___ ___ ___
(_ _)(___)(___) / ̄ ̄ヽ
(_ _)(__ l (__ | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ }
|__) ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
l⌒LOO ( ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_, _)フ 「 | ロ | ロ |
( ・∀・)、__)  ̄フ 厂 (_,ィ | </LトJ_几l_几! in 801板
 ̄  ̄
◎ Morara's Movie Shelf. ◎
モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |[]_|| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ]_||
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄| すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
|[][][]._\______ ____________
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |[]_|| / |/ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.|| |[]_||
|[][][][][][][]//|| | ̄∧_∧ |[][][][][][][][].|| |  ̄
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.|| |
|[][][][][][][][]_|| / ( つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板52
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1254208900/ ローカルルールの説明、およびテンプレは
>>2-9のあたり
保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
| いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
\ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
| | [][] PAUSE | . |
∧_∧ | | | . |
┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ | | | . |
| |,, ( つ◇ | | | . |
| ||―(_ ┐┐―|| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
| || (__)_), || | °° ∞ ≡ ≡ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★
1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。
(1)長時間に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(
>>3-7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。
※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。
相談・議論等は避難所の掲示板で
http://s.z-z.jp/?morara ■投稿に当たっての注意
現在連投規制が厳しくなっており、10レス連続投稿すると、ばいばいさるさんに引っかかります。
長い作品の場合は、分割して、時間をずらして投下することをおすすめします。
1レスあたりの最大行数は32行、タイトルは全角24文字まで、最大byte数は2048byte、
レス投下可能最短間隔は30秒ですが、Samba規定値に引っかからないよう、一分くらいがベターかと。
ご利用はテンプレをよくお読みの上、計画的に。
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。
別に義務ではないけどね。
テンプレ1
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| モララーのビデオを見るモナ‥‥。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| きっと楽しんでもらえるよ。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
テンプレ2
_________
|┌───────┐|
|│l> play. │|
|│ |│
|│ |│
|│ |│
|└───────┘|
[::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
∧∧
( ,,゚) ピッ ∧_∧ ∧_∧
/ つ◇ ( ・∀・)ミ (` )
. (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
| ┌‐^──────────────
└──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
└───────────────
_________
|┌───────┐|
|│ロ stop. │|
|│ |│
|│ |│
|│ |│
|└───────┘|
[::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
ピッ ∧_∧
◇,,(∀・ ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
. (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
| |
└────────────────┘
テンプレ3
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 生 || ∧(゚Д゚,,) < みんなで
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < ワイワイ
i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < 見るからな
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ"
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 止 || ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
//, 停 ||__ (´∀`⊂| < この体勢は
i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < 無理があるからな
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ
テンプレ4
携帯用区切りAA
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
中略
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
中略
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
|
| ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
| ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
| ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
| ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
| ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
| ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
| ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
\___ _____________________
|/
∧_∧
_ ( ・∀・ )
|l8|と つ◎
 ̄ | | |
(__)_)
|\
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 媒体も
| 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
| 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
\_________________________
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄| じゃ、そろそろ楽しもうか。
|[][][]__\______ _________
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | |/
|[][][][][][][]//|| | ∧_∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
|[][][][][][][][]_||/( )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |
(__)_)
10 :
1:2009/11/09(月) 16:42:41 ID:4Cs2X+Vl0
前スレ、容量に気付かず投稿してしまい、誘導も出来ない状態でスレ立てをしました
本当に申し訳ありませんorz
>>1 乙!誘導なくても見つけました。
できれば前スレの続きをwktk!
お言葉に甘えて続きを投稿させていただきます
「もうこのままじゃ、だめそうだから」
「だめなのか?」
「うん。たぶん修理に出してもだめだよ。根本的な所が壊れてるから」
「そっか」
「他の時計を買う方がいいんじゃない?」
「そうだな」
工場で大量に生産されて、500円で買われたこのお安い目覚まし時計には、
何度も壊れた所を直して使われるという概念がないようだ。
「次のゴミの日はいつだっけ」
「んーと、確か金曜日だったかな。普通のゴミは」
「そっか、明日か」
「忘れずに捨てておくよ」
「ありがとう」
若干ひどい気もするが自分は気にしない。これは壊れた目覚まし時計だ。
「ところで」
「なに?」
「お前、なんで人みたいになったの?しかも男に」
「会話がしたかったから」
「ほう」
「いっつも無理矢理大音量で起こしてばっかりだったでしょ。
だからコミュニケーション取りたいと思って」
「へえ。目覚まし時計がね」
「あと、男なのはあんたしかまともに見たことがなかったからだよ」
「は、どうせ彼女いない歴=年齢ですよー」
「だからエプロン着たオネーチャンは諦めて」
「別に期待なんかしてねえよ。夢だし」
「そう」
男はクスクスと笑いだす。
「……どうした?」
「いや、ただ嬉しいだけだよ」
「嬉しい?」
「うん。まさかあんたとこうやって話すことが出来るなんて夢みたいじゃない」
「夢だろ」
「知ってるよ」
いきなり顔を曇らせた男は自分の膝に顔を埋める。
「夢じゃなきゃ、こんなこともできないじゃん……」
「そりゃそうだろ。お前は目覚まし時計なんだから」
鼻をすする音が部屋に響く。
泣いているようだ。
「おい、どうしたんだよ」
「だって、もうお別れなんでしょう?」
「そうだけどさ。仕方ないじゃん。
お前だって『捨てればいい』みたいなこと言ってたしさ」
「それは事実だけどさ、やっぱり悲しいよ」
「捨てられることが?」
「捨てられて、ゴミ収集車に乗って、焼却炉で溶かされることが。
きっと魂もどろどろになるんだ。
そうしたら、きっと何にも考えられなくなるんだ。
ただのモノに成り下がっちゃう」
「今だってモノだろうに」
「そうだけどさ。魂がなくなるってきついよ」
「よく分かんないけど、それなら捨てない方がいいのか?」
「そっちの方がいいよ。断然いいさ。
でもあんたは捨てるよ。これはぜんぶ夢だもの」
「俺がこのことを覚えているはずがないって事か?」
「そうだよ」
「だから、こうやって話せてよかったと思うよ。
あんたは絶対何も覚えていない。だからぜんぶ伝えられた」
「忘れるならそれも意味がないだろうが」
「意味ならあるよ」
「こういう話が出来た上で、さよなら今までありがとう、って言えるから」
「それじゃ、おやすみ」
「おいお前それどういう意
てれてれてれーん
携帯の着信音が鳴り響いて、男は目を覚ました。
どうやらただの迷惑メールのようだ。確認次第削除する。
「……」
首を回す。
どうやら変な夢を見ていたようだ。
寝汗がひどいし、心臓がばくばくいっている。
とりあえずバイトのために着替えようかとベッドを降りる。
ばきっ
「ったー」
テーブルに置いていたはずの目覚まし時計を踏んでいた。
足は怪我をしていないものの、見事にプラスチックがひびわれている。
ふと拾い上げてみる。
秒針も分針も時針も動いていない。
ちょっとだけ下の方も壊れている。
そんな目覚まし時計の哀れな姿に、なんだか男は悲しくなってしまって。
一回だけそっとキスをした。
そして自分がやった行為の馬鹿馬鹿しさに気付き、男はそれをゴミ箱に放りなげる。
目覚まし時計は完全に沈黙した。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ もう本当に色々とすみませんでした
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>17 投下とスレ立て乙でした!
不思議なかんじが心地よくて面白かったです
>>前スレ505
GJGJ!!個人的に、
>「……………え…どう、違うんです、か?」
ここが鮮やかに脳内再生されて萌えたw今度は是非カプっぽいのお願いします。
>>1乙!
一角獣の唄鍵盤。鍵盤視点。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
22 :
きっかけ1/3:2009/11/11(水) 02:35:44 ID:KeCcvP4UO
感覚が消えない。ただ、後ろからギター弾くの手伝ってもらっただけなのに、身体が熱くなってる。
「……なんでだよ」
その場ではなくて、後でこんな風になってる自分にツッコミを入れた。
「ちくしょう……」
今まで意識しないようにしてきたのが、悪い方向に出て悔しい。感触を思い出して、身体がまた熱くなる。
「……好きなのかなあ」
一度言葉にしてしまえば、気持ちは簡単にふくらんだ。
「……好きなんだよね、きっと」
ため息と一緒に呟きももれる。友達、親友……この先には、富士山よりも、エベレストよりも高い壁が待ってる。それでも、抑えられない気持ち。
「片思い……かあ」
辛いなあ、呟いた自分の言葉に身体が震える。辛いって解ってるのに……言えない。
迷惑だよなあ……男に好きだって言われたって。
今、買い物に出てるけど、戻ってきたらどんな顔したらいいんだろう。
「あー、もう悩むの止めよう」
パチパチと軽く頬を叩いて別の部屋の鏡の前に立つ。
「こんな顔、見せたら駄目だ、笑え」
23 :
きっかけ1/2:2009/11/11(水) 02:36:24 ID:KeCcvP4UO
困って眉が下がった情けない顔から笑顔を作る。後ろから突然声がかかった。
「なに、百面相やってるんだよ」
鏡の中には酒を手に下げた彼が立っている。
「い、いや、別に」
振り返ると彼は笑う。俺の名前を呼んで、どうした?と心配そうな顔。
「具合悪いのか?」
「違うよ、酒買ってきてくれた?」
「おう」
聞いてくれよーと言いながら彼はソファーに座る。
「ファンにバレかけてさ、大変だった」
「うわ、災難だったな、次は俺行くよ」
「行かなくてもいいから、何かご褒美くれ」
彼の言葉に、はいはいとあいずちをうちながら酒を飲み始める。お互いが持ってるのが最後の一缶になったところで、彼がまた言いはじめた。
「なー、ご褒美くれって」
「えー?何が欲しいの?」
彼の顔が真剣なのに気付いて、俺も真剣な表情に変わる。彼はテーブルを迂回して俺の隣に来た。座り込んで、二、三回深呼吸している。
「……何でもいいのか」
搾り出すような声に俺は頷く。
24 :
きっかけ1/3:2009/11/11(水) 02:37:32 ID:KeCcvP4UO
そこからは早かった。あっという間に腕の中に抱きすくめられて、キスされる。舌が唇を割って入ってきた。……タバコと酒の混じった味。
「っ……ふ……ん」
彼の唇が離れる。
「ご褒美……もらったから」
笑顔で言われて、俺もなんとか笑顔を作る。……これだけでいいの?……言いそうになった言葉を飲み込む。
「なん……で」
彼はニコリと笑って言い放った。
「興味あったから……嘘だって」
俺をもう一度抱きしめて耳元で囁く。
「……いつの間にか、好きになってたから」
気持ち悪がられても……と言い続ける彼の唇を塞いだ。唇が離れると彼は驚いた声で俺の名前を呼ぶ。
「俺も好きだよ」
それに被せるようにはっきり伝えた。彼が俺を抱きしめる力が少し強くなる。
「「……なんだ、両思いだったんだ」」
言葉がほぼずれもなく重なった。目を見合わせて笑いあう。新たな関係は恋人。今までと違うところはただ一つ、お互いが好きだって事。
「これからもよろしくね」
「おう」
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
あえて名前出さないで書いてみた
久々に萌えの原点見返したら、ふと浮かんだんだ…
オチがきちんとついて無くてスマソ
>>21 萌えました。GJ!
こうゆう初々しい感じ、大好物なんで嬉ス
ごちそうさまでした!!
発表の機会を失って埃被ってた戯文、投下させてください。
鯨人の首長さんたちです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「 」
呟いた内容はやたらに暗く、それにしてはいい声で小さな楽屋に響いた。
多村はそのとき、隅で横になってガァガァと豪快ないびきを掻いていたのだから
聞こえていたはずもないのだが、河島は、眠っているかどうか確認も兼ねて
多村の顔を覗き込んだ。当然ながら起きる気配はない。
安らかとは言えない寝姿に河島は少しばかり頬が緩むのを抑えられなかった。
それにしても。
いつ見ても多村の寝顔は阿呆だなと思う。
その阿呆面に欲情するのだから我ながら変態だ。変態にも程があるだろう。
河島は、多村がいびきさえ掻いていなければキスのひとつでもしてやろうか
なんて思っていたが、止む気配はない。
残念やな多村くん、ホンマに運の無いやつや。
そんなとことん運の無い男に、河島は縛られている自覚がある。
「今までありがとうな」そんな言葉で、いつか多村が自分から離れていく。
何度も何度も想像した場面だ。
営業先で担当者にぼろくそに言われた時、賞レースで失敗した時、
多村が寝坊して現場に来ない時、ただ、丸まって寝ている背中を眺めていた時。
何気ない瞬間まで多村は侵食してきて、河島の頭を支配する。
多村と別れてひとりになった後、きっと俺は、使い古された雑巾に自分を
投影してみたりして、なんとも言えない気持ちになるんだろう。
だから自分は、多村が笑う漫才を書き続けなければならない。
か細くて頼りないアイデンティティだけが、自分を奮い立たせている。
近寄るな、触るな、俺のテリトリーに入ってくんな、でも手ぇ離したら許さへん。
何というエゴイズム。
「どないしょうもない…」
どうあがいても、離れられない。
「俺はまっくろやな」
ぽろりと落とされた言葉は体を抜け、楽屋の畳に吸い込まれていく。
その時ふと多村の頭が動き、寝返りを打った。背中を向けていた姿勢から仰向けに変わる。
その上、いびきが止まったかと思えばスースーと気持ち良さそうな寝息までプラスされて。
「…キスせぇっちゅーことか?」
勝手に決めたルールに勝手に乗ってみる。
何かしら理由付けをしなければ自分から積極的な行為には踏み込めない。
「たむらー」
唇の接触ぐらいで目を覚まされては困る。そう思い河島は手を伸ばし、念のため多村の肩を軽く揺らした。
しかし思った通り睡眠は深いようだ。
手持ち無沙汰にグーとパーを繰り返していた右手を、多村の肩の横あたりに置く。
その時、着ていたカッターシャツの袖が彼の頬を掠めてしまったがもちろんその程度で
多村が起きるわけがない。
何をビクついとんねん、俺。
「あほらし…」
河島はゆっくりと姿勢を落とし、何の楽しい夢を見ているのか知らないが
口角が上がり締まりのない表情で眠っている多村の唇に自分の唇をそっと重ねた。
はじめは掠める程度と思っていたが、かさついた唇が潤っていくのが思いのほか心地よくて
幾度となく啄むうち、僅かに水音を立てはじめる。
「……ん」
徐々に、河島は頭の芯に鈍い熱が集まるのを感じ始めていた。
薄く開いている口内へ侵入を謀ろうと、ぺろっと舌で多村の下唇を舐める。
「………」
多村の鼻から漏れる呼吸に合わせていく。
柄になく緊張で汗ばんだ右手は何度か畳を滑りそうになり加えて、体重を支えていたものだから
ジンジンと痺れてきて、河島はやむなく上半身を起こした。
「んうーあ"ー」
その時、多村が何事か呻いて、目を開けた。
河島は既に多村の側から移動していて、彼の言葉になっていない声を
聞いていない振りをしながら、机に広げたノートを弄んでいた。
「何これ、俺めっちゃ唾液出てる!恥ずいわ〜」
「…どうせまた食いもんの夢でも見てたんやろ、ホンマ意地汚〜」
河島はノートに目を落としたまま呟いた。恥ずかしくて顔を上げられなかったという方が正しい。
まだ顔から僅かな熱が引いていなかったからだ。
「うっさいわ!そんな言わんでええやろ!…おかしいなあ、別に夢見てへんのになあ」
多村は口元を拭いながら、ぶつぶつ呟いている。
目の前の姿見に映った掛け時計を見遣ると、あと少しで空き時間の終了を示していた。
「…何?これ」
河島が渡した台本を一通り読み、多村が顔を上げて放った第一声。
予想通りだと言わんばかりの顔で、河島は口元を歪めた。
『お前にとって俺って何なん』
ネタの中盤の多村のツッコミ。大体、多村のツッコミのフレーズは
多村が自分でその時のテンションで変更していくことが多いが、このツッコミだけは
変えてくれるな、とわざわざ赤ペンで差し示してやった。
「ちょ、そのセリフ言うてみ」
「…なんやねん意味わからんわ」
多村は眉根を寄せて困りきった表情で目の前の相方を見詰めるが、河島は意に介さず
「ええから言えや!」と半ばキレ気味に急かすと、多村は腑に落ちないという顔で
手元の台本を見直した。
「『お前にとって俺って何なん』って、せやから何これ」
「呪縛や」
「は?」
多村の眉間に思いきり皺が寄る。怪訝な表情が浮かび上がった。
意味がわからないと主張する多村に、河島はただ笑って繰り返した。
「呪縛やねん、俺にとってのお前」
「ジュバク…」
「ひらがなで言うな」
「ちゃうぞ!カタカナやもん」
「どうでもええわ、そんなもん!………わからんかったらもうええわ」
「何やそれ!めっちゃ気になるやん!お前が言わしたんやろ」
「もうええねん、ホンマは『電気ポット』で」
「電気ポット…」
「そうや、つむじ押すと鼻からお湯やのうてなんや茶色い液体がバァーと、飲んだら、わ、珈琲や」
「出るか!しかも鼻からって汚いわ」
「いつでもブレイクタイム」
「漫才中に休むな!」
初の本読みにしてはきっちり決まった流れだと河島は満足した。
そして脱線した話を無理やりネタに引き戻すことで多村の言及を躱わし、安堵のため息を吐いた。
悟られるのは本意でない。
「河島」
「おん」
「さっきの何なん?ネタはええねんけど、呪縛って」
「お。漢字で言えるようなったやんけ」
「真面目に訊いてんねん」
漫才中のような応酬を繰り返す中、スっと訪れた「間」を挟んで多村が眼差しを改めた。
河島は、多村が時折ちらつかせる、意図をしっかりと持たせた瞳が好きではない。
長年守ってきた鉄壁のガードが、いとも簡単に崩れそうで怖いのだ。
稀に見せるその顔に出会う度、いつも指先がしんと冷たくなる。
「どういう意味や呪縛て。めっちゃ考えてもうたやんけ。
俺は呪いなん?お前にとって逃げ出したいぐらいの奴なんか?嫌なんか?なあ」
質問を畳み掛ける多村の顔は、先程の真剣な眼差しから一瞬にして泣きそうな、
(あと1秒沈黙が続けば実際泣いてしまっただろう)表情に取って代わられた。
「ちゃうねん」
「…何がちゃうん?」
「………お前んこと必要やねん」
「え?」
「お前おらんかったら俺死んでまうねん」
嘘や大袈裟な事を言ったつもりはない。ただ、真実を述べた。
「そんくらい、俺は多村が必要なの」
河島は、自分でもひどく優しい表情をしているとわかる。
こんな顔、昔の自分にはできない芸当だった。
「………」
「アホ。なんちゅー顔してんねん」
「恥ずいやん」
「俺かて恥ずいわ」
河島が顔を赤くしたまま恨みがましい目を向けたものだから、多村は目一杯笑って
そんな河島を引き寄せて力任せに抱きしめた。劇場の廊下でである。
遠くの後輩芸人が不思議な顔でこちらを見詰めているのが見えた。
「やめろや!」
「嫌や」
「アホか何してん、離せや」
「嫌や離さへん」
離せ離さへんの押し問答を続けていると、遠くにいた後輩芸人がわらわらと近寄ってきたので
仕方なく多村は河島を解放した。離れ際、耳元に口付けるぐらいの勢いで「離さへんからな」
と唸るように言われ、河島は腰が抜けるほど驚いて、よろけたついでに尻餅をついてしまった。
二人が何故か廊下で抱き合いながら喧嘩をしている姿を笑いながら見ていた後輩のひとりが
慌てて手を差し伸べてくれて、河島はようやく腰を上げた。
「何やってたンすか?」
「痴話ゲンカや」
多村が堂々と言ってのけたので河島は一瞬唖然とする。
それから頭を高速回転させ、もっともバカバカしい理由を付け足してやった。
「こいつが俺のジョジョのカード、ケツに隠しよってん」
狭い廊下に、大きな笑い声が響く。多村も後輩も皆笑っていた。
たとえ、世界が終わりを告げたとしても、面白いものは面白いままなんだ。
解けない謎は、いつも多村が教えてくれる。
end
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
すいません、久々の投下でナンバリング間違えた。
でも満足。ようやく昇華できたぜ。
>>27 萌えました!GJです
なんか本当にいいですねえ
発表してくれてありがとうございます
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 初めて載せてみるよ。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 勢いだね。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
月キュン「東京犬」、○とスーツです。
○視点で、not本番のシモネタな感じ。
いつからか、この人とはなりゆきでこうなった。
「いいじゃん、その顔…色っぽくて」
「いちいち…変なことを、言うな…っ」
「何が変よ?「いい」って。褒めてんの。センセー褒めるなんてシャクだけどな。」
軽めにデコピン一発くれてやる。
軍隊上がりの戦闘術の塊みたいなこの人に、普段そんなもん喰らわせようものなら
腕捻り上げられて10倍返し、それどころか下手したら銃口向けられて100倍返し、
それくらいやりかねない。
だけど今はうっすら頬を紅潮させて、達者な言葉も返せずに唇を噛みしめるだけだ。
「そろそろ次のステップ、イッちやう?」
この人が頑なに着続けてるスーツも、いつもほとんど乱さないままだったけど
自分の身体が割って入るスペース分、下半身の衣服を剥ぎ取った。
「ちょっと待て…!次のステップって何だ?!」
「しーっ!」
「…静かにしろ!」
声デけぇのはあんたも!って、お約束のやり取りだし。
「…何か、物足りなくないスか?毎回手コキってのも」
「てこき?」
俗語に弱すぎだろセンセー。えっと、何だっけ…別の言い方?
「あー、つまりね。○オのお口いっぱいにごもごもしよっか?」
「……フェ」
「それは知ってんのかよ、アメリカン!」
イヤミな、アメリカ帰りの変なエリート、最初も今もこの第一印象に変わりナシ。
仕事でコンビ組まされた挙句、ゆきちゃんの警護のためひとつ屋根の下で暮らすハメに。
しっかし、ヤりたい盛りの合コン王のこのオレが手を出せない女の子と同居って拷問じゃね?
隠れてヌくのだって一苦労、そんなある夜この人に見られちゃったわけよ…orz
「まあ…男の生理現象だからな、仕方ない。」
どんだけバカにされるか、罵られるかと思ったら、肩透かし喰らった。
と同時に、この人はどうしてるのか、興味が沸いてしまった。
「あんたもさぁ、さみしー夜は自分でヌいたりするワケ?」
女の子との恋もよく知らなそうなお堅いこの人に、挑発のつもりでふっかけたんだ。
「まともな経験、してなそうだもんな、アメリカのセンセーは。これはオレが勝ってると見た!」
「…お前の何が俺に勝ってるんだ?」
いつもみたいにムキになって言い返すでもなく、悔しまぎれに言ってる風でもない。
あ、天然出たよ。これこの人本気で訊いてきてる。こっちまでつい素になっちゃって。
「え、テクニックとか技とか、そーゆー…」何言わすんだ、この人。
「ほう、そういったものにも技術があるのか。ではお前の技を俺にも教えてくれ。」
てゆか、何言ってんの、この人?!教えるって何?!
…軍隊にはそっち系の人がいたりするって都市伝説だろうか?
とは言え、もはや交替制みたいになってしまったこの行為を重ねてるオレもどうかしてる。
こんないけ好かないヤツなのに、元が真面目すぎる性格のせいか、
教えを請う?この時だけは、妙に素直だったりする。
それに意外と感度も良好。反応も悪くない。普段見せないような顔するし、声も違う。
大体こいつ、料理は美味いし何でも器用にこなすし、頭もいいしオレにも劣らないスタイルだし…
そうかと思えばすっげー天然でありえないこと言い出すから笑える。
いや、言い出すことはたいてい笑えない内容なんだけど、最近慣れて来た…って、あれ?
「…お前、男にそういうことできるのか?」
センセーの控えめな声で、今のこのヤバい状況に我に返った。
「できなくはないっすけど…。」
なんでこんなヤツに…そんなこと、もう100万回くらい思ったっつの!
自分でするよりキモチイイから、で、いいよもう!考えんのうっとおしいから。
今、それ以上、お互い言葉を続けられなくなった沈黙もうっとおしくなってきた。
突き返すでも逃げ出すでもない、これは同意と取ってよろしいでしょうか、センセー?
「っ…」
オレが黙って屈み込んで、唇を寄せたら、センセーは一瞬ピクンっと身体を震わせて、
声にならないほど小さく小さく、甘い、吐息を零した―。
「よし、終了。」
センセーはオレに目もくれず、テキパキと信じられない素早さで服を整える。
このイミフメイなレッスン?の後の態度もいつものことだし。
壁一枚向こうに見送るでもなし、自分のベッドに横たわって天井眺めてみる。
したら、センセーがこう言い残してオレの部屋を出て行った。
「大体理解した。日本人の舌の特徴も噂に聞いた通りだな。次は…俺か」
え、ちょっと?それって…色んな意味でどーゆーこと???
この人だけは、この先もずっと、理解できない気がする。
それでも、「理解したい」と思うようになるのか、と
センセー→○オはどう展開するのか、それらはまた別のお話。
____________
| __________ |
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 固まってないね。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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現時点でのキャラ観なのでブレてますすみません。
放送開始前の理想は○スだったのが、現在リバ萌えしてるので、こんな形に。
わかりにくいかもですが、要するにあの二人がヌきあいっこしてたらかばええなぁ、と。
今後ス○的場面妄想にも、日々邁進してみまつw
日曜日のドラマ イニ 量間×陣で
もはや何番煎じかもわからない鰻屋話です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
量間×陣1/15
夕暮れ、街道沿いに立ち並ぶ飯屋や飲み屋、旅籠に灯が入り、
それらを目指す人々と、家路を急ぐ人々、そのお流れを拾おうと
商売道具を広げ始める二八そばの屋台などでごった返す往来を
陣は薄く障子を開けた鰻屋の二階座敷から眺めていた。
「先生、なんぞ、面白いもんでも見えるがかえ?」
座卓を挟んで陣の向い側、廊下に面したふすまを背に
どっかり座った量間が声をかけた。
「いえ、賑やかだなあと思って。」
「風邪を引くき、さっさと窓ぉ閉めてこっちへ来るがぜよ。」
「すみません、寒かったですよね。」
忙しない動作で手招きするのに応えて障子を閉めると、
陣は量間と向かい合わせに座りなおした。
「わしはどうでもええけんど、先生を連れ出して風邪なんぞ引かせたら
可哀想じゃき。」
言いながら火鉢をこちらへ押す量間を見て、陣の頬に微笑が浮かんだ。
「ご心配頂いてありがたいですけどね、私はそれ程ひ弱じゃないですよ。」
「医者の不養生っちゅう言葉もあるからのう、用心に越したことはなかろうが。」
言うと、座卓に並んだお銚子を一本取り上げ、
「ほれ、まずは一杯。」
「いえ、私はお酒はあまり…。」
「今日は先生はわしの客じゃき、上座の先生が口もつけんかったら
わしも飲むわけにいかんき。」
「…それじゃ、少しだけ頂きます。」
量間×陣2/15
いかにも不満そうに顎をしゃくってみせる量間に折れて、陣は猪口を手に取ると
おずおずと差し出した。
「そうそう、それでええがじゃ。」
それは嬉しそうに頷いて陣の猪口に燗をした酒を注ぐ。
「ああ、もう本当にそれくらいで…。」
「なんじゃい、大の男がこれくらい飲めんでどうするがか。」
何度か返杯を重ねるうち
「………」
「………」
一瞬、不自然な沈黙が落ちて、量間が目を逸らすのを、
陣は疑い深げに目を眇めてじっと見つめた。
「…量間さん。」
「料理が遅いのぉ、こん店は、客をいつまで待たせるがか…。」
陣が口を開くのを無視して、そわそわと腰を浮かせかけるところへ
「量間さん。」
もう一度、少し大きな声で名を呼ばれ、量間は渋々座りなおした。
「何じゃ、先生、そげん怖い顔して。」
「量間さん、何か企んでますか?」
「い゛」
「何か企んでますね?」
ずい、と陣が身を乗り出す、ぐびり、と量間の喉が鳴った。
量間×陣3/15
「ひ、ひ、人聞きが悪いのぉ、わ、わしが何を企むっちゅうがぜよ。」
「具体的に何を企んでるかは分かりませんけど、この間のこともありますから。」
陣の言うこの間のことと言うのは、量間が陣を半ば騙して
吉原へ連れ出した一件のことだ。
「このお店にお目当ての女の人がいるんですか?
また私をダシにして口説こうっていうんじゃないでしょうね?」
ぽかんと口を開けたまま陣を見る量間の目がまん丸に見開かれた。
「…図星ですか。」
そう言うと、陣は深いため息をひとつつき、量間に向かって切々と訴え始めた。
「本当にもう、そういうことに巻き込むのはやめてくださいよ
あれから暫く、立花の家で私がどんな思いをしたか。
先さんにはあからさまに気にしてないフリをされて気詰まりだし
坂江さんからは折りに触れ身に覚えのない嫌味をチクチク言われるし…。」
言いかけるのを遮るように座敷一杯に量間の笑い声が響いた。
「何笑ってるんですか。」
「す、すまん先生…ほ、ほうかほうか、ちくちく嫌味をのう…いや、あの奥方は
わしも怖い…そりゃあえらい災難じゃ…まっこと悪い事をしたのう…
すまんかった、確かにわしが悪かった…もう絶対にあんなことは無いき…。」
「笑い事じゃないですよ。」
陣の抗議に構わず、量間はさも可笑しそうに笑い続けた。
量間×陣4/
全くこの先生は何も分かっていない、誰が誰をダシに、何をするつもりで
あの場所へ連れて行ったのか、当の本人がまるきり気付きもしない。
そこまで考えたところで、あれほど可笑しかった気持ちがスーッと引いて
笑いの発作がおさまり、途端に顔を赤くしている陣と目が合って量間は慌てた。
「そんなに笑わなくても良いじゃないですか。」
「まっことすまんかった。」
真面目腐った顔で座卓に手を突き、ぶつかりそうな勢いでペコリと頭を下げ
「目が覚めたぜよ、もう二度と他人を巻き込んだりせん、
口説きたいと思うた相手には一対一じゃき。」
頭を上げ、何時に無く真剣な表情で真正面から陣の目を見据えると、
今度は陣のほうが何故かうろたえでもしたように目を逸らした。
座敷の空気が妙に張り詰めたその時、階段を上る足音がして
量間が背にしているふすまの向こうでぴたりと止まり、続いて控えめな女の声がした。
「鰻をお持ちしました。」
「待ちかねたわい、皿を買いに行きゆうがと思うちょったところぜよ。」
相手が開く前に量間が自分でカラリとふすまを開き、
料理を運んできた中年の女を招き入れた。
蓋をした黒塗りの四角い重と椀、それと燗をした酒が入ったお銚子が
新たに何本も、座卓の上に手際よく並べられていく。
量間×陣5/15
「せっかちだねえ旦那、鰻屋で待たされて文句を言うのは野暮ってもんですよ。」
「ほうか、わしゃ田舎もんじゃき、江戸の流儀はさっぱり分からんでのう。」
「いい男なのに勿体無い、色々教えて差し上げますから
これからもご贔屓にしてくださいな。」
軽口を叩きながら配膳を終えた女は、ふすまの向こうに控えてお辞儀をひとつ
「それじゃ、どうぞごゆっくり。」
言うと、目を伏せたままふすまを閉め、階下へと下がっていった。
「今の人が今度のお目当てですか。」
量間が部屋に向き直ると、陣が面白そうに聞いてきた。
「先生も意外と根に持つのう、本当に反省しとるき、もう勘弁してくれてもよかろうが。」
渋い顔で言いながら、陣の目の前にある重の蓋を取り
「さ、これで手打ちじゃ、腹が減っとるから余計な気を回すことになるぜよ、
冷めんうちにほれ、早う。」
蓋の開いた重から湯気とともに食欲をそそる匂いが立ち上る。
「それじゃ、頂きます。」
空腹もあって暫くは二人とも無言で鰻をぱくつき、お腹が落ち着いたところで
鈴屋彦三郎の術後の経過、海軍操練所立ち上げの準備から
共通の知人、日々のこまごまとした近況などに話が及び、
その間陣は、量間の勧め上手もあって知らず知らず杯を重ね、
並んだお銚子が空になる頃には夜もとっぷりと更けていた。
量間×陣6/
階下で往来の客に鰻を商う店からも人が引き、
周囲の店々も門口を閉ざし灯を落とし、夕刻あれほどの賑わいを見せた往来は
時折野良犬の悲しげな遠吠えと、何処からか漏れ聞こえる三味線の音だけが
かえってしん、と静けさを際立たせる、そんな時刻を迎えていた。
「先生、皆肩先生。」
ジジッと行灯の芯が燃える音がして、影が揺れる、
陣はさっきから俯いて黙り込んでいたが、量間が呼ぶのに気付いて顔を上げた
「あー…すみません、少し飲みすぎたみたいで…。」
「先生。」
「はい。」
「こん店は活先生に教えてもろうたぜよ。」
「そうなんですか、落ち着いたいいお店ですね、鰻も美味しかったし
活先生に私からもお礼を言って置いてください。」
「そう、ええ店なんじゃ、特にここはこん店の一番奥の座敷でのう。」
量間は一旦言葉を切って、窺うように陣の顔を見た。
「料理を運んだ後はこっちで呼ばん限り、誰も来ん事になっとるぜよ。」
「そうなんですか。」
今度は顔を左に向け、目で次の間へのふすまを指し示す。
「あの向こうは本当にこの店のどん突きで窓も無い、わしらがここに来る前から
布団が敷いてあるがじゃ。」
「………。」
量間×陣7/15
「先生の後ろに窓はあるけんど、飛び降りたら大怪我じゃ、
こんなところで騒ぎを起こせば、立花の家も外聞が悪かろう。
ここから出ようと思えば入ってきたのを戻るしかないけんど、下座のわしが塞いどる、
先生にもう逃げ場は無いっちゅう事ぜよ。」
「………。」
陣は何も答えなかった、沈黙に耐えかねて、量間は畳に視線を落とした。
「卑怯なんは分かっちゅう、分かっちゅうけんど…。」
ぐっ、と拳を握り。
「わしは、先生に惚れとるがじゃ、どうしょうも無く好いちょるがじゃ!
好きで好きで、寝ても覚めても目の前に先生の姿がちらついて、
振り払うても振り払うてもどうにも消えてくれんがじゃき、
もう自分でもどうにもならんがじゃ!」
一気に言うと、量間は膝で後ずさり、それまで座っていた座布団を横にずらし、
もう一度顔を上げて一瞬陣を見た後、きりりと居住まいを正すと、
ぴたりと両手をついて、がば!と畳に額を擦り付けた。
何処から見ても見事な土下座だった。
「頼む!先生、この通りじゃ!先生の言うことならわしゃあどんな事でもするき、
先生がわしに死んでくれっちゅうなら死んでもええき、…わしに…
たった一度でええから、わしに、想いを遂げさせてはもらえんじゃろうか、
一生の願いじゃ!この通り頼むぜよ!」
量間×陣8/15
座敷に今度こそ沈黙が訪れた、陣は相変わらず黙り込み、
これ以上何も言うことが無い量間は、顔を上げることも出来ず
ただひたすら自分の心臓の音を聞いていた、
これまでの生涯でこれほど恐ろしい思いをした事は無いと思った。
全て冗談にして流してしまいたい衝動を必死で押さえ込み、量間はひたすら
目の前に居る陣の気配に全神経を集中して答えを待っ、
永遠とも思える時間が過ぎ、陣がやはり何も言わないまま、
つい、と立ち上がるのが分かり、量間は身を固くした。
このまま何も言わず出て行くつもりならばそのまま行かせるか
それとも引き止めて無理やり…思い迷う量間の前を横切り、
陣は次の間へと続くふすまに手を掛け、すーっと引き開けると、
緋色の布団を敷き詰めた室内へ、躊躇無くそのまま足を踏み入れた。
次の間から、小さく衣擦れの音が聞こえる。
量間は恐る恐る目を開け、身を起こし、頭を巡らせ、
やっと次の間を見て固まった。
量間×陣9/15
開け放したふすまの向こうでは量間に背を向けた陣が
丁度丹前を脱ぎ終え、皺にならぬよう衝立に掛けているところだった、
続いて袴を脱ぐと、これも衝立に掛け、それから帯を解き始めた。
身動きひとつ出来ず、息をすることも忘れて、まるで魂が抜けたように
ただただ見つめることしか出来ない量間の前で、
陣は2枚重ねた袷を脱いでは次々と衝立に掛け、ついに薄物一枚になると
無言のまま布団に潜り込んだ。
「…せ、んせえ…。」
喉の奥が貼り付いたようで上手く声が出ない、量間は何度も生唾を飲み込むと、
力の入らない足でギクシャクと立ち上がり、ゆっくりと、一歩一歩、
探るように次の間へ近付いて行った。
「…先生、わしに情けを掛けてくれるがか?…そ、それとも…。
…それとも、先生もわしの事を…憎からず想うちょってくれたがかえ?」
口の中がからからに乾き、舌がもつれた、心臓が、今にも潰れるのではないかと
思われた。
「悪かった、そがいなことを聞いたは、まっことわしが野暮じゃった、
無理に答えんでもええき…。」
嬉しさのあまり殆ど泣きそうになりながら、震える手で羽織袴を脱ぎ散らかし、
もどかしくて引きちぎりたい衝動に駆られながら帯を解き、単衣の前をはだけた。
「…だ…大事にするき…、わしはもう、一生先生を大事にするき…大事に大事にして
それこそ付きっ切りで、先生に毛筋ほどの傷もつけんように守り通すがじゃき。」
ようやく下帯(褌の事)一枚になると
「…先っ生〜〜!!」
布団の上から飛び込むかのように陣に覆いかぶさろうとした。
…ところで量間の動きが止まった。
量間×陣10/15
枕が二つ並んだ艶っぽい緋色の布団の中で、陣は安らかな寝息を立てていた。
酒を過ごしたためか、薄く開いた唇から、呼吸するたびかすかなため息が漏れるのを
量間は半ば見惚れて、半ば呆然と見下ろしていたが、やがてはっと我に返り。
「先生、先生!」
呼びかけるも陣は身動きひとつせず、仕方なく量間は陣の肩をそっと揺さぶった。
「先生、起きるぜよ、先生、肝心な時に眠ってしまう奴があるかい、先生。」
「…ん…んぅ…。」
暫く続けると、喉をのけぞらせ、軽く眉根を寄せた陣が、うっすらと目を開いて
量間を見た。
「……ああ…量間さん……すみません、俺…お先に…。」
「先生、しっかりせんかい、一体何を言うとるがじゃ。」
「お布団ありがとうございます…この頃忙しくて…もう眠くて…助かりました…。」
再び目を閉じる陣から、量間は愕然として手を離した。
「……せ…先生…まさかとは思うけんど…わしの話………
聞いちょらんかったがか、え…?」
「…お話…すみません…起きてから伺いますから…。」
目もあけずにやっとそれだけ言って、陣はまた眠り込んだ。
「…そんな…。」
もう間違いはなかった、量間が話し始めたとき、陣はすでに殆ど眠っており、
”布団が敷いてある”と言う言葉のみ意識に留めて
その後に続く量間の血を吐くような告白を丸ごとスルーしたまま
ただ眠るために布団にもぐりこんでしまったのだった。
ショックのあまり怒る気にもなれず、呆然としていると
量間×陣11/15
「量間さん…。」
「…へ?」
突然陣に名を呼ばれた。
「量間さん…。」
「なんじゃい、寝言かい…はいはい皆肩先生、わしはここに居るき。」
捨て鉢になって返事をすると、眠ったままの陣がふわりと微笑んだ。
量間の頬に苦笑が浮かぶ。
「わしがここに居るんが、嬉しいがかえ?」
人差し指でちょいちょいと陣の頬をつついてみた。
「…罪の無い顔してまあ…どれだけ罪を作っちゅうか、分かってるがかえ?」
ふー…と力ないため息をひとつついて立ち上がり、量間は座敷へ戻ると
脱ぎ散らかした着物を拾い集めた。
「まあええき、今日のところは、先生の寝顔が見れただけでも儲けもんじゃき。」
それでも暫くふすまを開け放したまま、未練たらしく陣の寝顔を眺めていたが
「ふん。」
ぱたりとふすまを閉じた。
量間×陣12/15
翌朝、2人はまるで、もつれ合うようにして家路をたどっていた。
正確に言うなら、陣が酔いつぶれた量間に絡みつかれたまま
活邸へと送っていくところであった。
「ん〜〜〜〜せんせえ〜〜〜〜なんでせんせえが2人も居るがかえ〜〜〜〜っ。」
「アルコールを大量に摂取したせいで目の焦点がずれてるんですよ!!
うっわ、酒臭いなあ、ほら、量間さん、しゃんとしてくださいよ。」
「あ、あるこ…?…うー、まあええ、まあええがじゃ、両手に花じゃち…。」
「…なに馬鹿なこと言ってるんですか、まさか私が寝た後もずっと朝まで
1人で飲んでたなんて…なんだってそんな馬鹿なことしたんですか。」
言った途端にいきなり量間がその場に棒立ちになったため、彼を引っ張っていた陣は
そのまま前につんのめって道端へ倒れ込んだ、慌てて起き上がろうとしたところへ、
今度は量間が上からかぶさって来て、背中を思い切り地面へ叩きつける羽目になった。
「が…っ…は……。」
衝撃で一時的な呼吸困難に陥り、声も出せない陣の後頭部を、
いきなり大きな手のひらが掴み、無理やり向きを変えた。
見れば視界いっばいに、世にも情けない顔をした量間が陣の顔を覗き込んでいた。
量間×陣13/15
「先生が悪いがじゃ、先生がわしを放ったらかして1人で寝てしまうけえ、
わしは一生懸命起こしたに、うるさそうにするばっかりで、
わしが大事な話があるちゅうがをあしろうて…先生は居らんし、
火鉢の炭も冷えるしで、わしゃ1人でもう寒うて寒うて、1人で暖まろうと思うたら
酒でも飲むより他にどうしようも無かろうが。」
「…っそ」
…れなら布団に入って眠ればよかったのに、と言いそうになったが
何故かそれを言うのがためらわれて陣は反論を諦め、
取り合えず身体から力を抜いて呼吸を整えることに専念した。
その間にも酔っ払いの繰言は続く。
「…大体先生はわしを何じゃと思うちょるんじゃ、わしがやっとの思いで話しとるがを
全然聞こうともせんで眠り込まれて、わしがどんな思いで、先生に言うて聞かそうと
思うとったに先生は聞こうともせん、どころかわしのほうを見もせんと…。」
同じ話が果てしなくループするのにいい加減うんざりして、陣はやっと口を開いた。
「分かりました、今ここで伺いますから、どうぞ話してください。」
量間×陣14/15
量間の繰言がぴたっと止んだ。
「……?」
「この、阿呆。」
「え?」
「先生だけに話して聞かそうちゅうとるがを、こんな誰が聞いとるかも分からん道端で
言える訳が無かろうが、阿呆、先生はいじゅちゅでは神様にも並ぼうかっちゅう
お人じゃのに、何でそんなに阿呆なんじゃ。」
すでに日の出から数時間、朝の早い江戸の人々が何人も、さっきからずっと
通りすがりに二人を遠巻きに見て、笑いながら行過ぎていると言うのに
なにが内緒話だ、と陣は思った、とにかく、出来るだけ早く話を切り上げて
この状況を何とかしなければ。
「…神様に並ぶは言い過ぎです…じゃあ、えーと、はい、分かりました
次は必ず最後まで付き合いますから、その時に話してください。」
量間の目が、見る見るまん丸に見開かれ、きらきらと輝きだした。
支援いる?
wktkして待ってます
量間×陣15/15
「…量間さん?」
「そ、そりゃまことかえ…?」
がしっと肩を掴まれ、陣はまたうめき声を上げ、量間の下から逃れようと暴れ出した。
「まっこと、まっこと、こん次は最後までわしに付き合うてくれるがかえ?」
「量間さん、肩!肩放してください、痛い…放し…。」
「もういっぺん、今何を言うたがか、もういっぺん、先生!」
「…ああ…聞いてなかったんですか…ですから…次にご一緒した時は
最後まで、付き合いますから…もう、放し、てく、ださいよッ!!」
「いいや、放さん、わしゃあもう、死んでもここを動かんけえ、先生が今言うた事を
絶対に違えんと、ここでわしにしかと約束するまではもう、
梃子でも退いてやらんぜよ!!」
「〜〜〜っ…悪い酒だなあ…はい、約束しますから。」
「絶対じゃな?」
「はい。」
「ほいたら、げんまんじゃ。」
「……。」
ぬっと小指を突き出し、顔中いつもの人懐っこい笑いで一杯になった量間に、
陣もつい引き込まれて笑った。
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのます。
大の男が2人、指切りげんまんを交わす声に続いて、どちらからとも無く
はじけるような笑い声が、冬の空に吸い込まれて行った。
バイバイさるさんが…ああ驚いた。
通しナンバーが入ってないところも、後で気付いた…。
色々すみませんでした。。
____________
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ おそまつ。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
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>>58 量間をしっかり充電させていただきました。
萌えたぎった。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
フレソドパーク見て萌えまくったので。脚本家→俳優独白。
たぶん、奥さんを除いたら
アベくんと一緒に居る時間がダントツに多いんだろうなーと
ふとコーヒーを飲みながら思った。
ホンを書く筆が進まない。
カラカラ動くアベくんの姿は思い起こせるんだけど
台詞が上手く書けない。
なんでだろう。
言わせたい言葉はたくさんあって。
それはくだらなかったり、いやらしかったりするんだけど。
でも、いざこうやって活字にしようとするとね。
なんかこっ恥ずかしいていうか。
早くアベくんに言わせたい言葉をちゃんと形にして
その口からもれる様をみたい。
そして照れたように笑う顔をみたい。
そう思うんだけど、オレの筆が追いつかないんだよね。
うん、頭の中は阿部くんで一杯だ。
あ、コーヒーが空になってる。
おかわりを頼んで、もう少しいろんなこと考えよう。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
801成分ほぼ無しで申し訳ないです。
>>41 GJ!
萌えと笑いが襲ってきました。
ほのぼの(?)な二人いいな〜
>58
途中で「ちょwwwwww」と口から出かけたw
なんと言う罪作りなんじゃあ先生は!
そして純情量間に萌えが止まりません。
>>58 GJぜよ!!
先生の潔い脱ぎっぷりに吹いたwww
>>前スレ346&416
亀ですがあらためてGJ!GJ!髪結いの話のラスト、二人の画が浮かんできて困りました
そういうパラレルエンドも想像して勝手にニヤニヤしました萌えました
教主様のお名前には吹いたけどw
またのお越し、お待ちしております!
>>ついでに前スレ523-524
>>19 ご感想ありがとうございました
ナマモノは数字的な感じよりも「リアルっぽさ」が最大の萌えだと信じているので
色んなお言葉嬉しかったですw精進してカプっぽいのも書けるようにがんばります
65 :
匙 0/6:2009/11/13(金) 04:16:02 ID:J4kvY1rF0
,-、
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. // 生 || ∧(゚Д゚,,) < 現在公演中・新完線【バソユウキ】ネタバレ注意
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < 前スレ346=416姐さんに触発されて殺し屋→教主
i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、< 観劇記念inたこ焼きの国に殺し屋視点で一本
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|_____レ"
66 :
匙 1/6:2009/11/13(金) 04:17:45 ID:J4kvY1rF0
『これは匙だ。鎧の隙間から相手の心臓に突き刺す。これで人は殺せる』
驚いた顔で――半ば呆然と言った方が正しいかもしれない、そんな視線を背筋に感じ淡々と牢兵の息の根を止めていく。
帯で首を絞め上げ、指で目から抜け脳を抉り、剣で斬り刻み槍で貫く。
狼の如く荒々しくしなやかに獲物を狩り。
蘭の如く匂い立ちて艶やかに宵闇を舞う。
ロウラン族の性に相応しく。昔々、一族の長に教え込まれた通りに口と身体は滑らかに動く。
『この世にある全てのもので人は殺せる』
いっそ爽やかなまでの笑顔で殺し尽くし、柔らかな声音で、背後から視線をくれていた男に告げる。
此処が監獄の地下深く暗闇だということを感じさせぬ陽だまりの微笑み。
あるいはそれは作り物の監獄など比にならない程の闇を内包した笑みだからこそ、そう成るのかもしれない。
『…名前は』
そう問われた。
だから答えた。
『そうだな、――匙とでも呼んでくれ』
匙。眼前の男にとっては土を掘り、自らに辿り着き、その道を、これからの運命さえをも切り開いた道具。
『だが、これからは僕が君の道を作る』
だからこれからは僕が君の匙だ。とでも告げれば納得してくれるだろう。
けれどそれは同時に人殺しの道具。
硬く冷たい鉄の匙。その緩やかな曲線に油断をすれば一瞬で命を抉られる。暗殺者としての自分そのもの。
仮の呼名には十分すぎるくらいだ。その場の思いつきにしては上出来じゃないか。そうこっそり自賛した。
67 :
匙 2/6:2009/11/13(金) 04:19:15 ID:J4kvY1rF0
名なぞお前に要らぬ物。
殺しの技があれば好い。
その命さえあれば好い。
遠い記憶。
それではその技すら疎まれた時、己はどうする。
命すら要らぬと言われた時、己はどうする。
答えは割に直ぐに出た。
禍々しき操り人形は自ら糸を立ち切り、悪魔と呼ばれるモノに成った。
名も無きままのそのままに。
そもそも、名とは何だ?
持たぬことで不便に感じたことなど無い。所詮そんなものだ。それだけのものだ。
現し世のくだらぬ取り決めに過ぎない。個体を識別するという名目などささやかなもの。
漠然とした存在の己が果たして何者であるのか言葉にして只安心したいだけだ。
愚かな民たちは気づかない。名前などというものが只のまやかしであることに。
本当の己が何者かなぞ自身にすらも解らぬものを、解ると言う者がもし居れば嘘吐きの謗りは免れぬ。況や他人をや。
それでも求められれば名乗ってやろう。
匙。それが今の僕の「名」だ。
68 :
匙 3/6:2009/11/13(金) 04:20:43 ID:J4kvY1rF0
用意という用意を全て終え。
宝来へ向かう船の上。
「はい皆さん、ご飯が出来ましたよー!」
「美味しいお粥が出来ましたよ〜」
伽藍と六六が食器を打ち鳴らして皆を呼び集めている。
「今日モ美味シソウネ、アリガト、二人トモ」
「いえいえ、今日は先日の港で手に入れた隠し味があるんですよ。姫様のお口に合えば幸いです」
「ドモン、サヅ、コッチコッチ!」
無邪気な姫の手招きに、彼と二人で呼ばれて行く。
「ホントだ、美味しそうだね」
「いつも済まない。感謝する」
「お互い様ですよ」
そう言って姫を護る者たちは笑う。
「はい、これでどうぞ」
言葉とともに手渡されたのは、匙。
「匙…か」
微かな呟きが聞こえ、彼――白い髪をした若い男がまじまじとその匙を見つめるのを横目で伺う。
ふと、気配を感じたのか男が此方を向いた。間近い距離で視線が重なる。
「どうかした?」
いつも通りの目を細めた笑顔で問うと、彼は小さく苦笑した。
69 :
匙 4/6:2009/11/13(金) 04:28:14 ID:J4kvY1rF0
「いや…匙には世話になりっぱなしだと思ってな」
「ああ、…島を脱出した時の話」
「それもあるが」
一呼吸置いて、男は続ける。返ってきた科白は予想外のものだった。
「匙は命を繋ぐものだから、な」
「どういうこと?」
「こうして食事をするのに使っているだろう。それは即ち命を繋いでくれているのと同じことだ」
「でも」
我ながら反論の言葉は早かった。普段はこんなことくらいで、いや、何に対してもムキになんかならないのに。
だってそれは命を繋ぐものなんかじゃない。少なくとも自分にとっては。
「食事をするのに必ずしも必要じゃないだろう。いざとなれば手掴みでも食べられるじゃないか。全く要らない物だよ」
寧ろ真逆の用途を連想させる。
それだって人によっては要らない物だ。そう、誰にも要らないと言われたあの日の誰かのように。
「それは違う」
しかし、相手の口からは更に反論の音が返ってきた。
「――匙で食事をするということは、人間らしい生活を送るということだ」
ぽつり、ぽつりと、言の葉を紡ぎながら。
思い出したくも無いだろう記憶を手繰り寄せているのがわかる。
70 :
匙 5/6:2009/11/13(金) 04:30:49 ID:J4kvY1rF0
「あの監獄では人間として扱われることが無かったから尚更な。…今の俺に匙は無くてはならないものなんだ」
「…そう」
「お前も同じだ」
「え?」
男がふわりと笑った。まるで本物の陽だまりのように。その瞳は青空のように澄んでいた。
復讐を誓った時の冷たい氷の如き表情からは連想も出来ない。その表情にほんの一瞬気を取られる。
「お前は俺の命を繋いでくれた」
「………」
「牢獄の中で憎しみを抱きながらもどうしていいかわからなかった俺に気力を取り戻させてくれた」
「…―――」
そこから先、どう応えていいかはわからなかったから、口を閉じた。
気にした様子も無く男は続ける。
「あの島を出てからはこうして傍で力を貸してくれている。匙は俺にとって――そうだな、俺にとっては」
男は一瞬口ごもる。言葉を探しているようだった。
その続きを聞きたいのか、それとも聞きたくないのか。
それさえもよく、わからなかった。
そして、続いた言葉は。
「……要は、お前が必要だということが言いたいんだ」
71 :
匙 6/6:2009/11/13(金) 04:32:51 ID:J4kvY1rF0
「―――――…え?」
「命を繋いでくれるこの匙と同じ。俺の掛け替えの無い親友だ」
「………」
「匙?」
「…そう、そうだったね。僕らはもう親友同士だ。君との友情にかけて誓うよ。君のために道を拓くと」
「ああ。これからもよろしく頼む」
親友、か。
そうだね。そうだ。
そういうことにしておくよ。
君が王になるその時まで。
僕が復讐を果たす、その日まで。
これからも僕は君の匙だ。
本当は少しだけ。
『お前が必要だということが言いたいんだ』
胸の辺りを、何か知らない温かいものが過ぎった気がした。けれど気づかない、振りをした。
ただ少し、ほんの少し、この名前が気に入った、かもしれない。
思い出したようにその目を再び眇め、昏い陽だまりの笑みをいっそう濃く、深くする。
「さあ、行こうか。―――――宝来の国へ」
航海はまだ、始まったばかり。
,-、
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// .|| ∧∧
. // 止 || ∧(゚Д゚,,) < この二人に強烈に燃えて萌えたが
//, 停 ||__ (´∀`⊂| < 右大臣×学問頭なんかもいいと思います
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| | / , | (・∀・; )、< 全然エロとかなくてごめんなさい
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
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|_____レ
教主様の中の人×千秋楽近くに来てたあの人との楽屋ネタも書きたい今日この頃。
萌えを吐き出させて頂きありがとうございました!
73 :
医者の不養生:2009/11/13(金) 15:10:20 ID:VGGcYy+hO
量間×先生ですよ。
携帯からですいません。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
サアサアと細かな音で降り続ける雨は、もう一週間も続いていた。
そのせいでいきなり下がった気温にやられたのか、それとも常日頃からの疲れのせいか、南方は二日前から床に臥せっている。
ケンケン、と乾いた咳が出て、酷く喉が痛む。
肺炎にならなければいいが……などとどこか他人事のように思った。
静かすぎる部屋になんとなく居心地が悪くなる。
なにくれとなく世話を焼いてくれる咲も今は家の用事をしていていないから、話し相手もない。
無理矢理にでも寝てしまおう、と目をつぶったとき、離れた所から響いてくる足音に気を引かれた。
橘の家の女性たちは決して足音を響かせながら歩くなんて真似はしない。恭太郎も然り。
誰だろうと考えを巡らせているとその足音は南方の寝る部屋の前で止まった。
「せんせぇ、起きとうか?」
その声ですぐに誰かが分かった。
「起きてますよ、竜馬さん。どうぞ」
す、と無遠慮に、しかし音は無く開かれた障子の向こうには竜馬が枝豆を持って立っていた。
南方の顔を見てにかり、と笑う。
「おお、随分顔色も良うなったようじゃのぅ」
「おかげ様で」
身体を起こそうとすると量間はそれを仕草で制して、自身は皆肩の横に胡坐をかいた。
そして先殿がみえんかったきそのまま持ってきてしもうた、と枝豆を掲げてみせる。
「しっかし、医者が感昌にやられるとはまっこと情けないぜよ」
ハハハ、と大声で笑いつつその手は皆肩の額に当てられている。
熱を測っているのだろう。
外を歩いてきたからか、ひんやりとしたそれが気持ち良くて誘われるように目を閉じた。
途端に量間の手が離れていってしまう。
「どうしたんですか?」
「……無自覚っちゅうんは怖いのぉ」
「?」
「そういうんがあかんのぜよ」
首を傾げれば、量間は苦笑した。
再び手が伸びてきて今度は髪を梳くように動く。
やはり気持ちが良くて目を閉じた。
「無防備やき、いかんのじゃ」
ちゅ、と軽い音を立てて唇を吸われる。
舌でなぞられて、擽ったさに開けば深く噛み付くようにされて、舌をゆるゆると絡められた。
「ちょ、量間さ……」
「なんじゃ」
「な、何して、」
「なにをて、きっすじゃ」
「きっ……」
再び口を塞がれて、のしかかるようにしている量間の肩を必死に押すがびくともしない。
そのまま吸われ続けて、ぐったりしたところでやっと解放された。
何をするんですか、と問い質したくとも舌がうまく回らずできない。
量間がまた髪を何度も撫でる。
まるで幼子にするような手つきに安心して、睡魔が襲ってきた。
「今日はこのぐらいにしとくけんど、次はどうなるか知らんぜよ」
眠りに落ちる寸前にそんなことを言われた気がするが、どういうことかももう考えられず素直に意識を手放した。
77 :
医者の不養生:2009/11/13(金) 15:23:00 ID:VGGcYy+hO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
1/3で名前書き直し忘れました……!!!
消えます…………。
量間に「きっす」って言って欲しかっただけなんだ。
>>73 ああああ、素敵〜!萌えた〜!
天然無防備センセェは可愛いなぁ!
元気出たっす!
>>73 萌えました〜!!
