1 :
風と木の名無しさん :
2012/12/22(土) 21:11:39.15 ID:9r09PF7V0 ___ ___ ___
(_ _)(___)(___) / ̄ ̄ヽ
(_ _)(__ l (__ | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ }
|__) ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
l⌒LOO ( ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_, _)フ 「 | ロ | ロ |
( ・∀・)、__)  ̄フ 厂 (_,ィ | </LトJ_几l_几! in 801板
 ̄  ̄
◎ Morara's Movie Shelf. ◎
モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |[]_|| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ]_||
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄| すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
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|[][][][][][][][]_|| / ( つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板68
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/801/1343912199/ ローカルルールの説明、およびテンプレは
>>2-9 のあたり
保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/
2 :
風と木の名無しさん :2012/12/22(土) 21:12:20.31 ID:9r09PF7V0
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★
1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。
(1)長時間(30分以上)に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(
>>4-7 辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。
(4)一度にテンプレAA含め10レス以上投下しないで下さい(連投規制に引っかかります)
長編の場合は10レス未満で一旦区切り、テンプレAAを置いて中断してください。
再開はある程度時間をおき、他の投稿者の迷惑にならないようにして下さい。
(5)シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
また、長期連載される書き手さんはトリップを付ける事を推奨します。
(参照:トリップの付け方→名前欄に「#好きな文字列」をいれる)
(6)感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬や、書き手個人への賞賛レスはほどほどに。
作品について語りたいときは保管庫の掲示板か、作品が収録されたページにコメントして下さい。
※シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。
※ルールを守っている書き手やその作品に対して誹謗中傷・煽り・否定意見の書き込みは禁止
※誹謗中傷・煽り・否定意見に対しての反論は書き手、読み手共に禁止
レスするあなたも荒らしです。注意する時は簡潔に「
>>2 を守ってください」で済ませましょう。
相談・議論等は避難所の掲示板で
http://bbs.kazeki.net/morara/
3 :
風と木の名無しさん :2012/12/22(土) 21:14:19.49 ID:9r09PF7V0
■投稿に当たっての注意 1レスあたりの最大行数は32行、タイトルは全角24文字まで、最大byte数は2048byte、 レス投下可能最短間隔は30秒ですが、Samba規定値に引っかからないよう、一分くらいがベターかと。 ご利用はテンプレをよくお読みの上、計画的に。
4 :
風と木の名無しさん :2012/12/22(土) 21:18:36.75 ID:aABLVnC50
2.ネタ以外の書き込みは厳禁! つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。 ストーリー物であろうが一発ネタであろうが 一見退屈な感想レスに見えようが コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、 それらは全てネタ。 ネタにマジレスはカコワルイぞ。 そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね! \ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . | | | [][] PAUSE | . | ∧_∧ | | | . | ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ | | | . | | |,, ( つ◇ | | | . | | ||―(_ ┐┐―|| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | || (__)_), || | °° ∞ ≡ ≡ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5 :
風と木の名無しさん :2012/12/22(土) 21:21:35.69 ID:aABLVnC50
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。 別に義務ではないけどね。 テンプレ1 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | モララーのビデオを見るモナ‥‥。 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| きっと楽しんでもらえるよ。 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
6 :
風と木の名無しさん :2012/12/22(土) 21:23:08.50 ID:aABLVnC50
テンプレ2 _________ |┌───────┐| |│l> play. │| |│ |│ |│ |│ |│ |│ |└───────┘| [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::] ∧∧ ( ,,゚) ピッ ∧_∧ ∧_∧ / つ◇ ( ・∀・)ミ (` ) . (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒) | ┌‐^────────────── └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ └─────────────── _________ |┌───────┐| |│ロ stop. │| |│ |│ |│ |│ |│ |│ |└───────┘| [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::] ピッ ∧_∧ ◇,,(∀・ ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ . (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒) | | └────────────────┘
7 :
風と木の名無しさん :2012/12/22(土) 21:27:30.01 ID:9r09PF7V0
テンプレ3 ,-、 //|| // .|| ∧∧ . // 生 || ∧(゚Д゚,,) < みんなで //_.再 ||__ (´∀`⊂| < ワイワイ i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜 | | / , | (・∀・; )、 < 見るからな .ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )! //:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..| . / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´ / ゙ / / / || | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\ | | / `ー-‐'´ | | ./ |_____レ" ,-、 //|| // .|| ∧∧ . // 止 || ∧(゚Д゚,,) < やっぱり //, 停 ||__ (´∀`⊂| < この体勢は i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜 | | / , | (・∀・; )、 < 無理があるからな .ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )! //:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..| . / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´ / ゙ / / / || | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\ | | / `ー-‐'´ | | ./ |_____レ
8 :
風と木の名無しさん :2012/12/22(土) 21:36:34.69 ID:/hd+Rc510
テンプレ4 携帯用区切りAA |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 中略 [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! 中略 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
9 :
風と木の名無しさん :2012/12/22(土) 21:38:38.71 ID:/hd+Rc510
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも | | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端 \___ _____________________ |/ ∧_∧ _ ( ・∀・ ) |l8|と つ◎  ̄ | | | (__)_) |\ / ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 媒体も | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ̄ ̄ ̄| じゃ、そろそろ楽しもうか。 |[][][]__\______ _________ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | |/ |[][][][][][][]//|| | ∧_∧ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ ) |[][][][][][][][]_||/ ( )  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | (__)_)
○―-、 ) \ (二二二) |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 旧局朝仁R 田和場×登坂 夕飯を買いたいという田和場さんとスーパーに寄った。夕方五時を過ぎると、少し惣菜が安くなっている。 独り暮らしだといろいろ気にしなければならないんだな、等と考えながらアジフライやほうれんそうの胡麻和えなどを籠に入れる彼を見ていた。 しかし、どうにも御しがたいカートを押して、最後に籠に入ったのがワンホールのケーキだったのを見たときはさすがに驚いた。 「ケーキ食べるんですか?」 「クリスマスも近いしな」 アジフライの上で斜めになっているケーキのパッケージには、確かに「Merry Christmas」と書いてある。私は中指を立てた。 「不許可です!クリスマスにクリスマスを祝ってどうするんですか」 「どこまでひねくれてるんだお前は」 田和場さんは呆れた様な口ぶりで言うと構わずレジに進み、煙草と一緒に会計を済ませた。ケーキ以外の買い物は私が持たされた。 「ケーキ持たせたらお前、絶対振り回すだろ」 どうやらこの先輩に私の考えは見透かされているらしい。私はおとなしくアジフライとほうれんそうの胡麻和えを振り回して歩いた。 夜の空気はすっかり冷たく、外に出れば頬は一瞬で冷え切ってしまう。 火の気のない家の中も、外と寒さとしては大差ない。 強いて言えば風が吹いていないくらいだが、この部屋は常にどこからか隙間風が入ってくるので、本当に外との差がほぼない状態だ。 「とりあえずメシだメシ」 震えながら買ってきたものをちゃぶ台の上に並べると、アジフライとほうれんそうと共に白く可愛らしいケーキが鎮座ましましていて、酷く不格好で思わず笑ってしまう。 しかし、これはこれで上出来だ。当たり前に当たり前のことをするなんてがまんがならない。 もし、アジフライでなくローストチキンだったら、白いご飯ではなくピラフとか何かだったりしたら、私は即効この家を出ていたかもしれない。 田和場さんは酒屋でもらったメーカーの不揃いのコップ二つと、飲みかけの日本酒の入った一升瓶を持ってきた。いよいよもって上出来である。 「いやあ、むさくるしいの極みですな」 「悪かったな」 「いい意味でですよ、いい意味で」
振り回したせいでアジフライの形が崩れていたが、あまり気にはならなかった。 それよりも、ケーキと日本酒という取り合わせの方が田和場さんは気にかかるようだった。 「いやいけますよこれ」 箸でケーキをつまみつつ、後輩として毒見をしたが田和場さんはまだ半信半疑だ。 なんでも、私の舌とRのカメラは甲賀部二大「信用できないもの」らしい。 それでも食べない訳にもいかないという事で、田和場さんも箸でケーキをつまむ。 「…まぁ、全く合わない訳ではない」 「でしょう」 少しは私を信頼したらどうです、と威張ってみせると調子に乗るなと殴られた。 やりましたね、とはたき返すとそこからはもう食事どころではない、取っ組み合いのじゃれ合いだった。 お互い酒が入っているせいか、ゲラゲラ笑いながら足を引っ張ってみたり、頬を思い切りつねられたりしたものの、痛みはあまりなく動きもいつもより鈍かった。 しかし、仰向けに寝転がった私の髪を田和場さんが禿げるんじゃないかと思うほどの力で引っ張っている時、ふと空気が変った。 暴れすぎて疲れたのかもしれないが、明らかにそれだけではない。髪を引っ張っていた手の力は抜けている。 ああ、そういうことをするんだな、と思った時眼鏡が外されていた。 ストーブのせいで部屋は大分暖かいが、裸でいるにはまだまだ寒いな、などとどうでもいいことをぼんやり考える。 顔を思い切り埋めた枕からは煙草と田和場さんの髪の脂の臭いがする。 「痛くないか?」 「だーいじょうぶ」 本当は少し痛かったが、中指をたてて強がった。なるべく弱いところは見せたくない。 それでも突かれる度に何処からか声が出そうになるので、枕を噛んで極力声を抑える。 それに気づいたのか、田和場さんは少し笑った。 「声出したっていいんだぞ」 「…却下です」 断言して、再び枕を噛む。田和場さんも何も気にしない様子だった。 なんだか今日はいつもより優しい気がするななどと考え、腰を掴む手の温度に安心しながら、私はただ体を任せ続けていた。
事が済んだのち、ケーキの続きを食べた。 「生クリームが少し乾いてておいしいですよ」 「お前の舌はやっぱりおかしい」 文句を言いながらも田和場さんは私と同じくらいの量を食べていた。 アジのしっぽと飲みかけの酒とケーキの食べかすが乗っかったテーブルは、やはりどこかシュールである。 「よーし、うんうん、よーし」 まっとうなクリスマスなんかにならなくて本当によかった、なんでこの人とまともなクリスマスをすごさねばならない。 私が全くまともでないこの夜に満足してうなづくと、田和場さんは変な顔をしてこちらを見ていた。 「やっぱりお前は大馬鹿だ」 「何がです?」 「いや、まぁいいや」 田和場さんは何か納得したような様子で頭を掻いていた。 家に帰り、カバンを開けると中に見覚えのないビニル袋が入っていた。 不思議に思い、中を確かめるとそれは買った記憶のないF3の換えレンズだった。 状況的に、田和場さんがくれたとしか考えられないが、しかしなぜ?クリスマスプレゼントなんてあの人らしくもない。 頭をひねって考えた時、私はやっと気がついた。 あの日は私の誕生日だったのだ。 人に言われるまで誕生日の事なぞつい忘れてしまうので、あの日は全く思い至らなかったが、 よくよく考えればあの日私は年を一つとっていたのである。 だからケーキだったのか、だからいつもよりも優しかったのか、と一つ一つの謎が解けていった。 あのちぐはぐな食卓は私の誕生パーティーだったらしい。 それにしても、あくまでクリスマスと言う体で、おめでとうの一つも言わず、プレゼントも全くラッピングせず ――そもそもプレゼントを渡したことすら教えないとは。 私は真新しいレンズをとりだし、上から下から覗きこみながらつぶやく。 「あの人もひねくれてんなぁ」 ○―-、 ) \ (二二二) □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>13 MerryChristmas!!
良いクリスマスプレゼントをありがとう!
さっきと同じように立ったままの彼を眺めている内に、ふと疑問が浮かんできた。 「どうしてここにいるんだ?」 「情報を伝えるためです」 「現場担当でもない君がか?」 「いけませんか?」 「君はそういうのを嫌がるタイプだと思ってた」 「…貴方のお陰ですかね」 意味深な言い方をする九に七は眉を上げる。髭剃りを終えて出てきた彼は、 壁に身体を預けながら尋問を始めた。 「ぼくのお陰って?」 「『銃を撃つかどうかの判断はパジャマ姿じゃできない』――そう言いましたよね」 「あぁ」 「だからパジャマを着替えて外に出てみたんです。銃を撃つ人の世界が見てみたくて」 真っ直ぐに七を見つめながら答える九の纏う空気が、前に会った時とは違う気がした。 こういう場所に彼がいるという光景が珍しいからだろうか。 「君にはどう見える?」 「パジャマで紅茶を飲みながら眺めていられる世界の方がずっと良い」 彼らしい答えだ。 少し視線を逸らした九がどこか悔しげに見えて、七は笑みを抑えられなくなる。 「そうか…せっかく着替えたのに無駄だったな」 こんな態度では九の機嫌を損ねるかもしれないと思ったが、彼は気にしていない様子で すっと歩み寄ってきた。 「……そうでもないですよ」 「ん?」 「貴方のそういう姿を見られただけでも、わざわざ出向いた価値はあった」 九の興味深そうな視線で七は自分の格好を思い出す。そう言えばまだきちんと服を着ていなかった。 「っと…すまない。着替えるよ」 「大丈夫ですよ。そのままで」 「でも…」 「貴方の身体に興味があるんです。そのためにここまで来たと言っても過言じゃない」
ごめんなさい!前スレの誤爆です!
・お$台走査選で、信条→夢炉伊 ・前作「岩にせかるる」と同じ設定の話で、二人の出会い編です ・前作以上に二人の過去を捏造しまくってます、某大やK察の描写は適当です |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース ! 体がだるい……いくら食欲がないとは言え、まる一日近く何も食べていなければ、 さすがに辛いものがあった。もう部屋の中に食べ物らしいものは残っていない。 体力が少しでも回復すれば外に出て食料の調達も出来ようが、 今の状態ではしばらくここを抜け出せそうになかった。 窓からは陽光が射し込んでいる。普段なら仕事をしている時間だ。 こんなことをしている場合ではないのに――私はベッドの中で歯噛みした。 警察大学校と所轄での約一年間の研修を終えて、本庁での勤務が始まってから二ヶ月。 私は不覚にも季節外れの風邪を引き、金、土と二日間官舎の自室で寝込んでいた。 風邪など市販の薬を飲んで一日寝れば治ると思っていたのに、この有り様はどうだ。 幸い明日は休みだ。いくら何でも月曜日までには良くなるだろう…… 私は大人しく布団をかぶり、眠りに就くことにした。 目が覚めると、明かりを付けていない部屋の中はすっかり暗くなっていた。 今、何時だ……時計を見ようと何とか身を起こし、ベッド脇の ランプスタンドの紐を引っ張ったところで、チャイムが鳴った。 宅配便か? 私が実家を出て官舎で暮らすようになってからも、 母親は私宛にこまごまとした生活雑貨と食品を送ってくる。 いつもは少々鬱陶しく感じるものだが、この状況ではありがたい。 私は軽く顔を洗って髪を整え、玄関のドアを開けた――と。 「榁井さん……?」 普段からあまり会いたいと思わない人物がそこにいた。こんな時には特にだ。
「……二日も休んでると聞いて、心配になって様子を見に来た。大丈夫か?」 ……全く、見かけによらずお節介な人だ、あなたは。仕事を終えて そのまま来たのだろう。もう汗をかく季節なのに、あなたは律儀にもスーツを着ていた。 寝間着のままの自分が、恥ずかしくなる。 「……わざわざ来ていただかなくても。平気ですよ、子供じゃないんですから」 「君のところの池上課長にも頼まれてな。君は優秀だから、あまり休まれると困る、と」 「何故課の違うあなたに?」 「官舎の部屋が近いからだろう。……君とは何かと縁があるらしいな」 私はどきりとした。やはりあなたはあの日のことを覚えているのか……? 警視庁で私が配属されたのは、何の因果かあなたが働く隣の課。 官舎の部屋も、あなたの部屋のすぐ上の階だった。 実は私が本庁で働き始める前にも二度、私たちは顔を合わせている。 しかし、断じてそれ以上の関係はない。仕事中や帰宅途中に偶然見かけることはあっても、 個人的な付き合いはしていないし、ましてこんな風に部屋を訪ねる仲ではないのだ。 「本当に大丈夫……ですから……お帰りになって結構ですよ」 こうしている間にも、熱と空腹感で倒れそうだ。早く休ませてほしい。 しかし、あなたは私の様子から尋常でないものを感じ取ったらしい。 「……最後に食事をしたのはいつだ?」 嘘を吐こうにも、頭が働いてくれなかった。 「……昨日の夕方です。買い置きの惣菜が切れて」 「それじゃあ治るものも治らないだろう……」 「……」 そんなことは分かっている。だからどうしろと言うのだ。 「……君は布団で休んでろ。何か食べ物を持ってくる。ドアの鍵は開けておいてくれ」 「余計なお世話です……」 「いいな?」 ……うなずくしかない。実際、もう抵抗する力などない程に体が弱っていた。 あなたを見送ると、何故だか物寂しい気がした。……病気で人恋しくなっているだけだろう。 ベッドに戻り、私はあなたに初めて出会った日のことを思い出していた。
※※※ あれは、大学一年の初冬だった。受講している講義の担当教授が、 他大のゼミと自分のゼミで合同の模擬裁判を行うことになったから 興味のある者は見学に来ないかと、講義の終わりに告知したのだ。 後学のためにと思い、私は参加を決めた。……折しも失恋して間もなかった私は、 以前より一層勉強に打ち込むようになっていた。そして模擬裁判当日。 他大というのは東北大のことであり、そこにあなたがいた、という訳である。 (……以上で、弁護側の陳述を終わります) ……何故、これ程の人物が東大(うち)に来ないのだ。 当日を迎えるまで、私は正直他大というものをバカにしきっていた。 東大は文字通りこの国の最高学府であり、他大とは一線を画している。 上級学校で学ぼうというなら、ここを目指さない手はないだろう。 教授陣も設備も一流揃い、その恩恵を受ける学生たちもまた然り。 所詮その他の人間は、この門をくぐることを許されなかった存在なのだと―― だが、あなたの弁論は実に理路整然とした実戦的なもので、 決してうちの学生に引けをとっていなかった。 ぴんと背筋を伸ばした姿や真摯な顔つきも、目を引いた。 模擬裁判が終わり、昼休憩の時間になった。私は一緒に見学していた学友と 理由を付けて別れ、学生食堂で誰かを探していた。構内には売店もある。 学校の外にだって食事を提供するところはあるというのに。何をしているのだ、私は…… 窓際のカウンター席に、ぽつんと一人で定食を食べているあなたを見つけた。 同じゼミの仲間とは、食べないのだろうか。私は自分の分の昼食を調達してから あなたの横に立ち、少し逡巡した後に思いきって声を掛けた。 (……お食事中に失礼します。さっきの模擬裁判を見学していた者です。 東亰大学文科一類一年の、新條と言います) ……何をしているのだ、私は。
「ケンタロウ」という自分の名前が、どこか子供っぽくて好きでなかった。 小学生の頃など、よく同級生たちに「ケンちゃんケンちゃん」とからかわれたものだ。 もう少しすっきりとした響きの名前が良かったと思う。そう、例えば―― (……東北大四年の、榁井慎次です) 模擬裁判の冒頭でもそう自己紹介していたし、配られた進行表にもその名があった。 (ご一緒しても?) (……どうぞ) (敬語は使わなくていいですよ。僕の方が年下なんですから) 当時から、あなたは断るということが苦手な人だった。 こんな調子で、後々苦労しないだろうか。他人事ながら少々心配になった。 あなたの隣の席でしばらく黙って食事をした後、私は話し始めた。 先程のあなたの陳述は、架空の事件の要点を押さえた見事なものだった、と。 あれなら今すぐ法廷に出ても通用するだろう、とも言った。 とにかく、あの時の私はいつもの皮肉や嫌みを忘れていた―― 意識的に、控えたのかも知れない。携帯電話もインターネットも普及していない時代だ。 恐らくあなたと話すことはもうないだろうと考えていた。 嫌な男に出会ったという記憶を、あなたに植え付けたくはなかったのだ。 こんなことを感じる時点で、私はあなたに魅かれていたのだろう。 (……さぞ優秀な弁護士になられるでしょうね、あなたは。 卒業した後、何かの機会にお会いすることがあったらよろしくお願いしますよ) (いや……私は、来年警察庁に入庁することが決まってるんだ) 嘘だろう、と私は目を見開いた。警察キャリアと言えば、そのほとんどが 東大や京大出身者で占められているのだ。他の国立大や私大からも合格するにはするが、 毎年若干名だと聞いている。その希少な人物が、目の前にいるなんて。 それに、あなたは確かに正義感が強いタイプには見えたが、一般的なイメージとは 裏腹に色々汚い内情を抱えているという警察組織に向いているとは思えなかった。 (……ご存じなんですか、あそこがどういうところか) (だからこそ、だ) そう言い切るあなたの瞳は、どこまでも澄んでいた。
私は先程の思い――どうしてこれ程の人材がうちに来ないのか――をますます強くした。 この大学には、何故こんなところにいるのかと思うような学生が少なからず存在する。 すなわち、東大に入ることが人生の目標であり、入った以上はもう何も する必要はないと考えているような、愚か極まりない連中である。 日本で最高の学習環境を手に入れたからこそ、それを有効に活用するべきではないか。 大学でろくに勉強しなかった輩がまかり間違って中央省庁や大企業などに 就職してしまおうものなら、この国の政治や経済は……いや、この辺りで止めておこう。 私は大きな世話と分かっていながらも、不機嫌を隠せなかった。 (……国家公務員の一種を目指しているなら、どうして東大に来なかったんです) 私が突然態度を変えた理由を図りかねたのだろう。あなたは一瞬戸惑った表情を見せた。 (……東北からでも上に行けるってことを、証明してみせたいと思ってる) (つまりあなたは、自分が必ず上に行けると? 大した自信ですね) ああ、やってしまった――しかしあなたは眉一つ動かさない。 (……行く。行ってやるさ。そう思って努力していれば、必ず実現する) ……私の完敗だった。沈黙した私をよそに、あなたは腕時計に目をやる。 (そろそろ時間だ。……君は何を目指してるんだ?) (……まだ、考えているところです) 何を言っているのだろう、私は。父と同じ検察官になるのが夢ではなかったのか? (そうか。よく悩んで決めたらいい。……またどこかで会おう) 他大学の人に先輩面されるいわれはない、と言う間もなく、あなたは去っていった。 私はあなたが立ち去った跡を呆然と見つめながら、思いを馳せた。 ――あなたは警察という場で、一体どんな仕事をするのだろう。 私が警察庁を目指すと言いだした時、現役の検察官である父は少し驚いただけだった。 殴られることも覚悟して打ち明けた私は、少々拍子抜けした。日々の仕事を 立派にこなす父のことはもちろん尊敬していたが、同時に畏怖してもいたのだ。
(連投規制に引っ掛かりました、すみません) 父に説明を求められ、私は用意していた答えを話した。 今の警察組織の問題点を大学の講義で学んで危機感を持ったこと。 送検されてきた被疑者を糾弾するのではなく、実際に犯罪を 予防し、取り締まる機関に携わりたいのだということ。 父と同じ道を進むことで親の七光りのように思われたくないと考えていること…… 全て嘘はなかった。自分の進路に百パーセントの自信を持っていれば、 いくらあなたに出会ったからと言ってそれを曲げることはなかったはずだ。 本当は、迷っていた――あなたは私がそれに気付くきっかけを作ったにすぎない。 しかし私に新しい道を示したのは、間違いなくあなただった。それは認めよう。 またあなたを見かけたのは、国家公務員試験の説明会会場でだった。 実際の面接などを担当するのは当然もっと年配の職員だが、 説明会では試験を受ける学生にも親しみやすいようにと、若手の職員も加わった 質疑応答の時間が設けられていたのだ。その場にあなたがいるのを見た時、 私は血の気が引く思いだった――ちょっと考えてみれば分かることだ。 短い時間とは言え会って話をした私を、あなたは忘れていないと思う。 (私があなたを追ってきたのではと、気味悪がられるのではないか……?) そう思うと気が気でなく、挙手して質問する方が採用に有利だとは思いながらも それが出来なかった。幸いあなたは、私がその場にいることに気付かなかったようだ。 ……あなたに対する思いが、純粋な尊敬だったなら。 私はこんなことを考えはしなかっただろう。こんなことで悩むのは、他に 後ろ暗い“何か”があるからだ。例えば――あの日、少し困った表情をしたあなたに 嗜虐心を刺激され、「もっとそんな顔が見てみたい」と思ってしまったことだとか。 私は、あなたのことは忘れて試験対策に没頭した。入庁を果たした後も、 それこそ北海道から沖縄まで異動の絶えない職場である。 あなたに接する機会はそうそうないだろうと思っていたのだが。 ※※※
――額にひんやりとした、あなたの手のひらがあてがわれていた。 「!?」 「……悪い、起こしたか」 驚いて身じろぎした私に、あなたはすまなそうに言った。 そんな顔をしてほしくないような、してほしいような、複雑な気分だった。 「まだ熱があるな。あの激務だ、知らないうちに無理をしたんだろう」 私の額から手を離して、まるで何でもないことのように言う。 誰にでもそんなことをするのか、あなたは……? かえって熱が上がった気がする。 上着とネクタイを取ってYシャツ姿になっているのも、目の毒だった。 時計を見ると、あなたがこの部屋に来てから一時間以上が経っている。 「……遅かったじゃ、ないですか…」 発した声がかすれている。この言い方では、まるであなたを待ちわびていたみたいだ。 「粥を作っていた。食器を勝手に借りたが、食べられそうか?」 食事はほぼ外食で済ませているため、部屋の中には最低限の食器しかない。 自分でも存在を忘れていた陶器製の小さなボウルに盛られていたのは、 昔風邪を引いた時に母もよく作ってくれた卵粥。添えられたスプーンを手にする。 「ありがとうございます」 あなたはどこかびっくりした顔をした。失敬な、と思いつつ、 あなたの新しい表情が見られたと胸を高鳴らせる自分がいた。 「……私にだって、礼の一つくらい言えますよ」 「意外だな」 ふと緩めた表情が微笑んだようにも見えて、私の心はまたさざめいた。 やはりそんな風に見えていたのか。私はずっとあなたを避けていたから、無理もないが。 「……大学時代、一度お会いしました。ご記憶にありますか」 私は、逃げていた問題に取り組むことにした。 「ああ、覚えてる。……君の方こそ、忘れてたんじゃないのか」 そんな訳がないだろう。 「……私がここに入庁したのは、私なりの考えがあってのことです。 別にあなたを追いかけてきた訳じゃない。覚えておいてください」 他人の影響で簡単に一生の仕事を決めるような男だと、あなたには特に思われたくなかった。
「……そうか」 私の言葉を信じたのかどうか、あなたはそれだけを言った。 口数の少ないあなたは、何を考えているのか分かりづらい。 ……あなたに近づけば、私の中の隠された想いを悟られるかもしれなかった。 それでも、この感情には逆らえそうにない……あなたのことが、もっと知りたい。 卵粥をすすりながら、これからは、あなたときちんと向き合わなければと考える。 私が粥を数度口に運んだのを見ると、残りは台所の鍋に多目に入っているから また腹が空いたら食べろと、あなたは言い残して帰っていった。 ――翌朝。食べ物を口にしたせいか、まだ熱っぽいものの、随分と体調が良かった。 私はキッチンのコンロに置かれた鍋の中の粥を温めようとした。 「あ……」 うちに鍋と言える物は小さなフライパンしかない。すると、この両手鍋は。 すっかり全快した次の月曜日に、私は洗った鍋とワインの瓶を手にあなたの部屋の前にいた。 玄関に出てきた二度目に見るYシャツ姿のあなたに、ほんの少しだけ 胸躍らせてしまった自分には気付かないふりをして。 「……鍋をお返ししに来ました」 「ああ、通りで見当たらない訳だ。お前の部屋にあったんだったな」 ……少し前の自分なら、人に向かってお前とはなんだと言い返したかもしれないが。 あなたとの距離が縮まったようなのが嬉しくて、指摘はしなかった。 「これだけではなんだと思いましてね……いいワインが手に入ったんです。 よろしければ、飲みませんか」 私はその実あなたのために買い求めたワインの瓶を、紙袋から出してみせた。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 駄目だこの信条…早く何とかしないと 現行専スレ24も自分です…勢い余って長文カキコするくらいなら 最初から棚に投下すればよかった、お恥ずかしい。長々と失礼しました。
>>25 おお、萌えた…!
書き方が丁寧でとても好きです。
一角獣 唄四弦 ※要注意:生物・エロなし・新年なのに年末話 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「最近、ヤってねーなー…」 「え?夕ミ男さん誰と会ってないんですか?」 「いやいや何でもない。」 スタッフに独り言を聞かれてしまうとは…。 そろそろ50に手も届きそうなおっさんが思春期の高校生の様な事を思ってるなんて、誰にも言えるわけないだろ。 しかも相手が相手だしな。 でもヤリたいもんはヤリたいと思うのは、これはもう男の性(さが)としか言えなくて。 コンコン 楽屋のドアを叩く音が聞こえた。 この業界に飛び込んで25年以上経った事もあり、俺自身が大物という扱いを受ける事が多くなった。 若手から尊敬してると言われる事もあるが、本当はそんな事は気にしないで一緒に音楽を楽しみたい。 まあ、こういう事を喋るキャラでもないので、あまり公にする事もないが。 同じライブに出演する若手が、今日も挨拶に来てくれている。 恐らく緊張しているだろう若手の緊張をほぐす為に、いっちょ笑わせてやろう。 そう思いながらドアに向かって返事をした。 「どーぞー」 「「「しっつれいしまーす!伝台でーすっ!!よろしくおねがいしまーす!!!」」」
コントの様に椅子からずり落ちてしまった。 若手じゃないじゃないか! いや…バンド的には新人だが、若手じゃない見慣れた3人が部屋に入ってきた。 「来たよー!」 「〒嶋が夕ミ男に挨拶しとこうって言うからさ〜」 「いや何言っとんねん!2人が夕ミ男を驚かそうって。」 「またまた〜!〒ッシ−が夕ミ男に会いたいって言うから付いて来ただけだしw」 一気に楽屋が煩くなった。 久々の一角獣メンバーが楽屋にいるだけで、なんとなくの安堵感に思わず笑みが腹の底から湧いて来る。 まぁ今年は5人が一緒に揃う機会が少ないせいもあるけど。 「〒ッシ−、そんなに俺に会いたいとか気持ち悪いわ!」 「な!こ…こっちこそ気持ち悪いわ!」 「夕ミ男も〒ッシ−も素直じゃないんだから〜ははは」 「みんな素直で可愛いねぇ。」 「皮にっつぁんも何なんだよ!」 「でもおれは夕ミ男に久々に会えて嬉しかったよ。」 こいつ… 本当に何時もこうなんだよ。 自分の思った事をストレートに表現するんだよ。 そういう事を言われると、どう返して良いかわからなくなる時がある。 「夕ミ男?どうしたの?」 近い近い! 昔と比べて随分短くなった髪の毛が少し揺れて、顔に触れそうになるくらい近づいてきた。 また思春期の様な想いがもたげそうになって来るじゃないか! ちょっと顔が赤くなってるのがわかって、つい目線を逸らしてしまう。
「た・・・煙草吸いに行こうぜ!」 「そうだね」 「あ!俺、別のバンドに挨拶してくるわ。この前、一緒に呑んだんだよね。」 「皮西さん、ほんま友達が多いのー」 「寂しいから〒嶋一緒に行こうよ。」 「1人で行け。」 「えー俺が寂しいから行こう。」 「ちょ…」 そう言うと皮西さんは〒ッシ−の腕を掴んで楽屋から出て行った。 と思ったら、皮西さんが楽屋のドアから顔だけ出して一言。 「夕ミ男!貸しね♪」 「…うっさい!」 普段は子供染みてるくせに、こういう時だけは鋭い大人になる。 さすが無駄に年取ってるだけあるよ。 やっぱりまだまだあのおっさんには敵わない。 「夕ミ男?行こうよ〜」 「おう。」 廊下は色々な人が行き交っているので、邪魔にならない様に、でも微妙に早歩きになってしまう。 そんな俺の気持ちに気づいているのかどうか知らないけど、あいつも無言で後ろをついて来る。 『早く2人きりになりたい』 あいつもそう思っててくれると少し嬉しい。 そんな青臭い事を思っていたら、あっという間に喫煙所に着いてしまった。 時代は禁煙ブームとか言いつつも、なんだかんだで喫煙所は混んでいる。 俺たちは2人で喫煙所の隅に、壁に向かいながら煙草を吸う事にした。 これなら周りから見ても一角獣について話し合ってると思ってもらえて、誰も近づいて来ない。 実際には他愛もない話しかしないが。 …多分。
「今年はあっという間だったなぁ。」 「そうだな。」 「おれは伝台がメインだったけど、夕ミ男も色々やってたしね。」 「ああ。」 おかげで2人だけで会える時間は少なかったけど、でもお互い充実した1年を過ごせていたと思う。 …と思う様にしないと、心の中で少しは寂しさが募ってしまう。 もうオッサンなのにな、と心の中で苦笑した。 「でもね。おれ、寂しいなーって思う事がたまーにあったよ。」 「…何が。」 「やっぱりさ、喋りたいなーとか一緒にいたいなーとか。」 「誰と?」 「夕ミ男と!」 そういって相変わらず無邪気な笑顔を向けてきた。 本当にこいつは無邪気すぎる。 だからいつだって心配なんだよ、俺は! ここに誰もいないんだったら思いっきり抱きしめたいよ、お前を! 「ねぇ?」 「な…なんだよ。」 「煙草、1本ちょうだい。吸い終わっちゃった。」 「早えーな。ちょっと待てよ。」 「もうあるじゃん。」 「まだ出してないぞ。」 「ここに。」 そう言ってあいつは俺が口に銜えてた煙草を、自分の口元に持っていってそのまま吸い出した。 「ふ〜…」 「お前なー。」 「みんなの前でしちゃったね。」 「何を?」 「間接キス。」 そうしてあいつは普段の笑顔ではなく、どこか小悪魔めいた笑みを俺に向けていた。 2人だけで一緒の時間を過ごす時にしか見せない笑みを。
「でも、これだけじゃ物足りないよね。やっぱり溜まってるしさ。」 「あのなー。こんなとこ…」 「だって、おれも男だもん。」 「…あー!そうかよ!」 「夕ミ男、今日の打ち上げ何時まで?」 「11時くらいだよ。」 「じゃあ10時に待ち合わせね。」 「抜け出せってのかよ。」 「おれは今すぐ抜け出したいけどね。」 なんだかんだ言って、こいつにも敵わないのかもしれない。 だって、どうやったら10時前に打ち上げから抜け出せるかを計算しだしている自分がいる。 今すぐこいつと抜け出したい自分がいるのだから。 「さ!そろそろ楽屋に戻ろうかな。」 「お前の煙草も寄越せよ。俺だけ損だろーが。」 「え〜?」 そう言ってそのままあいつの耳元で囁いた。 「俺もしたいんだよ。お前と」 びっくりして大きい瞳をさらに大きくさせていた。 本当に可愛いな、こいつは。 「夕ミ男…たまに大胆だよね。びっくりする時があるよ。」 「たまにはな。」 苦笑しながらも自分の煙草に火をつけて、そのまま俺に渡してきた。 この煙草の味は好きではないけれど、こいつが吸ってたなら何故か美味く感じる。 そう思って楽屋に戻るまでの僅かな2人だけの時間を、もう少し堪能したいと思った。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 初のSSでしたが、文章がめちゃくちゃでごめんなさい。 今年こそおっさん達の萌えを存分に浴びせて欲しい。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 妖/神/グ/ル/メ クトゥ×内原 薄暗く淀んだ水底。 吐き気を催すほどおぞましい、だが抗いがたい奇妙な魅力を伴った香りが、そこには充満していた。 ここはルルイエの心臓部にある調理場。 イカモノ料理人、内原富手夫の居城である。 「腐りかけのムネエソに黴の生えたダイオウグソクムシ……お、今日はリュウグウノツカイまでいるのか」 歪な石の台に並べられたグロテスクな海の幸を目の前にして、富手夫は鼻歌を漏らした。 鍋では既にダゴンの生き血をたっぷり吸ったヤツメウナギが煮えている。 例の臭気の出所はここであったらしい。 煮汁はどす黒く酸化した血のような――事実それは血であるのかもしれない――色を呈しており、 普通であれば決して食欲を煽るようなものではなかったが、しかしその香りには嗅ぐ者すべてを虜にする ような妖しさがあった。 富手夫は先ほどの「食材」の中でめぼしいものをいくつか取り上げると、流れる――というよりも、 疾走するような手さばきで切り分けていく。 奇怪な装飾の施された包丁が皮を剥ぎ肉を削ぐ音は耳を塞ぎたくなるほど不快であるのに、 妙に心臓を揺さぶった。 それはまるで、忌むべき異教徒の唄のようであった。
「……ふぅ」 食材の下拵えをあらかた済ませると、富手夫は額の汗を拭った。 休憩か、と思いきや、そうではないらしい。何かを待つように視線を巡らせている。 やがて、「それ」は姿を現した。 それは一見、蛸の肢のようだった。 しかしそれが蛸などではないことは、その巨大さと禍々しさ――そして何もない空間から伸びている という異常さから明白である。 あれは――クトゥルーの触腕だ。 「遅いぞ、クトゥルー」 愛しげに触腕のひとつを撫でる。まるで恋人の髪を梳くような優しさだ。 富手夫が撫でているのが触腕などでなければ、宗教画とすら思えるような情景であった。 「今日はこれでいいんだな」 その穏やかさは、長くは続かなかった。 一瞬にして瞳に好戦的な色を宿らせると、富手夫は抱いた触腕に包丁を突き立てたのだ。 ずぶり、という音と共に青みがかった透明の液体が迸る。 クトゥルーの体液を頭から被り、狂気じみた富手夫の表情はますますその艶を増した。 「ふふふふふ……自らの肉が一番旨いとは、僕には理解しがたいよ。でも」 突き立てた包丁を90度回転させ、別の角度へと切り込む。 触腕を切り取るだけにしては、要らぬ動きであるように見えた。
「そんなに旨いものなら、やっぱり一番旨い状態で口にしたいだろう。 ストレスをかけると味が良くなるのは万物に共通だ。痛いか?」 咆哮が辺りに響き渡る。 それは痛みからくる叫びだったのであろうが、そこには歓喜の声も少なからず混じっているようだった。 「痛そうだな。それはいい。これでどんな食材も及ばない最高の味が完成する。 嬉しいだろう、クトゥルー」 捕われていない触腕が何本か、悶えるように富手夫の身体に巻きついた。 縊り殺すつもりはないのか、ゆるゆると富手夫の体表を撫でている。 くすぐったそうにそこから逃れると、富手夫はついに触腕をクトゥルーの身体から切り離した。 引き千切るように切られた断面からは、とめどなく体液が流れ出ている。 「ああ、勿体ない」 本体から切り離されてもなおびくびくと脈打つ触腕に怯える素振りも見せず、富手夫は唇を寄せて その体液を啜った。稀代の美酒でも飲むように恍惚とした表情だ。 数瞬の後、生きた触腕が再び巻きつき、富手夫に抗議するように締め付けを強めた。 「うぐっ……わかってるよ、これはお前のものだ」 触腕がするすると富手夫の身体から離れる。 富手夫は濡れた口元を拭うと、切った触腕をまな板に載せ、ひとつ息を吐いた。 「さあて、メインディッシュに取り掛かるか」
35 :
ある食事風景 :2013/01/06(日) 02:32:07.30 ID:64S3wJGB0
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! 連投規制ェ…
しえん
自らの肉が捌かれ、焼かれ、味付けをされている間も、クトゥルーの触腕たちはそこにいた。 自分の一部の最期を見届けたいというより、完成したらすぐにでも口に運びたいというのが本音だろう。 恐らくは本体もこちらに来たいのであろうが、この狭いキッチン――決して狭くはないのだが、 旧支配者にとっては猫の額以下であろう――に全身を転移させることは不可能なのだ。 「よし、完成だ。……っと、うおっ!?」 その言葉を聞いた途端、待ちきれなくなったように触腕たちが皿に群がった。 「ちょっと待て、ここで食うな!」 最も、本体がここにない今、この場で食事ができるわけではない。 触腕たちは皿と富手夫の身体を抱きかかえると、一瞬にして調理場から姿を消した。
「……乱暴な真似するなよな……」 次の瞬間、富手夫がいたのは玉座の間だった。ルルイエの神殿の最奥だ。 そこには、名状しがたい巨大な存在が横たわっていた。 クトゥルー。無数の触腕を揺らめかせ、食事が始まるのを今か今かと待っている。 富手夫の身体を抱く触腕が、急かすように背を叩いた。 「ああ、いいよ。召し上がれ」 その言葉を言い終わるか言い終わらないかのうちに、触腕たちが皿に群がった。 ヤツメウナギのスープ、ダイオウグソクムシのフライ、リュウグウノツカイの姿煮、そして クトゥルーの触腕のステーキといった忌むべき料理群が、次々とクトゥルーの口に飲み込まれていく。
歓喜――否、狂喜の声が辺りに木霊し、ルルイエを包んだ。 「旨いか、そりゃよかった」 自身も人並みの量を平らげながら、富手夫はクトゥルーの巨体を見上げた。 満足げに身体を震わせる様は、感謝の意を示しているようにも見える。 「ふう、ごちそうさまっと」 触腕が退いたあとには、食べかすも残り汁も残っていない。 クトゥルーが全て平らげたことを当然だとでも言うように頷いて立ち上がると、富手夫は空の皿を 片づけ始めた。 クトゥルーは円らなふたつの眼球でしばらくそれをぼんやりと眺めていたが、やがて食後らしい 緩慢な動きでひとつの触腕を富手夫に伸ばした。 しゅる、とその瞬間だけ俊敏に富手夫の腰に絡みつく。
「わっ!」 先ほどまでのような、ただ纏わりつくだけの動きではない。 今度は確固たる意志を持って富手夫の身体に巻きつき、地上から引き上げたのだ。 その様は、些か人間が人形遊びをするのに似ていた。 「何だ、どうした?」 クトゥルーの顔――眼球がついているところを顔とするなら、そうだ――の正面に連れてこられ、 富手夫は所在無げに視線を彷徨わせた。 料理をしているとき以外は驚くほど能天気になる彼は、この状況にあってもそう慌てた様子はない。
瞬きしない両の眼がじっと富手夫を見つめる。 さすがに居心地が悪くなったのか、富手夫が身じろいだとき、クトゥルーに動きがあった。 もうひとつ、触腕を伸ばしたのだ。 そしてその触腕は、するすると奇妙なほど器用に富手夫の服の中に侵入してきた。 そこでようやく、富手夫はクトゥルーの意図を理解した。 「ちょっと待て、まだキッチン片づけてな……ッ」 触腕が脇腹を這い、富手夫は身体を震わせた。こうなったらもう、止めようがないのだ。 観念したように肩を落とすと、富手夫はエプロンを落としシャツのボタンを外した。 幾度となく衣服を引き千切られてきた経験から、腹を決めたら自分で脱ぐ習慣ができているのだ。 スラックスのベルトも寛げると、先ほどまでとは打って変わった妖艶さでクトゥルーを見上げた。
「はい、どうぞ。食後のデザートだよ」 茫洋としたクトゥルーの眼球に、一瞬違う色が混ざった。人で言えば、情欲のような。 大いなる存在の昂ぶりがそこだけに留まるはずもなく、ルルイエ中がそれに呼応するように揺れた。 ダゴン、ハイドラたちの狂乱する声が、彼方より聞こえる。 「……やっぱりヤツメウナギのせいかな。精力つくって言うし……」 少しズレた感想を呟く富手夫をよそに、クトゥルーの触腕が二本、その痩躯を這い回る。 触腕が胸の尖りを引っ掻くように撫でるたび、富手夫はびくりと背を撓らせた。 「ッは、……」 [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ サイカイシマース! この奇妙な交わりは、初めてではない。最初こそ富手夫も驚き抗ったものだったが、その回数が 両手の指の本数を超えた辺りから諦めの境地に近くなっていた。 人間がいくら智恵をつけても、人智を超えた存在には敵わないのだ。 無数の触腕が首筋や脇腹、耳元など、富手夫の弱いところを集中的に――かつ同時に――責める。 富手夫はあくまで毅然としたポーズを貫くつもりのようだが、それも時間の問題かもしれない。 時折漏れる鼻にかかるような声が、それを物語っていた。 「ん……ぁ、んッ、ふ……ッ」 蠢く無数の触腕の中から、目立って細い数本が富手夫に向かって伸ばされた。 直径1センチメートル程度であろうか。 蛸の肢に似た触腕と違い、どちらかと言えばイソギンチャクの触手に近い。
まるで糸のようにも見えるそれらは、富手夫の腰元まで這うと心得たようにスラックスに滑り込んだ。 それと連動するように、触腕がスラックスごと下着を引き下ろす。 仰向けのまま足を開くような体勢を取らされ、富手夫は浅黒い肌を朱に染めて抗議した。 「おい、クトゥルー。いくらお前がやりやすいからって、こんな格好させるなんて、な、ぎッ」 富手夫の言葉が途切れたのも当然だろう。 突然、細い触手が数本、束になって富手夫の後孔に突き入れられたのだから。 「ぅぐ、……いきなり、そんな、に……ッ」 ぎちぎちと肉を割り開きながら、触手が奥へと捻じ込まれていく。 抵抗しようにも、数本の触腕が身体を押さえつけているからどうにもならない。
触手は何かを探すように腸壁を這いずっていたが、やがてある一点で動きを止めた。 検分するように撫でると、富手夫の表情が見る見るうちに強張っていく。 それで確信を得たのか、束になった触手が刺すような鋭さでその場所を抉った。 「ひぎイィッ! あ、ひ、」 なるほど、それは富手夫の一等悦いところであるらしい。 彼の人が瞳に涙すら浮かべて髪を振り乱し喘ぐ様は、いっそ筆舌に尽くし難いほど退廃的で美しかった。 「んッ、あァッ! や、やめッ、ぼく、もう……ッ」 一点を責めながらも、細い触手たちは狭い穴を拡げることを忘れない。 同時に何点も責められ、富手夫は声にならない悲鳴を上げた。 そこに、一本の触腕が伸びてきた――否、それは触腕ではなかった。 触腕に似ているが、触腕に比べ全体的に細身で、先端の部分が少し膨れて太くなっているそれは――
交接器だ。 交接相手を求め脈打つそれは、太さで言うと人間の男性の腕程度のものだろうか。 触腕よりも細いとはいえ、あれが体内に侵入するなど想像するだに怖ろしい。 富手夫の表情も、血が通っていないのではないかと思うほど青ざめていた。 「なに、きょう、それ……挿れん、の?」 クトゥルーはそれに答える様子もなく、触手が拡げた後孔に交接器を宛がった。 具合を確かめるようにゆるゆると表面の襞を撫でられ、富手夫は拘束から抜け出そうと身を捩る。 当然、離してくれるわけもなく、交接器の先端が少しずつ後孔に割り入ってきた。
「だ、だめ、そんなもん挿れられたら、ぼく、しんじゃ……」 弱々しい抵抗の声を聞き入れることなく、交接器が一気に捻じ込まれる。 「ひぅぎイィッ!」 交接器は性急な動きでピストン運動を繰り返し、そのたび富手夫は小さな絶頂を何度も迎えることになった。 触腕たちも富手夫を悦ばそうと、勝手知ったるその身体を隅々まで蹂躙していく。 「あ、あ、あッ……もう、いッ……」 富手夫に一等大きな快楽の波が押し寄せたとき、クトゥルーもその中に己が体液を注ぎ込んだのだった。
「……僕が怒ってるの、わかるよな? クトゥルー」 柔らかい藻のベッドに身を預けながら、富手夫が凍りつくような眼差しでクトゥルーを見遣った。 「僕は今までに二度、お前に犯り殺されてる。 事故ってことにしてやってるけどな、生き返らせりゃいいってもんじゃないんだ。 死ぬってのはあんまり気分のいいことじゃないんだからな」 クトゥルーは頭を垂れながら、数本の触腕で床に「の」の字を書いている。 反省はしているようだが、これが一度二度のことであれば富手夫もそう怒るまい。 「お前が同じことを繰り返すつもりなら、僕はもう我慢できない。出て行く」 富手夫はそう言うと、ふらふらとベッドから立ち上がった。 覚束ない足取りで歩きだそうとしたのを、クトゥルーが慌てた様子で触腕を伸ばして制止する。
ただ触れていいのか判断がつかないのか、触腕は富手夫の周囲30センチメートルくらいのところを 所在無げにうねうねと彷徨っていた。 まるでいたずらした子犬のようだ。見かけは、かなり違っているものの。 そんな旧支配者の情けない姿を見て、いくらか溜飲が下がったようだ。 富手夫はわざとらしく溜息をひとつ吐くと、鋭い眼光でクトゥルーを睨みつけた。 「……アオミノウミウシ獲ってきたら、赦してやらないこともない」 ほとんど赦しに近い言葉を得て、クトゥルーはその円らな瞳を富手夫に向ける。 富手夫が少しだけ表情を和らげたのを認めると、触腕を富手夫に巻きつけ、大事そうに抱きかかえた。 そしてその身を抱いたまま玉座に横たわり、愛しげに眼を細めたのだった。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 増エロよクトゥルフもの!
まさかの妖神グルメでまさかの内原受っ… 神よ邪神よありがとう積年の夢が叶ったよっ…
B/B/C シャー/ロック ジ/ョン×シャー/ロックです。 先日知ったばかりの超がつくニワカです。 既存の二次作品に似たようなものがありましたら申し訳ありません。 誕生日おめでとうシャー/ロック |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「退屈だ!!」 またシャー/ロックが騒いでいる。 彼は興味深い事件が無いとしばしばこうした発作が起こる。 こうなるともう手をつけられない。 退屈しのぎに何かの血飛沫を浴びてきたようで、全身血まみれだ。 原因はなんだか知らないが、まぁ、よくある事だ。 血まみれで部屋中をウロウロするのはやめてほしい。どうせ掃除するのは僕なんだから。 イライラしながら巻き毛をぐしゃぐしゃとかき乱している。 「ジ/ョン!そろそろ誰か死んでないか?!」 「シャ/ーロック、気持ちはわかるが誰かの死を待ち望むのはやめろ」 「嫌だ!事件が無い夜なんてどうかしてる!こんな時凡人は何をして過しているんだ?!」 「君だって発作が無い時は普通に過ごしてるじゃないか」 すでに発砲すると『騒音』になる時間なので、怒っている彼に気づかれないようこっそり銃を隠す。 あともう少し我慢していれば不貞腐れてシーツにくるまりソファに丸くなるはず。 「ジ/ョン!!君はスリルジャンキーだろう?!なんで平気でいられるんだ!」 「僕は平気さ。…君が居るからね」 君が居れば事件が無くたって僕はいつだって安定していられるんだ。 「僕が居たら君は平気なのに、君が居ても僕は退屈だ!!」 ずるいとでも言いたそうな目がこちらを向いた。そんな事を言われても。 「悪いな。僕が殺人を犯しても謎解きで君を満足させられる自信は無いからやめておくよ」 「ああそうしてくれ!どうせ全く興味がわかない単純な殺人だろうからな!!」
それにしても… 血まみれのシャー/ロックは不思議といつもより奇麗だ。 肌が白いから紅が映えるんだろうか。 蒼い目が透き通っていてとても美しいなぁ。 その目で見つめられると僕は思わず見つめ返してしまうよ。 「ジ/ョン!事件を起こせないなら僕が退屈じゃなくなる方法を考えてくれ!」 「そうだね。僕は君のおかげで安定しているのに、これじゃ不公平だ」 「誰も死なないから僕の方が退屈で死にそうだ!」 「君が死んだら僕も困る事になるね。よし、一緒に考えよう」 とはいえ、僕はシャー/ロックより勝っている頭脳なんか持ち合わせていないぞ。 …いや待てよ。 彼は誰もが知っている地動説を知らなかった。 このシャー/ロックという男は興味が無いものにはとことん無知なのだ。 しかし興味が無い事について話しても余計怒るだろうし… 「ジ/ョンまだか!!」 「なぁ、シャー/ロック、シャワーを浴びたらどうだい?」 「?」 「ほら、君は血まみれだ」 そうだ、その間に考えよう。時間稼ぎは必要だ。 …何か変な事でも言っただろうか。シャー/ロックの動きが止まった。 「シャー/ロック?」 「いや。そうだな、血は落とした方が良さそうだ。なんだか君が僕をずっと見てくるからな」 「!」 推理するなよ…確かに見ていたけど。
バスルームからシャワーの音がする。本当に大人しく血を落としているようだ。 あれだけ大騒ぎしていたのに黙るほど僕は彼を変な目で見ていたんだろうか。 あまり自覚が無かっただけにちょっとショックだ。 それにしても、シャー/ロックはそういう感情には疎いようでそうでもないのか? 僕はただちょっと美しいなと思っただけで、その、それ以上の事は考えていなかったはずだ。 だけど彼はなんだか身の危険を感じていたように思う。 彼の推理はほぼ当たる。 そういう事を考えてしまっていたのか? いや、そりゃ最近彼女が居ないなんて事情もあるが、僕はゲイじゃないし。 シャー/ロックに対して世間が期待するような気持ちは決して持ち合わせていない。 では何故彼があんな事を言ったんだ? いや、そんなはずは… 悶々としていたら、シャー/ロックがシャワーを終えて出てきた。 バスタオル一枚で。 「シャー/ロック、服を着ろ!」 「僕はバスタイムの後はいつもこうだろ」 「君はさっき身の危険を感じたんじゃないのか?!なのになんでそんなに無防備なんだ!」 「…身の危険?」 しまった。 あれ?なんだそのキョトンとした顔は。君が言ったんじゃないか。 ………あ、言ってない… シャー/ロックは、「君が僕をずっと見てくる」としか言ってなかった。 他意も無くあんな事を? 「あ…その、今のは深い意味は無い。うん。忘れてくれ」 「ジ/ョン」 けげんな目で見つめてくる。隠し事をするなとでも言いたげだ。 そんな目で見るな。 君のおかげで僕は考えてもいなかったはずなのに今バスタオルから覗く君の鎖骨や太腿に目が行ってしまうんだ。 今何か察してもらっちゃ困るんだよ。言い訳できないからな。
「ジ/ョン」 「なんだ」 「また僕を見てる。なんで見るんだ」 「なんでもない気にするな」 「ジ/ョン!」 わからないなら聞くなよ。ろくでもないぞ。 「いいかシャー/ロック、好奇心は猫を殺すんだ」 「なおさら知りたくなった」 「死ぬぞ」 「僕は猫じゃない」 じゃあタチか。意味が通じる受け答えはやめろ。冗談にならない。 やめろこっちに来るな。冗談じゃ済まなくなるぞ。 ソファに座る僕の目の前まで来たバスタオル一枚のシャー/ロックからシャンプーの香りがする。 バスタオル一枚のくせに内側から両手で前をきっちりしめる様子がかわいらしいと思えてしまう。 ああもう。君のせいだぞ。 「わかった、そこのソファに座れシャー/ロック」 一人用のソファを離れ、長めのソファへ促し隣りに座る。 そんなキラキラした目で見るな。そうだな、これは確かに僕が知っているのに君が知らない事だ。 タオルに手をかけると少し身を引いた。そうだ、それでいい。 「推理してみろシャー/ロック。僕は今君に何をしようとしていると思う?」 知識は無くても、想像はできるだろう? 初めて会った時、君は僕が誘ったと勘違いして丁寧に断ったものな。 これが本当の誘いだよシャー/ロック。 見えている首筋に指を這わせると、シャー/ロックの身体が僅かに強張った。 「…僕を抱こうとしているのか?」 もうちょっとオブラートに包んで欲しいけどまぁいい。通じたようで何よりだ。 「そうだ。良くない考えだろ?この次、僕のこの手はどこに向かうと思う?」 推理しろ。これから自分がされる事を。
「…この指先の動きは下に向かおうとしている」 「そうだ。胸元に伸ばそうと思ってるよ。胸元の、どこを触ろうとしている?」 ツーと胸の真ん中を人差し指で縦になぞる。残念ながらタオルが浸入禁止のガードをしているが。 「なぁシャー/ロック、先に言っておくが僕は変態じゃないしゲイでもない」 「説得力が無い」 「考えろシャー/ロック。僕にやめてほしかったら今夜は大人しく寝るんだ」 透き通る蒼がうろたえる色に変わっていく。そうだ、それでいい。 君がそんなに怯えるって事は、僕は本気でそれができてしまうって事なんだな。 僕にも信じ難い事だけど、君がそう思うなら当たっているんだろう。 …しかし君のその怯えたような目はなんていうかその、ちょっと魅力的だ。 背中から腕を回し彼の身体を僕の方へ引き寄せる。 「やめろジ/ョン」 ひどく近くでその声が聞こえた。 早く止めろシャー/ロック。じゃないと僕が止まれなくなるぞ。 「シャー/ロック、僕は元軍人だ。人を殺した事もある。頭脳や背丈が君より劣っていても力は君より遥かに上だ」 「力は僕だってある」 「比じゃないよ。早くしないと逃げられなくなるぞ。セックスに興味は無いだろう?」 タオルをきっちり内側から締めているおかげでシャー/ロックは抵抗できない。 胸元に滑り込みたい指があたりを彷徨う度に彼の瞳が揺れる。 「君ならわかるだろう?僕は本気だぞ」 僕の視界が君の瞳から唇に動いた事がどういう意味を持つのか、気づいているだろう? シャワーを浴びたばかりの唇はいつもより紅い。やっぱり君の白い肌には、紅が映える…
「悪かった、僕が悪かった、ジ/ョン」 ……あ、危ない、本当に口づけする所だった。 すんでの所でシャー/ロックの唇が許しを乞うように動いた。 パッと顔を離すと、まだ怯えた目で僕を見つめるシャー/ロックが居た。 「大人しく寝るかい?」 「わかった」 身体を離すと、シャー/ロックは僕がバスタオルの裾を掴んでいると気付かずに勢いよく立ちあがった。 上半身からハラリと落ちるタオルは、慌てて彼の手で抑えられた。 「マイク/ロフトみたいな事をするな!!」 「僕は彼よりひどい事ができるぞ。次また君が退屈だと騒いだら今度こそ僕は君を組み敷いてやるからな」 彼は僕を一睨みすると、タオルを押さえているせいで変な歩き方をしながらベッドルームに消えた。 その夜僕は初めてシャー/ロックに勝った喜びと、なんだか悶々とした気持ちでいっぱいになりながら眠りについた。 僕のブログが何者かにハッキングされ、 「シャー/ロックを襲おうとした。僕は変態だ。」と書きこまれていた事を知るのは翌日の出来事。 即行で消したけど、すでにインターネットに載ってしまったものは手遅れだ。 おかげで僕たちのくだらないゴシップ記事を書く新聞社が3社から7社へ増えたのだった。 覚えてろよシャー/ロック!! □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>51 GJ!
