に行動するなんて考えるだけでぞっとする。どうせ僕と一緒に行動しようとする奴なんて、僕を利用しようとしか考えていない。
ショボーン自体人と接するのは苦手だったし、友達と言える友達もいなかった。だからこそクラスメイトに対する不信感が大きく、それが恐怖となっていた。
死にたくなかった。生き残るしかない。だから敵を減らさなくては。
今度はその考えだけがぐるぐると頭の中をループしていた。時計を見ると、既に2時を過ぎていた。生徒のほとんどが、既にこの島に出ているはずだった。
死にたくないという考えだけが頭の中を巡っていたが、その考えは一つの物音により強制終了された。
足音が、ビルの中にこだましていた。
ショボーンは心臓が飛び出しそうになり、ほぼ無意識にマガジンを装填したワルサーを右手に掴んだ。足音は小さくなるどころかどんどん近づいてくる。どうする。どうする。どうする。
―――やるしかないだろう。
足音は休むことなくこちらへ向かってきた。ショボーンは武者震いか恐怖からかぶるっと震え、右手に掴んだワルサーをぎゅっと握り締めた。こちらに来たら撃つ。先制攻撃。容赦なくやれる。やれるやれるやれる。
この心とは裏腹に身体は震え、歯がかちかちと、寒中水泳をした後のように、音を鳴らしていた。足音を発する"誰か"がその音を聞いたのか聞かなかったのか、どちらにしろ、声を発した。
「誰かいるの?」
女の声だった。しかしショボーンにはそれが男なのか女なのか関係なく、硬直した体を動かすおまじないのように聞こえた。
「うわあああああああぁあああぁぁぁ!!」
やみくもに叫び、デイパックだけを肩に吊り下げ、ワルサーを右手に握ったままショボーンは部屋を走り出した。相手の返事も待たず廊下へと飛び出し、すぐ左手にいた女子生徒に向けてワルサーを向けた。
その生徒は――誰だっただろう。だが、そんなことは関係ない。誰だろうと敵なのだ。あとはこの銃のトリガーを引けばいい。引けば引けば引けば引けば―――
しかしその生徒の反応が早かった。突然、下腹部に衝撃が来たと思うと、目の前から生徒が消えていた。視界が天井へ行き、そのまま仰向けに倒れた。手からワルサーが離れ、からからと音を立てながら廊下を滑っていた。
体当たりをされたのだ、と理解した。
「わぁああぁぁ!!」
またしてもでたらめに叫び、手から離れたワルサーを探した。獲物を逃したハンターのように、必死になっていた。
体当たりをした生徒はそのまま走り去っていた。ショボーンがワルサーを見つけた時にはもう、視界の中から生徒は消えていた。
【残り41人】
そしてその後、恐怖感だけが一段と大きくなり、目的もなくビルを出た。
そこで、懐中電灯の光を見つけ、それがモナーだと分かった時には撃っていた。トリガーを絞り続け、弾が切れた時にはモナーはいなくなっていた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
ショボーンはモナーが残した荷物には目をくれず、モナーが逃げたと思わしき方向へ向かった。相手は武器を捨てた。丸腰。やれる。殺せる。
敵を減らすことだけがショボーンの行動理念になっていた。モナーを逃がすわけにはいかない。殺さなくては、こっちがやられるだけだ。
恐怖感だけが心を埋め尽くし、叫びながら走るショボーンは善悪の判断もつかなくなっていた。
レモナ(女子21番)は叫びながら走っているショボーンの声を聞いた。
エリア51を出て、とりあえず西に歩いていたレモナは、エリアEに当たるC-7にいた。ここは港になっているようだったが、当然船は一隻もなかった。
レモナは港にあった小屋の裏で腰を落ちつけ、支給武器のボウガンを両手に抱えながらじっとしていた。
殺戮ゲームに投げ出されつつも冷静なレモナであったが、やはり先程近くで聞こえた銃声は少し不安にさせた。しかしそれは、自分のことではない。
―――モナーはどこにいるだろうか。
レモナはこのゲームの中で、モナーを探し出すことが先決であった。もちろんレモナはモナーに好意があったし、モナーの性格上自分が守らねばモナーはすぐ死んでしまうと分かっていた。
モナーが人を傷つけることすらできないお人よしであることぐらい、百も承知である。だからこそモナーは仲間を作ろうとしているだろう。
だからこそ聞こえた銃声はモナーが襲われていないかと不安になっていた。優勝するだけならここで隠れていれば例の「禁止エリア」に引っ掛からない限りほぼ安全だが、特定の人物を守るとなると話は別である。
気にかかったのがショボーンである。いくら恐怖であろうと叫びながら走るなどと言うのは、殺してくださいと言っているのと同じだ。だからこそショボーンのことが気がかりであったし、もしかしたら「やる気」になっているんじゃないかと思った。
不安を抱いていたレモナの耳に、再び銃声が聞こえた。しかもかなり近くだ。
ぱん、ぱん、と数発の銃声が続いていた。さっき聞こえた銃声と全く同じだった。襲っている方、もしくは襲われている方がショボーンである可能性が高かった。
別にショボーンなど助けたくはないがモナーが襲われているという不安があった。近くであるということから、レモナはデイパックとボウガンを抱え、銃声の聞こえる方向へと移動した。
【残り41人】
「うわああぁああああああ!!」
ショボーンはD-7、廃屋がちらほらと立ち並ぶ場所でモナーを見つけていた。モナーは丸腰で、抵抗もできないまま逃げるだけだった。
モナーは一つの廃屋の周りを走りまわり、弾を避けながら、ショボーンに話しかけていた。
「お、落ちつくモナ、話せば分かるモナ」
「ああぁぁああ!」
しかし、モナーの声も耳に入らない様子で、ショボーンはワルサーを撃ちまくっていた。モナーのすぐ横にあった廃屋の壁が、砕け散った。
―――何なんだモナ。ショボーン君はこんなことをする人じゃないはずだモナ。
疑念を抱きつつも今は逃げるしかなかった。このままでは一方的に殺される。何とか逃げなくては。
ぱん、ぱんという銃声はとどまる気配すらなかった。一時弾が切れたのか銃声が途切れたのだが、すぐにまた銃声が鳴り始めた。モナーは逃げればよかったと後悔しつつも次の弾切れを待っていた。
その時だった。東の方から誰かが走ってきたようだった。銃声を聞きつけた生徒だろうか?丸腰ではまずかった。武器がなければ、とにかくここは、まずい。
話し合いが無理だとモナーは判断した。とりあえず今は逃げて、デイパックを捨てた場所に戻るのが先決だった。話す前に撃たれちゃ何もできないモナ!
「やめなさい」
人影が叫んだ。やめなさい、ということはショボーンに言っているのだろう。しかし、ショボーンは突然その人影に向かって、撃った。ぱん、という音が違う方向に鳴った。
「やめなさい!」
人影がもう一度叫んだが、ショボーンの耳には入っていないようだった。モナーはとりあえず、ここから逃げなければいけないという考えでいっぱいだった。人影のことなど考えずに、ぱん、という銃声を合図に、南へと駆け出していた。
待ちなさい、と誰かが叫んだような気がしたが、モナーは逃げることしか頭になかった。一方的に撃たれた恐怖感で、話合いという考えが、頭からふっと、消えていた。
モナーは南へと駆け出した後、ぱん、ぱん、と連続して銃声が鳴ったのを聞いた。やがてその銃声は止み、聞こえなくなっていた。
ようやく静かになった島で、モナーはデイパックを見つけた。果物ナイフを箱の中に仕舞い、学生服のポケットの中に突っ込んだ。
気持ちが冷めていくうちに、さっきの人影は大丈夫だろうか、という考えが浮かんでいた。
そして、話し合いなんか無理なのか、という絶望感が、しだいに押し寄せて来ていた。モナーは、少し動いた先の茂みの中に、身を隠した。
【残り41人】
ショボーンは、人影を確認したと同時に撃っていた。ぱん、という音と共におなじみの振動が右腕に伝い、ワルサーから弾丸が発射された。
しかし人影は、静かに腰を降ろし、軽々と避けていた。この反射神経は錯乱していたショボーンにとっても少々驚きのことでもあったが、仕留めていないと分かった時にはもう二発目を発射していた。
また、右腕に振動。しかし人影は右側へと走っていた。そしてその人影は、銃に矢がついたような―――ボウガンを手に持っていた。
ショボーンの目が見開かれた。その時にはもう、ヒュンという空気を裂く音と同時に、左腕にどつっ、という衝撃が来た。すぐに、激痛の波が押し寄せて来た。
「ぐあああああっ」
学生服に覆われた左の二の腕に、矢が刺さっていた。やがて学生服の手首のすそから、ぽたぽたと血が落ちて来ていた。ワルサーを落とした。
人影は、ショボーンにとどめを刺さず、闇へと姿を消した。残ったのは、左腕に矢を生やした、ショボーンだけだった。
何故こんな目にあわなければいけないんだ。何故みんなみんな僕を狙うんだ。何故、何故何故何故何故!!くそくそくそくそくそっ!!
恐怖感だけで覆われた頭では、既に考え自体もよくわからないものへとなっていた。狂気が完全に脳内を多い尽くすのに、そう時間はかからなかった。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・」
左腕に刺さった矢に手をかけた。そして力をこめると、一気にそれを抜いた。同時に血が噴き出し、ショボーンは歯を食いしばった。
「生き残るのは・・・はぁはぁ・・・一人・・・」
ぶつぶつと呟きながら、ショボーンは矢をデイパックの中へと仕舞った。ワルサーを右手でしっかりと掴むと、うつろな目のまま、獲物を探して、歩き始めた。
引き攣った口元からは、笑みがこぼれていた。
【残り41人】
『泣き虫』として、『弱虫』として、『変態虫』として生活してきた。
いつか,周りから噂が消えると思った。
いつか虐めが無くなると思った。
でも・・・考えが甘すぎた。
何度も死のうかと思った。
それでも僕がここまで生き続けられたのは、 生きる希望を失わずに居られたのは、あの人のおかげ。
だから・・・僕はあの人を探す為に生きる。生き続ける。
・・・このゲームに放り込んでくれたモララーに感謝すべきかもしれない。
僕はまだ教室に何人か残ってるうちに名前を呼ばれた。
あの子はまだ出ていない。教室を出ていない。
話していこうかと思ったけど、周りの兵士がそんな事を許さない。
だから僕はすぐに教室を出た。
それで・・・今もう教室を出たであろうあの子を探している。
あの子だって・・・僕が来るのを待ってる筈だ。
そうだよね・・・?しぃちゃん?
【男子5番】ウワァァァンは、エリアBの荒地を一人歩いていた。
自分の『希望』、しぃを探す為に。
ウワァァァンは学校でいつも虐められていた。
学校に来ては虐められ、休んでは嫌がらせの電話が何通も・・・
彼は、そんな毎日に自殺も考えていた。
いつまで立っても『泣き虫』、『弱虫』、『変態虫』というあだ名は消えない。
いっその事自分の人生ごと消してしまおう・・・そう考えていたのだ。
・・・でも、ある日休んでいた時かかってきた一通の電話が、僕の考えを改めさした。
多量のいたずら電話。送り主は『フェラーチョ』『フェラーチョ』『フェラーチョ』『フェラーtあああああああああああ
・・・何はともあれ、その『フェラー・・・』の羅列の中に一つだけ混じっていた。幼馴染で初恋の相手である『しぃ』の声が。
今でもあの時のしぃの声が頭に焼き付いている。
『ウワァァァン君最近学校に来ないですね。元気を出して学校に来てください。
先生や他のクラスメイトは貴方が来るのを待っています。だから、絶対に来てください。』
・・・しぃ。彼女も虐められていた。
・・・可愛い女の子だったけど、それがいけなかったのか彼女は虐められ、孤立していた。・・・僕ほどではないけど。
自分と同じ境遇の彼女は、いつも『自分だけじゃない』と言い聞かせるためだけの道具だった。
でも・・・あの電話一通で変わった。・・・しぃへの考えが。
好きなんだよ。あの子の事が。
あの顔、あの体、あの性格、全てが一瞬にして好きになったんだ。
可愛い、可愛い、好き好き好き
ねぇ、しぃ。僕と君は同じなんだよ。だから同じ同士つきあおうよ?一緒に傷を舐めあおうよ?
好きなんだよ、この気持ちは日増しに大きくなる。しぃの事を考えるだけで、股間に血が上るんだよ。
好きだ、好きだ、こんな変なゲームに投入されても君への思いは変わらない。むしろ大きくなる。
ねぇしぃ。僕だけを見てよ。孤立してるんだから同じ境遇の僕だけを見てよ。僕だけを・・・
しぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃしぃ
あの顔、あの体・・・すべて僕だけの物なんだ。僕の『希望』なんだ。
頭の中で君の体を触ると、現実の僕の手にちゃんとその触覚が伝わってくるんだ!柔らかい・・・!とても柔らかい。
僕は君の体の感覚をもう知っているんだ。だから・・・一つになりたい・・・身も心も今すgうっ、
僕は、もうこのゲームでの行動目的は決まっている。
そう。『希望』、しぃを探して一つになる為だ。
その後なら死んでも構わない。
・・・だから、僕は僕だけの『希望』を探す。探し続ける。
【残り41人】
僕は不良。
フェラーチョ親分や、ぼるじょあ、ネーノとつるみ、色々な悪事を働いてきた。
でも、僕は根っからの悪人では無いみたい・・・
・・・クラス内でのいたって『普通』な生徒、さいたま・・・モナー・・・おにぎり・・・君達が・・・眩しい。
ああ、僕も・・・君達と一緒に遊びたい。・・・でも・・・君達は僕を受け入れない。
理由は分かってる。『山崎は不良だ』というレッテルが貼られてるから。
・・・僕は君達の事を遠くから見てる事しか出来ないのかな・・・?
【男子21番】山崎 渉は、エリアEにある一つのビルに立てこもっていた。
右手には、彼の支給武器であるメリケンサックが握られている。
こうして一人になると、何故か「殺せ」過去のことを思い返してしまう。
彼は、親の性格のせいかで学校に入った当初から不良たちとつるんで来た。
教室に入るたびにフェラーチョ、ネーノ、ぼるじょあ、ギコ達がむかえる。
彼らは山崎の事をいっぱしの不良として迎え「殺せ」入れる。
だけど・・・山崎は不良仲間として見てもらいたくなかった。『友達』として見てもらいたかった。
・・・それに、万引きとか緊張して心が張り裂けそうになるのは山崎は嫌いなのだ。
学校では悪事なんて働かずに普通に生きていたい「無理だ」・・・普通に遊んでいたい・・・山崎はいつもそう思っていた。
故に・・・眩しかった。『普通』の生徒達が。(一部の変態虫や引きこもりは除いて
・・・「殺せ」そういえば、ギコは不良と『普通』とどっちとも仲良く付き合っているようだっけ。
・・・そんな芸当が出来る彼も、眩しい。
実際殺し合いなんて「殺せ」出来る筈が無いのだ。
相手は仮にも今まで一緒に釜の飯を食ったクラスメイト達。
そのクラスメイトを殺そう「殺せ」なんて・・・馬鹿げてる。
夜はふけ、視界が闇に閉ざされる。
蛍光灯は、ピシピシっ、とついたり消えたりを繰り「殺しちまえ」返してる。消えてしまうのも時間の問題なのだろうか。
山崎はふと窓の外を覗いてみた。
自分がいるこのビルの他に、幾数ものビルが立ち並んでいる。
このビルの向かい側にある「殺す事なんて出来ないよ」ビルはとても高い。・・・摩天楼という言葉がよく似合っているね。
空に吸い込まれてるかのように雲をつき抜け、天へと背伸びをしている。
このプログラムが実地される前はここでどんな生活があったんだろう。このビルを設計した人はどん「殺せ」な気持ちで設計したんだろう。
山崎は、マドから目を離し、床にへたり込んだ。
・・・尻が「殺せ」冷たい。
でも、そう感じられるのはまだ僕がマトモ「無理だよ」な証拠なのかもしれないね。・・・でもいつまで続く物か・・・
座っても、窓の外を覗いても、感傷に浸っても抑えきれない。
抑える事が出来ないこの考え。殺し合いゲーム、生き残れるのは一人だけ、モララーの言葉。
ああ、何をしてても考えてしまう。一たび考えるのを止めてしまうと
僕は生き残りたいんだもっと遊びたいんだだからみんなを殺さなきゃ
仲間だって関わりの無い奴らだって不良だろうが引きこもりだろうが
普通の奴らだろうが殺さなきゃ奴らの生活なんて関係ない大切なのは
僕だけそう僕だけだから殺す殺す殺すころすコロスコロスKOROSUkorosu
このメリケンサックでみんなみんな殴り殺して自分だけが生き残るんだ
出来れば殺したくないみんなでここを出たいでも殺さなきゃ僕が僕が
死ぬやらなきゃやられるころされるコロサレルああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
違う僕はみんなを殺したくないそうなんだ殺したくないんだよでも僕が、
ああ、どうすればいいんだ僕はどうすればいい何も出来ない何も出来ない
でも殺せばそう殺せば殺せ殺せ殺せ無理だよでも殺せ自分が可愛いんだから
みんなは赤の他人なんだだから殺せ名栗頃背嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼
嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼
嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼アアア嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼アアア嗚呼アアア嗚呼嗚呼あああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!!!
僕は殺したくないんだよ!みんなが・・・クラスメイトが好きなんだ!だから・・・僕は人を殺せないんだよ!
山崎は、右手に握るメリケンサックをちらっと見やった。怪しく滑り輝いてる。
・・・くそっ、こんな物があるからだ!
山崎は、ビルの窓をガラッと開けると手からメリケンを外し、外へと、広大な闇へと投げつけた。
すぐにメリケンは見えなくなり、まもなくコツンという微かな物音が聞こえた。・・・いや、聞こえた気がするだけ?
何故か心の底から後悔が押し寄せてくる。そして・・・死の不安。
蛍光灯はいまだ消えたりついたりを繰り返してる。駄目だよ、まだ消えないで。
暖かい物が目の下を通っていく。
山崎はハッとそのモノを触った。・・・涙。
涙、涙、涙、特に意識はして無いんだけど自然に流れてくる。止めようとしても・・・止まらない。
目を瞑るたびに自分の死ぬ光景
怖い。怖い。死ぬかもしれない・・・死ぬかも・・・しれ・・・な・・・
ええい!もう迷うな僕!
そうだ。僕は殺したくないし死にたくもない。それでいいじゃないか。・・・だから・・・だから・・・?
そうだ。
脱 出・・・?
【残り41人】
男子13番「ッパ」はエリア51からすぐ出た所。つまりエリアE(6−Dあたり)に居た。
(本当にクラスメイトで殺し合いなんかしなきゃいけないのかな…)
ッパは別にひっこみじあんでもないが特に目立っているわけでもない。いわば、モナーと同じフツウの生徒なのだ。
そのッパの支給武器は、ノートパソコン(FMV)だった。
(どうしようもないよ…)
ッパはなんとなく歩き出した。(こんぺいとうを食べながら。
歩きながら考えていた。
(生き残るための選択肢は三つある。一つはみんな殺してこの大会に優勝する。そんなことできるわけがない…。
もう一つは脱出。出来るだろうか…きっと兵士が海も空も見張っているのだろう。
あと一つは本部に特攻することだ。そうすればこの大会を破壊して終わらせる事が出来る。
でも本部はみんなが出発したあとすぐに禁止区域になると言っていた。おそらくそれもムリ。
この首輪さえなんとかできれば…)
ッパは首に付けられた首輪に目をやった。
(あのモララーって人ははずそうとすると爆発するって言っていた。下手な事は出来ない。)
とりあえず外せなくてもいい。なんとか機能を麻痺させることはできないだろうか。
(禁止エリアに入っても爆弾を爆発させないように出来れば、仲間を集めて本部に特攻を仕掛けることができる。)
さらにッパは考えた。
(そのためには何が必要?意外と磁石を近づけるとこわれちゃったりして…。
まてよ別に首輪をなんとかしなくてもメインコンピューターをなんとか出きれば…
ウイルスメールを送るとか?どうやって送る?…あ、パソコン!)
たしかにその気になればパソコンでウイルスを送ることは不可能では無いかもしれない。だが、
(アドレスは?)
ッパは近くにあったビルに入り腰を落ち着けた。
(アドレス帳に誰かのアドレスが登録されてるかもしれない。)
フツウありえないが、BRの支給武器なのだからそんなのがあってもいいと思った。
(…あったモララーPC。…PCでいいのかな…?でも…)
なぜそうしたか解からない。PCでも多少のBRデータが入っていると思ったのか、ただモララーにちょっとした仕返ししたかっただけかも知れない。
そのアドレスにさっき探していたウイルスを送った。
しばらくすると、ッパのPC(支給武器)にメールがきた。
「ははは、少しは頭がきれる香具師がいるみたいだね。でもさっきのPCにウイルスおくっても無駄だよ。BRのデータは全てメインコンピューターが管理しているんだ
そっちにウイルスを送れないと意味ないよ。(藁 モララー」
しかし、ッパにはわかった。確かにそのメールアドレスはさっき送ったものとはちがう。つまりモララーは高い確率でウイルスを踏んでいる。
(AABR担当官っていっても意外とおとぼけなんだね)
ッパがメールを送った頃のAABR本部
「お、久々にメールがきてる〜。なんだろな〜……ウイルスだぁぁぁぁ!!!……あはは…はぁ…」
ちょっと情けない感じのモララーはPCの前に座りメールを打ち始めた。
(ははは、少しは頭がきれるy(略 )
ッパは、ちょっと勝ち誇った気分でビルの中でPCを使いAABRのことを調べ出した。
ウワァァァン(M5)
クラスの中でも孤立した存在で、毎日のようにいじめられていた(いじめていたのは恐らくフェラーチョ一味)。
仇名は「泣き虫」「弱虫」「変態虫」。
ある出来事が元でしぃに異常な愛情を持つ。
現在エリアBを移動中で、しぃを探している。
所持品は不明。
「・・・だから、僕は僕だけの『希望』を探す。探し続ける。」
ショボーン(M11)★
恐怖により錯乱し、やる気になる。
出発後にエリアEの南側のビルへ身を隠し、何者かの襲撃を受ける。
それからビルを出てモナーを襲い、彼を追いかけた先のD7でレモナと遭遇、左の二の腕を撃たれる。
所持品はワルサーP38と、ボウガンの矢一本。
「生き残るのは・・・はぁはぁ・・・一人・・・」
支給武器:ワルサーP38
某三代目怪盗の愛銃で、日本でも有名。
口径9mm、装弾数8。
既に30発近くは発砲していると思われるが、当たったのは一発、それも擦過傷。
ショボーンがそのまま所持。
資料↓
http://homepage2.nifty.com/flipflopflap/gamers/database/p38.htm モナー(M20)★
殺し合いを拒み、脱出策を考えようとしている。
ショボーンに襲われるも、何とか逃走。置いてきた荷物も回収する。
現在位置はおそらくエリアD7周辺。所持品は果物ナイフ。
「何なんだモナ。ショボーン君はこんなことをする人じゃないはずだモナ。」
山崎渉(M21)★
不良。フェラーチョ、ネーノ、ぼるじょあとつるんでさまざまな悪事を働くが、根っからの悪人ではない。家庭が原因のようだ。
「普通」の生徒達と付き合う事に憧れている。
ゲーム開始後、エリアEのビルへ立てこもり、死への恐怖と殺人の禁忌から武器を捨て、脱出思考に。
所持品はなし。
「・・・僕は君達の事を遠くから見てる事しか出来ないのかな・・・?」
支給武器:メリケンサック
金属製で結構重量のある、手で握って殴る武器。
プロレスで使用される事があるとか。
山崎渉に支給されたが、彼は立てこもったビルの窓から投げ捨てた。
資料は・・・・これと言った物がありませんでした・・・・。
レモナ(F21)
モナーに好意を寄せている。モナーの性格を理解しており、それゆえに彼を守ろうとしている。
エリアC7で待機していたところ、錯乱したショボーンを発見。彼を追いかけて静止するよう勧告する。
それでも銃撃をやめないショボーンの左腕に、ボウガンを撃ちこんで立ち去る。
所持品はボウガン。
「やめなさい!」
支給武器:ボウガン
国際的にはクロスボウ。銃に弓矢を組み合わせたような武器で、引き金を引くと矢が飛び出す。
主なメーカーは英国のバーネット社。
競技用のものは日本でも購入でき、一般人もスポーツとして楽しむことができる。
支給されたものは恐らく狩猟用。
撃ったのはまだ一発だけで、ショボーンの左の二の腕を負傷させる。
支給されたレモナがそのまま所持しているが、ショボーンが自分自身に撃ちこまれた一本をバッグにしまっている。
資料は・・・・すみません、いいのがありませんでした・・・・。
すいません・・・・。ミスりました・・・・。
―――「殺人」・・・「子供虐待」・・・なぜだろう・・・最近は本当に物騒だ・・・
メモラー(男子19番)は、支給武器の拳銃・コルト・ガバメントを力強く握り、まだ建設途中であろうビルが立ち並ぶエリアCの中心部を歩いていた。
彼は日常の生活をいつもビクビクしながら、生きている。それもそのはず・・・彼は幼いころから父親に虐待を受け、いつも冷たい目で見られ、育っていった。
なぜだか自分でもわからない。母さんはいつも父さんが僕を殴るのを、いつも見てみぬ振りをしていた・・・なぜ僕が殴られなきゃいけないの?そんな思考が小さい頃の自分の頭を駆け巡っていたのを今でも覚えている。
メモラーは着ている学生服を脱ぎ、まだ鮮やかに残っている自分の肩の切り傷を見つめた。
―――ああ、この傷は・・・あれだ・・・僕が小学校5年10歳の時だっけ・・・
ちょうどあれは彼が小学5年の時・・・彼は酒で酔った父親にその日今までで、最悪の虐待を受けた。蹴る、殴る、それはいつもの事。しかしその日、父はかなり酔っていたのか、こともあろうかに、果物ナイフで自分の肩を切りつけてきたのだ。
あのときの痛みを今でも覚えている。確か手当ては―――してもらっただろうか?そこらへんはよく覚えていない。
でも、あの恐怖だけは何年もたった今でも覚えていない。彼はこの世界がかならず平和になると思っていた。
しかしその期待は見事に裏切られた。このゲームによって、もう嫌だ・・・
その時彼は思った。
―――殺ってやる!そう言うなら殺す!
彼は狂ったように拳銃を握り、その場を動いた。
【男子2番】アヒャは、ゲーム開始後しばらく走った後、D−6で立ち止まった。
アヒャは、学校ではちょっと変わった奴というキャラだった。
常にアヒャヒャヒャヒャと笑っていて、何を考えているか分からない。
運動はできるし成績も平均的だが、その平均は極端に良い教科と極端に悪い教科の平均の結果。
それが、クラスメイトたちのアヒャに対する認識だった。
だが、彼には裏の顔があった。
最近AAサロンで無差別連続殺人事件が発生していた。
被害者は年齢、性別、種族、職業と全く共通点が無く、犯人に対する手がかりは皆無。誰もがその事件に震え上がった。
分かっていることは、事件は人気の無い裏路地などで起こっていることと、凶器が刃物であるということだけだった。
そう、アヒャ、彼こそがその事件の犯人だったのである。
アヒャは普通に学校に通い、暇になると街に繰り出した。そんな時、誰かと会うと、包丁で殺害していた。そして何事も無かったかのように家に帰り、次の日も普通に登校していた。
理由は、殺したかったからだ。アヒャ族の本能か、それ以上の理由はなかった。
そんな日々を続けるうち、この殺人ゲームに放りこまれたのだった。
アヒャはしばらく呼吸を整えた後、考えた。これから何をすべきか?
考えるといっても、彼の頭の中では意味不明な映像が言葉が渦巻いているに過ぎないが、大体以下のようなことを考えた。
敵は41人。いくら俺が刃物の扱いが得意だからといっても、この人数は無理だ。
俺は死ぬな。間違いなく。万が一生き残れても、俺が殺人犯だということは確実にばれる。そうしたらブタ箱行きだ。
ならば、楽しむまでだ。自分が死ぬまでに出会った奴は皆殺しだ。殺す殺す殺す殺す・・・。
その狂った頭の中で、どうにか考えをまとめたアヒャは、自分の鞄を開いた。
(ちなみに、支給された鞄はエリアEに入ったあたりで開いてみた。中にはロケットランチャーが入っていた。
勝利を確信したが、弾が見つからない。必死で探すと、紙切れが一枚入っていて、こう書かれていた。
『こっち攻撃されたら話しにならないから、弾はありません。まぁ、脅したり殴ったりはできるからな!頑張れよ!』
腹が立ったのでロケットランチャーは投げ捨ててきた。)
取り出したのは、牛刀だった。これは彼がネオむぎ茶に憧れて使い始めたもので、今までの犯行には全てこれを使ってきた。
秋の月をその刃に映し、鈍く輝く牛刀を握ると、彼は狂った笑みを浮かべ、笑い出した。
「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」
甲高い奇声はかなり遠くまで響き渡るはずだが、最早彼にはどうでもよかった。
最早彼の頭には「殺す」と言うこと以外、クラスメイトへの情や、死への恐怖さえ、無かったのだから。
腕時計を見た。安物のデジタル時計は「AM 3:40」で点灯していた。もう全員が出発した後であり、島にはどんな奴がいるかわからない。
そろそろ夜も明ける。昼になったら更に人目につくことになるだろう。だが、気にしてはいられない。しつどこで、彼女が襲われているかわからないからだ。
廃屋だけが転々と立ち並ぶエリアA、地図で言うとおおよそB-3辺りになるだろうか。廃屋の中にいるのなら厄介だが、今まで特に生徒は見つけられていない。
スポーツバッグの中から修学旅行で必要になるであろうと持ってきた煙草の箱を取り出し、ライターで慎重に火をつけた。
もちろん彼は未成年なのだが、煙草ぐらい、どうでもいいだろう。人目がつかなければ他人に害はないのだ。
煙草をふかしながら廃屋の玄関先に座った。丸見えだが、その間に彼女がここを通過してしまったら厄介だ。
彼はクラス内では「不良」というレッテルを貼られていた。それも合っているだろうが、フェラーチョ(男子17番)の軍団に入っているわけではなかった。
入っているという勘違いを抱く生徒もあるが―――結局喧嘩とか一般とはズレた行動をよくやるので不良には間違いないのだが。
クラス内でもレッテルのためか話しかけてくる生徒は少なく、彼自身も生徒達に興味はなかった。友達というのも欲しいわけではなかったし、かえってそれは好都合だった。
だが、一人の生徒だけは違った。名前はモナー(男子20番)と言う奴だ。いきなり話しかけてくるんで驚きもしたが。
噂話などで人の評価を下さないらしく、それは彼にとって唯一の男友達となっていた。話が合うとかそういうのではなかったが、こちらの愚痴や何やらは一生懸命聞いてくれる、いいやつだった。
モナーはどこにいるんだろうか。あいつのとこだから、味方でも捜してるのだろうが、今は無事を祈るしかない。
もちろんできれば一緒に行動したい。間違ってもモナーは人を殺すようなタイプではないから、信用できるだろう。だが今は、違う人物を探すのが先だ。
短くなった煙草を地面におしつけ、靴底で踏み潰した後、再び彼は歩き始めた。
―――彼女のことを今思い出すと、どこかで怯えていないかという心配がある。誰かに襲われていないかという心配がある。
彼女も他人を傷つけるような女ではない。狂い出すような女でもない。これでも幼稚園からの腐れ縁だ。
家も近かった、一緒に遊んだこともよくあった。それは彼にとって、たった一人の女友達であり、たった一人の大切な人だった。
こんな広い島の中で、会えるだろうか。いや、会ってみせなければいけない。今なら言える。そして彼女を、命にかえても守らなければいけなかった。
エリア51を出た後、もしかしたら彼女が待っているという思いもあったが、そこには誰もいなかった。混乱しているのか、はたまた自分のことなど頭に入っていないのか。それはどちらでもいい。
支給武器の日本刀をベルトの横にはめて、来たる敵が来たらいつでも倒せるように集中しながら歩いた。こんな所で、彼女に会うまでは死ねない。
学校内でも彼女は孤立していたし、友達はあまりいなかっただろう。だからこそ怯えている、震えているはずなのだ。
優しく、美しく、まさに彼にとっては花のような存在だった。彼にとってのすべてだったと言っても、過言ではない。彼の目的は、彼女に会い、思いを伝え、そして彼女を生き残らせる。
ギコ(男子7番)はしぃ(女子6番)を探すため、北上して行った。
【残り41人】
女子1番】あめねこは、エリアCのF4エリアをさ迷い歩いていた。
あめねこは、クラスでは、特に目立たず特に成績がいいわけでもなく特に運動が上手いわけでもない普通の女学生だった。
しかし、彼女は別にそれをなんとも思わず、ただただ楽しく生きていければいい、と思っていた。
不良ども・・・目立ちたがり屋・・・変態蟲・・・そんな奴らとは一切関わりを持っていない。
あめねこは、自分と同じような立場の生徒と毎日同じように遊び、話していた。
毎日が同じ事の繰り返しで、そのまま学生生活が終わると思っていた。というか、終わってほしかった。
・・・そしてこのゲーム・・・だ。
支給武器は拳銃・・・説明書は長ったらしくて読む気がしない。(H&K MP5K という種類の拳銃だ。
生き残れるのは一人だけなのだ。他の生徒達と、仲の良かった生徒と生き残るのは無理だということである。
・・・つまり、いやでも人を殺さなければいけないという事だ。・・・そんなことできるはずが無い。
彼女はただの目立たない生徒。彼女は分かっていた。自分が目立たない事くらい。
家の中で読んでる漫画の中には、目立つキャラが一番活躍している。それは当たり前の事だ。
当たり前のように、脇役は、目立たない者は最後まで脇役で、目立たないでその役を終えている。
つまり、単なる目立たない自分が生き残る事は無理なのだ。
もしこれが映画かなんかだったら『目立たない』私は真っ先に殺されるであろう。・・・セオリーだ。
・・・でも、いやだ。殺されるのはいやだ。
痛い事は嫌いだ。大嫌いだ。
だから死にたくない。出来ることなら痛みを味わわずに死にたい。でもそれも無理だ。
だからってこんな武器ではどうすることも・・・ああ・・・
私はどうする事も出来ないの・・・
あめねこは、石段に腰掛けながら一人泣き濡れた。
時刻は4時。季節が夏ならばもう日は上がっている頃だ。
しかし、季節は冬。夜の風があめねこを叩きつける。
怖い・・・寂しい・・・せめて・・・誰かがいてくれたら・・・誰か・・・
「そこにいるのは・・・あめねこ・・・じゃねぇの?」
あめねこはビクっ、と体を振るわせた。
そして、声のする方向に身なりだけでも銃を向けた。引き金には手がかかっていない。
「だ、だれにゃ?う、うう、撃つわよ!」
あめねこは声を張り上げた。
そして、銃を上下にブンブン振った。
それを無視して人陰がこちらに近づいてくる。
一歩一歩近づいてくるたびに心臓の鼓動が早くなる。
「大丈夫。・・・僕だよ。あめねこ。」
あめねこは、その声で、その人陰が誰なのか理解した。
ああ、彼は・・・この透き通った声の彼は・・・
フェラーチョ一味の子分の・・・ネーノ?
そう。そこにいた彼は【男子15番】ネーノその人であった。
ネーノとあめねこは、とある廃ビルの中で腰を落ち着けていた。
そして二人楽しく談笑している。
「・・・ネーノ君がいてくれるなら安心にゃ。だってネーノ君性格もよさそうだし・・・
それに噂によれば空手とか凄いらしいじゃん?」
あめねこが笑いながら言った。
「うん。そうなんじゃねぇの?・・・お・・・いや、僕は子供の頃から格闘技を習わせられてたんだ。
空手、柔道、テコンドー。」
「テコンドー?」
あめねこが目をぱちくりさせる。
「そう。親の友達にテコンドーの師範がいてね・・・親のツテで通うようになったんだ。そのテコンドー教室に。」
あめねこが関心したように「へぇ」と唸る。
「それで、柔道は県大会レベルまで上達したし、テコンドーもそれなりに・・・それで空手は全国大会に出場出来る位になった。」
ネーノがさらっと言う。
「え、え、え、全国大会!?ネ、ネーノ君すごいっ!」
あめねこが目を輝かせながら言った。身内にそんな凄い人がいる、という事に驚き、興奮していた。
ネーノは照れたように「そ、そうなんじゃねぇの?」とだけ言った。
「で、ネーノ君今も続けてるにゃ?空手とか、テコ・・・とか。」
「続けてないよ。・・もう必要無いと思ったから。」
ネーノがあっさり言うと、あめねこは「そうなんだ・・・」といって顔を俯かせた。
しばらく沈黙が流れる。
「・・・でも、俺はフェラーチョが怖い。」
ネーノが呟くように言った。
「え?」とあめねこが言う。
「もしこのゲームであいつに出会ったら・・・僕はすぐに殺されるちまう。あいつは・・・とにかく怖い。」
ネーノが自嘲気味にハハ、と笑う。
あめねこには分かった。・・・本当にこの人はフェラーチョを怖がっているんだと。
ネーノの横顔。
闇でよく分からないが、寂しげな・・・表情。
「大丈夫。」
あめねこが言うと、ネーノは「え?」といってあめねこの方を向いた。
「大丈夫だよぉー。もしフェラーチョなんかに出会ったら私が守ったげる!」
あめねこが勇気をありったけ振り絞りながら言った。
・・・実際フェラーチョは怖いんだけど・・・
「・・・ありがと。」
ネーノは口元に笑みを浮かべながら照れくさそうに言った。
あめねこはそのネーノの横顔をじっと見る。
と、ネーノが突然あめねこの方を向いた。
目が合う。ちょっとドキドキ。
「そういえば、あめねこの支給武器、何?」
ネーノが静かに言った。
あめねこは、「これだよー」と言ってネーノに武器の拳銃を差し出した。
ネーノのが拳銃を掴む。そして撃つ真似事をしてみせた。
「これ・・・私よく使い方分からないし・・・ネーノ君が持っててくれない?」
あめねこが照れくさそうに笑いながら言った。
「使い方分からないの?」
ネーノが言う。
「うん。」
あめねこがきょとんとした表情で頷いた。
ネーノが自嘲気味にハハ、と笑う。
「これは・・・たぶんこうやって使うんじゃない?」
ネーノはそう言うと、安全装置をパシッとはずし、そのままあめねこの腹部へと銃を向けた。
「え?」
ドン
あめねこの腹部を銃弾が貫通した。
あめねこは、「ぐふっ」と唸り、そのまま地に突っ伏した。
そして、ネーノがそのあめねこの眉間に再び銃口を合わせる。
「な、なんでなの・・・?ねーの・・・くん・・・!こんなことするならなんで私にわざわざせっしょくしたの・・・よ!」
あめねこが苦しそうに言う。いや、苦しそうにじゃなくて苦しいんだ。
あめねこの口からガボガボと血が漏れる。
「いや・・・ちょっと自慢がしたかったし、それに手の平サイズの銃がほしかったんだ。
・・・もし君があの時銃を構えてなかったら僕はそのままどこかへ言ってたんじゃねぇの?」
あめねこはそれを聞いた途端とても悔しい気持ちになった。
くそっ・・・このまま・・・馬鹿みたいに死んじゃうなんて・・・それに、それに、
「あなたを一瞬だけでも好きになった私がばかだった。」
「全くだね。」
そして、また 銃声。
ネーノは、腹部と眉間に穴が開いたあめねこの死体を見据えながら呟いた。
「あめねこ・・・俺はフェラーチョが怖いって言ってたけどそれは真っ赤な嘘だよ。
・・・ただ、俺はあいつが憎かったんだ。・・・色々な意味でね。」
ネーノはそう呟くと、返り血をふき取り銃を腰にすえ、また何処かへと足を進めた。
【残り40人】
>>35の23行目は冬じゃなくて秋に脳内変換しておいてくらはい。
何か優遇気味だから微妙に修正voidddddddddddd
ネーノとあめねこは、とある廃ビルの中で腰を落ち着けていた。
「・・・ネーノ君がいてくれるなら安心にゃ。だってネーノ君性格もよさそうだし・・・
それに噂によれば空手とか凄いらしいじゃん?」
あめねこが笑いながら言った。
「うん。そうなんじゃねぇの?・・・お・・・いや、僕は子供の頃から格闘技を習わせられてたんだ。
空手、柔道、テコンドー。」
「テコンドー?」
あめねこが目をぱちくりさせる。
「そう。親の友達にテコンドーの師範がいてね・・・親のツテで通うようになったんだ。そのテコンドー教室に。」
あめねこが関心したように「へぇ」と唸る。
「それで、柔道は県大会レベルまで上達したし、テコンドーもそれなりに・・・それで空手は全国大会に出場出来る位になった。」
ネーノがさらっと言う。
「え、え、え、全国大会!?ネ、ネーノ君すごいっ!」
あめねこが目を輝かせながら言った。身内にそんな凄い人がいる、という事に驚き、興奮していた。
ネーノは照れたように「そ、そうなんじゃねぇの?」とだけ言った。
「で、ネーノ君今も続けてるにゃ?空手とか、テコ・・・とか。」
「続けてないよ。・・もう必要無いと思ったから。」
ネーノがあっさり言うと、あめねこは「そうなんだ・・・」といって顔を俯かせた。
しばらく沈黙が流れる。
「・・・でも、俺はフェラーチョが怖い。」
ネーノが呟くように言った。
「え?」とあめねこが言う。
「もしこのゲームであいつに出会ったら・・・僕はすぐに殺されるちまう。あいつは・・・とにかく怖い。」
ネーノが自嘲気味にハハ、と笑う。
あめねこには分かった。・・・本当にこの人はフェラーチョを怖がっているんだと。
ネーノの横顔。
闇でよく分からないが、寂しげな・・・表情。
「大丈夫。」
あめねこが言うと、ネーノは「え?」といってあめねこの方を向いた。
「大丈夫だよぉー。もしフェラーチョなんかに出会ったら私が守ったげる!」
あめねこが勇気をありったけ振り絞りながら言った。
「・・・僕は不良だよ?なのに君は何でそんなに怖がらないで入れるのかな?」
ネーノが怪訝そうにたずねる。
「だってぇー、不良の中でもネーノ君は大人しいし・・・煙草も吸わないじゃん?
いや、だからそれだけって訳でも無いんだけど・・・まぁ、その・・・ねぇ。
それに完璧に悪い奴だったら私を見たとたんに殺すだろうし・・えと・・・何なんだろう。」
あめねこがしどろもどろになりながら答えた。
「・・・ありがと。」
ネーノは口元に笑みを浮かべながら照れくさそうに言う。
あめねこはそのネーノの横顔をじっと見る。
と、ネーノが突然あめねこの方を向いた。
目が合う。ちょっとドキドキ。
「そういえば、あめねこの支給武器、何?」
ネーノが静かに言った。
あめねこは、「これだよー」と言ってネーノに武器の拳銃を差し出した。
ネーノのが拳銃を掴む。そして撃つ真似事をしてみせた。
「これ・・・私よく使い方分からないし・・・ネーノ君が持っててくれない?」
あめねこが照れくさそうに笑いながら言った。
「使い方分からないの?」
ネーノが言う。
「うん。」
あめねこがきょとんとした表情で頷いた。
ネーノが自嘲気味にハハ、と笑う。
「これは・・・たぶんこうやって使うんじゃない?」
ネーノはそう言うと、安全装置をパシッとはずし、そのままあめねこの腹部へと銃を向けた。
「え?」
ドン
二つ目
あめねこの腹部を銃弾が貫通した。
あめねこは、「ぐふっ」と唸り、そのまま地に突っ伏した。
そして、ネーノがそのあめねこの眉間に再び銃口を合わせる。
「な、なんでなの・・・?ねーの・・・くん・・・!こんなことするならなんで私にわざわざせっしょくしたの・・・よ!」
あめねこが苦しそうに言う。いや、苦しそうにじゃなくて苦しいんだ。
あめねこの口からガボガボと血が漏れる。
「いや・・・ちょっと自慢がしたかったし、それに手の平サイズの銃がほしかったんだ。
・・・もし君があの時銃を構えてなかったら僕はそのままどこかへ言ってたんじゃねぇの?
・・・あと、あめねこ・・・僕はフェラーチョが怖いって言ってたけどそれは真っ赤な嘘だよ。
・・・ただ、僕はあいつが憎かったんだ。・・・色々な意味でね。」
あめねこはそれを聞いた途端とても悔しい気持ちになった。
「あなたのいった事、どこからどこまでが嘘なの・・・?」
あめねこが擦り切れた声で言う。
「ほとんど嘘。僕は空手なんて習ってない。柔道もだ。テコンドーは本当だよ。」
ネーノが言う。
・・・こいつ、私をずっと騙してたんだ・・・まったく、私って馬鹿みたい・・・
くそっ・・・このまま・・・馬鹿みたいに死んじゃうなんて・・・それに、それに、
「あなたを一瞬だけでも好きになった私がばかだった。」
「全くだね。」
そして、また 銃声。
ネーノは、腹部と眉間に穴が開いたあめねこの死体を見据えた。
しばらくして、ネーノは返り血をふき取り銃を腰にすえ、また何処かへと足を進めた。
【残り40人】
>>29の続き。やばかったら29もろとも却下してください。
ッパはAABRの事をインターネットで調べていた。
しかし、でてこない。ググッっても、どこで探してもだめだ。出てくるのは漫画、映画のBRだけだ。
ちょっと焦っている自分を感じ取り、おちつくお菓子をたべる。
ッパは、無意識の内に既にゲームに参加する気がうせていた。彼にあるのは、「脱出」「特攻」の二つしかなかった。
別に堅く決心した訳ではない。もうゲームを潰すこと、ゲームから逃げることしか考えていない。
今回モララーにメールを送ってみて何も収穫がなかったわけじゃない。
メインコンピューターをなんとかすれば首輪が作動しなくなることがわかったし、ついでにモララーがおとぼけってことも解かった。
でも…
(メインコンピューターってどうすれば壊せるのだろう…)
やっぱりこの首輪をなんとかする方がいいのか…
しかし「爆発します。」というモララーの声が頭の中を駆け巡った。
ッパにはここまでが限界だった。元々機械に強い方じゃないし、頭が良い方でもない。ッパはだれか機械に強い人を思い出そうとした。
しかし、先輩の流石兄弟しか出てこなかった。当然兄弟は同じクラス、学年ではないので、このプログラムには参加していない。
どうする…。もしものすごいメカオタがいても、このゲームにやる気になっているなら意味がない。自分の身が危ない。
(やっぱり信じられるのは自分だけなんだろうか…)
と、いっても、自分だけでは何もしようがない。それは解かっている。本当に心の底から信頼できる人。そんな人はいないだろうか。
別に機械おんちでもいい。信頼できそうな人は…。
モナー、ギコ、しぃ、ショボ、イマノウチ、右。思い当たる人は全て考えてみた。しかし、誰も心の底から信頼する、ということができない。
それがこのゲームの恐ろしさである。周りの人間はすべて敵。すべて殺人対象なのだ。
「信じなければなにも始まらないよ」
声にだして自分に言い聞かせた。
これからどうするここにずっと隠れていれば、優勝することはできるかもしれない。だが、ッパの目的は優勝ではなく、できるだけ多くのクラスメイトといっしょに帰ることだ。
しかし、この廃ビルから今でるのは危険すぎる。自分の支給武器はパソコン。それなりに役にたつかもしれないが、武器としては役立たずだ。
これでも足の速さには自身がある。あいての武器がナイフとかだったら逃げることができる。しかし、銃をもってたりしたらかなり危ない。
ここは早めに行動を起すべきか、ここで待機すべきか、ッパは迷った。そして決めた。
「ここを出よう…」
自分と同じ考えの人に会えるかも知れない。そうゆう考えだ。
するとッパはノートパソコンをデイバックに入れ、立ち上がり、廃ビルをあとにした。
【残り40人】
みるまら(女子13番)は会場の北、D-2にいた。Bエリアは荒地になっているというのは地図に書いてあったが、このD-2辺りは少々地形が高くなっていて、木が幾つか生えていた。
しかし、会場を仕切る高圧電流の柵はちゃんと隙間なく設置されていて、ここからの脱出は無理だということは明らかであった。
―――逃げられないのか?私は死ぬのか?
学校内でも不良と言われ、フェラーチョ(男子17番)のグループに入っていていじめなどを繰り返してきたみるまらにとっても、殺人という壁くらいはあった。
逃げられないという絶望感に浸りながらも、脳内では別の考えが入ってきていた。優勝。優勝だ。優勝できればここから抜けられる。
―――いやダメだ。いくら命賭けとは言え、人殺しなどできるものか。次の策を考えなければ―――
ふと、デイパックをまだ開けていないことに気付いた。
みるまらは武器が入っているというデイパックをごそごそとあさった。パン、水などを掻き分け、ごついものが手に当たったのはその時だった。
それを引っ張り出してみると、なかなかの重量で、黒い箱に取っ手をつけたような無骨な何かであった。何だこれは?
もう一度デイパックの中をあさると、説明書らしき折り畳まれた紙と、もう一つ、何かの袋が入っていた。中には、金属製の質感のものが、いくつも入っていた。
まさかこれは、銃――――
そう思ったみるまらの頭の中に、優勝という二文字がまた入ってきた。銃だ。銃さえあれば―――
しかし、またも殺人という壁がみるまらの頭の中に立ちはだかった。このままでは同じ事を繰り返すだけだ。
何とか、仲間を見つけて恐怖をなぎ払わなければいけない、とみるまらは考え、その黒い箱に弾も入れずに歩き出した。
【残り40人】
地図の扱いは苦手なので高圧電流の柵を目印に、みるまらは歩いていた。自分の予想通りなら、ここはB-2かB-3辺りになるはずだ。
道中に人はいなかった。まず歩いて、人を見つけなければ―――
みるまらの目に何かが留まった。何かが動いた。しばらくして、がさっという草を鳴らす音がみるまらの耳に届いてきた。
心臓が跳ね上がると同時に安心感もあった。一緒に行動できるという仲間が必要だったからだ。誰でもいい。男子でも女子でも―――
みるまらは懐中電灯を取り出して音がした方に向けた。すぐに、セーラー服の人影が見えた。女子だ。
「誰?」みるまらが聞いても、人影は何も言わなかった。おかしい、とは思ったがもう一度念を押した。
「誰?あたしはみるまらよ。一緒に行動しない?」
よくいじめているしぃ(女子6番)やでぃ(女子9番)だったら少々厄介だと思ったが、この際わがままは言っていられない。
返事はなかった。変わりに人影は近づいてきて、懐中電灯にその顔が照らされた。あれは―――ぁゃなみレイ(女子3番)だろうか?
いつも無口で、友達なんていないような生徒だった。というかぁゃなみ自体生徒には無関心なのかも知れない。まあ成績優秀ということで名は通ってる方だろうが。
誰でもいいのだ。仲間が欲しかった。
「ぁゃなみ?」
念を押した。返事はなかった。みるまらは変な感じを抱きつつも、近づいてくるぁゃなみレイは了承したんだ、と思った。安心感が出てきたその時―――
既に1m前くらいの所にいたぁゃなみが、急に走りだし、みるまらに突進した。いきなりのことで何が何だか分からなかったが、胸に襲ってきた激痛で、何が起こったか分かった。
「ぐうっ」
みるまらはうめくと、体をくの字に折り曲げた。左胸にはどこにでもあるような文化包丁が突き刺さっていて、セーラーを染めていった。
―――何なんだ、何なんだあれは、無抵抗の人間にいきなり刺すなんて―――
こんなことを思っている間に、急激に胸が苦しくなっていくことが分かった。致命傷だという事は、自分でも分かっていた。みるまらが咳き込むと、口から赤い霧が噴き出した。
視界がかすんで行くのが分かった。自分は死ぬのか、もうダメなのか。ゆっくりと視界を動かすと、ぁゃなみの顔が視界に入った。ぁゃなみは奇妙に、無表情のまま、立っているだけだった・
声も発することもできないまま―――みるまらの意識は落ちた。ぁゃなみは、ずっと無表情のまま、みるまらが動かなくなったのを見ると、横に落ちた黒い箱を取った。少々血がついていたが、ぁゃなみはみるまらのデイパックから弾を取り出し、自分のデイパックに移し替えた。
彼女は感情をあまり持たない人間だったし、言われたことをやることしか頭にはなかった。学校に行けと言われたら学校に行く。勉強をしろと言われたら勉強をするような、ロボットのような生活だった。
ぁゃなみはその生活の中で不満を感じることがなかったが、同時に喜びなどというものも感じなかった。ぁゃなみ自身でも、その辺りはよく分かっていないことであった。
とりあえず今の目的は、殺し合いをしろと言われたから殺し合いをするだけ―――それだけであった。
みるまらの体に突き刺さった包丁を抜き、デイパックに包丁を仕舞うと、弾を入れた黒い箱―――イングラムM11を持ち、その場を後にした。
【残り39人】
ガナー【女子4番】は迷っていた。
ガナーの手にはサバイバルナイフが握られている。
銃を持った相手には敵わないだろうが、近くにいる相手に対しては十分殺傷能力があるような、大振りの刃物だ。
ブレードの部分は黒く塗られ、光を反射しないようになっている。
ハンドルは革製になっており、もし雨が降っても滑らないようになっているのだろう。
実用的なナイフ。
人殺しのための、ナイフ。
ガナーはハンドルをきつく握り締めながら、前方を見た。
闇の中に見え隠れする、小さな背中。
癖のある歩き方は、小さな時に患った病気の後遺症だと聞いている。
――いじめられっこのでぃ【女子9番】だ。
でぃはふらふらと何もない荒野をデイパックを重そうに背負いながら歩いていた。
ガナーはその背中を睨みながら地図を取り出した。
片手で苦労して広げる。
……現在地。
高層ビルが立ち並ぶエリアは先ほど通り過ぎた。
それからまだ数分も歩いていないから、ここはD-4かE-4なのだろう。
耳を澄ますと波の音が聞こえることから考えると、E-4の東の方だというのが正しいのだろうか。
もっと早くに地図を広げておけばよかった。
ガナーは地図を畳むのももどかしく、脇にはさんで再びナイフを両手で構えた。
ガナーの頭に再び先ほどの迷いが蘇る。
――彼女に話し掛けるか、否か。
ガナーは会場に出てすぐ、仲間を集めようと考えた。
しかし、入り口でづー【女子8番】に話し掛けそびれ、その後姿を追っているうちに見失ってしまったのだ。
見失い、当てもなく歩いているうちにでぃの後姿を見つけたのだ。
――どうする?どうすれば……
でぃは不良グループに属しているわけではない。
寧ろ大人しすぎて、みるまら【女子13番】あたりに苛められているほどだ。
積極的に人を殺そうなどと思うような娘ではないはずである。
でも。
ガナーはでぃのことを何一つ知らなかった。
苛められても、何一つ言い返さない少女としか認識していなかったのだ。
しかし、彼女がそれだけの、大人しいだけの人間であるかということは分からない。
ひょっとしたら、裏では相当悪いことをしているのかもしれないし、
苛められる腹いせに猫や犬を殺すような残虐な奴かもしれない。
そうでなくても、このゲームに参加させられたことによって日頃の恨みを晴らそうとしているのかもしれない。
自分を苛める本人達や、苛めを知っていても助けすらしてくれないクラスメート達への恨みを。
……そう考えると、でぃに仲間になってもらおうと考えるのは止めておいた方がよいような気がしていた。
このままでぃを見送り、づーを探そうか。
そう思い、ガナーは立ち止まった。
突如、激しい風が吹いた。
「……きゃあっ!」
地図が風に巻き上げられそうになり、ガナーは思わず声をあげてしまった。
しまった。
そう思い、口を抑えたがもう遅かった。
闇の向こうの影が、こちらを振り向くのが分かった。
苛めや、病気のせいで傷だらけの顔がこちらを向く。
「……誰?」
「……い、いやぁあああああっ!!」
ガナーは踵を返し、駆け出そうとした。
踏み出した足が石ころに躓く。
あっと叫ぶまもなく、ガナーは足首を捻りながらこけてしまった。
足首の痛みに顔をしかめる。
ひょっとしたら捻挫してしまったかもしれない。
さくっと固い砂のような土を踏む音が聞こえた。
でぃだ。
「や、やだっ!来ないでよー!」
「……」
ガナーは立ち上がれないまま、ナイフを振り回して叫び続けた。
早く何処かに行ってよ。
しかし、でぃは立ち去るどころか尚も近づいてくる。
「来ないでって言ってるじゃない!」
ガナーはナイフをでぃに向かって突きつけた。
その手に、何か小さな抵抗を感じる。
「痛……」
でぃの小さな声に、ガナーははっと目を見開いた。
見ると、ガナーのナイフがでぃの腕に傷をつけている。そこからは少量ながら血液が流れていた。
「ご、ごめ……」
「……いいけど」
真っ青になるガナーにあっさりとそう言い放ち、でぃはしゃがみ込み、ガナーの目を見た。
でぃは顔に何の表情も浮かべていない。いつも教室で見る顔。
それを見てガナーは少し冷静さを取り戻した。
「なんで、私の後をついてきたの?」
初めて聞くようなでぃの長い言葉に――いつも精々「はい」だの「いいえ」だの言うだけだった――少し驚きながらも、ガナーは答えた。
「仲間が欲しかったの。一人は色々と怖いし」
「そっか……。確かに怖いね」
ガナーは少し意外に思った。
でぃも矢張り、一人が怖いのか。
ガナーの胸にもやもやと何かが広がっていく。
安堵のような、不安のような、それらが入り交ざった暖かい気持ち。
怪我を負わされても文句一つ言わないなんて、この娘は悪い子じゃないのかな。私が難しく考えすぎていただけだったのかもしれない。
気付いたら、口を開いていた。
「あのね、もし良かったら仲間になってくれない?」
でぃは少々呆気に取られたような顔をしている。
当然だ。いきなり友人でもない奴にこんなことを言われたんだから。
「……迷惑、かな」
ガナーはやっとそれだけを言った。
迷惑だろう。怪我を負わされた相手から、こんな虫のいいことを言われるのは。
でぃの口が数度何か言いたげに動く。顔がほんの少し高潮しているようにも見えた。
それは、錯覚かもしれなかったけれど。
「……いいよ、仲間になるよ。一緒に行こう」
でぃはそう言った。
これこそ錯覚かもしれないが、ほんの少し笑って。
【残り39人】
「い、今の音はいったい何!?」
【男子16番】八頭身がE−7のビル街を歩いていたとき、爆竹を破裂させたかのような音が耳に飛び込んできた。しかも、わりと近くから。
銃声・・・?だったら誰が・・・。いや、そんなわけないよね。クラスメイト同士で殺しあうなんて、あり得ないよ。
とにかく、音がした場所に誰かがいるって事は確かだ・・・もしかしたら、1さんかも・・・。よし、行こう!!
ああああああ、待っててね1さん。今行くよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜&harts
聞こえてきた音を1さんの合図だと勝手に思い込んだ彼は、モーリス・グリーンもビックリするほどの速さで音の鳴った方へと走っていった。
(第5レーン八頭身選手、独走です!世界新記録樹立なるか!?残りあと20メートル、どうだ?)
