___ ___ ___
(_ _)(___)(___) / ̄ ̄ヽ
(_ _)(__ l (__ | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ }
|__) ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
l⌒LOO ( ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_, _)フ 「 | ロ | ロ |
( ・∀・)、__)  ̄フ 厂 (_,ィ | </LトJ_几l_几! in 801板
 ̄  ̄
◎ Morara's Movie Shelf. ◎
モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |[]_|| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ]_||
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄| すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
|[][][]._\______ ____________
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |[]_|| / |/ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.|| |[]_||
|[][][][][][][]//|| | ̄∧_∧ |[][][][][][][][].|| |  ̄
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.|| |
|[][][][][][][][]_|| / ( つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板58
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1273650944/ ローカルルールの説明、およびテンプレは
>>2-9のあたり
保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★
1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。
(1)長時間(30分以上)に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(
>>4-7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。
(4) 一度にテンプレAA含め10レス以上投下しないで下さい(連投規制に引っかかります)
長編の場合は10レス未満で一旦区切り、テンプレAAを置いて中断してください。
再開はある程度時間をおき、他の投稿者の迷惑にならないようにして下さい。
5)シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
また、長期連載される書き手さんはトリップを付ける事を推奨します。
(参照:トリップの付け方→名前欄に「#好きな文字列」をいれる)
(6)感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬や、書き手個人への賞賛レスはほどほどに。
作品について語りたいときは保管庫の掲示板か、作品が収録されたページにコメントして下さい。
※シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。
相談・議論等は避難所の掲示板で
http://s.z-z.jp/?morara ■投稿に当たっての注意
1レスあたりの最大行数は32行、タイトルは全角24文字まで、最大byte数は2048byte、
レス投下可能最短間隔は30秒ですが、Samba規定値に引っかからないよう、一分くらいがベターかと。
ご利用はテンプレをよくお読みの上、計画的に。
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
| いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
\ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
| | [][] PAUSE | . |
∧_∧ | | | . |
┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ | | | . |
| |,, ( つ◇ | | | . |
| ||―(_ ┐┐―|| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
| || (__)_), || | °° ∞ ≡ ≡ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。
別に義務ではないけどね。
テンプレ1
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| モララーのビデオを見るモナ‥‥。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| きっと楽しんでもらえるよ。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
テンプレ2
_________
|┌───────┐|
|│l> play. │|
|│ |│
|│ |│
|│ |│
|└───────┘|
[::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
∧∧
( ,,゚) ピッ ∧_∧ ∧_∧
/ つ◇ ( ・∀・)ミ (` )
. (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
| ┌‐^──────────────
└──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
└───────────────
_________
|┌───────┐|
|│ロ stop. │|
|│ |│
|│ |│
|│ |│
|└───────┘|
[::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
ピッ ∧_∧
◇,,(∀・ ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
. (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
| |
└────────────────┘
テンプレ3
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 生 || ∧(゚Д゚,,) < みんなで
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < ワイワイ
i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < 見るからな
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ"
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 止 || ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
//, 停 ||__ (´∀`⊂| < この体勢は
i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < 無理があるからな
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ
テンプレ4
携帯用区切りAA
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
中略
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
中略
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
|
| ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
| ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
| ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
| ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
| ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
| ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
| ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
\___ _____________________
|/
∧_∧
_ ( ・∀・ )
|l8|と つ◎
 ̄ | | |
(__)_)
|\
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 媒体も
| 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
| 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄| じゃ、そろそろ楽しもうか。
|[][][]__\______ _________
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | |/
|[][][][][][][]//|| | ∧_∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
|[][][][][][][][]_||/ ( )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |
(__)_)
ドラマ 紅将軍の凱旋。 紅愚痴←白 需要がなさげなのでせめて自分で書いてみた。
と、思ったら新スレ乙です。初っ端になってしまって緊張倍増…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ロクに論文を出さない大学病院の医者がいるかと学部長に説教され、しぶしぶ学会に参加することにした
田久地がその会合を選んだのは、会場が早見が勤めている病院にほど近い場所だったからだ。
ホテルに向かうより先に田久地は土産を手に件の病院に向かった。
タクシーから降り立った先にある建物は、病院というより洒落たホテルのようだ。
初めて目にするそれを前に、懐かしさを込め田久地は巨大な建造物を見上げる。
感慨と共に田久地はゆっくり病院に向かって歩き出した。
「え? 早見先生の以前の勤務先の……?」
田久地は声をかけた看護師の微妙な反応に戸惑った。
救急やICUの忙しさは骨身に沁みているので、軽く挨拶だけして辞去するつもりだったのだが。
「これ、ICUの皆さんでどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
抱えていた菓子箱を渡しても若い看護師の困惑顔は晴れない。まさか早見に何かあったのだろうか?
「ご存じかとは思いますが、大病を患われた方なので、向こうでは僕とても早見先生にお世話になってまして、
それで陣中見舞いがてら様子見に来てみたんですが、何かあったんですか?」
「あ、いえ、元気です。とても……元気で」
何故か、数々の事件で無理やり鍛えられたある種のセンサーが盛大に警報を心の中で鳴らしだした。
看護師が窓越しに中庭に目を向ける。つられて田久地を庭を眺めた。濃い緑と東京ではお目にかかれない青空。
「……早見先生が赴任してきてしばらく経った頃のことなんですが」
田久地は再び目を看護師に戻す。看護師は諦めたように話し出した。
「ヤクザ?」
「はい、地元では有名な暴力団の会長で、警察関係者や、ヤクザの世界では『闘犬』と呼ばれていたほどの、
もういい年なんですが、とにかく迫力があって……」
それは厄介な患者だろう。
「整形でIMHSのオペやったんですけどそれは無事に終わって、でもすぐにリハビリ開始しないと
マズイじゃないですか。年も年だし、作業療法士もチーム組んでスタンバってたんですけど」
「リハビリ、嫌がったんですね」
田久地の言葉にこっくりと看護師が頷いた。
「このままじゃ歩けなくなりますよ、と何度も言ったんですが、何せ頑固で、まだ骨もつながってねえのに
無理やり歩かせんのか! ってすごい騒ぎになって。手下というんですか、ガラの悪い人たちは病室に出入りするし、
一般の患者さん達は怖がるし…」
「……最悪ですね」
「そうしたら、騒ぎを遠くから見てた早見先生が……」
「え?」
看護師の眼差しが遠くなった。田久地のセンサーが再び鳴りだす。
「歩くだけでキャーキャー悲鳴あげてるのか、小学生の子供だって毎日訓練してるのに
ジイさんホントにヤクザなのか? と響き渡るような大声で」
田久地の口が何かを言いかけたが、声にはならない。
「殺気立った会長とガラの悪い人たちのまん前までつかつか歩いてきて、にやあっと笑ったんですよ。で」
「俺なんかな、すごいぞ! 悪性リンパ腫ってガンでな、しかも末期の4期だ。5年生存率も40パーしかなくてな。
なのに治療しながら働けと命令されてるんだ。すごいだろ!」
毒気を抜かれた男たちを前に早見はあっはっはと高らかに笑った。そのまま会長の白髪頭をがっしがっし掴んで
左右に揺さぶると会長の頭もグラグラ揺れた。メトロノームのように。
「……」
「……」
「……それでどうしたんですか?」
もう聞きたくなかったが、尋ねるしかない。
「……多分、ドン引きしたんだと思いますけど、明らかに勢いが弱くなって、もういいからあっち行けということになって。
でも早見先生、頭離さないんですよ。会長の」
聞いているだけで田久地の胃がキリキリ痛んでいく。
「で、リハビリやんのか? ん?って。爽やかに笑いながらこう、頭をギリギリギリギリ」
「ギリギリ……」
「その次の日から、会長は猛烈にリハビリするようになりました。事情を聞いてなかった作業療法士の一番新米の人だけ
会長のやる気に感激してましたけど。……アレは絶対に早見先生にもう一回診察されたくなかったからです」
看護師の目がひときわ遠くなる。
「退院の日は、大物の暴力団の会長が出てくるというんで、病院の周りに警察や機動隊が出てくる騒ぎに
なったんですけど、会長と出迎えの200人のヤクザが早見先生に90度に腰曲げて、お世話になりましたあッッ! って。
警察も機動隊も口ぽかーんと開けてました。闘犬がただのチワワでした」
田久地の目もふうっと遠くなった。
しばらく無言のまま、時が過ぎる。
「それからも伝説を作りまくりです。今ではICUの破壊王だとか救急の大魔王とまで呼ばれ……。
田久地先生、病気じゃない早見先生と仕事してたそちらのERのスタッフってどんな人たちだったんですか?」
言外に、人間じゃねーだろ、なっ!と言っている目を前に、田久地は否定も肯定もできず空しく愛想笑いをするしかなかった。
「……、あの、やっぱり、今でもアメ舐めて仕事してるんですか?」
「こっそり、皆でチュッパ係決めてます。まだ切らしたことはないんですけど、切らしたら怖そうじゃないですか」
もう十分だ。十分に知りたいことは把握した。不自然に田久地は朗らかな笑顔を見せた。
「早見先生がご健在なのでホッとしました。でもお忙しいようなので、大変残念なんですがここでお暇します。
早見先生にはくれぐれもよろしくお伝えください」
何もかも心得た顔で看護師は頷く。心得すぎて悟りを開いた仏のようだった。会釈をしながら田久地は辞去する。
そのまま病院を後にしようと歩きだした。何だろう。すごい、前よりすごい。パワーアップどころの話じゃないぞこれは。
毒気を抜かれながら、正面受付までたどり着いた時、コツっとマイクの入った音がした。
『……ここまでやって来て、どうして俺に会いに来ないんだ? 田久地先生』
身体がビシッと硬直した。何で?! あ、話してたのはICUの入り口のドアの辺りだった。まさかここでもカメラを仕込んでたのか!
訝しげにざわめく周りの会計待ちの患者や事務員たちを後目に、声はむしろのんびりと響き渡る。
『さっきいた場所から右、突き当たりの廊下をまた右、一番奥の部屋だ』
それきり、スピーカはぶつりと絶えた。
このまま逃げようかと一瞬考えたが、地の利がない自分に逃げ切れるわけがない。
諦めて田久地は指定された部屋に向かった。途中でさっきの看護師に出くわしたが、気の毒そうに合掌される。
「ちょっ、止めてくださいよ! 縁起でもない!」
「……いやもう、気をしっかり持ってください」
話がかみ合わない。
指定された部屋の周辺は喧噪も遠のき、しんと静まりかえっていた。何度か深呼吸をした後。おそるおそるノックし、
ドアノブを開ける。軽やかに扉は開いた。室内は薄暗く、無数のモニタ、よく効いた空調。以前の部屋とよく似ていた。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
規制に引っ掛かりそうなので、残りは後日出します。
>>17 アッー姐さんここでやめますか!?何という焦らしプレイ…
しかし放映中はあまり考えてませんでしたが
カメラ越しの指示ってすごくエロいですね…
白登場まで正座して続きをお待ちしております!!
>>17 ニヤニヤする紅が目に浮かぶようだなあ
tk治ってるどころかパワーアップしとるw
白も出るんですかっwktk
どもです。前回の続きです
…あの、中断の後、他の人が投稿してないのはたまたまですよね?
ガンガン入れてもらっちゃって構わなかったのですが……。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「ずいぶんつれないことだ。ここまで来といて黙って帰る法はないだろう」
壁を向いていたデスクチェアがくるりと回り、聞きなれた懐かしい声。田久地は黙ってぺこりと頭を下げる。
「久しぶりだな。田久地先生」
「お久しぶりです。早見先生。お元気そうでほっとしました」
そのまま、沈黙に支配される。……気まずい。
ちらりと上目づかいで田久地は早見を見た。少し痩せた気がするがやつれて見えるほどではない。
照明は薄暗いが、血色もよさそうだ。ああ、よかった。
「……何故笑う?」
その言葉に田久地は口元を引き締めた。早見はゆらりと立ち上がって田久地に近づいてくる。
「あ、すみません、あの、おかしいんじゃなくて、見た目はお変わりなさそうで、ちょっと、改めてほっとしたというか」
早見は表情を変えなかったが目を軽く細めた。田久地の目の前までやってきて無遠慮にじろじろ見降ろす。
「……そんなことを言うなら、訪ねてくればよかっただろうに。茶の一つでも手ずから入れてやろうと思っていたら、
とっとと受付に向かって帰りだした男の言葉とは思えんな」
「あ、あ……。いやあの、話を聞いてるとお忙しそうだったので、すみませんでした」
早見は不機嫌そうな顔になり、ふいと横を向いた。あわあわした視線の先で、モニタの一つにICUの出入り口が映っている。
なるほど、丸映りだったのか。大きな黒の艶消しのデスクの片隅に、あのキャンディータワーが置かれているのも見えた。
なるほど、こちらも相変わらずだ。
「……忙しいわけあるか」
「は?」
小声でよく聞こえなった言葉に田久地は首を傾げたが、早見は答えない。代わりに別のことを尋ねた。
「向こうは相変わらずか」
ぶっきらぼうな言葉に、田久地の顔がほっこりと微笑む。
「あ、はい! 救急のみんなも元気です! 佐東先生、最近落ち着いて指示出しするようになったって評価高いんですよ。
出水先生も患者のさばき方が堂に入ってますし、あ、研修医の3人もすごく成長しました。亜瀬川先生はよく僕のとこに来て
休憩がてら色んな事を教えてくれるんですよ」
照れながら嬉しそうに語る田久地を見ながら、早見の瞳がまたほんの少し、柔らかく細められたが、
足元を見ていた田久地はそれに気付かない。
「……まあ、立ち話も何だ。学会は明日か?」
「は、ええ、10時から夕方の5時までで」
素直に答える田久地はこの後の災難に気付かない。
「宿は?」
「市内の××ホテル……」
「キャンセルだな」
「……。はい?」
ふむ、と早見は軽く手を顎に当てて考え込んだ。
「当日キャンセルは金が戻ってこなかったな。しょうがない。金は俺が払ってやろう」
「は、ええっ?いや、ああ、あの」
「俺のマンションの方が会場のコンベンションセンターに近い。よかったな、明日は上手いことに俺も休みが入ってる。送ってやるぞ」
絶句する田久地を後目に、さっさと早見はホテルに電話をかけ田久地の宿泊をキャンセルしてしまった。
「事前に連絡すれば、そもそもホテルに予約しないで済んだものを」
ニヤリと笑うその顔はまさしく悪人である。
そのまま、早見は窓に近寄るとブラインドに人差し指で隙間を開け、眼下を覗き込む。夕闇の僅かに赤い光が
薄暗い室内に光線を落とし、早見の顔に陰影を作った。穏やかな眼差しは珍しい。
「……それに積もる話も色々あるしな」
結局、もしかしたら人恋しかったのかもしれない。知り合いもいない土地で闘病しながら仕事も一から基盤作りを
しなければならなかったのだ。こんな自分でも訪ねてきたら嬉しかったのかもしれない。少しだけ、早見の孤独が身に沁み、
田久地は目を伏せる。しかし、早見はそんな田久地も知らぬ気に皮肉そうな笑みを浮かべた。
「この辺は魚が美味いんだ。俺が特別に奢ってやろう」
「あ、僕、魚大好きです!」
「たらふく食わせてやるから帰ったら城鳥に俺に魚食わせてもらったって言えよ。あいつ東京からものすごい勢いで吹っ飛んでくるぞ。ざまあみろ」
早見の愉快そうな笑顔に、田久地は不思議そうに首を傾げた。
「城鳥さんですか? 城鳥さん、魚好きなんですか? 変だなあ。あの人、肉ばっかり食べてたような……」
「はあ? 何言ってるんだ。この期に及んですっとぼけなくていいぞ。どうせ連絡取り合ってるんだろうが」
鼻を鳴らした早見に田久地は今度こそ困惑した顔で早見を見上げた。
「城鳥さんはあの後、すぐ東京に帰りましたよ?」
「だから、その後連絡取り合ってるんだろ?」
「してませんよ。連絡して何話すんですか? あそこにいた時も世間話なんかしたことないですし」
早見はまじまじと田久地を見つめていた。
「お前ら、……いや、俺は、てっきり」
「は?」
田久地の居心地悪そうな困り顔を凝視していた早見はそのうちにうっすらと笑みを浮かべる。
「そうか、そういえば、あいつは」
昔から、大事なものを大事にしすぎて取り逃がすようなバカだった。
くつくつと笑い始めた早見を、田久地が薄気味悪そうに見ている。
「……俺はあと30分で仕事が上がる。ここで待ってるといい」
早見の不可解な笑みに少し引いていたが、その言葉にまた引っ掛かった。……定時で上がるのか?
思わず早見を見るとその視線に気付いた窓際の男が苦笑する。
「ここじゃあ病み上がりだっていうんでな。みんなして俺から仕事を取り上げるのさ」
「あ……。それは……」
『早見君を治療に専念させるために、仕事から完全に遠ざけてしまいますとね、精神的に、
かえってよろしくないのではないかと思うんですよ。現場が最優先の人ですからねえ』
完治もしていないのにどうして復帰させるのかと尋ねた田久地に、病院長はそう答えたのだった。
今から思うと病院長の洞察に感服するしかない。田久地は密かにため息をつく。
やりたいことも好きにやれない早見は、さぞかしもどかしい思いを抱えているのだろう。
……。あれ?
もしかして、人恋しいのではなくて、ストレスがクライマックスなだけ? あれだけ暴れてるのに?
たどり着いた推論に田久地が動きを止めていると、新しいアメを口に咥えた早見が、機嫌よく白衣のポケットに手を突っ込みながら部屋を横断する。
「田久地先生は酒はイケるか?」
「いえ、あの、付き合い程度でしか」
「そうか。まあ俺も今は飲めんからな。じゃあ、メシを食える店にするか。城鳥には俺に一晩寝かせてもらえなかったと言っとけ。
夜中でも押しかけてくるぞ、絶対」
楽しげに言った言葉に、ドアノブに手をかけたままの早見が立ち止まる。
「……いや、やっぱり言わなくていい」
「は?」
「俺とメシ食ったことも、俺のマンションに泊まったこともあいつには言わなくていい。黙ってろ」
意味が分らないまま、ぼんやり田久地は頷く。
「田久地先生」
ドアノブに掛けた手を今度こそ離し、早見は田久地に向かい合った。あろうことか、少しはにかんだ笑みを浮かべる。
「できたらでいいんだが、これからも時々メシを付き合ってくれないか」
「え?」
「一人でやってるとな、やはり幾分か、気分が底に引きずられそうになる時もあってな。先生の顔が見れて、今日は、よかった」
「早見先生……」
すっかり田久地は感動してしまっていたが、ここに亜瀬川や出水がいたら、正気に返れ! あの早見がはにかんだ笑みなんか浮かべるかー! と
田久地の肩をガクガク揺さぶっていたことだろう。
「こんな僕でよかったら、喜んで!」
「そうか、ありがとう。月一くらいで遊びがてら来ないか」
「予定が合えば、ぜひ」
「ありがとう、でも城鳥には言わなくていいからな」
しかし、ここには将軍を熟知した救急の面々はいなかった。ましてや城鳥もいなかったのだ。
ちょろい。ちょろすぎる。
ころりと騙されてにこにこ笑みを浮かべている田久地を前に、早見は内心ほくそ笑んだ。
城鳥。だからといって、わざわざ遠慮するほど、俺も奥ゆかしくはないんだ。
早見が田久地に笑いかけると、田久地もにっこりと笑い返す。
「なるほど、こうして見ると、なかなか悪くない」
「え?」
「いや、何でもない。上がる挨拶だけしてくるから、ここでこれでも舐めて待っててくれ」
有無を言わさず、田久地の口に舐めかけのアメを放りこんで、そのまま部屋を後にした。
しばらくして背後から田久地の上ずった悲鳴が聞こえてきて、思わず笑みを深くする。
「……今までずいぶん退屈だったんだが、田久地先生のおかげで気が紛れそうだ」
己の職場であるICUの入り口までたどり着くと、カメラを見つめてニヤリと笑って見せた。
きっと、顔を真っ赤にして田久地がモニタを睨んでいるに違いない。
本当に久しぶりに、心からの笑みを浮かべ、早見は大きく息を吸い込んだ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
白が結局出なくてすみませんでした。期待に添うことができず…。
この後は、紅の餌付けが大分進んで、愚痴を懐かせたあとに、
結局白にバレて、修羅場になるんだと思います。でも紅はニヤニヤしてるんだ、きっと。
お読みいただいてありがとうございました。
>…あの、中断の後、他の人が投稿してないのはたまたまですよね?
前スレがまだ残ってたからね。もう残り少ないけど。
そうだったのか…。容量的にダメなのかと思ってました。
前スレでよかったのか…。すみませんでした。
某リョマ電 痛いので注意
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
―土佐・山田獄舎 取調場―
殴られ、叩かれ、血を流し、もう、オカダイゾは元の幼さを残した人相はとどめていなかった。
京都の民から、悪鬼のごとく恐れられ、「人斬り」と二の名をもった男は、今、後ろ出に戒められ、さらに胸や腰に縄をうたれ、ただのボロ切れのように初夏の土煙る地面に転がされている。
先ほど石を抱かされ、そのうえ、不安定な姿勢のまま、身動きもできないところを笞打たれた苦痛にとうとう意識を手放したイゾである。石を除けても意識は戻らず、横倒しにくずおれた。
もしかしたら、このまま責め殺してしまうかもしれない・・。ショジロは思った。
ー死んでしまえば、この狂った心の闇から自分が逃げ出せるかもしれないという誘惑と、何としても敬愛してやまなかった叔父上を暗殺した勤王党一味にその罪を吐かせたいという想いが、かわるがわるに沸き起こっては消えてた。
「強情な!!ヤタロ、水!」
取調べ役の上士に命じられた郷廻りのヤタロがその凄惨さに震えながら、イゾに、おそるおそるという様子の及び腰で水をかける。
頭から水を浴びせられると、ピクッと戒められた身体が動き、かすかに身をよじり、意識が戻ったのがわかった。
ショジロは少し安堵して、静かに問う。
「こればむごい目にあわされても、まだ口をわらんかぇ・・?」
イゾは虫の息のなか、必死に、唇を動かす。そして、漏れるような息で、逆にショウジロに問い返す。
「・・・タケチせんせが・・・そんなに憎いがか?」
嗚呼、そうだ!いつもイゾとは、話の歯車が噛み合わないのだと、ショジロは唖然と目を見開くしかなかった。
見かねた、連れの取調べ役が声を荒げた。
「上士に向こうて何ぞや、その口のきき方は!」
力任せにイゾの横腹の柔らかな部分をぐっと踏みつけ、ぐりぐりと揺らした。苦悶に眉根がよせられる。
ショジロはそれを、もうよか、というように手で制した。
あえて、イゾのそばでしゃがみ、「イゾ、イゾーよ。」と優しく子供に諭すように話しかけてみる。
「わしゃのう、・・・叔父上を殺した奴を憎んじょうがじゃ。そ奴を知りたいだけやきに」
静かに、囁いた。
だが、絶えいるような息遣いをしていたイゾは、「・・・タケチせんせでは・・・ないぜよぉ」と言葉をようやく絞り出すと、ゆっくりと半目をあけて、覗き込むショジロの眼にに視線をあずけた。
ショジロは、視線を流され、その血と泥で汚れたはずの貌(かお)のぞくりとするほどの美しさに息をのんだ。
―こいつを吊るしや―
ーはっ!ー
―早よせぃ・・―
濡れたような眼差しに吸い込まれ、廻りの音が水の中のように遠くに聞こえる。ショジロは思わず後退りするしかなかった。
ぎりぎりと責めのために吊るされていくイゾウ。ショジロの心内までを見透かすように、瞬きもせず見つめ、うっすらと笑みをうかべる。
凄惨な美しさだった。目を奪われているうちに、深い土佐の海の中に引き込まれていく感覚がショジロを怯えさせた。
大殿さまから、『タケチ、タケチと・・・どういてわしがあんな下賤な男のことを考えんといかんがじゃ!』と叱責をうけた晩、甕の中での鮮血のように紫蘇が発色していたあの晩。
家畜小屋以下のイゾの牢舎の中で、自らの袴が汚れるのも構わす、イゾが満足に動けないことをいいことに淫虐の限りをつくした。
人斬りの大きな目からポロポロと涙を流させた。
だが、心中、血の涙を流していたのはショジロだった。
牢の中には、壊れた人形のように新たに下肢に散らした血と精で濡らしをらし囚人が崩れ落ちている。
(おまんは、わしかもしれん)
師しかみてないイゾと叔父上しかみてなかった自分が重なり奇妙な捻じれをおこす。
その、師であるタケチも一藩勤王党などと標榜し、土佐藩しかみちょらん・・・。
叔父上、これでいんじゃろか。
そいで、土佐藩は幕府しかみちょらん
これで、いいんじゃろか・・・。
時代という得体のしれない波は土佐にも押し寄せてきて飲み込んもうとしていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>25 うおお萌えた…
ぜひ役人にバレて修羅場をwww
>>33 マナーじゃない。ここのルール違反だな
>>28 SS書く前に、全く読んでないとしか思えない
>>1を
まず読むことから始めてくれ
>>35 公共の場を使うのにルールを守るのは当然だろ
それが嫌なら自分でサイト作ればいいんだよ
ルール違反を咎めたからって自治厨呼ばわりする
33の方が厨に見えるよ
ルール云々以前に公の場に出すんだから
誤字脱字ぐらいはチェックして欲しいね
なんだよ「飲み込んもう」ってw
何か今年の大河ネタ書く人ってイタい作者多くね?
イタいつうか、色々稚すぎ
人斬りネタ萌えの人、外国人?、さもなければ本当にここにこられる歳?
41 :
税男 1/6:2010/07/09(金) 01:02:43 ID:horjM9W/0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 空気を読まずに税男(要英訳)、25と6さん
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 会話だけのアホな小ネタだよ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ カップリングガヤハリアイマイ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
42 :
税男 2/6:2010/07/09(金) 01:03:06 ID:horjM9W/0
某月某日、午後三時、ファミリーレストラン「M's GRILL」にて。
「疑問に思ったんですけど」
「何だ」
「男に童貞税があるのに、何で女に処女税がないんですかね?」
「そいやさァ!」
「痛ったァ!」
「愚か者めが」
「何で微妙に口調が時代がかってんすか!? ていうかいきなり何すんですか! ファミレスのメニューって何気に痛いんですよ!? しかも角だし! 刺さるし!」
「25。お前には何も見えてない」
「禿鷹っぽい台詞ですね」
「いいか、25。税金ってのはな、もとから価値のあるものに掛けたところで、意味がないんだ」
「と、言いますと」
「つまり、こうだ。価値のないものに税金を掛ける。するとそいつには価値が生まれる。たとえば」
「痛っ」
「これは一本の、しかも傷んだ髪に過ぎんが」
「勝手に抜いといてその言い種……」
「こいつの処分に高額な税金が掛かると考えてみろ。毎朝ブラシを入れるのに、死ぬほど神経遣うだろ」
「美容師が自殺しかねませんね」
「ま、つまるとこ、そういうことだ。税金ってのは、言うなれば、価値を付与するための道具だ。その道具を使って創った『価値のあるもの』を売り捌くことで、国は自分の食い扶持を稼いでるんだ」
43 :
税男 3/6:2010/07/09(金) 01:03:26 ID:horjM9W/0
「はあ」
「不満か」
「いや、不満っていうか、その話がさっきのメニュー攻撃と、どう繋がるんすか」
「………」
「うわームカつく顔ー」
「お前な、女が童貞に抱くイメージを考えてみろ。ダサい、青い、臭い、下手、被ってる、溜まってる」
「言い過ぎじゃないすか」
「一方、男が処女に対して持つイメージといえば、何だ。純白、高潔、高嶺の花、ユニコーンに乗れる」
「うっわ」
「何で引くんだよ!? 男共通の浪漫だろ!? いわゆるドリー夢だろ!? お前だってどっちかっつったらそっちの方がいいだろ!?」
「僕は、別に」
「……マジで?」
「マジで」
「え、ちょ、何で?」
「何でって、……別に、相手が処女だからって、こっちにメリットないじゃないすか。汚れるだろうし、下手だろうし」
「おま、汚れるだろうしって、その、汚れのないものを汚しちゃったー!って感じがいいんじゃないのかよ」
「あんまりそういうの気にしないんで」
「……マジで?」
「マジで」
「え、ちょ、ほんとに? 最近の若い子ってそうなの? ナウなヤングのスタンスなの?」
「土壇場で恥じらわれたって面倒臭いだけですし」
「うわーおじさんカルチャーショックー」
44 :
税男 4/6:2010/07/09(金) 01:03:56 ID:horjM9W/0
「そういう訳で、男女平等に、女にも処女税を」
「だが断る」
「いや6さんに断られても」
「それでも断る。とにかく断る。お前を除く総ての男の夢を守るため、俺は戦う」
「どこの勇者ですか。しかも何か僕だけハブられてるし」
「端的に言うと俺が生きてる間は勘弁してください」
「本音ですね。……あ」
「どうした」
「何でもないです」
「なくないだろ」
「や、ほんと、何でもないんですって」
「そう言われると余計に聞きたくなる法則を知らんのか」
「知ってますけど、」
「言えっつの」
「ちょ、メニューは置いてください! 解った、言います! 言いますけどね!」
「けどね?」
「……多分、後悔しますよ」
「するかどうかは俺が決める」
「何で無駄にカッコいいんすか。……その、思ったんです、けど」
「うん」
「女に処女税が課せないなら」
「うん」
「新しい税源として、……男に、処女税、課してみたら、……とか」
「………」
「………」
「………」
「ほらー! だから言ったのにー!」
45 :
税男 5/6:2010/07/09(金) 01:04:17 ID:horjM9W/0
「……何というか、一種、新鮮な発想ではある、ような、……ないような」
「あーもう、やめ! やめにしましょう、この話! 何かぞわぞわしてきた!」
「……25」
「はい?」
「もし、……もしも、だ。万が一、男に処女税が課されるようなことがあったら」
「ことがあったら?」
「お前、俺の処女、貰ってくれる?」
「いやいやいやいや! 何言ってんすか!」
「俺、お前になら、捧げてもいいよ? むしろ捧げるならお前がいいなって」
「気のせいですって! 真っ直ぐな目で見ないでください! キモいから!」
「邪険にするなよ」
「しないでか!」
「お前のは俺が貰ってやるし」
「交換条件っぽくされたところで僕にメリットないんですけど!?」
「優しくするよ?」
「本気っぽいのがまた嫌だー!」
「お前も優しくしてね」
「ちょ、やめて、手ェ握んないでー! 誰かー! 37ちゃーん! 37ちゃん、助けてー!」
特殊税法が廃止されるのは、それからしばらく経っての話。
46 :
税男 6/6:2010/07/09(金) 01:10:48 ID:1nqFBVpcO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )ただの猥談じゃねーか
連続投稿に引っかかったので〆は携帯から。
お付き合いありがとうございました。
>>46 萌える
余裕であの2人の声で再生されました
6さんがどこまで本気なのかが気になります
>>25 萌えた!ぜひ続きを
白にバレたときがみものだ
49 :
パタリロ:2010/07/09(金) 18:55:04 ID:w2siBW5I0
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| __________ |
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
空気どころか時代も読まずパタリロ投下します
うっすらバン→←殿下テイストです
50 :
パタリロ:2010/07/09(金) 18:56:58 ID:w2siBW5I0
<パタリロ>
お前に抱えられて、耳を劈くような音を聞いていたよ。ほおがお前のおなかに押さえつけられて赤く濡れた。
見上げてみると銃を構える右手はすこしも震えてなくて、いやあ流石凄腕エージェント。
でも、だけども。
こういうのってお前らしくないんじゃないかな。僕をかばう前になんとかできたんじゃないかな。
いつもぞんざいに扱うくせに、今日のお前ときたら、僕が傷つくのが嫌みたいだったじゃないか。
そういうのって、ありがたいんだけど、なんだかすごく困ってしまう。
なあ、バンコラン。僕はそういうのに慣れてないんだ。
今日のお前の行動に、僕はどう給料を払えばいいのかな。
<マライヒ>
ゴキブリ並みの生命力だって、いつもバン言ってるじゃないか。
あいつの逃げ足なら、致命傷を受けるはずないってわかってるくせに。
「それでも守ってやらねばならん」
仕事だから?ってたっぷり間をおいてから尋ねたら返事はなかった。
バンコラン、僕のいとしい人。今は少し顔をゆがめて熱に体を浮かせて、寝息を立てている。
深い泉の底のような青色や、柔らかく湿った薄桃色。
どんなことでも、僕の知らない君を知ることは嬉しかったのに。
悲しいとか、そういうんじゃないんだけど。だけど、すこし傷ついた気がした。
<バンコラン>
撃たれる痛みをひさびさに感じた。熱で部屋がぼんやりかすむ。
なんで庇った。らしくない声で聞いてくる。
おそろしかったのだ、と答えるのは絶対嫌だったから、
体が勝手に動いた好きに守らせろ、と早口に言い捨てた。
口を動かしながら、変なことを言ってしまったなと思ったが、
とにかくへちゃむくれはそれっきり黙ってしまい、この部屋には沈黙が降りた。
柄にも無く神妙にベッドの端に腰掛けるやつの気配が伝わってきたから、
無事でよかった、なんて口走ってしまった。
パタリロ、お前が変だと私もおかしくなるだろう。
51 :
パタリロ:2010/07/09(金) 18:59:32 ID:w2siBW5I0
____________
| __________ |
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1レスと短いネタでしたが、読んでくれてありがとうございます
>51
萌えを今夜もありがとう!
「給料」で、ちょっと吹いたwwパタがカワユス(*´д`*)
53 :
亜出流1/16:2010/07/10(土) 00:09:26 ID:BHzI+Di7O
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・; )映画亜出流の百合を書こうとしたらいつのまにか完全別物に。少し長いっす。
アレンは不安そうに部屋を行ったり来たりしている。ポットは火にかけたし、ティーセットも用意した。
テーブルクロスも皺ひとつ、染みひとつ無い。お茶菓子はいつものスコーンを焼いて、
彼の大好きなラズベリージャムは昨日一日かけてたっぷりと作った。
準備は万端なはずなのに、久し振りに大切な人に会えて嬉しいはずなのに、
アレンの胸はは不安でいっぱいだった。
アレンにとって好きな人に会うと言うことは、いつでも喜びと不安でいっぱいの出来事だ。
寝癖はついていないか、服はきちんと前後ろ間違えずに着ているか、変な顔をしていないか――
コンコンコン。
「!は、はいっ。」
アレンはギクシャクとした動きで扉を開ける。扉の向こうにいるはずの、最愛の人を迎えるために。
54 :
亜出流2/16:2010/07/10(土) 00:13:04 ID:BHzI+Di7O
「アレン!!!」
「うわあっ!」
いきなり身体を抱き上げられ、アレンはおかしな声をあげてしまう。しかしそれにも関わらず、陽気な
来訪者はアレンを抱えたままくるくると回っている。
「ア、アベルっ!下ろして、目が回っちゃうよ!」
「あはは、ごめんねアレン。でも僕、久し振りに会ったアレンがあんまりにもきれいになっていたから、
つい嬉しくなっちゃったんだ!」
そう屈託なく笑うアベルに、アレンはつい顔を赤らめてしまう。ゆっくと床に下ろしてもらいながら、
アレンはアベルに抗議する。
55 :
亜出流もどき:2010/07/10(土) 00:17:37 ID:BHzI+Di7O
今考えたらタイトルがよくなかった…変更します。
「僕は男だよ、アベル…そんな言い方おかしいよ。」
「そんなことないよ!アレンは本当にきれいになったから、嘘なんてつけないよ。
世界中のできれいなものや人を見てきた僕が言うんだ、間違いないさ。」
アレンとよく似た顔で笑いながら、アレンとよく似た声でアベルは言い切った。
アレンの双子の兄アベルは昔からアレンを溺愛していた。昔からアレンが一番好きだと言って憚らず、
将来アレンをお嫁さんにすると言ってきかなかった。
実際アベルが実の兄弟であるにも関わらず、アレンに何度も求愛し、
ついには幼いころの宣言を実現してしまったことからも、どれ程アベルがアレンを愛しているかが伺い知れる。
最もアレンもアベルに負けないくらい、アベルを誰よりも愛しているのだけれど。
「やっぱり思った通りだ。」
アレンが紅茶を淹れる姿を見ながら、アベルは満足そうに頷く。
「清国でその服を見たとき、きっとアレンに似合うと思ったんだ。アレンの眼の色と同じ深い翠だから、
とっても映える。きれいだよ、アレン。」
ラズベリージャムをたっぷり塗りつけたスコーンを頬張りながら、アベルはそう言った。
その瞳はキラキラと輝き、アレンは思わず胸が高鳴る。
「…うん。この服、僕も大好きだよ。ありがとう、アベル。」
アレンははにかみながらその言葉を噛み締めた。
朝、東洋の珍しい形の服に袖を通したとき、アレンはその上等な絹の生地と神秘的な雰囲気に、
うっとりとため息をもらした。 何で素敵な服なんだろう、アベルはこれを着たら喜んでくれるだろうか。
喜びと不安がアレンの胸をいっぱいにした。アレンはいつもそうだ。アベルのこととなるとどんな些細な
ことにも期待と不安のまぜこぜになった不思議な気持ちになる。
それは確かに辛いこともあるが、反面とても心地よくもあるのだ。
「あ、そういえばアベ―…」
がちゃん。
「アレン!!」
突然テーブルに手をつく形で、アレンは一瞬よろめいた。それを見るや否や、アベルは跳ねるように
アレンの傍に駆け寄ると、大慌てでその肩を抱いた。
「アレン大丈夫!?ごめん、さっき僕があんなに振り回したからっ…!すぐ横にならないと!」
血相を変え、アベルはアレンを覗き込む。そしてひょいと横抱きにすると狼狽しながらも
アレンを部屋へと連れていこうとした。
「ま、待って。大丈夫だから。」
「で、でも…!」
「本当に大丈夫だから。昨日ね、アベルに会えると思ったらドキドキして眠れなくなっちゃったんだ。
だから少し眠いだけ。本当にだよ、アベル。」
くらくらする頭を押さえながらアレンは微笑んだ。その笑顔をじっと見つめ、アベルはアレンの言葉が
本当かどうか、じっくり見極める。ずっと一緒にいた半身のことだ。瞳を見れば大体のことはわかってしまう。
だからアベルはアレンの瞳を見て、慎重に見極めた。
「…わかった。でもね、アレン。もし少しでも身体が辛かったらちゃんと言って。約束だよ。」
「うん。約束するよ。」
アベルはその返事を聞くと、そっとアレンをソファーに下ろした。そしてアレンの左手をとると、その薬指にキスをする。
アレンもまたそれを見てほっと息を吐いた。
アレンは今、病に犯されている。先は、長くない。昔から病弱で、床に臥せって
いることが多かったが、今の病気がわかったのは五年ほど前だ。医者に治療法はない、後十年生きられないと
言われたとき、アレンは、ああやっぱり、とだけ思った。
医者に言われなくとも自分の身体のことだ、なんとなくではあるがわかっていたのだ。
ただアベルはというと、その事実を知ったときアレンの前でこそ無理に明るく振る舞っていたが、夜一人で
ベッドに入ると声を殺して泣いていた。もうすぐアレンが死んでしまう、アレンがいなくなってしまう。
そう幾晩も泣いた。
だがそんな夜が暫く続いた後、アベルはいきなり家を出ると言い出したのだ。
「そうだ、聞いてアレン!今回ついにローマで見つけたんだよ!例の薬の在処の地図を!」
床に跪き、ソファーに腰かけるアレンの手をとっていたアベルは、そう叫んだ。
そして思い付いたように持ってきた荷物の元に駆けて行き、小さな布袋をアレンのもとへ持って帰ってくる。
アレンは何が何やらわからないまま、呆然とするだけだ。
「小さなカタコンベが見つかったんだ。シラクサ出身の司教が造らせたものらしくてね。
そこからオステンソリウムが見つかったんだよ。
司教は自分の骨をそれに収めさせたんだけど、
その時ヴェニスの高名なヴェトライオにある仕掛けを作らせた。
司教の家に伝わる、秘密を伝えるためにね。」
「ま、待ってアベル…それって司教様のお墓を暴いたってこと!?」
「巡礼だよアレン。祈りを捧げるついでに、何百年分かの埃をお払い申し上げたのさ。」
そうウインクするアベルにアレンは言葉を失ってしまう。
昔からアベルは物怖じしない、積極的な性格だと知ってはいたが、いざその行動力を見せつけられてしまうと
驚かずにはいられない。
そしてまた同時にアレンの胸には、小さな不安が生まれる。
だがそんなアレンを尻目に、アベルは興奮しながら話を続けた。
「彼の祖先はカルタゴやヌミディアなんかの北アフリカの国々と貿易をしていたんだ。
マグナ・グラエキアでも屈指の人物だったらしい。そしてその貿易の中であるものを手に入れた――」
アベルはそっと茶色い麻布を広げる。そこには地図と、いくつかの焦げ目がついてた。
アレンがそれを不思議そうに眺めていると、アベルはニヤリと笑い、言葉を続けた。
「――『ファラオの秘薬』の在処を、ね。」
アレンは驚いてアベルの顔を見た。
かしづくようにアレンに寄り添っているアベルは、自信満々といった表情でそれに応える。
ファラオの秘薬とは、アベルとアレンの父の友人で、考古学者だった人物が研究していた伝説の万能薬だ。
国によってはエリクサーや甘露、ソーマなどと呼ばれる、神秘の薬。
かつてエジプトのファラオがイシスから賜ったとされたそれが、まさか実在するとは。
小さな頃アレンもしばしばその老考古学者の弁に耳を傾けたものだが、にわかには信じがたかった。
「カタコンベの天窓とオステンソリウム、そして壁にかけられたこの麻の地図。
これを一定の位置に動かすとオステンソリウムに反射した太陽の光が布に在処のヒントを
焼き付ける仕組みだったんだ。ほら見て、このヒエログラフ。これが――」
そうアベルが地図の一点を指差した時である。
きっちりとボタンのかけられたカフスの隙間。そこから僅かに覗く白い布があった。
「アベル…」
悲しそうにアレンはアベルの名を呼び、その手を取った。
そしてそっとカフスをされる外し、その下に隠されたものを優しく暴く。
「怪我…したの?」
「あ…い、いや。大したことないんだ、掠り傷だよ。」
現れたのは白い包帯だった。
丁寧に巻かれたその包帯からはほんの少し消毒薬の匂いがする。
>>53 >>2 >(4) 一度にテンプレAA含め10レス以上投下しないで下さい(連投規制に引っかかります)
長編の場合は10レス未満で一旦区切り、テンプレAAを置いて中断してください。
再開はある程度時間をおき、他の投稿者の迷惑にならないようにして下さい。
64 :
亜出流もどき:2010/07/10(土) 00:48:49 ID:mPSX6Qt6O
すいません、ご指定ありがとうございます。
区切るところ間違えました。
投下はやめます。
ご迷惑おかけしてすみませんでした。
>>41 GJ!!!
6には是非とも頑張って頂きたい(性的な意味で)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「かったり〜んだよ、毎日毎日・・・」
そんなことをボヤきながら、俺は人工太陽塔のてっぺんに座っている。
ここ最近、俺は時々教習所を抜け出して、ここでボーっとしていることがよくある。大抵、後で親父か教官に見つかって大目玉をくらうのがおちだ。
「零」
「・・・あんたか」
声の主は分かっているので、俺は振り返らず、溜息をつきながら返事をした。
「常習だな、また抜け出してきたんだろ、全く・・・もう強くなりたくないのか」
「あんたに何が分かる。大体あの時、俺が来なかったら、あんたらは親父もろとも死んでたんだぞ。俺はもう充分強いんだ」
「親を超えたいとは思わないのか」
「何・・・?」
「獅子兄さんが言ってたぞ。あの後、七兄さんの過去の戦いのことを色々君に聞かれた、ってさ。頑張るって言いながら、ちょっと複雑そうだったらしいけど」
「・・・俺、もういいんだ」
「零・・・?」
「あの人の話を聞いて思ったんだ。これから先、どれだけ鍛えても、親父は越えられないって。第一、国の掟を破った俺に、もう誰も期待なんかかけちゃくれねえんだ。親父の顔に泥を塗った親不孝者の若造に・・・」
「本当にそう思うか」
「七兄さん・・・」
いつの間にか、目の前に親父がいた。
「何故諦める必要があるんだ。あれだけの怪獣の群れをたった1人で片付けたお前が・・・」
「俺だって、本当は諦めたくなかったよ。『罪人あがりで親の七光り』とか言われてる俺を見て、親父がどんだけ辛いかぐらい分かる。でも・・・」
「俺がお前にとって越えられない壁なら、その男の血が自分にも流れていると考えろ。それに、俺や太朗や∞にしろ、最初はお前と同じ、新米連中の1人だったんだ。・・・分かるだろう、お前にも可能性はあるんだ」
「・・・親父、俺、教官に謝ってくる。目が覚めたよ。絶対に親父より強くなってやるんだ」
「それでこそ俺の子だ、行ってこい」
親父、待っててくれよ。
もう二度と、辛い思いさせないようにしてやるから。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
DVDを手に入れてから抱擁シーンリピが止まりませんどうしてくれる
グダグダの上に当て字使い過ぎですが後悔はしていない
お目汚し失礼致しました
>>20 紅愚痴本命なのでおいしくいただきました!ご馳走ウマー
出向先でも中二病三歳児炸裂の将軍様さすがです
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
某朝銅鑼の編集者とその同僚。勢いで1レス。
70 :
決戦当日:2010/07/11(日) 00:27:55 ID:ke3k0ftyO
「あれ?今からですか。」
そう鍛冶谷が声をかけた時、振り返った豊河の姿は完全に戦闘態勢に入っていた。
ビシリと締めたネクタイ。ノリのきいたシャツ。手には前日から吟味を重ねた
手土産が持たれ、ただ背広を脱いでいるのはさすがに今日の蒸し暑さでは仕方がない。
それでもそんな暑さを返り討ちにするかのような気力に満ちた顔で、豊河は頷きを返してきた。
「ああ、行ってくる。」
「おおっと、気合い入ってますね〜。」
「当たり前だ。今度こそ必ず受けてもらう。」
きっぱりと言い放つ言葉が指し示しているのは、彼が目をつけた漫画家への依頼の事だった。
数ヶ月前、大手出版社の編集だった彼の依頼が、まだ無名のカシ本漫画家に断られた。
客観的に見ればありえない、ついでに言うなら無謀で無礼に近いその状況に、しかし彼は
面子を潰されたと怒るどころか、俄然その闘志をわかせた。
前は条件をつけたから断られた。ならば今度は出来うる限り相手の意向に沿うように。
そうまでして執着するその根拠は、
「ザラッとしてるからか。」
その編集者としての鋭い嗅覚で、ヒット作を連発させる豊河のその独特な感性表現の言い回しを
鍛冶谷が口にすれば、それに豊河はそのどちらかというと細く黒目がちな目を不敵に輝かせた。
「ああ、ザラッとしてるからだ。」
完全に臨戦態勢。自信と希望と熱意に溢れたこんな目をした彼がこれまで失敗したところを
自分は見た事がない。だから、
「健闘をお祈りしております。上手く行ったら今夜は祝杯あげましょう。」
そんな誘いをさりげなく口にすれば、それに豊河は特に何か引っかかった様子もなく、
ああとだけ答え、そのまま力強く編集部を出ていった。
細身だけれどエネルギッシュな、そんな先輩同僚の後ろ姿に鍛冶谷は感心と憧憬と尊敬の念を込めた
まなざしを送る。そして、
「いやぁ、ああいうの見せられるとザラッというよりゾクッとくるわ。」
そんな軽口を一人叩きながら、鍛冶谷もその日の仕事に取りかかる為、自分の机に向かっていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
来週からますます楽しみだ。
>>71 GJ!
あの2人を見てザラつきまくってた所にいいもん見れたー
できればまたよろしく。
73 :
類友 1/4:2010/07/11(日) 01:51:33 ID:uWeTUhSIO
生 北の…くるくると犬。若かりし二人を、突発的に。
くるくる×犬前提のギャグです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ちょいとあァたに見せたいものがあんの。
尾々泉が生真面目そうな顔を作って、
それっぽく言葉を紡ぐ時、大概ろくなもんじゃない。
頭くるくるのガチャピンが法螺吹き男だということは身に染みてわかってる、
今こいつは絶対ろくでもないことを考えてる。
「だからさ犬ちゃん、今夜はね、俺を泊めてちょうだいね?」
「やだね」
「やめてよ即答ってちょっと。とーめーて!」
こいつがこうやって、人目も憚らずに夜泊めてくれなんて誘いを仕掛けてくるっていうと、もう絶対絶対ろくなことない。
周りが見えてないんだ。
もう駄目だ。こいつ浮ついてんだ。
そんな浮かれた尾々泉の言う見せたいもんなんて、見ないに越したことないに決まってる。
「やだね」
俺はまた即座にそう返して、距離を置こうと音尾の傍まで寄ろうとした。
ここは楽屋だ。
普通にスタッフだ何だと来るときゃくるんだ、浮ついちゃって馬鹿でねえのか。
そんな迂闊に泊めてだの腰に抱きついてくるだの…、…抱きつくのは全員でやってっからいいし、泊まらしてってのもそりゃなくはないけど…、だけどだ、ダブルでやっちゃちょっと怪しいだろ、いくらなんでも。
馬鹿の音尾だってこいつらなんか気持ち悪ぃって思うよ。…思わないか。
確かにそれほど俺たちはよくべたべたしてる、五人でべたってる、けど。
74 :
類友 2/4:2010/07/11(日) 01:55:09 ID:uWeTUhSIO
「とーめーてよ犬ちゃ〜ん、おーねーがーい〜!」
子供の駄々みたいに表面可愛くしてるけど、全然!
怪しいもの。
怪しいもの、目が駄目。
絶対ろくでもない、もういやらしいったらない。
馬鹿の音尾だって気付くよ。
「尾々泉の野郎、今なまらいやらしいこと想像してるに違いねえ」
くらいには。やっぱ気付かないか、馬鹿だもんな。
どうあれそんな奴部屋に招き入れたいわけがない。
「いーやーだ!」
「犬ちゃぁ〜〜〜ん!!」
「うるさいぞお前達ぃーーー!!!」
蛙よろしく飛びついてきた尾々泉の頭を容赦なく叩きながら、
必死で抱きついてこようとするのを引き剥がすのに息を上げる。
さすがに見苦しかったんだろう、藻莉の激昂にその場は無理やり丸め込まれて、
話は決着を見せないまま、番組収録突入と相成ってしまった。
収録終了後、にこにこした尾々泉は、もう絶対俺の傍から離れようとはしなかった。
「生霊か!」市外が突っ込んでも、
「暑苦しいねえ…」御戸尾が苦笑しても、
「犬ちゃん帰ろー!」にこにこの頭がくるくるの馬鹿は決して離れなかった。
こうなると、どうにもならないって、身をもってわかっちゃってる自分が最高に嫌だ。
75 :
類友 3/4:2010/07/11(日) 01:57:16 ID:uWeTUhSIO
なんだかんだ俺って奴は可愛いんだ。
酒買って帰ぇるべって言われると少し心が緩んじゃうんだ。
出前取ろうかなんて言われて、あれいやらしいことねえのかって、油断しちゃうんだ。
なんだい二人でまったりしたかったのかい、なんて。
ケチの尾々泉が特上の寿司を出前で取ってくれた。食べてしまった。
↓
特上の中でも涎の滴る大トロや蟹を俺は勧められるまま遠慮なく食ってしまった。
↓
おなかいっぱいで満足で、思考が鈍くなっている。
これはなんかおかしいかもしれないと、視線を転じる。
ミニ卓袱台よりも更にしょぼい折り畳み式の簡易テーブルを
挟んで対面していた尾々泉が、満面の笑みをたたえていた。
ああ…罠かやっぱり、寿司は罠か。
「あのね、今日さ、見てもらいたいってのはね、これなの」
「ああ…」
その手に握られていたのは、可愛らしい色をしたコケシ。
真っ黒い紙袋から取り出された分、女子も大好きですかー、なショッキングピンクが眩しい。
可愛い色で大人気、とかいうんだろどうせ。
そのコケシはどうせ動くんだろ。電池式なんだろ。
うるせえんだよどうせ、どんなに静かなんですよって
謳い文句垂れたってこの手のもんはまあ五月蝿い。
以前に先端がコケシ面って時点で甚だしく萎えるんだよこのくるくる!
けれども悲しいかな、酔いと満腹で舌が回っちゃくれない。
76 :
類友 4/4:2010/07/11(日) 01:58:49 ID:uWeTUhSIO
「ああ…」
「これね、これさ、こまいし、可愛らしいでしょ、どうかと思ってこれ、尾々泉さんお勧め」
「馬ッ鹿じゃないの」
「でも犬さん動けないでしょ」
「…」
「ね〜、動けないものあなた、ざーんねーん!」
ああ本当に、馬鹿なんだな。
類友ってこれだよな。馬鹿には馬鹿しか寄ってこねえんだよ。
何でコレを好きになんてなっちゃったんだろう。
もう最近ウジムシ!とかゴキブリ!とか心の内で叫ぶんですけど。
それもまあ頻繁に。
「羊ちゃん一ヶ月前から準備してたんだよ」
照れ笑いしながらコケシに乾電池を装備してゆく、くるくる馬鹿。
一ヶ月ってなんだ。
あまりに馬鹿すぎて不覚にも、ちょっともう許せるモードに入ってきてしまって。
俺は今日何度こいつを馬鹿だと心の中で罵ったかしらと考えたら、
今までのこいつの馬鹿エピソードがこうぐんぐんと思い出されて…
やっぱりこりゃ許せんなと怒りを新たにした。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
77 :
風町犬 1/3:2010/07/11(日) 04:13:39 ID:Pethiidn0
ナマ注意
某国風の町の犬、山×花。
ちょっと前のインタビューネタ。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「お前さあ」
何度目かの取材を受けた後、帰りの車の中で、隣に座った相手をにらむ。
「え〜、何?」
とぼけた調子で言われて一瞬毒気を抜かれそうになるが、今日こそははっきり言ってやらないと気が済まない。
「毎回毎回、俺の事変態扱いするなよ。お前の方がよっぽど変…」
「悪い悪い、今日はこれから奢るからさ」
言葉を途中で遮られる。この言い方からして、絶対に悪いとは思ってないだろ。
そう思いながらもそのまま近くの店に連れて行かれて、飲んでいるうちに結局うやむやになっている。
このパターンになると、いつも完全に相手ペースになってしまう。
酒好きなところを、うまい事利用されてしまっているのだろう。
今日こそはどうにかしようと、ほどほどで切り上げる。
「珍しいね」とからかうように言ってくるのを聞き流して、自宅に誘った。
向こうの家に乗り込んで、というのも有りだけど、少しでもこちらに有利な状態にしたかったからだ。
78 :
風町犬 2/3:2010/07/11(日) 04:15:45 ID:Pethiidn0
「で、さっきの話やけど」
家に着いて早々に切り出す。
「えー、どうしても言う気かよ」
飲ませてごまかしたつもりだったのか。
「いつも取材の度に俺の事変態にするのやめてくれよ。大体俺らの中ではお前が一番変態やろ」
今度は遮られる事の無いように一息に言う。半ば叫ぶように言って相手をにらむが、全く堪えたようには見えない。
「そらまあ、俺も男やからな」
今度は開き直られる。こいつには何をどう言っても無駄なのか。
ちょっとげんなりした所に、突然迫られる。何事かと思っていると、手を伸ばして腰の辺りに触れてきた。
「おい、ちょっとやめろよ」
思わず立ち上がる。
「いや、俺、変態やからー」
妙に楽しそうだ。 表情からは冗談のつもりなのか、本気なのかは判断がつかない。
酔ってるのか?いや、こいつ全然飲んでなかったよな、そんな事を考えている間に、今度はしっかりと腕の中に囚われてしまった。
「やめろって、本当にっ」
本気でやっているのだとしたらやっぱり、こいつが一番の変態だな。
パニックになって逃れようと抵抗しながら、その一方で妙に冷静にそんな事を考えてしまう。
そうこうしているうちに、相手の手が一気に下着の中へと侵入してくる。
「あっ、やめっ…」
自身を握り込まれ、刺激されて両足から力が抜けかける。
なんとか立て直そうとするが、絶え間無く与え続けられる刺激の前には無駄な努力だった。
既に自分の足で立つというより、背中に回された腕に寄りかかっている状態だ。
「やだ…、もう…」
いくらも時間が経たないのに、限界が近い事を感じる。
79 :
風町犬 3/3:2010/07/11(日) 04:17:46 ID:Pethiidn0
と、不意に続いていた刺激が止んだ。
その手はまだ自身に触れてはいるが、一切の動きを止めていた。
「さすがに、男にイかされるのは嫌やろ?」
わざとらしいほどの笑顔でそう言われる。
確かにそれは嫌だった。だから、止めてくれた事はありがたいはずだったのだが。
しかし、こうなってしまっては、それは苦痛でしかない。
耐えかねて、縋るように相手の服を掴む。
「頼むから…、イかせて…」
消え入りそうな声ではあったが、確かに耳に届いたようだ。
さっきの笑顔のまま、再びその手が動きだす。
「はぁっ、あ…」
手の動きに合わせるように声が漏れる。服を掴んだままの手を、更に強く握り締めた。
「ガマンしなくていいよ、イっちゃいなよ」
耳元で息を吹き込むようにして囁かれる。
既に十分高められていた身体はそれで耐え切れなくなり、そのまま手の中に精を吐き出した。
完全に力が抜け、自力では立つ事すら出来なくなった体を優しく横たえられる。
余韻と酒のせいか、意識がぼんやりしてきた。
「男に向かって『イかせてくれ』なんて、やっぱりお前十分に変態だよ」
そんな言葉を聞いた気がしたが、言い返す前に、全ての感覚は暗転していた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
80 :
絶望の夜1/4:2010/07/11(日) 17:28:46 ID:KCz/NShpO
ドラマ紅将軍
例の夜を。役人白取り×将軍早見で無理矢理かも…かなり人の道を踏み外してます…ごめんなさい
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
躯の奥深くで暴れる熱に全てを持って行かれ何も考えられなくなる。腰をがっしりと掴まれ全身を押し付けられその熱から逃れることも叶わない。
それでももう限界だと訴えたくて大きく開かされた震える脚の間にいる男を睨みつけた。
男もどうやら限界は近いようで形のよい眉を寄せ荒い息を吐いている。こんな時まで男らしく精悍な顔つきに変わりはなくなんだか憎らしくなった。
「しら…とり…っもうや…ぁっ」激しい突き上げに最後まで言葉にならなかった。もう随分と長い時間男の欲望を受け入れさせられていた。
81 :
絶望の夜2/4:2010/07/11(日) 17:31:51 ID:KCz/NShpO
いや、欲望というよりやるせなさや絶望感といった方が正しいのだろう。 そう…俺達は今日、いやもう昨日か、人を死なせた。研修医でありながら緊急搬送の患者を受け入れ、挙げ句救うことが出来なかった…
その現実が若い俺達を打ちのめした。そして見た目よりもずっと情に厚いこの男を深く傷付けた。その現実が若い俺達を打ちのめした。そして見た目よりもずっと情に厚いこの男を深く傷付けた。
そんな最悪な絶望の夜を明け疲弊しきった身体があまりに寒くて、恐ろしくて人の確かなぬくもりを求めてこの男にすがりついたのは俺。
自分でも何を何をしたかったのかよく分からない。しかし次の瞬間白取りは俺を床に押し付け裂くような勢いで衣服を脱がせ抵抗を押さえ込み、強引に身体を繋げた。
82 :
絶望の夜3/4:2010/07/11(日) 17:33:45 ID:KCz/NShpO
はじめての受け入れさせられる痛みと親友の突然の暴挙に茫然としながらもそれでも最後まで抗えなかったのは…俺もこの男を求めていたからなのか…身を苛む激しい熱に浮かされながらそんなことをただぼんやりと考えていた。
そして躯の奥深くに叩きつけられたもう何度目か分からない熱を感じながら俺は意識を手放した…
なんか変な切り方してすみません!一応両思いのはずなんですが…なんでこんなことに…
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )VV杯で某選手の素敵凶悪スマイルを見たから、 今日はドS記念日。オリジナルドS攻め×おばか受け
「おーい!ちょっといいかー?」
ボールを体育倉庫に片付けると、遠くから先輩が俺のを呼んだ。俺はすぐにダッシュで先輩のとこに走ってった。
「お疲れ様っス!」
「ああ、お疲れ。」
先輩はもう着替えて帰るだけって格好だ。
先輩は背が高くて、シュッとした雰囲気の人でカッコイイ。
一応焼けてはいるけど、ユニフォームやジャージを着てないとサッカー部ってわかんないような人だ。
なんていうか、爽やかな感じで、スゲーデキる感じで、体育会系らしくない優等生って印象がある。
ただサッカーはめちゃくちゃ上手いし、頭もすっげーいいし、それにめっちゃ優しいからから、
俺は先輩をマジで尊敬してる。
「お前明日なんか予定あるか?」
「えっと…週末はグラウンド整備で練習ないんスよね?それなら別に何にもないと思いますけど…」
「じゃあ明日付き合ってくれないか?奢るからさ。」
先輩はいつも通りの爽やかスマイルで言った。
俺は先輩のこのスマイルに弱いから、断れるわけない。
「わかりました!じゃあ場所とか時間とか教えてくださいっ!」
俺がそう答えると、先輩はらしくなくニヤッと笑った気がした。
まあそれは一瞬で、俺は気のせいかなって思った。
「ありがとな。詳しくはまたメールするよ。じゃあ、明日よろしく。」
先輩はそう俺の肩を叩いた。
先輩はまたニヤッて笑った気がしたけど、俺はやっぱり全然気にしなかった。
俺はてっきりなんか服とか靴とかの買い物に付き合うのかなって思ってた。
奢ってもらうのも、マックとかミスドとか、そーゆーとこかと思ってた。
けど呼び出されたのはもう夜で、集合場所の駅前に来た先輩は買い物なんてしないで、
真っ直ぐ裏路地の方に俺を連れてった。
先輩はいつもはかけないような眼鏡をかけていて、ドラマの中のタレントが
着てるみたいな服を着ていて全然イメージが違う。
連れてかれた店も、ドリンクだけでマックのセットがいくつも買えそうな値段の、
明らか大人向けの店で、俺は全然場違いってオーラ出まくりだった。
暗い店の中、先輩は慣れた感じで隅っこのテーブルに座って、俺も慌てて先輩と
同じテーブルに座る。
で、とりあえずコーラを頼むと、先輩は
「あれ、酒じゃなくていいの?」
と笑った。
俺は頭がくらくらするくらい首を縦に振る。
そしたらまた先輩は笑っていくつか注文を済ますと俺を真っ直ぐ見た。
「腹減ったろ?適当に頼んだから、ガッツリ食べていいよ。」
「えっ…あ、はいっ……つゆーか先輩、えと、その…」
「?ああ、眼鏡か?いつもはコンタクトなんだよ。邪魔だろ?練習とかじゃ。
けど本当はドライアイ気味だし、休みは眼鏡してるんだよ。」
「そ、そーじゃなくて……こ、この店とかっ…あの……」
「気にするなよ、奢るって言ったろ。」
「ち、ちが…!な、なんでその、俺達こんな店来て…せ、生活指導とかっ、バレたら…!」
「大丈夫だよ。ジャンクフード屋じゃ部活の連中に会うかもしれないし、安めの
店なら先生達もいるけど、ここじゃ見かけたことないから。」
先輩の口から出る言葉はいちいち俺の頭をくらくらさせる。
なんか違う。
いつもの先輩じゃない。
優しい、爽やか、優等生。
そんなイメージは全然なくて、今の先輩は静かだけどどことなく凄味がある。
「それにさ。」
気付くと先輩は身を乗り出して、ちょっとこっちに近付いていた。
「やっと二人になれたのに、邪魔されたくないし。こういう所ならお前も逃げられないだろ?」
逃げる?俺が?先輩が何いってるかわからない。
てか本当に先輩はどうしちゃったんだ。
俺はなんか先輩が怒るようなことしたんだろうか?
先輩は嬉しそうにニコニコするだけだ。
「なあ、お前俺好きだよな?」
先輩の言葉に俺は一回だけ大きく頷いた。
「そうだよな。俺、最初それがめっちゃウザかったんだ。」
ウザい。その一言はザックリ俺の胸を抉った。
なんで先輩はそんなこと言うんだろう。
だって先輩はスッゴク優しくて、本当、笑顔とかマジでキラキラしてて。
それが俺ホント尊敬してて、ホントホント大好きで。それなのにウザいだなんて。
ヤバい、俺泣きそうだ。
「そういうアホみたいに真に受けるとこも、大っ嫌いだった。イライラするんだよ。
犬みたいに馬鹿面してさ。まとわりついてくるの。今までの人生で無かったくらい
最悪だった。」
眼ぇいたい。鼻水出そう。涙が抑えきれない。かっこわりいな、俺。
もう先輩の言葉聞きたくない。
先輩の顔見れない。
「だからさ、決めたんだよ。俺。お前のことちゃんと躾直してやるって。」
え?
聞き慣れない言葉に真顔で先輩を見返した。
先輩は凄く楽しそうにこっちを見てる。
今確か、先輩はしつけなおすって言った。
それってどういう意味なんだ?