もし正月の2期再放送から入った人なら
次の火曜深夜から3週連続で1期再放送があるのでオススメ
半生注意。洋画「三ッツョン淫ポッツブル:幽霊プ口卜コル」部ラン卜受け。?? 本番はないですが、イ一サソ×部ラン卜でお口とお触りあります。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! その時、どこからか携帯のアラームのような音が聞こえてきた。僕のは電源を切ってあるから、 多分彼のだろう。だが彼はその音を認識した途端に血相を変えてベッドから飛び降りた。 「っ…?」 突然の変化に戸惑いつつもどうにか様子を窺ってみる。彼は携帯端末を取り出して 何か操作していたけど、上手くいかなかったのか「くそっ!」と吐き捨てて部屋を 出て行ってしまった。 「…へ……?」 あっという間に一人残されてしまった僕は呆然と固まるしかなかった。 まるでついさっきまで夢を見てたみたいだ。とりあえず胸をはだけて下半身を しっかり反応させてるのは一旦置いといて、ぼんやりと頭を回転させてみる。 ――何があったんだろう…あの慌て様はただごとじゃなさそうだぞ。 まさか、バレた…!? 「ぅ、く…っ!!」 すぐにその考えが頭に浮かび、もう居ても立ってもいられなくなってくる。 何で僕はこんなところで寝転がってるんだ!彼を足止めするのが僕の役目のはずだろう? 早く後を追わないと! でもそんな気持ちだけで急に動けるようになるはずもなく、ギリギリまで追い詰められた熱が あっさりと引くわけもなく。弛緩しきった身体は全然言うことを聞かないし、 やっとの思いで寝返りを打ってみたらその刺激だけで下が爆発しそうになった。
これでも一応エージェントだ。現場に自分の身元を割り出されるようなものを残すなんて バカな真似だけはしないぞ。血液ならまだしも、精液なんて…ホント冗談抜きであり得ないって…!! 「っ――…っはぁ、ぅあ…!」 どうしよう……このままじゃ本当に身動きが取れない。 ひとまず下半身の問題をどうにかしないことには……でもこのベッドのシーツに出したら 後始末が大変だし、第一そんなことしてる時間がない。 「……んぐっ!…っ、ふっ…!」 とりあえず僕はうっかり出してしまわないように自分のモノの根元をキツく握り締めた。 思わず声を漏らしてしまい、ゆっくりと息を吐きながら震えた身体を落ち着かせる。 でもそれがマズかった。 「ぁっ…あ、駄目、だ……ヤバいっ…」 自分で直接触れたことで、限界だった身体が熱を解放しようと勝手に手を動かしてしまう。 止めたいのに止められない。さっきとはまた違う意味で身体が言うことを聞かなくて、 焦れば焦るほど追い詰められていく。 「はぁっ、はぁっ、うぅ…っ!!」 ――もう出したい。楽になりたい。 ――いや、駄目だ!絶対に何も残すんじゃない! どうする?どうすればいい?っていうかどうにかなるのかコレ…? (あぁもう…マジで誰か助けて…!!) 「…っ、っっ!ん――…」 腰の辺りにジンジンとした疼きが集まってきて、背筋を走る快感が遂に脳天に達しようとした時だった。 「部ラン卜!!」 「っっ!?」 思いがけない声と共に誰かが部屋に駆け込んでくる。その人物はあられもない僕の姿を見て 目を丸くしたけど、すぐに視線を逸らしてくれた。 「…大丈夫か?」 「……イ一、サソ…?」
――何でここにイ一サソがいるんだ?侵入がバレたんじゃなかったのか? それにミッションは?他の皆は? 混乱した頭の中には疑問ばかりが浮かんでくる。お陰で自分の格好を思い出すのに 時間がかかったけど、思い出したところで余計にパニックになるだけだった。 「……あ…これは…っその」 「心配するな。大体事情はわかる」 「…え?」 「薬を盛られたんだろう?僕も同じ目に遭いかけたことがあるんだ」 駆け寄ってきたイ一サソは僕を慰めるように笑いかけてくれた。でも今の僕にはそれさえも 興奮の糧になってしまって、まるで欲情してるような目で彼を見つめ返してしまう。 「…部ラン卜?」 「は…っ、イ一サ……僕、もぅ…!」 僕の様子にイ一サソが戸惑ってるのがわかった。いくらおかしくなってるとはいえ、 チームメイトに色目を使っている事実に死にたくなるくらいの自己嫌悪を覚える。 ――こんなはずじゃなかった。こんな姿見られたくなかった。 あまりにも情けなさ過ぎる自分の現状に、とうとう溜まっていた涙が零れ落ちる。 それさえも耐え難くてぎゅっと目を瞑った。 「…う……っ見ないで、くれ………お願いだ…っ!」 最悪だ。それ以外の言葉が見つからないくらい最悪だ。 できることなら今すぐここから消えたい… 「……部ラン卜。君が辛いなら、今から起こることは忘れるんだ。僕も無かったことにする」 「………?」 「こんなことするのは初めてだけど、応急処置だからな。頼むから蹴飛ばすなよ」 急に妙なことを言い出した彼の行動を視界の端で追いかける。イ一サソは一旦身を離して 僕の足元に回ると、閉じている脚の間に手を滑り込ませた。
「え、な…?」 「…っすまない!」 「――――っっ!!?」 一言謝って、イ一サソが僕のモノを口に含んだ。まさかそんなという驚きと 待ち侘びた刺激が一度に襲い掛かってきて息が止まってしまう。 どけられた手で思わずイ一サソの頭を掴むと、そこからどうしようもなくて つい髪をぐしゃぐしゃにしてしまった。 「っは、ウソ、っだ…そんなっこと…っあ!」 「ん…っ!」 彼は容赦なく頭を動かして僕を絶頂へと導く。イ一サソへの罪悪感が凄くあったけど、 もうとっくに限界を超えてたこともあってだんだん快感以外のことが何もわからなくなっていく。 このままじゃイ一サソの口の中に――そう思った瞬間ゾクンと全身が震えた。 「だめ、ぁ、あ、あ―――っひ、うぅっ!!!」 「――っ!!」 遂に僕は身体中を巡っていた熱を思いっきり吐き出した。ずっと我慢してた分いつもより 強烈な開放感に脳を揺らされて、半分くらい意識が飛んでたと思う。 しばらくして頭を上げたイ一サソは少し顔を顰めていた。 「は………あ、わ、イ一サソ……まさか…飲んだ、のか?」 「っ…気にするな。それより、少しは楽になったか?」 確かに身体は楽になったけど頭の中は余計苦しかった。 信じられない。信じたくない。受け止められない。僕は彼になんてことを…!! 一体イ一サソにどれだけ迷惑をかければ気が済むんだ? こんなんじゃ、僕は彼のチームにいる資格なんてない…! 「………本当に…すまない……」 もう顔も上げられなくて、俯いたままそれだけをやっと呟いた。もう死にたい。 もそもそと衣服を整える間僕も彼もずっと黙っていたけど、ふとイ一サソが口を開く。
「…これは僕の責任でもある」 「……え?」 「君にターゲットの足止めをさせたのは僕だ。こうなることは予測できたはずなのに、 君を行かせた。僕のせいだ」 「そんな、君が謝ることじゃ…」 「君を失いたくないんだ。もう誰も失いたくない」 イ一サソは何かを思い出したように苦しそうな顔をしていた。 思えば、彼は何人も仲間を失っていたんだ。愛する人を奪われたことも、失くしかけたことも―― その中に僕も入ってるっていうことは正直嬉しかった。でも僕の中の罪悪感はそう簡単には 消えそうにない。僕はぎこちなく笑い返して首を振った。 「……僕にそんな価値はないと思うよ」 「それはこっちが決めることだ。さぁ、そろそろここを離れよう」 イ一サソは軽く微笑んでそう促す。僕は頷いて放りやられていたスーツの上着を掴み、 豪華な客室から足早に走り去った。 屋敷を出る道中で、ターゲットが飛び出していったのは会社のサーバーがハッキングを 受けたという偽の警報をベンヅーが送ったからということと任務は無事成功してヅェーソと ベンヅ一は既に脱出していること、そしてなぜか連絡がつかない僕を心配して イ一サソが救出に来たということを聞かされた。 用意されていた車に飛び乗ると、イ一サソが急発進させて敷地から飛び出す。 ターゲットの部下達が後を追ってくる気配もなさそうなことを確信すると、 緊張感から解放されてほっと溜息が漏れた。 「はぁ……もう大丈夫だよな…」 「あぁ。任務完了だ」 「二人とはどこかで落ち合うのか?」 「明日午前10時に空港で合流することになってる」
「そうか…良かった……それじゃあ、僕をどこかその辺の…ホテルにでも下ろしてくれ」 「何でだ?このまま隠れ家まで戻ればいい」 「…それは…」 その先を言えない僕は居心地悪く身を縮こまらせる。 だって言えるわけないじゃないか! 実は飲まされた薬の効果が切れてなくて、さっきからまた身体が疼いてきてるなんて…! 安心して気が緩んだせいか、さっきより歯止めが利かないような… 「っ……疲れたから…横に、なりたくて…」 「…どうした?」 「ふっ…ぅ……何でも、ない…っよ…」 喋るだけで全身がゾクゾクする。身体が熱くて身動きが取れない。 頭もクラクラしてきて、気付いた時にはすっかり息が上がっていた。 「何でもない、からっ……早、く…下ろして…っ」 「部ラン卜?もしかしてさっきの薬か?」 「はぁっ…早くっ……もう、ヤバいっ…!」 僕は下半身をぎゅっと押さえつけてどうにか堪えようとした。また硬くなってるのが わかって、それが余計に僕を煽ってしまう。 そんな僕の様子を心配しながらイ一サソは何かを探すように車を走らせる。 運悪くその辺には宿泊施設がほとんどなくて、仕方なく偶然目についた立体駐車場に入った。 夜遅いこともあって人気が少ないのは幸いだった。中でも人目につかなそうなエリアに 車を止めてイ一サソが運転席を出る。そして助手席のドアを開けると再び僕の身体に 手を伸ばした。 「っ、だめだ!」 僕は身を捩ってその手を避けた。またさっきみたいなことをイ一サソに させるわけにはいかない。 「自分で…どうにか、するから…っ」 「いいから。そのままじゃ辛いだろ?」
しえん
「だって…!君に、二度もっ…そんな真似させられない…っ!!」 「部ラン卜」 「っ…!」 急に顔を引き寄せられてがっちり視線がぶつかる。宥めるような柔らかい表情で イ一サソが僕を見つめていた。 「僕がそうしたいんだ。君が気に病むことはない」 「え…」 「妻の件のせいで君を長く苦しませた。これはその罪滅ぼしだと思ってくれ」 その言葉の後に、イ一サソが僕の額に軽くキスをした。 (なっ…!!?) ビックリして一瞬固まった隙にイ一サソの手が中に入ってくる。立ち上がっていたそれを ゆっくりと撫でるように上下に扱かれて、僕はもうそれ以上の抵抗ができなかった。 「ぅあっ!は、ぁっ、んんぅ…!」 それでも最後の意地のつもりで両手で口を塞ぐ。そうでもしないとみっともなく 声を上げてイッてしまいそうで、恥ずかしくて堪らなかった。 「っ、ん!―――っっ!!」 …と思ったそばから呆気なくまた射精してしまう。でも今度は全然熱が引かなくて、 かえって身体中が敏感になってしまったような感じがした。 自分で声を抑えてることに陶酔する。イ一サソが僕を心配そうに見てることに背筋が震える。 こんな薄暗いところに二人きりでいるということにまで興奮してしまう。 ここまで快楽に溺れたことがない僕は、このまま元に戻れなくなるんじゃないかと 不意に怖くなった。 「……っはあっ!!っあ、あ、ぅっ…!!」 「大丈夫だ…落ち着け部ラン卜。ゆっくり息をするんだ」 「イ…サソ、っ、助けて…くれっ、もう……苦しい…っ!!」 「あぁ、助けてやる。僕を信じろ」 「ぅんっ…!んっ……ぁ!は、っあぁ、またっ…!!」
せり上がるような快感に僕は悲鳴を上げて彼にしがみ付く。そんな僕をイ一サソは 優しく抱き止めてくれた。イ一サソの声や体温をすぐそばに感じていると、不安や恐怖が 和らいでいくような気がして安心できる。完全に薬の成分が抜けるまでは少し時間が かかったけど、身体が落ち着く頃には何だか心のモヤモヤまですっかり晴れたような 気分だった。 「……酷いところを見せちゃったな…」 「仕方ないさ。あまり気にするな」 「そう言ってもらえると助かるよ……本当に君には迷惑かけてばかりだ」 今回の任務のために用意した隠れ家に戻る車中で僕は溜息をついた。 「部ラン卜…もうこの話は終わりにしないか?僕にも落ち度はあったんだし」 「そうは言われても、あんなことしてもらったらやっぱり意識するよ」 「あれは応急処置だ。傷の手当てをしてもらったのと同じさ」 そう思えば気が楽になるだろ?とイ一サソが笑いかける。つられて僕も思わず笑ってしまった。 ――やっぱりイ一サソには敵わない。僕はまだまだ修行が足りないな。 「…それじゃあ、君が同じ目に遭った時は僕が手当てをするよ」 「それは頼もしいな」 「……なぁイ一サソ」 「何だ?」 「僕は、君のチームにいていいんだよな…?」 どうしても聞いておきたかった。 例の件の真相を聞かされた時、僕は心の底からほっとした。それこそへたり込んでしまうほどに。 でも彼への負い目はしばらく僕の中から消えなくて、まだどこか信頼されてないし、 僕もできてないんじゃないかという疑念があった。
支援
「君はもう大事なチームの一員だ。これからも一緒にいてほしいと思ってるよ」 そう答えてくれた彼の言葉と眼差しは、そんな思いを全部かき消してくれるように眩しかった。 「…ありがとう」 嬉しすぎて泣けてきそうだ。これでまた一歩踏み出せたような気がする。 今回のミッションは本当に災難続きだった。まさかあんな冗談が現実になるなんて 思ってもなかったけど、お陰でイ一サソとの関係が良い方に転がったみたいだし、 結果オーライってことにしてもいいかな。 「あー…さっきのことベンヅ一が知ったら絶対からかうよな」 「それなんだが、実は通信を切ってなくて…」 「え!?」 「ハハッ。冗談だよ」 「……やめてくれよ…心臓に悪い…」 本気で胸を撫で下ろす僕を見てイ一サソが面白がっているのがわかる。 こうして他愛ないやりとりができることに喜びを感じている自分が何だかおかしかった。 でもしばらくは、迂闊に冗談を言わないように気をつけよう… □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 時間かかった割にはパッとしなかったかもしれませんが、楽しんでいただけると嬉しいです。 感想くださった方、支援者さま、代行者さま、どうもありがとうございました!
>>68 続きをずっとお待ちしていました!
ブラントかわいかったです!ごちそうさまでした〜
70 :
彩 1/3 :2013/01/18(金) 16:10:14.81 ID:TXSYRouei
初めて書かせてもらいます。 生 魚京人 el2009王者(元西のおぼっちゃん)←el2010 8位(青い傘) 時期は一昨年の冬あたりで。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!  貴方の頭の中身を、 ずいと覗いてみたいのです。 きっと、想像もしえないほどの 色とりどりの世界でしょう。 「彩」
71 :
彩 2/3 :2013/01/18(金) 16:11:00.06 ID:TXSYRouei
初めて貴方をお見かけしたのは、ブラウン管越しの世界。 そこで、心を惹かれた僕です。 実際に、肉眼で貴方を拝見したならば、当然のように貴方の世界に全てを絡めとられました。 始めは、敬愛でした。 愛だの気障な感情を、こんな俺にでも持ち合わせています。 大切な血縁者には家族愛。好敵手である周囲には一種の友愛。 そして、尊ぶに値する方々には敬愛を。 ですが、何時からでしょうか。貴方に向けた感情が恋愛なんてものに変わってしまったのは。 「章大」 そう貴方は僕を呼びます。雅仁ではなく、章大と。 浅ましい俺は、貴方が僕でなく、俺を呼んでいるのだと考え、浮かれてしまうのです。 そして、現実を振り返り、嘲笑するのです。 「章大は何食いたい?」 売れっ子様の悪口でも肴にしようと、声を掛けられたのは数日前。 ああ、ほら、何故貴方は僕の意見を聞こうとするのです? 芸歴も違えば、事務所も違う。他に意見を聞きたい人だっているでしょうに。 「ほら、章大。決めやー」 三日月のように唇を動かし、笑いながら僕を見つめる貴方。ああ。俺は赤くないですか? 「では、寿司を」 ぴしりと止まった貴方の笑み。 ええ、俺は卑しい人間です。
72 :
彩 3/4 :2013/01/18(金) 16:56:46.52 ID:TXSYRouei
「ご馳走様でした」 「ったく、ほんまにご馳走やったわ」 溜息を吐きながらも、笑みを浮かべる貴方に僕は少し安堵する。大丈夫、僕は、俺は、貴方に嫌われてはいない。 「どないしたん?」 「、いえ」 少々、貴方の方を見過ぎてしまったよう。急いで目を逸らし、夜空へと目を向ける。 光散らばる星空に、白い三日月がポツンと1つ。 たしか、 あの日も、 そうだった。 「章大はおもろいよ」 その声に、何時の間にか泣きそうになっていたことに気付く。目をぎゅっと瞑り、貴方の声に耳を澄ます。 「章大はおもろい。やから、自信持ったらええわ。お前はそういうモノを持ってる。自分が進みたい道を進めばええ」 まあ、いっちゃんおもろいのは俺やけどー。とチェシャ猫のように貴方は口で弧を描く。 ああ、貴方はこうして、 僕を、俺を 救ってくれる。
73 :
彩 4/4 :2013/01/18(金) 16:59:45.51 ID:TXSYRouei
遠くに聞こえる、他の面白い好敵手の笑い声。僕なんて、そこに埋れてしまうような白黒の凡人でしょう。 それでも、それでも。 どうか、貴方の側で戦わせてください。 どうか、貴方の側で甘えさせてください。 もう少し、 「…仲耶麻さん」 「んー?」 「月が、綺麗ですね」 「ああ、ほんまや」 もう少しだけでも。 貴方の頭の中身を、 ずいと覗いてみたいのです。 きっと、想像もしえないほどの 色とりどりの世界でしょう。 そしてもしも貴方の色の中に、 僕という存在が一滴でもあったなら、 それだけで泣きそうになる 俺が存在するのです。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!  途中の不具合、すみませんでした…。 ブログ(いまは閉鎖)にときめいた。時期的に思い出しかっとなってやってしまいました。
>>73 うわぁぁぁ萌えた!乙!超乙!!
「月が綺麗ですね」は名台詞だよねー
(前回「半生」の注意書きを忘れました、申し訳ありません) ・半生、お$台走査選で信条×夢炉伊(信条→(←)夢炉伊)です ・前作「葦のかりねの」の続きになります、エロあり。 ・夢炉伊×女性の描写があるので注意、ハム式で発表されたらしい エリコさんの日記は読んでいないので、齟齬があったらすみません ・長文ゆえ、前編・中編・後編5レスずつの三回に分けます。ご迷惑をおかけします |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース ! (“チエコは東京に空がないと言ふ、ほんとの空が見たいと言ふ……”) 君が一番好きな詩の一節を歌うように口ずさむのを、私は黙って聞いていた。私が、大学を卒業した後は 東京に行くつもりだと初めて君に語った時のことだ。 (……ねえ慎次さん。東京にも空はあるのかな?) 君の目で確かめたらいい、一緒に東京に来てくれないか――喉まで出かかった言葉を、何とか呑み込んだ。 心の中で苦笑する。付き合い始めて間もないのに、まだ早い…… ――そして私は、その言葉を口にする機会を永遠に失った。 毎年、彼女の命日かそれに近い日を選んで、宮城にある墓に花を供えに行く。彼女の家族には、会わない。 ……合わせる顔がなかった。 その帰り、電車を待っていた東京の駅のホームで、私は一人の女性に釘付けになった。――少し似ている、 なんていう程度のものではない。彼女に生き写しだ。 「……江里子」 思わず口に出してしまっていた。そんなはずはない。彼女は死んだのだから。こちらに横顔を向けていた 女性が、私に気付いた。人違いだと、謝らなければ……しかし彼女は――私を見て、ふわりと微笑んだ。 懐かしい笑顔がそこにあった。 ※※※
またか。あなたが見合い話を断ったという話を聞くのは、これで何度目だろう。同僚たちの中には、 あなたがゲイなのではないかという下世話な噂をする者までいる。……むしろそうであったら私に とっては楽なのだが、どうにも信じが たい。 あなたが早く結婚してくれれば、私だっていつまでもこんな想いに囚われずに済む。あなたに対する 想いが完全に恋愛感情だと、認めざるを得なくなって数年。始め、これはプラトニックなものなのだと 考えていた……しかし、あなたとプライベートでも交流するうちに、気持ちはどんどん加速した。 あなたに会いたい。あなたと話したい。――あなたに、触れたい。 愕然とした。自分で気が付いていなかっただけで、私は同性愛者だったのか? ……いや、違う。 あなただけが特別なのだ。他の男性に性的魅力を感じたことなどないし、あなたに恋をしている 今でさえ、好みの女性を見て心を動かされることがある。……自分でも最低だと思うが、これは 恐らく多くの男に共通することだろう。 このままあなたに接し続けていれば、いつか想いが暴発するかもしれないと、危惧してはいた。 だが、私は自分の理性を信じた――それが過信だとは、思わなかった。 上役が勧める縁談は、東大閥でないというハンデを抱えたあなたにも必ずプラスになるはずだ。あなたは 上に行くべき人なのに……そのためには、私個人の劣情などどうでもいい。デリケートな話題ではあるが、 今度飲んだ時にでも聞いてみるか、と私は決めた。 その機会は、割とすぐに訪れた。数日前、あなたは例によって作りすぎたからと、保存容器に入った カレーを私の部屋まで持ってきた。私が風邪を引いた時、私にろくに料理をする習慣がないと知った あなたは、ちょくちょく私に手製の食事を分けにくるようになったのだ。私の基準で考えれば、これはただの 先輩後輩という範疇を逸脱している。しかし、あなたにそのつもりがないことも、私は充分承知していた。 その日はそのまま私の部屋で飲んだ。私が他の同僚には漏らさないような仕事上の愚痴を話すのを、 あなたは黙って聞いてくれていた。……あなたに甘えているという自覚はあったが、心地よい時間だった。
やはりこの関係が終わる時が来たとしたら、耐えがたいものがありそうだ。思えばこの日から、 あなたの顔は少し沈んでいたかもしれない。 そして今日、容器を返しにきた私をあなたは部屋に招き入れた。この間飲んだばかりでもあるし、 今回は用が済んだら帰るつもりでいたのだが。あなたが思い詰めたような表情をしているので、何か 話したいことがあるのだと分かった。珍しいこともあるものだと思いながら、私はあなたの部屋に上がった。 いつも酒を飲んでいるダイニングのテーブルは、資料の山で塞がっていた。今抱えている事件が 難航しているようだが、あなたの悩みの種はそれではないらしい。あなたは私を寝室に通し、 ベッドの前に置かれたこたつの席に座らせた。あなたの寝室に入ったのは初めてだった……これが、 後で思わぬ結果を産むことになるとは。 酒とつまみを用意したあなただったが、一向に話し始める気配がない。相変わらずの表情で酒をあおる あなたに、そんな顔で飲んで美味いのだろうかと思った。 ……どうやらあなたはまだ話す決心がつかないらしい。夜はまだ長い。私の話から始めても構わないだろう。 「……榁井さん、聞きましたよ。また見合い話を蹴ったそうじゃないですか」 あなたは、怯えたように肩を震わせた。こんなあなたを見たことがなかった。出された缶チューハイを 飲みながら、喋り続ける。 「確か、今年三十歳になられたんでしょう? ……そろそろ頃合いじゃないんですか」 「……仕事が忙しい」 あなたがやっと口を開いた。 「だから結婚するんじゃありませんか。家事に煩わされずに済むようになる」 「……」 女性の社会進出が進んだ今、“男は仕事、女は家庭”という考えは化石になりかけた概念である。 ここ警察でも、女性キャリアの数が年々増えているくらいだ。しかし実際、警察キャリアの男性の妻は 専業主婦であることがほとんどなのだ。私たちはひと度事件が起これば何日も仕事にかかりきりになる。 とてもではないが、家のことをこなす時間は取れない。 再び黙ってしまったあなたに、私は畳み掛けた。
「私はあなたのためになると思ってこんな話をしているんですよ、榁井さん。……言い方は悪いが、あなたは スタートラインからして出遅れてる。上司の娘やら姪やらと結婚することは、決して悪い話じゃない」 ここであなたは、らしくないことを言い出した。 「……お前こそ、結婚する予定はないのか」 ……何とか、動揺を気取られないようにした。私が結婚を考えられない原因そのものであるあなたが、 そんなことを言うのか。 それに、そんな子供っぽい切り返しをしてくるとは驚いた。本当に、今日のあなたはどうしたと いうのだろう。ふと、意地悪をしたい気に駆られる。 「榁井さんが結婚したら、私も考えますよ」 そう、早く私の叶わぬ想いに引導を渡してくれないか。あなたは何度目かの沈黙に入った。 「……冗談です。……それとも、特に交際している女性でもいるんですか。というか、 恋人がいたことはあるんですか。……個人的にも興味があるな」 知らなかったこととは言え、酔っていたとは言え……残酷な質問をしてしまった。一瞬表情を引きつらせた後、 あなたは重い口を開いた。 「……大学時代に、付き合っていた女性がいた。笑ってくれて構わない。……彼女のことが、忘れられない」 意外な展開に、私は薄く笑っていた顔を固くした。 「……別れてしまったんですか、その女性とは」 「……ああ、そうだ」 あなたはそれしか言わなかった。私も深くは聞かないことにした。人の心の傷を掘り返す趣味はない。 きっと、よんどころない事情があったのだろう。あなたが話したかったのは今の話題に関わりがある ことなのかと、急にぴんと来た。 「……新條……」 あなたがすがるような目で私を見つめている。夢でも見ているのか、私は……湧き上がってきた情欲に 喉がごくりと鳴りそうになるのを抑えて、私は言った。 「……いつもは、主に私が話を聞いてもらっているんです。たまにはいいでしょう、私が榁井さんの話を 聞くことがあったって」 ……あなたは堰を切ったように話し始めた。一週間ほど前、“彼女”に似た顔立ちの女性に会ったこと。 始めは少し話をするだけだったつもりが、女性に連れられる形でホテルに入り、一夜を共にしてしまったこと ――まるで、許しを乞うように。
しえん
「……最低の人間だな、俺は……」 何を言っているのだ。あなたが最低なら、そこらの人間は一体何だ。――その代表が、私だった。 「……あなたはその女性に金銭を渡しましたか。彼女が、十八歳未満だった可能性は?」 あなたは驚いたような顔をした後、無言で首を横に振った。 「……なら、法的には何の問題もない。何を悩むことがあるんです」 「そういう話じゃない……自分で自分が許せないんだ……」 分かっている。あなたを悩ませているのは、もっと道徳的なもの――自分の行為が、“彼女”への裏切りに ならないかということだろう。 「そんなに、昔の彼女が気になりますか」 「……すまん」 どうしてあなたが謝るのだ。そんな必要はどこにもないのに。何だか腹立たしくなってきた。 “彼女”とやらは、こんな人を置いて何をしているのか。 酒のせいか、恋人のことを思い出したからか、あなたの目は少し潤んでいる。 「……本当にすまなかった、こんな話をして。もういいんだ。聞いてもらっただけで、楽になったから……」 そうは見えないが。……座るあなたのすぐ後ろにベッドがあった。――憔悴した様子のあなたに 付け入ろうとする私は、あなたなどよりもずっと最低な男だ。 私はあなたの方へにじり寄ると、突然、唇を触れさせるだけの拙いキスをした。そのままあなたの 腕を掴み、無理矢理ベッドに引き上げて寝かせる。よほど酔っているのか、柔道の段位を持っているはずの あなたは抵抗もしない。 「新條……?」 潤んだままの瞳で、私を呼ばないでほしい。本当に止められなくなってしまう。 「……しましょう。溜まっているんでしょう? 実は私もです」 少しの間だけでもいい。……私が、“彼女”のことを忘れさせてやる。 [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! 続きは一時間ほど後に投下します。中編と後編の間もそのくらい空けるつもりです
一人用のベッドに男二人が乗ると窮屈だった。幸い私たちはどちらもあまり大柄な方ではないけれど。 私はベッドに身を沈めたあなたの体の左横に座って、あなたを見下ろした。 この期に及んでも、あなたはぼんやりとこちらを見ているだけだ。……すると。 「……お前……その、そういう趣味があるのか?」 「そんな訳ないでしょ」 私は顔をしかめ、あなたの言葉を即座に否定した。私がこんな気になるのは、あなただけだ。 「今までも女性としか交際したことはありません。でも、相手が女性だと色々面倒も多い。男同士で、 しかも気心も知れている仲なら後腐れもない。……そう思いませんか」 酔っていると言っても泥酔してい る訳ではなく、意識はしっかりしているようだ。そんな相手に、 こんな下手な理屈が通るだろうか。あなたに考える隙を与えないでおこう。 「成り行きでこんな体勢になってしまいましたが……あなたの方が先輩だ。電気は消しますから、 私のことは女だと思ってもらって構いませんよ」 今は十二月だが、部屋の中は暖房が効いて暖かい。こたつに入っていたこともあり、私たちは二人とも スリーピーススーツの上着を脱ぎ、上はYシャツとベストだけという状態になっていた。……この格好の あなたですら扇情的に見えるのだ。明るいところでまともに裸など見たら、どうなってしまうか分からない。 私は早速部屋の電気を消した。カーテンの少し開いた窓から、月明かりが皓々と射してくる。そう言えば、 今日は満月だった。……満月の夜には犯罪件数が増加するという。今までは下らないと思っていたが、私が こんな行動に出ていることを考えると、あながち無視できないデータかも知れなかった。 こたつ布団から特有のオレンジ色の光が漏れだしているのに気付き、スイッチを切る。火遊びに夢中に なって本物の火事を起こした、だなんて洒落にもならない。 元の位置に戻ると、私は緩んでいたネクタイを完全にほどき、ベストも脱ぎ捨てる。Yシャツのボタンを 上から何個か外したところで、もう一度あなたに向かって促した。 「……先輩にお譲りすると言ってるんです。さあ、お好きにどうぞ」
……あなたが身を起こし、私と同じくベッドの上に座った。これだと、あなたより背の低い私は 見下ろされる形になる。……駄目だったか。これからあなたは、お前は疲れてるんだとでも言って私を 諭しにかかるのだろう。それならそれでいい。この茶番で、あなたが多少なりとも傷を忘れてくれたのなら。 「無理だ……無理だよ、新條」 ほら、やっぱり。しかし次の瞬間、私は耳を疑った。 「俺はもう誰も抱く気はない。……相手が男だって同じことだ」 「……?」 「お前も溜まっているというなら、俺の体を好きに使ってくれればいい」 ……あまりに衝撃的な発言に、私はもう少しで気をやるかと思った程だった。 「それは……私が、あなたを抱く側になれということですか?」 「そうしていいと言ってる。……誘ったのはお前の方だろう」 抱かれる側に回っても、性的関係を持つこと自体、あなたの言う不貞に相当すると思うのだが……私は 何も言えずにあなたのすることを見ていた。 あなたはネクタイとベストを取り、ベッドの下に放り捨てる。……Yシャツ一枚になったあなたに、私は 自分でも情けなくなるくらい欲情していた。気まずいのか、斜め横を向いて話すあなたの唇がやけに赤く見える。 「……ほら……さっきまでの勢いはどうした? 早く、」 私はあなたの顎を掴んでこちらを向かせ、二度目の口付けをした。 少しかさついたあなたの唇を、なめるようにして湿らせていく。唇が潤ったところで、私はあなたの口内に 舌を侵入させようと試みた。あなたは私の意図を察して、自分から舌を絡めてくる。信じられない…… 本当に、夢のようだった。今夜は私だけでなく、あなたもどうかしているとしか思えない。 夢から覚めそうな気がして、とても目は開けられない。私は口付けを続けながらあなたのYシャツの ボタンを外していったが、かなり手間取ってしまった。自分の経験不足が嫌になる。前の恋人と別れて以来、 軽い女性不信に陥った私は、あなたへの想いを女性と付き合うことで紛らわそうとも考えなかった。
薄暗い部屋に、なまめかしい水音と私たちの呼吸音だけが響いていた。口付けの主導権は、実質あなたに 握られている。苦しくなる前に息継ぎを設けるタイミングといい、私よりも慣れているのだなと悔しくなった。 名残惜しかったが、私はわざと大きな音を立ててあなたの唇を離した。 月光に照らされたあなたの上半身を見る。北国出身という割に色黒な肌。女性のような胸の膨らみや くびれがある訳もなく、程よく筋肉の付いた引き締まった体つき。それなのに、あなたのどこもかしこもが 愛おしくて、どこから触れていいものか分からなかった……曲がりなりにも交際していた以上、学生時代の 恋人にも好意は持っていた。でも、こんな身の焦がれるような思いを抱いたこ とはない。やはり、愛だの 恋だのには十代という年齢は幼すぎたのかも知れない。やっと意を決し、私はあなたの肩を撫でるような 手つきでYシャツを脱がせようとした。あなたは自発的に袖から腕を抜いた。 積極的に手を出さない代わりに、こちらのすることに協力的なあなた。……痛い程、分かっていた。 あなたは私の我が儘に付き合ってくれているだけに過ぎない。いつでもあなたに甘えっぱなしだな、私は。 あなたの肢体に手を這わせる。首から肩、腕へ。うなじから背中へ。胸から腹へ…… 「……っ」 居たたまれないのか、あなたは目をつぶって体を震わせている。今さら、やめる気はない。もしあなたが 嫌だと言うなら、私を殴ってでも止めてくれ。 あなたの首筋に唇を寄せた。痕を残しそうになって、はたと思いとどまる。いくら何でも、それは まずいだろう……しかし、弱い吸い付きを繰り返しているうちに興奮が抑えきれなくなる。あなたを仰向けに 寝かせて愛撫を続行していると、あなたの胸に一つ、赤い痕が付いた。痛くしてしまったかも知れない。 「あ……」 慌ててあなたの顔を見る。私が声を上げたことを訝ったのか、痛みのせいか、あなたは少し頭をもたげて 気だるげに聞いた。 「……何だ」 「痕が……」 あなたは自分の胸を見て、首を振った。 「……見える場所には、よしてくれよ?」 弱まりかけていた情欲の火が、また燃えだした。あなたの体に、私が触れていない場所が一つも なくなればいい――私は思い付く限りの所に情痕を散らせていった。
……とは言え、流石にやり過ぎたか。私がズボンと靴下を脱がせたせいで下着一枚の姿になったあなた だったが、寒そうには見えない。私は上半身に続き、脚全体にも愛撫を施した。情痕とは別の意味で、 あなたは顔だけでなく体まで赤くしていた。涙目で、にらむようにこちらを見て言う。 「……新條、っ、恥ずかしい……早く、終わらせてくれ……」 「すみません……つい」 電気を消して良かった。心臓が早鐘のように打っている。きっと今の私は、恐ろしく余裕のない、 みっともない表情をしているに違いない。 迷ったが、あなたの下着を押し上げている性器にそっと手を伸ばして、しごく。 「……はっ、……う……」 声を殺しているあなたが時おり漏らす喘ぎに、こちらの息も荒くなる。……自分の体にも付いている物だ。 どうすればいいのかは分かっていた。ものは既に張りつめていたので、達するのに時間はかからなかった。 肩で息をするあなたを見て、興奮冷めやらない私も息を整えるのに苦労した。……どうするのだ、この後は。 もはや私のものも、どうしようもないくらいに硬く立ち上がっていた。本心では、あなたと体を繋げたいと 思っているのだ。いくら何でもあなたにそこまでさせる訳にはいかない。でも。 あなたが、欲しい――どうしていいのか分からなくなる。私は泣きそうになりながらベッドに倒れ込んで、 仰向けのあなたに横から抱きついた。 「……榁井さん……!」 あなたは天井に顔を向けたまま、こちらに目をやると……私の頭を撫でた。 「好きにしていいと言ったろう……お前は、どうしたい?」 こんなことをされておいて、あなたは淡く笑みを浮かべていた。どこまで私を増長させる気なのだ。 ……どうなっても知らないぞ、私は。 「体に塗ってもいいような、クリームか何かはありますか」 「……そこの引き出しにハンドクリームが入ってる。取ってこよう」
……どういう訳か、あなたは私のしようとしていることが理解できたらしい。下着姿のまま立とうとする あなたを、私は押し留める。 「っ、いくら家の中でも、そんな格好でうろつかないでください……私が、取ります」 あなたの言う通り、ベッド近くのチェストの引き出しの一つにハンドクリームがあった。香りはあまり 良くない薬用のものだが、用途を考えれば好都合だ。着たままになっていたYシャツは、汗でじっとりと 湿っていた。ベッドに上がる前に、シャツとズボン、靴下を脱いでしまう。私はあなたにのし掛かり、 下着に手を掛けた。 「あっ……んん……」 あらぬ所を探られている痛みと羞恥のせいか、あなたは一層つややかな声を出す。クリームで滑りを 良くしたため、あなたの後孔は徐々に増やした私の右手の指を三本、飲み込んでいた。本来こんなことに 使う所ではない。時間を掛けた方がいいだろう。 ……あなたの性器や後孔を直視し続けていることは出来なくて、私はあなたの気を痛みから逸らそうと、 上半身にキスを落としていた。さっきの愛撫で特に反応があった胸の尖りを口に含む。あなたはびくりと 身を悶えさせた。俄然、加虐心を煽られて、私はしつこくそこばかりを吸い上げた。硬くなった尖りを舌と 空いた手でいたぶっていると、あなたが苦しげに言う。 「は……っ、も、新條、もういいから……」 私の方も息を弾ませ、あなたの胸から口を離して喘ぐように答えた。 「でも、っ、切れたりしたら……」 あなたは私を押しのけてやおら半身を起こし、私の性器に下着越しに触れた。 「う……っ」 それだけで吐精してしまいそうになるのを、どうにか堪える。 「こんなにして……、辛いだろう……? っ、こっちも、……」 一度達したあなたのものは、再びすっかり首をもたげていた。……顔を上気させ、目を蕩けさせ、全身に うっすら汗をかいて赤い情痕を散りばめているあなたの痴態を改めて見てとると、もう理性など欠片も残さず 吹き飛んでしまった。 本当にいいのか、と最後の念を押すことも忘れていた。私は性急に下着を脱いで指を引き抜き、 あなたの中へ自分のものを一気に突き入れた。 [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! また一時間ほど間を空けます。
時間を掛けて慣らしたとは言え、思った通り性器を挿入するには狭いそこ。だが、多少の痛みなど 気にならない程に、あなたの痛みを気に掛ける余裕もない程に、あなたと一つになれたという悦びが身体中を 満たしていた。涙さえあふれてきそうだ。 嬉しい……やはり私は、この人が好きだ……狂おしいくらいに愛しい……心の中で叫んだ。 ……こんな想いを、あなたに聞かせられるはずがない。 「あ……っ」 あなたの声に、我に返る。 「榁井さん……っ痛くは、ないですか……っ」 「……っ、大丈夫だ、大丈夫だから……」 あなたが自分のことについて言うその類いの言葉は、いまいち信用性に欠ける。しかしあなたがもし 痛いと言ったところで、もう手遅れだ。……元々、お互いに限界近くまで高ぶった状態で挿入に移った。 私があなたのものを握りこみ、少しばかり律動しただけで――私たちは二人とも、呆気なく絶頂を迎えた。 行為を終えてしばらくは、あなたも私も疲労で動くことが出来なかった。特にあなたには、かなりの負担を 掛けてしまったのだ。微睡みから覚めた後、私はそっとベッドを抜け出し、勝手にシャワーを借りてから 脱いだ下着を穿き直した。……下着は先走りの液で濡れていたが、替えなど持ってきていないから仕方ない。 やはり勝手に拝借したタオルを湿らせ、布団やシーツに付いた精液を可能な限り拭う。別のタオルで、 まるで死んだようにぐったりと動かないあなたの体も拭いていく。あなたの裸体を見ても妙な気は 起きなかった。ただ愛しさだけが、夕凪のように穏やかに心に満ちていた。ベッドの下に脱ぎ捨てられた 衣服も、軽く畳んで床に置いておいた。これで、応急的な後始末は済んだか……リネン類は後できちんと 洗濯するべきだろうが、それはあなたに任せることにしよう。 このまま帰っても良かったけれど、朝まであなたと一緒にいたいという誘惑が勝った。私はもう一度 あなたの眠るベッドに潜り込み、あなたの寝顔を見つめた。髪を乱し、目を閉じたあなたの顔はいつもより ずっと幼く、どこか少年のようにも見える。あなたが寝息を立てているのを確認してから、私は囁いた。 「愛してます……私はあなたの側から、いなくなったりしませんから……」
――今日、私の想いは叶わないのだということが改めて分かった。あなたの心は、昔の恋人の元にある…… それでもいい。あなたが私に振り向いてくれなくたって、構うものか。 あなたに身を寄せて眠りに就こうとする。……ふいに、これまで身動き一つしなかったあなたが私を ぐいと抱き寄せた。私の頭は、あなたの胸に押し付けられる。あなたは起きたのではなく、単純に 寝ぼけているだけらしかった。 「……っ榁井、さん……」 私が“彼女”の代わりだって、構いやしない……そのはずなのに。私はその晩、あなたの胸を涙で 汚すことになった。 外から聞こえてくる鳥の鳴き声に、私は目を開けた。……あなたの腕の中で。 「……!」 途端、蒼白になる。酔っていたからでは済まない。何てことをしてしまったのか。あなたの腕を外し、 急いで服を身に付けた。……夜の空気を持ち越してはいけない。洗面台で顔を洗い、乱れていた髪を 軽くではあるが整える。私がベッドから出たことで、あなたも目を覚ましたようだ。 平静を装ったつもりだが、声が少し震えていたかも知れない。 「……お目覚めですか」 「新條……」 身を起こそうとするあなたは、当然裸のままだった……私の付けた情痕もはっきりと残っている。昨夜の 光景がよみがえりそうになり、私はあなたが着ていたYシャツを渡す。 「明るい所で見たい格好ではないですね。……これだけでも、羽織ってください 」 ベッドの上で身を半分起こしたあなたは、心なしか傷付いたような表情をした。私はあなたから目を 逸らすと、スーツの上着を探して着こんだ。 「……自分から提案しておいてこんなことを言うのを、悪いとは思っています。あれは……酔った勢いで することじゃなかった。私は心底、後悔しています。昨日のことは忘れてくださいますね? ……私も、 忘れることにしますから」
あなたは私の言う通りにシャツを着て、やがて口を開いた。 「なあ新條……お前は、本当に……」 ……それ以上、言わせることは出来ない。 「ええ、そうです……本当に、ただの気まぐれですよ。あなたも私も男です。まさかあれでどちらかが 妊娠する訳もないし、責任を取れなんて言わないでしょうね?」 ……ぐっと黙りこくってしまったあなたを、流石にこのまま置いては帰れなくなった。 「……酷なようですが……昔のことは忘れて、早く結婚した方がいい。もちろん、ゆうべのこともです。 そうした方があなたのためだ」 あなたは、はっと私の目を見た。少しの間、無言だったあなただが、 「……そうだな」 それだけを言った。私はコートを手に持ち、自室へ帰った。 それからの夜、私は時々あなたとの情事を再現した夢に苦しめられた。……実を言えばあの夜の前にも、 あなたのあられもない姿が夢に出ることはあった。しかし今度は実体験を元にしているだけあって、 よりリアルなものだ。 ……やはり、あんなことをしたのは間違いだった。あなたに会うと、また自制が効かなくなるかも 知れない……今度こそ、想いを口に出してしまうかも知れない。 自然、あなたから足が遠のいた。あなたも、私の部屋に来ることはなかった。 ……数年後に私があなたの後任として警視庁捜査一課の管理官になるまで、一度開いたあなたとの距離は そのままになってしまったのだった。 ※※※ えらく腰が痛くて、しばらく立ち上がることが出来なかった。……男とああいうことをすると こうなるのか、と妙に感心した。今日は土曜日だったが、今抱えている仕事の件で午後から出勤することに なっている。それまでに、痛みが少しでも治まるといいのだが……体と布団に付いた体液が、拭われた形跡が あった。私が眠りこけている間に、新條がやってくれたのだろう。
……昨日の夜のことを思い出す。明かりを消し、服を脱いで迫るあいつの目があんまり真剣に見えたので、 最終的にはこちらが誘うような真似をしてしまった。口付けの時、あいつが舌を絡ませようとするのに応えて やると、呼吸も忘れていつまでも私の口を離してくれなかった。息継ぎをさせるのが一苦労だった。 私に触れる手のひらと唇が酷く熱いものだから、こちらの体まで熱を持った。確かに見えない所ならいいとは 言ったが、こうも全身痕だらけにされるとは思わなかった。まるで赤ん坊のように乳首を吸われて、男でも こんな所が感じるのかと思い知った。それに、最中に見せたあの欲に濡れきった瞳、切なげに私を呼んだ声…… 顔が火照る。参った。……ただの性欲処理に、ここまでする必要があるだろうか。単にお互いの精を 吐き出すのが目的なら、手淫と挿入だけで良かったはずだ。もちろんこればかりは個人差のあることだから、 たまたまあいつがああしないと駄目な体質というだけなのかも知れなかった。何とも思っていない相手にでも、 あそこまでできる性質の持ち主なのかも知れなかった。 だが。……行為の後、いつの間にかあいつを抱き締めて眠ってしまっている自分に気付いて赤面した。新條の 体が温かかったので、無意識にやってしまったのだろう。離してやろうとした時、あいつの顔に涙の跡が あるのが分かった。泣き疲れて寝てしまった、という風で、やけに幸福そうな、あどけない寝顔を晒していた。 (榁井さん……) 甘えるような言い方に、心臓が跳ねる。寝言か……安堵しても、動悸は止まらない。 ――やっぱり、離したくない……そう思って、より強く抱き寄せてしまった。 奇妙な縁であいつと関わるようになり、まるで弟のようだと思ってはいた。……自分がそれ以上の感情を 抱いていたことに、今頃になって気が付くとは。そして、恐らくは新條の方も…… さっきあいつがあんな素っ気ない態度を取ったのは、お互いの将来を思ってのことなのだと分かった。 新條の考えは正しい。これ以上、深い関係になってはいけない。どのみち私はこの先結婚することも ないだろうが。……あいつのことを思うと、その方がいいに決まっていた。 ――新條のことを考えていた今の瞬間、彼女のことは確かに頭から消えていた。そんなことは、許されないのに。
彼女が死んだことを話さなかったのは、あいつにまで十字架を背負わせるようなのが申し訳なかった からだった。そして、行きずりの女性が彼女にそっくりだったことを話さなかったのは……女性が彼女に 似ていれば似ているほど、自分の罪が重くなる気がしたからだった。……本当に馬鹿者だ、私は。 ……情けなくも欲望に負けて彼女に瓜二つの女性を抱いている間、これは彼女ではないのだと思うと、 行為に溺れきることが出来なかった。必要以上に女性の体に触ることはせず、女性を労ることもしなかった。 愛のない行為とはこういうことを言うのか、と初めて知った。 朝起きると、女性はいなくなっていた。……「チエコ抄」の文庫本一冊を残して。 思えば不吉な詩集だった。最初は夫から妻への愛情が惜しみなく綴られ……やがて妻が病死すると、詩の 主題は夫の悲しみと自責の嘆きに変わる。 (こんなに、自分を責めなくてもいいのにね……) 彼女は生前、そう言っていた。今でもそう思ってくれていると考えるのは、……彼女が私に会いに来て くれたのだと考えるのは、あまりに都合が良すぎた。 テーブルの上の文庫本を本棚の奥にしまい、風呂場に行ってシャワーを浴びる。肩から下……足の先まで、 呆れる程あちこちに散らされた痕が消えるのには、まだ時間がかかるだろう。 (……榁井さん……!) 「……っ」 あいつの声と表情が思い出されて、また体が熱くなった。 「すまんな……新條」 彼女のことも……お前のことも、そう簡単に忘れることは出来そうになかった。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 夢炉のトーホク弁を出したかったが、よく分からないので断念… サブタイトルを百.人.一.首.にしてるのはただの趣味です 支援ありがとうございました。長文・乱文大変すみませんでした 一行の文字数を増やしてみましたが、かえって読みにくくなったかも
・オリジナルで後輩刑事×先輩刑事のつもり ・文才なし ・死にネタ |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 銃声が響いた。 「柊平、防弾チョッキ着てくるの忘れちまった…」 倒れた葉介に駆け寄った柊平は叫んだ。 「先輩!あんた何やってんだよ!!こんな大事な時に忘れ物なんかしないでくださいよ!!」 「悪いな…最後まで俺らしいだろ?」 葉介は精一杯の力で笑顔を見せた。 「柊平」 「なん…ですか?」 「良かったな、これで足手まといの先輩から解放されるぞ」 柊平は全身が熱くなるのを感じた。葉介は続けた。
「初めての後輩の前だからいいとこ見せようと思っても全部空回り…お前に助けられてばかりだったな、俺」 葉介の呼吸は荒くなる一方だった。 「こんな先輩でごめんな」柊平の中で何かが爆発した。 「あんた何言ってんだよ、ふざけんなよ!!あんたはなあ、忘れ物して平気な顔してるわ整理整頓はできないわ本当にどうしようもない先輩だよ。 …でもな、あんたがいなかったら俺はここまで来れなかった。俺にはあんたしかいないんだよ!!」 葉介は呆気に取られていた。いつだって冷静な柊平の口からとは思えない言葉だったからだ。
しえーん
SHBeDwh50です。連投規制に引っ掛かったので携帯から失礼します あとタイトルの数字が10から6に変更ですorz 「…びっくりしたな。そんな風に思ってくれてたなんて」 葉介は溢れ出る血を押さえながら照れ笑いをした。 「嬉しいな。課長に報告しなきゃな、あの柊平が俺にデレましたーって」 課長たちも驚くぞと葉介は続けた。葉介の顔色はどんどん悪くなっていく一方だった。 「もう…喋らないでください。傷が開きます」 「柊平」 「だから喋るなって!」 「ありがとう」 そう言った後、息をふーっと吐き出したのを最後に葉介が動くことはなかった。
「雑魚が一匹死んだぞ」 「雑魚が一匹死んだ」 「雑魚が一匹死んだね 」犯人たちがほくそ笑んだ。 柊平はその方向を睨みつけた。 「面白いな」 「面白い」 「面白いね」 柊平は葉介の服から拳銃を取り出した。 「これが死なばもろともです、先輩」 次の瞬間、柊平は犯人たちに向かって銃を撃った。
廃屋にサイレンの音が鳴り響いた。捜査員たちが突入してくる。 彼らが見たものは、倒れた犯人たちと葉介の遺体の前で血まみれになって立ち尽くしている柊平の姿だった。 「先輩、帰りますよ」 柊平は葉介の体を抱き抱え歩き出そうとした。その瞬間だった。
柊平の頭を銃弾が貫いた。犯人のひとりがまだ息があったのだ。 お前って詰めが甘いな〜。遠のく意識の中で葉介に言われた言葉を思い出していた。 そうですね、先輩。そっちでもそう言って笑ってくれますか、先輩。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 事件が起こる前に先輩が後輩に死なばもろともの意味を質問してたと脳内補足して頂ければ幸いです 長時間にわたるスレ独占失礼しました
98 :
キシの性1/8 :2013/01/31(木) 00:32:17.14 ID:8eM7fmcI0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
し、しえん…?
代行依頼来てるみたいですね
済みませんが、代行の方がいらっしゃるまで投下させてください。 ・ナマ物注意:アメ/プロ、ドク蛇×シロ鮫 なりゆきお初 ・自家発電用 ・ニワカ・初心者です。キャラ崩壊上等 全12レス予定です。まず最初6レス投下します。残りは様子を見て。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
力が抜けた体は重い。 ただでさえ俺より重い体は眠り込んで脱力している。 持ち上げられない事はもちろんないが、手に負えないものがある。 行為の熱が去った彼の体はあいも変わらず死骸のように白く、さっきまでの熱情はどこへ行ったのかと思わせるほどだ。 熱情……何故あんなことになったのか? 彼は荒れていて、俺はそこへ興味を持って。なりゆきに過ぎない。ただそれだけのはずだ。 彼は満たされない想いに苛立っていた。 何があったのかはわからない。だがホテルの通路で出会った彼は荒れていた。 見るからにおかしい様子をからかって声をかけたが、その言葉のうちの何かがが気に入らなかったのか、怒りの色を表して絡んできたのだった。 口調ははっきりしていたし、足元がふらついていたという事もないが、漂うアルコールのにおいといい、明らかに酒が入っている様子だった。 彼は酒には強かったはずだ。取り乱すほど心を荒らす何かがあったということなのだろう。 俺たちのようなものが公共の場所で事を構えるわけにはいかない。 面倒を起こす前にととりあえず俺の部屋に招き入れると、彼は思ったより素直に従った。 しかしドアを閉めるなりまた大声で何やら怒鳴りつけ始めた。 いつもより異国のアクセントのきつくなっている荒い口調が注意を引く。 「俺があの人に体を売ってるとでも思ってんだろう?残念ながらそんなことはねぇんだよ」 「は?」 酔っ払いに耳を貸すつもりはなかったが、とっさに聞き返さずにはいられなかった。 だが察しはついていた。彼とその人物が親密なのは確かで、そのようなことがまことしやかにささやかれているのを、俺も知っていた。真偽には全く興味はなかったが。 数秒の後、彼は釣り上げていた眉を驚くほど下げて、傷ついた表情を作った。 その変わりようは、なんというか痛々しいほどだった。 「あの人は好意を持っていてくれてんだろう。でも意味はないんだ。俺がそれ以上を望んでしまったから」 頭を抱えて彼はソファへ倒れるように座り込んだ。 うわさ通り、と言うよりは、真剣に恋……をしているというのか。 手に入る立場でない男に、かなわない恋を。 こんな姿を見るのは初めて、というよりただ意外だった。 誰しも弱い姿を好んで晒すはずもない世界で、この男がこれほど赤裸々に語るとは。
白い指の間で、燃えるような赤毛が揺れていた。 赤いひげに囲まれた青白い頬が、グレーのシャツに包まれた肩が、震える。 筋肉付きの良いたくましい体が不思議に小さく見える。 「あの人は守るものが多い。踏み込む場所を間違えない。俺には触れない」 震える声ながらずいぶん口が滑るものだ。記憶が残っていれば明日後悔するだろう。 俺は半ばあきれたような気持ちで見下ろしながら、からかうように口を挟んだ。 「キスでさえか?」 彼は顔を上げた。 返った言葉はあくまでも大真面目で、俺は軽い気持ちで声をかけたのを後悔した。 「キスさえもだ。俺が望んでも……」 苦しげに、まるで思い描くかのように彼は目を閉じた。 カーブを描く淡い色のまつ毛が震えている。 激情に耐えかねた表情が、上向きの顔の角度と閉じた瞼のせいか、まるでキスを待つように見えた。 震える唇が軽く開いて吐息が漏れ…… ふと気づけば、何故だか俺が口づけていた。 ビールなのか、アルコールの匂いが鼻についた。 彼は一瞬びくりと震え、俺の舌先に無防備な舌が触れた。 そのまま舌を進めて絡めてしまってから、初めて俺は我に返った。 なんでこいつとキスなんて…… だが一瞬の戸惑いはそれ以上どんな思考にも変化しなかった。 するり、と彼の舌が動き、俺の舌に絡まりかえしてきたのだった。 誘われる思いで、俺は彼の口中を探り、唇を吸い、何度も舌を絡めていった。 口元に触れるひげの感触が、いったい誰とキスをしているのか確実に思い出させるというのに、やめる気にはなれなかった。 こいつ、上手い。 彼のほうもおそらく同じように思っていたのだろう。そうでなければ何故。 息苦しくなって唇を離した後……彼はぎゅっと閉じていた目を驚いたように開いた。 また傷ついた表情になると、ため息をついて下を向いた。 叶わぬ恋の話と唐突なキスと。 俺の胸には名前のない奇妙な感情が渦巻いていて、何をどう弁解したものか答えは出ない。 どうしてこんなことに? この時になって、手に彼の肩の感触が不思議によみがえってきた。
しえん?
