1 :
風と木の名無しさん:
___ ___ ___
(_ _)(___)(___) / ̄ ̄ヽ
(_ _)(__ l (__ | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ }
|__) ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
l⌒LOO ( ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_, _)フ 「 | ロ | ロ |
( ・∀・)、__)  ̄フ 厂 (_,ィ | </LトJ_几l_几! in 801板
 ̄  ̄
◎ Morara's Movie Shelf. ◎
モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |[]_|| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ]_||
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄| すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
|[][][]._\______ ____________
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |[]_|| / |/ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.|| |[]_||
|[][][][][][][]//|| | ̄∧_∧ |[][][][][][][][].|| |  ̄
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.|| |
|[][][][][][][][]_|| / ( つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板66
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/801/1316072222/ ローカルルールの説明、およびテンプレは
>>2-9のあたり
保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/ ※前スレ
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/801/1329544209/
2 :
風と木の名無しさん:2012/08/02(木) 22:02:51.75 ID:2iGxP1PM0
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★
1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。
(1)長時間(30分以上)に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(
>>4-7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。
(4)一度にテンプレAA含め10レス以上投下しないで下さい(連投規制に引っかかります)
長編の場合は10レス未満で一旦区切り、テンプレAAを置いて中断してください。
再開はある程度時間をおき、他の投稿者の迷惑にならないようにして下さい。
(5)シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
また、長期連載される書き手さんはトリップを付ける事を推奨します。
(参照:トリップの付け方→名前欄に「#好きな文字列」をいれる)
(6)感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬や、書き手個人への賞賛レスはほどほどに。
作品について語りたいときは保管庫の掲示板か、作品が収録されたページにコメントして下さい。
※シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。
※ルールを守っている書き手やその作品に対して誹謗中傷・煽り・否定意見の書き込みは禁止
※誹謗中傷・煽り・否定意見に対しての反論は書き手、読み手共に禁止
レスするあなたも荒らしです。注意する時は簡潔に「
>>2を守ってください」で済ませましょう。
相談・議論等は避難所の掲示板で
http://bbs.kazeki.net/morara/
3 :
風と木の名無しさん:2012/08/02(木) 22:03:44.04 ID:2iGxP1PM0
■投稿に当たっての注意
1レスあたりの最大行数は32行、タイトルは全角24文字まで、最大byte数は2048byte、
レス投下可能最短間隔は30秒ですが、Samba規定値に引っかからないよう、一分くらいがベターかと。
ご利用はテンプレをよくお読みの上、計画的に。
4 :
風と木の名無しさん:2012/08/02(木) 22:16:11.24 ID:2iGxP1PM0
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
| いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
\ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
| | [][] PAUSE | . |
∧_∧ | | | . |
┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ | | | . |
| |,, ( つ◇ | | | . |
| ||―(_ ┐┐―|| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
| || (__)_), || | °° ∞ ≡ ≡ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5 :
風と木の名無しさん:2012/08/02(木) 22:17:10.47 ID:2iGxP1PM0
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。
別に義務ではないけどね。
テンプレ1
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| モララーのビデオを見るモナ‥‥。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| きっと楽しんでもらえるよ。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
6 :
風と木の名無しさん:2012/08/02(木) 22:20:43.82 ID:gxyMAGwo0
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
| いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
\ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
| | [][] PAUSE | . |
∧_∧ | | | . |
┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ | | | . |
| |,, ( つ◇ | | | . |
| ||―(_ ┐┐―|| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
| || (__)_), || | °° ∞ ≡ ≡ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
7 :
風と木の名無しさん:2012/08/02(木) 22:26:44.76 ID:gxyMAGwo0
テンプレ2
_________
|┌───────┐|
|│l> play. │|
|│ |│
|│ |│
|│ |│
|└───────┘|
[::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
∧∧
( ,,゚) ピッ ∧_∧ ∧_∧
/ つ◇ ( ・∀・)ミ (` )
. (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
| ┌‐^──────────────
└──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
└───────────────
_________
|┌───────┐|
|│ロ stop. │|
|│ |│
|│ |│
|│ |│
|└───────┘|
[::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
ピッ ∧_∧
◇,,(∀・ ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
. (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
| |
└────────────────┘
8 :
風と木の名無しさん:2012/08/02(木) 22:28:45.94 ID:gxyMAGwo0
テンプレ3
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 生 || ∧(゚Д゚,,) < みんなで
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < ワイワイ
i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < 見るからな
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ"
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 止 || ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
//, 停 ||__ (´∀`⊂| < この体勢は
i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < 無理があるからな
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ
9 :
風と木の名無しさん:2012/08/02(木) 22:41:37.57 ID:gxyMAGwo0
テンプレ4
携帯用区切りAA
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
中略
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
中略
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
|
| ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
| ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
| ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
| ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
| ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
| ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
| ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
\___ _____________________
|/
∧_∧
_ ( ・∀・ )
|l8|と つ◎
 ̄ | | |
(__)_)
|\
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 媒体も
| 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
| 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄| じゃ、そろそろ楽しもうか。
|[][][]__\______ _________
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | |/
|[][][][][][][]//|| | ∧_∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
|[][][][][][][][]_||/ ( )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |
(__)_)
>>1乙でして
連投規制のあるなかでのテンプレ貼りもおつかれさまでした
即死回避って30レスだったっけ?
ということで一応保守
おつおつ
保守
そこまでシビアな即死判定はないよ
今はもうって言うかかなり前から
・文才ゼロ
・山なし意味なし落ちなし
・5レス+5レスに分けて投下します
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
なれ親しんだバーで、いつものごとく失恋した男の愚痴を聞いていた時のことだった。
彼が失恋したときには必ずといっていいほど飲みに誘われる。そのため「飲みにいこう」と言われてすぐに出てくる方程式が=失恋だ。
そして酒を飲みまくる。強くも無いくせに呷るように飲む。すさまじい飲みっぷりだ。
顔が真っ赤になって呂律が回らなくなってきたらマスターに目配せをしてグラスに注ぐのは水だけになる。
隣の酔っ払いが文句を言うことは無い。
最初は味わうために飲んでいるわけじゃないからだと思っていたけど、最近になってただ単に気がついていないだけだということに気がついた。
今日の飲むペースだと、グラスの中身が水に変わるのも時間の問題だ。
苦笑いするマスターを横目に私は重々しくため息をついた。
マスターには本当に申し訳なく思っている。
店に入ったとたんに、見ているこっちがかわいそうに思うくらいに緊張が走るからだ。
毎月のように繰り返される2人失恋反省会(もちろん失恋するのは毎回彼だ)で、あほみたいに同じ話を聞かされるわ。
好きなだけ飲んで、好きなだけ愚痴って、好きなように吐いたり寝転がったり歌ったりする迷惑な奴だ。マスターの顔の引きつりにもうなづける。
泣きべそをかく彼にハンカチを握らせながら涙を拭く、自分で涙をぬぐおうとすらしない彼を見てよく入店禁止にされないもんだと常々疑問に思う。
その辺の居酒屋ならまだしも、若干客の少ないが小奇麗なバーなのに。
しかもただでさえ客が少ないのに、彼がここで酔っ払うせいでより客が来なくなったという噂を聞く。
親切で困った人や落ち込んだ人を放っておけないという苦労人だ。
泣いている人がいたらついつい声をかけてしまうらしい。この間小学生に声を掛けて近所の人に通報されかけてたのを庇った記憶がよみがえる。
良い人なのにあまり報われないことに定評のあるマスターを見て、されて当然の出入り禁止処置をしないというあまりの菩薩っぷりに涙が出そうになる。
マスターの最近薄くなった頭皮のためにも、反省会の開催をせめて数ヶ月に一回のペースに減らしたいと思う。
「でさぁ〜、俺はこう言ってやったんだよ! お前みたいな奴こっちから願い下げだってね!!」
本日16回目の言葉に適当に相槌を打ちながら、そのためにはどうしたらいいのかを考えた。
最悪なことにその日は私も飲んでいた。
まっとうな頭なら絶対に思いつきもしないことを思いついた。
その内容は『じゃあ私がこいつとそういう関係になればいいんじゃね?』といった内容を更に過激にしたものだ。
何をトチ狂ったかこんな馬鹿なことを思いついた自分を天才だと思うくらい、その時は冷静な判断が出来なかった。
会計を済ませた後、普段切り上げるより早く店を出るように彼に促した。そのとき自分が思った”天才的な発想”を現実のものにするためにだ。
そして、千鳥足で歩く彼の腕を肩に回して自宅へ戻った訳だ。
家に入って真っ先にしたことは玄関の鍵を閉めることだった。そしてその次に「ユキぃ……なあ、ゆきぃ」と唸っている荷物をベッドに運んだ。
それで終われば全てにおいて正しい対応だったといえる。酔って無事に家まで帰れるかわからない彼を家に泊めただけだったのならば。
しかし私は正気じゃなかった。したがって酔っ払いへの対応も最悪なものだった。
いまだにうんうん唸っている彼のネクタイを解き、両手をベッドの柱に括りつけ、服のボタンをはずし羽織っただけの状態にした。
この時点で駄目だ。今思い返しても自分の行動に問題がありすぎる。完全な犯罪だ。
もしそのときに戻れるのならすぐに自分を羽交い絞めにして簀巻きにするくらい後悔している。
だけど実際にはその場には2人しか存在しなかった。そして私の蛮行もとまらなかった。
彼の耳に舌を這わせながら首筋を撫でる。
それとともに落ち着きなさそうに身じろぐ彼の体を抑えるように、脚の間に私の膝を割り込ませた。
彼の酔いが覚めたのは、おそらく首筋を擦っていた手が胸に移動した時だ。
それまで何もせず横になっていた彼が私の指が乳首に触れたとたんに僅かに声を漏らし、ジタバタと抵抗し始めた。
「ちょっ、おま……っ!!」
縛ってさえいなければいともたやすく逃げることが出来ただろうに、かわいそうに足をバタつかせながらどうにか逃れようとする。
私はバイだ。男とも女とも床をともにした事がある。
でもそれは完全に同意のうえでの行為であったし、(特に相手が男の場合は)世間にばれないように慎重に振舞った。
だからこそ今まで家族はもちろん友人にも単なる顔見知り程度の人にもばれなかった。
「おいっ! 俺だ! 誰と勘違いしてるのか知らないけど俺だ!!」
自称親友の彼にだってばれていなかっただろうこの瞬間までは。
私が両手を止めて離したことに一息ついた彼が天国から地獄に落とされるのはすぐだった。
わめく唇がかさかさなことに気がついた俺は彼の頭を両手で押さえてキスしたときに痛くならないように唇をなめた。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
続きは21:00前後に投下します
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「ひっ……んっ、ちょっ、人の唇舐めんなよ気持ち悪い!!」
「唇じゃなかったらいいか?」
頬と頬が擦れ合うくらいの距離で囁きながら、わき腹をさする。
「はぁっ? ちょ、ふざけんのもいい加減に……っ!!」
わき腹から太ももの外側に、外側から内側に手を移動させて愛撫していく。
「聞け! いい加減やめろ!!」
聞こえてくる静止を聞き流して首に唇を這わせる。
舌が首筋から鎖骨へ移動するとともにジーパン越しに硬くなった場所を握りこんだ。
「おいおいおい待てよ、そこまでだ。ストップストップ」
今まで聞いたことのないほど焦った声を聞きながらいつになく興奮した。
彼にキスをしたのは黙らせる目的と私の興奮を伝えたかったからだ。
最初は押し付けるように、時間とともに何度もリップ音を鳴らすように軽く吸い、キスをしながら唇を舌で舐めた。
再度唇を舐めた時ビクリと肩が揺れたものの何故かそれほど抵抗してこなかった為相手の口内に浅くに舌を出したり入れたりする。
「んぁっ…おい…むゅっ、冗談キツ……」
「レロッ、ちゅっ、ん、うっさい……はぁ、んー……むー」
彼の抗議を無視して少しずつ舌を深く入れていく。
上にのしかかり左腕を背中にまわしながら舌と舌を絡ませ、右手で掴んでたものを上下に擦りあげると連動するように安物のパイプベッドがギシギシと悲鳴を上げた。
「んむー! んー!」
一時期止んだ抵抗がこの状況になって一番激しくなった。背中に回した腕を頭にまわし更に深く口付けていく。
「ん…ふ…んぅ、ん?」
手の中でより膨らんだものから手を放すとあがった怪訝そうな声を耳にしながら、彼のジーパンのファスナーをおろした。
「もがっ! むぐ……」
「んっ、ちょっと待ってて」
障害が除かれ、押さえつけるものがなくなったため、外気にさらされたソレを直接手で扱く。
「あっ、あっ、ああっ!!」
どうせ夜は長い。1度抜いてからでも十分楽しめる。私の口端があがるのがわかった。
そうして一夜の過ちというか火遊びが終わった後、正気に戻った私はまず発狂した。どっからどーみても完全なる計画的犯行である。
相手の自由を奪った後その体で好き放題するとかどこの官能小説だ。
そういうプレイならまだしも正真正銘の強姦だ。俺の人生は完全に終わったかもしれない。
酒で人生が詰むのか俺は……警察に行かれてもしょうがないという諦めと、どーしてこうなったなんて後悔とが入り混じりになった心境でネクタイに手を伸ばす。
手首とベッドを縛っていたネクタイをはずした時、相手の顔を見た。そのときの表情を見て目の前が真っ暗になった。
私は現実から眼を逸らして、自由に空を飛びたいくらい後悔した。本当にどうしてこうなったんだろうと。
彼とは一線を越える予定はなく最後の最後まで友人として付き合うつもりだったのに。
酒が悪いんだ。飲みに誘った彼が悪いんだ。酔っ払った俺が悪いんだ。だから俺自身は悪くない。そうであってほしい。
自分の知らなかった一面を垣間見た俺は金輪際酒を飲まないと決心した。むしろ酒が飲めない身になってやろう。
よし、紐無しバンジーをしようかなと脳内で考え窓のふちに手を置いたときに彼の声が聞こえた。
「とうとうお前ととやっちゃったのか」
思いっきり肩が揺れた。そして油のさしてない機械のように顔をギギギと振り向いた。
その時私は”とうとう”と言う言葉を疑問に思うことも出来なかった。
「むかつく。本当にむかつく」
「あ、わ、悪か……」
俺は思う。人生なんてクソだ。現実なんてゴミだ。
それでも彼を襲ったことについて申し開きなど存在しない。
「あークソッ、1週間後、俺が由紀を襲う予定だったのに……」
……今の爆弾発言を聞かなかったふりをして、私はどうしたら何もなかった日常に戻ることが出来るか悩んだ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
31 :
疑惑1/5:2012/08/07(火) 19:52:32.99 ID:Bb004FCA0
生。某大御所テクノバンド三角関係前提の四弦×太鼓です。全盛期設定。
エ口あり。性格捏造入ります。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
夏も盛りに近づいた。
陽が沈み、いくらか気温は下がったようだが、かと言って涼しいわけでもない。
湿った夜風が顔にまとわりつく。
―暑い。早いところ、あんな狭い部屋から抜け出したい。
ため息混じりに最後の煙を吐き出した。
吹かしていたタバコの火を踏み消し、階段へ続く扉に手を掛けた。
「おっ!…びっくりしたなーもう」
まさか開けざまに居るとは。
「だって細/野さん、なかなか戻ってこないから。教/授もどっか行っちゃったし」
「あ、そうなの。じゃあ、リズムだけでもやっちゃおうか」
「うん」
くる、と引き返す後ろ姿。ちゃんと食べているのか心配になるほど細い身体付き。
その背中も、腰も、腕も、見かけによらず筋肉質なことは、僕以外知らない。知らないでいい。
だが、心中穏やかでないのも事実であった。
「な、あぶな、…っ」
腕を掴まれて振り向いた幸宏をそのまま壁に押しつけるようにして詰め寄り、耳元へ顔を寄せた。
ガチャン、と屋上への扉が閉まった。
「どうしたの、これ」
捕らえた華奢な身体が、ビク、と震えた。
32 :
疑惑2/5:2012/08/07(火) 19:55:46.66 ID:Bb004FCA0
「何してたの、アイツと」
目についたのは、白い首筋に咲いた赤い花。付けた覚えはない。
嫌な予感がして、カマを掛けた。
「何って、今日持ってきた曲アレンジするからって、」
「違う。僕が訊いてるのは、僕が居なくなったあとのこと」
「な、んもしてないっ」
「へえ。じゃ、悪い虫にでも噛まれたんだ」
耳たぶを甘噛みして、首筋を舌でなぞった。
ひとつ、ふたつと花を咲かせると、多少は気が晴れるように思えた。
自分のいない所でアイツが幸/宏に手を出しているのではないかと何となく感づいてはいたが、
大人気なく突っかかるのも癪に障る。腕っ節で敵う相手でもない。
どうにも対処のしようがなく、思案をめぐらせていた。
「ふ、ぁ」
おもむくまま、唇を鎖骨に滑らせる。
防音室ばかり並んだ建物の中、誰に聞かれる訳もないのに押し殺して掠れた嬌声が、体温を上げる。
暑さのせいじゃ、ない。
幾度か歯を立てて満足したあと、手慣れた風にシャツの釦を外し、露わになった胸の突起を口に含んだ。
「ほ、そのさ…ゃめえっ…」
ちゅ、と吸いながら舌で先端をこね回すと、その度に身体が跳ねた。
釦を外し終わるとベルトに手を掛ける。片手で解くと、膨らんだ其処を緩く扱き始めた。
「…何?アイツとの方がイイの?」
「だから、ちが、うっ…て」
33 :
疑惑3/5:2012/08/07(火) 20:12:59.48 ID:Bb004FCA0
「気づかないとでも思った?」
「ちがう、教/授がむりやり…」
そら、やっぱり。
「浮気者」
「や、ちがう…っ、」
扱くたびに堅くなっていくソレに下着越しでなく直に触れた。
先端を親指で撫でながら、その他の指が雁に引っ掛かるようにして攻めていく。
荒くなり始めた息遣いに交じって、段々と、粘着質な水音が響いた。
「すごいヤらしい音。まだちょっとしか触ってないのに」
「ぅ…は、ぁ」
「ねえ、もっと鳴いてよ。誰も居ないんだから」
「ぁ、う…!」
根本からぬるぬると扱く。少しキツく握ると、脈打つのが分かった。
「あっ、ん、細/野さ、ぁあっ」
今にも泣き出しそうな表情が堪らなくて、意地悪したくなる。仰け反った首筋を、顎を、唇でなぞった。
「自分で腰動かしちゃって、ヤラシイなぁ、ユキ/ヒロは」
耳元で囁いてしまえば僕の手中。囁くごと、カラダは素直に反応する。
自分の声はあまり好きでなかったけれど、こういう時大変に役立つのは、まぁ、悪い気はしなかった。
「ん、ふ…っ」
唇を重ねて舌を絡めると、背中に廻されていた手に力が入った。
息をするので精一杯らしかったが、構わず口内を蹂躙する。
手や指先は、根本から先端まで感じやすい所を攻め立て続けた。
鼻に掛かった声が色っぽくて、ゾクゾクする。
34 :
疑惑4/5:2012/08/07(火) 20:14:37.96 ID:Bb004FCA0
「んぅ…!、ん…、は、ぁ」
「っ…は、イきそう?」
離した唇からは銀の糸が伝う。ぐちゃぐちゃと淫らな音ばかりが響いた。
浮かされたように喘ぐ幸/宏が、たまらなく愛しい。
「ダメ」
「あっ、ん…っ」
ニヤリとして、一旦手を止めた。
幸宏が、意表を突かれたような、もどかしいような表情をした。
「何したいって?言ってくんなきゃ分かんないなぁ、僕。」
「ぅ…」
「そろそろ、坂/本くんも戻ってくるんじゃない?はやくしないと探しにくるかもね」
「…っ……イか、せて…くだ、さい」
「僕の目、ちゃんと見て」
くい、と顎に手を掛ける。
「細/野さ…はやく、イか、せてぇ…っ」
「良くできました」
軽く口付けて、再び手で愛撫する。
潤んだ目、上気した肌。思わずその白い首筋に噛み付いた。
「ほそのさ…ん、好きっ…、ぁ、細/野さ……っ!」
上擦った声、痙攣する身体。ドクッ、と手の内で脈打って、多量の精が吐き出された。
力の抜けた幸/宏の身体を上手く支え、もう一度深く唇を重ねる。
離れると、ぎゅう、としがみつくように抱きついてきた。
「僕もユキ/ヒロが好きだから、」
子供をあやすように、ぽんぽんと頭を撫でる。
「坂/本くんに何かされたら、ちゃんと僕に言ってよ」
肩の上で、幸/宏がこくりと頷いた。
35 :
疑惑5/5:2012/08/07(火) 20:15:25.12 ID:Bb004FCA0
「さて。戻れる?大丈夫?」
「ん…」
少し名残惜しそうに体を離す。
こちとら同じ心境ではある。しかし、またアイツと要らぬ諍いを起こすのは勘弁だ。
人にどれだけ挨拶回りをさせれば気が済むのか、思うだけで憂鬱にもなる。
乱れたシャツやらは整えた。
さすがに火照った肌までは直ぐに戻らない。
奴は気付くだろうか。否、見せ付けてやればいい。
「…続きは、また後で」
手に飛んだものを舐めながら、甘く低い声が悪戯っぽく告げた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>31 萌えましたわ乙です
いつも2人の間に挟まれて大変なT選手、
こんな所でも苦労してたとは知らんかっとってんちんとんしゃん
ふと八拍子ギャグ思い出しました
手癖が悪くて強引でエロいSに無理矢理、に興味津々です
オリジナル。頭脳系×肉体系。やってるだけの話。
特殊部隊っぽいイメージ。受けが酷いドM・流血・自傷・傷口攻め注意。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
『一触即発の犬猿の仲』――それが奴と俺に対する周囲のイメージだ。だが実際そんなことは全くない。
任務で接触がないのも会話をしないのも単に状況やタイミングの巡り合わせが悪いだけなんだが、
俺と奴のタイプが違いすぎるせいで噂だけが大分先行してしまっている。
しかし俺が奴を全く避けてなかったかと聞かれればそれは否定できない。
気に食わないとか苦手だとかそういうんじゃなくて、あの透き通った硝子玉みたいなブルーの瞳と
全く考えが読めない整い過ぎた顔を見ると、背中の辺りがゾワゾワして落ち着かなくなる時がある。
だが重要なことでもないので大して気に留めてはいなかった。あの日、思いがけない形でそれを突き付けられるまでは。
その日、数日間に渡る任務を終えて現場から戻って来た俺は酷く疲れていた。
血だらけ泥だらけで全身はボロボロ、寝不足やストレスで頭も上手く働かない。
すぐに治療を受けるよう医療主任に言われたが、俺としてはとにかくシャワーを浴びたくて仕方がなかった。
さっさと装備を放りやり、フラフラの足取りでシャワールームへと向かう。もう夜の12時を回っていたので人気はほとんどなかった。
簡単に仕切られたユニットがいくつも並ぶ中、俺はお気に入りの隅の個室を目指してタイルの上を歩く。
ドアと仕切りだけのシャワー室に入って蛇口を捻り、壁に凭れかかりながら全身を手で擦るとあっという間に足元が赤くなった。
まだ出血が止まっていない傷口に湯が染みる。痛みに顔を顰めている内に、ふと自分の異変に気が付いた。
無意識の内に腕の切り傷を自分で引っ掻き、肩の打撲痕を壁に押し当ててわざわざ痛みを与えるような仕草をしている。
当然痛い。でも止められない。しかも頭がぼーっとして、あの変なゾワゾワとした感覚に支配される。
疲れているからだろうか、身体が火照って力が抜けていく。膝がぐらついて座り込みそうになった瞬間、突然声をかけられた。
「ねぇ」
「っ!!」
驚いて振り向くと、あの硝子玉の目をした奴がドアの外に立っていた。
奴もシャワーを浴びていたらしく、ブラウンの短い髪から雫を滴らせている。
「大丈夫?それ手当てまだなんじゃないの」
「…あぁ、気持ち悪かったから、先に汗とか流したかったんだ」
「ふーん…痛そう」
奴は普段の『サイボーグ』面よりは若干柔らかい表情で俺を見ていたが、正直今はまずい。
ただでさえ何かおかしくなってるのに、奴のあの硝子玉で見つめられると余計ゾクゾクして訳がわからなくなってくる。
なのにその瞳から目を逸らすこともできなくて、俺の手が傷口を掻き毟るのも止まらない。
「……本当に大丈夫?」
「っ…え…?」
「それ自覚あるの?」
「なに、が…?」
すっかり呼吸が上がってしまっている俺を見る奴の目の色が変わった気がした。
奴は断りもなくドアを開けて入ってくる。タオルを腰に巻き付けただけの格好だった。
俺と比べても遜色ない程度に筋肉がついた身体とそこに刻まれた傷痕がやけにセクシーに見える。
ようやくはっきりと、自分が性的に興奮していることを理解した。急に恥ずかしくなって、咄嗟に奴に背を向ける。
「っヤベ……ちょっと、悪い…一人にして」
「手伝ってあげようか」
「…は?」
壁と向き合う俺の背後に奴が近寄ってくるのを感じる。そっと肩に置かれた手が左の肩甲骨の下辺りへと滑っていき、そこをゆっくりと掌で撫でられた。
「ゔぁ…!!」
「ここ凄い色してるよ。でも折れてはいないみたいだね」
「…ん゙ぐ……っ!」
「ほら、わかる?」
そう言って奴が手を伸ばしたのは俺の下半身で、そっと握られただけなのにもう爆発しそうな状態になっていた。
「っ!……マ…ジか、これ…」
「僕も驚いてるよ。話には聞いてたけど実際に見るのは初めてだ」
奴の言ってることがよくわからなくなってきた。腕の傷が酷く痛む。心臓の鼓動に合わせてそこがズキズキと疼く。
「…ぁ…っ、はぁっ…」
奴の手が滑る背中も痛い。銃弾が掠めた脇腹も、蹴りを入れられた左足も、とにかく全身が痛くて堪らない。
なのにその痛みと快感が同期してしまったように、痛ければ痛いほど背筋にゾクゾクと震えが走る。
「君は…痛いのがイイの?」
「っわ、かんね……こんな…っ初め、て…で…っ」
「…じゃあもっと痛くしたら、君はどうなるのかな」
シャワーの音でよく聞こえなくて、どうにか顔だけを振り向かせる。思ってたより近くに奴の顔があった。
整い過ぎた顔立ちと、硝子玉のようなブルーの瞳。
いつもと違って色の深いブルーが、俺の中の更に奥深くにある本質を見抜くように容赦なく突き刺さる。
まるでナイフのような冷たさと鋭さで俺をじわじわと貫いていく眼差しに全身が粟立った。
「―――っあ゙っは…!!!」
その瞬間、俺の中に奴が押し入ってきた。引き裂かれるような痛みと信じられない熱さに脳がショートする。
「……ひっ、ぐ、あ゙…っ、っ!!」
「っ、凄いな…どっちでイッたの?痛み?快楽?」
奴の問い掛けによると、どうやら挿入された瞬間に達したらしい。だが俺は質問に答えるどころか息をするのもやっとだった。
どっちかなんてわかる訳がない。今の俺にはその二つが同じなんだから。
イッたばかりなのにまだガチガチのまま涎を垂らしてる俺のモノが良い証拠だ。
「…ここまでしておいて言うのも何だけど」
「……?」
どうにかして身体を落ち着かせていると、奴がぽつりと口を開いた。
「僕は別に君をレイプしたい訳じゃない。手伝うと言ったのは性欲処理で、それはもう済んだよね」
奴は表情のないあの顔で極めて事務的に話す。
「この先を続ける理由が僕にはないんだけど、君はどうする?辛いなら医務室まで連れていくよ」
ブルーの硝子玉が俺を射抜く。それだけで心臓が暴れ出し、頭の中がどろどろに溶かされて奴以外何も見えなくなる。
どうしよう。コイツにめちゃくちゃにされたい。自由を奪われて、強引に抉じ開けられて、
心も身体もズタズタになるまで痛め付けられたい。
整えたつもりの呼吸がまた乱れる。行きすぎた興奮のあまり涙を滲ませながら俺は奴に縋っていた。
「はっ……続き…した、い…っ」
「…いいの?君自分が今傷だらけなのわかってる?そもそもこんなことしてる場合じゃ――」
「痛くして、い…からっ……もっと、っ…!」
俺の言葉に奴の瞳が輝きを増したのは気のせいじゃないはずだ。
奴がその目を細め歯を見せて笑った瞬間、一気に身体中が熱くなった。
「…っぁ…!!」
「参ったな…サドの気なんてないと思ってたのに」
困ったように呟き、奴は一旦モノを引き抜いた。そして体勢を変え、狭いシャワー室の床に俺を座らせる。
「どうなっても知らないよ」
向かい合いに奴も座り、脇腹の傷の上から腰を掴む。思わず身体を揺らしたのと同時にまた奴が根元まで中に捩じ込んだ。
あまりの痛さと衝撃にもう声も出ない。奴はわざと激しく俺を揺さぶって壁に何度も身体をぶつけさせた。
興奮したせいで出血が酷くなり、腕の傷が壁を汚すし痣は広がるし床に流れる水は真っ赤になりそうなくらいだ。
それでも俺には快感しかわからなくて、奴しか見えていなかった。
奴のブルーの瞳はこんなにも俺をおかしくさせる。だから奴を無意識に避けてたんだと、その時気付いた。
それにしても、あんな風に痛みを快楽に変えてしまったのは後にも先にもあの時だけだった。
だがあの時生まれた『奴に虐げられたい』という衝動だけは忘れられず、それが奴と関係を重ねる要因となった。
結局あの後は気が済むまでイキまくった後、体力を使い果たして気絶した俺を奴が医務室まで運んでくれた。
俺と奴の噂しか知らない医療主任は、奴が俺を抱えてやってきたのを見てたいそう驚いてたらしい。
ちなみに俺はすぐに治療を受けなかったばかりか傷を増やしてきたことをこっぴどく叱られた。
治療がてら俺と奴の関係は主任の知るところとなった訳だが、『一触即発の犬猿の仲』というイメージを
皆に訂正して回る気はないらしく、たまに俺を見かけてはニヤニヤと笑いかけてくる。
まぁ俺も、そういうことにしておくのが案外楽しいので気にしていない。奴も同意見だそうだ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
書き忘れてましたが前スレ616の続きです。
感想をくださった方々どうもありがとうございました。
>>37 続ききたー!
すごくツボなので嬉しい!
ドMとドSに目覚める二人、萌えです
>>37 続きが読めるとは……!
めちゃくちゃ萌えた!
ごちそうさまでした!
43 :
お見舞い1/3:2012/08/15(水) 01:50:14.46 ID:zr6CJbmg0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
五つの輪の体操王者とその親友
重い病室の扉が開く気配に顔をそちらへ向けると、そこには嫌と言うほど見慣れたジャージ姿が立っていた。
「よぉ。」
軽く声を掛けられ、同じように答える。
しかし彼は最後に会った時よりまた更に一つ称号を増やしていた。
体操界の頂点に立つ男。
そして親友であり盟友であり悪友でもある男を、それでも自分はこの時穏やかに迎え入れていた。
「足どうだ?」
ベッドの脇に置かれた椅子を引き寄せ座りながら尋ねられ、自分はあぁと軽く返事を返した。
「手術は成功。しばらく安静。様子見ながら徐々にリハビリだな。」
ほら、包帯も大分薄くなった。
言いながら足元を指し示せば、それを見て目の前の表情が少しだけ和らぐ。
「よかった。」
「心配かけたな。」
「まったくだ。」
「悪かったな。」
「団体戦の事なら謝らなくてもいい。」
俺も結構やらかしたし。微かに視線を落としそんな殊勝な事を言う親友の頭を手を伸ばし、クシャリとする。
繊細とは程遠い、ワシャワシャした髪の質感。
夢の大一番なのだからもう少し切るなり整えるなりすればいいのにと思わない事もなかったが、本人はもはやそんな事は超越した次元にいるらしい。
そんな相手に心配をかけさせた。
それでも踏ん張って、やり遂げた。だから言ってやる。
「あらためて総合おめでとう。」
これだけはと見届けた競技の後ずっと声をかけたかったものの、試合後の彼は忙しくて、ろくに顔も合わせられなかった。
そしてそのまま自分は一足先に帰国した。
44 :
お見舞い2/3:2012/08/15(水) 01:52:38.00 ID:zr6CJbmg0
だから知らなかった。彼があの後プレス会見で自分の事に触れていた事など。
日本について、人から言われて、自分にまで取材が来て初めて驚いたくらいだ。
しかし本人はそんな事はもはや忘却の彼方のようで。
「うん、ホッとした。」
素直すぎる言葉に、あれマジだったのか?と問い質す気も失せてしまう。だから、
「床も、満足できたみたいだな。」
直には見られず、そしてトップでも無かったが、それでもテレビ越しに自分自身納得がいったような顔をしていたのを思い出して告げれば、
それにも彼は素直に頷いた。
「あれはあれで良かった。」
ならば後は、
「団体だけだな。」
「あぁ。」
「あと4年か。」
「あっと言う間さ。」
確かに。
それでもかつて彗星のように現れた少年は、その4年の時を経て今、この世界に絶対的王者として君臨している。
ならば4年後、彼は更にどんな風になっているのだろう。
友だけれど競争心はあって、だけれど不思議と嫉妬なんて感情は浮かばなくて、ただただ……誇らしい。
そんな彼とまた共に同じ場所に立ちたいと心の底から思う。だから、
「早く治せるよう、頑張るな。」
約束するように告げれば、彼はまたコクコクと首を縦に振った。
「そうしてくれ。おまえがいないと、色々場がもたない。」
「おい、人を宴会部長みたいに言うなよ。」
「でも辛い。疲れる……」
競技の上ではけして弱音を吐かないが、ことマスコミ対応になると苦手意識が先に立つらしい。
それでも以前に比べればずいぶん対応は大人になった。
しかしだからこそ、この先しばらく各方面に引きずり回らされるその心労を思ってふと笑えば、すかさず笑い事じゃないと文句を言われた。
45 :
お見舞い3/3:2012/08/15(水) 01:54:06.55 ID:zr6CJbmg0
それにごめんなとまた謝れば、彼はそのまま無言で目の前のベッドの端に顔を埋めてくる。そして、
「早く戻ってこい。」
ポツリと呟かれる。
心からの懇願。
それには全力で応えたいと思う。だから、
「あぁ。」
もう一度その頭をクシャリと撫でてやれば、それを彼は当然のように受け入れ、それ以上何も言わなかった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
世界配信されたメダル秘話会見に打ち抜かれました。
>>43 ふおおおお!!!!
まさかこの二人が読めるとは!ありがとうございます!
決勝の朝のエピソードは萌え禿げますよね
半生注意。絶賛上映中の映画「工いト練ジャー」の黄色総受けです。
大○さんのせごどん方言が無理だったので博多弁ちっくなものにしています。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
深夜のレンジャー協会の一室、数十本の蝋燭のゆらめく明かりに囲まれ
四人の男達が神妙な顔つきで膝を突き合わしている。
「・・・というわけで、犯人はいまも捕まってないんや・・・」
「やっ、安○の話はいつ聞いても悲しいなあ」
「泣いてまうでぇしかし!!」
安○が過去の悲惨な事件の顛末を話し終え、○之内と錦○は声を上げて泣いた。
大○は歯を食いしばり、黙って涙を流している。
何故真夏の深夜、狭い部屋に成人男性が四人も集まり薄暗がりの異様な雰囲気の中で
メンバーの重大なカミングアウトを聞いて涙しているのかというと、
一言で言えば、今夜が熱帯夜だからである。
はじめは、安○の提案で<納涼☆怪談百物語大会>が催される予定だったのであるが
そこは酸いも甘いも噛み分けた、いい年した大人達である。
「やっぱり、幽霊よりなによりいっちゃん怖いのは生きてる人間たい・・・」
という大○のあまりにも重い一言により、不幸自慢百物語大会になったのである。
もともと生活苦を理由に集まってきたメンバー達だ。不幸話には事欠かない。
おかげで部屋は幽霊話とはひと味ちがった、湿気っぽく寒々しい雰囲気に包まれれいる。
「じゃあ、次は錦○な」
ふっと蝋燭を一本吹き消した安○に促され、錦○はずずっと洟をすすり上げて語り出した。
「そうやなあ。こんな、ガチで深刻な話されたあとにこんな話するのもなんやけどな、
俺、昔男に集団レ○プされてそれをビデオに撮られてん」
「「「はあああああああああーーー!!!???」」」
二人がのけぞり、一人は前のめりになり、蝋燭が何本か消えた。
衝撃の事実をさらっと暴露したイエローは、涼しい顔でなおも続ける。
「俺、いろんな闇金から金借りてたんやけどな、そのうち一番借りてたとこの人に
一日バイトしたら借金チャラにしたるって言われてな。そんで、行ったらいきなりヤられた。」
「俺、ああいうのってヤラセやと思てたんやけど、ガチのもあるんやねえ。」
そして彼は、まるで財布を忘れて買い物出掛けちゃった、くらいの軽いノリで
ちょっと照れくさそうにへらっと笑った。
翌日、錦○の出演したビデオの大捜索が始まった。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
長文書き込めないのでお見苦しくなってなんだか済みません。
しえん
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
探す理由は特にない。
しかし知り合いの子がAVに出てると知ったら是が非でも見てみたくなるのが
男の性というものではないだろうか。
たとえそれが男の子であっても女の子であっても。
昨夜の衝撃の告白の後、ドン引きする仲間達を尻目に安○が事情聴取したところ
いくつかの手掛かりが手に入った。
・素人ノンケレ○プもののオムニバス作品で、彼以外にも何人か出演しているらしい
・本当にガチの作品で、錦○以外の出演者も同じような境遇で連れてこられていたらしい
・それは結構人気のあるシリーズで、彼が出演する前にもいくつか
ナンバリングタイトルが出ているらしい
『らしい』というのは、終わった後、例の闇金の893さんに質問しに行って得た情報なので
詳しいことはよく分からないとのこと。実に良い度胸をしているな、と安○は思った。
「しっかしなあ。そんだけの情報で分かるんか。DVDなんて星の数ほど出とるんやぞ」
「そうたいそうたい」
「しかも何人も出とるんやったら尚更ややこしいなあ・・・」
○之内御用達の通販サイトで該当するような作品を検索するも、あまりの数に三人ともげんなりしてしまったのだ。
そこで作戦を変更、現物をばっとみてじゃっと探してしまおうと、三人は某大人のセルDVD屋さんまでやってきた。
「あっ」
入店した途端、大○がアホみたいに口をあけて震える指で一点を指した。
そこに。あった。しかも。
「あいつパッケージを飾っとるやないかい!!!!」
「しかも人気ランキング一位ってなんでやねん!!!!」
「びっくりしゃっくりたい!!!!」
帰ってきて再生すると、三人は不幸自慢大会とはまた違った重々しい雰囲気に包まれた。
映像は間抜け面した錦○が「ここでええのかなあ」
とか呑気に言いながらドアを開けるシーンから始まり、
屈強な男達に押さえつけられて「さわんなやコラしばくぞぼけ」と巻き舌で威嚇する錦○。
「ちょ、待っ、お金返すからゆるして」と涙目で焦り出す錦○。
「いたいいたいやめてー」と号泣する錦○。
最終的には本当にノンケなのかと訝しがってしまうほど甘い声を出して
絶頂を迎える錦○までが克明に撮影されていた。
そして失神寸前で目の焦点の合っていない錦○の顔面がアップで撮され、映像は唐突に終わった。
ビデオは別の青年が笑顔でドアを開けるシーンに切り替わっていたが、
三人は気まずさのあまり一言も口をきけず、目を合わすこともできなかった。
しばらくそうしていたが、口火を切ったのは大○だった。
「お、おいどんの桜島がっ」と謎の発言を残して立ち去る。続いて安○も、
「あれやね、こういうのは・・・困るよね」
と言ってなぜか前のめりになりながら部屋を出て行った。○之内は
「これは三人だけの秘密にせなあかんな」
とつぶやき、ぬかりなくDVDを懐に仕舞った。
錦○が三人にとって「仲間」から「ちょっと気になる子」に変わったのは言うまでもない。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
支援ありがとうございます!分数もちょいちょい変わってすいません。
ご本人様達の事をよく知らないので変だったら申し訳ない。
そして伏せ字にした方がご本人様達っぽくなってしまうのが悩ましい。
モブサイコ100の弟子と師匠と悪霊
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「こんにちは、師匠」
「おう、お帰り。今日は特に予約も入ってねーし、ちょっと出てくるから留守番頼むわ」
ドアを開けて入ってきたバイトの少年にそう声をかけると、素直に「はい」と言いながら
なにやらぎくしゃくとした動きで受付に向かう。
「なにやってんだ?なんか動きがロボットみてぇだぞ」
「ちょっと筋肉痛で…」
「ああ、そういや部活入ったんだったな」
モテたい→筋肉という単純な思考を経て『肉体改造部』というひたすら筋肉を鍛える部に
入部したらしい。バカだ。
そもそも今まで運動もろくにしてこなかっただろうひょろひょろした奴がそんな脳筋部で
やっていけるのかと思ったが、脳筋な先輩たちはそこそこ親切でなんとかやっているようだ。
「ただいま、たこ焼き食うだろ?今日は客も来そうにないしこっちで食えよ」
手に提げた土産を示しながら言うと、少し嬉しそうな顔で「はい」と答えて
やはりぎくしゃくと来客用のソファまで移動してきた。
愛想笑いが出来ない、という理由でインチキ宗教組織をひとつぶっ潰してきた奴だ
本当に嬉しいんだろう。部活の後は腹が減るもんだしな。
「師匠、気をつけないとまた火傷しますよ」
「…子供じゃねーんだから、そうそうしませんよ」
ちょっとふてくされてそう答えたが、俺の分のたこ焼きがふわりと浮き上がると
俺を中心にして風を切って回りだした。…冷ましてくれてるらしい。
「…表面は冷めても中は熱いんですよね…」
「いや気をつけるから大丈夫だって」
このバイト少年は超能力者だ。それもかなり強力な。
で、俺は霊能力がある(ということにしている)「霊とか相談所」の所長。
実際には何の能力もないわけだが、素直なバイト君は疑いもせずに慕ってくれてる。
もしかしたら、他に理解者がいなくてずっと心細かったのかもしれない。
自分のたこ焼きを小さく切って少しずつ口に運んでいる少年を見ながらそう思う。
「ごちそうさまでした」
行儀よく言って受付に戻ろうとするのを腕をつかんで引き止めた。
「お前、滅茶苦茶ぎくしゃくしてるぞ。ちゃんと運動後のマッサージしたか?」
「いえ先輩が教えてくれるんですけど……わかりにくくて」
…脳筋だもんな。しょうがない、そのまま腕を引いて隣に座らせる。
「教えてやるから、明日から部活終わったらすぐやっとけ。
まず、筋肉痛が始まる前、運動後すぐじゃないと駄目なんだ。
筋肉痛が始まってからするとかえって筋肉を傷つけるからな」
右手の上に自分の右手を重ね、左手で左腕を取ってゆっくりと揉んでやる。
「筋肉痛が始まっちまったら、ゆっくりと軽〜く揉んで短時間で終わらせろ」
しかし本当にひょろいなこいつ、後ろから手を回したらすっぽり俺の腕の中に入っちまった。
「どうせ明日も痛いまま部活だろ?ま、しばらくはこんな感じでゆるく揉んどけ
治まったらそん時にまた教えてやるよ。ほい、次右手な」
手を持ち替えて同じように揉みながら忠告する
「物足りなく思ってもあんまり力入れるなよ?揉み返しがきて後から痛くなるからな」
ああ、俺っていい師匠だなぁ。詐欺師だけど。
「後は足だが……っておい、なんか顔赤いぞ熱でも出てきたのか!?」
もともと薄らぼんやりした表情がもっとぽやーっとしてきている。
こんなひょろっこいくせに無理するから体調を崩したのかもしれない。
「ああもう!足の方は揉んでやるから終わったら今日は帰れ!早く風呂入って寝ろ!」
手早く足のマッサージを済ませると、玄関に送り出した。
「師匠、ありがとうございました。あと、たこ焼きごちそうさまです」
律儀に挨拶する顔はもういつもどおりだ。さっきまで赤かったのに…気のせいだったのか?
首をひねりながら「おう、気をつけて帰れよ」と返す。
扉を閉めて、背を向けたとたん濡れた雑巾を力任せに叩き付けるような音が数回響いた。
「なんだ!?おい、どうした!」慌てて廊下に顔を出したが、
「師匠?なにがですか」といつも通りの表情の少年が居るだけだった。
「いや、なんかすごい音が…気のせい…?」「さあ…僕は何も聞いてないです」
そう言うとひとつお辞儀をして帰っていった。
ええー…あいつじゃなくて俺が頭の病気とか?…俺も今日は早く寝よう。
しえん?
携帯からすみません!
エラーがでてしまうので一時中断します。
支援ありがとうございました。
【真相】
なんでこいつはあんな分かりやすい詐欺師に懐いてるんだ。ちょっとは疑えよ。
だいたいこの俺様が一切見えないって時点で霊能力なんてないに決まってるだろうが。
ああ、むかつく。
「あいつ変な趣味ないだろうな。後ろからべったり抱きついて耳元で囁きながら
マッサージの練習とか下心ありすぎだろ。男子中学生に淫行とか洒落になんねーぞ」
「……エクボ」
俺の宿主はまったく表情を変えないまま無造作に俺の頭の先をつかむと超能力を使用した上に
遠心力も利用してかなりの力で壁に数回叩きつけた。
「…師匠は、そんなこと、しない」
まったく表情が変わらないのが逆に怖い。
この直後にあの詐欺師が顔を出さなかったら消滅させられてたかも知れない。畜生。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ぐだぐだですみません!
師匠は数年後にはすくすくと逞しく成長した弟子に押し倒される予定(自分の中で)
>>64 萌えた!!
ナチュラルスキンシップ師匠可愛いよ師匠
>>43 うわーあるはず無いと思いつつきてみたらあった!
可愛い2人が読めて幸せありがとう
こちらで再放送中の豚局まおーなドラマ。弁護士のモノローグで。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「はじめまして」
無邪気に、なんの疑いもなく、向けられたその言葉。
本当の自分に向けられることは、けっして無い、その笑顔。
やはり覚えていやしなかった。
自分がどれだけのことをしてのか、その罪をきれいさっぱり忘れ、
あまつさえ刑事なんて職についている。
無神経にもほどがある。
いいだろう。忘れているなら思い出させるまでだ。
そのためにこの時を待っていた。
ゲームはもう始まっている。止めることはできない。
彼に気付かせるために。
年数を経るほどに渦巻き、自分ではもう手のつけることのできない、
この恨み、この思いに。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
本放送初回観た後に刑事視点を投下して、
逆をやりたいとずっとひっかかってたので満足。
保管庫管理人です。
掲示板にサーバーエラーが出ていたのを今気付いて直しました。
かなり長い間放置していて本当に申し訳ない。
>>76 いえいえ乙です
管理人さんも色々あるでしょうし、本当いつもありがとうございます
>>76 いつもお疲れ様です。ありがとうございますm(_ _)m
管理人さま、本当にいつもありがとうございます。
感謝しております。
宝箱です。
・生物注意報。
・ひっそりとショウギ界。十八世酩人×十九世酩人。プラトニックでヌルイ。
・下手文章。現実乖離ご容赦。
・規制により10行ずつ。長くて細かくてすみません。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
十八世side
隣に暖かな気配を感じ閉じていた目をゆっくりと開けると、
眠る前には無かったはずの他人の頭が視界を覆っていた。
ぼんやりとその頭に手を伸ばし髪を撫でつけると、
覚えのある癖の強いすこし固い感触。
そのまま優しく触れているとぼやけていた意識が覚醒し始め、
ああ今日は彼とのタイトル戦の第二局が終わったんだったと思い出す。
終局した時の彼の消耗しきった姿を思い出しながら髪を撫で続けると、
吐息を漏らしながら自分の胸元に顔を埋め擦り寄って来る。
まるで猫みたいだな、と緩んだ表情を自覚して心が誘われるままに
二本の腕で彼を包み込んだ。
いつものように。
彼の冷たい体温が少しでも暖かくなるように。
青白い彼の肌に少しでも赤い血が巡るように。
…明日、また彼にいつもの笑顔が戻るように。
いつの頃だったかはもはや遠い記憶過ぎて覚えていないが、
ある時から彼は対局が終わった夜、自分の傍らで眠るようになった。
彼が対局のとき、そして自分が何らかの理由で同じ所に泊まっているとき、
深夜目を覚ますといつの間にか彼は隣に眠っていて、早朝には何も言わず帰ってゆく。
さすがに二日制番勝負の一日目に来るようなことは無いが、
終局した夜には、たとえその対局相手が自分であったとしても必ず来る。
何を思ってこうして自分の隣で眠るのか、
長い付き合いになるが一体何を考えているのかよくわからない所が彼にはある。
ただ、自分からそれを問うたことは一度も無かったのは、
自分の方もこのよくわからない感情を言葉にすることに躊躇いがあったからだ。
生きているのか心配になるくらい泥のように眠る彼には、
一週間という短い期間の後に別のタイトル戦が待ち構えている。
静かに彼の頬に手の平を当てると、青白かった顔色が少し赤みがさし
心なしか表情も穏やかになった気がしてホッとする。
この感情にまだ名前をつけることはできない。
けれど彼がこうして少しでも安らかに眠れるのであれば、
自分ができることがあるのであれば、なんでもしてあげたい。
外の世界では戦うこと以外に自分は何もできないから。
ふと思い立って、そっと眠る彼の額に唇を寄せた。
いつもはしない、けれど、今は心がそうしたい、と思った。
「お疲れ様。」
まだ、夜は長い。
先程より強く彼を抱き込み、この安らかな時間がもっと長く続けば良いな、
と取り留めも無いことを思いながら眠りついた。
眠りの先には赤い帽子を被った小さな少年が笑っていた。
十九世side
めずらしく昔の夢を見た気がする。
まだ小学生の頃の自分、目の前にいるのは同じく小学生だった彼。
一緒に大会に出よう、と彼を誘ったのは自分だった。ハニカミながら了承してくれた彼。
そう、あの時自分は彼と一緒ならもっと将/棋が楽しくなる、と思ったんだ。
そして、それは、今でも…
意識が覚醒すると同時に暖かな気配を感じ目を覚ますと、
皺の寄った群青色の浴衣の布地がぼんやりと目に留まる。
背中からじわじわと彼を思わせる暖かな体温が浸み込んできて、
ああ昨日は彼との対局が終わったんだったと思い出す。
首を伸ばして窓の方を見上げてみるとまだ日は上っておらず、
ホッとして彼の胸元に再び顔を埋めて目を閉じる。
昨日皆が寝静まった時間に部屋を抜け出し、
眠る彼の隣に潜り込み共に眠りについた時と同じ仕草で。
彼の傍らでは何も考えることなく静かに眠ることができる。
対局後はどうしても頭の中が思考の渦に支配されて、
自分の思考、相手の思考、傍観者の善意や悪意が入り混じり飽和状態になってしまう。
酷い時にはそれが思考を狂わせてしまい、
悪夢を見たり、眠りが浅くなったり、時には眠れなかったり、ということが往々にしてある。
それが、彼の体温を感じながら眠るときだけは、
周りの雑音も、内から湧き上がる衝動も、全てから解放されて眠ることができる。
それが何を意味しているのか、単に他人の体温が自分を安心させているだけなのか、
深く考えることをずっと自分は放棄してきた。
彼の腕に包まれながら眠ることは心地よくて離しがたくて、
考えることで閉じられた二人だけの空間を壊したくはなかったから。
彼の方は一体こうした自分の行動をどう思っているのか気にならない訳ではないが、
きっと同じような思いでいてくれるのでないか。
何故なら、こうして毎回鍵を開けて自分を待ち、眠る自分を抱きしめ、
何も言わない自分をただ優しく受け入れてくれているから。
傲慢と言われればそうかもしれないが、自分でも可笑しなくらいの確信がある。
きっと彼は言葉は無くても理解してくれている。
彼がこうして揺るぎ無くそこにいてくれているから、
自分はこうして走り続けて行けるのだということを。
離れがたいがそろそろ戻らなくてはいけない。
彼の腕の中からそっと抜け出そうとすると、
不思議なくらい簡単に腕から抜け出すことができた。
いつもと変わらない、眠りの底にいてすら優しい彼。
まるで「行っておいで。」と言うように。
…そのまま、離れないほど、強く、抱きしめてくれればいいのに。
そう心のどこかで叫び続ける願望に蓋をして、
安らぎを与えてくれた彼の大きな手にお礼を込めて唇を寄せる。
「行ってきます。」
そうしてまた、閉じた安らぎの世界から戦いの舞台へ戻る。
眼鏡を掛けていつもの自分に戻り、外の世界へ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ムシャクシャしてやった。反省はしているが後悔はしていない。
規制関連で長い時間のレスになってしまいました。色々すんませんでした。
>>31 遅ればせながら萌えさせて頂きました…!
意外に嫉妬心強くてSなホソノさんと、その次期の緊迫した三角関係がおいしゅうございました
大好きな組み合わせなのですが初めて見ることができて嬉しかったです
ありがとうございました!
>>94 あああああああ申し訳ない見落としていました…。
見苦しい真似をしてしまい申し訳ありませんでした。
逝ってきます。
半生・現行月九の新社長×元社長で新社長視点・7話冒頭周辺の話で801成分は低め
新社長が理想のヤンデレすぎて毎週ハァハァしているものの規制で全く801板に書き込めなくてつらいのでむしゃくしゃしてやった
棚への投稿は数年ぶりゆえ、お見苦しい点がありましたら申し訳ありませぬ
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
久しぶりに寄って行かないか、と大切な人が言った。
だからああ、とだけ答えた。
「うっわ、本当に久しぶりだなこの家」
「だろ?」
「妹がこっち帰ってきた時以来じゃないか?」
「ばたばたしてたからな」
そう言いながら苦笑する横顔を見つめる。
きっと彼はまだはっきりと自覚してはいないのだろう。
奈津井誠。彼女の言葉で、行動で、心で、自身がどれだけ変わってきているのか。
一番間近で彼を見つめ続けてきた自分だから気づくのだ。そしてだからこそ、堪えられないのだ。
心の奥底に渦を巻くこれは憧れか羨望か、それともどす黒い嫉妬の心か。
目の前の男の持つ天賦の才への。
その男を刺激し、いとも容易く変えてしまう無垢で愛らしい天使への。
果たして日優雅に変わってほしくなかったのか。
それとも彼を変えられるのは自分しかいないとでも思い上がっていたのか。
今はもう、わからない。
「でもよかった」
「何が」
日優雅が少し気まずそうに笑った。
「もう、お前とはこうやって話せないのかと思った」
まだ記憶に新しい。
株主総会の後に一戦を交えたという話は瞬く間に社内に広まり、かつてない剣呑な雰囲気を醸し出すツートップに社員たちも動揺を隠せない様子だった。
しかし一番こたえたのは何と言っても日優雅自身だろう。
多少の口論は今までに何度かあれど、そのやり方に真っ向から異を唱えたのは後にも先にもあれ一度きりだったのだから。
故意に酷い方法で傷つけた。一番彼の心を抉る言葉を選んで。
誰に何を言われても決して揺らがなかった日優雅が信じがたいほどに憔悴していたことを会いに行った妹から聞かされた。
自分の言葉がまだそれくらいの影響は与えられるのだと、暗く歪んだ悦びが湧き上がる。
『間違っていたのは俺だ。お前のやり方を疑った。ここはお前の会社だ』
その言葉を聞いた先ほどの日優雅の表情が脳裏を過ぎった。
自信を取り戻したその顔は間違いなく自分の惚れ込んだ日優雅透そのものだった。
今までならその言葉に一片の嘘偽りもなかっただろう。
いや、今だって嘘を言っているつもりはないのだ。その証拠に日優雅は自分の言葉をただの少しも疑うことはない。
けれど確実に、自分の中では、何かが恐ろしい勢いで変質している。
もう自分でも制御できないほどに。
何が嘘で、何が本当なのか。
ただはっきりしていることはこの関係があと少しで終わるということ。他でもないこの手で終わらせるのだということ。
その時が来たら、ああ。彼はどんな顔をするだろうか。
「何言ってる。何年付き合ってると思ってるんだ」
隣に立つ日優雅の肩を抱いて諭すように力強く微笑んでみせる。
「そう簡単にお前を見捨てるわけないだろう?」
日優雅が、心から安堵した風情で笑った。
「さ、落ち着いたら少し寝ろ」
シャワーを浴びた日優雅が、まだ髪から透明な雫を滴らせたまま振り返った。
寝室の方向を顎で指し示しながら再び促す。
「ろくに寝てないんだろう」
「僕は大丈夫だ、それを言うなら浅雛だって」
「俺のことはいいから」
「…帰るのか?」
「お前が傍にいてほしけりゃいてやるよ、だから寝ろ。今は社長が体調を崩していい時じゃない。これから大事な謝罪会見だってあるんだからな」
心許ない顔をする日優雅に柔和な微笑を浮かべながらそう囁いてやる。
「…ん」
彼がこくりと頷いた。自信家で尊大な天才、世間が抱く彼の印象からはとても想像できないほど素直で繊細な素振り。
ああ。お前は本当に子どもみたいだよ。いい意味でも。…悪い意味でも。
幼い子をあやすようにぽんぽん、と。指の先が僅かに濡れた。
寝台に腰掛け、横になる日優雅を見下ろす。足をばたつかせながら寝転がる姿が過ぎた昔を彷彿とさせた。
「お前、昔オフィスでよく寝ちゃってたよなあ」
「…そうだったか?」
「おいおい、俺が何回毛布かけてやったと思ってるんだよ」
肩を竦めて返すと日優雅がふふっと笑う。
「冗談だ。忘れるわけないだろう、あの頃のこと」
もともと体力のなかった日優雅は創業当時、慣れない作業に疲れて寝てしまうことがよくあった。
大好きなプログラムを組んでいる時は時間どころか寝食すらも忘れて没頭するくせに。
全く勝手なやつだ。それとも天才って皆こんなものなのか。
そう思いながらも、その無防備な寝顔からついつい目が離せなくて気がつけば日が暮れていたりして。
規則的にキーボードを叩く音がふっと途切れる瞬間が変に待ち遠しく思えたりして。
一人、また一人と社員が増えるにしたがってそんな二人きりの緩やかな時間を持つことも次第に減っていったように思う。
今はもう何もかも、懐かしく思い出されるだけだ。
「あさ、ひな」
「ん?」
「……僕…は…」
声はそこで途切れ。言葉を返す代わりに、二、三度布団をさすってやる。
枕に顔を埋め、すぐに穏やかな寝息を立て始めた大切な人の髪にそっと触れた。
出会った時に人生を捧げたつもりでいた。
恋人が出来ても、伴侶を娶っても、何があっても、この後の一生はずっとこの男の隣で歩んでいくのだとそれだけは不思議と信じて疑わなかった。
きっと、互いに。
「…そうだ」
どれほど彼の外見が変わっても。どれほど自分の中身が変わってしまっても。
柔らかい髪の手触りは初めて出会った8年前のそのままで。
8年間。気づけば、あの頃の自分の年齢を彼が通り越していた。長いようであっという間だった甘い甘い蜜月。
甘く熟したその実は既に腐る時を待つだけだったのかもしれない。
「簡単じゃないんだよ、透」
どこでボタンを掛け違えたのか知れない。
それでももう自分は、この道をゆくと決めたのだ。
彼を切り捨てるその刃の先が鈍く輝く諸刃だと心のどこかで気づいていたとしても。
賽は投げられた―――もう引き返すことは叶わない。
「…簡単じゃ、ないんだ」
そうひとりごちながら。
浅雛康介は、誰よりも大切だった人の頭を静かに撫でた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
8話予告の「誰よりも日優雅さんのこと大切に思ってたでしょ!?」発言に滾ってしょうがなくてつい
毎週毎週公式が妄想の遥か斜め上をいってくれるので大変ですwwヒロインが妹より兄を恋のライバル扱い吹いたww
実は浅雛さんが真っ白エンドとか、なさそうだけど、そういう意味でも今しか書けないものを…みんなしあわせになーれ
お読み下さった方がいらしたらありがとうございました!
半生注意。洋画「阿部ンヅャーズ」雷神様と鷹の目さん。映画後設定。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
とんでもない規模の戦いを終えた俺達は、空母で束の間の休息を過ごしていた。あの後☆クが言い出した
「ツャワノレマ」って食い物の店に連れて行かれたが、正直微妙だった。ただでさえ疲れてんのに余計な気疲れまでしちまってクタクタだ。
とにかく眠って休もうと仮眠室に向かう途中でラウンジエリアの前を通りかかる。
中を覗くとやたらデカい金髪の男が目の前にいくつも皿を並べて料理にがっついていた。
「……あんたまだ食ってんのか?さっきの店でも人一倍食ってただろ」
「ん?あぁ、バー卜ソか。どうした」
思わず声を掛けると、もぐもぐと口を動かしながらンーが振り向く。お前も食うか?とジェスチャーで示されたがさすがに断った。
「あんたの国の奴らは皆そんなに大食いなのか?それともあんたが特別?」
「地球の食べ物と明日ガノレドの食べ物ではエネルギーの比率が違う。オレがここで明日ガノレドと
同じように動こうと思えば、明日ガノレドの何倍も量を食べる必要があるんだ」
「へぇ……でもあんた、その明日ガノレドでも大飯喰らいだろ。さすがにその量は異常だぞ」
「む…そうなのか?だが地球の食べ物は美味いな。いくらでも食べられる」
「そりゃ結構だが、ここの食料を食い尽くすのは止めてくれよ」
「わかった」
俺はンーの向かいに座って彼の食いっぷりをしばらく眺めていた。
気持ちが良いくらいガツガツと頬張っているが食い散らかしはせず、ナイフやフォークを使って綺麗に料理を平らげていく。
さすがアスガルドの次期王位継承者だけあって、振る舞いにどこか気品を漂わせている。
本当に俺達とは違う世界の住人なんだと改めて感じさせられた。
「……バー卜ソ」
「あ?」
気付くといつの間にか食事を終わらせていたンーが俺をじっと見ていた。えらく深刻そうな顔をしている。
「弟が迷惑をかけてすまなかった」
そう言って深々と頭を下げる。まさかこんな風に”神様”から頭を下げられる日が来るとは。
「おいおい、俺なんかにそんなことしていいのかよ。あんた神なんだろ?」
「オレが何だろうと関係ない。弟がお前や世ノレヴィグや地球の人々に何をしたかを思えば、こんなことでは足りないくらいだろう」
ンーは酷く苦しそうに顔を歪ませた。俺が読んだ報告書には『傲慢で独り善がりな乱暴者』って書かれてた気がするが、
まぁ彼にも色々あって丸くなったってことなんだろう。そういや実際に俺が見たのも満ち溢れた自信を打ち砕かれて挫折した瞬間だったしな。
「…まぁ確かに、全然気にしてないとは言えないが……」
「弟が憎いか?」
「…………」
言われて考えてみる。確かに口キの野郎がやったことは到底許されるもんじゃない。
自分勝手な感情で地球を滅亡の危機にまで追い込んだんだ。
だが操られていたとはいえ、俺もその企みの片棒を担いでいたのは事実だ。口キの洗脳のせいだったとしても、
仲間達に狙いをつけて矢を放ったのは確かに俺の意思だった。俺が自分で仲間を傷付けることを選んだ。
それを全部口キのせいにして『自分は悪くない』なんて言えるほど図々しくなりたくはない。
「いや、元はと言えばオレが愚かだったせいでこんなことになったんだ。
不ュー利ーの言った通り、オレ達が地球に来なければこんなことには――」
なんてことを考えてる俺を他所にンーは一人で何やら嘆いている。確かに何処か芝居じみてるところがあるな。何というか、見てて飽きない。
今回の阿部ソヅャーズ計画の対象者の中で、一番俺の興味を引いたのがンーだった。初めて遭遇したのが彼だということもあるが、
☆クにしろ花゙ー博士にしろ大尉にしろ、かなり特別で特殊ではあるが結局は人間だ。だが彼は違う。
地球とは違う次元の宇宙で生きていて、しかも地球では神として語り継がれてきた存在だなんて嫌でも興味が沸いてくる。
それでいて人間と同じように感情があり、苦悩も抱えていて親近感を抱かせる。
そして何より偽造IDに使われていた毒気を抜かれるようなあの屈託のない笑顔が物凄く印象的だった。
こう言っちゃなんだが、ちょっとマヌケで人懐っこそうな大型犬を思わせる雰囲気が気に入ったというか。
雷を司る神にしては荘厳さとか神々しさがそんなにない感じとか、『思ってたのと違う』っていうギャップが面白い。
「そう考え込むなよ。別に俺はあんた達が来なけりゃ良かったなんて思ってねえし、
むしろそんなに地球のことを気に掛けてくれてるなんて思わなかったよ」
「当然だ。オレは地球が好きだし、ここには大切な友人達もいる。もちろんお前もその一人だ」
そう言ってンーは俺に笑顔を向ける。突然話題に上ったことも合わせて少し驚いてしまった。
「おぉ……そいつは嬉しいね」
「……だから尚の事、お前を苦しませたことが残念でならない」
だがすぐに表情を曇らせてしまう。神様のくせに、たかが人間一人のために何をこんなに悩んでるんだか。
本当に面白い奴だ。世ノレヴィグ博士やあの天文学者が気に入るのもわかる気がする。
「――まぁ、アイツにやられたことは一生忘れられねえだろうな」
「…………」
「だが一発ぶち込んでやれたし、花゙ー博士がその何倍も痛い目に遭わせてくれたしな。それでチャラだ」
俺の言葉に拍子抜けしたのか、ンーはポカンと口をあけてこっちを見た。
「……お前は、それでいいのか?」
「あぁ。俺もあんたのことが好きになってきたからな。あんたに免じてってことで」
「そうか……すまない。恩に着る」
ンーが安心したようにふっと顔を綻ばせる。少し照れくさそうにも見えて、こっちまで頬が緩んできた。
「そんなに畏まるなって。あんまり神様から感謝されるの慣れてねえから、何かムズムズしてくる」
「お前は良い人間だなバー卜ソ。それに強い。まるで兵務ダノレのように全てを見通す眼も持っている」
「兵務ダノレ?誰だそれ」
「虹の橋ビ不レヌ卜の門番だ。彼には9つの世界の全てが見えていて、何も見逃さない。
あの戦いの時のお前はまるで彼のように戦場を掌握していた。あれは見事だったぞ」
「ほう…神様に褒められたってことは、もっと自信持っていいってことだな」
「あぁ。オレの国にもお前ほどの弓の使い手はそういない」
「なぁ、明日ガノレドってどんなとこなんだ?地球と似てるのか?」
「そうだな…」
sien
仮眠室で休むつもりだったはずなのに、気が付けばいつまでもンーと話をしていた。
一兵士でしかない俺でさえこんなに興味をかき立てられちまうんだから、学者連中にとっちゃ研究したくて堪らない存在だろうな。
だが明日になれば、ンーは口キを連れて明日ガノレドに戻ってしまう。
次に地球に来るのはいつになるかわからないと思うと、少しでも長く一緒にいる時間を過ごしたくなった。
俺の中にこういう感傷的な部分があったなんて意外だったが、そんなに悪いもんでもないな。
俺は時間の許す限り、雷神との和やかな一時を過ごした。空母の外の空は穏やかに夜を迎えようとしている。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
本スレで雷神がやたら「犬みたい」だと言われてた時期があって萌えたのでw
楽しんでいただければ嬉しい限りです
>>106さん支援どうもです
>>107 うわー二人ともかわいい!