出だしの
>サアサアと細かな音で降り続ける雨っていう文章で、
後に続く話し全部が、雨に閉じ込められた密室の感じがして
ドキドキでしたwww
オリジナルです 居候の若者とテレビキャスター
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
81 :
テッド 1/5:2009/11/13(金) 21:23:56 ID:rz2xSPV00
『こんばんは、テッド・コリンズです。今夜はまず、たった今入ってきたニュースから……』
水曜日の夜八時。『Ted Collins 7days』のアンカーマンは淡々とニュースを読み、政治家と意見を交わしてる。
「飽きもせず観るわねえ」
僕が身を乗り出してテレビを観ていると、帰り支度を済ませたマーサが呆れたように言った。
「ニュース番組に飽きるも何もないよ」
「私は飽きたわ。というか、観るならテッドが出ていない番組を選ぶけど」
だろうね。僕とマーサがいるこの家の主は、今テレビに顔が大写しになっているキャスター、テッド・コリンズ。
僕らは当たり前のように毎日彼と顔を合わせている。
ましてマーサはテッドが子供の頃からここで働いているから、うんざりもすると思う。
「ほら、今額に人差し指を当てた。あれは臨戦態勢に入った証拠なんだ。相手の発言にイラッとしてるのさ」
「よく分かるわね。あんな仕草、ここでは見せないけど」
マーサと戦おうなんて、そんな無茶なこと僕だって思わない。
ひょっとすると、ここの本当の主人は彼女かもしれない。テッドでさえ頭が上がらないんだ。
82 :
テッド 2/5:2009/11/13(金) 21:24:32 ID:rz2xSPV00
ここに住んでもう10年くらい経つ。
僕は親を知らない。若すぎた母親は僕を育てられず、施設に預けた。
自分の顔を見るに、母親か父親のどちらかが中東系の血が入ってたのだと思う。分かるのはそれだけ。
大抵は5〜6歳までに親が引き取りにきたり、養子にもらわれていくのだけれど、僕はどうやら時期を逃してしまったらしい。
気がつくと施設では一番の年長者になっていた。
施設はボランティアと寄付でどうにか運営できる状態なのに僕ときたら、出て行くには子供過ぎ、引き取られるには歳をとり過ぎてる。
完全なるお荷物。
そんな時、テッドが取材でやってきた。テレビでよく観る人が来るなんて、と興奮したのを覚えてる。そして彼の後をついてまわってたな。
彼は最初、僕のことをボランティアで来ている少年だと思ったらしい。
「君は将来何になりたい?」
他の子供達にも同じことを聞いていた。ありがちな質問だし、予想できたはずなのに、答えにつまってしまった。
何年かしたら、ここのスタッフとして働くんだと思いますとか、そんなことを言ったと思う。
「そうじゃなくて、希望っていうか、あるだろう?」
「でもある程度はもう予想できるし。希望とか、意味ないから」
テッドは返答に困っていた。そりゃそうだ。
それはまぎれもない真実で、言った僕自身がその言葉に打ちのめされてしまったし。自分の現実は、まだ子供だった僕には辛すぎた。
涙が出そうになって慌てて下を向き、上を向くべきだったと後悔する。ぽろぽろと涙が床に落ちた。
テッドがその時何を考えていたかは分からない。僕の頭を撫でて顔を上げさせると、ほっぺたを軽くつねった。
「子供がそういうことを言うもんじゃない。世の中そんなにひどくもないよ」
そして、もう一度頭を撫でた。
それからしばらくして、施設の先生に呼ばれ、テッドが僕の後見人になると聞かされた。
83 :
テッド 3/5:2009/11/13(金) 21:25:19 ID:rz2xSPV00
番組が終わって帰ってくるのは大抵3時間後くらい。もしくは帰らない。
けれど今日はいつもより1時間も早い帰宅。ネクタイを緩めながらテッドがリビングに入ってきた。少し嬉しくなる。
「打ち合わせが早く終わったんでね。ここんとこ忙しかったし、素直に帰ることにした」
夕食は食べていないらしい。もちろんマーサは彼の分は作っていない。夕食が必要なときは事前に電話を入れるように言われているのに。
「早く終わるなんて分かるはずないだろ。ピザでもとるよ」
「すぐ寝るんでしょう? 胃がもたれます。パスタでなんか軽く作るから、ちょっと待ってて」
さすが、とテッドは笑うとソファに足を投げ出してテレビをつけた。
他のチャンネルのニュースに突っ込みを入れておもしろがっている。呑気なもんだよ。
前に本屋で、テッドが表紙になってる雑誌を見た女の子達が話してた。
「他のキャスターに比べて、彼ってスマートだよね。おしゃれだし。自己管理がしっかりしてるんだろうな」
吹き出しそうになった。
マーサがいないと平気でジャンクフードを食べるような人だ。だから、ジムに行くことを僕が薦めた。
服装だって、スーツをオーダーメイドにさせたのも僕だ。彼自身はあまりファッションに興味がない。
ほっておくと、スーパーで適当に何枚ものワイシャツを買ってしまう。
裕福な家に育った彼は我慢という言葉を知らないから、食べたきゃ食べるし、ない物はその場で買う。
興味があるか、ないか程度の選択肢がせいぜいだ。自己管理なんてできるわけない。
僕がいないと、と思いたいだけなんだけれど。
彼は独り立ちすることを望んでいる。なのに僕ときたら、恩を仇で返すようなひねくれぶり。
昨日、なかなか仕事に就けない僕に、テッドは知り合いの会社を紹介した。
「そんな顔するなって。お前がこういうコネとか嫌なのは分かってる。でも、心配なんだよ」
そうじゃない。コネがどうとかじゃない。
今まで、仕事を探しているふりをして全く探していなかったのに。彼の紹介なら行かなきゃならない。
どうしたものか。
84 :
テッド 4/5:2009/11/13(金) 21:25:53 ID:rz2xSPV00
食事ができたので呼びにいくと、リビングが妙に静かだった。
ソファでテレビのリモコンを持ったまま眠っていた。スーツが皺になってしまう。
僕がいなけりゃ多分、彼はこのまま寝てしまって、次の日くしゃくしゃのスーツのまま出勤するんだろう。風邪を引いてるかもしれない。
子供の頃はずっと一人で、誰かに甘えることもできずに成長して、これから先もずっと一人だと思っていた。
それはそれで楽な気もした。自分のことだけ心配してればいいんだから。でも今は、この人がいる。
彼は一人でも平気なんだろうか?
「テッド」
起きない。耳元で怒鳴ってやろうか、と顔を寄せる。
無防備な寝顔に軽く口づけた。あまりに久しぶりで、顔が赤くなる。
最後にキスしたのはずいぶん前、14歳の頃だ。クリスマスにマウンテンバイクをプレゼントしてくれた。
僕が欲しがっていたのを知っていたのが嬉しくて、抱きついて頬にキスしたっけ。
そのとき、普段とは違う香りがした。甘ったるい、女性のつけるような香り。
香水、と呟くと、テッドは慌ててマーサには言うなと耳打ちした。
「女性を連れ込むと怒るから、外で会うようにしてるんだ。お前も彼女ができたら連れてこない方がいい。絶対文句言われる」
心配しなくてもちゃんと女性好みのゴージャスなホテル選んでるから、と余計な情報まで添えて。
それ以来なんとなくキスできなくなってしまった。
今でも、帰ってこない日は誰かと会っているのか仕事なのか、不安になる。
85 :
テッド 5/5:2009/11/13(金) 21:26:26 ID:rz2xSPV00
……ふいにテッドの目蓋が薄く開いたので思わず平手打ちをしてしまった。
ソファからゆっくり体を起こすと、わけが分からないまま頬を撫でている。
「今、君、僕を殴らなかったかい」
「呼んだのに起きないから。すっかり目が覚めたでしょう」
「え、それで殴るとか。できれば顔はやめてくれると嬉しいな。一応テレビに出る仕事なんで。顔が命なんで」
無視してキッチンに急かした。納得いかない表情をしている。良かった、何も気づいていない。
ずいぶん乱暴になったもんだよ、と嘆きながらテッドはパスタを口に運ぶ。僕は向かいに座って、そんな彼を眺めている。
唇の感触を思い出して、無意識に指をくわえていたらしい。お前も腹減ってるの? と聞かれてしまった。
「いえ、今日は久々に大好きなものを頂いたんで」
彼は肩をすくめる。
そして、今日会った政治家がいかにアホだったかということを話し始めた。
こんな夜がいつまでも続けばいい。
なんて、僕には贅沢な望みなんだろうか?
ありがとうございました!
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>80 待ってました!
もどかしい二人に萌えましたよ…
先生×佐武利
五話ぐらいのつもりです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
もう夜四つになろうとしている。
皆肩にとってはなんてことない時間帯だけれど、この時代の人にとってみれば夜中と呼んでもいい。
皆が寝静まった後、皆肩はすぐにここにやってきた。
周りはペニシリンを作るための青黴が置かれた棚だらけだ。
少しでも沢山のペニシリンを作っておきたい。
それが、有切を救うことにも繋がるのだ。
皆肩が作業に没頭していると、入り口がカタンと音を立てた。
「先生やないですか」
「佐武利くん…。寝てたんじゃ」
「いや、廁へ起きたらなんや先生おらへんし、まさかと思ってきてみたんですわ」
手伝いますよ、と腕まくりをして入ってきた佐武利に、皆肩は首を振る。
「眠いでしょうから、いいですよ」
「なにゆうてるんですか。先生かてそうでしょう?」
皆肩の言葉に耳を貸さないまま、佐武利は十分繁殖した青黴の入れ物を持ってきては机に並べ始める。
断り続けるのも彼に悪い。
手伝いをしてくれるのも正直なところ有り難いし、明日の朝ゆっくり休んで貰うことにした。
佐武利は皆肩の指示を仰いではよく働いてくれる。
少し子犬っぽくてなんだか微笑ましい。
キラキラした尊敬の眼差しで見られるのも、面映ゆいが嬉しかった。
実のところ、その眼差しに恋情が交じっているのも、気が付いている。
会話もないまま作業を続けていたが、いい加減眠たくなってきたのか佐武利がうつらうつらとしはじめた。
「眠いんでしたら、戻ってくださって構いませんよ」
「いや!先生が起きてはるのに寝れませんわ」
といいつつも、やはり限界なのか目が閉じていく。
どうやら折れてくれなさそうだな、と判断して皆肩は苦笑した。
「分かりました。私も寝ます」
「そうでっか…」
ちょっとだけ佐武利が悲しそうに眉を下げる。
なんだかんだで二人きりなのを喜んでいたのだろうか。
「……佐武利くん。手伝ってくれたお礼をしますから、ちょっとだけ目を閉じていてください」
「え、」
「いいから」
ね、と促せば佐武利は目を閉じた。
そのままちょっとすると、カクンと首が揺れた。
そのタイミングに合わせ、唇を奪う。
「わ、寝てしまってましたか?」
「いいえ、一瞬だけですよ」
「…先生なんかしはりまさた?」
「いいえ」
惚けてみせれば佐武利は首を傾げながらもそうでっか、と納得した。
「さあ、寝ましょうか」
「あれ?お礼ってなんやったんですか?」
「もうしましたよ」
え、と納得いかないような顔をした佐武利に、皆肩はにこりと笑った。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お目汚し失礼しました。
空気を読まずに投下です
ごめんなさい、萌が止まらないんです、しつこくてごめんなさい
前スレ鳳話のちょっと過去バナ
ナマモノ注意。エロ薄めですがスーツ君の一人エチー有。苦手な人はスルー推奨
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
客もまばらな深夜のファミレスに、和歌林は一人座っていた。
テーブルの上にはネタ帳代わりのノートを広げているが、そのページは真っ白で
苛立たしげにシャーペンで突ついた跡だけが残っている。
和歌林は先刻からネタを考えようとしているのに、どうも上手くいかない。
ただ、ひとりの男の顔が頭の中をぐるぐる回っている。
ピンクのベストを着て、胸を張り、人差し指を突き立てる。
いつでも誰にでも上から目線の俺様キャラで、相方にさえ興味無し。
そういう「オードリーの粕賀」というキャラを、和歌林と粕賀の二人で作ってきた。
和歌林にとって、粕賀がこのキャラであることはお笑いの世界で『うける』という以上に
別の大きな意味を持っていた。
そしてそれは粕賀にとっても同じ事で。
つまりは、お互いに相手への恋心の隠れ蓑にしていたのだ。
昔はそうでもなかったのにな、と
和歌林は窓の外の殺風景な町並みに目をやって、ため息をついた。
最初は友情だと思ってた。でも。
『大好きだよっ!』
『可愛いヤツだな』
『食べちゃいたいよ』
これまで粕賀が言い続けていた言葉たちは、ネタではなく粕賀の本心だった。
それを承知で、和歌林は気づかないフリをしてきた。
気づかない方が二人のためだと思ったからだ。
それなのに。
粕賀の和歌林に対する仕草や眼差しに、隠しているはずの想いが溢れ出るようになって
最近では俺様キャラまで崩れかけている。
ならばいっそ告っちまえばいいのにと和歌林は単純に思うけれども
根が常識人の粕賀には、超えられない壁があるようだった。
「・・・この、ポンコツの意気地なしがよぉ」
和歌林は目の前の写真の中から笑いかけてくる男に対して悪態を付く。
この男は数ヶ月前にも『粕賀は和歌林のものだ』なんて爆弾発言をしておいて
それでもなお、自分の本心が和歌林にバレていないと信じていた。
あのデレもこのデレも、みんなネタですよ、と言わんばかりの態度を取る粕賀に
和歌林は煮え切らない思いを抱えていた。
漫才の途中やステージの上で、ネタにかこつけて告白されても腹立たしいだけだ。
本当に真剣なら、プライベートで、俺の目を見て言いやがれ。
粕賀がデレる度、和歌林は心の中でそう毒づいていた。
なにより、そんな冗談めかした言葉でも、時折本気で照れてしまう自分が嫌だった。
和歌林だって、粕賀が好きだ。
よく見れば端整な顔立ちだし、ガタイもいい。低く響く声にも惹かれていた。
何も考えていないかのように見えて、実はやはり何も考えていない所とか。
なんでもマイナスに捉えてしまう和歌林は、そんな粕賀に何度も助けられている。
だからこそ、この想いを冗談にして欲しくなかった。
ただ。
お互いが胸の内を打ち明けて、晴れて恋人同士となったなら
同然のようにイロイロするのだろう。
キスとかハグとか・・・・・・セックスとか。
そこまで思い至って、和歌林は自分の頬が赤くなるのが分かった。
今までも何度か想像してしまったことが無いわけではない。
が、どう考えても和歌林は自分が粕賀を抱いているところを想定できなかった。
つまり、自分は所謂『ネコ』という立場になるんだよな、とぼんやり思う。
和歌林は以前マ/エ/ケ/ンさんの家で見たその手のビデオや雑誌を思い出した。
男同士のヤリ方は分かってる。受け入れる側が大変な事も。
慣れればとてもキモチイイらしいが、経験したことが無い快感は想像すらつかない。
それよりも「出す」はずのトコロに「入れる」という行為の異様さが
和歌林を不安にさせ、粕賀に対する愛情よりも未知への恐怖が勝る。
それに男としてのプライドもある。
同じ男に組み敷かれて、喘がされるなんて絶対御免だ。
けど、でも、それは、粕賀にならイイかなとか思ってしまう和歌林だった。
結局は意地になっているのだ。
だからこそ、粕賀の方から強引にでも誘って欲しいのに。
つまらない常識に囚われたあの馬鹿は、その一歩が踏み出せない。
「こんなトコで一人で赤面して・・・俺も、馬鹿みてぇ」
和歌林は自嘲気味に呟いて、長いため息を一つつく。
もうこれ以上長居をしても無駄だと判断して、ゆっくり席を立った。
短いドライブの後、レンタカーを返して、和歌林は自宅へと帰った。
2月に引っ越したばかりのこの部屋は、まだどこか余所余所しい。
寒々しい空間に身を置くと、無性に相方が恋しくなる。
粕賀の傍らは、和歌林にとって自宅よりも寛げる場所だった。
ついつい凭れ掛かってしまう和歌林を、粕賀はただ黙って受け入れていた。
粕賀の大きい手や逞しい腕、広い胸板の感覚を思い出すと和歌林の躯が火照る。
和歌林はふっと先日の番組内で、粕賀とキスした事を思い出した。
柔らかくて優しいキス。
満ち足りた気分になって、思わず笑みが漏れた。
その後頬にもキスされ、恥ずかしさのあまり手が出てしまったのだけれど。
和歌林は右手の人差し指と中指をそっと自分の唇に押し当てて目を瞑る。
あの時のキスを思い出そうとするかのように。
ゆっくりと指先を唇に沿って動かしてみると、うっとりする程の甘い快楽が
和歌林の全身をおし包む。
「・・・ふ・・っ」
わずかに開いた口許から舌を出し、ちょっと舐めてみた自分の指から
ピリッと弱い電流が流れた気がした。
二本の指の間に舌を這わせてゆっくり舐め上げると、ぞくぞくする快感が
和歌林の背筋を伝う。
ずくんと腰に快感が伝わって、和歌林の中心が硬くなっていく。
和歌林はベルトを緩めると、スラックスの前を寛がせて右手を下着の中まで忍ばせる。
立ち上がり始めた自分自身を握りこむと、和歌林の口から甘い吐息が漏れた。
「・・・あ・・は・・・」
そのままゆっくりと扱き出すと、指先に付けられた自分の唾液と先走りの汁で
くちゅくちゅといやらしい音がする。
「っ・・・ふっ・・・あっ」
今度は左手を唇にあてがう。先刻よりも奥まで指を咥えて舌で弄る。
粕賀の唇の感覚を思い出して和歌林の熱があがる。
口内を探る指は、味わったことの無い粕賀の紅い肉の味がするようで。
和歌林は夢中で自分の指を舐めていく。あふれた唾液が白い指を伝って落ちる。
「あ・・・か・・っす、がぁ・・」
熱い息の下で相方の名を呼ぶと、右手の中の熱がさらに増す。
高まる快感に合わせて扱く手の動きを早めると、卑猥な音が部屋に満ちる。
「っあ、か、すっがぁっ、粕賀ぁ、あっ・・・」
夢中で何度も呼ぶうちに、和歌林は本当に粕賀にされているような錯覚に陥っていく。
『・・・わ/か/ば/や/し』
自分の名を呼ぶ粕賀の低くく魅惑的な声が和歌林の耳の奥で甦る。
「っ、粕賀っ!」
色情に昂ぶった声とともに、和歌林の手の中で己の性欲が弾けた。
心地よい感覚にフワフワしながら和歌林はしばらく動けないでいたが
自分の掌にべったりと付いた青臭い劣情の跡を眺めていると
幸せな余韻が忽ち冷めていき、強烈な虚しさに襲われた。
こんなにこんなに好きな相手が身近にいるのに、三十路を過ぎたいい大人が
部屋でさみしく一人遊びなんて!
「なんで、一人でしなくちゃならねぇんだ!」
腹立ち紛れに言い捨てた。
好きあう相手がいるんだから、気持ちイイことは二人ですればいい。
もう意地だのプライドだの言ってられない。こんな虚しい自分磨きはもう沢山だ。
和歌林は腹を決めた。
粕賀の方からモーションを起こさないのなら自分から誘ってやる。
決意をこめて和歌林は立ち上がった。
さて、まずは何から始めようかと、両手で髪の毛をぐしゃぐしゃに掻き回して考える。
とりあえずは買い物だ。ローションとかいるんだ、それにゴムも一応。
彼女いない暦が長すぎて、和歌林の部屋にはそういうものの買い置きが一切無かった。
後は・・・と頭を捻ったが、和歌林の乏しいホモ知識では何も出てこない。
マ/エ/ケ/ンさんに聞けば教えてくれるかと閃いたけれど、ちょっとそれは恥ずかしいなと
和歌林は思い直した。
>>86 すげー面白かったです
文章のリズムも心地よくて、情景がするするイメージできました。
このお話の続き、もしくは前のエピソードなどがあるなら、いくらでも読み続けたいです!
切な萌え…
要るモノは、今度またドライブに行くとき買ってこよう。
ドンキとかなら売ってるだろう、あそこって何でもあるよなぁと思いを馳せると
和歌林はなんだかどんどん楽しくなってきた。
スケジュールを確認すると、近々二人とも早い時間に仕事が終わる日があった。
「よし」
和歌林は赤ペンでその日に丸をつける。
そうして、粕賀を誘うための計画をすばやく立てる。
『ネタ合わせをする』と言ってこの部屋に呼ぶのが一番手っ取り早いだろう。
ホテルはあからさまだし、粕賀の部屋なんか論外だ。
和歌林は丸を付けた日付を指で弾いた。
決戦は金曜日。待ってろよ粕賀。
壮大なイタズラを仕掛ける前の子供のような気分で、和歌林はほくそ笑んだ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ホント空気読まなくて、失礼しました。
幽白の桑受に目覚めてしまったのでとりあえず幽桑。
多少血なまぐさい表現があります。
____________
| __________ |
| | | |
| | |> PLAY | |
| | | | ∧_∧ 桑受注意だよ!
| | | | ピッ (・∀・ ) 死にはしないよ!
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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穏やかな午後の日差しが部屋に差し込んでいる。
桑原は机に向かって鉛筆を走らせ、幽助は桑原のベッドを占領して週刊誌を捲っている。
いつもの、と言って差し支えのない日曜日だ。
「なぁ」
「あ?」
紙面から顔を上げずに幽助が声をかける。桑原も顔を上げずに応えた。
気にする様子もなく幽助が続ける。
「一口食わしてくんね?」
「あぁ」
生返事をしてから自分の返事の内容に気付いて、桑原は鉛筆を叩きつけるように置いて振り返る。
「今何つった?俺の耳も大分遠くなったみてーでな、よく聞こえなかったぜ」
「一口食わせろっつったんだよ。耄碌すんにゃまだ早えぞジジイ」
振り向いた先では、幽助がにやけた笑いを口元に浮かべてこちらを見ている。
開かれたままの週刊誌に踊る見出しが目に飛び込んできた。
『山中に遺体』『損壊の激しい』『犯人は山犬か』……
桑原は億劫そうに椅子から降りてベッドへ向かう。
「霊力の高え人間はうめーって言うしよ、オメーなら適任だろ」
ベッドの脇に立ったまま、週刊誌に目を落とす。バカも休み休み言え、と返そうとした言葉は、
しかし言葉にならない。
幽助が腕を掴んだからだ。
「な、いいだろ?一口だけだからよ」
見上げる顔には好奇心の色。頼む口調とは裏腹に腕を掴む力は強い。
桑原は、幽助に力で出られたら勝ち目がないことを嫌と言うほど知っていた。
溜息を吐いてベッドに腰を下ろす。
「しょーがねー奴だな、オメーはよ。外から見えねーとこにしろよ」
胡坐をかいてベッドに座る桑原の、露にされた左の二の腕に、幽助は食いついていた。
魔族化したとはいえ外見的には以前と何ら変わることはない。多少犬歯が鋭くなったような気がするが、
気のせいと断じられてしまえばそれで済んでしまう程度のものだ。
自然、生きたままの人間の肉を食い千切るとなれば相応の労力が必要になる。
にもかかわらず、幽助は口元を血で濡らしながら、稚気すら感じる楽しげな表情を浮かべていた。
「ぐ……」
時折、桑原の喉の奥から、飲み込みきれなかった呻きが零れる。
戦っているときにはほとんど気にも留めない痛みが、日常の続きではひどく鮮烈に浮かび上がる。
幽助が初めて口にした人の血肉の味は、期待していたようなものではなかったが、
目の前で血と汗を流して苦痛を堪える姿が目に焼きつく。
ベッドに広げたままの雑誌、机から転げ落ちた鉛筆。午後の日差しの差し込むいつもの部屋に満ちた、
鉄錆のような匂い。
酔いそうだ。
「いつまで弄くってんだ…食い終わったんだったらとっとと離れろ」
眉を寄せた桑原が、抑えた声をぶっきらぼうに放る。幽助は無言のまま傷口から肉を千切り取った。
ぱっ、と血が散り、また声が零れる。桑原の纏う霊気がゆらりと揺らぐ。
「ご馳走さん。……と、言いてえところだけどよ」
口に残る肉の欠片を嚥下し、唇を赤く染める血を舐め取る。
「もうちょっと付き合え」
幽助は、確かに昂揚している自分を感じていた。
震える呼吸に混じって、呻きのような悲鳴のような声が上がる。自分の耳に届くそれが忌々しくて、
桑原は枕に顔を埋めた。
「つれねーなオイ」
覆い被さった幽助が、そんな言葉を耳に吹き込んでくる。深々と埋め込まれた楔が熱い。
「っせぇ、バカ野郎ッ……」
ついた悪態も上擦ってしまう。気を抜くと鳴りそうになる奥歯をきつく噛み締め、
シーツを強く握ってやり過ごす。
度重なる戦いで痛みに強くなった身体を恨んだのは初めてだった。
「言ってろよ」
体格差をものともせずに幽助が動く。熱を持ち、脈打って痛む腕の傷に意識を集中させ、
背筋を這い上がってくる快楽から目を逸らそうと、努力だけはしてみる。
不意に動きを止めた幽助の指先が、隠しようもなく勃ちあがったものに触れた。
「ケツに突っ込まれて勃ってんじゃねーか、変態」
「男のケツに突っ込んでる奴に言われたくねーよ、変態」
睨み合いのような数秒。
「……くくっ」
「へへへっ」
どちらからともなく笑い出し、それがまた妙におかしくて、ひとしきり笑い合う。
「じゃ、お互い様っつーことで」
「てめーが言い出したんだろうが。いいからとっとと終わらせろコラ」
幽助の腰に足を回して引き寄せてやると、間抜けな顔に間抜けな声が上がる。
霊気で包み込んでやれば、頭を撫でられた子どものような笑みが返ってきた。
何となく気恥ずかしくなって背中に爪を立ててやる。風呂に入ったら痛むかも知れないが、
このくらいは許されるだろう。
それから高かった日が落ちるまで、行為に没頭していった。
____________
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| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 以上、お目汚し失礼しました!
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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幽助が魔族でも力の差がすごくても
怯えたりしない桑原萌えってことが
書きたかったけど書けませんでした。
文章書くのって難しい。
>>101 そのシリーズ好きや
ありがトゥース!
昨日いいともで若林春日って子が出てきて
若bayasiがキャスガの家に嫁に行ったらその名前になるか?などと考えてしまったよ
棚 鳳の人
なぜ謝ってんのかがわからん
空気読めないと思ってんだったら投下しなきゃいいのに
萌えてるんだったら萌えてるで胸張って投下すりゃいいんじゃね
師弟と同僚
みたいなものです
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
窓の外から射し込む月のあかりが、彼の顔を青白く浮かび上がらせている。
あの場面と同じカオだ。
怯えた目線。だけれどもまっすぐ見つめている。逃げ道などない。
それが不運の始まり。
彼の追い詰められた表情によって、周囲はある特異な感情を抱くようになる。
例えその想いに自ら気付き、否定し抗っても、歪み続ける。
そして何かの拍子にぽんと背中を押されると、最悪の行動を引き起こしてしまう。
こんな風に。
「・・・やめてください・・・」
絞るように声を出した彼は両手首に力を込め、腰を浮かせようとする。
布越しに当たる下腹部の熱を嫌がるように、何度も何度も足をバタつかせる。
だが馬乗りをして押さえつけているので、逃れることはできない。
涙目になる瞳。
表情、行動すべてに欲情を煽られる。
叫んで助けを呼ぶこともできず、ぎゅっと唇は閉じられている。
彼にとって目の前の人物は、尊敬の対象であり、
今の恵まれた地位まで引き上げてくれた恩人だった。
拒むことはできない。知っている。
シャツを捲り上げ、指先で優しくなぞると、彼は目を閉じて顔を背けた。
「…うう」
頬に伝う涙。
震える白い肌。
解放された左手で声を漏らさないよう必死に耐える。
「耐えなくて、良いんだぞ」
耳元で囁くも、彼はぶるぶると首を振る。
仕方ないな、と薄ら笑いを浮かべて、指先を下腹部へ滑らせ
***
ぱち、と目が覚めた。
自分は、その人物ではない。目の前に彼はいない。ベッドの上には一人。
体を起こす。いつもの自分の部屋であり、遠征先のホテルではない。
先ほどの光景を思い返す。そして、布団を見下ろした。
・・・!
叫びたい衝動をぐっと堪える。
がつ、と拳で額を殴りつけた。
よりによって、あの人になって、彼を組敷く夢を見てしまうなんて。
恐らく昨晩見た、彼の仕合の映像のせいだ。
研究の為に見てるのに、何を意識してしまったのか。
ベッドから降りて、放り出されたウェアに袖を通す。
窓に近づき、明けつつある空と街の景色を眺めた。
今ごろ彼は、遥か彼方の空の下か。
彼と組んだあの日のことを思い出す。少年のような笑顔。
やはり泣き顔より笑顔の方が良い。
逞しくなって帰ってくるのだろうな。
また、一緒に組めたら良いんだけど、まだまだ力不足だ。
街路樹の下で走る人を見つけた。
腕を伸ばして、息を止める。そして一気に吐き出した。
「耐性つけなきゃな」
呟きながら先ほど殴りつけた額に触れ、ドアに向かった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンノモウソウデシタ!
>>108みたいな絡みスレからコピペで転載する
人力ウイルスが発生中な模様
114 :
温め鳥:2009/11/15(日) 05:14:22 ID:Lfzz7cMmP
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ドラマ イニ
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| サプ陣サプ?です。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
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なんでやろ。
みんなの命を救うてくれる先生の命を、なんで狙う奴がおるんや。
振り下ろされる刀を前に、何も考えず体が動いた。
佐部利は皆方の身体を思い切り突き飛ばし、そのまま浪人たちの前に立ちはだかった。
「先生!先生逃げてください!」
「何言ってるんですか佐部利君、君も一緒に逃げるんです!」
「あきまへん!」
(皆方先生は絶対に助けな、死んだらあかんお方や)
でも相手は三人もいる。皆方も自分も丸腰だ。
皆方を庇ったとき、実は刃の切先が着物の袖を掠めていたが、佐部利はそれにも気付かないほど動転していた。
それに逃げようにも足がすくんで動けなかった。
(どないしたらええんや…誰か…誰か…!)
だから今にも斬られそうであったその時、
「おまんら!そこで何をやっちゅうか!」
浪人たちの後ろから地鳴りのような咆哮が轟き、見覚えのある姿が視界に飛び込んできたその瞬間、安堵で足腰が萎えた。助かったと。
だが佐部利がそう思えたのもつかの間だった。
「邪魔だ、どけ!」
往来を塞いでいた佐部利の身体を、逃げる浪人が思い切り突き飛ばした。
「あっ」
芯が抜けたようにその身体はぐにゃりとくずおれ、そのまま堤を転がり落ちた。
吉原へそう毒の患者を診に行った帰りに起こった事件だった。
二人は医学所への帰途につき、陽も暮れた人気ない堤の上を歩いていた。
「そう毒の患者への対応は我々ももう教わりましたから、先生じきじきに出向かれなくてもよろしかったですのに」
「いいんですよ、臨床に携わることで新しく発見することや理解できることもたくさんありますから。それに…」
「それに…なんでっしゃろ?」
「佐部利君には、何か心配事でもあるんでしょうか?」
「…何もありまへんけど、なんでそないなこと聞かはるんですか」
「なんだかあまり元気がないように見えたので気になってしまって。私の気のせいならいいんですけどね」
この先生は人の身体だけでなく、心の中までも透かしてしまうんやろか。
恐々としつつも佐部利は平静を装った。心の動きを皆方に気取られてはならない。
「…しかし今日は川の勢いがすごいでんなぁ、先日の大雨のせいでっしゃろか。どうどうとえらい音がしますなあ。
ここいらは暗いし、なんや恐い気がしますわ」
堤の下で逆巻いているはずの濁流を少し覗き込み、佐部利は首をすくめた。
皆方も必要以上に佐部利の心の内へ介入するつもりはなかった。
「そういえばこの時代では治水ってどうなってたんだろう、ダムなんてあったのかな」
「だむ…?とはなんでっしゃろ」
提灯の明かりを頼りに二人でそんな話をしながら歩を進めていると、後ろから出し抜けに声を掛けられた。
「医/学/研/究/所の皆方陣殿か」
と問われ、そうですがなにか、と皆方が言い終わる間もなかったのだ。
量間が集めた人々の尽力のおかげで佐部利は濁流から救い出され皆方により蘇生が施されたが、
その後高熱で昏倒する事態になった。
「おそらく肺炎を起こしかけています」
医学所には尾形や弟子の面々が顔を揃えていたが、皆方の言葉にいずれも苦々しい面持ちになった。
「私のせいです…私と一緒にいたばかりに」
自分が未来から来なければ…命を狙われることなどなければ、佐部利がこんな目に合うことはなかったかもしれない。
自分がこの時代で何か行動を起こすことで負の影響が起こることもありうると、皆方は痛感した。
唇を噛み締める皆方の肩を尾形がいたわるように叩いた。
「それは違います。暴漢の卑怯なる行いのせいです。それよりも皆方先生、彼の治療方法につきまして先生のご意見をお伺いしたい」
皆方は尾形の真っ直ぐな目を見た。彼の存在は幾度となく皆方の迷いを吹っ切ってきた。
そして今もまた。後悔などしている場合ではないと。
「尾形先生、お願いがあるのですが、彼の治療は私に任せてもらえませんか」
「しかし皆方先生」
「ここは私に任せて、皆さんは別の部屋に控えていてください、お願いします」
その皆方の強い言葉に異を唱えるものは、一人もいなかった。
熱に浮かされた佐部利はそのあまりの苦しさに、自分はここで死ぬのだろうかという考えが頭に浮かんだ。
息が苦しい。吸っても吸っても息ができていないように感じる。
咳をするたびに胸が火をついたように痛み、身体の凍えはどんなに火を焚いたとて温もらず、がたがたと震えるばかりだ。
(けど、今ここで死んだとて悔いはない。皆方先生をお助けすることができたんや)
医術の将来、いや日本の将来を明るく照らす皆方をここで失うことは大きな損失だと、そう思った。
涙がこぼれる。いや悔いはない、とは偽りだ。
この先もっともっと皆方先生にお仕えして様々な医術を学びそして、そして日本一の医者になりたかった。
(くそ…俺はもうほんまにあかんのか)
口惜しさに次々と涙が滴る。泣いたとて事態は何も変わらないのに。そう佐部利が自嘲した時、ふと滴る涙を拭うものがあった。
その指先の感触は優しく、触れた部分を蕩かすほどに心地よい。
身体の力みが不意に抜け、佐部利はぼんやりと目を開けた。
(…菩薩や)
眼前には柔らかな笑みを湛えた菩薩がいた。
いや、死の淵でこんなにも人の心を穏やかにさせるのは菩薩しかいないと、そう思ったのかもしれない。
「佐部利君、しっかりしてください」
(皆方先生の声や…)
また薄目を開ければ、今度は皆方の潤んだ熱い瞳とふっくりとした唇が目に入った。
(先生のその唇に触れられたなら…そこがきっと極楽浄土やな)
そのうちするするという衣擦れの音が聞こえ、佐部利が首を傾けるとそこには襦袢一枚の姿になった皆方が佇んでいた。
行灯の柔らかい明かりに照らされたその姿は、しっかりとした骨格や筋肉の影を浮かび上がらせ頼もしく見え、
しかしその静寂の表情は仏の迎えに思えた。
(そうか…皆方先生は仏の化身やったのかいな)
あの神がかり的な医術にも納得がいくというものだ、と佐部利は我知らず微笑んだ。
神さんと張り合うても仕方のないことやな。先生も人が悪いわ。
もう意地悪せんと、冥土へ連れて行ってくれはったらええのに。
そう夢見心地でいた佐部利の身体が確かな重みと温もりに包まれ、そしてすぐ耳元で皆方の声が響いた。
「君を死なせるわけにはいかない。君に死なれたら…困ります」
(先生…なんでそないなこと言わはるんですか…先生はほんまにいけずや)
皆方のすべすべとした温かい身体に抱かれ、佐部利の意識は深い闇の底へと遠のいた。
「全くお主も情けないのう。川に落ちたくらいでこのように寝込みおって」
矢間田はぶつくさ言いながら椀に粥を注ぎ、佐部利へ突きつけた。
「そんな風に言わないでください。彼は私の命を助けてくれたんですから」
優しく点滴の針を抜きながら、皆方は佐部利に微笑んだ。
「助かってよかった、本当に」
「私こそ…皆方先生がご無事でほんまに良かった…」
二人を襲った暴漢が誰の手の者かはわかっていないという。
しかしとにかく皆方さえ無事ならそれでいいと、佐部利はその笑顔を見るにつけつくづくと思った。
あれから一晩佐部利は生死の境を彷徨ったが、発病より三日経った今では床から身体を起こせるまでに回復した。
医学所の面々は佐部利の回復ぶりを喜び代わる代わる見舞いに訪れたが、当の本人が絶えず考えているのは熱にうかされていたときのことだった。
(えらい夢をたくさん見たなあ…菩薩やら仏やら…それからなんや皆方先生が着物を脱がはって…)
皆方と素肌を合わせたなどと、そんなとんでもない夢を。
床の中で皆方は時折佐部利の身体を労わるように撫で、優しく、だがしっかりと抱きしめてきた。
全てをこのお方に委ねてしまいたいと、佐部利は夢の中で願ったことを強く覚えていた。
(いや、そんなわけない)
全ては夢だ。熱による幻覚だ。いや、もし例え現実に起こったことだとして皆方にどう確認すればいいのか。いや、そもそも確認などしてどうなるものか。
佐部利がたまらずかぶりを振ったとき、折りよく騒々しい来客が現れた。
「おお、もう飯が食えるがか!飯が食えるようになったらもう大丈夫じゃな!」
土佐の坂元量間が酒壷を片手にひょっこりと顔を出した。
「快気祝いじゃき」
ニカッと人好きのする笑いをするこの脱藩浪人に、佐部利は皆方ともども命を救われたのだ。
「坂元はん、この度は命を助けていただき、ほんまにありがとうございました」
佐部利がそう頭を下げると、量間はからからと笑った。
「いんや、おまんも大した男ぜよ。よう皆方先生を守ってくれた」
気を良くしたのか、量間はどっかりとその場に座り込み、朗々とあの夜のことを語りだした。
「…ほんでのう、こりゃ大変じゃと思うて人手を集めてのう、みんなでおまんを川の中から助け出したちゅうわけじゃ。
丘に上がったときは息しておらんかったぜよ。そこでこの皆方先生が口移しでおまんに何度も息を吹き込みながらこう胸をぎゅうぎゅう押したらば」
「えっ、今なんと?」
聞き捨てならない言葉に佐部利は目を剥いた。
「いや、だから口移しで息を吹き込みながら胸をぎゅうぎゅうと押したらば、見事水を吐きよったというわけよ。
それで助かったんじゃき、皆方先生も命の恩人ぜよ」
(…口移し?)
「しっかし皆方先生でも漁師が溺れやった時みたいなことをするんじゃなあ」
「人が溺水したときの対処方法はいつの時代も変わらないと思いますよ」
そう屈託なく笑う皆方の唇を、佐部利は陶然と見つめた。
(あの唇に触れたんやなあ…全く覚えてへん。当たり前やけど)
「…佐部利君?」
皆方に声を掛けられ、佐部利ははっとなって目をそらした。思ったよりじっと見つめすぎていたかもしれない。
無垢な表情で佐部利の様子を伺う皆方の目は夢に出てきたような熱く潤んだものとは無縁に思えた。
(惜しいことをしたやろか…しかし意識があるときに触れてしもてたら、ほんまに極楽浄土行きやったかもしれんわ)
あの夢の中の、匂い立つような色香の先生に…。
「なんじゃあ、先生とふたぁりきりで過ごした一夜を思い出して、手元がお留守になっちゅうがか?」
「そ、そんなんちゃいます…!あ、あつぅ!」
ぼんやりしていたところを量間にからかわれたので、佐部利はあたふたと椀の粥を啜り、舌を火傷したふりなどせねばならなかった。
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| | □ STOP. | |
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| | | | ピッ (・∀・ )ナンバリングミスorzそして百合百合しくてすみませんでした
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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>>122 GJ!リアル遭遇だったけどドキドキしながら読んだー。
今夜のANNで禿げ散らかりました。
萌が大暴走してまた投下です。
世界は萌と優しさでできてるんだなぁと実感した夜でした。
某スレで励ましてくれた姐さん、ありがとう!
・・・とはいうものの、眠気には勝てず、中途半端に終わってます。
よろしければ、ドゾー
ナマモノ注意。エロ無。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「お疲れ様でしたー」
「おつかれーっす」
ラ/ジ/オ/日本・・じゃなくて、ニ/ッ/ポ/ン/放送のスタッフに見送られて
俺と和歌林は1台のタクシーに乗り込んだ。
これから同じホテルに向かうんだと思ったら自然に顔がにやけてしまう。
「なに、ニヤニヤしてんだよっ」
右隣から軽く後頭部を叩かれた。
でもそれが彼の照れ隠しだってことは百も承知ですから
痛くも痒くもないんですよ。むしろもっと叩いて欲しいぐらい。
叩かれた反動で少し前かがみになった俺の耳元に和歌林が顔を近づけて囁く。
「言っとくけど、ヤラないからな」
「ええぇぇ!」
思わず身を起こして叫んでしまった。
「ッルセーなぁ、だからお前キライ」
そう言ってソッポを向いた相方に、さらに言い募ろうとして体を寄せたら
ギロリと目だけ振り返って睨まれた。
そうして顎でクイッと前を指す。
ああ、そうだ、タクシーの中だった。助手席にはマネージャーも乗っている。
言いかけた言葉を呑みこんで、少し離れた俺に和歌林はきつい目のまま向き直る。
「大体さぁ、なんでそんなお前、元気なの?」
「なんでって・・・」
そりゃぁ、今夜が楽しみでしょうがないからですけどね。言いませんけどね。
「この1週間、ホント、ハードスケジュールだったろ?」
「うぃ」
「特にあの3日間の島生活で、俺は本当に疲れてんだよ!」
「・・・うぃ」
やりましたね、2泊3日のサバイバル。さすがの粕賀も大変でしたよ。
なにせ、愛しいアンタと朝も昼も夜も!一緒だなんて。
よく理性がもったと、自分で自分を褒めたいですな。
そんな健気な粕賀に少しぐらいご褒美くれてもいいんじゃないの?
という思いを込めて上目遣いで和歌林の方を覗き込む。
「そんな目しても無駄だからなっ」
けんもほろろとは、正にこうゆう事かしら。
うな垂れる俺に、和歌林は更に畳み掛けてくる。
「俺、お前の事キライになったって、言ったろ?だいたいさぁ・・・」
ここからタクシーが目的地のホテルに着くまで、延々恨み言を並べ立てられた。
でも、忘れたのかね、和歌林君。
粕賀は、罵られて蹴られて叩かれた後にガッツリ抱くんですよ。
車から降り、先にホテルへと入っていく後姿を目で追って
俺はちらりと舌なめずりをした。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンノモウソウデシタ!
後の展開はお任せします。
個人的には粕がシャワーしてる間に和歌が寝落ちに10000キャスガ
イニ 量間×陣です。
初棚投下なので何かやらかしたらまっことすまんぜよ…。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
気がつくといつもあの男の事を考えている。
皆肩イニという奇妙な医者の事だ。
大男と呼ばれるのには慣れっこな自分と並ぶほど、いやそれ以上に背が高く、そのくせ全く威圧感を人に与えない。
いつもやわらかな笑顔でおっとりと話す。
医術のことなると鬼神の様な活躍を見せるのに、普段は後ろから斬られても相手に謝りそうなくらいのんびりしているから、見ているこっちは気が気じゃない。
世俗には極めて疎い。
人の悪意にもとことん鈍い。
どこでどう育ったらあんな人間が出来上がるのだろう。
まるで月から来たかぐや姫の様な…。
(「量間さん」)
確かにあの笑顔は天人の様な…。
「皆肩先生のこと、お前さんはどう思う?」
「はあ?!」
突然キセルを向けられて、量間はひっくり返りそうなくらい驚いた。
慌てるあまりじたばたと尻で後ずさってしまい、克の前にある火鉢を蹴り飛ばしそうになる。
おいおい、危ねえなあと言いながら克は舞い上がった灰を手で仰ぐ。
傍らの今日太郎が「不調法な」と言わんばかりの渋面で量間をチラと睨んだ。
「ほ、ほ、ほんじゃども、克先生が肝消る様な事を言うから!」
「坂元殿、克先生は皆肩先生の素性について、どうお考えかとお尋ねなのですよ」
そんなに突拍子もない質問でもあるまい。大体今までの話を聞いていなかったという事かと、今日太郎はまたジトリと量間を睨む。
量間の慌てぶりの真意を理解し、克はニヤニヤとキセルをくわえた。
「なに勘違いしてやがんだか。あれだけの名医がこれまで話題にならないわけがねえ。今までどこに隠れていたのかって話さ」
「どこかよっぽどの御家のお抱えだったのでしょうか」
「それにしたってどこであれだけの医術を学んだのかねえ」
「ああ」
それなら、と量間は膝を手で叩いた。
量間にはひとつ、考えていた事があった。
皆肩イニのあの浮世離れした様子。偏った知識。それにあの体格。
「皆肩先生は、ひょっとすると異人じゃなかろうか」
皆肩イニはどこかからこの江戸に流れ着いた異人なのではあるまいか。
そうであれば納得出来ることが幾つかある。
「坂元殿」
また今日太郎がたしなめる様な声を出す。
皆肩先生は日本語も堪能だし、姿形だってどう見ても日本人ではありませぬか、と。
「異人と言っても西洋人とは限らんぜよ。清や朝鮮なら見た目は儂らとよう変わらんきに」
「面白ェ」
克が懐手で顎を撫でた。
それから何を思い付いたのか、ニヤリと人の悪い笑顔を浮かべ、量間をチョイチョイと指で招いた。
ひょこひょこと寄ってきた量間の耳元で何やらボソボソと囁く。
「へ? え…せ、先生、そがいな?! はあ?!」
「ん、まあ方法の一つとしてな」
今日太郎は耳ごと体をそちらに倒して、何とか二人の会話を聞き取ろうとしたが、量間の慌てふためく声が大きすぎて殆ど何も聞き取れなかった。
量間が立花邸の皆肩の許を尋ねたのは、その日の夜の事だった。
「ああ、量間さんいらっしゃい。どうしました?」
のそりと入ってきた量間の姿を見て、皆肩はいつもの天人の様な笑顔を見せる。
それが今日はやけに眩しくて、量間はよそ見をして「どうしましたって…どうもせんがよ」とボソボソ呟いた。
皆肩は「あっ」と頭を掻いて、
「すみません、口癖なんです」
照れた様に笑う。
その様子がまた可愛らしいので、量間はますますおかしな気分になった。
「皆肩しぇんしぇい」
「はい?」
「儂ゃあ先生に聞きたいことが…確かめたいことがあって来たぜよ」
「? なんでしょう?」
量間は皆肩の前にビタンと座ると、ズイと顔を近づけた。
「量間さん?」
「先生、目をつぶっとうせ」
皆肩は半端な笑顔を浮かべたまま、首を傾げる。
同じ角度に量間も首を傾けた。
「えいから」
「いやですよ、また何か」
「ちっとない、つぶっとうせ」
「やっぱりやめときます!」
「ほたえな!」
逃げようとした皆肩の肩を掴んで引き戻す。
その勢いに任せて床に押しつけると、量間は左手で皆肩の体を押さえ、右手でその顎を掴んで彼に深くくちづけた。
「ん?! んーっ!」
組み敷いた体がじたばたと暴れてもお構いなしに唇を吸う。
あんまり暴れるので掌で後頭部を掴んで固定し、さらに深く口腔をむさぼる。
(「異国の挨拶にキッスってのがある」)
(「口を吸って舌を絡めてきたら、皆肩先生は異国の育ちかも知れねえ」)
(「ま、機会があったら試してみな」)
克の言葉が量間の背中を押した。…押しすぎた。
量間はそもそもの目的も忘れ、その唇の柔らかさと暖かさに夢中になった。
「んっ、んぅ…、んんん!」
皆肩が甘い声を出すのがまたたまらない。
うっとりと唇をはみ、角度を変えて吸い付こうとしたところで、量間は皆肩に思い切り下腹部を蹴り上げられた。
「な、な、何するがじゃあ! つえたらどうするがよ!!」
「き、急所は外しました、よっ! そっちこそ何なんですか! いきなり!」
皆肩は量間の体の下から這い出ると、壁にへばりついて怒鳴った。
しきりと拳で唇を拭っているが、そのせいで口元が赤く色づいて見えて、量間は怒鳴られながら目尻を下げる。
…あの唇に、触れた。
舌でねぶって、甘い声と溢れる唾液を啜って…。
途端、量間の顔に、咲のお手製の綿たっぷり座布団が直撃した。
「しぇんしぇい!」
「…次はメスを投げますよ…」
凄みの利いた声を出されて、量間は観念したように両手をあげた。
「克先生も…何をバカな事を…」
量間の言い分を聞いて、皆肩はがっくりと肩を落とした。
この時代の日本人の知識というのはこういうものなのだろうか。それとも克回収が量間をからかったのだろうか。
どうも後の方の様な気がしてならない。
幕末の偉人というのは誰も彼も、どうしてこう食えない曲者揃いなのか。
「けんど舌を入れてこんかった、ちゅう事は、先生ばあ西洋人ではないっちゅうことじゃなァ」
「…私は日本人ですよ。言葉で聞いて貰えますか」
「ほうか! その手があった」
今ひらめいたと言う様に量間は掌を拳でポンと叩く。
どうにも憎めない男の無邪気さに、皆肩は苦笑した。
「大体、西洋でも普通、男同士でそんなキスはしませんよ」
「ほんなら挨拶いうんは、間違っちゅうかよ」
「間違いではないですけど、ああいうものでは」
「どがいな?」
「だから、こう…」
新しいことを知りたい、と言うときの量間の表情は、少年の様だ。
瞳がきらきらして、まるでここではない遙か彼方の素晴らしいものを見通している様にも見える。
きっと人々はこの男のこんな魅力に突き動かされて、この国を変えていったのだろう。
(かなわないなあ…)
皆肩はふっと笑うと、わくわくしながら待ちかまえている量間に顔を近づけて…
「…ん?」
む、と眉を寄せた。
「しぇんしぇい?」
「いや別に俺が教える必要は全くないわけで」
早口で何か呟くと、口元を掌で押さえて、皆肩はそそくさと立ち上がる。
量間はその着物の裾に縋った。
「ちょお、先生、儂に本物のキッスを教えゆう話は」
「ひ、人聞きの悪い事言わないで下さいっ」
「儂が西洋人相手に間違えた挨拶して恥をかいたらどうするがか」
「克先生に聞いたらいいでしょう」
「先生に教えて欲しいぜよ」
「私は西洋人じゃありませんから知りません!」
わあわあと怒鳴り合う声が表まで響いている。
量間と違って、克の書類整理などを遅くまできっちりこなしていた為に今ようやく屋敷に戻ってきた今日太郎は、そうか、と呟いた。
「皆肩先生は、異人ではないのか…」
まったく、坂元殿はでたらめばかり。
やはり私の言った通りではないか。
したり顔でひとつ頷くと、彼はからりと玄関の戸を開けた。
明日、克先生にこの事を報告しなくては。
克はきっと喜ぶに違いなかった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
数え間違えてて気がついたら全部で8にならなかったので
最後がやけにコマギレですみません。
土佐弁に悩むあまり「教えてたもれ」とか書きそうになった。
本スレのキッスネタ姐さんたちありがとうでありんした!
>>127 こじゃんとGJ!!!
禿げた、禿げ散らかしたよ、もう毛根なんて無いよ。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
激団親幹線「バソユウキ」から殺し屋→復讐鬼。今回左大臣×殺し屋も有。
エロはありません。
前回感想を下さった方々ありがとうございました。創作の原動力です!
でも今回なんだか…恩を仇で返してる気がする…
137 :
移り香1/7:2009/11/15(日) 18:27:34 ID:8OUS7LFlO
「戻るのかい?」
「ええ、待っている男がいるので。」
床に脱ぎ捨ててあった着物を拾い上げて羽織り、襟元を正しながら口にした言葉。
それに背後の男は笑ったようだった。
薄い絹の天蓋を払い、寝台の奥から現れる。
自分とは対称的に、着崩れたままの夜着に貴人特有の傲岸不遜さを滲ませる。
左大臣、京鐘籍春。
自分よりも遥かに年上の男に、佐治は一度だけその柔らかく細めた視線を流した。
先の大王亡き後、その后であった自分の娘をその座に着かせ、それと時を
ほぼ同じくして、自らの政敵であった希一族を宮中から追い落とし
実質的にこの国の実権を握った男。
一見柔和な表情の仮面の下に、慇懃にも人の悪い笑みを湛える男が背後に
近づいてくる気配を感じる。
そして不意に伸ばされた戯れな腕。
それを佐治は避けなかった。
「先程まで褥を共にしていた相手に告げるには、ひどくつれない台詞だね。」
後ろから抱きすくめるように回された両腕で肩を引き寄せられ、
耳元に笑みを含んだ囁きを落としてくる。
そんな籍春に、佐治の唇からもたまらず苦笑に近い笑みが零れた。
「つれないも何も、事実ですから。」
そう言う間にも身繕いをする手が止まる事はなく、台座の上に置かれていた
刀にも手を伸ばす。
するとそれに自然と籍春の腕は解かれた。
本能的に危険を察する。
そのくせ表面的にはそんな事はおくびにも出さないようふるまう。
その自尊心の高さを佐治は面白いと思った。
思ったから、誘いに乗ったのだ。
138 :
移り香2/7:2009/11/15(日) 18:29:47 ID:8OUS7LFlO
数日前、宮中で行われた教義問答を終えた後、示唆された新しい学問頭の位を
辞退した事で言い争いになっていた怒門とハマソ。
そんな2人を少し距離を置いた場所から眺めていた自分に、あの時彼は声を掛けてきた。
『君はあの教主殿の護衛かい?』
教義問答に招かれた豪族達の面前で、大王自ら先王暗殺の嫌疑をかけてきた自分に、
まるでそんな事など気にも留めていないかのように飄々と語りかけてくる。
温和に悠然と。それでいてその声と瞳の奥に底暗い闇を秘めて。
そして彼は続けた。
『君達の番新教について聞きたい事があるんだ。よければまた日を改めて
一度私の屋敷を訪ねてはくれないか』
聞きたいのはもっと他の事だろうと言うことは透けて見えていた。
それでもあの時の自分には、彼とまた同様に、その男の中に探りたいものがあった。
だから、
『いいですよ』
軽やかに笑んでそう告げる。
彼の申し出は、自分にとっても渡りに船だった。
139 :
移り香3/7:2009/11/15(日) 18:32:26 ID:8OUS7LFlO
「待っている男か。それはやはりあの教主なのだろうな。少し妬けるね。」
心にもない事をすべらかに舌に乗せながら、ゆっくりと自分の前に
回り込んできた籍春が、再び手だけを伸ばしてくる。
力仕事などとは無縁な傷一つない指先で、肩に落ちる黒髪を絡めとる。
それに佐治はわざとらしくも媚を含んだ笑みで答えた。
「彼と僕はそんな関係ではないですよ」
どれだけ怒りと怨嗟に塗れても、芯の部分がどこまでも真っ当なあの男の
心に巣くうのは、今も昔もただ一人の女だけだ。
大王・美琴。
かつての許嫁であり、今は憎むべき国の長となった女。
騙され囚われた10年の間、その無実と生を信じ切れず他の男に嫁いだ女を
何故いまだに引きずり続けるのか。
その未練が佐治にはただ純粋に不思議だった。
わからないから、知りたいと思った。
だから、
黒い瞳を上げる。
目の前の男を微笑みながら見つめる。
その女の父親。
同じ血を引く者。
ならば、肌でも合わせれば何かわかるのかと思った。
暗殺を生業にする一族に生まれ、親も知らず名も与えられず、幼き頃から
ただそれのみと仕込まれ続けた人殺しの業の中には房中のものもあった。
けれど、結果としてそれは徒労に終わった。
結局は何もわからなかった。
無知ゆえに真白い女とは陰陽をなすように、謀事に溺れ漆黒の悦楽を知る男。
血など何のあてにもならない。
あれはやはりただの生温い赤い水だ。
140 :
移り香4/7:2009/11/15(日) 18:34:59 ID:8OUS7LFlO
ならば……この辺りがそろそろ潮時か。
「そんな関係ではないと言うのなら、あの男から離れて私のところに来る気はないかい?
噂に聞けば君が先王暗殺の嫌疑を掛けられたのは、宮中で美琴の護衛の任にあった刀威と
やりあい、軽くあしらって見せたからだとか。
それほどの腕があるのならば、私は君を子飼いの臣にするだけではない、
ゆくゆくはこの国の武士頭にもしてやれるよ。」
指に絡めた黒髪を引き、この時籍春はグッと顔を近づけてくる。
力と並行させる権力者の甘言。
しかしそれは自分にとってはあまりに的が外れすぎていて、佐治はおかしくなる。
抱える闇。身にまとう策謀。
もしかしたら誰より自分と似ているのかもしれないと思った男は、近づけば
結局はやはり別物だった。だから、
「御冗談を。僕はそんな器ではありませんよ。」
柔らかな声の中にもはっきりとした拒絶を含ませて笑む唇に、「可愛げのない」
と苦笑を滲ませる唇が重ねられる。
それを佐治は冷たいと思った。
冷たいから、嫌だと思った。
あぁ、やはりこの男はいらない−−−
唱える心と繋がるように上げられた手が、自分を抱き寄せる男の胸に当てられる。
広げた手の平に感じる脈打つ鼓動。
確かめる、彼の心の臓はそこにあった。
141 :
移り香5/7:2009/11/15(日) 18:37:25 ID:8OUS7LFlO
月の光の下を一人都の外れまで歩く。
そしてたどり着いた番新教の宿房の門前、そこにある階段に何やら座り込む人影を
見つけた時、佐治の足は自然とその歩みを止めていた。
思わず声もなく前方を見つめる。
するとその気配に気がついたのか、その人影が不意にゆっくりと顔を上げてきた。
その口が開く。
「佐治。」
その声は怒門のものだった。
こんな時間に何をしているのか。
しかしそんな佐治の問い掛けは、口に出す前に逆に彼からの詰問に潰された。
「いったいどこに行っていたんだっ、こんな時間まで一人で!」
一瞬呆気に取られる。
それは彼の声に多分に自分を心配する色が滲んでいたように思えたからだった。
けれどそんな考えを佐治はすぐに胸の内でかき消す。
そんなはずはない。彼はただ、自分を疑っているだけだ。
掛けられた先の大王暗殺の嫌疑。かつての仲間だった者達との邂逅。
『彼は私の友人だ』
そう庇う言葉の裏側で、彼の心に徐々に疑心の芽が生まれ始めている事に
自分は気付いている。
早めなければならないかもしれない、計画を。
そう思い、心の箍を締め直し、佐治は口を開いた。
「どこにってただの夜の散歩だよ。」
月の下、朗らかに笑いながら再び歩みを進める。
「君こそどうしたんだい?そんな所に座り込んで。夜風も冷たくなってきた。
風邪をひいてしまうよ。」
「おっ、俺は今度の計画についての相談をしようとお前の部屋にいったら
もぬけの殻だったから、だからっ」
「こんな所で待っててくれたのかい?それは悪かったね。」
142 :
移り香6/7:2009/11/15(日) 18:39:51 ID:8OUS7LFlO
悪びれる風もなくそう言って、佐治は軽やかな足取りで階段の半ばに立ち上がる
怒門の脇をすり抜けようとする。
二人の間に微かな風が起こる。
その瞬間、行き過ぎようとした自分の腕を怒門が不意に掴んできた。
それに佐治はゆっくりと振り返る。そして、
「なに?」
そう静かに問いかければ、怒門は一瞬自分自身の行動に驚いたような顔をして
ハッとその手を離してきた。
「あっ、いや、すまない。ただ……一瞬おまえから知らない匂いがして…」
「匂い?」
言われ、咄嗟に袖を返し鼻を近づけるが、自分ではよくわからない。
それでもそれは先程までいたあの部屋の、男からの移り香かもしれないと佐治は思った。
その間にも、自分でも何を慌てているのかわからないのだろう怒門の言葉が続いてゆく。
「いや、匂いがしたから何だという話だな。悪い、多分俺の気のせいだ。」
支離滅裂な、そんな怒門の様子にこの時佐治はなんだか可笑しさを覚える。
だから階段の上段に掛けていた足の踵を返し、体の向きを変え、佐治はこの時
怒門の方へ向き直っていた。
そしてそのまま、下段にいる怒門の肩に身を折るようにしてその額を埋めてやる。
首筋近く擦りつけるように。
それに怒門が更に驚いたように名を呼んでくる。
けれどそれに佐治は答えなかった。
彼の着物は夜気の中シンと冷えていた。
それでもその内にある肌の熱さは衣越しにも伝わってくるように思えた。
それが心地良かった。
だから、
143 :
移り香7/7:2009/11/15(日) 18:41:00 ID:8OUS7LFlO
「君からは、土の匂いがするね。」
代わりポツリと呟いた、そんな自分の言葉に怒門の揺れが止まる。
「佐治?」
「僕はこっちの方が好きだ。」
君の方がいい−−−
それは比較するのも愚かしいくらいに。
そしてそんな突然の自分の言葉に怒門は戸惑いながらも、この時そんなぎこちない
佐治からの接触を無理に振り払おうとはしなかった。
だから佐治は、心の内で尚も思い続けてしまう。
君だけがいればいい−−−
おそらく声に出して形にする事は一生無いだろう、
それはまるで土牢という閨で交わす睦言のようだった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
実は舞台をまだ一度しか見ておらず、記憶をフル動員させても時系列がかなり
あやふやなので、人称、番頭に引き続き、大間違いをやらかしてる恐怖満々です…
でも真っ黒左大臣好きだw早く逢坂公演見たい。次こそちゃんと戯曲本買ってきます。
そして
>>65さん
こちらこそ、またの作品&中の人SSを楽しみにお待ちしております!
>>127 どうしよう萌え過ぎて口から心臓でそう
GJ!乙でありんした
一日に二度も投下する自分は黒米稲荷を喉に詰まらせて死ぬといい。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
腕の中の皆肩が切なく浅い息を漏らす。
重なった体の律動の内に、時折びくんと背を跳ねさせる。
「っ、あ…!」
そんな時は大抵、慌てて手の甲や指を噛んで堪えようとするから、量間はその手を抑え、口腔内に自らの指を差し入れた。
「りょ…ま…さ…ぅ」
「指、噛んだらいかんぜよ。先生の手ェは沢山の人を助ける、大切の手ェじゃきに…」
愛おしそうに囁く男の低い声が耳朶をくすぐる。
またぞくぞくと疼くものが身の内を駆け上がって、皆肩は甘く鼻を鳴らした。
「んん…んぅ…」
「えいがか、先生」
量間が緩く体を揺すり上げる。皆肩は頭を振って、少しでも体と頭の熱をやり過ごそうとする。
「そういうのを、土佐ではいごっそう、言うがじゃ」
逃げようとしたが更に強く腕の中にとじこめられ、もっと深くまで暴かれた。
「あ…ああ…あっ」
声を殺そうと思うのに、息をする度に嗚咽が止まらない。
体中の力が抜けて、腕がもう上体を支えていられないのに、腰ばかり高く突きだしてしまう様だった。
「もっと、欲しいがか、先生」
男の声は誰よりも優しいのに、言葉は悪魔よりも意地悪だ。
ふるふると首を振っても許して貰えず、また耳の奥に熱い息を吹き込まれる。
「先生?」
「ぅあ…」
欲しい。
強く。
もっと奥まで。
欲望はとても言葉には出来ない。皆肩は唇に含んだ男の指を、そろりと舐めあげた。
「ん…ふぅ…」
「先生」
量間はふっと笑うと、皆肩の体をくるんと反転させた。
突然、涙に濡れた顔を晒されて、同時に精悍な男の顔を目の当たりにして、皆肩は激しく動揺する。
「あ…!」
「可愛いのう」
じたばたと逃げる余裕も、顔を隠す余裕もなかった。
それからはただ量間にすがりついて、嵐に翻弄される小舟の様に押し流されるばかりだった。
「ちっくと、きつかったかのう。先生」
翌朝。
なかなか布団から出て来ようとしない皆肩を、量間があちこちから覗きこもうとしていた。
皆肩はみの虫の様になってちっとも顔を見せない。布団の片側をめくってみても、くるんと背を向けてしまう。まるで拗ねた子供の様だ。
「儂ゃあ先生が可愛い声でせがんでくれるのが嬉しゅうてのう。先生が儂を欲しがると、まっこと必要とされてるっちゅうか…先生にも人並みの欲があるっちゅう事がわかって、ホッとするんじゃ」
せがんでない、欲しがってなんかない。
皆肩は布団の中で顔を真っ赤にして、ぶるぶると首を振る。
「じゃけんど、ずびこんでしもたんは、心配での。先生、ちくと顔を見せてくれんか」
なっ。量間が拝む様にパンと手を合わせる。
それにほだされたわけではないが…皆肩はあることに興味をかられて、布団からそっと顔を出した。
「量間さん…」
「おうの」
「ずびこんで、って何ですか?」
土佐の方言だろうか、それともこの時代特有の言葉だろうか。
薩摩や長州の言葉は、標準語に慣れた皆肩にとっては半分も理解出来ない時がある。
医師として、患者の訴えが理解できない様では診察に関わる。
量間の言葉がわからなければ、いつか、深刻な状況の時に量間の状態を理解出来なくなるかも知れない。
「ずびこむ言うんは…あれだ、先生の狭いところに無理矢理せちこんで、こう…」
「わーわーわーわー! もういいです! もう言わないで!」
「せちこむ言うんは、きっついところに儂のがグーッと…」
「量間さんのバカ! 量間さんのバカ!」
皆肩はまた布団にもぐりこむと、耳を塞いでひたすら身を固くした。
量間は布団の上から皆肩の体に覆い被さり、
「起きんがじゃ、もっと言うぜよ。先生は昨日、泣きながら儂にすがりついて…」
「起きますよ! 起きますから!」
半泣きで叫ぶ皆肩の耳が、赤く染まっている。
天人、仏、皆肩大明神とまで言われたこの男の、こんな子供っぽい可愛らしい姿を知るのは自分だけに違いない。
(仏罰が下る…か?)
