海外サカー@801板

このエントリーをはてなブックマークに追加
216名無しカッタリーベ
…落ちつかねー…。

ナカータは濡れた服を脱ぎ捨てて、全開のシャワーにうたれて息をつく。
鏡の中の蒼ざめた男と目があった。
おれは、こんなやつは知らない…。
ナカータは自分の足が震えているのに気づく。
広々としたバスルームは、大理石にマホガニー、金にメタルの鏡面仕上げで、
ローマの王子のパブリックイメージさながらに派手だった。
ナカータはひとつ大きく息を吸い、また吐き出す。
限界に近い熱湯を、繰り返し何度も頭から浴びた。
…帰んなきゃ…。
シャンプーを手に持ったまま呟いた。
――やばい…もう自信ない。
ガシガシと髪を洗い、目を閉じて流れ落ちるシャワーの水音に聞入る。
どこか脳ミソの奥の方にチクチクと固い芯があって、それが熾火のように燃えていた。
興奮が芽吹き、静かに根をはり、じわじわと侵食している。

とにかくもう…リミットだ…。

「ひで」
不意打ちで背後から名を呼ばれ、ナカータは瞬間とびあがる。
「待てなかったよ…」
振り返ろうとした両肩を突堤の手がつかんだ。