___ ___ ___
(_ _)(___)(___) / ̄ ̄ヽ
(_ _)(__ l (__ | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ }
|__) ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
l⌒LOO ( ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_, _)フ 「 | ロ | ロ |
( ・∀・)、__)  ̄フ 厂 (_,ィ | </LトJ_几l_几! in 801板
 ̄  ̄
◎ Morara's Movie Shelf. ◎
モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |[]_|| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ]_||
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄| すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
|[][][]._\______ ____________
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |[]_|| / |/ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.|| |[]_||
|[][][][][][][]//|| | ̄∧_∧ |[][][][][][][][].|| |  ̄
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.|| |
|[][][][][][][][]_|| / ( つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板48
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1241968859/ ローカルルールの説明、およびテンプレは
>>2-9のあたり
保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★
1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。
(1)長時間に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(
>>3-7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。
※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。
相談・議論等は避難所の掲示板で
http://s.z-z.jp/?morara
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
| いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
\ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
| | [][] PAUSE | . |
∧_∧ | | | . |
┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ | | | . |
| |,, ( つ◇ | | | . |
| ||―(_ ┐┐―|| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
| || (__)_), || | °° ∞ ≡ ≡ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。
別に義務ではないけどね。
テンプレ1
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| モララーのビデオを見るモナ‥‥。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| きっと楽しんでもらえるよ。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
テンプレ2
_________
|┌───────┐|
|│l> play. │|
|│ |│
|│ |│
|│ |│
|└───────┘|
[::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
∧∧
( ,,゚) ピッ ∧_∧ ∧_∧
/ つ◇ ( ・∀・)ミ (` )
. (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
| ┌‐^──────────────
└──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
└───────────────
_________
|┌───────┐|
|│ロ stop. │|
|│ |│
|│ |│
|│ |│
|└───────┘|
[::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
ピッ ∧_∧
◇,,(∀・ ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
. (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
| |
└────────────────┘
テンプレ3
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 生 || ∧(゚Д゚,,) < みんなで
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < ワイワイ
i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < 見るからな
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ"
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 止 || ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
//, 停 ||__ (´∀`⊂| < この体勢は
i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < 無理があるからな
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ
テンプレ4
携帯用区切りAA
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
中略
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
中略
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
|
| ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
| ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
| ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
| ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
| ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
| ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
| ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
\___ _____________________
|/
∧_∧
_ ( ・∀・ )
|l8|と つ◎
 ̄ | | |
(__)_)
|\
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 媒体も
| 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
| 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
\_________________________
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄| じゃ、そろそろ楽しもうか。
|[][][]__\______ _________
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | |/
|[][][][][][][]//|| | ∧_∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
|[][][][][][][][]_||/( )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |
(__)_)
前スレであれだけ揉めた事柄あったのに、
テンプレ変更の是非の相談もスレ立て宣言もなく
いきなり新スレ立ててくれてどうもありがとう
>>10 お前は何を言っているんだ
前スレの容量見てみろ
残りがあれじゃ相談も何も無いだろ
携帯からって容量云々確認出来ないんだっけ?
>>1 スレ立て乙です!
>>11 携帯でも容量見られるよ
そして
>>3を見るんだ
>つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
>ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
>一見退屈な感想レスに見えようが
>コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
>それらは全てネタ。
>ネタにマジレスはカコワルイぞ。
>そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。
>>10 本当にこういう嫌みな言い回しする奴って実社会でも相当に嫌われ者だろう。
で、嫌われてると自分は気づいてなくて「いつもみんなが言いにくいこと言ってあげてるアテクシ、ステキ」とか思ってる勘違いバカぽいね、うんこw
なんていうかその言葉そっくりお前さんに返すよ
ここの住人も寿命か・・・ヨモスエヨモスエ
>>1乙です
また姐さんたちの素敵作品期待してます
投下どうぞ↓
17 :
幸福な兄ちゃん:2009/06/07(日) 16:51:10 ID:aZDpG3Lk0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 下手リアの仏兄ちゃんのお話。 (エロなし)
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ヘタの前スレで西ロマ書いて、棚に〜と言ってもらったけど書けなかったので仏兄ちゃんで書いてみた。。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ボンジュール! 仏兄さんだよ。
今悪友の西の家に遊びに行って帰ってる所。
トマト畑でロマがちょこんと座って絵本を読んでたから、
兄さん後ろからジャンピングして抱きついたら頭突きされた。
「なんだ仏の野郎か 西の野郎と間違えたぞちくしょうが」
なんだとはなんだ。 相変わらず口が悪いよロマ可愛いよロマ。
何を読んでいるか聞いたら、少し顔を赤らめ「『幸福な王子』」と呟いた。
ロマは言葉を続けた。
「『幸福な王子』っていいよな
大切な人が困っていても
俺には青いサファイアも真っ赤なルビーも持ってないもの」
少し暗い顔をしていたので、元気づけようとおでこにチュッチュッとキスしたら、
また頭突きされた。痛い。ロマも怒って帰ったし兄さんも帰るか。
数日後、愛鳥ピエールが「仏さんちょっとちょっと」と羽で手招きする。
ピエールについて行くと川岸でびしょ濡れのまま体育座りしてる墺がいた。何してんだお貴族様。
聞くと、道に迷い地図を見ながら歩いてたらそのまま川に落ちたそう。
ねーよ!とつっこみたかったが俺の周り国宝級の天然の集まりだからな、兄さん受け入れた。
で、独の迎えを待っているのだそうだ。
くしゅんと可愛いくしゃみをする墺。
仕方ないから兄さんの服を着せて上から青いコートをかけてやった。
「そこで何をしている?」
ゲッ 隣国の瑞がやって来た。瑞怖いよ瑞。
「星の王子様のご登場だ 俺は帰るよ」と兄さんそそくさと退場。
これに独が来てゲルマンズに囲まれたら俺のガラスのハートはバッキバキに折れちゃうよ。
「仏 お待ちなさい。この服…」
と墺が言ってたけど、待つものか。振り返らずに右手を振った。
その帰りがけ、愛鳥ピエールがまたこっちこっちと俺を呼ぶ。
ついて行くと、ズボンを手に持って涙目で体育座りをしている芬。
どうしたのか聞くと、以前伊にもらったズボンをはこうとしたら細くて入らなかった、
無理矢理はこうと四苦八苦してた所を典に見られ怖い顔されて落ち込んだそうだ。
「太ってる僕を見てきっと呆れたんですよ」
「いやいや 典の顔が怖いのは常にで…兄さんも尻触るのにとまどう相手だし」触れと言われたら触るけど。
落ち込む芬がいたたまれないので兄さんの赤いズボンを脱いでやった。
俺のサイズならジャストフィット。
流石サンタクロース。赤が似合ってるよとプニプニほっぺにフレンチキスをして、俺はその場を去った。駆け足で。
別に芬の後方から典がもの凄い形相で俺を見てたから怖くて去ったわけじゃないよ。ダッシュしたけど。
「仏さんからもらったんですよ」と明るく話す芬を抱きしめる典。
良かったな芬。
服もコートもズボンもあげちゃったから兄さん股間に薔薇しか残ってないよ。この薔薇まだ蕾だし。
愛鳥ピエールがまた俺を呼ぶ。もう兄さんHERO名乗ってもいいかい?DDDD
たどり着いたのは西の家だった。どうやら西とロマがケンカしてるらしい。
何ピエール 仲裁しろって?そうは言ってもなぁ。
俺は柱の向こうから二人の話を聞いた。俗に言う立ち聞き。
21 :
下手リア 幸福な兄ちゃん4/5:2009/06/07(日) 17:04:32 ID:aZDpG3Lk0
鈍感な西に素直になれないロマ。
不毛な片思いを諦めて新しい恋をと思うロマだけど西が邪魔をする。
「保護者面して邪魔するなチクショー俺の事を思うならほっとけコノヤロー」
「…」「…」
「…ロマ ごめんな 俺ほんまごめん」
「…俺 一日でいいからヴェネチアーノになりたい
俺とお前の性格じゃ一生通じあわねーよ…ちくしょう」
で、ロマが逃げだした…と。
あーー なんか若い頃の事思い出して少し切なくなったよ。
立ち尽くした西も気になるけどちょっと反省して待ってろ。兄さん本能のままにロマ奪って来る。
トマト畑の前でロマを掴まえた。そのまま押し倒した。
泣き虫なロマ可愛いよロマ。俺の領土になればいいのに。
「な…んだ… 仏の野郎か…」
なんだとはなんだ。本当に不器用な子だな、この子は…。
俺は蕾の薔薇をロマに渡した。
「これを西にあげるといい 赤い薔薇の蕾の花言葉は『あなたに尽くします』」
こうして、晴れて全裸になったわけだが。
ピエール、兄さんもう疲れたよ。
確か絵本の幸せな王子のラストは神様に命じられた天使が王子とツバメを天国に連れて行くんだっけ?
そんな事を考えていた俺のもとに一人の天使がやってきた。
「何全裸になってんだばかぁ!」
あぁブリ天ね そーゆーオチね。
眉毛紳士は自分の服を俺にかけ「たまには一緒に飲むか?」と俺を誘った。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 以上です。途中でsage忘れた すみません。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>17 なんかやたら本家っぽい語り口で吹いたw GJ!
スレお借りします。
半生・ネタバレ・妄想設定注意
天.使.あんど.悪.魔の暗殺者×カメ
映画と原作のいいとこどりで
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 半生・ネタバレ・妄想設定だモナー。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 割烹着萌え。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
アサシンは決まった名を持たない。
居を定めぬのと同様に名も定めずに生きてきた。
必要がなかったからだ。依頼主が仮初めに付けた名が、いつでも彼の呼称になった。
今の彼の名はグレイという。
神に祝福されたかのような澄んだ声で、依頼主である聖職者がそう呼んだのだ。
彼の、清潔で澄んだ緑の瞳に自分が映し出される。
美しい一時だった。悪くない、アサシンはそう思っていた。
依頼主に初めて会ったのは、宗教国家に数多く存在する薄暗い秘密の地下道だった。
数年前のその日に、宿運の歯車が一つかみ合ったのだと、アサシンは思っている。
追尾の目を逃れるために入り込んだ地下道で、暗殺者は件の聖職者に出会ったのだ。
まだ駆け出しの請負人であったアサシンは、仕事でしくじりをし、歩行に障るほどの負傷をしていた。
かび臭い地下道の壁に肩をすがらせ、もう一足も踏み出すことができないとアサシンは考えていた。
ここで野垂ることになるのだろうか。それとも追っ手に見つかり惨たらしい制裁を受けることになるのか。
不吉な予測はまもなく現実となるだろう。
しかしアサシンには、失望というほど大きな感情の揺らぎはなかった。
自身の生に執着できるほどの何物も持たなかったからだ。
とりあえず目を閉じよう、そう考えたアサシンの意識に彼は割り込んできた。
揺れるランプの火影と共に、このような所で何をなさっているのです、と
天上の音楽に似た声が響いたのだ。
モルヒネの作用で霞んだ視界に、黒い司祭服が御使いの羽の如くたおやかに翻ったように見えた。
実際には、聖職者が手にしていたのは機械的なフラッシュライトで
ランプのような陰影を伴ってはいなかったし、
身に合った司祭服は淀んだ空気の中でなびくはずもなく体に沿っていた。
彼の装束や物腰が、そのような幻想を抱かせたのだ。
緊張し、いつでも相手の命を奪える状態で見返したアサシンに、聖職者は無防備に近づいてきた。
汚れの見えない色の薄い瞳がアサシンにじっと注がれる。
彼はアサシンの状態に眉をひそめ、ひと言「かわいそうに」と呟いた。
治癒のために動く白い手をアサシンは拒まなかった。
モルヒネによる悪心に苦しめられていたからでもあるし、そのような選択肢が浮かばぬほどに
聖職者からは純粋な慈悲が感じられたからでもある。
殺しを生業とする男は、その間中ただ彼の伏せられた瞼を見つめていた。
目尻の睫が落とす影が、彼の容貌に表現しがたい美しさを添えていた。
神父が普段から血生臭いことに関わりがあるとは思えないが
彼の処置は手慣れており、アサシンのひどい負傷に怯んだ様子は見えない。
不審者に振る舞われるには丁寧すぎる手当てだった。
隣人に手を差し伸べることを旨としている彼らの教えに忠実な態度だ。
アサシンは宗教を愛してはいない。
神の審判を信じてはいるが、それを説く神の僕を信じたこともない。
しかし自分の前にかがみ込み、治療を行う彼の行為には紛れもない神性が宿っていた。
手当ての最後に聖職者は名を尋ねた。
黙ったまま見返すと、彼は急かしもせずに行儀良く答えが返されるのを待っている。
暗殺者は簡潔に、名前はないと返答した。
彼は考えるように少し間をおいた後に、人の心を掴む微笑みをみせた。
「では、あなたのことはミ.ス.ター.・グ.レ.イとお呼びしましょう。
グレイの服がとてもお似合いだから」
ネーミングセンスはないらしい、場違いな感想がアサシンの胸を去来した。
それ以来、彼は自分のことをミ.ス.ター.・グ.レ.イと呼ぶ。
足繁く彼の元へ通ったりしたことはない。
ただ、宗教がらみの依頼を多く受ける暗殺者にとって、この宗教国家は主要な仕事場の一つであったし、
それに認めたくないことだが、罪深い所業に対して赦しを求めていたのかも知れない。
聖職者が呼ぶ声がアサシンに与えられた赦しだった。
彼はアサシンの来歴や生業について深く尋ねなかった。
彼の信仰を確認し、全てを許容するように頷いただけだ。
再び出会った時、聖職者は身も世もなく泣き濡れていた。
崇拝していた養父を嘘つきと謗り、身のうちに恐ろしい神を見出していた。
宗教国家の中心、至聖のシ.ス.テ.ィ.ナ.礼.拝堂の地下で、アサシンと聖職者は相対していた。
アサシンがそこを訪れたのは偶然たっだ。いや、神の采配であったのかもしれない。
そうだとしたら、天上におわすお方の試練は過酷というより他はない。
彼に手段を与えたもうたのだから。
聖職者は清廉な頬を濡らし地面に崩れていた。
泣き伏した彼を抱き起こして、アサシンは震えたのだ。
涙のこぼれる頬の青白さ、熱を手放したように冷たい体。
顔をあげた彼の、絶望の中にあってさえ苛烈な信仰の輝きを宿す瞳に、胸をうたれたからだった。
かみ合った歯車が音を立てて回った。
その音に促されるまま、アサシンは聖職者に手を伸ばした。
着衣のまま、下衣だけを乱されて純潔を奪われた聖職者は、
自分の身に何が起こったのかよく理解していないようだった。
彼の精神を崩壊させるほどに、彼の受けた打撃は大きかったに違いない。
いまさら彼自身が穢されたところで、それを痛みと感じ取ることができないほどに。
涙に濡れた緑の瞳にアサシンは映っていなかった。
「狂った計画だな」
聖職者から持ちかけられた依頼に、アサシンは彼らしくなく感想をもらした。
依頼に対して是非を問うのは莫迦らしいことだ。
アサシンはいつでも、その意義や引き起こす結果について考えぬようにしていた。
しかし今は、目前で震える聖職者が神の御手からこぼれるのに哀しみを感じている。
聖職者はアサシンの言葉が理解できぬと言いたげに、不思議そうに首をかしげた。
「人々に信仰を取り戻すためです。このままでは神の存在をみな忘れてしまう。
爆弾や恐ろしいものばかりを生み出す科学に駆逐されてしまいます。
あの方は確かにいらっしゃるのに」
そのために犠牲を出すのか、アサシンは心中で尋ねた。
アサシンの哲学に照らせば最も大きな犠牲は、人命ではない。
教.皇.の命を奪うことも、四人のプ.レ.フェ.リ.ティの命を奪うこともなんとも感じなかった。
目の前の聖職者が、彼の計画を実行することで失うものが、
何よりも大きな犠牲だと思ったのだ。
至高の庭で守られた美しい聖職者が、誰からも理解されぬ使命に手を染め、
信仰に狂っていく姿を見たくはなかった。
しかし、アサシンは彼の声に従った。
聖職者の慈悲深さとは対極のおぞましいやり方で有力者達の命を奪った。
聖職者からの最後のメールの文面を読んだ。
いつも通りの送金の要旨と、ご丁寧に逃亡方法まで書き添えてある。
アサシンは、その文章の意図するところを正確に悟った。
依頼主はアサシンの死を望んでいるのだ。
どんな顔をして、彼はこんな通告をタイプしたのだろう。
神の御使いのような美しい双眸を嫌悪にゆがめただろうか。
それとも神が与えたもうた試練だと理想を宿らせていたのか。
アサシンは最後に見た彼のまなざしを思い出した。
柔らかい陽光が降り注ぐ神の庭を歩く姿を、遠目に眺めた。
衛.兵.隊の青年と並んで歩いていた彼は、微笑ましげに若者を見つめていた。
金髪のス.イ.ス.ガ.ー.ドは、依頼主と同じく神からの使命――コーリング――を聞くものだった。
自分とは違う。
依頼主の目論見を止めようとして、結局その流れに組み込まれている科学者と学者を交わして、
アサシンは彼の指示に従った。
告死天使の囁きがアサシン自身の胸の内から沸き上がってきたのだ。
それが自分の使命なのかもしれない。
自分は人生の最後で神の声を得たのだ。
元より名もないような生だった。アサシンは冷静に考える。
死んでやろう、あの哀しいほどに純潔な依頼主のために。
キーをさしこみ、人生に別れを告げる。逃亡先が地獄に変わっただけのことだ。
彼が一人で彷徨うことにならぬよう、自分が先に行けばよい。
アサシンが最後に祈ったのは、彼自身が得た神の名前だった。
だいぶ妄想設定を付加して申し訳ないです。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ROMに戻る
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>26 おいおいシスティナ礼拝堂の地下で何してんねんw
穢れ堕ちてゆく聖職者って萌えるな〜。
原作のお散歩シーンをこういう風に使うとは心憎い。
こんな話だったら、アサシンが切なすぎてもう映画観られんがな。
>>35 ダン茶組頑張れ。
>>33 GJGJGJ!!!!
最期を悟っていた暗殺者が切なくてどうしようもない
前スレで見かけた勇者と魔王が気に入ったけど、撤退しちゃったの?
撤退報告してきた人、ヒントをくれないかなぁ…
続きが気になる
晒しちゃって大丈夫なの?
それだけのためのページみたいだから大丈夫なんじゃないかな?
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 半生・ネタバレ・妄想設定だモナー。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|
>>33さんと同じネタ元で教授と酸欠ネタにゃ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
何度入っても、酸素の薄い部屋に入るのは苦手だ。
身体は存分に鍛えているはずなのに、何故か10分もすると眩暈がする。
なるべくなら外に居たい。しかしあの男がまた宝物を破損しないよう
厳重に見張らなければならない、と命令された。
視界の端が、チカチカと光る。空気が足りないのだ。正確には、脳に
酸素が足りないのだ。
必死に書物をめくる、あの男は、平気なのだろうか。
その視線に気がついたかのように、男は言った。
「君はタバコを吸うのかね?」
「…少し」
「ならば座りたまえ。倒れてしまうぞ」
どうしてそんな指摘をされなければならない。
そう思いつつも狭まりつつある視界に、危機を覚えて隣に座った。
側にいたほうが、何かあっても反応しやすい。
男は何かを探している。古い紙を手荒に扱い、早いスピードで
ページを捲っていた。またページを破られてはたまらない。
それに男、いや、教授の言うとおり、座っていると随分と楽だ。
「手伝いましょうか?」
「頼む。外へ出たらタバコの一箱でもプレゼントしよう」
教授は口の端を上げていたずらっぽく笑った。
アメリカ人は一般にタバコが嫌いなんだと聞いた事がある。
この街のタバコの値段を知ったら驚くかもしれない。
彼が探していたのは、火に関する巨匠の作品だ。
意外と早く見つかった。
読んでいる最中に電源が落とされた。
我々が図書館内の保管庫にいることは、兵も警察も知っているはずだ。
地区ごとに停電させていたとはいえ、電気系統図を見ながらしているだろう。
電気が止まれば、酸素の供給は途絶える。ただでさえ薄いのに。
停電時間は10分以内だが、この部屋は二人もの人間の酸素消費には5分が
限度だ。俺は、もうすでに息苦しさを覚えていた。限界もすぐそこに見えていた。
ありったけの力で手押し車をぶつけたが、減圧室のガラスは壊れない。
三重構造の強化ガラスのためだ。走ったせいで、息が切れる。
空気が入ってこない。物が見にくい。教授が何か叫んでいる。
叫ぶと酸素が無くなる。叫ばない方がいい。そう、口をきこうとして、
できなかった。声が出ない。足の感覚が無くなり、書棚にもたれかかって
いたはずが、床に這っていた。
教授が書棚に上っていくのが、見えた。
そして暗闇が全てを閉ざした。
---
ガラスが、割れた。教授は青年の姿を探した。
ドア横の床に無防備に延びている。慌てて駆け寄り、その顔に頬を近づけた。
息が、無い。首の動脈に手を当てると、脈は弱いながらも、まだあった。
頤を掴んで気道を確保して口を開き、その頬を叩いた。
「おい、君!!」
何度か呼んだが、青年の呼吸は戻ってこなかった。
「起きたまえ!君!」
教授は迷うことなく、青年の鼻をつまみ、口から息を吹き込んだ。
青年は、確かにタバコを飲んでいるらしい。かすかにタバコの匂いがした。
「おい、兵隊だろう!君!」
確かに胸が膨らむのを見ながら、教授は呼びかけ続けた。
そして何度かの行為のあと、青年はパッチリと目を開けた。
「・・・きみ、ではありません」
切れ切れの息の下、青い目が真っ直ぐと教授の目をえぐった。
「わたしの、名は、シャノレト、ランです」
教授はにっこりと微笑み返した。
---
空気が入ってこない。吸っても吸っても、息をしている実感が無い。
頭痛はないが、世界がゆがみ、回っている。頭の上から教授の声が降ってきた。
「早く出よう。時間が無い」
そして彼は、朦朧としている俺の腕を持って肩へ抱えあげ、歩き出した。
目の前が妙に暗い。その中を白い光が紗のかかった織物を通したかのように
縦横無尽に横切る。
管理区域から、閲覧室までがいつもより数倍遠かった。
閲覧室に出る頃には、肺の感覚が戻ってきた。
深く息を吸って、教授の腕を振り解いた。ずっと一介の民間人に
支えられるわけにはいかない。
教授が真剣な表情で、俺の無線をつけていない左耳に唇を寄せて
低くつぶやいた。
「シャノレトラン、だったか。着替えはあるんだろう?」
言われて気がつくとズボンが冷たい。失禁していたのだ。
完全に意識を失っていたようだ。頭にカッと血が上った。
「ここに着替えは、ありません」
「そうか。まあ黒い服ならしばらくは誰も気がつかないだろう」
教授はウインクして、先ほどよりも早く歩き出した。
教授の言うとおり、今は時間が無い。俺は妙な形でまとわりついてくる
ズボンを気にしながら、図書館を出た。
それから、一服しながら教授を見送った。
不思議なことに、その紫煙からは全く味がしなかった。
ヲワリ
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ <終わりーッと。あれ?誰もいない…
| | | | ピッ (・∀・;)
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
失神シャノレがかわいすぎてたまらんかった。
減圧室pgrしたお詫びに書いてみた。いろいろウソとうろ覚えです。
信じてはいけません。すんません。ありがとうございました。
>>50 乙カレンゴ〜
もう、終わっちゃうの?時間があれば是非とも続きを…
シャルの失禁おパンツ出来るものなら洗濯したい
朝亀も引き続き投下されるのを期待してます
>>43 ダン茶組頑張れっつったら昨日の今日でワロタw
スレで出たネタだね。GJGJ!
つか、勝手にお漏らしさすなw
>33>50
ついにキター
ありがとうございました、大変おいしく読ませていただきました。
飢えに飢えていたのでたまりません。
>33>50
ありがとう!ありがとうございます!
飢えた脳味噌に大変おいしくいただきました。
酸欠&お漏らしプレイとはシャル大変だw
55 :
枕営業 1/9:2009/06/09(火) 03:41:07 ID:gdDriCeh0
・ナマモノ注意
・試される大地の芸能事務所 赤平室蘭
・文中の S:赤平 Y:室蘭 O:江別 T:手稲 で伏字にしてあります
・ジャンルスレ480姐さんに感謝
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
56 :
枕営業 2/9:2009/06/09(火) 03:41:51 ID:gdDriCeh0
「どうもありがとうございました。ごちそうさまでした」
「Sさんにも宜しくお伝えください」
「はい」
Yは店の前で挨拶を交わし、丁寧に頭を下げる。会食の相手は車を呼ぼうとしてくれたが、
遠慮した。さほど酔ってはいないし、事務所で借り上げている部屋までは歩いても15分
ほどの距離だ。一昨年から続いていた東京生活で土地鑑もついてきている。数分歩くと、
信号に引っかかり立ち止まる。手持ち無沙汰になり空を見上げれば、情報誌で写真を見た
ことがある高いタワー。外資系のホテルのはずだが、その名前までは思い出せない。
タワーの根元のエントランスが見通せた。ドアマンの礼で見送られた人影に目を留める。
長身痩躯だがやや猫背。Yの記憶にある歩き方だ。信号が青に変わり、周囲の者が横断歩
道を渡り始めても、Yはその場に立ち尽くす。目を凝らして、その人物の行方を追う。東京
出張中なのは知っていた。しかし決して狭くはない街で会えるとは。人影がSだと確信
したYは交差点を渡って思わず駆け寄る。やや俯いているSは近づいてくるYに気付かない
らしい。声をかけた。
「社長」
相手はびくりと身体を震わせる。
「ああ、Yか」
「近くで食事してたんです。社長はどうしたんですか?」
問いかけられたSはYの顔から目を逸らした。
春の柔らかな風がYの頬を撫でる。しかしその鼻をくすぐったのは微かな石鹸の香り。Sが
愛用しているコロンの香りではない。Sはこの数時間以内にシャワーを浴びている。事務
所が押さえることはない高級ホテルのエントランスから姿を現した。
57 :
枕営業 3/9:2009/06/09(火) 03:42:43 ID:gdDriCeh0
Yが最初に思いついたのは異性との逢瀬。多彩な女性関係を誇るSなら、東京で交際してい
る相手がいても不思議はない。それを尋ねるのも野暮な話だ。
「僕、この後部屋に帰るだけなんですよ。社長はこれからどうするんですか?」
「俺も帰るだけだから…」
そのままYを振り切り、歩き去ろうとする。何かがおかしい。遠ざかりつつある背中に声
をぶつける。
「部屋で飲み直しませんか?」
靴音が止まり、Sが少しだけ振り返る。
「色々あって、社長に話聞いてもらいたくて」
部下からの相談を無視する事はしないだろうというひとつの賭けだった。Yは車道に身を乗り
出すと手を上げる。空車のランプをつけたタクシーがタイミング良く停まった。
「社長、乗って下さい」
開いたドアの横に立つ。車を待たせているというのに、Sはゆっくりとした足取りで近づ
いてきた。身体のどこかを庇うようなギクシャクとした動作で車に乗り込む。何らかのト
ラブルがあったのではないかという疑念は確信に変わった。
部屋まではワンメーターの距離。運転手は渋い顔をしていたが、Sのためには良かったの
かもしれない。Yは部屋の鍵を開けると急いで靴を脱ぐ。
「すいません、最近忙しくて掃除してなくて」
Sの来訪が分かっていれば半日を費やしての大掃除をするはずだ。Sが靴を脱いでいる間に、
あふれかけていたゴミ箱を部屋の隅に片付けた。冷蔵庫からウーロン茶のペットボトル
を取り出し、かろうじて一つだけ残っていた清潔なグラスに注ぐ。居間に戻ると、Sはジ
ャケットを脱ぐこともせずに、ベッドを背にして床に座り込んでいた。
58 :
枕営業 4/9:2009/06/09(火) 03:43:27 ID:gdDriCeh0
「どうぞ」
「悪いな」
形だけ口をつけると、グラスを置いてしまう。何も喋ろうとはしないSの代わりに沈黙を
埋める。話題は今日の会食相手について。この秋に、元バレリーナの女優と舞台に立つ。
今晩は舞台監督とプロデューサー、当の女優との顔合わせを行った。舞台監督はかつての
Sの舞台を観ていたらしい。食事を摂りながら思い出話に花が咲いた。
「今度一緒に飲みたいって言ってましたよ」
「そうか」
話を聞き、相槌を打ちながらも、Sはしきりにシャツの袖を引っ張る。その動きが気にな
りYの視線は自然と吸い寄せられる。左手首にあるはずの腕時計がない。入浴と情事の時
以外は常に身につけているのに。その代わりに両手首を取り巻いているのは真新しい傷痕。
何か硬い物で擦られたように見える。幅は2センチほどで薄く血が滲んでいた。袖口が
汚れるのにも構わずに隠そうとしていたらしい。色白の肌に浮かぶ傷はひどく目立つ。
「手首、どうしたんですか?」
「なんでもないから」
どうやら女性と逢っていたのではなかったらしい。もう一つの可能性に心当たりがあったが、
口には出さない。その代わりに立ち上がるとクローゼットを開けて、何かを探し始める。棚
の上から探し当てたのはプラスチックケース。蓋を開けると消毒液や包帯といった救急セット
が出てきた。
「化膿するといけないから、消毒だけでもしましょう」
「いいから」
「包帯してる方が怪しまれませんよ」
翌日以降の予定と手首の包帯、心の中で素早く秤にかけたSは手を差し出した。
「ちょっと沁みますよ」
Yが消毒液を傷口にふりかけるとSは顔をしかめた。痛みから気を逸らせるようにぽつりと呟く。
「前よりはいいホテル使ってるんだよなあ」
やはりそうだったか。口に出すのも憚られる単語に思い当たる。
59 :
枕営業 5/9:2009/06/09(火) 03:44:14 ID:gdDriCeh0
枕営業。
仕事の為に身体を差し出す。女ならば異性の有力者とベッドを共にする。これならば分か
りやすい。では男なら?それなりの地位にある女性に奉仕することは稀だ。大抵は同性愛
の嗜好を持つ者と寝ることになる。
Sは袖口をまくりながら、都心の高級ホテルの名をいくつか挙げる。
「10年前はあんなとこ使えなかったんだから」
Sのふっくらとした唇が自嘲の笑みを刻む。10年前…Sが初めての映画を撮影しようとして
いた時期だ。Sの歴史はそのままY自身の歴史にも重なる。Yが初の主演を果たした映画。
資金繰りやキャスティングが難航したことは記憶に残っている。映画監督としての実績な
ど何ひとつ無かったローカルタレント。そのハンディを跳ね返すための人脈やコネを身体
で購ったということか。
今夜は謝罪の為にその身を犠牲にしたのだろう。
Oの入籍、人気グラビアアイドルとの交際が発覚したT。各方面への影響は大きかった。
全国的な知名度が上がってきたOはともかく、Tについては提携している中央の事務所と共に
売り込みの態勢に入っていた。そんな折に浮上してきたスキャンダルだった。
グラビアアイドルの自宅マンションに出入りする姿をすっぱ抜かれた。Tについてもモザ
イク無しで写真週刊誌でトップ記事の扱いになるはずだったのを、同系列の出版社の女性
週刊誌での扱いに留めるように手を回した。
60 :
枕営業 6/9:2009/06/09(火) 03:45:46 ID:gdDriCeh0
相手の女性アイドルの事務所、客演が決まっていた舞台関係者、夏以降に出演を予定して
いた連続ドラマの関係者。
彼ら彼女らに頭を下げるのはSにしかできない仕事だ。詫びる方法についてもSに選択権は
無い。
「こんなおっさん犯ったって面白くないだろうにな」
悔しさからだろう。声が湿り気を帯びてきた。Yには返す言葉もない。ただただ師の涙を
見ないように、顔を上げずに手当てに集中する。
Yには分かっている。性的な快楽を求めてのことではないのだと。蒙った不利益に対する
意趣返しをしているだけ。性行為を媒介にして、Sの矜持を叩き折る。苦痛に歪む表情を
見て、嗜虐心を満足させる。両手首の擦過傷を見れば、どのような行為を強いられたのか
は想像がつく。タクシーに乗り込む際の不自然な動きを思い出す。身体へのダメージも大
きいはずだ。
「僕じゃダメなんですか?」
Sにそんな汚れ仕事はさせられない、させたくない。Y自身、かつてはSに仕込まれた身だ。
同性との性交の手順もベッドでの振舞いも。Sは吐き捨てるように答えた。
「…お前にそんなことさせられるか」
命じてくれればいいのに、と思う。Sの身を案じる心の痛みのほうが耐えがたい。仕事の
ために肉体を売り、それがSの利益に繋がる…ひどく心惹かれる。
61 :
枕営業 7/9:2009/06/09(火) 03:47:19 ID:gdDriCeh0
会話を続けながらもYは傷口に軟膏を塗り、ガーゼを当てる。包帯を巻こうとしたが、何
回やっても上手くいかない。見かねたSが声をかける。
「自分でやるから」
Yの手から包帯を取り上げると、自分で巻き付け始めた。片手で紙テープをちぎり取ると
端を止める。
「包帯の上から時計をすれば、そんなに目立ちませんから」
「かもな」
Sが腕時計を身につけたのを見届けるとYは台所へ。冷蔵庫から取り出してきたのは二本の
缶ビール。
「社長、飲みましょうよ」
「お前が買ったんだろ。悪いからいいよ」
「シゲが置いてったんですよ」
今年の初頭に上京してきたYが冷蔵庫を開けると、
"オレの気持ちだ、みんなで飲んでくれ!"
というメモ書きと共に、大量の缶ビールが詰められていた。Tの置き土産だった。
かつてはSも含めたタレント陣が代わる代わるこの部屋を使っていた。一度などはラジオ
の生放送中にYがこの部屋を訪れたこともある。しかし、一人は東京滞在が長くなるため
事務所に遠慮して独自に部屋を借りた。一人は結婚と同時に妻と共に生活するようになっ
た。一人はより広い部屋を求めて引っ越した。上京する機会が少ない者もいる。以前は宿
の都合がつかなかった複数人が転がり込んで、修学旅行気分を味わったものだが。
最近ではこの小さな部屋で寝起きをするのはYだけになってしまった。だからTが残して
いったビールはYひとりで消費していた。
62 :
枕営業 8/9:2009/06/09(火) 03:48:44 ID:gdDriCeh0
プルトップを引き上げると、二人は視線を合わせる。缶の縁をぶつけた。
「お疲れ」
「お疲れ様です」
Sが口をつけたのを見てから、Yは缶を口元に引き寄せる。喉を鳴らして、一息に呷った。
ツマミとして常備してある乾きものを出す。
「あいついいよなあ。あんな巨乳と付き合ってるんだぞ」
アルコールで気が緩んだのだろう。Sは下卑たコメントを述べる。いずれはTの妻になる可
能性のある女性だというのに。Yにしても実感が湧かない。男性向け週刊誌の袋とじを賑
わせていた印象の方がよほど強いのはSも同じらしい。
数本の缶ビールを空けた後、Sはゆっくりと腰を上げる。
「そろそろ帰る」
「一人で大丈夫ですか?」
心身ともに傷を負っているSをホテルの部屋に帰すのは不安だった。ベッドを明け渡して、
自分は床に転がって眠ればいい。そう考えていたのだが。
「…に泊まるから」
そこでSの動きが止まった。決まり文句のように口から出てしまったのは都内の地名。数
週間前までOの部屋があった場所だ。今は妻と暮らす新居に引っ越している。Sは小さくた
め息をこぼす。一つだけ。玄関で靴を履くために身を屈める。その姿勢のまま、背後に立
つ男に問う。
「なあ、お前はずっと傍にいてくれるよな?」
「もちろんです」
能う限りのうやうやしい口調で答える。見つめているのはSの背中。18の歳からずっと、
その背中に従って歩き続けてきた。
"あなたが死ぬその日まで、ついていきます"
心の中でだけ付け加えた。
63 :
枕営業 9/9:2009/06/09(火) 03:50:28 ID:gdDriCeh0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>63 GJ!!
お疲れ様でした!
早起きは三文の得ですな
漫画『黒子のバスケ』で黒子×火神。
黒子一人称、付き合ってます。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「っあー…くっそ、いきなり降ってきやがったな…」
地面にばしゃばしゃ打ち付ける雨をにらみつけて、火神君がぼやいてます。
「今日は一日中晴れのはずなんですけど…ついてないですね」
冷たい雨水をタオルで拭いながら、なだめるように返事しました。
オフでも練習熱心な火神君に誘われて、ボクたちは朝早くから近所のコートにやってきました。
快晴ではありませんでしたが、日差しも風も心地いい、家にいるのが好きなボクでも
思わず外に出たくなる位いい天気だったはずなんですが…。
練習し始めたあたりから、雲行きがどんどん怪しくなってきてしまって。
火神君が10数回目のダンクを決めた時に鼻先で弾けた雨粒は、
勢いをあっという間に増して降り注いできました。
すぐに荷物をまとめて、近くの木陰に避難して…今に至るわけです。
木陰の傍らに並んでる、互い違いに植えられた空色と桃色の紫陽花は、
通り雨に打たれてふるふる震えていて。
…こんなに雨が似合う花もないですよね。と一人ごちつつ、
役目を終えたタオルをばさっと首にかけたとき。
「ちっ、タオル忘れちまった…!」
それはそれは機嫌の悪そうな、火神君のうめき声がボクの耳に届きました。
…しゃがんで、ずっとバッグをがさごそ探ってたのはそれでですか。
「黒子、わりぃけど貸してくんねーか?」
…そう言ってボクを見上げてきた、火神君の姿ときたら!
しっとり濡れた髪から落ちる雫は、
困ったようにひそめられた眉や形のいい鼻を伝い、
緩く開かれた唇をきらめかせています。
いつもは強気に見下ろしてくる目は、
その鋭さを少しだけ鈍らせて見上げてきて。
漂ってくる不思議な色気に、思わず胸が高鳴ります。
ボクを衝動のままに突き動かしてしまいそうな、
その高鳴りをなんとか振り払いたくて、
雫したたる火神君の赤い髪をタオルで覆いました。
「うおっ!?」
衝動に、流されないように。
丁寧に、やさしく、そっと手を動かします。
「く、黒子!離せ、自分でやっから!!」
…けれど。
あわててタオルをとろうとしてくる火神君の頬が、ほんのり染まっていて。
両手を制するのが精一杯のボクの理性には…ちょっと刺激が強かったです。
「黒子?」
止まった手を訝しんで見上げてきた瞳を覗きこみながら、
雨粒きらめく唇をやさしくふさぎました。
濡れた唇を離すと同時に、ゆっくり開けた瞼の先には。
紫陽花の桃色よりも、鮮やかに色づいた顔。
おとなしくなってくれた今のうちにと、再び手を動かして。
未だに言葉を紡げない程、恥ずかしがっている火神君にささやきかけます。
「風邪引いたらって、心配なんですよ…」
必死にそらされる目線を、苦心してとらえて。
「火神君は、ボクの…大切な光ですから」
約束したあの夜から変わらない本心を告げた瞬間、火神君の目は丸く見開かれて。
がばっ、と凄い勢いで顔を伏せてしまいました。
「え…か、火神君!?」
あわてて呼び掛けてみても、組まれた腕と膝に埋められた顔は上げられないままで。
「もう…とりあえず、全身拭きますね」
ボク、何かヘンな事言ってしまったんでしょうか?
気になりますが、このままじゃ本当に風邪を引いてしまいますね。
頭以外にも、どんどんタオルを滑らせます。
広い肩、長い手足…
タオル越しでも、触れてるとなんだかウズウズします。
でもこれ以上何かすると、怒らせちゃいそうです。
火神君が顔を上げてくれるまで、ちょっと我慢します。
…ああ、早く顔を見せて下さい。
こうしていて、気付いたことがあるんです。
筋肉質で、がっしりしてる火神君の身体。
でも、一ヶ所だけボクよりも柔らかい部分があるんですよ。
それを教えたくてたまらないんです。
だから早く、その顔をボクに見せて?
止み始めた通り雨の中で、空色の紫陽花が頷くように雫をこぼして揺れました。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
長いので投下を二回に分けさせて頂きます、すみません。
続きは今週じゅうに
____________
| __________ |
| | | |
| | |> PLAY . | |
| | | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
風に乗って怒鬼の心が聞こえてきたとき、何の冗談かと幽鬼は思った。
BF段本拠地、バベルの塔。
その基幹部分へ鬱蒼と生い茂った自然林の中に二人はいた。
幽鬼は、日課と言うほどでもないが
空いた時間があればその中を散歩することがある。
景観として美しいものがある森ではないが、植物といくらかの小動物だけの
誰もいない空間を一人でゆっくり歩くという時間を彼は気に入っていた。
今日もいつもと同じように、島をぐるりと一周する心積もりで森へと入ったのだったが
その途中で直系の怒鬼と出くわしたのだ。
怒鬼は、何をするという風でもなく、ただ暗い森の中に佇んでいた。
これまでこの森の中で他人と偶然にでも会ったことのなかった幽鬼は、
いったい怒鬼は何をしているのかといぶかしんで彼と目を合わせた瞬間に
今の状態へと陥ったのだった。
そう、冗談であればどれだけ良かっただろうと幽鬼は思う。
しかし冗談や嘘ではありえないのだ。
彼の力の前では何者の心も丸裸に等しい。
その怒鬼の心から、強い好意がひたすらに寄せられてくるのだ。
ただひたすらに、幽鬼にとっては信じがたいことではあるが
形容するのも甘たるいような感情の塊が全身を押し包んでくる。
彼を初めて愛してくれた老人が与えた気持ちと似通ってはいるが
また少し違った、息の詰まりそうな感情の激流だった。
そして、その流れの激しさとどこも違わない力強さで
怒鬼は突然に幽鬼の細い体を抱きすくめた。
武術の達人でもある怒鬼の体が音もなく目の前に迫ったとき、
幽鬼は驚きにより反応することすら出来なかった。
そして彼はそのまま、精神も肉体もすっかり怒鬼に包まれてしまったのである。
しかし、結局それは千の言葉よりも幽鬼の心によく届くのだ。
そもそもテレパシーによって相手の心を知るというのは、
相手がどのように思っているかを単に情報として読み出すのではなく
相手の心を自分のものとして感じるという事である。
痛みは痛みとして、悲しみは悲しみとして全く同じ事を感じることが出来る。
それが良い事かどうかは別として、少なくともこの時、幽鬼の心は怒鬼に引きずられかけていた。
愛しくてたまらない。守ってやりたい。
美しい。かわいい。
そんな、幽鬼にとっては全く理解不能といっていい感情が
頭の中に直接流れ込んでくるのである。
精神の中でむせ返るような甘いにおいがしていた。
たまらなく甘い、怒鬼の心から匂いたつように送られてくる甘い芳香。
息を吸うたびに肺の中がその甘さで埋め尽くされ、
その上太い腕で抱きしめられるという物理的な抑圧も加わって、息が苦しい。
しかしそれ以上に幽鬼は混乱しすぎていて苦しいと訴えることすら忘れていた。
そのようにして、今まで経験したことのない感情の奔流に呑み込まれた彼がどうなったか。
端的に言うと、倒れた。
流石に意識を失うまでではなかったが、ひどい回転性のめまいと
酸欠時のような頭痛に襲われて前後不覚におちいったのである。
怒鬼は、突然腕の中の細い身体ががっくりと力を失ったので
驚きはしたものの、その身体が地面に倒れこむことになるような無様な真似はしなかった。
むしろよりしっかりと抱きかかえて幽鬼の様子を見ると、
ただでさえ悪い顔色が紙のように真っ白になっていたため
何の迷いもなく少し身をかがめて、そっと彼を抱き上げたのである。
自分の肘から先の上へ相手を腰掛けるようにさせて抱き上げる、いわゆる子供抱きだった。
実質腕一本で体重のほとんどを支えることになるこの方法で
普通ならば大の男を抱き上げるなど出来たものではないが、
幽鬼と同じく十傑集たるこの男もけして普通とは言えない。
しかも、抱き上げる動作は力に任せた武骨なものではなく
なるべく幽鬼の身体を揺らさないようにと気づかうやわらかい動きだった。
背中へ添える片腕も優しい。
もしこの時の幽鬼がまともに物を考えられる状態だったなら
この男にこんな繊細な真似が出来たのかと驚いたかもしれない。
「怒鬼!?」
しかし彼は別のことに対して驚いていた。
それはそうである、突然好意を伝えられて抱きしめられたかと思ったら
あれよあれよと言う間に足元が回転を始め、
挙げ句子供のように抱き上げられたのである。尋常な展開ではない。
なお悪いことに、怒鬼はそのまま静かに歩き始めていた。
その向かう先に思い当たる所はひとつである。
そもそも、この島の中には建物など数えるほどもない。
怒鬼は平然とした顔をして本部に、バベルの塔に向かっているのである。
当然ながら塔の内部には数多くのエージェントたちがいる。
このままではその只中にこんな状態のまま突っ込むことになると危惧した幽鬼は
ぐるぐると止まらない世界の中で、それでも必死に抵抗した。
「待てっ、待ってくれ、本当にッ!!」
最後の叫びは悲痛ですらあった。
だが、声を上げたせいで余計に加速しためまいと
暴れるのを押さえようと力を強めた怒鬼の腕に絡めとられたために
幽鬼の抵抗はそれで最後になった。
出来ることならテレパシーででも思い切り罵倒してやりたかったが、
それすらためらうほど気分が悪かったのは事実である。
その間にも怒鬼の足は本部の入り口へ向かって進んでいた。
幽鬼はこれまで、色々な意味で破天荒な者の多い十傑の中で
怒鬼は比較的まともな部類に入ると思っていたのだったが
先程の抱擁といい今のこれといい、その考えは改めなければならないようだった。
*****
よく磨かれた本部の廊下を、十傑が十傑を抱え上げて颯爽と歩いていく。
四方八方から突き刺さってくる視線に、幽鬼はもう言葉もなかった。
もちろんC級エージェントたちは誰も何も言いはしないが、その沈黙がかえって耳に痛い。
ただ怒鬼の広い肩につっぷして顔を覆うことしか出来なかった。
もちろん顔を隠したからといって何の意味もないのだが、そうせずにはいられなかったのだ。
この状況で堂々と顔を上げていられるような図太い神経は
今廊下をずんずん進む和装の男と違って、幽鬼には持ち合わせがなかったのである。
怒鬼は尚も進んでいく。
方角としては、幽鬼の執務室の方面であった。
もうC級なぞはどうでもいいから、このまま何事もなく部屋に着いて欲しいと幽鬼は願っていた。
だが、強く望む時に限ってそれと逆のことが起きてしまうこともある。
まさに彼の執務室のドアまで数メートルというとき、廊下の向こうから声が掛かったのだった。
「おお、一体どうしたんじゃ?」
幾枚かの書類を携えたその姿は、十傑集初代リーダーであり幽鬼の養い親でもあるその人。
(――じいさまに見られた!!)
