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予告した厨:
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前スレ:AAバトルロワイアル4
http://aa2.2ch.net/test/read.cgi/aasaloon/1060659888/ 過去スレ
AAバトルロワイアル
http://ex3.2ch.net/test/read.cgi/aasaloon/1047654130/ AAバトルロワイアル2―THE SURVIVAL PROGRAM―
http://ex3.2ch.net/test/read.cgi/aasaloon/1049193384/ AAバトルロワイアル3
http://aa2.2ch.net/test/read.cgi/aasaloon/1054026979/ AAバトルロワイアル・雑談スレッド2
http://aa2.2ch.net/test/read.cgi/aasaloon/1049261056/ AAバトルロワイアル・雑談スレッド3
http://aa2.2ch.net/test/read.cgi/aasaloon/1060612603/
絶対のルール
・基本的なルールは原作どおり
・本部からの定期連絡(6時間ごと)と禁止地域発表はしっかりとやる
・登場人物…最低限でも自分のに出るAAは、AA辞典や作品を見るなりして一応性格やらを掴む
・リレー形式なので一人で一つのキャラの話を最後まで進展させるというのはできるだけやめる
・中心的役割のキャラはできるだけ生す
・前に書いた人の文章を端から端までよく読む
・原作のBRをとにかく知っとくこと
・前に書いた人の展開がどう気に入らなかろうとスルーは無し(あまりにも酷い文章や決定的な矛盾があればスルー)
・乱入者は出さない。
・総じて自己中な行動はしてはならない
なお、今回は囚人を殺し合わせるものです
| A .| B .| C | D .| E .| F .| G | H .| I .|
______.|______.|______.|______.|______.|______.|______.|______.|______.|______.|
|
1 | _,,,,, ,,,,,,, _,,,,,-'''"" ̄'Z,,,,_ 北
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9 | 船 "'-,,〃崖
|
______.|
林=林 森=森 畑=畑 山=山 船=船 崖=崖 岩=岩場
灯=灯台 廃=廃屋 高=高台. 家=民家 医=医療所 原=原っぱ 刑=刑務所 荒=荒地
午前0時0分
C−4の原っぱ
♪ピンポーンパンポーン♪
定時放送を知らせる音─────
ダマレコゾウは、これをずっと待っていた。
彼の策略の“どちらか片方”の成功を知らせるその放送を。
自分の特攻の合図となるであろう、その放送を。
「アーアーアー・・・マイクOK・・みなさんこんばんは。」
人間臭いことに妙な異常を感じさせる音声が、スピーカーから漏れた。
数十名の死者の名を、心無く呼び続けた声。
ゲームにのった者たちに生存者と禁止区域を知らせ、
脱出を望む者に憎悪と絶望と哀愁を抱かせる声。
聞き手の感情を無視した声は、まず、前回と同じ言葉を繰り返した。
「6時間たったので、死者と禁止区域を発表します。」
何人の名が、この声で穢されてきたのだろうか─────
場違いな考えがダマレコゾウの頭に浮かび、意識される間もなく虚空へと消えた。
「【男子14番】ニダー」
元気の良い人だったな・・・彼も氏んだのか─────
ヒッキーは数ヶ月前を思い出し消沈した。
「【女子12番】ちびしぃ」
自分は免罪だと喚いて、他の囚人に迷惑がられていたな─────
ダマレコゾウは冷静に記憶を手繰り寄せた。
「【男子11番】タカラギコ」
アイツモ 悪ダッタ ナァ─────
やや独特な感性で、ジエンは彼の氏を受け止めた。
「【男子18番】フーン」
奴とは気が合いそうに無かった─────
3人揃って同じことを考えた。
「【女子9番】花瓶」
物静かな人だったな・・・何で刑務所に入ったんだろう─────
彼女の罪を知らない囚人はヒッキーだけであった。
「【男子1番】1さん」
不憫だな、小僧─────
ダマレコゾウは憐れみの表情を浮かべた。
「【男子16番】8頭身」
すっごく元気で、エネルギッシュな人だったな─────
8頭身とは対照的なひ弱な身体を哀しみに震わせ、ヒッキーは畏敬の念と僅かな嫉妬を胸に抱いた。
「・・・以上7名。」
“以上7名”。
────彼らの名前が呼ばれることは無かった。
「誰かが・・・あの部屋に入ったのか」
俯き唖然としているヒッキーとジエンをよそに、ダマレコゾウが複雑な表情を浮かべ、呟いた。
彼の偽装作戦が失敗する可能性はただ1つ───誰かに、あの部屋を見られることだ。
彼ら3人が死んだことになっている部屋に、彼らの死体が無いことは、すなわち、彼らの生存を示すのである。
全員に配られた首輪に仕込まれているビデオを通して、敵はそのことを悟るであろう。
しかし、あの部屋を見られるということは、それと同時に、
部屋に入った人物にアルミホイルの箱というヒントを与えるのである。
────望みが、また1つ増えた────
少なくとも、ダマレコゾウはそう思った。
彼の残したヒントを受け取った人物が、このゲームの優勝を狙っているとも知らずに・・・・。
「コゾウサン、コレカラ・・・ドウスルノ? ボクタチハ、ドウスレバイイノ・・・・・・?」
絶望の表情を浮かべたヒッキーが、少しどもりながらダマレコゾウに問いを投げかけた。
唯一の希望が消えたと思っている彼の心は虚無で満たされ、まともな思考ができなくなっていた。
もしこの時の彼に思考ができたなら、こんな質問はしなかったであろう。
────特攻すると断言していた者に、行動を起こさせるような質問は。
「・・・すまない、小僧」
ガンッ
ダマレコゾウはヒッキーの頭にヌンチャクを振り下ろした。
ヒッキーの頭部に大きなたんこぶができ、少量の血が宙にパッと散り──そして、ヒッキーは気絶した。
「コゾウ!! ナニスル!! キガクルッタノカ!?」
ジエンが驚愕して言い放った。
ダマレコゾウはジエンに近づくと、彼の水鉄砲を奪い取り、そして言った。
「ヒッキーの看病をしてくれ。あと、仲間を集めて脱出しろ。・・・・確かに頼んだぞ、小僧」
ダマレコゾウは、その言葉を最後に、草むらの奥へと──敵の本拠地の方向に姿を消した。
医療所。既に定時放送から三十分は経過していた。
定時放送で一時間後には禁止エリアになってしまうことが分かった。早く移動しなくては、禁止エリアにかかってしまう。
タカラギコ(男囚11番)のデイパックからは幸い基本的な医療道具が出てきた。
戦意のあるなしは置いといて、ギコ(男囚5番)とつー(女囚13番)の撃たれた個所を手当てすることにした。消毒液をでたらめに塗り、包帯を乱暴にぐるぐる巻きにした後鎮痛剤を飲んだだけだが、少しは楽になった。
「ふぅ…助かったぞゴルァ」
ギコが言った。脇腹の傷は出血の割には大したことがなく、さいたま右(男囚9番)は胸を撫で下ろした。つーも、さっきは喋ることもなかったが、手当ての後少しは楽になったようで、荒い息をしながらづー(女囚17番)と話していた。
「もう禁止エリアに入る。早くここを出よう」
さいたま右が言った。ギコがうなずき、つーとづーもこちらを見た。
「これからどうする?」
づーが、ギコとさいたま右を見ながら言った。続けた。
「あたし達脱出したいの。さっきもハッキング作業をしてたけど、結局失敗して…」
「失敗したんならどうやって脱出するんだゴルァ」
ギコが割り込んだ。づーが黙り込んでしまったが、そこからはつーが続けた。
「それを…これたら考えるんだよ…人数が多い方が…考えやすい…」
「ギコ、彼女たちはやるつもりなんだ。希望があるなら、僕もつー達に賛成だな」
さいたま右が賛成の言葉を続けたが、ギコは切り出した。
「…俺は乗らないぞゴルァ、やるならお前達だけでやってくれよゴルァ」
「どうしてだよ?」
さいたま右が疑問の言葉を投げかけて、ギコはまた言い出した。
「脱出なんてもんは無理だと思うんだよゴルァ、今の生徒の数ではとうてい兵士たちに太刀打ちはできないだろう」
「兵士と戦うんじゃなくてさ、島から脱出するだけでいいんだ」
つーが言ったが、ギコは気にせず続けた。
「第一首輪はどうする?禁止エリアにひっかかると爆発するんだから、結局向こうが操作すれば爆発するだろう。それに、首輪をはずすと爆発するかも知れないだろゴルァ」
「そうなる理由がどこにあるんだよ」
「なら何でハッキングをやる前に首輪をはずすことをしなかった?理由はわかる、外すと爆発するかもっていう恐怖心があったからだゴルァ」
みんな黙ってしまった。その後、さいたま右が言った。
「結局ギコは何がしたいんだ?」
「どういうことだゴルァ」
「出会った時からおかしかった。しぃを殺したのは誰だとか言って、いきなり襲いかかって、しぃを殺したのは自分だって言って、衝動的とは言ってもタカラギコを殺して」
「……」
「そして脱出しようと言ったら猛反対。このゲームで何がしたいんだ?僕と一緒にいて死ぬのを待ちたいのか?」
「そんな…わけねぇだろがゴルァ」
「じゃあ僕を利用して生き残りたいだけなのか?」
ギコの表情が怒りの色に変わっていた。
「違うっつってんだろがゴルァ」
「じゃあ何がしたいんだよ!」
さいたま右が一喝すると、ギコはうつむいたまま黙った。
「……しぃ」
しぃを守ってあげたかった。
たった一人の大切な人を俺の命で守ってあげたかった。
だが、死んでしまった。
俺が殺した。
守るべきものはなくなった。
ならどうして生きている?
しかしこんなクソゲームで死にたくない。
だからどうする?
………
「おい!」
さいたま右がギコの肩を揺さぶった。ギコが顔を上げた。
「もう何が何だかわからなくなったんだゴルァ」
「は?」
「答えが見つからない。お前たちといて、何か意味があるのかどうか。脱出して、何か意味があるのかどうか、がゴルァ」
「脱出したら、もちろん新しく人生を送ればいいさ、過去の過ちを消して、新しく生きればいい」
「……」
「まだ俺たちは生きたい」
「……」
「新しく生きて、新しく家を持って、新しく守るべきものを見つけて、新しく誰かを愛せばいいだろう?」
「だが俺には何もないんだゴルァ」
「そんなの誰が決めたって言うんだよ!」
「守るべきものはなくなった。愛すべきものもなくなったんだゴルァ」
「だから、新しく見つければいいんだ!」
「そんなことはできない。あいつは俺の全て。あいつの他に守りたいものはないんだゴルァ」
「じゃあお前はどうしたいんだ?その人を追って自殺するのか?」
「それは俺のプライドが許さない―――だから俺は」
ギコがスミスアンドウエッソンを持ち上げた。
「だから俺は全員殺す」
ギコがおもむろに発砲した。
ぱん、と乾いた音がしてさいたま右が吹っ飛んだ。額のど真ん中に小さな穴が開いていた。
さいたま右が宙に一瞬浮かんだ。倒れた。
「……」
ギコは黙ったままだった。つーとづーも、動くことができなかった。
―――まだ俺たちは生きたい―――
俺が殺した。
―――逃げろ―――
俺が殺した。
―――ギコクン、ワタシ―――
俺が殺した。
ギコは腕だけを動かし、横にいるつーと、づーに銃口を向けた。
「……」
「だめ!」
づーが、とっさにつーをかばうようにして、動いた。
ギコはその行動を見て驚いた表情を浮かべ、時が止まったように動かなかった。
しかしその目からは涙が溢れて、頬を伝っていた。
づーはつーを守るために生きていた。
タカラギコはえーを守るために生きていた。
さいたま右だって、残された者のために生きようとしていた。
俺は何だ?
自分のふがいなさに、思わず涙がこみ上げた。バカだ。どうしようもない。
守るべきものを持っているまともな人間を殺した。
だけどこんなゲームで死にはしない。バカバカしく優勝してから、死んでやる。
だがつーとづーを撃つことはできなかった。
ギコはそのままさいたま右と自分のデイパック、更にさいたま右が持っていたラプターマグナムとダイバーズナイフを奪うようにして取った。
「―――もうすぐ禁止エリアに引っ掛かるぞ、行けよゴルァ」
そう言ってギコは医療所から走り去っていった。
【残り12人】
ザザザ……
風が吹く。C1エリアの隣、D1エリアの林に、【男子5番】ギコの影があった。とりあえず禁止エリア予定地から出ようと走ってきたギコは、今は木に背をもたれかけて、体を休めていた。
真っ暗な中、一人ぽつんと座り込んでいると、先程のことが頭に浮かんできた。さいたま右と口論になって彼を撃ったこと、つーとづーを撃たなかったこと……
不意に、医療所に行こうとさいたま右が肩を貸してくれたときのことが浮かんだ。
自分も疲れているだろうに、それでもギコに無理をさせまいとした彼。
「……なんで……」
ギコは、いつの間にか手が震えているのに気付いた。
「なんで撃っちまったんだ……ごるあぁッ!!」
ドッ、と地面に拳を叩き込む。整えたはずの呼吸がまたも乱れた。
……なんで撃った。
ギコの頭に、自分を正当化する考えが思い浮かんだ。あいつが悪い。俺の話を聞いてくれないから。俺の言ったことに耳を貸さなかったから。あいつが……
……本当に?
ギコは首を振った。本当にそうか?
答えが見つからない、と俺は言った。あれは本当のことだ。もうしぃもいない。出所したところで何もないのだ。生きる目的が見つからなかったのは本当だ。
……なら、さいたま右は?
『僕はまだ死ぬわけにはいかないんだ』
不意に、さいたま右の声が頭に浮かんだ。……あの声を聞いたのは、いつだった。医療所に向かっている途中だった気がする。
『家族が、残ってるんだ……血はつながってないけど、家族みたいな子達が。シャイタマ達が……』
そうだ。あの時さいたま右は、家で自分達の出所を待っているであろうシャイタマ達のことを、ちらりとギコに話した。
『僕がいなくなったら、あの子達はどうなると思う?僕はまだ生きていたい……あの子達のためにも……』
さいたま右は複雑な表情でそう言っていた。
……あいつにはまだ、守る物があったんだ。
ギコは思った。
……それなのに、俺はあいつを殺したんだ。
「……ぁぁあぁ……」
思わず嗚咽を漏らし、ギコは顔を両手で覆った。
「さいたま……すまねぇ……許せゴルァ……」
ギコは地面に蹲って、絶えずさいたま右への謝罪の言葉を呟いた。しかし、今さら後悔したところで、さいたま右は戻ってこない。
しばらくの間林の中には、虫の鳴き声に混じって、ギコの鳴き声が響いていた。
数十分経ち、時刻は一時を回った。ギコは再び木にもたれかかり、ぼんやりと医療所がある筈の方向を見遣った。
……今頃はもう、つーとづーもほかのとこに行ったんだろうな。そんなことを考えながら、空を見遣る。
月が出ていた。
ギコはゆっくりと、しかししっかりとした足で立ち上がった。目には、新たな決意の光が見える。
月を見上げて、ギコは自分が殺した者を一人一人思い出した。
……しぃ。お前を殺してしまって、すまない。もし無事に出所できたら、俺は一生お前を想って生きる。愛すべき者は確かになくなったかもしれないが、愛はまだ確かに残っている。
……さいたま右。お前を殺したことを、俺は生涯恥ずべき汚点として憶えているだろう。俺が出所したら、シャイタマ達の面倒は俺が見てやる。それが、お前にできる唯一の償いだと俺は思う。
……タカラギコ。お前のことは好きじゃなかったが、お前は死ぬ間際にえーを逃がしたよな。そういう優しさを持ってたのを知らずに撃ってしまった。謝って済むことじゃないが、俺はお前を忘れないよ。
ギコは天の月を真っ直ぐと見上げ、目を細めた。
……月ってのは、なんであんなに綺麗なんだろうな……
す、と両腕を上げる。月に向かって。
……俺はあの月と違って、薄汚れているのだろう。だが、それでも。
口を開く。いつだったか、しぃを殺した時のように、ギコは大声で雄叫びを上げた。
その声はあの時の断末魔のような叫びとは違い、強い意志を込めた叫びで。
……殺した者達の分まで、俺は生きよう。
そんな意志の現れであった。
【残り12人】
ダマレコゾウらが、分校に特攻をしようてしているのを露知らず、えー(女子7番)は絶望の中をただ一人歩いていた。
今までは思い人が傍にいてくれてたのでさして絶望や、恐怖、不安感などは直接感じていなかった。
しかし、その心の支えであった思い人―――タカラギコはもうこの世にはいない。
怖いよ・・・寂しいよタカラギコ君っ・・!
出会いは僅か1年ほど前――
その性格からなのか、えーは他の囚人の奴らに絡まれ、虐められていた。
そこをタカラギコが割り込み、助けてくれた。
そして、柔和な微笑みを私に見せて・・・こう言ったんだっけ。
『大丈夫?怪我はないかい?』
そんな言葉が――嬉しかった。
そんな言葉だけで――潤された。
そんな言葉をかけてくれたタカラギコが――好きになった。
それだけの事だけだった。
でも、えーはタカラギコの事を本気で愛し、思い慕った。
それ故に―――・・・
思い出せば思い出すほどに涙が溢れてくる。
どうすればいいの・・・私・・・
えーは鼻水をぐずぐず啜りながら、夢遊病者のように当たりをさ迷い歩いた。
時計の指針は、2時35分を指していた。
「ッはぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
えーは、息を切らしそこら辺の岩に腰を下ろした。
地図を確認すると、どうやらここはF-5の高原らしい。随分歩いたものだ。
こうして座り落ち着くと、またタカラギコの事が頭にフラッシュバックされる。
何度も。何度も。
思い出したくない、とは思っていても頭が勝手にタカラギコの事を考えてしまう。
それほどまでに彼女は彼を思っていた。
・・・ああ・・・これからどうすればいいの・・・私・・・
下を向き、考えた。これからの事、タカラギコの死の事、牢獄に投獄された事、『死』の事・・・
そんな事を考えていると、既に枯れたと思っていた涙が再び目玉の奥から伝う。
「ひ、ひぐっ、ひぐっ・・・」
そして、えーはまた泣き出してしまった。
泣いたのがこれで何回目なのか、本人も分からなかった。
分からなくなるほど何回も泣いた。
いっそ・・・死んでしまおうか・・・
そんな風に考えていたときだった。
しゅるっ
「え・・・?」
首。
えーの首に何か長いものが絡み付いていた。
それが縄だと気付くときには、それがきつく締まっていた。
「・・・・・・!!」
縄が、えーの喉仏をきつく締め上げる。
気管が押しつぶされ、悲鳴を上げようにも声が出ない。
苦しい苦しい苦しい―――ッ!!
えーは縄と首の隙間に指を入れ、必死にもがいた。
無論全く外れる気配が無かった。
――苦しいよ・・・助けてぇ・・・タカら・・・ぎこくん・・・
えーは、既にこの世にいない思い人の名前を、心の中で詠唱した。
縄は、更にきつくえーの喉を締め上げる。
声も何もかも押しつぶされ、悲鳴も上げられず、嘔吐も出来ず、ただされるがままにされるしかなかった。
頭の中に白い部分が増えていく。
えーは燃え尽きそうな残る意識の中で、手や足、頭を滅茶苦茶に振り回し必死に抵抗する。
縄はビクともしなかったが、自分の首を絞めている人物の顔が一瞬――一瞬だけ見えた。
その人物は、囚人の中では比較的仲の良かった【女子16番】フサしぃその人であった。
フサしぃは、涙を流し小さく「ごめん・・・ごめん・・・」と呪文のように呟いている。
えーは一瞬驚いたのだが、すぐに空白に取り込まれてしまった。
えーは抵抗する力も失い、残る意識も全て燃え尽きていった・・・
『大丈夫?怪我は無いかい?』
たから・・・ぎこくん・・・?
『もう大丈夫だよ・・・』
たから・・・ぎこ・・・くん・・・?かえってきて・・・くれたんだぁ・・・
たからぎこ・・・くんっ・・・あたし・・・あたし・・・
「大丈夫!?怪我は無いかよぅ!?」
その一言で、えーは意識を取り戻しがばっと起き上がった。
頭がガンガンと痛む。
しばらく状況が認識できなかったが、すぐに気絶する前のことを思い出した。
フサしぃの事・・・首を絞められて・・・殺されそうになって・・・
それを思い出した時、えーは目の前の不可思議な光景に悩まされた。
背中からおびただしい出血をし、倒れているフサしぃ・・・
何があったのかと考えている時、目の前に立っている人物に気が付いた。
血に濡れたナイフを持ち、こちらを見つめているその人物は・・・
たから・・・ぎこ・・・くん・・・?