「1さぁ〜〜〜ん、待っててねえ〜〜〜〜〜〜(;´Д`)」
――――同じころ、D−7の廃屋の中、真っ暗な部屋の隅でショボーンはワルサーを握り締めて泣いていた。弾は完全に撃ちつくしてしまい、
モナーにも逃げられてしまった。そのうえ肩に怪我まあで負わされて・・・最悪だ。クラスの奴全員が僕を殺そうとしている。
どうすればいい?どうすればいいんだ?このままじゃ殺されてしまう!嫌だ、そんなの絶対に嫌だ!!生きていたいんだ!!
死にたくない・・・怖い・・・怖い・・・怖い・・・死にたくない・・・・・怖い・・・・・・・・・嫌だ・・・・・・・・。
ショボーンは泣き続けた。ただひたすら泣き続けた。泣きでもしなければ、恐怖に押し潰されそうだった。
声がかすれ、涙もかれ果てたそのとき、玄関の方で何か音がした。そう・・・ドアを開ける音だ。
誰かが来た。ああ、もうだめだ。僕は死ぬんだ。この真っ暗な部屋の中で殺されるんだ。頭を砕かれ、内臓をのぞかせた死体に
変わり果ててしまうんだ・・・・・嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!頼む、来ないでくれ!誰だかわからないが、僕を殺さないでくれ!!
しかし、ショボーンの必死の願いも空しく足音はだんだんと大きくなってゆき、それと同時に懐中電灯の光も近づいてきた。
いよいよだな・・・僕は死ぬ。でも・・・・・そんなのは嫌だ!このまま死んじゃうなんて、絶対に嫌だ!!怖い・・・怖いよぉぉぉぉ!!
ショボーンは恐怖に駆られ、デイパックの横に置いてあったボウガンの矢を手に取ると同時に叫び声をあげて侵入者へ飛びかかった。
「うわあぁぁああぁぁぁぁああぁああ!!」
ところが、侵入者は叫び声を聞いて逃げ出すどころか、逆にショボーンの方へ走ってきた。しかも、なぜか嬉しそうに。
「1さぁ〜〜ん、そこにいるの〜〜〜〜〜〜?」
ショボーンはその声を聞いたときには、もう気絶していた。八頭身の強烈なタックル(ただ単にぶつかっただけだが)をくらって
吹き飛ばされ、壁で頭を強打してしまったからだ。
「1さぁ〜ん、隠れなくてもいいよ〜。もう大丈夫だよ〜」
八頭身は自分のすぐそばで倒れているショボーンには全く気付かず、懐中電灯の光を頼りにして部屋の中を捜しだした。
本棚の裏からベッドの下、クローゼットの中やタンスの引き出しまでくまなく捜したが、1さんの姿は見当たらなかった。
しかし、その代わりに暖かそうなコートやライター、10徳ナイフなどの役に立ちそうな物が見つかったので失敬して立ち去ることにした。
「1さん待ってて、今すぐ行くからね!」
そう言って部屋を出ようとしたそのとき、八頭身はショボーンが倒れていたことに初めて気が付いた。しかも、口から血を流して。
「ショ・・・ショボーン君!?ねえ、大丈夫?いったいどうしたの?何があったんだい?とにかく・・・大変だ!!」
まさか自分がショボーンを気絶させたとは夢にも思わず、八頭身はあわてて救急箱を探し始めた―――――
【残り39人】
47 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/01/29 21:49 ID:Q4/lE1++
坂田師匠はエリアAの廃屋に隠れていた。
廃屋はまさに廃屋の中の廃屋といってもいいほど、ひどいものだった。
ガラスの破片が散らばり、1つある窓は変形し、泥や土が災厄のようにこべりついていた。
せいぜい6畳半といった小屋だ。ただひとつ、忘れさられたように、1枚板の
がっしりとした机が、ごろんところがっていた。
坂田師匠は机を横にして、楯のように裏に隠れた。
そして、荒い息を静めた。殺し合い?冗談じゃない。俺はここで隠れていよう。
と言っても、足が動かないんだけども。
そういえば、このデイパック、ナニはいってんだ?
ム・・・パンと水、地図に懐中電灯、コンパス・・・
ヌンチャク!?バカにしてんじゃねえ! と坂田師匠は投げ捨てようとした。
しかし寸前で彼の手はピタリととまった。 マ テ ヨ ?
いくらここにいるっつったって、せめてなにか欲しい。
使うわけじゃないけど、この俺の恐怖を静める、なにか確かな存在がほしい。
ヌンチャク。手にとって、まじまじと見つめた。円筒形の硬い木と、鎖。
ヌンチャクに関する話を昔、親父から聞いたっけなぁ。
振り回して殴ったり、棍棒のように殴ったり、鎖で首をしめることもできる。
首しめは、てこの作用で強くしめられるし、振り回せば、恐るべきパワーと
スピードを持つ。銃以外ならなんでも勝てる。接近戦よ。わかるか?
瞬間圧力750キロだぜ。
うん、持ってよう。だけど、コレを使ってぶん殴る奴は一人。モララー。
俺はいずれ死ぬだろう。だけど。一泡ふかしてやる。仲間探しだ。
坂田師匠はゆっくり立ち上がり、机を思い切り蹴った。
【男子9番】さいたま右は、エリアA(B-3)にある民家の中で腰を落ち着けていた。
エリア51からここまで走ってきたせいか、足が棒のような感覚になり、息は激しく切れていた。
しかし、数時間座り色々な事を考えていると、疲れもほとんど取れ息はいつも通りの速さになった。
しかし、彼はいまだに頭の整理はついていなかった。
彼は、このゲームを現実だとは思っていなかった。思いたくないのでは無く、思っていなかった。
なにせ、何か現実と夢の狭間をふわふわと浮いているような感覚なのだ。そう。狭間の世界だ。
麻痺し、混乱している彼の脳は、現実をそう捉えていた。
モララーの話・・・確か国民テストだとか何とか言ってた。
現実的な話なんだろうけども、どこかおかしい。・・・あいつの言ってる事は。
若者を戦わせて、データを収集し、自衛隊などの国防に役立てていこう・・・彼はそういっていた。
・・・データだって?一体何のデータを集めるというのだろうか?
・・・具体的に言って生徒に信憑性を持たした方が色々得だと思うのに。それとも、奴の言ってる事は嘘なのか?
いや、わざと具体的に言ってないのかもしれない。・・・だとしたら何で?そんな事知るもんか。
・・・時間が無かった?それも無いよな。・・・言うのが面倒くさかった?・・・そんな事あるはずが無い。
・・・それとも、もっと他に理由・・・が?
・・・・・・ええい、考えてたらキリが無い。どーせ僕には関係ない事だ。考えるのやめー!
さいたま右は、近くのベッドに倒れこんだ。
羽毛の柔らかい感触がさいたまを包む。
・・・ああ、思い出したくなかった。でも、思い出しちゃったよ。
・・・普段の学校内での生活。
モナー・・・にぎりくん・・・ッパ・・・乱太君・・・ショボ・・・僕の友達。
毎日が充実してて楽しかった。・・・みんなと暮らす学校生活・・・楽しかったよぉ。
そういえばクラスの女子達僕の事可愛いなんて言ってたっけ!?
女子達は僕の事を『童顔でかーわいいー!』って言ってた。
で、僕いつも帰る度に鏡を見て、「・・・そんな可愛いかなぁ・・・?」なんて考えてたっけ。
駄目だ。考えるな。考えちゃいけない。考えちゃいけないんだよぉ。
考えるたびに・・・涙が・・・溢れてくるんだ。
だから・・・考えちゃいけないんだよ。
・・・あれ?・・・僕は・・・僕?ここは・・・家・・・?・・・殺し合い・・・武器・・・?
そうだ。これは現実なんだ。夢じゃない。狭間の世界じゃない。
こ こ は 現 実
そうとしか言いようが無い。
違うなら・・・この悲しみは何なんだ・・・?
誰も 教えてくれない
古びたCDレコーダーは何故か動かなくなっていた。
叩いても、叩いても、動かない。キュルキュルという擬音だけがさいたまの耳の中に流れる。
ちゃんとCDは中に入ってる。電池もある。なのに、ナゼ?
さいたまは、CDレコーダを床にたたきつけた。
ガシャン、という音と共に床に転がるCDレコーダー。端っこが欠けている。だけどそんな事はどうでもいい。
さいたまは、私物を漁るのを止め、支給されたディパックを覗いてみる事にした。
黒くてゴワゴワしてる。厭な感触。僕はこういう感触は嫌いだ。
ディパックの中には、あの変な奴が言ったとおりに食料、飲料、コンパス、地図、懐中電灯が入っている。
懐中電灯を手に取り、当たりを照らしてみる。特に抵抗は感じない。
・・・え?それだけ?
ディパックの中には他に何も見当たらない。あの変な奴は言ってた。・・・武器が入ってるって。
なのに、無い。何で?
懐中電灯でディパックの中を照らす。
ディパックの中が黄色に染まる。ああ、こういう色だったのか。違う。これは懐中電灯の色か。
よくよく覗いてみると、隅っこの方に何があるのが見えた。
ただのゴミに見えなくも無いが、このディパックの状況から見るとこれが武器なのだろうか。
さいたまはそのゴミを手にとってみようとした。
痛・・・!
指先に細い痛みが走る。
指に血が付いている。いや、小さい穴が開いている。
・・・?これは・・・?
さいたまはその小さい物をよーくみてみた。
小さく丸いボディから薄くて見にくい針が沢山突き出ている。
ゆーびきーりげーんまーんうーそつーいたーらはーりせーんぼーんのーますー
そうか。これを飲ますわけね。実物ははじめてみたよ。
飲んでみようか。痛いかな・・・血とか出るかな・・・?・・・僕は何を考えてるんだ?
はりせんぼんを手で掴んで握り締めてみる。手から血が吹き出た。
痛いような気もするけどそんなの僕の知った事じゃない。
・・・時刻は5時50分。
もう夜も明けてるから放送聴いたら寝ます。おやすみなさい。
アナログ時計が、六時を指した。既に東の空は明るくなっており、朝が来たのだと分かった。そして6時の放送では、死亡者と禁止エリアとやらが発表されるはずだった。
ギコ(男子7番)は島から軽快な音楽が聞こえてくると同時に、目が当たる場所で腰を降ろし、地図に共についていた名簿と地図、シャープペンシルを取り出した(これは私物だ)。
結局B-3から北上し、B-2、B-1を探してみたが特に人はいなかった。今はB-1から南下してB-2にいる。日が照ると厄介だがしぃ(女子6番)はどこかで襲われるかも知れないのだ。
ゲームが始まって四時間程立ち、銃声らしき音が何度か響いたこの島で死亡者の一人くらいは出ているはずだった。
「えーおはようございます。朝の六時になりました、今日も一日頑張りましょう」
島のどこかからモララーの能天気な声が聞こえてきた。島のどこかに拡声器か何かが取り付けられているのだろう。
「まずはこれまでに死んでしまった友達を発表します」
ギコは何も言わず名簿を取り出した。もちろん、そこでしぃの名が呼ばれたらギコの計画は全てご破算になる。だがギコはしぃを信じていた。いくら何でもこんなに早く死ぬわけないと。
「死亡者は三人です。まず男子16番、フェラーチョ君」
フェラーチョが死んだ―――ギコには少々驚きであった。学校一の不良と呼ばれるフェラーチョがこんなにも早く脱落してしまうとは思っていなかった。ギコは特にフェラーチョ達とは交流はなかったが。
(ただしくっついていたことはよくある。その時は金がなくてフェラーチョ軍団が盗んだ煙草をかっさらいに来ただけだったが。この手口でギコの煙草代は浮きまくっている)
まあフェラーチョもギコを嫌っていたようだし、自分も特に興味はなかった。それで思考を止め、次の死亡者の名前を耳にいれた。
「女子1番、あめねこさん。女子13番、みるまらさん。以上です」
特に交流があった女子ではなかった。しぃがまだ生きていることに、ギコは胸を撫で下ろし、死んだ生徒の名前にバツをつけると、デイパックに仕舞った。代わりにポケットから地図を取り出した。
「次は禁止エリアです。聞き逃すなよ。まず、七時からD-5が禁止エリアになります。七時までにはD-5を出てください」
D-5はゴミ捨て場となっているらしかった。ギコがいる場所とはかなり離れている。
「次、九時から、A-6」
A-6は西南端辺りのエリア。これも関係ない場所だった。
「そして十壱時からE-2です。禁止エリアは以上ー」
E-2も関係なかった。ギコがいる場所の周辺は特に関係ないようで、地図に禁止エリアの場所を書き込むとポケットに仕舞い、煙草を吸い始めた。
「ちょっとペースが遅いかなー、十二時までに何人死んでるか楽しみだー、また十二時に会いましょー、では」
そう言って音声は切れた。ギコはしばらく煙草を吸っていたが、そこで異変に気付いた。左側の茂みが動いていたのだ。
ギコは気付かないフリをしながら荷物をまとめはじめた。煙草をくわえたまま。誰だ、誰がいるんだ―――
がさがさっと茂みが揺れた。一瞬、誰かの顔を確認したギコは、後ろを向いて一気に走り出した。その軌道を追うように、ぱららららと言うタイプライターのような音が響き、草がちぎれる音が続いた。
ギコには当たらず、ギコはそのまま東へと走った。やがて高圧電流の柵が見え、そこで止まった。予想通りならここはC-2だろう。
あの襲撃者―――ぁゃなみレイ(女子3番)はマシンガンを持っていた。しかも容赦がない、気をつけなければいけない。
運動不足のせいかぜえぜえと息をしながら、ギコは落ちつける場所を探して移動した。
【残り39人】
51 :
修正:04/01/30 17:37 ID:oxFyepQz
アナログ時計が、六時を指した。既に東の空は明るくなっており、朝が来たのだと分かった。そして6時の放送では、死亡者と禁止エリアとやらが発表されるはずだった。
ギコ(男子7番)は島から軽快な音楽が聞こえてくると同時に、目が当たる場所で腰を降ろし、地図に共についていた名簿と地図、シャープペンシルを取り出した(これは私物だ)。
結局B-3から北上し、B-2、B-1を探してみたが特に人はいなかった。今はB-1から南下してB-2にいる。日が照ると厄介だがしぃ(女子6番)はどこかで襲われるかも知れないのだ。
ゲームが始まって四時間程立ち、銃声らしき音が何度か響いたこの島で死亡者の一人くらいは出ているはずだった。
「えーおはようございます。朝の六時になりました、今日も一日頑張りましょう」
島のどこかからモララーの能天気な声が聞こえてきた。島のどこかに拡声器か何かが取り付けられているのだろう。
「まずはこれまでに死んでしまった友達を発表します」
ギコは何も言わず名簿を取り出した。もちろん、そこでしぃの名が呼ばれたらギコの計画は全てご破算になる。だがギコはしぃを信じていた。いくら何でもこんなに早く死ぬわけないと。
「死亡者は三人です。まず男子16番、フェラーチョ君」
フェラーチョが死んだ―――ギコには少々驚きであった。学校一の不良と呼ばれるフェラーチョがこんなにも早く脱落してしまうとは思っていなかった。ギコは特にフェラーチョ達とは交流はなかったが。
(ただしくっついていたことはよくある。その時は金がなくてフェラーチョ軍団が盗んだ煙草をかっさらいに来ただけだったが。この手口でギコの煙草代は浮きまくっている)
まあフェラーチョもギコを嫌っていたようだし、自分も特に興味はなかった。それで思考を止め、次の死亡者の名前を耳にいれた。
「女子1番、あめねこさん。女子13番、みるまらさん。以上です」
特に交流があった女子ではなかった。しぃがまだ生きていることに、ギコは胸を撫で下ろし、死んだ生徒の名前にバツをつけると、デイパックに仕舞った。代わりにポケットから地図を取り出した。
「次は禁止エリアです。聞き逃すなよ。まず、七時からG-5が禁止エリアになります。七時までにはD-5を出てください」
G-5はゴミ捨て場となっているらしかった。ギコがいる場所とはかなり離れている。
「次、九時から、A-6」
A-6は西南端辺りのエリア。これも関係ない場所だった。
「そして十壱時からE-2です。禁止エリアは以上ー」
E-2も関係なかった。ギコがいる場所の周辺は特に関係ないようで、地図に禁止エリアの場所を書き込むとポケットに仕舞い、煙草を吸い始めた。
「ちょっとペースが遅いかなー、十二時までに何人死んでるか楽しみだー、また十二時に会いましょー、では」
そう言って音声は切れた。ギコはしばらく煙草を吸っていたが、そこで異変に気付いた。左側の茂みが動いていたのだ。
ギコは気付かないフリをしながら荷物をまとめはじめた。煙草をくわえたまま。誰だ、誰がいるんだ―――
がさがさっと茂みが揺れた。一瞬、誰かの顔を確認したギコは、後ろを向いて一気に走り出した。その軌道を追うように、ぱららららと言うタイプライターのような音が響き、草がちぎれる音が続いた。
ギコには当たらず、ギコはそのまま東へと走った。やがて高圧電流の柵が見え、そこで止まった。予想通りならここはC-2だろう。
あの襲撃者―――ぁゃなみレイ(女子3番)はマシンガンを持っていた。しかも容赦がない、気をつけなければいけない。
運動不足のせいかぜえぜえと息をしながら、ギコは落ちつける場所を探して移動した。
【残り39人】
山崎渉(男子21番)は先ほどの放送を聴いて、絶句した。
あの自分達のボスこと、偉大な存在である、フェラーチョ(17番)が死んだのだ。
「まさか、フェラーチョ親分が・・・」
山崎はがくっと、肩を落とした。悔やみきれない事だ、彼はフェラーチョ組に一番最初に加入した身。
親分の事は何でも知っている。そして、フェラーチョとは一番の信頼関係を持っていた。だから自分はフェラーチョ親分にグループ内で、とても信用されていた。
山崎自体フェラーチョに会って、少し変われた。(あくまで、自分の考えだが)だからフェラーチョの存在が惜しい。
「フェラーチョ親分・・・一体誰が・・・」山崎は自分の拳を強く握り、少し涙し、考えた。―――一体誰が・・・
言うまでもないが、不良グループのボスであるフェラーチョは一般生徒に恐れられていた。それゆえ、他の普通生徒が彼を殺す可能性は低い。
山崎はさらに自分の思考を巡らせた。―――もしかして僕たちのグループの誰かが?
「いや、まさか・・・流石に同じグループ。あいつらが親分を殺すわけない・・・」
―――でも、本当にそうなのか?中には親分に恨みを持っているかもしれない。
山崎は同じグループの連中を挙げてみた。まずぼるじょあ・・・いや奴は違う。あいつはグループでは一番下っ端だし、親分に忠実。
そして、自分の信用できる存在。モネーはどうだろう・・・彼女の性格を山崎はあまり知らない。
となると、ギコかネーノか?ギコはいつも生意気で、フェラーチョにはあまり忠実ではない存在。ネーノはフェラーチョに忠実で、いつも側に居た。
ネーノは違うよな・・・じゃギコだと言うのか?でも―――
山崎は一度考えを改めた。
「まず仲間だ!ぼるじょあを探そう。」山崎は不良グループの身。普通の生徒は信用できない。
だから一番信用できるぼるじょあを探す事にしたのだ。山崎はそれを決意し支給武器のメリケンサックを強く握り、荷物をまとめ、その場を後にした。
【残り39人】
53 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/01/30 19:42 ID:7PjlrxdN
坂田師匠は、B地点を歩いていた。
坂田師匠は、馬鹿だった。馬鹿だけど、正義感があった。
フェラーチョなどの不良と対峙したのも1度や2度じゃない。
そんな彼に、クラス同士の殺し合いなんて、できるはずがなかった。
心が弱くなるたび、ヌンチャクを持って父親を想った。
彼は、殺し合いをしない完全無血大作戦、なるプランを考えていた。
私物のペン2本(赤と黒)と、録音のできるMDウォークマン。
これがあれば、ソク大会中止だ・・。大丈夫・・・・。
まず俺がするのは、武器回収だ。こんな極限状況におかれてちゃ、
狂うヤツだってでる。現に、死人が出てるのだ。
時計を見ると、6時12分をさしていた。やれやれ、俺はたいして歩いちゃ
いない。怖い。だけど・・・大丈夫・・俺には誰にも負けない能力があるから。
彼の能力というのは、高度なハッキングでも、サバイバルでもない。
1つは、世界全ての国とその首都、場所を言えることだ。
記憶力。それは彼の誇ることのできる(本人はそう思っている)少ないモノの
ひとつだ。(しかしAABRに役立つかどうかは疑問。本人もそう思っている)
2つめは、視力だった。
彼の家にはテレビとパソコンがない。携帯電話も社会人の姉だけ持っている。
テレビとパソコンがないわけは、彼の両親が1度テレビ無しで生活すると
快適だったから、である。パソコンは単に皆いらないからである。
彼も別にテレビやパソコンを求めているわけではなかった。
食卓はラジオをかこみ食べる。夜は9時に寝る。ブルーベリーは好物だ。
彼の視力がいいのは、ごく自然なことだ。彼の視力は2をゆうに超える。
4。それが彼の視力だ(これは関係あるかも、と本人は思っている)
大丈夫、俺は大会をぶっ壊す。例えこの命が尽きようとも。
どんなワルだって殺させない。ひとりでも多く生き延びてくれ。
彼は私物のリュックからレモン・ドロップを出し、ポケットに突っ込んだ。
神様、俺に勇気と仲間を。
まるで映画の文句だな、と彼は苦笑し、それからため息をついた。
それは今日最後のため息となるはずだった。
山崎渉(男子21番)は先ほどの放送を聴いて、絶句した。
あの自分達のボスこと、偉大な存在である、フェラーチョ(男子17番)が死んだのだ。
「まさか、フェラーチョ親分が・・・」
山崎は口をあんぐりさせた。信じられない事だ、彼はフェラーチョ組に一番最初に加入したのだ。
親分の事は何でも知っている。もちろん強姦容疑やカツアゲなどのことも、さらに、自分はフェラーチョ親分にグループ内で、とても信用されていた。
しかし、山崎自体フェラーチョの事をあまり良いとは思っていなかった。彼の行為についていけないからだ。だからフェラーチョが死んだ事を、あまり深くは考えなかった。
でもやはりフェラーチョの死については、気になる。
言うまでもないが、不良グループのボスであるフェラーチョは一般生徒に恐れられていた。それゆえ、他の普通生徒が彼を殺す可能性は低い。
山崎はさらに自分の思考を巡らせた。―――もしかして僕たちのグループの誰かが?
「いや、まさか・・・流石に同じグループだしな。あいつらが親分を殺すわけない・・・」
―――でも、本当にそうなのか?中には自分みたいに親分に憎悪(自分はそれほどではないけど)を持っている奴が居るかもしれない。
山崎は同じグループの連中を挙げてみた。まずぼるじょあ・・・いや奴は違う。あいつはグループでは一番下っ端だし、親分に忠実。
なにより、自分が一番信用できる存在。モネーはどうだろう・・・彼女の性格を山崎はあまり知らない。
となると、ギコかネーノか?ギコはいつも生意気で、フェラーチョにはあまり忠実ではない存在。ネーノはフェラーチョに忠実で、いつも側に居た。
ネーノは違うよな・・・じゃギコだと言うのか?でも―――
山崎は一度考えを改めた。
「まず仲間だ!ぼるじょあを探そう。」自分は先ほど考え直した。絶対に脱出すると、とはいえ、山崎は不良グループの身。普通の生徒は信用できない。いや信用されないと言うべきか
だから一番信用できるぼるじょあを探す事にしたのだ。絶対だ―――絶対にこの戦場を生きて帰る。そして、変わろう自分の生きる力のために―――
そう心に決めた。山崎は実際の状況がわからないが、ぼるじょあに誓った。お願いだ。ぼるじょあ!!こんな糞ゲームに乗るな。絶対に乗るなよ。
山崎はそれを決意し荷物をまとめ、その場を後にした。(ちなみにメリケンサックは放置する事にした。)
【残り39人】
【女子6番】しぃは、G-2の辺りにある建物で腰を落ち着けていた。
建設途中のビルなどが立ち並ぶエリア・・・等と地図には書いてあるが、今自分がいるこの建物はほぼ完成している。
ビルというよりかは、工場。何を運んでいたのかはまかり知らぬが、ベルトコンベアーが至る所に配置され、枝分かれしている。
そして、段ボール箱が何個も置いてある。何が入ってるのかは確認していない。
とにかく、ここは工場であるという事だけは間違いなかった。
彼女は、そのいくつかの段ボール箱の一つに座っていた。
支給武器はスタンガンだった。殺傷能力は低いかもしれない。
しかし、もう殺したい人が消えてしまって人を殺す事は考えなくなった彼女にとっては、殺傷能力等は関係が無かった。
今の彼女は、とりあえず誰か仲間を探す事を考えていた。一緒に戦う仲間では無く・・・共に死ねる仲間を。
いじめられっ子である彼女に信頼できる人は少ない。しかし、本当に僅かに信用出来そうな人はいる。
・・・幼馴染のギコとウワァァァン。
彼ら二人は、幼稚園の頃からの付き合いである。彼女とウワァァァンとギコは皆同じクラスだった。
そして、彼ら二人以外は皆自分の知らないところに居る。・・・とにかく幼馴染と言えば彼らしかいない。
ギコは、自分の事を守ってくれたような気もする。彼には感謝の気持ちでいっぱいだ。
ウワァァァンは、自分と同じくいじめられっ子。
自分と同じ境遇の彼を、『自分だけじゃない』と言い聞かせるために見ていた時期があった。・・・今思えば私って結構悪い子だ。
とにかく、彼は何故か私にとって必要な存在なんだと思う。今まで私が自殺をしなかったのは・・・彼のおかげなのかもしれない。
それに、彼は私と境遇が全く同じ。虐められてる。孤立してる。・・・フェラーチョを殺したがってる。(私ほどでは無いかもしれないけど
だから、私は学校へこなくなった彼に電話をかけた。何故かって?自殺すると思ってたからだ。
私だったら彼みたいに虐めで学校に行かなくなったら、いずれ自殺する。・・・だから彼もしてしまいそうで不安だった。
彼はもう一人の私であると言っても過言では無かった。とにかく、色んな意味で彼は私の『希望』でもあった。
あとは、さいたま君かな・・・?可愛かったし私の事を気遣ってくれたような気もする。
あと、席が隣の今乃内乱太君・・・なぜか知らないけれど彼は私を色んな面でかばってくれたような気がする。
そのくらいかな・・・?信用出来そうな人。
あ・・・もう一人いた。・・・ネーノ君。
彼はフェラーチョグループだったような気がするけど、彼は間接的にかばってくれていた。
フェラーチョが私を虐めようとして、(奴は私を口で虐めてくる。劣等感に悩まされる。)こっちに向かおうとすると、
ネーノ君がフェラーチョを引き止めて、上手く言いくるめてた。
「ちょっと待てフェラ。お前またあいつを虐めに言ってくるのか?
そろそろ止めた方がいいぞ。いくらお前が面白いと思ってても、あっちはいい迷惑だ。
あいつはとても精神的に追い詰められてる可能性がある。
・・・言いたい事は分かるよな?フェラ。・・・もしかしたら、だぞ。・・・あいつが自殺したらどうする?」
「・・・それはそれで関係ない顔をしてればいい。」
「そうかな?それで通用するかな?もしかしたらあいつは遺書を書くかもしれない。
・・・お前の事をびっしり書いた遺書を、だ。それが親に見られたら、お前、いや、お前の家庭に多額の慰謝料が請求されるだろうな。
いや、場合によっては新聞沙汰になるかもしれない。そうすれば、ニュースでお前の事が大々的に取り上げられるだろう。
・・・そうなったら、どうする?ましてやお前は他の犯罪も沢山してるんだから、やばい事になるぞ。」
「・・・そ、そんな事にはならないだろ・・・!」
「いや、そういう可能性もあるだろ。だから、それを考慮してあいつへの虐めはもうよした方がいいって事だ。」
「・・・分かった。ネーノ。お前にはかなわないよ。」
確かこんな風な事を言っていた。・・・あれ、何で私ったらこんなに内容を覚えてるのかな・・・?
確かネーノ君はウワァァァンをフェラーチョが虐めに行く時とかも同じようなことを言っていたような気もする。何でだろう。
とにかく、彼は何処と無く信用が出来そうな気がする。容姿もクラス内ではトップクラスだ。
・・・そういえば、彼をはじめて見た時に、もっと昔に顔を合わせた事があるような気がした。・・・気のせい・・・だよね。
・・・とにかく、信用出来る人を探そう。・・・だからこんな臭い所は早く出よう。
しぃは工場を出て、朝の光が差す外へと身を出した。【残り39人】
A-3の廃屋の一つに、・【女子12番】は隠れていた。
膝を抱えながら、涙をこらえて。
心臓が痛いほど激しく脈打ち、手足が小さく震える。
・は緊張すると、何時もこんな具合になる。
中学に入ってからはましになったが、小学校の頃はそれが元でからかわれたりもした――。
とても嫌な思い出だが、それが元で出会った人もいる。
・は自分の荷物をあけ、生徒手帳を取り出した。
そこに挟まれてある写真を摘み出す。
……
>>1さん。
写真の中でにっこりと笑んでいる男子。
緊張している所をからかわれた時、助けてくれた人。
そのときから、・はずっと
>>1さんのことが好きだった。
小学校のうちも、中学校に入ってからもずっと。
一年のときも、二年のときも、友人のいない生活は寂しかったが>>1さんのことを思うと頑張れた。
三年生になると、初めて友人が出来た。
そして、
>>1さんと同じクラスになって。
……とても、楽しかったのです。
・の瞳から涙が溢れた。大粒の涙が頬を伝ってスカートにしみこむ。
写真を握り締めながら、・は声を押し殺して泣いた。
会いたい、会いたい。
会いたいのです、
>>1さん……。
【残り39人】
57 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/01/31 10:19 ID:GhwFjxIO
坂田師匠はエリアDをレモン・ドロップをなめながら歩いていた。
そのかすかな甘味は、彼の心を静め、穏やかなものにしていた。
不思議なことに恐怖や狂い、殺意を感じなかった。
やるべきことがしぼられたから。死んでもいいとさえ思っているから。
絶対に俺は誰も殺さない。そんなことはヤツラの思い通りだ。
―やつらは心音を読み取っている。そして、間違いなく、盗聴してる。
ヤツラはこのゲームを楽しんでいる。俺たちの悲痛な叫び、波打つ鼓動を聞きながら。
盗聴するのも考えれば当然のことだ。AABRは俺たちがはじめてじゃない。
いままで、大会本部襲撃を考えたヤツだっているはずだ。それを防ぐには、
盗聴だ―――。冷静に落ち着いて考えれば、馬鹿の俺でもわかること。
・・・えっと6時52分。そろそろ誰かに会ってもいいはずだけど。
そのとき、彼の視界の彼方で、人影が動いた。
あれは・・ドクオ!あいつ、ナニやってんだ?相変わらず不気味だよ〜。
うーわっ、コエーなぁー。あいつが作戦の獲物第一号かよ・・
すーっとかれの心に恐怖が忍びよってきた。それは夜の海に似ていた。
やるしかねえ、と彼は細い赤ペンと黒の油性ペンをにぎりしめた。
ドクオ、振り向くなよ・・ 彼は物音をたてないよう、ドクオに向かっていった。
あと10メートル・・・・・・あと5メートル・・
ドクオはかれに気付かず、歩いていた。
坂田師匠はすばやく背後をとり、ドクオの首すじに赤ペンと、ケツの穴に油性ペン
を軽く差し込んだ。ドクオはひっ、と声をあげた。
「動くな、すこしでも変な真似をしたらお前の首とケツに銃弾をぶち込む。」
それは彼の耳には嘘としか聞こえなかったが、ドクオはそう聞こえなかったようだ。
かたかたと震えていた。
「お前の武器をよこせ、ゆっくりと取り出して、後ろ手で落すんだ。」
ドクオはデイパックからもそもそと何かを取り出し、それを落とした。
それはベレッタとマガジン2つだった。
「頭のうしろで手を組み、ひざまずけ。」 ドクオは言う通りにした。
坂田師匠はデイパックにべレッタとマガジンをしまい、しばらく後ろ向きに歩いて
ドクオの様子を見てから、一気に走り去った。
「上出来だ、坂田師匠」と彼はつぶやくようにそういった。
彼は馬鹿ではなかった。勇気ある馬鹿だった。
58 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/01/31 13:12 ID:ez6R/NNs
坂田師匠は順調に武器回収をすすめていた。
アサピーとザーボンの武器を同じ手口で回収し、(アサピーの武器・ひとさじの
粉末毒 ザーボンの武器・消火器)時間もたいしてかかっていなかった。
時計を見ると、7時25分だった。現在地点は、エリアC。
これで少し殺しが減るといいんだけれども、と彼は思った。
だいぶ荷物が重いので、私物のリュックからスポーツ・タオルと500ミリリットルの
スポーツドリンクと板チョコ2枚をだしてあとはリュックごと捨てた。
と
____
/ ------/|
|  ̄ ̄ ̄ ̄| .|
>>40 |_____|/
60 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/01/31 13:39 ID:ez6R/NNs
坂田師匠はタオルとドリンクとチョコをデイパックにしまい、
ロールパンと水をだして、食べることにした。
ちょうど建設途中の小さいビルを見つけたので、そこに入り、もそもそと食べた。
食欲はあまりなかったけれど、食べておかないといつ食べられるか。
彼はロールパンをかじりながら、考えごとをしていた。
武器回収ももう少ししたいけど、大会本部襲撃の時間もほしい。
仲間も必要だ。やれやれ、やるべきことがいささか多すぎる。
水を半分ほどのみ、ロールパンを食べきると彼は立ち上がり、ビルを出た。
そしてレモン・ドロップを口に放りこみ、歩きだした。
しかし、彼はすぐ歩くのをやめた。彼方に、人影が見えたからだ。
ネーノ!?あれはネーノだ!まずい。ネーノは常に冷静な不良、しかも空手
とかそういう系スゴイんじゃなかったっけ?まずい、あいつはまずい。
彼は出てきたビルに戻り、がらんとしたフロアの数少ない柱の後ろに
身を隠した。
殺したくない、という気持ちとは裏腹に、彼はベレッタをにぎりしめていた。
【男子14番】ドクオは、後ろに坂田がいなくなってるのを確認すると、組んだ手を解き、安心したように溜め息を漏らした。
殺されると思っていたが、何はともあれ殺されなくてよかった。
ドクオは、修学旅行の日も家に引きこもっていた。
あんな糞どもと修学旅行なんかに行ったって面白くないしマンドクセ。そう思っていたからだ。
そして、ドクオは深い眠りについていた。アパートの隣から聞こえる擬音がうるさかった。
・・・そして、起きたら変な教室の中に俺は居た。
周りには糞どもが座ってる。
そして、教壇には謎の男・・・確かモララーとか名乗っていやがった。
・・・殺し合いだって?ふざけるな。
糞どもを殺すのには別に抵抗は無いが、殺されるのは怖い。
だってそうだろ?みんな自分だけが可愛いのは当然だよなぁ。
だから糞どもをみんな殺して早々におさらばしようと思っていた。
・・・でも、だ。奪われた。俺の命綱が。
坂田とかいう糞どもの一角にだ。
ちっ。何だよあいつは!ブッサイクな顔をしてる癖に!糞が。糞が。
こうなったら生き残る術は一つしかない。・・・隠れる事。
そうだ。適当な場所にずっと隠れてればいい。
死人状況は放送が教えてくれる。そして、一人や二人になったらベルトかなんかで首を絞めて殺せばいい。
ふふふ。そうだな。それがいい。糞どもが阿鼻叫喚しながら馬鹿みてぇに殺しあってる中、俺だけは優雅に寝てるとしようか・・・
ドクオは、そう決めると、エリアCに向かう事した。
エリアCには,建設途中のビルがあると言っていた。その中の一つでも身を潜めればいいか。
よし・・・行くか・・・
「おっと。そこを動くんじゃないぞ。」
またか。
首筋にナイフを押し付けられている。怖い。またかよ。誰だよ。
「お前ぼるじょあとモネーを見なかったか?」
後ろに居る何者かが呟く。
「み・・・見て無いです・・・」
そういうと、後ろに居る奴はチッ、と言って、ナイフを外し何処かへと行ってしまった。
またもへたり込むドクオ。
後ろに居たあいつは・・・間違いない。【男子15番】ネーノじゃなかったか!?
・・・くそっ。運が悪いぜ俺って奴は・・・
「あとはぼるじょあとモネーか・・・直接的には関わってなかったけど・・・お前らも参加してたよな?
山崎は参加してなかったから・・・いいか・・・とにかく、あと・・・二人。」
ネーノは呟いていた。呟きながら、ディパックの中にしまってあるロケットを覗き込んだ。
・・・あいつらを殺せばお前の妹は救われるはずだよな。お前の死に関わった奴らと、その仲間は・・・みんな殺してやる。
【残り39人】
ぎゃあ、ネーノが二人・・・
すみません。坂田がネーノを殺さないなら62はスルーの方向で。
間違えた。
坂田がネーノを殺すなら62はスルーの方向で・・・
太陽の光に刃が光る。
拭いても拭いてもこびりついて取れない血液だけが光を跳ね返さない。
アヒャ【男子2番】はうっとりとその様を眺めた。
昼の太陽とは違って、早朝の光は何処か神々しい。
初めて浴びる朝日に、牛刀が喜んでいるように見えた。
アヒャが今潜んでいるのはB-2の民家の一つ。
夜中獲物を探して歩き回った末に、ここで体を休ませていたのだ。
いくらアヒャ族が丈夫だからといって、夜通し歩き回れるほど頑強ではない。
「……それに、急がなくたって時間はたっぷりあるアヒャ」
アヒャはそう呟くと、にたっと笑った。
刃物がアヒャの笑顔を映し出す。その笑みは、どの笑顔よりいやらしく、また無邪気だった。
「さあ、そろそろ出発するアヒャ」
アヒャはそう言うと、荷物を背負った。
牛刀を手にしっかりと握り締める。
これからこの刃物がどれだけの血液を吸い込むか。
アヒャはそれを想像するだけで笑みが顔に上るのを感じた。
とりあえず、エリアAを探して見るか。
まだ体を休めている人もいるかもしれないし。
【残り39人】
【女子6番】しぃは、E-2の辺りを歩いていた。
特に理由なんて無い。ただ、心中できる仲間だけを求めて歩いていた。
彼女は、何故かずっとネーノの事を考えていた。
ネーノ・・・彼の事を考えると、何故か自分の死んだ姉の事を考えてしまう。
彼女には姉がいた。
自分より二つ年上で、今の私の歳だと高校2年生・・・の筈だった。
姉には、年下の彼氏がいた。
確か、私と同じ歳だと言っていた様な気がする。
直接その彼を見た事は・・・あったっけ?・・・覚えていない。
で、姉が高校1年生に上がった時に、私は中学2年生だった。
その時から・・・私はもう虐められていた。
虐めてたのは・・・フェラーチョ。モネー。みるまら。
相当陰湿な虐めを受けていた私は姉に相談した。・・・ような気がする。
姉は、すぐにその不良たちに物を言いに家を出た。
姉にはフェラーチョ達の住所を教えておいた。
その夜、姉は帰ってきた。随分深夜だったような気がする。
姉は、下を向いていた。下を向いたまま部屋に入った。
その翌日。姉は首を吊っていた。
見開かれる目。光が無い目。虚ろな目。霞んでいる目。何処を向いてるのか分からない目。厭な目。暗い目。寂しい目。目玉。眼。眼。
姉は死んでいました。
すぐに親が救急車を呼んだ。けど、姉はもう死んでいた。処置も手遅れだった。
遺書は、姉の部屋から見つかった。というより、見つけた。
遺書にはこう書いてあった。
「生きる希望を無くしました。フェラーチョを殺してやりたいです。呪い殺したいです。でも無理です。だから死にます。」
葬儀の時、姉の遺体に泣きついている男が居た。
たぶん姉の年下の彼氏という男だ。
と、突然その男は私の方を向いた・・・ような気がする
「君はじぃさんの妹さんかい?」
私はウンとだけ頷いた。
「君を虐めてたのは誰だい?」
と彼は聞いた。私は名前を全部出した。
「そうか・・・有難う。ところで、お姉さん遺書か何かは無かった?」
丁度姉の遺書を持ってた私はその人に差し出した。
その人は、しばらく睨みつけるような眼で遺書を見た後、すぐに私に手渡した。
「・・・ありがとう。君とはまた何処かで会えるかも知れないね。・・・その時は、君を助けてあげるよ。」
その人は、それだけ言うと何処かへ行ってしまった。
顔は・・・覚えてない。姉が死んだショックで、その人の顔なんてロクに見なかった。勿論覚えなかった。
で、中学3年生になると、新たにぼるじょあも私への虐めに加わった。
でも、虐めは2年生の時よりもぐっと減った。新しくフェラーチョ軍団に加わったネーノ君と、クラスが一緒になったギコのおかげで。
・・・年下の彼氏?私と同い年?・・・まさか。それは・・・ない・・・よね。そんな偶然があるわけがない。
・・・とにかく考えるのをよそう。もうよそう。頭が壊れそう。
【39人】
カタン、と小さな物音がA-3辺りを彷徨っているアヒャの耳に届いた。
微かな音だったが、アヒャ【男子2番】はそれを聞き逃さずに立ち止まった。
音がした家を見定めて、足音を殺して窓に歩み寄る。
――いた。
アヒャはにやりと唇をゆがめた。
・【女子12番】が床に倒れこんでいるのが見える。
その目は閉じられていた。眠っているのだろうか。
微かに肩が上下しているのを見ると、死んでいるわけではないようだった。
窓に鍵がかけられているのを確認して、アヒャは窓から離れた。
家の周りをぐるりと回る。出入り口は、裏口と玄関と先ほど覗いた窓だけのようだ。
他の窓は小さく作られていたり、格子が嵌ったりしていて中に入ることは出来ない。
アヒャはまず玄関のノブを慎重に捻った。
予想通り、かちりと音がして途中までしか捻られない。
鍵がかかっているのだ。まあ、当たり前なのだが。
続いて裏口に回る。その扉も鍵がかかっている訳ではなさそうだが開かなかった。
――どうしようか。
アヒャはほんの少し考え、窓の方へ向かった。
持参した荷物からタオルを数枚取り出し、右手に作ったこぶしに巻きつける。
ほんの少し窓から離れて、助走しながらこぶしを繰り出す。
窓ガラスが大きな音を立てて砕けた。
・は大きな音に驚いて飛び起きた。
「きゃっ! な、何なのです……?」
起き抜けの上に、驚愕が加わったことで・の頭は正常に動いてくれない。
言い知れぬ恐怖だけが身を支配して、体を動かすことも出来ない。
じゃりっと砂を踏むような音で、やっと・はそちらの方を見た。
ガラス片で切ったのか、体中に小さな傷を刻んだアヒャがそこにいた。
恐怖で口を聞けない・に、アヒャが歩み寄る。
粉々になったガラスが、彼に踏まれてさらに砕けた。
アヒャの手に牛刀が握られていることを確認した・は、小さくひきつった悲鳴をあげて立ち上がった。
立ち上がりかけたところをアヒャに足元をすくわれて、再び床に倒れこむ。
肺付近を強打して、空気全てを吐き出してしまう。瞬間的に息が出来なくなる。
あまりの苦痛に・は涙ぐんだ。手足が震え出す。
「アヒャヒャ……」
アヒャが気狂いじみた声で笑っている。
・は自分の荷物を引き寄せた。あれがあれば、あれがあれば。
……あった。
その感触を指先に感じて、・は震えが少し収まるのを感じた。
首を無理矢理捻じ曲げて背後を見ると、アヒャが牛刀を振り上げようとしていた。
・はそれを掴み出した。それをアヒャに向かって構える。
アヒャはそれに気付かないのか、牛刀を・に向かって振り下ろした。
――っ!?
ぱっと赤い液体が散る。血液だ。
それは床やガラス片の上で光を受けてキラキラと輝いた。
大好きなそれを見て、しかしアヒャは呆然としていた。
その液体は、アヒャ自身の物だったからだ。
アヒャは続いて目の前にへたり込んでいる女子を見た。
その女子――・はアヒャに向かって黒い物を構えている。
それは銃――ブローニング・ベビーという名前である――だった。その銃口からは煙が一筋流れている。
アヒャが呆然としている間に、・は小さく叫びながら裏口から出て行った。
どうやら、鍵がかけてあったわけではなくつっかえ棒をしていたようだ。
「痛いアヒャ」
アヒャは小さく呟いた。アヒャ族は、苦痛等にはかなり強く出来ている。
とりあえず傷を確認する。右腕を撃たれた様で、学生服が破けて血液が流れていた。
肉が数ミリ抉られていて、アヒャはほんの少し恐怖した。
しかし、その傷よりもガラス片で傷つけた右のこぶしが痛かった。
タオル数枚では防ぎきれなかったらしい。
アヒャは荷物からばんそうこうなどを取り出しながら先程の女子のことを思い返していた。
アヒャは『獲物』に傷つけられたことは初めてだったのだ。
傷つけられて、その上逃げられるなんて。
アヒャはほんの少し苛立たしさを覚えた。
ただ、それだけだった。
【残り39人】
69 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/01/31 16:54 ID:72OiY+wQ
坂田師匠はじっと、柱の裏に隠れていた。
それはとてつもなく長い時間に思えたし、一瞬の刹那にも思えた。
カッ。回転ドアを開ける音が聞こえ、誰かが近づいてくるのがわかる。
出来上がっていない天井からは空が見えた。音は響いた。
マガジンを差込み、ベレッタをいつでもつかえるよう身構えた。
足音は近づいてくる。うわあ、まずい。そうだ、消火器。
めくらましくらいにはなるかも・・
彼はあわててデイパックから消火器をとりだし、柱から身を出して
消火剤を噴射した。ブシューーーーーー。
もくもくと白い煙が出る。彼は消火器を投げ捨て、ベレッタを構えた。
しかし、その煙の中から現れたのは1さんだった。
モネー(女子16)番は、銃声やら何やらが聞こえ、殺し合いが続いているこの島の中、木と茂みに覆われた場所で身を隠していた。
東の空には既に日が昇っている。時計を見ると、午前7時前を指していた。
このエリアはA-5エリアだが、すぐ下のA-6は九時から禁止エリアになるらしかったので、少々北側にいた。南側に行きすぎると、いつA-6に入っているか分からない。
モネーは右手に持っていた錆びた金属棒(エリア51からここに来るまでに拾ってきたやつだ)を地面に置き、足を伸ばした。
このエリアは島でも一番端、あまり人は来ないんじゃないかと考えた。
―――もちろん、このゲームでは絶対に優勝しなければいけない。
自分のような中学三年生の女の子がこんな場所で死ぬなんて考えるだけでも嫌だった。もちろんここでは、最後の一人になるまで生き残らなければならない。
ただこんな金属棒だけで一体何ができるだろうか?
―――いや、大丈夫だ。大丈夫、デイパックから出てきた時は首をかしげたが、この支給武器は生き残る上で便利だ。
そう思ってモネーはセーラーの腹を、その支給武器―――防弾チョッキの感触を確かめるように触った。
武器が乏しい今は、隠れに徹することだ。他の奴らが殺し合って、最後に自分が出てきて相手を倒せばいいのだ。とにかく今は、隠れなければ。
ふと、フェラーチョ(男子17番)のことを思った。
彼は朝の放送で名前が呼ばれた、つまり死んだということだ。もちろん彼女にとってそれは以外であった。最後まで残りそうな人間の中にフェラーチョが入っていたからだ。
放送で名前が呼ばれた時は「あら、ちょっと早すぎるわね」と鼻で笑った。
彼女はフェラーチョ軍団とつきあいがあったし、彼女自身自覚するほどの不良だった。万引きは日常茶飯事、時には恐喝や、そう売春もやったことがある。
フェラーチョも同じような人間だった。だからって特別好きなわけでもなかったが。
フェラーチョ軍団は他のクラスか下級生までも集めた不良集団だ。いじめとか喧嘩とか恐喝とか―――まあ基本的なことをやる。
このクラスはいじめられっ子が結構多いなと、思ったことがある。
みるまら(女子13番)とかがよくしぃ(女子6番)やでぃ(女子9番)などをいじめていたが、モネーはそんなものに興味はなかった(そういえばみるまらも放送で死んだと言っていた。フェラーチョ軍団の中でも希少な女子だったので話したりすることはあった)。
―――しぃ、そういえば彼女の姉はあの後自殺したんだった。
去年のことだった。まだ幼かったモネーは、いじめという子供の遊びを楽しんでいた。今ではもう飽きてやっていないが、あの時の標的は主にしぃだった。
あの日、いつものように嫌がらせをして帰った後、突然しぃの姉と言う女がフェラーチョの家にやって来た(この時モネーはぼるじょあ(男子18番)と共にフェラーチョの家にいた)。
「ちょっと、あたしの妹のしぃをいじめてるらしいわね」
「あ?ああそうだけど」
「妹が私に相談してきました。そうとうひどいらしいわ、やめてもらえないかしら」
「何だよめんどくせ」
「妹が自殺するかも知れないでしょ!」
じぃが声を挙げてそう言った直後に、フェラーチョはじぃを殴り飛ばし、じぃの体が壁に押しつけられた。
―――あとの説明は特にいらない、まあフェラーチョがじぃを強姦したという話だ。モネーは女だったので何もしていなかったが、特に止めることもしなかった。
翌日、そのじぃが自殺したという話が耳に届いてきた。フェラーチョは少し驚いた顔を見せたが、それでも「大丈夫だろ、証拠はねえんだ」と言って教室を出て行った。
三年になり、いじめの標的が増えたことや、しぃをいじめることを同じグループのネーノ(男子15番)やグループにいるのか一匹狼なのか分からないギコ(男子7番)が引き止めたため、しぃに対するいじめは少なくなって行った。
特にあの事件に対しモネーは何も思っていなかった。自業自得だろう、喧嘩を売る時は相手を見てからの方がいい。
そこまで考えて、モネーは足を折り曲げた。今はとりあえず、待つことが先決だった。
【残り39人】
なんでだろう…
男子3番「ッパ」はエリアBに入っていた。(4-Dあたり
放送を聞いて既に3人の死を知った。しかし、落ち込んでる場合ではない。
ッパはいっしょに脱出(または特攻など)をできる仲間を探していた。
(このエリアBだと、銃を持っている人が有利だね)
ッパの支給武器はノートパソコン。支給「武器」とは違う気がする。
つまり、銃を持っている。やる気。この二つがそろった人間にあったら危険だ。
ッパは歩きながら頭を回していたが、目にうつったあるものに、思考はさえぎられた。
男子6番「おにぎり」だ。
あれが支給武器なのだろうか、あまり靴をはかないAA達だが、靴をはいている。
鉄の、とがった物が裏についている。スパイクだ。
「けられると痛いかも…」
そんな事も考えたが、やはりここで考える事は、話かけるべきか否か。
「おにぎり君なら仲間になってくれるかもしれない。」
おにぎりはクラスの中ではとてもいい印象がある。フェラーチョ組にいじめられていた子を助けたこともあったらしい。
いつも明るくて、わっしょい、わっしょいしていることが多かった。(意味は解からないが
そうゆうことで、ッパはおにぎりにはなしかけてみることにした。
ッパは少しずつおにぎりにちかづいた
おにぎりのすぐ後ろにきたとき、おにぎりが振り向いた。
「!!!」
おにぎりは突然のことにただびっくりした。そんな、おにぎりにッパは
「や、やぁおにぎり君…−−−」
ッパは突然言葉につまってしまった、
「あ、あのさ…」
こうゆう時はこうゆうしかない…
「いっしょにお菓子を食べませんか?」
おにぎりは少し驚いていたが、
「え、あ、…う、うん。」
と答えた。
別に仲間になろうといったわけじゃないけど、これで一応仲間ができたわけだ。
「ワ、ワショーイ!」
おにぎりはあくまで明るくしていた。
【残り39人】
72 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/01/31 20:36 ID:RSEDTwVy
坂田師匠は目を疑った。でも、その姿は1さんその人だった。
セットされたはずの髪はすっかり崩れ、体じゅうは真っ白だったが
それは見まごうことなき1さんだった。
1さんはしばらくゲホゲホとせきこんでいたが、やがて
「ウウ、ナンナンダヨウ」 と苦しそうにうめいた。
1さんのその声には殺意や狂人じみたところは少しもなかった。
平和な学校の平和な生徒、1さんだ。
坂田師匠はそのまま力なくへたりこんだ。よかった。
「ごめん、あまりにコワかったから、つい」
「ダレカ人影ガミエタモンダカラサ」 と1さん。
!!!!「1さん後ろーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
坂田師匠はさっと立ち上がり、ベレッタを構え撃った。
バン、と渇いた音がして銃弾は1さんの後方の人影のほおをかすめた。
人影の正体、それはネーノだった。ネーノは手にした銃を1さんに向けていたのだ。
「1さああん、早く逃げてくれぇ!!!」 と彼は大声で叫んだ。
「エエ?」 まだ事情が飲み込めていない1さんはそういった。
「いいから早く!!そこの裏に俺の荷物がある!!持って逃げろ!」
1さんはしばらくとまどっていたが、やがて荷物をとってから
走って逃げた。
「ネーーーーーーノ!お前の相手は俺だ!」 そして3発をつづけざまに撃った。
一発はネーノの右腕に当たった。
ぱららららららららっ
彼はとっさに柱の裏に隠れた。マシンガンだ!
無血は守れなくなった。恐怖が彼を支配した。それでも彼は逃げなかった。
あと残弾が少しと、手つかずのマガジンがポケットにひとつ。
彼は柱から手を出し、残弾をやみくもに撃った。 当たらなかったようだ。
そしてマガジンを入れ替え、柱から体をだし、ネーノに向かっていった。
「うわあああああああああああああああ!!!!」
連続で銃声が響き、彼はネーノに突進していった。ああああ。
ぱららららっ
渇いた連続音が響き、沈黙が生まれた。
あと1メートルというところで、坂田師匠はずるりと崩れた。
血がプッ、と吹き出た。
「違ったか」 とネーノがつぶやき、背をむけて歩き出した。
薄れゆく意識のなかで、坂田師匠は彼の銃をみた。
2つ銃を持っている。右手にマシンガン、左手に拳銃。学生服に俺のじゃない返り血がついている。
誰かを殺したんだ。ゆるさねえ。
ネーノはなにか足にひっかかった感じがした。
見ると、坂田師匠が右足をつかんでいた。
そして一気にがばっと立ちあがり、ネーノの首輪をつかんだ。
「くた・・ばれ」 血まみれの坂田師匠がうめいた。
ぱららっ
坂田師匠はごほっと血をはき、どさっと倒れた。
血が水たまりのように広がった。
坂田師匠は穴だらけの体で手を少しうごかしたが、やがてとまった。
ネーノはしばらく死体を見つめていたが、やがて歩いていって
ベレッタを拾い、坂田師匠の手にしっかりと握らせてやった。
そして彼は背をむけまた歩きはじめた。
それは猛獣が殺したものの力を認めたときに見せる、わずかばかりの慈悲と
弔いだった。
【残り38人】
73 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/01/31 20:39 ID:O6eAFIN5
___
/ \ ________
/ ∧ ∧ \ /AAバトルロワイアルとか言ってるくせに
| ・ ・ | <AA1つもねーじゃねーか 氏ねよおめーら
| )●( | \________
\ ー ノ
\____/
76 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/01/31 21:26 ID:K/TebuGI
まるで消費者金融のコマーシャルみたいにわかりにくい様ですね
アヒャ【男子2番】は傷を治療し、廃屋の谷間をうろついていた。
さっき、・を取り逃がしたのは、彼を苛立たせ、考えさせることとなった。
一体俺は何をしているんだ?獲物を取り逃がすなんて・・・。
そうだ、俺は一瞬痛みを気にしたからだ。銃に撃たれるのは初めてだったからな。
そうと分かれば、次はこうはいかない。
どうせ死ぬこのゲーム、楽しんだ者勝ちだ。相手がどんな武器を持っていようが、次はこれで殺す。
そう言うと、アヒャは牛刀を恍惚とした表情で眺めた。が、それは一瞬で終わった。
彼の野生の本能が、誰かの気配を感じたからだ。
廃屋の窓ガラス越しに気配の主が見えた。
黒光りする銃を持ち、歩いているのは、【男子8番】キユだった。
【男子8番】キユ。たしか数ヶ月前、
「中学生で漫画家デビューだー!キユ!キユ!キユ!」
などと騒いで、みんなに週刊誌を配っていた覚えがある。
だが、数週間前に気まぐれでその雑誌を買ってみたが、彼のマンガは載っていなかった。
・・・いや、そんなことなどどうでもいい。
アヒャは牛刀を振りかざすと、雄叫びをあげながらキユの後姿目掛けて猛進した。
一撃で、仕留める。
【男子8番】キユはゲーム開始後、地図を見てとりあえずこのエリアにやってきた。
支給された武器である拳銃、警察官が使うようなそれは、彼に多少の安心感を与えてくれた。
全く、ついていないな。せっかくの連載していた漫画が打ち切られたと思ったら、こんなものに放り込まれるなんて。
ゲームを発案した、痛みを忘れた大人が嫌い。そしてあの放送だ。既に三人も殺されている。心を無くした子供が嫌い。
やっぱり優しい漫画が好・・・!?
キユは何か冷たいものが首輪の下辺りを通り抜けていくのを感じ、次の瞬間に浮遊感を感じた。
だが、その原因に思いを馳せる暇も無く、意識は急速に遠のいていった。
どさっ
地面にキユの生首が転がり落ち、主を失った身体は紅い噴水へと変貌した。
「アーヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」
アヒャ勝利の叫びをあげると、切れ味が落ちる原因となる血と脂を拭き取り、キユの生首を眺めた。
恐らく自分の死さえ自覚していなかったであろう彼の表情は、間抜けなほどあっけらかんとしていた。
その時だった。彼のアヒャ族の本能が目覚めたのは。
「豆豆まめ豆まめ豆まめ豆豆豆豆まめ豆!!!」
アヒャはキユの生首を掴むと、まだ血の滴るそれを喰い始めた。
「アーヒャヒャヒャヒャヒャ!!!うめぇ!豆うめぇよ!!!」
アヒャは狂っていなかった。正気だった。ただ、アヒャとしての自分に目覚めただけだった。
僅か10分足らずでキユの首を白骨にすると、アヒャは拳銃も、残った首輪も拾わずに、その場を後にした。
死ぬまでに、少しでも多くの『豆』を喰うために。
>>1さん【男子3番】はがたがたと震えながら膝を抱えていた。
先程の坂田師匠の叫び声が何度振り払っても脳裏に蘇る。
そして、彼の言うままに逃げ出した後ろから聞こえた銃声。
あの銃声は坂田師匠の言葉を信じるならばネーノ【男子15番】の物だ。
ということは。
>>1さんはぐっと唇をかみ締めた。
彼は、やる気になっているのだろうか……?