「俺の言うことなんでも聞くように、ちゃんと立場を弁えられるように。徹底的に
教え込んでやる。一生逆らえないようにしてやるよ。」
頭真っ白になって、ボケッとしてる間にきれいな女の人がドリンクを持ってきてくれた。
先輩はそれを愛想よく受け取ってる。
「ホテルはとってある。道具も薬も用意してあるし、日曜は休みだ。たっぷり
仕込んでやるよ。」
そう先輩が言い終わる前に口に冷たいものが押し当てられた。
見たらキンキンに冷えたグラスが唇にグッて押しつけられてる。
中に入ってるのはコーラのはずなのに、それからはちょっとツンとした匂いがした。
「注文変えたんだ。キューバリバーだよ。」
先輩はやっぱりニコニコ楽しそうで。
「飲めよ。」
もう俺は体がすくんで動けなかった。
けど先輩に逆らっちゃいけない気がして、グラスを受け取るとちょっとだけ中身を飲んだ。
「そう、イイコだ。」
甘い筈のコーラは、ちょっとだけ苦かった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )名も知らぬ鬼畜スマイルの選手からの妄想ですた。鬼畜モエー
ドSイイヨイイヨー
この後、薬やら道具やらで調教されてしまう後輩萌え
今夜は眠れないかもw
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
タイガードラマ 三條→武智をベースにした明治に入ってからの三條とO殿話。
内容がO殿に厳しめかもしれないので、O殿スキーな方は事前避けをお願いします。
特に関係なく読めますが、少しだけ前々スレ
>>338と話が重なっています。
対王荘と呼ばれるその風雅な別荘は、隅田川沿いの閑静な地にあった。
寝室の戸を開け放って臨む庭園には明るい陽光が差し込み、軽やかに鳥の鳴く声が聞こえる。
それを寝具の上に身を起こし眺めやっていた三條の耳に、その時来訪者を告げる家令の声が届いた。
「いやぁ、お加減はいかがですろうか。」
入室の許可を口にする前に部屋に踏みこんできた男。
傍若無人とも豪放磊落とも取れる態度を取るその相手に、三條はこの時薄く苦笑を零す。
そして、
「よういらっしゃいました。山宇知殿。」
迎え入れたその名の持ち主は、かつての土イ左藩主、山宇知容道その人であった。
三條が皇城で倒れたのは、都を江戸から名を改めた東京へと移したその年の秋の事だった。
戊辰の頃から観察使として早く関東に赴いていた身ではあったが、帝の居を移す遷都には
頑強に異を唱え、しかしそれも適わぬとなった時には京の御所廃止案の撤廃に尽力した。
そんな板挟みによる疲れが心身共に出たのだろう。
少し休養を取るよう命じられ身を寄せたこの地に、見舞いとはいえ人が訪れるのは稀な事だった。
「今日はいかがされましたか、山宇知殿。」
声色静かに聞く。そんな三條の枕元近くへ容道はこの時、遠慮のない仕草で腰を下ろしてきた。
「いや、近々この辺りにわしも別荘を建てようかと思うちょりましてな。その下見がてら
足を運んだところ、そう言えばこちらに三條殿がいらしている事を思い出しまして。」
「ようはついでと言う事ですか。」
「いやいや、これは手厳しい。」
年の差はかなりあれど、家同士は縁戚の関係にあるこの年輩の男に視線を向けぬまま、
三條は彼の身の現状を思い起こす。
山宇知容堂。
隠居の身でありながら事実上土イ左一国の実権を握り、新政府設立においても少なからぬ影響を
もたらしたこの男は、しかし昨今その要職をすべて辞し、今は悠々自適の身を満喫していると言う。
数多の妾。身代を潰しかねないとまで噂される酒楼での豪遊。
一見派手なその暮らしぶりは、しかし口さがない者達に言わせれば、内心に鬱屈たる思いを
抱えているその裏返しであろうと揶揄されている
そしてそれを実際にそうなのだろうと三條も思う。
幕府を倒し、新しき国を作る為動き出した新政府内に置いて、その実権を握っているのは
札魔、徴収の二大雄藩出身の者達だった。
同じく功労があったとされる土イ左、火後は後手に回り、その後塵を拝している。
しかしそれも仕方があるまいと三條はどこか冷めた視点で見る。
あの何もかもが混沌とし、ただ一歩の先さえ何が起こるか分からなかった時代の渦中に
自分もかつてはこの身を投じていた。
だからなのか。その際交わった者達と今の者達では何かが違うと肌で感じる違和感がある。
もちろん生き長らえた者達はいる。それでも、
徴収は死にすぎた。そして土イ左は……死に絶えた……
思った瞬間、脳裏によぎった面影に三條は片手で目の上を覆う。
その耳に驚いたような容道の声が届いた。
「どうされた?」
どうされた、か。いや、むしろ自分は何をしている、だろう。
人の事をとやかくは言えまい。生き伸びて変節してしまったと言うのならば、それはきっと
自分も同じだ。
だからこそ痛感する。
「貴方の顔を見たら…思い出してしもうた事がありまして…」
「わしの顔を?」
問い返され、伏せた顔の下に浮かぶのは冷笑。だから自嘲にも似た響きで告げる。
「ええ、昔の事です。昔の…恋の…」
ぽつりと告げる。その声に滲むのは甘さなど欠片もない、ただひたすらの悔恨の情だった。
寝具から抜け出し、立ち上がる。
そして庭の方へと足を向ける三條の背をこの時容道は追う事なく、ただ視線をあててきた。
それを受け止めながら三條は踏み出た廊下の上から口を開く。
「昔と言ってもそう遠くはない。それでももう遥か彼方の事のようにも思えるそんな頃に、
一つの恋をしました。」
告げた言葉に、ほう、貴殿がと言う声が飛ぶ。しかしそれにも三條が後ろを振り返る事は無かった。
「身分の高い者ではありませんでした。しかし才には溢れ、それが自分自身を追い詰めるような、
そんな不器用な生き方しか出来ぬ者でした。そんな相手に私は初め方を間違うてしまった。
摘み、手元で飾り立て愛でてやりたいと思うのは私の独り善がりで、その実は戯れに
手折ってはならぬ野の花でした。」
「お家の侍女か何かでしたか?」
「さて……なんにしても、手折ってしまった後も、どこまでも育った土に帰りたがった者でした。
そしてそれを私はとうとう止める事が出来なかった。」
「それで、どう?」
「死にました。一度離れた土に拒まれ、それでも自らの意思でその場に留まり、最後には
枯れました。」
「それは…」
「知らせを聞いた時は後悔しました。やはり止めておけばよかったと。力尽くででも
手元に置いておけば、あのような無惨な事にはならなかったかもしれぬとも。あの後すぐ
私は都落ちをして力を失うてしまいましたが、それでも彼の者一人くらいならばなんとでも……」
声に痛ましげな響きが滲む。
一度言葉を止め、息を噛み、しかし三條は尚、語る事を止めなかった。
「しかしそう思いながらもわかってはいるのです。例え時間が巻き戻せようとも、あの者はけして
私については来なかっただろうと。」
きっぱりと言い切る、その語調に背後から容道の声が届く。
「何故そのように思われる?」
それはある意味、残酷な問いだった。しかしそれにも三條は退かなかった。
「想う者がおったようです。切れぬ縁もあるようでした。世の事柄のすべてに雁字搦めにされ
己が心一つ自由に出来ない身のようでした。そしてその果てに想うた相手に裏切られた。
愚かです。そして……憐れでした。」
すっと上げる視線の先。
そこには明るい光が満ちていた。
こんな光を、あれは見た事があったのだろうか。思えば切なさと共に、黒く沸き立つ感情が
胸に込み上げる。
だから目を伏せ、三條はこの時白い病床の着物に包まれた己の腕を見た。
「人の心はままならぬ。それでも憎うなりましたな。それほど心を寄せられながら、あの者を
踏みにじり、散らした男が。非力な身ゆえ、武家の仇打ちのような事など真似事にも出来ませぬが、
それでもその相手を夢の中で何度呪い、恨んだ事か。」
強い思想に捕らわれた事はあっても、生来穏やかな気質をもった公家出身の男が放つその物騒な
言葉に、背後でこの時はっと呑まれる息があった。そして、
「…まるで、その相手の事を詳しゅう知っちゅうようですな…」
ボソリと零された呟き。それに三條は前を向いたまま、その口の端を皮肉げに引き上げていた。
「新しき世になって、異国からは文明とやらが持ち込まれ、我らが守り伝えてきた伝統は
白日のもとに晒され徐々にその力を失っている。こうなれば、顔や名がわかっていてもなかなか
呪い殺せぬものですなぁ。」
いっそ明るく朗らかに、告げる言葉にはどこか孕む狂気があった。
「どれだけ恨んでも呪っても、一向に変わらぬ理不尽な現実に、終いにはあれに止められている気に
なりました。だからこの感情は抑え込む事にした。しかし駄目ですね。身が弱ると心の箍も緩むようだ。」
おかしげな笑い声が咽喉の奥でクツクツと鳴る。
そんな三條にこの時、微かに強張ったような容道の声が届いた。
「ならば、これからどうされるおつもりか?」
それに三條は尚も笑む事を止めない。
「どうする?どうしようもないでしょう。普段は忘れるのです。その時々目に映るものに
笑い、怒り、諦め、そうやって日々を過ごしながらそれでも、時折何かをきっかけに思い出した時
胸の奥深くでただこう念じるのです。」
「………………」
「『八つ裂きにしてやりたい』と。」
すとんと告げた、その言葉に背後で沈黙が落ちた。
重く、昏い。しかしそれを知りながら、三條はこの時最後の言葉を紡ぐのを止めなかった。
「私はきっと死ぬまでこんな事を繰り返すのでしょう。人を呪わば穴二つ。それでもこのような仄暗い
非道に心を染めていれば、私はいつか愚かだったあの者と同じ場所に行けるやもしれぬ。もっとも、
そうした私を、あれが受け入れてくれるかどうかはわかりませんが。」
それは詩でもそらんじるように。そして、背後の沈黙に倣うように、三條は押し黙った。
以後、もう何一つ声を発する事は無い。
光の満ちる部屋に張り詰める静寂。
その圧迫感に、先に耐えられなくなったのは背後の容道のようだった。
耳に届いた辞去の言葉。心なしか声が震えている。しかしそれにもとうとう三條が振り返る事は無かった。
無礼も非礼も承知の上。
それでもこの時、貫き通したい愚かな意地があった。
退出してゆく足音を聞く。そして再び訪れた静寂。
その中で、三條はこの時ようやくその場に身を落とす。
廊下に面した部屋の柱に背を預け、座り込むその根元。
ゆるりと顔をあげれば、そこには髪を揺らす風があった。そして、
にゃあ―――
不意に耳に届いた澄んだ鳴き声。思わずそれが聞こえた方角へ顔を傾ければ、そこには渡る廊下の上、
座り込む三條をまっすぐに見つめてくる一匹の猫がいた。
この館で飼っているものではない。ならば迷い猫か。
そう思った瞬間、三條の脳裏に蘇る光景があった。
あれは京の夜だった。
笛を吹く自分の指を止めさせた猫の声。
月明かりを受けて輝くその毛並みは、白にも黒にもなれぬ灰色に見え。
それは謀らずしも彼の者の存在そのものを思い起こさせた。
だから、
「おいで。」
あの時もそう呼んだ。
近づいてくるその身を膝の上に抱き上げれば、近くに見たその毛は真白いものだった。
それがこの時、妙に先程までの事を責められているようで、三條はくすぐったくも可笑しくなる。
「私を責めに来たのですか?」
ゆえに、優しく穏やかに問い掛ける。それに猫は鳴かなかった。その代わり、黒目がちな瞳を
まっすぐにこちらに向けてくる。
それを三條は笑いながら見つめ返し、そして―――告げた。
「だとしても、これくらいの八つ当たりは許しなさい……武智。」
外には光が満ちていた。
眩しいほどに暖かな、その光に包まれて撫でるその毛並み。
それはかつて抱いた記憶の中の背と同様、泣きたい程に柔らかなものだった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
こんなのを書いておいてなんですが、伝のO殿は好きです。夢見すぎな三條様は再び書けて楽しかった。
長く場所をお借りしてきましたが、武智ベース話は次でラストになります。
>>97 姐さんの細かい心理描写までキチンと描く文体が好きです。
これからもどんどん新作待ってますよ!
某芸人、幼なじみだけどコンビ休止中で
片方がピンでちょこっと活動中
いつごろかに書いたものが出てきたのでなんとなく投下
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
雨が降っている。夢うつつの中、耳は窓に叩きつける雨の音を聞いていた。
規則的な雨音を耳にしながら、まどろむのが気持ちいい。
ふと、単調な雨音に雑音が混じった気がして目を覚ますと、
ゆうちゃんが服を身につけているところだった。慌てて時計を見ると、まだ5時。
3時過ぎまで起きていたはずだから、まだ2時間ほどしか寝てない計算になる。
「ゆうちゃん、どうしたの?」
控えめに訪ねると、
「ん、稔。起こしたか? ごめんな」
優しい声が帰ってきた。
「んー、起きたのはいいんだけど。まだ早いじゃん。
どうしたのこんな時間に?」
「明日…… つか、もう今日だけど。朝早ぇえから」
それなら言ってくれればよかったのに。
朝早いなら、今日はもっと早く帰れば良かったじゃない。
「ごめんね」
小さな声で謝る。今日は帰ると言った裕ちゃんを半ばムリヤリ引き止めて
明け方までつき合わせたのは、他でもないこの俺だから。
朝早いって知ってたら、ムリに引き止めたりしなかった。
「いいよ、俺だって帰りたくなかったんだから」
シャツの袖のボタンを留めあぐねながらゆうちゃんが漏らす。
きれいな指してるくせに、不器用なところが可愛いなんて思ってしまう。
ぼんやりと見とれていて聞き逃しかけた台詞を反芻して、思い至った。
今、なんだか聞きなれない言葉を耳にした気がする。
「ねぇゆうちゃん、今『帰りたくなかった』って言った?」
大急ぎで聞き返す。
「言ったけど。悪ぃか?」
いつになく素直な反応。いつもなら憎まれ口の2つや3つ帰ってくるのに。
きっとゆうちゃんも頭が上手く働いてないんだね。全然眠ってないわけだし。
「悪くなんかねぇけど」
「『けど』なんだよ?」
言葉尻をとらえて聞き返される。何か気の聞いたこと言いたかったけど、
俺だって頭が回らない。
「うぅん、嬉しいなと思って」
結局素直に答えた。
「何が?」
袖のボタンを諦めて、パンツに手を伸ばすゆうちゃんは重ねて問う。
「こうしてゆうちゃんと一緒にいられることが…… だよ」
「お前さぁ、バッカじゃないの?」
いつも通りのひどい台詞が飛び出したことに安堵する。
こんな言葉を聞くのが嬉しいなんて、ホントにバカ。
起き上がって、ゆうちゃんのシャツのボタンを留めてやる。
いつも世話してもらってばかりの俺が、ゆうちゃんの世話してるなんて、
ちょっと不思議で面白い。
ある種、奥さんのように世話を焼きながら聞く。
「ねぇ、眠くない? 大丈夫?」
「眠いに決まってんだろ。ま、仕方ないけどさ」
ゆうちゃんはそう言うと、俺の方に唇を寄せ、
「『もっと』とか言われちまったから」
首筋を舐めあげてから、囁いた。
「んぅっ……」
思わず出てしまった声を手で押さえ込み、
「バカはゆうちゃんの方でしょ」
俺よりバカな相棒を睨みつける。
ニヤリと不適に笑った裕ちゃんは、
「ホントはまだ帰りたくない」
魅惑的な言葉を口にした。
「あっ、あの……、俺……」
慌ててしまって、しどろもどろになっている俺を見て、ゆっくり微笑んだ後、深く深く口付けた。
「ん…… っ」
角度を変えながら舌を追い、絡めあう。
「…っや」
酸素を求めて時折離れながらも、完全には離れることなく、唇を貪りあう。
「っは…… もうムリ」
そんな声と共に、ゆうちゃんの唇が離れていく。
名残惜しくなって、物欲しそうに顔を眺める。
「そんな顔すんなよ、これ以上続けたら帰れなくなるだろ」
優しく髪を撫でて、ゆうちゃんは背を向けて玄関へと向かう。
背中に向かって声を掛ける。
「雨がやむまでには帰ってきてくれる?」
「傘、借りてくぞ」
俺の質問には答えず、笑顔だけを残して出ていった。
ゆうちゃんのいなくなった部屋には、雨音だけが響いていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
またコンビで活動してくんないかな
ポ.ー.の.一.族 赤ワンピースエドガー×アラン
攻め(?)がワンピース着てるので苦手な人は注意 エロありガチュンなし
時間としては、「エディス」でエドガーが車を沈めて帰ってきたところから
SS書くの初めてなので、かなり見苦しいです…エディスが好きでない人にはキツイかも
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「エドガー?どうしたのさ そのかっこ?」
扉を開ける音、床に響く足音に気がついて、アランがベッドから上半身を起こした。
「すんだのさ 用事が」
緋色のワンピースの裾を搾りながら、エドガーが頬を弛める。
「ねえ……アラン」
エドガーがアランのベッドの方へ歩く。床に、濡れたハイヒールの足跡が付いた。
「なに」
アランのベッドがエドガーの重さを受け、ギッと音を立てる。
搾ったとはいえまだ水分の残るワンピースの生地が、シーツを湿らせた。
「きみは …エディスが 好き?」
エドガーが目を伏せる。前髪で顔が隠れたため、
アランにはエドガーの表情が分からなかった。
「好きだよ…」
アランが無邪気に答えると、その一瞬、エドガーの周りに流れる空気が引き攣り、
青ざめたような気がした。
「ぼくよりも?」
尋ねる声は低く掠れていた。
数秒後、エドガーがアランの上掛けを取り去り、
すばやくベッドの端に寄せると、彼の重さがアランに圧しかかる。
ベッドが再び軋み、純白のシーツに靴底の泥が付いた。
動いたときにめくれ上がったのだろうか、血のような色をしたワンピースの裾から覗く白い太ももが、
ひどく煽情的だった。
「そんなの わかん…ない」
次の言葉を待たずに、エドガーがアランの額から下へと、
またがった姿勢のままいつもより荒く長い口づけを落とす。
焦げ茶色の巻き毛がアランの頬を滑り、
ワンピースの生地がアランの寝間着を湿らせた。
エドガーはアランの寝間着のボタンに手をかけ、焦れた手つきで一つ一つ外しながら
その下にある雪白の肌に口づける。
ときに強く押し付けるように、ときには吸い上げるように。
一度鎖骨に口づけた後、エドガーの右手が、
寝間着の上からアランの中心を握り込む。
すでにそれは寝間着の布地を押し上げていた。
「…あっ…」
光を反射して煌めく薄緑色の瞳が、ぼんやりとエドガーを映した。
エドガーの右手が布地を撫ぜる。
「…んっ…ん…」
アランがびくりと跳ねて眉根を寄せ、長い睫毛が小刻みに震えた。
徐々に息を上げていくアランに、己の理性が削れていくのを自覚しながら
エドガーは手の動きに緩急を付けてゆっくりと穏やかにアランを追い詰めていく。
「…っ…あ…エドガー…」
己の名を呼び、きつく瞼を閉じた存在を視覚に捉え、
愛しさと支配欲と嫉妬とが入り交じったものに襲われたエドガーは、
ふいに目の前の愛しき存在を掻き乱したい衝動に駆られ、手の動きを強めた。
突拍子もなく強められた手に、白い首筋が仰け反る。
そして声がもっとも高くなった頃を見計らって、手の動きが緩められた。
弱まった刺激に、アランの足指がシーツを掴んで丸まる。
突然のことに順応しきれなかった肢体が数度震えた。
濃霧のような恍惚の中、ふと閉じていた目を開けると、熱に浮かされたような青い瞳が
互いの顔が互いの視界を占めてしまう距離で自分を映しているのに気付いて
アランはただその青さから逃れるように緩慢に目を逸らした。
そしてまた徐々に手の動きが強められ、アランの唇から漏れるエドガーの名が
単語としての音を成さなくなるほどにアランを苛んだかと思うと、再び手の動きが緩められた。
欲しくてたまらないのに与えられない――背筋を駆け上がる焦燥感に、
アランはシーツに後頭部を擦りつけた。
荒い息をつく薄紅色の唇が、わずかに開いた。
「…はあっ…もう…ゆ…るし…て」
アランは息が整わないままそれだけを言うと、唇をかたく結んでしまった。
「それなら ねえ…どうして欲しいの…?お言いよ…」
エドガーはアランの、薄紅に染まる耳朶に囁きかける。
やや悪趣味にも思える要求に、潤いを帯び、光の加減や角度によって
無限の色彩を見せる瞳が、わずかに歪められた。
形のよい、柔らかな唇が抗議の言葉を紡ぐ。
「そんなの…!わかってる くせに…」
いつだったか自分に十字架を手渡した時の、あのときのものに似た眼差しを向けられ、
エドガーは遠い過去に思いを馳せずにはいられなかった。
この薄緑色の瞳が何かを捉えるさまを、何かを探し求めて彷徨うさまを、
感情の移ろいを映し出すさまを、永きにわたって見つめ続けてきた。
あのときから伸びることのない、色素の薄い髪に頬をうずめる。
「ねえ…お言いよ…」
なめらかな頬をやや乱れた髪に擦りあわせ、エドガーがごく低い声で囁くと、
その衣服から、水の匂いと一緒に、幽かに彼女の匂いがした。
先程の言葉と同時にほんの少し強められた手に、色白の頬を紅潮させ、
いつのまにかアランは恥も外聞もなく喚いていた。
「…もっ…と……こ…すって…!」
細められた瞳から、溜まっていた涙が零れ落ちる。
思い出したように強められるエドガーの手に、アランの総身が震えた。
アランの唇から漏れる、鈴を揺すぶるような声の間隔が徐々に狭まる。
赤々と燃えあがるようなエドガーの唇が、酷烈な言葉を紡いだ。
「そうしてきみは……気を遣るの?エディスの服を 着たままの…ぼくの 手で?……ねえ…」
その言葉と同時に、エドガーの白い指が、引っかくような動きに変わる。
「ひっ……ああっ…あ…」
限界の近い意識の中で時折、彼女の衣服を身につけたエドガーの姿態が、
軽やかに動き、花のように笑う少女――エディスと重なった。
脳裏を掠める少女の姿から逃げるように、その濡れた瞳を閉じようとすると、
エドガーのしなやかな指がそれを制止した。
「…眼を閉じないで……ぼくの眼を見ていて」
エドガーが低く囁き、中指を目尻へ、頬へ、首筋へと滑らせると、
薄く開く唇に、触れるだけの口づけを落とした。
全身を仄かに染めてあえぐアランを見つめながらエドガーは、
追い打ちをかけるように右手に力を込める。
アランは腰の辺りから込み上げてくる感覚に、すべらかに流れる髪を左右に振りながら
行き場もなくさまよっていた手でシーツを掴んだ。
喉の奥で引き攣るような声を上げると、アランの四肢がこわばる。
寝間着に包まれた、白い内腿に力がこもった。
「…ああ…あっ…!」
身体中を駆け巡る感覚に、開かれたままだった瞼が震え、高音で掠れるアランの声が部屋に響く。
シーツに散らばり、光を受けて輝く淡い色の髪が、
持ち主の震えにあわせて揺らいだ。
ひとしきり跳ねると、その後に続くのは、間隔の短い不規則な息遣いばかりだった。
白い指でアランの乱れた髪を梳いてやり、色濃く恍惚の跡を残して染まる頬を
撫でていると、アランがシーツから手を離し、小さく身じろいだ。
「…くすぐったい……」
そう言って目を細めるアランの、はだけて皺の増えた寝間着のボタンを留めながら、
のぼりつめた後の身体に、エドガーが再び口づけを落とした。
「……疲れた?」
寝間着に包まれた両肩を剥きだしの腕で包み、頬を合わせ尋ねる。
寝間着と肌着を重ねた、その上からじっくりと蹂躙され、アランの身体は疲労していた。
アランは合わせていた頬を離し、肩口に顔をうずめ、布地に吸い込まれてしまいそうな声で答えた。
「……うん」
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
初めて棚に投下するけど、恥ずかしさが半端ないね…死にたくなるね…
このSSは801板の萩尾スレの
>>42から
>>58に触発されて書いてしまいました。
色々ごめん…
吸血鬼なのに頬が染まり、性的快感があるのは仕様です…ごめんね
>>106 ぎゃー死ぬ!!禿げる!!萌える!!!!!
ありがと。
>>80-
>>83 紅が気を失った後、または同じ時間軸での白視点の話もぜひ。
>>101 まさかこの二人の話を読めるとは・・・
嬉しかったです。
>>97 ねえさんありがとう
昨夜からの落ち込みから少し救われた・・・
姐さんの表現する参上様の優しさ、武智さんとの距離感が切なくって
いとおしくって身悶える
>>106 萌えたw
最近ポーにはまったんでSS読めて嬉しい
超人獅子兄弟人間体、弟×兄。7獅子7ニュアンス有(のつもり…)
明日虎人間体捏造してますのでダメな方注意してください…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「ふうっ…今日も疲れたなあ」早朝からのシフトであったMACでの勤務を終え、元はまだ明るい中を帰路に就いていた。
心身ともにクタクタであるが、しかし足どりは軽い。
なぜならこれから弟の明日虎が遊びに来ることになっているのだった。
自宅近くの雑木林でキョロキョロと所在無く待っていると上空に人影が見えた。
「獅子兄さん!」
明日虎は地球人サイズになり地面に降り立った。
「明日虎!よく来てくれたな!」
いつも兄のピンチや非常事態の時にしか会うことはなく、また今は、かつて故郷の星で暮らしていた時
のようにのんびりと一緒に過ごすことは許されない状況だ。
だからこそ、こうして平和な時間を一緒に分かち合えることが元にはたまらなく嬉しかった。
再会の抱擁を済ませ、自宅に向かおうとする兄を明日虎が呼び止める。
「兄さん、僕も地球人に変身しないと…こんなもんでどうかな?」
明日虎が一瞬のうちに姿を変える。
顔かたちは元に瓜二つ…だが健康的な元に比べて幾分か肌白く、どことなく憂いを帯びた印象の青年が
そこに立っていた…。
二人は銭湯に来ていた。勤務明けで汗だくだった元の希望だ。
まだ早い時間故に自分達以外誰もいない。
「やったー!一番湯だぞ明日虎!」
無邪気に歓声を上げる兄の姿を、明日虎は心からいとおしく思う。
(いつまでも、こうして二人一緒に過ごしていられればいいのに…)
「明日虎?」
いぶかしげに呼びかける兄の声で我に返る。
「ん、なんだい兄さん」
「ほら、背中流してやるよ」
もこもこの泡を弟の背中に擦りつけていた兄の手が一瞬止まった。
弟がふと振り返ると兄の目は弟の右太腿に釘付けになっていた。
そこには忌まわしい痕がある。過去の呪縛から抜け出そうと、仇を滅ぼそうと、
決して取り去れない足枷…人間体の状態では、白い肌にくっきりと浮かび上がる焼印となって残っているのだった。
「明日虎…本当にすまなかった…俺がふがいないばっかりに…」
故郷の悲劇も、その後の自分の境遇も決して獅子のせいではない。
明日虎は心優しい兄を思うと、真熊星人に捕まり暴虐の限りを尽くされたのが兄でなく
自分で本当によかったと安堵するのであった。
(僕は、兄さんに生かしてもらっているんだよ…)
「兄さん、僕はこの足枷を誇りに思っているんだよ。だから兄さんも気にしないで…
さあ、今度は僕が兄さんの背中を流すよ」
涙ぐんでいる兄の背中を押す。
久々の兄弟水入らずの時間。地球のこと、職場のこと、周りで助けてくれる人達のこと…元は
明日虎にいろんな話をした。
地球の習慣はまだまだ慣れないことも多いけれど、第二の故郷であるこの星の事を明日虎にも
知ってほしい。
明日虎はうんうんと聞いていたが、元がガールフレンド?の事と、同じ宇宙人で上司でもある男の事を
口に出すとなんだかもやもやとした思いが頭をもたげた。
今まで自分だけの兄であった獅子が、自分の知らない顔を他人に見せている…
そう思うともやもやした思いがどんどん大きくなり、ちょっと意地悪してやりたくなるのだった。
「…それでその時隊長がな、」「獅子兄さん」話を遮り泡だらけの背中から
獅子の腹に両手を廻し抱きしめる。
「…明日虎…?」
「…ねえ獅子兄さん、地球人同士ってさ、どうやって愛情表現するのかな?」
「…え…?」
「さっきガールフレンドがいるって言ってたじゃない。僕、地球人同士のことわからないんだ」
「…きっ、キスとか…地球の恋人同士はするらしいが…」
「ふうん。で、兄さんはしたことあるの?…まだ無いんだ…?」
元が真っ赤なのは浴室が暑いせいだけではないだろう。
そんな兄を横目で見て弟は構わず続ける。
「ねえ、獅子兄さん。キスの仕方教えてよ…」
「!?」
「兄さんもまだなんだったら、僕で練習すればいいじゃない」
半身をこちらに向けた兄の眼を真剣な面持で見つめながら誘うように肩に手をかける。
「兄弟なんだから普通の事だよ…ね、獅子兄さん…」
「あっ…明日虎っ…」
ガラララッ
突然浴室の引き戸が開いた。他の客が来たようだ。
その途端、明日虎は何事もなかったかのように泡を洗い流し、湯船に浸かりに行ってしまった。
慌てて獅子も追いかける。
隣で真っ赤な顔でくつろいでいる兄のことが、弟は可愛くて仕方ない。
(意地悪しちゃってごめんね)
(でも兄さんが誰のものにもなってなくて良かった…焦る顔も可愛かったし)
ちらりと横を見遣ると元と眼が合った。兄が屈託なく笑う。
(……獅子兄さん愛してる…どうかいつまでも僕だけのものでいて…)
胸に溢れる感情を抑えながら湯の中で揺らめく焼印に触れると、じんじんとそこが疼くのだった…。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
勢いのみで書いてしまいました。
「年下(双子だけど…)なことを利用して獅子に迫る明日虎」が書きたかっただけっす…。
お目汚しすみませんでした。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
タイガードラマ 和介→武智をベースにした明治以後の話。実在人物やオリキャラ、伊蔵、収次郎要素も少しながら
あるカオスっぷりなので、危険を感じられた方は事前避けをお願いします。
思ったより長くなってしまったので、途中で一度中断します。
「夏は暑うて食も細なるかもしれませんが、少し無理をしてでも食べて体力をつけてつかぁさい。」
枕元で諭すように告げられる言葉。それに和介はこの時、すみませんと小さな謝罪を口にしていた。
陽光照りつける南国の夏は暑い。
その中でもここ数日はうだるような熱気が漂い、倒れる者が後を絶たなかった。
そしてそれは和介も例外ではなく、朝、立ちくらみを覚えたのを最後に意識が途切れた。
そして再び目を覚ました時、眼前にいたのはこの若き村医者だった。
「この程度の事で情けない。武智様にこんな事で足を運ばせてしまうとは、」
「この程度という油断が一番危険ながです。無理をすれば人は倒れる。あとそれと、私の事を
様づけで呼ぶのはやめてもらえませんろうか。何度も言うてますが、こそばゆい。」
年は若いが物怖じせぬ物言い。そして、
「しかし、」
「それに、あなたにそう呼ばれると、私は私の事を言われている気がしなくなるがです。」
反論しかけた言葉にもきっぱりと明るい苦笑を向けてくる。
そんな相手に和介はこの時戸惑いながらも、はいと答えるしかなかった。ただ、
「とすればやはり呼び方は、武智先生で。」
おずおずと尋ねれば、それに彼は神妙な顔で頷いてくる。
「自分で言うとおこがましゅうはなりますが、まぁ様よりかは幾許か。」
その様は少しだけおかしかった。だから、
「しかし、それはそれで思い出してしまいますな。」
笑みを隠す様に口元に手をやりながらぽつりと呟く。その言葉にこの時、目の前の青年はえっ?と
視線を上げてきた。
だからそれを見つめ返しながら、和介は告げる。
「あなたのお義父上の事ですよ。」
それは懐かしくも切ない、今は遠い過去の記憶だった。
元号が明治に代わり早幾年。
世が急激に発展していく最中でも、まるで時が止まったかのように静かで穏やかな時間の流れる
この村に小さな診療所が開かれたのは、その年の春の事だった。
東京帰りのお医者様が、とありがたがられ、その腕の確かさからも瞬く間に村民達の尊敬の念を集めた
その青年医師の名は武智半汰と言い、その出自は、かつてこの国で名を馳せながらも非業の死を遂げた
土イ左僅王党盟主、武智半平汰の死後の養子であった。
世の成り立ちが変わる前、国内で吹き荒れた党弾圧の嵐の後も生き残った党員達の援助を受け、
医学の道に進んだ。
和介はそんな彼を支えた者の一人だった。
「誰もが義父の事を偉大だったと言います。」
近年その名誉を回復され、新政府から位階も授けられた。そんな義父の事を診療の道具を片づけながら
語る彼の言葉は、学問を東京で学んでいたせいか、土地の者達に比べ幾分か訛りが薄い。
それを横になったまま聞きながら、和介はこの時返事を返していた。
「ええ、その通りです。」
きっぱりと言い切る、その迷いの無い響きに彼は瞬間、くすりと笑ったようだった。
「あなたはいつもその調子だ。でも私はあなただけは他の者達と少し違うと思うちょります。」
「…わしだけですか?」
「あなたは昔、私に義父の事をこう言ったがです。『優しく、悲しい方だった』と。」
「……………」
「それを聞いて、私は少しほっとした。義父の人となりを初めて知れた気がして。だからそれ以来、
あなたから義父の話を聞く事が楽しみになった。」
静かに告げられる、その声色は低く穏やかなものだった。
血はまったく繋がっていないのだと言う。
それでもその落ち着いた響きはこの時、和介の記憶を呼び起こし、その胸に甘く苦い感情を抱かせた。
だから、
「楽しみなどと。私は武智様の最も華やかな頃を知らぬ身です。」
恐縮と寂寥をない交ぜにしたような声でそう告げれば、それにも彼はこの時、だからいいのですと
返してきた。そして、
「人の真の姿が見えるのは、心弱く追い詰められた時ですろう?」
彼は、言った。
「そんな頃の義父の一番近くに、あなたはいた。」
指し示してくる、それは己の過去だった。
「どんな事でもいい。また聞かせてつかぁさい、義父の事を。」
求められる、党員でもなければ一介の志士でもなかった自分が、あの人の一番近くにいられた訳。
それは、自分がかつて彼の人が繋がれた獄の番人であったからだった。
強い人だと思っていた。
この国では当時、犬猫同然の扱いしか受けなかった下司を束ね、藩政の実権を握り、上洛を推し進め、
果ては帝の使いとして江戸に上る栄誉まで賜った者達の盟主。
その華々しい活躍は国元にも届き、皆が憧れと尊敬の念でその名を胸に刻んでいた。
しかし時の流れは残酷なまでに急だった。
自分のような者に、難しいの政治の事情はわからない。それでも、何かをきっかけに代わった
世の流れは、やがてその人を捕らえ、獄へと繋ぐ事となった。
そこで日々執り行われた尋問。
それにもその人は当初屈する様子を見せなかった。
どこまでも毅然と顔を上げ続ける。
その様相が変わったのは、彼自身では無い、仲間の拷問の声を一人牢内から聞かされるようになってからだった。
あれは地獄だった。
姿は見えず、様子も分からず、ただ叫び声だけを聞かされる。
それが大きなものであれば、耳を塞ぎたくなる衝動にかられ、逆に聞こえなくなれば
その生死に対する不安を煽られる。
それを毎日毎日……その責め苦に彼の人は徐々に苛まれていった。
だが、それゆえの奇跡でもあったのだろう。
『今朝は、声が聞こえんのぅ……』
ある日、自分が食事を持って行った時にひそりと落とされた言葉。
それは明確に自分に対して与えられたものではなく、ただ独り言のように呟かれたものだった。
しかしそれに自分はもう耐えられなかった。だから、返す答え。
それに彼の人が驚いた様に視線を向けてくれば、胸の想いは止めようも無くその堰を切った。
『何か、お望みの事があったら言うてつかぁさい。わしが…っ』
あの日から、自分と彼の人の密かな交流は始まった。
強い人だった。しかし脆い人でもあった。
それはひとえに情の深さゆえだった。
事態は時が経つ程に苛酷さを極め、それが頂点に達したのはあの者が捕らえられ、京から
送り返されてきた時だった。
丘田伊蔵。
他の仲間達と比べ、一際幼さの残る容姿を持つ彼が拷問にかけられるようになってから、彼の人の
精神は目に見えて崩れていった。
牢内で制止の叫びを上げる。名を呼び、涙を流す。
それでもまるで同じ苦しみを分け与えられようとでもするかのように、彼の人はその捕らわれた牢内で
けして己の耳を塞ごうとはしなかった。
上げられるその悲鳴をすべて受け止め、しかしその許容量が過ぎた時……とうとう狂い壊れた。
『和介……』
夜に密かに呼ばれ、近づいた格子際。あの日、その人はそれに凭れかかるように座り込んでいた。
投げ出された足のその力の無さに、人の心の限界を見た思いがする。
だから、抗う事は出来なかった。もはや自決する力も残されていないだろうかつての愛弟子に対する、
その人の追い詰められた残酷な慈悲から。
自分の方を向かぬまま、発せられる声が聞こえる。
『わしの知り合いの医者に阿片に詳しい者がおる……』
そうして夜の闇に淡々と綴られたの
そうして夜の闇に淡々と綴られたのは、恐ろしい毒の効能について。
その果てに彼の人は一つの呟きを繰り返した。それは、
『伊蔵…伊…蔵……いぞう…っ…』
自覚は無かったのかもしれない。それでも同じ名を唇から紡ぎ続けるその人の頬にはあの時、
溢れ伝う涙があった。だから、
『わかりました。せやきに、もうええがですっ…武智様!』
腕を差し入れ、格子越しに抱き寄せる肩。落ち着かせるように力を込め、懸命に告げる。
不敬にあたる事だったかもしれない。それでもそうせずにはいられなかった。
あれが自分にとって生涯ただ一度の、彼の人に対する抱擁だった。
「しかし結局その毒は、使われる事はなかった。」
語りの途中で遮られ、口早く結論を告げられる。それは彼の医者としての性分のせいだろうか。
そんなまだ年若い青年の言葉に、和介はこの時、静かな頷きを返していた。
「丘田殿がその毒で果てる事はありませんでした。だからこそそれからも苦難は続きましたが、
それでも最後、あの方の心が救われる奇跡が起こった。最期は毅然とした顔をしておられました。
それはもう、この目には眩しく痛いほどに。」
諦観とも笑みともつかぬ、そんな感情を口元に湛えながら和介は語るその話を終える。
するとそれに青年は、やはりどこか複雑な感情を滲ませる笑みを浮かべながら、声をかけてきた。
「何があったかは、やはり教えてはもらえんのでしょうな。」
「申し訳ありません。しかしこれはわしが墓の中まで持って行かねばならぬ秘め事ですき。」
これまで幾度もせがまれ、した話の、しかしその最後を和介が語る事は終ぞ無かった。
古来の武士の作法に則り、意地とばかり見事三文字に腹を切った彼の人の心中を探り知る鍵を
持っているのは、かつて牢番の任にあった男だけ。
それは因果か、それとも必然であったのだろうか。
おそらくはきっと、永遠に出ないであろう答えを思い、2人の間に静寂が落ちる。
しかしその時、
「先生っ、武智先生はここにおられるがでしょうか!」
不意に玄関の方角から聞こえてきた慌ただしい声。それに呼ばれた青年が振り返り、和介も
布団の上に身を起こした瞬間、断りも無く飛び込んできた者の姿に2人は一瞬呆気に取られていた。
それでも、
「吉蔵?」
先に反応を返したのは青年の方だった。
それに和介が誰かと問えば、家の近くに住む子供だと返される。そして和介が再び視線を
部屋の入口に戻すと、そこにいたのは、確かにまだ子供と言っても差し支えがないほど幼い面ざしを
した少年だった。
そしてその彼は、部屋の中に半汰の姿を認めた瞬間、その表情を安堵に崩す。
「良かった!ここにおられた。大変ですきっ、お家の方にまた倒れたもんが担ぎ込まれて。
先生に早う戻ってもらうようにと秀さんがっ。」
「秀が?いや、しかしそれより吉蔵…おまん、その手の中にあるがは…」
息咳切る少年の言葉を聞き取りながら、しかしこの時青年が指摘する。
「手?」
それに少年も自分の手元に視線を落とす。
胸の前に受けるように重ねられた両手の中、包まれるようにあったのは、なにやら小さな鳥のようだった。
「ああ、これ!これはここにくるまでの道の途中で、鴉に虐められて怪我しちゅうのを見つけて思わず!」
言いながら迫り寄り、2人の前に膝をついて腕を指し伸ばしてくる。
そうしてもう一度よく見た、それはどうやらまだ小さい雀の子であるようだった。
「先生、こいつも治せんがですか?!」
「こいつもって、わしは動物はよう…」
「あかんがですか?!」
「…………」
涙目で迫られ、青年が絶句する。
そんな光景を目の前で繰り広げられ、この時和介はなんとか我を取り戻すと、そっと2人に声を
かけていた。
「もしよければ、わしが面倒を見ておきましょう。簡単な手当てくらいならしてやれると思いますき。
それより、家の方で倒れた者が出たのでしょう。そちらに早う行ってやってつかぁさい。」
ここは年の功とばかりに冷静な判断を下す。
するとそれに彼らも、今の状況を思い出したようだった。
「慌ただしゅうして申し訳ないがです。では今日のところはこれで。しっかり養生して下さい。
あなたの事は、私も義母もまだまだ頼りにしちょりますので。」
「もったいない事です。」
立ち上がる青年に微笑みながら返事を返し、和介は今度は少年の方へ目を向ける。そして差し出す手。
その中に少年はそっと鳥の子を移してきた。
「よろしゅうお願いします。」
「ええ。わかりました。」
まだ涙目になっている。心根の優しい子なのだろう。
そんな少年に優しい声をかけながら、和介は彼らを見送る為、立ち上がろうとする。
しかしそれをこの時、青年は制してきた。
「ええがです、ここで。また様子を見に来ますき。その時は秀も連れてきましょう。」
口にされた、その名は先程も耳にしたものだった。それゆえつい首を微かに傾ければ、そんな和介に
青年はその時、明るい笑顔を向けてきた。
「最近、私の手伝いをしてくれちょる者です。同じ医学を志す優秀な男ですき、あなたには
紹介しておきたい。」
そう告げた瞬間、横合いから声が飛んだ。
「先生、わしも!」
幼い訴え。それに青年は笑みを絶やさぬまま、隣りに立つ少年の頭をぽんぽんと軽く撫でた。
「そうだな。今度は落ち着いて、おまんも一緒に来よう。」
彼には、慕ってくる者がいるようだった。
信頼のおける仲間も。
それを知りえた目の前の光景に和助はこの時、ただただ深い安堵を覚える。だから、
「楽しみにしちょります。」
穏やかにそう言い、その場で頭を下げた。
肩が傾く。
それが今この時、ひどく軽くなったと思うのは、おそらく気のせいではなかった。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・)チョット チュウダーン!
送信ミスってナンバリングがズレました。すみません。
>>122 姐さんGJ!
見届けた和助の心根がめっちゃ切なくて武智love過ぎて萌えたぜよ
そして義息子と秀くんの未来に密かに萌え妄想中
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )
>>122ノツヅキ、サイカイサセテモライマス
あれから数日。
まだ夜が明けきらぬ時分に家を出た和介が足を向けたのは、通い慣れた場所だった。
その手には一つの鳥籠がある。
そしてその中に大人しく収まっているのは、先日自分が預かった雀の子だった。
鴉に襲われたと言う傷は大した事は無く、とりあえずの手当てと餌を与えているうちにすぐに
元気を取り戻した。
ならば、また元いた場所に帰してやらねばなるまい。
思いながら歩く道の先。辿りついたその場所は、静かな山の裾野だった。
まだ暗い周囲には人の気配も鳥の鳴く声さえもなく、ただ深い緑に覆われ静まり返っている。
そんな静謐とした空気に包まれる地にひっそりと建つ―――
それは武智の墓だった。
手にしていた鳥籠を地面へと起き、和介はこの時墓の前に膝をつくと、その懐から供え物を出す。
目を閉じ、手を合わせしばし。
そしてやがて一度深く息をつき、再び視線を上げると、和介はこの時ゆっくりとその口を開いていた。
「お無沙汰して、申し訳ありません。」
まるで今この瞬間、目の前に彼の人がいるかのように。投げ掛けるその声は、柔らかな響きを帯びていた。
「この暑気にあたり、ちっくと寝込んでしまいました。情けない話です。」
微かな苦笑を浮かべながら、語る己が近況。
「ですが、半汰様が診て下さいました。ご養子様はご立派なお医者様になられました。東京で学ばれた
知識とそのお人柄で、村の者達からもよう慕われ、尊敬されちょります。」
そしてゆっくりと細めた目元。その視線はこの時、懐かしむようにその遠い過去を顧みていた。
「子の成長と言うのは早いものですなぁ。」
脳裏に浮かぶ、武智家に養子にもらわれてきた時の彼は、まだあどけなさの残る少年だった。
それが今では一人前の医者として一人立ちしている。
「あれから、もうどれくらいの時が経ちましたか。」
しみじみと思い返すこれまでの中で、世は驚くほどの変化を遂げていた。
絶対的権威としてあった幕府は倒れ、その後には新政府が立ち、それに伴いかつて土イ左と呼ばれた
この国の名は消え、そこに二百有余年連綿とあり続けた上司と下司と言う身分差もその存在を霧散させた。
虐げられ、人としての尊厳を踏みつけられ、何がどうあっても変わる事は無いだろうと思われた
あの絶望のことわりが今はもう跡形も無く。
それはまさしく奇跡のようだった。
そしてその奇跡が成ったのは、今、眼前にある人や、それと同様命を賭けこの国の為に奔走した
志ある者達のおかげで。
それと比し、数ならぬこの身がこれまでに出来た事と言えば、それは、
ただ、すべてを見届ける事―――
その想いだけを頼りに、これまで生き永らえてきた。しかし…それももう……
「奥方様はお元気でございます。」
唇が淡々と言葉を紡いでゆく。
「半汰様にも仲のよろしい、気の置けないお仲間が出来たようです。」
そして、
「わしは、」
わしは……
「年を、取りました。」
微かな間の後、淡く倦んだような笑みをその口元に浮かべながら、和助はこの時密やかな呟きを零した。
「せやきに、ええですろうか…」
それは長年誰にも告げる事無く、心に秘め重ねてきた、
「わしもそろそろ……そちらへ伺うてもええですろうか?武智様。」
あの日からずっとこの胸に在り続けた、消える事のない切実な願いだった。
祈るような想いの先。そこにはこれまでの間ずっと、何一つ忘れえない光景があった。
あれは彼の人の刑が執行される日の前夜。
身を清め、仕度を整え、牢の中一人端坐していた。そんな人の最後の夜番に立つ自分の中には
あの時どうにも遣り切れない無念さがあった。
どういて……どういてこの方が……
辛かった。苦しかった。悲しかった。
けれどそれを顔に出す事も声に出す事も出来ず、ただ勤めと獄の片隅に立ち尽くす。
そんな自分の耳にあの時、それは届いた。
かそけき小さな声だった。
おそらくは誰に告げたものでもなかったのだろう。
ただ蒼白い月の光が差し込む虚空を見上げながら零された、それは、
「ええか……」
これまで自分が聞いた事の無いどこか幼げな響きで、その心を綴っていた。
「伊蔵と共に、もうそっちへ行ってもええか…収次郎……」
強く、脆く、志と情に四肢を繋がれ、それに苦しみ続けた人だった。
その人がようやく口に出来た、偽りない剥き出しの心。
それを知ってしまえば、もはや自分に引き留める術は残されていなかった。
だから唇を噛み締め、堅く目を閉じ、あの瞬間心を決めた。
もう、ええ…もう……解き放ってさし上げよう―――
それ以外彼の人にしてあげられる事は、あの時の自分にはもう何一つなかった。
ゆらりと墓の前についていた膝が離される。
そして和介はこの時その場に静かに立ち上がると、脇に置いていた鳥籠に手を伸ばし、それを取り上げ、
抱え上げた胸元の位置で迷いなくその戸を引き上げていた。
開かれた籠の中で、小さな鳥が二度三度軽い羽ばたきを起こす。
そしてそれは、和介の放った『行け』と言う言葉に一度だけ鳴き声を上げると、力強くその身を
外の世界へと踊らせた。
飛んでゆく、その小さな後ろ姿を和介は瞬きもせずに見送る。
とその時、視線をやった方角に座す山の稜線に、昇る日の光があった。
広がってゆく白々とした一条の光。
あの日以来、自分は朝が嫌いだった。
長くも短い2人だけの夜の終わりを知らせ、あの人を自分の前から連れ去った、あの残酷なまでに
明るい光が憎くさえあった。
一人寝の床でうずくまるように日毎耐え続けた、しかしそれをようやくまっすぐに見つめられると思う。
「……長うございました。」
だから微笑みながら告げた、その頬にはこの時、我知らず伝う涙があった。
視界を濡らし、その淵から揺れ落ちる。
溢れ、止める事が出来ない。
それを和介は眩しいからだと思った。
光が満ちてゆく世界。
彼の人が残したこの国は今、どこまでも美しかった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
最後の最後まで長くなりましたが、これで頭にあったものをすべて形に出来ました。。
長い間の場所借り、ありがとうございました。
これまで読んで下さった方、感想を下さった方も本当にありがとうございました。
GJ!GJ!超GJ!
長編お疲れ様でした
こちらこそ良い萌えをありがとうございました。
>>115 GJ!
和介の健気さや養子君たちでじわっときて、最後の一文で目から汁が…
長い間本当にありがとうございました
いつかお姫様が 久我有加
ごついイケメンをお姫様あつかいwktk
GUSH8月号
野獣続いてたんか
全体的に面白かった
DEAR+8月号
チューされた近藤君のその後は!?
DVD借りてきて、戦友二人に萌えた勢いで書きました。
893×(差伯+津久居)、輪姦注意。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「……勘弁してくれよ……! 俺達はサツじゃない、信じてくれ!」
刀を向けられ、額に拳銃を突き付けられた津久居が、震える声で叫ぶ。首筋に拳銃を突き
付けられた差伯は、恐怖のあまり声が出なかった。津久居に刀を向けた組織のボスは、二人
の顔を交互に見遣る。そして、ゆっくりと刀を鞘に収めた。ほっとして、二人の表情が僅か
に和らぐ――しかし。
「お前ら、好きにしていいぞ」
そう言うと、ボスと何人かの部下達は、背を向けて歩き出した。残った部下達は二人を床
に押し倒し、口に拳銃を突っ込み、手足を押さえ付ける。死を予感した二人は堅く目を瞑っ
た。ところが、暫く経っても銃弾は撃ち込まれない。差伯は薄らと目を開けた。男達が気味
の悪い笑みを浮かべて、こちらを見下ろしている。やがて、男達の手が、二人のシャツのボ
タンとズボンのベルトを外し始めた。差伯の口から拳銃が引き抜かれる。今度はこめかみに
拳銃を突き付けられて、口に舌を差し入れられた。上顎をなぞられて、差伯の背筋に悪寒が
走る。口内を舐め尽してから、男は顔を離した。別の男の手が脇腹を擦り、左の乳首を弄く
り回す。それとはまた別の男の手が下着の中に入り込んできて、性器を乱暴に擦り始めた。
その横で、津久居が下着ごとズボンを引き下ろされ、足を開かされる。口から拳銃が引き
抜かれた瞬間、中に性器を捻じ込まれた。身を裂かれるような激痛が津久居を襲う。
「ぐあああああっ……!」
差伯は、拳銃を突き付けられていることを忘れて、首を動かして津久居を見た。見開かれ
た目から、ぼろぼろと涙が零れ落ちていく。
「相棒の心配か? 随分と余裕があるじゃねぇか」
そう言った男は、差伯の顔の上に馬乗りになると、自分の性器を銜えさせた。
「もし噛んだら、アンタとアンタの相棒のケツに、チャカ突っ込んで殺すからな」
喉の奥まで性器を捻じ込まれて、差伯の顔が苦痛で歪む。差伯の口腔と津久居の体内を犯
した男達は、それぞれ腰を動かし始めた。
「……差伯さん……しっかりして下さい……」
津久居に肩を揺さぶられて、差伯は目を覚ました。緩慢な動作で辺りを見回す。どうやら、
路地裏に捨てられたらしい。
「……生きてるんだな、俺達……」
「はい……でも、俺……今……死にたいって思ってます……」
「……俺もだ……」
差伯は冷たい空を眺める。愛する妻の顔が、脳裏を過ぎった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>115 長編萌え話をありがとう!
堪えに堪えて読んでたけど
ラスト5行で目汁だだ漏れだーーーーー 。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
日央 画 余るふぃより フリーライター×タト交官
何処藻動画未見、でぶいでも1回見ただけなので色々おかしいとこあったらすいません
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
九絽田と寝たのは、数えるほどだ。
きっかけは俺の冗談だった。全く以って冗談だったと云えば嘘になるかもしれないが
冗談か、冗談ではなかったかと問われれば、殆ど冗談だった。
***
「――――え?」
翌日は早朝に出なければならなかったのと、身だしなみを整えていく必要があったので
少し高めではあったが待ち合わせ場所に近いホテルを取った。
ところがいざチェックインしようとしたらダブルブッキングの手違い、しかも空いている
部屋はないと言われ――――どうにかしてもらおうとクレームをつけていたら、九絽田が
俺に気付いたのだ。
「――――佐益?」
「?―――おお、九絽田!い〜〜ところに!ちょっと聞いてくれる?」
何事ですか、と流暢なロシア語でフロントと遣り取りをする。ていうかお前ロシア語も
行けるんかい。さすがと云おうか嫌味と云おうか。
尊敬か呆れか、九絽田に会えた嬉しさか。自分でも良くわからない感情に包まれながら
相変わらず妙な甘さを醸し出す横顔を見ていると、不意にホテルマンと九絽田が一緒に
こちらを向いた。
「何?」
「ダブルブッキングで」
「そうそう」
「残念ながら空いている部屋はないそうだ」
「さっき聞いたよ」
「例の視察が1日早まったせいで、ホテル側も大わらわらしいな。俺もシングルが取れ
なくてジュニアスイートにしたし」
「へえ」
「だからベッドはひとつ空いている。あんたが気にしないなら俺は別に構わない」
「………、………。」
九絽田孝作と?
ジュニアスイートに、泊まる?
俺としたことが、一瞬二の句を継げなかった。それはつまり…とアホみたいな確認を
一応取るべきか、サンキュー助かったとなんの躊躇いもなくヘラヘラ笑うべきか。
「……なんで、ジュニアスイート?」
挙句困惑を隠そうと、わかりきった質問をしてみる。
「ナンパした女に逃げられて」
「ハア!?」
「……冗談だよ、あんたじゃあるまいし。さっきも云ったろ、俺が来たときはそこしか
空いてなかったんだよ。で、どうすんの?泊まるんだろ?」
「あ……、泊まる………」
その場で頭を抱えたくなるほど情けない声で俺はやっとそう答えた。
***
「……ねえ、こういう場合も経費って全部タト務省持ち?」
勝手に出したビールを煽りながら、ネクタイを外している九絽田に目を遣る。
……そそるなあ。
「まあ、言えば下りるだろうな。俺は自分で払うけど」
「え、そうなの?」
「もうちょっと移動すればまだ空いてるホテルあっただろうし」
「景気の良い話ですな」
ハ〜ァ。予定外のことに舞い上がっちまったけど、なんかだんだん落ち着いてきた。
俺もフリーライターとしちゃ稼いでるほうだとは思うけど、こいつらの待遇ってなんか
別格だもんな。
シングルが取れなくてめんどくさいからスイートって選択がまずねーよ、庶民は。
「………なんか」
上着だけ脱いだ九絽田が向かいに腰を下ろして面白そうに俺を見てくる。
「なに」
「らしくないな。ソワソワしてる。こういう部屋は苦手か?」
「……部屋っていうか……」
「うん?」
部屋はともかく、お前が隣のベッドで寝るっていうのが落ち着かないんだよ!!
「いや……。俺、明日早いんだけど。たぶん5時には出てく」
「そうか。じゃあ先にシャワー使うか?」
「……いや、朝に入るから。あとで洗面だけ借りるけど。いや、いま借りるか」
動揺を押し殺してビールと共にそいつを飲み下すと俺は立ち上がった。
***
しゃこしゃこしゃこしゃこ。
歯を磨きながら、うんざりした気分で鏡の中の自分を見る。
俺は童貞か?
九絽田の云うことにいちいちドキッ、とかしてんじゃないよまったく。
さあ、歯磨いて顔でも洗ってとっとと寝ちまえ。
一緒の部屋に泊まったからって、何かあるわけないだろう!
口に溜まった泡を一旦吐き出してから歯磨きを再開しようとした俺は、シャツのボタンを
ほとんど外した九絽田が急にバスルームに入ってくるのを鏡越しに見て咽そうになった。
み、見えた。乳首。
「……なに?」
「シャワー浴びようと思って。もう終わるだろ?」
「……まあ」
こういう場合は、ドキドキしても普通だよな…歯磨いてるのに隣で服脱ぐ奴がいるんだ。
いやそりゃ広いけど。ジュニアとはいえスイートだから。全然邪魔じゃないですけど。
でも俺が使い終わって出てきてから九絽田が入って行くのが普通だろ?
チラリ、目を遣った九絽田の身体は、硝子に篭った湯気ではっきりとは見えなかった。
***
九絽田と初めて会ったのは、仕事の場ではない。
二度目に会った奴は随分と取り澄ましていて面喰ったが、俺もあえて知らない人間の
ふりをしてやった。まあ、普通は忘れたい出来事だ。
俺は九絽田を忘れられなかったが。
タト交官としての九絽田は、それはもう惚れ惚れとするほど優秀で、それじゃあまた、と
だいぶ離れた場所に停めた車に乗り込む俺を、上司ととっくに去ったと思った奴が
追いかけてきたのだった。
「………俺のこと、覚えてない?」
「…………………」
先程の取り澄ました様子は何処へやら。
初めて会ってから、忘れようとしても忘れられなかった、綺麗な目が俺を覗き込んだ。
「九絽田だよ、あんたに服を借りた。覚えてるだろ?」
ド田舎の、周りが花畑というロケーションがまたいけなかったのかもしれない。
俺はそこで、完全に九絽田に墜ちたのだ。
***
「歯磨いたのにまた酒飲んでる」
からかうような口調で、九絽田が今度は隣に座る。
……バスローブ。
真っ裸やパンイチよりはマシかもしれないが、これはこれで勘弁して欲しい。
「なんか暇でね」
「テレビでも点けたらいいじゃないか」
「ロシア語わかんないし」
ふっ、と九絽田は笑ってグラスを取り出すと、俺と同じ水割りを作った。
こくり、アルコールが通過していく喉元を見ていると、九絽田がこちらに目を遣る。
「なんだ?」
「……いや。酔うとヤりたくなるタチで」
「…………………。」
こんなことを言い出した時点で、九絽田が俺を止めるべきだった。
冗談だ。ここで止めてくれれば。
「でもきょうはそれどころじゃなかったし。俺両刀だから男もイけるんだけどね」
「へえ……あんたが、するほう?」
「可愛い云い方するね。そ、俺がヤるほう。九絽田なんかけっこう俺の好みよ〜。
試してみる?」
いや、ここで止めてくれてもまだ冗談で済んだのに。
バーカ、とか云ってくれると思ってた。
だが。
「いいけど………」
九絽田はそう云って、じっと俺を見つめたのだった。
***
キスしようとしたら、九絽田が焦ったような顔をした。
「………なに?」
「キスもするのか?」
「するだろ、普通……嫌か?」
「………。いいけど………」
緊張している癖に薄く開かれた唇に、できるだけ静かに触れる。
まだ濡れている髪を梳き、耳朶を擽るように撫でると、九絽田が可愛らしい声を漏らした。
「――――佐……」
「彰吾」
「…………………」
「彰吾だ。呼んでみろ」
それが、最初。
2度目は翌日の仕事が終わって九絽田の部屋を訪れて、そのまま。
当時はキスが好きではないのかもと思っていたが、どうやら九絽田の一番の性感帯は唇の
ようで、「気持ちよくなりすぎるから苦手」らしい、と解ったのはそれからだいぶ経って
からのことだった。
***
『この借りは、次に会った時に返す』
「ハア?次会う時って、お前、何年後――――」
クリスマス間近のイタリア。
全てを云い終わる前に、通話は切れた。
久しぶりに、本当に久しぶりに会えた九絽田は部下の女の子伝に仕事を頼んできたり、
今のように一方的に電話を切りやがったり、相変わらず本当につれない。
あいつまさか俺の番号どっか行ってわかんねえとかじゃないだろうな。
「ねえ!ちょっと何でタクシー降りたのよ!?私歩きたくない!!」
もはや用を為さない携帯と、隣で憤る美女の両方をどこかにやってしまいたい。
そう。相手は世界を飛び回るタト交官で。
もう10年以上の付き合いになるはずなのに、九絽田を抱けたのは本当に数えるほど。
―――――彰吾、彰吾………。
俺に抱かれるときはそう呼べと教えた、その声もいい加減忘れてしまいそうだ。
いや、正確には。忘れたいのに、忘れられない。
あーあ。厄介な奴に手を出してしまった。
俺、こんな調子であと何年九絽田に振り回されるんだろ。
というか、報われる日とか、やってくるのだろうか。
「次会ったときは、しばらく外に出られないくらいヤりまくってやる……」
「なに?ねえ、お腹空いた!」
寒さと渋滞と、美女のお怒り具合に溜息を吐きながら、俺は煙草を取り出した。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>143 映画見た当初、即萌えたカプだから読めて嬉しいw
なかなか会えない2人だからこそ萌えますね
>>143 まさかこの作品が読めるとは思わなかった!
萌えまくったよ、ありがとう!
148 :
月光 1/6:2010/07/17(土) 20:44:43 ID:NbHnjXRY0
タイガのリョマ伝 リョマ→イゾに飢えてましてつい、年少期に萌えたくなりました。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
静かな寝息をたてながら幼馴染みはよく眠っている。
安心しきった様子で熟睡している顔を見ていると、成人した男とは思えぬほど幼くみえる。
これがあの人斬りと恐れられている男とはな...
一度信頼関係ができると決して裏切らない一本気で純粋なやつなのだが、
理不尽だと思ったら相手構わず噛みついていく。
危なっかしくて放っておけず、同世代の仲間と夢中で遊んでいても、年下の彼だけはちゃんとついてきているか
目で追う癖がいつの間にかついてしまっていた。
それはきっとあの日からではないか?
気付くと男は彼と共に過ごした幼い頃の日々に思いを馳せていた。
日差しのきついある夏の日
年上の皆がカブトムシや蝉をわんさと捕まえたと盛り上がってる中、幼い伊蔵だけが1匹も捕まえることができずにいた。
「伊蔵はガキじゃき、無理じゃ」
「おまんの身長で捕れる高さにおるようなマヌケな虫らぁ、おらんちや」
少年達から一回り以上も小さな体の伊蔵は言い返すこともできずただ大きな目に涙を溜めて悔しそうに唇を結んで立っていた。
そんな姿を見ているとつい口出ししたくなる。
「そんなことはないろう。伊蔵は目が良いき、きっと捕れるがぜよ、な、伊蔵」
「ちぇー、涼馬はまっこと伊蔵に優しいのー」
「とにかく、日が暮れるのもすぐじゃ、喋ってる間に捕りにいくぜよ」
「それもそうじゃ、あと3匹は捕まえるぜよ」
少年達は獲物を探すため、再び山に駆け上がり散らばっていった。
伊蔵も腰に結わえた虫籠に体を振り回され、足をとられながら懸命に皆の後を追った。
149 :
月光 2/6:2010/07/17(土) 20:45:27 ID:NbHnjXRY0
すっかり夕暮れとなり、足元も見えなくなる頃、少年達は最後の獲物自慢をしている。
しかしそこに小さな伊蔵はいなかった。
「伊蔵はどこじゃ?」
「全く!あいつはどこまでみそっかすなんじゃー」
「きっと1匹も捕れんで悔しゅうて先に家に帰ったがじゃ」
一同が笑う中、二人だけが思案顔をしている。そして一人が口を開いた。
「みんな帰ってくれてえい。わしは伊蔵を探す」
「涼馬、一人やとおまんも道に迷うたらいかん。わしも行く。すぐに灯りをもろてくるき」
「すまんの。武智さん」
「おまんらは涼馬の言うように帰り。大丈夫やき」
事の重大さに気付いた一同だったが武智に促され、少年達は大人しく帰路につくしかなかった。
「ある程度探して見つからんようじゃったら、応援を頼みに一旦戻るぞ」
「そうじゃの。...ただ、わしには伊蔵の声が聞こえるような気がするんじゃ」
「声が?いいや、何も聞こえんぞ?伊蔵ー、伊蔵ー!!」
「シッ、武智さん。こっちじゃ」
探し始めて一刻もたたないうちに何かを感じたように涼馬はぐんぐんと大股で歩きだした。
「??涼馬?どういた?」
「聞こえるぜよ、伊蔵。待っちょれ」
暫らくすると幼い泣き声が聞こえてきた。
「...タケチサァ.ン...リョーマァ...」
大木の上の方で声がした。
150 :
月光 3/6:2010/07/17(土) 20:46:27 ID:NbHnjXRY0
月明かりを頼りに目を凝らすと必死に枝にしがみついている伊蔵の姿がそこにあった。
まるで登るだけ登って降りてこられず鳴いている子猫のようであった。
「伊蔵!大丈夫か?」
「グスッ、グスッ、涼馬ぁ、武智さぁん...」
「登るか」
「いや、受け止める。伊蔵ー、飛び降りろ!わしが受け止めちゃるき」
「はぁ?涼馬、無茶じゃ!!止め...」
武智が制止する間もなく、飛び降りろと言われた伊蔵は躊躇なく枝から手を離した。
小さな身体とはいえ高所から落下する衝撃は少年涼馬には大きいはずであった。
武智は慌てて補助の体勢をとろうとした。
だが、その前に涼馬は落下の瞬間を見定め、衝撃を自らの受身で拡散し伊蔵を全身で包み込むように受け止めていた。
衝撃的瞬間を目の当たりにし、武智は暫らく呆然と二人を見つめていた。
「涼馬ぁぁーーー!!!」
緊張を破ったのは伊蔵の泣き声だった。
不安な状態から一気に解放された伊蔵は涼馬にしがみつき火がついたように泣き出した
「うわぁぁぁん、怖かったよぉぉ」
「大丈夫じゃ、伊蔵。わしらがおるき、もう、大丈夫じゃ」
涼馬はなだめるように腕の中の小さな身体を強く抱きしめた。
「そうじゃ、もう大丈夫やき」
武智もそっと頭をなでてやった。
151 :
月光 4/6:2010/07/17(土) 20:47:27 ID:NbHnjXRY0
「それにしてもあげな高いところまでよう登れたもんじゃ、どういて登れたがか?」
自分達でもなかなか登れないであろう高さにいた理由がわからず伊蔵に問うた。
それを聞いて伊蔵はハッと何かを思い出し背中の虫籠を慌てて探り出した。
そして籠の中の物体を確認すると今まで涙でぐしゃぐしゃになっていた顔が一気に笑顔になった。
「良かった、無事じゃ!!」
「うわッ、でっかい!こげなクワガタは見たことないちや」
「まっこと見事じゃの」
どうやら大物を獲得することに夢中で自分で降りられない高さまで登ってしまったらしい。
年上の二人は呆れながらも幼子の純粋で真剣な気持ちに感心した。
「よう頑張ったの伊蔵。けんど、無茶はいかん」
「そうじゃ、すごいことができたんじゃ、伊蔵は。次は自分を守ることも考えられるようになってほしいがじゃ。
そうでないとわしは心配でかなわんぜよ」
二人は伊蔵に諭すように語りかけながら代わる代わる頭についている葉を取りながら優しく撫でてやった。
伊蔵は自分が迷惑をかけたことを幼心にも理解したらしく、
「ごめんちや...」と
涼馬の腕の中の伊蔵は小さな身体をますます小さくして何度もペコリペコリと謝り続けた。
その姿がなんとも愛らしく、年長の二人は顔を見合わせると同時に声を出して笑った。
「もうええちや、伊蔵」
「帰るぜよ」
「うん!」
152 :
月光 5/6:2010/07/17(土) 20:48:20 ID:NbHnjXRY0
涼馬は伊蔵をおぶり、武智は灯りで足元を照らした。
涼馬の背が心地よかったのか、伊蔵はいつのまにか眠っていた。
「それにしても不思議じゃ。あの高所で怯えていた伊蔵が飛び降りるのは怖くなかったんじゃろうか?」
「おう、すぐ手をはなしよったな」
「...きっと、おまんのことをまっこと信頼しちゅうがじゃ。受け止めてくれると信じて疑わんかったからじゃな」
「こいつはまっこと純粋じゃの。わしも受け止められんかったかもしれんのにのぉ」
そう言って涼馬は大声で笑った。
「おまんも無茶な部類ぜよ」
「そーかもしれんの」
きっと自分の身を挺しても伊蔵を守ろうとするだろうと武智は思ったが、そこは何も言わず一緒になって笑った。
「そもそもおまんはあげに大胆な男じゃったかいのぉ?」
からかうように問う武智に涼馬は照れた顔を見せた。
「わしはの、武智さん。こいつが可愛いて仕方が無いんぜよ。なんか、、放っておけんのんじゃ」
寝小便たれで泣き虫な涼馬がいつのまにか侍として成長してきていることに武智はいち早く気づき始めていた。
大切な人を守ろうとする男気は誰よりも強いと。
「そうじゃの、わしらになんとかついてこようとしちょるとこを見てるとまっこと可愛らしいの」
武智は微笑んだ。
そして遠目に揺れる提灯を見つけると涼馬に見てみろと促した。
「皆も心配なんじゃ」
帰したはずの仲間たちがやはり伊蔵や涼馬、武智が心配で提灯を手にして探しに戻ってきたようだった。
月はますます冴え渡り、灯りがいらぬほど、三人の行く道を明るく照らしていた。
153 :
月光 6/6:2010/07/17(土) 20:52:38 ID:NbHnjXRY0
あの日から、わしはこいつから目が離されんくなったがじゃ
しかしこいつに手を焼いた話はまだあるの、とそんな場面を幾つも思い出すと男はおかしくてたまらなくなり、破顔した。
そして隣で眠る幼馴染みの顔を改めて見つめ直した。
昔からおなごのような顔じゃと思うてたが、こげなえらいべっぴんじゃったかのう?