幽鬼は、今度こそ顔から火が出るかと思った。
「お、下ろしてくれ!」
こんな情けない姿を一番見られたくない人に見られてしまったという羞恥と混乱に突き動かされて
幽鬼が再び抵抗を始めた。ぐうと腕に力を込めて怒鬼の肩を突き放そうとするものの、
しかしぶ厚い胴はぴくりとも動じない。
怒鬼はまだ幽鬼の状態が回復していないことを機敏に感じ取って
背中へ回した腕の力を緩めようとはしなかったのである。
純粋な腕力を比べた場合、この両者の差は残念ながら歴然としている。
そうこうしているうちに、カワラザキは彼らのすぐ傍へ歩み寄って来ていた。
「幽鬼、怒鬼?何かあったのか?」
怒鬼が喋らない以上説明は幽鬼がしなければならないが、
しかし、当然ながら怒鬼に抱きしめられたせいでクラクラして倒れましたとは言える訳がない。
「あ……その、な、何でもないんだ。少しめまいがしただけで……」
嘘ではない、と自分に言い聞かせながら幽鬼はそう答えた。
しかしその視線は床に落とされていて、カワラザキの方を見ることはない。
幽鬼としては、もう後ろめたいやら恥ずかしいやらで
とても彼の顔を見ることなどできない心境だったのである。
「それで怒鬼が運んで来てくれたのか」
言いながら、カワラザキは手の塞がっている怒鬼の代わりにパネルを操作して
幽鬼の執務室のドアを開き、二人を通した。
部屋に入った怒鬼は、やはり無言のまま応接用のソファに向かうと
抱き上げた時と同じ柔らかい仕草で、腕の中の細い身体をゆっくりと下ろす。
続けて入って来たカワラザキが大丈夫かと尋ねるのに
幽鬼はあいまいな頷きを返すと、そのままぐったりとソファに沈み込んだ。
めまいや頭痛は先ほどよりも軽くなっていたのだが、それ以上に精神的な疲労が大きかった。
「すまなかったの、怒鬼」
カワラザキのその言葉に、怒鬼は少し首を横に振って答えた。
幽鬼にしてみれば当然である。
そもそも気分を悪くしたのもこの男が原因である上に
あんなデリカシーの欠片もない運び方をされたとあっては、
彼はとても怒鬼に礼を言う気分にはなれず
少し名残惜しそうに部屋を出て行く怒鬼の背中を、憮然とした表情のまま見送ったのだった。
*****
結局その晩、幽鬼は少し発熱してしまっていた。
ただでさえ感応力の高い幽鬼に対して怒鬼が感情を抑えずにそのままぶつけたため、
彼の熱に中てられた形になったのである。
散々だ。
幽鬼は私室のベッドの中でひとりごちた。
熱が出たことや、カワラザキに余計な心配をかけたこともさる事ながら
何より怒鬼に抱き上げられた状態で本部内を闊歩したこと。
あの場にいたのはカワラザキとC級エージェント達だけであったが、
噂好きのセルバンテスや耳年増の孔明のところには
もう今夜じゅうにその話が届いていることだろう。
最悪だ。
もう一度呟いて、彼は頭まで布団の中へもぐりこむ。
今夜は簡単には寝つけそうになかった。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ もっと増えろ怒幽!
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>80 まさかの直系×妖精!
寡黙×テレパスがこんなに萌えるとは思わなかった。
後編も楽しみにしてます。GJ!
82 :
問題劇 DMC:2009/06/09(火) 20:59:01 ID:az9x8wX/O
問題劇 DMC
半生・捏造注意
ジャンルスレの盛り上がりにあやかりました
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
動かない水面を渡ってくる風は、さらりと湿りを帯びているだけで、後には何の香り
もなく、かなしく肌に触れては過ぎてゆく。太陽は、青とも灰ともつかない空に沈み、
ぬるい光を滲ませている。
ここはひどく息苦しい。自分以外は誰も岸にいないのに
、右手は冷たい手を握っているし、両の耳は啜り泣きを聞いている。どうやら肺は膨ら
んでいてもあまり役に立っていない、空気が足りないようだ。
思わず吸いすぎて喉につかえ、咳き込む。ごぼり、ごぼり。肺から溢れてきたのは、泣
き出しそうな色を少し溶かした、うすい灰青の湖水か。そういえば全身がぐっしょりと重い。
これは一体誰の嗚咽だろう、水の中からだろうか、よく聞こえない。冷たい手がきつ
く握り返してくるのが痛い。
またひとつ咳をして水を吐く。味はしないが、苦しくて頭がしびれる。じわじわ、みし
りと頭蓋の軋む音がする。ああ、そうか、身体の中いっぱいに水が詰まっているのか。
次から次に湧いてきては、ここから出ようとしているのか。
ぎしぎし、内側からの水圧で骨の合わせ目が開いてゆく。凄まじい痛みに、両の手で
頭を押さえた。出るな出るな出るなと食いしばった奥歯もきつく閉じた瞼も、腕で覆っ
ていようとこじ開ける奔流には無力。髪を掻き毟る指がぬるりと触れたものは、水か、血か。
絶叫で目が覚めた。頭を抱えて、消毒液の香るやわらかな白い波の上に蹲っていた。
ゆっくり起こそうとした身体は強張り、頭は重く痺れている。
ふと視界に入った手の甲は、それぞれ四つずつ真っ赤に爪の痕が並んでいて、指を組み
合わせて祈りでもしていたかのようだった。
ず、と鼻をすすったところで初めて、泣いていることに気付く。
ここは静かだ。冷たすぎない白い壁と、ゆるやかな青い空気に満たされて、眠りも目
覚めも一人きり。
ばかになってしまった手洗い場の蛇口からぽたりぽたり、脈動に合わせて垂れるしず
くを見つめた。狭い部屋にはベッドとテーブルと、格子のはまった鉄のドアが一つきり
。天井の窓には、遠い空。
薄い綿の袖口で顔を拭っていると、肩を叩かれた。びくん。
振り返ると、唯一そこだけが黒いドアに、輪郭を溶け込ませるようにして若い男が立っ
ていた。瞼がやけに艶めかしい蛇の眼、顔を上げずとも、触れれば切れそうな視線がこ
ちらを向いているのが分かる。
「奔摩、さん」
「次の回答者と、問題だ」
肩に触れていてる紙の束を受け取った。微かな手の震えも、きっと見ぬかれているの
だろう、男の用事は済んだはずだが黒ずくめの身体は動かない。
代わりに、低い声が落ちてきた。
「今度からは生だからな、」
す、と息をつく気配に、スタジオでは到底かけられないような酷い叱責と罵声を予感
して、反射的に固まりかけた喉から咄嗟に、はい、と出た声は、自分の耳まで届かなかった。
ベッドの上に座り込んだ四肢は、抵抗するだけの意思を持っていなかったのだろう。レ
ザーの袖から伸びた手で胸倉を掴まれ、自然と仰向いたくちびるから直接返事を呑み込
まれても、ちいさなまばたきしか返せなかった。
頭痛で血の気が引いていたところへぴったりと張り付いた、肉感的な熱い唇。くろぐろ
冷えた眼光の暴力的な挙動とは裏腹の、やさしい温度差に驚きながらも、その心地良さ
に束の間、痛みを忘れた。
憎しみすら感じさせる激しさでベッドへ突き飛ばされた衝撃で、手から紙が、ばさば
さ床へ舞い落ちる。
「今までとはわけが違う、覚悟しておけ」
少し上がった呼吸で、かすれた声を吐き捨てた男の靴が動く。殺気と悲哀が綯い交ぜ
になった後ろ姿は、もう何も言わず、ドアの向こうへ消えた。
86 :
問題劇 DMC:2009/06/09(火) 21:02:22 ID:az9x8wX/O
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 芸/人 オード/リーカスガ×ワカバヤシだモナー
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 不憫など/きキャ/ンサトウも居るカラナ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ベタ・下品注意
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) ゴルァ!!
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
腐女子の皆さん、カスガとワカバヤシで妄想するのはやめてください。
たった今なんですけどワカバヤシに恐ろしい事を言われましたよ。
さすがのカスガもこれにはねぇ。びっくらこいちゃいましてね。これはどうしたもんかとね。
と言いますのも、ワタクシがちょっと どき/どき/キャ/ンプ サトウと下な話をしておりまして。
カスガは今や時代がついてきちゃってついてきちゃって離さないわけですよ。世間がカスガを。
もはや出会い系とかでね、エロい熟女と出会ったりね、そういう事がなかなかできないわけですよ。
で、どこかで誰かモリクミさんみたいなエロくて素敵な女性に出逢えないかなとね、そんな話をしておったんですよ。
そしたらうちのワカバヤシがまたちょいギレ気味でこう言うわけですよ。
「お前溜まってんのかよ。そんなにセックスしたかったら俺が相手になってやるよ!」ってね。
おいお前何言ってんだと。そこまで言うようになったかと。唖然としましたね。お前はどこのエロ漫画の住人だってね。きっもちわりぃ
サトウがうろたえちゃって「ワカバヤシ君それベタすぎない?」とか言ってるわけですよ。
ま、ここは落ち着いてね。この男の言い分を聞いてやろうと思ったわけです。
それで「それはどっちが女役なんだ?」と聞いたら案の定「そんなのお前に決まってんだろ」と返ってくるわけですよ。
「なんかイメージと違うな…」とかサトウが言ってるのはお互い無視しましてね。
「それじゃあ駄目だな。俺を抱いていいのはがっしりした男前だけだ!」
「お前ぇだって痛いのとか好きだろお前やれよ。」
「だいたいなんであんたにやられなきゃいけないのよ。カスガより小柄な男にカスガのケツを貸す義務は無いでしょうよ美少年でもあるまいし。」
「美少年だったらいいんだ」
サト/ミツの普通の感想おもしろくないぞー
「だって俺がやられちゃったら痔が爆発とかするかもしれないじゃん。」
「じゃあ諦めてカスガにいい熟女が見つかるよう協力しなさいよいつもいつも嫉妬してないで。痔が爆発したらニュースになるからね。」
古いし異色カプですみません
半生 足甬る代走左遷 大囃子×壱倉です
壱倉は大囃子より年下ですが、キャリアなので上司です
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「そんな事するくらいなら「ワカバヤシの痔、カスガにより爆発」っつって新聞載った方がマシだわ」
「あんたの痔が爆発したって新聞は取り上げないけどね。部数伸びないからね。ニュースのあれよ、
今日はこんな事がありましたみたいな時間調整的な何かでちょっと「痔が爆発したよ季節柄」くらいのもんですよ。」
なんなんだ。なんなんだよ君は鬱陶しい。
サトウが「ワカバヤシ君何がどうしたの?」と言っている。同意見だよ!
「そうだそうだー!\何がどうしたんだワカバヤーーシ/!」
「サトウ君のオウム返ししてんじゃねーよ。ただ変なのに引っかかってまた金曜日されるくらいなら俺のがいいだろ事務所的にも。」
カスガはそっちの方がどうかと思うけど金曜日を持ち出されると反論できないじゃないか。
でもね、どうでもいい話題ですよこれは。こんな事で事務所を持ち出すんじゃないよ。
「だいたいねぇお宅さん、カスガとセックスできるんですか?」
「んなもんやってみないとわかんねーよ。もうお前脱げっ」
なんだこいつここでやろうと思ってんのか?ワカバヤシがカスガのシャツを引っ張り上げます。しょうのない奴だ。
「え、オレどうしてたらいいの?ビデオ撮る?」
わけがわからないうちに上半身を裸にされてしまいました。ビデオに撮ってどうするつもりだよサト/ミツ。
いや裸になるのはいいんだけどさ、これこの後どうすんのよワカバヤシ君。勝算はあるのかね。
いきなりカスガの分厚い胸板を激しく叩かれました。おお来るねぇ来るねぇ。
「なんだよこの肉はよーぶくぶく太りやがって」
「もう肥えちゃって肥えちゃって。ていうか何よコレ。」
「なんか触りたくないなー」
「じゃあしなきゃいいじゃないよ誰も頼んでないんだから。なんなのよあなた。」
カスガを勝手に裸にしてね、ひどい話ですよこれは。
「とりあえずあれだ、フェラしてやるよ」
今度はベルトに手をかけてきました。ほう、そう来ましたか。なんのために上半身裸にしたのよ。
「鬱陶しいなぁおい。できもしないくせにやろうとすんじゃないよ」
「ねぇこれオレが止める役だったりする?」
カスガのベルトを外し、ズボンとパンツを引きずり降ろすワカバヤシ。サトウの声は聞こえてないらしいね。
カスガのちんこがあらわになったのに大喜びでエッハハー!と高い声で爆笑しております。
今時ちんこでここまで笑うの小学生かお前くらいだよっ。
「うわぁーーっできるかなあぁ〜…!!」
あなたが自分でフェラしてやるって言ったんでしょうよ。何度も言うけどカスガは頼んでないからね。
ワカバヤシは椅子に座るカスガの足の間に座るとちんこを上に向けて握りました。おほほ。まぁでもこのくらいはね、男子校出身ですから。
でもさすがに舐められたりはした事無かったなぁ…。
笑っちゃって口に入れられないとかうるさい声でわめいてますけどあなたカスガのちんこ握りながら爆笑しすぎでしょう。
出しただけでこれだけうけるなら次のライブでずっとちんこ出してようかしら。
「あの、あれだよね。アイスキャンディを舐めるようにぃー!やればいいんだよねっ!!ヒャハハァ」
いいからやるならさっさとやりなさいよ。
「あれカスガさん僕まだ舐めてないんですけどなんか硬くなって来ましたよ」
「フフフ想像しちゃってね!これからおこる事をね!ただの生理現象ですよ。なんっにも問題ない。」
「あ想像しちゃっただけで?!まぁ問題ないなら別にいいんですけどぉ」
「なんかこの二人ムカツクなぁ」
嫉妬しない嫉妬しないよサトウ君。
「あれ、ていうかサトウ君なんでまだそこにいんの?」
「うわ泣いていい?」
「俺がすっごい凹んでる時とかぁ、もうほんっとボロボロで死のうかなってなってる時に一緒に居てくれてすっごい有難いし大切な人なんだけど
今は邪魔だわハハー!」
「でも今オレ居なかったらこれ冗談じゃすまされなくなるからね!それでもいいのかオー/ドリー!」
「あ、それ困るわやっぱ居てサトウ君」
「正直居たくないけどね!」
まったくサトウを振りまわすんじゃないよこの男は。
カスガのちんこもこのままじゃ萎えちゃうぜ?
「じゃ、いきま〜す」
ぺろ
うわーーー本当に舐めてきたーー
「なんか生臭いですカスガさん」
サトウの爆笑で場の雰囲気は普通だけどなんだこの倒錯的な現実は。
ちょっとちょっと気持ちよくなっちゃうじゃない。
そんな本格的に舐め出すと思わなかったよカスガは。
舐めながらんふ、と笑うワカバヤシ、気持ちわりぃなあ
「なんかワカバヤシ君がちょっとかわいく見えてきた」
無い無い。無いでしょ。
あーでも気持ちいいなさすがに。もう、ちょっと全部口に含んじゃって欲しいもんね。
4
「ワカバヤシ君チロチロしながらハル/カス見上げなきゃ」
上目使いでかわいい仕草してるつもりのワカバヤシ気持ち悪ぃぞー
「あーそれいいね〜一生懸命やってる感じが出てるよー」
サト/ミツうるせーぞー!
おっ。あーいいねこの、熱い中に入ってる感覚。
「気持ちいいんじゃないの?」
「気持ちいいねさすがに。ふふ」
ワカバヤシが鼻にかかった声でウンウンいいながら顔を上下に動かしてます。AV見過ぎだろコラ。
でもこれは結構いけるかもしれないなぁ。
上に行った時吸い上げてるのかしら。ちょっと気持ちいいのよねその瞬間が一番。
男の方が男のイイとこ知ってるってよく言いますけど、まぁそうね。でもまだ稚拙というかねー、まだまだ。
こんなんじゃカスガは満足させられないかなっていうね。気持ちいいけどね。
「ワカバヤシ君喘いでる」
サトウが爆笑してなかったら真顔になりそうで危な〜い
「んんぅ〜」
ワカバヤシが動きを止めて首を左右に振ります。なんじゃいコラ。
「疲れた?」
サトウが問うと頷きました。
「あとちょっとだから頑張りなさいよ。あと1,2分でイケるよカスガは」
ぶふっとワカバヤシが吹き出してよだれがだらーっと垂れました。あ〜あ〜。
そのままふーっと一息つくとちんこから口を離しました。何よ何よ。
「…ちょっとサトウ君コンドーム貸してくれる?」
「えっ」
「えっ」
「持ってない?」
「いや、持ってるけど多分」
「なんで持ってんのよ」
「いつ何どきどんな場所で何があるかわかんないから常備してるよ」
きっもちわりぃ。は、いいとして。おいおいおいお前はそのゴムをなんでカスガのちんこにかぶせるのよ。嫌な予感がしますよ。
「あーー…こわい〜…」
「だからじゃあやめなさいよあんたねえ本当にやるつもりかい。」
ワカバヤシがベルトをはずして下半身全てを脱ぎ去りました。聞いてんのかい。
「ワカバヤシ君いきなりは無理でしょ。ローションとかいる?」
「ローションも持ってるの?気持ち悪いねサトウ君」
「いつ何どきどんな場所で何があるかわかんないから常備してるよ」
「…ああぁ〜駄目だやっぱり怖いよ〜……サトウ君…」
「…じゃあオレが塗ってあげようか?」
出たよワカバヤシのかわいいアピールが。サトウなんか見事にこの術中にはまってるよまったく。
なんだか嬉しそうにワカバヤシのケツにローションを塗ったくっています。
おいおいカスガの勃起したちんこにコンドームかぶせたまま何やってんだ君たちはいちゃいちゃいちゃいちゃ。
こんなね、放置プレイとか挟まなくていいんですよ。いくらカスガがドMだからってね。
「あ゛ーー…!サトウ君」
「大丈夫?もう少し入りそうだよ。」
「あ゛ーー…!痔があ〜!!」
「指で触ってもあんまりわかんないよイボ。肉の壁が入り組んでるからどれがどれだか。」
痔なんてどうでもいいんだよ。早くしなさいよもう充分ぬるっぬるになってんじゃねーか太ももまでローションが滴ってんじゃねーか
「\ワカバヤーシ無理なら熟女用意しろー/」
「超殴りてぇ…サトウ君、どいて」
ワカバヤシがハァハァ言いながら椅子に座っているカスガの前に来て上にまたがります。
正面を向いているのでつい顔を見上げてしまいました。あれまぁぐしゃぐしゃじゃないの。…そんなに必死になって。
カスガの肩に左手をかけて右手でちんこを穴にあてがい、ゆっくりと腰を降ろして行…くようで、いかないのかよ!
ワカバヤシといえばビビリで小心者で怖がりで意気地がなくて弱虫でポンコツのどうしようもない男です。
こんな事できるわけがないんですよ。最初からね。なのにね、やろうってんだからね。まったく…しょうのない奴だ。
「ああっああっ…ハァハァ…あーーっ」
「…まだなんにも入れて無いでしょうが。」
「想像しちゃって。痛いの想像しちゃって先に声がでちゃうっていう」
しょうのない奴だ。仕方がないのでワタクシがワカバヤシの腰を掴み、グッと降ろしてやりました。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーっっ!!!ちょっとカスガあああああっ」
「まだ先っちょがちょっとだけ入っただけでしょうが。」
「 も う む り だ ぁ 」
どっから出てんのよその声は。おまえまじでやめろという声を制してまた腰を掴んでググッと降ろしてやります。
ワカバヤシ必死の攻防。あなたそこまで必死に頑張っててここまで来たんだから全部入れなさいよもう
「カスガまじでやめろカスガ!カスガ!カスガあ゛ーーー!!!」
「サト/ミツそっち押さえろ!」
「えー無理やりはよくないよ〜」
ぎゃーぎゃーわめくワカバヤシをいったん落ち着かせ、深呼吸させ、なんだかんだでようやく根本まで入りました。
「ワカバヤシ君どう?動けそう?」
カスガにギューギュー抱きついた状態のワカバヤシが首を振ったようです。
しょうがないなぁ。
サトウのローションを拝借してワカバヤシの萎えて委縮しているちんこに塗りつけます。
そのままいじってやるとぴくっと動きました。おうおうそのまま出しちまえよ。
「なんかさぁ、こうして見てると本当にセックスしてるけど大丈夫ド/リーちゃん?」
「まぁやっちゃったもんはしょうがないでしょ。」
「んっんん…っカスガぁ…」
この男がそれでいいならまぁいいですカスガは。
扱き続けているとワカバヤシの穴が時々収縮して入口が締め付けられます。おーアナルってこんな感じかー
「カスガぁ…出ちゃうよぉ」
「あーワカバヤシ君なら絶対出ちゃうよ〜とか言うと思ったんだよね。やっぱりかわいい〜」
「あんた騙されすぎでしょうよ。そこのティッシュ取ってくれるかい」
「オレ他人のセックスの雑用すんの初めてだよ。」
「なかなかあってるよ。天職じゃないのか?」
「ありがとう」
おほほほ、ワカバヤシが射精してる最中の穴の収縮がすごいぞ。よし!
ワカバヤシを抱きあげそのまま床に寝かせて正常位の格好になり、足を持ち上げ開かせました。
そして根本まで入ってるちんこをゆっくり抜きます。
ビクビク足が動いて閉じようとするから力づくでまた開きます。
「おまえ…っお前早くすんなよ!絶対!」
「慣れたらね。」
抜けない程度に出してからまた奥へゆっくり入れます。進む度にグチュグチュいってて生々しいな。
何度かそれを繰り返すうちにワカバヤシが悲痛な声をあげなくなりました。まだあーあーうるさいけどね。
最初入れた時は壁ばっかりでこれ以上進むとこないんじゃないかと思ったけどなんだか道ができてるみたいねぇ
今は割とスムーズに出し入れが可能ですよ。人間って素晴らしいですな。
ちょっとずつ速度をあげてピストン運動するとカスガもたぎってまいりました。
「おーなんか男相手だと多少無茶してもいいかなって気になるな!」
「うわぁああぁカスガそんなに…あああああ゛ーー」
しまいにはスパンスパン音がするほど激しく腰を打ちつけてるけど大丈夫そうだからいいか。
痔が爆発するぅ〜とか叫んでるくらいだから余裕あるだろう。
「あ゛ーー!変なとこ擦らないで!!」
「いつも嫉妬する罰だ!恋愛くらいカスガの自由にさせろー!!」
「やだっお前いつも…そっち行っちゃうじゃん」
「彼女も大事にしたいんだよ!」
「俺がネタ書いてる時女のとこ行きやがってーっ」
「それはしょうがないだろっ」
「やーだーもうストレートにやだからぁ…あっ…それやめてよ」
「…」
「何黙ってんだよっあ゛…あ゛ー…俺の事好きにしていいからぁやめてよォ!」
うわーーー顔が赤くなってきたなんかすごい事言ったぞ今。エロ漫画だよ本当エロ漫画によく出てくるセリフですよ。
「ワカバヤシ君…ハル/カスの事そんなに好きなんだ」
「…俺の事好きだろ」
「!ヒャハハハハハ何?俺おとされてる?」
「好きなんだろ?」
「…もうなん…ぅ…お前よく言えるなそんな恥ずかしいこと!」
お前だろ!!あーもう駄目だ、出る!
「あ゛あ゛っ…」
意外なほど気持ちイイ。どうしましょう。
カスガのほとばしりがコンドームの中に広がります。ジッと動きを止めたワタシの様子と動くちんこにワカバヤシがため息のような一息をつきました。
「これ、完全にセックスだよね」
サトウの冷静な一言が耳の片隅に聞こえました。
ぐったりしたワカバヤシがサトウに支えられながらよろよろと起き上がります。あらあら拭いてあげちゃったりして。雑用として素人じゃないんじゃないの?
「大丈夫ワカバヤシ君?」
「なんか切れてる感じがする…もう今度はさぁ手コキだけにするわ。気が向いたら口でもいいけど」
「今度ってあなたまだやる気?こんな事したってねぇ」
「…だってさぁ将来パネラーになるとか言われたらさぁ…。」
しつこい男だ。まったく。
「パネラーにもなりたいけどね。……でも別にさぁ…お笑いをやっている時は、あなたしかいませんけどね、カスガには。」
とりあえずそれで我慢してくださいよ。ワカバヤシの顔がぱぁっと明るくなりました。うーん。かわいい奴め。
「やっぱ彼女作らせない。俺全力で阻止するわ〜」
「あーあーまったく鬱陶しい男だなぁ!なぁサトウ!」
「もうオレの事はいいから勝手にやっててよ。」
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
>>89お待たせしてすいませんでした!
| | | | ∧_∧ 一人称・二人称がころころ変わるのは仕様です。
| | | | ピッ (・∀・ ) 読んでくださってありがとうございました。
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
途中変な数字が入ってすいません。
>>97さん
大変失礼なことをして申し訳ありませんでした
テンプレ貰ってる間に…リロるのを怠って、本当にすみません
一回休みます、逝って来ます
>>97 乙です!三人の声がリアルに脳内再生されました。
次回作も期待しています。
>>89 ドンマイです、投下お待ちしてます。
>>99さん、ありがとうございます
昨日は大変失礼致しました
古いし異色カプですみません
足甬る代走左遷 大囃子×壱倉
壱倉は大囃子より年下ですが、キャリアなので上司です
二人共180センチ越えの大男です
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
天井をぼんやりと見つめながら、壱倉は溜め息をついた。
額にかかる前髪がうっとうしかったが、かき上げる気力も無い。
とにかく身体全体が重くて怠くて、
とんでもない所が鈍い痛みを感じるのは、精一杯気付かない事にして。
そしてその身体を包むシーツや毛布は、相変わらず極上の肌触りで。
ガチャリ
大囃子の大きな身体が、頭を屈めながら入って来る。
パジャマのズボンに、裸の上半身は筋肉質で、嫌味な程引き締まっていて
オッサンのくせに俺より腹が出ていない、としかめ面をする壱倉。
「……何自分だけサッパリしてんだよ…」
「すみません。でも壱倉さん、風呂まで歩け…」
「ねぇよ、くそったれ」
「抱っこして行こうかと思ったのですが、ドアやら壁やらにぶつけそうで」
「抱っこって………」
ふ、と大囃子の口元が少しだけ和らぐ。
こいつの笑みは余りにも微かだから、
よく注意して見ていないと見逃してしまうんだよな、と壱倉は思う。
………だからなぜ、注意して見ないといけないんだ。
元々仕事での合流は無く、顔と名前を知ってるだけの間柄だったのだが。
きっかけは、共通の上司の送別会。
出席者全員が見事に酔い潰れ、残ったのが壱倉と大囃子の二人だった。
自分と同格の酒豪を見つけた二人は、それから度々呑みに行き、
更にしばらくすると壱倉は、大囃子のマンションに入り浸るようになる。
―――とここまでが、キャリアとノンキャリ同士の、
端から見たら一風変わった組み合わせの、お友達関係の二か月間。
………だった。
洗面器のお湯に浸したタオルを固く絞ると、
大囃子は壱倉の身体を丁寧に拭き始めた。
電気スタンドの薄明かりの中とはいえ、無防備にされるがままの羞恥に
懸命に睨み付ける壱倉だが、いかんせん身体が動かない。
そしてタオルは腹が立つ程気持ち良い。
「………お前さ」
「はい」
「俺に、この男の俺に、何やったか分かってるんだよな?」
「はい、分かってます。襲って、力ずくで犯しました」
あっけらかんと答えられ、絶句する壱倉に、大囃子は微かに口の端を上げる。
「妻を亡くして以来、抱くのは四年ぶりで…手加減出来なくてすみません」
全くだ。死ぬかと思った。
大囃子は肉食獣みたいに怖くて、エロくて。
壱倉は完全に女みたいに扱われた。
女なんか履いて捨てる程寄ってくる、この俺が。
「謝るのはそこじゃねえだろ」
苛立たしげに見上げる壱倉に対して、見下ろす大囃子の目は落ち着いている。
「すみません。でも壱倉さんが誘っていると思いましたので」
昨夜。
所轄に一杯食わされて、被疑者を逮捕しても鬱積は晴らせず、
疲労も重なっていたから、ベロベロに酔っ払てしまった。
ふと目を覚ましたら、隣りで大囃子が眠っていた。
普段先に帰宅した者が(部屋の主は大囃子だが)ベッド
後からはソファで、と暗黙の了解になっていたから、
大囃子の寝顔を見るのは初めてだった。
壱倉を介抱しているうちに、寝入ってしまったらしい。
眠る大囃子は、雰囲気が柔らかい。
見ただけで睨まれたと勘違いされる程、鋭利な目が閉じられているからだろうか。
こうして見ると、鼻筋の通ったなかなか端正な顔をしている。
オッサンのわりに、頬とか弛んで無いし。
ガッと指を掴まれて、壱倉はぎょっと固まった。
というか、自分が大囃子の顔を触ろうとしていた事に、初めて気が付いた。
壱倉の指を掴んだまま、大囃子の目がゆっくり開く。
「あ………」
真っ直ぐ見つめる大囃子の鋭い目は、奇妙な色を帯びていた。
壱倉はごくりと唾を飲み込む。
「悪い…起こしたか」
「私を…」
「ん?」
「………誘っているんですか?」
壱倉がぶんぶんと首を振っても、大囃子は平然としている。
「でも、合鍵を貰って下さったじゃないですか」
「それは…」
「男同士で、合鍵って、奇妙だとは思いませんでしたか?」
「そうだけど、どっちも忙しくて不規則だし…」
壱倉は俯いて、口を噤んだ。
だって大囃子ん家は何もかもが心地良いから。
シンプルな家具の少し狭い部屋も、大きなソファも。
沢山の本も、ジャズやオールディーズのCDやレコードも。
旨い酒と、大囃子との穏やかな会話も。
いや無口な大囃子は、黙って聞いてる事の方が多いけど。
これ程寛げる空間と時間を、壱倉は他に知らない。
そして、ずっと失いたくないとさえ思うようになっていた。
「良いじゃねえか…合鍵くらい…」
拗ねた子供のように口を尖らせ、目を逸らす壱倉に、大囃子は苦笑する。
「貴方は本当に、私の想像を良い意味で裏切って下さる方ですね」
「何…?」
「警視庁の廊下やエレベーターで見掛ける貴方は、
いつも自信に満ち溢れ颯爽としていて、
もっと奔放で傲慢で、他を寄せ付けない力強さがある方だと思ってました」
「俺が自信が無さそうで、弱々しく見えるってのか」
「違います。良い意味で、と申しましたでしょう」
大囃子の口元が微かに持ち上がる。
「…そんなん、お前だってなぁ」
壱倉は大囃子が胸の辺りを拭いていたタオルを、ペシッと撥ね除けた。
「お前は真面目で堅物で、全然面白味の無い男だと思っていたんだ。だのに」
壱倉は悔しそうに、ふいと顔を背ける。
「こんなに側にいて、心地良い奴だなんて思わなかった…」
大囃子はタオルを洗面器に戻すと、腕を延ばし、壱倉の下りた前髪を
長い指でそっと撫で上げた。
一瞬びくりと肩を強張らせた壱倉だったが、その目がゆっくり細められる。
腹立たしいが、大囃子のする事は何もかもが気持ち良い。
「私の記憶の中の貴方の姿は、入庁間もない頃に廊下で擦れ違った時から
余りにも沢山あり過ぎます…」
「何?」
「私はいつも、貴方を目で追っていたのでしょうか?」
「知らねぇよ」
「私は貴方が好きなんでしょうか?」
「聞くなよ、本人に」
呆れて見上げる壱倉に対して、見下ろす大囃子は真剣だ。
「すみません。色恋沙汰には百戦錬磨の貴方と違い、私は朴念仁でして…」
「朴念仁が、男の上司を犯すか。どスケベのエロじじいが」
「確かに」
柔らかい笑みを浮かべて、大囃子が頷く。
そこまで微笑んでいる顔を初めて見た壱倉が、思わず見惚れていると、
唇に柔らかい感触があった。
「………大囃子」
「エロじじいですから」
絶句する壱倉を余所に、大囃子はベッドに潜り込んだ。
「好きか嫌いかの答えは必要無いですね」
「何?」
「壱倉さん、最初から怒っていないじゃないですか」
「仕方ないだろ」
抱き寄せるままに身を預けながら、壱倉がぶっきらぼうに呟く。
「この部屋心地良いし、お前といるの、嫌いじゃ無いし…」
腰に腕を回され、同じように腕を延ばす。
「ベッドがやたらでかくて伸び伸び出来るし、シーツの肌触りも極上だし…」
「だから」
「………我慢してやる」
クスリと小さな笑い声が漏れる。
「それはどうも、ありがとうございます」
「男の、キャリアの、上司のこの俺が、だぞ。感謝しろ」
「はい」
いつに無く顔の筋肉が緩んでいるのを感じた大囃子は、
見られないように壱倉を、自分の厚い胸板に抱き締める。
ああ、本当に想像以上に可愛い人だ。
懸命に懸命に、押し殺して堪えた甲斐があった。
合鍵を渡してから、寝具を買い替えた甲斐もあった。
妻を無くして四年間、忘れ去っていた感情を、
たった二か月で完璧に引き出したこの人に、
私はきっとこれからもっとどんどん夢中になっていくのだろう――――
結局再び汗をかくハメになった壱倉が、
大囃子にようやく解放して貰えたのは、窓の外が白み始めた時間だった。
満足げに眠る大囃子を、肩肘を付いて恨めしげに見下ろす壱倉。
身体はいっそう重怠く、下半身は鉛が入っているようだ。
………参ったな。
抱かれるのはやっぱ、すげえ負担かかるんだな。
でもまあ、抱くよりこっちのが強烈に気持ち良いのは確かだ。
こいつがこんな絶倫なのは計算外だったけど……。
壱倉はニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「墜とした………」
壱倉が生来の女王様気質を見せるようになるのは、
それからもうしばらく先の事であった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
携帯から失礼致しました
>>97 GJ!
今回も小ネタ満載で面白かったです
ワカバヤシのあの高音笑いが今にも聞こえてきそうでしたよw
>>82 GJです。
今度からは生 にエロい妄想が止まりませぬ
いいですか?
スケーターと大学生で
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
このシェアハウスの定員は三人なのに三人目がなかなか定着しないのは、キースが毎週のようにリビングでパーティを開くからだ。
家主も諦めている。
「憎めない子だからねえ。追い出したらどこも入れてくれないよ、きっと」
分かる。彼は悪い奴じゃない。むしろ好かれるタイプだから、周りに人が集まってくるんだ。
で、パーティ状態になってしまう。
ここは大学に近いし、家賃も良心的。キースの仕事は夜のバーだから平日はすれ違いで静かなもんだ。
まあ神経質な人にはお勧めしないが、僕にとっては優良物件。
今夜もリビングがうるさい。二階の部屋からでも下で何が起こっているか手にとるように分かる。
テレビでサッカーの試合を見て盛り上がっている。
アーセナルが負けているのか、選手に聞こえるはずもないのにブーイングの嵐だ。
女の子も何人か来てるようで、野郎達のブーイングの合間に柔らかい笑い声が聞こえる。
一人はキースの彼女のレベッカだな。きれいな女性でモデルをやってる。他はレベッカの友達だろうか。だったらモデルかもしれない。下に行きたい……。
「おーい! 大学生えー! 降りてこいよ。試合、ヤバいことになってる」
キースが怒鳴る。サッカーなんて興味ないと何度言ったら分かるんだろう。
「知るかよ! 試験で忙しいんだ!」
なんだよ、年上に対する返事を間違ってる、あーいう奴が社会で苦労するんだ、とぶつぶつ言っているのが丸聞こえだ。
月曜の試験は絶対に落とせない。本当にそれさえなければ、下に降りて女の子と話したいくらいなのに。誘惑しないでくれ。
しばらくすると階段を上がってくる音がした。そして、ノック。
いきなり入ってくる奴らばかりの中、ちゃんとノックする人間は一人しかいない。
「Tシャツ貸してくれる?」
ダグ。パーティの常連ではどちらかというとおとなしい方で、大騒ぎをソファの端で静かに眺めているような男。
見かけと違って落ち着いた性格は僕にとって話しかけ易く、キースの友人で最初に仲良くなったのが彼だった。
もちろん飲み過ぎて暴れるなんてことはしない。なのにTシャツがびしょびしょに濡れている、というか髪の毛まで濡れている。
いつもつけているエンヴィの香りに混じってモルトの匂いがした。
「ビールかけられた?」
「完全なとばっちりだけどね。気持ち悪くてさ」
タオルを出そうとすると、彼はいい、といってTシャツを脱いで頭を拭き、ゴミ箱に投げ入れた。
タンスから適当にシャツを出してきたものの、ダグの体が自分よりかなりでかいことに気づいた。
そういえばスケーターだって聞いたことがある。だからこんないい体をしているのかもしれない。体型が違いすぎる。
「小さいと思う。ピッチピチだよ多分」
ダグはいいから、と着たが、少し動きにくそうだ。
「濡れたヤツ、乾燥機にかけてくるよ。乾いたら着替えて帰ったらいい」
「いいよ、捨てといて」
僕がゴミ箱からシャツを取り出そうとするのをダグは遮る。そこからふざけて取り合いになってしまった。
「うわ」
酔っているせいで足がもつれたのか、大きな体が倒れ込んできた。
支えようとしたが、無駄なことで、結局一緒に倒れてしまう。
頬にくにゃりとた感触。ダグの顔が当たっている。
すぐに退くと思ったのにダグはそのまま動かない。
重く、熱を持った体。
おかしな沈黙。
不安になって、顔をずらそうとした。
なのにダグの顔が、唇がそれを追いかけるようにくっついてくる。無精髭がくすぐったい。エンヴィの香りにむせ返りそうだ。
下ではキースが歓喜の雄叫びをあげていた。アーセナルが点を取ったのだろうか。
けど僕らは別世界に行ってしまったように、それが遠くに聞こえる。
何だこの感じ。
急に恐くなって、ぐいっと両手でダグの体を押した。よっぽど強くはね除けたらしく、彼は驚いたような表情を見せた。
「邪魔」
努めて冷静に呟いてみせる。
ダグはしばらく何も言わずにこちらを見ていたが、やがてハハ、と笑った。そして子供をなだめるように、僕の頭をポンポンと叩いた。
「シャツ、洗って返すから」
ふらつき気味に部屋を出て行く姿を見て、少しほっとした。酔っぱらってるんだ。
手に掴んだTシャツから微かに漂う彼の香りが、顔に押し当てられた頬と唇の感触を思い出させる。
彼の顔が火照っていたのは、酔っていたせいだろうか?
頬に手をやると、その火照りが移っていることに気づいた。
酒も飲んでいないのにね。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
オリジですが
頭のどこかにそにっくゆーすの「100%」のPVの印象が残ってたかも
>>114 禿げ上がった!!!
自分スケーター攻め好きだから、これ以上無いくらい萌えた
ありがとう
学生時代からの二人。
元ネタがあるようなないようなですが、オリジナルです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
やつから遊びに行ってもいいかと電話があったのは、ついさっきのことだ。
「用事あんなら、また今度」
「ねえよ」
「彼女と約束とか?」
「......今日はしてねえから」
「んじゃ、夕飯喰ったら行くわ」
うちにろくなもん置いてねえの見越して、警戒するとこが可愛くねえ。
どうせどっかのファミレスとかで喰ってくるくせに、料理できんならたまには俺んちで作ってみせろっつの。
手料理は女にしか御馳走しないんだと言い放つとか、かなりイイ性格してるよなあ、おい。
明日の会議の資料を広げて時計をチラチラ気にしてたら、聞き慣れた足音が外廊下からトントンと響いてくる。
タイミングを見計らってガチャッとドアを開けると、予想通り目をまるくしたやつが立っていた。
「あ、びっくりした」
「どした?」
「え?」
「いや、珍しいじゃん、急に来るの」
「うーん......」
なんだか口ごもりながら俺の横をすり抜けて部屋に入ると、やつは床の上にちょこんと胡座をかいた。
「えーと、婚約破棄だって」
「......は?」
すごく意外なことを聞いた気がした。だってついこないだ、散々惚気聞かされたとこじゃなかったっけ。
一瞬冗談かと思ったけれど、やつの目の下にくっきりと浮かんだクマが、これは事実だと俺に語っている。
「またなんで。二股かけられた?」
「そんなんじゃねえ。なんかやりたい事があるんだって。日本を出るんだって。急に言われても、付いて行けねえし」
「......」
「相手が人間なら俺なんとかする自信があるのに、やりたい事とかって、それどうにもできないじゃん」
なにを、どう言って慰めればいいか見当もつかない。相手に対してどのくらい真剣だったか、俺が一番よく知っている。
俺はやつの目の前に腰を下ろした。がっくりと落ちた肩に手をかけると、やつの手が持ち上がって俺の腕を掴む。
それがなんだか冷やっとしてて、アレっと思っていたら、いきなり強い力でぐいっと引っ張られた。
俺の体は、情けないことにほとんど無抵抗のまま、やつの胸にすっぽりと収まってしまっていた。
「はなせ」
「やだ」
「やめろって」
「俺寂しいんだ。寂しくて死にそうなんだ。お願い、助けて」
やつは俺の体を少し離すと、親指と人差し指で俺の顎を掴んだ。
「やめろよ、しゃれになんねえ」
「頼む、今日だけ」
唇が近づいて俺のに重なる。すげえ久しぶり。最後にキスしたのは、もうずいぶん昔のことだ。相変わらずとことん好みの感触で、
情けないことにコレだけでイきそうになってしまう。本当は今日、彼女と会うはずだったのに。やつを優先させたのは、
男同士の友情と言ったら聞こえはいいけど、実のところはいつまでも思い切れない俺の弱さだ。こんなことなら断るんだった。
やつの指が、俺のジーンズのボタンにかかった。
「本気かよ」
「いや?」
「嫌って......」
嫌なわけないじゃん。けど、嫌じゃなきゃしていいかって言えば、それは違うんじゃないのか。
ゆるゆると前をあやされて、俺の体から力が抜けてゆく。そのタイミングを見計らって、やつは俺を床にゆっくりと押し倒した。
「無理だろ、もう何年も使ってねえのに」
「大丈夫だって、ちゃんと全部覚えてるから」
半分立ち上がった前を置き去りにして、今度は指を後ろに回すと、やつは俺の入り口を解きはじめた。
「......あ......あ、あ......」
良く知っているけど、慣れない感触。
「ほら固くなった。イイとこやっぱり変わってない。俺の後、誰かここ入った?」
「ふざけんな、そんなめんどくせえこと......んっ」
指を抜かれて、寂しくて思わず腰が浮いてしまう。すげえ恥ずかしい。
「ごめんね、大好き」
そういうと、やつは俺の体に身を深く沈めた。
終わっても、やつは俺の体をずっと抱きしめていた。今日だけって言うなら、さっさと帰ればいいのに。
髪を撫でたり、頬にキスしたり、これじゃまるで昔みたいだ。
「ね、元の鞘に収まるってさあ」
うっとりとした声でやつが呟く。
「聞きようによっちゃ、すごいエロい言葉だよね」
「知らねえよ、くだらねえ」
クスクス笑って、やつは俺の肩口に顔をうずめた。
「......あのよ、おばさん、あんまり良くねえんだろ。こんなことしてる場合じゃないんじゃねえの?」
「わかってる」
「今日だけなんだよな」
「ごめん、ちょっと嘘ついた。もういいじゃん。今離れたら、俺生きていける気がしねえ」
「馬鹿かお前は」
「ばかだよ。知ってんだろ?」
知ってる。知ってて付き合う俺も馬鹿だ。
肩に埋めていたやつの顔がずりずりと鎖骨のあたりまで降りていく。これは二回戦の合図だ。俺だって覚えてる。
長い時間かけてやっと解けた気持ちの糸が、またグチャグチャに絡めとられる予感がして、熱くなった体が少し震えた。
あちこち這いずりまわるやつの舌が、胸の辺りで小さい円を描いて止まる。先のことを見なくてもすむように、俺はきつく目を閉じた。
恐ろしい勢いで、時間が逆戻りをしはじめる。どうしよう。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
____________
| __________ |
| | | |
| | □ START. | |
| | | | ∧_∧ ムカシナツカシ 21衛門ダヨ
| | | | ピッ (・∀・ ) チョトビビリナガラミルヨ
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ウワァーーーン!全部衛門だって悪いんだーーーーっ!!」
そう叫びながら、あいつは教室を飛び出していった。
(もしかしてあいつ、ホントに泣いてた?!)
いつもなら全然気にならないのに、むしろ、ざまあみろ!とか思うのに、今度だけはなんだか不安な気持ちになった。
そもそもはテスト中にメールでケンカをし始めたのが悪かった。
あいつ、バレないからって「権助って使えねーよな」とか「潰れ屋w」とかくだらないメールを打ってくるからさ。
しばらくは無視してたけどあんまりマメに打ってくるので
「お前は他に言うことがないのかよ、能無し」っていう軽いジャブ的なメールを打ったら
いきなり立ち上がって、おれに向かって「なんだと!」って叫んじゃったんだよね。
当然先生は「李gell君、静かに!テストは先生の隣で受けるように」っていうだろ?
そうしたらあいつ、飛び出していっちゃったんだ。
「先生!おれ、あいつのこと、探してきます!」
あいつは人前で泣いたりなんかしないし、叱られたからって逃げるような奴じゃない。
だから余計に気になってしょうがないんだ。
探すといってもこのスクールは広い。
とにかくトイレとかパイプスペースとか、授業中には人が行かなそうなところを重点的に探すことにした。
「おーい、李gellー!」
「どこだよー。返事しろよー」
扉を開けても開けても、そこにあいつがいないとものすごく焦る。
「ここか!」
「ここだろ?!」
「お願い、いてくれよ…」
(まさかとは思うけど…)
一番考えたくない予感が頭の中を襲い始める。
(いやいや。絶対違う。そんなはずは…)
そう思いながらも、おれは非常階段に向かい、そしてとにかく登った。
ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…
すっかり息が上がって立ち止まり、ふと空を見上げた。
(どこいっちゃったんだよ…)
ここにいなかったら一体どこにいるんだ?
ぼんやりとした頭で視線をずらして階段のほうをみると、段と段の隙間から誰かの足元が覗いて見えた。
(…李gell!!)
あれは絶対に李gellだ。
「李gellーーーっ!そこを動くなよーっ!」
やった!みつけた!
疲れてたはずなのに、一気にあいつのいるところまで駆け上がってしまった。
ようやく見つけたあいつは、背を向けて、小さくなってうずくまっていた。
いつもは威張っていてえらそうなあいつが、こんな風にしょぼくれているところを見るのはどうもココロが痛い。
「…李gell?!」
そっと手をあいつの肩にかけた。
思っていたよりもあいつの肩は小さかった。
ひっく、ひっく、ひっく。
あいつは泣いていた。
あいつはあのあと、ずっと泣いていたんだろうか。
どぉーしたんだよ、李gell!いきなり出てっちゃうなんてさぁー。テスト中だぜ?!全然お前らしくないよ」
おれは精一杯のカラ元気で李gellの背中をぱんぱんと叩いた。
長い沈黙。
かすかな涙声でようやく李gellが口を開いた。
「なんで…んだよ」
ブツブツとしか聞こえなかった声が、少しずつ、怒りを伴って俺の方に押し寄せてきた。
「いつもいつも、おればっかり怒られる!衛門だって悪いのに!」
そう言ってこちらを振り向いた李gellの顔は涙で目が潤み、顔は激昂のためか上気していた。
「李gell…」
つい言葉に詰まってしまった。
またも長い沈黙。
「…ごめん李gell。おれさ、今から本当のことを先生に話してくる!