>>1さんは震えた。震えながら坂田師匠の無事を祈った。
「生きて帰ってきてくれよ、坂田師匠……」
その想いは、彼の本心だった。
自分を逃がしてくれたという恩や自分のせいで彼が死んだらという恐怖もあるにはあるのだが、
それらを除いても
>>1さんは坂田師匠のことが心配だったのだ。
ようは、彼はお人よしだったわけである。それも重度の。
暫く膝に頭をうずめていた
>>1さんだったが、ふと思いついて自分の荷物を開けた。
赤いカバーの手帳を取り出す。几帳面な彼は、予定などは全てこの中に書き込んでいた。
>>1さんは用心深く、といったほうが良いような手つきでカバーを剥がした。
そして、剥き出しになった拍子を見て微笑んだ。
そこには一枚の写真が貼り付けられていた。
「……リル子さん」
きりりとした目元の少女が数人の女子に囲まれて小さく笑っている。
口元に上るのは歳には合わない大人びた笑みだ。
>>1さんはリル子【女子19番】が好きだった。
いつも大人びた笑みを浮かべ、何処か達観している彼女が。
時には教師さえも揶揄するような毒舌家だったが、なぜか女子には人気があった。
いわゆる「姐御」的存在だったのだろうと、
>>1さんは思っている。
……そんな、クラス全員が知っていることしか知らない自分が
>>1さんは歯がゆかった。
しかし、それも無理はないことなのだ。
出席番号が離れていたので日直で一緒になることもなかったし、背丈も違うので――リル子のほうが何センチも高かった――行事などで隣り合うこともない。
ただ、遠くから見るだけの片思い。
――彼女は今どうしているのだろう。
>>1さんはカバーを元に戻しながら考えた。
彼女のことだからこのゲームに参加しているとは思えない。
何処か安全なところに隠れている可能性のほうが高いような気がする。
「でもなぁ」
>>1さんは先程の銃声のことをまた思い出していた。
不良グループの良心だと思っていたネーノがこのゲームに乗ったのだ。
人間、きっかけさえあれば誰だって狂気の渦に引き込まれるのかもしれない。
勿論それは、
>>1さんだって例外ではないのだろうが。
「……」
>>1さんは荷物を纏めた。
もし彼女がこのゲームに乗っているのならば止めなければならない。
また、彼女が危機に瀕しているならばそれを助けなければならない。
>>1さんは地図を広げた。ここはG-2付近だろう。
高圧電流とやらが張り巡らされている。
――ここは、エリアAの方に行ってみるかな?
エリアAには廃屋があるという。
廃屋――といってもその程度は分からないのだが、もし調度品などがあれば女子はそちらに行くだろう。
得体の知れないビルの一室で眠るのなんて、女子でなくたって嫌だ。
それは潔癖症ゆえの偏った考えであるのだが、
>>1さんはそれに気付かなかった。
彼はビルの瓦礫から身を起こすと西の方を見た。
――リル子さんは僕が守るんだ。
彼の背中は朝日に照らされ、金色に光っていた。
【残り38人】
81 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/01 12:26 ID:uvhGH6vL
坂田師匠死んじゃった(つД`)
82 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/01 20:44 ID:nXMBfGgD
シナーはD地点をとぼとぼと歩いていた。
「授業妨害王」の称号を持ち、24時間365日うるさく明るいシナーといえど、
こんな状況に放りこまれては、いつもの元気もででこなかった。
安物のデジタル時計を見ると、7時ぴったりを示していた。
私物のバッグからは、1リットルのコーラと焼きソバパン1つだけをデイパックに移し、
バッグごと捨てた。
彼は放送を聞き、いろいろな所へ移動することで接触を防いでいた。
デイパックの中に、彼の支給武器はしまってあった。
プラスティック爆弾とリモコン。それが彼の武器だった。
ああああ、ふざけんな、ちきしょう。俺はただの中学生だ。殺し合いなんて
やってられっかよ、ボケのカス野郎どもめ。
と、そのとき彼は道に何か落ちているのが見えた。
ん?何だ?なんか光ってる・・・
彼はその光るモノに近づいていった。
「これは・・・」 彼は実際に口に出して言った。
MDウォークマンじゃないか?イヤホンがまだついてるな・・・
落とされてあんまり時間はたってないな・・・
彼はそれを手にとってしげしげと眺めた。
・・ディスクが入ってる・・・ちょっと聞いてみよう・・・
彼はイヤホンを耳にぴったりと当て、1曲目から聞いてみた。
「んん、ゴホン・・・マイクテス・・」 その声は、坂田師匠の声だった。
「えーと、コレを聞いてるヤツ、イヤホンをつけてくれ。」
彼はイヤホンがしっかりついていることを確認した。
「・・・つけたか?次は音をなるべく小さくしてくれ。」
一体、坂田師匠は何がしたいんだ?疑問を胸に感じながらも、彼は
ボリュームを絞り、なんとか聞きとれるくらいの音まで下げた。
「ああ、あー、音小さいな?よし、じゃ本題に入る。」
彼はつばを飲んだ。坂田師匠は一体なにを伝えようとしているんだ?
「これはカンに過ぎないが、首輪には盗聴器がついてる。おそらくだが。」
鼓動が強く打った。さかたししょう。
「説明はしない。なにしろカンなもんでね。そこで、コレを聞いているお前に
頼みがある。大会をぶち壊してくれ。盗聴されてることをふまえて、な」
「あとなるべく人を傷つけないでくれ。仲間を探せ。じゃあ、頼んだぞ」
坂田師匠・・・彼は涙がこぼれた。そのMDのむこうには、いつもと
変わらない、正義感ある坂田師匠がいたからだ。懐かしさがこみあげてきた。
そこでMDの録音は終っていた。その後に、彼が好んだ落語が流れてきていた。
83 :
サンライズdream♪:04/02/01 21:10 ID:zdYD3iIk
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バトル・ロワイアルか・・・、おもしろそうだな
ッパ【男子3番】はおにぎり【男子6番】と出会った後、エリアB(4-D)から南下していた。
ッパはとりあえず仲間が出来たのがうれしかったらしく、
先ほどからしきりにおにぎりにお菓子をすすめている。
当のおにぎりも一人は心細く、仲間を探していたらしい。
「ところでおにぎり君、バッグの中身はもう見たのかい?」
ふとッパがたずねた。
「そういえばまだ開けてないような・・・」
おにぎりはデイパックを開けた。ッパもそれを覗き込むようにして見ている。
なるほど、やはり自分と同じように地図、コンパス、懐中電灯、食料と水は入っていた。
そして肝心の支給武器、おにぎりがバッグの中をごそごそと探している。
(スパイクは武器としてではなく、登山用に彼が自宅からはいてきたものである。)
するとおにぎりの手になにかごつごつしたものがあたった。
それを取り出して見てみる。太陽にてらされて鈍く光っている。
「拳銃・・・」
おにぎりの手に冷たくそして重量感が走る。
おにぎりにとって初めての感覚。
彼はいたって普通の中学生だったため、
拳銃など持つことはおろか映画やテレビなどでしか見たことがなかった。
「拳銃か・・・」
ッパが小声で呟く。これはいわゆる「当たり」だ。
ッパは考えた。これがあれば戦闘力は大幅に増加するし、特攻を仕掛けるにしても大いに役に立つ。
ッパはこれでさらに脱出の可能性が大きくなったと感じた。
「ねぇ」
おにぎりがいきなり声をかけた。
「どうしたんだい?」
「こんなの使い方が分からないよ・・・。なにより物騒だし・・・」
普段「ワッショイ!ワッショイ!」と叫んでいる人物とは思えないほど彼の声は暗かった。
それほどこのゲームが恐ろしいものだと各々が思い始めているのだろう。
「とりあえず説明書を読んでみよう。」
もちろん説明書は入っていた。
「S&W取扱説明書」
「!!」
―S&W―拳銃にほとんど興味のない彼でもこの名前は知っていた。
「これどうする?」
ッパがおにぎりに聞く。
「とりあえず君が持っててくれよ。僕は怖いから・・・」
「そうか。じゃぁこれは僕が持っておくよ。」
その後ッパとおにぎりはふたたび歩き出した。
その心の中にかすかな希望を信じて――――
【残り38人】
【男子14番】ドクオは、エリアCのビルに身を潜めていた。
ホテルだったのだろうか?部屋が沢山あり、ベッドもある。
ドクオは、その一つに寝転んでいた。
羽毛の感触がドクオの体を包む。
ああ、気持ちいいぜ畜生・・・俺の住んでたボロアパートとは全く違うな・・・
ボロアパート。あの糞ボロアパートだ。
壁はボロボロ変なにおいがするし、布団は滅茶苦茶固ぇ安物だ。
しかも、毎夜隣の部屋から擬音が聞こえてきやがる。ギシギシアンアン
毎晩そんな事して楽しいか?毎晩毎晩ヤる奴ってのは決まって醜男、醜棲だ。
しかも学校まで歩いて50分もかかるとくらぁ。ありえねぇよな。
はっきり言って歩くのマンドクセし、苦労して行った所で糞どもがいるだけで面白い事なんて何もねぇからな。
だから、行かなかった。引きこもってやった。
独りのほうが気楽に生きてける。飯は糞ババァが勝手に運んできてくれるしな。
・・・という事で俺は入学式と、2年生、3年生になった当日以外はずっと家に引きこもってた。
・・・自分でも引きこもりって自覚してるよ。ああ?文句あるかコラ。
・・・だから俺はこのゲームでも引きこもってやる。武器がねぇんだよ。悪いか?
ト・・・ト・・・
・・・足音?
誰かが入ってきやがったか?そうか。当たり前だけど俺以外の奴がここに来る可能性もあるんだな。
ドクオは、ズボンからベルトを引き抜き、ドアの横の壁に体を貼り付けた。
何もその『誰か』がこの部屋に入ってくるとは限らない・・・けど、その可能性も・・・ある。
いや、あった。
ガチャリ
「・・・誰も居ないわよね・・・?」
ドクオは、開いたドアを体当たりで閉め、その人陰の後ろに回りこんだ。やるべき事はもう決まってる。
その『誰か』が、肩から反応しながら、後ろを向こうとする。
遅いよ。遅いんだよぉ。
首を捻る事は出来ねぇよなぁ。だって
ホラ。ベルト。
きつーく締まってんだろぉ?
それが誰なのか分からない。分かりたくも無い。
とにかく、俺の手で握ってるそれを、その誰かの首に締まってるそれを、引っ張るだけ。
前の誰かがもがく。手をばたばた。髪をぶんぶん。蟲みてぇだ。蟲。蟲だな。
声を出したいらしいな。でも出せねぇだろ。首をきつーく絞められて。
だから、出るのは隙間風のような嗚咽だけ。
すひーすひーひゅうるりひゅうるりひーっすひーっす
苦しいか?辛いか?痛いか?そんなの俺の知ったこっちゃねぇよな。
ギリギリ、という首とベルトが擦れる音だけが部屋中に響く。
もう、もがくのは、止めろ。もう、死にたいんだろ?なら、もがくのは、やめにして、おとなしく、死んじまえ。
ドクオは、なお、首を絞め続けた。
首を絞められてるその誰かも、もがき続けた。
永遠のような時間が流れる。
もう何分も経っただろうか。いや、何時間?
時の流れが妙に遅く感じる。
次第に、その誰かの動きが緩くなって来た。
最初の方は激しくもがいてたのが、今は小さく、踏み潰されたがまだ生きている蟲のような、ささやかな抵抗。
無理だと分かっていても抵抗し続けている。
その姿を見ていると、引っ張るのを止めたくなる。
でも、それは無理だ。もう・・・もう・・・!
いつしか、その誰かは床に力なく崩れ落ちていた。
その顔は、ドクオは誰なのか全く覚えていない。(ちなみに、そいつは【女子17番】モナカ。
顔は、血管が浮き上がり、薄紫色に変色している。
眼は完全に白目を向いている。そして、口から大量の泡。
・・・人を殺しちまった。・・・俺は。
ドクオは、その『誰か』のディパックから、食料とブッシュナイフを抜き取り、自分のディパックに仕舞った。
人を殺してしまったという罪悪感が、ドクオに重くのしかかる。
もう、もう、後戻りは出来ねぇよな。
【残り37人】
モナー【男子20番】は眠そうな顔をしながら茂みの中から這い出た。
放送を聞いたあと、すぐ眠ってしまったのだ。
腕時計を確認すると、眠っていた時間は十分程度のようだ。
眠い目をこすりながら、欠伸をする。
殆ど疲れは取れていない。体中がだるかった。
「……もうひと眠り、するかな?」
一瞬そんな甘い考えが浮かぶが、無理矢理それを振り払った。
ここで眠ったら、先程のように襲撃されるかもしれない。
モナーは頬に手を触れた。
ショボーン【男子11番】に夜のうちに撃たれた傷が固まっている。
本当はバンドエイド等を傷に貼っておけば良かったのだろうが、モナーは生憎持ち合わせていなかったのだ。
モナーは溜息をつき、項垂れた。
こんなゲームの中でとはいえ、クラスメイトと話し合いが出来ないとは、思いもよらなかった。
どんなに恐怖に襲われていても、それでも皆武器を取るようなことはしないと思っていた。
それなのに。
「……」
モナーは無理矢理その考えを隅に押しやった。
これ以上考えて何になるというのだ。
今モナーが考えるべきなのは、「これからどうするか」ということだ。
モナーは普段あまり使わない脳をフル回転して考えた。
考えて出た結論。それは、やっぱり話し合うべきなんじゃないかというものだった。
ショボーンだけではなく、クラスにはまだ生徒がいる。
ギコ【男子7番】やさいたま【男子9番】、おにぎり【男子6番】辺りならば話を聞いてくれるかもしれない。
よし、やれる。
モナーは微かに希望を見出した。
早速出発しようと荷物を纏め始めたとき、微かな物音を聞いたような気がした。
この辺りは茂みが多く、どれだけ慎重に動いても音がしてしまう。
自分の物音かなあと手を休めてみたが、物音は尚も続いている。
しかもその音は少しずつ大きくなっているようだった。
「……!」
モナーの胸裏に再び恐怖の二文字が過ぎる。
誰か殺る気になっている奴が自分を狙いにきたのだろうか。
モナーはポケットから果物ナイフを抜き出した。
がたがたと震える手で握り締める。
「だ、誰かいる……モナ?」
モナーはやっとそれだけのことを言った。
物音がぴたりと止まる。ひょこりと茂みから耳がのぞき、そして顔がのぞいた。
「め、メモラー君……モナ?」
モナーがそう声をかけると、メモラー【男子19番】はがさりと茂みから身を起こした。
そのままメモラーが近づいてこなかったので、モナーは少し安心した。
殺すつもりなら、こちらに向かってくるだろうし。
モナーは笑顔を作った。
「驚いたモナ。まさかメモラー君とは思わなくって。ところで、メモラー君……」
モナーはそこでふとメモラーの視線が一点に集中して動かないのを知った。
その一点とは、モナーの手に握られた果物ナイフだった。
ああ、とモナーは声をあげた。
メモラーは果物ナイフに怯えて近寄って来れないんじゃないか。
そして、不用意に刃物を持ち出した自分を恥じながら、モナーはナイフを鞘に収めた。
「ごめんごめん、こんな危ない物持ってちゃ近づけないモナね」
「……」
それでも何も答えないメモラーに、さすがのモナーも不信を覚えた。
「メモラー君?」
「……」
何も答えないまま、メモラーは一歩モナーに近づいた。
反射的にモナーは後退さってしまった。何故だかはモナー自身にも分からない。
ただ、メモラーが恐ろしく感じられたのだ。
それは、ショボーンに感じた恐怖とはまた違った。
メモラーがすっと右手を上げる。その手に握られている物を見て、モナーはやっと事の異常さを知った。
メモラーの手には銃が握られていたのだ。
モナーはメモラーの顔を見て、悲鳴をあげた。
メモラーの顔には何の表情も浮かんでいない。恐怖も、怒りも、何も。
「め、メモラーく」
「君も」
メモラーは呟いた。
「君も、僕を傷つけるんだろ?殺すんだろ?」
それは小さな声だったが、いやにモナーの耳にはっきりと届いた。
モナーは予想だにしていなかったメモラーの問いかけに驚いた。
「そんなわけ、ないだ」
「嘘だ!」
モナーの言葉をさえぎるようにメモラーが叫んだ。
「だって君は、果物ナイフを握ってるじゃないか」
「今は刃を鞘になおしてるだろう?」
「違う!君は僕が気を抜いた途端に切りつけてくるつもりなんだ。君は僕を傷つけようとしている!」
「メモラー、君は」
「近づくな!絶対君は僕を切りつけるつもりなんだ。そうなんだろ!?」
メモラーは狂っていた。
表面上では分からないところで、思考の歯車がちぐはぐになってしまったのだ。
原因は、モナーが握り締めていた果物ナイフだ。
あの日幼い彼を切りつけたナイフと同じ形の刃物。
彼はそれを見て、あの時と同じように、自分が傷つけられるのではないかと思ってしまったのだ。
機から見れば小さな、呆れるほどのどうしようもないことではあるが、このゲームに放り込まれた彼にとってはそれは大事な「きっかけ」だったのだ。
本当に狂ってしまう、きっかけ。
モナーは本気で恐怖していた。
話は通じているはずだ。ショボーンの時とは違い、彼はちゃんと応答してくれる。
しかし、その答えは何処かちぐはぐで、自意識過剰で狂っているような印象をモナーに与えた。
モナーは荷物を抱えて後退さった。
メモラーはそれを見て、さらに叫んだ。
「隙を見せようって言う寸法か?!やっぱり君は僕を殺そうとしてるんだ!」
メモラーは銃を両手で構えた。
指が引き金にかかるのを見て、モナーは叫びながら走り出した。
大きな音が一つして、モナーの腕に痛みが走る。
弾が当たったのか。
痛みに体がバランスを崩しそうになるのを堪えて、モナーは走り続ける。
「……!」
もう一度大きな音とともに、腕に走ったよりは小さな痛みが右のふくらはぎに走った。
思わず転んでしまう。
走ってきたらしいメモラーが、息を乱しながらモナーの前に立った。
「こ、殺してやる、殺してやる……」
モナーは観念してめをつぶった。
もうだめだ。
メモラーが薄く笑いながら引き金を引いた――
ドンッ
確かに銃声が響いた。はずだ。
その証拠に耳が痛く、じんじんと痺れている。近くで大きな音が起こったせいだ。
なのに、何故体が痛くないんだろう。
「い、痛っ……!」
メモラーの呻き声に、モナーはやっと目を開けた。
メモラーの手に握られている銃からは確かに発射されたという煙が出ているのだが、
モナーの体には銃弾は掠っていないようだった。
こんな至近距離ではずした?
モナーが混乱していると、メモラーががばっと顔をあげた。
思わず体を強張らせたモナーの、さらに後ろの方を睨みつけている。
モナーはそこでやっと気付いた。
メモラーの二の腕からなにか細い棒のようなものが出ている。
「お前、お前……」
「動かないで!」
意志の強そうな、耳に馴染んだ声。
はっとして、モナーは背後を振り返った。
短めのスカートと長い髪が、弱い風にひらひらと揺れている。
「モナー君」
銃に弓矢を取り付けたような物を手に持ちながら、その女子――レモナ【女子21番】が笑った。
武器を構え、メモラーを睨みつけたまま。
「大丈夫?怪我は無かった?」
「お、お前!僕を、僕を!!」
メモラーがそう叫びながら、矢が刺さったままの手で銃を構えた。
レモナが舌打ちを一つして、武器を構える。
シュッと小さな音がして、次の瞬間メモラーの腕にもう一本矢が立つ。
今度こそ、メモラーは銃を取り落とした。
「モナー君、走れる?」
レモナがモナーの腕を取った。
モナーは慌てながらも頷き、痛む足で立ち上がった。
モナーを引きずるように走り出したレモナの後姿を、メモラーは呆然と眺めていた。
その目に、狂気と怒りの光が宿るのに時間はかからなかった。
【残り36人】(>80で残り人数を間違えていた)
さいたま右(男子9番)は、放送の後、すぐにベットに体を横たえた。
放送で、名前が呼ばれたのは、フェラーチョ(男子17番)、あめねこ(女子1番)、みるまら(男子13番)の3人だった。
特に親しくはない生徒たちなので、右は胸を撫で下ろした。また禁止エリアも自分の居るエリアAのB-3には関係がない。
右は横たえた体を起こして、ふと、思った。
もう人が死んでるんだ・・・それも3人・・・なのに、何で僕はこんなに安心しているんだ?
いつ死ぬかもわからないこの状況で――ああ、僕はここで死ぬんだ・・・でも生きて帰りたい――嫌だよ死ぬのは・・・
右はそう思うと、少し小腹が空いたと感じ、すぐ隣の机に置いてあった自分のデイパックを漁った。
中から、ナイロン袋に密閉された、丸いパンとペットボトルに入った水(ラベルにはマターリの水なんて、馬鹿らしいネーミングが書かれていた)を取り出した。
右はパンのナイロンをビリッと開け、いかにも味気なさそうな、それを一口かじった。やはり、まずい。それは自分の手についた血の味も少し混ざっていたような感じもする。
でも貴重な食料だ大切に食べなければ。右は食料をきちんと、デイパックに詰め込み、またベットに横になった。
これからどうしようか?信用できる仲間を探す?モナーやッパ達なら信用できるかな?でも・・・自分にそんなことができる勇気があるのか?
もしかしたら、完全にゲームに乗ってる奴が居るかもしれない。だから外を歩くのは危険だ。
勇気を出してがんばってみようか?でも、体がだるい。少し休むか・・・また起きたら何か考えよう。
右はまた、ベットに体を横たえ、柔らかい毛布に身を包み、少しの間眠ることにした。
眠れば少し気も良くなる。――モナーや他のみんなは大丈夫かな?
最後に右はクラスメイトの事を心配し、ゆっくりと目を閉じ、睡眠した。
【残り36人】
モナエ(女子15番)は、建設途中のビルが立ち並ぶエリアCにいた。多分ここは地図で言うとF-3の真中辺りになる。
あちこちに放棄されたビルの骨組みと散らばっている建設材料らしきものが目につく場所であった。政府支給の時計に目を落とすと、その時刻は九時四分を指していた。
この時計が正確なら、もうA-6エリアは禁止エリアとやらに入っているだろう。
金属の棒や錆びた建設機材などに囲まれた場所に、モナエは腰を下ろしていた。出発してからまだ誰にも会っていないのはこのガラクタで作ったバリケードのおかげでもあるだろう。
エリア51を出発した後、モナエは一度E-6の高層ビルの影に身を隠し、デイパックを開けた。そこに入っていた支給武器は何の変哲もない斧であった。物足りない気もするがこれしか武器はなかった。
その後デイパックに私物から必要なもの(鉛筆や必要のだけの服やタオルなど、それと隠して持ってきた菓子類だ)だけを取ると、私物のバッグはその場に捨てた。
中に携帯電話もあったが、通話をしてみると「残念、電話は使えません」と担当官モララーの声が聞こえてきた。モナエは携帯電話は使えないと判断してこれも私物と共に捨てた。
(ちなみに、ッパ(男子13番)が何故インターネットに繋げることができたのかと言うと、このすぐ近くの電話局は政府が押さえており、電話は使えない状況だったが、ダイヤルアップ接続だけは状況を見て接続を許可していた。
即ち政府の判断でッパのインターネットは機能しているわけである)
その後、デイパックだけを持って、このF-3に来たのだ。
夜のうちにバラバラに置いてあった建設機材を集め、そこに守られる形で身を隠した。これならば一応見つかりにくいし、いざという時は多少の銃弾を防げる。
夜、そして朝、銃声が何度か聞こえていたが、特にこの近くで鳴ることはなかった。そのことに多少は安著をしたが、放送で呼ばれる退場者の名前を聞くたびに、気分が悪くなった。今も順調に殺し合いは進んでいるのだろう。
モナエはクラスメイトを殺すということは無理であったし、優勝する気もまんざらなかった。しかしはいそうですかとやられる気も毛頭なく―――つまり、脱出。この会場からの脱出を考えた。
その事に関してモナエはいろいろ考えた。高圧電流と海に囲まれた会場で、更に海には見張りの船が浮かんでいる(これはエリア51の窓から見た)。つまり四方は完全に固められているということになる。
そして大事なのはこの首輪であった。政府の思考で、いつでも爆破できる―――この首輪をどうにかしないと、脱出は到底不可能だろう。
まず考えたのは首輪そのものを外してしまうことだった。「はずそうとすると爆発します」とモララーは言っていたけれど、これはブラフなのではないかと考えた。
しかし、このゲームの安全性を考えると、やはりはずすと爆発するという機能はつけているだろう。危険な橋は渡らない、これは諦めた。
次に考えたのは首輪の機能自体を無効化するということだった。エリア51を出るときに他の部屋に目を通すと、何台もの大きなコンピューターが髪の毛のようなコードを何本もつけていたのが目に入った。
多分首輪を操作はコンピューターでやるのだろうと想像はついていたので、首輪のコントロールをしているサーバーを壊せば、首輪の効果はなくなるということだった。
しかし電話は使えない上に、そのために必要なものは持っていない。パソコン、そしてハッキングやクラッキングのスキルだ。いや、スキルに関しては問題ないか―――?
モナエは思った。冷たい壁、銃、運動、勉強。「我らが立たねばならん」聞き飽きた父親の声、射撃場、コンピュータ、暗い室内、簡易ベッド―――
ため息をつき、そのことについて考えた。モナエの父親は、この国の政府に異議を唱えていた集団の結構上の立場だった。そして政府との話し合いが無理だと判断し―――
いつものように、モナエは小学校から帰ってきた。ああ、あれは確かあたしが小学校五年生のときだ。
比較的大きな家の玄関の扉を開けると、いつもなら誰もいないはずだった。両親は共働きだったし、今日も友達の家に遊びに行こうかと思った。
しかし家の中には、両親がいた。二人ともいつもとは違う、暗い、鎮痛な表情だった。いや両親は元から頑固で明るくはなかったが、今日は何かが違うと、わかった。
赤いランドセルを玄関に置いて両親のことを不安にしつつも外に出ようとしたその時―――父親の、威圧のある声が、静かに言った。
モナエはびくっとしてドアノブにかかっていた手の動きを止めた。
「モナエ、お前は今日から―――」
【残り36人】
その日から、地獄のような日々が始まった。まずは運動しろと、両親に言われた、毎日マラソンや腕立て伏せなどをして体を鍛えた。あまり体力がなかったモナエにとって、この日々は辛かった。
すぐに拒絶したのだが、両親から返ってくる答えは平手打ちだけだった。「そんなことを言う前に練習をしろ!」何度も、部屋の片隅、涙を流すだけの日々が続いた。
小学校に行かなくなり、集中的な訓練が続いた。世界の知識などもどんどん頭に詰め込まれ、空手などもしこまれた。自殺しようと何度も思ったが、できなかった。自分は弱虫だと思いながら、同じ日々だけがどんどんすぎた。
そんなことをやっている間に中学生になった。中学生になると射撃まで教えられた(自宅を増築して地下に射撃場ができた)。毎日銃、そして的と向き合い、地下に設置された簡易ベッドで眠った。その冷たい感触は、今も続いている。
中学二年生、ようやく学校に通い始めた。彼女は成績抜群で運動も――しかし手を抜きながら学校生活を楽しんでいた。普通の女の子として生きるのは、こんなに楽しいものなのだと思い、また一人涙を流す日々だけが延々と続く。いつ終わるのだろう、これは。
一年後?五年後?あるいは永遠か?
訓練は絶えず続けられた。中学三年生になって、ようやく父親の訓練もやさしくなった時―――このゲームだ。確かに自分の実力があれば優勝も可能かも知れない。だがそれは出来ない。友達を殺すほどあたしは馬鹿な女ではない。
その考えは、テロリスト候補生として何度も訓練を受けてきた彼女の中で揺るぎないものだった。今このゲームで自分がやるべきことは、この豊富な知識を利用してみんなを脱出させる。馬鹿な自分には、それしかできない。
しかしどうやってそのことを伝えようか迷った。大声で叫んでもそれは「やる気」の奴に撃ってくださいと言ってるだけだろう。とりあえず、今は隠れながら対策を練ることだ。
ハッキング、エリア51のコンピューターに、ハッキングをかける手腕はあるだろうか?エリア51にはコンピューターを管理している人間がいるのだろう。その者達に気付かれず、ハッキングを行えるだろうか。
いくら訓練を受けてきたとは言え、コンピューターの扱いの訓練は彼女が中学三年生になってからのことで、もちろん実践なんてしたこともない。戦闘もそうだ、いくら自分が訓練を受けたとは言え、襲ってくる相手から素早く逃げれるだろうか?
―――大丈夫だろう、自信はある。自分が受けたあの地獄は、少なくともこのゲームで役に立つものくらいは与えてくれたようだ。あの世界で一番嫌いな父親に、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ感謝した。
パソコンくらいなら家で徴収できるか、電話はどうする?どうする、ハッキングのためのツールはどうする?問題は山積みだったが、今はただ行動を起こすしかないようだ。可能性が一パーセントでもやる。いやはや、うさんくさい台詞である。
あたしはベストを尽くす。これまで見続けた悪夢で、このゲームを壊すことができたら、悪魔に感謝してやろうってもんだ。
結果は努力についてくる、精一杯努力はした。あとは結果がどうなるか。どう転んでも、ベストを尽くすのみだ。
とりあえず今は行動しなければいけない、そう、まずはパソコンを探して―――
からん、という金属が転がる音、そして、ざっという靴が地面を滑る音が聞こえた。モナエは思考を中断し、身を低くかがめた。
【残り36人】
―――誰かがいる!
デイパックを掴んで、斧を右手に持った。もちろんこちらはやる気はないのだけども、相手が撃ってくるなら―――逃げないといけない、もし相手が襲ってくるなら―――どうする。
クラスメイトを危険に晒さないためにはやる気の人間を減らすのが一番効果だ。しかし、もし相手が混乱していただけならどうする?それにさっき自分でクラスメイトを殺す覚悟はないと言っていたじゃないか、決断力がない、優柔不断。あたしの悪いところ。
唇を結び―――考えた。時間は少ない。何故ならその誰かは、既にモナエの作ったバリケードが見える場所にいたのだ。ざっ、ざっという音は続いているが、止まる気配はない。気付いていないのだ。
どうする、いや待て、まず、誰なのかを確認するのが先だろう、親しい友達(不良とかではない普通の女の子とは比較的仲がよかった)なら安心できる、いつもは悪ぶっている生徒も、こんな状況だとどっちに転ぶかわからないものだ。
モナエはバリケードの隙間から顔をちらっと出し―――誰かがわかった。ドクオ(男子14番)だろう。いつもはおとなしくて目立たない、ただしパソコンは得意らしく(モナエほどではないが)、コンピュータの授業だとよく目立つ生徒だった。
彼はまっすぐ前方を見据えており、モナエから見て手前にある右手に、先が丸みをおびたナイフを持っていた。
(ブッシュナイフだ、と分かった。父親はナイフの種類も念入りにモナエに叩きこませた。ブッシュナイフ、先が丸みをおびているナイフだ。ツタや木の枝を切るのに適しているんだ。ああ、そうなんですか)
話し掛けるかどうか迷ったが(何せ、普段おとなしい人は何をするかわからない。これは偏見かも知れないが)、その考えはどうやら必要なさそうだった。ドクオの方から、モナエがいる場所に振り向いたからだ。
「あ…」とドクオが言った。モナエは何も言わず体を起こした。さい、これからどうなるか、組むことになるのか、それとも襲ってくるのか(挑発しないため斧は素早く左手に持ち替え、バリケードに隠れるように持った)?
―――十秒くらい経った。動きはなかった。ドクオは、バリケードに隠された左手の辺りをまじまじと見つめていた。そして次の瞬間、ブッシュナイフを振りあげ、こちらに襲いかかってきた(斧の端が見えたか?)!
モナエは左手に掴んだ斧を利き腕の右手に持ち替え、ドクオの動きをよく見た。縦に振り下ろすか、それとも突き刺そうとするか、もしくは―――
ドクオはモナエの二メートル先まで近づき、次の瞬間、ブッシュナイフを突き刺す動きに変わった。まっすぐ胸の辺りを狙っていた。モナエは体を横はして避けると、すぐさま見えたドクオの横顔にパンチを入れた。
「うがっ」とドクオがうめき、地面にくずおれた。ブッシュナイフが右腕から落ちて、地面を少しだけ滑った。モナエはドクオがそれを拾おうとする前に、右足でブッシュナイフの柄を踏みつけていた。ドクオがゆっくりと顔を上げた。
【残り36人】
「やる気充分のようね」
「あいててて…何て女だ」
ドクオはそう言って、顔の辺りを押さえながら起き上がった。ドクオの鼻から血が少し出ていた。我ながらいいパンチである。ドクオの表情に、焦りの色が出ている気がした。
「お、俺を殺すのか」
ドクオがそう言って、すまない、という顔になった。いやはや変わり身が早い、それとも、混乱していただけなのか?
「怖かったんだ、た、助けてくれ」
そう言ってドクオは哀願するように腰を降ろした。こうなっては殺すことは無理というものだろう。恐怖で錯乱していただけなら、仕方ないものだろう。
「ちょっとデイパックを調べるわよ」
そう言ってモナエはドクオのデイパックを拾い、自分の近くへと寄せた。
ジッパーをはずし、中身を見た。ブッシュナイフを右足から拾い、斧を自分のデイパックに仕舞うと、ブッシュナイフを右手に持ったまま、ドクオの動きに警戒しながら持ち物を物色した。これじゃあ荷物検査だ。
武器はこれ以上入っていなかった。つまりブッシュナイフは支給武器なのだろう。安著してデイパックのジッパーを閉じ、ドクオに一緒に行動しないか話し掛けることを考えた時、あるものが目に止まった。
支給された食料のパンであった。これは各生徒のデイパックに二つずつ入っているのだろうが、おかしかった、何かがおかしかった。そして、考えるまでもなく結論を出した。
「お、おい――」
ドクオが慌てた口調でモナエに話しかけた。モナエはため息をつくと、ドクオのデイパックのジッパーを閉じ、デイパックだけをドクオの方に置いた。今度は自分のデイパックの中に置いた斧を取り出し、ブッシュナイフをスカートの中に差し込んで、斧を再び右手に持った。
「殺すつもりはないわ。ただし、すぐにあたしの前から移動して。このナイフは残念だけど没収よ」
「あ、ああ」
ドクオは震える声でそう言うと、デイパックを掴み、走り去っていった。モナエはその後ろ姿が見えなくなるまで見つづけ、ようやく景色の中にドクオの影が消えると、さっきのバリケードの中に再び移動した。
―――ドクオのデイパックには、パンが四個あった、つまり―――誰かのデイパックからパンを持ち出したということだ。ということは既に彼は、誰かを殺している可能性があった。そんな生徒とは、もちろん組むことは、できなかった。
ちなみにそのパンはドクオがビルの中でモナカ(女子17番)を殺したときにデイパックから持ち去ったものだったので、モナエの推測は当たっていたことになる。
やはり、慎重に行動しなければいけない―――
そう思い、モナエはバリケードの中で再び夜を待った。行動するのは、暗くなってからでよさそうだった。
【残り36人】
でぃ【女子9番】は窓から、地上を見下ろしていた。
壁が全てガラス張りになっているという、悪趣味としか思えないような部屋なので、
見通しだけは良かった。
ただそれは、外から自分たちの姿が丸見えだということでもあった。
夜のうちに入り込んだビルだったので、窓の事情が分からなかったのだ。
「……」
でぃは、部屋にかかっている壁時計を見た。
先ほど見た時からあまり針は進んでいない。
時間が長く感じられた。
でぃは、しかし少し微笑みながらガラスに視線を移した。
ガラスには、ぼんやりと自分の背後が映っている。
散乱した仕事机などがごろごろと転がっている中で、その存在は異質な物に思えた。
部屋のどこかからか引っ張り出してきた毛布に包まって仮眠を取っている背中。
ガナー【女子4番】だ。
夜のうちに知り合い、いろいろあって結局仲間になった。
仲間になるといった時のガナーの嬉しそうな顔が、今でもはっきりと思い出せる。
「……仲間、か」
ほんの少し擽ったそうに、しかし嬉しそうにでぃは笑った。
仲間。青臭い言葉であるが、でぃにとっては馴染みの薄い言葉。
でぃには昔から仲間なんていなかった。
それは体中に刻まれた傷や、根暗な性格がそうさせているのだろうが。
幼少の時はまだ仲間に入れてくれようとする女子もいたのだが、でぃは矢張りその輪にも馴染むことが出来なかった。
皆と違う見た目や、その他のさまざまな理由がでぃに引け目を感じさせていたのだ。
そのうち誘ってくれる者もいなくなり、でぃは本格的に独りぼっちになっていった。
傷だらけで独りぼっちの根暗。
でぃがイジメのターゲットになるまでに、時間はかからなかった。
かばってくれる者は、いないという訳ではなかった。
しかし、それでもでぃは苛められ続けた。
一番酷く苛めてきた相手は、みるまら【女子13番】とづー【女子8番】だった。
みるまらには、見た目で。づーには、ある理由――でぃの親のことらしい。でぃはあまり知らない――で。
みるまらはともかく、づーには確固たる理由があるのだから、あまり抵抗してはいけないとでぃは思った。
それは結局、「苛めても反応しない薄気味悪い女」としてでぃの苛めを悪化させる要因となったのだが。
それも、全部自分が悪いのだとでぃは耐えていた。
勿論でぃだって寂しかったが、
このゲームでも、自分は独りぼっちで死んでいくのだと思っていた。
それが。
でぃは自分の腕を見た。
ガナーに切りつけられた――まあ、それは偶然だったのだが――傷に包帯が巻かれている。
清潔なガーゼが、真っ白な包帯で留められているのをでぃは人差し指でなぞった。
ガナーが、謝りながら手当てしてくれた物だ。
初めて他人に巻いてもらった包帯だ。
でぃは、小さく上下する「初めての仲間」の肩を見ながら、心の中で誓った。
この人だけは、何があっても自分が守るのだ、と。
【残り36人】
私のお父さんはお医者さんでした。
家族が住む所と診察する所が隣り合っているような家で診察をしていました。
特に腕が良かったわけではなかったそうですが、誰にでも親切で優しい、「町のお医者さん」みたいな感じだったそうです。
私はお父さんが大好きでした。尊敬していました。
でも、お父さんはもういません。
づー【女子8番】はC-2を高圧電線沿いに歩いていた。
手には支給武器の金属バットが握られている。
がりがりと地面をバットで引っかきながら、づーは東へと歩いていた。
その顔は、憎悪にまみれている。
私のお父さんは殺されました。
患者さんに殺されました。
その患者さんはアルコール中毒で、その日もかなり酔っていました。
意識が朦朧としているその患者さんをお父さんは治療しようとしました。
でも、
づーは地面を思い切りバットで殴った。
振動がびりびりと手に伝わる。
づーの頬に涙が一筋流れた。
でも、治療の途中で意識を取り戻したその男は、
錯乱していたのか、お父さんの首を、
首を
づーは地面にしゃがみ込んだ。
涙が後から後から溢れてくる。
乾燥した土に、涙がしみこんでいった。
「……お父さん」
今でも思い出す、その夜を。
物凄い音がして、眠っていた幼いづーは目覚めた。
隣で寝ていたはずの母の姿が見えず、づーは起き上がった。
父の所か、と診察所へのドアを開けたづーの目に飛び込んできたのは、
暴れる男とその男を取り押さえている近所のおじさん。泣き叫ぶ母と、
お父さんの死に顔は、本当に苦しそうだった。
「……」
づーは涙をぬぐった。
唇を思い切りかみ締める。血がにじんだけれど構わなかった。
バットを引きずり、再び歩き出す。
やがてその男がアルコール中毒で死んだということが私の耳に入りました。
父を殺した男に子供がいるということも、同時に知りました。
それからはその男の子供を父の敵として、私は苛めて苛めて苛めて。
そして、このゲームに放り込まれました。
その子供と一緒に。
「絶対に殺してやる。……でぃ」
【残り36人】
ドクオ(男子14番)は、エリアCの辺りをまだうろついていた。
手には既に武器は無い。あの怪物女に奪われてしまった。
――くそっ!何て奴だ!
ドクオは、その事を思い出しながら足元の石を蹴った。
・・・これからどうしよう。武器がまた無くなってしまった。
そう都合よくベルトで殺せるはずが無い。・・・という事はまた何処かに身を潜めるしかないか・・・
ドクオはそう考えると、近くの建設途中のビルに入る事にした。
瓦礫がそこら中に散らばっている。随分荒れているビルだ。
・・・ちょっと待て。
ドクオは、そのビルに一足踏み入れた途端、はるか前方に何かが横たわっているのが見えた。
死体だろうか。
ドクオは、妙な緊張感と興奮感を覚えながら、その死体へと近づいた。
そして、間近まで来てその死体が【男子10番】坂田師匠である事が分かった。
・・・坂田?
そうだ。あの俺の武器を奪いくさりやがった坂田の野郎だ。
ケケケ、こんな目になりやがって。ざまぁみろ。
ドクオは、床に蹲る坂田を嘲笑した。
・・・待てよ。
と、ドクオはその坂田が何か握っている事に気付いた。
ドクオは、その何かを坂田の手からもぎ取った。
死後硬直が始っているらしく、取るのには時間がかかった。
・・・間違いない。それは、元はドクオの支給武器であるベレッタM92であった。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!
ドクオは叫びだそうになるのを必死でこらえながら、笑った。笑い続けた。
くくくくくくく、何て俺は運がいいんだろうか!まさか奪われた支給武器が戻ってくるなんてよぉ!
ドクオはベレッタを腰にすえつけ、坂田の死体を一蹴すると、そのビルをすぐに立ち去った。
もうこんな所には用は無い。後は・・・獲物だ!俺の獲物!!
ドクオの顔には、歓喜と狂気に満ちていた。
【残り36人】
黒い、チョークの跡がいくつも残った古い黒板が前方の視界に写り、茶色い木の教壇、その奥に眼鏡をかけた―――ああ、あれは社会科のムスカ先生だ。
目の前に広がった光景は、まぎれもなくいつもの教室、いつものみんなが生活している教室そのものだった。
―――あれ?
今は殺し合いの最中では、なかったのだろうか?
左に目を転じた。すぐ左は窓になっている。自分の席は、席順で言うと一番左側の列だった。そして、その窓越しに見えたのは、これも見覚えがある校庭のグラウンドだった。
数人の生徒が、体育の授業でもやっているのか、運動着姿で走りまわっている。いつもの、窓から見る光景にそっくりだった。
右に目を転じた。自分の隣の席、いつも隣に座っているねここ(女子11番)が目についた。いつも見る横顔。少し可愛げのある、普通の女の子だ。これもいつもと同じ光景。
下を見ると、茶色い木の板が張られた机が見えた。そしてその机には、ところどころに落書きされている社会化のノートと、社会化の教科書が広がっていた。これも―――同じだった。
全てがいつもと同じだった。静かに教壇と黒板を見据える生徒、後ろの生徒と何か話している生徒、使い古したシャープペンシル、先が削れた消しゴム――
ようやく、頭に一つの思考が戻ってきた。―――夢―――
夢を、見ていたのだ、と理解した。それはあまりにも非現実的な夢だった。ばかばかしい、いくらこんな国でも、生徒を殺し合わせるってのはないだろう。それは、馬鹿げているだろう。
いつも思う、夢というものは、目覚めた時にようやく非現実的だったことに気付く。夢の中で必死に銃をもって、ごくごく温厚なモナー君を撃っていた自分が恥ずかしかった。そういえばレモナさんにボウガンで撃たれたな―――
左腕を見た。傷なんて、どこにもなかった。やっぱり夢だ、悪夢、そう、あれはまぎれもない悪夢だったのだ。
ほぅ、と小さくため息をついた。殺し合いなんて―――あるわけがないだろう、ひどい夢を見てしまったものだ。このことをごく親しい友達に話すと、笑ってくれるのは間違いないだろう。
そうだ、今は勉強に集中しないと。高校受験もそろそろ控えている。家庭用ゲーム板高校。偏差値は突破していたけど、油断してはいられない。勉強に集中しよう。
黒板を見た、そこには、何故か何も書かれていなかった。おかしいな、と感じた。「ハハ、見ろ!今川義元がゴミのようだ!」とか言って熱心に指導しているムスカ先生が、黒板に何も書かないのはおかしかった。
ああ、今は授業が始まったばかり―――いや、黒板の上に設置された時計は、既に二時間目の授業開始から三十分も過ぎているじゃないか―――
何かの映像が、フラッシュバックした。ホワイトボード、暗い室内。スーツの男、奇妙な笑み、そして、黒板に書かれた「BR法」の文字―――
まさか、そんな、ことが、あるのだろうか―――
頭がおかしくなりそうだった。これは現実なのか、夢なのか?それともあのゲームが夢で、これが現実で、夢、現実、ん、何がなんだか。銃、モナー、レモナ、ボウガンの矢――
っぱりこの現実は夢で本当はゲームはまだ続いているのだろうか、もしくは、自分が―――死んだ?
うそだ、嘘だ嘘だ、死んだならこんな回想を思いはしない、これは現実だ!殺し合いなんて―――
教壇の奥にいたムスカ先生が、いつの真にかスーツを着ていた。あの男と同じスーツの色だった。後ろ向きに立ち、黒板に何かを書き始めた。
ビー、アール、法律の法。
そんなまさか―――
その男がこちらを振り返った。その口元、にやりと笑みを浮かべ―――
「わああああっ!」
腹の奥から声を振り絞った。気がおかしくなりそうなのを、拒絶するように、叫んだ。叫ぶことしかできなかった。
突然、場面が変わった。古びた木の天井が視界に映り、どこかから射し込んだ光が、自分の体を照らし、まぶしかった。
「よかった、気がついたかぁ」
ショボーン(男子11番)は、奇妙に背の高いその男―――八頭身(男子16番)の言葉にも返事をせず、ただ、ようやく判明した現実に、絶望感だけが膨らんでいた。
【残り36人】
101 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/03 20:07 ID:xrClhWUX
シナーはMDウォークマンを止め、それをデイパックに入れた。
ー坂田師匠を見つけなくちゃ。もし見つからなければ、別なヤツを探して
大会本部襲撃だ。やってやる。何だってやってやる。
この爆弾も使える。大会本部襲撃にはうってつけだ。
説明書らしきものを読んで見ると、使用方法も思いのほか簡単だった。
セットして、リモコンの電源いれて、スイッチ、オン。はい死んだー。
さて、と彼は思った。彼は歩こうと足をふみだしたその時、
「オイ」と背後から声がした。
102 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/03 21:57 ID:Ql8PdM7Z
ちょっと死ぬペースが遅すぎるような気がするな。
やはり泥沼化した殺し合いがもっとないと引き込まれない。
シナーは驚いて振り返った。そこに居たのは・・・ドクオだった。
手に銃をもっており、目が明らかに狂気に満ちていた。
「あ、あ・・・」シナーは恐怖のあまり腰を抜かしていた。
「獲物、俺の獲物だぁぁ!!」ドクオが引き金を引きかけたその時・・・。
パン、パンと銃声が響いた。
シナーには何が起こったのか、サッパリ分からなかった。
ドクオはうめき声を上げ、バタついていたが、動かなくなった。死んだようだ。
「な、いったい何が・・・?」呆然とするシナー。
後ろから「危なかったな」と言う声が聞こえた。
104 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/03 22:35 ID:Ql8PdM7Z
ついでに
場面が飛ぶ場合はどのレスの続きか表示したほうがわかりやすい
>>103 狂ってるドクオがわざわざ「おい」なんて声を掛けないと思われ。
よってキャラを変えるよろし。
さいたま右(男子9番)はみじろぎした後、目を開けた。目をこすり、毛布を払いのけた後、腕に巻かれた時計に目をやった。九時四十分。
眠ったのは放送のすぐ後だったので、三時間程眠っていたのだろう。G-5とA-6は禁止エリアというものに引っ掛かっているようだった。
支給武器のはりせんぼんで傷つけた両手の傷は既に血が止まり、赤い点々がまばらに手の中に広がっていた。
ぎゅっと手を結んでも、痛みはさほどのものではなかった。大丈夫だった。
腹が小さく音を鳴らしたが、政府から支給されたパンはたったの二個だったので、節約してここは我慢することが大切だった。優勝する時には長い時間を耐え抜くため食料が―――
いや待て待て。優勝なんか考えている場合じゃないぞ。僕がすべきことは、友達を探してここから逃げることだ、モナー(男子20番)とかごくごく親しい人間を探して行動しなきゃ。
朝までの狂気はどこへやら、さいたまは正常な思考に戻っていた。眠ったことで頭の中が整理されたのかも知れない。
「とにかくここを出よう」
そう言ってさいたまははりせんぼんをデイパックの中にしまった。机の上に置きっぱなしにしていた地図と名簿も学生服の右ポケットに突っ込んだ。
毛布を持って行こうかと考えたが、やめた。大きすぎるし、私物が入ったバッグはここで捨てた方が身軽にできると考えたので、ここで毛布を持っていくと再び私物を持つことになる。
私物が入った黒いスポーツバッグを部屋の隅に置き、デイパックだけを持ってさいたまは玄関に向けて歩き始めた。
きちんと脱いであった靴を履き、閉めていた鍵の摘みを捻り、長細い銀色のドアノブに手を掛けたまさにその時―――
ぱららららら、とタイプライターのような音がさいたまのすぐ近くで響いた。心臓がどくんと波打った。
何だ、誰か、だ誰かいるのか?もしかしてぼ僕を―――
あの音は―――聞き覚えがあった。朝の放送のすぐ後、北の方で少しだけ聞こえた音だ。あの音は何だろう、銃声だろうか?
自分を狙っているという不安があった。そして、恐怖、そして狂気がぶり返してきた。慌てて鍵を掛け、その場にへたり込んで、がたがたと震え出した。
どうしたさいたま右!ここまで覚悟を決めたのに、それなのにこんな時に―――こんな時に―――
「いやああっ」と言う女子のものらしき悲鳴が聞こえた。また、ぱららららと言う音。その後、ぱん、という、単発の銃声。銃撃戦だった。
―――女の子が襲われている!
ふと、ある場面が、蘇えった。
さいたま右はさいたまトリオの(さいたま太陽大佐とさいたま左は別クラスだった)一員であり、その中で一番勇気がないと言うか、臆病というか、そういうものだった。
だが、尊敬するさいたま太陽大佐(彼は本当にすごい。正義感も立派だし、拳法を習っていてケンカも強かった。何よりさいたま右を友達だと認めてくれたことが、とても嬉しかった)が、こう言ったことがある。
あれはさいたま左が塾でいなくて、二人でさいたま右の部屋の中、テレビゲームをしていた時だ。
「なあ」
さいたま太陽大佐が、ふと言い出した。視線はテレビゲームの画面に集中し、コントローラーのキーを叩いていた。
「なんだ?」
「お前って、守るもんってのはあるか」
「なんだ、それ?」
プレイしていた格闘ゲーム、さいたま右が使っているキャラクターが、必殺技を出していた。
「だから、好きな女とか、親とか、守りたいもんくらい、あるだろ?」
「好きな女でもできたの?」
「そんなのじゃねーよ」
さいたま右の使っているキャラクターがK.Oされた。すぐに第二ラウンドが、始まっていた。
「要するに、誰かが襲われていた時、それが大事な人や、女だったら、覚悟を決めれるかってことだよ」
「むずかしいことばっかり言うなぁ、太陽は」
さいたま右はにやりと笑った。太陽大佐は唇をすぼめ、さいたま右の方をちらっと見やった。
「けっ、まだガキなんだろ、お前は」
「言ったなぁ」
さいたま右の使っているキャラクターが飛び蹴りを繰り出した。太陽大佐が使っていたキャラクターにあたり、ダウンした。
「後悔しないように覚悟を決めるってのも大事だと思っただけだ。ま、どっかの小説に書いてあっただけだが」
「ふーん」
さいたま右はそう言って軽くあしらったが―――内心では、太陽は僕に強くなれ、と言ってるんだな、と理解した。
自分には覚悟、勇気、そういうものがないとは前から自覚していたし、太陽のその言葉は、さいたま右の心の中にずっと残っていた。
思った。覚悟を決めるのは、今しかない。
そう、太陽が「強くなれ」と言った通り、強くなるチャンスは、もう、ここしかなかった。このまま襲われている誰かを見逃したら、自分は、自分は一生臆病のままだ。
大丈夫、覚悟は出来た。あとはただ、走り抜けるしかないようだ。
デイパックからはりせんぼんを取り出した。デイパックを持って行く心配はない。鍵の摘みを、もう一度捻った。
銀色のドアノブを、思いっきり倒した。この扉こそが、自分の超えられなかった壁、そう、自分が掴めなかったもの。
怖くはなかった。ぱららららと音がした方―――未舗装の路地の右側、人影があった。一人だったが、もう一人はどこかに隠れているのだろう。
その黒いカステラ箱のようなものを真っ直ぐ、さいたま右のいた家の、三、四軒先の向かいの家の石づくりのブロックに向けていた。
水色に近い澄んだ色の髪、あれは―――あんな髪型の生徒は、このクラスで一人しかいない。
ぁゃなみレイ(女子3番)だった。ぁゃなみは、家から駆け出してくるさいたま右を見て、はっと振り返った。カステラ箱――イングラムM11がさいたまの方に向きかけ―――
「うらあああ!」
その時にはもう、さいたま右は手にしたはりせんぼんをぁゃなみに向かって投げていた。ランニングスローだが、その小さな小さな針ボールはぁゃなみの顔めがけて飛んでいき―――
ぁゃなみがイングラムのグリップでそれを防いだ。その時には、さいたま右はぁゃなみの三、四メートル先に近づいていた。ぁゃなみが銃口を再びさいたまに向け、その冷えた瞳と、冷えた銃口を、さいたまに向けていた。
正面、ブロック塀から襲われていたらしき生徒が顔をひょこっと出した。あれは・(女子12番)だろう。こちらに向かって立ちあがり、左腕を撃たれたのか銃を手にした右手で抑えていた。
「逃げろぉ!」
そう叫んで、さいたま右はぁゃなみへと、ヘッドスライディングをする要領で突っ込んだ。同時にイングラムからぱららっ、と銃声が上がり、さいたま右の下腹部に四つ、熱い弾が食い込んだ感触がわかった。
しかしぁゃなみはさいたま右のタックルを食らってさいたま右と共に地面に叩きつけられ、手にしていたイングラムをがしゃん、と落とした。しめた!
「今のうちに…早く逃げろ!」
言ってるそばからぁゃなみのセーラーにさいたま右の口から出た霧状の血が降り掛かった。これじゃあ、もう長くはもたないだろうか。
・が泣きそうな表情になり、しかし体だけを後ろに向いて逃げ出し始めた。さいたま右は、・ににやりと笑って見せた。
あとは追撃を避けるため、そうぁゃなみが落としたイングラムを拾わなければ。そして、自分の命があるうちにぁゃなみを―――
左脇腹に、またもや痛みが走って、イングラムに手を伸ばし掛けていた右腕を落とした。ぐあ、とうめき声を上げ、無意識に左手が左脇腹へと動いた。
目線を移動した。左脇腹、ちょうど四つの穴が空いた場所の横に、ざっくりと文化包丁が刺さっていた。ぁゃなみは、マシンガンの他にも包丁を持っていたのだ。
右腕に力が入らなくなり、自分の体の下にいたぁゃなみレイが、さいたま右の体の下から抜けた。地面に落ちたイングラムを手に取り、静かにさいたま右の頭へと向けた。
さいたま右は顔を見上げた。銃を自分の頭に向けていたその眼が、ひどく冷たかった。・は既に、視界の中には確認できなかった。
何とか逃げることが出来たんだろう。覚悟はできていた。後悔も微塵もなかった。
―――思った。
僕は頑張ったよな?僕はもう、臆病者じゃないよな?さいたまトリオだって、威張ってみんなに言えるよな?
よくやったよ、太陽大佐、そしてさいたま左が、さいたま右の頭の中でそう言って親指を立てていた。
お前こそ、さいたまトリオの中でナンバーワンだぜと、太陽大佐が、言っていた。
―――ありがとう―――
ぱららら、とイングラムの銃声がもう一度だけ聞こえ、銃声は止んだ。
ぁゃなみレイは、さいたま右がいた家に入り、パンと水だけを持ち出すと、・が逃げた方向とは別の方角へ歩いて行った。
【残り35人】
何か
>>107らへんで15人になったり色々な矛盾点があったりで101〜103はスルーになったようですね。
じゃあまたドクオが出てきますが、よろしく。
【男子7番】ギコは、思い人のしぃを探し、エリアBの付近(D-3)を歩いていた。
太陽は既に上がりきり、昨日の事が嘘だったかのように照っている。
・・・時刻は11時40分。
もうそろそろ次の放送が来る頃だろう。
ギコは、近くの岩に腰を落とし、ディパックからパンを取り出し、頬張った。
何の味付けも無いロールパン。
甘みに飢えていたギコの口内は、そのパンだけでは潤う事は無かった。
しかし、空腹感を補うには十分な量なので、まぁ、いいとしよう。
ギコは、鞘に納まった日本刀を自分の横隣に置いておいた。
そして、ポケットからいうもの煙草とライターを取り出した。
手馴れた操作で煙草に火を灯す。
煙が空へと舞い上がる。
やる気のある奴がこの煙を目印にして襲ってくる、という不安もあったが、さほど気にならなかった。
口をすぼめ、頬にたまった煙を空に向かい吐き出す。
薄い煙は空へと舞い上がり、次第に空気と混ざり、見えなくなる。
そして、また煙草から煙を吸いだす・・・
ギコは、その動作を何回も繰り返していた。
吸っては吐き、吸っては吐き・・・不思議な事に、煙草を吸っていると心が落ち着いてくる。
ギコは、短くなった煙草を床に投げ捨て、靴で踏みにじった。
そして、新しい煙草を箱から取り出し、火を灯した。
煙草に口をつけた。煙を吸う。そして吐き出す。
また煙草は短くなる。ギコは、短くなった煙草を捨てようとし、煙草を口から離した。瞬間。
チャキッ
音。
ギコの後方から、物音が聞こえた。
よくスパイ映画等で聞くあの音。
―――狙われてる!
そう直感したギコは、立ち上がり、隣においてある日本刀を、鞘を抜かないまま音の聞こえた後方へと大きく振った。
「あぐぁっ」
誰かの呻き声。そして、右手に鈍い感触と固い感触が同時に来る。
ギコは、日本刀の鞘を勢い良く外した。
シャキン、という鋭い音が響き、美しい刀身が顔を現す。
そして、そのまま刀を後ろに居た誰かの首筋に近づける。
「こ、殺す気か。」
あまり見慣れない顔。
後ろに居た誰かとは、ドクオ(男子14番)だった。
15人じゃなくて35人でしたね・・・スマソ
遂に見つけた一人目の獲物。
煙草を吸っているらしく、背中が隙だらけだった。
そして、その背中にベレッタを向けた。
抵抗無く殺せると思っていた。
しかし、前にいたそいつは、皮かむりの日本刀を突然振ってきやがったんだ!
その刀は、俺の右手に当った。当然ベレッタはちょっと遠くに飛んじまった。
そして、今・・・今・・・!
その日本刀を首筋に押し付けられてやがる。絶体絶命って奴だぜ畜生。
日本刀をドクオの首筋に付けているギコの表情は、怒りに満ちていた。
「こ、殺す気か。」
捻り出す様に言う。
ギコは、何も言わずに刀を首筋に押し付けた。
ひんやりと冷たい。首筋に鳥肌が立ってくる。
・・・どうするどうする!?
ドクオは、脳細胞を総動員して、窮地の脱出法を考えた。
このまま死ぬなんて御免だ。
それに、確かこいつは不良。謝っても許しちゃくれないだろう。
・・・ちょっと待てよ?