和みましたありがとう
この萌えを胸にもう一回映画見てくる!
・生物注意報。
・ひっそりとショウギ界。同ネタの短期間投稿ごめんなさい。
・十八世酩人×十九世酩人。何かの公/開/対/局の後とか。ゲロ甘。もう既にデキチャッテル的な。
・下手文章。別人18号。現実乖離ご容赦。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
部屋に戻るとソファに座り込んだ盛家が一枚の紙を凝視していた。
「凄いなあ…うん…」
対局中のように頭を掻きながら何やらぶつぶつと呟いているので、なんだろうと覗き込んで紙の正体を確認すると、ああ…と納得した。
それは参考のために貰ってきた棋/譜のコピー、それも先日羽舞自身が指したばかりのタイトル戦の棋/譜のコピーだった。
「そんなに面白いですか?」
ネクタイを外しながら同じソファに座り込み、研究の最中かと思うほど熱心に棋/譜を読み続ける盛家に訊ねる。
盛家は相変わらず凄い指し手を見つけた少年のように、目を輝かせながら片時も棋/譜から視線を離さない。
「いやあ…毎回思うことだけど、君と渡鍋さんの対局は凄いなあ。」
「渓川先生との対局のときも思っていたけど。」
「…まるで神さまの対局みたいだ。」
満面の笑顔で嬉しそうに語る彼の口から出てくる言葉は、全て自分とその将/棋への賞嘆の言葉。
本来なら喜ぶべきことなのだろう…けれど、嬉しいどころか彼がその言葉を口にする度に、もやもやとした嫌な感情が湧きあがってくる。
せっかく久しぶりに二人きりになれたのに、
さっき君と将/棋を指したばかりなのに、
なんでこの男は他の人との将/棋の話ばかりするのだろう。
彼を研究用に借りているこの部屋に呼んだのは自分だった。
打ち上げの後、他の関係者と共に途中で別れた彼は、しばらくして約束通りこの部屋を訪ねてきてくれた。
先に自分用の部屋に彼を通し、別の部屋で途中だった所用を済ませた後、
やっと彼と二人になれると部屋に戻ったら…彼は何故か棋/譜の方に夢中になってしまっていた、という訳だ。
どんどん無表情になっていく自分に気づきもせず楽しそうにしている彼にさすがにイライラが募ってきて、乱暴にその手から棋/譜を取り上げた。
「あっ…ちょ………うわあっ!?」
棋/譜を床に放り投げると同時に彼の大きな体を思いっきりソファに押し倒す。
突然圧し掛かられて呆然としている彼の胸に顎を乗せ、じっと彼の瞳を睨みつけて訴えかける。
―そういう話をするためにここに呼んだんじゃないんですけど。
しばし睨み続けていると、呆けていた彼の表情がバツの悪いモノへと変わり、圧し掛かっている自分を抱きしめ返しながら「…ごめん。」と呟いてくれた。
彼の太い腕の暖かみを感じ小さく溜息をひとつ吐くと、自分も彼の厚い胸板に頬を摺り寄せて静かに寄りかかる。
わかってくれたのならそれでいい。
自分も無理矢理作ったこの時間をこんなことで無駄にしたい訳ではない。
やっと触れられた彼の体温に身体中の力が抜けていくのがわかる。
すると抱きしめられたままゆっくりと体勢をひっくり返され、ソファと彼の間に挟まれた状態で彼を見上げる。
広い肩幅。自分とは違う厚みのある身体。
視線を上げると彼の瞳は先程とは明らかに違った色を帯びていて、じっと見つめてくれるその視線に自然と口元に笑みが浮かんでしまう。
なんとなく消化不良だったその日の対局が終わった後、自制が効かず舞台袖で彼の袖口を引っ張り、驚いた顔をして振り向いた彼の瞳を見つめて視線で訴えた。
―まだ、足りない。
―こんなくらいじゃ、全然、満足できない。
あの時の視線の意味を彼は正しく理解し、そして今自分に与えようとしてくれる。嬉しくてしょうがない。
笑顔を向けると彼も笑顔で返してくれて、…そのままゆっくりと唇が降りてきた。
『…まるで神さまの対局みたいだ。』
彼は時折自分を神のようだと言う。
自分は選ばれた人間では無い。君こそが選ばれた人間の一人だと。
そんな風に言わないで欲しい。
自分は君の前ではただの将/棋指しに戻れるのに。
何の名誉も栄冠も肩書も無い、ただひたすらあの81升の盤上の真理だけを求め無我夢中で指し続けたあの頃のように。
接吻がどんどん甘く深くなってゆくにつれて
自分も彼の頭を引き寄せて、溺れる人のように必死にしがみつく。
ずっとこうして自分を見失わないで、繋ぎとめていて欲しい。
もう君なしでは、自分は呼吸もできないから。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ムシャクシャしてまたやった。タツジン線ケッショウとかオウザ線とか沸き上がり過ぎた萌えをぶつけました。
昼は19世×18世。夜は逆。というイメージ。色々すみません。
18世→19世はダダ漏れですが、19世も18世に実はもの凄い執着してたら超萌えるとか思いました。
前回の投稿に反応してくださった方々、泣きそうなくらい嬉しかったです。ありがとうございました。
最後まで読んでくださった方もありがとうございました。
>>102 乙です。
麻雛さんを信じきってるあどけない元社長と表面は装っているけど中身ドロドロの新社長の、嵐の前の静けさ的な穏やかな夜を切り取ったお話…めちゃくちゃ切ないですGJ!
ありがとうございました!
114 :
新BM 1/2:2012/09/05(水) 02:58:12.86 ID:vKZejIll0
急に萌えに襲われたので。
新吃驚男の葦とキリギリス。
11月の話で、話が変わったらキリギリスの出奔が無かったことになっていたのが気になったので。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
時間が進むごとに、傷と疲労が容赦無く飛び続ける気力を奪っていく。程なく限界に達し、殆ど墜落するように地面に降りる。
手をついてなんとか立ち上がろうとするがそれも叶わず、再び腕の力が失われるのと同時に意識も闇に沈んでいった。
夢の中で、なんとなく心地よさを感じる。何かに優しく包まれているようだった。
視覚も聴覚も働かないが、僅かに意識が覚醒に向かい、自分を包むものの存在を少しずつはっきりと感じ始める。
ただ、その正体は分からず、また、知ろうとも思わなかった。
そのまま身を任せているうちに、何かの音が聞こえてきた。
いくらかの間があって、それが、誰かの話し声であると認識する。
始めはその意味までは脳に届いてはいなかったが、ある時点から呼びかける声だと分かるようになった。
ゆっくりと目を開いてみる。周囲の景色が目に映り、視覚も機能し始めた。
しかし意識には霧がかかったようで、まだ夢の中のように全てがぼんやりとしている。
再び呼びかける声が聞こえた。その声にはっとして起き上がろうとするが、まだそこまでの力は無いようだ。
諦めて体の力を抜くが、ほぼ同時に意識がはっきりと覚醒する。
誰かに横抱きの状態で抱えられているようだった。
いや、誰か、なんて正体不明の相手ではない。共に生み出されて育ってきた、幼い頃から常に一緒にいた相手だった。
周囲を空気が柔らかく流れている。包み込まれているような感覚はこれだったらしい。ちょうど心地よく感じる絶妙な気流だった。
だが、意識の覚醒は以前の記憶も呼び起こしていた。どれほど優しく、心地よくても、いや、だからこそ、これに身を任せてはいけない。まだ自分は何も為していない。
「……触るなっ」
今度こそ気力を振り絞って立ち上がる。そのまま数歩進むが、そこで強風に足止めされる。
振り返ると、先程と同じ場所に立ったままの相手と目が合う。
「邪魔をするな」
睨みつけ、威嚇するように翅を立てる。
ほんの少し、風の勢いが弱まった気がした。
115 :
114:2012/09/05(水) 03:39:49.73 ID:wGwmrtVnO
申し訳ありません、パソコンでも携帯でも忍法帳レベルが足りず、代行をお願いしてきました。
116 :
新BM 2/3 :2012/09/05(水) 09:09:55.35 ID:jGN0BL2z0
「俺の事は放っておいてくれ」
再び背を向けて、なんとか風に逆らって歩き出す。だが、殆ど進まないうちに、今度は相手自らに前へ廻りこまれる。
押しのけて進もうとしたが、びくともしなかった。逆にその手を掴まれ、引き寄せられる。
「一緒に、帰ろう」
耳元で言われるが、無視して腕を振りほどこうとした。だが離れない。元々肉体的な力が違いすぎる上、今は酷く消耗しているのだから当然といえば当然だが。
空いた方の腕で押したり叩いたりしたが、堪えている様子は全く無かった。離すどころかよけようともせず、左手で腕を掴んだまま右手を背中に廻される。
相手からすれば、落ち着かせて説得しようとしての行為だっただろう。だが今の心持では逆効果だった。余計にむきになり、完全に頭に血が上ってしまう。
腕と背に手をかけられている上半身に比べ、下は割と自由がきく。服ごしとはいえ、相手の右手の感触が伝わってくる。
加えて、なんとしても離れようとするあまり理性を失った状態で、とる行動は一つだった。
右足を持ち上げ、体重をかけて思いきり踏み下ろす。相手の左足を狙って。
その瞬間、理性が甦り、自分が何をしようとしているのかに気付く。
なんとかブレーキをかけつつ横に逸らして、直撃させる事を避ける。だが完全に外す事は出来ず、端が当たってしまう。
そこまで大きなダメージにはならなかったようだが、触れる手が一瞬こわばり、脱力してそのまま地面にへたり込む。
その姿に完全に理性を取り戻し、慌てて横に膝をついた。
先程までとは逆に、こちらが抱くように右手を背に廻し、左手で相手の足をさする。
「……すまないっ」
下を向いて、目を伏せたままやっと声を絞り出す。
黙って、髪から背にかけて何度も撫でられる。
117 :
新BM 3/3 :2012/09/05(水) 09:10:51.43 ID:jGN0BL2z0
不意に、疲労と痛みが甦る。相手の背に添えていた手から、続いて体から力が失われてその場に倒れ込む。
それを抱きとめられるのが分かったが、もう抵抗する事は考えなかった。
「……かえりたい」
ごく自然にその言葉が口から出る。その瞬間、心を縛り付けていたものが全て解けていった。
今まで考えた事も無いほど、相手に縋って甘えたくなる。だが、自力で動けるだけの力は無かった。
「連れてって……」
掠れた声でそれだけやっと言う。
「勿論だ」
目と同時に閉じていく意識に、その声だけはしっかりと届いていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
分割ミス&途中規制失礼しました。
DVD見たらこの二人これでもかってほど萌える。
半生注意、男女描写注意、エロ有り。
外事けいさつ 第2話のシーンから過去話 外国人×主人公、上司×主人公です。
全9レス予定ですが、前半4レスと後半5レスに分けて投下します。
後半は深夜過ぎにに投下予定です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「…一課時代もそうやって、ロシアのスパイを自殺に追い込んだんだってな」
あからさまな作り笑いを浮かべて、倉田は住本の印が捺された始末書をひらひらと掲げて見せた。
―――――――――――――
―3年前。
ごくありふれた出会いだった。
早朝の公園で、互いの連れた犬が喧嘩を始めたのがきっかけで、私は彼と知り合った。彼はロシア語が話せた。母国語で気安く話せる相手が、私は嬉しかった。
彼は、タムラと名乗った。
タムラと会うのが、いつしか私の週末の楽しみになっていた。
仕事柄の警戒心も忘れて、私はプライベートな話もするようになった。娘の誕生日プレゼントを探すのに苦労していると愚痴を零すと、彼は幸せそうだねと皮肉っぽく笑った。私より年上で、人柄も容姿も問題ない彼が独身でいる事を、私は前から不思議に思っていた。
「君には嘘を吐きたくないな」
ふと目を伏せて、タムラは言った。
「ゲイなんだ、私は。だから家族は持てない」
突然の告白に驚いて、私は何も言えなかった。
気まずいまま別れた翌週、タムラは公園に来なかった。
言いようのない焦燥感に駆られて、私は月曜の出勤前に早起きして公園に行った。彼は毎朝散歩に来ているはずだった。
私を見て、彼は驚いていた。昨日は体調を崩して寝込んでいたらしかった。
私は彼の性癖に偏見を持ってないと、打ち明けてくれて嬉しいと告げた。彼に言えないある理由の為に、私の言葉は回りくどくて要領を得なかったが、彼は笑って聞いてくれた。
大使館には遅刻しかけたが、私は来て良かったと思った。
―今にして思えば、私の行動は全て彼の思惑通りだったのだろう。
◇
―住本班分室。
「つけ入る隙がないですね」
基礎調査のファイルをパラパラ捲りながら、森永は溜め息を付いた。
「ミハエル・ウラマノフ。駐日ロシア大使館職員、通信事務担当。年齢32歳。家族構成は妻エミル39歳、一人娘のアンナ10歳。経歴は以前報告した通り。品行方正で、職場でもプライベートでも評判がいい。家族仲も良好。金にも困ってない。順風満帆な人生ですね」
「ミハエル自身はスパイ活動に直接関与していないが、奴の持っている情報から辿れば動きが探れる。…弱みがなければ、こっちで作ってやればいい」
住本が事もなげに言った。
森永からファイルを受け取ると、何かに気付いたように捲る手を止めた。
「大学1年の冬に、半年休学してるのは何故だ」
「対人関係のストレスによる体調不良で自宅療養、です」
「ストレスの具体的な原因は何だ?大学関係、同窓生をもう一度調べろ」
◇
犬の散歩を毎朝引き受けるようになった私を、妻と娘は不思議がった。後ろめたさはない筈なのに、タムラの事は何故か話せなかった。
その頃の私は彼に会って、他愛もない会話を交わすのがただ嬉しかった。
タムラは年齢に合わず、とてもストイックな体型をしていた。背が高く、長い手足を無造作に組んで煙草を喫む姿は、彫像のように美しかった。彼が好む洗練されたモノトーンが、憂いを感じる顔立ちに映えていて、私は密かに見惚れていた。
ある日、タムラが告げた言葉に私はひどく落胆した。
「急な出張が入ったんだ。しばらくここに来られなくなる」
犬の預け先に困っていた彼に、私は自分が預かると申し出た。彼はとても喜んで、私を彼の家での夕食に誘ってくれた。一人暮らしが長いので料理は得意なんだよと、タムラは少し自嘲気味に笑った。
「…君と会えなくなるのが寂しいな」
小さな独り言に思わず振り向いて、私は初めて彼の照れた顔を見た。
その瞬間、強い既視感に襲われて私は瞼を押さえた。
「…大丈夫か?」
タムラの声が遠くに聞こえた。何故今まで気付かなかったのだろう。感情まで鮮やかに蘇って、息が苦しかった。
―いや、本当は出会った時から気付いていたのに。
タムラは似ていた。雰囲気と、服装の趣味。何気ない仕草も。記憶の底に封じ込めて、忘れた振りをしていたあの人に。
そして私はようやく自覚した。
私は、タムラに恋をしていた。
―彼が仕組んだ通りに。
◇
「ミハエルが休学する直前に、事故死している学生がいました。事件性は無し。名前は長谷川博嗣。日本からの留学生で、同じゼミの3年先輩です。はっきりした確証はないんですが…二人は恋愛関係にあった可能性があります」
「恋愛関係?男同士だろ?」
「ソッチの気があるって事か」
久野が挙げた疑問に、金沢が答えた。
「復学後、行きつけのカフェの店員で7歳年上のエミル・ニコルスキーと交際、彼女の妊娠がきっかけで卒業を待たずに結婚しています」
森永の後を、五十嵐が引き継いだ。
「妻のエミルは2年前まで心療内科のカウンセリングを受けていました。相談内容は、夫とのセックスレス。娘のアンナが産まれて以降です」
「使えるな」
住本は長谷川の写真を指先でとんとんと叩いた。
「この男の印象や癖、外観的特徴を出来る限り調べろ。それと平行して、条件が合う男を探せ。細身で長身、並以上の容姿の日系人。年齢はミハエルより上、男の相手が出来て、ロシア語が話せれば尚いい」
全員がしばし沈黙した。机の上の写真と見比べて、皆の視線はやがて住本に集まった。その意味に気付いて、住本が珍しく戸惑った顔をした。
◇
「…すまない。疲れてるんだ」
「…そう…少しだけ、このままでいさせて」
妻は私を背後から抱いて、私は死んだように身をすくめている。やりきれなさと申し訳なさで、私はのろのろと息を吐いた。
カウンセリングへの同行を断ってから、彼女は二人目が欲しいと口にしなくなっていた。
良き夫、優しい父親。それがこの家での私の役割だった。穏やかに日々を繰り返せば、欺瞞はいつか真実に変わると信じたかった。
エミル、君は幸せ?
妻にその問いを発する資格も勇気も、私にはない。
脳裏に浮かんだ彼の姿を、振り払うように目を閉じた。下半身に点った微かな熱を、妻の肌に重ねられない私は―ただの偽善者だった。
タムラの家に行くのが怖かった。自分の気持ちを認めてしまえば、全てが壊れるような気がした。断ろうと何度も逡巡しながら、同時に心待ちにもしていた。気持ちが揺れて、何も手につかなかった。
sien
金曜日の朝。
「今夜は残業で遅くなるよ」
何気なく言ったつもりでも、妻の顔は見られなかった。
ワインを手みやげに買って、教えられた住所を訪ねると、タムラが普段よりラフな服装で出迎えてくれた。
風呂上がりらしい髪が濡れていた。凝った手料理を饗され、勧められるまま酒杯を重ねて、大きく開いた襟ぐりから覗く鎖骨や、ほんのり赤く染まった目元を、直視できなくなっていて。
見えない台本を演じるように、気が付くと私は、背後から彼を抱きすくめていた。男性用洗髪剤の残り香に陶然として、陳腐な愛の言葉を繰り返し囁いた。
口づけはタムラからだった。
伏せられる寸前の目が、一瞬だけひどく冷酷に見えた気がした。
『…っ…ん…』
住本の喘ぎ声が、盗聴器を通してヘッドホンに響いていた。
「―食い付いた」
久野が小さく呟いた。
タムラは自分がリードするのか迷ったようだが、私の方が積極的だと見ると身を任せてくれた。
首筋に唇を這わせて、指先で平らな胸の突起を摘むと、彼はくすぐったそうに身を捩った。次第に呼吸が浅くなるまで充分に弄んで、筋肉で締まった下腹から臍へ、固い内腿へ、中心の周辺を緩やかに煽る。
「…う…っ」
形の良い唇から低い声が洩れた。
女性とは何もかも違う男の肉体に、私は泣きたいほど欲情していた。全身の血が沸き立って、忘れていた感覚が愉しかった。肩に口づけた時、小さな丸い傷痕が目に入った。銃創―?かすかに感じた疑問は、すぐ興奮に押し流されて消えた。
下半身に顔を近付けると、タムラはわずかに腰を引いた。動けないように軽く押さえ込んで、先端に口づけた。
「…っ…!」
痩せた背が軽くしなった。僅かな抵抗を無視して、わざとゆっくり咥内に呑み込んでいく。反応を隠すように、顔を覆う仕草が私を煽った。
同性にしか解らない緩急で、達する寸前まで追い詰めてはギリギリで焦らす。
堪えかねたように、上擦った甘い声が零れた。
「う、う…っ、あっ」
双丘の間に指を滑らせると、タムラの身体が僅かに強張った。窄まった箇所を指で丁寧に馴らしながら、テーブルの上にあったオリーブオイルを垂らして、前後を同時に責め立てる。
「ああっ、あ…!」
一際荒い呼吸と共に、白濁が私の顔に飛び散った。
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うおおおなんという焦らしプレイか!
支援して頂いた方ありがとうございました。
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脱力した身体を仰向けに寝かせて、私は彼の足を大きく開かせた。晒された箇所に、張りつめた自身をそっと押し当てる。
「タムラ…」
窺うように、私は閉じた目蓋や頬にキスした。
―不意に、住本は笑い出したいような衝動に駆られた。自ら仕掛けて男と寝ている事も、今この瞬間も部下に視察されている事も。国益の為?仕事?
「…あは、は」
住本は感覚だけに集中した。楽しめばいい。溺れるのが快楽でも苦痛でも、これ以上思考するよりはマシだった。
住本はミハエルを抱き寄せた。貪るようにキスして舌を絡め合うと、甘い疼きが毒のように全身を満たした。
「ふ…あ…」
彼のものに手を伸ばして、自分のものと一緒に粘液ごと擦り合わせる。快感が中心から脳へ駆け上った。小さく呻くミハエルと視線を合わせて、住本は淫らに微笑んだ。そのまま耳元に唇を寄せて、吐息混じりに囁いた。
「…いれ…て…」
その瞬間、私は衝動的にタムラを組み敷いていた。
頭の芯が真っ白に灼き切れて、欲望の赴くまま荒々しく犯した。
「…っ…う…」
彼の唇から押し殺した息が漏れた。気遣う余裕もなく、私は激しく腰を動かした。狭い内壁に擦られて、痺れるような快感に追い立てられる。
「ああ……!」
彼の中で達した時―私は泣いていた。
解放された悦びと、手放してしまった喪失感に。
『……っ…』
「ここまでは予定通りか」
盗聴器の音量を下げて、久野は息を付いた。
様々な機材が設置された隣室では、ミハエルとタムラ―住本の行為の一部始終を視察していた。
「最後までヤらせるってか。すげーな主任」
森永が痛そうに顔をしかめた。
「体張りすぎ」
「その方が脅しのネタとして確実だしな」
久野はフォローするように返した。
「…エロいなあ」
一人別次元で、大友はモニターに釘付けになっていた。
「男とヤってあんなになっちゃうもんかなあ、演技?マジ?」
「知るか。後で本人に訊いてみろよ」
「訊けねーよ!殺されるわ」
森永が意味有り気に目線を下げた。
「お前…今絶対勃ってるだろ」
「馬鹿野郎」
「いい加減にしろ。奴さん帰るぞ」
金沢が低く一喝した。
「追尾行きます」
五十嵐がヘッドホンを外して立ち上がった。
大使館に届いた差出人不明の手紙を見て、ミハエルの顔から血の気が引いていた。
指定されたイタリア料理店には、女が一人待っていた。彼女はイマニシと名乗った。
「ご家族に…奥様や娘さんに、お父さんのこんな姿、知られたくないですよね?」
テーブルの上に広げられたのは、目を覆いたくなるような淫らな写真、音声テープ。昨夜の行為の一部始終が赤裸々に記録されていた。
最初から全部仕組まれていた―ミハエルはやっと悟った。
イマニシは秘密の保持と引き換えに、彼が立場上知りうる大使館の内部情報を要求した。
「ご協力頂いた内容に応じて、報酬をお支払いします」
まるで商談のようでも、ミハエルに拒否権はない。これは脅迫だった。
「…金は要らない。代わりに条件がある」
「え?」
「タムラに会わせてくれ」
予想外の申し出にイマニシは渋ったが、ミハエルの意志が固いのを見ると結局承諾した。
指定されたホテルの一室で、二人は再会した。
「タムラ…」
一瞬、ミハエルは非現実的な希望を抱いた。だが続く言葉があっさり打ち砕いた。
「で、ご希望は?カネよりもセックスかな」
タムラは薄く笑った。
彼はミハエルに己の身分を明かした。外事警察―日本の警察がここまでやるのかと、ミハエルは純粋に驚いた。大使館関係者への取り組み工作は他国間なら日常茶飯事だが、まさか日本で、こんな手口で。
「この前は激しかったよ。よっぽど溜まってたんだな、あんた。真面目なお父さんのフリも疲れるだろ?」
騙された事に対する怒りは湧かなかった。彼に惹かれたのは、抱きたいと思ったのは真実だったのだから。
いつの間にか詰めていた息を、ミハエルは大きく吐いた。
「ああ、そうだ。私は…あなたと寝たい。もう一度、抱きたい」
「…いいよ。オトモダチだな、俺たち」
ミハエルは、タムラに落ちた。
「協力者と関係を持つなんて論外ね。どうするの?」
イマニシ―五十嵐は、呆れたように言った。
「運営はお前に任せた。俺は単に運営費の替わりだ。金が掛からなくて安上がりかもな」
「彼はあなたしか見えてないわよ。嫌な予感がするわ」
大げさだな、と住本は苦笑した。
「奴が俺に飽きたら、通常通り金を払えばいい。2丁目辺りでいくらでも好みの相手が買えるよ」
立ち去る住本の背に向けて、五十嵐は呟いた。
「…そういう所は鈍いのね、相変わらず」
求められるまま自国の情報を流し、ミハエルはタムラとの情事を重ねた。
「どうして…ここまでするんだ?」
彼が同性愛者ではない事に、ミハエルは気付いていた。自身の性癖と全く相反するくせに、タムラはどんな要求も拒まなかった。
「君が…望む、から」
ミハエルを受け入れたまま、タムラは呻くように答えた。
「リスクを…負わせたのはこちらだ。だから対価は…払う。望むなら…私に…出来ることなら、なんでもす…る」
ミハエルがやっているのは、紛れもなく祖国への背信行為だった。発覚の恐怖と後ろめたさで、不意に肌が粟立った。
「う…っ!んあ、あっ」
ミハエルはタムラを強く抱いて、より深く穿つように繋がった。
タムラへの要求は次第にエスカレートして、ミハエルは歯止めが効かなくなった。嫌悪で引きつるタムラの顔が、抗えない快楽に堕ちるのが愛おしかった。彼の為なら何でもできた。脅されていた事など、既にどうでも良くなっていた。
「最近自宅に戻ってないですね。疑われるような行動は慎んで下さい」
昼休みに立ち寄ったカフェで、いつの間にかイマニシが隣の席に座っていた。
「ご家族も心配してますよ」
「家族…」
どこか現実味に欠けたように、ミハエルは呟いた。
「合わせる顔がない。最低だな、私は」
ミハエルの声は虚ろだった。
「四六時中、彼と寝る事ばかり考えてる。心に触れられないなら、身体で繋がっていたい…彼に惹かれてるんだ、どうしようもなく」
終わりは呆気なく訪れた。
大使館内の異動に伴って、ミハエルは外事の諜報対象から外れた。
「今後はご連絡する事はありませんからご安心下さい。もちろん、写真その他はこちらで破棄します。ご協力ありがとうございました」
「待ってくれ。そんな突然…」
「これ、あの男からです」
イマニシから渡された紙袋を見て、ミハエルの表情が強張った。
ほんの数ヶ月前まで、自分があちこち探し回っていた物だった。娘のアンナが誕生日に欲しがっていた、アンティークのテディベア。首には大きなリボンがかけられ、白紙のバースデーカードが付けられていた。
娘の誕生日が一週間前に過ぎていた事に、ミハエルは気付いた。
「…もう一度だけ、会いたいんだ、頼む。お願いだ」
ぬいぐるみを握りしめたまま、彼の声は震えていた。
「ミハエルさん…ご家族の所に帰りなさい。利用価値が無くなれば、あの人はあなたの存在なんて気にも留めない」
「もう遅い。手遅れだ」
イマニシの言葉は、もう彼に届いていなかった。
「以前の私は壊れてしまった。彼が壊したんだよ」
人々が行き交う駅のホームの隅で、ミハエルはぼんやりとベンチに腰掛けていた。
小さな呟きは、近付いてきた電車の轟音にかき消された。
―せめて遺ればいい。
私たちを繋いだ快楽が、抜けない棘のように。
あなたの身体に。
「ミハエルが…死んだわ」
やや青ざめた顔で、五十嵐が告げた。
駅のホームから飛び降り自殺。遺書はなかった。住本がまず感じたのは、余計な事を書き遺されずに済んだという安堵、次に―何故彼が死んだのかという疑問だった。
「あなたが殺したのよ」
五十嵐は哀れむような顔をした。
外務省からの内密の照会で、住本班の関与が明るみになった。住本はミハエルをスパイだった事に捏造した。自殺したのが罪もない一般職員より、その方が何かと都合が良かった。どちらにせよ外に対しては「そのような事実は一切ない」のだから。
彼から得た情報により、ある大物スパイの活動状況を把握できた事は大きな成果だった。有賀局長の根回しもあって、この件の処分は、表向きの始末書と住本班の四課への異動で終わった。
―――――――――――――
「狂ってるな、お前」
汚いモノでも見るように倉田が言った。始末書とは別の、非公式な内部資料に添付された写真、動画ファイル。
「警察官が自前でハニートラップか。男と寝て、相手を自殺に追い込むのが仕事か?仕事なら何でもするのか?」
目の前の男と、先刻観た動画の痴態がオーバーラップした。
しえん
反省などしていないくせに、住本は床に視線を落とした。
この男の顔が嫌いだ。忌々しいほど落ち着き払ったその顔を―
―滅茶苦茶に歪めて、屈服させてやりたい。
俺は今、なにを―
住本が顔を上げた。倉田の目の奥に見覚えのある昂りを見て、意外そうに唇を歪める。
「職務の遂行に必要な事なら、何でも。…もし必要と仰るなら、今ここででも」
「…な…に言ってる」
言葉が喉に絡んだ。
―〈魔物〉だ。
住本がゆっくりと近付いてきた。唇が重なる寸前に、倉田は住本の顎を乱暴に引き寄せた。そのまま、口内を舌で犯す。
「…っ…」
髪を掴んで、そのまま口づけを強引に引き離した。
「調子に乗るなよ」
住本は低く喘いだ。
―抜けない棘が疼くように。
執務室から出てきた住本は、気怠げに緩んだネクタイを直した。
死んだ男の事も倉田の事も、もう頭にない。
―〈Fish〉
まだ見ぬテロリストに焦がれるように、眼差しにぶれはない。その顔は獲物を追いかける獣の悦びに満ちていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
本当に長々と失礼しました。
書き忘れましたが、時系列が前後するシーンでは◇が入ってます。
前回&保管所で感想ありがとうございました。おかげで投下する勇気を頂きました。
うわあああ萌えたありがたやありがたや
元ネタわからないのに読み応えあった
やるせない…!GJです
>>118 めちゃくちゃ萌えた!
ごちそうさまでした
半生注意。洋画「阿部ンヅャーズ」雷神様と緑の博士中心にメイン4人。
>>103の続きです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
大きな戦いを終えて空母に戻った僕は、大破したラボの真ん中で立ち尽くしていた。
現代の技術の粋を集めたヘリキャリアが墜落の危機に瀕した原因の半分くらいは僕にあるし、
そのせいで被害にあった人達もたくさんいる。一応僕達が世界を救ったことになって皆ある程度は
帳消しにしてくれているみたいだけど、やっぱり申し訳ないという気持ちは消えなかった。
「酷いなこれは…」
「あぁ、派手にやったな花゙ー」
突然背後から聞こえた声に振り向くと、いつ来たのかンーが入り口付近に立っていた。騒動の最中と比べると幾分和やかな表情をしている。
「お前のような人間は見た事がない。変身できるとは」
「君か…その、悪いことをしたね。もう一人の僕が随分乱暴な真似をしてしまって」
「気にするな。オレも案外楽しめた。普通の人間に全力は出せないからな」
その時のことを思い返しているのか、本当に楽しそうだ。僕との思い出を語ってこういう顔をする人間はあまりいない。
北欧の雷神というだけあって、人間とは色々と感覚が違うらしい。
「君達は本当に異次元の存在なんだな。僕に殴られてピンピンしてるのは君で二人目だよ。口キは三人目」
「一人目は誰だ?あの鉄の男か?」
「いや違うよ。彼じゃない。言うなれば…そうなっていたかもしれない、もう一つの僕の姿ってとこかな」
「ほう…お前以外にもお前のような存在がいるのか」
地球は知れば知るほど興味が沸いてくるな、とンーは感心して頷いた。こっちからすれば、君の方がよっぽど興味深いんだけどね。
見た目は人間と同じなのに恐ろしく頑丈な肉体を持っている。『魔法』としか呼べないような力を使うし、
不思議なハンマーで空まで飛んだり。こんな身体の僕が言うのもなんだけど、にわかには信じられない存在だ。
だけど彼がここにいると、僕だけがこの地球で異質な存在なんじゃないと思わせてくれて少しだけ安心できる。
今までに感じたことがない不思議な感覚だった。
「まぁ、実を言うと僕も――」
今回思いっきり暴れられて少し気持ちよかったんだ、と彼に言おうとした。
「失礼」
「えっ」
しかしンーは僕と向かい合ったかと思うと、突然シャツの胸元をガバッと広げてきた。
「!!?」
「お前の身体はどうなっているんだ?何か魔術でもかけられているのか?」
ンーは僕の身体をペタペタと触りながら尋ねてくる。驚きすぎて心拍数が上がってきそうだ。
「なっ、何をいきなり…っ!?」
「魔術なら身体のどこかにそれを示す紋章があると思うが…」
「そんなものは無い!僕がこうなったのはガンマ線の影響で――」
「ガンマ線とは何だ?肌が緑になるのと関係があるのか?」
僕の身体の向きを変え、シャツを捲り上げながら隅々まで調べようとするンーにただただ慌てふためくしかない。
このままだとスラックスまで下ろされかねないので必死に神に訴えかける。
「どう関係してるかはわからないけど!頼むから止めてくれないか」
「何か不都合でも?」
純粋にわからないらしく真顔で尋ねてくる。いくら文明が異なるからって、
彼の世界でだっていきなり他人の服をひん剥いたりはしないだろう普通…
「ある!僕は怒らなくても心拍数が上がると変身してしまうんだ!だから――」
「心配するな。オレが受け止めてやる」
事も無げに彼がそう言い切ったので、別の意味でまた驚いた。
受け止めるだって?あの時散々僕にぶっ飛ばされたのを覚えていないのか?
だけど、もう一人の僕と対等に渡り合えたのもまた事実ではある。彼の言う通り、僕を力で抑えられるのはンーしかいないだろう。
だが何よりも僕に対して敵対心や恐れ、怯えといった感情を見せず真っ直ぐに接してくる
ンーの存在はどこかで嬉しくもあった。だからってこの状況を看過することはできないけど。
「それはありがたいよ。でも僕は魔術になんてかかってないから、とにかく服を元に戻して――」
「だから言っただろ?『一度試してみたくて』って。ボクだって知らなかったんだよ…あんなに微妙な味だとは」
「それにしたって、何も戦闘直後に行かなくてもよかったんじゃないか?皆疲れてるのに……ん?」
その時、たまたまラボの前を通りかかった卜二ーとス〒ィ一ブが僕とンーの一悶着に目を止めた。真剣な表情のンーと、
何故か彼に服を脱がされかけている僕を見て卜二ーは何やらショックを受けたような顔をしていた。
「……おいMr.ツェイク●ピア、一体何をやってるんだ」
「あぁ良かった、卜二ー、ス〒ィ一ブ。彼を止めてくれないか」
「…博士、すまないがぼくにはいまいち状況が…」
「大したことではない。彼の身体を調べているだけだ」
「だから紋章なんてないって…」
眉間に皺を寄せて難しい表情になってしまったス〒ィ一ブを他所に、ンーを説得できない僕は
ほとほと困り果てていた。そこでようやく卜二ーが口を開く。
「調べるだって?それはボクがやろうと思ってたのに!」
「へ?」
まさかの発言に変な声が出た。
「ス夕一ク・夕ワーで一緒に研究をしながら、ストレスレスな環境でじっくりと
彼の身体の調査をする予定なのに…何でキミに先を越されなきゃならないんだ」
「え、あの……卜二ー、僕はそんなこと聞いてないぞ?」
「これから言うつもりだったんだ。とにかく、花゙ー博士を放せ神様。キミが気になることも調べておいてやるから」
「む…そうか。すまなかったな花゙ー」
根は素直らしい雷神は卜二ーの提案に応じて大人しく手を引っ込めてくれた。
僕は恥ずかしいやらほっとしたやらで少し顔を赤くしながらシャツのボタンを留めていく。
そんな僕を気遣うような視線をス〒ィ一ブが向けてくれていたが、横からぬっと出てきた身体に遮られた。
「ん?」
「お前も特殊な身体だと聞いたがどうなっているんだ?お前もガンマ線とやらか?」
「いや、ぼくは……おい、止せ!何を…!?」
ス〒ィ一ブの声から察するに、今度は彼をひん剥こうとしているらしい。とりあえず僕は大きく深呼吸をして心拍数を落ち着かせることに専念した。
「何だ何だ?神様は男に興味がお有りなのかな。ボクも脱がされなきゃいけない?」
「いや、お前の強さはあの鎧によるものだとわかっているからな。必要ないぞ」
「……それはそれで何だか複雑な気分だ」
「っ、ス夕一ク!冗談言ってないで彼を止めてくれ!」
「んー…キミ達古風な者同士案外気が合いそうだし、付き合ってあげたら?キャプテン」
「心配するな。取って食ったりはせん」
「…そういう問題じゃないだろう……!あ、おい!シャツを引っ張るな!」
三人のやり取りを見ていると、まるで大きな犬にじゃれつかれた飼い主とそれを見ている知り合い、という構図が浮かんできて
何だかおかしくなってくる。気が付くと随分久し振りに楽しくて笑っている自分がいた。
彼らはこんな僕でも必要としてくれる。それは素直に嬉しいことだ。僕だって人助けをしたい。
彼らと一緒なら羽目を外して巨大化するのも悪くないかもしれない…なんてことを考えながら、
なかなか終わりそうにない三人の愉快な言い争いをしばらく眺めていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>136 うおおおなんというお花畑……!
みんなかわいいです和気あいあいヒーローさん達たまらんです
ありがとうありがとう
>>129 ありがとん!
外痔は地上波でほとんどこのやり口放送してたよねw
ゆりりんにおまえナニさせてたよ住本ざまあwwwとオモタのに
読み応えありすぎて誕生日のクマーがかわいそ過ぎて…
盗聴班ぜったい勃ってるだろ…当たりw
倉田かわゆすううう
(あの性格だから自分でしこるのも屈辱でモンモンとしてそう)
139 :
秘密 1/3:2012/09/13(木) 00:30:44.28 ID:jpVyRL/80
モブサイコ100 弟子と師匠
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )テルサン ドウナッテシマウノンー
最近、毎日が充実している。
学校は楽しいし、部活の先輩たちも優しい。
バイトはたまに師匠が突然呼びつけたりするけれど、たいした問題もなく、
おやつを買ってくれたり、悩みを聞いてくれたり自給の安さにも納得いくぐらいのゆるさだ。
なのに、時々薄い氷の上にいるような緊張感を持つことがある。
きっと以前から薄々気付いていたことが、最近になって確信を持ってしまったからだ。
……師匠は、なんの超能力ももっていない、普通の人だ。
僕にとってはそんなことたいした問題じゃないんだけど…
能力なんか無くったって師匠はいつも僕を導いてくれている。迷ったときは
「最後に決めるのはお前自身だぞ」って言いながら問題を整理してメリットとデメリットを
示してくれる。
「究極に空気が読めない」僕にとって、その現状把握能力は超能力なんかよりも
ずっと必要なものなんじゃないかと思う。
だけど、多分師匠にとっては違う。こんな詐欺まがいの商売をしているわりに
妙に誠実なところのある人だから、僕が気付いていることを知ったらフラッと
出て行ってもう帰って来ない気がする。
いつか、誰かに訴えられて捕まっても僕を共犯者にしない為に。
140 :
秘密 2/3:2012/09/13(木) 00:32:22.22 ID:jpVyRL/80
まずいなぁ。
どうもアイツ、俺が無能力者だって気付いてる気がする。
どうしたもんかな。
最初の予定では、バレたらとっととズラかるつもりだったんだが、あいつなんも
言ってこないからなぁ…
ヘマするつもりもないが、まだ中学生のあいつの将来を思うとやばいことになる前に
居なくなったほうがいいとは思う。
思う、ん、だが…。あいつの生きにくそうな不器用な性格を見ていると、
もうしばらくはそばに居てなにかあったときの相談相手ぐらいにはなってやりたいとも
思ってしまう。
いや、違うな…
あいつがどうこうというより、俺があいつを手放したくないんだ。
実際あんな無邪気に自分を慕ってくれる相手なんて、そうそういないだろう。
あの無表情な朴念仁が偶に俺と目があったときに「師匠」なんて言いながら、
顔をほころばせるのを見るとなんというか……なんなんだろうな、この感情。
父性本能ってやつだろうか。
んー。ま、しょうがない。今まで以上に慎重に、バレないようにやっていくか。
客に対してもだけど、あいつに対してもバレてる事を気付いてることに気付かれないように。
そうしときゃ、万が一訴えられることがあっても、あいつも騙されてた被害者で通るだろ。
…多分。
141 :
秘密 3/3:2012/09/13(木) 00:34:04.23 ID:jpVyRL/80
…でも師匠が訴えられる可能性は実際のところ限りなく薄いと思う。
だって常連のお客さんたちは皆、師匠のこと「変な人だけど腕のいい整体士」だと思ってるし、
本当にヤバいのが来たら僕が払うから、そもそも詐欺になっていない。
僕の師匠はいろいろ有能なのに、そういうところが抜けていてとてもかわいい。
言ったらきっと怒るから言わないけど。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )エクボサマ ドウナッテシモタンー
>>141 お互いに思いやる師弟素敵ですーー!!!
オリジナル触手もの
無駄に長いので2回に分けて投下します。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ウィリウスは霞のかかった頭をめぐらし、必死で考えをまとめようとしていた。
教団の司教を名乗る男が彼の前に跪いている。ウィルは両脇を信徒に抱えられ
半ば強制的にその場に立たされている。ひどく疲れているせいだろうか、体に力が入らない。
そんなウィルに向って、司教は唐突に話しをきり出した。
「我らが『神』の贄となり、お力をお貸し願いたい」
まるで状況が飲み込めない。問い返そうとするが、言葉が思うようにうかばない。何かがおかしい。
「お体を損なわれる事はございません、本当はこのような無礼を働くべきではなかったのですが…。
急がなければ。お前達、ウィリウス殿を『神』の御元にお運びしろ」
司教の口調が厳しくなる。立ち上がり、振り返りもせずに暗い廊下へと歩みだす。
命令に応じて信徒達がウィルを運び出す。包帯を巻かれたばかりのわき腹の傷が痛んだ。
それはこの教団で施された手当てであった。
『神の御前にあって全てのものは等しく同じ、癒されるべき人に分け隔てがなされることはございません』
敗残兵として流れ込んできたウィルを、教団は優しく迎え入れた。傷を手当てし、食事を振る舞い、宿の提供まで
申し出てくれたのである。それをありがたく受けたのは、ほんの数時間前の事であった。
そして今、ウィルは引きずられながら長い回廊を歩かされている。先を行く司教は前を見つめたまま
ウィルに事の次第を話し始めた。
いきなり規制?
もし無理そうなら避難所の投下代行でお願いするよろし
すみません、規制に引っかかって難航してますorz
「我々はこの地に古くから御座す『神』にお仕えする集団。神のご意思を尊び
そのお心のままに人々を助け、傷ついた者を癒すことを旨としてまいりました」
「人の手で癒せる傷であれば、我らが手当てを行う。そして手におえぬ者たちは
…神の御手に委ねられる。ウィリウス殿は幸い、軽傷であられた」
一瞬振り返り、ちらりとウィルを見る。ウィルは多少のきまりの悪さを感じた。
それが顔に表れたのだろうか、司教はわずかに微笑むと言葉を続けた。
「我々にとっても幸いなことにございます。神は今、お疲れになられている。
手助けを必要とされている。…本来ならば、近隣の村から壮健な者を募るのが
慣わしでございます。しかし戦が長引き、神の求める健やかなる若者は軒並み
徴兵されてしまっている」
その部分だけは理解できた。ウィルもまた徴兵を受け、遠く故郷を離れての進軍を
余儀なくされた者の一人であったのだ。
一向は大聖堂に入り、その最奥にある小さな扉へとたどり着いた。
ウィルは一旦、床へと下ろされた。周りをよく見ようとするのだが
なかなか体の自由がきかない。少しずつ司教の言葉が頭の中でつながり
意味を成してきた。
(にえ。神の手助け。まさか生贄になれということなんだろうか?
…しかも、私が軽傷で幸いだと。壮健な者が必要だと…)
146 :
癒しの御手:2012/09/16(日) 15:38:44.78 ID:gyliFb560
規制&PC不良で、一旦中断します。前半13までは避難所に置いてきました。
>>144 誘導ありがとうございます。
147 :
癒しの御手 3/13:2012/09/16(日) 16:35:19.76 ID:1VPxJXjj0
扉が開かれた。そこは3メートル四方程度だろうか、何もないがらんとした部屋になっている。
照明はない。しかし部屋の中にはほのかに光りが射し、奥に行くほど明るさを増して石作りの壁に陰影を映し出している。
部屋の奥、一人寝のベッドの幅ほどの部分が奈落になっていた。その下から光が射している。
その手前に、ウィルは丁重に横たえられた。薄い夜着を通して冷たい床の感触が伝わってくる。
「それでは、ウィリウス殿。よくよく神をお慰めし…」
「ちょっとまって!」
やっとの思いでウィルは言葉をしぼり出した。今では恐ろしい疑問が心に渦巻いていた。
ウィルは一人で小部屋に寝かされている。信徒達は外に出て、扉を閉めようとしている。
その前に、どうしても聞いておきたい事があった。
(「私は…捕まったのですか?最初からそのつもりで、助ける振りをして…」
「恐れながら。お食事に薬を混ぜさせていただきました。我々にはどうしても、ウィリウス殿の
ような方が必要だったのです。健康で、体力もある健やかな若者が」
「…私は殺されるのですか?それとも一生、閉じ込められて…」
「そのようなことは決してございません。ただ、時間をかけて説明いたす暇のない以上
これより他に方法がございませんでした。ウィリウス殿。何卒神のため、神の御力を必要とする
全ての者たちのために、御身をもって神をお慰め申し上げいただきたい」
司教は再び跪き、恭しく頭を下げた。その姿を隠すように小部屋の扉が閉じられる。
ウィルは想像のつかない恐怖と共に、一人小部屋に取り残された。
やがて、彼らの『神』と呼ぶものが、奈落から姿を現した。
148 :
癒しの御手 4/13:2012/09/16(日) 16:36:07.67 ID:1VPxJXjj0
その姿を見て、ウィルは顔色を失った。
二本の長い縄のようなものが奈落から這い上がってきたのだ。
乳白色に輝くそれらは優に一握りはあるだろうか。伸縮を繰り返しながらずるり、ずるりと
ウィルに向ってにじり寄って来る。這いずった後にはそれの持つ粘液なのか、ぬらぬらとした
跡が残っている。
「なに…いやだ…」
ウィルは逃げようともがいた。だか、司教の言った薬のせいなのか、深い眠りから無理に
叩き起こされたような体はいうことをきかず爪先だけが力なく床を引っかく。
それはゆっくりと体に巻きついた。生暖かい粘液が肌に絡みつく。伸びきった表面は滑らかで
柔らかい。しかし恐ろしいほどに力強く、ウィルの体を難なく絡め取ると奈落の底へと運び入れる。
そこには神の本体とも言えるものが鎮座していた。
『神は』異様な姿をしていた。地下に開いた巨大な花のように、四方八方に乳白色の腕を伸ばし
ざわざわと蠢き燐光を放っている。顔や胴といった、いわゆる生き物らしい部分は見当たらない。
(…これが神?触手の化け物じゃないか)
恐怖に嫌悪の気持ちが入り混じる。なすすべもなく吊り上げられ、ウィルは本体に向って
運ばれてゆく。他の触手たちがウィルに気付いたように一斉に、その体を目指して伸び上がってくる。
149 :
癒しの御手 5/13:2012/09/16(日) 16:36:47.00 ID:1VPxJXjj0
「やめ…ろ、放せ!」
所詮は無駄な抵抗だった。言葉が届くはずもない。触手は無遠慮にウィルの体に巻きついた。
夜着の袖を払い、両腕を這い回り、指先まで絡みつき一まとめに縛める。前腕に負った傷に粘液が
塗りつけられ、ちりちりと痛んだ。
さらにもう一本。足元から縋り、巻きつきながら夜着の裾を割って進んでくる。しなやかに伸び
縮むと瘤が連なるように表面が波打ち、そこから一層身を伸ばしウィルの鼠径部に巻きつこうとする。
触手の動きに合わせ、重く湿った粘液の音がべしゃり、と響く。
限界だった。激しい嫌悪にまかせウィルは力の限り暴れた。かろうじて動く片足を振り回し
脚に絡む触手を蹴りつけようとする。つま先が触手に触れた。その表面に親指の爪を立て
力を込め引っ掻きおろす。
触手の動きが急変した。それまでの緩慢な収縮をやめ、一気にウィルの体を締め上げる。
脚に巻きついた触手はするりとウィルの男根に巻きつき、根元を締め付けるととたんに強張り
滑りもせずに力任せにねじ上げた。
「ひっ…ぎゃあああぁぁぁーーーっ」
ウィルは仰け反って絶叫した。敏感な部分を強く捻られ、痛みのあまり目の前が真っ白になる。
体の力が抜ける、しかし触手は蹂躙を止めようとはしない。両腕は頭の後ろに縛り上げられ
脚は新たな触手に押し広げられウィルの股間を無防備にさらけ出す。苦痛なほどに広げられた脚から
さらに腰へ、胸へと触手が這い進んでゆく。もう一度、男根を締める触手が大きくうねった。
「ぐあぁ…ああぁー…」
炸裂する痛みに気が遠くなる。もはや抵抗する気力もなかった。痛みに目を見開き、
大きく口を開けて浅い息を繰り返す。目の前の景色が揺らぎ、一瞬、意識が暗闇に落ちかける。
やがて、触手の動きが収まった。
ウィルは動こうともしない。涙が流れているのがわかった。暴れたためか包帯が解け
傷の上にも直接触手が取り巻いている。男根の触手は力を弱め、それをやわやわと撫でている。
しかし、痛みも快感もウィルには感じられなかった。ただ、激痛の余韻に身を震わせているだけであった。
涙を追うように、一本の触手が顔に張り付いてきた。先端を器用に窄ませながら目の周りを舐める。
薄く開いた唇をこじ開け、別の触手が侵入してくる。にじむ冷や汗が粘液と絡みあう
どこか淫靡な音が地下室に鳴り響いた。
胴を巻く一本の触手が離れ、腰骨を一撫でしてその奥へ、尻肉の間へと滑り降りる。
しばし先端で吸い付き、つつき廻したあと、探り当てた後孔をゆっくりと捏ねるように動く。
『御身をもって神をお慰め申し上げいただきたい』
司教の言葉をぼんやりと思い出す。たしかにこれでは、言葉通りの慰み者だ―
最後に一つ、陰部をぬるりと撫で、触手は硬く閉じた孔をこじ開け始める。
「んん…」
背筋に走る悪寒と新たな痛みに、ウィルはあっさりと意識を手放した。
「…気付かれましたか」
うっすらと目を開けたウィルの頭上に、穏やかな声が注がれた。
左手首に暖かなものが巻きついている。その瞬間、生暖かな触手の感触を思い出し
ウィルは飛び起きた。
緊張に身を固めながら回りを見回す。しかしそこは薄暗い地下室ではなかった。司教ほか
数人の信徒が彼を見つめている。左脇には、傷を手当てしてくれた教団付きの医者が座っている。
さっきのぬくもりは、脈を取る手だったのだろうか。
ウィルは清潔なベッドの上に寝かされていた。夜着は新しいものに着替えさせられ、触手との
接触などなかったかのように彼はこざっぱりとした姿に整えられていた。
「呼吸、脈拍、お顔の色も問題なし。少し休まれればすぐにお気力も回復されるでしょう」
医師はウィルの驚きなど意に介する様子もなく司教に見立てを述べている。
司教は一つ頷くと、ウィルの前に進み出た。
「ウィリウス殿。まずはお礼を申し上げねばなりません。昨夜の事、神はことのほか
お喜びのご様子であられました。」
深く頭を下げる。あっけに取られているウィルに対し、さらに司教は言葉を続ける。
「ごゆっくり、お休みくださいませ。しかる後に故郷に戻れますよう、手はずを整えましょう。
あるいはもし、幸いにも続けてお力添えを願えますのでしたら…」
「待ってくれ!」
叫び声は悲鳴に近かった。言いたいことは山ほどある、しかしありすぎて逆に言葉を選べない。
ウィルは必死で呼吸をととのえた。司教の目をまっすぐに見返しながら、なんとか探り当てた言葉を放つ。
「あれが『神』なのか?」
誰も答えない。
「あんなものが神なのか、あんな触手の塊が人を癒す!?じゃあ、私は…昨日のあれは…一体…」
それ以上は言えなかった。地下室での出来事がまざまざと思い出される。生暖かい触手の
滴る粘液の響き、肌を這う感触…
壁に背を押し付け、身をかがめてウィルは黙り込んだ。その肩がかすかに震えている。
直接は答えず、司教は震えるウィルの肩に手を乗せると、そっとわき腹を指差した。
「ウィリウス殿。ご自身の目でお確かめください」
そう言われ、ウィルはおずおずと夜着を捲り傷を探す。
傷は治っていた。昨日は確かに血が滲んでいた所が、今は古傷のようにうっすらと白く浮かんで
いるだけである。慌てて袖をまくってみると、前腕の小さな傷は跡形もなく消え去っている。
呆然とした顔で司教と傷跡を交互に見つめるウィルに向って、司教はゆっくりと言葉をかけた。
「これが神の御業なのです」
数日後。ウィルはまだ教団を離れられずにいた。
医師の見立ては間違ってはいなかった。一日もすると体の疲れも取れ、自由に動き回れる様にまで
彼は回復していた。信徒達が留めだてしたわけでもなかった。彼らは常に一人以上ウィルの側にいたが
行動を制限するようなことはなく、専ら身の回りの世話に専念していた。ウィルが頼めば
すぐに水や書物を用意してくれる。頼めば、教団内外の事情について丁寧に教えてくれる。
おそらくウィルが頼めば、帰郷の用意もしてもらえただろう。だがそれを教団側から提案されることはないと
彼にはわかっていた。
教団はウィルを、必要ならば再び神への捧げ物にしようと考えている。それはあの日、呆然と傷跡を見るウィルを見つめる、司教の眼差しが雄弁に語っていた。
ここに留まる以上、ウィルはそれに従うということになる。
彼の触手への嫌悪感は、決して消えてはいなかった。
それでいて彼は、ここを離れる決意が出来ずにいる。
ウィルの気持ちを迷わせているものは、一つはわき腹の傷跡だった。一見古傷のような白い傷跡が
動かしようのない事実として体と記憶に刻み付けられている。
そして、もう一つ。ウィル自身があまり認めたくない後ろめたさ。
思いは複雑に絡み合い、ウィルの足をこの場所に押し留めていた。
さらに十日も過ぎた頃だろうか。昼過ぎから振り出した雨は夕刻には嵐になり、雨粒が激しく
窓を叩いている。ウィルはその音を一人で聞いていた。常に側に控えていた信徒の姿もない。
夜更け頃から教団の動きが慌しくなっていた。聞けば、近くで戦いが行われたらしい。
負傷したものが次々と運び込まれてくる。医師が忙しく走り回り、矢継ぎ早に出される指示に
信徒達が機敏に対応する。手伝いを申し出たウィルだったが、司教がそれを断った。
「この様子では今一度、ウィリウス殿のお力をお借りすることになりましょう。
それまでどうか、お体を休めください」
その言葉の意味するところを、ウィルは正確に理解していた。
(考えよう…)
他には誰一人いない。雨音が心の雑念を追い払ってくれる。ウィルの気持ちはいつしか
かつての戦場へと引き戻されていた。
同じ部隊にいたのは、彼と同じような身の上の者ばかりであった。
名はなんといっただろう。漁師がいた。小間物屋のせがれだという者もいた。
ウィルより歳の若い者も、妻の髪を一房、懐に入れている者もいた。いずれも
本来の兵士ではない、徴兵されてきた者ばかりだった。
今、運び込まれている兵士達もまた、同じような身の上なのだろうか。慣れない戦いの場に
放り込まれ、嵐に紛れた奇襲に追い詰められ傷を負い、倒れ運び込まれているのか…
雨は止まないまま、外は朝を迎えていた。ウィルはそれにも気付かず、答えの見えない考えを
めぐらし続けていた。
戸の外から声をかけられたのはその日の夜深く、じきに空も白みかけようかという頃であった。
いつの間にか雨は止んでいた。
「ウィリウス殿。お休みのところを失礼いたします。」
返事を待たずに戸が開けられる。姿を現したのは司教ただ一人。あの日と同じように恭しく膝を付く。
「我らが『神』の贄となり、お力をお貸し願いたい」
深く下げられた額に向かい、ウィルが答える。
「わかりました。…ただ、お話したいことがあるのですが」
「道々でよろしければ。ご同行いただけますか?」
「はい」
あの日とは違い、ウィルはしっかりと自分の足で部屋を出て廊下を歩き始めた。
もう一つ、あの日と違うことがあった。前回は返事も返せないウィルに対し、一方的に司教が
語りかけていた。今回は逆である。ウィルは、前を行く司教に向かい訥々と自分の心境を打ち明けていた。
「…私は、戦場から逃げ出してきました」
出来る限り率直に、胸のうちを伝える。言葉を飾る必要は感じなかった。
「怖かったのです。戦うことが…目の前で、人が死ぬことに耐えられなかった」
「無理からぬことにございます」
顔を向けることもなく司教が答える。
「お見受けしたところ、ウィリウス殿は本来の兵士ではないご様子」
「はい。粉引き屋の三男坊でした。ただ体力があるからという理由だけで徴兵さて
前線に放り込まれました」
sien?
暗い廊下に二人の足音が響く。
「本当に嫌でした。誰の為かもわからないまま戦って死ぬなんて。いつか逃げ出してやろう
それだけを考えていた…本当に、自分が助かることだけを考えていました」
廊下は外廊下となり、大聖堂へと続く。二人はその中へ入っていった。
大聖堂の中は人で埋め尽くされていた。誰もが大きな傷を負っているように見える、だが苦しそうな
表情は見受けられない。ただ深く、規則正しい呼吸を繰り返している。
見知ったものはいないか―それと気付かないまま、ウィルは足を止めていた。気配に気付いた司教が戻ってきて、ウィルに声をかける。
「眠っているのですよ、皆。神はご自身のお姿を人に見られることを嫌っておられます。
だから地下にお住まいになられたと言い伝えられている。そのため、神の癒しを受けるものは皆
薬を飲んで眠ってから御元に向うのです。あの時のあなたと同じように」
ウィルは息を飲んだ。爪が掌に食い込むほど強く手を握り締めている。
「…私は眠ってなかった。なのに何故、傷を治されたのでしょうか。大体、なんで私なんかが
気に入られたのですか?私は…ただ逃げ出しただけの臆病者です」
司教は何も答えない。
大聖堂の最奥、小さな扉へと辿り着いた。信徒達は皆、怪我人の手当てに走り回っている。
二人で小さな扉を開き、ウィルが中へと足を踏み入れる。
「私は逃げるとき、誰かを助けようなんて考えられなかった。今はその気持ちを埋め合わせる為だけに
人助けをしているつもりになっているだけなのかもしれません。…そんな気持ちで、神の元に行っても良いのでしょうか?」
「ウィリウス殿」
二人は扉を挟み、向かい合って立っている。司教が表情を和らげた。初めて見せる、慈愛のこもった瞳で
ウィルを見つめる。
「神の御前にあって全てのものは等しく同じ。癒されるべき『傷』に分け隔てがなされることは
ございません。恐れ多き事ながら、それこそが神の真意かと」
ウィルはゆっくりと夜着を脱ぐ。放り投げようとしたそれを司教が受け取った。
そのまま背を向けて、奈落の淵に立つ。司教が跪いたのか、背後で衣擦れの音が聞こえた。
扉が閉じられる。ウィルは一人、神が現れるのを待った。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
代行者ですが、やはり時間がかかってしまいました。
途中までageてしまってすみません。
向こうは「癒しの手」となっていましたが、「癒しの御手」でよかったのかな。
>>156 気が付かなかった。
支援ありがとうございました。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )サイカイ シマース!