それでもこの男を人の子として側に置いておきたいのだ。
天に返すなんて、まっぴら御免なのだ。
泣かせても、いじめても、人間にしておきたい…。
(悪い男につかまったのう、皆肩先生)
量間はうっそりと笑って、血で染まったやわらかな耳にそっと唇を寄せた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>146 あぁぁあぁGJ!いやGod Job!いや、仏だからBuddha Job!
素晴らしい「欲」話でした。禿げ散らかしました。
151 :
風と木の名無しさん:2009/11/16(月) 00:49:37 ID:n37q8ygEO
あー連投うざーい
貴女も好きなの投下してよろしいですわよ。
>>146 投下乙でした。
先生がかわいらしくて萌えたよ。
>>146 やードラマを二三回リピって、今日の先生は一段と清らかだったなぁ…と
思って来たらw羽衣天人萌え堪能しました。こういうの大好物です。
今度は先生とサブリン絡みでちょっとやばめのをお願いしたいです。
サブリン、結構でかい人なのを今日実感して益々萌えました。百合でも大丈夫。
もちろん両陣も、また待ってます。
>>136 観劇の興奮覚めやらぬところに素敵な萌えを発見!
殺し屋→復讐鬼が好きすぎる。
左大臣も黒くていいw
GJです!
>>144 観劇出来ぬ地方の身がつくづく残念。
凄く素敵な雰囲気でした。GJ!
>>136 GJ!GJ!
個人的に、国を滅ぼしたいだけなら左大臣に乗り換えてもいいのに匙は彼がいいんだなあというところに萌え!
だったので好みすぎてむしろ燃え滾りました
父娘の血のくだりやラストなんかも、言葉のチョイスや雰囲気が素敵だし
心の臓の位置を確かめるところとか、伏線を感じてぞっとしました(違ったらすいません)
今日の夜2回目行くのでこの二人のシーンドキドキしながら観てしまいそうだw
本当に良作をありがとうございました…長文スマソ
>>65にもお言葉dでした!
連投スマソ
>>136 でも王女の名前はハマソじゃなくてペナソだと思うw
ハマソは国の名前じゃなかったですっけ?
場所を少しお借りします。136です。
感想下さった皆様、ありがとうございました。本当になにより嬉しいです。
しかし、それなのに…そーです!ペナソです!<王女サマ
やっぱりやりました、3連続orz どんだけ粗忽やねん、自分…
ご指摘ありがとうございました。以後がありましたら、今度こそ気をつけますので、
よろしければまた目を通してやって下さい。そして左大臣、怒られなくて良かったw
生。シャウギ。ドラゴン3番一日目盤外捏造。魔王→光速と喧しい外野
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )エセカンサイベンガ オオクリシマース!
ぐしゃ。
足袋の下で嫌な感触がした。用を足し、手を洗って、ふと鏡に近寄った瞬間だ。
嫌な予感に身が強張る。
足を避けてみると、落ちていたのは・・・眼鏡だった。無残にフレームは歪みレンズにひびが入っている。
勿論自分のではない。他人の眼鏡を踏んづけて、壊してしまったのだ。よりによって、こんな日に。
(とりあえず最悪の事態・・・これは対局相手のものではない)
挑戦者は業界では少数派の非眼鏡者だ。以前僕はこの方の草履をとってしまったことがある。
二度目は流石に気まず過ぎる。
(と、すると次に悪い可能性は・・・)
集まった関係者の顔を思い浮かべて、再び、血が沈むような脱力感に襲われた。
(もし、『あの人』の眼鏡だったとしたら?)
顔が蒼白になっていくのがわかる。
子供の頃から、神様のようにあがめてきた存在だ。
自分もプロになり、容易くその気持ちを口に出せる立場でもなくなったけど、正直上手く隠せている自信はない。
認められてないのはわかってるし、認めてもらいたくてここまで頑張ってきたのに。
(どうしようどうしよう、神様の眼鏡を踏んづけてしまった、かもしれない)
こんな気持ちで、対局室に戻れるわけがない。
その頃、控室では関西強豪3人が盤を囲みつつ雑談にかしましい。
「タニガワ先生、ワタナベさんに何か声掛けてあげてくださいよー
彼、タニガワ先生大好きだからすっごく喜びますよー」
「私は立会人ですから一方に肩入れするようなことはできませんよ」
「煙草杯のお礼はしなくていいんですか?」
「う・・・」
「『君のことを思って奮起したよ』とか『優勝を君に捧げるよ』とか」
「賞金取られてしまうやんけ!」
「ヤマサキクンが励ませばいいじゃないですか。仲がいいんですから」
「僕が近づくと龍凹にヘタレが感染りそうなので・・・」
「そう思うんならまずタニガワ先生から離れんかい!」
「アベ先生・・・こんな僕の側に居てくれてありがとうございます」
「ひっつくなあ!!・・・と、ワタナベさんや」
壊した眼鏡を流石に放っておくわけにも行かず、立会人に届けるべく控室に来たのだけれど
崩される検討盤を見るとやはり申し訳なく思う。
「すみません、これお手洗いで踏んで壊してしまったんですが」
「なんやこれ、ヤマサキクンの眼鏡やないか」「あ、本当だ」
この面々のなかは比較的気安いヤマサキの眼鏡と知って少し、いやかなりほっとする。
そういえば、よくみたら見慣れない眼鏡かけてるし。
「いやいやいや気にすることあらへん。こいつの眼鏡の5本や10本」
「いつの間にかなくなってて、探してなかったんですよ〜見つけてくれてありがとうございます」
「そこは探しときや・・・変なとこで龍王が怪我しはったらたいへんやないか」
「ですよねー、タニガワ先生の立会いで事件があっては大変です。
・・・そうだ、ところでワタナベ龍凹サインをください」
「あほ、こんなとこで対局者にややこしいネタ振りすなー!」
謝ろうとしたのだけれど、怒涛の掛け合いに遮られてしまった。ひょっとして気を遣われているのだろうか。
しかし眼鏡を壊されてもこの扱いとは、ヤマサキが虐げられるにも程がある気がする。
気がつくと、和服姿の長身が直ぐ目の前に立っていた。
「眼鏡を壊したのは貴方じゃありませんよ。元々壊れていたんです。・・・本当に、怪我はありませんか?」
「あ・・・はい。大丈夫です」
「というか本人が壊したんですけどね。証拠といってはなんですが、記譜コメでも拾われているようですよ。
もちろん見るのは後ででお願いします」
くらくらした。
和服姿で対峙する僕と神様。勿論対局ではないけれど、もしいつか番勝負があるならそれは・・・
子供の頃に見た夢が、実現しそうな星の並びが、不意に脳裏に浮かんでちかちかする。
他人の、他の汽船のことなんて考えてるような場合じゃないんだけど。
この瞬間を出来るだけ引き伸ばしたくて、僕は無難な範囲で思いついたことを口にした。
「煙草杯の件、ありがとうございました。決勝進出おめでとうございます」
「とんでもない、こちらこそ・・・ありがとう。君のために、勝ちますよ」
く、やっぱり神様は素敵だ。このままオーラの放射を受け続けたら確実に自分の身長が縮んでしまう。
そろそろこの場を離れなければ。でも逃げるんじゃない。進むんだ。
子供の頃の夢はそのままに、袴の裾を捌きつつ、25歳の僕は今日の戦場に還ることにした。
・・・後ろのヤマサキのガッツポーズが良くわからないけど。
気分は、上々だ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・A・ )ウティ、カラマセソコネタ!
お目汚し&ナンバリングミス失礼いたしました。
玉子総攻が書けて満足です(違
初投稿。生に限りなく近い半生。鯨人。
赤劇場のコソトから、五島P×Hello寝技師です。
五島P視点。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
遠くからぼんやりと、舌ったらずなあいつの声が聞こえてくる。
それが段々とはっきりとしたものになり、俺は転寝から目を覚ました。
さっきまですぐ隣りで横たわっていたはずの寝技師は、俺に丸めた背中を向けて
ベッドに腰掛け、携帯電話で誰かと話している。
「ごめんな、今日も仕事で遅くなるんや」
その優しい口調で、誰と話しているかは容易に想像がついた。
何度か見たことがある。あの、眼鏡の少年や。
「そーいち。早く先に寝ててええからな。……せやな、そーいちはええ子やな」
自分の息子に受話器越しに語りかける寝技師の背中に、俺は気づかれないように
ゆっくりと近づいていく。
「明日は一緒に遊園地でも行こ……っぁ…!」
後ろからそっと耳を舐めると、寝技師は肩を震わせて声を詰まらせた。
手にしている携帯電話から、どーしたの?という少年の声が漏れる。
とろんとさせた目で振り返る寝技師に、俺は余裕でにっこりと微笑んでみる。
「……っ。そろそろ収録始まるから切るで」
半ば強引に携帯電話を切った寝技師の首に後ろから絡み付き、
もう一度耳元に顔を近づけた。
可愛い嘘つくんやなぁ、寝技師ちゃん。こーんなホテルで収録なんてせぇへんで」
「ホンマやめてくださいよ。息子と話しているときに…」
「そのやめてくださいもフリとちゃうんか」
からかってけらけらと笑う俺に困ったような顔を向け、寝技師は立ち上がり、
床に散らばった服に手をかけた。
まだ全く帰る気の無い俺はそのままベットに寝そべり、
ジーンズをもたもたと履いている寝技師を見上げる。
「なー、寝技師ちゃん」
「なんですか」
気の抜けた返事だ。こっちも見ずにシャツを羽織りながら答えている。
「もう終わりにしよか、こんなこと」
シャツのボタンにかけた手を止めた寝技師は、え…と呟いて驚いたように俺を見下ろす。
「なんや、そないビックリして」
「なんでですか、突然。終わりって」
「だって寝技師ちゃん、なんかかわいそうになってきてな。
やめてあげた方が、息子とも遊べるやろし、俺も心おきなく番組に若手を使えるしな」
「ちょっと待ってくださいよ」
おおっと、出たで、持ちネタが。でもいつもの明るくふざけた口調ではなく、
低いトーンで張り上げたその声に、さすがの俺も少し面食らう。
「なんでそんな事言うんですか。俺、これからも五島プロデューサーのためならなんでもします。
だから、……そんなこと言わんとってください」
そう言ってベッド脇に立ち尽くす寝技師は、真剣な顔つきで俺を見下ろしている。
それは、普段カメラの前では決して見ることのできない、俺だけが今この瞬間目にできる顔だ。
「……真面目やなぁ。寝技師ちゃんは」
俺は上半身だけ起き上がり、傍にあった寝技師の手をひっぱった。
バランスを崩してベットにもたれかかった寝技師の顔に、自分の顔をぐっと近づける。
目と目が至近距離で数秒見つめ合う。いやむしろ、睨み合う、に近い。
「そない仕事が欲しいんか」
寝技師は何も答えず、ただじっと俺を見つめている。
その懇願するような目に、いらいらにも似た欲情が沸き上がる。
俺はできるだけゆっくりと息を吸ってから話す。
「……冗談や。気にせんでええ。年末の特番に使うのもお前や」
「ありがとうございます」
小さい声でそう答えると、寝技師はほっとしたように口元を緩ませ、また立ち上がろうとした。
俺はそれを阻止するように、がっちりと腕を掴み、自分の元に引き寄せる。
「だから、もうちょっとつきあってや、寝技師ちゃん」
お前がこうして毎晩のように俺と一緒にいてくれるのも、番組の為。
そして何よりも、あの少年の為、か。
いつか、仕事なんか抜きで、こうして、お前と……
……なんて贅沢は、一生言えそうも無いな。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
キャラ捏造激しすぎてごめんなさい。関西弁テキトーでごめんなさい。
2/3の最初に 「 を付け忘れてごめんなさい。
生、キスあり注意
一角獣
太鼓鍵盤
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「んで、話って?」
お決まりの再結成って言っても、絶対首は縦に振らないから、新しいものを創るってニュアンスで話しをする。
「うん、いいよ」
あっさりオッケーでずっこけそうになった。
「なに」
「いや、あっさりしてんね」
「そう?」
楽しそうだと笑う彼の笑顔に、胸が締め付けられて苦しい。彼が俺の顔を覗き込んだ。
「……具合悪いの?」
違う、そう言って笑いかけると彼は微かに眉を寄せた。
「嘘つかない」
「いや、具合は悪くないんだよ……店、出ようか」
俺が席を立つと彼は無言のまま立ち上がって伝票をつまんだ。ありがちな、おごる、おごらないのやり取りをして、結局ここは彼が出した。
「さて、どっか行きますか?」
ウロウロ辺りをうろつく。どちらとも無く手を繋いだ。いい年した男二人が、仲良く手を繋いでウロウロ……何してるんだろ、俺達。
いつの間にか紛れ込んでいたのは……ホテル街。どう見たって、ホモカップルにしか見えない状況に慌てる。
「どうしたの?……あー、ホテルだらけだねえ」
気の抜けた彼の声に、慌ててる自分がバカバカしくなった。
「なんでそんなのんびり構えて……」
「入ろっか?」
「へっ?」
マヌケな俺の顔に、自分の顔を近づけて、彼はキスのまね事。真っ赤になった俺の顔に笑いかけて一言。
「嫌じゃなければ」
……まじ?言葉が出ない俺を見て彼が自嘲の笑顔を浮かべた。
「あー、嫌か、嫌だよねえ……」
「……じゃない」
「え?」
「い、嫌じゃ無い」
何を言ってるわけ、俺。彼の顔が一瞬泣き笑いのように歪んだ後、いつもの笑顔に変わる。
「冗談だよ、そんな顔しないの」
繋いでいた手を解いて、彼は俺の頭を撫でた。
「駄目でしょ、そんな簡単にひっかかったら」
まったく、そう言った後彼は俺の手を引っ張って少し暗い所へ。強く抱きしめられた。
「心配……させないでよ」
彼の唇が俺の唇に触れた。耳に流れ込む鼓動の速い心臓の音。唇の感触は嫌ではなく、離れると堪らなく寂しい。
「ごめん」
「謝らないでよ……嫌じゃ無かったから」
俺から、ねだってもいいのかな。彼は俺から視線を外して前を向いた。
「帰ろっか」
「うん……ね、も一回だけ」
彼は振り返り、嬉しそうに笑った後、俺を引き寄せてキス。舌が口に滑り込んできた。舌を絡めあう音が、喧騒に紛れて微かに耳に届く。唇が離れた。
「好きだよ……!俺何を……」
彼の口から出た言葉。それを言った事に戸惑っている彼の顔。好きだよ、俺も。心の中で呟いた。
「忘れて欲しいんだったら忘れるよ」
俺の顔を見て、彼は首を横に振る。
「いや、忘れなくてもいいよ、なあ……」
彼は首を横に微かに振って続けた。
「なんでもない……帰ろう」
手を繋いだ。さっきとは違って、はっきりした意志の元で強く手を握る。言葉に出さない思いを込めた。伝わってるといい、思いを言えないって辛いこと。でも、言わない方がいい事もあるのを知っている俺達。また、音楽を一緒に出来る……それだけで満足しなきゃ、ね。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
一年の色々を読み返したら、うっかり萌えたんで書いてみた。キャラが微妙でスマソ
最近だからなあ、太鼓鍵盤きたの…惜しいことをした
>>165 面白かったです、ありがとう!
こういうほのぼの好きだー
王子は無邪気(風)攻めが似合うな
ナイーブな又郎も涼し気な先生も素敵っす
>>170 GJ!
彼らの表情や声がリアルに浮かんできたよ
もう絶対あのコーナー腐った目線でしか見れない
>>171 ぎこちない2人がいいですねぇ。
ニヤニヤしながら読んじゃいました。
>>171 乙です!
ホテル街を二人で歩いたエピだけでも萌えるのにさらに禿げたよありがとう!
>166
GJです姐さん
まさかここでP×寝技師が見れるとは!
寝技師の息子を大切にする姿にも萌えました
>>160 ああー乙ですGJです!
前スレにも投下された方がいらっしゃいましたが、
棋/士は独特の雰囲気があって大好き
もっともっと増えればいいのにーと祈りつつ
ありがとうございました!
殺し屋→復讐鬼書いてくれた姐サン達ありがとうありがとう!
萌えすぎて死にそうです!
後、粕和歌も好きだー!
どちらももっともっと読みたいッス!
後、粕和歌わたしも好きだw
粕視点のセックスなんかもう萌えた
>>182貸す賀のモノローグがいやらしくてたまらないんでございますよ
けしからんもっとやれと思ってしまうんですよ、はい
>166
GJ!禿げました。
寝技師まさかの枕営業…!
シチュエーションもカプも大好物です。
ラジオでのツインお泊り発言と本スレの温泉旅行妄想から自家発電した完全妄想ロケ話
ナマモノ注意 エロやや濃い目
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「はい、お疲れ様でしたー!今日の撮影は終了でーす!!
また、明日、よろしくお願いしまーす!!」
まだ年若いADが、声を張り上げている。
東京からは車で数時間かかる某温泉地でのロケ。
明日はココからさらに半時間ほど山道を入った所にあるという
紅葉の名所に行くそうだ。
「あー、やっと終わったぁ」
大きく伸びをして、和歌林が張りのない声で言う。
「ふむ。少々お疲れでございますな」
口調はふざけているけれど、体調をくずしやすい相方を本気で心配して覗き込んだ。
「疲れたっつーか、眠ぃ」
時刻はもう午後11時。そして明日は朝7時から撮りがあるという。
最近は、ありがたい事に次々と仕事が入り、なかなか休みも取れない。
毎日9時間寝たい彼にとっては、嬉しいけれども辛い状況なのだろう。
僅かでも彼の疲れがとれるようにと願いながら、傍らの小さな頭を撫でた。
「ホテルに移動しまーす!バスに乗ってくださーい!」
ADの声に促されて、俺たちはロケバスに乗り込んだ。
一番後ろの席に並んで座る。
「こうゆう仕事も楽しいけどさぁ・・・」
和歌林が他のスタッフに聞こえないように、声を落として喋りかけてきた。
「うん?」
続きを促すが、彼はそこで押し黙る。
そうね。お仕事に好き嫌い言っちゃぁ、いけませんね。
でも。
「・・・ちゃんと漫才がやりたいですね」
和歌林が飲み込んだであろう言葉を続ける。
だって、それは俺もずっと思っている事だから。
「そうだな」
満足そうに微笑って、俺の肩に凭れかかってくる。
俺はその茶色いふわふわの髪に軽く口付けた。
温泉街を抜けて、バスはなだらかな山道を上っていく。
しばらくして、高台にある一軒のホテルの前に止まった。
有名どころではないが、そこそこ立派な外観のホテルだった。
バスを降りてロビーに向かうと、フロントからマネージャーが慌てて走ってきて
申し訳なさそうな顔で一本のルームキーを差し出す。
「ホテルの手違いで、お二人の部屋はこちらに・・・」
おずおずと手渡された鍵を受け取って、和歌林と顔を見合わせる。
二人で一部屋ってコト?あら、嬉しい。
思いが顔に出てしまったんだろう、ニヤニヤすんなと軽く蹴りをいれられた。
エレベーターに乗ってかなり上の階に上がり、あてがわれた部屋のドアを開けると
そこはピカピカのスイートルームだった。
十畳ほどのリビングに一続きになったこれまた十畳ほどのベッドルーム。
恐る恐る覗き込むと、ダブルベッドではなくセミダブルがふたつ並んでいた。
少しほっとしつつ、それでも男ふたりで泊まる部屋ではないなぁと立ち竦んでいると
ワーっと歓声を上げて和歌林がベッドに倒れこんだ。
「すげぇ、すげぇ!」
スプリングのきいたベッドの上ではしゃぎ回る。
子供かね、あんたは。
こんなトコに泊まるなんて、もう無いかもしれないから色々見ておこうと
和歌林はあちこち探り出す。
「わぁ!シャンプーも石鹸も高そう!!」
バスルームでも歓喜の声をあげる。
まったく、可愛いなぁと眺めていたら、不埒な考えが浮かんできた。
いやいやいや。
だって、明日も朝からロケあるし。
ただでさえ、最近ご無沙汰なのに、こんなムードのある場所で
そうゆう事態になったら、今度こそ自分を抑えられない。
実のところ、お互いの想いを伝え合ってから何度か和歌林と甘い夜を過ごしたけれど
まだ一度も体を繋げてはいない。
翌日の仕事を考えると無理はさせられないし
何よりも自分自身が暴走するのを押しとどめるので精一杯だった。
色っぽ過ぎるんだよなぁ。
昼間のドSな和歌林からは想像すらできないほど、夜の彼は淫靡で卑猥で
それでいてこの上なく可愛らしい。
俺の愛撫に敏感に反応する躯、甘く啼く声、濡れる瞳。
快楽に染まる表情と全身の仕草の全てで俺を誘い、煽り、興奮させる。
記憶の中の和歌林に下半身が反応しかけたとき、突然の水音で我に返った。
「ちょっと、ちょっとっ!」
慌ててバスルームに飛び込む。
「なんだよ、入ってくんなよ」
いつの間にか服を脱いで、シャワーを頭から浴びていた和歌林が睨み付けてくる。
う。負けるもんか。
「先にシャワー使ってるんじゃあないよ!」
「いーじゃん、別に」
「良くないですよ!先に入ってアメニティ独り占めするつもりでしょう!」
ふと見れば、バスルームの前に脱ぎ散らかされた彼の服の上には
品のいいアメニティグッズが一式ちょこんと置かれていた。
もう一言ぐらい言い返そうと和歌林の目の前に立って、思わず息を呑んだ。
白く立ち込める湯気の中に立つ全裸の彼は、強烈な色香を放つ。
「なんだよ」
絶句している俺を、和歌林が見据える。ほんのり紅く染まった目元まで色っぽい。
射竦められて動けないでいる俺から、ふいっと視線を外してシャワーのコックを捻る。
大きくなった水音にかき消されそうな呟きが聞こえた。
「・・・入るんなら、服脱げよ」
「え・・・?」
和歌林の頬が紅潮しているのは、シャワーのせいだけではないようだ。
誘ってる・・・の?
俺は逸る気持ちを抑えながら身に着けているものを全て脱ぎ捨てると
和歌林のほうに歩み寄り、もうもうと立ち上る熱気の中で抱き寄せた。
俺の腕の中で、和歌林が囁くように話し出した。
「さっきさぁ」
「うぃ?」
「・・・お前が『漫才やりたい』って言ったとき、俺、本当に嬉しかったんだ」
「あぁ」
俺の体から余計な緊張が消える。
すこし顔を上げた和歌林が俺の目を見つめながら言葉を続ける。
なんだか胸の辺りがじんわりしてきて
すっげぇ疲れてるハズなのに、元気が出てきたっていうか
なんかこう、湧き上がるものがあって・・・で
「俺、お前の事、やっぱ・・・その・・・」
肝心なところで言い淀んで、視線を逸らす。
「・・・ん?」
その続きが聞きたくて、顔を近づける。自然と頬が緩んでいく。
「ん〜〜??」
顎を突き出すようにして、ぐっと近づけると、背を反らせて離れようとするので
腰に回した腕で逃がさないように強く抱きしめる。
和歌林の顔がどんどん朱に染まっていく。
こめかみにわざと『ちゅっ』と音を立ててキスすると、口元を引き結んで俯いてしまった。
「・・・和歌林?」
続きを言って頂戴よ。粕賀の事・・・好き?
意を決したように和歌林が顔を上げ、強い瞳で俺を射る。
「・・・チョー、嫌い」
そう言って、こぼれるような笑顔を見せる。
天邪鬼な彼の、精一杯の愛情表現。
俺は鼻の奥がツンとなって、夢中で和歌林に口付けた。
俺よりも先にシャワーを浴びていた和歌林の唇はいつもより熱を帯びていて
狂おしいほど甘い。
舌を差し入れて口内を弄る。歯列をなぞっていると和歌林から舌を絡ませてきた。
ぬるりとした感覚に脳髄まで痺れそう。
柔らかい舌を強く吸い上げると、和歌林の眉根が寄る。
少し息苦しそうなので唇をわずかに離したが、一息つくとまた口付けた。
もっと、ずっと、和歌林を味わっていたい。
シャワーの熱と、直に感じる和歌林の体温で俺の熱もどんどんあがる。
俺の太ももに和歌林の昂ぶりが触れる。
少し膝を曲げて高さを合わせ、腰を揺すって俺のモノを擦り付ける。
手を添えてすらいないのに、快感が渦を巻く。
「・・・はっ・・・あ・・」
和歌林の方からも俺に摺り寄せてくる。
和歌林が快感を―――粕賀を欲しがっているのかと思うと、堪らなくて
たぎり立つモノが益々熱くなっていく。
俺の背に回された和歌林の手に力がこもる。
「・・・んっ・・・ふぁ・・あぁ・・ん」
艶かしい声が口付けの合間から漏れる。
興奮した芯は握っていないので、激しく動く反動でイイところが時折外れる。
「・・・くっ・・」
じれったさに、手で扱きたくなってしまう。
それでも和歌林を抱きしめる腕を解きたくなくて、もどかしい悦楽に耐える。
出しっぱなしのシャワーは二人の全身を打ち、肌を流れ落ちる。
ざあざあとうるさい水音にかき消されそうな、それでいて耳に直接届くのは
重なった熱い体から漏れるくちゅくちゅという厭らしい響き。
立ち上る湯気と体の奥から湧き上がる熱気で、全身が溶けそうな錯覚に捕らわれる。
――― このまま二人溶け合って、ひとつになってしまおうか。
いつが絶頂だったかも分からないままに、俺も和歌林も果てていて
二人とも力なくバスタブに座り込んだ。
自分の前髪から落ちる水滴をぼんやり見ていると、傍らの和歌林が倒れこんできた。
慌てて抱き上げると、真っ赤に上気した顔で
「のぼせた・・・」
と呟いて、俺に体重を預けてくる。
「ちょっっ・・・しっかりして下さいよっ」
抱き上げたまま急いでバスルームから出て、和歌林をタオルで包んでベッドに寝かせる。
カバンからペットボトルのお茶を出して手渡すと、和歌林はだるそうに起き上がって
ごくりと一口飲んだ。
「・・・ぬるい」
片眉をあげて、文句を言うので、胸を張って言い返してやった。
「仕方ないでしょう。冷蔵庫のを出したらお金取られるんですよ」
「こんなトコで、ケチってんじゃねぇよ」
和歌林は薄く笑ってペットボトルをまた口に運び、ゆっくり飲み干した。
空になった容器を俺に返して、和歌林はもう一度ベッドに横になった。
当然のように全部飲むんだもんなぁ、と半ば呆れながらゴミを捨てに行き
でもそういう所も好きな自分にも呆れて自然と笑みが漏れる。
「もう一本お茶あるけど、いる?」
私服に着替えながら話しかけたが返事が無い。
ふと視線を戻すと、ベッドの上の相方はもう小さな寝息を立てていた。
「ちょっと、ボーイ、パンツぐらい穿きなさいよ」
肩を掴んで揺り起こそうとしたら、不機嫌な呻きと共に振り払われた。
仕方が無いので下着とクローゼットから持ってきたバスローブを着せてやる。
和歌林はその間もくぐもった鼻息で不平不満を訴えていたが
着終わると、もぞもぞとベッドに潜り込んで本格的に寝に入った。
和歌林が眠ってしまうと、俺はすることが無い。
ま、一緒に寝ちゃいましょうか。
「お邪魔しますよ」
小さくご挨拶して、和歌林の背後からベッドに入り込んだ。
普段なら蹴り出されているところだが、愛しい人はもう夢の中。
想いのままに後ろから抱きしめた。
なんとも言えない幸福感に包まれて、そのまま俺も深い眠りに落ちていった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お目汚し、失礼しました。
こんな拙いSSを好きだといってくれる姐さん方、本当にありがとう!!
195 :
忘却 0/7:2009/11/19(木) 02:18:27 ID:ka7u7tSu0
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 生 || ∧(゚Д゚,,)< 現在公演中・新完線【バソユウキ】ネタバレ注意エロ手前
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < マイナー上等・右大臣×学問頭を芝居序章時年齢で
i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )< パンフ「その五年前」読んだら我慢出来なかった
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ"
※自分の中の夢見がちな脳内補完を含みます。
196 :
忘却 1/7:2009/11/19(木) 02:19:24 ID:ka7u7tSu0
「唐麻呂、入るぞ」
遥か祖国への復路、夜もとっぷりと更けた頃合。波音響く船室の外から低い声が響くとともに扉が開け放たれる。
豪族とはいえ所詮留学生の船、乗組員も限られている。端から閂などという上等なものは取り付けられていない。
しかし、せめて部屋の主の返事くらい聞いてから開けるのが常識というものではないだろうか。
その行為で、そもそも声を聞いた段階でわかってはいたが部屋の主――於斗津唐麻呂は渋い顔を入口に向けた。
「宇木名、入ってくる時はまず合図のひとつもしてくれとあれ程」
「固いことを言うな、俺とお前の仲だろうが」
そう言いながらずかずかと室内に入り込み、どっかと寝台に腰掛ける。
この幼馴染には何を言っても無駄だと諦め、
寝台の脇に置かれた簡素な勉強机に向かったまま唐麻呂は宇木名に問うた。
「…眠れないのか」
「どうにも胸糞悪くてな」
「また船酔いか。華陀の国でよく効く薬を貰っただろう。それでも飲んで…」
「飲んだよ、とっくにな。…そういう話じゃない」
「………」
「………――」
一瞬にして室内が無気味な静寂に包まれる。
分かっているのだ。二人とも。相手が言いたいことは。お互いこそが一番よく分かっているのだ。
机に向かったまま。
身じろぎひとつ出来ず、視線ひとつも合わせられぬままに刻が過ぎ行く。
197 :
忘却 2/7:2009/11/19(木) 02:20:45 ID:ka7u7tSu0
「唐麻呂」
「…何、」
振り向きざま、二の腕を掴まれ強く引かれた。
「…ッ」
そのまま寝台に腰掛ける宇木名の膝の上に勢いよく倒れ込む。
その拍子に机の角で体を打った痛みを感じる暇も無く、すぐさまごろりと天井を仰がされた。
「う、…宇木名?」
「いいから大人しくしてろって」
「ひっ、」
噛み付くように喉元に歯を立てられ、息を飲む。
「出発してもう三日だろ…女がいない生活もそろそろ限界なんだよ。つべこべ言わず相手しろ」
自分勝手な言葉と同時に着物の袷へと宇木名の指が滑り込んできた。
流石器用と言うべきか、房事に関しては慣れすぎていると言うべきか、瞬く間に上半身の肌が露にされる。
首筋を生温かな舌が這い、浮き上がった鎖骨へと下りていく。
「…うぁ」
宇木名と関係を持つのはこれが初めてでは無い。
お互いまだ少年と呼べる年齢だった頃から、
比較的淡白だった自分とは正反対に色事への興味津々だった宇木名の戯れから始まり。
以来、誘われるままに幾度か身体を繋いだ。
無論全てが本意では、無い。
198 :
忘却 3/7:2009/11/19(木) 02:21:47 ID:ka7u7tSu0
そもそも宝来国一の大豪族である宇木名の希家と自分の生まれた於斗津家の身分には天地程の差がある。
互いの父親は片や大王に次ぐ有力者とされる大連、片やしがない貧乏豪族の長。
幼い頃からの馴染とはいえ、その息子である自分たちの間にも当然のように格差は存在する。
宇木名が、いや希家が黒と言えば黒、白と言えば白。逆らうことは出来ない。
幼少の頃より何かと小賢しい知恵が回るのを宇木名の父親に買われ、
学費など金銭的に面倒を見てもらっているのもある。
それでもこの留学へ同行を許してもらうためにはどれだけ根回ししたか知れぬ。
元からの身分差に諸々の事情が重なり、表面では対等に言葉を交わすように見えても根本的に違うのだ。
尤も色事に関しては、宇木名が女を覚えてから
そちらを主とするようになってくれたので助かった部分が大いにある。
実際ここ数年さっぱりそういうことは無かった。
なのに。
動揺を隠せず、唐麻呂は喘いだ。
「宇木名…ッ、ちょっ、ちょっと待ってくれ、なあ」
「何だ、抵抗すんのか?唐麻呂」
必死に頭を浮かせ己に圧し掛かる男と視線を交わせば。
「―――…」
強引な科白や行為とは裏腹に、その瞳は余裕を無くした色に溢れていた。
その眼球に映る己の顔も同様に。
まるで、鏡のように。
わかっているのだ。相手が言いたいことは。お互いこそが―――――。
199 :
忘却 4/7:2009/11/19(木) 02:23:19 ID:ka7u7tSu0
気に食わなかった。
下衆の身分でありながら左大臣の娘に取り入り気に入られ、
その許婚となり自分よりも早く強い出世への糸口を掴んだあの男が。
気に食わなかった。
心から。
自分が一を学ぶ間に十を学び軽々と頭の上を跳び越していく、才覚に恵まれ愛されたあの男が。
冗談じゃない。
腐っても零落れても豪族だ。
お前とは生まれが違うんだ。
だから。
奴を追い落とした時は快感だった。
ほんの三日と少し前。
異国で五年の月日を共に過ごし、学んだ学友が二人も命を落とした。
いや、正確には一人はまだ牢に幽閉されている筈だが、死ぬのは時間の問題だろう。
政敵の息子と衛兵上がり。
学友と呼ぶのも馬鹿馬鹿しい。
最早思い出すことすら。
200 :
忘却 5/7:2009/11/19(木) 02:25:44 ID:ka7u7tSu0
そうだ、忘れよう。
忘れるのだ。
後はこの航海を乗り切り、祖国に帰りさえすれば道が開ける。その筈だ。
邪魔者は消えた。
二人も消えた。
この後はいっそう、宇木名に、希家について行けば間違いは無い。
何が何でも生き残ってやる。
祖国に残してきた父親の顔がふと脳裏を過ぎった。
父だけではない。
母も、兄弟も、於斗津の親類たちも。
全ての期待が遠く海を越えてきたこの肩にかかっている。
今の己には決して過言では無かった。
まずは宇木名と共に新教の布教に励み、国の財政と労働力確保の基盤を固める。
構想は既にこの胸に在る。その為に番教の専売特許を手に入れたのだ。
思う侭に民の金と力を吸い上げ、今まで以上に宇木名の父親へ取り入ることも忘れてはいけない。
大臣の位までは望めずともゆくゆくはそう、学問頭といったところだろうか。
白部亡き今、彼の父…左大臣である京鐘籍春の地盤とてもこの先必ず脆くなるに違いない。
そうなれば将来、己の宮中での地位は磐石の筈だ。
そうなれば。
そうなれば――――。
201 :
忘却 6/7:2009/11/19(木) 02:27:06 ID:ka7u7tSu0
「宇木名」
熱に浮かされたように己を掻き抱く男に呼び掛ける。
その背に腕を回し、先程の抗いが嘘であるかのように、誘うが如く引き寄せる。
ますます宇木名の力が強くなった。
弱いのだ。
この男も、そして自分も。
人を殺める度胸などこれっぽっちも持たぬほどに。
前以て知っていたとしても実際目の当たりにすれば、その物言わぬ屍に深く慄いてしまうほどに。
自分たちに向けられた恨みの叫びと絶望に塗れた表情が三日と少し経っても忘れられぬほどに。
追い落とした時は快感だった。
ほんのひとつふたつの嘘を吐いただけだというのに酷く高揚した。
これで先の憂いは全て消えたとさえ思った。
けれど今。
どこか後味の悪さを抱え、自分も宇木名もこの船の揺れに酔っている。
「宇木名…ッ」
「唐、麻呂」
どちらからともなく息は荒くなり、衣の擦れる耳障りな音だけが狭い船室に嫌に大きく響き渡る。
弱いのだ。
弱いから忘れるのだ。
あの男もどうせ直ぐ死ぬ。
今この瞬間まだ生きているかどうかさえも判らぬ。
忘れればいい。
この夜を境に―――――…
202 :
忘却 6/7:2009/11/19(木) 02:28:11 ID:ka7u7tSu0
「宇木名」
熱に浮かされたように己を掻き抱く男に呼び掛ける。
その背に腕を回し、先程の抗いが嘘であるかのように、誘うが如く引き寄せる。
ますます宇木名の力が強くなった。
弱いのだ。
この男も、そして自分も。
人を殺める度胸などこれっぽっちも持たぬほどに。
前以て知っていたとしても実際目の当たりにすれば、その物言わぬ屍に深く慄いてしまうほどに。
自分たちに向けられた恨みの叫びと絶望に塗れた表情が三日と少し経っても忘れられぬほどに。
追い落とした時は快感だった。
ほんのひとつふたつの嘘を吐いただけだというのに酷く高揚した。
これで先の憂いは全て消えたとさえ思った。
けれど今。
どこか後味の悪さを抱え、自分も宇木名もこの船の揺れに酔っている。
「宇木名…ッ」
「唐、麻呂」
どちらからともなく息は荒くなり、衣の擦れる耳障りな音だけが狭い船室に嫌に大きく響き渡る。
弱いのだ。
弱いから忘れるのだ。
あの男もどうせ直ぐ死ぬ。
今この瞬間まだ生きているかどうかさえも判らぬ。
忘れればいい。
この夜を境に―――――…
203 :
忘却 7/7:2009/11/19(木) 02:32:58 ID:ka7u7tSu0
『剣を取れ。最後の機会を与えてやる』
目の前に立ちはだかる白髪の幽鬼。
あの日忘れ去った筈の。
……どんな汚いことをしてでも生き残る。
それが己の選んだ道だ。
今更何を変えられようか。
あの後味の悪さと向き合い祖国に戻っていたならば、或いは何か違っただろうか。
否。
それが出来るならば、こんな生き方はしてこなかった。
生き残る。
俺は生き残る。
例えば―――目の前の最後の「友」を、自らの手で殺めても。
ほんの一寸、世界が止まり。
於斗津唐麻呂は慣れぬ刃を、慣れたその背に振り下ろした。
あの星降りの夜の終焉はもう直ぐ其処に、迫っていた。
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 止 || ∧(゚Д゚,,)< ヒィィ二重投稿の上にさるさん!すいません!
//, 停 ||__ (´∀`⊂| < マイナーの中でも更にマイナー道を行ってすいません!
i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )< ただマイナーさに関して後悔はしていない
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ
次はまた気が向けば殺し屋と教主様というか復讐鬼で何か書ければいいと思うよ
でも登場人物全員、右大臣父子も学問頭父子もドラマを想像させられて好きだよ
学問頭は方向を間違えただけできっと貧乏一族の中では期待の星だったんじゃないかと思うの
もしもお読み下さった方がいらっしゃったら心からの感謝を込めてありがとうございました!
>>159姐さんドンマイwまたゆっくり待ってますw
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| フリゲ『復活祭(要英訳)』のオトン賢者とシスコン勇者だって
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 捏造設定アリ セリフのみSSだよ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
206 :
復活祭1/3:2009/11/19(木) 15:42:15 ID:74ixXV3o0
「さて……そろそろ休まないとな」
――イサ八がこの世界に帰ってきてから、もうすぐ一月が経つ。
あの慰霊祭の日のことは昨日のように思い起こされるが、月日の経過とは早いものだ。
はじめのうちは戸惑っていたようだったが、最近ではなれたようでもある。元々が臨機応変で……いや。
あまり細かい事を気にしない性格のおかげだろうな。
「私の悔恨と懺悔の日々もついに終焉を迎え……あとは、ただ二人の行く末を見守るだけだ。
長かった。だがそれもこの日々のためと思えば――」
「ア一ソン、なに一人でぶつぶつ言ってんだ?暗いぞ」
「ふおおおおおぉぉぉぉぉお!!お、おい!だから人の部屋に入る時はノックをしろと何度も言っ……」
「言われてねーぞ?」
「あ……イサ八、か……」
「あとノックは何度もしたぞ、お前、出てこねーからさ」
「あ、あー……すまん、考え事をしていてな」
「……」
「で、どうした?」
「……ん、その……」
「な、なんだ?似合わん深刻そうな顔をして……」
「悪かったな。……あのさ」
「うん?」
「お前さ、ウ工スの将来……どうしようって考えてた?」
「は?……まさか、またお前、結婚だのそういう話――」
「いやあの時は暴走して悪かったけど、そうじゃなくて。
お前さ、ウ工スの保護者代わりだった……だろ?あいつ、将来とかどうするつもりだって?」
「ああ……そういうことか。そうだな、職業、職業、か……」
――改めて考えてみると、私も自分の事に手一杯でそこまで気が回らなかったな。
「なんとなく、私の手伝いや家事をしてもらえばいいと思っていたが……あれも17だ。
そういうことも考えてやるべきだったな。……すまない、イサ八」
「謝るなって!そこまで他人に面倒みてもらうことじゃねーし。ウ工スだっていろいろ考えてるだろうしさ……」
「ああ、まあ……あれもぼんやりしているようで頭が回るからな、心配ないか。……?
なあイサ八、なら、なぜそんなことを聞く?」
「え……あー……。その、お前、さ」
207 :
復活祭2/3:2009/11/19(木) 15:44:17 ID:74ixXV3o0
「賢者、そのまま続けなかったのって……なんで?」
「……?」
「あー、その……この国は、平和だよな。だから、もう戦士も魔法使いもいらない、あぶれてる」
「……」
「勇者だって、いらない」
「そんなことは――」
「そうだろ?……わかってるんだ、オレみたいなのは、もうこの国に必要ない。蔑んで言ってるわけじゃねーぞ。
わかるだろ?オレみたいなのは、もうどうしたって暮らしていけないんだ」
「そんな言い方はやめろ!
たしかに戦乱の時代よりも就職口は少なくなった、それは事実だ。学のない者が就ける職も多くは無い」
「だったら」
「だったら今から追いつけばいいだけだ!お前いくつだ?17だろう!若いんだ、ピチピチなんだ!いくらでも人生に修正が利く!」
「……」
「ああいや、一月も何の対策も打たない私が悪かったんだ!今すぐ市役所に行って市民登録からだ!
ウ工スの通っている学校に明日からでも通ってもらう!」
「ア一ソン」
「なんだ!」
「……頼もしいなー、お前。本当に大人だ」
「……」
「あーあ、なんだか、なんとかなりそうな気がしてくるなー」
「あ、いや……。すまん、気があせった」
「お前はなんでそこまでしてくれるんだ?」
「え」
「だって、オレとお前が会ったのって、三ヶ月前……あっと」
「あ……そうか、そうだったな。酒場で偶然出会って……そうだった」
「……オレは不思議だったよ。今でも不思議だ。なんでさ、お前がずっとウ工スによくしてくれたのか」
「それは……」
「でも今はア一ソンのほうが家族っぽいもんな!……いいんだぜ、オレの面倒までせおわなくったって。
いくら勇者っつったって、何ヶ月かいたっきりの、他人なんだからさ」
208 :
復活祭3/3:2009/11/19(木) 15:45:31 ID:74ixXV3o0
「お前にとっては三ヶ月前でも、私にとっては十年だ」
「……」
「この十年間ずっと忘れた日はなかった、イサ八」
「……なんか今ちょっと悪寒が走った」
「むぅ?」
「なんでもない。そーだな、ちょっと考えすぎてた。ごめんな、夜遅くに」
「いや。お前もいろいろと思うことがあるんだろう、なら言ってくれたほうが助かるよ」
「ん。そーだな!やれる事が見つかるまで、オレもお前の手伝いするよ!」
「……それは謹んで遠慮させてくれ」
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 短くてサーソン
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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>>194 ありがトゥース!
読みたかったんだ!
エロ火素画め!
>>195 GJ!もはや正規のサイドストーリーにしか思えませんw
貧乏と幼馴染みに苦労する学問頭に切な萌えました
>>194 同じくありがトゥース!独白エロいよエロいよ
まさか新完線と粕和歌新作がいっぺんに読めるとは!
幸せすぎだー!!!
粕賀!粕賀!エロ粕賀万歳
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// .|| ∧∧
. // 生 || ∧(゚Д゚,,) < 豹動で〜す
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < 鮫縞で〜す
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| | / , | (・∀・; )、< 粋タダシでございます
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..| 「腐妄痴態」初投稿です
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´やさしくしてね
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| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
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|_____レ"
腐妄痴態1/4 “ライバルを手中に収めたと思ったら形勢逆転されたでござるの巻”
船勝負では粋に俺の力を見せつけてやったぜ、ヒャホーイ!
奴の娘と俺んところの仔鮫との交際は…まあいいか
これで職場のみならず家庭でも、24時間俺の事を考えずにはいられまい、ムフフ
しっかしあの豹動とかいう部下は邪魔だな…戦友河股が可哀想なことになったら
ここぞとばかり物欲しげな犬のように粋にくっついてまわってやがる
だがそこで引っこむ俺ではない
喰らいついたら離すものか。奴は俺の獲物だ
いちゃついてやがる後ろから、二人の間にむりむり…むぎゅうっと割り込んで…と
おやあ? 粋さん
なにその不本意なお顔?w カッワイイネ〜
要人の見送りにかこつけて精力剤をチラつかせ、奴に俺との情事を想像させる作戦開始
どうだ? ん?ん?
俺は豹動のような美男ではないかもしれんが、そっちの株は天井知らずだぜ?
んもう、邪魔すンなよお〜紅個ちゃ〜ん、サだヲぬこをけしかけるぞ シャーッ!
腐妄痴態2/4
粋&豹動が車で逃走しやがった
俺からは逃げられねえよ、元ア・カマ自動車の社長からはな(あれ?)
性能抜群の自動車でス〜ッ、ピタリと追尾、粋を手中におさめるぜ!
粋の屈辱感を煽るべく、俺の会社に連れ込む
「買え、買ええぉおおお! 粋のからだもこころも飼い尽くせえええ!!11」
オステリー里伊ばりに机上をなぎはらい、釣れたての魚のようにぴちぴち跳ねる
粋を押しつけ、のしかかる
くぅ〜、このポーカーフェイスがたまんねえ
口を引き結んで涙を浮かべているくせに、俺を睨む眼つきの高慢なことw
俺は高嶺の花を手練手管で落すのが好きだ
仔鮫の母親も、毎日手紙作戦で数百通単位で籠絡した
最近は夫婦生活もご無沙汰で(これは昔からだが)仕事も多忙を極め
粋には気の毒なことに俺のスエズ運河は溜まりに溜まっている…悪いな フヘヘ
腐妄痴態3/4
こいつぁ大ホンエイ参謀の選りすぐりの軍ジン
めったに笑顔も見せず、瞳には腐妄のしベリあ凍土が映る
だから、抱きすくめたこいつの身体の異様な熱さに驚いた
…こいつも俺を欲して発熱しているのか?
コリコリとした筋肉を乱暴にひねくりまわしていたらカッと頭に血がのぼった
脱がすまでもないと着衣のままむしゃぶりつき股を押し広げ…って、あれ?
あれあれ??
くるりと反転されて
どうして俺がこいつに見下ろされているんだ?
粋の乱れた前髪と伏せた睫毛
見惚れていたら、むんずと一物を掴まれて
捕虜セイ活の強制ロー働に荒れた手にしごきあげられた
ちょ、ちょっと待ってくれ! どうしてこうなった!?
せめて俺を見てくれ!
…おれはおまえを凝視し続けているというのに……
腐妄痴態4/4
粋の飼い犬・豹動の「買いだ、買いだ!飼いまくれえええ」という幻聴がする
俺はイッた
壮絶に気持ち良かった
恥ずかしながら白目をむいていたと思う
これで一勝一敗だ
鮫縞辰臓はよみがえるさ、何度でもな!
〜粋のしベリあ仲間との憩いの空間にはまだ気付いてない、幸せな鮫縞であった…つづく
腐妄痴態4/4
粋の飼い犬・豹動の「売りだ、売りだ!瓜まくれえええ」という幻聴がする
俺はイッた
壮絶に気持ち良かった
恥ずかしながら白目をむいていたと思う
これで一勝一敗だ
鮫縞辰臓はよみがえるさ、何度でもな!
〜粋のしベリあ仲間との憩いの空間にはまだ気付いてない、幸せな鮫縞であった…つづく
×粋の飼い犬・豹動の「買いだ、買いだ!飼いまくれえええ」という幻聴がする
○粋の飼い犬・豹動の「売りだ、売りだ!瓜まくれえええ」という幻聴がする
すみません
222 :
風と木の名無しさん:2009/11/20(金) 23:15:43 ID:0SbYP2o60
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// .|| ∧∧
. // 止 || ∧(゚Д゚,,) < 粋さんから離れろ!
//, 停 ||__ (´∀`⊂| < ふゎっ ふゎっw
i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < 重い…
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
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| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
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>>215 GJ!
シベリア仕込みの域の方が一枚上手でしたかw
粋のからだもこころも飼い尽くせえええ!!に
吹きましたww
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 半生。織吐露酢の戌。神×悪魔+茶話邨の3P風味?
|無理やり未遂のち3Pって感じなので苦手な人は要注意だよ。
|戌スレ778の姐さんの設定をお借りしてるよ。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 突っ込みどころが多いが、 この際開き直りじゃあ!
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
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「失礼します」
スイートルームに入ると、一面のガラス窓の前に佇んで、都会に沈み行く夕陽を見ている死神―――青井了介の姿が目に入った。
俺の姿を認めると、一瞬身を竦めたように見えたが、すぐに俺の方に向き直る。
「来月の政府割り当て分の名簿をお持ちしたのですが・・・流咲様はどちらに行かれたのですか」
「兄ならまだメディカルチェックの最中ですが・・・」
知ってるよ。だから今のうちにここに来たんだ―――あいつのいないこの部屋にな。
名簿を机の上に置き、俺から警戒の目を逸らさない青井に一礼する。
「では、私はこれで失礼します。流咲様によろしくお伝えください」
「はぁ、ありがとうございます」
短いやり取りにホッとした様子の青井を背に、ドアの方に踵を返す。そして数歩進んだところでしゃがみ込んだ。
「痛っ!何か踏んだな」
「えっ、大丈夫ですか?」
近寄ってきた青井の肩を床に押し倒し、強引に唇を青井のそれにぶつけた。
そのまま舌を強引に咥内に捻じ込んでやると、押し倒す直前に唇の間に挟んでおいたカプセルを、青井の咽喉に突っ込むようにして押し込む。
「何をする!?」
俺の身体を突き飛ばした青井が逃げようとするのを、その足首を掴んで強引に押さえつける。
カプセルの正体は、俺が先日の「奇跡税」患者と取引をして手に入れた、高値の催淫剤だ。
体内に入れてから1分と経たない内に効果が発揮されると聞いたため、自分が何をされるのか察したときには既に「悪魔の手」を使う力は残っていないだろう、と踏んでいた。
そんな俺の見込みは、どうやら正しかったようだ。(というより、そうでなければ俺の命が危ない)
うつ伏せになっている青井の上に覆い被さり、耳朶を軽く食んでやると、早くも情欲を滲ませた吐息が漏れてきた。
黒いシャツと身体の間に右手を突っ込み、硬くなりかけている胸の突起を探り当てると、指先できつく摘んだ。
「あっ・・・んんっ!」
「もう効いてきたのか、さすがだな」
身体中に回ったクスリのせいで、脳の方もすでに快楽に侵食されているらしい。
胸への愛撫を続けながら、もう片方の手で青井のベルトを外し、一気に下着ごと衣服を引き摺り下ろした。
胸から降ろした右手で触れたモノはすでに勃ち上がっており、軽く摩っただけで、青井の腰が厭らしく揺らめく。
「あっ・・・・・・やっ・・・・・・」
「ふっ・・・・・・すぐにラクにしてやるよ」
左手の2本の指を舐め、後ろを少し押し広げるように突っ込んでやり、バラバラに動かしてやると青井の首が厭々をするように小さく震えた。
自分も熱くなった下半身を露わにして、いきり立った自分自身を当てがった―――そのとき。
「お前、何をやっているんだ」
凄みのきいた声にイヤな予感を感じて振り返ると、いつの前に帰ってきてたのか、流咲が無表情で仁王立ちしていた。
手にはキーホルダーのようなものが握られている。
(しまった!合鍵を持っていたか!)
自分の迂闊さに後悔しても、もう手遅れだ。
流咲の右手が振り上げられたと思った次の瞬間、左の側頭部に強い衝撃を感じて、俺の視界は暗転した。
目を覚ましたときには、床に転がっている俺以外、周囲には誰もいなかった。
電気はついておらず、部屋の中は真っ暗で、俺が気を失っている間に日はすっかり暮れてしまったらしい。
「うっ、痛っ・・・・・・」
ズキズキする左のこめかみを押さえようとして、手が動かないことに気づいた。ネクタイか何かで後ろ手を括られているようだ。
それに、身体がやけに寒い。ひんやりとした空気が肌に凍みるような・・・
そこで俺はようやく、下半身が脱いだままになっているのに気づいた。
(最愛の弟をすんでのところで犯されかけた仕返しのつもりか)
当然、このままではこの部屋を出られない。とりあえず履く物を探して・・・いやその前に、この両手の戒めを解かなければ。
そう思って立ち上がると、真っ暗な空間に一筋だけ、光が射しているのが見えた。
その光を辿っていくと、別の部屋の、身体ひとつ入るかというくらいのドアの前に辿りついた。
その奥を覗くために、身体をドアの間に滑り込ませるようにして一歩足を踏み入れた俺は―――
目の前で繰り広げられている光景を見て、腰が抜けてその場にへたり込んでしまった。
汗と精の匂いが立ち込めた部屋。
煌々とついた灯りの下で、ベッドに長い脚を投げ出す流咲。
その脚の間では、青井が後ろから兄に抱きかかえられ、座ったままの体勢で貫かれていた。
勃ち上がった青井自身の根元は流咲の指で押さえつけられ、先端が頼りなげに空を彷徨っているようだ。
しかし、俺が目を奪われたのは、下半身よりも、むしろ―――情事の痕跡が派手に刻まれている上半身の方だった。
先ほど身に纏っていたはずの黒いシャツは既に剥ぎ取られ、うっすらと赤みを帯びた肌が剥き出しにされている。
そこに散らばる紅い刻印と、尖りきった胸の先端が、昂ぶりきった青井の情欲を、交わされている情交の濃さを、物語っているかのようだ。
紅く濡れた尖りを流咲が指で捏ねると、青井の身体がピクッと跳ね、掠れた声で喘ぐ。
「や・・・・・・、も・・・いか・・・せ・・・て・・・・・・っ」
「ん?まだ出そうなのか?」
流咲が耳元で囁いてやると、青井が小さく数回頷く。
流咲は小さく笑い、青井と繋がっていたところから自身を引き抜くと、青井の身体の向きを反転させて、向かい合わせの体勢で再び貫く。
「あぁ・・・・・・!」
青井の身体がしなり、腕を流咲の首元に絡ませるようにすがりつく。流咲は青井の喉元に接吻け、腕の中の身体を下から容赦なく突き上げた。
「・・・う・・・・・っ、あっ!あぁ・・・・・・ん」
「くっ・・・・・、ん、んっ」
律動が急に止まり、少し間を置いてから、流咲の背中をベッドに預けた状態で2人の身体が崩れ落ちる。ほぼ同時に絶頂を迎えたのだろう。
荒くなった息を整えた流咲が青井の髪を撫でると、青井が恍惚とした表情を浮かべて、流咲の胸に手を這わせる。
そんな弟の姿を見て満足そうに微笑んだと思いきや、流咲は急に無表情になり、呆然となっている俺の目を見ようともせずに、冷たく言い放った。
「そのみっともないものを、しまっていただけますかね」
俺の開けっ広げになった下半身は硬く張り詰めており、先端からは既に透明な液体が溢れ出していた。
(誰のせいでこうなったと思ってるんだ、畜生!)
悪態をついてやりたかったが、喉がカラカラに渇いて声がうまく出せない。
そんな俺を一瞬、軽蔑を隠そうともしない表情で見やると、流咲は自分の胸の上で甘えたような仕草を繰り返す弟の耳元で囁いた。
「了介、あちらのお客様のモノを鎮めてくるんだ」
突然、信じられないようなことを命令してきた兄を、青井が困ったように見上げる。
「そんな顔するな。俺達だけの部屋を、むやみに汚されるのは嫌だろう?
いつも俺にしてくれるみたいにやればいい−あれを俺のだと思って」
再三の兄の命令に小さく頷いた青井は、ベッドから降りて、俺の前に歩み寄ると、しゃがみこんで四つん這いの姿勢をとった。
ここに来た本来の目的を果たせていたならば、今頃俺は、自ら進んで青井の前に自らの欲望を曝け出し、口淫を強要しながら、極上の征服欲に浸っていたことだろう。
しかし2人の行為―――他人が入り込む隙など微塵も見当たらない濃厚な交わりを、目の当たりにしてしまった今、自分がそこに加わるということに、畏怖の念を通り越して恐怖感すら覚え始めていた。
「や、やめろ・・・・・・」
すっかり兄の与える快楽の奴隷と化している今の青井には、俺の嘆願の言葉は耳に入らないらしい。
俺の股の内側を両手で押さえると、俺の硬くなったモノに舌を這わせ始めた。
根元からチロチロと舐め上げ、先の方は唇で柔らかく食むようにして愛撫する。
口の中に咥えると、今度は舌を大胆に使ってジワジワと責めてくる。
あまりにも巧みな口淫に、血が見る見るうちに下方に溜まっていくのを感じた。
「そうだ、もっと舌の裏を使うんだ」
後ろから兄に声を掛けられ、青井の口の動きはさらに激しくなる。
「あぁ・・・了介、いいぞ。お前、本当に上手になったな」
不意に、俺のモノを舐め回していた青井の口の動きが突然止まった。
流咲が、青井の後ろから再び挿入したのだ。
「あぁっ・・・!」
「やめるな。そのまま続けろ・・・・・・あぁ、気持ちいいよ、了介。いい子だ・・・」
「ん・・・・・・んぐっ、うっ」
「うぁ、・・・・・・くっ」
青井の眼には、快感と苦痛の狭間でもがきあがく俺の姿は、もはや映っていないのだろう。
こいつは混濁した意識の中で、唇も耳も、身体の奥底も―――身体中のすべてをアイツに犯されているんだ。
そう思った次の瞬間、甘噛みされた感覚とともに電流のような衝撃が下半身を襲い、俺は再び昇天した。
目が覚めたときには、両手の拘束はすっかり解けていて、足元には俺が脱いだ衣服と下着が無造作に放り出されていた。
現れた人影に目を上げると、すっかり精の抜けきった表情をしている青井を横抱きにした状態で、流咲が俺の目の前に立っていた。
「これから了介を医務室に連れて行きますので、その間にこれを履いて、この部屋から出てってください」
2人ともいつの間にか服に着替えている。俺は慌てて衣服を手元に引き寄せた。
そんな俺を一瞥すると、流咲は青井を抱えたままスイートルームの出口へと歩いて行き、ドアの手前で振り返って言った。
「ああ、そうだ。今回の件は穏便に治めておきますから、あなたが持っているクスリを全部回収させていただきます」
「ふんっ、アンタだって結局は、クスリのお陰で結構楽しめたんじゃないのか?」
悔し紛れに、せめてもの抵抗で言ってやると、流咲が不敵な笑みを浮かべた。
そして俺の方にグッと顔を近づけると、ふふん、と鼻で笑って答えた。
「俺はあんなものがなくたって、了介をいくらでも乱れさせることができるんですよ。あれ以上にね。
―――まあ、あなたには一生かかっても無理ですよ」
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 何かいろいろと前提がおかしいんだが、
| | | | ピッ (・∀・;)<元ネタ自体がフィクションだしってことで堪忍してくださいorz
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
エ/ス/コ/ン、空の目×∞1。
≪状況は5・アーケードモード終了前後を想定≫
≪再燃に任せたら考証が怪しい オリ設定もご容赦を≫
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
【空に住む】
「∞1だな? こちら≠ナは久しぶりだ」
耳に馴染んだ声に振り向けば、馴染みの無い顔をした男が立っていた。
「空の目か」
AWACS。自ら観測機に乗り込み、情報を分析して攻撃指示を行う管制官の姿を見るのは、確かに久々である。
作戦の通達や反省会においても、それぞれ戦場の末端にあることと専門分野の違いから、顔を合わせるのは稀である。
また、そもそも同じ士官とはいえ、管制官とパイロットには命ずるもの・従うものの線引きがなされているのだ。
いくら年単位の付き合いがあろうとも、基地で、加えて相手が酒瓶を携えているとなれば、なかなか起こることではない。
「一体、どういう風の吹きまわしだ?」
実際、自分と彼が直接顔を見たのは、ISAFの要請に応じて原隊復帰した時が最後のはずだ。
いぶかしく思いながら、∞1の胸中では戦友の声と顔が奇妙に一致していく。
「君は撃墜機数を数えないのか」
「……今はそうだな。いかんせん、食ってきた相手が大きすぎた」
返事を聞いた空の目は、無理もないとばかりに肩をすくめた。
先の戦争でリボン付きの死神≠ニ呼ばれた自分が、いかな敵を相手にしたのか。この男は直に見ている。
対小惑星用レールガンストーンヘンジ=A小惑星を空から落とす超兵器メガリス=\―
張り子の基地を護った初陣から驚異との戦いに至るまで、この管制官とはともにあったのだから。
……それに、現在の相手が人間ならまだしも、無人戦闘機が交ざっていた現状では、スコアにも素直な関心を持てない。
しかし、くすぶっていたエースにとって、何より貴重であるのは――
「まぁいいさ。任務も終わったんだ、入って一杯やるといい」
「ああ。たまには俺にもプレゼントさせてくれ」
今は任務続きらしい∞隊の古参にも通じる、空の目の気さくさだった。
大陸戦争の空を駆けた結果、敵には悪魔、味方には英雄と称され、人が集まれば輪の中に引っ張られるリボン付き――
その戦果を訊く声に応じることにも食傷ぎみのパイロットは、憧憬や羨望からかけ離れた位置に立つ男をこそドアの奥に招いた。
◇◆◇
覚えているか、∞1?