「あ・・・気がついたよぅ・・・」
目の前の人物は、ほっと安心したような溜め息をついた。
その人物は勿論タカラギコでは無かった。
えーは、まだ少し混乱している頭をぐりぐりと振り、目を凝らしてその人物を見た。
その人物とは、タカラギコとはあまり似ていない【男子3番】ぃょぅだった。
怪訝そうにえーの顔を覗いている。
「イヨゥサンガ・・・タスケテクレタンデスカ・・・?」
えーは、いよぅに聞いた。
いよぅは、びくっと頭を少し引いた。
「あ、あの・・・その・・・えーちゃんがフサしぃさんに首絞められてるの見たから・・・助けなきゃって思って・・・よぅ・・・」
いよぅは目を逸らしながら、照れくさそうに言った。
「アリガトウゴザイマス・・・」
えーはペコリ、といよぅに一礼をした。
いよぅがますます照れくさそうにする。
「トコロデ・・・フサシィサンシンダンデスカ・・・?」
えーがいよぅに問う。
「う・・・んと。結構勢い良く突き刺したし・・・でもそこら辺で拾った錆びたナイフだから死んではないと思うよぅ・・・」
いよぅは、その後別に訳も無く「ごめんよぅ」とえーに謝った。
「ソウ・・・デスカ。」
えーは小さな声で呟くと、フサしぃの死体(?)の方を向いた。
――思えば・・・この刑務所の中で初めて話したのって・・・フサしぃさんだった。
寂しそうにしてた私の元に来て・・・一緒に色々と話し合った。
・・・なんでフサしぃさん私を殺そうとしたんだろう・・・
今思えば本当に不思議だ。
そうまでして出所したかったのかな・・・フサしぃさん・・・
えーはそのフサしぃから目を逸らすと、改めていよぅに向き直った。
「ホントウニアリガトウゴザイマス・・・」
えーは再びいよぅに礼をした。
いよぅは軽く笑うと、一息吸ったあとにこう言った。
「あ、あの・・・えーちゃん僕と一緒に行動しないかよぅ・・・?」
いよぅはそう言った後に、またえーから目を逸らす。
えーは少し考える。
いよぅさん・・・私を助けてくれた・・・
命の恩人だし・・・一緒にいても悪いこと無いよね・・・
「イイデスヨ。ワタシト・・・コウドウシマショウ。」
えーはいよぅに向かい微笑みながら言った。
いよぅはパッ、と顔が明るくなった。
「ほ、本当かよぅ?」
いよぅは信じられない、みたいな顔をした。
「ンジャ・・・トリアエズドコカニミヲカクシマショウ。」
えーは言った。
いよぅは無言で頷く。
・・・何か、とても気分が楽になったような気がする・・・
いよぅさん・・・か。
【残り12人】
つー(女子十三番)とづー(女子十七番)はC-2にいた。
周りには住宅が立ち並び、地図でも分かるように住宅街、のようである。
医療所での騒動の後、とりあえず二人はC-2へ行くことにした。民家の一つにでも入って腰を落ち着けよう、と考えた。
既に医療所のあったC-1は禁止エリアに指定されていて、もうC-1を出てから一時間は経とうとしている。
民家にはどれも鍵がかかっていて、入る民家を探すことさえ困難であり、その間に敵に襲われたりしてはたまらない。
それに、さっきのことだが、C-2のはずれで死体を見つけた。放送で名前を呼ばれていた1さん(男子一番)と8頭身(男子十六番)だった。
彼らが放送で呼ばれたのは二時間程前だった。殺した敵が近くにいるかも知れなかった。
「…マッタク、アイテイルミンカハナイノカ? コウナッタラマドヲワッテハイルシカナイカナ…」
つーが言った。
「ソウダネ、ジャ、アソコノミンカガアイテナカッタラマドヲワッテハイロウ」
「ソウスルカ」
正面にある小さな民家だった。大して期待はしてなかった。いつものように、ドアノブに手をかけ、すぐに捻った。
ドアはあっさりと開いた。つーとづーは無言で喜んだ表情をしながら、中へと入ろうとした―――
その時、先を歩くつーの足元に、何かがあった。
「ナンダ?」
つーがデイパックから支給された懐中電灯を取り出して、その何かを照らした。
―――死体だった。思わず声を上げそうになったが、こらえた。
モナー(男子二十番)だった。額に何か刺さったような跡があった。そしてそのそばには銃とナタが無造作に散らばっている。
モナーは放送で名前を呼ばれていない。最近死んだということだ。ということは―――
「ニゲルゾ」
「エ?」
つーがづーの手を取って走り出した瞬間、さっきまでつーが立っていた場所の壁に何かが、たかっと言う音をして刺さった。
「チクショウ、ダレカガアノイエニイル!!」
そう言ってつーが支給されたベレッタを手に取った。後ろを振り返ると、一人の男がこちらを追っている。すぐに激しく忍者(男子十五番)だと分かった。
手には矢を先端にくくってある――ボウガンか?それらしきものが握られていて、しっかりとこちらに向けられていた。
「ハシレ!!」
つーはづーを前へ行かせた。ボウガンを撃たれたとき、づーに当たらせないためだ。撃たれた右肩が痛んだ。しかし気にしてはいられない。
撃たれていない左腕で、ベレッタを持ち上げた。すぐに撃った。
忍者は素早い動きでこちらへ向かっている。当たらなかったのだ。やはり走っていては狙いが正確でなくなる。それに利き腕じゃない左腕で撃ったのだ。
忍者は何も言わないままボウガンをこちらへ向けた。つーはづーの腕を引っ張ったまま真横へ、ヘッドスライディングをするように滑り込んだ。
ひゅ、と矢が空気を裂く音が聞こえた。が、当たることはなかった。不慣れなことをしたのか、手首をすりむいた。
すぐにベレッタを撃ちまくった。横にいたづーもブローニングを構えて、撃っていた。
何発かの銃声が響き、その後ベレッタがホールドオープンした。弾が切れたのだ。
「コレダケウッタライッパツハアタッテイルハズダ…」
そう言って予備のマガジンを取り出した。忍者はどうなっているだろうか。
ゆっくりと忍者がいた場所に目を向けた。
―――いない、何処へ?
そう思った途端に真後ろ、茂みからがさがさっと音がした。振り返ると、木で作られたナイフのようなものを持った忍者が、飛びかかってきた。
「+激しくもらった+」
クナイを持った忍者は手前にいるづーへと狙いを定めた。
しかし、その時横にいたつーが、づーの前へと踏み込んだ。
――!
「ウォォォォォ!!」
つーが叫び、忍者へ体当りをした。忍者は逆方向へと吹っ飛んだが、手首にヒモをつけて固定してあったクナイは手から離れなかった。
忍者は上半身を起こした。つーは唸り声をあげながらもう一度突っ込んできた。忍者は冷静にクナイを掴んだ。
忍者とつーが、もう一度重なり合って、地面に押しつけられた。しかし、今度は様子が違った。つーが時が止まったように、動かなかった。
「グァ…」
つーが苦しそうな声を上げながらひっくりかえった。仰向けになったつーの胸から、血があふれていた。
「ツー!!ツー!!」
づーが大声を上げた。忍者は素早くボウガンを取り出し、づーへと構えた。
思わず、づーがぎゅっと目を閉じた。
「ヤメロ…!」
つーが小さな声を上げた。
「+激しく勝利+」
忍者の指がボウガンの引き金へと動いた。少しずつ、引き金が動いていった。
ひゅ、と空気が裂く音がした。
「ノー!!」
「ウゥ…」
のー(女子十五番)が、血を流しながら苦しそうな声を上げた。
傍には包丁を持った、花瓶(女子九番)が表情一つ変えずに立っていた。
「ヅー、ニゲロ…!」
のーが苦しそうに声を上げた。
「ケド…ケド…」
づーは支給武器を思い出した。ブローニング・ハイパワー9mmだ。助けないと、のーを助けないと―――
「アゥッ」
うめき声を上げて、もう一度血しぶきをあげたあと、のーがうつぶせに倒れた。
のーはそれからぴくりとも動かなかった。花瓶はのーのデイパックを確認すると、づーの手にブローニングがあることに気付き、走って去っていった。
「…ノー…」
のーは死んでいた。
どつっ、と矢が何かに当たる音がした。づーは、自分が死んだのだ、と思った。
―――のーも守れず、つーには守られっぱなしの自分は死んで当然だ。
目を開けた。
忍者が立っていた。
その間に壁のようなものが――これは、これは――
つーがづーをかばうように立っていた。胸にはクナイで刺された傷のすぐ横、ボウガンの矢が突き刺さっていた。
ごぼっ、とつーの口から血が吹き出た。
つーが―――自分をかばった?何故?何回も守られっぱなしで、足を引っ張ってただけなのに―――何故?
づーが目を見開き、弾をもう一度装填していたブローニングを忍者に向けて、撃った。
ぱん、ぱん、と何度も続き、忍者はすぐに視界から消えた。
「ツー、ドウシテ!?」
目を閉じていたつーがゆっくりと目を開いた。苦しそうに言った。
「ヅー…オマエハ…オレヲ…イリョウジョニ…ツレテイッテクレタ…」
「ケド…アタシハツーニマモラレッパナシデ…ナニモ…」
「…バーカ…オマエダッテ…ナンドモオレヲマモッテクレタ…ケンカノトキダッテ、マンビキシタトキダッテ…ソレニ…コノクソゲームデモナ…」
「…ソンナコト…ツーニクラベタラ…アタシ…」
「…バカダナ…オマエ…ホームランキュウノバカダ…ケド…」
つーがゆっくりと目を閉じた。
「スゲーバカダケド…オレノ…サイコーノトモダチダ…」
「トモダチ…」
づーの視界は涙でよく見えなかったが、はっきり聞こえた。
最高の友達だと。
「タトエオモエガドウオモッテテモ…オレハ…トモダチダトオモッテル…ダカラ…イキロ…」
「ツー!!テアテスレバマニアウヨ!ハヤク!!」
「バカヤロウ…オレハモウダメダ…ダカラニゲロ…ソシテ…イキロ…」
ふぅ、とつーが息を吐いた。
「トモダチカラノ…サイゴノヤクソクダ…マモッテ…クレルヨナ…」
「…ウン…マモッテヤル…ゼッタイヤブラナイ…」
「…アッチデ…ノートミマモッテテヤルゼ…」
そう言った後、つーが何も言わなくなった。ぴくりとも動かなかった。
づーは暫く声もなく泣いた。その後、ベレッタとブローニングを持って立ちあがった。そのまま、走り去った。つーの遺体には振りかえらなかった。
忍者はD-2の草木が生い茂る場所で身を隠していた。づーがブローニングを撃ったとき、不意をつかれてしまった。
右腕が焼けるように熱く、痛みがこみ上げる。とりあえず衣服の一部を破り、止血をして包帯代わりに巻きつけた。
「+激しく油断+」
【残り11人】
激しく忍者は、腕の傷を見やりながら色々と心の中で考えていた。
生まれた時から人生のレールは既に敷かれていた。
激しく家の跡取りとして生まれ、親は自分を一流の殺し屋に仕立て上げようと育てた。
激しく家は、代々伝わる殺し屋一族であり、無論自分も殺し屋への道を行くしかなかった。
餓鬼の頃から厳しい訓練をこなしてきた。
起きては訓練。寝てる途中も訓練。
訓練。訓練。訓練。
拷問に近いような訓練も程なくやった。
鞭打ち、焼き土下座、針の山渡り・・・
本当の事を言うと殺し屋なぞなりたくなかった。
子供の頃の自分の本当の夢・・・懐かしいな。医者になることだった。
訓練の合間の休憩時間では、こっそり隠し持っていた医療の本を読み耽っていた。
・・・将来医者になれるなんて・・・全然思ってなかったがな。
結局医者への夢は閉ざされ、自分は殺し屋へとなった。
『医者になりたい』なんて現役殺し屋のお父さんに言えるはずも無かった。
成すすべもなく、流れ流れで自分は殺し屋になった。
依頼され、人を殺すたびに言いようの無い空白感に襲われる。
いっその事殺し屋なんて辞めて失踪でもしようか。
そう思っていた。
そして、自分が最後の仕事と決めてやった仕事で、『太陽』に出会った。
そいつも、自分と同じ殺し屋だった。
すぐにそいつとは恋に落ち、家庭を持った。
すぐさま殺し屋なぞ辞めて、『太陽』――激しくくの一と駆け落ちでもしようかと思っていた。
しかし・・・
自分を雇っている組織が、すぐにこの事に感づきくの一を人質に取った。
そして奴らは「もっともっと人を殺し、一定量殺したらこいつは返してやる」
と明言した。
それから自分は機械のように何人も何人も人を殺した。
そのたびに生まれる空しさは、全て噛み殺し心の奥底に押し込んだ。
しかし、すぐに自分は捕まってしまう。
『クックル』とかいうふざけた鳥人間に・・・だ。
科せられた罰は、終身刑。
懲役も何も無かった。とにかく自分は生涯刑務所の住民になる事を約束された。
娑婆に戻り、またくの一に会うのはもう無理だ・・・そう思っていた。
このゲームが開始される前までは、だ。
これはまさに最後のチャンスといっても過言ではないだろう。
この長年培ってきた殺しのテク・・・
それら全てを駆使し、自分は生き残る。
それにこのゲームにはあの鳥人間も関わっているようだ。
優勝した暁にはあの鳥人間に一泡吹かせて・・・
とりあえず、だ。
自分はこんなところで死ねない。
『太陽』が自分の帰りを待っている。
自分はこんなところで死ぬ訳にはいかないんだ・・・
だから
自分は絶対にこのゲームで生き残ってみせる。
「・・・とりあえず、フサしぃさんの怪我をどうにかするかょぅ・・・」
ぃょぅが困ったように呟く。そして少しこっちを覗くように見た。
「殺されそうになったから恐いだろうけど・・・放っておくわけにもいかないしょぅ」
・・・私を殺そうとしたフサしぃさん。
刑務所に入っていた時は、お姉ちゃんみたいで、安心出来た。
でも、私を殺そうとしていたんだ。
そんな気持ちを読み取ってか、ぃょぅが話し始めた。
「・・・辛いのは分かるけどょぅ、多分、フサしぃさんだって恐かったんだょぅ。
フサしぃさん、武器、何も持ってなかったしょぅ・・・
多分、えー・・・さんだってこと分からずに咄嗟に首を絞めてしまったんだょぅ・・・」
自分のことをどう呼ぶかで迷っているぃょぅに思わず笑いが毀れる。
「手当てだけは、してみようょぅ。向こうは、首を絞めるような紐しか無いんだしょぅ。
悪い人じゃないし、話せば分かってくれるょぅ」
「・・・うん・・・でも、手当てって、どうするの?」
「どうすれば良いのかはよく分からないけどょぅ・・・
医療所?みたいな所があるらしいからそこに行ってみるかょぅ?」
―― 医療所。
急にタカラギコの事を思い出してしまった。
「・・・医療所には、何も無いよ?」
「ん?知ってるのかょぅ・・・?」
ぃょぅが不思議そうに尋ねる。
だが、それ以上答えることが出来なかった。
【残り11人】
B−4 【男子21番】モララーは静けさの中に広がる暗闇の中ワルサーを構えじっとうずくまっていた。
「・・・いくら夜だから敵に気づかれないって言ったってやっぱり物音を立てたらきずかれるだろうな・・・」
そうつぶやくと、モララーはデイパックからパンを取り出し、食べ始めた。みるみるうちに、空腹がだんだんと満たされていく。モララーは一息つき・・・
―――さて、そろそろ行くか・・・
今思えば自分は今まで何をしてきたんだろう・・・まともに学校にも通わずいつもパソコンの前に座っていた。
そんな自分も物心ついたついたときだろうか。ちょっとばかり興味を持った女性にセクハラ行為をしてしまったことを・・・そのときはまだ中学に通っていたので少年院に入れられただけですんだ。
―――ちょうどあの時だろうモナーに会ったのは・・・
始めはどうでもいい奴だと思ったが、後にとても気の会う親友になった。
ちなみに彼もモララーと同じセクハラ行為で捕まり同年代の少年だった。
―――そうだ・・・あいつとは一緒に笑ったり、泣いたり・・・あのときの少年院での生活はとても充実していたな・・・
やがて彼らは出所し彼らも社会人となり。彼らは相変わらず仲のよい親友同士だった。そんなある日彼らは殺人映画に興味を持ってなにを思ったのか犯罪に興味を持ち当時
近所を県下に2人組で暴れまわり、2001年6月5日に逮捕され
るまでに21人を殺害し(うち8人は女性)、金品2500万円相当
を強奪し、4人をレイープ(1人は中学生)した。
強盗殺人や婦女暴行などの罪で、2人とも懲役120年を宣告されたのだ。
―――今思うと取り返しのつかないことをしていた。モナーと仲良くやっていたあのころが懐かしい。
そんなことを考えるとモララーは絶対に生きて、モナー出所したいと考えてもいた。
今までの自分は少しやりすぎていたかもしれない・・・だから・・・
さっきまで汗でずぶぬれだったモララーの顔は勝利に満ちた満面の顔だった。
―――漏れは絶対勝つ、そしてモナーと一緒に出所して、今度は満足のいく生き方をしたいんだ。
モララーはワルサーをぎゅっと強く握りしめ静かに歩き出す。
彼の持っているワルサーはただ怪しく光っていた。
【残り11人】
【女囚11番】じぃは今はE−5の山にいる。
彼女はB=5の家を目指していたが、平地をしばらく進んだ頃に見たのだ。家が燃えているのを。
暗い夜空に、それは遠くからでもはっきりと見えた。
そしていちおう身を隠すために山に入ったところで放送があり、残りは15人と分かった。
(仲間になってくれそうな人は限られてきた・・・。)
そう、最早生き残りは自分を除いて14人・・・。
その中には激しく忍者やモナー&モララーといった凶悪犯も紛れ込んでいる。
特に激しく忍者は、ニダーを殺した。憎くないと言えば嘘になる。
だが、そもそもその様な状況を作り出したのはひろゆきだ。忍者はひろゆきに使われたのだ。それだけのことだ。
そう、絶対にひろゆき復讐してやる。できれば逃げ出して、できなくても特攻で。
・・・しかし、忍者ともあろう者が『優勝しても殺される』という可能性に気づかないのだろうか?
政府の卑怯さは分かっている。本来死刑制度の存在しない(懲役数千年という懲役刑はあるが)この国で、私は死刑を宣告された。
その理由とは、殺した相手に他国の高官が含まれていたからだ。外国人を殺しても国の法で裁くはずだった。
だが私は死刑になった。要するに、この政府は外国の圧力に屈したのだ。
もっとも、流石に国内外で問題になり、おかげで私は生かしてもらっている訳だが・・・。
忍者はその卑怯さを考えない奴では無いはずだ。・・・あるいは、気づいているが、何か理由があってやっているのか・・・?
いや、今は自分のことを考えなければ。
まだ、仲間になってくれる奴はいるはずだ。だが、もう真夜中だ。
そういえば大分寝ていない。多少のリスクは伴うが、ここらで睡眠を取っておこう。なぁに、人が近づけば寝ていても気配で分かる。
思い立てば、すぐ行動するのが彼女を最強の狙撃手たらしめていた理由だ。
彼女は比較的傾斜の少ない所を探すと、すぐに安らかな寝息を立て始めた。
D−1の林の中で【男囚5番】ギコと【男囚21番】モララーは身を隠して銃口を向け合い、
お互い無言でスキあらば撃たんと睨み合っていた。
―――――この状況に陥る10数分前―――――
モララーは仲間として信頼のおける男、モナーとギコを捜して島の東側を歩いていた。
こんなつまらないゲームで殺しあっても意味が無い。さっさと逃げ出して娑婆に戻った方が
賢明だとモララーは考えていた。しかし、自分1人でやるには難しい事が多い。
1人ではイカダ一つ作るのにも何日もかかってしまうだろう。そこで仲間を探すことにしたのだ。
H−6の民家から北に進んで行き、F−3・4の森、F−2の海岸、そしてE−1の林と仲間を探して歩き回った。
そこで獣の雄叫びに近いギコの声を聞き、D−1の林にやって来たのだ。
「確かにこっちから聞こえたんだ。だったらギコは意外と近く・・・」
モララーがそう言おうとしたとき、視界の中に人影が映った。がっしりとした身体、とがった耳、襟から覗く刺青。
岩の上に座っているその人影は、まさしくギコであった。
「おーい、ギコ!探したぞ!!ちょっとお前に話が・・・・・・」
そう言い終らないうちにギコが振り返り、こちらを向いた。モララーがギコに近づこうと足を踏み出したそのとき、
ギコが何かを投げる様な動作をした。
――――――――――――ヒュンッ
空気を切り裂くような音とともにギコが投げた「何か」はモララーの頬をかすめ、背後の木に当たった。
モララーが振り返って見てみると、そこには手術道具のメスが刺さっていた。
「何のまねだよ?ギコ」
木に刺さったメスを抜きつつ、普段と変わらない調子でモララーはギコに問いかけた。ギコは黙ったままこっちに
歩いてきた。
「いったいどうしたっていうんだよ。やっと会えたのにいきなりこんな―――――」
「悪いなモララー、俺はしぃの分まで生きなきゃなんねーんだゴルァ。だから・・・・」
「何なんだよ。何が言いたいんだよ。」
「だから・・・だから・・・・・・・・死ねやゴルァ!!」
ギコはモララーにそう言い放ち、スミスアンドウェスンを腰から抜いた。
「!!」
「すまねえ・・・本当にすまねえ。許してくれやゴルァ!」
そう言い終らない内にギコは銃のハンマーを起こし、モララーにむかって発砲した。
「ちぃっ!」
モララーは間一髪のところで銃弾を避け、近くにあった岩陰に転がり込んで銃を抜いた。
―――――――――――畜生、なんだっていうんだ。会った途端に死ねだと。くそ、上等だ。やってやろうじゃねえか。
モララーはチェンバーに弾が入っているのを確認し、岩陰から飛び出してギコに照準を合わせて入っている弾丸全てを撃ちはなった。
バン、バン、バンと爆竹にも似た音が暗闇の中で反響し、数発の鉛弾がギコにむかって一直線に飛んで行った。
「よし、やった!」とモララーは血の上った頭で思った―――――――――――――――が、その思いは次の瞬間には
驚きに変わった。
ギコがいないのだ。先ほどまで立っていた場所に。
―――――――――――何、どこだ!どこにいる!!
モララーが視線を泳がせたその時、パン。という銃声と共に足元の土が舞い上がった。
そう、ギコはとっさの判断で地面に倒れこんで銃弾を避けていたのだ。モララーの視界から一瞬消えたのはそのためだった。
「くそっ、やべえ!」
モララーは先ほどまで身を隠していた岩陰に駆け戻り、銃のマガジンを入れ替え始めた。
残っている弾は7発ちょい。マガジン1つ分しかない。これで勝てるだろうか・・・
【残り11人】
身勝手さも度が過ぎるね。
モララーは、岩陰でギコが顔を出すのを待ち構えながら思っていた。
しぃの分まで生きる・・・?
だから漏れを殺す・・・?
許せ、許せ、すまねぇ、とか言っときながら殺す気満々じゃぁないの。
身勝手すぎるぜ。
モララーはぶつぶつと悪態をつきながら、銃を構えギコが出てくるのを待っていた。
モララーは、あまりにもギコが顔を出さないので、視界の外にいるギコに向かって話しかけた。
「キミには幻滅したよ。しぃの分まで生きるのか。そうかそうか。
でもたったそれだけで躊躇いなく人を殺せるなんてねぇ。」
モララーがそう言うと、カタン、と物音が聞こえた。
「自分が生き残る為に人を殺していくってのよりもタチ悪いよ。
しぃの分まで生き残る・・・?キミは自分の手を血で染めてまで思い人の為に生きるの?
違うだろ。ってかお前・・・しぃのために生き残るなんてていのいい『言い訳』作って本当は自分が生き残りたいだけなんだろ?」
モララーが挑発するように言うと、どこからかギコの声が聞こえてきた。
「ち・・・違うぞゴルァ!俺は死んだって構わない・・・けど・・・
しぃの分まで・・・俺が殺した奴の分まで生きなきゃいけないんだ・・・」
モララーはそれを聞くと、更に言葉を続けた。
「それを自分勝手で言うんだよ。俺が殺した奴の分まで生きる?キミが殺したんだろ?
自分自身の手で死に追いやった奴の分まで生きてどうするよ。キミが出来る事はそいつらの分まで図々しく生きる事じゃなくて
償う事だろ?」
モララーは執拗にギコの精神を甚振る。
「ち、違う!それはほんの手違いなんだ・・・」
「違くなんかないさ。じゃあ、キミがその人を殺したのは手違いなんだね?
だからって『手違いで殺しちまった。ゴメソ。お前の分まで生きてやるから許せ。』って思うのはおかしいんじゃないの?」
「そんなこと思ってねぇよゴルァ!!」
「じゃあどう思ってたの?そうとしか考えられないだろ。他に何かあるのかい?」
モララーがそう言うと、ギコからの返事は無かった。
「無いだろ?無いだろ?無いよな?ハハハ、キミは本当に自分勝手な奴だね。嘘はつくし、言い訳くさいし・・・
少なくとも刑務所の頃のキミはそうじゃなかっただろ?」
ギコからの返事は相変わらず無い。
「つまりキミはただ自分が生き残りたいだけなんだ。その本心を嘘で塗り固めて、自分自身を誤魔化しながら生きてるんだ。
そうでないと言えるのか?そうだろ?もしそうじゃないなら自分が殺した奴の分まで死ねよ。」
ギコからの返事は相変わらず無い。
「それとも何か?そのお前が殺した奴らもキミが『しぃのため』とか言って殺したの?
それで『しぃの為だから仕方ないんだ。許せ。お前たちの分まで生きてやる。』とか思ってるわけ?
