アメリカがいきなり襲われました。

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772愛鳥の人はイギリスびいき。
無表情にアメリカを見送ると、ロシアはまだ苦しそうにしている日本を見下ろした。
「良いかい、日本。
 あなたはまるで自分はアメリカが居ないと何も出来ないと思いこんでるみたいだけど
 それはアメリカにそう刷り込まされてるだけなんだ。
 原子爆弾という後にも先にもない被害を受けて茫然自失としていたあなたに刷り込まれた
 民主主義、友好、自由、繁栄という名の刷り込みなんだ。
 あなたはこの半世紀、世界で一番治安の良い国として知られてきた。
 それがどれだけ貴重で誇るべきことだかわかっているか?
 アメリカは怖いんだ、空威張りをしていないと世界中から軽んじられそうで怖いんだよ。
 特に日本、あなたのように独自の言語や文化の深みを持つ国がね。
 時間というバックグラウンドに裏打ちされていない国というのは、そういうものなんだ」
ロシアは、決して立ち上がるために手をさしのべてはくれない。
けれど凍土のように冴え冴えとした表情が、ほんのわずか緩んだ。
「ロシア……」
「私は子どもの頃から柔道を嗜んでいてね、
 日本の武術に流れるサムライ精神をいたく崇拝してるんだ。
 だから、サムライは日本の中にまだ居るのだと、見せてくれないか」
そして今まで日本を視界の隅に捉えてはいたが
声をかけずにいたイギリスが、蹌踉めきながらも立ち上がろうとする日本へ手をさしのべた。
「きちんと自分の頭で考えるんだ、日本。
 戦争に加担することでアメリカに存在をアピールするよりも
 加わらないことで世界と歴史へ貢献することができるはずだ。
 君にはそれだけの経験と痛みを知る思いやりと、思慮深さがあると信じているよ」