そんな前置きとともに、管制官は乾杯のグラスを置いた。
「もうしばらくしたら、俺の」
「誕生日だろう? 勝利、終戦。今度は何をねだるつもりだ」
空の目お得意のフレーズと、夏の空気は噛み合わない。
生活感に欠けた個室のソファに並べて腰かけるパイロットの微苦笑を目にした管制官は、ささやかな口笛を吹いた。
だが、吐息が弱まるにつれ、丸みを帯びたAWACSの瞳には、秋へ向かう空に似た陰りがさす。
「9.19。君は、あの日を忘れられんだろうな」
「もちろん。そう簡単に忘れはしないさ」
だが、∞1はあえて強い口調で感傷を断ち切り、グラスの中身をあおった。
一度目の9.19。
劣勢ゆえに大陸撤退も叫ばれた中、連合軍ISAFを延命すべく飛び立った初陣。
二度目の9.19。
中立国への侵攻を行なっていた大国のエースを、ついに墜とした日。
空の目や大陸戦争初期を生き延びた者たちと空を駆けた一年あまりは、そうそう忘れられるものではない。
――無論、終戦記念日の直後に訪れた、宴の終わりを認めない者たちの反攻も含めてだ。
「だが、それはあんたのおかげでもあるんだぜ。
あんなに楽しく翔べた“ソラノカケラ”を、俺は、他には知らない」
ISAFの英雄、大国の死神であるところの兵隊は、目の前の戦闘を知っても戦争の裏を知悉できはしない。
英雄とともにあったAWACSは、作戦の中枢を把握しても、目の前の戦闘に直接触れることなどあり得ない。
しかし、いったん空に上がったのなら、少なくとも∞1にはそんなこと≠ヘどうでも良くなった。
作戦と航空管制のもとに飛ぶ間、パイロットは地上におけるすべてのしがらみから自由でいられたがために。
だからこそ、彼は視界からはみ出すほどに近付くことのかなった敵機に冷静さを保って向かい、的に弾を叩き込めた。
勲章の重みも忘れ、一心に作戦上の勝利を求める裏では、高空の冷気にも溶けない魂が、ときに切実な声を上げていた。
技を尽くし、機体の性能をすべて引き出し、管制官の指示を受けて、
この戦いに勝てば、次もこの空を飛んでいられる。
この戦いに勝てば、制空権を失った大陸の、空の欠片がさらに広がる。
この戦いに勝てば、もっと長く、もっと自由に、∞1はそこ≠ノ住めるのだと――。
「∞1をあの空にいざなってくれたのは、管制機空の目≠セ」
だからこそ、∞1は男の名をコールサインで呼んでいた。
「光栄だ、∞1。俺も、君には様々なものをいただいたよ」
先ほどから、彼が自分をコールサインで呼んでいるのと同じに。
ピースを取り戻した空を見据える双眸にも似たメビウスの輪。空の目の管制下にある、中隊一番機∞1=B
空を駆けたい自分の名とともに刻まれた高揚が、いつの間にか冠せられた英雄の名をひととき吹き飛ばす。
ひとときもあれば十分だった。
つくりの甘いソファは、片方の手をついただけで音を立ててきしむ。
肩を並べながらも、どちらからとなくとった距離が、次の一瞬で縮まっていた。
∞1が腕を伸ばせば、空の目はそれをつかむ。空の目が背を抱くなら、∞1はそれに応じる。
ほどなくして訪れたのは、ささやかな静寂であった。
「笑わないのか?」
極限までに近付いていた顔を離して、∞1は問いかける。
管制官とパイロット。指示を飛ばす者と、指示に応えて任務を果たす者。
そうした関係にある人間が示す親愛の形としては、これは、根本から質を違えているはずだ。
「俺なら、殴らないのか≠ニ訊くね」
肩を並べた位置から、鼻がぶつかるほどに近付いた空の目の双眸は青かった。
乾いていた唇を湿した唾液が、∞1の目前で厚い舌に舐めとられていく。
「だが、そうだな。俺も、気持ちを伝えるには君と同じ手段しか浮かばない」
どうも、ユーモアが足りんようだ。
空の欠片を思わせる瞳が、肉の薄いまぶたに遮られて見えなくなる。
ふたたび、今度は空の目の側から唇が押し付けられるに至って、∞1は鼻にかかった息を漏らした。
――なんてこった。こいつが俺より上手(うわて)なのは、飛行時間だけじゃなかったらしい。
驚きに平行して、小さな水音とともに唾液が吸われる。歯列と歯茎をくすぐるようになぞられれば、自然と口腔が開く。
口蓋に感じた鋭角な刺激に応ずるに至って、∞1は小児的な対抗心が収まりをみせる事実を認めた。
「俺は、お前に任せる。戦闘機乗りは壊すことしか知らないからな」
「copy.」
目を開けて、言葉を交わした。
空の目のつむぐ了解≠ノ対して、∞1は抑えた笑みを刻む。
それは、ドッグファイトの相手に意表を突かれたときに浮かべるものと、どこかで質を同じくしていた。
航空士官らしく素直な感情の発露を、元はベテランのパイロットであったと聞く空の目≠ヘ平然と受ける。
ゆえに彼は、はだけた服の下から、かつて空戦に生きた航空管制官の一面をのぞかせた。
スリーアローヘッズのエンブレムが布地にうもれ、なめらかな革を思わせて締まった肉が外気にさらされる。
「――俺は、君のオフクロじゃないんだがな」
士官専用の個室とはいえ、安っぽい蛍光灯の光をものともせず、空の目は動こうとしないパイロットをからかった。
寄せ集めのまま戦い続けたISAF軍の人間らしく、容赦はないがざっくばらんな態度は空の上と変わらない。
瞬間、己の体と同じく、ずっしりと堅い体を前にした緊張感よりも、ある種の愉悦が∞1の胸を衝いた。
いま彼を抱こうが彼に抱かれようが、彼を見直そうが彼を見損なおうが、この距離感の核にあるものは崩れない――。
夢以外の何物でもない話を胸の奥底が確信するほどに、いちパイロットの肩にはふるえがはしる。
「空の目」
その愉悦も不安も、パイロットは反射的に口をついたひと言に込めた。
心地よく口内を抜けるコールサインが、続く行為に付随する忌避感や違和感を彼に受容させ、更なる昇華を促すようだ。
先の声に応じて飾り気のない開襟シャツをはだければ、上下する胸が相手の肉に密着した。
練り上げられたかのように密度の高い肉と、それを支える太い骨の重みは、緊張感に郷愁にも似た安堵を混ぜ込む。
管制官の右肩をかすっている弾痕が、ふたたび視界に割り入んだ。
「あ、……ッく」
抱擁を強く意識していた肉体は、それまでと変わりなく密な刺激を伝えてきた。
空の目を受け止める∞1自身の、主に機能的な心許なさが、触覚をなお過敏なものとする。
普段は存在さえ忘れている乳首が、指先に温められて硬度を増した。くすぐったさは、汗による湿り帯びた指にゆっくりと
撫でられるうちに、充血してかすかな痛みと変わった。張った皮膚は、なおも鋭敏さを増すようである。
「驚いたな」
それは俺の台詞だ。
言いも敢えず、∞1は空の目の胸を軽く押して立ち上がった。
軍医にもらった箱を手探りで見つけだし、下着ごと脱いだボトムをシャツの隣にかける。
なにか揶揄される前に、彼は相手の局部を指差してやった。
一体、あんたは俺のなにに興奮しているんだ。
と――
仮に同じ問いをかけられたなら、自分はなんとも子どもじみた答えしか返せないだろう。
兵士よ、問うことなかれ。
真理ゆえにカビの生えた言葉を思い出した部屋の主は、無言でゴムを投げてやる。
『……たまには、壊される側にまわるのも良い』
それが関係の変化であろうと価値観の転回であろうと、俺は、奴になら壊されても構わない。
胸に浮かぶ子どもじみた答え≠ヘ、破壊的な様相を裏切るほどの穏やかさで∞1の意識に沈む。
状況にまるでそぐわない、それは感慨とも呼ぶべきものだろうか。
「こっちだ。腰に響いたらたまらない」
顔を非対称にゆがめて諧謔をとばしたパイロットは管制官を、今度はベッドに導いた。
◇◆◇
まるで潮の引くように、弾んでいた息が収まった。
職種の垣根を踏み越えて、自分という個人に極限まで近付いてきた空の目。
相棒を抱いてなお平然としている彼の本当の望みに応じて、∞1は口を開いた。
「リボン付き≠ヘ、英雄になっちまった俺の義務だ。
一個飛行隊に匹敵か? そう評価されるほどご同輩を墜としても、俺は飛びたかった――
本気で飛べた恩を返し、あいつらに対する責任を果たすのが、∞1の望みだよ」
すなわち、いちど軍を退役し、自由エルジア≠フ蜂起に際してISAFに舞い戻った己の去就を。
元々、自分がいちど軍を退役したのは、空を行けば付いてくる英雄≠フ義務を果たしたと考えていたからだ。
生きていたならこちらと似たようなことを思っただろう敵国の英雄については、彼の威光に目をくらませた若手将校の
鎮圧と、超兵器メガリスの停止でもって弔っていると、自分なりに納得してもいた。
ああした英雄の影が呼ぶ泥沼――自身と僚機の誇りたるリボン≠暴走のダシにされることへの危惧も、退役の一因である。
しかし、真の意味での戦後――英雄を必要としない状況は、いまだ影もかたちも見せない。
リボン付きの死神は、数多の戦闘を終わらせても戦争の泥沼までは止められなかった。
だが、それでも。
今ここにいる自分は、空を飛び続けて英雄となった自らの選択を後悔したくなどない。
そして、彼は空の上に関わる感傷を、地上にあるなにものとも共有する趣味は持たなかった。
胸のつかえに因するため息を、∞1はグラスを干した直後の嘆息に隠した。
ISAF上層部から引き止めの役を示唆されたはずの航空管制官は、いちパイロットの思案にはなんら触れようとしない。
おそらくは、かつての彼も戦闘機乗りを辞してなお空に留まりたい≠ニ考えていたがゆえに。
抱き締められた瞬間にも覚えた郷愁が、再度∞1の胸をよぎる。
様々に美しい空の欠片を見せてくれた目≠ェ抱くであろう思いは、空を通した途端に鮮明なものとなって彼に響いた。
それが大いなる誤解であったとしても後悔はないと断じて、いちパイロットは胸を満たす万感と共鳴する。
かたわらにただずむ男の体温が、郷愁を安息に塗り替える。空にいる時と変わらない、その感覚をこそ信じたい。
何度目かの呼吸とともに、ふと、パイロットの意識に些細な疑問が降りてきた。
「……そういえば、一体なんだったんだ? あんたが欲しかったプレゼントとやらは」
しばしの間を置いて、シャツを羽織り直したパイロットの耳には屈託のない笑い声が届く。
「なんだ、君はまだ空の上から帰っていないのか?」
パイロットの注視に応じた空の目は、芝居がかった仕草であごをつまんでみせた。
「まあ、それもいいだろう――
∞1。次のプレゼントには、君の自由≠願っておく」
諧謔じみて続けたAWACSの目には、空に住まう者だけが放てる光が宿っていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>233 硬派な世界観と文章力に魅せられました
元ネタ知らないのに、こんなに萌えるなんて!
素敵なSS、ありがとうございます
245 :
無題 1/3:2009/11/21(土) 20:27:34 ID:lk5zEa/lO
公開中のTheLaugh1ngP0l1cemanよりツクイ×男(?)です
原作未読で妄想が過ぎてほぼオリジナルです
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
差益の知り合いだという男のアジトに隠れるよう、後輩の
運転する車に乗り込み薄汚れた二階建ての建物に到着した。
にやけた顔をした気味の悪いチンピラ風の男だった。
左足に障害があるのか難儀そうに引きずって歩いている。
その若い男は、無遠慮に人の顔をしげしげとのぞき込み、
何かを確認したかのようにうんうんと頷く。
「おんぶしてくれない?足の調子が悪くって」
案内の男を背負い、階段を上る。
かくまわれる部屋は二階の隅の部屋だった。窓には埃と
脂の染みついたじっとりと重いカーテンが垂れている。
薄暗い室内にはベッドのみ。
(これは、…あの部屋に似ている)
元恋人の水盛が殺されていた部屋。道警察の捜査拠点
であったあの隠れ家に似ている。あそこもこの部屋と同じく
ベッドくらいしかない殺風景な部屋であった。用途の限定さ
れている、生活のための部屋ではないからだ。あの部屋で
の水盛との隠れた逢瀬を思いだし、背中がぞくりとした。
この部屋の湿気た空気は性の臭いを帯びている。そう気
付いたとたん、ベッドのうえの乱れたシーツは急に厭らし
い痕跡のように思えてきた。
246 :
無題 2/3:2009/11/21(土) 20:28:36 ID:lk5zEa/lO
「あんたが差益さんの本命か」
無遠慮に人の顔をのぞき込み、にやけた表情のまま男が言った。
何のことだ。この男は何者だ。
男の言った言葉の余韻が頭の中で響き続ける。男は言葉を続ける。
「差益さんとアンタだとどっちがオンナなの?
…まさかアンタ?ハハッ、んなわけないかあ。
差益さん、アノときはかァわいいもんねえ」
あれじゃあオトコは無理だよねぇ、と下卑た言葉を吐く。
「…な、なんなんだ.…、おまえは差益さんの…」
「いわゆる情報屋ってやつ?いろーんな情報を教えてあげるかわりに
差益さんにもいろーんなお世話してもらってます
あんたを匿うのだって随分危険なんだよぅ。
けど差益さんのためじゃあ一肌脱ぐしかないよねえ
…あとで差益さんにも脱いでもらうけどねえ。ハハっ、おもしろーい!」
この若い男はにやにやと笑いながら距離を詰めてくる。
いつのまにかじりじりと壁際に追い詰められていた。
「あんたを匿うのに差益さん、随分サービスしてくれたよ
愛されてるねぇ。妬けるねぇ」
無遠慮なまでの距離で人の顔をのぞき込む男の目は笑ってなかった。
「でも差益さんの好みってわっかんないなあ
オレのほうが若いし、男前だし…、あんたのナニがいいのかなあ?」
ぐいぐいと膝を股間に押しつけてくる。にやにやと
巫山戯たそぶりはしているが、興奮した熱い息が頬にあたる。
「普段、どういう風に差益さんとヤッてんの?
差益さんさあ、いっつも声我慢しちゃうんだよねえ
外には聞こえないよって言ってるのに…
まあ挿れちゃえばあんあんいって可愛いけど…
あんたとヤッてるときも」
「やめろ!!」
男の言葉を遮り、肩を掴み押し倒す。
がんっと厭な音を立て、意外と薄い身体を組み敷く。
「そっかあ、こういう乱暴なのが好きなのかあ」
差益さんってばエムだったんだあ、と押し倒されているくせに
緊張感のない声で笑う。
「抱いてもいよ、参考にするからさ」
スッと冷めた表情に変わった。
表情の変化に驚き、身をひく。ガタンと、さっきまで自分が
追い詰められた壁側に戻った。
若い男は何もなかったかのように起き上がった。
248 :
無題 4/3:2009/11/21(土) 20:30:28 ID:lk5zEa/lO
「アンタの絶対知らないこと教えてあげようか?
差益さん、ヤったあと寝言でツクイ…ってたまに言うんだ」
乱れたシャツをサッと直しドアに手をかけ、それだけを言い出て行った。
男はもう戻らなかった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
はみでました…申し訳ない
>>245 グッときました
明日映画見に行ってきます!
『監獄フリーク(前半要英訳)』というコメディ洋画から ツンデレチンピラ×金持ちのドラ息子
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
汗くさいスチール製の二段ベッドで目を覚まし、朝めしを食ったらそこらをぶらぶらして、
昼めしを食い、夕めしまでぶらぶらして、いよいよ夕めしを終えたら、最後にぶらぶらして寝る。
退屈とマンネリズムの極みともいうべき日々を強い意志と正常な精神でもって乗り越えられるものは少ない。
たいてい妙な宗教に目覚めたり気に入らない輩を殺したり運動場の片隅でこっそり大麻を栽培したりと
各々退屈しのぎに熱心だ。模範囚の称号を得て晴れてシャバに出られるまでの
長い長い空白の時間を、それぞれ必死に埋めようとしている。
だが今回に限り俺にその心配は無用だ。
俺が人生の大半をこんな肥溜めで過ごすはめになった元凶が、俺のすぐわきで膝を抱えてすすり泣いているからだ。
――正確に言えば、"元凶"の息子だが。
毎日毎日なにかしら理由をつけては泣いているが、またぞろ自分の悲運を嘆いて自己憐憫にひたっている。
俺は調達屋から2ドル35セントで仕入れたトランプを一枚ずつ指で弾きながら元凶の息子に話しかけた。
「死にたくなけりゃメソメソするなと何度言った?」
クラブのエースを弾いて床に落とすと、ネルソン・ビーダーマン3世判事の息子、ネルソン・ビーダーマン4世が
みじめな顔つきで俺のほうを見た。そばかすだらけの頬は涙で光り、紅潮していた。
「だって……だって、マクダウェルが僕に触ってこう言うんだ……『うまそうなピーチパイだ』って。意味ありげに僕のお尻を叩いた」
「さっきのシャワー室でか?」
「うん。きみはシャワーを頭からかぶっている最中だったから気づかなかったんだ。
『僕はジョン・リシツキーのジュリエットだ』って言ってやったよ」
正直いって、気づいていたがわざと知らんふりを決め込んだ。連中の会話もばっちり聞こえていたが、
俺はさも今初めて知ったかのように顔を歪めてみせた。
本来なら死にたくなるようなせりふを得意げにいい放ちながら、ネルソンは目の覚めるような
色鮮やかなオレンジ色の袖で涙をぬぐった。一方の俺の囚人服は目に優しい色褪せたオレンジ色。年季が違う。
「そろそろ慣れろ。いちいちそんなことでメソメソするな。"ぷにぷにの白いイケメンくん"はモテるのさ」
「慣れないよ。外では自分の外見の良さが自慢だったけど、まさかそれが仇になるなんて」
そういってまた泣き始めたネルソンに向かってカミソリでできたトランプを弾き飛ばしたかったが、
最悪なことに俺は紙製のトランプしか持っていなかった。俺は鉄格子に向かってトランプをまた一枚飛ばした。
「最近、『ネルソン・ビーダーマンの泣き顔はそそる』と噂になってるみたいだぜ」
もちろん、この言葉には広義的な意味が含まれている。大きく分けて"性欲をかき立てられる"という意味と、
"鼻にパンチをぶち込んでもっとみじめにさせたくなる"という意味の二つだ。
生まれてこの方粗末に扱われたことなど一度もないような金持ちのドラ息子が刑務所に放り込まれたらどうなるか?
答えは目の前にある。退屈と欲求不満によってよりいっそう凶暴化した獣どもの餌食になる運命だ。
俺はこのドラ息子の破滅の道をこの目で見届けるために生まれてきたのだ。
俺の人生で最も輝ける時はまさに今この瞬間、俺の生涯の仇の息子が肥溜めの奥底で
もがいている姿をこの目で見ている瞬間だった。
「そんな……僕には悲しみを癒すことも許されないのか」
「涙を流して悲しみが癒されるのは人間だけだと言ったろ。ここは刑務所、俺らは囚人。
ただの肉の塊なのさ。わかったらタフな顔してな、向かいの連中がよだれ垂らしてお前のこと見てるぜ」
口からでまかせだったのだが、俺の言葉につられて鉄格子の向こうに目をやったネルソンの顔が明らかに強張った。
そこで、やつは拳を握り首に青筋を立ててタフな顔をしてみせた。俺にはいつ見ても
フンづまりにしか見えない顔つきだ。彼はその顔を俺に見せてから、鏡で自分でも確認しにいった。
タフな顔つきを練習し始めたネルソンの後姿を見ながら、俺はハートのクイーンを床に向かって弾き飛ばした。
ホモ連中からのアプローチを何より恐れているわりに、やつはいつでもズボンがずれていて下着が少し見えている。
そういえば留置所で見かけたときもサディスティックなアホに目をつけられてズボンを脱がされ、
下着姿で泣いていた。俺としてはそのアホに握手を求めたい気分だったのだが、
俺はアホと殴り合ってアホのズボンを脱がせ、ネルソンにはかせてやった。
以来ネルソンは俺に付きっきりで俺の言葉をまるごと鵜呑みにしている。
俺が刑務所の常連だと知ると、ますますやつは俺を信用した。
"経験豊富なジョンなら何でも知っているに違いない"と、こうだ。確かにそれは正しい。俺は何でも知っている。
ただし、やつは肝心なことをわかってない。ムショ歴が長いやつほど信用の置けないやつはいない。
それともうひとつ、やつは自分自身が判事の息子だということを忘れている。
タフ顔の練習を終えたネルソンが引き返してきたので、俺はやつに向かってトランプを飛ばした。
涙で赤くなった目尻を下げて笑い、ネルソンはそこらじゅうに散らばったトランプを拾い集め始めた。
「フレスカが飲みたい。ペプシでもない、ドクターペッパーでも、ルートビアでもない、フレスカ。
こんなタンつぼからさっさとおさらばしてフレスカを思う存分飲めたらなって、毎日思うんだ」
「ここを出たら、まず最初にお前にフレスカをおごってやるよ」
律儀にトランプを拾っているネルソンに続けざまにトランプを弾き飛ばしながらそういうと、
ネルソンは知性のかけらも感じられないようなまぬけ面で笑った。
むかつくほど白い歯が鉄格子からの光を受けてぴかぴか光っている。
「こんなに嬉しいことはないよ、ジョン。きみとおなじ刑務所に入ってよかったと、心からそう思うよ」
トランプを拾うそばから俺がトランプを投げていくので、ネルソンはついに諦めて俺のそばに座り込んだ。
両手にトランプを抱えて、熱心な顔つきで絵柄を一枚一枚吟味している。
何のことはない、やつも退屈でマンネリズムそのものの"空白"を埋めようと日々闘っているんだ。
気の狂った連中に命を狙われ、殴られ、ケツを狙われようとも、なお退屈で気の遠くなるほど長い一日。
これが刑務所の何より怖いところだ。
「ジン・ラミーやらないか?」
「残念だったな。このトランプ、32枚しかないんだ」
「そんなふうに投げ飛ばすからじゃないのか?」
「さあな」
ネルソンは肩をすくめ、再びトランプの絵柄を厳しく審査する作業に戻った。
「白状すると、僕にはひとりも友達といえる友達がいなかったんだ。おそらくみんな近寄りがたかったんだろう、
父は町の名士で家が裕福だったし、おまけに僕は頭も顔も良いから。今思えば、なんてつまらない人生だったんだと思うよ。
ムショに入ったのは思わぬ大事件だったけど、きみに出会えたのは僕の人生で一番の贈り物だ」
よくもまあ、こんなせりふをしらふで男相手に言えるもんだ。
俺は汗くさいベッドから起き上がり、肘をついてネルソンの顔を覗き込んだ。ネルソンの大きな目が俺を見上げる。
「そいつは俺のせりふだ、ネルソン。お前は俺の一番のダチだ。絶対悪いようにはしない」
棒読みでそれをいいきる前に、ネルソンの両腕が俺の首周りに巻きついていた。
反射的に絞め殺されるかと身構えた俺に、ネルソンは囁くような声で「ありがとう」と三回繰り返した。
それからネルソンはたっぷり十秒間は俺を抱きしめたあとようやく離れ、機嫌よく両手のトランプを眺めながら
きれぎれに歌を口ずさんだ。ネルソンが何かといっては口ずさんでいる定番の曲だ。
うろ覚えなのかそもそも歌えないのか、1、2フレーズしか聞いたことがない。
これを聞くと俺の中のネルソンに対する恨みつらみがよりいっそうふくれ上がる。
枕を頭からかぶって鼓膜を鉛筆で突き破りたい気分をなんとか抑えて、俺は二段ベッドの下段に再び体を横たえた。
「Yo, come on move this♪ Shake that body, Shake that body♪ pumpin'…piece of mine…doin' fine♪」
ネルソンの見事な歌声を聞きながら、俺は目を閉じた。
明日のシャワーはバリーのすぐそばに場所を陣取ろう。髪を洗いながら石鹸を取るふりをして
ネルソンの腰のタオルを奪い、よろけたはずみにネルソンをバリーの胸の中に押しやってやる。
それから三食すべてのめしに使用済のコンドームを入れさせよう。ひとつやふたつじゃない、一食につき5つは必要だ。
一時間おきにネルソンを殴らせ、ナチ連中にイビらせよう。看守にいいがかりをつけさせて
ビリビリ棒で殴らせるのもいい。それからホモ連中に"ネルソンの白桃は生娘みたいに締まってる"と吹き込もう。
正直なところかなりの眠気がすぐそこまで来ていたのだが、ネルソンの歌声は
実に見事にネルソンいびりの策略を練る俺の集中力を高めてくれた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ちょっとはみでてしまった、ごめん
ちなみに>留置所でズボンを脱がされ下着姿で泣いて〜という下りは未公開シーンであった下り
>>254 元ネタ知らないけど萌えました。ありがとう!
本スレに降臨した女神様たちのライブレポからの妄想
過分にメンヘル入ってます。苦手な方はスルーを
ナマモノ注意 エロ薄め(チッスのみ)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
カンカンカン・・・。誰かがアパートの階段を登ってくる音で、俺は浅い眠りから覚めた。
コタツで本を読んでいて、そのまま眠ってしまったらしい。
小さなコタツに全身を折り曲げて入っていたので、節々が痛い。
電気代を無駄にしてしまった自分に軽く凹んで、読みかけの本を閉じた。
時計を見ると午前2時。
ごろりと仰向けになって、大きな欠伸をしていると、ドアノブが動く音がした。
あぁ、また誰か、差し入れを持って来たのかな。
つまらないイタズラだったら、またネタにしてやろうと考えていると
ガチャリとドアの開く音がして、さすがに驚いて飛び起きた。
遠くの街灯に照らされて、見慣れた人影が部屋に入ってきた。
「・・・和歌林?」
見間違えるはずも無いけれど、にわかに信じがたくて不審げに問いかけた。
今日は(もう昨日だけれども)久しぶりのオフで、でも和歌林は友達の結婚式だとかで
横浜くんだりまで出かけていたはずだ。
俺は相方の居ない休日を一人寂しく過ごしていたのに。
「・・・おぅ」
短く低い声が部屋を渡り、不機嫌そうな顔でコタツに入り込んできた。
「どうした?」
明らかにいつもと違う様子に心配になる。
「・・・・・・。」
和歌林は俯いたままで、返事もしない。
「和歌林?」
怪訝に思って覗き込むと、和歌林の目は涙で濡れていた。
「どっ、どーしたんだっ?!、和歌林!」
ワケが分からなくて思わず叫んでしまった。
え?ナニ?何?なに??
滅多に見ない彼の涙に混乱して、二の句が継げないでいると
「・・・ごめんな・・」
和歌林が小さく呟いた。
「え・・・?なんで、ごめん・・?」
益々ワケが分からない。
肩を震わせ、身を小さくして泣いている姿は、とても幼く見えた。
「・・・今日、結婚式行ってよ、しみじみ思っちまったんだ。
俺も・・・お前も、結婚できねぇなぁって」
ぐいっと袖で涙を拭って、引きつった笑顔をつくる様が痛々しい。
「俺は、良いんだよ、元から結婚なんてキョーミ無ぇし。
でも、お前は、昔っから言ってたよなぁ、金貯めて家買って結婚して親と住むって」
和歌林の顔は笑っているけれど、涙が今にも溢れ出しそうだ。
「俺は、女じゃないから、お前の嫁さんにはなれない。なのに、こんな道に誘って巻き込んで・・・」
「こんな道って・・・」
お笑いの世界の事?でもそれは、なるべくしてなったのだと前にも言ったはずなのに。
それとも、今の俺たちの関係の事を言っているのだろうか。
それにしても、なるべくしてなったのだとしか言いようが無い。
確かに最初に誘ったのは和歌林だけれど、元はと言えば俺がアンタに欲情していたんだし。
「俺は自分の夢が大事で、お前の夢を犠牲にしてきたんじゃないかって思っ・・・て・・っ」
言葉の最後が嗚咽に紛れる。
「・・・もう・・・謝って済む事じゃないけど、ホント、ごめん」
そう言って、俺の方に向かって頭を下げた。
ほろほろと和歌林の涙が落ちて、コタツの天板の上に小さな水溜りができる。
アンタが謝ることなんか何も無い!!
そう叫びだしたいのをぐっとこらえて、和歌林の方に向き直る。
和歌林が俺に負い目を感じているのは、薄々気付いていたけれど
こんなに思いつめているとは知らなかった。
今までも、事あるごとに粕賀が自分の意思でココに居るのだと言ってきたのに。
どうすれば、この俺の想いを分かってもらえるのだろう。
「こっちを向いて、和歌林」
俺は両手で和歌林の顔を挟みこんで、そっと上を向かせる。
儚げな泣き顔の和歌林は、今にも壊れそうだ。
想いが全て伝わるように、彼の目をじっと見つめる。その瞳からまた涙が零れ落ちた。
頬を伝う雫を唇ですくってやると、その切なさが胸を刺す。
もう片方の頬に光る涙の粒もキスで受け止めて、もう一度和歌林と視線を合わせる。
「粕賀は何も後悔してないですよ。今が十分幸せだからね」
和歌林を見つめて微笑む。
ほら、こんなに優しく笑えるほど幸せなんですよ。
頬に添えていた手でこめかみの髪をすくい上げると、和歌林が静かに目を閉じた。
瞳の中に溜まっていた涙が流れ落ちていく。
柔らかい茶色の髪に指を埋めたまま、自分の胸に引き寄せてふわりと抱きしめた。
和歌林がいなかったら、俺はポンコツのままなのに。
俺が煌びやかなライトの下に立てるのも、黄色い歓声を浴びられるのも
全てあなたがいてくれるから。
この「粕賀」を存在させているのは、和歌林だけなのに。
そのあなたに謝られたりしたら、俺の存在意義が薄れていく。
「・・・だから、お願い。俺のために、泣かないで」
心の底から振り絞った声は柄にも無く震えていて。
閉じた瞼からは熱いものが溢れて、自分もまた泣いてしまっていることに気づいた。
声も無く震えて泣く俺の頬に、和歌林の手が触れる。
薄く目を開けば、すぐそこに俺を見つめる優しい瞳。
引き寄せられるように俺は和歌林に口付けた。
涙に濡れた唇は、やはり少し塩っぱくて、俺の胸を締め付ける。
『愛おしい』という言葉の意味を、今、初めて知ったような気がした。
永い永いキスの後、腕の中に抱きとめた恋人に甘く囁く。
「愛してる・・・和歌林を愛しているよ」
「・・・っ、こっぱずかしい事、言ってんじゃねぇよ」
未だ涙の跡の残る顔で、和歌林がはにかんだように怒って笑う。
その笑顔で俺の心も軽くなる。
単純な俺と違って、色々悩んでしまう和歌林は、これから先も
時折こうやって不安になるときが来るだろう。
でもその度に俺は言うから「幸せだよ」と。
だから離れないで、離さないで、俺を。
そういえば誰かが、漫才の相方は夫婦のようなものだと言ってたっけ。
もし俺たちが結婚式を挙げるなら、粕賀が紋付の羽織袴で和歌林が白無垢だな。
彼は肌が白いから、さぞかし良く似合うだろう。
そしてお色直しには、和歌林がモーニングで粕賀がウエディングドレスを着たりして。
なにニヤニヤしてんだよ、と傍らから平手打ちが飛んできても
俺の楽しい妄想は止まることがなかった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
エロをお褒め頂いたのにこんなんですいません
でも萌が昇華できて満足でつ
お目汚し失礼しました
>>245 あんたあ漢だ!
そのアンテナの感度尋常じゃないよ!
映画の出来の悪さに萌えを諦めてしまった自分が恥ずかしい。
腐ィルター洗って出直してきます。
>>254 元ネタ未見だけど萌えた
ドラ息子のなんともいえないドラ息子ぶりが可愛くてツボでした
この連休中に蔦屋で探してみる
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
激団親幹線「バソユウキ」から教主様な復讐鬼と笑顔の暗殺者の話。
捏造設定多めなわりに、色っぽさは少なめです…
265 :
袖の露1/5:2009/11/22(日) 16:59:14 ID:4kQMxX1NO
危惧した雨は、説教殿まであと少しの所でその勢いを強くした。
「参ったな。」
急激に激しくなった雨足に、怒門はたまらず目に止まった沿道脇の
大樹の下にその身を滑り込ませる。
そしてそんな自分の後ろに、付き従っていた佐治も倣ってきた。
「あ〜ぁ、濡れた。」
「大丈夫か?」
「君が女に捕まったせいだ。」
「語弊がある言い方をするな。」
チクチクと佐治が責めてくる、それは先程まで自分達が行っていた
粥の施しに端を発していた。
番新教の広範囲に渡る布教の為、本拠地としている説教殿を離れ、
民の中により入り込んでいく活動は、今日に限っては天気に恵まれなかった。
夕刻近く、雲行きの怪しくなってきた空の様子に早めの切り上げを指示し、
道具を持つペナソ達を先に帰らせる。
そして自分達もという所で、怒門は集っていた村の女達に囲まれ、引き止められた。
髪こそ白く老おうとも、その眼差しは峻烈に体躯は威風堂々。声は深く響き、
言葉は深く身の内に染み込む。
そんな一見異国人めいた男は好奇、崇拝と同時に、欲の対象にもなりうるのだろう。
「語弊じゃない。君が女に言い寄られることが多いのは事実だ。」
それを佐治に真正面から揶揄される。
表向き護衛という立場から怒門に従わざるを得ず、結果雨に巻き込まれた。
それが気に食わなかったのか、珍しくしつこい。
だからそんな佐治に怒門は反論を口にしかけ、しかしそれは寸前の所で
声になる事は無かった。
そうして飲み込んだ言葉は『おまえだって』というものだった。
『おまえだって、声掛けられてたじゃないか』
266 :
袖の露2/5:2009/11/22(日) 17:05:45 ID:4kQMxX1NO
しかしそうして思い出す光景は、自分とは少し毛色の違ったものばかりで。
大陸にいた時からこの国に渡って以降も、人の多い街中を歩けば、彼はよく
商売女の類に腕を引かれていた。
一見笑みを絶やさぬ柔和な雰囲気がそういうものを呼び寄せるのか。
しかし怒門はここでもう一度自らの考えを思い正す。
いや、引いていたのは女だけではない。かなりな確率で男も……
チラリと視線を横に流す。
そしてあらためて見る、僅かばかり自分より背が低く、自分より遥かに線の細い男。
その肌は、この鳳来国には無い大陸特有の白さときめの細かさで、
長く頬や肩に落ちる黒髪との対比を鮮やかに浮かび上がらせる。
けして女顔ではない。
しかしその常に絶やさぬ柔らかい笑みの中に、時折背筋に冷気が落ちるような
艶と凄みを感じ取ってしまうのは、おそらく自分が彼の本性を知っているからだろう。
大陸随一の大国華田の国王を暗殺し、捕らえるのに千の兵士の犠牲を必要とした……
そんな稀代の暗殺者が自分の方を不意に振り返ってくる。
その唇が動く。
「なに?僕の顔に何かついてるかい?」
真正面から問われ、怒門はウッと息を呑む。
それでもなんとか取り繕うように「いや…」とだけ呟けば、それに
佐治はもはや言及してくることはなく、ただその代わり2、3度軽く周囲をうかがうと
怒門に向け、座らないかいと告げてきた。
そのまま一人スッと木の根元に腰を下ろしてしまう。
それに怒門も追うように従った。
大きく枝を張る木の根元は激しい雨にも濡れることなく、地面に生えた短な草の
おかげで、教主の白い服を汚す心配も無さそうだった。
それでも長くたっぷりと風を孕む袖を畳むようにまとめようとする、そんな怒門の
肩にこの時、コトリと触れてくる感触があった。
267 :
袖の露3/5:2009/11/22(日) 17:09:16 ID:4kQMxX1NO
佐治の背だった。
それは驚く怒門を尻目に、凭れかかるように体重を乗せてきて、しかしおさまりが
悪いのか何度か身動ぎを繰り返すと、その果て崩れそのままズルズルとその頭を
座る怒門の膝の上まで落としてきた。
「…佐治?どうした?!」
いきなり具合でも悪くなったのかと、そう焦り怒門が慌てて声をかける。
しかしこの時返された佐治の返事は、けしてそんな切羽詰まったものではなかった。
「雨が冷たくて疲れた。やむまで少し寝るよ。」
「はぁ?」
「とりあえず周囲に殺気は無い。でも雑魚が襲ってきたら君が殺しておいてくれ。」
そう言うと佐治はまるで暖でも取ろうとするかのように、幾度か額を触れた膝に
擦りつけると、そのまま怒門に背を向けるような形で動かなくなってしまった。
こんな野外で無防備な。
そう思いかけ、しかしそれは違うのかと怒門はすぐに思い直す。
無防備なのではない。逆に過敏すぎるのだ。
常時周囲に気を張り、自らに向けられる殺気を感じ取ろうとしている。
そしてそれはあまりに緻密に高感度すぎて、むしろ大雑把な程度の低いものは
引っかからない。だから、
『そういう輩の相手は君に任せるよ』
そんな事を嘯いて、彼はこの一年の間、自分にその人を殺す技術を教え込んだ。
何一つはっきりと読み取れない、笑顔の奥に潜むその真意。
自分は彼の何も知らない。
それはその名前を筆頭に。
何度も聞いた。でもその度にはぐらかされた。
ただそんな実りのないやり取りの中にも微かに拾える事情は多少は有り、
そこから推し量る彼の生い立ち。それは、
親などいない、と彼は言った。
268 :
袖の露4/5:2009/11/22(日) 17:17:23 ID:4kQMxX1NO
彼の一族の女達は大概は暗殺の報酬として依頼主から与えられたもので、
情も無く子を孕み、生まれればすぐさま引き離され、その子供は暗殺者として
育てられる過程で見目が良くなれば、更に重宝されたと言った。
『殺し方にも色々あるけど、人が基本的に一番無防備になるのは閨の中だからね。
それは男も女も』
言われた意味を理解して絶句した自分を面白そうに眺めやりながら、
佐治はあの時もふわふわと笑った。
血を継ぎ、自らに与えられたものすべてを呪うように笑い続けた。
それが怒門には苦しかった。思わず目をそらしてしまいたくなるほどに。
けれどそうする事は彼を友とする自分自身への裏切りになってしまいそうで、
だから怒門は歯を食い縛った。
そしてそれでも、と声を発した。
『それでも、母親というのは子の名を呼ぶものだ』
腹の中にいる十月十日。
そこに宿る命に何の感慨も抱かぬ者は人ではない。
甘い男だと、笑われる覚悟は出来ていた。それでも言わずにはいられなかった。
はたして彼は一瞬の沈黙の後―――やはり笑った。
しかしそれは怒門が予期していたものとは少し様子が違っていた。『十月十日か』
ポツリと佐治は呟き、それはすぐにクスクスとした楽しげな笑みになる。そして彼は続けた。
『君が僕の所に辿り着くには、もう少し時間がかかったね』
彼が言っているのが、あの牢獄の島の地下道の事だと理解するのには少しだけ
時間がかかった。
それ故に声も無い自分に、佐治は言った。
『ならやはり、僕の名前は君が初めて呼んだ佐治でいい』
それはまるで生まれ落ち、初めて外の光を目にした雛のすり込みのように。
僕は君の佐治でいい―――
繰り返された言葉。
それは新たな言祝ぎか、もしくは重なる呪か、あの時の怒門にはもう何も
わからなくなっていた。
269 :
袖の露5/5:2009/11/22(日) 17:20:22 ID:4kQMxX1NO
頬に雫が触れた。
その冷たい感触に、怒門はハッと目を開ける。
しまった、自分まで眠ってしまっていた。
そう思い慌てて周囲に目を走らせるが、辺りは先程より少し日を落とした程度で
人影もなく静まりかえり、それに怒門はホッと胸を撫で下ろした。
そして再度ゆっくりと視線を下ろす。
その先で佐治はまだ自分の膝の上で、眠っているようだった。
少しだけ身を折ってその横顔を覗き込む。
そこにはさすがに笑みは浮かんでいなかった。
それを怒門はこの方がいいと思う。
彼の笑顔は時に、何かが欠落した子供のように胸に切り込む痛みをもたらすから、
今が眠りで満ちているのならば、このままでいい。
思う頭上に鳥の羽ばたきを怒門は聞く。
自分達と同様に雨宿りをしていた鳥達が飛ぼうとしているのか。
そして上げた視線が見つめた空の先には、淡く朱く染まる雲の切れ間があった。
雨はもうすぐやむか。
けれど……
頭上で再び、鳥が飛び立った枝が揺れた。
雫が落ちてくる。
彼の上にも降り注ぐ、それを怒門は広げた自らの白い着物の袖で咄嗟に防いだ。
濡れぬように、冷えぬように、もう少しの間彼が目を覚まさぬように……
庇う、自分はまるで彼の親鳥のようだった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
結論、教主様視点は難しい。でも教主様衣装萌えw
>>245 成る程、その視点があったか!GJ!
が/いじのす/みも/とさんも、そういう目で見てみよう、と教わった気分です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
下町 末濱だよ!最近の下町の関係がたまらないので書きおこしてみたよ!
似非関西弁ですがそこは温かく見守ってあげてください
「濱田さんってお子さんの名前知ってるんですか?」
エビフライ弁当をうまそうに食べていた耶麻崎が箸をとめた。
「お子さん?誰の」
同じくエビフライを尻尾まで食べた濱田は、
ミルクティーで流しこみながら耶麻崎を見た。
濱田の隣に座っていた松元は、わざとらしい咳払いをする。
そんな松元を無視し、耶麻崎はテーブルから身を乗り出した。
「なんやのん、耶麻ちゃん。」
「松元さんのお子さんの名前!知ってるでしょ?
松元さん全然教えてくれへ…」
言葉を言いかけた耶麻崎のケツに、松元の強烈な蹴りが入った。
「いったあ!!!」あまりの痛さにのけぞり、そのまま倒れると周りから笑いが起こった
「少しオーバーちゃうか?」
松元は冷たく言い放つ。
「ほんまに痛いんですって!!!絶対痕になってる!」
ちょっと見てくださいよ!とズボンを脱ぎ出す耶麻崎を後輩が止めに入る。
「お前がいらん事言うから悪いんやろ」
松元は椅子に戻ると変に出た汗をタオルで拭った。
微笑ましい光景を笑いながら見ていた濱田だが、
先ほどの耶麻崎の質問を思い出して「なあなあ」と呼び掛ける。
「松元の子供の事?」
「そうです、そうです」
「それが俺もまだ何も知らへん」
濱田の一言に、さっきまで笑いの起こっていた楽屋が
一気にシーンと静まり返った。
「あ?すまん」
そんな空気を察知した濱田は「邪魔したわ」と言い煙草を取り出した。
倒れていた耶麻崎はゆっくりと起き上がり、
知らん顔をしている松元を見つめた。
「松元さん、まだ濱田さんに教えてないんすか?」
「……………」
「まあ、これが松元っちゅうやつや」
煙草の煙が耶麻崎の顔にかかる。
「俺は知っとるけどな」
松元の横からひょいっと顔を出した高巣は、
ええやろ?といった顔をして松元にパンチを食らった
「俺やったら教えるけどなあ…」
「耶麻ちゃんと松元じゃ性格が全然ちゃうやん」
「ですけど…相方やないすか」
「名前なんていずれわかるわ」
そんなもんですかあ…と耶麻崎はまだ痛む尻を押さえ、楽屋から出ていった。
続けて濱田も、外で吸ってくると言い残し席を立った。
「本気で殴る事ないやろ自分」
高巣は殴られた顔をさすりながら
松元の後頭部を軽く叩いた。松元は明らかに不機嫌になっている。
「濱田もかわいそうやなあ、松元の子供見たいやろうに」
「アホ言うな。あいつはそんな事思ってへん」
「何でわかるん?」
「………うっるさいわお前!どっか行けや!」
「こわっ!そんな怒んなや自分〜」
へらへらと頭にくる笑いを浮かべ楽屋を出て行こうとする高巣に
松元はペットボトルを投げてやった。
「くだらん事ばっか言うて……」
気が付くと、気まずい空気が楽屋を漂っていた。
後輩達の視線が背中に当たる。
「………」
あまりにも居心地が悪いので、自分の楽屋に戻る事にした
「まだケツ痛い……」
「いつまで痛がっとんねん」
「いやほんまに…痛い」
松元が本を読んでいると、楽屋の外から濱田と耶麻崎の会話が聞こえてきた。
本に集中しようと思ったが、
濱田達に意識がいってしまってなかなか集中できない。
ため息をつくと早く通り過ぎるのを待った。
しかし濱田の声が遠ざかるどころか近づいてくる。
「なんやねん…」
本を閉じると、楽屋の外へ耳を澄ませた。
「あれ?どうしたんです?」
「ちょっと話す事あるから」
それを聞いた時、一気に顔が赤くなる感じがした。
何で来るねん何で来るねん何で…
コンコン、とノックされた。
どうしょう…居留守使うか?でもどうせバレるって……
頭の中がぐるぐるといろんな言葉で駆け巡る。
外の濱田は楽屋から返事すらないので、いないのかと諦めた。
「居ると思たんやけどなあ」
濱田が引き返すのを感じると、なぜか松元はドアを開けていた。
「あれ?」
「…」
「なんや、居ったんか」
嬉しそうに近づいてくる濱田に緊張が走る。
「なんか用か」
「おん。あんな、すぐ終わるから」
「中入る?」
「ここでええよ」
濱田の小さな手が、ポケットの中でごそごそと動く。
何をするのかわからず、ただ心臓がバクバクと跳ねまくっている。
「これやるわ」
「え、」
何か手に渡されて、そのまま濱田は
「貰たんやけどいらんから子供にやるわ」と言って走っていった。
「なんやろ…」
手を開くと、小さな車のおもちゃがそこにあった。
意外な事で呆気にとられ、松元はしばらくその車を見つめていた。
すると、車には“190円”と付けられたシールの値札がはっきりと見えた。
「…何が貰たや、あいつアホやの」
急いで濱田を追いかけると、アホみたいに歩いてる
濱田の腕を引っ張った。
「うあ!なんやねん」
「ちょお、来い」
何でこいつは余計な事すんねん。ほんまにアホやな!
心の中ではそう思いつつ、顔は真っ赤で、熱い。
「あまりにもアホやから、説教したるわ」
「説教て…なんでやねん!」
楽屋に戻ると少し躊躇った後、濱田を抱きしめた。
「…おい!」
「お前はほんまアホ」
番組以外でこんな強く抱きしめたのは何年ぶりか、
おっさん臭くなった身体に驚いてしまう。
「俺んとこの子供は女や!」
「あっ…そやった」
「何で車やねん」
「別に女でも車で遊ぶからええやろ!早よ離せっ」
46のおっさん同士が抱きあってるのは流石にキツいので、すぐに離れた。
「どうせお前の事やから、適当に手に取ったおもちゃ買うたんやろ」
「ちゃんと選んだわ!」
「じゃあ貰たっての、嘘やん」
「あ、」
「アホ、シネ、ゴリラ不細工」
「そこまで言わんでもええやん!」
そんな言葉と裏腹に、松元はまた抱きしめる。
「昔やったら抱いてたな」
「きしょい事言うな」
「アホに言われたない」
ぎゅっ、ぎゅっと二回ほど力を込めた後、小さく息を吸った。
「名前くらいは教えたる」
「ほんまに?」
「今度な。」
「今度っていつ?」
「…次のトークん時とか」
「いつやそれ…まあええわ、絶対やからな!俺は覚えとくで」
「冗談に決まっとるやろ!」
「いやもう約束したから」
顔は見えないが、多分濱田はすごく嬉しそうな顔をしていると松元は思う。
黄土リィ若ばゃしと粕画の話を読んでから
ようつべで
「オード利ー キス」(利はリに直す)で検索してみたら幸せになれた
「そんな事聞いて何が嬉しいんか、俺には全くわからん」
「俺はずーっと気にかけとったからな。」
そういえば、二十年近く結婚の事について
濱田から心配されていた気がする。
そんな親みたいな事せんでええのに、と考えると胸が熱くなる。
松元はこの後マネージャーが乱入してくるまで、
ずっとずっと濱田を抱きしめていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
無駄に長くなってしまって申し訳ありません
個々利子がいないのはスルーでw
来月のトークが楽しみです…
>>280 自分も20年来好きで今は他ジャンル者なんだが
いや、萌えたよー! よかったです!!
泣きそうになりますたわ。
>>264 GJです!
二人の最後を想うと切なくて堪らない今日この頃。
こういった一時があったのなら、少しは救われるかも・・・。
教主様の衣装、フンワリ感が眼福でした。
時々は佐治をまるっとくるんであげたらいいよ!
微妙な風味。あえてオリジナルと言ってみる。
もし元が誰かわかっても言わないでくださいませ…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
海に独りでいる。携帯は家に置いてきた。ゆっくり沈んでいく太陽をぼんやりと眺め、小さくため息をついた。その場に座る。
「海はいいなあ……」
呟いた声に波の音が被った。タバコと携帯灰皿を引っ張り出して気付いた……ライターが無い。
「ほい」
いきなり後ろから声と共にライターが。
「ありがとう」
なんで解るかな……誰にも言わないで来たのに。
「黙っていなくなんなよ」
それには答えずに、タバコをくわえて借りたライターで火を付ける。ぶつぶつ彼は言ってるけど俺はぼんやりと海を眺めた。
「無視かよ……」
……あ、頭抱えちゃったな。
「たまには独りになりたいんだよ」
笑いかけると彼は安心した顔で俺を見た。
「俺にだけはいっていけ……そしたら淋しくなったら迎えにくるからさ」
「淋しくなったら俺からあいにいくよ」
こんな言葉をやり取りしながら、今日はいいタイミングで来てくれたと思う。また、海を見つめる。
「……ほら、その顔」
ふらふら海に入りそうな……そう言って、彼は俺の手を握った。
「心配させんなよ」
伝わってくる温もりが心地良い。
「うん、ごめん」
素直に謝ると彼は俺の手を離して立ち上がる。
「帰ろうぜ、ほら」
俺は立ち上がらないで海を、沈みかけてる太陽を見続けた。
「沈むまでいさせて」
彼は一瞬顔を歪めてから座り込んだ。
「……先に帰ってもいいよ?」
俺が言うと彼は首を横に振る。
「一緒にいる」
彼をちらっと見ると真っすぐに沈む太陽を見ていた。真剣に俺が何を考えてるのかを知りたいんだろうか?
「綺麗だな……」
「うん」
手を繋ぐ。ただ二人で太陽が沈むまで見る。ゆっくりと赤色が紺色に浸蝕されていき、空から消えるまで二人で見続けてた。
「なあ、星も見ていかない?」
俺の言葉に彼は苦笑いで応じる。
「風邪引くだろ、また今度」
手を引かれて素直に立ち上がった。
「次は二人で、星を見よう」
俺の言葉に彼は嬉しそうに笑う。
「約束な」
「おう」
手を繋いだまま、家路につく。彼が泊まっていけるなら朝焼けを二人で見るのも悪くない……いや、かなりいい。コーヒーを二人で飲んでゆっくり朝日を見よう。うん、悪くない。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
なんか、ふと浮かんだんだ
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 妄想のままに初投稿してみるよ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 捏造甚だしい!