ドクオは首筋に触れている刀を見た。
切っ先が首筋にくっついている訳ではない。あくまで首筋に付いてるのは刀の横の部分。
銃ではなくこれは刀だ。
勢いをつけなければこの首に傷を付けることは出来ないわけで。
そうだ。刀に勢いをつけるには、対象と逆の方向にしならせなければいけない。
つまり、多少のタイムラグが生じる訳だ。
・・・ふふふ。つまぁり。
「・・・ギコ。あんた馬鹿だよ。」
ドクオは、勝ち誇った笑顔を浮かべながら呟いた。
ギコの顔が険しくなった。
「貴様、そんな事言える立場なのかゴルァ!」
ギコが叫ぶ。・・・馬鹿みてぇに。
後悔しろよ。俺をすぐに殺さなかった事を。
ドクオは、決心したように身をかがめた。
そして、そのままギコの下腹部に向かって突進した。
ギコは、予想外の行動に面食らったのか、日本刀を取り落とし、床に突っ伏した。
「ぐ・・・」
ドクオは、落ちた日本刀を拾い、遠くに落ちたベレッタの方へと足を進めた。
ギコがこちらに追いかけてくる。
しかし、ドクオの方が駆け出しが一歩早かった。
ベレッタを拾い、武器も何も持っていないギコに向かって構えた。
ギコが、さっきよりも更に怒りの表情を強くし、こっちを見る。
しかし、動けない。当たり前だよなぁ?死ぬかもしれないんだから。
そぉら。俺みたいな引きこもりがこんな行動取るなんて思わなかったろ?なめんなよ。
この顔だよ。この顔。
恐怖と怒りが混ざったこの妙な表情。
ツボにはまるッつーか・・・ひゃひゃひゃ。
ドクオは、左手に日本刀を持ちながら、ベレッタの引き金をゆっくり引き始めた。
12の3で発射だ。俺の獲物第一号・・・
12の・・・ギコが目を瞑る。
さんっ!
ドン
銃声。
ただ一発の銃声。
さようなら・・・ギコ。俺の獲物第一号・・・
痛い。
痛い痛い。
俺の右手。
痛ぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!!!!!!
「うがああああああああああああああ!!!!!!」
ドクオは、たまらず叫び声を上げた。
さんっの合図で放たれたのは、俺の銃弾では無かった。
じゃあ、誰の銃弾なんだ・・・?
もう、何も考えられなかった。
右手の指が何本か外れてやがる。・・・銃。
・・・あれ?俺の・・・俺の銃は・・・?
パン
また、銃声。
今度は、ギコの野郎が撃ってきやがった。
え?ギコ?・・・なんでお前がさっき俺が持ってた銃を持ってるんだよぉぉぉぉ!?
もう訳が分からない。
一つだけ分かるのは、自分がまた窮地に立たされたという事だけ。
―――逃げなければ!
ドクオは、直感的にそう思い、日本刀を手にしっかりにぎりながら、誰も居ない方向へと駆け出した。
まだ、俺は生きたい。死ぬのは怖くないが、痛いのはいやだ。
ああ、畜生。右手がじんじん痛みやがる。
くそ、誰なんだ?俺の邪魔した奴は・・・
・・・だが、まだ俺は死なない。生きる。這って、這って、生き続ける。
「俺は殺さないのか?」
ギコが、先ほど座っていた岩場にまた座り、煙草をふかしている。
しかし、日本刀は既に無く、代わりに彼の手にはベレッタが握られていた。
そして、そのギコの隣には、【男子15番】ネーノが座っている。
「ああ。なるべくやる気の無い奴は殺したくないんだ。・・・武器もある程度集まったからね。」
ネーノが、あめねこから奪った銃、USPを手にしながら言った。
・・・そうだ。もし、こいつがあの場に居なかったら俺は殺されてた。
あのとき、ドクオは確かに引き金を引きかけてた。
でも、あいつの後ろから、ネーノがドクオの右手を撃った。・・・あの銃で。
そして、あいつが痛がってる隙に、落ちたベレッタを拾い、そして今に至る。・・・という訳だ。
「・・・ギコ。ちょっと煙草貸してくれないか?」
ネーノが呟いた。
「・・・ネーノ。お前煙草吸えるのかよ?」
そういえばネーノは、不良グループの中では唯一煙草をふかしていない。
「いや・・・お前上手そうにふかしてるから・・・そんな美味いのかなーとか思ってさ。」
ネーノが口元に笑みを浮かべながら言った。
ギコも、にやつきながら煙草を手渡し、丁寧に火まで灯してやった。
ネーノが顔に期待の色を浮かべながら煙草に口を―――
「ぶはぁっ!!」
ネーノは、すぐに煙草を吹き出した。
火がついたままの煙草が床にポトンと落ちる。
そして、ゲホゲホと咳き込む。
「だ、大丈夫か?」
「・・・駄目だ。俺の体は・・・煙草は受け付けないんじゃネーノ・・・?」
ネーノが涙目になりながら言った。
ギコは床に落ちた煙草を見つめ、『勿体ねぇな。』と思いつつも、踏みにじり火を消した。
「あ、そうそう。聞きたい事があったんだよ。」
ネーノが、まだ涙を顔に浮かべながらギコに向き直った。
真剣な表情だった。・・・そういえばコイツ顔の出来がいいな。
「モネーとぼるじょあ、見なかったか?」
ギコは、ただ首を振った。
「・・・そうか。」
ネーノは、それを聞いてからまたそわそわしはじめた。
そして、しばらく考えた後、また口を開いた。
「なぁ、お前しぃが好きだろ?」
ギコは、それを聞いた途端心臓がドクン、と高鳴った。
図星だ。俺の心を読むな畜生。
「・・・・悪いか。」
ギコが、顔を紅潮させながら言った。
ネーノがクスクスと笑う。
「・・・じゃあ、もししぃと出会ったら、俺の事をここで待っててくれないか。」
ネーノが冷やかしの一言でも言うと思ったギコは、少し反応に困った後にこう答えた。
「何でだ?」
「伝えたい事がある。いや、伝えなきゃいけない事があるんじゃねぇの?・・・彼女には。」
ネーノが真顔で答えた。
なぁるほど。って事はお前も・・・
「お前もあいつが好きなのか?」
ギコがニヤニヤ薄笑いを浮かべながら言う。どうだ。お前の心も読んでやったぜ。
「・・・それはちょっと違うな。彼女には姉がいただろ?実は・・・」
ネーノは、そこまで言いかけると突然口を閉じた。
「・・・どうした?」
ギコが怪訝にたずねる。
「・・・いや、何でもない。今俺が言った事は・・・忘れてくれ。・・・じゃあ、頼むぞ。ギコ君。」
ネーノは一言そう言うと、岩から腰をあげ、そのまま何処かへ走り去っていってしまった。
・・・全く。あいつは一体何なんだ?
ギコは、心の中で呟きながら、再び煙草の箱をまさぐった。
・・・無い。
・・・無い無い無い!
何回煙草の箱の中で指を回しても、それらしき感触が無い。
・・・もしかして、ネーノにやったのが最後の一本・・・?
ギコは、ネーノが走っていった方角に向かって「煙草返せ馬鹿野郎ーー!」と叫んだ。
【残り35人】
113 :
2:04/02/04 22:00 ID:NuGIcPst
初めまして 参加します
ガサガサガサガサ
茂みが揺れる音と自分の呼吸音だけが響く。
顔だけが異様に熱く、喉の奥が冷たい水を飲んだようにちりちりと痛んだ。
それでも、走るのを止めてはいけない。
メモラー【男子19番】は目の前の二つの背中を睨みながら走っていた。
矢を抜いてすらいない手が激しい痛みを放っている。
それでも、追いかけるのを止めてはいけない。
目の前の標的を逃すということは、巡り巡って自分に被害が及ぶ可能性があるということだ。
怪我をした時、歩けない時、見逃した敵が襲ってきたらどうすればいい?
僕を嘲笑いながら武器を手にする敵を見た時どうすればいい?
あの時仕留めればよかったと、そう後悔しながら死ぬことしか僕に道は残されていないんだろう。
そんなのは、絶対に嫌だった。
メモラーは唇を噛んで痛みに耐えながら、銃を両手で握った。
両手を突き出し、安定感など考えずに二度三度引き金を引く。
その度に腕に痛みが走ったが、構うことの出来る状況ではなかった。
銃弾は、残念ながらどちらにも当たらなかったようだ。
それで怯んだのか、単に疲れたのか立ち止まりそうになるモナー【男子20番】をレモナ【女子21番】が強引に腕を引いて走らせる。
その様が、何故か彼を無性に苛立たせた。
メモラーは再び強引に銃を構えた。
ただ構えただけで痛みが跳ね上がる。
それもまた無視して、メモラーは引き金を引いた。
反動で銃口が反れ、またしても敵には当たらなかった。
そのまま数度引き金を引くが、小さな音がするだけで、銃声は発されない。
――壊れたのか!!
普通に考えれば弾が切れただけのことだが、狂いかけている上極度の興奮状態にあるメモラーはそうは思わなかった。
邪魔者となった弾切れの銃を捨て去ると、メモラーは腕に刺さった矢を掴み、引いた。
痛みと共に血が吹き出る。
メモラーは呻き声をあげながら矢を引き抜き、それを手に持った。
殺す。たとえ銃が無くっても、この矢で刺し殺してやる。
殺す殺す。殺す!!
「うわああああああああっ!!!」
メモラーは今までに出したことも無いような大声で叫び、矢を振りかざした。
その時、その声に反応したのかレモナが立ち止まり、くるりとこちらを見た。
チャンスだ!
レモナの手に握られているボウガンの存在を知らずに、メモラーは雄叫びを上げながらレモナに突っ込んでいった。
レモナが片目を瞑りながらメモラーに照準を合わせる。
自分の五メートル先にメモラーが来た時、レモナはしっかりと銃身を支えながら引き金を引いた。
「ぎゃあああああああああっ!!」
どすっと鈍い音を立てながら、メモラーの太腿を矢が貫く。
それでも立ち止まらないメモラーに微かに狼狽しながら、レモナは矢をセットして引き金を引いた。
「うぎゃあああああぁぁぁぁぁあああっ!!!」
多少狙いが甘くなってしまったせいか、太腿を狙った矢がわき腹に突き刺さり、メモラーはやっと仰向けに倒れた。
その手から血まみれの矢が転がるのを見て、レモナはボウガンをおろした。
すばやく歩み寄り、矢を回収してメモラーの胸の上にどんと足を乗せる。
ぐえっと不自然な呻き声をあげるメモラーにボウガンを向けながら、レモナはモナーを振り向いた。
「……どうする?モナー君。この人モナー君を襲ったんだよ。殺す?」
『殺す』という単語にメモラーがびくりと反応する。
モナーはとんでもない、と首を振った。
「レモナ!メモラー君は悪い人じゃないモナ。ただちょっと……混乱していただけで。だから、殺してしまうことはないモナ」
レモナは小さく溜息をついた。
まあ、そう言うのではないかと半ば思っていたのだが。
そもそも、メモラーが追いかけてきた時に撃ち殺すことも可能だったのだが――寧ろそっちの方が体力を失わなくてよかったような気もする――モナーがやめてくれと頼むものだから、茂みの中を全力疾走することになってしまったのだ。
モナーは甘すぎる。人を信じすぎる。
二度も襲撃されたのに、それでも人を信じようとすること自体は尊いことかもしれないが、このゲームの中では『尊いこと』はあまり重要視されないのではないだろうか。
――そんなモナーを、レモナは愛していたのだが。
「モナー君がそう言うのなら……」
レモナはボウガンをおろした。
胸に乗せた足はまだ下ろさない。
暫くメモラーの顔を観察し、その目に殆ど殺意が残されていないのを知るとレモナはやっと足を上げた。
メモラーのデイパックを持っていこうかと思ったが、メモラー自身がまだ生きているためそれは酷に思えた。
レモナは周りをきょろきょろと見渡しながら身を起こし、モナーの手を引いて歩き出した。
先程の大声で誰かが自分たちに気付いたかもしれない。
まだ少しメモラーに名残があるようなモナーを無理矢理引いて、レモナはボウガンに新たな矢をセットした。
「うっ……痛いよ……」
メモラーは涙をぽろぽろとこぼしながら苦痛の声をあげた。
腕に打ち込まれた傷からは血液が流れ続けているし、
新たに打ち込まれた矢からは新たな痛みが生まれている。
――いっそ、殺してもらえばよかった。
「がっ……」
少し身動ぎしただけで新たな痛みが体に跳ねる。
痛い。痛くてたまらない。
身動きすら出来ない。誰か、誰か助けて。
「痛い……」
「そんなに痛いですか?」
新たに聞こえた声にメモラーの少し霞みかけた意識は覚醒した。
びくりと体を震わせてしまい、再び痛みに呻き声をあげる。
「誰……?」
「……」
ヒュッと小さな音がする。
それは数度続いた。小さな物ではあったが、その音はメモラーの恐怖心を煽るのに充分であった。
「な、何するの……?」
声は何も答えない。
数度その音が続いた後に、小さな声が聞こえた。
それは、メモラーにとって最後に聞いた人の声となった。
「どうぞ、安らかに」
そしてもう一度空を切るような音がして、メモラーの頭に衝撃が跳ねた。
ねここ【女子11番】は暖かなまなざしでメモラーを見下ろした。
メモラーの体は、今抱き上げると温かくて、しかしぐにゃりとしているはずだった。
彼は死んでいるのだ。自分が殺した。
メモラーのこめかみは数センチほど陥没していて、即死したのは確実だった。
苦しまずにいけたのだろう。
ねここはふふっと笑った。
そして、ねここはメモラーに手を合わせると、支給武器であるトンファーをデイパックになおした。
触ったことも無い武器で最初は驚いたが、説明書がついていた事やねここの飲み込みが早かったため、夜が明けるまでに使い方をマスターしたのだ。
よく見る木製のものではなく、何か特別な材質で出来ているらしく、殺傷能力も抜群だろうと思えた。
そしてそれは、メモラーによって証明された。
――これで、かわいそうな人達を楽にしてあげられるんだ。
ねここは別に殺意を持っているわけではない。
ただ、人が苦しむのが――とても嫌だった。
人々はきっと、これから苦しみながら死んでいくはずだろう。
銃で撃たれて、ナイフで刺されて、首をしめられて――それはきっと苦しいはずだ。
だから、自分が楽にしてあげようと、そう思ったのだ。
「待っててね、皆」
ねここはデイパックを背負うとその場から離れた。
後には、涙の筋を頬に残したメモラーの痛々しい死体が残されているだけであった。
【残り34人】
「はーい元気でやってるかー?おまえら」
モララーの嫌に明るい声が島に響き渡った。ドクオ(男子十四番)とちっ、と舌打ちした。
「十二時になりましたー、定時放送の時間です」
ドクオは血に染まった右手(小指がなくなっていた。薬指は指がちぎれかけていた)手首の腕時計を見た。
ベルトや盤面が赤く染まっている場所があったが、何とか読めた。十二時丁度から、秒針が十秒程過ぎていた。
右手の掌を左手でぎゅっと握りながら、まだ残っている痛みを抑えた。横槍してきた誰かに撃たれてから、二十分くらいが経過していた。ここはどこだろう?D-3辺りか?
ギコ(男子七番)の支給武器らしき日本刀は、ドクオの右側に置いてあった。
ここは見通しがいい荒地だった。木や草が生い茂っており、今は木に囲まれた場所で腰を降ろしている。痛みからか顔には汗が沸き、デイパックに入っていたペットボトルに入っていた水を少し飲んだ。
デイパックのジッパーを開けるのも、ペットボトルのキャップを開ける、閉めるのも左手一本と口を使わなければいけなかった。右手がやられてしまっては、それに右手は利き腕じゃないか。
これじゃあ日本刀を振るときも力が入らないし、もしかしたら簡単に弾かれてしまうかも知れない。この放送で鉛筆を使うことになるだろうが―――利き腕じゃなかったら書くのも苦労する。
ちくしょう、俺はもうだめなのか?このまま何もできず、クラスメイトどもに殺されるてしまうのだろうか?
恐怖が大きくなった。しかしドクオは、その恐怖を何とか振り払った。大丈夫だろう、大丈夫、獲物の一人や二人くらい日本刀と左腕一本で倒せる。そうだきっと大丈夫だ。
それに右腕をやられた以上日本刀の方が使いやすいだろう。何せ銃はマガジンの交換作業がある。それに銃のハンマーを引くのにも時間がかかるはずだ。
そういえば―――ドクオは考えた。ギコに渡してしまったであろうベレッタM92Fの中には弾が残っていたが、予備マガジンはポケットの中に仕舞ったし、肝心の弾は俺のデイパックの中だ。
つまりギコは一時的には装備は強いがベレッタの弾が尽きたら丸腰だ。ヘッ。ざまあみろ。
「まず死亡者から―――」
そうだ、放送だったな。ドクオはポケットからシャープペンを取り出そうとしたが、モナエ(女子十五番)に吹き飛ばされた時か、それとも別の時の影響か、シャープペンがポケットの中で割れていた。
確か筆箱にはシャープペンしかなかったような気がする。ということは―――地図とかに禁止エリアのチェックができないってことか?
まあいいだろう、ドクオはそう思った。こんなもの記憶力だけでどうにかなるだろう。
放送は聞くだけでいい。なら、今は獲物を探すしかないな。ドクオはそう思って立ちあがった。デイパックを何とか右肩に吊り、銀色の刃が光る日本刀を左腕に持った。鞘はいらなかった。
―――さて、次の獲物は誰かな―――?
放送が聞こえ出した。
「男子の死亡者からでーす。まず、男子八番、キユくん、男子九番、さいたま右くん、十番、坂田師匠くん、十九番、メモラーくん」
坂田師匠(男子十番)の死体は間近で見たが、それ以外には数人死んでいることがわかった。死んだ生徒達の顔だけが、すぐ浮かんで消えた。
「女子はひとりでーす、十七番のモナカさんです」
モナカ(女子十七番)は自分が殺したので、既に死んでいた。これで残り三十五、いや三十四人か?まだ十人も死んでねえ。
「次、禁止エリアー、一時から、D-7、三時から、F-4、五時から、A-5。わかったかー?」
全部のエリアは自分には全く関係がなかった。とりあえず頭の中にその情報を入れると、ドクオは早く足を進めた。
「もう昼でーす。先生弁当食っておまえらの活躍見守ってるぞー、頑張れよー!」
そこでぷつっという音がして放送が切れたが、ドクオの耳には、あまり入っていなかった。
【残り34人】
119 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/05 21:09 ID:vm6qiEu5
【男子1番】アサピーはエリアAの井戸の底にいた。
井戸は枯れ井戸だったが、なかなか大きい井戸だった。
彼はしっかりと縄ばしごを取り付け、この井戸に潜った。
潜ったのは7時43分のことである。
底にマットを敷き、私物の板チョコとビスケット、廃屋にあった乾パン2袋を
デイパックに詰め、暖かそうな毛布を1枚持ってきていた。
彼は12時1分現在、ちょうど睡眠から目覚めたところだった。
ーああ?僕は何をしてたんだ?ああ、そうだ。殺し合いのゲームだったな。
別に死んでも構わないな。たぶん優勝者は出ないだろうし。
1回目の放送を聞いた限りではペースが遅い。上の人間が仮に1人になったと
しても、僕をみつけられっこない。みつかって死んでも構わないけれど。
彼は死にあまり恐怖を感じていなかった。心は平然としていた。
ー武器は坂田師匠にあげたけど、さっきかすかに聞こえた放送によれば
死んだみたいだな。なんか突きつけて、渡せ、って言うから渡したけど・・
まあ、ここが禁止エリアになって死んでもいいな。うん、別にいいや。
彼は目をつぶり、体を横たえた。彼のいるA-5はもうすぐ禁止エリアとなるのだった。
120 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/06 19:15 ID:Gj1mDZ0H
シナ−はエリアAの廃屋に隠れていた。
どうやら古い民家のようだったが、家具はひととおりそろっていたし、
米やコーヒー豆などわずかな食糧もあった。
彼はテーブルにノートとシャープペンシルを置き、地図を見ながら思いついたことを
メモしていた。無論、大会本部襲撃の作戦だ。
ー12時5分。坂田師匠はやはり死んでいた。さいたま右も、メモラーも死んだ。
彼にはかすかな予感があった。坂田師匠は死んだのかも、という予感。
・・・ゲームは順調に滑っている。「やる気」の人間にとっては遅いペースかも
しれない。だが、これに焦りを感じたヤツらは殺しを始めるだろう。
やる、しかないな。この作戦でいくしか方法はない。
彼はロールパンをかじり、私物のコーラを飲んだ。
彼の脚は震えていたが、立ち止まりそうになる自分を救ってくれたのは、
みんなの笑顔だった。1さん・・八頭身・・ギコ・・さいたま右・・フェラーチョ
(あまり気持ちのいい笑顔でなかったが、アイツもクラスメイトだ)
彼はひとりひとりの笑顔を思い出した。笑顔を見たことのないヤツもいるけど、
そいつらだってそのうち笑えるさ。
121 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/07 09:28 ID:wG7s/3I9
シナ−は廃屋から出ると、隣に停めてあったトラックを見た。
使われなくなって大分たっているようだったが、さっきチェックしてみたところ、
ガソリンも少し残っていたし、ちゃんと動いた。
・・・やってやる・・
彼はトラックのドアを開け、トラックに乗り込んだ。
シナ−の家は昔農家をやっていたので、トラックをすこし乗らせてもらっていたから
運転は問題なかった。
彼はアクセルを踏み、廃屋の道を走らせて行った。
爆弾はしっかり手元においてあった。まず、エリア51に行き、寸前でリモコンを
押す。もしすぐ首輪が爆発しても、エリア51に入る前にこのデイパックを
アクセルの上に載せておけば、そのまま突っ込める。爆弾だってトラックが
爆発すれば爆発するだろう。そしてこの首輪を管理しているであろうメイン・コンピューターを
ブチ壊し、脱出。俺は死ぬ。間違いなく。でも、いずれこのままじゃあ死んじゃうんだ。
ちょっとくらいカッコいい死に方したいじゃないか?シナ−よ。
彼は自分にそう言い聞かせた。しかし、ハンドルはじっとりと汗でぬれていた。
エリア51到着まで、あと30分くらいか?いや、1時間?
さあ、このクソゲームをぶち壊してやるよ。
アヒャ(男子2番)は、新たな獲物を探していた。
もっと多くの「豆」を食いたい・・・そう思っていた。
アヒャはさっきからずっと同じような道を歩いているような気がした。
そのときだった。アヒャの後ろから銃声が響いた。
幸い外れたらしく、アヒャは無傷だった。
アヒャは何も考えず、物陰に隠れているらしい「敵」の気配を感じると、
牛刀を構え、突進していった。
AAバトルロワイヤルとかいいながらなんだこのざまは!
AAの意味もわかんないのか低偏差値ども
小説板でやれ!
>>123 AAでバトルロワイアルを表現するなんて何処にも書いてないだろ?
AAキャラのバトルロワイアルってことだ。
まぁお前みたいな中卒で偏差値に全く縁が無い香具師には理解不能だろうよw
> AAでバトルロワイアルを表現するなんて何処にも書いてないだろ?
> AAキャラのバトルロワイアルってことだ。
だから3行目(ぎょうめ)で小説板(しょうせつばん)でやれと言(い)ってるんだが。
やれやれ2行目(ぎょうめ)の「低偏差値」で思考停止(しこうていし)かよ、情けねぇ。
おい!小説板を(しょうせつばん)だと!
じゃあお前一人でその『しょうせつばん』という意味不明なところでやればいいんじゃないか?漢字も読めない消防クン
突然の轟音、世界は炎に包まれた。
>>123-126に渡って繰り広げられた煽り合いがあまりに低レベルだったので、
見かねたヒロユーキが爆弾を投下したのだった。
全てが終わった後に残されたものは死の大地のみ。
立ち上がる者は誰一人いなかった。
AAバトルロワイアル5−完−
【残り0人】
しかし、レモナとモナーだけは生きていた。
二人は、お互いの命の鼓動を確かめ合うように交わりあった。
死の大地となった本島に、二人の性器と性器のぶつかり合う音だけが響いた。
何日も、何週間も、お互いの液を啜りあい、交わりながら生きながらえてきた彼らも、
2ヶ月が限界であった。
もう体から精液も愛液も汗も何も出なくなったのにも関わらず、二人は性行為を続けた。
狂ったように腰を振り続ける。
もう精液が分泌されなくなったモナーの体からは、何も出ない。
勿論性器もしおれたままだ。
しかし、小さいままレモナの性器へと挿入させる。
モナーは、腰を力いっぱいレモナの尻にぶつけた。
そして、レモナも狂ったように喘ぎ続けた。
二人とも、狂ったように性行為を続けた。
そう。まさに死ぬまで。
AAバトルロワイアル5−完−
↑・・・てのは嘘で。
ごめんなさい。ノリです。悪ノリです。味付けノリです。
ってか・・・ああ〜、セックスネタ書きたいわー。
でもそれはまだとっといて、真面目に書くかー。
>>129 いや、実際勃った
それにしても「しょうせつばん」っていうのにはワロタな。お前がテイノウだろうが
↑未だに続けようとしてるお前のが低脳っつーかお子様っつーか…
アヒャ【男子2番】はエリアAを歩いていたが、はたと足を止めた。
誰かが近づいてくる気配を感じたのだ。
「次の獲物アヒャ」
ぞくっするような不気味な笑みを浮かべ、廃屋の影に身を潜め、アヒャは獲物を待った。
足音で分かる。あと数メートルか?射程圏内だな。
ばっとアヒャが廃屋の影から飛び出すと、そこにいたのは1さんだった。
「あ、アヒャく・・・・・・」
1さんは一瞬、仲間を見つけたかのような希望の表情を浮かべたが、それはすぐに恐怖へと変わった。
アヒャの身体は、キユを殺した時の返り血で赤黒く汚れていて、手には牛刀を握り締め、何より、本能的に恐怖を感じるような笑いを浮かべていたからだ。
「うわああああああああああっ!」
次の瞬間、1さんは駆け出していた。
いかにアヒャといえども、クラスどころが学校でもトップクラスの俊足を誇る1さんには、追いつけるはずがなかった。
しかしここは昔の住宅街。道は曲がりくねり、彼の俊足が発揮できる場所では無かった。それに対し、アヒャはといえばこういう所を移動するのには長けていた。
50メートルほど走ったところで、何かに足をとられ、1さんがよろけた。
アヒャがそれを見逃すはずはなかった。首を狙い、牛刀を振るう。
ガキィイイイイン
「アヒャ?」
アヒャが驚きの表情を浮かべた。牛刀が弾き返された?・・・首輪に当ったのか?
しかし、それでもアヒャの腕力で首に一撃見舞われたらただでは済まない。1さんが砂埃を挙げて転倒する。
今度こそ外すはずが無い。アヒャは両手でしっかり握った牛刀を、1さんの首目掛けて突き刺した。
ぶしゅぅうううううううう
廃屋街の真ん中に紅い噴水が吹き上げた。僅かに手足を動かしていた1さんが事切れるまで、牛刀を埋め込む。
やがて、噴水の勢いも衰えた頃、アヒャは1さんだった物体の体と頭とを切り離した。
「アヒャヒャヒャ!豆アヒャ!豆まめめめまめま豆めまままめまヒャヒャヒャ!!!」
狂ったような叫び声を挙げるアヒャに、さっきまで命あるものとして動いていた1さんは食い尽くされ、血溜まりの中に沈む彼の体と首輪だけが残された。
「それにしても・・・。」
とアヒャが思う。
この首輪は衝撃で爆発するんじゃなかったのか?俺の牛刀が直撃しても爆発しないとは・・・。
まぁいい。俺は可能な限り楽しんで、それから誰かに殺されるだけだ。
牛刀の血を拭き取り、アヒャはその場を立ち去った。
1さんを思う八頭身や・が彼の死を知るのは、まだ後のことだった。
【残り33人】
C-4付近をリル子【女子19番】は歩いていた。
日は既に高く昇っている。
九月といえどもまだ昼間は残暑厳しい。
休んでいた家から出たばかりなのにもう既に汗ばみ始めていた。
時計を確認する。十二時を少しまわっている。
――これからどうすればいいのかしら。
リル子はデイパックの中身を開けた。
半分ほど中身の無くなったペットボトルが一本と、まだ開けていないペットボトルが一本。
3分の1ほど食べたパンが一つ。もう一つの方は袋を開けていない。
そして武器――何の変哲も無い栓抜きが一本。
武器は置いておくとしても、このままのペースでいくと食料が不足するのは目に見えている。
ましてやこの暑さだ。
昼間は水分を取りたくなるに決まっている。
「食料や水は殺して奪い取れってこと?」
そうなると、ここで支給武器の貧弱さが問題となってくる。
夜のうちから響いていた銃声を思い返し、リル子は溜息を吐いた。
銃を支給されるものもいるのに、何故武器とも思えない栓抜きが渡されたのだろう。
自分の運の悪さを呪い始めた時、目の前になにか影が見えたような気がした。
住居の隙間を縫うようにして、その影は移動している。
――いや、近づいてきている。
リル子は反射的に古い住居に飛び込んだ。
錆びた頼りのなさげな鍵を閉め、栓抜きを握り締めて殆ど壊れかけたドアの隣に立つ。
心臓がいやに大きな音を立てていた。
背中を伝い落ちる冷たい汗はきっと暑いせいではないだろう。
荒い呼吸を押さえ込み、リル子は耳を澄ませた。
先程の影は自分の姿を見ただろうか。
もしあの影がが近づいてきたら、どうすればいい?
――やられる前にやってやるわよ。
ぎりりと唇をかみ締める。と、微かな物音がリル子の鼓膜を振るわせた。
どくん、と体に悪そうなほど大きく心臓が脈打つ。
さくさくと土を踏みしめ、それは確実にこちらに近づいてきていた。
とん、と扉が叩かれた。小さな音だったが、リル子を怯えさせるには充分だった。
思わず掠れた悲鳴が口から飛び出す。
その音を聞きつけたのか、扉を叩く音はさらに強くなっていった。
とんとん、とんとんとんとんとんどんどんどんどんドンドンドン!!
ああ、気が狂いそうだ。
リル子はくらくらと倒れそうになるのを堪えて部屋の奥に移動した。
割れかけた窓が目に入る。
あそこからなら脱出できる――
リル子は窓の鍵を開け、引こうとした。変形した桟がありえないほど不快な音を立てる。
腕や手が痛むのも無視して力任せに引く。
やっと窓と桟の間に隙間が開いた。瞬間、
バキィッ
老化した木製の扉はいとも簡単に蹴破れた。
ウワァァァン【男子5番】は扉を踏みつけ、中に入った。
先程扉を叩いた時聞こえた悲鳴がしぃ【女子6番】のものに聞こえたのだ。
もしあの声がしぃの物ならば、もしかしたら誰かに苛められているかもしれない。
もしかしたら襲われている(……!!)のかもしれないと言う不安が、ウワァァァンに扉を蹴破らせた。
その悲鳴が、リル子がウワァァァンに怯えてあげた悲鳴だとも気付かずに。
「しぃ……!助けにきたよ!!」
ウワァァァンはそう叫びながら部屋を見渡した。
しかし、部屋の中にはしぃの姿は無かった。
かわりに、リル子が呆然とした表情でこちらを見ている。
ウワァァァンはリル子に近づいた。
リル子が怯えたように半歩下がる。
「……しぃは、どこ?」
「……知らないわよ」
リル子は実際にしぃの居場所を知らなかった。
それどころか、彼女にとって初めて出会った人間がウワァァァンだったのである。
しかし、ウワァァァンは尚も食い下がった。
「嘘だろ?だって僕は確かにしぃの声を聞いたんだ」
「聞き間違えじゃないの?だってこのゲームが始まってからあの子を見たことも無いし」
ウワァァァンはさらに一歩近づいた。
彼にはリル子が嘘をついているように思えた。何となく挙動不審だし、冷や汗をかいているように見えるし。
それが恐怖と苛立ちによる物だと判断することがウワァァァンには出来なかった。
「本当か?」
「本当だっていってるでしょ!」
リル子はいい加減苛ついてきていた。
クラスでもいじめられっこの「変態虫」と話していること自体が嫌だったし、
しかも「変態虫」はリル子のことを疑っているようなのだ。
これほど不快なことがあるだろうか。
「嘘じゃないのか?!」
ウワァァァンがリル子のセーラーの袖を握った時、ついにリル子の堪忍袋の緒が切れた。
「触らないでよ!!」
リル子は思い切りウワァァァンの手を振り解いた。
その弾みでウワァァァンの頬にビンタをしてしまったけれど気にもならなかった。
ただ触れられたという不快感が残っただけだ。
リル子はウワァァァンの横を走って逃げようとした。
その足をウワァァァンが自らの足で引っ掛ける。
思わずリル子は倒れた。栓抜きがガチャンと大きな音を立てて床にぶつかる。
「よくも、よくも僕を叩いたな……」
ウワァァァンが静かに言う。
その静けさが、リル子を逆に不安にさせた。
ウワァァァンがいきなりリル子の足を掴んだ。
思わず叫びかけるリル子を、ウワァァァンの手に握られている物が固まらせた。
「しぃも苛めたのか?さっきの悲鳴はその時のしぃの悲鳴なのか?しぃを、しぃをおおおおおおおおおぉおおおおおおぉぉぉぉ!!!」
ウワァァァンは手に握ったアイスピックをリル子に突き刺そうとした。
僅かに狙いがはずれ、床に広がったスカートを刺してしまう。足には掠りもしていないようだった。
それを掴んで引き抜き、再びリル子に振りかざした。
思い切り体重をかけて、振り下ろす。死ね、死ねぇ!!
「……ギャアアアアアアアッ!!!」
しかし、痛みに悲鳴をあげたのはウワァァァンの方だった。
思わず緩んだ手からアイスピックをもぎ取られる。
ウワァァァンは股間を押さえながら芋虫のように床中を転がった。
口からは獣じみた叫びが漏れ出てくるが止める事は出来なかった。
思い切り蹴られてしまったのだ。そこの痛みを知らない女子にしか出来ない技だ。
リル子は暴れ回るウワァァァンのデイパックをその背中から引き剥がし、手にもった。
ともかく、逃げなければ。この大声で誰かが自分の存在に気付いたかもしれない。
【残り33人】
135 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/08 20:02 ID:4G40YVxQ
シナ−はトラックを走らせていた。
地図を見てみると、現在地はエリアBの真ん中くらいで、時計は12時29分をさしていた。
このまま行けば、思ったより早く大会本部に行けるな・・
しかし、その刹那。
がくん、と強い衝撃を感じたような気がした。
叫ぶ時間さえなく、トラックは横転し、そのまま5メートルほど地面を滑った。
シートベルトをつけていなかったシナ−はフロントガラスとシートに頭がたたきつけられた。
額から血が流れ、そのまま気絶した。
【女子10番】ニラ茶娘は、その一部始終をぼうぜんとながめていた。
ーえ?死、死んじゃったの?まさか、そんな。
さっきの衝撃は、ニラ茶娘の支給武器、地雷によるものだった。
彼女も、この武器を使うつもりはなかった。
しかし前回の放送を聞き、焦りと恐怖を覚えた。
このままじゃ死んじゃう。まだ死にたくない。生きてたい。
そして説明書(なぐり書きされたようなメモ用紙)を読み、それが
脚や手が吹き飛ぶようなものでなく、人はじゅうぶん殺せる力があること、
簡単にセットができ、センサーで感知する高性能なものであることを知った。
そして地雷をセットし、じっと眺めていたのだった。
しばらくニラ茶娘は呆然としていた。ヒトを殺してしまったのだ。
・・・いや、ひょっとすると生きているかもしれない。
生きていたら手当てをしなくちゃ、こんなの、最低だ。
トラックはめらめらと燃えはじめていたが、彼女はちゅうちょせずトラックに
走り寄って行った。
思ったよりトラックはダメージを受けていた。ドアがへこみ、つかみどころがなかった。
あけようと力をふりしぼってみたが、びくともしない。
そうしてる間に、中の方まで火がまわってきた。ドアが熱い。
助けなきゃ・・・火はまわりつづけている。助けるんだ・・・
ドン
ニラ茶娘はものすごい轟音と衝撃とともに吹き飛ばされた。
彼女だった肉片が地面についたとき、もう彼女は絶命していた。
気絶していたシナ−はなにも知らずに静かに命を落とした。
【残り31人】
136 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/08 20:49 ID:/tbe6o3d
↑AGEんな低脳!
そして
も う 来 な く て い い よ !
139 :
2:04/02/08 23:37 ID:zruRvyVF
【男子7番】ギコは、エリア3を歩いていた。ギコは正面では無く下を見ていた
ギコの持っていたベレッタM92Fは、弾数が少なくなったのでギコは武器が落ちていないか捜していた。そんな油断しているギコの後ろに居た者は、【男子4番】イマノウチだった
イマノウチは、UZIサブマシンガンをギコに向けて構えこう言った
「ユダンシテル・・・コロスナライマノウチ」と言ってUZIサブマシンガンを乱射した!
突然ギコの肩に激痛が走り「くっ!後方から!」ギコは、イマノウチにベレッタM92Fを構えた
イマノウチに銃身をあわせ、2発撃ったが2発とも外れた。
ギコの体のあちこちに激痛が走り、ギコはその場に倒れ込んでしまった。
ギコが威嚇射撃に3発撃ったが、イマノウチは突撃して来るのみ
ギコが撃とうとしたがベレッタM92Fから「ガリッ」と言う鈍い音がした
どうやら詰まった?らしい。ギコは、イマノウチにベレッタM92Fを投げつけたが
UZIサブマシンガンに、振り払われた。「チッ」とギコは、舌打ちをして
薄れゆく意識の中でこう思った「オレは、死ぬのかゴラァ」とイマノウチがUZIサブマシンガンを
ギコに向けて構えたとき、突然イマノウチの後ろに黒い影が突撃してきた「バチッ」と言う音と同時に
イマノウチは、倒れ込みそのまま動かなくった。ギコは、「何だ?」と思ったときには、気を失っていた
ギコは、気を失う瞬間「ギコ君大丈夫?」と言う声を聞いた。その声は、【女子6番】しぃの声だった。
【残り30人】
痛いよぉ痛いよぉ痛いんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
ウワァァァン【男子5番】は、股間の汚物を手で握り締めながら、床に蹲っていた。
自分の声を出していけないという感情とは裏腹に、呻き声が出続ける。
痛い。痛い。痛い。もしかしたら・・・もしかしたら・・・
潰れたかも・・・?
ウワァァァンはそれを考えると泣きたくなった。
もし玉が潰れてたとしたらしぃと・・・しぃと交わえなくなるじゃないか。
しぃ・・・・?
痛さでほとんど忘れていたが、しぃはこの家に居るのだ。
あの女に虐められて、今もなお泣きながら何処かにいる筈なのだ。
ウワァァァンは、立ち上がった。
痛かった。しかし、しぃを救ってあげなければいけなかった。
しぃ・・・僕に助けてもらったらどの位感謝するだろうな・・・
しぃの優しい笑顔が脳裏に浮かぶ。
もししぃが着てる物を脱いできて、僕の体を求めてきても、断らなきゃ・・・断ざるを得ない。
ああ・・・くそっ。
しぃ・・・しぃ・・・
そういえば、昨日の夜(正しくは今日の夜な訳だが)しぃの夢を沢山見たっけな・・・
彼女の汗の臭いを嗅ぎ、舐めとる。
唇と唇を合わせ、狂おしいように舌と唾液をからませ、唇を擦り合わせる。
彼女の豊満な乳房と、赤く充血した乳首が僕の陶板に当る。
それで・・・しぃをベッドに押し倒して・・・恥らう彼女の股を優しく広げて・・・
そして、僕は彼女のアソコから溢れ出てくる液体を舐め取ってあげて・・・
ああ、僕のアソコも勃ってくる。え?勃つ?・・・玉が潰れたら・・・勃てないはずなのに・・・
あ、あん・・・しぃ・・・そんな所・・・触っちゃ駄目・・・あ・・口に入れたら・・・汚い・・・よ・・・うっ
トランクスが、白い液体に濡れてシミを作る。
金玉は潰れていなかった。
僕の金玉は常人よりも丈夫なのだろうか。それとも彼女が手加減でもしたのだろうか。
とにかく、よかった。潰れていないのを確認しただけで痛みが和らいでいくような気がした。
これで気兼ねなく出来る。子供を作れる。
しぃ・・・
・・・いない。
しぃは・・・この家の何処にもいない。
何でだよう。何で・・・
・・・という事は、あの女は嘘をついていなかった事になる。
・・・悪い事をした。今更罪悪感とアソコの痛みが蘇ってきた。くそぅ。
じゃあ、しぃはどこに居るんだろう。しぃ・・・しぃってばよぉ・・・
しぃ・・・
ん・・・?
窓の外に人が見える・・・あれは・・・
しぃでは無い。どうやら【男子18番】ぼるじょあのようだ。
何かを持っているようだけど・・・あれは木刀?
怖い。僕には気付かないでくれよもう。
「おい。」
・・・何で僕の後ろから声がするんだ・・・?
おそるおそる後ろを向いたそこには、【男子15番】ネーノ が立っていた。
ネーノの顔を見た瞬間僕は逃げたい衝動にかられた。
不良グループ。その一人。ネーノ。・・・怖い。虐められる!殺される!
「モネーかぼるじょあを見なかった?」
ネーノは、柔らかい声で僕に尋ねてくる。
怖い。怖い。止めてくれ。止めてくれぇぇぇぇぇ
止めてくれ?
そういえば、ネーノ・・・不良グループの中で彼とギコさんだけは虐めなかった。
ネーノは・・・逆に俺を守ってくれていた記憶がある。
「ねぇ。聞いてる?」
ネーノ・・・僕は彼の方を向いた。とても優しい顔だ。格好いい。
「ぼるじょあなら・・・さっきこの窓から見えたよ。・・・あの木の方に歩いていった。」
僕は、ぼるじょあが向かっていた方向を指差した。
「そうか・・・有難う。・・・ところで、君武器とディパックはどうした?」
ネーノが言う。
武器・・・ディパック・・・そういえば誰かさんに盗まれてしまったんだっけ。
「・・・そう。無いのか。じゃあ」
ネーノは、ディパックからパンを一個とマシンガンを取り出した。
「これを君にやる。」
ネーノがさらっと言う。
「え?こんなのを・・・僕に?」
正直おかしかった。大切な食料。武器。何でこんなのを僕に・・・?
「パンは沢山あるから足りる。あと、そのマシンガンはちょっと持ってたくないんだ。」
僕はへぇとだけ答えておく。
「じゃあ、有難う。」
ネーノはドアから去ろうとしたけど、思い出したように僕の方を振り向く。
「もし・・・しぃと出会ったら、D-3でギコと合流して僕を一緒に待っててくれ。・・・頼んだよ。」
ネーノはそれだけ言うと、走って外に出て行った。
もう彼の姿は、見えない。
・・・ネーノ・・・彼はとてもいい奴だ。頭の悪い僕にも分かる。
・・・え?ちょっと待てよ・・・
彼は言ってた。「パンは沢山あるから足りる。」って・・・それって・・・そういう事か?
まさか、そういう事だったのかよ。笑うしかないぜ。いひひひひひひひひ
今しがた僕は殺人者と話してたのか。何だよ。僕が・・この僕が・・・人を殺した気違いと今しがた対等に話し合ってたのかよ。
笑うしかないな。うひひひひひひひひひひひ
僕はそのパンをすぐに何処かに捨てしまった。
【残り31人】
「朝のリレー」
カムチャツカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ
ギコ(男子七番)は、ネーノ(男子十五番)とD-3の岩場で別れた後、再びしぃ(女子六番)を探しに歩き出した。
ここは草が生い茂っているだけで、廃屋などは特になく、ただ草の茂みと未舗装の道路らしきものがまっすぐ東へと続いている。
その東を見ると、どうやら東には廃屋が一つ、いや二つほど建っているらしかった。政府なら支給された地図は廃屋などの位置も詳しく書かれていたため、ギコはここがD-4になるとわかった。
エリアAは一通り探したがしぃの姿はなかった。その以前にドクオ(男子十四番)やぁゃなみレイ(女子三番)のような敵に襲われてさんざんに目に会ってしまった。無傷なのは幸運と言っていいだろう。
A-5はまだ探してはいなかったが、ここは五時から禁止エリアになるだろうし、既に移動してるんじゃないか、と判断してA-5に行くのはやめた。
ここからは時間との勝負になるだろう。生存者は減っている。ドクオ達のようなゲームに”乗った”連中がいるのだ。
ギコは、少なくともそういう連中に二人は出会っているし、六時間ごとの放送では、しっかりと死亡者が伝えられていた。
それにさっき聞こえた、二度の爆発音が気になった。この会場には生徒達しかいないはずだから、その爆発音はこのゲーム内で起こったのは間違いないだろう。誰かに爆弾や手榴弾でも支給されたのだろうか?
ギコはそこで考えをやめ、自分の問題を考えた。一つは煙草がなくなったこと、もう一つは―――武器だ。
ネーノの助けがあってドクオの襲撃は何とかくぐり抜けたが、支給武器の日本刀を持って行かれたようだった。
ドクオが持っていたベレッタM92Fは残ったけれども―――問題なのは銃弾の数だった。
予備マガジンをドクオが落とした形跡はなかったし、弾丸自体もドクオのデイパックに入っていたのか、なかった。
つまりこのベレッタは、マガジン内の弾数プラス一発しか撃てないということになる。
まあ自分から殺すわけではないからいいのだが―――もし襲撃者に襲撃された時や、しぃを守るとき。残念ながら武器がないと守るものも守れないだろう。
ドクオはベレッタを撃たなかったから多分マガジン内はフル装填されているはずだ(その予想は当たっていたので、ギコのベレッタは十五発プラス一発、十六発しか撃てないということになる)。だが日本刀を失ったのはまずかった。
それに煙草も尽きてしまった。どこかで調達できないかと思ったが―――無理だろう。十年程放置された土地に煙草なんて落ちてたら、それはお笑い話だ。
ギコは苛立ちを覚えた。―――ああいけない、煙草がないといつもこうだ、今はそんなこと思っている場合じゃない、早くしぃを探して―――
気付いた。
ざっ、という音が後ろから聞こえていた。
ギコの顔が硬くなり―――ばっと後ろを振り返ると、そこには男子が立っていた。イマノウチ(男子四番)と分かった。
しまった―――ギコは思った。こんなに近づかれるまで気付かなかったとは。
距離からいって十メートルほど、クラスでも背が低いイマノウチの両手に、不釣合いな黒い固まりが握られていた。
それを見て、ギコは更に顔をこわばらせた。果たして、あいつはやる気の人間なのか?
ベレッタを持ち上げようとする手を止めながらギコはイマノウチをじっと見つめ―――イマノウチの両手の物体が動き始めたとき、ギコは踵を返して東側へと走り出した。
ぱぱぱぱぱ、という音がすぐ近くで聞こえ、ギコの左肩に衝撃が来た。バランスを崩し―――そこに倒れてしまった。
「くそったれ!」肩にすぐ熱と痛みが来たが気にしていられない。右手に持っていたベレッタをイマノウチのいる方向へ向け、引き金を絞った。二発。
しかし、誰にも当たらず、イマノウチはもう一度手にした銃―――ウージーサブマシンガンをギコの方へ向けた。
ギコは歯を食いしばり、左側にごろごろと転がりながらもう一度ベレッタを立て続けに撃った。今度は三発。
また、誰にも当たらず、イマノウチはこちらへ走って来た。左側に転がったせいで左肩にものすごい痛みが来たが、ギコは何とか立ち上がり、また走りだそうとした。
しかし―――ギコが後ろを向こうとしたとき、もう一度イマノウチのウージーから火が吹いて、右脇腹、左腕、更に左大腿にもう一度衝撃が来た。ギコはぐう、とうめき、また地面に倒れた。
後ろを見た。イマノウチが、今度はゆっくりこちらへと向かっていた。ギコはまだしっかりと手にしたベレッタを持ち上げようとし―――できなかった。力が、出なかった。「ち」とギコは舌打ちをした。
視界がぼやけ始めた。
俺は死ぬのか?今、こんな所で?まだしぃを見つけてすらいない。あいつを守ることもしていない。それなのに、俺は、こんな場所で、倒れているわけには―――
ばちっ、と妙な音がした。ギコはおぼつかない視線を動かし―――ギコの横に、イマノウチが倒れていた。そして、その横で立っているセーラー服の女子、あれは、あれはもしや―――
ギコはそれが、しぃだということを確認したかしていない所で意識を失った。
しぃは、手にしたスタンガンでイマノウチを気絶させた後、まだ息があるギコを抱え、ギコが持っていたベレッタを掴んで半ば引きずるように歩き始めた(ウージーも持っていこうと思ったがギコを持つのでせいいっぱいだった)。
彼女にとって感謝すべき二人の男子が戦っているのは意外なことであった。しかし今は、傷を負っているギコを助けなければ、いけなかった。
イマノウチよりギコの方が感謝すべき人間だったと思うし、ギコが襲われたようだったから。
しぃは東の先に見える、小さな廃屋に向かって、ゆっくりと歩いて行った。
【残り31人】
才能というかセンスがないな
148 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/10 16:06 ID:oxkySCPJ
ageてしまった。スマソ釣って来ます。これで牛乳でも吹き出してね&Hearts;
_,,,,,,,,,,,,,_,,,,,,,,,,,,,,,........__
,,,,::::::゙゙゙> " `'='´ """゙ <::,;;;,,, 実 強 ふ き 山
,,::":::::::::/ >┬o┬、| |y┬o┬< ヽ:::::::"::,, .を. く ま び 口
/:::::::::::::;; `┴‐┴' | }`┴‐┴' ::::::::::::::::\ . つ ま. れ し. よ
/:::::::::::: ''" ヽ. ┌|  ̄ |┐ ノ "'' ::::::::::::\ け っ て い
/::::::::::/ ー-、,,,_  ̄l | | l` ̄ _,,,、-‐ \:::::::::ヽ る す 冬 麦
i':::::,、-‐-、. `'''.-└`----'┘-‐'''´ ,.-‐-、::::::::i, . ぐ ふ に じ
i'::::/ ──----- | -----── ヽ::::::;::i, 麦 に ま .ゃ
i':::::{. -----‐‐‐‐‐ │ ‐‐‐‐‐----- }:::::::::i . に の れ 青
.|:::::i ヽ., _____,,,,,,,,|,,,,,,,_____ ,ノ i:::::::| な び て. い
.|::::| `'t‐----‐''''''´ `''''''‐---‐t''´ |::::::i る て 芽
i::::i i i i:::::i' . .ん を
.'i:::i ヽ i ── ── ── ── ── i / i::::i'. . じ だ
、::i, ヽ. / /::i' . ゃ し
ヽi, ヽ / /:i'
ヽ \ / ./'´
\ `''‐--------------‐'´ /
:\,,, ,,,/
`ヽ '""'' .ノ ,..-''"´ ̄`ヽ
_ | '、 /lヽ _」 ,/´ ヽ
__/\ ヽ、__人_,,./ /井ヽ く. `く ,.-''´ ヽ
┬┬/ /井\ /井井|\┬r-、 `r‐ヘ. 〈 ,. -''" ヽ
t井/ /井井\. /#井井ト、 \井ヽ. ヽ `''ヽ_〈 r┬ |
:井| |ヽ 井井\ /:#井井|#ヽ ヽ井ヽ ヽ、__ゝ-' |
井| | #ヽ井井#\ /井井井|井tヽ ヽ井|ヽ | l、 |
f#| |井#ヽ:井井#\. /#井井井|井井| |井|井`ノ ヽ
>>149 はだしのゲンですか。これ知ってる人何人いるかな・・・
151 :
2:04/02/10 18:04 ID:3V8LEb3r
知ってるよ
容量の無駄だからヤメレ
153 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/11 10:24 ID:ES82yAur
age
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
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│ ミツルギ |:::;;;::/:;;;:/;|;||||||!;ill||!';;;;;;;;;;:;;;;;;/O;;;;;;;;;;;;;;|:;::::::: :::::::::::::: : : : . : . : : : : : : .: ::::::::::::: : : : : : : : : : : :
├───‐─┴────────────────────────
│
>>153 |意義あり!!!!!!!
└─────────────────────────────‐
意味も
─┼`;,,: .'┼;:, .. ∧_∧ ──┼
───` ‘;`・∧ _- ― `:,:;( )
>>153 ;..;:;・ +: , -'' ̄ r⌒> _/ /
”`;/ - | y'⌒ ⌒ヽ ‘`┼;:・、
+ `,: : / ノ | / ノ :|‘;,,
.____/ , イ ─- - ー' /´ヾ_ノ +
_____/ _, .'・. .'/ , ノ”‘`;・、,,\
───| / \ / / /;‘"・ ><
j / / / ,' ┼
____/ ノ / /| | + +
/ / !、_/ / 〉
`、_〉 ー|_/ 無いのに
”";・‘,,, + ─┼ ,,”‘;::, ,,
+∧_∧ + ─┼.' , .. ∧_∧
>>153 ( `Д´ )_ -  ̄`:, .∴ ' >< ;( )
┼ + ヽ-'' ̄ >< =',・r⌒> _/ /” "・ ; `,,
+ / ,,-― ̄  ̄"'" .| y'⌒ ⌒ヽ
+ / ノ\\ ┼ + | / ノ |
/ / \\ + ` ー' /´ヾ_ノ
レ ノ ヽ_つ / , ノ
/ / + / //
/ /| ┼ / / ,'
( ( 、 + / /| |
| |、 \ + !、_/ / 〉
+. . | / \ ⌒l |_/
+ | | ) /
┼ ノ ) し'
(_/ -==≡≡≡===-
+ ─┼
∧_∧ ) ┼ AGEんな!!!
( ) | ─┼
───┼ / f ( _ノ + ><
+ \ | | ~ | + ,,";・:...;+∵‘`;+ ; ..、 ><
+ :| | | _ _───┼ .' ,.┼. ∧_∧`,,..
>>153 / - ―― = ̄  ̄ ̄`:,+.∴・___( )
/ __ ',+・,‘r⌒> _/ /`・`;・、,
───┼ / ,  ̄ ̄ ――=・, ’ | y'⌒ ⌒ヽ,`;:・ +
─┼ + ./ / ──┼ ;”`;| / ノ | +
┼ / / + + ”`、,,・;: , ー' /´ヾ_ノ
/ヘ/ ┼ / /ノ
+ :!_/ + / / ,'
┼ / /| |
+ !、_/ / 〉
+ + |_/
ヽ>\ 从//( ┼
シット!!!! ─┼ >< + +
ヘ ヽ∧__∧  ̄ ̄ ! ┼ ” ' ‐ ,┼ ─┼`:;,、 ><
\ ( `Д´)⌒ヽ ___,, __ _ ,, - _―" ’>< ' ・,+ ’・ , /∧_∧/
勿 ヽ,__ j i~"" _ ― _: i ∴”_ ∵, ))
__ ヽ,, / / __,,, -- "" ─ "ー ・, ; ; - 、・┼`; r=-,/⌒ ~ヽ~,
─── ヽノ ノ,イ ─── ― - + + ;: i y ノ' ノi j | ←
>>153 ─── / /,. ヽ, ── ─┼ + i,,___ノ //
ファック!!!! _ ,+;:`";:+,;:`┼ , .∧___∧
∧ _ - ― = ̄  ̄`:, ><.∴ ' ( )
, -'' ̄ __――=', ・,‘ r⌒> _/ / ←
>>153 / -―  ̄ ̄  ̄"'" . ’ | y'⌒ ⌒ヾ
/ ノ ─┼`" "`;・ | / ノ |
/ , イ ) + , ー' /´ヾ_ノ
ゴートゥーヘル!!!! `:"∧_∧´‘
─┼_ ∧_≡―=', ( )
>>153 ‘・" ┼─
+ ,“≡ ) ( `Д r⌒) _/ / ̄┼─ +
″∴≡く / ∧ | y'⌒ ) (⌒ヽ_∧ _,,><_
><;;″″ \/ ∧_ | / ‖ | | Д´)(、_ =  ̄=∞+
+ ; + ( `Д´| |ヾノ ∧∨≡ ̄≡ ̄
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アイム プラウド!!! ";:+,`;:;・`,,┼" ..∧__∧
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>>153 ─┼ ` . ・,‘ r⌒> _/ / ><
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+ ` ,,- ''フ ' + | / ノ |+ ;;:・─┼
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( `Д/⌒) ,,/ / `:/ , ノ + ”`;
(⌒__/ ノ_,/ / + ><*・/ / / +
`(__/ ,/ >< `、 ”;:/ / ,'
ラスト!&スレ汚し失礼しました
∧ ∧
/"⌒ ̄⌒ヽ _
:/ イ, \ ヽ,,, .' , 、+”;:`,;:*,;:`";〜+;:,";:,;:`;;・`;:,"`,*;:`,;:・,:,;;∧_∧
/ :/ヽ ヽ ヽ,,,,, ―= ̄  ̄ ̄ ̄ /:, ̄.∴";:`;:─┼";,;:,`";:∴:┼:*:;:;:::( )
/ ノ丶.,\  ̄,,, −  ̄ =',丶,__・,‘ ' r⌒> v〜*+∴:┼:*::〜 /
\ / ゝ γ__ ,,─'' ―''' ̄ ̄ " . ’ . . ’| y'⌒ ⌒ヽ"`;`,";:・‘;"
 ̄ 「 ソ . .| / ノ |
>>153 / / , .ー' /´ヾ_ノ
/ /
159 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/11 14:47 ID:/jvbQjvh
【男子11番】ショボーンは絶望していた。ここが現実だ。ここが、現実なんだ。
生気のないショボーンに、【男子16番】八頭身が声をかけた。
「ねえ?ショボーンくん?ねえ?大丈夫?」
しかしショボーンに声は届かないようだった。焦点のあわない目がどこかを見つめつづけていた。
「どうしたの!?ねえ、返事してよ・・・・ねえ・・」
応答のないショボーンに、八頭身も肩をゆすって大声で呼びかけた。
「うるさいんだよ!」 いきなりショボーンが叫んだ。
「何なんだよ!?何でこんなことするんだよ!?誰か助けてくれよ!」
錯乱したショボーンは大声で叫んだ。その後も、ショボーンは意味のない言葉を
わめきつづけた。八頭身は驚きと恐怖のまじった目でショボーンを見つめていた。
散々叫んだあとに、ショボーンは泣きはじめた。
八頭身はショボーンに静かに言った。
「ねえ、ここは1時に禁止エリアになる」
沈黙。
「だからココを出よう!1さんを探さなくちゃー!さ、出よう!」
元気いっぱいの声で八頭身は言った。
ショボーンは泣きつづけていたが、いつまでも泣いていられないことを
わかっていた。時計が12時46分を指した頃、彼は無言で立ち上がり、
八頭身とともに廃屋を出た。
先程の家から飛び出してから、リル子【女子19番】は走っていた。
誰かに見つかるかもしれないという不安が彼女を突き動かしていた。
食料も殆ど盗むような形でだが手に入れたし、武器も多少ましになった。
後は見つからない所に隠れていればいい話だ。
それから先のことはまた考えればいい。
「……誰も、いないわね」
荒い息を抑えながら、リル子は立ち止まった。
住居の陰を縫うように走ってきたせいで現在位置がよく分からない。
しかし、先程の家からはだいぶ遠のいたはずだ。
リル子は廃墟の影に隠れて座った。
家の中に入ればより安全だと思うのだが、先程のように逃げ場がなくなっては困る。
デイパックを開け、ペットボトルを取り出し一口飲む。
生温くなった水だが、運動した後の喉には最高のご馳走だ。
ペットボトルを戻し、ふと気付いてウワァァァンのデイパックを開けた。
封の空いているペットボトルと齧られたパンをどうしようかと迷いながら自分のデイパックに詰め替える。
変態虫が口をつけた物など手すら触れたくは無いのだけれど、非常時なので仕方が無い。
リル子は地図を広げた。
今いるエリアAは少し危険のように思えた。先程の体験が瞼の裏に蘇る。
ここは高層ビルが密集しているというエリアEか建設ビルがたくさんあるというエリアCに行ってみようか。
ビルの中に潜んでいれば、誰も気付かないだろう。
地図を手にしたままリル子は再び荷物を背負って立ち上がった。
高く昇った太陽の元に足を踏み出す。途端、目が向かいの家の陰に吸い寄せられる。
真っ黒な物が、ろくに舗装されていない地面に広がっていた。
「……」
あれは、まさか。
リル子は足音を忍ばせて歩み寄った。
一歩近づくごとに、その液体の物らしき臭いが鼻腔に忍び込んでくる。
血液のような、鉄臭い臭い。
やっと歩み寄り、家の陰を覗きこんだとき、リル子は悲鳴をあげた。
真っ黒に見えていた物が赤黒い液体なのだと分かった。
そして、その水溜りのように広がった液体の中に、小柄な体が沈んでいるのが見えた。
液体――血液はおびただしい量で、一目見てもその体が死んでいることがわかった。
――いや、それ以前に首がなくなっているのだから生きているわけが無い。
真っ黒な学生服、首のなくなった小柄な体、白骨化した頭、あちこちに散らばっている金色の糸状の物。
その糸がこの死体の髪の毛だと分かるまで、数秒の時間を要した。
「……あ、あ」
リル子はその場にしゃがみ込んだ。
胃袋から何かが突き上げる。その衝動に任せて、リル子は地面に向かって嘔吐した。
飛沫がスカートに跳ねたが気にすることも出来なかった。
ただ、目の前の死体が気持ち悪かった。
その死体が生前自分を想ってくれていたことなど、リル子は知らない。
知っていても、矢張り嘔吐しただろう。
それほどのその死体は禍々しいものだった。
胃袋が空っぽになり、苦い胃液が喉を焼き始めて、リル子はやっと顔を上げた。
口の端を袖で拭い、立ち上がる。
なるべく死体のほうを見ないようにしながら、なぜか残されていたデイパックを手に取る。
殺した奴はなぜデイパックを持っていかなかったのだろうという疑問が、脳を過ぎった。
人を殺した奴の心理など誰も分かりはしないのだが、それにしても不思議だった。
リル子は死体から目をそらしながら歩き出そうとした。
死体に向けて手を合わせることなどとてもではないが出来なかった。
「……?」
死体から少し外れた所に首輪が落ちているのを見つけ、リル子の足は止まった。
それを拾い上げ、付着していた血液を空のデイパックで拭う。小さな傷がついているのが分かった。
「首輪……」
首輪は、手に乗せて見ると案外軽いものだった。
まるで爆発するというのが信じられないほどに。
リル子は少し考えてそれをデイパックにしまった。
今後、もしかしたら役に立つかもしれない。
荷物を背負いなおし、リル子はその場を離れた。
死体に、心の中で手を合わせながら。
【残り31人】
162 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/11 21:02 ID:ZVcp1ij8
12時半、ショボーンと八頭身はエリアBを歩いていた。
ショボーンはもう落ち着いていたが、自己嫌悪が彼のなかでうずまいていた。
僕を傷つけようなんてモナー君は少しも思っていなかった。それなのにーーーー。
モナー君に銃を向け、レモナさんに撃たれた自分が情けなく、恥ずかしかった。
八頭身はそんなことは露知らず、きょろきょろと辺りを見回していた。
「1さああああん、どこーーー?」
そんな大声を出して襲われたらまずいよ、と言おうと思ったがやめた。
八頭身はいつでも1さんをさがすのに必死なのだ。そんなことは聞かない。
「あ、そういえば、八頭身君の武器は何なの?」
八頭身はショボーンのほうを向き、しばらく不思議そうに見つめていたが、
やがてデイパックから何か細長いものを取り出した。
「これだよ」
それは、スパス12と呼ばれるショットガンだった。
163 :
ヨロ:04/02/11 21:05 ID:gbyCo+TL
┏━━━┓
┃163 ┃
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| /⌒ ヽ (;´Д` ) ヽ 163ゲット
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| \\ ノ \\./| |\\ | |
|/⌒\し'/ .\\ | |ヽ し'(ノ
| >/ /⌒\し'(ノ > )
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| / / つ / / (_つ
| し' (_つ |
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| ゾロゾロ… \
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164 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/11 21:29 ID:xFq3V+5a
SPAS12はメタルストックが(・∀・)イイ!