男はその寝顔にいつしか見とれ、無意識のうちに彼の顔にかかっていた数本の髪を中指でそっとかきあげていた。
微かな刺激に寝ていた彼はくすぐったそうに肩をすくめて吐息をもらした。
その瞬間、ズキりと何か痛みに似たような甘い感覚が男の身体を襲った。
着物の裾から見える肌理の整った肌が瑞々しく、指を這わせ生でその感触を味わいたい衝動に駆られた。
荒々しく着物を剥ぎ取り......欲望が頭を擡げる。
しかし、男は一瞬、両目を強く瞑り、首筋に伸ばした手を何とか止め
欲望を振り払うかのように痛いほど自分の拳を握り締めた。
『わしがおまんを守っちゃる。誰にも渡さんぜよ。絶対に!』
男はその誓いを胸に、あの夏の日と同じように明るい月を仰ぎ見た。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
なかなかイゾにエロ手を出せないリョマでした。
エロはまだお預けですね。
>>148 うう…ほのぼの萌えました(泣)
本編ではあげなことになっただけに…
胸につまされるがです…
次回ぜひエロを!
闇金ウシジマくんのイケメン情報屋×クールな闇金社長。エロあり。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
戌亥がタオルで首筋を拭きながら風呂場から戻ってくると、先に風呂を終えた筈の丑嶋はベッドの上に
どっかりと座りこみ、戌亥が用意してきた書類を見ていた。眼光鋭く書類を読み込んでいるので一見は不
機嫌そうに見える。だが実際は、本人としてはご機嫌が良い方で、謎の鼻歌混じりだ。
しかも、風呂に入ったばかりだというのに既にがっちり衣装を着こんでいる。一分の隙もない姿を眺め、
戌亥が自分自身の体を見下ろして見ると、首に掛けたタオル以外は一糸まとわぬ全裸であるのが何とも情け
ないような気がしてきた。
勿論、下着ぐらいは着けていた方が良いのかもしれないが、はっきり言ってしまえば、これから脱ぐの
だから必要ないだろう。それに、丑嶋とて着る必要は本来ない筈だ。
しかし、丑嶋が今のような事態にきっちり衣装を身に纏っているのは何時もの事なので、今更突っかかる
気力はない。
戌亥は一心に書類に見入っている丑嶋に苦笑すると、背後から足音をたてないように近づいた。
「お待たせ」
近づいて後ろから大きな背中を包み込むように抱き締めると、集中していて戌亥の存在を忘れていたのか、
珍しく眼を開いて驚いたような表情を見せた。
けれども、すぐにいつもの無愛想な表情に戻った。だが、戌亥としては、丑嶋の一瞬の気の緩みが見られて
嬉しかった。何しろ常に抜け目のない男なので、あんな表情を見せるのは、戌亥が極親しい間柄であるという
証拠だ。
戌亥が思わずニヤつくと、丑嶋は一層不機嫌さを増した表情で睨んでくる。
「何だよ。ウゼェ・・・」
肩を左右に揺さぶって戌亥を引き離そうとするが、戌亥はギュッとしがみ付いたまま離れそうにない。
「フン」
離れてくれない戌亥を諦め、丑嶋は再び書類に視線を戻す。短く爪を整えた指が紙をめくる音がした。
戌亥は丑嶋を抱きしめたまま、目の前にあるうなじに顔を埋めた。風呂から出た直後らしく、汗臭さはない。
むしろ市販のボディーソープの微香がし、かなり良い感じだ。クンクンと犬のように匂いを嗅いでいると、
丑嶋が再び肩を揺さぶりだした。
くすぐったかったのか、それとも匂いを嗅がれること自体が不愉快なのか。まあ、恐らく両方だろうと踏み、
戌亥は眼の前のうなじから顔を遠ざけた。
こうして少し離れて見てみると、陽に焼けていないうなじは案外白い。だが、あくまで病的な白さでなく、
白い皮膚の向こうにある血管が透けて薄桃色に見える白さだ。
そして、血管が集中しているうなじ及び首筋の下にある背中は服の間からチラリと見えるだけだが、うなじに
比べると黄色人種独特の健康的な肌色に変わっている。首筋から背中にかけての肌色の濃淡が何とも扇情的で、
思わず齧りついてやりたくなる。
戌亥がジッとうなじを見つめていると、業を煮やした丑嶋はいよいよ実力行使に出る。後ろから覆いかぶさっ
ている戌亥の頭を掴み、ギュッと力任せに引っ張ると、痛みに耐えられない戌亥はやっと両腕を丑嶋から離した。
「ご免ご免!離れるから」
大げさな悲鳴をあげつつ、戌亥は丑嶋の隣に座った。いや、実際に大げさではなく、丑嶋の力で引っ張られ
れば痛いに決まっている。だが、戌亥はあくまでおおげさに聞こえるように「痛い痛い」を繰り返している。
まるで、ふざけているように。
このような柔らかい態度が、丑嶋の警戒心を解いていくのだ。こういうところが、戌亥は昔から抜群に巧く、
そしてずるい。
丑嶋は怒りを収め、書類の束に添付されていた写真数枚をベッドの上に広げる。その中から一枚を取って
眺める。
写真にはブランド物の衣装の中年女性が映っている。女性は衣装こそかなり高そうな物を身に付けているが、
完全に衣装に貫禄負けしている。
「これは?」
写真を指で摘まんでヒラヒラさせると、戌亥は大して興味もなさそうな表情で答えた。
「ああ、これは例の債務者の母親」
戌亥の答えを受け、丑嶋がニヤリと底意地悪そうな笑顔を見せた。まるで、素晴らしい宝物でも見つけた
ようだ。
実際、丑嶋にとっては戌亥の告げた事実は宝物だ。しかも、価値の定まりづらい宝石のような物ではなく、
金銭に変換できる上物だ。
悪い笑顔を顔に張り付けたまま、丑嶋は歌うようなテンポの良い口調で喋る。
「へぇ・・・、母親か」
戌亥も丑嶋の口調に合わせ、歌うような口調で答える。
「し・か・も、教育熱心な女性らしい」
「つまり、息子の不祥事は隠したいってタイプか」
「その通り!」
掛け合いのような素早いテンポで会話を重ね、丑嶋はいよいよ心底嬉しそうな笑顔を見せる。戌亥は、丑嶋
のこういう顔が見たくて仕方がないのだ。人によっては背筋を寒気が走りそうな嫌な笑顔だが、戌亥から言わ
せれば艶然と微笑んでいるようにしか見えない。
「戌亥、情報ありがとう。ホント、いつも助かる」
「え?ああ、うん」
丑嶋の見ようによっては魅力的な笑顔に見惚れていた戌亥は慌てて首を縦に振ると、口内に溜まった唾液を
呑み込んだ。
ゴクリ、と予想以上に大きな音がしてしまい、戌亥は心の中で「俺は童貞か」、と自嘲気味に呟いた。
丑嶋と外で純粋な幼馴染の友達としてあっている時は平気なのだが、情けない事にこういう雰囲気になると
本物の童貞坊主のように緊張してしまうのだ。それは小学生に出会った頃から変わらない。それどころか、年を
重ねるごとに、自分自身の性経験値が重なるごとに具体的なイメージが浮かんで来るようになってきて、緊張感は
薄まるどころか上がるばかりだ。
戌亥は自分の中の緊張を押し殺す為、わざと大胆な行動に出ようとする。丑嶋の腰に手を回し、撫で擦りながら
徐々に丑嶋の顔に自分の顔を近づけて行った。
あと少しで唇同士が触れ合いそうな距離になった時、ふいに丑嶋がプイと顔を背けた。
しかし、戌亥にとってはこれは計算内で、別にキスを拒まれた事はマイナス要素にならない。何しろ、丑嶋とは
いままで何度か体を重ねた事があったが、一度もキスなんてしたことないからだ。
だから、戌亥にとっては、キスをしようとして顔を背けられるだけで本格的に拒まれないのは、これからセックス
をすることを了承されたに他ならない。つれない丑嶋の態度に慣れ切っている戌亥は顔を背ける態度さえにもそそられ、
下半身が熱く重くなってきた。
腰を浮かせて疼く場所を丑嶋の膝に擦り付けると、あからさまに嫌そうな顔をされる。汚れるのが嫌ならば脱げば
いいのに、とはとても言えはしない。これでも大分マシになったほうなのだ。
最初の頃なんて、人と肌が触れ合うのを好まない潔癖症気味の丑嶋に要求され、性器の皮が解けてしまうのでは
ないのかと言うほど洗わされ、双方着衣のままだった。気持ち良いと言うよりも、性器がやたらピリピリと痛痒かった
思い出しかない。
「そろそろ、良いかな?」
哀願を含んだ弱々しい戌亥の声を受けると、丑嶋は無言で膝立ちで動いて戌亥の股の間に移動した。
丑嶋は勃起し始めた性器を一瞥し、無造作にベッドの上に放っておいたコンドームを一つ用意する。包みから
中身を取り出し、根元を握って被せてやる。それだけで手中の性器はビクリと震え、完全に芯を持った。フニャリと
してしまわないように根元を握っていた手を離しても垂れさがらない性器を見ていると、戌亥が焦れて丑嶋の袖を
引っ張ってきた。
「ね?」
「おう」
短く答え、顔を寄せる。ゴムの匂いに吐き気がするが、生を咥えるより余程良いと自分に言い聞かせ、先端を口内に
招き入れた。
「くっ、おお・・・」
一度咥えてしまうと、躊躇や嫌悪感はすぐに無くなり、代わりに少しずつ欲情していく。戌亥の弱い部分である
睾丸をくすぐるように撫でながら大胆に動くようになり、掛けたままの眼鏡がカチャカチャ音を立てるが、耳のすぐ
傍で聞こえるその音にさえも欲情させる要因にしかならない。
「んん、んっ」
くぐもった声を出しながら懸命に奉仕すると、口の端から唾液が垂れてきた。
本来空気を吸ったり食物を摂取するための口内に異物を出し入れしていれば唾液が分泌されるのは当然だが、それ
だけではないことは丑嶋自身が一番分かっている。ゴム越しでも分かる先端の弾力やたくましい裏筋が舌や上顎をすり
潰しながら出入りすると、生理的な唾液とは別の甘酸っぱい物が自分の喉の奥から込み上げてくる。その唾液は生理
的に排出される唾液と明らかに粘度が違い、天然のローションのようなとろみがある。口から垂れた唾液はベッドの
上に落ちてシーツに吸い込まれていった。
丑嶋は睾丸を揉んでいた手を放し、自分の顎に垂れた唾液を指ですくってみた。親指と人差し指を擦り合わせて
唾液を指で弄ぶと、すぐに空気を含んで白く泡立ってくる。その様もローションそっくりで、自分自身でやった事に欲情
してしまう。
「む、うう・・」
自然と切なげな声が出てきてしまい、戌亥の性器の根元を握っていた片手も離す。じれったい熱に浮かされ、ズボンの
前を開けて下着と一緒に膝まで下げた。
剥き出しになった丑嶋の性器は戌亥に比べれば硬度がまだまだ足りない。それでも唾液で濡れた指で先端を優しく
握ると、すぐに硬くなり、先端から先走りの汁がドロリと漏れ出た。
「ふう・・・」
先端を離して竿を数度扱くと、手は唾液と先走りが混ざり合って淫媚な音がし始める。まだ快楽に羞恥心が勝っている
為、大きくなっていく快楽を求める性器をこれ以上刺激しないように手を離した。
見ないでも手が濡れているのが分かる。今度はその濡れた手を背中に回して後孔を撫で、入れやすいように濡らし、
人差し指と中指、指2本をゆっくり埋めていった。
戌亥に触られるのが恥ずかしくて嫌でいつも自分で準備するのだが、やはり何度やっても排泄器官に挿入するのは苦しい。
だが、いつまでもこうしてはいれないので、埋め込んだ指をゆるゆると蠢かしてみた。
「ううっ、あ」
中は殆どぬめりがない。性器ではないので当然なのだが、指をしっかり濡らしておいたお陰で、指についた唾液と
先走りの混じった物が内壁に馴染んで徐々に緩んでくる。柔らみ始めた内部の肉を指で掻き分けながら膀胱あたりにある
しこりを押すと、苦痛はすぐに萎えて声が漏れそうな快楽が湧きあがってきた。
「むっううう!」
堪え切れない声が戌亥の性器を含んだ口から漏れ、羞恥心が一気に噴き出てきた。
しかし、まだだ。まだ入れるのには準備が万全ではない。早く準備するため、思い切ってもう一本薬指を後孔に入れて
行った。
「・・・っ!うう!」
実際には1本指が増えただけだと言うのに、後孔は苦痛を訴える。自然と下腹部に力が入り、シャツの下から僅かに覗いて
いる見事な腹筋が打ち震えた。
「は、は・・・」
性器を咥えたままで深呼吸をすると、吐き出した息が戌亥の陰毛を揺らした。口内で戌亥が更に膨れ上がったのが分かる。
これだけの硬度ならば、狭い中に入れてももう萎えないだろう。
と、なれば、後は丑嶋の準備が済めば次に進める。苦痛を堪え、指3本を奥まで全て押し込んで、一気に中を指でかき回し
始めた。
性感に直結するしこりを人差し指で触りつつ、残りの中指と薬指で後孔を広げる。抜き挿しを繰り返すと、丑嶋の性器から
ポタポタと水っぽい先走りが滴り始めた。これならもう大丈夫だ。
指を引き抜こうとすると、内部の肉が無意識に蠢いて絡みついてきた。まるで「出ていかないで」、と言うように。
このままなら自分の指だけでも絶頂を迎えられそうだが、それでは羞恥心を乗り越えてまで緩ませた意味がない。
名残惜しげに吸い付く内部から指を引き抜くと、上がった息を整えながら戌亥の性器を吐き出した。
「寝ろ」
あくまで強い命令口調だが、息を弾ませているので左程威圧感はない。それでも戌亥は大人しくベッドに横たわった。丑嶋
は膝に引っ掛かっている衣類に往生しながらも、仰向けになっている戌亥の腹の上に乗った。
「丑嶋くん・・・」
戌亥は丑嶋を見上げ、心臓が痛くなるほど高鳴るのを感じた。丑嶋の通常でも十分肉感的な唇は唾液で濡れ、性器を擦り
あげたことでうっすら赤く腫れていた。
堪らず戌亥はベッドから起き上がり、必要最低限の露出しかしていない丑嶋の体にしがみつこうとした。
しかし、丑嶋は戌亥をあっさりはねのけると、先程よりも少し大きな声で命令した。
「いいから寝てろよ。余計なことするンじゃねぇ」
見上げた丑嶋の眉間に皺が寄ったのを見定め、戌亥は大人しくベッドに上半身を横たえた。
戌亥とてもう入れたい。口による奉仕で散々煽られ、おまけに丑嶋が自身に施していた時の音に煽られ、すぐにでも出ない
のが不思議な程なのだ。
期待に胸を膨らませて待っていると、丑嶋が勃起しきった性器の根元を掴み、ゆっくり腰をおろしきた。
「ああー・・・、凄い、キツイよ」
性器が狭い内部を裂くように進み、根元まで入り込んだ。
丑嶋は眼を閉じ、圧迫感に耐えながら体の力を緩めた。狭すぎた中は少しだけ柔らかくなり、根元を締め付ける後孔も
緩んだ。
限界まで膨らんだ先端は奥の肉を引き裂かんばかりに圧迫し、雁首は丑嶋が内部で一番気持ち良い部分に当たっている。後孔
は相変わらずヒリヒリ痛むが、慣れているので裂けることもなかった。
「う、む。ううん・・・」
体の表面ではなく内部から感じる痛みが引くと、苦悶していた丑嶋の表情がフッと緩んだ。普段の険しさが一切消え、まるで
充実した微笑のような頼りない表情が一瞬だけ垣間見えた。丑嶋本人に自覚はないだろうが、いつも入れられた瞬間、こういう
柔らかい表情を見せる。
丑嶋はすぐにまた苦悶の表情を浮かべ、ゆっくり腰を上下に揺さぶり始めた。戌亥も丑嶋の動きに負けじと下から腰を突き
上げる。
「うああっ、あっ」
内部の肉と性器がこすれ合い、何とも言えない甘い刺激がくる。動きはゆっくりなので、先ほど口で奉仕して貰った刺激より
弱い。
だが、二人の動きのタイミングが徐々に合い始めると、甘い刺激は身を戦慄かせるほどの強い刺激に変わっていく。
刺激が快楽にすり替わり、更に快楽が増す程に動きも激しくなり、190センチを超える男と180センチを超える男二人を支えて
いるベッドが許しを乞う悲鳴を上げる。
興奮して荒くなった声とベッドの軋む音が五月蠅いが、最早2人ともそんな騒音に悠長に気を使う余裕はない。
「ふっ、うう、う、しじま・・・くん」
戌亥は腕を伸ばして丑嶋の腰を支えた。本当ならば肌と肌で触れ合いたいのに、邪魔をする僅かな衣類が憎たらしい。
けれどやはり、力ずくで引きちぎって脱がせて、少し嫌われてもいい、1センチにも満たない厚さの距離を縮めてやろうと
いう勇気は戌亥にはない。それは、心の距離などというセンチメンタルなものではなく、お互いの領域に近づきすぎない為の
予防策でもあった。
快楽を分け合う間柄ではある。でも、男女の愛情や幼い純情とは違う。ただお互いの快楽や利益や少しだけの友情で互いの
世界を侵略し合わないように提供しあい、それでも満足だと言える。
しかし、戌亥の中にはそれだけではない感情がある。そして、きっと丑嶋にも。戌亥ならば、丑嶋ならば、互いの体なんて
提供し合わなくても利益を求めあう事は出来る筈だ。物欲や名誉欲を手にする為に必要なのは金だ。二人とも互いを頼らずとも
金を得る力はある。
それならば、この必要なんて全くない関係に何と名を付ければいいだろうか。時折抑えきれずに伝えたくなる言葉があるが、
それをどう言葉に表せば良いのだろうか。
何年経っても答えが出きらない。出そうと思えば、きっと今すぐにでも出せる。でも、答えを、想いを出してしまえば、互い
を支え合わなければならない。そうなれば、何か大きな出来事があった場合は、最後は対岸の火事であるという緩い立場から
抜け合わなければならない。
二人の背負っている物は、互いに背負いあって歩けるほど簡単な物ではない。それを分かり合っているから、二人でいて、
こうしてセックスしていても二人とも一人ぼっちなのだ。
堂々めぐりの不毛な感情に戌亥が振り回されていると、ふいに腹の上の丑嶋の手が自分の性器を撫で始めたのが見て取れた。
中もキュッキュと締め付け始めた。
どうやら、もうそろそろのようだ。
「い・・・ぬい、中で、ビクビクなってる」
腹の上で丑嶋が腰をくねらせた。入ったままの戌亥の性器は捻りあげられ、瞬間頭が真っ白になりそうなほど気持ちが良く
なった。
「おっ、ううっ!」
戌亥は大きな声を出すと、耐えきれずに絶頂を迎えた。我慢しただけあってかなりの量なようで、下半身をブルブルと痙攣
させながら全てを吐き出した。
「う・・・っ」
コンドーム越しの欲望の噴出を受け、丑嶋の動きがピタリと止んだ。
「く・・・」
戌亥と違い抑え目の声を上げ、ビクリと一度大きく震える。次の瞬間、自身の先端を握り込んでいた手の指の間から少しだけ
白濁が零れ落ちた。
「あ、ああ・・・」
丑嶋はやがてぐったりと力尽きるように腰を曲げて崩れ落ちた。だが、戌亥に直接体重を掛けることがないようにベッドに
両手を突き、前のめりになった程度だ。
戌亥も体の力を抜いた。息を整えながら眼を薄く開いて苦悶する丑嶋を見つめ、ふいに何か声を掛けようとする。だが、気の
きいた言葉は真っ白になってしまった頭では浮かばず、出たのは大きなため息だけだ。
戌亥はため息をつくと、言葉を掛ける代わりに数少ない丑嶋の肌の部分、衣類に包まれていない頬に手を当て、優しく撫で
続けた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
大事な幼馴染であり、仕事で協力しあうこともある二人でエロを書いてみたかったのですよ。社長受けなら最早何でもいいYO。
何でもかかってこいや!イエス ウィー キャン!貴重なスペースお借りしました。ありがとうございました。
>>148 なんという和み萌え
可愛いがゆえに手を出せない純愛リョマイゾも歯痒くていいなー
萌えを下さった姐さんに感謝!
>>155 社長受ktkr!!!
主導権握る潔癖社長とそれを許容する戌亥に禿げ萌えました
社長は確かに最低限しか服脱いでくれなさそう
何ならパーカーのフード被ったままエチーしそうだw
165 :
返信1/2:2010/07/19(月) 12:18:23 ID:31Fa/vzC0
>>410サンのネタに便乗して勢いで書いた。
後悔はしてないw
紅将軍の北の地での話
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
夏だというのに、ここは涼しい。
いやむしろ少し肌寒いくらいだ。
シャツを一枚羽織ると病室を出た。
廊下では看護師たちが談笑しながら病室内を行ったり来たりしている。
登場医大では考えられない光景だった。
いつも忙しなく、早歩きの看護師たちしか目にしなかった俺にとっては、この光景が異様に感じられる。
俺は横目で通り過ぎる看護師たちを見ながら、中庭に向かっていた。
ふと、ナースセンターの前で看護師長に呼び止められた。
「早見さん、登場医大の田具地先生からお手紙届いてますよ。」
俺は看護師長に小さく会釈すると、淡いグリーンの封筒を受け取り、ポケットに無造作に入れた。
外の空気は清清しい。
無駄な建物や、喧騒がないこの風景に慣れた頃に田具地先生から手紙が届くようになった。
俺はポケットに突っ込んでいた封筒を取り出した。
―早見先生、お体の具合はいかがでしょうか。一応病院長の方から、治療の方は順調だとお聞きしています。
チームのみんなも、早見先生の不在にも少しずつ慣れてきたようですが、休憩時間には速水先生の話題が尽きません。
砂糖先生は「まだ早見先生は飴を食べてるのかな」とか、伊豆見は「さすがに病院食だから飴は禁止されてんじゃないんですか?」とか、馳背川先生も「禁止されてるものでも関係ないのが早見先生だよ」と笑っていました。
研修医の多岐沢君、朝乃君、名賀山君、全員救命センター配属を希望しているようで、チームジェネラルに参加できたことをとても誇りに思っているそうです。
僕もチームジェネラルにいられた事は誇りです。
特/別愁/訴/外来も通常業務に戻ることができましたが、早見先生たちと過ごしたことを活かせられるように頑張りたいと思います。
こっちはみんな元気でやっていますので、早見先生も今は治療に専念してください。
早見先生が驚くようなチームがなるように、僕も微力ながらお手伝いさせていただきたいと思っています。
追伸:出張が入ったからと、白取さんもようやくお泊りセットを持って帰りました。部屋が少し広くなりましたが、なんだか寂しい気もします。―
166 :
返信2/2:2010/07/19(月) 12:21:21 ID:31Fa/vzC0
いつも些細なことを書いてくる田具地先生だが、最後の追伸は本当にくだらなさ過ぎて思わず笑ってしまった。
こうした近況を、月に2度程書いてくる田具地先生の律儀さとマメさに最初は呆れていたが、今では少し楽しみに感じている自分も可笑しかった。
俺は便箋を封筒にしまうと、再びポケットに入れたところで、この風景にはあまりふさわしくないスーツ姿の男を目の端に捉えた。
視線そちらに向けると、スーツ姿の男はニヤリと笑って近づいて来た。
「田具地先生、早見先生から葉書が届いてますよ。」
富士藁さんが声を弾ませて、僕に葉書を渡した。
葉書には宛名だけが書かれてあり、特にこれといったメッセージもなく、雄大な景色をバックに早見先生がものすごく不機嫌そうな顔をして立っている写真だった。
早見先生にこんな表情をさせる人物なんて、あの人しかいない。
今からやってくるであろう、あの人に早見先生の向こうでの様子を聞いてみようと富士藁さんと笑った。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
sage忘れてた…orz
>>155 社長ったらなんて攻め攻めしいんだ…
戌亥に触れさせない気高さはいいけど、
その前戯は一人プレイを見せ付けているみたいで結構恥ずかしいのでは…wなんて思ったり
とにかくGJ
168 :
緊縛1/3:2010/07/19(月) 21:49:10 ID:VDdc6E/M0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
リョマ伝タケ×イゾご褒美エチー話です
スレでの緊縛妄想話をネタに書きました
カーチャンSSとか書くのこれが初めてだからいろいろおかしくてもごめんね J( 'ー`)し
「テンテー、これは一体なんのお仕置きですろう…?」
丸裸で後ろ手に縛られ、布団の上に突き倒された井蔵は、大きな目に不安げな色を滲ませながら師を見上げた。
「井蔵、おまんちっくと大人しゅう出来んがかえ!」
武知はほつれた髪を掻き上げながら井蔵の脇に座り込み、渋面で嘆息をつく。
斬奸の褒美として井蔵と自室で情を交わす関係になってから数度目の夜。
この日も深夜皆が寝静まってから武知の部屋へ来た井蔵を迎え入れ、
自分の胸に抱き寄せた井蔵と互いの口を吸い合うところからはじまり、
本来男を受け入れる仕組みでない体を丁寧に馴らしてやっていた。
169 :
緊縛2/3:2010/07/19(月) 21:50:04 ID:VDdc6E/M0
しかし心の底から敬愛する武知に口を吸われただけで恍惚として涙ぐむ様の井蔵は、
愛撫が全身、そして殊更感じやすい部分にまで及ぶにつれ激しく乱れ、
武知の髷を掴み、肩や背中に血が滲むほど爪を立て、
思わず武知が口を塞ぐほどの大声で身も世もなく悦がり泣くのであった。
「(こいつがわしに懸想しちゅうのは知っちょったが、まさかこれ程とは思わんかった…)」
弟子の予想外に激しい一面を持て余しつつ、武知は縛られた井蔵を見下ろす。
「すんませんテンテー…でもわしテンテーに触られてるとおかしゅうなってしまいそうで…」
叱責され我に返った井蔵だが、未だ火が点いたままの体が辛くて、武知の手に頬を寄せ指を噛み先を強請る。
応えて武知が指の背で井蔵の内腿を擽ると、井蔵は腰を震わせながら鳴き声をあげた。
「うあぁ…っ」
「まっこと減らん口じゃのう。他の皆が起きたらいかんきに、我慢しいや」
武知が夜着の紐を井蔵の口に近づけると、察した井蔵が紐を噛む。
しっかり猿轡を噛ませると、武知は再び井蔵の上に圧し掛かり、
広げた井蔵の脚の間を可愛がり始めた。
「〜〜〜っ!!」
「これ、ほたえなち言うゆうろうが」
快感から膝頭を震わせ、ずり上がって逃げようとする井蔵を抑えつつ、
先走りのぬめりを拭って後孔に塗り込んでやる。
充分後ろがほぐれた頃合いを見て、武知が挿入を開始すると井蔵は苦しそうな鼻息を漏らした。
しかし抜き差しを繰り返すうち、肩に抱え上げた井蔵の脚が小さく跳ねるようになり、
挿入の苦痛で萎えていた陰茎も濡れそぼり切なげに蜜を滴らせていた。
「なんじゃ、これなら後ろだけでも気をやれそうやいか」
「ゥンっ!」
限界寸前の竿を指で優しくなぞられると、紐が吸いきれない涎で顎を濡らしながら
釣られた魚のように身悶えする井蔵に、武知の嗜虐心が頭を擡げた。
170 :
緊縛3/3:2010/07/19(月) 21:51:28 ID:VDdc6E/M0
弱いところに的を絞って責められ、とうとう後ろだけで気をやってしまい、
絶頂の快感に襲われている最中の井蔵に、武知は間髪入れず自身を抉り込んだ。
「ンン〜っ〜っ!」
過ぎた快楽に脳天が真っ白になり、涙を溢しながら仰け反る井蔵だったが、
後孔は武知に絡みついて蠢き、直に武知も情欲を解き放った。
情交の熱が引くと武知は井蔵の上から身を起こし、手篭めにされたかのような
弟子の姿を眺めた。猿轡と手の戒めを解いてやる。
「手酷くしてしまってすまざったの。体はだらしいないか?」
武知に猿轡の痕を撫でられ、井蔵ははにかんだように微笑みながら答える。
「あげに気持ちよかったの初めてですき…それに何だか嬉しゅーて」
「嬉しい?」
「テンテーにあんなことされちゅーいうのが…。テンテー、わし幸せです」
並んで寝転ぶ武知に肩を寄せ、井蔵は涙の滲んだ目を伏せた。
「侍は気安く泣くもんやないぜよ。まっこと井蔵は日本一の泣きみそじゃのう」
武知は微笑み返し、井蔵の涙を拭った。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
次があるならシンベ×テンテーとか書きたい
生・ゲイニソ・コソビ外カプ注意
今年20周年、ショウキャクロノマヂュツシの異名で有名なあの方
お相手は同期で特に仲のいいあの人
現在お休み中のため直接の絡みはありません
どっちが右とか左とかはとくに考えてなかった
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
使用機の到着遅延を知らせるアナウンスがロビーに流れる。
フライトインフォメーションボードがカタカタと音を立て、表示が一つずつ繰り上がっていく。
平日夕方の福岡空港、少しだけ混み始めるより前に悠々と出発口を通ったものの、東京に戻るのはもう少しだけ遅くなりそうだ。
相方は「本買ってくる」と言って本屋に行ったきり、どのマンガを買うのか迷っているのだろう。しばらく戻ってきそうにはない。
仕方なくラウンジへと向かうことにした。
歩きながら手元のケータイに視線を落とす。
バージョンアップさせたら見事に調子が悪くなってしまい、今はツィッ夕ーにも満足に繋げない状態、なう。
『メールは使えるけん、連絡とろうと思ったらとれんこともない…っちゃけどなあ』
口の端に上らない男の独り言は、元よりツィッ夕ーを使う類のものでもなかったが、今は心の中で呟くより他にしようがなかった。
「あー、やっぱこっちにおったったい」
聞き慣れた声に代吉が顔を上げると、見慣れた濃い顔立ちが真っ先に目に飛び込んできた。
花丸は両手に持っていたソフトドリンクのうち、一つを代吉に差し出す。
「ああ、ありがとう。本、買ってきたと?」
「おう。これ」
花丸が袋から取り出したのは一冊の雑誌。
「ジャソプ?今日木曜やん。まだ買っとらんかったんか」
「うん。今週忙しかったけん」
「ふーん……」
「………」
他愛もない会話が途切れた後、再び俯いてケータイを弄り始めた代吉。
その様子に花丸は大きな溜息をつき、やれやれと隣のソファーに腰を下ろした。
「………」
「………」
コソビだからといって、隣同士に座ってそこから必ず会話が繋がるというわけでもなく。
気まずい程重い沈黙の中、いつ始まるかわからない搭乗手続きを待ちながら、ただ時間だけが過ぎていく。
それからどれくらい経った頃だろうか。
「丘村くんのこと、心配しとうとやろう?」
不意に沈黙を破った花丸の一言に、代吉はハッと身を堅くした。
自然、ケータイを扱っていた指の動きも止まる。
「俺がわからんとでも思っとったとか?」
代吉が顔を上げて隣を見ると、きりっと凛々しく眉根を上げる相方とばっちり目があった。
それを見た代吉は、『ああ、きっと俺は情けない顔しとるっちゃろうな』と思わずにはいられなかった。
「……ゴメン」
気がつけば、その言葉は自然と代吉の口をついて出てきていた。
「別に謝らんでよかぜ。お前仕事の時はちゃんと仕事に集中して、今みたいな素振り少しも見せよらんし」
花丸は視線をジャソプへ戻し、おそらく読んではいまい、ページをパラパラと機械的に捲りながら続けた。
「連絡、しとらんとか?」
「………」
代吉からは肯定の言葉も否定の返事もない。
が、これは恐らく連絡しようしようと思いつつも、結局できないでいる状態に違いない、と花丸は確信していた。
「俺に今更黙秘しても仕方なかろーが」
「……今は体治すことに専念してもらいたいし。それに――」
「それに?」
言いよどむ代吉を促すように、花丸はジャソプをパタンと音を立てて閉じ、相方の方を見遣る。
「それに……」
代吉は長い睫毛を伏せがちに、悲愴な面持ちのまま一度は噤んだ口を再び開いた。
「おかむーの方から連絡来んのに、俺が心配しようとか一方的に言ってさ…その、ただでさえ弱っとるところに、さらに負担かけたくないもん」
「お前………」
なんね、その付き合いたての初々しい恋人同士のような発想―――そう思うや花丸はプッと噴き出さずにはいられなかった。
「ちょっ、お前!人が真剣に話しよるとに、もー!」
「ごめんごめん。いやー、お前丘村くんのこと、ばりばり好いとうんやなーって思ってさ」
今度は代吉が口をつけていたソフトドリンクをブハッと噴き出す番だった。
「お前ってさ、恋愛に関しては昔から晩生やったよな」
「べっ、別によかろうが。大体そんな晩生やなかったら、中学ではもっとイケとうグループに入っとったって!」
「で?丘村くんのことは好いとうっちゃろう?」
「…………好いとう、よ」
驚くほど小さな声だった。
ここがラウンジで大声で話すことはできないというのを差し引いても、隣にいる花丸でさえ拾えるか拾えないかくらいの本当に囁き声で。
「やろー?まあお前らテレビでもラジオでも、相思相愛を公言して憚っとらんもんなあ」
「なっ……」
誤解を招くとしか言いようのない台詞を吐いて、花丸はニヤニヤしながら代吉の顔を見ていた。
まるでテレビカメラがそこにあるかのように、すっかり相方いじりモードに入っている。
「好きあっとうモン同士なら別に遠慮する必要なかろうが。丘村くんもまあああいう性格だから、お前に心配かけまいと連絡してこんだけなんかもしれんぜ?」
似た者同士というかなんというか、お互いに想い合って遠慮しあっての結果なら絶対損をしている、と花丸は代吉に熱く諭す。
その熱さに代吉は全く口も挟むことができず、ただただ花丸の言葉を受け止めるばかりであった。
「ていうか根本的なことやけど、好きな奴から連絡もらって、嬉しくないわけなかろうもん!」
「って、どこ行くとや?搭乗手続きのアナウンス、まだやろう?」
突然立ち上がって荷物をまとめ始めた花丸に、代吉は慌てて声をかける。
「あー、俺ちょっと買い忘れた雑誌があったけん、売店に置いてないか見てくるわ。お前はまだゆっくりしとき」
「え、ちょ…」
「それと、電話するんやったら外でしいよー」
そう言い残し、花丸はそそくさとラウンジを出て行ってしまった。
「……別に声聞きたいとか、そんなんないけんメールで十分なのに、いらん気ぃ利かせて。あいつ…」
一人残された代吉は、握り締めたままのケータイにまた視線を戻した。
そしてそれをしばらくじっと見つめていたが、やがて意を決したかのようにぐっとケータイを握り締めたのであった。
各マスコミに、丘村の無期限休養を報告するFAXが送られるまで、あと数時間――
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
代吉先生の「『報道されてからは』連絡してない」発言を勝手に曲解しました
最近この2人が愛しくて仕方ない
>>175 地元出身コンビktkr!
博多弁萌えるのう萌えるのう
>>175 私もこの二人が最近愛しくて仕方ないので大変おいしくいただきました
お休み中の方は本当に心配だけど、無事復帰した暁にはまたいちゃいちゃして頂きたいです
180 :
風と木の名無しさん:2010/07/21(水) 00:33:37 ID:xSB4QOGCO
>>180 リョマ伝は粘着アンチ飼ってるな
お前の好きカプは流行んないから安心しろよw
お触り禁止
183 :
風と木の名無しさん:2010/07/21(水) 19:10:35 ID:Wy83VS220
>>175 ここで久しぶりに伯方の小説が見れて嬉しいです
代吉さんが可愛くみえてしまったどうしよう
そして花丸さんの気の利かせ方がGJすぎるw
>>168 可愛くて幸せでエロくて萌え滾りました
ありがとう〜
>>165 ありがとう!萌えた…!
愚痴と同期が一緒にいるの好きです
生。旬ものかな? 某番組での会話より。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
彼の部屋を訪れたのは、他意があってのことではない。
この地で彼らに提供された場所は素晴らしい景観とアメニティをあわせもってはいたが、
いかんせん限られた人間と限られた空間に長く拘束されるというのは苦痛を伴うもので、
日が経つにつれ、彼らの大部分がここでの時間を過ごすのに四苦八苦していた。
そのための対策を練ってきた彼らに対して自分はいささか不遜だったかもしれない。
自分が放った一言は、一様に彼らを呆れさせた。つまり「なんか貸して」である。
そのターゲットはもっぱら彼になった。
日課のように往復している彼の部屋に、いつものようにおざなりにノックして、
返事を確かめもせずに入る。しかし彼の姿はなかった。
いくらこのフロア一体は彼ら一行が占拠しているとはいえ、この国でこれは
ちょっと不用心なんじゃないか? 彼らしくもない…と思い、他人の部屋に勝手に
入る罪悪感よりもこの部屋を空にしたまま自室には戻れないという義務感が勝って、
主のいない部屋へ踏み込んだ。
そもそもこの部屋を訪れた目的である、見終わったばかりのDVDの続きを探したいという
気持ちがあったことも否定できない。
勝手に好きなの持ってけ、と数日前に彼が示した荷物の中から目的のものを
見つけ出すとすぐにやることがなくなった。部屋に踏み込んでDVDを漁ることは
できても、それを勝手に再生したりその他の私物に手を出すことはさすがに
はばかられたので、手をつけても問題ないと思われるベッドの上の読みかけらしい
雑誌を捲りながら彼を待つことにした。
しばらく没頭して読んでいた記事が終わって顔を上げ、ずいぶん時間が経過したのに
気付き、ようやく彼はどこへ行っているのだろう、という疑問が頭をもたげた。
といってもやることは限られている。スタッフと大事な話をしているのか、あるいは
他のメンバーと暇つぶしにゲームでもやっているのか。
いつ戻ってくるかわからないから自室に帰ろうか、でもそれだと俺本当にただ留守中に
忍び込んだだけになるし…と逡巡する。さっさと帰って来いよ。と八つ当たりのように
思いながら雑誌を投げ出してベッドに倒れこんだ。そのシーツに微かに温もりを感じて
心臓が鳴った。
彼とこうして同じ目標を掲げて異国の地で長い時間を共に過ごすのは初めてではない。
ただ、それが当たり前だと信じていた6年前と比べると、それからの二人が歩いた道程を
考えれば、こうして再び同じ地に立っているのは奇跡だとすら思えた。
閉じた目蓋の裏に彼の姿を浮かべてみる。
いつもどこか飄々として、困難を前に苦闘しているときにさえ自信を傍らに携えて、
見ている自分の不安さえ取り払ってしまう。懐に飛び込んだつもりがするりと交わされて、
逆に予測のつかない角度からあっさり自分の核心に触れられて戸惑う。
まるで彼のプレイスタイルそのままに。
きっと、彼は知っているのだろう。
彼のその姿に、言葉に、伸ばしてくる手に、どれだけ自分が掻き乱されるか。
知っていて笑いながら近づいて、簡単に触って、髪といっしょに自分の心をぐしゃぐしゃに
したまま別の誰かのほうへ行ってまた笑う。
「タチ悪……」
ぽつりと声に出してから、消えそうな彼の温度を確かめるようにシーツに頬をうずめた。
部屋の前に立って、ドアが完全に閉じていないことに気付いてヒヤリとした。
しまった、やられたかもと覚悟しながらドアを押し、ベッドの上に本来あるはずのない
物体を見つけ、覚悟したものとは別の種類の驚きに固まる。
そこに見慣れたジャージ姿の男が横たわっていた。
まさか隣の部屋と間違った?
いやいやこの自分の私物だらけの部屋にそれはないだろう、と思い直し、近付いてその
体の脇に彼の獲物を見つけて合点がいった。
それにしても人の留守中に勝手に入り込んでベッドを占領したまま眠りこんでしまうとは
油断ならないというべきか、油断しすぎというべきか。
据え膳食わぬは何とやらという言葉が一瞬頭を掠めたが、苦笑して追いやった。
実際、悪い気はしない。
彼がこうして自分の部屋で無防備な姿を晒していることは。とりもなおさず、自分への
信頼を表しているようで。
おとなしく丸まった寝姿からはプレイ中の激しさなど微塵も感じられない。普段から
よくも悪くも正直で嘘のつけない彼だが、試合になるとまさに火のような熱さで誰にでも
ぶつかっていく。その炎は時に周りも彼自身をも巻き込んで批判の的になることもあるが、
焼き切られそうな彼の視線の中が自分がおさまることは不思議な昂揚をもたらしてくれる。
きっと、彼は知らないのだろう。
彼のその姿に、温度に、まっすぐ見上げてくる瞳に、どれだけ自分が揺り動かされるか。
知らないで隙だらけのまま近づいて、信頼しきった顔をして、だからいつも手を伸ばしても
中途半端に触れるだけで、とどめ置くこともできない。
「タチ悪いわ……」
寝顔におりた手はやはり曖昧に触れただけで、すぐに行き場を失い滑り落ちていった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )まだまだ萌えが止まらないよ!
次に彼らを見れるのはいつなのか。
むしろ今後彼らを同時に見れる日はあるのか。そう思うと切ないです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
某ナマモノの先輩×後輩。名前は変えてみましたが、読む人が読めば一目瞭然。
――――――――
「ハヤテ」
今日もあの人が僕を呼ぶ。
「返事は!」
「……はい」
ペロリとのぞく舌。
僕をいたぶりたくて仕方ないというのが、ギラギラした目からも分かる。
「ハヤテは聞き分けがえぇなぁ。誰かさんとは大違いや」
「……」
『誰かさん』
今までにも、彼の毒牙にかかった哀れな『先輩』がたくさんいるというのは、ちらっと聞いたことがあった。
そして、耐え抜いた『先輩』と、耐えきれなかった『先輩』がいることも。
「さて、今夜はどないしよか」
顔に向かって伸びてきた手を、反射的に弾く。
空を切った彼の手は、次の瞬間には僕の頬を思い切りひっぱたいた。
「遊びには付き合わんよ」
顔は相変わらずニヤニヤしているのだが、目の奥のギラギラが一層強くなる。
「『ネジ』はきっちり締めんとなぁ」
頭の中では逃げなければならないと分かっているのに、彼の目に捕らわれてしまったら、もう逃げる術はないも同然。
蜘蛛の巣にかかった蝶のように、恐怖と痛みにもがき苦しみながら、喰い散らかされるしかないのだ。
「素直になったらよろしいやん」
「……シンイチさん」
ふと見せる優しげな顔。
その顔に気を抜いた隙に、勢いよく押し倒された。
「お前みたいなかわいい顔したヤツはなぁ、素直に女の代わりになったらえぇねん」
再び、ペロリとのぞく舌。
目を閉じて、自分の感情を全て遮断させる。
恐怖で体が震える。
それでも逃げ出せない自分への絶望。
「ハヤテ」
今日も僕は自分を殺す。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
漢な先輩が大人げないことを繰り返すのは、裏にこういう事情があるから……という邪推。
>>186 大会終わってからもずっと頭から離れないこの2人の話が読めて嬉しい
両片想いに萌えたぎった!
ありがとう本当にありがとう!
これからも密会の度にフライデーされるといいよ
貴重なスペースお借りします。闇金ウシジマくんで社長の若かりし頃、鑑別所から帰ってきてから
の過去ねつ造話です。長くなるので、区切って投下させて頂きます。CPは金属バットフルスイング
コンビメインで、連合総長とその仲間たち×馨ちゃんです。
今回投下分にはエロ無し幼馴染みグループほのぼの系ですが、グロはありです。また、今後投下分
には集団プレイ的な部分や暴行的な部分も出てくるので、大した表現はないと思われますが、エロ・
グロ苦手な方はご注意下さい。
なお、このお話の骨格部分は801板の闇金ウシジマくんスレの、粋でいなせな姉様方の書き込みを
参考にさせて頂いております。ありがとうございます。そして、色々ご迷惑をお掛けしました。
こちらの投下内容に関しましてのご意見、ご感想等がもし万が一ございましたら、他の素敵な投下
主さま達とその読者さま達のお邪魔にならない程度で、こちらにてお願いいたします。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
身長体重によって個人差はあるものの、基礎代謝含めて一般的な日本の中学生が一日に消費する
のは2650〜2750カロリーと言われている。だが仮に3食まともに食べたとしても、成長期の体は
いくら食べても腹が減る。
だから、どうしても下校時には何か口に入れねば、家に帰るまでひもじくてやっていられない。
そんな成長期の男子、丑嶋、柄崎、加納の目の前では煙を上げる鉄板がある。
更に鉄板の前には山芋とキャベツをたっぷり練りこんだ生地が入った大きな器があり、これまた
たっぷりのイカ、海老、テンカスなどが投入された。
それをお玉でかき混ぜ、いよいよ油を敷いた鉄板の上に丸い形になるように落としていく。
「うっわ!うわわっ!好い匂い!」
鉄板の表面で生地が焼ける匂いがすると、辛抱堪らなくなった柄崎が歓声を上げた。
加納は柄崎と違い声は立てないが、それでも嬉しそうに鉄板の上でどんどん焼けていく生地を熱心
に見詰めている。
丑嶋は大して興味が無さそうにぼおっとしているが、よく見ると黒い瞳はきっちり鉄板の上に釘付
けだ。
テンションが上がっているような、いないような。3者3通りではあるものの、何だかんだで嬉しそう
な丑嶋と柄崎と加納の眼前で豚肉が生地の上に敷き詰められていく。3人はついに「ほうっ」、と感嘆
のため息を漏らした。
そうして焼くこと数分、ついに鉄板の上で美味しそうなお好み焼きが完成した。
「はい。よし!食べていいよ」
丑嶋たちの目の前でコテを振るっていた戌亥が手を休めると、3人は我先にと焼けたばかりのお好み
焼きを片っ端から自分に与えられた皿に盛り、食べ始めた。
美味い美味いと頬張る丑嶋たちを愉快そうに見つつ、戌亥はコップに入れた水を一気に飲んだ。鉄
板の熱気を吸い込んで熱くなっていた喉を冷たい水が通っていく。口をコップから離して一息つく。
再び水を飲むが、今度は先程まで冷たく感じなかった。よっぽど作業に没頭し、熱気を吸い込んで
いたせいだろうか。
戌亥は飲み終わったコップにもう一杯水を注いだ。
ついでに丑嶋達の前に置いてあるコップにも水を継ぎ足してやろうと見たが、丑嶋たちはただ食べる
ことに一生懸命なようで水は一口も減っていないようだ。
「美味い?」
餌付けされたげっ歯類のように頬を膨らませた丑嶋に聞くと、箸を銜えたまま首を縦に振っている。
足りなくなれば次を用意してやるから、そんなに詰め込まなくても、戌亥は苦笑した。
店内には丑嶋たちがお好み焼きを一心不乱に食べる音と、戌亥が水を嚥下する音だけがしている。
ここは戌亥の実家で、母親が切り盛りしている店だ。ただ、まだ正式な開店時間に達しておらず、
戌亥の母親も仕入れの為の買い物にいっており、店内には4人以外誰もいない。
鉄板の上の攻防は熱く、だが店内では冷蔵庫のモーター音位しか聞こえない静かな時間。ややもすれ
ば退屈になりそうな時間だが、中学生男子4人が集えばそれだけでどことなく楽しい時間になるのが良
い。こうして皆で食事をするだけで、退屈することも無く時間が過ぎ去っていく。
ふと気がつくと、たっぷり作った筈のお好み焼はあと僅かになっていた。戌亥は未だ皿に残った分
に齧り付いている3人を眺め、コテで鉄板の上に散った野菜カスやらを隅に寄せ、次の1枚を用意しよ
うとした。
まだ熱い鉄板にコテを置き、お玉で生地をすくった。その時、店の入り口が乱暴に開けられた。
お玉を持ったままで戌亥が顔を上げると、入口の敷居を踏みつぶさんばかりに仁王立ちした男が
いた。
「あ、すみませーん。開店まだなんですよ」
戌亥が声を掛けたが、男はお構いなしに店内に入り、4人が座っている席にズンズンと進んできた。
食べるのに一生懸命だった丑嶋、柄崎、加納、それに戌亥も無礼な態度の男を睨みつけた。男は見た
目からして素行の悪そうな感じだ。素行の悪そうな感じと言えば柄崎と加納も人の事は言えないが、
特攻服のような物を着こんでいる男と、単なる不良風の柄崎と加納では見た目のインパクトが違う。
男は柄崎と加納と戌亥には目もくれず、ただ丑嶋のみを上から見下ろしている。丑嶋が座ったまま
だと言う事もあるが、仮に立ったとしても男に見下ろされる感じになるだろう。恐らく年齢は高校生
位だろうが、貫禄は年齢を超えている。だから、柄崎も加納も舐められて無視されているのは分かる
のに、すぐに胸倉を掴んでやろうと飛び込めないのだ。
「丑嶋、だな?ちょっと俺について来いや」
男は丑嶋の事を頭からつま先まで舐めるように見ると、ドスを効かせた声を出した。だが丑嶋は立ち
もせず、野犬でも追い払うように手を振った。
男は一瞬目を見開いたが、すぐに平静さを装った顔に戻り、丑嶋の肩に手を置いてきた。
「俺んとこの上が、お前と会ってみたいっておっしゃってんだよ。いいから来いや」
口調は先程とまったく変わらないが、男は丑嶋の肩を手で握りしめる。丑嶋の顔が歪んだ。
男は苦痛に歪んだ丑嶋の顔を楽しそうに眺める。
「ホラ、行くぜ。行かないと、泣かせちゃいまちゅよ」
「テメェ、離せや!」
歪んだ丑嶋の顔を見た柄崎が瞬間立ち上がり、男に掴みかかろうとする。だがそれよりも早く、丑嶋
が身を翻した。
鮮やかな身のこなしに男はついていけなく、たたらを踏んでひっくり返りそうになった。
丑嶋は男の腕を掴み、男の背後に回ると、机の上に体ごとねじ伏せる。
「あっ!」
自分より頭一つ分程小さい少年に組伏され、男は驚きと苦痛で無様な悲鳴を上げる。後ろ手に捩じら
れた関節がきしみ、今にも折れそうになっている。それでも丑嶋は力を緩めず、体ごと男に傾き、関節
を中心にして捩じる。
「あっ、ぎゃっ!止せ!折れる!」
男が身を捩ると、湧き出た冷や汗が熱く焼けた鉄板に飛び散り、蒸発する音がする。体格差無視の力の
差を見せつけられ、男は手足をバタつかせて叫ぶ。その姿は、誤って水面に落ちてしまった羽虫のようだ。
圧倒的な力でねじ伏せられ、プライドが一瞬で地に落ちた男は最早恥も外聞もなく叫ぶ。
「止めろ!本当に折れちまうって!痛い、痛い、イテェよ!こ、こんなことして、只で済むと思うなよ!」
先程までの男と一緒の人物が発しているとは思えない雑魚丸出しの言葉を聞き、思わず柄崎達は笑って
しまった。
「くふふっ、ははははっ」
只一人、丑嶋だけは笑顔を見せず、まるで軽作業でも行っているような涼しい顔だ。気の抜けたようにも
見える幼さを残す表情は、とても自分より大きな男をねじ伏せ、これから骨の一本でも折ってやろうという
表情には見えない。だが、瞳の奥は底なしに冷たく、何を考えているのかまったく見えない。
男は丑嶋の黒い瞳から言い表せぬ凄みを感じ、いよいよ脅しとも哀願ともとれる言葉を並べたて始めた。
「俺は、ただ呼んで来いって言われて、来ただけなんだ!本当だ・・・」
「ふーん。誰だよ、その馬鹿。第一、来いってどういうことだよ?テメェがこっちに来りゃ良いだろ。
お前、これから帰って、そう伝えて来いよ!」
「ぐ・・・っ、そんなの無理だ!そんなこと、あの人に言える訳ねェ!」
「あの人って誰だよ?」
「・・・・・・っ!!」
男が言葉に詰まると、丑嶋は男の腕を掴んでいる部分を肘の関節に移動し、いよいよ関節をグッと押し
始めた。
「ぎゃああああぁあっ!許してくれ!滑皮さんだよ!あの人の命令だ!」
「あ?滑皮?誰だ、そりゃ」
訝しげな表情の丑嶋と違い、男の口から出た名前に柄崎達は動揺した。
「滑皮?!」
地元にいて、その名を知らない者はいない。特に不良を気取っているならば、刺激したり対立したり
してはいけない為、どうしても名前を聞くだけですくみ上がってしまう。それは仕方がない。
しかし、丑嶋は小首を傾げると、分からない、といった表情を浮かべた。
「滑皮・・・、どこかで聞いたことあるンだけどな。まぁ、良いや。そいつがどんな面してるか知らねェ
けど、面貸すのはテメェの方だって言っとけ」
丑嶋の手の力が少し緩んだ。男は心底ホッとした表情を浮かべた。だが、力が緩んだ丑嶋の手を解く
力は残っていないようだ。
「あ、そうだ。忘れてた。テメェに駄賃やるよ」
丑嶋は動けない男の腕を再び掴む。暴れないように肩を男の背中に置き、体を固定した。
「え?!え?!」
てっきり解放して貰えるものだと思った男はオドオドする。
「よっと」
男を押さえこんだ丑嶋は片手を離した。だが、体重を掛けて押さえこんであるし、男の体は緊張と疲労と
苦痛で縮こまっているので片手でも易々と扱える。
離した片手は鉄板の上に置いてあったコテに伸ばされた。コテは今この瞬間まで熱した鉄板の上に乗って
いたので、もうもうと白い湯気を上げている。
「よいしょ、っと」
丑嶋は肩に力を込め、男を更に押さえこんだ。そして、男の右腕の衣服を捲り上げると、熱せられたコテ
を男の手首に押し付けた。
「うっ、わああああああああっ!!」
熱せられたコテは男の皮膚を焼く。薄い皮膚はすぐに熱でベロベロとめくれ、下にある肉が焦げる。店内
に広がる匂いはタンパク質が焦げた凄まじい匂いだったが、すぐに壁や柱に沁みついた豚肉などのお好み焼
の匂いに合わさって不快感は消えた。
「ぎゃあああっ!!」
男は白眼を向かんばかりに悶え苦しむ。丑嶋と同じとまで言わないまでも、それなりに筋肉の付いた逞しい
腕が火傷の苦痛に晒される。
「うがあっ!!」
男は渾身の力を込めて身を揺らした。流石に男よりも小さい丑嶋は背中から振り落とされてしまった。
丑嶋を振り落とした男は焼けただれた自分の腕を見るまでもなく、気が狂ったように泣きながら店から
走り出て行った。
「ふうっ、まったく、飯中に何なんだよ」
丑嶋は首を回して肩の力を抜き、椅子に座った。皿に残っていたお好み焼きはかなり冷めていて、しょんぼり
してしまう。
柄崎は眼をらんらんとさせ、丑嶋を見つめた。
「すげぇ・・・。丑嶋、やっぱすげぇわ!」
丑嶋の力や精神的な強さに子供のようにはしゃぐ柄崎。加納はたった数分間のジェットコースターのような
アクシデントに若干引いている。
戌亥は大して動揺もしていない飄々とした表情で床に落ちてしまったコテを拾い上げた。そして店にある
洗い場に行き、淡々とコテを洗い始めた。焼けて剥離した男の皮膚がコテについていて、洗剤を付けたスポンジ
でゴシゴシ擦っている。そんな戌亥にも加納は若干引いてしまった。
皿に残っていたお好み焼きを食べ切り、丑嶋は戌亥に空になった皿を差し出した。
「動いたら腹減った。お代り」
多少アクシデントがあったが、食事会もどきは戌亥の母親が帰ってくる頃に終わった。自分たちが使わせて
貰った鉄板を綺麗にし、ごく簡単だが開店の準備をお手伝いし、店の前で解散した頃には、もうすっかり夜に
なっていた。
丑嶋は一人歩く。
店を出る際には、戌亥から滑皮という人物について教えてもらった。どうやら以前に戌亥から「滑皮には
近づくな」、と忠告されたようだが、すっかり忘れていた。かなり危ない奴のようだが、大して恐くはない。
それよりも恐い、というより寂しいのは、これから一人で家に帰ることだった。はっきり口には出さないが、
4人で馬鹿みたいに騒いだ時間は楽しかった。でも、各自には各自の家庭がある。丑嶋にもあるにはあるが、
学校が終わった後、息せき切って走り、家で待つ母親の元に帰る様な感じではない。
何となく重い足を動かしつつ、あてもないのに地元の駅前に向かおうとした。
戌亥の実家がある方面から駅前に行くには人通りのない住宅街を抜けなければいけない。学校鞄を気まぐれに
振りまわしつつ、細い住宅街の路地裏に入って行く。
路地裏を歩くが、案外距離があって中々着かない。急いでいる訳でもないので何となく空を見上げると、
あと少しで満月になろうとする月があった。
雲が無い今宵は月の模様が良く見える。模様は黒く点々としている。見る角度が違えば模様も違って見える
のだが、日本と同じように見えるカナダなどではあの模様を「バケツを運ぶ少女」と表現するらしい。北ヨー
ロッパなどでは「本を読むおばあさん」と表現するらしい。だがやはり、丑嶋としては、日本での「餅をつく
ウサギ」という表現が一番可愛らしくてしっくりくると思う。
丑嶋はしばらく月を見ていた。だが、視線の端に何かが動いたのに気がついて顔を下げた。
しまった、と思って後ろに下がろうとした時にはもう遅かった。眼前から棒状の物が突きだされたかと思うと、
迷いなく丑嶋の頭をとらえた。
すぐに夜空より暗く、ドロリと重い闇が覆いかぶさってきた。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
厨房の彼が可愛すぎて色々やらかしそうです。そして厨房だけど、地上最強の嫁っぷりは健在です。
それでは、またいつかの後日。スペースお借りし、誠にありがとうございました。
206 :
風と木の名無しさん:2010/07/24(土) 23:14:56 ID:u1p0QqqJO
171
同期萌え
二人とも可愛い
>>193 某ブログのあの勝負の後でしょうか。
萌えました、GJ!
ヒカ碁でヒカアキです
萌えに任せて書き上げました
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オレと塔矢はいつものように碁会所で碁を打っていた。
手合いにオレが出るようになってから、
放課後は塔矢んちの碁会所で落ち合うのが常だった。
「前から言おうと思っていたんだが……」
左上の星から一間トビで堅く構えながら塔矢が言った。
「キミはいつになったら髪を切るんだ?」
「ああ、これ?」
オレは自分でも伸びすぎかなと思っている前髪をつまんだ。
「いや、切ろう切ろうと思ってたんだけどさ、つい、めんどくさくてな。
そういやお前っていつもきっちりしてるよな。どこで切ってんだ? 美容院?」
「母に切ってもらっている」
白の欠陥をとがめながら塔矢が答えた。
オレは不完全なまま攻められ、ノビて補強するくらいしかできなかった。
塔矢はトビながら悠々と下辺の白模様を荒らしやがった。
いい気になりやがって。いつか公式戦で勝ってやる。
五月には北斗杯だってあるんだ。
オレは鼻を鳴らして小馬鹿にした。
「お前、その年でお母さんに切ってもらってんの?」
「悪いか?」
塔矢がケイマで中央に伸びた。その一手にオレはコスんだ。
ここから一気に反撃だ。
「だから、そんな髪型なんだ」
「そんな髪型とは?」
塔矢は指に黒石を挟んだまま、ぽかんとした。
やっぱり自覚ねえんだな。今時おかっぱはねえだろ。
オレはきのうの和谷との会話を思い出してプッと吹き出した。
「何がおかしい?」
塔矢はキリ返すと、鋭い目で睨んできた。
「たいしたことじゃねえんだ。きのう研究会のあと、和谷とコンビニでエロ雑誌立ち読みしてさ」
案の定、塔矢は顔をしかめた。
おいおい、マジかよ。和谷の予想は的中らしい。
オレは真顔になって身を乗り出した。
「でさ、和谷が言ったんだ。塔矢ってエロ本とか持ってなさそうだよなって」
「何が言いたい?」
塔矢の目はさっきよりも百倍冷たくなっていた。
「まさか、お前ほんとにエロ本持ってないのか?」
テーブルをバンッと叩くと、塔矢は勢いよく立ち上がった。
「ふざけるな! ボクがそんなものを持っているように見えるのか!」
オレも負けじと立ち上がった。
「はあ? 持ってねえの? 一冊も? 異常なんじゃねえ?」
「ボクは異常なんかじゃない! おかしいのはキミたちの方だ!」
「違うね! 健康な男子なら百冊や二百冊隠し持ってるのが普通だ!」
「おかしくない!」
「おかしい!」
碁会所の他の客をよそに、オレたちは睨みあった。
塔矢の目に表れているのは闘争心以外の何物でもない。
オレは塔矢先生の顔を思い浮かべた。
親父がああなら息子がこうなっちまうのも仕方ねえのかもな。
「北斗杯の代表に選ばれるまでここには来ねえ」
オレは塔矢に背を向けると、受付の市河さんからバックパックを受け取った。
市河さんは困ったような顔をしていたが、オレは何も言わなかった。
それから四ヵ月後。
オレは無事、北斗杯の日本代表に選ばれた。
残りのメンバーはハナから出場が決まっていた塔矢と、関西棋院の鉄砲玉、社だ。
北斗杯4日前、オレと社は駅で待ち合わせをして塔矢の家に向かった。
徹夜で超早碁の勝ち抜き選をやったオレたちは、
やっと現れた団長の倉田さんと寿司を食べ、北斗杯での戦い方について話しあった。
オレは大将になりたかったけど、もちろん倉田さんに却下された。
仕方ない。それだけの力が今のオレにはないもんな。
その日の夜、オレと社はさっさと布団にもぐりこんだ。
ちゃんと寝ろよと倉田さんに言いつけられたからだ。
だけど、オレはなかなか寝つけなかった。
本因坊秀策なんかたいしたことないって言いやがった高永夏のせいだ。
くそっ、本因坊秀策が生きてたらあいつなんかやっつけちゃうのに。
絶対負けねえのに。
オレは何度も寝返りを打ったあと、こっそり起き出してトイレに行った。
戻るついでに塔矢の寝室に足を向けると、思った通り、まだ明かりがついていた。
「まだ起きてんのか?」
オレは障子を開けた。
塔矢はびっくりしたように顔をあげた。手には棋譜がある。
「中国や韓国の棋譜並べはあしただろ」
「言われなくてもわかっている。これを終わらせたら寝るつもりだ」
塔矢は素っ気なく答え、棋譜に目を戻した。
オレはふと思いつき、部屋を見回した。
パソコンと勉強机、それに碁盤があるだけで生活感のかけらもない。
オレは部屋を横切ると、机の引き出しを開けた。
「進藤、何をしているんだ?」
エロ本を隠すなら机の引き出しかベッドの下と相場は決まっている。
だけど、どの引き出しにもエロ本はなかった。二重底の類もない。
ってことは、押入れか。
オレは押入れを開けると、「冬服」とか「アルバム」とか書いてある段ボール箱の中身を
片っ端から確かめていった。
「人の部屋を勝手に荒らして失礼だとは思わないのか?」
塔矢が止めようとしてもオレは構わず続行した。
そして呆然とした。
ない。本当に一冊もない。
塔矢アキラはエロ本を持っていない。
「お前、一度病院に行った方がいいぞ」
オレは座り込んだまま呟いた。
「いったい何の話だ」
塔矢は「こんなに散らかして」とブツブツ文句を言いながら、
オレが引っ張り出した段ボール箱を押入れに戻した。
「なあ、そういう気分になった時はどうすんだ?」
「そういう気分とは?」
塔矢は碁盤を片隅に寄せると、布団を抱え、畳に広げた。
「ムラムラした時だよ。いくらお前でもそういう気分になることぐらいあるだろ? あると言ってくれ」
そうじゃないとオレはお前を人間として認めることができねえんだ。
塔矢は布団の上に正座すると、恥ずかしそうに俯いた。
「……そういう時は」
「そういう時は?」
オレは手をつき、塔矢の顔をのぞきこんだ。
塔矢はうっすらと頬を染めていた。
オレは胸に妙な感動が広がるのを感じた。
よかった、やっぱ人間なんだな。
「そういう時は碁を打つ」
「何だそれ!」
オレは考えるよりも先にツッコんでいた。
やっぱこいつ人間じゃねえ。
「……しゃ、射精をすると快感を得られるということは知っている。保健体育で習ったからな」
男は保健体育で習うより慣れろって言うだろうが!