それだったら益々キミは死ぬべきだよ。そのキミの勝手な『わがまま』に付き合わされて死んだ奴達の気持ちも考えて見やがれ。」
モララーがそこまで言い終える。しかしギコからの返事は無かった。
「何も言い返せないのかい?逃げるのかい?つくづくキミは身勝手な奴だ。」
モララーはそう言い、ハァ、と溜め息をついた。
ホントにどっか逃げたのかな。そう思ったときだった。
岩の横から、から銃を持ったギコが突然突っ込んできた。
「ああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ギコが奇声を上げながらモララーに体当たりをした。
突然の出来事にモララーは銃を撃つ暇も無く押しつぶされてしまった。
「ぐ・・・貴様・・・!」
モララーは、恨みがましくギコの顔を見た。
そのギコの顔は狂人その物だった。
涎を垂らし、歯を剥き出しにし、頬がピクピク引きつって、
ギコはモララーの執拗な精神攻撃で理性を失ってしまったのだろうか。
モララーはあまりの変貌振りにぞくっ、と身震いをした。
「俺は・・俺は・・・俺はぁ・・・違う違う違うぅぅぅぅぁああぁぁぁぁぁ!!!」
ギコは突然叫びだすと、頭をガリガリ掻き毟り横ばいに蹲った。
・・・狂ったか・・・
モララーは心の中でやれやれ、と溜め息をつくと銃をギコに向けた。
―――まっ、元々精神不安定な所があった訳だしね。こうなるのは当然て事か・・・
モララーはぐっ、と引き金を引こうとした。
「違う・・・違うんだぁ・・・」
ギコは相変わらず涎を垂らし、頭を掻き毟り、雑草をぶちぶち毟り取りながら暴れている。
モララーはそのギコの姿を哀れそうに見つめていた。
「どうせこのまま放っといても野垂れ死にするな・・・
わざわざ殺す事も無いか・・・」
そう思い、モララーはすっ、と銃を降ろした。
何故そう思ったのか分からない。
そういえば自分は一時期ギコと仲良くしていた時があった。
寂しそうなギコに話しかけに言って・・・そうしたら以外に話があって・・・
数少ない友達の一人でもあった。
そんなギコを躊躇い無く殺すのも忍びない。
そう思ったのだろうか。
モララーはまたハァ、と深い溜め息をついた。
狂っているギコの姿をもう見ないようにして、モララーはその場を立ち去ろうとした。
そして、モララーは自分の目頭から液体がすぅっと流れているのに気付いた。
・・・何で泣いてんだよ・・・漏れ・・・泣くような事・・・あったか・・・?
何で自分が泣いているのかも分からなく、とめどと無く溢れる涙をただ拭い、モララーはその場を後にした。
ジブンガイキノコリタイダケ・・・?
シヌベキニンゲン・・・?
違う・・・違う違う違う!
オレハナニヒトツマチガッチャイナイハズダ。
かりかりかり
かり、かり、かり
頭を掻き毟る。
雑草を毟り取る。
俺はしぃの為に生きてるんだ。
ジブンガイキノコリタイダケなんて、違う、違う、違う、
オレガコロシタミンナノブンマデイキル
そうだよ。そうだよ、
俺は人のために行きてるも同然なんだよ。
それが本当は自分の事だけしか考えてないなんて
違う、違う、違う。
嘘だ。嘘だ。嘘だ。
アいツのいてる事ハ虚言だ。嘘ダ。
俺には今非なンて無イ。
嘘じゃない。嘘じゃない、嘘じゃない、
オレハナニヒトツマチガッチャイナイハズダ。
頭を掻き毟る。
雑草を毟り取る。
頭の中にいつまでもこびり付いている肉、骨、粉。
そうだ・・・しぃは・・・しぃは・・・
オレガコロシタンダヨ。
だからその分まで生きて・・・
生きなきゃいけない・・・
罪を償うために・・・
生きたい・・・
生きたい・・・
いきたい・・・
イキタイ・・・
イキ・・・タ・・・イ・・・?
生き残り・・・たい?
そうだよ。そうだよ。そうだよ。
何でこんな事に気が付かなかった?
俺は生きたいんだよ・・・
生き残りたいんだ・・・
どうしてこんな事に気が付かなかったんだ・・・
頭を掻き毟るのを止め、
雑草を毟り取るのを止め、
ギコは夢遊病者のようにフラフラと何処かへ歩いていった。
【残り12人】
校内に咲き乱れる桜の木。
青い空。照り栄える陽光。
まだ冬の冷たさが残る春の日、
新入生は期待と不安で心を一杯にしながら、門をくぐっていく。
陽花AA女子高校――
今日は丁度入学式であり、体育館に、大勢の新入生が並んでいる。
勿論、づーもこの列の中に混じっている。
づーは、この高校で上手くやっていけるかどうかとても不安だった。
小学、中学と共に、その内気な性格のせいかほとんど友達がいなかった。
この高校でも、また孤独なままの学園生活を送るのだろうか。
づーはとても不安だった。
づーは、退屈な先生の話などは聞かず、ほとんど眠っているような状態で入学式を過ごした。
そして、気が付くと既に退場の指示が出されており、生徒達はいっせいに自分達の教室へと向かった。
づーは、指定された席に座り、机の木面を見つめながら色々と考え事をしていた。
教室では既にガヤガヤ、とざわめき何人もの生徒が話し、笑っていた。
もしかしたら何もせずに机に座っているのは自分だけじゃないのだろうか。
そう思った途端に、突然寂しくなってしまった。
・・・これからもずっとこんな感じで学園生活を送っていくのだろうか・・・
「なんか寂しそうだなぁ。大丈夫か?」
それが自分に言われているのだとは、しばらくは気が付かなかった。
呼び主は、自分の机の隣で自分をじっと見つめていた。
「あ、あなたは・・・?」
づーがそう聞くと、彼女はニッと微笑んだ。
「オレはつー!アンタは?」
つーは明るく言った。
「わ・・・私はづー。」
づーがもじもじしながら言った。
「おお、づーって言うのか!オレと名前にてるなぁ。とりあえずこれからもヨロシク、な!」
つーはそう言うと、づーの目の前に手を差し出した。
づーは、躊躇いながらも、すっとつーの手を握った。
つーはまたもニッ、と微笑んだ。
それから、つーは私の無二の親友となった。
それから数ヵ月後、学校に転校生がやってきた。
ドアが開くと、見慣れた先生の顔の後ろに、見知らぬ女の子がいた。
「え〜、彼女は『のー』と言って、大阪の方からここに転校してきました。
皆さん仲良くしてやって下さいね。では、のーさん一言どうぞ。」
先生がそう言うと、のーが前にすっと出た。
そして、少しの間を空けると、静かに口を開いた。
「皆さん、・・・こんにちは。」
のーが静かに標準語で喋った。
その後のーの演説が始るのかと思えば、また奇妙な沈黙が流れてきた。
のーは何か喋らないし周りの人も何も喋らない。物音一つ立たない。
そして、自分の隣にいたつーが我慢できずに言った。
「何止まってんの?」
のーの頬に汗が伝う。
「な・・・」
のーが口を開く。
「何でやねん!普通ウチがこんばんはゆうたらお前らこんばんは言い返すやろ!」
のーが、突然叫び始めた。
周りの生徒達が目を白黒させる。
その中つーが対抗するかのように叫びだした。
「それが狙いかよ!それにしても黙ってる時間が長すぎなんだよ!ずっと止まってないですぐに喋りだせよ!」
のーは更につーに迫り、大声で捲くし立てる。
「うっさいな!プライドってもんがあるやろが!」
つーも負けじとのーに迫り押し返す。
「待っても何も返ってこないならすぐに喋れよ!プライドなんてどうでもいいだろ!」
「うっさいな!あんたら関東モンには分からんだろうけどなぁ、ウチはプライドを大切にする女なんや!」
「どーゆープライドやねん!」
「話聞いてりゃ分かるやろ!」
「分かんないし!」
「これだからもんじゃ焼きをおかずにして食う関東モンをいやなんや!」
「ハァ!?食った事無いし!お前らだってお込み焼きおかずにして食ってるんだろ!?」
「普通やないか!」
「おかしいよ!」
「普通だって!」
「おかしいよ!」
「いたってアベレージだよ!」
「だからおかしいって!」
「それはお込み焼きに対する冒瀆かぁー!?」
「訳分からないし!お好み焼きはおかずというより主食だろ!」
「おかずや!」
「主食だ!」
「お好み焼きはご飯と一緒に食べてこそ美味しいんや!」
「嘘付け!」
「お好み焼きとコシヒカリのコンビは最高やでぇ、何も知らんくせに口出すな!」
「何でコシヒカリなんだよ!ササニシキとかはえぬきとか千代大海とかでも良いだろ!」
「それは力士やろ!」
「嘘付け!」
「え・・・嘘ついてないし・・・」
「千代大海は米だ!よーく確認してみ・・・ん?」
「で、一体何が言いたいんやねん!」
ますますのーとつーとの口論が激しくなる。
何かどうでもいいような話題になってるような気がするのだが。
そして、いつのまにか帰すしそうな距離まで迫っているのーとつーに先生が割り込んだ。
「ハイハイ、喧嘩はよして。下らない事で喧嘩しないの・・・」
先生が強引につーとのーを引き剥がした。
その瞬間、クラス中で笑いが巻き起こった。
勿論づーも一緒に笑っていた。
「・・・千代大海は力士だった・・・」
それからのーとつーは仲良くなった。
今日の敵は明日の仲間と言った所であろうか。
いや、怪我の功名か?いや・・・一石二鳥・・・よく分からんがそんな所だ。
そしてのーは無論づーとも仲良くなった。
三人組みで彼女らは色々なことをしてきた。
そしてある日、づーは他の二人にある提案をしたのだ。
「ねぇ、万引きってしてみたくない?」
何故そんな事を考えたのか分からない。
づーは友達が沢山出来た事に酔っていたのかもしれない。
つーとのーは黙ってそれに従った。
気が付けば薄暗い刑務所の中に三人とも放り込まれていた。
しかしのーとつーは二人とも私を責めなかった。
それどころか『ごめんね』と謝りさえもした!
そして、そして、
フタリハ シンダ。
つーは『生きろ』と言った。
刑務所へ捕まった源となった自分に一度だって文句を言わなかった。
それどころか自分を助けてくれようとさえもした。
そして、自分が死ぬ瞬間に『生きろ』と・・・そう言った。
初めての友達、つー。
自分が死ぬ間際まで友達を思いやるつー。
何よりも強く、勇敢だったつー。
頭が良かったつー。
可愛かったつー。
大好きだったつー。
虐められてたり孤独な人を見てみぬふりをしないつー。
そして、のー。
いつも面白かったのー。
喧嘩っぱやかったのー。
思いやりがあり、とても優しかったのー。
とても純粋で、大好きだったのー・・・
その純粋さも、勇敢さも、塵となり消えた。跡形も無く。
いい友達に囲まれ、守られてきた。
そして守られたままでここまで着た。
守られっぱなしでだらしない私。
調子に乗りやすい私。
泣く事しか出来ない私。
全然だーめな・・・私。
自分の不甲斐なさに涙が出てくる。
そして、不甲斐なく、弱く、涙を流している自分自身が笑えてくる。
・・・死んだつーとのーの為に生きよう。
そう思えたらどんなに楽な事だろう。
出来るものか!
原因を作ったのは私だ。
最後まで貴方達には何もしてやれなかったね。
つーが死んだのも私のせいだ。
結局最後まで守られてたね。
罪を行えば、罰が与えられる。
つーとのーは罪は犯していない。
罪を犯したのは私だけだ・・・
そして・・・まだ罰なるものを受けていない。
原因となった自分だけが生き残るなんて出来ない。
このまま、ここで罰を・・・死ぬのを待っていようか。
ねぇ、つー・・・のー・・・
有難うね・・・そして・・・ごめん・・・ね。
づーは武器とディパックを遠く草叢に捨て、すやすやと眠りだした。
それはあまりに優しく、幸せそうな顔であった。
誰かに撃たれるまでも無く、づーはそのまま死んだ。
原因は疲労と・・・言いようの出来ない何かであった。
【残り11人】
新作投下と前スレからのコピペ完了
以下、現在状況
【男子3番】ぃょぅ
武器:鉄砲(詳細不明)
現在地:F-5の高原
備考:脱出思考。えー、フサしぃとともに行動
【男子5番】ギコ
武器:スミスアンドウエソンM59オート ラプターマグナム
ダイバーズナイフ
現在地:D-1からどこかへ移動中
備考:情緒不安定。只今夢遊病者状態
【男子10番】ジサクジエン
武器:無し
現在地:C-4の草むら。但しかなりの時間が経過。移動していておかしくない。
備考:脱出思考。首輪が無効状態。ただひろゆきには気付かれている模様。
【男子12番】ダマレコゾウ
武器:ヌンチャク イングラムM10サブマシンガン(残弾26発)、水鉄砲(硝酸入り:高性能)
油およびその容器(超簡易火炎瓶?) ペインティングナイフ3本
現在地:ジサクジエン参照
備考:特攻を試みている
【男子15番】激しく忍者
武器:自作木製手裏剣 銃弾型のネズミ駆除ゼリー
ボウガン コルト357マグナムリボルバー(残弾0)
現在地:D-2
備考:激しくやる気。つーを殺害。
【男子17番】ヒッキー
武器:コルト・ハイウェイパトロールマン38口径
現在地:ジサクジエンを参照
備考:ジサクジエンを参照
【男子21番】モララー
武器:少量の毒薬 ワルサーPPK9ミリ
包丁 5`ハンマー
現在地:D-1から移動中。
備考:やる気気味。モナーの死をまだ知らない。
【女子7番】えー
武器:レミントンM31RS
現在地:ぃょぅ参照
備考:特に無し
【女子11番】じぃ
武器:デリンジャー コルト・ガバメント
現在地:E−5の山
備考:脱出または特攻思考 睡眠中
【女子13番】つー(死亡)
武器:ベレッタM93R
現在地:C-2にて死亡
備考:忍者により殺害
【女子16番】フサしぃ
武器:マンガ本(GTO全巻)
現在地:ぃょぅ参照
備考:気を失っている
【女子17番】づー(死亡)
武器:プローニングハイパワー9ミリ
現在地:不明
備考:力尽きる。武器は放置状態
禁止区域→C3,C4,D3,A3,E3,I3,H3,B5,F6,C1
乙。
>>1グッジョブ。
元書き手の香具師らも見つけてくれるといいな。
雑談スレも立てるか?それとも今後の様子を見てから?
あ、それと…
定時放送のシーン(
>>4-5)、書き加えたんだな?レコ達の事で問題になってたからいいと思う。GJ。
でも、前スレではあの後にモナーとレモナが死ぬシーンが入ってなかった?
別にそこもコピペしろと言ってるわけじゃないけど、ちょっと気になったんで。
>>34 モナーたちのシーンはログが取れなかったのでコピペできませんでした
あと、スレ立てお願いします
モナー達のシーンのログあるけど貼れば良い?
なんでAA板でテキストだけの展開なんだ?
38 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/26 20:49 ID:UccHg09I
常時age!
>>35 スマソ立てれんかった…
>>37 何を今さら。代々AABRスレはサロン板だったんだぞ?
40 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/27 19:48 ID:09fIDDVG
緊急浮上
41 :
坂田師匠 ◆GRRPdDaVH. :03/10/27 19:52 ID:WCnkS7OR
「う〜〜っ」
∧_∧ ∧ ∧ ∧_∧
( ▼_>▼ ) .(▼_>▼) .( ▼_>▼ )
( つ⊂ ) (つ⊂) ( つ⊂ )
ヽ ( ノ ( ( ) ヽ ( ノ
(_)し' U U' (_)し'
「坂田♪」
∧_∧ ∧ ∧ ∧_∧
∩▼_>▼)∩∩▼_>▼)∩∩▼_>▼)∩
〉 _ノ ヽ _ノ 〉 _ノ
ノ ノ ノ て ,) ) ノ ノ ノ
し´(_) U´ ヽ⊃ し´(_)
しぃ好きのみなさんいまこそみんなで話し合いましょう「しぃ同盟」にみんな入ろう!
http://taganash.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/yybbs/yybbs.cgi こーんなにいっぱいしぃちゃんを愛する優しい人がいるヨ!
やぁん 投稿者:えりつぃん 投稿日:2003/10/12(Sun) 22:03 No.260
しぃめちゃめちゃ好きなんですw
かわいいですよねぇw
ぜひ参加させてください!!!
しぃ可愛すぎ! 投稿者:ルル 投稿日:2003/10/07(Tue) 22:35 No.256
しぃ、可愛いから、大好き!
ギコトかも、好きですが、やっぱり、しぃが一番好きです!
バナーは、HPに、はっておきます。
ダッコ(マテ) 投稿者:浅月 唯 投稿日:2003/09/06(Sat) 16:26 No.240
しぃたんに激萌ですv
ギコともベストマッチ!イィ!
同盟参加させてくださいませv
無題 投稿者:マーマ☆ 投稿日:2003/09/06(Sat) 00:17 No.239
しぃ大好きです!あの顔…激カワです!っと言う事で参加します!
参加希望☆★ 投稿者:ソラ 投稿日:2003/08/30(Sat) 13:06 No.233
しぃ好きですv
参加させて頂きますね。
宜しくお願いします(^−^*
参加希望です 投稿者:YOU@2002 投稿日:2003/08/21(Thu) 11:50 No.213
しぃがかわいいので、大好きです。参加させてください。
しぃのうたってどの辺が違法だったんですか?
知ってる人メールで教えてください。
同盟参加希望 投稿者:ひつじ 投稿日:2003/08/17(Sun) 23:29 No.210
はじめましてo
2chについては初心者ですが、しぃ好きですvv
なので、参加させていただきますo
いや、本当に初心者なんで...(何)
ではo
入りたいです。 投稿者:JUNER(珠奈) 投稿日:2003/08/06(Wed) 12:28 No.205
しぃ同盟に入りたいです。
うちにはしぃ好きのための掲示板(
http://www.world2.to/wboard3/wboard.cgi?3882)があります。
BY 珠奈
43 :
1:03/10/28 16:50 ID:9IF7Uya3
乙。
こっちはsage進行だな。
保守
起動にのるまで油断ならない
保守じゃ!
47 :
>:03/10/30 18:02 ID:5aTI5cSe
保守っす!
48 :
みるまら:03/10/30 18:03 ID:bytwvGvi
,ィ⊃ , -- 、
,r─-、 ,. ' / ,/ }
{ ヽ / ∠ 、___/ |
ヽ. V-─- 、 , ',_ヽ / ,'
ヽ ヾ、 ',ニ、 ヽ_/ rュ、 ゙、 /
\ l トこ,! {`-'} Y
ヽj 'ー'' ⊆) '⌒` !
l ヘ‐--‐ケ }
;゙;:�;:゚。:; ヽ. ゙<‐y′ /
(ヽ、__,.ゝ、;゙;:�;:゚。:; ___,ノ ,-、 Mヽ〃ヽ〃ヽ〃
) ノ/`'ー-' < …・;゙;:�;:゚。:;∵
r'/, _.. // l、、、ヽ_) ∵ ∵・
ゝ(_/_ノ´ /ヽ_ノ/ __,l ヽ)_)‐'
{` ーニ[二]‐ク′ /\ ___
〉 / /_ // \ <_葱看>、 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ ´ ̄`ヽ ) t \/ (ハ((iヽl, i \ < みる、みる、みるまらーーー!
(____ノ--' O人゚ヮ ゚∠イ |
\⊂)) \___________
⊂<__/:__|
∪
50 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/31 20:10 ID:hdhOjfrD
保全age。
サロンは乱立だからageないと不安だ。
dat落ちは最終書き込みで決まるからageる必要はないと思われ。
書き手さんも何人か気付いてくれてるようだし
52 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/01 11:04 ID:8nsY4ySD
,..-──- 、
/. : : : : : : : : : \
/.: : : : : : : : : : : : : : ヽ
,!::: : : :,-…-…-ミ: : : : :',
{:: : : : :i '⌒' '⌒' i: : : : :} _. -‐‐''''''''')
{:: : : : | ェェ ェェ |: : : : :} ァ=r‐'' "´ __. ‐'' "/
. { : : : :| ,.、 |:: : : :;! _. ‐'"´ l l r} } }l
.ヾ: :: :i r‐-ニ-┐ | : : :ノ __ . - ' "´ l ヽ 、 ヽ_ノノ
ゞイ! ヽ 二゙ノ イゞ‐′-‐ ' ´/`゙ ーァ' "´ ‐'"´ ヽ、`ーテヽJ
_.. -‐''フ|フヽr-‐ ''''フ. ̄「´ '' / / _.. -'-'
. ‐ '7 く/|〉-rへ. / l l .‐ '"´
/ / / | | / ` <´ ', _.. - ' "´
┌‐────┐.| / / iニニニ} 、 _ ,. - '
│ ヌケド | ヽ|/ / ノ ` /
├───‐─┴────────────────────────
│意義あり!!
│表へ出ろ!!
└─────────────────────────────‐
53 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/01 12:04 ID:AYu3dEl4
____
/∵∴∵∴\
/∵∴/∴∵\\
/∵∴<・>∴∴.<・>|
|∵∵∵/ ●\∵|
|∵∵ /三 | 三| | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|∵∵ |\_|_/| | < 表になんかでるかボケェー
\∵ | \__ノ .|/ \________
/ \|___/\
│ ∴∵━━○━∴│
54 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/01 12:05 ID:AYu3dEl4
____
/∵∴∵∴\
/∵∴/∴∵\\
/∵∴<・>∴∴.<・>|
|∵∵∵/ ●\∵|
|∵∵ /三 | 三| | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|∵∵ |\_|_/| | < やっぱりでるぞボケェー
\∵ | \__ノ .|/ \________
/ \|___/\
│ ∴∵━━○━∴│
55 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/01 12:05 ID:JJwsQApb
バトルロワイヤルだ?
56 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/01 22:51 ID:88Bu1uBa
落ちるー
24時間ごとの保守をしないと落ちる
てかsageろ
▲_▲
(#メ▼・)<くくく、こんな頃試合つまらん。全員俺が殺すからな。
↑何?荒らし?
ホッシュ
61 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/02 18:46 ID:wJvI0J9c
,..-──- 、
/. : : : : : : : : : \
冒 /.: : : : : : : : : : : : : : ヽ
l l ,!::: : : :,-…-…-ミ: : : : :',
./〜ヽ{:: : : : :i '⌒' '⌒' i: : : : :} ________
|__| {:: : : : | ェェ ェェ |: : : : :} /
. .||ポサ.|| { : : : :| ,.、 |:: : : :;! < うわゎぁぁぁぁぁっ
/|.l ン||_.ヾ: :: :i r‐-ニ-┐| : : :ノ \
|  ̄ -!、 ゞイ! ヽ 二゙ノ イゞ‐′  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| −! \` ー一'´丿 \
ノ ,二!\ \___/ /`丶、
/\ / \ /~ト、 / l \
/ 、 `ソ! \/l::::|ハ/ l-7 _ヽ
/\ ,へi ⊂ニ''ー-ゝ_`ヽ、 |_厂 _゙:、
∧  ̄ ,ト| >‐- ̄` \. | .r'´ ヽ、
,ヘ \_,. ' | | 丁二_ 7\、|イ _/ ̄ \
i \ ハ |::::|`''ー-、,_/ /\_ _/⌒ヽ
___________________________________
このスレを見た人は、10年以内にかならず氏にます。
でも、逃れる方法はあります、
※10日以内に20箇所のスレにこれをはるのです。
すみません、僕、氏にたくないんだす
63 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/02 18:51 ID:okgNiKhc
64 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/02 18:52 ID:okgNiKhc
65 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/02 18:52 ID:okgNiKhc
66 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/02 18:53 ID:okgNiKhc
どうぞお楽しみください。
67 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/02 18:56 ID:okgNiKhc
あ、申し遅れましたが、ぼくはパムって者です。よろしくおねがいします。
68 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/02 18:57 ID:okgNiKhc
いっしょにバトルしよう!!