そうしたら先生だってお前ばかりが悪いんじゃないってこと、わかってくれるさ…、たぶん」
「よしてくれよ!…余計におれが惨めになる」
「だったら、どうしたらいい?おれ、お前のそんな姿みるのツライよ」
「何でさ?おれのへこんでるところなんか、なかなか見れないぜ?
お笑い種だろ?!だからわざわざこんな所まで追いかけて来たんだろ?!!!」
あいつはカラカラ笑ってこんなことを言う。
目はひとつも笑ってないのに。
なんでだ?!なんでこいつ、こんなに追い詰められてるんだ?!
いつもだったら先生に怒られたくらいじゃ泣かないし、立ち直りだって早い奴だって思っていたのに。
「なぁ李gellどうしたんだよお前。
おれ、お前のことが本当に心配なんだよ。
お前の機嫌が直るんならおれ、I do enything!なんだぜ」
「…ほんとに?!」
疑うような、でも信じてもいいかもとでも思っているような、そんな微妙な目でおれを見つめる李gell。
……ん?
あれ?!どうしたんだ、おれ?
カワイイぞ、こいつ。
どうしよう!?おれには瑠奈ちゃんがいるはずなのに。
今目の前にいる李gellは、クラス中のどんな女の子よりも可愛く、愛おしい。
やばい、やばい、やばい!!この気持ち、暴走しちゃいそうだ!
お、おお落ち着け、おれ。
「あぁ、当たり前だろ?!お前以上のライバルなんかいないからな。『敵』と書いて『とも』って読むんだぜ」
(そして『友』と書いて『こいびと』と読むんだ…)
心の中で勝手に変換しながらそっと李gellの手を握ってみた。
李gellは拒まなかった。まだ、おれの目を見つめている。
少なくともあいつの中の苛立ちは収まったみたいだけど、手を握ったことで少し戸惑っているようだった。
「衛門、お前さ…。I do enything の意味、分かって言ってる?」
こころなしかおれを受け入れ始めてるみたいな、李gellの声。
「あぁ分かってるとも、李gell!ホントだよ。おれ、なんだってする!」
「何でも?」
「うん!何でもだ」
「じゃあさ」
「うん」
何かを決心したかのような表情のあと、あいつはこう言った。
「…じゃあ、ギュッてして」
「!!!お前!!!」
感極まっておれは、力いっぱい李gellのことを抱きしめた。李gellがうぅっと呻くのが聞こえたけど構うもんか。
おれは、いや、おれ達はずっとこうしたかったんだ。
「苦しいか李gell?苦しかったら止めるけど…」
「ううん。衛門、まだ。まだこのままでいて」
そう言ったまま、また李gellは黙った。
背中の方から抱きついたからあいつの表情は見えなくなってしまったけど、あいつの心臓の音や体温なんかが伝わってきて
おれの頭ン中があいつでいっぱいになってしまう。
「なぁ、李gell」
「ん?」
「こっち、向いて」
あいつはちっちゃく頷いて、おれの腕の中でゆっくりとこちらを向いた。
おれを見上げた目はまだきらきらと潤んでいる。
こいつ、やっぱカワイイ!
はむっ
おれの理性はぶっ飛んだ。
李gellのくちびるはむちゃくちゃ柔らかくて、暖かい。
何度も何度もはむはむする。
たまらない!!
唇を離した後はふわふわのほっぺにもちゅー。
髪の毛もあいつのはさらさらしていて気持ちがいい!!
再びあいつの華奢な身体を抱き締めた。
小さい背中。肉付きの薄いお尻。
あいつは…。あいつは全く抵抗しなかった。おれのなすがまま…。
ふっ、と一気におれの理性が戻ってきた。
抱いていた腕を離し、李gellの顔を見つめる。
「李gell、ゴメン!おれ」
「…謝らないで。おれ、…イヤじゃなかったよ」
「ホントに?」
無言で頷く李gell。
「初めて?」
この質問にも、あいつは縦に首を振った。
「そっか」
(おれ、ファーストキスを奪っちゃったのか…)
「でもやっぱ、ゴメン!おれ李gellの気持ち、全然考えてなかったし、だから」
「おれの気持ち?」
「だって初めてなのに、おれときたら勝手に…」
「いいんだ。初めてが衛門なら」
「えっ?!」
「おれ、…ずっと淋しくってさ。
パパはホテルのことで頭がいっぱいだし、
ママだって口ではおれのこと「かわいい」とか言ってるけど、ホントはおれのことなんか全然見てやしないし」
おれは李gellが毎日そんな気持ちを抱えていたのは知らなかった。
「でもさ、お前とケンカしてるときは別なんだ。瑠奈ちゃんのことだってお前がいなきゃ…」
「全然気付かなかった…。
なんでそんな大事なこと、言ってくれなかったんだ!
おれ、ずっとお前のこと傷つけてきたのに、なんでっ…」
「お前ならいいんだ。お前なら…」
そういって李gellはおれの胸に顔をうずめた。
またあいつの暖かさがおれの身体に沁みてくる。
「あのさ李gell。おれ、いつだってお前のこと、見てるからな」
「それって、…好きってこと?」
「…あぁ、そうさ。でもこんなこと、今日だけだからな!」
暫くの間があってから、あいつはこう言って、トン、とおれを突き放した。
「分かってるさ衛門。今日ここであったこと、誰にも言うなよ!絶対だ!」
(なっ!んだよ!せっかくお前のこと、いいなって思い始めたのに…)
李gellのいきなりの変わりように、おれはむっとしながらも
「じゃー、一人で行けるんだな。先生のところに『ごめんなさい』って」
と言うとあいつは
「当たり前だろ?!…だってお前がココにいるからな」
と胸の辺りを指し、だだだっと非常階段を駆け降りていった。
「あ、おい李gell!」
また置いてけぼりかぁ。
でもま、いいや。あいつの心の中がちょびっと見えた気がしたからね。
さ、おれも戻ろうっと。
_________
|┌───────┐|
|│ロ stop. │|
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|│ |│
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|└───────┘|
[::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
ピッ ∧_∧
◇,,(∀・ ) イジョウマイナーネタデシタ
. (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒) オメヨゴシ スマソ
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└────────────────┘
芸人のJ内&G藤。約二年前のものを発掘。
なので現在とは状況違います。短文。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
深夜の仁内邸はようやく静かになった。
深夜番組も夜中の三時にもなるとあまり面白くはない。もういいやと思い、リモコンを探し出してテレビを消す。
先程まで騒いでいた後輩が急に静かになっているなと思うと、ソファの隅で丸まって眠りこけていた。
先輩の新居で寝るなんて図々しい奴だと思ったが、遠慮がちに隅っこにいるのは可愛く思う。
「寂しいから」という理由で連れてきたけれど、連れてきたら連れてきたで余計に寂しくなった。
この家のもう一人の住人がいないのはもちろんだが、もっと別の部分。
今まさに、ソファで丸まっている奴。
タオルケットを掛けてやると少し身じろいだが、すぐにおとなしくなった。
何の夢を見ているんだか、眉間に皺を寄せて険しい顔で寝ている。その隣に座って、白い瞼に触れる。
ぴくりと動いた気がしたが、起きてはいないようだ。
(この目が、)
涙に濡れているのを見たことはあまりない。
せいぜい仕事でのミスなどだろう。
あとは、自分の結婚式。
思い出して胸の奥が痛んだ。ついつい服の上から左胸を押さえる。
正直彼の涙なんて見たくなかった。
笑いながら「いつ名字変わるの」なんてからかってくれたらよかった。
あの日の夜を思い出しながら、五嶋の頭を撫でる。トリ頭やと呟きながら、指先を滑らせた。
そうしていると自分もあくびが一つ。そろそろこちらも寝ようと思い、部屋の電気を消した。
真っ暗闇の窓の向こうに街の夜景が浮かび上がる。
スゥ、という深い呼吸音がソファの人物から聞こえ、なんとなく寝室に向かうことができず、例のソファに腰を沈めた。
ふぅ、と息を吐いたその時だ。
「仁さん」
静寂を破る声がした。隣で寝ていたはずの彼が少し顔を上げてこちらを見ていた。
夜景の光しか入らない中、相手の位置くらいしか分からない。でもたぶん五嶋は仁内を見ていた。
「お前、起きとったんか」
少し驚いて思わず五嶋から少し離れた。
ソファの軋む音と、「うん」という小さい返事が聞こえた。
「仁さん俺の頭撫でてた」
なんで?という問いに「なんとなく」と返したら、急に不機嫌そうな顔をした、気がした。
夜景のぼんやりした光ではよく見えない。
あの日の涙の慰めだなんて言えるはずもない。それに彼のプライドが高いのはよく知っている。
どないせえ言うんや、と心の中でため息を吐いた。
「なあ」
ぎし、とソファを軋ませて五嶋が起き上がる。
若干ふらついているようだが、暗闇の中、その目はしっかりと仁内をとらえていた。
今度はちゃんとわかる。目が逸らせないのだから。
―ホンマに寂しいん誰か分かる?
一瞬心臓を掴まれたような痛みがこみあげた。
お互い目を逸らさずに見つめあう。一秒、十秒、あるいはもっと長く。
五嶋の目の中に夜景の微かな光が揺れている。
その中に自分の姿を見たと思うと、静かな暗闇の空間に耐え切れなくなったのか、先に彼がくしゃりと笑顔を作った。
つられて仁内もなんとなく口元をゆるませた。
彼の目元を濡らすものには気付かない振りをして、五嶋の頭をもう一回撫でる。
自分ズルいわ、というしゃがれ声の呟きを打ち消すみたいに、ぐしゃぐしゃに撫でまわしてやった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
わ、ナンバー振り忘れてた
すみませんorz
>>72の続きになります
レス下さった方ありがとうございました!
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そして翌朝。
熱はきちんと下がり、心配するカワラザキにもその事を伝えた幽鬼は
通常通りに本部へと出勤した、が。
「やあ、こんにちは蝶々さん!」
朝っぱらから嫌な男に会った、と思った。
廊下の向こうから白いクフィーヤをひるがえして歩いてくるこの男は、
最近他人に妙な呼称を使うのが気に入っているらしい。
先日などは衝撃のアルベルトに対し「おはよう私のお砂糖さん!」などと大声で呼びかけて
瞬時に衝撃波で吹っ飛ばされるところも幽鬼は目撃していた。
彼はアルベルトほど導線が短くはないので即座に攻撃に出るような真似はしないが、
それでも文句の一つくらいは言わないと気が済まない。
あとは、相手が言って聞くような男であれば尚良かっただろう。
「その呼び方はやめてくれと言っているだろう」
「ううんつれないねぇ。いつものことだけど。それより聞いたよ、昨日のアレ」
具合を悪くして、怒鬼に運ばれたんだってね!抱っこされて!
そう言いながらはしゃぎたてるセルバンテスに、幽鬼は頭を抱えたくなった。
「昨日は怒鬼、かなり落ち込んでたらしいよ?どうせまた邪険にしたんだろう。
もう少し優しくしてあげてもいいと思うんだけどな、おじさんは」
「必要ない」
「そうかな〜。怒鬼が可哀相だとは思わないのかい?
確かに得体は知れないけど、あれは素直でいい子だよ。
だいたい、あんなに一途に君のことが好きなのに」
「……何だって?」
なぜそこまで知っている。
いつものように下らない事をぺらぺらと喋るセルバンテスの言葉を
軽く聞き流してしまおうとした幽鬼は、
しかし途中で聞こえてきた不穏な内容に思わず振り返ってしまった。
昨日の件は、テレパシストである幽鬼すら寝耳に水だったのだ。
人の心を読む力を持ちながら無闇にそれを行使しない幽鬼ではあるが、
一切喋ることをしない怒鬼が相手のコミュニケーションではいくらかのテレパシーは必要である。
もちろん、多少の会話に用いるくらいでは相手の心の奥底までは覗けはしない。
しかしこれまでの短くない付き合いで、そういった心を少しも感じ取らせることすらなかったというのは
幽鬼にとっては驚くべきことだったのだ。
「そんなの、見てればわかるよ」
セルバンテスは簡単に言ってのける。
「私にだって彼のつらさは良くわかるよ、思う相手が振り向いてくれないというのは
そりゃあもう絶望したくなることだものね。だから、私は気持ちだけは怒鬼の味方だよ」
「どういうつもりだ?」
「おっと、気持ちだけだよ、あくまで気持ちだけ。
ちょっかいをかけたりはしないから安心しておいで。それとね――」
「…………」
「それとね、君はもう少し世界を知った方が幸せになれると思うんだ。
爺様だけを好いて生きるのもいいけど、それ以外を全く拒絶するっていうのは……
そんなんじゃ、爺様も安心できないんじゃない?もっと周りにも目を向けた方がいい」
「……余計な世話だ」
「そうかもね。ま、おじさんからの好意のアドバイスってことで」
不敵な笑みを残してセルバンテスは去っていった。
それからしばらく歩いたところで、今度は孔明がやってくるのが見えた。
傍らには樊瑞がおり、おそらくまた作戦の内容などでもめているのだと思われる。
なぜこうも会いたくない人間ばかりに行き会うのかと、幽鬼は心中でため息をついた。
孔明など、会わない時は何ヶ月も顔を見ないで済むというのに。
「おお、暮れなずむ。お早う」
しかしその孔明と共に歩いてくる混世魔王・樊瑞は
幽鬼がカワラザキの次に心を許している相手と言ってもいい。
カワラザキが信用を置く相手というのは、そのままニアリーイコールで幽鬼も信頼する人間なのである。
そう、信頼は、している。
だがこういった場合に役に立つかと言えば、答えは明らかにノーである。
そのまますれ違う寸前に、孔明がさもたった今思い出したという風に口を開いた。
「ああ、幽鬼殿、お加減はもうよろしいので?」
なにか一言くらいは言われるだろうと予想していたものの、
実際に言われてみるとやはり気分がいいものではなかった。
もちろん、体調を尋ねる言葉にはその実何の意味もない。
羽扇の向こうの目が笑っているのがまた気に触る。
「おかげさまで」
「そうですか、それは良かった。怒鬼殿にもよろしくお伝えください」
「…………」
ひとり樊瑞だけが、訳がわからないと言う顔をしていた。
*****
今日は業務内容がほとんどデスクワークだったこともあって
幽鬼は夕方には予定していた量の処理を済ませていた。
だからと言って他にする事がないわけではないのだが、
朝からやたらと不愉快な思いをしていささか草臥れていたという事もあり
彼は大人しく帰宅する事に決めて、執務室を後にした。
幽鬼がカワラザキと共に住む自宅は
この本部周辺に浮かんでいる島々のうちの一つにあり、
行き来するためにはヘリなどの移動手段を用いる必要がある。
そのエアポートへと向かう途中、なぜか人気のない大回廊の中心へ
まさにこの騒動の原因である男が佇んでいた。
いや、仁王立ちといってもいいようなその様子は、
明らかに幽鬼が通るのを待っていたのだと思われた。
怒鬼は、謝意のみを切実に訴えてきた。
とは言えこのときの彼の意思は、幽鬼以外の十傑でも読み取ることが出来ただろう。
普段は愛想のかけらもない仏頂面が
少しだけしょぼくれたような眉の下がり方をしていたからである。
その眉の下の黒い瞳も、「申し訳ありません」と語っていた。
もちろんそれらはほんの少しの変化ではあるが。
それを見て、幽鬼は仕方なく口を開いた。
昨日の行動が頭にきていたのは確かだが、こうして謝るために自分を待っていた男に対して
これ以上邪険にしても得はないからである。
「……反省しているのなら構わないが、もう二度とああいった事はしてくれるな」
「ああ、そうだ」
「元はと言えば倒れたのもお前のせいだろう。冗談じゃない」
黙ったままの怒鬼に対して、幽鬼だけが一人話しかけているのは
第三者から見ると滑稽な光景だったかもしれない。
しかし十分に会話は成立している。その内容は余人のあずかり知れる物ではないにしろ。
幽鬼も普段であれば、黙っている相手に対して
自分ひとりが声を出して話すというのもばかばかしいので
怒鬼とは完全にテレパシーのみで会話することが多かった。
だが今日はこうして声に出して自分の意思を伝えている。
なるべく、怒鬼の心に触れないようにしたかったのだ。
昨日の嵐のようなあの感情が怖かった。
「それから、悪いが私はお前の気持ちに応えるつもりはない」
それは幽鬼の正直な気持ちだった。
男同士だからどうこう、テレパシストだからどうこうといった事ではない。
こういった組織に身を置いている以上、
恋愛などという浮ついたものに関わるべきではないと幽鬼は考えている。
それが自分たちの目的に必要のないものであるという理由もあるが、
何より、自分にはその資格がないという考えに幽鬼は固執してしまっていた。
自分に与えられた愛としては、カワラザキのもの、それだけでもう過分な位だと思っているのだ。
同じだけを彼に返せているかどうかは分からないが、
そう出来るようにありたいとも思っている。
それだけで幽鬼には充分だった。
――くそ。
まさに胸を焦がされるような苦しさが幽鬼を襲った。
そしてそれは、目の前の怒鬼が同じ気持ちを味わっているという事である。
拒絶された悲しみと、それでも相手を求めてやまない思いの拮抗。
こんな苦しさを幽鬼は知らなかった。昨日の息が詰まるような甘さと激情にしてもそうだ。
幽鬼の知らない気持ちばかりを、怒鬼はまるで彼に教えるようにして感じさせている。
そのどれもが、幽鬼にとっては苦痛だった。
――やめてくれ。
か細く心の中で呟いた彼の身体を、再び怒鬼が腕の中に捕えていた。
傷つけたくないと思っていたはずなのに、どうして今お前を苦しませてしまっているのだろう。
そんな、独白にも似た疑問が怒鬼の心から聞こえてくる。
幽鬼には、ここで自分の心を閉じてしまって
怒鬼から伝わってくる思念を遮断することも可能だった。
だが、それをしてしまうと、
この言葉を持たない不器用な男のすべてを完全に突き放すことになるような気がして
――そして、今でさえこんなに苦しいのだから
これ以上心を痛ませるようなことをするのは余りにもむごいのではないかと、躊躇した。
この個人的な愛情は受け入れることができないというだけであって、
怒鬼という人間そのものを否定したい訳ではないのだ。
だから、心までは閉じてしまわないことの代わりだと言うように――
怒鬼の腕の中で幽鬼の肉体がぶわりと溶けた。
突然のことに瞠目する怒鬼の鼻先を群雲虫が雲霞となってかすめ、飛び去る。
怒鬼から数メートルの距離を置いてその虫たちがわだかまったとき、
瞬きひとつほどの間にそれらは幽鬼の姿に戻っていた。
「これ以上、俺に関わらないでくれ……」
不思議な色彩を持つ双眸が切なく語った。
そして、硬い靴音をひとつだけ響かせて幽鬼は再び宙へと飛び去った。
窓の隙間から逃げるようにして飛んでいく蝶の群れを、
やり場をなくした両腕を放り出したままの怒鬼が見つめる。
彼が、あの羽をいつか手中に捉えられたらと、長く狂おしく
そして純粋に懸想していたことを幽鬼はまだ知らない。
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| | □ STOP. | | ありがとうございました。
| | | | ∧_∧ もっともっと増えろ怒幽!
| | | | ピッ (・∀・ )
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すばらしい!
もっと増えればいいとおもうよ怒幽!
二人のスラツガと三人の屋主がモデル。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
外からは小さな店に見えたのだが、店内は奥に長く続いている。
席を案内する店員に付いて行くと、横からささやくように自分を呼ぶ声が聞こえ、足が止まった。
振り向くとチー.ムメイトが陽気な笑顔を見せて手招きをしている。
その陽気な男の向かいにはもう一人座っている。彼も振り向いて無愛想に会釈した。
寄ると無愛想な男が黙って奥に寄るので、隣に座ることにした。
「来てたんだ。二人の邪魔をして悪いな」
すると目の前の男はしーっと指を口許に当てた。
「ええって。それより今おもろいことが起こっとんねん」
彼はウーロン茶二つとサラダしか置かれていないテーブルの上で頭を屈め、奥に座り直した。
何事かと隣を見ると、無愛想な男もまた頭を低くして黙る。
声を潜めているのだとわかり、隣にくっついて、黙ってきき耳をたてた。
仕切りの向こうから声が聞こえた。
「だーかーら、お前もウジウジしてんなよ」
「してませんよー。でもね、ほんまへこみますわ」
「お前しつこい女みたいじゃの」
ぽりぽりと野菜を噛む音が聞こえた。
「え。この声まさか…」
向かいの男はニヤリと頬に皺をつけて笑う。
「そ。ウチの大船主と大大船主様や」
「へー。偶然」
すると隣がじっとこちらを見据えた。
「今日一人だったんですか」
「いや連れがいたんだけど、あいつ遅れるみたいで…」
「…誰ですか」
ずいっと真剣な眼差しで寄ってくるので、背中を反って席ギリギリまで後退る。
「こらあ。お前そんなん後でええやろ。こっちこっち」
奥を指差す男の言葉に、問い詰めていた男は更にムスッとして黙り込んだ。
「お前がそんなんやとな…」
三人は「ん?」と顔を見合わせる。
突然大大船主様の口調が変わったからだ。
先ほどまでの明るさはぷつりと消え、どこか寂しさを含ませた静かな口調だった。
「え」
それは彼を目の前にした大船主にも十分伝わっているようだ。
「…お前がそのプレッシャーに勝てるなら、俺は何でもすんのになあ」
カチ
再度三人は顔を見合わせる。
聞こえた。
今、確実に。
スイッチの入る音が聞こえた。
「何でも…」
「あ、でもまあ俺のできることも限られてるしなあ」
「い、いや!そんなことないです!」
…あなたにしかできない、あなたにしか望めないことがある!
突っ込みを直接言いたくても言えない男は頭を抱えた。
「大船主…心の声だだ漏れや…」
「わかりやすい人ですね」
もう一人は感心するように頷く。
ガタンと椅子を動かす音。
「変なこと言ったな。俺先帰るわ」
大船主は返事をしただけで動かないようだ。
足音、沈黙。店内のざわめき。
「…何でも、してもらえる…」
まるでおまじないを唱えるような呟きの後。
彼は、ふふふと笑った。
そこまで聞いて、男は耐え切れずテーブルに顔を突っ伏した。
すぐに顔を上げて無表情を装う向かいを睨みつける。
「…おい、お前。アホほどウッて、この人の活躍を吹き飛ばせ」
「何勝手なこと言ってるんですか」
「お前、このままやとえらいことになんねんぞ!」
「…だからって俺を当て馬にしないでください」
ふう、とため息ひとつ。
ここでさりげなく言ってみよう。
「でも、もし俺が…あの人以上に活躍したら…」
と、左を向く。
が、先ほどまでいた小柄な男はいなくなっていた。
「そいつなら、さっきお連れさんが来て奥に行きおったで〜」
ヤケのようにさくさくとサラダを食べ始めた男から、冷静なツッコミが入った。
「え、連れって誰…」
問い詰めようとした時、目の前に現れた人に気が付いてさあっと表情が曇る。
サラダを食べていた男もその表情に気付いて手を止めた。
頭上から降ってきた声。
「何や、騒がしのーと思ったら。何しとん」
振り向くことができなかった。
さっき帰ったはずじゃ。
「俺の声はよう聞こえたか?」
きっと彼は、目を細めて笑っている。
彼が勝利を決めた時の表情だ。
敵わない…。
二人は同時に、心の中で白旗を振った。
仕切りの向こうでは、何も知らない彼が、色んな想像を張り巡らせているのだろう。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
もっとこの板らしくイチャイチャしたのが書けたらな…。
同志に託します。
>>146 バンテスの胡散臭さとアルベルトの切れっぷりが何気にワロタw GJ
ナマ 初投稿です
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 一角獣 太鼓 × 唄です。 なれそめから現在まで。注:解散時ネタあり。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|
| | | | \全部で28レスいただきます。規制の様子を見つつ投下しますね。
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
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「君/は僕を 忘れ/るから そうす/れば/もうすぐ/に君に会い/にいける」
あんな詞を書いたのは、実は自分を忘れて欲しくなかったからだと
今なら素直に認められる。
あんたに本当に忘れられてしまうのがこわくて、オレは強がっていたんだ。
シングルの発売後に案の定、ぶしつけに質問してくるヤツが何人もいた。
「『僕らは離れ/ばなれ……』っていう出だしからして何か意味深ですよねえ。
この曲は、先に脱退したリーダーの川ニシくんに向けてのメッセージですか?」
オレは分かりやすすぎる馬鹿をしてしまった自分に、ホトホトうんざりしながら
「全然違いますよ」と、その度に答えた。
オレより6コ年上のかわにっさんとの出会いは、オレが十代をそろそろ終える頃だった。
故郷の街でちょっとは知られてた二つのバンドが、あいつのバンドとオレのバンドだったんだ。
特にあいつのバンドは、アマチュアながら全国のライブハウスを回れるぐらいの実力があり、あいつはそこのメインのドラマーだった。
情熱的で、客を感電させるようなその迫力あるプレイ。
無我夢中になって汗だくで叩きまくる姿。
前にいるボーカルよりも、その後ろのあいつから客は目が離せなくなるんだ。
しばらくして、あいつがロックをやめてサラリーマンになったと聞いた時は、もったいなさすぎるだろーと思った。
だから、うちのドラムが数日後のライブを控えてケガをした時、ピンチヒッターで叩いてもらえるようにと頼みこんだんだ。
急だったけどあいつは引き受けてくれた。曲の覚えも早く、相変わらず玄人はだしのテクニック。
ドラマーのタイプでいえば自己主張が激しく、派手でつっ走りがちなプレイなのに
他の楽器もまとめて引っぱってゆくような安心感がある。
その音に自分の声を乗せて思いきり歌う時の気持ち良さは、ハンパじゃなかった。
翌日、あいつは「お前の後ろで叩いてみたら、やっぱオレの人生にはこの道しかないと分かったよ」
と言って、すっぱりと未練なくサラリーマンをやめてしまった。
「このオレのすんばらしいボーカルが、あんたを目覚めさせたんだよな」
後でオレはそう言っていばった。
あいつはさっそく自分で新しいバンドを作ると宣言し、オレを猛烈に口説きはじめた。
「オレと大学ん時のサークルの後輩で、手シマっちゅうギターのヤツと組むんだ。
あとのメンバーも探してるんだけど、お前も一緒にやらん?
うちのボーカルに出来るヤツは絶対お前しかおらんと思うし、他の奴は考えられんのよ。
みんなでかっこいいロックを一緒に作ってこうぜ」
その時点では、オレは先に他の奴と新しいバンドを組む約束があったから、とりあえずは断った。
あいつは諦めきれないような顔をしていた。
でもさー、6コも年上の奴とじゃ、オレはお子様扱いされちゃうに決まってるしな。そんなの、このオレ様にゃ許せん。
でもなぜか、あいつの熱いまなざしがどうしても忘れられなくて。
いつも笑みを常に絶やさない。ニコニコ笑うと目がなくなるようなおだやかな笑顔が、誰もが持つ第一印象だった。
音楽に関してだけは激しくハードにとんがっていて、とても厳しくて融通のきかない男。
理想をオレに熱く語る時には真剣な影のよぎる、その涼しげな瞳。凛とした線の横顔。
約束していた相手に組む約束をおじゃんにされた時は(なんだよー、オレはもう先に前のバンドやめちゃったじゃん)
とは思ったものの、心のどこかではホッとしていた。
この事を聞けばあのかわにっさんは、また絶対にオレをもう一度誘いに来る。
もう、違うボーカルを入れちゃったらしいとは聞いたけど。
オレの方がそいつより絶対に顔も可愛いし、声だって断然スバラシイ。(はず)
(なにしろアイドルのオーディションにも全国最終審査まで残った事があるのだ)
あいつは必ず、オレをもう一度選ぶ。何度でも選ぶ。
支援?
当時のオレは自分の持つ武器を知り尽くしていた。
「オク/ダ/タミ才。チャームポイントは、長いまつ毛とベビーフェイスでーす」
生まれた時からして、病院でまる一日女の子に間違えられた。
(父親は電話で「女の子ですよ」と知らされたまま病院へ来て、ウチの娘はどれだと混乱したそうだ)
育ってからも、中性的な顔のせいでしょっちゅう女の子に間違われてばかりだった子供時代。
色白でまつ毛バサバサの大きな目、ちょい厚めの唇、クセッ毛でふわふわしたおかっぱ頭(注:母親の趣味!)。
なーんて可愛いらしいお子さんでしょうとよく褒められたけども、当時は自分じゃその全部が嫌いだった。
ちっちゃな頃からいつも泣き虫で気が弱かったオレは、毎日毎日何にでもおびえて泣いてばかりいた。
近所には一緒に育ってきたカッコイイ従兄弟が住んでいて、それこそ「すぐにとんできて」オレを守り、いつもそばにいてくれた。
同い年で、顔よし、頭よし、運動神経もパーフェクトの人気者。オレは何の才能においても従兄弟にはまるで勝てなかった。
小・中・高と当然のように同じ学校に進み、周囲からはまるであいつの可愛いおつきの子扱いされて。
高校でもあいつが生徒会長になったから、オレも副会長になった。
一緒にバンドを組めば、あいつはボーカルで絶賛されてコンテストでも賞を取り、オレはその横で下手なギターを鳴らしてた。
大好きだった幼なじみ。一緒にバカげた事をさんざんやったり、ふざけて遊びまわれて楽しかったけど……
オレはいつもひそかに、自分をあいつの付属品のように感じてなんだか情けなかった。
今も仲はいいがとっくに道は別れている。オレは高校を卒業してから、奴の後をついてはいかなかったんだ。
あいつはバンドをやめて公務員になり、オレはバンド活動を続けてボーカルへと転向し(ギターもひくけど)音楽の世界に残り続けた。
そして今は、オレ自身というものを熱望してくれる人もいるようになった。不思議なもんだ。
後々になって、従兄弟には何にも勝てなかったんだ、という話をすると、かわにっさんは
「そいつよりお前の方がずーっと才能があるんだ。だから神様は、お前をオレにひき会わせたんだよ」と言った。
しかし、いつの頃からだろう。
幼少時は可愛いとか言われてムカつきながらも、オレは育っていくにつれ、他の事での自信の無さもあって
このルックスをなるべく有効に使うすべを知っていった。
男相手でも女相手でも、ちょっと寂しげな目で意味ありげな上目遣いでじっと見つめてやって、ころっとオトせなかった人間はいないのだ。
その後でちょいと笑顔で甘えてやれば、ちやほやと面倒を見だす、貢ぎだす。こりゃラッキー。
(…それは従兄弟も例外ではなかったのかもしれん)
オレはこうして、ある程度は楽して生きて来たように思う。まあ弱者の生活の知恵ってやつだな。
これはカンだけども、あのかわにっさんも絶対、声だけじゃなくて、オレのこのルックスが好みのタイプ。
オレはそう信じて疑わなかった。
だから、やっぱりもう一度やつのバンドにと誘われた時、いいよってOKしてやったら
舞い上がって喜んでいるその姿を見て、ま、当然だな! と思った。
必要とされてるのは嬉しいんだけど、オレは所詮あまのじゃくなもんで。
「いくら他の奴を代わりにしようと思っても、お前のイメージがいつも頭の中で上書きしちゃうんだ。
オレがドラムを叩きたいのは違う、タミ才の声なんだ! ってずっと思ってた。
お前の声にはすごい力があるんだよ。幼い甘い声なのにもかかわらず、ずばぬけて通る。
デカイ音にも埋もれずに客へと突き抜ける、特別な力があるんだ。
それに自分でもよーく分かってるだろうけども、お前はルックスもとびっきり可愛い。
挑発的なのにおびえてるようなそのおっきな目と口元には、客の誰もがゾクッと魅かれるさ。
お前さえいれば、絶対に必ず、湯ニコーンは最高のバンドになる!」
こっぱずかしい事を熱ーく語られて、まあ嬉しいんだけども、人目のある飲み屋なのに周囲に恥ずかしかった。
バンド加入を承諾した数日後、愛用のギターを抱えて最初の練習に、教えられた貸しスタジオに行ってみた。
キーボードの女の子は、例の従兄弟が高校時代につき合ってたコだったので(なんたる偶然でしょーか)、おー元気かねと挨拶した。
もう1人、なんかオレよりももしかしたらアイドルっぽいんじゃないの? ってゆー顔した男が、ベースを抱えてボーッとしていた。
一応挨拶に行くと、「よろしくね。オレの事、E/BIって呼んでねー」とにっこり笑う。
オレと同い年。ギターの手シマ(○ッシー)のほうが、バイト先のライブハウスでの演奏を見て口説いて引き抜いたらしいが
もともと大学のバンドサークルの後輩でもあって、顔見知りだったらしい。
ヘヴィメタが好きだと言う割にはホンワカとした雰囲気の、天然ボケでおっとりしたいいコちゃん。すごく真面目そう。
かなりの童顔っていう共通点以外は、不真面目なオレとは何もかもまるで正反対な感じ。
その大学のサークルOBでもあるかわにっさんとも、やけに親しげな様子で楽しく語らっている。
男3人で先輩後輩の間柄だから、まあ当然っちゃー当然なんだろうけど。
……なんだよなんだよー。内心ちょっとむくれた。
オレは昔の反動なのか、自分が相手にとって一番じゃなきゃコンプレックスを感じてしまうガキだったから
あいつもオレだけを見てくれてなきゃ、嫌だったんだ。
急ごしらえでいくつか曲を作って練習し、適当に受けたオーディションで、あれよあれよとラッキーが続いて入賞。
引き取り手の事務所も見つかり、とうとう全国でのメジャーデビューが決まった。
オレらは上京して、最初は男達4人だけで同じマンションに住んだ。二部屋のを二つ借り、一人一部屋づつでの共同生活。
まずは、地道に客も来ない地方のライブハウスめぐりをした。
アルバムを出して、少しずつ雑誌や歌番組にも出はじめると顔も知られてきて。
そして気がつきゃいわゆる「アイドルバンド」とかいう変なものになっていて
追っかけの女の子達に、家までキャーキャーと追いかけられる異常な毎日がやってきた。80年代終盤のあの頃。
オレはこのバンドのフロントマンで、一番目立つボーカルなんだという自覚があったから
「皆の求めるキュートなタミ才のイメージ(笑)」をちゃーんと守っていた。
初ツアーでの衣装は、白地に赤いチェック袖のついたロンT。長すぎる袖で指先まで隠して、幼く見せた。
生地を切って膝小僧を出したジーンズ。大きめの靴。
ツンツンフワフワと少年のように立たせたヘアスタイルで、ステージ中を飛び跳ねまくって元気に歌う。
他の曲では色っぽく刹那に、退廃的なムードで目を閉じ、マイクを両手で握りしめて歌い上げる。
「ビショーネン」ともあろうものは、このメリハリとギャップの演出が大切よ。(爆笑)
このパイナップル頭は、あいつも「とてもお前に似合うよ」と言ってたヘアスタイルなんだ。
周囲にも、まるで高校生ぐらいにしか見えないねーとよく言われたっけ。
オレの頭をいきなり抱いてくしゃくしゃっとかき回すのは、いつものあんたの癖だった。
「タミ才は一人っ子の寂しがりやだからな。いーコいーコ」
「ふざけんなよー。髪を崩すんじゃねえ!」
毎日苦労してくせっ毛をスプレーでセットしていたオレは、いつもカンカンに怒って他の皆に笑われた。
そういえばあいつが、2ndアルバムのジャケット撮りの頃、ハードなロックを体現してみたとか言って
いきなり金のモヒカン頭にしてきた事がある。
他のメンバー全員がぶったまげて腰をぬかした。眉毛までうすーくしちゃってるし、コワすぎる。
他の皆の爆笑の中、オレは「変だ! そんなかわにっさんは嫌いだ! 最悪だー!」と怒鳴った。
ショボーンとなったあいつは、髪がのびるまで、プラベではほとんど帽子をかぶり続けて隠したのだった。
数ヶ月後、いかにも人のいい茶髪のあんちゃんに戻ってくれた時には、心の底からホッとしたオレだった。
いつの頃からか、あいつは今までの本名を逆さにした西カワという芸名に変えた。
字画がいいからとも言ってたけど、一番の理由はオレが「西カワ君のほうが『君』づけでもなんだか呼びやすいよねー」と言ったから。
〜クンって呼ばれる響きがいいと、妙に喜んでたっけなあ。年寄りだから同級生みたいで嬉しいんだろ。
結局、それから湯ニコーンでいる間はずっとその名前を使い続けていた。
ある日の取材で「バンドのアイドル性」とやらについて語った時だった。
あいつは冗談まじりに言った。
「もしタミ才の顔がわやくちゃだったら、オレは誘わなかった。あと、声がすごく通ってたってのもあるけどね」
○ッシーまで「最初はアイドル路線で売れ線を狙ったと言われても、やっぱ売れてとりあえず曲を聞いてもらわなきゃどうしようもないからなあ」などと言う。
ちっとばっかオレはむかついた。もう1人のビジュ要員だったEB/Iは素直にへーと聞いていたけどさ。
天才ボーカルを自負するオレとしては、最初から分かっててもそんなにハッキリと言われちゃあ、それもどうなのよ? って話だ。
ここらへんは複雑なのね。この顔もバッチリ利用して、世の中を渡ってきたオレだけどさ。
あー面倒くせえ、いっそさっさと早く年をとって、三十すぎのむさ苦しいオッサンになっちゃいたいぜ。
そうしたら客は歌のよしあしだけを聞いてくれるし、オレんちの郵便物を盗んだりする不届き女どもも減っていいのに。なんて思いつつ。
…その半面、西カワ君に、初対面から好みの顔だってやっぱ思われてたんだなって分かって、内心嬉しかったのは
自分じゃ認めたくなかったけども確かに本当だったんだ。
新しい歌詞が出来あがると、とりあえず誰よりもあいつに先に見せた。
あいつは作詞作曲の才能もあって、悔しいけどマジでいい詞を書くのだ。
だからオレのも見せて、ほめてもらうと自信がつくし、嬉しかった。
ある日、前からライブで歌ってたsug/er bo/yの歌詞をアルバム用に変えようとして歌詞を見せたら
「これさー、主人公はお前そのまんまって感じだなー」なんて言われた。
ホモだった男の子が、女の子からアプローチされても新しい恋に踏み出せないで戸惑っているってゆー内容だ。
「はあ? オレはホモじゃありませんけど?」と返す。
そりゃ、一時は女にうんざりして、もしかしてオレは男のほうが……なのかな?って思った時期も、実はあったけど。
(これを取材で記者に冗談半分に言ったらひかれましたので、懲りた)
今じゃ、イイ女にゃ全く不自由してない身。もう、好き放題のヤリ放題でございます。
しえん
もいっちょ支援?
「この『ダンディ達のターゲット』ってあたり、ストレートすぎだろ。 あっ! ダンディって、もしかしてオレの事書いてる?」
この人はなんでか知らんが、ソッチ系のジョークが大好きだ。こいつだって女はよりどりみどりのはずなんだが、なぜだろ。
(歌詞もけっこうそっち関係のを後々何作か書いている)
どこまで冗談なのか本気なのかはまーるで意味不明だが、オレをそういうネタでよくからかう。
「ボケとんかー。どこがダンディだ。あんたはただの、もーすぐ三十路のおっ・さ・んじゃろが」
オレが何を言い返してもおかしそうに笑う。
わざと怒らせたくてどんなわがままを言っても、暴言吐いちゃっても面白そうに笑うんだ。
それがなんだかくすぐったくて、またどうにもつっかかってしまうオレだった。
だからといって人よりのんきな男ってわけでもなく、どちらかといえば正義感が強い短気なところもあった。
買ったばっかの外車に、あほファンが「西カワクンの車」って傷をつけて書いてあったのを見つけた時も
「こんなんわざわざ書かんでも自分で分かるわ! ドアホがー!」とキレてた。
ま、そらキレるか。この人は自動車工学を専攻してたぐらいの超車オタクだ。
オレもかなりの車好きだから気持ちはよく分かる。やられたのがオレなら徹底的に犯人を見つけ出して、確実に蹴(ピー)
しかしそんなんされてもファン思いな奇特なヤツで、ツアー中の深夜にホテルの周りをうろつくバカギャルどもを心配して
『風邪をひくから早く帰りなさい。湯ニコーンはまた来ます』と書いた紙飛行機を、窓から下に飛ばしてあげていた。
えらいのう。優しすぎるぜ。オレは自分が興味を持てる妙齢の美女以外は全くどうでもいいし
人様の迷惑も考えないイカレたガキどもには、くたばれバーカと思っちゃいます。
中学時代にビー/トルズでロックに目覚めるまでは、内向的で友人もあまりなく、本ばかり読んでいた少年だったと言っていた。
ずっと自分の生きている意味とは何かを本の中に探し続け、結局その答えはロックで見つかったんだと。
紅一点だったキーボードが脱退してから、ずっと空いていたそのポジションに
もともと1stアルバム制作時からスタッフの助手をしていた、年下の元気な阿べB君が正式に加入した。
明るくて人なつっこく、下ネタが大好き。酒好きなオレと楽しく飲める、本当に気の合う奴だ。
すぐに大親友になり、以後何かとオレとつるむ事が多くなった。
作る曲のセンスもいい。
実に繊細なバラードと、アホの悪ノリとしかいいようのないバカ曲を、両方なんの矛盾もなく自信たっぷりに作ってきては披露する。
じゃあ歌ってみろよと歌わせてみれば、オレと声質がよく似ていてハモリの相性もばっちりだった。
楽譜もおこせるし機器使いもうまく、プロデューサー志望だけあって、仕事には徹底的に完璧主義な唯一のA型気質。
まるでオレらに足りないもの全てを神がつめこんで与えてくれたような奴だった。まあ、まゆ毛は太すぎるけど。
おかげで曲の幅も増え、やってみたかった事を具体的にどんどん自由に作れるようになってきたので
次のアルバムでは、自分らが面白いと思う曲ばっかを思い切って入れてみた。
タイトルも斬新に人の名字にし、ついでに一般人の爺さんの顔写真をジャケットにして遊んだら驚かれた。
結果は賛否両論。あいつらはまるでコミックバンドのように変わってしまったなんて言われて、それもどうよと内心思ったりもしたが。
以前、どっかのイベントの出番直前に、売れんバンドの不細工なアホに嫌がらせで絡まれ、シカトしていたら
「アイドルなんかロックの世界にゃいらねえんだよ!」といきなり殴られて
もう本番なのに顔を腫らすようなハメになった頃よりは、今のイメージのほうがずーっとマシな気がしていた。
翌年、馬鹿をやってたかいあって、好きな芸人の深夜番組に出演させてもらい、OPも2曲続けて任された。
さらに翌年、深夜番組の縁で、始まった新番組では阿べと二人での替え歌コーナーまで持たせてもらえる事になった。
そのおかげもあって「湯二コーン」は、面白い音楽をつくるけっこー面白い人達。そういう世間のイメージが強くなっていき
オレはいつのまにか、中性的なアイドルキャラのイメージからすっかり脱していった。
中にはがっかりした初期からのファンも多かったようだけど、知った事かい。
あれだけデビュー時は、いかに可愛らしくかっこよく見えるかばかりを気にしていたのが嘘のように
無精ヒゲは平気で生やしっぱなすわ、面倒になってキャップばかりをかぶるようになった。
ダラダラーと力を抜きっぱなしな私服でメディアに出てっても、まったく平気。
いやー本当にラクチンだ。人生はラクが一番なのだ。もうどうせこっから先は、年とっていくだけなんだから。
こうして、ルックスしか自信の無かった過去からはもうすでに脱したつもりだった。
酒の席で友達から「それって、いつかもっと自信をなくすのが嫌で今から先逃げしてるんじゃないの?」とからかわれて、グサッと来たりもしたが。
あんなのも、思い起こせばまだたった二十代後半に入ったぐらいだったんだ。青かった。
オレと阿べは、お調子者で馬鹿さわぎが好きな点において本当によく似ていたが、違う部分も多かった。
オレの場合、仲間うちだとやたらおしゃべりでツッコミまくるのは、本当は気も小さくて人見知りな性格の裏返し。
だから、初対面でもすぐに親しくなれる阿べとは違い、気心の知れん人の前ではひたすら黙りこくってしまいがちだった。
そこそこの仲間うちにだって、ある程度以上深く自分の内側に入ってこようとされると壁を作ってしまうんだ。
これは生まれつきの性格でどうしようもないから、開き直った。
開き直っちゃえば、取材でもご挨拶回りでもある程度はテケトーに笑ってふざけてればこなせるのだ。
本音はほとんど言わずに、相手をおちょくってうまくかわす。もう立派な大人だし。
そういうオレを、西カワ君は理解してフォローしてくれとった。
あの人も気さくによく喋る外面の半面、照れ屋で不器用なあたりは、本質的にオレと似た者どうしだからだ。
だからオレもあいつの取材には頼まれないのに、一緒に居座って喋ってやったりした。もちつもたれつカバーし合い。
ソロシングル企画の時のあいつのソロ取材でも、オレは自慢げに話している。
「西カワさんは僕がいないとよう叩かんのですよ」
「っていうか、叩く気がしなくてね。自分の歌だと」
あの頃までは信じてた。オレの歌じゃないと叩かない、オレだけのドラマーなんだって。
アルバムを作って、それのツアー。
その同じ繰り返しを重ねるうちに、リーダーとしてきっちりオレらをまとめていたあいつだけが
今のロックバンドとしてのあり方に、自分の理想とのズレを少しずつ感じていっていた事実に、他のメンバーは誰も気がつかなかった。
あいつ自身も皆と一緒にこのバンドの自由さをおおいに楽しんでいたのは確かなんだ。
あいつは、分かりやすい部分では開けっぴろげでオープンなおっさんではあるけども、自分の胸にある複雑な悩みは言わず
愚痴も一切他人に聞かさず、笑顔のままで自分の胸の内だけにしまうような人だった。
そしてその結果、いきなり大きな爆弾を落としたのだ。
晴天の霹靂Dayは突然だった。
「今日でオレは辞めさせてもらうよ。今までありがとうな」と静かに言い捨てたあいつ。
急遽、マネージャーも加えての話し合いがもたれた。
感情的に問いつめてくる他のメンバーには、ただ音楽的な方向性のくい違いだけを告げて。
「……アルバムも作り始めのこんな半端な時期だけど、今か今かとタイミングを見ていると中々思いきれないから、今やめる事にしたよ。
色々と迷惑をかけるけどごめんな。今まで、ほんとに楽しかった。ありがとう」
微笑んで俺たちに礼をいい、そのまま部屋を出て行った。
オレは最初から最後まで、その情景をボーッと見て、ただ耳で聞いていた。
信じられないから何の言葉も出なかった。
まいったな。こんな事ってあるか。
このオレには、事前に何も相談しちゃくれなかった。
いつだってそうだ。あいつには、途中経過とか途中報告というものがない。
思ったらすぐ行動。躊躇という文字は奴の頭には無いんだ。
こっちが本気で止めるヒマさえ与えないなんて。
おかしいだろ? 最初にバンドを作ったリーダーのくせに、1人で先にやめるなんて。
このオレを無理矢理に誘ってここに入れた張本人のくせに、ありえねえ。
支援
][] PAUSE ヒ゜ッ ◇⊂(・∀・;)規制中 チョット
チュウタ゛ーン!