「じゃ、お前、今まで一度もマスかいたことねえの?」
「マスを……かく?」
そんな言葉聞いたことないとでも言いたげに、塔矢が小首を傾げた。
実際、聞いたことねえのかもな。
緒方先生や芦原さんとそんな話するとも思えねえし。
「オナニーだよ。オ・ナ・ニ・イ」
わかりやすいようにオレは一語一語区切って言ってやった。
塔矢はゆでだこみたいに顔を真っ赤にすると、また俯いてしまった。
「……そんなこと、するわけないだろ」
「信じらんねえ。たまったまんまよく平気でいられるな」
「平気、ということはない。たまに、夢精してしまうことがある」
俯いたまま、塔矢はぽつりぽつりと答えた。
「絶対体によくねえって。そのうち病気になるぞ」
「だが、そんな行為、ボクには到底できない」
パジャマの膝を握りしめて、塔矢は声を振り絞るように言った。
「ったく、しょうがねえなあ」
オレは塔矢の背後に回り込むと、ズボンを下げて塔矢のペニスを取り出した。
「な、何をする!」
塔矢はオレの腕を引きはがそうとした。
オレは塔矢をがっちり抱え込むと、右手を上下に動かした。
「……ん、は、っあ」
塔矢の口から苦しそうな喘ぎ声がもれた。
抵抗する力もどんどん弱くなっている。
「たまったもん全部出したら、3日後の対局はばっちりだぜ」
塔矢は何も答えない。
目を固くつぶって赤い唇を噛み締めている。
間近で見る塔矢のそんな表情にオレの体がうずいた。
ヤバイ、塔矢ってこんなに色っぽかったっけ。
それに何だかいい匂いがする。
オレは先走り汁でぬらぬらと光る尿道を親指でこねくりまわした。
「進藤、そこは……んっ……!」
塔矢があっという間にイき、オレの掌は真っ白になった。
オレは掌を顔に近づけ、塔矢の精液を舐めてみた。
「まずっ」
「馬鹿、当たり前だろう」
塔矢はティッシュの箱を引き寄せてオレに渡した。
オレは塔矢の体に腕を回したまま、ティッシュで掌をきれいにした。
塔矢は初めてのオナニーの余韻から抜け切れないのか、どこか上の空だ。
オレはこれ幸いとばかりに塔矢の感触を楽しんだ。
体は見た目ほど華奢ではなく、ほどよく筋肉がついていた。
黒髪は絹のように柔らかい。
いい匂いも胸いっぱい吸い込んだ。
オレのペニスは正直だった。
ギンギンに硬くなって塔矢の腰を押している。
「進藤、腰に硬いものが当たっているんだが……」
「ああワリィ。ほら、箸が転がっても勃つ年頃だし」
「わかった、好きなだけオナニーをしてくれ。
ボクは今後のために進藤のやり方を研究させてもらう。よかったらあとで検討をしよう」
「検討ってお前……」
オレは「馬鹿じゃねえの」と言いかけて、ぐっと堪えた。
いいアイデアを思いついたのだ。
「なあ、知ってるか? 男同士でオナニーをしあう時は、
先の奴が手、後の奴が口でしてやるって決まってんだぜ」
「え、そうなの?」
でまかせとも知らず、塔矢は素直に訊き返した。
「ほんとほんと。白番にコミがあるのとおんなじ」
「そうか、それは知らなかったな」
「だからさ、塔矢」
オレは塔矢をこちらに向き直らせると、自分のペニスを剥き出しにした。
「これ、口でくわえて」
塔矢はパジャマのズボンを直すと、ためらうようにちょっと考え込んだ。
「……そういうルールなら仕方がないな。わかったよ」
塔矢は両手で髪をかき上げ、前屈みになった。
その仕種がやたらエロくて、オレのペニスはさらに硬くなった。
右手を根元あたりに添えると、塔矢は浮き出た血管をちろっと舐めた。
たったそれだけのことなのに、塔矢アキラにフェラされてると思っただけで
オレはイきそうになってしまった。
だめだ、こんなにアシが速かったら塔矢の舌を楽しめねえじゃねえか。
オレは下腹に力を入れ、深呼吸した。
塔矢は真剣な表情で舌を動かしている。
オレはまだだ、まだだと自分に言い聞かせた。
それなのに、先端からはもう先走り汁が溢れている。
「何か出てきたぞ」
「……ん……それも舐めて」
塔矢が恐る恐るといった感じで尿道から汁をすくいとった。
「苦い」
「そういうもんなんだ……はっ……もっと全部吸って」
俺が指示すると、塔矢は亀頭をくわえ、ちゅうと吸った。
「あっ、いい、塔矢」
あまりの快感にオレの視界はぐらりと揺れた。
「今度は口全体でチンコをしごいて。歯は立てるなよ」
「口全体でか?」
塔矢がオレを見上げた。
オレは思わず塔矢のなめらかな髪をなでた。
「ああ、つらくないとこまででいいからしゃぶって吸って」
「しゃぶって吸うのか」
碁盤に向かっている時と変わらない表情でそう繰り返すと、
塔矢は口を大きく開け、ペニスを喉元までくわこんだ。
そのとたん、オレの背中をぞくぞくっと震えが走った。
塔矢は苦しそうに眉間に皺を寄せながら、ちゃんと唇だけでしごいていた。
「ああっ……ん……塔矢、塔矢」
オレは今までのオナニーが五目並べと変わらないことを思い知った。
あんなもの、塔矢の口と比べたら月とスッポンだ。
塔矢とならはるかな高みをめざせる。
神の一手を。
「とうやぁ……んんっ……塔矢、塔矢……ああっ!」
オレは塔矢の頭を抱え込むと、その口いっぱいに精液を放った。
塔矢はしばらく口を押さえていたが、吐き出すことはなかった。
オレは社のいる部屋に戻る気が起きず、そのまま塔矢の布団で眠りに落ちた。
翌朝、社に「怪しいわあ、二人めっちゃ怪しいわあ」と言われたが、反論はしなかった。
北斗杯が終わって数日後、塔矢から自宅に電話があった。
「緒方さんにも芦原さんにも聞いたが、男同士がオナニーをしあう時のルールなどない。
騙したな、進藤!」という内容だった。
オレは罵詈雑言を無視し、そっと受話器を置いた
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ほんとはヒカルにアキラを襲わせるつもりだったんですが
そこまでいけませんでした
某演劇「ファ卯ストの飛檄」博士×悪魔×博士です。
男二人の単語に始まり白い悪魔に萌えに萌えちまったぜ、夏。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
おお、麗しのヘレナ!
千艘もの船を繰り出させた 比類なきその美しさ!
象牙色の背を覆わんばかりの黄金色の髪が、次の瞬間には見慣れた漆黒に、
骨ばった男の背中へと変わった。
「…もう少しばかり余韻を持たせたらどうだ、この悪魔め」
乱れたシーツを乱暴に引き摺り寄せ包まると、ファウストは恨みがましい
視線を向けた。
つい一瞬前まで”史上最も美しい女”と学者達が結論し、自分の腕のなかで
媚態を見せていた完璧な肢体と美貌の女――であった白い悪魔。
メフィストフェレスはすでにいつもの悪魔らしからぬ純白の燕尾服と悪魔その
ものの冷笑をまとい、裾を軽く払うとベッドの端に腰掛けた。
こちらを覗きこむ目は先ほどまでの情事の余熱など少しも感じさせない冷たさ
だ。憎たらしい。
未だ快楽が種火のように燻る頭でファウストはぼんやり思う。
つ、と指先に顎を絡め取られると、唇が重なった。
深く浅く。角度を変えて互いの唇が重なり合う。
舌先がゆっくりとファウストの唇を舐め上げ、口腔に這い忍んで来る。強く吸
い上げられ、頭の芯が痺れる。肌の冷たさとは裏腹に熱を孕んだメフィストの
舌先に、悪魔の舌先は割れてるものだと聞いたがあれは迷信だったか、とファ
ウストはどこか遠くで考えた。
「史上最も美しい女を手に入れる」ことを望み、魂と引き換えに己の望みを叶
え続けることを契ったこの悪魔は従順にそれを叶えた。しかし所詮は精霊の力
を借りた虚像だ。メフィストによって現し世に照らされた美貌の女。己が抱い
たのは果たしてヘレナかメフィストか?いや、それすらも虚しい問いなのだろ
うか。
切れ切れに漏れるメフィストの吐息は思いのほか甘く、先ほどのヘレナの面影
が脳裏が掠める。それを感じ取ったか、メフィストは唇を合わせたままファウ
ストの金糸とも銀糸ともつかぬ髪を強く引いた。痛みに顔をしかめる。こいつ
は自分で化けたヘレナに嫉妬でもしてるのか?悪魔に覚られぬように苦笑する
とその背に腕を回し、深く貪る行為に没頭していった。
「お前が望みはすべて叶える。それが俺とお前との契約だ」
紅く色付き濡れた唇を悪魔の爪先がなぞっていく。いつもの冷たい目は今は情
欲で潤み、淫靡な光を点している。ファウストの喉がごくりと動いた。
ああ、俺は今この悪魔に欲情している。
この悪魔が、欲しい。
「…望みは叶ったかファウスト?」
「いいや、まだだ。まだ…」
ゆっくりとメフィストの頬を包むと、今度は自ら唇を重ねていった。
白い悪魔の唇が弧を描く。
(「お前の魂を手に入れるためなら、何でもしよう」)
(「――時よ止まれ、お前は美しい」)
□STOPピッ◇⊂(・∀・)オワリデスドウモシツレイシマシタ
>>208 久々のヒカ碁。萌えです。
イスミン受が好きだったなぁ
>>208 ヒカルwww
アキラもアキラだが…w
萌えました!ごちでした!
>>205 GJ
社長の行うグロならエロに等しい!
ちょい続きものになりそうだからトリップ付けた方がいいかも
楽しみにしてます
>>216 非常に好みです。翻弄される博士可愛い。
また書いてください
>>216 ごちでした!
メフィストが森川 久美のシメールで想像できたっす
>>73 遅レススマソ
堂出章組の2人が好きなんで禿げ萌えた!
ありがとう!ありがとう!
>>205 待望の滑丑キタ!いままで柄崎×社長が好きだったのに、あなたのお陰でマサル×社長、戌亥×社長まで萌えターゲットになってしまいました
今からは滑皮×社長も好きになりそうです
あくまでも社長らしいまま、つおく・気高く・ふつくしく受なのが大好きです
続き待ってます。そして出来たらいつか戌亥+柄崎×社長の幼なじみのライバルコンビに愛される社長をお願いします
>>205 待ってたよこのカプを!続き超待ってます
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
冷たい金属の感触で目を覚ました。
真っ先に目に入るのは、薄暗がりに不気味に光る水色の目。そして、今頬に当てられている刀の鈍い輝き。
すぐに刀は頬を離れ、低い声が響く。
「身体を拭いておけ、じきに次の客が来る」彼はそう言って、ぼろぼろの布切れを投げつけた。
そして次の瞬間、粘つく汁に塗れてどろどろの腹に、刀が突きつけられた。
「身の程知らずな真似をしたら・・・分かっているだろうな、小童め」
無言で起き上がって身体を拭き始めると、彼は刀を引いた。その瞳が嘲笑を浮かべる。
「お優しい兄上様が今のお前を見たら、何と言うかな・・・?」
彼はそのまま、高笑いと共に部屋を去った。
否応無く舌を絡め取られ、悲鳴と共に貫かれ、何度も何度も汚されて・・・それが命を繋ぐ代償。
もちろん彼らに対する恋情など持たない。されるがままにされ、感じて、堕ちるだけ。
最低限の食事を与えられ、重苦しい鎖を引き摺って生きる毎日。時折、心の中で呟く。
幾つもの雄に汚され、不純なものを身体に溜め込み・・・一体、いつになったら僕は救われるのだろうか・・・
いや、救いなど永遠にこないのかもしれない・・・何故なら、この世に神などいないのだから・・・
けれど、その度に首を振って、懸命に諦めの気持ちを振り払う。生きていれば、いつかまた会えると信じて。
ビュク・・・ビュルルッ・・・
名も知らぬ誰かの種汁が、今宵も僕の身体を濡らす・・・
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
イガのリョマ伝 リョマ→イゾです
もういっこ子供時代を書きたくなってしまいました。
ちっくと長いです。申し訳ないです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマス!
飛来家の縁側の奥に少年たちは身を潜め、中庭で米を啄ばむ雀を見つめている。
酒を含ませた米を雀に食べさせると、雀は酔っ払って面白いように捕まえられる、という噂を聞き、実行すべく集まったのだ。
涼馬は、家の者の目を盗んで竹筒に酒を入れ、米を一晩漬けておいたものを持参し、匙ですくって参加者六人に分けた。
「たくさん盗ってきたき、何羽も獲れるぜよー」
「楽しみじゃのぉ!」
早速、中庭のいたるところに撒いて少年たちは雀が降り立つのをわくわくしながら待っていた。
「雀、わしでもとれるが?涼馬?」
大好きな雀が獲れると耳にして家の手伝いもあったろうに、なんとか都合をつけてきた幼い伊蔵が涼馬の袴の裾をつまんで聞いてくる。
「そうじゃぁ、伊蔵も好きなだけ捕まえられるぜよ」
涼馬の言葉を聞くと、伊蔵は自分が雀を捕まえるところを想像し、大興奮していてもたってもいられなくなった。
そして逸る気持ちを抑えきれず、雀が庭に降り立つ度に「やったぁ!」と言って体ごと前倒しになり、物音に驚いた雀を逃がすという失敗を何度もしてしまった。
「伊蔵ぉー。出てきちゃいかんぜよぉ」年上の少年たちに怒られる。
「まー、まー。今度はわしが伊蔵をちゃんと捕まえとくき」
涼馬は伊蔵を背中から手を回し、飛び出さないように抱き込んで、口を軽く覆った。
周二郎を含む三人の少年はその姿をみて、それでよし、という顔をし、武智はクスリと笑みをもらした。
伊蔵はそれでもモゾモゾと抵抗していたが涼馬に更に強く抱かれ、武智に笑われたことに気づくと、恥ずかしくて顔を赤らめてやっと大人しくなった。
雀が、ばら撒いた米を食べ始めていた。
酒を含ませた米はどんどん無くなっていき、少年たちは雀の様子を固唾を飲んで見守る。
ところが、
雀たちは酔っ払う兆しもなく、いつものように身軽な様子で庭を歩き回っている。
「???」
少年たちの期待でいっぱいだった顔が怪訝なものに変わる。
小さな土煙が上がった。
満腹になった一羽の雀が何事もなく軽快に飛び立ったのだ。
一羽が飛び立つと雀たちは次々に飛び立ち始めた。
沢山あった米を平らげ、涼しげに去っていく雀を少年たちはあれよあれよとただ見送るしかなかった。
暫く誰も言葉が出ず、口を開けたまま動けない。
涼馬の拘束していた腕も緩み、伊蔵が自由に動けるようになった。
雀が飛び立った残念な事実を目にしていない伊蔵は無邪気に「雀は?」と庭へと飛び込んだ。
伊蔵の言動に少年たちが我に返った。
「嘘じゃーーーー!」
「おらん、1羽もおらんくなったがじゃー!」
涼馬らは嘆き、周二郎は愕然とし、武智は眉間を手で覆った。
一同は作戦の大失敗にがっくり肩を落としていたが、最年長の武智が皆を慰める。
「まぁ、残念やけんど、仕方が無いぜよ。豆をもうてきたき、気を取り直して皆で食べんか?」
そう言って懐紙の上に煎った豆を散りばめた。
「気をとりなおして食うか」
ドカッと縁側に座り、涼馬は自分たちのまぬけな様をおもしろおかしく分析し始めた。
「きっと雀はあれくらいでは酒に酔わんのんじゃ、酒の桶を用意して、そこで水浴びをさせるべきだったがじゃ」
「それはえいのう。今度はそっちを試すか」
武智と周二郎は涼馬の分析に大笑いした。
そんな中、
「伊蔵、えいこと教えちゃるき、こっちきい」年長の二人が厠へ行くと言ってから伊蔵を奥の部屋に呼び出した。
「なんちや?」
年長の二人は米を漬けていた酒を湯呑みに注ぐと、伊蔵に飲むよう勧めた
「これを飲んで、眠るとな、目が覚めた時に体が大きうなれるんを知っちゅうか?」
「ええ?大きうなれるがか?」
伊蔵の目がキラキラと輝いた。
「そうじゃ、だから酒を飲んどるのは大人ばっかりじゃろ?わしらも飲もうと思うたが、おまんが一番こんまいき先に飲ませちゃろう思うちょる」
「ええがか?わしがもろても?」
「遠慮せず、全部飲み」
もったいぶった様子で湯呑みを渡されると伊蔵は酒の独特の香りに顔をしかめる。
しかし鼻をつまんむと、湯呑みの酒を一気に飲みほした。
それを見た二人は、酒が飲めずにむせる伊蔵を笑うつもりだったため、完飲したことに仰天した。
こんな子どもが酒を飲んだりしたら一体全体どうなるものかと二人は項垂れた伊蔵を見つめる。
「口の中が熱いちやぁ〜」
上げた顔は真っ赤に染まっていた。しかし目を潤ませながら大きな酒息を吐くと、パタリと床に突っ伏して眠りだした。
少年たちは熟睡した伊蔵を確認すると安堵し、二人で目を合わせると不敵な笑みを浮かべて壁に掛けていた加緒の着物を勝手にはずし、伊蔵に着せ始めた。
寝言では伊蔵が
「わしも武智さんや涼馬と同じくらい大きうなって、強うなって立派になるがー」
嬉しそうにそんなことを言い続けている。
すっかり信じ込んでいる伊蔵の様子が可笑しくてたまらない。
二人は必死に笑いを堪えながら着替えさせ髪も大雑把に結わえ直すと、一緒に置いていた髪飾りをつけた。
すると、
着替えをさせてる時は気づかなかったが、そこには驚くほど可愛らしいおなごが出来上がっていた。
二人は思わず伊蔵の顔をまじまじと覗き込む。
「か、可愛ええの...」
「本物のおなごみたいじゃ」
いつもは生意気でやんちゃな伊蔵が見事に可愛いおなごになり、二人は何故かドキドキした。見つめていると変な気になる。
「酒を飲んどるから、ちっくと胸を開いちょったほうがえいかもしれん」
「そ、そーじゃな、伊蔵は男じゃき、胸ばぁ見えても平気なが、楽にさせちゃろ」
そう言いながら二人は伊蔵の胸元を少しはだけさせた。
肌が少し見えると自分たちでもわからない衝動に駆られ、お互いにつまんでいた襟を更に左右に開いていた。
小さな乳首が見えた時、少年たちは自分の股間が痛むのを感じた。
しかし言葉では
「息苦しいないよう胸でも撫でちゃろうか?」
「おう、おなごと違うからの、ちっくと胸ら触ったちなんちゃないぜよ。身体を洗いおうたりするのと同じぜ」
少し上ずった声で、子供なりの口実を作ると、二人は同時に伊蔵の胸に手を伸ばした。
各々、そっと触れてみると、柔らかい感触がたまらず、いつの間にか乳首ばかりに執着して弄りまわすようになっていた。
「んーッ」
伊蔵は迷惑そうに少年たちの指を払おうとする。
二人はそんな伊蔵の腕を床に押さえつけると欲望のおもむくままに伊蔵の乳首をつまんだり揉んだりする。
「ンッ...ンーッ..」
乳首への刺激が続くと伊蔵は眠りながらも困ったようなくすぐったいような表情を見せる。
その表情に少年たちは益々、股間が疼き、伊蔵の身体をもっと触りたくなった。
「痛がってるように見えるけんど、大丈夫かえ?」
「擦れて痛かったが?唾つけて直しちゃろうか?」
口々に勝手な理由を作り、とうとう二人は伊蔵の身体を舐め始めた。
左右の乳首を夢中で舐め続けていると、伊蔵は切なげな吐息を漏らすようになり、二人はたまらなく興奮してゆく。
抑えきれない欲望に、一人は伊蔵の頭を固定すると接吻しようと顔を近づけ、もう一人は伊蔵の股間へと手を伸ばす。
その時!
大きな音を立てて襖が開かれた。
「おまんら何をしちょるんじゃ?」
周二郎がいつまでたっても厠から帰ってこない三人が気になって奥の間まで探しに来ていたのだった。
もう少し、というところで二人は周二郎の声に飛び上がって、その場にひっくり返った。
「....?」無様な二人以外に周二郎の目の前には見たこともないような美少女が顔を真っ赤にして胸をはだけて眠っている。
わけがわからないながらに周二郎はその美少女につい魅入った。すると、傍にいた二人が疼く股間を誤魔化そうとしてべらべらと喋りはじめた。
「周二郎さんが先生以外の誰ぞに見惚れるところを初めてみたぜよ」
「???誰ぜ?こんおなごは?」
「伊蔵ぜよ。悪いが勝手に加緒の着物借りて着せてみたぜよ」
「ハァ?な、なにしちゅうが!おまんらは!!」伊蔵に見惚れた事実をからかわれ、周二郎も取り繕うように怒り出した。
その騒ぎで伊蔵が目を覚ます。気付いた一人が慌てて鏡を伊蔵に渡した。
「伊蔵、立派な侍になったが?」
大人になるために無理して酒を飲んで横になったのを思い出した伊蔵はまだ頭がクラクラしていたが、
成長した自分が見たくて期待を込めた表情で鏡を覗き込んだ。
しかしそこにはだらしなく着飾った見覚えのある顔の少女が映っているだけだった。
「?」
少年が言葉を継いだ「あれ?飲む酒を間違えたがぜよ?伊蔵?おなごになる酒を飲んでしもうたがじゃ?」
「ッ!!!」
それを聞いて伊蔵は血の気が引いたような顔をし、身体を引き攣らせた。次の瞬間、
「ワァァァァー!!!」
と周りのものの耳をつんざくような声で泣き出した。
その声に縁側でのんびり豆を食べていた涼馬と武智が肩を竦ませた。
「なんじゃ、伊蔵が怪我でもしたか?」涼馬が血相を変えて奥の間へ飛び込んだ。
「おなごに、おなごになってしもうたぁぁ」見ると可愛らしい格好をした伊蔵がわんわんと泣いている。
「なんぜよ?こりゃぁ?」
「あ、いや、冗談で伊蔵に、酒を飲んだら体が大きうなる言うたら竹筒の酒を飲んでしもうたんじゃ」
「そいで寝てしもたき、罰じゃ思うて壁に掛けてあった加緒の着物を着せて、、その...」その後のことは周二郎が言葉を継いだ。
「おなごの格好した伊蔵の口を吸おうとしたり、いやらしいことをしちょった」
「ちが、周二郎さん、違うちや」
武智が呆れ顔で眉間を手で覆った。この仕草は本日は2度目。
「わし、わしは、立派な侍になりたかったのにッ、おなごになってしもたッ!ウァァァァん」
伊蔵はずっと泣き続けている。
困った奴らじゃと武智が涼馬に目配せすると涼馬は伊蔵の両脇に手を入れて伊蔵を高く持ち上げた。
急に跳ね上げられるように体が宙に浮き、驚いた伊蔵は一瞬泣くのを止めた。
「周二郎さん、ちっくと隣部屋を借りるぜよ」
泣き止んでる間に涼馬は伊蔵を抱いて隣部屋に行き、襖を閉めて胡坐をかくと自分の膝の上に伊蔵を乗せた。
そしておもむろに伊蔵の足の間に腕を入れて付け根を掴んだ。
「!」
「泣きな、伊蔵。おまんは男じゃ。ここに男の証明がちゃーんとまだ付いとるがぜよ」
驚いた拍子に泣き過ぎて自分でも止められなかった嗚咽がやっと止まった。
着物の裾から腕を抜くと、涼馬は涙の筋が幾つも残ってる伊蔵の顔を指で拭いてやる。
「伊蔵、おまんは剣の才能がある。体の大きさは今は気にせんでえい、な?」
泣きすぎた名残でまだ言葉は発せられないが伊蔵は涼馬の言葉にしゃっくりとともに小さく頷いていた。
涼馬は可愛らしいおなごの伊蔵を改めて見つめた。
「それにしてもよう似合っちゅうのお。口吸いしたくなるのもわかる」
「くち..すい?」
「伊蔵は口吸いはまだ知らんか。お互いに大好きじゃ言う人がおったらこっそり互いの口をくっ付けて吸うたりするんじゃ」
「...」
伊蔵のポカンとした顔を見て涼馬は笑った。
「ま、そんなことはどうでもえい。おまんは立派な男のままやいうことだけがわかれば」
「わしは立派な男のままじゃ」
涼馬の言葉が気に入ったようで伊蔵は反復した。
そして膝の上に座ったまま涼馬の首に腕を回してしがみついた。
「涼馬、大好きじゃ」
「ほーか、ほーか。わしもじゃ」
「涼馬もか?」
「わしも伊蔵が大好きじゃ」
それを聞いた伊蔵は涼馬の顔に近づいた。
涼馬はどうした?と伊蔵の方を向くと
チュ、と柔らかい、しかし愛しい何かが唇に触れたのを感じた。
悪戯した二人を説教していた武智が襖を隔てた隣の部屋から涼馬に声をかけてきた。
「涼馬、伊蔵は大丈夫か?」
「あ、大丈夫ですき!着替えとかちっくと時間がかかるき縁側に戻っちょってつかあさい」
他の四人を遠ざけると、涼馬は伊蔵に諭す
「口吸いは、伊蔵が大好きじゃいう人以外としたらいかんぜ」伊蔵は大きな瞳を真直ぐ向けたまま涼馬の注意を聞いている。
涼馬はそこまで言うと、伊蔵が大好きであろうもう一人の人物の顔が浮かび、思わずらしくない嫉妬に中途半端な嘘をつく。
「あと、口吸いは一人としたら、その相手がえい言うまで他のもんとしたらいかんことになっちょる。
つまり、わしがえい言うまでおまんは他の人と口ら吸いおうたりしたらいかんということじゃ、わかるか?」
伊蔵は難しい顔をしていたが、涼馬のいうことは理解したようで、真剣な面持ちでコクンと頷いた。
素直な伊蔵の様子が可愛らしくて涼馬は腕の中の小さな身体をキュゥッと愛し気に抱きしめた。
まだ胸ははだけられたまま、少年たちに舐められた唾液で濡れて光っている。
「胸が濡れちょる。わしがちゃんと拭いちゃろう。」
伊蔵は何故自分の胸が濡れてるのかわからない様子だったが、涼馬に言われて拭いてもらうのを膝の上で大人しく待つ。
さっきは股座を掴んでおきながら、今は胸に触れるのにさえ興奮しているのを涼馬は感じた。
『困ったな。わしもあいつらと同じで下心でいっぱいということじゃな』
自嘲しつつもせっかくの機会だと思い、涼馬は着物ではなく自分の指で伊蔵の胸元を拭うことにした。
丹念にいろんな角度から乳輪を撫でるように拭っていく。
乳首の周りがきれいになると、仕上げに先端を指先で転がすように擦る。
伊蔵は涼馬の指が触れる度、グッと下唇を噛み締め不思議な刺激に耐えているように見えた。
その姿が幼気で、涼馬の雄は反応してしまう。伊蔵に生まれて初めての刺激を更に加え続けて翻弄したいとさえ思ってしまう。
だがこれ以上はさすがに後ろめたくて制止した。
涼馬がしつこく伊蔵の乳首を触り続けたせいで、伊蔵の頬はほんのり赤く蒸気していた。
初めて与えられた胸への刺激になんとか耐えたものの、息の乱れを抑えられず肩が揺れている。
伊蔵の無意識の情欲をそそる姿に涼馬の気持ちは何度も揺れた。
せめてもう一度だけ、と涼馬は伊蔵の唇に自分のものをそっと重ねた。
「伊蔵、大好きぜよ」そう囁くと伊蔵のぽってりした唇を涼馬は夢中で吸っていた。
『わしの気持ちは、あいつらみたいな単なる下心とは違うぜよ...』
自分でも気付いていなかった伊蔵に対する複雑で切ない感情が涼馬の中で今、形を現そうしていた。
伊蔵の唇は吸っていると溶けてしまいそうなほど柔らかい。
そして......
思い違いかもしれないが、伊蔵も幾度か吸い返してきたような気がした。
その夜、武智は自分が書いた雀の絵が本物になって伊蔵を喜ばす夢を見
周二郎はおなご伊蔵とおなご武智の二人に悶々とする夢を見た。
伊蔵にいたずらした少年二人はおなごの伊蔵にいたずらを続けるのだが、いいところになったら周二郎に邪魔される夢を見
涼馬はおなごの格好ではなくいつもの伊蔵と口を吸いあい、いやらしいこと三昧の楽しくて仕方がない夢を見た。
けれど涼馬の夢が実現するのは何年も後のお話。
□STOPピッ◇⊂(・∀・)オワリデスドウモシツレイシマシタ
この後、周知の通り伊蔵は反抗期をむかえ、涼馬にもツン時代をむかえるのが萌えなのです。
一方で武智とは身体の関係ありやなしやでどっちが萌えなんだろう?といつも悩んでいますw
とにかくイゾ受けに飢えて餓死しそうです。どなたか萌え米を恵んでつかあさい。(´;ω;`)
ナンバリング間違えました。ほんとすみません。
また、稚拙な文で長々とスペースとってしまい誠に申し訳ございませんでした。
いろいろ教えてくださった姐さん方、ありがとうございました。
>>227 禿げ上がるほど萌えますた(´;ω;`)
ありがとうありがとう(泣)
姐さんの話や土佐弁の台詞回し、すばらしいがです
育ったあとのリョマイゾをぜひ、ぜひ書いてください!
自分もイゾ受に飢えていて餓死しそうなひとりです。
投下できたら頑張ってみますき。
>>204 の続きです。あ、そういえば、前回投下話の戌丑の分含め、感想くれた方々、サンキュー
でーす。やる気でまーす。あと、トリップのアドバイスくれた方ありがとうございました。今回から
早速つけてます。
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>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「うっ、う・・・」
低く呻き、丑嶋が眼を覚ました。だが、まだ瞼は閉じられていて、酔っ払いのように頭をグラグラと
させるだけだった。首を振る度、頭の左半分が痛む。痛みは意識をはっきりとさせ、やっと丑嶋の瞼が
開いた。
瞼を開いたと言うのに、まるで閉じているような暗さだ。眼が霞んでいるのかと瞬きをすると、靄が
かかった闇は引いて行った。だが、視界が開けたと言うのに、辺りは暗い。完全な闇ではないが、ほのかに
感じる光が黒い闇に飲み込まれていきそうな暗さだ。
まずは手足を動かしてみる。だが、僅かに軋む程度にしか動かない。どうやら、何かで拘束されている
ようだ。
丑嶋は眼を凝らしつつ、頭が痛まないようにゆっくりと視線を上げて行った。暗さで素材が何で出来て
いるかも分からない地面には煙草の吸殻が少し落ちている。
さらに視線を上げると、数人分の脚が見えた。
ハッとして顔を上げると、目の前には数人の男たちがニヤニヤと下卑た笑顔でこちらを見ていた。
頭の中の血が沸騰しかけ、血圧が一気に上昇する。すると、頭の傷口から血が噴き出して頬まで滴り
落ちた。
丑嶋は一つ深呼吸すると、恫喝はせずに目の前の男たちを睨んだ。男たちは数人いるが、中央に座っている
男だけを視線に捉えた。状況はさっぱり分からないが、本能的にあの男がこの場を取り仕切っているのだ
と感じた。
周囲の男達が笑い声さえも上げそうな勢いなのに対し、男の表情はどこまでも冷たい。却って不気味だが、
男から視線を外してはいけないと思った。視線を外したり、怯えたりした表情を見せてはいけない。丑嶋に
とっては何も味方がなさそうな状況だが、それでもこの場を乗り切らなければならない。そして、何なら、
この場を男の代わりに取り仕切ってやるとさえ思った。
丑嶋と男が睨みあってるのが分かったのか、周囲の男たちが段々と押し黙っていった。
やがて不安に駆られていく。傷を負い、縛られて手足の自由も効かないガキが自分たちを無視している。
怒りを感じるのはもっともだが、何故か胃の腑がひっくり返りそうな緊張だけが募っていく。自分たちの
ボスを睨みつけているガキの瞳に、日々頼もしさと恐怖を感じている自分たちのボスと同じ狂気を感じ
とったのだ。
強い者には触れない、というある意味生きるには重要なスキルがある男たちは数歩後ろに下がった。
自分の周囲の男どもが一歩後退した中、座っていた男が立ちあがった。口に咥えていた煙草を手に持ち、
まだ火が付いた部分をすぐ近くにいた男の手の平に押し付けて消した。
「ぐっ!」
灰皿代わりになった男が悲鳴を耐え、あたふたと後ろにいる男たちを掻き分けて後ろに逃げて行った。
大きな悲鳴を上げれば、火傷などでは済まないことが分かっているのだ。
「よォ、ゆっくり眠れたか?」
男は丑嶋にグングン近寄り、すぐ目の前に来たかと思うと、片脚を高く上げる。そしてゆっくりと上げた
脚を降ろし、踵落としをする時のように丑嶋の脳天に当たりそうな位置で踵をピタリと当てた。
「ん?」
空気椅子ではないが、片脚を上げ、支えも無い体制で立っているのにも関わらず、男は眉ひとつ動かさない。
やはり、こいつだ。こいつを何とかすれば、この場を制圧できる。確信した丑嶋は眼前の男を更に睨んだ。
「成程、こんなチビが鰐戸を、と思ったが、成程な・・・」
絶望的な状況にも関わらず、自分にターゲットを絞り込んだどころか、更に怒気を高めた丑嶋に感心した
ように呟く。
そして、今まで無表情だった男が急に微笑んだ。
「気に入った。お前、今日からうちに入れ」
うち、というのは、何のことだろうか。考えてみるが、突然拉致されて妙な勧誘を受ける覚えはない。ただ、
もしあるとすれば、と頭の中に戌亥の実家の店であった出来事と、聞いた事が思い浮かんだ。
一旦思い浮かぶと、頭の中に散らばっていた情報が綺麗に組み合わさり、現在の状況に一気に繋がった。
「テメェが滑皮か」
丑嶋から名前が出ると、滑皮、と呼ばれた男のの口角が上がった。最早微笑と言うよりも、明らかに丑嶋を
嘲笑っているのだ。
「生憎、テメェに飼われる気はねェよ。さっさとその短い脚を降ろして消えろ」
言うが早いか、丑嶋は口に溜まっていた唾液を滑皮の靴底目がけて吹きかけた。
すると、滑皮の表情は一転してまた冷淡になった。
「そうかぁ。じゃ、もういらねェ。壊してやるよ」
滑皮は再び脚を高く上げ、丑嶋の脳天目がけて振り下ろした。ゴッ、と鈍い音がし、丑嶋は四肢を拘束された
まま土下座のようにうつ伏せになった。
丑嶋が無様に転がった途端、先程まで怯えていた後ろの男たちから笑い声が湧いた。
「ぶははっ!ざまねェな!!」
「何だよ、単なる張ったりだぜ!やっぱりガキじゃねェか!」
口々に好き勝手を言い、丑嶋を揶揄する言葉を上げ連ねる。どいつもこいつも必要以上に大きな声で笑うのは、
丑嶋によってもたらされていた緊張が緩和した証拠だ。つまりそれだけ丑嶋はこの場にいる誰よりも小さな体で、
先程まで周りを圧倒する存在感を放っていたと言う事に他ならない。
丑嶋は周囲から聞こえる声に促される様に滑皮の踵に押さえつけられた頭を上げて行く。
「おっ?!なかなか力強いな」
滑皮は自分の力を跳ねのけようとする丑嶋の気迫を感じ、内心感心した。もし丑嶋が滑皮と同じ状態ならば
そこまで感心することではないが、今は四肢を拘束された状態なのだ。これで土下座の体勢から起き上がろうと
するには、並大抵の身体能力では及ばない。だが、滑皮に有利な体勢であることには変わりない。そう慌てる
ことはないのだ。
けれども、丑嶋は押さえつけてくる滑皮の力を跳ねのけ、膝立ちの体勢になるまで上半身を上げると、滑皮を
小馬鹿にするような哄笑顔を浮かべた。まるで、自分の方が強いと言うように。
自分の足越しに丑嶋の哄笑顔が見え、滑皮はイラついた。丑嶋の脳天を押さえつけていた脚を離し、今度は
横っ面を蹴りあげた。
丑嶋の体は横倒し飛ぶ。口が切れ、頭の傷から新しい血が飛び散り、蹴りあげられた頬は一瞬で痛々しく
赤くなった。
それでも丑嶋は叫び声を上げない。すぐに起き上がると、拘束されてままならない腕を動かし、縄を引き
ちぎろうと暴れる。
「クソ・・・」
一向に気力が萎えない丑嶋に滑皮の怒りは募っていく。今度は敵意むき出しの丑嶋の制服の首根っこを掴み
上げ、体を無理やり伸ばさせて腹を殴る。
「ぶっ、う・・・」
渾身の力で腹を殴ると、聞きとれないほどの小さな嗚咽が丑嶋から漏れた。滑皮は丑嶋の胸を抱え込むと、
すかさず同じ場所目がけてパンチを5発喰らわせた。
「ぐ・・・」
5発目で丑嶋の体の力が抜けるのを感じた。片手で抱え込んでいる滑皮の腕に丑嶋の体重が掛り、大人しく
なった。
「フン!ガキが調子こきやがって」
動いたせいで体温が上がった滑皮は顔の熱を振り払うように首を振る。その動きに合わせて抱え込んだ丑嶋の
体がフルフル揺れた。
それにしてもこうして抱きとめていると、滑皮より大分小さいだけあって軽い。触った感じからいって筋肉は
ついているようだが、きたえられない顔の輪郭は丸く、芯の部分はまだまだ未成熟な少年だ。
これだけ傷めつければ、中学生らしく泣いて許しを乞うだろう。滑皮は脆く崩れた顔を見てやろうと思い、
丑嶋の顎を掴んで上を向かせた。
「・・・あ?!」
顎を掴んで丑嶋と顔を見合わせた時、丑嶋は相変わらず視線で人を殺さんばかりの面構えで睨んできた。
至近距離で丑嶋の顔を見て、滑皮は一瞬だが今まで感じた事が無い恐怖と興奮がない交ぜになった感情を覚えた。
この小さな体の中に、今でもはっきりとした強さが残っている。今更体はまともに動かないだろう。だが、
根拠はないが油断できない何かがある。
どれだけ殴っても、恐らく心の方は屈しないだろう。だが、このまま屈服させることを諦め、放っておいては、
いずれどこかでまた自分の前に現れる気がする。今と変わらぬ気迫を漲らせ、自分の進む道を阻む気がする。
今のうちに手を打たねばならない。だが、どうやって?
滑皮は怒りに任せて丑嶋の顎を握りつぶさんばかりに掴んだ。すぐに丑嶋の顔には耐えがたい屈辱と痛みを
堪える表情が浮かぶ。だが、やはりすぐに元の負けん気の強い表情に戻る。
強気な態度が癪にさわり、滑皮の手の力が自然と強くなっていく。
「う・・・」
力を強めると、丑嶋が痛みを堪え、身を捩る。滑皮は腕の中で悶える丑嶋の体温を感じ、自分の股間が反応
するのが分かった。
そうだ、と滑皮の中に一つの考えが浮かんだ。丑嶋は強いが、まだ少年だ。しかも、ただ強いと言うだけで
どこかに属している訳ではない。族ならば女と性と切って切れな
い部分もあるだろうが、この人を寄せ付けない凶暴さは女も寄り付きもしないだろう。恐らく、性経験も未熟
だろうし、今まで感じた事が無い屈辱を喰らわせてやれば、内側から自ら崩れていくのではないのだろうか。
それに、族では力関係を表す為に性的な暴行を加えることなどよくあることだ。正直、今まで何度かあった。
周りを見回してみると、誰もが一様に妙な興奮状態だ。このままでは、いずれ誰かが言いだすに違いない。
制裁が決まった。
滑皮は丑嶋の学生服の襟を掴むと、左右に一気に開いた。ボタンが飛び、少し離れた場所にいる男たちの
足元に落ちた。
続いて中に着ているTシャツを鎖骨まで捲り上げてみると、先程殴った腹には赤紫の拳の跡がついている。
同じ場所をパンチしたつもりだったのだが、くっきり残る拳の跡を見てみると、僅かにずれていて、6発分
の跡が確認できた。
円を描くように腹を撫で、徐々に手を上へと伸ばしていく。年齢に似つかわしくない逞しい胸板には慎ましい
小さな乳首があった。
何となく右胸を女にする時のように手で包み込み、強弱をつけて揉んでみる。ギュッと指を食い込ませると、
すぐに押し返してくる。柔らかさは一切ない、張りきった若い筋肉の弾力。
勢いに任せて触ってみたものの、滑皮はさして男の体などには興味ない。
これが触れば手折れそな女のような美少年なら話も違うだろうが、手の中の胸の持ち主は坊主頭の眼つきの
悪いガキで、可愛さなど微塵も感じられない。ただ、半ば失神状態の丑嶋の伏せられた瞼が、滑皮が胸を強く
揉む度に痛そうに痙攣するのは、正直なかなか好い光景だった。
続いて、小さな乳首を優しく引っ掻いてやった。数度繰り返すと、色素の薄い小さな蕾のような乳首は徐々に
尖って、色も薄茶色から濃くくすんだ紅色へと変化していった。それに連れて苦しそうに痙攣していた丑嶋の瞼は
少し険しさをなくしたが、かわりに何かを耐える様に眉間に皺が寄った。
小さくも狂気をはらむガキが自分の手で徐々に変貌を遂げているのが楽しい。最も、本人は半分意識がないから
かも知れないが。だが、意識がない無垢な状態だからこそ素直な反応ということだろう。
そして、その素直な反応が妙に色っぽくて、いつの間にか滑皮の中の性欲に火がつき始めていた。興奮して
上がった息で渇いた唇を舐めてみると、驚く位に熱くなっていた。
「あの・・・、滑皮さん」
後ろに突っ立っていた男たちから声を掛けられ、滑皮は内心で驚いた。集中して忘れていたが、後ろには
自分の手下ともいえる族の仲間達がいたのだ。
滑皮は丑嶋を抱えたままで立ちあがると、後ろを振り向き、男達に抱えていた丑嶋の体を押し付けた。
立ち上がって男たちの顔を眺めてみると、誰もが滑皮の機嫌を伺い、チラチラと丑嶋の露わになった胸を見て
いる。どうやらこの場にいる多くの者が、先ほどは他を圧倒する気迫に図らずも見入っていたようだが、今度は
逞しくも少年の健康的な艶を持つ体に興味が湧いたようだ。
「犯っちまうぞ。そうすりゃ、逆らう気もおきねぇだろ」
「・・・はい!」
滑皮の号礼を受け、男たちが頷く。ある者はいかにも気乗りしないというように頭を掻いたりしているが、
内心では誰もがおこぼれを貰えた事が嬉しいのだ。
だから男たちはいそいそと丑嶋を覚醒させないように縄を一旦解くと、学ランを剥いて裸にするのを手早く
やってのけた。全裸になった丑嶋を改めて見てみると、惚れぼれするほど均整のとれた骨格の上に分厚い筋肉が
乗っているのが分かった。
しかし身に着けていた衣服はどうみても中学校の学生服で、並はずれた肉体美と衣服のアンバランスさが
更に男たちを煽っていく。
そしていよいよ両腕を後ろ手にし、左右の足を大きく開いた形で拘束され直すと、肌に直接食い込む縄の
痛みに丑嶋の意識が覚醒した。
丑嶋は見るも無残に辱められた我が身を見下ろすと、無言で周りの者を睨む。滑皮はそんな丑嶋の態度がいたく
面白いらしく、サディスティックな喜びに眼を輝かせながら微笑んだ。
「どうだ?悔しいか?それとも、興奮するか?」
楽しそうな滑皮の問いかけには答えないが、滑皮は意識を失っていた間に胸を弄られた時、丑嶋が小さく漏らした
声の色気を知っている。もっとあの声を聞きたい。それに、蹴ったり殴ったりした時のあの苦痛を耐える声。
あれも素晴らしかった。あの声も聞きたい。耳を、性感を揺さぶる淫靡な声を。
滑皮は丑嶋に格の違いを見せつける様に余裕綽綽で微笑み掛けると、顎で男たちを促した。
「素直じゃなくてつまらん。やってやれ」
「はい」
待ってました、とばかりに男たちの手が丑嶋の裸体に伸びる。丑嶋は眼を剥いて体を暴れさせるが、関節が痛いほど
強く拘束されている為に何の効果もない。
「じたばたすんじゃねェよ!」
数本の腕でまさぐられ、最早叱責してくる男の腕がどれかさえも分からない。丑嶋は不自由な腰を振って後ろに
ずり下がろうとするが、必死の抵抗虚しくすぐに両肩と両膝を押さえこまれ、性器を握りこまれた。
「・・・っあ」
平素は性に対して淡泊過ぎる丑嶋でも男性器は流石にむず痒い性感を得る。身長は高くなく筋力だけは発達して
いるが、性器は人並みのサイズで、まだ包皮に包まれた状態だ。剥こうとすれば半分まで剥けるが、痛みを感じる。
取り囲んでいる男たちの視線が自分の股間に集中していることに気がつき、体がカッと熱くなった。それは快楽に
よるものでもなく、暴れないように拘束した上、寄ってたかって迫らねばならないような弱者共に弄ばれる屈辱に
よるものだ。丑嶋は唇を噛んで耐えようとするが、視線からは逃れられず、屈辱からは逃れる術はなかった。
「取り敢えず、起たせてみるか」
性器を握っていた男の手が包皮を力ずくで剥いた。
「くっ!」
痛みとしては大したことない。だが、今まで経験したこと無い痛みに思わず声が漏れてしまった。
「あれー?もしかして、剥けてなかったのか?」
丑嶋の陰茎を握っている男が笑いながら手を動かし始めた。熟れすぎた桃のような赤い先端を手のひらで撫でられると、
今の今まで包皮に包まれていた部分は敏感すぎて痛い。触られる度に体が震えてしまう。それを快楽故の反応と勘違い
した男は調子にのり、一旦性器から手を離し、両手に唾液を落とし、また攻めてきた。
「うう・・・」
片手で先端に唾液をたっぷりまぶされ、尿道を親指で撫でまわされる。もう片手は竿を扱きあげられる。牛の乳を搾る
時のように強く握り、雁首から根元を扱かれると、性器はだんだんと充血し始めた。
「く、んっ」
丑嶋は屈辱に身を焦がされるが、男の巧妙な愛撫によって性器は本人の意思と裏腹に張りつめて行く。下腹部の血が
下にさがっていくのを感じ、あと数度扱かれれば完全に勃起してしまうことが分かった。
丑嶋とて、自分自身で性器を触ったことがないわけでもない。数度経験はあったが、正直大して面白くもなかったので
必要性を感じなかっただけだ。だが、あの時と明らかに違う体の反応は分かる。容赦なく激しく手を動かされ、竿だけで
なく性器のあらゆる所を嬲られると、あの時自分の手でした行為は単なる児戯に過ぎなかったことを思い知らされた。
「うっ、ああ・・・」
唇から血が出るのではないかと言うぐらいに声を噛み殺して耐えていたが、呼吸をする為に口を開けると、思わず喘ぎ声
めいた物が漏れてしまった。
しまった、と口をつぐむが、もう遅い。丑嶋が自分たちに嬲られることで喜びを得ていることが分かった途端、取り囲んで
いた男たちが押さえつけることよりも丑嶋の体を弄る事に執着し始めた。
一人の男は丑嶋の胸に顔を埋め、腹を空かせた赤ん坊のように吸い付いてきた。頂点の乳首だけでなく乳輪ごと口に含み、
それでも足りないと言うように口を大きく開け、女性と比べるまでもない大きさだが男としては発達してふっくらと隆起した
胸板を口一杯に頬ばった。口のなかで舌が性急に動き回り、乳輪を舐めまわされる。
「くうっ!ひっ」
児戯めいた自己処理の時でも胸なんか触ったことはなかったが、初めて愛撫を受けた胸は丑嶋の予想に反し、悶えるほど
快楽に敏感だった。
反応がいい丑嶋を見て、別の男がもう片方の胸を弄り始めた。
乳首を指で摘まみこよりを捩る時みたいに軽く引っ張りながら左右に捩じられると、丑嶋は思わず胸を突き出して身悶えた。
「・・・っ!ふ、ふぅうう」
こんな強い快楽は知らなかった。知りたいとも思わなかった。丑嶋は戸惑いを隠せず、自分の体に群がる男たちを見回す
だけだった。こんな弱気な態度見せたら舐められるのは分かっている。でも、暴力には慣れていても、こんなに体が蕩けそうに
気持よくなったことなどないものだから、年相応に驚きを隠せないのも無理はなかった。
丑嶋が初な反応を見せ始めると、離れたところで見ていた滑皮が近づいてきた。
「気持ち良いみたいだな」
滑皮が眼を細め、食い入る様に自分の体を見ている事が分かっている。ニヤニヤと楽しそうに笑っているのも分かっている。
だが、今の丑嶋に出来る事は少ない。脚は股関節が吊りそうな位に開かれ、体は薄桃色に火照っている。
それに何より、性器が腹につきそうな位に反り返り、止めどなく先走りが漏れているので、滑皮の言っている事は何一つ
嘘偽りない。決して肯定しないが、体が素直に答えを示しているのだ。
反論もせず、ただ眼を伏せた丑嶋の反応に気を良くした滑皮は丑嶋の正面で性器を弄っていた男を退かせる。脚は左右に
分かれているので、無残にも丸見えの後孔を指で撫でてやると、丑嶋が目に見えて体をバタつかせる。
まさか、排泄器官を弄られるとは思わなかったのだろう。少し考えれば今からここを犯されることは分かる筈なのに、思い
当たらないと言うことは、本当に性的に未熟なのだろう。
もしかしたら、いや、恐らく丑嶋は童貞なのだろう。つまり、丑嶋は童貞のまま後ろの初めてをこれから滑皮に奪われるのだ。
男として、こんな屈辱はないだろう。
うまくいけば泣き顔が見られるかもしれない。滑皮は自分の想像に興奮し、指を唾液で濡らすと、まだ固く閉じた後孔を
グリグリと押してマッサージをし始めた。
「ううう・・・」
性器や胸と違い、まったく気持よくない場所を撫でられ、丑嶋の皮膚にびっしり鳥肌がたつ。それでも滑皮はお構いなしに
指で後孔の細かい皺一本一本を撫で、唾液を塗り込めて行く。指が乾けばまたしゃぶり、撫でるを繰り返すと、侵入を断固拒否
していた門が緩み始めた。
そして、ついに滑皮の指がじわじわと中に侵入してきた。
きつい入口を何とかこじ開け、指1本を何とか根元まで入れた。指の血が止まりそうなきつさの肉輪は緩みそうにないが、濡れた
指を捻りながら出し入れすれば、腸壁の粘膜を巻き込みながらも何とか指一本ならば自由に動かせるようになった。
少し緩まったところを見計らい指を一旦抜く。
「ぐぎっ、い・・・」
蛙の潰されたような声を出す丑嶋の両胸と性器は先程と変わらず愛撫を受けているが、もうそんなことでは誤魔化せない違和感と
排泄感に犯される。
はっきりとした痛みならば耐えれるが、殴打や刃物で切り裂かれる痛みとは異質な鈍痛は屈辱感と相まって、丑嶋の積んできた
人生の経験値では到底消化しきれない痛みに感じる。
滑皮は今度は左右の人差し指1本ずつ、合計2本の指を同時に挿入した。丑嶋は歯を噛み締めて身をのけぞらせた。もう声も出ない
ようで、呼吸困難のように口をパクパクとさせているだけだった。
緩めて広げて、自分が楽に挿入できれば良いので、滑皮は丑嶋の状態なんぞお構いなしだ。入れ込んだ指に力を入れ、開ききる
ところまで左右に広げると、内部が異物を感知し、少しでも痛みを和らげようと分泌した腸液が流れ出してきた。
腸液のぬめりを借り、左右の指をバラバラに動かす。右手の指を奥に入れれば左手の指を出し、左手の指を入れれば右手の指を
出し、と根気よく出し入れ繰り返してやる。そして少し緩めば再び左右の指の間を開けて穴を開く。何度も繰り返すと、後孔は
フニャリと柔らかくなってきた。
そろそろ頃合か、と指を引き抜くと、まだ硬い未通の後孔はすぐキュッと窄まってしまった。でも、その硬さと意固地な様子が
男を煽ってやまないのだが。
滑皮が勃起した性器のおかげで突っ張るズボンの前を開くと、押し込められていた性器が飛び出してきた。ズボンの中と外の
気温差に大事な場所を晒し、ブルリと身震いがしたが「もう少しで温かいところに入れてやるからな」、と内心で慰めてやる。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
>>238 続きktkr
どんなにいたぶられても屈しないのに性的な暴行には取り乱すショタ社長たまんないです
こういうシチュで滑丑ずっと妄想してたから本当に感謝
きかんしゃト−マス 4×3の擬人化&暴行?強引?なエロ
作文は不慣れなので見苦しいところ多々ありますがご容赦を
かなり長いので分割して投下します まずはいくつか…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
最終列車を牽き終え、愛車の点検と清掃を済ませて車庫から出ようとしたところで、こんな時間にまだ明かりが灯っている場所があることに気付く。
三号機関車の足元だ。俺が乗る四号機関車とほぼ同じ大きさの緑の大型蒸気機関車で、何故かやたらにトラブルが多いことで知られる。
事故のたびに改造され、スケジュールでもあるかのごとく定期的に故障していた。
担当機関士のヘンリ−は俺より二つ年上で、細身の長身に色白で長髪と、見るからに貧弱で大型機関車の機関士「らしく」ない。
トラブル続きの機関車とらしくない機関士のコンビは「大型車のくせに情けない」「役立たず」「欠陥車」「石炭喰い」などと陰口を叩かれることも少なくなかった。
それでもヘンリ−は三号機関車をとても気に入っているようで、毎日仕事が終わると必ず自分の手で車体に磨きをかけている。
故障が起こると整備にも参加するし、設計図とにらみ合い首を傾げる場面もよく見かける。
彼の機関車への愛情の深さを、俺はよく知っていた。
今日もきっとヘンリ−が日課の愛車磨きをしているのだろう。近づいてみると、ランボードに登ってボイラーに磨きをかけるヘンリ−の姿があった。
驚かさないように、声をかける。
「よぉ、ヘンリ−。まだ働いているのか」
「あれ、ゴ−ドン。今終わったの?」
「最終便を牽いてきたんだ」
「そっか、遅くまでお疲れ様」
「相変わらず愛車磨きに精が出るな」
「今日の汚れは今日のうちに落としておかないとね」
俺は時計を見て言う。
「……もうすぐ今日が昨日になるがな」
「あはは、本当だ」
「……笑い事じゃないだろ」
俺はいつものように三号機関車のそばに積まれた木箱に腰掛けた。するとヘンリ−が首を傾げる。
「帰らないの?」
「明日は休みだからな。少し付き合ってやるよ」
「ありがとう」
「お前は?」
「僕もお休みだよ」
「そうか、だが程々にしておけよ」
「うん」
そう返事をしながらも、片付けを始める気配は一向にない。
いつの頃からか、仕事が終わる時間が合えばこの場所に落ち着いて、愛車を磨くヘンリ−の姿を眺めるのが日課になっていた。
友人の働く姿に見惚れながら、なんでこいつは男なんだろう、といつも思う。
雨に濡れたり汚れたりするのを極端に嫌がり、日に焼けるのをひどく気にして、長くてさらさらの髪を自慢にしていて、占いやおまじないを信じたり、
動植物、特に森の木々をこよなく愛する。女々しいとまではいかないが女だったほうがしっくり来るような、そんな性質の持ち主だ。
たまに俺もこの「男らしくなさ」についだまされて、肩や腰に手を回しかけた。うっかり触れてしまいそうになったことがある。
女だったら「うっかり」に乗じて抱き寄せてしまうのに、男相手にそうはいかない。
友人以上のスキンシップは極力避けておかないと俺の本心がばれてしまうからだ。
このソドー島一の機関士である俺様が男に惚れているなんて、口が裂けても言えるわけが無い。
いとおしげに愛車を見つめる横顔や、手入れの時だけくるりと丸めて結い上げられる髪、それにより露出するすらっとした白いうなじ。
ぬるめられた襟元から見え隠れするくっきりとした鎖骨や、まくった袖から伸びる細すぎない腕。車体にやさしく添えられる長い指。
狭いランボードの上を上手に渡る足運び。その姿と仕草に、今日もまた釘付けにされてしまう。
見入れば見入るほど触れられないもどかしさが募っていくばかりで、そんな不快感から脱するために視線を逸らそうとしても、容易くは逃げられない。
今日もまた、報われない想いをため息に混ぜて吐き出した。
下心全開の視線にも気付かずにせっせと車体を磨き続けるヘンリ−からやっとの思いで目を離し、車庫の中で一番の輝きを放つ自分の愛車の方に向き直って頬杖をついた。
文句ひとつ付けようのない、ソドー島一の青い大型蒸気機関車。その車体に見入っていると、後ろのほうで何か大きなものが落下する音がした。
何事か確認するために音がしたほうを向くと、床にヘンリ−が落ちている。
「!! ヘンリ−、大丈夫か!?」
慌てて駆け寄り、無事を確かめる。ランボードの上から落ちたのか?何処かぶつけてなどいなければいいが。
「大丈夫。……足が、もつれちゃって……」
よろよろと頼りない足取りで立ち上がるヘンリ−の身体を支えると、その軽さに驚いた。
見た目からしてかなり貧相な身体つきだが、思った以上に細い。
「お前、軽いな……ちゃんと飯を食っているのか?」
「食べているよ。びっくりさせてごめんね。もう、平気だから」
ヘンリ−は笑ったが、顔が真っ青でどこからどう見ても平気とはいえない。足元もおぼつかない様子だ。
「顔色が悪い。今日はもう休め」
「あと、少しなんだ」
「駄目だ。どんなに完璧に手入れをしてもお前が倒れたら意味がないだろうが」
「そうだね。でも……」
「もう終りだ! さっさと片付けて帰るぞ」
「……うん」
ヘンリ−の手から雑巾を取り上げてバケツに放り込む。
磨き粉や洗剤の類、その辺にある道具全てを収納箱に手当たり次第に放り込んで、早々に片付ける。
「続きは明日だ。帰りに飯でも食って……ん!?」
振り向くと、ヘンリ−は車輪にもたれかかって座り込んでいた。手で頭を押さえて、苦痛で顔をゆがめている。
「ヘンリ−! おい、どうした!?」
「……ちょっと、頭痛」
さっきのでぶつけたのか?ヘンリ−の身体がずるずると傾いて、床にうずくまってしまう。
「お……おい、ヘンリ−!」
「……」
呼びかけても身体を揺らしても反応がない。とにかくこのままじゃまずい。横になれるところに連れて行こう。
時間が時間だけに医務室はもう閉まっている。だがまだ休憩室にトビ−が居たはずだ。彼ならば何らかの対処法を知っているだろう。
うずくまったままのヘンリ−を無理やり背中に引っ張り乗せ、休憩室へ急いだ。
「おい、トビ−、まだ居るか!?」
休憩室のドアを勢いよく足蹴にして室内へ入ると、トビ−が目を丸くして驚いていた。
「ゴ、ゴ−ドン? びっくりしたなぁ。ドアは足で開けちゃダメだよ」
「両手がふさがっているんだ。ヘンリ−が倒れた。どうしたらいい?」
背中のヘンリ−を下ろして長椅子に寝かせると、トビ−が駆け寄ってくる。
「えぇ!? 倒れたって……真っ青じゃないか」
「働きすぎ、いや、愛車の手入れのしすぎだな。無理しやがって……」
「困ったな。医務室はもう閉まっているし……どこが悪いか、わかるかい?」
「ランボードから落ちたんだ。それと頭が痛いと言っていた」
「頭痛か。だったら、鎮痛剤を試してみるといいかもね」
「薬なんて持ってないぞ」
「へンリエッタのを分けてあげるよ。彼女は偏頭痛持ちなんだ。えっと……」
トビ−は夫人と共同で使っているロッカーを開けると、夫人のポーチから薬入れを取り出した。
「鎮痛剤は……これだな。一回に一錠でいいからね」
「あぁ、ありがとう」
「効くまでに時間がかかるから、ちゃんとしたところに寝かせてあげて」
「仮眠室にでも寝かせておくか」
「そうだね。それと打撲や傷が無いかを確かめて……汗をかいているようだから、拭いてあげたほうがいいよ」
トビ−が開けてくれたドアから仮眠室に入り、ヘンリ−をベッドに寝かせる。
完全に意識がない。これはやばいんじゃないのか?第一、目が覚めなかったらどうやって薬を飲ませるんだ。
考えあぐむ俺の背後から、トビ−が声をかける。
「僕はもう仕事にでかけなくちゃいけないんだ。……他には誰も居ないから、後のことはよろしくね」
「あぁ、任せとけ」
振り向かずに答えると、ドアが閉まる音がした。
しんと静まり返った室内で、ヘンリ−の呼吸音がやけに強く耳に届く。額や首筋に汗が流れ、苦しそうに身をよじる姿を見て、急に焦りが出てきた。
大型機関車のランボードから落ちたんだ。かなりの高さがあるから、変なところをぶつけていたら大変だ。手当てが必要かもしれない。
髪を解き、身体を縛る衣服を緩め脱がしながら、額から首筋を、胸を、わき腹を……つま先まで、丁寧に汗を拭き取り、怪我や異常の有無を確認する。
シャツ一枚を残して衣服を全て剥ぎ取ってしまうと日焼けの無い白い肌が室内の薄暗さにやけに映え、さすがに目のやり場に困り毛布を掛けた。
幸い怪我などは確認できなかったが、呼吸は荒く顔色は悪い。
青白くやつれた頬を掌でなでると、まぶたがぴくりと動き、うっすらと開く。
「! ……ヘンリ−、起きたか」
「……ゴ−ドン? ここは……」
「仮眠室だ。具合はどうだ?」
「……痛い」
「頭か?」
「……うん」
意識はまだ朦朧としているようだ。自分の身に起こっている事を理解している様子はない。
覗き込んだ瞳は涙で潤んで、今にもこぼれ落ちそうだ。
「トビーから薬を貰ったんだが……鎮痛剤だ。飲めるか?」
「……うん」
口の端から錠剤を入れて、コップに水を注いで飲ませる。飲み込む動作すら、つらそうだ。
「効くまでに時間がかかる。それまでは我慢してくれよ」
「……うん」
「つらくなったらすぐに言え」
拭いたばかりなのに、また額に汗がにじんでいる。汗を拭いてから掌を額に当てると、少し熱っぽいように感じた。
「熱も出てるな」
「熱……? でも、寒いよ」
「熱があるから寒いんだろう。何か暖かいものがあればいいが……」
探しに立とうとしたら、袖を引かれた。
「……ゴ−ドン、君が居る」
「俺?」
「人間湯たんぽ」
「……何か探してくる」
「逃げないでよ」
「……逃げてねぇよ」
ヘンリ−が目を覚ましたことに安心したのか、俺まで身体が熱くなり始めていた。体調不良の発熱では、もちろんない。
胸の奥がジンジンと締め付けられ、下腹部がドクドクと脈を打っている。
普通に看病をしていたつもりが、頭の中が徐々にヨコシマ模様に塗り替えられていっている。
次から次へよからぬ考えが浮かぶ頭を軽く横に振り、目の前のヘンリ−を見た。
何度も身をよじったせいで乱れた長い髪が、汗ばんだ首や胸、発熱で上気した頬が、肌が、男性らしからぬ色を放っている。
思わず、ゴクリと喉がなる。
出来れば俺も逃げたくはない。だけどこれで逃げるななんて言うのは、ある意味拷問だろ。
この状態で添い寝なんかしたら、相手が男だとわかっていても理性が吹っ飛んでしまう。
「……人肌が一番暖かいんだろうけどな」
手近にあった毛布をもう一枚被せると、ヘンリ−が口を尖らせながら呟いた。残念そうに聞こえるのは気のせいだ。
「俺にも事情があるんだよ。冗談言う元気があるなら我慢して寝てろ」
「……そうだね。ごめんね、ゴ−ドン。わがまま言って」
そう言うと頭まで毛布に包まってしまった。
あっさり引き下がってくれたことにほっとする反面、もう少し食い下がってくれることを期待していた自分に気付く。
誘われれば、手を出せる。正直、その流れを期待していた部分があったからだ。
相手を自分のものにするには、同意を得るか強行手段にでるかのどちらかだ。
俺とヘンリ−は男同士。添い寝くらいはしても、同意の上でそれから先になんてことはまず有り得ない。となると、強行手段に出るしかない。
いくら病人相手でも、一度走り出したら終点まで一気に突っ切ってしまうだろう。途中でかけるブレーキなんて効きはしない。
発車前にブレーキをかけてくれたヘンリ−に、今は感謝するべきか。
ベッドの縁に腰掛け、毛布にぐるぐる巻きになったヘンリ−の背中を摩る。
毛布越しでもわかる俺とは異なる身体のラインについ夢中になり、肩から腰までその形を確かめるようになぞっていく。
特にこの腰の細さ。くびれているとまではいかないそのなだらかに締まった形が掌を吸いつけて離さない。
汗を拭ったときに何故直接触れてみなかったのだろう。容態が心配で余裕がなかったとはいえ、惜しい事をしたと今悔やまれる。
間を遮る毛布の存在が恨めしくなる。もし、この殻をひん剥いて中身を喰らってしまったら、どうなるだろう?