あと、お気に入りに入れてください。お願いします。
69 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/02 19:14 ID:okgNiKhc
返事してー
70 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/02 19:56 ID:okgNiKhc
お願いだから返事して・・・・
71 :
.わむて ◆wamuteW7DE :03/11/02 19:59 ID:w88ax6a2
.(\ /)
\\ /)″
((\\ ___ /)″
( (_ヾヽ <_葱看>ヽ/ヾ)
( ( ヾ./ i レノノ)) ヽヽヾヾ
しし// 人il.゚ - ゚ノ、 ヾヾ) みるまらー
.し/// /ヽ fR{:::::::::::}ノヾ)
,し(/////ヽ(ヽ::::: ::::::|/) ″
(/(/(/ |::|:: ::::::|::ヽヾ)
(/(/ ヽ::ヽ:::::::| |:::|
___|::|:::::::| ヽ:ヽ
/:::::||.:::::::| ||
ノ´:::::::::::N):::::::| /|
/:::::O::::::::ヽ|::::::::| |ノ
ノ::::::::::::::::@::::::::::::ノ
|:::::::::::O:/ ̄ ̄
ヽ::::::::::/
` ̄´
72 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/02 20:51 ID:CQCXRskn
sageだと圧縮喰らうぞ。
ていうか、書き手は逃げちゃったの?
73 :
.わむて ◆wamuteW7DE :03/11/02 21:14 ID:w88ax6a2
_
.,‐ '´ ∧ ∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ i レノ( ; ´ー`) < みるまらー
人il;-ι ⌒ヽ 、 \_________
⊂l(_____ × )
く(つつ U U
74 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/02 22:57 ID:ku7i9w8B
>>4-30 亀レスだけど、すごく(・∀・)イイ!
特に、本来お笑いキャラである+激しく忍者+がこういう風に書けるのかと感動しますた。
「+激しく〜〜+」がマジで怖いよ。
この作品初めて読んだんだけど、保管サイトとか無いのかな
75 :
みるまら:03/11/02 23:06 ID:oJxqYNuq
,‐ '´ ヽ-、
/ i レノノ)))  ̄ ̄\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
人il.゚ ヮ゚ノ人厂 ̄ ̄ヽ < みるまらー
fiつV/〃フ −ア \________
く(つ 「/ ̄>
// |ヽ/ ヽヽ
/L |へ> ) 〉
/2 ̄ /| ヽ__ノ ぶおおおおおおん
L__/彡| /
__ヽ<__/
U(__(==/
||ヒ ) )
ヽ__ノ∧∧ ぎゃー
⊂⊂⌒ ⊃(;゚Д゚)っ
test
保守
保守
保守だらけでもうこのスレいらねーだろ
勝手にサイト立ち上げてそっちでやれや
~~"''`;,,、 ヾ
`;,, ドサッ!
`;,, ヾ ,.,(\
゙゙`^`;, と,;;:;と:ヽ
と,(lil。b。)
V゙゙V`;,,
```;,,,.,.
/ /ー-, ー────-,
/ / /ヽ、/ __/
`y' /ヽ、 |
∠_、 / ヽ |
| `ヽ、 |
,/ | ヽ |
| `ヽ、 、|
82 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/05 20:34 ID:8VQoztGS
83 :
パム:03/11/05 20:54 ID:wCoeCZpZ
許さん!!
>>81 まぁ大方同意だよ。
君は正しい事を言ってる。
「その女」は、目を覚ますと同時に斜面を駆け下り、森の奥へと走っていった。
顔は寝る前と打って変わって青ざめ、額と頬から冷や汗が吹き出ていた。
─────────まさに、悪夢─────────
夢は想像などではなく、己の心が表出したものだと言う。
ならば、自分があの夢を見たこと自体が悪夢だ────
つい先ほどまでE5で仮眠をとっていたじぃは、自らの死に場所へと急いだ。
ニダーの復讐 ・ ・ ・ ・ ・
特攻 ・ ・ ・ ・ ・
そのようなことを考えていられないほど、その夢は痛々しく、彼女にとって残虐なものであった。
彼女の見た夢は、ゲームに優勝するものであった。
血で汚れた手。
無くなった1,2本の指。
手にしているのは、見慣れない武器。
目の前にある、忍者たちの死体。
─────そして、笑っている自分。
コレハ、ダレ?
ワタシ?
ゲームニカッテ、シュッショスルノ?
ダカラ、ウレシソウナノ?
・ ・ ・ ・ ・ まさに悪夢だ。
彼女は走った。
自らが選んだ死に場所へと。
自分の見た夢を許せずに──むしろ、自分がその夢を見たことが許せずに──ひたすら走った。
まるで、夢に促されるように走った。
・ ・ ・ ・ 極限状態で見たあの夢は、死神の囁きだったのだろうか。
それとも、水滴ほどの罪の意識による妄想だったのであろうか。
途中で何度も転び、足の爪が割れた。
ヒザやヒジを擦り剥き、銃の引き金にかけた指が折れても、彼女は走り続けた。
死ぬために走り続けた。
森を抜け、死に場所が近づいたとき、彼女は誰かに呼ばれたような気がした。
しかし彼女は止まらなかった。
もはや走っている理由すら忘れかけていたが、それでも走った。
目的地に達した。
首輪が警告音を鳴らし始める。
建物の入り口の見張りが彼女に気付き、銃を構える。
しかし、彼女はそのどちらにも気付かず、走り続ける。
その目は、自らの行動の目的など、とうに忘れているようである。
───なぜ、彼女は走り続けるのだろうか。
理由も考えられず死ぬことが、彼女の罪の償い方なのであろうか。
銃声と爆発音が、見張りの隙を探していたダマレコゾウの耳に、同時に届いた。
ほんの今までじぃであった肉塊の胸部にはライフルの穴が開き、首から上は無くなっていた。
彼女が絶えず被っていた帽子は首輪の爆風で吹き飛ばされ、彼女の遺体から数メートル離れた場所に落ちた。
帽子には、使用者の血と肉がこびり付いていた。
【残り10人】
なんですかこの糞スレは、なんでギコ君がしぃちゃんを殺しているの!それとごく少数の優しい人はここに来てね
しぃ好きのみなさんいまこそみんなで話し合いましょう「しぃ同盟」にみんな入ろう!
http://taganash.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/yybbs/yybbs.cgi こーんなにいっぱいしぃちゃんを愛する優しい人がいるヨ!
やぁん 投稿者:えりつぃん 投稿日:2003/10/12(Sun) 22:03 No.260
しぃめちゃめちゃ好きなんですw
かわいいですよねぇw
ぜひ参加させてください!!!
しぃ可愛すぎ! 投稿者:ルル 投稿日:2003/10/07(Tue) 22:35 No.256
しぃ、可愛いから、大好き!
ギコトかも、好きですが、やっぱり、しぃが一番好きです!
バナーは、HPに、はっておきます。
ダッコ(マテ) 投稿者:浅月 唯 投稿日:2003/09/06(Sat) 16:26 No.240
しぃたんに激萌ですv
ギコともベストマッチ!イィ!
同盟参加させてくださいませv
無題 投稿者:マーマ☆ 投稿日:2003/09/06(Sat) 00:17 No.239
しぃ大好きです!あの顔…激カワです!っと言う事で参加します!
参加希望☆★ 投稿者:ソラ 投稿日:2003/08/30(Sat) 13:06 No.233
しぃ好きですv
参加させて頂きますね。
宜しくお願いします(^−^*
参加希望です 投稿者:YOU@2002 投稿日:2003/08/21(Thu) 11:50 No.213
しぃがかわいいので、大好きです。参加させてください。
しぃのうたってどの辺が違法だったんですか?
知ってる人メールで教えてください。
同盟参加希望 投稿者:ひつじ 投稿日:2003/08/17(Sun) 23:29 No.210
はじめましてo
2chについては初心者ですが、しぃ好きですvv
なので、参加させていただきますo
いや、本当に初心者なんで...(何)
ではo
入りたいです。 投稿者:JUNER(珠奈) 投稿日:2003/08/06(Wed) 12:28 No.205
しぃ同盟に入りたいです。
うちにはしぃ好きのための掲示板(
http://www.world2.to/wboard3/wboard.cgi?3882)があります。
BY 珠奈
こんなにしぃちゃんが好きな人がいるのに虐殺している人はアフォだねw
___
<_葱看>、
/ I .((ハ)) i \
ノゝ゜ヮ゜ノハ
uiYu みるまらー
.〈|: _>
∪∪
___
<_葱看>、
/ (ハ((iヽl, i \
人゚ヮ ゚∠ノヽ
iYiu みるまらー
〈|: _>
.ヽ∪
保守
捕手
haha...
時刻は夜中の二時を回っている。
【男囚15番】激しく忍者は、負傷した右腕を庇いつつ、D-2から東へ移動していた。これまでの数々の戦いで、彼は身体のあちこちに怪我を負っていた。多くのAAを冥土に送ったのは事実だが、その全てが無傷ですんだと言うわけではない。
生まれた時から日々鍛錬を積んだ身体だが、刑務所暮らしの間に少しなまってしまったのだろうか、節々が痛む。
南東には大きな森林地帯が広がっている。E-3は禁止区域のため入れないが、まだ身を隠すところはあるはずと激しく忍者は見当を付けた。とはいえ南のD-3は禁止区域。遠回りになってしまうが、仕方ない。
歩き続け、そろそろE-2に入っただろうという頃に、激しく忍者はふとコルト357マグナムリボルバーを手に取った。既に弾の無い銃。弾が無ければ、持っていたところで意味はない。荷物になるから、捨ててしまおうか───そんな事を考えた、ちょうどその時である。
「ぅぅう……ぁぁ……」
激しく忍者は、ハッとして声のした方を見た。怪我のせいで勘が鈍ったのだろうか、一瞬そんな嫌な思いが頭をかすめる。彼はサッと身を低くし、月明かりの下を歩いているAAを確認した。
【男囚5番】ギコである。
ギコの姿を見た途端、どうしたんだ奴は───と思った。まるで夢遊病者のように、ふらふらと歩いている。そういえば、先程近くのエリアで銃声と奇声が聞こえていたような気がする。奴だろうか。
激しく忍者は物音を立てないように注意しながら、手持ちの武器を確認した。木製手裏剣はまだたくさん残っているし、ボウガンの矢もまだ数本予備がある。
これは……楽勝だ。ここからボウガンを一発撃てば、それですむ。眉間でも胸でも、急所を狙えば一撃だろう。激しく忍者はそう判断し、身を低くしたまま、ディパックからボウガンを取り出そうと手を突っ込んだ。そして───
ボウガンを持った手を引き抜いた瞬間、負傷した右腕に不意に痛みが走り、思わず───うめき声を上げた。
ギコの目が、かっと狂ったように見開かれた。───バレた!!
「うううあああああぁぁぁ!!!!!」
ギコの手が、スミスアンドウエスンM59オートを連射する。忍者はザッと横に飛び、危ういところで銃弾を避けた。
「+激しく油断+」
激しく忍者は舌打ちし、どこかで体勢を立て直そうと走り出した。ギコは狂ったように叫びながら追ってくる。まあ、こんなゲームでは、気が狂う者が出てもおかしくはないと激しく忍者は思った。
───その叫び声を聞いて、目を覚ました者が、E-5にいたわけだが。
「ぁぁぁあああ!!」
ギコの手の中のスミスアンドウエソンが、再び火を吹く。しかし激しく忍者には当たらない。そんなにがむしゃらに撃って、当たるものか。
追いつ追われつしているうちに、F-3に入った。E-3は禁止区域なので気をつけなければならない。ギコとの間に距離が出来たので、激しく忍者は素早く地図を出し、E-3とF-3の境目を確認した。
ここで決着をつけるか……激しく忍者はそう思った。
追い付いて来たギコが、辺りをぐるりと見回し───ボウガンを構える激しく忍者を見つけた。
シュパゥッ!!
激しく忍者の手から、ボウガンの矢が放たれる。矢は空気を裂いて真っ直ぐに飛んで行き、ギコの左肩に深々と刺さった……しかし。
「!!」
「ゴルアアアアァァァァァ!!!」
ギコは、足を止めなかった。
ガゥン、ガゥンッ!!
至近距離での発砲。激しく忍者がいくら体術の優れた者とはいえ、疲労した身体とこの距離では、避けきれなかった。先程負傷した右腕を再び撃ち抜かれ、ボウガンを取り落とす。それと同時に、ギコの銃がホールドオープンした。
互いに殺意のこもった目をした二人。激しく忍者はクナイを、ギコはダイバーズナイフを、それぞれ取り出した。
ギコの目は、既に『ギコ』としての理性を保ってはいなかった。見開かれ、赤く充血した目。開かれた口からは、涎に混ざり血がぼたぼたと滴っていた。
「あ゛ぁぁ……ぁぁぁぁ……」
ギコの喉から、ヒューヒューと空気が漏れる音がする。その姿を見て、激しく忍者は何故だか哀れな気持ちになった。こんな思いを感じたことはなかったのに。
この腐ったゲームで、自分もどこかおかしくなったのだろうか。……だが、明らかに、目の前のAAの方がおかしくなっている。
ならば───激しく忍者は木製のクナイをぐっと握りしめた───ここでこいつの命を終わらせてやろう。奴にとっても、その方がいいはずだ。これ以上生き恥を晒すのは、男として……奴も望まなかろう。
「ヴヴヴアアアアアア!!!」
叫び声を上げ、突進してくるギコ。それを迎え撃つべく、激しく忍者はギコの方へ走り───
ガギャッ!!
「!!」
ギコのダイバーズナイフが、激しく忍者のクナイを弾き飛ばした。そして───
風。
静寂。
どれくらい時間が経ったろうか、激しく忍者にはわからなかった。ずるり、とギコの身体から力が抜ける。その喉には、激しく忍者の木製手裏剣が深々と突き刺さり、鮮血が吹き出していた。
ギコは舌をひくひくと痙攣させたまま、絶命していた。彼が倒れるのと同時に、激しく忍者はがくりと地面に膝をつき……血を吐いた。
ギコのダイバーズナイフは、激しく忍者の肩の付け根をとらえていた。出血がひどく、頭がぐらぐらする。引き抜こうとしたが、手に力が入らない。
ここまで───だろうか。不意に、そんなことを考えた。
「くノ一……」
思わず、呟く。
───まだ、死にたくない。彼女に逢いたい。クックルとも決着をつけていない。だが……
……疲れて、しまった。
生まれてこのかた、人を殺め続けて、自由の無い生活で……唯一の光も、奪われて。
何故、こんな気持ちになるのだろう。やはり自分も、この『ゲーム』にまいっていたのだ。そう思うと、笑いたくすらなった。聞こえてくるのは、風の音と、それから───
足音。
激しく忍者は、ばっと足音のした方に振り返った。誰かが立っている。月明かりを背負い、風に髪を揺らし……
【女囚11番】じぃ。
激しく忍者とじぃは、互いに目を合わせた。以前一度会い、戦った相手。激しく忍者はその時の事を思い出し───彼女の手に、コルト・ガバメントが握られているのを見て取った。
「ひどい血ね」
感情の起伏を見せない声で、じぃが言った。激しく忍者は何も言わない。じぃは冷たい目をしたまま、すたすたと激しく忍者の方に歩いていき───その銃口を、彼の眉間に向けた。
その姿勢のまま二人は、しばらく沈黙した。
「……殺せ」
激しく忍者が、不意に呟くように言った。その言葉に、じぃは一瞬眉を動かす。
夜の空に響き渡った奇声に目を覚まし、目の前の激しく忍者を見つけた時から、じぃはニダーのことを思い出していた。生きたいと願っていたにも関わらず、この男に容赦なく殺された、哀れな……。
「+激、しく……」
忍者が、いつもと変わらぬ口調で言った。
「お前に、殺されるなら、不名誉には、ならない+」
その言葉に。
じぃは、激しく忍者の中に、自分と同じ何かを読み取った───殺しのプロとしての、何かを。
たった一発の、銃声。
風がうなりを上げる。じぃは、目の前に横たわる激しく忍者であった肉体を見つめながら、その場にじっと立ち尽くしていた。眉をきつく寄せ、口をぎゅっとしめ、その目には何かに対する怒りを浮かべ……それでいて、涙が流れていた。
───ひろゆき……
じぃは、ガバメントを持った手をぎゅっと握りしめた。
───あの男……。
立ちこめる血の臭い。じぃは激しく忍者の身体からダイバーズナイフを抜き取り、ボウガンを拾い上げ、近くに倒れているギコからもスミスアンドウエスンを回収した。そしてその場に、しばらくの間じっと立ち尽くし───
夜の原っぱにひとり、誰に向かうわけでもなく───黙礼した。
【残り8人】
保守あげ
98 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/09 12:36 ID:xB7sRXpd
時が経ち、空が青色に染まって来た。
「もうすぐ放送があるはずだょぅ」
【男子3番】ぃょぅが言った。
彼等がいるのはF-5地点。ぃょぅは気絶しっぱなしの【女子16番】フサしぃの怪我をなんとかしようとして、とりあえず血を拭っていた。そのすぐ隣に、【女子7番】えーがしゃがみこんでいる。
「えーちゃん、どうしたょぅ?さっきから何か悩んでるみたいだけど」
「ン・・・ナンデモナイノ。」
えーはそう答え、ぃょうに心配をかけまいと、少しだけ笑ってみせた。彼女は、タカラギコのことを考えていたのである。
医療所から飛び出した時は、彼の死に対する絶望以外の何も頭に無かった。ぃょぅに会って少し癒されてはきたものの、まだその事実は彼女の心を傷つけている。
───タカラギコクン…
えーは膝の間に頭を埋め、しゃくりあげた。どうして死ななければいけなかったの?そんな質問が頭を駆け巡る。どうして、こんなことになったのか。
このゲームの主催者…なんという名だったか。たしか…ひろゆき、といった。
───タカラギコクンガ死ンダノハ…ひろゆきノセイ?
そんな疑問が、頭に浮かんだ。
ひろゆき。このゲームの主催者。
えーの心に、悲しみとも怒りともつかない感情が巻き起こった。ひろゆきがこんなゲームを開いたせいで、タカラギコは死んだのだ。となれば、憎むべきはひろゆき……無理もない考えである。
……なんとかして、ひろゆきに一泡吹かせてやりたい。タカラギコ君の仇を討ちたい。えーはそう思った。
───デモ、本部ハ既ニ禁止区域ダシ、ドウシタラ…
そう思った時、恐ろしい考えが、えーの頭に浮かんだ。
……ゲームで、優勝したら。
優勝したら、ひろゆきと対面できる筈。
はっと、自分のデイパックに手をやる。中に入っているのは、食料と、それから───
レミントンM31RS。
拳銃。
えーの目が、フサしぃの隣にしゃがみこんでいるぃょぅの背に向けられる。警戒も何もない、無防備なその姿。
───優勝シタラ…
えーの頭に繰り返し流れ続ける、その言葉。
───優勝シタラ、ひろゆきニ…近付ケル…
レミントンM31RSの銃口が、今まさにぃょぅに向けられた、まさにその時であった。
…♪ピンポンパンポーン♪
突然の音に、ぃょぅが顔を上げる。えーはぎょっとしてレミントンM31RSを隠した。
「えー、みなさん元気に殺しあってるかー!午前6時だぞー。寝てる奴は起きろー!」
放送。ひろゆきの声である。
「それじゃ、死亡者の発表だー。死んだ順だからなー!
えーと…【女子21番】レモナ、【男子20番】モナー、【男子9番】さいたま右、【女子13番】つー、【女子17番】づー、【男子5番】ギコ、【男子15番】激しく忍者。
死亡者は以上だー。かなり減ったなー。もう残り人数ひとケタだぞー!」
この放送を、えーはぽかんとした表情で聞いていた。タカラギコを殺したギコも死んだのだ。
どんどん、人が死んで行く。生き残りが減っていく。……一番の強敵と思われた、激しく忍者も果てたという。
「次に、禁止区域だー。えーと、D-1、B-6、G-7!憶えたかー?それじゃ、もう大詰めだから、みんな頑張れよー!脱出思考の奴はいいかげん諦めて、殺し合いに集中しろよー!」
♪ピンポンパンポーン♪
『殺し合いに集中しろよー!』
ひろゆきの言葉が、えーの頭を駆け巡る。
彼の言う事に従うのは、とてつもなく不愉快だ。
……けど。
「はふぅ……」
死亡者の名前を聞いて、ぃょぅはため息を漏らした。ふと、えーの方を見る。
「……えーちゃん?」
ぃょぅは、少し表情を曇らせて呼びかけた。
「どうしたょぅ?」
えーはぃょぅの方に向き直ると、にっこりと笑って答えた。
「ナンデモナイヨ。」
「…そうかょぅ。」
えーはこくりと頷くと、また視線を明るくなって来た空の方に戻した。
───今ハマダ、殺シ時ジャナイ。
えーはそう判断した。強敵が消えたとはいえ、まだモララーやじぃなどの凶悪犯が生きている。えーはぃょぅに、仲間意識ではなく、利用価値を見出していた。優勝するために、ひろゆきに近付くために。
……今ハ、マダ。
えーは、レミントンM31RSを、そっとディパックの中に戻した。
彼女の頭には最早、ぃょぅに救われた恩ではなく、殺されたタカラギコの敵討ちしかなかった。
【残り8人】
103 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/10 20:02 ID:R13j58c3
午前7時を過ぎたころ、D−4とC−3の境目、禁止エリアになるかならないかのギリギリのところに彼女はいた。
【女囚11番】じぃだった。
―時は少し遡る。
忍者の命を奪った後、何をするか決めかねていた彼女は6時の放送を聞いた。
残り8人。
自分と仲間になり、共に脱出を目指してくれるような奴はほとんど死んでしまった。
最早脱出の可能性は絶たれたに等しかった。ならば・・・・・・。
そう、彼女は分校に特攻するために、死ぬためにやってきたのだ。
最早ひろゆきを殺せるとは思ってはいない。だが、一矢は報いてみせる。
両手にコルト・ガバメントとスミスアンドウエンスンを持ち、ボウガンと、デリンジャーを身に付け、
「ニダー・・・忍者・・・見ていろ・・・・・・。」
そう口に出して言い、彼女は200mほど離れた刑務所、禁止エリアに向かって、駆け出した。
クックルはモニターを見て、正直驚いていた。
特攻をかけてくると思われたダマレコゾウ・・・彼がどういうわけか同じ場所に留まっている。
彼の特攻による戦力の低下を当てにしていたクックルは、『作戦』を諦めかけていたのだが・・・。
あのじぃが、無口ゆえ、クックルにすら特攻思考を気づかれなかった彼女が特攻してきた。
本来なら真っ先に別室にいるひろゆきに連絡しなければならないケースだが、彼は立ち上がると、そこではなく便所へと歩いていった。
このゲームで囚人たちに取り付けられている首輪は、たとえ禁止エリアに踏み込んだところですぐには爆発しない。
何かの加減で一瞬禁止エリアに入ったしまっただけで爆発したのではつまらないというのもあるが・・・
最大の目的は恐怖を与えることである。
放送を聞き逃したまま眠り禁止エリアに入ったり、脱出不可能なほど深くエリアに踏み込んだ者に死の恐怖を与えるものだった。
だが、それが誤算だった。
その時間を利用して、彼女は突っ込んできたのだ。
さらにじぃにとって幸運だったのは、弾除けのために刑務所の窓一面に張ってある鉄板だった。
鉄板を張れば当然外は見えない。彼らはレーダーがあれば十分だと思っていた。
だが、もちろんじぃは知らないことだが、レーダーを管理しているのはクックルだったのだ。
じぃは30秒ほどで分校にたどり着いた。まだ、首輪は爆発しそうにない。
開いていたドアから建物に侵入し、すぐ近くの部屋にいた兵士数名―何が起こったか分からず、しかも完全に油断して銃を降ろしている―に発砲した。
彼女の銃から放たれた弾丸は正確に彼らの頭をぶち抜き、屍へと変えた。
その銃声を聞きつけ、向こうから現われた兵士たちに鉛弾をお見舞いする。これも、一発で正確に脳の動きを止めていた。が、
右手に持っていたスミスアンドウエスンが弾切れになった。それに気づいたのか銃を構えた―畜生、支給された武器よりだいぶ性能のいい銃だ―兵士たちへデリンジャーを抜いて撃った。
そのデリンジャーの小口径の弾ですら、正確に頭を狙える彼女にとっては十分だ。銃撃を喰らった兵士が汚い床に突っ伏した。
素早く、スミスアンドウエスンに予備マガジンを装填した彼女に、新たに現われた兵士たちが容赦の無い掃射を加える。
「ぐはっ!」
一斉に放たれた銃弾は彼女の右腕と脇腹を貫き、鮮血を噴出させた。だが、それでも彼女は退かない。
時間が無いのだ。首輪の点滅と電子音のペースはだいぶ速くなっている。
血が吹き出て激痛が走る右腕で、それでも正確に相手の頭を打ち抜くじぃ。それはまさに鬼神だった。
だが―――
ババババババッ
一つの銃での連射には限界があった。まだ撃たれていない兵士の放った銃弾が彼女の身体に新たな弾痕を作っていく。
身体を貫く衝撃で後ろに飛ばされそうになるが、踏みとどまり、まだ致命傷はもらっていない。
最早感覚が無くなりかけている、血まみれの右腕でさらに銃を撃った。
銃声が聞こえるたびに、兵士たちは物言わぬ屍へと姿を変えていく。しかし、どんな銃にでも装弾数に限界がある。
がちっ。銃弾の飛び出していく感覚が無い。
再び弾切れをおこすスミスアンドウエンスン。予備のマガジンはもう無い。いや、あったとしてもそんな時間は無い。
最早ここまでなのか?兵士たちはそんな彼女に容赦なく銃を構えて発砲―
してくるかと思われた兵士たちが何故か後退していく。
一体なぜ?だが、その疑問はすぐに解決された。
10メートルほど向こう、兵士たちに護られたマッシュルームヘアーにメガネの男。
ネオむぎ茶がバズーカ砲とおぼしき円筒を構えてこちらを狙っていた。
右腕にもう弾は無く、左手のコルト・ガバメントにも僅か一発・・・。
その一発を使って兵士を殺すこともできただろう。だが、彼女はもうどうでもよかった。
首輪の点滅音はほとんど連続した音声に聞こえるほど速くなっていたし、向こうのネオむぎは今まさにバズーカを撃とうというところだったからだ。
彼女の左腕は兵士たちには向かわず、自分のこめかみに狙いを定め、
ニダーから貰ったコルト・ガバメントの引き金を引くべく力を込めた。
106 :
出汁脳:03/11/10 20:08 ID:R13j58c3
じぃはその一瞬、だが、彼女にとっては永遠とも思える時間で思った。
ニダー、見ているか?ひろゆきを倒すことはできなかったが・・・奴らに一矢報いることはできた。
死後の世界というものがあったら、お前は私になんと言うだろうか?