しかし神の様子は前回とは明らかに違っていた。伸びてきた二本の触手に力はなく、ウィルを
支えようとして落としてしまう。ウィルは二本の触手でできたスロープを転がり落ちるように
滑り、したたかに床に背中をぶつけた。呻きながら身を起こし、辺りの様子を確認する。
伸びた二本の触手はそのまま床の上に横たわっていた。わずかに脈打つだけで、自力で戻って
こようとはしない。そして本体とも呼ぶべき部分は明らかに一周り以上、小さくなっていた。
動きも弱く、燐光は消えかかり地下はほぼ暗闇で覆われている。
ウィルはそっと、本体に向って歩き始めた。
弱弱しい触手が、その足に絡まろうとする。試しに足を引いてみると、触手は簡単に離れて
床の上に落ちる。
少しためらった後、ウィルは触手をかき分け、押しつぶさないように注意を払いながら
床の上に座り込んだ。
その大腿に触手が這い登ってくる。懸命に収縮を繰り返し、少しずつ上へと進む。やがて
その一部がウィルの中心にたどり着き、羽のような愛撫を始めた。陰部を撫上げる触手がある。
尾てい骨から男根の根元まで、窄めた先端で吸い付きながら何度も往復し、滴る粘液を擦り付ける。
ぺちゃり、ぺちゃりという音が響くたび、ウィルの下半身に甘い疼きが広がってゆく。
いつの間にか手を後ろに付き、膝を開いて自ら腰を突き出すような姿勢に変わっていた。
その腰から鼠径部へと触手が伸びる。その動きの弱さに焦らされ、思わず声が漏れる。
「…は…ぁ…」
あれだけ恐れていたはずなのに。猛々しさを失った触手に対して、ウィルは嫌悪感を忘れ始めていた。
ようやく一本の触手が男根へと絡みついた。くるりとそれに巻きつくとゆっくりと上下に動き始める。
先端が解け、鈴口から裏筋を繰り返し撫でつけ、再び亀頭部に絡みつき、尿道口を巻き込み
ずるりと収縮する。
「んあぁ…はぁ…」
(なんだか自慰をしているみたいだ)
後半を避難所に置いてきました。あとナンバリングを○/6に変更します。
代行いただいた方、ありがとうございます。
私の不手際でぐだぐだしてしまってすみませんorz
お目汚し失礼しました。
>>163 どどんまい
触手スレの書き込みからかな?萌えたよー
当たっているかもしれない、その考えは。苦笑いをかみ殺しながら、ウィルは横たわる触手のうち
一本を手繰り寄せる。前回はどうしたんだろう。考えて、それに軽く唇を触れ…思い切って先端を
口に含んでみる。奇妙な感触だった。触手は器用に動き回り、舌を絡め先端まで吸い上げる。
歯列をなぞり、口内に吸い付きながら粘膜をこすりつける。粘液と唾液の絡まる音がくちゅくちゅと
直接、頭に響く。飲みきれない唾液が一筋、こぼれて顎まで伝った。
口を触手に犯されるままに任せると、もう一本を手繰り寄せ、両手で優しく撫で始めた。
その弾力と暖かさを確かめるようにしっかりと指を絡ませ、揉みしだき、粘液のぬめりを借りて
手を上下に大きく移動させる。
ウィルの下半身はいっそうの熱を帯びてきた。男根は半ば立ち上がり、透明な先走りの体液が
滲み出している。それを受け止めるように、触手はさらに力を増し鈴口を数回擦る。男の本能に
忠実な快楽に、背を反らせて耐える。後孔を嬲る触手も徐々に力を取り戻してきていた。
ただ漫然と撫でていただけの触手が意思を得たように後孔を責めたてる。閉じられた孔の
皺の一本づつを舐めるように這い回る。先端をわずかにめり込ませ、ウィルの体が強張ったとたんに離れ
硬く張った会陰に場所を移し縮んで瘤のできた表面を擦り付ける。
咥えた触手に声を封じられたまま、ウィルはゆっくりと、確実に絶頂に向って追い上げられている。
手に抱いた触手を胸に押し付け、彼自身のもののように握り締めながら後孔への刺激に
慣れようと息を整える。
口の触手がぬるりと這い出した。涎を伝い、先端で首筋に吸い付きながら身をくねらせて胸に張り付く。
つんと硬くなった乳首に身を摺り寄せ、収縮して強く揉み、転がすようにくねりながら下へと移動する。
ウィルに密着したまま大きく波打ち、下腹部へ、鼠径部へと這い降り、先端は吸い付いたまま乳首へと
移り軽く捏ね、強く吸い上げる。くすぐったさの中に、体の芯に響く疼きが混ざっていた。
「んぁっ!…あぁ…はぁ…あ……あっ」
ウィルは触手の感触に身を委ね、知らず知らずのうちに腰を動かしていた。男根の触手は
敏感な先端の括れを優しく揉みこんでくる。そのまま果てそうになるのを抑えながら、触手が
次の行動に出るのを待つ。
胸の触手がするりと滑り落ちる。そのまま内股まで降り、腿に巻きつきながら先端を双丘の間に
滑り込ませる。少しでも楽な姿勢で受け入れようと、ウィルは膝に重心を移して腰を上げた。
少し考え、手の触手を離して両手を床につく。大きく息を吐き、体の力を抜く。
唾液と混ざり合った粘膜が孔に押し当てられる。一瞬、肩に力が入った。手から離した触手が
肩をつたい口元に現れる。ウィルはためらいもせずそれを口に含む。そちらに意識を集中させ
後孔の違和感を忘れようとする。
ゆっくりと、孔が開かれた。
「ふぅ…ん…んぅ…っ」
入ってくる。普段、意識することもない内側の粘膜を押し開きながら、触手がゆっくりと伸縮を
繰り返し入ってくる。慣らされていたせいか、痛みはなかった。ただ経験したことのない異物感に
体が震え、膝が崩れそうになる。その腰を他の触手が支える。そのうちの一本がわき腹の傷跡に伸びた。
確認するように一撫でし、背中を這い耳元へ進む。耳朶を愛撫し、吸い上げるぴちゃぴちゃという音が
大きく聞こえる。音に犯される感触にウィルの心は強張りを解いてゆく。
「うぅん…ふぅ…んっ!むうぅぅっ…ふっぁ」
孔の触手が一旦下がり、再度奥へと進む。それが繰り返され、次第に動きが早くなる。
搾り出された粘液がウィルの内股をつたう。浅い息を繰り返し、腕を震わせながらウィルは全身に
触手の暖かな愛撫を感じていた。違和感は次第に消えてゆき、擦りあわされる粘膜が熱をおびて
違う感覚へと変わり始める。それに応じるかのように男根が激しく擦りあげられる。
喘ぎに細く、声高い嬌声が混ざる。
じりじりと焦らされた末に、ウィルは鼓膜がしびれるほどの勢いで白濁した精を発した。
ポタポタと床に落ちる精を、触手たちが掬い取る。うつろな瞳でそれを見つめながら
ウィルはゆっくりと崩れ落ちる。その体を触手が抱き上げ、その中に沈めるように覆いこみ
全身をなぞる。姿勢を変えられる瞬間、孔の触手がよじれ、粘膜に新しい刺激が走った
鈍痛にも似た快感が再び体の中心へと集まりだす。
暖かい触手の海に抱かれながら、ウィルは涙を流していた。痛みでもない。後悔でもない。
ただ訳もなく涙が流れ出す。
(これも神の癒しなんだろうか…)
漠然と考えるウィルの涙をおって、一本の触手が這い上がってきた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>37 ものすごい遅レスですがこの2人のシリーズめちゃくちゃツボです…好きすぎる
同人誌で欲しい!
半生。洋画「戦艦」主人公受け※エロあり・殺し描写注意
エイリアンが怨霊化してるので本編にない能力とかあります
あとバッドエンドなので苦手な方はスルーお願いします
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
最近よく夢を見る。良くない夢だ。あれから一月半は経ったが結構引きずってるらしい。
初めは兄貴が死んだ瞬間を何度も繰り返す夢だった。いくら助けようと思っても
オレは遠く離れた海の上で、止めろと声が嗄れるまで叫んでも届かない。
スコープに映るス卜一ソの目を見開いた表情がいつまでも焼き付いた。自分の無力さが悔しくて、
悲しみに引き裂かれそうで、絶叫する声で目を覚ます日もあったほどだ。
だが不思議なことに、その夢は夜を重ねる度に変化していく。ある日の夢では
オレとス卜一ソが同じ場所にいて、目の前でエイリアンが兄貴を殺す夢になっていた。
ス卜一ソはヤツらの攻撃で駆逐艦や乗員達と共に海に散ったはずなのに。
しかし結末を変えられないのは同じだった。少しずつ状況は兄貴を助けられそうに変わっていくのに、
それを嘲笑うようにヤツは頭を撃ち抜いたり、首を掻き切ったり、ありとあらゆる方法で何度もス卜一ソを殺した。
そしてその度にオレの方を見て勝ち誇ったような笑みを浮かべる。まるで明確に意思を持って行動していることを知らしめ、
そうすることでオレに耐え難い苦しみを与えているのだと言いたいように。
そのエイリアンはオレに自分達の母星のヴィジョンを見せた個体だった。そういえばあの時からずっと
コイツの残留思念のようなものがオレの中にへばり付いている感覚があった。何をしていても頭の片隅から
じっと見られているような不気味な感覚が、こうして夢を見る度に大きく膨らんでいっているような気がする。
今日もまた同じように、ヤツはオレの目の前でス卜一ソの胸を刺し貫いて殺した。動かなくなったス卜一ソを
放り投げるようにして腕を引き抜き、オレに向かって笑いかける。怒りで全身の血が沸騰しそうな激情に駆られ、
オレは握っていたハンドガンでヤツに何発もぶち込んでやった。ヤツの身体を覆う装甲に
銃弾を全て弾かれ、弾倉が空になってもまだ引鉄を引き続ける。
いつもならここでヤツが嘲笑いながらオレを殺し、そこで目が覚めるんだが今日の夢には続きがあった。
ヤツはこっちにゆっくり近付いて来ると、オレの首根っこを掴んで勢い良く壁に叩きつける。
かなりの衝撃に息を詰まらせたオレの眼を、ヤツはあの爬虫類のような造りの顔でじっと見つめてくる。
やがて人間と同じように眉間に皺を寄せ、口元を歪ませ、恨みと侮蔑が入り混じった表情を作った。
『よくも全部ぶち壊しにしてくれたな――下等な生命体のくせに――お前だけは許さん――』
「っ!?」
直接頭の中にヤツの言葉が響いた。ガーガーとノイズのようなものが混じっているがはっきりと聞き取れる。
「何で言葉が…?」
『同じ波長で話してやってるんだ――おれの身体は無くなったようだが、このままでは済まさんぞ――』
そう言ってオレを睨みつける。コイツら意識だけで独立して存在することもできるのか?
現在までの状況も全て把握しているようだし、まさかオレにヴィジョンを見せた時から
ずっとオレの中で生きてたんじゃないだろうな。オレの意識の中にいて、内側から何もかも見てた?
もし何らかの形で干渉することもできるとしたら、今見ているこれもただの夢じゃないんじゃ……?
「――っ放せ!」
一度でもそう疑うと全身に緊張が走り、オレは必死にもがいて逃れようとした。このままだと何をされるかわからない。
現実なら武器もあるし仲間もいる。逃げる場所だってある。だが意識の中となると話は別だ。
どう抵抗すればいい?精神攻撃から身を守る訓練なんて受けてないぞ…!
『こんな非力な肉体と精神しか持たないくせに――何故我々を倒すことができるんだ――この程度の文明レベルで――』
「ハッ!…っそうやって、舐めてかかるから負けたんだろ…!」
オレは強気に言い返しながらどこかに装備していたナイフを探す。腰の後ろ辺りでどうにかそれを掴んだが、
身体を押さえつけられているせいでなかなか抜くことができなかった。
『―――それは正しいかもしれん――』
考え込むようにヤツが少し視線を逸らした。その一瞬でナイフを引き抜き、ヤツの額に突き立ててやろうとした時だった。
「これでも喰ら――」
「なら我々の力をお前に見せてやろう――後悔させてやる」
そうオレに啖呵を切ったヤツの顔はヤツじゃなかった。顔だけがス卜一ソに変わっていた。
ス卜一ソの顔で、ス卜一ソの声で、ヤツはオレを威嚇する。違うとわかっているのにそれ以上手は動かなかった。
「っ……!!」
『――この程度でここまで動揺するくせに――笑わせる――!』
すぐに元の爬虫類顔に戻ると、ヤツは万能ナイフみたいな可変式の右手をガチャガチャと動かして
スタンガンのような形状に変える。その腕で殴るようにして俺の鳩尾に先端を押し当てた。
「ぐはっ!!」
殴られた衝撃と電気ショックが同時に襲い掛かる。想像したほどの痛みはなかったが、痙攣したような身体の震えが止まらない。
「っっ!く、ゔ…っ!!」
握っていたナイフを床に落とし、無防備になってしまったオレはしがみつくようにヤツの腕を掴んだ。
未だにオレを壁に貼り付けている左手を引き剥がそうとしたがさすがに無理だった。
「ん゙、っく、は…な、せっ…!!」
『お前は”海軍”とやらに所属しているな――痛みには慣れているようだが――こういう場合はどう対処する?』
意味深な笑みを浮かべ、ヤツは右手をまた少し変形させる。針が刺さるような
チクッとした痛みを感じたかと思うと、突然身体中に強烈な快感が走った。
「ぅうあ゙ぁ!!?」
一気に全身が熱を持って疼き始める。急激な変化に呼吸が追いつかない。
「っあ゙、は――ぁ…!?っ…な、これ……っ!?」
『人間は快楽というものに弱いのだろう――?』
「ひ、ぅ、っぁ、あ゙、あぁ゙っ…!!」
『お前はそう考えている――堕落していた頃にそれを実感していたな――』
頭の中は完全にパニックで、ヤツの言葉の半分も聞き取れない。息苦しさに顔を歪ませながらただガクガクと
身体を揺らすしかなかった。ふと内腿に何か温かいものが伝うのを感じ、
自分が勃起もしないうちに射精したらしいことに気付いて悲鳴を上げた。
「っゔぁ…!う、そ…だ……こん、な…!!」
『こんな電気刺激でここまで無力化するとは――ますます忌々しい――!』
「はっ、ぁ゙!―――っっぁあ゙っ!!」
ヤツが威力を上げたらしく、さっき以上の波が襲い掛かってくる。オレは身体を強張らせて目を見開いた。
「――かっは、ぁ、あ゙ぅっ!っぐ、ゔっ!!」
今度は強制的にそうさせられているのか、オレのモノははちきれんばかりに勃ち上がっていた。
かと思うとあっという間に熱を弾けさせてしまう。だが萎える暇もないほどに与えられる快感のせいで、
オレは短時間で何度も絶頂を迎えさせられた。その度に思考回路が焼き切られていくような感じがして気が狂いそうだった。
もう声すら出せない状態にまでオレを追い詰めると、ヤツはようやくスタンガン状の腕を押し当てるのを止めた。
「……っはぁっ!!げほっ、っあ゙、は……っ」
『―――無様だな――』
「ん゙ん…っ、う……っ、っ…」
ヤツがオレを壁に押し付けている腕に凭れ掛かるようにして必死に息をした。いつの間にか涎を垂らしていたことに気付いたが、
拭う気力すらなかった。何もできないオレを見て満足したのか、ヤツが首を掴んでいた左手を緩める。
だがオレが座り込む前にまた壁に押し付けられた。
「ゔぅ…っ」
『これで終わりだと思うな――』
そう吐き捨ててヤツがまた右手を変形させ、そこからデカいステープラーの針のようなものを発射して手首を固定する。
オレは床に膝を付き、両腕を開いて胸を張った格好で壁に縫い止められてしまった。少し腰を突き出すような
体勢でもあるせいで、痛いほど硬くなっている自分のモノが服で押さえ付けられて苦しかった。
「ぅぁ゙……!」
思わず顔を顰めたオレを見てニヤリと笑う。恥ずかしさと情けなさと悔しさでもう泣きたい。
だがヤツはそんな暇も与えてはくれないらしい。不意に焦げる匂いがして
服を焼き切られたことがわかると、次の瞬間にはツルッとした棒状のものが一気に後ろの穴に押し込まれる。
「ん゙ぁっっ!?」
経験したことのない圧迫感に思わず身体が跳ねた。どう考えてもあの右手を突っ込まれている。
まさか、中に入れたまま変形させる気じゃないよな…?
「っ…や、め―――」
『――もう少し奥か――?』
「うぐぅ…っ!!」
ヤツは容赦なく腕のツールを奥へと捻じ込んでいく。惨い殺され方をするんじゃないかという恐怖に身体が震えた。
何かを探っているような、無理やり中を広げられている感覚が気持ち悪いのもある。
『――――ここだ――』
その何かを見つけたらしいヤツが右手に力を込める。
オレが耐え切れず悲鳴を上げそうになった瞬間、内壁のある部分にバチンと凄まじい電気ショックが来た。
「ぃぎっ…!!?」
まるで車に撥ねられたような衝撃に完全に頭が真っ白になった。それと同時にオレのモノから勢いよく白濁が飛び散る。
どうやら前立腺に直接電気刺激を与えられているらしく、凄まじいほどの快感に身体の自由が利かなくなった。
「あぁあ゙!!っっ、ひゃ、やっ!あ、ぁ゙あっ!!」
オレは全身をガクガクと震わせる。自分の身体じゃないみたいに勝手に声が出るし、勝手にイキまくって止められない。
「ひぐっ、んぁ゙っ!!や、ぃや、いやだっ、やめっ…!!」
『面白いほどの反応だな――もう少し観察したい――』
「もぅやっ、ゔあぁあ゙あぁ!!」
小刻みに振動するような連続した刺激にオレは仰け反って泣き叫んだ。固定された腕を引きちぎりそうなくらいに
もがいても逃げられない。全身が焼かれているように熱くて、何度射精しても解放されない熱がどんどんオレをおかしくしていく。
もう悲鳴を上げることさえも苦しくて仕方がなかった。後ろの穴はバカになったみたいにヒクついて
中のツールを締め付ける。それが余計な快感を生んでまたイッてしまい、終わらない連鎖に底知れぬ恐怖が芽生え始める。
間違いなくオレは今拷問にかけられている。何かを答えれば終わるような尋問の延長なんかじゃなく、
純粋にオレを苦しませるためだけの暴力だ。屈しても終わらない。コイツの気が済むまでオレは嬲られ続ける――…
「あ゙、あ…っ、も、っ…出ない……っ、から」
『――何だ』
気付くとオレはヤツに懇願していた。
「んぅ゙…!っこれ、とめ……抜い、て、っ…も……死ぬ…っ!!」
泣き腫らして真っ赤になった眼でヤツを見上げ、唾液も飲み込めないほどにだらしなく開いた口でヤツに縋り付く。
事実上の敗北宣言だった。それを聞いたヤツは嘲るように目を細め、見下すように口角を上げる。
『―――いいだろう――これは止めてやる――』
「はぁっ、ぅあ、――っっ…!!」
ズルンと右手を引き抜かれた感覚にすら身体が揺れる。その後はもう放心状態でぐったりと項垂れていた。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
続きは明日投下に来ます。他の方がいらしたらどうぞ投下されてください。
おおーエロいよ!良いよ!元ネタ知らないけど、バッドエンド超期待してます
>>170です。続きいきます。
エロ・流血描写・バッドエンド注意。今回は兄×弟描写もあります
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
まさかこんなやり方で屈服させられるなんて。海の上でヤツらの船を撃墜した時の
喜びと達成感は完全に掻き消され、ズタズタにされた誇りと自尊心だけが残った。
そうやって塞ぎ込んでいたせいで、ヤツがその隙に何をしていたかを見ていなかった。
それを目の当たりにした時の衝撃と絶望感は一生忘れられないだろう。
『その代わり――こいつと遊ぶといい――』
ヤツの言葉に頭を上げる。そして自分が見ているものが信じられなかった。いや、信じたくなかった。
「………っ、ス卜一ソ…?」
少し前にヤツに殺されたはずのス卜一ソが目の前に立っていた。胸に大きな傷を作り、口元からぼたぼたと血を吐きながらそこにいた。
「荒ックス……」
喋る度にごぼごぼと血で喉を鳴らしながらゆっくりと歩み寄ってくる。
生き返った?そんなバカな。どうやって?あり得ない。
そこで唐突にここが現実じゃないことを思い出す。そうだ、夢なんだからどうとでもなるじゃないか。
このス卜一ソも所詮まやかしだ。偽者だ。ヤツがオレを苦しませるために見せてるただの幻想だ。
「…兄、貴……」
それでも、本物でないとしても、またス卜一ソと話せることが嬉しいと感じている自分がいる。
もう二度と会えないと思っていた、救えないと思っていた兄と。
さっきまでとは違う温度の涙が浮かぶのをどうしても抑えられなかった。だがそんな甘い考えは一瞬で叩き潰される。
「え…」
ス卜一ソはオレのすぐ側まで来ると、突然覆い被さるようにして抱きついてきた。そして血塗れの唇でオレの首筋や頬に
愛おしげなキスをする。未だ貼り付けられたままのオレはそれを拒むことも止めさせることもできない。
「っ…ス卜一ソ?何して…っ」
「…荒ックス…」
「……!?」
オレの言葉は耳に入らないのかス卜一ソはあちこちを手で弄ってくる。そんなつもりなんてないのに、昂ぶった身体は正直に反応してまたオレを苛んだ。
「っは…ぁ、ス卜一ソ……止めてくれっ…!」
『何故だ――兄に会いたかったんだろう――?』
「それ、は……んっ!あ、やっ…」
反論しようとした言葉をス卜一ソが服の上から乳首に歯を立てて遮った。思わず甘ったるい声を出したことが恥ずかしくて顔を背ける。
こんなの絶対まともじゃない。自分の兄貴に抱かれようとしてるなんてあり得ないのに、何でこんな……まるで悦んでるみたいに…
『嬉しいんだろう――?心の奥底で、こんな風に兄と繋がりたいと思っていたんじゃないのか――?』
「っ違う、そんな…オレは、っぁ、思ってない…っ!」
『――認めろ荒ックス・帆ッ派ー――お前は自分の家族に欲情するような卑しい人間だと――』
「違う!違うっ、っく……ス卜一ソ!兄貴っ、頼む…!!」
必死に首を振って拒絶しながらオレは何度も兄貴の名前を呼ぶ。もし意思があるのならこんなことすぐに止めてほしかった。
「こんなの嫌だ…っ!ス卜一ソを元に戻せ!オレの兄貴に、こんな真似させるな…っ!!」
オレは悔し涙を流しながらヤツに向かって叫んだ。これ以上はス卜一ソとの思い出を全部汚されるような気がして耐えられない。
もうオレの負けでいい。ここで殺されても構わない。だからオレの大事な兄貴を返してくれ。
「…っ頼むからっ…!」
『―――お前の願いなど聞くか――!!』
だがヤツは今までで一番憎しみに満ちた表情でオレを見た。その恐ろしいほどの威圧感に
息ができなくなった瞬間、ス卜一ソがオレの脚の間に腰を割り込ませて一気に貫いた。
「あ゙ぅっ!!」
物凄く熱い塊を捻じ込まれて思わず硬直する。大きく見開いたオレの瞳に、虚ろな目で血塗れになったス卜一ソだけが映る。
何で。どうして。
やっぱりオレはス卜一ソを救えない。それどころか、こんな風に彼を傷付けて侮辱した。
オレのせいなのか。オレがもっと早く自立してれば、兄貴を何度も失望させてなければ、こんなことにはならなかったのか?
何もかもオレが――…
「っ、っ……ス卜一、ソ」
「……おまえの、せいだ…」
「!!」
やっと口を開いたス卜一ソは零れる血の滴と共にそう言って、ムチャクチャにオレを揺さ振りだした。
「――っぐはっ!!っあ゙…!」
「お前は、惨めな…負け犬だ――自分でも…わかってるだろう?荒ックス――」
「やっ、あ、うあ゙っ!っ――ぐぅっ!」
「何もかも自分の手で…壊してしまう――どうしようもない、クズだ」
腰を突き上げながら、ス卜一ソと同じ顔、同じ声でオレを詰る。どこか聞き覚えのあるような、だが兄貴が言いそうにない台詞で。
それはオレの中にあるス卜一ソとの思い出を刺激して、オレの心をズタズタに引き裂いていく。
「っっ…!止め…それ以上、言う、なっ…!!」
「荒ックス――お前はどうしようもない人間だ」
「いやだ……やめてくれ…っ、やめ……っ」
「いつだって誰かを傷付ける――」
輝きを失った瞳がまっすぐにオレを射抜く。これがス卜一ソの本心?
確かにオレはそう見放されても仕方ない人間だった。彼が最期に見たのは
最終通牒を突き付けられたオレで、その後の成長を知ることなく死んでいった。
でも最期までオレを気にかけてくれていたじゃないか。何度も立ち直らせようとしてくれたのに、
それを無かったことにする気か?それこそ裏切りだ。
自分に対する諦めとス卜一ソへの信頼がせめぎ合う苦しさに、だんだん訳がわからなくなってきて涙がまた溢れてくる。
もう嫌だ。考えたくない。感じたくない。耳を塞げたらどんなに良いか。
「あ゙ぁっ!や、もぅいいっ、聞きたくなっ…ぅあ゙っ!!」
「だから俺は死んだんだ――お前のせいで――!』
「っ!!っも、止めてくれぇえ゙っっ!!」
激しく打ち付けられる兄貴のモノにオレはまたイかされた。同時に飛び出した絶叫がス卜一ソの声を掻き消す。
そのせいで途中から声が変わっていたことに気付けなかったが、もうどうでもよかった。
自分の兄貴に犯されたことのショックが大きすぎて嗚咽が止まらない。
心も身体もボロボロになるまで蹂躙された絶望は想像以上にオレを打ちのめした。
「…ゔっ…く、はぁっ、っもう………て、くれ…っ」
『何だ――何か言ったか』
乱れた呼吸で切れ切れになる言葉をヤツの声で聞き返してくる。結局はヤツがス卜一ソの身体を操っていたらしい。
だが今のオレにそんなことが理解できるはずもなく、ただ兄貴に頼むように同じ言葉を繰り返した。
「っ、許してくれ……ん、っ…苦し、よ……兄貴ぃ…」
『――――』
「……たすけて…ス卜一ソ…っ、も…オレやだ、ぁっ…!!」
ぐずる子供みたいに泣きながら兄貴に縋った。腕が自由なら本当に縋り付いてただろう。
それでもス卜一ソの表情は変わらなくて、気付けば傷口から溢れた血でオレの身体まで真っ赤に染まっていた。
あまりにも痛々しい姿を見ていられない。何で彼がこんな目に遭わなきゃいけないんだ。
ヤツは――いや、オレはス卜一ソをどれだけ傷付ければいい?大好きだった兄貴に、オレはこんなことしかしてやれないのか…?
「ぅ…っス卜一ソ……ス卜一ソっ、ス卜―――」
うわ言のように兄貴を呼ぶ声が急に出なくなる。オレは重なっていたス卜一ソの身体ごと、
上からヤツのあの変形する右手のブレードで刺し貫かれていた。
「っあ゙……」
『――逃がさんぞ―――永遠にここに閉じ込めて、何度でも殺してやる――!』
まるで呪いの言葉のようなノイズ混じりの声が頭の中に刻み込まれる。本当に、オレはコイツに殺されるんだ。
きっと楽には死なせてくれないんだろう。それこそ死んだ方がマシだと思いたくなるくらいに。
ヤツのトカゲのような鋭い眼に飲み込まれる――と思った瞬間、モニターの電源を消したようにプツンと意識が途切れた。
その日から現実のオレの身体は目を覚まさなくなった。意識だけが暗闇の中に取り込まれて戻れない。
そこでヤツに悍ましいやり方で何度も痛めつけられ、殺される。殺されても終わらない。ヤツが終わらせない。
これは悪夢なんかじゃない。地獄だ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
弟くんがエイリアンの船に弾かれたりエイリアンに何か見せられたりと
結構接触してたので、それが何か悪影響をもたらしたら…という妄想でした。
楽しんでもらえれば幸いです。
>>179 乙!!
映画で兄弟に萌えたし小説で根本的に人類と話が合わないエイリアンを知れた
それを踏まえて、読めて良かった。弟かわいいよ弟
オリジナル。バカップルSMごっこ、何かとイタイ2人です。受けビッチ注意
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「おかえ…うぉっ!?」
譲はドアを開けた途端、出迎えた青年を突きとばした。
突き飛ばされた青年―宏夢は悪びれる様子もなく、意味ありげに譲を見返す。
「会ったんだ?」
「あぁ、エントランスで見かけたよ」
宏夢は納得したように頷いた。あえて神経を逆なでする態度に、譲はさらにイラつかされる。
二人は恋人関係だった―少なくとも、譲はそう考えている。同じ部屋に住み、体を重ねる
関係が続いている。しかし2人の性格はまるで正反対だった。
大学卒業後、さっさと就職し期待の新人として目をかけられている譲に対して、宏夢は
留年を繰り返しても苦にする様子もなく遊び歩いていた。クラブに入り浸り、友人宅を
渡り歩いて疲れきると譲の部屋に戻ってくる。
譲は、宏夢の遊び癖をある程度は容認していた。女を―あるいは男でも、自己責任で抱く分には
見て見ぬ振りをしている。しかし、宏夢が他の男に抱かれるのだけはどうしても許せなかった。
先程エントランスで会ったのは、宏夢自身が『縁を切った』と言っていた、彼を抱く男だったのだ。
譲が働いている間、二人の部屋に男を引っ張り込み好き放題に楽しんでいた。そう考えるだけで
譲の心は冷たさを増してゆく。物も言わず、彼は宏夢を乱暴に床に突き倒した。
「…ったく、荒っぽいんだから、譲は」
転がされた宏夢は言葉こそ不満げなものの、むしろ事態を楽しんでいる表情に見える。
譲はできる限り冷静に言葉を続けた。
「荒っぽいのが嫌なら、人の言いつけ位守れよ。なんで俺らの部屋でよその男咥えこんでんだ?」
「僕だってたまには優しくされたいんだよ」
「それじゃ満足できないくせに」
「誰が仕込んだんだか」
悪びれた風もない答え。すぐにでも押し倒したい衝動を抑え、譲はネクタイを解いて宏夢に命じた。
「両手を出せ」
何かくれるの?と言わんばかりの表情で掌を広げて腕を伸ばす宏夢。その手首をネクタイで
緩く縛り、何も言わず譲は自分の寝室へ向った。クローゼットの一番下の引出から太い
バイブを取り出す。それを宏夢の掌に押し付けた。
「自分で入れろ」
「…いきなりは無理だよ」
「いきなりじゃないだろ。どうせさっきまでやってたんだろうが」
「こんなにデカくなかったなぁ」
「じゃあ自分でほぐして入れりゃいいだろ」
一見、冷たく突き放した態度。しかし宏夢はその状況にある種の満足を感じていた。
まず自分の指を一舐めし、バイブを咥える。そのままジーンズのファスナーを下ろし
下着ごと膝まで摺り下げると床に寝そべると腰だけを高く突き上げ、譲に見せつける
ように自分の尻穴をほぐし始めた。
縛られた両手は器用には動かせない。塞がった口から甘えたような吐息を吐きながら
両の人差し指で懸命に孔を広げようとする。その時、体内に残ったままだった白濁した
体液がとろりと流れ出し、宏夢の内腿を伝った。
要は、『続き』があることを期待して、あえて洗い流さずに残していたのだ。
それに気付いた瞬間、譲は物も言わずに宏夢の口からバイブを抜き取った。抗議の
声を上げる暇も与えず尻穴にバイブをねじ込む。
「ちょっ、まだ無理!…っあ、痛っぁー…」
悲鳴を気にもせず押し込もうとする。何度か抜き差しし、精液が絡みバイブの滑りが
良くなったところで深々と差し込むといきなりリモコンのスイッチを入れ、それを
振動させた。
「ひぁっあぁん…んんあぁ…はぁ…あああぁ!」
「あんまデカい声出すなよ。それでなくても俺ら、近所に不審な目で見られてるんだからさ」
理不尽な言い分に、宏夢は恨めしそうな目を譲に向ける。それも無視して譲は自分の寝室に
戻っていった。
わざと時間をかけて部屋着に着替える。ベルトはクローゼットに戻さず、先をバックルに
通して持ち手になる輪を作る。クローゼットの一番下、最近は宏夢専用の小道具入れに
なってしまっている引出を探り始めた。
リビングからは宏夢の押し殺した嬌声が聞こえてくる。譲は、ボールで留めるタイプの
リングピアスとチェーンを選ぶと宏夢の元に戻っていった。
しえんいる?
宏夢は手首を縛るネクタイを噛み、声を抑えながら快楽に耐えていた。背を反らせ、体を
捩りながら恍惚とした表情を浮かべている。まだ射精はしていない。それらの全てが譲を
満足させる。
「これも。自分で付けろ」
そう言ってバイブのスイッチを切り、リングピアスを放り投げた。
一見して判らないが、宏夢の鈴口にはプリンスアルバートのホールが完成している。
一時期、宏夢の遊び癖を何とか改めさせようとした譲が無理矢理開けさせたものだった。
…もっとも、効果があったのはホールが完成するまでの数ヶ月の間だけだったが。自由に
付け外しができるようになると、宏夢は外した状態の不便さを気にもせずまた遊びまわる
ようになってしまった。
今、渡されたピアスを見て、宏夢は息を整え譲を睨む。
「これ、僕が嫌いなの知ってるくせに」
「だからだよ。お前の喜ぶことばっかりやってたらお仕置きにならないだろ?」
しばしの睨みあい。譲は再び、ごく軽くバイブを振動させる。宏夢は軽く舌打すると
身を屈めてピアスを付けようとした。
体を動かすとバイブの当たる位置が変わり、新しい刺激が体を震わせる。弱く絶え間ない
刺激が前立腺を撫で、息を荒げさせる。
「ぁあん…ん…ぁ、ああ…はぁ…っんんっ」
震える指で何とかリングを通す。先走りの体液に助けられ、一瞬、尿道口に鋭い痛みを
感じただけで、するりとホールに収まった。ただ、どうしてもボールを留められない。
指先が震え、滑り、何度付けようとしても簡単に落としてしまう。喘ぎながらそれを拾い
何とかしようと苦戦する宏夢を、譲は楽しそうに見つめている。
とうとう、宏夢が根負けした。
「お願い、譲。ボール、留めて…」
譲はチェーンを見せ付けるように振りながら、宏夢に歩み寄った。チェーンの先には
小さな輪が付いている。
「俺がボール付けるとさ、これも一緒につけるけどいいんだな?」
目の前でチェーンを揺らす。宏夢はしぶしぶと頷いた。
リングにチェーン先の輪を通し、手際よくボールを留める。その途端、バイブを強め
チェーンを力いっぱいに引っ張った。
「ひいっ!…んあっはぁ…ん、くぅう…ふう、ぅうう…」
横様に倒れこんだ宏夢は今度は言われるまでもなく、自分から声を抑える。譲は宏夢の
男根に足指を置き、もぞもぞと動かす。宏夢がじれったい愛撫に自ら腰を振りそうになる度に
チェーンを引き、バイブの振動に強弱を付ける。再び、恍惚の色が宏夢の表情に浮かんできた。
低い振動音と甘い喘ぎ声だけが響く。譲は表情を押し殺したまま征服感を味わっていた。
『宏夢にこの喜びを教えたのは俺だ。こいつのこんな姿を見られるのは俺だけ―』
うっとりと見上げる宏夢の視線に気付かない振りをしながらチェーンを引き、手ごたえを
楽しむ。
「ひっ…いっ…ああぁ…。譲…はぁ…お願い。イかせ…て…」
宏夢の目に涙が滲んでいる。それを見るだけでもゾクゾクする。浮ついた声にならないよう
注意しながら、譲は意地悪な質問を出した。
「何回イった?」
「…え?」
「今日だよ。奴に抱かれて何回イったのかって聞いてんだ!…答えたら、イかせてやる」
言いながらチェーンを一層強く引いた。宏夢は悲鳴を上げて仰け反り、反動で強くバイブを
咥え込み湧き上がる快感に耐えようと床に身を伏せて呻き声を上げる。強すぎる刺激を何とか凌ぎ、声を震わせながら答えた。
「…3回」
一気にバイブの動きが激しくなった。同時に男根を揉む指に力を加え、半ば踏みつけるように
強く根元からしごき上げる。長く焦らされた体は抵抗することもなく、絶頂へと上り詰める。
「ああぁっ!はぁっぁああーーー…あぁ、は…ぁっ、あっあぁ…ふぅ…ぁああっ」
出口をピアスで塞がれて射精は勢いを失い、だらだらと長引く間中、絶え間ない絶頂間が
宏夢を飲み込む。そのうえ前立腺を激しく捏ねられ、男根を踏みつけられ逃げることもできずに
涙を流しながらネクタイを噛み、嬌声を押し殺し続ける。
ようやく精液の流れが途切れてきた。バイブを止めると嬌声も止み、半ば朦朧としているのか
宏夢はチェーンを引かれるたびに体をぴくりと動かすだけで、ひたすら荒い息をついている。
その口元に、譲は無言で足先を近づけた。
宏夢もまた無言で、その足を舐める。自分の精液を綺麗に舐め取るように、指の間まで
丁寧に舌を這わす。これは譲が教え込んだことだった。
「さて、と」
丹念に足指を舐めさせ終わると、譲は宏夢の脚から衣服を抜き取り一人用のソファに
座らせた。チェーンを短めに噛ませ、自分で自身を持ち上げさせる。
さっき用意しておいたベルトの輪に手を通し、見せ付けながら大きく振りかぶる。
宏夢は命令もされないままソファの肘掛に脚を乗せ、腰を突き出した。
「3回イったんだよな?」
宏夢が頷く。
「反省してんのか?」
挑発するように微笑み、首を横に振る。
「じゃあ、仕方ないな。お仕置きだ」
振りかぶられたベルトが空を切った。
「ひぃっ!」
宏夢は悲鳴を上げた。振り下ろされたベルトは狙いを外さず、強かに内腿に打ち付けられた。
白い肌に赤いベルトの跡がくっきりと残る。明日には痣になっているだろう。その事実が
譲を興奮させる。明日の会議の事、提出する書類、できるだけ気をそらしながらもう一度
ベルトを振りかぶる。同時にバイブのスイッチを入れる。すぐに甘い声が響きだした。
「ほんっとうに仕方ないな、お前。俺を怒らせて楽しいか?」
否定。首を横に振る。
「じゃあなんで浮気してんだよ。俺と別れたいのか?」
答えはない。陶酔したように譲の目を見つめ返す。
再びベルトがしなった。今度も外すことなく、会陰をまともに打つ。声にならない悲鳴が上がった。
仰け反った拍子にチェーンを引っ張ってしまい、鈴口に鋭い痛みが走る。タイミングを
見計らって譲はバイブの振動を最強にする。ソファに体を預けた宏夢は狂ったようによがり
喘ぐが脚を下ろそうとはしない。懸命にチェーンを噛み、ネクタイを口に押し当て、何とか
声を抑えて譲に向き直る。
「打たれて感じてんのかよ、変態」
誰が仕込んだのだか―ぼんやり考えるだけで答えない。
「あと一打ち残ってるけど。これじゃあお仕置きにならないよなぁ、お前喜んでるし。
このまま止める?」
全く止める気などなさそうに、譲は焦らす。ベルトを見せ付けるだけで動かさない。
我を忘れ悦楽に浸る宏夢の姿を、再び硬さを持ち始めた男根を、チェーンを噛む口元を
じっと見ている。
俺が仕込んだ―奔放な性格に、貪欲な体に、従うという悦びを教えたのは自分だ。
他の誰でもない、自分だけがこの宏夢の嬌態を見ることができる。その思いにしばらく
身を委ねた後、譲は三度目、ベルトを振りかぶる。
「宏夢。お仕置きが欲しいか?」
宏夢はゆっくりと頷いた。顔をあげチェーンを引っ張る。精神的な充足感がそうさせるのか
何度も果てたと思えない程に彼自身は固く張り詰めている。
その欲望の中心を目指し、譲は力一杯にベルトを振りぬいた。
「ひぅっ!ぅあーーーあぁああーーーっ」
チェーンが口からこぼれた。痛みとも快楽ともつかない刺激に、声を限りに叫ぶ。
力むほどに深く、強くバイブを咥え込み、電流のような快感が頭まで突き上がってくる。
ピアスの隙間から白濁した液が溢れ始める。譲はそれを見逃さなかった。すぐさまバイブを
引き抜くと宏夢を床に押し倒す。彼の気持ちはすでに宏夢の嬌態に煽られ、男根は硬さを
帯び始めている。それ以上前戯を楽しむ必要もなく、宏夢の脚を肩に抱えあげると尻穴に
自身をあてがい、一息に深くまで叩き込んだ。
「ひぃっ…ぁああっ、はぁ、あっはぁ…」
バイブとは違う熱さに、穿つ動きに粘膜を嬲られながら、宏夢は必死に腕を伸ばした。
無理な姿勢で譲の首に手首を回し、より深くまでその感触を味わおうと体を摺り寄せてくる。
突き上げられるたびに、かすれた声と精液の雫が零れ落ちる。宏夢が感じるたびに下腹部が
ひくひくと動き、粘膜が譲の昂りを包み込み締め付ける。譲はわざと安定しないリズムで
責めたてた。深く突かれることに慣れると浅く引き抜き、角度を変えて先端で前立腺付近を
擦りあげる。何度も繰り返され、悲鳴をあげる宏夢が腰を動かそうともがくのを押さえつけると
一気に最奥まで突き上げて体を抱き起こし、彼を自身の上に座らせた。
男根を咥える結合部だけで体重を支えられる体勢。もう力も入らない宏夢の体を、譲は
強引に引き寄せる。縛られたままの手首が背中を叩き、何かを訴えようとするがそれを相手にせず
しばし動きを止め、宏夢の体の温もりを腕の中に感じる。汗ばんだ肌が密着し、息遣いが
直接、胸に伝わってくる。
やがて、宏夢が口を開いた。上の空のように、呂律の回らない言葉で語りかける。
「ゆず…る…譲が…イかせ…て」
もう我慢も限界だった。譲はそのまま宏夢を持ち上げ、落し、捏ねるように腰を突き上げる。
人形のようにがくがくと揺さぶられ、宏夢は密着した粘膜が溶ける様な熱を感じながら
抑えようともせず嬌声を上げ続けた。
やがて譲が果て、宏夢の体内に精を放った時。宏夢もまた、体の奥底から湧き上がる快感に体を貫かれ、半ば意識を失いながら譲にしがみついていた。
射精のないオーガズム―これもまた、譲だけが彼に教えたものだった。
とりあえずしえん
「床、フローリングでよかったねー」
全くの他人事のように宏夢は呟いた。動くのも面倒臭いのか、裸のまま床に寝そべっている。
「フローリングも濡れたら傷むだろ」
「カーペットとかより全然マシじゃん」
呆れて言葉もなく、譲は背を向けた。あんまり甘やかしたくはないが、どのみち掃除は
しないといけない。宏夢ははなから動く気などなさそうだ。
譲の内心の腹立たしさを見抜いたようなタイミングで、宏夢が笑いかけた。
「いいじゃん、また当分、譲専用の宏夢になるんだから」
「…は?」
振り返ると、宏夢は付けたままのプリンスアルバートを指差している。強く引っ張りすぎた
せいかホールから血が滲んでいる。
「こいつが安定するまではね」
ピアスを爪で軽く弾くと、そのままごろりと寝返りをうつ。たらりと溢れ出した精液が
床に新しい染みを作る。
結局、声も漏れてただろうし―。譲は安い賃貸の部屋を見回し、頭を抱えた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
・生物注意報。下手文章。現実乖離ご容赦。
・ひっそりとショウギ界。十八世→十九世。tadanoボヤキ小話。こないだの続き的な。
・素人のためショウギの内容は適当妄想過多ですスミマセン。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ふう、と一息ついてマウスから手を離し、薄暗い部屋を煌々と照らすパソコンの画面をぼんやりと眺める。
画面上に映し出されているのは、先程終/局したばかりのオウザ線第/二/局の棋/譜/中/継だ。
タ/イ/ト/ル/保/持/者の名前は渡鍋晃、挑戦者の名前は羽舞善春。
世代の違う、二人の天才。
一週間ほど前に行われた第/一/局は、天才同士の名にふさわしい恐ろしく難解で素晴らしい将/棋だった。
そして、今日の第/二/局。
将/棋/界の開拓者、フジイの挑戦を受けたオウイ線から得た新たな構想を武器に未知なる盤/上の世界を開拓しようとする羽舞と、そ
れを真っ向から受け止める渡鍋。
将/棋/史に残るであろう革新的な序/盤/戦から、二人の戦いではもはや避けて通れない難解な終/盤/戦へと進み…最後は紙一
重の差で羽舞が勝利した。
盛家は椅子にもたれかかりながら、目を閉じ先程反芻した棋/譜を思い浮かべる。
それぞれの世代を背負う二人の勝/負/師が見せた新しい世界。
棋/譜からも感じられるその熱は、きっと二人だけが見た盤/上に広がる可能性から生まれた熱さだ。
二人が見る世界。
…自分には決して見ることのできない世界。
くやしい、な。
覚えのある感情が腹の底から湧き上がってくるのを感じ、思わず苦笑いが浮かんでしまう。
進歩が無いな、と思った。
この感情には遠い昔に自分なりに決着を付けたと思っていたのに。
これは昔、羽舞と谷河の対局を見ていた時に浮かんだ感情と同じものだ。
『彼』と同じ『選ばれた人間』への憧憬、そして、嫉妬。…なんと醜い感情か。
自分の将/棋を否定するつもりはない。長い年月を掛けて積み重ねてきたものには、自信も誇りもある。
そして、そのことに『彼』が敬意を持っていてくれていることも知っている。
けれど、こうして目の当りにしてしまうと、抑えつけていたはずの感情が疼きだしてしまう。
『彼ら』と同じ才能が欲しい訳では無い。
ただ
自分以外の誰かが、自分が見ることのできない世界を、『彼』と創り上げている事実に、血が沸騰しそうなくらいの薄暗い衝
動が湧き上がる。
無いものねだりだな、と、大きく息を吐き切って、深く沈みそうな思考を遮る。
これ以上考えてもしょうがない、ということは、若い頃に得た自分を納得させる唯一の答えだった。
自分のできることはこれまで通りひたすら自分の将/棋を追究することだけだ。
それこそが『彼』と『自分』と繋ぐ唯一のものだから。
開いていたウィンドウを閉じて今日はこれまでにしよう、とパソコンを落とす作業に入る。
ふと、手にしたマウスに赤い擦れた汚れがついているのが目の端に止まった。
なんだろう、とマウスから手を離すと、手のひらが赤い血で汚れていた。
無意識に強く握りしめて、自らの爪で傷ついた掌。
盛家は、薄暗い部屋の片隅で、それをずっと見ていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
tadano暗い話でスミマセン。うってぃがブーハーに執着している話を書
きたかっただけですスミマセン。
>>196 保管庫に自分で保管した?
前の作品を1つ飛ばしてるので、修正お願いします。
>>197 大変失礼しました。番号勘違いしてました。
修正致しました。
半生注意・公開中注意 埼京のふたり スラム青年←富豪
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「テレビですげえもん見たよ。おっさんがさ女に、いい女だった、
ローソクの火見せて『お前はもう動けない』とかなんとか言うと
ピタッと動けなくなるんだよ」
筋肉と関節マッサージの時間に卜"リスが脈絡のない話を始めても、フィリップは
眉をほんの少し持ち上げただけだった。これにはもう慣れてきていた。
つまり、卜"リスはフィリップをいつも驚かせるということにだ。
「胸を揉まれてるんだぜ!口、パクパクさせてさ。
こっからがすごいんだがおっさんが『あなたは今セックスしています』って言うと…」
「反応するのか?」
思わず吹き出した卜"リスに尋ねると、彼は手早くフィリップの右手の指を曲げ伸ばし
させながらさらに笑い声を漏らした。
「椅子から転げ落ちてオウ、オーーウ…」
「面白いな」
「それであんたを思い出した」
今度こそ驚いて富豪が視線をやると、青年もちらりと目を合わせた。
「何?」
「女は本当にそう思い込んだから喘いだ。発作があるだろ、フィリップ。
ないはずの感覚がある。幻想痛だったか?その逆をやろう」
「催眠術でか」
「要は脳みそを騙せばいい。耳、耳、耳ばっかりで飽きない?」
女たちより無遠慮な指がフィリップの耳をさっとくすぐる。
「耳の良さを知らないなんて子どもだな」
「そう?俺はごめんだ、絶対。耳!耳だけなんて」
「ふん。だが電話帳に催眠術師って項目はあったかね」
「俺がかける」
「知り合いにいる?」
「違う、俺が催眠術をかけてやるって言ってる」
フィリップはまた卜"リスの顔を見た。卜"リスのきれいな目はいつもフィリップを
守るが、同じ目で彼の詩をけなすし、容赦のないひどいジョークを言う。
「そんな才能が?知らなかった」
「おい俺はマジだぞ。どうやるかちゃんと見てたんだ。マッサージだって
すぐうまくなっただろ」
「左指をまるまる忘れてるぞ」
そうフィリップが言うと卜"リスはあわてて左手を掴んだ。
「"実験"だと思えばいい。うまくいったら、すげえ!世紀の発見だ」
「じゃ、今やってみるか」
201 :
その名は九月:2012/09/27(木) 02:23:50.44 ID:6HRepnPT0
すみません、連続投稿でひっかかっています。投稿される方はお先どうぞ!
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
あっさり返すと卜"リスは一瞬意外そうな顔をした。フィリップは鼻で笑った。
「よし」卜"リスは指を終えて呟く。「よし、今だ」
「人払いをしてくれよ」
卜"リスはメモに何か書きなぐると扉にそれを挟みに行き、鍵をかけた。
いつもの支度をさせた彼をベッドから下ろして車椅子に座らせ、
手足を整えてベルトを確認した。
フィリップは卜"リスがてきぱきと動くのを首から上だけの世界で見つめていた。
「オーケー」卜"リスがにやっと笑った時、その目は楽しみに満ちていた。
彼が"マジ"でないことは明白だった。雇い主の新しい遊び方が見つかって嬉しいのだ。
この皮肉屋の大富豪が催眠術で眠りこけ、よがり声のひとつでもあげたら
なんて面白いだろう。そう思っている。
窓から差し込む朝の光をカーテンでさえぎると、あやしい遊びにふさわしい暗さになった。
「ローソクがねえな」
そう言って卜"リスはタバコに火をつけた。
「この火を見て」
目の前に立てられたタバコの先端は薄暗い部屋の中で赤く光っている。
「この火を見て、この火をじっと見て。赤い。光ってる。燃えてる。
この火は、あんただ」
203 :
その名は九月:2012/09/27(木) 03:46:00.35 ID:6HRepnPT0
再びひっかかったので投下代行スレにお願いしてきました。
それから再開のAAを入れ忘れました…本当にグダグダで申し訳ない
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)マタチュウダーン!
支援になるかな?
なんかおもしろそう
支援続き待機
卜"リスの顔は見えず、ただ彼の黒い手とタバコと彼の声がそこにある。
フィリップは言われるままタバコの火を見つめた。
「この火はあんたの意識だ。じっと見る。火が燃えて灰に変わる。
あんたの意識は灰になる。カサカサの灰になって、もう目が離せない」
あのいつも踊っているような男の、どこからこんな調子が出せるのだろう。
遠くて近い声。慈しむようななだめるような声。
「まだまだ燃える。あんたは灰だ。もう考えられない。考えなくていい。
俺の声を聞いていればいい。そうしていれば気分がいい。
意識が燃え尽きて頭がしびれる。あんたはもう動けない」
そこまで言って卜"リスは、ふと我に返ったように首を振った。
「ああ、つまり…動く気になれないってことだ。
三つ数えて灰が落ちたら、あんたも深いところに落ちていく。3,2,1」
カサ、という音がして灰はくず折れた。フィリップは自ら同調するように
目を閉じる。卜"リスがハッと息を飲むのが聞こえた。
驚いてるのか?自分に催眠術の力があると?バカな奴め。
フィリップは笑みを押し殺した。
「今、俺の声だけが聞こえている。俺の声だけが。
これからあんたの頭に触れてゆっくりと回す。
回されるほどあんたは沈んでいって、健康だった自分を思い出すよ」
頬、それから頭に手の添えられる感触があった。フィリップは上を向かされ、
マッサージのように首をゆっくりと動かされ、されるがままだった。
「どんどん思い出す。あんたには胴がある。腕がある。指がある。
脚がある。つま先がある。ペニスだってちゃんとある」
ペニス、と言う時卜"リスの声は露骨に笑いを含んでいた。
胴がある。腕がある。フィリップは与えられるただひとつの刺激、
その声を反芻する。自分が催眠状態にあるとは思っていなかった。
感覚だって蘇ってはこない。ただ彼は昔を思い出していた。
幸せだった頃。不幸せだった頃。
妻と出会い、恋をし、結婚し、何度も子を亡くし、ついには
妻を亡くした。
「あんたには体がある。椅子に座ってる。
足音が聞こえる。女の足音だ。あれは誰だ?」
この体になってからもみんな実によくしてくれた。
お気の毒に、おかわいそうに、大変だろうが気を落とすなよ、
お前なら乗り越えられるさ、フィリップ。そう言って。
「女が隣にやってきてキスをする」と卜"リスは彼の唇に指を走らせる。
「感じたか?あんたの一番大事な女だ。それは誰だ?
会いたくてしょうがない。そこにいるのが嬉しくてしょうがない。
それは誰だ?」
卜"リスは言いながら自分で興奮しているのだ。本当に足音を聞いたかのように
声をひそめ、早口になった。女がそこにいるみたいに。
彼はまたフィリップの両頬を手のひらでそっと挟み、回し始めた。
あの手だ、とフィリップは思った。
終わりのない現実と、たびたびやってくる幻想痛の夜の中で
恐れ知らずの手はフィリップの頬に触れた。
この手が唯一彼の内側に届いたものだった。
このチョコレートはあんたにはやらない。健常者用だから。ウケるだろ?彼はそう言った。
「彼女はそこにいる。あんたの隣にいる。そうだな?」
「…そこに…いる…私の…隣に」
フィリップはやわらかな眠気に襲われながらまた声を反芻した。
「誰だ?一番特別な名前を言ってみな。彼女の名は?」
卜"リスは心底楽しげに問うた。カタブツの皮肉屋が自分の手の中で
なでられてる猫みたいな顔をしてる!こんなに笑えることはなかった。
だが突然"猫"は眉を歪め、目を薄く開いた。
肌は強張って唇はかすかに開かれた。
フィリップの目は卜"リスの目を捉えた。涙が一粒流れて、卜"リスの親指の縁を伝っていった。
「苦しい?フィリップ」
卜"リスは狼狽せず、息を吸った次の瞬間には指の背で彼の頬を撫でた。
「もうやめだ。あんたは元に戻る。三つ数えて手を叩いたら
意識がはっきりする。3,2,1」
目の前でピシャリと手を打つ音がした。フィリップがまばたきしている間に、
卜"リスは部屋中のカーテンを開き、タバコのようなものに火をつけた。
「吸って」
「平気だ。幻想痛じゃない」
「いいから」
フィリップがそれを吸うのを卜"リスは手伝った。
「催眠術はダメだな、もうやらない方がいい」
「ああ」
「でもなかなかだっただろ?体の感覚は。こういうのも俺は得意なんだ」
「バカ言うな、本当にかかったと思ったのか」
「違うのか」
「ユーモアに欠けるな」
いつかの仕返しをすると、卜"リスは笑い出した。
「かかったフリであの目つき?やられた!役者になれる。
玉座に座る王様の役なんかやればいい。でも涙は?」
支援
「涙?泣いたりはしない」
「嘘つくな、泣いただろ」
「私のような人間は泣かない。そんな段階はとっくに過ぎてる」
卜"リスは濡れた指の感覚を思い出すように少し右手を見た。
「絶対嘘だ。あんただって泣くさ。泣かない人間なんているか」
二人は見つめ合ったが、やがてどちらともなく吹き出した。
せわしないノックの音が聞こえ、扉越しにイヴォソヌの
朝から何をやってるの、という声がした。卜"リスは扉へ飛んでいった。
「卜"リス」
「ん?」
「いや…その、催眠術のことは話すなよ」
青年はただ白い歯を見せて笑っただけだった。
卜"リス。卜"リス。フィリップは舌の上で名前を転がしながら、
扉が開け放たれていくのを朝の光の中で見た。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
たびたびの不手際で本当に申し訳ないです
エロはパラグライダーから投げ捨てました
代行完了しました。
支援感謝です!
213 :
墓参 1/2:2012/09/29(土) 02:22:36.78 ID:KcPjv0xk0
半生注意。
外事けいさつ 主人公の過去話です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
うるさいほどの蝉時雨の下、墓地に立つ人影は彼だけだった。墓前はきれいに清められ、真新しい仏花が供えられている。
「少し痩せたな」
墓に眠る恩人の忘れ形見―住本健司に、有賀はそう声をかけた。
持参した花束を脇に置いて、静かに手を合わせる。命日の墓参は、10年間一度も欠かした事がなかった。
「昇任試験、合格おめでとう」
ありがとうございます、と健司は答えた。
「秋からは新しい部署で巡査部長だな」
「異動先は外事課を希望しています」
有賀は一瞬言葉を詰まらせた。
「…そうか。ちょうど欠員があればいいが。今回は無理でも、何年かは所轄か他部署で経験を積んで…」
有賀の言葉は冷笑で遮られた。
「嘘ですよね」
蝉時雨が途切れて、時が静止したような静寂が降りる。濃い影が健司の表情を隠していた。
「いくら希望を出しても、僕は通常の人事では絶対に公安部には配属されない。あなたはよくご承知の筈だ」
有賀は肯定も否定もせずに目を細めた。少年の頃から知っていた筈の若者が、不意に得体の知れない存在に感じられた。
公安部に所属する人間には、徹底した身辺調査が行われる。
健司の父―住本栄司が、外事一課在籍時の秘匿作業中に毒物を盛られ、数年間の植物状態の末に死亡した事、政治的判断から病死とされた故に遺族への補償もされず、母である住本妙子が健司を遺して自死した事。
内部資料だけで簡単に把握できる事実だった。
「過去事案に拠る個人的背景により公私混同を招く可能性有」で、公安部には不適格。健司が指摘した通り、有賀は最初からその腹積もりだった。
「父の遺志を継いで、外事課で国益の為に働きたいんです。必ずお役に立ってみせます。お力添えを頂けないでしょうか」
「健司君…」
「お願いします」
頭を下げる健司から、有賀は目を逸らした。
「私は…本当は君が警察に入る事にも反対だった。公安以外ならどこでも口を利いてやる。せめて一般の警察官として、君は普通の人生を送ってくれ。裏の仕事には関わらなくていい。栄司さんに…君の父上に、申し訳が立たないんだ」
214 :
墓参 2/3:2012/09/29(土) 02:33:22.41 ID:KcPjv0xk0
後輩だった有賀を庇って秘匿作業を引き受け、住本栄司は命を落とした。諜報活動に関する日本の法整備が脆弱だからこそ、現場の人間に暗黙の犠牲を強いるしかない。上へ行って警察を変えると、彼の枕元で誓った筈だった。
健司は微かに唇を歪めた。
「…信じていた普通の生活が幻想だったと、僕は父の死で知りました。裏側で何が行われているのか、今更知らない顔をして生きていく事が出来ません」
好青年の仮面は跡形も無かった。闇を見透かすような昏い瞳に気圧される。
彼は既に裏側にいたのだと気付かされた。遺された日から、ずっと独りで。
「あなたの元で働きたいんです。いけませんか?」
不意に真摯な顔を作って、健司は有賀の腕に触れた。
見覚えのある眼差しと表情で、目の奥を覗き込まれる。全て計算づくだと分かっていても、湧き上がる感傷を抑えられない。
「父の代用でも…構いませんよ」
有賀は魅入られたように動けなかった。
「僕は、父に似ていますか?」
―少なくとも、優しすぎた性分は似ていない。血縁が繋ぐ面差しを、こんな手口で利用できるような狡猾さは、あの人には無かった。
向いている。この男は。
結局は情で溺れた父親よりも。
感情に翻弄される胸中とは別に、有賀は冷静な思考で住本健司の使い道について検討していた。
215 :
墓参 3/3:2012/09/29(土) 02:35:32.35 ID:KcPjv0xk0
健司の脳裏に残る記憶がある。
病床で眠り続ける父の元に、その男は何度も見舞いにきた。
何の言い訳もせず、彼はただ黙って父の傍らで頭を垂れた。
何かの用事で、母がその場から席を外した。
隣室の襖の隙間から、残された彼と父の姿だけが見える。
父が好きだったベートーベンが、レコードから聞こえている。
いつも座っているだけだった彼が、ゆっくりと腕を上げた。
眠る父の頬に、無骨な掌がそっと添えられる。
唇や瞼をなぞる指先を、何故か見てはいけない気がしたが、目を逸らすことができない。
あの男はどうして父をあんな顔で見つめるのだろう。
大きな背に遮られて―彼が何をしたのかは見えなかった。
「…父とあなたは、本当はどういう関係だったんですか」
訊かずに済んだ問いを、健司は永久に呑み込んだ。
同年9月付けで、住本健司巡査部長は警視庁公安部外事1課に配属された。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
本文長すぎでナンバリングがずれました。
ごめんなさい。
216 :
託卵1/8:2012/09/29(土) 18:10:10.83 ID:HCaIm+sn0
オリジナル触手もの。一応、癒しの御手の続編ですが単発でも読めるように書いたつもり…です。
タイトルどおり卵ネタあり、ややグロ気味注意。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
神は繁殖を望んでおられる―司教からそう告げられたのは、ウィルがこの教団に流れ着いてから
一年近くはたった頃だった。
ここ最近は戦いも小康状態となり、神の治療を必要とする者は少なくなっている。今この時期に
ウィルの力を借り、己を繁殖させ、さらに力が必要となった時に備えることが必要なのだと。
「これはウィリウス殿におかれましても幸いな事。それだけ、御眼鏡に適われたということです」
いつになく嬉しそうに語る司教に促されるまま、ウィルは大聖堂へと脚を運んだ。もとより彼は
教団側の申し出を断るつもりなどない。ここに身を寄せている以上、教団と、彼らが神と崇める
触手に対する尽力を惜しむつもりなどはなかった。抵抗さえしなければ、触手は決してウィルを
傷つけるようなことはしない。ただ奈落の底で彼の体を弄び、精を絞りつくして己の養分とし
再び彼を地上に帰す。そんな奇妙な形であれ、自分の存在が最終的には人の傷を治す力となる―
そう思えばこそ、彼はこの地に残る事に決めていたのだ。
ただ、繁殖というのは初めて聞かされた言葉だった。事情はよく飲み込めないまま、大聖堂の最奥の
奈落へと続く小部屋へ向う。最近では常にそうするように、衣服を脱いで司教に手渡す。背後で扉が
閉められるのを感じる。
程なくして、神が姿を現した。いつもと同じく、二本の長い触手を伸ばしてウィルの体を絡め取る。
そのまま器用に奈落へ引き込み、地下に開く花のように白く光る触手群の本体へと彼を引き寄せる。
彼の体に向って待って、一斉に無数の触手が伸び上がる。今までの夜伽となんら変わることのない流れ
であった。
217 :
託卵2/8:2012/09/29(土) 18:10:25.36 ID:HCaIm+sn0
触手の群れはたちまちウィルを捕らえ、その肌に滑る粘液を擦りつけ始める。手足に、胴から鼠径部へと
心得たようにウィルの敏感な部分へと巻きつき、するすると這い回る。愛撫に応じ、ウィルはすぐに
体が火照り始めるのを感じた。何度となく繰り返された行為だった。いまさら恥じることもない。
そのまま触手に身を委ね、感じるままに吐息を漏らす。やがてその触手たちが代わる代わる彼の中に
侵入し、官能を昂ぶらせ、焦らせた末に最後の一滴まで精を吐き出させてやっとウィルの役目は終わる。
今回もそのつもりで覚悟をして彼は待った。
触手は体を這い回りながら、ゆっくりと彼の姿勢を変えてゆく。両腕を後手にまとめて無防備になった
胸に吸い付き、乳首を転がすようになぞる。膝を少し持ち上げながら脚を開かせる。その間に割って入った
触手が、迷うことなくウィルの後孔を探り当て、先端を滑り込ませて柔らかくこねた後、じりじりと
伸縮を繰り返し、奥まで入り込んでくる。
「はぁ、ん…あぁあ、はぁ、あ…ぁあ…」
何度犯されても慣れることのない、しかし、確実に体に馴染んだ感触にウィルは声を上げた。
体内の粘膜を擦られる甘い疼きに、彼自身が徐々に固さを帯び始める。時折、つんと突き上げられる
ように快楽に直接触れる部分に触手が当たり、その度に腰がひくつく。夜伽を重ねるうちに教え込まれた
快感。そのまま触手は彼の中で蠢き、中を押し広げようとするように腸壁を擦る。その動きに煽られ
息を弾ませながら顔をあげた瞬間、見たことのない光景がウィルの目に飛び込んできた。
後孔を穿つ触手に、新たに二本の触手が絡みつきながらウィルに向って伸びてくる。荒い縄目のように
互いに捻れあいながら、勢いよくウィルの孔を目指して伸びてくる。その太さに彼は息を飲んだ。
咄嗟に逃げようと引いた腰を、支える触手が強引に引き戻し、半ば自分から受け入れる形で新たな
二本の触手が双丘を割って後孔に潜り込む。
圧倒的な圧迫感が、痛みとともにウィルを切り裂いた。
218 :
託卵3/8:2012/09/29(土) 18:10:38.77 ID:HCaIm+sn0
「ひぃああああああああ!ああっああぁぁううああぁぁっ!」
三本の触手は絡まりあったまま伸縮し、孔を限界まで引き伸ばしながら激しく抜き差しを繰り返す。
内臓を滅茶苦茶にかき回される苦しさにウィルは絶叫した。押しこまれるたびにじゅぶり、と音を立て
生暖かな粘液が搾り出され、尾骨を伝い落ちる。腕はいつの間にか後手から解かれ、孔を犯す触手に
向かい引き込むような形で伸ばされている。本人の意思とは裏腹に、体は触手に絡めとられ、後孔の
伸縮と息を合わせる形で小刻みに腰を突き上げ、さらに奥まで迎え入れようと体を開く。宙吊りのまま
身動きも取れないウィルは、なんとかその圧迫感を紛らわせようと唯一動く首を振り、浅い息を繰り返した。
触手はウィルを犯しながら、彼を自分の中央へとさらに引きずり込む。一本ずつ、別の触手がウィルの
体に纏わりつき、肌の隙間を舐めるように踊る。激しすぎる陵辱にウィルの意識が遠のきかけた時
後孔の触手は動きを変えた。彼の中で寛ぐように解れ、一本が孔の際ギリギリまで浅く引き抜く。
圧迫感が和らいだ瞬間、別の一本が同じように引き抜かれ、同時に先の触手が最奥まで突き込まれる。
三本がそれぞれ自在に動き、腸壁を押し上げながら同時に引きずりだし、最奥を刺激しながら孔の
浅瀬を突付きまわる。休むことなく交互に抜き差しを繰り返しながら、やがて触手はウィルの一番
敏感な部分を探り当て、そこを重点的に突き上げ始めた。
「っ…ふぁっ…ああぁ!あっあぁ…はぁっああぁ…っ!」
感じたことのない異様な感覚から、本能を直接揺さぶる強烈な快感へと刺激が一変する。続けざまに
責められ、ウィルの男根は一度も触れられないまま硬く反り返り透明な先走りの体液が腹に滴り始めた。
後孔は粘膜が蕩けたように心地よく、刺激はそのまま男根の先まで弄るように広がり、彼を否応なしの
絶頂感へと押し上げてゆく。
と、その時、急に腰ががくんと持ち上げられた。衝撃で一際強く粘膜を擦られ、ウィルは一気に精液を
吐き出す。途切れ途切れに喘ぐ彼の口元に、白濁した体液が降りかかる。何が起こったのかも
わからない内に、彼の精液は触手に集められ、口の中に流し込まれた。
219 :
託卵4/8:2012/09/29(土) 18:10:59.68 ID:HCaIm+sn0
「…んん…んんん…」
舌を押さえ込まれ、吐き出す事も飲み込む事も出来ずにウィルは自分が放った体液を味わされる。
孔虐は続いていた。しかし声まで抑えられ、ウィルには快感を逃がす手立てがない。息をすることも
ままならないままさらに引き込まれ、ウィルは初めて見る、触手の花芯とも言うべき物の側に下ろされた。
大きさは子供の前腕位だろうか。それは触手とは違い、揺らぎもせずにすっくと立っている。むき出しの
筋肉のように赤黒く、燐光も放っていない。その先端に、ウィルの頬が擦り付けられる。乾いていて
ざらりとした肌触り。体温よりもわずかに熱く、弱く脈打っている。その突起物の上で突然、口内の
触手が引き抜かれた。同時に精液をかき出され、突起物に塗りつけられる。鼻の奥に広がる雄の臭いに
むせながら、自由になった口で大きく息を吸い込み、再びウィルは声を上げる。
「あぁんん…はぁあっあっ!…ぁああ…あっあぁ…!」
三本の触手は飽きることなく孔を貪り、ウィルをつつけざまに絶頂へと導く。わななきながら放たれた
精液は全て突起物に集められ、それ自身が精を放つ男根のような姿をなしてゆく。数本の触手が
持ち上がりウィルの顔をその突起物に押し当てた。頬を押し付け、顎を持ち上げると無理矢理口を
こじあけ彼に突起物を含まそうとする。
(舐めろ、ということか?)