ぼるじょあ(男子十八番)は、住宅(といっても廃れた廃屋だが)が密集している場所、地図でいうとここはC-4を歩いていた。
ここは廃屋がかなり密集しており、じゃり道が家々の真中を横切るように走っていて、ぼるじょあはそこを歩いていた。
朝になるまで、ぼるじょあはA-3の一つの廃屋に隠れていた。銃声などが聞こえつつあったが、ぼるじょあの近くで鳴ることはなかった。
支給武器は、木の棒―――木刀だった。銃声がしているのだから、銃を持った生徒もいるのだろう。この武器は少々物足りない気がした。
朝の放送で、フェラーチョ(男子十九番)が死んだことを知った。それは、ぼるじょあにとってかなりの影響を与えたに違いない。
ぼるじょあは、フェラーチョ軍団の一員だった。ボスのフェラーチョを中心にした、他のクラスまで取り込む程のグループだ。
フェラーチョ自身、喧嘩などでの補導や、万引き、更には女を強姦したりもする、かなりのワルであった。
逆にぼるじょあはお世辞にも喧嘩が強いとは言えず、どちらかと言うとお調子者の地位にあった。人を笑わせるのが得意で、ムードメーカー的存在だったのかも知れない。
そのため、おもしろい奴だとフェラーチョには一応の信頼を置かれていたと思うし、ぼるじょあ自身もフェラーチョを尊敬していた。
だが、そのフェラーチョは早々とゲームから退場してしまったのだ。
そんなまさか、という思いがあったが、今は自分のことを考えなければと思い直した。仲間を探して、ここから脱出できないか?
お調子者という地位からかこのゲームに乗り気はしなかった。支給武器が銃とかだったらやれるとは思ったが、支給武器は木刀だ。
結局、仲間を探そうと思って廃屋を出たのが、午前十時頃だった。信頼できそうな不良仲間―――山崎渉(男子二十一番)やネーノ(男子十五番)辺りなら、いつも一緒だし大丈夫だろう。
そう思って足を進めていたが、誰にも出会うことは、なかった。しかし十一時四十分頃、すぐ近くで銃声がした。誰かが戦っているらしかった。
不安に思ってそのまま南下し、慎重に歩いて今ここ、C-4にいる。
十二時の放送の後、近くでまた銃声が聞こえた。今度は、何かマシンガンのような音だった。ぼるじょあは自分が狙われているんじゃないかという不安で、更に慎重に、足を進めた。
誰がいるかは小石を投げて反応を見るという方法を取った。今、木と草が茂る場所に身を隠して、近くにあった石を拾って、正面の家の壁に投げつけた。
がん、という少し大きな音がした。ぼるじょあは少し身をかがめ、腕時計を見ながら、反応を待った。三十秒、一分、二分―――
もう大丈夫だろう、という思いで足を進めようとした。しかし―――がさ、という、自分とは違う場所から音が聞こえてきた。
ばっ、とぼるじょあが振り返ると、そこには、不良グループで見慣れた男子―――ネーノが立っていた。右手に拳銃を、握っていた。
ぼるじょあはほぅ、と息を吐いた。もちろん同じグループのネーノは信用できる、と思ったからだった。「ネーノじゃん」ぼるじょあはネーノに自然に話しかけた。
返事はなかったが、ぼるじょあは続けた。「一緒に行動しないか?組んで、ここから脱出を――」反応は、なかった。
「聞いてるか?」不思議そうな顔をし、ぼるじょあがネーノの方向へ足を進めようとした時―――ぼるじょあは目を見開いた。
ネーノの拳銃が、まっすぐこちらを狙っていた。ぼるじょあは、ぽかんとした顔になった。何だ、何でこいつは俺に銃を向けるんだ?
ぼるじょあはネーノの方向に近づきながら話しかけた。
「お、おい――何やってんだよ、俺だよぼるじょあだよ、銃を降ろし―――」
「来るな」
足を止めた。来るな?何でだ?俺たち仲間だろ?仲間の顔を忘れたのか?
「冗談もほどほどにしてくれよ」
「冗談じゃないさ、お前はここで死んでもらう」
―――!
自分を殺そうとしている―――仲間だった自分を、こいつは殺そうとしている!
ぼるじょあは一瞬の判断で木刀をネーノの拳銃へと突き出した。しかし、ぼるじょあに向けていた右手をすっと泳がすと、左肩に吊り下げてあったデイパックでそれを簡単に防いだ。
「くそッ」
ネーノが左手に力を入れ、ぼるじょあの持っていた木刀を、強引に落とした。ぼるじょあは顔をこわばらせ、一歩、二歩と後ずさりした。
「な何で――俺を殺すんだ?仲間だったじゃないか?お、おい」
「一年前、お前はフェラーチョ、モネーと一緒にある女をレイプした。覚えてるか」
一年前―――記憶を引き出した。あれはしぃ(女子六番)の姉だったか。何かしぃをいじめるなとか何か言ってたような気がして―――
そうだ、フェラーチョがいきなり押し倒し、しぃの姉を強姦した。モネー(女子十六番)はその場に居合わせただけだったが、ぼるじょあは成すがままにそれに混じってしまったのだ。
確か、その次の日、そのしぃの姉は自殺した。強姦された女が自殺したのは始めてで、警察にパクられやしないかと不安になったが、フェラーチョはものともしなかった。
結局日が経つ毎に罪悪感も薄れ、今も言われるまで、思い出すことはなかった。
「あ、ああ、だけど、それがどうした」
「じぃは俺の恋人だった。お前らはじぃを殺した」
え?何だって?恋人?ぼるじょあはまた、不思議そうな顔をした。おかまいなしに、ネーノが言葉を続けた。
「だから、じぃの仇だ。フェラーチョは俺が殺した。お前も死んでもらう」
「な、な―――」
ぼるじょあが言葉を続ける暇もなく、ネーノの引き金にかかった指が、動き出した。ぼるじょあは固まったように動かない足を、がくがくと震わせていた。
「やめろ!」
ぼるじょあの声でもない、ネーノの声でもない、第三者の声が割り込んだ。ネーノがびくっとして振り返り、ぼるじょあも目線でそれを追った。
木に囲まれた茂みの奥、民家の横に、男子が立っていた。あれは、ぼるじょあの一番の親友、山崎渉だった。
山崎―――
ネーノの視線が山崎に集中していた。止めるなら、今しかない。
ぼるじょあは一瞬の判断の後、ネーノへと飛びかかった。「うおお!」ネーノは叫び声に気付き振り返り、こちらに銃を向けそうになったが、ぼるじょあが飛びかかるのが早かった。
体当たりを食らい、ネーノがぼるじょあに押し倒され、茂みの中へと倒れ込んだ。右手に持っていたH&K USPが手から離れ、茂みに覆われて見えなくなった。
ぼるじょあは馬乗りの態勢になり、今までの不安は恐怖をすべてぶつけるように、ネーノの顔を素手で殴った。
「くそったれ!殺してやるぞ!くそっ、くそっ!」
殴るごとにネーノの顔面が左右に揺れ、ネーノの鼻からつっと血が流れているのがわかった。このまま殴り殺してやる!
「ぼる!やめろよ!」
しかし、山崎がぼるじょあの手を掴んだ。「なんでだ!」ぼるじょあは叫んだ。「こいつ、俺を殺そうとした!」
山崎が言葉を発するより先に、ネーノが右手を動かし、ぼるじょあの首めがけて突き出した。
とっさの判断でぼるじょあは首を横に動かしたが、ちりっと痛みがした。ネーノの右手―――ナイフが握られていた。
「この野郎!性懲りもなく!」
ぼるじょあが山崎に掴まれた手を振り払おうとする前に、山崎がネーノの右手を掴んでいた。ぼるじょあの左手が自由になった。
はあはあ、と荒い息だけがしばらく続き、山崎がようやく切り出した。
「襲われたのかも知れないけど、殺すのはよくないよ。それに、ネーノは仲間じゃないか」
ぼるじょあは事情を知らない山崎の言葉に馬鹿馬鹿しさを覚えた。しかし、ようやく思い出した。自分が仲間を探していたことに。
山崎渉はフェラーチョには嫌われていたが、ぼるじょあとは気が合って、ぼるじょあの一番の親友になっていた。ネーノは別として、山崎は信頼できるだろう。
そんなことを思っているうちに、気が冷め始めた。
「・・・わかったよ」
山崎がようやく安堵の表情を浮かべた。
「何で二人が戦ったのかわからないけど、武器は僕が持っておくよ。二人がまた喧嘩を始めたら危ないからね」
そう言って、山崎は銃や木刀を拾い始めた。
「とりあえずネーノの手を縛っておけば、安心だろう?」
「ああ・・・」
ネーノが自分に恨みを抱いている以上、武器をほったらかしにしていたら襲われるという心配があったが、山崎が武器を管理し、ネーノの腕を縛るのなら納得はできた。
ぼるじょあにとって、山崎はフェラーチョと同じく信頼できる生徒だったから。
ぼるじょあの眼下で鼻から血を流しているネーノが「ちくしょう」と漏らした。いい気味だ、まったく。
警戒してネーノの体を起こした後、山崎が自分のベルトで、ネーノの両腕を縛り始めた。結構きつく両腕を縛った後、山崎が言った。
「とりあえず移動しよう。叫び声を聞いたやる気のやつが来るかも知れない。それに、なんでこうなったか話も聞きたいし」
ぼるじょあは頷いた。
【残り31人】
ッパとおにぎりの組はC-4あたりまで移動していた。
まだこのチームも二人しかいないし、武器と呼べる物も拳銃一丁だけだった。
そうゆうことでエリア51にはまだ逝かないで(首輪の問題もまだ解決されていない)、新たな仲間をさがしているわけだ。
「ここらへんでC-4入ったかな?」
「入ったと思うよ。」
別に答えを返してほしかったわけではないが、仲間の声が返ってくるというのは相当安心するものだ。
ッパとおにぎりが改めて仲間がいることの安心感を覚えた。
そのときだった…
ぱぁぁぁぁん!
何かの音が響く。
アレ?何の音?
ッパ&おにぎりが同時の同じことを考えた。さらにおにぎりは腕に妙な感覚があった。
おにぎりは自分の腕をみた。切り傷の用な物ができている。
それをッパも見た。
それと同時に体が動いた。
「くっ!」
ッパも左腕を撃たれた。そう、撃つ、と言う事は、相手は銃をもっているのだ。
「あぁぁぁぁぁ!」
「ッパ君!」
それをみてありすが言った。
「あたたかい…?」
二人はとっさにそこにあった廃屋に隠れた。(中には入らず、裏に回った。
痛い。腕を少し動かすたびに痛みが走る。しかし痛いなんて言ってられない。
これからどうづればいいんだ。相手はありす【女子12番】
黒々と光る銃。グロック17を持っていた。こちらにも銃はないことはない。多分いける。
ピンチだ。ありすが廃屋へ近づいてくる。幸いッパは左利き。銃は撃てる。ッパは説明書に書いてあったとうりに安全装置を外し。構えた。
自分はこれでも卓球部所属。殺さないように狙って銃を撃つことができるかもしれない…って関係ないか…(恐らくサッカー部のおにぎりよりは関係ある。
「ねぇッパ君」
おにぎりが言った。
「何?」
「ちょっと考えがあるんだけど、のってくれる?」
ここはのれないなんていってられるとこではない。返事は勿論
「わかった。で、どうゆう作戦なの?」
「ッパ君はもしもの時のためにここにいて自分の身を守るだけでいいよ」
「…わかった…」
ッパの返事を聞いたおにぎりはッパのデイパックを持って立ち上がり、あまり物音を立てないようにできるだけ急いで、動いた。
自分のデイパックを持っていってどうするんだろう、と思ったがここはおにぎりを信じるしかない。
ありすの物と思われる足音がドンドン大きくなってくる。ザ…ザ…と足音がする
ッパも銃を構えた。
しかし、その足音はすぐ聞こえなくなった。
ザ…ザ…ザ…ガン!・ッド・・・・・・
(ガン?ド?)
ッパは急いで、ありすが居た所へ向かった。
そのッパの目に映ったのは、ッパのパソコンを持って立っているおにぎりと、倒れているありすだった。
おにぎりはうまく廃屋の周りをぐるっと回って、ありすの背後に回りこみ、ノートパソコンでぶん殴った、というわけだ。
次にッパはパソコンを見た。少しひびが入っているがまだつかえるだろう。
その次にありすが生きているか等を確認する。気絶しているが生きているようだ。
「この娘どうする?」
ッパが聞く。
「…一応…やる気みたい…だけど…」
こうゆう時は仲間は絶対信用できる人じゃないと、何をされるか解からない。しかも、さっき自分はそこに倒れているヤツに殺されかけたのだ。現に撃たれた。
「やっぱりこの人は置いていこう…」
結論を出したッパとおにぎりは、ありすの拳銃(グロック17)とその弾をとった。(グロックの説明書も)あと、なるべくありすが気絶している間襲われないように、ありすの体を廃屋に隠した。
とりあえずッパの腕の止血をし、歩き出した。また新しい仲間を探しに。このC-4には、山崎、ぼるじょあ、そしてネーノがいるのだ。
【残り30人】
170 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/12 20:52 ID:A/ykQbsx
八頭身は取り出した武器をしばらく眺めていたが、やがてデイパックにしまった。
「みんなが怖がるといけないからね。」
「それよりーーーー」 とショボーンが言った。
「1さんを探さなくちゃね。僕はモナー君に会わなくちゃ。」
八頭身はショボーンの言葉を聞き流したように見えたが、振り向いて
不思議そうな顔でショボーンを見た。
「何でモナー君に会うの?」 とショボーンに聞いた。
ショボーンは言うか言わないか迷った。
やる気だった危ない奴、みたいに思われたくはなかったからだ。
しかし言うことにした。八頭身君はそんなこと思わないだろう。
「これが始まったばかりのとき、僕はつい、モナー君を撃っちゃったんだ。
やる気だったわけじゃないよ。怖かったんだ。みんな敵に見えた。
そしてーーー」 ショボーンは袖をまくった。
「こうなった。」 血はもう止まっていたが、傷はくっきりと残っていた。
八頭身はなんと声をかけるべきか迷っていたが、聞かなかったことにした。
「1さあああああああん、出ておいでよー。」
しかし人影すら見つからなかった。見回すかぎり、そこはなにもなかった。
171 :
代理投下:04/02/13 17:18 ID:YcfX1Jut
あまり女の子には興味が無かった俺が初めて好きになった女の子。
俺が1年の時入っていた部活の先輩だった。
俺が部活に入部した時は、彼女は確かもう3年生だったっけ。
彼女は、とても優しく可憐で、まさに花のような人だった。
いつか・・・いつだったか忘れたけど、俺と彼女は付き合い始めた。
ちょっと彼女は男勝りな所も少しあったけど、オレは彼女のそんな所が好きだった。
彼女が中学を卒業した後も、俺と彼女は付き合ってた。
SEXは勿論まだキスさえしてない清い関係だったっけ。
ある日、彼女の家に初めて行く事になった。
彼女の家は一軒家の2階建てだった。
俺は2階にある彼女の部屋でビデオを見たりゲームをしてたりで遊んでたっけ。
で、その内部屋に誰か見知らぬ女の子が入ってきたんだっけ。
「あの・・・お姉ちゃん・・・あの・・・ジュース・・・」
その女の子は、そう言ってお盆に載ったジュースを俺たちの目の前に置くと、逃げるように何処かに言ってしまった。
「あの子誰?」
俺がそう聞くと、
「あたしの妹。『しぃ』って言うのよ。えと・・・今中学2年生だから貴方と同じ歳かもね。」
彼女はそう答えた。
「ちょっとあの子虐められてるのよ学校で・・・ちょっと今度相談に乗ってあげようと思うんだ。」
彼女は何気なくそう言った。俺はただ『フーン』とだけ言っておいた。
その翌翌日。彼女が・・・じぃが死んだという知らせが俺の耳に届いた。
どうも死因は自殺らしい。
俺は、驚いた。あのじぃが自殺するなんて・・・思わなかった。
間違ってもじぃは自殺するような奴じゃない。俺はそう思っていた。
死んだ彼女が横たわっている病院に俺はすぐ駆けつけた。
じぃは、白いベッドの上に仰向けに寝ていた。
白い布が顔にかぶさっている。
俺は、半泣きのまま彼女の白い布を取った。
そこには、まだ元気なままのじぃがいた。
安らかな寝顔。その顔。
キリリとした眉毛。よく通った鼻筋。美しい眉毛。薄紅色の唇。
そのじぃの顔を見た途端、俺の目から大量の涙が自然と流れてきた。
泣いた。鳴いた。泣きながらじぃの死体にすがった。
俺はじぃの名前を何度も呼んでいた。何度も。何度も。
呼んでも呼んでも彼女は蘇らない・・・そんな事は・・・ああ!分かってるよ!
彼女の手はとても冷たかった。手だけじゃない。顔も、足も。
涙が止まらなかった。拭っても拭っても・・・止まらない。
俺は、じぃの顔へ自分の唇を近づけ、キスをした。
俺のファーストキス。たぶん彼女もファーストキス・・・?
彼女の唇はとても冷たかった。『死』の味、とでも言うのだろうか。
その夜、俺は眠れなかった。布団にくるまり、泣いてる内に朝はいつのまにか来ていた。
172 :
代理投下:04/02/13 17:18 ID:YcfX1Jut
どうも俺は不良タイプでは無いらしい。
煙草も酒も、体が拒否反応を起こしてしまう。
でも、俺はやらなきゃいけなかった。彼女を死に追いやった男・・・いや、『殺した』男。
俺は、上手くフェラーチョ一味に取り入る事が出来た。
ただフェラーチョに大量のエロ本と煙草を送る。それだけで俺はあいつの配下の一人となった。
俺はあいつに忠実にしていた。ずっと・・・ずっと。
次第に、あいつは俺の事を信用する事になってきた。
二人きりで飲み屋に行くような仲にもなっていた。
俺は、その時、酔ったあいつに聞いたんだ。『じぃ』の事を。
あいつは酔っていた。自分のした事を自慢げにぺらぺらと喋りやがったよ。
「ああ?じぃ?ああ。あのしぃの姉さんな。あいつは久々に上玉だったぜぇ。
腕掴んで、強引にキスしてやった。んーんー言ってやがったけど吐息が俺の口ん中入って逆に気持ちよかったぜぇ。
でも、止めて!とか言って抵抗してきやがるんだよ。腹パン食らわしたらすぐ黙ったけどな。
いやぁ。凄かったぜ。特に胸がでかいのなんのって。ありゃあEカップくらいはあるんじゃねぇの?
でさぁ。強引に俺のモノをあいつの口にぶち込んだら、あいつ俺のモノ噛もうとして来やがるんだよ!
噛まれる前にすぐ抜いたけどな。いやぁ、危なっかしい奴だったよあいつは。
で、特に凄いのがあいつ処女だったんだよ!あんくらいの容姿でまだヤった事ねぇだなんて珍しいなぁとか思ったよ。
っつか、俺処女を犯した事って一度も無いんよ。でね、あいつを犯して思った。処女サイコーだよ。
泣きながら痛い痛い悲鳴上げるあいつの顔!声!そそるぜぇ。
しかも痛いのか興奮してのか知らねぇが腰くねらせんだよ。それがまたすげぇ気持ちいいんだ。
いやぁ、ホントあん時は精液の出がすげぇ良かったぜ!つか、気持ちよすぎて中に出しちまった。
そしたらぼるじょあが参加させてほしいとか言うんだよ。モネーなんか笑って見てやがんだぜ。あいつら鬼畜だよ。
でな,ぼるじょあと俺であいつの二つの穴を犯してやた。ぼるじょあとかいってすげぇぞあれ。
腰振りながらアンアン喘いでやがんだよ男の癖して。そんな気持ちいいかみたいな。
そんで、3回目はなぁ・・・」
もう聞きたくなった。
俺の彼女が苦しみながら犯される、そんな話。もう聞きたくなかった。
俺は、その時初めてあいつに、フェラーチョに殺意が芽生えた。
コロシテヤルッテホンキデオモッタ。フェラーチョモ、ボルジョアモモネーモミンナミンナ
フェラーチョ。お前はもう俺が殺しちまった。けど、また蘇ってくれ。
そして、また俺に殺されろ。
そしてまた生き返れ。そしてまた消えろ。
俺の頭の中で永遠に殺され続けろ。
死んだ後も俺に殺され続けろ。
ぼるじょあも、モネーも死ね。
ぼるじょあ。もうすぐお前に会えるな。
俺はもうお前を何度も殺してる。でも、今度は現実で殺す。
お前らみんな死ね。蘇れ。また死ね。また蘇れ。それを繰り返せ。死に続けろ。でも何度も蘇れ。繰り返せ。
輪廻だ。
173 :
代理投下:04/02/13 17:19 ID:YcfX1Jut
・・・あと二人だ。
あと二人で俺の復讐は全て終わる。
フェラーチョと一緒にじぃを犯したぼるじょあ。
それを笑ってみていたモネー。
あめねこ。君を殺した時は素直に心が痛んだ。武器が欲しかった為とは言え、殺してしまったのは本当に悪かった。
坂田。お前もだ。正当防衛だったとは言え、やっぱり心が痛んだ。
・・・そういえば、あの時俺が撃った奴はどうなったんだろう。
何故か白くなっている髪。ボサボサの髪―――俺は、そのボサボサの髪にフェラーチョの影を見ていた。
フェラーチョはもう死んだと分かっているのに、自然と俺の指は引き金を引く動作を行っていた。
ああ、俺は狂っているのだろうか。このゲームにまいってきてしまっているのだろうか。
・・・大丈夫だ。俺はまだ狂っていない。それだけは自身を持って言える。
・・・今の時刻は1時10分か。
日はまだ空に高く上がっている。
俺は右手のUSPをより一層強く握り締める。
もう少しだ。もう少しで俺は―――
ジユウニ ナレル
【残り31人】
>>169で人数をまちがえてますが、【残り31人】です。スマソ(なんか間違ってばっかだな
175 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/13 20:27 ID:4zFgW2lL
八頭身とショボーンはエリアCをさまよっていた。
「1さあああああん、どこーーーー!」
ショボーンは叫びつづける八頭身を半ば尊敬しながら見ていた。
ー八頭身君て、疲れてないのかな・・1さんのためなら、八頭身君は怖いものなんか
なにもないのだろう。それに比べて僕は・・・・・・・・
「ああ、向こうに誰かいる!1さんかもしれない!!」
と、八頭身君がいきなり叫んだ。
僕はまだ近づかないほうがいいよ、と言おうと思ったがすでに
八頭身君は20メートルばかり走っていた。ほんとうに脚が速い。
「1さあああああああん」
八頭身君は学校一、脚が速かったはずだ。テニス部だったのに(1さんがテニス部だったから入ったんだろう)
確か1学期の100メートル計測で10秒98、を出してたな・・
そんなことを考えつつ、ショボーンも八頭身のあとをおった。
「1さあああん」
しかし、その人影の正体はーーー【女子5番】ザーボンだった。
「1さああ・・・ん?」 走りよった八頭身も5メートルというところで脚を止めた。
「な、なんなんですか?」 ザーボンも凄いスピードで近づいてきた八頭身に
驚きと恐怖を感じていた。
「1さんを探してるんだ・・ああ、別に僕はやる気じゃないから安心してね。」
「1さん?」 ザーボンは安心など出来なかった。1さんへのストーキング行為は
ザーボンもよく知っていた。こんな状況じゃなくても充分アブナイ。
「1さんなんて知らないですよ・・・・」
八頭身はがっくりと肩を落した。そして、ショボーンがようやく来た。
「八頭身君、1さんはーーー」
そして横目でちらりとザーボンを見た。
「ここにはいないみたいだね。でも、見つかるよ。」
しばらく間をあけて八頭身が元気な声で言った。
「そうだね!1さああああああん!!!」
と言ったとたん、猛スピードで八頭身が走り始めた。
ショボーンも安心して、
「じゃあね!」
とザーボンにいうと、八頭身のあとをおった。
ひとり取り残されたザーボンは呆然と立ち尽くしていた。
・・・なんなんでしょうか?あの奇妙なタッグは?
と、その時、いきなり世界がぐるり、と回った。
ドッ、と音がした。何か首筋に激しい痛みと冷たさを感じた。
そこで、思考は途絶えた。
頭のなくなったザーボンの近くには、日本刀をもったドクオが立ち尽くしていた。
【残り30人】
【男子14番】ドクオは笑っていた。
普段あまり笑わないのだが、その赤く塗られた刀を見るとなぜか笑いがこみ上げてくるのだ。
しかも地面に染み込む血を見ているとさらに笑えてくる。
「人を斬るのってこんな楽しいことなのかよ。」散々笑った後にこう言うと、
持っている日本刀の血を拭ってからまた言う。「たしかあのキモイ声はあっちにいったな。」
ドクオは明らかに【男子16番】八頭身を意識していた。
──あのデカイ体を斬るとこの刀も喜ぶだろう!──
ドクオはたしかに八頭身の行った方向へと歩き始めた。が、歩けなかった。
四肢に激痛が走ったからだ。
!!!!!!!!!
肩に刺さっていたのは大きな包丁・・・ネオ麦茶が持っていたものと同じだ。確か牛刀といったかな。
一瞬そう考えたがそれどころではない。「うわああああぁあああああああっ!!!」
生温かい血が噴出す。たぶん牛刀は上から降ってきたらしい。
「上から牛刀が降ってきただと!?誰だ!!出て来い!!!だれだああぁあああああぁっぁああぁxdxz」
「アーッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ」
牛刀は上から降ってきたのではない。ドクオはすでに脚を刺され、
その痛みをはっきり認識する前に倒れていた。なんとも素早い技だ。
【男子2番】アヒャは大移動に成功していた。その中ではじめて見たAAは他のAAの首を切断していた。
「あう・・・あ・・・」「お前、美味そうな豆を食おうとしてただろ?だから横取りさせてもらうよ。
これで首を切る手間が省けたな。これって結構力がいるんだよね。アヒャヒャ。」
──豆!?食う!?ふざけんな!俺が何をしたというんだ!この躁病患者が!!──
声にならない言葉だ、ドクオはもう喋るだけの力が無かった。
体中を刺されてドクオは息絶えた。彼が最後に聞いた声は「豆」とくりかえし叫ぶアヒャの声だった。
【残り29人】
177 :
名無しさん@お腹いっぱい:04/02/13 23:43 ID:/4vZQew2
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【ゴールデンレス】
このレスを見た人はコピペでもいいので
10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白されるわ宝くじは当たるわ
出世しまくるわ体の悪い所全部治るわでえらい事です
178 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/13 23:44 ID:/vP2lgga
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【ゴールデンレス】
このレスを見た人はコピペでもいいので
10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白されるわ宝くじは当たるわ
出世しまくるわ体の悪い所全部治るわでえらい事です
ルルカ【女子20番】はF-4の建築途中のビルの一つに隠れていた。
極度の緊張と、恐怖で額が汗で濡れ、前髪が張り付いている。
それを人差し指ではがして、ルルカは支給武器の金槌を握りなおした。
後数時間で彼女がいるエリアは禁止区域に指定される。
もうそろそろこのエリアをでなければ。
そう思い、何度もビルを出ようと試みたのだが、どうしても後一歩のところで踏み出せない。
ここは、安全だ。
出発してからすぐに隠れこんだビルだったが、誰もここに訪れなかった。
外に出れば、銃や刃物を持った殺人鬼がうろうろしているんだろう。
そのことが、とてつもなく恐ろしかった。
「……怖いよぉ」
ルルカはぽつりと呟いた。
このゲームが始まってから、初めて口にした言葉だった。
口にしたせいで余計に恐ろしさが増したのか、ルルカの瞳に涙が浮かび始めた。
目の前が涙でぼやける。不明瞭になった世界で剥き出しになった鉄筋が人の影のように揺れた。
ぼろりと涙がこぼれて、視界が鮮明になる。影が鉄筋へと戻った。
そこに誰もいないのを確認して、ルルカは目を閉じた。夜のうちに眠っていないので大分疲れていた。
暗闇と化した視界の中に、ガラスが嵌っていない窓から差し込む光が仄かに飛び込んでくる。
それはどこか、どきどきと胸を弾ませながら舞台袖で見ているスポットライトのようだった。
ああ、懐かしいな。ほんの数日前のことだというのに。
ルルカは小さく溜息をついた。
ルルカは芸能人――所謂アイドルだった。
それも、この年齢でコンサートをひらいたり、その会場が立見が出るほどの満員になったりする程の。
しかし、その仕事故に学校にあまり行けなかったり、学校に熱烈なファンが押しかけるなどということもあったので、クラスの中では孤立していた。
修学旅行もどうせつまらない物になるだろうと行かないつもりだったのだが、仕事も入っていなかったし、マネージャーの進めもあって渋々来たのだった。
――来なきゃよかった。
彼女は心のそこから後悔した。マネージャーの進めなど振り切って、家で休んでいればよかった。
そうすればこのゲームに参加させられることもなかっただろう。
もしも仮に来なかったとしてもドクオ【男子14番】のように拉致されて連れてこられることは確実だったわけだが、そんなことは彼女の知るところではない。
ルルカは目を閉じたまま膝を抱えた。
スポットライトが瞼の裏で弾ける。ここは舞台だ。ルルカの舞台。
観客席にはルルカを一目見ようと駆けつけてくれたファンがたくさんいる。
彼らは口々に彼女の名前を叫んでいた。
彼女も彼らに応えて、手を振ったり声をかけたりする。
そして、歌の出だしのギターの音が響き、客席から大きな歓声が上がる。
マイクを握り、声を張り上げて歌い始める。
その瞬間のなんと充実したことか。なんと楽しい事か。
ずっとこのままでいたい。ルルカは舞台に上がるたびそう思う。
学校での皆の白い目や、厳しいボイスレッスン、ファンの嫌がらせ。そんな物を全て忘れられる舞台。
ルルカは舞台が大好きだった。ファンが大好きだった。
そう、大好き「だった」――
ルルカは目を開いた。
ほんの少しまどろんでいたらしく、疲れが僅かだが取れている。
頬に触れると指先が濡れた。涙がずっと流れていたのだろう。
「……」
もう大好きだった舞台に戻ることは叶わないだろう。
無力で武器も弱く、友達すらいない私は多分ここで殺されるんだ。
恐ろしいけれど、物凄く嫌なのだけれど。
私はまだ生きていたい。舞台にたって歌を歌いたい。
ルルカは涙を拭うと、腕時計を見た。短針が2時に近づいている。
もうそろそろここを出なければ。
金槌を握り、デイパックを担いで体を起こしかけた時、ふと足音のようなものが耳に届いた。
小さな音だったが、その音はルルカの背筋を凍らせた。
誰?
殆ど無意識に金槌を握り締め、壁に身を寄せる。
足音はしばらく止まった後、再び歩き始めた。暫く歩いた後、また立ち止まる。
どうやら、ビルの一室を一つずつ覗き込んでいるらしかった。
このビルが安全なのか探っているのか、仲間を探しているのか。それとも
――獲物を、探しているの…?
どくん、と一際大きく心臓が波打った。
昨夜の銃声やついさっき聞こえた爆発音がルルカの頭の中でぐるぐると回る。
そうだ、そうとしか思えない。
人殺しの気狂いが私を探しているんだ。
力も仲間も持たない私を探しているんだ。
ルルカの頭の中が恐怖の一色で塗り固められた時、ついに足音がルルカのいる部屋の前で止まった。
ドアのはまっていない部屋の入り口に、誰かがひょこっと顔を出した。
仲間を探してビルを覗きまわっていたモラリ【女子14番】だった。
モラリはルルカの姿を確認し、その手に金槌が握られていることを確認するとぎくりと背筋を強張らせ、支給武器のモデルガンを構えた。
相手を傷つける能力はない武器だったが、牽制するにはそれは役立つ武器であった。
ルルカは呆然とモラリの顔を見た。
よく見れば、モラリの顔に殺気が宿っていないことが分かったであろう。
しかし、錯乱したルルカにはその顔は獲物を見つけた殺人鬼の表情にしか見えなかった。
おまけに、手に銃を持っている。
「金槌を捨てて!そうじゃないと撃ち殺すわよ」
これも牽制するための言葉だったが、ルルカには本気の言葉に聞こえた。
ルルカの恐怖がより一層昂ぶる。
まだ金槌を捨てないルルカに焦ったのか、モラリが再び叫ぶ。
この時点でモラリも逃げればよかったのだろうが、彼女もまた錯乱していたのだろう。
今の彼女の目的は『仲間を探す』ことから『ルルカに武器を捨てさせる』に摩り替っていた。
「早く捨てなさいよ!!殺すわよ!私銃を持ってるんだからあ!!」
モラリの必死の形相。そして、『殺す』というワードだけがルルカの思考に染み入った。
その瞬間、ルルカの恐怖は頂点に達した。
「キャアアアアアアアアアアアッ!!!」
ルルカは大声で叫びながら金槌を振り回してモラリに突進した。
今まで固まっていた相手がいきなり動き出したので、モラリは一瞬うろたえた。
その一瞬をついて、ルルカはモラリの懐に飛び込むと思い切り金槌でその脇腹を殴った。
何かが砕けるような音がして、モラリが叫び声をあげながら床に倒れる。
あばら骨が折れたのだろう。
倒れこんだモラリに、ルルカは再び金槌を振りかぶった。
身を起こすこともままならないモラリの体に金槌を何度も振り下ろす。
モラリの絶叫が響いたが、その声がルルカを止める事は出来なかった。
ルルカは殆ど意味の取れない叫び声を挙げながらモラリの顔や頭にも金槌を振り落とした。
その手に今まで走ったことのないような不快な振動が伝わり、モラリの悲鳴が途絶えても殴り続けた。
声が枯れ、喉が痛くなり、手が痺れても、叫びながらもう既に息絶えているモラリを殴り続けた。
ふと我に帰ると、目の前にはモラリの惨い死体が転がっていた。
頭が砕け、脳みそが血液と混じり床に不気味なマーブル模様を描いている。
顔もぐちゃぐちゃになり、可愛らしかった容貌は見る影もなかった。
四肢もぐにゃりとしていて、骨が粉々になっているのが素人目にも分かった。
自分の手には血にまみれた金槌。それが手が緩んだ隙につるりと滑って床に落ち、大きな音を立てた。
「……え?」
ルルカは目を見開いた。
目の前のモラリの死体。
耳に残るモラリの悲鳴。
手に残る衝撃――
――私がこの子を殺したの?わたしが?
「う、嘘でしょ?そんな、人殺しなんて……やだやだ……ヤダ」
もう舞台に立てなくなっちゃうじゃない。
ルルカはモラリの傍らにしゃがみ込んだ。
スカートがモラリの血液と脳みそによって汚れる。
それに構わずルルカはモラリの体をゆすった。
「ねえ、起きて。私はあなたを殺してないよね?ねえ、起きて……」
ルルカはそのまま数分モラリをゆすり続けた。
ぐにゃぐにゃと揺れるモラリを。
そして、モラリが起きないことに気付き、ルルカは立ち上がった。
血にまみれたスカートを別の液体がぬらしている。
ルルカは失禁していた。
元からあまり強くなかった精神が人を殺したという事実によって粉々に砕けていた。
ルルカは鉄筋を何度もこぶしで殴った。
手が擦り剥けても殴った。行為自体に意味などない。
ルルカは狂っていた。
「あはは……うそだよ、嘘嘘嘘嘘嘘嘘、嘘。人殺しなんて嘘」
ルルカは笑いながらぶつぶつと呟いた。
血にまみれた金槌を拾い上げてルルカはビルを出た。
恐怖はなかった。ただ、狂気があるだけ。
生きたい生きたい生きたい死にたくない死にたくない死にたくないィィィィイイイ
人なんて殺してないよ人人人人人殺す殺す殺す殺される殺す殺す殺される殺す
また私は舞台に。舞台舞台舞台舞台。ぶたいぶたいぶたいぶたいぶたいぶたい
皆の前で歌う歌う歌う歌う歌う歌う歌歌歌歌ウタウタウタうたうたうたうたあああハハハ
「ははは……ルルカ、うたいまぁす……あはははは……」
ルルカは金槌をマイクにして歌いながらふらふらと歩いた。
高く昇った太陽がスポットライトのように彼女を照らしていた。
【残り38人】
182 :
代理投稿:04/02/14 16:45 ID:viuOmqHc
赤錆。赤錆。赤い?赤いなんて分からない。青いかもしれない。意表をついて黄色いかもしれない。とにかく、錆の臭い。
錆の臭い?何故、ナゼ、なぜ錆の臭い?違う。これは錆じゃない。血の臭い。
血の臭いは錆の臭い。じゃあ錆の臭いはナンだ?血の臭い?そもそもどっちが先なんだ。先駆者なんだ。
ぐるぐるぐるぐる回ってるだけだね。終着地はドコ?血?錆?終着地は?無い?ルームランナー?終わりが、ナイ?
終わりが、ない。ゴールがないなんて。それじゃ走ってる意味がナイね。何のために走る?血?錆?ああ、僕は、
そうだ。豆があるじゃないか。豆?ああ、あるじゃん。僕の手に豆。マメ。肉刺。美味しいよ。おいしい。あひゃひゃひゃひゃひゃ
肉刺だ。まめ。美味しい。錆の味。血の味。錆の味は血の味。血の味は錆の味。ありゃ、どっちだ?
そもそも肉刺って何?ナに?僕の持ってるのは首。違うね。首じゃなくて豆か。みんなおかしいよ。みんな。僕も。ああ、僕は
僕は今何を考えてる。いや、考えてた?どっちだ。考えてると考えてたどっちだ。過去形?現在形?なにそれ。
いいや。もう考えてたのはよそう。考えてたと豆の美味しさが鈍る。鈍い。鈍った。
豆を食べてると白い物が出てくる。この白い物は食う気にならない。
そもそもこの白い物はナンなんだろう。僕のおちんちんから出る白い物とは違うじゃないか。じゃあ、この、しろい、モノは、なに?
うーん。考えてたって分からないな。考える?ああ、僕は何を考えてる。そもそも僕はなんなんだ。
面白いなあ。考えるのって。何が面白いかっていわれても困るなぁ。困る。困る。こまるこまるこまるまるこ
ああ、美味しかった。食い尽くした。白いものはいつもの通り手をつけなかったよ。だってまずいから。
もうこれが始ってから何個の豆をたべた?2つ?3つ?4つ?わかんない。
僕以外のみんなも豆を食ってるのかな。
豆。オイしいよね。でも食うのは僕。みんなに独り占めはさせない。
だってさっきだって違う男の子がさっき僕の食べてた豆を食べようとしてた。でも阻止。僕の勝ちー。あひゃひゃひゃひゃ
あ、そういえば君の豆があるじゃないかー。ね?横取り君?
あぁー、結構力がいるから困る。でも、豆は美味しい。だから斬る。横取り君。きみ首かたいよー。
美味しい。
美味い。
豆。豆。横取り君の豆、美味しいよー。さっきの女の子よりも、金髪の人よりも、変な男の子よりも美味しいよー。
だって、凄いもん。錆の臭いが、血の臭いが、錆の臭いが、血の臭いが、錆の臭いが、
美味しい。美味しいよ。美味しいよー。美味しいよーー。美味しいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ
豆まめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめまめ
肉刺豆豆豆豆まめ豆ッ豆まめ豆まめ豆まめ豆マmfdウェアlkfなおジョヴェs時オエsjtbtヴぉjぱじぇかjwp:げいそbtrrrvfweghnrwuovhtweouvhjweuovcjwi:ecastjghbne:cswlkadef@pwkfopkviortjbiuorsjfoviajweoifhtgvoaeirjfgutrshgiuserjfuigbhrduo
みんな。僕をミロ。美味しいぞ。豆は美味しいぞぉぉぉぉ!横取りしてみろよお前ら。僕にボクニかてるモンなラなぁぁぁぁぁぁぁ!!!あひゃひゃひゃひゃ、怖い?怖い?そりゃそうだ。だって横取り君一号がこのザマだからなぁぁぁ!!!!!!!
つまぁぁぁり、僕は強い!ツヨイん駄!最強だ、最強、斎京西京祭良くさいきょうサイキョウぅぅぅぅぅぅぅぅ
ああ、僕の感情昂ぶってる。すごい。気持ちいい。横取り君効果、スゴイヨォォ、最高最高砕鉱採光
みんな、もっと僕を見ろ。そしてかかってこい。みんな、みんなこの伝説の剣でサクッと・・・ひひひひひひ
あーおいしかった。また豆探しにでもいこっと。
【残り28人】
183 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/14 16:56 ID:39FgNJMl
八頭身とショボーンはエリアCを歩いていた。
疲れを知らぬ八頭身は未だに「1さあああああああん」と叫びつづけていた。
それに対しショボーンは疲れきっていた。時計を見るともう2時15分になっている。
ーお腹が減った。少し休みたい。喉がかわいた。
さっきから我慢をしていたが、もう限界だった。足がふらつく。視界がぼやける。
もうどのくらい何も食べていないのだろう?3時間?6時間?
水を飲んだのは?トイレに行ったのは?
・・・・・・・・
どさっ
八頭身が叫ぶのをやめ、ふとショボーンの方を見ると、ショボーンは倒れていた。
「うわっ、シ、ショボーンくん、大丈夫かぁ!?」
慌ててショボーンに駆け寄ると、八頭身は戸惑った。
あああ、どうすれば・・どうすれば・・・・
と、その時、八頭身の視界に飛び込んだのは建設途中のビルだった。
熱中症かもしれない。とりあえず涼しいところに運ばなくちゃ・・・・
八頭身はショボーンをおんぶすると、そのビルに向かった。
ビルはすっかり錆びた鉄骨や建設機材などが散乱していたが、なかなか涼しかった。
八頭身は大きく息を吸い込むと、
「誰かいる〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
と思い切り叫んだ。そして
「ショボーンくんが大変なんだ!誰か居たら助けて〜〜〜〜!!」
と続けた。
八頭身は10秒ほど立ち尽くしたが、返事は返ってこない。
しかし、人影がすぅっ、と音もなく出てきた。
出てきたのは、【女子15番】モナエだった。
このゲームの圧倒的な恐怖は人の精神にどのような影響を与えるのだろうか?
いきなり精神が錯乱したり、最初から殺そうとする者もいたが、大抵は闘いたくなかった。
そんな奴らは仲間を求めようとするが、それは危険を伴う。ならば一人でも安全な場所は?
エリアEには高層ビルがあるが、出発地点から近かったため人と出会う確率が高い。行くのなら・・・地図の縦軸1〜4までの広い場所がいい。
そのような考えから多くの生徒がエリアA、Cに集中することとなった。彼らは恐怖に押しつぶされ、他の生徒たちも同じように考えるであろうことに気付かなかったか、気付いても建物を目指さずにはいられなかった。
そしてG−2のとあるビルにもそんな生徒が息を潜めていた。
【女子18番】モニカである。
「こわいよぉ・・・。死にたく・・・ないよぉ・・・。」
建設開始後まもなく放棄されたと思えるそのビルの二階・・・いや屋上で、彼女は震えていた。
クラスでのモニカは目立たない生徒だった。成績は悪くは無く、友達もそれなりにいたのだが特徴に欠けていたのだ。
彼女には人を殺すという気は無かったが、かといってここで死にたくはなかった。
彼女の支給武器は手斧だった。それなりに強力だが、これでは銃を持った相手が来たときには対抗できない。
幸運にも、開始以来ここに人が来ることは無かったが、時折聞こえる銃声が彼女に与える恐怖は、少しずつ拡大していった。
それはPM2:45分頃だった。
こつ・・・こつ・・・こつ・・・。
足音!?誰かが来る!?いやだ!逃げないと!でも・・・逃げ道は無い!どこかに隠れ・・・何も無い・・・!いやぁ・・・!!!
パニックに陥るモニカだったがそれで侵入者が消えるはずも無く、気付かれたのか更に足音を早める結果となった。
そして数秒後、まだ高く会場を照らしている陽光を受けながら現われたのは、ゲーム開始以来3人を片付けた、【男子2番】アヒャだった。
体中のあちらこちらに血のベールを纏い、4つの豆を平らげたその口の周りは一層紅く染まっていた。そして手には牛刀。
(殺される・・・!い・・・いやだぁ・・・!!!)
「わぁああああああああん!!!」
正気を失い、手斧を振りかざしアヒャへと一直線に向かっていったモニカだったが、アヒャは全く動じなかった。
モニカはそのまま手斧をアヒャの頭へ振り下ろそうとしたが、それはできなかった。代わりに、激しい痛みが彼女の正気を取り戻させた。
「きゃあああああ!!!腕が!私の腕が・・・!!!」
アヒャが振るった牛刀は、彼女の右腕をいとも簡単に斬り落とし、手斧を握ったままの右腕は血を撒き散らしながら床に転がった。
ふざけている!腕を牛刀なんかで斬り落とすなんて・・・!逃げないと・・・!二階なら飛び降りられるかもしれない!
しかし、慌てる彼女は簡易落下防止柵まであと少しというところで、足がもつれて転倒した。そこへアヒャがゆっくりと歩いていく。そして彼女の前で立ち止まり、牛刀を振り上げ――
「・・・ぅして?」
「アヒャッ?」
「どうしてこんなことを・・・・・・?」
激痛に耐えながらなんとか言葉を搾りだした彼女に、アヒャは一瞬面喰ったかのような顔をしたが、やがて答えた。
「・・・アヒャ族の寿命を知っているか?」
185 :
代理投稿:04/02/14 18:14 ID:viuOmqHc
【男子15番】ネーノ、【男子18番】ぼるじょあ、【男子21番】山崎 渉は、Bー4にある民家の中に身を潜めていた。
C−4からBー4の民家に移動してくるまでさほど時間はかからなかった。
山崎とぼるじょあは、大きい丸型のテーブルを囲む椅子に座り、ネーノは地べたに座り込んでいる。
ネーノは、上言のように「くそったれ」だか「ちくしょう」だか呻いていた。
鼻血を必死に啜ろうとしているネーノ。いい気味。俺を襲った罰だ、ざまぁみやがれ。
ネーノが使った拳銃とナイフ、言い換えると俺を殺ろうとしたナイフは、既に山崎のディパックの中。もう襲われる心配はナイ。
ぼるじょあは、先ほどまでの緊張感や恐怖感は早最完全に消えていた。
B-4の民家に着てから何分経っただろうか。山崎が思いついたように口を開いた。
「そういえば、さっきぼるじょあとネーノ何で喧嘩してたんだよ?」
山崎がぼるじょあとネーノを見回す。
ぼるじょあが、ネーノが口を開くよりも先に言った。
「錯乱してたネーノがいきなり俺を殺そうとしてきやがったんだ。
俺は必死に説得したが、あいつ意味不明な言葉呟くだけで聞く耳もたねぇんだ。
それで・・・俺を撃とうと・・・」
それだけ言うと、ぼるじょあはネーノを見据えた。
ネーノもぼるじょあを睨み返す。
「ネーノ・・・お前、あんないい奴だったのに何でこんなゲームに乗っちまうんだよ?
なぁ・・・フェラーチョを殺して・・・狂っちまったのか?」
ぼるじょあがネーノに向かって哀れむように言った。
ネーノが、怒り狂ったような目でぼるじょあを睨む。
ぼるじょあは心の中で大笑いしていた。
「フェラーチョ親分・・・ネーノに殺されたのか・・・?」
山崎が呟くように言っている。
ぼるじょあは、山崎の方を向くと一度だけ頷いた。
山崎の顔色が悪くなっていくのが肉眼でも確認出来る。
自分らのボスが、その一番の手下に殺されたという事実が信じられないのだろうか。
「嘘だろ・・・?ネーノ?」
山崎が地べたに座り込むネーノに視線を移した。
ネーノと山崎の目が合う。
「・・・嘘では、ない。」
ネーノが呟く。
山崎の顔色が更に悪くなる。
「何でだよ・・・?ネーノ・・・お前あんなに親分に忠実だっただろ・・・?」
山崎までもがネーノを哀れむような目で見た。
ネーノが慌てたように口を開く。
「実は」
「ネーノは狂っちまってるんだ。」
ぼるじょあがネーノの言葉を遮る。
俺の方が優位に立ってるって事を忘れたかボケネーノ。
186 :
代理投稿:04/02/14 18:15 ID:viuOmqHc
事情をあまり知らない山崎の頭の中では、既にネーノは狂人だった。
自分達の親分を躊躇い無く殺し、(躊躇い無く、というのは今までの話の流れからの山崎の想像だが)
そして同じグループのぼるじょあまでも殺そうとするネーノが狂人以外の何なのだろうか。
狂人の言い分は聞くだけ無駄だと思ったので、ネーノにはぼるじょあと喧嘩した理由は聞かないでおく事にした。
「で、これからどうする?ぼるじょあ・・・」
山崎が親友のぼるじょあに尋ねる。
「仲間を集める・・・って自分で言ってなかったか山崎?」
ぼるじょあが仕方無さそうな顔をしながら切り返してきた。
・・・そういえば自分自身でそんな事を言ってたような気がする。
フェラーチョを殺したのがネーノだ、という事実だけで山崎は過去自分が言った台詞さえも忘れてしまっていた。
「うん・・・そうだったね。」
山崎が自分でもほとんど喋ったという意識が無いまま言う。
「ああ、そうだ。仲間を集めよう。」
そう言ったぼるじょあの口調からは希望が満ち溢れていた。
・・・そういえば、仲間を集めてその後僕達はどうするんだろう?
よくよく考えてみれば、仲間を集める事自体に何の意味も無い。
そうだ。そうだよな。
具体的な考えを持たずに漠然と何かを期待して仲間を集めたところで自分達に都合のいい何かが起きるという道理は無い。
・・・何故だ?何故僕はこんなに後ろ向きな思考をしてしまうのだろう。もっと前向きに・・・前向きに・・・
ぼるじょあが僕の顔を見る。「どうしたんだ?突然黙り込んで。」なんて言ってる。
そうだ。ぼるじょあ。お前はどう思ってるんだ?お前は仲間を集めた所でどうしようというんだ?
「ぼるじょあ。お前はどう思ってるんだ?お前は仲間を集めた所でどうしようというんだ?」
考えている事が自然と口から出てしまう。
どうなんだ?ぼるじょあ?お前も漠然的な事を言うだけなのか?ぼるじょあ。何か前進的な事を言ってくれ。
「仲間を集めて脱出する。」
ぼるじょあ。お前も結局漠然的な事しか言えないのか。
脱出。具体的な脱出方法も無いと言うのに、どう脱出しろと?
「具体的な脱出方法も無いと言うのに、どう脱出しろと?」
ああ、また考えがそのまま口から出てしまう。
「そんなのは後で考える。」
ぼるじょあの答えは大体山崎が予想していたモノと同じだった。
お前も。ぼるじょあ、お前も僕と同じか。
187 :
代理投稿:04/02/14 18:18 ID:viuOmqHc
絶え間なく溢れ出るネガティブ思考。
何故、何故僕はこんなに後ろ向きに物事を考えてしまうのだろう。
少なくともぼるじょあと、ネーノと会うまではもっと前向きに物事を考えてたはずだ。
何で・・・?何で僕はいきなりこんなに後ろ向きに・・?いつから僕はこんなに後ろ向きに・・・?
・・・ネーノ。
思い出した。
フェラーチョがネーノに殺されたという事が分かったその時からだ。
そうだ。つまり・・・僕は、僕は、
このゲームを完全なる『現実』として捕らえていなかった。だからあんなにも前向きに物事を考えられてたんだ・・・
僕の頭の中で、何かが光を灯す。僕の脳内が光に満ち溢れる。
ああ、何かが、僕の中の何かが今、『今』壊れた。
壊れて、その中から出たものは何・・・?光。光だ。
光。新たなる希望。何かが壊れ、つい先ほどまで考えた希望とは根本的に違うもう一つの『希望』。
そうだ。そんな簡単な事、なんで今まで気付かなかった?当たり前の事をすればよかったんだ・・・当たり前のその行動・・・!
殺す
188 :
代理投稿:04/02/14 18:20 ID:viuOmqHc
全く予想に反したその光景。
俺は、ぼるじょあへの怒りを胸の内に秘めながら奴らの問答を見ていた。・・・奴らが隙を見せるその時を見ていた。
もし、奴らが寝たりトイレに立とうものなら、すぐに逃げようと思っていた。
そして、外で誰かに合流し、手のベルトをほどいてもらおうとでも思っていた。
そう考えながら奴らの隙を覗っていたその時・・・山崎がとんでも無い行動に出ていた。
ぼるじょあを 刺した。
山崎がディパックから何かを出したと思うと、そのままテーブルに乗り出すような形でぼるじょあの首を突き刺したのだ。
ぼるじょあの喉仏から血が吹き出し、ぼるじょあは何もいえないまま・・・倒れた。
そして、山崎が俺の方に今向き直った。笑っているのかどうかは分からない。だって、いつもそういう顔だから。
俺は反射的に立ち上がっていた。・・・山崎がすぐに矛先を俺に向けると思ったから。
予想は当った。山崎はくるりとこっちに向き直った後、ナイフを突きたてながら俺に突進してきやがった!
縛られてたのは手だけなので、足は自由だ。こういう所でテコンドーのテクが役に立つ。
俺は、自由な脚で突進してくる山崎の手を蹴り上げた。ナイフが宙に舞う。
「何!?」
山崎が唸り、ナイフが落ちた方へと駆け寄る。
どうも山崎は狂っているようでは無さそうだ。だが、そんな事はどうでもいい。今は逃げる事が先決。
ネーノは、廃屋のドアを蹴り開け外へと駆け出した。その足は、無意識にC-4の方へと向かっていた。
どうも意外だ。
狂人だった筈のネーノがこんな行動を取るなんて。
山崎は、必要の無くなったナイフをディパックに詰めながら「チッ」と舌打ちした。
山崎は、廃屋を出ようと思っていた。
ネーノを追いかけるわけでもなく、他の獲物を探しに行くわけでもなく、ただ何と無く。
強いて言えば、もうこの廃屋には居たくなかったからだろうか。
山崎は立ち上がり、出口のドアへと向かった。
そして、最後に一回ぼるじょあを見据えると、こう呟いた。
「ごめんね。」
【残り27人】
189 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/14 18:27 ID:FDhGuuNP
良スレage!!