・・・いや、どうせ私は地獄逝きだ。人を殺しすぎた。お前とは一緒になれないな。
まぁ、そのときは忍者とでも一緒に、そのうち来るであろうひろゆきと闘うことにするよ・・・。
彼女はそのまま一瞬笑みを浮かべ―――
次の瞬間、単発の、コルト・ガバメントの銃声が一発と二度の爆発音が同時に聞こえ、彼女は爆発の中に消えていった。
立ち込めていた煙が晴れたとき、最早そこにはじぃの破片すら存在していなかった。
ただ、どういう訳か、彼女がいつも身につけていた帽子の@マークと、コルト・ガバメントだけがそこに残っていた。
累々と兵士の死体が横たわる中、ネオむぎはそれをただ見ていることしかできなかった。
【残り7人】
夢を見た。
自分の手が血に染まり、周りには幾つもの死体が転がっている。
そして、その何人ものの死体の中心に立っている。
・・・自分が。
血に染まった手を見ながら、立っている。
そして、その私の型を叩き、微笑む者がいた。
・・・フサギコクン・・・?
【女子16番】フサしぃは目を覚ました。
見慣れない光景。
ここは何だろうか。・・・家?
フサしぃはガバッ、と起き上がり、周りを見回した。
やはり・・・ここは家だ。
・・・何故私はこんな所に寝てるのだ?
フサしぃは、過去の事を頭の中でロールバックさせた。
よく思い出せないが・・・確かえーを襲って・・・それで・・・誰かに刺されたんだっけ・・・
「ア!フサシィサンキガツイタミタイヨ!」
何処からか聞き覚えのある声が聞こえた。
フサしぃはびくっ、と大きく体を振るわせる。
・・・えー?
「あ、本当だよぅ!」
えーらしき声が聞こえた途端、誰かがフサしぃの居る部屋へと入ってきた。
あれは・・・確か・・・いよぅくん?
あの特徴のある口。妙に愛嬌のある顔。間違いなくいよぅだ。
いつだったかこのゲーム中に会った事があるような気がする。
フサしぃがそう考えていると、続いてえーがフサしぃの部屋へと入ってきた。
「フサシィサンダイジョウブ?」
えーはフサしぃに優しく声を掛けた。
・・・私はえーを殺そうとした。
手ごたえがあった。えーは確かに私の手の中で落ちた。
・・・で。
えーは何故ここにいて、私に『大丈夫?』とか言ってるの?
明らかに変な状況である。
フサしぃは一体自分が寝てる間に何があったのかという事は、どう考えても分からなかった。
「フサしぃさん、大丈夫かよぅ?」
いよぅがフサしぃに声を掛ける。
いよぅは本気で心配している人のその目だった。
「うん・・・大丈夫。」
フサしぃは適当に答えた。
・・・そういえば私は何故怪我をしているのだろう。
「フサシィサン、イタクナイ?」
えーがフサしぃの顔を覗き込みながら言う。
フサしぃは俯いたまま何も答えなかった。
私はえーを殺そうとした。
えーはあのとき・・・確かに私の中では死んだ。
でも・・・今こうして私の前に居る。
元気な顔で。全くあの事が無かったような素振りでここにいる。
そして、私が逆に怪我をしている。
一体どういう事?
とにかく自分が予測もつかないような変な事が起きたんだ。
・・・何が起きたかなんてどうでもいい。ただ今分かってる事は・・・
まだ生き残りがいる、という事だけ。
窃盗。
犯罪。
一瞬で風の中に消えた幸せ。
恋人、フサギコ。
結婚を約束していた・・・フサギコ・・・
死にたくない。
生き残りたい。
あの幸せだった頃に戻りたい。
蝋燭に点る灯火ほどの希望も無い、『絶望』一色のこの『プログラム』。
足を進めている途中に他の人に殺されてしまうかもしれない。
一休み取っている途中に不意打ちを食らって死んでしまうかもしれない。
思い人の事を思っていようが、優勝した後のことを考えていようが、精神の均衡なぞとても保ってはいられない。
表面上では優勝の事を考えていても、心の中では死ぬ事を考えているのだ。
ああ、そうよ。そうよ。普通に考えたところで凶悪犯ばかりのこのゲームの中で自分だけが生き残れるわけなんて無い。
死ぬなんてまっぴらだ。絶対に嫌だ。
夜の夕闇が自分の姿を黒く染めるのと共に己の心の内も恐怖の色に染まっていく。
今の私のように普通なら安心するような場面でも、この『プログラム』では違う。
もしかしたらこの二人は手を組んでいるのかもしれない。すき有らば私を殺すつもりなのかもしれない。
そう考えてしまう。どうしても、だ。
その恐怖を少しでも和らげる事の出来るのは・・・そう。
他の奴を殺す事だけだ。
「あ、フサしぃさん。さっきコーヒー入れたんだよぅ。一緒に飲むかよぅ?」
いよぅが突然そう切り出した。
フサしぃは元々コーヒーが嫌いだったので断ろうかと思った。 ・・
しかし、随分前に念のためにとディパックに忍び込ませていたあるモノの存在を思い出した途端、
フサしぃにある考えが浮かんだ。
「・・・うん。頂くとするわ。ありがとね。」
フサしぃがそう言うと、いよぅは、別のところからコーヒーを持ってきた。
フサしぃの前にコーヒーが置かれる。つん、とした厭なコーヒー臭さがフサしぃの鼻腔に侵入する。
「あの・・・砂糖とかある・・・?」
フサしぃがおぼろげに尋ねた。
「うん・・・台所にあるよぅ。取ってこようか?」
いよぅが言う。
「・・・いや、いいわ。私が取りに行く。」
フサしぃはそう言うと、コーヒー片手にベッドから立ち上がった。
立つ瞬間に背中が一瞬、熱くなった。
「ダ、ダイジョウブナノ?フサシィサン・・・」
えーが心配そうに謂った。
「大丈夫。貴方達には迷惑かけてばっかりでしょ?だから・・・」
フサしぃは心にも無い事を言うと、部屋を出て行き台所のほうへと向かった。
台所には、テーブルにもう一つコーヒーが置いてあり、その隣に砂糖(シュガーパックという奴だ。)がおいてある。
おそらくえーかいよぅが飲もうとしてたものだろう。
フサしぃは、テーブルにおいてある砂糖を二つのコーヒーにガバッとぶちまけ、
そのまま砂糖のカラと袋を、残ってる砂糖ごとゴミ箱に放り捨てた。
そして、フサしぃは、ディパックからあるモノを取り出した。
・・・いつだったか、とある民家で見つけて、切り札として忍ばせていた物だ。
まさか役に立つ時が来ようとは・・・
フサしぃは表情を変えず、そのモノを二つのコーヒーに入れてかき混ぜた。
フサしぃは何事も無かったかのように
そのモノをディパックに再びしまい込み、再びあの部屋へと向かった。
部屋の中は、先程彼女が出た時とまったく同じ光景だった。
「ごめん・・・やっぱちょっとコーヒー飲む気になれないからさ・・・二人で飲んでよ。」
フサしぃはすまなそうに呟いた。
「そうかよぅ。早く食欲戻るといいよぅ・・・」
いよぅが呟いた。
「フサシィサン、ワザワザワタシノブンマデアリガト。」
えーはそう言うと、フサしぃの手からコーヒーを取り、テーブルの上においた。
続いていよぅもコーヒーを取り、テーブルの上に置く。
「早く元気になるといいよぅ。」
いよぅがフサしぃに向かって静かに言った。
「ウン、ソウダネ。」
続いてえーも言う。
そして、そのままえーがコーヒーを手に取った。
・・・・・・・・・・
無論殺鼠剤入りのコーヒーだという事は知らないままだ。
タカラギコ君・・・絶対に仇は取るよ・・・
えーは心の中で何度も何度もそう繰り返していた。
いよぅくん・・・フサしぃさん・・・
悪いけど私のために・・・いや、タカラギコ君のためにもうちょっとだけ利用させてもらいますよ・・・
えーは心中でそう呟きながらこくっ、とコーヒーを一飲みした。
「ふぅ・・・」
溜め息を漏らすえー。
・・・何か変な味が・・・する・・・味覚が狂ったかな?
そのえーをフサしぃがじーっと変な目で見つめている事には、誰も気付かなかった。
「じゃ、僕も遠慮なく飲ませて頂くよぅ。」
いよぅがフサしぃににこっ、と微笑み、言った。
そして、いよぅがコーヒーを一気に飲もうとしたその時―――
「ぶほっ!」
えーが先程飲んだコーヒーを吐き出したのだ。
えーは喉と腹を押さえ、床を転げまわる。
いよぅは、何が起こったのかわからなかったが、とにかく大変な事が起きたのだ、という事だけは分かった。
いよぅは急いでえーに駆け寄った。
「どうしたの!?どうしたんだよぅ!?」
いよぅがほとんど叫び声に近いような口調で言う。
えーは何も答える事が出来なかった。ただ、呻き、喘ぎ、叫び、転げまわるしかなかった。
なに・・・?これ・・・!
喉が痛い・・・お腹が・・・はちきれそうにいたくて・・・熱い・・・くるしいくるしいくるしい!!
次第にえーの顔が変色していき、口から鮮血がぼたぼた流れ出す。
血管という血管が浮き上がり、その一つ一つが小さく脈動する。
それは、まさに地獄絵図であった。
いよぅは何もする事が出来なくて、ただただ叫び声を上げる事しか出来なかった。
そして、どんどんえーの動きが小さくなっていく。
嗚呼・・・このまま私死ぬのかな・・・苦しい・・・苦しい・・・
嗚呼、神様。願わくば私もタカラギコ君と同じ所へと導いてください・・・お願い・・・お願い・・・
最後にえーは、一際大きな血玉を吐くと、そのままぴくぴくと痙攣して動かなくなった。
それと同時に、いよぅは地に突っ伏し、泣き出した。
「なんで・・・?なんで・・・!?えー・・・ちゃん・・・」
いよぅは、床に顔を埋めたままおいおい泣き出した。
随分と皮肉なものか、彼もえーの事が少し気になっていたのだ。
と、フサしぃが突然立ち上がり、えーの死体の近くのディパックを漁りはじめた。
「フサしぃ・・・さん・・・?」
いよぅが、まだ涙が溢れ続けている目で、フサしぃを見た。
と、フサしぃがえーのディパックから何やら巨大なものを取り出し、再びいよぅの方に向き直った。
「ごめんね・・・えーちゃん・・・でもね・・・私には待っている人がいるの・・・」
フサしぃは妙にサバサバした口調でそう言うと、その巨大なものをいよぅに向けた。
「え・・・・・・?」
いよぅは、目を擦り、涙を拭いた。
視界が次第にはっきりしていく。それと同時にフサしぃの持っている物が何なのか分かってきた。
レミントンM31RS。
「いよぅくん・・・も・・・ごめんね・・・大丈夫だよ・・・すぐおわるから・・・さ。」
フサしぃがほとんど聞こえないような声で呟いた。
いよぅは、まだ涙が溢れ出ているその目で、フサしぃを見る事しか出来なかった。
「ぅ・・・あ・・・」
いよぅは死を覚悟した。
フサしぃの指が、引き金を序所に引いていく・・・
ドン
一つの乾いた銃声。
しかし、銃声によって弾けたのはいよぅでは無く、フサしぃだった。
フサしぃは、どさっと横なりに倒れた。その死に顔は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔・・・とてもあっけらかんとした表情だった。
それと同時に、いよぅにとってとても聞き覚えのある声が聞こえた。
「はい、フサしぃさん。そこまで!カァーット!」
いよぅは、いまだ涙が溢れている目で、声のした方向を見た。
そこには、間違いなくあの【男子21番】モララーが銃を構えながら立っていた。
「やぁ、久しぶり。いよぅくん。大丈夫だよ、今は闘う気ないから、さ。」
モララーはそう言うと、その手に持っているワルサーをディパックの中にしまい込み、両手を挙げぐるりと体を一周させた。
そして、モララーはいよぅに向かってにこっ、と微笑んで見せた。
【残り5人】
保守
おまいら最高
保守。
age
もう大詰めか…
ぃょぅ【男子3番】は走っていた。東。東の海岸に行く必要がある。
モララーが現れたとき、ぃょぅは殺されると確信していた。
民家でのウィルス製作。何故か突然切られた回線。そして激情したモララーの顔。
あれは自分のミスだったのは間違いない。モララーはそのことを怒っているはずだった。殺される―――確信した。
しかし、モララーは敵意がない、と言った後、ぃょぅの話す暇を与える事もなく、一方的に話し始めた。
「ずっと東の海岸に、ゴムボートがある」
「民家の倉庫に中にあった。それで、この島を脱出しろ」
「見張りの船を抜けられるかどうかが問題だが―――見たところ見張りの船は南だけだ」
「これがあれば首輪の爆発は無効だ。いいか、脱出しろ。脱出して生き残るんだ。わかったな」
そう言ってモララーはぃょぅの首輪にアルミホイルを巻いた。ぃょぅは何が何だかわからなかった。
首輪にアルミホイルが巻かれた後、モララーはフサしぃの持っていたレミントンを持って、刑務所の方向に消えようとしていた。
「…モララー君は…どうするんだょぅ?」
ようやく思考が戻ったのか、ぃょぅは言葉を発した。モララーはその言葉で足を止め―――ゆっくりと言った。
「―――俺は、刑務所に行く。刑務所に突撃して、敵を減らす」
ぃょぅは理解した。モララーは、刑務所に特攻をかけるつもりなのだ。
「そんな…確かに敵を減らせば脱出は楽になるんだょぅ。けど、死にに行くことはないょぅ!」
「いいから東に走れ。生存者は俺とお前だけだ。お前を殺せば俺は優勝できるが―――それはしない」
「無駄死にをするのかょぅ!」
「俺にはもう何もない。死んだモナーのためにできることなんて――――これぐらいしかないさ」
「モナー…?」
モナー、そうだ、モララーとモナーは親友だった。確か既にモナーは放送で呼ばれていたはずだった。
モララーは親友を殺した政府に、特攻をかけようとしているのだ。
「…なら、僕も行くょぅ」
そう言ってぃょぅはモララーの方へ歩み寄った。しかしモララーは振り返ると、突然レミントンをぃょぅに向けた。
「来るな。お前は脱出しろ」
「何でだょぅ―――僕ももう何もないょぅ。仲がよかったみんなも死んで、もう何もないょぅ。政府に仕返しくらいとしたいょぅ。」
「まだお前には生きる義務があるからだ。さっさと脱出しろ」
「…自分勝手だょぅ!僕にだけ苦しみを押し付けて、自分は楽になるのかょぅ!」
「そんなわけじゃない。お前にはこのことを、世間に知らせるんだ。政府の愚行と、それと―――」
モララーはレミントンを降ろし、言った。
「俺たちの、生きた証を、世間に知らせる必要がある。俺だけで充分だ。行くのは。それにお前には肉親もいるはずだからな。俺には何もない」
それが最後だった。モララーは刑務所へ歩き出した。ぃょぅは、一言だけモララーに言った。
「死にに行くんじゃないょぅ。絶対、帰ってくるんだょぅ。僕、待ってるょぅ」
モララーは返事をせず、しばらくして視界から消えた。
結局、ぃょぅはこのことを世間に知らせることに決めた。囚人の、生きた証。
それを世間に伝える為に―――ぃょぅは走った。
走り出してから十分ほどで、ゴムボートはあった。漁船も何もない海岸に、ぽつんと置いてあった。
ぃょぅは、そのゴムボートを視界に据えたまま、砂浜に座り込んだ。いろんなことを考えながら、モララーを、待った。
保守
119 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/14 22:14 ID:bGu5hqaU
ここで話は防衛本部に移る。
兵士「長官大変です!、AA達のすさまじい戦いにより、鯖が潰れる危険があります!」
長官「うむう・・・よし、決めた。」
兵士「な、なにをでございますか?」
兵士は動揺し、冷や汗をかきながら桃色のマークが入ったハンカチで顔を拭いた。
「全 て の 板 と 、 厨 房 を 潰 せ!」
「長官!2ちゃんねるを潰すつもりですか!?」
こうして「戦士」達の与り知らぬ所で2ちゃんねる殲滅作戦は遂行されていくのである。
120 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/15 09:54 ID:lZzq2AlP
(_ _) (・A・) 僕らは?
(∩ ∩)
(\Å/)
( ≡・Д・) 鈴木健太だよ!!
( つ ☆)つ みんなよろしくね!!
( ))( )) \
/ / | | \
∪ ∪ \ Å
K ̄ ̄ 《ε´Д`) ヨロシクネ。
UU ̄U U
保守っとくか
age
124 :
名無しさん@お腹いっぱい。。:03/11/16 12:52 ID:eH9YE5rl
何だよここ
AAが少ないじゃんつまらねー
125 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/16 14:48 ID:GKWd17lf
今度は、60人でやろう
60人は多過ぎないか?つーか男女の数あわなくなると思われ
>>126 ここでいうのもなんなのだが、雑談スレッドへいけ
>>127 うん、わかってるよ。悪かった。
けど、ここAAサロン板だろ?24時間ごとに何か書かないと落ちるらしいんだよ。不安なんだよ。
>128 AAサロン板だと60日以後は24時間以内に書きこみが
無いと落ちる。前もそれで落ちた。
このスレはまだできて間も無いからまだ大丈夫ですよ。
スレ汚しスマソ。
>>128 そうか。君もそれが不安だったのか。漏れも同じだよ。
スレヨゴシスマソ
132 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/17 15:14 ID:2UvB/o9y
:::::::::::/ ヽ::::::::::::
:::::::::::| ば じ き i::::::::::::
:::::::::::.ゝ か つ み ノ:::::::::::
_,,,, _/ だ に は イ:::::::::::::
| な。 ゙i ::::::
_,ァ--\_ ,,-'
ヽ__ _,,-''
: -‐ '''ー {! )ノ _,,...-
: ‐ー くー | ∠_:::::::::
゚ ,r "_,,>、 ゚'} 、 ,-、ヽ|:::::::::
ニ __l___ノ |・ | |, -、::
/ ̄ _ | i ゚r ー' 6 |::
|( ̄`' )/ / ,.. i '-
`ー---―' / '(__ ) ヽ 、
====( i)==::::/ ,/ニニニ
:/ ヽ:::i /;;;;;;;;;;;;;;;;
133 :
(´・ω・`)ショボ:03/11/17 19:35 ID:HtoaMQOM
まったくだね・・・・・・
∧_∧
( ・∀・)
( )
| | |
(__)_)
134 :
名〜無〜し〜:03/11/17 19:58 ID:A/0a3RId
確かバトルモナイヤルっつーFLASHがあったような気がするんだが・・・
気のせいか?
135 :
(´・ω・`)ショボ:03/11/17 20:00 ID:HtoaMQOM
∧_∧
∧__∧ (´<_` ) あったよな兄者。
探し中だ ( ´_ゝ`)/ ⌒i
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
\/___/ ヽ⊃
136 :
名〜無〜し〜:03/11/17 20:42 ID:A/0a3RId
>>138 全くだ。
類人猿を何だと思っている。
>>133-136とは比較するのもアホらしい高等生物ではないか。
>>137は名誉毀損罪で訴えられても文句は言えんな。
いや、待て、侮辱罪の方が適しているか。
アソタ政治家でっか?
>>143 お前が( ´,_>`)で何を表したいのか小一時間(ry
age
ほーしゅ
:\
148 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/23 20:12 ID:fQ4mn+dZ
ほっしゅ
保守
――――なぜ僕なんかを逃がしたんだょぅ――――
ぃょうにはどうしてもわからなかった。
一時は「脱出」と言う目的で手を組んだモララー、
しかし自分の失敗に彼は怒っていたはずだ。
その彼が再び自分の前に現れ「お前は生きろ」と言った。
一度は自分を殺そうとまでした彼が自分を生かそうとしている。
「なんで僕じゃなきゃいけないんだょぅ・・・・」
他の人でもいいんじゃないか?それなのになぜ自分に?