>>174 長編乙です
あんまり長くなるようだったら、
一つの作品を何回かに分けて投下するって手もあるよ(前編後編とか)
同じく呆然とした顔をしていた阿べが、ハッとしたように、あいつの後を追いかけて部屋を出ていった。
オレは追わなかった。ただ、傍らのギターを手にとり、ソファーで何曲も何曲もかき鳴らし続けて、待った。
あいつが「考え直したよ、ごめんな」と、頭をかきながら戻ってくるのを待っていた。
他の2人はボソボソと何かを話し合っていたが、その内容はオレの頭には入ってこなかった。
少しすると阿べが戻って来て
「駐車場まで追っかけていったけど、振り向いた時の目を見たら、何て言えばいいのか分からなくなっちゃってさ…。
もう車で帰っちゃったよ。あの人本気で辞める気だぜ。どうしよう」と言った。
オレを置いてけぼりにすんのか? いい度胸だな。
あーそ。 今じゃもう、このオレにもバンドにも飽きたんだ。
自分で作ったこのバンドもオレごとほっぽり投げて、なんの未練も無い訳ね。
心に大きくあいた風穴に、冷たい風が吹き抜けた。
あいつがいないこのバンドで、もう歌い続けてなんかいられない。そんな事はもう分かってた。
あいつのドラムはこのバンドのゆるぎない大地だ。
それがなければ、オレはここでいい花なんか咲かせられやしない。
でも、もういい年した大人が馬鹿なわがままなんか言えない。アルバムの発売は既に決定し、その後にツアーだってあるのだ。
考えているヒマはないから、どんどん残りのレコーディングは進める。
ドラムのパートは先にもう7割がた録り終わっていたのは幸いだった。
新しく助っ人に呼んだドラムのしー/たかさんは、有名なドラマーだしもちろんすごく優秀なプレイヤーだった。でも、何かが違う。
オレの心に火をつけるようなあの、轟き渡るような響き。それはあの人だけが出せるものなんだ。
ーーあの日、『西カワ君』という芸名の人間は永遠にこの世から消え、あいつは川ニシという本名に戻った。
あいつが一番だけ書きかけたままで残して行った作詞作曲の曲に、オレが二番の歌詞をつけることになった。
「素浪人」の下っ端同心をモチーフにした面白い歌詞なのだが、オレがつけ足した箇所はやっぱり何かが足りない。哀愁か。
あいつは、仕事は情けないがお人好しな男とか、ワガママ女の尻にしかれた男なんかの
ホロリと物哀しく聴き手の共感を誘う歌詞を書かせたら天才だったとしみじみ思う。
(そういう曲の、気の強い女のパートは、本人のご指名でいつもなぜかオレが歌わされたのだが)
そして結局できあがった歌の主人公は、一番では生真面目なサムライだったのに
二番では酒と女におぼれた仲間を思い出すわ、悪事もできないと嘆くような不真面目男になってしまった。うーむ。
しかし、なんて馬鹿げた共同作業だろう。
もうあいつはオレが足したこの歌詞を見て、なんだこりゃと笑ってくれもしないのに……。
落ち込んでいるのを悟られないように、意味もなく馬鹿笑いばかりしていたら、EB/Iにそっと手まねきされた。
「あのさー、明るく振る舞いすぎでお前、痛々しいよ? みんな逆に心配しちゃってる。
いいから周りを気にしないで自分に正直に悲しんでなよ。そのほうがマシだ。
なんだかんだであいつとはいろいろ絆の深かったお前だから、
ショックが一層でかいのも仕方ないけどさ。
阿べなんか、自分の受けたダメージよりもお前の状態ばっかり心配しちゃってて、すっかり自分のほうが鬱状態みたいだよ」
……さらに落ち込む。
皆は声に出して言わなくても、オレの心ここにあらずな態度で、この後のバンドの行く末を悟ってしまったようだった。
スタジオの片隅には、オレのドラムセットが放置されている。
まだあいつから習いかけだったドラム。
タミ才はスジがいいよと褒めてくれると嬉しくて、もっと頑張ろうと思った。
あいつのドラムセットは大きすぎてオレには叩きづらく、オレは自分用にと小さめのセットを揃えた。
一緒にツインドラムで叩く時にも「大小で並べると見た目がかわいいから」と取材でも答えてた。
そのオレのセットも、大きな片割れを失って、ポツンと途方にくれているように見えた。
つらかった。部屋で1人になると、ぼろぼろ泣いてばかりいた。
眠れなくて、やっとどうにか浅い夢を見れば、遠ざかっていくあいつの後ろ姿ばかり。
真夜中に叫んで自分の声で目が覚める。
悲しくて、胸がきりきりと痛くて、張り裂けそうだった。
みっともなくても本人に泣いてすがれるような人間だったら、こんなに苦しくはなかったのだろうか?
オレは1人逃避するかのように、奴への叫びを、いくつかの曲の歌詞に映して叩きつけた。
あんたがいたあの”すばら/しい日々”よ。
「それでも/君を 思い出/せば・・」
そんな時は何もせずに眠ってしまえば、眠ってしまえるのなら、この胸の痛みは、その間だけはなくなるのに。
春。そのタイトルでシングルにして、アルバムよりも先に発売した。
この曲のドラムは、やめる前に歌詞が無い時点で先録りしてあったから、あいつの演奏なんだ。
後からこんな歌詞がついたのを聴いて、ヤツがどう思ったのかはわからない。
カップリングは例の二番をオレが足した曲。(これは明らかに聴いたら吹いただろうと思うが)
ありがたい事に売れ行きも良かったが、そのおかげで街中でもよく流れて
それを聴く度に自らの歌声が自分自身をザクザク刺した。本当にバカもいいところ。まるで自傷行為。
「君は/僕を 忘れるから……」
本当にあいつは、きっとオレの事なんかもう忘れてるのかも。
オレも早く忘れなきゃ。
オレは周囲からどう思われようと、表向きは元気に元気にとふるまった。
考えない為には忙しくしてるのが一番。
休みには好きなプロレスを見に行きまくり、大好きな車もハイスピードでぶっとばし、欲しいギターをいくつも買って。
もう忘れるさ。忘れられる。
忘 れ た い。
ママ ママ とても/つらいよ
ママ ママ 涙が/出るよ
いつでも/そばに/いてくれた
あなた/は僕をもう/たすけてくれないの
あわれ/な僕は/すてられて
あなた/は僕をもう/たすけてくれないの
こわい/人たちに/わらわれる
僕を/ながめてなぜ/平気でいられるの ママ
『甘い/乳房』という、アルバムに入れる曲の一つ。
最初に歌詞を見せた時、読んでしばらく黙りこくった阿べは、ためらうように言った。
「これは……。あいつ、これを聴いたら、さすがにかなりつらいと思うよ? いいのか?」
「いい」
(苦しめばいいんだ。オレのほうがこんなに苦しいんだから)
他人を苦しめなんて思う奴、普段のオレなら軽蔑している。今のオレだってオレが嫌いだ。
本人に向かって言えない事を、歌でしかオレは表現できなかった。
この世で一番みっともない、情けない、…哀しい恋。
精神的に追いつめられて、こんな最低の状態になって初めて、これは恋だったんだと気づかされた。
捨てられて気づくなんて。
もう、生きていくのもつらかった。
アルバムも無事に出て、春から夏には全国ツアーも全てをきっちりこなした。
あの歌を、叫びをしぼりだすようにして歌い上げる。
本当に一番聞いて欲しい人はここにいないけれど。
それを聞くファン達の悲しげな顔。悲痛にただただ祈るような様子を見て、彼女らも迫り来る予感におびえているのを悟る。
ツアー終了後、もう結果の分かりきっている「今後についての話し合い」も速攻で終わり。
内々に、昔からお世話になってる関係者のいくつかにだけ打ち明けてから取材を受けた。
「もう未練はないですか」
「不安でいっぱいですよ。西カワ君が脱けた時も不安でいっぱいでしたけど、今もまた不安で夜も眠れません」
もういいやと思って、本当の事を正直に答えた。
9月。深夜の特番ラジオのしょっぱなにおいて、解散を発表した。
スタジオには呼ばれた取材陣が集まり、カメラのフラッシュがたかれまくる。
いったんその方々には退席してもらったあと、番組は冗談のかけ合い状態で明るく進んでゆき
最後のほうで、あいつがメンバーとファンへと送ってよこした
メッセージのテープも流された。
活動期間の思い出と感謝の言葉が続く。さすがに全員が真面目な顔になり、静かにじっと聴いていた。
その締めくくりの言葉に、息がつまる。
「最後に、タミ才、お疲れさまでした」
……なんだよ。なんで、今更また、このオレにこういう言葉をくれるの。
胸の傷口は全然癒えてなんかいなくて、また、きゅうっとしぼられるように痛んだ。
番組はそのままCMに入った。
他のメンバーに涙目を見られないように、そっと後ろを向いて上を向く。
なんとか笑顔を作ってから体を戻すと、阿べがじいっとオレを見ていた。
深夜なのにラジオ局の周りに集まってきていた大勢の群衆。その子らの泣き顔を見て、車の窓から手を振った。
さよーなら皆さんもお元気で。
そして、気がついたら「解散」というイベントはあっけなく終わっていた。
しばらくは何もしなくてよくなったので、いきなりポカンとスケジュールがあいた。
というより、全く、入れる気がなかったし。
色々な誘いもことごとく断り、ぼーっと、昔から好きな釣りだけをして、ひたすら何も考えないようにして過ごす日々。
そして、しばらくしてから、よいしょと立ち上がって、オレは一人で歌い続けた。
何年も何年も何年も、一人で、気に入りのギターを供にして。
(もう会えるかな、大丈夫だろう。強くならないと)
ソロの最初の曲では、あえてあいつをバックに指名してみた。
あいつのドラムがやっぱり好きだったからだ。
もう他のバンドを組んでいたあいつは、仕事の一つとして引き受けて、ちゃんと完璧に曲をこなしてくれた。
やっぱりすごく歌いやすい。
そりゃそうだ、オレの為にあるようなドラムだなってずっと思ってきたんだ。
……本当は、今だって思ってる。オレのだって。
オレのだよな? って、言いたい。
でもオレは笑顔で、助かったよとお礼を言って。
あいつも普通に、お前らしいいい曲だな。頑張れよと、あの溶けるような笑顔で励ましてくれた。
でももう同じバンド仲間としての言葉じゃないんだな。そう実感した。
昔みたいに自分の後ろで叩いてくれていても、遠い。
これからはオレ以外の人間の為にそうやって叩いていくんだろう。そう思うとつらすぎた。
(愛す/る人よ何処/へ行く 僕を残して/何処へ/行く)
阿べは後になってオレに、解散前後の頃は、お前を見ていてオレは、実に実につらかったよと言った。
「オレだって解散は嫌だった。
でも、お前はこれ以上続けるなんて、絶対に無理だと分かってたしな。
自分じゃもう忘れてるだろうけど、あの頃のお前は毎日異常に飲んだくれてたんだぞ。ヤケ食いして太りだすし。
やめろと止めても、無理に吐くまでモノを食い続けてるのを見て……これは限界だヤバすぎると思った。
お前が壊れてってしまうのを横で見てるだけのオレが無力に思えて、悩んだわ。
かわにっさんは本当にいい人だよ。お前も大切な親友だ。
だからもう全てを終わりにするしかないと、解散を最後まで反対していた○ッシーを、オレは必死で説得したんだよ」
そして阿べは『もうあの頃の事は忘れたい。湯ニコーンという名前さえ、今は思い出したくもないんだ』と言い捨てた。
苦しかったのはオレだけじゃなかったんだ。
そしてやっぱり他の2人だって、ずっとひきずっているだろう。(そして、あいつだって本当は・・)
オレはあの頃、自分の苦しみだけでいっぱいいっぱいで、自分も他人も傷つけてしまっていた。
でもこのオレを先に傷つけたのはあいつだ。
あいつがいないままのあのバンドで、いない事をずっと感じながら活動を続けるなんて出来なかった。
でも今さら他のバンドを新しく組む気になんかならない。
だったら一人のままでいい。ずっと。
『ずっとバンドをやるでしょうね。それはタミ才にまとわりついてますよ、ずっと』
昔、オレの紹介記事でそう言ってたかわにっさん、知らなかったの?
あんたがいないバンドをつくるなんて、オレには無理なんだってことを。
そして、いつしか時はめぐりめぐった。世紀までも越えて、めぐりまくった。
オレはソロ以外にも二人組娘をプロデュースしたり、色々とユニットを組んだりと仕事に忙しく、また家族も出来たので
あっというまの遠い夢だったような感覚に、あの頃を思うようになっていった。
紫煙
気がつけば十五年という、長い長い時が過ぎていた。
ああまで当時をトラウマだと言って、思い出すのさえも一番嫌がっていた阿べが
何の心境の変化か、ヒョッと自分から言い出しっぺになって、まずあいつに持っていったという再結成話。
再結成という言葉は出さずに、「今の五人で新しい事をやってみよう」と言って誘ったらしい。
阿べらしい。
かわにっさんの心を動かすのはいつだって、新しく前へ前へ前進しようとする気持ちだと、あいつもよく分かっているからだ。
まあ同じ狭い業界、以前にも時々なんだかんだとフェスやイベント等で会っちゃあいたんだが
年末の居酒屋に三人で改めて向かい合ってみると、みんな揃いも揃って四十路の、中年もいいとこのおっさんになっていた。
いつのまにか全員デカイ子供のいる子持ちだわ、当のあいつはバツが一つ二つついて今だフラフラしている始末だわ、人生は波瀾万丈だわな。
しかしこの男は、なぜこんなにもまるで変わらないと思わせるのか。
飄々とした雰囲気も当時のままで、包み込むような笑顔が更に柔らかくなっていて。
オレの心までもあの頃に一気に引き戻されていく。
「タミ才。久しぶり」
やっぱりこの笑顔が好きだ。この低い声が好きだ。強い胸の痛みを感じる。
また一緒にやろうよ。って言ってくれた。
「今、この5人でまた新しい事をやろうって阿べが言ってくれたから、オレもやる気になったんだ。
もしタミ才がいいんならさ……」
いいよー、やろうよ。なんて、普通に普通に言ったけど。
オレのビビリな心臓は、すごくドキドキしていた。
嬉しいと何故かすごく怖くなるんだ。
年が明けて、5人揃っての新年会。元マネも呼んで、再結成が正式に決まった。
今年はアルバムを秘密裏に作り、来年の頭に復活発表してから発売、その後に全国ツアーだと。
夏には昔みたいに地方でレコーディング合宿をした。
ふざけあって笑い合って、びっくりするような曲が出来たりして、とても楽しくて、まるで夢みたいだった。
その年の暮れ、まだ公には秘密だってことで、他のみんなは来年のソロ仕事予定をちゃんと自分のHPに書いていたけど
オレは「来年はソロ活動を休みます」って早々に書いてしまった。楽しみで眠れない遠足前の子供みたいに。
そして、年があけて、春。十六年ぶりのツアーが始まった。
歌うオレの後ろで奴のドラムが鳴り響く。
稲妻のようなすさまじい怒濤のドラミング。飛び散る汗、その壮絶な、色気。
いつだって強烈に魅かれてしまう。
その安心感。ついそこにいるかを確かめたくて、何度も振り返る。
他のメンバーや客にまでも、それがあからさまにバレちゃっているらしいけど……それでもいい。
全身全霊で叩くその姿は、まるで全ての音を支配する神のようだ。
振り返ればそこにいてくれる、目を合わせると笑ってくれる。
凄い演奏に、自分でも最高だと思う声を重ねた時にだけ訪れる
天啓のような瞬間は、まるでエクスタシーの絶頂のような瞬間。
やっぱりこの男のドラムは、最高にオレをイカせてくれる。
再び光を得たオレは強くなって、そして弱くなった。
またあんたに捨てられたら、オレはもう立ち直れない。
それ分かってんのあんたは。
誓ってよ。
ずっとずっとそばにいると。
支援
オレの胸の内なんてまるで知らずに
奴は、お得意のばっちりカメラ目線な流し目で、手にかざしたスティックに口づけると
ウィンクしながら振り上げて、そのキスを宙へと飛ばした。
モニターにうつるその姿に、会場中の女が目をハートマークにして息を飲み、悲鳴をあげている。
……なんか、男の客どもの声まで「オオー」とか聞こえてくるんだが、何 な ん だ 一体。
確かにちーとは男前かもしれんし? ドラムも天才ですけども。
しかし、もうすぐ五十だぞ。
(やっぱモテるよこの人。天性のタラシだねこりゃ)
新譜からの二曲に続いての三曲目は過去の曲で、かわにっさんの作詞でオレが作曲した「おか/しな/2人」。
昔からファンにも人気のある曲だったので、会場がすごく盛り上がった。
しっかし、なんか歌いながらも、女目線の歌詞に自分の気持ちが重なるのが情けない。
昔はまるで共感せずに歌っていたのに。
いらだ/たしい/程好きなの 振り向い/てもくれない
そう/悲しい/位に 愛し/てる
♪かいしゃづ/とめもいつま/でー つづくか わか らな/い〜
ツアー後半、武道館最初の日。
かわにっさんが自分の持ち歌を歌って、代わりにオレがドラムを叩くという、担当が逆転する曲の最中の事だった。
♪あ し たーの/こと はー あーしたにな/らなきゃ わか/らなーい
脳天気に歌いながら、このおっさんはオレの後ろからヒョッと近づいてきて、オレの頭を抱くようにしてぐりぐりとなで回した。
昔とまるで変わってないこの癖。
もう髪なんか乱れたって、今じゃどうって事もないんだが
(だいたい今は坊主頭がちょい伸びた程度だから、乱れようがない)
しかし、自分でも自分の頬が一気に赤くなっていくのがよく分かった。
メインモニターにドアップでうつされているのに、最悪だ。
♪しあ わせー きょうもい/ただき
そのままマイクを向けられ、ラストはオレが「だー」と歌わなきゃいけないのに、変なうめき声が出てしまった。
ドッと爆笑する観客達。
終演後、楽屋に戻り、グラサンを外してまじまじと鏡で自分の姿を見た。
解散後十六年もの時が流れた結果、今のオレはタダの腰痛持ちの、ちょい太りがちな薄汚れたおっさんになった。
ここんとこのツアーで動き回り、さすがにまあ多少は痩せてはきたけども。
今日も、無精ヒゲを剃ろうが剃るまいが、まあどうでもえーわいとほっぼってある。
誰も今のオレの顔なんか気にしちゃいないし。そのまんまでいいのさ。
全てにおいて自然体に、シンプル・イズ・ベスト、それがオレの生き方。
なるようになれだ。
なんて鏡をにらんでいたら、あいつの顔がひょいと自分の上にうつったのでギョッとする。
楽屋に入って来たのにも全然気づかんかった。
相変わらず、パッと見は若手みたいなイメージを保っている。
ちゃんと今風にセットしたサラサラの茶髪。細いけどドラムで鍛えられてきれいに筋肉のついた腕と上半身。
もう私服に着替えていったんどこかに行ってたらしく、メタ銀なスカルのついた黒Tに、細いブラックジーンズとブーツのスタイルだ。
なんでこいつは全然身体に余分な肉がつかないんだろ? あんなに人一倍食いまくってるのに、ズルすぎる。
まったく、最近では他人に「今では一番若く見えますよねー」なんて言われて喜んでいるのだ、この男は。
(見え見えのお世辞だっつうの。分かれ)
気にくわないので、オレはこいつがステージで「カッコイイー!」と客席の女から叫ばれる度に
「近くで見ると超おっさんなんですよ? もうすぐ五十です」と親切に教えてさしあげる活動を行っていた。
ついでに、EB/Iがカワイイーとか言われると「可愛くないぞ! 近くで見ると」と代返する活動もした。
(そうしたら「タミ才も可愛いよー」とか女どもが声を揃えてぬかすので、しかめっつらをプレゼントしてやった。
何が「も」じゃ。アホどもめが)
奴は、オレだけが楽屋に残っているので不思議に思ったようだった。
「おー、タミ才だけか。他の3人は?」
「おらんよ。○ッシーはいつもの通りさっさと帰ってったし、阿べは今日調子の悪かったアンプが気になるって見に行ってる。
EB/Iは…分からんな。さっきまでいたけど。そういやかわにっつぁん、あんたは今までどこ行ってたんよ?」
「んー、野ダ君が今日のブログ用に、オレと一緒の写メを二階席あたりで撮るっていうから、今までつき合ってたんよ。
なんかー、超かっこいいのが撮れるまでは何枚でも撮り直したいっちゅうもんだからさ。
あの子は今ちょっと風邪気味らしいんで、今夜は一緒に飲まないで先に帰したんだけどね。
そういや、お前はまだ帰んないのかー?」
「………」
あんたの荷物があったから、なんとなく待ってたんだなんて言えなくて。
うちらとの他にも、再結成より少し前から二人組のバンドを組んでいたこのおっさんは
こっちのライブとそっちのライブとで、全国ぎっしりとスケジュールの入った毎日を、この年なのに超人のようにバリバリとこなしていた。
その相方くんは、三十すぎとも思えない女の子みたいな可愛い顔のギター兼ボーカルで、声質が昔のオレによく似てるらしい。
このおっさんの事を熱烈に慕っていて、ほとんど毎日のようにこっちのライブも見に来てくれている。
(※ちなみにオレは向こうのには行きまっせん)
まるで追っかけよりも熱心なかわにっさんファンのようだ。
終演後は大抵「お疲れっす! 今日もかっこよかったですよお!」とこいつを迎えに来て、当然のようにサッサとさらっていく。
飲んだり会ったりの度に、撮りたて2ショのラブラブ写メを頻繁に自ブログに載せ、何でもかんでも川ニシさんカッコイイと褒めまくり。
……見なきゃいいんだが、ついそのイチャイチャ写真日記をこまめにチェックしてしまうオレは、大変に不愉快。
こないだは『自分がもし女だったら川ニシさんの彼女になりたいぐらいです』とかライブのMCでも言ったらしく
後でこのおっさん自身にそれを自慢されて、おっさん首しめたろかと思った。
とにかく、いちずな好意を相手にも周囲にも丸分かりにして平気だわ、従順に見えるわりには相手を振り回すほどに積極的だわで
年は十歳違うだけなのに、もっと大きなジェネレーションギャップを感じる相手なのだった。
「しっかし野ダ君ってほんと可愛いよなー。あんたの相方にゃあもったいないよ。
あんな子がメロメロに好いててくれて良かったねえ、もうすぐ五十のおっさん?」
「そうだなー。あの子はホントーにいい子だよ。ギターや声はもちろん、ルックスもいいし、性格もとても優しいし、
素直で純粋な心を持っていて、オレを心から尊敬してくれている」
最初に話題をふっちゃったのは自分なんだけど、こうまで人前でのろけやがるこのバカおっさんってどうよ?
酷くムカムカーとしてきたので、オレはむっつりと黙っていた。
それに気づいたのか、軽く笑って奴は続けてくる。
「まあねー、でも、全然素直じゃない上にめったに優しくもなく、どスケベで不純な事ばっか言うとる誰かさんのほうが、
オレにはやっぱりいっちゃん可愛いーんだけどねえ。自分でも不思議なんだわ。何でなんだろなあ」
誰の事じゃー、誰の。
「どスケベで不純で悪かったね。こんなムッサイおっさん相手に、何寒い事を言っとんだ君は。
もうあんたが可愛い可愛いゆーとったガキの頃のオレじゃないんだぞ。
ま、もうすぐ五十の爺さんにとっちゃ、四十四の初老でもまだまだお子様にしか見えんのかもしれんが」
「いや、そりゃーさすがにおっさんにしか見えんがな。
でもオレの目にはさ、お前はいつまでたっても、この世界でいっちゃん可愛く見えとんよ?」
歯の浮くようなセリフを平気で言うから、その顔を見上げてオレは思いっきりブルブルと震えてみせた。
「がー。気持ッち悪りい事を言うなよー!」
「だって、お前は若い頃と全然変わっちゃいないだろう。
猫みたいにわがままで、プライドが高くて、でも本当は怖がりで。
高いとこも暗いとこも狭いとこも大ッ嫌いで、小さい地震でも大騒ぎ。
ライブ中に特効がドカンとなるたびに飛び上がって逃げ回るヘタレちゃんでさ。
寂しがりでひとりぼっちが苦手で、いつも人恋しいくせに、強がりで口はメチャクチャに悪いわ
前にも増してオレには攻撃的で、人前で『ヤメ/マン』だの『また先にいなくなったかと思ったー』だの
そりゃーツッコミがキッツイわときてる」
こいつがヤメ/マンなのはほんとの事だしな。
だいたい昔も今も、オレが何かを怖がるたびにさんざん面白がってからかうのはいつもお前じゃ。
『ホーレこの床の下は何もない高ーい空間だよー』とか言って一層ビビらせるくせに、何言っとんだか(怒)。
「・・ひとっつもホメとらんやないかい。
別にあんたにホメられて喜ぶ筋合いもないですけどね。
おりゃあけっこー、男らしいナイスな憧れのおっさんアーティストって事でこの世の中まかり通っとんですよ。失礼な」
…あー、やっぱこの角度が好きだ。
あの頃もこうやって、ひそかにこの角度から見上げては、ときめいていた。
悪態つきながら、こんな時までも、そう思っている。
「でも、お前は気ィ遣いで優しいよ。
歌の合間にゃードラムのオレのところまで、ちゃんとビールを飲ませに上がってきてくれたり。
こないだも打ち上げに遅れていったら『これ川ニシさんのぶんだよ』って取り分けといてくれて、世話もやいてくれただろ。
あー変わらんなー、こういうとこ可愛いなーって思った。
言葉より不器用なんだけど、さりげない気配りをしてくれて、オレをずっと見ててくれてる。
それで嬉しくなるんだ、オレは単純な男だからさ」
奴はオレの目を覗き込みながら囁いた。
「んで、そうやって上目遣いでじいっと見上げると、長いまつ毛がすごく色っぽいところも変わっとらんし。
必死にオレを見つめるその目の、熱に浮かされたような色も変わっとらん。
オレの好きな、オレのタミ才のまんまだ……」
馬鹿か。まじまじと見つめてしまう。
「やっぱり、泣き虫なんもそのままなんだなあ」
泣いてなんかないのだ、涙が勝手にあふれていくだけで。
「本気で言っとんの?」
「本気本気」
冗談なのか分からない。いつだって子供みたいに笑ってるあんたは。
「あのさ…オレ、そんなに強くないよ」
今度あんたにまた捨てられたら、もう、無理だから。
十六年なんてもう待てない。
「本当に、本当に、つらかったんだ。もう、やだよ。あんな思いは」
「分かってるよ。ごめんな」
「それに、オレに、もうどこにもいかないって、まだ言ってくれてない……」
「大丈夫。そばにいるよ。誓うから泣くな」
抱きしめられて、しがみついた。
(本当に分かりやすいバカップルだよねー。二十何年もの昔っから)
楽屋の長椅子で寝ていたEB/Iは、出るに出て行けずに、背もたれの隙間からこっそり携帯のカメラを構えていた。
数日前の事だ。
大阪公演後の楽屋で、嬉しそうな川ニシの口にたこ焼きをアーンして食わせてあげている、ニコニコ幸せ笑顔のタミ才
(及び、その2人をなるべく見ないようにネクタイを外している苦い顔の阿べと、遠くの鏡で自分のレスラー姿をしげしげと見ている○ッシー)を
EB/Iはしっかり1枚に激写すると
「まあ微笑ましいったら。さっそく僕のブログに載させてもらおーっと」と、upして全世界に晒しているという前科があった。
(それ以前にも「おかしな/2人」と題したこの二人の2ショ写真を載せたりもしているのだが)
実は、もしかして今でも…と確信したのは、それより少し前の4月末。
最近5人で始めたばかりの、深夜FM番組の生放送中での出来事だった。
あるコーナーの第二回目に「ツイスト/で目を/覚ませ」という20年前の曲をかけた。
初期のタミ才の、いかにも幼い甘えるような声が跳ねるように流れる。今よりずっとキーが高くて、少し舌っ足らずな声。
川ニシがマジマジと「これ誰の声?」と聞き、隣のタミ才が「これオレ」と答え、他は大爆笑になった。
それに続けてまた川ニシが「カワイイねえー!!」としみじみ言ったとたん、タミ才はババッと真っ赤になって照れまくった。
面白いから皆で「カワイー!」「カワイー!」とからかいまくると
焦りながら、冗談のようにちょっと同じふうに歌ってみて(しかし低い)「全然可愛くないねー、今」と自分で言ってみたり。
そのうちに、笛の間奏パートをリコーダーでみんなで練習して難しかったよねーという思い出話にうつったのだが
しばらくタミ才は赤みの残る頬をして、横に座る川ニシを何度もそっと見ていた。
あーこれは…今でもずーっと想い続けてたんだなと、めざといEB/Iはさすがに気づき、そのけなげさに少しホロリとした。
(しかし、川ニシか阿べのどっちかが『今だってじゅうぶん可愛いよ』とか熱弁しだしたらどうしようかと思い
ちょっとハラハラさせられたのは確かであった)
「この写メもブログにupしちゃったら、そりゃアクセスがもんのすごいだろうなー。
けどやめとくよ♪ やっぱ常識的にね、気の毒だし」
でも、一応写メっといたこのキスシーンを、もし本人の携帯に送りつけたらどんな顔するんだろうなー。
いつもはドSで自分をいじめてばっかのタミ才が恐怖に顔をひきつらせるさまを想像して
ゾクゾクと背筋の戦慄を楽しむ、悪魔で美人な王子様なのだった。
支援
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ エビ風呂のたこ焼きアーン写真はマジ可愛いですよ。
| | | | ピッ (・∀・ ) 長時間ありがとうございました。復活万歳。
| | | | ◇⊂ ) __
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
へ夕「|アで学園パロの子英→子イムです
エロなし
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. // 生 || ∧(゚Д゚,,) < 本家様の学園パロよく知らないんだけどね
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < 許してね
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| | / , | (・∀・; )、 < 擬人化苦手な方はスルーお願いします
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|_____レ"
昼休み。
まだ6月だというのにひどく暑い日で、ロンドンの曇り空に慣れていたアーサーは溜息を洩らした。
窓側の席で授業を受けていると、まるで屋外にいるようで、女でもないのに日焼けが気になった。
さぁ、このギラギラとした太陽とおさらばだ。
アーサーは教室で一番窓側の、一番後ろの自席から立ち上がった。
自らの城である生徒会室に向かうのだ。
冷房をガンガンにかけて、厚いカーテンを引いて、ブランケットに包まって購買で買ったパンを食べようじゃあないか。
少し早足で教室から廊下に出る。
古くて由緒ある学校だから、アーサーの脚の動きとともに石の床がカツカツ鳴った。
どこか重厚な感じがしてアーサーはこの音が好きだ。
いい学校に通っていますよ。いい家の子ですよ。格が違うんですよ。と言っているような音だ。
その、いいとこの学校で一番「いいとこ」。それがこの生徒会室。
アーサーは天井まで伸びている大きなドアの前で立ち止まった。
選ばれた生徒の中で、またまた選ばれた生徒しか入れないアーサーのお気に入り。
つまり別格中の別格。いいとこの頂点。
そんでもって彼は生徒会長だったから、いいとこの頂点の頂点。
少し重いドアを開ければ、本と金属と薔薇の香りがした。
足の裏がツンとして、またこの匂いが好きなのだ。
僅かな音を立てて空調はすでにかかっており、品のある紺のカーテンは引かれていた。
「誰かいるのか?」
唯一出窓のカーテンは閉められておらず、薄いレースから日差しが入っていた。
それだけがこの部屋の明かりなのだが、穏やかで十分の明るさだ。
夏か冬が近づくと、生徒会員の脚は生徒会室に向く。
快適なのだ。
決まった人間しか入ってこないし、なんといってもベッドがある。
長い歴史の中でいつかの先代が眠たかったからなのか、合宿をしてまで書類を仕上げなくてはいけなかったからなのか、備えたのだ。
これが大きくて、三人男子生徒が寝てもスペースが余りまくる。
アーサーがコツコツと中に進むとそのベッドにフランシスが寝ていた。
あぁ、こいつか、とアーサーは合点した。
そして紺のカーテンが引かれたすぐ前の、生徒会長用のオークでできたデスクに座った。
フランシスは熟睡しているようで、アーサーの物音では起きなかった。
疲れているのだろうか。
それとも女と遊んできたのか、それとも………。
昼飯を食べにきたのに、アーサーはデスクに頬杖をついてベッドに眠る金色を見ていた。
サンドイッチの入った紙袋は机上に手つかずのままだ。
デスクとは反対側に顔を向けフランシスは寝ていて、表情は読めない。
彼は真白なシーツの中で、出窓からの日差しを浴びてカナリアのようで絹のような金髪を光らしていた。
柔らかなそれは甘そうで、品があって、つい触りたくなる。
アーサーは気がつくとベッドのすぐそばまで来ていた。
デスクからでは見えなかった乳白色の肌が、日に透けている。
髪と同じの金の長い睫毛とベビーピンクの唇も覗く。
おまけに、薔薇のノートの香水を付けているのかふんわり香る。
部屋に入ってきたときの香りはフランシスだったのか。
あぁ、こいつは喋らなければ完璧なのに。
とアーサーはぼんやり思った。
フランシスの美しさがアーサーの思考を吸っていく。
どうしてこんなに近づいているのかよく分からなくなる、どうでもよくなる。
ベッドに両足は乗っており、
いつもは喧嘩したり、憎まれ口をたたいたり、たたかれたり。
でも本当は、アーサーはフランシスを欲していた。
美しいからつい近づく。
でもフランシスもお人形さんではないから、美を持ったまま感情を表したり、汚いことだってする。
あれもトイレに行くのだ。
なんとなくそれが嫌だった、アーサーは。
蝋人形のように動かず喋らず、食事も排泄もしなかったら。
そうしたら、俺は。
アーサーが眉を顰めると、フランシスが目を覚ました。
爽やかな青が金と白と桜色に加わった。
すぐに焦点が合ったらしく、フランシスはびくりと肩を揺らして目を大きく開いた。
「っ!!?」
アーサーも驚いてベッドから降りた。
どきどきどきどき。
「んっ、アーサー?なんだ、お前?」
すぐフランシスは半身を起した。
「うるせーなぁ。起こしてやったんだろ。」
アーサーは慌ててデスクに向かうように顔を背けた。
フランシスに触れたくて、見惚れて、気がついたらキスしそうなほど近づいていた。なんて死んでも言えない。
エベレストよりも高いプライドが崩れそうに揺れている。
ぐらぐらぐらぐら。
「もう昼休みおしまいー?それなら起きなきゃだなぁ。メルシー。」
フランシスは髪を整えながら真に受けている。
アーサーはちらと彼を横目で見た。俺にその髪を梳かせてくれ。
エベレストの地震は収まった。
「えー、でもまだ30分くらいあるじゃないの。」
古い柱時計を見たフランシスが言った。
余震が来た。
ぐらぐら。
またアーサーは向きなおす。
「お前、」
フランシスが言った。
ゴクリとアーサーは喉を鳴らした。
「眠いんだろ?入ればいいよ。」
揺れは引いた。
今度はしっかり振り向いた。
「そんなんじゃねーよ。」
アーサーは口を尖らせた。
だから喋らなければいいのに、と思うのだ。
またこうやって口喧嘩が始まる、そうアーサーは思ったのだが。
「可愛くないの。いいから来いよ。」
目覚めがいいのかフランシスはにこやかに返した。
どきどきどきどき。
顔が赤いとアーサーは思う。
なんだよ、これは。
もっといつものように、下品に怒れよ。
青が自分をしっかり写しているのに、フランシスはお人形のままだ。
目線が泳いで、アーサーはもう一回デスクを向くとその上にある紙袋を乱暴につかんだ。
「うっせーよ馬鹿が!」
そう吐き捨てると、走るように生徒会室を出て行った。
置いて行かれたフランシスはベッドの上で首を傾げた。
なにかまずいこと言ったかな。
それより
「授業ギリギリで起こしてほしかったんだけどな。」
日差しが強すぎる。
走って屋上に出ると、生徒会室でみた青と同じくらい抜けるような空がアーサーを迎えた。
「くっそ…、」
どきどきどきどき。
走ったからだ、動悸がするのは。
どうしてあの大馬鹿のせいで、別格中の別格の別格である自分が生徒会室から追い出されなくちゃいけない?
出て行ったのは自分のくせに、正当化するために自分まで欺く。
見惚れてなんかない。
欲しくない。
触りたいんじゃない。
憧れじゃない。
好きなんかじゃない。
ぐらぐらどきどきするのは、走ったから、暑いから。
何よりあいつが嫌いだから。
俺を追い詰めるあいつが大嫌いだからだ。
アーサーは眩しそうに目を細めると自分の胸倉を掴んだ。
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 止 || ∧(゚Д゚,,) < お粗末様でした
//, 停 ||__ (´∀`⊂| < ツンデレで金持ちの青春て
i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < どんなもんかね
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
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|_____レ
>>204のへ夕「Tア書いたものです。
↑の3/6の中で表記間違いを見つけましたので訂正します。
スレ消費本当にすみません!!
×ベッドに両足は乗っており、
○いつのまにかベッドに両足が乗っていた
現在連投規制が厳しくなっており、10レス連続投稿すると、ばいばいさるさんに引っかかります。
長い作品の場合は、分割して、時間をずらして投下することをおすすめします。
1レスあたりの最大行数は32行、タイトルは全角24文字まで、最大byte数は2048byte、
レス投下可能最短間隔は30秒ですが、Samba規定値に引っかからないよう、一分くらいがベターかと。
ご利用はテンプレをよくお読みの上、計画的に。
・禿げ高ドラマ・映画ともにネタバレしています。
・捏造・想像など多数あります。
・銛山×柳です。ぬるいです。
・テンプレは1/10と10/10、本文は8レスになります。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
銛山は錠に鍵を差し込んで、違和感に気がついた。開いている。
ぎょっとしてノブを回した。金属製の冷たい音を響かせてドアを押し開けた。強盗の
可能性も頭の片隅をよぎったが、まず体が動いた。よくない癖だ。
玄関の豆電球は点いていなかった。1DKの部屋から光が差し込んでいる。回収日に出し
忘れたゴミと古雑誌が半畳もない玄関に積み上がっている。くたびれたスニーカーがばら
ばらに放り出してあった。
いつもの風景の中に、よく磨かれた革靴が左右きっちり揃えておいてあった。
部屋のテレビからだろう、女子アナウンサーのものらしい無意味に明るい声。
「おかえり」
散らかった五畳半の部屋に不似合いなベストの背中が振り返った。あぐらはかいたままだ。
「……何してんの」
銛山が唖然として訊くと柳は片手に鍵をぶらさげて見せる。
「ポストとかさ、分かりやすすぎるところは止めたほういいよ」
蛍光灯の下で柳は笑い、また背を丸めた。狭い汚れた部屋の中で埋没しようとする、
張りつめた背中。
「………」
銛山は何も言わずに部屋にあがった。右手に下げたビニール袋が唐突にどうでもよくなる。
脱ぎっぱなしの洋服の上に放り出した。
10インチのテレビ画面を何の目的もなさそうに眺める柳の傍らに立った。
「……ここ」
「うん?」
柳がぼんやりとした視線で見上げる。無防備なようでその実、人を突き放す目をしている。
「ここ、俺のうちなんだけど」
抗議を込めたつもりが柳は頷いて受け流した。
「……何しにきたの」
改めて問う。柳は首を捻って、「様子見かな」と答えた。
「様子見ってなんの」
「見つかった? 次の職場」
「………」
銛山は顔を歪める。嫌なやつに嫌なところに触れられた気分だった。
「……あんたが」
「座りなよ、…話しにくいから」
口に出そうとすると機先をとられた。
仕方なく柳の目の前に同じくあぐらをかいて座る。テレビはもはやうるさいだけだった
が、消すのも躊躇われた。
消してしまえば、おそらくまたこの男に飲まれてしまう。どんな話でやってきたにせよ
利用されるのはもうごめんだった。
「400万、どうした? もう使った?」
柳が銛山の目をのぞきこむ。銛山は柳が、柳のこういうところが苦手だ。
「……生活費とか……、ちょっと使ったけどまだ大分ある」
「どうするの」
「……どうって」
「このまま貯金にしとくのも、止めないけど。ちょっとずつ減ってくだろ」
「それは……」
「どうする? どう使うかは君の自由だ。だがこのまま、部品として使い捨てられる人生?
