海外サカー@801板

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147風と木の名無しさん
何時の間にか、雨はあがり星が出ていた。

ナカータは、前を行く広い背中を見あげた。
迷いもなくスタスタ歩を進める突堤には、一欠けらの躊躇もないらしい。
「ようこそ、僕の家へ」
豪奢な樫の扉と高い吹き抜けに目を見張り、ナカータは立ち尽くした。
通された部屋は広く清潔で、皮のソファも白いリネンも間接照明も、
すべてが金色の微粒子に包まれて柔らかな光を放っている。
――どうしよう…。
なんでおれ、こんなとこまでノコノコついてきちゃったの…。
ナカータは内心、頭を抱える。
こんなにも頼りなく、心もとない自分ははじめてだった。
普段のおれならリスクはきっちり考慮するし、悩んでも迷わない。
…しっかりしろ。
ナカータは自分に言い聞かせる。
とにかく理由だ…。
なにかおれ自身を納得させる、はっきりした理由が欲しい。
プライドというエゴが邪魔して、恋ひとつするにも大変なナカータだった。
意を決して、ナカータは切り出す。
「…興味本位なんだろ?」
「…そうだよ」
軽い言葉と裏腹に、突堤はひどく生真面目な顔で答える。
ためらうナカータの手をとると、ソファに導いた。