煽りでもなんでもなく、マジで3レス以内の作品書くようにガンバレ 今の仕様で長い作品投稿は無理ゲーすぎる
本当にね 投下したくて書いたけど相当忍者修行しなくちゃ無理みたい
長く息をつく気配がした。 うつむいたまま、「あんたは本当に毒蛇みたいだ」ぼんやりとした声で彼が言った。 やはり酔っているのか、勢いなのか、自棄なのか? ゆっくりと彼は顔を上げた。とろんとした目が見上げている。 「毒が回る」 ゆらりと彼の身体が前に崩れ、思わず抱きかかえていた。 [っ……」俺はぐい、と身体を押し返す。 「……悪い」彼は緩慢な動作で座り直そうとしている。 だが、俺の中に残された熱は消えそうになかった。 手に残った彼の体の感触が、キスの熱が。 こんなたわいないことで火がついてしまうものなのか? 俺は自分の行動を怪しんだ。まるで別人のように体は行動を続けていく。 俺も確かに酒が入ってはいた。かといって酔っているというほどではなかったはずだ。 量も、体調も。 だが、確かに理性を狂わせる何かが…… 激しく唇を合わせながら、俺は彼の腕を掴んで引きずっていき、体をベッドへ押し付けていた。 貪るように舌を絡めると、柔らかな舌の感触が心地いい。 歯列をなぞり、舌先で口内を辿り、反応のあった部分を執拗に追い詰めていく。 息は激しくなる。 時折、切ないような彼の吐息が漏れるのを聞きながら、俺は引き返せない自分に少しの焦りを覚えている。 頭の上で押さえた彼の右腕は、抵抗の感触を残しながらもそれ以上の力は見せないように思えた。 そのまま強引に彼のシャツをたくし上げる。 「――!」 胸をあらわにする動きを止めようとしたのか、彼は自由の利く片腕で俺の肩を掴むが、やはり力は弱い。 毒だと言われた。 押し倒されたまま深いキスを受け、満足な抵抗もできない彼は、今も毒に侵されているというのだろうか。 では、俺は?何故止まろうとしないんだろう。 両の腕の抵抗を抑えながらシャツを頭上にまでずらし、拘束するように引っかけた。 一つにまとまった腕に用心しながら、あらわになった胸を、腹筋の起伏を撫でまわしていく。
長く息をつく気配がした。 うつむいたまま、「あんたは本当に毒蛇みたいだ」ぼんやりとした声で彼が言った。 やはり酔っているのか、勢いなのか、自棄なのか? ゆっくりと彼は顔を上げた。とろんとした目が見上げている。 「毒が回る」 ゆらりと彼の身体が前に崩れ、思わず抱きかかえていた。 [っ……」俺はぐい、と身体を押し返す。 「……悪い」彼は緩慢な動作で座り直そうとしている。 だが、俺の中に残された熱は消えそうになかった。 手に残った彼の体の感触が、キスの熱が。 こんなたわいないことで火がついてしまうものなのか? 俺は自分の行動を怪しんだ。まるで別人のように体は行動を続けていく。 俺も確かに酒が入ってはいた。かといって酔っているというほどではなかったはずだ。 量も、体調も。 だが、確かに理性を狂わせる何かが…… 激しく唇を合わせながら、俺は彼の腕を掴んで引きずっていき、体をベッドへ押し付けていた。 貪るように舌を絡めると、柔らかな舌の感触が心地いい。 歯列をなぞり、舌先で口内を辿り、反応のあった部分を執拗に追い詰めていく。 息は激しくなる。 時折、切ないような彼の吐息が漏れるのを聞きながら、俺は引き返せない自分に少しの焦りを覚えている。 頭の上で押さえた彼の右腕は、抵抗の感触を残しながらもそれ以上の力は見せないように思えた。 そのまま強引に彼のシャツをたくし上げる。 「――!」 胸をあらわにする動きを止めようとしたのか、彼は自由の利く片腕で俺の肩を掴むが、やはり力は弱い。 毒だと言われた。 押し倒されたまま深いキスを受け、満足な抵抗もできない彼は、今も毒に侵されているというのだろうか。 では、俺は?何故止まろうとしないんだろう。 両の腕の抵抗を抑えながらシャツを頭上にまでずらし、拘束するように引っかけた。 一つにまとまった腕に用心しながら、あらわになった胸を、腹筋の起伏を撫でまわしていく。
かすかに漂う粉っぽい甘い香りは日焼け止めのものだろうか。 今までになく間近の視界では、白い肌にかすかなそばかすや傷跡、打撲の跡が目につく。 それでも見なれた肌はやはり驚くほどに白く、筋肉の十分ついた胸板はそれでいて柔らかい。 喉の奥からくぐもった低い呻きが伝わり、俺は唇をようやく離した。 「……ふ、ぁ……っ」籠る快感の響き。 酔いのせいでもあろうが、ただこれだけでも、耐えきれずに甘い声を漏らすほど敏感な体を今まで持て余していたのか。 愛されて抱かれたいと、果たされない想いを抱えて? 止まるどころか、存分に可愛がってやりたいという思いが浮かんだ。 抜けるように白い肌同様に色素の薄いピンク色の乳首を指先で軽くいじってやる。 身体がびくりと震え、ぎゅ、と目を閉じ唇を噛んで耐えているのがわかる。 指を止めずにもう片方をゆっくりと吸うと、たわいなく鳴き声が上がる。 「……あぁ……」 良い声だった。 もっと鳴かせたくなった。 尖らせた舌で、つんと固くなった突起の先端を何度も弾くようになぞっていくと、彼は身を強張らせて息を弾ませた。 声を抑えようとしている。もっと追いつめたい。 もう一方を指で弾き、時折つまんで捏ねるように刺激を与える。 合わせるように、唇で挟み込んでねっとりと舌で包むようにしゃぶる。 「はぁあ……っ」 耐えきれずに上がった声を恥じるように眉間に皺を寄せて頭を振る彼の姿。 セットの崩れた赤い髪が乱れる。 構わずに愛撫をつづけた。 どんなに声を抑えても、激しくなった呼吸に快感の陰は消えない。 哀れな生贄をいたぶる様な気持ちが止められない。 俺はエスカレートしていく行動を自覚しながらも、彼の下肢へ手を伸ばす。 ウェアのウエストを引き下げようとするとさすがに抵抗が強くなる。腕を抑える力を強めて布の上から彼の熱を探った。 既に高まっていることは分かっていた。 上からさするようにすれば、びくんと体が跳ねて明らかな反応が返る。 「……っ……」 上がりそうになる声を耐えるのに比して抵抗は緩み、俺は素早く衣服を引き下げ、緩く震えるものを探って手の中に包んだ。 熱い。
「な……!」 さすがに驚きの声が上がったが、それは、みるみるうちに俺の手の中で熱と質量を増していった。 ほの白く、血の色を透かして薄赤い、明らかな快感の表れ。 彼は自らの腕に口元を押し付けて耐えているようだった。 確実に固くなっていくそれを、俺は手で柔らかくさすっていく。 抑えられた口元からの激しい息遣いの中に小さいうめき声が混じり、彼は体を震わせる。 面白くなくて俺は彼の腕の拘束を解いた。 直ぐに声を抑えようとするのを許さず両腕をベッドへ押し付けると、振り払う気配も見せず彼はただシーツに指を食いこませた。 「は…ぁ…あ…」 漏れた吐息は確かな快感の響きだった。 跡の残りやすい体だ。 白すぎる肌は誰よりもはっきりと肉体のダメージを露呈する。 誰もが傷つき打撲を負っているとわかり切っていても、彼だけが特に目を引くのはそのせいだ。 胸元へ吸い付いた跡が、思っていたよりも鮮やかな色に変わっていくのを見て俺は少しためらった。 明らかにキスマークとわかるものを残すわけにはいかない。 今、彼の白い裸身は行為の熱によって上気し、色を変えつつあった。 息を荒げ血を滾らせる試合で見られる姿とは似たようでいてまた違う。 頬は紅潮して表情は艶を帯びて。 俺の行為で変わっていく姿に……魅せられるような思いだった。 できるものなら、全身へ激しくキスして、噛みついて、感覚の上にもその体の上にもおびただしい俺の跡をつけてしまいたくなった。 何故か、そう思っていた。 だが。 思えばずっと、彼の目は閉じられていた。 気に入らなかった。 おかしいと、うっすらと気付いてはいた。 あれほどまでに荒れていた彼が、強く抗うことなく、愛撫に応えていった理由。 おそらくは、俺の愛撫に想う男を重ねて……
激しい息遣いも、どんどん甘くなっていく声も、震える体も、その閉じた目の中では違う男のためのものなのか。 気にするつもりはなかった。 叶わない相手に恋をして抱かれたいと思っている、それが彼だ。その相手はもちろん、俺じゃない。 最初からわかり切っていることじゃないかと理性が言う。 何もかもわかったうえで、それでいて行為を止められない自分ではないか? だが、気に入らなかった。 すでに薄ピンク色に染まった白い体はどこまでも正直で、その色は俺が着けた色なのに。 誰を想っていようと、その色は俺のものだ。 「お前の体は正直だな」 身を離し、考えるよりも先に声が出ていた。 下で彼の体がびくりと震えた。 とろけていた表情が眉を寄せ、辛そうな姿を作る。 やはり……俺の存在をその意識の下から閉め出していたのか? もっと聞かせてやる。思い描きたい男の声ではないものを。 「全身赤くなって、気持ちいいんだな?そこらじゅう触られて、感じて、お前はずいぶん敏感だ」 「っ……」息を詰め、より苦しげに目を閉じている。 俺は厚い胸板に手を滑らせる。 「随分もったいない。こんないい体に触れないまま、知らずにいるのは」 「やめろ……」身じろぎして、胸に置いた俺の手を弱弱しくつかむ。 まだ目は閉じたままだ。 夢を壊された今、俺は望まない行為を押し付ける邪魔者というわけか? それとも、ただ黙って代替物になれと? だめだ。解放してやれない。 [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
・シヨウギナマモノ注意 ・18世×19世 ・ニコの動画を見て気づいたら書いていた。今は反省している |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「今のコンディションをプラスかマイナスかの二極で表すとやはりマイナスではないとは言えないわけです」 「あ、はい」 「プロですから体調管理も仕事の一環なわけでこれを怠るわけにはいかないというのは理解して貰えると思うのですが」 「あ、はい、もちろん」 「バイオリズムは年代によって変わるものなので眼に見える体の変化もですがホルモン分泌の変化により思考にまで影響を及ぼしていると感じることが最近多くなってきました」 「あ、はい」 「20代の頃は考えもしなかったような思考に自分が陥る、陥るという言葉はあまり良い意味ではありませんが、全てを一人の力で解決出来ると思い込んでいたと言っても、」 「あ、あのハ/ブさん」 モリウ/チのまつげが3回細かく揺れた。 ハ/ブの唇の動きが止まった。 「はい、なんでしょうか」 モリウ/チのまぶたがまた痙攣する。 「私は具体的には何をしたら良いのですか?」 濃いまつげに縁取られた玉のような瞳には、ハ/ブの唇が一瞬戦慄いたように映った。 シチュエーションはこうだ。 時刻は深夜。 場所は東北の旅館。 七番勝負の対局は5時間以上前に終わった。 打ち上げは1時間前に終わった。 モリウ/チは対局の熱を風呂で流して寝る寸前だった。 なので備え付けの寝間着姿である。 そこに来訪してきたのがハ/ブ。 打ち上げの時とは違うスーツを着ている。 タイトル戦中にお互いの部屋を行き来するなど久しぶりだな、どうしたのだろうと不思議に思いながらハ/ブを招き入れた。 そしてモリウ/チが扉に鍵をかけた途端、ハ/ブは滔々と語り出したのだ。 対局者の部屋は広い。 ハ/ブが語り出したのは部屋とも言えない玄関のようなスペースだった。 暖房も効いていない冬の東北、とりあえず部屋に入りませんかとモリウ/チが口を開く暇を与えずハ/ブの唇は動き続けた。 板の間に裸足で風呂上がりのモリウ/チは靴下を履いたスーツのハ/ブの語りに相づちを律儀に打っていた。
身振り手振りを使ったハ/ブの話は淀む事無く語られるのだけれども肝心の部分で何が言いたいのか分からない。 ハ/ブの事がわからない、それはモリウ/チにとって非常に珍しいことでもあった。 タイトル戦の最中であれば自分と彼の境目が分からなくなる事さえある。 しかし今、ハ/ブが何故、モリウ/チの部屋に来たのか、それがわからない。 分からないのであれば聞いてみるしかないのだ。 話の途中で口を挟むのは好きではないが意図が汲めないので仕方が無い。 そして冒頭。 どうやら自分に何かして欲しくてここに来た事を察したモリウ/チが信条に反して口を挟んだ所。 唇が一瞬震えたのちにハ/ブは固まってしまった。 その突然の豹変にモリウ/チは困った。 沈黙。 足の裏を自分の足首にこすり合わせたがどちらの足もすっかり冷えてしまって暖かくない。 「その、ここに来られたからには何か理由があるのかと思ったのですが。最近は対局後にゲームをすることもなくなりましたし。 何か必要になったのかと思ったのですが。あの、ハ/ブさん、寒くないですか?」 モリウ/チをすり抜けて出口の取っ手の一点を見るめるハ/ブだったがモリウ/チの一言ごとに眼の奥は揺れていた。 それがモリウ/チには分かった。 ハ/ブが部屋に来てから20分弱。ようやくハ/ブの気持ちの糸口を掴めた。 それが嬉しくてモリウ/チは言葉を続けた。 「あ、いつまでも玄関先ですみませんでした。どうぞ奥に入って下さい。もう布団も敷いてしまっていますが」 ぎこちなくハ/ブの横を通り過ぎて部屋のふすまを開けて畳の間に入る。 暖房に暖められた畳が足の裏から暖かい。 振り返って玄関先のハ/ブに表情だけで入るように促すとハ/ブは笑っていた。 部屋に招き入れられたハ/ブは取り戻した仮面の表情でまた朗々と語り出した。 「あーモリウ/チさんはもう寝るところだったんですね。長々とお話してすみません。つまり先ほどの話ですが〜」 「ハ/ブさん」 モリウ/チがはっきりと言葉を遮った。
「私は具体的に何をしたら良いですか?」 ハ/ブは水が流れるように明瞭な言葉で答えた。 「つまり私はモリウ/チさんとセックスがしたいのです、ええ、はい」 セックスのッまでを口に出した時、ハ/ブの頭脳は警報を出し続けていた。 こうするしか無いと決断の一手だったが指を離した途端に大悪手に気づいてしまった。 対局相手かつ幼なじみにセックスしたいとぶつける間抜けさ。 問われる答えるこの空気、何故3手先も読めなかったのかと自分の言葉を言い終わる前にハ/ブは頓死しかかっていた。 「あ、いいですよ」 ハ/ブの玉は助かった。 扉は閉まっている。 静まりかえった部屋に二人。 「あ、えーと、今日しますか?」 当たり前のように聞いてくる。 「ええ、はい、出来れば今」 ハ/ブはずれた眼鏡を直しながら訝しんだ。 「じゃあ、ここで良いですか?ふとんですけど」 この男は、 「あ、まくらが一個しかない。でもまくらはいらないですよね」 まさか、 「あ、服は脱いだ方が良いですよね。ハンガー使って下さい」 経験があるのか、 「・・・こうして二人で服脱いでると脱衣所みたいですね」 自分の言葉で破顔したモリウ/チにハ/ブは脱力した。 力が抜けて座り込んだついでに靴下を脱ぎながら今は目の前の一局に集中しようと切り替えた。 ハ/ブのベルトを外す音が部屋に鳴り響く。 モリウ/チは帯をシュルっと音を立てて解いた。
支援
相手の動きに自然と合わせる呼応がまるで対局前の駒を並べている時のようだと思った。 そういえばこの場所には対局で来たのだった。 5時間前までは和服を着て対峙していた相手の部屋でネクタイを解いている。 下着一枚になってモリウ/チの方を見るとすっかり裸になっており対局のようだなんて感慨は一瞬でふっとんでいった。 「あ、今更なんですけどハ/ブさんお風呂入りますか?」 体格の良い男はすっ裸で問うてくる。 「い、いや、もう入って来たから大丈夫です」 「あ、そうですか。じゃあちょっと寒いので先にふとん入りますね」 当たり前のように布団にすべりこみハ/ブを見上げる。 まるで育ち切った健康優良児のようだ。 「まだ布団は冷たいですね」 屈託ない瞳に見つめられたハ/ブは下着に手をかけえいやっと下ろした。 もう後戻りは出来ない。初手を指したのは自分だ。 寒さの為かもぞもぞと布団のなかで動く大きな男の隣に滑り込むと膝が触れ、足先が触れ、腕が触れた。 他人の体温が触れたのだと主張する。ジンジンと痺れるような感覚が消えない。 最終盤よりも顔が近い。心臓の音が布団の中で共鳴している錯覚に襲われる。 ずりずりと布団の端に寄ってモリウ/チと距離をとると背中が布団からはみ出して外気に触れた。 そして、目の前の男は律儀に頭を下げた。 「あ、お願いします」 「お願いします」 モリウ/チの首から上だけ傾けられた挨拶。反射的にハ/ブは返した。 ああ、風邪を引いても後手引くなというけれど。 先手のつもりが後手に回ってその上風邪まで引きそうだ。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 各方面にごめんなさい
立て続けになっちゃうけれど投下させてもらうよ 今年の日本ホモ協会大ミ可ドラマ。格真×奨之助。第三話の奨之助が合津に来たその夜。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ヤムニヤマレヌモエデ オオクリシマース!
江戸より一月近く遅れて咲く桜もはらはらと散り始めて、合津の短い春が駆け足に過ぎていく。その昼、まるで初夏の先触れのように、友が訪ねてきた。江戸の友。 いつしか幼馴染の故郷の学友たちよりも深い絆ができ、今では格真の一番の理解者となったもう一人の学友、河崎奨之助だ。 心算より早い来訪は意外ではあったが、嬉しかった。にわかに心強く、蘭学所の開設準備もこれで万端だと思えるほどだった。一通り歓談を尽くしても明るい興奮は格真の胸を去らず、眠気を忘れ夜更けまで書に向かう。 春の夜気とともに迷い込んだ小さな虫が灯の周りを巡っている。それを手で追ったとき、かすかな物音が廊下から聞こえた。それから、ひそめられた声があった。 「格真さん。入ってもよろしいですか」 半刻ほど前に客間に案内した奨之助の声だ。 「おう。なじょした」 襖が開閉して、着流し姿の奨之助がすべるように入ってくる。裾をさばいて端座し、いつも微笑を含んだような目元口元が、灯に陰影を見せる。こうして彼が一つ屋根の下にいるだけで、格真は力を得た思いがする。 「なじょした。まだ寝ねえのか?」 「廊下に灯が漏れていましたので…」 「そうか」 格真はとりあえず灯の覆いを深くしたが、これが客間まで届いたということはあるまい。奨之助は棚や文机に積まれた格真の蔵書を見回した。視線を戻し、「なんだか眠れないのです。格真さんはまだおやすみにならないのですか?」 「俺も、眠くなんね。だがら書物ば見てた」 「そうですか」にこりと笑う。「…私が何故眠れないかと言いますとね、格真さん」何か秘密を打ち明けるように身を乗り出した。「嬉しいからです。これから、忙しくなりますね」 つられて身を乗り出していた格真は、思わずにやりとした。 「ああ。俺もだ」 おんなじ心だ。そう思った。ようやく研鑽を重ねた学問を活かせる時がきた。世の大きなうねりの中に一刻も早く漕ぎ出さねばならぬ。江戸で世界の広さの一端を知り、胸にじりりと燃える火がついた。その焦燥を共有する者は、合津には少ない。 しかし奨之助ならば、ほとんどの言葉すら必要ではない。 「色々考えてんだ。奨さんが力貸してくれりゃァ、百人力だ。よろしく頼む」 頭を下げた格真に、奨之助も一礼して応える。顔を上げて目を合わせ、どちらからとなく密かな笑い声がこぼれた。
「さて、それはそうと」 笑いが収まると、奨之助は世間話でもするように言葉を続けた。 「私は、お借りしたあちらの部屋でしばらく格真さんを待っていたんですが」 「へ?」 「どうも痺れを切らして自分から参りました」 「おいおい」 「もうおやすみならあきらめようと思ったのですが…まだで、よかった」 すっと膝を進め、距離を狭める。顔を寄せるように前かがみになって、格真を見つめた。 抜けた相槌は打ったが、彼が何を言っているのか解らぬ格真ではない。やはり体を前にやって、声を落とした。 「いや、だけんじょ…長旅のあどで、こわくねえのか」 「こわい?」 「疲っちゃんでねえかって」 言い直してもやはりお国言葉である。奨之助は破顔する。 「懐かしいな、江戸でもそうやって私のわからない言葉を言い直してくれましたね。 合津に近づくほど、聞こえてくる言葉が懐かしかった。格真さんがいるようで」 伸ばされた腕が格真のうなじに回り、唇に唇が触れた。ひとしきり口を吸って、奨之助はささやいた。 「遠慮するなんて寂しいですよ」 「いいのか」 「格真さんが『こわく』ないのなら」 口真似に噴き出して、口づけをし返す。 「こわくなどね。まったく、気ぃ遣うことねがったな」 奨之助といると、格真はよく笑った。取っ組み合いの遊びのように布団に転がって、口を吸ったり頬やまぶたを舐めたり、 互いにしたいことをした。格真は、奨之助の首元に鼻筋をすり寄せて、深く息を吸う。 「汗くさいですか。お湯はいただきましたが」 「何言ってんだ。くさくなどね。懐かしい匂いだ」 衿を広げて素肌を撫でまわすと、手のひらの下で奨之助の胸が上下した。 「高い声はださねでくれな…」 「それは、もちろん」 手のひらを滑らせていき、帯のところで止まる。奨之助は自分で帯をほどいた。そして格真の帯もほどきにかかった。 重ね合わせた素肌は乾いていたが、やがて湯気を浴びたようにしっとりとした。
体中検分するように、撫で、探り、舌を這わせる。乳首を含みながら上目遣いに見ると、奨之助は片手で口を覆っていた。 もう片方の手が格真の肩を掴んでいるが、時折痛いほどの力がこもった。格真は体をずり上げて、赤く染まった耳元に囁く。 「うつ伏せさ、なれ。な、そのほうが楽だ」 布団に顔を付けていたほうが声を堪え易いいだろう。だが奨之助はかぶりを振る。 「嫌です。それでは格真さんの顔が見えない」 「そったごと言ったって…」 格真としては、同じ家にいる家族の耳を気にせぬわけにはいかない。皆ぐっすり寝ている時刻ではあっても。しかし相手は物柔らかなくせに、従順ではない。 「…江戸でだって」奨之助は格真の頭を抱き寄せ、耳朶を食む。「大っぴらに声を出せる所でしたことなんか、数えるほど…大丈夫ですよ。それより格真さんこそ、我慢できますか」 奨之助の手が腋下から脇腹までを撫で下ろし、二人の体の間に入ってきた。おもむろに股座をまさぐられて格真は腰を浮かせた。 「ちょ、待でって。いきなりすんな」 「シー。お静かに」 いくらか余裕を取り戻した顔をして、奨之助は悪戯をやめない。今度は格真が歯を食いしばる番で、直接的な快感に息が荒くなる。 それならばと体を密着させると、手を動かせなくなって奨之助は困った。 「手が妙な具合に挟まれているんですが」 「手、こっちさやれ」 彼の腕を引っ張り出して肩に放り上げる。膝の裏を掴んで片足を持ち上げ、先をあてがう。 「あ…」 奨之助は一瞬小さな声を上げて、あわてて口を結ぶ。ぐっと押すと、体が逃げた。 「痛えか?」 「…平気です」 「久しぶりだがらな」 先端を少しだけ押し入れては、引いて、指を湿して塗りつけて、じわじわと奥へ進んだ。時間をかけてすっかり繋がると、格真は荒い息をこらえて奨之助の顔をのぞきこんだ。 乱れた後れ毛を撫でつけて、涙がにじんだ目尻を親指で擦って、噛んで赤くなった唇を舐めた。 「切なくねえか」 奨之助は格真の背を掻き抱く。かすれ声にもう余裕は残っていない。 「平気…ですから…っ、もう、焦らすのは…」
うん、と返答とも唸りともつかない声を出して、格真はゆっくりと動き始めた。だんだんと動きは速くなった。 短く忙しない息が乱れ、背を抱き合って、頬と頬を摺り寄せて、奨之助は格真の名を、吐息だけで何度も呼んだ。 結局顔などろくに見てねかったな、と格真はあとで思ったのである。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、モエルモノハモエルモノデス! 規制つらい
これは目覚めた!GJ!
立て続けにすみません。投下させてもらういます 海外足就月却。葡赤鷲10と現西班牙白水色9。白水色9が赤鷲にいた頃の話です。相部屋は捏造です |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ ) オオクリシマース!
あの時は確かに彼の心臓の音が離れていても聞こえていた。 むしろ、心臓が一つにつながっているような気さえしていた。 今は自分のものしか聞こえない。 生まれて育った大陸を離れて、もうすぐ10年が経とうとしている。 生まれてからハタチを過ぎるまで常識だったうだるような暑さの中での12月は、雪の降る12月に変わり、も うそれが自分の中の冬に変わりつつある。 眠りに落ちる前に、こんな風にナーバスになることはよくあることだった。 こんな時は悪い想像ばかりしてしまう。例えば、もし負けてしまったら、だとか、相手の執拗なマークで痣だらけの身体をピッチに横たえる自らの姿が脳裏に際限なく浮かんでは消えて行く。 年上のチームメイトたちに相談しはしたが、生来の性格はなかなか変えられないもので、今は誰に相談することもせずやり過ごすようになっていた。 しかし、今日はいつもとは勝手が違うのだ。()
昔詩人は、この国の崖にたち、ここは地の果て、と謳ったという。 確かにあの崖から見る景色は、地の果てから見るような景色だった。果てしなく広がる海。 地球の下側、南半分からやってきて、情熱の国を去り、とうとう地の果てまでやってきた。 そして、この郷愁の国で、とうとう親友と巡り会えた。 もう17歳と19歳じゃないんだね、そっとそう呟くのが聞こえたとき、親友の顔からちょうど視線を外していた。その言葉にあわてて顔を上げたが、そこにあったのはいつもの彼の明るい笑顔だった。 言葉を発した時、どんな表情をしていたか、どんな気持ちで彼がそう言ったのかは、そこからはもう推測することは出来なかった。 14歳で故郷の田舎町を離れ、大都会に足を踏み入れた時、同じ国の中なのに気候がちがうことに驚いた。 30歳を迎えた今、故郷からは遠く離れた国にいても、もうその違いにはあまり驚かなかった。 それまで住んでいた国の隣の国に移動しただけ、ということもあるにはあったが、それよりも、 わずかな違いはあれど、ボールを蹴って、ゴールを目指し、ネットを揺らす。人々がそれを見て、踊るように身を弾ませて声を上げる。スタジアム全体が揺れ、熱を帯びる。 やってることは何も変わらない、ただ、ともに戦う人間が違うだけで。 隣に寝ている彼は動かない。安らかな寝息を立てている。 彼の精神は健全そのものだ。まっすぐ生まれ、まっすぐ育ち、辛いことだって多くあっただろうにその鬱憤晴らしに誰かを傷つけることもない。 近しい人からは皮肉屋と呼ばれている自分にはない、明るい光、それは灯台の光そのものだ。 同じチームで少年時代を過ごし、少年時代の終わりと共に二人はバラバラのチームでプレイした。 しかしまた運命が、彼を自分に近づけてくれた。 そっと存在を確かめようと、ベッドから腕を伸ばし、体に触れようとする。 あと少し、指先が身体に触れるか触れないかでその指は届かない。 諦めた。彼の身体には触れられない。力なく腕が下がる。 隣のベッドで寝ている彼の衣擦れの音が聞こえ、起き上がる音がした。慌てて寝たふりをしていると、そっと頭を撫でられた。 彼は今まで起きていたのだろうか?いや、それはないだろう。 それでも、それを合図にして、彼は深い眠りに落ちた。
しえん
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 白水色9が赤鷲からいなくなった時はショックでした…赤鷲10は白水色9に依存している
129 :
サヴダージ :2013/02/03(日) 23:29:07.75 ID:x99TO8BI0
支援してくださった方ありがとうございました。短い作品でごめんなさい
これまた立て続けになって申し訳ありません。 ちょっとした小話。 某超次元サッカー。究極厨→三流さんで。まだ三流さんが敵勢力だったころ |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
131 :
はごろも1/4 :2013/02/04(月) 02:38:47.06 ID:gf3H0A4e0
「かえしてくれ」 薄墨を刷いたようにほの暗い空間に、声が波紋のように響いた。 さあさあと小雨の音が体に染みていくようだ。 「それはおれのだ」 正直、引っ込みがつかなくなっていただけだった。自分にとってさして価値のあるものではないし、 ただの落とし物だとわかれば捨ててしまえるような古ぼけた、ただのリストバンドでしかない。 年代の古い日本代表のエンブレムは経年の流れに耐えかね、その姿を消そうとしている。 「まるで俺が盗んだみたいな言い方だな。拾ってやらなきゃいずれゴミになってたぞ」 試している。「これ」がどれだけこいつにとって価値があるものなのかを知らなければ交渉もおぼつかないではないか。 「そういう意味で言ったんじゃない。誤解するな」 意外だった。思いっきり威嚇を飛ばしてくるのではないかと身構えていたが、 下手に出る不快さよりも落とし物を取り戻す方が重要度が上らしい。 つい遊んでみたくなった。 半開きになっていた窓から腕を出す。煩わしいと思うほどには雨は掛からない。 「これをおまえに返してやったとしたら、俺は何を得するのか教えてくれ」 本気ではない。頭のひとつでも下げれば茶化して渡してやるつもりだった。
132 :
はごろも2/4 :2013/02/04(月) 02:40:05.91 ID:gf3H0A4e0
しん、とした。 雨の音だけがわずかな救いのように続く。勢いはこころなしか薄らいでいる。 「正直言っておまえに得はない。が、おれは取り返さなくちゃいけない。それだけだ」 馬鹿正直に。これだから三流は。嘘でもおべっかを使っておけばいいものを。 そう思うものの、もしもこいつがそんなことをすれば自分は許すどころか軽蔑することを既に知っていた。 『 興が醒めた 』 心の内か。外に声として出したか。 「いらん、やる」 「返してくれるのか」 手を窓の内側に入れた。 目の前に伸びてくる白い腕。 「おい、いいのか」 「なにが」 「かえしてやると言ったのが嘘で、今から俺が思いっきり外に放り投げたらどうなる」 「考えてもみなかった」 「考えろ」 「計算しててもそれは返ってこないだろ。だったら手を出したほうが生産的だ」 それほどまでに大事か。リストバンドの内側に書かれた種類の違う幼い文字が目ににじむ。 「ありがとう」 初めてこいつに面と向かって言葉を送られた気がする。なんだこの浮かれたような寂しいような言いようのない感情は。 「雨が上がりそうだ」 練習が再開される。そう言うが早いか駆け出したのはこれ以上正面から顔を見られたくなかったからだ。
133 :
はごろも3/4 :2013/02/04(月) 09:01:22.90 ID:HTN9VDHc0
こんな時に限って神は怒濤のようにいたずらを仕掛けてくる。 同チームでツートップ。必殺技以外のシュートは得点が無効というルールを引っさげ、ミニゲームは幕を開けた。 点を取ったらその時点でゲームセット。極めてシンプルなルールのもとでは、展開はしばしば熾烈を極める。 特に、常に目を引く活躍を見せる者には人海戦術といえばいいのか、マークがきつい。 なかなかゴールへの道筋が書けない。意思疎通がストレスなくできるフォワードがいれば、と現実逃避が頭をよぎった頃。 「白竜!こっちだ」 停滞を剣が切り裂いたかのようだった。頭はからだよりも鈍かった。 戸惑いながらの蹴りをあらわすかのように勢いを持たずに浮いたボールはそれでも目的地へと着いた。 「おまえも上がれ!」 あまりにも予想しなかった展開に、周囲も頭が置いてけぼりを喰らったようであった。 いつも反目していた「あのふたり」が。 共鳴している。同じ次元で、同じ世界を共有していた。 今、この瞬間同じものを見、同じものを考えている。この瞬間、だけ。 翼が生えるとはこんな気分なのだろうか。自由に空を飛ぶとはこんな心地だろうか。 地を蹴ったのは同時だった。 白・黒。ふたつの渦が回転し、激しく周囲を巻き込んでゆく。 空に残っていた雲すら吹き飛ばせるのではと思った。 ゴールネットが揺れた瞬間、自分が地に戻った事を知った。 一瞬襲う絶望。そしてそれを踏襲する歓喜。 普段は競争相手としてしか互いを見ていなかったチームメイトが駆け寄ってくる。 一番、反応を見たい相手を探した。
134 :
はごろも4/4 :2013/02/04(月) 09:03:10.63 ID:HTN9VDHc0
どうやら真顔に戻るところを、一瞬だけ早くとらえたらしい。 あんなにやわらかい表情を初めて見た。あどけなさとは、嶮の鎧に隠されていた。 こちらの動揺に気がついたのか、あいつはすぐに挑むような、 だが仇ではなく好敵手を見る目で強い視線を投げかける。 『また、この瞬間を』 もういちど、共有できたらいい―。 それが伝わったかどうかはわからないが、心が融和したあの一瞬を、忘れることはない。そう思っても許される気がした。 互いに立場というものがあるのだ。視線を逸らす。 雨上がりの青を刷いた空には、風に吹かれる衣のように虹がうっすらと掛かっていた。 夜。気分の高ぶりが収まらないまま、逸るからだを布団に押し込めて。 明日はなんて声をかけようか。どんなプレイをしようか。 昼間に浮かんだ言の葉が闇を舞う。 その夜、剣城はゴッドエデンを出奔した―。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>130 やっぱりその二人良いよなぁ、萌えた!
三流さんの素直と言うか真っ直ぐなところが好きだ
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 俺の部屋は奥から2番目の207号室。彼の部屋は208号室でお隣さんだ。この迷惑な隣人のせいで最近俺は眠れない日々が続く。 というのも…… 「んぅ……っ、うっ、アッ……あぁ!」 「……また始まった」 隣の部屋に住む彼の声が毎日毎日聞こえてくるからだ。 喘ぎ声が聞こえるのは決まって夜の9時付近だ。 事を始めるのが9時くらいなのか、声を抑えられないくらい興奮してくるのが9時くらいなのかは知らないけど正直うるさい。 「ひっ……あぁっ、そこはっ!」 喋っている内容は基本相手がいるような感じだが、彼は一人暮らし……彼の声以外聞こえないし多分自慰だと思う。 最初は彼だということがわからず幽霊か何かと思い、2ちゃんねるにスレたてしたものの5レスもつかない内に落ちた。畜生。 「毎日毎日本当に飽きねーな……」 性欲を持て余すのはわかる。俺も彼くらいの年齢の時は猿みたいにヤることしか考えてなかったからわかる。 けど毎日聞こえるような音量でやられると近所迷惑だ。しかも音楽とかと違い指摘しづらい。 多感な年頃の彼に「毎晩マスかいてんじゃねーよ!! うるせーんだよ!」なんて言ったらトラウマになりかねないし、ヘタしたらセクハラで訴えられる。 「あ、あ、あ、クソッ……イィ!」 いい加減うんざりしてるんで本気でやめてほしい。
もし隣に住む人が夜うるさい日が1ヶ月近く続いたら皆さんはどう思うだろう……。 「ああ、あっ、ああん!」 色々我慢の限界だった。ちょっとは家でするのを控えたりしてくれ。飽きろ。 そんなんことを考えながら俺はパジャマのまま隣の家に向かいチャイムをならした。 もしかしたら無視されるかもな、なんて思いつつ扉が開くのを待っているとガチャッと音をたてて開いた。 「はぁはぁ……んだよこんな時間に」 こんな時間にってお前が言うなって思ったけど正論だ。今の時間はよそ様のお家に訪問するには遅すぎる時間帯だ。 「こんな時間に来た俺が言うのもなんだけど無用心だね」 俺だったからよかったものの犯罪者だったらどうするんだろうこの子。 何か言おうとした口を開きかけた彼に被せて俺は言った。 「年頃なのはわかるけどもうちょっと声抑えてくれない? 毎晩うるさいんだけど」 これを聞いた彼は最初不思議そうな顔をした後一瞬で顔を赤くした。あ、耳まで赤い。 「あ、いや、その、はい。その……すみませんでした」 顔を俯かせて消え入りそうな声で謝られると、自分が悪いことをしているようでいたたまれない。早く部屋に戻りたい。 「すんなとは言わないからさ」 ここまで言ったら彼も自慰の仕方を工夫するだろう。俺が彼くらいの年頃だったら絶対する。 プルプル震えている彼をこれ以上責めるのも可哀想なので、踵を返して自分の部屋に戻る。今日はこれで眠れそうだ。
と、まぁこれが彼と俺の初めての会話だった。 それからというもの彼の部屋から喘ぎ声が聞こえなくなり、俺は安眠を貪る毎日を過ごしていた。 それが今日に限ってはそうもいかないようだ。 今、落ち着きない様子で俺の目の前にいるのは夜の騒音をやめた隣人だ。 意を決したように顔を上げて何かを言おうとしては、躊躇う素振りを見せる。はっきり言うと鬱陶しい。 「えーっと、何か用?」 あと一歩で俺の部屋にたどり着く距離で俺は彼に足止めをくらっていた。人通りの少ない廊下は俺を寂しい気持ちにするだけでなく寒い。用があるなら早くしてくれ。 「その……」 この後に及んで黙りこくる彼に、この前文句を言いに行ったこと関係だろうとあたりをつけて言った。 「……この間のことは悪かったな。ちょっと配慮がたんなかったわ」 謝るから家に帰らせろ。という気持ちを込めて誤ると彼は焦ったように手を顔の前に持ってきて左右に振った。 「えっ、あ、こちらこそすみませんでした!! いや、そうじゃなくてですね……」 「そうじゃなくて?」 「あー……、いや、その……俺あの日からオナニー全くしてなくて……」 やっぱり配慮が足りなかったか……そりゃそうだよな。近所の人にオナニーしていることがバレたうえに直接苦言を受けたんだ。やめてしまってもおかしくない。 従姉妹からもデリカシーゼロだとか絶対結婚したくない男だとか言われる俺だ。もうすこし相手を思いやるべきだったかもしれない。 そんな風に反省していると目の前の彼が爆弾発言を投下してきた。 「だから、俺とシてください!!」 「うん?」 だからの意味がわからないとか、この子ホモだったの? とか色々頭がグルグルしているしている中、俺は疑問形で返事をした。 「ありがとうございます!!」 が、この返事は彼には肯定にとれたようで、俺の腕をとり彼の住む208号室にグイグイとひっぱってきた。
規制引っかかりましたすみません。 [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
「どうしよう……」 あの話の流れから考えると、彼の中では俺と彼はセックスすることになっているだろう。 頭の中がパニック状態だった俺は腕を掴む手を振り落とすことも、あれはそういう意味で言ったんじゃないとも言えずに部屋に連れ込まれていた。 「どうかしました?」 「え〜っと君何歳かな?」 俺は犯罪者になりたくない。例え誤解による合意に基づいたセックスでも、彼から誘ってきたセックスでも年齢的に確実に犯罪だ。 「ああ、俺、20です」 確実に嘘だ。目は泳いでいるし、学生が使ってそうなカバンも部屋に置いてある。 ベッドの近くには使い古したタオルと野球帽が置いてあり、野球部に所属していることが伺われた。 部屋の周囲を見回して現実逃避をしている場合じゃない。早く誤解を解かないと犯罪者になってしまう。 [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・)サイカーイ! 「俺、犯罪者になる気ないから」 「でもさっき、シてくれるって……」 「あれはシてくれっていう意味がすぐに理解できずに、意味を言うように促してたんだよ」 本当はある程度理解していたけど、違う意味であって欲しかったから言ったんだけど、別に言わなくても構わないだろう。 「……あんたが俺にすんなって言ったんじゃないか。溜まった責任とってくれよ」 とうとう彼は開き直った。反省していた俺がバカだった。 「すんなとは言わないって言っただろ。うるさくしないんだったらどんだけシてもいいよ」 「隣の部屋の人に注意されたのにやれるかよ……」 「たしかにそうっちゃそうだけどさー。俺にお誘いをかけるよりひっそりする方が絶対いいからね」 そう言って、彼に注意しに言った日のように踵を返して帰ろうとしたが、服を掴まれる。
Q なんで俺は目の前の青年とキスしているのでしょうか? A 約束を守れと青年に迫られたからです。 「ん、むぅ……あっ」 俺は独身だったし、バイだったし、付き合っている人もいなかったし、丁度溜まっていたこともあって流された。 相手は手を出しても大丈夫な年齢だったし売り買いの関係でもない。 「あぁっ、あっ、あっ……はっはっ、うぅっ!」 それなのに事が終わった後は虚しさと罪悪感が一気に押し寄せてきた。 「……今更なのはわかっているけど、俺と寝て本当によかったの?」 「は? 嫌な相手なら誘わないっての」 情事の余韻なんてひとかけらも残さず彼は言った。 「本当はあの日すぐにヤりたかったのに4年も待ったんだぜ?」 その発言酷くない? なんて彼は真剣な目でジッと見つめてきた。 手を出せないから何年も待った〜みたいなことを言うのは普通年上のほうじゃないか? この関係はおかしい。 「それにっ、と」 彼は体を起き上がらせ、俺の付けたキスマークだらけの肢体を惜しげもなく晒した。 「夜はまだまだ長いしね。待たされた分楽しませて貰わないと」 その言葉に年甲斐もなく興奮し、それでも流されているんですよといった様子を崩さずに俺は呟いた。 「……お手柔らかに」 なんだかんだ言っても俺も嫌じゃない。素直じゃないと笑う彼にキスをしてベッドに移動した。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
セイントヤングメンでネ申×イム×ネ申エロあり 元ネタは原作者作品スレの書き込みです morara.kazeki.net/?69-143 投下制限が厳しいため保管庫に先にアップという形をとらせていただきました ご意見くださった方、代行にご協力くださった方、ありがとうございました!
>>143 ハァハァ冒頭からたまらなくって内頬噛みながら読みました
2人とも可愛すぎて悶えた…ありがとうございます!
>>143 聖人ふたりのノリが原作っぽくて萌えた!GJGJ!
>>143 このジャンルのエロで、はじめて罪悪感なく読めた…GJ
萌えたわ
148 :
根 1/3 :2013/02/09(土) 04:29:56.74 ID:JJfDi39f0
今年の大ミ可。短い。801未満 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ヤムニヤマレヌモエデ オオクリシマース! 様変わりした横浜の港では蘭語はほとんど通じなかった。山元家に戻ると、奨之助は横浜で手に入れた英語の本を日夜開くようになった。 少なくとも蘭語と同程度に使えるくらいには英語を身につけなければ、今後はものの役に立たなくなる。 長年、日本では蘭学こそが最先端だった。しかしもう、そうではなくなったのだ。 メリケン、フランス、イギリス、プロイセン、オロシヤ。オランダよりも強大な国が、世界にひしめいている。 世界は動いている。めまぐるしく。 「日真館でも、もっと西洋全般のことを教える必要があります。蘭学所を改め、洋学所として」 「ああ。んだな。しかし…」 向かい合った格真は、重苦しく言葉を濁す。彼が飲み込んだ続きは奨之助にははっきり解る。 難しいだろう。合津の改革は遅々として進まなかった。蘭学所に集まる生徒はなかなか増えず、鉄砲は足軽が遣うものという藩士達の認識も変わらない。 「教えると言っても、私の知識だけでは心もとない。新たに人材を招聘できれば良いのですが、…難しいでしょうね」 格真に二度同じことを言わせず、自分で自分に答えた。 合津藩は奨之助を日真館の教諭として雇うことは不承不承認めたものの、いまだ藩士として抱えようとはしなかった。 苦しい台所事情も推測できる。合津は上総や品川の守備に多大な出費を強いられ、多額の借金があるはずだ。諸藩の多くがそうであるように。 「このままでは、合津は遅れさ取る一方だ」 格真はたびたび奨之助に向かい、苦い胸のうちを吐き出した。 父は息子と意見を異にし、妻は男の仕事のことは解らない。妹は話が通じるが、まだほんの少女だ。 自然、奨之助が格真のやり場のない怒りを、苛立ちを、苦悩を受け止めることになる。 「オランダ式のゲベール銃も、もう時代遅れさなってる。西国の藩は最新式のスペンサー銃やミニエ銃を取り入れてるべ」 世界は動いている。 像山の教えを思い返した。日本は、日本という一つの国として列強に相対せねばならない。 だが現実問題として、どの藩が日本の舵取りをするかを争わずにはいられまい。 格真は合津をその争いに負けさせたくはないはずだ。 そのために、合津のために合津を変えようとして、叶わずに苦しんでいる。
149 :
根 2/3 :2013/02/09(土) 04:32:31.23 ID:JJfDi39f0
合津藩士であるということは、彼の背骨だ。 そのように深く根を張った藩への忠誠を、奨之助は己の中に見出すことができなかった。 身を立てるには学問しかなかった。 しかしその学問を自藩に持ち帰ったところで、活かす場は与えられないと思った。軽輩だから。三男だから。迷いもなく格真についてきた。 だが藩のために藩と闘う格真の姿を見守り続けていると、己が武士として軟弱にも思えるのだった。根無し草の性なのだと、自らを判じる。 裏庭の畑のほうから弥江の元気な声が響いてくる。あねさま、と呼んでいる。しとやかに応えているだろう、うらの声はここまでは届かない。 攘夷派の襲撃とうらの流産以来、垂れ込めたこの家の空気を、弥江が救っていた。 「私達は自分にできることをするしかありません」 「ああ…」 できることとは何か。教諭として教えられる知識を増やすことだ。最新式の銃が手に入らないなら、旧式の物を改良することだ。それから… 「…奨之助」 怖ろしいほど真剣な声に名を呼ばれて顔を上げると、格真の厳しい目がまっすぐに刺した。 「にしを合津さ呼んだのは、俺の間違いだったかもしんに」 「……」 その瞬間どんな表情になったか、奨之助は自覚できなかったが、格真は一転して宥めるように続けた。 「いや、違う、そった顔すんな。にしが居てくっち俺はどんだけ心強えか。だけんじょ、もし、にしが余所さ行きてえなら」 余所、と聞いた瞬間、脳裏に海の匂いがよみがえった。横浜の喧騒。異人の男女、目を瞠る品々。 活力が噴きこぼれんばかりにメリケンの話をし、「どうだい奨さん、合津は。息苦しくねえかい?」と笑った勝の声。 それらが渦を巻いて、鮮やかなガラス玉に凝縮する。 世界が動いている。めまぐるしく、めまぐるしく。 幻のガラス玉を膝の上に握り締めて、奨之助はにっこりと笑った。 「格真さんに出ていけと言われるまでは、私はここにいます。だからその話はもう、終わりです」 格真はふうっと息をついた。 「にしも強情だ」 その瞳が安堵していることに安堵した。
150 :
根 3/3 :2013/02/09(土) 04:40:10.73 ID:JJfDi39f0
藩士として、嫡子として夫として兄として、格真を縛るしがらみはあまりに多い。 視線を伏せながら、奨之助はできることをもう一つ見つけ出した。 合津に根を下ろすことだ。合津の人間になって格真の荷を支えることだ。 「あんつぁま。奨之助さま」 弥江が縁側から呼んだ。 「なんだ、うっつぁしい」 格真が苦笑して応え、兄妹の姿は微笑ましい。 ここに根を下ろそう。根無し草をやめるのだ。たとえ合津に拒まれても。帰る場所は、もう捨ててきたのだから。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、モエルモノハモエルモノデス! 奨さんは弥江とのケコーンすら格真のためにしてそうだと思ったら、中の人がガイドブックで似たようなこと言ってて転げた。
151 :
1/4 :2013/02/10(日) 03:54:06.85 ID:g9OlZang0
ぎりぎり現行戦隊 赤×青 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・;)ム、ム昔ノテンプレニハ未完成モおkテアッタヨネ? ※いきなりですが青さんは熱暴走しています 「…俺、売られた喧嘩は買いますよ」 ヒロムはぐいとリュウジのTシャツの襟首を掴んで引き寄せると、大きく息を吸い 「あ?」 すごんでくるリュウジに構わず、その唇を塞いだ。 「…っ!?」 リュウジがそれに一瞬怯んだ隙に、右手でリュウジの左腕を捕えながら後ろに回し腰を掴む。 左手はリュウジの右手首を捕えてそのまま壁に押し付ける。 「〜〜っ、…て、め…っ」 なんとか逃れようと動く顔を追いかけて、無理やり唇を奪う、深く、そうすることでリュウジの頭も壁に押し付ける。 「ぐ…ッ」 ごん、とリュウジの頭が壁にぶつかる音がする。 …しかし、ほんとに熱いな リュウジの熱暴走のもとである腕はヒロムの想像以上の熱さだった。 密着している身体も、腕ほどではないが熱くなっているのがわかる。 体温、40度どころじゃないな、50度…もしかしたらそれ以上? 「っ…」 息継ぎは短く、自分のペースで、苦しそうなリュウジの表情に胸が痛くなるが …早く止めるに越したことはない! 一回なるだけでも体への負担が大きんだ、とゴリサキがいつも心配してるのも頷ける。 なのに、俺が…っ もう一度、ほんの一瞬唇を離し息を吸う、また塞ぐ。 「っーー…」 酸欠気味になってきたのだろう、リュウジの抵抗はだんだん弱まっている。
152 :
2/4 :2013/02/10(日) 03:56:15.82 ID:g9OlZang0
ヒロムは目だけで必死に、事態についていけず今や置物のように二人を見ているゴリサキに合図を送る。 「…!あ、ああ…、うん!」 気付いたゴリサキは慌てて周りに散らかっている冷却グッズを見渡した。 「えーと、えーと…」 氷の入った特大のバケツを手にして、構える。 ゴリサキが準備できたのを見てヒロムはタイミングを計ろうと視線を目の前のリュウジに戻す。 こちらを睨みつけているつもりなのだろうが、苦しそうに眉根を寄せて少し潤んだ目でこちらを見るその姿は、 …! 一瞬ヒロムは倒錯的な気分にとらわれる。 抱きしめて、壁に押し付けて、動きを封じて、無理やり唇を奪って――― 違うだろ!俺は…! いよいよ自分も苦しくなったところでリュウジを開放する、後ろに飛びのきながら 「…っ、今だっ、ゴリサキ…!!」 「わかった!!」 ゴリサキがリュウジ目がけてバケツの中身をぶちまける。 「…んぅ…、あッ!?」 途端にリュウジの身体から水蒸気がたちのぼる。 ヒロムもそのままくるりと後転すると、入り口そばに置いたままだった自分の持ってきた氷水をかける。 「てめ、ら…ぁ…」 水蒸気の中から、ノイズの走ったリュウジの声が聞こえる。だめか、とヒロムが思ったその時 「リュウジぃぃいいい!!」 叫んでゴリサキがリュウジにとびかかる、持っているのは熱を奪う素材で作られた特製のシートだ。 後ろから抱き着きながらシートをかぶせる。 「!てっめ…」 振りほどこうとするリュウジを必死で押さえるゴリサキ。 「はな、せ…よぉ…!」 暴走リュウジの声はだいぶ弱弱しい、ノイズも薄くなった気がする。
153 :
3/4 :2013/02/10(日) 03:57:47.46 ID:g9OlZang0
「ヒロムも、前から押さえて!」 「…!ああ、わかった!!」 ゴリサキの声にあわててヒロムも飛び掛かる、前に垂れているシートの端を掴んでリュウジの身体に巻きつけてそのまま押さえ込む。 「くそ、おまえら…地獄、に……」 すっ、と抵抗が消えた。意識を失い膝から崩れたリュウジの身体の重みがヒロムに圧し掛かる。 「おっと…」 体勢を直してリュウジの身体を抱きかかえる。 「止まった、のか…?」 ふう、と大きく息を吐き、確認するようにゴリサキに聞く。 「うん、久しぶりだよ、リュウジの限界が来る前に止められたの…」 「でも結局、意識は失うんだな…」 「ああ、悪い〜!先にリュウジを…そこのベッドへ〜」 さっ、とリュウジの身体からシートを剥がし、ベッドに敷いてからその上にリュウジの身体を横たえる。 あとはもう慣れたもので、ゴリサキはテキパキとリュウジの身体に冷却シートを貼りつけながら 「限界まで暴れて倒れたのと、途中で止められたのじゃ身体に残るダメージが全然違うんだ。 時間も短かったし、きっとすぐに目を覚ます。」 ヒロムに説明する。 「ほら、顔も…いつもだったら酔っ払いみたいな締まりのない顔になっちゃうんだけど、今は違うし…」 「そうなのか…」 言われて改めてリュウジを見ると ずぶ濡れだが、顔はまだ少し紅潮しているように見える、ほんの少し開いたままの口からは吐息が漏れ、額や頬や首筋に濡れた髪が張り付いていた。 「…」
支援?
これに引っ掛かってるのかな。この時間帯はちょっときついかも timecount=20 timeclose=3
投下代行に次の依頼来てるね
>>151 もう書き込めるようになったかな?
無理なら代行依頼へどうぞ
洋画半生。「○○七空落ち」七×九。 68巻の「Sixty-Three」の続きでエロあり。 ちょっとだけお道具も。結構九さんが積極的です。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! あまり肉付きがいいとは言えない九の唇を吸うようにして重ね合わせた。 舐めたり甘噛みしたりして刺激を与えると、そこは真っ赤に熟れて艶を帯びる。 先に舌を絡ませたのは九の方だった。七は誘われるまま更に奥へと潜り込ませ、少し乱暴に 口内を弄る。すると思っていたよりも早く九が呼吸を乱れさせ始めた。 「……威勢の割には余裕が無さそうだな」 「っ…僕は別に、我慢比べしようとは思ってませんから……快楽は享受しますよ」 「そうか。じゃあ遠慮はいらないな」 七はニヤリと笑って九を引き寄せると、服越しに全身を撫で回す。やはり頭脳担当なだけあって 全くと言っていいほど筋肉がついていない。馴染み深い膨らみや柔らかさを感じられない ゴツゴツとした手触りが、この行為の異例さを際立たせた。 それでも止める気などない七は徐々に手を下へと運んでいき、腰周りでシャツを引っ張り出す。 そのまま唯一脂肪が付いていそうな尻の肉を掴むように揉み出すと、指先に何か硬いものが触れた。 「んっ…!」 その瞬間に九が身体を揺らす。七がそれが何か探るようにグリグリと指でなぞると、 明らかに九の声が上擦った。 「ぁ、あ…っ、は……」 やや掠れたような声が耳を擽り、彼に悟られないように生唾を飲む。もう少し聞きたくなって 指を動かし続けるうちにその正体に気付いた七は、驚きと共に九の顔を覗き込んだ。
「……コレはいつから入ってるんだ?」 「ん…プラグですか?ここに来る前に、自分の部屋で挿れてきました」 平然と答えた九にまた驚かされる。 ということは、さっきのやりとりの間もずっと入ったままだったのだろうか。 「よく平気な顔でいられるな」 「平気な訳ないでしょ……」 そう言いながら九が腕を回して抱き着いてきた。そして耳元に顔を寄せ、そっと囁きかける。 「バレるかバレないか…考えるだけで何度かイキそうでした」 吹きかけられる吐息の熱さに思わず腰の辺りが疼いた。 彼の口からこういう台詞が聞けるなんて新鮮だ。そして酷く扇情的だ。 今日の彼がどこまで乱れるのか見てみたくなった七は九の身体を抱き返し、 ひょいと抱え上げる。 「わっ」 咄嗟にしがみついた彼を落とさないように歩き、七が背中からベッドに身を預けた。 まるで九が七を押し倒したような格好になる。 「……良い眺めだ」 「こっちもだ。ところで」 「ん?」 「もしぼくが誘いに乗らなかったらどうしてた?」 彼の上着を脱がせながら尋ねる。ネクタイを引き抜いて放りやり、ワイシャツのボタンを 外してやると、既に薄く染まっている肌が露わになる。 そこにあったのは平らな胸板だけだったが、それでも七の興奮を煽るのには十分だった。 「そうだな……すごすごと部屋に帰って、一人で自分を慰めたでしょうね」 「どんな風に?」 「え?」 「ここでして見せてくれないか」 さすがにこの要求には九の表情が一変して真っ赤になる。 「っ…今、ですか…?」 「あぁ。君がイくところを見てみたい」
「………悪趣味ですね」 「そんなモノ挿れてくる君もな」 「う…」 恥ずかしさから目が泳ぎ始めた九が何だか可愛く見えてくる。促すように胸元を 撫でてやると一瞬息を飲んだが、やがておずおずと後ろに手を回した。 「んっ……ふぅ」 布越しにプラグの後部を指で擦る。潜り込んだ本体部分が内壁を押し拡げる感覚に 九は声を震わせた。 「…ぅぁ、あ……っ、ん…」 その間も七の掌は九の肌を慈しむようにするすると滑る。 脇腹を撫でられると僅かに九が反応して身体を揺らした。 「っ!は、ぁ…っ」 「ここ好きか?」 「ん……なん、か…ゾクゾク、します…」 「性感帯なんだろうな」 「もっと、触って…くださ…い」 「わかった」 七は肘を付いて上体を起こし、片腕で彼を抱えるようにして脇腹から背中へと手を往復させる。 指先や手の腹で強さを変えながら愛撫すると、体重を支えている九の腕が ぶるぶると震え出した。 「っはぁ、っ、んん…っ」 九は我慢出来なくなったのか、下着の中に手を入れてプラグを出し入れし始めた。 すっかり呼吸も乱れ、額には汗が滲んでいる。 七も手伝うように彼の首筋にキスをし、舌を這わせる。 火照った身体の熱が絶頂に近いことを感じさせた。 「ふっ、ぅ、うっ……ぅあ…!」 「…そろそろか…?」 「そんっな、の…聞かな、っで…くだっ……あ、あっ!!」 不意に九が全身を硬くした。きつく目を閉じ、息も出来ないほどの快感に感覚を支配される。 そのまま射精せずに達した彼は脱力して七の胸に崩れ落ちた。
「おっと」 「っ……ぁ…っ、ふ………ん…」 涙ぐんだ視線を彷徨わせながら小さく声を漏らす九の髪を指で梳いてやると、 心地良いのか頭を擦り寄せてくる。猫のような仕草に頬を緩ませた七は、 これから先邪魔になるだろう九の眼鏡をそっと取り上げた。 「…あ…メガネ……見えない」 「すぐ近くにいるんだから平気だ」 そう答えてまた唇を重ねる。まだ余韻が抜けない九は緩慢な動きで七の舌を追った。 キスをしながら脚の上に九を座らせ、下着ごとボトムをずらして目的の場所を曝け出させる。 僅かに顔を覗かせているプラグを指で探り当て、ゆっくりと引き抜くと 九が背を反らせて喘いだ。 「んぁ……は、ぁ…っ」 抜かれていく感覚も九にとっては快楽だ。馴染んだ異物感が去っていくことに 物足りなさを覚えていると、七がそれをまた根元まで押し込んだ。 「えっ――ぁうっ!!」 「どの辺が良い?手前か?」 「…やっ、だ、中…拡げない、でっ…!」 七はプラグで内部を掻き回す。入口よりも奥を開かれる感覚に痺れるような快感が走った。 「んっ、ん……!ぅっ…」 しつこいくらいに弄られ続け、九は七にしがみついていなければベッドに 沈んでしまいそうなほどに蕩けていた。 やがてプラグは放りやられ、代わりに中を確かめるように指を埋め込まれる。 解した甲斐もあり十分柔らかくなっていて、七はこれなら問題なさそうだと判断した。 「九」 「……何、ですか?」 「本物を受け入れたことは?」 聞きながら既に七は屹立の先端を九の後孔に宛てがっていた。 それを敏感に感じ取った九の呼吸が速まる。
「…貴方が初めて、です…」 「それならあまり乱暴にならないようにしよう」 「っ、そうしてもらえると…助かる…っ」 疲れたように吐き出し、九は全てを委ねるように七に身体を預けた。 余裕がなさそうな彼の息遣いにどこか愛おしさを覚える。 七は安心させるように軽く頬を擦り寄せてから、九の腰を掴んで ゆっくりと屹立を飲み込ませていった。 「はっ、ぁ、あ―――っっ!!」 「……っ!」 「………っ、ん゙っ、ぁ……!!」 九は信じられない強さで七の背に爪を食い込ませる。ビクビクと身体を震わせ、 必死に息をしようとする九の背中を優しくさすって落ち着かせようとした。 「…大丈夫か?」 「ふっ、っ……凄、い…ですね…っ」 「ん?」 「僕の中、に…貴方がいる…」 まだ顔は上げられないようだが、雰囲気で笑っているのがわかる。 どうせならちゃんと見てやりたくて、少し身を引いて顔を覗き込んだ。 「そうだな。他ではどうあれ、今だけは…ぼくは君のものだ」 七は額に張り付いた九の前髪をかき分けながら言った。 上気した頬に涙の跡はあったものの、彼の言葉に九は満足そうに微笑んだ。 「……そうやって、女性を夢中にさせて…るんです、ね…」 「悪い手だと?」 「っ…僕は……嫌いじゃないです」 「じゃあ次はそういう手で攻めよう」 「次があれば……ね」 言い終わらないうちに九が両手で七の頬を包んで引き寄せる。七はされるがままに 彼からの口付けを受け止め、その柔らかくも焼けるように熱い感触を楽しんだ。
それから二人は時間をかけてお互いの絶頂を追いかけた。 七は出来るだけ緩やかに、だが確実に快感を与えられるように九を揺さぶった。 九は初めての男性とのセックスを可能な限り分析したかったが 七の攻めに翻弄され上手くいかなかった。 気が付けばベッドに押さえ付けられ、奥深くを何度も叩かれ、 声も出せなくなるほどの快楽を注ぎ込まれてどうしようもなくなってしまった。 結局九は限界を迎えた後軽く意識を失ってしまい、次に目が覚めた時には 七の身支度がすっかり終わっていた。 「……どのくらい寝てました?」 「20分くらいかな」 「わざわざベッドに寝かせてくれたんですか」 「そのまま放っておくわけにもいかないし」 「ありがとうございます」 ゆっくりと身体を起こし、改めて七の格好を眺める。 これから高級カジノに向かうそうだが、その豪勢な内装や非日常的な喧騒にも 負けないだろうと思えるほどの彼の存在感にしばらく目を奪われた。 「それで?」 「……え?」 「ぼくを試した感想は?」 我に返った九に七がいたずらっぽく尋ねた。 「…最高でしたよ。あのテクニックなら誰だって貴方にハマるでしょうね」 「君からそういうセリフを聞くのはなかなか慣れないな」 「もし僕が貴方にハマって、貴方でなきゃ満足出来なくなったらどうします?」 苦笑した七に今度は九が挑発的に聞き返す。 「おいおい…これは君から言い出したことだろ?責任を取れなんて言われても困るぞ」 「そんなこと言いませんよ。もしそうなったら僕が貴方を襲って強引に事に及べばいい」
「……君に出来るのか?」 「僕は特殊装備開発班のリーダーですよ。自分より強い相手を捩じ伏せる道具くらい、 いくらでも作れる」 ですからその時は覚悟してくださいね、と九は蠱惑的な笑みを浮かべて優しく脅迫する。 「あぁ。受けて立とう」 その時を心のどこかで期待している自分を感じながら、七も口角を上げてみせた。 九を部屋に残し、七は目的のカジノへと向かう渡し船に乗っていた。 スーツの下には彼から受け取った指紋認証式のハンドガンと発信器を忍ばせている。 きっとこれらの装備は確実に自分を助けてくれるはずだ。 そう信じて彼は欲望と大金と陰謀に満ちた混沌の中へ足を踏み入れた。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 続きが読みたいと言っていただけて嬉しかったです。どうもありがとうございました!