それでいいのか?」
銛山は柳を睨み付ける。
「……もう利用されないぜ」
柳はわずかに笑って目をふせた。
「今回は、純粋な興味だよ。意図はない」
「………」
「わかっただろ? この世界の仕組みを動かしてる人間がいるってことが。とてつもない
額の金を言葉一つで動かして、莫大な利益を得てる連中がいるんだ」
「……それ、あんたのこと?」
「株価ってあるだろ。あんなの、ただの数字。数字なんだよ、だけどその数字の大小で何
万の人生が狂うんだ。それを動かしてる人間がいる。それ以外の人間は絞りとられるだけ
絞りとられる」
「………」
「絞りとられるだけの人生でいいのか? ……動かす側になりたくないのか」
銛山は目を見開く。
「そんな」
「狂ってるよ。腐ってるんだ、この国もこの国の企業も。どうしたらいいのか、わかって
るんだろ?」
間近にある黒い瞳を見返す。
感情を読ませない、けれども様々な思いを溶かし込んだ小さな宇宙に似ている、その瞳。
「飼い慣らされるなよ。……強くなれ」
目をそらすことができたら良かった。
「……あんたなんなの」
「ん?」
訊くと柳は首をかしげる。この男は時々、仕草が幼い。
「俺の利用価値、もうないだろ。何がしたいの。心配しなくても言わないよ、もう400万
もらったし」
とたんに柳はくつくつと笑いはじめた。蛍光灯の青白い光に眼鏡のレンズが反射している。
端正な容姿だと思う。作り物めいたこの顔で、人を手玉にとり企業を手玉にとり、巨万の
富を動かしている。
どこか現実味に欠けていた。
いつまで笑ってるのか文句のついでに問いかけようとした瞬間、柳がおもてを上げる。
彼は真顔で、
「ねえ、飯くわない?」
と言った。
この男が読めない。
「……うち、なんもないけど」
「さっき買ってきてなかった?」
「……あれ、カップ麺だし」
「夕飯?」
「うん」
「どっか食いにいく?」
当たり前のように柳は言った。はぐらかされようとしている。
「……なんで俺に構うの。あんた、この世界の仕組みっていうの、動かす側なんだろ」
銛山は同じ問いを口にして柳を窺った。彼はしばらく沈黙し、小さく息をついた。
「……昔の俺に似てたから」
「なに……」
「俺の生まれたとこ、ど田舎なんだよ。知ってる? 中国のど田舎ってさ、文字通り何も
ないんだよ。電気も水道も何もね。少なくとも俺が生まれたところはそうだった。
靴も何年も履いてはきつぶすようなところでね。成長の早い子供なんか、裸足なんだよ。
風にあおられながら、裸足で石だらけの畑に籾を撒く、そういうところだ。
中でも俺のうちは貧しくてね。俺、父親いなかったから」
銛山は息を呑んだ。
柳は目をふせて少し笑った。その目線を追うと左手の掌で、もう一方の手首を覆っていた。
指の隙間から古びた数珠が見える。
「母親は耐え難い苦労をした。それもこれも、俺を金持ちにするためにね」
わずかに語尾が震えて情愛が滲んだ。
「……必死だったよ。生きていくために、そして手にいれるために」
「手にいれるって、何を……」
「あらゆるものを思うままにできる。生まれも育ちも、人種さえも関係がない。それが金だ。
金の価値は変わるが、金の力は絶対だ」
「……金が強さ?」
「そういう世界に俺たちは生きてる。強くならなきゃ食い潰されるんだ」
テレビが夕方のニュースを垂れ流している。内閣の大臣の誰かが不祥事の責任を取って
辞めたらしい。野党の誰かやコメンテーターがそれを非難する発言を放映している。
持ち上げては落とし、弱った者から食い散らす。この世界は禿鷹に満ちている。
「かといって金の使い方が分かったわけでもないけど。大金を自由に使えといわれても逆
に困るんだ。……困っただろ、いきなり400万渡されて」
「……ああ…うん」
見透かすように言われて、銛山は戸惑う。この男が次に何をするのか、まったく予想が
つかない。
『次は特集です。中国系巨大ファンド、ブルー・ウォール・パートナーズによる買収騒動
で揺れるアカマ自動車ですが、今日はこの騒動の核心に迫ってみたいと思います。解説を
してくださるのはK大学の……』
柳は瞬間的に口をつぐんだ。自然、視線はテレビの画面に移る。
何度も放送された柳の会見の様子が繰り返される。どうやらこの番組は柳に好意的らしい。
もっとも残留日本人孤児三世という経歴のせいか、往々にしてマスコミの柳への矛先は
鈍かった。もしかしたらこの男の容姿のせいもあるのかもしれない。
「……どんな気分なの」
黙りこくった柳にふと問いかける。
「何が」
「自分がテレビに映るって、どんな気分?」
柳はしばし考えてから答える。
「別にどうとも思わないな。日本の世論はマスコミに左右されるから、どんなふうに映って
どんなふうに放送されるかは気になるけど」
「へえ。……なんかすごいな」
銛山は呟き一緒に画面を眺めた。
「なんで。すごくもないよ」
柳は淡々と応じ、床に両手をついてあぐらの足を組み替える。
テレビではフリップを使い、この騒動を解説している。銛山は先頃までの派遣先である
アカマ自動車の名前を苦い思いで聞いた。
『柳代表のブルーウォールの買収に対してホワイトナイトとして名乗りをあげたのが、
この、和紙津ファンドです』
柳の肩がびくりと震える。銛山は驚いて彼の様子を横目で探った。
『この和紙津ファンド代表、和紙津雅彦氏は四年前、日本を騒がせたサンデートイズ、
大空電機の買収などで“ハゲタカ”として有名になった人物でもあります。当時、和紙津氏
はアメリカのファンド、ホライズン・インベストメントワークス・ジャパンの代表を
つとめており……』
和紙津雅彦の写真がテレビに映る。
柳は明らかにそれを注視していた。食い入るように画面を見つめる。
自分のニュースでさえ平然と受け止めていた彼を思うと、異常としか言えなかった。
『和紙津氏は“ハゲタカ”ファンドという名前を日本に広めた人物ですが、さて、この
騒動どう思われますか?……』
アナウンサーは一旦言葉を切り、解説者に話を振った。
柳は詰めていた息をそっと吐いた。黙ったままの彼に、銛山は疑問を口にした。
「あのさ、……“和紙津雅彦”って何?」
「………」
柳は答えない。画面を眺める振りをしている。
銛山は微かに心がさざめくのを感じた。
「……伊達眼鏡」
柳がようやく銛山のほうをかえりみる。能面のような無表情だ。
「だろ、それ。なんで?」
少しの間、ただ見つめあっていた。
銛山は痺れをきらし彼に手を伸ばした。指先が柳の眼鏡のツルに触れようとした瞬間、
その手を掴まれる。
明確な拒絶だった。
思わず柳を振り払い、再び眼鏡に指をかける。今度は意志をもって彼の顔から眼鏡を奪
った。
「……返せ」
柳の声は底冷えがするほど低かった。
「嫌だ」
銛山は即座にそう答えた。じっと睨み合う。
『……さて、ここでホライズン・インベストメントワークス・ジャパン代表当時の和紙津
氏のVTRがありますのでどうぞ』
アナウンサーの言葉に、柳は弾かれたように画面を振り返った。
かっとなった。
柳の肩を突き飛ばして床に押し倒す。柳は目を見開いた。彼が抵抗する素振りを見せた
ので馬乗りになり、腰骨に膝を当て肩を掴んで体重をかける。
柳はしたたか背中を打ったらしい、軽く咳き込んだ。
彼の身体の下で、菓子か何かの入れ物だったらしい紙の箱が潰れた。
「……なに、してる」
柳は咳がおさまるなり問う。覆い被さった銛山の影が柳の上に落ちている。
「……なに、って」
なんだろう。自分は何をしたいのだろう。銛山自身にも分からなかった。
分からないままに頭を落とした。静かに唇を重ねる。冷たい乾いた感触がした。
テレビでは三葉銀行とホライズンの話をしている。
唇を離すと柳の驚いた顔が見えた。彼の驚く顔というのは単純に珍しい。
「……抵抗、しないの」
それきり黙り込んでしまったので訊いてみると、柳は抑揚のない声で答える。
「賢い人間は運命に逆らわない」
銛山は笑った。笑ったつもりだったが、失敗したかもしれない。
心臓がどくどくと脈打っている。脳の奥のほうがぐつぐつと煮立って、堰きとめられた
溶岩のようだ。
「こんなときでも?」
まるで自分の声ではないかのように頭に響いた。
「……こんなときでも」
柳は微かに口の端をもちあげて、右手を頭の上にやった。数珠が床にぶつかって音を
立てる。
「……好きだよ」
「………。俺も好きだよ」
互いに確認するように口にして、これからの行為を正当化することにかろうじて成功した。
再び顔を近づけて舌を絡ませる。ぬるぬるとしたものが咥内でうごめく。
テレビはもはや意味のない音を流し続けている。
『お金を稼ぐことがいけないことでしょうか。……いけないことでしょうか?』
挑発的な調子の言葉がスピーカーから吐き出された。
和紙津雅彦。
「……銛山」
柳が銛山に呼び掛ける。銛山は柳のシャツの裾から手を滑り込ませながらそれを聞いた。
「……株とか、教えようか」
「株?」
銛山は顔をあげる。柳を見下ろす。
底なしの黒い瞳が銛山を映している。蛍光灯の明かりが瞳に反射してきらきらしている。
綺麗だと思った。
「知りたくない? この世界を動かす仕組み」
「……俺にわかるの」
「わかるよ。理解して、動かす側に回れよ」
しばらく考えてから銛山は頷き、また指と口を使って彼の身体をまさぐりはじめる。
柳の左手が銛山の後頭部に這わされる感じがした。そのまま、ぐしゃぐしゃと力任せに
髪を掻き回された。
最後に規制されてしまいました。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
下手
米→←英
悲恋風味です
極短尻切れとんぼ
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
218 :
1/3:2009/06/14(日) 14:57:02 ID:WSeQ7TV4O
「俺を愛せよ…!」
米の上に馬乗りになって米の首を絞めながら(といっても全く力は入っていないけれど)、英は喉の奥から絞り出すように言った。
米がただそれを眺めていると、顔に水が降ってきた。米が英の緑の美しい瞳(米は昔からこの色がとても好きだった)を見れば、涙がいっぱいにたたえられていた。
それに光が反射して、緑はきらきらと輝いていた。米は素直にきれいだと思った。
英は溢れるそれを拭おうともせず、しかし米の首を絞める手も強めず、ただ語気だけを荒くして言った。
「なぁ、何か言えよ…っ、ちくしょう、なんで誰も俺を愛してくれないんだよ!?」
そんなことは米の知ったことではない。
英の兄たちのことはよく知らないし、仏や西は米が生まれたときにはもう取り返しのつかないレベルには英を嫌っていた。
ただひとつ米が知っていることといえば、米は英を愛しているということだけだ。
昔そう言ってみた(そのときも確か英は泣いていた)ことがあったけれど、英はひどく傷ついた顔をして、簡単に愛してるだなんて言うんじゃねえよ、と美しい瞳をもっと美しくさせて泣いた。
とどのつまり、米はどうしたらいいのかわからないのだった。
219 :
2/3:2009/06/14(日) 14:57:59 ID:WSeQ7TV4O
とりあえず自分に雨を降らせている美しい緑の瞳に、手を伸ばしてみると、彼の顔はひどく暖かかった。
下瞼に溜まる涙をそっと拭ってやると、臆病な愛しい兄はびくりとその身を震わせた。
「なぁ英、俺が何回君を愛してるって言えば、君は泣き止んでくれるんだい?」
英はまた傷ついたふうな顔をして、そして米の首から手を離した。
「ごめん、ごめんな米。無理させてごめん。お前は昔から優しい子だったもんな。」
そして両手で顔を覆って、また泣いた。
米は起き上がって自分より大分小さくなってしまった兄を抱き締めた。
「ねえお願いだから泣き止んでよ。俺は君を愛してるんだ。信じてよ。君の兄や腐れ縁たちが君をどんなに嫌っても、俺は君を愛しているんだ。」
米の腕の中の英がびくりと動いた。
そして顔を覆っていた手をゆっくりと外すと、にっこりと美しい(けれども痛々しい)笑みをつくって言った。
「ありがとう、俺の可愛い米。お前はいつまでも俺の自慢の弟だよ。」
そして米の胸をゆっくりと押し退けると、ごめんな急に、またスコーンでも持ってお詫びに来るから、と言って、ふらふらと米の家から出ていった。
220 :
3/3:2009/06/14(日) 14:59:05 ID:WSeQ7TV4O
米はそれを見送ることもできずにそのままの姿勢でしばらくの時を過ごした。
ふと頬に手をやると、英のものではない涙が伝っていた。ああ何度目だろうかさっきのやりとりは、と心のどこかでぼんやりと思った。
今ごろ愛しい兄はどこで泣いているのだろうか、俺以外に味方なんていやしないのに。
誰に言うともなしに米は呟くと、そのままベッドに倒れ込んだ。
羽毛の柔らかさが心地よかった。いつかに英と寝たベッドも、柔らかかったと思った。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お粗末さまでした!
・元ネタあるけど、最早オリジナル捏造になってしまった…。
ちなみに三次。音楽に関わってる二人。
・ジャンルスレの皆様スミマセンー。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
捻くれ者で感じ悪いヤツ。
最初はそんな印象。あっちもそんな感じだったはず。
俺がそんな態度しか取らなかったから。
「あーまったくヤになるわ…。」
仮にも俺だって音に関わってるんだぞ!と言ってやりたい。
と…そんな悪印象しか抱いてなかったのに、見方変わりゃ全部が変わる。
偶然に見てしまった彼の一面。
―――
「あれ?まだいたの?」
「あ、はい…なんかこの部分がしっくりこないので…。」
楽譜に散らばるメモを指差しながらぼそぼそと答える。
あぁ…まただ。
「R君さぁ…どして話す時こっち見ないの??」
「え?」
「君がこっち見て話す時は録ってる時くらいじゃん?俺なんかした?」
つい言ってしまったが仕方ない。腹括れ。俺。
「あ、違います!Jさん悪く無いです!
ただちょっと…収録であんなにきつくダメ出しばっかしてんのに、どんな…顔して…話して良いのか解らなくて…。」
と、しどろもどろしながらも伝えてくる。
薄ら赤いのは緊張か照れか。色白な分余計に目立つのか…。
何だろう。保護欲を程よく刺激されるこの行動…。
「だから、何かされたってわけじゃなくて…!その…!」
「分かった。」
黙った俺を見て、さっきよりも勢い付いて話し出したR君をぎゅむっと抱き寄せる。
「分かったって何が…の前に!!まだ僕最後まで謝れて無いんですよ!」
「うん、じゃあこのままで最後まで全部聞こうか?」
「このままって…何でですか!!」
緊張は多少解れたらしく、赤みは引いてきてる。…残念。
「ん?R君が可愛く思えてきたから。」
「なっ…何言ってんですか!?まずは離して下さいよ!」
「仕事に熱心、まさに鬼気迫る勢いで指示するR君にこんな一面があったとはねぇ…。」
「…ごめんなさい。」
「あー謝らない謝らない。驚いてるだけだから。」
責められると勘違いしたのか段々と小さくなった語尾。
「そーゆーのが可愛いって言われない?また首も赤いよ?」
「言われません!大体この距離で話すなんて無いし…いい加減離して下さいよ!」
「はいよ、抱き心地良かったからついね」
「Jさん…ソッチの人…?」
そう言いながらも、隣にあった椅子に座ってくる。
全く…警戒するなら離れたトコに座りゃいーのに。
「いんや、反応が面白くてね。それより、楽譜はどーなったん?」
「え、あぁ…もう少しやってから帰ります。キリ良いとこまで進めたいので…。」
「お疲れさんでしたーって事で。またよろしくな。」
「はい!…また注文すると思いますがお願いします。」
そう言って背を向けた瞬間、露になった首筋に軽くキス。
さぁ、次はどんな反応が返ってくるかな…?
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お粗末様でした。またROMになりますです。
>>158-196 GJ!GJ!
目から汁が止まらないよ・゜・(ノд`)・゜・
感動しました!
>>221-223 まだ出会って間もない感じの2人に超禿げ萌えた!
初々しいR様可愛いです。ありがとうございました!
>>158-196 大作ありがとう。素晴らしいです。
もう二度と唄を離さないでくれ、太鼓!
半生です。ドラマ脳。師匠×エロピアニスト。
エロにやられました、スレお借りします。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
私が弾き終わると、背後に立つ彼は嬉しそうに小さく拍手をした。
「好きかい、この曲」
「はい」
確認しなくても分かっている。ほぼ二日おきにこうやって、ここでこの曲を弾くのだから。
同じ事を定期的に繰り返す事が、どれだけ彼の回復に役に立つものか私には確証は無い。けれど少しでも刺激を与えてやって欲しいと、
彼の姉から取りすがるようにして頼まれた。
そんな風に言われてしまえば元教え子を無下にするわけにもいかず、スケジュールの合間を縫ってこの雑然とした広い家に来る日々が、
もうずいぶん長い間続いていた。もっとも、それは彼の為だけではなかったけれど。
「追憶っていうんだよ」
「へえ」
ポケットからメモ帳を出そうとする腕を私が取って押しとどめると、彼はふと眉を寄せた。
「名前を、書いておこうと思って」
「その必要はない。曲名なんてメモする価値は無いんだ。それよりも、聞いた時の感覚をしっかりと覚えていてくれたほうが嬉しいかな」
彼は悲しそうな顔をする。記憶をする事。それが現在の彼にとってどれだけ高いハードルなのかを知りながら、わざと要求してしまう私は
意地が悪いだろうか。けれど、彼の憂いを帯びた表情を、私は何より見たかったのだ。
私は椅子から立ち上がると、ピアノの譜面立てに置かれた楽譜を指差した。
「これ、今日書いた曲かい?」
「......たぶん」
「聞かせてくれるかな」
私が促すと、彼は椅子に座って譜面を眺めて一つ深呼吸をする。そして夢見るような目を宙に彷徨わせると、ゆっくりと指を動かしはじめた。
穏やかで寂しい、不思議な曲。空っぽな彼の頭のどこからこの着想が湧いてくるのか。私は喉がひりつくような感覚を、唾を飲み込んで押し下げた。
体をそっと移動させて、彼の真後ろに立つ。一心不乱にピアノを奏でる彼はそれに気づかない。
私は彼の肩をそっと撫でると、そのまま後ろから羽交い締めにした。バンと不協和音が鳴り響いて、彼の細い体が硬直する。
「......ひ、弾けないんですけど」
「もういいよ」
私は彼の耳たぶを軽く噛んだ。
「なにを......」
「なんだ、覚えてないのかい」
彼の喉仏がゴクリと動いた。驚いている彼が抵抗をしないのを良い事に、私は彼のズポンのジッパーを指でつまんで降ろした。
中に手を入れると、彼のものはもう力を持ちはじめている。
「いやだ......」
「どうして?」
「ん......」
声を上げまいと、彼は必死に口を閉じる。私は、彼の唇を親指でなぞって薄く開かせると、その間に人差し指と中指をねじり入れた。
「噛んだらもう私は君にピアノを弾いてあげることが出来ないよ。ほら、声を出して」
「あ、やぁ......ぁん......あ......」
一度上げてしまうと、彼の声は堪える事を放棄してしまう。
彼は意外なことに、荒っぽい方が好みのようで、わざと乱暴に擦り上げてやるとあっという間に弾けて飛んでしまった。
「あ......ぁあう......」
彼は、がくりと力を失って床にぐにゃりと崩れ落ちてしまった。私は馬乗りになると、彼の顎に手を掛けた。
唇を啄むと、組敷いた体が小さく震える。
毎回毎回同じ手順を繰り返して、自分でもよく飽きないものだと苦笑してしまう。
しかし、その度に律儀に初々しい反応を返す彼が可愛かった。無垢なものを汚す喜びに溺れていたのかも知れない。
そのうち、彼が舌を絡めてきた。......おかしい、これは今まで無かったことだ。
違和感を感じて唇を離し、彼の顔を覗き込むと、彼は花のようにニコリと微笑んだ。
「ねえ、せんせい。また星が振るところ、見せてくれるんでしょ」
ゾっとした。まるで今まで邪険に扱っていた抱き人形が急に話しかけてきたようで、背中をサっと冷たいものが走った。
それは、彼と私の間の隠語だった。彼が中の刺激で達する間際、どんな気持ちかと私が問いかけると、決まって彼は喘ぐ呼吸の間から、
星が降ってくるようだと小さく答えたのだ。なぜ、ここだけ彼の頭の中で記憶が繋がってしまったのか。
「......思い出したのか」
「よくわからない。せんせい、僕のこと、好きなの?」
私は、絡み付く彼の手を振り切ってバっと体を起こすと、急いで服を直して部屋の出口へ走った。
ドアノブにかけた瞬間に一度だけ振り向くと、彼は上に向かって手を伸ばしたまま、不思議そうな顔をして天井を見つめていた。
それ以来、私は彼の家へ通うのを止めてしまった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
次回の展開なんか丸無視だよっ。........orz
232 :
風と木の名無しさん:2009/06/15(月) 14:06:56 ID:P14KERA30
携帯から失礼します。
戦/国BA/SA/RA 真田主従 カプ要素のないほのぼの話
閑/吟/集を読んで破廉恥!と思った結果できた話です。
小唄の引用あり…というか小唄が話の中心です。
歌そのものは男女の恋愛がテーマですのでご注意を。
ソレデハ ジサクジエンガ オオクリシマス! ( ・∀・)つ皿 |> PLAY
「佐助、お館様から新茶を賜ったぞ」
甲斐から上田城へ戻ったばかりの幸村は、留守を守らせていた佐助を呼ぶなり、うきうきとした様子でそう話した。
良い香であろう、と幸村の掲げる包みからは、なるほど青い茶葉のさわやかな香りがする。
「お、良いね。きっと上等のだ」
「そうだろう、早速頂こうではないか。佐助、頼む」
そう言って幸村は佐助に茶葉の包みを渡す。つまり淹れてこいということだ。
「はいはい…。全く、忍にこんなことさせないでくれよ、腹いせに黴びた古い奴淹れちまおうかな」
「何を申すか、そもそもそんな古い茶など取っておくな」
「だって勿体無いじゃないの」
「貧乏性だな。淹れての後は 古茶知らぬ、だ」
幸村の楽しそうな言葉に、佐助はちょっと驚いた顔をした。
「どうした」
すると、佐助は堪えきれなくなったようにくっくっ、と笑いを漏らした。
「な、何だ気味の悪い」
戸惑った様子で幸村が言う。
「ちょっとアンタ、その歌どこで覚えたの」
「この歌か?『新茶の茶壺よのう 淹れての後は 古茶知らぬ 古茶知らぬ』であろう、城下で聞き覚えたが、何かおかしかったか」
「ああ、うん。旦那じゃ解らなかったか。あのねぇ、この歌は…」
佐助はにやにや笑いながら、幸村の耳元に口を寄せて囁いた。
「佐助、お館様から新茶を賜ったぞ」
甲斐から上田城へ戻ったばかりの幸村は、留守を守らせていた佐助を呼ぶなり、うきうきとした様子でそう話した。
良い香であろう、と幸村の掲げる包みからは、なるほど青い茶葉のさわやかな香りがする。
「お、良いね。きっと上等のだ」
「そうだろう、早速頂こうではないか。佐助、頼む」
そう言って幸村は佐助に茶葉の包みを渡す。つまり淹れてこいということだ。
「はいはい…。全く、忍にこんなことさせないでくれよ、腹いせに黴びた古い奴淹れちまおうかな」
「何を申すか、そもそもそんな古い茶など取っておくな」
「だって勿体無いじゃないの」
「貧乏性だな。淹れての後は 古茶知らぬ、だ」
幸村の楽しそうな言葉に、佐助はちょっと驚いた顔をした。
「どうした」
すると、佐助は堪えきれなくなったようにくっくっ、と笑いを漏らした。
「な、何だ気味の悪い」
戸惑った様子で幸村が言う。
「ちょっとアンタ、その歌どこで覚えたの」
「この歌か?『新茶の茶壺よのう 淹れての後は 古茶知らぬ 古茶知らぬ』であろう、城下で聞き覚えたが、何かおかしかったか」
「ああ、うん。旦那じゃ解らなかったか。あのねぇ、この歌は…」
佐助はに?
新茶の茶壺よなふ 入れての後は こちやしらぬ こちやしらぬ
幸村が口にしたのは、歌の表の解釈だ。
しかしこの小唄は、裏の解釈で世に広く通っている。
「古茶じゃなくて此方や、だよ。茶壺は女の胎、入れるのは男の魔羅さ」
「なっ」
幸村は一声叫ぶなり、ばっと弾かれたように飛び退いた。
顔にはみるみるうちに血が昇り、額の鉢巻よりも赤くなる。
「は、は、はははは破廉恥なっ!」
わなわなと震え頭を抱えてうろたえる様子に、ついに佐助は声を上げて笑った。
「あははは、アンタは本当に初心なんだから!」
「か、かように破廉恥な歌とは知らず口にしてしまうとは、不覚でござる…」
「小唄なんてだいたいそんなもんでしょうに。ま、俺様しか聞いてなくって良かったじゃない」
佐助はそう言ってなだめようとするが、幸村は首をぶんぶんと横に振る。頬を冷や汗が伝い落ちた。
「実は…茶葉を賜った時に、お館様の御前でも歌ってしもうたのだ」
「…あらま」
「あのときお館様があれほどお笑いになったのは、そういう訳でごさったか!
うわあぁぁぁ叱って下されおやかたさまあぁぁぁぁぁぁ!!」
幸村はいよいよ炎を出さんばかりに熱くなり、絶叫して床をごろごろ転げ回る。
「旦那、旦那。大将はそんなこと気にしちゃいないって…って聞こえてないな」
佐助はひとつ溜め息を吐き、幸村の悲鳴を後ろにそっとその場を離れた。
湯は茶釜の中でよい具合に煮立っている。
紙の包みを開けば、初夏の芳香がふわりと立ち上った。
「旨いからって飲み過ぎないでくれよ」
「わかっておる」
「寝付けなくって夜中に鍛錬でも始められたら、騒がしくってみんな眠れないし、」
「うむ」
「だからって床の中にじっとしてたら、絶対さっきの事思い出して騒ぐだろうし」
「そ、それを言うなっ」
幸村が恥ずかしそうに手を振り上げるのを、佐助は笑って受け流す。
「はいはい。さ、入りましたよ、旦那」
今日は平穏な日である。
携帯から失礼します。
(;・∀・)つ皿 □ STOP
正味、幸村に破廉恥って言わせたかっただけです。
ありがとうございました。
武田軍かわいいよ武田軍
GJでした
>>228-231 エロピアニストの破壊力は半端ないっすね!
それで会わなくなったのか〜と脳内ではもう確定ですw
本日の公開処刑は、青空無罪×大阪府大芸人です。
時間軸は先生がちちん○い○い火曜組だった頃です。
今更すぎ&愛方以外の攻なんかあり得んと思ってたのに、ちきしょう保管庫め。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
“むばたまの夜の寝覚めの朧月 花踏む鬼(ひと)の名を問へば 夢幻と答ふなり 夢
幻と答ふなり”(浄瑠璃「鬼闇櫻玉琴」)
「二人だけこの世に残して、みんな死んだらええのにな」
ぼくの裸の肩に頭を凭せかけて、蠍座生まれの愛人は物騒な台詞を呟いた。
「真剣に好きやのに、不倫や言われて非難される。ぼくはただ八代さんが好きなだけや
のに、ホモや言われて笑われる。二人とも、自分のしたい仕事やってたらたまたま有名に
なっただけで、他はべつに普通の人と変わらんのに、芸能人やいうだけで、ちょっとした
間違いを人でも殺したみたいに袋叩きされる。いっそのこと、誰もおらんようになったら
ええ。そしたら、堂々と愛しあえるんや」
いなくなればいいって、君の本当の恋人の宇治原くんもかい、と尋ねようとした唇を、
彼の柔らかな唇が塞いだ。生きているような舌が口腔内を暴れ回り、上顎や頬の裏側まで
ねっとりと舐め尽くす。
「それとも、ぼくらが死にましょか?新曽根崎心中と洒落こみます?」
乱暴にして繊細なキスを貪った後で、妖しい瞳が顔を覗きこむ。刃物を握ったふりをし
た手が喉笛に当てられる。どこまで本気なのかわからない危険な光がその目に宿り、二の
腕がざわざわと粟立った。
「大スキャンダルになるよ」
殊更に冗談めかしてそう言って、彼の頭を抱え、今度は自分から唇を重ねた。
彼はふふっと笑って、しれっと言ってのける。
「そうなったかて、その頃にはもうぼくらはこの世におらへんのやから関係ない。でも、
どんな騒ぎになるか、見てみたい気もするな。インターネットでも『祭り』やろうな」
とんだ小悪魔を相手にしてしまったものだ。
いつかの蒸し暑い夏の夜、京都の旅館でのことだったか。床も延べず、服も脱がずに、
畳の上に組み敷いた彼のTシャツだけを捲り上げ、言われるまま、延々と何十分も乳首だ
けを責め続けさせられたことがある。彼は歓んでくれたけど、ぼくには結構な拷問だった。
妻にさえ、ここまで献身的な奉仕はしてやったことがない。
「んっ・・・・あっ・・・・そう、それ。親指で・・・・してみて。もっとして」
「こんなとこ感じるの?菅くんて女の子みたいだね」
いい加減草臥れ、早く挿入させてほしくて、呆れたように言った。性器への刺激でもな
いのに、よくそんなにきゃんきゃん言えるものだ。
「うん、よう言われる・・・・やっ、そんなやらしいいらい方せんといて。もう、先生のエッ
チ」
「自分がやれって言ったくせに。よく言われるって、宇治原くんにかい?」
彼は含み笑いして答えず、Tシャツの裾を咥えてみせる。悪戯っぽい上目遣いで挑発的
に見つめられた瞬間、ぼくのジュニアは限界まで充血して、スラックスを突き破らんばか
りになった。
お願いだからもう入れさせてほしいと、一回り下の同じ辰年生まれのお笑い芸人に向かっ
て、泣くように頼んだ。
「あかん。まーだ。もっとぼくを気持ちようさしてから」
彼は赤んべをする。宇治原くんも日頃、こんな風に足蹴にされているんだろうか。
「こんなこと、誰に教わったんだい?やっぱり宇治原くん?」
「へへーっ」
「君は女を知ってるの?」
唐突にそう尋ねた。彼はまじめそうな顔をしているけど、実はカキタレ(芸人のグルー
ピーの中で、性欲処理をする女性)も多いとか、辛い噂も幾つか耳にする。でも、飽くま
でぼくに限って言えば、彼からは微塵もそんな気配を感じない。それは、彼とこんな関係
になる前、彼と相方が恋人どうしだということを知る前から思っていたことだ。
遊びだろうが真剣な恋愛だろうが、そもそも、この青年が女性を抱いている所というの
が、どうしても想像できない。あったとしても、まるで、女どうしで睦みあっているよう
だろう。
彼は息を弾ませながら、殊更に胸を突き出すようにする。
「ええやないですか、そんなこと。ほら先生、お手々がお留守ですよ!」
「今まで何人くらいの男に抱かれたの?」
「あいつと先生だけですよ」
「嘘つき。その顔と体で伸し上がったんだろ」
闇のパーティのメインディッシュとして、泣きながら、無数の好色な目に、手に、舌に、
素裸の体を撫で回される彼の幻想。そういう絵は簡単に思い浮かぶから不思議だ。相方の
方だったら、それこそ吉本新喜劇になる所だが。
「失礼な。仕事は実力ですよ。だいたい、業界にそんなにホモばっかりおるわけないや
ないですか」
そのけしからぬ心象を読み取ったわけではないだろうが、彼はちょっとむっとしたよう
に、ぷっと頬を膨らませてみせた。
発言の前半部に関して言えば、確かにその通りだ。ぼくだって彼の舞台を観たことはあ
る。彼が宇治原くんの隣に立って、目と目を見交わしながら幸せそうに演技をする様子を
見るのは、彼らがキスやセックスをしている所を見せつけられるのと同じくらい苦しかっ
たけれど、でも、おもしろかった。脚本はみんな彼が書いているそうで、芸事に対する彼
の情熱と完璧主義には定評があるという。
しかし、後半部には全面的な同意はできない。ぼくだって、この年になるまで、まさか
男性を好きになるとは思わなかったのだ。人間は多かれ少なかれ、バイセクシャルな部分
を持っている、というのが今のぼくの私的見解だ。昔は男を抱くなんて、考えたこともな
かったけれど。
「先生、そんなしょうもないこと言うてる暇があったら、さっきみたいにお口も使て下
さい」
「しょ、しょうもない・・・・」
少し傷つきながらも、彼の胸に唇を寄せ、最前からの愛撫によって赤く充血した乳首を
掬うように舐め上げた。彼が背を反らせ、ひっ、というような声を洩らす。左右の乳輪を
代わる代わる、柔らかくしゃぶる。凛々しい眉を切なそうに寄せたその顔は、感受性の強
すぎる、潔癖な少女が、身を切るような悲憤を堪えているようにも見える。
何の繋がりもなく、昼間彼と二人で見た、蓮華王院三十三間堂の仏たちが頭に浮かんだ。
薄闇の中、圧倒的な迫力で林立する、千一体の千手観音と、その配下の異形の者たち。訪
れる人はその中に必ず、見知った顔を見るという。
古の人は、これほど夥しい仏に、どれほどの悩みを託したのか。どんな救いを求めたの
か。仏は黙して語らないが、人の世は、人の心は、今も昔も変わらない。
長く法律などに携わっていると、しばしば、絶望的な厭世感と虚無感に襲われる瞬間が
ある。あのド図太い橋下くん辺りならそんなことは思わないかも知れないが。
「ねえ、ひろ」
胸から顔を上げ、ぼくだけの愛称を呼ぶ。宇治原くんでさえ、彼のことをこんな風には
呼ばないらしい。
「うん?」
「この世に生きるってことは、苦しみそのものだね。人は結局、ジョークやユーモアで
覆い隠すことでしか、その苦しみを忘れることはできなくて、でも、そうして笑い飛ばす
ことができるっていうことが、人間に与えられた最大にして唯一の強さなんだろうね。君
と宇治原くんは、立派な学歴を持ちながら、それを職業に選んだんだよね」
思わず、空気の読めないマジ語りをしてしまってから、しまったと思った。案の定、彼
は面喰らった様子で、
「な、何ですか急に。さっきぼくがしょうもないって言うたこと気にして、難しいこと
言わなあかんと思わはったんですか?それとも、もうほんまにおっぱい構うの邪魔くさなっ
たとか?」
最後の言葉について言えばかなり真実だが、慌てて手を振った。
「いや、そういうわけじゃないけど。ごめん、忘れて。君はまだ若いし、何もかも持っ
ているからわからないよね」
「身長以外はね」
と深刻そうな顔をするので、思わず笑ってしまった。
「バスケットやってたんでね、あいつと違て、チビなんが恨めしかったんですよ。まあ、
小回りが利くんで、みんなの足の間かいくぐってボールひったくるんが得意でしたけど。
先生にも見てもらいたかったな。
いや、ぼくなんか大したことないですよ。先生の方こそ、何もかも持ってはるやないで
すか」
そう言って、ぼくの大好きな、コロコロコロ、という甲高い笑い声を上げる。
そう。生まれた時から、明るく暖かい日なただけを歩いて来た。何一つ後ろ暗い点も、
罪も穢れもない、栄光に満ちた完璧な人生を送ってきたのだ。
昔、裁判官として人を裁いていたことがある。自分にはそうする資格があると思ってい
たし、弁護士に転身してからもそれは変わらなかった。人の悩みを解きほぐす力も、マス
メディアに登場して偉そうなコメントを述べる値打ちもある人間だと思っていた。
初めて彼を抱いた、あの日までは。
彼はふと遠くを見るような目になり、しんみりと言った。
「さっきの話ですけど、わかりますよ。ぼくかて、芸人やし、もの書きですから。いず
れは本も書きたい思てるんです」
無言で彼を抱きしめ、その愛しい唇に深く口づけた。ベルトを外し、ジーンズを脱がせ
ようとするぼくの手に、彼はもう抗わなかった。
ぼくは明日の朝一番で東京に戻らなくてはならない。今度はいつ訪れるかわからない、
黄金の一時。ほんの束の間の、恋人たちの夜。
古都の仏たちよ、目を逸らせ。
仕事に向かう車の中に、彼の歌う甘ったるいメロディが流れている。
「嫌や、聞かんといて」と散々言っていたけれど、彼が随分昔に出したというアルバム
を買ってみた。三組六人の漫才師で結成されたユニットで、当時、近畿圏ではかなり人気
があったらしい。勿論、宇治原くんも下手な歌を披露している。京大法学部だからといっ
て、音楽的才能があるとは限らない。
妻子と一緒の時はさすがに後ろめたくてかけられないけれど、普段の通勤時や、公判や
TV出演の行き帰りなどには、彼のお世辞にも巧いとは言えないソロ曲をエンドレスで流
している。これでも、血の滲む、どころか、血反吐を吐くような特訓をしたのだそうだ。
本業の稽古より大変だったらしい。
内容は、マイルドで他愛ない恋の歌だ。この歌を録音したのは、ぼくたちが出会うずっ
と前のことだ。その頃にはもうとっくに、彼は宇治原くんを愛し、宇治原くんに愛されて
いた筈だ。
作詞は彼ではないようだが、「語りあった日のさりげない言葉に力づけられてる」とい
うフレーズを含む一連の歌詞を、彼は誰のことを思って歌ったのだろうか。
風に弄ばれる木の葉のように、思いは千々に乱れるが、凄惨な刑事事件や泥沼の民事訴
訟を扱った後、彼のひどい歌にどれほど慰められたかわからない。時には妻の肌よりも、
料理よりも、また息子の声よりも、笑顔よりも、ささくれた心と疲れた体を癒してくれた。
青山の交差点で信号待ちをしながら、彼のアンニュイな鼻声に耳を傾けている。朝から
滝のような豪雨だ。フロントガラスに降りかかる水滴とワイパーとの果てしない攻防を眺
めながら、半月ばかり前の、那智での逢瀬を思い出す。
あの晩は二人とも、いつになく燃えた。夜の底に遠く轟く瀑布の音を聞きながら、彼は
ぼくの上に打ち跨り、普段の知的青年の面影など微塵もなく、汗塗れになってイク、イク、
と狂乱しながら普陀落に達した。或いは、ぼくの体に四肢を絡みつけ、喰い千切らんばか
りの締めつけでこちらを歓喜させつつ、腰を振り立て、快楽の果てに何度も奈落の闇へ堕
ちて行った。
今は遥かな西の空の下にいる彼を思う。「緩やかに流れる時間ばかりじゃない だけど
君の微笑みあれば何も要らない」と、ぼくが知らなかった頃の、ぼくを知らなかった頃の
彼は歌う。
信号が青に変わり、アクセルを踏んだ。誰の側にいてもいい。彼の心に憂いがなく、元
気で、微笑んでいるのなら、それでいい。
夜半過ぎ、ふと目が覚めた。脇を見ると、ぼくの腕を枕に寝息を立てていた筈の彼の姿
がない。
部屋を見回すと、一糸纏わぬ姿のままで窓辺に腰掛け、カーテンの隙間から外を見てい
た。
彼の側に立った。大阪湾の上空に浮かぶアメジストの月が、仄白い頬を伝う涙に宿って
いる。
「ひろ・・・・どうして泣いてるの」
蘭の花の強い香りが立ち籠める中、そっと、後ろから彼を抱きしめた。彼はぼくの手に
手を重ねながらも、かぶりを振って答えない。彼の裏切りなど夢にも思っていないであろ
う、やさしい恋人の面影を月に重ねていたのだろうか。
不意に、激情が胸に込み上げた。殺したいほどの憎しみと、彼の為ならいのちを捨てて
もいいという愛しさが入り交じって、怒涛のようにぼくを呑みこみ、圧倒した。
「今は忘れてくれよ」
「え?」
「忘れろ、宇治原のことなんか!」
何という奴だろうかぼくは。自分だって、妻のことをすっかり忘れて彼と寝たことはな
いくせに。
「おまえは俺のものだ。俺のことだけ見てりゃいいんだよ!」
引きずるようにしてベッドに連れ戻し、力ずくで押し倒した。生まれたままの裸身が無
防備に曝け出され、彼は恥じらいを示して、秘所を手で覆い隠し、長い睫に飾られた目を
伏せた。既に何度も肌を重ね、互いの最も動物的な姿を見せつけあった後でも、そうした
慎みを決して忘れない彼の奥床しさを、ぼくはこよなく愛する。
髪の毛を掴んで、荒々しくキスを奪った。ぼくの勢いに戸惑いながらも、頭と背中に手
を回してきて、力強く、誠実に応えてくれる。
足を開かせた。すぐさまあの温かい、ぬらぬらと湿った肉の洞に押し入って、めちゃく
ちゃに突き上げ、掻き回したいという凶暴な破壊衝動を辛うじて堪える。
代わりに、片足を肩に掛け、太腿の内側に唇を這いずらせて、背徳の緋文字を刻みつけ
た。今まで、痕を残さないだけの理性は保ってきたのに。あの男が見つけても、それによっ
て彼が、延いては自分が、どんな苦境に立たされても、もう構わなかった。
彼の最も男性的な部分が、かわいそうになるくらいに固くそそり立ち、血管を浮き上が
らせて戦いている。彼の繊細な美貌に全く見合わない、その猛々しさ。先端から透明な雫
を滴らせるその様子は、彼のその部分が泣いているようにも、また、その身が燃え尽きる
まで蝋涙を流し続ける蝋燭のようにも見える。
「いや、見んといて・・・・。見たら・・・・あかん」
細い声で訴えかけるのを無視して、熱い息を吹きかけた。両手でそっと根元を包み、先
端を軽く咥える。チュッチュッと唇を鳴らして吸い上げ、舌で前後に転がすようにすると、
ひくっ、と身を震わせ、子供のようにいやいやをする。
濡れた指で、ゆっくりと時間をかけて、奥へ通じる所を揉みほぐし、押し広げた。
「ひろ、入っていい?」
「はよ・・・・早う、ちょうだい、八代さん」
月明かりの差しこむ白いベッドの上で、ぼくは花を踏み荒らす。
英輝、ああ、英輝、死ぬ、死んでまう、もう、殺して、殺して!ぼくの背中を掻き毟り、
彼は何度となくそう泣き叫んだ。男二人分の体重に、ベッドのスプリングも悲鳴を上げた。
もしも彼岸というものがあり、この世の法で裁かれることのない罪を裁く力と権威を兼
ね備えた、大いなる何者かが存在するのなら――。
上等だ。ぼくは彼と共に、六道を巡ろう。
だってこの世には、今という時しかないのだから。ここという場所しかないのだから。
彼の星屑を宿す瞳も、肌の温もりも、こうして二人一つになって高みに上りゆく感覚も、
全て、ただ一度きりのものなのだから。
銀青の鱗を光らせて、ぴちぴちと跳ねる魚のように、彼の小柄な体が弾む。ぼくの愛が
彼の中にざあっと流れ出し、彼の愛にぼくの肌がしとどに濡れる。
「・・・・八代さん」
汗ばむ胸に頬を擦り寄せて、彼は囁く。
「ぼくはさっき、あいつのことを思い出してたんやないですよ」
「・・・・ああ」
嘘か本当かわからない。もうどちらでも構わなかった。彼がそう言ってくれた、という
だけで。
「ごめん」
頭を抱き寄せ、そっと瞼に口づける。
「気にせんといて下さい。お互い朝から忙しいんやし、休みましょ」
謎めいた弱々しい微笑みを見せて、ぼくにタオルケットを着せかけようとするのは、何
者か。天使か、悪魔か。菩薩か、夜叉か。
ぼくはその手を頑なに拒む。
「眠らない。寝かせない」
別の誰かの夢を見てほしくないから。
彼を俯せにさせた。うなじを軽く噛む。彼がシーツを握りしめ、深く息をつく。その白
い肩から背へ、背から腰へ、淡雪を解かすように、舌を伝わせてゆく。
Fin.
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
しかし、コキュという役所が妙に似合いますな。>京大出の人
落転投手×日公投手です
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
最近、自分の好調さに、少々ノリ気になってしまってる今日この頃。
今日も、ファンの皆さんの歓声と、監督からのお褒めの言葉が耳に残る中、帰り支度をしていた。
急に、扉をノックする音が聞こえた。
「・・・監督?」
「飲むさんやったら、もうお帰りやろ」
紛れもなく「あの人」の声だった。慌てて私服を正し、扉を開ける。
「樽゙さん!来てくれてたんですか!」「そ。今日は、完投おめでとな」
「ありがとうございます。・・・でも、どうしてここに?」
「ああ、頼んで特別に来さしてもらってん。心配すんな、嫁さんには『自主練長くなる』って送っといたから」
「・・・久々に、キャッチボールもしたいしな」「ああ、そうですね。すぐ出ますんで、待ってて下さい」
「行きますよー」
ボールを受けた樽゙さんのミットが、パシッと快音をたてる。この音を聞くのも、もうどれくらいぶりだろうか。
「樽゙さん、お子さんできて、どんくらいになります?」「せやなー・・・もう、1年くらいになるか」
「いいですよねー、樽゙さん。僕と2つしか違わないのに、もうお父さんじゃないですか」
「いやーでもな、赤ん坊相手ってのも、結構きついもんやで。たまには、手伝いに来てや」
「夜も込みでな」
思いっきり吹き出して、ボールを落としてしまった。
「多.仲お前、今の笑い方・・・お前もなんか考えがあったんやろ!何かかこつけて俺と寝たいとか、思うとったんちゃうんか!」
「いや、ちょ、言わないで下さいよ!」
「・・・まあ、図星ですけど。やっぱ僕、溜まってるっていうか・・・結婚して、息子さんがいても、僕は樽゙さんが・・・っ・・・」
言い終える前に、向こうから唇を塞がれた。
軽く触れるくらいだったけど、樽゙さんの体温を感じて、全身がぞわりとした。
「ありがとさんな、嬉しいよ」「樽゙さん・・・」
「最近はごめんな、でもしゃーないねん。もう嫁さんもせがれもおるし、今は家のこと、1番に考えとらんといかんからな」
「分かってます。・・・でも」
「たまには僕に不倫してくれてもいいんですよ?」
「お前なぁ!言ってええことと悪いことがあんねんぞ!」
「樽゙さん、超赤いっすよー!」「あほかー!」
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
先日のインタビューでのスーパーツンデレにたぎって書いた
お仲間が増えたらいいな・・・
257 :
追伸:2009/06/16(火) 00:32:39 ID:bkNX0kagO
日公は大阪出身だと聞いて、下手ですが頑張って関西弁っぽくしたつもりです
伏せ下手ですいませんでしたorz
お借りします。 オリジナルです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
259 :
秘密 1/2:2009/06/16(火) 01:26:29 ID:G3n3GlJq0
まだ震えが止まらない。
キャスは痩せているし、唇や眉にピアスをしていて、たまにアイラインなんて引いているから
エモだとか、ゲイだとか言われてからかわれていた。
そして、そうやって一番いじめているのがカイルだった。
カイルは女の子にモテるし、スポーツも勉強もできるという典型的な人気者だから、
皆カイルのマネをしてキャスをからかってた。
キャスはどう思ってたか知らない。彼はいつも、どうでもいいって感じで無視してた。
それが僕には何となく大人っぽく、かっこよく思えた。もちろんそんなことカイル達には言わないけど。
夕方の暗くなった校内。
レポートのコピーを安くあげようと、誰もいない司書室に忍び込んだことを後悔する。止めとけばよかった。
奥の準備室で物音がしたからといって、見にいかなければよかった。
隙間から見えたのはカイルとキャスの姿。二人っきりでいるなんてあり得ない。
最初は何してるのか分からなかった。ケンカして縺れ合ってるのかと思った。
キャスは辛そうで、ピアスが光る唇からは溜息がこぼれていたし。
大きな手がキャスの顔を掴んで引き寄せ、細い身体を抱きしめている。
椅子に座ったカイルにキャスが抱きかかえられている。キスしてる!?
260 :
秘密 2/2:2009/06/16(火) 01:26:54 ID:G3n3GlJq0
僕はとっさにばれないように身を潜めた。気づかれてはいないみたいだ。
というか、二人とも夢中でお互いしか見ていない。
後ろにまわされたカイルの手は、Tシャツの中に滑り込み、キャスの背中をゆっくりとさすっていた。
キャスの身体が、それに反応するようにしなやかにくねる。
時折キャスがかすれたような声を漏らすと、すぐにカイルが唇を塞ぎ、静かになる。
部屋に響くのは、普段聞こえないような衣擦れの音、そして舌が絡みつく音だけ。
心臓の音が聞こえてしまいそうな気がした。
結局僕はコピーも出来ずに、こっそりと司書室を出て行くはめになってしまった。
なんなんだ? あの二人。震えが止まらない。頭の中がぐちゃぐちゃだ。
誰に言っても、信じてもらえないだろうな。
そう思ったら何だかほくそ笑んでしまった。
ありがとうございました。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
逆/転/検/事
マニダミマニです。
!!!マニィがほぼオリジナルなので苦手な方はご注意を!!!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
二重底の金庫からダミアンがそれを見つけたのは、殆ど奇跡と言っていい。
3人の検事や警察が、それこそ虱どころかミジンコだって潰しそうな勢いで探し回った後だ。
その後に書類の整理をしようとしただけのダミアンが、こうも簡単にそれを見つけるとは。
マニィだったらそれを厭味とからかいに唇を歪めながら「愛の奇跡」とでも言ったのかもしれないが、ダミアンはそこまで厚顔無恥には成れなかった。例えマニィが死んだ今であってもだ。
素っ気ない白い封筒に、「ダミアン」と宛名だけ書かれて、封すらされていない。大事だと思われなかったのか、封がされていないのだから中身はあらためたのか、ダミアンには分からない。
そこに書かれた神経質そうな尖った字は、明らかに見慣れた彼のもの。
「もし貴方がこれを読んでいるなら私は死んでいるのでしょう」などという、むず痒い程にありがちな書き出しに、彼はさぞ面白がってこれをしたためたのだろうという事は分かる。
ダミアンは思わず笑い、それから「捜査員各位様、これは個人的なラブレターです」という端書きに眉を寄せた。
自分が綺麗な死に方などできないことは承知していたのだろう。
黒い噂に常に晒され、あんな悪人面で「悪銭身につかず」だの「因果応報」だのと平気で宣う男だった。
最初はそれを悪い冗談だと思い苦笑し、その範疇にはマニィ自らも入っているのだと気付き呆れた。そんな彼をダミアンはダミアンなりに心配し、なによりそんな彼が好ましかった。
「私をこんな目に遭わせたのは、世界中の仲間の誰かなのだろうし、それが誰なのかは私もその時にならないと分からない。
黒幕の名を挙げるのは簡単だが、証拠もなければ君達が煩悶するのは分かっているからそれも止しておこう。
そもそも黒幕はやはり私なのかもしれない。ならば私からそれを聞き出すことに何の意味がある。
各々の職務に忠実であれ。是非捜査に励んで欲しい。
だからこの手紙は、私が唯一尊敬し、焦がれ、渇望したダミアンに送る。
貴方が精練潔白、処女の如く清いことは捜査員の誰から見ても明らかだろうから、敢えてそこに言及するつもりはない。もし疑われるようなことがあれば、彼らは私が思うより無能なのだろう。残念だ。」
挑発しているのか面白がっているのか分からない文面を読みながら、やはり捜査員はこの手紙を見落としたのかもしれないと思う。寧ろ願う。
「さてダミアン。私が死んだ今、貴方がしなければならないことはただ一つ、ダイカイ像の廃棄だ。とにかく早急に手放すこと。
なにせ聖母の如く潔白な貴方のことだから、そういった薄暗いルートには疎いかもしれない。
しかし、貴方が私に勝てる唯一無二の類い稀なる取り柄は交渉術なのだから、なんとでもなる。いや、しなさい。
貴方が脱ぎ散らかしたジャケットを見たときの私の顔を想像してほしい。それくらい真剣な話だ。」
確かに般若か鬼か悪魔かというほど怒った顔は、ダミアンにも容易に想像できる。
彼はダミアンが書類に印を押し忘れたとか、或いは待ち合わせに30秒遅れただとか言うときですらほぼ同じ顔をしたのだけれど。
「貴方を大使にしてみせようと約束しただろう。私を無能な部下にはしたくないはずだ。
私の計画の最期を貴方に委ねるのは些か不安だが、私の最期の頼みだ。」
なにを勝手な、と思いながら、金庫に入れられた偽のダイカイ像に目をやる。
今やこの像の価値は、隠し扉を持つことだけだ。手放すのは何も惜しくない。
元はそれはダミアンとマニィの二人だけで共有した秘密だったが、今となっては検事や警察の彼らにはバレてしまった。
その他の瑣末な彼との思い出は見てのとおり焼け落ちた。国のため民のためと望んだ大使の座は、意味を無くしたは大袈裟かつ耽美すぎるにしても、その夢の側に必ず在った男を亡くして随分色褪せてしまった。
「そして、この手紙は暖炉で燃やしてしまうこと。」
唯一残ったダミアンに向けられた手紙は、けして存在してはならないものだ。密輸団の指令書は読んだらすぐに燃やされるものなのだと言う。これはそういう類の物だ。
「燃やした後はどうするか、もしわからないなら貴方と過ごした時間は随分無駄に浪費されたことになる。」
「「暖炉の灰は片付けること」」
手紙の文面と一字一句変わらぬ言葉が口から漏れた。それを忘れたから君の死体を運んだ人間がわかったんじゃないか、と言い訳をしても、彼はたぶん嫌悪と軽蔑が混じった冷たい目でダミアンを睨むだけだろう。
「……君は、本当に酷い」
あと一つだけ、という但し書きと共に2枚目の便箋にしたためられたたった一行を見下ろし、ダミアンは苦笑した。
「ダミアン、手紙の最後に付け加える言葉も、分かっていないとしたらがっかりだ。」
署名と一緒書かれた、それこそありきたりな結語に、ダミアンはただ便箋を握りしめた。
「マニィ・コーチンより 愛を込めて」
お邪魔しました!