男同士のセックスでは挿れることに重点を置く必要がないとはいえ、『手に入れる』となるとやはりアレを挿入してこそ、という無意味なこだわりが俺の中にある。
肛門性交の経験は無いが、あまり良いものではないことくらいは知っている。
弱りきっている身体にその苦痛を与えることがどれだけ酷い行為なのかも分かっている。
身体に残る傷や痛みはもちろん、なにより心に深く大きな傷をつけてしまうことになる。
そんなことをすればきっと嫌われる。口も利いてもらえなくなるかもしれない。最悪、俺の前から姿を消す事だってありうる。
『抱かれた相手を好きになってハッピーエンド』なんてのは映画や小説の中だけの都合の良い話。
いまどきそんな展開の話なんて、探すのも難しい。現実でもたらされる結果は、明らかに負の方向。
しかしそれでも、傷つけたい、欲しいと思う思いが、どんどん強くなる。
頭の後ろが熱くなって、目の前が白くなる。掌に嫌な汗がにじんできた。
駄目だヘンリ−。お前の細腕で締めたブレーキなんて、指で突付いただけで解けてしまった。
気付けば休憩室の自分のロッカーを空けて、小さな瓶を握り締めていた。
軟膏タイプの傷薬。何処の家庭にもあるであろう有名なもので、たまたま持っていた事を思い出した。
これならば、量を多く使えばしっかり滑るし、身体の何処に使用しても悪くない。
軟膏を掌に取り、ゆるく握って隠す。
仮眠室に戻り、ドアの鍵を閉める。早朝組が出勤してくるまで誰も来るはずはないが、念のためだ。
ヘンリ−に巻きついた毛布を剥ぎ取ってその細い身体の上に覆いかぶさり、軽く抱きしめる。
抱えるものを失った両腕が俺の背中に添えられた。
「どうしたの、ゴ−ドン?」
「しばらく、こうしててくれないか」
「さっきはイヤだって言ったくせに」
「……事情が変わった」
「君も具合が悪くなったの?」
「悪くない。大丈夫だ」
「……そう」
ヘンリ−の身体の温かさが服越しでも心地よい。頼りない手が、俺の背中をいたわるように摩ってくれる。
穏やかに刻まれる鼓動が、ひとり逸る俺の心を静かになだめてくれているようで、聞いているだけで落ち着ける。
このまま寄り添って、甘えているだけでもいいかもしれない。
そう思うのと裏腹に、下で猛るものが激しく脈打ち早くしろと急き立ててくる。
やるなら今だ。相手が弱っている今のうちに奪っておけ、と。とんでもない卑怯者だ。
だが、こうでもしない限り手に入れられるはずがない。覚悟は出来ている。
悟られないように、さりげなく足と足を絡め自由を奪ってから、股の間に手を滑らせた。ヘンリ−の身体が強張る。
「!?」
「少しだけ、我慢してくれ」
「なにを……んっ……つめたっ……」
やわらかい谷間を抜けて奥に進み、掌の中の軟膏を目的の場所に塗りつける。
薬を塗りこみながら慎重に指先を挿し入れると、ヘンリ−の身体がびくんと反応する。
侵入者を拒絶しようとする筋肉の動きに逆らって、更にぐいっと押し込んだ。
「……!! 指!? 何処に入れて…っ!?」
「おとなしくしてろ。すぐに終わる」
「……や、やだ……だめ、やめて!」
事態を察したヘンリ−が俺の身体の下から逃げ出そうと懸命にもがきだす。もがけばもがくほど、指は奥へ奥へと突き挿さる。
頑ななのは入り口だけで、先端さえ門をくぐってしまえば後はそれなりに順調だった。
中で指を折り曲げて気持ちが良いとされる部分を探す。
経験を積めば女以上の快感を得られるとかいう場所。上手くやれば初体験でもそれなりに感じるはず。
およそここだろうと思われるあたりを軽く押して刺激するが、快感を感じているようには見えない。
慣れてきたら敏感に感じると聞くから、反応を見た感じではヘンリ−のそこはまだ未開発。
ジタバタと動きすぎるのが悪い。おとなしくなるまで、ここで感じさせるのは断念するしかなさそうだ。
しばらく一本でほぐした後、薬で濡れた道が乾かないうちに、指の数を増やす。
「……痛っ……いっ」
「力を抜いたほうがいいぞ。裂けてしまう」
「だったら、指を抜いてよ!」
声を荒げて訴えるのを無視し、指の出し入れを繰り返す。刺激を与えるたびに呼吸が荒くなり、耳にかかる吐息が熱を帯びてくる。
苦痛のために漏れる甘さの欠片も無い声も、今の俺には艶めかしい喘ぎ声に聞こえた。
無防備にさらけだされた首筋に舌を這わせ、耳たぶを軽く噛む。
「舐め……っ、やっ……だっ」
だめだと言われると余計にやりたくなる。
「ぁんっ!」
耳の中に舌を差し入れると、身体を大きくのけぞらせながら、今迄で一番大きな声が発せられた。
ヘンリ−も自分の声に驚いたようで、慌てて自ら手で口を塞いだ。
「耳がいいみたいだな」
わざと息を吹きかけながら耳元でささやくと、身体が震えて肯定する。
耳の縁を軽く噛んで、溝に添って舌を這わせる。舌先がかすかに触れるくらいに軽く舐めながら時折息を吹きかけると、口を覆う手の隙間を抜けて声が漏れた。
「んっ……ふぅっ、んんっ……」
さっきとは打って変わったひどく甘ったるい声。
想像以上の甘さにつられて、挿した指はそのままに耳と首筋に口付けを繰り返した。
さすがに体力の限界か、指だけならばと諦めたのか、逃げようともがく動きが止まった。
背けた顔は明らかに、怒りを含んだ表情だ。瞳からは涙がこぼれている。
当然の反応だ。それを気にしていたら、先には進めない。
抵抗が止まっている隙に、両足を抱き込んで腰を持ち上げる。
俺自身の先端をヘンリ−の入り口に当て、既に数滴あふれている透明な液体を塗りつけながら、指と入れ替えるようにじわりと体重をかけて押し込んだ。
「!!!」
はっとしたように身体を起こそうとするヘンリ−の両腕を掴んでベッドに押さえ込み、腰をぐっと動かす。
「うぁっ……っ」
ヘンリ−の身体がのけぞって、苦しそうな声が上がる。ゆっくりと腰を動かし、慎重に奥へと進んでいく。
締め付け感はないが、角度を変えて動かすと内壁に当たって程よい刺激が走った。
じんわりと伝わってくる温かい感触が、繋がっているという実感を沸かせてくれる。
動きを止め、目的地に到着した達成感に浸っていると、ヘンリ−が口を開いた。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
半端なところでスミマセン。
なんか妙に長いんで…orz
停滞しているみたいなんで
>>249の続き行きます
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
憎々しげな目で俺を見据えながら、責めるように言う。
「……ゴ−ドン……何、やってるのか……わかってるの?」
「分かっているさ。お前を汚しているんだ」
「どうして……」
「どうしてだろうな」
確かにヘンリ−に惚れているが、無理やり奪おうとまで考えたことは無かった。側で見ているだけで満足していた。
なのに今日に限って、抑えきれないほどに欲情し、欲望のまま貫いてしまった。
この行為が怒り憎まれることだと理解していながら、それでも傷つけたいと望んだのは一体何故なのか。正直、全く分からない。
ただ、繋がることが出来て嬉しかった。このまま最後まで……ヘンリ−の心も身体も、全てが欲しい、そう思った。
どうしてだと聞かれて答えられるほど単純じゃない。
「……っ」
歯を食いしばる音が聞こえる。悔しいはずだ。
身体の自由が利かないのをいいことに、好きでもない男に辱められるなんて、俺だったら耐えられない。
せめて身体には傷をつけないようにゆっくりと腰を動かしながら、唇で肌に触れ、届く範囲の隅々まで残すところなく口付ける。
「……お…願い、やめ…て……ゴー…ドン……」
荒い呼吸の合間、やっと発した言葉も切れ切れで聞くに堪えない。
「人肌の温もりが欲しいといったのはお前だぞ。ここまできたら最後まで付き合えよ」
「こう……いう、意味じゃ、な…いっ。……やめて、抜い…てっ……」
やめろと訴える唇を唇でふさぐと、代わりに身体の抵抗が始まる。
拒もうと動いたり力んだりすることが俺の快感に繋がるとも知らずに、ヘンリ−は必死に身体をくねらせた。
舌を絡めようとしても必死に逃げ回り、それを追いかける俺の舌がヘンリ−の口の中をくまなく走り回る。
それが深い深い口づけとなり、吸い上げる音がいやらしく鳴り、口の端から唾液が零れ落ちる。
時折漏れる吐息と、非難を発しているであろう途切れ途切れの声も全て逃さないように丹念に吸い尽くした。
肌の感触を味わうのに夢中でいつの間にか開放してしまっていた両腕は、力なくベッドの上に放り出されている。
胸の上の小さな突起を掌でなで転がし、強弱をつけながら指で弾く。刺激を与えるたびに、ヘンリ−の身体が震える。
次第に声と呼吸が再び甘さを含みだし、抵抗する力を無くした身体は俺が揺らすままにゆらゆらと揺れる。
身体中にまんべんなく舌を這わせ、くっきりと浮き出た鎖骨に軽く歯を立てると、小さな赤い印がついた。
舐めるたび、吸うたびに、ヘンリ−の身体がびくんと跳ね、中の俺が締め付けられる。
締め付けられるのは出口の一部分だけだが、じっくりと絞られるようで、腰の動きが止められなくなる。
肛門性交がよくないなんて誰が言ったんだ。少なくとも、入れる側はそれなりに……好みが合えばかなり良いんじゃないか。
男の身体の意外な抱き心地の良さに、こんなに早くはないはずなどと情けないことを考えながら、限界を迎える。
「……出すぞ」
「やぁ……ん……なか……だ、だめっ……!」
懸命に訴え横に振られる頭を片腕で包み抱え、もう一方の手で細い身体を折れそうなくらい思い切り強く抱きしめる。
溜まりすぎた蒸気を思い切り吐き出すように、俺の中でぐつぐつに沸騰したものをヘンリ−の中に勢いよく吐き出した。
連結をといた途端、ヘンリ−の拳が飛んだ。
余韻に浸っていた俺は思い切り殴られ、しかもその後、二発の蹴りまで飛んできた。
三発ともかなり勢いよく当たったが、痛くはなかった。事の直後で力が出なかったのか、手加減してくれたのか、それは判らないが。
口元と腹を押さえてベッドから降りようとしたヘンリ−を捕まえて抱き寄せたら、更に肘が飛んできた。
「トイレに、行くの!……ださなくちゃ……はやく……」
真っ青な顔でそう怒鳴られたから、抱きかかえて連れて行った。手伝おうと言ったら、蹴り出された。
扉の向こうから、むせび泣く声が聞こえる。やはり怒らせてしまった。きっと、取り返しのつかないくらいに。
殴られるのも蹴られるのも、当然の報いだと判っている。
拳でも足でも罵声でも、なにが飛んでこようと、どんなに責められ罵られようと、全てを受け止めるつもりだ。
俺のほうに向いてさえいれば、それで十分だ。むしろ、何もないのが一番怖い。……背を向けるのだけはやめてくれ、と、扉に向かって切に祈る。
随分と都合の良い話だ。そうなっても仕方がないと、覚悟したはずなのに。
ヘンリ−は出てくるなり、涙と怒りを湛えた鋭い目で見据えながら俺の胸倉を両手で掴み、乱れた呼吸の間に不規則に言葉を発した。
「……なんてこと……してくれたの」
「……」
「無理やりなんて……こんなの…強姦だよ」
『強姦』という言葉に耳が痛くなる。考えもしなかった。だが確かにそう呼べる行為だ。
「男なら、妊娠……しないし……痛いだけで、済む……だから、してもいいと、思ったの?」
両足ががくがく震え、俺の胸倉を掴んだ両手に頼り立っているのがやっとのようだ。
乾いた喉の奥から無理やり搾り出した掠れた音と音がつながり、かろうじて言葉になる。
「君が……こんなこと……やだよ。信じ……られない……」
手が力なく離れて膝が折れる。崩れ落ちそうになる身体を両腕で包み支えるとヘンリ−は全身を俺の身体に持たれかけ、大きく息を吸い、吐き出した。
「……なにかの…まちがい、だよ…ね?」
吐き出された言葉に、頷いてやることは出来ない。間違いなく、俺は俺の意志でヘンリ−を穢したのだから。
「間違いだって……いってよ……」
「間違いじゃない。……欲しかったんだ。お前を手に入れるため……こうするしかなかった」
「……なんで……男の身体を欲しがるの」
「欲しいのは身体だけじゃない。心も……お前の全てが欲しかった」
「……このやり方じゃ、何も得られないよ。……失うだけ」
その通りだ。友人として歩くことができたはずの道にまで汚泥を撒き散らし、ヘンリ−と肩を並べる権利を失ってしまった。
「満足、した?」
「……いや」
「だろうね」
「……」
「……やり足りないんでしょ?」
「そういう意味じゃない……俺は……」
「もう、どうでもいいよ」
ヘンリ−は渾身の力を振り絞りながら、自力で歩こうとする。それを支えて、仮眠室まで戻った。
ベッドに腰掛けさせると、ヘンリ−は俺の首に腕を回しそのまま仰向けに、俺が上に覆いかぶさるように誘いながら身体を倒した。
「どうぞ」
「……出来ない」
「欲しいんでしょ。満足いくまで、好きなだけやりなよ。……もう抵抗はしないから」
「俺がしたいのは、そういうことじゃない」
「なにがどう違うの? 君がしたことは、こういうことでしょ」
「……」
「……それとも、もう用済み?」
「違う!」
「だったら!……やってよ」
「……」
もうなにを言っても無駄だ。想いが通じることは無い。このまま何もしなければ余計に傷を深くしてしまう。
それならばせめて、ヘンリ−の身体が満足するまで抱きつくそう。与えられるだけの快感を与えよう。
まだ着たままでいた上着を脱ぎ、ズボンのベルトを緩める。
体重が掛かり過ぎないように身体を重ね、頬をなでながら唇を重ねた。軽い接触を何度か繰り返し、親指で下唇に触れ口を薄く開けさせる。
顔の角度を変えて口腔を繋げ舌を差し、ヘンリ−の舌と絡ませた。抵抗をすることのないそれはやわらかく暖かい。
取り返しのつかない罪を犯し絶望的な気持ちの中であっても、愛しい人と交わす口付けは熱く甘すぎて、舌を絡めあうたびに俺の唾液がいやらしく音を立てながらヘンリ−の口の中に流れ込んでいく。
渇いた喉をそれが潤す。ヘンリ−はこぼすことなく残さずに、何度も何度も飲み込んだ。
さっき見つけた弱いところを指でくすぐると、唇の隙間から甘い吐息が漏れる。やはり耳が弱い。指先でいじるだけで切なそうに身体が動く。
ふと、大事なことを思い出して身体を起こすと、ヘンリ−が俺の手を握ってきた。
驚いて見ると、当の本人にとっても思いがけない動作だったらしく、慌てて手が離れた。さっと背けた顔には困惑の色が浮かんでいる。
「忘れ物を取ってくるだけだ。すぐに戻る」
頬に軽く口付けて髪をなでると、ヘンリ−はぎゅっと目を閉じて小さく頷いた。
休憩室に誰もいないことを確認して、ロッカーから例の軟膏を取り出す。また、これのお世話になる。
さっきは一度だけだと思って中身を掌に取るだけだったが今度は違う。ヘンリ−が達するまで、やるつもりだ。
急いでベッドに戻るなりヘンリ−の身体の上に被さった。
喰らいついてくださいといわんばかりにさらけ出された首筋に軽く噛み付き、既にいくつもの噛み跡が残されているそこに新しい傷を付けていく。
掌で胸を撫でまわし、小さな突起を指先で何度か突付く。
つんと頭を出したそれを口に含んで吸い上げ舌で転がすとますます硬くなり、軽くつまんでひっぱると、ヘンリ−が小さく啼いた。
手を伸ばして足の間で遠慮がちに佇むものをそっと握る。最初は掌にすっぽり収まったそれは、二〜三度軽く圧力をかけてやると、ぐんと背伸びをする。
牛の乳を搾るような要領で丁寧に丁寧にしごくと、それに応えてますます立派に胸を張った。
しかしこんな立派なものを相手にするのが俺だなんて、おそらくまだ清いものを知らないまま俺に汚されているんだろうと思うと、もったいない話だ。
しごく指の力と速さを少しだけ強める。袋と肛門の間辺りを指で軽くなぞると、両足が大きく開いてぴんと伸び、身体がのけぞって腰が浮いた。
「んっ!あ……」
浮いた腰をしっかり抱え込み、足の間に顔を埋めてもう十分な硬さを備えたそれに唇を落とすと、慌てたように足が閉じられた。
「……そんなの、舐めちゃ……だめ……」
「……抵抗はしないはずだろ」
「っ……」
太腿を指でつんと突付くと、閉じられた足がためらいがちに開かれた。
わざとらしくぴちゃぴちゃと音を立てながら、ヘンリ−のものに唾液をたっぷりと塗りつける。
根元あたりを指先で上下にしごきながら先端を咥えると、口の中に苦い味が広がった。
歯を立てないように細心の注意をはらいつつ、口で全体を咥え込み、喉の奥で先端の部分を飲み込むように刺激する。
喉の奥が刺激され嘔吐してしまいそうな衝動に駆られるのを耐えながらしゃぶり続けると、ヘンリ−の身体は何度も激しく跳ね上がった。
「はぁっ…んっ!……はぁ、はぁっ……はっ……あぁんっ!」
俺の唾液で渇きから開放された喉の奥から発せられるままにされた甘い声が室内に響き渡り、俺の気持ちを高ぶらせる。
元々そう低くない声だから、切なげな吐息と混ざり出される声はまるで出来のいいアダルト映画の音だけを聞かされているようだ。
寂しげにぶら下がる袋をやさしく転がす掌に、唾液が滴り落ちてくる。その液を袋と肛門の間塗りつけるように擦ると、更に声が甲高くなった。
「あっ、あっ!はぁっ……んっ」
もっと感じて欲しい。もっともっと啼かせたい。愛撫を続ける手と舌の動きが、勝手に激しさを増した。
もう手で口を塞いだりしない。明かりをつけた室内で大きく足を広げ、隠すこともしない。
我慢したり耐えたりすることなく、与えられる刺激をそのまま身体に受けてくれている。今なら、あの場所も感じるはずだ。
達する前に、口を離す。ヌルヌルと光ってビクビクと脈打つそれは、急に独りにされてしまいやけに寂しげだ。
達しないまま止められた事が不可解なのだろう、ヘンリ−は全身で呼吸をしながら、不思議そうな視線だけを向けてくる。
ヘンリ−の身体をベッドの真ん中に据え、毛布をたたんで腰の下に敷いて高くする。いじりったり挿れ易くするためだ。
乱れた髪を手で梳き解かして整え額に唇を落とすと、ヘンリ−の掌が俺の胸に触れる。胸板から腹筋を、摩るように移動する手の感触がゾクリときた。
「……いいな」
「なにがだ?」
「すごく、たくましい」
「まぁ、お前よりはな」
肋骨が浮き出るヘンリ−の身体と筋肉が波打つ俺の身体とでは、「より」なんて比較は似つかわしくない。
ヘンリ−は何度も俺の胸や腹を撫でながら、つまらなさそうに言う。
「……うらやましいな」
「俺はお前の身体が好きだぞ。やわらかくて気持ちがいい」
「……だからイヤなんだよ」
確かに、今の状況でそう言われても嬉しくは無いだろう。
ヘンリ−の気が変わらないうちに、続きをすることにした。呼吸も多少落ち着いてきたようだし、頃合だ。
投げ出された足の膝を曲げて再び広げさせる。
軟膏の瓶を開けて指に薬をたっぷり取り、物欲しそうにひくつく肛門に塗りつける。
周りから徐々に中心へ、マッサージをするようにしっかり塗りこんでいき、入り口付近は特に念入りに、押し広げるようにほぐしていく。
指を挿入し内側の浅いところを探ると、ヘンリ−が苦しそうな声を上げた。
挿し込んだ指が馴染むまで、空いた片手でまだしっかり張りのある棒を達しない程度にやさしくしごき、内腿に口付けを繰り返す。
唇以外に口付けると印を残したがるのは俺の癖らしい。白い両足の内側に、首につけたのと同じ傷がいくつも出来ていく。
挿れた指の周りに薬を付け足してから、指をへその側に曲げ、指の腹でやさしく撫でるように内壁を慎重に探ると、小し硬い部分が見つかった。
「ヘンリ−、息を吸うんだ」
「……吸う、の?」
「そうだ。ゆっくり」
ヘンリ−は言われたとおりに、ゆっくりと息を吸う。それにあわせて硬い部分に指先で、同じくゆっくりと圧力をかける。
「ゆっくり、息を吐け」
今度は息を吐く。俺も指の力を抜く。そして、「吸って」「吐いて」の声をかけながら、押して離してをしばらく繰り返す。
繰り返すうちに、息を吸いかけたヘンリ−が声を上げた。
「うんっ……ん……」
「力を抜けよ。続けるんだ」
「はっ……ぁんっ、なんか、へんっ……だよ」
「続けろ。もっと、よくなるから」
「うん……っ、はぁっ……んっんぅ……んっ」
ヘンリ−は懸命に、吸って吐いてを繰り返した。次第に声が上がる頻度が増してくる。
息が荒くなり、呼吸も浅くなる。身体がのけぞり、両足が力みだしてきた。
「あんっ……はっ……んっ、だ……め、ゴ−ドン、もう、だめっ」
「まだだ。呼吸を深くするんだ。ほら、吸って」
「んっ……」
「思い切り」
「〜っ………んんぅっ!」
胸いっぱいに息を吸い込んだヘンリ−の身体が大きく跳ね上がる。
「あっ……ぅんっ、はぁっ……なに……これ?」
「男が一番気持ちよくなれる場所だ」
「気持ちいい……って……いうか……すごく、しびれる」
挿れたままの指を動かさないよう注意しながら、ヘンリ−の顔を見ると瞳から涙が溢れている。寝起きのようなとろんとした顔。
わずかに上気している頬に手を伸ばして触れたくなるがこの体勢では届かず、代わりに内腿に口付け、頬を摺り寄せる。
「でも……しあわせ。やだ……おかしいな……」
「おかしくはないさ。気持ちよかっただろ」
「うん……ゴ−ドンって、すごいね。男の……僕のいいところ……いっぱい知ってる」
「そりゃぁ、お前に気持ちよくなってもらうために、沢山勉強したんだからな」
男を好きになってしまったら、苦労するんだ。
女相手のセックスのなら成り行きでなんとかなるものだろうが、男相手だとそうはいかない。きちんと学んでおかないと、気持ちよくなんてなれっこない。
「でも、これ」
「ん?」
「最初からこんなに感じるものだったんだ?」
「知ってたのか」
「前立腺ってやつでしょ」
「あぁ」
「詳しいやり方は知らなかったけど……」
「普通に女が相手なら必要のない知識だからな。お前が知っていたとは意外だ」
「ん……だって……好きな人、男……だし……」
「……」
男が好き?まさかもう、他の誰かと経験済なのか。……しかし『最初』と言った。『やり方も知らなかった』と。
「お前、もしかして」
「もう、オワリ?」
「! ……いや、まだだ」
もう一度、同じ事を繰り返す。ヘンリ−も慣れてきたのか、啼きながらでも呼吸を続けられるようになってきた。
挿した指で押す強弱を変えると、ヘンリ−の反応も変わる。
「はぁんっ……はっ、はぁ、あっん、んっ」
感じるまま素直に啼くその声がどうしようもなく可愛くて、俺の下腹部が段々熱くなってきた。また、出すのに十分な量に達してきたようだ。
穴のほうも十分ほぐれているようだし、俺がしあわせな気分になる順番が近づいてきた。
ヘンリ−もそろそろ限界が近い。声が止まらなくなって、感じるための呼吸が出来なくなっている。
「はっ、はぁっ…………あぁっ!!……ぁんっ」
身体がぶるっと震えて痙攣する。絶頂とまでは行かないが、軽く達したらしい。初めてならおそらくこの位が限度、やりすぎると疲れさせるだけだ。
最後に一押し圧迫すると、身体がびくんと跳ね上がった。
「……んんっ!」
身体の震えはしばらく続いた。内腿を掌で摩ると、それにも反応して震えた。
慎重に指を二本に増やし、穴を広げる。快感の余韻が残っているのか、痛がりはしない。
念のために軟膏を更に追加して、滑りをよくする。
指の隙間から、猛りに猛った俺のものをゆっくりと挿し入れようとすると、さすがにヘンリ−の身体が強張った。
「……っ」
「力を抜け」
先のほうが入ったのを確認して指を抜くと、きゅっと締められる。
身体の上に覆いかぶさりながらじっくりと体重をかけていくと、俺のものは徐々にヘンリ−の体内に飲み込まれていく。
「はっ……はぁっ……んっ……んぅっ」
ヘンリ−は口をあけて身体全体で呼吸をしながら、懸命に力を抜き俺を受け入れる。
挿れられることで得られる快感はほとんどないはずだが、さっきの余韻なのか、内壁に先が当たるたびにぴくりとぴくりと小刻みに身体が震えた。
中は程よく暖かい。表皮で感じる体温とはまた違ったやさしい温もり。
全てを収め終わるとヘンリ−の腕が俺の身体を包む。その感触にほっとして、つい、本心が零れ落ちた。
「ずっと、こうしたかった……お前と」
「……」
「好きだ、ヘンリ−」
深く挿れたまま動かさずに、ヘンリ−の身体を強く抱きしめた。
包まれる感覚と温もりを感じられる。強い刺激は要らない。これで十分だ。
「愛してる」
「……」
「愛しているんだ。……お前が好きだ」
返事はいらない。聞いてもらえればいい。言葉にするだけで満たされていく気がして、何度も何度も繰り返した。
長く黙っていたヘンリ−が、消え入りそうなくらい小さな声で呟く。
「……ぼくは……」
「……」
「っ……き……きらい……」
「……」
「……ゴ−ドンなんか、だいっきらい……だから……!」
背中に爪が立てられて、軽い痛みが走る。懸命に、搾り出すように発せられた言葉は、涙声だ。
「……わかっている」
「絶対……好きになんか……なってあげない」
「あぁ」
「だいっ……きらい」
「それでいい。俺は、お前のことが好きだ。それだけを知っていてくれたら」
「やだ。知ら…ない……んっ……」
まだ何かを言いたげな口を塞いでしまう。上も下も繋がったまま、舌を絡めあう。
呼吸をするために唇を離すと、頭の後ろをぐいと押され連れ戻された。
ヘンリ−の両腕と両足が俺の身体をしっかりと抱え、舌が積極的に絡みついてくる。
餌を欲しがり親鳥の口内をむさぼる雛鳥のように激しくねだられ、呼吸が苦しくなっても離してくれそうもない。
このままでは窒息してしまうのではないかと思うくらい、隙がない。仕方が無いから、少しだけ腰を動かした。
「んっ………はんっ」
微かな動きに反応して喘ぎ声が上がる。その隙間から息を吸い込んで、また舌を絡ませる。
動かすたびに漏れる声がやはり艶めかしく、まだそれほど刺激を受けていないはずの俺のものが弾けそうになってきた。
269 :
268:2010/08/01(日) 01:02:05 ID:xCuaagxmO
ぎゃぁ、中断の書き込みを入れるところで規制くらいマシタ
続きはまた…
支援?
271 :
記憶 1/3:2010/08/01(日) 03:31:20 ID:thhyORWy0
青春排球漫画 闘将!!少女 より 男バレ2年のワカメガネです
公式CP前提ワカメ→メガネの友情以上恋愛未満
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「シゲルたん、目ぇ瞑って」
「はぁ?」
式/島/滋は、同級生の突然の発言に心底嫌な顔をした。
この由/良/木/龍/馬という級友は大変な変り者で、滋をかたどったキャラ弁を作り本人を眺めながら食すとか、前述の通り同性の自分を「たん」付けで呼ぶなど異様な親愛の情を示してくる。うっかり目でも瞑ろうものなら、口接けされても不思議ではない。
「なんでだよ」
「なんでも〜。ねぇ〜お願い〜ン」
くねりくねりと気持ちの悪い動きで嘆願する由/良/木。いつも冗談ばかり言っている男だが、こういうことは言い出したら結局こちらが折れてやるしかないことは長年の付き合いで分かっていた。
仕方ない。観念して、滋は瞼を閉じる。
「あーんシゲルたん睫毛長〜いvキスしちゃいたい」
「したらお前の上睫毛と下睫毛固結びにしてやるからな」
「ジョーダン ジョーダンwww」
いつものやりとり。
やにわに、由/良/木声が真剣味を帯びた。
272 :
記憶 2/3:2010/08/01(日) 03:32:28 ID:thhyORWy0
「ね、そのままさ、オレの顔 思い浮かべてみてよ」
「はぁ?」
瞼を閉じたまま滋は、今度は間抜けな顔をしてしまった。
由良木の顔を?何故……そう考えて、ハッ と気付いた。
滋は眼が悪い。父親からの遺伝があり、将来的には確実にほとんどの視力が失われる。現在も、日常生活にギリギリ支障を来さない程度しか見えないのだ。
内々に留めているその事情を、由/良/木は知っている。
もしかして……俺が、こいつの顔を忘れるとか、思ってるのか?
273 :
記憶 3/3:2010/08/01(日) 03:34:11 ID:thhyORWy0
「ねぇ〜想像できた〜?」
いつもの口調で由/良/木が急かす。ふざけたフリをしているが、彼の内心を思うと、少し胸が痛んだ。
心配しなくても、忘れるなんてありえないのに。
「あぁ、想像したよ……寝ぼけてるような目と、形の悪い鼻と、ニヤけた口と、ワカメみたいな髪……」
「はっきり、思い浮かぶよ、ゆらぎ。」
そう、瞑目したまま囁き、笑った。
「……やっ、やーっだシゲルたんたらヒドーイ!こんなイケメン捕まえてそりゃないでしょ〜!」
由/良/木はしばらく黙っていたが、すぐにいつもの調子を取り戻して「ドS!おにちく!!」と騒ぎだした。
安心しろよ、由/良/木。俺が焼き付けておきたいのは練だけど、それと比べられないくらい、お前のことも覚えてるよ。
滋は、しばらく目を開けないでいようと思った。
明るい声にの裏に隠れた、らしくない震えが消えるまで。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ワカメさん好きすぎる
>>238 エロいことされる後半もwkdkだが学ランのショタ社長が縛られてる前半にも大興奮した
続き頼んだ
おはようございます。
>>259-269の続き行きます
あと少しだけお付き合いください
>>270 支援感謝です
あとは1レス、中断のコメ書くのみってトコで規制を喰らってしまったのです…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
肛門の出口で締め付けられて、動かすたびに動かしただけ、絞られるような刺激が走る。
ヘンリ−が感じて力むたびに、ぎゅ、ぎゅ、と締められ、その緩急が心地よい。
「ぁんっ……んっ」
「くっ……ヘンリ−、そろそろ……」
「んっ、ん……外…っに……」
「……中じゃ、だめか?」
「……そ、と」
「……わかった」
身体を起こし、ヘンリ−の腰を掴んで持ち上げる。例の感じる場所を出来るだけ狙って、何度も突き上げた。
「くぅっ……んっ」
一度びくんと跳ね上がると、ヘンリ−の身体から一気に力が抜ける。もう限界か。
再度身体を密着させてぎゅっと抱きしめ、射精に備える。
外だよな。今度は外だ。自分の息子に言い聞かせ、意識を集中する。
粗相をしないようにタイミングを見計らう。……そろそろだ。抜かなくては。
ヘンリ−の外に出ようとしたとき、引こうとした腰を不意に止められる。
「中でっ だし……てっ」
「なっ!?」
驚いて、抜きかけたところで吐き出してしまう。しっかり、粗相をしてしまった。
「う……す、すまない。……中で……」
「……いいの。やっぱり、欲しかった……から」
「……大変なんだよな……その、中、だと」
「そうだね……男だから、仕方がないけど。女の子だと、その……出来ちゃうし。違う意味で、大変」
「……俺は、お前となら……出来ても……」
「……僕は男なんだってば」
「……そうだよな。うん」
俺を抱くヘンリ−の腕に力が入る。俺も応えて抱きしめ返す。
俺の息子は中々しつこくて、全て吐き出すのに時間がかかった。全て出し切るまでに何度か震えると、ヘンリ−も一緒に小さく震えた。
繋がったまま抱きしめあい快感の余韻に浸っていると、俺の耳元でヘンリ−が一言、小さく小さく呟いた。
「どうした?」
吐息のような小さな声で、上手く聞き取れなかった。
「……」
「聞こえなかった。なんだ?」
「……す……き」
今度は聞こえたが、あまりにも断片的だ。
「もう一度、言ってくれないか」
「……」
「頼む」
「……すき……。ゴ−ドン」
救われた気がした。一番聞きたかった言葉を、聞くことが叶わないと思っていた言葉を、聞くことが出来た。一気に緊張が抜けていく。
「……ありがとう、ヘンリ−」
「……うん。……だいすき」
ありったけの力を込めてヘンリ−を抱きしめる。
「……苦しいよ」
「すまない、嬉しくて……つい」
「うん」
「その……いつから」
「……ずっと」
「……」
「ずっとずっと、前から」
「……」
「……口説き方も勉強しておけばよかったね」
「……あぁ、そうだな」
頭を抱え込む俺の背中を、ヘンリ−が摩ってくれる。
本当に情けない話だ。ソドー島一の機関士のこの俺様が、自分が好かれているという可能性を見逃していたなんて。
己だけが身勝手に先走り、自分を想ってくれていた人を傷つけてしまったのだ。
落ち込んだのもつかの間、ヘンリ−が切り出した。
「ねぇ……いつまでもこんなところにいて大丈夫なの?」
「! 今何時だ!?」
慌てて時計を確認する。後一時間もすれば、郵便列車組が出勤してくる。
さすがに非番の俺たちがこんな早朝から仮眠室に居るのは明らかに不自然だ。
しかもヘンリ−は全裸で、俺は半裸。まだ子供のようなト−マスとパ−シーでも異常に気付くはずだ。
「急いで帰る!」
「帰るって……」
「とにかく急げ、お前は出せ!」
「え……出せって……あぁ、そうか」
ヘンリ−をトイレへ連れて行き、座らせる。ヘンリ−が自身の身体の事後処理をしている間に寝具を片付けて着衣を整え、ふたり分の荷物をまとめる。
服を着せている余裕はない。事後処理が終わったヘンリ−を裸のままシーツと毛布で包み、両腕で抱きかかえた。
「こ……このままで帰るの?」
「時間がない。要はばれなきゃいいんだ」
幸い俺達ふたりの住む社員寮へは敷地内のみを通って帰れるし、距離も近い。誰かとすれ違いさえしなければ大丈夫だ。
人が居ないことを確認しながら、慎重に建物から忍び出る。
「……大胆だよね、君」
「褒めてくれてありがとうよ」
「褒めてないよ……」
なるべく人が通らない道を選んで歩く。夜風が涼しくて運動後の身体に心地良かったが、腕の中のヘンリ−には寒いらしく震えながら俺にしがみついてくる。
「寒いのか」
「少し……服着てないし。裸足だし」
「そうだったな。……明日、いや今日か。起きたら医者に診せに行こう」
「なにを?」
「倒れただろ。診せておいたほうがいい」
「それなら平気。ただの貧血だよ。最近、多いんだ」
「貧血?」
「うん。お医者様にはちゃんとかかっているから、心配しないで」
「長いのか」
「……うん。だいぶ前から」
「飯、食えてないんだろ。こんなに痩せて……さすがにこれは軽すぎる」
「食欲が出なくてね。……貧血を起こし始める前は、もっとちゃんと重かったんだけど……」
「なんで嘘なんかついた?」
「……君には弱みを見せたくなかったから」
「弱み?」
「君と同じ大型車の機関士としてのプライドが……ライバル意識ってやつ」
「……なるほどな」
心の中では想いあっていても、常日頃速さと強さを競い合っている仲だ。
こいつはこれで、あのトラブル続きの三号機関車を駆って、俺を上回る仕事をすることがある。
良きライバルであり続けるためには、多少の強がりも必要だったというわけだ。
「でも、もう強がる必要はなくなっちゃったかな」
「あぁ、俺との間に隠し事はなしだ。何かあったら遠慮なく頼れ」
「うん。そうする」
「となると……医者は止めて飯を食いに行くか。ガッツリ食わせて太らせてやる」
「いきなりは入らないよ……それに身体の調子が……」
「まだ苦しいのか?」
「……君が出しすぎるから……違和感が……」
「……す…すまん」
しばしの沈黙の後、ふたりで顔を見合わせ、ぷっと吹き出して笑いあった。
歩みを止め空を見上げると、一面に星が輝いている。ソドー島は空気がきれいだから、本島で見上げるよりも数段輝きが増して見える。
はじめてこの島で星空を見上げたときの事を思い出す。あの日ヘンリ−と出会い、それから長い時間をかけて恋に落ちた。
出会ったときには既に三号機関車に乗っていて、先輩面していろいろな事を教えてくれた。
四号車に乗った俺は、あっという間に追いついて並んだ気で居た。けれど他とは違う想いに気付いたら、また一気に遠くなった。
本当はずっと隣に居てくれたのに、あまりの眩しさに、夜空の星ほどの距離があると思い込んでしまっていたんだ。
星のように遠くにあると感じていた存在が、今、この腕の中にある。夢にまで見たこの重みは、確かな現実。
ただ、俺にはつけるべきケジメと、果たすべき責任がある。それを忘れてはならない。
「ねぇ、ゴ−ドン」
「なんだ?」
「僕たち……その……」
「……」
「……」
「……前科一犯」
「……ぜん、か?」
「罪状、強姦罪……」
「……なんのこと……」
「お前を傷つけたことは事実だ」
「……もう……忘れちゃったよ」
「お前が忘れても、俺は……忘れてはいけない」
「……」
「罪を忘れて、のうのうとお前の恋人に落ち着くなんて、そんなことはできない」
「……どうして」
「罪を犯したら、償わなくては……」
「……」
「お前の全てを俺のものにしたい。その気持ちは変わらない。だが……」
「僕が君のものになりたいと思っていても……叶えてくれないの?」
「罰を受けなくては」
「……勝手だ。そんなの」
「……すまない」
「そうやって、また傷つけるんだね」
「そんなつもりじゃない! もうお前を傷つけたくなんてない!」
「だったら……」
ヘンリ−の掌が俺の頬に触る。暖かさが夜風で冷えた強張りを溶かしていく。
「忘れないように側に居て。抱いて慰めて。……君がつけた傷は君にしか癒せないんだから……責任持って癒してよ」
「……」
「それが、償いだよ」
ヘンリ−が口付けをくれる。唇を重ねるだけの、やさしいキス。
唇を何度か触れ合わせたあと、頬と頬をぴたりと合わせ、ぎゅっと抱きしめられる。
「罰が欲しいなら与えてあげる。牢獄に入りたいのなら、僕の腕の中に閉じ込めてあげるよ。……終身刑だからね。脱走は絶対に許さない」
囚われて、こんなに心地良い牢獄はありはしない。俺を閉じ込めた折はとても暖かく、やさしく頭をなでてくれる。
「……それで、いいよね?」
返事をする代わりに、強く抱きしめ返した。
遠くから人の声が聞こえた。いつまでもこんなところに突っ立っているわけにも行かない。
早く帰ろう。帰ったら、凍えたヘンリ−の身体を温めて、そしてふたりでゆっくり眠るんだ。
満たされすぎて、胸が詰まってくるのを感じて、大きく深呼吸をする。
息を吐くと同時にまぶたの裏が熱くなり、小さな荷物がひとつ増える。
増えた荷物を瞳から零さないように瞬きを我慢して、満天の星空を見上げながら歩き出した。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
少数派でしょうが、自分はヘンリ−のが年上のほうが萌えるんです
ふわふわさらさらで、くすんだ銀色くらいの髪が似合うと思うんです
何様俺様ゴ−ドン様を甘やかしてくれる年上のキレイなお兄さん。萌え
長々と失礼致しました。
>>247 の続きです。滑皮+モンスター連合の皆さん×丑嶋ラスト。
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
そして、ついに滑皮は丑嶋の左右に拘束されて開かされた股の間に屈んだ。
「暴れないように抑えとけよ」
命令を受け、男たち歯無言で丑嶋の肩や脚や腰を押さえつける。丑嶋は一瞬泣きそうな顔を見せた。
「力抜けよ?」
やけに優しい声で丑嶋の目を見ながら言うと、滑皮は灼熱の先端を丑嶋の後孔に押し付けた。
「・・・っ!い・・・やだ」
今までの強気な声音とは違う切羽詰まった声を出した丑嶋だが、滑皮は腹に力を入れると、ゆっくりと丑嶋を串刺しにしていった。
「んぐぉっ!おおっ、ひいぃっ!」
体を異物に強引に開かれ、丑嶋の口から獣のような咆哮が上がった。
「力抜けって言ってるだろォが!」
滑皮は徐々に腰を丑嶋の方へ近づけつつ怒声を上げた。途轍もなく細く狭い管に挿入しているので滑皮も少し辛いのだ。
しかし、力を抜くなんて器用な事が出来るわけもない。括約筋が入ってくる先端の曲線に沿って広げられ、みっちりと食い込んで
いる。丑嶋の後孔はかつて経験したことのない広さにこじ開けられているのだから。
捻じ込んむにつれ、丑嶋の顔は恐怖や屈辱感よりも苦痛に歪んできた。そんな表情を楽しみ、滑皮はゆっくりと進み、ついに
毛際まで全てを中に押し込んでしまった。
「はぁっ、入ったな」
奥まで入れてから丑嶋の顔を見ると、生意気極まりなかった切れ長の目の眼尻には涙の粒が少し付いていて、一瞬可愛らしいと
思ってしまった。
「狭いぞ。でも、温かいな」
滑皮はそう言って腰を小刻みに動かし始める。だが、太い物を呑み込まされた後孔は余りの衝撃でキツキツだし、丑嶋の顔は
呆然自失といぅった感じで、何だか面白くない。
どうせならば、少しは良くしてやりたい。何より、我を失って乱れ狂う様が見たいというのが一番だ。滑皮は腰の動きを止め、
仲間の手の中で縮こまってしまっている丑嶋の性器の先端を撫で始めた。
先端の尿道口を爪で引っ掻きながら包皮と竿の境目を撫でる。滑皮が竿と先端を弄び始めると、先に丑嶋の性器を握っていた男は
竿の下にある睾丸を手のひらで包み込み、ゴリゴリと転がせている。皺の寄った皮の中にある二つの玉は皮の中で擦りあい、お互い
を愛撫し合っているようだった。
「う、むうぅ・・・。ん、止めろ。触るな」
滑皮ともう一人の男が根気よく性器を攻めていると、半分失神状態だった丑嶋が弱々しい声で呻いた。声は単なる怒気を孕んだ
物ではなく、所々で熱さを含んでいた。挿入されてからしばらく経ったということもあるから余裕が生まれたのだろう。そして
何より、二人の手に弄ばれている性器が巧みな刺激に反応し、半起ちまでの反応を見せ始めているのだから、少しは動いても
良いだろう。
けれど、滑皮は丑嶋を深く貫いたまま動こうとしない。未だ張り裂けんばかりに拡張された後孔が緩むのを待っている為で、
内部で裏筋を当てたままの前立腺が反応し、丑嶋自身が耐えきれずに尻を蠢かすのを待っている為だ。
やがて、根気よく性器を扱き、指で弾き、時には優しく、時には乱暴に扱うと、半起ちだった性器は完全に勃起し切り、
水っぽい先走りを尿のように流し始めた。
「うあっ、ああっ!触るんじゃねェ!や・・・だっ!」
一番敏感な性器をあくどく攻め立てられ、ついに丑嶋が喘ぎ声を出し始めた。待ってましたとばかりに滑皮は腰を使い始めた。
最初は激しく出し入れするのではなく、内部の快楽を丑嶋に覚え込ませる為に動くようにする。裏筋で前立腺を擦りながら
引き抜き、先端に当たる部分が前立腺に当たる位置まで抜いた。そのまま腰を回し、先端で押しつぶしてやると、腕の中の丑嶋が
ビクビクと震えるのが分かった。
「ぐっ、あっ!あっ!」
滑皮に真正面から見られ、他の男たちからもいやらしい目で見られ、丑嶋は声を出すまいと唇を噛んで呻く。
気が狂いそうな程と恥辱と屈辱が未だあるのに、目一杯に拡張されて性器を呑み込んで泣きたいくらい痛い筈の後孔が、滑皮の
動きに合わせて反応し始めているのが分かった。性器で中を掻きまわされ、丑嶋自身には何の場所かもさっぱり分からない前立腺
を擦られる度、苦痛が弱まって、痺れるような得体の知れない感覚が内部から広がっていく。
「もっ、駄目だ・・・。もう無理だ・・・」
犯されている筈なのに、芽吹いて行く快楽に衝撃を受け、丑嶋が蚊の鳴くような声で哀願し始めた。性器から先走りを流し、全身を
紅潮させ、快楽を感じ始めた姿には、最早先程まで充ち溢れていた男のプライドは欠片も感じられなくなっていた。
「ふっ、ふっ、ふぁ・・・」
「良くなり始めたか?ケツで感じるなんてオカ○の変態だな」
滑皮は丑嶋の変化に敏感に気がつくと、耳元で囁いてやる。口調はあくまで柔らかいのでなじっているように聞こえないのだが、
囁かれた方は一層の屈辱を味わう。丑嶋は子供がむずがる時のように嫌々とかぶりを振った。
羞恥で真っ赤に染まった丑嶋の耳を一度ねぶり、回していた腰の動きを激しく突き上げる物へと変化させていく。丑嶋はまだかぶりを
振っているが、それも段々鈍い動きになり、やがて人形のように従順に揺さぶられるがままになっていった。
大人しくなった丑嶋に気を良くした滑皮はいよいよ本格的に己の快楽を追うことにした。
「よし、思いっきりやってやる」
中は自分の先走りと腸液が混ざってぬかるんでおり、出し入れを繰り返す度に締め付けが変わる。入れる時は柔らかく、出す時は締め
付ける。何て気持ちが良いのだろうか。
もしこれが族仲間のいない状況で、強姦ではない状況ならば、滑皮も丑嶋に負けない程に喘いでしまっただろう。犯している立場だと
いうのに、性器を丑嶋の粘膜で犯されているような快楽がある。腰を使う度に蛇腹状のくびれがある内部に性器が擦れ、腸壁がぜん動
し、まるで無数の舌で舐めまわされているようだ。制裁として始めたことだが、どうにも一度で終わらせるのは惜しく感じる程だ。
「うううっ、良いっ!」
これまで辛抱強くしていた滑皮だが、ついに我慢の限界を迎えた。正面から抱いている丑嶋の腰に腕を回し、欲望のまま突き上げ始めた。
「ひぃっ!は、ぎいいっ!」
突然激しく突かれ、丑嶋は息を詰めた。性器に対する愛撫と異質な内部からの快楽は凄まじく、この世のものとは思えない。体内の
血液が沸騰し、その熱によって内部から丸焼きにされる様だ。抗う声も非難する声も消え、喘ぎと言うよりも悲鳴に近い声が漏れだして
しまう。
丑嶋の声色が艶やかな物になったのを見計らい、滑皮に遠慮していたのか、ただ単に興奮状態で立ちつくしていたのかは分からないが、
愛撫の手を止めていた男たちの動きが再開し始めた。縛られ、犯され、ボロボロになった丑嶋は抵抗出来ず、敏感になった体を思うがまま
に嬲られる。
「ふひっ、ああっ、あああっ!」
前から後ろからいたるところを攻められ、触ると言うよりも揉みつぶされていると言った方が正確だ。隆起した胸板は一番最初に受けた
愛撫のように片方ずつの胸をお行儀よく攻められるのではなく、複数の手が乳首だけでなく全体を愛でられる。性器は噴き出た先走りと
複数の手が擦れ合う濡れた音が響く。もう、丑嶋は自分の体を理性でコントロールできず、ただ欲に任せて声を出すだけだった。
「んっ、んっ、もうっ、駄目だ・・・」
力強く滑皮に突かれるほどに頭が真っ白になり、何も考えられなくなってしまう。皆に見られているという羞恥も、訳の分からない男共
に輪姦されているという危機感も、突かれる度に大波に揺られる小船のように頼りなく揺らぎ、快楽と言う水面に解けて行ってしまう。
丑嶋は引き締まった丸い尻を振りだした。もう滑皮達を振りほどこうと暴れているのではなく、自分の欲望が抑えられずに卑猥な動きに
合わせて貪欲に動いてしまうのだ。
「いっ、ああ・・・、くぅっ!」
突然丑嶋が甲高い悲鳴を上げた。それと同時に丑嶋の性器から大量の精液が噴出した。しかも一気に出ず、ダラダラと勢いなく漏れだした。
「はははっ、ケツでイッたな!」
滑皮は目の前ではしたなく射精した丑嶋を笑い、後孔から性器を引き抜いた。根元まで埋めていたのを勢いよく抜かれたので、後孔の内部の
肉が脱肛のように外にはみ出した。生々しい赤黒い内部の肉は丑嶋自身とは別の生き物のようにヒクヒクと蠢いている。
「俺も、イクぞ」
それだけ言うと、滑皮は立ち上がる。射精寸前の性器の根元を握り、目を瞑ってうわ言のような喘ぎをまだ漏らしている丑嶋の顔の前に
近付けた。
「ん・・・っ!」
下腹部に力を入れ、思いっきり射精する。噴出した精液は丑嶋の顔や胸に降りかかり、幼さの残る丸い頬を汚した。
「おおっ!顔射!」
男たちから歓声が上がる。
丑嶋は騒がしくなった周囲に意識をはっきりとさせ、目を開けようとした。だが、瞼にも降りかかった白濁が視界を遮り、暗い中に見える
光景は白く濁って見えた。全身が虚脱感に包まれ、丑嶋はまた眼を閉じた。
「ふうううう・・・」
滑皮は放尿を終えたように溜息をつくと、先端に張り付いた残滓を眼を閉じたままの丑嶋の唇になすりつけた。形の良い唇は弾力があり、
擦りつけているだけで復活できそうだった。
すっきりした滑皮は人心地ついて周囲を見回した。周りの男たちはまだ眼をギラつかせて丑嶋を見ている。無理もない。滑皮と違い、彼らは
愛撫の手を加えただけで挿入も射精もしていないのだから。このままでは収まらないだろう。
落ちていた丑嶋の学生服のシャツで粘液にまみれた性器を拭き、性器を仕舞った。滑皮が身支度を整えていると、男たちが滑皮と丑嶋を
交互にチラチラ見た。滑皮を見る時は顔を窺い、丑嶋を見る時は、初めてなのに散々いたぶられ、つぼむのを忘れたように開いたままの後孔を
見てだ。
「後はお前らの好きにしろ。俺はちょっと外に煙草吸いに行ってくる」
外に通じるドアを開ける。そのまま外に一歩踏み出してから後ろを一瞥すると、白濁に汚された小さな体に男
たちが我先にと群がっていくのが見えた。まるで野ウサギに肉食獣が群がって骨まで喰いつくそうとしているような獰猛さだった。
外に出た滑皮は近くに置いてあった自分の単車に腰掛け、一服した。複数の男の汗と白濁の匂いが充満していた中と比べると、単車の
オイルの匂いがするこの場でも少しマシだ。空気の良い所で吸う煙草は美味く、すぐに一本吸いきった。
それにしても、これから丑嶋をどうしたらよいのだろう。男でプライドの高い奴なので、ヤリたいだけヤッて解放しても警察に訴え
たりはしないだろう。それに、内部の狂乱を考えると、最初に滑皮が丑嶋に宣言したように「壊される」のかもしれない。だが、壊れた
ならば、責任をとって飼ってやっても良い。丑嶋は戦力になりそうだ。そして何より、もっと開発してみたいという欲望もあった。
下卑た笑いを堪えようと、もう一本煙草を吸う。2本目なのに、美味い。続いてもう一本とケースから抜きだそうとすると、遠くから
単車の音と共にこちらに向かってくる灯りが見えた。
灯りはすぐに滑皮のいる元に来た。
「滑皮さん、只今戻りました」
単車に跨っていたのは族の仲間の一人だ。ただ、跨っている単車に見覚えがない。単車は大型で夜目にも分かる鮮やかな青色で、一見
してかなりのグレードのようだ。
「それは?」
流線形の形が何とも格好良く、色気さえ感じる単車を撫で、跨っている男に聞く。男は得意そうな顔で単車から降りた。
「スズキGSX1300Rハヤブサです。後輩が乗ってて、生意気なんで盗ってきました。どうぞ、滑皮さんが乗って下さい」
スズキGSX1300Rハヤブサと言えば、定価で150万円程の名車だ。
かなり魅力的な単車だ。乗りたい。だが、それにしも盗難車は不味い。
「いや、盗った物だとバレたらヤバい」
けれど、だからいらない、捨てて来いと言うには余りに魅力的だ。何より、金になる。滑皮はこれをどうにか有効活用出来ないものかと
知恵を巡らせた。一番良い方法は、購入した新車だと偽り、誰かに定価で売りつける方法だ。
「そうだ・・・。あいつならミーハーだし、こういう流行りの新車なら喜んで金出すだろう」
頭の中に、一人の地元の後輩の顔が浮かんだ。金は無い奴だが、族の総長を張っているくせに妙に流行りものに弱い。このようなネーム
バリューのある物ならば、きっと金を作ってでも飛びついてくるに違いない。
滑皮は携帯電話を取り出し、電話を掛けた。相手はすぐ出た。ハヤブサの事を言うと、予想通り食いついてきた。交渉の結果、というか
先輩であり、絶対的に力のある滑皮の一方的な言で、160万円で売値が決まった。
「じゃあな、なるべく早く、金を用意しろ」
会話を常に優位に進行させ、電話を切った。携帯電話を仕舞い、また煙草を吸おうと口に咥えると、口寂しさよりも空腹を感じた。
「腹減ったな。飯、行くか」
そう言うと、隣にいた男は一瞬だけだが黙った。内心、物を食べる時にどうにも喰い汚ない滑皮との食事は気分が良くないので避けたい
ところだ。
「はい。じゃあ、他の奴らはどうします?呼んできますか?」
本心を言える筈もなく、男はすぐに返事をした。
男の気持など知りもしないし関係ない滑皮は建物に向かって歩き出した。本当ならば下の男に呼んで来させるべきなのだが、暫くの時間で
中でどのような暴虐の限りが尽くされたかを自分の眼で見たかったのだ。
ドアの前に立ち、開くと、室内の淀んだ空気が外に流れ出た。汗と、白濁の混じった男臭い臭いに辟易する反面、自分が中にいた時とは
比べ物にならない感じから言って、かなりの凌辱が行われたのだろう。
そして、ドアを開けた瞬間にも、一人の男が丑嶋の中で果てたようだった。
「はぁあっ!・・・んっ」
中に出された丑嶋はピンと突っ張っていた腰を折り、がっくりと頭を垂れた。太ももは遠目にも分かるように痙攣している。性器も痙攣
していることから、何度目かは分からないが丑嶋もまた射精したということだろう。
しかし、丑嶋には休んだりしている暇はない。まだ男たちは何人と控えており、しかも全員が漏れなく10代の少年たちだ。簡単に
性欲はなくならないだろう。哀れだが、丑嶋はこれから一晩、下手をすれば二晩でも男達に弄ばれる便所になるのだ。そして、丑嶋を嬲る
のは彼らだけではない。滑皮もまだ何度でも犯してやりたいのだ。
けれど、その前に腹ごしらえと気分転換が必要だ。
「お前ら、取り敢えず飯行くぞ。腹減った奴らはついて来い」
「うっす!」
声を掛けられ、男達は丑嶋の体から離れるのを名残惜しげにしつつも、急いで数人が身支度を整え始めた。何人かは勃起した性器を
仕舞うのに往生しているようだ。
突っ張ったズボンの前を手で隠し、八人の男が滑皮についてくる。残り五人いるが、彼らはまだ族に加入してから日が浅い者や
年の若い者で、気軽に滑皮と食事を供に出来ないのだ。
「行くぞ」
まだ頬を紅潮させた奴らを引き連れ、外に行こうとした。だが、気紛れに中でへばっている丑嶋に声を掛けてやった。
「おい、まだ死ぬなよ。俺たちの玉が空っぽになるまで遊んでやるんだからよ!」
下品な嘲りの言葉を受け、丑嶋が顔を上げた。滑皮から攻められれるのが少し止んでいたせいか、少しだけ自我を取り戻したらしく、
凄まじい憤怒の表情で睨んできた。
「うわはははっ!恐い、恐い。ザーメンだらけの顔で睨むなよ」
滑皮がおどけた口調で言うと、周囲の男たちから笑い声が上がった。
丑嶋は悔しさに歯を噛みしめているが、最早この場にいる全員が恐怖を感じなくなっていた。
「じゃあ、行ってくるからな」
笑いを噛み殺し、滑皮達は出かけて行った。
残された丑嶋はドアの方をずっと睨み、拘束された腕をゴソゴソと動かした。
一時間ほどで食事を終え、滑皮達は丑嶋を監禁している建物がある近くに戻って来た。
「ん?」
ふいに遠くから単車のエンジン音がした気がした。音がした方を見てみるが、その方向には人気のない道路を走る車のヘッドランプの
光が遠ざかっていくのが見えただけだった。
腹ごしらえを終え、休憩をした男達は皆一様に静かに色めき立っていた。これから、あの生意気極まりない丑嶋に凌辱を尽くすのだ。
色めき立つなと言う方が無理難題だ。正直、滑皮とて例外ではない。一体どうして攻めてやろうかと考えると、楽しくて仕方がない。
一歩一歩歩くたび、真性のサディストのように残酷な辱めのアイデアが浮かぶ。一歩一歩歩くたび、興奮が募っていく。早くあそこに
行き、嬲ってやりたい。滑皮は段々足の速度を速めて行った。
丑嶋を監禁しているのは、都市の中心街から少し離れた所にある今は稼働していない町工場だ。辺りには建物が少なく、真夜中には
人が来ない。だから、遠くから見ても真夜中に灯りを付けていればすぐ分かる。
滑皮は少し離れた所にある工場の灯りを見つめ、何かの違和感を感じた。やけに工場から漏れる灯りが強く感じるのだ。恐らく人は
来ないだろうが、もしもの事を考えて、残った者たちにはドアを開けっ放しにするなと言ってある。だがそれにしては、灯りが強い。
まるで、建物の全てのドアを開けているような。
「おかしいぞ。まさか・・・」
滑皮の足の速度は更に速まった。異変に気が付いた他の男たちも必死に後をついてくる。
建物のすぐ傍に来ると、滑皮は自分の予想が当たっていたことが分かった。思った通り、建物内部から外に出れるドアは開けっ放しだ。
おまけに、入口から少し離れた所に二人、入口に一人、内部に二人、合計五人、残しておいた全ての男達が何らかの怪我をし、うずく
まっていた。
建物内部を覗くと、確かに先程まで丑嶋が拘束されて転がされていた場所には誰もいなかった。
「どうした?!あのチビは・・・」
口から血を流してうずくまっていた男を起して問いただそうとしたが、男の鼻の骨は砕け、前歯が上下ともに折れていた。答えられない
男を苛立ち紛れに張り倒し、腕を押さえて倒れていた男に問うた。
「済みません、滑皮さん。あのチビ、いつの間にか縄を引きちぎったらしくて、逃げていきやがりました」
男は腕の骨が折れているようだ。痛そうに顔を歪めている。しかし、あんな手負いの丑嶋が五人もの男を殴り倒し、あまつさえ骨を
折る程の元気があったのだろうか。
それに、こんな人通りのない場所で、わずか一時間で何処に消えたのだろうか。まさか徒歩で逃げたということはあるまい。それならば、
と滑皮は建物の外に停めてある筈の自分たちの単車を見に行かせた。
「滑皮さんっ、ハヤブサが無くなってます!」
滑皮は舌うちした。丑嶋は、よりによってあの場に置いてある単車の中で、一番速くて一番高級なハヤブサを盗んだのだ。しかも、
腕を折られていた男の傷と服に付いた痕を見て分かった。服には単車のタイヤ痕がついていた。
つまり、丑嶋は、男を轢き殺そうとしたのだ。間違いなく自分を凌辱した男への復讐の為だろう。
丑嶋は復讐の為にこの場に留まって男達を殺すことよりも、逃げる事に一生懸命だったので殺されなかったが、五人全員が
殺されていてもおかしくなかった。
凄惨な現場を見回し、滑皮は叫びたい程の怒りを感じた。てっきり気力もプライドも削ぎ切ってやったと思っていた男に自分の島を
荒された。つまり、徹底的に舐められたのだ。
先程まで丑嶋が滑皮に対して見せていた憤怒の表情と違わない怒りの表情を浮かべていると、胸ポケットに入れていた携帯電話が鳴った。
今はそれどころではないのだ、と思いつつ、電話に出る。
「おう、何だ?今取り込み中・・・。何だ、愛沢か」
電話の相手は、先ほど盗難車のハヤブサを売りつける約束をした後輩、愛沢連合の総長である愛沢浩司だ。愛沢は不機嫌さを隠さない
滑皮に怯えているようだ。
「何の用だ?あ?!」
電話が怒声で壊れるのではないかという程の大声を出すと、愛沢が媚びた猫なで声を出す。
『あの、滑皮さん、スズキの単車の件なんですが、160万はちょっと用意できないかな、と・・・』
愛沢は事情を知らないから仕方がないのだが、何ともタイミングの悪い時に話したくもない話題を出してきた。滑皮の怒りは愛沢の
言葉によって頂点に達してしまった。
「ああ?!用意出来ねェだと?!ふざけるな、コラァ!!お前がさっさと金用意して取りに来ねェから、単車盗まれちまっただろうが!」
『え?ええ?!盗まれたって、俺のスズキGSX1300Rハヤブサがですか?』
「お前のじゃねェだろ!だが、早く来なかったお前のせいだな」
『え?え?え?』
滑皮の理不尽さには慣れている筈の愛沢だが、可哀想な事に事情が読めていないので適切な言い訳も咄嗟には用意できそうにない。
あたふたしている愛沢の様子を感じ、滑皮は八つ当たりを決め込もうと決定した。
「お前がモタモタしてるせいで、ハヤブサが盗まれたんだ。それに、何人かケガ人も出た。いいか、愛沢、三ヶ月中に、単車の代金プラス
見舞金として、200万持ってこい」
理不尽な用件だけを告げ、電話を切った。愛沢との電話を切る際、電話の向こう側から単車が駆け抜けた音が聞こえた気がしたが、怒り
による空耳に違いない。
「チッ、あのチビ、ムカつくぜ。いつか完全に叩きのめしてやる」
怒りに任せ、電源を切った携帯電話を地面に放った。携帯電話は地面を滑り、一時間前まで丑嶋を拘束して転がしていた所にまで
転がって行った。
滑皮は大股で携帯電話の転がった場所まで行くと、体液の滴った跡がある地面ごと砕けよ、とばかりに携帯電話を踏みつぶした。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
盗んだバイクを盗んで走り出すショタ社長と、Sな連合総長様、ナメリン&ウッシーに関わると不幸な目にしか合わない愛沢さん、
中学二年の冬から社長馬鹿一代の柄崎、無口な常識人加納、無条件に社長を甘やかす戌亥が書けて大満足!自己満足!長々とお目汚し
失礼しました。
>>281 滑×丑GO姦RIN姦プレイGJ!!!!!!