>>151 リュウさんは暴走してるとエロさと苛めたさが3倍くらいになるよね
続き楽しみ!
えすでぃーGンダムFースの青いナイトさん×赤いお侍さん morara.kazeki.net/?%E4%BC%9A%E8%A9%B1%E3%81%A8%E9%96%91%E8%A9%B1 59スレ315〜morara.kazeki.net/?cmd=read&page=59-315 と 66スレ444〜morara.kazeki.net/?cmd=read&page=66-444 の続きです。 規制のため保管庫に直接投下させて頂きました。 保管庫の編集に慣れていなくて、変なところがあったらすみません。 読んで下さった方、ありがとうございます。
168 :
166 :2013/02/10(日) 23:45:33.03 ID:ymbnm4Sz0
>>167 すみません、ありがとうございます。
失礼いたしました、使い方のページももう一度よく読んでおきます。
・シヨウギナマモノ注意 ・現メイジン×オウショウ ・ちょっと若いころの設定で |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「今夜は僕が奢らせていただきます」 きっぱりと言い放つ砂糖に、盛内はいやいや、と首を振った。 「いや、だって、この店は僕の」 「今日は僕が君を誘ったんだから。僕が払うのが筋でしょう」 そう言うと、盛内の返事も待たずに、砂糖はレジに向かってすたすたと歩きだした。 確かにそうだけど、と盛内は思う。 食事でもどうかと誘ってきたのは確かに砂糖の方だが、自分の通い付けのこの店のことを教え、 お品書きから値段設定までを詳細にレクチャーし、電話して席を抑えてここまで砂糖を連れてきたのは盛内の方だ。 当然店代は自分が持つ、と思っていたのに強硬に押し切られてしまった。 (相変わらずやっちゃんは強引だよなぁ) 自分が後輩の騎士からは強面で恐れられていることを忘れ、盛内はくすりと笑った。 「……ここに来るのも久しぶりだなぁ」 「そうか、最近対局が続いてたもんな」 「そうだね……」 食後の腹ごなしに、と結構な距離を歩いてきた後、 砂糖の住む安アパートの畳の上で、二人は胡坐をかいてちゃぶ台に肘をついていた。 いつもなら、どちらからともなく駒台を持ち出し、過去の棋譜を並べたり終盤の研究をしたりしている所だろうが。 何故か今夜は、そんな気になれなかった。 「今頃……」 斜め上方を見上げながら盛内がぼそりと呟くと、砂糖は唇を噛んで少しうつむいた。 そして長い沈黙。
しばらく微動だにしなかった二人が、盛内はゆっくりと視線を下ろし、砂糖はきっと眦を上げ、 お互いが目を合わせるとすぐにその思考を読み合っていた。 「やっちゃん、やっぱり…気になってる?…haveくんのこと?」 盛内の一言に、再び目を伏せてしまう砂糖。 「………」 答えを聞かずとも、砂糖の悔しげな表情が全てを物語っていた。 二人の思考の先にいるのは……日本中の全騎士の嫉妬・羨望の的。 今のショウギ界を、いや日本中を騒がせている男、have。 ひょろりとした長い手足を持つ、吹けば飛ぶような青年が、次から次へとキ界のタイトルを奪取し続けている。 ショウギのことなど知りもしない人間までがhaveの言動に注目し、新聞の一面には連日その記事が踊っている。 この二人がそれを意識していないはずはない。 haveと同年代のライバル…特に盛内は、小学生の頃からhaveとは盤面を挟んで対峙していたのだ。 関西所属だった砂糖は、後に関東のショウレイ会に入ってからのライバル関係となるが、 この狭い世界では、同年代の者同士は嫌でも比較して見られてしまう。 寧ろ周りなどには関係なく、砂糖は自分から強烈にhaveのことを意識していた。 昇級、昇段、プロ入り、タイトル挑戦権の獲得、そして……。 彼は常に自分の目標だった、はずだ。 なのに、いつも追いつけなかった。気が付くと、haveはもう自分の二歩先、三歩先へと進んでいて、 あっという間に手の届かない場所へと飛び去ってしまっていた。 それが、なまじ自分の目の前で繰り広げられていたものだから、『悔しい』などという言葉を通り越して 砂糖は自らの血脈を煮え滾らせんばかりに激昂していた。 今夜も彼は大きなタイトル戦で対局している。もう結果が出る頃であろうか。 なのに、それなのに、何故自分はここにいる。何故自分の部屋で止め処もなく愚痴り続けているのだ。 どうしたら。何故。どうすれば。何故に。どうやれば、何故、自分は………。 「やっちゃん。もう泣くなよ」 え。 今なんて言った。どういうことだ。
支援
盛内が自分に向かって押し当ててくる真っ白なハンカチを見て砂糖は慌てたが、 その一部が濡れているらしいことに気付くと、更に耳まで赤くして喚いた。 「えっ、ちょっと、ぼ、僕は……っ!」 「本当に変わらないなぁ、君は。すぐ泣くし、話の途中で考え込んで黙っちゃうし、それに…やっぱり負けず嫌いで」 負けず嫌いの権化のような君には言われたくない、と砂糖は思っていたが、 それよりも、赤く熱を帯びてきた目元を見られたくなくて、盛内のハンカチを奪い取ると目を覆った。 「な、何でもないよっ!それより…もっと別の話をしよう」 「……そうだね、せっかく二人きりなんだから」 砂糖より一回り体格の大きい盛内が、意外なほど素早い身のこなしで砂糖の隣に回りその肩を抱いた。 抱かれた砂糖がハンカチの陰から見上げると、盛内は鬼のような形相で歯を喰いしばっていた。 そののんびりとした口調からは感じ取れなかった盛内の変貌ぶりに、砂糖は衝撃を受けざるを得なかった。 そうだ。悔しくない訳がないのだ。泣きたくならないはずがないのだ。 騎士の中で誰よりも、盛内にはhaveに嫉妬する権利がある。 何しろ子供の頃からその隣にいて、その背中を追わされてきたのだ。 自分などがこのように喚き散らすなど論外のことかもし知れぬ。 「………ごめん」 「何?」 「ごめん、もりちゃん、ごめん」 詫びの言葉が堰を切ったように口から流れ出て、砂糖は今、自分が泣いている、と自覚していた。 その震える肩を今一度抱き締め、盛内は歯の間から絞り出すように囁いた。 「…本当に君は、変わらないなぁ」と。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 間違っている設定が多々あると思います、ご容赦ください…。
>>166 今となって続きとか読めるなんて!
可愛い二人がおばかで可愛いくて幸せですわ
175 :
ウサギ 1/3 :2013/02/11(月) 14:22:21.15 ID:+6CNWijz0
生 ショウギのキシ ナ力ムラ夕イチ六段×HUB三冠 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース 「―――ですから、えぇ、勿論、世の中には休まないウサギも存在するわけです」 はい。良く分かります。 「でも、まぁ、そうですね、もともとカメよりも圧倒的に早いウサギ、えぇ、もし、このウサギが全く休まないで進んで行ったとしたら、どうなりますか?」 それは、やっぱり、カメとの差がどんどん広がっていきますよね。 「あ、あ、そうです、そうです、えぇ、そうなりますね」 それから、カメだけじゃなくて、きっと周りのどんなものも追い越して、一人でずっとずっと先に行ってしまうんじゃないですか? 「そうですねぇ、えぇ、えぇ、そういうことも考えられますね」 気が付いたら周りに誰もいなくなって、一人ぼっちになってて。 それでも休まない…休めないから、何時までも一人のままになっちゃうんじゃないですかね。 「えぇ、まぁ、そうかもしれないですねぇ、えぇ」 …あの、それって、ご自分のことなんじゃないですか? 「え?…あぁ、いやぁー、…そうですか?」 僕は、そう思いますが。 「まぁ、そう、ですかねぇ…」
176 :
ウサギ 2/3 :2013/02/11(月) 14:23:50.11 ID:+6CNWijz0
珍しく歯切れ悪くポツリと言って、最近短く切り揃えたらしい髪をガシガシと掻き回す。 尊敬して止まない憧れの棋士が、すぐ目の前で、少し困ったように笑みを浮かべてみせた。 そうすると、途端に周りの空気がふわりと和らいだ気がした。 伏せられた長い長い睫毛が、眼鏡越しからでも良く見える。 こんな風に近くで、しかも真正面からマジマジと顔を見れるチャンスなんて、対局の時くらいだ。 ってことは、去年のOH座戦の挑決以来か。我ながら情けない話だけど。 ただ、一つだけどうしても腑に落ちないことが。 白髪混じりのグレーがかった髪の毛を突き抜けて、フルフルと震えてる、白く柔らかそうな毛に覆われた、この物体は一体何なのか。 なぜ、憧れの棋士の頭から、ウサギの両耳が生えているのか。 ここを咎めるべきか否か、次の一手を考えているところで、急に話題を変えるかのように憧れの棋士が口を開いた。 「―――ウサギと言えば、まぁ、あのぉ、寂しいと死んでしまう、なんて言われてますね」 …あ、あぁ!そ、そうですね。なんか俗説らしいですけど、良くそんな風に言われますよね。 「じゃあ、まぁ、私もそうなのかな?」 唇に人差し指を当てるいつものポーズで、こくん、と小首を傾げてこちらを見る。 同じように、こくん、と傾げるフワフワした二つの耳。 しかも、お互いの背格好の関係で、完全に上目遣いだ。…あぁ、それ、僕にとっては反則です…。 「…だったら、」 唇に当てられていた長い指が、今度は舞うような仕草で僕のネクタイを上から下にすうっとなぞった。 そして、鳩尾辺りでピタリと止まると、棋界随一とも言われる白くほっそりとした指先をグリグリと押し付けてくる。 その途端、身体の奥底から湧き上がってきたゾクリとする感覚。 僕の邪な気持ちを知ってか知らずか、憧れの棋士はニッコリと微笑んだ。 「寂しくないように、してくれますか?―――仲邑さん」
177 :
ウサギ 3/3 :2013/02/11(月) 14:25:38.05 ID:+6CNWijz0
――――。 ――――ヘンな夢を見た。思いっ切り、ヘンな夢を。 意識がハッキリしてきて、ようやく自分がベットの中で目を覚ましたことを知る。 カーテンを引いた窓は、そろそろ白んできたらしい外の明かりを映して、ぼうっと煙ったように見えた。 枕元には、最近発売されたばかりの憧れの棋士のムック本。 もう何回も読んだけど、また読み返している内に寝入ってしまったんだろう。 あ、それでか。 Q)自分を動物に例えると? A)ウサギ Q)好きな動物、飼ってみたい動物 A)ウサギ 「100の質問」ってコーナーの答えに、同じ単語が2回も出てきたもんだから、それで頭に残ってしまったんだ。 決して、「ウサギだって……可愛い」なんて思いながら寝落ちしたせいじゃない。 あーぁ、そろそろ起きて準備しよう。来月には、今季の順位戦最後の対局が控えてる。 年明けから調子を崩して昇級争いに絡めなくなって、ようやく手に入れた憧れの棋士との対局でも満足に指せなかったこの一年。 盤を挟んであの人の前に座ることさえ、今の自分の実力じゃまだ片手で数える程しか許されちゃいない。 それでも今は、少しずつでも、ちょっとずつでも、順位を上げていくしか道はないんだ。 そうやって出来るだけ早く追いついて、あの人に少しでも楽しんでもらえるように。 そんな資格と実力を、とにかく早く手に入れなくちゃいけない。 じゃないと、あの人がずっと一人ぼっちのままだ。寂しいままだ。 だから、だからどうか、待っていて下さい。 あと少しだけ、きっと、追い付いてみせますから。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 最近、作品を沢山読めて有難いです
178 :
1/3 :2013/02/11(月) 16:09:57.55 ID:JyyrL27S0
今年の鯛画 兄×白羽織 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 何故か、と角間は思う。 結婚してからの方が、前よりも一層将之助の肌に触れたいと思うようになった。 妻の寝入ったのを確認してそっと部屋を抜け出す、 後ろめたい気持ちも妻と将之助両名に対してあるのにそうせざるを得ないのだ。 結婚を反対されて駆け落ちしたくなる若者のようなものか、とも思って見る。 前よりは不自由になった身が、将之助との逢瀬をより求めるのかもしれないと、 角間は一応の結論を付けて思考を止めた。 「将さん」 角間が将之助の部屋の前で小さな声で呼びかけると、わずかな衣擦れの音が聞こえて、 将之助が起き上がる気配がした。 「はい」 角間は将之助の返事を待って滑り込むように部屋に忍び入った。 闇に慣れた目は将之助の表情もかなり見て取ることが出来た。 いつものように穏やかな顔だった。 すべてを受け入れている顔だ、と角間は思う。 世の不条理も、もしこの先別れが来ても、きっと将之助はこんな顔をしているのではないかと思っていた。 それに甘えている自覚はあったが、改めることはできなかった。 「将さん」 角間が名前を呟いて近づけば、将之助は角間の腕の中に自分から落ちてきた。
179 :
2/3 :2013/02/11(月) 16:13:02.55 ID:JyyrL27S0
将之助は武士らしいと言ったらいいのか、情交の際に大きな声を出したりはしなかった。 必死で声を堪えているのだが、その様が角間をさらに煽った。 確かにあまり大声を出されたら困るのは困るのだが、どうしても一度、将之助のすべての箍を外させたい、 そんな暗い野望を秘めていた。 もっともそれは恨み言の一つや二つ言わせることもできない自分のふがいなさを恨めしく思っていたせいもあったが。 将之助にしてみればそれが唯一の角間に対する意趣返しのようなものだったのだが、角間は知る由もない。 「…角間さん、奥方とは上手くいってますか?」 情交の後、不意にそう聞かれて、余韻に浸っていた角間は一気に現実に引き戻された気分になった。 「な、なじょしてそんなこと…」 「すみません。ただ、私といくらこうしてても山元家の跡継ぎはできませんから…」 角間は将之助がやはり以前よりも自分に執着していることに気づいていたのだと思った。 「さすけねぇ。なんとか上手ぐやってる」 「そうですか。だったらいいんですけど」 少し微笑って将之助は角間の胸に顔を寄せた。 その様が角間にはどうしようもなく愛おしかった。 「ただ…」 「はい?」 「こんだけは言っておくんだけんじょ、裏を抱いた後将さんの所に来るような真似だけはしねぇから、だから…」 『許してくれ』という言葉は将之助の唇に阻まれて言えなかった。 言わなくていいという事か、と理解して角間は将之助の唇に更に深く分け入った。
支援?
将之助にしてみれば角間の今の言葉は殺し文句以外の何物でもなかった。 角間が自分の所に来る時は、奥方の残滓などどこにもない角間なのだ。 角間が自分の部屋に来た日は、角間の相手をするのは自分だけなのだという 自分と角間だけしか知らない秘密が出来たことが、将之助は嬉しかった。 それに将之助は角間に謝ってなど欲しくはなかった。 角間が思っている以上に、将之助は幸せを感じていた。 好きな人の側で好きなことがやれる今の状況以上のことなど望みようがないと思っていた。 それに将之助は山元家の人間皆が好きだった。 嫁に来た裏でさえも。 だから、詫びなどいらなかったのだ。
182 :
4/4 :2013/02/11(月) 19:41:39.73 ID:XCbkN2PW0
「…将さん、いつも不思議に思うのだけんじょ」 しばらく唇を重ねた後、角間は将之助を抱きしめたまま呟いた。 「なんです?」 「将さんが女だったらよかったとは、思ったことねぇんだ」 将之助はクスリと笑った。 「わたしもです。そもそも女だったら角間さんと会うこともなかったでしょうね。出石の田舎で親の決めた誰かと結婚してそれで終わり」 「そだな」 「それに、わたしは家で角間さんの帰りを待っているより一緒に仕事をする方が良いな。もし来世で選べても、きっとそっちを選びます」 「…そ、そだな、俺もそっちが良い」 角間は実は家で待っている将之助もいいなと思ったが、将之助の意見に賛同しておいた。 「ま、一番いいのは一緒に仕事が出来る女、なんでしょうけど」 「…それはなんか弥恵みてぇだな」 「確かにそうですね」 今度は将之助はクスクスと小さな声を立てて笑った。 将之助は弥恵の事を考えると心が軽くなる気がしていた。 勝気ではねっかえりだけど、綺麗な真っ直ぐな目をした少女は、やはりどこか角間に似ていて…好ましい。 「さ、そろそろ帰ってください。寝る時間なくなりますよ」 暁の八つの鐘の音が聞こえていた。 「ん。そだな」 名残を惜しむようにその日の最後に交わした口づけは、まるで初めてそうした時のように将之助の心に甘い余韻を残した。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 規制が厳しい; 書き忘れましたが兄の新婚当時の話でした。
>>178-182 大ハマリ中のカプキター!となりながら代行しました。GJ!
本当に、もっとずっと一緒にいてほしい二人。切ねえ…
>>166 すっごい萌えもあったけどそれ以上に笑い転げたわww
自分ももう続きが読めるとは思ってなかったから嬉しかったー…
書いてくれてありがとう
本編で、おにぎりは握った人の思いがこもってるからうまいんだと力説した上で
ゼロの握ったおにぎりを「なぜだか知らんがこのミョーな形のが特にうまい!!」って
喜んで食べてたおにぎり丸さんを見た瞬間の萌えがよみがえったよ
亀ですが
>>143 GJGJGJ!
イム陀がちろっとSっ気出すのが堪らなく好きなんです!ありがとう
是非ともあの可愛い二人をまたお願いします!
ここ見てるかわからないし人違いなら申し訳ないけど、『触手くん』を書いた人は『幼馴染み』を書いてくれた神ではないですか? もう3〜4年も前の作品ですが、鉄っちゃんと圭ちゃんがとても好きで完結を心待ちにしております 神様、続きはもう見れないのですか…(つД`)
>>186 昔の作品への感想は、避難所の掲示板
>>2 か、
保管庫の当該作品のページに直接書きこむ方がいいと思います。
・シヨウギナマモノ注意 ・グンマー兄弟弟子 ・ビーイチ復帰祝い |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 体を使ったスポーツの対戦とは違って、ショウギは頭脳のみを使い、長時間の対局を戦い抜くものだから、 勝った時の喜びというものは後でじわじわと染み渡ってくるものだ。 その直後に爆発的に襲ってくるものではない。 そんなこと嘘だ、と今の冨士井は思っていた。 長かった、雌伏の時。 他人から見てどうのこうの、という話ではない。 自分にとっては永遠に思えるほどの、屈辱的な日々。 最高位のタイトルを獲り、防衛を果たし、昇級に昇級を重ね、編み出した戦法に高い評価を得て称賛を浴び、 それが………その築いてきた牙城が一つ、また一つと崩れ去っていく。 言いたくもない言い訳が、自身をも傷つける自虐ギャグが、口癖のようになっていく。 止められない自嘲、取り戻せない自信。 その悪循環を漸く跳ね除けられるかもしれないきっかけを、自らの力で掴んだのだ。 対局前には思いもしなかった『内から湧き上がってくる爆発的な喜び』を感じ、 冨士井は軽い眩暈を覚えて少なからず動揺していた。 (特に長丁場でもなかったのに……年、かな…) 乾燥戦を終えて対局室から廊下へと足を踏み出した冨士井は、ぐるりと周りを見渡した。 探したのは、灯りの灯っていない部屋。 ちょっと呼吸を整えないと、同僚や幹線記者相手に醜態を晒しかねない…… そう思った冨士井は、事務局の資料部屋の冷たいドアノブに手をかけた。
(やった。勝ったんだ。) 闇の中に向かって叫びたい衝動に駆られる。 (勝った。やっと戻れるんだ。そして、今度こそ。) その衝動をかろうじて抑えたのは、元エー級騎士としてのプライド、ただそれだけだった。 (…駆け出しのぺーぺーじゃあるまいに、ぎゃーぎゃー騒ぐなんてみっともないことが出来るかよ) 先ほど感じた眩暈は既に消え去り、冨士井の身体を痺れるような幸福感が包む。 少しだけ、あと少しだけ、この極上の感覚を味わっていたい。 漆黒の闇の中で、ただ一人だけの時間を過ごしたい。 目を閉じた冨士井が、心なしか湿っぽい紙の匂いを鼻腔一杯に吸い込んだ時。 がちゃり。 ドアノブが開けられた、と同時にぱっと灯りが灯った。 「冨士井さん、何してるんですか、こんな所に入っちゃって」 聞き取りづらい、くぐもった、そして耳慣れた声が響く。 (何で、ヒロユキ、お前がここに…っ!) 驚いてドアの方を振り返った冨士井の形相に、見裏はぎょっとしていた。 涙を。あの冨士井が、涙を。 いつも人を喰ったような態度で、皮肉めいた笑みを浮かべて、あることないことを言っては人を小馬鹿にして、 とてつもなく迷惑な、でも研究熱心さではピカイチで、頼りになる兄弟子が。 およそ愁嘆場には関わりにはならない、と思っていた人の涙を見てしまった。 息を呑んだ見裏の体をくるりと裏返し、冨士井はその頭を叩いた。 「…ぁ痛っ」 「ヒロユキ、お前、このこと誰にも言うなよ。ぶっ殺すぞ」 物騒な言葉を背中に聞いたが、その声も揺らめいて聞こえて、見裏は胸の詰まる思いだった。 冨士井の昇級を祝いたかった、誰よりも嬉しいと思っていた。 そしてこの憎らしい兄弟子は、そんな自分のことをからからと笑い飛ばして、飲み屋街で連れ回すんだろうと思っていた。 それなのに…。
何か言わなければ、と思うのだが、どちらかというと口下手な自分には上手い言葉が見つからない。 そもそも、『兄弟子の涙を止める』なんて偉そうなことが出来るわけがない。 「ぁ…うぅ、あ、あの…」 わたわたと焦りまくる見裏の肩を、後ろからがっしりと掴む手。 「なーに焦ってんだよ、ヒロユキ。馬鹿じゃねえの。そもそも何でここに入ってくるんだよ。ストーカーかよ。やらしい奴。 急にお前が入ってきたもんだからびっくりしただけじゃん。勘違いすんなよな、お前」 早口に捲し立てられ、取り敢えず見裏は謝ってしまう。 「すみません……だけど、おめでとうを言おうと思って…でも、俺、見ないし黙ってますから、冨士井さん泣いてもいいですよ」 ぅああああああああああああああ、また余計な一言を付け加えてしまったああああああ。 首を竦めた見裏の頭を、冨士井は案の定張り倒してきた。 「阿呆か、お前。俺に向かって『泣いてもいい』だと?俺はお前の兄弟子だよ? 『兄より優れた弟などおらぬ』!」 「………なんすか、それ」 「あ、ほくとのけん、知らないの?お前、本当に学がないなぁ」 そのまま呆れ顔で見裏の肩を押し、廊下に出ると、冨士井は控室まで御陽気に雪崩れ込んでいった。 こんな勝ちなど何でもない、という顔をして。 (だけどもお前、さっきのことバラしたら、本当に殺すぞ) という視線を、見裏から逸らすことは決してなかった。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 例によって、細かい設定の間違いはご容赦ください…
・特撮半ナマ 注意 ・04単車乗り 家主&主人公 家主視点 エロなし 特撮スレ451さんの書き込みが元です ・勢いで書いたので設定の破綻がありましたらご容赦ください |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ケータイカラ ジサクジエンガ オオクリシマース! このところ、剣咲くんは戦いどおしだ。 昨日だって怪我をして帰ってきたのに、今朝また案デッドと戦うために走っていってしまった。 あんなに頑張っているのに、僕はその背中を見送ることしかできない。 誰かの為に走る剣咲くんの背中は、真っ直ぐで美しい。 …でも剣咲くんて、ちょっとぐらい自分のこと考えたりしないのかな。 毎日戦って、不安になったり迷ったりしないのかな。 女々しい僕は、あんな真っ直ぐな背中になれたら、といつも思う。 「ちょ、その顔どうしたのさ!」 ただいま、と部屋に入ってきた剣咲君は顔に大きなかすり傷を作っていた。 ソファに座らせ、顔の傷にそっと消毒液をつける。 「あ、痛って!」 「ごめん!」 「うっそー。このぐらいの傷でそんな顔しないでくれよ」 「でも、怪我は怪我だろ。そりゃ心配もするよ」 「…コタローは心配性だな」 僕の頭をくしゃっとして笑い、剣咲君はキッチンに向かった。
「コタロー牛乳もらうなー」 …心臓が、潰れたかと思った。早くなった鼓動が止まらない。 「おーいコタロー?牛乳もらっていい?」 「あ、ごめんごめん…いいよ。」 動揺をごまかすように、僕は剣崎くんより先に牛乳を取りに行った。 と、剣咲くんの携帯が鳴る。最近は大抵良くない知らせだ。 「ノゾミちゃん?…ムツキが?…わかった。立花さんには?…うん、ノゾミちゃんはそのまま安全な所にいて。」 電話を切るとすぐに剣咲くんはバイクグローブを手に取った。 「ちょっと行ってくる」 飛び出していく背中に何故か僕は声を掛けてしまった。 「剣咲くん!…ぎゅ、牛乳、飲んで行きなよ」 …何もできないどころかダメダメだ。あぁもうこんな時に何言ってるんだ僕の馬鹿! と思ったけれど、意外にも剣咲くんはゆっくり僕の手から牛乳を…取らずに、僕の右肩に額を乗せた。 触れた手がかすかに震えているような気がしたところで、僕にもようやくわかった。 剣咲くんも、迷っているんだ。 迷いを振り捨てる為に真っ直ぐ走り続けてるんだ。
気づくと僕は左手をぎこちなく剣咲くんの腰にまわしていた。 この細い体に、人類の未来がかかっているかも知れない、というその事実が信じられない。 「僕にも…出来る事はない?」 思わず言葉が零れた。 「…コタローは…そのままでいてくれ…」 後頭部をくしゃっと掴まれて、剣咲くんの顔が僕の首筋に埋められる。 「…うん。」 僕は、それだけ言うのがやっとだった。 ボーッとした僕から牛乳ビンはいつの間にか取られ、剣咲くんはいつもの笑顔になっていた。 「コタロー、牛乳サンキュー」 「…晩御飯、剣咲くんの好きなもの作っておくよ」 やった、と笑顔でバイクへ向かって行く背中は真っ直ぐだった。 そして小さくなっていく背中に、僕は心から願った。 いつだって僕は必ずここにいるから。 だから剣咲くんは必ずここへ帰ってきて欲しい。 たとえどんなことが、あったとしても―――― □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! レスお借りしたのになんか違うことになった気もします、451さん勝手にごめんなさいでした…
>>191 GJ!
家主も剣咲くんも健気でかわいいよー
しかしまさかこの二人の話が読めるとは…私は
>>451 じゃないけどありがとう!萌えたよー!
B/B/C シャー/ロック ジ/ョン×シャー/ロックです。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オクリシマース! 「さっきも言った」 帰るなりソファに仰向けに寝ている”お帰り”も言わない同居人に咎められた。 「…今日は何、ペン?携帯?」 「携帯。上着」 呆れた。またか。 一目見ればわかる。両手を尖塔の形に合わせ口元にあてていればだいたい行先は精神の宮殿だ。 要するに、ふか〜い考え事の最中だ。 僕が二時間前から買い物にでかけて居なかった事にすら気づかずに、 ”上着に入ってる携帯を取ってくれ”と僕に話しかけてしまうほどの。 ちょっと起き上がって数歩行けば取れるのに、彼はそれをしない。 「手足があるんだから自分で取れよなまったく」 そんな事を言ってもどうにもならない事はよくわかっているから、黙って上着に向かった。 「……おい、無いぞ」 「そんなはずはない。よく探せ」 偉そうに。 内ポケットも外も、布の底まで探ってあたりを掻き回しても無い。絶対無いぞ。 「上着じゃないんじゃないのか?」 …返事が無い。 いきなりさらに深い思考へと行ってしまったようだ。くそ、地下牢にでも入ったのか? ああもう仕方ない。洋服のどこかに入れてるんだろう。身体検査だ。 仰向けに寝ているシャー/ロックの横に立ち彼を見下ろした。 目を閉じてお祈りのポーズをしているかのような彼の姿はまぁ、嫌いじゃない。 どこか神々しいとすら思う。
ソファの前に跪き、シャツの上から手探りで探す。 見た目からしてこの体にフィットしたシャツの下には何も無さそうだが、彼は何を考えるかわからない所があるから念のため。 しかし人間の指先の感覚は実に正確だ。防弾着的なものは元より、インナーすら着ていない事がわかる。寒くないのか? 体温は…6度5分って所か。見た目と生活に反して実に健康的。 おっと、ボタンに指がひっかかったと思ったら簡単に二つほど外れてしまった。 なんでこんなに胸元がパツパツなの着てるんだか… 胸の膨らみは若干柔らかいが明らかに胸筋。普段研究ばかりしているのになんでこんなに盛り上がってるんだ? ポケットがあったとしても胸に押しつぶされてここに入る余裕は無さそうだ。 これまたピタッとした細身のパンツに奇麗にしまわれたシャツを引っ張りだし、念の為捲って目視で確かめる。うん、何も無い。 上半身に無いって事は下半身か。 パンツも細過ぎて腰骨に阻まれて前のポケットには手が入らない。当然ここには無いだろう。 て事は、彼の下敷きになってるパンツの後ろのポケットが一番怪しい。 上半身から下半身に向かって腰の左右に手を回し、ねじ込むように彼のポケット付近に手を伸ばす。 そのままジリジリと手を進めて掴むように探った所で、シャー/ロックがビクッと動いて慌てて起きようとした。 が、僕が胴に覆いかぶさるように居るから起きあがれずさらに慌てている。 「大丈夫、僕だ。シャー/ロック」 振りむいて顔を見せてやると彼は何が起こっているかわからないという顔で目を数回瞬かせると、「ジョ/ン」と言った。 「やあ。お帰りシャー/ロック。気分はどう?」 「何してる?」 「君が携帯を取ってというから探してる」 「携帯なら上…」 「上着に無いからこうして探してる」 「そんなはずはない」 シャー/ロックはやっと自分で確認しようとしているようなので一旦引こうと手をグリグリと動かした。 「ハッ…」 またシャー/ロックの身体が跳ねる。随分色っぽい反応するんだな。 その拍子で抜けたので身体を離すとシャー/ロックは何もそこまでというほど慌てたように飛び起きた。 そして自分の違和感に気づいたらしい。 シャツのボタンは中途半端に外れ、裾はだらしなくはみ出している。…しまった。 みるみる怪訝な顔になった。ああもう。
「おい、言っておくが誤解はするなよ」 「ジョ/ン、僕に何をした?」 「シャー/ロック。僕は何もしてない。上着に携帯が無いから着ている洋服の方にあるかもと思って探っただけだ」 「僕のシャツのどこに携帯が入ってるって言うんだ!一目見れば無いのは明らかだ!」 「凹凸が無いとは思ったよ。でも君の事だ。もしかして中に何か着込んでいるかもってね」 「あの下半身の触り方はおかしい!」 「…そんなつもりは無かった。でも、君はどうやらそこが敏感だったようだね」 「そんな事はない!あんな風に触られたら誰だって、…」 口ごもるシャー/ロックに驚いて目を見開いたら、それを見たシャー/ロックの口がへの字に曲がった。 「いいかジョ/ン、僕が敏感かどうかなんて僕は知らないし、どうでもいい。ああ早くしないと考えがどこかへ行ってしまう!早く携帯を!」 「だから、上着には無いって言ってるだろ。とりあえず僕の携帯を貸してやるから、ほら。」 わかりやすく話を逸らしたな。なんで僕がご機嫌を取るはめになってるんだ。くそ。 「僕のじゃないと駄目だ!」 「駄々をこねるな。調べたい事は何だ?メールか?」 シャー/ロックに画面を向けて受け取るように手を伸ばすと同時に、図ったかのように僕の携帯が着信した。 「…マイク/ロフト。」 シャー/ロックの顔がさらに歪む。マイク/ロフトからか、なんてタイミングの悪……いや…まさか。 画面を確認すると、発信者は『シャー/ロック・ホー/ムズ』だった。ああ、なんてこと。 シャー/ロックはツーンと音でもしそうなほどそっぽをむいてしまったので、結局僕が応対する。 「…もしもし?」 「やあ、ドクタージョ/ン・ワト/ソン」 シャー/ロックの推理通りの人物が出た。携帯は彼の兄が持っているらしい。一体何故? 「シャー/ロックはお目覚めかね」 「何故あなたがシャー/ロックの携帯を持っているんです?説明してください」 「先ほどそちらへ行ってね。とある案件を依頼しようと。ところが、いくら話しかけても答えなくてね。ま、昔から宮殿に行くとそうだった。 しかしこちらは急いでいたんでね。君がいてくれたら話は早かったんだが。とりあえず必ず連絡がくるようにね。」 「携帯を盗んだんですね。まったく。」
「彼が部屋に居ない君に携帯を取ってくれと話しかけていたから、取ってやったまでだ。彼、なんて言ったと思う?」
「なんです?」
「”ありがとう、ジョ/ン”…可笑しくてね。」
それで携帯を渡さずそのまま持って帰ったってわけ?呆れた兄弟愛だな。
シャー/ロックはそんな事があったのは忘れているみたいだ。
「…シャー/ロックは相手が殺し屋や悪党ならすぐに宮殿から帰って来ますよ。
帰って来なかったなら、あなたはシャー/ロックの信頼を得ているって事でしょう。早く返してあげてくださいね。必要みたいですから」
「……フフフ、そうしよう。悪かったね。それで、依頼というのは---」
通話を終えて盛大な溜息を吐く。
見ろ。シャー/ロックは癇癪を起していて依頼どころじゃないぞ。こうなる事はわかっていただろうにマイク/ロフトめ。
だが今の依頼はシャー/ロックにとってとても魅力的な事件だ。全部見通しての事なんだろう。
そんなだから嫌われるんですよ。まったく。
ああ良かった!この兄弟に関わっている限り僕に退屈は訪れそうにない!
さて、どうやってこの大きな子供を大人しくさせようか?…そうだ、さっきちょうど大人しくできそうないい手段がわかったんだったな。
うん、いい考えだ。この兄弟にはたまにお灸を据えてやらないといけない。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>57 ありがとうございます
>>191 GJでした!
剣の、しかもこの二人
今も昔も大好きなんで読めて嬉しい
ありがとう!
>>195 姐さんGJ!国営の一挙放送でハマった後発組だから姐さんの作品読めて嬉しかったです!ありがとう!
201 :
雪の蛍 1/2 :2013/02/19(火) 09:37:48.74 ID:KQA4TX2n0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 九曲長神R 田和場×登坂 寒くて目が覚めた。まだ部屋は暗い。腕を伸ばして眼鏡を探すと一気に鳥肌がたった。 体を起こすとくわえタバコで外を眺める田和場さんが見えた。窓が開いている。 なるほど寒いわけだと合点して、そこらに脱ぎ散らかされた服を引き寄せた。 「寒かったか」 窓枠で灰を落としながら田和場さんが尋ねる。 「たうぜんです」 トレーナーをかぶりながら不機嫌に答えたが、田和場さんはそうか、と言うだけで謝るそぶりも見せない。 そういう人だから仕方ないと思いつつも体は冷えていた。 ひとつ身震いして、田和場さんのジャケットを 羽織ると開いている窓に近づいた。 田和場さんの頭越しに外を覗くと、いつの間にか街の屋根屋根はすべて雪化粧してい た。 曇り空と雪のせいで、夜だというのにぼんやり明るく見える。 「積もりましたね」 この景色を見ていたのか、と考えながらもどうでもいいようなことしか言えなかった。 田和場さんのタバコの火が蛍のように明滅した。 「どうにも画にならんよなあ」 両手の親指と人差し指でフレームを作りながら先輩はぼやいた。 高い屋根や低い屋根 がひしめく住宅街、たわんだ電線からは風が吹くたびに雪がこぼれた。 「田和場さんは人物写真の方が得意ですもんね」 田和場さんは難しい顔をして景色を睨み付けている。長く伸びた灰が窓枠の雪の上に落ちた。 「ただ、この先避けてばかりはいられんからなあ」 この先、という言葉になぜだかどきっとした。 映画を観たあとにぱっと劇場の電気がついたような、そんな味気なさを感じなが ら先輩の後頭部を見つめた。 頭越しに見える景色も、どうにもならないものだった。とりたてて興味を引くものもない。 ただ、部屋が冷えきるのも厭わずにこのつまらない風景を眺めていたこの人の胸中は気にになった。 田和場さんは立ち上がり、ひとつ伸びをすると寒そうに窓を閉めた。風雪がガラスを叩き、部屋はいよいよ冷え込んだ。
202 :
雪の蛍 2/2 :2013/02/19(火) 09:38:48.58 ID:KQA4TX2n0
「こりゃあますます積もるな」 小さくなったタバコを灰皿で揉み消しながら田和場さんは呟いた。 一台の車が窓の外を横切り、地面に轍を残した。風がやみ、雪はますます眺めを白くする。 「では、明日になったら雪合戦をしましゃう。曲木にすごい雪玉を投げさせさえすれ ば、我々の大勝利です」 中指を立てて提案すると田和場さんは、 「お前はなにと戦っているんだ」 と、呆れ顔で言った。 雪は夜のうちに雨に変わり、結局雪合戦は出来なかった。どこも等しく白く染めぬい てきた雪は煤や泥の混ざったぬかるみになっていた。 本当にたった一夜のことだった。田和場さんの家から見たあの雪景色は、昼間の相貌すら私に教えることなく消えた。 その後田和場さんはあの家を引き払い、私も足が遠退いたこともあいまって、二度とあの風景を見ることはなかった。 どう切り取ったところで感動のない風景だった。けれど、毎年雪が降る季節になる と必ず、あの雪の日の窓際でタバコの火を明滅させていた彼の頭越しの雪景色が目の前にちらついてしまう。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>201 いつもごちそうさまです!
あーるは、あの時間が過ぎた後のことを考えると切ないですよね…
204 :
風と木の名無しさん :2013/02/19(火) 10:30:03.67 ID:ti1HLY0M0
使ったことあるけど朝頼んで夜ってのが遅いよ。 しかも20時とかだぜ?雨・雪だったら来ない
205 :
風と木の名無しさん :2013/02/19(火) 10:30:37.67 ID:ti1HLY0M0
ごめん。壮大な誤爆してしまいました…
>>195 超GJ! 会話文があの二人の声そのままで再生されました
お灸ってジョソ…その後の事を考えるとまた恐ろしいんだが…w
207 :
K76星・1/5 :2013/02/23(土) 21:41:19.86 ID:gey6xFh60
売る虎・獅子虎兄弟+零 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「…っ…!」 零は岩壁にしたたかに叩き付けられ、背中を預けたままずるずると崩れ落ちた。 獅子は零に打ち込んだ拳をそのまま、少し様子を見ていたが、零が立ち上がる気配が無いのを見てゆっくりと拳を下ろした。 「よし、休憩だ」 そう言い残すと、獅子は空を見上げ、両手を高く上げて飛び去った。 その後姿を睨みながら、零は呟いた。 「くそっ、こいつが無ければ、あんな奴…!」 テクタ―・ギアに覆われた拳を握り締める。 師匠だって? 訓練だって? 売る虎の星を追われた今、そんなものが何の役に立つってんだ!?
208 :
K76星・2/5 :2013/02/23(土) 21:43:47.15 ID:gey6xFh60
傍らに誰かの気配を感じて零は顔を上げた。 「今度はあんたか」 明日虎の顔を見て、零はうんざりしたように言った。 「怪我は無いか?」 「ねぇよ。こいつのおかげでな」 皮肉たっぷりにテクタ―・ギアに覆われた手を振ってみせる。 「いっその事、ぶち殺してもらいたいもんだ。これじゃ生殺しもいいとこだぜ」 「そんな事を言うな。これはお前を鍛える為の訓練だ」 「俺は売る虎の星を追放されたんだ。もう売る虎戦士じゃない。いくら鍛えたって意味ねぇよ」 投げやりな零の態度に、明日虎は溜息をついた。意味はある。だが、まだ彼にそれを伝える時ではない。 「お前には、まだ戻る場所がある」 明日虎の言葉に、零が声を荒げた。 「戻る場所? ふざけんな! 俺は追放されたんだ! 邪魔者の犯罪者だから追っ払われたんだ! 今更どの面下げて戻れってんだ!?」 そう、彼は“追放”されたのだ。故郷が“滅亡”したのではない…
209 :
K76星・3/5(ID変わりました) :2013/02/23(土) 22:50:32.48 ID:B59Etw23O
明日虎の表情が曇る。 心の奥底に封じ込めた忌まわしい記憶に、綻びが生じる……… 光の差さない牢獄。足枷と鎖。屈辱にまみれ、強いられた服従。自分を取り囲む下卑た嘲笑。 ――いい声で啼くようになったじゃねぇか、王子様よ? ――そろそろ味を覚えてきたようだな ――感謝しろよ、俺達がたっぷり可愛がってやったおかげだぜ? ――これからも犯りまくってやるからな。どうだ、嬉しいだろう? ――そうそう、お前にはもう帰る故郷(ほし)なんかねぇんだからよ ――俺達が木っ端微塵にしてやったもんな、クックック… また伸びてくる幾つもの手。 無理矢理体を開かせられ、そして… 「止 め ろ !!!!!」 「…何だ?」 怪訝そうな零の声に、はっと我に返る。 「いや…何でもない」 胸の裡に湧き上がるおぞましさを辛うじて嚥み下し、明日虎は顔を背ける。
支援?
211 :
K76星・4/5 :2013/02/23(土) 22:54:57.73 ID:B59Etw23O
「なあ…前から気になってたんだけど」 零が口を開く。 「左足のそれ、一体何なんだ?」 「!!」 何気ない零の言葉が、明日虎の胸を鋭く抉った。 マグマ/チック/チェーン… 囚われの日々の、消せない証。 これがある故に、獅子が生きていると知らされた後も、会う事を長くためらった。 そして漸く再会した時、獅子はこれについて何も聞かなかった。聞かずとも悟っていた。 獅子は只明日虎を抱き締め、唇を噛み締めて涙を流し続けた。 長い沈黙の後、明日虎は低い声で答えた。 「烙印だ」 「はぁ?」 「俺は一生、これを背負って生き続ける」 「…訳分からねぇ」 呟く零の脳裏には、獅子に同じ質問をした時の記憶が甦っていた。 問うた言葉が終わるか終わらぬかのうちに、いつもの“訓練”のそれとは明らかに違う、凄まじい一撃を食らった。 「その事は…二度と言うな!!」 そう言う獅子の拳と唇が震えているのを、零は確かに見た。 さすがの零も、この時ばかりは返す言葉が無かった。 後悔――その感情を、零は認めようとしなかったが、小さな痛む棘となって心に残った。
212 :
K76星・5/5 :2013/02/23(土) 22:59:56.38 ID:B59Etw23O
ふと、明日虎が顔を上げた。 「獅子兄さんだ」 その目線の先、空の彼方から飛んで来る影を、零も認めた。 「またかよ…」 吐き捨てるように言って、零は立ち上がった。 「零」 明日虎が言った。 「お前は、苦しみを力に代える事が出来る。今の過酷な日々に意味があると分かる時が、きっと来る」 「そいつはどうも」 言い捨てて、零は地に降り立った獅子の方へ歩いていく。 今の零には、明日虎の言葉の意味を、獅子と明日虎の苦悩を全て理解する事は出来ない。 いつかそれを知った時、零は真の「光の戦士」になるのだろう。 明日虎は対峙する零と獅子に背を向け、K76星を後にした。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 初投下です。お眼汚し失礼しました。
・半生、お$台操作選で、信条→←夢炉伊 ・前作「絶えなば絶えね」の続き、BL色は薄めですが両片思いの二人です morara.kazeki.net/?69-214 長文なので直接保管庫の方に収録させていただきました 続編の構想があるのですが、これ以上ここをお借りするのは申し訳なく 他にもネタを思いついたこともあり、思い切って自サイトを作ることに決めました。 これまで投下した作品はサイトに再録し、続きはそちらの方にアップしたいと思います サイトはまだ準備中ですが、もしどこかで見かけたらよろしくお願いいたします。 最初は単発ネタだったつもりがここまで膨らむとは思ってもいませんでした 専スレ&棚スレ住人の方々にこの場を借りて御礼申し上げます。
215 :
光が瞬く間に1/7 :2013/02/25(月) 21:38:39.70 ID:KFR/mXfB0
sfの巨匠二人、時をかける先生と短編の神様。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 作り出したか現れたのか、現実なのかSFなのか。 「分類なんて無意味なモノさ。 もし君の身に何か起こったとすれば、 それは君では無く君の先祖のせいだよ。」 なんて、貴方なら言う気がする。 ここ数日冷え込んでいたのが嘘のように暖かい。 今日だけはストーブを使う事も無いなあ・・・と、 日の射す書斎で一人ペンも動かさずに考えていた。 春眠暁をなんとやら。春は性質が悪い、 暖かいのはありがたいが つい夢うつつの世界に落ちてしまう。
216 :
光が瞬く間に2/7 :2013/02/25(月) 21:41:32.71 ID:KFR/mXfB0
ああ、こうなったらもう駄目。 布団まで行くことすら億劫だ。 ここなら転寝しても風邪は引かないだろう、 まあ別に引いたところで何でもないが。 誰に聞かせるわけでもなく言い訳をこぼしているうちに、 少しずつ意識が世界からフェードアウトされていった。
217 :
光が瞬く間に3/7 :2013/02/25(月) 21:48:57.39 ID:KFR/mXfB0
夕方まで起きることは無いと思ったのに、 気づけばつい先刻までの書斎の風景。 陽の光は更に空を包み込んでいるらしい、 眩しく感じるほどに。 起きたばかりだが感覚は覚醒している。 気持ち身体も軽い。でも何か違う、なんとなく、何か。 なんだ、貴方ですか。 まだ迎えに来るのは早いと思いますよ。 宇宙には興味があるけれども、そういった兆候はありませんので。
218 :
光が瞬く間に4/7 :2013/02/25(月) 21:53:20.60 ID:KFR/mXfB0
随分若返って・・初めて会った時と変わらないじゃない。 スラリとした長身痩躯、年の割りに幼くあどけない、 だけどなかなか読ませてもらえない その美しいポーカーフェイス。 ずるいなあ、僕だけこんなに年取っちゃって。 その薬欲しいですよ。 それとも宇宙に行くとみんな若返るのか? まあ向こうに行ってからの楽しみにします。 だからタネは明かさないで下さい。
219 :
光が瞬く間に5/7 :2013/02/25(月) 21:59:55.05 ID:KFR/mXfB0
手を取って何をするつもりでしょうか。 「宇宙人」は透けるものだと思っていたから少し驚いた。 そして、あまりにも懐かしい体温にも。 長くしなやかな指先が、花を愛でるように優しく僕の指先を包み込む。 束の間の一瞬が永らく開いた空白を埋めるような、 そんな都合のいい、けれど酷く心地良い何か。 はにかんだ微笑みは相も変わらず気品に満ちている。
220 :
光が瞬く間に5/7 :2013/02/25(月) 22:05:31.16 ID:KFR/mXfB0
ああ・・またどうしてこんな時に、こんな事はめったに無いのに。 美しいだけでは唯の思い出だ。 宇宙での下世話な風俗、愚かしい宇宙人、最新の乗り物、 聞きたい事が山ほどある。 出来ることならこのまま貴方を帰したくない。 もう二度とカレー食べてる時に肥料の話はしませんから、 安心して一緒に居ましょう。 駄目なのですか?その曖昧な笑顔は・・ 保志さん、暁を覚えない僕を許してくださいね。 ごめ・・な・・・さい・・・。
支援
222 :
光が瞬く間に6/7 :2013/02/25(月) 22:13:42.01 ID:KFR/mXfB0
起きたのは予想通りの午後3時。 身体の芯から暖かいのは、中身は忘れたが夢のせいか。 特に感じる指先の温もりは・・ この年で指でもしゃぶっていたのだろうか。気持ち悪い。 それとも、ありえないが、美しい誰かが暖めてくれたのか(不細工は嫌だ)。 まあなんでもいい。とにかく気持ちよく寝られた。オオタのせいか?
223 :
光が瞬く間に7/7 :2013/02/25(月) 22:19:20.00 ID:KFR/mXfB0
そういえば、とある古い友人は妙に僕の指先が好きだったようだ。 彼曰く「程よく綺麗だから好きなんだ。綺麗過ぎないから余計愛しい。」 褒められているのか貶されているのか、よく分からないが・・・。 さて、もう一度寝ようかな。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 長時間失礼いたしました・・・
・シヨウギ生もの ・リユウオウ×オウシヨウ |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「うわあああああぁぁぁっ!!」 千駄ヶ谷の街中に響く、時ならぬ絶叫。 それが、あの砂糖安満の口から発せられたのだから、驚いてしまうというものだ。 (……ああ、やってしまった……最悪だ……あんなに気を付けていたのに) 後悔先に立たず、とはよく言ったものだ。 自分の右手をまじまじと見つめながら、砂糖はたった今やらかしてしまった最悪手を振り返っていた。 午後からの予定までにはちょっと空き時間があるから、と向かったシヨウギ会館で、 事務方への業務連絡と世間話をした後に、砂糖はちらりと対局室へ顔を出した。 行われていたのは、各級のジュン位戦。 外の寒気とはまた違った、ぴんと張りつめた空気を感じる。 その対局の中で、自分が今『指してみたい』と考えていた戦法を展開している騎士を目にし、 砂糖はそのまま大長考に陥ってしまった。 自分の保持しているキ戦の最中ということもあり、つい読み筋を広げていってしまい、 砂糖が現実に立ち返ったのは、結構移動時間が厳しくなってきた頃だった。 (あー…不味いですかね、これは) 慌ただしく会館を出て駐車場へ向かった砂糖は、いつも通りに愛車のドアに手を伸ばした。 (あ、やばい……っ!) いつも通り、と思っていたのは自分だけだった。 やばい、右手にカギとキーホルダーを持ってない、ポケットの中だ、と思うのと、指先から静電気が走ったのは同時だった。
そして冒頭の絶叫。 頭の中は真っ白で、静電気で弾かれた指は痛むし、何より『静電気は身体に悪い』と思っている人間が 不注意から『放電出来るキーホルダーによる放電』を忘れてしまっていた。 精神的にも大ダメージだった。 寒いから、と着込んできたダウンジャケットも、身体に帯電させてしまう不味さに拍車を掛けていたかもしれない。 「ああああ、何やってるんだか……」 心底落ち込んでいた砂糖の後ろで、けらけらと笑い声が起こる。 涙目で振り返った佐藤に、面白そうに手を振ってきたのは綿鍋アキラだった。 「なーにやってんすかー、砂糖さん?」 膝までのコートにマフラーにブーツに手袋、と、寒さ対策万全の綿鍋は、 にこにこ顔で砂糖の傍らに駆け寄ってきた。 「マイカーっすか、いいっすねー、かっこいいなー。ウチはチャリンコしかないから羨ましいなー」 とても羨ましそうな顔で車の方へと手を伸ばす綿鍋に、砂糖は思わず『危ない!』とその肘を掴んでいた。 「え?……え、さ、砂糖さん、どうしたんすか」 目を丸くして自分を見詰めてくる綿鍋。 間に合ったのか運が良かったのか、綿鍋が静電気に襲われてはいないのを確認すると、 砂糖はその場でへなへなと脱力してしまっていた。 「はー、良かったー……」 「ちょwwwwww一体何なんすかwwww説明して下さいよ」 「…うん、実はね、今……」 溜め息交じりに事の顛末を話す砂糖に、再び綿鍋の口からは快活な笑い声が漏れた。 「はははっ、やだなーもー砂糖さんはー、良い人過ぎますよー、僕の心配なんかしなくていいのにー」 「い、いや…綿鍋君に何かあったら大変だから……」 さっきと今の一件で、既に心に深手を受けていた砂糖は、 青ざめた顔に浮かんでいる汗を無意識に手で拭っていた。 自分は痛い目に合ってしまったけれど、綿鍋に何もなくて良かった。 本当に良かった。 心から、そう思っていた。
ふう、と息を吐いた砂糖を見て、一瞬の後に真顔になった綿鍋は無言で頭を下げた。 「……?」 眉を上げて自分を見遣る砂糖の表情に、綿鍋は内心苦笑をせざるを得なかった。 (全くこの人は……今のやりとりでぴんときてねーの? 砂糖さんて、対局中もそうだけど、相手の心理を読むよりも自分の感覚を優先させちゃうんだよなー。 今の俺の頭ん中も、全然読もうとしてないし。 すごく気は遣えるけど感情に鈍感って、どんな人間だよ。あり得ねーよ) 顔には出さないつもりがついにやけてしまいそうになり、照れ隠しに咳払いをしながら 綿鍋は砂糖の耳元に口を寄せた。 「……砂糖さんの弱点は『でんげき』なんですね。覚えときますよ」 そして、疑問符を頭の周りに沢山飛び回らせている砂糖を置き去りにして行ってしまった。 (え?で、電撃?一体何のこと……あ、もしかして歩毛門…?) 今度は慎重に放電してから車内に乗り込んだ砂糖が綿鍋の発言の意味をおぼろげに理解したのは、 午後から参加する予定になっていたイベントの会場に時間ぎりぎりにたどり着いた頃だった。 イベントで使われるゆるキャラの被り物に出迎えられた砂糖は、 綿鍋が投げてきたボールから飛び出たぴか注が自分に向かって電撃を放ってくる様を想像し、 その場で卒倒しそうになるのを必死に堪えていた。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 例によって、細かい設定の間違いなどはご容赦下さい…。
取れ淫素保゜ってぃんぐ レソトソ+ビョーキ野郎 ※映画版準拠、本編開始以前にレソトソが薬物断ちをしているとき、という設定です ※エロなし、二人がラリってイチャコラしてるだけ ※妄想&捏造アリなのでご注意を |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
安フラットの一室。まだ日は高いものの、電気が通っていないので薄暗い。 「……で、禁ヤク生活一日目のご感想は?」 金髪の男は訪ねて来るなりそう尋ね、ニヤニヤしながら口唇の片端を皮肉に釣り上げる。 俺が黙って顔を背けると、そいつ──ツックボーイはわざわざ俺の正面に回り込み、下からのぞき込むようにしてクソッタレな笑顔を見せ付けてくる。 「人が聞いているのにそうやって無視するのは感心しないな、マーク・レソトソ君」 発音こそ俺たちの愛すべき(!)スコッ卜ランド訛り丸出しだが、このOO7オタクの腐れビョーキ野郎がさらりとスーツを着こなしてこんなキザったらしい台詞を吐くと、どういうわけかサマになるから余計に腹立たしい。 腹立たしいからなおいっそう無視を決めこんでやると、ツックボーイは「ハイハイ、降参降参」とでも言うように肩をすくめ、両手をヒラヒラさせて見せた。 そして当然のような顔をして、俺の真横にどさりと腰を下ろす。床には種々雑多のゴミが散乱しているが、奴は一向にお構いなしだし俺も気にしない。 何しに来た、という俺の問いには答えず、奴は何かを取り出す。 改めて見るまでもない──クスリだ。注射器をボールペンのようにくるりと回して見せると、ツック・ボーイは最高に嫌味な笑みを浮かべて片目を瞑った。 そして俺は、こいつがわざわざ俺の居場所を探してやって来た理由を確信するに至る。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
すみません、ID変わってますが
>>227-228 です。
連続投稿に引っかかってまったので、代行依頼スレに行こうと思います。
不手際をお詫びします。
今年の鯛画 兄×白羽織の人 ☆ネタバレがあるので嫌な人は決して見ないでください! 感想BBSのアドバイスに従い、規制回避のために毎日2レスずつ 使わせていただこうと思います。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! その音を聞いた時、角間は盲いた目に一瞬、鮮やかな色が甦ったような気がした。 「風鈴、か?」 「じぇ〜音色だったから買ってきた。じぇ〜でしょ?」 そう言って弥恵は少々乱暴に風鈴をゆすった。 リンリンとけたたましく鳴るその音には風雅も余韻も何もあったものではないと角間は苦笑を漏らした。 「珍しくお前がんだな風流な物買ってぎた思ったけんじょ、やっぱりお前だな」 「そんなに珍しいべか?」 弥恵がふくれっ面をしているのが見えるようで、角間は少し微笑った。 角間には弥恵の気持ちは分かっていた。 目で涼をとることのできない自分にせめて音ででも、という気遣いだろう、と。 京の夏は江戸の夏とも故郷の会津の夏とも違っていた。 どこも暑くないわけではなかったが、盆地特有の上から蓋をされて蒸されているような京の夏はまた格別の暑さだった。 まだ初夏だというのに、じわりと汗がにじんでくる。 だから覚馬のために出初めたばかりの風鈴を弥恵は見繕ってきたのだ。 「弥恵」 「え?」 「ありがとなんし」 「あんつぁま…」 やっぱり笑顔になった弥恵が見えるようで、角間はまた少し微笑んだ。
弥恵が去り、一人になった部屋で耳をすましてみるが、風が無いのか、吊るされているはずの風鈴は音を立てていなかった。 風鈴と聞くと、角間には忘れられない思い出があった。 江戸で蕭山の学問所にいた頃、まだ将之助に出会ったばかりの頃の事だ。 将之助はまさに風鈴のように涼やかな男だったと思う。 そんな将之助が土産に風鈴を買ってきたことがあった。 将之助が買ってきた物は弥恵が買ってきただろう、青銅製の余韻のある音の物ではなく、 色ガラスの美しい『チン!チン!』と軽やかな音を立てる物だったが。 「綺麗でしょう?つい買ってしまいました」 遠い日の初夏の夕暮れ、座敷で書き物をしていた角間の元に風鈴を下げて嬉しそうにしている将之助がやってきた。 女子供みたいだと思い、角間は少し苦笑して将之助を見上げた。 「あれ?水菓子か水密の方が良かったって顔してますね」 将之助は角間の呆れ顔にも臆することなく、いつもと同じひょうひょうとした態度で静かに笑っていた。 「そっだらことはねぇけんど」 「本当ですか?信用できないなぁ。合津の人は質実剛健が徹底されてますからね。無駄な物はお嫌いなんじゃないですか?」 「…確かにそういうところもあっかもな。だけんじょ、俺は嫌いではねぇ」 将之助は意を得たりといった風ににっこりと微笑んだ。 [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 消化不良だったので… ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 捏造しまくり | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ シエンガテラ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
233 :
一人男 :2013/03/02(土) 01:36:21.79 ID:qWBc0YBxP
ーーそして死が訪れた。 「なにそれ、それで終わりですか?」 「終わりだよ」 「俺がかわいそうじゃないですか」 先生の唇が開きかけたところにキスをする。 「コーヒーのお代わりは?」 「もらおうか」 今読んでもらっていたのは先生の執筆中の自伝的私小説だ。 つまり僕も出ているけど、初めて家に上げてもらったのは卒業してからだし、患ってるのは痛風だし、元恋人のジムは死んでいないし、チャーリーのすてきな髪はウイッグだ。 先生の講義はとても魅力的だったけれど、どうも先生に作家としての才能はないみたいだ。 それでいい。先生の魅力は僕だけが知っていればいい。ジムもチャーリーもお呼びでないのだ。 「先生」 先生の眼鏡を外しながら目を覗き込む。 「犬、飼いませんか」 ジムが犬を連れていなくなったのは本当だ。 「散歩は君がしなさい」 「一緒に行きましょう、健康のために!」
234 :
一人男 :2013/03/02(土) 01:38:41.68 ID:qWBc0YBxP
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | 書くの忘れてた | | ∧_∧ たくさんのイケメンの裸が拝める映画、寝具ルマンです | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
今年の鯛画
>>230-231 の続き
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「わたしも角間さんのそういう所嫌いじゃないですよ。でも、一見無駄に思える物の中に本当は必要な物があることもある気がしませんか?」
そう言いながら将之助は開け放たれている板戸越しに手を伸ばし、手の中の物を吊るしはじめた。
なんだか禅問答みたいだったなと思っていると、風が吹いて、チンチンという軽やかな音色が聞こえた。
「なかなか良い風が出て来ましたね。今夜は涼しくなりそうかな」
そう言いながら戸外を見詰める将之助の後姿を角間はぼんやりと見つめていた。
初夏の夕暮れの淡い光に将之助の白い羽織が映えて、綺麗だと思った。
「綺麗な物を見ると手に入れたくなったり、触れてみたくなることってありませんか?」
突然振り向きざまに将之助にそう聞かれて、角間ははっと我に返ると、なんとなく将之助から目線をそらした。
「さ、さぁ…」
「桜の季節に桜を手折ったことないですか?わたしはついそうして、叱られたことがありました」
「俺にはあんまりそう言う情緒はながったから」
「本当に?」
角間は一度合わせた視線を再び将之助からそらして、落ち着くために一度ごくりと喉を鳴らした。
「あ、ああ、本当だ」
「角間さん」
将之助が名前を呼ぶから、仕方なく角間は一瞬の間をおいて将之助の方にゆっくりと向いた。
その瞬間、将之助に軽く袖口を引かれた。
何をするつもりだと思う暇さえなく、気が付けば角間の顔の間近に将之助の顔があって、唇が一瞬触れ合った。
「…すみません、どうしても触れたくなって」
悪戯をした子供みたいな顔でそう言って、将之助は角間の袖から手を離そうとした。
角間は気が付けば離れていく将之助の手を掴んでいた。
「角間さ・・・」
そのまま将之助を引き寄せて、今度は角間は自分から将之助の唇に自分のそれを重ねた。
深く分け入ると、将之助はそれに応えてきた。
こんな衝動は無駄な物だ、とどこかで冷静に思っている自分がいた。
何の実も結びはしない、世の中の役にも立たない、それに実は一つ将之助とこうなるのに危惧していることがあった。
でもその時の角間には、その人生には、必要な感情に思えた。
それに何より、この衝動にあらがえない自分がいた。
将之助の着物を乱していく手間がやたらまどろっこしく感じられた。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
>>232 しえんどうもです!