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>258 萌えすぎますた…
ありがとうございます
>>242 棚の姐さんたちのおかげさまで最近
大阪府大が常にエロく見えて仕方ないです
ごちそうさま
「刃鳴散らす」赤音→伊烏の過去話後編。前編は前スレ474-480。
ネタバレ気味、エロ皆無。マイ設定炸裂&将棋ルール無知につき御免。
長いので一度中断を挟みます。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
--------------------------------------------------
「では」
「ああ」
布巾で手を清め茶で口内を流したのち、互いに姿勢を正し一礼。
「お願いします。お手柔らかに」
「安心しろ。もはや手心の余裕などない」
「ほんとですか? なら嬉しいんですが」
今度も先手は赤音、後手は彼。
時に黙して熟考し、時に他愛のない言葉を交わしつつ交互に駒を進めてゆく。
「師範代には先手必勝どころか、一度も勝てたためしがないものなあ」
7六歩――
「お前に師範代と呼ばれるのは、どうも慣れないな」
――4四歩
「昔みたいに、伊烏さん、なんて馴れ馴れしく呼べませんよ」
4八銀――
「あなたはいずれ刈流の看板を背負って立つ器の方なんですから、もっと自覚を
持ってくださらないと困ります」
「大袈裟だな。俺ごとき若輩をそう持ち上げるな」
――3二銀
「自覚がないのは、むしろお前だろう」
「おれ?」
ああ本当に無自覚なんだなこの人は、などと考えていた当の相手に指摘され、
赤音の手がはたと止まった。
「ああ。最近の上達は目覚ましいと先生が仰っていた。俺も同意見だ」
彼に褒められた。
赤音の胸が一気に高鳴った。
「基本の修練を怠らず、己の特性をよく理解しているから応用力が高い。何より
咄嗟の反射神経がずば抜けている。もう同年代でお前に敵う者は居まい」
「あ、ありがとうございます!」
彼が自分の剣を認めてくれた。
たとえそれが師範代の務めに過ぎなくとも、赤音は天にも昇る心地だった。
こんな彼の長広舌は稀という点でも感動的だが、それはまた別の話である。
「っと、す、すみません」
嬉しさにすっかり惚けていたことに気付き、慌てて次の手を打つ。
「慢心は禁物だが、今の自分の位置を知るのは悪くない。お前の先導があれば、
同輩や後進の者も励みになるだろう」
「はい! おれ、頑張ります」
勇む赤音に、うむ、と彼は頷き、
「弛まず精進し、他の門弟にも範を示してやって欲しい。だからな」
ぱちり。
音高く駒を置き、赤音の目を正面に見据えて言った。
「街に使いに出るたびに何かと騒動を起こすのはよせ」
「……肝に銘じます」
素行を改めよ、との迂遠な説教であった。
「もう、人が悪いですよ師範代」
よもや持ち上げて落とすなどという高等戦術を彼が駆使するとは思わなかった。
本題はそっちか。説教は勝手に絡んでくる馬鹿や言い寄る阿呆にこそ必要だろう。
内心やさぐれる赤音に、しかし彼は静かに首を振ってみせた。
「全て本当のことだ。お前は自分で思っているよりも強い。だからこそ、道を
誤ることなきよう心を鍛えねばならぬ、と先生も危惧しておられた」
そんな心配は無用だ。諭す青年を前に赤音は思う。
(道、か)
道ならば間違えようもない。見誤るはずもない。
なぜなら赤音の剣の道は、闇を貫く一条の光線さながら、くっきりと疑うべくも
なく、常に彼方の一点を指し示しているからだ。
目の前の一本道に迷うべき如何なる要素も存在しない。
一点、ただ一点のみを見つめて修行してきた。ずっと。
それで赤音が強くなったというのなら、それこそが赤音の正しい道だ。
もしもそれが邪道と謗られるならば、赤音にとって剣の正道などというものは
毫ほども価値を持たない。
「先生ほどの高潔な武人を俺は他に知らん。お前もあの方を模範に道を学ぶといい」
違う。
彼は何も知らない。わかっていない。
確かに師は尊敬すべき人格者だ。教えを乞うに相応しい武の達人だ。
けれども赤音の到達点とは似て異なる。
まして、原動力には決して成り得ぬのだ。
(おれの)
(おれの道は)
(おれの剣は――)
「おれの剣は、あなたなんです」
気付けば赤音は、胸に秘め置くはずだった熱情を吐露していた。
やらかした。
微動だにせぬ無表情の――虚を突かれて呆然と固まった――彼の前で、赤音は
猛烈な後悔と混乱に陥っていた。
何うっかり本音を口走ってるんだ。しかも文法的に崩壊して意味不明だ。
普段は流暢に回る舌が錆付いて動かない。頭が真っ白だ。フォロー。フォロー。
凍て付いた彫像相手に、口をぱくつかせること数秒。
「――――」
「…………あ、ああのですね! つまりはあれですその要するにおれにとっちゃ
あなたはいわゆるひとつのあれが剣の星だっていうか明日のためにその一というか
ああ誤解しないでくださいね別にあなたの猿真似したいってんじゃなくてそのゲホ、」
言語機能より運動機能が先に復活したらしい彼が無言で湯呑を差し出す。
「あ、どもすいません」冷めた茶を一気飲みし、「……つまり、ですね」
「――……俺が剣の目標だ、と?」
「……ぶっちゃけそうです」今の自分は耳まで赤いに違いない。
「……そうか」彼は眉間の皺を深くして表情を曇らせた。「悪いことは言わん、
やめておけ」
「なぜです」否定など聞きたくなかった。「さっき後輩に範を示せと言ったのは
あなただ。ならおれがあなたの背中を追って何がいけないんですか」
稽古場で初めて会った日。一目見たときから彼の剣に恋していた。
才が花開く前の拙い剣技に宿る、他の誰とも違う輝きに魅せられた。
「馬鹿な夢と笑ってくれて構いません。あなたみたいにおれも、おれだけの剣が
欲しいんです。あなたが誰にもない、あなただけの剣を持っているように」
言ってから、赤音はまたも口を滑らせたことに気が付いた。
叱責が来ると思った。未熟者が論評家気取りの口を利くな、と。
返ってきたのは予想外の問いであった。
「いつから――知っていた」
驚愕を声に乗せ、彼は瞠目していた。
まるで何かの禁忌でも暴かれたかのように。
彼の不可解な態度の意味は判じかねたものの、赤音はただ真実を答えた。
「もうずっと前です」彼と出会ったのは入門してすぐの頃だ。
「……そうか」彼は深く溜息を吐いた。「人目には常に注意を払っていたのだが」
「……師範代」
「しかし同じ道場で暮らしていれば、隠しおおせるものでもないか」
「…………あの」
「折り入って頼む、赤音。先生や皆には内密に――」
「師範代?」
「なんだ」
「なんの話です?」
二人の間を吹き抜けた涼風が、りん、と風鈴を鳴らした。
†
……何やら自爆した格好の彼が自首犯よろしく訥々と白状したところによると、
深夜皆が寝静まった頃合を見計らって、人知れずある特訓をしていたものらしい。
「……俺にも夢というか、な。野望がないわけではない」
ぼそりと呟きめいた告白に、赤音は少なからず驚いた。およそ野心などという
ものとは最も縁遠い人だと思っていたのだ。そういえば、彼が何を思って日々
鍛錬に打ち込んでいるのか、肝心なことを自分は何も知らない。
普段彼に軽口を叩いてはいても、互いの夢や理想について語り合うことなど
赤音はこれまで一度もなかった。資格の有無を己に問うたことさえなかった。
天の高みに冴え光る月が、いきなりすとんと目の前に降りてきたような不思議な
心地だった。
「聞かせてください」どぎまぎする内心を押し隠して訊ねる。
「笑わないか」
「約束します」
――勝利への飽くなき希求。そのための新しい方法論の模索。流派に囚われぬ
既存の型の改良と応用。新技の考案と実用化――
静かな口調に熱意を秘め、彼は己の抱負を語った。
「刈流兵法の末尾に俺の技を連ねる、などと望みはすまいが……古の技を学ぶに
とどまらず、いかなる強敵にも常勝を期する戦法をこの手で完成させたい」
なるほど彼は、毎夜密かに新技の開発に励んでいたのだ。
流派に拘らぬ発想とは、場合によっては刈流の否定にも繋がりかねない。師が
聞けば、道半ばの青二才が徒に刀刃を弄ぶな、と激怒するのは目に見えている。
最悪の場合は破門だ。師範代の彼が門弟への影響を恐れたのも無理はない。
「それが、あなたの夢なんですね」赤音には、勝つための高みを目指す彼の貪欲な
姿勢は全く正当なものと思われた。「それで、その技はどんな?」
彼は、ん、と少しの間ためらった末、口を開いた。
「……そうだな……実を言えば行き詰まっていた。もし欠陥があれば指摘して
くれるとありがたい。……聞いてくれるか」
「ええ。ぜひ」
「……世話を掛ける。……まず――」
――――魂の震撼、としか形容しようのない衝撃だった。
「……それは」
戦慄と高揚。全身を貫く相反する感動に絶句し、知らず身震いが起こる。
やはり自分の直感は正しかった。赤音は今こそ確信する。
伊烏義阿こそは真の天才。闘刃の化身だ。
刈流がベースでありながら全く新しい形にまで昇華した、異形かつ必勝の型。
常人には及びもつかぬ逆転の発想。
実現すれば無敵に近い、まさに剣術の極北。
いみじくも彼の言う通り、兵法書に新たな頁を書き加えることは不可能だ。
彼自身の類稀なる才能と磨き抜いた技術のいずれが欠けてもこの技は成立しない。
ロジックのみを語り伝えたところで後世の誰に再現できよう。
この世で彼のみが振るうことを許された、それは魔剣だ。
赤音を魅了した剣の至極が、今まさに結晶しようとしている。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
続きはのちほど投下させていただきます。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )再開します。
だが、と。赤音は思う。この魔剣には――欠陥がある。
致命的、あまりに致命的な。彼の天賦の才や努力では埋めるべくもない欠陥が。
「――やはり、無理があると思うか」
問われてはっと我に返り、赤音は努めてゆっくりと、言葉を選んで答える。
「……そう……ですね。ひとつだけ、大きな穴があります。それは――」
「それは?」
一拍の間を置いて、赤音は悪戯めかして片目を瞑ってみせた。
「練習相手の不在です」
ぽかん、と盲点を突かれた様子の彼を見て、あはは、と破顔する。
「おれでよければ手伝わせてください。人目に付かない特訓場所も知ってます。
斬られ役でもなんでもやりますよ。もちろん真剣以外で、ですけど」
「赤音……」と、彼は思い直したように首を振る。「……いや、駄目だ。お前まで
俺の酔狂に付き合わせるわけにはゆかん」
「水臭いですよ今さら。聞いたからにはおれも同じ穴の狢です。先生にも皆にも、
誓って他言しません。大事な夢を、酔狂だなんてどうか卑下しないでください」
「だが――」
「理論上は完璧です。確かにあなた以外には絶対に無理ですけど。実際の人間を
相手に練習を重ねればきっと、いえあなたなら必ず成し遂げます。おれにできる
ことはなんでも言ってください。おれも、あなたの夢を見てみたいんです」
「……赤音」
かなりの葛藤を見せたのち、意を決したように彼は右手を差し出した。
「……ありがとう、赤音。恩に着る。よろしく頼む」
笑顔で彼の手を握り返しながら、赤音は彼の心の鈍感さに初めて感謝した。
†
あれほど楽しみにしていた彼との勝負だというのに、有耶無耶になった一局の
仕切り直しに臨む赤音の心境はひどく沈鬱だった。
対面で棋盤を睨み黙考する青年を複雑な思いで眺めやる。
彼はいずれ魔剣を会得する。
十日後か十年後かは不明だが、それは確定した未来だ。ずっと彼の剣を見てきた
赤音にはわかる。彼は必ず異形の必殺剣を極める。
だが、極めてどうする?
現代の剣術界に、死ぬまで斬り合う真剣仕合の場などもはやない。
それ以前に、既存の戦いの常識を真っ向から覆してのける魔剣を相手にしては、
木刀での模擬仕合すら成立しない。刈流はおろかどの流派でも異端視は免れまい。
長い歴史の中で洗練と進化を重ねた先人の技に、彼が独自の研鑽を加えて昇華
した必勝のシステム――魔剣。
極限まで合理性を追求したその基本理念は、結果だけ見れば皮肉にも、洗練とは
対極の蛮行に酷似している。すなわち、勝機の別も敵の力量すらも関知せず、全て
等しく斬り捨てる、という慮外の暴挙。
技の原型は刈流であっても、世界と調和する人間性の完成をもって剣の究極と
する刈流の思想はそこにはない。師ならば外法と罵倒することだろう。
襲撃し、殺傷する。ただそれのみを冷徹かつ確実に遂行する。それが彼の魔剣。
世が世ならば、戦神もかくやの活躍を見せた絶技に違いない。
だが銃火器や爆弾によるテロが横行する当世、刀剣を用いた実戦はただ一箇所の
例外を除き、とうに過去のものと化した。巷間において剣術に求められる役割は、
かつての戦闘術から護身や精神的修養としての側面にシフトしている。
思想性とは無縁の、特異で異常な攻撃性を有した魔剣は、一般社会はもちろん
剣術界にも受容される余地がない。
そして何より、彼以外の人間には修得さえも成し得ない。
――つまり。
必勝不敗を誇るはずの魔剣は、ついに鞘から抜かれることなく。
その存在すら認められず。
ひとりの天才の寿命が尽きると同時に、ただ人知れず消えるのだ。
生まれる時代が遅過ぎた、という欠陥ゆえに。
静寂の中、ただ盤上の戦局だけが刻々と変化してゆく。
彼は黙して語らず、赤音もまた言うべき言葉がなかった。
どの剣よりも勝利の頂に近付きながら、忌み子として闇に葬られる。
あまりに哀しい魔剣の宿命を彼は知っているだろうか。
酔狂と自ら言ったように、承知の上だろう。探究の最初期に考え至らぬはずがない。
それでもきっと彼は、そうせずにはいられなかった。
世の理も流派の教えも自らの立場も顧みず、ただ、剣者として。
ひとりの剣者として、錬磨の果てを見極めずにはいられなかったのだ。
彼の勝利に対する狂おしいまでの渇望が、赤音には痛いほど肌身に感じ取れた。
おそらくそれは自分というひとりの剣者が、彼という高みに恋し、焦がれ――
いつの日か戦う未来を切望して己を高め続けるのと、どこか質を似通わせていたから。
自分だけの剣を手に入れて、彼の剣と競い合わせることをずっと夢見てきた。
同門に学ぶ者としては、彼の魔剣開発を制止すべきだったのだろうと思う。
赤音の言葉程度で志を曲げる彼ではなかったろうが、それでも止めるべきだった。
理解と支援の姿勢を示し、彼の背を押したのは、断じて彼のためなどではない。
いつか交えたい剣の至高の姿を見極めたいと願う、赤音のエゴに他ならなかった。
それが彼の人生において、報われぬ徒労の結果に終わろうとも。
(ああ――そうか)
自分と彼は魂の造りが似ているのだ、と赤音は悟る。だから彼の剣に惹かれたのか。
剣の前では他の全てが意味を失う、度し難くも愚かしい生き方。
愚者と愚者がたまたまこの道場で出会った。それだけのことだ。
劣勢の盤上を赤音は見る。容赦なく赤音を攻め抜き、追い詰める青年を見る。
彼は赤音の次の手を待っている。
(――――待っている? ……)
落雷の衝撃をもって理解は訪れた。
待っている。彼は、そう、待っているのだ。対手を。
待ちわびている。鎬を削り、剣者としての生命を燃焼させるに足る敵手を。
勝利に飢え、振るう当てなき暴虐の剣をひたすらに磨く。
それらはひとえに彼が、まだ見ぬ己の敵を欲しているためではなかったか。
腹の底から沸々と滾り出す灼熱を赤音は自覚する。
(何をちんたらやってるんだ、おれは?)
それは未だ力及ばぬ自分への怒りであり、眼前の青年に対する闘志であった。
彼の魔剣は徒労ではない。徒労であるはずがない。
なぜならばこの自分の剣がある。
因果の順が破綻していようと関係なかった。ただごく自然に思った。
彼が待っているのは、おれだ。その望みに応えなくてはならぬ、と。
仕合で交えるのは所詮紛い物の木刀に過ぎない。魔剣の使用も許されぬだろう。
それでも、彼が持てる力を出し尽くしてなお、それを受け止め尽くす互角の
好敵手として自分が共にあったなら。互いを越えんと高め合ってゆけたなら。
彼の飢えは満たされ、剣者の魂は全うされるのではないか。
そして、彼の剣を求め続ける自分の魂もまた。
公の場で魔剣が封印の憂き目を見ようとも、自分だけは彼の傍らで余さず認め、
知り尽くそう。その煌きにこそ魅了されて武田赤音という剣者は生まれたのだから。
(――おれは強くなってみせる)
かつてないほど強力に誓い念じながら、赤音は逆襲の一手を放った。
草木さえも寝静まり、時おり静謐を破るのは駒が盤を打つ微かな音と、りん、
と頭上に存在を主張する小さき観客のみ。
彼は一言も発しない。赤音もまた語る言葉を持たない。
それでいい。真剣勝負に一切の無粋は無用。
彼の指し手は常に巧妙精緻で、かつ苛烈極まりない。
彼と共有するかけがえのない時を赤音は愛おしむ。心優しき彼がちっぽけな
駒に仮託して見せる闘争の本性を。耽々とこちらの急所を狙う猛禽の眼光を。
獣の牙と爪をもって迎え撃つ自分を。入り乱れる数多の駆け引きを。一手たりとも
気が抜けぬ息詰まる攻防を。永遠にこの連鎖が続けばいいと願うほどに。
彼はどうなのだろうと、ふと思う。
こちらが改心の一手を打つごとに、彼の駒運びが嬉々として精彩を増すように
感じるのは、果たして赤音の気のせいだろうか?
なぜだろう、彼の次に指す手がかつてないほどにわかる。
幾手も先を、先の先を読み、裏また裏をかき合っているにも関わらず、互いの
攻め手と応じ手はかちりと噛み合い、一進一退を繰り返して拮抗する。
彼は指し方を変えていない。おそらくはただ赤音が、蓄積し続けてきた彼の、
そして自身の戦いの像を、真にあるべき姿に正しく結んだだけなのだろう。
それはいっそ舞踏的とさえ言える、奇妙な調和と均衡を成していた。
――ああ、楽しくてたまらない。
時が経つのも忘れ、果てるともなき盤上の交歓と相剋に赤音は酔い痴れた。
東の空が白みかけた頃。
これまで彼と重ねた三桁に及ぶ勝負の中で、赤音は初めて対手の投了を聞いた。
†
耳を疑った。「え、……今なんて」
「参った。俺の負けだ」敗北を認めるにも関わらず、彼の声はさっぱりと嬉しげな
色を含んでいた。「強くなったな、赤音」
眼下の盤を見直す。……確かに、相手方が詰んでいる。
「……勝った……のか、おれ?」思い返せば細かな記憶はあるのだが、終盤は
ほとんど忘我の境地だったため、にわかには信じかねた。
「次はむざむざと勝ち星はやらんぞ」
彼の言葉に、じわりと実感が込み上げる。
「――――初めて、……初めて伊烏さんに勝てた……!」
一番鶏に代わって大声で叫びながらそこら中を走り回りたい気分だった。
今日の棋譜はきっと生涯忘れまい。「あっ……、すみません師範代」
興奮のあまり呼び名を誤った赤音に彼は首を振り、伊烏でいい、と言った。
「え、でも。他の門下生に対して示しが」
「今は俺とお前しかいない。堅苦しいのは抜きだ」
言うと、彼は赤音が一度も見たことのない表情を、に、と浮かべて付け加えた。
「お前にはこの先、嫌と言うほど斬られて貰うからな。二人のときに遠慮は要らん」
どこか共犯者めいた、気安さと不敵さを帯びた笑みだと赤音は思った。
「斬られ役が強くなっちゃって、油断してると逆に斬られるかもしれませんよ」
赤音も同じように笑った。――こんな笑い方の彼も、悪くない。
「じゃあ伊烏さん、勝負に勝ったお祝いをください。おれに」
「なんだ藪から棒に」
「戦での敗者は、勝者に略奪されるっていうのが昔からのお決まりじゃないですか」
「その理屈なら、お前はとうの昔に搾り滓だ」
「ちぇ。けち」
「……無理難題でなければ聞こう」
何やら構えた彼の言いように苦笑する。外道や鬼畜相手じゃあるまいし。
彼から奪い取る最高の戦利品を、赤音はとっておきの笑顔で宣言した。
「名前。新しい技の。おれに付けさせてください。ないと不便でしょ?」
「構わんが」彼が意外そうに眼を瞬かせる。「なくとも別に困りはしないぞ」
「困りますよ、これからはあなた一人の練習じゃないんですから」
「もう少し形になったらな」
「よーし。じゃあとびきり格好良いのを考えておきますね」
「……まともな名だろうな」
「どこかの刀鍛冶じゃないんですから。任せてください」
「そうか。期待しておく」
†
この日、武田赤音と伊烏義阿は共に無二の親友を得た。
二人は綾瀬刈流門下の高弟として互いを尊び、陰日向に切磋琢磨し、二年後には
門弟衆の見守る中、仕合にてその剣を全力で競った。伯仲の好勝負であった。
そして、その晩――
剣を認め合った二人の片割れは、刈流宗家の娘・鹿野三十鈴を斬殺、逃亡。
残された者は親友と未来の妻、光ある前途の全てを失った。
†
奇怪な致命傷を刻まれた衛士達の死体を見て、武田赤音は歓喜に打ち震えた。
驚愕の表情で事切れた骸は、彼らが末期の眼に焼き付けたものをどんな遺言より
雄弁に語っている。いや、真の姿を彼らが知り得たかどうか。
それは有り得ざる天の怪奇。
具現化した不条理。
赤音が名付けた幻魔の如き妖技。
共に陽光の下を歩んでいた頃は、ついに全き姿を見ることが叶わなかった。
見えるはずがなかったのだ、と今ならわかる。我ながら改心の命名であった。
(こーいうのも、結果的に『手伝って』やったことになんのかねえ?)
運命の皮肉におかしみが込み上げる。
月を中天に昇らせるための最後の一押しを、堕とす形で与えてやれたとは。
こうしている間にも、肌はちりちりとその存在を感じている。
居る。この通路の向こうに。息を潜めて。
かつての魔剣に欠けていた力――鋭利かつ激烈な殺意を剥き出しにした気配。
この屍は怨敵たる赤音への宣戦布告、そして死刑宣告だ。
(ったく、遅えんだよ根暗野郎。鬼ごっこに四年もかける鬼がどこにいやがる)
剣馬鹿の赤音が行き着く先など、この時代錯誤な剣闘が幅を利かす閉鎖都市の
他にはないと、同じ剣馬鹿ならすぐわかりそうなものだろうに。相も変わらず
抜けている。待ちくたびれて腐るところだった。
本当に――待ちわびた。
彼が、来た。
赤音への燃え滾る憎悪にその身を灼き、赤音を屠る断罪の刃を極限まで研ぎ、
赤音に至る道に立ち塞がる全てを斬り、屍山血河を踏み越えて。
赤音の、赤音のための、宿敵が。
先刻斬った10人分の返り血と、彼がぶち撒けた脳漿混じりの血の海。
馴染みきった戦場の臭いは、下品な女の香水混じりの体臭を程良く消してくれた。
歓喜を込めて、虚空に復讐鬼を呼ばわる刹那――
ふわり、と。
剣狂者の鼻孔を、存在しない夏橙の芳香が掠めて消えた。
††
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )オシマイ
「昼の月」誕生秘話妄想。聖都はいろんな意味で最高でした。
平和な道場で凶悪無敵技を大真面目に練習してた伊烏のヤバさについて。
場を貸してくれたこのスレと読んでくださった方ありがとうございました。
大作乙。某スレの姐さんかな?
ていうか12と13の間に 何 が あ っ た
>>140 今更だけど萌えた!
盟友好きにもおいしいシーンがあって嬉しかったです
>>285 原作欲しくなったGJ!燃えかつ萌えたよ!
俺…卒業決めたらゲーム買うんだ…
>>256 亀ですがgj!!
まっすぐまぁクン可愛いww
眼帯×赤毛。
眼帯の幸せを祈ったらやっぱりこんな感じになりました。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
船を降り、陸地に上がってから程なくして俺は宿屋のベッドの中にいた。どうやら疲労という悪魔は、自分が
思っていたよりも深く俺の体を蝕んでいたようだ。それとも、今の俺には休息が必要だと神が与え賜うたもの
なのか。
だとしたなら、それは悪魔よりも酷な仕打ちだ。こうしてじっとしていれば、自然と考えてしまうのはただ一つ
のことに決まっているのだから。
「ナイジェル、起きてる?」
「……カイト」
ベッドの脇から自分を覗き込むのは双つの瞳。きらきらと輝きを放つそれをもっと見ていたくて、額にかかる
赤毛をそっとはらってやる。しっかりと真正面で目が合って、カイトは照れたように目を逸らした。とはいえ、彼の
的は別にある。
「熱は?」
「大分ましになった」
答える俺の額に手をあてて、即座に「嘘つき」とカイトは口を尖らせる。もう、と言いながらも盥の中の布を絞り、
脇の布と交換した。それはひんやりと冷たくて気持ちがいい。カイトは本当に甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。
「本当だ。気分はいい」
まるで言い訳のようだったが、実際その言葉に嘘はなかった。それにしても、とカイトは口を開く。
「ナイジェルって実は体が弱いのかな」
言われて目を丸くし、「馬鹿を言え」と一笑に付した。
「少なくとも、いつまでもひよっ子のお前よりは鍛えてる自信はあるぞ。お前、今もあまりちゃんと食べていないの
だろう?」
軽く左の頬をつまみ、離した。つままれた頬に手をあてて、カイトは複雑そうな表情をした。
「そういう意味じゃなくって」
「なら、どういう意味だ」
片眉を上げた。問われてうーんとカイトは唸った。
「風邪を引きやすい、とか」
言われて、しばし思案顔をする。
「……そうだな。ひょっとすると」
「なに?」
「俺はお前に看病されたいのかもしれないな」
「もう、ナイジェル」
そうして頬を膨らませる仕草も、子供じみているが可愛い。こうしてカイトと他愛もない会話をするのは、いつだって
何よりも自分の心を楽しませた。もっと話していたい気にさせてくれる。
「ところで、ジェフリーはどこへ?」
金髪の友人の姿が見えない。彼のことだから、何かしらちょっかいを出してくるだろうと思ったのだが。
「買い物に行ってるよ」
そうか、と答えようとして疑問を抱いた。
「お前はどうして付いていかなかったんだ? いつもだったら喜んで付いていくだろう」
「ナイジェルの看病をするからって言ったから」
つまり、ジェフリーは恋人よりも俺との友情を優先させたということか。彼自身の嫉妬心よりも、カイトや俺への信頼が
勝ったのだとしたら、友の忍耐力はなんと有り難いことだろう。彼のその思いに今はただ報いるべきだ。要するに、さっ
さと快復しなくては。
「疲れたでしょ? もう少し寝てなよ」
「ああ……そうするとしよう」
気の利くカイトの手がシーツを掛け直す。ラベンダーの香りが鼻腔をくすぐった。深い眠りに落ちるのは間もなくだった。
それからどれくらい時間が過ぎただろうか。目が覚めると、宿屋ではなく自宅のベッドにいた。側にはカイトがいる。
「体調はどう?」
言うが早いか、ぎしりとベッドが軋む。目の前にはカイトの顔があった。理解が追いつかない。これは夢なのか。
「……カイト?」
キスを求めるかのような唇。そのことに、悲しいがこれは夢であることが間違いないと確信した。カイトがそんなことをする
筈がないのだ。なんと浅ましいのだ、俺は。無二の友へ感謝しておきながら、その裏で望んでいるのは、こんなことか。
彼の唇に触れてみたいと思ったことがないわけではない。それどころか、一度は密かにその唇を盗んだこともあった。その
己の愚かな行為が、大いなる後悔を招くことになるとは知らずに。その事を思い出すと、今でもちりちりと胸を苛まれる。
彼への思いは、誰にも告げることなく深く閉ざしておくつもりだった。そうするべきだったのだ。
「ねえ、ナイジェル?」
恋人のような親密さで、首にカイトの細い腕が回される。体を動かすことはおろか、何も答えることができない。夢の中でさ
え自分は熱にうなされているのか。
これはもしや淫魔の類いか、と思いを巡らせた。眠りに落ちた男を誘惑し、その精を搾り取るという悪魔。カイトの姿を取る
ことは、自分への誘惑の成功を招いたようだ。目の前の相手に口付けたいという、抗い難い衝動が身を襲う。
心の底から愛する人間が目の前にいて、正常な判断が下せる人間がそうそういるだろうか。自分もまた同じだった。
本人ではないのだからとそう無理矢理に自分を納得させ、カイトの顔をした“それ”を支えながら体勢を変える。そうすれば、
ベッドにカイトを組み敷く格好になる。カイトは少女のように躊躇いがちに瞼を伏せた。
まずは額にキス。降りて柔らかな頬。それから甘美な唇を味わう。次は細い首筋。そして肩。口付けるごとに理性が少しずつ
剥がされるようだ。
止まらない。……まずい。
「……俺は我慢強いつもりでいたんだが」
殊の外、誘惑には。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )オシマイ
新刊が楽しみ。
原作以上に萌えるものはないですね。
生注意
高学歴ゲ仁ソ 魯山 大阪府大×京大
元ネタは『微序歳版』の大阪府大の発言です
大阪府大に両刀表現がありますので苦手な方はご注意下さい
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
遊び好きの男だと思われる。女の子のストライクゾーンが広い男だと思われる。
カワイイ顔を武器にしてだれかれ構わず食い散らかして、一度きりの関係を繰り返す情のない男だと思われる。
そういうキャラ付けされて、それを笑いのネタにする分には別にかめへんよ。実際ネタにしとることやし。
けどそれが俺の素やて思われるのは、正直あんま気持ちのいいもんやない。
言うとくけどな、俺、自分からつきあおうて言うて女の子誘ったこと、一度もないねんぞ?
俺の方から誘って、それで俺が捨てたらそれはひどい男やんか。でもな、俺そんなん一回もしたことないんやぞ?
なぁ、おまえならそこんとこ、わかってくれてるよなぁ、うじぃ?
「はぁ?いきなり何やねん」
シーツにくるまって横になったまま、一人そそくさと着替えをしていた男の背中に呼びかけると、ソイツはくるりとこちらに振り返った。
あ、今日コイツは上京してクイズ番組の収録、俺はひとり大阪で留守番ですー。
「何、何の話?俺、あんま時間ないねんぞ」
予想外なことに、さもうるさげな感じで返されてしまった。
ちょ、おまえ、それが昨夜あんなに激しく愛し合った奴に対する態度なん?
いくら新幹線が待ってはくれんからって、そんなん事後の情緒もへったくれもないやんか。
思わずムッとした俺は、ちょっとだけ意地悪な質問をしてみる。
「うじは、俺が女の子と寝るの、やめてもらいたいとか思うてる?」
あ、眉がピクッってなった。相変わらずわかりやすいやっちゃなー。
ソイツはクローゼットの扉を閉め、わざわざベッドのところまでやってきて不機嫌そうに返事をした。
「……別に、そんなんおまえ自身の問題で、俺がとやかく言うことやないやろ」
おーおー、優等生の回答やのー。
確かに、こんなに長いこと一緒におっても、お互いに踏み込まん領域ってのは存在しとるわけで。
コイツも舞台では俺の交友関係にえらいいちゃもんつけてくるけど、プライベートになったらほとんど何も言ってこんもんな。
まぁそのおかげで俺らもこうして長続きできとるんやと思うんやけど。
でもな、俺がこういう気分の時に、そんな面白みのない答えはないやろ?氏腹さん。
俺はシーツを跳ね除け起き上がると、ぐっとアイツの腕を引っ張った。バランスを崩した長身がどさっとベッドに倒れこんだところを、強引に口づける。
「ん、むっ……」
覆い被さるような体勢で、ねっとりと貪るようなキス。そしておもむろに口を離すと、つうっと透明な糸が引いた。
「なっ…いきなり何すんねん!」
「俺はおまえの本音が聞きたいんや。ホンマのこと言わへんかったら、この服もっかい脱がしてヤルで?」
「ちょっ……!」
出発の時間は刻一刻と近づいていた。本気で脱がされかねないと察したのか、アイツはしぶしぶベッドの脇に座りなおして、俺の目をじっと見詰める。
「あのな、おまえが何を聞きたいのかようわからんけど、俺はもう、おまえのそんなんは気にせえへんことにしたんや」
もうて、気にせえへんことにしたて…何や、口ではえらい強気やけど、ホンマはめちゃめちゃ気にしててんな。やっぱカワエエなぁコイツ。あかん、思わず口元が綻んでまうやん。
「何わろてんねん」
「別にー。ほんで、何でなん?何で気にせえへんことにしたん?」
「何でて、そらおまえがいくら女の子と、その、セックスしたかて……」「したかて?」
「だから、おまえの方から……」「俺の方から?」
言いにくそうに口篭り、何度も何度も唇を舐める、その見慣れた顔がほんのり赤みを帯びていく。
「そのぉ、誘っとるわけやないって……わかってんねんもん」
ぼそぼそとめっちゃ小声で告ったところに「はぁ?聞こえません〜」と返すと、何かが自分の内でプツンと切れたのか、ヤツは突然大声を上げた。
「だーかーらー、おまえが自分から誘って行くのは俺だけやて、わかってんねんもん!だから心配なんてする必要ないやんか!」
「うーちゃん……」
「…っ!」
自分の口から出た言葉があまりに恥ずかしかったらしい。顔と言わず指先まで真っ赤にして、アイツは口元を手で覆った。
そう、それやそれ。まさに今、俺が聞きたかった答えや。
俺が誘ったのは、後にも先にも一人だけ。ずっと一緒にいたいからって、この世界に引きずり込んだ時からずっとおまえだけや。
俺、愛を込めてセックスできるのおまえだけやから。嘘でも何でもない。ホンマのホンマにおまえだけやから。
ちゃんとわかってくれてんねやな。はは、嬉しいで、うーちゃん。
ま、そんなんはっきりは口に出しては言わんねやけどな。
「うわー、恥っずぅ……」
「別に恥ずかしいことなんてないやろ、なぁ?」
「ん、ふっ…」
俺はアイツの首に腕を回して、今度は下から突き上げるようにキスをした。
「っ…はぁっ」
ひとしきり口内を蹂躙して、今度はゆっくり唇を離すと、甘い吐息がアイツの口から漏れる。
「おまえなぁ…そんなめっちゃエエ顔で。ズルイで、ホンマ」
「えへー」
とっておきの笑顔で応じると、アイツは口を尖らせてぷいっと顔を背けた。
なんや、何から何まで昔からちっとも変わってへんなぁ、コイツ。あぁ、ホンマにカワイイで。
「ところでおまえ、新幹線の時間ええのん?」
「は?って、あああああ!!アカン、はよいかんとー!」
腕時計を見て自分が何の途中だったか思い出したようで、ヤツは慌ててベッドから離れると、大急ぎで出発の支度を再開した。
合鍵を持っているお留守番組の俺は、ベッドに寝転んだままその様をぼーっと眺める。
今ここでまた変な質問したら、アイツ今度こそ本当にキレんねやろうなー、などと他愛もないことを考えながら。
なぁ、うじぃ。俺なぁ、最近こんなん思うようになってん。
世間の皆様にどんなに軽い男やって思われても、たった一人、おまえにそんなんやないてわかってもらえとったらもうそれでええかなって。
あかんなぁ…、俺、おまえのこと好きになりすぎて、人としてホンマにあかんところまで来てしまったみたいやわ。
ま、それも口には絶対出さんねやけどな。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
最近の大阪府大の小悪魔ぶりには禿げ上がる程萌える…
>>296 GJ!「えへー」に萌え死んだ。
美女○判観てないけど、そんなこと抜かしよったんか。
世渡り上手、恋愛上手、床上手そうで羨ましいわw
巧いな。なんかすごくリアルだと思った。
実際に大阪府大がこういう風に考えてたり、二人がこういう会話してたり、
こんな関係であったりしても(?)おかしくないな、みたいな。
フィクション全開バリバリです、っていうのも好きだけど。
夏に向けて姐さん方ガンバレー。
同い年の補首と当主がモデル。
ちゃんと調べず書いたので、好きな人で想像してもらってもオリジナルでも。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
303 :
タメ 1/3:2009/06/19(金) 22:07:43 ID:cv1m6S4hO
がらんと薄暗い廊下のベンチに座って、明かりの漏れるドアが開くのを待った。
彼はまだ話をしている。今日は特に長い。
自分の方が早く終わるなんてめずらしい。それだけ、納得に時間がかかっているのだろう。
しばらくして足音と挨拶が聞こえ、ドアが開いた。
「びっくりした」
現れた彼はそう口にしただけで背を向けた。
「長かったな」
その背中に声をかけるも、彼は何も答えない。余程堪えているのか。
彼のなげる前日には、必ずティムのAがなげる。
そのAが昨日負け、そして今日は彼が負けた。
悪い流れに呑み込まれてしまった。
補首としての自分のリィドにも問題はあったのに。
当主はその肩ひとつですべてを背負おうとする。
駐車場に出て車の前に立ち止まり、彼はやっと振り返った。
「何だよ」
これ以上付いて来るな、と言いたげな目。
穏便に話をしなければと思い、反射的に「ごめん」と返した。
直後そんな「取り繕い」を、後悔する。
案の定、彼は独り言のように呟いた。
「思ってねえくせに」
そして車のドアに手をかける。
止めなければ、と慌てて駆け寄り、その腕を掴んだ。
304 :
タメ 2/3:2009/06/19(金) 22:11:34 ID:cv1m6S4hO
バッグがどさりと足元に落ちる。
驚く彼の瞳を捕えた。じっと間近で顔を覗きこむ。手の平に伝わる彼の脈。
「…」
「…」
先にうつ向いて目をそらしたのは彼だった。
「次は大丈夫だから」
彼は何も反応しない。言われなくてもわかっている、でも無意識に不安にかられている。
何とか、その不安を消さなければ。
「俺は信じてるから」
「…何でだよ」
何故って。
同じチイムだから。違う。
そんな理由じゃない。
同い年だし。気が合うし。仲良くしていたい。そばにいたい。
どう言えば伝わるのだろう。
「好きだから」
頭の中の結論よりも先に出た言葉。彼ははっと驚いたように顔を上げた。
再び交差する視線。
瞳の中にひかり。きれいな顔立ち。かすかに開いた唇。
あれ?