僕を殺そうとしたモララー、
僕を生かそうとしているモララー、
そしてその彼は、今本部に特攻をかけようとしている・・・・
彼に言われるがままにここまで走ってきた自分。
(なんであの時無理矢理にでもついて行かなかった?)
モララーの銃が怖かったから?
モララーがあまりに真剣だったから?
それとも・・・・
そこまで考えてぃょうは自分が怖くなった。
こんなことを考えるのは自分がこんな状況にあるからだ。
そして彼は砂浜に大の字になった。
保守
153 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/03 17:54 ID:L9XBQ2OH
154 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/06 22:10 ID:kTFWJpbo
保守
155 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/07 16:49 ID:577Sk/Q6
保守
156 :
見たいー:03/12/10 14:49 ID:wro5vDFc
AAバトルロワイアル3と4が見れないんですけど
157 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/10 14:57 ID:C0eCvFR4
もな
158 :
?????:03/12/10 19:36 ID:wro5vDFc
(・A・)
「しかし・・・奇妙なものだな。」
ひろゆきはコーヒーを啜りながら言う。
「生き残りはまだ5人も居るというのにレーダーには生体反応が無い・・・
普通ならここで全員死亡の優勝者無しなんだがな。」
ひろゆきはコーヒーをカタンと置くと、クックルの方を向いた。
「なぁ。奴らがどんな行動に出るかは分からないが、恐らくは特攻か脱走。
二つに一つだ。
入り口前の警備を強くして、島周りの警備も強くしておけ。」
クックルは何も言わず、ただ頷いた。
「無愛想な奴だな・・・もう。」
そして、再びコーヒ-を手に取るひろゆき。
「ひろゆき様。二つの生体反応がこちらに向かってきています。」
ロムスカがひろゆきに向かってそういった。
「そうか。ふふ・・・もうそろそろ大詰めだな・・・ムスカ。お前準備しとけ。」
「は、はい。」
ロムスカは、その一言で、司令室を出て行った。
後には、ひろゆき、数人の兵士が残された。
「あー・・・そういえば大耳モナーの奴どこに消えたんだ?」
ひろゆきが思い出したように言った。
「さぁ・・・知らない。あいつは何考えてるか分からないからな。」
幹部の一人であるデブヲタが答えた。
ひろゆきは顔をしかめ、それから大好物であるうまい棒を頬張った。
ダマレコゾウ、モララー、ジエンとヒッキー。
彼らは、行動は別でも皆同じ事を考えながら島を駆け回っている。
160 :
?????:03/12/12 18:05 ID:XWnSlUR5
(・∀・)
161 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/12 19:16 ID:5d85vqz1
そこに集合してからどれほどの時が経ったのだろうか?1時間?それとも1日?スレ的には数週間?
ともかく、一人の男が口を開いた。
「それじゃ、配置に着け、小僧ども」
ダマレコゾウは本校を乗っ取るためには一部から3人が入るよりも3箇所から一人ずつ入るほうが良策だと考えていた。
本校の東側に位置する正門にダマレコゾウが、西側の「3−1」と札が掛けられている窓からジエンが、そして隣接する体育館の用具室の屋根の上から
本校の2階に侵入できる窓にヒッキーがそれぞれ配置されていた。
一番重要なことは、自分たちを支配しているこの憎き首輪の存在を排除することだった。
また、その為にはパソコンやその他の機材、幹部を破壊し、めちゃくちゃにすることが最優先だ。
――――自分の命は、今はゴミ同然だと考えろ――――
この言葉はダマレコゾウが学生のときに常に言われてきたことだった。
―もっと大事な目標があるならば、それの為に命を燃やせ。目標を達成するための自分の命は、ゴミ同然だと考えろ。そうすれば、何事も上手く逝く――
言ってた人は誰だか覚えていない。しかし、その言葉は常にダマレコゾウを苛立たせてきた。
しかし今、その真意がわかったのだ。今の自分の命は、自分だけのものではない――――
ジサクジエンが西側の窓の外に配置されたとき、夜空を見上げていた。
星が浮かんでいる。たくさんの、たくさんの星が。しかし目に映らなくなっていく。ナゼダ?
目の横を雫が流れた。涙だと気づいたときには、その少年「ジサクジエン」は「少年」から「男」になっていた。
ジエンは涙をさっとこすり、また夜空を見上げた。ボクハ、カエルコトガデキルノダロウカ?
ヒッキーは体育館の用具室の屋根に登るときに鉄棒で逆上がりの練習の際に使用する道具を使って上った。
「ハァ、ボクモコンナモノヲツカッテタジキガアッタッケ・・・」独り言のように言っていた。彼自身、引き篭もりになる以前は
元気に学校に通っていた。鉄棒も得意ではなかったが、これがあったおかげで自分で逆上がりができるようになった。
今なら胸を張れる。あの頃の惨めな僕とは違う、そのような心意気が感じられる顔つきになっていた。
帰れたら、外に出て、買い物とかもして、両親のお墓もちゃんと掃除しにいって、友達トカモ作ッテ、
仕事モシテ、結婚シテ、子供ト遊ンダリ、幸セニナリタイナ。。。これは遠い夢だろうか?イヤ、イマノボクニナラカノウナハズダ。
162 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/12 20:04 ID:5d85vqz1
特攻の合図は、ダマレコゾウの正門からの特攻だ。正門に敵が集まっている間に
窓から侵入するジエン・ヒッキーが活躍するということだ。つまり―――
ダマレコゾウは命を捨てていた。
ヒッキーとジエンはそれぞれ別の場所にいたが、ついに銃声を聞いた。銃声とともに叫び声も聞こえていた。
ヒッキーの耳には「おら、かかってこいや小僧!!」と聞こえていたが、定かではなかった。とにかく―――今が特攻の時だ!
ジエンが窓から侵入した先には果てしない暗闇の廊下が続き、パンパンと銃声だけが響いていた。
「ダレモイナイ!チャンスダ!」コソコソとパソコンルームに向かっていく。とりあえず、探さなきゃ。
ヒッキーが窓から侵入したときにはまだ兵士が廊下にいた。おどおどしているようだったが、ヒッキーは意を決した。
「ウァァァァァァ!」叫び声を上げ、銃を乱射してその場の兵士を一掃した。全員が地に伏せ、動かなくなったときにはヒッキーの銃もカチカチと撃鉄の音しか鳴らさなくなった。
ヒッキーの侵入した窓からは、偶然にもすぐ近くにパソコンルームがあった。電気の明かりが廊下にこぼれているのを見つけたヒッキーは進入を試みたが
まずは弾を補充した。そしてドアを少しだけ開けて中の人数を見た。1、2、3、、、数えるだけ無駄か。
中には数え切れないほどのの人数がいた。実際には13人だったのだがヒッキーにはそう見えた。
彼はその場で悩んだ。ここで特攻すべきか、それとも仲間を待つか。しかし彼の頭の中に答えはひとつだった。
―― さぁ・・・逝こうか・・・ ――
刹那、ヒッキーがドアノブに手をかけた瞬間!
パンパンと音がした。振り向くとそこには階段があった。しかしその階段には誰もいなかった。
何の音だろう、と考えた。しかしそれは、すぐにやってきた。ヒッキーの膝が崩れた。アレ?
立たなくちゃ。そうではなかった。立てないのだ。それは、まるで極寒の地シベリアに全裸で向かい、なぜ寒いのかわかっていないようなもの―――。
ヒッキーの背中に銃痕がついていた。そして「彼」はやってきた。
「まさか本当に特攻なんてするとは思ってなかったよ」廊下の奥にはあの男、ひろゆきが壮大なマントのようなものを羽織り、立っていた。
「ヒッキー、おまえは不幸なやつだったよ。」うまい棒を一口かじり、もぐもぐといわせた。
「なぜなら・・・」その時にはヒッキーは銃をひろゆきに向けていた。ぱんと音が鳴ったときにはひろゆきの姿はそこにはなく、ぼすっと天井の木の板に穴があいた。
ヒッキーはきょろきょろと周りを探したが時はすでに遅し。ひろゆきはヒッキーの後ろからまた銃を放った。
今度は規則正しく、五発の弾がヒッキーの後頭部をと頚椎を打ち抜いた。
「オカァサン・・・オトウサン・・・ゴメン・・・コンドウマレカワッタラ・・・ソトニデラレ」
最後の一発が、またヒッキーを貫き事切れた。ふぅっと、ひろゆきは息をつき一言ヒッキーに向かいこう言った。
「おまえらは策略でゲームに参加させられたんだからな。」
【残り四人】
163 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/12 20:59 ID:5d85vqz1
ヒッキーが事切れたころ、ダマレコゾウの特攻は続いていた。
2丁拳銃で攻めていた彼だったが、玉が少なくなるにつれ、疲れも見え始めた。
何人の兵士を殺しただろうか?1人2人ではないだろう。しかし――
「まだいるのか・・・小僧」
全員倒したと思ってもまたやってくる。今度は5人やってきた。
すでにダマレコゾウの肩と腹、そして首が撃たれ、手を上げるのも精一杯だったがこれでは、万事休すだ。
しかしその時だった。兵士の一人が倒れ、二人、三人と倒れた。
「ナカママモル!イイ!」ジサクジエンが到着した。「ウルァ!」と残りの兵士がジエンに銃を向けたが
ダマレコゾウは冷静に兵士の頭を打ち抜いた。そして兵士が倒れた。
「ジエン・・・助かったぞ、小僧。」
「キニシナイ!トリアエズ、トッコウスル!ヒッキーハモウトッコウシテウハズ!イイ!」
「そうか・・・しかし、残念だ、小僧」
ダマレコゾウはごろんと横になった。
「ネテルバアイジャナイゾ!トッコウシナキャ、ヒッキーモボクタチモムダジニニナル!ソレ、イクナイ!」
「しかし、もう駄目なんだ、小僧。」
ジエンはその言葉を待たずにも、足元に広がっている夥しい血の量を目撃した(暗闇の中でもわかった)
「・・・!」ジエンは声にできない悔しさだった。
「気にするな、オレが死ぬことは最初からわかっていたことだ、小僧。」
出血は段段すごくなってきた。もう、これは手遅れに近い傷だろう。ジエンは悟った。
「ダマレコゾウ・・・」
「いいか、ジエン。オレ達はこのゲームに参加させられたことは不幸だった、小僧。
しかしだ。この事態を、お前が生き延びて、誰かに伝え、そして誰かの記憶に残さなければいけないんだ小僧。
こんな腐れたゲームに参加させた奴らを許してはいけないんだ小僧!」
「まったく、その通りかもしれないな」ははっと笑い声を上げ、奴はやってきた。
『奴』の持っているスミス・アンド・ウェッソンが火を吹いた。ダマレコゾウの腹に数発当たった。
ジエンは反応が遅れたが、一発も当たることはなかった。
ダマレコゾウとジエンは振り向きざまに銃を発射したが、「奴」には当たらなかった。
「いいかい、君らにとってこれは審査なんだ。生きるためのね。狼は生きて、豚は死ぬ。
鼠は死んで、ハムスターは生きる。ニワトリは食われ、ひよこは可愛がられる。
これらは矛盾しているだろう?いかに『動物愛護団体』の人でも肉を食らうだろう?
このAA達の『矛盾』を僕は求めている。『生きたい、けれども友達を殺すことは両親が咎める。でも殺す』
これが欲しいんだ。そしてこれは我々にとっての最大の材料であり血肉になるんだよ、わかるかな?」
すらすらと言い終えたのを聞いてダマレコゾウとジエンは、怒りでがたがたと震えていた。
164 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/13 11:46 ID:90kEccAi
「馬鹿な・・・それは愚かだ!小僧!」
ダマレコゾウはがたがたと震え、怒りを堪えられずに大声で叫んだ。彼自身、この殺し合いは「矛盾」だらけだ。
しかし、その「矛盾」が欲しいとは――?ジエンも同じように震え、歯をがちがちと言わせている。
「どこが愚かなんだい、レコ?」ひろゆきは問うた。
「いいかい、愚かなのは君達なんだ。何故か教えてあげようか?答えは君達の中に在る筈だが―――」
いい終えないうちにジエンが発砲した。弾は3発、ジエンの視覚にも、確実に当てる距離だったし自信があった。
しかし―――
「だから愚かなんだよ、ジエン――」
ひろゆきのいた方向の壁に3つの穴があいた。しかし、そこにはひろゆきの姿はなかった。
「バ、バカナ!ヒロユキハ――」ひろゆきをきょろきょろと探すジエンの目を隠すようにひろゆきは背後に現れた。
すぐさまジエンは振り向いたが、またそこにはひろゆきの姿はなく、ダマレコゾウが横たわっているだけだった。
「いいかい、君達に意思と頭脳を与えたのは僕だ。この2ちゃんねるというウェブの世界でしか君達に生きる権利はないのだよ。
AA同士の殺し合い、これは一般的にはAAを作り出した私が行うのは矛盾しているだろう。しかしさっきも述べたように
この矛盾を僕は欲している。君らの屍は全て僕の部屋に飾ろう。それで満足かな?いや、満足じゃないかな。
でも逆に満足してくれるかもしれない、君達なら。とりあえず、今回のAABRはこれで終結に向かうかもしれない。
なぜなら、今回のAABRは『catastrophe』を迎えるというシナリオだっただ。派手に舞ってくれてありがとう。」
そういうとひろゆきの手元から放たれた光がジエンの体を貫いた。しかし、致命傷には至ってなかったが―――
ダマレコゾウは最後の力を振り絞り大声をあげた。
「畜生ーーーーーーーーーー!!!!なぜだ!!なぜ!!なぜお前らなんかに命を握られなければならないんだ!小僧!!
俺達だって生きていた!!必死に、もがきながら、足蹴にされても、必死で、未来の為に!
なのに!お前らはそれを踏みにじるのか!!夢も、希望も、絶望も、虚無も!すべて!すべてがお前らのままだと思うなよ!!小僧!!
絶対に、絶対に、絶対に、誰かがお前らのどす黒い腹を血で真っ赤に染めてくれるはずだ!そうでないと!
俺達の死には!何も!残らない!残さなければならないんだ小僧!!!!!!!!」
「言いたい事はそこまでかな、レコ――」
ひろゆきがダマレコゾウに銃を向けたときだった。「もう一人の彼」は現れた。
「―――絶対、レコも生きて帰るんだからな!――――」
モララー(男子21番)が突撃ざまにひろゆきの背中にナイフを突き刺した。
165 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/13 12:12 ID:90kEccAi
ぐっ、とうめき声が聞こえたかもしれない、それはひろゆきのものだ。
「モララー!?」まさに同時にジエンとダマレコゾウが叫んだ。「やっ」とモララーが気さくに返事をした。
しかし、まだ戦いは終わってはいない。ひろゆきは倒れなかった。
――ぐっ、僕としたことが、油断した!まさか虫けらがもう一匹いたとは。
やばい、このままじゃ僕は殺られるかもしれない。これを打開するには――
ひろゆきはポケットからある「リモコン」を出した。そしてそれをダマレコゾウに向け、ぽちっと押した。
その途端、ダマレコゾウの首輪が異常音を出し始めた。「な、な、なんだコレは!!首輪が!」ダマレコゾウも動揺し始めた。
「あと10秒で君は死ぬ。余命10秒を有意義に生きなさい。」
―――余命10秒―――
その言葉はダマレコゾウを覚醒させた。ダマレコゾウの銃にはまだ弾が数発残っていた。
必死で銃を持ち上げ、ひろゆきに向けた。しかし、ひろゆきとダマレコゾウの一直線上の間にはジエンがいた。
「ジエン、どけぇぇーーーーーーーーーーー!!」しかし――
ジエンは、銃で撃たれ、動けなかった――
ダマレコゾウの銃が放った2発の銃弾は、ジエンを打ち抜いた。
ジエンががふっとうめき、その場に倒れたときには、ばんっと大きなこもった音がして、ダマレコゾウの首から上が吹き飛んだ。
「ダマレ・・・コゾウ・・・シヌノ・・・イクナイ・・・マダ・・・シネナ」
ジエンが言葉を言い終えないうちに、ひろゆきの銃弾がジエンの頭を打ち抜き、がくっと事切れた。
あぁ、これだ、僕が待っていたのはこの矛盾だ。ひろゆきは確信していた。
【残り2人】
166 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/13 12:37 ID:90kEccAi
モララーが10秒のうちに見た光景は地獄絵図だった。
仲間が仲間を殺し、そして勝者をまた殺す者がいた。悪夢か?
僕が殺してきた人たちも、この男が言う「矛盾」に匹敵していたのだろうか?
これは、ホラー?アクション?ラブコメ?もしかし全て混ざってるんじゃないだろうか?
それが、「矛盾」では?ロックは好きだけど、BOOWYは好きじゃない。
洋楽は好きだとよく言うけれど、t.A.T.uは好きじゃない。これだけでも矛盾に匹敵するのだろうか?
いや、今はそんな時じゃない。さっきひろゆきに刺したナイフだって、全然致命傷になっていない。
僕がここに向かってくる間に見つけたナイフ、確かに鋭かったけど、刺す場所が悪かったのかな?
銃なんか撃ってる暇なかったな、こいつ、早すぎ。つまり、こいつも「人間であってAAである」という
「矛盾」だったんだからな。今やっと気がついたよ。この校舎に入ってきたときに、レコが叫んでいた意味が。
全ての矛盾は、この男から生まれたことだった。確かに生まれなければここには「モララーという存在」は存在していないわけだし
確実に、永遠に生まれることもなかったろう。しかし生まれたからには、死に向かって生きている。
つまり、人生とは希望に向かって生きているのではなくて死に向かって生きているんだ。
如何に健康法で長生きを目指したって行き着くところは同じ、死だ。つまり、これが矛盾。
僕達は、生きたいから生きる、のではなく、死ぬために生きているんだ。現実的には。
言っていることは、倫理的にはレコが正解かもしれない。だけど、真実を見極めるとひろゆきが正解なんだな。
あれ?僕の体が動かない。右手が上がらない。足が曲がらない。首が起きない。左手も動かない。
どうしたんだ?これからだろう?これから突撃して、本校をぶっ潰さなきゃ、ぃょぅ君に伝えなきゃ、
そうしなきゃ、この殺し合いは終わらない。終局には向かわない。いつまでも、エンドレスに戦いつづけなきゃいけない、誰かが。
ぃょぅ君に、この「ボイスレコーダー」を、ひろゆきの見極めた「真実」を記録した、デジタルボイスレコーダーをぃょぅ君に
渡さなきゃ。ああ、渡さなきゃいけないのに、体が動かない。あれ?どうして僕は寝ているんだ?
立たなきゃ彼の元へは迎えないだろう?ああ、レコ、ジエン、君らは無念だったろう。
志半ばで死んだ君たちに、僕は何もしてあげることはできなかった。せめてやったのはひろゆきの背中に
一生消えない傷を負わせてやっただけだ。ああ、ひろゆき、憎い。お前を殺したい。
でもかなわないな、この状態じゃ。あぁ、僕が消える。僕は消えたくない。消えたくない。
消えたら誰にも残せない。僕が帰らなきゃ、帰らなきゃ、誰にも残せない、終わらないよ。
モナー、お前のためにも何もできないよ、あの頃の僕とは変わったことを見せることはできないよ。
モナー、お前の姿が見えるよ。なんだ、幸せそうだね。極悪人だった君もついに結婚かい?羨ましいねぇ。
式には呼んでおくれよ。ご祝儀たくさん持っていくよ。そのかわり、僕が結婚するときにも来ておくれよ。僕らは、親友だ。
その為には、生きなきゃな。ボイスレコーダーを、世間に公表しなきゃ、だめだ。この世界――2ちゃんねる――は終わってると。
ボイスレコーダー渡さなきゃ、終わらないのに―――――――
ひろゆきは既にその場から去っていた。
モララーは腹、足、腕に数発ずつ銃弾を受けた状態で虫の息だったが、すぐに、事切れた。
【残り一人/ゲーム終了・AABR管理室生徒管理用モニタより】
167 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/13 16:27 ID:dinvtJnu
モララーが死に至る5分前のことだった。
ぃょぅ(男子3番)は意を決し、ゴムボートに乗り込んだ。潮風と潮波を使えば近くの島までは
簡単にいけるのかもしれない。そして、何より深夜だ。自分の姿が見つかることはないのかもしれない。
「行くょぅ。」
ばしゃばしゃと足をかいて、波に乗るぃょぅ。以外にスピードが速い。これは・・・10分くらいで着くかもょぅ!
少し希望が見えてきたょぅ。。。そんな思いがした。しかし、先ほどの校舎方向からのドンパチ音は
とても不吉な感じがした。彼らが―モララー君達が―いなくなったような、そんな気持ちに。
しかしぃょぅは遊泳を続けた。――君は生きなくちゃいけない――モララーの言葉が頭に響いた。
なぜ、僕が生きなくちゃいけなかったんだょぅ?
泳ぎ始めて10分が経ったろうか?ぃょぅの耳に信じられないことが聞こえた。
「えー海上I-3地点で404(逃走)発生、404発生。本部の指示仰ぎます、どーぞ」
ついに見つかってしまった。しかし、今のぃょぅにはどうすることもできなかった。
「あぁ・・・まずぃょぅ・・・死ぬのかょぅ・・・。」冷たい水の中でぃょぅは冷や汗をかいたような感じがした。
早く、泳がなきゃ。ぃょぅの頭にはそれしかなかった。陸地まではあと100mほど。陸上になれば――逃走経路がある。
陸上まで上がらねば!ぃょぅにはそれしか考えられなかった。
途端、どんっと散弾銃のような銃声が聞こえてぃょぅの右腕が弾け飛んだ。「痛ぃょぅぅぅぅぅぅぅぅ!」叫びを上げたが必死に泳いだ。
背中にも命中しているようだったが、腕だけで精一杯だった。陸までは残り50m――40m――30m――
しかし、今度ばかりは散弾の弾が頭や背中に的確に命中してぃょぅは即死状態だった。
無残にも、ゴムボートにも穴が開き、ぃょぅの亡骸は海に沈もうとしていた。
一方、海上の見張り舟では。
「えー、男子3番ぃょぅらしき疑いのある脱走者、仕留める事に成功、本部の指示仰ぎまーす。
え?えーと、もう殺っちゃいましたけど。えーと・・・多分あれは死んでますねぇ、ハイ。
だって頭ないですよ、原形ないですもん。ていうか、もう少し早く言ってくださいよ、優勝者が決まったって。
え?今決まったばかり?あーそうなんですか。ひろゆき様も好きですね、え、怪我したんですか?
いやいや。モララーも人気ありましたからね。お気をつけになってくださいね、ひろゆき様。
じゃぁどうしますか、ぃょぅの死体は?あ、回収。はい、わかりました。はい、それでは。
はい。失礼致します。それでは、回収後本部に向かわせていただきます。はい、ご苦労様でございました。」
ぃょぅの体とは言えない「カラダ」が海に沈みかけていた。
【残り0人/ゲーム完全終了/生存者なし/AABR管理用衛星より】
168 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/13 19:45 ID:HCEKuA+O
優勝者なし!?
重石ローーーーーーーーーーーーー!!!!!!!