裸いっぱい寝具ルマン気になりましたw
※上のカウントが間違っていました;上のは4/10です。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 乱してみればいつもきちんとした身なりをしている将之助との落差が歴然としていて、それがまた角間の情欲を煽った。 ついでに髪を結わえている紐もほどいれやれば、汗ばんだ将之助の頬にしどけない様子で髪が乱れ落ちた。 下帯を取り去ったところに顔をうずめれば、将之助の耐え切れず漏れたような上ずった声が聞こえた。 普段はこんな欲など知りませんとでもいうような取り澄ました顔をしている将之助の欲に上気した顔を、角間は時折満足げに見やった。 「か、角間さん、もう…」 切羽詰まった様子で腰を引こうとするのを逃がさず、角間は口内に将之助の欲を受けた。 それを嚥下して、さらに欲を吐きだしたばかりで敏感になっている将之助の菊に舌を這わした。 「あ・・・!」 将之助は口元を手の平で抑えて、声を殺していた。 将之助のそこは本来男を受け入れるべきところではない。 だが、将之助は角間にそれを許しているのだ。 それを思うと、将之助がひとしお愛おしくなってくる。 「河アさんが、好きだ」 一度菊を責めるのを止めて、将之助の目を見詰めてそう言えば、 将之助は呆けたような焦点の定まらない目に少しだけ理性の光を宿らせて角間を見詰め返した後、はらはらと泣いた。 「な、なじょした!?」 「なんでもないです!続けてください!!」 今度は口だけでなく顔全体を手のひらで覆って、将之助は絞り出すような声で言った。 角間としても最早ここで止められる状態ではなかったので、将之助の言葉に甘えるように愛撫を再開し、夢中で将之助の中に己の熱を埋めた。
抱き合った熱がようやく引いた頃には、辺りはもう夜の気配を帯びていた。 将之助が言った通り、涼しい夜になりそうだった。 しきりに尚之助が買ってきた風鈴が音を立てていた。 さっきまでは全然耳に入らなかったなと思い、角間は苦笑してそれを見やった。 将之助はゆっくりと起き上がると、脱がされた物をやはりゆっくりと着付け始めた。 角間はいつもの通りの将之助に戻っていく様をぼんやりと眺めていたが、不意に思い立って将之助が髪を束ねようとしていた手を止めさせた。 「角間さん?」 「俺がやる」 櫛を取って来て、将之助の髪を綺麗に梳き、紐で結わえる。 いや、結わえようとするのだがこれがなかなかうまくいかなかった。 将之助はそんな角間を鏡越しに見て忍び笑いを漏らしていた。 そんな将之助の様子を見て、角間も何故かおかしくなって笑った。 「上手ぐいかねな」 「角間さん不器用だから」 「俺は不器用か?」 「不器用ですよ」 そうしてまた二人で笑った。 [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
227の続き、トレスポです。しばらくネットを使えない状態だったのですが、 復活したので続きを投稿させていただきます。 >PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「汝、ヘ口インの悦楽の極みを味わいたくば、断薬中の者の傍らにて打つべし」 聖書を読み上げる牧師よろしく大げさな口ぶりでフザケたことを言うと、奴は針を自分の腕に突き立てた。 そして、自分で自分を焦らすかのようにゆっくりとピストンを押す。 「んっ、ぁー……やべえ、これ、本気で上物じゃねえか……」 言いながら、そのまま後ろにどさりと倒れ込む。見慣れた光景。 恍惚とした表情で、顔面の筋肉は弛緩しきり、半開きの瞳の上では長い睫毛がざわざわと揺れる。 一部の隙もなくキメたはずのスーツ姿はすっかり乱れ、シャツの裾がズボンから飛び出し、クスリで痩せた腹が覗く。 あられもない、とはこのことだ。 「女の子もいいけど、こっちも最高だな。……まったく、やめようとする奴の気が知れねえ」 切なげな吐息混じりに漏れ出る声は、そのヘ口が本当に上物だということを物語っていた。
……。 …………。 …………………………………。 思案すること約二分。 「……修道院長のところに行ってくる」 これが最後、本当に最後の一発だ。 そう堅く心に誓って、俺は安フラットを後にしようとする。だが。 「待て、おい、待てよ」 振り向くと、奴が上半身だけ起こして何かの包みをひらひらさせている。 「大親友のサイモソ・ウィリアムソソ様が、どうしてお前の分を用意してないと思うんだ?」 ──かくしてマ一ク・レソトソの脱ヤク宣言は、1日ともたずに撤回されることとなる。 ほどなくして俺たちは小汚い安フラットの床に仲良く体を並べ、仲良く左腕の静脈に注射針を刺していた。 隣りでツック・ボーイがモゴモゴと何かを言っているが、キマり過ぎていて呂律が回っていない。 だが言っている内容はわかる。それはこうだ。 ──Welcome back to our shite club, Renton. その軽口にfから始まる卑語で返すと、俺は目を閉じてめくるめく快感を受け入れる準備をした。
英国の日没は早い。さっきまで高かった日はもう傾きかけている。 角度が変わり、黄金色の夕陽が汚れた窓越しになだれ込むと、瞬く間に部屋中を同じ色に染め上げた。 いや、それは単にトリップで誇張された光景なのかもしれないが。 そんな夢うつつのなかで、ふと俺は遠い昔の日々を思い出す。 あいつも俺もまだ餓鬼で、日が暮れるまでサッカーをしたあとは、こんな風に寄り添って草むらに身を横たえたものだ。 もっともあの頃は奴も俺もヘ口インのヘの字も知らなかったし、場所だってこんなゴミだらけのフラットでなく、何より頭上に広がるのはどこまでも広く澄み切った空だった。 ……なぁ。 ……ん? ……ちょっと昔のことを思い出してた。 ……実を言うと、おれもだ。 隣りで、ふっと笑みを漏らす気配がする。 いつもの人を小馬鹿にしたような嫌味なものでなく、奴がなかなか人に見せない、本心からの笑顔。 だがそんな甘やかな郷愁も長くは続かず、上等のヤクだけが見せてくれる鮮やかな幻覚に呑み込まれていく──。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
今年の鯛画
>>235-238 の続きです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「河アさん」
しばらくして改まった雰囲気で声をかけると、将之助もその気配を察したのか、顔から先程までの笑みを消した。
「なんですか?」
「…今さら、こんなことをしておいてなんだけんじょ、一つ聞いておきたいことがあって…」
「はい」
「河アさんと、蕭山先生はその…何か…」
角間にしては珍しく歯切れの悪い言い方だったが、聡い将之助にはすぐに角間のいいたいことが理解できた。
「蕭山先生とは何もないですよ。師匠の情人を寝取ったと思ってたんですか?」
「・・・」
誰だって疑うだろうと角間は思っていた。
蕭山の側にはいつも小姓のように将之助が付き従っていて、師を徹底的にまで下へ置かない態度は尋常ならざる関係を思わせた。
将之助に対する懸念はそこにあって、角間をもって将之助に一歩を踏み出させぬ要因になっていた。
「ただとてもご尊敬申し上げているだけですよ。それに…」
「それに?」
「先生は私より虎次郎さんの方が好きなんじゃないかな?」
「虎次郎さん…?」
角間の頭の中に狂気に似た情熱を持った虎次郎の顔が浮かんだ。
将之助がいつもは静かな海なら虎次郎は燃えさかる炎のような男だった。
なるほど、蕭山なら将之助より自分に似た性質の虎次郎を選ぶだろうと角間は得心した。
それから勉学の合間に角間は将之助と度々情を通じた。 いや、今思えば情交の合間に勉学に励んでいたのか、とさえ思える。 閉塾となって将之助と別れて江戸から会津に戻る時に、将之助に貰った風鈴は大事に持って帰った。 しかし今はもうどこにもない。 将之助自身さえも。 あの時情を通じなければ将之助を一人さびしく死なせることはなかったのだろうか、と思う事はあるが、 きっと何度あの時に戻れたとしてもやはり自分は将之助を抱くだろうと思っていた。 妻の事も愛しく思わなかったわけではないが、自分で選んで、抗いきれぬ衝動に身を任せたのはただの一度きりだった。 恋をしたのは一度きりだった。 視力を無くしてから、不思議なことに目を閉じると物が色鮮やかに見える気がしていた。 故郷の山の緑、空の蒼、幼い弥恵や三朗の笑顔、将之助の白い羽織。 そんな美しい物ばかりが見えて、でも目を開けると目の前には何もないのだ。 [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 風が無く、弥恵が買ってきた風鈴はちっとも鳴らなかった。 その時、不意に人の気配を感じて角間はぐっと気配の方に神経を集中させた。 最近は目の代わりに皮膚がその役目を果たすようになっていた。 風の流れや空気の微妙な変化で自分の周りに何があるのか、誰なのかをある程度予想できた。 弥恵はもういない。 それにこの気配は弥恵ではない。 でも角間はその気配が誰のものか良く知っていた。 「…将さん?」 信じられない思いで呟いてみるが、当然、返事はなかった。 しかし何故か風もないのに風鈴がひときわ甲高く『リン!』と鳴った。 「将さん!」 もう一度声をかけてみるもやはり返事はなく、捉えていた気配も消え失せた。 その代わりひどく冷たい一陣の風が、一瞬、角間の頬を撫でて行った。 「将さん、今度は一緒に帰ろう。会津に。二度と一人にはさせねぇ」 それでもずっと言いたかったことを呟いて、角間は見えない空を見上げた。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 割り振り間違いで9で終わりでした。 色々申し訳なく…。 長々とすみませんでした。
>>244 恋をしたのは一度きりとか、目を閉じて見えるものとか、角間の最後の言葉とか、
切な過ぎて泣いた。゚(⊃д`)゚。
将さんはきっとこうして、角間に会いに来るよね。何度でも。
トレスポ、241からの続きです。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! トリップから醒めると、すっかり日が暮れて暗くなっていた。 ツック・ボーイは汚れたジャケットを丁寧に手で払い、シャツをズボンに突っ込むと、ネクタイを締め直しにかかる。 これからまた女の子でも引っ掛けに行くのだろう。 俺はデニムのポケットに手を突っ込み、しわくちゃに丸まった紙幣を何枚か探り出す。 「いくらだ?」 細身のソリッドタイを鏡も見ずに器用に締めながら、奴は空いている方の手を振って見せた。 「レソツ坊やが半日ガマンできたご褒美だ。そのブツは喜んで進呈しよう」 「ふざけるな。カネは払う」 「お前のその悔しそうな顔を見られたんだ、代金としてはそれで充分だな」 来たときとそっくり同じ格好に戻ったビョーキ野郎は、やはり来たときとそっくり同じ嫌味なニヤニヤ笑いを顔に張り付け、言った。 ……少しでも友達だと思った俺が馬鹿だった。こんな腐れ野郎に義理を立てる必要はない。
そうだなぁ、とヤク道具一式を片付けながら、ツック・ボーイは思案げな表情をして見せた。毎度のことながら言動がいちいち芝居がかってワザとらしい。 「そうだな、今度お前が禁ヤクするときは、おれも一緒に付き合ってやるよ」 「……何のつもりだ?」 「決まってるだろ。苦しむお前をよそに軽々とこなして見せて、優越感に浸っ──」 「とっとと失せやがれ(Fuck off)!!」 返事の代わりに、奴は背を向けたまま片手を挙げる。そして歩き去る。 まったく、俺はなんだってあんな野郎とつるんでいるんだ。 怒りにまかせてタバコを引っ掴み、火をつけた。 肺腑いっぱいに煙を吸い込み、そして吐き出す。 暗い部屋に広がる紫煙を眺めながら、こんな毎日がいつまで続くのだろう、と俺はふと思った。
人生を選べ、出世を選べ、バカデカいテレビを、洗濯機を、車を、コンパクトCDプレーヤーを──クソだ、バカバカしい。 じゃあ、「OO7オタクのビョーキ野郎といることを選ぶ」のは? ──一番ありえない。言うまでもないだろ──俺は笑う。 俺は立ち上がると、一瞬でも浮かんだバカげた考えをタバコと一緒に放り投げ、踏み消した。 ──……だいたい、選ぶまでもなく奴はいつでもそこにいる。ヘ口インみたいなものだ。 ──…………。 ──………………なかなか得難いヘ口インだ、程度には言ってやってもいいが。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 初投稿でミスやらトラブルやらが多く、ご迷惑をおかけしました。
249 :
悠然としたフォルムで1/11 :2013/03/08(金) 16:25:42.00 ID:91eir5g+0
この間はコメントありがとうございました。 またしても俺得な自給自足です。短編の神様×時をかける先生。 時系列は1960年代ぐらいで・・・。 >PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
250 :
悠然としたフォルムで2/11 :2013/03/08(金) 16:29:13.72 ID:91eir5g+0
「んん・・っ・・」 二度目ぐらいの絶頂を迎えたあたりでどちらともなく動きを止めた。 俺はあまり汗をかく体質では無いのだけれど、なかなか病弱な己の身体に少し無理をさせてしまったようで、 先程から首筋や背筋を伝う水滴の感覚を数回ほど感じている。
251 :
悠然としたフォルムで3/11 :2013/03/08(金) 16:32:20.77 ID:91eir5g+0
しかし、もっと大変なのは下にいる男の方だろう。 言うまでも無いが、下の階とか下の部屋ということではない。 俺に組み敷かれている、俺の下にいる男の事だ。
252 :
風と木の名無しさん :2013/03/08(金) 17:07:50.71 ID:91eir5g+I
規制がかかってしまったので、投下代行スレに続きを書きました。 長時間すみませんでした…。
B/B/C シャー/ロック ジ/ョン×シャー/ロック
>>195-198 の続きです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
喚いているシャー/ロックの肩を掴みソファに押し倒す。
「何だジョ/ン!」
「黙れシャー/ロック。」
虫の居所が悪いシャー/ロックが起きようと躍起になる。
残念だな、僕は昔から人を押さえ込む事が一番得意でね。
シャー/ロック程度の身長と体つきなら僕が腿に乗り上げ腕と肘で押さえつければ何をしても起き上がれない。
真っ向から抵抗しても無駄だと悟ったシャー/ロックが一体何なんだという顔で僕を睨む。
「いいか、聞けシャー/ロック。僕は決して君を襲っちゃいない。君の言う通り携帯を探してやったんだ。」
「携帯を探すために何故僕のシャツを脱がす必要があるのかは疑問だがもうそんな事はどうでもいい、どけジョ/ン!」
「シャー/ロック。君はお兄さんの件で機嫌が悪い。今のは売り言葉に買い言葉だ。
君は僕が襲おうとしたとは本気では思っていない。そうだろう?なのに僕に八つ当たりするなんて間違ってる!」
ああ、頭に血が昇って来たぞ!そうだそうだ今日という今日は言って聞かせてやらないとな!
「僕は悪くない」の一点張りで長文がズラズラと繋がって出てくるこの口を黙らせたくなるのはいつもの事だ。
だけど今日は折れてやるつもりはない!ああいい機会だ。もう絶対許してやらないんだからな!
両手首をひとまとめにして片手で掴みシャー/ロックの頭上にある肘掛けに押し付けて見下ろす。
それにカチンと来たのか、余計に止まらなくなったお喋りは僕のプライベートにまでヅカヅカ踏み込んでくる。
彼女に送ったメールの内容についての批判はやめろ。あれは久々の自信作だったんだぞ。
そんな事言ったって君のホームページより僕のブログの方が閲覧数が多いんだからな。見てろ、シャー/ロック。
「いい加減黙らないとこうだ。」
スル、とシャツの隙間に手を入れて指先を肌に這わせる。生理現象で浮き立つそれを見つけてキュッと摘まんでやった。
「どう?」
「こういう低次元な抗議は僕には効かない。君こそ僕に黙って欲しければ早くどくべきだ!」
「へぇ?敏感な君が効かないって?」
摘まんだままクリクリと指を動かせばすぐに芯が通ったように堅くなった。 「、ジョ/ン!くすぐったい」 「そうだ。自分で触るのとは全然違うんだぞシャー/ロック。やめてほしかったら早く君が悪いって事を認めろ」 「僕は悪くない」 「じゃあやめてやらない」 先端を小刻みに擦るとくすぐったそうに身体を捩る。 「僕はしつこいぞ。君が二度許しを請うまでいじり続けてやるからな!早く謝った方が君のためだぞ」 「僕が謝るわけないし、許しを請うなんて事は一度だって有り得ない。第一こんなものは簡単な脳の…っ、」 うるさいからちょっと強めに摘まんでやった。 「脳のなんだって?」 ほら、見えている肌がピンクに染まってきたぞ。 「っ強くするな!」 「ああそうか、君は今みたいに強く摘ままれるのが良いんだな」 少し強めに潰すように摘まむとシャー/ロックの喉がヒクついた。 「ほらみろ。鳥肌が立ってきた」 「寒気がすれば鳥肌ぐらい誰でも立つ」 減らず口め。 それにしても本当に謝らない。 だけど時間を置いてたまに強めに摘まむとフッと鼻に抜ける息を吐くようになった。 こうやって見ると、君ってわりとセクシーだったんだな。 僕がしばらく黙ったまま弄っていたらシャー/ロックも喋らなくなった。 目を閉じて口は少し開けているけど声が出てこない。 よーし、黙らせる事にはとりあえず成功だ。 さあ、あとは謝罪の言葉! 「『ごめんなさい』だ。シャー/ロック。」 「……」 「シャー/ロック」 「…僕は悪くない」
頑固だな。ありがとうは促せば言えるのに、ごめんなさいは嫌がるんだからな。まったく。 「それはもっとしてほしいって意味だな?」 「こんなものに意味はない」 麻痺してきたか? いじっていなかった方の乳首に移動して爪先で弾いてやった。 シャー/ロックの身体がビクンと揺れて、それに驚いたのかシャー/ロックは横を向いてソファの背もたれに顔を押し付けた。 「今のはいい反応だったね」 反論がない。 指の腹で上下左右に擦りあげればこっちの乳首もすぐに堅くなった。なかなか順応が早い。 留まっていたボタンを上から全て外して左右に捲った。 「ジョ/ン!」 勢いよく振り向いて睨みつけてきたから、わざと目を見つめてやった。 「身体がいつもより随分赤いみたいだね」 舌をペロッと出したらシャー/ロックが「こいつまさか」って顔をした。察しがいい。 そのまま倒れ込んで指で弄っていない方の乳首にしゃぶりついてやった。 「、君は赤ん坊か!!」 「母乳は出ないみたいで残念だよ」 ちゅくちゅく、ぢゅ、と湿った音が響く。ああ鳥肌が凄いな。このまま焼いたらクリスマスに持って来いだ。 「…ジョ/ン!」 「ごめんなさいは?」 舌先でつついてやれば芯の残っていた乳首が敏感に反応する。 シャー/ロックの足がソワソワさまよい身体を捩ろうとする。そんな色っぽい顔して、これで感じてないって? 「……僕は、あやまらないっ」 「何?」 キュッと強く摘まむと全身に電気が走ったようにビクビクと痙攣した。 「ジョ/ン…やだ、ぁ…」 「『やだ』ねぇ。君はそれを『許しを請う』とは言わない?」 「言わない…っ」
ああ、謝れば済むのに君はなんて頑固なんだ。 「しょうがない。じゃあ、変わりにもう僕を疑わないって誓うんだ」 グリグリと擦り追い上げていく。 「……僕はっ…君は、もう二度と僕にこんな事しないって、思ってる…」 ん? んん? 「シャーー/ロック!僕は今君を襲ってなんかいない!」 「っ説得力が無い」 …確かに。 僕は一体今何をしているんだ? 「君が謝らないから!」 「君が僕を襲うのになんで僕が謝るんだ?謝ってほしいのはむしろ僕の方だ」 くそ、僕の指が止まったからか饒舌に喋り出した。 「待て。いや、違うぞ。なんかずれてきたぞ」 僕は彼になんで謝らせたかったんだっけ? 「……失礼するよ。ジョ/ン。」 背後から突然聞こえた第三者の声に僕は転がる勢いで振り向いた。 そのせいで腿を押さえつけていた腰をうっかりあげてしまったものだから 隙をついたシャー/ロックが僕から逃れるために勢いよく起き上がった。 おかげで本当にソファから転がり落ちるはめになる。 情けない仰向けのまま、見下ろすと言うより見下しているマイク/ロフトにニッコリ笑いかけた。 「やぁマイク/ロフト。…元気?」 天を仰いで溜め息を吐くマイク/ロフト。誤解だ。ああいや、いつも通り事の顛末は全てお見通しみたいだな…。 「シャー/ロック、携帯はここに置いておく。あとでジョ/ンに持ってきてもらうといい。」 「二度と人の携帯を勝手に持って行くな!」 「おまえは無防備過ぎるって事だ。くれぐれも気をつけなさい。それじゃ、おやすみジョ/ン。」 「…ああ、おやすみマイク/ロフト。」 僕にも刺さる釘をどうも。ハァ。
「ジョ/ン」 凡人の僕はまだ色々なショックを受けている最中だっていうのに、君には通じないんだな。 やれやれと携帯を取りシャー/ロックに渡す。 「ありがとうジョ/ン」 …。 ああ、もう。 どちらからともなく吹き出し、僕らはひとしきり笑った。 ああ可笑しい。一体何をやっているんだろう。 「君は変態だな」 「君は無防備だ。気をつけないと」 「そうだな。気をつける」 クスクスと笑い続けるシャー/ロックの乱れたシャツから覗く白い肌は新雪みたいだ。 思えば僕は子どもの頃からまだ誰も踏み込んでいない真っ白で平らな新雪を見たら、喜んで足跡をつけたものだ。 「…気をつけないと」 僕は笑いながら、独り言のようにそう呟いていた。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 読んでくださってありがとうございました。
>>257 非常にGJと言わざるを得ない
萌えました!
>>249-252 続き
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「大丈夫かい?」
「大丈夫といえば大丈夫ですが・・・先生こそ大丈夫ですか。」
「俺はとても疲れたよ。タオルを取ってきてあげよう。ひどい汗だね、よほど感じたんだ。」
「・・・いつも一言余計ですね。ありがとうございます。」
何が彼の気に障ったのか、少し考えたがよく分からないので頓挫した。それにお互い全く失念していたようだが、
「、すみません、まだしばらく動かないでいただけますか?」
「え・・ああ、これは失礼。」
二人はまだ繋がっているのだ。申し訳ないが。誰にだ
「・・・どうだったかな、ご感想は。」
「・・・それを聞きますか」
「聞きますとも。」
本当に先生はご婦人の扱いに慣れていない様でなにより・・・・と言いながら泣き笑いの奇妙な表情を作った。君はご婦人では無いだろう。
「色々な職務があって忙しかったもんでね、あまり明るくないんだよ。そちら方面には。」
「ハハ、じゃあそんなアナタに抱かれてる僕の立場はどうなるんですか。」
「ううん・・さしずめ愛玩用テディベアか。僕のように扱い方を心得ない子供でもこうやって楽しめる。しかも人肌の温もりまで味わえるのだから相当良い会社に作られたに違いない。」
「・・・相手が僕で良かったですね。」
なかば冗談半分で語る俺となかば呆れながら返答をする彼との笑いがシンクロする。
洒落の分かる年下の男は、たまにこうして年相応の笑顔を見せてくれる。
何かと大人びている彼にしてはたいそう珍しい瞬間だが、そんな貴重な光景を見せてもらえているのだから神に感謝しなければ。
こういった瑞々しい麗らかな心地を要約するとどうなるのだろう。現状よりすっきりするのだろうか・・・いや、あえて辞めておこう。この蜜月が夢になってしまったらいけない。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
細切れ&長時間の占拠申し訳ありませんでした・・・。
※細かいレスに分かれていたものを代行者がまとめたので、分割の分母は11ですがこれでラストです
>>260 ああ〜萌えた
語り手の適温なユーモアがある801スバラシス
乙です
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「矢部さん、どっちどっち?」 突然、鼻先ににゅっと突き出された二つの握り拳が、私を現実に引き戻した。琴引浜の 砂の上に立って、いつもの如く、手持ち無沙汰に煙草をくゆらせながらもの思いに耽って いた私は、面喰らって、悪戯っぽく瞳を輝かせてこっちを見上げる若い恋人の無邪気な笑 顔を見返した。 「こっち」 と、イスラム教徒が不浄の手とした方を握る。 「ざーんねん、外れ」 玲(れい)はペロッと舌を出して、同時に両手を開いてみせた。箸やペンを持つ方、ピッ クを持って弦を掻き鳴らす方、そして、ベッドで私を愛撫する方の掌に、薄紫に光る小さ な貝殻が載っていた。 「やっぱ左が好きなんやなあ、矢部さんて。職業病ですか?」 「咄嗟にそんなジョークが出るようになるほど、いろんなこと勉強してるんやな」 「あはは。でも入党はしないですから」 さらりと言って、波打ち際に歩き出す。靴と靴下を脱ぎ、ジーンズを捲り上げる。今日 は暑いほどの陽気だ。燦々と降り注ぐ陽光に、玲の金髪と素足の白さが眩しい。ひたひた と打ち寄せる春の波に両足を浸して、振り返る。
「矢部さんも来たら?気持ちいいですよ」 「いや、俺はええ」 まだ、腰が冷える、と尻込みするほどの年でもないが、一緒に海に浸かって大はしゃぎ、 という年でもない。外見など主観的事実としても、希望的観測を含んだ客観的事実として も、中年とかオジサンとかいう年ではなく、どちらかといえばまだ青年とか兄ちゃんとか 呼ばれる部類に入るだろうが・・・・という、微妙な年頃。 玲よりは十歳年上だ。玲は昭和のドン詰まりもドン詰まり、六十三年十二月二十某日の 辰年生まれで、私は午年生まれである。左翼思想の持ち主である私が元号を使う時はこん な時くらいしかないのだ。ついでに、多くの左翼思想家がそうであるように、かなり極端 な無神論者なので、本当は干支もあまり好きではない。
「海って広いなあ」 玲は、ステージの上にいる時のように、少し芝居がかった調子で、顔の前に手をかざし て水平線の彼方を見る。遠く、一隻の船影が白い波を蹴立てて、かなりの速度で移動して 行く。 「Get over the horizon Go beyond the limit」やな。口には出さなかったが、彼の代 表曲「果てなき世界へ」の一節を心にそっと呟いた。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! すみません。ナンバリング間違えました。 投下するのかなり久々で、色々とシステム変わってるみたいで、 手間取ってしまって申し訳ない。
名前欄もおかしいですね。何度もすみません。
半生注意。洋画「大統領/吸血鬼狩り」 辺リーと栄部ラハム。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「ぐあっ!!」 私に溝尾を蹴り飛ばされ、栄部は真っ暗な部屋の天井近くに叩きつけられた。 さすがに少しやり過ぎたかもしれない。今日は虫の居所でも悪かったのかやけに突っ掛かってきた。 訓練中も微妙に集中しきれていないせいで、普段ならしないようなミスをしては 無駄に傷を増やしてばかりだ。このまま続ければ訓練どころではなくなりかねない。 私は服に付いた埃を払いながら彼に中止を告げた。 「……今日はここまでだ。さぁ、戻って傷の手当をしよう」 「っ………まだ、だっ…!!っまだ…やれるっ…」 栄部は灯りのない部屋の床に手を伸ばして斧を探す。それは全く見当違いの場所に 転がっているのだが、見つけ出せないのは部屋が暗いせいだけではないはずだ。 恐らくさっきの一撃で脳震盪を起こしているだろうし、そうでなくてもこの部屋で 訓練を始めて2時間以上経っている。今日のような衝動に突き動かされているだけの 戦い方では体力も倍以上消耗しているだろう。 「もっと、強く…ならないと……っ!こんなんじゃっ…!!」
傷だらけで自分の身体を起こすこともできないくせに、言うことは立派だな。 半ば呆れながら栄部に歩み寄る。 「いいか。強くなりたい気持ちはわかるが、その前に死んだら元も子もないだろう?」 「まだ……やれる…っ……斧……斧は、どこだ…?」 「………栄部?」 「…辺リー…?どこだ……いないのか…?」 どうやらとっくに限界を越えていたらしい。すぐ側にいる私に気付けないほど 意識も朦朧としているようだ。 身動きも取れず、周りの気配も感じ取れない。奴らの恰好の餌食じゃないか。 ここにいるのが私で幸運だな、君は。 とは言え、私も聖人君子ではない。正直に言えば少々揺らぐ時もある。 こういう激しい感情を秘めた人間の血はどんな酒よりも我々を酔わせる。 憎しみ、怒り、悲しみ――そういった感情が強ければ強いほど極上の味わいなのだ。 私はそんな血を飲んだことは無いが、本能でそう感じ取れる。 そしてきっと彼の血は美味い。飲まずとも匂いで解る。 そんな栄部の血を私は毎日浴びている。殴ったり斬り付けたりして垂れ流させているが、 それを舐め取って吸い尽くしたいと思ったことが一度も無いとは言えない。
だがそんなことをしたら彼を失ってしまう。それどころか彼に殺されるかもしれない。 それだけは避けなければ。 「…続きを………っ、辺リー…斧を……」 栄部はボロボロで動かない身体を意思だけで操ろうと、心の奥底に渦巻く憎悪を全身に巡らせていた。 暗い部屋に充満する強い匂い。激情を纏った血がそこら中に飛び散っている。 目の前には無抵抗に近い男。身動きも取れず、周りの気配も感じ取れない。恰好の餌食だ。 「……全く手を焼かせる…」 私も今日は虫の居所が悪いのかもしれない。 「辺、リー……立たせ…てくれ…っ」 「いい加減にしろ。今日はもう終わりだ」 私はポケットから小瓶を取り出した。中身は少し強めの鎮静剤だ。 こういう時は眠らせた方が早い。蓋を開け、中の液体を一口より少し多めに含む。 うつ伏せだった栄部をひょいとひっくり返すと、口移しでそれを彼に飲ませてやった。 「―――っ!!?」 気道に入らないように頭を抱え、深く唇を重ねて中に流し込む。 驚いて吐き出そうとする彼の舌を絡め取って多少無理に飲み込ませた。 「ん゙っ………んう、っっ…!!」 抵抗できないのをいいことに、私はそのまま口内をくまなく弄って彼の血の味を堪能した。 頬の内側の傷から滲む血を掬い取り、赤く染まった歯列を拭うように舌を這わせる。 切れた唇の血も唾液に混じった血も、何もかも全て取り込むように何度も吸い上げた。 [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! 最後は代行お願いしてきます
「……っ…!!」 あぁ……何て美味いんだ。 憎しみが香りを増し、怒りが濃厚に絡み付き、悲しみが深く染み渡る。 ここまで美味いと感じることはそうそう無い。思った通り、彼の血は極上だ。 ほんの少しだけ我を忘れて口付けを交わした。口元から顎にかけて伝っていた分まで 舐め取るほど夢中になって味わった。 だがゾクゾクと背筋を奔る興奮がそれ以上を求めだす前に自分の身体を引き剥がす。 いつの間にか栄部は意識を手放していた。薬が効いたようだ。 「……良い子だ。ゆっくり眠れ」 力無く項垂れた彼の頭をそっと撫で、身体を抱え上げる。 熱が出てきているな…早く治療してやらないと。 「君に死なれては困る……私の為にも」 奴らに全てを奪われたのは君だけではない。 いつか私が自分の為に君を利用していたという事実を打ち明けた時、 君は私を許してくれるだろうか。 私が君の最も忌むべき存在であるという真実を、君は受け入れてくれるだろうか。 ――いや、まだそんなことを不安に思う時ではない。 彼を一人前のハンターとして育てること…今はそれだけを考えよう。 私は栄部を抱えて真っ暗な部屋を出た。外は少し雲がかかった寒空が広がっている。 じきに雨が降るのかもしれないな。 ……彼が目を覚ました時に、さっきのキスのことを忘れてくれていればいいのだが。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
旧局朝仁R 田和場×登坂 ※未成年が喫煙する場面があります |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 裸のまま煎餅布団にうつぶせていた。日に焼けた畳は乾ききった色で、かさかさと毛羽立っている。北風が安普請の窓を鳴らし、すきま風がうなじにかかる髪を冷やした。 田和場さんは下着姿で新しいタバコの封を切っている。箱をトントンと叩いて数本生えてきたタバコのうちの一本をくわえ、火をつけて煙を吐く姿が、今日はやけに旨そうに見える。 「一本吸わせてくださいよ」 何気なく頼むと、田和場さんはあからさまに嫌そうな顔をした。 「お前未成年じゃねえか」 「気にするんですか、そんなこと」 「吸い方も知らない奴にやるのはもったいない」 「だーいじゃうぶ」 私は中指をたてて答える。 「私ももう高校生、タバコ位たしなみます」 「その発言は色々と問題があるぞ」 ぶつぶつと文句を言いながらも、田和場さんはタバコを一本渡してくれた。 「タバコは高校生で覚えて、卒業と同時にやめるもんです」 「めちゃくちゃだなお前は」 呆れ顔の田和場さんをよそに、私は辺りにライターを探した。しかし、ライターはちょうど手の届かないちゃぶ台の端に乗っかっている。わざわざ起き出すのも面倒だ。 「ライター取ってくださいよ」 「馬鹿、枕が燃えるだろう」 そう言うと田和場さんはかなり短くなった自分のタバコから、私がくわえているタバコに火をうつす。タバコの先と先がふれ合い、葉の燃えだす小さな音と共に細く青白い煙が上がる。 先程はいかにも喫煙者めいたことを言ったが、実際吸うのは初めてである。咳き込みでもしたらみっともないな、と懸念していたが果たしてそれは大丈夫だった。案外体はすんなりと煙を受け入れた。 ――田和場さんも吸っているくらいだ、どうってことはないだろう。 その田和場さんは吸殻を灰皿の上で潰し、若干顔をしかめながらこちらの様子を見ている。汚れた枕や、畳に焦げ穴が開くことを恐れているのだろう。 いざ吸ってはみたものの、煙がうまいという感覚はどうにもわからない。うまいと言うなら焼き肉弁当の方がよほどうまいと思う。 落ち着く、あるいは気分が高まるというのもいまひとつ実感がわかない。たき火の煙とタバコの煙と、いったい何が違うのか。
きっと一口二口吸ったくらいでは味や効能はわからないのだ。そう考えて私は肺深くタバコの煙を吸い込む。 しばらく胸の中に煙をためていたが、特に何も起こらない。 若干のつまらなさを覚えながら煙を吐き出すと、何故か視界が揺れた。 と、同時に煙を出した肺になにかがこびりついているかのような不快感。 私は思わず口を押さえた。 「こら、灰が落ちる!」 あわてて灰皿を差し出した田和場さんの姿も何となく歪んで見える。 「どうした?」 「何でもないです」 気取られまいと努力するが、タバコに関してはあちらに一日の長がある。 たった一口吸っただけでこんな有り様だなんて、絶対に知られたくないのだが、どうやらそれは無理な相談らしい。 田和場さんは心得顔で、 「ニコチン酔いしたならもうやめとけよ」 と言った。ニコチンに酔うことがあるなんて知らなかった。その知らないと言うこと自体に腹が立つ。
だからこそ、ここで素直にはいさうですか従うのは敗北であり、私の主義に反する。これは私に対する挑戦だ。 「なんのこれしき、負けませんよ、私は」 こういって、吐き気をこらえてもう一口無理矢理煙を肺に入れようとすると、頭を思いきりはたかれた。 「もったいない吸い方をするんじゃない!」 衝撃で怯んだ隙に、手元のタバコが奪われる。今吸った煙が胸を焼く。私は不服ながら枕の上に伏せた。 田和場さんは私の吸いさしのタバコを平然と吸う。ヤニの茶色く染みた壁に、また煙が吹きかけられた。 何故あんなに平気でいられるのかと思うと釈然としない。私は最強だというのに。 田和場さんは不満げな私に気づくとニヤリと笑い、 「お前にはまだ早い」 と言いながら顔に煙を吹きかけてきた。思わず咳き込む私を田和場さんは妙に楽しそうな顔で見ている。煙が目にしみ、涙が出た。 「…ひきゃうですよ」 抗議と共ににらみつけると、田和場さんはおどけたように笑った。先ほどより旨そうにタバコを吸う横顔を睨むと先輩は、 「まぁ、慣れんことはするな」 と言ってあやすように私の頭を軽く叩いて天井に向かって煙を吐いた。 私が吸っていたタバコは田和場さんの口許で次第に短くなっていった。六畳間はゆっくりと煙に沈んでいく。私はひどいめまいを感じていた。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>273 乙です
一連の同カプ物は同じ方かな
毎度まさかこの2人で!と思って読むのに引き込まれる説得力ある描写と空気が好きだ
r二次はみな祭りの後のような寂しさと切なさと痛さがツンと来るのう…
二度目投稿失礼します。かっとなってしまいました。 生 鯨人 六値湖角×rl20108イ立青傘 &#160;|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!&#160;
先輩なんぞ、と思う時期がありました。 『ミクダスナンテナマイキダ』 会社の中では、駒にしかすぎず、好い先輩後輩関係なぞ、紡げるはずがない、と。 「雅仁ー!…やっぱり似合うわー!」 「あ、あの、個角、さん?」 「なあ、仲丘も思わん?」 「うん、似合うと思うでー」 「買ってきますね!」 「ちょ、」 おかしい。今を時めく路っ値とそのマネージャーさんが仲良くこの夢の鼠国に行くコトはいいことだ。 しかし、なぜ、それのプラスαが俺なのだ? おかしい。 「はい、チーズ!…あとで、携帯に送りますね」 「はあ…」 「ん?雅仁、見煮ー似合ってたで?」 「いや、このようなモノは、可愛らしい女性が、無駄にテンションを高めるために、必要なものでありまして、」 「雅仁かわええやん」 「はあ?」 虫を怖がり甘味を好む、先輩の方こそ可愛らしいのではないのでしょうか?少なくとも俺には女性らしさも高いテンションも何もない。なぜ真顔なのだ。おかしいのか、先輩は。 「…何に使えば」 「ええやーん!思い出やって!」 「件ちゃん素直やからなあ」 なぜ笑ってるのだ。おかしいのか、先輩方は。
『ハンセイシテルカセイイヲミセロ』 「今日はお付き合い、ありがとうございました」 「いや、こちらこそ、お邪魔で…」 「なにを!?誘ったのはこちら側なんですから」 笑顔のマネージャーさんに、これだから路っ値は成功し成長してるのだなと思う。素晴らしい人だ。 「ああ、それと。今日のホテルですが、僕と仲丘が同じ部屋、個角と同じ部屋になりまして…」 前言撤回。おかしいのか、この人も。 「楽しみやな!雅仁!」 「…俺はどのようなリアクションをすれば?」 「素直に喜びや!」 「え…」 仲丘さんの笑い声が聞こえた。 ホテルに着いた途端にベッドにダイブする個角さんに思わず苦笑いを浮かべる。鼠の耳を吟味していた先程と同じ姿だ。 「…雅仁、冷たない?」 「はい」 「即答やん」 「いつも通りですよ」 えー!と叫ぶ個角さんから背を向け、軽く整理を始める。 抱き締められたのは、その時だった。
支援
「…何を、」 「雅仁、忘年会のときは抱き付いてくれたのに。素直になりや」 いやに真面目な声色で、身体が固まる。先程の姿勢とは違う個角さんに、目の前がくらくらとする。 「…離して下さい」 「いやや、俺、お前のこと好きやもん」 耳元で低い声を出され、思わず力が抜ける。 『もう、堅い話はええですよ。俺がさっきこいつに言うたから』 いつもへらへら笑って、女子かといじられる、先輩のくせに、 「お前がココを出ようが、後輩やなくなろうが、俺は雅仁を大切に思ってんねん…こんな状況やないと、雅仁も受け入れてくれんやろ?」 いつも、個として筋を通し、優しく、凛々しく、立っている。
『…ありがとう、ございました…』
『ん?…ああ、別に。俺が好きでやったことやし』
個角さん。俺は、あの頃から。
『あ、名前何て言うん?俺は個角堅位置朗。あんま絡んでない後輩の名前、覚えんの苦手やねん。ごめんな』
名前も知らない、こんな俺を助けてくれたあの日から。
俺の夢だった世界に、光を見出してくれたあの日から。
「俺も…」
 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 
現行のブログにかっとなりました。すみません。
読んでくださり、ありがとうございました!
また、規制により途中での停滞、迷惑をかけてしまい、申し訳ございませんでした。
>>280 さん、支援ありがとうございました!
今年の鯛画 11話から 三朗→白羽織の人 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! いつの頃からだったろう、と三朗は考える。 幼いころからずっと兄の、会津の役に立つ男になりたいとは思っていた。 でもそこに、あの人の、将之助の役に立ちたいという思いが加わり始めたのは。 最初に会った時には将之助はもう立派な大人で、三朗から見れば将之助は年の離れた兄がもう一人出来たという感じでしかなかった。 思慮深くて優しくて、何事にも通じていて、兄の役に立つ。 将之助のような男になりたいと思った。 それなのに一向に将之助を認めようとしない会津に腹が立つようになった。 でも兄ならそのうちどうにかできるだろう、そう思っていたのに兄は将之助を残して都に行ったきりになった。 勿論兄のせいではないが、時折もう何度も読んでいるだろう兄からの文に目を通している将之助の姿を目にする。 そんな時の将之助はひどく頼りなさげで、兄に対して理不尽な怒りに似た感情が湧いてきて胸がざわつくのだ。 それと共に段々三朗にはわかってきたことがあった。 兵馬や首里と話している時の兄は将之助と話している時とは違って見えた。 勿論身分や役職の違いもあろうが、そんなものだけではないように思えた。 それに一度三朗は銃の改良途中で将之助が手に怪我をしたところを見たことがあった。 『さすけねぇですか!』と声をかけて近寄ろうとしたけれど、 その前に近くにいた兄がやおら怪我をした将之助の手を取ると流れる血もそのままに傷口を舐めとった。 三朗は何故か慌てて柱の陰に隠れた。 『深くは切ってねぇようだな。だけんじょ膿むといけねぇからちょっと待ってろ』
そう言い残して兄は角場を去った。 三朗はおそるおそる柱の陰から顔を出して将之助を見た。 将之助は今しがた兄の舌が這ったそこをじっと見つめていた。 普通に考えれば怪我の具合を見ているのだろうが、三朗にはそんな感じには見えなかった。 今にも自分の舌もそこに這わせそうな、そんな雰囲気だった。 その時の将之助は三朗が見たことのない顔をしていた。 それはひどく綺麗で、どうして自分がそう思うのか、訳の分からないうちに心臓が高鳴っていた。 その時の事や兄と将之助の事をきちんと理解して自分の気持ちを認められたのは兄が旅立ってからだった。 未だ若輩の身では将之助の役にも藩の役にも立たないことがひどく苛立たしい毎日だった。 自分よりはまだ姉の方が将之助の役に立っているような様子なのも三朗の焦りをより大きなものにしていた。 それで狭川の元に入隊を願い出た。 しかし認められず、父からはきつい叱責を受けた。 三朗は鬱々とした気分で眠ることもできず、角場にフラリと立ち寄った。 境遇にめげずに作業を続ける将之助の後姿でも見られたら少しは気持ちも上向くか、と思ったのだが、 珍しく目当ての人はそこにおらず、三朗はそこに落胆した気持ちのまま銃を見詰めながらぼんやりと佇んでいた。 「それはまだ改良中です」 しかし今夜は会えないと思っていたのに、不意に将之助が現れた。 単純だと自分でも思ったが三朗の気持ちは確実に少し上向いた。 それに将之助は聞き上手だ。 家族ではないからこそ言えることもあった。 ずっとい言いたいのに言えなかったことを訥々と語ったら、将之助は優しく微笑みながら聞いてくれた。 将之助は何事においても面と向かって否定することもないが、逆に全部を肯定することもない。 確かにすべて正しいという事も、すべて間違っているという事もこの世の中にはないだろうことはわかっている。 でもそうわかっていても誰かに話を聞いてもらい、それでいい、間違ってはいないと言ってもらいたい時がある。 将之助は自分を理解してくれた、それだけで三朗は満足だった。 [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
読みたかった三朗ネタだ。楽しみ〜
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! でも最後に励ますように肩に手を置かれた時に、一瞬よからぬ思いに駆られた。 肩から離れて行こうとする将之助の手を思わず掴んで引き寄せた。 「三朗さん?」 「・・・」 何を言おうとしているのか、また言いたいのか自分でもわからなかった。 ただこのまま離れて行ってしまうのが嫌だった。 でもずっとこのまま将之助の手を掴んだまま黙っていられるはずもなく、三朗は必死で言葉を探した。 「…こんなに腫らして」 沈黙を破ったのは将之助の方だった。 槍の試合で盛大に腫らした頬の傷に、将之助の三郎が掴んでいない方の手がそっと触れた。 「男前が台無しですね」 「・・・お、俺は、男前かなし?」 「男前ですよ」 そう言って将之助は穏やかに微笑みながら三朗を見ていたが、三朗はその将之助の表情にはいつも複雑な思いを抱いていた。 自分の中に他の誰か、勿論それは兄なのだろうが、それを見ている顔な事を三朗は理解していた。 「・・・俺ではあんつぁまの代わりにはなんねぇべか?」 「三朗さん?」 「も、勿論あんつぁまが帰ってくるままでいいし、あんつぁまには決して何も言わねぇ!だから・・・」 将之助の手を三朗は更に強くつかんだ。 きっと痛いだろうと思ったが、離すことは出来なかった。 将之助もそれを振りほどこうとはしなかった。 「代わりにはなれませんよ」 思った通りの答えが返ってきて、三朗は落胆したがどこか安堵もしていた。 「角馬さんの代わりには誰もなれないし、三朗さんの代わりにも誰もなれない」 「そ、そっだらことを言ってる訳じゃ…」 「三朗さんは角馬さんの代わりになっていいような人じゃありませんよ。そうですね…行きずりの誰かとの方がまだマシです」 「は?」 「たいせつ、なんです。あなたが」 「将之助さん…」
「角馬さんの弟だからってことだけじゃありませんよ。そりゃ最初はそのくらいな感じでしたけど、 今ではそれだけじゃない、角馬さんの弟というだけじゃなく、あなただから傷つけたくないし大事にしたいと思っています」 思わず涙ぐみそうになって、三朗は将之助から顔をそむけた。 正直に、逃げずに答えてくれたことが嬉しかった。 大体最初から兄が帰って来たら終わりにするなんて出来る訳もなかった。 そんな割り切り方はきっと自分にも、将之助にも出来なかったろうと思った。 でもそれでも、一度でいいから将之助の肌に触れてみたかった。 その気持ちはきっとずっとくすぶり続けるのだろうと思った。 思わずその未練から握ったままの手を引くと、将之助の体が少し傾いで、三朗の唇に将之助のそれが掠めるように触れた。 「・・・おやすみなさい」 一瞬の触れ合いの後、将之助はいつもの穏やかな笑みを顔に刷いてから踵を返した。 あれは将之助が意図したことだったのだろうか?それとも偶然だったのか、とその後ろ姿を見送りながら三朗はぼんやり考えをめぐらした。 答えは出ない。 でも出ない答えをこれからも自分は探し続けるのだろうと思った。 いつか、将之助の事を諦められる日が来るまで。 しかし将之助は諦めろとは言わなかった。 兄の代わりには出来ないと言っただけだ。 やんわりと断るための方便だったのかもしれないが、まだ若い三朗に淡い期待を抱かせるには充分だった。 そして初めて将之助と交わした口づけは、その夜の三朗を不眠に至らせるのに充分な効果を与えたのだった。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 覗いてた弥恵さぁは肩ポンの後いなくなったと思っていてくだせぇ。 ありがとうございました!
三朗、可愛いなぁ。将さんも優しくて、ちょっとミステリアスで素敵。
都市男子達 大岳と喜太郎 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 舞台袖の薄闇の中、唐突に手を握られてぎょっとした。しかもわざわざ指を絡めてくるのは 御多分に漏れずいやがらせに違いない。 周りでは衣装替えだの、次のセットの用意だのでスタッフ達が動き回っている。舞台の上では 才木とイトウが独特の存在感で客席を煙に巻きながら芝居を続けていて、有事は存在を消した 振りで舞台の隅に居座らされている。そんな状況の中、次の衣装に着替え終えた俺は ひたすら出番の切っ掛けを待っているというのに。 「……何だよ」 抑揚を抑えた低い声で問うと、返ってくるのは馬鹿みたいに能天気な声だ。 「何となく」 「何となくなんなんだって」 「だから何となくは何となくだよ」 顰めた声と、こちらをちらっと見上げてくる離れた目。サミングでもかましてやろうかと思ったが、 それも喜太郎を喜ばせるだけな気がして握った拳を解く。 取り敢えず振り払うべきかと思うが、過剰な反応はよろしくないだろう。そう迷う時間が一秒、 二秒と増える度にタイミングを失う。 舞台の上で繋いだ事のある手は意外と大きい……などと堪能している場合では断じてない。
「離せよ」 「やだよ」 「お前なぁ」 「だってさぁ、嫌なら大岳が振り払えばいいんだよ」 「繋いできたのはお前だろ?」 「そうだよ」 「だったらお前が離せ」 「いーやーだ」 わざとこちらを苛立たせる様な言い方をした喜太郎を睨んでやったけれど、こんなに無駄に 長い付き合いだ。こいつが堪える筈がない。こうなったら実力行使だと振り払おうとしたけれど、 気配を察した喜太郎はぎゅっと指に力を籠めてくる。 舞台の進行は滞りなく、順当に出番が近付いている。もうちゃんと頭に入っているから 段取りや台詞をさらう必要はないけれど、多少の緊張感まで失うのはどうなのだ。 もう一度、今度は作らない声で名前を呼んだ。 「喜太郎」 「はいはい」 絡め取った時と同じ唐突さでぱっと手が離される。拍子抜けだ。 こっちを見て笑った喜太郎に溜息を飲み込む。そうだいつもこいつはこうだ。何にも分かっていない 素振りで、全部見抜いて。だから……今の、突然消えた体温にこう…………いや、なんでもない。 どうせこいつは察している。殴ってやりたい衝動を抑えて視線を逸らした。
「おーたけ」 「なんだよ」 「そろそろ出番じゃないの?」 「分かってるよ、馬鹿野郎」 「うへ、藪蛇。逃げるが勝ちだな」 お前が邪魔したんだろと指摘するより早く、喜太郎は逃げた。くるりと背を向けて衣装の 女の子の方へと数歩踏み出し、ふっと振り返って俺を見た。 「じゃ、また舞台で」 そんな捨て台詞を残して、今度は本当に隣からいなくなる。 上等だと思いながらも、結局の所逃げ場なんてないのだと強く思った。また五分もしない内に 舞台の上で顔を合わせるし、何よりも三十年以上一緒にいて、誰も解散しようと 言い出しもしない運命共同体なのだから。 取り敢えずは今日の打ち上げで説教だ。 そう考えながら、後二三のやり取りの後に訪れる、出番のきっかけになる有事の台詞を俺は待った。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 今年も元気でいてくれてありがとう。
>>292 都市少年達大好きだ!ここで読めると思わなかったありがとうありがとう…!!