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
飛翔『クレバードッグ』(和訳)の黒服組織妄想です
「犬と紳士」編の後日談を妄想
シュ/バ/イン→ロ/ン/毛←ウィ/ル/バー
「失礼します」
薄暗い部屋の中に、黒づくめの男が入ってくる。
裾の短いハイネック、ローライズのパンツ、長髪。
「ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛」
呼んだのは、部屋の奥、壁全体を覆う巨大な水槽を背に執務机に就く中年の男だ。
シュ/バ/イン、黒服組織の幹部。ここは組織のアジトである。
「今回の行動について、報告することは?」
自分の正面に立つ男に、シュ/バ/インは単刀直入に尋ねる。
「あ、やっぱりバレてますよね。勝手な行動、申し訳ないっス」
ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛はぺこりと頭を下げた。
先日、ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛は直属の上司・ウィ/ル/バーと共に、組織の追うR/D-1を手に入れようと、R/D-1を持つ日野家の長男を誘拐した。
しかしウィ/ル/バーは「こちらが一方的に要求を通すのは紳士的ではない」と、日野家の次男(これがどう見ても犬なのだが喋る)とチェスをし、負けたら大人しく引き下がることにした。
実はこの上司は、チェスでまだ一度も勝利したことがない。R/D-1奪取というのは建前で、本当は自分より弱そうな相手をチェスで負かすことが目的だった、と言っても過言ではないだろう。
誘拐しチェスを仕掛けるまでは順調だったが、R/D-1の不思議な力によって、計画は失敗に終わった。実は、チェスの相手をした日野家次男の“喋る犬”というのが、組織の求めるR/D-1だったのだ。
現実離れした出来事が次々と起こったあの日のことを、ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛は今でも夢だったのではと思う。
ただ、今回の行動で日野家近隣に迷惑をかけたのは事実だ。そのことについては、何らかの処罰及び反省が課せられるだろう。
「分かっていると思うが、任務外の行動だから経費は出ない。近隣の被害についてはお掃除組に依頼するが、費用はお前たちの給料から天引きだ。反省文は5枚、明日までに出せ」
てきぱきと言い捨てると、シュ/バ/インは煙草に火を点けた。
ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛は、なんとなく帰ることも出来ず、立っている。
椅子の背にもたれ、ふーっと煙を吐いたシュ/バ/インは、ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛を見るともなしに眺めながら問うた。
「……お前、なんでウィ/ル/バーに従っている?」
それは上から命じられたから…と言いかけ、ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛は思い至る。
ウィ/ル/バーは上司として、否、大人としてダメな部類の人間だ。自分ではほとんど何も出来ない。
なのに言うことは一丁前で、無謀なことを大真面目で実行したがる。
そんなダメ上司の部下であるロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛自身は、割と有能な人物である。
事務仕事なら大方できるし、報告書・始末書他の書類のコツも分かってきた。
体術もそれなり、機械の手入れ・操縦にも慣れているし、美味しい紅茶も淹れられる。それもこれも“紳士”の気まぐれに振り回され、目的達成のため尽力し、後始末をしてきた賜物である。
何度となく紳士組の任務活動を見てきたシュ/バ/インは、恐らくそのことに気付いているのだ。故に、ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛がなぜ無能な上司の下で働くことに甘んじているのか、ということを問うているのだろう。
ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛は少し思案し、答えた。
291 :
紳士というのは鼻が利く 3/6:2009/11/25(水) 02:53:28 ID:isHmfui50
「確かに、ウィ/ル/バーさんは仕事ダメっスけど…なんか、ついてきたくなるんスよ」
実際、紳士組としてウィ/ル/バーと組み始めた頃は、こんなにダメな人間が上司なのかと呆れていた。
しかし、仕事を共にし、任務外の時間の大半を一緒に過ごすうちに、ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛はウィ/ル/バーを理解していった。
ウィ/ル/バーは仕事こそ出来ないが、成程“紳士”を名乗るだけあって、常に温和で誠実、自らの信念を曲げない生き方をしている。
身辺のほぼ全ての世話を言いつけられるのは少々煩わしいが、生来世話好きだったらしいロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛にはそれ程苦にはならなかった。
それに、立身出世にあまり興味がなく野心も持たないロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛にとって、「ダメ上司の世話をする部下」のポジションは中々に良いものだったのだ。
すっきりと優しい笑顔でそう答えたロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛を見て、シュ/バ/インは苦笑いをし、呟いた。
「は…ウィ/ル/バーが羨ましいな。俺もお前が欲しいよ」
ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛は固まった。いつも眠たそうな二重瞼はこれでもかと大きく見開かれている。驚きすぎて「何スって!?」と聞き返すこともできなかった。
呆然とするロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛に、シュ/バ/インが今度は「ははは」と笑う。
「いや、変な意味にとるな。ここんとこ、色々あってな。野心が無いのは困るが、部下がみんなお前みたいだったらな、とか、思ったんだよ」
それは、いつもの隙のない姿とは違うシュ/バ/インの貌だった。
なぜ下っ端の自分に気を許すのか分からなかったが、エリート組などよりも、自分のような箸にも棒にもかからない雑魚の方が案外気楽なのかもしれない、とロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛は納得することにした。
シュ/バ/インは未だ、クックッと笑いながら煙草を吸っている。その表情は子どものように無邪気だが、しかし疲れや憂いも含んでいるように見えた。
なんとなく…ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛の世話心が疼いた。
「シュ/バ/インさん、疲れてるんスね。…いつもお仕事、お疲れ様っス」
執務机を回り込んだロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛は、そう言いながらシュ/バ/インの頭を抱えるように腕をまわし、ぽんぽんと撫ぜた。こんどはシュ/バ/インが目を丸くした。
広い執務室に、背後の水槽でアロワナが泳ぐ影が揺らめく。2人はしばらくそのままだった。
火がフィルターに近くなった煙草を灰皿に捨てたシュ/バ/インが、口を開く。
「本気で、お前に辞令出すの考えてみるかな…」
「シュ/バ/インさん結構タバコくさいんで出来ればやめて下さい」
「ウィ/ル/バーは吸わないのか」
「あの人は葉巻の匂いっスよ。吸えないから持ってるだけっスけど」
「クッ、そうか…」
もういい、反省文忘れるなよ。そう言われたので、ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛は失礼しますと部屋を後にした。
ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛が紳士組に割り当てられた部屋に戻ると、ウィ/ル/バーが紅茶を片手に出迎えた。
「おかえり、ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛」
「あ、ただいま戻りました…スンマセン、起きたんスねウィ/ル/バーさん」
「あぁ、ついさっきだよ。トイレにでも行っていたのかい?」
「あ、まぁ…」
ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛がシュ/バ/インに呼び出された時、ウィ/ル/バーは「紳士の嗜み」とオペラを聴きながらすやすやと寝ていた。
シュ/バ/インがウィ/ル/バーを飛び越えてロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛に指示を出すことはよくあるのだが(その方が仕事が確実なのである)、
あからさまに「シュ/バ/インさんに呼び出されたっス」と言うとウィ/ル/バーは少し不機嫌になるので、ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛はソファに座るウィ/ル/バーにタオルケットをかけ、そっと部屋を出てきたのだった。
ちなみに紅茶は、朝ポットに作り置きしておいたものである。
どうやら、ウィ/ル/バーはシュ/バ/インから呼び出しがあったことに気付いてはいないようだ。ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛はほっと息をつき、ウィ/ル/バーの座るソファの近くに立った。
すると、やにわにウィ/ル/バーに腕を取られ、ソファに引っ張られた。突然のことに反応が追い付かず、ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛は、ウィ/ル/バーの脚を跨いで向かい合わせに座り込んだ。
ウィ/ル/バーは、ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛を抱きしめ、肩にかかる黒髪に顔をうずめる。
「あ、のー…ウィ/ル/バーさん…?」
やんわりと言葉で抗議してみるが、ウィ/ル/バーはすんすんと鼻を鳴らすだけで、ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛を離す気配は無い。
ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛は観念して、ウィ/ル/バーの気の済むに任せることにした。
「(たまーに、こうやって甘えるんだよなぁ…)」
上司と部下の関係に慣れ、日常生活もほぼ共にするようになってから、ウィ/ル/バーはロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛に触ったり、凭れたり、抱きついたりするようになった。
ロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛は「ここまでダメな大人だったか」と少し驚いたが、自分より年齢も地位も(一応)上の男の甘えが、微笑ましく、また嬉しくもあった。
抱きしめられるまま、肩口に顎を預けそんなことを考えていると、ウィ/ル/バーの体から漂う香りが鼻についた。
これは…
「ウィ/ル/バーさん、葉巻吸いました?」
この男がいつも持ち歩く「吸われることのない葉巻」。
香りが強いその葉巻は、カットせずともいつも仄かに芳しく香りを放っている。その香りが、今は一段と強い。
体をくっつけているからだけではないようなのだ。
「なに、たまには味わわないと、葉巻に申し訳無いと思ったのだよ」
そう答えるウィ/ル/バーの声は、やはり吸い方を覚えないのだろう、少し喉に引っ掛かっているようだった。
ウィ/ル/バーが葉巻を味わうところを2、3度見たことがあるが、いつもげほげほと涙目になるほどむせて、必ず「もう葉巻は吸わない!」と拗ねるのだ。なぜ、また吸おうなどと考えたのだろうか。
まぁ、いいか。どうせ気まぐれに吸ってみただけなのだから。
漠然と思索するロー/ライ/ズ・ロン/リー・ロン/毛を抱きながらウィ/ル/バーは、やはりもっと匂いの強い葉巻を探そうか、と考えていた。執務室から帰ってきた部下の体に纏わりつく、煙草の匂いに負けないように。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ジブンノニオイニハキヅカナイ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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sage忘れ&ナンバリングミスごめんなさい
本編はまだ終わってないけど、妄想したら止まらなくなったので書いてしまいました
紳士組は2人でキャッキャウフフしていればいいよ
うみねこのなく頃に ロノウェ×戦人
待ってると言ってくれた皆さんありがとうございました。遅くなってすみません。
チューしなくてもエロくは出来るはずだと思って頑張ってみました。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ベアトリーチェの『主催』する『ゲーム』において泣いたり叫んだりと散々騒がしかった戦人は、『ゲーム』の中断
にともない客室に案内されていた。鋭気を養い次回も楽しめというベアトリーチェの言葉と嘲笑に見送られながら
の貴賓室からの退室だったのだが、案内された華美な客室の内装にも目をくれることなく、その場で戦人は呆然
自失の状態で虚脱した。
無理もない。今回も親族を玩具のように何度も弄り虐殺する様を見せつけられ、それは魔法の力であるのだか
ら魔女の存在も魔法の存在も認めよと迫られ続けたのである。戦人はありとあらゆる屁理屈とこじつけで、これはト
リックを用いた殺人事件であるのだから、魔法など存在しないと言い張り続けた。黄金の魔女は魔法を否定する
たびに苦虫をかみつぶすように顔をしかめ、なおさらに戦人の親族たちを虐殺する手法は醜悪を極めていったの
である。
魔女の前では気丈に振舞っていたが、一人になれたと自覚した瞬間、心が折れた。ベッドに倒れこむように座り
こみ、動くことができなくなった。吐き気を催す幻想の血の臭いが鼻を付き、命を失ったとたんにグロテスクなもの
になり果てる死者の眼差しが眼球にこびり付いて剥がれない。戦人は身動きもせずに目を見開き、しんと静まりか
えった部屋の片隅で、死者のどろりととろけた怨嗟と見つめ合っている。
しばらくしてロノウェが姿を現し、置いてあった食事を下げようとして眉をひそめた。全く手がつけられぬまま、冷
え切っていた。
「戦人様、食べないと身が持ちませんよ」
ロノウェが促すが戦人はぼんやり首を振るだけだ。
「温かいスープなどお持ちいたしますか?」
「……いい。放っておいてくれ」
昏い声にロノウェは内心、己の主人を愚弄した。いきなり壊してどうするのだ。千年生きても加減が分らないのだ
ろうか。
「戦人様」
ロノウェは片膝をついて戦人と視線を合わせた。高位の悪魔が契約もしないヒトに膝を屈するなど本来はありえ
ないことなのだが、無論戦人にはそんなことは分らない。
「なら、入浴でもされますか?」
「……風呂?」
「気分転換になると思いますよ。それに落ち着かれれば食欲も出てくるかもしれません。この私が丹精込めて
作ったものですのに、一口も召し上がっていただけないのはいささか辛うございますからね」
笑みを浮かべたロノウェの軽口につられて、僅かに戦人は笑みを浮かべた。とても淡いものだったが笑みには
変わりなかった。しかし、やはり首を振った。
「一人にさせてくれ」
「……さようでございますか」
言いながら、ロノウェは戦人の手を取った。もう片方の手はその腰に当てられている。ベッドに腰かけていた戦
人をロノウェはさり気なく立ち上がらせた。手と腰に回した腕はそのままに、エスコートしながらロノウェは戦人をい
ざない部屋から出る。
「ロ、ロノウェ」
さり気なく流れるように優雅な動作は、戦人を呆気に取らせ、疑問を口にするチャンスをなかなか与えようとはし
なかった。
「思ったより細いお腰ですね。それとも、こちらに来られてお痩せになられてしまいましたか? ならばなおのこと、
食事を召し上がっていただかなくてはなりません。これからは私が手ずから戦人様のお食事をサーブさせてい
ただきましょう。無論、全ての食事はこれまで通り、私自身が腕を揮わせていただきます。好物や苦手なものなど
を教えていただけると献立を決めやすいので後でお教えくださいね?」
「え、あ、いや、」
「ああ、お嬢様のことはご心配なく。七姉妹もいることですし、彼女たちも給仕はそれなりにこなせますのでね。お
嬢様からも戦人様のご滞在が快適となるようによくよく世話をせよと申しつけられていますので。……それにここだ
けの話でございますが、お嬢様はお食事の作法がどうにも、ぷっくっく! いや失礼、品がよろしくないのです。そ
れに比べますと、戦人様はとてもお綺麗に物を召し上がられますので、作るほうも張りがあるのですよ。戦人様は
良い教育を受けられたのですね」
それは、祖父母に厳しく食べ方を躾けられたためだ。祖父母が亡くなった今となっては戦人は祖父母が古風な
教育を授けてくれたことを心中、とても感謝している。が、今はそれより、
「いや、だから、ロノウェ、どこに!」
戦人を有無を言わさず歩かせ、着いた先は浴室であった。
「お、お前!」
「日本の方は入浴がだぁい好きと伺っておりますよ。私、目的のためには手段をあんまり選ばない性質なものでして」
「……あんまりって、そんなにメシ食わせたいのかよ」
顔を引きつらせた戦人に、ロノウェはにっこりと笑った。
「はい。それともう一つ」
すっと、戦人の眦に白手袋に覆われた人差し指が滑る。びくりと震えた戦人の顔を覗き込んでロノウェが囁いた。
「眼の下の隈が長いこと取れておりません。眠れないのはお察しいたしますが、お嬢様との勝負に勝ちたいとお
思いでしたら、僅かなりとも休息をお取りになって鋭気を養ってください。項垂れてばかりいるのは戦人様も本意
ではないと存じます。違いますか?」
ぐっと戦人が詰まった。しばらくロノウェの顔を睨みつけていたが、やがて大きく息を吐き、ふいと顔を背ける。
「……入りゃあいいんだろ、入りゃ」
不貞腐れた声だったが、耳が赤く染まっていた。顔を背けたせいでよく見える。ロノウェは薄く笑みを浮かべて
一礼すると、改めて戦人の手を恭しく握り、浴室の扉に戦人を招き入れたのだった。
浴室に案内した後も、ロノウェは何故か、立ち去らなかった。そういえば、ロノウェに伴われた入浴はこれが初め
てだったと戦人は改めて気付く。
「もういいぜ、ロノウェ」
「いえ、まだ戦人様のお世話がございます」
「いや、だから、案内してもらったし、着替えもタオルもあるじゃねえか」
「いえ? 戦人様のお身体を洗わせていただくという肝心の仕事が残っておりますよ」
「はあっ?! 風呂の世話ってそういうことかよ!」
「そういうことでございます」
「子供じゃあるまいし! 一人で入れるっての!!」
「お客様に粗相があってはなりませんので」
「そう思うならここから出てけ!」
「家具の務めを放棄するわけにはまいりません」
戦人の心に最後まで残っていた薄い虚無感がこれで完全に吹っ飛んだ。というより虚脱してたら大変なことにな
る。ロノウェはあくまでにこやかだが、押しは強かった。荒療治にもほどがある。じりじりと戦人は後退した。ヤバい、
後ろは浴室だ。
「……楽しそうだな、ロノウェ」
「とぉんでもございません。私も断腸の思いでございますとも」
「嘘くせえーっ!」
「心外でございます」
と、戦人が喚いている間に、ロノウェは戦人の両手首を柔らかく掴んでしまった。いかなる力かどんなに暴れても
びくともしない。
「げっ」
「失礼いたしますよ、戦人様」
あっという間にベストと上着のボタンを外され、ネクタイを解かれた。ロノウェの指先が滑るようにシャツのボタンの
列を撫でるとこれも見事に外れ、肌がのぞく自分の胸部を呆然と見ているうちに、するりとネクタイが滑り、首元が
涼しくなったかと思うと、シャツごと全ての上衣を脱がされる。目を見開いている間に片手の僅かな動きでパンツと
ベルト共々外されこれも下着ごと下ろされてしまった。そのまま手を取られ、浴室のバスタブの中に座らされ、ハッ
と気が付くと、泡立て、浅めに張られた湯の中で何故か頭から湯をかぶっていた。
「……え? は? ロ、」
「はいはーい、御髪を洗わせていただきますよ。目をお瞑りください、戦人様」
「うぷっ!」
ここまでで15秒かかっていない。目を瞑ったまま戦人が何か言おうとするたびにゴシゴシとあちこちを洗いたてら
れ、髪を洗い流され、目が開けられるようになる頃には、すっかり戦人は無口になっていた。ただし、目つきは極
悪になっている。
「おやおや、すっかり元気になられたようで、このロノウェ安心いたしました。ではお身体もお洗いいたしましょう。
そのまま死んだように大人しくしていてくださいませ。何なら息止めていてもかまいませんよ」
「てめえ……。ロノウェ……」
戦人が唸っている間に手付きだけは丁寧に背中を洗われ、腕を取られてこれも柔らかく洗われた。首筋にスポ
ンジがかかったところでハッと気が付いた戦人が、スポンジを引ったくった。
「ま、前は自分で、洗う、からな」
「おやそうですか、男同士でございますし、スキンシップで話も弾むと思ったのでございますが」
「何のスキンシップだよ! お前が言うといちいちエロいんだっての!」
喚きながら戦人は一瞬、動きが止まったものの、ヤケになったように体中を洗いはじめた。戸惑ったり、照れたり
すればきっとロノウェにすかさず揶揄されるに違いない。勢いで洗ってしまったほうが恥ずかしさも軽減されると思
ったのだ。背中に視線を感じるが努めて無視した。迷ったが陰部にも手に掛けた。羞恥で頬が赤く染まったが、
洗わなかったらロノウェのからかいと共に手が伸びてくるのはもはや決定事項であると確信していた。ヤケのように
あちこちを洗いたてながら、何で風呂でこんな恥ずかしい思いをしなくちゃいけないんだと半ば泣きたくなってくる。
なのに、耳元に寄せられたささやき声を、戦人は背後から再び耳にしたのだ。
「戦人様、それではよく洗えていませんね」
「……え?」
「腰回り、特にお尻の辺りが」
「う、な……」
動きが完全に止まった戦人の耳元にますます囁き声が近くなる。
「座りながらでは洗い辛いのは当然でございます。せめて膝立ちになられませんと。それとも、やはり、私がお世
話させていただきましょうか? 湯船の縁に、手をかけて、お尻を高くつき上げて、私に洗わせますか?
私は一向に構いませんが。柔らかく、円を描くように、まろやかに洗わせていただきますよ、戦人様?」
カッと頭に血の上った戦人がとっさにロノウェを振り返ると、はたして、悪魔の執事は薄く笑みを浮かべていた。
対して自分の顔はもはや湯にのぼせた以上に朱に染まっているに違いない。
「こ、この……」
その声は小さくてロノウェにも聞き取れなかった。
「からかうのも大概にしやがれ、ってんだ!!」
ロノウェの襟元を泡だらけの両手ががっちりと握りこんだ。目を見開く間もなく派手に水音が上がり、次の瞬間、
最上級のフロックコートは持ち主とともに泡まみれのずぶ濡れとなっていた。硬く滑らかな光沢のある生地は湯を
吸い込んでとっぷりと重くなり、アスコットタイに至っては首に纏わりついた布切れと化している。戦人の足の間に
身体を沈めたロノウェはしばし、戦人と見つめ合った。やがて、戦人の口元がゆがみ、震え始める。次の瞬間、戦
人は爆笑していた。
「ざまあねえなロノウェ! 水も滴るいい男ってか? 滴ってるのは泡だけどな!」
ロノウェはしばらく笑いすぎてひくひくと震え始めた戦人を眺めていたが、やがておもむろにモノクルを取り外す
とバスタブの横にしつらえてあった小物台に腕を伸ばして置き、額に垂れかかった髪の毛をかき上げた。ニヤリと
笑いかける顔は、いつものとりすました執事のそれではない。
「やってくれましたね、戦人様」
それでも戦人の笑いが収まらない。ロノウェは水を含んだ両の白手袋を取り外すと床にピシャリと打ち捨て、そ
のまま戦人の腰に手を回した。抱き寄せると頬に張り付いた戦人の髪をかき上げ、耳元で囁く。
「このような悪戯好きのお客様にはどのような罰を与えましょう」
「セクハラかましたお前が悪いんだろ?」
「誤解でございます。私、虫にも等しいニンゲンに誠心誠意ご奉仕させていただいておりますものを」
そう言いながらも、ロノウェの素手の手の平は何度も戦人の頬を撫でさすっている。やっと笑い止んだ戦人はニッと
笑みを浮かべ、未だ水滴が滴っているロノウェの前髪を軽く引っ張った。
「虫ケラみたいな人間の世話するのが『だぁい好き』ってなら、お前相当のマゾなんじゃないか? 人間を弄り殺
すのが趣味のドSのあの女とは、確かにいいコンビかもな」
「ああ、さようでございますね。私、確かに悪魔でありますのに、いささか特殊な性癖があるのかもしれません。何し
ろ、今は戦人様をどう泣かせて差し上げようかと、それだけで頭が一杯なのですから」
全裸の股の間に男を招き入れたまま、戦人はバスタブの縁に肘をかけ、平然と笑みを浮かべている。
「お前も俺を切り刻みたいってのか?」
「まさか。泣かせたいのだと言ったではありませんか。もっともお嬢様のように、無闇に苦痛を強いるのは興醒めと
いうものです。涙にも様々な種類がございますでしょう? 羞恥の涙、屈辱の涙、快楽のすすり泣きの涙……」
ロノウェは戦人の足の間により、身体を押しこんだ。戦人の肌に、硬い布地に包まれた生々しい男の身体の感
触が否応なしに押し付けられる。バスタブの中で長身の男が二人抱き合い、囁き合う。異様な光景だったが、戦
人もいささか、倒錯的な空気に酔っていたのかもしれない。
「やっぱりとんだ変態だぜ、お前」
「お褒めに与りまして。いっそ、このまま棚上げになっていた肉体言語を私と交わされませんか、戦人様。ヒトの身
には思いもよらぬ悦楽を差し上げますよ?」
「お前、そのネタ好きだなあ……」
「ネタなどと。戦人様もつれないお方ですね。私、戦人様がすすり泣くまで存分に交わし合うのを楽しみにしてお
りますのに」
「よく言うぜ……」
あと僅かに顔を傾ければ、唇が触れあうというギリギリの距離でクスクス笑い合っていると、バタンと大きな音を立
てて浴室の扉が開け放たれた。
「ロノウェ様はこちらにおられますか、先ほど物音がいたしましたが、何かございましたか? ……あ」
ロノウェと戦人が遅れて扉を見れば、ルシファーががくんと口を開けたまま硬直していた。二人は再びお互いを
見つめ合う。やがてロノウェが涼やかな声を発した。
「いいえ、特に問題はありませんよ、ルシファー。下がってよろしい」
「あ、い、あ、あ、あの、し、失礼いたしました!!」
慌てて扉を閉められ、全速力で駆け去る靴音。やがてまた静寂が訪れた。
「……いくら音がしてもよ、男の風呂に飛び込んでくるか? 普通」
「出来た娘なのですが、時折、猪突猛進といいますか、周囲に視線が向かないことがございまして。注意しておき
ましょう」
いやにのんびりとした会話であった。
千年の時を経た黄金の魔女にも、眼前の空気はいかんともしがたい色を帯びていた。お互いの耳元で囁き合っ
ては、小声で笑い合う客人と己の家具。青ざめ、虚ろな表情を浮かべるばかりであったはずの戦人は、何故か悪
戯めいた笑顔を浮かべている。慇懃無礼な態度で主人をも煙に巻くはずのロノウェは甲斐甲斐しく戦人の世話を
焼き、片時も傍を離れようとしない。
「……のう、ルシファー。この尋常ではない取り残され感は何であるのかの」
「申し訳ございませんベアトリーチェ様! 申し訳ございません!」
ぼそりと呟いた言葉に、傍に控えていたルシファーが異常に反応し、米つきバッタのごとくに頭を下げ出した。
他の姉妹達は若干引き気味に長女の姿を眺めている。ベアトリーチェはもう一度戦人を眺めた。零れる笑顔は、
ここに来て初めて目に触れるものだ。きっと戦人は気付いていない。しかし、その笑顔が向けられているのは自分
ではないのだ。
「……昨晩とはずいぶんな変わりようだの」
「……ああ? ああ、今朝、塩味のクッキー食わせられてよ」
「……ハァ?」
まるで意味が分らない。戦人はまたロノウェと何事か話しこみ、肩を震わせては笑いをこらえている。
「案外、ガキっぽい仕返しだよなあ」
「申し訳ございません。砂糖と塩を間違えてしまいまして。二度とこのような間違いがないように取り計らいます」
「つまり、まだあるんだな? 何だよ、今度は風呂で水でもぶっかけるんじゃないだろうな」
「とぉんでもございません。しかし、リクエストは喜んで承りますよ」
「してねえよ!」
そしてまた二人で堪えきれずに笑いだす。その間、ベアトリーチェはもちろん蚊帳の外である。
「……ロノウェ!」
たまらずに己の家具を呼びつけると、素早くロノウェはベアトリーチェの背後に控えた。
「何でございましょう、お嬢様」
「アレは何事か!」
「アレと申されますと?」
二人とも何故か小声である。
「……」
ニヤニヤと笑みを浮かべる悪魔の執事に魔女のはらわたが煮えくりかえる。しかし、どう言葉を探しても見つからずに
諦めて口を閉ざした。言えぬ。妾も戦人にあんな風に笑いかけてもらうにはどうしたらよいのかなどとは口が裂けても言えぬ!
なので代わりに嫌みのつもりで別の言葉を発した。
「……そなた、妾に黙ってこっそりつまみ食いはせぬと言うてはおらなんだか?」
じろりと睨みつける己の主に、ロノウェは仰々しく頭を下げる。
「勿論、お嬢様の家具たる身、己の言葉を忘れたことなどございませんよ? ですが」
悪魔はニヤリと笑みを浮かべた。腰をかがめ、ベアトリーチェの耳元で低く笑う。
「据え膳は別でございます」
愕然と配下の家具を凝視する主人に向かって、ロノウェは鮮やかな笑みを見せた。そして優雅に一礼を返す。
「さて、お嬢様も朝の一杯をいかがですが? 今度はよくよく確かめたので、塩は入っておりませんよ? ぷっくっくっく!」
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
オープニングのロノウェの場面を一時停止してうっとりしている今日この頃。
あれからep5は未見のままです。……。ウーウー
あと、はいはーいは14話の予告風に読んでいただくと嬉しゅうございます。
目を通していただいてありがとうございました。
>>264 今更ですがGJ!切な萌えた
数字板のシ寅劇総合の方にうっかり書いてしまったが
今日もっぺん観に行って殺し屋の最期の笑顔でこのSSを思い出してちょっと泣きました
いつも素敵な作品をありがとう!とか言ってもし初めての方だったらすみません
教主様の衣装に萌えは禿げ同wむしろあの衣装が一番好きだ、番心教に入信したいw
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 生 || ∧(゚Д゚,,) < ナマモノ注意エロ無し・イ非イ憂 上ノリ隆也氏×唐シ尺寿日月氏A
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < 衝撃の漢具宇単から個人的萌えネタを拾って繋いでみた
i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、< 適度にリアルを無視しつつ既にデキてる前提で
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´ 各お仕事の時系列は深く考えないで下さいw
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ"
都内、某居酒屋。
仕事に恋に、輝く女性達のガールズトークを売りにしたある番組の男性版に初挑戦、という実験企画の現場にて。
板敷きの床に掘り炬燵。
酒のグラスとつまみを少々。
少し引いた場所に陣取るスタッフ及び撮影機器の数々。
正面には、主不在の座布団が一枚。
少し前のことになるか。秋に控えた主演舞台の宣伝の一環として事務所にオファーが舞い込んできた。
普段はあまりバラエティ番組の類に縁が無い。
それなのに強く興味を惹かれたのは…そう、番組共演者の名前の中にあの人を見つけたから、かもしれない。
もう随分と長いこと顔を見ていない気がする。
こっちはこっちで連日の舞台稽古が始まる直前まで白衣を着てドラマの撮影をしていたし。
あっちはあっちで三部に渡る大作映画完結編の番組宣伝やら雑誌のインタビューやらに引っ張りだこだったかと思えば、
今度は某局の開局50周年記念ドラマの主演を任されやはり連日に及ぶ撮影と宣伝活動の日々。
そうこうしているうちに芝居の現場は膨大且つ派手派手しい恒例の殺陣指導を交えた立ち稽古へと突入し、
その確認や自主稽古、台詞に段取りエトセトラ、
更に劇中歌の練習までするともなればもう時間はいくらあっても足りないくらいだ。勿論体調も崩せない。
たまに体が空いても向こうの空いている時間と重なるとは限らなくて。
仕事に打ち込んでいると自然、電話もメールも疎かになる。というかそういうのは元からあまり得意ではないというか。
―――逢いたい。
仕事に私情を差し挟む気は毛頭無いが、心の何処かでそう想ったことも否定は出来なかった。
そして今。
都内、某居酒屋。
空いた座布団の主の帰りをもう一人の共演者と待っているところ、だったりする。
「でも、本っ当に仲いいんですね」
そう言って、自分より一回り以上も年若い同席者が笑った。
「え?」
唐突に話を振られて面食らう。
元々あまり濃い知り合いでない男二人で弾む会話の種などそうそうある筈もなく、
強いて言えば先程彼が席を外してからちょっとの間、彼に関する話題が続いていたくらい。
一時的に出演者を欠いた現場は若干の小休止といった空気になっている。
「誰が?」
「上ノリさんと唐シ尺さん」
「…そう?」
「そうですよ、隅から隅まで全部理解しちゃってるーって感じで」
「全て、ねえ…そんなことは無いと思うけど、まああの人の行動パターンはしばらく付き合えばわかってくるから」
そう返しながらも、不意にその言葉に微かな棘を感じた気がして横へ視線を流した。
(…ん?)
これは何というか、その、あれだ。
月並みに言うなれば、…目が、笑っていない。
ひやりとした。
それと同時に青年がぼそりと呟いた。
「さっき唐シ尺さん冗談みたいに狙ってるとか言ってたけど、当たらずといえども…だったりして」
「え!?」
ちょっと待て。
待て待て待て。
一体何を言い出す気なんだ。
「ねえ、上ノリさんて」
「ふ、不二原くん…あのね、今休憩みたいになってるけどカメラ回ってるからあんまりそういうことは」
内心ついつい焦ってさり気なくマイクを押さえ、小声で耳打ちすると。
「別に何も」
青年は。
「マズイこと言うつもりじゃ無かったんですけど?」
特徴的な八重歯を見せ、くりくりとした大きな瞳を細めてにっこりと笑った。
「…っ」
「あー、それとも」
そこで彼は息を潜めて一拍置き、耳元に唇を寄せてきた。
「上ノリさん的には冗談にならなかったりするんですか?」
「…!」
勘が鋭いというか何というか。
まだまだ少年の頃から周りが大人ばかりの中で一人前に仕事をこなしてきたからなのか、
無邪気そうに見える割に妙に聡いというか。
いや、その発想が子供扱いしすぎなのだろうか。この青年だって年齢だけ見れば中々立派な大人なのだから。
「何言ってるの、そんなわけ」
精一杯の笑顔で否定しようとした時、スタッフから注意が飛んだ。
「上ノリさん、不二原さん、こっちにも聞こえるように喋って下さーい」
「あ、すみませんっ」
「はーい、ごめんなさい」
注意とは逆に、待ちの時間という緩さがあるからかそれとも番組の方向性からか、飲み屋の空気はほんわかと和む。
隣へそっと目を遣ると、彼はスタッフ達の方を向いて元通りの笑顔で笑っていた。
「収録は以上になります。唐シ尺さん、上ノリさん、不二原さん。お疲れ様でした!」
居酒屋を出たところで個別のコメントを撮り、収録が全て終了する。あっという間の数時間。時計を見れば既にいい時間で。
「結構遅くなったなあ…お前らはこれからどうすんの?」
「唐シ尺さんはどうするんですか?」
青年が彼の質問に質問で返した。
「んー、俺は明日朝早いから。表まで歩いてタクシー拾うわ」
「じゃあそこまで一緒に行きません?」
「おう。それでいいか、隆哉?」
その問いかけに答えようとした時、突然耳慣れない着信音が響き渡った。
「あ、すみません。俺です」
青年が携帯電話を取り出して「はい」と出た。
「え?…うん、今?六本木だけど、…えー?…はいはいわかった、行きますって。今どこ?…うん、うん、はーい。じゃ後で」
パチン。
「すいません、ちょっと呼び出し食らっちゃいました」
そう言ってお決まりの人好きがする笑みを浮かべ、彼は小さくお辞儀をした。
「この近くらしいんで今から行ってきます」
「そうか、まあじゃあここでな。お疲れさん」
「あ、お疲れ様でした」
「お疲れ様でした。じゃ失礼します…あ、唐シ尺さん」
歩き出しかけた青年が、踵を返して彼に呼びかけた。
「また二人で飲みに行きましょうね」
(…!)
その言葉に内心過剰に反応してしまうのは、果たして考えすぎなのかそれとも思う壺なのか。
「おう、またそのうちな」
そんな自分の動揺も知らず、彼はほろ酔い加減で機嫌良さそうに手を挙げて返事をする。
それを聞いた青年はにこっともう一回無邪気そうに笑って。
「上ノリさんも、またご一緒しましょうね」
「あ、ああ…うん、また」
それじゃ、と頭を下げて青年は今度こそ夜の街へと紛れていった。
「さて。じゃあ俺らも行くか?」
「あ…」
明日は朝早い。そう言っていた。
けれど、この機会を逃したらまた次は何時になるかわからない。
「あの」
「んー?」
「…酔い醒ましに、少し歩きませんか」
もう少しでいい、一緒に居たい。
彼はちょっと考え込む素振りをして、それから顔を上げた。
「そうだな。そうするか」
都会というのは不思議なもので、夜の街では一部がまるで昼間のように煌々としているかと思えば
ちょっと裏へと入るだけでまるで人気が無くなったりもする。一駅分ほど続くその静かな裏道を二人で歩く。
青年のあの目と言葉が頭から離れてくれない。きっと青年の方も何かを敏感に察したのだろう。
誰にでも親しく接するのはこの人の美徳とも言えるし、いつまでもそう在ってほしいと思うが時々複雑な気分になる。
夜風に吹かれて道沿いの樹がざわざわと葉を揺らし音を立てた。
気分を切り替える意味も込め、そういえばと気になっていた話題を振ってみる。
「…ずいぶん痩せましたよね」
「ああこれ、役作り」
打てば響くような即答。
「知ってます」
「何だよ。お前だってするだろ、役作りくらい」
「そりゃしますけど」
「中々大変だぞ、朝晩ジュースだけって」
もう腹減って腹減ってさ。最初の頃は宅配ピザのチラシばっかり見てたよ、と冗談めかしておどけてみせる。
(―――――役作り「くらい」ね)
くらい、では済まないのだこの人は。
心底ストイックに、真摯に目の前の役柄と向き合う。
闇雲にやり過ぎるというのでは無く、きちんと冷静に考えた上で役の外面・内面を構築しようと取り組む。
考えた結果が他人から見て過剰に思えたとしてもそれは彼の中では決して合理性を欠かない。
けれどわかっていても、見ていて時々心配させられることがある。
ストイックとは自分もよく言われるがこの人を見ていると自分などまだまだではないかとすら思えてくるから不思議だ。
「くらい」と口では軽く言うくせに。
あまり無理しないで下さい、とは言えない。それはこの人の問題で、この人の仕事の問題で、その矜持の問題で。
元より撮影に支障の出るほどのやり方をするはずは無いのだし。
野暮なことをちくりと言おうものなら余計なお世話だと怒られてしまう。自分も同じだからよくわかる。
余計なことは言わない。
その代わり。
ふっ、と歩みを止めてそのまま先へ行こうとする背中を見つめる。
自分とほぼ変わらない身長。けれど強く抱きしめれば容易く折れてしまいそうなまでに細った体躯。
無言でその背に腕を伸ばし肩を掴んで引き寄せる。彼がバランスを崩して少しよろけた。
「おい何すんだよいきなり、危ないだろ……隆哉?」
夏から秋へと移ろいかけたこの季節、夜はほんの少し肌寒い。
「…もうちょっとだけ、こうさせてくれませんか」
今日寒いですしと、首筋に顔を埋めて囁くと彼が鼻を鳴らす。背後から胸の辺りに回した両腕をぎゅ、と握られた。
「人を懐炉代わりにすんじゃないよ、ったく」
悪態を吐きながらもますますその指に強く篭る力を感じて、表情が緩むのが自分でもわかる。
服越しに触れ合った箇所から伝わる熱は直接肌を合わせるよりももっともっと熱いような気がして。
―――ああ、本物だ。
腕の中の存在を確かに感じてその感覚に浸る。
折れてしまいそうだと感じた痩身は、少し骨張っている以外は案外以前から抱き慣れた感触と変わらなかった。
風がぴたりと止み、木々がざわめきを止める。束の間心地好い静けさに全身がふわりと包まれた。
「そういえばさっきのさ」
腕の中で彼が半ば独白のように呟いた。
「ん?」
「好きなタイプ、一緒にいて楽な人ってやつ」
「ああ…はい」
「あれ、俺だろ」
「…………………はい」
ああ、やっぱりわかりますよね。というか実際その通りですけど。貴方を想定してしまってましたけど。
あの時はつい口をついて出てしまったのだから仕方ない。自信満々図星の指摘に心の中でひとつ、溜息。
「やー、一瞬どう切り返すか迷ったわ」
咎める口調では無いものの、ついすみませんと謝りそうになってふとまた先程の青年との会話を思い出してしまう。
切り返しに困ったのは何も貴方だけじゃありません。そう言ってやりたくなった。
「貴方だって相当際どいこと言ってたじゃないですか」
「何」
「それはその…ほら、狙ってる、とかって」
「あれはネタの範疇だろ」
「お言葉ですが、不二原くんはあれで何か察したみたいでしたけど?」
「あー、竜哉か」
いや無駄に鋭いからなあアイツは。そう言ってからから笑う。
「ま、大丈夫だよ。もしもの話、別に俺とお前の何知ったってそれを言いふらすようなやつじゃないし」
「…それは…ん、そうでしょうけど」
そうじゃなくて。
あの目は、やっぱり今考えてももっと違う含みを持っていたと思うけれど。
ここは敢えて何も言わないことにした。
誰かの想いをわざわざ言葉にしてまで恋しい人に伝えてやる必要は無い。それでは双方に対して失礼だし、それに。
(ええ、どうせ『秘密ちゃん』ですから?)
存外自分は根に持つタイプなのだろうか。いやいやそんなことは無い。今日は少々酔っているだけだ。
…酔いに任せて今から少し気が大きくなる、それだけだ。
「――唐シ尺さん、」
「うん?」
「…こっち向いて?」
腕を解いて少し掠れた声で告げる。彼がゆっくりとこちらへ振り向いた。
その両肩をぐ、と捉え唇を重ねた。
閉じた割れ目を舌先で軽くなぞり、応えるように薄く開いたその中へ、中へと。
歯列を割り生温かい舌を伸ばして、絡めて、吸い上げる。ぞくり、と背筋に甘い痺れが走った。
何度も何度も角度を変えて引きながら挿し入れてはクチュクチュとわざとらしく音を立ててねぶる。
「…ッ」
さすがに息苦しくなったのか一旦引こうとするのを
頭に左手、顎に右手を添えることで半ば強引に固定し再び深く口づける。
簡単に逃がしてなんかやるものか。
次は何時かもわからないのに。
最初は逢えるだけでも良かった。もう少し一緒に居るだけでいいと願った。触れて抱きしめて満足したと思った。
キスをして初めて、どうしようも無いほどこの人を求めていたことに気づいた。
苦しいくらいの愛しさと焦燥とそれから僅かの嫉妬がないまぜになり、行為は更に加速する。
大の男がこの歳になって、これくらいのことでこんなに必死になるなんて酷くみっともない、だけど。
湧き上がる衝動は、止められなかった。
「…っ、ふ」
「ん…」
「……ッはぁ…っ」
どれくらいの時間、そうしていただろうか。
存分に感触を堪能し、やっとのことで解放してやると、厳しい表情で真正面からきっと見据えられた。
相当息が上がっている。ついでに眉も常に見ないほど吊り上がっている。
(あ…怒っ、てる?)
まあ、何だ。あれはさすがに自分でも怒る…かもしれない。と思う。多分。
「あの…唐シ尺さん…、…!?」
瞬間、勢いよく襟元を掴まれ、引かれた。
鼻と鼻がぶつかりそうな距離まで一気に近づき、互いの視線が至近で交わる。
意志の強さを感じさせる黒目がちの大きな瞳。吸い込まれてしまいそうな。初めて会った時から変わらない。
「…唐シ尺さ」
名前を呼び終わらないうちに唇に湿ったものが触れた。
今しがたの行為の再現だと気づくまでに、コンマ数秒。
「…ん、っ」
不意を突かれた唇はだらしなく開いたままで相手の侵入を容易く許す。
あっという間に主導権は移り、為されるがまま。
どうにもこうにも情けない。
ただ。
―――――求められている、そのことが。ただ堪らなく嬉しかった。
唇同士が久方ぶりの逢瀬の名残を惜しむように、ちゅ…と微かな音を立てて再び離れる。
甘い余韻を味わいながらゆっくりと目を開けると、先程の瞳が同じようにじいっとこちらを見つめていて。
「唐シ尺さん?」
その視線をふと怪訝に思う。と、彼が口を開いた。
「…なあ隆哉、やっぱりさ」
「はい?」
「こんな近くで見るとやっぱりお前って…」
その台詞に何となく予感するものがあった。きっと長年の勘というやつだ。
ほら。
一拍溜めて。
来る。
「…お前って…、めちゃくちゃ歯ぁ白いわ!!!」
「…っ、どうせそんなことだろうと思いました!」
今までの艶を含んだ空気は何処へやら、一気に全身の力が抜けた。
…あまり当たってほしくなかった。そんな勘に限ってよく当たる。
「だから!そんなこと無いですって、普通に磨いてるだけだって言ってるじゃないですか!」
「いやいややっぱり普通より白いってほら、芸能人は歯が命!キラーン!みたいな、な、な」
「古いです、ものすごく古いです。いつのCMさ。っていうかもういいでしょ、歯のことは!どこまで引っ張るのよ」
こうして色気もへったくれも無いボケに対して律儀にツッコミを入れてしまうのはもはや毎度のお約束で。
そんな久方ぶりのやり取りこそ、嬉しくて愛しくて幸せだとさえ思えてしまう自分は相当まいっているんだろう。
最初の頃は一緒に居るだけで何て疲れる人だろう、と思った。
いつの頃からか、それは一緒に居て誰よりも楽だと感じる関係に変わった。
「…全くもう…貴方って人は」
小さく苦笑する。我ながらどうかしてる、といつも思う。今日もどうかしてる、と思う。それでも。
「いやでもやっぱりさあ」
「いいから少し、黙ってて下さい」
「…隆、」
もう一度、今度はそっと、触れるだけの、キスをした。
「あ、そうそう」
もう少しで表の通り、というところで。わざとらしく思い出したように彼が声を上げる。
「舞台観に行くからな」
正直少し、驚いた。
「忙しいんじゃないんですか?」
「それくらいの時間はあるよ。事務所だって鬼じゃないんだから」
「…ありがとうございます」
「あー、それと」
「はい?」
「竜哉も一緒に行くから」
「え、」
「たまたま同じ日になったみたいなんだよな…って、今もしかして妬いた?」
「やっ」
予想外の単語に思わず絶句する。まさかこの人、全てお見通しなんじゃないだろうか。
だとしたら、…一時でも気を揉んでいた自分がまるで馬鹿みたいに思えてきた。
「…まさか。してませんてば、妬いたりなんて」
「大人だねえ、上ノリ先生は」
何もかも承知した表情でにやにや笑われ頬が熱くなる。ここが薄暗い夜道であることに、心の底から感謝した。
そうこうするうちに表通り。彼が片手を挙げてタクシーを止める。
背を向けて乗り込み、窓を開けて最後の一言。
「―――じゃ、『また』な」
それはよく聞く社交辞令などでは無く、確かに実体を持った言葉だった。
『また』。
ほんの小さな言葉だけれど、自分にとっては大きな言葉。
東京公演の開幕まであと数週間。
明日の稽古の予定を頭に浮かべて足取りも軽く。
その幸福の、帰途についた。
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 止 || ∧(゚Д゚,,) < リアル夫婦も良かれども追求しすぎると片想いにしかならんので
//, 停 ||__ (´∀`⊂| < 何も考えずカプ萌えとラブラブを優先してみました
i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、< 前回も思ったけどそこはかとなくリバっぽく見える罠
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ
漢具宇単、大きな声では言えないけど某所で観られるらしいので、かみからかみが少しでも広まればいいwと思います
リアル「あなた」呼びデフォで、基本敬語のくせにあのいい声でツッコむ時たまにタメ口なのとか堪らないと思います
「全ての理解者」呼ばわりされる上ノリさん→唐シ尺さんの理解度が素晴らしいと思います。ありがとうございました!
>>307 GJです!!
リアルな描写で
キスシーンがすごく想像できて萌えました
できたら次は紙革×空澤でエロ有りとかお願いします!
>>307 あの番組はものすごい勢いで私の髪を奪っていきました
どんだけかわいいんだ全員
空気感がすてきでした!
なんかもうみんな幸せになーれ
>>288 GJ
あの作品の男衆みんな可愛いよ
程ほどに息の長い作品になってくれたら言うことなしなんだが…
>>295 賢い犬大好きだー!!
口ン毛可愛いよ。乙
>>305 GJ!!待ってた甲斐がありました!戦人可愛いよ戦人ロノウェエロいよロノウェ
手袋を外して濡れた髪をかきあげるロノウェとかエロすぎてたまりません!!
読んでる間ニヤニヤしっぱなしでした!ありがとうございましたー!
規制解除ktkr
>>250 原作知らないけど面白かったです
スれた雰囲気が良かった
>>288 紳士可愛いよ紳士
ロソ毛のとぼけた感じたまらん
>>296 gggggggj! ふてぶてしい戦人(・∀・)イイ!!
ほんのりベア→バトなのも嬉しかった……!
326 :
風と木の名無しさん:2009/11/25(水) 17:58:17 ID:ry5UPs+pO
>>307 禿しくGJ
柄沢さんが幸せならなんかもうみんな幸せだ
柄沢さん出てくるたびに禿げるよ
sageんの忘れた
ちょっと逝ってきます
>>307 GJ!
なにげに殻澤さんをねらってる
富士藁君にも萌えました
紙川さんと殻澤さんはまたテレビで
何かやらかしてほしいです。
あの二人は色んな意味で面白すぎますねw
>>307 あらためてGJです!
具ー単は普通に見ながらもこの2人可愛いなぁ。
藤藁君が一番鋭く大人だなぁと見ていたのですが、ここにきて新しい世界が広がりましたw
今度は是非三巴観劇後楽屋なんかもお願いします。
>>288 今週萌え萌えしてたところになんという奇跡
GJ!!
>>287 勝手にMYマプに重ね合わせて読んだ
こういう雰囲気大好きだ
ご馳走様でした!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
激団親幹線「バソユウキ」から復讐鬼と殺し屋の大千秋楽記念ポエム。
本当に勢いに任せて激しくポエムってます。
ついでに今更ですが力いっぱいラストのネタバレをしておりますので、
DVD待ちの方がいらしたらご注意ください。
333 :
黄泉路1/2:2009/11/26(木) 21:42:09 ID:fUEi0JFhO
『聞け、我が民よ!私はこの国を、この国を―――』
声が聞こえる。
毅然と、美しく、強く、そして哀しい声。
それに怒門は沈みゆく意識の中、もう幾度繰り返したかわからない
謝罪の言葉を呟く。
すまない…すまない、美琴―――
苦しませ、悲しませ、人生を狂わせた果て、すべてを託してしまった人。
それでも自分にはもうこの道しかなかった。
滅びの道しかなかった。
意識がより深い闇に堕ちる。
何も見えなくなる。
それはあの牢獄の島の地下道の闇に似ていた。
ならば……この先にはおまえがいるのだろうか。
意識の中でだけ、もう一度上げる瞼。
かすむ視界にぼんやりと浮かぶ白い影を見つけた時、唇から零れたのは
安堵の吐息だった。
あぁ、いた―――
声にならない声が口をつく。
待て、そんなに一人、先に行くな。
そんなに一人に、なろうとするな。
俺とおまえは、もう二人だけだ。
親友を救えず、かつては友とも呼んだ者達を殺し、慕ってくれた女も死なせ、
仲間の誰一人も助けられなかった、赤い血と死臭にとり憑かれた外道同士。
しかしこう言えばおまえは『殺した桁が違うよ』と、またあの渇いた声色で
俺を笑うのだろう。
334 :
黄泉路2/2:2009/11/26(木) 21:44:43 ID:fUEi0JFhO
それでも、俺達は彼らと同じ場所にはいけない。
もう、互いしかいない。だから、
待ってくれ―――
影が動きを止める。
ぼやけた輪郭の白い横顔が振り返る。
それに自分は必死に手を伸ばす。
触れてやりたかった。きっと冷たいだろう、その頬に。
温もりを与えてこう言ってやりたかった。
もう泣くな、佐治―――
心配しなくてもいい。そばにいる。
引き寄せて、抱き締めて、耳を当てさせ伝えてやりたい。
貫く剣に奪われた鼓動とひきかえに、自分が手に入れたもの。
二人きりで立つ荒野にも射す光。それはこの胸の中にあった―――
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
一度書いたらおさまるかと思った萌えが逆に加速し、気づけば
ここまで来ておりました。でもまだ萌えがおさまらない。どねーしよーw
とにもかくにも大千秋楽オメデトウ!です。
ナマ 電機具留ーヴ シ龍×卓Q
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
目が覚めた瞬間に感じた違和感を深く追求するまでもなく、室内が全くの無音だからだと気が付く。
身体を横たえていたソファーから起き上がってシ龍はまずひとつ欠伸をした。
常々アウェーだと公言しているスタジオは当たり前だけれど防音性が高い。スタジオが敵地だというのも
ミュージシャンとしてどうかとは思うが、シ龍の職業が『シ龍』なので別段支障はなかった。
涙の滲んだ瞼を擦ってから辺りを見回す。スタジオに置かれているデジタルの時計は真夜中を示していて、
シ龍は自分が優に五時間は眠っていた事を知った。ちょっと寝るわと言ったシ龍に、どうせ起きてても
何もしないんだから寝てていいと言いながら、コツコツと作業に埋没していた筈の相方は何処に
行ったのかという疑問が湧くのは至極当然。
「ぅおーい、俺一人ぼっちかよー」
勿論、問いかけた所で誰もいないので答えなんて返らない。
卓Qがシ龍を置いて帰るとも思えないし、もし帰られていたらこのスタジオをどう始末すればいいのかと
シ龍はまた首を捻った。帰らないまでも、起きないシ龍に業を煮やして飲みにでも行かれていた場合、
卓Qが真っ当な状態で戻ってくる可能性はほとんどゼロだ。年々酒癖が悪くなる卓Qの素行の悪さは
誰よりも知っている。
休憩をしている可能性に賭けて、取り合えずロビーでも見に行くかと立ち上がって、シ龍はようやく
自分の足元の側に転がる人間に気が付いた。卓Qだ。
床の上に仰向けに転がって卓Qは目を閉じていた。どう見ても眠っている。
以前と比べれば多少老けた感はあるものの、ただでさえ童顔なのに、眠っていれば輪をかけて年齢不詳。
あどけないといえなくもない寝顔に微妙に心がなごむ。
「……しっかし、なんでこんなトコに転がってんだろ、こいつ。おーい、フミトシ」
対外的には彼を芸名で呼ぶシ龍だけれど、普段は呼びなれた本名で卓Qを呼ぶ。最初にグループを
組んでから二十年をとっくに越えたけれど、彼との付き合いは高校生の時からなので、一旦ついた呼び癖は
長い時間を経ても変わらなかった。シ龍自身、直す必要も感じなかったからかも知れない。
呼びかけられても卓Qは目を開けなかった。
まさか倒れてんじゃねぇよなと慌ててしゃがんで顔を覗きこんだけれど、少し開いた唇から零れるのが
ただの寝息なのかどうか区別が付かない。
畳や絨毯ならまだしも、スタジオの硬い床で寝るのが身体にいいとは思えず、シ龍は指先で
卓Qの頬っぺたをふにふにとつつきながら更に呼びかけた。
「ちょっとー、おーい、起きろって、フミトシ」
「……んー」
咽喉の奥で掠れた様な声はそれでも甘くシ龍の耳には聞こえる。
ようやく反応を示した卓Qに安心したけれど、当の本人はちらりと瞼を持ち上げただけで、
また眠そうに目を閉じる。ここで寝かしてしまっては元も子もないと、シ龍はさらに続けた。
「起きないと襲うぞー」
「いいよー、襲えばぁ? 今更だろ」
「今更って、お前なぁ」
確かに過去に散々してきた事を考えれば今更といえば今更で、襲った所でマゾな相棒は『そういうプレイ』と
1でない割り切りをしそうな気配だった。
だからと言って一旦出した言葉を引っ込めるのも、とシ龍は止むに止まれずにカウボーイ並の男気を発揮する。
かといってスタジオでコトに及ぶのも問題だし準備もない。ここ数年、卓Q相手にそんな事も
していない。若い頃ならいざ知らず、不惑を越えた男二人にはカーテンはあっても滾る情熱はなかった。
そうこう考えている内に卓Qは再び寝る体勢に入っている。非常に不味い。五時間寝ていたシ龍が
文句を付けられる筋合いではないけれど。
これが妥当かと計ってシ龍は床に手をつくと覗き込んでいた顔を近付けて、最終勧告とばかりにもう一度だけ
僅かに低くした声で名前を呼んだ。
「フミトシ」
瞼が持ち上げられるのかは、確認しなかった。
唇に、唇を、押し当てる。
久々に触れた唇は昔と変わらず柔らかい。長く触れる事も、それ以上に進む事も出来ずにシ龍は身体を起こした。
いっそ襲った方が良かったと思ったのは、想像していたよりも百億倍の気恥ずかしさが襲ってきたからだった。
――――何を『今更』、こいつ相手に素面でキスなんか。
案の定、触れるだけだった唇に卓Qは機械仕掛けの人形の様に跳ね起きた。
決して大きくはない目が見開かれていて、先刻つついた頬が赤く染まる。卓Qは息をする様に
シモネタを話すし、下衆な話を散々している癖に、こういう初心な反応は反則だろうとシ龍は参ってしまう。
いつだってシ龍は卓Qには弱い。
そうでもなければこの人格破綻者のフォローなんてとっくに止めている。
これも一種の惚れた弱味なんだろなぁという諦めにも似た心境は、出会って以降ずっとシ龍の中にある。
友達に連れられて初めて行った卓Qの部屋。卓Qがかけていたニュー・オーダーの曲に衝撃を受けた拍子に、
それまでの野球少年だった日々とは真逆に人生の方向が走り出した。
思えば、シ龍を『人生』に引っ張り込んだのも、人生を変えたのも卓Qだった。
もし運命の相手がいるとしたら、それは卓Qなんだろうとシ龍は思う。
結局は、シ龍は卓Qが好きなので。
けれど泡を食った様に目を白黒させている卓Qに、それを告げる気もなかった。
「た、シ龍ぃ?」
「おはようございます。夜中ですよ」
「おはようじゃねぇよ! お前、今っ」
「はいはい、しました。しましたよ。襲うぞって宣言したのに起きなかったのはお前でしょ」
「起きなかったけど、だからって何の罰ゲームだよ」
「あー、もう、今更キスごときでガタガタと。生娘でもあるまいし」
素っ気無く吐き捨てたのは照れ隠し。卓Qだって分かっている。だから不機嫌な顔を作って、シ龍を
押しのける。その様子が可愛い……気がしてしまった。
その腕をやんわりと掴んだのは、まぁそういう事だろうとシ龍は不明瞭な言い訳を心の中でしてみる。
シ龍のカテゴリーが『シ龍』である様に、シ龍の中で卓Qは『卓Q』で、それ以上でも以下でもない。
友達で、相棒で、仕事仲間で、多分一生縁の切れない、虹みたいには消えない、何処までも
つながる様な相手なので。
フロッピーに愛の気持ちを込める代わりに、もう一度唇を寄せる。卓Qは顔を背けたりせずにシ龍を
受け止める。
――――夢じゃなくてもキス出来るし、互換性があって良かったねぇ、俺達。
微かに離れた唇から紡がれたのは卓Qにしては珍しい直球な囁き。
返事をさせない様に入り込んできた舌に、シ龍はんふふと笑いを零しながら、今のグループを組んで
もう二十年で紆余曲折はあるけれど、二十年後もこうしていましょうと勝手に決めた。
シ龍にしてみれば、卓Qが居ればどうにでもなるし、なので。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
シ龍のフミトシ呼びに萌えが滾った結果がこの有様だよ。
この人達はなんだかんだと一生添い遂げればいいと思う。
>>339 思わずシ/ャ/ン/グ/リ/ラをようつべで探してしまいましたよ。
ディーシー等メジャーな曲しか知らないミーハーなファンですが
このお二人がイチャコラしている話が読めて幸せです!ありがとう!
341 :
340:2009/11/26(木) 23:01:39 ID:cDGyPe+l0
うわ。ディーシーって何書いてんだ自分
エヌオーって言いたかったんです
恥ずかしくて死にそう…
大千秋楽オメデトウですのバンユウキ。
右大臣と教主のちゅっちゅ絡みシーンに触発されて書いた。
まさかの若怒門×若右記名w
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
俺の名前は木野右記名。鳳雷一の大豪族の跡取り息子だ。
ま、そんな建前なんざなくてもこの右記名様といや、鳳雷じゃちょっとブイブイ言わせたクチよ。
特に可愛い可愛い、俺の女達にはな。
もしこの世に俺の名を知らぬ女がいたら、そりゃ無知じゃなくて不幸だって話だ。
この右記名様に出会えりゃ、それこそこの世の春を味わわせてやるってのによ。
まあそんな俺は俺なんだが、俺にはどーしても気に入らねえ奴がいるんだよ。
その、奴の名前は打テの怒門。ちぇ。
は〜どこの馬の骨かもわからん衛兵あがりのくせしやがって、俺と同じ化打への
留学生ときたもんだ。
しかもあの野郎、俺がゆくゆくはモノにする予定だった三言の許婚とかいう、けしからん
ポジションに納まってやがる。
あーまっことけしからん。つくっづく!許しがたァ〜いっ!
ただ奴の背後にゃ、三言の兄貴の白部がくっ付いてるからな。
恭賀根家の跡取り、流石の俺も白部にゃちょいと一目置くしかねえわ。
>>336 ここでこのカプが読めるとは…!
先日のえぬえちけー特番を見て、20年を迎えてなお仲良しな二人に
改めて萌えが再燃していたところなので感涙。
歌詞が上手く文章に溶け込ませてあるところもヲタとしては嬉しい限りです。
禿散らかしました。投下ありがとう!もう一度読むw
いやだが、それでも俺はこいつが気に入らないの!嫌いなの!はっきり言って!!
つか、何ですかこいつ!逆に何ですか、何スかこいつ空気読めなさ過ぎじゃね?
俺がこれだけあっちいけオーラ出してんのに、右記名右記名って、くっついてくんじゃねー。
つか、勝手に名前呼ぶな。おま、俺はお前と違ってふっつーにいいとこのお坊ちゃんなんだぜ。
はーこれだから田舎モンは嫌だ。化打へきたのがよっぽど嬉しいらしい。
何でも勉強せねばな!右記名!!って、だから笑いながら俺を振り返んなっつーの。
だな、右記名!って、うるせーハモるな白部!!
今日だってそうだ。
女のところで日々の疲れを癒そうとした俺を掴まえにきやがって、酒宴のひとつもどうだだと?
面倒くせえな、何でそんなキラキラした子犬みたいな目で俺を見るか。あー面倒くせえ。
ま、たまたま雨で出かけるのも億劫だったってのと、柄じゃなくその目にほだされたのが、
俺の敗因と言えば敗因か。
「ぎゃー!!だからてめえ退け、怒門!!」
あーまさかこいつが、こんな、こんなっ…!!
「止めろ白部!!」
「いや〜、右記名助かった。いつも俺が犠牲になって、飲むに飲めんのだ、今日は任せたぞ」
し〜ら〜べええええ。俺は、お前もやっぱり好きじゃねえええええ!!
「ま、任せたっておめえッ」
「う〜き〜なぁあははははは」
「だからくっつくんじゃねえよ怒門!ほれ座れ!飲むならじっと飲め!!」
まさかこいつが、こんなキス魔だとは。
いや、絡み上戸か?何だこのキャラは?
「ちゅー!ちゅーちゅー!」
「うぜえ!おい唐麻呂…ッて、逃げやがったな!?」
「イイジャナイカヘルモンジャナシ」
「今減るもんじゃねえとか言わなかったか!?」
くそ、衛兵上がり!むしろ馬鹿力!おいこら!アホ犬!!
「大丈夫だ、怒門は酒に弱いからな、一度満足したら朝までぐっすりだ」
なんて平和なツラしてんじゃねーよ白部。一人だけ飲んでんじゃねーよ白部。
なんだ一度満足って。
「いやほれ、応えてやれ」
「冗談にも程があるわー!!何でこの右記名さまが男の口吸ってやらにゃいかんのじゃー!!」
「イイジャナイカヘルモンジャナシ」
「やっぱてめえ酔ったふりしてんじゃねーか!!」
どーん。さらにどーん。
だから馬鹿力と田舎モノと空気読めない奴は嫌なんだ。あー嫌いです。僕ぁ嫌いです。
このアホ犬、俺の上に乗っかって、俺の、俺の…お、おおお俺の唇を…!
「……!」
お、俺の、俺の矜持が…。
矜持が…。
どさっ。
「お、満足したようだ。右記名飲みなおしといくか、ほれ」
…右記名?おーい右記名?うっきーなっ?
白部が人をアイドルみたいに呼ぶが…俺はとりあえず死んだ。アー死んだ。
いや死んだ。むしろ死んだ。思いっきり死んだ。
それからどこがどうなって自分の部屋に帰ったか覚えていないが…唐麻呂の話だと三日三晩
うわ言言いながら俺はうなされていたらしい…。
許さん…許さんぞ打手の土門…。
俺は貴様の名前を決して忘れん…っ!
生きて…生きて貴様に報復しそして…いつか必ず…この恨み晴らすぞー!!!!
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
教主の素はきっと可愛いと信じ込んでいる。
裏切られるまでは友達ダイスキ!仲間最高!!だった気がするんだ…!
>>332 心の底からGJ
お世辞とかじゃなくて、いや2でお世辞ってのもおかしいけど
独りで読んだから劇場で声抑えてた分も全部出たんじゃないかってくらい声出してぼろぼろ泣きました
うん ありがとう、本当にありがとう おかげで今目が赤いw自分がもう泣くな状態w
>慕ってくれた女も死なせ
そして801ではないけど2回目の時ここで泣いたから思わずぐっときてしまた…orz 萌えだけでない作品への愛を感じた
おさまるまではどんどん萌え続ければよろしいではありませんか、と思います、はい
>>342 GJwwwww
泣いて泣いて別姐さんに感想打ち込んだとこだったのにリロってみて爆笑しましたwww
ありがとう
>>342姐さんもありがとう!みんな大好きだ!バソユウキが大好きだ!w
昔の若教主は素直に他人を信じ切る性分でほんとに可愛かっただろうなあ…と自分も信じている
バソユウキ大楽記念に乗らせて下さい。
姐さん方にゃ及びません勢いに任せたものですが。
復讐鬼×殺し屋です。エロは無いですが房中術設定お借りしましたw
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
休息という行為を端から知りえないような覚醒の後、最初に視界に飛び込んできたのはその男――伊達の土門だった。
復讐の炎を燃やし続け荒ぶる瞳は、今は静かで理性の色に澄んでいる。
目を開くと同時にそんな視線が自分の顔を覗き見ていたのだ。
それがどうにもおかしくて、長椅子に横になっていた佐治はそのままの体勢で少し笑った。
「どうしたの?僕は暫く休むと言ったはずだが」
少し不満を零せば、単純な男は困ったような顔をして
「いや、すまん」と言葉を濁した。気まずそうに顔を逸らす様がまたおかしい。からかうような調子で佐治は続けた。
「まぁいいよ。君も休むなら休むといい。どうやら君の方が眠れていないようだからね。知ってるかい?毎晩君は魘されて、呻き声を上げている
よ」
「そこなんだ」
「え?」
再び男は佐治に視線を戻す。それは酷く直線的だった。
「お前が眠れているか、気になったんだ」
「それで覗いたっていうの?」
「そうだ。だけどやっぱり予想通りだ。お前は、ちょっとの物音ですぐに目を覚ました」
眠りの浅い自分のことを心配しているのだろうか。
しかしそれは無用なものである。安息などという言葉は、殺し屋としてこの世に生まれついて以来元々持ち合わせていない。
短い時間で効率よく体を休めることなど、意識せずとも習慣づいている。いつ敵に襲われても即座に対応出来るよう一瞬で覚醒する、などということも容易い。
普通の人間が行う数時間に渡る睡眠など、佐治は必要としていなかった。
土門は、予想は当たっていてもそれが納得出来ないというような顔をしている。
「――ここに、敵はいない。お前もゆっくり眠ったらいい」
「そう言われても習性なんだ。眠っている時ほど隙を作る時は無いからね」
言いながら、佐治は一つのことを思いつく。思いついてまた一つ、笑った。
「そう言えば」
おもむろに手を伸ばすと、顔を覗きこむ土門のその長い髪を引いた。
咄嗟のことに体勢を崩した土門はそのままぐいと引き寄せられる。鼻と鼻が触れそうな距離。
「寝台の上での人の殺し方、教えていなかったね」
相手が息を詰めるのが分かる。土門はただ驚いていた。
「――房中術だよ」
「房、中って――!」
言葉を飲み込んだ途端、弾けるように体を起こそうとした土門を、佐治は捉えて離さない。
変わらずに笑みを浮かべたまま、軽やかに言葉を続けた。
「そうだ。肌を合わせることだよ。こういう技術も、必要なんだ。殺し屋にはね」
覗きこんだ体勢のままの土門の手を取ると、自身の服の合わせ目へ持って行く。掌の熱が、布越しに
感じられた。
サジは知っている。自分が、異性はおろか同性までも煽ることを。
例えばこの高音の声。
例えばこの白い肌。
例えばこの細い腰。
それらに人は煽られ、欲情する。相手を落とすことは簡単だ。
ごくりと、唾液を呑み込む音がする。
「言っただろ?僕の持つ技術を、君に全て教えるって」
「――サジ、お前、」
「いいよ」
少し熱っぽく、笑ってみせる。あとはいつも通りだった。
相手の呼吸が早まり熱くなる。その顔が、手が近づいて――
「駄目だっ」
半ば叫ぶように、土門は立ちあがった。必死の形相は紛れもなく本物である。
――なーんだ。
上体を起こしながら軽く溜息を吐く。
この男がこういう拒み方をすることは予想の範疇だった。
誘いに乗るか拒むか、どっちの行動に出るかは半々であったが、結局彼は理性を捨てなかったのである
。
懸命な判断ではあると思うがそれと同時に、少しつまらなくそして残念に思った。
「あーあ、つまらないな」
「お前――、俺をからかったのか」
「からかった?そんなわけないだろう。僕は至って本気だよ」
本当は、からかい半分といったところだったが。
と、一度離れたと思った土門が再び顔を近づけてきた。この動きは少々予想外である。
何事かと思ううちにその力強い腕は佐治の肩を掴み、長椅子に押し倒した。
「――いい」
「え?