社長の初めての男が滑皮だとすると、滑皮が社長を見下していたり、社長が滑皮に強い憎悪を抱いてるのも納得です
ズタボロにされてもきっちり反撃していく脱兎なショタ社長に禿あがりました
ぜひまた社長受の御投下を心待ちにしております
>>271 まさかワカメガネが読めるとは思わなかった
ワカメの人は不憫で報われない方が萌えるよね
おいしくいただきましたGJ
>>236 夢の中までも清らかな武智センセが愛おしいです
夢だと本能全開な涼馬も
センセとイゾとに実はそんな思いを抱いてしまってる周二郎も
みんな可愛い
続編、お待ちしています
>>281 まさか滑丑が読める日が来るとは思ってなかったありがとうありがとう
保存して何度も読み返すわ
ヒカアキでエロありです
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
若獅子戦のあと、スターバックスで和谷たちとコーヒーを飲んでいると
市ヶ谷駅に向かう塔矢が見えた。
「なあ、塔矢呼んでいい?」
オレが思わず腰を浮かせると、和谷が容器をテーブルに叩きつけるように置いた。
「ほっとけよ、若獅子戦三連覇の三段様はオレたちと話す暇なんかねえって」
「言いすぎだぞ、和谷」
伊角さんがラテをかき回しながら苦笑いした。
和谷は「だって気に食わないんだよ、あいつ」とふてくされて
ストローをガジガジかじっている。
オレはバックパックをそのままにして、奈瀬と本田さんの間を通り抜けた。
「どこ行くんだよ、進藤」
和谷の問いに、オレは「すぐ戻る」と答えて階段を駆け下りた。
雑踏の中の塔矢の背中はひどく頼りなく見えた。
「塔矢!」
オレが腕をつかむと、塔矢はぎょっとして振り返った。
「なんだ、進藤か」
「なあ、今みんなでスタバでだべってるんだ。お前も来ないか?」
塔矢は首を振った。
「いや、遠慮させてもらうよ」
「なんだよ、たまにはいいだろ」
「ボクが行ったところでかえって気まずくなってしまうだけだろう」
オレはついバカ正直に黙りこくってしまった。
塔矢は寂しそうに笑うと、背を向けた。
「塔矢!」
オレはもう一度塔矢の腕をつかんだ。
賞品や盾が入っているのか、塔矢が提げている紙袋は重そうだった。
「これ、オレが持つよ」
オレは塔矢から紙袋をひったくった。
「キミに助けてもらう必要はない」
塔矢は奪い返そうと手を伸ばした。
オレは紙袋を高く掲げて阻止した。
「オレは助けようとか思ってるんじゃねえよ。ただ……」
「ただ、なんだ?」
西日を背にした塔矢の表情は困惑そのものといった感じだった。
「みんなにお前を知ってもらいたいんだ。誕生日は十二月だとか血液型はAB型だとか、
何が好物で何が苦手なのかとか」
「彼らがそういうことを知りたいなら直接聞いてくるだろう。キミがわざわざお節介を焼くことはない。
さあ、ボクの荷物を返してくれ」
オレは紙袋を渡さなかった。
正直、腕が震えてつらかったが、このまま塔矢を帰したくなかった。
「ふざけているのか?」
塔矢がオレを睨んだ。
「ふざけてなんかねえよ」
「だったら荷物を返してくれ。それとも何か言いたいことでもあるのか?」
オレはためらった。汗ばんだ掌のせいで、紙袋の持ち手はしっとりと湿っていた。
「オレ……」
腕を下ろしてオレは塔矢を真正面から見据えた。
「オレ、お前が好きだ」
塔矢はまるで宇宙人から宇宙語で話しかけられたような顔をした。
「なんだって?」
「だから言っただろ、お前が好きなんだ」
たっぷり十秒ぐらいたってから、塔矢は顔を背けた。
「人をバカにするのも大概にしろ」
「バカにしてねえよ、オレは本気だ」
「信じろとでも言うのか。そんなこと無理だ」
オレは塔矢の手を握ると、スターバックスに引き返した。
「待て、進藤」
塔矢は抵抗したが、オレはずんずん歩いた。
自動ドアをくぐると、店員の挨拶を無視して塔矢をトイレに押し込んだ。
「いったい何を考えているんだ」
個室の鍵をかけ、オレは紙袋を床に置いた。
そのまま塔矢を壁に押しつけ、キスをした。
塔矢は逃れようとしたが、オレは構わず唇を割った。
「……しん、ど……」
苦しそうな息がオレの頬にかかった。オレは塔矢の舌を絡めとり、唾液と一緒に吸った。
塔矢の唾液は甘く、棋院で飲んだのか、ちょっと緑茶の味がした。
オレは塔矢の舌の根元を軽く噛み、上顎を舌先でなでた。
「く……やめろっ!」
塔矢が力ずくでオレを押しのけた。唾液がつーと糸を引いて伸びた。
「何を考えているんだ、キミは。気でも狂ったのか?」
オレは壁に手をついたまま、塔矢の口から唾液を舐めとった。
塔矢がびくっと体をすくませた。
「狂ってるのかな、オレ。わかんねえや」
オレは怒張した股間を塔矢の腿に押しつけた。
「キミは正気じゃない」
塔矢の目は縁が赤く染まり、うるんでいた。
「とか言って、塔矢。お前も勃ってんじゃん」
オレは膝で塔矢の股間を突ついた。そこはオレと同じくらい硬くなっていた。
「これは……体が勝手に」
塔矢が恥ずかしそうに目をそらした。
オレは塔矢の手首をひとつにまとめると、空いた方の手で塔矢の顎をつかんだ。
「いいよ、何も言うなって。二人で一緒に狂おうぜ」
赤い唇が怯えたように開かれた。オレはその唇に吸いつき、むさぼった。
「んっ」
塔矢は顎を引いたが、オレはさらに深く舌をねじこんだ。
そのまま塔矢のズボンのチャックを外し、下着の上からペニスをしごいた。
塔矢は身をよじってもがいた。
オレは鼻で荒く息をしながら、体全体でのしかかって塔矢を押さえつけた。
見る見るうちに、塔矢のトランクスが濡れそぼった。
オレはキスをやめると、塔矢の口に指をつっこんだ。
人差し指と中指で舌を挟んで動かすと、塔矢の口から唾液が溢れた。
「はあ……あっ……」
唾液が塔矢の顎を伝い、オレのジーンズを濡らした。
オレが口から手を抜くと、塔矢はごほごほと咳きをした。
「これはキミじゃない……キミであるわけがない。もう一人いる別のキミだ」
塔矢の目は焦点が定まっていなかった。
「何言ってんだよ」
オレは唾液まみれの手を塔矢のトランクスに入れ、中指を肛門に押し込んだ。
その瞬間、塔矢の顔が恐怖でひきつった。
「オレはオレだよ、塔矢。オレ、お前とヤリたいんだ」
唾液のおかげで中指はずぶずぶと沈み、付け根まですっぽり収まってしまった。
中指を上下させると、腸壁がひくひくとひくついた。
「やめろ、進藤、やめてくれ……こんな、こんな……んっ!」
オレの指先に塔矢が反応した。オレはそこをしつこくマッサージした。
「はあ……あっ……ああんっ……ああっ」
唾液を垂らしたまま、塔矢はいやらしく喘いだ。
オレは指を一本から二本に増やした。
肛門はぎちぎちだったが、マッサージを続けているうちに二本に慣れた。
オレはもう一本増やした。まるで喜んでいるように腸壁がきゅうとすぼまった。
「進藤……進藤……しんどう……」
苦しそうに息を吸いながら、塔矢がオレの名前を呼んだ。
オレはもう一度唾液を舐めとってやると、塔矢を壁に向かせ、
ズボンごとトランクスをずり下げた。
オレのペニスは限界まで膨らんでいた。
ジーンズのベルトを外し、オレは塔矢の肛門に亀頭をあてがった。
ぬらぬらと濡れて光る肛門は難なくオレのペニスをくわえこんだ。
「あっ……ああっ……!」
塔矢の声はほとんど悲鳴に近かった。その中は熱く、きつかった。
オレは塔矢の白い尻に腰を打ちつけた。
じゅぷっじゅぷっと音を立ててペニスが出入りするたびに、激しい快感が腿を走った。
「いっ……イく、イく……しんどうっ」
がくがくと体を震わせながら、塔矢は何度も「イく」と繰り返した。
「オレも……も、イきそ」
そのとき、塔矢が体をのけ反らせた。
塔矢がびくびくっと痙攣するたびに肛門が締まり、オレも耐え切れずに果てた。
狭い個室の中は二人の汗と塔矢の精液の匂いが混じりあい、むせ返るようだった。
オレはジーンズのチャックを閉めると、蓋を閉じた便器に塔矢を座らせ、いろいろと後始末をした。
「悔しいよ。こんなことをされてもなぜボクはキミが好きなんだろう」
シャツをズボンの中にしまってやっていると、塔矢がぽつりと呟いた。
「とーやあ!」
オレは塔矢をひしと抱きしめた。
「怒ってないんだ、よかったあ」
塔矢はそんなオレを乱暴に突き飛ばした。
「よかっただって? 二人で一緒に狂おうぜとかなんとか言ったのはどこの誰だと思っているんだ?」
「いや、あの時は完全に理性が飛んでたからさ」
オレはあははと笑って誤魔化した。
「笑い事じゃないだろう!」
塔矢は立ち上がった拍子に顔をしかめ、またぺたんと便器に座ってしまった。
「どうしてくれる、進藤。これじゃ帰れないじゃないか」
「しばらく上でゆっくりしてけよ。うん、そうだ。
なんだったらオレ、お前をおんぶして家まで送ってくから」
「断る。キミの助けなど必要ない」
紙袋をつかむと、塔矢はよろよろと立ち上がってトイレから出ようとした。
オレは塔矢から紙袋を奪うと、ドアを開けてやった。
階段をあがる時、店員の視線が痛かったが、あまり気にしないようにした。
二階にはもう奈瀬や本田さんの姿はなかった。
和谷と伊角さんが椅子をくっつけて座っているだけだ。
お互いにお互いのフラペチーノを食べっこしている。
「げ、塔矢」
和谷は塔矢に気づくと、あからさまに嫌そうな顔をした。
「進藤、荷物見といてやったからな」
そっぽを向いたまま、和谷がオレのバックパックに顎をしゃくった。
「うん、サンキュ」
オレは塔矢を伊角さんの向かいに腰かけさせた。
塔矢はオレのせいでいつも以上に愛想がない。
「伊角さん、ほら行こうぜ」
和谷はオレたちに意味ありげな視線を送ると、伊角さんを促して腰をあげた。
「じゃあな、進藤、塔矢くん」
伊角さんはさっさと階段を下りていく和谷のあとをいそいそと追いかけた。
「進藤」
「お前もフラペチーノ食べるか? うまそうだったよな」
「しばらくキミとは口を利かない」
「えー、なんだよそれ。オレのこと好きなんじゃねえの?」
「もちろん好きだ!」
塔矢はきっぱりと断言した。
「塔矢、かっけえ。男らしー」
「だが、それとこれとは別だ」
そう言うと、塔矢はテーブルに突っ伏してしまった。
塔矢はそれからしばらく、肛門の傷が治るまで本当に口を利いてくれなかった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
思う存分エロを書けてもう思い残すことはありません
ヒカル、楽しか――
>>281 滑丑はいいね〜
作品読んだ後思わず単行本2巻3巻読み返しちゃったよ
滑皮が血を社長の上着で拭くコマで、乳触ってる!セクハラだ!と思ってしまったじゃないか
302 :
世界は闇の中:2010/08/03(火) 23:47:52 ID:YL8qYd8YO
萌えたぎってしまったので書いてしまった…。
火曜ドラマ「ジョーカー 」より。
盾鑑です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
アロハ姿のちゃらい男と夜中の鑑識室で二人きり。
調べものをしてて、たまたまそうなったと盾は思っていたが、鑑識はタイミングを測っていたようだ。
盾の表情が曇った。
「ねーねー俺と寝ない?」
と唐突に誘う鑑識の言葉があんまりにも軽くて。
思わず目を見開いて鑑識を見る。
「おまえそーゆーシュミなの?シュミ悪くない?」
わざと嘲ると、鑑識は俺の顔間近ににじりよって、
「盾さん、以前マスターと寝てたでしょ?」
にやけた声で、でも表情はうらはらに真顔で鑑識は囁いた。
「…誰から聞いた?」
しまった否定しそこねた。そんなことを考えてたら鑑識に「当事者以外知らないことを誰から聞くの?」 と返される。
「それでもマスターからじゃないだろ…課長?」
「課長にさも知ってるそぶりでカマかけたら、ビンゴだったよ」
今度こそ鑑識は、にやりと笑った。
課長は隠す気のないことは口がかるい。
俺とマスターの関係をうすうす知ってるのは課長だけのはずだ。
俺の性生活がなんでまたばれてるんだか、てゆうかなんでばらすんだ。
なんだかやだなあと盾が思っていると鑑識はしれっと
「だってオレもマスターと寝たことあるもん」
とのたまった。
「事件の後、傷心のオレはマスターから大人の手ほどきを受けたのでした〜って言ったらムカつく?」
確かにムカつく。
俺と一緒じゃないか。
「今は何にもないから安心してよ。ガキの頃にはわからなかったけど、今はマスターへの感情はラブいかんじじゃなかったんだなってわかったから」
そこも俺と同じか。
「当時はなんだろ、保護者に餓えてたっていうか…」
もう、続きを聞きたくなくて盾は鑑識の言葉を遮って強引に鑑識を壁に押し付けて言った。
「俺とおまえは同じなんだろ」
なで肩で男にしては小柄なほうの自分よりも、さらにすこし小柄で細身の鑑識は俺の言葉を待っていたかのように呟く。
「なんだ、わかってんじゃん」
顔をほころばせた鑑識は、盾の首筋に顔を埋めた。
俺の耳元で鑑識は囁く。
「オレのホントの姿を知って…そんで盾さんのホントの姿を知ってるのはオレだけでいたいんだ…」
ぎゅっと腕を回して鑑識は俺にしがみつくように抱きつく。
黙って聞いていた俺は、ふっと一息つくと鑑識の頭に腕を回し、抱え込むように抱きしめた。
普通にそうするには身長が足りないのでつま先だちになったけど。
「俺はこんなとこでヤるシュミはないよ」
「…オレはかまわないけど」
受け入れられたと感じたのか、途端に甘い声で鑑識は誘ってくる。
盾は鑑識の目を見た。
すこしうるんだ瞳はかつての自分のようであり、今の自分かもしれないと思った。
同病相憐れむか。
それもまたいいかもしれないな。
目を合わせたまま、盾は鑑識の唇に自分のを重ねた。
308 :
世界は闇の中:2010/08/03(火) 23:57:28 ID:YL8qYd8YO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
勝手にマス盾、マス鑑過去入れてスマソです。
マスターおいしいな
あのドラマはほんとに想像力を掻き立てられる…
>>295 萌えでした!ヒカアキ!アキラのぱっつん前髪が汗で額にはりつくのを想像した。
ああ、いつか棚にも来ると思ってた浄化ー。
やっと作家さんがいらっしゃいました。ありがとう、ただひたすらありがとう。
>>226 すごい亀レスだけど一言だけ。ありがとおおおおおおお!大感激
えすでぃーGンダムFースの青いナイトさん×赤いお侍さん
最終回後の妄想
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
最終決戦を勝利で収め、互いの故郷に帰ったガンダムフォースの面々が再び集まったその日の夜。
新たに与えられた任務をこなしてブランベースに帰って来た爆熱丸は、
用意された部屋に入るなり「うわーい!」なんて歓喜の声を上げてベッドに飛び乗った。
ネオトピアに飛ばされる前は戦乱の国・天宮で生きていた爆熱丸が、
初めてみるものだらけの未来都市で特に気に入ったものの一つが、このふわふわのベッドだった。
タイル製の床にはなかなか慣れず、やはりそこだけは畳の方が落ち着くのだが、
寝床だけは固い布団よりもこちらの文化の寝具の方が心地良い。
武者頑駄無であるところの爆熱丸が使用してもびくともしないネオトピア製のベッドで四肢を思い切り伸ばす。
と、こつこつと扉がノックされた。
「どーぞー」
くたりとしたまま爆熱丸は答える。客人を迎える態度ではないと頭では解っているのだが、
ふかふかのベッドに沈みこむ体はなかなかどうして言うことを聞いてくれない。扉を開いたゼロは、うつ伏せの爆熱丸を見つけてあからさまにむっとした。
「それが客人を迎える態度か。全く美しくない」
気が引けていたことを丸々、さらにいつもの台詞までつけられて指摘された爆熱丸は、顔だけ扉に向けた。
床を蹴ったゼロがふよよよよよと軽薄な音を立てて、ベッドの所まで飛んでくる。
「この私を見たまえ。お前のような美しくない者に対しても礼儀をわきまえわざわざノックまでしてやっているというのに」
高みから見下ろし、胸に手を当てて偉そうに喋るゼロに爆熱丸は飛び起きた。
「誰が美しくなくて誰が美しいだと! 大体大した用もなく訪ねてくる者こそ美しくないだろう!」
「用がないわけではない。……大したことではないが」
それまで爆熱丸を見下ろしていたゼロは、床に降り立つためにわざわざ足元に視線を落とし、高度を下げながら言った。
「お前と話がしたいのだ」
いつもはそんな用心深い動作は取らないのだが。
「俺が元気丸達と共にいたのはほんの少しの間だから、語れることはあまりないのだが……」
プライドばかり高いくせして存外寂しがり屋なゼロは、爆熱丸の淹れた茶を啜る度に微かな苦味に顔を顰めたり、
たまにくだらない揚げ足を取ったりしながらも彼の話を聞いていた。
何かとぶつかり合いがちな騎馬王衆とザッパーザク達をまとめるために、
元気丸はそのいがみ合いを更に三つ巴にする勢いで割って入っていく。
と実例を上げて話す爆熱丸に、元気丸らしいと思いながらゼロは湯呑に口をつけ、飲み慣れない味にやっぱり瞳をばってんにした。
「それで、そっちはどうなっているんだ? お主の国は」
一通り爆熱丸が話し終えると、ゼロはうきうきと話しだす。
「何もかも良い方向に進んでいっている。国民達は総出で町の復興に勤しんでいるし、
遅れた分の外交は国王様や側近、大臣達が巻き返しを図っている。
気持ちの良い、美しい忙しさを持ってして人々は新しい生活を始めているのだ」
そう何日と離れていたのではないのだが、爆熱丸はゼロのこの語り部を久しく感じた。
ガンダムフォースに入隊してからの日々をほとんど一緒に過ごしたからか、それともこいつのキャラクターがなかなか濃いから、
ほんの少し会わないだけで何年も会っていないような気にさせるのか……恐らく後者だ、絶対そうだ。
「私のことなら案ずるな、お前ごときに心配されることなどひとつもない。
美しい姫君の隣には常に美しい私がついているし、救世主ゼロとしてリリ姫と共に行動することを国中が望んでいる。
もちろん騎士である私としても誇りを持ち、救世主の義務としてその任務にあたっているからな!」
聞きながら、爆熱丸はこの良く喋る騎士を連れて現れた少女を描く。
再結成されたガンダムフォースには件のリリ姫もいて、今は用意された個室で眠るなり寛ぐなりしているはずだ。
「お主はそればっかりだ。美しい美しいと、まるで言葉を覚えたての九官鳥のようだな」
「なあにを!」
だん! とゼロはサイドテーブルを拳で叩く。その上に置かれていた湯呑と急須が浮いた。
「ところで騎馬王丸の様子はどうだ。何もへまをしてないといいのだが」
自分と同じでずっと天宮にいた武者のことだから、留学先のラクロア文化に馴染めず困っている、困らせている可能性は大いにある。
そう心配したのだが、ゼロは彼に手を焼いているようでもなく、さっきと同じトーンで話す。
「騎馬王丸はあれでいて礼儀はなっているようだからな。リリ姫に失礼な態度を取ることもない。
形としては騎馬王丸がラクロアに留学しているはずなのだが、リリ姫は天宮での話を彼に聞くのを気に入っておられるようなのだ。
もちろん我らが姫は教わってばかりではなく、ラクロアの文化を教えるのも怠っていないぞ。
まあ、私としては姫が彼にチェスの手ほどきをなさるよりも先に、
この美しい翼の騎士自らテーブルマナーを叩きこみたいものなのだがな……あと宴会芸」
ひとたび城を出ればすれ違う国民全員が全員ゼロを讃え、特に女性からは黄色い声があがって困る。
騎馬王丸に万年筆を持たせたら一文字書き終わる前にペン先が割れた。などなど、ラクロアでの出来事をつらつらと話すゼロは、
「相変わらず騎士ガンダムは私しかいないが、しばらくすれば新たな騎士も生まれるだろう」
そうやって締めくくった。
「良かったな」
ゼロの故郷であるラクロアの石化がまだ解けていない頃、気障で自信家で口を開けば美しい美しくないの彼は、
それでも時折薄暗い過去と重い使命を負っているのを見ている者に感じさせる危うい面があった。
今のゼロは、言ってみれば大き過ぎる肩の荷が下りたばっかりで、随分とすっきりしているのが傍から見ても良く解った。
それを思うと心から良かったと口にできる。
「ああ。お前たちのお陰だ」「感謝する」
恐ろしく素直にそう言うので、なんだか面食らいながらも爆熱丸は頷く。
ずっと喋っていて喉が渇いたのか、ゼロは湯呑の中のお茶をぐいと飲み干した。
「にがぁあ……」
「なあ。随分と今更になってしまう上に慰めにすらならんと思うが、一つだけ言わせてくれんか」
「何をだ」
何時になく真剣な表情で言う爆熱丸に、ゼロは何事かと訝しむ。
しかし次の瞬間には、彼は手の中の湯呑を取り落としそうになってしまうのだった。
「二年間、独りで良く頑張ったな。辛かっただろう」
ゼロが預言の救世主として、ダークアクシズに乗っ取られ全てが石に姿を変えてゆくラクロアから異次元へ送られたのが二年半ほど前。
ガンダムフォースに入隊するまで、辿り着いた見知らぬ世界・ネオトピアで石化解除の鍵を探すこと二年間、
ゼロはずっと一人きりだったのだ。
それを想うと慰めをかけたくなってしまう、というかかけてしまったのだが、いざ口にすると全く独りよがりで、
まるでちっぽけな自己満足を満たすためだけに吐いた台詞のようだった。
爆熱丸は少し悔いる。果たしてこれはどうしても言わねばならぬことだったのか。
まったくちっとも美しくない。……ってあれ?
「なん、なんてことを言うんだ貴様は……!!」
その声に顔を上げると、湯呑を握るゼロの手がぶるぶると震えるのが目に入った。
しかし深く俯いていて肝心の表情は見えない。
己の心を見透かしたゼロに叱咤されるやもしれんと一瞬だけ身構えた爆熱丸だったが、怒声は一向に飛んで来ない。
声をかけようとする、が、それよりも先にゼロの湯呑に波紋が広がった。一滴、雫が落ちたのだ。
驚いて、爆熱丸は咄嗟に天井を見上げる。空に浮くブランベースのことだから、
きっと普通の家よりも雨漏りしやすいのだろう、と目の前の光景から逃げたいがために筋が通っているのかいないのかの
理屈を一瞬で立てたのだ。
しかしやはりこれは、間違いなく……。
ぱたりと、再び落ちた雫に一息に青ざめて、爆熱丸はゼロの前から飛び退いた。
のけ反って、腰かけていたベッドの上をごろごろ転がって反対側に落ちる。
床に頭をぶつけ、がつんと鈍い音がした。
「すすすすすまん!! 泣かせるつもりではなかったのだ信じてくれ!」
床に這いつくばって、額を擦りつけて頭を抱える。土下座と言うより、
雷が近くに落ちた時やおばけを見た時の子どもの反応の意味合いが強い。
恐ろしくプライドの高い友人が隠し持つ、触れるは愚か、匂わせてもならない地雷を思いきり踏んづけてしまった。
だらだらと冷や汗が流れる。いらない慰めだとは解っていたが、それに対するゼロの反応は爆熱丸の予想とは方向性が違っていた。
「侮るな!」と一喝されることは覚悟しても、まさか泣かせてしまうなんてこれっぽちも。
が、しかしこのままではどうにもならない、そろりと爆熱丸は這い上がる。
はいはいの要領でベッドの前に置かれた椅子に座るゼロの前まで進み、湯呑をぎちぎちに握りしめている手から、
割れない内にそれを取り上げた。
泣きじゃくる子どもにするべきことと言えば(爆熱丸には今のゼロは自分よりも弱い生き物に見えた)
支援要るのかな?
……恐る恐る手を伸ばす。
頭を撫でようにも装飾が邪魔する、ぽんぽんとあやすように肩を叩く。
「何のつもりだ」「ひどい屈辱」「子ども扱いはやめろ」「馬鹿にして」「気安くさわるな」
しゃくりあげながらゼロはぶつぶつ言うが、そのせいで余計に声がぶれていっている。
普段体を包む優しい空気は、泣いている時だけ嘲るように喉に入り込み、ますます無様な声にしてしまう。
すぐにゼロは閉口してしまった。
「お、落ち着いたか…?」
ゼロの震えがだんだんと治まっていくのを見て、爆熱丸は手を退ける。
ゆうるりと頷いて、しかしゼロはすぐにぶんぶんと兜を左右に振った。
どっちだと思ったが、混乱しているが故なのかもしれない。
様子を見守っていると――握られた拳が、すでに治まっていた小さな震えを新たに刻んでいく。
先程とは少し毛先の違う腕と拳の揺れ、ゼロがまともに泣いているところをまともに見たことのなかった爆熱丸だが、
その分見慣れたこちらのパターンは良く解る。
が。
顔を上げ、ぼろぼろと大粒の涙を流しながら、ゼロは声を振り絞った。
「よっぐ、よくも、よくもこの私を泣かせたなああ……!」
「へ」
今回ばかりはゼロが何を言っても、むきになって言い返さずに大人しく怒鳴られてやろうと思っていた爆熱丸は、
椅子から立ち上がった彼の瞳に浮くものをぽかんと見上げた。
涙は完全には引いていなかったようだ。いや、それならそれで泣き止むまで付き合うまでなのだが、同時に怒りを露わにしている。
もちろん泣きながら怒るのだって立派な感情表現で、それはそこまで珍しくない。
ゼロがやるとなるとそりゃあ珍しいのだが、まああり得ない話ではない。
「え? え?」
それではなく、大袈裟な魔方陣を呼び出す呪文を唱えるでもなく、
爆熱丸の頭を花瓶にしてしまうあの小技を使うために指を鳴らすわけでもなく、
伸ばされたゼロの手が己の肩を捕らえたのに彼は呆気にとられているのだ。
さっき子どものように撫でたことへの意趣返しか、と頭をよぎるが、違う。
とん、と後ろに押し出される。その手には全く力が込められていない、見る限り魔法というわけでもなさそうなのに、
隙だらけの爆熱丸はあっさりとベッドに沈みこんだ。
天井のパネルだけが視界を埋めるなか、ゼロがひょこと顔を出す。
そのまま布団に乗り上げ、爆熱丸の膝に手をつく。みしりとベッドが軋んだ。
「おい、ゼロ。ゼロ?」
そのままつねられるか、最悪足をやられるかもと体を固くした爆熱丸は、
しかしぺたぺたと何度も手を離してはまた置くの繰り返しに目を見開いた。
「おおぉ!? なんだ、くすぐりっこ!?」
童心に帰ろうとしておるのか!? このタイミングで!?
全く読めないゼロに驚いて、跳ね起きようと布団に手をつくのと、「ぐしゅ」と彼が鼻をぐずらせるのが被る。
それを聞いた爆熱丸は、ぴきんと固まってしまい、途端に口を噤んだ。
半ばやぶれかぶれになって、起こしかけていた体を再び布団に沈める。
ええいままよ、くすぐるなりなんなりすればいい。……の心境だったのだが、
やがてゼロのついては離すの単調な動きが、揃えた指先の腹で爆熱丸の膝を撫で始めた。指が膝から下へと肌をなぞり、適当なところで離され、また膝小僧へと指を這わす。
ぐすぐす言いながら反復するその動きはぎこちなく、
異国のおもちゃを手に入れたものの遊び方が解らずに模索している子どもの様で、
乱暴なんだか優しく扱っているつもりなのか今一つ判断できない。
が、どうやら自分はただくすぐられているのではないと理解し、彼の意図のはじっこを本能的に掴んだ爆熱丸は、
「あの〜……ゼロさん? もし俺の勘違いだったら本当にすまないんだが、これはひょっとして……」
むずむずする感覚に嫌な汗をかきながら、天井に視線を注いだままゼロに声をかける。
「俺をだ……こ、うとしているなんてことは…」
「そーだっ」
「ええええええ!? なぁあああんでぇえええええ!?」
オーバーリアクションは爆熱丸にとっては最早癖のようなものだが、今回ばかりはもっともな反応だ。
ついに跳ね起き、勢いづいた爆熱丸だが、目の前のゼロの瞳が未だ潤んだままなのを見て、
冷水をぶちまけられたように一瞬で勢いは消え失せ、ぐうっと完璧にひるんだ。
「さんざん、ひとの泣き顔を、っぐ…見ておいて、ひゅ……」
一旦泣き止めてもすぐに喋ろうとするとマジ泣きに強制移行されるの法則。
落ち着きかけていたゼロの声がまたもやぶれて、眼球には涙の厚い膜が張っていく。
「…て、お、お前のみっ…な…い泣き顔でも拝ま…っきゃ、治まら、えう」
ぽかん。
瞬時にその意味を測り損ねた爆熱丸は唖然としたのち、「えぇえ!?」と目を剥いた。
たとえ情けからの言葉であろうとも(というより、だからこそ余計に)泣かせられたのが悔しいから泣かせてやる。
端的で解り易いっちゃあ解り易いんだが、そのために取る手段がおかしい。
それに、本当に本当に、泣かせるつもりなんてこれっぽっちもなかったのにぃ!
冗談じゃない! あくあくと目元を引きつらせる爆熱丸だったが、
ゼロがこれ以上涙を零すまいと必死に、真っ赤に染まった目の縁をごしごしと手の甲でこするのを見て、
ますます不利な心境に追いやられていった。
「で、ではこうするのはどうだ! え、えーと……」
目を白黒させながら、爆熱丸は一生懸命頭を絞る。要は彼に、己を泣かせてやればいいわけだから……
「俺の泣き顔が見たければそんな手段を取らずともだな……えええーっと、
むむ、あー………お? おおっ! あるではないか秘策が!」
拳で手の平をぽんと叩き、爆熱丸は首を傾げるゼロにずいと近付く。
「自慢じゃないが俺は簡単に泣くぞ、すぐ泣くぞ! ラクロアに伝わる怪談の一つでもしてみたらいややっぱりいいぃっ!!」
そんで部屋中を縦横無尽にかさこそし回る黒い悪魔を見つけた時のように、壁に背中を打ち付ける勢いで飛び退く。
自分の言葉すら最後まで結べないほどの恐がりっぷり、久々に見た、
とゼロは手の甲だけでは拭えなかった雫を瞬いて弾きながら、ぼんやりそう思った。
敷布団と枕の隙間に頭を突っ込み、がたがた震える爆熱丸が被る枕にゼロはそっと手をかけ、取り上げる。
枕を押さえていた手は今度は頭を抱える。彼の頭の近くに付いた手に寄せるように体を近づけ、ベッドに膝を沈めた。
顔を囲んだ腕から、恐怖で今にも涙を押し出しそうになっている目が覗く。
「な、泣くまで殴るか……?」
それは、まさか提案なのか、それとも隠れ蓑を剥いだゼロの行動を勘違落ち着きかけていたゼロの声がまたもやぶれて、眼球には涙の厚い膜が張っていく。
「…て、お、お前のみっ…な…い泣き顔でも拝ま…っきゃ、治まら、えう」
ぽかん。瞬時にその意味を測り損ねた爆熱丸は唖然としたのち、「えぇえ!?」と目を剥いた。
たとえ情けからの言葉であろうとも(というより、だからこそ余計に)泣かせられたのが悔しいから泣かせてやる。
>>322 のゼロの行動を勘違 から。コピペミスです、すみません。
いしているのか、
どっちにしろ爆熱丸からそんな風な言葉が出てくるのは寂しい、とっても。
「そうじゃない、そんなことはしない」
ゼロはゆうるりと左右に首を振る。真直ぐに注がれる彼の視線は、爆熱丸に、
まるで眼球の内側に潜りこもうとしているようだとすら思わせた。
そのまま、微かな声すら躊躇われる無音の時を刻んだ後、爆熱丸は半ば自棄気味に、
しかし残りの半分は本人は自覚していないようだがしっかりと絆されて、がちがちに固まった体の力を抜く。
「それでお主の気が済むのなら、なんでもすればいい」
………判で押したようなロボットだった頃のキャプテンなら「泣き落とし」と辞書機能で弾きだしていたに違いない。
けれども当人達にとってはそれはただの切っ掛けで、ついに一歩踏み出した瞬間だった。
「………爆熱丸、一体私はどうしたらいいのだ」
布団の上で正座して、膝を突き合わせる二体のガンダム。掛け布団に描かれた幾何学模様のユニットを数えるのにお互い忙しく、
ゼロがそう切り出したのは、ふたりが黙ってから優に二十分は過ぎた頃だった。
「ど、どうって?」
いきなり声をかけられて驚いた拍子に、爆熱丸はユニットをどこまで数えていたか見失う。
ついでに緊張の余りいくつまで数えていたかも頭からすっ飛んでいった。
「いやだから…どうしたらいいのか聞いているんだ」
「ど……どうって…」
ここまで来て言葉を濁すのは、解らない振りをしているか、単に言いにくいだけだ。
しかし普段ならゼロは彼の下手な演技も、言い難いことを抱えている際の様子もお見通しなのだが、
やっぱりこっちも極度の緊張のせいで、
「だ、だから! ど、ど……どうしたらお前をみっともなく泣き喚かせるように抱けるんだぁあっ!!」
顔を真っ赤にして、ほとんど怒鳴るような勢いで思いの丈をぶちまけた。
ぎょっと目を剥いて、爆熱丸はようやく頭を上げてゼロを見る。見る。見て、それから、
「しっ……」
さっきまでOFFだったスイッチがONに切り替わったかのように、どかん! と一瞬で茹でダコのように濃く色付いた。
「知るかぁーーー!! 自分で考えろ!!」
あまりにあんまりな
言い草に、爆熱丸はサイドテーブルに置かれている目覚まし時計を引っ掴み、
ゼロが慌ててクッションを顔の前に持って行ったのを確認してから、彼目がけてぶん投げた。
クッションを介して布団の上に落ちた時計を拾い上げ、ゼロは元の場所に戻すよう爆熱丸に差し出す。
それを受け取って、爆熱丸はサイドテーブルに置き直した。
当然だが、こんな状況に置いても、ごく普通の動作だけはスムーズだ。
「しかし私には大雑把な知識しかない。それも人間の男女の場合の知識だ。
ラクロアの騎士ガンダムは精霊の泉が育む卵から生まれる。私たちには必要のないことだから、
騎士ガンダムの教育カリキュラムでは保健体育は重視されていないのだ」
時計盤だけじっと見つめ、ゼロは最後にそろっと爆熱丸を見やる。
「あれ。おい」
爆熱丸は正座のまま、しかし額を布団に突っ伏していた。ぴくりとも動かない彼のガンダム肌にだらだらと汗が流れる。
「お、教えなくてはいけないのか!? この俺が!? こいつに!?」
ぶつぶつ呟く爆熱丸だったが、小声のためゼロには届かない。彼の懸念そっちのけで、
ゼロはふと、自分達がある重要な点をすっ飛ばしていたことに気づいた。
「あ、キスするの忘れた」
爆熱丸もひょいと顔を埋めていた布団から持ち上げ、
「え? ああー……」
そう納得しかけて、しかしすぐさま跳ね起きた。
「って! 違う違うちがーう!!!」
じたばた両手を振り回し、びっ! と風を切る音が立つくらいに大きな動作で人差し指をゼロに突きつける。
「お、お前は、お前はっ、俺のみっともなくも情けない泣き顔が見たいだけだろう!
何故そんな、何故そんなことまでせねばならんのだ!?」
「はぇっ?」
ゼロはきょとんとその指先を見つめ、ぷんすか怒っている(ように見える)爆熱丸に視線を移動させて、
そしてはっとして声を荒げた。
「あ、ああ! そ、そうだとも! 私は、お前の、お・ま・え・の!
泣き顔を拝みたいだけだ! 決してそんな、お前に、お前を、お前がだなあ……!!」
「いやだがしかし! 貴様がどうしてもと言うのなら!? 付き合ってやらんでもないぞ!? かもしれないぞ! …何がだ!!」
「違うな! 私がお前に付き合ってやるのだ! いいかそこだけは履き違えるな! 私は別にそんな、そういう……いやこういうことが言いたいんじゃなくて! ………何がだーーー!!!」
キャプテンがここにいれば、「果たしてこのやりとりに意味はあるのだろうか」と静かに、
しかし確実に本質を突くような発言をしてくれたところだろう。
「そ、そう、それが作法というものだ。私は気高き騎士だからな、
うん、たとえお前が相手でもこうして礼儀をわきまえようと! だからだ、解ったか!」
偉そうなゼロの口調はいつものことなのだし、今回ばかりは聞き流しておけばいいものを、
やはりこちらもいつも通りに爆熱丸が噛みつく。
「そう思うんならもっと手順を踏まんか! ブースター噴射させて階段飛ばしするような真似はやめろ!」
「手順、手順……?」
ゼロが首を傾げる。彼をとんでもない方向に誘導してしまったと爆熱丸が気付いた頃には、
ゼロは布団の上に置いた手をしゃくとり虫のように動かしてじりじりと迫ってきていた。
「爆熱丸」
ぎゅうっと手を握り、ゼロは爆熱丸と額同士がぶつかる一歩手前をまでに身を寄せた。
きゅううううううううぅ、と、まるで湯が沸騰したのを知らせるやかんの鳴り物のような音が爆熱丸のどこかから立つ。
ゼロが一つ瞬いたのを境に、次はぶしゅううううう!! と白い蒸気が爆熱丸の額当てから上がった。
「す」
「いぃいいいいい!! いい! やっぱいい!! 言わなくていいったらぁああああ!!!」
絶叫した爆熱丸は、たった二文字で終わってしまう短い言葉を結ばせないため、
咄嗟に眼前のゼロに頭突きをかました。
とにかく混乱していたのだ、いやほんと、本当にただそれだけだったのだが、
頑丈に出来ているふたりは、きゅうっと目を回して仲良く気絶した。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・ )チョット チュウダーン!
長々と失礼しました。支援下さった方ありがとうございます。それでは。
>>325の続きです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「石頭」
「だってしょうがないだろう……びっくりしたんだから、仕方ないだろう……」
べそべそと泣きごとを言いながら、爆熱丸はぶつけた額を両手で押さえて布団に転がる。
ゼロはがんがんと痛む頭を柔らかいクッションに預け、不貞寝のように突っ伏していた。
「もう君相手に正しい手順は踏まないからな。ロケットブースター噴かして踊り場から踊り場まで飛ばしてやる」
「解ってるのか」
そもそも正しい手順を、と頭に付けるべき台詞は直接言わなかったが、ゼロは爆熱丸の言いたいことをしっかりと読みとった。
「………。お前が私にレクチャーすればいい」
「あ、あのなあ、武者頑駄無は確かに子を産むが、それだってやはり男女の場合のみであって、
男同士の段取りなんて俺が知る筈がないだろう……」
ぼそぼそと小さく喋る爆熱丸を視界の隅に捕らえて、
「ふむ」
ひょいと宙に目を向けるゼロ。
知らないと言っていたが、それは考えるきっかけが今までなかった、
あえて考えようとしてこなかっただけで、彼は正に今、
恐らくは彼が最低限知っている人間の行為に自分たちを当て嵌めている……
「……おおよその見当はつく!」
「つくけど! つくけどぉ!」
ちょっとした新しい発見をした子どものようにぱあっと顔を明るくするゼロ、
とは対照的に、同じくおおよその見当がついた爆熱丸は握り拳でばしばしとベッドを叩く。
「止めないか。君の馬鹿力で壊れたらどうする」
起き上がったゼロが、先ほどまで自分が顔を埋めていたクッションを爆熱丸に投げる。
叩くならこれにしておけということらしい。爆熱丸は大人しくそれを抱え、
今度はぼすぼすと軽い音を立てて綿に拳を食い込ませる。
「それならしがみ付くこともできるだろう」
「………しがみつく…」
ベッドの上をはいはいで移動して距離を詰めたゼロに、爆熱丸は恐る恐る顔を上げる。
しかし彼は爆熱丸を不安にさせるような表情……例えば妙に明るい笑顔を浮かべているわけでも、
いかにも悪そうなせせら笑いを刻んでいるわけでもない。
まるっきり真摯なゼロに、爆熱丸はすっかり毒気を抜かれた。それはもうすっぱりと。
まな板の鯉ってこういうことか。ゼロは眼下に見下ろす爆熱丸に対してそう感想を持った。
爆熱丸はゼロに見られない様にクッションを顔に押し付けて、更にそれをがっちりと抱き抱え、小刻みにぷるぷる震えている。
そんな彼に手を伸ばして、やっぱり引っ込め、ゼロは中指と親指を擦り合わせた。かつ、と小さな音が鳴る。
指先を見つめ、それから爆熱丸に視線をスライドさせて、はああとゼロは息を吐いた。
「こういうことって、やる方もそれなりに怖いものなのだな」
「おおおおれはもっと怖いんだぞ!!」
爆熱丸がクッションを押し下げて、ひょこっと顔を出す。ゼロは頷いた。
「そうだとも。さぞ恐ろしい思いをしているのだろう、気高い武人が、よりによってこんな……」
「だあああああ!!! 御託はいいからさっさと……! ちが、違うぞ、そういう意味じゃないぞ!!」
「? うん」
ゼロは単純に心配をしているだけなのだが、爆熱丸にとってはそれが却って辱めになってしまっている。
言い捨てて、爆熱丸は再び顔を隠した。
「じゃあ……えーと、さ、さわるぞ? いいな?」
「あああ頼むから何も言わないでぇ聞かないでぇえええ!!」
叫びは柔い布と綿に吸い込まれて、くぐもった声が響く。
事実上はまだ何もその身に起きてはいないのだが、しかし羞恥に耐えきれずに爆熱丸はばたばたと足で空を掻いた。
ゼロは蹴られない内にその足を押さえて、そーっと腿に手を伸ばした。
ぺたりと手を置くと、それだけで大袈裟に足が跳ねあがった。
次に内股へと、ぎこちない動きで指を滑らせる。
二人分の重みにベッドが軋む音、布が擦れる音、サイドテーブルの秒針が進む無機質な音、
そこに混じる己の徐々に浅くなっていく呼吸音、そして触れられる度にこつこつ響く小さな音。
彼にとって最後のそれが一番のネックで、当然だがガンダム同士でなければ触れ合ったところでこんな音はしない。
普段はがしゃんがちゃん喧しい音を立てて喧嘩している分、微かだがはっきりと耳に入り込んでくるこの音は、
今自分達が行っていることが日常からかけ離れていることをまざまざと突きつけられているように感じたのだ。
かつん、こつん、ことんと穏やかな音色で聴覚が溢れ返り、この時点で既にひーひー言っている爆熱丸はついに切れた。ぶちっと。
「やっぱなんか喋ってええええええ!!!」
「わぁああああ!!」
突然の声に、その音量も相まってゼロは弾かれるように手を退かした。
「おだ、おどっ、驚かせるな!!」
「でも! だって! そんなこと言ったってぇええ!! 音が、音、おと、おと!!!」
「ああ解った解ったから落ち着け!」
ぶわわと涙を眼球いっぱいに膨らませ零れ落ちそうになっている爆熱丸の手をゼロは引っ掴む。
あやすように何回か強く握ったり緩めたりを繰り返してやると、へなへなと力が抜けていった。
「何を喋ったらいいんだ」
努めて優しく問いかける。握っていない方の手は抜かりなく探索を続けているが。
その止まらない手に冷や汗をかきながら、爆熱丸は上手く回らない頭を必死に動かす。
「えーっと……うーん……待て、今考え」
つくん。
「ぎっ……!!」
「あ、入っ」
「だから言うなと言ってるではないかぁあああああ―――ぁああっ!!?」
淵に触れ、尚且つ広げようとする様にぐるりとなぞられて、とんでもない異物感にぞっと血の気が引いていく。
「き、き、気持ち悪い! ゼロ気持ち悪い!!」
「それではまるで私が気持ち悪いみたいではないか!!」
「違う違う! ちが、ぁ、あぐ、は……っ!」
なんだかむきになりかけている(喧嘩尽くしだから良く解る)ゼロに、
爆熱丸は慌てて訂正しようとするが、侵入を深くしたそれに言葉を遮られる。
「んん…!」
膝を僅かに曲げ、背中をずり上げる。じた…とにじるように逃げる爆熱丸を、ゼロは握りっぱなしだった手を引っ張って留めた。
ただ掴んでいた手と手を、指一歩一本を絡めるようにして繋ぎ直す。
何か喋らないといけないんだっけ、とゼロは口を開いた。
「この繋ぎ方はな、片方だけがどれだけ逃げようと躍起になっても、
もう片方がそれを許さなければ決して外れず、双方が同時に力を抜かないと解けないのだ。
その特性から、私の国では古来よりこの繋ぎ方は『指ギロチン』と呼ばれていて」
「そそそそんな物騒な話はいい!!」
ここネオトピアではそれは『恋人繋ぎ』という名称が与えられているのだが……どちらもそれを知らないようだ。
ゼロ曰くの「指ギロチン」によって、眉間に深い皺を刻みながらも爆熱丸は大人しく、されるままの状態をなんとか保つ。
「ぐるじっ……うぐ…」
「少しの間我慢してくれないか」
「いや…これ無理だって! 我慢できるできないとかそんな問題じゃないって!!」
「じゃあやめよう」
「我慢する!」
空いた手で拳を握り、決意のポーズを取るように振り上げる。
その腕はぶるぶる震えていて、笑えばいいのかなんなのか、でもどっちにしろゼロにだってそんな余裕はなかった。
「うあっ――――!?」
ぐり、と指で中を抉ると、宙に突き出された爆熱丸の腕ががくんと大きく揺れた。
「あ、ひっ――ぜろ、ゼロ!!」
腕を降ろしてクッションを思いきり抱き締める。同時にゼロと繋いだ手に、一気に強く指を食い込ませた。
「ど…どうした? 痛いのか?」
「いや痛いのはずっと前からなんだが! そ、そうじゃなくて―――ぅあ、ぎゃあああ!?」
「大丈夫なのか?」
「た、たぶん! たぶんんんんん!?」
ぐるぐる目を回し、見るからに狼狽する爆熱丸にゼロまで引きずられそうになる。
彼は先程から自分の手をぎちぎちに握り締めている爆熱丸の手を見やり、
その視線は腕を辿って顔を隠すクッションに注がれた。
ゼロはかたかたと小刻みに震えている爆熱丸の手を、親指が動く分だけくるりと撫でる。
「……ひょっとして痛いだけというわけではない、のか?」
「え、あ、あ」
その通りなのだが、痛い辛いとは真逆の肯定的な台詞など正直に吐けるはずがない。
しかしこういう場合、ぴたりと動きを止めて言葉に詰まるというジェスチャーは、
「はいそうです」と言っているようなものだ。
顔を隠していてもその本心がありありと解る彼の様子に、ゼロはまた慎重に壁を擦った。
「……う、ぐっ……ぐ……」
眼球の裏から涙が迫り上がる。目尻に溜まる雫はついに形を崩し、頬を辿ってぼたぼたと落ちていった。
「泣いてるのか?」
「うるへー!!」
投げやりな声を聞いて、慎重に慎重に、ゼロは爆熱丸の体内から指を抜く。
それまでとんでもないところを制圧していたものが抜けていく感触にさえ
声を漏らしそうになるのを必死で抑えつけた。
ふぐぐと歯を食いしばって耐える爆熱丸をよそに、自由になった手を伸ばし、
ゼロは彼がしがみついているクッションを取り上げる。
「あっ、なに、なに」
「いや、だって……泣き顔を拝むのが目的だったわけだし…当初の」
「うわーん!? ここにきてそこ掘り返す!?」
ゼロは布団に膝をついてぐっと伸び上る。ひょいと覗き込むと、涙を膜にいっぱい貼った爆熱丸と目が合う。
見下ろされている爆熱丸はごしごしと腕で涙を拭った。二、三回瞬くと、ぼやけていたゼロがはっきりと映るようになる。
何秒かの間、爆熱丸はぼーっと見つめられるがまま見つめ返していたが、ようやくはっと覚醒した、そののち。
しゅぅうううう………
「なあ爆熱丸」
爆弾から伸びた導火線が焼かれていくような音がする。
しかしもちろんそれはイメージ上のもので、ゼロには実際には聞こえない。
聞こえないものだから、
「ここから先って……?」
この一言で導火線についた火が一気に加速したのだって、当然解るはずがないのだ。
どふん!!
頭から真っ白の湯気を立ち籠めさせ、爆熱丸はぐるぐるぐると目を回す。
回しながら、へろへろと全く覇気のない動作で腕を持ち上げ、哀願するようにゼロの腕に縋る。
「もっももも、もう十分だろう! な! 俺はこの何時間かで……」
ぐらぐらする頭で爆熱丸はサイドテーブルを探し、そこに置かれた時計を読む。ゼロもそちらに目をやった。
「はれっ……?」
しかし、針が指す時間は彼の体感時間とは大きく異なっていた。
「え、うそ」
「何時間も経っていない。せいぜい半時だ。………私もびっくりした」
「と、とにかく!」
ゼロの腕を掴み、押し上げるようにして一緒に起き上がる。
「俺はもう十年分の涙を流したぞ、気は済んだはずだ!
すごくみっともなかっただろ、すごーく情けなかっただろ!!
だ、だからその、今日は、きょうはここまで、ここまでで、きょうは……」
一息に小さくなった最後の言葉こそ爆熱丸の伝えたいことで、それ故にうるさいまでのボリュームが無くなってしまう。
が、それは却って解り易い、解り易過ぎるサインだ。
「あ、ああ! 実にみっともなかった、それはもう、見事なまでに情けなかったぞ!
だからそう、そうだ、ここまで、きょ、今日は、これで、きょうは、きょうは………」
同じく後半になるにつれて頭が垂れ下がり、どんどん勢いを失うゼロ。
顔を真っ赤にして、お互い、今度は床に貼られたタイルを数えるのに忙しくなった。
「じゃ、じゃあ私はもう部屋に帰るからな!」
「お、おう! そうだな、うん、明日も早いからな!」
ようやっと静寂を破って、ゼロはかくかくとぎこちなく手足を動かして扉まで歩く。
出て行き様、扉を閉め切る直前に最後の言葉を交わす。
「おや、おや、おやすみ!」
「うん、また、また明日!!」
電灯が消え、薄暗く姿を変えた基地内の廊下を、もうなんだか居た堪らなくなってゼロは早足で自室を目指す。
同時刻、とてもじっとなんてしていられない爆熱丸はまるで親の仇であるかのようにやたらめったらクッションを叩いていた。
一つの嵐が過ぎ去って、思うところは全く同じ、
((結局キスできなかった……!!))
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
火9、浄化ーで盾鑑
盾 久胴に名前変換してあります
四話前後って感じで。
資料不足で部屋のレイアウトとか一人称とかちょっと曖昧ですがご容赦を
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「盾さぁん」
甘えたような、間延びした声が僕を呼ぶ。
声の主、久胴は僕が座る場所から対面の位置で、机に突っ伏したまま眠そうな目を僕に向けていた。
「なぁに?」
僕も雰囲気に流され、ちょっと緩めに返事をした。
「ねぇ、もう寝ない? 三時だよ」
時計を振り返ると、久胴の言うとおり短い針が3を指していた。
昼の三時ではなく、午前の三時。寝る時間というよりは普通は確実に寝ている時間だ。
少し調べたいことがあるからと、久胴の部屋(と勝手に彼が名付けた鑑識倉庫)を使わせてほしいと言ったのは昨日の二〇時頃だった。
自分の部署ではなくこの部屋を選んだ理由は、ここには幅のある机があって資料を広げやすいからだ。
…といっても、今やその机も証拠品や被疑者のデータで埋もれてしまっている。
久胴の周りだけは彼のよくわからない所有物が集まってファンキーなことになっているが。
寝ない? と言われても…。確かに眠くはなってきたけど。それより久胴はもうだいぶ前から眠そうだけれど。
彼も最初は僕の資料整理を手伝っていたけれど、後半は飽きたのかサイコロやらビー玉やらを取り出して遊んでいただけだ。
「うん、もう寝れば?」
僕にただその言葉以上の意味はなかったんだけれど、久胴はむっと顔を顰めた。
「盾さんは? 一緒に寝ようよ」
「えぇぇ?」
僕は思わず吹き出してしまった。まさか一緒に寝るためにずっと待ってたわけじゃあるまい。
久胴は僕の反応そっちのけでぱっと飛び起き、ふらふらっと立ち上がる。
「アンタにはソファ貸してあげる。俺、寝袋あるから」
「いいよ、僕は。君の部屋だし」
まだ気になることがあるし、眠くなったらここで突っ伏して寝るから、と遠慮をすると、久胴はまるで遠足が雨のため中止になりましたと告げられた子供のような顔になった。
だが、眠気の方が上回ってるらしく、彼は倒れこむようにソファに寝転び、軽くタオルケットを羽織った。
「オヤスミ…」
「おやすみ」
本当に、一緒に並んで寝たかったのだろうか…。
彼の安らかな寝顔を見ながら、僕は子供の頃を思い出していた。
夜はいつだって僕の心を寂しくさせ、誰かの温もりが恋しくて堪らなかった。
久胴も、そうなのだろうか…?
僕なんかを頼りにしてくれているんだろうか、久胴は…。
うつ伏せに、無防備に眠る久胴。タオルケットが落ちかかっている。
しょうがないなぁと掛け直そうとしたら、背中の痛々しい傷跡に目が行ってしまった。
彼にどんな過去があるのか聞いたことはないが、その傷は彼にとって、人には見せたくない負い目であることは知ってる。
悪いと思いつつ、僕はその傷跡から目が離せなくなった。
「…盾さん」
「うひゃあっ!?」
いつから起きてたのか、久胴は自分の肩越しに僕を見つめていた。
「ねぇ…触って?」
「……」
「キズ、触って」
どうして、とは考えなかった。久胴がヘンになるのはよくあることだし。
しかし、僕が触っていいものなんだろうか? こんな、汚れた手で…。
頭ではそう考えていたのに、手は自然と彼の背中に添えられていた。
その傷跡を押さえつけなければ、彼が引き裂かれてしまいそうだったから…。
それの感触は生々しく僕の手に伝わってくる。
「手、あったかい」
「そうかな…?」
久胴が上体をくるりとこちらに向けた。僕は彼から手を離す。
「駄目、触ってて」
その眼で正面から顔を覗き込まれると、僕は弱い。
慌てて再び彼の背中に手を添える。その体制のせいで、僕と久胴の距離は30pも無くなっていた。
「…盾さん。俺もアンタのキズ、触っていい?」
「えぇ?」
思わず大げさに首をかしげた。寝ぼけてるのだろうか。
「僕にはないよ?」
「…あるでしょ…?」
久胴は僕に向かって手を伸ばした。僕の…胸元に。
僕の心臓は一瞬驚きで飛び上がった。
久胴は僕の「心のキズ」に触れようとしている? 僕と、痛みを分け合おうと、分かり合おうと…。
でも、僕と彼の「キズ」はきっと違う。
本当の僕を知ってしまったら、久胴はどう思うんだろう。この手を離してしまうのだろうか…。
「久胴、僕は…あれ?」
彼の手が、ぱたりと落ちた。久胴は寝てしまったらしい。きっと良い夢を見ているんだろう。
タオルケットを掛けてやると、僕もなんだか眠くなってきた。
…寝袋、借りようか。彼の隣で。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
336 :
風と木の名無しさん:2010/08/08(日) 21:01:37 ID:o4Jgnfh50
>>332 一気読みしました。ありがとうございます
>>332 鑑識が可愛い(´∀`)
でもちょっと泣けました
ぴク差ー、玩具話3で宇宙船氏×保安官
映画ネタバレですご注意願います。
ED後の話です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
明かりの消えた子供部屋は昼間よりも輪郭がぼやけて、前に過ごした部屋を思い出す。
記憶に鮮やかに残る部屋よりも、ピンクや赤の目立つ風景。
窓辺に座る宇っディは、ベッドで寝息を立てる少女を一瞥してから庭へと視線を落とした。ふう、と吐いた息は、目の前のガラスに当たって少しだけ白く曇る。
可愛らしい子供部屋の、楽しい楽しい一日目の夜。
自分で望んだことだ。
誰にも、強制されてやしない。
「宇っディ」
振り向かなくても誰か分かった。
低くて耳障りのいい声は、いつだって自分を落ち着かせてくれる。
凶悪な子供部屋で恐怖に怯えた夜も、帽子をなくした日の朝も、煮えたぎる炎を前にした死の瞬間も。
「どうして案ディと行かなかった?」
「みんなで一緒にいるためさ」
オモチャたちにとっては無限に伸びる道路を目線でなぞって、間髪入れずに宇っディが答える。
背を向けた相手が、言葉を続ける。
「後悔しているんだろう」
「していない」
「キミは嘘が下手だ、保安官」
顔を覗きこんでこないのは優しさだ、意地悪じゃない。そんなものこの正義の戦士が持ち合わせているわけがない。
だから余計に、綿の詰まった心が抉られる。手放した未来が、今更になって胸に襲ってくる。
「案ディと一緒に大学に行って、勉強机の上に飾られて、たまの夜には懐かしく抱き上げられる」
そうだ、それは手に入るはずだった夢だ。毎晩毎晩、湿った箱の中で眠りながら、狂おしいほど求めた結末だ。
ぎゅうと畳んだ膝に顔を埋めて、宇ッディは自分の視界を閉ざす。閉じた世界の中で、静かな声が繰り返す。
「それを君は望んでいたはずだ…どうして戻った?」
思わず、顔を上げて振り向いていた。
「しつこいぜ、場ズ!俺が決めたことだ、口出しされる筋合いはない」
向かい合った相手の表情は変わらない。相変わらず、憎たらしいほどだ。
「その通りだ」
軽く頷いて、トコトコと近づいてくる相手が横に腰掛ける。こうやって横に座るのは久しぶりのような気がしていた。
「今日は楽しかったな」
場ズがぽつりと呟く。
久々に案ディの手に包まれて、日が落ちるまで遊んだ。遊びまくった。震えるほどの喜びが全身を駆けて、みんな、彼のおもちゃとして生まれて良かったと心から思った。
宇ッディは場ズの言葉に深く頷いて、それから笑って銃の形にした手を場ズへと向けた。
「…『おいポテト頭、ここが年貢の納め時だぜ、銃を捨てろ。手ぇ上げな』」
突きつけられた指に、場ズがニヤリと唇の端を上げた。立ち上がって、大袈裟なアクションで両手を挙げる。
「『待て待て相棒、違うぞ俺だ。銀河を守る宇宙戦士、場ズ・ライト伊ヤーだ』」
「『なんだって!?場ァズ、生きていたのか!!ようし、一緒に悪を倒し、囚われのジぇシーを救出するんだ!』」
そこで、宇ッディの長い腕がぽとりと横へ落ちた。勝気な瞳が沈んで、眉根が下がる。
「一緒じゃないと意味がない」
「宇ッディ」
「俺たちはみんな、仲間だ。どんな遊びも、冒険も、仲間と一緒じゃなくちゃ、俺は楽しくないんだよ、場ズ」
ぼんやりとした星の光の下で、二つの人形が顔を合わせる。やがて静かにゆっくりと、場ズが口を開いた。
「それは同感だ」
座ったまま、肩を軽く叩かれた。そうされると、安心する。いつものことだ。
「邪魔してすまなかったな、宇ッディ。私はもう、休むことにするよ」
「場ズ」
立ち上がりかけた場ズの腕を、不意に宇ッディが掴む。覗き込んだ場ズの眼の中に、揺れる自分の情けない表情が映っていた。
「場ズ、俺はもし案ディが君も一緒に連れて行くと言っていたら―――」
開いた唇が、何か重なるものによって封じられる。
固く冷たい感触の奥に、滲むような温もりを感じた。
「カウボーイ、それ以上は言わないでくれ」
触れたものはすぐに離れて、おやすみ、と耳に囁かれる声を聞いて、彼は窓辺から音もなく飛び降りた。まるで勇敢な宇宙戦士のように。
ベッドに戻るその背中を見て宇ッディは、彼もまた同じ望みを抱いて、その望みに深く傷ついていたことを知った。
(ごめん)
場ズへの言葉と共に、気持ちがあふれ出しそうになって膝を抱えた。
案ディ。案ディ。案ディ。
いつまでも、案ディのおもちゃとして存在していたかった。
いつまでも、君の温もりを感じていたかった。
いつまでも、大人になってほしくなかった。
いつまでも、みんな。
おもちゃのエゴは、どこにも行けない。
君はいつか、もう一度俺を抱き上げてくれるだろうか。
オモチャにとっても、子供にとっても待ちわびる朝がもうすぐやって来る。
窓辺に差す明るさが古びたカウボーイ人形の目を焼いて、窓辺にひとつ落ちた雫は、
存在するはずがないものとしてすぐに乾いて消えた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>338 玩具キタ━━━━ヽ(・∀・` )ノ━━━━!!!!
カウボーイ可愛い。宇宙戦士カッコいい
夜中に起きてて本当に良かったけど、興奮して寝れんw
ありがとうございました
>>338 玩具っやああ!!禿げました本当ありがとうございました
切ねえし宇宙がオトナでかっこいいし
あのCGの映像、そして辛沢&戸子呂の声でバッチリ再生されたよ!
>>338 萌えた!
あの切ないハッピーエンドの余韻がさらに深みを増した…ありがとう!
最近声優やったり海賊の格好したり、アニメやゲームの仕事が多いあのコンビの話。ヒラヤナです。
まだ東京に出たての頃は同じマンションに住んでたらしい。
需要とか気にしない!
誰得かって? 俺得さ!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
何の前触れもなく、後ろから、そっと腕を胴に回される。
「好きやで、てっちゃん」
耳元でそう囁かれる。背中に体温を感じる。耳に触れる柔らかい髪。
―― そんなことは、昔は何度もあった。
寂しがりな俺達はお互いの存在を求めていたし、認められたいと思っていた。
…「相方」としてかは疑問だが。
相方は俺によく抱きついた。ステージ上のボケとして以外でも。
他に人が居ない状況……例えば俺の家とか、そういった場所で、至って真面目に相方は言うのだ。
「俺、お前のこと好きやで」
そしてたまに「お前は?」と、不安気な表情で聞くのだ。
相方がどういう意図でそのセリフを発したのかはわからない。相方には彼女も居たし、バイセクシャルであるという話も聞いたことが無かった。
俺が相方の問いに「別に好きちゃう」などと返すと相方は拗ねて膨れたりした。
しかし「俺も好き」と返せば、にこぉ〜っと満面の笑みを見せるのだ。不揃いな歯並びのせいか、笑うと相方はまるで子供ようにあどけない顔になる。悔しいが、正直可愛い。
その笑みで心の枷が取れてしまう。
相方は俺を後ろから抱きしめるのが好きだった。正面からだと俺が恥ずかしくて払いのけてしまうという事情があったからかもしれない。
いつも相方は後ろから抱きついて、まるで甘える猫のように俺に頬擦りした。
柔らかい髪がくすぐったいので俺が軽く笑った時には、不思議そうに相方は「どないした?」と訊いた。
たまに気が向いた時に、俺は振り向いて、相方を抱きしめた。
お互いの背に手を回し、まるでそのまま一つに融合することを望むように、俺たちは抱き合った。
抱き合う間、部屋には吐息と服の擦れる音しか響かない。背中や髪を愛撫し、目も口も閉じてお互いの存在を確かめあっていた。
何回か、気分が乗った時は、目を合わせどちらからともなくキスをした。ただのノリだ。きっと。
柔らかい唇を重ねあって、時に舌をゆっくり絡めて、甘い時間を味わった。
不思議だった。
相手は男だし相方だし、普通なら絶対受け入れられない。今の俺だってそうだ。
でもあの時期の相方は、儚くて妖しいオーラを纏っていた。
身体に触れられ、目を見て、声を聞けば、いつの間にか俺は受け入れていた。
相方に求められることが幸せだった。自分の存在する価値はあったのだと認められた。
あれから何年も経った。
曖昧だった境目ははっきりとし、距離は離れた。
相方は現在儚くも妖しくもない、ただのおっさんである。
今の俺は相方に何の魅力も感じない。はずだ。
しかし…久し振りに、後ろから抱きしめられた。二人きりの楽屋の中だった。
耳に当たる髪も、耳元で囁かれる声も昔より変わったけど。
「お前のこと好きやで。お前は?…もう、飽きた?」
言うことは変わらなかった。
「…好きよ?」
俺はそっと、相方の腕に手を這わせた。
「飽きてへん。ずっと、好きよ」
相方があの笑みを浮かべたらしい、唾液の水音が微かに聞こえた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
関西弁は出来ないわ、関係性は曖昧やら、色々残念すぎる…orz
でも好きなんだ!若い時もおっさんの時も!健やかなる時も病める時も!いつかリアル世界で同志に会えることを夢見て!
>>345 最近気になってきたところだったんだ!まさかと思ったが…キター!
GJ!
>>345 なんという俺得
ずーっと友達な二人が昔から大好きなんだ…ありがとう!
連投気味スマソ。
ぴク差ー、玩具話で宇宙船氏×保安官ですエロ注意です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
何かがおかしい。
玩具箱の中で眠っていた場ズは、部屋の違和感に気付いてぱちりと目を開けた。
他のオモチャ達が寝静まっているのを確認しながら、物音を立てないように慎重に箱から身を滑らす。
「……、…」
また、だ。普通にしていれば気付かないほどの息遣いがまた、ベッドの方から聞こえてくる。
そこの本来の持ち主である案ディは、今夜は友達の家に泊まっているはずだ。
その友達が新しいボードゲームを買ったとかいうことで、この部屋のオモチャたちは誰一人連れて行ってもらえなかった。
それにかわいそうなくらい気落ちしていたのはやはり宇ッディで、場ズが慰めようと近寄っても顔を背けて早々に寝てしまった。
すぐに拗ねるところは彼の困ったところだとは思うが、可愛いところでもあると場ズは思う。
「よっ…と」ベッドの柱に可動式の手をかけ、よじのぼる。案ディのいない間の留守は、自分達に任せられている。
何か異常があるなら対処しなければいけない。身体を伏せてから慎重に、ベッドのシーツの上を這って進む。
すると場ズは、端の方でシーツに埋もれかけながら何やらもぞもぞと動いている「もの」に気付いた。
「…っは、…」
「…あー…宇ッディ?」
名前を呼ぶと、漏れた声を恥じるようにその相手がぱっと掌で口を覆った。
宇ッディも相当驚いた様子だったが、驚いたのは場ズも同じだ。
「宇ッディ、何をやってるんだ?」
「ば。ばばばば場ズ……いやっ、その…っ…」
弁解しようとする宇ッディの口から、また苦しそうな息が漏れる。よく見ると、宇ッディの様子はいつもとは明らかに違っていた。
薄桃色に塗装されているはずの頬は赤に近い勢いで染まり、よく喋る口は不自然に開かれて端から雫が零れている。
荒く上下を繰り返すベストを着た胸の辺りに視線を遣って、場ズはざわりと腹部の辺りが騒ぐのを感じた。
「宇ッディ、どこか身体の調子が悪いのか!?」
駆け寄って、友の身体を支える。この様子は尋常じゃない。
前に案ディが風邪を引いて全員で看病(といっても傍で見守ったり、寝ている案ディの濡れタオルを交換する程度だが)
した時の状態にも似ている。
「ち、違うんだ…バァズ……っ」
ハァハァと息を吐きながら、宇ッディがぎゅうと場ズの腕を掴んでくる。
切羽詰った声で覗き込んでくる目は気のせいかやけに潤んでいて、場ズはまた、ぞわっと指先が痺れるような感覚に襲われた。
その感覚を逃そうと大きく首を振ってから、早口に場ズが問い掛ける。
「言ってくれ、カウボーイ。私が寝ている間に何かの敵が侵入して君をこんな風にしたのか?
それともオモチャには、私のまだ知らない異常状態ががあるのか?」
どちらでもない、と力なく宇ッディが首を横にする。
「俺は…おかしいんだ…場ズ。案ディのオモチャとして、まるで失格だ」
いつもの彼らしくない、弱気な言動に場ズが眉を曲げる。
「何がおかしいんだ。君はどこもおかしくない、案ディの立派なお気に入りのオモチャだ」
「違う、そうじゃない。……っぁ……」
また切なげに肩を震わせて、ウエスタンブーツの爪先が軽くシーツを蹴る。何かに耐えているような感じだ。
「俺、案ディが、いなくてさびしくてさ…」
「それはもちろん私もだ、保安官」
それがどうした、というように首を傾げる場ズに、宇ッディが言い辛そうに言葉を切る。
「ベッドの上で…案ディの…そのう、匂いを感じてたんだ…。そしたら…段々、身体が変になってきた」
「変に?どう変になったんだ」
「わからないけど、なんだかおかしいんだ!全身がヘンに痺れてきて…なんか、気持ちよくって…ここが」
宇ッディの手が上がって、移動するそれを眼で追っていると、なんとそれは彼のジーンズの股の間へと下りた。
自らの手でそこを撫で上げると、「はぁ…っ」と切なげな声を出して宇ッディの身体がびくんと震える。
まるで見せつけられるようなその行為に、場ズの頭の中を細かい電流が激しく駆け巡った。視界が奇妙に揺れる。
それから、ほとんど無意識に手が伸びていた。同じ部分に重ねられた固い掌に、宇ッディは仰天して場ズを見る。
「場ズ?」
「宇ッディ、困った。君を見ていたら、私まで変になってしまったようだ」
「あ…ちょ、っと、そこはだめだ、だめだって、場ズ!」
「しかし、このままでは君はいつまでも苦しいだけのように見える。どうにかして、元に戻さなければ」
「ぁ、でも…や、やっぱりダメだ!そこをそんな風に、しちゃあ…場ズ!」
今まで宇ッディがおそるおそる触れていただけのそこに、場ズの容赦のない指先が加わる。
さっきとは変わって敏感な下半身を守るように覆う宇ッディの手を邪魔だといわんばかりにはねのけて、ジーンズの皺の辺りを少し強めに揉みこんでいく。
「はっ…ぁ、あ……場ズぅ」
快感に極端に弱いらしい身体は心の抵抗など簡単に押しのけて、宇ッディの脱力した背中ががくんと場ズの胸に預けられる。
いつも元気で明るい彼の、淫猥としか思えない声としどけない表情に、場ズは己の下半身がますます熱くなるのを感じた。
「宇ッディ……う、んっ」
肩を引き寄せられて、首だけ振り返った宇ッディが唇をねだるように重ねてくる。
オモチャがどこにこんな激しさを隠していたのかというくらい、舌ごともっていかれそうな情熱的なキスだ。
キスの合間にぷはっ、と息を漏らす宇ッディが、唇を触れ合わせたまま熱っぽく囁く。
「あ、ぁぁっ、らめだ、場ズ…こうしてると、じんじんしてくるっ…」
「ふ、っ……宇ッディ…私もだっ…」
案ディのベッドの上で、熱くなる二人の身体が絡む。
他のオモチャが起きたら大変なことだと分かってはいるのに、お互い、衝動を止めることができそうにない。
プラスチックと綿でできた身体はまるで湿り気を帯びたような錯覚に陥るほど高められて、
宇ッディの掌もいつのまにか場ズの下半身に伸びていた。
「ぁ、おかしい…変なのが、来るっ……来ちゃうんだ、場ズっ」
泣き声に近い宇ッディの囁きが、場ズの耳元にダイレクトに流し込まれる。場ズも、自分の限界が近いように感じられた。
いままで到達したことのないような精神的境地が、目の前に迫るのを感じている。
宇ッディの細い指がいたずらに触れている場所が、燃えるように熱い。
「んっ、ぁ、ぁあーっ場ズっ」
びくんッ、と宇ッディの身体が弓なりに仰け反って、その唇を逃さず追いかけて塞ぐと、くぐもった声が互いの口内ではじけた。
一歩遅れて場ズも、駆け上がってくる衝動に身を任せて、快感の濁流のようなものが解放されるのを味わった。
じわりと身体に広がって行く心地良い疲労感と倦怠感に、しばらく二人は身を寄せ合って呼吸を繰り返す。
「身体は…元に戻ったか?宇ッディ」
「あ、ああ…なんとか…」
お互いに、自分たちの行為を表す言葉は知らないのに、何か大層なことをしてしまったのではないかという怯えと気恥ずかしさが
こみ上げてくる。眼を合わせられなくなって、思わず俯いてしまう。
「あー…コホン、」
わざとらしく咳払いをひとつして場ズが、いつの間にか取れてしまっていたカウボーイハットをベッドから拾い上げて
宇ッディの頭に被せる。ちらりと見えた宇ッディの顔は、真っ赤になっていた。
「あの、場ズ。今夜のことは、みんなには…」
「分かっている。今回のことは…あー…あー…、ち、治療行為といって差し支えないだろう」
不自然にどもりながら、自分も染まった顔を見られたくないと宇ッディの頭を撫でるようにして場ズは視線を避けた。
「それじゃ、私は元の場所に戻る。君もそうした方がいい…」
口早にそう言って背中を向けると、ロボットのようにカクカクした動きで場ズがベッドを後にしようとする。
すると宇ッディは、唇と眉をへの字に曲げるとピンクに染まった頬のまま、場ズの肩を掴んだ。
「!」
「おやすみ、場ズ。いい夢を」
ぶつけるような口付けを最後に、宇ッディは逃げるようにたったかと走っていくと、さっさとシーツに包まってしまった。
「………」
残された場ズは、思わず両腕で頭を抱えてその場にがくりと崩れ落ちた。
そして一言、天を仰ぐようにして、ジーザス、と呟いた。
そして半刻後、案ディのベッド下での会話―――――
「ありゃヤッちまったな」
「えっ、なになに!?なにがやっちゃったの!?どういうこと!?」
「うるせえぞレック巣、お前が暴れると俺のパーツがばらばらになる」
「しかしお互い惚れ合ってるなんざ誰が見ても分かるのに、あんなじれったい関係を続けるつもりかね」
「まったくだよ。鬱陶しいったらありゃしない」
「えっやだやだ何が掘られてるの!?ショベルカーいる!?道路工事だ、キャー!」
「「「うるせえぞ、レック巣!!」」
そのじれったい二人の関係が進展するのは、もう少し後のこと。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
長すぎて蛇足のオマケが収まらなかったすいません。
>>353 あなたが神か
エロスの恩人感謝エイエンに
>>315 やや亀だが乙
なつかしいネタをありがとう!