190 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/14 20:27 ID:gawLhRns
八頭身はモナエが出てきたことに少し驚きを感じつつも、声をかけた。
「ショボーンくんが倒れちゃったんだ。助けてえ。」
ーモナエさんなら、助けてくれるよね。成績優秀だし、いろいろなことを知っている。
そしてモナエに歩み寄った。
「待って!!」 モナエが叫んだ。
八頭身は歩みを止めた。
「ーーー武器を捨ててもらえるかしら?」
「僕は君を傷つけたりなんかしない!!約束する!!」
そしてデイパックを床にたたきつけた。
「ねえ、これでいいだろう?ショボーンくんを診てあげてくれないか。」
モナエはすこし考えているようだったが、やがて
「こっちへ来て。バリケードがあるから。」
八頭身はショボーンをおんぶしたまま、バリケードに入った。
「床に寝かせて。ゆうっくり、ね」
八頭身はショボーンをそっと床に寝かせた。
モナエはショボーンの額に手をあてた。そして、ため息をついた。
「熱中症に疲労とか空腹がプラスされたのね。」
八頭身はショボーンの顔をじっと見つめていたが、やがて頭を振り
「ごめん、モナエさん。ショボーンくんをここで診ててくれないかな?」
モナエが八頭身の顔を見た。
「5時までには戻ってくるから。お願い。僕はどうしても、やらなくちゃいけないことがあるんだ。」
ーショボーンくん、ごめん。君がこんな状態なのに・・でも、絶対戻ってくる。
八頭身はショボーンの手をぎゅっと握ると、モナエの顔を見た。
モナエは仕方ない、という顔をして
「いいわ、行ってきなさい。」 と言った。
ありがとう、と静かに言うと八頭身はバリケードを静かに出て行った。
そしてたたきつけたデイパックを拾うと
「必ず戻ってくる」 とつぶやき、そしてビルを出た。
その小さい声は、意識のないショボーンにもしっかりと届いていた。
191 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/14 21:52 ID:k1y35/Ul
いまだぁぁぁああああっぁぁああ!!!!!!!!!!
>>191げとぉおおおおおおぉぉお!!おぉおお!!!!!!!!おぉ!
ずささああっさああさあささあああさあぁぁぁああ!!!!!!!!!!
うあぉぉぉおおぉおおぅおぉぉおうおううぉぉおおおおおおお!!!!
ひいひいと息が漏れる。
呼吸に同調するように左腕がずきずきと痛んだ。
タオルとハンカチで止血はしてあるのだが、それでも血液は傷口から滲んでいた。
貧血にでもなったのか、目の前がぐらぐらする。
吐き気すらもよおしてきた。
・【女子12番】はぐったりと民家の壁に頭をもたれさせて地面の上に座り込んでいた。
せめて家の中に入らなければと思うのだが、体がどうしても動いてくれない。
恐怖が苦痛によって消し飛ばされるのは、今の・にとっては幸運だった。
それでも傷口を抑えて血で汚れている右手にはしっかりと銃を握っている。
うう、と小さく呻き声をあげると、・は地面に向かってえずいた。
出てくるのは苦しげな吐息だけで、胸のもたれは少しも解消されない。
右手の指を喉の奥に突っ込み、少し吐いた。
吐いたからといって胸がスッキリする訳ではなかったが、それでも気分的にはまだましになった。
「
>>1さん……」
殆どうわ言の様に想い人の名前が口から零れ落ちる。
その優しい笑顔や、声が脳裏に浮かんでは消えた。
何をしているんだろう。誰かに酷いことされてないだろうか。
早く会いたい。どんなことをしてでも会いたい。
・の
>>1さん【男子3番】への想いはこのゲームの中にいることでより増幅されていた。
……もうすでに、その想い人が殺されてしまったことを、そして彼には別の想い人がいたことを・は知らない。
ぎりり、と腕の痛みが一際大きくなる。
・は息をつめ、痛みが通り過ぎるのを待った。額をじっとりと汗がぬらす。
ひょっとしたら、まだ銃弾が腕の中に残って・の肉体を蝕んでいるのかもしれない。
それを確認する術を・は持っていなかったが。
喉の奥が乾く。水を取り出そうにも、体が動かない。
「
>>1さん、助けてなのです……っ」
「そんなに助けて欲しかったら、私が助けるよ?」
荒い息の下呟いた独り言に、いきなり返事をされて・は驚愕に一瞬痛みを忘れた。
さくっと舗装されていない道を誰かが踏みしめながらこちらに近づいてくる。
・はそちらの方に向くと同時に、拳銃を片手で構えた。
左手は使えそうもない。何もしていなくても痛みを放っているのだから。
「と、止まるのです……私は銃を持っているのです……」
火事場の馬鹿力というのか、・は重い体を引きずり上げて壁に持たれかけさせた。
立った事によって余計に頭がくらくらとした。
『助ける』と言われても、信用できない。その上、いきなり現れた相手だ。
ぴたりと足音が止まる。その姿を認めた・の表情に驚愕がはしった。
「ね、ねここ……さん」
トンファーを片手で二つ持ち、何処となく悲しそうな顔をしたねここ【女子11番】がぽつんと立っていた。
その片手には二つのデイパックが握られていて、それは彼女がすでに最低でも一人以上の人間を殺したということを物語っていた。
・は呆然とした表情のまま、動くことが出来なかった。
「・ちゃん」
ねここが・に呼びかける。
・に、毎日かけてくれる声。この声のお陰で何度救われた思いをしたものか。
数少ない友人の一人との邂逅に、しかし・は喜びの声をあげることも出来なかった。
・の視線は、彼女の二つのデイパックに注がれている。
「……ねここさん」
「なあに?」
・から話し掛けてくれたことを嬉しく思ったのか、ねここが少し弾んだ声で応える。
しかし、・は緊張した顔のまま続けた。
「何で、そのデイパックを二つ持っているのです……?」
・は願った。
途中で拾っただとか誰かに貰っただとか、そんな答えをねここが口にすることを。
ふ、とねここが笑う。
その充実したような笑みを見て、・は背筋が嫌な予感に緊張するのが分かった。
どうか、どうかお願い。
「このデイパックはね」
ねここがデイパックを放り捨てた。ねここの両手が自由になる。
ねここはもう一度笑った。こんどは本当に幸せそうな笑顔だった。
「苦しんでいる人を楽にさせてあげたお礼――みたいなものかな」
ねここがトンファーを両手で持つ。片方のトンファーを振り、空気を切り裂く。
数度、それが続いた。
「その人怪我をしていたのよ。・ちゃんみたいに、言ってた。痛いよ、苦しいよって。助けてって」
また、空気を切り裂く音。
「だから」
・が泣きそうな顔でガタガタと震え始めた。
お願い、その先は言わないで。
その願いを裏切るように、ねここは・に一歩近づいた。
「・ちゃんもその人みたいに楽にしてあげるね――」
「い、嫌なのです……!!」
・が叫んだ言葉に、ねここは悲しそうな顔をして立ち止まった。
銃を構えて泣いている・に、沈んだ声色で問い掛ける。
「なんで?苦しいんでしょ?」
「私は、まだ生きたいのです。
>>1さんや、リル子さんや、モナエさん達と楽しく過ごしたいのです……」
クラスで、友人として接してくれる少女達の顔を思い浮かべて、・の震えがほんの少し収まった。
・の言葉にねここが傷ついたように顔をしかめる。
それを見て、なぜか・の胸もずきりと痛んだ。
「苦しいのを、痛いのを我慢して生きてたって、仕方ないでしょ……?」
再度ねここが問い掛ける。
ねここの両の瞳は既に涙で濡れていた。
・の頭に一瞬混乱の渦が巻き起こる。何故、この人は泣いているのだろう。
この人に何があったんだろう。
「なんで……なんで・ちゃんは分かってくれないの……?!!」
ぼろりと大粒の涙が溢れる。後から、後から。
・はうろたえた。大切な友人が泣いている。駆け寄ってやりたい。でも
「何で?!何で!?何でよおぉおおっ!!!」
・の考えがまとまらないうちに、ねここが泣きながら走り出した。
一瞬拳銃をかまえた・だったが、相手が友人だと言うこともあって躊躇してしまった。
それに対して、微塵も戸惑いがないねここは・にむかってトンファーを振りかぶる。
一撃目は何とか避けたが、もう片方の手に握られたトンファーが・の左肩を掠める。服が裂け、血が出た。
「ああっ!」
思わず拳銃を放り出し、左肩に触れる。
次いで来た打撃は・には掠りもしなかった。ねここの感情が高まりすぎているのかもしれない。
「どうして?!どうして?!」
ねここが叫ぶ。魂を吐き出すように叫ぶ。
何がそこまで彼女を追い詰めてしまったのか。・には皆目見当もつかなかった。
自分の回答が悪かったのだろうか。いや、それ以前に何故彼女は『苦しんでいる人を楽にしてあげよう』と思い始めてしまったのか。
「分からないですっ!!……ねここさんの言うことは分からないのですっ!!」
・はぼろぼろと涙をこぼしながら叫んだ。
ねここの考えが分からない。他の人なら理解してあげられるのだろうか。
ねここがぜいぜいと息を弾ませながら、止まった。
そのまま、小さく呟く。
「……もういいよ。楽にしてあげる」
ねここがゆらりと右手を高く上げた。ねここの視線の先にあるのは、こめかみの部分。
・が体を横にして倒れこんでいるので、狙いやすいのだろう。それに、ここは人間の急所だ。
「動かないで。痛いのは嫌でしょ?」
「……!!やめてっ……やめてください……」
「・ちゃん、どうか安らかに」
涙を流しながらふるふると首を振る・に、どこか聖母を思わせるような慈愛に満ちた口調で言うと、ねここはトンファーを振り下ろそうとした。
「な、何をしているのよ!?」
焦ったような、女子の叫び声が響いたのはその時だった。
ねここが反射的にそちらを見る。
・も身を起こそうとしながらそちらを見た。
金属バットを握り、驚愕に目を真ん丸くしたづー【女子8番】が立っていた。
「……づー、さん?」
大して交流のない女子の介入に、ねここは毒気を抜かれたような声で呟いた。
・も驚きに目を見開く。本当に交流のない――どころか、でぃ【女子9番】を苛めていたので、むしろ恐れていた女子がここに来るなんて。
ねここは、行き場を失った右手を下ろすと、デイパックを拾って走り去った。
「あ!何処に行くの?!」
づーの止める声も振り払い、ねここは住居の陰に消えた。
しばらくねここが消えた方を睨んでいたづーだったが、ややあって・のほうへと振り返った。
思わず緊張に体をかすかに震わせる・。
「……大丈夫なの?あなた」
その震えを痛みのせいだと思ったのか、づーが傷に触れようとする。
「きゃっ!……あ、すいません……」
痛みに思わずづーの指を振り払った・が、驚きに身を固くするづーに謝る。
「いいのよ、私が悪かったんだから。それより、傷大丈夫?」
予想よりも恐ろしくない印象のづーに、・は目を真ん丸くした。
もっと怖い人なのかと思ったら、そうでもないらしい。
今度は慎重にタオルをほどくづーの仕草に、・は優しさすら覚えた。
「……ううん、血がすごいな。・ちゃん、あなた立てる?」
普通に『・ちゃん』と呼ばれ、多少面食らったが・は拳銃をスカートのウエスト部分に突っ込み、壁を使って立ち上がった。
づーの手を借りて、・は住居の中へと入った。
椅子すらないがらんとした、埃の積った部屋に呆れたづーだったが、床にビニールシートを広げるとそこに・を座らせた。
ハンカチを取り払い、傷口を覗き込み顔をしかめる。
「……そんなに酷いのですか?」
そんなことないわよ、とづーは首を振り、ペットボトルを取り出して・の傷跡を洗った。
激しい痛みに・は唇をかみ締めた。
清潔なガーゼを取り出し、傷跡に当て、包帯を巻く。肩にもばんそうこうを貼られた。
既に血がとまり始めていたこともあってか、ガーゼにはあまり血は滲まなかった。
「……ありがとうございます」
頭をさげる・にいいのよと笑顔を見せ、づーはペットボトルをしまい立ち上がった。
「もう行くのですか?」
「……うん。行かなきゃならないところがあるの」
もし・にづーの表情が見えたのなら、彼女の顔が一瞬憎しみの色に塗りつぶされたことが分かっただろう。
しかし、・の角度からはもう既に背を向けているづーの表情は見えなかった。
「それじゃあね」
づーはそう言うと、扉の外へと歩き出していった。
・はその背中を見ていることしかできなかった。
【残り27人】
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/,'ヽ'ヽ'ヽ'ヽ'ヽ'ヾl / l゛ 。!。 ゙l '、
l;l ==:: ::== l;l l ,r'"丶,,,..人、,,,ノ`ヽ l
i´i 'iソ;i` 'iソ;i` i`i l l ー- ○ -― l l
゙v `'゚' (_)`'゚'' v' l l  ゙゙̄ ! ニ二,l l
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l.l,r;ニミ`'Y''≦、ヽl.l l i'''へ、 ゙゙̄,.へ'''iiン" ゙'''ー─‐'''"゛ `ン ~/~゙゙(_i_)゙゙~ヾ~ ヽ
i´l iソ;i 人 iソ;i ,ゾi ,l.,l 'iソ;ヽ .ィノ;i'' l、 / i / ', i ',
',i`''ー''" ン゙''‐''" iノ i ;' l;。l l;。l l i , l,/ l l l l ',
゙、 ,;:=:、 ノ '、i _,^,,,_ ',' l,,,_ _,,. . -‐l l l l l l
゙''-,.,, ̄,,.,-''" ゙、 rニ-‐-、) ノ''ー-l  ̄~~゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙~~~ ̄ l l l l l l
,r''"~l_,.ニニ.,_l~゙''ヽ、 ,,ニェニ二゙ィ:i,_ l l /l l l ̄ ̄ ̄ ̄l l l'、 l
/ l r' l_,.ニ-ニ._l ヽ l~゙゙'''ー―------------―‐''''゙゙゙~~l / l l ', ,' l l `, l
i,,,_l l_,,,l / i i l l l l l 'i \.,,_,,/ / l l l
i l l i ト-l l-'i l l ,l l '、 / l l, l
i l l i i l l i '、 r'⌒ヽ l \.,,_,,../ l r'⌒ヽ
人口約60億人・・・・・・この星で僕らは生まれ、育んでゆく筈だった
幾つも繰り返された歴史のサイクル
周り続けるジャイロスコープ
だがやがて消えゆく灯火たちに見守られながら
近付く死を傍観するしかないと分かったあの日から
始まった僕らの戦い
今、果たせなかった夢を銃身に込めて
撃ち尽くす時を待つ
もうすぐ終わる争い・・・
そして太陽のない僕らの夏・・・・・・
>>98の
「づーは東へと歩いていった」を「づーは西へ歩いていった」に訂正します。
>>194−195に矛盾が生まれるので…。
198 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/16 19:34 ID:s2WacI4B
【男子16番】八頭身はエリアEを歩いていた。
時計を見るともう2時45分をさしている。しかも1さんどころか、誰にも会っていない。
「1さん、一体どこにいるんだよ。」
八頭身はデイパックからパンと水を取り出し、パンを1つゆっくりと食べ、水を流し込んだ。
そして一息つくと、向こうに人影が見えた。
「・・・・1さん?」 そして軽く屈伸をすると、その人影のほうへ走っていった。
彼の脚は疲れを知らないようで、一気に人影との距離を詰めていった。
「1さああああん、待って〜〜〜〜〜〜〜!!」
しかし彼は脚を止めた。その人影の正体は【女子19番】リル子だった。
「・・1・・さんじゃないね。ごめんね、驚いた?怖がらなくていいからね。」
リル子は八頭身の顔をじっと見ていたが、やがてポツリと言った。
「・・・・1さんを・・・探してるの?」
八頭身は1さんを知らない?、と言いかけていたが、それを飲み込み別なことを聞いた。
「うん、1さんの居所を知ってるの?」
リル子の脳裏に、あの映像がかすめた。
真っ赤な血だまり、首のない体、白骨化した頭ーーーーー。
急に吐き気がのぼってきたが、それを必死にこらえ、こう言った。
「1さ・・んは・・・死んだ・・の。」
そして激しい吐き気が彼女を襲った。彼女はしゃがみこみじっと顔を伏せた。
八頭身はリル子の言ったことが信じられなかった。1さんが死ぬ?嘘だ。3日前も一週間前も元気だった。
部活はちゃんと来ていたし、ごはんもしっかり食べてた。
その1さんが死んだだって?
「嘘だ」 彼は口に出して言った。嘘だ。
顔を伏せていたリル子が顔をあげて叫んだ。
「嘘じゃないわよ!!ちゃんとーーーーーーー」
その眼はまっすぐ八頭身を見ていた。口からは胃液とおぼしき液体が垂れていた。
「ちゃんと・・死体を見たんだから。」
ぷっつん。八頭身は何かが断ち切れる音が聞こえた気がした。
デイパックからすばやくスパス12を取り出し、リル子に向けた。
ばああん。
至近距離から撃たれたリル子の頭が吹き飛んだ。
かちゃかちゃ。
ばああん。
リル子の体が魚のようにのけぞり、血が吹き出た。
血を顔に浴びた八頭身がそこに立ち尽くしていた。
「・・・・嘘じゃないのなら1さんは僕が弔ってあげなくちゃ。僕は生き残る。」
そして死体に背を向けると、デイパックからスパス12の説明書を出し、歩きながら読み始めた。
彼の心の中では嘘だ、という声が鐘のように反響していた。
【残り26人】
V
∧__∧ ________
<丶`Д´>/ ̄/ ̄/
( 二二二つ / と)
| / / /
|  ̄|
200 :
?????:04/02/17 13:35 ID:8FVjtAb5
200
V
∧__∧ ________
<丶`Д´>/ ̄/ ̄/
( 二二二つ / と)
| / / /
|  ̄|
202 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/17 17:54 ID:IOdO5mnw
【女子16番】モネーはエリアAの廃屋に隠れていた。
時計をみると3時24分、となっている。廃屋はどことなく風変わりな建物で、
入ると長い廊下があり、歩いていくと正面と右と左にドアがある。
木造の古い平屋だ。彼女はその中の左の部屋に隠れていた。
部屋には2段ベッドと汚れて外がみえなくなっている窓のみだ。
彼女は2段ベッドに寝転がり、じっと天井を見ていた。
ーもう少しで定時連絡?いや、まだみたいね。一体何人が死んだのだろう。
手元にある金属棒を手にとり、軽く振ってみる。
ひゅっ、と風を切る音がして、金属棒が振るわれる。
彼女は金属棒を置くと、枕もとのデイパックから水を出し、ごくごくと飲んだ。
と。
からからから・・・・・からからから。 入り口の戸が開く音がした。
彼女ははっと身を起こし、金属棒を握った。
ー誰か来た。どうすれば・・ でもこっちには防弾チョッキがある・・
こつり、こつり、ぎしっ。ぎしっ。
彼女はベッドから降りると、思い切ってドアを開けた。
そして音をたてないよう歩き、そっと壁から顔を出して見た。
ばああん。
木製の壁がはじけとび、床におちる。
モネーはとっさに頭を戻し、何かを避けた。しかし右腕に痛みが走る。
ーあれは八頭身。銃を持ってる。でもあいつなら、撃ったりしない。防弾チョッキがある。怖い。
まとまらない頭を必死にめぐらせ、金属棒を握りしめると壁から出た。
「わーーーーーーーっ!!!」 モネーは八頭身に向かっていった。
ばああん。
モネーはずるりと倒れ、金属棒を手から落とした。
八頭身はかちゃかちゃ、と引くと、モネーに背を向け廃屋を出て行った。
「・・・・う。」
しばらくしてモネーがうめいて、立ち上がった。
いいいい、痛いよ。でも防弾チョッキやるじゃないか。あはは。殺そうと。殺そうとしてる。
恐怖と緊張の糸が切れ、モネーは錯乱した。
ころころ、殺してやる。私を殺そうとするなんて!!
モネーは金属棒を拾い、廃屋の戸を蹴破った。
しかし彼女は動きを止めた。
そこには八頭身がスパス12を彼女の頭に向け、立っていた。
「やっぱりね。」 ばああん。
モネーの頭は一瞬にして吹き飛んだ。血がばああん、と吹き出た。
八頭身はモネーのセーラー服を脱がせ、防弾チョッキを取ると、その場をあとにした。
ーみんな、死ね。 八頭身は着実に狂気と非情さが増していた。その冷たい眼には優しい心が少しもなかった。
【残り25人】
ッパとおにぎりはD-4まで移動していた。
時間は無駄にできない。話すときは当然歩きながら。
「大丈夫?」
おにぎりがッパの右腕の事を心配しながら聞く。
「うん、大丈夫。以外と痛くないよ。」
とは言って見たものの、銃に撃たれた痛みは例えようのない。本当に、痛い、苦しいなどの言葉しかでてこない。
「ねぇッパ君…?」
おにぎりが言う。
「ねぇッパ君、僕たち、いまからどうするの?」
ッパは
「当然仲間を探すよ…」
「なら――――」
おにぎりが何か言おうとした。だが、その言葉は続かなかった。
ッパは思った。
(また?)
ダダダダダダと走るときの速い足音がする。
ッパとおにぎりは同時に振り向いた。しかしおにぎりが振り向いた時には頭の少し前まで何かが近づいてきていた。
ガン!!!
おにぎりは少し「うっ」とうめき、倒れた。
ッパは確認した。おにぎりは太い木の棒のような物で殴られていた。
そのおにぎりを殴ったのは…ありす【女子2番】。
さっきパソコンで殴って気絶させていた。
多分、目が覚めて銃がないのを確認して、太めの木の棒を拾ってきたのだろう。複襲をするためだ。
「まずひとり…」
ありすがつぶやいたのがッパにもハッキリ聞こえた。
ありすがこっちに一歩ずつ近づいてくる。
「動くなぁ!!」
ッパは銃、グロック17を構えた。
「それ…わたしの…返して…?」
ッパの頭の中でいろんな考えが浮かんでいた。なるべく殺さないように、自分もやられない方法を考えた。
「そんなに返してほしいなら返してあげるけど?」
と、いうとッパは構えていた銃を思いっきりなげた。ありすの頭上を通るようにねらって。と、同時にB&Wの銃を片手で構えて走りだした。
ッパの俊足で一気にありすの目の前までせまった。(足の速さは学校で3位。
ありすは急いで棒を横に振ったが、もう遅かった。
その動きを始めたときにはもう、ッパがありすの顔面を素手で殴っていた。
ありすがひるんだ所で、木の棒を持っていたありすの手を蹴っ飛ばした。当然持っていた棒は中に舞い上がる。
そこで、をありすの頭につけた。ッパは数秒でそれをやってのけた。AA死ぬきになればなんでもできる物だ。
「どうするの?」
ッパが言った。ありすは何も言わない。
「・・・・・・」
こういう時が一番困ってしまう。もう、ありすはどうすることもできない。余程の運動神経と度胸がなければこの状況を打破することはできない。
ありすは女子の中では運動が得意な方だったが、ッパよりはダメといえる。
つまり全てはッパの判断次第なのだ。
あー困った。
殺したくはない、開放したくもない、ここはやっぱり仲間にするのが一番打倒だと考えた。
ありすが愕然とした表情で立ち尽くしていた。
(とりあえず動きそうにないね…)
そう思った、ッパはとりあえずグロック17と念のため木の棒を回収した。
あと、おにぎり。
ッパはおにぎりの方へ近づいた。おにぎりの頭から血が流れている。いやこれは血と言うより―――。
(具?)
なんてこと考えている場合ではなかった。
「おにぎり君!おにぎり君!大丈夫!?」
ッパが名前を呼びながらおにぎりを起そうとする。
「・・・・・ぅ・・・ぅーん・・・」
「おにぎり君!」
おにぎりが目を覚ました。
「あれ?僕何やってんの?」
「あの人に殴られたんだよ」
と、ッパはありすが立っていた方向を指差した。指の指した方向には愕然とした表情で立ち尽くす(ただし膝立ち状態)ありすがいた。
ッパはおにぎりを起こし、ありすに近づいた。
「どうするの?」
ッパが訊いた。
「……すきにすれば?……」
ありすが呟くように言った。
「本当にすきにしていいんだね?」
ッパが一息置いて言った。
「仲間になろう。そしてこの大会を潰すんだ。」
すると、ありすが、
「そんなにむr――――」
「好きにしていいんだよね?」
ッパがありすの言葉をさえぎるように言った。
「………わかった…」
これでありすは一応仲間だ。
「漫画なんかに比べると死ぬペースが遅い…まだなんとかなるよ。」
ッパが微妙な明るさで言った。
おにぎりもそのやりとりを聞いていた。
おにぎりは立ち上がり、ありすの方へ歩き出した。
おにぎりはありすの前まで来て、
「よろしく」
と言った。
がありすはそれを見てみぬふりと言う感じで無視しながら立ち上がった。おにぎりもしぶしぶ手を引っ込めた。
また、新たな仲間が加わった。だが今回は自分たちを襲ったありす。仲間になっても警戒が必要だ。
「おにぎり君…これ…」
と、ッパは差し出したのはB&Wだった。
「え!?いらないよこんな物…」
「いいから持ってて!」
「…わかったよ……」
あと、ありすには先ほどありすが持ってきた木の棒と私物のカッターナイフを渡した。
「とりあえず君の武器はこれだよ。」
おにぎりより銃が使えそうな(自分も撃ったことはないのだが)、ありすに銃を渡さなかったのは、やはり信用できなかったからだ。
こう言った不安を抱えながらも、最初に歩き出したッパに連れられるように二人も歩き出した。
【残り25人】
205 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/18 19:45 ID:yfgsfkZe
【女子11番】ねここはエリアAの住居裏に隠れていた。
壁にもたれ、たまにトンファーを振る。風を切る音がねここの耳に響く。
そして、考える。
ただみんなを楽にしてあげたいだけなのに。生き残りたいとか、そういうものじゃないのに。
なんでみんな分かってくれないの?
ナンデミンナワカッテクレナイノ、と彼女の空虚な心に反響した。
―とりあえず、苦しんでる人を助けないと。さっきは邪魔が入ったけれど、もう気にしない。
彼女は立ち上がり、土をほろい、歩き出した。
しかし、道にでたところで、誰かの後ろ姿が見えた。
―あれは八頭身くん。彼もまた、このゲームで苦しんでいる人のひとりだろう、
とねここは推測した。理由というものは微塵もない。単なる直感に過ぎない。
彼女はトンファーをぎゅっと握り締めると、ゆっくり、音を立てず近づいていった。
土を踏みしめる感触がよくわかる。そして後ろまで近づくと
「楽に死ねますように」 とつぶやき、トンファーを振りかぶった。
ひゅっ。 彼女は眼を閉じた。しかしトンファーは空を切り、手ごたえは来なかった。
おかしい。彼女は眼をそっと開けた。すると―八頭身は前を向き、自分の頭に銃を向けていた。
「後ろから襲うときは、声をだすべきじゃないね。」
ばああん、かちゃかちゃ。
ねここの意識は一瞬で吹き飛び、全ては暗闇となった。
「こんな武器が僕に通用すると思ってるの?」
ばああん。
八頭身はスパス12の弾が切れたことを確認すると、弾を入れなおしその場をあとにした。
―いま入れた弾を入れても残り14発・・少し弾を使いすぎたなあ・・・・
いまの彼には人を殺してしまった罪悪感、喜び、そんなものは微塵もなかった。
ただ、弾を使いすぎたという後悔だけが彼のなかで渦巻いていた。
【残り24人】
……ァァン
「……また、銃声なのです」
・【女子12番】は小さく呟き、銃声が聞こえた方向に首を向けた。
先程から聞こえる銃声は、・の神経を少しずつ削っていた。
仲間がいればまだましなのだろうが、独りぼっちでは気を紛らわせることも叶わない。
疲れと恐怖と緊張が徐々に体の中で高まる。
腕はいまだに鈍い痛みを放ち続けている。
それらが許容範囲を超える時、自分はどうなってしまうんだろう。
ひょっとしたら狂ってしまうかもしれない。
……その前に
「
>>1さん……どこにいるのです?」
せめて一目見てから死にたい。あの人に会うまでは死ねない。
・は重い足をずるずると引き摺りながら歩いた。ちらりと時計を見ると、三時を大分すぎていた。
ここから先は地図によればあと少しで禁止エリアになるところだ。
そんなところに
>>1さん【男子3番】がいるとは思えないが、ひょっとしたら彼も人が少ないと想定してまだそこにいるかもしれない。
目の前が霞む。少しでもいいから休みたい。
萎えかける気持ちを無理矢理に引きとめ、・は銃のグリップを握りなおした。もう既に掌に馴染んでしまった金属の感触が心地よい。
ふっと溜息をつき気持ちを落ち着かせて、・は一歩進もうとした。
「……うぅん」
小さな呻き声に、・は驚いて立ち止まった。
慌てて銃を構え、近くの民家の影に隠れる。
周りを見渡して見たが、誰一人いなかった。それでは、先程の声は
――気のせい?
「うぅ……」
「!!」
気のせいなどではなかった。
・は体勢を低くし、安全装置をはずした銃の引き金に手をかけた。
いつでも銃を撃てるように。
それから少しの時間がすぎた。
「……」
・はふうと溜息をついた。
緊張したままの状態でいるせいか、先程からほんの数分しかたっていないはずなのに酷く疲れていた。
時間が経つのが長く感じられる。
汗ばんだ手をスカートで拭いながら・は影から顔を覗かせた。
呻き声はもう聞こえてこない。やはり空耳だったのだろうか。
「……だれも、いないですよね?」
小さく呟く声に、返答はなかった。
やっと緊張した状態から開放されて、・はほうと溜息をついた。
張り詰めた緊張の糸がぷつりと切れて、・は――油断していた。
アサピー【男子1番】は一度目覚めた後、再度眠りについていた。
普段は勉強をしていることなどもあって寝不足の体に、だらけきったこの時間は心地よい。
深い眠りと浅い眠りを繰り返しながら、アサピーは幸せを痛感していた。
『殺し合い』というゲームにまだ実感を持つ事ができなかったせいでもあったかもしれない。
坂田師匠【男子10番】に襲われても、まだ彼は呆然とすることだけしか出来なかったのだ。
何度目かの浅い眠りの最中、初めて彼は夢らしい夢を見た。
夢の中で、彼は何故か走っていた。
誰かが何かを叫んでいるのが、ぼんやりと耳に伝わる。切羽詰ったような声。
また別の誰かの声が聞こえる。こちらは冷静な声だ。
次の瞬間、体に衝撃が跳ねた。息苦しさに思わず呻き声をあげる。
次いで、もう一度衝撃。呻き声とともに体が地面に沈む。
誰かが泣き叫ぶ声と共に、意識が沈んでいく。
「……」
目がさめたとき、アサピーの体は汗でじっとりと濡れていた。
体を起こし、見ると毛布は跳ね除けてしまっていた。
まったく、嫌な夢を見たものだ。今までもこういう不条理な夢は見たことがあったが、こんなに嫌な気持ちになった夢は初めてだった。
その夢は無駄に――リアルだった。痛みこそなかったものの、息苦しい感じなどは殆ど現実のようだった。
矢張りこのゲームに出ることによって、たとえ表面上何の変化もなくても心の奥底では何か変化が起こっているのかもしれない。
ともかく、外に出よう。太陽の光が何故かとても恋しかった。
アサピーは縄梯子を握り、井戸の外へと出ようとした。
ギシッ……
背後から聞こえた小さな音に、・は一瞬体を強張らせた。
何の音なんだろう。どくんと心臓が一つなる。
一瞬逡巡した後、・は後ろを振り向いた。
背後の井戸から、誰かが這い出てきていた。
まるで数年前に流行った恐怖映画のワンシーンのように。
「……きゃあああああああああっ!!」
「うわあああああっ?!」
・は大声で叫んだ。井戸の中から出てきた人物も驚いたのか叫び声を挙げる。
足を踏み外しかけたのか、がくんとその体が上下した。暫く体が上下した後、止まった。
どうやら踏みとどまることが出来たらしい。
「だ、だ、だ、……!!」
混乱と恐怖の中で言葉を発することが出来ない・。
漸く太陽の下に出ることが出来たアサピーはそんな彼女をぼんやりと見た。
アサピーはその顔を眺めたままゆっくりと記憶のページをめくった。
この女子は恐らく・だ。大人しく、目立たないような生徒。
アサピーからすれば、いるのかいないのか分からないような生徒だった。
最も、彼はクラスメイトの殆どを空気のような存在と認識していたのだが。
「……あの」
「!!」
声をかけると、体をびくりと震わせる。その上アサピーに向かって銃を構えてきた。面白くない。
・が手に持っている銃が目に入ってきて、先程見た悪夢が蘇った。
体に走った衝撃。息苦しさ。――そうだ。死ぬということは苦しむということじゃないか。
やっと考えがそこまで至った時、彼はううんと小さくうめいた。
死ぬのは別に構わない。しかし、苦しい思いや痛い思いをするのは絶対に避けたいところだ。
銃で死ぬのは苦しいのだろうか。……素人が撃っても即死に至るのは難しいだろう。
特に、こんな弱々しい女子が目の前の敵を苦しめずに殺すなんて芸当が出来るとは思えない。
いまは兎に角、目の前の武器をさげさせることが一番の重要課題だ。
「とりあえず、銃を下ろして貰える?別に僕、怪しい者じゃないから」
両手を挙げて武器を持っていないことを示すと、・は機械仕掛けのような仕草でこくんと頷いた。
ゆっくりと、蝿の止まりそうなスピードで手を下ろす・をぼんやりと見ながら、アサピーは考えていた。
禁止エリアで爆死するというのは、苦しいことなのだろうか。
首の辺りが爆発するのは、殺傷力がありそうだ。しかし、いざ首輪が爆発するという時自分は平静を保っていられるだろうか。
恐ろしさに狂うようじゃ、楽に死ねるとはいえない。
銃を借りて自殺をする?面識のないクラスメイトに銃を貸してくれるだなんてとても思えない。
それでは自殺?何処で自殺しろというんだ。ロープで首を吊るにしても、そのロープを調達しなくてはいけない。
それまでの道のりで、誰かに発見されたらどうする?やはり苦痛が待っているんじゃないか?
ああ、どうすればいいんだろう。困ったなあ。疲れてきた。
「……あの!」
ふと気付くと・が顔を真っ赤にしてこちらを見ていた。
物思いにふけっている間ずっと呼びかけ続けていたのだろうか。
握り締めた手がふるふると震えている。怒っているのかと思ったがそうでもないようだ。
「あの、
>>1さん見なかったですか?」
突拍子もない問いに、アサピーは一瞬目を丸くした。
「……いや、見ていないけど」
「そうですか……」
人の感情の移り変わりに疎いアサピーにも分かるほど、・は落胆していた。
ずっとこの女子は
>>1さん【男子3番】を探していたのだろうか。だとしたらご苦労なことだ。
「……それじゃあ、さよなら」
・が背を向けて歩き出そうとする。
>>1さんを探しに行くのだろう。
――待てよ?
「……おい、待ってくれ」
・がぴたりと足を止め、こちらを振り返る。
怯えた顔に、しかし不快感も特に感じずアサピーは考えた。
・は銃を持っている。自分の身を守る術は持っているわけだ。
そして、自分は自殺用のロープを探そうとしている。
……ロープが見つかるところまで、彼女に付いて行ったらどうだろうか。
仲間がいると言うことで、襲撃される可能性はぐっと減るんじゃないか。
それに、二人分の目があったほうが・も安心だろう。自分は苦しみのない死まで自分のみを守ってもらえる。
そんなどことなくずれた結論を出したアサピーは、・に呼びかけた。
「僕を連れて行ってくれないか?」
・が一瞬固まる。予想外のことで驚いているのだろう。
数分そのまま固まった後、・は口を開いた。
「……いいのです。でも、一緒に
>>1さんを探してくれるのです?」
・も仲間が欲しかった。独りぼっちは寂しかったし、気が狂いそうだったのだ。
たとえ顔見知りでない生徒でも、一緒に行きたいといってくれるのは頼りにされたようで嬉しかった。
「ああ、いいよ」
アサピーは言った。ロープが見つかるまでね、と心の中で付け足して。
【残り24人】
210 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/21 12:06 ID:cqIafC9a
【男子11番】ショボーンはぼんやりした視界と意識のなかで考えていた。
―あれは、天井?なんか赤い・・・赤錆?ここは、建物?
視界がぐらぐらと揺れる。何だか体が浮いている気分だった。
―ひどく暑い。一体僕は何処に居るんだろう?
誰かの声が遥か遠くに聞こえる。・・・ぉぉ・・ぁぁ・・・・聞こえない。
―ひどくだるい。
右手を上げてみようと思ったが、力が入らない。無理に上げようとすると吐き気がした。
―体が軋む。・・ああ?誰かが・・誰かが僕を覗きこんでいる。
ショボーンはしっかり眼を開けて、その誰かを見ようと思った。
―モ、モナエ、さん。八頭身くんは――
ショボーンは聞こうと思い、必死に声を出そうとしたが、なにも声は出なかった。
モナエはそれを察したのか、ショボーンの額に手を置いてお眠りなさい、と言った。
ショボーンの意識は急速に薄れ、AABRも、八頭身もモナエもみんなどこかへ散っていった。
【残り24人】
211 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/21 17:30 ID:7c7PitLz
ショボーンが眠ったのを確認すると、【女子15番】モナエはデイパックから水を出して飲んだ。
そして、ため息をついた。
やれやれ、まだ八頭身は帰ってきていない。
時計を見ると3時55分、となっている。5時まであと1時間ちょっとじゃない。
私はみんなを逃がしてあげなくちゃいけない。ここでショボーンをずっと看病するわけにもいかない。
・・どうすればよいのだろうか?ショボーンを置いて、このまま行ってしまうか?
駄目だ。そんなこと、するわけにはいかない。
しかし考えは途中で中断された。右手をショボーンがつかんでいた。
「・・・ふっ・・」 何かモゴモゴと喋っていたがよく聞こえなかった。
「・・八頭身・・君は?」 とショボーンがかすれた声で言った。
「ここだよ」
ばああん、かちゃかちゃ。
モナエの頭が吹き飛び、そのままぐしゃりとくずれた。
ショボーンは身をおこし、眼を見開いた。
「な・・」
「悪いね、ショボーンくん。僕はもう・・」 八頭身がよくとおる声で言った。
「・・っは・・なんで・・君が・・」 ショボーンが苦しそうに言った。
「なんで・・君は・・・殺したりしてるんだよ?」 一気に言ってしまうと、ショボーンは、はあはあ言った。
「や・・めて・・くれよ・・そんなの・・ないよ・・」
「もう遅いよ」 八頭身が引き金をそっと引いた。
ばああん。
動かなくなったショボーンをじっと見つめ、それから背をむけ歩き出した。
―ごめん、ショボーンくん、モナエさん。僕は、生き残るんだ。
みんな、死ね。
冷たいショットガンの感触だけが、とてもリアルだった。
【残り22人】
「寿命・・・?」
アヒャのあまりに意外なその言葉に、モニカは思わず問い返した。
「・・・知らなくて当然か。そもそも傷害や病気でアヒャたのではない、種族としての『アヒャ族』がいること自体ほとんど知られてないからな。」
モニカは、その言葉を聞きながら、斬られた腕の止血をしていた。アヒャは気付いていないのか、それとも止めされる気は無いのか、自分の話を続けていた。
「アヒャ族は、かなり原始的なAAなんだ。だから、身体能力や自然治癒能力は、通常のAAよりもかなり高いんだ。指くらいなら治療さえ適切なら再生できるほどにな。
だが、野生に近いってことは、何人か子を育てたらもうその個体に用は無い。衰える前に逝くんだ。この意味が分かるか?」
そこまで言うと、アヒャはふぅと少し息を吐いてから、言った。
「アヒャ族の寿命はな、20年なんだ。」
「え・・・!?」
モニカには理解ができなかった。20年?何を言っているの?20年といったら、まさにこれから人生の本番が始まるっていう時期じゃない。それが―――
「俺はちょっとした事情があったんでね。アヒャ族の社会の輪から外れた普通のAA界で育ったんだ。俺がこの事実を知ったのは小学校を卒業した頃だったかな。ショックだったぜ。
漠然ととはいえ、招来の夢なんかも見つけて、それに向かって歩みはじめていた頃だったからな。まさか俺の命の蝋燭がもう半分無いなんて思いもしなかったよ。」
モニカは今の一言でアヒャの言葉の意味を理解し、そしてやはり言葉を失った。もう心の中にも驚きという感情があるだけで、具体的なことなど何も考えられなかった。
「他のアヒャ族はその寿命の中で笑い、泣き、怒り、そしてそれでも幸せに死んでいく。だが俺は普通のAAとしての教育を受けてきたから、俺には無理だった。
数日間悩んだ末に、俺は分かったぜ。蝋燭が短いなら、太くすればいい。だが、普通にやったのでは駄目だ。何をすればいい?そんなときに、ネオむぎ茶のことを知った。」
ネオむぎ茶。2ちゃんに生きるものなら知らない者はいない、伝説のバスジャック犯、またの名をキャットキラーという殺人鬼。英雄とも、基地外とも言われているが、永遠に名を刻んだことは間違いない。
「これだと思ったよ。悪名だろうが何だろうが、これ以上のものは無いだろ?そして俺は・・・人を殺し始めた。」
「な・・・まさかあなた・・・!」
「ああそうだよ。俺があの連続殺人犯だ。・・・発表じゃあ83人ということになっているが、実際は100人を超えてるぜ・・・。もっともこのゲームでアヒャ族の本能に目覚めるなんて予想外だったがね。さて、お話は終わりだ・・・。」
アヒャはついさっきまでモニカが握っていた手斧を拾い上げると、モニカへとゆっくりと近づいてきた。
そこでモニカは思い出した。そうだ、これは殺人ゲーム。彼が私の腕を切り落としたのも・・・全ては生き残るためだったんだ・・・。
殺される。
だが、目を閉じて最期の時を待っていたモニカに、衝撃は無かった。ゆっくりと目を開けると、アヒャが手斧をモニカの前に突き出し、言った。
「俺を殺せよ。俺のデイバックの中に救急セットが入っている。止血もしているようだし、今ならまだ死ぬことはないだろう。俺の牛刀も持っていくといい。」
「・・・え?なんで・・・。」
一応手斧は受け取ったものの、あまりに意外な言葉に面喰うモニカに、アヒャは続ける。
「俺はこのゲームでも三人殺してるんでね・・・。仮に生き残っても、俺が殺人犯だということが明らかになる。そうなれば数年は少年院送りだからな。・・・俺にとっての数年は死刑に等しい。だからもういいんだよ。」
モニカは、しばらく躊躇していたが、やがて立ち上がると、手斧を振り上げた。そして・・・
【女子6番】しぃは、D-4の廃屋で腰を落ち着けていた。
まだ新鮮な感じのするベッドに座り、隣の窓を見ながらしぃは考え事をしていた。
――イマノウチ君は何でやる気になってしまったんだろう?
イマノウチ君・・・いつも私を勇気づけてくれた。虐められても虐められても・・・「明日があるさ」的な事を言ってくれた。
・・・何でそんな彼がこのゲームに乗るようになってしまったのだろう。分からない。タブンあたしには一生・・・分からない。
しぃは、自分の隣に横たわっているギコをちらりと見た。
先ほどまでは息が荒く、苦しそうだったのだが、今はだいぶ落ち着いて寝ている。
ギコもこのゲームにやる気になっていたのだろうか?
そう考えるとしぃは怖くなった。
念のためにギコの手から拳銃をもぎ取っておく。
しぃはふぅ、と溜め息をつきながら窓を見た。
日が東の空へと傾きかけている。
時刻は5時30分。
・・・おそらくもうそろそろ定時放送が鳴る頃だろうか。
しぃは、「まだ行かないで。」とでも言うかのようにじっと夕日を見つめた。
・・・と、その視界に誰か人陰が歩いているのが見える。
何も持っていない上に手と手をベルトできつく締められている・・・
視力が悪めのしぃにも分かる。
特徴的な耳、整った顔立ち、吊り目・・・ああ、貴方は【男子15番】ネーノだ。
しぃは、危険だとかそういうのを考える前に窓を開けてネーノを呼んでいた。
「ネーノ君!」
「ありがとう、しぃちゃん。」
ネーノが自由になった両手で水を飲んでいる。
しぃはそれを微笑みながら見ていた。
「ぷはっ・・・美味しかった。」
ネーノが水を飲み干した。
「本当にありがとう。助けてくれて、おまけに水ももらっちゃって・・・」
「いいよ別に。」
しぃはそう言ってネーノに笑いかけた。
ネーノが照れくさそうに微笑む。
私は、あの時ネーノ君をこの廃屋に呼んだ。
ネーノ君は、手をベルトできつく縛られていた。
私は、理由を聞かずにとりあえずベルトを外してあげた。
ネーノ君の手首は赤く腫れて膨れ上がっていて、痛々しかった。。
ネーノ君は感謝するついでに私に「ちょっと水を一杯もらえないかな。」と言う。
コップも何も無いのに一杯は無理なので、飲みかけのペットボトルを一本彼に渡した。(勿論飲み口はタオルかなんかで事前に拭いておいた)
そして今に至るという訳だ。
ネーノは水を飲み干すと、ベッドから立ち上がった。
「じゃあ、しぃちゃん。・・・俺はやらなきゃいけない事があるから・・・ここでおさらばだ。」
ネーノはそう言うとしぃに向かって微笑んだ。
「え?もう行っちゃうの・・・?」
しぃは反射的にそう言っていた。
ネーノ。彼は信用出来る。自分を守ってくれそうだって・・・直感的に・・・そう感じて・・・
とにかく彼にはもう何処にも行って欲しくない。
「ごめんね。」
ネーノはただそれだけ言うと、ドアをガチャリと開けて外へと出て行ってしまった。
後には飲み干されたペットボトル、ベルト、そして私と気絶したギコだけが取り残された。
再び静寂がしぃの元に帰ってくる。
耳を劈くほどの『静寂』が、また・・・私へと。
しかし、驚くほど早く静寂は破られた。
『おーい、みんな元気にやってるかなー?』
あの声だ。
腕時計の指針は丁度6:00を指している。
定時放送がやってきた。しぃは持参のメモ用紙と筆記用具を取り出した。
『えーと、まず死亡者を発表しまーす。
まず男子は【男子3番】
>>1さん、【男子12番】シナー、【男子14番】ドクオ、【男子18番】ぼるじょあ、と言った所かな・・・
で、女子は.【女子10番】ニラ茶娘 、【女子5番】ザーボン 、【女子14番】モラリ、 【女子19番】リル子、
【女子16番】モネー 【女子11番】ねここ だー。
みんなペース上がりすぎで嬉しいけど面白くないぞー。
じゃ、みんな適度なペースで頑張って殺し合いをしてねー。じゃあねー!
あ?ナンだ兵士F・・・え?うんうん・・・ああ、あ、そうだった。忘れてた忘れてた。
禁止エリアの発表をしまーす。7時からH-4、9時からE-8、11時からG-1でーす。
つーか禁止エリア選ぶの難しいんだよー。ぶっちゃけちゃうとさー。
大体禁止エリアは殺すためにあるわけじゃないんだよ。あくまで会場を狭くするためだけにあるんだよ。BR管理者ってのは引っかかりにくい所を禁止エリアに選ばなきゃいけないんだ。
もし禁止エリアに引っかかった生徒がいたら給料が引かれ・・・オホンオホン。
だからお前ら禁止エリア選ぶ奴の身になって簡単に禁止エリアに引っかかるんじゃないぞー!じゃあ、またなー!』
プツンと音がして、そこで放送は途切れた。
先ほどの放送の音量がでかかったせいか耳鳴りがしてきた。
と、先ほどネーノが出て行ったドアが、『ガチャン』と音を立てて開いた。
しぃは一瞬驚いた。恐る恐るドアの方を振り向く。
そこにはさっき出て行った筈のネーノが立っていた。右手にいつのまにか見覚えのあるマシンガンを握っている。
「なんか行く必要無くなったみたい。」
ネーノはそれだけ言うと、しぃに向かって微笑みかけた。
―――――引っかかるんじゃないぞー!じゃあ、またなー!
へぇ、これは微妙にいい情報じゃないか?管理者、つまりモララーは禁止エリアに引っかかりにくい所を選んでいるのか…
なら少し安心したかも…
ッパ【男子13番】、おにぎり【男子6番】、ありす【女子2番】はまだD-4エリアを歩いていた。
「そういえばッパ君、」
おにぎりが歩きながらッパに質問している。
「ッパ君、そういえば何でカッターなんか持ってたの?」
隣を歩いていたッパが答える、
「えーと、それは、このバッグ丁度いいから工具箱がわりに使っt…」
ッパの言葉が途切れる。
「どうしたのッパ君?」
突然ッパが立ち止まり、私物のバッグをあさり始めた。おにぎりとありすも立ち止まった。
「確かこのポケットに…」
ッパ私物のバッグから、ッパっと何かを取り出した。
「あった…」
ドライバーだ。+−ある。他にもテープやらヤスリやら、小さなノコギリ等が入っていた。
「どうりで何か重いかと思った…」
ッパとおにぎりは(ありすは何も考えていない)
(これと、あとパソコンなんかを使えば首輪を外せるかも…)
と、思った。
【残り22人?】
(アヒャはどうなった?)
ネーノは、私の隣に座った。
「ちょっといいかいしぃちゃん。」
ネーノは、そう言うと私をまっすぐ見つめた。
私はネーノを見つめ返そうとするのだが、なぜか目を逸らしたい衝動に駆られる。
「目を逸らさずに俺を見てくれ。・・・大事な話をするから。」
ネーノは真剣な面持ちでそう言った。
胸が不思議とドキドキ高鳴ってくる。早鐘のように、8分バスを踏む様に、忙しくドク、ドク、と鼓動を刻み続ける。
「しぃちゃん。君の姉・・・じぃのことを覚えてるだろ?」
少し予想外れの言葉だったが、『うん』とあたしは答えた。
「じぃは俺の恋人だったんだ。」
しぃは、思わず「えっ?」と漏らしそうになった。
恋人・・・?つまり・・・いや・・・やっぱりこの人は・・・
お姉ちゃんの葬儀。
棺桶に入り、何も言わずにただ眠っているだけの姉。
私は泣いていた?泣いていなかった?そんな事は分からない。覚えてない。
あの時私に話しかけてきた男。見知らぬ男だ。
見知らぬ?私は本当にその人を見たことが無いのだろうか?
男の人は私にこう言った。
「・・・ありがとう。君とはまた何処かで会えるかも知れないね。・・・その時は、君を助けてあげるよ。」
君とはまた何処かで会えるかもしれない?彼は何故それが分かったのだろう。
答えは一つだ。同じ学校に通ってるから・・・同じ学年だから・・・!
ああ、思い出した・・・貴方は・・・!
しぃは、頭の中の何かに光が点ったようなそんな感触を体感した。
過去の出来事が、姉との思い出が、その年下の彼氏だったという彼をはじめて見た時が、その記憶が、走馬灯のように私の頭に戻ってくる。
何もかもが『思い出されて』いく・・・!
「君は虐められていた。他ならぬフェラーチョ達に。
だから君はフェラーチョを相当恨んでいた筈だ。」
私はウンと答えた。まさにその通りだった。
「君はその事を姉に相談に乗ってもらった筈だ。」
私はウンと答えるついでにその時の一切を説明した。
「それで、結局君のお姉さんはどうなった?・・・言わなくても分かるよな。
つまり、君への虐めは止まらなかった。全ては闇へと葬られ、無いことになった。」
私はあの時の宙ぶらりんのお姉ちゃんを思い出した。目玉。
「俺は君のお姉さんの恋人だった。・・・と共に君は俺の彼女の妹である訳だ。
まぁ、つまりだ。俺は君の兄貴でもいいという事にはならないだろうか?」
随分強引だとは思ったが、考えてみると確かにそう言えない事は無い。
「『兄貴』としてやれるべき事は一つしか無い。君を守る事だ。
そしてじぃの『彼氏』としてやれるべき事も・・・彼女の意思を次いでやることじゃないか?
だから俺は・・・君を守ろうと思った。」
私は彼の話に聞き入っていた。
「だから、俺は君への虐めを出来るだけ防いだ。俺なりの方法で。」
しぃはネーノがフェラーチョをなだめすかしている時の光景を思い出した。
「でも、それで君は守れるかもしれないが、俺は、俺は満足出来ない。
やってはいけない事だってのは分かってる。俺はヤツを、フェラーチョ達を殺してやりたかった。」
それは私も同感だ。
「じぃの遺書。『フェラーチョを殺してやりたいです』の文字。
君を守る事の他にもう一つ俺には使命がある事が気付いた。」
そういえばお姉ちゃんの遺書にはそんなことが書いてあった。
よっぽどあいつに酷い事をされてのだろう?
「だから俺はこのゲームが始まってから真っ先にヤツを殺した。」
一回目の定時放送でフェラーチョがいきなり発表された、というかいきなり死んでしまったのはこの人のおかげだったのか。
「それで、じぃがああなった事に関わったやつをみんな殺す為に俺は行動した。・・・この機会を使うしかなかった。
でも、誰がどうやったの知らんがあいつらは、ぼるじょあとモネーは既に死んでいた。」
そういえば先ほどの放送であいつらの名前が呼ばれていた。
「『俺』の復讐は一応終わりを告げた。・・・少々納得いかないけどな。
正直言ってもう『俺』は死んでも構わない。だがまだ『兄貴』としての使命が残ってる筈だ。
それは・・・君を最後まで守る事。」
『兄貴』という言葉が私の心に突き刺さる。
「だから、これから俺は最後の使命をまっとうする為に、『彼女』の為に俺は生き続ける。」
ネーノはより一層私を見つめた。
「しぃちゃん。俺は君を守り抜いてみせる。」
ネーノは私を見つめた。私もネーノを見つめる。
しばらく沈黙が続いたが、ネーノがすぐ照れくさそうに笑ってこう言った。
「なーんて立派な事言っちゃったけど俺じゃー役不足かなぁー?」
ネーノが私から目線を外した。口調が柔らかくなっていく。
「ごめんね、しぃちゃん。ナンかいきなり変な事言っちゃって・・・兄貴とか・・・守るとか・・・」
そう言うとネーノはクスクス笑い出した。
私もクスクス笑った。
クスクスクスクス、笑い声が家中に響き渡る。
お兄ちゃん。
ネーノお兄ちゃん。
正直言うと私は『お兄ちゃん』なんかで居て欲しくは無い。
『お兄ちゃん』として守られるより、同じ守られ方なら・・・違う形での守られ方の方がいい。
「ねぇ。」
私はクスクス笑うネーノに体を寄せ顔を突き出した。
「な、何?」
ネーノが驚いたように体を振るわせた。
「あたしね、ネーノ君の事好きだよ。」
自然とその言葉は口から出ていた。
流れるように、口自体が意思を持ってるかのように、心と口がそのまま直列繋ぎになってるかのように自然と。
「な、何を」
ネーノがどもりながら何かを言おうとする。
「目を逸らさずに私を見て。」
目を逸らしたがるネーノに、先ほど彼自身が言った言葉を浴びせかける。
心なしか彼の頬は紅潮しているように見える。私の頬も紅潮しているのだろうか。
私はネーノを見つめた。
お姉ちゃんの彼氏だったネーノをじっと見詰めた。
私は目を瞑ると、ネーノの顔に向かって更に顔を近づけた。
私の唇がネーノの唇に触れる。
それは私にとってはファーストキスだ。だが悪い気はしない。
悪くは無い・・・?何故そう思うのだろうか。それは私がネーノ君の事を好きだから。
・・・何で私はネーノ君の事を好きになったんだろう。
・・・そんな事はどうでもいい。理由なんて。私は彼を好きになってしまったんだから。
何分か経っただろう。私は唇を離した。
ネーノが呆けたような目で私を見つめる。
私は自然と照れくさそうに笑っていた。
ネーノも照れくさそうに笑う。
次第に私はクスクスといった笑いから、アハハハハハ、と明るい笑い声に変化していた。
ネーノも明るく笑い続けた。二人とも、心の底から笑い続けた。
ああ、心の底から自然に笑いが湧き上がるなんて・・・いつ頃ぶりからだろう。
間違いなく、虐めを受けていたあの頃からはこんなにも気持ちよく笑った事は無い。
あの頃は・・・私の心の中にフィルターがかかっていた。分厚いフィルターが。
いつもいつも『虐め』という現実が私に重くのしかかっていた。
体が重く、心も重かった。クラス中の目が冷たい。皆私を『虐められッ子』と、『哀れ』だと見ている。
クラスの人が私の嘘の悪い噂を流したりする度に私は「違う!」と言う。だけどみんな『哀れな虐められっこ』の話は聞こうともせずに逃げていく。
実際虐めてる本人よりもこういう普通の人の反応の方が私には辛かった。・・・何回も泣いた。
だが今はどうだろう。
ネーノ君がいる。あたしが初めて好きになった人。ギコ君がいる。私の恩人。
体が軽い。心も軽い。世界が変わって見える。
誰も私の事を虐めない。噂しない。
これが私の望んでいた世界よ。これが私の求めた居場所!
最高!
【残り22人?】
自分が最初に書いたところのAAつくってみた(AAである意味がないけど
容量の無駄スマソ
ここは6-Dあたりかな…
──y────
∧_∧
(; ・ω/ ̄/
つノ_ /
と_)_)
そういえば武器は・・・
────y────
∧_∧
(・ω・ / ̄/
つノ_ /
と_)_)
∧_∧
彡ヽ( ・ω・ )ゴソゴソ
┌──ノミ
│Dパック│
| ̄ ̄ ̄|
| FMV|
|___|〜〜◎
(;・ω・)「パソコン?」
どうしようもないよ・・・
────y───
∧_∧
( ;-ω-)
つヽ/FMV/
と_)_) ̄
∧_∧
(: -ω-)はぁ・・・
|FしV| |
Y 人
し (_)
(自分が生きて帰る方法は三つ…)
◎
○
∧_∧ *
(;・ω・)ノコンペートウ
し |
Y |
し J
優勝…
○バソ!○
|┏ )煤@
人 ノ
脱出…
今だ!逃げろォォォォ!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ (´´
∧_∧ (´⌒(´
⊂(・ω・⊂⌒`つ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
 ̄ ̄ (´⌒(´⌒;;
ズザーーーーーッ
特攻…
\ \ / /
\ _ /
\ _||_ /
⊂二二二二二二二二二二二二二二二⊃
|| \ 、∞ , / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|| (・ω・)< 突撃ィ〜!
|| ,!ニニ!、 \______
○ | | | ○
/ \||/ \
/ \
/ / \ \
この首輪さえなんとかできれば…
───y──────────
∧_∧
(;・ω・)
し~~と
| |
し J
首輪の方をなんとかできなくてもメインコンピューター
みたいな感じなのをなんとかできれば・・・
ウイルス送るとか?
──────y───────────
∧_∧
(-ω-;)
∪ ∪
| |
∪∪
あ、パソコン!