「そんなこと、しなくていい。お前は寝てろ」
「だから僕は」
「俺が起きてる。敵が来たら俺が殺す」
真直ぐな瞳は未だ熱を帯びていた。それは今、佐治に煽られた時のものか。それとも別のものなのか
。
判断はつかなかったが、彼は「邪魔をした」と言って足早に部屋を去って行った。
肩にはまだ、無理矢理寝かされた感覚が残っている。体温の高い掌だった。
――全く。
人の話を聞かない男だ。
こっちが誘えばそれを拒み、眠る必要がないと言えば休憩を勧める。
実直というのか、馬鹿というのか。
それでも――
「まぁいいか」
佐治は目を閉じる。少しだけ、安らかな眠りを楽しんでみることにする。
あの男の体温を感じられる今のうちなら、少しだけ、それが叶うような気がした。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お粗末様です
>>332 本当にありがとう。すごい泣けた。
この二人の最期は本当に哀しいものだったから、
すごく救われました。二人が二人で良かったと思えたよ。
>>342 最高w笑い死ぬw教主も浮き名も可愛い!
なんというバソユウキ千秋楽祭!
終わってしまって淋しかったけど、ここにきて幸せになれました。
姐さん達ありがとう!
この世界から足抜けしたつもりでいましたが、アンコール放送で心奪われた勢いで書いてしまいました。
新・34より、跡巣×谷。
ソフトですが、3レスお借りします。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「人は柔らかそうなものに手を伸ばしたくなるの」
そう言いながら跡巣のヒゲに触れたのは、別れた女房だった。
日なたで眠る黒猫や、上等の外套。
卵白を泡立ててこしらえた菓子に、たっぷり綿のつまったクッション。
長いとは言い難い結婚生活だったが、なるほど、白くたおやかな手は柔らかそうなものばかり触れていたと思う。
「確かに、つい触っちまいたくなるもんだわな」
そんなことを思い返しながら跡巣は、バネの緩んだソファーに身を預けてうたた寝をする見習いの髪を撫でながら、一人呟いた。
毛が細いのだろう(将来苦労するな)、節くれだった指に通りの良い髪は心地よく、時折かすめる頬はなめらか。
もうこれで仕舞いにして、さっさと起こそう、そして昼飯の準備をさせよう。
そう思ってはいるのだが、ついつい同じ仕草を繰り返してしまう。
「ふ…ん…にゃ…」
夢でも見ているのだろうか、言葉にならない寝言をこぼす見習いに、柄でないと承知しつつも笑みが漏れる。
「…ま、もうちょっとだけ…な」
二人の仲間は用事に出かけ、見習いが連れてる猿も日だまりで舟を漕いでいる。
言葉通り、もうちょっとで終わってしまうだろう穏やかな時間を惜しみながらも、なかなか手放すことが出来ない跡巣だった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
半生? ゲイニソ 麺図コソトより講師×力夕ギリ
糸満の漁師から
「大きな力夕ギリが漁網にかかっていたが、標本にどうか」と電話を受けたのは
2日ほど前のことだっただろうか。
私は力夕ギリの身体をゆっくりと机上に横たえた。
へばりついていた細かな氷の粒を払いのけ、
やわらかな皮膚が痛まないように、真新しいタオルで体表の水分を丁寧に拭ってやる。
冷蔵便で送られてきた力夕ギリは、
残念ながら沖に上げられた時点で息絶えていたということだが、
しかし保存状態がすこぶる良く、
血の気のない肌とかたく閉ざされた目をのぞけば、まるで生きているかのようだ。
傷ひとつないところを見ると、おそらく漁網にかかってパニック状態に陥り、
そのショックで死んでしまったのだろう。
力夕ギリは意外に繊細な生き物なのだ。
深夜の大学。
もはや他のどの部屋も、どの棟も静まり返っている。
ただひとつ私の研究室だけが、妙に白い室内灯を点し、ひっそり息づいていた。
私は横たわる力夕ギリに顔を寄せ、汚れた眼球保護膜にふっと息を吹きかけた。
ついさっきまで氷漬けにされ冷やされていた保護膜が、私の息で真っ白に曇る。
細かな傷やほこりをその表面に瞬時に浮かび上がらせ、
そしてまたゆっくりと曇りは収縮していく。
その様を見るともなしに見ていた私は、次の瞬間固まった。
――さっきまで閉じられていたはずの力夕ギリの両目が、大きく見開かれていた。
まさか、と口元に手をやり、人差し指を噛みながら私は考える。
そして力夕ギリの胴体を覆っている白い膜を用心深くめくり上げた。
わき腹から手を差し入れ、そっと胸部に指をすべらせる。
力夕ギリの心臓の真上。
そこに押し当てた私の手のひらは、
力夕ギリの心臓が、弱々しく、だが確かに拍動しているのを感じた。
「生きてる……?」
ショックで一時的に仮死状態に陥り、そのまま氷漬けで搬送され、
今私が身体を拭いてやった刺激で蘇生した、のかもしれない。
何しろ力夕ギリの生態にはまだ謎が多い。断定的なことは言えない。
興奮の波が一気に押し寄せる。
目の前の力夕ギリの体長はざっと見積もって176cm。
はたしてここまでの大きさの力夕ギリを生きたまま捕獲した研究者が
どれほどいるだろうか?
横たわる力夕ギリの額に手を置くと、もう一方の手で顎を持ち上げ、
口部に頬を寄せて呼吸を確認した。
力なく開かれた厚みのある唇からは、生命を感じさせる吐息は漏れてこない。
私は力夕ギリの口に自分の唇を押し当て、夢中で酸素を送り込んだ。
何度その行為を繰り返しただろう。
自らの乱れた呼吸を整えながら、私は唇を離した。
力夕ギリの口部は唾液で濡れ、明かりに照らされて光っていた。
そしてその唇から、ふぅ、と小さな息が漏れた。
再び胴体部の膜の下に手のひらをすべり込ませ心拍を確認する。
どくん、どくん、と、先ほどよりも力強い鼓動が伝わってくる。
ただ見開かれていただけの両目が熱く潤み、生命力を帯びて私を見つめていた。
蘇生が確固たるものとなった安堵に、私は大きくため息をついた。
力夕ギリの肌は温もりを取り戻していたが、相変わらず生白い色をしていた。
魚の腹を思わせるような白い額に置いていた手を、
机の上に広がる髪の方へそっと撫で上げてやる。
力夕ギリのことを強く愛おしいと感じたから、というわけではなく、単なる気まぐれだ。
力夕ギリはその気まぐれな愛撫が心地いいとでも言うように、保護膜の奥の目を細める。
その仕種を、私は少し好ましく思った。
だがそんな安堵の時間は長くは続かなかった。
そうだ。この時期に力夕ギリが漁網をはるような浅瀬へ出てくる理由といえば
――産卵。
私は力夕ギリの下腹部の孵化室に触れた。
ギャッ、という奇声とともに、力夕ギリがあわてて上半身を起こす。
閉じようとしていた両足を、しかし私はそれよりも早く押さえつけ、無理やりに開かせた。
「……思ったとおりだ」
慎重に、白い保護膜の上から孵化室を撫で回す。
保護膜の硬い感触。
力夕ギリの卵が、ここにあるのだ。
だがさきほどまで仮死状態にあった力夕ギリだ。
母体である力夕ギリ自身はともかく、その孵化室の中の卵は――おそらく、生きてはいない――
いや、わずかな可能性もないではない。
それに、どちらにしても、早く力夕ギリの胎内から卵を取り出さなくては、
今のままでは衰弱した力夕ギリの身体に負担が重過ぎる。
「少し待ってろ」
私は一旦研究室を出ると、近隣の部屋を探し回り、一瓶のオイルを手にして戻ってきた。
オイルをたっぷりと右手にとり、力夕ギリの右足を自分の左肩に乗せるような格好で
再び足を開かせる。
ああ、あ、と怯えてうめき声を上げ始めた力夕ギリに出来るだけショックを与えないよう、
低い声でゆっくりと
「大丈夫、全部俺にまかせろ。すぐに楽にしてやるから」
と囁いた。
右足の腿のあたりを何度か撫ででやると、少し落ち着いたのか、唇を噛んで私を見た。
「何も怖がらなくていい」
その目をじっと見つめ返し、軽く微笑んでやる。
――実際はとても笑う余裕なんてない。
力夕ギリの産卵に立ち会う、ましてそれを介助するなど、初めてのことだ。
いや、世界中探してもそんなことを経験した研究者はおそらくいないだろう。
興奮と不安がないまぜになり、心臓が早鐘を打っていたが、
私が力夕ギリにそんな胸の内を見せるわけにはいかなかった。
視線を外さないまま、私はオイルをつけた右手で再びそっと力夕ギリの孵化室に触れた。
「……はっ、あ」
その刺激に反応して、力夕ギリの身体がびくりと硬くなる。
力夕ギリが指の感触に慣れるまで、何度も繰り返し孵化室を撫でる。
そして私は、孵化室の内側へとオイルで濡れた指先を差し入れた。
異物の入り込んでくる感覚に力夕ギリが短い悲鳴を上げる。
入り口の周りでゆっくり指を動かす。そのたびにくちゅくちゅと水音が響いた。
研究室の安い蛍光灯に照らし出される力夕ギリの白い身体が断続的に震えている。
少しずつ、指を奥へと進ませる。
「んっ……」
力夕ギリは両手で自分の口元を押さえ、声を漏らさないよう必死に耐えていた。
緊張が指先へ伝わる。
ぐっ、とまた少し指を奥へと差し入れた瞬間、
堪え切れなかったのか、力夕ギリが大きく喘いだ。
私の指先が、探し求めていたものに触れた。
さあ、もう後戻りはできない。
私は目を閉じ、力夕ギリに悟られないようゆっくりと深呼吸した。
そして再び目を開ける。
左腕で力夕ギリの上半身を抱き起こし、身体を温めるように肩を抱いた。
「できるだけ痛くないようにするから」
長く伸びた髪が私の鼻先をくすぐる。何故だか、少し良い香りがした。
マッサージするように、指の動きを早める。
「っふ…ぁああ!」
力夕ギリが私の背中に両腕をまわし、縋りついた。
強すぎる刺激にぼろぼろと涙がこぼれている。
背中の白衣がぎゅっと握り締められる。
卵が降りてきているのだろう、
手のひらに触れる孵化室の感触が次第に固さを増していく。
「大丈夫だよ……」
耳元で囁きながら、まるで自分に言い聞かせているようで、私は少し苦笑した。
前髪が汗で額にはりついている。だがそれを不快に思う余裕すらなかった。
力夕ギリはほとんど泣き声のような喘ぎを、もはや止められなくなっているようだった。
祈るような気持ちで抱き寄せた力夕ギリの身体から、強い鼓動が伝わる。
いや、私の心臓の鼓動かもしれない。
つながった指先から溶け合って、身体の境界がなくなってしまったような、眩暈。
力夕ギリががくがくと痙攣した。
すでに限界まで張り詰めた孵化室が、白い命を放とうとしている。
私の背筋までもがぞくりと震えた。
何だか泣き出しそうな気がして、いっそう強く力夕ギリの身体を抱きしめる。
――ああ、神様。お願いだから。
部屋に帰ると、力夕ギリがフルーチェとゼリーを交互に口に運んでいた。
「おい、そんないっぺんに食ったら腹こわすぞ」
「うん」
分かっているのかいないのか、そう答えて片桐はゼリーの袋に手を伸ばす。
力夕ギリが人間の言葉を話せるようになるほどの学習能力を持っているなど、
学会に発表すれば大変なニュースになったことだろう。
私はあの日からなんとなく、力夕ギリを連れ帰って食料を与え、寝床を与え、
まあ早い話が、飼育していた。というより、一緒に暮らしていた。
さしたる理由も目的もない。ただの思い付きだ。
周囲に力夕ギリであることがばれないよう、服を着せ、髪を結え、
たまに大きな特徴である眼球保護膜を外させたりして、まるで人間であるかのように扱った。
そうしているうちに、力夕ギリはいつのまにか言葉を覚えていた。
卵はやはり、生きてはいなかった。
力夕ギリは数日放心状態で、私はつきっきりで
風呂に入れてやったり着替えさせてやったりと甲斐甲斐しく世話をした。
力夕ギリのあまりに痛々しい様子に、すっかり情がうつってしまった、
などと言うと気持ちが悪いので、
これはあくまでも気まぐれということにして、私は力夕ギリと生活していた。
そんな調子でやっていたらすっかり大学に顔を出すのを忘れてしまい、
気付けば長期無断欠勤、そしてリストラの憂き目に合わされてしまったのだ。
私のような優秀な研究者を解雇するなんて一体どういう了見だろうか。理解しかねる。
さて、これからどうしよう?
という茫洋とした問いに答えが出たのは、
昨夜吉野家で牛丼に目もくれず紅生姜をむさぼっている力夕ギリを
見るともなしに見ていたときだった。
「力夕ギリさん」
最近私は力夕ギリのことをこう呼ぶようになった。これも単に気まぐれだ。
力夕ギリは顔を上げて私を見つめ返す。口の周りがフノレーチェまみれになっている。
私は力夕ギリに、昨日徹夜で作り上げた紙束を投げてよこした。
「それ、全部覚えて」
「え!?」
盛大にフノレーチェを噴きながら力夕ギリが叫ぶ。
汚い汚い、と苦笑しながら、私はコートを脱いでハンガーにかける。
振り返ると、力夕ギリはすでに何かに取り憑かれたかのような集中力で紙束を読み込んでいた。
自由奔放すぎるきらいはあるが、何だかんだ言って力夕ギリは私に従順だ。
いろいろ偽造したりとかの段取りしないとな、と私は考えを巡らせる。
上手くいく保障も何もない、気まぐれの思いつき。
そう、昨夜やっと思いついたのだ。
もう一度、私と力夕ギリとで、何かを産み出すための方法を。
煙草を取り出し火をつけながら、力夕ギリが手にしている紙束の表紙を見つめた。
そこには『拉麺図 第1回公演』と書かれている。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
なお素人による卵詰まりの処置はリスクが大きいため、
お飼いになっている小鳥や
雨上がりの道端に落ちている力夕ギリが苦しんでいる場合は
ご自分でなさらず病院へ連れて行ってあげてください。
>>366 GJ!これぞショートショートという感じでwktkしながら読みました
どっかに力夕ギリ落ちてねーかな…
>>366 おもしろかった。GJ
ちょっと漁に出てくる。
>>366 面白い!
元ネタが元ネタなだけにギャグかと思ったら普通にクオリティ高くてびっくりした
モモイロヒメカタギリ飼いたいな
>>336 遅レスだけど書いてくれてありがとう!萌えた!
大昔のANNでフミトシ呼びを聞いてnrnrしたの思い出したよ!
>>349 なんという大楽祭ww姐さんもGJです!バソユウキ話たくさん読めて幸せだ…!
教主の理性って本当に固そうでよっぽどの状態にならないと崩せなさそう
ラストシーンの殺し屋萌えました、ありがとうございました
>>354 GJでした!和み萌えた
谷やんの髪って何となくヒヨコの毛に似たふわふわの手触りな気がするw
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 生 || ∧(゚Д゚,,) < 半ナマ(?)石少米唐ゼロのCMから先生×秘書・秘書視点
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < TV総合スレ25姐さんの「半狂信的な愛」に萌えてついうっかり
i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、< ※捏造エロの上、タイトル通り甘さの欠片も無いのでご注意
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ"
「今夜の会食のご予定は十九時から例の料亭となっております」
「分かった」
黒い革製の手帳を音も無く閉じ、其れを仕舞って事務的な口調で淡々と告げる。
「お時間になりましたら、車を回させますので」
「ああ」
「それでは後ほどお迎えに上がります」
「待て」
ドアノブに手を掛け様とした時、背後から制止の声が掛かった。
踵を鳴らして振り向き、応える。
「はい」
「会食の後の予定はどうなっている」
「本日はそのまま真っ直ぐ御自宅にお帰り頂けます」
「私の予定ではない。お前の予定だ」
「…は、少々野暮用…が、ございますが」
「キャンセルしろ」
主人の命令とはいえ其の傲慢で一方的な物言いは、普通の人間ならば恐らく眉を顰めるのに違いない。
けれど自分は違う。
「承知致しました」
了承の返事と共に深々と会釈をする。
「では、失礼致します」
妙に重々しい音を立て、扉は厳かに閉められた。
「んンっ…、ッ、ふ……」
高層ホテルの最上階に位置するVIPルーム。
ピチャ…という湿った音と微かな奉仕の声音が豪奢な室内に響く。
「もういい、止めろ」
よく通る低い声とともに髪を掴まれぐいと引かれた。
膝立ちの体勢が僅かに崩れる。
「……」
無言のままゆっくりと崇め拝する様に視線を上げる。
突然空いた空白を持て余した口の端からはつうっと唾液が一筋、零れ落ちた。
「相変わらずこうしている時のお前は酷くいやらしい顔だな…んん?」
ベッドに腰掛けた主人は顔色一つ変えずに眼前の顎を捉え上げ、従順な僕を言葉で更に責め苛む。
「その口でどうして欲しいか言ってみろ」
「僭越ながらその前に一つお願いしても宜しいでしょうか」
「何だ」
「上着を脱いでも、宜しいですか」
「駄目だ」
「しかしこのままでは皺になってしまいますので」
「そんな安物のスーツなら後でいくらでも買ってやろう」
「は…」
「いいか、私に二度は尋ねさせるな」
「…はい」
強い視線で促され、濡れた瞳と唇で何時もの様に静かに乞うた。
「………先生―――」
嗚呼、何時からだったろう。
甘さの欠片も無い此の行為が「何時もの事」に成ったのは。
唯、其の体だけが深く深く芯まで繋がるように成ったのは。
彼の人とならば例え其れでも厭わぬと。
当然の如く受け入れたのは他の誰でも無い、自分だ。
元より他の選択肢など有ろう筈も無かった。
次こそ出馬をするのかと毎回の様に馴染みの議員達には尋ねられる。
俗に言うなら政界の影のフィクサーとでも呼ぶのだろうか。
そんな男の寵を、財を、コネクションを得られれば、忽ちの内に成り上がるのも至極造作も無い事だろうと。
自分に向けられるのは何時も何処でも羨望と、恨み嫉妬の欲望にどす黒く満ちた眼差しだ。
馬鹿馬鹿しい。
ちらとも考えた事は無い。
彼の人の下で、有能な秘書で在り続ける事こそが。
此の身の悦びなのだから。
時に冷徹と罵られ様が、無情の鉄仮面と呼ばわられ様が。
其れだけがそう、至上の悦び。
「ア、あああ…ッ…」
振り返り其の表情の一片を窺い知る事すら叶わぬさなか、
声も満足に殺せず、獰猛な獣に嬲られ食い尽くされる様に侵され征服し尽くされてゆく感覚。
穿たれた肉体は揺さぶられるまま狂おしく上り詰め打ち震える。
此れは歓喜、か。
其れとも畏怖か。
唯一、はっきりとしている事は。
己が彼の人の所有物だという事。
唯、其れだけ。
其れ以上など、望むべくも無く。
望むべくも無く―――――………
唯、温かな液体が。
頬を伝って、一雫。
真白い布に、一雫。
ぽたりと落ちて、染み込んでいった。
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 止 || ∧(゚Д゚,,) < CMではほのぼの萌えてた筈なのに何がどうなったのか
//, 停 ||__ (´∀`⊂| < とりあえずあの秘書がエロすぎるのが悪いと思(ry
i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、< 無米唐をテーマにしてみたらかなりアレな感じになったorz
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ
勢いくれたTV総合の25姐さん勝手にありがとう感謝です。ハム式の「有能かつ冷徹な秘書」設定にもうっかり萌えました
お読み下さった方がいらしたらありがとうございました!
>>376 GJ!あのCM大好きなのでss読めて嬉しいです
>>372 ふぉおおおおおおおお!
次CMが流れたら正気を保てる自信がない
>>372 GJ。激しくGJ!!
秘書がエロすぎて毛根ごと毛抜けましたありがとう!!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
某舞台カテコの2人が可愛すぎてうっかりナマモノ初挑戦。
イ非イ憂 境雅入氏と上ノリ鷹也氏の多分ギャグ。
人様が見聞きした情報と某缶コーヒーCMネタで構成されております。
このタイミングのダメさにはもう自己嫌悪を通り越して笑いがw…orz
>>372姐さんスミマセン!
こんな仕事をしていれば、知り合いの声がテレビから聞こえてくる
なんてことは日常茶飯事で、別段取り立てて驚く事でもない。
それでもその日、時計代わりにつけていたテレビから聞こえてきた声に
思わず体の向きが変わったのは、この数カ月、自分がその声をあまりに
近くで聞きすぎていたからだろう。
咄嗟に踵を返し、駆け寄ったテレビの前。
流れていたCMはどうやらロングverだったようで、後半に差しかかっていた。
画面に映っているのは某缶コーヒーCMのシリーズ前作から出演している
大御所俳優と、その声の人。
役柄はどうやら大物政治家の有能秘書らしい。
内容的には笑えるものなのだが、ついつい固唾を飲んで見てしまい、
終わった瞬間はぁっと深い息が漏れる。
そしてそれと同時に唇をついた言葉。それは、
「上ノリさん、ドS…」
そんなものだった。
某有名劇団の秋公演に参加して、稽古も入れれば早2ヶ月。
公演は後半戦の大阪に劇場を移し、連日好評の中上演されていた。
基本的に遠征になる客演キャストはその劇場に併設するホテル泊まりに
なるので、朝の準備等には若干の余裕が出来る。
だからゆるゆると身支度を整えながらも、今自分の頭の中にあるのは
先程見たCMの事ばかりだった。
出ていた声の主は、まごうことなくその今出演している舞台の主演様だった。
年は10まではいかないけど自分より上。
演技力には定評があり、実際目の当たりにしたその技術、体力の安定感は
素晴らしく、その人柄は業界内でも真面目、ストイック、好青年の大合唱。
これまで飲み会などでのニアミスは多少はあり、役者として同じ道の先輩として
なんだか勝手に親近感を抱いていた人だったのだが、その心証は実際今回の
意外ですらあった初共演の場でも揺らぐ事はなかった。
しかし、
それでもがっぷりよつに組んで仕事をするとなると、それまで見えて
いなかった人の面と言うのも見えてきたりする。
そこからついつい零れる感想。
「似合いすぎです、上ノリさん。」
それは先程見た、良く言えば冷静沈着、言い方を変えれば冷血そうな
秘書姿についてだった。
いや、とてもいい人なのだ。
仕事には真剣だし、基本的に朗らかだし、頼りがいのあるお兄さん的な存在で
間違いはないのだ。
しかし、それでも……その人は時々違う面を自分にのぞかせる。
思わず遠い目になって思い出してしまう、あれは東京公演中の自分の誕生日。
終演後のカーテンコールでケーキが登場し、自分はその場でコメントを求められた。
予想外のことだったので驚きはしたもののうれしかったし、それはそれで良かった。
しかし事件はその半月後に起きた。
東京千秋楽日。同じく誕生日を迎えた役者に出されたケーキのハプニングに対し、
鋭く入るその人のツッコミに、ノッてるなー座長とホケホケ笑っていたら、
なぜか誕生日当人達の挨拶の後、唐突に自分にまでコメントを振られてしまった。
えっ?と驚き、なんで?!と慌てながら、それでも必死に何か言おうと
言葉を発した瞬間、
『本日はどうもありがとうございましたー!』
ものの見事なぶった切り。
あの瞬間、思わず『ひどいよー!』とその人を指さしてしまった自分に
罪は無いと思う。
あげくそのまま下がった舞台袖で笑いながら自分を迎えた周囲の言葉は、
『遊ばれてるねー。』
明るく言い放たれ、思わず『僕、何か悪いことしましたか?!』と泣き言めいた
事を口に出せば、それにすでに以前彼の人と何度か共演し、その人となりを
知っている人達は皆口をそろえてこう言った。
『あー、大丈夫大丈夫。上ノリ君って嫌いな人にはあんな酷い事しないから。』
それは、どう受け止めればいいのかかなり悩む言葉だった……
はぁっと自覚の無いため息が口をついた瞬間、テレビの方角からまた同じ声が
聞こえ、反射的にビクッとする。
大手会社のCMだから頻繁に流れているのか。
しかしそうして視線を向ければ、そこで展開している映像やセリフは
先程見たものとは少し違っているようで。
もしかして幾つかverがあるのだろうか?
気になればそれは止めようがなくなった。だから、
「マネージャー、パソコン持ってきてたよな。」
最近はHPにCM動画を上げているものも多い。
世の中便利になったもんだと荷物を手に部屋から出る、その言い方がかなり
若人らしくないと言う自覚は、実はあまり無かった。
この劇団は毎日本番前に殺陣のおさらいをする。
そうしなければならないほどの量と複雑さなので、怪我をしないよう皆真剣で、
実際自分が劇場に着いた時には、座長たる人はすでにウォーミングアップの
段階に入っていた。
「おはようございます。」
声をかければ、
「ああ、おはよう。」
Tシャツとジャージ姿で柔軟をしながら返事を返してくれる。
床にペタリと座り込んで前屈。その背後に自分は近付いた。
膝を床につくような形で腰を下ろし、話しかける。
「あの…CM見ましたよ。」
少しためらった後、それでもやはり口にする。
するとそれにその人は一瞬キョトンとした目でこちらを見てきたが、何を
言われたのかはすぐに察したようだった。
「あ〜、あれか。OAされだしたんだ。」
「面白かったです。」
「そう?それはどうも。」
サラリと、しかし笑顔で返され、ついこちらの口角も上がってしまう。
こうなってしまうあたり、なんだかんだ言いながらもやっぱり自分は
この人に好感を持っているのだと思う。
だから知らず饒舌になってしまう。
「一気に4パターンもあるんですね。」
「えっ?」
「パソコンで見ました。僕あれ好きです、カンキョー編。」
後からよくよく考えてみれば、そこまで熱心に人の仕事内容を知ろうとした
相手に何か思うところが生じるのは、至極当然の事だったかもしれない。
しかしこの時その人は自分に対し、とても大人な対応をしてくれた。
「おっしゃるとおり、です?」
再び柔軟を始めながらそのCMに使われていたフレーズを口にされ、
思わず楽しさがこみ上げる。
だから調子に乗り、自分も同じように覚えていたそのCMのフレーズを
口にしていた。
「CO2の量減りますね。」
「おっしゃるとおりです。」
「地球環境の問題も解決ですね。」
「おっしゃるとおりです。」
「上ノリさん、東京千秋楽で僕の言う事まったく聞いてなかったですよね。」
「おっしゃるとおりです。」
グサッ
あれ?今胸のトラウマに何かが刺さった気がする。
咄嗟に無意識に片手を胸に当て、もう一方の手を床についてガックリ
四つん這いになった自分に、その人が隣りから?と怪訝そうな目を向けてくる。
そしてその時、そんな自分達の背後を通りかかった誰かが面白そうに一言。
「境君って、もしかしてドM?」
トドメの一撃は見事、無防備な背中を刺し貫いていってくれた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
カンキョー編、早くテレビで流れないかな〜
と言う訳であらためて
>>372さん
萌えました!髪が真っ白になった後に全部抜け落ちました!!w
ステキにエロイ読後の余韻、ありがとうございました〜
>>381 GJGJ!かわいいなあああ!萌えました
自分
>>372ですがリアルタイムで遭遇して追いながら読めたのは運命だと思いますありがとうございますw
あと、何気に十年来で好きな劇団なので、殺陣のおさらい描写とか細かくてときめきました
カンキョー編、うちのPCで観られないのでOA楽しみにしときます!
最後の台詞は後頭部ちょっと髪の毛の人とか眼鏡の人の声辺りで再生されたw
初投稿です。生。鯨人。エロなし。赤劇場ネタ有。
邪留誤答自宅八多辺で小さい方視点です。
関西弁がアレですが生温く見守ってください
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
収録の空き時間、俺は階段の隅にこっそり座り込んで
密かに持ってきていたゲームに夢中になっていた。
もう少しで倒せる、長い間苦労したラスボスに最後の一撃を、と
親指を動かしかけたその時だった。
「あ、八多辺さん!」
「ぎゃっ!」
突然に名前を叫ばれて驚いた俺は手に持っていたゲームを床に落としてしまった。
慌てて拾うものの憎いラスボスは既に画面から消え去り
真っ暗な画面に自分の悲痛に歪む顔が浮かぶだけだ。
「うそぉ・・・電源切れちゃってるし・・・」
よりによって今名前叫ばなくても、と俺の30分を奪った声の主を
確かめようと後ろを振り返ると
「もーこんなとこおったんですか・・・あれ、何か落としました?」
「え、ご、後藤くん?」
そこに立っていたのはまさかの後輩の誤答君だった。
もう同じ番組を一年以上もしているのに俺の心臓は彼を見るたび
一瞬止まってしまう。むしろこの一年で彼に対するトラウマがたくさん増えた。
「その緑のって、八多辺さんのDSやないですか?」
「お前のせいで電源切れたじゃん!」と思いっきり言い返してやりたいが
相手が誤答君じゃどうしようもない。
「あ、いや、いいんだ。それより何かあったの?用事?」
「せやせや、何か壷さんが用事あるから、呼んで来い言われて・・・」
「え、壷が?」
(誤答君が用事があったわけじゃないのか・・・)
そのことに安心してしまうあたりも先輩として情けない。
「そっか。ありがとう、今行くよ」
握り締めていたDSを名残惜しくズボンのポケットに押し込んで
誤答君をパシるなんて坪はすごいなあ、と我らがリーダーに感心しながら
壷の待つ楽屋へ向かった。
「よく俺があそこにいるってわかったね。なんで?」
楽屋までの廊下。
関西生まれというのとその足の長さで歩くのがすごく早い誤答君は
僕の少し前をスタスタと軽快に歩いていた。僕は必死に後をついていく。
「・・・一応言っときますけど、あそこまでたどりつくのに
俺そーとー探し回ってますよ、八多辺さん。」
「す、すみません・・・」
我ながら情けない声で詫びる。
「まあ、俺が見つけきったんは例のミニコントの成果ですね、きっと」
「ああ・・・いつも呼びに来てるもんね、誤答君」
「現実でもコントのまんまやないですか。人間ができてないなあ八多辺は」
「ちょ、ちょっと!ひどい!ていうか呼び捨て呼び捨て!」
後輩とは思えない言動に僕が抗議すると、誤答君はすごくさわやかに、
なんというか、シュッとした笑顔で「あははは」と笑う。
俺は以前までこの笑顔がすごく怖かった。でも最近はそんなに怖くない。
なんでかはうまく言えないけど、多分 ――
「あのさ、誤答君ってさ、最近笑うときにちゃんと目も一緒に笑ってるよね」
前を歩いていた誤答君が立ち止まって、怪訝そうな顔で振り向いた。ちょっと怖い。
「最近て・・・俺は前から目もわろてますよ」
「そ、そうかもだけど、なんか最近目が優しいな、って・・・」
たまりや楽屋で喋ってるときも、前よりもずっと誤答君の目は優しい。
「・・・でも昨日中丘さんと子過度さんに「誤答の目は怖いわ〜いややわ〜」って言われた
ばっかりですよ俺」
そういえば昨日二人ともそんなこといってた気がする。
「俺が慣れちゃっただけなのかなあ・・・」
前でこっちを振り返りっぱなしの視線に気まずくなってうつむいてしまう。
その後少し沈黙があって「俺はやっぱり何か地雷を踏んだのか?」という不安に一人
見舞われていると誤答君が口を開いた。
「俺は元々冷たい目なんかしてへんのに。まあでも・・・」
そこで一息ついて、彼は続けた。
「八多辺さん"だけ"がそう思ってんねやったら、つまりはそういうことなんちゃいます」
「・・・え?」
誤答君が言った意味がわからなくてうつむいた顔をあげると
彼はもうさっさと前を向いて長い足でまたスタスタ歩き始めていた。
「え、え、誤答君、今の『そういうこと』ってどういうこと?」
「・・・分かれへんのなら自分で考えて下さい」
俺をずっと探して息があがったのか顔が少し赤くなっている誤答君に何度意味を
問いただしても答えは「自分で考えろ」の一点張りだ。俺の読解能力が低いらしい。
「ねえねえ、さっきのどういうことなの!そういうことってなんなの!」
「ああもう!しっつこいなこのオッサンは!はよう歩け、八多辺!」
「あー!また八多辺っていう!俺先輩だってばー!」
誤答君は何が言いたかったんだろう。壷に会ったら聞いとこうと思う。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
妄想いっぱいですみませんでした。本当こいつら可愛いわ。
394 :
ナルキッソス:2009/11/29(日) 15:24:35 ID:0zaqTTAJ0
鯨人。隅から隅までパラレルの死にネタ、エロもない残念仕様。
場七と麺のブレインふたり、場七視点。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
俺は湖のほとりに立っている。なぜここに居るのかも、ここがどこなのかもよく解らない。
見渡すと、湖の中に、人影のようなものが見えた。よく見るとその顔には見覚えがある。
「おい、おい。大丈夫か」
慌ててジーンズが濡れるのにもかまわず彼に駆け寄った。水面は彼の顔すれすれのと
ころまで来ていて、このままでは呼吸が危ない。
「おい、しっかりしろ」
彼の背中と膝の下に手を滑り込ませて抱き上げると、水から引き上げた。揺さぶっても、
名前を呼んでも彼は一切の反応を示さない。最初は睡っているのかと思ったが、そうでは
ないと漸く気付く。彼の胸には、銃で撃たれたような穴が開いていた。さっきまでは染み出
る端から水に洗われてしまっていたのだろう。俺の腕の中で、彼の白いシャツにじわじわと
赤いしみが広がり始めた。睡っている人間は重いと言うが、体温を失った彼の体はずしり
と沈み込むように重かった。
──ああ、そうだ。
湖のほとりには、沢山の白い花が咲いている。見覚えはあるが名前は解らなかった。
──俺が殺したんだった。
漠然と、確信のようにそう思った。
瞬間、目の前が暗転した。
気がつくと、目の前に彼が座っていた。俺たちの舞台でよく使う、立方体の白い箱に
俺も彼も座っている。暗闇にスポットライトが当たっているかのように、真っ黒な世界に
彼だけが浮かび上がっている。先ほどの胸の傷は消えてなくなっていた。
「久しぶりだね、こうして話すのは」
そう言って、彼は右腕を使い古された仕草で俺に差し出した。その手には一輪の花が
握られている。
「君に花をあげよう」
彼はウサギによく似た目で薄く笑った。その口調は、彼が舞台でよくする息を吸って吐
き出すのと、発声に一瞬ずれがある劇団特有のものだった。
「水仙だ」
見れば、彼の右手の花は先ほどの湖のほとりに咲いていたあの花だった。彼はその花
を俺の胸ポケットに挿すと、やはり芝居がかった仕草で膝の上に手を戻し、背筋を伸ばし
て俺を見る。
「この花の学名を知ってるか?」
彼の顔は微笑んでいたが言葉は平坦で、現状が飲み込めず当惑する俺に構わず淡々
と言葉を紡いでいく。まるで鏡を相手に芝居でもしているようだった。
「ナルキッソス」
彼は口の端を吊り上げた。もちろん知っているだろう?と言いたげな、挑発的な目だった。
その目を見るたび、なぜか俺は反抗したくなる。
ナルキッソスは湖に写った自分の姿に恋をし、焦がれるあまりそこから離れることが出来
なくなって、いつしか痩せ細って死んでしまった。
だからなんだと言うのだろう。脈絡がわからない。なぜそんな話を今、俺にするんだ。そう
言おうとした時だった。
「俺は、お前じゃない。知ってただろ?」
心臓を冷たい手で握られたような気分だった。彼の表情は貼り付いたような笑顔のまま、
ぴくりとも動いていない。
ナルキッソス。
彼の唇がそう動くことを止めたくて俺は彼に掴みかかっていた。シャツの襟首を掴んで、床
に引き摺り倒す。腕越しに頭を打ち付けるごつりと鈍い感触が伝わった。力任せで、たとえ彼
の首が絞まっていようが構わなかった。いっそこのまま死んでくれればいい。視界がコマ送り
のように揺れて自分がひどく動揺していることが解る。
「俺は、お前じゃない」
彼の唇が動く。
「それが解ったら、取り除くことしかできないのか?」
先ほどの笑顔は消え、彼ははっきりと軽蔑した目でこちらを見ていた。
その目で見るな。頼むから。見ないでくれ。
彼の表情は崩れない。頭を強く打っているはずなのに、苦痛に歪むこともない。
見るな。見るな見るな見るなみるなみるなみるなみるな。
頭が真っ白になる。とにかく目の前から彼を消してしまいたかった。首はぎりぎりと絞まって
いるのに、彼の表情は崩れない。彼の後頭部を何度も強く床に打ち付ける。それでも彼の表
情は崩れない。ふと、さっき花を挿された胸ポケットがずしりと重いことに気付き、目線を送る
と、いつの間にか水仙が拳銃にすり替わっていた。俺は反射的にそれを掴んで撃鉄を上げる
と、彼の左胸に押し付けて、引き金を引いた。
そこでまた視界が暗転した。
湖に戻っていた。
腕の中の彼を見ると、さっき俺が撃ったのと同じ場所に焦げ付いた穴が開いている。睡るよう
な彼に、悲しいとも腹立たしいとも思わなかった。湖の水は澄んでいて、ナルキッソスが咲いて
いて、彼の目は端正に伏せられ、胸に赤い花が咲いていた。視界に入るもの全てが恐ろしいほ
ど美しく、その悪意のないきらめきが目の奥に刺さる。気分が悪くなりそうだった。虚脱感がひ
どい。
「大嫌いだったんだ」
ぽつりと彼に言ってみた。お前の事が、じゃあない。お前を見る自分が、だ。決して認めなかっ
たが知っていた。立っているのが辛くなって、俺はその場に膝を折る。太腿の辺りまで水に浸
された。水面の動きに伴って、彼の髪がたなびく。顔色は蒼白で、当たり前だが彼は動かない。
人形のようでとても綺麗だと思った。
「お前は俺に似てただろう?」
俺は話しかける。自分に都合の良い答えを得るために。俺たちは似ていた。これ以上ないほ
どに気があった。一緒に居ると誇らしかった。同じ世界を歩いていた。そうだろう?彼は動かな
い。だが違った。根底で流れるものが違っていた。時間が経つにつれ、その違いが目に付くよう
になった。しかし、それ以外の部分は似すぎていた。だから些細な違いに腹が立った。どうして
一人で行ってしまうのか解らなかった。縋り付く勇気はなかった。涼しい顔の彼と動揺する自分
が許せなくて小さなことにいちいち噛み付いた。その瞬間だけ彼の注意が自分に戻る。それに
必死だった。小学生じゃあるまいし、馬鹿じゃないだろうか。
お前なんて最初からこうして俺の手の中に納まってしまえばよかったのに。
俺は頭がおかしい。
どうにもならない状況になると、人間は嗤いたくなるのだな。そんなことを思いながら、胸の中
に溜まった不愉快なガスのようなものを吐き出したくて俺は嗤う。感情のまるでこもらないただの
音でしかなく、それは自暴自棄をさらに煽った。
「ざまあみろ」
彼は動かない。もうどこかに行くことも出来ない。理で俺をねじ伏せることも出来ない。共に笑う
ことも出来ない。俺の隣に立つことも出来ない。同じ世界を見ることも出来ない。独裁者というの
はこんな気分なのだろうか。立ち上がって、湖の中心に向かって歩く。水深が徐々に深くなり、胸
の辺りまで水が来たところで、俺は彼をきつく抱きしめてその中に沈み込んだ。
ナルキッソスは湖に写った自分の姿に恋をし、焦がれるあまりそこから離れることが出来なくなっ
て、いつしか痩せ細って死んでしまった。
ごぼごぼと空気を吐き出しながら、俺は早く呼吸が止まってしまうことを願った。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
場七視点なのはいいが、もうちょっと固有名詞入れて分かり易くしておくれ
>>390 誤答×八多ktkr!
二人とも可愛いな(*´∀`)
>>394 ありがとう禿萌えた
この二人大好きなんだけど
もう並んでる姿は見られないのかなと思うと切なくなる
携帯から失礼
初投稿なので失敗しちゃったらごめんなさい
半生(?)石少米唐ゼロのCMより
政治家×秘書 政治家視点
ヤマもオチもイミもないエロです
若干描写濃い目かも…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「ふっ…、ッ、ん」
夜の摩天楼を見渡せる仄暗いVIPルームで、男は私が命じた通りに自慰行為を続けていた。
床に膝を立て、忙しく自らを攻め立てている。
荒い呼吸と小さな喘ぎだけが響く中で、私はソファに腰掛けワインを口にした。
男の見目は悪くない。
現に、眉を寄せ切なげな表情を浮かべる男を見ているのは気分が良かった。
まるで美しい絵画を鑑賞しているような──そんな錯覚すら覚える。
恭しく顔を上げて男は私の顔を伺った。そろそろ限界がきているのだろう。
私は、男が一人で絶頂を迎えるのを許していなかった。
私が僅かに眉を上げると、男は口を開いた。
「…せんせ…ッ、もう」
私は立ち上がった。
ゆっくりと歩み寄り、男の前に膝をつく。顎を上げさせると男の濡れた目が媚びるような色を帯びる。
──悪くない。
そう思ったが、私は男の手首を掴み、その指の先を男の唇に当てる。すると男は自らの指を自分で舐め始めた。
いつものことだった。
私が男のものを解してやることはないし、それはこの男も理解している。
男は四つん這いになって、後ろの孔に自らの指を埋める。
ネクタイをつけ、背広を着させたままのその格好は、いつ見ても背徳的で、そして扇情的だった。
「…っ、あ……」
顔を伏せようとするのを、無理やり上げさせる。そして唇に指を這わせ、さらにその中へと指を忍ばせる。
そして上顎の粘膜を撫でてやると、男は眉を寄せた。
「…ふ、ッぅ……」
口の端から持て余した唾液が零れ落ち、床に染みを作るのを眺めてから、私は自らのものを取り出す。
それは男に口淫させるまでもなく、男の醜態を見て勃ちきっていた。
「せ、んせい…まだ……」
男は当惑したように顔を上げる。けれども有無を言わさず、私は男に尻を此方へ向けるように命じた。
素直に従った男の身体を、私は割り開いた。だがやはり少し解し足りないのか、そこはいつもより狭い。
「……ッ、ぃ、っあ…」
「痛いか?」
「…い…え」
掠れた声で男は答える。だが痛くないはずはないだろう。
下を見やるとどす黒い液体が数滴、床を汚した。
冷徹な男──周囲はそう評する。腹に何かを抱えているに違いないと、男を冷たい目で見る者も多い。
だが一体誰が、この男のこのような姿を想像しただろうか。
「動くぞ」
「…っ、はい…先生」
最初は鈍かった動きが徐々に円滑になってくると、男は声を上げた。
これも、私がそうするように命じたのだった。
身体、声、態度、そのすべてをもって私を愉しませ悦ばせる──それこそがこの行為の目的だと。
「…あッ…は、ぁ…っ…」
私は動きを止めた。絶頂を迎えたときの男の表情を見たいと思ったのだ。
──すべて余すところなく味わい尽くさなければ。
男は振り返って私の顔を伺う。
「上になれ」
短く告げると、男はこくりと頷いた。
私は寝台に上がり、仰向けになる。後を追うようにして男は私の上に跨った。
「……失礼致します」
今度は息を詰めるだけで、男は私のものを自分の中に入れる。
「──先生」
熱に浮かされた声で私を呼ぶ。その声も、やはり悪いものではなかった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
1から始めるつもりが、ナンバリング失敗いたしました……作品は以上になります……orz
エロ久しぶりすぎて自分でも勝手を忘れてしまった
でも
>>342姐さんにもだもだしたからついつい……
拙い文章を読んで下さった方、ありがとうございました!
>>390 GJすぎる!
510×矢食べ好きすぎて仕方なかったんだ…!
いつも矢食べを探しにくる510萌え
壺や六地が出てくるところもGJだよ
赤劇場絡みの作品が読みたかったから嬉しかった
>>405 …!…!こっちがもだもだした!GJ…!
公開Gとか指舐めとかキジョーイとか脳内の秘書のエロ姿全部形になったみたいだ…!
萌えましたありがとうございます!事後の余韻に浸りながら寝ます。
安価は………うん、中の人には変わり無いかw
英国発顔付き機関車、太っちょ局長×眼鏡局長
名前以外は全部捏造。ネタにマジになっちゃいましたって感じです
もう何と言うか…笑ってやってください
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| おっさん同士のお話だモナ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 苦手な方は要注意
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ヤメトケ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
コンコン。と二度ドアをノックし、ミス夕ーパーシバノレはノブにそっと手をかける。
ソド一鉄道局長室へ入るのはこれが初めてだった。
そのせいかやけに緊張しているようで、手にはうっすらと汗が滲んでいる。
何の前触れも無く突然、今日の午後一番にこの部屋に来るようにと通達があったのは昨晩遅くの事だった。
上の者に呼び出されるほどの重大なミスにも事故にも、今のところ心当たりはない。
こんな肩書きも何も無い平社員に、一体何の用があるというのだろうか。
ミス夕ーパーシバノレの心の中では、不安の占める割合が徐々に大きくなっている。
「……失礼します」
細身の長身を揺らせながら、ゆっくりと室内へと歩を進めてゆく。
こじんまりとしていて簡素な局長室内。
呼び出しの主は、どうやら局長本人であったようだ。背を向けたまま、窓の外で走る蒸気機関車の姿を眺めながら言った。
「よく来てくれた。本日は忙しい中、突然の呼び出しに応じてくれた事を大変感謝申し上げるよ、ミス夕ーパーシバノレ」
振り返ろうとする様子は無い。ミス夕ーパーシバノレは局長──トップハムハッ卜卿の背に向けて一礼を送る。
ハッ卜卿は背を向けたままで言葉を続けた。
「君の素晴らしい仕事ぶりはよく耳にしている。大西部鉄道組の中でもトップクラスだという事じゃないか」
大西部鉄道組──この数カ月の間に大西部鉄道からこのソド一鉄道へと入局してきた者の事をソド一鉄道内ではそう呼んでいる。
ミス夕ーパーシバノレもその中の一人だ。
丁度半年前の事だった。大西部鉄道がその運用を蒸気機関車からディーゼル機関車へと移行するという方針を固めた。と全社員に通達したのは。
それは時代の流れであるのだから致し方ないという者もいれば、蒸気機関車と共に仕事が出来ないのであれば働く意味は無い。という者もいた。
その後者に当たる者達が、未だ蒸気機関車での運用が中心であるこのソド一鉄道にやって来たというわけだ。
「それにミス夕ーパーシバノレ。君は大西部鉄道時代は局長代理まで務めていたそうではないか」
この言葉を耳にした瞬間、ミス夕ーパーシバノレは眼鏡の奥の両目をはっと見開き、ドキリと胸を鳴らせた。
「今まで知らずにいた事は大変申し訳ないと思う。しかし何故この事を最初に言わなかったのだ?」
ふと、局長専用のデスクに目をやる。そこには少しだけ古い色をした一枚の紙が置いてある。
それはミス夕ーパーシバノレがソド一鉄道への転局を希望した際に最初に提出した履歴書だった。
「……私は出世の為にここへ来たのでは無いので、要らぬ気遣いをさせてしまうかと思いまして」
「そうか。それなら良いのだが」
ハッ卜卿は少しばかりほっとしたような声色でそう口にした。
「ところで本日君をここに呼んだのは他でもない。君の日頃の仕事ぶりに敬意を表して何か褒美を授けようと思うのだが」
そうは言うものの、ハッ卜卿は相変わらず振り返ることなくその丸っこい背中で淡々と語り続ける。
褒美。その言葉にミス夕ーパーシバノレはふと、何かを感じたような表情を見せた。
そして中指でくいっと眼鏡を上げ、わずかに眼光を鋭くしながらはっきりとした口調でこう言ったのだ。
「それでは……私の質問にひとつだけ答えていただきたいのですが、宜しいですか?」
ミス夕ーパーシバノレその言葉を聞いた瞬間、ハッ卜卿の丸い背が微かにびくりと動いたのが見て取れた。
「……ま、まあ良いだろう。何でも聞いてくれたまえ」
ハッ卜卿の声色に明らかな動揺が伺える。だがミス夕ーパーシバノレはそれを気にかけることなく、大きく深呼吸をしてこう告げたのだ。
「覚えていますか? 私の事を」
局長室内を不穏な静寂が包み込んだ。
それはたった数秒の沈黙なのだろうけれども、ミス夕ーパーシバノレにとっては長い長い、先の見えない静けさのように感じられた。
そしてようやく、ハッ卜卿は口を開いた。
ひどく重たげなその口調は、自身の言葉に一切の嘘偽りがない事を示すようなものだった。
「……覚えていないわけがなかろう」
もう十数年以上前にもなる、遠い昔の事だった。大西部鉄道の所有するとある機関庫をひとりの青年が訪ねた。
背だけはひょろりとばか高い、眼鏡をかけた痩せっぽちの若者──パーグリン・パーシバルは、
卒業論文を仕上げる為に必要な蒸気機関車の性能についての話を聞かせてほしい。と、機関庫の鉄道技師達に頼みにやって来たのだ。
しかし、全身を真っ黒にして毎日現場で汗を流し働く技師達は、色白で頼りなさげ大学生の頼みなど聞く耳ももたずに小馬鹿にするばかり。
すっかり困り果ててしまった青年が、これで駄目なら諦めようと最後に声をかけたのが
機関庫の片隅で休む間もなく機関車の整備を行っていた、とても小柄な男だった。
彼は青年の頼みを聞くと、嫌味のひとつも言わず快く了解してくれ、その日は早速、夜遅くまで青年の調べ事に付き合ってくれた。
それからというもの、青年は毎日のように機関庫に通っては彼の元を訪ね、蒸気機関車についての多くを教わっていった。
彼は他の技師からもクレイジーだと揶揄される程に毎日機関庫に入り浸っており、そして誰よりも蒸気機関車というものを愛していた。
だから蒸気機関車について知りたいという青年に対しても、仕事と並行してとことんまで付き合い尽くしたのだ。
蒸気機関車を愛する者に悪い奴などいない。それが彼の口癖だった。
そんな彼と毎日顔を合わせているうち、青年にとってのただの研究材料に過ぎなかった蒸気機関車にも次第に愛着が湧いてくるようになった。
そして、ますます青年は彼と過ごす時間が長くなり、そして、より濃密なものとなっていったのだ。
論文を仕上げるその合間の時間は、全て機関庫で彼と過ごす事に費やした。彼もまた、青年の来訪をとても喜んでくれた。
やがて、彼のたまの休日になると、青年は彼の住まう部屋を訪れるようになった。
機関車の資料を見るという目的から始まり、やがては暇な日にふらりと訪れるまでになっていった。
蒸気機関車の事となると子供のように無邪気になる彼の笑顔を見る事を、青年はとても楽しみにしていた。
気付けば青年もまた、蒸気機関車に深い愛着を抱くようになっていた。
論文の内容も当初のテーマから大幅に変更され、彼から教わった蒸気機関車についての内容が大半を占めるまでになる程だ。
そしてその深い愛着は蒸気機関車だけでなく、蒸気機関車をこよなく愛する彼にも向けられるようになって行った。
恐らくは自分自身よりもひとまわりは離れているだろう彼の傍にいる事が、青年には何よりも幸せな時間だった。
そして、彼に対するそんな感情が愛であるという事を自覚した頃、彼もまた青年に対し同じような思いを抱いているという事を知ったのだ。
青年は彼からもうひとつの大切な事を教わった。人を愛する喜び。愛する人と体温を重ね合う事への、悦びを。
普段は技師として働く無骨な彼の指は、丁寧だが気丈に、その頼りない細身を懸命に愛でる。
青年もまた、不器用なりに一心不乱に彼の小柄な身に悦びを与えたいと尽くしていった。
気が付けば、彼は青年にとっての全てだった。彼のいないこの世界など、もう考えることさえもできない程にだ。
きっと彼もまた、自分と同じ事を思っているに違いない。そう信じて止まなかった。
しかし、青年に課せられた卒業論文の期限が間近に迫ると、彼と過ごす蜜月の一時もやがて終わらざるを得ない状況にまでなっていった。
そして彼と過ごす最後の夜、青年は月明かりを背に彼と指を絡めながら、ひとつの誓いを立てたのだ。
──この論文を完成させ卒業した暁には大西部鉄道に入局し、大好きな機関車に囲まれ、そして貴方と共に生きる
青年はひとりで過ごす夜の度、そんな幸福に満ちた夢を思い浮かべては、彼と再び出会う日を待ち焦れていた。
「──今となっては何を言っても、ただの言い逃れにしかならないと思うが」
ハッ卜卿はトレードマークの燕尾服を悲しげに揺らせ、現実逃避するかのように窓の外の景色を眺め続けている。
「あの頃のワシには、機関車から離れた仕事をするだなんて考える事が出来なかったのだよ」
窓の外に映る操車場では、絶えることなく多くの蒸気機関車や局員が動き回っている。
洗車を施されて青空に映える、赤いボディの機関車。休みなく貨車の入れ替えを続ける小さく丸い、緑色の機関車。
機関車達を一台も逃すことなく眺める事の出来るこの窓の存在が、その言葉の真実味を裏付けている。
「ただ、君に別れの一言が告げられなかった事だけは……。本当に悪い事をしたと思っている」
そう言いながら、ハッ卜卿はようやくくるりと振り返ると、かぶり続けていたシルクハッ卜をそっと外した。
記憶の中の彼の未来像からは想像もつかない程の変わりぶりにを目の当たりにして、ミス夕ーパーシバノレはそっと瞳を閉じた。
瞳を閉じると目前に広がる、闇の世界。
そう、あの日期待に胸膨らませて機関庫に再び出向き、そして、この同じ闇の世界へと突き落とされたのだ。
青年の論文は最高評価こそは下らなかったものの、運良く大西部鉄道の幹部の目に留まり、いたく良い印象を受けたようだった。
その縁もあり、青年は卒業後の大西部鉄道入局への切符を早々に手に入れる事が出来た。人生最高の至福の瞬間だった。
無論、その喜びの報告は家族よりも誰よりも早く、今日も機関庫で蒸気機関車と向き合っているのだろう彼に報告したいと願い、
そして青年は愛用の自転車で石畳の街並みを猛スピードで駆け抜け、喜びで頬を紅潮させながら機関庫へと向かった。
だが、いつもの場所にいたのは彼ではなく、薄汚れた蒸気機関車と、下品な笑い声を上げる図体の大きな見知らぬ鉄道技師。
その男に彼の居場所を尋ねた青年は、得た答えに驚愕した余りその場にひざまずいてしまった。
──あのチビはもうここにいないよ。折角、昇進して機関車いじりから解放されたってのに、馬鹿な奴だよ。
質の悪い冗談ではないかとも思ったが、部屋を尋ねてみるとその悪夢が紛れもない現実である事を知った。
機関車の資料が山のように積み重なっていたテーブルも、幾晩も幾晩もとろける程に愛し合ったベッドも。
全てが引き払われて閑散としたその空き部屋で、青年は瞳に闇を映し、頭を真っ白にし、眼鏡のレンズを大粒の涙で濡らせた。
蒸気機関車の走る姿を見る度に、機関庫に立ちこめる石炭の臭いを浴びる度に、あの幸せだった日々が思い起こされるという毎日。
幸せだったはずの思い出に苦しめられる日々から逃避するかのように、青年は配置された現場で狂ったように仕事に没頭した。
何かに意識を向けているその間は、あの日の出来事を思い起こさずに済む。
意識する対象など、何だって良かった。ただ一番近くにあったのが仕事だったから、それに集中したというだけの事だ。
本当に狂っていたのだろう。寝る間も食べる間も惜しんで、周囲の誰よりも長く仕事と向き合い続けていたのだから。
そうして駆け抜けるように過ぎていった数十年の結果が、局長代理という栄誉ある地位だ。
誰もが自分をミス夕ーパーシバノレと呼び、頭を下げて迎え入れてくれた。称賛の拍手も山ほど浴びた。
けれども人々に褒め称えられ喜びを覚えるその度に、あの日の絶望の記憶が色褪せながらも脳裏をかすめ、心の中に影を落とす。
どんなに死ぬ物狂いで何かに没頭し、その延長線上で讃えられる結果を残したのだとしても、
本心から満たされるという事はきっともうは無いのだろう。
上層部がディーゼル機関車への運用の移行を決定したのは、そんな思いに達観しつつあった矢先の出来事だった。
局内が末端を中心に混乱を続ける中、移行に伴い不要となった蒸気機関車の譲渡に関する諸手続を担当する事となった。
そして、受け渡し先のひとつだったソド一鉄道の最高責任者である、通称太っちょ局長──トップハムハッ卜卿と出会ったのだ。
「……まさか貴方と、こんな形で再会するだなんて。今でも信じられません」
ミス夕ーパーシバノレは涙を精一杯堪えるような詰まった声でそう言った。
「ワシだって同じだ」
ハッ卜卿もまた、少しトーンの低い声で同調した。
「本土の鉄道会社が何処もディーゼル化を進めている中で、このソド一鉄道だけは蒸気機関車での運用を頑なに貫いている。
何故かと思ったら……貴方が指揮を取る鉄道だった。納得せずにはいられませんでした」
支援です
続きをwktkして待ってます!
ソド一島を走るソド一鉄道には「太っちょ局長」という、無類の蒸気機関車好きの責任者がいる。
元々はただの鉄道技師だったのだが、そこから局長にまでのし上がれた程の才覚の持ち主で、現在は島の再開発に着手して結果を残している。
そんな話だけは仕事の休憩中の雑談として、前々から聞いた事があった。
しかし、その「太っちょ局長」が、あの日永遠の愛を誓い悲しい別れを遂げた鉄道技師だった事など、想像がつくはずがない。
予期せぬ再会はとても衝撃的なものだった。あれだけふさふさと蓄えられていたはずの頭髪は見る影も無く、
そして何より、そのでっぷりとした腹の肉だ。
もしも本当に彼の事を忘れる事が出来ていたのだったら、確実に見過ごしていた事だろう。
「あれは確か、モンタギューの売買契約を結んだ時の事です。目を見てすぐに、貴方だと解りました。
……機関庫で機関車を整備していたあの時と、全く同じ目をしていましたから」
ミス夕ーパーシバノレのその言葉を耳にすると、ハッ卜卿は、はははっ。と、乾いた笑い声を上げた。
「今じゃあこの頭にこの腹だ。もう昔の面影など全くないものだと思っていたが」
そう言いながら、つるりと輝く額を撫でてみたり、今にもはち切れそうな腹回りを軽く叩いてみたり。
皮肉めいたその面持ちは、どこか悲しげな様にも見て取れる。
しかし、そんなハッ卜卿の道化のような素振りを見て、ミス夕ーパーシバノレはぐっと拳を握ると強い口調でこう言ったのだ。
「貴方は何も変わってなどいない。だから私は……、この島に来たのです」
偶然の再会を期した後、食事も睡眠も、これまで狂ったように没頭し続けた仕事さえも手につかなかった。
色褪せかけていた記憶が次々蘇ってゆくと、この上なく充実し切った現状に、必要も無い迷いが生じてくる。
その頃、局内ではディーゼル化に反対する末端の技師や運転士達が連日、集団辞職やら何やらと激しく衝突を続けていた。
そんな中でふと、恐らく交渉にやって来た技師が忘れて行ったのだろう一枚のチラシを見つける。
どうやら求人案内のようなのだが、そこに記されたキャッチコピーのような一文に、稲妻が落ちたかのような衝撃を覚えたのだ。
──Island of S.o.d.o.r,The magical land where dreams come true.