華族芸夢 の小説は無いでしょうか・・? くそう、私に文才があれば・・
旧局朝仁R 登坂→R |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 曲がり角と言う曲がり角を曲がりつくすとそこは海だった。日は熟れた柿の色だった。 轟天号はガードレールを飛び越え、勢いよく砂地に着地した。江ノ島が見える。 「一体どこに来てしまったのでせう」 「鎌倉あたりだろう」 ぼんやりと海を眺めるRをよそに、私は靴と靴下を脱いでズボンの裾をまくった。 せっかく海にきて、水に触れないわけにはいかない。昼間の熱を残して、砂はまだ暖かだった。 「錆びちゃうじゃないですか」 Rもぶつぶつ言いながら下駄を脱いで波打ち際に向かった。貝殻混じりの砂は次第に湿り気をおび、やがて波が這ってくる。 「おお、冷たい」 流石に海で遊ぶ季節は終わったと感じた。 しかし、波間ではまだそれなりの数のサーファーのシルエットが上がったり下がったりしていた。 「釣竿があれば、サーファーの人を釣り上げることができたのですが」 「釣り上げんでいい」 後ろでぼんやりとたたずんでいたRのもとに戻る。濡れた足が砂まみれになってしまった。 夕陽はだんだん海に沈んでいき、あらゆるものは太陽を背にして影になる。 私は乾いた砂地に腰を下ろしてその様子を眺めていたが、ただぼけっとしているのも性に合わないので、少し写真を撮ることにした。 こう言うときのために、いつもカメラは持ち歩くにしくはない。 太陽を背にした江ノ島を、すばしこいカニと寄せる波を、飛沫をあげるサーファーを撮った。 ひとしきり撮った後ふと横を見ると、辺りをうろうろしていたRが少し離れたところで夕陽を見つめていた。
ひとしきり撮った後ふと横を見ると、辺りをうろうろしていたRが少し離れたところで夕陽を見つめていた。 茜色の光がRの白すぎる頬に射し込み、まるで血が通っているようだった。詰襟の金ボタンも暖かく光っている。 砂浜の上にはまっすぐ長い影が伸びている。私はなぜだかRにカメラを向けると、ピンを合わせてシャッターをきった。 その音に気づいたRと、レンズ越しに目があったので、私はそれも撮った。 「あうぅ…写真を撮られてしまいまった」 Rは弱りきった顔で肩を落とした。 「なんだR、何か問題でもあるのか」 「あい。写真に映ると魂を取られてしまうと、お父さんが言ってました」 「いつの時代の話だこの大馬鹿者が」 大体お前に魂などあるものか、とも思ったがそれは口に出すことができなかった。 足についていた砂は乾いて落ちていた。少しずつ空は宵の色に変わり、太陽は水平線に吸い込まれて行く。 「登坂さん、一番星の人が出てきましたよ」 Rは空を指差して嬉しそうに言った。 甲賀部の暗室で、私はこの時の写真を現像していた。 4号の印画紙に海や蟹や人の画がモノクロームに浮かび上がってくる。 夕暮れ時であったにも関わらず輪廓ははっきりとしていた。 「やはりトライXで万全である」 そんなことを呟きながら次の印画紙を見つめていると、また次第に像が現れる。それは、海を見るRの姿だった。 モノクロの写真にはあの時Rの頬に差した赤みはない。しかし、柔らかな陰影がその肌に生気を与えている。 黒髪と詰襟と影の黒とRの肌の白の対置が、夕焼けの空と海との淡いコントラストの中に鮮やかだ。 私はしばらくその写真を見つめた。写真の中のRは本物のR以上に人間そっくりで、私はどうしてか戸惑ってしまう。 落ち着かない気持ちのまま次の印画紙を見ているとまたRの像が、しかもこちらを見ているRの像が出てきて、私はどきっとした。
虚ろな目は、しかし真っ直ぐ私に向いている。あの時目が合ったのは一瞬だったが、今ここでその一瞬は永遠だ。 その時ちらと生じた、感情にもなりきれない気持ちが印画紙に映し出されるのを止めることはできない。 カメラ写すものがただの像でないことは、重々承知していたつもりだったのだが。 「…つまらん写真を撮ってしまった」 部室の椅子に腰かけて、私はため息をつく。 「つまらん写真」は頭のなかを奇怪なコラージュを描きながらくるくると回る。 黒と白のコントラストが、あの片目が拡大されたりトリミングされたりした。 私はその錯覚の中に深く沈んでいった。もはやその画は夕焼けでも海でもRでもない、何かだった。 そしてその何かを見つめる眼そのものである自己を私は認めた。 果たして魂を取られたのはどちらだったのか。 私の騒然たる錯視から意識が浮上した。 あまりにもクリアな視界に目が眩むので、数回まばたきをした。干してあった写真は乾いていた。 私は先程よりぼやけて見える風景写真だけを展示用のアルバムに移し、あの二枚の写真は手持ちの本にはさんだ。 なんとなく、この写真は誰にも見られたくはなかった。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! おっそろしく季節外れになってしまいまった・・・
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | スラダンの花洋…の様な花←洋の様なw 本スレで読みたいと言ってくれた姐さんに捧げます。花は無自覚で洋ラブだと思われw ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 中学の終わりとかそんなイメージだけど想像に任せます | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
最初は、「ざまみろ、ばーか」とか、「当たり前だ、懲りない奴だ」とか。 一目惚れしては即行で告白し、見事玉砕して、泣き付いてくるあの馬鹿を見てて思っていたんだが。 「洋平〜〜〜…俺はもう……死ぬ」 「あーあー、女に振られたぐれぇで死なねーよ、お前は。今まで通り、平常運転、前線異常なし」 「ひでーなー…」 次に、「いい加減に気付けよ、ばーか」とか、「どうせまた泣き付いてくんだろう」とか。 付き合い長い分、毎度毎度の一目惚れから来る奴の喜怒哀楽に振り回されること数えきれず、そんなことを思う様になり。 「……俺ってさ…………」 「んだよ?」 先程、惚れた相手を呼び出した公園でまたも見事に振られて、この馬鹿は例の如く、俺に泣き付いてきやがった。 でっけぇ背中を丸めて、ベンチに横向きに座っていた俺と背中合わせに座って、しくしくとわざとらしい泣き声を出しながら、奴は呟く。
「……そんなに怖ぇ?」 「ぶはっ!!」 思いきり、話を聞きながら飲んでいたコーラを吹き出した。 いやいやいやいや、お前さ。その赤毛のリーゼントは何の為にやってんだよ。怖がって下さいって全身でアピールしてる奴の言う台詞か、今のは。 「洋平〜」 「げはっ!ぶわっはっは!げっふ、げはっ!!」 噎せた為に涙目になりながらも笑いは止まらず。馬鹿は尚も、縋り付く様な声で続ける。 「お前、マジで酷ぇ野郎だな……傷心中なんだぞ、俺は」 「おっ!お前みてぇなトリ頭が傷心なんつー難しい言葉知ってたのか」 漸く治まった噎せ返り。ごほっと最後にでっかく咳払いをして、馬鹿の言葉を拾う。 「あー…もーいー!!もーーーーー良いっ!!」 「何が?」 「女なんかもーいらねーっ!!」 「……」
長い間、占拠してすみません。投下代行をお願いしていたのですが、もう一度チャレンジしてみます。 ーーーーーーーーーー 言ってろ、馬鹿。どうせ、お前のその台詞は直ぐに覆るに決まってらぁ。 どうせ、直ぐにまた一目惚れして、即行で告白して、見事玉砕して。 そんでまた、俺のところに泣き付いてくるんだろうが。 「……聞いてんのかよ、洋平」 「……聞いてるよ」 そして、いつの間にか。 「結果なんか最初から見えてんだよ、ばーか」とか、「俺はずっと此処にいてやってんだぞ」とか、「お前、俺がいなかったら誰にも泣き付けねーんだぞ」とか。 「だから、最初っから俺の傍にいりゃいーのに」とか。 そんな風に思う様になっちまっている今が、嫌だ。死ぬ程、嫌だ。 何て下らねー。この馬鹿の色恋沙汰なんか比べもんにもならねー。 だけど、この馬鹿を振る女連中はもっと下らねーな。 馬鹿だけど、馬鹿すぎる程に馬鹿だけど。 こんなに良い奴、そうそういねーのにな。
「……洋平さ」 「あ?」 「お前はずっと……俺の傍にいるよな?」 「っ!?」 うっわ、今の鳥肌立った。気色悪っ!って、言おうとしたつもりが。 余りの驚きに、声が出なかった。 「俺さ、お前いねーと駄目だし」 「……」 「お前といるの楽しいし」 「……」 「馬鹿もいっぱい出来るしな」 そうだな。お前にとっての俺の位置が『それ』であることを、俺は喜ぶべきだな。 下らねー考えなんか、さっさと忘れて、な。 俺は敢えて、馬鹿が俺の背中に体重を預けているのを分かった上で突然起ち上がった。案の定、バランスを崩した馬鹿が「うぉっ!?」と間抜けな声を出すのが背中越しに聞こえた。
「洋平?」 「……安心しろよ」 飲み終えた空き缶を、数m先にあるごみ箱に投げ込む。カラーンと、乾いた音が響いた。 振り返ると、怪訝そうに俺を見上げる馬鹿の面。 安心しろ、大馬鹿野郎。 「お前が何度振られようが、俺は待っててやるからよ、花道」 だから、何度でも振られて、何度でも俺の所に帰って来いよ。 出来るだけ、今まで通りにお前の泣き面を指差して大笑いしてやるよ。 「……洋平」 「あ?」 すくっと、馬鹿が起ち上がる。あっという間に視線の高低差は逆転した。 この野郎は、どんどんどんどんでかくなっちまいやがって。 その癖、頭の中はガキの頃から何一つ変わっちゃいねーんだ。 ちょっと照れ臭い話を始める時に、今みてぇに鼻の先を掻く癖だって。
「俺やっぱ、お前のことすげー好きだぜ」 屈託のない笑顔見せちまって、まあ。人の気持ちも知らねーでよ。 俺はいつもみてぇに笑えてるか?馬鹿だな、お前は、って表情で言えてるか? 「……俺はお前のことなんか嫌いだけどな」 「てめぇ、マジで鬼かっ!」 正直、自信がなく。逃げる様に馬鹿に背中を向けて歩き出した。 馬鹿は馬鹿らしく、やっぱりそんな俺の焦りに気付くことはなく、いつもの様に俺を追い掛けて、追い付いて、隣に並んで歩き出す。 「で、花道。今からどーするよ?」 「そーだなー。チュウが新作のゲーム買ったっつーから遊びにいかねー?」 「おー、そりゃ良いな。パチンコも良いけどたまには健全な遊びでもするか」 さてと。この馬鹿はあと何回振られりゃ、俺の気持ちに気付くもんかね。 楽しみだな。 END
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 規制に引っかかり、代行にお願いしましたが、最終的に自力で出来ました。長時間スレを占領して本当にすみません。花は早く洋の気持ちに気付くべきだと思います。 | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
W巣 田城×耶麻下 酔った勢いでやらかした話。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 家に連れてきたのは、間違いだったかもしれない。隣で 缶ビールを旨そうに飲む耶麻下を見て、田城は思った。 軽いため息をついてから、どうして家に連れてくる羽目 になったのかを、田城は思い返す。 特に大きな事件もなく、定時で上がれた今日。 飲みに行 かないかと耶麻下に誘われ、またいつかのように支払いを こちらに押し付けるのではないかという危惧が頭をもたげ たが、結局田城は同意した。 『なーなーいいじゃん、飲み に行こうぜ』 などと隣で騒ぐ耶麻下がうっとおしかったからだ。 目についた居酒屋に連れ立って入り、適当につまみと酒 を注文して、グダグダと益体もない話を耶麻下はした。 1 係はどうしてあんなにむかつくやつばかりなのかとか、たまたま入ったコンビニの店員がおニャン子クラブの誰だか に似ていただとか、 そんなことばかりを酒が入って滑らか になった口で耶麻下は延々話す。一方的にまくし立てられ る話を、田城は適当に相槌を打ちながら聞いていた。 「なあ、俺、おまえんち行ってみたい」 「はぁ?」 耶麻下が突然そんなことを言い出して、田城はいぶかし げに耶麻下を見る。話の流れも何もあったものではない、 予想外の一言だった。 以前いた署の同僚に関する笑い話を していたはずが、どうして田城の家に行きたいという話に なるのかが、全く分からない。 「なんだよ、急に」 「今日ちゃんと自分の分払うからさぁ」 「お前な……」 田城は無言で、現在の所持金と給料日までの日数を頭の 中で確認する。給料日までまだ日数がある今、二人分の代 金を払うのは少々厳しい。 家に連れて行くぐらいで払うの なら、いいかもしれないなどと、うっかり思ってしまった のだ。
「どうしたんだよ、ため息なんかついて」 缶ビール片手に、耶麻下が田城を覗き込む。短い回想を 終え、お前のせいだと一言文句を付けようとした田城は慌 てて顔をそらす。この目は、危険だ。 「なあ、田城」 耶麻下が田城の名前を呼ぶ。どこかねっとりとしたもの を感じるその声に、田城は耳をふさぎたくなったが、辛うじて堪えた。 ねっとりとした耶麻下の視線と声にさらされ て、強く歯を噛み締めて耐える。 時折、耶麻下からねっとりとした視線を受けることが あった。 ねっとりとした声で、呼ばれることがあった。その視線が、田城には怖い。 押し込めようとして押し込めき れない何かが、その視線で暴き出されてしまうような、そ んな落ち着かない気持ちになる。 あるいはもうとっくに暴かれていて、だからこそこんな視線が注がれるのかもしれない。 ことりと、軽い音がする。缶ビールをテーブルに置いた 耶麻下の腕が、田城の首元に巻き付く。そのまま耳元で囁かれた瞬間、田城の中で何かが崩れ去った。 耶麻下の方を振り返ると、田城は噛み付くようにその唇 を奪う。酒臭い吐息ごと、耶麻下の唇を蹂躙する。 舌を絡 めて思い切り吸い付けば、んっ、という鼻にかかった声が 漏れた。それにひどく興奮して、さらに強く吸い付き、あるいは上あごや舌の付け根などを舐めて突いた。 延々貪ってから、田城は耶麻下の唇を開放する。うっすらと濡れた耶麻下の目は、ねっとりとした何かが浮かんで いたが、今の田城にはそれに対する恐れはなかった。 熱に浮かされたまま、耶麻下の体を押し倒す。再び唇を奪いな がら着衣を奪い取っても、耶麻下は抵抗しなかった。 誘うように腕を背中に回されて、わずかに残った理性も かなぐり捨てて、田城は目の前の男を貪ることに専念した。
目が覚めた耶麻下は、ゆっくりと体を起こして隣を見る。こちらに背を向けて横たわっている田城の姿を認めて、にやっと笑った。 「背中向けなくったっていいじゃん」 こちらに背を向けている男の顔を、耶麻下は覗き見る。 とりあえず眠っているようだが、その額にはしわが寄って いる。そ のしわの原因は、固い床の上で眠っているからだ けではないだろう。恐らく田城は、耶麻下と体を重ねたこ とを後悔している。 ある日突然、耶麻下は田城に対して欲情してしまうこと に気付いた。今まで生きてきた中で欲情してきたのは当然 女性だったし、付き合っていた相手もみんな女性だったの にも拘らずである。 一体自分はどうしてしまったのだろう かと悶々と悩んだし、今もその答えはわからない。 そしてそのことに気付いたのと前後して、時折田城から注がれる視線が、ねっとりとした熱をはらんだものである ことにも気が付いた。 捜査中にはさすがにないが、署内で 書類を書いている時だとか、くだらない雑談をしている時、それから外回りから戻ってシャワーを浴びている時などに、田城から注がれる視線はねっとりと熱をはらんでいる。 その視線を受けることに、耶麻下は酷く興奮してしまっ た。男にねっとりとした視線を注がれて喜ぶ趣味はなかったはずなのだが、興奮してしまうものは仕方ない。 耶麻下 が田城に対して欲情してしまうのも、この視線のせいなの かもしれなかった。 けれど、田城はそれ以上何のアクションも起こさなかった。 時折ねっとりとした視線を送ってくるほかは、コンビを組んでいる同僚というスタンスを崩さなかったし、耶麻 下が田城に注がれてきたようなねっとりとした視線を注いでみても、気付かないふりをしてなかったことにする。
だから、耶麻下は田城を飲みに誘ったし、彼の家に上が り込んだのだ。アルコールが入れば理性は緩む。いい加減 認めてしまえという気持ちで起こした行動は、まず成功しただろう。 耶麻下は田城が隠していた熱を引きずり出せたし、相手に対する欲も発散することが出来た。もっとも、 田城は正気に戻って後悔したのだろうし、なかったことに しようとするだろうが、それは織り込み済みである。 それが出来ないように退路を断ってやるつもりだった。 時計を見ると時刻は午前四時。まだもうしばらく寝ていても問題ない時間だ。 「こういう関係もありじゃねえの、田城」 しわの寄った寝顔に囁いて、耶麻下は再び横になる。田城の背中にぴったりと寄り添ってから、瞼を閉じた。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
____________ | __________ | | | | | 半生 W巣6話の後輩→先輩 ……のつもりが | | |> PLAY. | | 出来たらBL臭が色水より薄くなってたらしいよ | | | | ∧_∧ | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
正義のヒーローになりたかった。 警察官を目指したのはそんな立派な目標を持ってたわけじゃなく、安定性のある公務員だからなんて現実的な理由だったけれど、それでも初めて制服に袖を通した時、僕は正義のヒーローになれたのだと思って感動した。 警察官でいることは楽しかった。 制服姿で交番にいるだけで、誰かが頼ってくれる。誰かの力になることが出来る。 子どものころに夢見た、特別な力を持って悪の組織と戦うヒーローじゃなくてもよかった。この手で誰かを守れるのならそれだけで。 それなのにあの女性(ひと)は死んだ。 助けてくれと、守ってくれと泣いたあの女性を、警察官の僕たちは救えなかった。 愚かにも僕はそうなって初めて気がついたのだ。 警察官は、正義のヒーローじゃない。警察官は人を守れない。救えない。警察官が守れるのは、法だけだ。
「先輩」 その日は僕も先輩もひどく酔っていた。 酔いたかったのだ。少なくとも、僕はそうだった。 「正義って、何なんでしょうね」 先輩は答えなかった。 僕たちがあの女性からストーカーの相談を受けていたという事実はほとんど揉み消されていた。 僕と先輩が今日あの1枚の書類にサインをした時、彼女の最後のSOSは無かったことになった。警察の威信を守るために。 居酒屋の隅のテレビが、いかにも俗っぽいワイドショーを映している。 あの男は僕も知っている。投資詐欺まがいのことを繰り返しては逃げる男。いや、逃げるというのは正しくない。あいつは逃げない。何故なら「詐欺まがい」は「詐欺」ではないから。 警察官は、あいつを捕まえられない。あいつに傷付けられた人たちが何人いても、あいつが法を犯すまで、僕たちは何もできない。 警察官は法を守る。あいつは、法に守られている。 「あんなクズは死ねばいいのにな……」 すぐ傍でそんな声が聞こえて、驚いた。 「弱い人を守って、ああいう奴を捕まえるのが警官だろう。何であの人が死ななきゃならなかったんだ。何で、あいつがのうのうと生きてるんだ。どうして法律はクズばっかり守るんだ」 先輩の低い、悔しげな声。 グラスを握る指は白くなるほど力がこもっている。 「何で俺は、あの男を殴ることもできなかったんだ……!」 先輩の顔が悲痛に歪む。 心が痛んだ。先輩があの男、彼女を殺したストーカー男に殴りかかるのを止めたのは僕だった。もちろん先輩は僕を責めているわけじゃないのだろう。それでも僕は、何故あの時先輩を止めてしまったのかと悔やまずにはいられなかった。 しかしどれだけ後悔していても、いつかまた同じことがあったら僕は同じように先輩を止めなくてはいけない。 僕たちは警察官だから。
支援?
竹5 倉庫番×眼鏡です。 6話で眼鏡が仲間に連絡しているのを盗み聞きする倉庫番が怪しすぎたので 書いてみました。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「どうしたの、K川君。こんなところで、そんな改まって話って何?」とI月は尋ねた。 するとK川は、スーツのポケットから取り出した小型の録音機を見せびらかしながら言った。 「さっきお仲間にG藤の件で電話してたの、録音させてもらいましたよ」 これまでずっとのんきにやり取りしてきたK川からの思いがけない言葉にI月は言葉を失った。 が、相手に飲まれてはならないと気を取り直して言った。 「なぜそんなことを。あんな会話を録音して何になるんだ」 「いやあ、通信記録を調べたら、H村教授も困った立場に追い込まれるでしょうね。 ついでにほかの3人も。これまでにもいろいろ集めさせてもらったんで」 「なぜそこまで…」I月は息をのんだ。「…そうか最初からずっと僕を監視していたのか」 「そういうことっス。何でもキチンとしたいI月さんが、なぜか俺に対してはガードが甘くて、 ありがたいというかなんというか」 K川はいたずらっぽく笑った。I月は唇を噛んだ。
「誰に頼まれた?」 「I月さんも見当はついてるんでしょ? まあ、あの人に頼まれたら断れないっスよ。 十分な情報を提供すれば、当分遊んで暮らせる金も用意してくれるとかで」 「フン、金のためか」とI月は軽蔑のまなざしを向けて言った。 その冷たいまなざしを受けてもK川は意に介さなかった。そしてこう言った。 「いや、正直金なんてどうでもいいんスよ。ほかにもっと欲しいものがあるんで」 「なんだと?」 「I月さんの返答次第では、これまでに集めた情報を売らずに知らんぷりしてもいいってこと」 ここで、いつの間にか壁際に追いつめられていたことに気づいて、I月は一瞬ひるんだ。 しかし務めて冷静な口調で尋ねた。「君の望みはなんだ」 K川は片方の口角を上げてニヤリと笑った。 「俺が欲しいものは…あんたにも分かってるはずだ」 そう言いながらK川はぐっと顔を近づけ、I月の眼鏡の奥の漆黒の瞳をじっと覗きこんだ。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ちゃんと確認せず途中でお邪魔してしまったみたいですみません…
― 『あんなクズは死ねばいいのにな』 あの日の先輩の吐き捨てるような呟きが甦る。 あれは夢だったはずだ。「正義のヒーロー」と同じ、叶わない夢。叶わないと知ってそれでも口にせずにはいられない祈り。 結局僕らは「警察官」であることしか出来なかったのだ。 ところが。 今僕が手にしている鉄塊は夢でも幻でもない現実だった。 ああ、先輩は、「正義のヒーロー」になろうとしている。 クズばかりを守って大切なものを何ひとつ救えない警察官なんかじゃなく、弱者を救い悪を叩きつぶすヒーローに。拳銃という特別な力を持って。 手が、胸が震えた。 先輩はもう誰かに正義の鉄槌を下したのだろうか。 ひとつの空きもない弾倉を見て、そうでないことを知る。 分かっていた。先輩は強いけれど、優しくて、臆病だ。だから苦しんでいるのだ。正義とこの矛盾した世界との狭間で、最後の一線を越えられずに。 先輩を苦しみから救うのは僕だ。 僕がこの銃を見つけたのはきっと、神の啓示だった。 「あんなクズは死ねばいい」 ロッカールームで一人、口に出してみる。 とてつもなく凶暴で、醜悪で、甘美な響き。 警察官が高潔で清廉なものならば、これはまさしくその正反対にあるべき言葉だ。 「あんなクズは、殺せばいい」 ――貴方がためらうのなら、僕が代わりにヒーローになろう。 あの時は貴方を止めることしかできなかったけれど、今度は僕が、貴方の先に行こう。
― 「なあ、聞いたか? 銃殺事件だってよ。こっちじゃこないだ密造とっ捕まえたばっかりだってのに、物騒な世の中だよな」 「あ、あぁ、そうだな……」 同僚の世間話に先輩は弱々しい相槌を打っている。 薄々は勘付いているのだろう。自分が持っていた拳銃が持ち出され、悪人殺しに使われたことに。 犯人が僕であることまで気付いてくれるだろうか。 僕がヒーローになったことに、気付いてくれるだろうか。 早く気付いてほしい。「お前がやったんだろう」と言って、「よくやった」と褒めてほしい。 早く、先輩もこちら側に来ればいい。 僕は正義のヒーローになった。 引鉄を引くだけで、何十人、何百人もの人を救うことが出来る。それが僕の喜びだった。 もう三人殺した。人を殺すことも、法を犯すことも怖くなかった。警察官だった僕には守れなかったものが守れるのだから。 先輩は多分もう僕が犯人だと気付いている。 何も言ってはくれないけれど、僕を止めないでいてくれるという、それだけで十分だった。 冷たい拳銃を撫でる。 足音が聞こえた。腹立たしいほど無防備な。 「クズは死ねばいい」 呟いて、姿を現した悪人に銃口を向ける。 自分は守られているのだと勘違いした馬鹿の間抜け面。 銃声。掌に衝撃。硝煙の臭い。 法がお前らを守っても、僕たちの正義はお前らのようなクズを守らない。
____________
| __________ |
| | | | お察しの通り、連投規制でした
| | □ STOP. | |
>>315 さん支援ありがとうございます
| | | | ∧_∧
>>318 さん、こちらこそすみませんでした…
| | | | ピッ (・∀・;)
| | | | ◇⊂ ) __ ナンバリングスラマチガエテルシ…
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
注!ハンナマ ドラマ5回目SE×眼鏡。 眼鏡受続いてすみません 大丈夫な方のみドウゾ |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
323 :
322 :2013/05/27(月) 23:25:24.22 ID:tCvNn9BrO
連投規制にひっかかりました。すみませんが改めます。 次の方どうぞ。
続きが来ることはない…のか?
325 :
322 :2013/06/21(金) 08:43:52.71 ID:DMMSLQIpO
>>324 ないです
中途半端な投稿で占拠して申し訳ありませんでした。
次の方宜しくお願いします。
棚との使い分けがわからん
ウィキ等でまとめないので気軽に投下できるという感じだよ 棚だと億劫な小ネタも是非こちらでどうぞ
特定の二次カプじゃない小ネタとか、それこそVIPのSSみたいに A「 」 B「 」 みたいなやつはサロンにぜひ
棚に書く予定が長くなったので、
>>326 に落としました
超人獅子です。
>326>328とか いちいちこっちで宣伝してくれなくていいよ そっちに投下したい奴は勝手に投下するんだからさ 単にできたばっかでWikiがないだけだろ 書き捨ておkとか、間口も棚より広めとか、宣伝っぽくって、正直うざいわ
それに台詞SSの投下不可なんて棚のどこにも書いてない 勝手にこっちの間口を狭めるなよ
兄弟スレではないし、以降双方の平和のためにもサロンSSスレの話題はなしってことで
ところで、このスレの今後ってどうなるんだろ 1.次スレこのも801板に立てる 2.801サロン板に次スレを立てる(801サロン板に移転) 3.次スレもこの801板に立てつつ、 同時に801サロン板にも 「モララーのビデオ棚in801サロン板 1(兄弟スレ)」をつくる ※3.にする場合は、wikiをどう管理するのかという課題もあるけど… → 現行wikiに間借りか、801サロン板用に新規立ち上げ?とか? 次スレへの移行はまだ少し先だけど ここらで、スレ住人で1回話し合ってみても良いんじゃないかと思うけど、どうだろう?
現状維持でいいんじゃないの
>>334 現状維持が無難かと
向こうの方が文字数制限や連投制限が緩いから、
3だと本当にここから人がいなくなる気がする
実質2と変わらないんじゃない?
でも2だと完全に向こうのSSスレと重複になるしね
>>334 自分は2支持
連投規制や文字数制限はやっぱキツイよ
それとサロンならまだ全スレ数100にも未到達なんで棚用の感想&雑談スレ別個に持てると思う
というか分けて進行すれば過去にあったようなゴタゴタ少しは減らせる気がする
>>336 向こうはSSってスレタイ入ってるけど棚は限定してないし
上に書いたように別スレ化して雑談NGでいけば違いが出せていいんじゃないかな
>>334 私も現状維持だな
ID任意って時点で使う気全くない
3はここに迷惑かけないならやりたい人達が好きにしたらいいと思う
>>337 Max100のところに雑談&感想スレを別個に置くのは賛成できない
サロンに移動or兄弟スレを立てるにしろ、雑談&感想はしたらばにするべきだと思う
>>334 自分は3+ 現行wiki間借り支持かな
連投規制とかきついけど、やっぱこっちの板でもSSとか投下できる場所は残してほしい
棚はSS限定ってわけじゃなくて、本来、イラストとかネタの投下もありなんだと思うし、
801板サロン板に兄弟スレを立てたとしても、SSスレとは住み分けできると思う
>>338 確かに801サロン板の方にも兄弟スレを作るとしたら、
「なりすましとか避けたい人はトリップ推薦」とか、より具体的に付記して案内した方が良いかもしれんね
しむらー、推奨、推奨
板は違っても重複でしょ
>>334 の3
希望するなら違いをどう出すのか案出し必要だと思う
棚はSSのほかにも、イラストとかネタ全般含めて、投下おkなんてところが違うってことで 重複回避できないかな? これだけじゃ重複回避の理由としては少し苦しいかな… だとしたら、他にも理由がないと無理かな
あっちのSSスレと重複って話じゃなくて、
801板の棚スレとサロン板の棚スレで重複になるってことじゃないかな
>>334 の3ってこれでしょ?
> 3.次スレもこの801板に立てつつ、
> 同時に801サロン板にも
> 「モララーのビデオ棚in801サロン板 1(兄弟スレ)」をつくる
これこのままやると、サロンのローカルルールにひっかかるんだよね
> 【自粛】
> ・PINKちゃんねる内に現存するスレと同趣旨のスレ立て(移動は極力使いきってから)
>>345 そうそう>板間重複
LRになくても基本駄目つかそれ前提で明記なのがサロンLR
現状維持でいい
サロンいらないと思うよ メリットも特になさそうだし
>>346 これを読むと重複とみなされずにサロンにも平行でスレ立てできそうだね
現にチラ裏とか嫌いな801スレとかはin801サロン板スレが立ってるしな
あとは住民の意向でどうするか…というところだけな気がする
もし、サロンにも平行で立てるって方向になった場合はWikiどうするのかも、考えなくちゃいけないね
あ、でも、やっぱサロン板に平行で立てても、あんまメリットないのかな…どうなんだろ
サロンに並行で立てるメリットと言うより、 サロンに立てた場合こっちのスレを残すメリットがなくなるかと まとめwikiのあるなしは別にしても、書き手としては断然規制が緩い方が使いやすいよ 互いに何らかの住み分けが出来るスレと言うならまだしも…
自分は並行を推したい派なんだけどな 規制はきついし、並行で立てるとこの801板スレの方はますます過疎るかもだけど、 この801板にSS投下すれが1つもないというのも苦しいからさ もし、801サロンに兄弟スレができれば、分量とか、IDやトリの必要有り無しにとか応じて、 適宜使い分けたい派なんだけど、欲張りすぎ?
今はサロンのスレもSSスレ出来たてだし、方向性固まってないでしょう 無理に兄弟扱いだので連携もせずに互いに好きにやって このスレかサロンのSSスレのどちらかが900越えたらもう一回話しあいにしたら
>>353 サロンのSSスレを兄弟扱いまたは連携
って案は
>>334 に無いし議論されてないつか第4の案になるんじゃね
どっちのスレも「向こうは関係ない」が基本スタンスだから無理だろうけど
>>352 使い分けたい人は、ひとまずSSスレの方を使うって方向じゃ駄目かな?
あっちのスレはスレタイにSSってついてはいるけど
台本SSみたいなのもありなゆるいスレにしようってことで立ったスレだし
雑談可な以上はちょっとした小ネタとかもOKなんじゃないかと思うし、
「内容的にあっちのスレには投下しにくい」みたいなことは起きないんじゃないかな
棚inサロンを作らなくても、今あるスレでうまく使い分けできる可能性があるから
>>353 の言うとおりとりあえずしばらくは様子見してみるのもいいと思うな
了解、確かに、サロンの「SSぶっ込みスレ」もできたばかりだしね 「ぶっ込みスレ」は今のところ、wikiなしの書き捨てというスタンスだけど、 そのうち、wikiが作られるかもしれないしな 今は、様子見しておいて、 こちらのスレ数が850位か容量が400kb位になったら、再度話し合いますかね とりあえず、議論のまとめっぽいものを 次スレ以降の主な選択肢はこちら↓
1.この801板スレにのみ新スレを立てる → 引き続き、文字数、連投規制に耐えて投下するしか選択肢なし、書き手には 結構きついかも? 2.801サロン板に移転(現行801板には新スレを立てない) → 規制は緩くなるので、投下しやすいかも。でもIDは「age」で投下しないと 表記されないとか、若干運用方法が異なる面あり ちなみに、サロン板既設の「SSぶっ込みスレ」もあるが、重複スレとしての 判定は避けられそうではあるが、折角サロンに既存SSスレがあるんだから、 活用してはどうかとの意見もあり ※「SSぶっ込みスレ」は、今のところ、SS保管用のwikiなし 3.801板に新スレを立てると同時に、サロンに「棚in801サロン板」スレを創設 (兄弟スレを創設し、並行運用するという案だよ) → 801板のスレは過疎るかもだけど、とりあえず、801板の方にSS投下スレが1つ も ない!という状況は回避できる 投下するSSの分量やIDやトリの必要有無など、SS投下者が個別の状況に応じて 投下する際の選択肢が増える でもwikiの扱いを話し合わないとならんね… 3-1 → 現行801板のwikiに間借り 3-2 → 新wiki創設のいずれか ※嫌いなシチュスレinサロン板スレが創設されている事を考えると、板間重複スレとしての 判定は避けられそうではある 4.801板に新スレを立てると同時に、サロン「SSぶっ込みスレ」を兄弟スレとして運用 できるように話し合いをしよう(並行運用案その2) → 今あるスレを有効活用するという趣旨では効率良し けど、双方のスレ住人の合意形成が必要とか、wikiの収録とかの取り扱いどう するか とか、調整事項多し…というのが課題… ※SSぶっ込みスレの作品は今のところ、wikiに収録されないことを前提に投下されいると 思われるので、wiki収録にあたっては、何らかの意思確認が必要になることも想定されるかも… 以上、個人的に作ってみたこれまでのまとめでした またスレ数が850位か容量が400kb位辺りから話し合いができると良いな、どうぞよろしく
一か月近く投稿がなくて別板の類似スレの話題でようやく賑わうくらいなんだから 好きなだけ話し合えばいいんじゃないですかね 規制がこのままならずっとこんな風に投下がない状態だろうし
だから一か月投下ないんだってwwww
議論のまとめを投下した者です
なんか改行ずれてて、おまけに結構長くて、いまいち読みにくい感じでごめん
>>358 できたばかりのサロン板SSぶっ込みスレの様子見だけはもう少し期間を空けないとできないからさ、
とりあえず、スレ数850or400Kb位からの話し合い再開で良い気がするけど、どうだろう?
>>359 今回の議論の内容に関しては、スレ運用の根幹に関わる事項だから、ある程度、本スレにも議論の経過が残ってないと、
後でいつ、誰が決めたんだ、とかってことになりかねない気がするし、
このスレ、今、超過疎だしな!ということで、折衷案として、スレ数850or400kb位からの話し合い再開が良いと思うんだけどどうだろ?
39 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2013/06/27(木) 15:07:06.03 ID:???
>>37 きっかけはそうだったかもだが具体的なスレ立て話し合いでは
棚は関係ない、こっちはこっちってのが流れだった記憶
向こうもこのスレは無関係って感じとゆーか感情的にこじれてるっぽいんで
棚の補完場所みたいなニュアンス言ってあんま刺激するのはどーかと思う
40 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2013/06/27(木) 15:22:42.71 ID:???
>>36 好きなほうに好きなように投下すればよろし
41 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2013/06/27(木) 15:24:22.23 ID:???
>>39 最近の棚の流れも見てるけど、大丈夫じゃないかな?
ぴりぴりしてる感じの人もいるけど、そういう人はおしなべて
「棚はこのまま801板で、サロンに行きたい人は勝手に行けばいい」
ってスタンスに見える
むこうのスレがサロンに移動することもできる中であえてそのスタンスってことは、
規制のせいで棚には投下しづらいと考えてる書き手さんがいるなら
棚じゃなくサロンに投下してもらって構わないってことじゃないかな
むこうに積極的にSS募集しにいったりしたらこじれるだろうけど
こっちで「受け入れOKですよー」って言う分には大丈夫だと思う
44 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2013/06/30(日) 04:36:51.70 ID:???
801板の棚のほうに話し会い持ちかけた人がいるけど
あの末尾○の人、全部同じ人でしょう
もうSSスレしか見てないって人もいるだろうから
こっちでも話を出してある程度意見を聞いてから来てくれ
45 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2013/06/30(日) 08:10:32.58 ID:???
>>44 こっちは
>>1 のテンプレ以外はルール無用的なスレだし
801板の棚スレにはなんの干渉も強制もしやしないよ
頑張ってるもしもしが空回ってるだけでしょう
あっちの意見は「よそはよそ、うちはうち」が多数じゃない? 話し合いは棚もサロンも今は必要としてない 投下があろうとなかろうと無理に議題を作ることはないと思う
>>365 いつもながら情景や空気の描写がすごく情感たっぷりで読んでるうちに引き込まれます
夏の終わりと言うのがなんだかふだんに増して切ない感じでした
いつも素敵なものありがとうございます
半生。善元の某劇場開館6周年記念(というか久々に動画で観たよ記念) おとぎ話が題材の第2回公演。李(2010年R-ONE覇者)×桃(板長)←犬(裸足) |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! とある舞台上に、人ならざる3つの影が立つ。演者の右手にはそれぞれ、剥き出しの日本刀が握られている。 上手には白の光。下手には赤の闇。混ざった中央は桃の色。 「目が見えない」 舞台の中央に立っているのは、立派な袴のよく似合う青年だ。 形の良い大きな瞳は、生まれ持った美しい輝きを失い、10年の闇に沈んでいた。 「俺は一体、何処へ向かっているんだろう?」 「鬼さんこちら♪手の鳴る方へ♪」 鬼が、唄う。青年は振り向いた。 「李太郎」 「私が桃太郎様を導いて差し上げましょう!」 祭り囃子のような声の持ち主は、着流しのよく似合う、背の高い弟。黒と桃の短髪に、右頬にあるのは二本傷か。 目には深い隈が刻まれている。顔立ちそのものは人が良さそうだが、笑顔がどことなく胡散臭い。 「俺の巧妙な話術で、兄貴にHAPPYをお届けしてやるぜィ!」 桃の子の影に生まれ堕ちた李の子は、永い孤独に冒され、天邪鬼という名の鬼になってしまった。 桃太郎の恋人を斬り、火を放った天邪鬼。純粋で清らかな兄は、弟の歪み病んだ心に気付かず、信じ続けている。 心優しき英雄が傷だらけの盗人を庇い、善良な村民を力で捻じ伏せた日から、物語は狂い始めたのだ。
「……可哀想に。村の連中は、お前を疫病神のように忌み嫌う」 歩み寄った桃太郎が、赤い闇へ手を差し伸べる。その手を李太郎が引き寄せ、兄弟は抱き合った。 唇を重ね、舌を絡める。接吻は甘酸っぱい果実の味だ。互いの躯を纏う、果実の香りだ。 「愛に恵まれなかった弟に、俺は愛を与えたいんだよ」 接吻の後、兄は弟の胸に顔を埋めた。良き弟の芝居を止めた天邪鬼の、酷く冷めた双眸が宙を彷徨う。 鬼が助かる方法は、桃太郎を鬼の道へ堕とすこと。鬼を倒す方法は、桃太郎が自らの過ちを悔い改めること。 サルとキジは堕ちた主人に失望し、村を出た。残ったのは――。 「そちらへ行ってはいけません!」 右頭上で髪を束ね、眼鏡を掛けた、袴姿の白き犬。 「犬の声…犬よ、どこにおるのだ!?」 犬に対する桃太郎の声色は険しい。声だけではなく、表情も。対照的に、柔らかく紳士的な口調で、忠犬は言う。 「ここです。私はいつでも桃太郎様の傍におります」 「捨てられたくなかったら、俺がお前に触れられるところまで来い!」 桃太郎は鬼の形相で怒鳴り、鋭い刃を犬に向けた。犬は悲しい顔を返す。 「貴方が私に刀を向けている限り、近づくことは出来ません」 犬に刀を向けたまま、桃太郎は天を仰いだ。綺麗な目は潤んでいる。弱々しい声で、天に問う。 「俺は何処にいるのかな?我らは何処から来て、何処へ向かっているのだろう?」 従者2人も、主人の問いの答えは知らない。神は答えを教えてはくれない。
牙を剥き出しにした犬が、低く腰を沈め、構えを取った。李太郎も犬を睨み、大上段に刀を構える。 駆ける光と闇――舞台の中央で、刀が混じる。 「犬。李太郎。目が見えないよ。耳も…聞こえなくなってきた」 「ところで話変わっちゃうんだけどさァ、お犬様ってマジで兄貴のこと愛してるっぽくない?」 力で圧していた獣が、長い脚に蹴り飛ばされた。弟は兄を見遣り、口角を歪める。 「兄貴は俺を愛してるっぽいぜ。超ウケるんですけど。温室育ちの恵まれた甘ちゃんが。あはっ、あはははは!」 鬼が、嗤う。 「俺には愛など分からんが、愛が兄貴を惑わすならば、兄貴は俺だけを愛していれば良い」 そうして、狂気染みた高笑いを上げて、李太郎は赤い闇の奥へと消えていった。 蹴られた犬は立ち上がり、白い光の下で台詞を紡ぐ。掌に血が滲むほど、強く強く刀を握り締めて。 「飼い犬の私は、飼い主が戻ってくる日を、ただひたすら待つことしか出来ない」 李太郎はあべこべ鏡に映った桃太郎。だから犬は、サルやキジのように「出て行け」と言えなかった。 「鏡の向こうの男を斬ったところで、桃太郎様の目が見えていなければ、意味は無いんだ」 『――これは、誰もが知っている桃太郎の、誰も知らないお話』 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
うわあめっちゃ萌えた…! 乙です!!
連続投稿3回以上必至なので、保管所に直接投稿させていただきました
萌え発端は洋ゲイビですがこちらは一切架空なので気にしないでください
・オリジナル
・架空現代の邪宗性奴ものです
・お好みにより笑える表現多数と思うので飲食注意
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
http://morara.kazeki.net/?69-371
>>371 そこはかとなく漂うゲイビ感がw
でもエロは美味しくいただきました
乙乙!
373 :
風と木の名無しさん :2013/08/05(月) NY:AN:NY.AN ID:QnjaBbdn0
test
保管庫と避難所見られないね
tes
>>374 両方とも見られるよ
一時的に不安定だった模様
ずっと今の設定のままなのかな?
半生注意。洋画「環太平洋」主人公独白。兄の死のトラウマに苦しむ弟の話。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 黒、青、赤、白、黒。 流れ込む意識。なだれ込む感情。 大好きな兄貴。倒すべき怪獣。 全てがひとつになり、全てが俺になる。 引き裂かれる心。引きちぎられる身体。 痛い。苦しい。怖い。恐い。こわい。 一瞬で溢れかえる、兄貴の恐怖と痛みと絶望。 氾濫し、渦を巻き、俺の頭と心をズタズタに切り裂き傷付ける。 死んじまう。兄貴が。俺が? ダメだ、行くな、止めろ、助けて、助けなきゃ。 嫌だ。イヤだ。いやだ! 声が聞こえる。 俺を呼ぶ兄貴の声と、激痛に叫ぶ二人の声と、兄貴を呼ぶ俺の声。 繋がったままの意識が脳を焼き切りそうなほどに共鳴し、全ての感覚が生々しく伝わってくる。 腕が折れて、足が千切れて、腹が潰れて、心臓が弾けた。 それは俺の身体を同じように痛め付ける。 破壊された機体から伝わるダメージと重なって全ての感覚を圧し潰し……プツンと途切れた。 無くなった。消えた。 兄貴の意識が、心が、魂が、消えた。 俺の中から、兄貴が――…
「…っぅわあぁっ!!」 まるで電気ショックを受けたような勢いで俺はベッドから飛び起きた。 極度のパニックのせいで心臓が痛いほどに暴れ回って息ができない。 「っはっ、っぁ゛、あ゛ぅ……ぐっ…!!」 苦しさに喉を掻き毟る。どんなに口を開けても空気が入ってこないのに、どんどん肺は空になっていく。 ガクガクと震える身体を抑えることもできず、俺はシーツを握り締めて蹲った。 こんなに苦しいのに、こんなに辛いのに、俺は一人で耐えるしかない。 いつも側にいて手を握って励ましてくれた兄貴はもういない。 あれから二年が経とうとしているが、彼を失った時の傷は少しも癒えはしなかった。 兄貴の死を自分のものとして経験してしまった衝撃を忘れられるはずもなく、あれ以来俺は眠れなくなった。 苦しみから目を逸らそうと過酷な環境で身体を苛め抜いても、ふとした瞬間に兄貴の断末魔が蘇る。 その度にこうしてもがき苦しみ、心も身体もボロボロになっていった。 どのくらいそうしていただろう。 少しずつ息ができるようになってくると、吹き出した汗で濡れたシャツと握り締めすぎて破れたシーツに気が付いた。 「……はぁ…っ、は……ぁ――っぐっ!!」 大きく息を吸った瞬間、背中と胸の火傷痕が引き攣れて痛みが走る。 普段は何ともないのに、あの悪夢を見た後は必ず傷が疼く。 その痛みがまたあの記憶を呼び覚まし、気付けばウサギを追っている。 黒くうねる夜の海。青白く光を放つ怪獣の血液。真っ赤に染まる視界。傷口に突き刺さる白い雪の冷たさ。そしてブラックアウト。
何度も何度も、兄貴が殺される。俺が死ぬ。 どうすることもできないまま、何度も何度も何度も何度も。 俺の魂に刻み込まれた兄貴の恐怖と絶望は、もう二度と消えないのだと思い知らされる。 もういい。もう止めてくれ。 見たくないんだ。思い出したくないんだ。 忘れられないのはわかってるから、せめて目を逸らしていたいのに。 「ぅ……っっ!ふっ………ううっ…」 薄く滲んでいた涙が突然ボロボロと零れ落ちた。せっかく取り込んだ酸素は嗚咽となってまた吐き出されてしまう。 そのまま声を殺して俺は泣いた。ガキの頃だってこんなに泣き続けたことはない。 ガキ――キッズ。兄貴は俺をそう呼んで可愛がってくれた。 俺の無鉄砲さに呆れながらも嬉しそうに笑う兄貴の顔は、今でもはっきり覚えてる。 それなのに。 何でここにいないの。 何で俺を置いて逝っちまったんだよ。 会いたい。兄貴に会いたい。 また笑ってくれよ。 『自惚れんな』って窘めてくれよ。 俺を一人にしないでくれよ…! 「………兄貴ぃ……っ…!!」 どれだけ泣いても足りない。兄貴の形に空いた穴は涙じゃ塞がらない。 それでも俺には、みっともなく泣くことしかできなかった。 あれから二年。あの日に俺が失ったものはあまりにも大きい。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 代行者さまどうもありがとうございました。
382 :
若者のすべて :2013/08/30(金) NY:AN:NY.AN ID:il8nxdM20
旧局朝仁R 田和場×登坂 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 夕暮れ近くなってもなかなか部屋の気温が下がらないのは、風ないためだと気がついた。 窓からはひぐらしの声と、赤い西日だけしか入ってこない。 窓から身を乗り出すと、外の空気の方が冷たくなってきている。 「部屋はだめだ、空気こもっちゃって」 畳の上にT シャツ1枚で溶けている登坂に声をかけた。伸ばした髪を結びもせずにいる姿は見ているだけで暑苦しい。 畳に伏せられた顔からは、 「さうですね」 と、常よりは弱った声が返ってきた。扇風機すらないこの部屋はさすがに暑いらしい。 「外、出るか」 「川原で夕涼みですか?」 「いや、今日川原はまずい」 「なぜです?」 そう登坂が聞いてきた時、遠くの空がポンと鳴った。 「敵か!?」 「バカかお前は」 とっさに身構える登坂の頭をはたくと、また同じ音が聞こえた。 「今日は川で花火なんだよ、あんなところ行ったら人混みで涼むどころじゃないぞ」 窓の外を見ると、白い煙が雲に紛れて揺れている。日はほぼ落ち、白い星がふたつみっつ夕明かりの中に現れていた。 「じゃあどこいきます?」 「花火を見る」 そう答えると、登坂は口を開けたまま数秒固まっていた。眼鏡越しでもぽかんとしているのがよくわかる。 「人混みが嫌だって今言ってたじゃないですか」 「屋根から十分見える」 「なーるほど!」 登坂はやっと腑に落ちたような顔をした。もう、開始の合図が鳴ってしまっている。 のんびりして居ては見逃してしまうので、慌ててビールとコーラとさきいかをひと袋用意し、先に登坂が上がって俺は後からそれらを受け渡しつつ這い上がった。 もともと登ることが想定されている訳ではないので、雨どいを壊しそうでなかなか上がれず、登坂に思い切り引っ張り上げてもらう途中、背中に轟音と閃光が走った。 「お、もうはじまっちまったか」 「なかなかよく見えますよ」 「どれどれ」
ぐっと力を込めてまだ温かい屋根に腰を下ろす。斜面で、しかも重なった瓦のためバランスが取りづらい。 立ち上がったらすぐ落ちてしまうような気がするが、座って空を見ている分にはあまり問題はない。 次の花火は三色の花火が三連だった。さすがに近くで見るよりは小さく、建物や木に邪魔されて所々途切れることはあったが、充分鑑賞に堪えるレベルだ。 夜の風は少し湿っぽいが、涼しい。 「穴場じゃないですか」 「だな」 花火は次々に上がる。ぱっと開いてすぐに消えるもの、ぱらぱらと小さな爆発を繰り返すもの、柳のように垂れ下がるもの、 これらを見ながらのんびりビールを飲むのは何ともいえずいい気分だった。 「しかし、一緒に見るのがお前じゃむさくるしいな」 登坂は花火に顔を向けたまま、 「お互い様ですよ」 と言ってコーラを飲んだ。俺は黙ってさきいかをさらに裂いて噛んでいた。 「カメラ持ってくるべきでしたね」 「この距離じゃ、写真としては微妙だろ」 それに第一野暮だ、と思ったがそれについては言えなかった。 一瞬の美などという、手垢にまみれた言葉を使いたくはなかったのと、なにか胸の奥に引っ掛かるものを感じていた。 そのつかえなど忘れるためにさきいかでも食べようと思い屋根の上の左手を見ると、その数ミリ横に登坂の右の手があった。 花火が空でどんと言った。その手を握ってしまえ、と心の中で声がする。しかし、今さらそんなことはできはしない。 あらゆる過程を飛ばし、感情の伴わないまま体だけは進んで行って、今になって気持ちをどうこうなどそんな虫のいい話はない。 感情がないから軽口も叩け、甲賀部で気まずい思いをすることもなくすんでいると言うのに。ここで手を握ってしまえばきっと何かが変わる事だけは確かだった。 先ほど引っぱり上げられた時とは意味合いがまるで違うのだから。その変化を誰よりも恐れているのは、きっと俺だ。 馬鹿な事を考えたな、と思い黙ってさきいかを袋から出した。たったひと缶のビールに酔ったかと、我ながら情けない思いすらする。 登坂は俺の様子には全く気が付いていないようで、飲み終わったコーラの瓶を屋根の上に転がして、顔は花火ばかり見ている。
怪しまれずに良かった、とひそかに胸をなでおろした時、ひときわ大きな火の玉が真っ直ぐに空をあがっていった。 「ラストか?」 「そのようですね」 他の花火よりも高く上がった火の玉は、これまたどれよりも大きな音を立てて開いた。 まず丸く開いたその花びらがゆっくりと垂れ、小さな爆発がその中でいくつもいくつも起こった。 しかしそれもほんの数秒のことで、すぐに煙のもやを残して消えてしまい、それからすぐに花火大会の終了を告げる小さな合図がふたつだけどこかで鳴った。 「いやあ、絶景でした」 「最後のはでかかったな」 光の残像だけを残して花火が終わると、あとは静かな夜だった。川原の喧騒は遠すぎてわからず、静かな街並みしか見えない。 虫の音があちこちから湧き上がってきて、花火があったことなどまるで嘘のようだ。 その平凡な様子に毒気を抜かれたのか、登坂は部屋に戻りたいと言い出した。 「いい加減ケツが痛くて」 瓦の段差に押し付けられていたところをさすりつつ、登坂は窓の桟に足をかけようとするも、なかなかバランスが取れないので今度は手で助けてやった。 今度はためらうことなく手を伸ばせる自分がなんだかふがいなかった。 登坂を部屋に戻し、そのまま俺は屋根の上で煙草をふかした。ぼんやりと夜空を漂う花火の煙と、煙草の煙が目の前で混ざった。 あの時は赤や緑に照らされておかしなことを考えていた。もしかしたら、ある意味最後のチャンスをあの時逃したのかもしれない、と思ったがその危機感も今ひとつしっくりはこなかった。 あれはきっと気の迷いで、それこそ一瞬で消えてしまう夢だったのだと思おう。 屋根の上でつぶした煙草をビールの空き缶に入れて、さてここからどうやって下りるべきかと、俺はしばし考え込んだ。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
なんか久々に来たらSSが3つも! 職人の皆様、乙乙でした! どのSSもぞれぞれに楽しませてもらったよ−
空気読まずに連投申し訳ありません。 保管庫の方に直接投稿させていただきました。 某スペオペRPG、艦長×黒服弟。塩漬け物件の2 69-386「Interlude」から続きます。 忍法帖修行中のリンク制限に引っかかっているようなので報告のみにて。
乙 艦長×黒服弟 イイヨー ごちそうさまでした!