───y───
∧_∧
(・ω・ )
し |
| |
∪∪
「実際にやってみた」
|
「送信」と
────y───
∧_∧
( ・ω・) / ̄ ̄/
つ \/FMV/
/ と_)_)────────────────
/
/
∧_∧
( ・ω・狽ヘっ
つ 0 ___
と_)_)|FMV|ちゃららーん
 ̄
─────────────────────────────────────────
ははは、少しは頭がきれる香具師がいるみたいだね。でもさっきのPCにウイルスおくっても無駄だよ。
BRのデータは全てメインコンピューターが管理しているんだ
そっちにウイルスを送れないと意味ないよ。(藁 モララー
─────────────────────────────────────────
ってウイルス引っかかてるこの人…
────y─────────
∧_∧
( ・ω・) アドレス違う…
つ 0 ___
と_)_)|FMV|
…… AABRの事調べてみようか…
────y────────
∧_∧
( ・ω・) / ̄ ̄/
つ \/FMV/
/ と_)_)
AA作成技術ほしぃ…
222 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/23 00:48 ID:AtHLWw2Z
エリアEの南でメモラー(男子十九番)と戦闘の後、モナー(男子二十番)とレモナ(女子二十一番)は北上していた。石を投げて人がいるか確かめる方法で北上し続け、高層ビルが立ち並ぶEエリアを抜け時には、既に午後三時を過ぎていた。
同じ銃声が何度も響き、不安になりもしたが、全ての銃声は北の方で聞こえていた。
つまり、生徒たちは北に密集していることになるのだろう。
そうでなければ、あんなに銃声が連続するものではない。あれだけ銃をぶっ放し(いずれの銃声の後も反撃はなかった)ているのだから、メモラー、そしてショボーン(男子十一番)のようにやる気のあるやつだということは、ほぼ明らかであった。
殺し合いは、モナーたちの知らぬ場所で、まだ続いている。
ようやく、E−3の、周囲が開けた芝生の上で腰を降ろし、そこの周囲に簡単に糸を張り巡らせ、空き缶を糸の端に取りつけた、いわゆる鳴子トラップのようなものを仕掛けた。この時既に、五時四十分が過ぎていたと思う。
「―――で」レモナが切り出した。「これからどうしたいの?モナー君は」
「もちろん、仲間を増やして、ここから逃げ出すモナ。あのエリア51を急襲するのも、いいかもしれないモナ」と、モナーは即答したが、レモナは目を閉じたまま押し黙っていた。変に思ったモナーがもう一度何か言おうとする前に、レモナが静かに言い始めた。
「脱出はほぼ不可能ね。まず首輪の問題があるわ。首輪は禁止エリアに入ったら爆発する。既に政府の人間が篭っているエリア51は禁止エリア。
海に逃げるのも―――無理だと思うわ。向こうはこちらの場所が分かっているんだから、海に逃げた生徒くらい遠隔操作で首輪を爆破できるようになってるんじゃないかしら?
モナー君のように、脱出を考えている生徒が出ることくらい予想できることだしね。あくまで見張りの船は保険、本命は首輪の遠隔操作よ」
「なら―――どうすればいいモナ?このまま黙って優勝を目指すモナか?」
「そうは言ってないわ。あたしは、モナー君の考えに従うつもり。こちらは進んで人を殺そうとも思わないし、できるなら脱出してみんな生き残りたいもんね。けど、脱出の可能性は難しい、と言っているの」
「それはそうモナね。けど、知識が豊富な人とか―――」
モナーは思い出した。そういえば、レモナの手際が良すぎることに。いや、これは前々から気付いていたのだが、レモナの言うことは全て的確で、ほとんど完璧なものだった。
ここまで来るのにもレモナに支えられた(情けない話だが)からだし、レモナの助けがなければ、自分はショボーン、メモラーにやられていたのかも知れなかった。
この鳴子トラップもそうだ。サバイバルなどに精通していなければ、こんなの考えつかないんじゃないのだろうか?
「そう、そういえば、レモナちゃ―――」「レモナでいいわよ」「レモナは、どうしてこんなに精通しているモナ?」
レモナの顔から笑みが消えていて、モナーは不審に思った。やっぱり何かわけが―――
「あたしね―――」そうレモナが言ったところで、午後六時のモララーの放送が入った。この放送で、今まで襲われたメモラー、ショボーンが死んだことや、今までよりかなりの生徒が死んだことに気付いた。もう残りの生徒は二十二人、ということになる。
クソ、もう半分近くだ。もう半分近くのクラスメイトが、この会場でオダブツしてるってわけだ。
禁止エリアと名簿にチェックを終え、レモナ、モナー共にポケットに地図と名簿を仕舞い込んだ。モナーはさっきのレモナの話の続きが気になったが、まず、メモラーたちのことを話したほうがいい、と悟った。
「メモラー君と―――ショボーン君が」
「死んだわね」レモナはあっさりと答えた。モナーの口が少し開いた。
「ショボーン君はモナは知らないけれど、メモラー君はかなりの傷を負ってたモナ。もしかしたら―――」
「力尽きてしまったことも考えられるわね」またも、レモナはあっさりと答えた。今度はレモナが続けた。
「あたしが殺してしまったのかも知れない、別人が殺したのかも知れない。けど、あたしたちにはもう分からないわ。“死人に口なし”ってやつよ」
モナーは鼻からため息をついた。レモナの言葉は冷静で、正しくて、なんか完璧てきる女の子だった。このゲームでレモナの違う面が見えた気がする。
それだから頼りになるし(男が女に頼ってもしょうがないのだが)、一方で、怖くもあった。完璧すぎる、という感じ。
「さっきの話、まだだったわね」
「ああ―――」
モナーが続けようとした時、レモナの視線が斜め右へ泳いでいて、レモナが目を見開き、モナーも不思議に思って振り返った。ちょうど、鳴子トラップの糸を引っ掛けておいた木から糸が垂れ下がり―――
続けて、かこん、という芝生にかき消されながらも、しっかりと空き缶が落ちる音が聞こえた。
「伏せて!」
レモナが叫んだ。モナーは驚いて上半身を芝生の上に倒し―――ばん、という聞き覚えのある銃声が、もの凄い近くで聞こえた。モナーの後ろ―――さっきまで正面に位置していた細い木が弾けた。あの銃声―――昼に何度も聞いた銃声の音だった。
レモナがモナーより早く身を起こし、前から肩に吊り下げていた、矢を素早く装填できるように半開きになったデイパックと、これもさっきから右手に持っていたボウガンを持ち、素早く立った。
モナーも近くに置いてあったデイパックを掴み―――「もう一度伏せて!」というレモナの声を聞いてすぐ、もう一度芝生へと伏せた。ばん、という音が再び聞こえたが、また誰にも当たっていなかった。
モナーはレモナに手を取られ、引っ張られるようにしてレモナと共に、銃声がした方とは逆方向に走り出した。モナーはレモナの加速力に助けられながら、何とか体勢を立て直して、レモナと共に走った。
モナーは後ろを振りかえり―――さっきまで自分たちが話しこんでいた芝生の所に、背の高い男子が飛び込んでくるのが見えた。あれは八頭身(男子十六番)だろう。何で―――
いつもは
>>1さん(男子三番)を追い掛け回していて、無邪気というかそういう感じの八頭身が、何でこんなことを?
ここに来て気付いたのが、
>>1さんがもう死んでいた、ということだった。六時の放送で名前を呼ばれていた。もしかしたら、仲良しだった
>>1さんの死を信じられず、混乱していたのかも知れない。八頭身が、走りながら両手に抱えた長細い銃―――
スパス12をこちらへ持ち上げ、走りながらそれを撃った。昼からなじみ深い銃声がまた会場を包み、モナーにはスパスの銃口から火が吹いたのを見た。しかし、これも当たらなかった。
今は西へ走っている、このまま進むとD−4エリアに入ることになるだろう。前方に視線を戻すと、茂みが続いていた地帯から、いつの間にか廃屋が数軒立ち並ぶだけの広い未舗装道路へと入っていた。障害物が少ない分、このままでは弾が当たり易くなってしまうのは明らかだ。
八頭身はスパスのフォアグリップを動かし、次の弾を押し込もうとしていた。何とかして八頭身の動きを止めなければいけなかった。
何せ八頭身はクラス内、いや学校内でも
>>1さんに次ぐ俊足のスプリンターだ。追い付かれるのは時間の問題だった。何で自分たちを襲うのか分からないが(多分混乱しているのだ、多分)、今は何とかして、八頭身を止めなければいけなかった。
支給武器、果物ナイフはさっきの茂みに落としたのか取り損ねたのか、なかった。ボウガンはレモナが持っていたが―――
「モナー君、これ!」と言ってレモナは、モナーの左手を掴んでいる左手とも逆の右手に持っていたボウガンをモナーに差し出した。足止めをしろ、ということなのだろう。モナーは右手でがっちりとそれを受け取り、八頭身の方向へ向けた。
一発必中。ボウガンの矢は一発だけだ。予備の矢は走っているレモナのデイパックの中にあるが、半開きの上、レモナは走っている。無理に取り出そうとして足を引っ張ることだけは避けたかった。
―――しっかり狙えよ、モナー。
八頭身のスパスが火を吹き―――奇跡的に、誰にも当たることはなかった。八頭身はどんどん近づいている。次発射されたら、向こうはどうやら散弾銃、当たるのは確実だろう、と踏んだ。ラストチャンス。
向こうがポンプ・アクションで弾を押し出し、撃つまでの時間が勝負だった。当てなきゃいけなかった。まさに自分たちに迫り来ようとしているミサイル爆撃機、それを機銃一丁で撃ち落とす感覚だ。
狙いは決まった。向こうが再びフォアグリップを動かし、次の弾を押し出した。こちらに銃口が向き始め―――
ボウガンの引き金を、引いた。
ボウガンの矢は直線状に飛んでいき、スパス12を握った八頭身の腕へと当たる―――はずだった。しかし矢は、八頭身の大柄の身体に掠ることもなく、夜の闇の中へと消えていった。外れた!そんな―――
そして八頭身が何事もなかったかのように引き金を引いた、やられる、ぎゅっと目を閉じたモナーの足に、何か当たるような感じがした。更にボウガンを持った右腕に衝撃が来て、そして右半身が地面に叩きつけられたと気付いたときには、ボウガンが右腕から消失し、
ばん、という音と共にすぐ手前に位置していた廃屋の壁が吹き飛んだような感じが分かった。
かちゃ、というポンプアクションの音。そして間髪入れず、ばん、というスパスの音。
ショットガンを連射しているのだ、と分かった(ちなみにこれは八頭身が勝負をかけるためにラピッドファイヤーの要領でショットガンを連発していた)。だが、自分の体に、銃弾が当たったようなところなどどこにもなかった。生きてる―――?どういう、これって―――
そんなことを考えている間に、八頭身が視界へと入ってきた。モナーは右腕のボウガンを持ち上げようとして、ボウガンを落としたことに気付いた。しまった!このままじゃ、このままじゃ本当に―――
しかし、モナーの耳に入ったのは「ああっ」という叫び声と、八頭身が砂に叩きつけられる音だった。モナーが八頭身の方向へ視線を移すと、砂に倒れた八頭身の右足、ボウガンの矢がアンテナのように立っていた。ゆっくりと振り返り―――
そこには、右腕でボウガンを構えたレモナが立っていた。ようやく、全てを理解した。
モナーがボウガンを外した後、八頭身の弾から逃れるために廃屋の影に飛びこんだのだろう。そしてモナーが取り落としたボウガンを拾い、自分のデイパックから素早く弾を込めて、八頭身の右足に命中させた―――
モナーが、ははは、とわざとらしく笑ったのをみて、レモナは少し笑ったようだった。
「立って。逃げるわよ」
足を撃たれている八頭身が気になったが今は、逃げることにした。砂で汚れた自分のデイパックを拾い、再び肩に吊り下げて、レモナと共に走り始めた。
―――レモナはすごすぎるモナ。それに比べて、モナは情けなさ過ぎるモナ―――
レモナの後ろ姿を追っていて、急に視界がにじみだし、右腕で目を拭った。自分の情けなさに対するものだったが、涙はまだ仕舞っておくことにした。泣くのは、全てから開放され、脱出してからだ。それまでは、走りつづけるまでのこと。
【残り22人】
モララーの放送が終わった後、アサピー【男子1番】はそっと・【女子12番】を振り返った。
・は座り込み、両手で顔を覆っていた。
小さく肩が上下している。泣いているのだろうか。
それも無理のないことだ、とアサピーは考える。
ゲームが始まって以来――かどうかは分からないが、探してきた人が先程の放送でもう既に死んでいることがわかったのだ。
それに今の・の悲しみ方からすれば、
>>1さん【男子3番】が彼女にとってとても大事な人だったというのが分かる。
しかし――とアサピーは周りを見渡した。
このままここで悲しんでいるわけにもいくまい。
先程から連続している銃声は、間違いなく誰かが誰かを狙撃している音だ。
こんな道の真中で泣かれていては、すぐに見つかるに違いない。
その上、あの銃声に唯一対抗できるだろう拳銃を持った・は、しゃがみ込んで泣き濡れているではないか。
「……・、さん」
暫く呼び方を迷い、結局さん付けで呼ぶことに決めた。
妥当な線だとこっそり自画自賛した。
アサピーに呼びかけられ、・がゆっくりと顔を上げる。
その顔には――予想外だったが――涙は流れていなかった。
ただ酷いくらいに真っ青になっていて、今にも倒れてしまいそうな顔色だった。
「あの、悲しい気持ちは分かるけど――その、ここにいると危ないし、あの家の中に」
そう言いながら近くにあった比較的新しい住居を指差すと、・はまたゆっくりと頷いて立ち上がった。
ふらふらと倒れかける・を慌てて支える。
その時、アサピーは・の体が折れそうなほどに細いことに気付いた。
母などが見たらもっと食べろと言うだろうなとぼんやりと思いながら、民家の扉のところまで連れて行く。
扉をほんの少し開き、中を覗いて見る。誰もいないようだった。
「……入ろう」
・を抱えるようにして中に運ぶ。玄関を通り、廊下を抜けると、ダイニングルームらしき部屋があった。
中は意外にも綺麗だった。埃の積った家具以外なら、許容できるほどに。
床に侵入者の後がないことを一応確認してから、・を床に座らせてやる。
細かかった震えは、今やかなり大きな震えに変わっていた。
目には涙が溜まり、今にも零れ落ちそうになっている。
アサピーは腕を組んだ。そして、ほんの少し考えた。
今まで泣いている女子と二人っきりになるというシチュエーションに縁がなかったため、どうすればいいか分からない。
分からなかったから、そのまま・をおいて部屋を出た。
一応、一人になりたい時だってあるだろうと判断してのことであった。
部屋を出て、アサピーは早速ロープを探した。
・についてきたのは本来これが目的だったのだ。
物置らしき扉を開け、中を覗く。
「……あった」
壁にロープの束がかけられていた。新品らしく、ラベルも貼ったままで。
それを手にとり、アサピーは暫く放心した。
もう少し時間がかかると思っていたのに、拍子抜けするほどに簡単に見つかったものだ。
なんだか少しがっかりだ。
――まあ、見つかったものは、見つかったのだ。
アサピーは気を取り直し、立ち上がりかけ――
ふと、思った。
もし
>>1さんに続き、自分まで死んでしまったら、・はどうなるのだろう。
勿論他人だし、数日前までは殆ど互いに認識していなかった仲だ。
・が悲しむとは限らないだろう。思い上がるなと他人には思われるかもしれない。
しかし、ほんの数時間とは言え、仲間として行動を共にしてきた男が、いきなり自殺すると言い出したら――?
そうでなくても今・の精神はガタガタだ。
それに追い討ちをかけるようなまねをしていいのだろうか。
「……つまり、僕は死にたくないのだろうか」
ぽつりと呟いてみる。
それは何となく違うような気がした。今でも安らかな死を願っていることには変わりない。
――まあ、いい。
ロープは手に入り、いつでも死ねる体勢に入った。
いつでも、死にたくなった時に死ねばいい。
気を取り直し、ダイニングルームに通じる扉を開けようとして――小さく泣き声が聞こえてノブに伸ばした手を引っ込めた。
・が泣いているのだろう。こっそりと扉に設けられた窓を覗くと、・が俯いて肩を震わせているのが見えた。
それから目を離してアサピーは項垂れた。こういうのは不慣れだ。
女子などであれば慰めてやることも出来るのだろうが、アサピーにはそれも出来そうにない。
それに、今まで大事な人を失ったことがないので・の悲しみが分からない。
慰めることも同情することも出来ず、ただロープを手に持ったまま立ち尽くすだけしか、彼には出来ないのだ。
【残り22人】
229 :
Å:04/02/23 17:06 ID:TJ351Nsl
「ウウ、マダ、テアシガシビレル…」
イマノウチ【男子4番】はD−4の茂みの中に居た。
ギコを襲撃中、何者かに背後から攻撃され気絶していたのだ。
イマノウチは背後から攻撃した人物の武器を目立った外傷が無いことと、気絶する直前に聞いた「バチッバチッ」という音から何かスタンガンのようなものだと予想した。
しかし一体何者が背後から襲撃したのだろうか…
当たりを見渡すと重傷を負ったはずのギコがいない、
自分の武器のUZIサブマシンガンが取られず(取れない事情があったと思われる)に置いてある、
そしてギコのものであろう大量の血が飛び散った場所から何かを引きずった痕跡がある。
おそらくギコの仲間が重傷のギコを引きずっていったのは間違い無いとして何故UZIを取らなかったのか…
そもそもギコを助けようとする人物は…
モナーか?
…いや、モナーならば一緒にレモナと行動していた。そうなるとUZIは絶対にどちらかが持っていくはずだ。
あとギコと仲がいいのは…
しぃか!しぃならばギコを助けるだろうし、しぃの腕力ならばギコを引きずるのに精一杯でUZIを持っていく余裕は無い。
推理を済ませたイマノウチはギコの血痕を辿り始めた。
「ギコハジュウショウナハズ、シマツスルナライマノウチ」
イマノウチはターゲットをギコと助けた人物に絞った。
ギコを狙うのは恨みがあるのではなく、ただ自分の武器を知られたからだ。
イマノウチはギコの血痕を辿ると一つの廃屋に見つけた。
「アソコダナ…」
だがこのまま乗り込んでもさっきの二の舞になる可能性もあるし、銃を持っているかもしれない。
「ヨウシ、ドウグヲチョウタツスルナライマノウチ」
イマノウチはエリアDに向かっていった。
230 :
ÅÅ:04/02/23 17:08 ID:TJ351Nsl
イマノウチはエリアDを目指して歩いていた。
途中でモララーの放送が聞こえたのでメモしながら今までの事を考えた。
イマノウチがやる気になったのはネーノがフェラーチョを殺すところを目撃したからだ。
あのネーノがフェラーチョを殺した!
それはイマノウチにとってショックが大きすぎた。
フェラーチョと最も親しかった(ようにイマノウチには見えた)ネーノがフェラーチョを裏切ったのだ。
もうイマノウチは誰も信用できなくなった。
生き残るにはクラスメイトを殺すしかないと考えた。
でもイマノウチにも一つだけ気になる点があった。
それは無二の親友であるオニギリに引き金を引くことは出来ないということだった。
─もしオニギリを目の前にした場合、どうするべきなのか…
まだイマノウチには答えが出ていなかった。
考え事をしながらイマノウチはエリアDのフェラーチョの死体のそばにまで来ていた。
「アマリココニハ、キタクナイケド…」
フェラーチョのそばをイマノウチは調べた。
「タシカ、ココラヘンニアッタハズ…アッタ!」
イマノウチは学生服のポケットからはみ出しているオイルライターを発見した。
「アト、ココニビンガアッタハズ」
周囲を捜索して一升瓶1つに500ccのソーダの瓶2つをイマノウチはデイバッグに詰め込んだ。
「ヨシ、ツギハエリアCダ」
イマノウチは重くなったデイバッグを背負って西に向かっていった。
【残り22人】
イマノウチのマシンガンはネーノが持ってっちゃった筈だが。
229と230はスルーしてください
すいません
「ウウ、マダ、テアシガシビレル…」
イマノウチ【男子4番】はD−4の茂みの中に居た。
ギコを襲撃中、何者かに背後から攻撃され気絶していたのだ。
イマノウチは背後から攻撃した人物の武器を目立った外傷が無いことと、気絶する直前に聞いた「バチッバチッ」という音から何かスタンガンのようなものだと予想した。
「ギコガイナイ、ソレニマシンガンモナイ…」
UZIがないのは分かる、襲撃者が持っていったのだろうか、
そしてギコのものであろう大量の血が飛び散った場所から何かを引きずった痕跡がある。
おそらく襲撃者がギコを引きずっていったのだろう。
となるとギコの仲間が背後から攻撃したのか…。
一体誰だろうか、いやそんなことを考えるより今やることはただ一つ。
「UZIヲ、トリモドソウ」
イマノウチは立ちあがるとギコの居た場所の大量の血溜まりを見た。
「ギコハジュウショウナハズ、シマツスルナライマノウチ」
イマノウチはターゲットをギコと助けた人物に絞った。
イマノウチは血痕を辿り歩きながらデイバッグの中を確認した。
食料、水、地図、筆記用具、マシンガンの説明書…何も取られていないようだ。
そして内ポケットに入れておいたマシンガンの予備マガジンがあるのを確認した。
予備マガジンを取られなかったのは不幸中の幸いと言える。
イマノウチはギコの血痕を辿ると一つの廃屋に見つけた。
「アソコダナ…」
しかしギコの仲間がマシンガンを持っているのでうかつに近づくことはできないとイマノウチは判断した。
「ヨウシ、ドウグヲチョウタツスルナライマノウチ」
イマノウチはエリアDに向かっていった。
※
>>230に続く
ッパはまだ私物のバッグを漁っている。
「…ふぅもうないや…」
ッパはバッグを漁るのをやめた。
ッパは丁度いいから必要な物だけ持って他の物は置いていこうと思った。
「おにぎり君、あり――は持ってないね、いらない物はもう置いていこう。その方がつかれないし逃げたりする時も早く逃げられる」
ッパはおにぎりにいらない私物を捨てるように言った。(ありすは既に私物のバッグを持っていなかった)
「うん。解かった。」
すると、おにぎりは私物のバッグからメモ帳と筆箱を取り出し、バッグを捨てた。
ッパもメモ帳とシャーペン、あとさっき見つけた工具だけ取り出しバッグを捨てた。
「ッパ君、そのパソコンもいらないんじゃないの?」
と、おにぎりが言った。一度は首輪の解除に役立つかも知れないと思ったが、やっぱりただの中学生の自分達には無理だろうと、思ったのだ。
それなら重いPCは邪魔だと思って言ったのだ。
「いや、パソコンは情報収集にもつかえるし、あと首輪の解除にもつかえるかもしれないから持っていく。」
さっきから黙りこくっていたありすが口を開いた。
「でんわはつながらない。IEもとうぜんむり。」
ッパは「え?」と言う顔をした。なぜならッパはモララーのルール説明の時、既に脱出の方法を考えていたからだ。
だから、ッパは首輪の説明や禁止エリアなどの事についてしか印象に残っていない。モララーの、
「電話は繋がりません」
は軽く聞き流していた。
「そうなの?」
ッパが少し抜けた表情で言った。
おにぎりはこくんと頷いた。ありすも少し頷いた。
「でも…さっきインターネット繋がったよ?」
おにぎりの表情が少し変わった。
「え?ホント?」
「本当…」
「どう言うこと…?」
ッパは急いで、ノートパソコンは開いて電源をつけた。
おにぎりにダブルクリックの音が聞こえた。
「あれ?」
「どうしたの?」
「繋がらない……」
パソコンの画面にはDNSエラーの画面が映っていた。
「としあえず更新…」
ブラウザの更新をクリックした。
「あ、繋がった。」
今度はパソコンの画面にはグーグルのページが映っていた。
(変だな…無線だからかな…)
「何これ、繋がったり繋がらなかったり…」
「でも結局繋がってる…」
「ど―――」
ッパが喋ろうと思ったその時。
ちゃらーん
「ん何?今の音?」
画面には『メールが届きました』の文字。
「メー…ル…?」
ッパはそのメールを表示した。
「あ、さっきのメールで言っとくの忘れちゃったけど、あ、遅いとか言うなよ!
実は電話が繋がらないのは、島の周りに妨害電波が流れてるからなんだ。
でも、それはこっちで管理できるんだ、担当は切ったりつけたりして、遊んでたみたいだけど、
でも、もうIEは繋がらないと思った方が(・∀・)イイ!よ、
その担当を外したから。つまり、永遠に妨害電波は流れてるから。当然IEは繋がらない♪
いい情報もらったね、それじゃバイビー♪
モララー担当官」
ここでッパは某有名漫画の一コマを思い出した。
あのセリフ「あぶり出しだよ」
ッパはメールのメッセージを全てドラッグした。
すると、文字が浮かび上がった。
「携帯なんかのアンテナは立ってるからね♪」
おにぎりは「何これ?」と言う顔をしていたが、「何これ?」とは言わなかった。
「………」
ッパとおにぎりはジーっと画面を見つけていたが(ありすはちらっとだけ見た)
その沈黙を破ったのはまずおにぎり。
「あのさ、さっきのメールって?」
ッパが画面を見たまま答える。
「全然さっきじゃないけど、モララーにメールを送ったんだ、ウイルス付きで。
それでこんな返事が着た。」
ッパは受信トレイにあったモララーから着た『さっきのメール』を見せた。
「ふ、ふーん」
おにぎりは隣のクラスの(´_ゝ`)の様な事を言った。
ッパが再び本当にさっき着たメールを表示した。
「これ、島の中ならメールとか電話とか、できるって事だよね」
と、ッパが少し顔をしかめながら言った。
おにぎりの返事は
「かもね…」
それだけ言ったおにぎりは先ほど捨てた私物の中を漁り始めた、
「あった携帯、ワショーイ!」
おにぎりが久しぶりのワショーイを言いながら、携帯を天に掲げているような形になっていた。
ッパはパソコンを持っておにぎりに駆け寄った。
「誰かにかけてみる?」
と、ッパは言った。
「いいけど、だれに?」
おにぎりは携帯に電話帳を表示した。
「モナー君なら大丈夫そう…」
と、ッパが言った。それにおにぎりが、
「モナー君は真面目だから禁止されてる携帯は持って来てないと思う。」
「じゃぁギコ君とかは?」
「ギコ君携帯持ってきてるかな?」
そんな会話を続けていたが、結局電話はかけない事にした。
下手に電話なんかかけて、騙されて殺されては話にならない。
とりあえず、ッパのパソコンにメールを送ってみた。
数十秒後メールは届いた。
島内で携帯で、連絡をとれることを、二人はほぼ確信した。
【残り22人】
【男子16番】八頭身はレモナに足を撃たれた後、まだC-4から動けずにいた。
あぁ、足が痛い。何で足が痛いんだ?そうか、僕は撃たれたんだ。
ちくしょう、動けない。僕は生き残らなければいけないんだ。
絶対に生き残って1さんのお墓をつくるんだ。
それなのになんでこんなところで撃たれているんだ。
どうした八頭身、おまえの1さんを思う心はそんなもんだったのか?
違う。そんなはずはない。僕は誰よりも1さんを愛し―――
愛?
「愛」ってなんだ?なんで僕は1さんを愛したんだ?
もう何がなんだかわからなくなってきた。
1さんはもういない。それは事実だ。
誰に殺されたのかはわからない。でも1さんは死んだんだ。
そして僕も人を殺した。
1さんとはなんの関係もないであろう人たちを殺してしまった。
もう1さんは戻ってこない。いくら僕が人を殺しても戻ってこない。
もちろん僕が殺してしまった人たちも戻ってこない。
僕が殺してしまった人たちにも大切な人はいたんだろうか。
僕が殺してしまった人たちを大切に思う人はいたんだろうか。
僕は大切な人を失った。でも僕は誰かの大切な人を殺してしまった。
なんであんなことをしたんだろう。あんなことをしてしまったのだから、
僕がレモナさんに撃たれたのも当然のことなのだろう。
あぁ、僕が殺してしまった人たちに謝りたい。
しかしそれもできない。もう彼らはここにはいない。
それならいっそ僕も死んでしまおうか。
そうすれば1さんや殺してしまった人たちにもあえるかもしれない。
でも死んだら本当に僕は1さんたちにあえるのだろうか。
そもそも死んだら僕たちはどこに行くのだろうか。
―ねぇ1さん。死ぬってどういうこと?―
【残り22人】
age
月は重く垂れた雲に覆われて一筋の光すら漏れてこない。
視界は悪く、ほんの数メートル先も目を凝らさなければ見えない。
そんな状況の中を臆することもなく、ぁゃなみレイ【女子3番】はE-3を歩いていた。
その目には恐怖や緊張、狂気といった物は浮かんでいない。
ただ、覗いた者が薄ら寒い思いをするような冷たい光を宿しているだけだ。
ぁゃなみはイングラムを手に持ったまま、敵を探して辺りを見渡した。
やはり辺りには何も見えない。
懐中電灯を点けようか、とぁゃなみは少し迷った。
点ければ確かに視界は良くなるのだろうが、銃を撃つときに邪魔になるかもしれない。
それに、敵に気付かれるという可能性も高くなることは間違いなかった。
しかし、ぁゃなみの目的は敵を殺すことであったし、敵が近づいてくれるのはむしろ幸運といえるかもしれない。
――ぁゃなみは結局懐中電灯を取り出し、スイッチを点けた。
足元の地面がぼんやりと白く光る。ぁゃなみは懐中電灯を持ち上げ、辺りを照らし出した。
何もない、雑草が少しずつ生えているだけの地面が浮き上がる。
ぁゃなみはそのままぐるりと体を回転させるように周りも照らした。
矢張りそこにもただ荒野が広がっているだけだった。――いや、その中に異質な物が混じっていた。
ぁゃなみに背を向け、膝を抱えるようにしてそれは蹲っていた。距離が遠いこともあって、よくは分からないが地面に広がっているスカートから女子だと言うことは判別できた。
奇妙なことにその人影はぐったりとしたまま動かない。
しかし、ぁゃなみはそれらのことに大した興味も抱かず、銃を構え一歩近づいた。
近ければ近いほど、銃弾が当たる可能性は増すだろう。
ただそれだけの理由だった。
すっと音もなく足をあげ、前の方にゆっくりと下ろす。
足音は殺したつもりだったが、ぁゃなみの足元から土を踏む小さな音が聞こえた。突如、影が振り返った。
カチッ
小さな音が耳に届いた瞬間、ぁゃなみの視界がスパークし、真っ白に塗りつぶされた。
懐中電灯か何かで照らされたのだろうか。
「……っ」
先程蹲っていた人間が立てているのであろう足音が、ぁゃなみの耳に届く。
逃げているのかと思ったが、そうではないようだ。
足音は近づいてきている。それを認識した時、ぁゃなみは銃の引き金を引いていた。
ぱらら、と聞き馴染んだ銃声が手の中にある鉄の塊から放たれる。
銃弾は当たらなかったようで、足音は尚も近づいていた。
光が反れ、ぁゃなみの視界がやっと自由になったとき、銃を構えた腕に軽い衝撃が走った。
思わず銃を取り落としてしまう。がしゃんと重い音を立てて、それはぁゃなみの僅かに蘇りつつある視界を外れていった。
「アハハハハハッ!!!」
少女の奇声にちかい笑い声が耳元で響き、ぁゃなみは反射的に声と反対側に体をそらせた。
ヒュンと風を切る音と共に、鼻先を何かがかすめる。
体勢を立て直すよりも早く、腹にも衝撃が跳ねた。蹴られたのか、殴られたのか。
思わず呻き声をあげて、腹を抱える。
倒れかけるのを堪え、ぁゃなみは何かを振り上げている人影の胴体に思い切り肩からぶつかった。
悲鳴をあげて影が地面に倒れる。
それを確認する暇もなく、ぁゃなみは漸く完全な状態に戻った目で地面を見た。
懐中電灯が落ちているのが見えたが、それは今必要ない。先程取り落としてしまったイングラムを探さなければ。
ぁゃなみが辺りを見渡した時、人影がゆっくりと起き上がった。
何かを手にして。
ぱららららっ
銃声が響き、ぁゃなみの足元の土が爆ぜる。
ハッとして振り返ったぁゃなみの視界に映ったのは、ゆらゆらと揺れながら立っている人影だった。
その手にはぁゃなみの探し物であるイングラムが握られている。
どうやら銃は人影の近くに落ちていたらしい。それとも、落とした瞬間にはもう拾われていたのだろうか。
「……ふふふっ」
人影は小さく笑い声を上げた。勝利の笑い声かと思ったが、そうではないらしい。
自分を誇るような、相手を嘲笑うような響きがその声からは感じられなかった。
人影は銃を構え、尚もぁゃなみに近づいてくる。
月明かりにその人影が一瞬照らされた。
すぐにその月はまた雲の中に隠れてしまったが、人影の異様な体裁はぁゃなみの目に残った。
長い髪が月光に照らされ、やはり女子だったのだと分かった。
しかし、その髪はほつれてうねり、汚れているように見えた。
まあ、それは仕方ないのかもしれない。風呂にも入れないし、埃の立つ中を移動するのだから。
ぁゃなみの目を引いたのはその女子の表情だった。
笑みの形に歪んでいる口元からは一筋の唾液がつうっと顎に垂れている。
口元は時折ピクピクと動き、まるで引きつっているようだった。
目の下には真っ黒な隈が出来、頬はこけてしまっている。
目には鈍い光が宿り――まあ、それは月光のせいかもしれなかったが、白目の部分は真っ赤に充血していた。
「ははっ。アハハッはひゃは」
暗闇の中で目の前の女子――ルルカ【女子20番】は再び奇声を上げた。
狂人。ぁゃなみの頭の中に一つの言葉が浮かんで消えた。こいつは、狂人だ。
その狂人を目の前に、しかしぁゃなみは恐怖を覚えることもなかった。
じりじりと近寄ってくるルルカを、イングラムを見据えながら、一歩後退しようとした。
「動くなぁああああっぁ」
ぱらららっ
「っ!」
太腿を何かが掠め、鋭い痛みがそこを襲った。
暗闇の中でも逃げようとした姿が見えたのだろうか。いや、単に足音が聞こえたのかもしれない。
ぁゃなみは息を整えて、痛みを抑えた。
こんな乾いた土の上で足音を殺すのは不可能に近い。
辺りが静寂に包まれているのだから、余計に聞こえやすくなるだろう。
逃げることはできない。どうすればいいのか。そう考えながら、ぁゃなみは唇を噛んだ。
ルルカと、ルルカが手に持っている銃を見て、ふと脳裏に先程のスパークが蘇った。
――これだ。
ぁゃなみはなるべく音を立てないように布に包まれた文化包丁をスカートの腰部分から抜き出した。
布を解き、刃物を人影に向け、ぁゃなみは人影を睨んだ。
相手もそのまま動かない。時折奇声を上げる声だけが静寂を乱した。
風がさらさらとぁゃなみの髪を揺らす。
暫くそのまま、二人とも動かなかった。永遠とも、一瞬とも取れないような時間が二人の間に流れる。
ぁゃなみは乾いた唇を舌で舐めた。目の端に懐中電灯が転がっているのが見える。
その位置を確認して、何度も頭の中でそれを拾った後の行動を繰り返す。
ともすればピクリと動いてしまいそうな筋肉を押さえつけ、ぁゃなみは自分に言い聞かせた。
動いてはいけない。先に動いた方が負けだ。
突然に風が乱れる。さくっと土を踏む音が聞こえた。先に動いたのは、ルルカだった。
「アアアアアアアアアァァァァァッ!!!」
ぱららららららららっ
銃が火を吹き、鉛玉が地面を舐める。
ぁゃなみは姿勢を低くし、左方向へと走り出した。
地面に捨ててあった懐中電灯を手にとる。
手にプラスチックの感触が伝わった時、ぁゃなみの腰に熱が爆ぜた。
撃たれた。そう思った瞬間には地面に倒れこんでいた。手から懐中電灯が零れ落ちる。
ぁゃなみは上半身を起こし、腰に触れた。どうやら掠っただけのようで致命傷ではない。
ふと人の気配を感じて顔を上げると、目の前にルルカが立っていた。
「……こ、ころしてやる」
ルルカがぶつぶつと呟きながら歩み寄ってくる。
その手にはイングラムがしっかりと握り締められていた。
ぁゃなみは後ろ手に懐中電灯を探した。
砂で手が汚れ、時折鋭い石に指を引っ掛けてしまう。懐中電灯はまだ手に触れない。
「ころしてやるうううぁぁああアアアアアハハハッ!!」
ルルカがまさに引き金に指をかけた瞬間、それはぁゃなみの手に触れた。
ぱららららららっ
ルルカが引き金を引くのとぁゃなみが懐中電灯でルルカの顔を照らしたのは殆ど同時だった。
いや、銃弾がぁゃなみの腕を掠っただけで済んだので、ぁゃなみの方が早かったというべきかもしれない。
ぁゃなみは飛び起き、文化包丁を腰だめにし、ルルカに飛び掛った。
ルルカがそれを銃のグリップで防ごうとし、防ぎきれずに脇腹を切られてしまう。
「キャアアアアッ!!」
血がパッと飛び散る。ルルカは完全に背を向けた状態になっているぁゃなみの背中をグリップで打った。
がんっと鈍い音がしてぁゃなみが地面に沈みかける。その脇腹を思い切り突き飛ばし、ルルカは仰向けに倒れこんだぁゃなみの上に馬乗りになった。
ぁゃなみが目を見開く。
ルルカはにやりと狂気の笑みを浮かべ、ぁゃなみの頭部に照準を合わせイングラムの引き金を引いた。
カチッ
小さな音がイングラムから響く。ルルカはそのまま数度引き金を引いた。
やはり小さな音が鳴るだけだった。――弾切れだ。
「……うそ」
小さく呟いたルルカの目を、今度は別の驚きが見開かせた。
どすっと大きく響いた音とともに、急速に脇腹が熱くなっていく。
見ると、脇腹から木製の棒のような物が生えていた。
その棒は、ぁゃなみが握っている。
ぁゃなみが矢張り無表情なままそれを両手で掴んで横に引いた。
肉が裂け、おびただしい量の血液がぁゃなみとルルカの服を濡らす。
そこでやっと、ルルカは自分の身に起こっている事を理解した。刃物で刺され、肉を切られている。
「……ぎゃああああがやあああああぁぁあぁだじゃfじゃ!!!」
ルルカは意味不明な叫び声を上げてぁゃなみの上から転げ落ちた。
脇腹から血が吹き上げ、そこがまるで焼かれているように熱い。
それはあまり深い傷ではなく、致命傷にはまだ遠かったが、その苦痛は信じられないほどだった。
出血量もひどい。痛い、痛い、痛いよ。
ぁゃなみは地面を転げ回るルルカを見下ろし、その手からイングラムを取り上げてから包丁を振り上げた。
「ぐぁぁあああああああzぁぁっ!!」
ルルカが身を捩ったため、心臓がある左胸に包丁が入らなかった。
またしてもルルカの体に無意味な傷が生まれる。
ぁゃなみは、今度はルルカの肩に足をドンと乗せ、ルルカの体を固定した。
ルルカは泣き喚きながら無意識にスカートの腰部分に触れた。
手の先に触れた物を握り締める。
痛みと狂気の中で、それでも自分を守るための意識が働いたのかもしれない。
ぁゃなみが包丁を振り下ろそうとした途端、ルルカの防衛本能は働き出した。
「がああああああっ!!」
がちんっと金属同士がこすれあう嫌な音がして、ぁゃなみの包丁は弾かれ、闇の中に消えた。
手に走った痺れに眉をひそめる間もなく、ぁゃなみは地面に投げ出された。
びゅんっとその顔を何かが掠め、ぁゃなみは身を引いた。
ルルカは膝立ちになった状態のまま、金槌を振り回していた。
それはまるで子供がおもちゃを振り回すような格好で、機から見れば滑稽なのだが、ルルカが振り回しているのは紛れもなく凶器である。
近づきたくても近づけない。
ぁゃなみは一瞬イングラムを見て、それが弾切れであることを思い出した。
デイパックに予備の玉はあっただろうか。
包丁を拾い上げ、それが刃こぼれを起こし使い物にならないことを知るとそれも放り出した。
ぁゃなみは血を撒き散らしながら叫んでいるルルカをチラリと見た。
致命傷は与えられなかったが、出血量はひどい。もう長くは持たないだろう。
ぁゃなみは次のターゲットを探すためにその場を離れた。
ルルカは敵が去ったのにも気付かずに、金槌を振り回し続けた。
【残り22人】
私何やってるんだっけ?
あ、そういえば殺し合いやってるんだっけ?
ダーヤス【女子7番】はC-2の廃屋にいた。このBRが始まってから走り続け、みつけた廃屋にずーっといるのだ。
「ぁ…支給武器…」
ダーヤスはさっきもらったデイパックを開けた。
「…忍者セット?…」
ダーヤスの支給武器は、セットと呼んでいいのか微妙な、手裏剣30枚とクナイ5個だった。
手裏剣やらクナイやらは、テレビで見たことがある。が、使ったことなどは当然ない。
「・・・・・・・」
ダーヤスはなんとなく手裏剣を投げてみた。
シュッ
「・・・・・・!?」
手裏剣が木の壁にカッと刺さった。
「これ・・・使える・・・」
銃などには当然かなわないが、一応武器にはなる。手裏剣など使えるわけがないと思っていたが、意外とできるものだ。
次はクナイを投げてみた。
シュッ、ゴッ
クナイが壁にあたるが、刺さらずおちる。
こちらはうまく刺さらない。きっと接近戦向きなのだろう。(素人のダーヤスには)
私は死ぬのなんかゴメンだ。
なら生きのびる方法は一つしかない。
脱出?そんなにムリに決まってる。
それなら…
優勝
そう決心したダーヤスはクナイを1個右ポケットへ、手裏剣を3枚左ポケットに入れ、立ち上がった。
「私は優勝する…」
【残り22人】
243 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/03 15:21 ID:vArRYOqM
保守
クナイが壁にあたるが、刺さらずおちる。
こちらはうまく刺さらない。きっと接近戦向きなのだろう。(素人のダーヤスには)
の、『こちらはうまく刺さらない。』はスルーして下さい。
245 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/04 21:18 ID:/XvBlqa5
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
シナーって氏んだっけ?
下がりすぎage
イマノウチ【男子4番】はエリアCにあるビルの建設現場の資材置き場を漁っていた。
役に立ちそうな道具を探すためである。
「鉄パイプカ、ナニカノタシニハナルダロウ」
イマノウチは見つけた鉄パイプを手に持ち資材置き場のそばにあるプレハブ小屋に向かった。扉には鍵がしておらず簡単に入ることが出来た。
「ココモシラベテオクカ」
おそらくビル建設に携わった従業員の休憩所であろうプレハブ小屋は比較的新しく、中はそれほど荒れてはいなかった。
ビルの建設中止が急に決まったのかテーブルの上にはコンビニ弁当の容器やコップ、新聞紙等が置いてあり、壁には作業服が掛けられていた。
そして部屋の中央には大型の石油ストーブが置いてあった。
「ヨシ、マダトウユガノコッテイル」
イマノウチはストーブの石油タンクに備えつけられている灯油ポンプを外し、タンクのフタを取り外した。
「コレデカエンビンガツクレル」
イマノウチはデイバッグから一升瓶とソーダ瓶を取り出し中に灯油を入れてテーブルの上に置いてある新聞紙を1枚ずつ取って丸めて栓をした。
「フウ、モウスコシブキガイルナ」
イマノウチは火炎瓶を余った新聞紙で包むとデイバッグに入れてプレハブ小屋を後にし、同じ敷地内の高層ビルの建築現場に入っていった。
【残り22人】
251 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/16 02:22 ID:+F0bYkBi
地球爆発。全員死亡
【残り0人】
カン、カン、カラーン
G-2のビルに何かが落っこちたような音が響いた。
その音は、モニカが手斧を落っことした音だった。
「・・・きないよ・・・」
モニカが何か言ったようだったが聞き取れなかった。
「おい、どうした?」
返答はなかった。
が、しばらくしてモニカは口を開いた。
「そんなこと、出来るわけないじゃない!」
モニカの声は震えていた。が、力強かった。
「どうしてだ?俺は殺人鬼だぞ。もうこのゲームでも人殺しをしているんだぞ。」
アヒャにはわからなかった。
自分の友達を殺した憎い奴。そんなやつを殺したくはならないのか?
モニカは続けた。
「あなたの命だって、かけがえのない命なのよ!
そんな大事な物、簡単に奪えるわけないじゃない!」
アヒャは何も言わなかった。いや、言えなかった。
――「命」が大事?――
そんなこと考えたこともなかった。
どうせ寿命は20年。それならば好きなことをやって死ねばいいと思っていた。
だがこいつは違う。命は大事だから簡単に奪ってはいけないと言う。
「でも・・・」
モニカが突然口を開いた。
「でも、あなたが危険な人なのは確かだわ。だからここから逃げさせてもらうわよ。」
そう言うとモニカはアヒャのデイパックの中から救急セットを取り
自分のデイパックを持ちどこかに逃げていった。
アヒャはただ呆然と立ちつくしていた。
保守
ッパ、おにぎり、ありす(出席番号略)はC-3に居た。
何故ここに来たかなんて説明できるものではない。ただ歩いていたらついただけ。
電話が繋がることも解かったし、運良くバッグにドライバーが入っていたりもした。
しかし、結局何をすればいいかが解からなのだ。
それで、止まっているのも変だから歩いている。それだけの話。
先頭にッパとおにぎりが並んで歩き、少し後ろをありすが歩いていた。
殆ど会話は無かった。
誰かに会えればその人を仲間に入れる。
今はそれだけの目的だった。
突然3人は顔を上げ、目を見開いた。
何か動く物が目に映ったからだ。いや、あれは人(AA)だ。
ッパはその人影に話かけようと人影に向かって、走りだした。おにぎりとありすもそれに続いた。
人影がこちらに気付いたようだ。
ッパが、「おーーい!」と声をかけようとしたが、ありすだけが異常に気付いた。
「横に動いて!避けて!」
ありすが叫んだ。ッパとおにぎりは最初ワケワカランと言う顔をしていたが、二人もこっちに何かが飛んでくるのが確認できた。
「くっ」
ッパとおにぎりは左右へ別れ、何か黒くて薄いものを避けた。
その黒い物は乾いた砂の地面に刺さった。
ありすが、その黒いものを拾いそれが何か確認した。
これは・・・手裏剣?
アニメでみたことはあったが、実際に今の時代に存在するとはあまり思わなかった。
黒くて薄い物は確かめた後すぐに、さっきの人影の方向を向いた。
ッパもおにぎりも先ほどからずーっとその方向を向いている。
その人影は歩いていたが。少し早歩きに見えた。
ッパは銃をとりだした。おにぎりも少し遅れて銃を取り出す。
ありすもポケットにカッターを忍ばせ、木を構えた。
すると、人影が突然走り出した。
もうあれが誰か解かる距離まで近づいてきていた。
あれは確か、ダーヤス【女子7番】だ。
手にはおそらく刃物なのだろう物を持っている。
ッパとおにぎりは銃を上げ、構えていたが、その二人の間から、突然ありすが飛び出した。
「え!?・・・ありすちゃん!?」
ッパとおにぎり声を合わせて言った。
ありすは木の棒を構えダーヤスがいる方向へと走った。
「くそっ!」
ッパも走りだした。それにつられておにぎりも。
ありすが木の棒を振り上げ、すぐに振り下ろした。木の棒はダーヤスの腕でガードされてしまったが、腕にダメージは与えられただろう。
ダーヤスも手裏剣を投げつけた、ありすはそれをかわした。少し足にかすってしまったが。
形成は五分五分の様に見えるが、やっぱりありすの方が有利だろう。
何故なら、彼女にはッパとおにぎりと言う仲間が居て、しかも二人とも銃を持っているからだ。
が、しかし、
「あなた達は行きなさい!」
ありすが叫んだ。
ッパとおにぎりはありすの方へ走らせていた足を止めた。
「なんで!?」
ッパが聞いた。
「ここで私がやられてもあなた達はこの娘を殺す事なんかできないでしょ!」
ごもっともだった。
たとえ銃をもっていても、完全にやる気のダーヤスと人は殺さないと言う信念で行動しているッパ達では、ダーヤスが勝つ確立が高い。
ッパにも言い分があったが、これ以上は何も言わないことにした。ありすがそれを望んでいる気がしたし、何故かありすが負けると思えなかったからだ。
「よし・・・うん!わかった!」
「え?いいのッパくん?」
おにぎりは少々困惑していたが、ッパとおにぎりは銃をデイパックにしまい、各自のデイパックをもって、走りだした。
「絶対追いついてよ!」
ッパが少し振り向き、言った。そして、すぐ前を向いた。
ありすはダーヤスと格闘しながらもそれを確認した。
ありすはまた木の棒を振り上げ、ダーヤスへと振り下ろした。
これが、長い長い、『女』同士の戦いの始まりだった。
256 :
名無しのうんこ:04/03/21 17:31 ID:jlnbLvAc
良作アゲ ⌒ =凸□ ∧_∧ ∴
∧∧ /\ =▲□□ ( ・Д・)・;∴
(,,*゚/ / = |> ,◇⊂ ⊂/
ノつ、/ =||◇γ // /
(_,,う ( ( )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧ ∧ 〜♪ ∧_∧
ポイ (*゚ー゚) (・∀・;)痛いじゃないか
\ 〜 ⊂ つ ( )しぃちゃん
\ | | || |
 ̄ ∪∪ ■凹凸★◇ ( ( ) ■凹凸★◇
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄■凹凸★◇ ̄ ̄ ̄ ̄
∴ ∧_∧
∵;・(Д< )オウッ
⊂ /
/ |
‖‖ ‖ ★★
∩∩ 口◇口口☆ ■
∧∧ □ ☆口口◎口
(*゚ー゚) age 口 ▽ ▼ ◎
| | )) ○‖‖ 口
( つ ▼ ○
∪ ‖‖‖‖ ‖‖‖‖‖‖‖
-------------------------------------------------------------------------
‖ ‖
■ ★
‖‖‖‖‖‖‖‖‖‖ ○ ★
凹 ◇ ◇
∧∧ SAGE 口◇口口☆■ □口◇口口☆
(*゚ー゚) ★ □ ▼ ◎
∪ ∪)) 凸 ■
│ │( ◇★ ∧_∧ ○
∪∪ ∵;・(゜Д゜ )⊃ ぐはっ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
金槌を振り回していた手を止め、ルルカ(女子20番)は芝生の上に倒れ込んだ。
まだぁゃなみレイ(女子3番)から包丁で脇腹、そして左胸の少し下を斬られた傷からは、血が流れていた。
出血は思った以上に酷く、両手で上半身を抱えていた。はたから見ると寒さに震えているような体勢になっている。
九月の夜風がルルカの髪を散らし、汗に濡れた肌に涼しい感触が触れるのが分かった。
―――星だ。
出血のせいか、それともこの傷の痛みのせいか?ルルカを覆っていた狂気は少し醒めていた。
九月、秋と夏の境目辺り。夜空に出ている星は少ないが、この現実とはかけ離れたように光っている。
また、涙が無意識に目をにじませる。どうしてこんなことに、になったんだろう?
両親は、早々と事故で他界し、あたしは親戚の家へと引き取られた。
おじさんやおばさんたちはあたしを不自由なく育ててくれた。けど愛していたとか、そういうものではなかった。
あたしもあまりなじめなかった。おじさんやおばさんたちの態度がちょうどよかった。
今はおじさんたちが親だけど、“ほんとうの”両親がいないという事実は、小さい頃のコンプレックスだった。
そのためか、両親に限らず、小学校に進学してもあたしは人づきあいが苦手だった。友達も少なかったなあ。
同性の友達が互いの家に行ったり来たりの生活なんて、ちょっと程遠いものだった。
自分をアピールする場もなく、始めてみたのが歌の学校。センスがあったどうかは知らないけど、
小学校を卒業する頃には、学校内でも一番うまかっただろう。
進学してからは、その歌の才能を生かして芸能という道へ歩み始めた。
アイドルの道を歩み始めてからの練習はキツかったけど、それ相応の評価はあったのだ。
そして、あたしは三年間で、それなりのアイドルとしての道を歩んで行った。
満員の客席。
あたしが中央に立つ大きなステージ。
いろんな色のスポットライト。
沸き上がる歓声。
銀色のマイク。
「トップアイドルの道はまだまだ遠いぞ、頑張ろう」マネージャーさん。
「ルルカー、がんばってねー」数少ない学校の友達。
「ルルカちゃん頑張れー!!」ファンのみんな。
「続いては若干十五歳のアイドルルルカさんを…」テレビの芸能コーナー。
みんなの声援。認められた証拠。
学校での冷たい目線も気にしなかった。表に出れば、あたしは認められている。
認められているんだ。
殺し合い―――
また涙が肌を伝っている。現実に引き戻される。
このままずっと夢を見ていたかった。
返り血に濡れた制服。ニュースの報道。
「歌手のルルカさんが、国内で行われた中学生の殺し合いの末生き残ったことが判明致しました」
嫌。
「ルルカさんは生徒を数人殺害したようで―――」
嫌。
「この件は政府主導の戦闘プログラムということで罪には問われませんが―――」
嫌。
街中を歩くいろんな人々。視線が巨大なビルに取り付けられた大型のテレビに集中している。
哀れみの視線。
嫌。そんな目で見ないで。
あたしをそんな目で見ないで!
また現実。肌を伝う涙の線が増える。
嫌な夢は見たくない。
―――寒い。
ルルカの脇腹、胸の出血はまだ収まっていなかった。
芝生の上に血が広がり、セーラーに染み込んでいる。
顔色も血の気が失せ始めていた。青く変色していて、猛烈な寒気が、ルルカを襲っていた。
寒い。死ぬのかな。ここで。こんな所で。でも、生き残って何をするんだろう。
生き残った末にやって来るのは不名誉なレッテルと、周囲の冷たい視線。
生き残って何をするっていうんだろう。
―――寒い。
一人は嫌だった。
誰かに認めて欲しかった。
誰かにかまって欲しかった。
誰かに優しくして欲しかった。
今は認められている。
今はみんながかまってくれる。
今はみんなが優しい。
けどここで生き残ったとしても、どうなるんだろう。
今までの実績、みんなの態度。全部が消えてしまう。嫌。それは嫌。
ここで死んだ方がマシ。
頭に浮かぶ。またあたしが一人立っている。
正面には男の人から女の人までずらりと並んでいる。
あたしの前にある白いテーブルにはあたしのCDが積んである。
そうだ、これは新曲のついでに握手会だったかな。
握手会が始まる。あたしの手はひどく冷たい。何でだろう?
手を握られる。ずっと。一人ずつ人は減ってゆく。
みんなの手の暖かさが心地良くて―――
それで、あたしの手もどんどんあったかくなっていく。
また、頭に浮かぶ。
冬。雪。雪か。東京は雪なんてあまり降らないから、久しぶり。
雪にまみれたベンチと、ぼんやりと光を照らす電灯が見えた。
白く彩られたブランコ、すべり台、様々な家庭から漏れる明かり。
そうだ―――ここは公園だ。小さい頃の思い出。そして―――
左側を向いた。小さいあたしの左手が分厚い手に握られている。
右側を向いた。小さいあたしの右手がやわらかい手に握られている。
―――両親の、思い出だ。
「ルルカ、帰ろうか」お父さんの声だ。
「うん!」小さい、あどけない声。あたしだ。紛れもなくあたしだ。
「今日の晩御飯はね―――」
優しい、声だった。
現実にはもう引き戻されなかった。ただ泣いていた。
ルルカの顔色は青を通り越して白くなって行き、両腕がぴくぴくと痙攣していた。
しかし、ルルカの顔は、明らかに安らかだった。
少しずつ、ルルカの痙攣はおさかって行き、同時に呼吸、心臓の鼓動も弱くなっていった。
小学校の教室。六年生は三階だ。窓から見える、いろんな屋根。白い雲。
数少ない、小学校の友達の顔が横に見える。そうだ、これも実際にあった場面。
「ねールルカー」
「なに?」
「将来の夢とかあるの?」
「んーそうねー」
ふざけ半分だった。
けど、今となっては本音だったのかも知れない。
「いつまでも、夢、見てたいな―――」
【残り21人】
ryousaku
サイコー
良作アゲ
264 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/24 12:54 ID:tMeXFPVJ
age
265 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/24 18:11 ID:tMeXFPVJ
age
【男子13番】ッパと【男子6番】おにぎりはありすに言われるがままに逃げていた。
ダーヤスと出会ったC-3から南下しC-4のあたりまで来ていた。
考えることは山ほどあったがとりあえず近くのビルに入ることにした。
ッパとおにぎりは念のため銃を構え、ビルの扉の前に立った。
「いいかい。1、2の、3だよ。」
ッパがおにぎりに言い聞かす。
おにぎりは無言のままこくりとうなずいた。
「行くよ。1、2の、3!」
そう言うと2人は扉を蹴破った。
中には人の気配はなかった。
「ふぅ・・・」
2人は同時に溜息をついた。
「とりあえずもう少し奥にいこうか。」
ッパに促されおにぎりが後をついていく。
2人は階段を上り廊下を突き進んでいた。
「ここにしよう。」
ッパは徐に扉を開ける。中には誰もいない。
2人は腰を落ち着けるとこれからのことについて話し出した。
「ねぇ、これからどうしようか?」
【残り21人】
いやはや、全く驚いた。
もう既にフェラーチョファミリーは僕を入れてたったの三人になってしまった訳だ。
僕と、ネーノと、ギコ・・・
・・・そういえばギコってあいつフェラーチョファミリーに入ってるのかどうかよく分からない中途半端な奴だったな・・・ま、いいか。
【男子21番】山崎 渉は、B-3の当りにある岩場に腰を落ち着けていた。
つい先ほどのモララーの放送には、山崎は少なからず驚いた。
突然ペースが上がり、死者が増えた。つまり、新しくやる気になった奴が増えたという事だ。(僕もその一人か。ハハハ・・・)
それと、モネーが死に、フェラーチョファミリーがまた減ったという事。どうも不良どもが死ぬペースが早すぎる。
それと、もう一つ。モララーは禁止エリアになり難い所を禁止エリアに指定しているという所。
多分これはモララーがうっかり口走ってしまった言葉なのかもしれないが、山崎はあの言葉がどうも頭に引っ掛かっていた。
あのモララーの台詞には、随分前に捨てた希望が蘇るヒントが隠されているかもしれない。と、心の隅でそう思っていた。
山崎は、つい先ほどの記憶を手繰り寄せ、モララーの言葉を頭の中で復唱した。
『つーか禁止エリア選ぶの難しいんだよー。ぶっちゃけちゃうとさー。
大体禁止エリアは殺すためにあるわけじゃないんだよ。あくまで会場を狭くするためだけにあるんだよ。BR管理者ってのは引っかかりにくい所を禁止エリアに選ばなきゃいけないんだ。
もし禁止エリアに引っかかった生徒がいたら給料が引かれ・・・オホンオホン。
だからお前ら禁止エリア選ぶ奴の身になって簡単に禁止エリアに引っかかるんじゃないぞー!じゃあ、またなー!』
・・・待てよ。
山崎の頭の中に一筋の光が入り込んだ。
モララーは給料が引かれると言った。
あいつのあの口ぶりからして、一人無駄になっただけでもかなりの額の給料が引かれるという事になる。
つまり、42名というのは、国防上必要なデータを集めるのに一番最適な数字なんだろうな・・・
つまり、モララーは一人でも禁止エリアに引っ掛かってはいけないと思ってるわけだ。
・・・うう、頭がこんがらがってきた。でも、考えなきゃ。
禁止エリアに引っ掛かった奴がいるとモララーの給料が引かれる。
もしかしたら一人や二人は大した事無いかもしれないが、もし、今生き残ってる奴らがみんな禁止エリアに引っ掛かって死んだら・・・?