そっと突起物に舌を這わす。押し付けられる力が緩んだ。やはりそのつもりのようだ。いつのまにか
自由になった両手を下に付き、唇で軽く突起物を咥え、舌を添えてゆっくりと根元へと引きおろす。
肘と膝で不器用に這いながら、突起物の全面が精液で覆われるように舌で舐め広げる。その間も後孔は
触手が蹂躙し、腸壁をつつきながら押し広げられ、粘液がたてるぐちゃぐちゃという音が途切れる
ことなく地下室に響く。
220 :
託卵5/8:2012/09/29(土) 18:11:15.77 ID:HCaIm+sn0
ウィルはもはや、声を張り上げる力もなかった。唇の隙間からだらしない嬌声を漏らしながら、触手が
満足するまでただひたすら突起物を舐め続ける。
やっと、孔から触手が抜かれた。一度にずるりと抜け出る感触に息を詰まらせ、ウィルはその場に崩れ落ちた。
急に開放された腸内はどこか頼りなく、埋める物を求めてひくひくと痙攣する。繰り返し射精を強要
させられたウィルは文字通り、精も根も尽き果ててその場にうずくまる。その体が再び抱え起こされた。
今度は宙には浮かせず、膝立ちのまま突起物の上まで体を運ぶ。締まりきらない後孔が突起物の先端に
触れたとき、体から一度、全ての触手が離れ、ウィルはその上に強制的に座らされた。
「ひぃうっ!…」
自重で半分ほどまで、それは一気にウィルを串刺しにする。触手と違い、滑らかさも柔らかさもない
それは一切収縮せず、熱い表面でウィルの腸壁を押し広げる。じりじりと体が沈む。それにつれ、その
熱さが奥へと進むのが感じられる。突起物は充分に緩められた孔にもきつく、ウィル自身のぬめりを
借りてなんとか少しずつ、体が沈んでゆく。
ウィルの太股にそれぞれ触手が巻きついた。それが体を下に引きおろそうとする。肩にも、腰にも
巻きつき彼を下へ下へと押しやる。やがて、双丘の肉が下に触れた。ウィルは触手群の中心に、王座の
ような一本の花芯に貫かれ座らされたのだ。
咥え込まされた突起物は脈打ち、熱を発しウィルを内側から責める。生々しい、生物の感触。前後に
倒れそうになるウィルの体は触手に支えられ、朦朧としながら彼は突起物の上に座り込んでいる。
ふいに、脈動が強くなった。心臓の鼓動のように規則正しく、大きく脈打つ。その度に粘膜が擦られ
新たな刺激をウィルに与える。さらにそれは震え始めた。微かな振動は徐々に大きくなり、ウィルを
揺さぶる。力なく開いていた唇からまた、途切れながら掠れた声があがる。
いきなり、孔に強い衝撃が走った。三本の触手より、突起物より大きい何かが孔を通り抜けようとしている。
221 :
託卵6/8:2012/09/29(土) 18:11:47.86 ID:HCaIm+sn0
孔に鋭い痛みが走る、しかしその何かは容赦なく突起物を通り、ウィルの体内にねじ込まれる。
「ひぃぎ…」
経験した事のない痛みに全身が引き攣る。それはじりじりとせり上がり、突起物から吐き出され
ウィルの下腹部を内側から殴りつけるように体内へと吐き出された。それが入る隙間を作るためか
ウィルの体が少し持ち上げられる。目をやると、内腿に血が流れているのが見える。)5
さらにその下、少しだけ見える突起物の根元がもう一度、大きく膨らんだ。ふくらみはゆっくりと
しかし確実に上へと押し上げられる。孔に新たな痛みが走り、腸内が一杯に膨れ上がった熱い突起物
に埋め尽くされる。
気の狂いそうな痛みと快感の末、二個目のそれが体内に放出された。下腹部が重く、吐き気が襲う。
さらに引きずりあげられ、三個目のそれが突起物を通って上がってくるのが見えた。内腿を伝う血の筋が太さを増している。
「…もう…ふうぅ、あぁ…許して…」
耐え切れずにウィルは呻いた。しかし、それを聞くものは誰もいない。三個目もゆっくりとせり上がり
散々にウィルの性感帯を押し苛んだ後、体内に放出された。
三個目が押し出された後、ウィルはやっと突起物から体を抜かれた。不安定に吊り上げられ、ゆらゆらと揺れるつま先から血が滴り落ちている。傷が深いのだろうか―疲れ切ったウィルには想像も付かない。
一本の触手が後孔に伸び上がってきた。また入ってくるのか?ウィルは宙吊のまま恐怖に襲われる。
しかしそれはしばらく後孔をなぞり、一度浅瀬まで差し込まれただけでするりと抜けていった。
痛みから解放され、放心したまま、彼は地上へと運ばれていった。
222 :
託卵7/8:2012/09/29(土) 18:12:05.76 ID:HCaIm+sn0
小部屋の外、大聖堂の中には湯をはった盥がおかれ、信徒たちが夜伽から帰ったウィルの体を丁寧に
洗い清めてくれる。
いつもは嬉しい心使いも、今日のウィルには気の重いものだった。明らかに触手の粘液とは違う
白濁した液体が自分の顔にも、髪にもこびり付いているのがわかる。それを見られるのがどうしようも
なく恥ずかしかった。
しかも、今回はそれだけでは終わらなかった。連絡を受けたらしい司教と医師が駆けつけ、ウィルに
予想外の言葉を投げかけたのだ。
「失礼ですが、体内を拝見させていただきたい」
そう言われ、ウィルは促されるままに四つん這いになって尻を医師に見せる。きっちりと法衣を纏った
信徒達に囲まれた中、一人素裸のまま医師に後孔を開かれる。間近で見られているのか、息が会陰に
かかる。声を上げないよう、体が震えないように唇を噛み、ウィルは恥辱に耐える。
「さっき、血が流れていましたが…」
「ああ、もう傷はありません。神が治されたのでしょう」
こともなげに医師は言う。永遠にも感じられる間、ウィルの孔を広げじっくり観察した後、医師は
厳かに司教に告げた。
「無事、抱卵されています。三個確認できました」
低いどよめきが信者たちからあがった。だが、ウィルにはまるで何がどうなっているのか判らない。
とりあえず身を起こそうとしたとき、下腹部でごろりと硬いものが動くのが感じられた。
その重みに、突起物から送り込まれた硬い物体の存在を思い出す。
ほうらん―抱卵?まさか、自分はあの触手に卵をうみつけられたのか?あの触手が体内に残っている…?
223 :
託卵8/8:2012/09/29(土) 18:12:20.85 ID:HCaIm+sn0
呆然とするウィルの前に、司教以下信徒達が一斉に跪いた。司教は喜びに顔を高揚させ、祝辞を述べる。
「ウィリアス様。神はあなたを自らの依代として選ばれ、そのお体を借りて新しい生をこの世に送り
だそうとされている。神にお力添えを出来るのは今はウィリウス様ただお一人のみ。何卒、その御身を
神の為に捧げられ、末永く我らが教団の至宝として…」
だがウィルは録に司教の祝辞など聞いてなかった。敬称が変わった事にさえ気付かない。
自分が神の子を生む?今体内に卵が宿っている…?
頭がくらくらする。恭しくかしずく信徒たちに見守られながら、一年前には想像だにしなかった事態に
ウィルは言葉もなく司教と、医師の顔を代わる代わる見つめていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ふぉおお!続編キタコレ!!
ご馳走様&萌え滾りました!
抱卵中のウィルさんに栄養を与える続編とか超希望したいです!
216乙
純愛夫婦もの子育て話(触手)か…
>>215 外事けいさつビギンズ御馳走様!
父、せつないのう〜
オリジナル触手もの。幼生触手の育児話ですが8割方人間絡みです。長くなったので2分割します。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
抱卵から七日目。卵は順調に孵化し、ウィルの体内では三体の幼生がすくすくと成長していた。
もっとも、ウィルにとっては順調と言いがたいものではあったが。
一体目が孵化した際、医師によって丁重に殻が取り出された。ウィルが浅く椅子に座り、上体を
倒して背もたれに預ける。信徒らが両脚を広げて抱え上げ、その前に医師が陣取る。ランタンの
明かりを頼りに長い箸を差し入れ、割れた殻を一つずつ掴み出したのだ。
箸には、ウィルの腸壁を―あるいは幼生を傷つけないように、丁寧に布が巻かれている。その
箸先が粘膜に触れるたび、ウィルは思わず声を上げてしまう。
「ぁあん…ひぃ…っ」
歳若い信徒の中には目のやり場に困り、ひたすら壁を見つめている者もいる。が、医師も、立会いの
司教も到って淡々と作業を進めている。箸が滑り、腸壁を強く擦る。ウィルは思わず腰を浮かせた。
「申し訳ございません。何分慣れない施術なもので…」
医師は心底恐縮した表情で謝罪すると、しっかりと殻を掴もうとさらに深く箸を入れた。
「ひゃぁっ!…いやぁっあの、もう少し他の…はぁ…方法はないのでしょうか…自然に排出される
のを待つ、とか…んんっ…」
「それでは体内を傷つけてしまう恐れがあります。少しだけ、ご辛抱くださいませ」
本心から気遣っているのであろう司教の言葉も、今のウィルには恨めしく感じられてしまう。
やがて破片の一つがゆっくりと引き出されてきた。医師は箸で器用に孔を広げて固定すると
あらかじめ濡らした指を差し入れ、破片を摘んで括約筋を傷つけないようそっと抜き取る。
「…ぁあぁぁ…はぁ…」
大きな破片が摘出された。司教はそれを受け取り、感慨深げに見つめている。
「後は小さなものばかりですよ」
励ますように医師は声をかけるが、ウィルはすでにそれを聞いていない。再び箸で腸内を探られ
あまりのいたたまれなさに信徒と同じく壁を見つめながら、彼は願わずにはいられなかった。
(お願いだから後の二つは同時に孵化してくれ…)
結局、願いは叶わなかった。卵は一日置きに孵化し、動く幼生の為に摘出の施術はその度に
困難になってしまったのだった。
幼生は日々活発に動き回るようになっている。母性本能とは縁のないウィルにも、それ自体は
嬉しいことだった。しかし、今度は別の問題に悩まされるようになってきた。
とにかく動き回るのだ。小さいながらも力は強いのか、少し動くたびに細くしなやかな触手が
手加減なしに腸壁を突付きまわす。四六時中煽られ、姿勢を変えても体内からの刺激から逃げる
方法もなく、涙のように透明の雫を滴らせる男根を必死に夜着で隠しながらベッドに臥せって
袖を噛み締め、ただ快楽に耐えるしかなかった。見かねた付き添いの信徒が一度、遠慮がちにいっそ
自分で抜いてしまってはどうかと提案してきたが、彼は断った。神が彼に卵を託したという事は
つまり、彼が幼生に精液を与えることを期待しているのだろう。それを無駄に放つのは気が引ける―
帰依した訳でもないウィルの、妙に律儀なその言い分に信徒は呆気に取られつつ、司教に相談すると
言い残しその場を離れた。
「滋養を求められているのですね。十日もすればご自身で摂取できるようになりますので、それまで
ご辛抱ください」
司教の返事は合いも変わらず素っ気無く、無慈悲だ。よほど大切に思っているのだろうか、卵の破片は
金で繋ぎ合わされ、元の形に丁寧に復元されている。それをウィルの寝室の窓際にそっと並べた。
「御幼生が一人立ちなされれば、これは聖堂に安置いたしましょう。それまではここに。ウィリウス様が
神の御子を宿された証でございますよ」
ウィル自身はできれば見たくないそれを嫌でも目に入る場所に並べられ、彼は頭を抱える。そういう
問題じゃない、と言おうとした時、ふと司教が思い出したように言葉を続けた。
「かつて神の贄を勤められた者の精であれば、御幼生も満足されるでしょう。しかしそれは…」
そのまま言葉を濁す。
つまりは、このまま我慢するか。それとも見知らぬ男に、体内に精液を出されるか。どちらかを選べと
言う事なのだ。さしもの司教も強要するのはためらわれるらしく、珍しく口を閉ざしてしまった。
ウィル自身も選べない。このまま十日も生殺しの愛撫に耐え続けられるのか?しかし―
幼生が大きく動いた。ちょうど敏感な辺りでもぞりと身をくねらす。下腹部がわななき、情けない
喘ぎ声があふれる。
「…はぁん、んあぁああぁ…… どなたか、お願いします…」
全ては神の為、乗りかかった船、毒を食らわば皿まで。半ば捨て鉢気味にウィルは頭を下げた。
とにかく、この無邪気な孔虐者を静めたい。
すぐにご用意しましょう、そう言って部屋を出る司教を見送りもせず、ウィルは夜着の前を寄せ合わせ
ベッドに伏せた。また、幼生がごろんと動いた。
「ぁあっあ、あぁ、はぁああ…っ!」
長く昂ぶらせたまま放置されていたウィルは、あっけなく気をやった。腹に落ちる精液を呆然と眺めて
いると、今度は、アーウィンはウィルの男根に唇を添えて舐め始めた。
「いやっ、それは…ぁはあ…しなくて…いい、から…ひぁっ!」
手で押しのけようとするウィルを相手にせず、根元に手を添えると一息に大きく咥え込む。恋人にも
された事のない行為に驚きながらも、ウィル自身はすぐに硬さを取り戻してきた。その反応を確かめる
ように横笛に咥えなおすと、唇で軽く挟みながら先端までべろりと舐め上げる。
ふいに、二人の目が合った。アーウィンはどこか夢見るような目でいながら、ウィルを冷たく睨んでいる。
ウィルは急に、彼が恐ろしくなった。
気後れするウィルを見つめながら、アーウィンは指と口で巧みに愛撫を続ける。直接触れられる刺激に
逆らえず、気持ちを置き去りにしてウィルは次第に上り詰めてゆく。下腹部がひくつき、体内の幼生が
這う粘膜の疼きが一層強く感じられる。小さく呻いた瞬間、滑る指で激しくしごかれ、ウィルは再び
自分の上に精液をぶちまけた。
「はぁ…あぁ…… なんで、そんなことまで…」
続けざまに達せられた開放感にわなきながらウィルは呟いた。幼生に精をやるのが目的のはずなのに
これでは自分一人が痴態を晒しているようなものだ。
しかしアーウィンは気にした様子もなかった。ウィルの肌に滴る精液を指に充分に塗すと、無造作に
二本の指を後孔に差し込む。
「うあぁ…ひっはぁっぁああ…ぁあん…」
指は浅く差し込まれただけだった。しかし、その指を幼生が取り巻き、群れになって孔の浅瀬で力一杯
触手を動かし餌を貪っている。孔から背骨にかけてしびれるような快感が走った。
>>230は投下ミスです
ごめんなさい
部屋に訪れた男は、意外にも信徒の一人であった。三十歳半ば位だろうか、教団内では長身で目立ち
夜伽後のウィルを世話してくれることも多いのでよく覚えている。たしかアーウィンと呼ばれていた
はずだ。ウィルは多少の安心感を覚えた。全く見知らぬ男よりは、数回でも会話したことのある
内部の人間の方がいくらか気まずさも和らぐ。
アーウィンは部屋に入るなり、一通りの口上を述べるとフードの付いた法衣を脱いだ。薄い口元が
一見冷酷そうに見えるが、表情は柔らかい。失礼します、と断るとためらいもせずウィルのベッドに
上がりこみ、彼の夜着に手を伸ばした。その思い切りの良さに、ウィルの方が思わず後退る。
「あの…、男同士でも、大丈夫なんでしょうか?」
「ええ、司教様のご指示の元でのことですから」
かみ合わない会話にウィルが面食らっていると、気付いたアーウィンは思わず吹き出た笑いをかみ殺し
言葉を続けた。
「まあ、なんとかなるでしょう。お気を楽になさってください」
つられてウィルが笑う。少し気分が解れた。アーウィンに襟を開かれ、夜着を脱ぐ。反り返り、先走りの
雫に濡れて艶めく男根や腹の辺りまで一度に露になり、ウィルは思わずそれを隠そうと体を横に向けた。
その態度に気を悪くした様子もなく、アーウィンは立ち上がって窓のカーテンを閉め切る。ついで
自分も法衣の下の肌衣を脱いで裸になり、それをカーテンの上から引っ掛けて外からの日差しを遮り
できるだけ部屋を暗くすると、ウィルに寄り添った。
「これなら地下室とそう変わりはないでしょう。さあ、こちらを向いてください」
まるで恋人のように、耳に触れるギリギリで語りかける。ウィルが恐る恐る体を向けると、安心させる
ように微笑みながら素早く片手をウィル自身に伸ばした。抵抗させる暇も与えずに先端を指で擦り
ぬめりを付けて裏筋を一撫でした後、亀頭からくすぐるように揉みながら手を下ろすといきなり激しく
全体を擦りあげる。
「ぁあっあ、あぁ、はぁああ…っ!」
長く昂ぶらせたまま放置されていたウィルは、あっけなく気をやった。腹に落ちる精液を呆然と眺めて
いると、今度は、アーウィンはウィルの男根に唇を添えて舐め始めた。
「いやっ、それは…ぁはあ…しなくて…いい、から…ひぁっ!」
手で押しのけようとするウィルを相手にせず、根元に手を添えると一息に大きく咥え込む。恋人にも
された事のない行為に驚きながらも、ウィル自身はすぐに硬さを取り戻してきた。その反応を確かめる
ように横笛に咥えなおすと、唇で軽く挟みながら先端までべろりと舐め上げる。
ふいに、二人の目が合った。アーウィンはどこか夢見るような目でいながら、ウィルを冷たく睨んでいる。
ウィルは急に、彼が恐ろしくなった。
気後れするウィルを見つめながら、アーウィンは指と口で巧みに愛撫を続ける。直接触れられる刺激に
逆らえず、気持ちを置き去りにしてウィルは次第に上り詰めてゆく。下腹部がひくつき、体内の幼生が
這う粘膜の疼きが一層強く感じられる。小さく呻いた瞬間、滑る指で激しくしごかれ、ウィルは再び
自分の上に精液をぶちまけた。
「はぁ…あぁ…… なんで、そんなことまで…」
続けざまに達せられた開放感にわなきながらウィルは呟いた。幼生に精をやるのが目的のはずなのに
これでは自分一人が痴態を晒しているようなものだ。
しかしアーウィンは気にした様子もなかった。ウィルの肌に滴る精液を指に充分に塗すと、無造作に
二本の指を後孔に差し込む。
「うあぁ…ひっはぁっぁああ…ぁあん…」
指は浅く差し込まれただけだった。しかし、その指を幼生が取り巻き、群れになって孔の浅瀬で力一杯
触手を動かし餌を貪っている。孔から背骨にかけてしびれるような快感が走った。
「…なんで、こんなことをするのですか?」
快感の波が去り、やっと息が整った頃。ウィルは同じ質問を繰り返した。アーウィンはむしろ
退屈そうにウィルの精液を指に絡め、孔に差し込むことを繰り返している。時折、指を奥まで
差し込むと一緒に幼生もずり上がり、ウィルの敏感な部分を叩く。そのよがり声を無感情に聞き流し
ながら彼は答えた。
「こうすれば、ご自分でも滋養を与えることができるでしょう」
確かに。自慰で射精し、自分の指で孔内に塗りつける。考えるだけでも惨めだが、毎回誰かに抱かれる
よりはマシかもしれない。ふとアーウィンが微笑んだ。どこか棘のある笑い。
「何なら、付き添いの者に手伝ってもらってもいい」
今は席を外している、若い信徒の生真面目そうな顔を思い出し、ウィルは慌ててかぶりを振る。
その反応を冷ややかに楽しみながら、アーウィンはウィルの精液をすっかり後孔に塗りこめてしまった。
「…ありがとう、後は自分でなんとか…」
「ウィリウス様。これは私と神との、数年ぶりの逢瀬なのですよ」
アーウィンの態度が一変した。半ば身を起こしかけたウィルをベッドに押したおし、真直ぐに瞳を
見つめてくる。その顔から微笑みは消えていた。思いつめた人間の、どこか狂おしげな影が表情に
浮かんでいる。
ふいに、ウィルは理解した。彼は信者なのだ。自分のような部外者ではない。触手を神として崇め
文字通り、身も心をも捧げて生きてきた男。かつては贄として神の側に降り、その愛撫を受けいれた者。)
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
続きは明日投稿します。
支援
235 :
投下代行:2012/10/05(金) 13:03:42.72 ID:qnwh06NI0
オリジナル触手もの。後編
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ウィルの動揺に気付いたのだろうか。アーウィンはわずかに表情を和らげる。しかし今はその
穏やかさも、ウィルを安心させることはできない。
「別に無茶なまねはさせません。…これは、神に愛された体だ」
大きな手がゆっくりと頬を撫でる。そのまま胸を伝い、両手でウィルの男根を包み込むと愛しそうに
キスをする。一つのことがウィルの脳裡に浮かんだ。
「あなたも、その…排卵管を見たのですか」
「ええ」
「座らされました…?」
答えずに手を離し、一本の指を孔に差し入れる。餌があると思ったのだろう、幼生が一斉に集まった。
指は動かされない、が幼生たちは触手を振り回し、粘膜を撫で回す。彼は触手の感触を楽しんでいた。
「抱卵は信仰とも徳とも関係はない、ただ体が適しているかどうかだけ。司教様からは何度となく
そう慰められました」
独り言のように呟く。という事は、卵は生まれなかったのだ―もどかしい刺激に身もだえしそうに
なるのを我慢し、ウィルは言葉の意味を考える。
指が抜かれた。幼生たちはもぞもぞと体内に散らばってゆく。弱く、確実に触れられる刺激にウィルが
喘いだ。それがアーウィンに火をつけたのだろうか。
抜かれた指がすっと会陰を撫上げた。羽のように軽い愛撫。その指にいきなり力が入り、敏感な部分を
強く捻りあげる。
「ぎぃあぁっ!」
「それで選ばれたのがこの体だ」
ウィルはとっさにアーウィンを蹴りつけた。しかし孔の内外から責められた体には力が入らず、簡単に
脚を捕らえられてしまう。その脚を肩に担ぎ上げると、露になった孔にアーウィンは半ば立ち上がった
己自身を深云と突き立てた。
「くぅ…ううんっはぁああ…ぁあああっひぃっやぁ…っ!」
アーウィンは体を動かそうとしない。だが幼生たちは容赦なく腸壁を擦り、アーウィンの男根を
取り巻こうと動き回る。弱弱しかった刺激は一気に強烈になり、何百もの細い触手で粘膜を捏ね回し
ウィルとアーウィンの間に潜り込もうと身をくねらす。その動きに刺激を受け、アーウィン自身も
また大きさ、硬さを増してゆく。太い男根に孔を広げられ、その隙間を蠢く触手に埋め尽くされる
重く、蕩けるような快楽がウィルを追い込んでいく。
「あぁああっ!いやぁ…ぁあ!はぁああぁぁ…も、う…やめっ…!」
「ウィリウス様、どうなされましたか?」
突然、扉の外から声をかけられた。付き添いがいたのだ。ウィルの尋常でない悲鳴を聞きつけて
身を案じたのだろう。だが何よりもまず、全て聞かれていたという事にウィルは狼狽した。
「呼び入れますか?」
アーウィンの声も微かに震えている。しかしそれは驚きではない。今、再び神と交わっているという
高揚感に声が上ずり、挑発的な目でウィルを見つめている。
「私は別に構いませんよ。やましいことは何もしていない」
落ち着いてウィルを見下ろす。ウィルは絶句して自分の姿を見た。
片足を担ぎ上げられ、大きく陰部をさらけ出した姿勢でアーウィンの男根を咥え込んでいる。幼生の
粘液なのか、自分の精液なのか。結合部は濡れて糸を引き、シーツに小さな染みを作っている。
さらには自分自身も。粘膜に与えられる絶え間ない刺激に硬さを取り戻し、透明な体液が流れている。
見られたくない、こんな姿は。思った瞬間、アーウィンが強く腰を揺さぶった。
「やっ!いやああぁあ…ぁあぁぁ…」
「大丈夫ですか!?」
扉がわずかに開いた。
「来るな!なんでもないっ!」
ウィルは咄嗟に叫んだ。いや、叫んだつもりだが声は涙に詰り、不安定に揺れている。それでも
制止するだけの強さがあったのか、一瞬ためらわれた後、扉は閉められた。
今にも崩れ落ちそうにしゃくりあげるウィルを見て、アーウィンは冷たく微笑んでいる。
だが泣き出す代わりに、ウィルは行動に出た。渾身の力でアーウィンの腕を振り払い、脚を下ろす。
そのままうつ伏せになり、ベッドから這い出そうとしたのだ。動くたびに幼生が動き回り、熟しきった
快楽に新しい刺激が生まれる。唇を噛んで嬌声を殺し必死にもがいたが、簡単に腰を捕まれ引きずり
戻されてしまった。
「無駄ですよ」
うつ伏せに押し倒し、ゆっくりと自身を根元まで押し込む。すぐに幼生たちが男根に絡みついた。
少しでも餌を得ようと細い触手を伸ばし、尿道まで入り込んでくる。鋭い痛みに貫かれ、冷たい汗を
かきながらもアーウィンは身を引こうとはしない。これが最後になるだろう、そう覚悟を決めて触手の
感触を存分に味わう。
ウィルの嬌声が奇妙にくぐもっているのに気付いた。見ると、自分の手の甲を噛み締めている。一瞬
考え、あえてそのままにさせるとアーウィンは勢いよく腰を打ちつけ始めた。
「んんーーーっ!くぅっふぅううっ!んふぅぅううーーーっ!」
跳ね上がるウィルの体を押さえつけ、欲望のままに触手の中に己をつき立てる。今のアーウィンには
ウィルのことなど頭にはなかった。見えているのはただ、地下で燐光を放つ神の姿だけ。交わった者
だけが覚えている、暖かな粘液と触手の力強さだけだ。
昂ぶる気持ちを抑え、一旦、動きを止める。ウィルの背中に体を重ねると、彼の小刻みに震える
下腹部をそっと撫でながら耳元で呟いた。
「…ここに、その神がおられる」
陶酔した、恋人のような甘い囁き。ウィルは何も答えることができなかった。
支援
C
ウィルはただじっと、片手の甲を噛み締めていた。突き上げられるたびにウィル自身がシーツに
擦り付けられ、快感が衝撃のように下腹部に響く。男根に責められ、触手に嬲られて彼は体の芯から
沸き起こる快楽に包まれていた。せめてここが地下室なら、嬌態を見られることのない閉ざされた
空間なら―息苦しさに途切れそうになる意識の中に、あの触手の姿がぼんやりと浮かぶ。
体の奥で何かが弾けた。快感そのものが形となってウィルの全身を貫く。自然と弓形に反ろうとする
背中を無理矢理に押さえつけられ、出口を狭められた精液は勢いをなくし、とろとろとシーツに
塗りつけられる。長引く射精の間、繰り返す波のような絶頂感に襲われ、ウィルは次第に自我を
失いはじめていた。自分でもそれと気付かないまま、アーウィンの動きにあわせて腰を揺らす。
達したばかりの敏感な亀頭をシーツに擦りつけ、より深くまで突き入れられようと脚を大きく開く。
押さえきれない嬌声が、咽び泣くように響いた。蕩けるような快楽が粘膜から溢れだし、肌を覆い爪先まで染み渡る。もう出るものもないほどに精を吐き出し、それでも訪れる絶頂感に翻弄され、ウィルは
無我夢中で空いた片手を振り回し触れたものにしがみついた。その温もりに触手を思い出しながら
深い陶酔感に飲み込まれてゆく。
アーウィンの動きが性急になった。幼生は場所を譲るように奥へと移動する。熟れた粘膜を直接
男根に擦られる感触は、触手とも排卵管とも違う、感じた事のない刺激をウィルの心に刻む。
一層深く突き上げられ、熱い体液が迸るのが体の奥に感じられた。やがてゆっくりと、アーウィンが
引きずり出される。餌を得た喜びに幼生たちが身をくねらせ始めた。
終わったんだ、彼と神との長い逢瀬は。弛緩した体をベッドに投げ出し、ウィルはアーウィンが
離れるのを待った。
しかし彼は動こうとしない。体を重ねたまま、ウィルと同じように息を乱し、片手でウィルの口から
手を外させようとしている。されるがままに顔をあげた途端、ウィルは自分が握り締めている物が
何なのかに気付いた。それは、自重を支える為に付かれた、アーウィンの腕だった。
「その傷は、私がつけたと報告しておいてください。そうすれば、私はあなたのお世話から外される」
ウィルの手に包帯を巻き終えたアーウィンが、顔を背けながら言い放った。カーテン越しに差し込む
日の光は弱くなり、窓際の卵を影のように浮かび上がらせている。アーウィンはその卵に手を伸ばし
さわろうとして―触れずに手を下ろした。
ウィルは迷った。確かに、今までと同じ気持ちで彼の世話を受けるのは難しくなるだろう。
しかし自分の感情だけで教団を動かすようなまねはしたくはなかった。自分はやはり部外者であり
どれだけ触手を受け入れたつもりでも、本当に信仰している者とは覚悟の程が違う。
アーウィンの存在に、その事実を痛感させられる。
「…私は人のせいにしたくはありません」
精一杯考えた挙句、それだけしか言葉にはならない。
二人は卵を見つめている。同じ物を見ていても、考えている事は違うのだろう。それ以上のことを
想像するのは彼の心に土足で上がりこむように思え、ためらわれる。
やがて、アーウィンが振り返った。先程までの影は消え、いつもの世話係の表情を取り戻している。
「口元に血が滲んでいますね。拭いておいたほうがいいでしょう」
清潔な布を探し出すと、そっと口元に押し当てる。一瞬、ウィルは緊張したが、それ以上なにをする
でもなくアーウィンは離れ、一礼して部屋を出ようとする。
ウィルは咄嗟に呼び止めた。
「あの…これからも、よろしくお願いします。…色々と」
可笑しそうに微笑むと、彼はそのまま部屋を出ていった。
これで良かったんだろうか?自分には重過ぎる課題を残されたような気がする。
今は満たされて落ち着いている、小さな幼生たちが引き起こした大きな葛藤に心を乱されつつ
ウィルはそっと下腹部を撫でた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ふぉお萌えた…!
代行者さんも乙です
続き来てた!ありがとうございます。続きが気になります!
代行者さんもありがとうございます。
生。引退する人と引退した人
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「お疲れ」
地下の駐車場に姿を現した彼に声をかける。
「来とったんか」
驚いたように自分を見る彼の顔にも声にも、濃い疲労の色が滲んでいる。
今日は本当に大変な日だったから。
「今日はずっと一緒にいるつもりだったから」
そう言うと、彼の強張った表情がふっと緩んでいった。
「記者会見やるから来てくれんか」
今朝、彼が電話でそう言った。会見の内容は分かっていた。
しかし、レポーターでも記者でもない自分がそこにいるのは少し気が引けた。けれど――。
「お前に見といて欲しいんや」
縋り付くような声音に、覚悟が決まった。
「試合、残念だったな」
「ほんまにの。せっかく俺が引退してやるゆうたのにな」
彼が大きな決断をした大切な日の大切な試合に、チームは勝つことが出来なかった。
「あいつらも―」
そう言って、彼はため息を吐く。
「試合終わって泣いて謝るくらいやったら、ヒットの1本も打てゆうんや」
不動の4番で、精神的支柱でもあった彼の衰えと共にチームは弱体化の道を辿り始めた。
彼さえいなくなれば――。
次第に大きくなる周囲の声に、耐え続け、抗い続け、それでもチームの将来の為に今日、
ユニホームを脱ぐことを宣言した。
「こんなんやったら、俺…、やめれんやないか…」
俯き、震える声で彼が呟く。彼に近づき、背中に腕を回して引き寄せる。
「…よく、頑張ったな」
肩に顔を埋めるようにした彼の口から、嗚咽が溢れ出した。
「お前がおってくれたから…」
嗚咽の間に彼が言う。
「あそこに座っても、…俺、まだ辞めるて…、言いとうなかった」
「…うん」
「けど、お前の顔見たら、お前が見といてくれたら言えるて……」
「…うん、よく…、言えたな」
「…みっともないやろ」
「そんなことない。かっこいいよ、お前は」
本心からの言葉だった。潔い辞め方なんて、本当はしたくない。野球が好きで、プロになって、
必死で努力して掴みとってきたものを、簡単に手放したくない。
人に惨めだと言われようと、しがみ付いたって構わないではないか。
「…矢里予は優しいなあ」
矢里予から体を離し、涙に濡れた顔を拭いながら、いつものふざけたような調子で彼がいう。
「ほんまええ男や」
そう言ってしみじみと自分を見つめる彼に、いつも思っていたことを言ってみる。
「そういうこと、俺の前だけで言ってくれないか」
「そういうことて?」
「いろんな所で言ってるだろ?女だったら俺と結婚したいとか。ああいうの」
「なんで?」
「冗談で言ってるみたいだろ」
「俺は本気で言よるで」
「それは、分かってるけど」
「分かっとるならええやん」
諦めて矢里予は苦笑する。彼を言い負かすことが出来るわけがないのは分かっていたけれど。
面白そうに笑っていた鉢の表情がすっと引き締められる。
「最後まで見といてくれるか」
「ああ、見届けるよ。最後まで」
残された時間を、彼は全力で、でも楽しみながらプレイする。
そして、自分はその姿を見つめ続ける。最後のイニングが終了するその瞬間まで。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
失礼します。ボーカロイドの鏡音レンSS投下させていただきます。
以下、注意書きになりますので、ご一読ください。
・長さは22レス分です。
・オリジナル男性マスター有り
・マスレン→レンマス描写を含みます。
苦手な方は、お手数ですがスルーまたはNG指定していただくよう、お願いいたします。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
(1、2、3、4、1、2、3、4…)
照明の満ちた、広いダンスルームに、軽快な音楽と、それに合わせた激しいステップが響く。
部屋の中央には、トレーニングウェアに身を包み、一心不乱に踊り続けている一人の少年の姿があった。
(1.2.3.4…っと!)
音楽の途切れ目に合わせ、少年はキレのある動きで、ピッ、と片手を高く突き上げ、静止する。
そのままの姿勢で、壁一面に据え付けられた鏡にじっと目をこらし、フォームを確認すると、「ふぅ」と息を吐いて、全身の
力を抜いた。
「……やっぱ、まっすぐ上げるよりも、少し傾けた方がいいかもな……。それに、足ももっとこう……」
ぶつぶつと呟きながら、正しい動きを確かめるように何度もダンスを繰り返す少年――鏡音レン。
若干14歳にして、超人気アイドルの座についている彼は、一週間後に控えたライブイベントに向けて、練習に余念がなかった。
「……見事なものだ」
そんなレンの耳に、どこからか、乾いた拍手の音が聞こえてきた。
「……その声は……」
レンが、視線をダンスルームの入り口へと振り向ける。
そこにはいつの間にか、黒いスーツを身に纏った若い男が立っており、レンへ向けて、鷹揚な拍手を送っていた。
「怜次……」
ぽつりと、レンが呟く。
『怜次』と呼ばれた男はすっと手を下げると、傍らにあった真っ白いスポーツタオルを掴み、レンへと投げて寄越した。
「……いつ帰ってきてたんだよ?」
受け取ったタオルで汗を拭きつつ、ぶっきらぼうにレンが訊ねる。
「今しがただ。次の会合まで、時間が出来たのでな」
まるで機械を思わせるような冷たい声で、怜次がそれに答える。
そして、胸ポケットからライターと煙草を取り出すと、軽い動作でそれに火を点けた。
「……っ!」
その様子を目にしたレンが、わずかに表情を険しくして、つかつかと早足で怜次へ詰め寄る。
そして、怜次の咥えている煙草に手を伸ばすと、乱暴にそれを奪い取った。
「……ここで煙草を吸うなって、いつも言ってるだろ。空気が汚れて喉に悪いんだよ」
レンが怜次を鋭く睨み付ける。
その瞳に、自分の歪んだ顔が映し出されているのを眺めつつ、怜次が薄く微笑んだ。
「……ふん」
ゆっくりとライターを懐にしまうと、怜次は一語一語、宣告するように言葉を紡ぐ。
「直に、また出かけねばならない。時間はそうないということだ」
「――っ」
怜次の言葉に、レンがびくり、と身構える。
これから続けられるであろう言葉に向けて。
これから起こり得るであろう事態に向けて。
「――三十分後だ。シャワーを浴びて部屋に来い」
鋭い刃物のようにその言葉だけを突きつけて、怜次はレンを置き去りに部屋を去った。カツン、カツンと廊下から響く怜次の
足音が、開かれたままのドアから聞こえてくる。
レンは一人、ダンスルームに取り残された。その表情は、怜次を睨み付けた時のまま、険しく固まっていた。
まるで、何かの苦痛に対して、歯を食いしばって耐えているかのように。
(―――くそっ)
心の中で小さく毒づき、手にしていたタオルを投げ出すと、レンは足早に、ダンスルームを後にした。
「――九十八秒の遅刻だな」
ゆったりとしたガウンを着て、自室のベッドに腰を下ろしていた怜次が、バスローブ姿で自室へとやってきたレンに言う。
その言葉にはしかし、非難も怒気もこもってはおらず、ただただ事実を事実として告げているかのような響きだけがあった。だが、
それゆえに、一種独特の威圧感が含まれている事も確かであった。
読んでいた本をぱたり、と閉じて、怜次が立ち上がった。
「まあいい。こちらへ来い」
そう言いつつ、怜次は一歩一歩レンへと近づく。床に敷かれた上等なカーペットが、足音一つ立てさせず、怜次の体重を
吸収していく。
その時。
「――話がある」
それまで、黙って部屋の入り口に佇んでいたままのレンが、つと顔を上げると、切り口上で喋り出した。
怜次の動きがぴたり、と止まる。だが、その瞳は、じっとレンに向けられたままだ。
その冷たい輝きを見るだけで、レンは気後れしてしまう。自分の全てを見透かされているような、心を射抜くような視線。
だがそれでも、レンは言わなければならない。
言わなければ、何も、変えられない。
「もう……こんな事は終わりにしたいんだ」
喉の奥から搾り出すように、レンが言葉を発した。
それを聞いている怜次の表情に、変化はない。
「オレは歌を歌いにアンタの所へやってきた」
怜次の様子に構わず、レンは語り出す。
「アンタは場末の小さな劇場で燻っていたオレを拾い上げ、自分の下に来るよう誘ってくれた。設備の整った大きな練習部屋も
作ってくれたし、有名な音楽プロデューサーを何人もオレに紹介してくれた。何よりオレに、たくさんの歌を歌わせてくれた。
その事は、本当に、本当に感謝している。……けど」
一息にそう言うと、レンはおもむろにローブを解き、怜次に見せつけるように背中を向けた。室内の薄明かりに、その背中が
ぼんやりと照らし出される。
「――オレは、マスターの玩具じゃない」
その、白い柔肌の表面には、無数の赤い傷跡が、くっきりと刻みつけられていた。
「告げたはずだな? 時間がないと」
抑揚を欠いた怜次の声が部屋に響く。それと同時に、レンの肩に、有無を言わせない力強さを伴った手がかけられた。
「怜次! オレは――」
「子供の戯言に付き合っているヒマはない」
振り向きざま叫ぼうとするレンを一蹴し、怜次がレンをベッドへ向けて乱暴に放る。質の良いスプリングがぎしり、と軋んだ。
自身もベッドへと上がった怜次が、レンの体へとのしかかっていく。手足を押えられ、レンは身動きが取れなくなってしまった。
「くそっ! 離せ、っ――!」
どうにか身を起こそうと、レンがもがく。だが、自分より体格に勝る怜次の拘束からは、どうしても逃れられない。
その体勢のまま、怜次は真上からレンの顔を見下ろしていた。それはそのまま、現在の彼等の立場そのものを表していた。
襲う者と、襲われる者。
捕らえる者と、捕らわれる者。
「お前の歌声や姿など、いくらでも他の連中にくれてやる。だが」
その顔を、ぐっとレンに近づけ、怜次が囁いた。
「その魂だけは、俺の物だ」
そして、唇を奪うのと同時に、レンの背後へと腕を回すと、かりっ、という音をさせて爪を立てた。
「あうっ……!」
その、小さく鋭い刺激に、レンが思わず体を反らせる。
「んんっ……! 怜、次っ……! やめっ……!」
懇うようなレンの言葉にも耳を貸さず、怜次は二度、三度とレンの背中を弄ぶ。その度ごとにレンの体は反応してしまい、
否応なしに、自分の身体がすでに、怜次に征服されてしまっている事を理解させられた。
「は…ぁっ……!」
「――どの道お前はもう、俺から離れて生きる事なんか、できやしないんだよ」
そう呟きながら、怜次がもう片方の手をレンの下半身へと伸ばす。背中への愛撫と合わせるようにその部分を弄られると、
まるで従順な犬のように、喜んで首をもたげ出すのが、レン自身にも感じられた。
「ウソだっ……! こんなの、こんなのオレの意志じゃない!」
大きく首を振り、自分の体を否定するレン。だがそれに反し、下半身はますます大きさを増し、怜次の手の中で嬉しそうに
その身を悶えさせ続けていた。
「理解したか?」
さらに手の動きを速めつつ、怜次が言う。神の宣託を与えるかのように。
「お前はもう、周囲全ての人間に対して、仮面を被る事を強いられている。お前が望むと望まざるとに関わらずな。それを
唯一外す事が出来るのは、そうやって、俺の下で喘いでいる時だけだ」
そして、わずかに唇の端を吊り上げて、嘲るように嗤った。
「せいぜい踊り切ってみせろ。一人きりのマスカレード――仮面舞踏会をな」
「畜生……ちく、しょうっ―――!」
瞳に一粒の涙を滲ませるのと同時に、レンは、その身を果てさせた。
「―――はい、カット! OKです!」
大きく張り上げられたスタッフの声を受け、俺は体の緊張を解き、ベッドから降りた。
「お疲れ様でした!」
と、スタッフが差し出してくれたタオルで体を覆い、後始末に取り掛かる人員と入れ替わりに、撮影用のセットから退出する。
体中にかいた汗が、徐々に冷えていく感覚がなんとも心地いい。
「……お疲れ様です。どうでした、出来栄えの方は?」
モニターの前に陣取り、カメラチェックをしている監督に近づいて、俺はそう声をかけた。監督がこちらを振り向き、にいっと
笑う。
「いやあ、バッチリだったよ。ホント、君たちに頼んで正解だった」
「そう言っていただけるとありがたいです」
とりあえず、ご満足いただける演技は出来たらしい。俺は心の中でほっと胸をなで下ろすと、監督へ向けて一礼した。
……ここは、映像撮影スタジオの一室。俺たちは今、ドラマ番組の撮影中なのだった。
もちろん、一役者――もとい、一、「売れない」役者に過ぎない俺が、あんな豪華な家に住む事はできないし、名前だって、
『怜次』なんてカッコつけたものじゃない、ごくごくありふれた名前だ。
そう、ここは、何から何まで作り物の世界。
ある一点だけを除いては、だが。
「マスター!」
監督と一緒になって、撮影された映像を確認する俺。そんな俺の背後から、若干興奮気味に上ずった、幼い声が聞こえてきた。
俺が振り向くと、そこには俺と同じく、タオルを体に巻きつけた『レン』が立っていた。
上気した顔を真っ赤に火照らせ、キラキラと輝く瞳を俺の方へまっすぐ向けている。
「ああ……レンも、お疲れ様」
俺はふっと微笑んでレンに近づき、その頭をなでてやる。俺の手に自分の手を添えたレンが、ぱっと満面の笑みを浮かべた。
「はい! ボク、一生懸命頑張りました! 上手く出来てたかどうかわからないけど、マスターと一緒にいっぱいいっぱい
お仕事が出来て、とってもうれしかったです!」
「そうかそうか、ほら、早く背中の特殊メイク、キレイに落としてもらってこい」
「はーい!」
元気な声で答えると、レンはメイク担当スタッフの下へ、とたたた、と駆け出していった。
ボーカロイド、鏡音レン。
俺が、こいつのマスターであるという関係だけは、紛れもない事実であった。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
本日中に投下完了させていただく予定です。
9〜16まで。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
そもそもは、俺が役者業の傍ら、ボーカロイドのプロデューサーとして、個人的に作曲活動を行っていた事に、ドラマ製作者側が
目を付けたことがきっかけだった。
「どう、よかったら、今度の企画ドラマ枠で、その子と共演してみるってのは」
製作会社の一室で、俺とレンを前にして、当時の責任者はそう言ったものだ。
「いやあ……そういうのは、どうなんでしょう?」
正直言って、当初の俺は、その話を断ろうと思っていた。
趣味の領域とはいえ、自分の作品が評価されたことは素直にうれしいのだが、あくまで趣味は趣味だ。趣味を本業に持ち込むと
いうのは、プロとして失格ではないだろうか――そんな風に考えていた。
しかし。
「やります!」
そんな俺を差し置いて、隣で黙って話を聞いていたレンが、突然身を乗り出してこう答えてしまったのだ。
「ぜひやらせて下さい! マスターと一緒の舞台に立てるなんて、こんなにうれしい事はありません!」
そして、呆気に取られている俺の方を向いて、同意を求めるように聞いてきた。
「ね、マスターも、もちろんOKですよね?」
「あ……ああ、まあ、レンがそこまで言うのなら……」
「やったあ! それじゃ、よろしくお願いしますっ!」
その勢いにつられて、気付けば俺も、なしくずし的に了承してしまっていたのだった。
(……まあ、結果としては、成功だったと言えるんだろうな)
用意されていたドリンクを飲み干しつつ、俺はスタッフに囲まれて談笑するレンを見つめながら、ぼんやりと思う。
そう、まさに「成功」だった。いざ舞台の現場に立たせてみると、レンは驚くべき演技力を発揮し、俺を含め、関係者の誰もを
うならせてしまったのだから。
(その辺は、さすがはボーカロイドってところか? エンタメ特化型アンドロイドの名前は伊達じゃない……ってか)
その上愛想もよく、気も回るという事で、レンはすっかりスタッフのお姉さん連中のお気に入りとなってしまった。その辺も、
人から不快感を持たれないように振舞える、ボーカロイドの面目躍如だ。
そんな事を考えているうち、レンがスタッフの輪を離れ、またこちらへとやって来た。だが、ちょっと様子がおかしい。何だか、
少し困ったような顔をしているように見えたので、俺は「ん?」と思った。
「どうしたんだ? 何か、撮影でマズいところでもあったって?」
俺がそう聞くと、レンは首をふるふると左右に振った。
「ううん……そういうんじゃなくて。あの、今日の撮影はこれで終了だから、この後、僕らも含めて中締めの会でもしませんか、
って誘われちゃったんですけど……」
「いいじゃないか。ぜひ参加させてもらいます、って言ってこいよ。幸い、今夜は用事もないんだし」
「でも……」
妙にもじもじしていたレンが、突然俺にすっ、と身を寄せてきた。
「お、おい、レン……?」
そして、他のスタッフからは見えないように壁を作り、そっと俺の手を取ると、タオルに覆われた、自分の下半身へと導いた。
「……っ!」
そこから伝わってくる、湧き上がるような熱さと鼓動に、俺が思わず息を飲んだ瞬間、レンが俺の耳に唇を寄せ、ぼそり、と
小さく、しかし絡みつくような声でささやいた。
「ホントは早く帰って、マスターと遊びたいんだけど……」
しかし次の瞬間にはもう、レンはぱっと俺から離れ、にっこりと、さっきまでの調子で屈託なく微笑んでいた。
「でも、マスターのおっしゃる通りですよね。それじゃボク、スタッフさんたちにお返事してきますね!」
そのままくるりと振り向いて、去っていくレンの背中を見送りながら、俺はただ、一瞬前までそこにあった熱量を確かめるように、
空っぽになった手の平を、意味もなく動かし続けていた。
(――マズいこと、しちまったか?)
かすかにそんな事を思う俺の脳裏に、先ほどまでの芝居の内容がフラッシュバックする。
――確かに、火を点けるタイミングは、時と場合をわきまえるべきだったようだ。
「……すいません。俺、ちょっと手洗ってきます」
その夜、中締めの会に席を並べた俺は程よく飲み、座が終わりの方にさしかかった所で、すっと腰を上げた。
「あーはいはい、行ってらっしゃい」
俺の隣ですっかり上機嫌になっている監督が、ひらひらと手を振っている。
宴会場の襖に手をかけながら、俺はちら、とレンの様子をうかがった。テーブルの一隅で、同じく酔っ払った女性スタッフに
なんやかんやと構われている様子が目に入る。
「レン君はほーんといい子よねぇ。どう、よかったらウチの子にならない?」
「あはは、それもいいかもしれませんね。マスターのお許しが出れば考えてみます」
相変わらず、如才ない笑顔でやりとりを交わしているレン。それを見届けた俺は、襖を開けて廊下に出た。
(……ヤバいな、頭から離れん……)
用足しのついでに、トイレ近くにあった喫煙所で一服している俺の頭に浮かぶのは、撮影後のレンの様子だ。手を見下ろせば
今もそこに、あの熱さと感触が残っているような気さえしてしまう。
(ま、とりあえず、今のうちに酔いつぶれて、帰ったら即行で寝ちまえば……)
そんな計略を巡らせつつ、俺は吸い差しを揉み潰す。真っ赤に光る灰が、ジジッ、と音を立てて消えるのと同時に、廊下の
闇の中から俺を呼ぶ声が聞こえた。
「――マスター」
振り向くと、そこに、レンが立っていた。
「なんだ、お前も来たのか? ぼちぼち締める頃合だろうから、早めに戻ってこいよ」
そう言い残し、俺はレンの隣を通り過ぎて、会場へと戻ろうとした。しかし、その時。
俺の腕を、レンが、がっしりと掴んできた。
「……? おい、レン……うわっ!?」
「ほら、こっちこっち!」
俺の顔を見上げ、一瞬だけにっ、と笑うと、レンはものすごい勢いで俺をトイレの中へ引っ張り込む。
「お、おい、何する気だよ?」
「いーからいーから!」
そしてそのまま個室へ俺を押し込むと、続けて自分の体を滑り込ませ、かちん、と中から鍵をかけてしまった。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
携帯より。
バイバイさるさん食らったので中断させていただきます。
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「おい、こら、レン。俺はそろそろ戻らないと――」
勢いで、便座に腰掛けてしまった俺が抗議しようとするのも待たず、レンが自分の唇を俺に押し当ててきた。
「はぁっ……ふむっ、マスター……マスタぁ……」
荒い息をつきながら、レンが俺にむしゃぶりついてくる。唇を唾液で湿らせ、味わっているかのように俺の唇を口内で舐め回す。
ぬるぬると舌を這わせ、さらには俺の口の中にまで侵入させてきた。
「あふぅ……は……んっ……」
自分の舌を絡めとられた俺は、なすすべもなく、喘ぎながら吸い付いてくるレンの任せるままにする。ちゅぅぅっ、という音を
立てて吸い付いてくるレンの顔が、既に火照りきっているのが空気越しに伝わってきた。
「ん……ぷはぁっ」
ようやく顔を離したレンと俺の間に、たらり、と一筋、光の橋が渡る。俺はなるべく、平静を装った表情を保ったまま唇を拭い、
レンをじろり、と睨み付けた。
「まったく……こんな所で、こんなコトして、誰かにバレでもしたらどうするんだ?」
だが、それはまったく効き目を表さず、俺の膝の上に跨ったレンは、けろりとしたままで言い放った。
「だーいじょうぶだってば。誰か入ってくれば、ドアの音でわかるしさ。それに――」
ふふん、と目を細めて笑ったレンが、するり、と俺の首の後ろに手を回し、顔をぐいっと近づけてきた。
「ボク的には、誰かに見られちゃったって、全然オッケーなんだけど?」
オッケーなわけがないだろうが、と思ったが、それを口に出す気力もない。
「それよりホラ、早く続き続きー」
歌うようにそう言い、レンは手早く自分の上着を脱ぎ、さらに俺のシャツの前ボタンを外しにかかる。
その様子を眺めながら、俺は、ふう、と心の中でため息をついた。
(……夜まで逃げ切れると思った俺がバカだったか)
「……そういえば、お前な」
「ん?」
互いの舌を嬲りあうようなキスの合間に、俺はレンに向けて言う。
「演技の時に、舌を入れるのはやめてくれ、頼むから」
その言葉に、レンが、きゅっと眉根を寄せた。
「だぁってぇ……リハーサルで何回もちゅっちゅしてたら、ガマンできなくなっちゃって……」
「まったく……カメラチェックで映ってなかったからいいようなものの」
俺は再び、レンの唇に食らい付いていく。舌を差し込むと、少し、お仕置きのようなつもりも兼ねて、乱暴に口内で暴れさせて
やった。
「んんっ……! んむぅっ……」
上へ、下へと動かすたびに、レンが鼻にかかった甘い吐息を漏らす。瞳の中に、甘い恍惚の色がわずかに浮かび上がっているのが
見てとれた。
「はふぅ……ん、……そんな事言ったら、マスターだって」
口を解放してやるや否や、間髪を入れずレンが言い返してくる。
「その後のシーンの触り方。アレ、完全にいつものやり方だったじゃん」
「う……」
痛いところを突かれた。
「アレはまあ……何だ、つい、いつもの癖がな……」
俺の言い訳にも耳を貸さず、レンが俺の手を取り、ひたり、と自分の胸に添えさせる。
「マスターがねっちりもっちりいやらしく触るせいで、ボクだってスイッチ入っちゃったんだからね? ちゃんと責任取ってよね、
大人なんだから」
そう言われてはぐうの音も出ない。
「ほら……」
レンが誘うのに任せ、俺はその体を撫で回す。指先に力をほんの少しだけ込めて、レンに優しく刺激を与えていく。
「ん……んんっ……」
胸の突起を弄ってやると、レンがかすかに声を上ずらせる。二本の指で、そこをきゅっと摘むと、レンが「ひゃうっ」という
短い声を上げた。
「んっ……そっ、それだよっ、その触り方ぁっ……そんなエッチな触り方するからぁっ……」
喘ぎ声の合間に、途切れ途切れに抗議の弁を漏らすレン。その様子が少し面白くて、俺はつい、悪乗りしてしまう。
「はぅぅんっ……! 両方同時、ダメぇっ……!」
二つの突起を同時につまんでやると、レンの身体がびくんと跳ねた。
「はは……相変わらずレンは弱点が分かりやす……うわっ!?」
そのまま指の間で転がしながら、レンの反応を楽しんでいる俺の下半身に、突然、痺れるような刺激が走った。
見ると、いつの間にやらズボンのチャックを下ろされた腰から、俺の性器が露出しており、そこをレンにがっしりと握られて
いたのだ。
「おっ…おい、お前、イキナリは反則……」
情けなくも、言葉がしどろもどろになってしまう俺に対して、はあはあと呼吸を乱れさせながら、レンがにやり、と笑ってみせた。
「へへ……マスターが悪いんだよ? いっつもイジワルばっかりするんだから」
そう言って、レンが手を上下に動かし始める。しゅっ、しゅっと擦られるたびに、じわじわと、体の奥から欲望の塊を
引きずり出されていくような気分に襲われる。
「くっ……!」
俺は咄嗟に声を抑えるが、それも敵わず、喉を小さく鳴らしてしまう。レンの手は全く動きを緩める事無く、一定のリズムで
俺を責め立て続けた。
「ねえ……マスター」
俺への愛撫をやめないまま、レンがぽつりと呟く。
「今日のお芝居、ホントに演技だったの?」
「……どういう、意味だ?」
すでにまともな思考が半分がた飛んでしまっている俺だが、それでもどうにか返事をする。
「マスターは、ボクの事を、自分ひとりじめにしたいって思ったこと、ないの?」
レンが、真剣な表情でこちらを見ている。心なしか、下半身からの刺激も、いくぶん和らいでいるような気がした。
「そりゃあ……アレは芝居の中の話だ」
揺り戻されてきた思考の中で、俺はなんとかかんとか言葉をまとめ、口から吐き出していく。
「現実には、独り占めなんかするよりも、俺とお前で作り出した作品を、たくさんの人達に見てもらえるほうが、ずっといい」
俺は答えた。掛け値なしの本音だ。
「……ふぅん」
じっと聞き入っていたレンが、低く、うなるように相槌を打つ。それと同時に、再び手の動きを再開させ始めた。
「うっ……!」
さっきよりもずっと激しいその動きに、俺はまた、声を上げてしまう。意図的に、俺の思考を奪っていくような愛撫をしつつ、
レンがふっと顔を上げて、意味ありげに笑った。
「ボクは別に、どっちだっていいんだけどね。マスターが、ボクの事を好きなまんまなら」
そして、ぐうっと顔を近づけると、互いの瞳を覗き込めるほどの距離で見つめてきながら、俺の耳をくすぐるように、囁いた。
『――ボクはいつだって、マスターの玩具なんだから』
その言葉に、俺の心の掛け金が、音を立てて外れかける。
(――レンを、俺一人の物に)
その考えは、この上なく蠱惑的な響きを伴って、俺を誘った。
この、目の前の華奢な肉体を奪い、組み敷き、従え、貪り尽くす。
一瞬の間に、俺の脳裏にそんな光景が駆け抜ける。
だが。
「……そういうのは、無しだ」
搾り出すようにそう言うと、俺は自分の手をレンの手にかぶせ、ぎゅっと握りこみ、その動きを止めさせた。
「マスター……?」
やや驚いた表情のレンが、俺を見る。その顔をまっすぐに見つめ返しながら、俺は、一語一語、言葉を切るようにはっきりと
告げた。
「俺とお前は、あくまで対等なパートナーだ。その関係性を変えるつもりは、これっぽっちもない」
それだけ言い切った俺は、しばらく無言でレンの反応を待った。一秒、二秒。静寂の中、時だけが過ぎていく。
やがて、ふぅっ、と弱々しげに息を吐いたレンが、すっ、と俺の下半身から手を引いた。
(……もう少しだったのにな……)
かすかな、とてもかすかな声で、レンがそう呟いた気がした。
「まあ、ボクだって最初から、マスターにそんな度胸がないの、知ってるもんね。ちょっと冗談で言ってみただけだよ」
何かをごまかすように、そう笑ってみせるレン。
――その笑顔が、まるで張り付けられた仮面のように見えたのは、俺の気のせいだったろうか?
「レン、お前……」
「それより」
また調子の変わったレンの声音に、俺ははっと我に返る。
「そろそろ、お互いガマンの限界だよね?」
からかうような言葉と共に、レンがひょい、と俺の膝から降りる。
そして、するりとズボンを下ろすと、露わになった下半身をこちらに向けながら、熱を帯びた声で訴えかけてきた。
「マスターの熱いの……ボクに、全部ちょうだい?」
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
携帯より。
時間おいて次の投下で終了させます。
18〜22まで。
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「あっ……んはっ……」
レンの喘ぎ声が、狭いトイレの天井に反響する。
「おい、レン……もう少し、声を抑えてくれ」
個室のドアに手を付き、下半身をこちらに突き出しているレンに腰を打ちつけながら、俺は注意を促す。ともすれば、トイレの
外の廊下にまで、声が漏れてしまいかねない。
「ふんっ……だぁっ、てぇっ……そんなの、無理、だよぉっ……あんっ!」
ぷるぷると手足を震わせながら、こちらへ首を振り向けながらレンが悶える。その瞳に、うっすらと涙がにじんでいた。
「このカッコ、気持ちよすぎて……ガマンなんて、無理ぃっ……」
「……仕方のない奴だな……」
そんな事を言っている俺ではあるが、実のところ、自分もかなり限界に近づいていた。
レンの中は熱く、きゅうぅっと窄まって俺のモノを締め付け、一度出し入れする度に、快感が加速度的に上昇していく。今は
まだ、何とかこらえられているものの、あと数度も動かないうちに、俺は果ててしまうだろう。
(……まあ、正直なところ、長居しすぎた感もあるしな。ここはさっさと終わらせて……)
そう思った俺が、さらに強くレンに向けて体を押し付けようとした、その時。
がちゃり、という音が、トイレの入り口側から聞こえてきた。
「っ!」
耳ざとく、それを聞きつけた俺とレンが、同時にぴたり、と動きを止めた。
「うう……ひっく、危ない、危ない、っと……」
続けて聞こえてきたのはまぎれもなく、俺たちの撮影スタッフの内の一人の声だった。そいつはいかにも酔っているらしい、
不規則な足音を立てながら、こちらへ近づいてくると、あろうことか俺たちの隣の個室へと入り込み、ドアを閉めた。
(これは……マズいな。とにかく、バレないように、このままやり過ごすしか……)
少しでも物音を立てないよう、俺はレンの腰を抱えた体勢のままで、じっと息を潜め、隣の様子をうかがった。とりあえず、
相手がトイレを出るまでは、このままの姿勢でいるしかなさそうだ。
だが、次の瞬間。
(……っ!?)
突然、ぬるり、という、粘ついた感触が、俺の下半身に広がった。
俺は驚いて、ばっ、と下の方へ視線を移す。
(ん……んんっ)
そこには、壁に手を着いたままの格好のレンが、ゆっくり、極めてゆっくりと、下半身を前後に揺らしている光景があった。
(レ……レン! お前、何考えて……!)
思わず叫び出しそうになるのを慌ててこらえ、なんとかその動きを止めさせようとする。だが、あまり大きく動いてしまっては、
いつ隣に気付かれてしまうかもしれず、俺は戸惑った。
そんな俺にもお構い無しに、レンはひたすら、腰を振り続けている。俺のモノをずぶっ、と飲み込んでは吐き出し、また
飲み込もうとする様は、まるで他の生き物のように見えないこともなかった。
(くぅ……っ!)
そのスローな動きが、却って俺の性感を昂ぶらせていく。激しく動く事の出来ないもどかしさが俺の中に溜まっていき、それが
大きなうねりとなって、体中を駆け巡る。
絶頂が、近づいていた。
「ふうぅう、うっ、と……」
隣で、カチャカチャとベルトを締め、立ち上がる物音がした。もう少しだ、もう少しで出て行く。それまで、何とか
耐え切らないと――
そう思った瞬間、レンが急に、激しく腰を押し付けてきた。
(うぅっ!?)
お互いの下半身が勢いよくぶつかり、ぱんっ、という乾いた音が上がる。
続けて二度、三度と繰り返されるレンの動きに合わせ、その音は、留まる事を知らず立てられ続けた。
(ううっ、こっ、これ以上はっ……!)