何でこんなこと気になるんだ。
さっきの言葉も、そういう意味ではなく。
というか。
この雰囲気はまるで。
体を寄せて彼の背中を窓に押し付ける。
右手で、頬に触れる。
鼻が当たらないよう顔を傾げて顔を近付けると、彼もまた、瞼を閉じようとして…。
305 :
タメ 3/3:2009/06/19(金) 22:17:39 ID:cv1m6S4hO
カシャ。
シャッターの電子音。
はっと振り向くと、大柄な男と、やや小柄な男が立っていた。
大柄の男は昨日負けたA。もう一人の小柄な男は、Aと仲の良い船初当主。
「ホラお前が音出すから気付かれたー」
「でもええのが撮れましたよ」
唖然として年下の当主二人を眺めていると、腕の中にいた当主からは乱暴に手を振り払われる。
小柄な男がヘラッと笑った。
「あ、すみません。続きをどうぞ」
「つ、続きって」
誤魔化すように笑うと、大柄な男は携帯の画面を眺め、小柄な男も寄り添ってそれを覗きこむ。
「よく撮れてるなあ。いやー、お二人がそういう関係だとは」
「んなわけねーだろ!つかそんなもん早く消せよ。冗談…」
思わずそう声を張り上げると、突然背中から押されるような衝撃を受けた。
地面に膝と手をつき、振り返ると勢い良く車のドアが閉まった。
「え…あ、違う!待って!」
手を伸ばすも、エンジン音は遠慮なく鳴り響き、車は門にむかって走り出した。
「わはは、これもええ感じに撮れた。見てください」
「うわ、ものの見事に背中蹴られてる」
大小の当主は、地面にへたれこむ補首を無視して、携帯を見ては笑い合っていた。
放置された補首は立ち上がる気力も失い、地面に手をついたまま。
それでも
…まあ、三人の気持ちの切り替えにはなったかな…。
と、頭の片隅で彼らを案じてしまう。
そんな自分の習性に呆れて、大きくため息をついた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
イチャイチャを書くつもりが・・・。
告白(?)の所は去年見た邦画(801ではない)の影響が強いよ。
星新一のショート作品「ひとりじめ」からなぜか膨らんでしまった妄想を抑えることができなかった結果がこれです。
話の内容の説明は下手ですし、短いので一度読んでみて下さい。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「なあ、兄貴。おれたちはいつまでも、相棒なんだろう……」
青白い顔をした「奴」はそう言うと、事態を理解し、体を硬直させた俺の両肩をぐっと掴んだ。
こいつは恐らく、もう死んでいるのだろう。
魂だけの存在なのだろう。
だのに、なぜこいつの手は現実的で…ああ、それでもやはり酷く冷たい。
顔も青白いが、手も青白い。
その色の通りの体温だ。
「…痛い…」
しかも、ひ弱そうな色をしているくせに力だけは以前と変わらず強い。
俺はどうにかそれだけの声を絞り出すと圧迫してくる力に負けて肘を折った。
体が床に軽くだが叩き付けられ、背中に少しの痛みを覚えた。
奴の顔は変わらず近くにある。
「酷いじゃあないか、やっぱり俺を裏切ったのかよ。兄貴」
奴が喋ると、ほんの少し土の匂いがしたような気がした。
あの山の匂い、森の匂いだった。
こいつが逃げ込んだ洞窟も、きっと同じ匂いをしていたのだろうか。
「…済まん…」
「もう良いよ、良い」
そう言うと奴は俺を力一杯に抱き締めた。
一瞬呼吸を忘れさせたその冷たく熱い抱擁に、俺は思わず咳き込んだ。
頬に奴の体温を感じる。
冷たい。
「俺は金なんていらないんだ。もうそんな物必要なくなっちまった。あればあるで良いが、なくても困らない。そうなった。分かるだろ?兄貴」
奴は必死な声色でそう言った。
俺の腕は無意識に奴の背中に回っていた。
ただ乗せただけというくらいに弱い力で抱き返すと、より一層体が冷えたような気がした。
奴の力は少し弱くなった。
「俺が兄貴の所に戻ってきたのは兄貴に会いたかったからなんだ、もう一度」
奴は少し体を離すと俺の顔をじっと覗き込んで言った。
青白い顔に落ち窪んだ眼孔の中、黒に近いくらいの濃い茶色の眼で奴は俺を射抜こうとした。
切なそうに眉間に皺を寄せ、潤った眼球で見られるのは堪らなかった。
「俺達はいつまでも相棒なんだろう?俺はずっと離れやしないと言ったはずだ。俺達はまた会えた。俺が会いに来た。もう二度と、俺は兄貴の側を放れないからな」
奴はそう言うと冷たい唇で口付けてきた。
乱暴だが、久し振りに味わうそれは悪くなかった。
しつこく口の中を舐め回し、応じない俺の舌を絡め取ろうとする。
ここでこいつに愛おしさを感じてしまった俺は余りの事態に狂ってしまったのだろうか。
回した腕に力を込め、しっかりと抱き返した。
そして誘う舌に応えて絡み付いてやると、キスは一層激しさを増した。
互いの呼吸音が時折漏れ、仰向けになっている俺の口の端からは溢れた唾液が伝った。
「ふぁ…、はぁ…」
漸く唇を解放されたと思うと、奴は直ぐに俺の服を脱がし始めた。
「あ、馬鹿」
形ばかりの抵抗をすると、奴は先程道端で会った時みたいに、心底嬉しそうに笑った。
「兄貴、ウイスキーの味がしたね」
奴の声は幾らか温かみを取り戻していたように思えた。
少なくとも、キスをする前の青白い声はしていないように思えた。
「飲み過ぎちゃあ駄目だよ。俺が怖かったんだろう」
上半身をすっかり露にした俺の体をするすると撫で回しながら奴は言った。
俺が困った顔をして答えないでいると、ちゅっと音を立てて首筋に吸い付いてきた。
「あっ…」
ちくりと毛細血管が破れた。
こんな目立つ所に跡を付けるなんて。
「だって、俺を殺したんだものな。そりゃあ怖かっただろう」
乳首を親指の腹で捏ね繰り回しながら意地の悪い声色で耳元に囁く。
少しずつ荒くなる俺の呼吸の音を聞いて、奴は楽しんでいるように思えた。
「でも、俺は殺せないよ…」
「んんっ…、ぅ…」
乳首をねっとりと舐められ、全身がぶるっと震えた。
舌も冷たかった。
直ぐにつんと硬く立ち上がったそれを冷たくぬめった舌先が突付く。
吸い上げる唇も、摘み上げる指先も、皆冷んやりとしていた。
「は…、ん…」
片手が脇腹を擽りながら下半身へ下りた。
股間をさすり、既に俺が硬くなっていることに奴はますます気を良くしたようだった。
「こんな俺なんかにされても、やっぱり感じるんだな。前と同じように」
奴は慣れた手付きで俺のズボンと下着をすっかり脱がしてしまうと、直ぐに陰茎を握り込んで擦り始めた。
「ぁっ、あぁっ…」
皮膚と皮膚の擦れる音が次第にねちゃねちゃという粘着質な水音に変わる。
こいつは俺がどうされると弱いのかを全て知っていた。
男同士でのやり方を教えたのは俺だからだ。
こいつが俺に執着するのはそのせいなのだろう。
前からずっと、好きだ、いつまでも側にいるとうるさかった。
「嫌っ、んんっ…」
「嫌じゃないだろ?気持ち良いだろ?こんなになってるじゃないか。もう出そうなんだろ?」
「あっ、あっ、良い、イくっ…出そう…!」
「良いよ、出せよ」
一際高く細い声を喉の奥で鳴らし、俺は奴の手の中に熱い精液を放った。
荒い呼吸を無意識に整えようとしながら、俺は空ろな眼で奴がそれを舐めるのを見ていた。
こんなに冷たいこいつがあんな熱い物を舐めたら、火傷でもしてしまうのではないだろうかと馬鹿なことを思った。
「良かった、変わらないな。兄貴の味だ」
「…そんなもん、誰のでも同じだろ…」
「つまらないことを言うなよ」
奴は悪戯っぽく笑いながら言うと、再びぎゅうと抱き付いてきた。
「なあ、兄貴。おれたちはいつまでも、相棒なんだろう……」
何をどうやったって、この体は二度と温まることはないらしい。
しかし、耳に直接流し込まれたその声は、恐らく二度と、あの青白い恐怖と共には響かないだろう。
それが良いことか悪いことかは、俺には分からなかった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
「死んでいる」という表現を使いましたが、実際死んでいるのかどうかは不明です。
初投稿なのでまずいところがあったら済みません。
ありがとうございました。
>>302 萌えました萌えますた
ありがとうございます
続きが気になる…
・半生注意
・女子の名前がチラッと出ます
・前回Dの「私はあなたの全てを知っています!」発言に感銘を受けた。
・初めてはなせれぶを買ったら、パッケージの白うさがMCに見えて、衝動的に書いた。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
全開にされた窓から、裏の林のざわめきと、気まぐれな雨の音が入ってくる。
そうでなくとも体操用のマットは湿っぽいのに、今日は一段と重く、ごわつく布地に沈
んだ掌が冷えてくるような気さえした。そのくせ制服の中はやたらと熱くて元気なもの
だから、若いということは本当にどうしようもない。
「ほん、ま」
「ん?」
「やばいっ、て」
テスト期間の放課後、教室でテスト勉強という名の無駄話を数時間。そろそろほんと
に帰って勉強しなきゃ、と言ってスカートを翻した友人を、一つの机に向かい合って座
ったまま見送った。おれら、まだ残ってくよ、じゃあな。
案外に真面目な生徒が多いらしく、静かになった校舎内にはきっと二人きりだったのだ
ろう。誰にも見咎められずに体育館へ侵入し、ゴールネットがボールを噛む音ばかりを
聞いていた。
いよいよ帰ろうかと片づけを始める友人を片目で見ながら、かび臭い用具室の窓を開け
れば、予報はずれの雨が雑木林を叩いていた。日暮れまでは時間があるから、ねずみ色
の空はまだ明るいが、それでも傘を持たぬ身には辛い雨脚だった。
「やばいって、何が」
「お前だよ!」
「テストがヤバくないんなら、問題ないだろ」
あとはもう雨宿りしかないなと勝手に決め込み、油断した後姿を引き倒すだけだった。
「問題あるだろ!」
ぎゃあぎゃあ喚いてはいても、学ランはもとよりワイシャツまで殆ど脱がされ、最後
のベルトを守っているだけでは抵抗の言葉に説得力はない。きっと、はだけた胸のピン
ク色をつつけば、形ばかりのそれもほどけてしまうだろう。
「、ないよ」
精一杯の体でベルトを掴む手をそのままに、わざと低く耳もとで囁いた。途端、華奢
な手足が、押さえつける腹の下でふるりと動揺する。
ふわふわの髪を撫で、マットとの間に腕を差し入れて頭を抱くと、すっかり静かになっ
てしまった。しっかり体重を乗せると、ちいさな生き物のようにトクトクと速い脈を感じた。
「紙山、ずっと一緒にいような」
「股間押し付けながら言われてもさぁ、」
「……」
おどけたような調子に腕の中を覗き込むと、大きな目がくるりと見上げてきた。しか
し普段の威勢の良さはなく、すぐにそらされた目尻には、うっすら涙が浮かんでいた。
「ムード、ぶち壊しだっつうの」
乱れた髪から覗く白い耳、首筋から胸までやわらかな陰影をつくる、しなやかな筋肉が生む呼吸。
本気になったフリースローのせいだろう、仄かな汗の香りを感じる。
不意に視線の先で、肩がぴくんと動いた。
「お前さぁ、またデカくなったんだけど?」
「あぁ……」
「そろそろもう、」
「はじめましょうか」
続く言葉はどちらだろうと関係なく、結局最後に流れ着くところは毎回決まっている。
突き上げる下腹の衝動のまま押し付けた手の甲は、守っているのではなく、隠している
だけなのだから。耳の端を舌先で撫でながら二の腕を掴むだけで、それは簡単に外れた
。片方ずつ迎えにゆき、頭の横でそれぞれ貝のように指を組み合わせて繋いだ。
首に鼻先をうずめて腰を動かし、同じくらい張りのある若い熱を重ねて、擦るようにす
ると、やっと触れてくれたと言いたげな充足の吐息を耳に感じた。
「ほんまぁ、」
掠れた声がキスをねだっている。顔を上げると案の定、潤んでとろけた表情の唇は半
開きで、ここへ舌を差し込んで下さいと訴えているので、その通りにする。
あまく吸い付かれ、鼻から漏れる声の間に間に歯を立てられるのが痺れるように心地良
い。お返しにたっぷり撫で探ってから唇を離した。きっともう直に触って欲しくてたま
らなくなっているだろう。
一旦手を離して起き上がり、学ランを脱いでいると、あれだけ必死になってしがみつい
ていたベルトを、もたもたと頼りない手つきで外そうとしていた。
――焦らなくても、俺は逃げないから。
回答者を迎えるごとに記憶を取り戻しては、頭を抱えてのたうち回る。それで、絶叫
に見開かれた目に見える景色が増えていくのだから充分だ。一回ずつ、ゆっくり確実に
思い出せば良い。
激しい頭痛に苦しみ悶えてベッドから落ちた紙山は、少し落ち着いたのかレンガにす
り寄って、ひくひくと背中を震わせている。
「紙山、」
その先の言葉は、喉に引っ掛かったまま出て来なかった。思い出した直後の虚ろな、
やつれた横顔を見てしまったからか。
骨が透けて見えるような白いガーゼの背中は、何度見ても紙山サトルではないと記憶が否定
する。それは今も変わらず、蹲る身体からかつての笑顔の欠片でも掬い取ろうと長い間
見つめては、いたずらに過去の姿を重ね、嘆息を漏らした。少しずつ思い出してはいて
も、人格まで元通りというには遠い。
床に捨て置いたまま帰ろうと、ノブに手をかけたところで細い声が聞こえた。半身だけ振り返る。
「待って、ください」
「は?」
「ミサキって、もしかして、あなたの……?」
いつの間にかジーンズの裾へ手を伸ばしている紙山を殴るように掴み上げ、怯えて焦
点の定まらなくなった双眸を睨む。がくがく震える吐息が、唇が、極まって意識を失う
手前のような、ちいさな声をこぼすさまを見ていられず、発作的にベッドへ投げ落とし
、逃げるように部屋を出た。
驚いたらしい最後の短い悲鳴が、耳にこびりついて消えない。窓の外の豪雨でも洗い流
せそうにない、耳鳴りのような疼痛。目を閉じると、制服を脱ぎ捨てた肌が見える。
しきりに待ってと繰り返す唇へ、宥めるようにキスを落としながら、終わりが近い紙山
の中を夢中で掻きまわす。熱くとろけてどこまでも呑み込む、素直で、いとしい人が、
途切れ途切れに訴える。待って、おれも、ずっと、一緒に。
ぽたり。今夜の雨は、どんな傘を差していてもきっと、身体の芯まで濡れてしまうだろう。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
最終回が待ち遠しいやら、終わって欲しくないやら。
あと5時間…
リアルタイムだ!
GJGJ超GJ!
ベルトを守るっていうのにむちゃくちゃ萌えた
最終回、どうなるんだろう…
>>320 ごちそうさまでした!
学生時代、禿げ萌えました。
ありがとうございます。
>>296 このにっくき女性蔑視野郎、大阪府大を、
姐さん方の筆でもっとがっつんがっつんに犯したって下さい。
鬼畜残虐輪姦キボン
早朝に投下させて頂いたばかりですが、今日新しく読んだ話が激しく切なく萌えてしまったので再び投下致します。
星.新.一.のショート作品「生.活.維.持.省」から。
「イ.キ.ガ.ミ.」と一悶着あったそうなので、ご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが…。
こちらも一度お読み下さい。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「なにも急がなくたっていいじゃないか。いちばんあとにしたって、いいだろう」
しかし、私は平和にみちた明るい景色を目にやきつけながら答えた。
「いいよ、自分できめた順番なんだから。ああ、生存競争と戦争の恐怖のない時代に、これだけ生きることができて楽しかったな」
彼は私が渡したカードと小型光線銃を両手の平に乗せたまま私をじっと見つめていた。
私は窓の外を眺めていたが、彼の視線をずっと後頭部に感じていた。
きっと、その口は何か言おうとしては噤みを繰り返しているのだろう。
そして、その表情は私のそれよりも余程絶望的なのだろう。
私は、こんなにも穏やかな心持ちでいるのに。
「い、嫌だ」
彼の震えた声に、私はゆっくりと振り返った。
彼は泣いてこそいなかったが、瞳が潤み、揺らいでいた。
「君」
「嫌だ、僕は…、僕は、君を」
彼はそこまで言うと、両手に乗せたままのカードと銃を慌てたようにクラッチ後ろの小物スペースに置いた。
そしてエンジンを切り、車を完全に停車させた。
道路上だが、広い道だし、ここは余り車が通らない。
果たして彼がそこまで考慮していたかは疑わしいが。
一連の動作は五秒もかからず、次は乱暴に私の肩を掴んだ。
「痛いよ…」
「僕が君を殺すなんて、無理だ。できない」
彼は私の言葉に構わず震えた声でそう言うと、強い力で私を思い切り抱き締めた。
「嫌だ…」
「嫌と言っても仕方がないじゃないか。仕事だよ」
彼はとうとう声を詰まらせてしまった。
時折鼻を啜る音が聞こえる。
私は彼の背中に優しく腕を回した。
彼は私より体温が高くて、背中から手の平に伝わる温かさが酷く心地良かった。
私は彼の首元に顔を埋めて一つ思い切り呼吸した。
午後から暑くなるかも知れないと今朝のニュースで言っていた。
今はまだ正午前だが、少しずつそのような気配を見せている。
そのせいで彼は少し汗ばんでいたようで、首筋が少ししっとりとしていた。
汗臭いというほどではなく、いつもの彼の匂いがした。
清潔ながら、男らしさを感じさせる、私の大好きな匂い。
それをはっきりと記憶した私は、彼の肩に顎を乗せて窓の向こうに続くどこまでも平和な景色を眺めた。
先程通り過ぎた、あのきらきらした小川のほとりが良いと思ったが、ここでも別に構わなかった。
水色の空に、遠くの山々からもくもくとした入道雲が既に立ち上がっている。
午後からの暑さは、夕立が洗い流してくれるだろう。
車を停めている道は広い野原を一筋舗装したもので、私の視界に広がるのはひたすら緑色の芝生であった。
所々、林のように少し背の高い木が群生している所や、小さな花畑のようになっている所もあった。
平和に満ちた明るい景色、私達の仕事が維持している、素晴らしい景色だった。
その煌く世界がふいにぼやけた。
鼻の奥がつんと痛み、私の目からも涙が溢れ出していた。
悲しいとか悔しいとか、そういう負の感情のせいで流れたものでは決してなかった。
こんなにも美しい世界で、好きな人に殺してもらえることが酷く幸福に感じたのだ。
私が死ねば、この美しい世界が維持されていく。
皆の生活が維持されていくのだ。
生存競争と戦争の恐怖のない、幸せな世界を、彼は生きていけるのだ。
「ああ…、幸せだなぁ…」
私のその言葉を聞いて彼は体を離した。
再び私の肩を、但し今度はとても優しく、包み込むように掴み、じっと私を見つめた。
ああ、こここそ私が最も幸せな場所だ。
彼は拳で乱暴に自分の涙を拭うと、優しく私の頬に口付け、涙を舐めた。
くすぐったくて少し笑うと、彼も少し笑った。
そして今度は唇でキスをした。
彼が泣いている間に口の中に入ったのだろう、彼の唇は少ししょっぱかった。
それほど長い口付けでもなかったが、私にとってそれは今から永遠の幸せになる。
彼にとっては、一つの儚い想い出くらいで終わらせた方が幸せになれるだろうが、彼は優しいから、暫くは忘れないでいてくれるのだろう。
彼には悪いが、私はそれが少しだけ嬉しかった。
唇を離すと、彼は車のエンジンをかけ、ハンドルを握った。
「さっきの、小川のほとりだっけ」
彼は真っ直ぐ前を見てアクセルを踏んだ。
「うん、そう」
「…直ぐ着いちゃうな」
「うん、…直ぐだよ」
その日も、生活維持省の仕事は何一つの滞りなく終了した。
午後からの暑さを夕立が洗い流した、いつもと変わらない平和な一日であった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
星.新.一やめられないとまらない。
>>324 ぎゃあ! 萌える!
☆しんいちは話自体が面白い上に、不意打ち並みに萌えますよね
日本H協会のアニメのやつはご覧になりましたか?
声が素敵でオススメ
自分が声の人が好きなだけなんですけどねw
>>324 うわああまさかこのネタが読めるとは…GJ!
独り占めも萌えた。ありがとうございました!
331 :
324:2009/06/20(土) 22:38:09 ID:SDw+ONYjO
携帯からなのでIDが違いますが失礼。
>>329 アニメがあるのですか!?
知りませんでした、情報ありがとうございます!
探して観てみます!
>>330さんもありがとうございます!
失礼致しました。
・半生注意
・最終回見て煮えたぎった情熱に任せて書いた。後悔はしていない
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
自分が彼と対峙することになるなんて、二ヶ月前までは思ってもみなかった。
記憶も何もかもを失って真っ白になった自分を、理想の司会者に作り上げた人物。
この白い部屋に唯一訪れる黒。この二年間もの間自分を導いてきた支配者だった彼と、
今自分は、初めて自分自身の意思で向かい合っている。
「時間だ」
この二年間、ずっと待ち続けていたのと同じその一言。
週に一度だけ、まだこの人に必要とされているんだ、と確認できるその言葉。
「行こうか、最後のザ・杭図章へ」
あなたが俺をスポットライトの当たるステージに立ち続けさせたのは、俺の罪を暴き、
今までふたりで必死に築き上げてきたはずの、俺にとっての唯一の居場所で、
罪を懺悔させ、公衆の面前で俺からすべてを奪うつもりだったからなのか。
切れ切れに、痛みを伴っては蘇る記憶に怯える俺を抱きしめてくれたのも、
居場所を与えてくれたのも、そこでMC上山という人格をプロデュースして生きていく術を与えてくれたのも、
すべては今日のこの日、復讐のためだけだったんだろうか。
「…」
斜め前、いつものように淀みなく歩を進める彼を見上げる。
彼は薬を持っているのだという。すべてが終わった後、恐らく自ら命を絶つつもりなのだ。
八年前の、あの日のように。
「そうはさせない」
口の中だけで、小さく呟く。
八年前の過ちは、あの悲劇はもう繰り返させない。
たとえあなたが、俺に復讐するつもりで近づいていたのだとしても。
この二年間、俺にはあなたしかいなかった。ずっとあなたに救われていたんだ。
だから今度こそ、あなたを助ける。
最終回後の妄想も膨らむばかり。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>332 ひえぇ…!
ごちそうさまでした!
ずっとDMCだったが、最終回はMCD全開だったよな。
いいぞもっとやれw
>>324 ただでさえ後味の悪い話を、また何ちゅう切ない、救いのない話にすんねんw
子供の頃読んだ時には、なぜ間引きシステムが必要なのかという点に言及されないので、
釈然としないものが残った作品だが、その発想はなかったわ。
☆センセイも草葉の陰で微笑んでおられると思うよ。
「ひとりじめ」は知らないor記憶にないけど、機会があったら読んでみるね。
337 :
1/2:2009/06/21(日) 20:54:08 ID:ByV+VqQY0
乳首が書きたくてやった。
ナマモノで書いたものですが、全て一人称です。
**************************************************
脳が中心から溶けてゆくようだ。全身の血液が一瞬で沸騰するような興奮とは違って─
──特にこの何ヶ月かにおける「仕事」中には味わえない、ぬるま湯のような温度の快楽。
ジュニアスイートのバスタブに二人で浸かり、全身ぴかぴかでいい匂いになった後のベッドの気持ちよさは格別だった。
ぱやぱやの手触りになった彼の少しくすんだ色の髪に、顔を押しつければシャンプーの花の香り。
割と彩度の高い自分のそれを掻き分ける彼の優しい指も、
さらさらの皮膚を触れ合わせながらシーツの滑る感触を楽しむのも、何もかもが淡い快楽に包まれている。
最初は大抵触れ合わせるだけのキスから始まる。
段々わざと音を立てて吸い合って、あとはもうキスというより、息が続く限り口の中の粘膜を舐め合う感じだ。
僕はキスが好きだし彼もそうなのかもしれない。
唇を合わせずに最初に舌だけを突き出して、いきなり絡めるところから始めるのも好きなやり方のひとつだった。
そして互いに胸元に両手を這わせれば、どちらともなく甘い声を上げてしまう。
彼は僕を焦らすのが好きで、首から段々と下がっていく両手がまずは筋肉を撫で回すように愛撫し、
中心に近付くと指の間隔を狭くして、少し膨れた僕の乳輪を丹念になぞる。
間に挟んでいる指の側面が触れるか触れないかのところで速度を上げてゆき、
僕が「もっと強くこすってしごいて、摘んで」とねだるまで焦らしてくるのだ。
彼が調子にのっている時は「ドコを」まで言わなくちゃいけなくて、
「僕のこりこりに固くなったピンクの乳首を」くらいは申告しないと触ってくれない。
彼は少し痛いくらいにされるのが一番感じるから、僕は自分ならあんあん言えるくらいの丁度いい愛撫をひたすら続けるだけ。
焦れた彼は僕の指に強く押し付けようとして体をくねらせる。僕達はキスを続けているから、一番好きな「噛んで」は禁止だ。
彼からのおねだりは「もっと強くぎゅっとして、ぐりぐりってやって」だけど、僕だって聞き入れたりしない。
結果としては仕返しに僕の乳首は触ってもらえないし、更にその仕返しで彼は爪を立ててもらえないわけだ。
338 :
2/2:2009/06/21(日) 20:55:48 ID:ByV+VqQY0
唇を少し腫らせて口のまわりを涎で汚し、十分高まりきった頃にやっと男は登場する。
バスローブ姿の彼はベッドに近付くと、僕の左胸を指先で辿り、軽く倒したり押し込んだりする。
くりくりと摘みあげられると、散々焦らされた僕は腰くだけだ。
その逆側では彼は爪を立てて思い切り引っ張られ、甘い声を上げる。
ふにゃふにゃになった僕達が左右に体を這わせて彼のバスローブの合わせ目に頭を突っ込めば、
それが楽しい遊びの始まり。ただしこの辺りから僕はあまり頭が働いてないので、
起きて思い出せるのは大体序盤だけ──彼とのゆったりした甘ったるい時間だけだったりするけど。
スタートで彼に負けるとなかなか離してくれないから、僕は鼻で布地を掻き分けるようにして勢いよく頭を埋めた。
モノのてっぺんに舌を置いて仲良く絡ませるのも確かに好きだけど、
目の前でこれ見よがしにくちゅん、とかちゅぽん、とか音を出して頬張られるとさすがに癪に障る。
男が微かに笑う気配と、ローブの紐が解かれる音がした。
終わり?
…と思ったら、始まりのテンプレも無かったんだな
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 連載終了飛翔です。
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| やっつけでスマソ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
パラレルだけど原形とどめてないので伏字。
非常に微妙に触手注意。
受けは革命家である。
故に逮捕されて、今ここにいる。
ここというのは隠居している王子の屋敷だ。なぜ若い身空で王子が隠居しているのか、それは受けにはわからない。
最初連れてこられた時は、なぜこの屋敷に住むことが刑罰なのだろうかと思った。
しかし、その晩にわかった。受けが寝ているとぬらぬらした化け物がやってきて襲われた。
不思議と嫌悪感は感じなかった。とっても気持がよかったのでもっとしてほしいと思ったぐらいだ。
翌朝王子と顔を合わせると、やはり初対面の時同様冷たかった。
多分、いや、当然、王子(以下攻めとここでは書く)は受けが何をされるかわかっていたに違いなかった。
それから毎晩化け物に襲われた。さすがに毎日続くと少しふらふらしないでもないが、別jに大丈夫だ。
ただ受けは若い身空で隠居している攻めが気の毒なのでやさしくしてやった。
しかしやはり攻めは冷たかったし、たまに「貴様に同情される筋合いはない」と言ったりする。
多分攻めは潔癖なのだろう。だから受けが毎晩していることが嫌で、嫌悪しているに違いなかった。
そう思われるとやはり受けは引け目に感じて引き下がるしかない、
が、受けはあまり引きずらない性格なので次会った時はまた攻めにやさしくする。
攻めは王子だ。故在って隠居している。別に攻めだって生まれたときから隠居していたわけではない。
最初は王子として教育を受け、周囲をよく見下し高圧的な態度を身につけていた。
そのままいけば何不自由ない順調な生活だった。
けれどもある晩に攻めはぬらぬらした化け物になって使用人を襲った。
母親が自分の父に奉仕していた化け物だと知ったのはそのあとだ。
母親(母親だと認めたくない)は自由に人型にも化け物にもなれるようだが、攻めにはそれができない。
夜になると自分の意思にかかわらず変貌して、人を襲う。
自分から隠居を申し出た。初めての挫折だった。
それから父親は犯罪者を攻めの許に送ってくるようになった。
大分攻めの性格というものも屈折していたので、そういう下衆の生意気な精神をへし折るのが楽しみになっていた。
へし折った後どうなったかは知らん。直接攻めが殺すこともあったし、父親の部下に引き取らせもした。
してみると、受けである。受けもほどなく精神をへし折れるだろうと思っていた。
しかし、受けは攻めに優しい。ここがまずおかしい。庶民なら王子を恨んで当然である。
夜な夜なの過度の快楽にも全く精神に陰りを見えさせない。なんなのだろう。
それで、攻めは受けを好きになった。当然である。
化け物として目覚める前から王子の周囲には打算による人づきあい以外なかった。
そして今はなお一層孤独である。その孤独な身分で受けに優しくされて参らないはずがない。
他人はいさ知らず、とりあえず攻めは参った。
しかし攻めにとって受けを好きと自覚することはより精神を悪化させた。
今は言ってみれば受けの心も体も手に入れていると言っていいのかも知れない。
しかし受けが自分にやさしくするのは同情である。受けの立場の方がよっぽど酷いにも関わらずだ。
体だって、受けがああやって抵抗しないのは攻めの化け物としての魔力のうちである。
攻めは卑怯で不当である。できるなら正当に受けを手に入れたかったと思う。
いかに受けが強い人間とは言え、今後受けの心が折れないとも限らない。いや、絶対折れるだろう。
自分は受けを損ないこそすれ、なんら受けの発展に寄与できない。
とすればできるのは、受けの世界から出ていくことだけだ。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ そのうち修正したの書くかも。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
続くけど面倒なので省略。本当はもっと受けを愛らしくしたかった。
これで元ジャンルが分かる人はいないだろう。
345 :
忍ブロ:2009/06/22(月) 02:27:52 ID:nxQppGrJ0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 脳筋忍者×ブロントさん
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ブロ語が使えないからって汚忍視点とは…
| | | | \ 汚いさすが貧弱腐女子きたない
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ヴァナー
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ナンデ同じ部屋にお前だよ?」
「いやそれは俺の台詞だから……」
俺は妙にぎらぎらした目つきでこちらを睨んでくるナイトを見て溜息をついた。
こんな事だと知っていたらいくら美人の女将の頼みでも相部屋なんぞ断って野宿にしたのに。
奴の名はブロント。俺はこいつと同じLSだった事がある。そこで色々有って、それからと
いうもの事あるごとになにかと粘着されているのだ。うぜえ。
今日の俺は心地よい疲労と仕事の成功という喜びで幸福感に満ちていたのだ。
この部屋の扉を開くまでは。こんなイカレ野郎の相手をする元気はない。
「思考の騎士相手では忍者のようなヒキョウなジョブは同じ部屋にいられない」
「……」
「反論なしってことは論破勝利確定だな」
まただ、最初にあった頃からこれだ。正直言って俺は奴が何を言っているのか半分も
理解できない。……いや半分というのは言い過ぎだな、全く理解できないのだ。
最初は不必要に忍を貶めるので腹を立てた事もあったが、今ではもう諦念している。
血反吐を吐くような思いをして修行をしたのに、こんな簡単に無の境地に至れるとは。
あの修行は何だったのかと思う。
あまりの電波具合に顔見知りの侍は『あの御仁は御自身と女性型だけがお好きな様で』
とか言っていた。その通りなのだろう。ずっと喋り続けているブロントを放って俺は装備を
解き始めた。今はとにかく早く眠りたい。
「何だ?」
妙に静かになったので奴の方を見ると、何故かは分からないが凝視されていた。
本当に、奇行さえなければいい男だと思う。エルヴァーンの中でも特に美しい部類に入るだろう。
黙っていれば。黙っていれば!
「くぁールの様だな」
「俺がか?」
「ああ、もっとアワレで貧弱な体つきkと思っていた」
「?」
よくわかんねーけど褒め言葉と取っておくか。見ればブロントはまだ暑苦しい甲冑を着たままだ。
「あんたもその仰々しいの脱げば?」
「最強の武具装備してると全身からかもし出すエネルギー量がオーラとして見えそうになる」
「あっそう……」
「言っておくが俺は素手でもギガトンパンチをうててルからな」
そのまま延々と自分の装備を外しては一々それがいかに優れているかを語り始めた(勿論
俺の装備を貶す事は忘れない)。本当うぜえ。しかも意味が分からねえ。
ああでも声はいいんだよな、何言ってんのか分かんねえけど。
寝床に横たわりうとうとしているとご高説はいつものグラットンを褒め讃える章を経て
いかに自分がもてるかの章に入ったようだ。お優しいナイト様は物わかりの悪い俺のために
例を挙げ教えてくれる。同じLSだった頃の紅一点もブロントに惚れていたそうだ。
まあそう思いたいのも分かる。見た目も性格も本当に可愛かった。ただし中身はナイスガイだったが。
なぜそんな事を知っているのかと言えば、有り体に言ってしまうとヤったからだ。
正確にいうと食われちゃったんだけどね!なかなか倒錯的で素敵でした。
この世界は割とそういうのが多い。男女で妙に仲がいいから付き合ってんのかと思ったら
イケメンマッチョの中身が乙女で単にガールズトークしてただけでしたとか。
でもブロントの奴はいまいち分かってないらしい。女性型に固執する。
そんなもんどっちでもいいんじゃん?楽しみましょう派の俺とは全く相容れない。
「ーーだからヒキョウなお前の様な忍者とは違う」
いつもの結論がでてようやく演説も終わりかけているようだ。
「あんたは本当に忍が嫌いだな」
「そんな低層な理由ではない藻とはと言えばお前があまりにみっともなく負け犬だったんですよ?」
「は!何だそれ。あんた、俺の事ばっかり考えてんの?」
軽口のつもりだった。奴のテラコッタ色の肌が赤く染まって行くのを見るまでは。
「あ」
気がついた時には俺の下にブロントがいた。
「な、」
どうやら押し倒してしまったようだ。思慮深さはどこで買えますか?眠気もどこかへ行ってしまった。
驚いて半開きになったブロントの口が妙にいやらしく見える。
だって、性格以外はいけるとか思ってたらその捻くれたのは俺のせいとか。ちょっとキた。
「なんだ、可愛い顔もできるんじゃん」
「おいィ?ジョークは冗談にしておけはやくその手をdケロ!」
「うーんいけそうな気がする」
「何考えているんd!はなせsサル!」
「あー残念なんでかエレクトしちゃったので無理だなー」
「ふざけていると骨になる」
「まあいいじゃん女神様に会わせてやるからさ」
そう言ってにやりと笑う。
多分半分は疲れマラで、もう半分は溜ってたせいでおっ勃っちまったんだろうとは思うけど。
誰に言い訳してんだか。まあいい、とりあえずぎゃあぎゃあうるさい口を塞ごう。
噛まれては困るので顎に指を食い込ませるようにして口を開かせ、思いっきり濃厚なキスをする。
「ぅあア!ーッいあだ、いやだ、ァ、あ、あああア!」
「はは、いい声……」
しばらく尻を弄っているとブロントはあっけなく達した。銀色の体毛と精液の白がエルヴァーンの
青銅色の肌に映えて、堪らなくそそる。
「あ、あ……くそ…お前、ぜったい殺す……」
「別に今でもいいよ、腹情死とかロマンだし」
「しね!ーーヒッあァ!!あ、あ、ち、くしょ……」
「わーもうグチョグチョじゃねーか、やぁらしーの」
長く尖った耳を真っ赤にして震わせるのが面白くて、腹にだらしなく吐き続けている精を筋肉の
それほどついていない柔らかな下腹部に塗り広げる。
「わーほら臍んとこ溜ってるよ?ほら、な?」
精液と潤滑剤が混ざって糸を引くそれを、指で掬い目の前まで持って行く。屈辱に震えながら
顔を赤くしているのがどうにも可愛くて、虐めたい。
「あんたのケツ穴すげーな、そんなに気持ちいいの?
さすが至高の騎士さまだなーすごいなーあこがれちゃうなー」
「……はっ!ふ、ぅ……バラバラに引き裂いてやろうか…!」
涙を浮かべながらそんな事を言われても、俺が煽られるだけだ。それに、やりたければ今やれば
いいのだ。腕は自由なのだから。縛ってやろうかとも思ったが自由だったのに好き勝手に犯された、
の方が面白い、と思い止めた。俺ってここまで最低な奴だったんだなあなんて人ごとの様に思う。
「うん、もーいいかな」
ぐぷ、とわざと音が鳴るようにかき混ぜながら後孔から指を引き抜く。
「、うあぁ……」
「はは、そんなに名残惜しそうな声出すなよ、もっと悦くしてやるからさ」
そう言って俺は自分のムスコを取り出す。半勃ちだったのが、二擦りもすればもう臨戦態勢だ。
なんてことだ。我がムスコながらあきれるぞ、お前。
そんな事をしているとブロントの視線を感じる。
「何」
「い、いや……その、なんkあさっきよりは大きくなるようだが」
「へ、ああ、これ」
そうだった。エルヴァーンは俺たちヒュムほど膨張しない。同じ人間なので構造は同じだが
見た目もそうだが種族によって生殖関係も多少違いがあるのだ。まあ色々とヤってきたが、
様々な種族の皆さんに俺の愚息は概ね硬度よし大きさよし形よしとご好評をいただいている。
「もっとでかくなるぜー?」
「それをどうする」
「…お前さ、もしかしてヤった事ねえの?」
「……!!あルに決まって、ッあ!!!」
「ぐちょぐちょになってる、ここに、挿れんの」
柔らかく解れた穴を軽く指でノックする。初物食いは俺の嗜好ではないが、今は妙に興奮する。
この様子じゃ童貞なのも間違いないだろう。
口角が自然に上がり、嫌な笑いだろうと人ごとの様に思う。
「さー腰上げてーセックスは相互の協力があって成り立つんだぞー」
「ば!馬鹿にしているのもいいかげんにしろ!」
素直に腰を上げたところに枕を入れる。馬鹿だ。
「息吐けよ」
「は、は、ぁ!…おい、やめろ馬鹿ぁ、嫌だいやだ……
あっあ、あ入ってくる、入ってくrぅう……あ、あああ…」
「熱……」
涙目だったのが今や本格的に泣き出し、いつもは支離滅裂な言葉しか出てこない口からは
引っ切りなしに喘ぎが漏れる。
周りに引かれる程嫌っている”俺”に抱かれて、ろくな抵抗もしないどころか子供のように
しがみついている。正直に言うと、俺はこの童貞の変人にものすごく興奮している。
虐めたい。もっと泣かせたい。もっとすがりつけ。もっと。
「まだ半分だけどどんな感じ?泣いちゃう程痛い?」
「ちが、ぁ、あ」
「痛くねえの?じゃあ気持ちいい?気持ちいいんだ、勃ってるもんね、あんたケツの素質あるよ」
「そんなわけ、にいあっァアあ!やめ、うあぁ…」
萎えかけのペニスを指で弾く。勃ってるというのはまあ半分嘘だが、どうせ分かっていないだろう。
「まあデカマラのふにゃちんじゃ突っ込まれても気持ちよくないし。オンナ抱くのは諦めたら?
やっぱさぁ抱くより抱かれてる方が似合うよ。あんた!」
上がったり下がったり忙しい耳の裏側に唇を寄せて喋る。勿論噛んだり舐めたりは忘れない。
俺は基本的に尽くすタイプなのだ。
「はァっ、今全部入った、分かる?分かんねえ?なあ、あんたの中すげえよ、飲み込まれるみてえ」
「あ!あ!ゅらすnあぁぁ…あ、あもりにもひきょう……!」
「いやほんとなかなか良い、入り口はきつくて奥はちょうどよく絡み付くと思ったら搾り取る様な
動き……ッて、く…はっ、あんま締めんなよ…食い千切る気か…?」
実況すんな、とか死ね、とか可愛くないことをいうのでお望み通り実況は止めにする。
まあ最高の騎士らしいし、多少荒くても平気だろう。腰を引いてぎりぎり雁首が引っかかる所まで
一気に引き抜く。快感で震えるブロントの腰を掴む。
「ぁああああ……!」
「覚悟しろよ」
「っヒ!あ、ぁうわああ!くはっk…あ!ひ、アぁ!」
「っは、ぁ、ほんと、いいな、あんた!俺の、オンナになればッ?」
「ふざ、アア!ふざぁ、けんなぁ!あ!あ!」
「はははっ冗談!あんたなんかとずっといたら、こっちまでいかれるよ!淫乱!」
「ッあ、ちが、違う…、いやだ、ちが、ん!う!」
「なにが!気がついてるか、あんた、さっきから腰振ってんの!」
「うあぁあああっ…そんな、わけ!な、ひ、あぐ、ぅ…っんん!」
「ッ…!は、くそ……!」
「あ、あ、ぅああああ、…!いッ、くる、くる、なんかくrぅう!!…アッあ!
いやだ、いやだーーあぁあアッッ!!」
がり、と音がするぐらい快感で下がりきった耳を噛むと、本当に食い千切られるかと思う程の
締め付けに、目の前が真っ白になった。
……やべえ、どうしよう…。
盛り上がりすぎた…何回ヤったのかも思い出せない……。しかも相手はあの”ブロント”で。
ぐったりと四肢を投げ出して眠っている奴を見下ろして俺は本気で困っていた。
本当にどうしよう、ああこれが賢者タイムナリかぁ……。いかん、混乱のあまり誰かが降りてきた。
とりあえず後始末もしたし、大変な事になっていた所には万能膏を塗っておいたが…。
「どんな顔すりゃいいんだよ……」
笑えばいいと思うよ、っていや無理だろ。本気でグラットンスゥイフトとやらで殺される。
なんせ同じLSのサブ盾にも平気で攻撃する奴だ。
しかし…いや昨夜は予想外によかった……泣いて悦がってたし意外と許してくれたり……
しませんよねーッ!ははーッ!
それから暫くぐるぐる同じ様な事を考えたり妙な動きをした結果、俺は逃亡する事にした。
俺だって自分がかわいいもん。
「えーっと、その、悪かった」
聞こえてないとは思うが、取りあえず声をかけて部屋を出た。今日もヴァナディールは快晴だ。
それからブロントさんが目を覚まし、ベッドサイドテーブルに水や薬を置かれているのを見て
汚いなさすが忍者きたないと言ったかどうかはまた別のお話。英語でいうとストーリー。
356 :
忍ブロ:2009/06/22(月) 02:49:08 ID:skN8YoZ6O
____________
| __________ | 規制解除で思わずやった。今は後悔が鬼なっている。
| | | |
| | □ STOP. | | 細かい事には目も瞑るという
| | | | ∧_∧ 名セリフをしらないのかよ
| | | | ピッ (・∀・;) ……イエあのほんとすいませんでした
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>345 見事な忍ブロだと関心するがどこもおかしくはない
>>345の忍ブロで俺のときめきがマッハなんだが…
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// .|| ∧∧
. // 生 || ∧(゚Д゚,,) < このビデオは呪いのビデオです
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < 先週の戦国オンリーに行った皆が
i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < 行けなかった僕の分まで
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )! 幸せになりますように
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ"
ゲーム「采.配.の.ゆ.く.え」より、九州の伯父←甥。
特に何をしてるわけでもないけど、できちゃってるの前提なので
近親・年の差カプが苦手な方はバックプリーズ。
あと、歴史モノにおける史実の無視や勉強不足が許せない人も回避よろ。
宵闇の中、己の勘だけを頼りに時を探る。
押し殺された呼吸も、乱れた鼓動も、頼みにはできない。
ぴたりと閉ざされた襖の隙間から、見えぬ空を見る。
夜が明けるまで、あとどれほどの時があるのだろう。
思い出すのは、最後に過ごした夜に聞いた言葉。
文字通り、精根尽き果てるまで愛しい人を求め
なおも飽き足らぬ身の、残滓を拭いながら伯父は言った。
――次にまみえる時まで、触れてはならぬ。
武骨な掌で、幼子をあやすように背を撫でながら。
――わかるな、豊久よ。
噛んで含めるような声音には、憂慮だけではなく
確かな親愛の情があったと、今でも信じられる。
その命を言葉通りに受け取れるほど、幼くはない。
身を清め、用を足すことまで、禁じるわけではあるまい。
つまりは、顔を合わさぬからといって己の欲に負け、
自涜に溺れることなど、あってはならぬということだろう。
抑えきれぬ肉欲を、咎めてのことなのか。
それともただの戯れ、気まぐれにすぎぬのか。
いずれにせよ、理由など瑣末事だ。
他ならぬ伯父の命に、どうして逆らうことなどできよう。
何一つ裏切ることなく、完璧に約束を守ってみせる。
伯父との別れ際、自分は確かにそう思っていた。
身の内を炙るような何かに気づいたのは、数日後だった。
はっきりとした形を持たず、しかし確かに存在するそれは
日常の隙間を縫って、ふとした拍子に腹の底を沸かせる。
自覚していなければ気づかぬほど、自然に起こる衝動。
なるほど、伯父が念を押すのも頷けた。
眠りが浅くなったことに気づいたのは、半月を過ぎた頃。
些細なことにも苛立ちが募り、集中することができない。
夜に眠れぬためか、常には感じぬ睡魔に襲われもした。
それでもなお、身の底で煮詰まるような衝動に堪え続けた。
崇敬し、求めてやまぬ伯父の命と思えばこそ。
そして、今日。
再び伯父と顔を合わせる時を、明日に控えた、今宵。
抑えていた欲は、思いもよらぬ形を取って現れた。
床に入り、目を閉じて間もなく、かの人の姿を夢に見た。
否、姿だけではない。
頬を撫でる掌の温もり、包み込むような抱擁の力強さ。
浮き立つような高揚の中、それらは間近で感じられた。
会いたい、触れたいと、願ってやまなかったものの全て。
現で交わした約束を忘れ、身も心も委ねることができれば、
後ろめたさと引き換えに、幸福を得られたのかもしれない。
しかし、かの人を想う心は、寸前で誓いを思い出させた。
心を蕩かすような夢を、振り解くように跳ね起きた。
己の手が湿っているのに気づき、思わず目を凝らしては
それが自涜の残滓でなく、寝汗であったことに安堵する。
しかし、身を焦がす熱情は、目覚めてもなお鎮まらない。
いっそ目覚めることなく、夢心地のままに朝を迎えた方が
楽であったのかもしれぬとも思えるほどの激しさで。
目覚めた欲は新たな形を取り、身の底を滾らせる。
さながら蛇が這い、のたうち、毒を回らせるかの如く。
重苦しくも甘い熱が、削り取るように神経を磨り減らす。
いっそ眠りに落ち、意識を断ち切ってしまいたかった。
だが、今眠ってしまえばきっと、再び伯父の夢を見る。
疼く身体の上に、恋い慕う人の面影を重ねられて
この心が堪えられるとは、到底思えない。
敷布を強く握り、見えぬものから逃れるように身を捻る。
夜着に擦れた胸の頂が、痺れるような疼きに襲われた。
肌を刺し通し、奥底の心までを貫くように、甘く鋭く。
そこで快楽を享受することは、伯父の手で教えられた。
否、教えられたのはそれだけではない。
声を上げ啜り泣いても堪えきれぬ、蕩けるような忘我も。
何も疑うことなく、信頼する相手に全てを委ねる快さも。
さらには一度覚えたそれらを、求めてやまぬ肉の欲も。
愛撫のみでは飽き足らず、かの人の全てを――
身も心も全てを、己のものにしたいと願う心の欲も。
度しがたいこの想いは、全て、伯父に教えられたもの。
最初に胸の奥に灯った、ほんのささやかな温もりを
消すことなく保ち、二度と戻れぬまでに煽り立てたのは
他ならぬあの深い声、厚い掌、そして見えぬ眼差しだ。
それを今さら、押し留めよなどとは、何と酷なことか。
肌がひとりでに熱を持ち、感覚が鋭くなる。
触れられたい。触れて、しまいたい。
いつも、されるのと同じように。
最後に会ったあの夜に、されたのと同じように。
心が記憶する愛撫を、身体が追い求める。
片手がそろりと腿を這い、下帯を解かんとする。
もどかしさと待ち焦がれた期待に、指先が震えた。
しかし、その貪欲な手が下帯の縁を辿った瞬間。
――触れてはならぬ。
最後に聞いた伯父の声が、まざまざと思い出された。
耳を打ち産毛を擽る、息遣いまでもが克明に蘇る。
さながらすぐ傍、耳元で囁かれているかのように。
――わかるな、豊久よ。
思い起こされる伯父の声は、決して叱責のそれではない。
落ち着いていながら力強い、諭すような声音。
皆まで言わずとも、真意はわかっているはずだと。
それほどまでの信頼をもって、伯父は命じたのだ。
震えるまで拳を握り、触れようとしていた手を抑える。
逆らえない。裏切っては、ならない。
しかし、記憶に刻まれた声は、また思い出させもする。
その言葉を聞いた時に触れた、伯父の温もりを。
ここで自らを慰めたところで、手に入るはずもないそれに
今はたとえ夢や幻であっても、縋らずにいられない。
触れられ、また触れたいのは、求めているから。
他の誰とも替えの利かぬ、ただ一人を欲しているからだ。
己を制するも、駆り立てるも同じ。
全てはここにない、かの人の面影だ。
布団の上に爪を立て、事に及ぼうとする手を封じる。
血が滲むほどに唇を噛み、甘く掠れる息を押し殺す。
約束の刻限まで、あと半日もない。
この夜さえ越えられれば、約束を守り通せるのに。
それまでの数刻が今は、信じがたいほどに、遠い。
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//||
// .|| ∧∧
. // 止 || ∧(゚Д゚,,) < えっちな采.配と
//, 停 ||__ (´∀`⊂| < えっちな甥っ子と
i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < えっちな伯父甥スキーが
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )! もっと増えますように
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
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|_____レ
読んでくれた姐さん方、ありがとう。
兄弟モノ、オリジナル、エロくはない筈……です。
近親相姦的なものがお嫌いな方にはおすすめできない内容です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「全く、こんな雨の日に外で練習するなんて……」
酒嗄れ気味の声で、四十路の母親が聞こえよがしに愚痴をこぼした。
嗅ぎなれた香水と化粧品の匂いが漂う頃、それは母が仕事に出る時間だと兄弟は感じ取る。
昔は一抹の不安と寂しさを覚えたものの、兄弟も高3と中2になった今では
母の夜の出勤にとりたてて特別な感情は抱かない。
「寝てれば治ると思うけど、部活も程ほどにしなさいよね」
愛情がないわけではない、兄弟はそれを知っている。ただ自分達の母親にはそれを注ぐだけの
時間と余裕がないだけなのだ。離婚後、母が女手ひとつで自分達を育てる苦労を間近で見てきた。
だからなるべく母の手を煩わせまいと、兄弟は努力している。
申し合わせたわけではないが、自然とそうなった。
「お兄ちゃんをよろしくね」
派手なワンピースにキラキラ、ひらひらした薄手のカーディガンを羽織った母が下の息子に言う。
「うん、大丈夫だよ。いってらっしゃい」
いつもは古い二段ベッドの下が弟、上が兄の寝場所と決まっているが、今日は熱でふらつく兄が
弟の寝床を占領していた。弟はそれに文句を言うわけでもなく、たまに覗いては濡らしたタオルで
汗をふいたりしてやっている。
母は薄い肩から少し力を抜いた。下の子も、気付いたらやけに大人びてきた。
普段さほど仲が良いとは言えないが、いざとなれば助け合える。
育てるのは大変だったけど、やはり子供が“ふたり”いて良かったと思った。
上の子は、いかにもお兄ちゃんらしく育った。責任感があって、しっかりしているが根は穏やかだ。
下の子は元から無口で大人しい子だったけれど、芯の強さはお兄ちゃんよりあるかも知れない。
次男の眼鏡の奥の、静かな老成した眸は、心強さとちょっぴりの違和感を母に与えた。
しかしその違和感を追求する暇は、いつもない。
「……じゃ、ね」と言い、母は今夜もまた夜の世界へと身を預けた。
熱を出して寝込んだ兄と、静かな読書好きの弟をふたりだけにして。
六月の雨は、日が暮れてもしとしとと世界を濡らし続けた。
安アパートの一室は湿った空気で満たされている。熱に浮かされながら、
布団は汗と湿気で重くなり、兄の寝苦しさを増した。
弟が間を空けずに額の濡れタオルを洗面器の水で冷やして乗せてくれる。
その度に、一瞬の清涼感に洗われて兄はちょっとだけ救われる思いがしていた。
暫くすると、ひたひたと畳を歩く音が近づいてきて弟がまた冷凍庫からビニール袋の
氷を持ってきたのが分かった。
「……悪いな…」
兄は弟に世話になるばつの悪さを隠し、礼を言うつもりで口を開いた。
たったそれだけのことが、喉に張り付くようで中々出てこない。返事が来ないから尚更気まずい。
弟の無口は今に始まったことではないが、心のうちを明かさない、底の知れないところが彼にはあった。
「……」
「……」
薄い外壁に伝わる雨音に、じっと聞く耳立てているような沈黙が部屋を覆う。
たまに車が通ると、タイヤが遠慮なくシャーっと水溜りを掻く音がした。
「……飲む?」
弟がスポーツドリンクの入ったペットボトルを持ち上げて、兄の枕元に身を寄せた。
「あぁ、……うん」
兄は少しだけ首を持ち上げて、手渡されたペットボトルに口をつけて飲んだ。
また眠りたかった。母が仕事に行く前に目は覚めたけれど、本当は全身がだるくて、
目を開けているのがやっとだった。心持ち息が苦しい。本格的に風邪を引いたなと憂鬱になる。
引退前の大事な時期。多少雨が降っても、サッカーの練習は普段どおり行われる。
そんなことは当たり前だったから、びしょ濡れのまま黙々とチームメイトと共に泥に塗れた。
おかしいと思い始めたのは家に着く5分前くらいだった。衣替えしたばかりの制服がやけに冷えて、
雨と汗で湿った半袖の白シャツが身体に張り付いてどうしようもなく寒気がした。
玄関で靴を脱ぎながら既に釦を外し着替えてはみたものの、震えは治まらなかった。
「顔色悪いよ」と弟に指摘されて、初めて寒さと食欲のなさが身に沁みた。
手渡された古い体温計には、38度3分の文字が映し出された。体温計を見ると、兄はどさりと
ベッドに横になったまま動けなくなった。弟の布団に包まりながら兄は眠った。
明日の試合は気になるけれど、今は何も考えられなかった。
兄が寝息を立ててから、何時間経ったろうか。
弟は机の上の小さな目覚まし時計にチラリと目を遣った。
何度目になるか分からないが、教科書を開いたまま10分置きに後ろのベッドで横になる
兄の様子を振り返った。
額のタオルがずれていれば直し、温んでいたら氷水で冷やしを繰り返す。
弟は兄の世話を甲斐甲斐しく焼いた。そうやって近くにいる理由のあることが、はっきり
意識したくはないけれど、どうやら「嬉しい」という感情であるらしいことを、理知的な弟は
心のどこかで知っていた。しかし認めたくはなかった。
弟はもう一度タオルを額に乗せ直して、兄のこめかみの辺りにおずおずと指を這わせてみた。
日焼けした頬の浅黒い肌は、湿っていて指が滑らない。
それでも指先はふらふらと顎の下でふと止まった。生温かい吐息が手にかかる。
兄には、つきあって半年くらいになる彼女がいた。
弟は兄が彼女と既に深い関係にある、と何となく察していた。同じ高校の制服を着た
ポカホンタスみたいなその女の子のことを、兄が大事にしているのも分かっていた。
彼女と兄が一緒にいるところを目撃して以来、兄が彼女にどんなことをするのか
気になって仕方なかった。――どうやって、どんな風に?