旧局朝仁R 登坂→R |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! その日はこの秋一番の冷え込みだった。油断してトレーナーを着て来なかった登坂はチェックのネルシャツを通ってくる冷たい風に閉口した。 人口密度の高い教室では暑い位だったのに、一歩廊下に出た途端の温度差に体がなかなか慣れてくれない。 いくら全てにおいて勝利――自称――をしている登坂とは言え、気温だけはどうにもしようがなく、だんだんといらいらしてきているようだった。 「わたしに断りもなく寒くなるとは、却下である」 甲賀部に続く人気のない廊下で呟いてみるものの、却下したところでどうにかなる問題ではない。 もう、部室備え付けの寝袋にくるまって少しでも暖を取りたい。そんな思いで登坂はまだ部員のいなそうな部室に入った。 改装したばかりの部室は木の香りがかすかに残っているが、いつのまにか雑然としていてどこに寝袋があるのかすぐにはわからない。 その上、窓のわずかな隙間から隙間風が容赦なく吹きこんでくる。 人の気配のない秋風の吹く部室で寒さに震えるのはしらけ鳥も飛んでいきそうなみじめさで、登坂は腕を組んで眉間にしわを寄せた。 「不愉快極まりない」 「旦那旦那、冬じゃなくてまだ秋ですよ」 「うわっ」 突然登坂の後ろにRが現れた。下半身が寝袋に入ったままの様子を見ると、今の今まで寝ていたらしい。 「気配を消すんじゃない、このスカタン!」 「あうぅ、そんなこと言われたってアンドロイドに気配がないのは当然じゃないですか」 「だまれ、口答えをするな」 どこからか取り出したハリセンでRの頭をはたくと、勢いでころんと床に落ちた。Rは慌てて首を拾うと、不満げな顔を胸元に抱いて、 「ああ殺生な」 と言ったが、登坂は不敵な笑みを浮かべる。Rをはたくことで少し体が温まることに気がついたのだ。 登坂は、首をはめつつ逃げるRをハリセン一本握りしめて追いかける。固まっていた綿ぼこりがちぎれてそこらを舞う。 登坂が追いかけても、なかなかRをはたくことが出来ない。やはり、アンドロイドの身体能力は登坂より上だ。 そうはわかっていても、あたふたと逃げるRを追いかけること自体が登坂にとっては楽しみになっていた。
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2/3 :2013/10/15(火) 00:01:30.99 ID:mICB3jF60
そこらに置かれているなべややかんやラグビーボール等を上手によけつつ続いた鬼ごっこだったが、やはり最後は登坂の息が切れた。 落研と書かれた座布団の上に座り込むと、満足げに荒い息を吐いた。 「よーし、うむうむ、よーし」 登坂がネルシャツの袖で汗をぬぐっている間、Rはどこからか炊飯器を取り出して米を研ぎ始めていた。 「たくさん動きまわったせいでおなかがすいてしまったじゃないですか」 そんなことをぶつぶつ言いながら、Rは登坂に背を向ける。西日がゆっくりとRの猫背を降りていく。登坂はまた隙間風を感じ始めた。 折角温まった身体がまた冷えていく。木を離れて舞っていく葉の微かな音が風に混じった。先ほどまでの騒ぎが嘘のような静けさで、Rが米をとぐ音が律儀なリズムを刻んでいる。 登坂はまた寒くなった。それは先ほどまでの寒さとはまた違うようだった。 シャツを通り抜けて素肌を冷やすだけではなく、その奥までも冷たくしていくような寒さだった。 汗に濡れた髪が首筋に張り付いて、それがますます寒さを加速させていった。 ぱちんと音を立てて炊飯器を閉めると、Rは膝に乗せて炊けるのをぼんやり待っているようだった。登坂はまた思いついて、 「R、ちょっとこっちへ来い」 「痛くするから嫌ですよ」 「いいから来るのだ」 首根っこを掴んで登坂は無理やりRの体をひきよせると、そのまま膝の上に腰かけさせた。炊飯器はコードのせいで少し離れた所に留まったままだ。 登坂は膝の上に載せたRが逃げられないよう、がっちりと手足で拘束した。 「ああっ、これは動けない」 そう言いながらRは特に抵抗するそぶりを見せなかった。黒い学生服を通して、じんわりとRの温度が登坂に伝わっていった。 それはRの中のモーターが動いているせいであるが、それでも登坂は構わなかった。 腹の奥底からくる得体のしれない寒さを、腕の中のアンドロイドで止められればそれで十分だった。機械だが、確かにRの内部は動いている。 「お前はわたしの湯たんぽにでもなっていればいいのだ」 登坂はRにしがみつく力を強くした。
まるで人肌のような温度のRが少しずつ肌をとかしていくようで、身の内に凝っていた冷たさもそれにしたがって消えていくのを登坂は感じていた。 しかし、Rはそんなことには全く気付いていない。 「これじゃあごはんが食べられないじゃないですか」 「お前はご飯のことばっかりだな」 呆れながらも登坂はRを放そうとしない。日はますますかげっていき、重なった二人の影はだんだん薄くなっていく。 しかし、それを登坂が感傷的に見ることはなかった。もうその必要はなかった。 そして気の早い虫が日も落ちぬ前に澄んだ音で鳴きだすと、部屋は米の炊けるいい匂いで充たされていった。 □ STOP ピッ ◇⊂(ΘA川)フタツニオサマラナカッタジャナイデスカ…
乙! 田中かわいいよ田中 登坂さんとRがじゃれてるのって和む そしてさみしがりの裏返しでいつも騒いでる登坂さんがいい
ウッ萌えた… ああっ。とか言いながら抵抗しないRくんいいわあ
クッソマイナーだが jak.eand.am.ir ジェイク→アミール |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 彼は銃にすこしばかりのトラウマを持っていた。あのバカがあろうことか銃で自分自身の脳漿を吹き飛ばしかけたからである。何年間も彼の奇行に付き合ってきたが、あのときばかりは洒落にならなかった。 それが二年前のことだ。 小さな傷が絶えないのも、ため息が癖になっているのも全てあいつのおかげだ。 ジェイクは自炊する気になれず、ハンバーガーやポテトの暖かい包みをかかえて、借りているマンションの真下にいた。夜の乾いた風が足元の落ち葉をさらっていくなか、いくつかの窓のなかで彼の部屋の窓が彼自身を照らしていた。 しかし、彼は一人暮らしなのだ。 窓に影がぼんやり映っている。影は窓際でテレビ観賞に浸っているようだ。 彼は中にいる人物を直感して、踵を返した。運悪く影――つまりあいつの好物を買いこんでしまったようだ。しかし影がすばやく窓をスライドさせた。 「よお、ジェイク!どこ行くんだ?ベースボールやってるぞ!」 仕方なくエレベーターで向かって部屋の鍵を開けた。窓際ではやはりアミールが寝転がって試合の成り行きを見守っていた。 「まあ入りなよ!散らかってるけど」 「ここは俺の部屋だし、お前を呼んだ覚えはないよ。どうして中に入れたんだ?」 彼は当然のごとく複製した鍵を掲げた。油断も隙もない。 ジェイクは買ったごちそうをサイドテーブルの上に適当に並べ、毛布にくるまっている物体のそば、若干へたってきたソファに腰を沈ませた。 ハンバーガーをぱくつくとうらやましそうにメガネ越しの視線を送ってきたので、 「お前のぶんは買ってない」と言った。まあ、そいつはかまわず大好物のチキンナゲットに手を伸ばしてきたのだが。 「それ、俺も昨日食ったよ」 「あっそ」 「一昨日も」 「お前は毎晩バーガーとナゲット食ってんのか?」 「まあな」 「お前が俺だったら何年も前に死んでるね」
アミールは返事の代わりにチップスを二回鳴らして食べた。 彼にはあまり友人がいなかった。変人だからだ。 嫌われているわけではないが(厄介者だとはおおいに思われているが)特にジェイク以外には興味がないのである。 仕事中でも旅行中でもいつも彼のあとをちょこちょこついて回り、必然的にジェイクはアミールのお目付け役を担うことになった。 面倒くさいし嫌がっているような素振りを見せてはいるものの、内心彼も楽しんでいたのだった。そして密かに、親友という枠の中におさまりきらない感情もぶくぶくとあふれるようになった。 いつのまにか親友が静かになっていたので、見ると相変わらず毛布に包まっていたが、動く様子は無かった。ベースボールの歓声だけがうるさい。 「寝てんの?」 返事はなかった。幸せそうに食べかけのものをつかんで眠っている。さっき話してから短針は数センチも進んでいない。どうしようもないやつ、こいつを的確にあらわす言葉である。 そして、顔を覗き込むと、口はしにケチャップをつけたまま寝ているだらしないやつだということがわかる。 でも、彼は寝ているはずだったのになぜか目が合った。言葉を発する間もなく、あいつのほうからちょっとの間舌を絡められて開放された。 「な……お前…何して」 「騙されたな」 おそらくキスしたのは一瞬のことだったのだろうが、あたたかい感覚がぬるりと残っていた。 「なあ、俺たちまだセックスしたことないよな?」 ジェイクは答えない。あっけにとられているようにも見える。いや、実際はまだ混乱していたのだ。今までふざけたキスは何回もしたが、今のは明らかに目的があってやったものだとわかっていたから。 「やろーよ」
本来なら止めるべきなのだろう。毎度のこいつの暴走は俺が止めなきゃなんないんだから。 「他の奴とやれば」 「ジェイクとしたいんだ」 「なんで」 「別に。やりたい気分なんだよ。仲いい女とセックスするように男でも問題ないだろ。……まあ女とやったことは……あんまないけど」 「俺はお前の性欲を満たすためにいるんじゃないんだよ」 「違う。お前が親友だから頼むんだ」 恋人でもないのに?俺はお前とキスするたびにしばらく余韻が抜けずにどぎまぎしていたというのに? ただこの関係のまま、俺だけが勝手にそういうことがしたいって思っていればいいんだ。 実際にセックスしたら――もう戻れないだろう。 これからも親友のままふざけていればいい。 「バカだろ、お前」 アミールはまたしても手を重ねて舌を入れてきた。そう、いつもなら振り払って猛烈に罵倒しただろう。 いつもなら。 ジェイクは抵抗をやめた。何も考えないようにして、何も思わないようにした。そうだ。セックスしたってする前とは一切なにも変わらないはずだ。 だって……親友なんだから、何をしたって許されるだろうよ。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! この二人があまりにホモホモしかったのでたまらず書きました この国で自分以外に知ってる人いるのか……マジで
また無駄に長いので保管庫に直接投下しました。
某スペオペRPGで、妹→艦長←黒服弟
69-386「Interlude」、 69-388「Give Me A Reason」の続きにあたります。
エロなし(ただしそれに関しての言及はあり)。女性キャラ成分多めにつき注意。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
http://morara.kazeki.net/?69-398
夢想大蛇2Uのスサナ夕両片想い(?)でWナ夕会話。スレの話題を拝借しましたがもはや別物です。 多分七章陣地が舞台で機械(とスサ様)が思い詰めすぎのシリアス。 ほぼ妄想設定ですがネタバレ注意。一応救いらしきものはありますが人型は死にます。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「キミが、未来のボク?」 少年はそう言って、まじまじとナ夕の顔を覗き込んだ。 「へえ、こんな風になってるんだ。体は全部作ってもらったの? すごいね」 ナ夕は反射的に少し身を引いた。無遠慮な視線にさらされて居心地が悪い。 髪や肌などの色合いこそ違えど、少年の顔立ちや体つきはナ夕によく似ている。 ……いや、ナ夕が彼に似ているのだ。彼の姿を模して作られたのだから。 かつての自分がどんな風だったのか、気になってはいた。だがまさか、実物と対面する日が来ようとは。 「キミは、もう知ってるの? ボクのこと」 「うん。ボクはこの先一度死んで、生き返って、キミになるんだよね」 彼はこともなげに頷いた。拍子抜けするほどに平然とした態度だった。 「信じるの? こんな話」 「まあ、急に言われても、って気持ちはあるけど……でも、現にキミがいるからね。キミがボクだっていうのは、見ればわかるよ」 彼は微笑む。ナ夕もその点については同感だった。彼の持つ魂は、間違いなく自分のそれと同じものだ。 「キミがどうして死んだのか、聞いた?」 「ううん、別に。もう決まってることなら、詳しく聞いてもたいして意味ないから。ヘンに身構えて、逆に失敗したくないしね」 あっさりと言い放つ。 考えても無駄なことは簡単に切り捨てる、徹底して割り切った考え方。それは、ナ夕にとっても非常に馴染み深いものだ。 だがその発言は、ナ夕の心に不可解な痛みをもたらした。 「ボクが聞いた話の通りなら、気をつけていれば避けられるはずだよ。 教えてあげようか? そうしたら、死なずに済むかも」 「え? いいよ、そんなの。だって、一度気をつけて助かったって、もう絶対死なないとは限らないよね。 死にたいわけじゃないけど、死なないためにやりたいことを我慢し続けるなんて、ボクは嫌だな」
彼の言葉はどこまでも単純で明快だ。その潔さが、なぜか無性に腹立たしく感じられた。 「そんなの、わからないよ。この一回を乗り切ったら、後は大丈夫かもしれない」 「ヘンだな。どうしてそんなこと言うの? 死ななかったら、ボクはキミにならないのに」 「それは、そうだけど」 指摘されて口ごもる。 自分でも、なぜこんな気持ちになるのかわからない。ただ、目の前の少年に自分の命を軽視されることが耐えがたい。それが結果的にナ夕の存在に繋がるのだとしても。 「キミが、死んだら」 内から突き上げる感情のままに、口が動いた。 「キミが死んだら……スサ丿オが、悲しむ」 ああ、そうか。 口に出してようやく、腑に落ちた。 そのせいで自分は、こんなにも苛立っているのだと。 「……でも、生き返らせてくれるんだよね? なら、問題ないと思うけど……別に、そこで終わりってわけじゃないんだし」 彼は釈然としない様子だった。ナ夕が何を問題にしているのか、いまいち理解できていないようだ。 彼は知らないのだ。彼が一度死んで蘇ったことが、あの男にどんな影響を与えたのか。 ナ夕も知らなかった。今も完全に理解できてはいない。共にしてきた時間の中で、少しずつその心に触れ、おぼろげに感じ取ったに過ぎない。 「違うんだ」 小さく首を振る。 「スサ丿オは、多分、ずっと……後悔してる。キミを死なせたことも……ボクを生き返らせたことも」 また、どこかが小さく痛んだ。 さすがに彼は驚いた、というよりは、信じられないような顔をしていた。 「どうして? よくわからないな。スサ丿オはキミが嫌いなの? そんな風には見えなかったけど」 「それは、違う……と思う、けど」 特別に目をかけられている自覚はあった。他者に比べれば段違いの信頼を受けているのも事実だろう。 だが、以前からスサ丿オの態度には不自然な壁があった。 時折見せる、理由のわからない拒絶。偶然気がついた、ナ夕を見る時の険しい顔つき。なるべく悟らせないようにしていたようだが、一度気づいてしまうと全てが気にかかった。
最初は、ナ夕の何かが気に入らないのかと思った。 けれども、弱いのが不満なのかとひたすら敵を倒しても、昔の自分と違うのが嫌なのかと昔のことを聞いてみても、核心を突いた手応えは得られなかった。隔意が薄まる様子はなく、かといって失望された様子もなかった。 そのうちに、少しずつ感じ取れてきた。彼の険しい視線はナ夕ではなく、ナ夕を作り出した彼自身に向けられているのだと。 ただ、何が彼をそうさせるのかについては、まったく見当もつかなかった。 「恨んでいいって言うんだ。ボクは生き返らされたことを恨んで当然なんだって。どうしてなのかな? 恨む理由なんて何もないのに。こんなに感謝してるのに。 なのに、ダメなんだ。それ以上は何も言ってくれなかったけど、ずっと自分を責めてるのがわかるんだ。 それを見てたら、なんだかすごく苦しくて……体はどこもおかしくないのに、壊れそうになるんだ。だから、」 時間を遡り、かつての“ナ夕”を目にしたほんの一瞬、彼の顔をよぎった表情。 それだけで、わかってしまった。彼が、どれほど痛切にあの少年を救いたいのか。今のナ夕が存在しなければ、彼はどんな手を使ってもそうしたのだろう。 けれども、彼はナ夕を選んだ。己の未練に一瞬で蓋をして、平静を装った。今後何が起ころうとも、その選択がどれほど彼の後悔を深めようとも、彼は己の決心を貫き、苦悩など表に出すまいとするだろう。 そうすることが彼なりのナ夕への気遣いなのだということも、なんとなくわかってきた。心に壁を作るのも、彼の抱えた苦い感情に触れさせないための配慮なのだと。 けれど、それに気づいてしまった今、彼のその優しさこそが辛かった。 「もし、ボクが……キミが、死なずに済む方法があるなら……」 そうしたら、何か変わるだろうか。彼は自分を傷つけなくてもよくなるだろうか。 実際にそうなったとして、どう歴史が変わるのかはわからない。今ここにいるナ夕は、最初から存在しなかったことになって、誰の記憶からも消えてしまうのかもしれない。 それならそれで、別にいいような気がしていた。
「……やっぱり、よくわからないや」 しばらくの沈黙の後、少年はぽつりと呟いた。口調が少し神妙なものに変化している。 「スサ丿オはいつでも、誰よりも、絶対に強くて……自分を責めたりするなんて、考えたこともなかった」 その気持ちはよく理解できた。かつてのナ夕も同じだったからだ。 強い者が傷つかないのではない。強くなるほどに負う傷も増え、その痛みを乗り越えた者が更に強くなれる。それを教えてくれたのは、ここへ来て出会ったお節介な人間や仙人たちだった。彼らがいなければ、これほど多くのことには気づけなかっただろう。 「キミはボクのはずなのに、ボクが考えもしなかったことをいっぱい考えてるんだね。 ……そっか。ボクはこの先、こんな風になるんだ」 「え?」 耳を疑った。それではまるで、ナ夕の思いとは逆に、己の死すべき運命を受け入れているようではないか。 「言っとくけど」 ナ夕の戸惑いに気づいたのか、少年はまっすぐにナ夕を見返した。強い意志のこもった瞳だった。 「ボクはそう簡単に死ぬつもりはないし、自分が死ぬなんて思ってないよ。死なないために逃げ回りたくはないけど、何があったって全力で戦う。 逆に聞くけど、キミはそれでいいの? 生きる権利をボクに譲って、そのまま消えるつもりなの? ボクにはそっちの方が、よっぽど信じられないな」 「ボクは……」 問われて、考えた。 自分のせいでスサ丿オが苦しむのを見たくなかった。昔の自分を見殺しにすることが心苦しかった。 自分の存在が二人を不幸にする。そう思ったら、苦しくて、嫌で、それならばいっそ、自分が消えさえすれば、誰も苦しまなくて済むのだと…… そこまで考えて、気づいた。 彼らのため、ではない。 自分はまた、己の弱さと向き合いたくなくて、全部なかったことにして逃げ出そうとしていただけだ。 消えてしまえば、全てがなくなる。この苦しさからも、解放される。だから。
「……違う」 心に浮かんだ言葉が、そのままこぼれ落ちた。言いたいことがうまくまとまらないまま、それでも何か言わずにはいられなくて、ただ続ける。 「そうじゃない。ボクが消えればいいなんて、そんなはずない。 嬉しかったんだ。命をくれて、傍に置いてくれて、何度も助けてくれて、恩返しだってまだ全然できてない。 苦しくても、後悔しても、それでもボクを生かすって決めてくれたんだ。そうやって生かしてもらったおかげで、いろんなことがわかったんだ。 今さらそれを、ボク自身が無駄になんて……そんなこと、したくない……絶対にしない!」 そうだ。彼は決して逃げようとはしなかった。どれほど後悔しても、ナ夕自身に恨まれる覚悟をしてさえ、ナ夕を生かすことを選んだ。 全てを飲み込んだ上で、かつてのナ夕を“殺す”覚悟を彼が決めているのならば、すべきことは彼の前から消えることではなく、その覚悟も、後悔も、共に背負っていくことではないのか。 「……ああ、よかった。この“ボク”が自分から死にたがるなんて、ありえないよね」 少年は清々と笑った。 「キミはボクよりも弱いけど、強いね。ヘンだな、弱いのに強いなんて」 不思議と彼は楽しそうだった。ナ夕が新たな命を授かってから得てきたものの片鱗を、彼も感じ取れたのかもしれない。 複雑な気持ちだった。ナ夕が生きたいと願うことは、この少年に死んでくれと言うのと同じことなのだ。 けれどももう、生を譲ろうという気にはなれなかった。 今のナ夕にできることは、目を逸らすことなく、かつて自分だった存在の行く末を見届けることだけだ。 「ねえ、ボクたちはまだもう少し、一緒にいられるんだよね? その間に、キミの話が聞きたいな。代わりに、ボクの話も聞かせてあげるよ」 「……うん。本当はずっと知りたかったんだ、昔のボクのこと」 ナ夕はようやく、血の通わない顔にほんのりと笑みを浮かべた。 失った自らの記憶の代わりに、少しでも多く、かつての自分を知っておきたかった。 いつかその時が来ても、彼の存在を受け継いで生きていけるように。
==================== 「一緒に戦いに行きたいんだけど、いいかな?」 二人並んでそう告げた時の反応は見物だった。ナ夕はつい噴き出しかけた。 ここへ来てからというもの、スサ丿オがこれほど動揺をあらわにしたのは初めてではないだろうか。もっとも、端から見ればいつも通りの厳めしい顔つきなのだが。 「汝らが、か?」 「うん。どっちがたくさん敵を倒せるか、競争するんだ」 「過去のボクと未来のボクとで力比べができるなんて、滅多にない機会だからね」 「直接戦ってみるのも面白そうだけど、数で勝負するのもいいかなって」 交互に言って、最後に「ね」と顔を見合わせる。 スサ丿オは小さく唸った。申し出の内容を吟味しているというよりは、彼らにどう接したものか決めかねているのだろう。気持ちはわかるので、二人は忍び笑いを交わしながら反応を待つ。 あれから、二人は色々話し込んだ。互いが今まで経験したこと、出会った人々、それぞれの考え方について。 これからのことについても話し合って、決めた。二人で存在できるこの貴重な時間を、目一杯楽しむこと。やがて来る別れの時に、少しでも未練を残さないために。 そうして、ナ夕は一つの決意を固めた。 スサ丿オが自分のために苦しむならば、その苦しみにとことん向き合い、いつか打ち勝ってみせようと。 たとえ拒絶されても、余計互いを傷つけることになっても、ずっと傍にいて、諦めずに何度でも伝え続ける。感謝していると。出会えてよかったと。後悔などしてほしくないと。彼が本当に己を許せるまで。 そして叶うことならば、彼が今まで独りで抱え込んできた痛みに触れたい。癒やすことはできなくても、傍らで共に耐えさせてほしい。彼の“右腕”として。 昔の自分から託された思いと、大切に思われている確信が、大きな力を与えてくれた。彼らに報いるためにも、胸を張れる自分になりたい。ならねばならない。
「……では、我が目付として同行する。それでよいな」 ようやく、渋々といった体で許可が出た。 二人は顔を輝かせた。どうせ誘うつもりだったのだ。たとえ彼の中で葛藤の 末、「さすがに二人で野放しはまずい」との判断が勝ったのだとしても、この機 を逃す手はない。 「もちろんだよ!」 「じゃあ、行こう! ほら早く!」 示し合わせたように両脇に回り、腕をとらえて引っ張る。触れた瞬間、腕にか すかな緊張を感じたが、あえて無視した。 「スサ丿オが審判だから、ちゃんと数えてね」 「我一人で両方をか? 無茶を言う」 「ダメだよ、自己申告は信用できないから。それに、ボクも何人倒したかなんて いちいち数えてられないし」 「己が出来ぬことを二人分、我一人に押しつけるか」 「大丈夫だよ、だってスサ丿オなんだから」 「そうそう、スサ丿オならできるって信じてる」 「……ふ……くくっ」 思いきり無責任な言い草に、耐えきれなくなったように笑いが漏れる。二人の ナ夕は視線を交わし合って笑った。 たとえこの状況が彼にとって居心地の悪いものだとしても、三人でいられるこ の時間を、少しでも楽しく感じてほしい。共に過ごすことで、後悔が少しでも薄 まるように。 「責任は持てぬぞ」 「まあ、もしダメだったら無効試合ってことで、再戦かな」 「別に何回やってもいいよね。その分楽しみが続くんだし」 くすくすと笑いながら、取った腕に体を寄せた。冷たい金属の体では体温を伝 えることはできないけれど、一緒にいたいという思いが伝わればいいと思う。 見上げた顔は、いつもよりも穏やかに、二人を見下ろして微笑んでいた。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 自分なりのハッピー(?)エンドと両手にナ夕(文字通り)をやりたかった。 機械の精神が急成長ってレベルじゃねーですが、こうでもしないと石頭は幸せに なってくれない気がします。
代行より
>>400 ナンバリング間違えたのと、
つなぎ替えで最後だけブラウザ変えたら改行位置変わってしまった…
すみません
>>398 超遅レスだけどGJ!萌えた
投下ありがとうございます
急曲兆陣R 田和場×登坂 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! そのころは何かと理由をつけて甲賀部には顔をだしていなかった。 もともと登坂ほど頻繁に通っていたわけでもなく、毎日やることがないわけでもなかった。 それは別としてなぜか甲賀部に行くのがためらわれる、そんな時期もあった。 だからといってこうして完全に足が遠のいて行ってしまうとなると淋しさに耐えられず、 その淋しさがわずらわしさに勝った時にまたいつも通り甲賀部に通いだす。 そして一度行ってしまえばしばらくは楽しく甲賀部で過ごすことが出来る。 そしてまた抵抗が芽生えて足が遠のく、そんな面倒な周期をそのころは繰り返していた。 甲賀部に行かないとなると、自然と登坂には会わなくなる。 まさか実家に電話をかけて呼び出すわけにもいかず、そもそも部室や職場にいる可能性の方がよほど高いので電話ではまず捕まらない。 登坂も部活でもなんでもないときにこちらに来るようなことはなかったから、二週間近く安否すらわからないのもザラだった。 かといって、登坂を呼び出すためだけに甲賀部に行くのもまた嫌だった。それはあまりにも純粋でない気がした。 その上それ目当てで甲賀部に行っているように思われるのは癪に障る。こういう意地を張り、心の片隅に残したもやもやを煙に換えて茫洋とした毎日を過ごしていた。
その日は夜になってからタバコが切れたことに気がついて、近くの自販機に買いに行った。 上着を着ても肌寒く、マフラーもしてくるべきだったかと少し後悔をした。 タバコを買って足元を見ると自販機の明かりとは違う方向にも影が延びている。月だった。 いつもより大きな月が遠い山を黒々とした影にしていた。じっと見つめて目を離すと緑の残像が夜空に浮かぶ、そのくらい明るい満月だ。 あまりに見事な月に見とれていたが、冷たい風が吹いてふと我に返る。とたんに寒さを感じた。 指先は静かに冷えきっていた。月の光はなにも暖めてはくれない。 買ったタバコをポケットに押し込んで、家路を急いだ。ひんやりとした秋の空気だった。 部屋に戻り、買ったばかりのタバコをふかしながら大きな月を眺めた。 先程は黄みの強かった月がもう白白としていた。 時間はあっという間に流れるのだ。そう思うとなんだかたまらなかった。いい月がたまらなく嫌だった。 ぺらっと布をはがされて地の部分まで洗い出してしまうような光だった。 嫌だからずっと見ていた。目をそらしたら負けだ、とまるで登坂のようなことを考えていた。 今ここに登坂がいたら、こんなどうしようもない気持ちはなかったのだろう。 きっとほとんど月になど見向きもしない。たとえ見たとしても深みにはまるような見方はしまい。 月の光など、一人で見るものではない。 タバコは手元で燃え尽きていた。その灰と同じくらい月は白く、やたらとなきじゃくる虫たちの声も、不愉快だった。
数日して甲賀部に顔を出した。日々乱雑になる他何も変わった所はなかった。登坂は相変わらずRに関節技をかけ、Rの首はもげていた。 「これはこれは田和場さん」 「またやってんのか」 「わたしはRをどう扱っても構わないのです」 何故か得意げだった。勝手にやってろ、とつぶやきながら椅子に座ると、 登坂は何かを思い出した様子でRを床に投げ出してアルバムの中をあさり、1枚の写真をこちらによこした。 「これ、なかなかうまく撮れてるでしゃう」 大きな満月だった。モノクロ写真でますます白く見える、あの月だ。 「この前の満月か?」 「ええ」 何気ない様子を装ったが、胸はざわついた。あの冷たい夜が思い出された。でも、登坂もあの時この月を見ていたのだ。 「なあ、これ撮るとき、何考えてた?」 無性に気になって聞いてみた。登坂はしばらく考えているようだったがやがて当たり前のように、 「言葉にできるなら写真なんか撮りません」 と言った。 それもそうだと思った。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お祭り騒ぎの甲賀部とは全然違う雰囲気なのに、コレジャナイにならずしっくりくるし田話場さんっぽい 何故なのか 毎回大好きです…
・遊脳刊、教Tアニ 炉具・洞IZN ・某所の主人公受け祭りに、分かるんだけど、このキャラデザじゃ納得しちゃうんだけど、と七転八倒した結果 ・未放映分原作4巻のエピが基なので、ネタバレ禁の人は封印 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! ノックしようとした手をふと止め、ノブからゾーン情報をポップアップさせる。 表示される内容は〈ギルドマスター執務室 入室者制限なし 特技使用制限なし 戦闘行為制限なし〉 思わずため息をつき、改めてドアをノックする。 「ギルマス殿、お忙しいところすまないが邪魔してよろしいですか?」
「仕事をしながらでよければ、構わないよ。どうぞ。」 「では、失礼します」 部屋に入ると、また増えている書類の山から当人が顔を上げた。少し困った、と言いたげながらも、やさしいまなざし。 こちらが口を開けずにいるのを見てとり、声をかけてくれる。 「また、この間の話?そんなふうに気にすることじゃないと言ったはずだけど。」 「貴方はそう言っても…やはり、僕は腑に落ちない。」 表情がさらに困り度を増す−それでも笑顔のままではあるのだけど。 「取り合えずこちらの書類を片付けたいんだけど、その後まで待つのかな?」
支援?
「なら、待ちます」 カリカリ、とペンの音が響きだした。所在がなくて、本棚に目を走らせる。様々な系統の術書、歴史書、地図、その他諸々。書類の山と… これ全てにこの人は目を通しているんだろうか?中伝級の呪術書を抜き出して眼を走らせてみる。やがて、ペンの音が止まった。 「やれやれ…君も強情だね。」 「納得できないものは納得できないんです。」 「あれは彼女たちが望んだというのと…ある意味、僕の考えていた、魔法の実験でもある。君がそんな風に考える事じゃない。」 「その…実験という言葉は、どういう意味です?」 一瞬、茫然となり。 「そうか…、そうだね。えーと…」
宙に視線を彷徨わせて。何か声をかけようか、と思い始めた時、眼鏡を直して少しどこかいたずらっぽい表情。 「そう。この紙を、あちらのゴミ箱に入れたかったら、どうする?」 机近くのゴミ箱からあふれた紙くずを手にとって、部屋の隅のゴミ箱を示す。 「ゴミ箱に入れに行けばいいんじゃないですか?」 一枚を拾って持って歩き出そうとすると 「いや、そうじゃなくてね。ここにいるままで、この紙くずをあそこに入れようとしたら?」 「魔法を使うんですか?」 クスッと小さな笑いが漏れた。 「いいかい、こうしてみると。」
支援
手に持った紙くずを、そちらに放り投げる。ぺらり、と紙くずは床に落ちた。 「これでは入らない。でも、入れようとするなら、どうする?」 意味が分からない。答えられず固まっていると、別の紙くずを今度はクシャクシャッと丸め。 「こうして投げてみるだろう?」 今度はきれいな山なりに飛んで―すとんとゴミ箱に落ち込む。 「入ったか。やっぱり運動神経も上がってるなあ…」小さくつぶやいた後、僕の顔を見て 「何かしようとするとき、こんな風にやってみようって考えるだろう?それが実際どんなふうになるか…本番前に試しにやってみるのが、実験って事かな?」
大丈夫かな? 代行スレに書き込んでくれれば出来るだけ代行するが…
"ぬくもりをひととき"後半部、保管庫にうpしたので投下代行にてお願いします 自力トライと思ったんですが、うーむ。さすが忍者、容赦ねえ 支援くれた方、スレ番つぶしすいません
>>421 保管庫に直接収録の形を取ったんだね、乙です
次から駄目だと思ったらすぐ代行依頼した方がいいと思う
過疎ってるから多分大丈夫だとは思うが、他に投下したい人がいるかもしれないので…
40年前の牛寺才最 鉄王(英訳) |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「実にすがすがしい気分ですなあ伍朗さん」 「そうですなあ玄太朗さん。空気までおいしいような気がしますねえ」 「本当にそうですなあ」 緑の山が迫るロッジ風のホテルの一室で、静玄太朗と霧島伍朗はソファに身を沈めながら、すっかり羽を伸ばしていた。 「それにしても、テンコの奴はどこへいったんでしょうねえ?」 テンコとは、宇宙人タイタニアンと戦う二人のお目付け役である典子のことだ。 危機が迫っている時でさえ軽いノリの玄太朗たちが悪いのだが、学級委員のように口うるさい彼女が今日は不在である。鼻歌の一つも出ようというものであった。 「なんでも、国家警備機構本部でタイタニアン対策の会議があるとか言ってましたよ」 「そりゃあ大変なお仕事ですねえ」 「いやいやまったくですなあ」 自分たちもその組織の一員であるのに、二人はおどけて帽子を取った。 伍朗が備え付けの茶を淹れる。玄太朗より5歳年上の伍朗だが、こういうときは妙にかいがいしく見える。 さっそく茶碗を口に運びながら玄太朗が言った。 「俺時々思うんだけどね、アイヤンキングって何者なんだろうね?」 アイヤンキングとは、彼らの、というか主に玄太朗の戦いを助ける謎の巨大人である。 「宇宙人かな? ロボットかな?」 伍朗はゴリラのように両手を挙げ、ガオーと言いながら玄太朗の腹をくすぐりにかかった。 ひとしきり笑いころげた玄太朗だったが、身をよじって籐の椅子に逃げるとまた言った。 「宇宙人でもロボットでもねえだろう」 「どうしてそうはっきり言えるんだよ?」 伍朗が首をかしげる。 「だってよ、妙に人間くさいじゃねえか。俺はあいつは人間だと思うね」 テンガロンハットの下で、玄太朗はにやりと確信に満ちた笑みを作る。
「じゃあさ弦の字は、いったいどんな人間だと思うんだい?」 「わっかんねぇな。アイヤンキングは水がエネルギー源だってくらいしか津島博士から知らされてねぇし。博士ったら、いっつもそういうところいい加減なんだから参るよなぁ」 彼らを派遣した国家警備機構の上司のことである。 「確かにね。あのお人は毒の成分がよく分かんないのに解毒剤を作っちゃうようなところがあるからね」 伍朗は笑い、それから人差し指を立ててトレードマークの赤い登山帽のつばを格好付けた様子でくいと上げた。 「俺はこう思うね。アイヤンキングは実はたくましくて強い高潔な紳士でね、時には詩でも読んじゃうような教養も持ち合わせていて、 人のかたちに戻ったらありとあらゆる女のひとがメロンメロンになっちゃうくらいの絶世の美青年で、でも本人は大事なひとを心の中にたったひとりだけ秘めてるような色男なんだってね」 べた褒めする伍朗に呆れた風で、玄太朗は肩をすくめた。 「ほーう、ずいぶん奴に肩入れするじゃねえかよ。アイヤンキングが頑張ってるときはお前、いつもどっかで伸びてるくせに」 「そりゃあ……まあね。じゃあ玄太朗はどう思うんだよ?」 口ごもった伍朗に水を向けられ、玄太朗は腕を組んだ。口をへの字にすると、精悍な彼の顔は途端にきかん気の強い子供のように見える。 「俺はそうは思わねえなあ。あいつはドジで間抜けで弱くてよ、その証拠に、俺が助けてやることのほうが多いじゃねえか」 「ずいぶんなことを言うねえ、ひどいなあ弦の字は。お前だってアイヤンキングに助けられたこともあったと思うけど?」 不満そうに伍朗が言うと、 「そりゃあ、たまにはそういうこともある! でもあいつは絶対、足下に子犬でもいたら泡食って飛びのいて、そのせいで足滑らせて敵にぶん投げられちまうような奴だ」 間違いない、というように、玄太朗がうんうんと頷く。 「うーん……」 伍朗はちらりと玄太朗をにらんだが、すぐに明るい顔に戻ってぽんと手を打った。 「でもそれってさ、心根がとっても優しいひとってことだよね? そうだろ? 戦いの中でも子犬を助けるなんてさ。いやあ、シビれるねえ!」 「そうかなぁ? 俺そんなこと言ったかな?」 玄太朗はとぼけてみせる。
「あっ、誤魔化すなよ弦の字!」 「誤魔化しちゃいねえよ」 「あっ、分かった! 照れてんだな?」 「バカ! 照れるも照れないもねえ!」 「またまたー! 顔が赤いよ、よっ、色男!」 はやし立てる伍朗を、玄太朗がひっぱたいた。 「うるせえ! お前なんか大好きな水でも飲んでろ!」 「飲むよ、はい飲みますよ」 拗ねて茶をがぶ飲みする伍朗を優しい目で見ていた玄太朗だったが、やがて彼の隣に座りなおし、取りなすように言った。 「まあ、そんなことはどうでもいいよな。今日はお前と久しぶりの二人っきりの夜なんだ。風呂にでもゆっくり浸かって、キューっと一杯飲ろうじゃねえか」 「いいねえ! これだから俺は弦の字が大好きだよ」 喜んだ伍朗が玄太朗に飛びついて肩を抱いた。 「よせやいバカヤロー! 気持ち悪いじゃねえか!」 そう言いながらも腕を振り払おうとせず、玄太朗は相棒だけに見せる人なつこい笑みを顔中に広げた。 霧島伍朗は知らない。 アイヤンキングのピンチの時に、静玄太朗が「俺たちは二人で一人前だ」とテンコに語って全力で駆けていったことを。 そのときの表情は、伍朗のピンチを知ったときのものと寸分違わぬものであったことを。 知らないのかもしれない。 知っているのかもしれない。 どちらでも構わないのかもしれない。 二人の旅はまだ続くのであった。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! ホトンドホンペンソノママナンダゼ…
426 :
ベガの消失 :2013/12/20(金) 09:05:47.64 ID:220SVXZlP
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 一郎×イカモノ料理人 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ※ニアホモ、ジャシンメイキュウねたばれ注意ダゾ | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ テケリ・リ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
427 :
ベガの消失 :2013/12/20(金) 09:06:35.67 ID:220SVXZlP
内原富手夫が瞬きをする一瞬、目を閉じ、開くとそこは見慣れぬアパートの一室だった。 しかしそこは生来の暢気さがなすものか、特に驚いた様子もなく部屋を見回している。 雑然としたダイニングテーブル、整頓されてない本棚と書類の山。ここ最近見ることの 無かった人間の生活臭さに思わず富手夫は微笑んだ。 「ママ?」 突然鈴の音のような声がして、強烈なショックとともに富手夫は振り向いた。 そこには一人の少年が不安そうな瞳で立っていた。 「僕はおまえのママじゃない」 富手夫は答えながら今にも飛び付かんばかりの子供ー外道イチローから後ずさる。 「お兄ちゃんはママでしょ?この前ママの顔がお兄ちゃんになったの見たもん」 「だから、」 自分でも納得がいっていない事をなんと説明すればいいのか。 確かにイチローの母親と富手夫はナイアルラトホテプであり、一言で言えば<二重存在>であり…… 頭を抱えた富手夫の鼻に腐った油と化学調味料の臭いが届き、彼はその端正な顔をしかめた。 見ると、イチローの手にはコンビニの袋が下がっている。臭気の原因はそれらしい。 「なんだ、それは」 「え?晩ごはんです」 富手夫の眉間の皺が深くなった。 「かしてみろ。なんだこれは……」 イチローの父親である<新宿>一のガイド、外道棒八はさぞ仕事忙しいのだろうが育ち盛りの子供には あまりに酷い食生活だ。すっかりスイッチの入った富手夫は弁当をキッチンに置き、冷蔵庫を開いた。
「はは、やはりな。いかにも男やもめの冷蔵庫だ」 冷蔵庫には大量のビールと、賞味期限が一ヶ月前に切れた卵、表面が少し溶けたレタス、 あちこち芽を出したジャガイモ、干からびたタマネギ、不健康そうな葉をヘタから生やしたニンジンがあった。 「一応野菜があるだけマシだな」 そう言いながら富手夫は冷蔵庫の横のゴ●ブリホイホイからゴ●ブリを二匹取り上げた。 「それってまさか料理に使うんですか?」 雰囲気の変わった富手夫に何かを感じたのか、イチローは丁寧な言葉遣いになっている。 「ああ、お前の人生がひっくり返っちまうモノを食わせてやる」 富手夫は口の端を吊り上げた。 先ほどまで唐揚げ弁当だったそれは、富手夫の神技で何かよくわからない塊になった。 ニンジンは葉だけ使われ、鄙びた皮は鳥肉とゴ●ブリと共に鍋に放り込まれた。 富手夫がゴ●ブリをすり潰すのを横で見ているイチローが目を回している。だんだんと芳しい匂いが満ち、 大きな音を立ててイチローの腹が鳴った。元コンビニ弁当は、今や黄金色のコンソメスープと香ばしい薫り漂う炒飯となった。 「ほら、出来たぞ」 「わあ、いただきます!」 イチローは元気に言うと顔を突っ込みかねない勢いで食べ始めた。 使った調理器具を洗っている富手夫の耳に、掻き込むように食べる音と美味しい美味しいという呟きが届いた。 人間のこの感情表現の豊かさはいいものだ、と自らの心臓を取り出しても大した反応のなかった夢見るクトゥルーを思い出して 富手夫は少し笑った。 「あーもう終わっちゃった!」 「速いな」 「ごちそうさまでした!」 愛らしい仕草で言うイチローに、富手夫はこんどクトゥルーにご馳走様をさせようと思った。 クトゥルー。 暢気に料理などしている場合ではなかった。富手夫の料理以外はぼんやりした脳をフル回転させる。 自分はルルイエにいたはずなのに何故、どうやって、ここ、外道家へ?戻れるのか?クトゥルーは知っているのか? それとも主犯はクトゥルーなのか? 「これ今日図書室で借りてきたの、お兄ちゃんも一緒に読も!」 薔薇色の笑顔をしたイチローに呼ばれるままにソファに腰掛けた。測り知れざる永劫のもとに死を越ゆるものとの 生活も富手夫の能天気さは変えられなかったようだ。
支援
「ああ、僕も見たことあるな、この本」 高学年むきの宇宙の解説書だった。本を手に取り、パラパラとめくる。 「あ!この星座!」 イチローはこと座のあたりを指差した。 「ここらへんの星が消えるのをママが見せてくれたんだよ」 イチローは富手夫の太ももに覆いかぶさるようにして、富手夫を見上げた。 「僕ほんとに寂しかったよ、ママ」 ゾッと富手夫の首筋に震えが走った。赤くちかりと光ったイチローの丸い大きな瞳への悪寒とあともう一つ。 その時玄関から鍵の音が聞こえた。
「パパだ!」 「まずい」 駆けて行ったイチローをよそに流石の富手夫もこの説明のできない事態に慌てた。 「クトゥルー、居るんだろ。僕を早く連れていけ。さもなきゃあのガキのレバーで作ったパテを食わせー…るぞ」 言い終わる前に潮の香りが鼻をついた。懐かしのルルイエだ。 「流石のお前もヨグ・ソトホートとナイアルラトホテップの子供は食えないか。」 嘲笑を浮かべながらイカの様な触腕の無数に生えた顔のあたりを見やる。 巨大なクトゥルーが少し動いたように見えた。 「え?ああ、確かに食べごろは過ぎてたな」
支援?
下劣で残酷な事をあっけらかんと言ってのけた富手夫だったが、その少し前の自分の言葉に眉を顰めた。 ナイアルラトホテップの子供。それは取りも直さず富手夫の子でもある。不本意だが。あの子供が自分を呼んだのか? あれに触られた時に走ったのは悪寒とーー官能だった。ヨグ・ソトホートの血がなせるのか? 富手夫は頭を振って思考を止め、キッチンへ向かった。 「海ユリは要らんと言っただろうが…ダイオウグソムシは充分あるな。おやオニアンコウがある」 こいつの腸を乾燥させ、ふりかけにでもすればコンビニ弁当でも少しはマシになるか、などと考え富手夫は再び頭を降った。 「あの子供にあてられたか?おい、僕はお前のシェフであって出張コックじゃないんだぞ、クトゥルー。もう御免だからな」 富手夫が料理を始める。 しかしその音は外に響くことは無く、今日もルルイエは海深く静かに鎮座している。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ ナンバリングミス、長時間のスレ占拠大変申し訳無い | | | | ピッ (・∀・ ) 支援ありがとうございました! | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
保管庫に直接投下しました。
某スペオペRPGで捏造話、艦長×黒服弟。
69-386、69-388、69-398の続きにあたります。
エロあり。各種地雷要素を含みますのでご注意ください。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
http://morara.kazeki.net/?69-435
・半ナマ注意 ・il初代二人うっすら亀右ぎみ ・S1の落語回見て書いた気がします |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! まとまりのない疑問点が、見えない小骨のように喉元に引っかかっている。 一歩、あと一つ、すぐそこまで掴みかけている真相だった。 あとは、やはり現場をもう一度見てみないと……。 机上の推理にも飽きた右.京は、やおら立ち上がると、上着を羽織って特.命係の狭い部屋から外へと踏み出した。 腕時計に目をやりつつ、足早にフロアを横切っていく。
sien
すみません
>>436 の続きですが
連投規制などエラー続きでうまくできず
保管庫に直接入れました
支援ありがとうございます
修行中の身で申し訳ありませんでした
439 :
指 1/3 :2014/01/03(金) 22:37:32.02 ID:Md8S7Gmf0
旧局超陣R 田和場×登坂 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! あの人の指は、いつも少し冷たかった。冬休みの合宿で、いつも誰の手が一番暖かいか比べあっていたが、その時に一番冷たいのはたわばさんだった。 わたしと、子供のような体温の珊瑚は大抵一番暖かい。Rはロボットなので関係ない。 「タバコを吸うと、どうしてもな」 白くなった指先を握ったり開いたりしながら、くわえタバコで田和場さんは言う。 「じゃあ止したらいいじゃないですか」 「それは無理」 感覚がなくなるほど手先が冷たくなることより、タバコが吸えない方が辛い、と言って田和場さんは煙を吐いた。 「酒を飲めば少しは暖かくなるな」 不健康な人だ。 冬場は注意が必要だ。部室でくつろいでいる時など、油断していると首筋に手を突っ込まれる。 さすがに驚いてひゃあなどと叫ぶと、首の手はそのままににやにやと笑われる。 「おー、ぬくいぬくい」 あちらはぬくいだろうが、こちらはたまらない。首筋を冷やされて全身に嫌な寒気が回る。 しかも、手を離されてもなかなかその寒気は抜けないのだ。 冷えた首筋を手で擦っていると、田和場さんは懐からコーヒーの缶を出して両手で握りながら ちぇっ、もう冷えてやがると不満そうに言って、湯気すら出ないコーヒーを飲み干した。 ストーブはつけてあるのだから、そちらで温まればいいのにと思う。 寒さは足の裏を通って芯まで静かにやってくる。床は最後まで温まらないのだ。 観念してストーブにあたりだした田和場さんの横に腰を下ろした。田和場さんは不精して、ストーブを使ってタバコに火をつけようとしている。 悪戦苦闘して、もはやライターを使った方がいくらか早いくらいだ。 そのさなかにも片方の手はせんべいでも焼くかのように時折平と甲を返しながら火にあたっている。 「だいぶあったかくなった」 得意気に見せる手を握ってみると、それでも私の方が少し暖かい。火にあたったせいか、平生よりも乾いてカサカサしている気がした。ふっふっふと笑って見せて
440 :
指 2/3 :2014/01/03(金) 22:41:38.06 ID:Md8S7Gmf0
「この勝負、わたしの勝ちですね」 「なんだとこの野郎」 たわばさんはまた、私の首もとに手を突っ込んできた。しかし、流石にさっきよりは暖かいためほとんどその攻撃は効かない。 だーいじょうぶと言うと、タバコをいじっていてまだ温まっていない方の手を入れられて飛び上がる。ストーブの赤い火の前でふざけあい、顔だけは熱くなった。後輩や他の先輩の前で、首に手をいれる遊びは、したことがない。 ある時は突然口の中に指を突っ込まれた。それは、部室に寝袋をしいて寝ていた夜だった。舌に冷たく苦いものが当たる感覚で目が覚めた。寝ぼけていて何が起こっているかは良くわからない。 その間、ただひたすらに舌を嬲られていた。指でいじられているんだとやっとわかっても、特に何かできるわけではない。 「あいふうんれす?(なにするんです?)」 と聞くのが精一杯だ。暗い部屋、なんの明かりもない中でほぼ無心に舌を弄られるのはなんだか不気味な気がした。 何より、意図が見えない。たわばさんは質問に答えず、ただいきなり喉の奥までぐっと指を入れてきた。強制的に襲ってくる嘔吐感をぐっとこらえて咳き込むと、指はやっと舌から離されて、 「お前が口あけて寝てるからだ」 と理不尽なことを言われた。舌にはまだ苦味が残っていた。それは、たわばさんの指に染み付いて離れないタバコの味だ。以来、たわばさんがタバコを吸うのを見る度に、何となく口の中が苦くなる。
441 :
指 3/3 :2014/01/03(金) 22:46:59.90 ID:Md8S7Gmf0
体を触られる度、指の冷たさだけが肌に残る。 しかしそれも最初だけで、次第にしっとりと感じるくらいに指先は温まっていた。 もしかして興奮しているんです?と聞くと 「黙れ」 と言われて頭を叩かれた。否定しないのは図星だからに違いない。 なんだかおかしくなって笑っていると、どうにも嫌なところを触られてひゃあと声が出る。 不覚!渋い顔をしているとくっくっと笑う声がして、 「お前、同じ声出すのな」 と、今度は頭をくしゃくしゃと撫でられた。その時あの人がどんな顔をしていたのか、ちゃんと見ておけばよかった。 つくつくほうしが鳴いて夏が終わり、長袖をタンスから出すようになるとふと、あの人の指のことを思い出す。 どんなささいな思い出より、肌で記憶するのはあの指の温度だ。わたしにとって秋冬はあの指の季節だ。 あの指に触れられなくなってからも、別段何か感傷に浸ったり、胸を痛めたりなどはしない。 けれど、あの人のあの冷たい指は、少なくとも、嫌ではなかった。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・;)イジョウ、イチブフセワスレタジサクジエンデシタ!
みなさん乙です! 最近投下が続いて嬉しい
某後輩×先輩…だったけど、モデルからだいぶかけ離れてしまったので投下 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「寒い」 一言そう呟いてはあっと白い息を吐いた彼の頬には、なるほど赤みが差していた。 「さーむい!」 「わーったから」 言われなくたって分かってることを人はなぜ声に出し、しかも繰り返してしまうのか。 「だって寒いんですもん……」 「うんうん、そうだな、はいはい」 「ひどいー……」 こちらを向いた鼻の先も薄紅色に染められている。 「先輩は寒くないんですか」 「さみいよ」 「じゃあそんなおざなりな返事しなくたっていいじゃないですか」 「わざわざ何度も言うことじゃねえっつってんの」 「だって寒い」 「あーもう!」 さっきから口を開けば白い息を吐くか寒いと言うかの二択しかない彼にイライラしてそっぽを向く。 「あー、ほら、すねる」 発言者はむっとしながらオレの顔を覗き込んだ。
「どっちがだっつうの」 オレが目も合わせずにそう言っていると、ますます身を乗り出してこちらの顔を伺おうとしてくる。 「何度も言うのが嫌なんですか?」 「そうだよ、分かりきったことを何回も言うなっつってんの」 「……じゃあ、これも?」 ずっとずっと大好きです、先輩。 まさかそう来るとは思っていなかった。 言葉とともに吐き出された息が、オレと彼のあいだで揺らめきながら消えていく。 「……分かってるくせに」 だけどオレの頬の熱は消えないまま。 「何が?」 「オレが何て答えるか……」 「僕には分かってても聞きたいことがあるんですよ」 むかつくくらい綺麗に笑った彼の口元から立ち上った吐息が夜空へ溶けゆくのを見送って、 オレは望み通りの言葉をくれてやった。 お前が欲しい言葉くらい、こっちだって百も承知だよ。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
急曲兆陣R 田和場×登坂 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 古いジャズのレコードを、実家からこっそり持ってきて聴くのが好きだった。そんなふうにして音楽を聴いている者は甲賀部にいなそうだったので、あえて口に出すこともなかったが。 登坂がちょくちょく家に来るようになったものだから、登坂にだけはこの趣味がばれている。他人の趣味にどうこう言う奴ではないので別に何か話題になることはなかったが、何もかけていなかったりすると今日は聴かないんですか、などと聴くようにはなっていった。 「何か聴きたいなら自由に聴いて構わんぞ」 そう言っておくと、最初こそこちらに許可を取ってレコードをかけていたが、だんだん勝手に聴くことが増えていった。 お互いそこまで熱心な聴衆ではないので、大抵は曲が終わるまでじっとできず、俺はタバコを吸ったり登坂はなにか怪しげな雑誌を読んだりしているのだが、たまに登坂がなにもせずに音楽を聴き続けることがある。 その年一番の寒さだとラジオが告げた日の夜のことだった。そんな日にはとても甲賀部に行く気にならず、俺は一日部屋の中に閉じこもり、綿入れ半纏をかぶって、タバコばかり吸って退屈に過ごしていた。 ただこの寒い日が早く終わればいい、そんなことを考えながらあっという間に落ちていく日を眺めていた。太陽の光がすっかり消えたのと、登坂がドアを叩いたのはほとんど同時だった。 ドアを開けた瞬間こちらは冷気で、あちらは熱と煙で、それぞれ顔をしかめた。登坂のメガネは一瞬で白くなった。 「やさぐれた部屋ですね」 「うるさい」 我が物顔で畳の上であぐらをかき、メガネを吹きながら登坂はぼやいた。改めて見ると天井の下、煙がよどんでいる。 確かにこれはあんまりだと思って窓を開けると、冷たい風の代わりに煙が抜け、散っていった。 「今日、寒かったんですよ」 「寒いな」 「おかげで部室で寝れませんでした」 「だから来たのか」 「ええ、まあ」 登坂は曖昧に返事して、勝手にレコードをあさりだした。登坂がそうやって聴きたがるのは決まっている。はっきりと言ったことはないが好きなんだろう。 レコードの溝を針が滑る音と、なにかつっかかるような音が二つ三つして、布一枚通したような音色のピアノとサックスが軽やかに響いた。
登坂は背を丸め、軽く膝を抱えるようにしてレコードに向かっている。俺はまたこたつに入ってタバコを吸う。ちょうどその位置から右を向くと登坂の後姿が見える。 別にそんなものを見ていたところでなにも面白くないので顔を前に向け、窓の向うのもはや飽き飽きした景色をもう一度眺めようとしたが、ガラスがうっすら曇っている上に、暗いせいで外は街灯の明かりがぽつりぽつりと見えるだけだった。 ため息をついて、目線を右にずらすとガラスにピンボケのような登坂の横顔が半透明に映っている。横の窓に自分の顔が映っているとは思っていないのだろう、誰かに見られていることを全く意識していない顔だった。 普段は反射する眼鏡の中に隠れている眼が、外の街灯と二重写しになっている。何を考えているのかは読めない。だがこうして音楽を聴きたがる時の登坂は少し、元気がない。 だからもしかしたら何かを考えているのかもしれない。悩み?登坂にこれほど似合わない言葉があるだろうか。第一、俺の知った事ではない。 そう思いながらもなぜだか苛立ちに似たような思いに胸は騒いだ。登坂の顔なんか見なければいいのかもしれない、だが、眼をそらすこともできなかった。だから、 「お前さ」 意味もなく声をかけると、いつものあの眼鏡が振り返る。 「そんなにその曲が好きなら、もうCD買った方がいいんじゃないか?」 登坂は少しだけ考え込んだがその直後に曲が終ったので、レコードににじり寄って針をまた落とし直した。ノイズの中から再びピアノ、サックス、ドラム。先ほどとおなじ響きが部屋の中に満ちた。 「この、針を落とすのと溝の音とクラッチ音が無いと嫌なんです」 ややあって登坂は言った。 「味ですよ、味」 「お前に音楽がわかるのか」 「わたしにわからないものなどありません」 話しているうちに、窓に映っていた登坂の不可思議な表情は消えて、いつも通りの登坂になっていた。 考えすぎか、と口のなかでつぶやいて自信満々に中指を立てる登坂の頭を丸めた雑誌ではたいた。レコードは相変わらずあの曲を流す。明るいがどこか感傷的な曲だ。 そういえば、なぜ登坂はこの曲が好きなのか。聞いてみたところで「好きに理由はありません」と言われて終るだろうから聞きはしないが、この万年お祭り男がこの曲を好むことが意外だったのは確かだ。 「俺はお前がわからんよ」
考えあぐねてつい口からこんな言葉が漏れた。 「わからないことは素晴しいですよ。好奇心こそが人類の、ひいては世界の発展に帰依し」 「お前、さっきわからないことはないって言ってなかったか?」 「はて?そうでしたか?」 「お前は全くの鳥頭だな」 ほんの数分前のやりとりとすら矛盾しているこいつについて、何か考えるだけ無駄だ。いつもこの調子で、辛い苦しい口に出すことなく、そもそもそんなことは感じていないという顔をして生きる、こいつの内面なんて気にかけ出したらきりがない。 それでも再び登坂がレコードをかけ直し、また背中を丸めだすとどうしても気になって窓を見てしまう。外の闇にまぎれた髪の毛に縁どられ、幾分白っぽく見えるあの横顔。こいつが自分でも見た事がないであろうあの表情。 しかし、最早ガラスは曇りすぎていた。もう窓の中に登坂の影は見えず、ただ、街灯の明かりが窓全体を柔らかく照らしているだけだ。俺はつまらない気持ちになって、登坂を引き寄せた。抵抗は、されなかった。ただ、 「もう少し、聴きたかったんですけどね」 眼鏡を外して呟いた登坂の眼の中に、あの街灯の光が揺れているように見えて、少しだけ胸が詰まった。 □ STOP ピッ ◇⊂(□∀□ )凸イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>445 初めて乙しますがいつも楽しんでます
あの絵で浮かぶのに台詞すらあの吹き出しで浮かぶのに胸がぎゅっとなる凄さ
自分では絶対思いつけない新しい扉に棚の醍醐味を感じる
昔からずっと知ってた身近な人達の秘密を覗いてしまったようなドキドキも
449 :
Fragile :2014/01/27(月) 23:01:28.82 ID:SoTZSbRP0
毎度の保管庫直行便です 某スペオペRPG、艦長×黒服弟。艦長視点 エロあり。ぬるい表現ですが一行目からヤってるので閲覧注意 あと本編ネタバレとか女性絡みの話とか色々 そしてやっと自力投下出来ると思ったら また忍者修行中のリンク制限に引っ掛かりましたので報告のみにて
BL要素少ないのにうざいSSがだらだら投下されるスレだね おまけにイ諸の感想レスもうざい
私は好きですからこれからも待ってます
意図的に荒らしたい奴だからなー、構わずどんどんやるが吉
貧乏携帯こわいなー とづまりしとこ
空気読まずに、自力書き込み可能なうちに最終話投下 某スペオペRPGで捏造話、艦長×黒服弟 地雷要素てんこもりにつきご注意ください ・本編のストーリー終盤における重大なネタバレ複数 ・艦長と女性キャラの関係(公式準拠)を示唆する描写あり ・いろんな意味で痛めのエロあり。流血注意 例によって保管庫への直接投下ですが、 いまだリンク制限中につき報告のみにて失礼します
てs
・他の方々の作品から浮いてますが、台本形式のssです。 ・乳首攻めしかありません。 <あらすじ> 乳首を弄られるのは大好きだけど、セックスや恋人関係は嫌いな先輩攻めに告白した後輩受け。 「僕の乳首となら付き合ってもいいよ」 デートはしない。乳首以外は触れちゃダメ。 でも乳首攻めのテクニックで自分を満足させられたら、正式に恋人にしてあげるという受け。はりきる攻め。 そんな二人のおばかな1日。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
〜保健室にて 受「先生、ちょっと具合が悪いんですけど」ガラリ 攻「大丈夫ですか?とりあえず体温計ではかりましょう」 受「・・・なにやってるの攻めくん」 攻「保健の先生が留守の間、留守番しようと思いまして!俺保健委員っすから」 受「だめでしょ勝手に白衣きたら」 攻「似合いません?病院のお医者さんみたいでしょ」 受「全然似合ってない」 攻「・・・受けさん、今日はどのような病状でこちらに?」 受「お医者さんごっこ?・・・似合ってないって言ってるのに」 攻「今日は少し体調が優れないということですか。熱は・・・」おでこピタッ 受「勝手に顔近付けんなヤブ医者!」ヒラテウチー
攻「いてて・・・!!ないみたいっすね。聴診器をつけるので衣服をゆるめて」 受「・・・」ドキドキ 攻「なに期待した顔してるんですか?今日は何もやらしいことはしませんよ」 受「な、なにいってんの、うるさいよ」 攻「はい、息を吸ってー、はいてー。」乳首にグリグリ 受「ん、はぁ、はぁ、・・・あ、んんっ」 攻「患者さん、息をはいてばかりじゃダメですよ。・・・あれ、なんですかこれは?男の子なのに乳首が堅くなっちゃってますよ」聴診器でグリグリ 受「んあっ、やらしいことしないって言った」 攻「これはいやらしいことじゃありませんよ、きちんとした治療です」乳首に聴診器を付けたり外したり 受「あっ、つめた、ああっ」 攻「うーん、こんなに乳首が赤くなってこりこりしてるのは病気かもしれませんね。治療しないと」 受「・・・ど、どうやったら治りますか?」ドキドキ 攻「やっと診察に協力的になってくれましたね。まずは『僕の乳首をちゅぱちゅぱぐりぐりして治してください』って、自分で乳首を弄りながら言ってください」キリッ 受「調子のりすぎだぞ変態」ギロリ 攻「患者さんは恥ずかしがり屋でわがままっすね。しょうがないから見逃しましょう。とにかく診察です。まずはデータをとりますよ。」 受「データってなに攻めくん」 攻「『攻めくん』ではなく『お医者さん』ですよ。」 受「・・・お医者さん、データとはなんですか」 攻「はい。どういう風に触ったら一番かちかちになっちゃうのか、試してデータをとるんですよ。・・・まずはこんなふうにさすったり」 受「んんっ」 攻「つねってみたり」 受「いた、んん・・・っ」 攻「引っ張ってみたり」 受「あ、引っ張りすぎ、いたぁ・・・んあっ」
攻「舐めてそれから・・・」 受「ふあーっ・・・、お医者さ、それ痛くない、イイっ・・・」 攻「強く噛んだり」 受「あっ、いたああっ・・・!!あ、あ、あっ、んんっ!!!」 攻「患者さんは舐めてから噛まれると一段とかたくなっちゃいますね。優しい後に痛いのが大好きですから。顔も赤くなってハァハァしてますよ」ハァハァ 受「ハァハァしてるのはお前だろ」 攻「もうこんなふうにならないように塗り薬を塗って、絆創膏をはりましょう」 受「塗り薬ですか?」 攻「はい、俺の大きなお注射から出される白い塗り薬です」ドヤァ 受「お前、今日は特に調子のりすぎだぞ!」 攻「でも先輩、俺だって限界っすよ・・・!せめて先輩の乳首で抜くぐらい・・・!俺のそれを先輩の乳首にあれしてこれしてピーしたいんですよ!!」 受「攻めくんそんなこといってたら乳首さわらせないからね」 攻「・・・」ショボン 受「な、なんでそんな落ち込むんだよ!いいから早く続きやって」 攻「そんな意地悪な患者さんにはお仕置きっすよ。塗り薬はやめです。乳首にお注射にします」 受「お注射?またさっきみたいな手は・・・っておい、まさかその安全ピンで・・・!?」 攻「はい、これでお注射です。乳首はビンビンの癖に、口ばっかり生意気な患者さんは、『乳首淫乱ツンデレ病』の末期です。これが嫌ならお尻に俺の大きな注射k・・・」 受「わ、わかったから早く乳首にさせよ!!」 攻「そんなに急かされたら仕方ありませんね。まずは消毒しますね」 受「うっうう・・・」 攻「大丈夫ですよ、そんなに緊張しないで。ゆっくりさしていきますから」安全ピンを乳首にあて 受「あ、こわ・・・」目をギュウとつむり 攻「チクッとしますよ・・・」 受「あっいた、いた、いたあああっ」 攻「大丈夫ですよ、もうちゃんとお注射貫通しましたから。どうっすか?患者さん」
受「んあー、あ、ジンジン、する・・・」 攻「あれ、患者さん、これはなんですか?股間の辺りが大きくなって、テントをはってますね」 受「な、やめ、どこみてんだどあほ!」 攻「患者さん、きちんと説明してもらえますか?これは何か病気かもしれないですよ」 受「は!?びょ、びょーきなわけないだろ!」 攻「だって、普通の人は痛いお注射で勃起なんかしませんよ、ほら」貫通した安全ピンをかるめに動かし 受「いっ、あっあー・・・っんあ!」 攻「患者さん、これはどういうことですか?ちょっと動かしただけなのに。きちんとお話してください」安全ピンをつめ先ではじき 受「痛っ、あ、あ、あー・・・っ!いえな、無理、あっ!」 攻「患者さん。ちゃんと言わないとお布団はいで、直接触診しちゃいますよ」 受「はううっ、あんっ!んああっ」 攻「先輩、おしえてよ・・・」 受「あ、あ、あっ・・・!あう、う・・・・っ!いっいうからあ・・・!」 攻「えっ!?ほ、ほんとうっすか先輩」 受「う、ううう〜〜・・・お前がいったくせに、なにびっくりしてんだよ・・・っ」 攻「・・・ごほん。患者さん、どうしてこうなっちゃったんですか?」 受「こっ、・・・・これ・・・ち、ちくび刺すの、痛くて・・・・なのに、きもち・・・、よくてっ」 攻「うん、うん・・・それで?」 受「そ、それで・・・っ。くそばか、変態やろー・・・。ちくび、お医者さんに、い・・・いたくされて」 攻「どうなっちゃったんですか」 受「へ、変態やろーのせいで、き、きもちよくなっちゃ・・い、ました・・・」 攻「先輩・・・。お利口さん。よく言えましたね」 受「あ、あたま撫でるなあ・・・っおまえ、こんなこと言わせて、ぜった、ゆるさなーっ、あんっ!!!!」 攻「お利口な患者さんにはご褒美をあげますね」 受「や、やだっ、いらなー、んあっ!?っあああっ!!!!」 攻「ひっぱるともっと痛くて気持ちいいでしょ」
461 :
代行 :2014/03/13(木) 02:32:52.96 ID:OU88kwPe0
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
しえん?