程なく俺の体は、絶頂へと達してしまっていた。
勢いよく先端からほとばしる白濁が、一滴残らずレンの中に飲み込まれていく。膝ががくがくと震え、崩れ落ちそうになる寸前、
どうにか力を込めなおしてそれを堪えた。
「ふわぁ……あ、眠ぃ……」
あくび混じりの独り言に続き、がちゃり、と入り口のドアが開き、また閉じられる音がする。
それを確実に確かめたのち、俺は長い長いため息をもらしながら、ずるずると滑り落ちるように、再び便座へと腰を下ろした。
「……はぁ、はぁ……っ、ふぅぅ……おい、レン」
何とか呼吸を整えつつ、目の前で、大きく伸びをしているレンに呼びかける。
「ふう……ん、っと。……ん、なあに? マスター」
くるりとこちらを振り向いたその顔は、憎たらしいほどに満面の笑顔で溢れていた。
「……『なあに?』じゃないだろうが、どういうつもりだ、お前は」
問い詰める俺に対して、すっとぼけた調子でレンが答える。
「えー? だってぇー、あの時すごくイイ所まで来てたしー、途中でやめるとかありえないしー」
「そういう問題じゃ……!」
思わず声を張り上げそうになる俺に、レンがすっと人差し指を立ててみせる。
「ほらほら、あんまり大きな声出しちゃダメでしょ? マスター」
「……お前が言うか、それを」
俺は何だか、げんなりとしてしまい、それ以上レンに何も言う気が起きない。
「さって、と。そろそろ戻んないとヤバいよね?」
軽い調子でそう言いながら、レンは躊躇なくズボンを腰まで引き上げた。後ろには、行為の痕跡が残ったままだというのに。
「って、おい、お前……後始末もしないで戻る気か?」
「そんな事やってる余裕もないでしょ?」
乱れた服を整えながら、レンがこともなげに言い放つ。呆気にとられている俺に、「ふふっ」とレンが微笑んだ。
「それに」
個室のドアに手をかけながら、俺に流し目で視線を送りながらレンが続ける。
「このままみんなの前に戻って、何でもないような顔でいるのも、それはそれで、面白そうだしね」
その一瞬、トイレの小さな照明の影に、レンの顔がふっと包まれた。
まるで、そこにあるはずのレンの素顔を、覆い隠してしまうかのように。
「それじゃ、お先に失礼するね? ちゃんと間隔空けてから戻ってきてよね」
そう言い残すと、レンはさっさとトイレを後にし、廊下へと出て行ってしまった。ぱたぱたと、遠く聞こえてくるその足音には、
何の迷いも乱れもないようだった。
(……やれやれ……)
一人、その場に取り残された俺は、何だかどっと疲れてしまい、しばらく便座に座り込んでいた。
ぼんやりと、とりとめのない思考が浮かんでは消え、俺の頭の中を跳ね回る。
やがてゆっくりと立ち上がった俺は、服をきちんと着直してから個室を出ると、手を念入りに洗って廊下へ出る。だが、すぐに
部屋へと戻る気にもなれず、結局、再び喫煙所の前で足を止めた。
胸ポケットからライターと煙草を取り出すと、のろのろとした動作でそれに火を点ける。口にくわえ、ふうっ、と一息、紫煙を
くゆらせながら、俺はゆっくりと目を閉じ、今日の芝居の事を思い返していた。
「――仮面を被る事を強いられている……か」
その台詞に続けて、まぶたの裏に浮かぶのは、今日一日の間、めまぐるしく移り変わっていったレンの表情。
舞台の上で見せた真剣な顔。
周囲の人間に愛想を振りまいている、飾り立てたような笑顔。
俺の上で淫らに欲望を貪る、蕩けたような恍惚の表情。
例えばそのどれもが、レンの「仮面」なのだとしたら。
(――その下には、一体、どんな素顔が隠されているんだろうか――)
その考えに、俺は自分の中の好奇心が、にわかにざわざわと波打つのを感じた。
(とはいえ――な)
俺はもう一度、フィルタ越しに思い切り空気を吸い込む。口先で、赤い炎がわずかに膨らみ、やがて萎れる。
――たった一枚の薄っぺらい仮面を、半ば剥がされかけている俺。
どれだけ仮面を剥がしても、未だ底知れない素顔を隠し持つレン。
(まったく……分の悪い勝負にも程がある)
自嘲的にそう思いながらも、俺は、口元に笑みが浮かんでくるのを止める事が出来ずにいる。
なぜなら、そんな状況を自分がこの上なく楽しんでいる事を、俺は、十二分に理解しているから。
「さて……俺もそろそろ、戻らないとな」
煙草を灰皿に思い切り押し付け、俺は部屋への廊下を辿った。この場が終ってしまえば、後は、レンと二人で自宅へ戻るだけだ。
その先に、何が待ち受けているのか。
今の俺に、それを知る術はない。
俺とレン、二人きりのマスカレードは、まだ続く。
どちらかが、全ての仮面を失うその時まで――
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
以上、長々とお目汚し失礼いたしました。
楽しんでいただければ幸いです。
>>277 面白かったけど、テンプレは守ってね
感想がつけにくいから
>>227-243とか
>>251-276見ててちょっと疑問に思ったんだけど
以前は長い作品の時は、「タイトル(1)1/8」「タイトル(2)1/8」みたいに、
連載一回目、二回目、みたいなタイトル付けにして、
分母は、あくまでもその時に連続投下するレス数を示してたと思うんだけど、
(だから、今のテンプレに沿うと分母は最大で10になる)
いつのまに作品全体でのレス数になったの?
>>279 別に変わってないと思うよ?
触手の人は投下間隔は開けてるけど、単に分母を付け間違えてる
ボカロの人はそもそもテンプレ読んでない
>>277 ストーリー性があって読み応えあったよ
でも次はテンプレ守ってね
どうせ過疎スレなのに…なんだか不憫だ
わがままな人が多すぎるんだよ
やれ同ジャンルが続いて見たくないだのなんだの
最低限のルールは必要だけど、ルールを増やしてもお前らの読みたい神作は来ませんよと
>>247 おお…他に王道?の相手がいるからかこの二人の組み合わせってあまりないけどいいよね
投下乙でした
これ以上ルールを増やす必要はまったく無いと思うけど、
今あるルールは守らないと
守ろうと思って頑張って短くまとめたり、様子見しつつ投下してる人もいるからな
あと代行してもらったら礼くらい言おう
オリジナル、主任と部下。萌え分少なめ、中途半端な終わり方。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
今日も主任は自分のデスクの椅子の背もたれに
身体を預けるようにして寝息を立てながら眠っていた。
伏せられた瞼に並ぶ睫は意外と長く、業務中に寄せられる眉間の皺は薄くなってる。
椅子に座っての仮眠は若干呼吸がしづらいのか薄く唇が開いていて、
その隙間から覗く歯列の白さが脳裏に焼きつくほど艶めかしい。
いつだったか
「これでも週末にはジムに通ってるのだよ。
それでも日頃の運動不足は解消できないのか、
なかなか身体が締まってこないな」
と苦笑しながら話してくれた首から下には、
そんな言葉が嘘だと思えるほどスーツがよく似合う体躯が備わっている。
主任の表情に対しては厳しい顔つきで部下に指示を送っているか、
宴席で豪快に笑ってるかの印象しか持っていなかったが、
こうして寝ているときの主任の顔は年齢の割にはかなり若く見え、
どうかしたら少年が寝ているみたいに可愛らしかった。
そんな主任の寝顔を垣間見てると俺はやましい感情に揺さぶられ、
口付けの一つでもしてやろうかとそっと近づいてみるが、
毎回何かしらの邪魔が入って俺の計画が台無しになる。
主任が昼休みの僅かな時間を使って仮眠を取っていることを
最初に知ったのはどれくらい前のことだったろう。
確か…何かの折に急な出費が重なって
給料日後5日目にして金欠になったことがきっかけだったはずだ。
ここで働く職員のほとんどは外にランチを食べに行くか
併設の職員食堂を利用するが、少数ながら弁当持参の者もいる。
俺の所属する部署では俺も含めて主任以外の全員が
昼休みになると自分の席を離れるためそれまで気づかなかったが、
金欠になって翌月の給料日までの間だけと弁当持参を決めたときに
主任の昼寝に初めて気が付いた。
離れたところにあるロッカールームから弁当を出してきて席に戻ると
「おや、珍しいな。いつも昼休みにはここは私以外誰もいなくなるのに」
と先に自分の弁当を食べていた主任に声を掛けられた。
適当に相槌を打ってから目の前のモニター画面をマウスで操作しながら
自分の食事を終わらせ、席を立って空の弁当箱を
ロッカールームに戻しに行こうとしたときに何気なく主任の方を見たら、
それまでと違って椅子の向きが変わっていたので
「あれ?」と思って覗き込んだのだ。
俺が所属する部署はフロア中央に設けられた
ガラス張りの会議室を挟んで狭い角地にあり、
また他も含めて各部署がパーティションで区切られていることから
ここだけ外部から隔絶された離れ小島のように見えるようで、
他の部署の連中からは作業中の様子がほとんど分からないと言われてる。
しかも主任は会議室に背を向けるように、
自分の机と椅子の背もたれを垂直に並べるように寝ているため、
少し離れたところその様子をから見れば、
主任が窓を見ながら何か思案に耽っているようにしか見えない。
だから主任を起こす振りをして静かに近づき何かしたとしても
一見には何をしているのかは分からないはず。
そう思って俺はチャンスが訪れないかと思いながら
次の給料日で懐が潤ってからも弁当持参を続けることにしたが、
しかし昼食を終えた同僚たちが毎日定刻に戻ってくるとは限らず
「今日はいつも行くお店がすごく混んでたからコンビニで買ってきちゃった」
と女子社員が早々に戻ってくるときもあれば
いつかの俺のように珍しく弁当持参の者がいることもある。
そんな喧騒が部署に戻ってくると決まって主任は目を覚ましてしまうのだ。
一度だけあと少しで主任の頬に触れられそうというところまでは
手を近づけることができたが、
やはりそのときも同僚の1人が戻ってきたタイミングで主任が目を覚まし、
思わずその場の勢いで頬をペチンと叩いて
「虫が止まってましたよ」と誤魔化してしまったのだ。
せっかくのチャンスを握りつぶされてしまい
俺は拳を握って手の平に爪を立てることでなんとかこらえたが、
心の中では同僚の襟元を引っつかんで罵倒するくらい悔しかった。
そのときのそれ以上のチャンスが訪れることもなく、
主任に対して「上司と部下」という関係以上の発展を
望めそうにないことに俺はだんだんと自分の想いも含めて
諦めかけていたが、ある日事態は急転した。
支援
ある取引先で金曜日の夕方にトラブルが発生したため
その取引を担当していた俺と主任がその対処に追われ、
急遽翌日の土曜日に休日出勤することになった。
休日に出勤してきたのは俺と上司の2人だけで、
他の部署を含めてフロアには誰もいない。
俺と違って金銭的な余裕があるんだろうから
こんなときぐらい主任は外で昼食を取ればいいのにと思ったが、
主任も俺もついいつものクセで弁当持参で出勤してきてしまった。
食事中はそれぞれパソコンのモニターを眺めながら
午後から行う作業の事前確認をしているため
ほとんど会話を交わすことはないし、
主任はいつものように昼休み終了の合図のチャイムが鳴るまで
椅子に座ったまま仮眠を始めてしまう。
だが今日は休日出勤、俺と主任の邪魔をする奴はいない。
よし今日こそは…と思って空の弁当箱をロッカールームに置きに行った後、
そっと主任が座っている椅子へと近づいた。
可愛らしい寝顔を浮かべ、薄く唇を開いて微かな寝息を立てる主任。
火事の半鐘のように早まる胸の鼓動に焦りながら
主任が目を覚まさないようにごく軽い力で両肩をつかみ、
上半身を折り曲げるようにして自分の唇を、
主任の同じものに一度だけ触れさせた。
「……ゃっ…と……」
「……え?」
直後主任の唇が動き、小さな呟きが聞こえた。
ほんの僅かに唇の表面を合わせただけだから
起きないだろうと思っていたのに、主任の瞼はゆっくりと開き始める。
「……やっと勇気を出してくれたね」
主任はそう言って、
今まで見たことが無い口角にだけ笑みを浮かべた表情をした後で
俺の顎と背中に手を掛けた。
「こうして私が寝ていると君は私の顔を覗き込んでは
毎回ため息をついているから、
その息遣いで意識が覚めてしまうのだよ。
それに…ときどきため息の後に切なそうな声で
私の名前を呼んでいただろう? 嫌でも君の気持ちに気づくさ」
そのまま軽く触れる以上のキスを唇どころか頬や首筋にも施されて、
主任の膝の上に横座りする形で膝が崩れた。
俺のため息で意識が覚めていたということは、
そこから後はずっと寝た振りをしてたのか?
「やっと勇気を出してくれたね」…って、
もしかして俺が何かするのをずっと待っていた?
主任からのキスを受けながらこれまでのことを振り返って考えるが、
顎に掛かっていた手が背中に回り、
背中を撫で回されていたもう片方の手でワイシャツの胸ポケットの辺りを弄られ始めて、
それ以上のことを考える余裕がなくなってきた。
「……あ…ぁっ!」
思わず声を上げてしまった途端、まとわり付くように絡んでいた主任の両手が
俺の身体から離れて軽く押すように両肩をつかむ。
「作業、どれくらい終わった?」
唐突にそう聞かれて慌てて腕時計を確認し
「…え? …あ、はい。あと2時間あれば完了するかと」と答える。
「1時間30分。それで終わらせることができたら
作業が終わった後でこの続きを、
特別なご褒美つきでしてあげよう。頑張れる?」
そう言われたら黙っちゃいられない、
膝上を借りるようにして座っていた俺は
「頑張ります」と立ち上がって主任から離れようとした。
…が、立てなかった。
「……さすがに若いね。辛そうだからあと少しだけ続けようか」
察しの早い主任は俺の身体の変化に気づくと
ベルトに手を掛けてスラックスの前開きを解き始めた。
特別なご褒美って何だろう?
というか、主任の気持ちは俺と同じなのか?
でもそうすると主任の左手薬指に光る指輪が
意味を成さなくならないだろうか、大丈夫なのかな。
いろんな考えが頭を一瞬駆け巡ったが、
股間の屹立に与えられた甘い刺激に耐え切れず、
俺は思考回路を一時シャットダウンして主任の身体にしがみついた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
代行者です。やっぱり時間がかかってしまいました。
>>288 支援ありがとうございました。
>>292 こんなに早く投下していただけるとは思わなかった…(つ∀;)
代行投下ありがとうございました!
投下乙です!代行者さんもありがとう
役職呼びに萌えたよー
リーマンいいよね。部下×上司大好き。
片思いかと思いきや、ラストで驚きました。乙です!
萌えたあぁ御二方乙です!
オリジナル。頭脳系×肉体系。やってるだけの話。
特殊部隊っぽいイメージ。受けが酷いドM・流血・傷口攻め注意。
前スレ622さんにいただいた感想を勝手ながら使わせていただきました。今回は第三者視点でどうぞ。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ボクには色んなものが見える。超常現象的なものじゃなくて、常人よりも遥かに視野が広いって意味だ。
それは広いミッションエリアを完全に把握できることでもあり、誰も気付かないような些細な変化を見落とさないことでもある。
そんな特性を見込まれたボクが狙撃手としてチーム「エコー」に所属することになって半年。
今回の任務は今までで一番緊張した。それは任務が最高難度だったからとかじゃなくて、もっととんでもないことが起きたからだ。
そう、あの二人が。『出会い頭に殺し合う』と噂のあの二人が今回一緒に任務に当たることになったんだ。
敵陣に単身突っ込んで制圧してしまえる高い戦闘能力と、笑顔が魅力的で温かい人柄を併せ持つ隊長が率いる
チーム「エコー」が実働部隊、隙の無い高度な作戦を立案できる頭脳と人間味を感じさせない端正な容姿から
『サイボーグ』の異名を持つ少佐が率いるチーム「シエラ」が後方支援として参加する合同作戦だ。
その命令を最初に聞いた時は両チームの全員が異常な緊張感に包まれたけれど、結局殺し合いどころか
小さな諍いすら起こらなかったので、皆安心したというかぶっちゃけちょっと拍子抜けしたみたいだった。
でも本当に必要な時以外同じ空間にいることがなくて、あの噂が行きすぎた誇張だとは言い切れない雰囲気はずっと残っていた。
任務は両チームがフォローし合うことで順調に進み、予定より早く目標の制圧に成功した。
二人のリーダーも阿吽の呼吸で困難を切り抜けていき、いがみ合ってるなんて噂が信じられないほど見事なコンビネーションを見せてくれた。
疑問に思ってチームの先輩に聞いてみたら、「そりゃプロなんだから任務に私情は持ち込まないだろ」という答えが返ってきた。
確かにそうなんだけど、そもそもボクにはあの二人の間にそこまでネガティブな感情があるようには見えなかった。
ボク以外誰も気付かなそうなところでは結構目が合ったりしてて、二人がお互いを凄く意識してるのは感じてた。
ただそれが良い意味でか悪い意味でかまではわからなくて、まだここに来たばかりだからそう見えるのかなと思ってた。
それがボクの思い違いじゃなかったことを、ボクはこの日思い知らされる羽目になる。
任務を終え基地に戻ったボク達は簡単に報告を済ませ、武器の整備やケガの手当などを行うため一旦解散した。
ボクは一番下っ端だしほとんど負傷もしてなかったから地下の車庫で装甲車の後始末や報告書の準備をしてたんだけど、
一番最後に到着した装甲車の中から全身傷だらけの隊長が少佐に支えられながら降りてきた。
隊長は一番先に突っ込んでいくし、攻撃を受けると強くなるというか倍返しするタイプらしくて毎回誰よりも負傷する。
今回は合同作戦になるくらいだから敵もなかなか手強くて、ボクが上から確認しただけでも肩に被弾してたしナイフで胸の辺りを切りつけられてた。
任務中はアドレナリンのせいか問題なく動けてたみたいだけど、終わればやっぱり集中力が切れちゃうんだろうな。
心配な面持ちで二人を見守っていると、彼らは何故か一階の医療エリアには向かわず地階にある簡易ブリーフィングルームに入っていった。
何でそんなとこに?少佐は隊長の手当より先に報告書をまとめるつもりなのかな。いくら隊長が頑丈だって言っても、
すぐに手当しなきゃ大変なことになるかもしれないのに…やっぱり仲が悪いって噂は本当なんだろうか。
どうしても気になって、ボクは他に誰もいないことを確認してからこっそりとブリーフィングルームの中を覗いてみることにした。
二人が入っていったのは鍵が壊れててちゃんと閉まらないドアの部屋で、ドアと壁の間に少し隙間がある。
普通なら覗いても何も見えないけど、ボクの目は特別だ。こんな風に使うのはどうかと思ったけど好奇心には勝てない。
ボクは狙撃する時のように気配を殺し、集中してその僅かな隙間を覗き見た。
ここは出発前に任務内容を確認したりする時にしか使わないからあまり広くもなく、大きなテーブルと椅子が並べてあるだけの部屋だ。
そのテーブルの上に隊長が座っている。装備は外していて黒いシャツ一枚だったけど、一目でわかるくらい特に肩からの出血が酷かった。
そんな彼の状態を確認するように少佐が正面から向き合っている。いつもと雰囲気が違うのは気のせいかな。
「…君、少し油断しすぎじゃない?君の実力ならこんなに傷付くなんてあり得ないと思うけど」
「うっせ……この方がいんだよ…早く終わるし」
「あぁ、君傷だらけになるの好きだもんね。仕方ないか」
「…あ?別に好きでやってるわけじゃ――」
「本当に?」
少佐があの抑揚のない声で聞き返すと、ふらついていた隊長の動きがピタッと止まる。
「君痛いの好きじゃない。今更隠さなくてもいいよ」
「……や、痛いのが好き…とか、じゃなくて…」
「そう?その割には帰りの車の中からずっとそうやって傷口弄ってるけど」
少佐の言葉に目を凝らしてみると、確かに隊長は自分で胸の大きな切り傷を引っ掻いていた。
ボクはその痛みを想像してつい顔をしかめてしまったけど、隊長は痛がるどころかどこかぼーっとした表情をしている。
「…っ……はっ…」
「あの時みたいな顔してるよ。…そっか。痛いだけじゃ足りないんだ」
「ふっ…ん、っ違……う」
「君って嘘吐けないよね。全部態度に出てる。本当のこと言ったら?」
少し挑発的に訊ねる少佐の表情は見たことがなかった。何かを期待してるような、愉しんでるような…とにかく初めて見る顔だった。
それに『あの時』って何だろう。っていうかこの二人、やっぱり噂みたいな関係じゃなさそうだぞ。
「ねぇ。どうなの」
「っ…!!」
そう言って少佐が手を伸ばして隊長の顔を自分の方に向けさせる。目が合った途端、隊長の呼吸が乱れるのがわかった。
まるで吸い寄せられてるみたいにじっと少佐を見つめながら、胸を大きく動かして息をしている。
「っ…はぁっ……は…っ」
「痛いの、好きでしょ?」
息苦しそうな隊長に問いかける少佐は明らかに笑ってた。『サイボーグ』も笑うんだ…なんて驚いてたら、突然少佐が隊長の肩をギュッと掴んだ。
「あぐっ…!!」
傷口を責められた隊長は悲鳴を上げて身体を揺らす。でも何故か少佐の手を退けようとはせず、むしろその痛みを受け入れてるように見える。
しえん
「……っぐぅ…っ、ぁ゙…!」
「…もっとして欲しい?」
その言葉が隊長の中のスイッチを入れたみたいで、強張った身体から力が抜けていくのがわかった。
そのまま崩れ落ちそうになりながら、隊長が絞り出すように口を開く。
「………して…っほし、ぃ…っ」
「急に素直になったね。君のそういうとこ好きだよ」
クスッと笑ったかと思うと、少佐が隊長の顔を引き寄せてキスをした。多分舌も入ったディープなやつで、二人は角度を変えながら何度も唇を重ねる。
っていうかここまでボクの予想を遥かに上回ることばかり起きててちょっと理解が追い付かない。
見たまんまだと隊長は痛いのが好きで、少佐はドSで、二人はキスまで余裕でしちゃう仲ってことになるけど…?
「…っぷぁ……」
そうこうしてる間にキスが終わって、隊長は溢れた唾液を垂らしたままうっとりと少佐を見上げていた。
あんな風にトロンとした隊長の顔も見たことがない。あの人少佐といるとこんなになっちゃうんだ…
その少佐も普段より感情を露にしてて、ボクから見ても興奮してるのがよくわかる。
ボクはもう少しこのまま見ていたくなった。二人の知らない一面も、これから起こることも。
「せっかく答えてくれたのに悪いけど」
「ん…?」
「今日は僕の好きなようにさせてもらうから」
少佐はそう言って隊長のシャツの中に手を差し入れた。隊長は一瞬顔をしかめたけど、すぐに熱っぽい息遣いで少佐に凭れ掛かる。
「ぁっ…は、っ…」
捲り上げられたシャツから覗いた隊長の身体は、あのナイフの切り傷以外にも痣や擦り傷だらけで痛々しい。
そんな身体を労るように少佐の手が優しく滑っていく。その手はやがてベルトにかかり、するりと中に潜り込んだ。
「ぅ…っ」
「もうこんなにしてたんだ」
「…ん……っふ…」
握り込んだ隊長のモノを撫でるように手が動くと、隊長が動かせる方の腕で少佐にしがみつく。
「っ、せな、か…触って」
「ん。いいよ」
隊長のおねだりに頷いて少佐が背中の方に手を回す。そこは任務中に何度も敵から
壁や地面に叩き付けられたせいで、痣を通り越して血が滲んでいる部分もあった。
「ん゙んっ!く……はぁっ、ぁ゙…」
何もしなくても痛みで疼くだろうそこを刺激され、眉を顰めて押し殺した声を漏らす。
でも声の艶っぽさはさっきより増してて、本当に隊長が感じてるのが伝わってくる。
『痛いのが好き』って、マジでそういう意味なんだ…
「…あ…っ、も…俺イキそ…っ、んっ」
「君痛くされるとすぐイッちゃうよね。でも今日はダメ」
隊長の言葉に悪戯っぽく笑うと、少佐は愛撫を止めて身体を離してしまった。支えを無くした隊長はそのままテーブルの上に寝転んだ。
「……何、で…」
「言ったでしょ。今日は僕の好きなようにやるって」
軽く頬にキスをして、少佐が仰向けだった隊長の身体を横向きにする。
「たまにはゆっくり楽しむのも悪くないと思うよ」
そう言って自分の指を舐めて濡らし始めた。ってことはつまり…
「…ふっ、ん、ぅっ…!」
少佐の手がボトムの中に入り、その奥にあるあの部分で止まる。隊長の反応からするに、もう指を入れられてるんだと思う。
中を探られて小さく身体を震わせながら、やっぱり隊長は肩の傷をガリガリと引っ掻いている。
熱に浮かされたような、焦点の合わない視線を漂わせている様子からは何が気持ち良いのか判別できないくらいだ。
「………っぁ、あ?」
「ここ?」
「ひっぅ、あ、や…そこ、はっ」
「ここも好きだよね」
「ぅあ、あっ!っだ、めって言った…ぁっ!」
急に隊長の反応が大きくなってビクビクと身体を揺らし始める。どうも弱点を責められてるらしい。
「何でダメなの?気持ち良いんでしょ?」
「…んっ、ぁ、良すぎ…るから、っ!も、わけ、わかんな…くなっ、ぁっは…!」
「なら良いじゃない。何にもわかんなくなっちゃえばいい……僕以外」
最後の方はほとんど聞き取れないくらいだったけど、それが少佐の本心のような気がした。隊長にはちゃんと届いたのか、
一瞬目を見開いたのがわかった。でもすぐに快楽に流されてしまってひっきりなしに甘い声を漏らす。
やがて涙をいっぱいに溜めながら手を伸ばして少佐のシャツをグイッと引っ張った。
「はっ、も…いい、っん…マジっで、イく……からっ!」
「ダメだよ。今日はそう簡単にはイかせてあげない」
「…え、っ――んん゙っ!?」
不意に自身の根元を握り締められた隊長が苦しそうに顔を歪める。その状態で少佐が中に入れた指を少し乱暴に出し入れし始めた。
「っあ゙!あ、や、止めっ、だめだって…っ!!」
「…あ。でも君射精せずにイッちゃう時あるよね。じゃあ意味ないかな」
うわー…もう今更だけど、この人達ドコまでいってんだろ。会話聞いてるこっちの方が顔真っ赤になっちゃうよ…
「ゔ…っも、指やだっ…」
「ん?」
「お前のが良い…っ、お前の、で…イキたい…」
快感に息を乱して、涙を流しながら少佐に縋る隊長の姿はかなり煽情的だった。こんなの間近で見せられたらボクだってどうにかなるかも。
そういえば少佐はさっきから随分と余裕だけど何も感じないのかな。やっぱりそこは『サイボーグ』が勝るんだろうか。
「…………君って本当ズルいよね」
と思ってたら少佐が大きなため息を吐いて一言そう呟いた。
「君は僕がおかしくするって言うけど、僕だって君にかなり狂わされてるんだよ」
「っっあ…っ!」
少佐は指を引き抜くと、横向きだった隊長の身体をまた仰向けに戻す。今度は自分のボトムの前を広げて、そこから熱り立った屹立を取り出した。
まだ隊長のモノを握り締めたまま、反対の手で肉を割り開いて目的の場所を露にする。
「んぅ…っは、ぁ…早くっ…」
「君がそうやっておかしくなると、もっとおかしくしてやりたくなる。結局は君の言いなりなんだよね」
そこに自分のモノを宛がい、ゆっくりと先端を潜り込ませていくと隊長が大きく身体をしならせた。
「あ゙っ、は―――ぁっっ…!!」
「もう少し遊びたかったんだけど…良いよ。君が好きな『痛いの』、してあげる」
全部を隊長の中に収めた少佐がキスをするように顔を覗き込む。それに応じて隊長が
顔を少し上げた瞬間、少佐が隊長の両肩を掴んでテーブルに勢いよく押さえ付けた。
「っが…ぁ゙っ!!」
肩の傷と痣だらけの背中を同時に痛め付けられて一瞬全身が硬直したのがわかる。
「好きなだけイッていいよ。君が満足するまで付き合うから」
「――ぐぅっ、あ゙!あ、ぅあ゙ぁっ!!」
少佐が腰を動かしだした途端に隊長のモノが弾けて白濁を撒き散らした。隊長は目を見開いたままガクガクと身体を震わせている。
「…うわ、凄い……いきなりイきっ放し?」
「ん゙あ、っふ、ゔっく、っはぁっ」
「本当痛くするとすぐイッちゃうんだから…」
しえん?
少し顔を顰めながらも愉しげに笑って、少佐が肩の傷を掌でグリグリと圧迫する。
「ぃっぎ、あ゙ぁあっ!!」
悲鳴のような叫びの中にもどこか悦びを感じさせる熱さがあって、それを聞いた少佐はギラついた笑みを浮かべて
激しく隊長を揺さぶった。その間も隊長はまた無意識に胸の傷を掻き毟ってて、テーブルがあちこち血で汚れていく。
何ていうか…凄まじいセックスするんだな…一人は血塗れだしもう一人は容赦ないし。ボクにはこんなの絶対無理だ。
隊長は大丈夫なのかな?いい加減に手当しないとそろそろ出血とかマジで危ないと思うけど…
「はぁ゙っ、ゔ…あ、っ…もっとっ…!」
「どっち?中の方?痛い方?」
「っ……全部…っ、全部、もっと…っ!!」
隊長が涙や汗で顔をぐしゃぐしゃにして少佐のシャツの胸元を握り締める。
「……欲張りだねぇ…でも嫌いじゃないよ。そういうの」
少佐も額に汗を滲ませながら笑い返し、引き寄せられるまま二人がまた唇を重ね合わせた。
さすがにもうお腹いっぱいになってしまったボクは、静かにその場を離れて仕事に戻った。
どエライものを見てしまった。少佐と隊長の関係とか、男同士のセックスとか、隊長の…アレな性癖…とか。
どうしよう、これからあの二人のことどういう目で見たらいいんだろう…というところまで考えてハッとした。
あの二人が…あの動物の嗅覚や超高性能センサー並の察知能力を持つあの二人が、ボクが覗いてたことに気付かないなんてあり得ない。
絶対バレてたはずだ…例えあんなに激しくお取り込み中だったとしても。
――ヤバい。ボク、消される…?
そう思ったらもう恐ろしくて仕方がなくて、その後の仕事がほとんど手に着かなかった。
結果ぐっちゃぐちゃな報告書を提出してしまって凄い怒られたけど、ボクの頭の中はもうそれどころじゃなかった。
あぁ…次に隊長と少佐に会うのが怖い……泣きたい…
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
最後の最後で規制がなかなか解除されず手間取ってすみませんでした。
以前の投下に感想くださった方、また支援してくださった方どうもありがとうございました。
投下乙です!
隊長のドMぶりがすごいなー
ボクくんも絡んで虐めちゃうといいよ
306 :
誕生 1/8:2012/10/16(火) 09:40:15.37 ID:I8ePrEAj0
オリジナル触手もの。やっと生まれます。痛み、微スカ注意
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
幼生の独り立ちが近づき、ウィルは一人、触手の海を漂っていた。
成長した幼生は時折触手を伸ばし、ウィルから直接精液を得るようになっていた。
幼生とはいえ、乱りに姿を見てはならない―その司教の言葉を盾に、付き添いの信徒を
なんとか部屋の外に追い出し、ベッドに篭って声を殺し幼生の愛撫に応える。不慣れな
触手に、時に自分が手を貸してやりながら精を受け取らせる。そんな日が十日も続いた頃
ようやく期が熟したと判断され、この地下室にやってきたのだ。
卵の殻の時のようないたたまれなさだけは味わいたくなかったウィルは、この場所で
産めるということに心底ほっとしていた。
しかし、親である触手群はウィルを抱き上げ、脚を開かせただけでそれ以上動こうとしない。
あくまで幼生が自分の力で出てくるのを待つ気なのだろう。時折、外から後孔を軽くくじられ
内側では幼生が外に出ようと力を込めて腸壁を突付きまわす。その刺激にウィル自身が昂ぶり
だすと触手の動きが止まる。生温いくすぐりに焦らされ、昂ぶったまま放つこともできずに
そのままの姿で、かれこれ半日以上、彼は触手に抱かれていた。
307 :
誕生 2/8:2012/10/16(火) 09:41:11.93 ID:I8ePrEAj0
ふいに、物音がした。わずかに動く頭を巡らすと、地上から縄梯子が下ろされている。そこを
降りてくるアーウィンの姿が見えた。肩に小さな籠を担いでいる。ウィルを探し出すと歩み寄り
声をかけてきた。
「ウィリウス様、降りられそうですか?」
「…わからない」
実際、指先まで触手に絡め取られ、ウィルの力では録に身じろぎもできない。喘ぎながら呟くと
するすると触手が動き出し、姿勢を保ったままウィルは床近くまで降ろされた。
「長引いているご様子なので、食事をお持ちしました。私ならお姿を拝見しても良いだろうと
司教様のご判断で。食べられそうですか?」
「手も動かせないんだ」
痴態を晒しているというのは痛感しているが、体を動かせない以上、隠し様もない。アーウィンも
動じた様子もなさそうに頷くと、籠から出したパンを小さくちぎって直接ウィルの口に放り込んだ。
初めて幼生への協力を頼んで以降、ウィルはできるだけ彼に頼らずに幼生に精を与えるように
してきた。特別避けたわけではなかったが、やはり男に抱かれるというのは抵抗がある。
アーウィンもまた、あの日の激しさなど無かったかのように淡々とウィルの世話を勤めていた。
なのに結局、この恥ずかしい姿を見られる事になってしまった。
ウィルは複雑な思いを噛み締めながら、与えられるパンを黙々と食べていた。
パンと果物、水だけの簡素な食事が終わる。アーウィンが立ち去ろうとした時、一本の触手が
伸びてきて彼を引き止めた。
308 :
誕生 3/8:2012/10/16(火) 09:41:58.25 ID:I8ePrEAj0
子供にそうするように髪をくしゃくしゃと撫でつけ、そのままうなじに絡んで彼を振り返らせる。
予想外の事だったのだろう、アーウィンも驚いた顔で立ちすくんだ。しかし表情はすぐに懐かしむ
ように和らぎ、触手を手に取るとそっと口付ける。数年ぶりの逢瀬、そう言っていた彼の言葉が
思い出された。
隣であられもない姿で喘ぐウィルなど眼中にないといった態度で、彼は愛おしそうに神の姿を
目に焼き付けている。自分がここまで強く、触手を慕うことがあるんだろうか―
取りとめもなくウィルが考えていると、ついに幼生が動き始めた。
「くぅ…ぁああ…見、ない…で…」
孔が内側から押され、ゆっくりと広げられる。粘膜が外気に触れるほどに開かれ、拳ほどに
成長した幼生が一度に転がり出ようともがく。ひくひくと開く後孔を隠そうと身をよじると
かえって触手に押し戻され、いきむのも苦しいほどに膝を開かれてしまった。生まれでようと
もがく幼生の動きが、ウィルの体内に敏感に伝わる。細い触手を突っ張り、孔を押し広げて
隙間から滑り出ようと体をくねらせている。一体がもがく度、他の二体も連動するように動く。
くねる度に強く粘膜を擦られ、たちまち昂ぶった男根を強く締め付けられ、喘ぐことで快楽を
逃がすしかないウィルの嬌態をアーウィンは畏怖するように見つめていた。
細い触手が二本、孔から伸びだしてきた。太い触手が場所を譲るように退いた内腿にぴたりと
張り付き、そこに力を込めて自身を引っ張り出そうとする。皮膚を引っ張られる、ぴりぴりと
した痛みさえ心地よく感じられる。さらに数本の触手が孔に張り付き、捲りあげるように
内側から押し開かれた。
「はあぁっ、ひぃっあああぁぁーーーっ!!ああぁぅああーーーっ!」」
突き通される痛みと、感じた事のない排泄感に襲われ、ウィルは狂ったように声を張り上げる。
飲み下せない唾液が頬を伝い、涙があふれる。悶絶するウィルの中で幼生は力を振り絞り
孔が裂けそうなほど押し広げると、一気にその体を外界に引きずり出した。
しえん
310 :
誕生 4/8:2012/10/16(火) 10:16:18.72 ID:I8ePrEAj0
「っーーー!!!ぅう…はぁ…ひぃあっ!」
幼生に続き、どろりとした暖かな塊が排出される。アーウィンが拾い上げ、丁重に見分すると
粘液に包まれた白い紐の塊のようなそれを、涙を流すウィルの目の前に差し出した。
「抜け殻のようですね。御幼生がウィリウス様の体内で成長された証です」
自分の体を住処に、触手が育った―日々感じてはいたものの、実際に目の前に見せられると
畏れとも愛情ともつかない感情がこみ上げる。ウィルは下肢を見た。初めて外気に触れる
幼い触手が、その世界の広さを確かめるように力強く腕を振り回している。
しかし感慨に耽る暇もなく、二体目が外に出ようともがき始めた。再び孔が内側から開かれ
ウィルが途切れ途切れな悲鳴をあげる。うなじを押さえる触手に促され、アーウィンが
幼生の元へ歩み寄った。幼生はじりじりとウィルの下腹部に移動し、一部の触手がまだ現れない
次のものと絡まって、引っ張り出そうと伸縮している。その様子を観察させると、触手は
アーウィンの頬を一撫でして離れていった。
「独り立ちは順調に進んでいると、司教様に報告しましょう。あまり長引くようなら、また
お食事をお持ちします」
答えようとしても、口を開くと甲高い悲鳴しか出てこない。ウィルが何とか頷くと、アーウィンは
大切に抜け殻を籠にしまい、名残惜しそうに振り返りながら梯子を上って地上へと帰っていった。
311 :
誕生 5/8:2012/10/16(火) 10:17:11.77 ID:I8ePrEAj0
想像を超えた痛みの果てに、ついに三体目の幼生が姿を現した。先の二体に引き出され、こぞって
ウィル自身に群がっている。男根の触手は解かれたがあまりの苦痛に昂ぶりは萎え、幼生がいくら
刺激しても硬さは戻らない。孔は裂かれたように熱く、うっすらと開いたまま抜け殻のかけらを
垂れ流していた。餌を摂ろうと苛立ちだした幼生はぎりぎりと男根を締め上げ、細い触手を
鈴口へ割り込ませる。朦朧として触手に抱かれていたウィルを、正気に引き戻すには充分な疼痛が
走った。
「…ぎぃっ…ひぃぃ…っ」
萎えて進みにくくなった尿道を無理にくじり、粘液の助けを借りて細い触手が奥へと進む。
逃げようもなく、獣のように呻くウィルを無視して触手は長さの限り男根を犯した。液体以外
通った事のない粘膜の中で収縮し、破裂するような痛みに襲われてウィルは再び意識を手放し
そうになる。それを見計らったように太い触手が後孔へ侵入を始める。普段の動きとは違い
傷ついた体内を労わるように隅々まで粘液を擦り込んでくる。ゆっくりと抜き差しされる度
残っていた抜け殻がとろとろと掻き出される。体内を粘液で洗われ、孔を念入りについばまれて
ウィルの後孔から少しずつ痛みが薄れていった。狂おしい痛みのなかに、なじんだ甘い感触が
混ざり始める。やがて触手は動きを変え、体内の敏感な部分をしつこく擦り始めた。同時に
尿道の触手が先端を動かし、同じ辺りを外側から突付きだす。神経を直接嬲られる快楽に理性を
狂わされ、泣きじゃくりながらも体は忠実に反応し、男根が頭をもたげ始める。すかさず別の
触手が絡みつきさらに追い上げようと柔らかく揉み込む。晒された陰部を余すところなく刺激され
昂ぶり詰めてゆく自身の中で触手の存在が一層熱く感じられる。射精する直前の感触が腰の奥で
何度も弾け、ウィルは開放を求めて無我夢中で腰を捩った。涎と共に嬌声が溢れ出し、粘液の重く
湿った音と絡み合い地下室に響く。耐えるにはあまりに長すぎる時間の後、尿道の触手が一気に
引き抜かれた。焼けるような感覚と同時に体液が迸る。ようやく放たれた精液が勢いよく噴出し
ウィルの体の上に白濁した雫になって降り注いだ。
312 :
誕生 6/8:2012/10/16(火) 10:17:57.78 ID:I8ePrEAj0
(やっと終わった)
幼生たちが先を争って精液に群がる姿に安心し、体の力が抜ける。しかし期待に反して孔の陵辱は
激しさを増し、さらに一本、口にもと触手をねじ込まれ、ウィルはわずかな動きまで抑えられて
しまう。耳朶にも乳首にも触手が絡みつき、肌の上を縦横に触手が這い回る。疲れた体に休む
間を与えず、幼生は代わる代わる尿道に細い触手を突き立ててきた。
人形のように振り回され、何度も気を失い、目覚めるたびに全身の穴という穴を犯されている。
いつの間にか痛みは判らなくなっていた。後孔も尿道も同じように触手を抜き差しされ、深く
抉る動きに粘膜が揺さぶられて、甘い疼きを伴う痙攣が続けざまに全身に走る。ウィルは口内の
触手に歯を立てないよう、精一杯口を開き続けた。さらに太い触手が加わり、二本が交互に喉奥まで
突き上げてくる。もはや射精ともいえない透明な液体がとろりと吐き出されるだけになっても
幼生は餌の摂り方を覚えようと鈴口を弄り、太い触手に混ざって後孔を蹂躙し続ける。何時間
たったのかもわらないまま、麻痺した体に感じる溶けるような粘膜の快感だけがウィルの感覚の
全てになっていった。
何度目か目を覚ました時。口の触手がするりと抜かれ、そのまま首が仰け反らないよう支えられた。
ぼやける視界の中に、幼生が現れる。首を伝い、顔に這い上がってくる。涙と涎で汚れた顔を
優しく触手で撫でると、頭を支えるものを伝って大きな触手群の中へと消えてゆく。
さらに一体、最後の一体と同じように顔を撫で、最後まで細い触手を頬に張り付かせながら群れの
中へ姿を消した。
これが本当の独り立ちだった。ウィルの役目が終わったのだ。
しえん?
314 :
誕生 7/8:2012/10/16(火) 11:31:56.63 ID:I8ePrEAj0
触手群は子供たちの仮の住処を楽な姿勢に抱きなおし、地上へと運んでゆく。最後の一本が
後孔から抜かれる瞬間、ウィルは言いようのない虚脱感を感じていた。幼生はもう群れの中に
混じって見分けがつかなくなっている。残滓もすべて掻き出され、久しぶりに完全に自分だけの
物になった体が妙に空っぽに思われる。ふと床を見ると、おそらくアーウィンが運んだのだろう
食事が置かれている。とにかく長い時間、自分がここにいたという事だけはわかった。
彼を小部屋の床に寝かし、全ての触手が仄暗い奈落の底へ帰っていった。
最近ではウィルが自分で小部屋の扉を開ける慣わしだったが、この日はどうしても膝が震えて
歩けなかった。仕方なく這って進むと、自分が粘液を纏っているようなぬらぬらとした跡が床に
残る。これでは自分が触手になったみたいだ―そんなことを考える余裕のある自分に呆れながら
扉を叩き、そのまま倒れ込んでしまった。
憔悴しきったウィルを見て、信徒たちもよほど慌てたのだろう。体を洗うのもそこそこに毛布に
包まれ、力強く抱きかかえられる。そのまま眠りたい気持ちを抑え、司教の法衣の裾を掴んで
注意を引くとやっとの思いで呟いた。
「…幼生は三体とも、無事に神の元に発たれました…」
315 :
誕生 8/8:2012/10/16(火) 11:33:06.63 ID:I8ePrEAj0
自分があの触手を『神』と呼んだのは、初めてじゃないだろうか。いくら考えようとしても
頭にかかる霞は濃くなるばかりでまるでまとまらない。信徒らに抱きかかえられて部屋に戻る途中
初めて自分がこの廊下を歩かされた日をふいに思い出した。あの夜を逆回しで見ている気分になる。
部屋に戻り、ベッドに座らされたウィルの前に司教が跪いた。
「ウィリウス様。神は適するとみなされた依代に、続けて卵を託すことが多いと過去の記録に
ございます。今後も神の求めに応じ、依代の任を受けてはいただけませんでしょうか」
もとより断るつもりなどなかった。そのために、今まで自分の意思で教団に残っていたのだから。
「私でできることなら何でも…」
ゆっくりと閉じられる瞼の裏に、群れに消えてゆく幼生の姿が浮かぶ。その前の激しい蹂躙のことは…
思い出さないでおこう。顔にかかる濡れた髪が細い触手の感触を彷彿させる。もう一度、その
小さな神の姿を思い起こしながら、ウィルは深い眠りに落ちていった。
(完)
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
予想外に長くなってしましましたが読んでくださった方、代行いただいた方
ありがとうございました。
作者&代行者さん乙です!
人外エロと出産シーンが超リアルで、ドキュメンタリーを読んでる気分になりました。力作をありがとう!
生 ラクGO家 合点×焦点(灰)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
控えめな力で肩を揺すられ、居心地の良い行きつけのバーの片隅で連れを放置し居眠りをしていた
現状に気付く。重い瞼を持ち上げると、呆れ半分心配半分で顔を覗き込まれた。
「眠いなら、帰って寝れば?」
表情は呆れ顔。でも眼鏡の向こうの眼は心配そう。とてもじゃないが五十過ぎには見えない童顔と
柔らかい声に反した、意地っ張りで口の悪い、けれど妙な所で情に篤い翔太故の絶妙なブレンドだ。
そんな翔太からの至極ご尤もな意見に頷けない理由が士の輔にはあった。
目の前のグラスの氷は溶けかかっていて、ウィスキーは随分と薄くなっていそうだった。
構わずに唇を湿らせると、ため息混じりに理由を告げる。
「それがなぁ、帰って布団に入ると、不思議な程寝られないんだよ」
「あぁ、あんた不眠症のきらいあるもんな」
褥を共にする事もある仲なので、翔太も士の輔の寝つきの悪さや眠りが浅い事も知っている。
日常生活でも相当酔っ払ってばったり眠ればまだしも、そうでなければ枕元のスタンドは
点けたまま、落語を聴きながらでなければ眠れず、しかもサゲの手前で一旦起きてしまうのだから
職業病もいい所だ。刺激があると脳は休まないので、質の良い睡眠の為には暗闇と無音が必要だというのは
自分が
長年司会を務める番組でも紹介した内容である。身体に良くないのも自覚していた。
「困りもんだよね、それ」
「本当だ」
「そういう時こそ、あんたの番組の優秀なスタッフさん達に何か考えて貰えばいいのに、
っていう俺の提案はガッテンしてもらえねぇの?」
「俺が司会をやってるだけで、俺の番組じゃねぇっちゅうの。大体、俺があの番組で
特集した事やってんの、お前は見たことあんのかよ」
「威張って言える台詞じゃないじゃん。その上喫煙だの不眠だの、つくづくスタッフ泣かせだよね。
悪癖だった煙草止めたのは、医者に落語か煙草かどっちか選べって言われた位に咽喉が
悪くなった所為だったもんなぁ」
「そこまで追い詰められなきゃ止められなかった、というのが俺の意志の弱さだってのは
自覚してるから突っ込むなよ」
「士のさんちのお師匠さんに言わせたら、逆だったけどな」
「禁煙は意志の弱ぇ奴がやるもんだ、か?」
喉を絞りながら人差し指を軽く降って家元の真似をした士の輔に、翔太は毎度似てるのか
微妙だと失礼にもけらけらと笑った。
「お前がやる俺の真似よりは似てるよ」
「俺も似てると思うけどなぁ…………。んで、どうすんのさ」
「んー?」
「帰って寝る? もうちょっと飲む?」
どうすると問われ、これも気遣ってくれているからだと分かる。身体の事を考えれば、
そろそろ帰って休むの一択だが、まだ離れがたい気持ちもあった。
だから、甘えた軽口のつもりだった。
「眠いけど、一人だと寝られないだろうから一緒に寝てよ」
何言ってんだよ馬鹿。そんだけ酔ってるならとっとと帰って寝ろよ。
そんな言葉が飛んでくるのを承知で告げたお願いに、翔太はきっちり三秒間士の輔の顔を
見つめてから肩を竦めた。
「いいよ」
「……へ?」
「いいよ、って言ってんの。添い寝くらいしてやるよ」
思いもよらない返事ではあったけれど、折角のチャンスを不意にするつもりはなく、
慌てて士の輔は確認する。
「いいの?」
「いいって言うの三回目だけど。大体自分から誘っといてなんだよ」
「いや、そんな素直にオッケーして貰えるとは」
「添い寝だけだよ」
「充分です」
釘を刺されて今度は士の輔が肩を竦めた。けれど充分と言った気持ちに嘘はない。
こんなに豪華な抱き枕は他にいないのだから。
***
電気を消した室内には、歌う様に紡がれる落語のCDではなく、必要もないのに潜められた
声だけが真夜中のしんと冷えた空気を揺らしている。
「いいよ、寝ちゃっても」
「それじゃーダメじゃん。添い寝の意味がないもん」
「いいんだって。これで充分」
宣言の通り添い寝だけの二人は、あの後すぐに店を出て翔太の家へと場所を移した。
と言っても飲み直しではなく、眠る為にだけれど。交代でシャワーを浴びて、寝間着を借りて、
翔太が敷いてくれた客用の布団に二人で入った。疲れとアルコールの所為で、ただでさえ怪しい
翔太の滑舌はさらにたどたどしいものになっている。
腕の中に、翔太がいる。寝間着の浴衣の薄い生地越しの体温は同じくらいの高さだったけれど、
じんわりと染み込んでくるみたいだった。
「ちゃんと、目、閉じてる?」
「閉じてる閉じてる。翔ちゃんが寝たら、つられて寝られるんじゃないかなぁ」
「うそだー」
先刻から飽きもせずにこんな会話を繰り返している。眠い癖に士の輔が寝るまで堪えようと
している翔太の律義さがいとおしい。
「ホントだって。今、結構眠いもん」
少し嘘だった。ほんの少し眠気はあるものの、眠れる程ではない。けれどそれを告げれば、
きっと翔太は限界まで起きていようと頑張ってくれてしまう。
「だから、先に行って待ってて」
「待ってる?」
「夢の入り口で。すぐ追いかけるから」
「……ばかだ、このひと」
出来るだけ気障な口調で言ってやったら、眠い癖に毒舌は健在な翔太は絞り出すみたいに
薄ら寒い台詞を吐いてみた士の輔に対する感想を述べた後、とうとう眠気に負けてしまったらしい。
暗闇の中耳を澄ませて次の言葉を待ってみたが、返ってくるのは微かな寝息だけだった。
「おやすみも言わずに、それかよ」
小さな声で独りごちる。くくっと喉の奥で笑いながら、士の輔は翔太の額に唇で触れた。
本当にこれだけで充分なのだと、翔太は分かってくれていただろうか。
全く不埒な気持ちがない訳でもないし、惚れた相手が腕の中にいる状態にこれっぽっちも
疼くものがない訳はない。それでも穏やかでいられるのは、気持ちを満たして貰っているからだ。
寄り添って眠る距離を許されている事も、心を受け止めて貰える事も。
どうして翔太がそうしてくれるのか。それは二人の間に、長い間ずっと恋があるからだ。
年齢は違っても、入門順が物を言うこの世界では同期。落語に対する愛情も、高座に向かう姿勢も、
尊敬し刺激し合える稀有な相手。どこでどう上滑りして恋になったのかは説明出来ないけれど、
同じ気持ちを翔太も抱いてくれていた。だから二人こうやって一緒にいる。
ふと気が付けば、この所とんとなかった穏やかな眠りが士の輔を包み込もうとしていた。
本音を言えばこのまま一人、一番近い所に翔太を感じながら暗闇をそっと覗き込んでいても
構わなかった。けれど有言実行なのだろう。翔太の体温と寝息が導いてくれる。
惜しむ気持ちは裏切りだろうか。自分を存分に甘やかしてくれる恋人への。
もう回転が鈍くなった思考で考えかけて、やめる。眠りに落ちるその淵で考えるならば、
翔太自身の方がいい。夢は脳が記憶を整理するから見るのだと聞いた事がある。
士の輔は夢を覚えていない眠り方をするけれど、常にない穏やかな眠りの中でなら
見られるかも知れない。出来る事なら、いとしい腕の中の相手を。
すぅっと波が引くみたいに、士の輔の意識が眠りに吸い込まれる。
明けの烏が鳴くまでの薄い闇が包む部屋の中には二人分の静かな寝息。
夢の入り口で翔太が待ってくれているかは、士の輔だけが知っていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
4が連投規制にかかってしまい、ご迷惑をおかけしました。
投下代行してくださった方、ありがとうございます。
>>318 乙です!
合点と灰色素晴らしいですありがとうご馳走様でした
>>321 大人な雰囲気いいねー
台詞のおかげでキャラが掴みやすかったです。
投下&代行者さん乙!
半生注意、女絡み注意。
ほぼエロのみ。
外事けいさつ 前に書いた「大使館職員自殺事件」の派生話で、外国人×主人公、奥さん×主人公です。
※後半は女×男になるので、苦手な方はくれぐれもご注意下さい。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
トイレの洗面台で顔を上げると、鏡に写った手首に拘束具の跡がうっすら残っているのが見えた。
―跡は付けるなと言っているのに。
不意に感触と息遣いが甦って、住本は吐き気を覚えた。
「…っ…」
身体を折ってこみ上げたものを吐き出したが、空の胃から出たのは胃液だけだった。
「…主任、今日機嫌悪くない?」
機材の管理不行き届きを叱責された大友が、小声で森永に話しかけた。
「ご指名入ったから」
「あー…11745か」
登録番号11745、ミハエル・ウラマノフ。ロシア大使館職員の彼を協力者として取り込んで、自国の諜報活動に関連するデータを持ち出させる―半年前から住本班が携わっている任務の一つだった。
ミハエルの性癖を利用して、住本が仕掛けたハニートラップは目論見通りに成功した。落とした後は金銭の授受で運営するのが通例だが、彼からの強い希望で、住本が身体を提供する関係が続いていた。
「変態の相手は流石にキツいよな。この前なんか緊縛プレイだったし」
「11745は主任に惚れてるって。五十嵐が心配してた」
「怖っ。協力者とそうなるとマズいんだろ。後々揉めなきゃいいけど」
「主任って奥さんいるよなあ。こういうのもバレたら浮気?」
「はあ?仕事だし…つか、外事に勤めてる事すら隠してるんだから、バレる訳ないじゃん」
「男で気持ち良くなっちゃっても、普通に女とヤれるのかな」
森永は呆れたように肩をすくめた。
「お前なあ…心配の方向性が違うよ。使えるものなら身体も使うってだけだろ、あの人は。いちいち気にするようなマトモな神経なら、初めからこんな事やってらんねーって」
「あ、何時からだっけ?」
「19時にいつものホテル」
「ヤバい、用意しなきゃ」
大友は慌てて機材棚に走っていった。
ホテルの部屋に着くと、住本は前処理を済ませてベッドに身を投げ出した。
隣室では五十嵐と金沢が、音声をモニターしながら待機している。協力者と接触する際の通常体制だが、見せ物じみた状況に思わずため息が洩れた。
映像まで撮らせた初回よりも、回を重ねた今の方が神経質になっていた。意志とは無関係に身体が馴らされていく厭わしさが、住本の中に澱のように溜まっていた。
「…対象、到着しました。追尾ありません」
ベッド脇の無線機から大友の声がした。
「ああ、ごめんなさい」
タムラの手首の痣を撫でて、ミハエルは真面目な顔で謝った。
「今日は縛ったりしませんから」
彼はそう言うと、鞄から見慣れない器具を出してベッドの上に並べた。
「……」
今からそれが自分に使われる事を想像して、タムラの顔が隠し切れない嫌悪で歪んだ。一歩後ずさった身体を、ミハエルが手首を握ったまま引き寄せる。
「怖がらなくて大丈夫ですよ」
喉元までせり上がった胃液を、タムラはそのまま呑み下した。
「辛くないですか」
「…っう、…っ……」
ミハエルに背後から抱きかかえられて、タムラは凭れるように背中を預けていた。ミハエルの手は緩やかに肩や胸の筋肉をなぞるだけなのに、タムラの呼吸はひどく荒い。
きつく目を閉じて、彼は己の下半身から顔を逸らしていた。後ろに醜怪な器具を挿入され、自分で解放できないように根元も輪状の器具で戒められていた。
「…っ…あ…」
既に何度も馴らされた箇所に苦痛は感じられず、もどかしさがじわじわと広がっていた。
「声を出したらいいのに。余計に苦しくなりますよ」
ミハエルはそう囁いて、耳朶を軽く噛んだ。そのまま首筋に唇を降ろして、鎖骨から腰回りまでを撫で上げる。胸の突起に指を滑らせると、タムラの喉が低く鳴った。
「感じるのが嫌ですか?」
答える事もできず、荒い呼吸に掠れた呻きが混じった。自分で声を制しているせいで、快感の逃げ場がない。髪に触れられてさえ刺激が這い上がって、額には冷や汗が滲んでいた。
―何を堪えているんだろう、とぼんやり思った。ミハエルの要望に応えるのが自分の「任務」で、お望み通りによがって、懇願して腰を振ればそれで終わるのに。
男に抱かれて感じるのが嫌だとか、声を聴かれたくないとか―今更か。
住本は思わず自嘲した。
〈魔物〉が聞いて呆れる。もっと非道い事を―他人にやらせてきたくせに。
「……っ!」
後ろの器具を直接動かされて、タムラの背が弓なりに反った。
先端が敏感な部分を抉って、暴力的な快感が襲う。戒めのせいで達する事もできず、全身の知覚が蹂躙される。
声を上げそうになる度に、掌で口を塞いだ。肉を噛んだ血の味が口内に滲んで、その時だけ快感から意識が逸れる。
「…っ、っ、あ…」
目尻に自然と涙が滲んだ。小さな滴を指先で拭って、ミハエルは呟いた。
「…苦しめたいんじゃないのに。本当は潔癖なんだな、あなたは」
気遣うように、彼はタムラの額に口付けた。
「誘って下さい。最初の時みたいに」
ミハエルの求めに応じて、タムラはのろのろと足を開いた。
浅ましく屹立したものも、異物を受け入れて疼く箇所も全て晒される。ミハエルが戒めを解き、器具を勢い良く引き抜いた。指一本触れられないまま、白濁が溢れて自分自身を汚した。
「…………っ、はは、は」
タムラの唇が笑みの形に歪んだ。
力の抜けた身体を無理に起こして、タムラはミハエルのものに触れた。
「…う…っ」
柔らかな咥内の感触に、ミハエルは呻いた。硬くなっていくそれを喉の奥まで受け入れて、タムラはわざと淫猥に音を立てた。ぎりぎりまで煽ってから、掌で口を拭ってふっと嗤う。
しえんー
「俺に、入れて…あんたのを」
そのまま押し倒されて、疼きの冷めない箇所を男のもので貫かれる。
「っあ……」
ミハエルは唇で彼の声を塞いだ。
キスの瞬間だけ甘く目を伏せる癖に、タムラは気付いているだろうか。ミハエルも陶然と目を閉じた。そこに想いがあるかのように。
この一時の為に、ミハエルは家族も祖国も裏切っていた。
仲介役のイマニシが何度も忠告する通り、タムラが自分を利用しているだけなのは分かっている。この関係が長く続かないとしても、ミハエルはその先を考えるのをもう止めていた。
彼の腰を掴んで、最奥まで穿った。そのまま、中で放つ。
「タムラ…」
せめて彼の身体に、自分との快楽の記憶が残れば、と願う。
抜けない棘のように。
「大丈夫ですか」
気がつくと金沢の顔があった。気を失っていたらしい。住本が身体を起こすと、内腿にどろりとした感触が流れた。
見た目に跡は残っていない。そういう点で、ミハエルは生真面目だった。自分で噛んだ掌の傷だけ血が滲んでいた。
「…運営方法に問題があると思います」
金沢は住本の姿から目を背けて言った。彼が公然と住本の方針に異を唱えるのは珍しかった。
「見苦しくて申し訳ない」
「そういう事じゃありません」
金沢の声がやや荒くなった。
「…11745の要望で、私は単に運営費の代替です。直接の運営は五十嵐に任せてます」
反論しかけた金沢は、続く言葉に沈黙した。
「我々は協力者を危険に晒して情報を得るしかない。ミハエルにもリスクを負わせています。その対価を私自身で払えるなら…せめてその方が気が楽です」
苦しげにため息を付いて、金沢はそれ以上何も言わなかった。
「ただいま」
「おかえりなさい。遅かったわね。由樹もう寝ちゃったわ」
最近、夫はひどく疲れて帰ってくるようになった。
「どこも不景気でさー」
零す愚痴はいつも似たような内容だが、今夜は特に憔悴しているのが顔色で分かる。都の職員の「仕事」が、よほど大変だったのだろうか。
「どうしたの?その手」
「ああ、会社でケガしちゃって…先、お風呂入るよ」
結局夕食にはほとんど手を付けず、早々に寝室へ上がった。
由樹が先に寝ていたせいか、珍しく彼が求めてきた。
疲れてるのに、と不思議に思ったが、応えて彼の背中に手を回した。私の指先が背筋をなぞった時。
「……んっ」
やけに艶めいた声が上がった。一瞬の間を置いて私と目が合うと、彼は慌てていつもの表情を取り繕った。
結婚以来、私はこの人が感情を露わにしたのを見た事がない。
軽い好奇心に駆られて、胸元から腰回りに指を這わせて、わざと執拗に愛撫した。
「…う…あっ」
彼の唇からひどく甘い声が零れた。
「ちょ…っと、待って」
夫は私の身体を押し止めた。初めて見るような引きつった顔。ぞくぞくした衝動が、私を大胆にさせた。
身体を起こして、彼の手首を押さえる。夫は状況が飲み込めないように視線を泳がせた。
「…たまには良くない?こういうのも」
胸の突起に舌を這わすと、彼の身体がびくっと跳ねた。反応を確かめながら、舌先でなぶって、軽く歯を立ててみる。
「あっ…う、うっ」
「そんなに感じるの?女の子みたいね」
「…やめ…っ」
自分の心臓の音が大きく聞こえた。切なげに上擦る声も、快感に歪む顔も、私は知らない。
「嫌がってないよ?ほら」
私はわざと嗜虐的に言葉を選んだ。直接触れてもいないのに、股間のものははっきり反応を示していた。根元から先端へ撫で上げると、悦ぶように軽く動いた。
「う…っ」
夫は逃げるように腰を捻った。
―男の人の方が感じるんだよ。開発されちゃうとすごいんだって。へえ、何が?