糞がAAにしろよボケ
171 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/13 22:33 ID:0TtqRE2j
「終わったな・・・。」
ひろゆきは、ゆったりとしたソファに腰掛け、好物のうまい棒をほうばっていた。
幹部連中も今ごろは自室でくつろいでいるはずだ。
「今回は、決して大成功とは言えんな。」
誰に聞かせるでもなく、そう呟く。
ただ見ているだけで終わるはずだったBRは、首輪がアルミホイルで防げたり、爆発までの時間が長かったなどのことで本部への特攻を許すハメになった。
おかげで兵士の数は10人を下回り、ひろゆき自身も手傷を負った。まぁ、大したものではないが。
結果的に囚人たちは思惑通り、全員死んだのだが、犠牲は決して小さくなかったのだ。
「・・・これは改良が必要だな。・・・これから検死もしなけりゃいけないし・・・。ああ、面倒だ!」
ゲームの終了後、首輪の回収と検死を目的として、死体の回収が行われる。
木っ端微塵に砕け散ったじぃの分と、本部で散った数人のAAの死体は既に回収されたが、まだ30を超えるAAの亡骸が転がっているはずなのだ。
それを、囚人たちの特攻によって数を減らした兵士が集めるのだ。
「兵士は暫くは戻ってこないだろうな。全く、面倒だ・・・。」
ひろゆきは気付かなかった。
自分が今非常に無防備な状況であることに。
それも当然と言えよう。囚人たちは、確実に全員死んだのだから。もう、自分の周りを兵士で囲む必要は無くなったのだから。
だが、まだひろゆきを倒そうとする者は残っていた。
172 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/14 01:25 ID:6B5GMfrH
「ん・・・ん?」
その時、彼、ひろゆきは『目を覚ました』。
今まで見ていたのは・・・夢?いや、そんな馬鹿な。でもここは、自分の部屋だ。
テレビの電源を入れる。ブゥンと音が鳴り画面が映し出される。ちょうどニュースの時間だった。
リポーターは次のように述べていた。
「えーこちら、一月前にAABRが行われた会場に来ております。今回の参加数は42人でした。
優勝者は彼。モーララ君です。モーララ君、優勝の感想は?」
ひろゆきは震えていた。これは・・・どういうことだ?姿は「モララー」だが、名前が違う?何だ?
奴は生きていたのか?そんなひろゆきの思考を断ち切るように、画面内では会話がされていた。
「優勝の感想ですか?でも、実際僕は優勝できるなんて思ってもみなかった!でも今はスキーリしてるよ!」
「そうですか。それではおめでとうございました。ではスタジオに返しまーす。」
ひろゆきは走り出していた。家を飛び出し、当てもなく。どこへ走っているのだろうか?
ひろゆきは自分の走っている方向に何かがあると考えた。それは「必然性」であって「矛盾」だ。
夢の中で自分が言っていたことが本当なら、これに間違いはないはず。ひろゆきは、自分を信じた。
行き着いた先は―――学校だった。まだ、誰もいない。時計の針は朝の7:30を指していた。
何が――あるんだ?ひろゆきは自分にそう問うた。結局、自分が得たものは、何だったのだろうか?
名誉?勲章?地位?金?2ちゃんねる?命?仲間?それとも―――。
「あ、ひろゆき先生、早いナモね。おはようナモ」
そんな声が後ろから聞こえた。ばっと振り向くと、そこにはモナーがいた。
「ひろゆき先生おはよー」モナーの後ろからレモナが現れた。
「・・・え・・・?」ひろゆきは冷や汗とは違う、何か違和感を感じていた。イキテイル?
「あ・・・先生、ナモとモレナ付き合うことになったナモ。誰にも言わないで欲しいナモ。お願いナモね。」
「ねぇ、早く教室入っちゃおうー?ナモー君☆」
「そうナモね、んじゃ先生、また後でナモ。」
二人は校舎の中へ入っていった。名前が、いや、それだけではない、何か違和感がある。変わってないのは自分だけなのか?
何かが違う。どういうことだ。まだ、ひろゆきは状況が掴めなかった。
校門に立ちすくんでいたが、膝からがっくりと崩れるひろゆき。どうしてしまったんだ――僕は?
「あのー2ちゃん高校ってここでいいのかな?」後ろから声がした。
振り向くとそこにはギコがいた。明らかに、姿は、ギコだ。ひろゆきは、震えていたが確認せずにいられなかった。
「そ・・・そうだけど・・・君の・・・名前は?」
「あぁ、オレの名前?コーギだよ。この学校に転校してきたんだ。そしてこいつが妹のしぃ子。よろしく。」
「・・あ・・・・あ・・・」ひろゆきは言葉が続かなかった。コーギと名乗る少年としぃ子は公舎内に入っていった。
落ち着け、この世界は?僕は教師なのか?彼は転校してきたといっていた。運命は、「偶然」ではなく「必然」なのか?
偶然出会うのではなく、誰かに仕組まれたかの如く――――?
やがて声ががやがやとしてきた。きっと生徒達が登校してきたのだろう。ひろゆきは俯いたまま顔を上げられなかった。
「おはよう、くまもとくまもと!!」
「ヒキコモリッテイワレテモ・・・・キョウカラガッコウイク。イイ!」
「あははっ、まぁ俺はビーヤングの手先みたいなものだからさっ。小僧。」
聞き覚えのあるようなないような声がたくさん聞こえてくる。そして、ひろゆきに「最後」のAABRへの使者が現れる。
「えーと、今日転校してきたのはいいけど、また、殺風景な学校だね、ひろゆき先生。退屈しないで済みそうだからな!」
あのナイフを持った、「モーララ」がそこには立っていた。
・・
「これからよろしくなっ、先生。」
―― AABR4 -THE ANOTHER WORLD STORY- ――
THE END
175 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/14 02:20 ID:6B5GMfrH
176 :
?????:03/12/14 10:56 ID:VBI+Y7IN
終わったか・・・
177 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/14 11:10 ID:voQ9w9hq
178 :
その2:03/12/14 11:11 ID:RdIplwCy
彼、ダマレコゾウは一つの固い意思を胸に、敵の居る分校の正門の前に立っていた。
左手にはヌンチャク、服のポケットに水鉄砲を差込み、利き手の右手にはウージーサブマシンガンを持っている。
ダマレコゾウは、自分達をこんな糞ゲームに陥れた張本人、ひろゆきが居る分校への特攻を試みていた。
間違った考えを持つ政府等に一矢を報いる為?
自分達が再び娑婆で平和に暮らす為?
ただ殺しがしたいが為?
それともただ何と無く?
自分が今この分校に特攻する理由など忘れてしまった。
でも、本能的に自分は特攻しなければいけないんだ、という事は分かっていた。
「もったいぶるのは止めて・・・そろそろ特攻するか小僧・・・」
ダマレコゾウが誰に言うでもなく独りでぼそっと呟いた。
体の至る所から冷や汗が流れ出る。
本音を言うと怖い。
逃げ出したいくらいに怖い。
もし、俺が特攻したとする。
でも、すぐに中に居る兵士達に殺されてしまうかもしれない。
マシンガンの引き金を引く前に、ヌンチャクを振るう前に蜂の巣にされ、無駄死にしてしまうのかもしれない。
・・・ああ、独りじゃ心細い。ジエンとヒッキーの前で・・・格好つけたりなんかしないで・・・一緒に居れば良かった。
・・・ええい、もう迷うな俺。どうせいずれは死に逝く身。ここで臆病風に吹かれて悪を斬らずでどうするか。
そうだ。俺は政府等に一矢を報いる為にここに来たんだ。行かなきゃ・・・行かなきゃいけない。
ダマレコゾウは自身に鞭を打ち、特攻を誓った。
今までの思い出がまるで走馬灯のように頭の中を駆け巡る。
いや、これが走馬灯っていうものなんだ・・・みたいなじゃないよな。フフ。
「・・・そこに居るのはダマレコゾウ?」
突然、する筈の無い之が自分の名前を呼んだ。
人?何故人が居るんだ?
ダマレコゾウは、声のした方向をばっ、と振り向いた。
そこには、あまり付き合いは深くない男、【男囚21番】モララーがそこに立っていた。
手にどでかいショットガンのような物を握り締めている。
そして、首輪にはアルミホイルが巻かれていた。俺と同じだ。
「モララー・・・か?小僧、何でココに?」
ダマレコゾウは答えがおおよそ分かっている質問をモララーに問うた。
「この格好を見て分からない?・・・たぶんキミと同じさ。・・・特攻しに来た。」
モララーは静かに答える。
「・・・小僧も・・・か。」
ダマレコゾウが言う。
しばらくの沈黙の間、モララーが口を開いた。
「キミも同じ事を考えてるなら、一緒に行こう。独りじゃ心細いからさ。」
モララーはそれを言った後にフフ、と小笑いした。
「・・・よし、小僧。俺と小僧はあまり付き合いは長くないが、今は仲間だ。戦友だ。・・・一緒に行こう。
あわよくば、分校を滅茶苦茶にして、一緒に娑婆に戻ろう。」
ダマレコゾウは、同じ事を考える仲間が増え、先程の迷いは何処かに消えていた。
「OKだ。じゃあ、せーので、突入だ。・・・せーの・・・」
二人は、命を捨て、身を捨て、今敵の本拠地へと足を踏み入れた。
179 :
その2:03/12/14 11:12 ID:RdIplwCy
「うああああああああああああ!!」
ダマレコゾウは奇声を上げ、ヌンチャクを滅茶苦茶に振り回し、マシンガンを兵士の群れに発砲した。
モララーも、走りながらショットガンを乱射した。
正門に入った途端予想通り兵士は沢山居たのだが、彼らの突然に不意打ちにより、兵士はどんどん倒れていった。
(この調子なら行けるぜ小僧――!)
ダマレコゾウは心の中でほくそ笑んだ。
二人は、立ちはだかる兵士を撃ち韋駄天、分校の中を走り回った。
二人とも1発2発銃弾が当っていたが、興奮の最中で感覚が麻痺しているのかほとんど気にならない。
狭い分校なので、ダマレコゾウ達が予想してたよりもずっと兵士の数が少なかった。
というか、誰かが自分達の前に特攻した形跡がある。恐らくそのおかげであろう。
「階段だ・・・外から見た所、この分校2階建てだったから恐らくコンピュータールーム、管理室はもうすぐだぜ。」
モララーがダマレコゾウに向かって呟いた。ダマレコゾウが無言で頷く。
二人とも銃に弾を詰め込みながら、階段を一歩一歩上っていった。
2階は、驚くほど静まり返っていて、周りには人の影が微塵も無かった。
「・・・ここまで静かだと逆に不気味だぜ小僧・・・」
ダマレコゾウは、胸中から湧き出る嫌な不安を必死に押し殺していた。
二人は、一歩一歩確実に床を踏みしめていく。
ドン
静かな通路に、一発の乾いた銃声。
それは、一階で厭なほど聞いた銃声の中でもっとも大きい物であった。
その銃声と共に、ダマレコゾウの二の腕に風穴が開いた。
「ぐああっ!」
それと同時に悲鳴を上げ、倒れるダマレコゾウ。
「だ、大丈夫か!?クソ、誰だ!?」
モララーが銃声のした方、後ろを振り向いた。
そこには、数人の兵士と、一人だけ他の兵士と違う臭いを漂わせる男が立っていた。
男は、おかっぱ頭に眼鏡をかけ、手にはハンドガンを一丁持っていた。銃口からわずかな煙が立ち上っている。
「お前が・・・ひろゆきか?」
ダマレコゾウが床に膝を着きながら言う。
「ヒヒヒヒヒヒヒ、ひろゆき様は奥の部屋だ。俺の名はネオ麦茶。ひろゆき様に仕える幹部の一人さ。」
おかっぱ頭のネオ麦茶が甲高い声で捲し立てた。
ネオはにやにや笑いながら、喋りだす。
「お前らみたいな身の程知らずの馬鹿共はしんd」
ネオがそこまで言った所だった。
ダマレコゾウがネオの方に向かってウージーを乱射した。
ネオは、自分が喋っている間は攻撃されないとでも思っていたのか、成す術もなく床に突っ伏した。
体中の至る所に銃創が残っている。恐らく即死であろう。
「ネ、ネオ様!」
周りの兵士が、ネオの死体に駆け寄る。
そして、それと同時にモララーとダマレコゾウが兵士の群れに向かって、銃を乱射した。
10人程いたであろう兵士が、一瞬にして全員倒れた。
「・・・俺はまだ死ぬわけにいかないんだ。」
ダマレコゾウを歯を食いしばりながら口走った。
そして、ダマレコゾウは銃を持ちながらゆっくりと立ち上がった。
「大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ、小僧・・・」
ダマレコゾウが言う。
それは、モララーの耳には強がりにしか聞こえなかった。
「オーイ!ダマレコゾウー!」
「エングントウチャク、イイ!!」
その時、ダマレコゾウの耳に聞き覚えのある声が聞こえた。
180 :
その2:03/12/14 11:12 ID:RdIplwCy
「ジエン!ヒッキー!」
先程までネオ麦茶がいた方向から、ジサクジエン、ヒッキーがこちらに向かって駆け寄ってきた。
「シンパイダカラキチャッタヨ。ダマレコゾウ。ト、・・・モララークン。チカラヲアワセテガンバロウ。」
ヒッキーが勇気付けるように二人に言った。
「仲間・・・なのか?」
モララーがダマレコゾウに言う。
ダマレコゾウは口元に笑みを浮かべながら、こくんと頷いた。
「んじゃま、逝こうか。レコ。ヒッキー。ジエン。俺たちは皆目的は同じだ。」
モララーが言うと、全員大きく頷いた。
そして、4人は出来るだけ早く管理室へと急いだ。
「くそっ、役立たず共め!!」
ひろゆきが、監視カメラを見ながらテーブルをドン、と叩いた。
その後に、部屋に残っている一ケタ台の兵士を凄まじい形相で見据えた。
「おい、貴様ら!早く行かんか!!」
再びひろゆきがテーブルを叩く。
兵士は、皆「は、はいっ!」といって部屋を出て行った。
「ったく・・・くそう、くそう、くそう・・・こんな所で死んでたまるかってんだよこん畜生!!」
ひろゆきが冷や汗を体中からダラダラかきながら監視カメラを食い入るように見つめた。
今部屋にはひろゆきとデブヲタしかいなかった。
兵士はたった今出払ったし、ネオは死んだ。クックルとロムスカは兵士を連れて囚人共の方へと向かっている。大耳モナーはいない。
もしかしたら、もうすぐ奴らがこの部屋に入ってくるかもしれない。
そうなれば、ただ権力を持ってるだけで、力等は全然無いひろゆきはものの数秒で殺されてしまうだろう。
いやだ、いやだ、いやだ。まだ死にたくない。まだ偉いままでいたい。
ひろゆきは、囚人らが我が軍によって死んでもらう事を祈っていた。
「あらあら。随分と哀れなものだね。ひろゆき様。」
デブヲタと自分しかいない筈の部屋から、声が聞こえた。
ひろゆきは声がした方向を振り向く。
そこには、姿を消していた大耳モナーがいた。
「お、大耳!貴様今まで何処に居たんだ!?」
ひろゆきが半ば混乱しながら言った。
大耳モナーは頷きもせず、手に持っているハンドガンで突然デブヲタを撃ち殺した。
バン、という乾いた音が、異常に大きく管理室中に響き渡った。
デブヲタは悲鳴も上げずに床にどうっと倒れた。
「・・・!?お、大耳、貴様!どういうつもりだ!?」
ひろゆきが目を白黒させる。
自分の部下である筈の大耳が、突然仲間である筈のデブヲタを撃ち殺した。一体どういう事だ?
ひろゆきは言いようの無い恐怖感が湧き上がってくるのが感じられた。
181 :
その2:03/12/14 11:13 ID:RdIplwCy
「ひろゆき様。役立たずはあなただよ。無知で無能で・・・人任せの人間の屑さ。
正直僕はもうあなたに仕える気は無い。というか・・・元々仕えてる気は無かったけどね。」
大耳モナーが淡々と、怖いくらいに冷静な声で言い続ける。
「ひろゆき様。いや、ひろゆき。僕は君の部下じゃないんだよ。
実はね、僕はスパイなんだ。いや、スパイっていうよりは・・・殺し屋かな。
僕はね、ある人物から君の暗殺を頼まれていたんだ。
でも偉い君の事だ。当たり前のように護衛の兵士が周りにくっついてる。だから殺す事は容易くは無い。
だから、僕は君の元部下、幹部を殺して、僕自身が整形してその幹部になりすましたんだ。大耳モナーにね。」
大耳モナー・・・になりすましてるその何者かが、すらすらと言う。
ひろゆきは、歯をガチガチ震わせ、恐怖に脅えていた。
「それで、僕はずっと君とこのように二人きりになるのを待っていたのさ。」
大耳モナーは、そこまで言うとデブヲタを撃ち殺した銃では無いもう一つの銃をひろゆきに向けた。
「つまり・・・」
大耳は、ウィンクを一回すると、引き金をゆっくり引き始めた。
「ま、待て!!欲しい物は何でもやる!!だ、だから・・・」
ドン
またしても管理室に銃声が響き渡った。
弾丸は一直線にひろゆきの額を捕らえ、ひろゆきは悲鳴を上げる暇も無く死んだ。
「君を殺すこの時をずっと待っていたのさ♪」
182 :
その2:03/12/14 11:13 ID:RdIplwCy
「な、何のつもりだクックル!?」
彼、ロムスカは、一緒に出て行ったクックルに捕まり、人気の無い倉庫へと連れて行かれた。
そして、クックルは黙りながらじっとムスカを見据えている。
ムスカは、言い様の無い不安に襲われた。
まさかクックルの奴ホモ・・・
「ムスカよ。俺と一緒にひろゆきを殺さないか?」
と、突然クックルが喋りだした。
いつも寡黙であり、全くの無口だったクックルの声を聞くのは、久しぶりだった。・・・いや、初めてかもしれない。
ともかく、クックルが今発した台詞の内容は、正直理解しがたかった。
「は?ひろゆき・・・様を殺すだって?まぁ、マテ。俺らはひろゆき様に仕える身だ。・・・なんで殺すんだ?」
ムスカが反論する。
クックルは表情をほとんど変えずに、呟いた。
「俺は元々ここの人間じゃないんだ。・・・実はある組織から危険思想者であるひろゆきの抹殺を頼まれているんだ。」
目の色を変えるムスカ。
「まっ・・・さつ?」
「そうだ。どうだ?ムスカ?お前は見た所あのひろゆきに関心を持っていないだろう。あのひろゆきに忠誠心を尽くせないだろう。
あいつは悪だ。どうだ?俺と一緒に奴を殺さないか?」
クックルは、いつもとは打って変わっておしゃべりになっている。
ムスカは突然の事で、頭がパニックになっていた。
確かにひろゆきを正しいとは思わない・・・でも・・・
「大丈夫だ。ひろゆきを殺したとしても、お前を俺の組織に雇ってやる。・・・お前、正しい事をしたいんだろう?
なら、こんなところに居ない方がいい。ここは・・・単なる危険思想者の溜まり場だ。
さっ、俺の船に乗れよ。」
クックルが興奮したように言う。
ムスカは、まだ頭の中で整理がついていなかったが、とりあえずもうどう答えようか決まっていた。
ひろゆきの言ううそ臭い演説よりも、彼の言うこの短い言葉の方が何と無く信じられた。
彼、大耳モナーは、いまや自分一人となった管理室で、コーヒーを飲んだりうまい棒を食ったりと好き勝手贅沢していた。
「さて、任務も終了・・・あとはこのゲームが無事に終わればもうあの事件を知ってる奴はいなくなる。
まさに一石二鳥だね。うふふふ・・・」
大耳モナーは誰に聞かせるでもなく不気味に独り事を呟いていた。
183 :
その2:03/12/14 11:14 ID:RdIplwCy
クックルと、ロムスカが銃を持ちながら管理室に帰ってきた時、二人にとって信じられない光景がそこに広がっていた。
幹部の一人、デブヲタの死体。そして、ひろゆき。これまた誰かが時間を早めてしまったかのように、死んでいる。
そして、幹部の仲間の一人である大耳モナーが、普段はひろゆきが座ってる席でおもいっきりくつろいでいる。
「あぁ?」
ロムスカとクックルは、驚きの声を上げずに入られなかった。
大耳モナーは、彼ら二人を見据えるとさっ、と席を立ち、口を開き始めた。
「どうしたんだい?ロムスカ君・・・と、クックル君。」
大耳モナーが、静かに、淡々と言う。
「お前。これはどういう事だ。何故ひろゆきが死んでいる。
ひろゆきが多少脅すような口調で言った。
大耳モナーは表情を変えない。
「・・・クックル君。僕に感謝すべきだよ。君が手を下すまでも無く僕が殺しちゃったんだからね。」
大耳モナーが言う。
「!!お、お前が殺したのか・・・!それに、『君が手を下すまでも無く』って・・・どういう事だ?」
「聞いての通りの意味だよー、クックル君。・・・もうとぼけなくてもいい。
世界政府の・・・排除人の・・・リーダー格の・・・クックル君?」
大耳モナーが、ゆっくりと誰か低脳な幼児に聞かせるかのように語った。
ともかく、こいつは何故俺の事を知ってるんだ。
「・・・お前は大耳モナーじゃないな。誰だ!」
クックルが大声でまくし立てる。
ムスカにとっては、これまた初めて聞いたクックルの怒鳴り声だった。
「まーだ分からないのかい?ほら、僕だよ。百面相のウララーだよ。」
「ひゃ、百面相のウララー!?き、貴様・・・!!」
クックルが、歯を食いしばりながら信じられないというような目つきで大耳モナーを見据えた。
「百面相のウララーって誰なんだ?クックル・・・」
ムスカが不思議そうに尋ねた。
「指名手配犯だ。しかし変装の天才で、中々捕まえられずに居るんだ。
百面相のウララーとは、任務の遂行の為であれば自分の顔をあっさり捨てる。そういう奴だ。」
クックルもまた淡々とした口調でムスカに語った。
ムスカは口をぽかーんと開けていた。
「ウララー貴様、何の為に大耳モナーになりすましたんだ?