後日談が激しく気になる
>>315 やや亀だが乙
なつかしいネタをありがとう!
後日談が激しく気になる
>>315 やや亀だが乙
なつかしいネタをありがとう!
後日談が激しく気になる
ミ ス っ て る orz
ちょっと首吊ってくるわ
>>353 玩具に萌え滾っているところになんというご馳走
ありがとうございました!感謝永遠に
>>345 遅レスだけどまさかこのカプが見られるとは夢にも思わなんだ
むちゃくちゃ萌えた!ありがとう!
>>353 治療行為エロス ベッド下ワロス
ありがとう
>>353 楽園はここにあった。
禿萌えますた。
感謝永遠に。
>>353 カミサマーカミサマー
映画見に行って良かった…
浄化ーで盾鑑
一部、九道←竹元要素ありです
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
突然、ズボンの右ポケットが震えた。
手元の書類から顔を上げ、携帯を取り出そうとすると、どうやらワンコールで切れたようだった。
こんな電話のかけ方をする奴は一人しかいない。
一応ディスプレイを確認すると、予想通りの名前が表示されている。
「しょうがないなあ…」
書類をデスクに放り投げて、椅子を引いた。
ぎご、と不快な音を立てて動いた椅子を適当に戻して、周りの呆れたような目を振り切って飛び出した。
* * *
ドアノブに軽く力をかけると簡単に回った。
確かにここはあいつの部屋ではないが、いささか無用心な気もする。
ましてここは人気もなく、部屋の中には普段ただ一人しかいないのだから。
誰かに押しかけられでもしたら。
そこまで考えて、馬鹿な思考を振り払うようにドアを押した。
「遅いよ、盾さん」
ドアを開けてすぐ、というか目の前に九道がいた。
おそらく電話をかけてからずっとこうして待っていたのだろう。
彼の机に置かれているコーヒーが並々に注がれたマグカップは、すでに熱を失っているようだ。
九道はドアノブから俺の手を引きはがすと、何のために置かれているのかよくわからないソファに俺を座らせた。
「何の用だい?」
「そんなの盾さんに会いたかっただけに決まってるじゃん」
俺の手を掴んだままの九道は膝の上へと乗り上げてくる。
これが何を意味しているかなど考えるまでもない。
今まで幾度となくこうして誘いを受けてきたのだ。
大の男二人分の重さを受け止めて沈むソファの感覚にも随分慣れたものだと思う。
「九道」
「俺が呼ばなきゃ来てくんないんだから…こんなんじゃ、俺浮気しちゃうよ?」
彼が着ているアロハシャツのボタンを自ら外しながら発した言葉に、不覚にも戸惑った。
今日は中にタンクトップを身につけていないようで、ボタンが外れていく程に九道の健康的な肌があらわになっていく。
その肌にはつい先日、自分がつけた赤い痕がまだ薄く残っていた。
「盾さんだけ余裕で、ずりぃよ」
「くど…」
彼の臍の横につけた痕まで晒されると、途端に唇が湿る感覚に襲われた。
まるで自分がいちごみるくをストローで啜るときのように、九道の唇が自分の下唇に吸い付いてくる。
無意識のうちに舌を伸ばして九道の口端を舐めると、彼の目がぱっと見開かれた。
でもその唇を離すことはなく、むしろ自分の舌に絡み付くように舌を差し出してきた。
こういう積極的なところも、彼を気に入っている要因の一つかもしれない。
「んっん…ふぁ、だてさ…ぁ、んぅ…」
舌先に歯を立てると、負けじと彼の手も不穏に動く。
カチャカチャと俺の腰辺りで何かを外そうと動いている指先は、故意なのかたまたまなのか、時折その奥にあるものを掠めていく。
「随分、気が早いね」
「ん…早く盾さんが欲しいの」
そんな可愛いことを言ってベルトを抜き取る彼の首筋に手を這わせて、肩から赤い派手なシャツを落とそうとした。
「九道、この書類だけど……っ!」
すんでのところで彼の左肩だけは死守したが、右肩は空気を読まず邪魔をしにきた若造の目に晒されてしまった。
口を開いたまま何も言えないでいる竹元とかいう鑑識に、九道に向けるものとは違う笑みを見せた。
しかし、竹元は叫ぶことも出て行くこともせず、敵意を剥き出しにした攻撃的な目を九道の右肩越しに寄越してくる。
無言で睨み合う自分達を他所に、九道は俺の頬へ唇を押し付けると、くるりと首を回した。
「そこ置いといて。後で見るから。つーか、伊達さん見んな」
最後の言葉にはつい吹き出しそうになった。
ここまでくると竹元も哀れというかなんというか。
変な形で九道に誤解された竹元は、何かを言いたそうに顔を歪めて出て行った。
それが大人の正しい判断。
人のものをあわよくば横取りしようなんて、神隠しにあうかもしれないっていうのに。
「ねえ、続き」
「はいはい」
今度こそシャツを除けると、この細い体のどこにも引っ掛かることなく、ただ彼の肘にぶら下がるだけになった。
九道は腕に引っ掛かるアロハシャツには目もくれず、俺の背広に手をかけてきた。
それを手伝うように腕を抜くと、ぺとりと頬に冷たい手の平がくっついてくる。
「なに?どうしたの?」
「…盾さんも、俺以外見ないでよ。なんであいつと見つめあってんのさ」
どうやら竹元と睨み合っていたことが気に食わないらしい。
ついさっきまで自分を誘っていた怪しい顔も、今はその眉間に皺が刻まれている。
頬に触れたままの手を握ると、彼の手にもきゅっと力がこもった。
「ああ…ごめん、ごめん」
「今は…少なくとも今は、俺だけ見てればいいじゃん」
九道の手が伸びてきて、首に回される。
耳に当たる彼の柔らかな髪がくすぐったくて反射的に体をずらそうとしたら、より一層強く抱きつかれた。
どうやら1ミリでも離れることを許してくれないようだった。
声には出さないように笑って、幼い子どもをあやすように華奢な背中を撫でた。
他の場所とは違う感触の皮膚に指先が当たると、どうしてもお互いに肩を揺らしてしまう。
ゆっくりと首を横に振る九道の耳に唇を寄せながら、その傷跡に触れないように手を滑らせた。
「盾さ…」
「ん?」
「嫌いに、ならないで…」
うざいけど重いけど、と続けられた彼の言葉に、俺は頷いた。
「面倒くさいしね」
「……でも」
「うん。でも俺は、そんな君だから一緒にいるんだと思うけどね」
ぱっと体を離した彼の表情は、先程までの暗いものではなかった。
盾さんもう一度、と少し赤くなった頬に書いてある。
「んー?」
「………盾さんの馬鹿」
片手だけで上手にワイシャツのボタンも外し終えた九道は、不機嫌そうな顔で目を逸らす。
こうしてすぐ不安がるところも、ちょっとしたことで機嫌を損ねるところも、決して嫌いではないけれど。
「…できるだけ、泣かせたくないんだよなあ…」
「え?なに?」
「ううん、なんでもない。…ただ」
途中で切れた俺の言葉に、いつもと変わらぬ顔で首を傾げる九道。
ぐっと腕を引いて九道の細い体をソファへ組み敷くと、彼の表情が豹変した。
絡みつくような甘い視線が、俺を捕らえる。
俺がぽつりと落とすように呟いた言葉に、早くも九道の左目から涙が流れた気がした。
「案外俺は、君しか見えてないみたいだ」
これから赤くなっていく彼の目には、とりあえず胸の中で謝った。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>368 鑑識誘い受GJ!
…竹元、気の毒になw
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 盤再始動オメ。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| しかしやまなしいみなしおちなし。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
彼等のバンドは男女二人ずつの四人組バンドであるからして、ライブで遠征があった時は必ず男二人、女二人に一部屋ずつ与えられる。
そして他のバンドにも多いように、彼等もライブが終わるごとに打ち上げを行う。
地方で食べる地方の食べ物と、全ての地で飲むライブ後のビールは美味いのだ。(女性の一人は飲酒しないが)
その日もたっぷり汗を掻き、気持ち良く打ち上げ、がっつり食べて飲んで、すっかり酔っ払ったメンバーとスタッフがホテルに戻ったのは日を跨いで少しした頃だった。
翌日は移動日だが、時間に余裕があるためチェックアウトぎりぎりまでホテルにいることができるとあって、男二人はシャワーを翌朝にすることに決め、寝てしまうことにした。
男の内一人は後から入ってきたメンバーで、バンド内でも末っ子のように扱われている。
しかし彼の性質が元来引っ込み思案であるのか、すっかり打ち解けた今でさえどうにも遠慮がちである。
酔っ払ってしまうとそれも少し薄れるようであるのだが、それでも普段の振る舞いを忘れるような男ではなかった。
しかし、今夜はどうもおかしい。
先輩に当たるもう一人の男は重い体を引き摺り、どうにかベッドに座った。
体が重いのは、可愛い可愛い後輩がべったり引っ付いて放れないからである。
何がいけなかったろう、ビールと日本酒と焼酎とワインと酎ハイとカクテルとウイスキーとその他諸々をちゃんぽんさせてしまったのが良くなっただろうか。
後輩の胃の中の惨事を思いながら無茶をさせた先輩は眼鏡を外してサイドボードに置いた。
薦めたのも良くなかったし、他の奴等が薦めたのを止めなかったのも良くなかった。
お陰で自分に皺寄せが来ている。
何だか耳元がくすぐったい。
「ん!?」
先輩が思わず振り返ると、後輩の額と自分の額が少しぶつかった。
「痛てっ」
「ちっ、近いよ!何してた!」
尋ねると後輩はにやーっと笑った。
気味が悪いが、元の顔が良い方なので覗く八重歯が何とも愛らしく思える。
「ぁんだよ!」
「ハ.ヤ.シ.さんの匂いを嗅いでましたぁ」
へろへろ笑いながら悪びれもせずに言う後輩に、先輩―ハ.ヤ.シは引き攣った笑いを返すしかできなかった。
「ヤ、ヤ.ノ君」
「はい!」
「寝ようか」
「はい!」
「じゃあ離れようか」
「いいえ!」
後輩―ヤ.ノの酔い方が今だかつてないほど重症であることに後悔を禁じ得ないハ.ヤ.シは寝てしまえば終わりだと全てを諦めることにした。
自分を抱き枕だと思い込むことにしたハ.ヤ.シの耳元へ高い鼻を擦り付けるように、ヤ.ノはふんふんとその辺りの匂いを嗅いでいる。
何が良いのだか、自慢ではないが発汗量が尋常ではないことを自覚しているハ.ヤ.シは今自分が余り良い匂いではないことを分かっていた。
ある程度のデオドラントはしたが、もうおっさんといわれる年齢である。
付き合いはそこそこ長くて濃いつもりだが、未だにヤ.ノのことが分からない時があるのが、ハ.ヤ.シの小さな悩みであった。
しかし今は考えたって仕方がないのでさっさと眠りたいハ.ヤ.シであったが、耳元のくすぐったさと抱き締められている体の違和感はどうにも慣れない。
もぞもぞと身動ぎしても体が放れる様子はなく、むしろ尻に何か当たる。
(おいおい、勘弁しろよ…)
これではいつまで経っても眠れそうにないと思ったハ.ヤ.シは変えられない体勢のままヤ.ノに話し掛けた。
「なあ、ヤ.ノ…」
「はい」
「暑くて寝れない、放れて」
「クーラーかけてるから涼しいやないですか」
耳元で喋られると、息が掛かって鳥肌が立つ。
若干唇が付いている感じがするのは気のせいだろうか。
「…尻に何か当たるんだけど、きもいから放れろ」
「何やと思います?」
「…」
ハ.ヤ.シが答えないでいるとヤ.ノは腰をより密着させるように擦り付けた。
普通の状態が大きいだけだと思いたかったが、どうやら違うらしい。
ハ.ヤ.シは頭痛を覚えた。
酔って頭が痛いのならどれだけ良いだろうと思った。
「ねえ、ハ.ヤ.シさん…」
ヤ.ノはハ.ヤ.シの耳に呼び掛けると、うなじに唇を移してちゅうと吸い付いた。
「ひぇっ!?」
これにはさすがにハ.ヤ.シも声を上げざるを得なかった。
全身が粟立ったが、唇は放れずそのままぬるぬると滑った熱い物が肌を濡らしているのを感じた。
「ちょ、あ…!?」
ただ抱き締めているだけだった両腕も動き始めた。
掌がハ.ヤ.シの体をTシャツの上からざらざらと撫で回す。
腹回りに少し付いた肉を弱く押し込むようにその感触を楽しんでいるようだ。
ハ.ヤ.シが余りのことに驚愕し、抵抗できないでいるととうとう片方の手がTシャツの下へ滑り込んできた。
直接肌に触れた掌が余りに熱いような気がして、ハ.ヤ.シはなぜか心臓の動きが速くなるのを感じた。
「や、ちょ…やだっ…。何っ…」
うなじにあった唇は答えず、首筋に移動して痕を残そうとしているようだ。
きつく吸われて毛細血管が破れる感じがした。
「んっ…」
ハ.ヤ.シが思わず声を漏らすとヤ.ノの動きがぴたりと止まった。
いつの間にか荒くなっていた自身の呼吸に気付き、整えようとハ.ヤ.シが深呼吸すると、それが終わらぬ内にヤ.ノはこれまでにないくらいきつくハ.ヤ.シを抱き締めた。
「ハ.ヤ.シさんっ、可愛いです!ハ.ヤ.シさん!!!」
「ちょっ、何…」
「大好きですっ、大好きなんです!ずっと!!!ずっと好きなんです!!!五年前からずっと…」
「はぁっ!?」
ヤ.ノは体勢を一気に変え、上から押さえ込むような形でハ.ヤ.シをじっと見つめた。
睫毛の長い、二重の大きな目に見据えられ、ハ.ヤ.シは急に顔がかっと熱くなったのを感じた。
どうしようもなくて口を開けずにいると、段々ヤ.ノの目が潤んできた。
自分が泣かせたみたいで嫌だなぁ、と思っているハ.ヤ.シの頬に、とうとう涙が落ちた。
思わず目を瞑ると、その瞬間再び抱きしめられた。
しかし今度は力がなく、壊れ物に恐る恐る触れているといった感じだった。
自分はそんな良いものではないと思いながらハ.ヤ.シはヤ.ノの頭を撫でてやった。
丸っこい頭に短い髪がつるつるとして何だかとても気持ちが良い。
子供をあやすように背中に手を回し、ゆっくりとしたリズムでぽんぽんとしてやると、ヤ.ノは顔を上げてびしょ濡れの眼でハ.ヤ.シを見た。
「何でハ.ヤ.シさん、優しくするんですか…」
「何でって…」
「そんなことされたら俺…、…俺…」
「だって…、…何か…」
さる喰らったので自分で携帯から支援。
383 :
P6中断:2010/08/15(日) 02:52:13 ID:2wD3OgmsO
申し訳ございません、さる喰らって動けないので中断致します。
完全オリジナルの平凡男子高生攻×不良男前受
前半平凡受に見えるので注意
…何か自分が萌えることだけに頑張ってるのでスンゲーぶつ切りですが
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
…突然で申し訳ない、俺は至って平凡な男子高生だ。
頭も中の上、顔も並(ヘアスタイルで頑張って若干底上げしてるがな!)
特技っつったら…何だ?マインスイーパーくらい?
まぁそんな平凡な男なんだが最近その地位を揺るがす…こ、恋人が出来たんだ。
まず相手も男。まぁこれだけで十分平凡と離れてしまったんだが…
何がビックリってソイツがここらで有名な不良のトップ、なんだ。
今時不良て!とは、思う。でも見た目こそ今風だか喧嘩はしてるし
酒やタバコもやってるらしいし(つか見た、…校内で)。
「不良」としか言えない。
…で、だ。ぶっちゃけ格好いい。
これは断じてノロケではない。…だって付き合う前から思ってたもん。
190cm近い身長(これは最近うらやましいを通り越して面倒そうだなーと
思ってきたが…)にそれでもひょろ長いと感じさせない筋肉、
顔だって…うん、何か顔は誉めたくないから各々の想像にお任せする…。
…ガタイは割り切れるけど顔は悔しいんだよ!
まぁ、格好、いいんだ。
まぁ同じクラスでさ、ちょくちょくスゲーなーと見てはいたんだけど
そん時はまだ恋愛感情じゃあなかったんだ。
…ところが何故か向こうから告られた。
…可愛く言って誤魔化してみた。こっちとしては「強請られた」だった。
まぁ元々憧れだったしさ、アイツ優しーし慣れるとかわいいのよ。
まぁ今じゃ普通にラ…ラブラブなんだ。恥ずかしい語感だなラブラブ。
…で、こっからが本題なんだ。
長いって?うん、知ってた。…ああ、待って!行かないで!
…でさ、俺たち結構付き合って長いんだけど実は「まだ」なんだよ。
何がって?…ナニがだよ。
いやアイツとヤるって!覚悟いるだろ!
チンコデカいし!ノリでヤったら絶対俺どっか体壊すし!
こっちだってケツなんて使ったことないんだから覚悟と準備がさー…。
…サーセン、ちょっと見栄張りました。チンコちゃんもまだ純朴なままです。
まぁそこはどうでもいい!
とりあえずさ、最近覚悟決めて慣らし始めたんだよ。…やっぱヤりたくて。
でも何かうまく行かなくてさ、そんな指何本も入らないし。
前立腺?あれ別に気持ちよくならねーしさ…
やっぱ自分でじゃダメなのかもなーと思って腹括って当たって砕けろで
アイツんとこ行ってみたんだ、俺。
でまー「ヤりたいけど経験ないから不安」と正直に伝えつつそーゆー
空気になってさ、じゃあいざ今から準備しましょってなった時…
アイツはアホな事を言い出した。
「で、どっちがどっちに突っ込む?」
「え?…えぇ??」
「いやだってどっちか突っ込むんだろ?決めなきゃいけねーだろ」
アイツの部屋の、ベッドの上。俺達は正座で予定外の話し合いをしていた。
…アイツの正座姿似合わねーな。
「いやそれはそうだけど!
…当然俺が女役かと…」
「…何でだよ、同じ男で同じようなナニついてて『当然』
なわけねぇだろ」
いや俺のナニは確かに意外とそこそこだけどお前のは明らかに
規格外だけどな!
「いやでも…何かすっげぇ違和感」
「…なに、突っ込まれたかったのか?ならお前がネコで…」
「いやちがう!ちがうけどさ…つか何でそんな食い下がんの
お前こそ女役がよかったの…?」
そう言うと心外そうな空気(あくまで空気だ。だってコイツ表情大して
変わらねーんだもん)と。
…何故か、少し辛そうだった。
「ちげぇよ、ちげーけど…
…ここで俺が当たり前みたくタチやったらお前の意志無視して
無理矢理ヤったっぽいじゃねーか…」
「…別にそんなことないだろ」
「なるんだよ、こっちの気持ち的に」
…こいつ告白の時のことを気にしてるんだな。
別にもういいのに。当時の俺にとっては脅迫だったがアイツにとっては
ごく普通の告白タイムだったのに。
(ついでに今の俺目線なら「お前は乙女か!」と突っ込んでたな)
「…じゃ、じゃあ交代にするとか…?」
俺がそう提案するとアイツは2秒ほどボーっとした後
不「…ああ、普通にそうすりゃいーのか」
と呟いた。
「じゃあまず俺がネコな」
話が進んだ途端アイツはやけにウキウキと準備しだしてそう言った。
「その無駄な積極性はどこから湧いてくる」
「お前が待たせ過ぎなんだよ。
何かこっちまで色々考えちまって最近はネコ側がマイブームだったんだ
『ヤれるもんならヤってみやがれ』的なノリでよ」
「マイブームっていつどこで突っ込まれた未経験者」
「妄想すんのがってことだよ」
「お前その顔で妄想とか言わないでくれる」
…何かもう疲れた。ヤる前から。
とりあえず話まとまったし明日にしねぇ?とアイツに提案。
「…冗談だろ?ここまで待たせてお預けになんかするかよ」
ですよねー。…安心しろ、俺もだよ。
−−−−−−−−−−−−
「…あっ…がっ!…あっああっ…ッツっ…!」
「…ぅ…はっ…!」
ずちゅ、ぐち…と控えめな水音が部屋に響く。
さすがにどれだけ体格がよかろうと、鍛えていようと初めてのバックは
負担なのだろう、不良の顔に浮かんでいたのは快楽とは程遠い苦悶の表情だった。
「…ハァ…なぁ…」
元々緩い方だった注挿はいつしかさらに遅くなり、ついに平凡の
腰の動きは完全に止まった。
「…どうし…っ!?」
我慢に夢中で平凡が動かなくなったことに気づかなかった不良は、
しかし平凡の呼びかけでやっとそのことに気づき堅く閉じた目を開け、
…今にも泣き出しそうな平凡の顔に驚愕する。
「…ハ…おい、どうした?…何か、あったのか?」
「…なぁ…一旦止めよう…」
平凡は不良の言葉に内心少し驚きながらそう提案する。
「…何でだよ…」
「な、何でって…お前今どんな顔してたか自覚ねぇのかよ…!」
苦しそうな、痛そうな不良の顔。
そこに快楽の予兆などは欠片もなく、最初は自分の欲求をぶつけるのみだった
平凡も一度気づけば…もう、無視は出来なかった。
「…何かちょっとやーらかくなっちゃってんじゃん、お前のチンコ」
いつもより覇気のない顔で薄く笑う不良に何で笑ってるんだと、
何で笑えるのかと平凡は思った。
「…当たり前だろ…!」
「そーか?…なぁ、じゃ俺のチンコは?」
「…は?」
そう言われて不良の物を確認すると…なぜか、今の空気にはそぐわないほど
堅度を保っていた。
「…まぁ、確かにいてーし別に気持ちよくねーな…
正直コレでアンアン喘げるヤツの気が知れねーわ…。
…でもさ、別にそーゆー趣味なかったハズだけどさ…
何かバカみたく股開いて穴にチンコぶっ込まれて…それがお前が相手だと思うと
スンゲー興奮するわ」
不良の独白に平凡は頭がついて行かず、呆けた顔のまま不良を見つめ続けていた。
「何か…お前が俺相手にがっついてんの見るとさ…
…何だコレ?すっげ嬉しいな
普段じゃさ…やっぱお前ちょいちょい俺のこと怖がんじゃん?
でも今は…全然だな」
やっと並んだくさい。嬉しい、と不良は言う。
「やっぱ俺、こっちだな。ネコだ。お前相手ならネコがいいわ。
痛えーのも気持ちよくねーのもいつか何とかなんだろ、どーせ。
痛えし気持ちよかないけどさ、興奮するし嬉しーぞ、俺」
そういって笑う不良に、平凡はまた泣きそうになった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
エチーが最後まで行ってないけど気にしない。
闇金ウシジマくんで樺谷×丑嶋社長。珍しく押され気味の社長と、チャラくて怪しくて意外と押し
が強い色男でBLというより2人のゲイでエロあり。単行本9巻ラスト後をイメージして頂ければ
ありがたいです。無駄にエロが長くなったので分けて投下します。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ニューヨーク証券取引所、ロンドン証券取引所、上海証券取引所と並び称される日本の有価証券
売買等を行う最大手証券取引所、東京証券取引所は東京都中央区日本橋兜町2番地1号に存在する。
ここでは日々多くの株式が売買されるが、大きな利益を得るのはなかなか難しい。例え優良企業に
投資したとしても、思わぬ自体で株価が暴落なんて事も大いに起こりうる。
そんな思わなぬ自体が起こり、優良新興企業であった巨魂テクノロジーが倒産したから約3か月後
の夜、東京証券取引所がある場所から程近い公園の入口付近に、まだ新車同然のハマーH2に二人の
男が乗っていた。
運転席の男、丑嶋は鞄から分厚い封筒を取り出し、隣の助手席の男、樺谷に手渡す。
封筒を受け取った樺谷は見かけに違わずズシリとした重みに笑みを見せた。一応封筒の中身を見て
みると、中には金額よりも重さで計った方が速そうな一万円札の束が入っている。いや、束など
という生易しい量ではない。束、束、束、およそ900万円はあろうかと言う尋常ならざる金額だ。
本当は現金で渡すのは危険なのだが、銀行口座で通帳に900万円も一気に振り込まれれば銀行が
不信感を持ち、金の出所を詮索されるだろう。何より、通帳に並んだ数字よりも重みを持った現金
の重厚感がある。つい2か月近く前に樺谷、丑嶋、それにこの場にはいないが、樺谷と違い大手
証券会社に実際に務める木都根との3人でした仕事の徒労と引き換えの達成感と充実感をもたら
してくれる。
樺谷は中身が豊富すぎできっちり締まらない封筒の口を息で拭き、ご機嫌な様子だ。
丑嶋は樺谷に視線を合わさず、もう一つ別の封筒を差し出した。今度の封筒には必要経費などが
細かく書かれた紙が入っていた。
「収入印紙代や、取り揃えた書類代・・・。後は、ん?」
紙を見ていた樺谷は必要経費リストの中に身に覚えのない物を発見し、丑嶋の顔を窺う。
丑嶋は落ち着き払った様子で胸ポケットに入れていた温かい缶コーヒーを2本取り出し、1本を
樺谷に渡した。
「ほら、缶コーヒー代、だ」
リストの中にはきっちり缶コーヒー代が加算され、樺谷の取り分から引かれている筈だ。だが、
リストの缶コーヒー代は240円とある。手渡されたのは1本だけ。と、いうことは、丑嶋の分は
樺谷の奢りだ。
樺谷は丑嶋のがめつさを怒る気にもなれずに苦笑するしかなかった。
丑嶋は自分の手の中にある缶コーヒーを開けた。プルトップの開く音のすぐ後、缶コーヒー
らしい安っぽいくせに妙に強く香るコーヒーの匂いが車内に拡がる。缶自体はまだまだ素手で持つ
のには熱いくらいなのに、肝心の中身はぬるい程度だ。これでは暖はとれない。
自分が用意しておいて、少し時間が経ったせいでぬるくなってしまった缶コーヒーに機嫌を悪く
し、丑嶋は樺谷をチラリと見た。
樺谷は缶コーヒーには口を付けず、未開封の缶を自分の頬に当てている。そんなことをしても
温かくは無い筈だ。
「樺谷、何してんだ?」
「温かいね」
「いや、冷えてるだろ」
手に持った缶を転がし、それなりにお年を重ねた女性が美顔ローラーで顔を触るようにする樺谷に
冷たい声で言ってやるが、樺谷は丑嶋のクールすぎる突込みを意に解さずに缶を頬に擦り付ける。
「確かに冷えかけてるけど、丑嶋くんの豊満な胸板の上で温まっていたと思えば、ねぇ」
大変不愉快な樺谷の言い分に丑嶋は気持ちが悪くなり、いかにも優男な樺谷の薄い背中を押して
車から降ろそうとする。
「もう金は渡したし、帰れ」
丑嶋は一言だけ言って黙ってしまった。手はギアを握り締めている。樺谷はその手の上にやんわり
重ね合わせた。
「手を離して。もう少し遊ぼ」
丑嶋は不機嫌そうに口を尖らせ、ハンドルに添えた指でハンドルをトントン叩く。もう片方は
相変わらずギアを握ったままだ。
頑なにギアを離そうとしない丑嶋の手を樺谷の手がまた撫でた。今度は手の甲を撫でるのでは
なく、指の又に指を差し込んでやり愛撫するようにくすぐってやる。すると丑嶋の手の力は緩む
どころかさらに強くなった。嫌がって力が強まったのではない。丑嶋は案外敏感だし、触られる
ことに慣れていないので、こうして撫でてやるだけで反応するのだ。
手の甲に血管が浮き出るほど握り締め、丑嶋はひたすら耐える。樺谷はただ単純に手を撫でて
くるだけなのだから、こんなので反応していたらおかしく思われてしまう。こんなのは親が子供に
施してもおかしくないことだ。だが、丑嶋はくすぐったいような感じが気持ちよく、気持ちが
良い故に樺谷の手を乱暴に払ってしまった。
「止めろ」
ついにギアから離れた丑嶋の手は樺谷の手を払い、今度は自分の太ももの上に置かれた。樺谷は
意地が悪く、丑嶋の太ももに置かれた手を追って自分の手をまた合わせる。しかも、単に添える
ように置いて撫でるのではなく、恋人同士がするように指を絡ませ合って解けないようにした。
丑嶋は諦めて樺谷のしたいようにさせた。だが、決して自分からは指を絡めずにいる。
広い、といっても所詮車内。閉鎖された空間での短い二つの手の鬼ごっこは樺谷が勝つ形で
終了した。
すぐに丑嶋が貧乏ゆすりを始めた。目の前の車備え付けの時計を見て、まるで「時間がない
んだ」、とばかりに忙しなく動く。
今はもう深夜1時を過ぎている。いくら不測の事態が起こりうる闇金業者とはいえ、いくらなん
でももう業務は終了している筈だ。それに人と会う時間でもないだろう。丑嶋に用事なんてある
筈がない。恐らく忙しそうにしてこの場から逃げようとしているのだろうが、樺谷がそんな
子供だましに乗る訳はない。
けれど、乗りかかってやっても良いかも、と樺谷は思った。あくまで、「乗りかかる」だけで、
「乗る」訳ではないのだが。丑嶋の白々しい態度に乗りかかって、嘘の用事よりも自分といる
ことの利益を与えてやれば、丑嶋は逃げられない。樺谷が撒く餌に丑嶋が乗り気かどうかなんて
どうでもいいのだ。丑嶋が嘘を突き通そうというのを、樺谷が自分といるように利益を出せば、
こんな深夜に、しかも嘘の理由を突き通すのは余りに無茶な言い訳で、丑嶋の嘘の態度は破綻
せざるをえない。
樺谷は先ほど丑嶋から渡された現金入りの封筒を出し、中から適当に摘んで札を引き出した。
適当にやったので思ったよりも沢山出してしまった。厚みからいって、おそらく10万円。
抜き取った10万円を丑嶋の目の前に突き出す。丑嶋はギロリと眼光鋭く睨んできた。
「何だ?」
「丑嶋くんの1時間、これで買うよ」
「は?」
樺谷が金を差し出すと、丑嶋は癖なのか思わず受け取ってしまった。手馴れた手つきで扇形に
札を開き、目で確認しているが、すぐに顔を挙げて首を捻る。
「買うって・・・。馬鹿か」
「駄目かい?安すぎた?」
「いや、金額の問題じゃねェだろ」
安い、ということは無い。どこのアホが23歳、190センチオーバーの男に1時間10万円を払うと
いうのか。丑嶋は職業柄からこういう場合の値段の基準を知っているが、男の場合、大体は一時間
1万5000円に交通費と称して1000円、合計1万6000円が相場だ。10万円なんてよっぽどの事情か、
よっぽどの事をされるかの値段だ。
不気味に感じ、樺谷に金を返そうとするが、樺谷は受け取らない。
「良いでしょ?会社の売り上げじゃなくて丑嶋くんのプライベートに使えば良いじゃないか」
樺谷は丑嶋から金を受け取ったものの、そのまま丑嶋の上着の胸ポケットにねじ込んでしまった。
二つ折りにされた10万円は厚みがあり、先程まで缶コーヒーが入っていたポケットを中から
盛り上げた。不恰好だし、邪魔だし、と丑嶋がポケットから金を取り出そうとすると、樺谷が
丑嶋の上着に手をかけ、召使のような恭しい手つきで脱がせてきた。
「樺谷?」
何を、と問う前に樺谷が丑嶋の上着を持って後部座席に移動する。ドアを開けて外から行かず、
運転席と助手席の狭い間から移動するものだから自慢のハマーH2が揺れる。
「おい!上着返せ」
季節は冬。まだまだ上着なしでは寒い。樺谷と会う前、どうせ暖房を効かせた車内で用事は
済ませるので、と上着の下には冬用の厚い服ではなく、割とぴっちりとしたシャツしか着て
いない。
寒さに身震いしながら後部座席に移った樺谷に手を差し出すと、樺谷は上着を返さず、丑嶋
の腕を引っ張って後部座席に引き込もうとしてきた。
如何にも伊達男な樺谷だが、丑嶋の腕を引く力は予想外に強い。
「何するんだよ・・・」
生まれつき切れ長な鋭い眼をさらに細くして樺谷を睨む。だが、樺谷はひるむことなく丑嶋を
引っ張る。
「まあ、いいからさ、ちょっとこっちおいでって」
樺谷は掴んだ丑嶋の腕を自分の顔の方に引きよせ、近づけた手のひらにキスをした。
丑嶋は樺谷の気障な行動に寒気を感じ、腕を強く振って振りほどいた。
どうにも樺谷相手だと調子が狂う。自分の威光も通じない余裕ぶった態度と、陰と陽が性格俳優
のように変わる本心が見えない顔、怪しさと色気の同居した口調と笑顔には、普通の人ならば
ほだされそうになるだろう。いかにも若さと才能あふれる証券マンに見える樺谷には丑嶋も一目
置いているし、世話になることもあるが、全てを信じれるような男ではない。
明らかに怪しいものでも見る様な目つきで樺谷をジロジロ見るが、樺谷は後部座席からおいで
おいでと手招きするだけだ。
まだ綺麗な車で土足で足を動かすなんて堪らない。丑嶋は運転席のドアを開け、一旦外に出て
から後部座席に移動する。後部座席のドアを開けて、樺谷とは少し離れて座る。
「そんな遠くじゃなくて、もっとこっちにおいで」
樺谷の手が、警戒心丸出しの丑嶋の肩を優しく抱き寄せた。大きな体は案外簡単に抱き寄せられ、
後部座席のソファにもたれかかっている樺谷の膝の上に横倒しで着地した。いわゆる膝枕の状態だ。
見降ろされている丑嶋の眉間に皺が寄りかかる。
樺谷は丑嶋の厚ぼったい唇から汚ない言葉がでる前に膝の上にある丑嶋の耳を甘噛みする。
「う・・・」
短く切られた髪では耳一つ隠せず、無防備な耳は樺谷によって弄られ、くすぐったさと心地
よさに身悶えするしか出来ない。
「樺谷、ここでかよ?」
身震いを極力無くそうと耐えながら樺谷を睨みつけ、丑嶋は問う。
「うん。たまにはこういう所でするのも刺激的じゃない?」
「だが・・・、ふっ」
樺谷は言い訳がましく文句を言い繕う丑嶋を無視し、舌を尖らせて耳の上の辺を舐める。舌を
耳の外かくに合わせて段々下に下ろしていく。左の耳朶にはリング状のシルバーのピアスが2つ
あり、尖らせた舌で2つのピアスの狭い間の肉を刺激してやると、丑嶋の耳の周辺には一気に鳥肌
がたってきた。
「んん、んっ」
あまり人に触れるのも触れられるのも好きではない丑嶋だが、色男の部類に入る樺谷の見た目と、
天性の物なのか鍛え上げたものなのかは分からないが、卓越した性のテクニックには毎回弄ばれる。
嫌だと言う前に身体はたぶらかされる。故に、このように大人しくされるがままになってしまう。
正直今日だって、このような事態は予想していたのだ。
勿論、余り度の過ぎた真似はさせないし、頭はずっと冷静なままだ。それに気持ちがいい物は
気持ち良い。それになにか問題があるのだろうか。所詮男同志。仕事と、大っぴらに言えない人脈を
辿って出会った2人の性癖が一致し、セフレとも言える関係になったのならば、抱かれて何が悪い。
丑嶋が、樺谷にいいようにされている自分自身のプライドへの言い訳を頭の中で並べていると、
唾液まみれの舌が耳孔に侵入してきた。
「くっ」
尖った舌は耳孔を深々と犯したかと思うと、耳の内部の肉を擦りあげながら出て行く。丑嶋が
強張った体の力を緩めようとしたが、すぐにまた舌が唾液を絡ませて奥に侵入してきた。
「んっ!」
丑嶋の体が樺谷の膝の上で更に強張る。狭い耳孔は舌という異物に無残に犯され、耳たぶ
を伝って泡立った唾液が滴り落ちる。甘く痺れはじめた脳味噌には大音量で濡れたいやらしい
音が響く。まるで耳を後孔に見立ててレイプされているようだ。
堪らず丑嶋が身を激しく捩ると、舌の抽送は止まり、耳から聞こえていた水温が止んだ。だが、
舌の動きは止んでも耳孔の中で唾液の泡が弾けてプチプチと音がする。丑嶋は泡が弾ける度に
小刻みに体を震わせた。
「耳、弱いね」
樺谷の欲に濡れた声が吹きこまれる。せっかく舌から解放されたというのに、また丑嶋の体は
ビクリとした。
「うるせぇ・・・。少しだけだ」
耳元で囁く樺谷の顔を闇雲に手で払う。一方的に抱かれるのは慣れていないし、やはり恥ずかしい。
樺谷はどうしても素直になれない丑嶋を笑い、頭の下から膝を引き抜き、丑嶋をソファに寝かせた。
大柄な丑嶋はややソファからはみ出た感じになるが、流石もともとはアメリカの軍用車を民営車に
したハマーシリーズ。ストレスを感じるほど狭くない。
仰向けになった丑嶋の口は真一文字に結ばれていて、頬も左程紅潮している様子はない。冷静
極まりない男の顔がある。
車内の灯りがルームミラーの下の小さなライトだけなので見えにくいということもあるが、その
小さな灯りでもまざまざと見えてしまうほどに乱してしまいたい。樺谷はそう思い、耳よりも敏感な
胸に視線を注いだ。
上着を取られた上半身には白いシャツ。マメで清潔な丑嶋のことだから、しっかり洗濯しているの
だろう。厚い素材でもないので、耳への愛撫で身体から滲んだ汗のせいで素肌にくっ付き、筋肉で
隆起した胸の形が見える。それに、軽く立ちあがった乳首の形も。
白いシャツが濡れて肌色の肌と、可憐なピンク色、とまではお世辞には言えないものの、色素の
それなりについた感じが却っていやらしい乳首が透けて見えるのは、なかなか卑猥だ。
樺谷は仄かな灯りを頼りにして、喘ぐ呼吸に合わせて上下する胸を凝視した。
「見てんじゃねェよ」
ちゃんとシャツを着ているのにも関わらず、赤裸々に樺谷の視線を受けるのが恥ずかしいのだろう。
丑嶋は荒い呼吸を沈めようと深呼吸をした。
しかし、深呼吸したことにより肺が膨らみ、結果胸は内部の空気によって一段と大きく上下する。
グッと持ちあがった胸板は丑嶋の羞恥心とは裏腹に樺谷の視線を釘づけにする。
樺谷の眼から見て、丑嶋の表情は「それ以上見たら許さねェ」と訴えているが、体の反応は少し
違うようだった。苦しそうに突き出された胸の先端には明らかに変化が生まれている。シャツを
内側から押し上げている乳首は、存在を誇示するようにぷっくりと膨らみ、視線による喜びを得て
いるのを物語っている。
目の前で密かに愛撫を待つ体が愛おしく、樺谷はシャツ越しに手で胸を包み込んだ。やんわり
揉んでも、男の胸なので楽しくはない。だが、ギュッと力を入れて揉むとシャツに皺が寄って、
指の谷間から尖った乳首がぴょこんと顔を覗かせるのが面白い。
「あんま、・・・っ、触るなよ」
触る度に丑嶋の凛々しい眉が寄り、呼吸が荒くなり、何かを耐えるような切なげな顔に変化して
いく。
樺谷は丑嶋を追い詰めていくのが楽しくて仕方がなく、ついに指をシャツを持ち上げている突端で
ある乳首に押し当てた。
「くっ」
触った途端に息を詰めた丑嶋の反応に気を良くし、指をゆっくりと時計回りに円を描きながら動か
す。ポツンと勃起した乳首は、土の下から顔を出す春の若芽のように盛り上がり、指先を力強く押し
返してきた。
視覚、聴覚、触覚で丑嶋を感じ、樺谷もさらに昂ぶってきた。指を押し返す乳首を摘まみ、左右に
よじったり、爪の先で引っ掻いたりしてやっていると、白いシャツの下からうっすら見える紅色掛っ
た色だけでは満足出来なくなってきた。
けれども、いざとなったら鋼鉄のような自制心の塊である丑嶋の肌を直接触るのは難しい。ましてや、
全裸に剥き、車内のあらゆる室内灯を煌煌と照らしての鑑賞なんぞは夢のまた夢だ。
樺谷は欲と興奮で口内に大量の唾液が湧いてきた。それを飲み込むと、ゴクリと大きな音がした。
予想以上に大きな音がし、樺谷は少し恥ずかしくなった。聞こえていたであろう丑嶋を照れくさそう
に見ると、丑嶋は眉間に皺をよせ、羞恥心を隠す為に拗ねたように唇を尖らして横を向いていた。
普段のクールさを感じさせない紅潮した顔。しかし、剥き出しの欲望に翻弄されるのを恐れている
顔。どちらにせよ、動揺と言う言葉が似合わない男が動揺しているのがよく分かる。丑嶋の悩ましい
顔に煽られ、樺谷の口内にまた大量の唾液が湧いた。
次の瞬間、本能的に樺谷はシャツ越しに勃起した乳首にキスをしていた。
「くはっ!」
思いもかけない攻めを受け、耐えていた丑嶋の口から確かな喘ぎ声が漏れた。樺谷は声に後押しされ、
先端を唇で挟み、強く吸った。
「・・・っ!」
丑嶋は敏感な部分を力一杯に吸われ、かなりの痛みを感じたようだ。布越しに舌に感じる乳首も
痛々しく尖っている。樺谷は今度は痛くしたお詫びというように優しく舐めまわしたり、舌で先端を
押しながら優しく吸ってやった。
気の済むまで舌で舐めまわし、樺谷は口を離した。予想した通りにシャツは唾液で濡れた部分だけ
透け、形から色までしっかり見えた。
樺谷は透けて見える乳首を凝視しながら手を動かす。丑嶋の股間を撫で上げ、中央の性器が硬く
なっていることを確かめると、ベルトを外し、ジッパーを下ろして下着と肌の間に手を滑り込ませた。
中はじっとりと湿気ていて、汗と先走りで濡れているのが分かった。
このままで一度射精させてもいいが、これ以上下着を汚させたら丑嶋が暴れ出すに違いない。樺谷は
丑嶋のズボンからベルトを引き抜くと、膝までズボンを下ろす。丑嶋は最早抵抗する気も無く、腰を少し
浮かせて樺谷の作業を手伝うしかなかった。
「見るなって。本当に、見るな・・・」
たどたどしい言葉を吐く丑嶋の腹を撫でて慰めてやり、樺谷は丑嶋の下着を見た。性器を覆っている
布はシャツ同様濡れていて、性器の形が浮き彫りになっている。しかも下着の方はシャツと違い、丑嶋
が感じ、体内から垂れ流した物だ。
猛々しく勃起した性器を下着についた粘液をローション代わりにして撫で始めると、丑嶋の膝が快楽
にガクガクと揺れ始めた。先端を指で撫で、竿は強く押しながら手のひらで擦ってやる。下着の濡れは
更に広がり、腰も少しだが自ら動かし始めた。
「うああっ、ん・・・。樺谷、もう脱がせろっ」
もう射精しそうなのか、丑嶋は辛抱堪らず自ら腰を浮かした。そうとう恥ずかしいだろうということは、
血が出そうな位に唇を噛み締めた表情で窺い知れた。
しかし、樺谷は好色で案外非道だった。ソファの上で足を踏ん張り、ブリッジのような体勢で脱がして
くれ、と懇願する丑嶋を愉快そうに見ると、突きだされた性器をまたもや下着越しに触った。
「丑嶋くんって、いつも自分で脱ぐじゃない。今日は良いのかな?」
意地の悪い樺谷の態度に焦れ、丑嶋はしぶしぶと自分で下着を手に持ち、ゆっくりと下げ始めた。
濡れた下着が肌に張り付き、濡れた音を立てる。おまけに敏感な性器に下着に擦れ、新たな先走りが
沁み出てくる。何より嫌なのは、勃起した性器を自ら樺谷の前に晒すと言う恥辱行為そのものだ。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
おっぱいに若干こだわり過ぎた・・・。
でも、社長のプルプル唇とモキュモキュおっぱい最高だよねー(*´・ω・)(・ω・`*)ネー
お目汚し失礼しました。続きはまた今度。
P6再開致します。
ご迷惑をお掛けして大変申し訳ございません。
***
犬みたいだったから、という言葉を飲み込み、ハ.ヤ.シは代わりに頭を撫でてやった。
ヤ.ノは一層瞳を濡らし、擦り付くようにハ.ヤ.シに抱き付いた。
ハ.ヤ.シは、何だか余りにヤ.ノが可哀想に思えて仕方がなかった。
「お前、俺とキスとかしたいの?」
「えっ?」
ヤ.ノは驚いたように顔を上げ、大きな目を丸くした。
「エロいことしたいんだろ?」
「あっ…、まあ…。でも…、それは…」
ヤ.ノは顔を赤くしてハ.ヤ.シから目を逸らした。
そして、ハ.ヤ.シを抱き締めていた腕を名残惜しそうに離すと、ベッドサイドに腰掛け、ハ.ヤ.シの方を見ずに言った。
「本当に、ごめんなさい。さっきまでのことは、…忘れて下さい」
「は?」
体を起こしながらヤ.ノの丸まった背中を見ていたハヤシの口から間抜けな声が漏れた。
散々好き勝手をしたのに、いきなり放り出してなかったことにしろというヤ.ノの発言に、少し腹が立った。
「もう、本当…。…あぁっ…、ごめんなさい…
ヤ.ノは頭を垂れて顔を両手で覆っているようだ。
小さい声がくぐもって聞き取りにくい。
ハ.ヤ.シはヤノの横に腰掛け、おもむろに肩を組むと、ヤ.ノの顔を覗き込んだ。
「なあ、こっち向け」
ヤ.ノは弱々しくかぶりを振ったが、ハ.ヤ.シは強引にヤ.ノの両手を顔から引き剥がした。
思わずヤノがハ.ヤ.シの方を向くと、ばっちり眼が合ってしまった。
少し怒っていることが表情を見て取れたので、ヤ.ノはいよいよ不安で堪らなくなった。
「なあ、お前さぁ、何なの?散々さぁ、好き勝手しといてさぁ…なぁ!聞いてる!?」
怒鳴られ、ヤ.ノは体をびくりと震わせた。
殆ど聞き取れないくらい小さな声で一回「ごめんなさい」と言ったが、それは果たしてハ.ヤ.シの耳に届いていただろうか。
「あのな、お前、男だろ。男ならな、お前…あ、あれだよ。な、何とかしてみろよ!」
恐らく言葉が上手く出てこなかったのだろう、ハ.ヤ.シの適当な丸投げを結果的に受ける形になってしまったヤ.ノは涙目で困惑した。
一方ハ.ヤ.シも自身が言ったことに対してヤ.ノがどのようなアクションを取れば正解なのか分かっていなかった。
自分で何とかしてみろと言ったものの、一回怒鳴るとすっきりしてしまったので何だかどうでも良くなってきたハ.ヤ.シは、もう一度謝るか何かしてきたらもう許してやろうと思っていた。
しかし、ヤ.ノは空気を読まなかった。
いきなりハ.ヤ.シの両肩を強い力で掴み、自分の方にその体を向けた。
ハ.ヤ.シがこれはまずいという考えに至る前にヤ.ノが殆ど叫ぶように言った。
「しっ…、失礼します!!!」
やめろ、という言葉を放つ前に唇を塞がれたハ.ヤ.シは自分の発言を心底後悔した。
ただ押し付けてくるだけならまだ良いのだが、言葉を発そうとしていたため薄く開いていた口の中にヤ.ノの舌が強引に入ってきた。
なぜこういう変な度胸はあるのだと思いながらも、ハ.ヤ.シはそれを受け入れるしかなかった。
自身で撒いた種だ、責任は取らねばならないし、経験の一つとして悪くはないだろう。
それに案外嫌悪感はない。
そういえば最近キスなどしていなかった。
それにしても少々息苦しい。
「っぷあぁ長い!!!」
ハ.ヤ.シは思わずヤ.ノを突き飛ばした。
勢い余ってベッドに倒れ込んでしまったヤ.ノだが、なぜかなかなか起き上がらない。
サイドボードに頭をぶつけたのだろうかと思い、覗き込むと、そのままハ.ヤ.シはヤ.ノの腕に捕らえられてしまった。
今度は向かい合う形でぎゅうと抱き締められ、顔がヤ.ノの胸に埋まってしまったハ.ヤ.シは放せと言わんばかりに暴れた。
すると、案外すんなりヤ.ノの腕が緩んだ。
しかし放す気はないようで、両腕はやんわりとハ.ヤ.シを拘束している。
「もう…、何なんだよ…」
ハ.ヤ.シが文句を付けようとヤ.ノの顔を見ると、照れたように笑っている。
元の顔が良いだけに、不覚にもその笑顔にどきりとしてしまったハ.ヤ.シの隙をついて、ヤ.ノが言った。
「ハ.ヤ.シさん、俺嬉しいっす。ハ.ヤ.シさんとキ、キスできるなんて、まるで、何か、夢みたいっす」
「お、おう。そ、そうか。じゃ」
「俺もっと頑張ります、頑張ってハ.ヤ.シさんのこと気持ち良くします!」
「あ、は…、…は?」
じゃあ放せ、を言わせてもらえなかった上に、何だか飛んでもない発言を耳にしたような気のするハ.ヤ.シは迫りくる身の危険に対して引き攣った笑いを返すしかなかった。
「俺、男なんで何とかします!!!」
とても良い笑顔でそう言ったヤ.ノを見てハ.ヤ.シは重要なことを思い出した。
そうだ、ヤ.ノは酷い酔っ払いだった。
翌日、自身の発言の責任を十二分に取ったハ.ヤ.シの言うことを、普段以上によく聞くヤ.ノの姿が見られたという。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 次回があったら投稿ペースに気を付けます…。
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 一分間隔くらいって大事。
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| | |> STOP. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
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>>390さん
ありがとうございました!
P6、秋シア一楽しみ。
ただもうちょっとでかいキャパでやってほしい。
406 :
鴉零 狼×豚:2010/08/16(月) 21:25:18 ID:o8m6hx1x0
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| 鴉零のイ崎×ト梶で殴り愛注意
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 半生注意! 2/7までイ崎視点、それ以降ト梶視点です
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
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殴りてぇから殴った。理由はほかにない。求められたらコイツが殴られたそうな顔をしていた、
とでも言っておけばいい。何だってかまいはしない、行きつくところはいつでも同じだ。抉る
ように振り抜いたアッパーが顎に決まる。鈍い骨と骨のぶつかる音のあと、かはっ、と血を吐
くちいさな音が妙に響いた。目の前の男が膝を折り、地面に崩れる。ド、と土を叩く重い音が
して、豚は地面を舐めた。
このくらいで意識を飛ばすタマじゃねえことくらいは知ってる。ただ、顎に決まれば脳が揺れ
るから、もう立ちあがっては来ねえはずだ。大体いつもこうなる。わかり切ったことだ、どう
せ俺が勝つ。片手で捻り潰すような圧勝ではなく、こちらもそれなりの数の痣やら傷やら何や
らを貰うことになるのだとしても、それでも、最後はオレの勝ちだ。あれから数度あったこう
いう意味のないぶつかり合いは、いつだって同じ結果だった。下らねえと思う。なのに気づけ
ばまた殴り合っている。
どちらから殴り掛かるかはそのときによって変わった。ただ、俺からそうすることのほうが多
いような気がする。あの目が気に入らねえからだと思う。実に苛つく目つきをした野郎だと、
毎度毎度思わされる。どうにかなんねえのか、あの目は。
手の甲、指の付け根がジリ、と痛んだ。喧嘩慣れするうちに皮膚が厚くなり飛び出ているはず
の骨が平らになったそこには、何かに引っ掛けて切ったような傷がある。多分コイツの歯だ。
顔面を殴ったときに擦ったんだろう。滲む血を舐めれば、鉄錆の味がした。ペッ、と赤の混じ
る唾を吐く。着地点は俯せた豚の鼻面の真ん前だった。豚はギリ、と土を指で掴む。そのまま
ジリジリと持ち上がった上半身、もともと膨れたツラがさらに腫れあがって、見苦しいことこ
の上ない。そんなツラしてやがんのに、あいかわらず目つきだけは変わんねえところも最悪だ。
探ったポケットから出てきた煙草の箱は潰れていた。一本くわえて火をつける。その間、豚は
地べたに這いつくばった体勢から、地べたに座りこんだ体勢まで復帰した。そのどうでもいい
プライドのかかった努力を何の感慨もなしに見て、それから姿勢を低くして、目を合わせる。
どうにも不愉快な目つきでこちらを睨んでくる。ギラギラ光るその目が本当に気に入らねえよ、
豚野郎。
「ざまぁねぇな」
吐き捨てるように言ってやれば、豚の口許が奇妙に歪んだ。それが笑みの形だと気づくのに少
し時間がかかりすぎた気がする。その歪んだ唇から調子はずれの笑いが漏れた。
「……殴られすぎて気でも違ったか」
「じゃあその気違い見ておっ勃ててるてめぇは何なんだ、この変態狗野郎」
……知ったことか。ああ、まったく最悪だ。毎度毎度飽きもせずこの癇に障る目つきの豚を殴
り倒して、腹の底から湧き上がってくる怒りみてぇなもんに乗っかってくる別の何か。
「本当に気に入らねえんだ、お前が」
言いながら黒いシャツの襟元を掴んで噛みつくように口づける。このときだけいつも抵抗しな
いお前が悪い。最悪だ。だからこうやって下らねぇことを繰り返すんじゃねえか。さんざん貪
って離した唇がてらてら光る。死ねばいい。死ねばいい、お前なんか、いや、俺が。
「……やらせて下さい、って言えよ」
嫌らしく笑いながら言う豚の口をもう一度塞ぐ。このまま窒息して死んじまえばいい。最低最
悪の死に方だ、なんて下衆な。ぴちゃぴちゃと卑猥な水音を立てながらぐちゃぐちゃと絡まっ
てそのまま縺れこむ。いつの間にか転げた煙草がコンクリートの上、細い煙を上げていた。
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どこもかしこも痛ぇ。最悪だ。脳味噌が揺れたまんま押し倒されたりなんかしたから吐き気が
する。幸いなのはあの馬鹿がいつも後始末に困らないやり方をすることだけだ。あれだけ変に
がっついてくるくせに、そのあたりが妙に律儀で笑えた。終わったあとのあの場所から下駄箱
までの通り道にある、どこかの誰かの蹴りでひしゃげたゴミ箱には、青臭い液体の溜まったア
レが毎度2つ落とされる。俺と、あの馬鹿と。
水道で適当に顔やら手やら洗う。鏡に映っているのはどう見ても「何もなかった」ツラではな
い。それでもまあ、俺が喧嘩で顔に傷をつけるようなことは珍しくも何ともないので、分校に
足を向ける。何があったのか、なんて聞かれたところで、イ崎と目が合ってお互いムカついて
しょうがなかったので殴り合いしました、で終わりだ。それで済む程度に俺たちは折り合いが
悪かったし、月に2、3回はこんなことを繰り返している。殴り合ってたらあの馬鹿がおっ勃
てやがったんで最終的にセックスさせてやりました、なんてところまでは説明する必要もない。
だらだらと歩いて分校に到着すると、そこには珍しくトキ生の姿しかなかった。どうしてお前一
人なんだ、そう聞けば、セリ沢と筒モトはコンビニに買い物に出かけたという。ゲームで負けた筒
モトに、セリ沢がたかったらしい。相変わらずウチの王様は貧乏人だ。煙草をくわえて腰を下ろし
たところでトキ生に声をかけられる。
「で、ト梶はどうしたの、その顔」
「……」
「またイ崎とケンカしたの」
低い声になったトキ生が核心を突く。そう、イ崎の馬鹿と喧嘩した。それだけだ。言わなくても
黙っていれば肯定だととらえてくれる、そういう敏いところはトキ生の美点だった。
「毎度毎度飽きないよねえ、何がそんなに気に入らないわけ?」
「……知らねえよ、あいつが殴り掛かってくんだからよ」
「へえ、イ崎からなんだ」
「大体は」
「ふうん、それでいつもいつも殴り合って、最後は、」
セックスもするわけ、とトキ生が呆れたような顔で言いはなったのでぎょっとした。何で知って
んだコイツ。咄嗟に否定しようとした、でももうすでに不自然な間が開きすぎていたから、諦
めて黙った。トキ生の出方を待つ。
「否定しないの」
「……もう遅いだろ」
「まあ、オレ見ちゃったからね」
「……は」
「こないだ三カミ兄弟がふざけて校舎の窓から筒モトの家の鍵落としたんだよ、全然見つかんねー
んで筒モト泣きそうになるし、しょうがねえから探すの手伝ってたらさ、たまたまあそこまで
行っちゃってさ」
「……」
「お互いボコボコで絡まってんだもん、ビックリした」
「……チッ」
「あ、ほかのヤツは見てないよ、大丈夫。けどヤるとこ考えたほうがいいんじゃね? あのと
きだけってワケじゃないだろ、あれ」
「あー……」
返す言葉も見つからず、額に手を当てる。校舎裏の人目につきにくい場所とはいえ、密室とい
うわけでもない。誰かが目撃することは確かにありうる。もともと殴り合いを始めたときは、
そこから毎度毎度セックスになだれ込むようになるなんて想像もしていなかったから、場所を
そこまで選んでいなかったのだ。
見られたのがトキ生だったのは運がよかったかもしれない。こいつは多分誰かに言ったりしない
し、これを材料に何か取引を迫ろうなんて考えているわけでもないだろうから。しようと思え
ばもちろんそういう真似もできる奴だが、トキ生はきっとしない。少なくとも、セリ沢を担いでい
る、俺を相手には。
「ト梶はさ、ゲイなの?」
「ちげーよ」
「イ崎が好きなの?」
「……あんな馬鹿嫌いに決まってんだろ」
「じゃあなんで?」
「アイツが勝手におっ勃てただけだ」
「無理矢理やられたってこと? そんなに弱くないでしょ」
「……」
「ゲイでもなきゃ好きでも無理矢理でもなくて、何ですんの」
「……知らねえよ」
嘘だ。本当は知ってる。イ崎は何でか知らねえが俺に欲情する、それがアイツは嫌で嫌でたま
らないのに、勃っちまうもんはどうにもなんねえから俺を押し倒す。そのどうしょうもねえと
きのイ崎の、情けない顔を見るのが好きだからだ。“なんでコイツになんか勃つんだチクショ
ウ”っていう悔しそうなツラを見るとスッキリする。俺なんか、を抱かずにいられないイ崎の
みっともなさ、それが俺にとっては快感だった。とはいえそんなことをトキ生相手に言う気にも
ならず、口をつぐんでいればまた問われる。
「もしかして身体がいいとか?」
生々しい話だったがそれは否定できない。まさか自分がこんなことにハマるなんて考えもしな
かったが、イ崎とヤるのは正直、悦かった。なんで、の理由としては、ゲイだとか好きだとか
無理矢理だとかよりよっぽどわかりやすくて嘘もないように思えたから、黙ることで肯定する。
トキ生は完全な嘘にはすぐ気づくから、半分は本当のことを伝えておいたほうがいい。
……といっても初めは痛いだけだった。勃起したイ崎を挑発したら押し倒されたのだ。自分で
招いたこととはいえ、こうなるとは予想もしなかったし、かなり乱暴に突っ込まれたからいい
も何もない。それでも悔しそうなイ崎のツラだけはたまらなくよかったから、次のときも同じ
ように挑発したら、むこうも同じように押し倒した。それから殴り合うたび、まるで約束事み
たいにアイツがおっ勃てて、俺が挑発して、押し倒されて……気づけばそんな流れができてい
た。
回数が重なれば、むこうもこっちも何も言わなくてもそれなりにいろいろ覚える。気づいたら
痛みよりも快感が大きくなっていた。最近は時々流されて意識が飛びそうになる。それを隠し
てヘタクソ、となじる、イ崎が苛ついて酷くする、そんなくだらないことを繰り返す。くだら
ないとわかっていてもやめられない程度には、イ崎との殴り合いのあとのどうしょうもないセ
ックスにハマっている。
最中、散々イ崎に引っぱられた髪をかきあげて、長くなった煙草の灰を灰皿代わりの空き缶に
落とす。トキ生が小さく溜息を吐くのが聞こえた。
「……あのさあト梶」
「あ?」
「もともと男とするほうがいいってワケでもないのに、男に勃つって普通のことじゃねえし、
身体がいいとかあり得ねえと思う」
「……」
「もっと自覚したほうがいいよ、マジで……ト梶も、イ崎も」
何か言い返そうと口を開いたとき、セリ沢と筒モトの騒がしい声がした。おかえりタ摩雄、と笑っ
たトキ生はこちらを見ていなかったし、二人の前でこんな話を続けたくもなかったから、もう一
度口を閉じる。筒モトが買わされたらしいコンビニ弁当やら何やらがバサバサと目の前に並んで、
いつも通りのどうでもいい会話が始まった。
「ト梶、それどうした、またイ崎か」
そうセリ沢に聞かれて、無言で片眉を上げる。それで終わりだ。筒モトが飽きないっすねえ、と余
計なことを言ったのでケツを蹴りあげる。これでいい。コレで終わりにしておいてくれ。こち
らを見たトキ生と、目を合わせることはできなかった。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 力いっぱい爛れてる二人でお目汚し失礼しました
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
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>>384 やっばい、この二人の馴れ初めが知りたい
えらく萌えた
二人ともいい子だな
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
某ドラマの主従をモチーフにしたパラレルIf話。前スレ記憶喪失逃避行話と地続きながらそれほど関係はなし。
主観はオリキャラ。エロ無し。原形もほとんど無し。
注意書きだけでかなりカオスなので、これは危険と思われた方は事前避けをお願いします。
『村外れの寺に幽霊が出るらしい』
誰とはなしに言い出したその言葉に、場にいた仲間達の目が一斉に上がった。
『幽霊?見間違いじゃないのか?』
『またあの生臭坊主が寺に女引き入れてるとかな』
『そういや、この前も村の後家に手を出して親父達に散々どやしつけられてたっけ』
『あれにはさすがに少しは大人しくなるかと思ったが、またなのか?』
『その幽霊って女なのか?』
『この中で見た奴いないのか』
『もしかしたら狐狸の類が人に化けてたりして…』
『確かめに行くか』
下世話な下心と肝試しを兼ねたような軽さで決まった探索は、思いつくままその日のうちに決行され、
そして失敗した。
この悪餓鬼ども!と坊主に見つかり追いかけられ、皆が散り散りに逃げる中、自分が身を潜ませたのは
寺の裏側だった。
すぐ傍らに山の迫ったそこは足場が悪く、石を避けるつもりが踏み誤り、勢いよく右腕の側から
落ちるようにこける。
「……ッ」
痛みに声も出なく、それでも身体は反射的に逃げを打ち続け、素早く立ちあがろうとする。
そうして上げた視線の先に、それはあった。
倒れ、横になった視界に映ったのは着物の裾からのぞく二本の足。
だからそれは幽霊ではないのだと咄嗟に思う。
「大丈夫か?」
頭上から声が聞こえてくる。
それは女のものでもなかった。
それ故ゆっくりと顔を上げ、確かめる目の前の存在。
そこにはこの時、倒れた自分を心配そうに見下ろしてくる人間の男の顔があった。
「狐か狸か囲われ者と思われていたのか。」
クスクスと笑いながら水の張った桶に布を浸す。そして腕を出すよううながし、擦り剥いた傷口の血を
そっと拭ってくる相手を、自分はその時何とも言えない面持ちで見下ろしていた。
悪戯を見つかり、逃げた寺裏で出会った大人の男。
そしてそんな彼はあの時、倒れた自分をひどく驚いたような目で見つめてきたが、その腕に
怪我を負っている事に気がつくと、『来なさい』と自分を寺の裏手にある小屋の中に引き入れた。
『薬などは無いが』そう言いながら土間の隅に汲み置いてあった桶の水で傷口をすすいでくれる。
柔らかな手つきだった。
そしてその物腰は、なんともこの場の状況にそぐわなかった。だから、
「こんな所で何をしてる?」
率直な疑問を口に出す。するとそれに彼は不思議そうな顔を上げてきた。
「こんな所?」
「ひどいあばら家だ。」
寺の、物置にでも使っていそうな小さな荒れた小屋。
かろうじて人一人が生活出来そうな物は揃っているようだがそれでも、と思わずまじまじと見回してしまう。
しかしそれにも彼の声色が変わる事はなかった。
「私には雨風をしのげる屋根があればいいから。」
本気でそう思っていそうな穏やかな物言いにはこの時、何故かこちらの焦燥感が掻き立てられる。だから、
「それにしたって、こんな所に…」
いったいいつから、いつまで。
言いかけて、ふと止める。それはどこまで尋ねていいのか、そんな迷いが胸に浮かんだからだった。
しかしそんな自分のためらいを察したらしい彼が、この時さらりと口を開いてくる。
「人を待っている間だけだから。」
「人…を?」
「旅の途中なんだ。しかしこの先を進む為に色々と必要な物を今、共に行く者が揃えに出てくれている。
だから私はその者が戻ってくるのをここで待っている。」
「一緒に行けばいいじゃないか。」
「足が、な。」
わずかに自嘲するように、告げた彼の手がふわりとその足首の上に置かれた。
「怪我してるのか?」
だから素直にそう問えば、それにも彼はゆっくりと首を横に振ってきた。
「いや、弱いんだ。長く閉じ込められていたせいか、力が衰えてしまっていて。だから無理に
ついて行っても足手まといになる。」
穏やかな口調とは裏腹なその言葉の不穏さに、気付いた瞬間自分の肩がびくりと震える。
閉じ込められて。旅。それは逃亡…罪人?