・・・いや、禁止エリアに引っ掛かるとか関係なく、つまり奴らに『データを収集させなきゃいい』という事になる。
ならば、どうすればいい・・・?
確か、この『ゲーム』は、生徒同士が殺し合いをしてこそ本物のデータが得られると、モララーは言っていた。
・・・!簡単な事じゃないか!『データを収集させない』方法。それは・・・!
殺し合いをしなければいい。
もしこのまま誰も殺し合いをせずに時間切れが来たらモララーの奴どう思うかな?
必要以上のデータが収集出来なくて、給料が大幅惹かれること請け合いだ。
そう分かっていたら、モララーは簡単に僕達の首輪を爆発させないだろう。
かならず、何か『他の』ルールを強引に持ち出して来る筈だ。
そのルールが何かは分からない。そんなとこまでは予想出来ないが、それに賭けるしか方法は無い訳だ。
・・・考えてみるとよく出来てるよな、このプログラム。
みんなの首輪を爆発させるなんて脅しておいて、みんなを焦らせて殺し合いをさせる。
まだ精神が不安定な中学3年生にとっては十分な脅しだ。・・・全くよく出来てるよ。
みんなの首輪を爆発させるなんてそんな自分にとって損の多い事出来やしない癖に。
いやはや、よく頭が悪い僕がこんなに考えられたものだ。
ぼるじょあを殺してから頭がスッキリしちゃったからね・・・覚醒って言うのかな?
なんつーか・・・あの時からこのゲームへの恐怖感がまるっきし『消えた』。何でか分かんない・・・けど。
出来れば僕もみんなと生きて帰りたいものだ。
出来れば殺したくない・・・ぼるじょあは・・・やっちゃったけど。
こうなったらギャンブルだ。
僕が殺してしまったぼるじょあの為にもみんなを救ってやる。この僕の手で。
【残り21人】
269 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/25 12:24 ID:HZ4EZul3
age
270 :
ちくわ:04/03/25 15:27 ID:2qk/U5h9
のこりエリア51 おくりだ
271 :
スパス12:04/03/25 16:00 ID:0doFG+RE
「あーははっはっはっはw!!こりゃあ勝ったぞ。」彼女はそういいながら、何センチか
先の物を見つめていた。
女子8番づーは笑いながら独り言を言っていた。
「それにしてもこんなもんを見つけちまうなんてな。笑いが止まんねえや。」
その物体とはヘリコプターである。
何故こんな所にあるかは知らないが多分兵隊の誰かが間違えてこんなとんでもない
場所に置いちまったんだろう。と彼女は思っていた。
大当たりだった。
「おっと鍵が開いてなきゃ意味ネエよな。」そう言ってさっそくヘリコプターの
ドアを開けた。
がちゃぎいいい
開いた。
また笑みがこぼれた。彼女の支給武器は銃だった。
その銃はM8000クーガーGというハンドガンだった。
「これにこのヘリがあれば怖いモンなしだぜ。あっはっはっは!!」
272 :
スパス12:04/03/25 16:15 ID:0doFG+RE
「・・・・・脱出もいいな。これがあれば実現できるぜ。」づーはこのヘリを動かそう
動かそうとしていた。
ぱぱぱぱぱぱぱぱ
「っ!?」づーは音とともに倒れた。
「だ・・・・れだ・・」そう言って弾が飛んできた所を見た。
そこに立っていたのはぁゃなみレイだった。
「なめんな・・よコノヤロー!!」クーガーを発砲した。
ぁゃなみの肩に命中した。「!?」確かに命中した。がぁゃなみにはキズ1つ
ついていなかった。そこでようやくきずいた。このクーガ−は、エアーガン
だったのだと。
またぱぱぱぱぱぱぱという音を聞いた。その音が終わる前にもうづーは死んでいた。
残り20人
273 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/25 21:18 ID:HZ4EZul3
age
274 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/26 11:53 ID:rNKD1Ds2
age
275 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/26 17:53 ID:rNKD1Ds2
age
276 :
保守:04/03/27 12:34 ID:LaGoDIy+
,.’<二''-、 キi,)ヽ)ヽ,i, └─' ,, , /⌒ハ =@ ,,r‐‐, /.:;/
iフ \\、''匕┴ノ;;;}i;;} ,, ・′, ,/ヽ《》ノ ヽ r─i (ィソノ/.;;/‐-、,,_
'' i\__ヽ,ヾノミ:≪>iノ;;;レi ,, ‐ ` /ミ=彡}∨⌒}〈,,,,,,メ⌒く/ .;;/゙''''‐-<'"~゙,,,ィ-、‐-、,,,-、
; \ェュ、,ソ''ミヾ三ソヽノ;i} ~,. ノヽ,,=''{ .《》,,/,, ,ゝiソX″i;;;/─--<,,,,r''″ \__>/;;i|
,,,_ 。・ ; `ヾィ;;;;;;;ヽ:::::,,,ノ;;;ト{ ,,,、 (ヾ二ソj ヾ,∠ ・ {ノi、゙} |! ::::|二二,rレ'' / ノメ=/;;;;i|
) ,) , , r‐\;;;;;;;;;:;:;:;フ';;::\ ヾ,} ゙ヽ,//=, ) ヾ(シ' |! :::{,,,/ ( ./ /<"〈,,,ノヽ
ノ , ハ\,,r-弋--‐';;;;;ミミ;;i, ,, ,, __ /《》.ノ /r=ソ .}!:::,,ィ'/ ,..::'::ソ r=‐、 ./---、,,,,_‐<
、,,,,r、 ヾノ i' ハ } ゙i,;;;三ミヾ_,,,,:゙i, /ゥ{ /,从゙} ,,,,r─‐=‐メ‐くi, ゙i,ヽ,_.:.:.:.:| 厶 ゙/.:.:.:/ _, \
)i;;;;;;゙i, ヽシ″|;;;彡;;;//::::゙i, ; ヾ,ノ/《》ノ.ノ''⌒丶、 ゙i, ゙i \\ `''ヽ乂 ゙'y'::::::::,レ´ ゙i
ヾ;;;;;ヾ, ・;' i⌒Y |i;;;;//ミヾ:;:;゙i, ,o・ ソ=くノ.__.._.:.::::::i;::::)::).:.:.:ヽ,、ヾ-、.:.:.: ̄ヘ::::/,,,_ /ヽ
ヽ ヾ=ソ i《》} .}/ // ::ミ;;;ヽ'',r''7 (|ヽ,('"'~ ̄¬,:j::ノ:::ノ::::::::::::i ヾ,-、::ヾ-、:::/ /″゙i,ァ'"-、く
》} ; '・ メく /:://:::::::::::ヾ;;;;(ii,,ノ、 i'.「|》\ ゙匕-'~::::::::::::::ト,::::゙i,::::ヾ..、 ''i, ヽ,/:,r'"⌒ヽ
/⌒ヽ iリ(《》゙./:://ii;;;;___;;;;ヽ;;,i;;:;:;:;゙i,. | l |/⌒レ=-、 ト、_  ̄"ノ:ヾ::::゙i,:::::゙i,:\::\‐'レ' )
ヾ《》,i _,, ヾ,〈::::ヾ、'iiiiiiiiiiiiiiii/i!__:::::::゙i,/i'::||.《》゙i| _ノ ノ,イ゙'''┬-┴-、,,i,.:.:゙i:::::::゙i,:::ヽ::::Yr''⌒ヽ/´
ヽ、|‐=、 ~ /i;;ッ,:::::ヽ=-、||||メ::ノiiiー-,ァ_i::i::| ヾメ|'~_,,ノ'´{.:.:.:.:.゙i,.:.:.:.:.:.:.:ヽ、::゙i,::::::゙i,::::゙i,:i, ゙ヽ,/=`、
r‐'"iヽ《》メ-、 〈iiii/:::ィェ-、,,i:::::/r='ト、|||||||iノ/::|‐''~// ̄イ ゙i,.:.:.:.:.\.:.:.:.:.::::::ヽ、ヾ''''゙'i,"'゙i,>‐´ .)
i,;;;;ノ  ̄(《》/iiiiii.:.:.{ヽ,Oュ>i_ヾノニ'''干‐':::ノ:;:;:;:;《/::{ \.:.:.:.:.:.:゙''ヽ‐--‐'ィ゙'''''─‐7'r''~゙'i, _,-‐'
゙'''く,,,_  ̄iii|||i.:.:.:.ヽ ゙~´ '''"{ィOュ7、,,__,/;;ヾ;;;;:/::::::::i, ゙''ヾ-、;;;;;;;;;rメ´ i ゙i, /
ヽ、:... ゙''、─-|ヽi|i::.:.:.:.:|/゙''ヽ、ゝ'''ノ/||iiィ,,,,r==,,ィ':::::::.: ゙:、 / ゙‐'"
ノノメ、,,,,,;:::::丶=;ヽk‐' i-゙'=-/,/´::/,,r''::,r‐''/ i|.:.:.:' ゙'ヽ、,,,__,,,,r-'/ 保守!!
ノノノノノ7廾フ>=i .゙/´ ̄,,フ‐ァ''":/:_/ i,' ,.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::. / ┃ 鳳
メノノ,ノ::///;;;;//::::::,r''":,r∧::::/ ̄/ ヽ、...:.:.:.:.:::::::::: / .┃
──--/::/:;:;:;:;//::./::/::ノノ:|‐' ./ >-、,,,,,,,,,,,r‐,''" ┃
、,,ィ:::::::/.:メ、─,//,/,,r‐'/::/ ,,-''´ / ┃ 翼
./、.:.:.//:::゙i,,,r-‐''''",,,,r-'"::::/ -‐''" ,,-'" ┃
::゙''ヾY ::::/ ,r‐'''"~:::::::::::::,ィi ,; ,,,-‐'" ┃
ヽ,:::i´ :/ /:::::::,,,r-‐'''"::::八 / ,,-‐'" ┃ 天
、::}:::| / /::::/´::::::::::::::,/゙i,ヽ、/ ,,,-‐'" / /
::}:i::::i:/ i'::::/:::::::,,,r‐'''".:.:.:.:.:.\ ゙''ヽ-ッ‐' ・ ・
/::::/ヽ, ヽ:::匕''´ .:.:.:.:.:.:.::::::::::::::゙''‐/ 翔
::::/ ;:::\ \,,゙''''ヽ‐‐ノ::::::::::::, ' /゙i,
;ハ:::::/ヽ:,,,  ̄,,/ \''''" /,,》::
277 :
スパス12:04/03/27 13:33 ID:fWAW2SeU
,-‐''''""''''ヽ、
/:::::::::::::::::::::::::::゙ヽ
/ |:::::::::::::::::::::::::::::::::::゙,
/ |:::::::::::::::::::::::::::::::::::_|
保守ですよ!!ドドリアさん!!デスビーム!!|\:::::::::::::::::::::,-'""/
_ /||\ ‐---‐''"/, /
/:::::::::::::ヽ、lヽo | /,/─ /ヘl /
,-── ̄\:::::::::::::::| /ヽ'/レoニ=‐/ ヽ
| / _,,,,,/、,,-‐─'''ヽ、 ヽ--- || /ヽ-、 / /, //、
| / / / \\ \,,,,,, \l二/ ,/ / ̄ ヽ:::::\
\ | / / //  ̄ |l /  ̄  ̄二ニ/ =| \:;ノ
\,,|丿‐''"ニ,,-‐''''''""'ヽヽ /、,,,,,-‐l" \ |ヽ/
\丿 / / /,-''''" ̄ /ノl / \ \____/__ ./ ||
\ノ __,ゝ‐'",--、-、 /'''""'''" / \__/::::::::::::::::::::::/'''‐/ | |
,,,,ノ ヽ‐‐'''"""二"_/ /、 |::::::::::::::::::/、 /| / /_
,,-‐'''"~ ,,, ゝ /ヽヽ |::::::::::::/,,/ ヽ /,‐'''\
,,,-‐'''''"~ ,,,-‐'''"// /、,,,、ヽ‐\ / | >‐"/ | |
‐''" ,,,,-‐''" /// ヽ|ヽ \ ,,,-‐''"~ / ヽ_ |
,,,,-‐'" / | ,.‐'''""~ ,-'"ゝ、 ─''''"
''~ / ヽ / / _,,,,/-‐、 \
/ / / /'''"''ヽ、 ヽ \──--,,,,,,
/ / / /\,,, ,,,ノヽ、 \ | l ゙''ヽ
,,,-‐‐/ ''ヽ _,,,,,/ / \‐''" \ \ | / |
/ ヽ ヽ / ,-─'''"~ ゙''ヽ 、 "'''' ゙゙'''/)
278 :
スパス12:04/03/27 13:59 ID:fWAW2SeU
271〜272はスルーでお願いします。
やっぱり初心者が無茶するモンじゃないな・・・・
279 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/27 19:40 ID:wOpyrI15
age
ダーヤスが襲ってきた。
ありすは僕らを逃がした。
相手は十分すぎるほどの凶器を持っている。
なぜ逃げてきたんだ?
やっぱりありすの言う通り、
自分たちに殺意がないからだろうな。
勝ち目がない。
でもみすみす逃げ回っていていいのかな?
ッパは悩んだ。今からいけば間に合って、ありすを助けられるかも
しれない。でも足手まといになるかもしれない。
ッパはおにぎりを見た。
俯いている。恐らく同じことを考えているのだろう。
「どうしよう。これからどうする?」
おにぎりが沈黙を破った。
「・・・わからない。わかんないよう!!」
ッパは頭が混乱した。狂気が芽生えたのかもしれない。
しかし、一瞬で思考は停止せざるを得なかった。
ドアの開く音、人の足跡、そして・・・
「誰か!!誰か居るかい?」
おにぎりは身構えた。その声の持ち主は山崎渉、その人だった。
「僕・・・居るよ・・・」
「!!!バ、バカ!!」
ッパが自分から名乗り出た。それをおにぎりが制したのは当然、
フェラーチョファミリーの一人である山崎を信じる方がおかしい。
「ッパ?俺だよ!山崎渉だよ!」
「てめえ!!やる気かワショーイ?!!」
おにぎりがどうにでもなれと言わんばかりに威嚇した。
「いや・・・違う。俺はもう誰も殺したくない。」
山崎はッパたちに辛うじて聞こえるくらいの声で言った。
「やる気がないなら仲間だよ。こっちに来なよ。」
おにぎりは何か言いたげだったがッパが制して言った。
「ありがとう・・・長居はしないけど、是非聞かせたいものがあるんだ。」
そう言うと山崎はポケットから何かを取り出した。山崎の私物のMDウォークマン
だった。それをッパに渡した。
「何だい?それは?」
おにぎりは山崎を少し警戒している。
「僕は考え事をしていた。結論にたどり着いた。それからぶらぶらしてたんだけど、
ちょっとあるものを拾ったんだ。」
山崎言い終えた後、メモ帳を取り出し、サインペンで何かを書いた。
『だからこの先、重要なことはこうやって会話する。いいね?』
ッパは内容を聞いて納得した。それはシナーの持っていた坂田師匠の声の
入ったMD。ウォークマンは爆発の影響でひびが入っていたが、中のMDは
無事だったのだ。
「僕は無抵抗主義を決め込む。死人さえ出なきゃ、このゲームは成り立たないからね。
じゃあ僕はいくよ。」
そういって山崎は身支度を調え始めた。
「ちょっとまってよ!何で?」
ッパは制したが、山崎は続けた。
「僕は僕なりの結論を出した。これを曲げたら自分自身の決意が無駄になるし、
僕は意志が弱いから・・・」
そこまで言って山崎はぼるじょあを思い出した。
「・・・暴走しちゃうかもしれない。」
「・・・わかった。絶対に生きてまた会おう!」
おにぎりはそういって立ち上がった。
「ありがとう・・・絶対死ぬなよ!」
そういうと山崎とおにぎりは堅い握手を交わした。それにッパも加わる。
(僕はみんなに坂田師匠の声を届けよう。みんな誰も殺さなければこのゲームは
確実に沈静化するはず。もう誰も殺さない、殺させない。)
山崎は決意を胸に秘め、おにぎり、ッパに別れを告げて去った。少し冷たい風が
頬をたたいた。
【女子8番】づーは【女子12番】・を助けた後、【女子9番】でぃを探し彷徨っていたが、
戦闘等の疲れや怪我もありさすがに疲れたので、C-2のとあるビルの中で身を休めていた。
づーは階で言えば2階の1番奥の部屋にいた。
中は意外と広く、そんなに荒れた様子もない。
「ふぅ・・・」
づーの体から緊張が取れていく。と同時に疲れがどっと押し寄せてくる。
づーはひとまず水分を補給した。疲れた体に少しばかり活力が漲ってくる。
しばらくづーは石のように動かなかったが、何を思いついたのか急に立ち上がり辺りを見回し始めた。
「カツッ」
づーの耳にはそんな音が聞こえた。この音はあきらかに「足音」だ。
づーはこの部屋に来るまでに見つけた鉄パイプをと金属バットを持ち、身を潜めた。
「カツッ」
まただ。あの音はだんだん近づいてくる。
10秒だろうか、20秒だろうか――
どれくらいいの時間だったかはわからなかったが、足音はすぐそこまで来ていた。
(もしこの部屋に入ってきたらこれで・・・・!)
そのときだった。
「ガチャリ」
「!!!!!!」
扉の開く音だ。誰か入ってきたのだろうか。
しかしそんな様子はない。
「幻聴かな・・・。たぶん私疲れてるんだ。」
そうだ。きっとそうに違いない。彼女はそう思っていた。
「もう寝てしまおう。でぃを探すのは明日にしよう。」
そういうと、づーは眠ってしまった。
隣の部屋に誰かがいるとも知らずに。
【残り21人】
282 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/29 08:07 ID:i8IFLwNb
age
こちらはAABR本部
「お、女子2番と女子7番がおもしろいことになってるぞ」
モララーはモニターを見つめていた。
「あれは、ありすとダーヤスです!」
兵士と思われる人物が言った。
「分かってるよ!」
モララーはうざったそうに言った。
「ダーヤスには活躍してもらわないと困るからな!せっかく特注した手裏剣とクナイがもったいないからな!」
モララーはまた、モニターを見つめた。
「まぁとにかく、この戦いは見がいがあるぞ・・・」
そのダーヤスとありすは、と言うと。
ッパ達が去ってからほとんど動いていなかった。
一見ダーヤスの方が強い武器を持っているように見えるが、クナイはリーチが短いし、手裏剣は素人のダーヤスが投げるのでは、簡単の避けられてしまう。
しかし、ありすの武器は殺傷能力が低い。が、リーチは長い、木の棒をもっている。カッターを使えば、人を殺すことも出来る。
そんな状況だった。
「一応確認しとくけど、あなたは私を殺す気よね?」
先に口を開いたのはありすだった。
「あなたが向かってくるなら、私もあなたを殺す。でも、あなたにはやる気がなくて、私を殺す気が無いなら見逃してあげてもいいわ。どうする?」
ありすが話し終わった。
「じゃぁ、私は最初に言った方でよろしく。」
ダーヤスは、さらっと言った。
「そう・・・残念・・・」
それだけ言うと、ありすはダーヤスに向かって走り出した。少し遅れて、ダーヤスもありすに向かって走り出した。
「くらぇ!」
ダーヤスはありすに向かって、手裏剣を投げた。
しかし、その手裏剣はソフトボール部所属のありすにとっては、遅すぎた。
「打ち落とす。」
ありすは、下から、持っていた木の棒を振り上げ、手裏剣を弾いた。
「な!?」
これは、ダーヤスにとって以外な事だった。
ダーヤスは「ちっ!」と舌打ちし、右手に持っていたクナイをポケットに入れ、手裏剣を二枚とりだした。
「フッ!」
ダーヤスはまた手裏剣を投げた。ただし、今回は二枚。
ありすは何も口に出さず、その場にしゃがんだ…ようにダーヤスには見えた。
ダーヤスは急いで目線を下げ、また手裏剣をなげようとしたが、その動作の途中で、何かに足をすくわれた。
(え?・・・何?)
ダーヤスはそのまま倒れた。何が何だかわからなかった。
あの時ありすは、しゃがんだのではなく、ズサーっと地面を滑ったのだ、そしてその勢いで木の棒で足を殴った。
だが、そんな事はどうでもよかった。早く立ち上がらなければ・・・。
ダーヤスは急いで立ち上がった。
しかし、立ち上がった時には、もう目の前に木の棒を振り上げたありすの姿があった。
「っ!!!」
ダーヤスは無意識にポケットからクナイを取り出した。
ありすが木の棒を振り下ろした。
ダーヤスはそれを、左腕で防御した。
「勝った!」
ダーヤスは無意識のそう呟いた。右手にクナイを持っていたからだ。
ダーヤスは、クナイでありすを切ろうとした。
それは、ありすが、拾って置いた、ありすの手裏剣を取り出し、ダーヤスを切ろうとしたのとほぼ同時だった。
ブシュッ
地面が赤く染まった。
その原因は、その場にいる二人、両方の血だった。
「痛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁいぃ!!!」
「つっ・・・!!」
ダーヤスの悲鳴が遠くまで響いた。
-この期は逃さない!-
ありすはダーヤスの手から、クナイを奪い取り、再度ダーヤスを切った。
ダーヤスは腕でガードしたが、外傷は防げなかった。
「くぅ!!!」
ダーヤスも手裏剣を投げてきた。
流石にこの至近距離では避けようが無い。手裏剣はそのまま、ありすの肩に刺さった。
「くそ!」
ありすは、ダーヤスから飛び退いた。
ダーヤスも追おうとはしなかった。
ありすは、肩に刺さっている、手裏剣を抜いた。
「一発で決めるつもりだったのに。」
【残り21人】
285 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/30 18:23 ID:dFtVDnor
age
286 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/31 11:53 ID:T69lISni
age
287 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/31 13:57 ID:suVInCFf
山崎とおにぎり&ッパは筆談し続けた。
”もう、僕は誰にも死んで欲しくない。これは本心だ。
ありすが、僕たちのことをかばってくれた。
手伝ってくれないかワショーイ?
YESorNO”
そう書いた後,山崎はしばらく考え込んだ。
”YESorNO”とは、どちらか丸をしろ、という意味であろう。
果たして,このままYESに書いて,最後に裏切るか、
それとも、今殺すか。
さらにおにぎりはかいた。
”すごいことを見つけたんだ。冗談でもいいから書いてくれ。
僕はきみを信じている。例えきみが裏切ってもきみは優しい
んだって信じている。
それに、脱出する方法がわかったかも知れない
ほかの連中にうまく連絡できる方法がある。”
山崎は”脱出?”とかいた。
おにぎりはYESに指を指した。
丸をかけ。
山崎はどうでも良くなってYESにまるを書いた。
288 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/31 21:55 ID:PyherdBN
___
/ \ ________
/ ∧ ∧ \ /276-277
| ・ ・ | 氏ねよおめーら 荒らすなよ氏ね
| )●( | \________
\ ー ノ
\____/
【男子16番】八頭身は、なんとかC-4の中のある木陰に辿り着いた。
「・・・っつ」
足に刺さった矢を抜こうとするがそれは出来そうもなかった。
矢は足を貫通していたのだ。
矢は八頭身のふくらはぎの辺りを貫いていた。
「痛いよぉ・・・」
――痛い――
「死ぬ」ときもやっぱり痛いのかな・・・
僕が殺してしまった人たちもこんな思いをしたのかな・・・
そんな後悔の念ばかりが浮かんでそして消えた。
「うぅ・・・」
またあの痛みとともに現実へと引き戻される。
八頭身はとりあえず怪我の治療をしようとした。
といっても矢の上から包帯を巻くわけにはいかないので、
八頭身はD-7の廃屋で見つけた10徳ナイフで矢の先端と後ろの部分を切り、
その上から包帯を巻いた。
「ふぅ・・・。これで少しはらくになったな・・・」
一通り治療を終えるとまたあのことが思い出されてきた。
――なんで殺してしまったんだ――
「いまさら悔やんでも仕方がないよな・・・」
――違う、お前は後悔している――
「あのときは・・・多分興奮してたんだ。だから・・・」
――お前は人をころしたんだ――
「違う、僕は殺してない。あれはただ・・・」
――そんなに後悔しているなら罪を償えよ――
「しょうがなかったんだ!」
自分に言い聞かせる。確かに人を殺してしまった。後悔もしてる。
だからこそ、僕が殺してしまった人の分までいきなきゃいけないんだ。
僕たちは生き残ってこのことを全世界に伝えるんだ。
そのためにもこんな大会をぶっ壊してやる。
八頭身は心に固く誓った。
【残り21人】
豚が転校してきた
291 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/01 11:25 ID:6/aA87Me
age
292 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/01 11:54 ID:6nsE53gp
i゙ ,.‐'''ニテラ''''ン‐-..,,, __ ゝ l
l / i,/,,‐=、_‐'''""フ,.''"ヽ、 l
! i /io゚:::::l ヽ ''" 、/゚';、 /
,.r,.=┤ l ! ゞ;;;ソ ,rミ./ヽ/ヽ,.'
/,.ヘ_ノ.i l l、〃" , /リ,ノ'",'彡-'
/,- _/i'"'、 !、: !ヽ、 r'''フ 〃''"ノ,イ / ここ通らないと
/ /^)/,.'゙| ゙、│ヽi __ハ‐---‐‐‐'"ノヽl/ 行けないので…
r" ,'ヾ/,.' ハ ,.、l. ヽ | -‐;ノ,..-l/./ ヽ
ゝ"// l ,../..i」-、-‐、_/'i ‐''"| "/
ヾ'‐、" l r' ,'j゙ /^}.l ! /
>>218の続き
ギコは身体を起こした。部屋の中は真っ暗だった。
「あ、ギコ君。水、飲む?」
しぃはギコに水ボトルを手渡した。
喉は渇いていたが、ゲームが長引いてくれば水は貴重になってくる。一口だけ飲んだ。
「今、何時だ?」
「8時ちょっと前」ネーノが答える。寝ている間に、放送を一回聞き逃した。
「また、誰か死んだか?」
ネーノが頷いた。「でも禁止エリアの方は、大丈夫だ」
ベッドから降り、机の上に置かれていた名簿や地図を月明かりで見る。きれいな筆跡で書き込みがしてあった。ギコはため息をついた。クラスの人数が半分になってしまった。
簡単な動作でも、身体のあちこちが激しく痛む。しかめた顔を見たのか、しぃが言った。
「大ケガしてるんだから、あんまり動かないで寝てた方がいいよ。ネーノ君もいるし、大丈夫」
――ネーノ君もいるし、か。しぃを優勝させてやるって決意したわりには、情けないことになっちまったな。
「もう起きてても大丈夫だ」
大ケガだが命に別状はない。いつまでもケガ人しているわけにはいかない。
「あの、ベッド使ってもいいかな、ギコ君」
「……え」
「ごめん、私すごく疲れちゃって……少しだけ、眠りたいんだけど、だめかな」
「あ、ああ、疲れてんだったら寝ろよ」
そうだ、俺が「起きてても大丈夫」って言ったんだよな。腐りかけた床で寝るわけにはいかないし、な。血を流したせいか頭がぼうっとしている。何か勘違いをしたようだ。
合唱部に所属しているしぃには、あまり体力はないのだろう。ベッドに横たわると、すぐに寝息をたてはじめた。
さっきから黙っていたネーノが、くくっと笑った。
「なんだよ」ネーノの隣に座る。
「いや、なんでもない」
「あのさ」
「何?」笑いの残った声でネーノは訊いた。
「俺、お前らがキスしてるとこ、見てたぞ」
「……あ、ぁ」
「俺さ、起きてたんだ。で、そのあと寝ちゃったんだけどさ。さっきまで。だいたいな、すぐ横で人が寝てんのにキスするか普通」
ネーノは黙っていた。
「しぃもやたら積極的だよなぁ。『目を逸らさずに私を見て』とか言っちゃって」
「……俺は、」
「だから、ネーノに二つ頼みがある」
ベッドの上、身体を横たえている間にずっと考えていたことだった。この身体ではしぃを最後まで守りきるはできないと思う。
そして、しぃは、姉の彼氏だったネーノに特別な感情を持っている。俺ではなくネーノに。
――そして。俺は今まで彼女に何をしてやっただろう。いじめられている彼女を見て、俺は何かしてやっただろうか?
何もしていない。不良連中ともそうでない連中とも仲良く付き合うために、いじめを止めようとしなかったんじゃなかったか?視界から外そうとしていたんじゃなかったか?
彼女を好きだったくせに、彼女のために何もしていない。
もし、最後に三人だけ生き残ったら、俺はどんな行動をとるだろう。もちろん俺自身は自殺したって構わないのだが、ネーノはどうするのだろう。なんにしろそれは、しぃに無駄な悲しみを負わせることになるのではないだろうか。
俺には――
「一つは、しぃを、最後まで守ってほしいこと」
一呼吸置いてネーノが答えた。「わかった。約束する」
「もう一つは、俺の気持ちを――俺がしぃを好きだったことを、伝えてほしいこと。ただし、俺が死んだあとで」
「――わかった」
「じゃ、俺は行く」ギコは立ち上がった。
「銃持ってけよ。何も持たないで出て行ったんじゃ、彼女も心配するんじゃネーノ?」
「あぁ。ありがとな」
ギコの足音が小さくなっていく。窓の外には人影ひとつ見えない。
止めるべきだっただろうか。考えてももう遅い。
とにかくしぃを守り抜くためには、他の連中を殺していかなければならない。ある程度はやる気にならなければ。今までのように。
【残り21人】
ぽつんと立っている廃屋から出たギコ(男子七番)は、北へと進んだ。
地図によると、暫く経ってから草に覆われた場所に出る。隠れる場所としては好都合だ。
しぃ(女子六番)はネーノ(男子十五番)となら頑張れるだろう。なんてったって相思相愛。お似合いのカップル。
ネーノはマシンガンか何か(どうやらイマノウチ(男子四番)が持っていたやつに見えた)を持っていたし、それにあいつにしぃを任せておけば安心な気がする。
荒れ地が広がるD-4を抜け、どうやらD-3の境目辺りに入った様子だった。撃たれた左脚を引きずるようにして、ギコはゆっくりと歩いた。
ベレッタを持った右腕の時計を見る。十時十三分。気絶してから十時間くらいもあの廃屋でダウンしていたことになる。情けない。
息を吸うごとに左肩と右脇腹の傷は痛むし、左腕も弾を食らっている。間違いなく重傷患者なのだ。
血を失ったせいか、心なしか貧血状態の気もする。
傷を負った場所にはデイパックに入っている救急セット(といっても包帯と消毒液だけだ)によって治療がされていたようだった。
でたらめだったが、ネーノかしぃがやってくれたのだろう。あのまま倒れていたら間違いなく死んでいたので、そのことは感謝するべきだろう。
茂みに覆われた場所を見つけた。歩いただけで荒くなる息をはずませ、そこに腰を降ろした。やっぱり体力が不足しているようだった。
デイパックからパンを取りだし、右手に持つ。左手は痛くて使えそうにない。
パンをかじりながら、ギコは今後のことを考えた。
優勝は眼中にはない。離れようとも、自分はしぃを優勝させるつもりだ。
ならばどうする。しぃの剣になり、生徒を殺しまわるか?
―――いや。ベレッタは残弾がないに等しいし、この傷からして剣どころか錆びた剣にもなれないのは目に見えている。
じゃあ、どうしようか?自殺でもするか?
ギコは目を閉じた。
いろんなことが目に浮かぶ。
近所の友達たちと遊びまわった幼稚園。
サッカーして遊んだ小学校低学年。
まだ無邪気に笑えた小学校高学年。
少しずつ不良という道へ進んでいった中学校の頃。そして今。
いつもしぃがいた。
笑っていた。
しぃの心はネーノに惹かれているのだ。およそ十年間一緒にいた俺よりも、ネーノの方に。
そりゃ恨めしいとかそういう感じもするが、しぃの思いに口は出せない。しぃがネーノを好きなら、俺は手を引くだけだ。
だが俺はネーノに言った。「俺が死んだらしぃに好きだったことを伝えてくれ」と。
俺の存在をしぃの心に残しておきたかった。たとえ叶わない思いだとしても、無駄だと分かっていても。
話もできなかった。だけど俺にとっては、しぃの顔が見れただけでもよかった。そして、ネーノへの約束。それだけやれば、後悔はもうない。
あとはこれからどうするかが問題なのだ。
【残り21人】
ギコは歩くのが疲れてきた。
「休憩するか・・・。」
・・・・誰かいる。
背が高い・・八頭身のようだ。
こちらに気付いてない。
彼には「心優しい」というイメージが張り付いる。
危害を加えることはないだろうと思い、話し掛けようかと近づく。
彼は眼を疑った。
夥しい返り血。
彼が手に持つスパス12にも血は付いていた。
八頭身もゲームに乗ってしまったのか?
それとも>>1さんの死を聞いて狂ってしまったのか?
―――――ガサ・・・―――――
しまった!気付かれたか?
・・・・撃たれるッ・・!
俺は思わず身構えた。
しかし弾は飛んでこない。
銃口も下を向いている。
「一緒にこの大会を壊さない?」
思惑と違う。
「あ・・・あぁ。」
返事をした束の間・・・八頭身は銃をこちらに向けた。
「・・・!!!!」
「これ、もってて。」
「ぉ・・おぅ。」
怖がりすぎだな・・・。
この大会で小心者になっちまったか?
「ところでなんで俺にこんなもの持たせるんだ?」
俺は思っていたことをそのまま口に出した。
八頭身は少々困惑して答えた。
「また・・・・誰かを撃っちゃうかもしれないから・・・。」
八頭身が撃った?
信じ難い。
お人好しのコイツが・・・。
俺は返事をしなかった。
このゲームは人を悪魔にする・・・。
そもそも八頭身と俺の目的とは違う。
八頭身は皆を救いたい。
俺は皆を殺したい。
こんなに深手を負ってちゃ俺が殺せるせいぜい殺せるのは2,3人だろう。
残りはまだ半分ぐらいいるから一人では無理だ・・・。
とりあえず八頭身と組んで襲ってくる奴を殺そう。
八頭身も一緒に大会を潰そうとしてくれる奴でなければ協力してくれるかもしれない。
そう思った・・・・それが間違いだったようだ・・・。
八頭身はおぶってくれたが・・・。
「おい!ちょっと待て!東に行くのか!?」
「うん。さっき見回したけど北には人、いなかったしね。」
組むんじゃなかったか・・?
ギコは早くもこう思い始めた。
八頭身と手を組んでまもなく、先程のイマノウチが現れた。
「ギコガ イル!フクシュウ スルナラ イマノウチ!」
そう叫んだイマノウチは先程のオイルライターとソーダのビンで作った即席火炎瓶を投げてきた。
八頭身は手負いのギコを抱え、自慢の俊足を生かし素早くよける。
ギコがネーノに渡してもらったマシンガンでイマノウチの足を撃つ。
「グッ・・・!」
イマノウチが崩れ落ちた。
「最期だ・・・!」
ギコが銃を構えたその時、八頭身が銃を奪う。
「殺しちゃダメだよ!」
血塗れの姿で言われても説得力がないがマシンガンが帰ってこないと困る。
「あぁ・・。」
気のない返事をした。
「ナンデタスケタ・・・!?」
イマノウチの言葉にマシンガンを持った八頭身が目線を合わせて言った。
「3人で仲間を見つけて大会を潰すんだ!」
ガシャン!
白目をむいた八頭身の頭からは血。
周りには割れた一升瓶
「セイコウスルワケ ネーダロ!」
イマノウチは足を引きずりその場を去ろうとした。
――八頭身は気絶している・・・まさに「イマノウチ」だな。
ギコは八頭身から手渡されたスパス12でイマノウチの脳天目掛けて撃った。
・・・・・・当たらない。
相手が足を引きずっているせいか僅かに銃弾が逸れた。
「オマエ タイカイヲツブスンジャ ネーノカ!」
「生憎興味がないな・・・。」
ポケットから煙草を出そうとしたが最後にネーノが無駄にしたせいで無いのを思い出して諦める。
しかし相手は動けまいと油断していたのがいけなかった。
イマノウチは八頭身からマシンガンを奪ってこちらに向けていた。
【残り21人】
298 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/01 20:30 ID:6/aA87Me
age
299 :
(・∀・):04/04/01 20:42 ID:CsaZyFUv
∩
| |
.| |
┌──────────────┐
│ ::::::::::::::::::::::::::;ll;::::::::;ll;:::::llll::::::::::::::::::::::│ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
│ :::::::::::::::::::::::::;lllllllllllllllll;:;;llll::::::::::::::::::::::│< フライングぎみに300げと
│ ::::::::::::::::::::::;lllllllllllllllllllllllll:::::::::::::::::::::::::│ \
│ :::::::::::::::::;;lll:::lllllllllllllllllll:::::::::::::::::::::::::::::│  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
├──────────────┤
│ __| | .| | │
│ \  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ │
│ ||\ ヽ. |
│ ||\|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ . |
│ || || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| . |
◎. || ||.. ◎
300 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/01 20:50 ID:OWtBURLZ
俺たちに勝てると思ってんのかぁ〜?
/ ̄jjjj _
/ タヽ∧_∧ {!!! _ ヽ、 ⊂_ヽ、 ⊂_ヽ、
( ̄) ,/ ノ| |( ´Д` ) ~ `、 \ \\ .∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
|| ∧_`、 `ヽ. ∧_∧ , ‐'`/ ∧_∧ ヽ ( ´Д`)( ´Д` )(´Д` )
ヽ \( ´Д`..\ `ヽ( ´Д` )" .ノ ( ´Д / /⌒つノ ⌒ヽ ⌒\ノ ⌒ヽ
\ ∧_∧.._ヽ. ``Y" r 'ノ ∧_∧ ∧_∧/ ./ へ \ Д. \ へ \
( ´Д` )( ..) .. `、 / (´Д`;)( ´Д` ) / / \ ∩ \ \/ \\
/ .. ヽ ̄ `、.` -‐´;`ー イ ∩_ ) ( / \(⌒)∧_∧ | | \__つ \_つ
| .∧__(_) ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧\_/ ( ´Д` )// レ ノ
| | ( ´Д` )__( ´Д` )__( ´Д` )( ´Д`..)( ´Д` )/ /∧_∧_∧∧_∧ /つ
| | (/ ヽ / \ ( / _\ │ ( ´Д` )Д`( ´Д` ) //
..∧_/| | | | ̄| | ∧_∧| | ⌒ヽ.∧_∧.| |∧ (⌒) \_/ (⌒) /
( ´Д` | | ヽヽ| ∧_∧ | ( ´Д` ) |. y .( ´Д` )| | ) / , ..//.. ヽ  ̄/
ヽ | |∧_∧ヽ( ´Д.∧_∧ (___) . / / /⌒ヽ ( ( ∬( \ノ i /
/ | ( ´Д` )∪ .( ´Д` ) /⊂__//⌒/⌒/ / |__⊂===⊃_ /
| | (_/ ヽ | |_/ (⌒\___/ / | |_|_/ / | ..ヽ....:::::::ノ \
ヽ ヽ .| \\| | .~\ . ノ .ノ. ⊂__/ |\ ~~~~~ \
(_)__| |\二二⌒) ̄ ̄ ̄ ̄ \\._| | |___/\| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
|\ .| ヽ\..|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||.\|| / / ( . ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \
| (⌒)、___ || ̄ ̄ ∧_∧ ̄ || ..||.(_(_ / ̄ ̄ ̄.|| \
. //\ \i ⌒ヾ( ´Д` ) ||.. || \/||∧_∧ ∧_∧_∧_∧\_
| |∧_∧  ̄ ̄ ̄| | i\\ ∧_∧ ∧_∧ | ."( ´Д`)(´Д` ) ( ´Д`)
 ̄ ̄ ̄ ( ´Д`) ノ / \_ ( ´Д`)、 ( ´Д` )| ∧_∧ ____ノ⌒ヽ
-∧_∧\___ ∧_∧ ( ̄) \\ /⌒)(⌒\ (二二(´Д` )
..( ´Д` )____(⌒) ( ´Д`)../ / \\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (二二二_ノ───\
/ ⌒\ \ .../⌒ ̄ ⌒ヽ\ \_.∧_∧∪、 .∧_∧_∩____ ∧_/|,.\
| .\ \ \ / /し /| |::::::\ \(´Д` )::::゙( ´Д` ):| |:::::∧_∧(二二( ´Д`/ \
| |\ v' ))../ く_| |:::::∧_∧ /つ ヽ:/⌒ ヽ l. l:::( ´Д` ..)::(二二二_| ,. i\
| /⌒ー'‖(∵(___⊂ ⌒ヽ( ´Д` )| | /| |___.| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~
| / イ ||  ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ∧_∧| |
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\_/ (__つ i⌒──┴─── ⌒ヽ ) (ノ
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ナ ゝ ナ ゝ / 十_" ー;=‐ |! |!
cト cト /^、_ノ | 、.__ つ (.__  ̄ ̄ ̄ ̄ ・ ・
,. -─- 、._ ,. -─v─- 、._ _,..,,..,、.,、,,
,. ‐'´ `‐、 __, ‐'´ ヽ,/´.,:;:;:;:;:;:;:;:;;;;;`;.、
/ ヽ、_/)ノ ≦ /.,:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;;;;;,.`、
/ / ̄~`'''‐- 、.._ ノ ≦ /.,:;:;:;:;:、:;:;:;:;:;:;〃彡;;;;;;;,.ヽ
i. /  ̄l 7 1 イ/l/|ヘ ヽヘ l.,:;:ッvソヾゞ;:ソ'"´ぐ;;;;;;;;;;;-、;.
,!ヘ. / ‐- 、._ u |/ l |/ ! ! | ヾ ヾ ヽ、;;'"`" ミミ;;;;;;;/;'ヘヾ,.
. |〃、!ミ: -─ゝ、 __ .l レ二ヽ、 、__∠´_{! u ,. lヾ、;;;!ヾ;ヲ!1
!_ヒ; L(.:)_ `ー'"〈:)_,` / riヽ_(:)_i '_(:)_/! _,,;='_"`、, `っ} !
/`゙i u ´ ヽ ! !{ ,! ` {=;;;、、_ゝk'.ゞ';`'´ '´|
_/:::::::! ,,..ゝ! ゙! ヽ ' .゙}^'ソl '.、´ 、 , 'u |/
_,,. -‐ヘ::::::::::::::ヽ、 r'´~`''‐、 / !、 ‐=ニ⊃ / ! 〈 , ヘ /´
! \::::::::::::::ヽ `ー─ ' / ヽ ‐- / 、^,.j,‐_、 ,ノ /ヽ
i、 \:::::::::::::::..、 ~" / ヽ.___,./ // ヽΞ‐'´`ヽ,ノ / / ゝ
.! \ `‐、. `ー;--'´ //イ;;::::: //〃 ヽ、__,. ノ / / / \
ヽ \ \ / / /i:::::. // ー-‐' / /
302 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/02 12:50 ID:0OqRS7eO
age
303 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/02 17:53 ID:WA3EHhkz
生徒名簿
AABR担当官:モララー
【男子1番】アサピー .【女子1番】あめねこ ―死亡―
【男子2番】アヒャ 【女子2番】ありす
【男子3番】
>>1さん ―死亡― 【女子3番】ぁゃなみレイ
【男子4番】イマノウチ 【女子4番】ガナー
【男子5番】ウワァァァン .【女子5番】ザーボン ―死亡―
【男子6番】おにぎり 【女子6番】しぃ
【男子7番】ギコ 【女子7番】ダヤース
【男子8番】キユ ―死亡― .【女子8番】づー
【男子9番】さいたま右 ―死亡― 【女子9番】でぃ
【男子10番】坂田師匠 ―死亡― .【女子10番】ニラ茶娘 ―死亡―
【男子11番】ショボーン 【女子11番】ねここ ―死亡―
【男子12番】シナー ―死亡― .【女子12番】・
【男子13番】ッパ .【女子13番】みるまら ―死亡―
【男子14番】ドクオ ―死亡― .【女子14番】モラリ ―死亡―
【男子15番】ネーノ 【女子15番】モナエ ―死亡―
【男子16番】八頭身 【女子16番】モネー ―死亡―
【男子17番】フェラーチョ .【女子17番】モナカ ―死亡―
【男子18番】ぼるじょあ ―死亡― 【女子18番】モニカ
【男子19番】メモラー ―死亡― 【女子19番】リル子 ―死亡―
【男子20番】モナー 【女子20番】ルルカ
【男子21番】山崎 渉 【女子21番】レモナ
そもそも八頭身と俺の目的とは違う。
八頭身は皆を救いたい。
俺は皆を殺したい。
こんなに深手を負ってちゃ俺が殺せるせいぜい殺せるのは2,3人だろう。
残りはまだ半分ぐらいいるから一人では無理だ・・・。
とりあえず八頭身と組んで襲ってくる奴を殺そう。
八頭身も一緒に大会を潰そうとしてくれる奴でなければ協力してくれるかもしれない。
そう思った・・・・それが間違いだったようだ・・・。
八頭身はおぶってくれたが・・・。
「おい!ちょっと待て!東に行くのか!?」
「うん。さっき見回したけど北には人、いなかったしね。」
組むんじゃなかったか・・?
ギコは早くもこう思い始めた。
八頭身と手を組んでまもなく、先程のイマノウチが現れた。
「ギコガ イル!フクシュウ スルナラ イマノウチ!」
そう叫んだイマノウチは先程のオイルライターとソーダのビンで作った即席火炎瓶を投げてきた。
八頭身は手負いのギコを抱え、自慢の俊足を生かし素早くよける。
ギコがネーノに渡してもらったベレッタでイマノウチの足を撃つ。
「グッ・・・!」
イマノウチが崩れ落ちた。
「最期だ・・・!」
ギコが銃を構えたその時、八頭身がそれを奪う。
「殺しちゃダメだよ!」
血塗れの姿で言われても説得力がないがベレッタが帰ってこないと困る。
「あぁ・・。」
気のない返事をした。
「ナンデタスケタ・・・!?」
イマノウチの言葉にベレッタを持った八頭身が目線を合わせて言った。
「3人で仲間を見つけて大会を潰すんだ!」
ガシャン!
白目をむいた八頭身の頭から滴る血。
周りには割れた一升瓶。
「セイコウスルワケネーダロ!」
イマノウチは足を引きずりその場を去ろうとした。
――八頭身は気絶している・・・まさに「イマノウチ」だな。
ギコは八頭身から手渡されたスパス12でイマノウチの脳天目掛けて撃った。
・・・・・・当たらない。
相手が足を引きずっているせいか僅かに銃弾が逸れた。
「オマエ・・・タイカイヲツブスンジャネーノカ!」
「生憎、興味がないな・・・。」
ポケットから煙草を出そうとしたが最後にネーノが無駄にしたせいで無いのを思い出して諦める。
しかし相手は動けまいと油断していたのがいけなかった。
イマノウチは八頭身に飛びつき、ベレッタを奪ってこちらに向けていた。
【残り21人】
305 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/02 19:05 ID:v5fXAoFU
復習ダ
イマノウチがトリガーに指をかけた。
後は引くだけ。イマノウチダ
トリガーを引くシーンをギコは見た
もうだめだ。終わった。ネーノ、しぃに伝えてくれ
ギコは目をつむった
覚悟を決めた
カチッカチッ
ベレッタから弾がでない。
イマノウチダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
アアア!!!!!!!!
カチッカチッ
ドー―――――――――――――――――――――――ン!!!!!!
終わった
後はまかせたよ
おれはここで終わった
痛みが無い
終わったからだな
目を開けるとイマノウチがの右目に穴が開いている
奇跡だ
イマノウチは撃てない撃てないと思って銃口を自分に
向けて撃てないから引いてしまった
奇跡的に一発分
弾をあいつが弾を入れる場所を回転させてしまった
しかし、ギコは永遠にそれにきづくことは無かった
ただ奇跡がおこった
そう思った
【残り20人】
306 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/02 19:07 ID:B3e+q8hg
307 :
あぁ:04/04/02 19:07 ID:bxTN+BaC
バトルロワイヤルに巻き込まれて私も逝ってきます。
308 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/02 19:53 ID:0OqRS7eO
age
保守
310 :
>>305訂正:04/04/03 13:07 ID:savT8Yo0
復習スルナルイマノウチ
イマノウチがトリガーに指をかけた。
後ハ引クダケ。イマノウチダ
手にはスパス。しかし、弾は詰め直さなければならない。詰め直しても、イマノウ
チはもうベレッタの引き金に指がかかっている。あのベレッタにはあと一発入って
いる
だから、もう負けだ。
終わった。ネーノ、しぃに伝えてくれ
ギコは最後の賭けに急いでスパスに弾を詰め直した。
覚悟を決めた
トリガーを引くシーンをギコは見た
同時にスパスをかまえた。
しかし、弾を詰め直してからでは遅すぎた。
イマノウチはもう引いてしまったからである
「ゴルあああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
ギコはもう終わったと思ってめをつむった。
カチッカチッ
ベレッタから弾がでない。詰まった?
「イマノウチダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
アアア!!!!!!!!」
カチッカチッ
何度もイマノウチは引き金を引く。
ギコはスパスの引き金を目をつむったままスパスを引こうとした
ドー―――――――――――――――――――――――ン!!!!!!
ベレッタから轟音がした。
ギコは思った
終わった
負けた
後は任せたぞ、ネーノ
【残り20人】
311 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/03 13:22 ID:savT8Yo0
あの一匹狼、ギコはここで死んだ。
イマノウチにやられた。
ギコは撃たれてから死ぬ寸前まで、と、そう思っていた
目を開けると、イマノウチの右目に穴が開いている。
何があったんだ?
おれは撃ってないぞ。
イマノウチは弾がでないでないと思い、銃口を覗こうとしていた。
しかし、汗だくとなった指で銃口を自分に向けたまま滑らせてしまい、
撃ってしまった。
ギコはその事実を知ることはなかった。
ただ、残り人数が一人減り、しいの優勝に近づいた
そう思った
「ウッウウ」
八頭身が気が付いた。
【残り20人】
スチャ
∧、 ∧_∧ ∧_ スチャ
/⌒ヽ\ ∧_∧ (V(┃┃)V)//~⌒ヽ
|( ● )| i\V(┃┃)V)/ ハ/i |( ● )| <俺らの名はブー太だ
\_ノ ^i |ハ \ ヽ | i^ ゝ_ノ
|_|,-''iつl/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ l⊂i''-,|_|
[__|_|/〉 ._/ FMV /__〈\|_|__]
[ニニ〉\/____/ 〈二二]
└―' '─┘
ナ ゝ ナ ゝ / 十_" ー;=‐ |! |!
cト cト /^、_ノ | 、.__ つ (.__  ̄ ̄ ̄ ̄ ・ ・
,. -─- 、._ ,. -─v─- 、._ _
,. ‐'´ `‐、 __, ‐'´ ヽ, ‐''´~ `´ ̄`‐、
/ ヽ、_/)ノ ≦ ヽ‐'´ `‐、
/ / ̄~`'''‐- 、.._ ノ ≦ ≦ ヽ
i. /  ̄l 7 1 イ/l/|ヘ ヽヘ ≦ , ,ヘ 、 i
,!ヘ. / ‐- 、._ u |/ l |/ ! ! | ヾ ヾ ヽ_、l イ/l/|/ヽlヘト、 │
. |〃、!ミ: -─ゝ、 __ .l レ二ヽ、 、__∠´_ |/ | ! | | ヾ ヾヘト、 l
!_ヒ; L(.:)_ `ー'"〈:)_,` / riヽ_(:)_i '_(:)_/ ! ‐;-、 、__,._-─‐ヽ. ,.-'、
/`゙i u ´ ヽ ! !{ ,! ` ( } ' (:)〉 ´(.:)`i |//ニ !
_/:::::::! ,,..ゝ! ̄ ̄ ̄ ̄ ゙! ヽ ' .゙! 7  ̄ | トy'/
_,,. -‐ヘ::::::::::::::ヽ、 r'´~`''‐、 / u !、 ‐=ニ⊃ /! `ヽ" u ;-‐i´
! \::::::::::::::ヽ `ー─ ' / u ヽ ‐- / ヽ ` ̄二) /ヽト、
i、 \:::::::::::::::..、 ~" /::: (●) (●) ヽ.___,./ //ヽ、 ー / ゝ
.! \ `‐、. `ー;--'´::::::::::::: \___/ /イ;;::::: //〃 \ __, ‐' / / \
ヽ \ \ / ヽ:::::::::::::::::::. \/ /i:::::. //  ̄ i::::: / /
∧
[ ついにブー太がここまで発展するとは流石だな! ]
あげますよ
>>284の修正
保管サイトさんでその場を離れたことになってたのではっきりそっちにしようと、
ありすはダーヤスの手から、クナイを奪い取り、再度ダーヤスを切った。
ダーヤスは腕でガードしたが、外傷は防げなかった。
「くぅ!!!」
ダーヤスも手裏剣を投げてきた。
流石にこの至近距離では避けようが無い。手裏剣はそのまま、ありすの肩に刺さった。
「くそ!」
ありすは、ダーヤスから飛び退き、ダーヤスがいる方向とは逆方向に走った。
いや、逃げたと言ったほうがいい。
クナイで切られた横腹を抑えながら走った。
ありすはその途中、
「一発で決めるつもりだったのに・・・」
と呟いた。
【残り21人】
315 :
かつお:04/04/03 20:04 ID:2vwG0w7F
こんな所に名スレ発見
316 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/03 20:53 ID:Wzx72Ck7
___
/ \ ________
/ ∧ ∧ \ /板違いだろ
| ・ ・ | 長編に立てろ おめー
| )●( | \________
\ ー ノ
\____/
「ううう・・・」
【男子16番】八頭身はようやく目を覚ました。
しかし、彼にとってはもう少し眠っていたほうが良かったかもしれない。
彼の目の前には【男子4番】イマノウチの死体。
そして片手に彼のスパスを持ち立っている【男子7番】ギコ――
彼にはなにが起きたのかわからなかった。
イマノウチに殴られて気絶して。
しかし、目を覚ました時にはイマノウチは死んでいた。
「ギコ・・・、まさか君が殺ったのか?」
八頭身は恐る恐る聞いてみた。
「違う!俺じゃない!」
ギコは必死に弁明する。
そう、確かに俺じゃない。
「もうやられる」と思った瞬間目を閉じ、開けたらやつは死んでいた。
そうだ、俺じゃない。
「実は俺にも何が起こったかわからな・・・」
「うそだ!」
八頭身がギコの言葉を制した。
「君が・・・君がイマノウチ君を殺したんだ!」
八頭身は叫んだ。
こうでもしないと、またどうにかなってしまいそうだったからだ。
無理もない。戦いを止めようとして気絶して。
起きたら目の前には死体・血・血・ち・チ・チ・ち・血・チ・血・・・
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
八頭身の精神は混乱していた。
「おい!待てよ、ゴルァ!」
ギコは叫んだが八頭身はデイパックを抱えどこかへ消えてしまった。
「ちっ」
後にはイマノウチの死体とギコだけが取り残された。
空にはもう満月が輝いていた。
【残り20人】
また遠くで一続きの銃声が聞こえた。今度は誰が死んだのだろう。
ぼうっと過ごしているうちに夜中になってしまった。・(女子12番)は泣き疲れて眠ってしまったらしい。アサピー(男子1番)は腹が減ったので支給されたパンを食べようと、ディパックを開けた。
坂田師匠に取られたのは武器(ただの粉だった。毒薬のようだったが)だけだったので、食料や地図などは残っていた。おいしくなさそうなパンを取り出し、口元へ持っていく。
手を止めた。
――首を吊って死ぬんだったら、カラダの中をからっぽにしておくべきじゃないだろうか。汚いのは嫌だし。
食べるのはやめた。あぁ、・がここにいなかったらさっさと死んでやるのに。もし俺が首を吊っているのを・が見たらどれほどのショックを受けるだろう。彼女をどうにかしないと自殺ができない。
穏やかな寝顔を眺めながら、アサピーはため息をついた。
死ぬんだったら苦しまずに死にたい、よな。首吊りは頸動脈を閉塞させることができれば簡単に、苦しまずに、眠りに落ちていくように死ねるらしい。だがうまくいかず気管を締めつけてしまうと、何分も苦しい状態が続くと聞いた。
ああ。ダラダラと時間が過ぎていってしまう。もう終わりにしたい。
・の穏やかな寝顔を見た。すーすーと静かな寝息をたてている。
>>1さんの夢を見ているのだろうか、口元には笑みすら浮かべている。
夢の中で・は、1さんの死を忘れているのかもしれない。目覚めたとき絶望するだろう、――
>>1さんはもうこの世に居ないと、気づいて。
自殺方法についてあれこれ考えを巡らせていたアサピーだったが、一つ忘れていたことがあった。・と遭遇したあのとき、持っていた――
急いで・のディパックを開ける。胸が高鳴った。
ディパックの底の方まで手を突っ込んで探る。ない。あるはずのものがない。・が持っているのか?
・のスカートのポケットからそれは見つかった。ごく小さくおもちゃみたいだったが、ずっしりと手に伝わってくる重さは本物だ。
ブローニング・ベビー。小型拳銃。・にはぴったりの武器だ。
首吊りより確実で痛みの少ない方法が見つかった。頭を撃ったら即死だろう、これ使えばいいじゃん。そりゃ僕が死んだら・は驚くと思うけど――
アサピーは迷った。やはり無力な・を放っておくわけにはいかない。だが、それは自分が死んだあとのことだ。もう関係ない。
弾を一発だけ使わせてもらうよ。
こめかみに銃口を押し当てる。最後の空気を、胸一杯吸い込んだ。
響いた銃声を、アサピーが聞くことはなかった。あやつり人形の糸が切られたように、アサピーの身体はフローリングに突っ伏した。
・がぱっと起きた。今までに何度も聞いた、でも今ごく近くで聞こえた、銃声。暗闇を見まわす。
「アサピーさんっ……また、銃声なのです……」
【残り19人】
長編逝ってくれ
320 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/04 13:13 ID:E5p9zB/I
"このパソコンで島内でのメールができることが分かったんだ。恐らく、モララー達はまだ気づいてない。
だけどみんなのアドレスも、誰がケイタイ持っているのかも分からない。残念だけど”
山崎 渉【男子21番】はおにぎり【男子6番】の書くことについて筆談で質問した。
”じゃあ、連絡方法なんてねーじゃん”
おにぎりが書いた
”でも、アドレスがわからなくても送れるよ
だから、迷惑メールを送る。アドレスはランダムでね。そうすれば時間はかかるけど
届くことは届く”
”でも、モララーとかに届いたらどうすんだよ”
”モララーは今もきっと盗聴してるよ。だからみんな気づいてないと思って作戦なんかは盗聴
だけに頼ってるよきっと。それに外部とつながっているはずだから、迷惑メール
なんかも外部から届くはず。迷惑メールなら開かずに削除するはず。”
”でも送った元のアドレスはどうすんだよ”
”このパソコンの差出人名称を変えればいい。ダイレクトメールのアドレスにね。
それにコンピュータウイルスも付けて送る。パソコンにしか感染しないやつを。
感染したらないようはみれなくなる。やろう”
321 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/04 14:16 ID:FgSEEyXr
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