口さがない友人たちとの猥談を思い出していた。女同士のそれは、かなり遠慮がない。
「…ここは感じる?」
指を舌で湿らせて、お尻の間に滑り込ませた。窪んだ箇所を探し当てて、中指をそっと挿入する。
「……っ!」
咄嗟に強張った身体を、全身の体重をかけて押さえつけた。
「痛くしないから。動かないでね」
入口付近で浅く抜き差しを繰り返して、時折奥まで入れてみる。
「や…めっ、ああっ」
私を押し止める腕に、力は入らない。制止に混じる嬌声が一際熱を帯びた。
「ほんとに感じるんだ。すごいね」
馴らしながら指を増やして、抉るように中をかき回した。もっと奥まで突っ込んであげたいけど、指では限界だ。
「気持ち良い?」
―イけるようになるんだって。えー?ホントに?前立腺に当たる所があるんだよ。
「う…あ…っ!」
ああ、ここかな?ギリギリ指先が触れる奥に当たると、彼の腰が軽く反った。
「やっ、あ、ああ…っ!」
「お尻でイけちゃう?ホントに?」
マジでー?あはははは。友人の笑い声が脳内で重なる。
涙目になってるなあ。恥ずかしいよね、私にこんな事されて。もっとそういう顔を見せて。声を聞かせて。
「…止め…ろっ…!」
腕を放した不意をついて、夫が力づくで私を押し倒した。男に本気で抵抗されれば敵う訳がない。彼はそのまま身じろぎもせず、私の胸に顔をうずめていた。
「…何?何なのこれ。どうしたの、あなた」
伏せた顔の表情は見えない。痩せた肩がひどく弱々しく見えた。
「前からそういう…趣味があったの?SM?まさか男と浮気でもしてるの?」
「…違う…」
「…本当の事をいって。何を聞いても驚かないから」
彼の髪をそっと撫でると、やがて夫は顔を上げて私を見つめ、ばつの悪そうな表情を、作った。
―ああ、また嘘をつくつもりだ。この場合のもっともらしい嘘って一体何なんだろう。思わず笑いそうになって、私は彼の腕を振り払った。
「…もういい。本当の事なんて、最初から言う気がないよね?」
頭の芯は冷えているのに、顔だけがひどく熱い。自分の声が何だか遠くに聞こえた。
「いつだってそう。怒ったり泣いたり、本当の自分を見せた事がない。あなたにとって、家族って…私って何?今だって、もっと怒ればいいじゃない!私にこんな事されて、情けなくないの?恥ずかしくないの?男のくせに!」
感情が堰を切って、言葉が止まらなかった。理由なんてどうでもよくて、彼が今ぼろぼろに傷付いているのは分かっていた。嘘しかつけない彼を、嘘ごと受け入れてあげれば良かったのに。
私はただ寂しかっただけなのに。
「作り笑いはもうたくさん…!本当の顔を見せてよ」
彼の肩を揺さぶって、そのまま首筋から胸元へ舌を這わせた。
「…っ」
「感じてるんでしょ?」
彼が顔を背けた。力の抜けた腕を取って、今度は私がベッドに押し倒す。
支援
「嘘つき」
掌の絆創膏を丁寧に剥がして、傷口を晒した。
まだ痛々しさの残る噛み傷。会社で付く筈もないだろうに。
傷口を軽く舐めると、彼の睫毛が微かに震えた。
「…嘘つきはお仕置きしなきゃ」
夫は抵抗せずに、虚ろな目で私を見上げた。
「パパ、これ痛いの?」
由樹に首筋の痣を触られて、住本は反射的に身を避けた。
「赤いのいっぱいだねー。ここも、ここにもあるよ?」
数を数えようとする娘の指を、さりげなく手で遮る。脇腹や胸、内腿、下腹部。付けられた罰の跡は、あの夜から数日経っても完全には消えていなかった。
「お風呂上がったらお薬塗ってあげる」
「ありがとね」
頭を撫でられて、由樹はにっこり笑った。
「よし、浸かって。数えるよー。いーち、にー、さーん…」
浴槽で由樹と声を合わせながら、住本は願った。
どうかこの瞬間、自分が上手に笑えているように。
「いってらっしゃい」
「パパ、早く帰ってきてね」
「はーい、いってきます」
遠ざかる背中を、絵美と由樹は玄関先で見送った。
「由樹も幼稚園の用意しなきゃ」
「はあい」
食卓を片付けながら、絵美は部屋を見回した。何もかもが普段と変わらない日常の風景。
あの夜の行為は既に現実味を失っていた。翌日の夫は何事もなかったかのように、いつも通りの作り笑いを彼女と娘に向けた。
彼が嘘をつき続け、絵美が何も訊かなければ、このまま穏やかに日常が続いていくのだろう。
絵美はキッチンの引き出しから書類を取り出して、ゴミ箱に捨てた。
知り合いに調べてもらった都の職員名簿。そこに「住本健司」の名前は無い。彼がどこで何の仕事をしているのか、それさえ知らない。
ふと湧き上がった空虚さに立ちすくんだ。
「…ねえ、あなたは誰?」
夫が座っていた椅子に向けて、絵美は呟いた。
「宅急便でーす」
玄関で荷物を受け取る絵美に、由樹が尋ねた。
「これなあに?」
「ふふ。パパにプレゼント。でも、まだ内緒よ」
人差し指を唇に当てて、二人でくすくすと笑う。
これでちゃんと奥まで届くわね。独り言の意味はよく分からなかったけど、ママが楽しそうなので由樹は嬉しくなった。パパの話をすると、ママは寂しい顔ばかりしてたから。
「…罰があれば、嘘つきさんを許してあげられるでしょ?」
荷物を持って、寝室への階段を軽やかに上がりながら、絵美は薄く笑った。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
本文長過ぎでナンバリングずれました。
度々ごめんなさい。
>>331 >>327 支援ありがとうございました!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 映画しか見てない米国大尉と親友。救出後。
|a、傷心親友×乙女大尉
|b、お花畑大尉×801親友の分岐ありなので
|bと後半は時間置いてから来ます
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 本スレ515さんのお言葉に甘えて
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ アツカマシー
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そりゃあもう基地に戻ってからというもの、大騒ぎだった。
夕食の時間になってお祭り騒ぎは一層大きくなって、僕はなんとスピーチをするはめになってしまった。
「皆お腹空いてるだろうし手短に。皆とここにこうしていられて、とても嬉しい。本当に。
そこで、許可が降りたらだけど、僕とここに来た荷物の中で、可愛い女の子とおんなじくらい皆が大好きなプレゼントがある。」
皆の目が一斉に隊長に向く。
「なんだお前たち気持ち悪い…好きにしろ!」
「みんな飲み干していいぞ!僕の奢りだ!」
わあ、という歓声と共に酒の箱に皆が突進する。そして
「キャプテンに!」
とよく揃った乾杯の声。僕は血が沸くのを感じた。仲間っていいものだな。
「どこ行くんだ、キャプテン、今日の主役だろ!」
「バッキー探してくるよ」
「あいつなら多分まだ宿舎だぜ」
「ありがとう」
抱え過ぎて落としそうになっている瓶を1、2本取り上げて宿舎に向かう。
規制かかった…
「…なんか、捕まったあとさー、身体検査とかいって……変な機械で人のこと小突き回すんだ、くそったれ。で、なんつーか…最終的にはケツにまで棒突っ込まれて…
で、情けねーことにイッちまったんだわ。せめて笑やーいいのに無表情なんだわあいつら。きっしょくわりィ。うわお前どうした」
「え、何」
「いやおめーなんかすごい邪悪な顔してたぞ、大丈夫か」
辛い事を思い出させたのにこんな時まで僕の心配をする、自分の身の方が辛いのに僕を気遣ってくれる、彼はそういう奴だ。
優しい友人になおさら彼らのしたことが許せない。レイプじゃないか。絶対に許さない。
「おいなんでお前脱いで…いや、何おっ始めんだおい」
「人間には変な器官が、たくさんあって、その内の一つが僕ら男についてる前立腺で、これを刺激されたら誰でも反応するんだ」
「おお…」
戸惑っているバッキーを置いて僕は説明と準備を進める。
「”人体実験”の前にちょっと勉強したんだ。で、なんでそんなものあるんですかって、Dr.に聞いたら、神様のいたずらじゃないかって、笑ってた、はっ…」
僕は不快感と、彼のその時への心痛でちょっと眉をひそめた。
「だから、君はどこも変わってないんだ、僕と同じ、それを証明する」
「いやいやいや何言ってんだ、お前がそこまでしなくていいって」
「それ言うの遅いかも…」
頭がくらくらしてバッキーの肩に頭を乗せ、ワークパンツに手を伸ばす。少し擦るとすぐに硬度がでてきた。よかった、初めてなのに瓶だとちょっと怖い。
ミスった
「やあ」
「おう」
バッキーは本当に誰もいない宿舎に一人でいた。
「お祭りだな」
「これさ。君も大好きだろ。どうした?」
様子がおかしい。そう判断した僕は酒をサイドボードに置いて、ベッドの隣に腰掛けた。
「なんでもない」
「嘘つくな。軍医を呼ぶか?」
「いや、いい」
絶対におかしい。そう思ってしばらく見つめていると、諦めたらしく、小さな声で言った。
「いいっつうか、言いたくないっつうか…お前にも」
「何かされたのか?あいつらに」
敵地に囚われていたのだ、なにがあってもおかしくない、そう思って尋ねるとびくりと身体が跳ねた。
されたのだ。何か。
僕は頭が真っ白になって、バッキーを抱きしめた。
「…言うまで離さないつもりだろ」
「そうだよ。僕の頑固さは君が一番知ってるだろ」
そう言うと、バッキーは少しだけ笑った。僕はそれに何故か安心して、肩を抱く手に力を入れた。
「不思議だな、こんなに変わったのに匂いだけは昔のままだ」
「当たり前だろ、僕は変わってないよ」
目を覗きこんで笑う。バッキーは諦めたのか、少し俯いて睫毛を震わせた。やっぱりさっきのはちょっと嘘だ。前はこんなふうに上から彼を見るのは少なかった。
ぶんき
「う、わ、ほんと、お前、ばか」
「だって…僕が早く行ってたら、」
目頭が熱くなり、言葉が途切れる。そうだ、僕がもっと早く行動してれば良かったのだ。
突然鼻を摘まれる。バッキーがあんまり嬉しそうに笑うので動きが止まる。
「泣くな。こういうのはもっとロマンチックにやるもんだ、ばか」
「ばかって言いすぎだ…」
「じゃあキスしろ、間抜け」
しろと命令されたわりには奪われるみたいにして、僕らは生まれて初めてのキスをした。口内に割入った分厚い肉のかたまりの様な舌が僕の思考を溶かす。正直に言ってうっとりしていたら、突然雷に打たれたみたいなショックが走った。
「ぁ、なに、これ」
「…マズイな、イキそう、」
びりびりする腰のあたりに目をやると、バッキーが彼のと僕のをぴったりと併せて握っていて、それが、もの凄く、いいのだ。
「あ、あ、やだ、これ、やだ」
「イイ癖に」
「やだぁ、そんな、ぼ、僕はいいから、ぁ!」
「なんで?お前の泣き顔そそる」
聞いたこともない様なセクシーな声で囁かれる。これじゃまるでセックスしてるみたいだ。
セックス。
僕は今幼なじみとセックスしている。
「…は、スゲーでたな」
「……、」
感じ過ぎて声もでないのにバッキーは僕の身体をなで回す。そうされるたび馬鹿みたいに身体が跳ねる。
「なあ、まだ挿れさせてもいいと思ってるか?」
「?」
意味が分からなくてこくこく頷く。他にどうしようというのだ。
「分かってねーと思うなあ」
苦笑いをしながら僕の身体を抱え直す。
「でも正直我慢の限界なんだよな…」
「ひ、」
「痛かったらごめんな」
なんだこれ、なんだこれ。自分で解そうと触ってた時とはまるで違う。触れているそこだけ、異常に熱い。
「あ、あ、何、これ」
「は、痛いか、」
「やだ、いたくして、いたくして、しんじゃう」
「なに言ってんだ、俺より丈夫な癖に」
本当に心臓が破裂して死んでしまいそうなのに、笑って取り合ってくれない。せめて痛いなら我慢できるのに。
「あ!ぃ、痛、なに」
「前の身長ならこのままキスできたのに」
バッキーは恨みがましい目で僕の事を見ながら僕の乳首を摘んでいる。そうされると、そこに腰からのとは違う電流が走る。
「痛い、よぉ」
「ひたくひてくへって、言ったじゃないか」
痛くしてくれって言ったじゃないか、そう言う間に何種類もの快感が走る。舐めたのと歯が当たったのとそれと−?もうわからない。
「ここ弄ると、ナカと連動してて、面白い」
「お、おもしろ…くな、」
泣きそうだ。本当に皆こんなに恥ずかしい事を平気でやっているのだろうか?
「何考えてる?」
息がかかるだけで震えながら、息も絶え絶えに彼の手をとる。
「ここ、わかる?」
僕の唯一あまり筋肉のつかなかった下腹部に手を導く。わかっていなさそうだ。
「たってるの、はいってる」
笑いかけたと思ったが、よくわからない。
「お前、ふざけんなよ、今の、反則だぞ」
「っは、は、ぁ、ぁ!」
「動かねーように、って、気ィきかせて、たんだからな」
「ん、ん、んぅ」
死ぬ。今度こそほんとに殺される。そう思ってからは熱くて、苦しくて、幸せで、何が何だかよく覚えていない。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)ミスだらけで申し訳ない
>>333 こういう暗いエロ好きー
住本の追い込まれ感がいいね
NLエンド&奥さんヤンデレ化に驚きました。
投下乙です!
>>333 すみさんかわいそす(´Д`)
でも自業自得だな、生い立ちよりもともと怪物だよこいつ(`Д´)
くらたんなぐさめてあげて(*´Д`)
なんだかんだで乙です
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )
だからやだって、とかなんとか言っている彼のワークパンツに手を伸ばす。
「待て。何をしようと」
「何って。射精を促すんだ。しょうがないだろう」
バッキーは更に赤くなって、そのまま器用に青くなった。
「は?いやいやいやお前がしなくていいから自分でできるから」
「だって僕のせいじゃないか。僕がもっと早く行ってたら……」
止められたのに。悔しくて語尾が鈍る。
「いやそんな顔しても駄目だから、もうホント止めろ、ばか、くそっ、ぅ…」
とうに限界が近かったらしく、身体から力が抜ける。そっと手を動かす。
「く、はぁっ、あっ、あ、」
「だしていいよ」
「…てめえ……」
あれ?様子がおかしい。この声と顔は、子供の頃僕をいじめてた子たちに向けられていたやつだぞ?
「人が泣こうが喚こうが好き勝手しやがって…くそ、おめーも道連れだ……」
「おーい?もしもーし?僕はただ手伝ってただけで…ハロー?」
「だから尚更タチがわりーんだよおめーはよ」
ブツブツ言いながら僕を押し倒す。マズい。目が座っている。
「へえ、なんだ。童貞には刺激が強かったか?」
「!??」
「ほら」
そう言って笑うと、勃起した僕のと自分のを握る。
勃起してる?
青ざめるのは僕の番だった。
「あれ?お前でかくなってないか?あっ…実験だ、セコいなー……」
「!!??いやっ違、それは副産物的なものでひッ!な、なにを」
「覚悟はあったがまさかこんなカタチだとはな…よし」
いやなにがよろしいのかさっぱりぼくにはあああ
「っ、は、キツ…」
「ひっ…ひぅ、ば、バッ、キ…そんな、あ、あ」
「うるせ…はぁっ、」
僕のが、柔らかいなにかに飲み込まれていく。いや何かってそりゃあバッキーなんですがなんですか!?馬鹿か僕は?何?何が起こっているんだ?
目があって、昔の、悪戯をする顔で、にやりと笑われた。
僕は今セックスしてる。
親友とセックスしている。
「っ、ぁ、」
「ん、ふ、…何でイッたのにこんななんだよ」
「それは、はぁっ、代謝が4倍に…なってて、」
しどろもどろにいう間にも卑猥な音が聞こえてくる。
「音ッ、嫌だ……」
「はっ…は、やだって、んぅ…お前のせいだろ、ばか」
「ヒィ…」
泣きそうだ。本当に皆こんなに恥ずかしい事を平気でやっているのだろうか?
鼻を摘まれる。
「ゥ…」
「っア!ぁ、はいっ、ぁア!嘘だろ、まだあんのッ……」
「やだ、あ、あ、ごめん、ごめ、」
「あっあっあっあっ」
「ごめ、腰、止まんな、あ、バッキー、バッキー、痛い?痛いよな、ごめん…!」
「ふ、お前、うるさい、よ」
笑いながら唇が降りてきて、口内に割入った分厚い肉のかたまりの様な舌が僕の思考を溶かす。
「薬のせいか、知らないけど、気持ちいいよ」
その言葉で頭がスパークして、体勢を変えてバッキーを組み伏せる。
それからは熱くて、気持よくて、幸せで、何が何だかよく覚えていない。
「あー死ぬかと思った」
「そんな褒めんな、照れる」
「褒めてない!」
「シー!聞かれるぞ」
その言葉に一斉に血の気が引く。今日の僕の血管は忙しい。
「まー今更だけどな。あーシーツ替えねーと」
慌てて僕は周りを見渡してバッキーを抱え上げてシーツを素早く取り替えた。本当に今さらだが僕らはなんてところでなんて事を!!
「なんでおめーはそんな元気なんだバカ」
自己嫌悪にシーツを抱えてうずくまる僕をバッキーが蹴った。と思ったら足が残ったまま、背中を撫でる。あ、それは、まずい。
「なー俺女の子抱けなくなったかも。」
「え」
「お前専用の俺ってことだよ、言わせんな」
顔に血液がのぼrバリッ!…ばり?
「あー血税が!」
「え?うわ!」
ただえさえ酷いことになっていたシーツを僕が破った音だった。ヒイ、国民の皆さんごめんなさい!
「バカ早く証拠隠滅しろ!」
「は!」
ゲタゲタ笑うバッキーの声をバックに僕は慌ててシーツを外に捨てに行く。ついでに明かりがついているけれど、大分静かになった食堂の方を見た。おお神よ酒の威力に感謝します。あとシーツごめんなさい。アーメン。
「なー、スティーブ!俺らも飲もうぜ!」
「うん!」
そうして僕らも仲良く二日酔いの仲間入りをしたのだった。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ そこはかとない変態臭は仕様です
| | | | ピッ (・∀・;)
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
>>348 いちゃいちゃ可愛いなー
個人的にはbルートが好みです
投下乙!
生。某セ糾弾の才ハ゛力三人。
遺跡前の設定で……。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
髪を切った。最近は忙しくてなかなか切りに行くことが出来ず、
すっかり伸びっぱはなしになってしまった。
せっかく切るならすっきりさせようと、思いきって短めにしてみた。
このぐらい短髪にしたのは久々だ。
散髪して初めに行く職場というものは、なんだか緊張する。
もうそこまで若くないんだから、そんなに気にする必要はないんだけど。
王求場入りして□ッ力ール―ムに向かうと、見慣れた背中が目に入った。
既に苑さんが着替えを始めている。
一番最初に会う干ームメイ卜がよりによってこの人かと、俺は溜息を吐きたくなる。
どうせいずれは見られるものだしと、割り切ってから□ッ力ール―ムへ入った。
「はよっす」
「おー」
軽く声を掛けると、苑さんは興味なさそうに素っ気なく答えた。
こちらには目もくれない。俺が気にしすぎだったのかと、少し気恥ずかしくなる。
自分の□ッ力ーの前に行き、俺も着替えを始める。
アソタ゛―シャツに袖を通していると、ふと横から視線を感じて、顔を上げた。
苑さんのどこか冷たい目が、こちらを見ている。
俺が見つめ返しても、苑さんは何も言おうとしない。
「何すか?」
自分の長めに伸びた髪の毛を指差して、無表情のまま答える。
「髪、切ったんだな。」
「はい、まあ。」
俺がよく分からない返事をすると、俺を馬鹿にしたような笑顔を見せた。
苑さんが俺によく見せる表情だ。
こういうことに無頓着そうな苑さんでも気付くのか。
…いや、結構切ったんだから、気付かない方がおかしいか。
短く切り揃えられた髪の毛が不意に気になってきて、手で触れてみる。
そんな俺を、苑さんはにやにやしたまま眺めている。
―もしかして、『似合ってる』だとか、そういう類のことを言ってくれるのだろうか。
そういうちょっとした期待をも、この人は平気な顔をして打ち砕く。
「似あってねぇな。」
分かってはいたけれど、期待した俺が馬鹿だった。
「そんなに似合ってないっすか?」
「うん。全然。」
苑さんのこのニヤけたような表情は、何を考えてるか分からないから苦手だ。
冗談だと思いたいけれど、もしかしたら本気なのかもしれない。
なんだか恥ずかしくなってきて、俺はひたすら髪を弄っている。
苑さんに文句の一つでも言ってやろうかと思っていた矢先、誰かが入ってくる気配がした。
振り返ると、重たそうな荷物を抱えた富士他さんがこちらに向かってくるところだった。
俺らと挨拶を交わすと、富士他さんはまっすぐに□ッ力ーへ行き、荷物をしまい始める。
その様子をぼんやりと眺めていると、こちらを振り返った富士他さんと目が合った。
「おー、岳ヒ□、髪切ったな。」
富士他さんは目を丸くして、俺の頭を見つめている。
先ほど苑さんに言われたことを思い出して、思わず手で前髪を隠してしまう。
「なんで隠すの。」
「…いや、なんとなく…。」
そんな俺を嘲るように、後ろで苑さんが鼻で笑う音がした。ちくしょう。
「ええやん、すっきりして。」
ぞのさんの不敵な笑みとは違って、富士他さんは屈託のない笑い方をする。
「そうっすかね。」
「うん、似合う。」
前髪から手を離すと、富士他さんが笑いながら俺の頭をぽんぽんと叩いた。
素直に嬉しかった。しかし、背中には苑さんの視線が突き刺さったままだ。
たぶん不機嫌なんだろうなと、頭の片隅で感じ取る。
引っかかったかな?しえん
4レス目で引っかかるよねー
支援
だらだらと着替えている俺らをよそに、富士他さんは手早く着替えを済ませた。
「先行っとるわ。」
そう告げると、さっさとどこかへ行ってしまった。何やら急いでいるようだ。
□ッ力ーの前にしゃがみ、脱いだ服を畳んでいると、後ろから苑さんが近付いてくるのが分かった。
俺は気付かないふりをする。
何を言われるのだろうかと考えていると、不意に頭に手を載せられた。
びっくりして後ろを振り向くと、苑さんが屈んで俺のことを見下ろしていた。
「俺だって、似合ってると思うよ。」
ちぐはぐなことをぶっきらぼうに言いながら、苑さんが大きな手で乱暴に俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
さっき富士他さんがやったような優しさは微塵も感じられなかったけど、
どこか恥ずかしそうにしている苑さんがなんだか面白くて、俺はつい笑ってしまった。
「何笑ってんだよ。」
「…いや、別に。」
この人も、本当は優しいのかもしれない。
そんなことを考えた途端に頭を叩かれたから、ああやっぱり苑さんは苑さんだったと、
先程考えたことをすぐに撤回した。
苑さんはそれきり何も言わず、□ッ力ール―ムを出て行った。
一人になった部屋の中で、□ッ力ーに取り付けられた鏡を眺める。
鏡には、さっぱりとした自分の顔が映っている。やっぱり切って良かったなと、こっそり思った。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
規制に引っかかり、投下に時間がかかってしまいすみません。
代行の方、ありがとうございました。
>>350 投下乙&代行者さんありがとう
苑さんのツンデレが可愛いなあ
なんかニヤニヤしちゃいました
ほのぼの萌えご馳走様です
河村隆一かよwww
ごめん誤爆したorz
どういう流れのツッコミか非常に気になるw
>>350 この3人すごく好きだから読めてうれしかったです!投下&代行ありがとう
3人それぞれのかわいさが出ててすごく好き、特に苑のちょっとひねくれた感じ
また機会があったらぜひ書いてください!
361 :
夢の終わりは桃源郷 1:2012/11/16(金) 00:22:00.40 ID:JrVRpa1dI
新参者です…失礼致します。昭和〜平成、二人の天才落語家。異端児とサラブレッド。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!&#160;
『きっと大丈夫、大丈夫だよ俺達。』
『…何が』
『離れたってさ、』
『先の事なんて分かんねえだろう。』
『分かるよ。何となくだけど…いや、大丈夫なんだよ俺達。』
そう言って笑ったあいつは変に楽しそうだった。何が大丈夫なんだ、一人でさっさと向こうの岸に行った癖に。
支援
こんな何でも無いような言葉を交わしたのはもう30年も前だったっけ。場所や状況はよく覚えてはいないが、だいぶ酔いは回っていた。だけれど、あいつのその言葉は、妙に脳裏に焼き付いて離れない。
〜 〜 〜
「…さん、起きて下さい…」
遠い記憶に微睡んでいたら、上の方から声が降ってきた。無論あいつじゃない。
目を開けて、見えたのは白亜の天井、病院だ。当たり前か、ずっと居るんだから。
俺、もう声は、出ない。早く死にたかったのに。
ずっと死にたく死にたくて、でもそれは叶わなくて、気が付いたらみんな居なくなっていた。あ、マムシは居るか。
周りの奴らだって、真っ先に死ぬのは俺だと誰もが思っていたろうに…うまくいかないもんだナ。
「憎まれっ子世にはばかる」のは本当だ。おい、誰が憎まれっ子だ。
なら…いや何が「なら」なんだ。
あいつは、ちょっとばかし早過ぎた。誰からも、噺の神にまでも愛された、憎たらしい程可愛いあいつは。憎たらしいんだか可愛いんだか分かんねえ。
色々泣かせた事もあったっけ。
変な勘繰りするなよ?ま、その勘繰りは、存外当たってるかもしれないけどネ。
果たして俺はあいつと同じ所に行けるんだろうか。まあ無理だな。一人で「地獄巡り」でもやってようかしら。
どっちにせよ、ここにあいつは居ない。もう居ない。あっという間に時代は回り、文明は未だにバカみたいに発達し続けている。淡くて甘い、純粋で不透明な想いに焦がされたあの頃は終わったのだ。
だけれど消える事は決して無い。
俺が覚えてるから。
おい、聞いてるか?よく聞いとけ、俺はな、お前が……いや、だからお前を……やっぱイイや。そっち行ったら直接言ってやる。閻魔蹴り倒してそっちの方行くから、待っとけ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
長時間占拠してしまい申し訳ありませんでした。勉強し直してきます……。
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 生 || ∧(゚Д゚,,) < 先日読みきりで復活したおとぼけアンドロイド
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < ぬるいけど登坂×r
i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < 原作から20年くらいたってる設定
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ"
最初の異変は、ひどく些細なことだった。
「とさかさん、この人は誰でせう」
微かに色褪せた写真を指差し、rは尋ねる。その写真は飯田線での旅の最中に撮った、バチアタリな写真だった。
「あー、これは岸田だな…いや、あさ…やっぱり岸田だ」
「きしだ?」
「お前の同期だろ!忘れるんじゃない!!」
そう言いながら登坂はrに間接技をかける。あらぬ方向にrの体が曲がり、気の抜けた声があうあうとうめく。
「とさかさんだって、ちょっと曖昧だったじゃないですか〜」
「私は先輩だからいいのだ!」
登坂は高らかに笑う。理不尽な登坂とまぬけなrの、何年も変わらぬやり取りだ。
登坂は少し腹に肉がつき髪に白いものが増えつつあるが、rはなにもかも昔と同じだった。
「大体、アンドロイドが物忘れをするのか」
「高性能なので」
しれっとした態度のrの頭が、登坂のハリセンに叩かれてぽろりと落ちた。
人並みであるゆえにこんなこともあるだろう、と登坂は自分を納得させた。
その後、少しずつそういうことは増えていった。
「この丸くなってる人は誰でしょう?」
「文芸部の伊東」
「う〜ん…」
rは首をひねっている。そんな人間と関わりがあったかどうかすら謎だ、そんな顔をして。
他にも山田さん温泉の話をしてもキョトンとしていたり、生徒会や土研の存在を忘れていたり。
そんなrに登坂はなにかうそ寒いものを感じたが、気づかないふりで接した。
認めてしまえば自分の奥底が決定的に損なわれてしまうような、そんな恐ろしさがあった。
r自身は無表情で何を考えているのかわからない。ただ、ぼんやりと部屋に座っている時間が心なしか増えたようにも見える。
それも登坂が認めたくないことのひとつだった。
だが、残酷な瞬間は突然訪れた。
「とさかさん、とさかさん、この女の子かわいいですね」
rが珍しいことを言った時、登坂は一瞬背筋に冷たさを感じたが、見ないふりをした。
「どれだどれだ」
「ほれ、この子です」
登坂は口が聞けなかった。rの指差す先の写真に写っていたのは
「おまえ…もしかしてさんごのこと…」
「さんごと言うのですか、この人は」
「どうして覚えていない!」
登坂はほとんど恐怖に近いような気持ちで、rを殴った。
rは長い銅線の先の顔で登坂を無表情に見つめた。その顔が、まるで知らない機械人形のように見え、登坂はたじろいた。
「どうしたんですか、とさかさん」
しかし、そう尋ねるrは紛れもなくrだった。呆けたような顔も、のんびりした声も、とれた首を直すその所作も。
しえん?
370 :
366:2012/11/16(金) 22:07:06.50 ID:09Zj/ol30
申し訳ありません、規制に引っかかってしまったので、代行スレにお願いして来ました。
翌日、登坂は仕事を休んでrと共に也腹のもとへ向かった。
そう簡単にコンピューターの記憶が消えるとは思えない。きっと、何らかの手段で復元できるに違いない、と祈るような思いで。
研究所の雑然さは前に訪れた時に輪をかけてひどくなっている。
半身だけのロボットや、折れた基盤がそこらじゅうに転がっていて、歩くたびにどこからかほこりが立つ。
数年ぶりに会った也腹は、昔とあまりかわりなく見えた。多少は腰が曲がり、頭髪も寂しくなりつつあるが、rの修理に支障があるようには見えない。
登坂は少し安心して、也腹に事情を話した。だーいじょうぶ、きっとなんとかなる、と自分に言い聞かせながら。
「まぁ、見てみんとなんとも言えぬが…」
也腹は一通り事情を聞いてから、rに様々な機器を取りつけた。コンピューターの画面には登坂にはわからない数列がならぶ。也腹の顔が険しくなった。
「記憶回路の電池が切れつつあるんだな」
「電池切れ?」
あまりにも単純な理由に、登坂は拍子抜けした。あんなに恐怖したことが、時計が止まるのと同じ原因だったとは!
「なーんだ、じゃあ、電池さえ入れれば元通り!ですね」
「いや、そうはならん」
登坂の安心した顔が凍る。
「確かに電池を変えれば、R28号の物忘れはなくなる。だが、電池を変える際にR28号は完全に初期化され、それ以前の記憶も人格も失うだろう」
rは眠っているように瞳を閉じており、也腹の声が聞こえているかはわからない。
登坂は自分の脚が震えていることに気づいた。暫し、彼は口をきくことができなかった。
支援
「記憶を復元して、USBメモリみたいなのに入れておくことはできないのか?」
「無理だ。R28号の記憶あまりにも複雑で、他に移したら壊れてしまう。それに、こいつの記憶は復元できん。」
「せめて人格だけでも…」
「R28号の人格は、記憶によって作られているのだ。だから初期化したらもう、別のアンドロイドになると考えてほしい」
也腹との絶望的なやり取りを繰り返すうちに、登坂の顔からは血の気が引いていった。これは、もうどうにもならぬことなのだ。
「…どちらにせよ、電池が完全に切れたなら記憶も人格もなくなる。せめてそうなるまではこのまま様子を見る方がいいだろう」
うつむいて唇を噛み締める登坂に也腹はそう声をかける。凝固したような息苦しい時間が流れた。
しばらくして也腹はrの方を見、
「全く、こいつも幸せなアンドロイドだ」
と呟いて頭をかいた。
也腹のもとから帰宅する際も、rは眠っているようだった。
次に眼をさましたとき、もしかしたら自分も忘れられているかもしれない。そんな予感が登坂の胸を刺した。だから、
「やあ。とさかさん、もう朝ですか」
登坂の部屋で眼を覚ましたさrが声をかけたとき、登坂は心の底から安堵した。
「外を見ろ、まだ暗いだろ。夜だ」
rはゆっくりと窓の外を見ると、興味なさそうにまたその場に寝転んだ。
「さっき会っていた人は誰だったんでせう」
「也腹博士か?あれはお前のお父さんだ」
「お父さん?」
rは虚ろな眼を散らし、
「僕にもお父さんがいたとは、ありがたいことですね」
微かに笑った。
登坂はrの頭を優しくはたいて、
「今日はもう寝ちまえ。起きてると何かと不経済だ」
「あい」
rはすぐに眼を閉じた。これで少しでも電池が切れるのを遅くできれば…という登坂の悲しい悪あがきだった。
寝袋に入る習慣も忘れたのか、rは床の上で眠っている。
登坂は冷蔵庫からビールを出すと、一息に飲み干した。飲まないとどうにかなりそうだった。味はほとんど感じない。
光画部の部室で飲んでいた時は、どんなに怪しげな酒でもひどくうまかったのに。
冷え冷えとした夜だった。冷えは登坂の体の内側から湧き上がってきて、血液と共に体内を駈け廻っている。
北風がガラスを細かく震わせた。枯葉が幽かな音を立てて枝から振り落とされていく。
登坂は空の缶をぐしゃりと握ると、眠っているrを見た。合宿の時や、部室で何度も見たまぬけな寝顔だった。
なかなか起きないrを文字通り叩き起こし、駅まで走ったこと。
自転車で行かせた修学旅行、幽霊探し、春高での也腹との戦い…たくさんの思い出が登坂によみがえってきた。
あれから短くはない時が流れ、少しずつみな変わっていった。どこで何をしているかわからないものもいる。
そんな中、rだけは変わることなく、ずっと登坂のそばにいたのだ。
rと共にいさえすれば、すぐに10数年前の高校時代に帰ることが出来るように錯覚していたが、そのまやかしすら登坂から取り上げられつつある。
明日、rはいったい何を忘れてしまうのだろうか。
登坂はrの体を抱き締めた。限りなく無為に輝いていた青春の残梓を愛おしむかのように。
rは眼をさまさない。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・;)イジョウ、ジサクジエンデシタ!
長々と申し訳ないです!支援ありがとうございました、とても助かりました!
連続2回で連投規制とは・・・
乙!切ないけど大変萌えた
やっぱ人間&人外コンビの寿命ネタはグッとくるな
切なくて萌えたよー、乙!
ジャンルは軍事考察で801または、教科書が教えない歴史で801ですが、現在スレッドその物が存在しないので
こちらに投下致します。参考資料以下のURLとその関連URLリンク
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%A1%E6%BF%83 の一つより抜粋
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!byAn-225 type bomber
(日本軍司令部にて)
日本軍司令部「これから、第四次海軍軍備充実計画(マル4計画)に基づき、大和型戦艦の問題点を直した110号艦111号艦計画を発動する!」
日本軍司令部「そこの君!110号艦だ!」
110号艦「ふぇ?ぼ、僕ですか?」
日本軍司令部「まず、伝令を頼みたい。君の住居は横須賀海軍施設6号ドッグに決まった。この計画書を渡しに横須賀へ行きなさい。」
110号艦「は、はい!行って参ります!」
日本軍司令部(ふふ・・・、将来が楽しみだ・・・アメリカ軍相手に、あーんなイケナイ事や、こーんなイケナイ事が出来るように調教・・もとい、作戦を立てなくては・・・)
(横須賀海軍施設ドッグにて)
110号艦「あのー、すみません・・・。6号ドックって何処ですか?」
横須賀海軍施設ドッグ管理者「は?新入り?そんなの無いよ?さっさと帰って。」
110号艦「一応、日本軍司令部のおじさんから計画書を渡せって言われたので、持って来たのですが・・・。」
横須賀海軍施設ドッグ管理者「日本軍司令部!?ああっ・・!!ああぁっあっ・・・・!(恍惚とした表情で)」
110号艦「?、一応、計画書読んで貰えますか?」
横須賀海軍施設ドッグ管理者「こ、この計画書は!!あああああああああああああああらめぇ!!何か産まれちゃう!産まれちゃう!!あの噂の大和以上の何かが産まれちゃう!!島が出来ちゃうよぉぉぉぉぉ・・・・ビクビクビクッ!!」
110号艦「何やってるんだろう?あの人・・・・?まぁ、いいや、頼まれた仕事が終わったから、かーえろ♪」
(その後の横須賀海軍施設ドッグにて)
横須賀海軍施設6号ドッグ「ああっダメ!!そんなにドッグを広げちゃダメ!!地下から湧水とか出ちゃうからヤメテェェェェェ!!!」
工事労働者「おらおら、国のために広げなきゃならないんだ、我慢しろよ?もしかして初めてか?」
横須賀海軍施設6号ドッグ「ああっ、そこのドックはまだ未開発なのぉぉ!!!」
工事労働者「へっ、地下水とか全然出てこないじゃないか?もしかして物足りないのか?」
横須賀海軍施設6号ドッグ「違うの・・・・違うのぉぉぉぉぉ!あの大和が門から突っ込んでくるのだけは勘弁してぇぇぇぇぇぇ!!」
工事労働者「はっ?そう言う事か!!楽しみだなぁ、あの噂の大和が突っ込んでくるのを見れるとはよぉ。もうちょっと我慢しろよ」横須賀海軍施設6号ドッグ「ああっ!ダメ!!ガクガクガク・・・ガクリ・・・・」
工事労働者「あ?気絶したか?おい!野郎ども!!コンクリート持って来い!!ぶっ掛けて目を覚まさせろ!!」
工事労働者一同「おー!!ヤーマト!ヤーマート!ヤーマート!」
横須賀海軍施設6号ドッグ「う・・・ううう・・・・(泣き)」
(日本軍司令部にて)
日本軍司令部「ほう・・・、予定通り110向け愛の巣の工事は順調か・・・・。」
110号艦「すみませーん?愛の巣って何ですか?」
日本軍司令部「あっ・・ゴホゴホゴホ(危ない、危ない、今ばれると逃げられる)・・・いや、何でも無い、110号艦!次の任務を与える!!」
110号艦「はい!何でしょう?」
日本軍司令部「この計画書を、艦政本部に渡してほしい。」
110号艦「はい!分かりました!!」
(艦政本部にて)
110号艦「すみませーん。計画書を持ってきました。」
艦政本部設計部「はぁ・・新人?お疲れ、そこに置いといて。」
110号艦「はい!失礼します!!(変な人たちが多いから、日本軍司令部の優しいおじさん所にさっさと帰ろ・・・)」
艦政本部設計部「なんだ?この厳重な封筒は??差出人は・・・・あああっ!?あの日本軍司令部!!ビクビク・・・」
艦政本部設計部「ああっ!だめぇっ!!大和型を超えた水密区画とか、あの不沈船の大和でさえ沈む欠陥を直したのとかぁぁぁぁぁぁぁ!やめてぇ、頭から大和以上の化け物が産まれちゃう!産まれちゃぅぅぅぅ・・・・・」
(その後の艦政本部にて)
設計図「ああっ!!そんな基地外じみた細い線とかいっぱい使わないでぇぇぇぇ!!後水密区画多すぎるのぉぉっ!!そんなの図1枚じゃ収まらないよぅ・・・・」
艦政本部設計士一同「はい?そんなの当たり前だぞ・・、今回大和型を越えた水密区画と大和以上の化け物を作る予定だからな?つーかお前大和を産んだよな?」
設計図「ぁぅ・・・、でもっ、でもぅ・・・。大和型でも快感で気が狂いそうなのに、そんなの産んだら理性その物が吹っ飛んじゃうぅぅぅっ!!」
艦政本部設計士一同「ああ、もうちょっと我慢しろよ、あの日本軍司令部でさえも快感で理性が吹っ飛ぶような化け物を作ってやるからな」
設計図「あぁぁぁぁ(恍惚状態で)・・・なんかお腹の中でどんどんおっきい物が出来てるぅ・・・・・・・」
(日本軍司令部にて)
日本軍司令部「ほう、計画は順調か、こんな化け物を作り上げれば世界中から引っ張りだこ間違い無いな。しかもそれを我が司令部が独占出来るとは・・・・」
日本軍司令部「くっくっ、笑いが止まらないな・・・。尚!この110計画は特秘とし!予算!憲兵!法規!情報管理!我が国家が使えるあらゆる手を使い偽装工作をせよ!!」
日本軍司令部「海軍の最高司令官に対しても計画の多数を隠匿し、絶対に分からないようにしろ!!」
(その頃、アメリカ軍諜報部にて)
諜報部員「すみませーん、何か日本軍がまた変な船を作ろうとしてます。」
諜報部長「ちょっと見せてみろ・・・・、ああまた偽装計画か・・・こんなの今大戦中に出来るわけ無いから、魚雷を発射できる小さな船を大量に作ってるな。」
諜報部長「しっかし、あの酸素魚雷だけは厄介な存在だから、その為の対策を立てなければならない・・・。とにかくレーダー射撃と連射力の強い戦艦の開発計画を急げ!!」
諜報部長「こんな大量の駆逐艦に酸素魚雷を一斉発射されたら、兵士の理性そのものが崩壊しかねないぞ!!」
諜報部員「はっ!!分かりました!」
ナレーター「ちなみに、110号艦に使われる予定の大量の排水ポンプ用エンジンの注文書を小型艦向けのエンジンと勘違いしたようです」
支援
しえぬ
>>379 終わり?規制?
途中で規制されるかもしれんリスクがあるならちゃんとナンバリングしてくれ
次の人が投下ためらっちゃうよ
(日本軍司令部にて)
日本軍司令部「はっはっは!これで我が軍は最強ドSなアメリカ軍相手に攻めれるぞ!現在ほぼ完成し、公試中の大和と武蔵に、あの110号艦が加われば、あのアメリカ軍も悶え苦しむだろう!」
日本軍司令部「もし、こちらが負けて受けに転じようと、攻められた記憶を思いだし、講和は有利に働くわ!クックックッ、はーはっはっはっは」
日本軍指令部「機は熟した!憲兵!!海軍最高責任者『山本五十六』を荒縄使ってでも連れてこい!!」
憲兵「はっ!了解しました!!」
山本五十六「な・・・何ですかぁ?いきなり呼び出して・・・、って、ここは何処ですかぁ?なんか三角木馬らしき物も見えるんですが・・・?後、荒縄だけは辞めて貰えますかぁ・・・?」
日本軍指令部「ほう・・・?これが気に入らないと言うのかい?(荒縄を引っ張る)」
山本五十六「ああっ!違うの違うのぅぅぅ!!あのアメリカを悶え苦しませる作戦があるのぉぉぉ!」
日本軍指令部「何ぃ!?それを吐けぇっ!!(さらに荒縄を引っ張る)」
山本五十六「ああっ!ビクビク・・・。はぁ、はぁ・・・。」
山本五十六「現在公試中の大和は、偽装が不十分であり、海軍諜報部が、攻めに適していると報告している。1941年12月8日には間に合いません。よって空母機動部隊による。」
山本五十六「真珠湾の奇襲攻めを行い、あのアメリカ軍を悶え苦しませる事が可能です!」
日本軍指令部「ほう・・・素晴らしい!気に入ったぞ!さすが山本五十六!ただ者ではない!その作戦を採用する!!」
山本五十六「はい!有り難き幸せ!!」
山本五十六(やった!!これで、アメリカ軍が悶絶すれば、私の空母機動部隊の構想が認められる!)
日本軍指令部(はっ!これであの貧弱な空母機動部隊に目が行き。あの愛しい110号艦の計画が隠匿できるわ!)
(その頃アメリカ諜報部)
アメリカ戦略諜報局員「すみませーん!何か1941年12月8日に、日本軍がパールハーバーに空母艦載で奇襲を仕掛けるそうです。どないしましょうか?」
アメリカ戦略諜報局長「とうとう、動いたか!この件はアメリカ大統領に報告する!!なお、お前らは今日から家に帰れないぞ!家族にはドイツ軍が不穏な動きをしてるから、その調査で帰れないと、私の名で書類を送る!」
アメリカ戦略諜報部員「ああ・・・またお家に帰れない・・・・。」
(ホワイトハウスにて)
アメリカ戦略諜報局長「大統領!1941年12月8日に、日本軍がパールハーバーに奇襲を仕掛ける計画が分かりました!」
ルーズベルト大統領「ちょっと、報告書を見せて見ろ・・・・。現在日本軍が駆逐艦クラスの船を増産中、パールハーバーは空母艦載で奇襲か・・・。」
アメリカ戦略諜報局長「現在、空母艦載機程度では、防御の弱い空母が沈めれても、バルジや鋼装がしっかりした戦艦は沈めれません!」
アメリカ戦略諜報局長「よって、1941年12月8日に合わせて、空母に飛行機輸送の任務を与えるべきかと思います!」
アメリカ戦略諜報局長「また、1941年12月8日の前日に日本の大使館勤務のスパイを『家庭の事情』という理由でやめさせ、送迎会を行わせる工作を行う予定です。」
ルーズベルト大統領「ほう、それは面白い・・・。私としては、スタークが両洋艦隊法を提案しているので非常にありがたい。」
ルーズベルト大統領「議会にはドイツ軍のパリ入城に合わせて、『ドイツ海軍は既に大西洋へ進出し、アメリカを狙っている』『日本軍が駆逐艦クラスの船を増産中』という情報を流し、議会を揺さぶろう。」
ルーズベルト大統領「後、建造ドックを大量に作るのに必要な予算を計算してくれ。議会に提出し、いつでも戦争出来るように準備したい。」
アメリカ戦略諜報局長「はい!大統領!!」
ナレーター「こうして、日本軍とアメリカ軍は着々と戦争準備を進め、攻めの主導権を巡る攻防の準備はほぼ完了する。」
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
支援ありがとうございます。
すみません1万文字を分割とか、投下慣れていないので、申し訳ありません。
つーかナンバリングをしろと
それ以前にスレのテンプレ嫁と
>>386 実は5千文字で書きかけなのですよ。
中断で数日空ける(人数多い時間帯)に続き投下しますので、
次の方どぞぞ。
>>387 テンプレも読んでない、従わない
それには一切反省もせずに
「実は五千文字で書きかけ」と前言の嘘を翻して言い訳
お前もういいよ
もし該当スレが残ってたとしてもそっちでの投下も
387みたいのは迷惑でうざがられるだけ
この台詞の羅列をSSと見なしているのか
すげえな
801板に来られる年齢になってからどぞぞ
ナンバリングとテンプレ読め、に対して
書きかけですという全く答えになってない返事をするところからして
色々と不自由なのはわかった
日本語通じてないところがスレ立て相談所にいた奴とすごく似てる
>>389 言葉を返すようで悪いけど棚への投下はSS限定じゃないぞ
ネタならなんでもあり。あなたも
>>2を読め
387の問題はそこじゃない。関係ないところ叩いて主旨を拡散させないでくれ
スレにはスレのルールがあるって分からないのかねぇ
日本人じゃないんだろうか
盛り上がってるトコ悪いけど
>>392さんが折角誘導してくれてるんだし
避難所いこうよ
こんな雰囲気じゃ誰も投下できないよ
案内所のマナーの悪さが分かるスレッドはここですか?
An-225 type bomber(1/2)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
(日本軍司令部にて)
日本軍司令部「では、作戦を始める。徹底的に偽電工作を行い、アメリカ軍諜報部を悶えさせろ!」
山本五十六「はっ!」
(その後、沖縄方面の各島々にて)
無線機「ああっらめぇぇぇぇ!!そんなにいっぱい電波出したら、壊れちゃうっ!壊れちゃうよぉぉぉぉ!」
海軍無電班「頼むから壊れないでくれよ相棒・・・、とりあえず我々の機動部隊を迎え入れるためにこんだけの後、これぐらいの電文を送らないといけないからな?」
(書類の山を机の上にドンと置く)
書類「ああっ!?はぁ、はぁ・・・(既に目が逝ってる)」
無線機「!?・・・ふぇ?」
海軍無電班「この程度で壊れられると困るよ。こんだけの書類を毎日送れと言うのが、上層部の意向だからな?」
無電機「ぁぁぁ・・・、身体持つかなぁ・・・」
海軍無電班「いくら、キツく扱われようと、壊れないでくれよ?代わりはいっぱいあるからな?」
無電機「!?ガクガク、ブルブル・・・」
海軍無電班「これからもよろしくな?相棒・・・(にっこり)」
(その頃アメリカ海軍電報解析班)
兵士「大佐!このままでは我々が過労死してしまいます!」
大佐「ああ、急に電報の山が届いて処理が間に合わんな。応援を諜報部に頼んでるから少し我慢しろ」
アメリカ軍諜報部員「はい・・・来ました。」
大佐(えらいふて腐れた奴が来たなぁ・・・)
大佐「まぁいい、とりあえずこの電報の山を処理してくれ。」
アメリカ軍諜報部員(ひょっとしたら、この電報の山の中にあの情報を紛れ込ませれば、家に・・・)
ナレーター「彼の入れた『ハワイ北方で謎の電報あり』の情報は大量の情報に埋もれ、結局見落とされました。」
An-225 type bomber(2/2)
(日本軍司令部にて)
日本軍司令部「わくてか」
山本五十六「ドキドキ」
伝令兵「伝えます!南雲機動部隊より『トラ・トラ・トラ』の電報あり!南雲機動部隊より『トラ・トラ・トラ』の電報あり!」
日本軍司令部&山本五十六「やったぞ!!」(抱き合って喜ぶ)
伝令兵(ああ、なんやかんや言って、仲いいなぁ、この人ら・・・・。)
ナレーター「しかし、110号艦にとって不幸の始まりでしかなかった。」
(横須賀海軍施設ドッグにて)
横須賀海軍施設全ドッグ「ああっ!!駆逐艦、巡洋艦、輸送船が激しく出入りするのぉぉぉっ!!まだまだ来るのぅっっ!??」
駆逐艦&巡洋艦&輸送船「順番まだぁ??こっちは穴という穴に砲弾とか魚雷を突っ込まれて、満身創痍なんだけど?」
横須賀海軍施設ドッグ管理者「ちょっ!??こんなにドックに出入りさせちゃらめぇ!!資材が足りないのぅ!!もう資材が無いのぅ!!」
110号艦「あのーー?」
横須賀海軍施設ドッグ管理者「なっ何だ??」
110号艦「私の資材をみんなに分けてやってください。そうしたらみんなの穴を防げますけど??」
横須賀海軍施設ドッグ管理者「そういう手があったか!110号・・・すまんな・・・・。お国のためなんだ・・・・・・。」
110号艦「いえいえ、みんなの役に立ててこそ私の役目ですから。」
ナレーター「順調に見えた日本軍の快進撃は、実はアメリカ軍による戦略的撤退であり、アメリカ軍は『リメンバー・パールハーバー』の名の下、太平洋戦争前に用意した大量のドックで空母の増産を急いだのであった。」
ナレーター「そして、日本軍の暗号解読を全て終わらせ、アメリカ軍は受けから攻めに転ずる時期を待っていたのであった。」
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
ルールを守らなかったばかりに、荒らしてしまい申し訳ございません。
とりあえず、ここは荒れるのもネタですので、全て受けてみますよ?
>>399 意気込んでいるところ申し訳ないが、ローカルルールを守っているなら誰もあなたに絡んでいく人はいませんよ
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガオオクリシマース!
急曲調陣R 田和場×登坂
何がきっかけだったのか、今となってはよく思い出せない。
田和場さんが卒業して独り暮らしを始めたので、私はしょっちゅう彼の家に入り浸っていた。
田和場さんもぶつぶついいながらも、決して嫌がってはいなかった、と思う。
卒業しても部活への参加率が高いことを鑑みるに、意外と淋しがり屋なのかもしれない。
もちろん、特別何かもてなしてくれるわけではない。
コンビニで買った弁当を食べながら写真の話をしたり、次の合宿の計画を立てたり、座布団を投げ合って隣人に壁を殴られたりするくらいのもので、
その後は大抵どちらかが眠くなってごろ寝をして朝を迎え喉を傷める程度の、つまりは非常に若者らしい交流だったのである。
それがどうして、体の関係を持つにいたったのだろうか。いくら考えても明確な答えは出ない。成り行きで、とでも言おうか。
青少年の性欲のせいとでも言おうか。私にわからないのだから、きっと田和場さんにもわからない、そう信じたい。
するときは、いつも私が受け入れる側だった。「後輩なんだから先輩に従え」という理不尽極まりない理由で。さらに、
「大体、女で経験すらしてないような奴に身を任すなんてできるか」
とも言っていた。その時、ああこの人はもう経験済みなのかと思い、胸中がふと曇った。
初めての時、ほとんど痛みしか感じないような行為が終わってからも、憎まれ口ぐらいしか叩くことはできなかった。
「結構早いんですね」
「だまれ童貞」
田和場さんは使い終わったゴムを外しながら毒づいた。こういうセックスは経験済みには入らないんだろうと考えながら、手慣れたその作業をぼんやりと眺める。
眼鏡を外しているので、どのみちぼんやりとしか見えないが。
そういう形での関わりを持ったものの、別に甘い空気になったり胸が高鳴る思いをするわけではない。
大体どうしてこの先輩にそんな感情を持たねばならないのだ。
「清らかな体とでも言ってくださいよ」
「気色の悪いことを言うな」
田和場さんはそう言いながら私の脇腹に蹴りを入れる。
「いたたたた!不許可です!まだ痛いんですから勘弁してくださいって!!」
腰をかばいながら懇願すると、攻撃の手(足?)は止んだ。少しは気を使ってくれっているらしい。
田和場さんは煎餅布団の上の私をよそに、煙草を吸い出した。煙を吐く音が聞こえる。
私の定まらない視界に、黄色く日に焼けた畳が、そしてヤニが奇妙な模様をつくる壁が写る。
やがてまどろみかけた私の耳に、田和場さんの鼻歌が聞こえてくる。あれは古いジャズだったろうか。そんなことを考えながら、私は眠った。
その日から、泊りに行くたびにそういうことになった。私のほうから泊まりにいくことはもちろん、田和場さんの方から誘われることも多かった。
田和場さんから誘われるときは、大抵家に着くなりすることになる。捌け口にしやがって、と多少苦々しく思いながらも私は拒まなかった。
セックスの前に、メガネは必ず外された。あのメガネは萎えるから、らしい。それに、誰と寝ているのか深く意識せずにすむ方がお互いに何かといいという。
確かに特別な感情がない以上、相手が誰であるかを意識する必要性は薄い。日常的に会う相手ならば、むしろはっきりと線引きができるかもしれない。
そう言うわけで、セックスの際の私の視界はいつもひずんでいた。
お互いの性欲が満たされると、田和場さんは鼻唄を歌いながらタバコを呑む。そう言えば、相手だけ満足して放置されるということは一度もなかった。
輪郭の歪みきった世界、タバコの煙とブルーノートのコード。重い体が薄い布団に沈んでゆく。
落ちていく意識のなか、頭を優しく撫でられたのは夢だったのだろうか。
ある日使用済みのコンドームを捨て、タバコを吸いながら田和場さんは言った。
「あんまり痛がらなくなったな」
上がっていた息をなんとか押さえながら答える。
「そりゃあ、少しは慣れますよ」
田和場さんは小さく笑って、
「確かに、そりゃあそうだよなぁ…」
と言って煙を吐いた。そしてまた笑いながら、
「でも、痛がって泣いてるお前は」
そこまで言って、止まった。もう、笑ってもいないらしい。タバコの煙を吐く音だけが、耳に入る。何と言おうとしていたのか、聞く勇気は出なかった。
田和場さんがどんな目でこちらを見ていたのか、捻れた視覚ではわからない。
田和場さんと寝たのはその日が最後だった。
その日からいくつかの季節が過ぎたある秋の日。
町を歩いていた私の耳に、聞き覚えのあるメロディが流れこんだ。
それはどこかの店が流しているBGMで、当然鼻唄ではない。
それでもとたんに、胸が錐で刺されたように痛くなる。
どうしようもなく胸が騒いで、急いで自室に帰るとすぐに床に仰向けになって眼鏡をはずした。
歪んだ視界では、自分の部屋がまるであの部屋のように感じられる。
しかし、ここにはタバコの煙も鼻唄のジャズもない。
本当は、あんたのこと――
そこまで考えたとき、乱視ではない原因で世界が滲んだが、気のせいだと思い込むために眼を閉じる。
ブルーノートの旋律はいつまでも耳の中に残っている。当分、眠れそうにはない。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>405 GJ!せつな萌えました
ブルーノートとウイスキーに埋もれてくる
rが立て続けに2つ来て嬉しいな
鶏冠さんもうすぐお誕生日ですね
夏目友人帖『代答』より 妖×夏目 ほんのりエロ有り
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
『本当の事を話してくれて ありがとう』
俺がその手紙に書いてあった言葉を読み上げると、ヨビコは緊張の糸が切れた様に、その場へがくりと膝をついた。
俯いたヨビコの顔に掛かった面の隙間から、ほろほろと涙が零れ落ちた。
どんな恨みも怒りも受け止めると覚悟して。でも、実は、とうの昔に許されていた事への安堵の涙。
声も無く、うずくまって静かに泣き続けるその姿に、掛ける言葉が見つからなくて、俺はふと空を仰いだ。
夕暮れの迫る曇天の空から、白いものがふわりふわりと舞い落ちてきている。
「おい、早く―――」
帰らないと雪になるぞ、と、視線を落として話しかけようとした俺は、最後まで言葉を繋げなかった。
いつの間にか、ヨビコが、ばったりと地面に伏していたからだ。
「ね……寝てるーーーっ!!」
衝撃の事実を確認して、蒼白になる俺。
いくら妖怪とはいえ、もうすぐ日が暮れて、雪も降りだした道端に、放って帰るわけにはいかず。
俺は、先生に頼み込んで、ヨビコと共にその背に乗せてもらい、俺の部屋まで帰ってきた。
部屋の片隅へ、ごろりとかなり乱暴に先生の背中から振り落とされても、ヨビコは眠り続けていた。
「人里に下りるだけで、消耗する妖もいるからな」
そんな先生の言葉が脳裏をよぎる。
今回の事で、ヨビコも、かなり無理をしてきたのだろう。
朝まで寝かせておいてやろうと、俺はその体に毛布をかけてやって、そっと部屋を出た。
その夜、また夢を見た。
それは、遠い日々の事なのに、いまだ鮮やかなヨビコの記憶。
秋の陽だまりの中で、幸せそうに微笑む女性。くるくると落ち葉が舞う中で、ゆれる笑顔。
しかし、いつしか、それは、ヨビコに向って笑いかける俺自身の姿になっていた。
どきん、と、自分の鼓動が一際大きく聞こえて、俺は目を覚ました。
まだ完全には覚醒していない意識の中で、ふと傍らに気配を感じた。
「ヨビコ?」
俺がそう声を掛けたのと、彼が俺に覆いかぶさってきたのは、ほぼ同時だった。
―――襲われる?!
俺は咄嗟に身を硬くした。やはりこいつは友人帖を狙っていたのか?
すばやく自称用心棒のニャンコ先生を目で探したものの、部屋には俺とヨビコの二人きりのようだった。
―――どうする?…………え?!
善後策を考え始めた俺の頭が混乱する。
俺に襲い掛かってきたヨビコは、しかしこちらへ攻撃する事も無く。
ただ、俺の体をその両腕で、強く抱きしめたから。
俺は、ヨビコの次の動きに備えて身構えたまま動けない。
そして、彼は俺を抱きしめたまま、動こうとはしない。
危害を加える気配が無い事を感じ取った俺は、緊張を解いた。
「……、夏目殿…っ…」
抱きしめられて、息苦しい俺よりも、苦しそうな声でヨビコが俺を呼ぶ。
「頼みが、ある」
「なんだ?」
「初めてお会いした時のように、私を殴って止めてくだされ」
「……無理だよ」
強く強く、でもこの上なく優しく抱きしめられて、あらがう術などありはしない。
俺は、ヨビコの背に両手を回して、そっと抱き返した。
すると今度は、ヨビコの方がびくりと身を震わせる。
「いけません、夏目殿」
「なにが?」
「人と妖が……、交わっては……」
苦しげに搾り出すような声。でも、俺を抱きしめる腕はほどかない。
「なら、なんでお前は俺の上に乗ってるんだ」
「それは……」
答えに窮してヨビコは黙り込む。
「俺を彼女の身代わりにする気なら、許さない」
「そんな事はしない!」
きっぱりと言い切った俺の言葉に被せる様に、ヨビコもきっぱりと言い切った。
「わかってるよ」
俺は、自分を組み敷しくヨビコを見上げながら言った。
そう、わかってるんだ。
さっきまで見ていた夢。その中で、俺はヨビコの心に同調していたから。
笑顔の女性に向けられた想いは、甘くせつなく、それは間違いなく恋心だった。
でも、その笑顔の主が俺に代わっても、向けられる想いは変わることなく。
それどころか、よりいっそう強く、俺の心を締め付けた。
この、胸を指すような痛みには覚えがあった。俺がヨビコの事を思うときに感じる痛み。
この気持ちは、ヨビコの記憶や、あの手紙に残されていた想いに引きずられているのかもしれないけれど。
ヨビコが俺を守ってくれた時、とても嬉しかった。
俺をかばう背中が、とても頼もしく、俺を守る腕がとても温かかった。
ヨビコが俺に触れるたび、自分の鼓動が、少しずつ早くなっていくのが、不思議だった。
でも、あの夢で、妖の心に触れて、わかったんだ。
この胸の高鳴りを「ときめき」と呼ぶのなら、今、俺はお前に「恋」をしているのだと。
俺が幼い頃から、周りの人間は俺を避けていたし、俺も、なるべく他人を避けて暮らしていた。
こんな俺には、恋愛なんかできないだろうと思っていたのに。
でも、確かに、これは俺自身の気持ちなんだ。
俺自身の「恋」なんだ。
「だから、いいんだ」
そう言いながら、俺はヨビコの背に置いていた腕をするりと抜いて、両手を彼の顔の横へと回した。
そして、両手でそこに付いている面を少しずらした。
面の下には、壮年を思わせる精悍なあごと、引き締まった唇。
俺は、少し頭を上げて、その唇にそっと口付けた。
「……夏目…っ!」
どこか泣き出しそうな声で、ヨビコが俺の名を呼んだ。
そこから先は、激しい想いの波に、俺も妖も、ただ翻弄されていくだけだった。
愛おしい、愛おしい、愛おしい。
この想いが、どこから湧いてくるのか、わからない。
わからないが、それは、眩暈がするほどの熱さで、俺の全身を巡っていく。
そしてまた、俺を抱きしめる妖からも、この体に際限なく降り注ぐ。
俺の肌をすべるその指先からも―――愛おしい、と。
上気する体を舐め上げ、時に啄ばむその唇からも―――愛おしい、と。
そして、なによりも、俺の中で熱く息づく妖の昂ぶりからも――――――。
お互いに想い合いながらも、結ばれなかった恋人たちの想いが重なって。
たとえ、一夜の夢だとしても、この想いに流されて行く事は、とてもとても幸せだった。
翌朝。
部屋には、もうヨビコの姿は無く、ただ黄色く色づいた小さな葉が、数枚畳の上に残されていた。
俺は、そのうちの一枚を手にとって、そっと、そっと口付けた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
CSのアニメ再放送を見て、なんか滾ったのでつい。
お目汚し、失礼しました。
>>410 自分も再放送で見て妄想してたから嬉しい
こういう空気感いいわー
416 :
交差点 1/5:2012/11/23(金) 16:17:47.29 ID:r0sKIntK0
マイナーネタで度々ごめんなさい。
映画DVD発売きねん。
半生注意、女性キャラ注意、エロ有り。
外事けいさつ
ドラマと映画の間の設定ですが、詳細知る前に書いたので死因とか間違ってます。
元上司×主人公→偉い上司、奥さん→主人公です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「警務の鈴木さん、あなたの事色々訊いてくるのよ」
ランチセットのサラダをつつきながら、トモミはいたずらっぽく笑った。昼時の食堂は、制服を着た職員でごった返している。
「ほら、こっち見てた」
「からかわないでよ」
冷やかすようなその手の会話は、何だか久しぶりで気恥ずかしい。
絵美が警視庁の臨時職員として、事務の仕事を始めて半年が経つ。
夫の後輩と名乗るヤマシタさんの口利きで、子持ちでブランクがあるにも関わらず好条件で採用して貰えた。こんな風に冗談を言い合える友人も出来た。突然「未亡人」になった身としては、出来過ぎたように順調な日々だと思う。
斜め向こうの席に座った鈴木さんと、一瞬だけ目が合った。桜田門の記章が付いた紺色の制服。夫がそれを着た姿は、結局写真でしか見た事がない。
「…ごめんなさい。旦那さんが亡くなってまだ半年しか経ってないのに。無神経だった」
いつの間にか、トモミの顔から笑みが消えていた。
「いいのよ、大丈夫…本当はね、全然悲しくないのよ。あの人、嘘つきだから」
「え?」
絵美は内緒話をするように声を潜めた。娘以外にこの気持ちを話すのは初めてかも知れない。警察でも特殊な部署にいたらしい夫の事は、極力他人に話さないようにヤマシタさんから釘を刺されていた。
「どこかで生きてるって。そう信じてるのよ」
執務室のドアがノックされて、倉田局長は短く答えた。
「入れ」
倉田の目前に立った住本は、報告書と写真を受け取って軽く頭を下げた。
「この半年間、特に問題はなかったと聞いている」
「ありがとうございます」
報告書の内容を確認する彼に背を向けて、倉田は窓の外を見た。
「彼女はお前を待つつもりらしいな」
文字を追う目の動きが、ふと止まった。
「…本当によかったのか、これで」
住本は何も答えなかった。
417 :
交差点 2/5:2012/11/23(金) 16:19:30.20 ID:r0sKIntK0
半年前―内閣調査室の有賀から倉田に依頼されたのは、自動車転落事故の偽装と、ある親子の庇護及び監視だった。
東京湾で発見された車の所有者で、事故当時に運転していた事になったのは、元警視庁外事課警部補、住本健司。
夫の「死後」、知人の口利きで警視庁の臨時職員に採用され、公安の監視下に置かれる事になったのは、彼の妻、住本絵美。娘の由樹。
警察内部には直ちに住本の忌報が回されたが、絵美の希望で葬儀は行われなかった。彼女は今も夫の死を疑いながら、階下の事務室で働いている。
詳しい理由を倉田は聞いていないし、知る必要もなかった。より危険な特命任務に際して、家族を巻き込まない為に住本が取った選択がそれだったのだろう。当事者たちの胸の内は知る由もない。少なくとも、住本がもし今も倉田の下にいたなら、こんな事は断じて許可しなかった。
警察組織の枠を外れた住本を縛る権限も、庇う権限も倉田にはない。公安部警備局長に取っては、内閣調査室に貸しを一つ作った、ただそれだけの出来事だった。
髪を切って少し大人びた娘の写真を、住本はしばらく眺めていた。
「今日、寄って行きませんか」
そのまま顔を上げずに、住本が言った。
418 :
交差点 3/5:2012/11/23(金) 16:27:52.39 ID:r0sKIntK0
歳末の喧騒に溢れる繁華街の路地を一本曲がると、雑居ビルが建ち並ぶ裏通りに入った。脇に積まれたゴミの臭いに顔をしかめて、倉田は目的のビルの階段を上がった。
名前のない事務所の室内は、一部が簡易な住居スペースになっていた。備え付けのベッド、小さなテーブルと椅子、冷蔵庫。乱雑に詰まれたダンボールの箱と、床に並んだ洋酒の空き瓶が、前回より増えていた。
「相変わらずひどい部屋だな」
「寝るだけですから。近い内にここも引き払います」
住本はグラスに酒を注いで、倉田に渡した。
「もうちょっとまともな生活をしたらどうだ」
椅子に腰掛けてグラスを空けると、説教じみた言葉がつい口を付いて出た。
「結構忙しいんです。警察にいた頃ほどヒマじゃない」
「…嫌みか、それは」
倉田は顔をしかめた。
「警察を辞めて、家族も捨てて、それでこの生活か。お前はそれで満足なのか」
自分のグラスを一息にあおって、住本は面倒そうに答えた。
「楽なんですよ、この方が。…家庭を持ったのが間違いだった。私の事は忘れて、新しい人生を歩んでくれたらいい」
「自分勝手な男だな。残された者の気持ちはどうなんだ」
住本は嫌な目つきで笑った。
「今回の件では公安部の御協力に大変感謝致しております。憂い無く任務に専念できますので、近い内に相応の成果でお返ししますよ、倉田警備局長殿」
所詮は同じ穴の狢のくせに。言外の皮肉に鼻白んで、二人の間に険悪な空気が降りる。
「さあさあ、話をしにきたんじゃないですよね?」
一方的に会話を切り上げて、住本は羽織っていたシャツを脱いだ。倉田に近付いて眼鏡を取ると、そのまま唇を重ねる。
互いの息が上がるまで貪り合うと、住本は力が入らないように倉田の身体に体重を預けた。
「…シャワーは?」
「いい、から…早く…」
抱き上げるようにして、倉田は住本をベッドに倒した。浮き上がった鎖骨に唇を這わせて、倉田は眉をひそめた。
「ちゃんと食ってるのか」
「…うるさいな」
耳元で苦笑が聞こえた。
しえんー
420 :
交差点 4/6:2012/11/23(金) 16:43:59.14 ID:r0sKIntK0
「ん…っ」
暖房の効きが悪い室内は薄ら寒く、コンクリートの床から底冷えがした。それでも身に着けた物を全て脱ぎ捨てて、触れ合わない部分がないほど肌を密着させる。人肌の温かさに安堵するように、住本は倉田の肩に顔を押し付けた。
緩やかな愛撫にじわじわと追い詰められて、住本の表情が切なげに溶ける。
「…っあ…」
かつて反目し合った男を愛おしむように抱く感情が、倉田は自分でも不可解だった。
公安の魔物―警察に籍を置いていた頃、住本はそう呼ばれていた。組織の一員でありながら、己以外の何も信じない態度がただ忌々しかった。公安に同化したような住本の狂気を疎ましく思いつつ、目が離せなくなったのはいつからだったのか。
ありがちな支配欲が、住本の気まぐれで情欲にすり替えられた。きっかけはそれだけの筈だった。
「…そういう…のは、要らない…」
住本はもどかしげに腰を捩った。以前そうしたように、彼はただ即物的な快楽を求めた。
「私の勝手だろう」
軽く触れるだけで声が上がるほど焦らして、首筋や胸、腰回り、指先から足先に至るまで口付けた。悪態を付く言葉がやがて意味を為さなくなり、荒い息遣いと喘ぎ声だけが洩れる。
正常位で押し入られた瞬間、電流が走ったように四肢を強ばらせて、住本は射精せずに達していた。
その痴態に煽られて、奥まで一気に突き上げる。
「…っ」
狭い肉の圧迫感に、倉田は小さく喉を鳴らした。律動の合間に強い締め付けが何度も起きて、その度にかすれた喘ぎ声が零れる。
「はっ……あ、あ……っ…!」
ドライでの絶頂には際限がなく、住本はほとんど息もできずに何度も身体を反らせた。強すぎる快感に望んで蹂躙される様は、どこか自傷じみていた。
「…う…っ」
倉田も次第に余裕を失くしていた。
この行為に快楽以外の意味があるのか、倉田にも分からない。住本にとっては床に並んだ空き瓶と同じで、自分を誘うのは、身体の相性と後腐れのなさが理由なのだろう。
「も…う、イく」
片手の掌を重ねて、指を絡めて強く握った。右手で住本のものを扱いて、自らの律動と動きを合わせる。
421 :
交差点 5/6:2012/11/23(金) 16:51:10.15 ID:r0sKIntK0
「あ、あ…っ!」
一際大きな嬌声と、倉田が身体を倒したのはほぼ同時だった。
脱力した身体を重ねて、互いの胸が呼吸する動きを感じていた。
左手を握り返す力がやがて抜けても、倉田は住本の手を離さなかった。より昏い方へ落ちていくのを繋ぎ留めるように。
白濁に塗れたもう一方の手も重ねて、倉田は自問した。
この感情は憐憫か―同じ穴の狢同士で分かつ慰めか。
それとも、もっと単純な。
「…戻ってこい。うちにだって、お前の使い道はいくらでもある」
「嫌いなんだろ?俺の顔が」
住本がはぐらかすように煙草に火を付けた時、携帯の着信音が鳴った。煙草を揉み消してベッドから離れると、部屋の隅で壁に凭れた。
この状況で敢えて取る電話の相手が、倉田の脳裏に浮かんだ。
「はい…そうですか。その件については…」
近付いて背後から腕を掴んだ。弾かれたように振り向いて、住本は倉田の意図を察した。顔を歪めて、忌々しげに舌打ちする。
「いえ、大丈夫…です…少し電波の状態が悪くて」
通話しながら住本は抵抗したが、倉田は容赦しなかった。
逃げられないように腕を壁に押し付けて、無理矢理膝を割って片足を持ち上げた。伝い落ちる自身の精液が、床に染みを作る。
「っ…はい…わかりまし…た」
互いに睨み合ったまま、電話口で肉のこすれ合う生々しい音が響いた。平静を装った声が上擦る度に、住本の目元が微かに紅潮するのが愉しかった。
あの男には知られたくない―か。
そんなタマじゃないくせに。
倉田は心に湧いた黒い澱を嗤った。
精々聞かせてやればいい。あいつは気付いても何も言わないだろう。使い道がある限り、住本を手放す気はないのだから。
国益の名の下に、日本警察の矜持さえ売り渡そうとした元警備局長、有賀正太郎。
有賀の元で裏のウラに潜るのを望んだのは住本で、特命の為に家族さえ捨てる事も―有賀は強いたのではなく、ただ止めなかっただけだ。
あの男こそ誰よりも酷薄な事は、住本自身が一番よく知っているだろうに。
422 :
交差点 6/6:2012/11/23(金) 17:07:33.19 ID:r0sKIntK0
携帯を切って床に滑らせた途端、住本は倉田を押し倒した。
倉田の腕を床に押さえ付けて、騎乗位でゆっくりと腰を沈める。
「う…っ」
自分で制御できない刺激に、倉田は小さく呻いた。
「…あんたも悪趣味だな。嫌いじゃないよ、そういうのも」
倉田を見下ろす住本の顔には、一時の快楽を愉しむ以外の色はもう浮かんでいない。
昏い夜は、まだ終わらなかった。
スクランブル交差点の信号が青に替わって、一斉に人々が歩き出した。
行き交う人混みの中に、懐かしい面影を見かけた気して、絵美は振り返った。
―普通の生活が、したい。
ひどく頼りなげな顔で、一度だけそう言った夫を思い出す。
嘘ばかりつく人だから。絵美はふと苦笑した。
何が本心なのか、きっとあの人にも解らなくなっているのだろう。
それなら、自分で決める。
住本健司は、いつか自分たちの元に帰ってくる。
それは絵美が決めた、彼女の為の〈真実〉だった。
腕時計に目を落として、由樹のお迎えの時間を計算した。
絵美は前を向いて、足早に交差点を渡りきる。
反対側を歩いているかも知れない彼に、いつかおかえりなさいが言えると、信じて。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
すみさんがあまりに孤独なので、くらたんに慰めてもらいましたよー
>>416 うお、濃いね〜
すみもとがビッチ化してて萌えた!乙
>>416 エロ加減がイイヨ、イイヨー
ご馳走様でした
>>416 姐さん、待ってました!