受「んん、いたあっ、ふああっ、!!!ん〜〜っ、んやああっ!!!!」 攻「はい、ちょっと休憩」 受「あっ、な、なんでいきなり止め・・・あっ!」 攻「はい、また再開。今度は横に動かしましょーね」 受「あっ、やめ・・・・!!あん、いた、あっあっあっ!!!!!んにゃあ・・・っ!!!」 攻「もっかい休憩。・・・・またさいかーい」 受「あーーっ、それ、やめ、おちつかな・・・・っ、あっ!?あっ、あっあっ・・・」 攻「せんぱ・・・すご、乳首めちゃくちゃ大きくなってる・・・」 受「ふぁ、も、むり、むりっ、んにゃあっ!!!!あ、あ、あ!!!あ、いっちゃ、あああ、あっ、ふああっ・・・!ん〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!」 攻「わ、せんぱっ・・・患者さん、いっちゃったんすね。ほんと、かわいい」 受「あ、あ、あ・・・ううう・・・、ふああ・・・ば、ばか・・・・・っ」 攻「ズボンももうパツパツじゃなくなってるし。・・・肝心の乳首は診察前より悪化してますけど、これで診察はおわりっすね。お注射はずしますよ」 受「は、はう、あ・・・っ」 攻「はい、もう大丈夫ですよ。最後にばんそーこー貼って・・・って患者さん!乳首が、乳首が!乳首が大きくなりすぎてばんそーこーからはみ出してます!ちくびが・・・っ!」 受「なに喜んでんだよ!ていうか下着・・・今昼休みなのに、次の授業どうするの・・・」 攻「あ、それならダイジョーブっすよ!先輩の替えのパンツは、俺が用意しておきました!」 受「攻めくん、ちょっと引くけどありがたいよ・・・ってなんなのこれは!?」 攻「はい!ブリーフにティーバック、女性用ショーツにしましまパンツ・・・先輩に似合いそうなものをチョイスしておきました!」 受「・・・」 攻「え、なんすか!?ぎゃーっ、やめてください!安全ピンは乳首に刺すものであって、目ン玉に刺すもんではなー・・・ひいっ!せんぱーいっ!!!!」 〜〜〜帰り道 受「攻めくんのせいで熱あがっちゃって早退だよ。・・・にしてもわざわざ送ることないのに」 攻「俺がしたいんだからいいんですよ」 受「熱うつるよ、ばかだな」
攻「今更じゃないすか。ていうか先輩、そんなの気にしてくれるんですね」 受「前言撤回。バカだからうつんない」 攻「はは、素直じゃないなあ。・・・先輩、ごめんね」 受「え、なにが?熱?」 攻「それもだけど。安全ピン、痛かったっすよね」 受「痛かったよ、当たり前じゃん」 攻「気持ち良かった?嫌じゃなかった?」 受「・・・攻めくんがプレイ中に散々僕に言わせただろ。」 攻「でも俺、脅したみたいに言わせたじゃないすか。ほんとは、嘘だったんじゃないかな、とか・・・」 受「はあ!?・・・ばっかじゃないの。ばかばがばーーーか」 攻「罵倒が小学生並みっすよ・・・」 受「ばかだよ受けくん。僕・・・嘘はいわねーし。だからんなことで心配するなんてばかばかばか」 攻「先輩・・・」 受「無理やり言わせたのだって僕結構怒ってんだからな。二度と言わねー。のくせに疑いやがって」 攻「うう、すいません・・・」 受「そんな事で悩んでる暇あったら、次のプレイ考えといてよね。次くらいまともなの考えてきてよ」 攻「は、はい・・・!!!おれ、先輩をめろめろにしちゃうようなすっごいの、考えてきますから!あの、次は俺が下着店の店員で先輩がお客さん、とかはどうっすかね!」 受「・・・」 攻「え、なんで無言なんですか!?ってちょ、先輩目潰しはだめっす、先輩、先輩・・・アーッ!!!!」 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! ※ショタもの 受け側の扱いが割とひどいので注意 スカーレット・メイデン号は、安価な値段で豪華客船の旅を楽しめる船として有名だ。 寄港料の安いマイナーな港にばかり泊まるため、というのが表向きの理由。 もちろん一等客室は豪華客船にふさわしい、というよりボッタクリとまで言われているが、 そういう評価を下している連中は、何故一等客室がこんなに高いのか知らない。 「これは鈴木様、いつもご乗船ありがとうございます」 「いやいや、いつも楽しませてもらっているよ」 すっかり馴染みになったパーサーに挨拶をする。 「ところで鈴木様、実は客室内の備品についてのご案内がありまして」 と、パーサーがファイルを見せてきた。珍しい、普段はこちらが何か言う前に全てそろっているのに。 「先日、新商品が入荷されましてね。鈴木様のお好みに合うかと思われましたので、直接ご相談させていただこうかと」 「へえ、見せてくれるか?」 受け取ったファイルには、可愛らしい白人の少年の写真と簡単な情報が載っていた。 「金髪碧眼というのはやはり人気ですので、以前より安定供給の道を模索しておりましたが、 先日ついに目途が立ちましてね。これがその第一号、というわけです」 「ほほう。これはいいね。調教は一通り?」 「無論でございます。ただ、記念品ですので、拡張は行いましたが本番はまだ行っておりません。 どうぞ、初物をお楽しみください」 「それはいいね。では折角の記念だ、その子にしようかな」 「かしこまりました」 客室に入ってすぐ、応接間のソファに写真の少年が座っていた。 装飾過多にすら思えるほどの豪奢な衣装に身を包んでいるため、一瞬人形かと思ってしまった。 「初めまして。アルと申します」 アルはこちらを見るやいなや立ち上がり、あいさつをした。 「初めまして。うん、写真で見るより可愛いね」 天然の金髪にキラキラ輝く青い目、透き通るような白い肌がうっすらと桃色に染まっている。確かにこれは上物だ。 遠くで汽笛が響く。離岸の時間だろう。私は上着を放り投げてサンルームに歩き出した。 「さて、では早速だけど楽しませてもらうよ」
爽やかな陽光が降り注ぐサンルームに、淫靡な水音が響く。 寝室も悪くはないのだが、こういう開放的な空間でいたす方が私の好みなのだ。 まあ、このガラスは実際にはマジックミラーなのだが。 「んふっ……ん……」 ゆったりした椅子に腰かけた私の足の間に座り込んで、アルは一心不乱に私のモノをしゃぶっている。 小さな口に入るだけ咥え込んだり、両手で抱えて竿を舐めまわしたり、玉を加えて軽くはんだり。 アルに限らず、一等客室のみに関わる者達は皆男を悦ばせるテクニックは一流だ。 「さあ、ご褒美だ。ごっくんするのとぶっかけられるの、どっちが好きかな?」 「えっと、顔にかけてもらった後に、残ったザーメンをちゅーちゅーするのが好きです」 「いいよ、好きにして。じゃ、出すよ」 アルが私の肉棒を離して指で刺激したタイミングで、私は射精した。可愛い顔がべっとりと白濁に覆われる。 まるでストローでジュースを飲むかのように、尿道に残ったものがアルのすぼまった口に吸われていく。 「はは、気持ちよさそうだね」 「はい。でも、まだ……」 上気したアルは、物足りなさそうに見上げてきた。 「わかってるよ。じゃ、貫通式の前にアルの体を鑑賞させてもらおうかな」 寝椅子の上で自慰にふけるアルを見ながら、私はアイスコーヒーを飲んでいた。ここのコーヒーはサイフォンでゆっくりと抽出しているとのことで、実に美味なのだ。 上半分だけはだけたブラウスの間に右手を、裾の大きい半ズボンの隙間に左手を差し込み、アルは気持ちよさそうによがっている。 「ん、そろそろ再開するかな。準備できてる?」 「はいっ、もう、いつでも大丈夫です」 「よしよし。じゃ、準備して」 「かしこまりました」 コーヒーを持ってきた船員が自慰を続けるアルを抱き上げた。 「せっかくだから直接見ておくか。下を脱がせて。靴と靴下はそのままでいい」 「かしこまりました」 べったりと汚れた服が取り払われ、先走りとローションで濡れた下半身が露わになる。そのまま船員が足を開かせ、柔らかな尻たぶの間の充血して濡れそぼった菊門が白日のもとにさらされた。 「いかがでしょうか」 「うん、いいね。じゃ、いつも通りよろしく」
ミックスナッツを口に放り込みながら返事をする。船員はアルの穴を私の先端に当てがい、そのまま無造作にアルを突き刺した。 「いっぁぁああああ!」 「おー、かーんつー。一人前になったよ、おめでとう」 痙攣するアルに目もくれず、船員はアルの体を動かして私に奉仕を続ける。調教が反射にまで及んでいるのか、苦痛の表情を浮かべるアルに反して小さな性器は萎えることなく、揺さぶられる体に合わせて先走りを垂らしつづけていた。 使い込まれていないせいで締め付けが単調だが、船員が実に的確にアルを動かしてくれるおかげでなかなか気持ちがいい。上下運動のついでに乳首をいじられるのにもちゃんと反応して声音が変わる。 流石はおすすめ商品、実にいい。最高だ。 「んっ、出すぞっ」 そう言うとアルの動きが早くなり、私が射精する寸前に一番深くまで突きいれられた。 「ああああああああっ!」 悲鳴と共に吐き出されたアルの精液は、私の服にかかる前にさっと伸びてきた船員の手ですくい取られた。絶頂で反応のできないアルをよそに、彼は涼しい顔でそれをなめとった。 そのままアルを動かし、満足して元に戻った私の性器を開きっぱなしの口に突っ込む。 虚ろな目で、それでも口に入れられたものが何であるのか理解はしているようで垂れる精液を舌で舐めとり始める。 「消耗が激しいですね。もしよろしければ、代わりのものを持ってまいりますが」 「いや、いいよ。片づけなきゃならない仕事があるんでね。その間に直しておいて」 「かしこまりました」 彼はぐったりしたアルを無造作に床に投げ出し、半端に投げ出された私のモノを布で清めて元通りにしまった。
支援? 規制だったらしたらばの代行スレに落としてくれれば投下します
「ところで、君はなかなかいい声をしているね。今夜は何か予定はあるかい?」 「はい、夜間に個室勤務が入っておりますが、ご用命とありましたらこちらで予定を調整させていただきます」 「あ、できるの? じゃあ、11時くらいからまたやるつもりだから、BGMやってくれる?」 「と、申しますと?」 彼は首をかしげた。 「こっちはこっちで楽しむから、その間横で適当にまわされて鳴いてて」 「かしこまりました。少々お待ちください」 胸ポケットの通信機で何やら会話を始める。しばらくして、彼がまた質問をしてきた。 「棒に何かご希望はございますでしょうか?」 「別に。見るわけじゃないしね」 「では、三名ご用意させていただきます。お時間は?」 「午後11時から、君が泣き叫べなくなるまで」 「かしこまりました。では、午後11時にお伺いさせていただきます」 船員はアルを回収して下がっていった。 さて、夜に備えて、さっさと仕事を終わらせなければ。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
470 :
風と木の名無しさん :2014/03/31(月) 23:48:42.54 ID:R4orOtl90
昔筋少のやおい書いてた人いなかった?
英円のぜろ 影裏×宮辺 映画版の設定で、影裏と宮辺がカノヤで再会したところからの話です。 作品スレで出たネタに萌えまくってしまったのであちこち拝借させていただきましたm(__)m |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「あれが…トッコウです」 カノヤで初めてついたチョクエイ任務後、倉庫横の機体の前を横切っていると、 俯いて何かの写真を見ていた宮辺が俺に気がついて言った。 俺はかけるべき言葉が見つからず、ただただ見つめ返すしかなかった。 宮辺がポツリポツリと語っているのを聞きながら、少しでも宮辺の心を軽くしてやりたくて 絞り出した言葉がかえって宮辺を激昂させてしまった。 宮辺は俺の胸ぐらをつかむと堰を切ったように懺悔の言葉を吐き出した。 「どうすればいい…どうすれば…」虚ろな目で言葉を繰り返す宮辺に抱いた感情の名前を俺は知らなかった。 彼岸に片足乗せた宮辺をこちらに連れ戻したくて、その夜、半ば強引に宮辺を抱いた。 始めの方こそ抵抗していたが、その内大人しくなり、俺の項に手を回すと額がつくほどに顔を引き寄せて口づけてきた。 そこからは無我夢中で、気を失うまで宮辺の体を貪った。 これで、何も考えられなくなるように、そして眠れるように、と願いつつ。 その後も何度か宮辺を抱いた。宮辺ももう抵抗することはなくなり、素直に身をゆだねるようになった。 再会当初よりも、あの懺悔の日よりも、宮辺に少しだけ生気が戻ってきていた気がした。 俺は勝ったと思った…何に? 宮辺を彼岸へ連れて行こうとする無数の見えない手に。 宮辺を蝕み続ける罪悪感という名の亡者の声無き声に。
だが、その勝利の美酒に酔いしれる間もなく、その日はやってきた。 その日、搭乗割に宮辺に名を見つけた俺の耳に上官の声は入ってこなかった。 「終わり」 その声だけが認識できた瞬間、俺は敬礼も上の空で自動的にこなして、宮辺が廊下に出ていくのを追いかけていった。 「どういうことですか!」 : : 最後の夜、昼間のやり取りを思い出して気まずさを覚えつつ、宮辺を待った。 何故か宮辺は来ないのではないかと思っていた。 しかし、宮辺はやって来た。 なんでもないフリをしていつものように抱こうとすると、宮辺が言った。 「陰裏…ありがとう」 俺はそれは何に対してだと聞くことさえできず、歯を食いしばって泣くのをこらえた。 それを察したように宮辺は俺の頬に手を当ててもう一度「ありがとう」と言った。 それから俺は何かに取り憑かれたように宮辺を抱いた。 宮辺の体に忘れられないように俺の痕跡を残したかった。 明日の今頃にはもう宮辺はこの世にいないというのに。 : : 「宮辺さん…許してください…」 出撃した日、俺は発動機の不調のせいで宮辺を見失った。 最後まで守り抜くと誓った、それなのに…俺は何のためにここに存在している? 宮辺をあちらの世界へと誘った敵国を、軍を、この国を、そして自分を呪った。 チョクエイ任務から帰還してからは、自動的に生きていた…いや、正確には生きていなかったのかもしれない。 俺もあの日、宮辺と一緒に彼岸へと旅立っていたのだ。
終戦後、俺は絵に描いたような自暴自棄の生活を送っていた。 特に身よりもなかった俺は町でチンピラとつまらないことでもめて、ここでこのまま死んでもいいと思ったが、 その町を仕切っている組の親分に拾われた。 その組と敵対している組を偵察する役目を仰せつかった俺は、ある日、見覚えある顔の女が敵対組織の屋敷に 連れ込まれるのを見た。 最初はどこで見た誰だったのか思い出せなかった。 しかし、ふと脳裏に宮辺の顔がよぎり、その後、宮辺が握り締めていた写真の女の顔を思い出した。 そうだ、あれは宮辺の女房だ。 他人の空似の可能性もないではなかったが、何故か俺は確信していた。あれは宮辺の女房だと。 その瞬間、俺の体は動き出していた。 親分からもらった刀を持って、敵対組織の屋敷へ飛び込んでいった。 今思い返してもあれが自分の意志で動いたと思えない。 何かが俺の中に入り込んで勝手に体を動かしたとしか思えなかった。 死に物狂いで、敵対組織の人間をメッタ斬りにしながら女を救い出すと、 持っていた財布を投げつけて「生きろ」と吐き捨てるように言った。 女は怯えながらも俺の顔をじっと見て何かを言いかけたが、俺が無言で「いけ」と促すと、 一礼して小さい娘を抱いて逃げていった。
支援?
あれから60年… 宮辺の孫という男が訪ねてきた。 俺は俺が知っている宮辺のことを話してきかせた。 宮辺の孫にトッコウの搭乗員名簿を渡すと潤んだ瞳で見つめ返してきた。 …宮辺がいる。60年の時を経て、あの時見失ってしまった宮辺が目の前にいる、と思った。 その瞬間またしても体が勝手に動いて、宮辺の孫を抱きしめていた。 温かい肉体を抱きしめていると、確かに宮辺の血が脈々と受け継がれているのを感じた。 ふと我に返ると宮辺の孫は驚いた顔をしてこちらを見ていたので、咄嗟に「若い男が好きでな」と言い訳してみたが、多分、あいつにはバレてるだろう。 宮辺の孫が帰っていった後、雨が降りしきる庭を眺めていた。 ふと、庭木の間に誰かが立っている気がした。 目を凝らして見ていると、そこにあの日の宮辺がいた。 こちらを見て、俺にはついぞ向けられたことがないような微笑みを浮かべていた。 口が「ありがとう」と動いていたように見えた。 俺は裸足のまま庭に飛び出して、宮辺が立っていた木の前にいった。が、宮辺はもういなかった。 宮辺…宮辺さん…あんたは俺に一生逃れられない呪いをかけていったんだな。 そして、あちらの世界であんたに会うまでその呪いがとけることはないのだろう。 だが、それでいい。それが俺の背負った業だからだ。 「いいんだ、陰裏、いいんだ」 また会うことができたなら、そう言って抱きしめてください。宮辺さん。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 代行ありがとうございましたm(_ _)m
ナマモノ・蛇注意 飴 玉 破 壊 C M レ ス ト ル ー ム 編より妄想小ネタ タイトルセンスの無さに絶望。会話文のみです。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「おい、丘打ぁ」 「どうしたの?」 「どうしたのって、てめえ俺ほったらかしてキヤソテ"ィ-クラッツユやってんじゃねえよ」 「今いいとこだから邪魔しないでくれます?」 「なっ…こっちもいいとこだろうが!入ってんだぞ!!」 「このゲームのボイス、いい声してる」 「聞けよコラ!」 「聞いてほしいなら、もっと俺を夢中にさせてよ」 「…」 「この世には建壱さんしかいないって思えるくらい…いい声聞かせて?」 「…覚悟しとけよ」 「ふふっ」
※ご本人様実話ネタ混じってます 「ん〜どこ消そっかな〜」 「ここはどうだ?お!一気にフルーツ落ちた!」 「もー、園堂さん勝手に触らないで。自分のやりなよ。まだ10面のくせに」 「うるせ。…ところで丘打」 「なに?」 「まだこれ入ってるんだけどさ…いいかげん抜」 「い や」 「…せめてどっちか止める気」 「あ り ま せ ん」 「…きっっついなぁ〜」 「ふふふっ」 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! どっちがどっちに何を入れてるのかはお好きにご想像ください。
>>477 乙です
あのCM自分も萌えてたw
演同さんが可愛いです
481 :
堕落論1/4 :2014/05/19(月) 01:06:59.13 ID:C6NxYY3k0
藻図 双子 偽造も甚だしい設定な上完全にふんいき話です。 とにもかくにも萌えまくってしまったのでこの場をお借りしますm(__)m |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 百舌は凶鳥だ。夜鳴きをすると死人が出る。 古い言い伝えだが、こいつは真実だと一彦は思う。 彼の百舌が獲物を狩る前夜も、決まって夜鳴きが長かった。 「兄ちゃん、明日の夕飯はハンバーグにしよう」 さも、いい事を思いついたかのような言いぐさで、宏見は口を開いた。 いつの間にか、膝の上に乗りあがっている弟の脚は、スカートをたくしあげた中から白く生えていて、一層と危うさを漂わせている。 石鹸の残り香がふんわりと鼻をかすめているのが、冷えきった皮膚に反して、やけに生々しかった。 降りろ、とも、痛い、とも、重い、とも言い出せずに、一彦は機を窺う猫のようにして注意深く宏見を見つめた。 ぼんやりとした宏見の瞳は、昼間禁断症状を起こしていた時の苛烈な形相からは一変して、ひどく穏やかだった。むしろ上機嫌のたぐいだろう。 擦り寄ってくる四肢は柔軟で、加減なく獲物を殴り飛ばすのと同じ手で、しなだれかかるように首元に絡みついてくる。 昂揚しているのは、頬にかかる息の温かさで、嫌でも分かった。 一彦は、ため息をついた。今更悔やむこともない、もう慣れたことだ。 慣れの力は凄い。すべてが塗りかえられて、始めからそうだったことになる。 こうして異質なものは忘れられ、いつか世界に溶けていけるのだ。
482 :
堕落論2/4 :2014/05/19(月) 01:12:15.75 ID:dXydAxSHO
「兄ちゃん、大丈夫?疲れた?眠い?」 もつれた舌を、重たげに動かしている宏見の声に、一彦は肩をすくめて微笑み返した。 「お前の方が、眠そうだろ」 「平気だよ」 「嘘つけ、ほら、目が半分閉じてる」 一彦が額にかかった髪を退けてやると、宏見はふっと脱力したように、瞼の力を抜いた。ついで四肢の力も抜けたのか、こちらに預けきった体を、一彦は背がしなるほどにきつく抱き寄せた。 とろんと溶けた瞳の中に、自分の顔が映っている。焦点は合わなくても、それだけで、一彦にはもう十分だった。 恐ろしい目だ。 実の弟に引き寄せられる兄も、実の兄を引き寄せようとする弟も、 互いのそら恐ろしさに目を瞑ろうとする、その卑怯さも。 無気力にひらかれた唇を、ごく丁寧に塞いで、奥底の深淵までを蹂躙する。 角度を変えてやるたびに、宏見が僅かな隙間から息を吸い込む音がして、そんな事で火がつく情欲のくだらなさに、一彦は心底呆れ果てた。 禁忌の快楽に沈み込んで、また一つ、何か取り返しのつかない蟻地獄へ足を突っ込んでいる。 そして、今度もまた先に落ちていたのは、弟のほうなのだ。囚われやすい弱き者。 宏見が捨てたのなら、俺も捨てるしかない。モラルも、現実も、世界も。 それが、百舌を飼いならす運命にうまれた俺の役目だ。
483 :
堕落論3/4 :2014/05/19(月) 01:17:21.17 ID:C6NxYY3k0
「兄ちゃん……」 吐息まじりの呼び声は、どんな睦言よりも甘ったるく、蜜をつめこんだような宏見の唇から漏れるため息は、毒より速く一彦を痺れさせる。 だらしなく零れ落ちた唾液を拭ってやって、一彦はぴったりと額に己の額をくっつけた。宥めるように、囁く。 「おやすみ、宏見」 うん、と頷いて瞑目した睫毛に、唇を触れさせる。 頭の芯まで痺れるような情欲が、冷えきった体に熱い火を灯す。得も言われぬ快感を自覚する。 やがて耳に噛み付いてくる、熱っぽい息と哀願。ずっと、聞いていたいと思わせる、愛らしい響き。 外道と罵られても構わない。同じ血肉で出来た、片割れの奥深くまでを咀嚼する。 血がにじむ。甘い。錯覚だ。だが確かに甘かった。 ごくりと喉を伝いおちていく唾液の音さえ、陶酔感を煽った。 弟の泣き声を聞いて、死ぬほど欲情している。何もかもが歪んでる。 他人の生き血を啜って餌にするのと、血肉を分けた片割れの精を啜って餌にするのは、どちらが狂っているだろう。
484 :
堕落論4/4 :2014/05/19(月) 01:20:39.72 ID:dXydAxSHO
一彦は、抱き上げた宏見の体を、真っ暗闇に沈み込んだ部屋に運んだ。 敷きっぱなしにしていた布団の上に、そっと下ろす。 異様に燃えて苛烈な色を見せたり、時に心底寒々しい深淵を見せる宏見の瞳は、今はしずかに閉じられていた。 物足りなくて、一彦はほんの少し屈むと、のぞいている細い首筋のうすい皮膚を、かるく吸い上げた。 びくりと宏見の体が一瞬揺れて、いくらかその表情が歪んだ。 そういう苦悶の顔を見るたびに、強烈な背徳感と激烈な欲望に溺れる。 次はその首に手をかけてしまいそうな気さえした。 何もかもが終着へと落ちている気分だった。もう終わりはそこまで来ている。 黎明の空がしらじらと染まっていくのを余所に、一彦は目を閉じて、宏見の横に身を横たえた。 幼いころの習い性というべきか、宏見の体はすぐさま片割れの体温を感じ取って、一彦の胸元へ潜り込んでくる。 共鳴する鼓動だけが、うつろな部屋の中を支配していた。 そうして、二人だけの朝は、暗闇の底に沈んでいった。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 弟<<<<<兄も捨てがたい。
<<484 ありがとう。すばらしかったです
時事ネタ。某おっさんナマモノ。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 最終レースが終わって、検量室。今日はいつもより、蛍光灯の明かりが白い。 目の奥にちりちり焼き付いてしまって、やりきれない。 だけど、泣きそうだなんて認めるのも、それはそれでやりきれない。 「おー、へっこんでんなぁー、まーっさよし!」 「……ぐ」 後ろから頭をぐりぐりされて、またげらげら笑われて、その声と行為で、その人がだれかなんて容易にわかる。 だから逆にますます振り返りたくなくて、がっくり肩を落とすように前にのめりこんだ。 自分の、赤い勝負服のボディが目に入る。あー、と思う。 これじゃない。 これじゃなかった。 「目黒、メダリスト強かったなー。届かねーわあの脚出されたら」 「……。」 「しかも外目だもんなー、キッツイキッツイ」 「……やめてよ、マジで」 「何でー、だー?おいおい」 「あーもう、マジでちょっと、あんたねえ、ノリさん」 悔しいし情けないし、なのにこの人が頭から手を離さないし。動けやしない。 さっきは勝った。それで、バカにしてるわけではないのはわかるけれど、 でも本日の大一番で本気勝負の末に負けた相手に、どんな顔が出来るってんだ。 おめでとうと言いたいけど、そうじゃないんだよな。 またやられちまった、だけなんだ。
「そりゃそうだけどさあ……」 「や、でもな。うん。マジ最後は、あの子の脚に賭けただけよ」 「……って、俺だってそうだよー」 「たはは、俺ぁ道中おまえの背中目標にしてたけどな!ごくろーさんっ」 「やられた……」 だまって頭を垂れていると、ぐしゃぐしゃとその人が髪をめちゃくちゃにする。 声と、多分あの顔と同じくらい、笑っているような仕草だ。 あの後最後のレースで勝ってもさ。また今年もあれに勝てなかった、ってことが。 どんどん自分の中に溜まっていくんだ。 力は互角だったと思うから、余計に。 だからほんのちょっとだけ、少しだけなのに、やられてしまったことが悔しい。 最後少し遊んでしまっただとか、外によれただとか、でもそれより隣の気配がグングン伸びてきたこととか。 思い返したら、多分今夜は眠れない。 「……ま、そんでも、俺もな」 ぐりぐり、指で頭のてっぺんをつつかれている。 少し痛いくらいに。 それでも抵抗しないけど。 「おまえらがもうちょっとくるかも、伸びるかも、ってビビってた。最後、マジ覚えてない」 「……あー!悔しー!」 「だからさー、またアレか?アレか?って、思ってたりして」 「……ナニ」 「ナニて、アレだよアレ」 同着、って。目を閉じたら、三年前のその時のことを思い出した。 いやこの人とはそれ以外にもまた、何故かお互い全力、死力を尽くした結果、決着つかずのことがあったりして。 奇妙な縁だと思った。長年やってればあることだけど、でも、でも今回はやられちゃったよ。 いやもう、今回も。何度も、何度目だ、もう。
「俺ぁよ」 ぐり、と脳天あたりの痛みが、重みに変わる。 「……おまえとだったら、それもいーなーって」 「……。」 ぐりぐり、肘だ、これは。 小柄でも、全体重を掛けられて、後ろからのしかかられていたらさすがに重い。 「何度でもよ、やろーぜマサヨシ」 「……」 「来年もやろー。再来年も、あと」 「ちょっと、アンタどこまで現役なの」 「バカやろ、まだまだ俺が現役最強ダローが!わかったろ!」 かかかかか、と甲高い笑い声が、ほとんど耳の傍で聞こえる。 「おまえが勝つまで、だな」 「え」 「おまえに負けたら引退だ、わ」 だから来年もやるぞ、って。なんというかこの人らしいというか、本当に。 一瞬、大歓声の中、この人と真っ直ぐ突っこんでいくイメージが浮かんだ。 ああ、あんたとだったら、それもいい。 それも、いいな。 「あー。悔しい」 でも、やっぱり。
「来年だ来年、くそー」 「だろーな」 「勝ちたい」 「おう、勝て勝て」 肘も耳も痛い、痛いけど。痛いんだけど。悔しいし、情けないけど。 でも、来年また戦いたいなとは思った。 この人に勝って、その先に行きたい。 そのシーンを、思い描こうと思った。だから顔が上げられなかった。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! だがいい勝負だった。
良いもの読ませてもらったよ!ありがとう! うん、いい勝負だったよねえ。
せーいぎのかぜっがっ荒れるぜゲッター!
ごめん誤爆…
待て! どこの誤爆だw
※『華/麗/な/る/一/族』原作小説設定で、小学生次男→高校生長男のBL未満 ※ドラマ化されてるので一応人名は伏字 ※ところどころ捏造設定あり ※死ネタ注意 _________ |┌───────┐| |│l> play. │| |│ |│ |│ |│ |│ |│ |└───────┘| [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::] ∧∧ ( ,,゚) ピッ ∧_∧ ∧_∧ / つ◇ ( ・∀・)ミ (` ) . (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒) | ┌‐^────────────── └──────│最近読み返したら突発的に萌えたので書いてみた └───────────────
「…兄さん」 冬の真夜中。万表邸の、鉄兵の部屋のドアをノックする者があった。 「銀兵…眠れないのか」 銀兵はこくりと頷く。鉄兵はドアを開けると、弟を部屋の中へ招き入れた。 十六歳の鉄兵にとっては、十一歳の銀兵はまだまだ幼い。 鉄兵は膝をかがめ、銀兵の肩に手を置きながら言った。 「お母さんのことなら…お医者様が付いてくれているから、大丈夫さ」 そう言いながら、鉄兵もどこか不安げではあった。 「市子姉さんと次子たちは、今夜は三人一緒に寝るって…」 「僕たちは男だろう?」 鉄兵は苦笑しながらも、弟の言うことを可愛らしく思った。 ――お母さんが心臓発作だなんて、真っ赤な嘘ですよ、兄さん。 お母さんは何か薬を飲んで死のうとしたんだ。それもこれも、お父さんが… 銀兵はたったいま屋根の上から母の部屋を覗き見て知ったことを 兄に伝えるべきか、少しの逡巡の末、やめにした。 決して不真面目ではない銀兵以上に一本気な鉄兵のことだから、 きっと余計な心労を増やしてしまうだろうと考えたのだった。 鉄兵がベッドを整え直し、二人は初めて一緒に寝ることになった。 万表家では子供たちは皆小さいうちに一人部屋をもらうため、雑魚寝などしたことがない。 「しかも添い寝だなんて…明日、市子たちにばらしてやろうか」 「仕方ないでしょ、ベッドは一つしかないんだから」 くすくすと笑って鉄兵が言い、すかさず銀兵が言い返した。 母を蔑ろにする父と家庭教師の藍子との奔放な関係を見ながら次第に傍観的な性格に なっていった銀兵だが、この時は確かにまだ子供らしさを残していた。
兄と一緒の布団に入りながら、銀兵は仰向けに寝る鉄兵の顔を密かに見つめた。 後に口々に祖父似だと言われることになる鉄兵の顔は、このころ母・靖子の面影を宿してもいたのだ。 母似の市子と鉄兵、そして父似の銀兵と次子と光子を見れば、一目できょうだいだと分かった。 (お父さんが鉄兵兄さんにだけ冷たいようなのは…) 父親である自分に似ていないからだろうか。しかし同じ母似の市子に対しては、 銀兵たちと同様に愛情を注いでいる風に見える。 長男だからわざと厳しくしている、というのとも違う気がする… それに、優しく美しい母が鉄兵を見て時折怯えたような顔を見せるのも気になっていた。 この時まだ存命だった祖父だけは、屈託なく鉄兵を可愛がっていたけれど。 「兄さんは…」 「ん?」 「お父さんと同じ、慶応大学に行くんでしょう」 何か話をしていないと、母の容体が気になって眠れそうになかった。 兄弟らしく、将来の夢でも語らってみたい気持ちになって銀兵はこう切り出した。 父は日頃から長男の鉄兵を母校の経済学部へ進ませ、銀行を継がせる気でいる。 鉄兵は、心なしか体を強張らせた。銀兵がどうしたろうと思っていると、 「お父さんにはまだ、内緒だぞ」 「え…」 鉄兵は天井を見つめたまま、真剣な顔をして話を続けた。 「工学部に…出来れば、東大の工学部に進もうと思っている。 僕は金勘定は性に合わないよ。銀行よりも、お祖父さんの製鋼会社を大きくしたい」 銀兵は思わず息を呑んだ。万表家では父・大助の威光は絶対で、 子供たち――ましてまだ十代の――が、父に逆らうなど銀兵には考えられぬことだった。 祖父はきっと鉄兵に賛成するだろうが、この家の当主の座は既に父に譲られている。 「銀行ももちろん大事だけれど、僕にとっては鉄を作る方が魅力的なんだ」 「…お父さんに、叱られますよ」 ただでさえ父に充分愛されていない兄が、これ以上父に睨まれるのではと銀兵は不安なのだ。 「平気だよ。…きっとお父さんを説得してみせる」 終始囁くような調子だったが、鉄兵の声は力強く響いた。
突然、鉄兵が布団の下でがばりと銀兵を抱きしめた。 祖父に付いてよく狩りに行くため、たくましく育ちつつある体躯。 日焼けした顔に映える白い歯が、この暗い中でもちらりと見えた。 「に、兄さん…」 銀兵は頬を熱くした。兄が単に自分を子供扱いしてこうしているのだと、分かっていても。 「銀行の方はお前に任せたぞ。せっかく名前に“銀”の字が入っているんだから… 鉄兵が鉄鋼工場を、銀兵が銀行を継ぐなんて、丁度いいじゃないか」 鉄兵が銀兵の頭をごしごしと乱暴に撫でる。 銀兵の体を、母といる時にも父といる時にも感じたことのない暖かさが滲み渡った。 ――兄に心惹かれるのは、大好きな母に似ているからだと思っていた。 それならどうして市子では駄目なのかと、思ってはいたけれど… 銀兵はまぎれもなく兄に、兄の強さに、魅力を感じているのだ。 「ふふっ…」 「何だ、急に笑ったりして」 「お祖父さんが、兄さんの名前を“金平”と付けようとしたって話を思い出したんです」 「あっ、嫌なことを持ち出して…お父さんが止めてくれなかったら大変だったよ」 万表家の親族が集まるごとに出る笑い話だ。祖父は金が金属の王様だからと提案したようだが、 まるで大昔の役者のような名前で、その話をすると鉄兵はいつもふて腐れてしまうのだった。 ――やがて兄弟は、お互いの体温に包まれながらすやすやと寝入っていた。 ◇◇◇ もう二十年以上前の出来事を思い出していた。 一月の冷たい風が、銀兵の体に吹いてまた去ってゆく。 (昔は…子供の頃は、確かに家族七人で笑い合うこともあったのに) 家族というのは、もちろん父、母と二男三女のきょうだいのことだ。 「どうして、こんなことになってしまったんでしょうね…」 鉄兵兄さん。銀兵が兄の一周忌の直後に訪れた墓の前で問うた言葉に、答える者はなかった。
_________ |┌───────┐| |│ロ stop. │| |│ |│ |│ |│ |│ |│ |└───────┘| [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::] ピッ ∧_∧ ◇,,(∀・ ) この兄弟はやっぱり萌えるんだな . (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒) | | └────────────────┘
年上隠れS × 年下発情期のなんちゃってSF |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 個室のドアが叩かれたのは、夜半を過ぎた頃だった。 こんな時間に尋ねてくる相手は、一人しかいない。 扉を開けると、やはり彼がそこにいた。 レノーー僕の愛しい年下の恋人ーーはぶっきらぼうに、薬が見つかんねぇ、と言った。 そういわれてみれば、目が潤んでいるし、頬も上気している。 微かな変化なので、言われるまで気付かなかった。 熱があるのかと思い問うてみると、そうじゃねぇけど…と語尾を濁す。 全く要領を得ない。 心配になり、手を伸ばし額に触れようとしたら、レノは大袈裟にびくついて後退りした。僕を拒むように。 普段のレノなら、そんなことはしない。 自分から甘えてくることはほとんどないが、こちらが近付けば近付いただけ、彼も身を寄せてくる。 キスであれ、それより先の行為であれ、それが僕達なりの信頼の在り方だと思っていた。 情けない顔でもしていたのだろうか、レノは慌てたように違うんだと言った。 ーー今さわられるとまずいから。 掠れた声で話すうちにも、彼の耳はどんどん赤くなっていく。 「感染する病気なのか? 触ると炎症が広がるとか?」 力なく首を振ったレノは、言いにくそうに暫く黙った後、遂に告白した。 「おれ、発情期なんだ」 20XX年、宇宙大学。僕とレノは、3歳違いの同期として出会った。 地球に留学していたため1年遅れで入学した僕と、飛び抜けて優秀だったために2年分飛び級して入ってきた彼は、不思議と気が合った。 レノは口ぶりこそ生意気だが、常に正直な少年だった。 豊富な知識とユニークな発想をもつ彼との議論は、いつも盛り上がった。 分野によっては、地球での経験がある僕の方が詳しいものもあり、僕がレノの知らないことを教えてやると、彼は目をきらめかせて真剣に話を聞くのだった。
恋も知らない少年を自分のものにするのは、たやすかった。 肌の熱さを教えてやれば、普段の乱暴な言葉はどこかへいって、子供みたいに涙を浮かべて僕にすがった。 多少ずるい手を使ったという自覚はあるが、それでも彼がほしかった。 僕はレノの初恋の座を射止め、そのまま彼をさらってしまった。 今では同じゼミに入り、共同研究を進めている。 公私ともに大切なパートナーだ。 レノの育った星では、安全かつ合理的な妊娠・出産を行うために、遺伝子レベルでホルモンの量を操作されているのだという。 たしかに少子化はどの星でも重大な問題だ。 三ヶ月に一度の発情期は、妊娠を望む者にとっては受精の確率を高める貴重な期間であり、それ以外の者にとっては尽きない欲望に悩まされる時間であるそうだ。 それゆえ、未婚者には衝動を抑制する作用のあるカプセルが配布される。 服用するかしないかは個人の判断によるが、星の外に出る者はほとんどが使用する。 レノもそのうちの一人で、発情期が来ると密かに薬を飲んでいた、とのことだった。 たしかに性に対して奥手な方だとは思っていたが、そんな事情があるとは全く知らされていなかった。 「だから体調が悪いわけじゃないんだ、ただ抑えが効かなくてつらい……」 レノの肌はいつのまにか汗で湿って、まるで内側から発光しているようだった。 大きな苦痛に耐えるかのような表情は、見たことのないものだ。 付き合いが始まってから今まで、レノが明るい中ですることを嫌がるので、最中の顔は見たことがなかった。 僕は声と肌の感触だけで、彼がどう乱れるか覚えてきた。 それほどプライドの高いレノが、火照る体を震わせて助けを求めてきた。 与えられるものは一つだ。思わずのどがなった。 「今日が金曜日で良かった。週末ずっと部屋にこもっていられる」 汗に濡れた髪を梳いてやると、今度こそレノは身体を預けてきた。 「おれ、グインをやり殺しちまうかも」 ずいぶん過激な発言に笑って、僕はレノを部屋に招き入れた。
レノの言葉があながち間違っていないことは直にわかった。 息をつく間もない性急なキスは、彼の身体をより一層熱くしたようだった。 「明かりを消そうか?」 いつもは初心な少女のように星の光まで気にするレノも、今夜は完全にたかが外れていた。 どうでもいいと吐き捨てるように言って、再び舌を絡ませて来る。 もどかしそうに擦り付けてくる部分は、もうすっかり硬くなっている。 レノが僕の手を取り、そこに押し付けた。 「グイン、おれもうダメだ。なぁ、早く触ってくれよ、早く…」 泣き出しそうな顔で強請られて、くらくらした。 こんな甘い声を僕は知らない。 ベルトを外してやり、下着の中に手を突っ込んだ瞬間、レノの身体が跳ね、濃く粘っこい精液が吐き出された。 「う…」 あっという間だった。 涙目で息を吐くレノの背中を、ゆっくり撫でさすってやる。 こんなに早く果ててしまうなんて思わなかった。 レノも同じだろう。同じ男として、フォローの仕方に悩むところだ。 しかしレノは、目尻を赤く染め、涙をためて、もっと、と言った。 あぁそうだ、発情期は抑制が効かなくなるものだと彼は話していた。 際限なく押し寄せる欲望を解放してやれるのは僕だけなのだ。 そのまま精液に濡れた手で彼の性器を握り込み、ゆるく扱くと、レノが身をよじった。 敏感になりすぎて辛いのか、僕の肩を押して逃れようとする。 熱い息を吐き、シーツに顔をうずめて刺激をやりすごそうとする姿があまりにいたいけで、腹の底からどす黒い興奮が込み上げてきた。 レノを楽にしてやりたいと思うのに、レノが喘ぐ姿をもっと見ていたかった。 僕は矛盾している。でも、新たな快楽を求めておいて、いざそれを与えられると戸惑うレノだって矛盾している。 「レノ、『もっと』してあげるから」 僕は言いきかせるようにレノの耳元で囁いた。 左手を使って彼の両腕をまとめてしまって、ぬるついてた右手で先の方をいじる。 「やめろ、まだ…」 レノが抵抗するが、僕は止めない。上からのしかかって、自由を奪う。 レノは信じられないものを見るような目で僕を見た。 かわいいレノ。かわいそうなレノ。 僕がはしたない君と今日出会ったように、君も優しいだけじゃない僕を初めて知るのだ。
支援?
指で輪を作り、彼の好きな強さで上下させたら、レノが声にならない声を上げて啼いた。 性器は先ほど射精したばかりとは思えない程、わかりやすい反応を示している。 レノが眉を寄せ、きつく目をつぶる。限界が近い。先端の感じやすい部分を手で包んで、円を描くように動かしてやる。 途端にレノの太腿が緊張するのがわかった。 最後まで一方的に奪いとるような形にするのはさすがに気がひけて、枷にしていた左手を放した。 強張った腕をとって自分の背中にまわすと、レノがぎゅっとしがみついてきた。 胸と胸が重なり、互いの鼓動が混じり合う。レノが熱い息を吐き、二度目の絶頂をむかえた。 何度かに分けて勢いよく飛んだ精液が、シーツに染みを作った。 下着はもちろん、前を寛げるだけにしていた服まで濡れていた。 粘度こそ薄くはなったが、しつこくいじめたせいか、量は初めより増えているように見える。 通常なら、レノは真っ赤になって汚してしまったことを気にするのだが、今回はそんな様子もない。 身の周りのことに気を配る余裕がないのだ。レノはもっと大きなものに突き動かされている。 本能や野性と呼ばれる、野蛮で美しい衝動。身を焼き尽くすような激しい情動だった。 レノは伏せたまま、息が整うのを待っている。乱れた髪の隙間から、熱っぽい目が光っていた。 きっとまだ満足していない。次から次に腹が減るように、満たしたそばからまた足りなくなるのだろう。 僕は、本当にレノを抱きつぶさないといけないのかもしれない。 もしも僕が先に「やり殺され」たら、彼は欲を持て余すことになってしまう。 だからレノをコントロールしながら追い詰めて、最後にはもう終わりだと彼自身に言わせるところまでもっていく。 僕には大義名分が出来た。誇り高い恋人を自分の手で泣かせて、許しを乞わせるという使命を手に入れたのだ。 それは自分の後ろ暗い興奮に直結していた。背骨の辺りから、ぞくぞくと期待感が広がっていく。 レノはどんな顔をするだろう、どんな声をあげるのだろう。 先に溺れる覚悟を決めたのは、僕だったか、彼だったのか。今となってはわからない。
レノの発情期は、ぴったり24時間で収まった。 その頃には、ベッドも互いの体も酷いことになっていた。 散々いたぶられたレノの乳首は赤く擦り切れていたし、僕の首筋には歯型が何重にも残っていた。 レノの目は充血し、頬には涙の跡がついていたから、何も知らない人が見たら僕は犯罪者だと思われただろう。 でも僕だってレノのものを長時間しゃぶりすぎて、いいかげん顎が外れそうだった。 指でいかせても体を重ねてもレノが更なる快感を求めてくるので、最後の数時間はずっと口でレノを慰めていた。 体中を愛撫して、舐めて含んで、いきそうになったら止めて、を繰り返していたら、レノは本気で啜り泣いて俺をなじった。 グインのバカ、根性悪、お前なんか大嫌い。 子供じみた憎まれ口が愛しくて、根元をゆるく抑えたままキスをした。嫌がるかと思ったけれど、レノも舌を差し出して懸命に応えた。 唾液を注いだら、それをきちんと飲んでくれた。健気な態度に気を良くした僕は、意地の悪い質問をした。 「僕はレノが好きだよ。世界で一番。レノは違うかな?」 答えは望んでいなかった。 レノは性欲に翻弄されて意識がクリアじゃないと思っていたし、意地っ張りな彼にそれを言わせるのは無理だろうと考えていたから。 でもレノは答えた。 「おれだってお前だけだ、お前しかいらない…」 あまりに素直な言葉に耳を疑った。 熱に浮かされて言ったのだろうか、決定的な刺激を得るために僕を煽ろうとしているのだろうかとも思ったけれど、レノのとろけそうな目は真っ直ぐ僕を捉えていた。 最後まで口でするつもりだったけれど、もうたまらなかった。 「レノ、一緒にしよう」 レノの半身を抱き起こし、自分の性器とレノの性器を合わせる。二人の手もそこに重ねて、互いのものを擦り付けあった。 混じった体液が滑りを良くし、粘膜同士の接触を助ける。部屋にはぐちゃぐちゃと淫らな音が響いていた。 レノが小さな声で、切なそうに僕の名を呼んだから、思わずその唇を奪った。舌を絡めて、熱い口内を犯すように出し入れする。 舌と性器、どちらの器官でもレノを感じていた。 レノが涙声で呻いて、僕の腹に透明に近くなった精液をぶちまけた。 それを確認してから、僕もほとんどを搾り取られた後の僅かな残りを、やっと解放したのだった。
レノはすっかり落ち着いて、やすらかな寝息を立てている。僕に残されたのは疲労と罪悪感だった。 僕はレノの逃げ場を奪い、自分の意のままに操ろうとした。 その時レノの口から飛び出したのは、許しを乞う言葉などではなかった。 「お前しかいらない」。胸の奥で欲していた、あたたかく清らかな愛の告白。 僕は間違っていた。獣のように我を忘れていたのは、他の誰でもない自分だった。 レノは僕を愛して、僕が一番ほしかったものをくれたのにーー。 「レノ、今度は……」 三ヶ月後には、必ず。僕は贖罪の意味を込めて、眠るレノに誓う。 「ぜんぶ君が望む通りにしよう」 君を甘やかして、全てを与えたい。僕がもらった幸福を、君に返そう。 僕はレノの額に口付け、毛布をかけなおしてやった。今の僕にできるのは、そんな小さなことだけだった。 翌朝僕は、それはもう甲斐甲斐しく働いた。 胃の弱いレノのためにカフェオレを、自分にはブラックを入れ、果物の皮を剥いた。 レノは狂おしい一昼夜のことをあまり覚えてないらしく、意外とけろりとしていた。 「うちの星って、ほとんどのパートナーが添い遂げるんだって。 他の星だと途中で別れたりもするんだろ? おれ、周りでそういう話聞いたことなかったもん。 発情期にすると、気持ち良すぎて相手にはまっちゃうんだってさ。 だから今まで薬のんでたんだけど、こうやって忘れちまうならたいしたことねぇのかもな。」 カフェオレをすすりながら話すレノの口ぶりは軽かった。 けどこのそっけない口調の中にどんな思いが込められてるか、僕はもう知っている。 あんなことを言われて、もう離せるわけがない。レノの母星の人々の愛情の深さもわかる気がした。 「そうだね。薬は飲まなくて良いんじゃないか? 僕がいるんだから、毎回ここに来れば良い。 たった一日、部屋にこもるだけだろ。何の問題もない。」 空になった彼のカップを受け取って、僕は言った。正直に言うと、償いの気持ちと下心が半々の割合だ。
「……でも痛そうだ」 レノは僕の首筋の跡を指でなぞり、悪ィな、これおれがやったんだよなと謝ってきた。 レノ以上にやましいところのある僕は、黙って微笑みを返し、彼のこめかみにキスをした。 くすぐったそうにして、レノも笑いだした。 「こんなのなんてことないよ。君の方が苦しそうだった。全然覚えてない?」 「うーん、わかんね。でも」 「でも?」 「グインに何か言われて幸せだったことだけ覚えてる」 −−レノが好きだよ。世界で一番。 どうやら僕の少し邪な(しかし真実の)愛の告白は、正気を失った恋人の心にも残っていたようだ。 こうして初めて遭遇したレノの発情期は幕を閉じた。 三ヶ月に一度、ボロボロになるまで二人で部屋に閉じこもるサイクルは、きっと僕達の関係を今以上に深めるだろう。 僕は今度こそレノの純粋な好意に報いるのだ。惜しみなく与え、全てを君に捧げよう。 たとえ次の朝には忘れてしまったとしても、愛しあった幸福だけは胸の中に残るように。
509 :
支援 :2014/06/30(月) 19:18:18.03 ID:MYGr2Vfj0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )支援ありがとうございました!
すごくいい…3ヶ月後の二人も読みたくなった
投下続いてるのであげてみる 皆さんGJです!
>>512 はあぁぁあん!GJ!GJ!GJ!
最近はピン仕事の多い自分の最愛だと思って読んだけど違っててもいいや!
ごちそうさまでした
515 :
ヒカ碁1/6 :2014/07/25(金) 05:21:54.43 ID:lMpl8uIQO
ヒカルの碁 ヒカアキ 下ネタ 投稿に長くて30分ほどかかるかも |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「やらねーか?」 初夏の眩しい日射しと寒いぐらいの冷房の中、ヒカルはそう言うと 二ツ折りマグネット碁盤のホックを外し始めた。 アキラに断る理由は無い。 ホイホイと受けて立った。 「オレ白?」 「ああ。ボクが黒だ」 アキラは磁石の付いた黒石の一塊を手に取ると 残りは上着のポケットへと仕舞う。 顔を上げるとヒカルの真剣な眼差しとぶつかった。 互いの視線が熱く絡まる。 これまでも幾多と繰り返してきた闘いがまた始まろうとしている。 「宜しくお願いします」 「オナシャス」 頭を下げ合い勝負の幕が開いた。
516 :
ヒカ碁2/6 :2014/07/25(金) 05:23:39.62 ID:lMpl8uIQO
初めてヒカルの持つ小さなそれを見た時 こんなに小さな物を上手く摘めるのだろうかと思ったものだ。 今や慣れてしまったアキラの人差し指と中指が しなやかに動きそれを摘む。 小振りなそれは、しかし確かな存在感を挟んだ指先へと伝える。 その色付く小さな突起に互いに手を入れると ヒカルは耐え切れないように性急にカカって来た。 (ボクもカカり返そうか…) アキラはしばし逡巡したが、やはり思い直す。 まだ始まったばかりだ。主導権はこちらにある。 ならば流れに乗るのもいい。悪くない形だ。 アキラがゆったりと開いてそれに応えると、ヒカルは下へと滑らせる。 「随分素直じゃん、下ツケな」 自然とハネるのは、繰り返した行為を身体が覚えているからだ。 ノビるアキラに沿ってヒカルの手が執拗に這う。 その手がついに先端を捕らえて割れ目に別け入ると アキラは衝撃を逃すようにそっと息を吐いた。
517 :
ヒカ碁3/6 :2014/07/25(金) 05:26:08.62 ID:lMpl8uIQO
それは互いを確かめ合う行為だ。 一手一手進める度、込められた想いを享受し 自然と沸き起こる情熱をぶつけて返す。 与えているのか、受け取っているのか。 そのどちらもなのだろうか。 よくある形に雪崩るのは簡単だったが 敢えて身を任せてアキラは大雪崩を選んだ。 記憶と直感が交差する。 互いに競うように、ここしかないそれへと導かれる。 その好点に手を入れたアキラに釣られて ヒカルがハッと視線を上げた。 アキラの見据える瞳と仄かに紅潮した頬を目にして ヒカルもまた興奮を隠し切れないようだった。 背筋に走った身震いに、アキラは僅かに眉を寄せる。 同じ物を感じている。己の吐く息は熱く、短い。 二人きりの交合は中盤に差し掛かっていた。 序盤に放置していた小さな尖り周辺へヒカルが軽くカケた事は、 じを守りたいアキラにとって望む展開だ。 他方を攻めるヒカルは容赦無く出ようとするが 守りに入ったアキラを押し崩せる形ではなかったからだ。 アキラはヒカルを外からじんわりと挟んで責めている。 こう挟まれては、ヒカルは天へと向かい伸びていかざるを得ない。 互いを追い詰めて道を狭めていく。 だが、己も危うくなる焦燥感と同時に アキラは沸き上がる悦びをも感じていた。
518 :
ヒカ碁 4/6 :2014/07/25(金) 08:15:38.72 ID:nGweyllj0
「あ‥‥入って、来た…」 アキラが呟くとヒカルがにやりと笑う。 これを、待ってたんだろ? 言外にヒカルの瞳が語る。 そうだ。分かって、待っていた。小さくイカす気ではあった。 しかし、そんなアキラの思惑も読まれていたのだろうか。 ヒカルの動きはそれを大きく越えていく。 「手堅くシマりやがって」 「‥キミが、無茶するから、だろ」 「それで耐えられんのか?」 「‥くっ、‥あ、そこ‥‥」 続けてアタり、アタりと繰り出されてはただ耐えるしか無い。 俗な手段も効くだろ? 囁くようなヒカルの声がアキラの耳を侵す。 逃さないように的確に責めて来るそれに アキラは受ける事がやっとでしかいられない。 抑え切れない動揺に、アキラはノドの奥から呻いていた。 そんなところを突き出されるわけにはいかない。 だが最後の抵抗はそのイイ筋であっさりと封じられた。 握られたまま順番を待つ石達が、アキラの汗ばむ掌を意識させる。 身の内の奥深くまで入り込んだその塊が より一層存在感を強めてアキラを責め立てる。 (このままじゃ、ボクは足りない…進藤は……出せるッ…!) 一定のリズムで打ち込まれるそれが 二人の間で絶え間なく音を立てる。
519 :
ヒカ碁 5/6 :2014/07/25(金) 08:17:15.70 ID:nGweyllj0
「オレの‥‥イキだ!」 空気さえ響く勢いでヒカルが一際力強くそれを打ち付けた。 「ああァーッ‥!」 その決定的な膨らみに、ぎゅっと握り直したアキラのこぶしが 諦めたように力無く開かれていく。 盤上に、ぽたぽたと白いあれが散った。 「なあ、いっぱい出しちゃったな」 「‥…うるさい」 「オレここんとこ感じ良かったよな? あ、おい待てって」 出した石の後始末を早々に始めたアキラのその手に ヒカルは自分の手を重ねて、耳を寄せる。 「もっかいやろーぜ?」
520 :
ヒカ碁 6/6 :
2014/07/25(金) 08:19:58.97 ID:nGweyllj0 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、シュウキョク! 見事なキフ通りでどこもおかしくはない ありがとうございました