もう、一寸の迷いも生じる事は無かった。そして辞表を提出したのはその日の夕方の事だった。
それまで一度たりとも辞意を表にしなかった男の突然の行動に周囲の誰もがひどく驚いていたが、
ディーゼル化が発表されてからというもの、辞意を露わにするのは何も末端の局員だけでは無かった。
その為か、局内の流れに同調したのだろうと推測され、特に深くまで理由を問われることはなかった。
ソド一鉄道を始めとして、現在も尚ソド一島全土で再開発の為の労働力を欲している。
元大西部鉄道の事務局員だったと告げたそれだけで、いともあっさりと採用は決定した。
仮に採用されなかったとしても、ソド一島にはまだ星の数程働き口はある。
そして、それらの仕事の全てに、トップハムハッ卜卿──彼の息がかかっているのだ。
ただ、それだけでよかった。たとえ自分の存在を彼が気付かなかったとしても、忘れてしまっていたとしても、
──貴方と共に生きる。その夢だけはようやく叶える事ができるのだから。
「……ところで、先程ワシは君に褒美を授けよう。と言ったが」
まるで場面が変わったかのように、ハッ卜卿はぱっと明るい大声をあげた。
「実は最近、新しい港を建設中でそれに伴い新しい駅も作らなくてはならんわけで、ワシはとても忙しい。
そこでワシの所有する鉄道のうち、視察に時間を取る高山鉄道を誰かしらに任せたいと思っていたのだが、どうにも適任者がいなくてな。
だからミス夕ーパーシバノレ。君にこの高山鉄道の責任者になってもらいたい」
ミス夕ーパーシバノレはその予想外の言葉に、ほっそりとしたその身を思わず揺らせた。
「えっ……?」
褒美と言うには余りにもスケールの大きいそれに対し、返事どころか言声さえも出ない。
それでもハッ卜卿は、そんなミス夕ーパーシバノレの動揺も気にせず淡々と続ける。
「君の大西部鉄道時代の経験を生かして、是非ともワシが今まで大事にしてきた機関車達の面倒をみてもらいたい
どうだろう。決して悪い話ではないとは思うのだが」
そう言いながらすたすたと歩み寄ってくるハッ卜卿。
ミス夕ーパーシバノレはまだ、戸惑ったままで何も考える事は出来なかった。
「そんな、唐突な…」
すると、ハッ卜卿はにまりと笑みを浮かべ、そしてミス夕ーパーシバノレの目前で立ち止まるとすっと手を差し伸べる。
身体の横でぶらりと手持無沙汰だったミス夕ーパーシバノレの細い指を、ハッ卜卿の太く丸っこい指がおもむろに握り締めた。
そして握り締められた指をハッ卜卿の目前まで持ってゆくと、懐かしげな面持ちでミス夕ーパーシバノレの指を眺め始める。
ハッ卜卿の握力はその見た目以上に強いように思えた。そう、ずっと二人で楽しく過ごせると信じて止まなかったあの頃と同じ強さだ。
思いもよらず、まるで思春期の青年のような胸の高鳴りを覚えてしまった。
「とても綺麗な指をしている。初めて出会った時とまるで変わらない。しかしこの手、もう何十年も機関車に触れていないだろう?」
その指摘は鋭かった。ミス夕ーパーシバノレは思わず、えっ。と反射的に声を上げる。
まさにその通りだった。大西部鉄道に入局後はあの突然の別れへのショックの余り、機関車そのものからも目を逸らし続けていたからだ。
「……相変わらず貴方は鋭い」
参りましたと言わんばかりの声色で、ミス夕ーパーシバノレはそう言い、静かに微笑む。
「君は知っているだろうか。ワシはこの島の事を『どんな夢も叶う魔法の島』と呼んでいるのだが」
握り締めた指先はそのままに、ハッ卜卿は呟くようにそう言った。
「ええ。存じ上げています」
「そうか…。実はこの言葉にはな、『諦めかけていた夢でも信じていればやがて叶う時が訪れる』という願いを込めていたんだ」
諦めかけていた夢。そう聞いて咄嗟に思い浮かんだ、あの夜の誓いの事。
今と同じように手と手を握り、そして、小指と小指を強く絡め合ったのだ。
「……そして夢は本当に叶った。大好きな機関車に囲まれて、そして、君と再び出会う事が出来たのだからな」
ミス夕ーパーシバノレは再び驚きの声を上げた。今度はその驚きの余り、発した本人さえもびっくりする程の大きな声でだ。
「あの時の……、覚えていたんですか?」
「勿論だとも。あの頃のワシの気持ちには何一つ嘘偽りは無い。だからこそ、君にワシの高山鉄道を譲りたいと願ったんだ」
ぎらりと輝く小さな瞳。興奮で上ずる口調。やはり目の前にいるのは、あの日心燃え尽きるまで愛した彼なのだ。
彼はいつまでも彼のままでいてくれた。その現実が、ミス夕ーパーシバノレの強張った頬に微かな緩みを与えてくれる。
「…さあ、どうだろうミス夕ーパーシバノレ」
出会い。唐突の別れ。闇に怯える日々。再会。
それら全てに区切りがついたところで、数十年の時の流れが巻戻る事はもう無い。
局長室の壁に飾られた写真立てに、手帳の脇に、互いの守るべき者達が居る。解っているはずだ。
それでも尚、絶える事無く生き続けたひとつの夢が、今、叶えられようとしているのだ。
幾多の夢を零すことなく受け入れる、この終わりなき魔法の島で。
そしてミス夕ーパーシバノレは小さく口を開いた。
色褪せた夢をこの魔法の島に解き放つ、呪文を唱える為に。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ おそまつさまでした。>420支援ありがとうございます!
| | | | ピッ (・∀・ )ナンバリングにミスがありました。全11レスです
| | | | ◇⊂ ) __
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
生注意。
六角なクイズ番組同級生コンビ新×先のぬるい会話。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
収録が終わり、控え室で着替えを済ませ廊下を歩き出すと、後ろから声をかけられた。
「先本ー」
こののんびりした呼びかけは新ちゃんだ。
振り返ると、自分の控え室の前から小走りでこちらに来る。
「何?新ちゃん」
「この前言ってた紹興酒が美味い店、ねーちゃんに聞いたから今度行こう」
「うん、マネージャーさんに空いてる日聞いてメールするよ」
「分かった」
「じゃ、お疲れ様」
些細な約束を覚えていてくれた事が嬉しくて、ついにやけそうになる顔を見られたくなくて話を早く終わらせる。
背中を向けて歩き出した途端、
「あ、弘巳!」
名前で呼ばれて心拍数が跳ね上がる。
顔が一気に熱くなる。
「な、なん、何?まだなんかあるの?」
「メール、絶対しろよ」
「お、おう」
「じゃ、お疲れ様ー」
なんでそういう事をさらっと言えちゃうんだろう、こいつは。
こっちは思いっきりうろたえてるのに。
でも、バクバクする胸を押さえながらも、俺は見た。
向こうを向いて歩き出した新ちゃんの耳がすっげー赤くなってるのを。
いつか俺も不意打ち喰らわせてやるからな。
「新太朗!」って。
でもきっと、その時ドキドキしてるのは多分俺だけで、新ちゃんは普通にいつもの笑顔で
「何?弘巳」
って言うんだろうな。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>426 二人ともカワユス(*´ω`)
同級生コンビいいなあ
>>426 二人ともかわいくってnrnrしました(*´艸`*)
ゴチになります
>>412 筋道が分かりやすくて良かった
おかげでありありと想像できて禿げ萌えた!
まさかハット卿で801萌えするとはな…!
GJでした
>>412 もう甥っ子と一緒に人面機関車を見られない……!
という程萌えました
あらたな萌えの扉を開いてくれてありがとう。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )お粗末デスガオオクリシマース!
某舞台公演が凄かったのと、
>>381さんのお話に触発されて
こちらもナマモノに初挑戦。イ非イ憂 神河鷹也さんとイ左界真佐人さん
の舞台の演技と線集楽カテコの情報から。
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// .|| ∧∧
. // 生 || ∧(゚Д゚,,) < エロはありません。友情譚というか。
//_.再 ||__ (´∀`⊂|
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| | / , | (・∀・; )、
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| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ"
何故か無性に駆け出したくなった。
この舞台公演の途中から。
いや、実際に走るということではない。なんだか周りとのバランスなど
気にすることなく、心のままに思いきり演技したいと思ったのだ。
原因はこの劇団にある。会場に来てくれるお客様にもある。
そして、この稀有の演技陣に。
ことに彼。彼が触媒のように自分を沸騰させる。
僕の役は、復讐に我を忘れ幽鬼に堕ちる男。
そして彼の役は僕を導き、その実裏切る殺し屋。
彼なら答えてくれるような気がした。
周りを見ずに無鉄砲に限界まで突っ走った演技をする僕に。
自分でも信じられない声、地響きのような声が出た。久しぶりだ。
激しい怒りに人でなくなっていく留学生、弩門。
本物の鬼になれるような気がする。体が動く、声が出る、自分でないものに
神河→イ左界 視点で
自分が変わっていく・・・。楽しい、心臓が大きく鼓動する。
自分が役者であることに感謝する。
その日、幕が下りた後、劇団の人々が次々と握手を求めてきた。
久々の手ごたえだった。
翌日、殺し屋の澄んだ高い声が一層研ぎ澄まされた。
舞台裏では謙虚な姿勢を崩さない彼が、静かながら挑戦的な目をしている。
凄絶で残酷で無邪気、ときに凄まじい不気味さと艶やかさを放つ。
思ったとおりだ。彼はついてくる。いや、うかうかすると追い越される。
そう来なくては。
イ左界君、走るならば倒れるまで、倒れるならば前のめりだ。
その数日後から、ブログや巨大掲示板での感想に「猛烈に進化している」
「どんどん凄くなる」「完成度が高くなっていく」という評判が増えている
と劇団のスタッフや共演の方から耳にした。
確かに彼だけでなく、他の役者さん、スタッフさんも走り出しているのが
わかる。皆も手ごたえを感じているのだ。
今日の彼は、一段と凄かった。張り付いた笑顔と背筋の凍るような表情が交錯し
ゾクゾクさせる。
僕も負けてはいられない。
彼と目線が合う。一瞬のアイコンタクトで彼も同じ気持ちだとわかった。
いい目だ。「僕も走るよ、神河さん。」と言っている目だ。
肌が泡立った。この充実感。
無性に興奮してきた。走りたい、突っ走りたい。
余力など残したくない。このまま思い残すことがなくなるほどに、悔いが残らない
ほど全身全霊で演技したい。
大丈夫だ。ここの人たちはきっと一緒に全速で走ってくれる。
そして彼は、きっと明日もっとすごい手ごたえを返してくれる。
逢坂、最終日の幕が下りる。
2ヶ月にわたる舞台は、マスコミ、関係者、なにより観客の皆さんに絶賛を持って
迎えられた。
それは、当京公演の途中から、会場の空気から確実に感じられたことだが。
カーテンコール。
魂が抜けたような感覚の僕は、何度か挨拶で噛んでしまった。
おいおい、爆笑するな。
こっちだってこんな大舞台が終わって、頭真っ白なんだよ。
だいたい、君だって公演中階段を下りるとき3回もコケたろう。
結構ドジなんだよな、君は。
それになんて顔してるんだ。さっきまでいたあの妖艶な殺人者はどこにいる。
あの不気味な殺し屋は、そんな人のいい笑顔をするのかい。
舞台を離れると何でこんなに可愛らしくなるんだ。戸惑うだろう。
そうか、今日は最後だ、思いっきり君で遊ぼう。
実は、密かに君をいじるのが楽しみになってきてたんだ。
本当に演技していない君は、ハムスターみたいに撫でまわして
無性にいじりたくなるというか、サド心をくすぐるというか(笑)。
当京公演の千秋楽で、話をブッた切られたときの、君のキョトンとした顔は
見ものだったよ。何が起きたのか、すぐには飲み込めない小動物みたいで
皆、舞台袖に引っ込みながら爆笑してた。
さて、君がいつものように下手端で僕にアイコンタクトを送るとき、僕は
スタスタと上手に下がる。キョトンとして、あわてて引っ込む。
しめしめ戸惑ってるな。
2度目も同じだ。目が寄ってるよ。視線が自信なさげに泳いでる。
15分前には最凶の殺し屋だった男が。
そして3度目。
引っかかった。
君はあきらめて下手に引っ込み、僕は上手でうやうやしくお辞儀する。
「えーーーーっ??」と大きな目を更に丸くして、あたふたと出てきた君、
素のリアクションに会場と僕たちは大爆笑。
最高だ。君は。
さて、最後のカーテンコールが終わり、僕は舞台裏を下手に進む。
案の定、君は笑いながらもちょっとムクれている。「ひどいよ〜」と
言いたげに。
その顔を見ると思わず笑いがこみ上げる。そして僕は一直線に君へと進む。
僕の両腕にすっぽりと納まる肩をいきなり抱きしめると一瞬その肩が
硬直した。
戸惑う顔を見てみたいとも思ったが、あいにく僕の顔は君の肩の上に
埋まっていて、それはかなわない。
でもわかっている。
いつも通り、一瞬大きな目をパチクリとさせ、次はキョトキョトと
落ち着きのない視線を宙に注いでいるだろう。
そして、そのあととびっきり暖かな溶けるような笑顔になるんだ。
ほら、君の腕が僕の背中に周ってきた。
楽屋が暖かな拍手とコールに包まれる。
____________
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初挑戦、二人への萌えだけで書きました、冷や汗ものです・・・。
お粗末さまでした。
>>381さま、萌えをありがとうございます。
1/6の途中で
最初に入れるつもりだった「神河→イ左界 視点で」が入ってしまいました。
ただでさえ、文章力ないのに、余計ワケわかんなくしてすみません。
>>432 うひゃーGJです!そしてどんまいw
>>440 あのSッ気混ざった三段オチが本当に可愛かったよ特典に入るといいな
他人様情報ぽいのに大楽カテコのあたふた描写がリアルで実は見てきたんじゃないかと思ったw
素敵な友情ありがとうございました!
>>412 すごく素敵でした、書いてくれてありがとう
ハット卿のことをもっと知りたくなったよ
>>432 GJです!真摯でほんわかと優しくて、燃えも萌えもあって、たまりません!
可愛いなぁ、この2人。ハムスターみたいに撫でまわしたい…まったくもって同意ですw
実は381なのですが、まるでC&RのようにwこんなステキなSSを読ませてもらえて
幸せでした。ありがとうございました。
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. // 生 || ∧(゚Д゚,,)< 劇團新完線【バソユウキ】ネタバレ注意で殺し屋→主人公
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < 殺し屋的ラストシーンを彼の独白メインで1本
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| | / , | (・∀・; )< 大楽記念祭には乗り損ねたけど気にしな…い
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※自分の中の夢見がちな脳内補完を含(ry
「っはははははははははははッ、はははははははははは…!」
男が死んだ。
僕は駆けた。
あまりにも呆気なく死んだ。
嗤いながら駆けた。
途中から声は出ていなかったかもしれない。
出ていたかもしれない。
わからない。
構わず嗤いながら僕は駆けた。
まるで呼吸をするように誰も彼もを斬った、刺した、貫いた。
ただ、嗤いながら。
別に何時もと変わらない。
生まれた時すらきっと泣かずに嗤っていた。
初めて人を殺した時も。
一族をこの手にかけた時も。
あの男と牢獄で出会った時も。
この国に来てからも。
ずっと。
ずっと。
嗤っていた。
なのに何だというんだろう。
この虚しさは。
懐かしい虚無感。
驚いたのは寧ろ。
それを懐かしいと感じたことだった。
『自分の命と僕の片腕かぁ、随分と割に合わないね。残念ながらこの国の連中なら片腕で充分だ』
『…あの男が相手でもかい!?』
途切れ途切れで苦しげな、それでいて未だ凛と澄み切ったままの声音が燃え盛る宮中に響き渡る。
目を遣れば其処には白髪の獅子。
一瞬目を見開き、次の瞬間腑に落ちる。
成程、つくづく運のいい男だ―――――でもそれも此処までだよ。
もう一度喉の奥でくくっ、と嗤った。
虚しさは、いつの間にか忘れていた。
刹那。
何もかもが止まって見えた。
勝敗は決し。
最早痛みも、感じなかった。
右腕の刀は、離れなかった。
左腕はもう、上がらなかった。
だからその眼を見た。
ぎらぎらとした眼は、燃えるような激しさを湛えていた。
友を殺された怒りだけではない何かが其処には在った。
それが何なのかはわからなかったけれど。
何時か確かに何処かで見た色。
…そう、確かあれは十一年前。
顔も覚えていない男を抱き抱え名を叫び泣くようにまた叫ぶ一人の男。
何処の誰を何時如何にして殺したか、なんて。
本当はそんなことを一々覚えてはいなかったけれど。
傍らに居たその男のことが何故か印象に残った。
あの時確かに見てたんだ。
其処でもそう、嗤いながら。
僕が覚えてたのは左大臣の息子じゃない、彼じゃない。
十一年前の、君の姿。
牢獄で君の話を聞いてわかったよ。
会ってますます確信を得た。
―――――ああ、あの時の男だと。
激しい眼。最後の復讐に燃え滾る瞳。
けれどその眼はあの十一年前。
愛しい友を亡くす瞬間に見せたその瞳に…酷く、似ていた。
崩れ落ちようというその刹那。
走馬灯のように頭の中に音が流れる。
君の声が流れる。
大人しい神じゃない激しい神だ、だが然しその激しさで…。
その続きは、何だったかな。
ぐるぐる回る。
君の言葉がぐるぐる回る。
―――監獄の島に囚われたまま、か。
認めたわけじゃない。
ただ。
囚われたままだったと言うのならば、これはきっと解放。
その手で。
その太刀で。
その激しさで以って。
そうだ。
声の続きを思い出した。
確か。
その激しさで。
愛する、愛でる、愛おしむ…
遥か遠くで女の叫ぶ声が聞こえる。
君の愛したその気高い声。
君を解き放てるのがその女だけというなら。
僕を解き放てるのはきっと君だけだったんだろう。
十一年前のあの瞬間から決まっていたんだ。
反論ならいくらでも聞いてあげるよ。
次に会った時にでも、ね。
ああ、「笑う」って…こういうことだったのかな。
意識はそこでふつりと途切れ。
ただ、穏やかな微笑みを遺し。
「ロウランの悪魔」は「人間」に成った――――――。
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// .|| ∧∧
. // 止 || ∧(゚Д゚,,)< この二人が、皆があの芝居が本当に好きだった
//, 停 ||__ (´∀`⊂| < 殺し屋の最期の安らかな笑顔が瞼から離れません
i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )< 詰め込みすぎて拙いですがでもちょっと満足
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ
改めてバソユウキの話書いてくれた姐さん方&お読み下さった方がいらしたら本当にありがとうございました!
>>450 ありがとう!またこの二人が読めてすごく嬉しい。
思い出して切なくなったよ…
彼のあの笑顔だけは本物だったんだろうと思ってる。
佐治は哀しい人だったけど、最後に解放してくれて、
そして笑い掛けられる相手がいて良かった…!
本当にありがとう。ご馳走様でした
452 :
モンキー:2009/12/02(水) 22:35:57 ID:T6FywC6T0
携帯から失礼します。
半生注意で晩友期です。
芝居でこんなに萌えたぎったのは、はじめてです。
うっかり勝手にエロ設定まで妄想しました。
多分反省はしている。
度文→匙です。
二次。片方が出来婚する話。女性が出てくるわけではないけれど、嫌なひとは注意してください。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
この男は知らない。
僕が君を裏切っていることを。
時折、真実を知った度文の姿を想像する。その時匙は、身体の芯から、暗い愉悦を味わえる自分に酔いしれた。だからこそ、君が真実を知るまで。それまでは。君の望みを全て叶えてやりたい。君の期待に応え、信頼される自分にも酔いたい。既に終わりは用意されているのだから。
君が僕を匙と呼ぶ。彼は安心して君のために道を作るよ。それが僕の望みの全て。呆れるほど単純なんだ。
君の欲しいものは、すべてあげるよ。
監獄島を脱出し、海を渡り西国にたどり着いて蛮教を布教する道中でのことである。
囚われてから10年余り。
常に飢餓状態と復讐心が身体の隅々まで占め、性欲など消え失せてしまったものだと度文は思っていた。
しかし、島を脱出し、身体の拘束が解かれ、自由に食事がとれるようになると、身体の欲求が時折頭をもたげる。
許嫁であった未琴を思い出してのことではなかった。未琴を思う気持ちは未だ強いが、未琴の兄である白辺の暗殺を防ぐことが叶わなかった自分に対する罪の意識があった。
最早未琴にふさわしい己ではないと。
何よりも罠に嵌められるまで、周囲が抱く「自分に対する悪意」に対してあまりに鈍感であった自分自身に対して恥じる思いが強かっった。未琴のことを思い出せば、自然と己の内面は、後悔と罪の意識でがんじがらめになる。
性欲などむしろ萎えた。
心が動くのは匙に対してである。
匙と出会ってから復讐の為、度文は匙の持つ殺人術の全てを学んできた。
日々、刀術をはじめ様々な武器のあしらい方、体術を実戦さながらに学ぶ。
何度も何度も本当に殺されかけ、俺は匙の手のひらの上に乗った命でしかないと思い知らされた。
でも匙は自分を殺さない。奇妙な信頼が度文の中にあった。
匙は俺のために本気で殺しの術を教えている。
匙は本気で俺の望みを叶えるべく、手を尽くしてくれている。
体術でお互いの身体を密着させている時に匙と目が合う。匙の目は透きとおり、背筋が凍るほど冷たい笑みを浮かべる。
匙の身体の温みとの、あまりのギャップに度文は欲情する。
匙のしなやかな姿態。
匙の何も見ていないようで全てを見透かす冷徹な目。何故俺を生かすんだ。
何故俺の道を作ろうとする。
何故俺のためなのか。確かな思いを感じずにはいられない。
男に対して欲情すること事態に度文は違和感がなかった。
未琴も白辺も知らぬことだが、かつて俺は少年の頃、関旬の稚児として性の奉仕に従事していた。闇の中で潜み、性の奴隷として。
罠に嵌められ、囚われて、復讐心がたぎる一方、これは汚れた自分に対する罰なのかとも思えた。
キレイなふりをした自分に対しての罰かと。
衛兵あがりと揶揄される俺が未琴の許嫁としていられたのは、未琴が俺を見初めたからと世間では言われているし、未琴自身も白辺もそう信じていただろう。
10歳の時、俺の身体は全てを闇の中で奪われた。快楽を骨の髄まで味わわされ、奉仕の術も身につけた。真実は、その代償としての許嫁なのだ。それでも俺は未琴を愛している。
しかし、俺は既に未琴を裏切っている。だからこそ幸せにしたかった。
その罪と罰の果てで、俺は匙と出会った。
「匙の身体が欲しい」俺の欲望までも、匙は貪欲に叶えてくれるだろうか。
すんません中途半端で。
ここから激エロになだれ込みたい予感…。
それにしても匙の中の人、エロすぎます。
>>461 あの二人が萌えるのはわかるけど出来ればテンプレと改行は丁寧に入れてほしいです
タイミングかぶった
>>454の姐さんが多分待ってくれてるからさ…
でも乙でしたー
邪魔してすみませんでした
棚常連だけど初めてかぶってしまった…
改めて投下
二次。片方が出来婚する話。女性が出てくるわけではないけれど注意。心意気はリバ。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
終電の時刻を越えてもなお、平気な顔をして店員に追加ボトルを注文する男の無計画さには辟易する。
どうやって帰るのか考えているとは思えないので、結局今日もこのまま、
徒歩二十分の男のマンションまで、三倍以上かけて自分が自宅まで引きずっていくことになるのだろう。
苦労しているのはいつも自分の方だった。割に合わない。
「帰らなくていいの」
「今日は、あなたと飲んでくると話してありますから」
それはそれはなんて都合のいい言い訳だろう。嘘をついてはいないのだから文句を言われることはない。
十代から互いを知る親友同士、周囲からはそう見えているはずだった。半分正解で、あとの半分は、きっと想像の範囲外。
頻繁に部屋を行き来していても、浮気もなにも疑われることがない。こういうところだけは気が楽でいい。
だから心配しなくていいですよと笑う、アルコールが入ると表情のゆるむ男のことは、なにも心配してはいない。
心配しているのは自分のこと、そしてこの男の周りのこと。
半年とすこししか付き合いがない女が妊娠した。そう言って、普段とかわらぬ顔でグラスを傾けた男はあまりにも冷静だった。
受け入れているからでも、抵抗しているからでもなく、その事実に対して無関心なだけだった。
友人に子供ができたのと同じ感覚でいるのだろうと思い至り、
まだ一度も会ったことのない、おそらくこの先も顔を見る機会はないだろう女に心底同情した。
こんな男を好きになった不幸を。
「女性相手にするときには、完全に避妊していたはずなんですけどね」
やられました、と芝居がかった仕草で手を挙げて、ふざけた口振りでけらけらと笑った。
酔っていたせいではなく、それが男の性格なのだから馬鹿馬鹿しい。
本当に私の子供なのかもわからないし、違う男の子供なのかもしれないし、そんなのはどうでもいいんです。
だけどもし私の子供だとしても、愛してやることはできないんじゃないかって思うんです。
だって母親になる女性のことを愛していないんですよ、どうしたって無理でしょう?
具体策をなにひとつ出すことなく現状を嘆くだけ嘆いて、そしてそのあと自分を寝室に誘った。
薄っぺらな愛を語り、その身体を愛でる。最低な男だった。確かにこんな男が父親になる資格などどこにもない。
「結婚するつもりなんてなかったんですよ、誰とも。それにまだ籍は入れていないんです。でもそろそろ疲れてしまいました」
すっかり冷えてしまった白いタオルを、たたんでは広げる動作を繰り返す。
なにも意味がないその行為を、大切な任務であるかのように、何度も。
だったらわかれればいいと、自分がそういってくれるのを待っているのだと、知っている。
背中を押してくれるのを待っている、自分の意志でわかれる覚悟のできない腑抜け野郎だ。
だからなにも言わない。こちらの気も知れずに笑う男の思い通りになってやってたまるか。
「ねえ抱かせてくれませんかいますぐ」
頭にくるほど四六時中自分のことばかり考えている男だ。笑顔のままでひどい暴言を吐く。
殴りたいと思ったことも、実際に殴ってやったことも、もう回数を忘れてしまった。
それでも、男に関係することはなにひとつ拒絶はしなかった。
なにも言わずただすべてを甘受する、この関係をはたして愛と呼べるのかは疑問だ。
「もしかして酔っていませんか」
自分の右手に触れている、男の左手が熱い。聞かなくてもわかることだ、これは質問ではなく確認だ。
言い出したら聞かない子供みたいな男を、うまくやり過ごす方法はないか、考えながら指をからめる。
いくら四方を壁で囲まれている全席個室の居酒屋とは言え、こんなところでやりたくはない。
もし目撃されてしまったらかわいそうだ。店員と、自分が。
「いいえ。正気です。私が愛しているのは十五年前からずっとあなただけなんですよ」
三ヶ月後には子持ちになる予定の男に言われたところで、嬉しくもなんともない甘い言葉が、至近距離から刺さる。
事実を伴うことのない口説き文句は男の常套手段だった。世界はこの男に騙され続けている。
そもそも十五年前はまだお互い小学生だ、出会ってすらいないのだから愛を語れるはずがない。
本当に愛しているのなら、いますぐに女を捨てて自分だけのものになってくれればいいのに。
すべてを捨てて自分を選んでくれるのなら、いますぐにだって応えてやる。簡単なことだ、男にその覚悟があるのなら。
「おれんちでやりませんか」
妥協案を申し出るとあっさり男は折れた。まだ封を切っただけのボトルを手放し立ち上がる。
今すぐ帰りましょうと手を引く男は、本当に救いのない大馬鹿者だ。
真冬だというのにコートを着ないで帰るつもりなのか、仕事で使っているというノートパソコンが入ったままの鞄を置いていくのか、
その程度のことなら、おまえのなかからなんの躊躇いもなく捨て去ることができるのか。
部屋のテーブルの上には、手をつけていない揚げ物の皿がいくつも残っている。
後先考えずに食べたい物を片っ端から注文するのは男の欠点だ、会計は彼の財布でしてやろうと決める。
店を出て、男が変なことを言い出さないうちにタクシーを拾って、家に帰って、
どうせシャワーなんて浴びている余裕なんてないから男の好きにされてやろう。
そうして自分が寝ているあいだに出て行ってしまえばいい、
他の女のもとに帰る恋人を、わざわざ起きて見送るような自虐的な趣味はない。
468 :
461:2009/12/03(木) 00:22:28 ID:79bJGudMO
462
自分、今リアルにもちつけ状態でした…。初SSで、あがっちまったです。出直してきます…。
454
スミマセン。リプレイよろしくお願いいたします。
段差に腰掛け靴を履いている、スーツの似合う伸びた背中。姿勢がいいのはどんなときでもかわらない。
もう彼の身体の芯の部分にすりこまれているものなのだろう。自宅の玄関で見ているものとまったく同じそれ。
そのまま蹴り倒してやりたくなるのも、抱きしめてやりたくなるのも十四年前からかわらない。
「どうしたんですか」振り向いてにこりと笑う男の頬がすこし紅い。
酔ってもたいして顔に出るタイプではないから、今日は少し回りが早いようだ。なんでもないと返しながらブーツに足を突っ込んだ。
身一つで飛び込んでくるのなら、受け止めてやろうという決意をしていたが、男にその気はないようだ。
愛していると言いながら、自分のひとりを選んでくれることはない臆病者。待ち続けるのにも限界だった。
そろそろ潮時なのかもしれない。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
470 :
初夏のある日:2009/12/03(木) 00:33:47 ID:J5y+SPi40
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 地獄先生ぬ〜べ〜 鵺野×克也
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ショタ、季節感無視につき注意!
| | | | \ 文庫版で再燃した
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
初夏は夕立が多い。突然の雨にずぶ濡れになった克也を見つけ、とりあえず自宅につれてきた
のが30分前。急いで風呂を沸かし、遠慮する克也をやや強引に風呂場に押し込んだのが15分前。
別に疚しい気持ちがあって自宅につれてきたわけではない。ないったらないのだ。
「なぁ、克也」
「何だよ」
「下は、どうした?」
当然ながら克也の服はずぶ濡れである。ハンガーに掛けて乾かしていたが、克也が風呂から出
るまでの僅かな時間で乾くはずもない。しかし、下着姿ではいくら夏でも風邪を引く。そんなわ
けで鵺野は克也に、彼のワイシャツとスラックスを着替えとして貸したのだが。
鵺野の前に座り込んでいる克也は、鵺野のワイシャツしか着ていなかった。
「でかすぎて入んねぇよ。折って皺作んのも悪いし」
五年三組で一番の長身で発育がいいとはいえ、克也はまだ小学生だ。成人男性であり、しっか
りと筋肉が付いた鵺野の衣服は大きすぎるだろう。
「じゃ、じゃあ、短パン探すからそれを……」
「いいよ、別に。暑いからこれだけでもさ」
お前が良くても俺が良くないんだ!! などと、心の中で叫んでみる。がっくりとうな垂れ、
畳に倒れ伏している鵺野を、怪訝そうに克也が見ていた。
20cmも身長が違う以上、鵺野のワイシャツは克也には大きすぎる。そのままでは手が出ないた
め、ワイシャツの袖は捲り上げられていた。それだけなら、良かったのだが。当然、合わないワ
イシャツを着ている弊害というのはほかにもある。
風呂上りということもあり暑いのだろう、第一ボタンの外された襟元からは首筋から鎖骨、肩
口にかけてがちらちらと覗き見える。ワイシャツの裾からも健康的な色をした脚がすらりと伸び
て、扇情的に見えた。
夏場の克也の私服といえば、黒のタンクトップに短パンで、露出度といった点ではそちらのほ
うがずっと高い。しかしそれは健全さが前面に出ており、活発な少年と言う印象しか与えない。
しかし、合わないワイシャツを着ることによって生じる露出というのは、健全さではなく、妖
しさというのを多分に含んでいる。太陽の下で仲間たちと走り回っているのとは違う、もっとこ
う、不健全な感じのする姿なのだ。
「先生?」
呼ばれて、顔を上げた鵺野は思わず視線をそらす。思ったより近くにいた克也の、ワイシャツ
から覗く素肌を見てしまったのだ。
不味い。非常に不味い。何が不味いって、うっかり欲情しそうになる自分が一番不味い。克也
に他意はないはずで、勝手に盛ってあんなことやらこんなことやらするのは非常に不味い。大体
相手はまだ小学生、そういうことはせめて克也が高校生になるまでは不味い。いや、高校生だっ
て不味いのだが、小学生の克也にあれこれするのはもっと不味い。
「さっきからなんか先生変じゃねぇ? どうしたんだよ」
「あ、ああ、いや。何でもないから気にするな」
とりあえず笑ってごまかしてみる。不審そうな目をしていた克也も、ため息を吐いて、呆れた
ように笑った。
起き上がって鵺野が畳の上に胡坐をかくと、正面に克也も腰を落ち着ける。片膝を立てて座っ
ているせいでワイシャツの裾が捲れているのを見ないようにしながら、鵺野は頬を掻いた。
「あー、なんか飲むか?」
「なんかって、水道水以外にあんの?」
「お前な。いくらなんでも麦茶くらいあるぞ」
「そっか、給料日前じゃないもんな」
「で、いるのかいらないのか?」
「いる」
「じゃ、ちょっと待ってろ」
立ち上がると克也の頭を軽く叩いて、鵺野は台所へと向かう。食器棚からコップを一つ取り出
し、冷蔵庫から取り出したポットから水出しの麦茶を注ぐ。少し多めに麦茶を注いだコップを持
って居間に戻ると、振り返った克也に手渡した。
「もう一杯飲むか?」
あっという間に飲み干してしまった克也に、鵺野が聞く。
「ん、いいよ」
克也は首を振ると、空になったコップを卓袱台の上に置いた。
手持ち無沙汰になったらしい克也が、すんすんとワイシャツの匂いを嗅いだ。
「何だ、ちゃんと洗濯してるぞ」
「いや、別に臭うとかそういうんじゃなくてさ」
「じゃあ、何だ?」
「ぬ〜べ〜の匂いがするなって。ほっとするって言うか、安心するってかさ」
少しはにかみ、頬を掻いて克也が言った。
たまらなくなって、克也をぎゅうと抱き締める。鵺野の腕の中で、克也が唐突に抱き締められ
て混乱しているのも構わずに、こめかみや頬に触れるだけのキスをした。
「えっ、な、何……?」
もぞもぞと鵺野の腕の中で身じろいで、何とか顔を上げた克也が混乱したように問う。その様
子に小さく笑うと、鵺野は額に口付けた。
「匂い付けってとこかな」
「動物かよ」
「人間だって動物だぞ」
「そりゃ、そうだけど。……あー、びっくりした」
「はは、すまん」
「いいけどさ、別に」
そう言うと、何か思いついたように目を輝かせた克也は、素早く鵺野の鼻の頭に口付けた。に
っと笑うと、鵺野の肩口に、ぐりぐりと頭を押し付ける。
「か、克也?」
「俺も匂い付けする」
肩口に顔を押し付けているせいでくぐもった声で、克也が答える。笑いを含んでいるようだっ
た。驚いている鵺野の体に腕を廻して、克也はしっかりと抱きつく。
「ああもう、本当に……」
克也をしっかりと抱き締めなおして、鵺野は小さく呟く。どうしてこう、いちいち鵺野の理性
を試すようなことをするのだろう。勿論やっている克也はそんなつもりは無いのだろうが。
自分の理性が、最低でもあと五年持つかどうか心許ないなと思いつつ、克也の体を抱いたまま
寝転がる。
けらけらと、腕の中の克也は無邪気に笑っていた。つられて鵺野も笑う。尤も、無邪気な笑い
とは言えないが。
475 :
初夏のある日:2009/12/03(木) 00:52:40 ID:J5y+SPi40
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ エロは自重した。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>469 元ネタわかりませんでしたが切な萌えしました
攻が人非人すぎる…
素敵なSSをありがとうございます
>>444 舞台終盤で感じた様々な感情を思い出しました。ありがとうございました。
殺し屋の最期に番新教の教えが沁みます…
>>453 わーい、黒席春w続きもまたぜひぜひ。
遅レスすみません。
>>412 昔から毎回見ている番組がここで読めるとは!とまず感激し、
過去の切なさ現在の再会に涙しつつ優しさに感動しながらもとても萌えました。
是非サイトや同人等やって頂きたく思います。
この作品を読む事で元気になれましたどうもありがとうございました。
>>470 ナツカスィ!
克也好きだったのを思い出したんで、ちょっくら本屋行って来るw
>>470 ちょ、まさかの自分本命ktkr
乙&GJでした!
オリジナルで、TVキャスターの金持ちアラフォーとその家に居候している二十代前半の青年です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
最近テッドの帰りがずっと遅い。帰ってこない日も多くなった。
何となく分かる。彼は僕を避けている。あんなこと言うべきじゃなかった。
あの夜、僕は抱きしめてもらって少し冷静じゃなくなってた。まるで僕のことを全て受け入れてくれるような気がしたんだ。
だから、思わず告白してしまった。どうかしてる。おまけに彼はそのことについて何も言わないから、却って不安になる。
中途半端な複雑な思いが心の中を占めている。こんな気持ちになるなら、好きだなんて言わなきゃよかったのに。
だからといって、このままずっとまるで親子か兄弟みたいに過ごしたとしても、きっとどこかで辛くなる。
向こうは何とも思っていないに違いない。10年前、僕の後見人になってくれたことも、彼にとっては大したことじゃないんだ。
たまたま施設に取材に行ったら、将来を嘆くかわいそうな少年がいただけ。
お金に不自由していない彼が気まぐれにした慈善行為。いや偽善行為か。
前から寄付金目当てで彼に近づく輩が後を絶たない。テッドはそういう行為が嫌いだった。曰く、
「慈善に興味がないんで。だから僕がやった時点で慈善は偽善になる。道楽者で結構」
僕は道楽者に望み過ぎているのかもしれない。家と学費だけじゃ飽き足らず、彼の心まで欲しがっている。わがままだよね。
今夜もまだ帰ってこない。かなりふてくされた顔をしていたんだろう。食器を洗い終えたマーサが紅茶を運んできた。
「なんて顔してるの、アレックス。ハンサムが台無し」
「テッドがこの頃遅いんだ」
「確かに朝いないことも多いわね。でもまあ今や局の看板キャスターだから。年々忙しくなるのは当たり前」
それに年末なんだから、特番やらその打ち合わせがあるんだから仕方がない、と僕をなだめた。
「ところでクリスマスのこと彼から何か聞いてる? そろそろパーティのこと考えないと」
大抵クリスマスの夜はマーサの家で過ごす。家族がいない僕にとってマーサの家のクリスマスパーティは憧れの世界そのもの。
子供達はツリーの下にあるプレゼントに駆け寄り、大人達は暖炉の前で談笑し、主人が料理の七面鳥を切り分ける。
またマーサの孫が多いんだ。とにかく、にぎやかで幸せな家庭の風景。
「テッドは来るかって? さあ。帰ってきたら聞いてみる」
「ああ、別にいいわよ。朝いる時に聞くから。起きて待ってることないわ」
じゃあまた明日、とマーサは帰っていった。
何か理由がないと待っているのも気まずいし、とにかく今夜は意地でも待ってやる。
眠気で意識を失いかけていると、遠くで物音がした。
ゆっくりと身体を起こす。どうやらキッチンのテーブルに突っ伏していたみたいだ。首が痛い。
「うわ、びっくりした! キッチンが明るいと思ったら、起きてたのか」
テッドが頭を抱えてこちらを見ていた。時計を見ると6時を過ぎている。最早朝。完全に寝ていたようだ。
とりあえずシャワーと朝食のために、戻ってきたらしい。
これじゃあ、素直にマーサに従えばよかった。どちらにしろ、もう少しで彼女が朝食を作りにやってくるんだから。
「あの、マーサがクリスマス来るのかどうかって、聞きたがってたんで」
「それ聞くために朝までキッチンで待ってたのか?」
当日は5時間ぶっ通しの生放送があるから、行けたとしても深夜なのでやめておくらしい。
「もう寝ろ。マーサには自分で言っとくから」
そう言うとテッドは、疲れたあ、と椅子に腰を下ろした。
「最近、避けてますよね。僕のこと」
思い切って言ってみた。今しかないと思うと、自分の眠気なんて気にしていられない。
なんで? と彼は呟いて、その後すぐに何かを思い出したようだった。表情が固くなる。
「いや、そんなつもりはないけど。ほら、年末だし。忙しいのはお前だって知ってるだろう」
「これほどじゃなかった。前はそれでも話す時間くらいあった。あなたは僕を避けてる」
声が大きくなってしまった。彼が驚いて思わず立ち上がったくらいに。
「落ち着け。今年は局の30周年だから、いつもより余計に特別番組が多いんだ。他の番組にゲストで出ることもあって」
そういえばそんなこと言っていたような。
本当にそれだけだろうか? 寝起きのせいで上手く考えられない。感情が優先されてしまう。
「僕があの夜、あんなこと言ったから。僕から逃げてる」
テッドはため息をついた。
「別に。何でも話せと言ったのはこっちだから。お前から逃げたりはしないよ。ていうか、もう寝ろって」
分かっている。彼は優しい道楽者だから、聞かなかったことにしようとしている。
それがお互いにとって一番いい選択だと思ったに違いない。
だから、僕はそれに従うべきなんだ。彼を困らせちゃいけない。
「……寝ます」
でも最後に、そう、もうこれを最後に、僕は彼に近づくと唇に触れた。
テッドは何ともいえない表情になって、今のは? と尋ねる。そこは聞かない方向でいてほしかったな。
「おやすみのキスです」
言葉にしたら急に恥ずかしくなって、慌てて背中を向けてキッチンを出ようとした。が、腕を掴まれた。
「お前は下手だな」
ぐいと肩を引き寄せられ、視界がテッドに覆われたとたん、唇を押しつけられた。
身体から力が抜けて倒れそうになり、僕は思わず彼にしがみつく。
身体が彼でいっぱいになった気がした。
彼の舌は僕の中で柔らかく絡みつき、離れては唇を舐めてくる。
それはとても長く感じられたけれど、実際はほんの数秒のことだったんだろう。
玄関の辺りから音がして、テッドはそれに反応して僕から身体を離した。
マーサが朝食の支度にやってきたらしい。何事もなかったかのように、彼は玄関に向かっていった。
部屋に戻ってふと鏡を見ると、自分の顔があり得ないくらい紅潮し、唇が濡れていた。
よかった。夢じゃなかった。
ベッドに横になり目を瞑ってみたけれど、身体中が脈打っていて、とてもじゃないが眠れない。
僕は下手らしいけれど、テッドだってダメじゃないか。
おやすみのキスなのに、眠気が吹っ飛んでしまった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>481-485 おおっ、続きが読めて嬉しい!
この話好きです
また是非投下してください
>>485 待ってました!
アレックスかわいすぎる
>>357 亀ですがGJ。「もう一度私と力夕ギリとで〜」の一文が二次小説として物凄く上手いなあと思いますた。
私も投下したいけど非公式すぎて駄目かな…orz
駄目だと思うなら書かなきゃいい
(゚д゚)
「駄目かな…orz」 なんて書くと同情クレクレ厨(いいよ〜、かきなよ〜、読みた〜いっ、って言葉を欲しがってる)
にしか見えないから
男なら黙って投下しろ!
漢なw
ところで、前スレは500レスちょっとで容量がいっぱいになってしまったと思ったんだが
500越えたら新スレ立てたほうがいいかな?
>>494 長文が多ければ500レス未満でも容量いっぱいになるだろうし
短文が多ければ500レス以上余裕でいく
要は書き込み状況次第だから、500で区切る必要はないと思うな
450kb超えたら立てるとか?
>>496 個人的には、それくらいでいいと思います。
携帯からですみません。
初歩的な質問で申し訳ないんですが…
小説投下したいなぁって常々思ってるんだけど、投下した後って自分で棚に編集して保管するんですか?
>>498 自分でも良いし、誰か親切な人が編集してくれることもある。
もうすでに450Kは超えてるんだけど、どうする?>新スレ
前々回は480K超えるまで待ってたし
自分はもう少し後でもいいかとは思うが
>>500 今って、421kbじゃないか?
480でいけてたなら、それでも良さそうだ
>>500-501 現在421KB
480KBなら長文10レスくらい平気だし、
自分も、その辺を過ぎたくらいで大丈夫だと思う
流れに乗り遅れたが
>>485 自分も待ってました! 続きが読めて本当に嬉しい
もどかしい距離がたまらんです
テイノレズオブ明星のユーリ×フレンを投下します
魔王×聖職者の元ネタはフレン受けスレより
姐さん方ありがとう
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
季節の花が咲き乱れ、青々と茂る樹木に守られるようにひっそりと佇む大聖堂。
都から遥か離れた田舎町には不釣合いな立派で荘厳な建物には慈愛と豊饒の女神ローレルが祀られている。
野草すら育たぬ痩せたこの土地を水と緑が溢れる楽園へと成した奇蹟の神。
時代の流れと共に彼女を盲目的に信仰する風習は廃れていったが、月に一度の集いには感謝の祈りを捧げるために列を作る人々の姿がたびたび見受けられた。
人々の関心が女神から離れていく一方で、その生涯をローレルへ捧げようと神職に身を投じる青年があった。
名はフレン・シーフォ。
「人々が当たり前の幸せを当たり前に甘受することの出来る世界が訪れますように」
シンと静まった聖堂に祈りの音が響く。
日に三度のお祈り、それは彼の長くない人生の中でも特別な意味を持つ。
彼が跪いているのは物言わぬ彫像ではなく、女神ローレル。
名の由来である月桂樹の冠から零れた純白のヴェールが腰まで届く黒髪を優しく包み、前時代には珍しい男装を纏った女神がフレンの前に立っている。
「ローレル…」
深々と垂れていた面を上げ、フレンは眼前の女神を見つめた。
ローレルによってもたらされた命の泉を掬い取ったような深い青の瞳が聖職者のそれではなく、恋を覚えた少年の切なげなものへと様変わる。
「どこの美人が熱心に見つめてくれてるのかと思ったら」
他人の吐息が首筋を舐め這う感触がフレンの腕を粟立たせる。
「っ、何者だ?!」
はめ込み式の窓を粉砕する以外に聖堂に出入りする手段は一つしかない。
そんな唯一の手段である扉は女神が降り立ったとされる当時のまま残されており、開閉には木の軋む酷く耳障りな音がする。
いくらローレルとの邂逅に没頭していたとしても毎日訪れるフレンでさえ眉を顰めるその音に気が付かないはずがない。
「どこから入ってきた…!」
若者の多くが近隣の町へ出稼ぎに出ているこの町には自衛団というものが存在しない。
フレンが聖職者でありながら剣技に精通しているのにはそんな背景があったのだが、女神が住まう神聖な場所へ武器を持ち込むことは彼女への無礼に当たるとしてこの大聖堂の扉をくぐる際は手放すようにしていた。
それが仇になろうとは、黒衣に身を包んだ不法侵入の男を睨め付けながらフレンは己の失態に舌を打つ。
「そんな睨むなって、せっかくの美人が台無しだ」
全身の毛を逆立て威嚇するハリネズミのような聖職者に男はやれやれと頭を振る。
背の中ほどまで伸びた長い黒髪が彼の動作に合わせて舞うように優雅に揺れる。
白を基調とした造りの聖堂に散る黒い影にフレンは数瞬目を奪われる。
そして。
「…な…ッ!」
男の頭、装飾品だと勘違いしていた動物の骨と思しき赤黒いそれが彼の頭から生えていることに気付いてフレンは鋭く息を飲んだ。
女神の物語とは異なるおとぎ話で何度か目にした記憶がある。
それらの多くは人々に災厄をもたらす者として忌み嫌われ、神々あるいは人の手に寄って葬り去られてきた。
「あ、悪魔…」
美しき女神の加護によって守られているはずの聖域を踏み躙る異形の者が耳聡く呟きを聞きつけてにやりと犬歯を覗かせた。
「オレの抜け殻に毎日熱心にお祈りしてるみたいだからわざわざ出てきてやったんだ。もう少し嬉しそうにしろよ」
「誰がお前のような悪魔に…!!」
噛み付かんばかりの勢いで反駁するフレンを塞ぐ。
それは単純な腕力ではなく、フレンの意志など取るに足らないとでも言いたげにあっさりと。
「んん…っ」
ぬめった温かいものを咥内に捩じ込まれた頃にようやく体の自由を取り戻すが、女神の僕として一生涯を捧ぐと決めた潔癖の身にそれは抗い難い疼きを与えた。
腹の奥が熱く燃え滾るかと思えば、雷に打たれたように痺れて体力を削る。
それが性的興奮であると知る由もなく、彼は悪魔の魔術から解放される時の訪れをただひたすらに女神ローレルに祈った。
一頻り咥内を蹂躙して唇を離せば、金髪の青年はぐったりと糸の切れた操り人形のように悪魔の胸へと落ちた。
その金の髪を撫ぜながら悪魔は子守唄を口ずさむように静かに訊ねた。
「名前は?」
理性を跡形もなく蕩かされ不本意ながらも悪魔にもたれてフレンが弱々しく応える。
「フレン…」
「ふぅん…、見れば見るほど好みだ」
神経質に尖った金の簾を掻き分けて現れたのは性とは無縁の生活を送ってきた純潔の瞳を快楽の汚濁が今まさに飲み込まんと襲いかかる様子。
しかし高潔の魂の前では砂浜を僅かに濡らすさざ波程度にしかならず、その強固な砦を如何に崩落せしめようかと舌なめずりする悪魔に今度はフレンが問いかけた。
「なぜお前のような悪魔が…この場所に」
「だってここオレの家だし」
鼓膜を揺さ振る予想だにしなかった音にフレンは腰砕けになっていたことも忘れて勢い良く上体を起こした。
「戯言を…、ここは女神ローレルを祀った神聖な場所だ!いくら力があろうともお前のような悪しき者が易々と足を踏み入れることの出来る場所ではない…!!」
力任せに突き飛ばされた腕をさすりながら、しかし苦痛ではなく愉悦を湛えたまま悪魔が言う。
「女神ローレル、ね。髪が長けりゃ女かよ。随分めでたい頭してんのな」
男の言わんとしている内容をしばし計りかねていたフレンだったがある一つの可能性に考え至り、思案に暮れ細めていた瞳をぎょっと見開く。
「…仮にローレルが女性でなかったとしても、お前のような忌まわしき悪魔の角はない。神の名を騙るな」
変わらず警戒心を剥き出す青年の逆立てた針を毟り取ってやろうと悪魔は楽しげに昔話を始めた。
半年にも及ぶ日照り。
芽生えを迎えることなく死に絶える作物。
ひび割れた大地には獣すら寄り付かず、町は既に廃墟も同然であった。
命のともし火が消える時を待つより他ない住人の前に悪魔が降り立ったとしても誰も驚きはしなかった。
それならば驚かせてやろうと悪魔が指を弾く。
とうの昔に枯渇し窪地となったはずの泉に水が湧きいずる。
再び悪魔の指が小気味良い音を奏でると今度は見渡す限りのたんぽぽの絨毯が。
悪魔の思惑通り人々は驚き、そして喜んだ。
人間を超越した力を見せるたびに向けられる畏怖の表情を期待していた悪魔はぽかんと口を開け、それから住人と一緒になって喜んだ。
「町が栄えて新しい住人が増えるとそいつらはオレを恐れた」
悪魔が施した術は時を経て真実となり、永久にこの地にあり続けるだろう。
悪魔の助けがなくとも人は豊かに幸せに暮らしていける。
ここが潮時だ、と悪魔は悟った。
新しい住民らは悪魔の旅立ちを喜んだが、彼と共に町を復興させた人々は頑として首を縦には振らなかった。
しかし悪魔の決意は固い。
好意に甘え留まり続ければやがて悪魔を快く思わない住人とのあいだで争いが起こるだろう。
自分一人が出て行けば無用な血を流すことなく、町はいつまでも緑豊かな楽園を保ち続ける。
そうして悪魔は誰にも告げず、闇に溶けるように姿を消した。
あとに残された人々は心優しき悪魔を讃え、彼の行いを後世へ伝えるべく聖堂を作った。
その真中に佇む彫像こそ瀕死の町を救い、永久の安穏を与えたもうた慈愛と豊饒の神ローウェル。
長話が苦手な悪魔はところどころを省略しながら簡潔に聞かせてみせた。
「月桂樹の冠は角を隠すための苦肉の策ってとこだろうな…って、お前…」
物語の始まりこそ訝しげに眉を顰めていたフレンの頬を涙が洗っていく。
「死に損ないの町を救ったカミサマが実は男でしかも悪魔ときた。そりゃ女神ローレルの方が聞こえはいいわな」
フレンの涙を失望のそれと捉えた悪魔、ローウェルは頭の後ろで手を組みあっけらかんと笑う。
その胸倉を掴んでフレンは声を震わせた。
「それでいいのか、きみは…?!確かにきみは悪魔だが、町を救った英雄として人々の感謝を受けるべきなのに…っ」
「救ってやろうと思ってやったわけじゃねえよ。この町のヤツらがバカみたいにめでたい頭してただけの話だ」
お前みたいにな、とは悪魔の声にならない声だ。
女神に陶酔していたのは夢中の出来事かと疑うほどフレンは悪魔の話を鵜呑みにし、そして彼のために憤った。
もちろん悪魔の物語に偽りはないのだが、ここまですんなりと呑み込まれると調子が狂うとローウェルは思った。
「お前が…、フレンが知ってりゃそれでいい」
毎日決まった時刻に現れ、初心な少年の眼差しで魂を持たぬ偶像を見つめる青年。
彼の者が放つ輝きに闇を生きる体が焼かれ、例え命を引き換えにしてでも手に入れる価値がフレンにはあると心底惚れ込んでいた。
「僕が…?」
「そ。だってオレに一生を捧げてくれるんだろ」
身も心も、両親から授かった生も全て捧げる覚悟がフレンにはあった。
しかしそれは。
「…やっぱりフレンも女神サマの方がいいか」
返答なく俯いてしまっても当然かとローウェルは分かりきっていた言葉を敢えて口に出した。
本来、人と悪魔は相容れない。
幾百年前に出会った彼らが異端だっただけで、それが当たり前なのだ。
布に水を零したようにじわりじわりと黒が滲み、悪魔の輪郭がぼやけていく。
「夢壊しちまって悪かったな」
大胆不敵な悪魔の表情に亀裂が生じる。
モノにしてみせると意気込んで闇を抜け出したはずが、わざわざ傷付くために姿を見せただけなんてとんだ笑い種だ。
悪魔の唇が自嘲に歪んだその時だった。
手を伸ばせば届く距離をフレンは床を蹴って飛び付いた。
「ローウェル…!!」
既に半分以上が消え失せた体を繋ぎ留めようと食い込む爪が黒衣に皺を作った。
突然の抱擁に悪魔はもちろん、フレン自身も驚いているようだった。
捕まえたはいいがかける言葉がないらしく、あーだのうーだのと意味をなさない音が生まれては消える。
「…僕は人によって都合よく作りかえられた女神を崇拝してきた」
やがて発せられた、人々の罪に耳を傾ける立場であるフレンの懺悔。
「知るすべがなかったとは言え、これは本当の救世主であるきみに対しての冒涜だ。僕は…聖堂の守り手として相応しくない」
絞り出すように紡がれた言葉は雨垂れのようにぽたりぽたり、寒々しく大聖堂に響き渡る。
「で、仕事ほっぽりだして逃げ出すのか?自分には相応しくないから」
馴れ馴れしく、悪魔にはそう感じられた、背に回された手を振り解こうと血の赤を纏った爪先が金糸を鷲掴む。
陽光の如き煌きを奪ってしまわぬよう手加減したのはせめてもの情け。
「逃げない」
悪魔の加えた手心が仇となる。
引き剥がそうとする力と逃すまいとしがみ付く力は奇妙なまでに均衡を保ち、ローウェルの怒りに油を注いだ。
「へぇ…それじゃ心を入れ替えて悪魔に仕えます、ってか?とんだ尻軽だな、神父サマは」
後ろ髪を掴まれ仰け反った無防備な喉に悪魔の牙が急接近する。
ローウェルに人間を食す趣味はなかったがこれ以上生意気を言うようなら致し方あるまい。
鋭く尖った牙が柔らかい皮膚を今にも突き破らんと宛がわれる。
しかし命に危機に晒されながらもフレンは腕の力を緩めようとはしなかった。
「きみのことをもっと知りたい」
長い黒髪を伝って角の生えた頭を抱けば居心地悪そうに悪魔が身じろいだ。
「ちっ…!」
「僕はきみに相応しくない。だから近付く努力を許してくれないか?…気に入らないなら今すぐ喰い殺してくれて構わない」
もともと天蓋孤独の身だ。
女神の僕となるか、悪魔の血肉となるかの違いはあれどもフレンが消えて悲しむ人はこの世にいない。
泉を湛えた瞳が決意に閉じられる。
すっかり喰われる気でいるフレンにどうしたものかと悪魔は黒髪を掻き、溜め息混じりに低く呻いた。
「人間を喰う趣味はねえよ」
え、と閉じていた瞳を丸くさせてフレンが首を傾げる。
今まさに喰おうと喉元に齧り付いたじゃないか、と。
「脅しゃ黙ると思ったが、まさか喰ってくれなんて言うと思わなくてな」
大抵の人間は魔術か牙を見せるだけで腰を抜かすものだが、どうやらこの町には変わり者が多いらしい。
「あー、なんかすげえ疲れた…」
町を離れて以降、魔界で隠居生活同然の暮らしを送ってきたローウェルにとって悪魔らしく振舞うのは実に数百年ぶりのことである。
年若い見た目に似合わず年寄りじみた重みのある溜め息を吐き出す悪魔にそれならばとフレンが提案する。
「お茶でも煎れようか?聖堂の裏に僕の住んでる小屋があるから、そこでお菓子でも食べながら…」
「菓子?」
首筋にへばり付いていた悪魔は気だるげに細めていた目をぱっちりと開いてフレンを見上げた。
「うん。おやつに食べようと思ってクッキーを焼いたんだ」
確か戸棚にジャムがあったはず、とフレンの唇が全てを紡ぐより先にローウェルはその無限の夜空を映した瞳を器用に輝かせた。
「そういうことは早く言えよ。茶飲み話にこの大悪魔ローウェル様の有り難いお説教をくれてやるよ」
手のひらを返したような待遇を不思議に思いながらも努力の時間を与えてくれたことをフレンは素直に喜んだ。
「ありがとう、ローウェル」
「ユーリだ。ユーリ・ローウェル」
「うん、ユーリ」
朝露に刺激された蕾が綻ぶように控え目に広がっていく微笑みに悪魔は眩暈を覚えた。
やべえすげえかわいい。
これで体の相性もばっちりなら言うことなしだと浮き足立つ黒い背中を追いかけてフレンも大聖堂をあとにした。
おしまい
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
読んで下さった方がいましたらありがとうございます
516 :
名前 1/5:2009/12/04(金) 23:39:30 ID:HpoFQR80O
バソユウキ。教主と殺し屋。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
佐治は人の名前を呼ばない。
己の名だけでなく、他の者の名を口にすることもない。
大概、君や彼、奴ら、貴方など、そういった風に処理をしてそして、戸惑わない。
初めて名を聞いたとき、怒りなのかと思えるような顔で振り向いたことを思い出す。
聞いてはいけなかったのか、そう、本当に思ったほどだった。
殺し屋に、暗殺者に、名は不要だとその後己は知った。
いつでも笑っている佐治の顔は、そのように出来ているだけであるとも。
深く暗く、そしてそれを苦ではないと感じているらしいという、宿業にも。
だから佐治は名を知らない。己のものも、他人のものも。
名など、ただの記号に過ぎぬと揶揄しているようでもある。確かに、それは否めぬが。
だが怒門は、鳳雷の言葉の、その言霊の存在を知っている。
名はそのものの魂のどこか一つ部分であり、名を呼ばぬというのは在り処がないということ。
佐治その人も、佐治に関わるすべての者も。
「君は、全くどうでもいいことを考えるねえ」
国へ帰り、蛮芯教の教主と成る前、佐治に告げるとそんな風にまた笑われた。
517 :
名前 2/5:2009/12/04(金) 23:40:55 ID:HpoFQR80O
これから怒門はそう身をやつす。身を変える。
姿かたちだけでなく、別の者に成るのだ。別のものに。
ならばそう呼べば良いと、決して己の名を口にしなかった男に、そう告げた。すると笑われた。
「僕は佐治、君は君。それだけのことだろう」
「佐治」
「それが気に入らないなら、別の好きな名を付けてくれ。僕は、それで構わない」
黒髪をかきあげうっとりと、まるで囁くように言うその顔は、艶然というに相応しかった。
ああ。
心は折れそうになる。そううっとりと、撫ぜ繰られると。
名を付けられると、己の印を好きなだけ刻み込めるという、その一点に心は知らぬ間に踊る。
復讐の鬼が、その時は鮮やかな喜びさえ手掴む。
「それに」
佐治はするりと笑いを別の風に変えた。そういう男なのだ。
「僕が彼といえば君のこと、彼女といえばあのお姫様のこと…わかるだろ?」
「まあ、そうだが」
「そういうことだ。僕にはそれしかないんだ」
佐治の関わりになる、それも生の世界というごく狭い環の中に含まれ、許されることもそれ。
全てを犠牲にして復讐の鬼と化した、はずだった。
だがそれでも己の中にはまだ、喜びや希望や、そして生身の欲望がどこからか湧き出る。
518 :
名前 3/5:2009/12/04(金) 23:42:20 ID:HpoFQR80O
名を呼ばせたい。名を呼びたい。
たったそれだけでも、その奥底に流れる欲の強さは、常使う剣の刃よりも鋭く強いのだ。
ただの殺し屋、ただの暗殺者、協力者、利用者、相棒、友人、親友。どこに成る。
答えるものはいないと知っていたが、怒門は一人、船の上月を眺めながら呟く。
「俺たちは、その時何に成るんだ。佐治。」
そして怒門は鳳雷へ帰った。
佐治も共に、その地に降り立った。
殺し屋が神の教えの一派だなんて、面白いねえとまた、違った風に笑っていたが。
教主であるはずの怒門をあがめるふり、奉るふりは奇妙に板についていて不思議だった。
それでも名はやはり呼ばず。佐治と呼べば振り返る、ただそれだけ。
君は、彼は、うちの彼は、と何度も何度も、佐治はそう言って笑っていた。いつもの通りだった。
それを怒門も、聞いては答えるでなく見つめながら目で返していた。いつもの通りだった。
「彼は、ああ彼は素晴らしいんだ。さあみんな、うちの彼の話を聞いてくれ……!」
佐治は軽やかに笑う。そして叫ぶ。
神はいずこにも、全てのものにあり。
その教えは貧しい民達の心に刺さるのも容易で、そして抜けず残る。
民は神を求め、教えを求めたのだ。
519 :
名前 4/5:2009/12/04(金) 23:45:45 ID:HpoFQR80O
また佐治は、こうも言って笑っていた。
「彼のことを信じよう、僕みたいに」
「佐治」
「僕は、君を……うちの彼を信じ、ついて行く。心から、どこまでも同じくする者だ!」
そんな言葉が佐治の口から。
偽りでも驚いた。偽りでなければ、驚くことすら出来ないかもしれなかった。
だがそれを、怒門は否定しなかった。
ただまた、見つめ微笑むようなふりをしていただけだった。
そして一人になったときに怒門はまた、誰にも聞こえないように呟いたものだ。
「俺たちは、本当に何なんだ。佐治。」
そして。
やがて蛮芯教は鳳雷の国を、すさまじい速度で飲み込んでゆく。
「蛮芯教はホモもOKらしい」という噂が、ある特定の層の支持をやたら集めまくり、信者は爆発的に増えまくっ
た。
だが怒門はそれを聞いた時、復讐の事もちょっと忘れ
「だからうちの彼とか、彼とか、彼とか呼ぶと誤解を招くだろうが…!」
と、あと俺にもちょっと責任はあったかもしれないと色々悩んで転がって凹んで、本気で泣いた。
520 :
名前 5/5:2009/12/04(金) 23:46:49 ID:HpoFQR80O
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
最後はオチです。
岩男Xの赤い子と青い子です。死ネタ注意、シーンはX5のED。
CPはリバです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
泣くことができる彼を、羨ましいと思った。
ぽたぽたと垂れる液体が、俺の頬を濡らしていく。
半分になってしまった俺の体に覆い被さりながら、エックスはただ、泣いていた。
かたかた、と震えているエックスの手。いや、手だけではない。全身が微かに震えている。
多分もう、限界なのだ。俺よりはましなのだろうが、エックスのボディは壊れかかっている。
霞がかってくる目で、下半身を見た。見事に、何にもなくなっていた。
吹っ飛んだのか粉々になったのか、“いかにも機械らしい”部品が露わになっている。
思わず笑みが漏れた。俺は機械なのだ。どうしようもないくらいに、機械なのだ。
見上げると、緑色の瞳が輝いていた。潤んだ瞳の奥底にあるのは軋むほどの悲しみで、
『彼は本当にレプリロイドなのだろうか』という心の中で何度もした問いかけがまた、頭をもたげ始める。
エックスは機械だ。そんなことは、分かっていた。
でも、俺の中にある小さな何かが、何度も何度も、俺にないはずの“心”を擽るのだ。
「……エッ、クス…………」
なんて綺麗な瞳なんだろう。綺麗な瞳の中に映る、汚らしい俺の姿。全て、俺のせいだったんだ。俺が、全ての元凶だった。
俺がいなければ、こいつが泣くこともなかったのではないか。
「エックス……おれ、は……」
「ゼロ……ッ!もう、話さないでくれ……俺が、連れて帰るから。君を、連れて帰るから…………!」
最後まで、馬鹿な奴だな。それが無理だってことぐらい、お前にも分かっているんだろう?