ソフト化を記念して、きっと書いてくれると思ってました
乙です!
>>416 くらたんのなぐさめキター!
つくづく魔性の男よのう、すみさん
くらたんが快楽貪ってて嬉しかったけど、それだけで満足できなくなっちゃっ
たら可哀想だ (つД^)
427 :
風と木の名無しさん:2012/11/26(月) 11:39:31.77 ID:izfgtxgnO
突然だけど、ここのまとめって検索避けはしてないのかな?
"●●●●●で検索したら○○○が出て来て驚いた"
という旨の呟き経由で、元ネタ(ナマモノ)さんの本スレに晒されてるんだけど。
海ぽたるの一件で親密度がアップしたであろうこの二人にやられた…
今2期やってる武器アニメ、トージョとヨナ坊の話
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「ねえトージョ、日本ってどんなところ?」
平和なところだよ。
そう答えると、まさに望んでいた答えを与えられたことにより少年の表情が少し緩んだ。
…ように見えた。
「遊園地、ココ楽しそうだったね。」
「そうだな。いいところだったろ?日本。」
「うん。平和で、いいところだ。」
「だろ?日本じゃ普通に生きてりゃ銃なんてまず手にする事はないし、目にする事すらない。
ナイフだって持ってるだけで即職質だからなあ、ハハ。」
「あの日は平和だとかそれどころじゃなかったけどね。」
「俺たちは普通に生きてないだろ?俺たちは。」
『俺たち』と少し強調して言ってみる。あの子供達は違うんだぞという気持ちを込めて。
「普通に生きてる分にはこれほど平和な国はないぞー。俺が言うんだから間違いない!」
しかしその平和すぎるが故に今回の事件も起こってしまった訳だが。
ただそれはわざわざ今言うことでもないだろう。
満面の笑顔で言ってのけた俺を見てヨナも少し口角を上げる。
嗚呼、守りたい、この笑顔。
なんて風には思いはしないぞさすがに。
でもな。せめてこいつが、トンネルより美女がいいと言い出すまでは。
せめてこの少年が、少年でなくなるまでは。
「またいつか日本に行くことがあったらさ、俺が色々案内してやるよ。・・・まあ俺が分かる場所のみだけどな。」
観光案内の申し出にヨナは希望の場所を少し思案するも答えは容易に出たようで、
「じゃあ…あのトンネル。」
トンネルと聞いた瞬間俺は吹き出してしまった。そんな俺の様子を怪訝そうにヨナは見ている。
「そっかそっか、ヨナはまだまだ美女よりトンネルが好きか!そうだな、トンネルを見に行こうな、トンネル!」
ヨナの答えに俺は嬉しくなって、上機嫌でトンネル観光を決定した。
ただの同僚でいいはずなのに、こんな風に気に掛けてやるようになってしまったのはなんでなんだろうな。
疑問は沸くが決して居心地の悪い気分ではない。
もしかして俺父性に目覚めた?なんて思っているところに突然白い声が響いた。
「フフーン。そんなこと言って、ヨナが明日にはトンネルより美女がいいって言い出したらどうするの?」
「なっ!」
「あ、ココ」
「ねえトージョ、ヨナはあげないよ?」
「あげ…って、いや!え!?」
「ヨナの周りにはココとキャスパーというそれはそれはぶあつーい壁があるのだ。」
「いやあげってだからそんなんじゃ!」
「ねーヨナ、あっち行って遊ぼー」
抗議むなしく二人してどこかへ行ってしまった。
いやだから決してそんなんじゃない!
・・・よな?
ヨナ?
・・・いやいやいや!
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
父性のようなあれのような感じで発展せぬままヨナが大きくなった場合
今度はキャス兄がトージョの壁としてヨナの前に立ちはだかってたりしてもいいと思う
>>429 ふおお!可愛い!
ヨナ周辺は殺伐とほのぼのが良いブレンドですな
ありがとうございます
急局朝仁R 田和場×登坂
>>403-405の攻視点
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
勢いで後輩と寝てしまうなんて、そこら辺 にごろごろと転がっている話だろうが、男同士でとなるとそうはいくまい。
そんな稀有なことをする日が来ようとは全く思っていなかったし、事がすんだ後もいまいち実感はわかないが、
実感はどうあれ起こってしまったことに変わりはない。
酒は飲んでいない。いつも通り登坂が泊まりにきて、肉だらけの飯を食べて…それからどうしてそんな事態になったのか。
セックスのあとの妙に冷静な頭で様々に思案を巡らすが、答えはでない。
いつものタバコがやけに軽く感じて、吸い終わると同時にもう一本に火をつけた。登坂は眠ったらしい。
一度関係を持ってしまえば、その後のため らいはなくなるもので、登坂が自宅に来るたびにそういうことになった。
二日連続で呼んでみたときはさすがに少し困った顔をしていたが、拒まれたことは一度もない。
ただ、「ひどい人ですね、あんたは」とはよく言われた。
いつも鼻で笑って済ませていたが登坂の顔を見ることはできなかった。
ひどいことをしている、とはわかってい る。性欲の捌け口のように扱って、事が終 わるとすぐにタバコ。
それでいい、そうでなければならないと言い訳しつつも、何故だか罪悪感は拭えない。
登坂はいつもこちらに背を向けて眠る。長い髪が枕に落ちかかっていた。
起こさないように頭を撫でて、心のなかでこっそり謝ったことが何度かある。
そうやって頭を撫でたり肌に触れたりする度に、胸の奥に痛いような痒いような感覚が沸き上がる。
この感覚は恋ではなく愛でもない。しかし、ならばなんなのかと聞かれると言葉にすることはできない。
どんな 感情も仕立ての悪い洋服のようでしっくりしない。
登坂もそんなことを聞いてくるよ うな男ではないから、それに甘えて自分の 感情に名前をつけることに俺は怠惰だった。
「ひどい人ですね、あんたは」
何度目かの文句は、登坂の背中から聞こえた。その日は特に無茶をさせた覚えはな かったのに。
だからこそ余計にその言葉 は胸の深いところに突き刺さった。
しばらくなにも言うことができず、ただ黙っていつもよりも不味いタバコを吸った。煙が部屋のなかに満ちていく。まるで 靄のように。
「そうだよ、俺はひどい男だよ」
タバコの煙と共に言葉を吐き出すと、登坂はなにも返さなかった。ただ黙ってなにか 考えているようだった。
それからしばらくして、この関係は終わった。
爛れた関係は終わったが、甲賀部での関係はなにも変わらない。そうあるように気を 付けていたのだから、当たり前だ。
登坂も何事もなかったかのように、騒動屋として日々何かと戦っている。
俺はそれを 煽ったり諌めたりと、何かと忙しく楽しんでいる。
それでもバイクで去っていく登坂の背中を見送り、テールランプの残像も消えた頃 「馬鹿なことをした」と胸のなかで呟くことがある。
何が「馬鹿なこと」なのだろう。
登坂を抱いたことか、それとも「ひどい人」を貫い たことか。あるいはその両方か。
それはいくら考えてもわからない。
ただ、そんなことを思った日のタバコはいやに重くて、半分も吸わないうちに灰皿の上でぐしゃぐしゃに押し潰してしまうのだった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
3つに収まりました、ナンバリングミス申し訳ありません。
(棚スレ会議室249様、ありがとうございました)
半生、お$台走査選シリーズで新/城×室/井(K察キャリアの後輩×先輩)です。
現行専スレ575ですが、前後のやり取りも合わせて萌えてしまったので投下。
専スレで信条絡みの書き込みをしてくださった方々、萌えをありがとうございます。
・時間軸は映画1後で、要義者と映画ファイナルの設定も踏まえてます
・二人の過去、信条の経歴に捏造あり。女性絡みの描写あり
・信条が別人レベルにデレています
・具体的なエロシーンなしなので、信条が受け臭く見えるかも?
・長いので、途中で一度中断します
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース !
「榁井さん……好きです……愛しています」
もう日付が変わろうという深夜の、官舎の自室の中。
気付けば私は子供のようにあなたにしがみついて、そう囁いていた。
ああ、自分はよほど酔っているらしい。あなたに出会ってから十年以上、
ずっと口にしたことのなかった言葉が、こんなにもあっさりこぼれ落ちてしまうなんて。
※※※
そもそもの発端は今日の夜、珍しく私の方から榁井さんを飲みに誘ったことにある。
副総監誘拐事件の後、榁井さんは警視に降格、遠く北の地への左遷が決まった。
いよいよ出立が一週間後に迫り、榁井さんは引き継ぎやら何やらで忙しそうである。
榁井さんは私と同じ官舎住まいだ。夜、ワインの瓶を持ち、迷惑を承知で部屋を訪ねる。
榁井さんは……あなたは突然の訪問者を追い返すことなど出来ないだろう。
事前に約束を取り付けておこうかとも思ったが、決意が揺らぎそうなのでやめにした。
「新條……どうした、こんな夜に」
あなたはYシャツ姿にカーディガンを羽織った出で立ちで玄関に現れた。
私の方はと言うと、コートの下は仕事で着ていたスーツのままだった。
「いいワインが手に入ったんです。
この寒い時期にわざわざ北海道くんだりまで赴任する先輩への餞別に、と思いましてね。
……少し話したいこともありますし」
「秋田出身だ。寒いのには慣れてる」
私の嫌みへの対応も、慣れたものだ。私は何度目かのあなたの部屋に上がり込んだ。
今日あなたの部屋を訪問するにあたって、私はある思いを抱えていた。
それは、あなたに一言詫びを入れておきたい、というものだった――
こんな殊勝な心境に陥るとは、自分でも自分が信じられない。
これまで私は事あるごとにあなたに憎まれ口を叩いて、
一度も謝ったことなどなかったのだから。あなたは私を叱らなかった。
仕方のない後輩だと、許して……いや、諦めていた。
そんなあなたに、私は甘えていたのだ。
ここ一年というもの、私は以前にも増してあなたに辛く当たった。
私が地方に赴任している間に、あなたが所轄の青嶋刑事に入れ込んだ挙げ句、
ついに訓告処分まで喰らったと人づてに聞いたからだ。
たった一度の訓告処分でも、その人物のキャリアには傷が付く。
間違いなく、今後の出世に影響するだろう。
そのくらいのことが分からないあなたではないはずなのに、何故……!?
そう思うと、どうにも抑えられなかった。
副総監誘拐事件の捜査中、とうとう私はあなたに向かってこんな言葉を吐き捨てた。
『入試で遊ばず、死ぬほど勉強しておいて良かった』
我ながら、何て幼稚なことを言ってしまったのだろう。
……あなたが勉強を怠けたから東大に入れなかったという訳ではないと、
私には分かりきったことだったのに。
439 :
風と木の名無しさん:2012/12/04(火) 22:37:25.09 ID:s8smTFRb0
紫煙
国家公務員の一種を目指すのに何故東北大に行ったのか、
と以前私が尋ねた時、あなたはこう答えた。
(……東北からでも上に行けるってことを、証明してみせたいと思ってる)
それに対して、私はやはりひねくれた言葉しか返せなかった。
(つまりあなたは、自分が必ず上に行けると? 大した自信ですね)
(……行く。行ってやるさ。そう思って努力していれば、必ず実現する)
悔しかった。まっすぐなあなたが、あまりにも眩しくて――
私があなたを追いかけ始めたのは、その時からだと思う。
それが恋だと自覚したのは、もう少し経ってからのことだったけれど。
それだけに、“上に行く”というあの時の言葉は偽りだったのかと、酷く腹が立ったのだ。
本当は分かっていた。あなたはただ不器用なだけだ。
自分が正しいと思うことと上からの命令とがあまりに解離している場合、
自分の信念を曲げてまで命令に従うことが、どうしても出来ないだけ。
そこで私は、あなたが正しいと思っていることは間違いなのだと、
あなたに理解させようとした。私たちは特に選ばれてこの組織に入った人間だ。
軍隊で言えば兵隊にあたる所轄の捜査員たちとは、そもそも与えられた役目が違う。
所轄は所轄の、私たちは私たちの役目を果すことで、初めて組織は正常に機能する……
その兵隊と幹部候補のあなたが馴れ合うなんて、あってはならないことなのだと。
現場に行くというあなたを止めずにコートを渡した時、
兵隊――青嶋刑事が重傷を負うという惨事を目の当たりにした時、
私はやっとあなたにとっての正義を理解した――
同時に、私にはあなたと全く同じ道を歩むことは出来ないということも。
命令を聞けない、というのはこの組織に身を置くに当たって致命的な欠点だ。
今回だって、だからあなたは左遷の憂き目に遭った。それでも――
そんなことを考えているうちに、私はすっかり飲み過ぎていた。
人前で醜態を晒すのは嫌で、これまでは酒を飲んでもきちんと自分で
酒量をコントロールしてきた。それなのに、今日はどうも勝手が違うらしい。
すみませんでした、と言えば済む話だ。どうしてその一言が言えない。
榁井さんの部屋にあった、ワインには不似合いなするめを肴に二人で瓶を空け
(もっとも、多く飲んでいたのは私の方だったが)、
まだ飲めると駄々をこねる私に押されて、あなたはキッチンから缶ビールを数本持ってきた。
「新條、そろそろやめておけ」
「……明日は休みです」
「そういう問題じゃない。私に話すことがあったんじゃ……もういい、部屋まで送る」
「……」
記憶があるのはここまでだ。
決して大柄な方ではないあなたが、あなたより少しばかり背が低いとは言え
大の男である私をどう運んだか、意識が戻ったのは官舎の私の部屋のソファーの上。
榁井さんが私の部屋に入るのもまた、初めてではなかった。
自分以外に、人の気配がする……その気配の持ち主は、一人しかあり得ない。
時計を見ると、榁井さんの部屋で最後に時間を気にしてから二時間近くが経過していた。
それは私が記憶をなくす少し前のことだったはず。
つまり、私をここへ運んでからもあなたは……
人の気配――あなたが、私の方へ近付いてきた。
「……気が付いたか。お前がこんなになるまで飲むとはな」
ここまで迷惑をかけられておいて、あなたは呆れはしても、まだ怒らないのか。
「急性アルコール中毒にでもなるかと思ったぞ。ほら、水だ。飲めるか?」
そうやって、私を子供扱いして世話を焼く。いつもそうだ。
仕事では、もう使わないからと私に事件の捜査に役立ちそうな資料や本をくれたりした。
官舎でも、私があまり料理を得意としないことを知っていて、余った夕食を分けに来た。
そのまま互いの部屋で飲むこともしばしばで、仕事の相談に乗ってもらうこともあった。
私が風邪でダウンした時も、あなたはいちいち私の部屋まで様子を見に来た……
起き上がってグラスに入った水を飲んだ。空になったグラスは、サイドテーブルに置く。
「……その様子なら、大丈夫そうだな。俺は部屋に戻るが、いいな?」
プライベートな時間に、あなたは自分のことを“俺”と言う時がある。
初めて気が付いて、一人胸をざわつかせたのは、もう何年前のことだったろう。
帰るなら勝手に帰ればいいのに、こちらの同意を求める。だから私は。
「駄目です」
「……新條」
少しの間でも眠ったせいか、体は思ったよりしっかり動いた。
しかしまだ頭にはもやがかかったままだ。そうでないと、こんな行動には出ないだろう。
私はソファーの前に屈みこむあなたの後ろに回り、あなたに抱き付いて、口走っていた。
「榁井さん……好きです……愛しています」
……こんなことを言うつもりでは、なかったのに。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
続きは一時間ほど後に投下します。
443 :
風と木の名無しさん:2012/12/04(火) 22:49:26.47 ID:s8smTFRb0
枝園
※※※
いきなりの告白に、あなたは驚いた様子だった。それはそうだろう。
同性に、しかもこれまで散々嫌みをぶつけられてきた相手に、こんなことを言われたのでは。
もちろん、この気持ちをあなたに打ち明けることなど考えていなかった。
私もそろそろ身を固めなければいけない歳だし、当然それは榁井さんも同じ。
いや、同性なのだからそれ以前の問題だ。
あなたに出会うまで、私には同性に恋愛感情を持つ趣味はなかったはずで、
それはそのまま今の榁井さんにも言えることであるはずで……
とにかく、想いを伝えられないならせめて詫びだけでもという考えだったのに、
これでは本末転倒ではないか。もうどうにでもなれ。私は勢いに任せて話し続けた。
「……あなたが悪い。どうして何かと私に構うんです。どうして私が
何をしても怒らないんです。どうしてあなたは、あなたがそんな風だから
私は……もう何年も……責任を、取ってください。あなたの得意技でしょ」
全く支離滅裂で非論理的な私の話を、あなたは静かに聞いていた。
気色悪いと私を跳ね退けることだって出来るはずなのに、そうはしない。
どこまでお人好しなのだ、あなたは。
「……それは本気か、新條」
私の方を見ないままのあなたに問われて、そうか、まだ引き返せるのだ、と思った。
この想いが成就することなどあり得ない。私は酔ってどうかしていたのだ。
こんな嘘を、あなたは即座に見破るだろうけど。表面だけでも繕えれば、
明日からの私たちは、これまで通りただの同僚だ。
あなたの胴に回した腕をほどく。
「……どうも、酔い過ぎたようです。今のは冗談にしてもたちが悪かった。
反省してます……私が言ったことは、忘れて」
柔らかい何かで口を塞がれた。
それがあなたの唇であると分かるのに、多少の時間がかかった。
口付けはすぐに終わり、あなたは私の方に向き直った。少しばつが悪そうな顔だ。
「お前から、反省したなんて言葉が出てくるのを聞くのは何だか気色悪くてな……
もう一度、質問するぞ。……本気なんだな?」
こんな状況で、どうして私の目をそんなにまっすぐ見られるのか。
私は酒のせいだけでなく顔が赤らむのを感じて、
堪らずあなたの胸に顔を埋めた。酔いはだいぶ醒めてきていた。
「だったらどうなんですか。……全く、せっかく酔った上での冗談で済ませようとしたのに、
あなたのせいで台無しだ……同情でこんな真似をするのはやめてください。
そんな性格だからあなたは上に付け込まれて、無理難題を押し付けられる
羽目になるんです……この間の事件だって……」
「同情じゃない……話をそらすな。さっき、お前は責任を取れと言ったな。
それはこっちの台詞だ……五年も前になるか、やはり私の部屋でお前と飲んだ時だった。
……何故あんなことをしようと思った」
あんなこと、とは、私が酔いに身を委ねてあなたを抱いたことを指しているのだろう。
「それなら、お互いに溜まっていたから手近で妊娠のリスクもない相手で
処理を済ませた、ということで話は終わったはずだ」
「私の中では終わっていなかったんだ……お前がそう言い張るから、
俺もそれを認めるしかなかった。だが、お前の言葉が本当とは思えなかったんだ。
気持ちのある行為と、そうでない行為が違うということくらい、分かってるつもりだ。
……お前の前は、どちらも相手は女性だったがな」
榁井さんはあまり語りたがらなかったが、学生時代に恋人がいたらしいことは
以前に聞いていた。気持ちのある行為というのは、その時のことだろう。
その恋人とどうして別れることになったのかまでは、私は知らない
(後になって、私は予想外の形で詳しい顛末を知らされることになるが)。
ただ、振った振られたという単純な話でないことは想像がついた。
榁井さんは余程こたえたらしく、それから特定の相手を作ったことはないようだ。
だが、どうにもこらえられずに一度だけ、行きずりの女性と寝てしまったことがあるという。
“彼女”に少しだけ面立ちが似ていたと、あなたは苦しげに吐露した。
誘ってきたのは女性の方から、しかも金のやり取りはなかったとなれば、
全くもって違法性はない。一夜だけの関係と言えど、個人の恋愛は自由である。
なのに潔癖なあなたは、そんなことでさえも自分が許せないと言うのだ。別れた恋人に、
操立てしているのか。それほどまでにあなたの心を捉え続ける“彼女”が、憎らしかった。
普段寡黙なあなたが告解のようにこの話をしたのが、その問題の夜だった。
思えば、こんな赤裸々なことを喋るなんて、あなたも相当酔っていたのだろう。
私は乱暴にあなたに口付けると、ベッドに押し倒した。
(新條……?)
(……しましょう。溜まっているんでしょう? 実は私もです)
大学時代に同クラスの女子と交際したことがある。私の我が儘に
耐えきれなくなったという、実に情けない理由で半年ともたずに別れを切り出されたが。
若かった私のプライドは粉微塵になった。結局、彼女と関係したのはほんの二、三度だった。
負け惜しみと取られて構わないが、もう女はいいさ、とその時の私は考えた。
彼女のことを本気で愛していた訳ではなく、単なる恋愛ごっこのつもりだったのだ。
いずれ自分は、両親か上司に勧められた相手と結婚しなければならないのだから、と。
こんな酷い男は捨てられて当然だろう。
……そして、あなたに出会ってしまった。そういう訳で、私の経験はほとんどゼロに等しかった。
私としては内心あなたになら抱かれてもいいと考えていたのだけれど、
先輩にお譲りしますよ、と私が促しても、あなたはどうしても抱くのは無理だと言う。
やはり浮気は気が進まないということらしい。
抱かれる側に回れば浮気にならないとも思えなかったが、あえて指摘はしなかった。
(お前も溜まっているというなら、俺の体を好きに使ってくれればいい)
そんなことを言うあなたに、私の中で何かが完全に焼き切れた。
あなたを貪るような行為の最中、好きです、という言葉を何度も呑み込んだ。
……あなたはそれに気付いていたというのか。
「……俺に男に惚れる趣味はなかったはずだがな。あんなことをしてしまって、
意識するなという方が無理だろう……お前のことは、後輩として
気に掛けているだけのつもりだった。あるいは、弟としてか。だが、もしかしたら
あの夜の前から既に、それだけではなくなっていたのかもしれん……いつまでそうしてる」
私は相変わらずあなたの胸にすがったままだった。しかし、
まだ顔を上げることは出来そうにない。今度は、涙をこらえる顔を見られたくなくて。
……あなたと世間で言う恋人同士のように付き合うことは出来ない。
結婚が出来る訳もない。そんな非生産的な関係に……今だけは、身を預けていいだろうか。
私はやっとあなたの顔を正面から見て、改めて伝えた。
「愛してます……榁井さん」
さっきからの私はあなたに押されっぱなしだ。ここで私は、形勢逆転を図った。
「私にばかり、こんなことを言わせる気ですか。私の……僕のことを
後輩でも弟でもないとおっしゃるなら、一体どう思っているのか具体的にお願いします」
あなたは軽く目を見開いた後、そっと私を抱き寄せて、ただ一言呟いた。
「……お前が、好きだ」
寝室に移動する。抱き上げることは叶いそうになかったので、
代わりにあなたの手を取ってベッドの上に乗せることにした。一応、確認を取る。
「今夜は、逆にしましょうか?」
「いや……同じでいい」
……少々残念な気がしないでもなかったが、あなたがそう言うのなら。
いつかと比べて幾分穏やかに、夜は更けていった。
初めての気持ちが通った行為の後。私は、やっとあなたに謝ることが出来た。
「すみませんでした……これまであなたに言ったこと、許してくれますか」
「許せないなら、こんなことはしない。だが、お前に大学のことを言われた時は、
さすがにこたえたぞ……前に話して、分かってくれているものだと思っていた」
まさに、私が一番気にしていたことだ。
「あれは……あんなことを言う気はなかった。だって、やっとあなたに
会えると思って赴任先から戻ってみれば、あなたは他の男にご執心だなんて
あんまりでしょう……あなたは僕の、僕だけのものなのに」
直截的な物言いに顔を赤くしたあなたを見て、私は内心で勝ち誇った。
「……ことわっておくが、俺はお前のものじゃない……昨日までは、そうじゃなかったんだ。
お前、帰ってきてから嫌みに磨きがかかったと思っていたが、まさか」
「ええそうです、嫉妬ですよ! いけませんか、男が嫉妬したら」
「だから青嶋にまであんな……男なら誰でもいいって訳じゃないぞ、俺は」
「僕だってそうです。僕にはあなただけだ……」
そんなことを言っているうちに、また気が高ぶってきた。
「ねえ榁井さん……もう一度、しませんか」
「……調子に乗るな」
一週間後、あなたは機上の人となった。また東京に戻ってくるのに、
どれだけ時間がかかることやら。それでも――
あなたがどこへ行っても必ず帰ってくると、信じているから。
別々の道を歩いても最後に行き着く場所は同じだと、信じているから。
受験勉強をしている時に古典の参考書の中に載っていた和歌を、ふと思い出す。
高校生だった当時はくだらないと一笑に付したけれど。
瀬をはやみ、岩にせかるる、滝川の、
「われても末に……か」
※※※
ずいぶん昔のことを思い出していた。まさか走馬灯ということもないだろう。
定年まではまだ十年以上あるし、いくら忙しいと言っても過労死するほどには
働いていないと思う。何より、私にはまだやるべきことがある。
そう、あなたを支えるという仕事が。
「どうした、新條」
休憩スペースまで、わざわざ私を呼びに来たらしい。
職務中か否かを問わず、私が何もせずにぼうっとしているのは珍しいことだから、
気に掛かったのかも知れない。何か急ぎの案件だろうか……こうしてはいられない。
私はベンチから立ち上がった。
「何でもありませんよ、委員長」
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
あの心情がこんなにデレるなんてあり得ない! と思いつつもやってしまった……
書き始めたら思ったより長くなってしまい、申し訳ありませんでした。
スマホから失礼いたしました。
>>436 直球デレデレの新條可愛いわー
投下乙です!
初投下なんだよね?
1回10レス以内に収めるのがルールなので、誤解されないようにナンバリングは分けて付けるのがオススメ
今回なら1回目1/5〜と、2回目1/6〜
またの投下を楽しみにしてますよー
451 :
436:2012/12/05(水) 15:08:58.08 ID:E0me+jdw0
>>450 >ナンバリング
そうでしたか、また投下する機会があったら気を付けますね。すみませんm(_ _)m
信条を暴走させ過ぎたかと不安でしたが、そう言っていただけてありがたいです。
洋画半生。「〇〇七空落ち」九受け。エロ注意。
本編のネタバレはありません。ただ九さんにエロいことがしたかった。
薬(媚薬)ネタ・輪姦注意。苦手な方はスルーお願いします。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ようやく酔いが覚めてきた。と言っても酒を飲んだ訳じゃない。護身用のシリンダーに使う中身のテストをしたせいだ。
もし危険な状況に追い詰められたとしても、相手に反撃するなんて真似は僕には無理だ。だから揉み合った拍子にコイツを打ち込んで、
神経を軽く麻痺させて酩酊状態にして動きを封じ、その隙に逃げようと考えた。
その試作品を作ってはみたものの、他人で試すわけにもいかないので自分に打ってみた。効果は抜群であっという間に身動きが取れなくなり、
思考能力さえも奪えるという結果を得られたのは良かったが、成分が強すぎたのか半日近く僕自身が使い物にならなくなってしまった。
お陰で就業時間をすっかり過ぎてしまい、ようやく帰れるようになった頃には深夜12時を回っていた。
誰かにやらせれば良かったと愚痴るべきか、誰にも迷惑をかけずに済んで良かったと安堵するべきか。
そんなことを考えながらまだ覚束ない足取りでフラフラ歩いていると、いつの間にか馴染みのない場所にいることに気が付いた。
周辺を確認してここがロンドンで一二を争うほど治安が悪い地区で、それがギャング崩れのゴロツキ達が
根城にしているせいであるということを思い出せた頃には、既に3人の男性に囲まれ逃げ場を失っていた。
「ようお嬢さん。こんな時間にこんなとこ一人で歩くなんて、ちょっと危機感足りないんじゃない?」
「そーそー。誰かに襲われでもしたら大変だよー」
「出すもん出せば見逃してやらないでもないぜ?ま、ただじゃ帰さねぇけどな」
そう言って耳障りな笑い声を撒き散らす。知ってるさ。君らが僕を襲うことも、いくら払っても無傷でなんて帰れないことも。
まさかこんなに早く危険が降りかかってくるなんて。一応帰ってからもう少し配合を変えてみようと思って
持ってきた予備のシリンダーが1本ある。 でも相手は3人だ。使ったところで結果はさほど変わりそうにない。
「っわぁ…!」
「さて、危ないモノ持ってないかチェックしようか」
「良いモノ持ってないかの間違いだろ?」
「ハハッ!言えてるな。……ん?何だ、これだけかよ」
突き飛ばされて尻餅をついた僕の上着やボトムのポケットの中を
まさぐっていた彼らが見つけ出せたのは、家の鍵と小銭入れと例のシリンダーだけだった。
「変だなー?この格好はもう少しお金持っててもおかしくないはずだけど」
「ん………必要な分しか…持ち歩かないから」
「にしたって少なすぎでしょ。っつか、その細長いの何?」
「インスリンの注射っぽいな…アンタ病気か?」
「いや、違う…そんなんじゃないよ…」
まだ残ってる薬の成分のせいでモタモタとしか話せない僕を見て、彼らは何か勘違いをしたようだった。
「……そうか。ソッチのクスリか」
「あ、なるほどね!クスリ買って打っちゃったから、もう手持ちがないってことか」
「へぇ〜…カワイイ顔して案外やるじゃねーの」
「は…?一体、何の話……?」
「あーあーキマッちゃってんじゃん。これならちょっとくらい悪さしても何も覚えてないんじゃね?」
「そうだな。出すもん出せないなら身体で払ってもらうしかないな」
「だったらこれもう一本打ってもっとハイにしてやろうぜ!どうせヤるなら楽しくないと」
そう口にしながら一人が僕を羽交い締めに、もう一人が上着の袖を捲り上げる。そしてリーダー格の男が肘の内側にシリンダーを押し当てる。
悪いことに昼間の試し打ちで何度か失敗した跡がそこにあって、僕の薬物中毒疑惑を濃厚にしてしまったようだ。
マズイな。1発で行動も思考もできなくしてしまう強さの薬だ。しかもまだ抜けきってない。
そんな状態でもう一度摂取してしまったら一体どうなってしまうんだろう。
「違っ……嫌、だ、止せっ」
「大丈夫、死にゃしねえって…多分な」
歯を見せてギラリと笑ってみせたのと同時に彼がシリンダーの後部を押した。針が刺さる痛みと共に薬品が体内に流れ込んでいく。
「っっ!あっ、ぁ゛、あっ!」
速効性に優れるそれはすぐに変化をもたらす。僕はビクンビクンと身体を震わせて目を見開いた。彼らは異変に驚いていたようだが、痙攣が治まるまでじっと様子を窺っていた。
「オイ…コイツ大丈夫かな」
「心配すんな。二度打ちするとよくこうなるんだよ」
「これが落ち着いた後がスゲェんだよな」
好奇心に満ちた視線を感じる。彼らがどういうものを想定してるのかは知らないが、
僕も正直興味があったので成り行きに任せてみようと思う。
しえん
「……っはぁ…ぁ、ふ…っ」
急激な体温の上昇と呼吸の乱れ。
「あ…はっ、ん、んぅ……」
興奮。アドレナリンの過剰分泌…というよりは性的な興奮か?
「うぁ、あっぁ、何、だ…これっ」
渇き、脈拍の増加、腰の辺りに疼きがあるな。勃起してるみたいだ。
「……何だよ。スゲェじゃんこれ」
「どんなクスリやってんだよアンタ…ちょっとエロすぎ」
「言ったろ?そんじゃ本人も乗り気みたいだし、可愛がってやろうぜ」
「や――ひっ!!」
次の瞬間にはあちこちを手でまさぐられていた。完全に火照った身体を撫でる指先の冷たさが痛いほどに感じられる。
首筋、胸、腹部、背中。至るところを這い回る何本もの手が与える感覚は
全て快感に繋がっているらしく、どこを触られても気持ち良さしか伝わってこない。
それだけなのに僕はもう射精してしまったらしく、彼らの驚く声と面白がる会話がぼんやりと耳に入ってくる。
でもどうでも良かった。今の僕は自分の身体の状態にしか興味がなかった。
絶頂を迎えたからか、全く身体に力が入らない。腕どころか指先すら動かせない。少し弛緩作用の成分が多すぎるかな。
「はぅ…っん、う…ぁ…」
「わ!ヨダレ凄いことになってるよ?拭いてあげよっか」
そう言うなり横から唇を塞がれる。頭をグイグイと動かす強引なキスですら僕の快楽を煽った。
触れ合う舌先のざらつきに背筋が震える。息継ぎも困難な重なりが脳を痺れさせた。
「んー…っ、む、ぅ………っはぁっ!」
「もうトロトロじゃん。ココは?どう?」
「いっ!や、やだ…止め、ろ!」
羽交い締めにした男が僕の乳首をつねってきた。ビリッと電気が走るような刺激に堪らず声が跳ねる。
お?ココが良いのか」
「んぅ!っ、良…くないっ!良く…あぁっ!」
「嘘つけ。こんなに硬ーくしといてさぁ」
「っ…違っうぅ…っ、も…やだぁ…っ」
気付けば泣きじゃくっていたが、我ながら信じられない態度を取ってるな。
これもあれの中身の成せる業なんだろうか。自白剤としての効果も期待できるかもしれない。
「なぁ、もう前戯じゃやだってよ。お前のそのデカイのブチ込んでやれば?」
「いいけど、コイツん中入るかぁ?」
「何ならオレがまず拡張してやろっか」
「バーカ。させるか。テメェらの軟弱なブツでもイかせられるように俺が慣らしといてやるから待ってろ」
「んだよそれー!」
「あーもういいからさっさとやれよ!おれもう我慢の限界だっつーの」
そうだ。やるならさっさとやれ。早く次の変化が知りたい。
こんな状況でも冷静に分析してるなんて自分でもちょっとどうかしてると思う。確かにこういうことには淡白な方だとは良く言われるけど。
いや、もしかしたらこれも薬の作用なのかもしれない。そもそも男性に襲われてる時点で冷静なはずがないし。
強い薬品を二度摂取したせいで脳が一時的に混乱しているとも考えられそうだ。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
続きは明日投下に来ます。他に投下される方がいらっしゃいましたらどうぞ。
以上です。よろしくお願いします。
>>452です。続き投下させていただぎます。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「ふっっ…ん゛ぅ!?」
「っ、おぉ……入ったぜ」
息が詰まるほどの圧迫感に驚いて目を遣ると、リーダー格の男の太いモノが僕の後孔に
めり込んでいた。
「……え、ウソ…何、でっ?」
全く痛みを感じなかった。というか圧迫感以外の感覚がないようにも思える。
神経を麻痺させる効果のせいか?
「あれ、実は経験アリ?」
「っない…そんなの、あるわけない…!」
「でも全然痛がんねえじゃねーか。初めてのヤツは大体泣き喚くよな?」
「まぁそもそもが無理矢理だからな」
「それ抜きにしたっておかしいじゃん。絶対経験あるでしょ」
「それは今からわかるぜ。なぁ!」
「ぅあ゛っ!!」
突然彼が勢い良く腰を突き上げる。彼のモノが内側を擦って
潜り込んでいくのがわかって、今までにないほどの快感に襲われた。
「ひっ……ぁ゛、あ、やっ、な…っ!?」
「んん?良い反応するな…これは黒だな」
「嘘ついちゃダメじゃんキミ〜」
「う、そじゃ、ないっ!ぃ…やぁっ!あっ!」
「こんだけヨがっといて初めてはないわな」
「はぁっ、う!本当にっ…違、ぁっ…」
確かに自分でも異常な反応だと思う。普通に考えれば過剰摂取のせいだろうが、
案外僕自身がこういう欲求を抱えているんだとしたら?
きっかけが無ければ気付くことすらできないものだ。これは追求してみる
絶好の機会じゃないだろうか。環境は既に整っていることだし。
「…コイツ全然キツくないぞ。っ、むしろ吸い付いてきやがる…ハハッ」
「あ゛…っ、凄、い……収縮が、止まら…なっ、ぁ」
弛緩作用がここの筋肉にまで影響を及ぼしてるらしく抵抗もなく彼のモノを
飲み込んでいるが、時折思い出したようにキュッと締まるせいで快感が
増幅されているように感じる。異物感とそれを押し出そうとする生理的反応との
せめぎ合いに、言い様がないほど頭の奥が痺れる。はっきり言ってかなり気持ち良い。
こんな感覚は生まれて初めてに近いかも。だがどこかもどかしいような物足りないような、
振り切れない何かが僕の身体に纏わりついている。一体何だろう。
僕はしばらく彼に揺さぶられながら、何を求めているのか僕自身の反応を待った。
「……は…っ、ん…もっ、と……」
「…あ?何だ?」
「そ、れ……全部、入れて…」
僕の言葉に男達はかなり驚いたようだった。まさか強姦されている相手から
求められるなんて思ってもいないだろうし無理もない。
「え…アンタ今何て…?」
「っ、だから…ソレ、根元まで全っ部……押し込めって…言っ、た」
「………ちょっと、マジ?」
「お前自分が何言ってるかわかってんのか?レイプしてる男に『もっとやれ』だと?」
そんなことわかってる。でも仕方がないんだ。
「だって…足りない…っ!奥の方、が…疼いて、熱く、て……も、苦しいっ…!!」
全身が言うことを聞かない。思い通りにならない。頭と身体が引き離されて、
身体の方が暴走してる。薬の効果を実感しようと思ってたはずが、制御できない快楽に
振り回されて目的を見失った。
ただ気持ち良くなりたい。今の僕が求めているのはもうそれだけだ。
「お願ぃ、だ……っどうにかして…!!」
涙を浮かべて懇願する姿は惨めに映っただろうか。彼らが興醒めして僕をこのまま
放りやったらどうしよう。かなりの確率で二度と家に帰れなくなるかもしれないな。
でもその心配は杞憂に終わりそうだ。
「…そんなに欲しいのか?俺のコレが」
「んんぅ…!」
リーダー格の男が軽く腰を沈めて僕を焦らす。僕のモノは触ってもらえないせいで
今にも熱を弾けさせてしまいそうなほど硬く立ち上がっていた。
「っっ早くっ!出来ないなら、も、替わってよ…っ!!」
堪えきれずそう口走ったことが男の逆鱗に触れてしまったらしく、彼はいきなり
僕の腰を掴み力任せにグイッと引き寄せた。
「はあ゛ぅっ…!!!」
「オラ!これで満足か…よっ!!」
「―――っっ…!!ぁ゛、かっ……ぁはっ!!」
想像以上の強烈な快感になす術もなく悲鳴のような声で喘ぐ。
何も知覚できない。何も思い出せない。
僕の中を貫く圧倒的な質量と熱が全てを掻き消していく。
凄い…こんな世界があるなんて知らなかった。気持ち良すぎてどうにかなってしまいそうだ。
――この先はどうなるんだろう。どこまで行けるだろう。
もはやシリンダーの改良なんてどうでもよくなってきた。のめり込めるだけ
のめり込んでみたい。
「スゲ……トンじゃってるよね完全に」
「じゃあトンでるついでにおれらのも世話してもらおうかな」
そう言って後ろの男が僕を一度下ろすと、自分のボトムの前を広げていきり立った
屹立を取り出した。それを口元に差し出されると、僕は何の躊躇もなく銜え込む。
嫌悪感よりもこうすることによって何かが呼び覚まされるのではという
興味の方が勝り、言われるがまま何にでも応じた。
やがて口で一人を、手でもう一人を慰めている状態になっていたが、
そうやって不健全な行為に没頭すればするほど興奮する。
「っは―あ゛っ!ぅあっ!!ん…ぁあっ!も、ぉ……だめ、イっく、イく…出る、ぅ…っ!!」
「好きなだけイッちまえ…!もう出ないって言うまで犯してやるよ!」
「オレ達も出しまくってグッチャグチャにしてあげるね」
「ほら!口休めんなって…もう少しでイけそうなんだよ…っ」
「んむ゛!!っっ…ぅふ、ん゛っ、ん!―――っ!!!」
そうして僕はまた大きく背を反らせて白濁を飛ばした。
そこから先はもう何度絶頂に達したかも、誰に何度侵入されたかもわからない。
何もかもが真っ白になって全部溶かされる。それが再び元の形に戻る時、
そこに存在するのは全くの別物だ。
再構築。僕の中身が造り変わる。新しい秘密兵器を完成させた時のような
充足感にしばらくの間酔いしれた。
だけどこれで終わりなんてつまらない。もっと知りたい。もっと堪能したい。
僕自身がどこまで行けば満足するのかを調べてみたい。
――シリンダーの中身だ。あれを改良して今回のような…いや、今回以上の症状を
引き起こせるようにしてみよう。
でも一人では限界があるな…〇〇七に付き合ってもらおうかな。
彼と寝た女性は皆虜になるっていうし興味がある。
彼に薬を打ってみるのも面白いかもしれない。
一人現場に取り残されていた僕は、気の遠くなるような時間をかけて自宅へ戻る道を歩いた。
酷い目に遭ったというのに、不思議とどこか胸が弾むような気分だった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
代行者さま、支援者さま、どうもありがとうございました。
半生注意。ごく軽いエロ有り。
東京全力しょうじょ
最新9話のワンシーンから。助手×弁護士です。来週の10話で弁護士に再婚フラグが立ちそうなので、急いで書いてみました。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
マンションのリビングには、午前中の太陽が差し込んでひどく明るい。
「…頑張れよ」
卓也がそう言って微笑むと、張り詰めていた緊張が解けたように桜井も笑った。
「麗さんのおかげで、目が覚めました」
「麗のおかげ?」
「はい。何も聞かれてないですか?…麗さん、一昨日家に来たんです」
桜井から聞いた話に、卓也は言葉を失った。
桜井は卓也の本意を誤解したまま、本気で司法試験を諦めようとしていたらしい。
自宅まで押しかけて、直接彼に伝えてくれたのは麗だった。九月の試験まで事務所を休んで勉強に専念して欲しかった事も、アシスタントではなく、対等なパートナーとしてずっと一緒に組みたいと思っている事も。
『お父さんには、桜井さんが必要なんです…私じゃ、駄目なんです』
麗さん、泣いてたみたいですよ。桜井の言葉に、卓也は小さくため息をついた。
桜井の替わりなんて始めから求めてない。麗は麗のままでいいのに―。
麗の押しの強さに甘えて、自分の気持ちにきちんと向き合っていなかった事に、卓也はようやく気付いた。
「あの…」
「ん?どうした?」
麗の事を考え込んでいた卓也は、話が終わっても何故か帰ろうとしない桜井に視線を向けた。
口ごもって卓也の顔色を窺うと、桜井は恐る恐る切り出した。
「…あの、最後に…その」
「だめだ」
間髪入れずに却下されて、桜井は叱られた犬のように項垂れた。
「…キスだけでも」
「だめ」
卓也は目を細めて、じろりと桜井を睨み付けた。
「来年の合格までそういうのは、なし」
がっくりと肩を落とす桜井に呆れて、卓也はため息をついた。旅館での一夜に散々無理をきいたのは、一体何の為だと思ってるのか。
「私だって、お前に会えないのを我慢するんだからな」
「……はあ」
臆面もなく言い放った台詞に、桜井はどうリアクションしていいか分からず軽く頬を引きつらせた。
「…いや、彼女たちとお前は違うだろ。ほら、その…えーと、あ、男で付き合ってるのはお前だけだし」
さすがに微妙な空気に気付いて、卓也はわざとらしく咳払いした。
彼の中では三股の彼女たちと桜井は〈別枠〉扱いで、今のはあくまで誠実な発言のつもりだった。世間一般ではその〈別枠〉を本命ともいうが、桜井には当然伝わっていないし、卓也もあえて深く考えないようにしていた。少なくとも今は。
「僕がいない間に…あの、例えば華子さんと結婚したりしませんか」
「あのなあ。しないよ。…あ、まさかそういう心配もしてたのか!」
ますます呆れたように卓也は声を上げた。
「…すいません」
「私は誰とも結婚するつもりはない。お前がそんな風に思ってたなんて知らなかった」
「すいません」
桜井はもう一度繰り返した。
「…事務所を休んで…先生に会えなくなるのが…不安だったんです…」
桜井の声はだんだん小さくなって、ついに下を向いて黙り込んでしまった。耳まで赤くして縮こまっている様子を可愛いと思いつつ、卓也はソファに凭れて天を仰いだ。
本人には全く自覚がないから質が悪い。仕事のサポート以上に、自分が桜井の勉強時間を奪ってしまっていた理由も分かってないのだろう。
公私共に、ずっと側にいてほしいと、離したくないと思っているのは自分の方なのに。
そんな顔をされたら―
「…一回だけだ」
「え、あ、先生?」
いいんですか、としどろもどろの唇を素早く塞いでやった。なんでこいつの唇はこんなに赤いんだろうと思う。
「続きは、模試が終わってから…」
〈続き〉の期限が来年九月から二週間後に変わっている自分に苦笑しつつ、離そうとした身体をそのまま押し倒される。
「…や、あの、ちょ、桜井?」
コートを脱いでネクタイを緩めると、桜井は卓也のパジャマを捲り上げた。既に卓也の声が耳に届いている様子はない。
「違うよ、一回ってのはキス…あー!もー!人の話を聞け!さーくーらーい!!」
「…いたた、狭いですね、ここ」
体を動かす度にクローゼットの壁に頭をぶつけて、桜井は顔をしかめた。
「…んっ、仕方ない…だろ。寝室のベッドは使えないんだ」
「でも、すごく近くに感じられますね」
鼻先をくっつけて嬉しそうに笑う桜井が、愛おしいとふと思う。
「好きです、先生」
「…先に言うなよ」
「え…」
「ちょ、あんまり動くな、…あ…っ、あ」
今なら麗の問いに答えられるかも知れないと、卓也は思った。
だから―早く帰ってこい。
『お父さん、いま幸せ?』
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 生 || ∧(゚Д゚,,) < 1996年戦隊、激走戦隊カーレンジャーで(赤+青)×緑
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < 何となくツタヤで借りて見てたらムラムラきたので書きました
i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < キャラ間違ってるかもしれないとか多分需要なさそうとか心配は山積み
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ"
今日もまたボーゾック一味は、いつものように激走戦隊カーレンジャー打倒そしてチーキュ(地球)征服を企てていた
あーでもないこーでもないと無い知恵を振り絞って彼らが考えた今回の作戦は
”人間どもを不純異性交遊させまくってチーキュを堕落させ、その隙に征服する”というもの
「出てこい!EE(イーイー)ムラムラ!!」
「イイィ―!!」
総長ガイナモの勇ましい呼びかけに一人の怪人が応じ、ガイナモ達の前に姿を現す
「おまえのムラムラビームで人間共を発情させチーキュを堕落させるんだ!」
「任せろ!俺のビームで全員性の虜にしてやるぜ!
待っていろチーキュの人間共、そして激走戦隊カーレンジャー!」
「ねえちょっと待って?」
上昇する士気、なり響く怒号
それをくじいたのはボーゾック一番のセクシー美女・ゾンネットだった
「どうしたのゾンネットちゃん」
「そのムラムラビームってどのくらい凄いの?」
「……おいお前!こっちに来い!」
ゼルモダが宇宙ゴキブリを手招きし、EEムラムラにビームを撃てと命じる
頷くEEムラムラがその触覚から放った蛍光ピンクの光線の先にいたのは…宇宙ゴキブリではなくガイナモ
「お前どこ狙ってんだ?!」
クラッチが叫び、EEムラムラが額に手を当てアチャー!というポーズをとる
その間ガイナモは両手をダランと下げ首を落としている
そしておもむろに顔を上げるとゾンネットの美脚に頬ずりした
「愛しのゾンネットちゃ〜ん 踏んでくれぇ〜(はぁと)」
「きゃっ!」
思わずゾンネットは悲鳴を上げて擦り寄るガイナモを振りほどこうとする
ゾンネットにすっかりデレデレな我らが総長をゼルモダとクラッチ、その他の構成員が呆然と見守る
「こ、これは…凄い、と言っていいんだろうか?」
「う〜〜ん……」
「つーかいつもと変わんねーよ!!!
パリーン
突っ込みついでにゾンネットが酒瓶でガイナモの額をかち割った
「行け!EEムラムラ!!今度こそ激走戦隊カーレンジャーに目に物見せてやれ!!」
「あ、芋長の芋羊羹忘れずにな」
一方、そんなボーゾック一味の謀略など知る由もないペガサスの社員たち
彼らもまたいつものように自動車の整備に、雑用にと業務に勤しんでいたのだが……
「ただいま〜」
陣内恭介がこれまたいつものように休憩もとよりサボリから戻ってきた
目に入ったのは、腕組みしてジッと実を睨む志乃原菜摘とあきれ顔の八神洋子、ばつが悪そうな顔で二人から視線を反らす上杉実
なんとなく妙な空気がその場に漂っているのを恭介は感じた
「なんかあったの?」
「さぁ…」
傍にいた土門直樹に尋ねるが直樹も小首をかしげる
「一体何があったんだ?」
「おう恭介か」
実が顔を上げる
「それがね給湯室でお湯を沸かそうとしたんだけど、コンロの火が付かなかったの」
話し始めたのは洋子だった
それによると、実がコンロにマッチの火を近づけると容易く付いたので、ガステーブルの着火部分が汚れていただけのようだ
問題はそのマッチ
マッチに書かれた”キャバレー輝子”の文字が運悪く菜摘と洋子に見つかってしまったのだ
「あぁそれでこの気まずい雰囲気」
恭介と直樹は両手を打って納得した
「…男ってサイテー」
乙女二人がどちらからともなく溜息を付く
とその時、会社の奥の秘密基地から慌ただしくダップが出てきた
「みんな〜ボーゾック発生だっぷ!」
「何だって?!」
付けっぱなしになってるテレビにはボーゾックによる惨劇が緊急ニュースで取り上げられていた
その映像には老いも若きも関係なくくんずほぐれず絡み合う男女、男女、男女…
「な…なんだこれ?!」
『み、見てください!街はこのようにア、アベックで溢れかえり非常に大混乱に陥っております!!』
まだうら若き女性アナウンサーが顔を真っ赤にして必死にレポートしている
そこに明らかに人ではない、異型の怪人が現れる
支援
引っかかっちゃったのかな?
投下代行スレがあるから、そっちに載っけてみたらどうだろう
「貴様、街の人達に何をした?!」
「フッこのEEムラムラが猿顔の一般市民共を本物の、本能のままに生きる猿に戻してやっただけのこと
行けぃワンパー!今度こそ激走戦隊カーレンジャーの最期だ!!」
「「「「チーッス!」」」」
EEムラムラの掛け声とともに一般戦闘員共がカーレンジャーに襲いかかり
その隙にEEムラムラは次の餌食を探すためその場を後にする
「待て!EEムラムラ!」
「イエローレーサー、ピンクレーサーここはお願いします」
「わかったわ」
レッドレーサーがEEムラムラを追いかけ、女性陣に丁寧にお辞儀をするブルー、それにグリーンがそのあとに続く
EEムラムラと3人の追いかけっこはしばらく続いたが、人気のない公園の辺りで3人はとうとうEEムラムラを追い詰めた
「観念するんやな!食らえバイブレード!」
グリーンレーサーが先陣を切ってEEムラムラに剣を振りかざす
「フン!こんなもんこうしてくれるっ」
EEムラムラはバイブレードを力任せにはじき返し、体勢を崩したグリーンレーサーを明後日の方向へ投げ飛ばした
「うおっ!」
「「グリーンレーサー!!」」
「お前ら仲間の心配している場合か?!食らえムラムラスモーック!!」
必殺技の名前と共にEEムラムラの口からショッキングピンクの煙が吐き出されレッドレーサー、ブルーレーサーに噴きかかる
ガイナモらに使った光線の方が効果が上だが、多人数を相手にする時は広範囲をカバーできるこの技が使い勝手がいい
「ゴホッゴホッ……!なんなんだこれ?!」
「ゲホッ…レッドレーサー大丈夫でございますか?!」
レッド、ブルーは得体のしれない煙を必死で払いのける
そこに吹っ飛ばされたグリーンがようやく合流した
「おう2人とも無事か?!」
「…………」
「…………」
しかし2人に反応はない
「どないしたんや…2人とも……?」
「わ…わからない……でもあの、妙な煙…を吸いこんで、から……」
肩で大きく息をするレッドの声が心なしか上ずっている
「か、身体が…熱く……胸が、苦しいっ……!」
そう言ってブルーは両肩を抱きその場にうずくまってしまった
「お前この2人に何をした?!」
怒りといら立ちを込めた声で、さっきのレッドと同じ事をグリーンがもう一度繰り返す
EEムラムラは腹を抱えて高らかに笑い声を上げ、それに答えた
「さっきの人間共と同じ事さ。俺の攻撃を食らった奴は自分の意志とは関係なくムラムラしてしょうがなくなるんだよ
発情期の動物と同じ、性欲の奴隷にな!!」
「なっなんやとぉ?!」
その言葉通り、2人の体はどうしようもない程熱を持ち、視界が揺れ、足元もおぼつかない
マスクの下の顔は赤く上気し、大して動いていないのに汗が止まらなかった
そして強化スーツの股間の部分は突き破らんばかりに膨れ上がり、その存在を嫌というほど強調していた
「はやく2人を介抱してやらないとかわいそうだぞ?グリーンレーサー」
「貴様ぁ!」
苦しむ2人を尻目にニヤニヤ笑うEEムラムラと怒り心頭のグリーン
「そんなに怒るなよ。女ならこのチーキュには唸るほどいるだろう。なんだったら2、3人攫ってきてやるから好きに使うがいい」
「ふざけるなっ…!俺達、激走戦隊…カーレンジャーはっ、あっ…、欲、望など…には、決して屈しなっ……」
息も絶え絶えにレッドが啖呵を切る
EEムラムラはそれを鼻で笑って猛スピードで逃げ出した
「あ…待て、ぇっ……!」
フラフラと足を前に出すがそれ以上は進めず、レッドも地に膝をついた
「どないしたらええんや…」
このままでは戦いにならない
更に、別行動をしているイエローとピンクと合流でもしたら今のレッドとブルーだと……
「ええい!」
グリーンはインカムでイエローに連絡を取った
レッドとブルーが敵の攻撃を受けて一時的に足止めされている事、敵の放つピンク色の煙を絶対に受けてはいけない事
最後に2人が回復するまで決して合流してはならない、と
『どうして?』
「どうしてもや!」
怪訝そうなイエローを押し黙らせグリーンは通信を切る
そして性欲に意識を支配されかけ悶絶する2人に言った
「俺が、お前らの相手してやる」
「なっ……?!」
その思いがけない言葉に声を失うレッドとブルー
「しゃぁないやろ?その身体じゃ戦闘は無理や。イエローとピンクとの合流はもっと無理や。一応あいつらも女の子やしな
幸いここには俺らしか居れへんみたいやし、一発出してスッキリさしたらええ」
「グリーンレーサー……」
いくらなんでも公園のど真ん中で事に及びたくはないので、グリーンは足元が危ない2人の手を引いて街路樹の影に連れ込んだ
「変身は解除しとけ。汚したらダップに大目玉食らわされるで」
「ああ…お前は?」
「このままでええ。ボーゾックの奴らが来よったら俺に任せとき」
「どうもすみません…で、ございます」
変身を解除してレッドレーサーは恭介に、ブルーレーサーは直樹に戻った
しかし2人の陰茎は変身時のまま、きつそうにズボンを押し上げている
「恭介さんからどうぞ。私は時間がたてば少しは落ち着くかもしれません」
「ああ、すまないな直樹」
カチャカチャとベルトを外して恭介が己の物を取り出す
血管むき出しでいきり立ち透明な先走りを垂らす陰茎を目の当たりにし、一瞬ためらうがグリーンは意を決してそれを口に含む
「俺にも感謝せぇや」
「あぁっ…んっ、すまっ…グリー…んっ……」
舌が、上顎の粘膜が、頬の内側が恭介の陰茎に絡みつく
グリーンは舌先で裏筋をなぞり玉袋にしゃぶりついた
ヌメヌメした生温かい感触がむず痒いようでとても気持ちいい
「お前、意外と上手いな…」
恭介がはぁ〜と溜息をつきグリーンのマスクの後頭部を撫でる
「枕営業でもしているのか」
「美人でボインの女社長とかやったら大歓迎やけどな」
軽口を叩きあいニヤリと笑う2人
しかし言葉とは裏腹にグリーンは己の体に異常を感じていた
マスクのお陰で2人に気付かれてはいないが恭介にフェラチオしながらグリーンレーサーもとい実も性的興奮に犯されていた
陰茎は張り詰めスーツの下に緩やかにテントを張り先走りの液で生地を濡らしている
支援
(どないしてしもうたんやろ、俺…)
霧散したと思われた怪人の煙がまだ残っていて自分にも影響を及ぼしていたのかもしれない
敵の攻撃に晒されて発情した仲間の物を咥えて、自分もまた性欲の虜になっている……
欲に屈してはいけない、と思いつつ恭介の物を咥えたまま実は己の股間に右手を伸ばし、ゆっくりと揉みしだいた
もどかしい緩やかな快感が実の体を襲う
「はぁっ…んんっ…」
恭介と実、どちらが発した声か2人にはもう分からない
(あぁ…2人ともあんなに淫らになって…)
淫蕩にふける2人を眺めながら直樹は己の昂りが時間と共に鎮まる所か余計酷くなり余裕がなくなるのを感じた
(私の物も早くっ……)
我慢できずにパンパンに張った陰茎を摩り上げる直樹
「くっ…出るっ!……あぁ!」
短い悲鳴と共に恭介の陰茎から精液がほとばしった
実はそれを口の中で受け止め嚥下する
飲みきれなかった分が口元や首筋に流れ、実のスーツを白く汚す
熱はすっかり鎮まったようで、恭介はまだ荒い息を吐きながら力無くその場にへたり込み放心していた
「なお、き…」
かすれた声で実が直樹を呼ぶ
直樹にはそれが「こっちに来い」ではなく「早く欲しい」と言っている様に聞こえた
実の陰茎はスーツ越しでも分かる程に勃起しテントの張りもさっきよりきつくなっている
「お願い、します」
普段頼みごとをする時と寸分変わらず礼儀正しくお辞儀をする直樹
実は恭介の時と同じように陰茎にしゃぶりつき、自分のそれを慰める
再び正義の戦士達の淫靡な交わりが始まった
「グリーン…つらくはありませんか?」
「んっ…大丈夫や…っ、はぁっ」
(もう止まらん、気持ち良ぅて頭どうかなりそうや…!)