不信さがきっとあからさまに顔に出たのだろう。
しかしそんな自分にも彼はこの時、ただ困ったような笑みを向けてきた。
「驚かせてしまったか?当然だな。すまない。だが私は、覚えていないんだ。」
「…えっ?」
意外な言葉だった。だから恐れより何よりこの時好奇心が勝る。
食い入るように目の前の人を見つめてしまう。そんな自分に彼は尚も笑み続けた。
「記憶を失くした、何かがあって。でもそれが何だったかも、閉じ込められていた理由もどうしても
思い出せない。だから自分が悪い人間なのかもわからない。ただ…」
一瞬だけ言い澱む、しかしその続きを紡いだ彼の表情にはその時、微かな安堵が滲んでいた。
「あの者は言ってくれる。あなたは悪くないと。だから私はそれを信じるしかない。」
言い終わるのと同時に、傷口の血を拭いとった布が桶の中に戻された。
小さく立つ水音。それに自分がはっと我に返れば、彼は再び優しく告げてきた。
「これでいいだろう。あとは家に帰ってから薬を塗ってもらいなさい。」
まるで幼子に言い聞かせるような言い回しだった。
子供扱いされている。互いの年からすれば当たり前かもしれないが、それが何故かこの時ひどく
感に障った。だから、
「村に来ればいいのに。」
頑是ない事とは分かっていながらつい口にしてしまう。
そんな言葉に彼はやはり曖昧な笑みを見せてきた。そして、
「あれが戻ってきた時、私がここにいないと驚くだろうから。」
やんわりと、しかしけして揺らぎのない拒絶を返される。
だがそれにも自分は、ならばと更に強い我儘を覚えてしまった。
「なら、俺がまたここに来るよ。」
続けた言葉に、彼は最初驚いたようだった。
瞬きを忘れたような目がじっとこちらに向けられ、しかしそれはやがてゆっくりと破顔する。そして、
「その時は出来れば内緒でこっそりと、な。」
子供に言い含めるような口調はやはり変わらなかった。
けれどその声はこの時、ほのかな明るさを滲ませたように自分には思えた。
それから自分の寺通いが始まった。
仲間達から理由をつけて離れ、小屋の中に身を潜めるその人に会いに行く。
寺の坊主に話は通してあるようだった。出ていった男が当面の世話代だと金を置いて行ってくれたから
多少の融通は効くとおっとり言う相手に、しかし自分はその寺の坊主の手癖の悪さを語り、注意を促す。
するとそれに彼は驚いた様子を見せたが、それでも最後にはただ笑って『ありがとう』とだけ返してきた。
大人なくせにどこか放っておけなさそうな世間知らずさ。
だからますます自分がと言う思いが募る。
知っている事をすべて教えたくて、矢継ぎ早に口が動く。
村の事、仲間の事。家族の事。
家から持ってきた菓子を差し出せば、二つに分けられ共に食べた。
ほとんど小屋の中から出ている様子が見えない彼の気でも紛れるかと、姉の大事にしていた千代紙を
こっそり持ち出して渡せば、彼は器用にそれで色々な物を折ってくれた。
折り方は覚えているんだな…自分自身でも意外なように呟きながら作る、それは何故か鶴が多かった。
秘め事めいた密会。
それはひどく自分の心を沸き立たせたけれど、同時に回を重ねる毎に重く心に圧し掛かる物想いも生んだ。
彼の待ち人はなかなか戻ってはこなかった。
ある日の夕暮れ時、忍んで行った小屋の中に珍しく彼の姿は無かった。
だから外に出、辺りを探し回る。
声を出せない分、懸命に足だけを動かしようやくに見つけた、そこは寺のある高台から遠く村を出る
道が見える場所だった。
その道の続く先には海を渡る関所のある町がある。
その方角を彼はその時、一心に見つめていた。
初めは声がかけられなかった。しかし彼は放っておくといつまでもそこに留まり続けそうで、
だから意を決してその名を呼ぶ。
それに彼はすぐに振り返ってくれた。それでも、
「やぁ、」
返された声の響きがこの時どこか不安定に聞こえて、自分はたまらず勢い込んで言葉を継ぐ。
「どうしたの?」
聞く、しかしその答えはわかっていた。
彼は待っていた。自分を置いて行った相手を。そしてそんな相手の後ろ姿を見送ったのはきっとあの方角
なのだろう。
胸の想いは単純な自分の顔にすぐに現れる。だからそれに彼はふっと笑みを向けてきた。
夕焼けの色に染まった赤い唇が動く。
「何も無ければいいと思っていた。無事でいてくれるなら。それでたとえ…戻ってこなくても。」
ひそりと零される呟き。
思いもしなかったその内容に、自分の目が見開かれる。
けれどそんな自分に気付かないように、この時彼の告白は止まらなかった。
「何も覚えていない。それはけして嘘ではないけれど、でも夢は見るんだ。誰かが自分のせいで
ひどく傷ついている夢。あれがもし現実だったならと思うと……無性に怖くなる。」
「………」
「あれがあんな目にあうくらいなら、このまま捨てていってくれていい。」
くれていい…、彼はそう語尾を二度繰り返した。
切実に、祈るように。そして自分に言い聞かせるように。
けれどその願いがどれほど彼にとって無茶な事かは、年下である自分でも容易に想像がついた。だから、
「そんな事になったらあんたはっ」
詰め寄る、その口調が心配が高じてつい強いものになってしまう。
そしてそれに彼はこの時、逆らってはこなかった。
「そうだな。」
ただ短く言い切られる。
「彼が戻ってこなければ、彼がいなければ、私は……生きてはいけないだろう。」
視線がまた遠い道へと戻される。そしてそれを最後にあの日、彼はもう二度と自分を振り返りはしなかった。
怖い背中だった。
何か耐えている糸が今にも切れてしまいそうな。そんな人の危うさがいつまでも脳裏にまとわりついて
その夜は結局一睡も出来なかった。
家族が共に眠る家の中で、今夜もあの小屋で一人過ごしているだろう人の事を思えば、純粋に胸が痛んだ。
だから思い悩み、考えに考え抜いて、訪れた朝の光と共に自分は決意する。
彼の事を村の者達に話そう。
訳有りの身であるだろう事はわかっている。けれどちゃんと話せば皆もわかってくるかもしれない。
どのみちあんな場所に一人で居続けるには限界があるのだ。
長く続けられる事ではない。
だから、自分が面倒をみるから、責任を持つから……ちゃんと生きて欲しいと。
説得する為に、彼の元を訪れる時をその日一日じりじりと過ごした。
そして夕刻、皆が家に引き払い辺りに人影が少なくなった頃合いを見計らって忍んで行った彼の小屋で、
自分は初めてあの場所で彼以外の声を聞いた。
入口の戸を開け、見遣った範囲にその時彼の姿はなかった。
だから奥の方にいるのかと、思い、足を踏み出そうとした瞬間、その声が耳に届く。
理解できる言葉だった。だから人のようだった。
大人の声だった。男のもののようだった。
訳も無く緊張し、その場から動けなくなる。そんな自分に二つの声が密やかに聞こえ続ける。
一つは間違いなく彼の声だった。
「良かった…」
彼の声は掠れていた。
「無事で良かった…生きていて…良かった……」
その涙まじりのような響きに刹那、胸が早鐘を打つ。
まさかと思い、わずかに奥がうかがえる場所まで足を進め、視線を上げた先。
そこには暗い小屋の薄闇に溶け込むように座る一つの背中があった。
ずっと想像していたものよりは幾分細身の、しかししっかりとした大人の骨格を持つそれの向こうに
彼はいた。
手が伸ばされる、縋るようにその両の指先が自らの正面にいる男の顔に触れる。
大事なものの存在を確かめ、消えぬ事を祈るように。その頬をなぞりながら紡がれる声が聞こえ続けていた。
「おまえにもし何かあったらどうしようと、そんな事ばかり毎日考えていた。」
責めるよりなじるより、ただ訴えるように告げる。そんな彼の声にこの時返されるいらえがあった。
「申し訳ありません。手形を手に入れるのに少し手間取りました。ご心配をお掛けしました。」
今度こそしっかりと聞く男の声は、低く落ち着いた響きを伴っていた。
若干乱れ気味の彼の心を宥めるように、静かに発せられる。
しかしそれにも男の肩越し、彼が強く首を横に振るのが見えた。
「私の事などいい。もういい。今回の事で思い知った。おまえが私の為に危ない橋を渡るのはもう嫌だ。
それでおまえの身にもしもの事があったらと思えば、ずっと生きた心地がしなかった。
そんな事になるくらいなら、もう捨ててくれればいいと……もう戻ってこなくていいと…何度っ…」
段々と声が昂ぶってゆく。すがりつく指先に力がこもってゆくのがわかる。
だからだろう、この時男から律するような少し強めの声が彼に向けて飛んだ。
「何を言うのですか。あなたを置いて私にどこに行けと。それに私がいなくなったらあなたは…っ」
言いかけた、しかしその言葉は不意に途中で断ち切れる。そして、
「申し訳ありません。身の程をわきまえず思い上がった事を…」
続けて苦く落とされたのは、悔いと戒めを滲ませたような呟きだった。
うつむきがちに伏せられる、しかしその顔に彼は尚も指を伸ばし続ける。そして、
「何を謝る。本当の事だ。おまえがいなければ私などすぐに野垂れ死ぬか、捕らえられ元の場所に
戻されるだけだろう。いや、そうならなくとも私は……」
男の肩越し、彼はその時微かに笑ったようだった。
「おまえがいなくなったらもう、生きてはゆけぬよ。」
笑いながら泣いているようだった。
だから、そんな彼の背に男の腕がこの時回る。
落ち着かせようとしているのか、それとも違う意図があるのか。
力を込め強く引き寄せたのだろう彼の耳元にその時、言い聞かせるような男の呟きが落とされた。
「大丈夫です。私はずっとお側におりますから、だからどうか、」
どうか、
「あなたは自由に生きてください。」
立ちすくみながら聞いた、それは自分が言いたいと思っていた言葉だった。
生きて欲しい。
そう告げたら彼はどんな顔をするか。思いながら一日過ごしたその果て、横から奪われたに等しい
言葉に対し彼はその時、するりとその腕を抱き留めてくる男の首筋に回していた。
動く唇が紡ぐ名。それもけして自分のものではない。
そんな当たり前の事実が胸にひどく痛くて、瞬間、自分は耐えられぬように咄嗟にその場から踵を返していた。
気付かれぬよう音を立てず背を向ける。その耳に届く微かな衣擦れの音。
走り逃げる自分の心と鼓膜を激しく苛むその音はあの時、ひどく苦く甘く脳裏に響き続けた。
どこをどう走って家まで辿りついたのか。
あの日から数日、自分は寺へと足を向けられなかった。
自分が見た光景の事を考えて、考えて、考え過ぎて、もはやそれが本当の事だったのか現実と夢の
境がつかなくなって初めて、ようやく事の真偽を確かめようと思うまでに落ち着く。
そして意を決して足を向けた寺の境内で、その時自分を待ち構えていたのは寺の坊主だった。
追い払われるかと思った、しかしその世俗に塗れた坊主は一瞬逃げかけた自分に待てと静止の声をかけると
続けざま渡す物があると告げてきた。
法衣の袂を探り、無造作に取り出される。それは細長く折り畳まれた一通の文のようだった。
おまえが来ぬか少し待っていたようだったが、先を急ぐと言うのでこれを置いて行った。
金目の物なら黙ってもらっておいてもよかったが、こんな紙切れ一枚ではな。
本気とも憎まれ口ともつかぬ事をぶつぶつと呟きながら、坊主はそれを自分に手渡すとやっと厄介払いが
出来たと寺の方角へ立ち去った。
そして一人残された庭先で、自分はゆっくりとその文を解く。
広げられてゆく白い紙。
そこには彼の字でただ一行『ありがとう』と礼の言葉が綴られていた。
それだけの文字を自分は幾度も読み返す。
そして手にしていた文の巻きを最後の一折まで解いた時、不意にそこから落ちる何かがあった。
驚いて視線を向け、地面に落ちたそれを慌てて拾い上げる。
指先で摘む、それは綺麗な千代紙で折られた鶴だった。
蘇る記憶があった。
自分が家から持ち出したそれを、彼は折っていた。
待ち人の身の安否を願いながら幾つも折っていた。
その一つが今、この手に残される。
まるでこの先の自分の身を優しく案じるかのように。
思った瞬間、自分の胸に沸き上がったのはもう取り返しのつかない後悔の念だった。
どうして自分はあの時、変な意地など張ったのだろう。
逃げ帰ったあの夜の翌日、何も知らぬ顔をしてここを訪れていたら、自分は最後にもう一度
彼に会えていたかもしれないのに。
さようならをちゃんと言えたかもしれないのに。
次から次へと溢れ、止まらぬ想いは、やがて涙となって頬を伝う。
それを自分は手紙を握り締めた手の甲で何度も拭った。
きっともう二度と会えない。
それが辛くて悲しくて淋しくて……それでもそんな彼がこの先もずっと生き続けてくれますようにと
鶴に祈る涙は、あの日いつまでも止まらなかった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ほぼ一ヶ月忌&遅くなった盆供養のつもりで書いた。後先はまったく考えていない。
>>391 GJ!
耳攻めキター!社長が10巻からピアス減らした理由はコレですかハァハァ!
余裕たっぷりの樺谷と潔癖ゆえに処女的恥じらい持ちつつ無意識に誘ってる社長の様子に禿あがりました!
続きのえちーも期待してます(・∀・)ノシ
>>391 社長がエロい…(*´∇`*)
続き待ってる
>>405 GJGJ!
見た目通りに奥手なヤノが愛おしすぎる
あの2人はどっちも可愛いからついつい百合的な目線で見ちゃうよ
でも男気を見せたからにはハヤツをいつものあの甲高い調子で存分に鳴かせてやってほしいなと思ったり
映画に滾ってつい。少し映画ネタあり。
ジャンルの方にはメジャカプそのものだと思うけど自分出しどころないので置かせて下さい。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
こいつは最初から悪魔なんかじゃなかったなと、俺の体に自分の体をぴったり
はりつけて目を閉じている相棒の顔を見ながら考えた。
相棒は、フィりップは、快感や甘えたいといった欲求に、会ったばかりの頃か
ら俺がたじろぐくらい素直だ。何しろそういうのを出すのに恥じらいとかためら
いとかを感じるための予備知識も記憶もなかったから、何かの拍子に(俺はそれ
がなんだったかもう覚えてもいない)、そういうコトに興味を持って、居場所で
ある地下室のホワイトボードも壁も全部、いわゆる十八禁な単語や記述でいっぱ
いに埋め尽くし、
「祥太郎、君は知っているかい?セ(ピー)というものを!!」
と、威風堂々言い放つようなこともあった。つーかそれが最初だった。
絶句した俺の前で、セ(ピー)の素晴らしさについて滔々と語り、
「やっぱり知らないんだね」
と目を細め(ちなみにおやっさんに拾われる前の俺はそれなりにやんちゃだった
から、知らないってことはねぇ。つーか……いや、それなりだよ?やんちゃやん
ちゃ。そんな、荒れてたとか、ねぇ?ははは)、
「さあ、験してみよう」
と、俺の腕を引っ張りさえした。
男同士やるもんじゃねえ!と俺がまあガラにもなく叫んじまっても、
「そんなことはない!」
と、反証的なる話をまた滔々と始めやがった。
男同士でやる良さとか(今はまあわかんなくも…でも相手が相棒だからの特別
だと思う)、スポーツ的な何かだと考える奴ら(理解不能)の話だとか、なんか
、絆の話とか。繁殖が絡まない同性同士のが精神性がどうとかこうとかっていう
哲学がどうこうとか。はあそうですか。
要は、
「僕と君は誰よりも近い関係で、二人で一人の存在なんだから、
セ(ぴー)なんか当然なんだよ!ためしてみたいし」
絶対最後が本音だ。
めんどくさくなって、あーーわかったわかった。ためしてみるだけだぞという
と、
「ほんとかい!?」
「言っておくが!ぜっってー俺が上だからな!そんでタたなかったらそこで終わ
りだ!
だからすぐ終わりってことだ!立つわけねえからな!この俺が!男相手に!」
「ふうん?いいとも」
そしてどうなったかというと、まあ…ほぼ一年経った今、当たり前みたいにこ
うしてるとこから察してくれ。
なんつーか……子供みたいな顔してたどたどしく俺のムスコ触る手とか、いざ
入れるぞってなった時の不安そうなすがるみたいな目とか、それでいざ入った後
の信じられねえよさ、とか…。こう、運命の相手ってのは、いるもんなんだなぁ
、と…。
終わってから、
「ほら、やっぱり気持ちよくてすごいことじゃないか祥太郎」
と、とろんと言ってぴったり体をくっつけてくるのもすげー可愛くて、今こうし
て穏やかに目を閉じてるフィりップと何も変わらない。
フィりップに欠けていたのは「感情」じゃない。むしろこいつのありとあらゆ
るものへの興味と、それらから引き起こされる様々なうねりは、はじめから普通
の人間にとってはとんでもない奔流のような激しさをもっていた。そのまんまの
意味でフィりップと「二人で一人」になる俺はよく知ってる。「悪魔だ」なんて
クールな顔して言いながら、フィりップは最初から誰よりもヒトだった。
それなのに、今日こんな激しい戦いときつい思いを経たからこそ、ようやく自
分が悪魔じゃないと言うことが出来た俺の相棒。とても健気な生き物に見えてき
て、真っ黒な癖っ毛を撫でてやった。今はしっとりしてる。
「…祥太郎?」
「ん。なんでもねえよ。疲れてるだろ?しっかり寝ろ」
「なんでもなくは、ないだろう?」
「んー…。本当に、なんでもないんだ。一年っていうのは、大分色々変わってく
る時間なんだなって改めて思っただけさ」
「ふぅん…。…まぁ、そうかな。いいとも。祥太郎も少しは大人になってきたっ
て認めてあげてもいいよ。まだまだだけどね」
「あー?それまだ続行かよ。ばぁか。おまえだよ」
フィりップはくすぐったそうに目を伏せた。
「…ま、根本的な所はなんにも変わってないんだけどな」
「え」
不安そうな顔をするから、額にキスを落とした。
「変わってねえよ。はじめから今日までずっと、クソ生意気で頼りになる、俺の
相棒のフィりップだ」
相棒がわらった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お粗末でした。ハッピーエンド祈願!
>>406 とっても素敵なエロス&バイオレンスチックでした
>>400 の続きで樺谷×丑嶋エロありです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
丑嶋の手が下着を足の付け根まで下げると、濡れた下着から更に濡れた性器が勢いよく飛び出して
きた。限界まで張りつめた性器は閉じ込められていた反動で反り返り、腹に当たって揺れている。
樺谷はプライドと自制心の塊の男に恥辱の行為を強要していることに興奮し、丑嶋の股間に手を
伸ばした。
黒々と生えた陰毛を撫で回し、股の間で今にも弾けそうに膨れた性器の根元を掴む。根元は太く、
徐々に先端に手を這わせていくと、徐々に細くなっていくのが分かる。だが、先端に行き着く前に
剥けた包皮が絡みついた雁首から太くなる。
切り返しの雁首からはみ出るように膨らんだ亀頭は、熟れすぎて木から自然に落ちてしまった
スモモのような茶色と赤を混ぜ合わせたような色をしている。そこは本物の完熟を超えたスモモの
ように先端の尿道口から汁を垂らし、樺谷に食べられるのを待ち望んでいるようだ。
本物スモモと違うところは、切り裂かれて開いた傷口のような赤黒い尿道口が丑嶋の呼吸に合わせ
て口を閉じたり開いたりしていることだ。
樺谷は亀頭を親指と人差し指の間で軽くつまみ、2本の指を前後に動かして亀頭だけを刺激して
やった。丑嶋は眉間に皺を寄せ、声は出さずに息を乱す。
口を開けて舌を出し、息を弾ませている丑嶋は完全に興奮に酔った顔をしている。
普段はまるで性欲なんて欠片も無いです、というような取り澄ました男なのに、いざとなると
まったく異なる欲に溺れた顔を見せる。果たして丑嶋をこのように淫らにしたのは誰かは分からない
し、樺谷には興味も無いが、その相手には感謝の念を感じる。
樺谷は先走りで濡れてしまった手を一旦丑嶋の性器から離すと、更に丑嶋が嫌がりながらも喜ぶ
であろう大胆な行動を開始した。自分のズボンのチャックを下ろし、自分も膝下まで衣服を下ろす
と、性器を取り出す。
性器はすでに大きくなっていて、手を添えなくても上を向いたままだ。樺谷は勃起した性器を
丑嶋の口の前に差し出した。
「咥えて」
丑嶋は一瞬嫌そうな表情を見せたが、すぐに観念して目をつぶって口を開け、樺谷の性器を
しゃぶり始めた。
まずは全体に唾液をたっぷりとまぶし、上下に舌を這わせる。樺谷の物は丑嶋が関係を持っている
男達の中で最も大きいので、丑嶋の口のサイズには少し苦しいくらいだ。咥えられないので亀頭の
裏筋を嘗め回しながら竿を唇で挟んでやると、すぐ上にある尿道口から塩辛い先走りが流れてきた。
何だかんだで樺谷も興奮しているようで、大して濡らさなくても十分濡れている。樺谷も自覚は
あるらしくすぐに丑嶋の口から引き離した。
早く射精して丑嶋に笑われないように急いで準備すべく、自分のスーツのポケットからローション
の入った小さなボトルを取り出した。
「ローションなんて使うつもりか、テメェ・・・。ソファが汚れるだろうが」
今更ながら無茶を言う丑嶋を爽やかな笑顔で無視し、少量のローションを手の上に出した。
「指を入れるよ」
樺谷は嬉しそうな声色でそう言うと、グッと腕を伸ばして邪魔なズボンや下着をかき分け、丑嶋
の股間まで伸ばす。指の腹に皺の寄った皮膚の感触が当たり、そこに的を絞りこんでローションを
塗りつける。慣れているといってもすぐにやれば怪我をさせてしまうので、樺谷は慎重に硬く意固
地な後孔を撫でてやった。
数度撫でるのを繰り返してやると、おちょぼ口な後孔は自ら唇を伸ばし、樺谷の指に吸い付いて
きた。ここぞとばかりに人差し指と中指の2本を小さな穴の間に滑り込ませ、僅かな狭さの直腸に
指をはしらせ、前立腺を指の腹で押してやる。
「んっ」
途端に丑嶋から快楽と我慢を含んだ吐息が漏れだす。樺谷の指を咥えこんだ後孔は一瞬だらしない
ほど緩み、次にはキュッと締まってきた。樺谷は丑嶋の後孔の素直さにほくそ笑むと、先ほど少し
弄っただけで放っておいた性器を空いた方の手で性器を掴み、両手をせわしなく動かしだした。
樺谷の指は、男性にしては細い体に似合わず太く硬い。その荒くれの2本の指をギリギリまで引き
抜き、再び指の半ばまで埋め込んでやる。この深さまで指を沈めると、ちょうど前立腺を弄りやすい
のだ。後は思う存分指で前立腺を攻めてやるのみだ。
指の腹に感じる硬いしこりをグッと押したり、指の先でくすぐってやると、不埒な侵入者を攻撃
するように強靭な括約筋が指を締め付けてきた。それに、締めつけているのは入口だけではない。
直腸の壁が排泄物を送り出す時のようにざわめき、指のサイズに合わせてピタリと包みこんでくる。
締めつけに負けないように指を蠢かすと、やがてローションが樺谷の指と丑嶋の内部の体温にとろけ、
女性器のように蜜を流し始めた。
「もう入れても良いね」
樺谷は丑嶋の内部から溢れ出た蜜が渇く前に、と慌てたように動き、ソファの上に膝立ちになった。
正常位で交わる為に丑嶋の大柄な体に覆いかぶさるようにすると、どこまでも硬い筋肉で張りつめた脚
を開かせる。そして根元を持った性器の先端を蜜を流す後孔へと押しつけた。
「丑嶋くん。入れて良い?」
樺谷の性器が後孔に当てられたまま、後孔周りのわずかにふっくらとした部分を円を描きながら撫でて
きた。丑嶋は屈辱を感じ樺谷の余裕たっぷりの横っ面を殴ってやりたくなった。だが、それ以上に後孔を
撫でる性器の熱さと、あの大きさを思い出して体が火照り、手はソファに爪をたてるだけに止まる。
本来、丑嶋は男とセックスする場合は騎乗位がほとんどだ。相手の顔を見ながら馬乗りになり、自分の
ペースで腰を振って性感を調整できる騎乗位は、丑嶋自身のコンプレックスに言い訳が出来るからだ。丑嶋
としては、本当は、抱かれる、ということ自体胸糞悪いのだ。
けれども、体は時として正直で、日常では抑えているのに、調教された奥を暴かれたいという欲望を叫ぶ。
それがセックスの時に前面に出てしまう。男として絶対的に屈辱の筈なのに、抱かれたいと思ってしまう。
欲望は強力だ。まだ中学生の時に数人の男に無理矢理されて目覚めてしまったが、今更どうしようもない。
それと自分とのプライドの折り合いの付け方としての最大限の譲歩が、自分を抱く立場である男を見下ろし、
征服した感じが味わえる騎乗位でのセックスという結果だ。
なのに、樺谷相手には犯され、見下ろされる正常位を許してしまう。一つには、樺谷の軽そうだが綺麗と
言える顔、それに巧みなテクニック。それに丑嶋の優越感や支配欲を屈伏させるに値する性器の猛々しさ。
原始的で、野蛮でどうしようもない性欲。だが、逆らえない樺谷の魅力に丑嶋は屈服した。丑嶋は後孔に
押し当てられている樺谷の性器の根元を自ら掴み、脚を樺谷の腰に絡めて自分の方へ引き寄せる。
「もう・・・、入れろ」
上擦ったたどたどしい言葉を欲におぼれきった表情で呟く。人としていかがなものかと言う程の冷静沈着
な態度、10日5割の利息で金を貸すという底辺相手の商売をしているのに、どこまでも凛として崇高に振る
まう丑嶋の普段を知っている者ならば、我が眼を疑うだろう。特に、心酔している柄崎なんか辺りが今の
丑嶋を見たら、首を括るか、会社のビルの屋上から飛びおりかねないだろう。もしかしたら、樺谷のように
男として欲望を煽られ、丑嶋に襲いかかるかもしれないが。
そんな風に妙な想像が出来るほど、丑嶋の態度は蕩けていた。
「じゃあ、失礼しまーす」
こんな場面にも関わらず、樺谷は何処までも明るい声を出し、何度も侵入したことがある慣れ親しんだ
場所へ一直線に突き進んでいった。
「うぅあああっ!あっ!」
待ち焦がれた樺谷の到来に丑嶋の口から悲痛な声が出た。やはり、大きくてそれなりに痛いようだ。
樺谷は丑嶋の腰を抱え、痛みで深入りを拒む頑固な直腸に鉄槌を喰らわせるように根元までねじ込んだ。
「ふ・・・っ、太い」
細かい深呼吸をし、丑嶋は自分の体の内部を満たす樺谷に慣れようとした。この異物感を超えれば、目も
眩む程の快楽が訪れてくれることは知っている。
「・・・っ、うう・・・」
樺谷の背中に服越しに爪を立て、苦痛が快楽にすり替わるのを待つと、ジワジワと直腸から体の中を
上がってくる感じが来た。眉間に寄っていた皺が段々無くなり、生まれてきた快楽に至福の表情が浮かぶ。
はふっ、と熱い吐息が丑嶋の口から漏れたのを見計らい、樺谷が激しく腰を振り始めた。
「うっ、うんっ、んっ」
緩急をつけた激しい動きに閉じていた後孔は瞬間開き、気泡が混じった白い蜜が性器の間から吹き零れた。
蜜は丑嶋の蟻の戸渡りを伝ってソファに流れ落ちた。丑嶋は感触で何となくソファに粗相をしてしまった
のが分かったが、激しく抽送を繰り返す腹の中の性器を感じるので精一杯になってしまう。
「・・・ばやっ、凄ぇっ!」
すっかり翻弄された丑嶋は樺谷に腰を抱きしめられる。重なり合った肌が互いの衣服同士に擦り合う。
丑嶋の胸は未だ性感が残っているので、服越しにでもまた乳首が反応し始めた。ツンと勃起した乳首が
目印となり、樺谷は誘われる様に腰を振ったままで丑嶋のシャツを捲りあげ、胸に吸いついた。
「ひっ、おおっ!」
直接肌に触れてはならない、という暗黙のルールを無視し、自分のしたいように振る舞う樺谷に丑嶋は
怒りを覚える。だが、それ以上に直接歯で乳輪を噛まれ、無残に変形してしまった乳首を舐めまわされる
のは堪らない。普段は抑えられる声が全く抑えられず、車外との温度差で曇ったドアに反響して響く。
丑嶋はコントロール不能な自分の喘ぎ声を諦め、せめて聞かないようにと両手で耳を塞ごうとした。
しかし、樺谷の手が丑嶋の手を捕まえ、自分の肩に回させた。腰と違い、肩に回させたことで自然と
丑嶋の顔は樺谷の顔の近くに来て、荒い吐息が樺谷の耳をくすぐった。
「ぐっ?!樺谷!オイッ、テメェ・・・、んっ、何でまた大きくなってやがんだよっ」
不意に直腸の中で性器が膨らみ、丑嶋は慌てた。ただでさえギリギリの大きさなのに、まだまだ膨らむ
なんて卑怯だ。
けれど、この膨らみは完全に拡張されてしまった後孔には大きな負担にならず、反対に腹を掻きむしって
暴れたいような強い快楽が生まれて困ってしまった。これ以上乱れたら、自分を保てなくなり、樺谷に縋り
ついてしまいそうになる。
そんな丑嶋の心が見えている訳ではないのだが、樺谷は力任せの突きを緩め、巧みに動いて丑嶋を更に
翻弄する。漫然と突くのではなく、一突きごとに強弱を変え、刺激が平坦なものにならないようにする。
おまけに丑嶋の性器は樺谷の腹に擦られっぱなしだ。
丑嶋はついに背中を弓なりにし、喉を晒して体の力を抜いた。もう樺谷の好きにさせてくれるようだ。
だが、性器が強弱をつけて抽送を行う度に太ももはギュッと硬く引き締まり、樺谷の腰に絡んで止まない。
「もっ、来る・・・」
丑嶋が小刻みな痙攣をしながら、下から上に下半身を爆ぜるように急に反らした。
「う・・・ん。もう出るのかい?じゃあ、俺も」
急に丑嶋の内部の直壁が活発にぜん動を始めたため、樺谷の性器は粘液を体全体に纏わせた軟体動物に
絡みつかれたようだ。耐えがたい射精感に身を任せ、樺谷はひと際深く腰を振り下ろした。
「くう・・・、ふ・・・」
溜まり溜まった欲望を互いに高めあった末、樺谷は丑嶋の最奥で射精した。丑嶋も樺谷に遅れること数秒
後、樺谷の腹の自分の腹の間に挟まれたままで射精した。勢いよくでた白濁は、未だ吸われて赤く腫れあ
がった乳首のある丑嶋自身の胸へ散った。
一呼吸置いてから樺谷は丑嶋の中から抜け出た。やがて、太い竿を抜かれてすぼみきらない後孔からは
樺谷の出した白濁が流れ出した。先程は夢中で気が付かなかったが、思いだしてみればコンドームをする
のを忘れていた。
射精して急に冷静になった樺谷は寒さを感じ、性器をティッシュで拭くと衣服を整え始めた。脱いでいる
のは下半身の一部のみなのですぐに終わった。
衣服を整えた後はルームミラーを覗きこみ、手ぐしで髪の毛を整えた。
大体元通りになり、ソファに寝ている丑嶋を見てみると、先程と寸分違わぬ恰好で寝ていると思いきや、
流石丑嶋。下着とズボンを上げ、樺谷に捲られたシャツを下ろし、必要最低限の身なりを整えて寝ていた。
きっと、胸に飛んでしまった白濁もきっちり始末しているだろう。
だらしない恰好で気だるげにまどろむ人間臭い丑嶋を見れると思っていた樺谷は落胆し、下を向いた。
「あ・・・。こんな所に」
樺谷の目線の先には、10万円程のお札がきっちりと二つに畳まれて置いてある。恐らく、丑嶋のポケットに
ねじ込んだ金だろう。
忘れられてはかなわない。何より、強引なセックスに持ち込んだ事を責められない為に、一種の示談金と
して受けとってもらわねば。樺谷は金を拾い上げると、まだ横になっている丑嶋のシャツを再び捲り上げた。
「何しやがんだよ・・・」
丑嶋はいつのまにかいつもの態度に戻り、樺谷を睨んできた。だが、心なしか睨む眼は赤く充血していて、
潤んでいるように見える。
樺谷は丑嶋の肌に触れてみた。肌はまだまだ汗ばんでいる。特に、白濁が降り注いだ部分は一際じっとり
しているようだ。
手を離し、金を1枚1枚丑嶋の胸の上に置いていく。10枚から11枚程だと思っていたが、置きながら改めて
数えてみると、18枚もあった。先程車内の時計を見てみたが、セックスをしていた時間は恐らく50分ほど。
随分と高い時給をあげてしまったものだと樺谷は笑い、丑嶋の手を取り、胸の金の上に置かせた。
丑嶋は不機嫌そうな溜息をつくと、ギュッと金を握りしめた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
以上です。お目汚し失礼しました。高級娼婦状態の社長。あと前回書き忘れましたが、滑丑分含めレスくれた
かたありがとうございました。
それにしても、アナニーに媚薬か・・・。ニヨニヨ。
貴重なスペースお借りいたしまして、ありがとうございました。
>>440 強引に社長を組み敷く樺谷、ホント最高です!
また機会があればお願いします。
>>440 いつも貴重な社長受を有難うございます!禿萌えしぬる(´д`*)
カーセクースGJでした!
でも社長はシートのクリーニング代考えたら18万でも安かったなとか思ってそうw
またのご投下を期待しておりますm(_ _)m
>>102 遅レスでごめんなさい
懐かしいコンビにニヨニヨです
ありがとうございました
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ブレイクブレイドのジルライ話だよ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 原作8巻のアレは完全無視。少しにょた気味。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
環状外門は放棄された。
王都に居住していた多くの市民は、オーランド国境付近に位置する街に避難した。
いまこの地に残っている者の多くは兵士であり、騎士であり官吏の類いだった。そしてごく少数の民間人が混じっていた。
侵攻を続けるアテネス連邦軍との休戦協定は、明日正午を境に破棄される。
緊張と興奮。動揺と高揚。相反するさまざまな感情が静かに王都を満たし、クリシュナ王国最後となるかもしれない夜が過ぎていく。
この土壇場で、それでもまだ活発に活動を続けているのは、昼夜を問わずゴゥレムのメンテナンスや改良改修に携わる、魔導技術士団ぐらいのものだった。
石英を研磨し、圧縮、合成、接合するさまざまな音が鳴り響くハンガーで、ライガットは配給の固パンを咀嚼していた。その視線の先には、この国の王妃であり、ライガットの親友でもある最上級魔導技術士のシギュンがいた。
いつもの赤いフードから覗く横顔には、隠しきれない疲労が頬の陰りとなって表れている。
いまになってもまだ彼女が懸命に補修を進める機体は、味方からも『異形の』と称される古代ゴゥレムだ。
黒銀のボディに、追加された新装備が、見ている端からもぞくぞくと取り付けられていく。
一日の稼動限界時間が短いデルフィングは、実戦形式で訓練を積む時間がほとんど取れない。
頭のなかで繰り返される戦闘シミュレーションは、休戦協定が結ばれてからこの二十日間、ずっとライガットの脳裏を占めて離れなかった。
どのように触れ、どのように操作すればどのように、デルフィングが応えてくれるか。
全長の倍ほどはある長槍に、貫通性能を高めた投擲武器。苦手だった両手両足のパーツをそれぞれに動かして、複雑かつ立体的に操縦する術も身につけた。
プレスガンを用いない純粋な模擬格闘戦なら、サクラ近衛大隊長相手にさえ、五戦五勝するほど近接戦には習熟した。
いまの自分なら、たとえボルキュス相手でも、二度とあのような無様な結果にはならないという自負がある。
デルフィングの性能だけに頼った、技巧もへったくれもない力任せの戦いは、絶対に――。
ハンガーを見下ろすキャットウォークには、多くの魔導技術士のほか、作業を見守る重騎士の姿も複数見られた。鎮座する自分の愛機を前に、明日の決戦に思いを馳せているのだろう。
見渡す視線の先、ちょうどハンガーのどん詰まりに位置する細い通路の入り口に、ライガットには見慣れた男の姿が現れた。付近の兵士や歩哨たちが一斉に、ざっと踵を打ち鳴らして敬礼をする。
作業の手を止めて頭を下げてくる技術士たちへ、「構うな」と片手で続きを促して、クリシュナ国王ホズル9世はひとしきり辺りを見渡した。
細かい表情の判別まではし難い距離を置きながらも、ライガットはホズルが穏やかに、自分に対して微笑んだのが分かった。こちらもそれに応えるように、大きく右手を一度振ってみせる。
親友は肩に乗せたグラムの嘴を撫でると、護衛を連れてまた通路の先へと消えた。
「仲の良いことだな。おまえと王妃のどちらを見に来たのだか」
「んなのシギュンに決まってんだろ?」
なにアホなこと言ってんだよ。
突然背後からかけられた言葉にそう返せば、くくっと喉の奥で嘲笑う声がした。
振り返らなくても、この悪趣味で意地の悪い声の主など、誰であるかはとうに分かっている。
すっと横に並んだ赤髪の長身を見上げて、ライガットは固パンの最後の一欠けらを口に放りこんだ。
髪も赤ければ目も赤い、ついでに言えば搭乗する機体さえ真っ赤という赤色尽くしの男は、ライガットの視線を受けて、嘲りの気配をより強めた。
「さきほどの国王の位置からでは、デルフィングの後方に回っていた王妃の姿は見えなかった。そのぐらい、貴様とて気づいていただろう。夜を徹して働く妻を労わりに来たのなら、なぜ声もかけずに去っていく?」
「おまえなぁ。いい加減、邪推するのも大概にしろよ。あいつの妻はシギュンなんだぞ?」
俺がホズルと、いまさらどうこうなるわけねぇっての。頭の悪いこと言ってんな。
行儀悪く、口の中でもぐもぐとパンを咀嚼しながら、ライガットは溜息交じりにそう言ってやる。
言われた当の相手は、女のように優美な曲線を描く眉をついと上げ、愉快そうに目を瞬いた。
「いまさらどうこうということは、過去にはそれなりのことがあったというわけだな」
「あー……、まーな。俺がアッサム国立士官学校を中退するときのことだよ。父親に頼んででも学費を肩代わりさせるから、士官学校を卒業したっていう資格を得てくれって。
そうすりゃ、市民階級出身でも貴族に対して言い訳が立つからとかなんとか。あいつ、一時期、心底俺に惚れてたからなー」
スゲーだろ。次期国王さまに「結婚してくれ!」って迫られたんだぜ、俺。
面白そうに、心底面白そうにそう言って、ライガットはふわぁ、と一つあくびをした。
明日正午の休戦協定破棄に合わせて、必ずやボルキュスは王都への進軍を開始するだろう。
王都守備防衛部隊の最前線に立つことを任じられているライガットは、そろそろ自室に戻って寝るか、と背を向けた。
そこにまた、悪魔の囁きじみた嗤い声が耳に滑りこんでくる。「ライガット」と呼びかけられては去るに去れず、ライガットは渋々またジルグに向かい合った。
「過去にそこまで惚れこんだ相手がいまや、自国の救世の主さまだ。鞍替えする気持ちの一つぐらい、湧いたところでおかしくはあるまい? 国王からそうした誘いはなかったのか」
「あのなぁ……。俺の親友二人を侮辱するのもいい加減にしろよ。おまえが言うようなことはなにもなかった。これからだってないし、そうなる可能性もまったくない。殴られたいのか?」
腹立たしさにまかせて拳を握りしめれば、ジルグがその身を屈めて顔を寄せてくる。
す、とその左手がひらめいて、グローブに包まれた手のひらがライガットの右頬を包んだ。
えぐるように目尻を撫でてくる指先にぎょっとする。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
思ったより長くなってしまったので、ここで一時中断します。
ちょっとどころじゃなく、女体化になってて申し訳ないOrz
ほかに投下される方がいないようなので、残りの7話、投下再開させていただきますー。
「な、……」
「なら、今夜は俺に付き合え。明日に差し支えない程度に遊んでやる」
言うが早いか、くちびるがくちびるで覆われる感触に、一瞬ライガットは呆けた。
間近すぎてぼやけた視界のすべてが、ジルグの赤い髪と目で埋まる。いまこの瞬間、男の目は嗤っていなかった。
口腔内に滑りこんでくる舌に噛みついてやるには、頬を包む手が邪魔だった。
左手ひとつで顎を固定され、思うさま蹂躙される。ハンガー内に響きつづける石英の固い加工音に混じって、自分と相手のくちびるから漏れる濡れた音に、ライガットはしばし時間を忘れた。
振りほどきようがないので、代わりに思いきり相手の脛を蹴り上げる。
爪先部分に石英をしこんだ軍装のブーツだ。的確に当てたなら、骨さえ折り砕くことができる。
さすがにそこまではできず、――――こいつも明日は重要な戦力の一つだ。それでも押しやるように蹴りつければ、相手は存外素直にくちびるを離した。
「手荒いな。国王はよほどのじゃじゃ馬好きと見える」
「人にいきなり無体を強いておいて、言うことがそれか! シギュンはじゃじゃ馬なんかじゃねーよ!」
「それで今夜、俺に付き合う件はどうする?」
「人の話を聞くってことが、てめぇにはできねーのか!!」
右頬を掴んだままの手を荒く振り払って、ライガットは怒り心頭のまま睨みつける。
ジルグは涼しい表情のまま、これ見よがしに、自身の濡れたくちびるを舐めてみせた。
くちづけられたことに対する羞恥がいまさらながらに沸いてきて、ライガットの意思に反して頬に血が上ってくる。
「お断りだ。付き合う義理もねぇだろ」
「なら、国王との最後の晩餐に臨むのか? ミレニル部隊出撃前夜のように?」
「な、なんであの晩、酒を飲んでたって知ってるんだよ?」
「言わなかったか? いまや国王と王妃とおまえ。この三人の関係は城内の多くの耳目を集めている、と。
貴族の占有特権を廃止した画期的な国王として、市民からの支持が高い国王が、その象徴として選んだのがいまの王妃だ。
だが工房に篭りきりで、王妃として王の傍に侍ることをしない王妃との不仲は、結婚当初から噂になっていた」
そこにおまえの登場だ。学生時代の親友にして、いまや救国の英雄殿。
「アッサム国立士官学校に留学していた貴族の子息は、おまえたちの代以降も相当数いたことを失念しているようだな。持ち帰られた噂話は本当だったらしい。
国王は学生時代、親友に恋をしたが思い果たせず、なにより相手は100万人に一人の『能無し』だったとか」
「一年間、独房入りしてたわりには、噂話に詳しいじゃねーの」
引き攣る頬を誤魔化すように笑ってみせても、見逃してくれる相手ではない。
それでも、これだけは言っておかねば! とライガットは目に力をこめて相手を見上げた。
「ホズルとの関係がどうとか、あいつとシギュンの仲がどうだとか関係ないんだよ。
俺はおまえとキ、……キスしたりだとか、まして寝るだなんてお断りだ! 俺をそういう目で見るんじゃねぇ!」
「なぜだ」
「なんでもくそもあるか! 俺が! おまえのものになるのが嫌なんだ!! いい加減分かれ!」
「俺が嫌いか? ライガット」
「嫌いじゃねーけど、応じる気はねぇ。ただの同じ部隊の仲間で我慢しろ」
おまえが俺の背後を守ってくれるから、俺は明日、ボルキュスだけを見て突撃できるんじゃねーか。
なんでそんな日の前の晩に、こんなくだらないことで喧嘩しなくちゃならないんだよ。
そう、情けなく目尻を下げるライガットを見下ろして、ふぅ、とジルグもまた肩を落とした。
嘲笑うようだった表情が普段の、それでも人を食った笑みに変わる。
「き、気持ちは嬉しいけど……」とぼそぼそ言い訳のように呟くこちらに向けて、再度差し出された左手は優しく頬を撫でた。
「出会うのが遅すぎたというわけか? 陳腐な話だ」
「ちげーよ。俺はいまも昔もホズルには、友情以上の気持ちなんて感じてない。
けど、いまの俺はこの国の重騎士だ。気楽でしがない農民とは違う。あいつの国を守ってアテネスと戦うって決めたあの日から、俺は重騎士としてあいつに仕える身なんだ。期待も威信も裏切れない」
「部隊内の恋愛が国王への裏切りになるのか」
「れ! ……恋愛とか、そういうんじゃなくて、俺が万全の状態で戦えるよう頑張ってくれてるシギュンにも悪いだろ。
あんな忙しくしてるのに、俺がおまえとその、……どうこうするとか、しないとか」
どうこうするの内容が想像されて、かーっとさらに頬に熱が集まる。
グローブ越しの手のひらの大きさを感じて、ライガットは浅く、細く息をついた。
まさかホズルたちとの関係から、こんなふうに話が進むとは思わなかった。
これでは自分は、思いのすべてを吐露しているのと同じではないか。
重騎士として任命されたあの日から、自分とホズルの関係はただの元学友。友人ではなくなった。
それに安堵した理由は、シギュンへの後ろめたさからだけではない。
「明日が、待ち遠しいな」
「なんでだよ」
「敵の大将を殺し、軍勢のほとんどを撤退させることができれば、おまえの肩の荷も少しは軽くなるだろう?
背徳感に繋がる理由が一つでも減れば、それだけ俺はおまえを手にすることができる」
「勝手ばっか言うなよ。おまえ、俺が延々ずっと断り続けるかもって考えたりしないのか」
「ないな。おまえが俺のこの手を振り払わない限り、それこそ『あり得ない』ことだろう?」
つつ、と今度は抉るようにではなく、撫でるように指先が目尻を撫で、もう一度その丹精な顔が近づいてくる。
くちびるに感じる相手の呼気に、ライガットは背筋が震えるのを止められなかった。
嫌いでない相手にそうして頬を寄せられて、どうして建前以上の断りが口にできる?
「同情など俺の柄ではないが、アテネス部隊は悲惨に尽きるな。俺は明日、おまえ以上に奴らを殺すぞ」
おまえは真っ直ぐ、ボルキュスだけを狙え。
くちびるとくちびるが触れるほどの距離で囁かれる言葉に、深く、強く頷きを返す。
言ったからにはこの男は確実に、それをやってのけるだろう。自分はただ課された役目を果たすのみだ。
ボルキュスを殺す。ペグー山で果たせなかったことをやり遂げ、この戦いを終わらせる。
「明日が待ち遠しいな」
そうは思わないか? と耳元に滑りこむ言葉に、ライガットは震えながら、再度頷きを返した。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 最後の最後で連投にOrz 失礼しました。
| | | | ピッ (・∀・ )
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
ぴク差ー、玩具話3で宇宙船氏×保安官です。3のネタバレを含みます。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「スタッフミーティングだ!集まってくれ!」
陽気な声が部屋の中に響く。可愛らしい子供部屋の持ち主にしては男らしい声に応えて、
ぞろぞろとベッドの脇から、タンスの上から、お菓子の缶の中から、出てくるのはなんと色とりどりのオモチャたちだ。
その中央に立つのは、すらりと手足の長いカウボーイ姿の人形。我らがリーダー、シェリフ・宇ッディ。
簿ニーお気に入りのお人形セット付属のマイクスタンドを手に、宇ッディがぐるりと周りを見回す。
『あーあー、聞こえてるかい、みんな?』
「聞こえてるよ、宇ッディ!」
真っ先に尻尾を振って答えるのは、もちろん素リンキーだ。その横で、愛馬ブルズ亜イがぶるると嬉しそうに鼻を鳴らす。
その柔らかな毛並みに手を乗せたジぇシーは大きな瞳でぱちんとウィンクして「聞こえてる!」の合図だ。
「オーケーオーケー。…チャック流ズ!」
観衆の反応に満足した宇ッディが、ちらりと窓辺を見て声を上げる。呼ばれたピエロ人形は、
もうずいぶん薄くなった眉間の皺を少しだけ寄せながら、「ここでちゃんと聞いているさ、宇ッディ」と不器用な笑顔を作ってみせた。
簿ニーの部屋に宇ッディたちが越してきて、もう数ヶ月になる。
最初こそ宇ッディは「簿ニーの部屋のリーダーはチャック流ズであるべき」だと散々主張していたが、
度ーリーや戸リクシーといった強い女性陣が宇ッディこそリーダーに相応しいと提案したことに加え、
当のチャック流ズがまったくそんな立場に興味がないときっぱり言ったために、宇ッディも渋々といった形で承知した。
しかしいざ就任すればリーダー肌の染み付いた宇ッディのことで、すっかり張り切って今日もミーティングに精を出している。
そんな宇ッディのことをポテトヘッ度やハムがひそかに茶化しているのは、いつもの光景だ。
『それで?みんな集まった?』
別に音が出るわけではないオモチャのマイクをぽんぽんと指で叩きながら、宇ッディが素リンキーに顔を近づける。
素リンキーは保安官の要求を素早く理解して、いつもの人数確認を短い足で指差し始める。
「えーと、ブルズ亜イにジぇシー、戸リクシーとバター可ップ、ミスタープリックルパン津にポテトヘッ度とミセスとハム、
…レック巣!落ち着いて立ってろ、数えづらいぞ!あー、戸トロ、度ーリー…お豆三兄妹は?」
「「「ここだよー!」」」
可愛らしい声が弾けて、リトル具リーンメンの大きな目玉の背後に隠れていた緑豆たちが飛び出してくる。
「ウオオ」とエイリアンたちが声を上げて、その手にひとつずつ豆たちを受け止めてにっこりした。
「そうか、みんな集ってるか…… んん?」
満足げに周囲を見渡していた宇ッディが、眉と首を曲げて腕組みする。
「場ズがいないぞ」
その言葉に、にわかにおもちゃたちがざわざわとしはじめた。
宇ッディの一番の親友であり相棒だ。責任感の人一倍強い彼が、スタッフミーティングに遅刻するなんてことは初めてに近い。
「場ズ、どうしたの?」
小心者のレック巣が、すぐに怯えたように目をきょろきょろとさせる。
そこへポテトヘッ度がにやりと唇を曲げて「きっと本物の宇宙戦士と間違われて宇宙人に連れてかれたのさ」と意地悪な口調で言うものだから、
レック巣はたちまち「キャー!」と悲鳴を上げた。
その震える手には『宇宙人の再来〜キャトルシュミレーションの恐怖〜』と書かれたホラー本が握られている。
「場ーーーズーーー! ダメだわ、出てこない」
人間に気付かれない程度の声で呼んでいたジぇシーが、心配そうに首を振る。たかが子供部屋一つのサイズだ、そう広い空間でもない。
「俺が探してくる、君たちはしばらくここで歓談していてくれ。きっとバズは、うん、そうだ、トイレにでも行ったのさ!」
カウボーイハットを斜めに被り、宇ッディがいまにも暴走しそうな元案ディ部屋のおもちゃたちに釘を刺してから背中を向けて
ぴょんぴょんと飛んでいく。まずはカラフルな洋服ダンスの端っこに手をかけて、器用に後ろに潜り込んだ。
ミーティングに現れないオモチャは、ベッドの隙間かタンスの後ろに入り込んでし
まっていることが多いというのが宇ッディの経験から得た知識だ。
(まさか、外に出てるなんてことなきゃいいけど…)
皆の前では見せない不安顔を浮かべながら、やや埃っぽいタンスの後ろを壁に背をつけるようにして進んでいく。
すると、奥の方にぼんやりと光るものを見つけて宇ッディはほっと息を吐いた。
あの緑色の光は、見慣れた宇宙戦士の蛍光塗料のものに違いない。
ゆっくりと近づいて行くと、タンスの背にもたれかかるようにして倒れている場ズの姿があった。
「おい、場ズ!いくらなんだって、ここを寝床に決めるのは趣味が悪いぜ」
どうやら寝てしまっているらしい相棒に、宇ッディがにやにやしながらうつぶせになっている場ズの背中を叩く。
「確かに簿ニーのベッドシーツは、あぁ、多少可愛らしすぎるところがあるけどさ…」
だが、宇ッディの言葉はそこで止まった。急に、ぐりんっ!!!と場ズの顔が百八十度回転したのだ。
「ひっ!」
悲鳴を上げかけた宇ッディの脳裏に、数ヶ月前の記憶が蘇りかける。こういう事態が、少し前になかったっけ…。
宇ッディの不安は、次の場ズの発した言葉によって見事に的中した。
『Estoy por eso aqui eso cerraria por que hoy』[こんにちは、僕はどうしてこんなところにいるんだろう]
「おい…またか……!?」
流れるような異国の言語に、宇ッディはうんざり顔でハットに手を遣った。
場ズの隠しコマンドである、スペイン語モードはジぇシーによって大分コントロールができるようになったはずだ。
どこかで身体をぶつけたかなにかで、またリセットボタンを押されてしまったのだろうか…。
「あー…場ズ…?」
身体だけでなく、精神までスペインモードになってしまった場ズはかなり厄介だ。とにかく何とか言いくるめて仲間たちの元に連れて
行くしかない…と宇ッディが場ズの肩に手をかけた瞬間、その手が何かに強く引っ張られた。
「へ?」
突然宇ッディの視界が回転して、天井を真正面に見上げる形になる。
そこへ、場ズの真剣すぎる顔が映りこんできて、宇ッディは思わずごくりと唾を飲み込んでしまった。近い。あまりにも近い!
『Hecho a la senor bastante joven, me ayudas?』[美しいお嬢さん、君が僕を助けてくれたの?]
「セニョールゥ!?」
ようやく聞き取れた単語に、宇ッディが目を剥く。と同時に、自分が場ズの腕に抱きこまれていることに気付いた。
そう、まるでお姫様のように…。「待て待て場ズ、俺はセニョールじゃない!カウボーイだ、アミーゴ、アミーゴ!!!」
『amigo?Hice un amigo a una senora joven tan bonita?Entonces viejo era el ser humano que podria hacer paciencia muy』
[友達?僕は君みたいに美しいお嬢さんを友達にしていたのかい?それなら昔の僕はとても我慢のきく人間だったんだろうな]
前回の騒動で覚えた友達を指す言葉を精一杯主張してみるが、スパニッシュ場ズは小首を傾げると、一層うっとりとした目つきで宇ッ
ディの丸い瞳を覗き込んでくる。完全に、恋する熱い男の視線だ。
あまりにも情熱的すぎる瞳に射られて、宇ッディは心臓が早鐘を打つような錯覚に襲われた。
いつもの誠実ではあるが朴念仁な場ズとは正反対だ。
細い腰を支えられている腕は力強く、とても逃げられそうにない。
ただのバグだと分かっているのに、場ズに本当に口説かれているような気すらしてしまう。
「ば…場ズ」
怯えと焦りが混じって掠れ気味になってしまった声は、さらに恋する男を攻撃してしまったらしい。
場ズは感に堪えないといった表情で喉を鳴らすと、空いている方の指で宇ッディのつるつるとした頬を撫で上げた。
『Asi…Me siento bien en absoluto cuando toco a la senorita oven en tal una oscuridad…』
[ああ…こんな暗闇でお嬢さんに触れていると、僕はとてもいけない気分になってくる…]
ただの古ぼけた衣装ダンスの裏も、今の場ズには妖しくゆらめく恋のステージに見えているらしい。
低い声の中にはっきりと情欲のようなものを感じて、宇ッディは今度こそ本気で抵抗を始めた。
「まっ…待てって場ズ!とにかく落ち着け、落ち着くんだ…落ち着けってば!!」
『Moga Moga』[モガモガ]
宇ッディの掌で顔を覆われて、場ズがふんふんと鼻を鳴らす。しかし次の瞬間には宇ッディの身体はくるんと見事なターンを決めさせ
られるとふわりと宙に舞い、また場ズの腕の上へとすっぽり収まった。
『Es una persona terrible.?Te me niegas a?』[酷い人だ。僕を拒絶するの?]
あっという間もなかった。ピンクのハートが浮かぶ瞳が近づいてきたかと思うと、唇は塞がれていた。有無を言わさず舌がなだれ込ん
できて、宇ッディの顔が蒼白になる。なんとか抵抗しようと手を伸ばすが、場ズのプラスチック製の身体はいくら掴んでもつるつると
滑るばかりで、まったく歯が立たない。
「ん……んちゅっ…う、ンン、ば、ず!」
宇ッディより幾分小さめの場ズの舌は器用に動いて、顔を背けようとしても後頭部を押さえつけられてまたいやらしく絡んでくる。
すっかり酸欠気味になった宇ッディが目を白黒させはじめた頃、ようやく唇が離された。
『maravilloso.』[素敵だ]
嬉しそうに、場ズが濡れた宇ッディの唇を指でなぞる。その慣れたような手つきと囁き声に宇ッディの青かった顔はみるみるうちに
赤くなり、勢いに任せて場ズのヘルメットをばちんと叩くとざっと身を離した。
『…senorita?』
「俺は!セニョリータじゃない!」
宇ッディの怒声に重なるように、頭上から賑やかな声が響いてくる。
どうやら、待つのに耐え切れなくなったオモチャたちが様子を見に来たらしい。
「場ズ!!!そこにいるの!?」
「宇ッディ、場ズ、今助けに行くからな!」
ハッと顔を上げた宇ッディが、慌てて上に向かって手をぶるぶると振る。
「お、おいやめろ、素リンキー!ジぇシー!レック巣!そんなに大勢で来たら…」
「「わ、わわわわわっ!!!」」」
宇ッディの制止は既に遅かった。プラスチックがぶつかり合う音が派手に響いて、飛び込んできたオモチャたちと下敷きになった
宇ッディと場ズが山を作る。一足先にずりずりと山の下から這い出してきた場ズは目をぱちくりさせると、
目の前の惨状に首を捻りつつ一言呟いた。
「…宇ッディ、これは大運動会か?」
こうして場ズは無事に救出されたが、なぜかその後のスタッフミーティングはリーダーの不在で中止になった。
更にしばらくの間宇ッディは場ズが話しかけるたびに急いで顔を背けるようになり、すわケンカかと裏ミーティングが開かれる事態にまで発展したが、
場ズにまったく覚えが無いと知ると宇ッディは渋々和解した…ように見えた。
だがお約束的展開として、二週間後。
『Ve de nuevoun senorita de la semilla. No te separo este tiempo』[また会えたねお嬢さん。今度こそ離さないぞ]
「おい、またかよ!!!」
「おい見てみろよみんな、場ズが宇ッディに求婚してるぜ」
「あらカウボーイ、いいじゃない。私の占いにも出てるわ…あなたたち、きっとうまくいく」
「やめてくれ、度ーリー!…助けてくれ、チャック流ズ!」
「あ…あー…俺は、その…ピエロだから」
「おーい、場ズと宇ッディの結婚式だ!派手に飾れい!」
「「ウオオ」」
と、賑やかな簿ニーの部屋ではまたひと悶着起きるのであった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
スペイン語はびっくりするほど適当です。
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次スレお願いします。
藤/崎/竜版の屍/鬼で徹×夏野です
「もしも夏野が屍鬼達の幹部になっていたら」という捏造if設定なので苦手な方はご注意ください
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
人ならざる者屍鬼の集落、外場村は頂点に兼正の沙子を頂き、僅かな人狼に統率される3つの集団に
分けられる。
倉橋佳枝率いる屍鬼として起き上がったばかりの者を教育する山入、辰巳率いる屍鬼としての生活に
慣れた者が起居する外場村、そして結城夏野率いる都会班である。
都会班は屍鬼ばかりで獲物となる人間がいない村から自動車道で都会へ屍鬼を送り、狩りを采配する。
また自分で狩りを行えない仲間のために餌である人間を都会から間引いてくる役割も担っていた。
深更、村に都会班が帰ってくる。村中で遠征した屍鬼達を降ろすと、バンは山入へと分け入っていった。
「お疲れ様!辰巳が結城くんのこと待っているよ!」
バンを待ち構えていた佳枝は、降り立った夏野に声をかけるとテキパキと教育係の屍鬼達に指図して、
家畜をトラックで移送するごとくバンから人間達を引き摺り下ろしては檻へと連れて行かせる。
夏野は無言で頷くと、バンを運転していた傍らの武藤徹を見上げた。
徹は唇を噛み、連れて行かれる人間達をじっと見つめている。
「行こう、徹ちゃん」
すっと脚を運ぶ夏野に遅れまいと、徹は慌てて夏野の一歩後ろを付いて行った。
―――ほら、あれが結城夏野だよ
―――私を攫うよう指示したのも彼なのね
―――傍らの青年は武藤徹といって、結城さんの子飼いだ
―――人狼だから、ヒトを襲わなくても俺達のように飢えないのさ。同じ化け物なのに
―――その辺で止めときなよ。兼正や人狼に逆らったり目をつけられたりしたら・・・
集落を横切る夏野達を、屍鬼の畏怖の視線と囁きが追いかける。人狼として身体能力や五感が発達した
夏野でなくとも、その囁きは徹にも聞き取れた。
徹は声を振り切るようにただ前を行く夏野の足元を見つめたまま歩いた。
「や!お帰り。今夜もご苦労様」
徹と夏野が外場で住処としている家には、辰巳が既にきていてリビングで待っていた。
夏野は辰巳に一瞥を投げると、対面のソファーに腰を下ろす。
時に冷酷な一面を露わにする辰巳を徹は苦手としていて、人狼同士の会合の際には給仕だけして
奥に引っ込んでいるのが常だった。
「俺、コーヒー用意してきます」
「ああいいよ、それより今日は武藤くんも座ってくれ」
にこにこと促され、仕方なく徹は夏野を伺うとそろりと夏野の隣に座った。
「で?用件は?」
「沙子がきみのことを褒めていたよ。『よく働いてくれている』って」
「どうも」
徹は無愛想な夏野に辰巳が機嫌を損ねないか、はらはらと忙しなく二人を見やる
「ただね、きみが間引いてくる人間なんだけどね―どうして少年がいないんだい?」
ひたりと辰巳は夏野を見据え、夏野は微塵も揺るがずその視線を受け止めた。
「そう、きみや武藤くんのような年代の若い子がいない。これはどういうことかな」
「どうもなにも。たまたま運よく俺達に間引かれなかっただけだろう」
「それだけかい?僕はもしや結城くんが手心を加えているのかと思ってね」
にたりと笑う辰巳を、夏野は睨めつけた。空気がピンと張り詰める。
「…何が言いたい」
「屍鬼に殺され、屍鬼となった武藤くん。そして飢えと家族と親友の命を天秤にかけ、
家族を取った親友の武藤くんに襲われて人狼として蘇生した結城くん。
今なおその事で苦しむ武藤君のために、きみのような年頃の少年をわざと見逃しているとしたら、
これはいただけないね」
辰巳はぐっと身を乗り出すと、獰猛な狼が生餌を嬲るように夏野を注視する。
「家族が起き上がらなかった屍鬼は、気に入った相手がいればそういう者同士で連れ添う。
でもきみが屍鬼となる餌を間引いてこないと、可哀想にあぶれる者も出てくる。
…中にはヒトを襲わずに済み、幸運にもパートナーの人狼の血で生き永らえている仲間に妬みを
募らせる屍鬼も出てくるかもね」
ぴくりと夏野の肩が揺れ、徹は俯いていた面をはっと上げる。
「人間でありながら屍鬼になった人狼の血なら、人間の血と同じように屍鬼の飢えを満たせる。
その上人狼だから回復力もある。
ヒトを襲いたくない殺したくないって思っている覚悟がない屍鬼からすれば、その屍鬼も、
血を与える人狼も憎しみの対象だろうね」
辰巳はじっくりと夏野と徹の反応を味わうと、身を引いた。
「や!そんな人狼と子飼いの屍鬼なんていないだろうけど、そんな噂が外場に広まらないように
頑張ってくれというのが沙子と俺の考えだ。
じゃ、これで俺は失敬するよ」
辰巳がひらりと手を振って出て行ったリビングには重苦しい沈黙だけが蹲っていた。
「夏野…」
ふうっと夏野は力を抜くと、徹に寄りかかった。
腕の中の肢体は青年への過渡期の薄い体のままで、自分では死と共に失った呼吸と温もりが哀しく、
愛しく、そっと抱きとめた。
「徹ちゃんが初めて俺を襲ったときも、こんな風に優しく抱きしめてくれたよな」
背中を支える腕の優しさも、その腕の冷たさも覚えている。そして『獲物』として自分を覗き込んだ
冷えた瞳も。
手を指し伸ばすと、徹ちゃんは自分から頬を寄せてきた。
「夏野を襲いたくなかった。人の生き血を啜らなければ生きられない自分が嫌だった。
でもあの時、清水が夏野を襲おうとしたとき、思ったんだ。
清水は夏野を襲うことを受け入れていた。夏野を襲うことを躊躇する人間らしい苦しみはなかった。
俺はその苦しみを、誰にも譲りたくなかったんだ。たとえその苦しみを未来永劫抱えることになっても」
まるで石を飲み込んで苦しくてたまらないように眉を寄せる徹ちゃん。
人だった頃の徹ちゃんは、こんな風に苦しげではなかった。
当たり前だ。俺達は人外の化け物になったのだから。
「俺は、徹ちゃんを殺した屍鬼が憎い。俺を殺した徹ちゃんが憎い」
徹はぐっと顎を噛み締め、夏野の憎悪を受け止める。
「徹ちゃんが俺を襲った苦しみを抱え続けて、苦しくても辛くても生きるっていうのなら、
生きたいとは思わないけど、俺も生きるよ。
俺は俺と徹ちゃんを奪った屍鬼への怒りと憎しみを抱えてな。
…矛盾してるよな。
屍鬼を憎んでいるのに、都会班を采配して、徹ちゃんを許せないのに中途半端な間引きでその苦しみを
和らげようとして、けっきょくこの村に帰るしかないんだ」
「夏野」
夏野は蘇生してから、「夏野」と下の名前で呼んでも怒らなくなった。きっと、そういうことなのだろう。
「村に捕らわれるのは御免だけど、徹ちゃんにならいいよ」