海外サカー@801板

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153風と木の名無しさん
ほの暗い闇が、白いカーテンの内側で揺れている。

突堤は、ソファに深々と腰かけ身じろぎもしない。
ランプシェードを背に、半身を影に潜めてナカータを見ている。
つかまれた手首から伝わる熱がトクトクと脈打ち、ナカータの鼓動が早くなる。
まずいな…。
背骨を這いのぼる興奮が、こめかみ辺りで熱に変わった。
真横に座る突堤の表情が、ナカータには見えない。
喉が乾く。
雨に濡れた服を気にしながら、ナカータはそっと息をついた。
ことさらゆっくり足を組み、慎重に次の言葉を選んだ。
「…突堤…」
「なんだ…?」
突堤が微笑んだのが気配でわかった。
ナカータは、足元に視線を落して続ける。
「おれを…」
昂ぶる感情をそのまま口にしかけて、ナカータはなんとか踏みとどまる。
――…おれを見くびってるのか…?
混乱と興奮と生来の負けず嫌いが、ナカータを普段よりもやっかいな
精神状態にしていた。
芝生の上で、いきなりナカータに触れた突堤…。
不意を突かれて、呆気なくキスを許した自分にも腹が立つ。
おれ…イージー過ぎて…、…マジかっこわりぃ…。
天下に隠れなきスタイル至上主義、自他ともに認める
ファッション・ヴィクティム、ヒデトシ・ナカータは唇をかんだ。
どーしようもねーよ…ノコノコ部屋までついてきちゃってんだぜ…?
「ねぇ…なんで、おれなの?」
ナカータは低く呟いた。