お前、自分の体をよく見てみろ。配線が露出しかかった胸、今にも千切れてしまいそうな脚。俺を抱えて動くことなんてできるはずもない。
ああ、泣けるお前が羨ましい。お前は、俺を見て泣いている。『死んで』しまいそうになっている俺を見て、感じて、ひたすら泣いている。
お前の瞳に映ることができて、お前の心に触れることができて、俺は凄く嬉しいんだ。
俺のために、お前が泣いている。俺だけを見て、泣いている。それが、悲しいのに凄く嬉しいんだよ。
霞みゆく視界。この世界に未練なんてないけれど――俺の存在はこの世界にとって有害なのだから、
消えてしまった方が良いだろうと思う――エックス、お前の姿が滲んでしまうのが惜しい。
ころころとよく変わる、お前の表情が好きだったんだ。
一度だけ体を合わせた時も、不安と甘さをない交ぜにしたような表情で、何もかもを赦す色をして微笑んでいたな。
「人間の真似事をしてみたい」と言った俺に、逆らおうとしなかった。
入れる器官も入れられる器官もないのに、拙い愛撫を施すと、「嬉しい」とお前は目を細めた。
俺の頬を撫でる冷たい指先は、あの夜と何も変わらず冷たいままだ。
冷たいのに、震えてしまうくらいに温かい。
「……何で、笑ってるんだよっ!このままじゃ、ゼロが……っ」
言いながら、俺の体を持ち上げようとして失敗する。
転がった拍子に手がセイバーに触れ、「やるよ」と言うと、エックスはぶんぶんと首を横に振った。
その姿が、愛おしかった。湧き上がる感覚が全身に痺れを与え、視界が不明瞭になっていく。
エックスに抱きしめられたのが分かった。
「笑ってくれ」。俺は無理難題を吹っかけた。「馬鹿!!」エックスの腕の力が強くなる。
馬鹿はお前だ。お前に本気で抱きしめられたら、俺は粉々になってしまう。
頭の中で、アラートが鳴った。エックスの声を掻き消す程に、大きな電子音だ。
「いやだ、逝くな!!ゼロ……ゼロ……ッ!!」
緑、黒、緑、黒。もう、彼の姿が見えない。意味不明な映像たちが、俺の全てを占拠する。
自らの目の端から、何かの液体が溢れ出ていくのを感じた。涙ではない。多分、オイルか何かだろう。
「……ゼロ……泣いてるの……?」
真っ暗な世界に響く、彼の声が最後だった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>516 ちょwすごくしんみり読んでたのにまさかのオチwww
美形ツートップ狙いの野郎共とか二人セット目当ての女性達とかで説教殿が一杯になるんですねわかります
GJでしたー。
>>525 すんばらしいっw
結果的にはその蛮新教が広がれば、男同士でくっつくわけだから
蓬莱の国は亡国となりますわな。教主の復讐は成るわけだ。
それと相変わらず佐治は色っぽいなあ。
先日の秋刀魚五点と本スレでの新幹線妄想を自家発酵
ナマモノ注意 エロ無
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
朝焼けに光る東京の町並みが、新幹線の小さな窓の外を流れていく。
無機質なビル群にはさして興味も無いのに、ずっと目が放せないのは
車窓を見ているフリをして、隣に座る愛しい相方の横顔を見ているから。
和歌林は先刻から熱心に文庫本を読んでいる。耳にはiPodのイヤホンをつけて
こちらからのコミュニケーションを一切絶っている。
でもそれはただのポーズだって、この粕賀には分かってるんですよ?
俺は景色を見てるフリ、あんたは本を読んでいるフリ。
でも実はお互い意識しあってるなんて
まったく面倒くさいおじさん達ですねぇ。
そんな自分たちが可笑しくて、つい口元が緩む。
こっちを見ていなかったはずの和歌林が、黒縁眼鏡の奥から睨んでくる。
「ニヤニヤすんな」とその目が語っている。
いかんいかん。
ここでご機嫌を損ねるわけにはいかない。
ごまかすために自分のカバンを手にとって、中身をワケも無く探っていると
昨日買ったパンを見つけた。
賞味期限ぎりぎりで、半額で叩き売られていたのだが、朝食には丁度いい。
早速包みを破って頬張っていると、隣から睨め付くような視線を感じた。
「なんだね、和歌林君」
俺は満面の笑みなのに、相方は不機嫌な顔。
「ん?またパンが欲しいのなら、今日は機嫌が良いから特別に500円で売ってやってもいいぞ」
ちょっとアメリカン親父風に話しかけてみた。
「ふざけんなよ」
ピンポイントで向こう脛を蹴ってくる。酷し。
「お前、もう、あっち行けよ。空いてんだろ」
「粕賀の席はココってちゃあんと切符に書いてありますもんでね」
ひらひらと指定券を目の前で振ってやると、ますます不機嫌に拍車がかかったようだ。
「もう検札は済んだし、どこ座ってもいいじゃんか。
見ろよ!おっさんふたりで並んで座ってるのなんか、俺らだけじゃん」
吐き捨てるように言われて、自分が下手を打ったことを知る。
確かに周りを見渡せば、平日の早朝な上、乗り込んだのはグリーン車なので、乗客もまばらだ。
空いている車内に、わざわざ隣同士で座っているのは、この男には気恥ずかしくて仕方がないのだろう。
それは、分かる。分かるけれども。
「せっかくのグリーン車なのにぃ。座席が広いから隣に座っていても窮屈じゃないでしょう?」
「お前みたいな暑苦しいのが居たら窮屈だし、邪魔だし、うっとーしーんだよ!」
・・・そんなに罵詈雑言を並べ立てなくてもいいんじゃないの?
「俺は寝るんだから、お前、邪魔。あっち行け」
そう言って、体ごと壁際の方を向いてしまう。
「・・・わかりましたよ」
しぶしぶ立ち上がると和歌林が少しこちらに視線を戻した。
『あっち行け』なんて言っておいて、いざ席を立とうとすると目で引き止めてくる。
天邪鬼だって分かっていますけどね。
気付かない振りして、そのままふたつ前の席に移動した。
パンで腹がくちくなっていたし、今日は朝も早かったので
なんとなく流れていく景色を見ているうちに、いつの間にか眠ってしまった。
ふいに走った痛みで起こされる。またしても向こう脛。
しぶしぶ目を開けると、かなりお冠の暴行犯が仁王立ち。
「いつまでも、こんなトコに座ってんじゃねぇよ」
「あーたがアッチ行けって言ったんでしょうよ」
「るせー」
自分の発言は棚に上げて、勝手に怒っている。まあ、いつもの事ですけど。
「もうすぐ名古屋だから起こしてやったのによぉ」
俯いてぼそぼそと呟く。
「?・・・新大阪まで行くんですよ?」
「分かってるよっ、ンなこたー!
ただ、名古屋で他のやつらが乗ってきて、ココに座るかもしれねーじゃん」
口を尖らせて俺が座っている席を蹴っ飛ばす。
「だったら、あ、すいませんっつって、別のトコ行きますよ」
一呼吸おいて、続ける。
「・・・粕賀ひとりでね」
ちょっと意地悪かったかしら。
一瞬和歌林の目が見開いて、でもすぐ傷ついたかのように曇る。
「なんのための指定席だよ・・・」
だからっ!
あっち行けっつったのは、あーたでしょうが!
まったくもう素直じゃないんだから。
まあ、こういうところも可愛らしいんですけどね。
ちょっちょっと手招きすると怪訝そうな顔で近づいてきて隣の空いている席に座った。
「・・・キスしてくれたら、そっちに戻るよ」
低い声で耳打ちすると、瞬く間に和歌林の頬が朱に染まっていく。
「ばっ・・か、やろう、てめぇ、何言ってんだっ!」
「こらこら、大きな声出したら、他のお客さんに迷惑でしょう?」
しーっとするように、人差し指を和歌林の口の前に持っていく。
そのまま少し手の向きを変えて、指の腹をその唇にそっと当てる。
柔らかい感触が指先から伝わってくる。
あぁ、今すぐ食べちゃいたい。
「ね?・・・ちょっとでいいから」
「ちょっともなにも、お前・・・こんなトコで・・・」
和歌林は慌てて周りに目を泳がせる。
大丈夫、周りは全部空席ですし、だれにも見られませんよ。
ほおらと唇を突き出すと、赤い顔のまま固まってしまった。
本当は、分かってるけどね。
こんな公共の場で、しかも真昼間にキスなんて出来る訳がないってことぐらい。
ま、キスは口実で、実のところは和歌林の言うことなら何だって聞いてやりたいわけよ。
でもさ、そうそう簡単に我侭を聞くと思われちゃってるのもなんだか癪だしね。
ちょっとした意趣返しだっただけで。
そろそろ許してあげようかしらと思っていたら、ふっと目の前に影が落ちた。
目深に被っていた帽子が持ち上げられて、あらわになった額に小さな熱が点る。
驚いて見上げると、どうだと言わんばかりの生意気な顔。
う・・嬉しい、けど、でも。
「でこチュゥ〜〜〜?」
「るせー。文句言うな」
言い捨てて、ぷいと立ち上がり、自分の席に戻っていく。
粕賀が付いてくることを疑いもしないあたり、ちょっとむかつくんですけど。
こうなったら、隣に座ってあらゆるイタズラを仕掛けてやろう。
ほっぺにチュウぐらいは、許されますよねぇ?
そんな事したら、また『あっち行け』って殴られるかな。
それも良いなと考えながら、俺は自分の指定席に戻った。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お目汚し失礼しました。
>>533 いいねえ〜
粕賀はほっぺにチュウが好きだよね
和歌に実際にほっぺチュウしてた。唇にしたあとに。
ようつべで見た。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
激団親幹線「バソユウキ」から殺し屋→復讐鬼をベースに、左大臣×殺し屋。
エロ有り。復讐鬼×殺し屋もエロではないけどちょっと有りなので
ダメそうな方はご注意下さい。
536 :
接吻1/9:2009/12/05(土) 19:37:00 ID:n0tY3DrOO
着物が肩から滑り落ち、剥き出しになった白い背が揺れていた。
「あっ…あぁ……っ」
あげる声に隠さぬ艶を滲ませれば、それに煽られるように背後の男の
律動が早くなる。
膝の上に抱え上げられ、貫かれる下肢。
先刻より執拗に慣らされ続けたその場所は、今は淫らな水音を立て、
痛みよりもただじっとりとした熱を孕む。
肌理の細かい肌の感触を楽しむように、男の手が胸や腹を這いまわってくる。
老いも若きも貴賤も問わぬ、男という生き物の変わり映えのない欲の求め方。
それはこの男も例外ではなかったかと、少しだけ可笑しさを覚え、
顔に掛かる解けた黒髪の下、口の端が微かに歪んだ。
そしてうねるように背を仰け反らせ、締め付ける力を強くしてやれば、
それに男は呻きとも苦笑ともつかない息を肩越しに落としてきた。
一瞬の間の後、背後から回された手で顎を取られる。
「君は悪い男だな。」
揶揄し、面白がるような声が耳元近く囁かれ、顔を向けるよう促される。
乱れた髪を払わぬまま、指先で辿られる唇。
引き寄せられる、しかしその男の口元をこの時白い指先がそっととどめた。
言葉は発しない。
ただ細めた目元に艶然とした笑みを浮かべ、あからさまに先の求めを訴えてやる。
するとそれに男はやはり苦笑を洩らしたようだったが、あえてそれ以上無理を
強いようとはしてこなかった。
あとは、与えられるままに……快楽に身を委ねた。
「んぁ…あ…ぁっ…」
突き上げられ、揺さぶられ、あられもない声をあげ続ける。
今更隠さない、隠しようもない獣の享楽。
ただ……その唇への接吻だけを、佐治は最後まで拒んだ―――
537 :
接吻2/9:2009/12/05(土) 19:39:35 ID:n0tY3DrOO
頬を埋める絹の寝具がサラリと冷たかった。
気怠い身体を丸めるように沈め、ただ目だけは茫洋と開き続ける。
そんな佐治の視界にその時、寝台の天蓋を掻き分け、踏み入ってくる男の姿が映った。
肌蹴た着物を肩に掛けただけの姿のままでいる自分とは違い、先程までの情事の余韻など
欠片も残さぬように襟元をしっかりと合わせ、薄手の羽織まで身に纏っている。
左大臣、京鐘籍春。
彼は寝台の上で自分が目を覚ましている事に気づくと、穏やかに目を細めながら
声をかけてきた。
「起きていたのか。何か飲むかい?」
寝台に腰掛けながらの労わるような口調。しかしその奥には、先刻彼の上で晒した
こちらの嬌態を示唆するいやらしさが潜んでいる。
だからその申し出にはただ首を横に振り、佐治は寝台の上ゆっくりと上半身を起こした。
解けた黒髪が顔の横を滑り落ちる。
それに籍春は戯れるように手を伸ばしてきた。
「まさか君がまた訪れてくれるとはね。武士頭の件を断られた時点で終わりだと
思っていたよ。」
数日前、この部屋を訪れた時の会話を引き合いに出してくる。
その根の持ち方に佐治はクスリと笑った。
「お願い事があったので。」
そして悪びれずにそんな事を言えば、籍春はわざとらしい鼻白み方で返事を返してきた。
「これはまた色気のない。だが、まあいい。取引だ。」
声と共に、髪を弄るのとは違う方の手に持たれていた巻物が、寝台の上に落とされる。
紐を解き、佐治の目の前に広げられる。
それはこの国の地図だった。
「さあ、君達の堂喝襲撃の場所はどこだい?」
色気が無いのはどちらだと、胸の内、策謀家な男の切り替えの速さに苦笑を洩らしながら、
それでも佐治はこの時ゆらりと手を持ち上げる。
白く細い指先が迷いなく指す一点。
それは都を離れ西へと向かう街道が通る山中の、更に分け入った奥を示していた。
538 :
接吻3/9:2009/12/05(土) 19:42:36 ID:n0tY3DrOO
新しく立った大王の御前、執り行われた教義問答の場で、大連・稀堂喝とその息子宇木名、
そしてそれに加担する学問頭・音津加羅麿が捕り押さえられた。
罪状は新王美琴に対する反逆罪。
断を下したのは新王の父であり、左大臣として彼らの政敵の立場にあった籍春だった。
これに、教義問答での勝利を足掛かりに宮廷に食い込み、内部から宇木名らの崩壊を
謀ろうとしていた番新教教主である怒門の目論見は崩れる事となった。
それでも立て直す方法などいくらでもあった。
当初狙っていた学問頭の地位を手に入れる事は、けして番新教の損になる事ではない。
しかし教主である怒門はそれを拒否した。
理由は簡単に見透かせた。
心が揺らいだのだ。
激しい口調で自分達にかけられた先王暗殺の疑惑を指弾し、王の矜持を見せようと
しながら、その眼前で臣下に裏切られ、足元から崩れ落ちそうになっている
儚く弱い、かつての自分の許嫁の姿に。
指摘はしてやった。それこそ面と向かって。
それを彼は否定しながら激昂した。
図星だった。
しかし彼は頑としてそれを認めず、こう言葉を継いだ。
『標的は、まずは…宇木名と加羅麿だ』
長年の復讐の対象者。裏切り者の彼らを法の裁きなどで処刑されてなるものか。
連行時を狙い、その身柄をさらって、必ずこの手で殺してやる。
憤怒のままに声を震わせるその姿を、自分は醒めた笑みを浮かべながら見つめる。
どれだけ声を荒げ、言葉を飾ろうと、自分には彼の真実が見えていた。
大王美琴から目を逸らす、それは彼の逃げだった。
539 :
接吻4/9:2009/12/05(土) 19:44:50 ID:n0tY3DrOO
「ほう、西国落ちをエサに彼らを山中におびき寄せるつもりか。」
指された地図の一点だけで瞬時にそれを察した籍春が、顔を上げてくる。
「それで、この情報を私に教える見返りに、君が望む事はなんだい?」
そして真正面から問い質されれば、それに佐治はもはや言葉を飾る事はしなかった。
「彼らが堂喝達をおびき寄せるまで、この場所の守りは僕に任される事になっています。
あなたにはそこに衛兵を送り込んでほしい。」
「衛兵を?」
「ええ、大王美琴による『番新教一党の掃討』の命のもとに」
微笑みながら告げた、この言葉にはさすがの籍春も一瞬驚きを隠せなかったようだった。
瞬きを忘れた目がじっと向けられる。
しかしそれにも佐治が表情を崩さずにいると、彼はしばし考えを巡らせた後
おもむろにその口を開いてきた。
「君は…それでもあの教主は死なないと踏んでいるんだね。」
「都の衛兵ごときでは彼は倒せませんよ。」
「しかし彼に従う者達、確かハマソ国の王女と言っていたか。彼女らはきっと
死ぬだろうね。」
「かもしれませんね。」
「そうしたら彼は恨むだろうなぁ……命を下した大王を。」
ひたりと視線を当てられる。それを佐治はただ無言のまま見返した。
探り合う視線の交錯。その末に籍春が告げる。
「彼は、大王の命も狙うかもしれない。」
ひどく神妙な声で告げられた、その言葉に佐治は瞬間耐えられぬように
声を殺しながら笑った。そして、
「それが何か問題でも?」
挑むように言い返せば、それに籍春は一瞬の沈黙の後、それでもこちらも
抑えきれなかった笑みで喉を震わせたようだった。
540 :
接吻5/9:2009/12/05(土) 19:46:56 ID:n0tY3DrOO
「私は一応、彼女の父親なんだがね。」
しみじみとした口調で言われ、あぁ、そうでしたねと軽く返す。その上で、
「でも、そんな事は今更でしょう。」
そう見透かすように言い切れば、それに籍春は尚も失笑するように目を細めてきた。
国の為、民の為、己の理想の為。
高潔な女の志を挫き、傀儡に仕立て上げ、理想と現実と言う真綿でじわじわと
首を締めながら、精神を緩慢な自決へと追い込む。
価値が無いと判断した人間を、自らの手を汚さずに死に至らしめる術を持っている男。
それは相手が例え血の繋がった娘でも―――息子でも……
そんな冷徹な政治家の面を持った男が、しかし次の瞬間、佐治に意外な言葉を吐いてきた。
「何かあったのかい?」
一見身を案じてくるような、そんな眼差しと声色。
それに佐治の目がキョトンと見開かれる。
「何、とは?」
「いや、なんだか君らしくないと思ってね。そのひどく急いた様子は。」
今度はこちらの番だとばかりに見透かすような視線を向けられ、刹那早い言葉が
佐治の口をつく。
「急く?僕が?どうして?」
拙い言葉の羅列。それに籍春の口元の笑みが深まる。
「さぁ?それでも今の君はまるで、欲しいものが手に入らなくて焦れている
子供のようだよ。」
言い終わるのとほぼ同時に、籍春の手が不意に佐治に向け伸ばされた。
それを咄嗟に払おうと上げた、しかしその手首を逆に掴まれる。
思わず視線がきつくなる、しかしそんな反応さえ面白がるように、籍春はこの時、
捕らえた手首を力任せに引き寄せると、傾いた佐治の身体を再び自らの下に
組み敷いてきた。
541 :
接吻6/9:2009/12/05(土) 19:50:14 ID:n0tY3DrOO
背に寝台の上、広げていた地図がグシャリと歪む感触を覚える。
しかし籍春はそんな事などもはや気にも留めないように、掴んだ手首を離さぬまま、
もう一方の手で佐治の肩を寝台に沈めてきた。
そして無言で寄せられる顔。
唇を重ねようとしてくる…しかし佐治はそれを顔を背ける事で咄嗟に避けた。
もはややんわりと拒む余裕すら無くした、そんな佐治の様子に籍春はクツクツと笑う。そして、
「まあいいだろう。何を考えているのかは知らないが、番新教のこれ以上の
台頭はこちらも抑えたかったところだ。堂喝達を始末してくれた上に、それを
一気に根絶やしに出来るのなら、まんざら悪い話でもない。しかし、」
唇の代わり、反らされた佐治の首筋に顔を埋めながら、籍春はその耳元に
くすぐるような誘いの囁きを落とす。
「それでもこの情報と君との逢瀬一つで娘殺しを見過ごす大罪をかぶるには、
いささか私の方が分が悪いのではないかい?」
言外に示唆してくる男の望むもの。
それは己の目となり足となる、卓越した殺しの技術と洞察力。
わからないはずがない。
しかし佐治はこの時、避けた唇と同様にその思惑からわざと目を逸らし続けた。代わり、
寝台の上、投げ出されて
542 :
接吻6/9:2009/12/05(土) 19:53:14 ID:n0tY3DrOO
寝台の上、投げ出されていた足がゆらりと膝立った。
闇にも白い両の足が、着崩れ一つしていない男の胴を挟み込むように持ち上がり、
その腰にしどけなく絡みつく。
そして抑え込まれた身体の下、わざとらしくもせがむ様にその身を蠢かしてやれば、
それに籍春はこの時はっきりと苦笑したようだった。
からかうような呟きが落とされる。
「これは、とんだ操立てだ。」
その言葉に佐治は瞬間、脳裏に違う男の声を思い出す。
『人の心を見てきたみたいに言うな!』
自分に向けて投げつけられた、それは白い髪の男の怒号。
あの時にはわからなかった……しかし彼のその胸の苛立ちが、佐治はこの時初めて
少しだけ理解出来るような気がした。
543 :
接吻7/9:2009/12/05(土) 19:55:36 ID:n0tY3DrOO
あの日、空には白い月が昇っていた。
冴え冴えと冷たい蒼みがかった、そんな光の下、説教殿の回廊を行く怒門の背を
佐治は追う。
襲撃の準備は整った。人の配置もその手筈も。
そうなっても怒門の背はまだ揺れていた。逃げていた。だから、
後につくそんな背中に語りかける。
「そんなに彼女がまだ好きかい?」
その定まらぬ心を煽り立てるように言えば、それに彼は歩みを止めた。
鋭く踵を返し振り返ってくる、その目が怒りでうっすらと赤みを帯びている。
しかしそれにも動じずに、佐治は先を続ける。
「未練だね。女がころころ心を変える事なんて世の常じゃないか。ましてや君達が
離れていた時間は膨大なもの。それを責めてやるのはさすがに憐れだ。それなのに
君は彼女を今でも許せないほど、」
「……黙れ…」
「愛しているのかい?」
「佐治っ!」
一喝と共に怒門がこちらに向け迫ってきた。
技巧も何もかも忘れたような直線的な動きの手が佐治の両肩を掴み、強く
回廊の壁に押し付けてくる。
「黙れと言っているのがわからないのか!」
そして至近距離で吐き出された叫び。
動揺も露わな、そんな彼を掌握するには、あともう一押しだった。
だからそんな思惑を胸に、佐治は言葉を紡ぐ。
「黙らせたかったら、塞げばいい。」
挑発するように、笑みを浮かべながら。
しかしそんな言葉とは裏腹に、佐治の心には出来るはずがないだろうと言う
思いがあった。
共に過ごすようになって一年と少し。その間に自分の生い立ちや生き抜く為の
業を知っても、これまで一度としてその趣旨をもって触れてきた事のない男だ。
出来るはずがない。そう繰り返し思い、
……見誤った―――
544 :
接吻8/9:2009/12/05(土) 19:58:04 ID:n0tY3DrOO
えっと思った時にはもう遅かった。
悠然と見上げていた怒門の顔が不意に眼前に迫り、視界が閉ざされる。
そしてその刹那、声を発しようとした佐治の唇に噛みつくようにぶつけられたのは
怒りの熱を孕んだ怒門の唇だった。
一瞬の硬直の後、佐治はその事実に戸惑う。
いっそ慌て、もがこうとさえする。
しかし我を忘れたように肩を押さえつけてくる怒門の力は存外に強くて、
眉をしかめながら受け入れる接吻は、ただただ熱かった。
押し当ててくるだけの武骨な……それに自分に対する情は無い。
あるのは変わらぬ彼の揺れ。
それに佐治は、きつく閉じた瞼の裏、不意に湧き上がってきた苛立ちを自覚する。
いったい、いつまで。
あの牢獄の島を脱出してから今日まで、いったいいつになったら彼の揺れは止まる?
国に戻れば、と思った時もあった。
仇を目の前にすれば、と考えた時もあった。
しかしそのどの時を過ぎても、怒門の心は人と鬼との間を揺れ動き続ける。
彼は白から黒に染まった男。
元は白だった男。
だからこそ、苛立つ。
もしかしたら……また戻ってしまうのではないかと。
ならば、
いっそもっとその白い心を揺らして、二度と光の射さぬ漆黒の闇に突き落としてやろうか。
白い信頼で想う仲間が消えれば
白い記憶で忘れえぬ女が死ねば
彼に残るのは……黒い闇の自分だけだ―――
545 :
接吻9/9:2009/12/05(土) 20:03:32 ID:n0tY3DrOO
「……ん…っ…」
長かったのか短かったのか、わからない時間の果て、佐治の重ねられた唇の端から、
苦しげな吐息が洩れる。
それに瞬間怒門はハッと我に返ったようだった。
押し当てられていた唇が慌てたように離される。そして、
「…すっ、すまん…!」
反射的に口にされる謝罪。
肩からも手が外される。
しかしそんな離れゆく男に、今度は佐治がその手を伸ばした。
2、3歩と後ずさるその姿を追って、追う指先が怒門の横髪を掴み、その頬を包みこむ。
それに驚いたように見開かれた怒門の目は、先程の怒りの赤ではない、理性に支配された
青に染まっていた。
だからそれに佐治は想う。
戻るな、そして……離れるな。
引き寄せた唇に再び自らそれを重ね合わせて、微かに開いていたその歯列に舌を差し入れる。
戸惑う相手の舌を絡め取り、呼吸も継げぬ激しさで貪れば、それに怒門はギクリと
肩を震わせたようだったが、それでも彼はこの時、そんな佐治を押し返そうとは
してこなかった。
ただその手が自分の背を抱き返してくる事もない。
だから佐治は刹那、胸の内で呪うように繰り返す。
消えればいい、仲間も女もこの国も。
自分だけになればいい。
2人だけに……なればいい―――
すべての崩壊の始まりだった月の下のただ一度の接吻。
怒門に縋る佐治の瞼の裏で今までの世界が揺れる。
………いや、違う。
揺れていたのは、自分だった―――――
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
真っ黒な内容の上に投下ミスりました。ナンバリングすみません。
>>546 イメージしていた殺し屋の話が読めて嬉しいです。
切ない…gj
またまたお借りします
オリジ ゲイニソでコソビ外カプ
全国区ブレイク後輩×ローカルゲイニソ先輩
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
今日は全然ツイてへん。
目が覚めたら、入りの時間はとっくに過ぎとって。
取る物も取り合えずタクシーで劇場まで乗りつけたら、財布の中身は空っぽで。
あげくクレジットもキャッシュカードも、財布とは別にしとるカード入れごとそっくり家に忘れてきたもんやから、後輩に金を借りてタクシー代を払い。
(結構屈辱的なことだが、相方が「自業自得や」と言うて貸してくれへんからしゃーない)
開演したらしたで「こいつ今日ありえへんくらいヒドイ遅刻してきましてん」と相方にイジり倒され。
その後もしつこく続いた予定外のイジりで公演時間が延びて、上がりがえらい遅なって。
家に戻って金やカードをとってくる暇なんて全然なかったんで。
俺はまたもや後輩に金を借り(くそっ…!)、新大阪駅までタクシーを飛ばし。
予約していた新幹線になんとかギリギリセーフで滑り込んだ。
前もって買うてたチケットだけは財布の中に入れとって、ホンマに助かったわ。
目的地に到着し、新幹線を降りる。待ち合わせ場所で待つこと約15分。
待ち人は帽子を目深にかぶるでもなく、グラサンや伊達メガネをかけるでもなく、ちゅーか舞台衣装ではなくかろうじて私服だというとこ以外、まるで人目なんか全然気にせーへんと言わんばかりの素敵な姿で現れよった。
案の定周囲から「ねえ、あれってお笑いの…」だとか「もしかしてゲイニソの…」だとか、ひそひそ声がだだ漏れ状態で聞こえてきて、俄かに辺りが喧しくなる。
こればっかりはしゃーない。テレビは全国ネットのゴールデンからローカル深夜番組まで引っ張りダコで出ずっぱり、いまや国民的人気を誇るお笑いコソビの片方が、変装もせんと突如品川駅の改札前広場に現れてんから。騒ぎにならん方がおかしいやろ。
ちなみに、さっき俺が1人でここでコイツを待っとる時には、もちろんそんな声は聞こえてこんかった。
俺と相方は、一応大阪では道行くおばちゃんらに「あれ、あんたテレビで見たことあるなあ?」と声をかけられる程度に知名度はあんねんけどなあ。東の方では“通りすがりの一般人”以上に認識されたことは、まずない。
「お待たせしました。どこ行きます?もしかしてもうメシ食うてしまったとか?」
「いや、今日はまだ食うてへんけど…なあオマエ、もうちょっと目立たんような恰好してくるとか、ちったあ考えようや」
「食うてないんやったら、俺が知っとるとこあるんで、そこ行きましょか?」
「人の話聞けや!」
嗚呼、どんなベタなボケにもツッコまずにはおれん、職業軍人ならぬ職業ゲイニソの悲しき性よ。
「ちゅーか、実はもう予約入れてんですけどね」
ほんなら最初からそう言えや、と絡みつつ、アイツに連れて来られたのは、小洒落たレストランでもチープな居酒屋でもなかった。
「喫茶店やん」「喫茶店ですよ?」
どうやら酒を飲むという選択肢は、はなからないらしい。
しかも、扉には「Closed」の札がかかっとる。
「閉店時間過ぎとるやん」「過ぎてますよ?」
なんやねん、このグダグダなやり取り。今時の若手かてこんなダルい漫才せえへんで?いや、別に今コイツと漫才やっとるわけでもないんやけど。
「ここ、俺のダチがやっとるんです。で、今日あなたを連れてきたいて言うたら、ほんなら閉店後の方がゆっくりできるやろて言うてくれて。ほんで、特別に開けてもらいました」
どうやらコイツなりに人目を避ける気遣いはしてくれてたらしい。
まあ、さっきの駅でのザマを見れば、十中八九自分のファンの目を気にした結果やとは思うがな。
こじんまりとした店内の一番奥の席に、アイツと向かい合って座る。マスター以外誰もいない、俺たちの貸切状態。
今日はいろいろあって、ほんでもって金と時間はひたすらなくて、ほとんど胃の中に何も入れてなかったことを思い出すと、途端に腹が減ってきた。
「新幹線の中でも、金がなくてお茶ぐらいしか買えんかってん」
とりあえず腹に溜まるもん、と言うと、アイツにガーリックステーキを勝手にチョイスされた。
が、出てきたのはステーキっちゅーよりはただの鉄板焼と言うた方がええような…まあそういうヤツやった。
これが何々産の最高級和牛の霜降りで、秘伝のタレを使って云々などと説明されれば、それなりにありがたがって食うんやけど。でもここはアイツの顔を立てといたらなあかんよな、うん。
売れてる恋び…いやいや、後輩にも気ぃ使う俺。
なんてよぉ出来た恋び…あかんあかん、先輩やねん。
「ほんで?」
ガーリックがよぉ効いた肉とライスを交互に頬張っていると、ロケ弁を食べて腹一杯とかでコーヒーだけ飲んでいたアイツがいきなり口を開いてきた。
「何がほんで?やねん」
「何で今回はそないに急いでこっちに来てくれたんですか?」
明後日には半年かそこいらぶりの、東京の劇場での仕事が入っていた。やからや、とぶっきらぼうに答えると、「兄さん(俺の相方)は明後日の午前中にこっち入りやないですか」と冷静に指摘された。
「ええねん、俺らは週休3日やし。時間の融通は割りときくねんから。どうせ明日休みやったら、別に1日早く東京入りしたかて困らへんやろ」
こちとら、芸歴をちょっとだけ長く積んだぐらいしか誇れるもんがないローカルゲイニソや。
バイトをかけもちせんと生計が成り立たへんひよっこの若手に比べたら、金も仕事もそれなりにもろとるけど、ほんまに『それなり』で。
仕事が入っとらん日ぃを計算したら、平均したら週に3日はそういう日ぃがあんねんぞ。
「月休2日のオマエにはわからへんやろなあ」
「ちょお、それどこの労働基準法無視した会社ですか。失礼やなー。俺らは月休3日ですよ」
「……体壊すなよ?」
とりあえず心配だけはしといたる。
うちの事務所は、「金のなる木は生かさず殺さず」がモットーやからな。労働基準法はおろか基本的人権すら守られているかどうかも怪しいもんや。
「ほんで?」
また同じ台詞で聞き返される。
「だから何がほんで?やねん」
「1日早く東京入りしたホンマの理由、まだ聞いてませんて。困る困らないはあなたの都合の問題で、俺の質問の答えになってないやないですか」
ちっ、うまいこと誤魔化せたと思とったのに。
オマエもしつこいのー、別にそんなん俺の勝手やろ!と声を荒げてみても、アイツは全く引く様子はない。
「…俺ら、ホンマに休みが不規則な仕事してますよねー」
不意にアイツが、声のボリュームを上げてきた。
意味ありげに浮かべているニヤニヤ笑いと相まって、何や、嫌な予感がひしひしと…。
「何が言いたいねん」
「お互い忙しくって、なかなか休み合う時ないですよねー」
「………俺は週休3日や。オマエみたいに忙しない」
俺はせわしなく動かしていたフォークをカチャリと皿の上に置いた。
「俺らは今、月休3日なんです」
「………さっき言うたやん」「さっき言いましたよ?」
またもあのグダグダな会話に戻る。が、さっきまでと違って、俺の声はめちゃめちゃ小さなってた。
「俺ら最近めっちゃ忙しかって、今日までスケジュール混み混みやったんですけど、明日はなんとっ、ジャジャーン!半月ぶりの1日丸々オフなんですぅ〜」
「…………………………」
ワー、パチパチパチパチ〜と口で言いながら1人拍手をするアイツ。
そしてそんな楽しそうなアイツから、ふいっと視線を逸らす俺。
「あれ?でも変やな〜。俺この話、たしか誰かさんにメールでしたような――」
「おーい」
アイツの言葉が核心に迫ろうとしたその時、厨房の奥からマスターがひょこっと顔を出し、俺の目の前のダチを呼んだ。ナイス・タイミング!
「悪い。ちょっと出て行かないといけなくなってさ。10分ぐらいで戻るから、待っててもらっていいか?」
うん、ええよー、とアイツはマスターに向かってひらひらと手を振ってみせた。その顔がエライウキウキして見えるんは多分、いや、絶対気のせいやない。
マスターは俺に向かってすみません、戻ってきたらすぐ食後のコーヒー出しますので、と何度も頭を下げ店を出て行った。
ドアについとる古ぼけたベルが、チリンチリンと鳴った後に、扉が閉まる音。
そして店の中には当然のように、俺とアイツだけが残された。
マスターの乱入でせっかくうやむやになってくれた話がまた元に戻りそうな、嫌な予感リターンズ…。
「で、何の話してましたっけ?ああ、せやせや。半月前の1日オフん時は、あなたが地方に営業行ってて、結局一緒にはおれへんかったって話でしたね」
「ちゃうわ!ちゅーか、そんな話今更蒸し返すな、アホ!」
…コイツは、何が何でも俺の口から『その理由』を引き出したいらしい。
何もかもわかっとるくせに、コイツときたら……ホンマに絵に描いたようなドSやな。
「………や」
「はい?」
「………からや」
「聞こえません〜、もっと大きな声で頼んます〜」
「オマエの休みに合わせたからやて、言うてるやろ!!!」
……アカン、結局コイツにまんまと乗せられて、言うてしもうたやないか。
嗚呼、今日はホンマにツイてへん。
「そう言うてくれるの、ずっと待ってました」
二人きりの店内。アイツはガタン、と音を立てて椅子から立ち上がり、対面に座る俺の方ににすっと顔を寄せてきた。
半ば無理やり言わせたくせに、と一応反論はしたが、アイツは俺を無視して続ける。
「確かに俺、休みのことはメールで話してましたけど、別に早入りして欲しいなんて言うてないじゃないですか。いや、そういう目論見が全くなかったと言えば嘘になりますが。だからまさか、あなたの方から俺の休みに合わせて来てくれるやなんて…」
せやな。
わざわざ入りを2日も早めて、前もって新幹線のチケットも買うて、それを大事に財布の中に仕舞いこんで、ほぼ無一文にも関わらず家に帰る間も惜しんで新幹線に飛び乗って。
そうやってオマエに会いに来たアホは他の誰でもない、この…俺やねんなあ。
「俺、ホンマのホンマに嬉しかったんですよ?」
そう囁いたアイツの男前な顔が、ぐぐっと至近距離に近づいた。顔近っ。
アカン、また流されてまう――
そう思った時には、もう遅かった。
「……ニンニク臭かったやろ?」
「俺、ガーリック嫌いやないですし。それにあいつが帰ってきたら、コーヒーお代わりするからエエですよ」
せやからもう一回、と唇を近づけてきたアイツの頭を、俺はすかさずパシンと叩いてやった。
「調子のんなっ!」
「エエですやん、どうせこの後俺ん家帰ったら、もう一回といわず何度でも、それどころかそれ以上もするんですから」
「やっかましいわ!」
「そう言いながら、顔めっちゃ赤いし、口元もえらい緩んでますけど?」
「みっ、見んなやっ!」
俺はもう一度遠慮せずアイツの頭を叩いたが、今度はペシッというしょぼい音しかしなかった。
ドアのベルが鳴る気配はまだない。
食後のコーヒーでこのニンニク臭を消せるのは、も少し後になりそうや。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
先輩は「恋人」と口にするのが恥ずかしいお年頃(三十路)
生というかシャウギというか、本家板の定番コピペ
「おまえら、もし地球に将/棋/星/人が攻めてきて、向こうの大将と
地球代表が将/棋一番勝負で対決し、負けたら植民地にされる
という事態になったら、地球代表は絶対羽○でないとイヤだろ?
深○でもいいのか?深○に地球の命運を託せるのか?
羽○をけなしてるやつは地球規模で考えるんだ」→いや、ひょっとして将/棋/星/人って羽○じゃね?
のネタで律儀先生と恋愛流。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
|>PLAY ピッ ◇⊂(・A⊂ ギンガノレキシガマタ1ページ・・・
鳥の声で目が覚めた。まだ夜明け前だ。隣の彼を起こさないように部屋を出て、日課の水垢離を済ませる。
二人きりの合宿は、今日この日の彼のための調整が目的であり、生活のリズムも彼が中心となる。
白米が炊けた頃を見計らって、彼を起こしにいく。
「おはようございます。玉子と納豆、両方ありますがどちらにしますか」
「ありがとうございます。両方いただきます」
私の朝の日課が水垢離なら、彼のそれは朝食後の二度寝だ。
朝食を終えた彼はとろとろと眠りに入り、私は時間までそれを見守ることにした。眼鏡を拭く。
怒涛のような真夏の悪夢のなかの、これはつかのまの静寂だった。
地球は現在、外宇宙からの侵略を受けている。将/棋/星/人が攻めてきたのだ。
「ていうかあれ、HUBじゃね? 触角つけたHUBじゃね?」
「寝癖じゃなくて触角だったのか」
「凹座のHUBだけは人外という噂を、真剣に検討しなかったのが我々の敗着」
「カナダの首都↓」
「人類オワタ\(^o^)/」
人類代表を決めるための全キシ参加棋戦を催す時間的金銭的余裕も無く、実績と相性を考慮したうえで吟味した結果
季節は春でも冬でもなく夏だったので、人類代表の白羽の矢は彼に立った。
運命の日に向けた最後の調整の相手に、彼は兄弟子である私を選んでくれた。
二人で盤を挟んで検討を重ね、精根尽きると枕を並べて眠りにつく。その繰り返し。
かつて私と彼が、20歳であり14歳だった頃のように。
その昔、韜晦の鬼と恐れられた真剣師が居た。
その実力と人気の高さで異例のプロ編入が認められた彼は、大銘人O山にどうしても勝てず幾たびも苦渋を舐める。
彼は一人の若き弟子に雪辱を託した。手づから正統派の指し回しを教え
自らの奔放な攻めをぶつけてその子供を繊細で堅実な受けに育て上げた。
それが私だ。
打倒O山を果たした私は栄光を掴むはずだった。しかし、私はHUBという天敵に出会ってしまう。
幾度と無く決勝にだけは進むものの無冠の私をひとはシルバーコレクターと呼んだ。
私は師匠が死の直前に取った弟子の一人の面倒を見ることになった。
かつて師匠がしたように私は弟弟子に自らのキ風をぶつけ、彼は鈍く執拗な攻めキ風に育つ。
私の苦闘、悲痛、醜態の側に常に居たその子は、次第にHUBに執着するようになった。魅入られた、といってもいい。
HUBを付け狙い、研究し、終にはタイトルをもぎ取ることに成功した。
それが彼だ。
その過程で、彼も少しづつ歪んでいった。
一人の相手に研究を絞り込み、没頭する彼のやり方は、キシの命ともいえる准尉戦リーグでは裏目に出た。
対個人の相性に振り回され、勝ち星を揃えられず、クラスの間を流離いつづける。
度重なる不運に耐えるため、彼は闘志はそのままに感情だけを鈍らせていった。
「HUBさんは特別なんかじゃない。特別かもしれないけれど、僕は鈍くてそれが解らない」
そういいながら、HUBのいない棋戦でもHUBのことばかり語り続ける。
空っぽの目で、柔らかいけれど抑揚のない声で。そして盤上で何度もHUBを追い詰め犯した。
時間が来たので起こそうと思いそっと触れると、彼は既に静かに目覚めていた。
「HUBさんは神様でも化物でもない、唯の人間だということを、僕は勝って皆に教えてやるんだ」
呪文のように呟きながら、彼の背中は微かに震えていた。
背負った責任の重さに慄いているのではない。HUBが人間ではない可能性を、彼はただ悲しんでいるのだ。
それでも、私は。
(何度も遊んだ。旅行にも行った。でも同じ人間だと思ったことなんてただの一度もなかったよ)
決戦の地は、センダガヤ。いつものあの建物だ。
ああ、人類の命運をかけた一戦だというのに東京ドームひとつ用意できないとは、
世界不況もここに極まったか・・・と私は心中で嘆き眼鏡を拭いた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
大本営に負けず劣らずのgdgdかつ早投げですみません。
※以下、変化手順※
「対局室に現れたのは・・・ちがう、HUBじゃない!F井だ!F井だぞ!!」
「何てことだ・・・F井も将/棋/星/人だったなんて・・・」
「人類・・・始まったな!!」
「いやまて、防衛者は付加裏だ・・・付加裏にF井は、まずい!」
「誰か、お客様のなかに終盤を間違えない方はいらっしゃいませんかー!?」
俄矢倉党を叩きのめすのは、熟練した矢倉の専門家であるべきだ。呼吸を整え私が名乗りを挙げようとした
ちょうどそのとき、その場に異様な雰囲気を撒き散らしつつ、半泣きで乱入してきた男が居た。
「四間飛車は死んでいない! 私が貴方に勝ってそれを教えてやる!!」
まさにその瞬間まで(半ば意識的に)存在を忘れていた、それは私のもう一人の弟弟子だった。
※まで、人類劣勢※
>>560 ワwwwロwwwタwww
たまたま覗きにきたらなんというピンポイントw
姐さんGJ!
>>555 GJ!大好きです!
ほんとに先輩が可愛すぎるw
563 :
月夜 1/4:2009/12/05(土) 23:08:14 ID:QOxtRZQnO
こ/こ/ろ 先生とKです
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
帰宅途中、空気が冷たいことに気がついた。先ほどまでいた屋内とは違う、つんと張りつめた空気。
しかし私は、それを嫌いだとは思わなかった。冷たいが、澄んでいる。鼻をつく感覚も喉を通る感触も気持ちが良い。
とうに日が落ちて暗くなった夜空もまた、透き通っている。透明な水に浮かぶように雲が漂い、その奥に星。
何より、影をつくるほどの月。今夜は明るかった。
「今日は、すごいな」
言葉に色がついたように、白い息が溶けて消える。
私はいつのまにか足を止めて、吸い込まれるような夜空、そして月明かりに見入っていた。
「おい」
低音は、冴えた空気によく響いた。私は声のする方を振り返る。下宿先を同じにする友人――Kだった。
彼も私と同じく学校の帰りなのだろう。彼のことだから、下校時刻ぎりぎりまで図書室などに籠もっていたのだろう。
少し疲れが見えているその顔が寒さに赤らんでいるのがわかった時、
私はKが冬の夜にはやや似つかわしくない薄着だということに気がついた。
564 :
月夜 2/4:2009/12/05(土) 23:09:00 ID:QOxtRZQnO
「K、襟巻きは?」
「持っていない」
「だけど、寒いだろう。そんな薄い外套だけじゃ」
「買う金も時間もないのだ。仕方ないだろう」
確かにKは、勉強以外のことに時間や金を掛けることをしない男だ。
その姿勢は、やや呆れると共にそれでも尊敬に値するものだと思っている。
しかし、必要最低限の生活が送れるようにはすべきだ。だから私は、Kを下宿に誘ったのだ。
今回もそれは同じである。私は自分の襟巻きを外し、Kの前へ差し出した。
「これを使え」
「馬鹿を言うな。必要ない」
「いいから。意地を張って体を壊したら、勉強だって出来なくなるだろう」
こう言えば、Kは受け取らざるをえなくなる。むすっとした顔で受け取ったKはそれでも、首元に巻
き付けると少しは暖を感じたようだった。
565 :
月夜 3/4:2009/12/05(土) 23:10:17 ID:QOxtRZQnO
「暖かいな」
「そうだろ。これから君も使うといいさ」
「いや、お前の体温がだよ」
そんなことを言われて私ははたと気がつく。二人は往来の真ん中に立ち寒さに晒されたままだったのだ。
高いと言ったって、私の体ももう冷たくなっている。
それを暖かいと感じるほどなのだから、Kはもっと冷えているのだろう。そう思った途端、私はKの手を掴んでいた。
「冷たいな」
「元からだ」
「それにしたって冷たすぎる。帰ろう」
私は薄氷のようなKの手を取ったまま、歩きだそうとした。なぜだか私には、それが不自然な行動とは思えなかった。
それよりも、幾分温かい私の手が彼の手を暖めてくれたらとすら思ったほどだ。
しかしKは、そこから動かなかった。
566 :
月夜 4/4:2009/12/05(土) 23:12:52 ID:QOxtRZQnO
「おい」
「ちょっと、待ってくれないか」
「え?」
「もう少し、見ていたいんだ」
Kは上を向いていた。先程の私と同じである。通り抜けるような夜空と、そこに浮かぶ丸い月を見ているのだろう。
私はKの手を引くのをやめ、同じように上を見上げた。
「月が、綺麗だな」
「ああ、綺麗だ」
どちらともなく呟いた声は、白い息となって消える。
往来には、並んだ二つの影が延びていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
アニメ化を機に改めて読んでみたら相変わらず萌えたその勢いで書いてしまったw
読んでくれた方、ありがとうございます
ただいま482KB
次スレ立てに逝ってきます
規制で立てられませんでした。
どなたかお願いします。
>>556 神さま降臨!
ウラーが可哀想になってきた・・・、そんで律儀先生ちょっとひどい。
次スレ立てにいってみます
ERROR:新このホストでは、しばらくスレッドが立てられません
どなたかお願いします…
次スレ立ててみるよ
規制でダメでした…orz
すいません、どなたかよろしく…
>>560 gjです
なんつーかあなたテクニシャンですね…
ちょうおもしろかったです
>>546 面白かった!
艶っぽさがとても良かったですw
最後はなんだか切ないなあ。GJでした!
>>556 将/棋のことはよく知らないが、ハゲワロタw
gj!
>>563 801文学の代表作やないですか…!
非常に萌えました
>>546 姐サンの文章すっごく好きです!新作待ってました!
左大臣がドンドン私好みになって…(笑)
でも殺し屋が切ないっす…久々にマジ泣きしましたよ…ぐす。
>>557 > 季節は春でも冬でもなく夏だったので、人類代表の白羽の矢は彼に立った。
ハゲワロタ
冬編も読んでみたいw
だが最強冬将軍こそ宇宙人ぽいルックス
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 生 || ∧(゚Д゚,,)
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < 埋め立てついでに小話をひとつ
i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < 毎度すいません
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ"
ナマモノ注意 エロ無
ちょっとだけ仮眠をとるつもりだった。
収録の間の空き時間。
それで、夢を見た。ていうか、記憶の切れ端みたいなのが浮かんでは消えていく感じ。
夢うつつとは、こんな感じのとこをいうんだろうな。
半分寝ていて、半分起きている。
遠くて近いところから粕賀の声がする。
ちょっとづつ覚醒していく意識。
あぁ、ここ、楽屋だっけ。
粕賀の他にも誰かの声がする。粕賀はその誰かとしゃべってるらしい。
聞き覚えのある声・・・誰だっけ。
ぼんやりする頭で記憶を手繰りながら、話し声に耳を傾ける。
なにやら一つの単語が繰り返し出てきている。
ん?
「ネコ」?
猫がどうしたって?
まさか誰かが楽屋に猫を連れてきた?!
いやいや、そんな事はありえないし。
動物の猫じゃなくて、他のネコのことか?
そういや、一輪の手押し車を猫車っていうよなあ。
前にどっかの現場でスタッフが「ネコ持って来い」っつって
なんで猫がいるんだよって思ったら、あれがゴロゴロ押されてきて
なぁんだって拍子抜けして。
そういや、ケン姐さんが男同士で後ろからヤルときに
猫車を押してるみたいだから、女役をネコっていうんだって言ってたなあ。
だんだん頭が冴えてきた。体は寝っ転がったまま耳をそばだてていると
とんでもない一言が飛び込んできた。
「ホンマ、和歌林ってネコやんなー」
ドキリと心臓が跳ねる。
ええぇぇ?!俺が「ネコ」って、なんで知ってんの???
「そうですね、ネコですねぇ」
粕賀もすかさず同意してる。しかもなんだか嬉しそうに!
「なっ・・・っに言ってんだぁ!バカヤロウ!!」
とっさに起き上がって、手近にあった座布団で、テクノカットをばふばふ叩く。
「ナニ言ってんだお前、ナニ言ってんだお前ぇぇ!」
「ちょっ・・・ちょっと、ちょっと、落ち着きなさいよ」
「おおっぴらに言う事じゃねぇだろうがぁ!もう、死ね!いっぺん死んで来い!!」
はあはあと肩で息をする俺に、可笑しくてたまらないという感じの声がかかる。
「いやいや、ちゃうちゃう、そっちの意味やのうて、ほんまもんのネコや」
「え・・・?」
粕賀をどつき回していた手をぴたりと止める。
「自分、さっきまで、ソコで丸まって寝てたやろ?それがうちで飼うてる猫にそっくりでなぁ」
己の勘違いに気が付いて、さぁっと血の気が引いていく。
「それに性格も、警戒心が強ぅて、人見知りやし、天邪鬼で素直になれへんし
ホンマに、猫っぽいなぁって話してたんや」
「・・・あ・・・」
一度引いた血の気が今度は急に顔面に集中して戻ってきた。
恥ずかしさで頬がどんどん赤くなっていく。
「なぁんや、和歌林。キミ、何や思たんや?」
ワケ知り顔でニヤニヤ笑われてしまった。
あー。大先輩だけど、殴りてぇ。
「ほな、まぁ、仲良うしぃやぁ〜」
片手をひらひらさせながら、先輩は楽屋を出て行ってしまった。
残された俺と粕賀の間には気まずい沈黙。
「・・・粕賀」
「うぃ?」
「とりあえず、一発殴らせろ。グーで」
「なぁんでですか!勝手に勘違いしたのは、お宅さんでしょうよ!」
「ウルセー!この怒りの持って行き場がねぇんだよ!!」
怒りというより、恥ずかしさだけどな!
「黙って殴られろぉ!!」
「そんな、理不尽なぁぁ」
肉付きの良い図体を小さくさせて、狭い楽屋を逃げ回る相方を追いかけていると
なぜだか笑いがこみ上げてきた。
とりあえず、こいつの鳩尾に一発叩き込んでお終いにしよう。
理不尽なのは百も承知。
でも、許してくれるんだろう?粕賀。
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 止 || ∧(゚Д゚,,) < 展開がムリヤリだな!
//, 停 ||__ (´∀`⊂|
i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < ここはバカ話ってことでひとつ
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ
埋め
梅
UME
別にそんなに無理して埋めなくても…
ていうか、埋めるにしても巨大精密AAでも貼らないと
そう簡単には容量消費できないよ
/.つ))((⊂\
ヽ ヽハ,,ハ/ /
((⊂\ ハ,,パω゚ハ,,ハ /.つ))
\(゚ω゚ )( ゚ω゚)/ 無駄に動けば少しは
/ \
((⊂ ) ノ\つ))
(_⌒ヽ
ヽ ヘ }
ε≡Ξ ノノ `J
そんな長い話でなければあと一話ぐらいは載るよ
ちなみに今492kb
1kb=1024b=512文字(全角)
参考までに
>>535さま
素敵さぎます。
もう、舞台のビジュアルで想像してゾクゾクしました。
またお願いします。楽しみにしてます。
>>586 うわあああ和歌かわいいなあもう!!
乙です!!
>>280 遅くなったけどありがとう!ごちそうさまでした。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 飛翔の「Silver Spirit(和訳)」制服組 局←副だってさ。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ありきたりなシチュでスマソ。しかもエロは無い。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ウメルダケダシナー
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ああぁ〜、寒い寒い。冬の夜回りなんて碌なもんじゃないですね」
時折吹き付ける夜風に首をすくめて、耶麻咲が唸る。
「そうだな」
隣を歩く肘型は、咥えタバコの火をちらつかせながら気の無い声で返す。
「ちょっと、寄って行きましょうよ」
一町ほど先に赤提灯が灯っているのを目ざとく見つけて
耶麻咲が小走りになって先を行く。
「おいこらぁ!仕事中だぞ!!」
口では一応静止しておいて、肘型も後を追う。
夜回りの途中、ちょっと一杯引っ掛けて行くのは茶飯事だった。
「おやじ〜、あっついの、一杯頂戴」
耶麻咲は、小さな暖簾をかき上げながら、屋台の向こう側に居る白髪頭に声をかける。
「あいよっ」
人懐こそうな笑みと返事が返ってきた。
一刻遅れて、屋台に着いた肘型は、その隅っこの方に見慣れた人影を見つけた。
固まった肘型の視線を追って、耶麻咲もその人に気が付く。
「あれぇ〜〜、局長!どうしたんっすか、こんなトコで!」
素っ頓狂な耶麻咲の声に、背を丸めて突っ伏していた紺同がのろりと顔を上げた。
その目は据わっていて、顔全体が林檎のように赤い。
かなり酔いが進んでいるのが、一目で分かった。
「・・・うわぁ」
小さく呟いて身を引いた耶麻咲が、くるりと肘型の方に向き直って早口でまくし立てる。
「あの、あの、俺、急に腹が痛くなっちゃって、えっと、ちょっと、失礼しますっ!」
「・・・ちっ」
あれよあれよという間に小さくなっていく耶麻咲の背中へ、肘型は舌打ちを投げる。
「面倒押し付けやがって」
一人言ちて、紺同の隣に座る。
「とぉしぃぃぃ」
肘型が腰掛けるやいなや、紺同が体ごともたれ掛かってきた。
「うわっ、酒臭っ!どんだけ呑んでんだよ、紺同さん」
厚い胸板を肘で押し返しながら、肘型は精一杯の渋面をつくる。
また一滴も呑んでいないのに、赤くなる訳にはいかない。
「もう、聞いてくれよぉぉ、トシぃぃ」
紺同の太い腕が、肘型の首に回されて、ぐいと引き寄せられる。
熱い息が、肘型の耳にかかる。ぞくりとする感覚が肘型の背筋を走った。
「聞かなくても分かるってっ!また、あの女に振られたんだろっっ」
両手で紺同の顔を押しやりながら、苛立たしそうに吐き捨てる。
「『あの女』なんて、言うなあぁっ!!」
大きながなり声を肘型は耳を塞いでやり過ごす。
抱きついていた紺同が少し離れたので、肘型は屋台のおやじが黙って出してくれた酒をあおる。
一息ついていると、今度は肘型の両膝に紺同が顔をうずめてきた。
「ちょっ、ちょっとっ、紺同さんっっ!」
慌てて押しのけようとしても、肘型の腰に回された腕は動かない。
逆に、逃げようとすればするほど、強く抱きとめられる。
肘型は観念して、紺同の頭に手を置いた。ごわごわの硬い髪が、指にこそばゆい。
ぽんぽんと軽く叩きながら、肘型は情けない格好の紺同に声をかける。
「振られんのなんて、いつもの事じゃねぇか。そんなんでヤケ酒なんて、らしくねぇぜ」
「・・・でもよぉ」
肘型の足の間から、声がする。
ちょっとヤバイな、と肘型は思った。紺同が触れているところが妙に熱くて、むずがゆい。
「とっ、とりあえず、一旦起きよう、なっ?」
なるべく優しく、紺同の肩に手をかけて、肘型は自分の足から引き剥がした。
「トシぃ」
紺同が涙目で肘型を見つめる。肘型の顔が赤くなっていくのは、酒のせいばかりではない。
ふいに紺同は肘型を抱きしめた。
「っ・・・ちょっ・・紺同さんっっ」
肘型の心臓が早鐘を打つ。
「・・・トシ」
耳元で名前を呼ばれて、肘型は眩暈がしそうになる。
ゆっくりと肘型の両腕があがり、紺同の背に回されようとしたその時
「もう、お前でいいわ、俺」
紺同が低く呟いた。
肘型の手がぴたりと止まる。
肘型は目を瞑って、乱れそうな呼吸を整える。
怒ってはいけない。
泣いてはいけない。
ただの酔っ払いの戯言だ。
そう自分に言い聞かせて、長く息を吐く。
「・・・なに言ってんだ、それこそ、らしくねぇぜ。紺同さん」
努めて明るく言い放つ。
「・・・だよなぁ」
肘型の葛藤など微塵も気付かないで、紺同が笑う。
微笑み返した肘型は、自分が上手く笑えているようにと願った。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ オメヨゴシシレイシマシタ | | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
最後にズレた…
申し訳ない
. . . . 。 . . 。 . . .
.☆ . . . . . ..
。 ,ィ‰、. . 。. 。 . . . .
ノ☆从、 . . . . .. .
ノノノ人∂ヾ . . 。. ┌─ 、
''⌒┃⌒`゛. . . . |__#'| . .
┃ . . 。 (´∀` )Ψ ..
⌒⌒⌒ヽ 。 . ..( )’ . .
" ´' ⌒⌒⌒⌒"⌒⌒"⌒⌒⌒"⌒⌒⌒
>>602 切な萌えでした!
二人にも姐さんにもこのスレにもメリークリスマス