「だからさ、寝る前に自分でやる時に、思い出すのは猿野の顔だったりするんだよ」
「へ?・・・ちょ、ちょっと待て。それって」
「自分でもヘンだと思うけど、思っちまうもんは仕方ないだろ」
真剣な顔で自分を見つめる犬飼に天国は戸惑いを覚えた。
「犬飼の周りにはいつも女の子がいっぱいいるじゃねーか。この前なんて1年生のマネージャーが・・・」
「あんなのは関係ない。俺は気が付いたらいつでも猿野のこと思っている。これって最初は何なんだろって思ってたけど、突き詰めたら最後は抱きたいになっちまう」
「そ、そんな・・・」
「猿野は俺が嫌いか?」
「・・・」
天国は確かに自分には無いものを持っている犬飼に憧れてもいたし、尊敬もしていた。
今は同じ部員として犬飼の横にいられるのが心底うれしかった。
だが、その気持ちがライバルとしてのものなのか、女の子に対するような恋愛感情を伴ったものなのかは、この時の天国には分かっていなかった。
「狡いな・・・、そんな言い方されて嫌いだなんて言える訳ないだろ・・・」
「じゃあ、好きってことだな」
「そ、そんな勝手に・・・」
バットを持つ天国の右手が犬飼に握られた。
「犬飼・・・」
犬飼の真剣な瞳に見つめられると、天国もやはり犬飼のことが好きなのかと思う。
「とにかく、1度やってみよう。それで猿野がイヤなら止めるから」
気が付いた時には、天国の体はしっかりと犬飼の胸に抱きしめられていた。
そのまま強引に口付けされ、床に倒された。
「んっ・・・! やっ、あっ! ちょ、やめ・・・! 犬飼!」
天国が逃げようとジタバタするが、犬飼の力に天国がかなうはずがない。
着ていたユニフォームをたくし上げられて素肌に直に犬飼の口唇が触れると天国の体はビクッと震えた。
「や、ちょ、やめろ! 犬飼!!」
「頼むから静かにして、痛くしないから・・・」
「い、痛くって、そんな、あっ、やっ・・・! 何すっ・・・! 犬飼!」