お前、大耳モナーの死体は何処だ?何の為にひろゆきを殺した?」
クックルが一気に質問する。
大耳モナー・・・いや、ウララーは、ふぅと溜め息を一つつくと、再び席に座り始めた。
「大耳モナーの死体の場所は教えられないよぉー。
ひろゆきを殺した訳は・・・単に依頼されただけさ。」
ウララーが語る。
「キミ達。このゲームが、ひろゆきの発案で実行されたという事はもう知っているよな?」
「勿論。当たり前じゃないか。・・・それが何か?」
クックルが再び質問を返すように言う。
そして語り始めるウララー。
「この際だから言うよ。どうせ僕はキミ達に語った後すぐここをおさらばする。
それに、キミ達がこの事実を警察やなんなりに報告したとしても証拠が無いからね。なーんの意味も無い。
だから僕の計画の全貌を今ココで全て話すよ。話し相手が欲しかった所なんだ。」
ウララーはそこまで言うと、クックル達に向けてニヤリと微笑んで見せた。
184 :
その2:03/12/14 11:14 ID:RdIplwCy
「・・・ここだ、小僧。」
一方、ダマレコゾウ、ヒッキー、ジエン、モララーの一行は、既に管理室の前まで辿り着いていた。
銃は、マシンガンとショットガンの弾が尽きたが、まだ大丈夫。モララーが持っていたハンドガンがある限り行ける。
そして、ダマレコゾウは、ゆっくりとドアを開けようとした。
「ちょっと待て、レコ。中から話し声が聞こえるぜ。ちょと聞いてみようよ。」
モララーがそう言うと、ダマレコゾウはドアを開けるのをやめた。
そして、4人ともドアに耳を近づけた。
中から聞こえる話し声が、全て耳に入ってくる。
「実を言うとね、ひろゆきがこのAABRを思いつくように仕向けたのは僕なんだ。」
ウララーがそういうと同時に、ムスカ、クックルの顔色がさっ、と変わる。
「な、何ィ?」
ウララーは、コーヒーを入れ始めた。
「ねぇ、何でだと思う?」
ウララーは、コーヒーを飲みながら、無邪気な風に言った。
外見だけでは到底こいつが殺人鬼だなんて思えない。
クックルはわざと答えなかった。
「僕は今まで色んな犯罪を犯してきたわけだ。勿論全部依頼されたものだよ、誤解しちゃーいけないよ。
・・・で、ね。こんな犯罪を僕は行ってきた。
モネー一家殺人事件。犯人は僕だ。とある新聞記者での社員連続殺人事件。犯人は僕だ。
このゲームに参加しているフーン君に罪を擦り付けてやった。その時は、フーン君の旧友に変装してたっけなぁ。
・・・で、あの連続放火魔の花瓶を放火魔として目覚めさせるキッカケの、あの放火事件。あれの犯人も僕、だ。
ついでに、このゲームに参加しているぃょぅ君の一家を殺し、彼が犯人になるように仕向けたのはぼ、く、だ。」
ウララーが一気に語った。
「き、貴様まさか・・・」
クックルは、最悪の予想をしていた。
それは、恐らく頭の切れるムスカも同じ事であろう。
「ピーンと来たかい?クックル君・・・と、ムスカ君。
そ。僕がこのゲームをひろゆきに開催させるように仕向けた目的は、さっき言ったモネー、フーン、花瓶、ぃょぅ。
彼らが出所して、僕の事を言ってしまう前に殺してしまうためさ。・・・モネーに至っては僕の顔をちゃーんと見てるからね。」
ウララーが、半笑いしながら語った。
ムスカは、胸の中で激しい怒りの炎を燃やしていた。
たったそれだけの為に――・・・てめぇの安全を確保する為に他の囚人まで巻き添えにするなんて・・・
「どうだい・・・?面白いだろう?」
ウララーが言う。
クックルは、歯を食いしばりながらウララーを見つめた。
しかし、ムスカは我慢する事が出来なかった。
「うああああぁぁぁぁぁぁ!!」
「ム、ムスカ!」
怒りに耐え切れなくなったムスカは、持っているハンドガンをウララーに向けた。
「やれやれ、だ。」
ウララーは、表情を変えることなく瞬時にポケットから銃を抜き出し、ムスカの手目がけて撃った。
「あぐぁっ!」
ムスカの手が撃ち抜かれ、銃が宙を舞い、絨毯の上に音を立てずに落ちた。
「ムスカ!早まるな!」
クックルが、ムスカの元へと駆け寄る。
「おっと、動くな。動けば殺す。」
ウララーが、冷たい目で(まさしく殺し屋の『それ』であった。)クックルに銃口を向けた。銃口はまっすぐクックルの頭に向けられている。
クックルは、心の中で呟いた。
くそっ、俺の任務はひろゆきを殺す事・・・だったが、これじゃあ任務は変更だ。・・・ウララーを殺すしかない。
でも、奴もプロ・・・中の・・・プロ。容易く殺す事なんて出来ない。
しかし、俺の余命もあと僅かだ。・・・どうせなら任務を達成してそのまま散ろうか。
クックルはそう考えていた。
とりあえず、動く。そして奴が躊躇ってる隙に奴の腹に拳を食らわす。そして撃つ。オーケイ、この作戦だ。
クックルは撃たれ死ぬ事を覚悟した。が、予想もしてなかった出来事が次の瞬間起きた。
185 :
その2:03/12/14 11:15 ID:RdIplwCy
「ぐあああっ!?」
クックルが手を下すまでも無く、ウララーの手、が誰かによって撃ち抜かれた。
悲鳴を上げるウララー。手元を離れる銃。
クックルは驚き、銃の音がした方向を振り向いた。そこには、あの囚人たちが銃を構えて立っていた。
しかし、クックルはそればかり気にしていられなかった。
クックルは、ウララーがひるんでる隙に、ポケットに忍ばせてあるハンドガンを取り出し、撃った。
再びけたたましい音の銃声が鳴り、ウララーの額に風穴が開いた。
それと同時に、ウララーは床にどうっ、と突っ伏した。
「・・・終わった。」
クックルがぼそっと呟いた。
「クックル・・・さん?こいつが・・・ひろゆき・・・?」
モララーが怪訝に尋ねた。
「こいつは違う。こいつは・・・ひろゆき以上の危険思想者だ。・・・もっとももう死んだがな。」
クックルが、横たわるウララーをじぃっと見据えた。
「クックルさん。これから俺たちはどうすればいいんだ小僧?」
ダマレコゾウが、一番思っていた事を口に出した。
「出所させてやるさ。君達のやった事は反政府行動では無い。・・・むしろ指名手配犯を抹殺する事に貢献したんだ。
礼を言いたいくらいさ。」
クックルが言い続ける。
ダマレコゾウは照れた様に顔を背けた。
「トコロデドウヤッテオクッテクレルンダ?イイ!」
ジエンが明るく笑いながら、(というか元々そういう顔なのだが)言った。
その問いには、クックルでは無くムスカが答えた。
「屋上に俺たちが乗ってきたヘリが2台ある。その内一つを使えばいい。」
「エ・・・デモダレガソウジュウスルンデスカ?」
ヒッキーが控えめに敬語で言った。
ムスカは少し困った顔をしたが、クックルが答えた。
「今海に派遣してある兵たちをここに呼び寄せる。少し待ってろ。」
そう言うと、クックルはマイクの元へと向かっていった。
恐らく、ゲーム中の全島放送はここで言っていたのだ。と、モララーが思った。
それと同時に、モララーはほぼ忘れかけていた事を思い出した。
そうだ。ぃょぅ君の事――
「クックルさん。えと、ぃょぅもここに来るようにに言っておいてくれませんか?」
モララーが大声で言った。
クックルは振り向くと、無言で頷いた。
『島周りに配備している兵士達及び、残った囚人に報告する。
AABRは終了した。AABRは終了した。優勝者は5人。
【男囚3番】ぃょぅ、【男囚10番】ジサクジエン、【男囚12番】ダマレコゾウ、【男囚17番】ヒッキー、そして【男囚21番】モララーだ。
島周りの兵士及び、残った囚人、あー・・・ぃょぅは即刻分校の管理室に来るように。
繰り返す・・・』
いつもはひろゆきが語る筈の全島放送が、何故かクックルが担当したその最後の全島放送は、当然至極島中に響き渡った。
186 :
その2:03/12/14 11:38 ID:RdIplwCy
ぃょぅは、その放送を聴いた途端飛び上がりそうになった。
恐らく分校で何かがあったのだ。恐らく・・・自分達にとってとても都合がいい事が。
ぃょぅは、泣きそうになりながら、分校へと足を進めた。
その足取りは、とても軽い物となっていた。
そして、島周りの兵士も、頭の上にクエスチョンマークを浮かばせながら島へと降り立ち、分校へと向かっていった。
「到着だょぅ!」
分校の管理室の中に、ぃょぅが入ってきた。
ぃょぅは、管理室の光景が予想してた光景と少しばかり違って驚いた。
モララー達が、軍服を着た兵士と思われる人物達と談笑しているのだ。
「おお、ぃょぅくーん。久しぶり。」
モララーが、ぃょぅに手を振った。
「こ、これはどういう事だょぅ・・・この人達敵じゃないのかょぅ?」
ぃょぅが、他の人に聞こえないようにモララーの耳元で囁いた。
「それは後で教えてやるよ。」
モララーが、囁き返した。
「後って・・・いつだょぅ?」
ぃょぅが怪訝に尋ねた。
モララーはニヤリと笑いながら躊躇いもせずこう言った。
「勿論、娑婆に戻った時さ。決まってるだろう?あはは!」
追々兵士も管理室に戻ってきた。
兵士達は、クックルに対面すると、俗に言う敬礼ポーズを取った。何か凄い光景だ。
「じゃあ、お前ら。優勝者のこいつらをヘリで送ってってやれ。
本島についたら、出所手続きを行うんだ。・・・こいつら全員にだぞ。
で、残った物は死体の回収。オーケイ?」
クックルがそう言うと、兵士達が『ハッ』と唸り、再びけいr(ry を取った。
「では、こちらへ。」
そして、一人のいかつい感じの兵士が、優勝者の囚人達を屋上へと案内した。
「じゃな。また何処かで会えるといいな。」
「もう犯罪なんかに手を染めるなよ。その時は容赦なく刑を執行するからな。」
ムスカとクックルが半笑いのまま言った。
モララーは、振り向くとその二人に向かって小さくウィンクをした。
彼ら二人も、ウィンクをし返した。
そして、ゲームの生き残りの囚人達はヘリに乗せられ、血塗られた島を完全に離れる事になった。
ぃょぅは、思い人であったえーの事。裏切ったフサしぃの事などを色々思い返していた。
レコ、ジエン、ヒッキーは、仲が良かった囚人の事をひたすら思い返していた。
モララーは、仲の良かったモナーやギコの事を思い返していた。
親友だったモナー。刑務所では仲が良かったギコ。
それら全てが、このゲームによって失われたのだ。
でも・・・モナー。とりあえずお前の為に僕は精一杯の事をやったよ。
あの世で俺を待っててくれるよな?・・・なぁ、モナー?
モララーは、いつのまにか熱い物が頬を伝ってる事には気が付かなかった。
【ゲーム終了 優勝者5人 モララー、ダマレコゾウ、ぃょぅ、ジサクジエン、ヒッキー】
188 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/14 20:11 ID:Egy2JHgM
189 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/14 23:26 ID:FpejYto0
>>188 ジエンでもいいじゃないか
前者よりもずっといいとおもうぞ
190 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/14 23:50 ID:irCn9YQK
191 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/15 03:29 ID:sBfq8jqD
192 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/15 10:44 ID:Eh9+lNhV
オレは前者のほうが好きなのだがそのようなやつはいないのかな?w
193 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/15 12:41 ID:A9fIY62B
マルチエンディングということで
いいじゃないいいじゃない
もう、どうなってもいいや・・・
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と,-‐ ´ ̄: ::::::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::r(:::::::::`'::::::::::::::::::::::く
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(__  ̄~" __ , --‐一
こういうことが起こらないために、一度かかれた文を、別の話に変えるなとあったんじゃ・・・。
196 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/15 15:12 ID:Sc395q7D
197 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/15 17:47 ID:RTc59H1N
198 :
?????:03/12/16 18:06 ID:sCBtgpQf
199 :
?????:03/12/16 18:12 ID:sCBtgpQf
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200?
201 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/16 20:07 ID:kDOU0WFd
202 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/16 22:36 ID:aBKtoJMp
このスレをサイトみたいなもので保存したいですね
203 :
?????:03/12/16 23:33 ID:sCBtgpQf
>>201
糞スレで悪かったな!
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207 :
?????:03/12/23 15:52 ID:+jc4hJNO
これからどうする?
雑談スレの方の
>>147がAA作って貼りたいって言ってたけど
その前にスレが落ちそうな予感
「では、各人に8年の執行猶予を・・・」
「執行猶予ォ!?そんなのがついてくんの!?」
モララーが、驚いたように叫んだ。
一人の監守は、モララーをギロッと睨みつけた。
「いいか。貴様らはこちらとしても超超特例なのだ。
別に何もして無いのに・・・出獄なんて・・・いくらひろゆき様が事故で死んだからって・・・
ちょっとクックルさんに気に入られたからって・・・大体まともに税金払わない奴に限って・・・ブツブツ
・・・というわけで、もしこの執行猶予以内に罪でも犯そうものなら、前に予定されていた系が執行される。
モララー。お前がもしチンケな窃盗でもすれば、貴様は即懲役84年だぞ。
お前らもうここに戻ってくるんじゃないぞ。いいな!」
あの悪夢の『プログラム』は既に終わった。
ひろゆきやその他の幹部の死は、全て事故として、ウララーの存在とかも全てもみ消された。
クックルは風の噂によると行方不明らしい。そして、あのロムスカは特別捜査官のような組に所属しているそうな。
そして、僕達は皆それぞれの場所でそれぞれの人生を歩んでいる。
ダマレコゾウは、以前の薬品会社には戻らず、寂れた焼肉やでバイトしているらしい。
ジエンも、同じ店でバイトの身らしい。
ヒッキーは、相変わらずだ。
モララーは、執行猶予が切れた今、証券会社のサラリーマンとして暮らしている。
で、僕はと言うと・・・
「おーい、ぃょぅ君。君、僕に内緒で誰かと付き合ってやしないかい?」
「ぃ、ぃょ!?・・・まさかぁ・・・」
ぃょぅ、つまり僕は、今は無二の親友となったモララーと一つ屋根の下で暮らしている。
親が居なく、身寄りも無いモララーは、僕の無人のアパートで僕と一緒に暮らす事になったのだ。
モララーは、座布団の上に胡坐でドカッと座りながらカップラーメンをすすっている。
「ま、ぃょぅ君。とりあえず式を挙げる時が来たならスピーチは僕に任せる事だ。」
モララーがからかう様に言った。
「だ、だから誰とも付き合ってなんか居ないょぅ!」
ぃょぅが汗をかきながら、半ば必死に反論した。
それを見てもらラーはニヤニヤいやらしく笑う。
「ほー、そうかい・・・じゃあ、なんだい?この前公園で君と手をつないで歩いてた女性・・・
う〜ん・・・確かえーさんに似てたような似てないような・・・」
モララーがニヤニヤと笑いながら続ける。
「ば、馬鹿な事を言うんじゃなぃょぅ!・・・とりあえず僕は出かけてくるょぅ。」
「お、早速愛しの彼女とデートかい?」
「ち、ちがっ、ちがわい!」
ぃょぅが顔を旬まっさかりの林檎よろしく、熱く燃え盛る火の玉のように赤くしながら叫んだ。
「わぁ〜った、わった!じゃ、じゃあね!頑張れ!」
ぃょぅは、そのまま何も言わずに家をそそくさと出て行ってしまった。
一人になったモララーは、一人で感慨に耽っていた。
「モナーの奴もててたよなぁ・・・あ〜・・・俺も彼女欲しいや。」
AA BATLE ROYALE 4
THE END
「では、各人に8年の執行猶予を・・・」
「執行猶予ォ!?そんなのがついてくんの!?」
モララーが、驚いたように叫んだ。
一人の監守は、モララーをギロッと睨みつけた。
「いいか。貴様らはこちらとしても超超特例なのだ。
別に何もして無いのに・・・出獄なんて・・・いくらひろゆき様が事故で死んだからって・・・
ちょっとクックルさんに気に入られたからって・・・大体まともに税金払わない奴に限って・・・ブツブツ
・・・というわけで、もしこの執行猶予以内に罪でも犯そうものなら、前に予定されていた系が執行される。
モララー。お前がもしチンケな窃盗でもすれば、貴様は即懲役84年だぞ。
お前らもうここに戻ってくるんじゃないぞ。いいな!」
あの悪夢の『プログラム』は既に終わった。
ひろゆきやその他の幹部の死は、全て事故として、ウララーの存在とかも全てもみ消された。
クックルは風の噂によると行方不明らしい。そして、あのロムスカは特別捜査官のような組に所属しているそうな。
そして、俺たちは俺たちの場所でそれぞれ好き勝手生きている。
ヒッキーは何処かに相変わらず引き篭もっているらしい。
モララーとぃょぅは、同じ家の中で暮らしているようだ。
で、俺はというと・・・
「えっとぉ、お客様ぁ。ご注文は何で御座いますかぁ?」
「え〜・・・じゃあ、タン塩2人前に特製ハラミ1人前ね。」
「はい、かしこまりましたぁ。」
俺は、今古臭い小さな焼肉やでアルバイトをしている。
あのプログラムの時一緒だったジエンも、同じ焼肉やでアルバイトをしているのだ。
薬品会社の時よりも給料は少ないが、楽しくて活気があって中々いい仕事だ。
「ハイ、イラッシャイマセェ・・・ッテ・・・エエエエエエ!?」
と、突然ジエンの叫び声が聞こえた。
「ぃ・・・ぃょっ!?何で・・・?」
それと同時に何処かで聞き覚えのある声。
「どうかしたか?ジエン・・・」
ダマレコゾウは急いで入り口の方へと駆けた。
と、そこにはとても見覚えのある顔があった。
「ぃょぅ!?と・・・その人は誰?」
それは間違いなくあのぃょぅであった。
そして、その隣には見知らぬとても可愛らしい女性が居る。
「そ、その・・・絶対モララーには言うなよう。僕の彼女だょぅ。」
ぃょぅはだらしなく顔をふにゃふにゃにしながら彼女を紹介した。
「あの・・・よろしくおねがいしますぅ。」
ぃょぅの彼女という人物が可愛らしくペコリと頭を下げた。
「あははは。どうぞどうぞ。家の焼肉やは熱々のカップレゥを更に親密にする効果があります。
さぁ、お好きなものをどうぞ。」
ダマレコゾウが、からかいながら言った。
「ソウダゾ!!アツアツ、イイ!!」
更にジエンがひやかした。
ぃょぅが恥ずかしそうに顔を赤くする。
それから、ダマレコゾウとジエンは、深く、長く、本当に幸福と言える笑いを続けた。
『とりあえず過去に囚われずに今を一生懸命楽しく生きれればそれでいいって、俺は思うんだ。』
AA BATLE ROYALE 4
THE END
何か物足りないから書き直し。
「では、各人に8年の執行猶予を・・・」
「執行猶予ォ!?そんなのがついてくんの!?」
モララーが、驚いたように叫んだ。
一人の監守は、モララーをギロッと睨みつけた。
「いいか。貴様らはこちらとしても超超特例なのだ。
別に何もして無いのに・・・出獄なんて・・・いくらひろゆき様が事故で死んだからって・・・
ちょっとクックルさんに気に入られたからって・・・大体まともに税金払わない奴に限って・・・ブツブツ
・・・というわけで、もしこの執行猶予以内に罪でも犯そうものなら、前に予定されていた系が執行される。
モララー。お前がもしチンケな窃盗でもすれば、貴様は即懲役84年だぞ。
お前らもうここに戻ってくるんじゃないぞ。いいな!」
あの悪夢の『プログラム』は既に終わった。
ひろゆきやその他の幹部の死は、全て事故として、ウララーの存在とかも全てもみ消された。
クックルは風の噂によると行方不明らしい。そして、あのロムスカは特別捜査官のような組に所属しているそうな。
そして、僕達は皆それぞれの場所でそれぞれの人生を歩んでいる。
ダマレコゾウは、以前の薬品会社には戻らず、寂れた焼肉やでバイトしているらしい。
ジエンも、同じ店でバイトの身らしい。
ヒッキーは、相変わらずだ。
モララーは、執行猶予が切れた今、証券会社のサラリーマンとして暮らしている。
で、僕はと言うと・・・
「おーい、ぃょぅ君。君、僕に内緒で誰かと付き合ってやしないかい?」
「ぃ、ぃょ!?・・・まさかぁ・・・」
ぃょぅ、つまり僕は、今は無二の親友となったモララーと一つ屋根の下で暮らしている。
親が居なく、身寄りも無いモララーは、僕の無人のアパートで僕と一緒に暮らす事になったのだ。
モララーは、座布団の上に胡坐でドカッと座りながらカップラーメンをすすっている。
「ま、ぃょぅ君。とりあえず式を挙げる時が来たならスピーチは僕に任せる事だ。」
モララーがからかう様に言った。
「だ、だから誰とも付き合ってなんか居ないょぅ!」
ぃょぅが汗をかきながら、半ば必死に反論した。
それを見てもらラーはニヤニヤいやらしく笑う。
「ほー、そうかい・・・じゃあ、なんだい?この前公園で君と手をつないで歩いてた女性・・・
う〜ん・・・確かえーさんに似てたような似てないような・・・」
モララーがニヤニヤと笑いながら続ける。
「ば、馬鹿な事を言うんじゃなぃょぅ!・・・とりあえず僕は出かけてくるょぅ。」
「お、早速愛しの彼女とデートかい?」
「ち、ちがっ、ちがわい!」
ぃょぅが顔を旬まっさかりの林檎よろしく、熱く燃え盛る火の玉のように赤くしながら叫んだ。
「わぁ〜った、わった!じゃ、じゃあね!頑張れ!」
ぃょぅは、そのまま何も言わずに家をそそくさと出て行ってしまった。
一人になったモララーは、一人で感慨に耽っていた。
『昔の親友は死んだ。けど、今は今でいい友達が居る。モナー。あんまり嫉妬しちゃいやぁ〜だぜ。』
AA BATLE ROYALE 4
THE END
ある日、俺は片目を失った。それは、単なる事故だった。
ひろゆき様に仕えていた時に、ひろゆき様を暗殺しようとする輩を迎え撃ったときの傷だ。
普通なら、ただの一兵士である俺は、そのまま自費で治すか、一生そのままかなのだ。
しかし、ひろゆき様は何故か自分の目を、自腹を切ってまで義眼にしてくださった。
今思えば、ひろゆき様は本当に悪い奴だったのだろうか?危険思想者だったのだろうか?
ひろゆき様は、以外に自分にも優しくしてくれていた。
そのせいで・・・何故か俺はまだひろゆき様を『様』つけで呼んでいる。
・・・ウララー・・・彼のせいで、ひろゆき様は死んだのである。
もしかしたら全てを操っていたのはウララー、あるいはウララーを雇っていた組織なのかもしれない。
・・・そんな組織がいるなら俺が直々に潰してやる。
・・・クックルの書いた推薦状を使って、特別捜査官に入って・・・
で、奴らを自分なりの方法で絶滅させてやる。
それが、今は亡きひろゆき様への弔いだ。
そして、末期ガンにより逝去したクックルの弔いでもある。
AA BATLE ROYALE 4
THE END
>>209-
>>212 あえていうなら、「バトル」の綴りぐらいしっとけよ。
あとモララー・ぃょぅの話なら前者のほうがいいっぽい。
ていうか全員死亡のエピローグはないのか?
>>213 全員死亡のやつは無かったことになったらしい。
215 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/26 07:07 ID:YPlfp8Pg
バトルロワイアルage
216 :
木原:03/12/26 12:24 ID:KPNKrNTh
超良スレ。age
さて、このスレもサロン板60日ルールの指定内に入ったわけだが
218 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/26 20:53 ID:pByZPp7b
219 :
217:03/12/26 23:27 ID:ucVkw3n4
>>218 AAサロン板内のみ(だったと思う)のルールで、
スレ立てから60日間経ったスレは24時間ごとにレスしないと強制dat落ち…っていうルール。
「ルール」って言い方は適切じゃなかったかな?スマソ。
一応カキコ
221 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/27 20:43 ID:eQSHt1Mw
紅白の間に落ちる予感…
というか、このスレ今後どうするんだ?「4」は終わったろ?
雑談スレの
>>147はまだAA貼る気でいるのかな。貼ってくれるなら見てみたいけど。
AA期待カキコ
224 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/28 12:41 ID:Fly6mTwC
冬厨がいなくなるまでは雑談スレに移行するべき。
ここは捨てる。
一日1レスペースのこのスレに冬厨もクソもないじゃん・・・
226 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/29 09:23 ID:VgbzmLwO
ganbaretbc
で、ここは捨てるの?
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