今の自分の顔を直樹に見られない事に感謝しながら必死で快感を貪る
一方、直樹は早く自分の熱を解放したいと思いながらも同時にもっと実の痴態を見ていたいとも思っていた
自分より5歳以上年上の癖におっちょこちょいでお調子者で明るい事が取り柄の実
しかし今の彼は己の涎や恭介の精液で口元を汚し、直樹の股間に顔を埋めて、股間が染みになるほど己の淫液を垂れ流している
身悶えしてくねらせるバトルスーツがエロティックでさえあった
支援?
「そん、なに……気持ちい…っで、ございます、か…」
自身も息も絶え絶えになりながら直樹は、実のスーツにくっきり浮かび上がった胸の突起を指で弄んだ
指先で弾いて、腹で転がして、2つ同時に摘んで――
「あぁ、ん…っ!な、なにす…っ、やぁ…!あ、あかん…てぇ……」
更に快楽を齎されてより一層、高い嬌声が上がる
さっきまで俺に任せろと胸を張っていた実はマスクの中でボロボロに泣き崩れていた
例え顔が見えなくてもマスク越しでも感じる彼の卑猥な感情と、ほんのわずか残った理性、いや、虚勢
グリーンレーサーのマスクではなく直接その顔にぶっかけたい
いっそ実の中に――
「うあぁぁぁぁぁっ!!!」
突然、直樹は目の前が真っ白になって脱力感に見舞われた
「もう…イッて、しまったのでございますね……」
射精の満足感と共に少し名残惜しい気もする直樹は腰が抜けたらしくその場にペタンと座り込んだ
「うえぇ…おごっ……!ごほっ、ごほっ…!」
一方で実は地面に這いつくばりいつまでも苦しそうに咳き込んでいた
直樹の射精と同時にイッてしまったらしく実の陰茎も萎え、スーツ内部に精液がべっとり纏わりついていた
「ちょっと実さん、恭介さんの時と態度が違いすぎませんか?」
「アホか!お前がのどちんこの奥まで突っ込んでくるからむせてしもうたやないか!」
あ〜死ぬかと思った、と実は直樹に毒づく
さっきあんなに乱れたとは思えない通常運転の実がそこにいた
「やっぱりあれは、EEムラムラの所為だけだったんでしょうか…」
一人つぶやく直樹に、ようやく正気に戻った恭介があっと叫び声を上げ慌てて立ち上がる
「そうだった!早くあいつを倒さないと、皆俺達みたいになってしまう!」
「あの野郎ようもこないな目ぇに合わせてくれたな!ギッタンギッタンのボッコボコにしてしてやるで!!」
「それより菜摘さんと洋子さんが無事かどうか…心配でございます」
色んな意味で身体はボロボロな3人、しかし正義の心は限界なんて気にしない
恭介と直樹はアクセルチェンジャーで再び変身する
勇ましく先頭を走るレッドレーサー、それに続こうとするグリーンレーサーをブルーレーサーが呼びとめた
「なんやブルーレーサー?」
「さっきのやつ誰にも見つからなくてよかったですね」
「あー……確かになぁ。激走戦隊カーレンジャーが不純異性いや不純同性交遊て」
あまり思い出したくないのだろう、グリーンの言葉の切れが悪い
「危なかったのはあなただけでございます。思い出して下さい。私とレッドレーサーは変身を解除していたのですよ」
「つまり、どういう事や?」
「傍から見たら、地球の平和を守る激走戦隊カーレンジャーのグリーンレーサーが
チンチンおっ勃てて淫らに喘ぎながら一般市民相手にフェラチオしていた――としか思えないかと」
「なっ……!」
普段からは考えられないブルーの赤裸々な物言いに思わず硬直するグリーン
グリーンの狼狽ぶりが手に取るように分かりブルーはマスクの中でしてやったりな顔をした
「おい2人とも何をしてる!行くぞ!!」
遠くからレッドの怒鳴り声が聞こえる
「はい!でございます」
「ちょっ、待てや!」
ブルーは高らかに応答してレッドの元へ走り出し、グリーンも慌ててその後を追った
ちなみにその後の戦いは、やけに溌剌としたブルーレーサーと
いつものひょうきんさがなりを潜め覇気迫る勢いのグリーンレーサーの活躍によって快勝し
芋長の芋羊羹で巨大化したEEムラムラをRVロボで難なく蹴散らし事なきを得たのだった
以上です
棚の方々、そして支援して下さった方本当に申し訳ありませんでした
ご迷惑をおかけしました
ツタヤで借りて再度見ているのですが、何かムラムラしてしまい書いちゃいました
作品が古い事を差し引いても需要があるのかさっぱりわかりません
恭介はカッコいい、直樹は可愛い、実はアホ可愛いと思います
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
生&完全捏造注意! 里予王求 25×きれいな監督+6
だいぶ前に落とした話の続きだけど、これだけでも分かるはず
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
どうして、こんなことになっているのだろう。
自チームの選手の腕の中で、こうなるに至った経緯に思いを巡らせる。
今夜はシーズン最終試合、そして自分にとってはこのチームの監督としての最後の試合だった。
大した功績も結果も残せなかったが、それでも選手達は自分の最後の日を勝利で飾ってくれた。
3年間着たユニホームを脱ぐ。このチームのユニホームに別れを告げるのは2度目だった。
3度目はないだろう。そう思った時、辞任を発表した日から、考えないようにしていた未練と
後悔の思いが押し寄せてきた。
その時、彼がやって来た。自分が監督に就任してからずっと気にかけていた選手だった。
彼になら自分の思いを託すことが出来ると思った。そうすることで、彼にまた重荷を背負わせる
ことになると分かってはいたが、伝えずにはいられなかった。
そうしたら、いきなり抱き締められて、その上―――。
彼がこんなことをする理由は分からないが、この状態でいることがまずいことは分かる。
「…あの、もう、離して…」
自分を抱き締めたまま動こうとしない彼に声をかける。しかし、離すどころか、彼の腕の力は
さらに強まり体を締め付けてくる。逃れようともがくが、現役選手の腕はびくともしない。
「……っ…、粗居っ…」
息苦しさに彼を呼ぶ声に吐息が混じる。彼が息を呑む気配が伝わってきて、不審に思って
見上げようとした時、ドアがノックされた。
「すんませーん、こっちに粗居さん来てませんか――……っと」
返事も待たずにドアが開かれ、顔を覗かせたのは彼の兄貴分の選手だった。
彼の姿を見て、粗居の腕の力が緩む。その隙に、素早く彼の腕から抜け出し、距離を置く。
「……あれまあ」
鉢はそう言って目を見開いたが、さして驚いているようには見えない。
「なかなか帰ってこんと思うたら…」
断りもなく部屋に入って来た鉢は、彼を見ていつもの人の悪そうな笑みを浮かべる。
「いきなりそうくるとは、また思い切ったの」
からかう様な鉢の言葉だったが、そんな時にいつも彼が返す言葉も笑顔も、今は現れない。
「けどまあ、すこーし遅かったの」
「…え?」
遅いとは何がだろう。不思議に思って聞き返すと、鉢の悪そうな笑みがさらに深くなる。
「やっぱり知らんかったんですか。こいつ――」
「か、鉢さんっ」
慌てて制止しようとする粗居を無視して鉢が続ける。
「ずっと監督のこと好きやったんですよ」
いつもの彼の冗談かと思って粗居を見たが、気まずそうな表情をしたものの、否定する様子はない。
「俺を追いかけて入団してきたくせに、監督見た途端一目惚れしよってからに」
思いも寄らないことだった。粗居が自分のことを好きだった?
彼がそんな素振りを見せたことがあっただろうか。
「ちょっとすみません。すぐ戻りますんで」
そう断ると、鉢は何か言いたげにこちらを見ている粗居の腕を掴んで部屋を出て行った。
1人になって少し冷静さの戻った頭で、彼と出会ってからの3年間を懸命に思い返す。
彼との会話や接触は多くはなかった。いつも声をかけるのは自分で、彼から何か言ってきたことは――。
「ま、そういうことなんで」
「は?」
いつの間にか部屋に戻って来ていた鉢の声に、いきなり思考が中断され、間の抜けた声を出してしまう。
「後は俺がうまいことやりますんで、粗居さんのことよろしくお願いします」
「…お、おい、…よろしくって…」
一体2人で何を決めてきたのだろう。聞こうとする自分に、鉢が静かな口調で語り始めた。
「前のチームでも、今のチームでも、あいつは俺しか見てませんでした」
鉢の言葉通り、粗居が鉢を慕う様子は、微笑ましいを通り越して少々気味が悪いほどだった。
「けど、3年前に貴方が来て、いつからかあいつは貴方だけを見るようになりました」
そう言われても、やはりそれを感じさせるような彼の言動は思い出せない。
「あいつをこのチームに引っ張ったのは俺です。けど、俺はここでいろんな事があって、あいつが
来た時の俺は、昔の俺ではなくなっとりました。ここに来る為にあんな辛い思いをさせたのに…」
そこまで言って、鉢は目を伏せて唇を噛み締めた。同じチームを出て同じチームに入ったのに、
彼と粗居では何もかもが違っていた。いつも陽気に彼を弄り倒している鉢ではあったが、やはり責任は
感じていたのだろう。あるいは、それは彼なりの気遣いであったかもしれない。
「俺はあいつにずっと負い目がありました。だから、あいつの為に出来るだけのことはしてやりたい。
監督のことは、本人が動かん限りは何もせんつもりやったんですけど」
そう言って悪戯っぽく自分に笑いかけ、片目を瞑って見せる。
「あれをやられたら、放っとくわけにはいかんでしょ」
「だから、さっきからよろしくとか放っておくとか…」
「それから」
鉢は自分に何をさせるつもりなのだろう。尋ねようとした言葉は、またしても遮られる。
「ご迷惑おかけしました」
先程とは打って変わって、真摯な表情で自分に向かって深々と頭を下げる鉢に、返す言葉が見つからない。
この球団での彼の功績は大きすぎた。ここ数年の衰えは誰の目にも明らかなのに、彼にそれを指摘出来る
者はいなかった。自分もまた、拘るべき記録が途切れてもなお試合に出続ける彼を止めることは出来なかった。
同じプロ野球選手だった者として、現役であることに拘る気持ちは痛いほどわかる。
けれど、それが壊れた体以上に彼の心を傷つけている。自分の成績よりチームの勝利を優先してきた彼が、
今はチームの足枷となっていることに気付いていないはずはないのだから。
「自分の引き際は自分で決めますんで」
「……そうか」
それでも、自分を見据えてきっぱりと言い切る鉢にようやくそれだけを口にした。
「けど、それと粗居さんのことは分けて考えてやってください。虫のいい頼みやと思いますけど」
「……そうか…、…って、えっ?」
唐突に話題が変えられ、我に返った時には監督室を出て行く鉢の背中が見えた。
それと入れ替わりに、押し込まれるようにして粗居が入って来た。
また監督室に2人だけになったものの、彼とどう接すればいいか分からない。
僅かな時間のうちに、彼が全く知らない人間になってしまったようだった。
粗居はしばらく鉢の消えたドアを見つめていたが、やがて意を決したように自分に向き直って言った。
「俺、ずっとあなたが好きでした」
それはさっき鉢から聞いた、と言いそうになったが、かろうじて我慢した。
「…一目惚れではないんですけど」
粗居が遠慮がちに付け加えたが、もうどうでもいいことだった。
粗居に手を掴まれて、引きずられるように球場の裏口から外に出る。
待機していたらしいタクシーに乗り込むと、彼が運転手に市内の有名なホテルの名を告げる。
タクシーが静かに動き出してから、恐る恐る彼に尋ねる。
「…あ、粗居…、その、ホテルって…」
「…鉢さんが部屋取ってくれてるそうなので」
それまで何を言っても無言だった彼が、ようやく話してくれたことに安堵したのも束の間、
すっと血の気が引く感覚が襲ってくる。
「…へや……」
思わず呟いた時、粗居が監督室から繋いだままの手を握りしめてきた。その力の強さに顔を
顰めながら彼を見る。一見無表情に見えるが、不安と緊張で僅かに触れるだけで、すぐにも
崩れてしまいそうな――シーズン中に度々見せた表情だった。
思えば鉢の後の4番を埋めるために、彼には随分無理をさせてきた。彼にその力があると
信じてのことだったが、彼にとっては苦痛でしかなかったかもしれない。
それでも、必死に周囲の期待に応えようとした彼に、自分は何も与えてはやれなかった。
古巣の関係者やファンを裏切ってまで、熱望した勝利も優勝も。
「…粗居…、俺は――」
言い澱んだ自分を見て、彼が運転手に行先の変更を告げる。チームの宿泊先だった。
「…いや、そのまま行ってください」
手を握る彼の力がさらに強くなって、それを口にしたのが自分であることに気付く。
その痛みを感じながら、目を閉じ、深呼吸して思う。
今夜何があったとしても、もうすぐ自分とは全てが無関係になるのだ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
兄貴が喋りすぎ…。投下代行者様、支援者様、どうもありがとうございました!
>>466 カーレン美味しくいただきました
実アホ可愛くていいよね
トラキチ回とか好きだ
>>480 去年の投下からあの九段のあの人達かなと思ってたけど予想通りで良かった
並んだ時の体格差好きだった
乙でした
487 :
崩壊 1/3:2012/12/13(木) 23:15:11.99 ID:J3Exm/my0
ナマ注意。某大御所テクノバンドで鍵盤×太鼓。病んでる。捏造注意。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
あのころは楽しかった。毎日2人で夜が明けるまで騒いで、疲れたら眠って。
いつからだろう。取り巻く環境がこんなに淀んでしまったのは。
こうして君といても、楽しくなくなってしまったのは。
そして、その線の細い身体を抱いてみたいと、そう思い始めてしまったのは、いつだったか。
悪いのは俺じゃない。どんどん膨らんでいく、あの化け物だ。
他愛もない話が途切れ途切れに続いていた。お互い、もう何も話すことなどなかった。
静寂を埋めるようにグラスを口に運び、気まずい雰囲気をアルコールでごまかすだけ。
「僕、もう、帰ろうか」
立ち上がる素振りを見せた幸/宏を、ソファへ押し付けて圧し掛かった。
もしもあのころだったなら、ふざけて取っ組み合いでもして笑い合っただろう。
そして、こんなどうしようもない感情なんて湧いて来なかった。俯いて、思わず顔をしかめる。
困惑した様子で、幸/宏がおれを見上げた。
488 :
崩壊 2/3:2012/12/13(木) 23:18:27.98 ID:J3Exm/my0
「どうしたの、教/授」
「別に、何でもないよ」
「痛いよ、放して。ねえ、どうしたの?」
君を抱きたい。自嘲気味に笑って、幸/宏の首元へ顔を埋めた。
「一回くらい。いいでしょ、俺と」
「な…、やだよ、放してよ!」
「君の力じゃ無理だよ」
抵抗し始めた身体を押さえ込んで抱きしめた。優しくなんてしていられる余裕がない。
頬に手をやってこちらを向かせる。顔を背けられないよう首筋を攻め立て、紅い花を散らせた。
諦めたのか、抵抗する様子を見せなくなったのを図って口付け、軽く唇をはむ。
ためらいがちに薄く開いた唇を退け歯列を割り、奥に引っ込んだ舌を引き出して絡めた。
鼻にかかった声が耳をくすぐる。こうなればこっちのものだ。
唇を離すと視界に入ったのは幸/宏の恐れが入り混じった目。
支援
490 :
崩壊 3/3:2012/12/13(木) 23:40:20.90 ID:J3Exm/my0
何してるんだ、おれは。そんな思いが酔いの回った頭を掠めた。
けれど、火の点いた身体は止められない。
「大人しく抱かれてよ。気持ちよくしてあげるから」
ぜんぶ壊れていく。あの化け物のせいで、すべて崩れていく。
――友達だったのに。
そんな声が聞こえた気がした。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
全盛期はバンドの名前が一人歩きして大変だったろうなぁと。
ありがとうございました。
>>489 支援ありがとうございました!
オリジナル 年下(凡人)× 年上(天才)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース
自宅マンションの一室に辿り着いたのが、確か夜の10時半過ぎ。
決して早い訳じゃないけれど、平日は午前様が当たり前って目一杯“忙し自慢”してる同期の奴らほどには遅くない、そんな中途半端な帰宅時間。
ま、中途半端な俺にはピッタリってことなんだろう。
それでも、ついさっきまで集中して仕事して、やっと終わってクタクタになって帰宅して。
独身一人暮らしの狭くも広くもない1LDKの部屋の玄関を開けて。
気楽だけど味気ない空気に出迎えられながら、いつものクセで「ただいま」なんて誰にともなく呟きがてら電気を点けて。
玄関入るなりネクタイ取って、廊下を進むと同時にシャツのボタン外して、冷蔵庫の前に直行して扉を開けて。
…ビールといきたいところを、ここはグッと我慢で発泡酒の缶を取り出して。
テレビのリモコンボタン押しながらソファに倒れ込むように陣取って。
映し出された2時間ドラマのヒロインを目の端で捉えつつ、プルトップを開けて一気飲み。
ぐったりソファの革の背に沈んだところで携帯電話が鳴り響いた。
それが、この夜のそもそもの始まり。
「――――で、俺がお茶淹れてやってんの、2ヶ月してようやく今日気付いたわけよ」
「へー」
「『そういえば最近、お茶が美味しく感じるんですよね、えぇ。あ、あー、もしかして、矢崎さんがお茶を運んでくれることと何か因果関係があるんですか?』って、マジであり得ないだろ?普通もっと早く気付けよ、って思うだろ?」
「まーなー」
「ッたくさぁ、バカみたいに頭切れるくせに、変なところでニブいんだよ、あのヒトは」
「へーそうなんだー」
大学同期の親友からの電話だった。内容は何時もの合コンのお誘い。
綺麗な彼女がいるくせに、コイツは未だに飽くなきハンターの日々を送ってる。
もう俺達29歳のアラサーってやつなんだから、そろそろ落ち着こうぜ。
…って言ったら、「お前に彼女ができるのを見届けるまでは犠牲的精神で奉仕する」ってさ。
いや、それ、単なる言い訳だろ。
俺を出汁にして、お前自身が合コンしたいだけじゃないのかよ。
そう思いながらも、確かにこの田辺って男、地元じゃ押しも押されぬ大手電力会社勤務のいわゆる勝ち組だ。
見た目だって、いかにもデキるサラリーマン。
結構モテるくせに、何故か合コン相手からのお誘いには軽々しく乗ってないみたいだった。
かたや俺は。
…まあ俺だって、こう見えて弁護士資格を持ってる心身ともに申し分なく優良な日本男児だ(まだ3年目のペーペーもいいトコだけど)。
なのにコイツのようにモテないのは何故なのか?
ウチの業界も昨今の不況の煽りをモロに喰らって、“弁護士”自体が完全に落ち目物件になってるからなのか。
それともナニか、認めたくないが俺自身の問題か?
そんな不毛な疑問を胸に抱きながら、3年前に彼女と別れて決まった相手のいない一人身の生活が今に至ってる。
確かに、それからナベにはかなり世話になってるよ。
やっぱり俺のために犠牲的精神で…って、いやいやいや、そんなハズねぇな。
コイツが損得勘定抜きで動くはずないし。うん。
グダグダと電話し始めて20分、最初は確かに合コンの話だったはずが、気が付けば俺の愚痴大会になっていた。
仕事の愚痴は部外者に言うに限る、ってのが俺の信条。
全く利害関係がないから話しやすいし、聞く方も所詮他人事で、見も知らない人間の話ばかりだからかえって気楽だ。
「だってほとんど毎日、しかも俺がだよ?普通は事務の女の子が淹れてんだよ。それを羽山さんのだけは俺が運んでやってんのに、普通気付くだろ。気付かないのバカだろ」
「まー普通はなー」
「周りから変に胡麻擦りやがってって目で見られながらさぁ。勿論そんな気ないし、ただ美味しいお茶飲んでもらいたいだけっていうかさ。日本茶好きの変なプライドってやつ?あー事務のコって実際適当でさぁ、ホント淹れ方なってないんだよ」
「ふーん」
とはいえ。
ちょっと独り善がりに愚痴り過ぎたのかもしれない。
俺ばかり話をして、親友が気の抜けた生返事ばかり返していることにようやく気が付いた。
ちょっと押し黙ってしまったその間を突いて、ナベから珍しく歯切れの悪い問い掛けを受ける。
「…あのさぁ」
「ん?」
「最近いっつも出てくる、その羽山さんってヒトさ、…女?」
「は?」
一瞬固まってしまった。なんで急にそんなこと聞くんだよ。
それまで散々話題に出てた羽山さんは、去年の夏に俺のいる法律事務所に移籍してきた一回り年上の先輩弁護士だ。
東大出で、旧司法試験も学生時代に現役合格。
司法研修所でも成績上位をキープし続け、民裁教官からの任官勧誘をアッサリ蹴って、東京の超大手の馬鹿デカい渉外事務所に就職した。
その後も早々に幹部候補の登竜門になってる海外留学へ。
2年経ってアメリカから帰ってきた後も色々ご活躍だったらしいけど、何故か去年、急にその渉外事務所を辞めてしまったんだ。
494 :
年下×年上:2012/12/14(金) 18:37:09.12 ID:kB9hY6ew0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
すみません、ここで一旦終了します
ご迷惑をお掛けしました
しえん
支援
>>494です
支援すみません、ありがとうございます
後日投下しますので、次の方は遠慮なく投下されてください
洋画半生「印背プション」E蒸す×朝。
64巻の335です。今更ですが続きを投下させて頂きます。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
俺は身じろぎもせずそこにいた。動けなかった。突き付けられた現実を認めたくなかった。
繋がっていた――つまり夢を共有していたのだ。他のどれでもない、あの夢を。
自分の浅はかな考えを呪う。投影の行動がいつもと違うことにもっと疑念を抱くべきだった。
E蒸スはあの夢を見た。見たばかりじゃない、そこにいたのだ。
彼に組み敷かれ、涙を流し、喘ぐ姿はさぞ滑稽に映っただろう。
俺は彼を自分の投影だと思い込んで何もかも打ち明けてしまった。
後悔と自己嫌悪と羞恥に叫び出したくなるのを必死に堪えていると、
再び機械の排気音が聞こえる。
鎮静剤が切れ、瞼を開けるE蒸スと目が合う寸前に俺は身体を横へ向けて顔を隠した。
「……おはよう、ダーリン」
勝ち誇った表情をしているのは見なくてもわかる。いけすかない相手の弱みを握ったのだから。
聞きたいことも言いたいこともあったが、ここで取り乱せば余計奴に付け入る隙を与えてしまう。
俺はただ膝の上に置いた拳をきつく握り締め、ようやく言葉を絞り出した。
「………いつからだ」
「キスする少し前かな」
それを聞いて確信する。俺は彼に弄ばれたのだ。隠していたものを見破り
それを突き付けて俺がオチるのを見て楽しんでいたに違いない。
「何であんな真似をした」
顔を上げないまま低い声でそう尋ねると、身体を起こしたE蒸スは
悪びれもせず淡々と語り始める。
「お前が機械に繋がってんのが見えたから、何やってんのか気になってな」
「…それで?」
「そしたらまぁ…あんなことになってて、せっかくだから
ちょっとお邪魔させてもらおうかなと」
予想通りの回答に呆れて笑いが零れる。何でこんな男に見られてしまったんだろう。
マジで最悪だ。
怒りを通り越して半ば自棄になった俺は、昂る感情に少し身体を震わせながら彼の方を見た。
「ハッ、だったらさぞ楽しかっただろ。泣き喚いて、縋り付いて、
恥ずかしげもなく腰振って悦んでる俺の無様な姿は」
「……だったら良かったんだけどな」
「…何?」
意外な言葉を返してきたE蒸スをよく見ると、想像していたような
優越感や満足感を読み取れるような表情をしてはいなかった。
悔しそうな、不満そうな…そんな顔で俺をじっと見つめている。
「お前が他の誰かに抱かれてるのなんて楽しめるわけないだろ」
「他のって……俺を抱いてたのはお前だろ!」
E蒸スの態度に戸惑った俺は思わず声を荒げてしまう。
「お前が俺の気持ちに付け込んで、偽造までして俺を嘲笑ってたんじゃないか!」
「それは違う」
「違わない!」
すっかり取り乱してしまった俺とは対照的に、E蒸スは落ち着いた表情で
ゆっくりと立ち上がる。
さっきまで横たわっていた長椅子から俺の方に歩み寄り、繋がれていたチューブを
片付けながら彼は言う。
「お前は古部のことしか考えてなかった」
「っ……当たり前だ」
「お前には古部しか見えてなかったんだよ…最初から。気付いてたか?
俺は途中から偽造を解いてたのに、お前はそれでも古部の名前を言い続けてた」
「なっ…!?」
信じられない事実に言葉を失った。
そんな変化に気付かないほど…いや、気付けないほどに、あの情事に溺れていたなんて。
……俺は一体どこまで情けない男なんだ。
「お前を抱いてたのは古部だ。そして俺は、古部に抱かれるお前を
ずっと見せられてたんだよ」
最高の特等席でな、と付け加えてスーツケースを閉じる。その音に何故か身体がびくついた。
「それでも俺が楽しんでたと思うか?」
「…………」
「お前が泣きじゃくって、叶わない望みをぶちまけて、もっと抱いてもっと壊してなんて
せがんでくるを見ても、俺は何も感じないって?」
E蒸スはそう畳みかけてくる。まるでこっちが責められているようで
居心地が悪くなり、少し目を逸らした。
「…お前が俺に何を感じるっていうんだ。いつも俺をからかって楽しんでるだけだろ」
「確かにそうかもな。でもな、俺はからかって楽しむためだけにわざわざ夢の中に入って
偽造してまで、しかも男を抱いたりはしないぞ」
「……何?」
意味深な口振りと共にE蒸スがスーツケースから顔を上げた。
その表情は寂しさすら感じさせる。
「からかうどころじゃねえよ…アイツに抱き締められた瞬間泣きそうな顔してるお前見たら」
「E蒸ス…?」
「何でアイツなんだって嫉妬しちまって、それどころじゃなかった…」
「…ちょっと待て、お前何を言ってる?」
意味が分からず混乱する俺の肩を、突然E蒸スが掴んで長椅子に押し倒す。
まだ過敏になったままの身体を押さえ付けられて思わず声が漏れた。
「あっ!」
容易く組み伏せられ、カッとなった俺はE蒸スを睨み付ける。
だが奴は真剣な眼差しで俺を見下ろしていた。夢の中の古部と同じように。
「こうやって、やっと手に入れたと思ったのに……お前は俺なんか見ちゃいなかった」
「…、E蒸ス…?」
「抱いてたのは俺なのに、お前は違う名前を呼んでた」
こんなバカみてえなことあるか?と、自嘲気味に笑う。
「……俺はお前しか見てないのに」
「!!」
思い詰めたようにE蒸スが口にしたセリフにあの夢がフラッシュバックする。
それは意に反して俺の鼓動を速まらせる。
「なぁ亜ー差ー……俺を見ろよ」
「っ……止めろE蒸ス」
「何でだ。ここじゃ俺は古部になれないからか?」
「そうじゃない…」
俺は詰問されるような視線に耐え切れず顔を背けようとするが、
E蒸スは追求を止めようとはしない。
「…俺が古部じゃないから?」
「違う!…思い出したくないんだ」
「あの夢を?あんなに望んでたのに?」
――俺の夢。俺の潜在意識。虚しいだけの自己満足。醜い感情の爆発。
「望んでない…!あんな……あんな夢…っ!」
「本当か?あんなに、どうしようもないほどに古部と一つになりたかったくせに」
「止めろ…!」
「あんなになるまで……古部のことを―――」
「もういい!!止めてくれ!!」
それ以上の言葉を聞きたくなくて俺は叫んだ。
泣き出しそうになるのを隠すように両手で顔を覆う。
「……あんな夢見なきゃよかった…っ!!」
夢で願望を叶えたところで何の意味もない。余計虚しくなるだけだ。
現実でも一緒にはいられるのだから、それで満足していれば良かったんだ。
いつから俺はあんな夢を見てしまうほど、彼に溺れてしまったのだろう。
初めはあの唯一無二の才能に惚れたはずだった。彼女を亡くし苦しんでいる姿を見て、
支えになれたらと確かに思った。でもそれだけだったはずだ。
こんなに古部のことしか考えられなくなるなんて思わなかった。
彼を愛してしまうなんて思ってもみなかった。
どこで道を違えてしまったのか、今となってはもうわからない。
忘れられるなら忘れたい。彼に狂ってしまう前に戻りたい。
「――だったら…あんな夢思い出せなくなるくらいのこと、してやろうか」
そんな俺の思考に割って入るようにE蒸スが口を開く。
「…は…?」
「あんな夢見なくて済むように、こっちでお前を抱いてやるよ」
「なっ…!?」
驚いたのと同時に顔を隠していた手を剥がされ、恐らく涙ぐんでいるであろう目を
じっと見つめられる。そこにはいつものにやけ顔も不遜な態度もない。
初めて見るようなE蒸スの様子に何故か胸の奥がざわめいた。
「嫌だ、止めてなんて懇願もできなくなるくらいめちゃくちゃにしてやる」
「っ……」
掴まれたままの手首を頭上に固定され、さっきよりぐっと顔が近付く。
そんな奴の行動にオスの匂いを感じ、まだ熱を燻らせていた俺の身体は正直に反応した。
「…そうすりゃちょっとはお前の中にいられるか?」
「え?」
「憎しみや恨みでもいい。アイツよりもお前の頭ん中を占拠できるなら、
俺は何度でも…どんなやり方ででもお前を抱くぞ」
そう言ったE蒸スの瞳は本気だった。それで気付いた。
コイツも俺と同じ、叶わぬ想いを抱えていたのだと。
支援
E蒸スは俺に、俺は古部に。その想いが報われる時は永遠に来ない。
それでも、相手を求めずにはいられない。どうしようもないのだ。
今になってようやく先程のE蒸スの言い分が理解できた。
考えてみればなんて残酷な仕打ちだろう。
罪悪感と同情と共感が胸に積もり、俺は少し表情を歪める。
それに気付いたE蒸スは、俺の手を解放して慰めるように頭を撫でた。
――コイツはどれくらい悩んできたんだろう。俺みたいに、夢で自分を慰めたりしたんだろうか。
もしそうなら、自分がやっていたことが全く馬鹿げたことでもないのかもしれないと
少し安心できる。そしてそれをコイツと共有してもいいかもしれないとさえ思えた。
だが俺がこの脅迫めいた提案に乗ることはE蒸スにとって苦痛なんじゃないのか?
俺はE蒸スの気持ちに応えられない。それなのに身体だけ重ね合わせるなんて、
余計虚しくて仕方なくなるんじゃないだろうか……今の俺のように。
それでもいいと、コイツは言うのか。報われなくてもいいと。それなら――…
「……なら、やってみろよ」
「!」
「俺の中をお前で満たしてみろ」
俺はE蒸スのシャツの胸元を軽く握り締めてそう答えた。
もっと違う反応が返ってくると思っていたのか、奴は少し驚いているようだった。
「………いいのか?」
「あぁ…ただし優しくなんてするな。慈しむような台詞も吐くな。ただ俺を汚せ」
そう言うと、E蒸スの表情が険しくなる。
「お前――」
「俺には、それがふさわしい」
惨めな俺。愚かな願望。届かない想い。何もかも全部吹き飛ぶくらいに、俺を壊してほしい。
――何だ。結局自分が楽になりたいだけじゃないか。
自己満足のためにとうとう他人まで利用するのか、俺は。
「………忘れさせられるんだろ?」
俺は挑発的な表情を作ってE蒸スを見上げる。目尻から涙が零れたのには
気付いていないふりをした。そんな俺を見てE蒸スは苦しそうに目を閉じたが、
すぐにいつもの飄々とした顔に戻って頷く。
「……お前がそれを望むんならな」
「来いよ」
それ以上目を合わせていられなくなって、俺は自分から相手の首に腕を回した。
抱き締めた身体の感触や温度、香水の匂いも何もかも夢とは違う。
そう。これが現実だ。思い通りになんてならない。思ってた通りにもならない。
知覚するもの全てが俺に思い知らせる。お前の望むものなどここにはない、と。
――それでいい。そうでなければいけないんだ。
「…壊してくれ……今だけ…!」
E蒸スの肩に顔を埋めて縋った。甘えたことを言ってるのはわかってるつもりだ。
それでもアイツは俺をそっと抱き返し、「わかった」と小さく囁いた。
その日以来、俺はあの夢を見るのを止めた。だが本質は何も変わっていない。
夢から現実に場所を変えただけ。E蒸スを巻き込んだ分かえって性質が悪くなったかもしれない。
それでも俺は、あの惨めな自己満足から抜け出せない。例え何度E蒸スに抱かれても。
アイツも満たされない。俺も満たされない。一体何のための行為なのか。
いつかお互いが相手への想いに疲れるまで、この関係は続いていくのだろう。
良い夢か、悪夢か。今でもその答えはわからない。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
代行人より:連投規制に引っかかってました。支援ありがとうございました
某学園戦国ファンタジー、佐々×前田。前半滝川も。エロなしです
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
深夜。空は未だ明ける気配を見せず、濃紺の色に月と星を灯している。
柴田・勝家所有の鉄鋼艦。黒と金を基調とし重々しい印象を与える外観のその船は、今はまだ地に着いて動かない。
その船の甲板に独り佇み、広い夜空を見上げている人影があった。
浅黒い肌に黒装束、黒い髪。真白い飾り布とサラシの余りが風になびいている。
黒染めの脚衣には、大きく"4"と数字の刺繍が入っていた。
「あれ、ナル君。こっち戻ってきてたのかい、久しぶりだねえ」
楽しげな声が響いた。夜の空を見上げる黒い衣服の影、佐々・成政を呼ぶものだ。
甲板の開けた空間には成政意外に、誰一人として人物は見当たらない。
しかし成政は辺りを確認する素振りも見せず、空に視線をやったままで姿の見えない声に言葉を返した。
「Shaja. 柴田先輩に集合かけられたんスよ。
届いた招集の文面、浅井攻めの作戦概要と先輩の個人的な恋愛展望と妄想が混ざってワケわかんねえことになってたんで、
到着が期日より数日遅刻の今になりやしたが。解読に時間かかりましてねえ……。
今から柴田先輩のとこ行くんスが、遅刻の理由そのまま言ったら殴られますかね」
愚痴混じりの成政の返事に、見えない声は押し殺すように笑った。
「ナル君、そういうとこ要領悪いよねえ。昔っからずっとだ」
「そのへんの話題はあんまり聴きたくないッスね……」
やや苦い口調で言った成政は、顔を空へ向けたままに目線を己の横に流す。
「ここでまで隠形してる必要はないと思いますけど? 姿が見えないと喋りにくいッスよ、滝川先輩」
Shaja! と快活に応じる声は楽しげな響きを含んだものだ。
声が宙に浮いた一瞬の後には、まるで以前からそうであったかのように成政の横に立つ影があった。
「ナル君も随分と素直になったもんだ。昔なんか……、ああ、言わない方が良いんだっけ」
鉢巻に忍者装束の姿、滝川・一益は口を開けて大きく笑った。
腕組みをした姿勢で成政と同じように正面の星空に眼を向け、笑みを含んだ軽い口調で喋る。
「ま、早いとこ皆と合流した方がいいんじゃないかい。道理でニウちゃんとかが微妙に焦ってたわけだ。
"相方の貴方が彼の無軌道を管理しないでどうするんですか"――って、
トッシーがやたら怒られてて何だかよく解らなかったけど、君が遅れたとばっちりだったのか」
それを聞いた成政は、ああ、と眉をしかめ額に手を当てた。そして一益の方へと向き直る。
「トシには悪いことしたっスね」
「ニウちゃんはからかい半分だろうさ。トッシー、意外と遊ばれやすい性格してるからね」
同じく成政へと身体を向き直らせた一益は、さあさあ、と急かすように成政の肩を叩いた。
「ここからだとそのトッシーが一番近いよ。さっきは真下の広間に居たし今もきっとそこだ。
この広い艦を柴田先輩達を探して歩き回れば直線軌道な君は間違いなく迷子だろうし、
一旦トッシーに会っといた方が良いだろ」
そこで、言葉に少しの空白が生じた。
数拍の後、彼のためにも、と言葉を続けた一益の口調には、それまでの明るさとは一転して翳りがある。
「……何かあったんスか」
問う成政の口調は険しいものとなった。対し一益は、いいや、と片手を顔の前で振る。
「そういうわけじゃない、いつものだよ。九州から帰ってきたばかりなんだ、彼」
「……いずれ俺と相対する時のための調査、っスか」
「Shaja. 用いた言い訳としてはその通りさ」
沈んだ面持ちで頷いた一益は、肩を落とし大きく吐息をついた。
猫背に俯き長く息を吐いた後、跳ね起きるように顔を上げ、きっとして成政を見る。
「ああいう、事あるごとに自分で自分を責めて虐める癖さ。
ナル君にも十分素質あるけど、トッシーは君と違ってずいぶんと深く落ち込むね。
自分で作った言い訳を毎回使って毎回それでヘコんで、楽しいわけも無いだろうに。
それとも楽しいのかな、精神的被虐趣味? 身体的に痛いことと基本無縁だからって」
「……怒ってるスね、滝川先輩」
未熟な後輩に対しては当然さ、と一益は強い口調で答える。
「そういうわけだから早く行くと良い。
彼の手によって死ぬ……と言ってもいいだろう、そんな君自身でどうにかしてやれ」
その言葉を喋る時には、もう一益の声は常の快活なものに戻っていた。
またも成政の肩を叩き、そして今度は背を押しもする。
「私は白鷺に戻るよ、ここにはちょっと遊びに来てただけでね。
六天魔の皆が揃ったってことはそろそろ出航だろ。
降りるのが遅れて浅井のところまで運ばれたりしちゃ踏んだり蹴ったりだ」
言葉の途中で背を押した指の感触は唐突に消え、
同時に成政の耳に入る声も出処のはっきりしない宙に舞うようなものになった。
そしてあっという間もなく遠ざかり消える。
「……相も変わらずの世話焼きだな、あの人は」
残された成政の呟きは笑みを含んでいた。
そうして彼は甲板を後にする。
客室の戸が並ぶ廊下を成政は歩く。
真夜中である故に艦内は静まり返っており、木の床を踏む成政の僅かな足音しか響く音はなかった。
突き当たり、広く抜けた空間に足を踏み入れる。
立ち止まり見渡すと、目的の人物はすぐに成政の眼に入った。
成政と同じ数字の刺繍、大振りな赤い上着を着込んだ痩せ身は、広間の壁に寄りかかって茫としている。
脱力した姿勢を取っており、今にも倒れるか、壁に背をつけたまま床へ崩れ落ちそうだ。
足音を聞きつけたのか、壁にもたれる彼の顔が成政の方を向いた。
長い結い髪が壁に擦れて音をたてる。
こちらを見たその表情が一瞬泣き出しそうに歪んだのは、成政の気のせいではないだろう。
「……ナっちゃん」
「ああ」
呼ぶ声は小さく弱く笑み、応える声は努めて抑揚を抑えている。
成政はゆっくりと歩を進め、その青年、前田・利家と程近い真向かいに立ち止まった。
「久方ぶりだ。まつの奴は、……寝てやがるのか」
言う成政の視線の先、利家の肩の上で、小さな少女が座った姿勢で寝息をたてている。
「Shaja. もう夜も遅いからね。少し前まで眠りかけては起きてを繰り返していたけれど」
利家が眉尻を下げ、眼を細めて言う。もう成政からは視線を外し、俯いていた。
力のない笑みのままに、眠る少女の頭を撫でている。彼はそうして暫くの間無言だった。
「ねえナっちゃん、いずれ僕は君を殺すよ」
言葉は唐突だった。
成政がそれに応える間を与えず、利家は縋るようにして彼の身体に倒れこんできた。
成政の胸元に己の頭を押しつけ、両腕で彼の背を掻き抱く。
それ以上の言葉を発さず、存在しない身体の重みを預けるかのように成政に凭れかかっていた。
その身が震える気配が、触れ合った身体から成政に伝わってくる。
どうしようもねえなあ、と成政は半ば駄々っ子に対するような心持ちでいた。
利家の気持ちは解るつもりだ。
それでもそれぞれの歩みは止まらないし、その足取りが歴史の枠組みから外れることも無いのだ。
利家の、背の半ばほどまである髪をうなじからかき上げた。
露出した首筋から顎に手を添わせ、こちらへと顔を上向かせる。
間近で見る彼の瞳は、水を湛えたように揺れていた。
こちらを見つめるその瞼が瞑られたのを合図とし、成政は己の唇を利家のそれと重ねあわせた。
ただそれだけで、それ以上のことはしない。
何故だろうな、と成政は思う。
互いの存在としての構造が根本的に異なる以上、ふたりが直接的な行為に及ぶことは不可能だ。
充たされないとわかりつつ、何故今に至るまで、ただ身体を触れ合わせるだけのこの関係が続いているのか。
唇を合わせたまま、利家の震える背をあやすように撫でた。
あるいは、この関係に愛欲は絡んでいないのかもしれない。
単純に、生者の体温に焦がれ求める死者、それだけのものではないのだろうか。
そうだとしても、二人が互いに特別な執着を見出していることは疑いようもなかった。
そうでなければ、利家は成政が命を投げ打つ時を思って自分を責め苛んだりはしないであろうし、
成政もまた、そのような利家を見ては諦念の混じった謝罪を胸の内で呟くこともないのだ。
利家の震えが収まって少しの時間が経ち、彼の身じろぎを皮切りに互いの唇は離れた。
始まりとは反対に成政の両腕が利家の背へと回り、抱き込んでいる。
「死にたがりに気兼ねなんてするんじゃねえぞ」
成政の言葉が先ほどの己への返答であることに気づくのに、利家は少々の時間を要した。
まずきょとんとした表情をし、それを眉を下げた笑みに変えた後、静かな声色で彼は言う。
「……ナっちゃんは、自分勝手だよねえ」
諦めと苛立ちが綯い交ぜになった口調だった。
成政は破滅の信念を絶対に譲らない。
そのくせ利家のような者の慨嘆を酷く気にかけ構い、
そうしておいて己を死に導く役割の一旦を強いてくる。そんなところが利家の心を抉るのだ。
でも、と利家は言葉を続けた。
己の覚悟のその脆さがが絶対的に不要なものなのは、覆しようもない事実なのだ。
今進む道を戻ることも逸れることも、立ち止まることも選びたくはない。
たとえ選ぶことが許されていないのだとしても、それならば確かな思いの元に前へ進みたい。
他を後ろに置いてまでそれを為さねばならないのがどうしてこんな僕なんだろうねと、
内心で自嘲しながらも言葉を紡ぐ。
「僕は、できうる限りで君に応えたいよ」
肯定の意を含む合言葉を安易に使い誓うことは、今はまだできなかった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
生。某セ糾弾の気ャプ点と、某パ糾弾に遺跡した名居也酒。
ちょっと前にも投下させて頂きましたが、続きものではないです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
不安を酒で流し込むようにしながら、俺は携帯電話を握っていた。
富士他さんには何度も電話しているというのに、コールを聞いている間の緊張感はいつまでも消えない。
電話に出なかったらどうしよう、だとか、そういう女々しいことばかり考えてしまう。
けれど、今まで富士他さんが俺の電話に出なかったことは、一度足りとも無い。
あるときは、二回目ぐらいのコールですぐに出て、おう岳匕口、と余裕のある声で答えた。
またあるときは、六回目ぐらいのコールでやっと出て、おう岳匕口、と息切れしながら答えた。
そういうとき、ああ忙しかったんだろうな、と俺は申し訳ない気分になる。
今回は後者のパターンだった。そろそろ切ろうかと思った瞬間にコールが途切れて、岳匕口、出るの遅うなったわ、と聞こえてきた。
「すんません、忙しいなら切ります。」
「ああ、平気や平気。今ちょうど終わらせたとこや。」
一体何をしていたのだろうか。
気になったけれど、なんとなく聞かない方が良いような気がして、俺は口を噤んだ。
「岳匕口、元気やったか?風邪ひいてないか?」
聞き慣れた質問をされて、俺の緊張が僅かにほころぶ。
俺が電話するたび、富士他さんは決まってこう聞いてくる。
「元気ですよ。一応俺、もう26なんすよ。」
「あかんわ、どうしても心配になってまうわ。」
「富士他さんこそ、元気でやってるんすか。」
「ああ、俺も元気やで。」
季節の変わり目からか、近頃風邪をひく人が増えている。
冷たい風が吹き付けるたび、富士他さんは平気だろうか、と心配になっていたから、元気そうな声が聞けて安心した。
「なあ、そういや、もうすぐ府ァンフェ酢やな。」
いつも通りのやり取りを終えた後、話題を振るのは決まって富士他さんだ。
電話をするのは俺からが多いくせに、俺は何の話も振ることが出来ない。
「ああ、そうでしたね。そっちはいつなんですか。」
「11月24日や。そっちもそんなもんやろ。」
「そうっすね、俺んとこは23です。」
「ほんまに。」
去年の府ァンフェ酢ティバ流のことを思い出す。
そのときは、次の府ァンフェ酢ティバ流には富士他さんが居ないだなんて、考えもしなかった。
「今年は、どんなことすんの。」
「4つの地―ムに分かれて、対抗戦をするらしいっす。」
「へえ、面白そうやね。」
「俺が地―ムの気ャプ点やるんすよ。」
「すごいやん。さすが気ャプ点やな。」
いつもの調子で喋れていることに、俺は安心する。
電話するたびに気まずい空気になっていたら、いつか出てくれなくなってしまうような気がして怖かった。
「俺の地―ム、地―ム居間ドキっていうんですよ。」
「なんやねん、居間ドキって。×ンバ―が居間ドキなんか?」
「意味わかんないっすよね。×ンバ―は、俺と、海苔さんと、あとは邦世氏とか……」
俺が地―ムのメンバーの名を挙げていくのを、富士他さんは黙って聞いていた。
何人かの名を挙げた後で、不意に口を開いた。
「なんか……あれやな。」
「え、なんすか?」
「なんか、懐かしいわ。」
富士他さんは明るく言ったようだったけれど、どこか寂しさもにじんだ言葉だった。
俺は身体を強張らせる。頭の中を掻き回して、必死で返事を考えた。
「そ、そっちは何するんすか。」
「ああ、せやった。こっちも地―ム対抗戦らしいわ。」
「へえ、なんか似てますね。」
「初めてやからな、緊張するわ。」
酢ポ―津ニュ―酢で観ていた、富士他さんの姿を思い出す。
地―ム×イ卜とはもうずいぶん慣れ親しんだようで、そこに馴染んでいた。
「富士他さんなら大丈夫っすよ。もう馴染んでるじゃないすか。」
「なら、良いけどなあ……。」
そう答える富士他さんの声は弱々しくて、いつもの自信は感じられない。
なんだか富士他さんらしくなくて、俺はどこか不安になる。
やはりまだ、世子歯真に未練があるのだろうか。
騙し通してきた『寂しい』という気持ちが、顔を覗かせたような気がして、しっかりしなきゃ、と首を振る。
「千代はもう、寒いんですか。」
地―ムのことから話を逸らそうとして、必死で考えた末に出てきたのは天気の話題だった。
もっと気の利いた話題は無いのだろうかと、言った後で後悔する。
「ああ、めっちゃ寒いわ。11月入ったら、急に来たな。」
俺が話すつまらない話題にも、富士他さんはちゃんと答えてくれる。
「雪も降ったりしたんですか。」
「お前、千代の位置わかってないやろ。」
頭の中に、もやもやとした日本地図の絵が浮かんでくる。
どうやら俺の頭には、塔北といえば雪というイメージが根付いているようだ。
「話題、変えましょうか。」
「なんやねん、自分から振っといて。」
富士他さんはそう言って電話の向こうで笑うけれど、俺は唇を噛み締めていた。
もちろん、バカにされて悔しいからではない。
富士他さんの口からこういう話を聞くたび、もう世子歯真の人ではないんだな、という実感がわいて、俺に突き刺さる。
どんな生活をしているのか気になって、電話をするたびに近況を聞いたりするけれど、こんな風に決まって後悔することになる。
心のどこかでまだ、富士他さんの卜レ―卜"を認めたくない自分がいるのだろうか。あれからもう五ヶ月が経とうとしているのに。
「岳匕口、どしたん。」
ジレンマに陥って黙り込んでいると、富士他さんが心配そうに訊ねてきた。
俺は我に返り、慌てて誤魔化す。
「いえ、なんでもないです。」
とりあえずそう言ってみたはものの、それ以外の話題を振ることが出来ない。
地―ムのことも話したし、きちんと生活していることも話した。
黙ったままでは、電話した意味がない。焦れば焦るほど、頭の中は混乱していく。
「なあ、岳匕口。」
悶々としている俺を見計らったように、富士他さんが口を開く。
大事な話をしようとする時の富士他さんは、こういう風に改めて俺の名前を呼ぶ。
一体どんなことを言われるのだろうか。返事もしないで、俺は身体を強張らせた。
「寂しくさせて、ごめんな。」
唐突にそんなことを言うもんだから、俺はなかなか反応を示せなかった。
今富士他さんが千代にいるのは、富士他さんのせいじゃないのに、どうして謝っているのだろうか。
「寂しがってるのは……、」
富士他さんの方じゃないのか。そこまで言いかけて、俺は言葉を呑み込んだ。
富士他さんは、寂しいとか悲しいとか、そういう類のことを俺の前であまり言わない。
いつも俺の心配ばっかりして、俺が悲しんでいれば慰めて、俺が寂しがっていれば傍にいてくれて、いつだってそういう人だった。
今までとは違う。俺と富士他さんの間には距離があって、俺が悲しんでもいつでも慰めてくれるわけじゃないし、寂しがってもいつまでも傍にいてくれるわけじゃない。
さんざん甘えてきた富士他さんから、自立しなければいけない時が来たのかもしれない。
電話の向こうの富士他さんは、俺が返事をするのを黙って待っている。
「……俺、寂しくないですから。」
そう断言してみせると、息を呑むような音が聞こえた。
ちょっと考えた後で、悲しみを笑いで誤魔化すようにして富士他さんは答える。
「せやな……岳匕口だってもう26なんやもんな。」
富士他さんが溜息を吐いて、音声にノイズが入る。
「俺が知らん間に、こんなに立派になったんやね。」
「俺はずっと前から立派でしたよ。」
どこがやねん、と富士他さんがおかしそうに笑って、俺もそれにつられる。
少し時間はかかってしまったけれど、いつも通りに話せることに安心した。
「だから、富士他さん。」
富士他さんがするのを真似して、俺も改めて名前を呼ぶ。
それを察したように、富士他さんの笑い声が止まった。
「俺がいない生活を、楽しんでください。」
たぶん、富士他さんがいない生活を、俺は楽しむことが出来ない。
今まで当たり前にいた人が突如いなくなって、それをすっぱり割り切るなんて難しすぎる。
だからこそ、富士他さんにはそんな思いをさせたくなかった。
いつまでも俺の影を追いかけて、新しい地―ムでの生活さえままならなくなってしまったら、俺もたまったもんじゃない。
電話の向こうの富士他さんは、何も返事をしない。急にこんなことを言われたんだから、当たり前のことだけれど。
「……岳匕口」
だいぶ時間が経ってから、富士他さんがもう一度俺の名前を呼んだ。
それは出来ない、だとか、何を言ってるんだ、だとか、そういうことを言われると思った。
せっかく自立しようと決めたのに、富士他さんにそういうことを言われたら、俺は先程言ったことを撤回して、またすぐに甘えてしまうだろう。
それだけはしたくなかったから、富士他さんが何か言おうとするのをデカい声で遮る。
「すんません、ちょっと切らなきゃいけないんで、これで。」
「……ああ。」
あまりにも唐突すぎる展開に、富士他さんも俺の考えを察したのか、素直に応じた。
これで良いんだ、とひたすら自分に言い聞かせ、今までの自分が出てきてしまいそうになるのを必死で抑える。
終話ボタンに指をかけたと同時に、富士他さんが負けじと口を開いた。
「今度は俺が、電話するわ。」
「……」
「岳匕口が出てくれなくても、何回も何回も電話したるから、覚悟しといて。」
抑えつけていたものが、一気に溢れ出してくる気がする。
やっぱり富士他さんには敵わないな、と、終話ボタンから指を離して俺は頭を抱えた。
「ばかですね、富士他さんも……。」
「ああ、なんとでも言え。一番ばかなのは岳匕口やけどな。」
「なんでですか。」
「あんなえらそうなこと言っといても、後で一人でシクシク泣いてるくせに。」
そんなことないですよ、と言えない自分に腹が立って、反論も出来なくなる。
「そういうのが思い浮かんでくるから、ほっとけないねん。」
さすが八年間一緒にいただけあるな、と感心するぐらい、富士他さんは俺に関することならなんでもお見通しだ。
この人を上手く丸め込もうと思っていた自分が浅はかだった。
「そろそろ切らなくて良いん?」
「……切りますよ。切らなきゃいけないんで、切ります。」
バカにされたような口調で促されて、俺は今度こそ終話ボタンに指をかけた。
「またな、岳匕口。風邪引かんようにな。」
「はい。じゃあ、おやすみなさい。」
自分から切ると言ったくせに、俺はどうしても自分から切ることが出来ず、ボタンを押せずにいた。
結局いつものように富士他さんから電話を切って、通話終了を知らせる機械音を聞いてから、携帯電話をベッドの上に放り投げた。
俺はこのまま、富士他さんに甘え続けるのだろうか。それで良いのだろうか。
そんなことを悶々と考えていると、突然放り投げてあった携帯電話から着信音が流れ出した。
慌てて画面を見てみると、「新着メール1通」という文字が浮かんでいた。
さっき電話したばかりの、富士他さんからだった。
一体何の用事だろうか、やはりあんなことを言って怒らせてしまったのだろうか。
少し怖くなりながらメールを開く。
『府ァンフェ酢の気ャプ点、頑張れ。
そばにいてやることは出来ひんけど、いつでも応援することは出来るから。
それだけは忘れんといて。』
文面を読んだ後で、携帯電話を持ったまま布団に突伏して顔を押し付けながら、富士他さんには敵わないな、と思った。
いつだって俺の一枚も二枚も上を行く。
俺がこうやって富士他さんのことで泣きたくなるのも、なんで知ってるのだろうか。見透かされすぎてなんだか怖くなってくる。
携帯電話のメール返信画面を開いて、「ありがとう」と打ちかけてから、それを消して再び携帯電話をベッドに放る。
次に話すのは、府ァンフェ酢ティ場流が終わってから、俺がそこで頑張ったことをたくさん話そう。
電話の着信が来ることを待ち遠しく思いながら、カレンダーの23日に印をつけた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
代行者様、ありがとうございました。
488KB
洋画半生「○○七空落ち」七×九。
もし情報を届けにきたのが九さんだったら…という妄想です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「ルームサービスです」
「…頼んでないが」
「細かいこと言いますね。サービスなんだから素直に受ければいいのに」
「……それはすまない」
「入れてくれません?それとも頼んでないから帰れと?」
「あぁ、悪い。入ってくれ」
腰にタオルを巻いただけの男が巻き毛気味の痩せた男を迎え入れたのは、間顔にある
高級ホテルの一室。半分裸の男――○○七の元に現れた眼鏡の男――九は、自分が暮らす
世界とは縁遠い豪華絢爛な客室を隅々まで見渡した。
「……銃が撃てるとこんな暮らしが出来るんですね」
「羨ましいか?」
「いいえ。僕は自分の部屋以外じゃ眠れないので」
「大変だな。飛行機じゃどうしてた?長旅だったろ」
「飛行機で眠るなんてどうかしてる。いつ何が起こるかわからないのに」
九にしては珍しく(と言ってもわかりにくいが)感情的な物言いに気付いた七は思わず頬を緩ませる。
「あぁ…怖いのか」
「違います。出来るだけ地に足を着けていたいんです」
「諜報員の特殊装備担当って仕事は地に足着いてるのか?」
「『出来るだけ』って言ったでしょ」
九は視線も合わせず受け答えをする。かと思うと急に振り向いてじっと七の格好を観察し始めた。
「……もしかして何かしてる途中でした?」
「髭を剃ろうとしてた」
「続けてください。待ちますから」
「悪いな」
七は頷いて洗面所に戻った。折り畳み式の剃刀をゆっくりと肌に滑らせていると、鏡の端に
九の姿が見える。
支援いるかな?
さっきと同じように立ったままの彼を眺めている内に、ふと疑問が浮かんできた。
「どうしてここにいるんだ?」
「情報を伝えるためです」
「現場担当でもない君がか?」
「いけませんか?」
「君はそういうのを嫌がるタイプだと思ってた」
「…貴方のお陰ですかね」
意味深な言い方をする九に七は眉を上げる。髭剃りを終えて出てきた彼は、
壁に身体を預けながら尋問を始めた。
「ぼくのお陰って?」
「『銃を撃つかどうかの判断はパジャマ姿じゃできない』――そう言いましたよね」
「あぁ」
「だからパジャマを着替えて外に出てみたんです。銃を撃つ人の世界が見てみたくて」
真っ直ぐに七を見つめながら答える九の纏う空気が、前に会った時とは違う気がした。
こういう場所に彼がいるという光景が珍しいからだろうか。
「君にはどう見える?」
「パジャマで紅茶を飲みながら眺めていられる世界の方がずっと良い」
彼らしい答えだ。
少し視線を逸らした九がどこか悔しげに見えて、七は笑みを抑えられなくなる。
「そうか…せっかく着替えたのに無駄だったな」
こんな態度では九の機嫌を損ねるかもしれないと思ったが、彼は気にしていない様子で
すっと歩み寄ってきた。
「……そうでもないですよ」
「ん?」
「貴方のそういう姿を見られただけでも、わざわざ出向いた価値はあった」
九の興味深そうな視線で七は自分の格好を思い出す。そう言えばまだきちんと服を着ていなかった。
「っと…すまない。着替えるよ」
「大丈夫ですよ。そのままで」
「でも…」
「貴方の身体に興味があるんです。そのためにここまで来たと言っても過言じゃない」
気がつくともう目の前に九がいた。その表情から彼の真意を読み取るのは難しい。
「ぼくの身体に?」
「ええ。工厶が言ってました。貴方と寝た女性は皆貴方の虜になってしまうと。
どうしてなのか調べてみたいとずっと思ってた」
九は好奇心を覗かせながら七の身体に手を伸ばす。
彼の目的がはっきりしないせいかわずかに身構えてしまう。
「調べてみたいって?」
「貴方の何がそうさせるのかを知りたい。そして僕も同じようになるのか試してみたいんです」
胸に手を置き、心臓の鼓動を確かめるようにそっと力を込める。七より少し背が低い九が
見上げるようにして彼の目を覗き込んだ。眼鏡に遮られてはいるが、どこか妖艶な輝きを
湛えている。触れてくる掌が想像以上に熱いことに七の胸が少しずつざわつき始めた。
「それはつまり……僕と寝たいと?」
「そういうことになりますね」
「九……本気か?」
「冗談でこんなこと言いませんよ。大して面白くもないし」
確かに、と七は同意を込めて肩を竦めた。
煮え切らない態度に焦れたのか、九がわずかに語気を強める。
「わからないならはっきり言いましょうか?僕は貴方に凄く性的な魅力を感じてるんです。
自分でも驚くくらいに」
「そいつは嬉しいね」
「その貴方と、こんな現実離れした空間に二人きりですよ。いつまで冷静でいられるか」
「……確かに浮き足立ってるようだな。そんなこと考えるなんて」
そう溜息を吐いてみせたものの、七は自分が今彼を諭そうとしているのか
彼に気圧されているのか判別できずにいた。
九がこんなに積極的な一面を持っていたということに内心驚いていたし、
それが自分に向けられるとも思っていなかった。
とにかく予想外な九の行動に彼は戸惑っていた。主導権を握られているようで少し面白くない。
「それは否定できませんね。でも貴方がやってることってこういうことでしょ?
任務中に出会った女性と、その場の雰囲気でベッドを共にする」
「だからって誰とでも寝る訳じゃない」
「……意外と頭固いんですね。まぁ予想はしてたけど」
今度は九が溜息と共に呟いて手を引く。明らかにがっかりされたことに思いの外プライドが
傷付き、七の中の負けず嫌いな部分が頭をもたげ始めた。
「言っておくが、ぼくは君のためを思って――」
「自信がないんですか?ひょっとして」
「……何?」
「こんなもんかって思われるのが怖い?」
薄く笑みを浮かべながら九は言う。こんな子供じみた挑発には乗るまいと平静を装う
七だったが、性分なのか一度火が着いてしまうとなかなか抑えが利かなくなってくる。
同時に、このやけに自信家な特殊装備担当の鼻っ柱を折ってやりたい衝動にも駆られてきた。
知識は七よりも豊富なようだが、経験ではこちらに分があることを身をもって
思い知らせてやりたい。彼に敵わないことを認めさせてやれたら気分が良さそうだ。
彼は同じように笑い返し、逆に九の腕を掴んで身を翻す。一瞬で相手を壁に縫い止めると、
ぐっと顔を寄せて囁いた。
「――あぁ怖いね。君を泣き喚かせて、止めておけばよかったと後悔させるんじゃないかって」
突然立場が逆転して少し驚いたようだったが、それを待っていたと言いたげに九が目を細めて
微笑む。期待と興奮が滲んだその表情には今までに見たことのない色気が漂っていた。
「……そのくらいじゃないと困る。僕を貴方に夢中にさせてくれないと」
出来るんでしょう?と誘ってくる九を拒むべき理由を頭から押し退け、
その生意気な言葉を紡ぐ唇を塞いでやる。
彼はそれを当然のように受け止めるどころか、両手で七の頭を自分の方に引き寄せた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
この後はご想像におまかせしますw
代行者さまどうもありがとうございました。
>>526 艶かしい雰囲気が素敵です!
外国映画独特の台詞回しが魅力的だなぁ
___
/ \
/ \
/ ─ ─ \
| ‘ ‘ |
\ (__人__) /
/ノ⊂⊃=⊂l ̄\_\ フキフキ
| r' | i /__ノ ))
ヽ| i / ̄ /
| i
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___
/ \
/─ ─ \
/ノ⊂⊃=⊂⊃= \ イイネ!
/ r' (__人__) |
| i\ /
l \
ヽ l i ノ
| l ̄
| i
| |
誰なんだよお前は
恐らく、偽者のやる夫では
やる大矢…
大矢なにしてんだよ
でも大ちゃんはもっと好きです
そんなキャラもいるんか
やる大矢…
誰か残り4kでやる大矢の説明してくれないか
思わずググっちまったじゃねーかw
愛されすぎだろ、やる大矢www
r-──----.
_|_CD____,,|
/─ ─ \ ま、所詮はやる夫の派生キャラだお
/ (●) (●) \ 真のスターはやる夫だお
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
▼/ ̄  ̄ ̄)____
〃(⊥) ´/ / ̄/ / 〃 ⌒i
__i /⌒\./ / し' __|;;;;;;;;;;i
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__) 年末のこの忙しい三日間に何寝言言ってんだ
| ` ⌒´ノ 始発で開場前に並んでリストにある本全部買ってこい
. | } ∫∬
ヽ } i.⌒i
ヽ ノ kニ l
/ く.[ニニニニニニニニニニニニ`.ニニ´ニニ´
| ヽ、二/ 〈〉 〈〉 ヽ
. | / 〈〉 ヽ
| / 〈〉 〈〉 〈〉 ヽ
ヽ、_ヾ-‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐ゞ
あと2kb
\ ヽ ! | /
\ ヽ ヽ / / /
うめだああああああああああぁぁぁ!!
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,,, ,r‐、λノ ゙i、_,、ノゝ -  ̄
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.j´ . .ハ_, ,_ハ (.
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). c/ ,つ ,l~
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ゝ lノ ヽ,) ,
\ ヽ ! | /
\ ヽ ヽ / / /
なんばああああああああああぁぁぁ!!
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ゝ lノ ヽ,) ,
「梅田」「難波」ときたら
\ ヽ ! | /
\ ヽ ヽ / / /
じゅうそおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉ!!
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異論は認める