女の子と付き合った経験のない自分には想像のしようもないが、こうして間近で兄の顔を
見つめていると、恋人同士のキスは容易に想像できるような気がしてくる。
好きな人の口唇がそこにあったら、合わせてみたいと思うのも当然だと。
兄の口元をじっと見つめながら、弟は大事なことをいくつか忘れそうだった。
自分と兄は男同士、血が繋がっている兄弟、兄には彼女がいる、母が悲しむ……。
腹の底から何やら怒りにも似た凶暴な気持ちが顔を覗かせて、弟は息を飲んだ。
思えば、兄が帰ってきて着替え始めた時からこのザワザワした感じは始まっていた。
家に帰るなり、兄はいきなり制服を脱ぎ始めた。
筋肉に覆われた上半身が目の前に晒された時、弟は慌てて視線を逸らした。
兄の肌は、普段は温かくていかにもからりと乾いていそうなのに、
今日はじっとりと汗に覆われて湿気を帯びていた。肌色も心なしか、くすんでいた。
タオルで身体を拭きながら裸のまま部屋着を探す気配に、弟はそわそわした。
これがはじめてではないけれど、説明のつかない兄への思慕は日増しに強くなる一方で、
それを否定したくてもいつもあまりに兄は近く、意識しないようにするのは到底無理だった。
ずっと一緒にいたいと思うと日もあれば、でもこんな苦しい思いをするならば早く離れたいと思う日もあった。
兄の顔なんて、見たくない。こんな毎日から逃げ出したいと。
兄の顎に触れていた指をつと、口唇の縁に遊ばせてみて、弟はもうこれで止めようと思っていた。
やっぱり「嬉しく」なんてない。こんな風に触ったりするのも、間違っている。
ままごとだろう、こんなこと。そう思っても中々手を動かせない。
少しの間だけでも良いから、兄のぬくもりを感じていたかった。
やっと手を引っ込めようとした時、ふと兄の目蓋が持ち上がってすぐ近くにいる弟の姿を認めた。
熱のある眼差しで見上げられると、弟は一気に落ち着きをなくした。
何も言えずに咄嗟に額のタオルに伸ばしたその手を、兄はがっちりと握りしめた。弟は怯えた。
「…もういいよ」
掠れた声に弟の肩が震えた。言いながら注がれたままの視線に、更に身が竦む。
自分が口唇に触れていたことを、兄は気付いていたのではないか。
『Plum Rain』(5/5)
「そんな顔するなよ」
何も言わない弟の掌を、兄は自分の火照った頬に当てがう。
「冷たいな……」
つい数秒前まで口元に触れていた自分の指先に、そっと兄が唇を寄せて囁く。
唇の熱に、弟の指は焼け付くようだった。頬も熱いけれど、口はもっと熱を帯びている。
何も出来ずに固まっている弟の生真面目な眼鏡の奥の眸を、兄は面白そうに見つめた。
そして兄がもう一方の腕をそっと持ち上げて弟の耳たぶを摘んで引っ張った時、
その手には力は全然入っていなかったけれど、弟はすんなりと引き寄せられた。
弟はベッドに横たわる兄に身を乗り出して目を閉じた。
後のことは知らない。
弟は自分の舌が熱い舌で絡め取られながら、同じDNAを持つ唾液が交じり合うのをただ感じた。
兄の口が優しく、とても優しくいつも自分の口を吸い上げるので、目の前が白くなる。
握られたままの指も、耳の後ろで弄られる髪も、何もかも今まで通り。
今日も兄は、これをやめないでいてくれた。やめないことを選んでくれた。
それだけのことがやはり「嬉しい」。そのことに陶然となって無意識に口を押し付けた。
そうすると、もっと深いところまで届く気がした。
宥めるような緩やかな流れに身を委ねる頃、やめる勇気とやめない勇気、
どちらが大きな決断かと聡い弟は考える。
でも、後のことは知らない。
先のことは考えない。
すっかり小さくなった二段ベッドの軋みを聞きながら、ふたりは湿った音を立てて口を貪り合った。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
すいません、途中でLANが2回もおかしくなって接続できなくなり修復に時間をとられました。
たった5レスなのに、時間がかかってしまったことを深くお詫びいたします。
投稿を控えておられた方にも、重ねてお詫びいたします。
「刃鳴散らす」伊烏→←赤音。第一章終了直後。
・原作設定寄りの男女要素が少しあります(行為そのものはありません)
・→の矢印は主に憎しみです
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
濃紺の着流しを闇に溶け込ませるようにして、伊烏義阿が矛止の会本拠に帰還
したのは日付も変わろうという夜半だった。
瀧川商事襲撃に際し、矛止会士らの撤退時の殿を無事務め上げた身は、街灯の
下で見たならばさぞ凄惨であったろう。もっとも目撃者がいたところで、この
廃都で深夜に徘徊するような輩はいずれ同様の魑魅魍魎であろうが。
輸入雑貨店に偽装したアジトの隠し扉から、城塞を思わせる広大な地下に潜る。
「ご苦労様、伊烏。あなたで最後よ」
伊烏を出迎えたのは日浦という女だった。
下の名は知らぬが、一介の傭兵である不調法な伊烏に何かと良くしてくれる。
「ああ。我侭を言ってすまなかった」
伊烏が撤退の殿を務めたのは、単一戦力として最強だからという理由もあるが、
それ以上に伊烏の個人的事情による。わずかな時間とはいえ伊烏ひとりの撤収が
遅れたことは、東京府内外を結ぶ非合法ルートを確保していた仲間にもリスクが
及んだはずだった。
「仕方ないわ。あなたにはそういう条件で力を貸して貰ってるんだもの。繕う
箇所は……ないようね」
濃紺の地にも隠しようのない返り血に染まった着物を、眉一つ変えずにぐるりと
観察し裂傷のないことを確認する。彼女もまた武装集団の剣士であった。
「同志の分と一緒に洗濯に出しておくから、いつもの場所に出しておいて頂戴。
それから、明日の作戦会議は七時半からよ」
「承知した」
きびきびと事務的に連絡事項を告げる日浦に伊烏も手短に応じる。
少女の可憐さを残した面貌を鋭い眼差しが裏切る小柄な姿に、ふと別の姿が
重なり――
伊烏は思わず浮かんだ連想をすぐ恥じて打ち消した。
馬鹿な。似ても似付かぬ。
“あんなもの”の影を重ねるなど、彼女に対する侮辱だ。
「それで、“彼”には会えたの?」
伊烏の内心を見透かしたかのような問いにぎくりとする。
「……ああ」脳裏に灼き付いた朱い影。
反射的に沸いた臓腑が煮え滾るほどの憎悪を押し込め、ようよう伊烏は答えた。
瀧川の追撃班を伊烏が全滅させたのち、衛士らと共に現れた異装の男。
相手からは死角の位置だったが、伊烏のほうでは遠目に仇敵の姿を確認していた。
会わぬうちに成人したにも関わらず、小柄な背格好も色白で少女的な容貌も
何もかも四年前のままだった――外見だけは。
「そう」そっけない相槌に混じる微量の悲哀はすぐに消えた。「我々としても
瀧川商事の強力な傭兵は早急に排除したいわ。明日の会議では、あなたに作戦の
中核を担って貰うかもしれない。よろしくね」
「了解した」
日浦と別れ、伊烏は与えられた自室に戻った。
三畳ほどの広さだが、数百人所帯の地下城塞で傭兵に個室があてがわれるのは
破格の待遇である。腕を高く買われているということだろう。人付き合いの苦手な
伊烏にはありがたい。
血糊のべとつく身体は耐え難かったが、先に砥石と打粉で刀の手入れを済ませる。
伊烏自身が風呂に入れるようになるまでには一時間を要した。
純和風様式で統一されている会本拠は浴場も総檜造りである。
それなりの広さを持つ浴場の脱衣所に他の会士の姿はなかった。
ようやく血染めの着物を脱ぐ。これだけ汚れたら洗濯したところで綺麗には
なるまいな、と思ってから、伊烏は自嘲に口端を歪ませた。
返り血を浴びるたびにいちいち新しい衣服を買う傭兵など笑い種だ。
作戦行動時に着る分には染みが残っていても問題ない。すなわち、人を斬る、
という前提なら。紺地ならそう目立つまい。
あの男もそれで朱い小袖を羽織っているのだろうか、とふと思う。
昔たまに私服で着ていたときは一風変わった趣味だと思っていたが、毎日見る
道着の印象のほうが強かった――
益体もない考えから忌まわしい記憶が蘇り、伊烏は奥歯をぎり、と噛み締める。
――最後に見た奴の道着姿は、返り血に染まっていた。
惨劇の光景を打ち払うように、同じく血染めの黒装束が満載の大きな洗濯籠に
着物を放り込む。今夜の戦いから生還し、入浴できた会士は幸せだ。
痩身ながら鍛え抜かれた伊烏の身体にはいくつかの銃創がある。
九州《ニューウォーリック》で一度、北海道《ウラジューク》で二度被弾した。
いずれも仇を探す四年にわたる旅の間に受けた負傷である。
刀創はない。現在の敵対勢力である瀧川商事の主要武器が鉄棍であることを
差し引いても、この街における伊烏の剣客としての実力を示すものといえる。
身体を洗ってから浴槽に身を沈めた伊烏は、傷跡の引きつれる感覚と湯温の
ぬるさに眉をしかめた。追焚きは可能だが、人気のない浴場で伊烏ひとりのために
そうするのも気が引ける。
諦めて溜息と共に目を閉じ、数時間前の戦いを思う。
四人、斬った。一人は女だった。
肉と骨を断ったおぞましい感触と彼らの断末魔がこびり付いて離れない。
そのために雇われているのだと頭ではわかっているし、伊烏の目的のために
そうするしかない。だからといって己の罪が消えるはずもない。
彼らにも愛する者や家族がいただろう。かつての自分と同じように。
知行合一。武人の八徳。
もはやいずれも自分には語る資格がない。
今の自分はテロリストに加担する、ただの人斬りだ。
いや、イシマ主義を掲げる矛止の志士達は、自分よりずっと真摯に知行合一を
実行する武士たらんとしている。彼らは決して私怨のために剣を振るったりは
しない。自分と違って。
ようやく見つけ出した朱い怨敵は、何も変わっていなかった。
そして、何もかもが変わり果てていた。
激しい憤怒と憎悪と復讐心を抱き、殺すために剣を磨き追い詰めたにも関わらず、
伊烏は今さらショックを受けている自分を意外に思った。
かつて同じ時を共に過ごした彼は死んだのだ、と改めて思い知らされた。
『これからも、よろしくお願いします』
そう言って、全力を出し合った仕合の後に笑顔で手を差し出した少年。
あれが伊烏の知る武田赤音を見た最後であった。
次に見たのは、敬慕した女性を斬った血刀を下げ佇む狂鬼。
今夜再会した“あれ”はもはや人ではなかった。
昔と同じ鈴を転がすような笑声で、死者を貶め嘲り侮辱と冒涜の限りを尽くし、
さあ戦えと伊烏を挑発してきた。
怨讐と生理的嫌悪の双方から飛び出して斬りつけたい衝動を、全理性を総動員
して堪えやっとのことで帰還してきたのだ。さすがの伊烏でも衛士隊とあの男を
同時に相手取るのは難しい。
あれは、血に飢えた獣だ。生かしておいてはならぬものだ。
矛止会士らを何人も手に掛け全身に血を浴びた姿は、小袖の朱を一層茜色に染め、
さながら屍肉を喰み、肥え太る蟲のようですらあり――
そこまで考えて、伊烏はまたも己を嗤わざるを得なかった。
――自分も、既に同類ではないか。
不意に自分がぬるつく血と臓物に浸かっているかのような錯覚に陥り、喉元に
悲鳴と胃液が込み上げる。たまらず湯舟から飛び出し、伊烏は頭から冷水を被った。
冷えた身体の一箇所に、記憶の中の温度が蘇る。
血も出んばかりに爪を食い込ませ、その幻を握り潰した。
――握り返した右手に残る温もりが忘れられぬ、自分が許せない。
未だ鮮やかに残る感触を消すべく、掌を叩き潰し切り刻み手首から切り落とさんと
幾度思ったか知れぬ。実行しようと思い詰め、そのたびに衝動に抗ってきた。
なぜならこの右手こそは力。全てを終わらせるための。
(何故だ)
今日も伊烏は虚空に問う。
どこで狂った。何を間違った。
いつまでも彼と彼女と共にあるのだと思っていた。
なぜ彼女はあんな惨い死に方をしなければならなかった。
いつからあの少年は狂気に取り憑かれていた。
笑いながら手を差し伸べてきたあのときにはもう、人面獣心の外道だったのか。
いやそもそも、生涯の友だと信じた者は最初から醜悪な化物であったのか。
(何故、俺を裏切ったのだ――赤音!!)
過去の幸福な思い出さえも蜃気楼のごとく不確かに揺らぐ。
絶叫すらできず慟哭の涙も出ず、伊烏は声もなくただ魂を引き裂かれる激痛に
悶え喘いだ。
己を保証する唯一のよすがを求めて脱衣所に駆け戻り、手の温かみを消すように
それを握り締める。馴染んだ柄の感触は、安堵とさらなる苦痛の両方をもたらした。
銘、越後住光秋。二尺四寸一分。
風呂上りにも関わらず蒼褪めた憔悴の表情で、刀片手にふらりと出てきた幽鬼を
どう思ったか。眉をひそめた日浦と出くわしたが体裁を繕う気力もなく、板間で
寝かせて貰う、とだけ言い残して伊烏はその場を後にした。
背後から同情と憐憫の視線を感じたが、またか、などと訊かない彼女の優しさは
ありがたかった。
矛止の会に厄介になって以来、いや四年前のあの日から、伊烏は布団で眠りを
安んじた夜がない。ここではほぼ毎日板間に泊まり込んでいるようなものだ。
夢にあの朱を見ぬほどに精根尽き果て、倒れ伏すまで剣を振らねば、今宵も
休息を得られそうになかった。
人間らしい暮らしを用意してくれる彼女には申し訳ないが、この身はもはや
人ではない。伊烏は己の分身を固く握り、自ら立てた誓いを思い返す。
どれだけ自身が血に染まろうとも、この剣をもって報仇を果たすと決めたのだ。
伊烏が伊烏であるために、あの朱い男を葬る。
我は一刀。武田赤音を斬るための。
†
†
「うわ、なんだこりゃ。臭っせえ」
豪奢なバスルームの大理石貼りの浴槽は赤い液体で満たされていた。
「あ、ご、ごめんね。美容にいいって聞いたから……ごめん、お湯入れ直すね」
「いい。面倒臭え」
びくつく部屋の主に苛々と言い捨て、さっさと脱衣所の扉を閉める。
武田赤音は不機嫌だった。
待ちに待った宿敵との戦いに肩透かしを食わされたのだ。
もはや白い場所のないワイシャツと、血が乾いて朱色から暗赤色になった小袖を
丸めてダストボックスにぽいと放り込む。クロゼットにはまだ替えがある。
奇妙な匂いと落ち着かぬ色合いの湯に浸かり、赤音はひと月ぶりの一人風呂で
羽を伸ばす。まったく、ペットになりきるのは楽な仕事ではなかった。
入浴剤にうるさい赤音の雇い主は、ハーブやら何やら魔女的な呪文をよく唱えて
いる。いつも右から左に聞き流して取り合ったためしはないが。
酒精が匂うところを見ると、ワインか何かも混じっているのかもしれない。
(本気で血に酔う趣味でもあんじゃねえのか、あのアマ)
東京府の経済を牛耳る瀧川商事の社長が多少特殊な嗜好を持っていたところで、
赤音には別段驚くべきことでもない。街に行けば同類はうようよいる。
あらゆる種類の無法者が吹き溜まるこの閉鎖都市は、白昼堂々辻斬りが出没
することも日常茶飯事であった。
中には撃墜マークよろしく殺害人数を誇ったり、流血自体に淫する者もいるが、
赤音はそういう変態的な手合いと自分は違うと思っている。
この街に来て何十人だか何百人斬ったかなど覚えていないし、累計を算出する
気もない。血液など戦闘の副産物に過ぎず、戦う状況によってはむしろ邪魔だ。
却って重症だと指摘する者もいようが、世の基準など赤音には何の意味もない。
赤音を酔わせるものは、今も昔もただひとつ。
目を閉じて、それを思う。
鮮烈で清らかな、あの白刃の閃き。
月光のごとく冴え渡る怜悧な技。
四年の間に、どれだけ美しさを増したのだろう――
ぞくり、と脊髄を駆け上がるものを感じる。
赤い湯に浸かった自分の下半身を見下ろして、赤音は思わず舌打ちした。
(うあ。畜生)
これでは自分も街の変態共と同じではないか、と、ひどくばつの悪い思いで
がしがしと髪を掻き毟る。この四年でありとあらゆる非道や残虐を行ってきた
赤音が、ついぞ感じたことのない罪悪感だった。
戦場で気の昂ぶった兵士には珍しくもないし赤音にも経験はあるが、彼の剣を
そうした生臭いもので穢すのは禁忌に等しい抵抗がある。女への幻想など霧散
して久しいが、崇拝する初恋の女性で自慰を行った少年の気持ちというのは、
あるいはこんなものではあるまいか。
(でも、お前が悪いんだからな。伊烏)
声だけで姿を見せず去った宿敵に言い訳がましく独りごちる。
(ひとを煽るだけ煽って帰りやがって、腑抜け野郎が)
言葉で煽っていたのは赤音だったような気もするがどうでもいい。
こちとら四年も待たされたのだ。焦らすにも限度があろう。
滾りに滾ったこの闘争心をどうしてくれるのだ。
四年間それだけが生きる支えだったのだ。待つのはもうごめんだ。
(――そっちが来ねえってんなら、こっちから襲ってやるまでのことだ)
湯の中で物騒な計画を練り終え、赤音は風呂から上がった。
持て余した昂ぶりの手っ取り早い処理相手はすぐ側にいるが、自分の劣情を
認める気がして気が引ける。ペット生活のリハビリも必要だ。
長く連れ添った相棒を腰に差し、赤音は月光注ぐテラスへと出る。
銘、越後住光秋。二尺三寸三分。
それでも、当てもなく焦燥に苛まれていた昨日までとは違うのだ。
同じ空の下にあいつがいる。それだけで、剣を振る気持はこんなにも違う。
赤音のための敵がいる。赤音が赤音であるために必要な敵はこの街にいる。
我は一刀。伊烏義阿と戦うための。
二人の剣鬼が力尽きて浅い眠りを得たのは、この日も同じ未明の刻であった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )風呂でくよくよ悩むイガラスが書きたかっただけ
個人的にはガチホモEndはなくていい派。
村正でも薀蓄と因縁とエロスまみれの殺し合いに期待。
>>380 おお、ハナチラが再び。
自分も彼らの関係は、ホモエンドなど無くとも十分エロスだと思う。
オリジナル投下させてください。
どちらもノーマルという設定です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
383 :
暗闇 1/2:2009/06/27(土) 15:42:06 ID:Z6stC1gg0
周りが薄暗かった。窓からの街灯の灯りがこの部屋をかろうじて照らしている。
誰かの部屋だ。俺はソファに横になっていたらしい。
部屋の外から音楽や人の笑い声が聞こえる。かなり遠いけど。
「目、覚めたんだ?」
身体を起こすと、すぐそばから声がした。黒い影。ソファの隣で誰かが座っている。聞き覚えのある声。
「あんた、酔っぱらって倒れたんだよ。で、この部屋に放り込まれた」
思い出した。ラルフの家だ、ここ。親が旅行中でいないからってパーティ開いたんだっけ。
ラルフの家は金持ちだから、飲み放題食べ放題でやたら人が来る。特に今日は豪華なプール・パーティだし。
で、確か一杯目でクラッときたんだ。変なドラッグでも入ってたのかもしれない。まだ少し目眩がする。
目が慣れてくると、黒い影が誰だか分かった。
「何でおまえがここに。俺の様子を見にきた?」
「そんな風にみえるんだ」
クスクスと人を小馬鹿にしたような笑い。いけ好かない奴。だからこいつ嫌なんだ。
いつも、君達とは違うんだとでも言いたげに、周りを遮るようにヘッドフォンで音楽を聴いてる。
仲間と一緒にからかっても、冷めた視線で返す。イライラする。パーティに来てたのか。
「向こうで皆くだらない話ばっかりしてる。まあアルコール目当てだったし、ボトルもってここに逃げてきただけさ。
そこにたまたま、あんたが寝てた」
そうかい。じゃ、出てけよ。
「そうしたいけどね。他の部屋はもう埋まってる。ほら」
唇に指を立ててみせた。静かになると、隣の部屋から女の喘ぎ声が聞こえてきた。思わず舌打ちする。
ジェシカだ。俺とヤッてるときと同じようにでかい声を出してやがる。
「彼女だよね。確か?」
違うね。特定の彼女は作らないことにしてるんだ。実際今日はマリアをお持ち帰りしようとしてたし。
「ふうん。やっぱ、あんた最低の男だな」
蔑むような目。これで女達に結構人気なのが信じられない。
どこかのミュージシャン気取りでピアスや化粧なんてしやがって。
384 :
暗闇 2/2:2009/06/27(土) 15:42:43 ID:Z6stC1gg0
「おまえみたいな、オカマ野郎に言われる筋合いはない」
「見た目で人を判断するようなバカに言われる筋合いもないね」
いつもと違って言い返しやがった! 学校では俺を無視するくせに。
俺が今ひとりで、少しふらついてるからに違いない。
獲物が弱ったとたんに襲いかかるカラスみたいな奴。
「おい」
ジェシカのこともあって、カッとなった俺は奴の胸ぐらを掴んで床に押しつけた。
「ふざけんなよ。ゲイのくせして、ほんとは俺とキスでもしたいんだろ」
「またゲイ呼ばわりか。取り巻きがいないと、あんたガキみたいだな、マジで」
また、俺を嘲笑おうとこいつの口が歪んだ。させるかよ。
殴るつもりだった。けど身体に力が入らないせいで、手よりも先に唇で、こいつの笑いを押し止めてしまった。
無意識で舌を滑り込ませる。向こうは驚いたように目を見開いたが、抵抗してこない。
なにしてるんだ、俺は?
お互い何も言葉が出なくなってる。隣でジェシカと誰かのうめき声。
薄暗い部屋で俺を見上げる目。少し潤んで光っていた。
「おまえ、舌にまでピアスしてんのか」
「うん。これで舐められると、気持ちいいらしいよ」
少し笑った。いままで、俺に向けたことがないような笑顔。目が俺の唇を追っている。
腹の辺りから突き上げてくる、感じたことのない欲望が頭をいっぱいにした。
こいつ、やっぱりゲイなのかな? 俺も?
どうだっていい。とりあえず、ここは俺たち二人しかいない暗闇。
抱きしめると、当たり前のように細い身体が絡みついてきた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
寄生獣で801未満、気持ち三木×後藤さんで微ネタバレ。合体前捏造です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ピアノの音が、聞こえた。
安い電子ピアノではなく、グランドピアノを使っているのだろう。
無遠慮に響くその音は、防音壁に囲まれていてもなお、仮眠室で湿気と熱にうなされていた三木を起こすのに十分すぎるものだった。
じっとりと熱いシーツから逃れるように寝返りをうって、三木はぼんやりとピアノの音を追う。
それは聞いているというよりも耳に入るままにさせる程度のものだったが、そんな聞き方を(ついでに言えば、音楽には興味のない三木を)持ってしても、その演奏は、
「へったくそだぁ……」
どこかで聞いたようなメロディが、途切れ途切れに、しかも諦め悪く繰り返される。
メロディに意識を乗せ、再び眠りに落ちようとする度に中断される演奏は、ほんの少し三木を苛立たせた。
技術がないわけでは、恐らくない。
スムーズな演奏が、不意に途切れるのだ。
まるで、急に身体が自由に動かせなくなったような……。
そこまで考えて、三木はようやく、この下手くそな奏者に目星を付けた。
「……後藤さん、か」
5人だから「後藤さん」だ、と田村は言っていた。
頭と、左腕。
それから両足に1人ずつ、仲間が入っているのだと。
それゆえに意識の統一が面倒で、特に頭になっている後藤の負担はとても大きいのだとも、彼女は言っていた。
『だから、』
田村の、広川にも似た目を思い出す。
狂気を感じさせるような、有無を言わせない瞳で、彼女は確かこう言ったのだ。
『広い心で、彼の成長を見守っていて欲しい』
同種から見ても理解出来ない変人は、やはり意味不明な言葉を吐いて、(恐らくは)笑った。
「…………広い心、ねぇ」
心のない彼女が同じく心のない自分に告げる言葉としては、これ以上ないブラックジョークだろう。
……別に、面白くはないが。
『ねぇ、田村さん』
『何だ?』
『左手と両足と、それから頭でしょお? 5人も、居ないと思うんだけど』
『…………』
返されたのは、沈黙。
加えて食事のためにも使わないような満面の笑みを浮かべた田村の言いたいことは、簡単に推察出来た。
『……三木、って、右?』
『君は頭がいい』
「……褒められても、嬉しくないなー」
溜息交じりに、三木が笑う。
顔も知らない相手に、――いやそれは別に気にならないのだが。
自分の身体もまともに動かせないような相手に、命を預ける気にはなれない。
田村には心が狭いと煩く言われるかも知れないが、彼女とて無理強いはしないだろう。
……しないかも知れない。しないといい。
物思いに耽っているうちに体温が移ったシーツから、再び逃れる。
じんわりと汗ばんだ肌に風が触れる心地よさに、睡魔の訪れを感じる。
「ま、せめてショパンぐらい弾けるようになったら……ね」
聞こえてくるピアノの音はいつの間にか別の曲になっていて、先程よりほんの少し、上手くなっていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
名前の設定も捏造だったの忘れてた!
イ士事人2009の事務所アダルト組の2人。
後輩×先輩です
○見えでのキスネタとリアル発熱に
ムシャクシャしてやりました。
生注意
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
394 :
不均衡1/6:2009/06/27(土) 19:33:14 ID:4+9TxUR8O
風呂から上がり、冷蔵庫からビールとミネラルウォーターを取り出す。
ミネラルウォーターは一緒に出てきた相手に手渡し、ビールのプルタブを開ける。
喉を通る爽快感がたまらない
思わず「くーっ」と声を出すと、クツクツと笑い声が聞こえた。
声をした方のベッドに目をやると、目の表情が柔らかくなっている先輩がいた。
「仕事」の時の射るような眼差しとはえらい違いだ。
それだけならまだしも。
気まずい。非常に気まずい。
それはさっきまであんなことをしてた相手に向けるにはそぐわない顔だった。
思わず明後日の方向を向く。
「なんだよ」
「いーえ、なんでもございません」
こちらはまだ余韻に浸っていたいのだ。
そんなことこの先輩は気にしないのだろう。
案の定繊細な男の心など察しちゃくれない相手に、
ほら教えろ、と脚でこつかれた。
395 :
不均衡2/6:2009/06/27(土) 19:34:00 ID:4+9TxUR8O
「だから、俺たちの状況を考えて下さいよ」
原因が自分にあるとは露ほども思ってないに違いない。
でもその目の色に気付いてしまう程には自分は彼と長く時間を過ごしすぎた。
十代のガキの頃を知られているのだ。
「そんな目で見られたら俺、ただの後輩としてセンパイに仕えなきゃいけない気分になるんですよ」
今の顔から、かつての面影を透し見られるのはいたたまれない。
「ま、昔と違ってマッサージはしなくていいみたいですけど」
缶をぐいっと傾ける。
「お前の手は今の方が器用で的確じゃないか。あれ以上尽くされたらこっちが参っちゃうよ」
一気に流し込んだ液体を咽せずに飲み込めたのは、タイミングの奇跡だ。
おかしな顔になった自覚はあった。
396 :
不均衡3/6:2009/06/27(土) 19:35:24 ID:4+9TxUR8O
「どうした?」
「…アナタ酔ってましたっけ?」
「酒が入ってたらあんなに長く風呂に入ってられないよ」
しらっと返されて目眩にも似た感覚が巻き起こる。
いっそアルコールのせいにしたい。
だいたい相手は腰にタオルを巻いただけの半裸で伏せっているのだ。
そこにそんな言い方をされたら、いやでもさっきまで重なってた体温が蘇って落ち着かなくなる。
この人はそれを分かっているのだろうか。
「それって煽てているつもりですか?」
「忌憚のない事実だよ」
普段よりリラックスした身体を晒しているのだから、やっぱり分かってないようだ。全く始末に負えない。
397 :
不均衡4/6:2009/06/27(土) 19:36:05 ID:4+9TxUR8O
空の缶をサイドテーブルに置いてベッドに覆い被さっても、身体の力は抜けきっている。
まるで警戒されてない。
何か納得できない気持ちのままに両腕で囲い込むように覗き込む。
組んだ腕の上の小さな頭が横を向いて片目がこちらを見た。
目が細められる。首から続いてきれいに筋肉のついた肩が震えてる。笑っているのだ。
なんて人だ。
目尻、項、肩と唇を落としていっても肩のふるえは止まらない。
耳の外側のラインを辿ると初めてぴくりと反応した。
目が閉じられ唇を噛みしめている。
そのまま食むように執拗に慰撫すると肩に緊張が走った。
蜜飴色のライトで分かりづらいが、普段は色を変えない白すぎる肌が、
耳から項までさっと朱に染まったのが見えた。
もう顔は腕に隠れてしまった。
今ならきっと。
(きっと…その後は?)
398 :
不均衡5/6:2009/06/27(土) 19:36:47 ID:4+9TxUR8O
走り出した熱をため息とともに吐き出す。
これ以上はどうも自分には無理のようだ。
そのまま横に倒れ込み、頬のラインを辿る。
向けられる顔を想像してほんの瞬間恐怖を感じたが、
指に応じて素直に向いた眼差しは、黒く濡れてはいたが避難の色はなかった。
「やめるのか?」
全体的に清廉とした、時に酷薄とした印象を与える顔のパーツの中で、朱くそこだけアンバランスに肉厚的な下唇に親指を当ててその動く触感を確かめる。
「キスだけ」
唇を重ね合わせて、そのまま唇で首筋の青く透ける血管をそっと辿った。
「ん」
顎を見上げる形になったこんな距離で見つめても、絵になる顔だ。
年を重ねる様を二十年ずっと見てきてもそう思う。
しかしそれだけじゃない、その先を今強引に暴くのは、何かが違うと頭の奥で叫んでいる。
「年かねぇ」
体を起こして茶化してみせると、体制を整えた先輩に、俺より十も若いくせに何言ってる、と返された。
399 :
不均衡6/6:2009/06/27(土) 19:37:27 ID:4+9TxUR8O
結局、この中途半端な状態を打開するのは自分には荷が重すぎるのだ。
だって想像できない。そんなことをした自分に、彼がどう反応するのか。
信頼されてる。信頼されるだけの時間を積み重ねてきた。
だからこの安定した関係を勢いだけで踏み切れない。
安定しているように見える二人の間の空気も、案外複雑なバランスの上に成り立ってる。
多分上辺が崩れたら終わりだ。
「ねぇ、いつまで俺と遊んでくれるんですか?」
できるのは精々、薄氷の上を軽く飛び跳ねるふりくらいだ。
「お前が飽きるまではいつだって呼びつけてやるよ」
だから電話したら三十分以内に絶対来い、と矛盾した要求を突きつけるこの人に、
自分は少しは求められているのだろうか。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>400 GJGJGJ!!!!!自分も○見え発言で禿げ上がったからえらい興奮した…先輩エロいよ先輩
>>367-371 禿げました!GJ
一線を超えるまでの弟の葛藤がたまりません
優しい兄者で良かった
>>400 GJ!まさかここで本命カプみられるとは思ってなかったから動揺するほど興奮した
初投稿です。
よろしくお願いします。
過剰なエロ有りです……。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オレの名はクリリン。
多林寺出身の身で、現在無天老師様の元で修行をしている。
そこで、オレと同じ年頃だと思われる少年が居るのだが、めちゃめちゃオレのタイプなんだ。
少年の名は悟空。
オレよりほんの数日前に、無天老師様の弟子になったらしい。
これは偶然なのか、それとも神様がオレにくれたチャンスなのか……?
しかも、この悟空は人前だろうが所構わず、すぐに素っ裸になる事が多いんだ。
その度にオレは心を無にして理性を抑えていたのだが、それを見た日には必ず夜にオナニーをしていた。
いつか悟空を食べたい、そんな想いで日々修行に明け暮れていたが、中々チャンスは巡ってこなかった。
しかし、修行を初めて数ヶ月、ついにそのチャンスは訪れた。
ランチさんと無天老師様が夕飯買い出しに、オレと悟空はその間にお風呂に入る事になった。
願ってもいないチャンスだった。
いつもは掃除当番やらなんやらで一度も二人で入る事がなかったから。
「入るかクリリン」
「あ、ああ」
勃起を必死で抑えているオレは、上手く喋れない。
悟空などオレの気持ちも知らずすぐに素っ裸になる。
「何してんだよクリリン。早く入るぞ」
「分かってるよ」
仕方なく俺も服を脱いで風呂のドアを開ける。
悟空に背中を洗ってもらっている時、悟空はいたずらでオレの股間に手を伸ばしてきた。
「わわ!?何するんだよ悟空!」
「クリリンのチンチンてオラと同じぐらいだなぁ」
陽気な悟空は笑いながら言う。
それまで必死で抑えていた勃起と理性は、もう我慢の限界だ。
「そういや悟空、おまえって確か12才だったよな?」
「何だよいきなり。ええと、そうだな。クリリンより1コ下だったな」
「じゃあもうオナニ−は経験済みか?」
「オナニ−?何だそれ?食いもんか?」
やっぱり知らないな。よし、絶好のチャンスだ!
「食べ物じゃないけど、これをすればより一段と強くなるんだ」
「ホントか!?どうすればできるんだ?」
やはり強さという言葉に悟空は興奮するな。
「教えてやるのはいいけどこれはオレとお前だけの秘密にするなら教えるよ。秘訣だからだれかに知られるとマズイんだ」
「絶対秘密にするから教えてくれよ!」
……では、いただきます。
「じゃあまずエッチな事想像しチンチンを立たせろ……って言いたいけど悟空そういう想像無理だろ?だから悟空自身を気持ちよくさせないとダメなんだ」
「チンチンを立たす?どうやるんだ??」
「まぁまぁ、オレが立たせてやるから。ちょっと寝転がって仰向けになってくれないか」
悟空はすぐに素っ裸のままなのに躊躇なく仰向けになる。
そしてオレは悟空の乳首に顔を近付ける。目の前には可愛い悟空の乳首が……。
「どうしたんだ?クリリン」
「お前自身を気持ちよくさせるには……ここからいくか」
オレはそう言いながら悟空の乳首を下でヒョロっと舐める。
「ふあ!な、何すんだ!」
次は乳首に甘えるように吸い付く。
(悟空の乳首可愛いなぁ……)
もう片方の乳首を指で押す。
「気持ちいいか?」
軽く噛んでみる。
「あ……!」
よしよし、悟空のヤツ感じてるな。
「両手上げるぞ」
返事を聞かずにオレは悟空の両手を上に上げる。そして脇の下を舐める。
「ひあ!くすぐってぇ!」
悟空は笑いながらも脇の下も性感帯のようだ。
「ク、クリリン。さっきからどこ舐めてんだよ!」
「でも気持ちいいだろ?その証拠にほら、見てみろよ」
悟空のチンチンはみるみるうちに固くなっていく。
ピンと上を向いた。
まだ皮は被っている。
「チンチンが立つのは気持ちいいからなんだよ」
「そ、そうなのか?今までチンチンなんて立った事なかったからよくわかんねえよ」
とりあえずオレは悟空のチンチンを持ち、皮を下ろす。
ピンク色の亀頭が顔を出した。
ビンビンでヒクヒクと震えている。
「ここをな。」
言いながらオレはチンチンを上下に2、3回動かした。
「ひあ!?」
透明のヌルヌルした液体…ガマン汁がたちまち尿道から滲み出る。
「ほら、透明の液体が出てきただろ?これが出たらまずは力の源が出てきた証拠だ」
悟空のガマン汁……。
すぐに舐め回したい気持ちもあるが、焦らない焦らない。
ガマン汁を尿道に塗りたくる。
やはりヌルヌルしている。
「な、何だ?ションベンじゃねえのか?」
「悟空の精子。たくさん搾り取ってやるからな」
言いながらオレは悟空の玉袋を揉みほぐしながらチンチンを上下にシコシコさせる。
「まだまだ感じ足りないみたいだから次は……ここだな」
次にオレは悟空の両足を掴んで悟空の顔に近付けた。
お尻の穴が丸見えの状態だ。
「ク、クリリン?どうしたんだ?」
「多分悟空はここも性感帯だな」
まずは指で穴の部分を指先で撫でる。
「ひあ!」
悟空の体がビクっと反応する。
「クリリン!どこ触ってるんだ?!」
さすがの悟空もここを触られるのは抵抗があるみたいだけど、オレは構わず指先でしばらく撫で続ける。
悟空はその度に小さい喘ぎ声をあげ体がビクンと反応している。
よし、舐めてみるか。
オレは両手で悟空をでんぐり返しの状態にし、尻穴を舌先で舐めてみた。
「!?ひゃう!!」
まさかここを舐められるとは思っていなかったようだ。
「クリリン!んなとこ舐めるなよ!」
舌で中を探るように動かす。
舌を抜き、人差し指を尻穴に突っ込みぐいぐい押す。
「あぁ………!」
悟空が喘ぎ声をあげる。
「さすがに悟空も恥ずかしいか?」
オレは意地悪っぽく聞く。
「いや…、そんな事は…」
返事に困っている。
「よしよし。この辺でイカせてやるよ」
オレは待ちに待った悟空の可愛いチンチンに顔を近付ける。
ガマン汁で亀頭が光っており、まるで早く精液を出したい!と言わんばかりにチンチンがヒクヒクしている。
その下の可愛らしい二つの実が堪らなくいい。
玉袋をしゃぶってみる。
「んあ!ああ!」
あんまり焦らすのも可哀相かな……そろそろイカせてやるか。
オレはチンチンを口に含み、ガマン汁をなめ回した。
これが、悟空のガマン汁……!
「ふぁあぁ!何だ!?何だよぉ!!」
少し間抜けな声を出しながら悟空は両手でオレの頭を押さえようとする。
オレは構わず亀頭を舐め続ける。「ク、クリリ〜ン!」
「もう少しの辛抱だ。もっと強くなりたいんだろ?思いきり飛ばした方が効果抜群なんだぜ?」
「オ、オラションベンもれそうなんだ!離してくれよぉ!!」
もう我慢は無理か、まぁいいや。
飲み込みたい気持ちもあったけど、初射精の時ぐらい思いきり出させてあげるか。
オレはチンチンから顔を離し、乳首を吸いながら右手で悟空のチンチンをしごいた。
「ああぁぁぁ!!☆×♂」
「もう我慢できないだろ?思いっきり出していいぞ」
「あ!!」
乳首を吸われて力が抜けたのか、悟空は思いきり体を反らしながら精液を発射した。
ドピュ、ドピュ、ドピュ。
2、3回とぎれとぎれに出る。
悟空が出るのを我慢していたせいか、1回目が思いきり飛んだらしく、風呂場のタイルにまで届いた。
タイルから精液が垂れていく……。
「初めての射精、気持ちよかったか?」
悟空は半分意識がもうろうとしてるようだ。
オレはオレで悟空に聞きながらも、悟空の乳首への愛嬌は忘れない。
「っあぁ!」
どうやら悟空は乳首に結構敏感らしい。
なるほど、これだけ敏感な乳首を吸われながら発射寸前のチンチンを扱かれたらあれだけ精液が飛ぶのも納得できる。
そして、言うまでもなく、オレのチンチンは真っすぐピンと起っている。
PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
前後編あるのですが、書き忘れました。
すみません。
前編終わりです。
>>404 私のちび孫くん&クリリンちゃんが!!
こんないたいけな少年たちに何するの!!
超GJ!ラブリー!続き待ってます。
ショタ萌え!カワイイっす二人とも!
悟栗いいね悟栗
乳首への愛嬌…
>>413 語呂が良かっただけなんです。
どうか突っ込まないで下さいm(__)m
でんぐり返しの状態とか乳首への愛嬌とか乳首に結構敏感とか突っ込みどころ満載すぎる
この板に来れる年齢なんだろうか
それ以前にカプ表記が受け攻め逆じゃないのかと気になってみる。
襲い受けだったらごめん。
>>415 年齢よりも男かなと思ってみたり。あんまり女の人が書く文章じゃない気がする
それとかお前のなら平気スレから面白がって流れ込んできたとか?
男なんじゃない?
まあ腐男子なら止めないけど、釣り?
でんぐり返しされたら、ぶつかりそうで危ないんだがw
書き手は中学生、もしかしたら小学生と見た
次の投下をお願いします↓
出たなゲスパー集団
思ったことは書き込まずにいられない自分の幼稚さをこそ恥じろ
>>382 くっつく前の話キター!
話の雰囲気大好きです(´∀`)
423 :
懸想の夜:2009/06/29(月) 22:42:12 ID:viMVeQR50
初です。
某盤度のベースしか出てないシンセ←←ベース。
ぬるいオナニー描写とナマモノ注意。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
水気を含んだ雲が垂れ込める夜、風は吹かず湿度は普段より異常に高い気がする。寝苦しくて、眠れない。
ぼんやり眠気が訪れるのを待ってるうちに取り留めない思考が流れ始めた。
気圧の乱れるときには古傷が痛むってよく言われてるけど、あのひともこんな夜には痛みに苦しんだりしてるんだろうか。
普段朗らかなあのひとがふとんにくるまって眉間にしわを寄せてうずくまっている姿を思う。
体に走る傷に潜む何かが何かを訴えてあのひとを苦しめている姿を。
それとは関係なく独りの夜に思うことは、あのひとの傷痕に触れてみたいということ。触れてみたい。キスしてみたい。舐めてみたい。
いつも思うことと、この熱帯夜の夜に思うことがごっちゃになってきてイメージもない交ぜになる。
苦悶するあのひとの傷痕を舐めたい。それで、あのひとの声を聞きたい。浮き出た汗の味を感じてみたい。
そこまで考えてわれに帰った。
頭を振って考えを飛ばそうとしたけど、体の正直さに気がついてしまって、苦笑いを浮かべる。
寝巻きにしてるスウェットと一緒に下着もずり下ろして片足を引き抜く。
相も変わらず湿気た夜で首周りに汗が滲む。
けど、それは湿気のせいだけじゃないんだろう。
熱い。ふとんも取っ払った。
俺はあのひとのことが好きで、けどあのひとに気持ちを伝える手段も方法も考えられない。
諦めがすべてにおいて勝っていて自分を慰めることしか思いつけなかったから今もこんなになって息を継いでいる。
涎を垂らしている。汗にまみれている。指先と手のひらに滲んでくる自分の体液には苛立ちとやるせなさを感じている。
熱気は依然として停滞。その隙間を縫って”そんなことをしても何も変わらないよ”と夜は無言で囁いてくる。
「…知ってるよ、そんなことはっ、」
どうしたらいいかわからなくて手近なものに手を伸ばしてるんだ。どうしたらいいんだろう。どうしたら、どうすれば。
泣きたいけどこんなことに泣いてもしょうがない。なのにどうしようもなくて、結局泣いてしまう。
どうしようもないのは勇気のない自分のせいとわかっているのに。
まぶたの裏、イメージが再生される。現実と妄想もごっちゃになって、想像上のあのひとと、リアルなあのひとが笑いかけてくる。
ごめんなさい。ほんとうにごめんなさい。ごめんなさいと思うのに頭と体が正反対に動く。ちぎれてどっちか死んでしまえば楽なのになぁ。
あぁ、そうか。俺はどっちとも欲しがってるんだ。いつもやさしい朗らかなあなたと、俺の劣情も受け止めてくれるあなたを。
欲張りでごめんなさい。こんなことを思ってごめんなさい。好きになってごめんなさい。
身を震わせた後にまぶたを開いた。ティッシュは間に合わなかった。
手にかかって、夜具にも飛んだそれらを思って重たいため息をついてから、枕もとのケイタイが何か示しているのに気がつく。
ティッシュで手を拭ってからディスプレイを覗いて、ひゅ、と血の気が引く。新着メールが一件。あのひとからのメールだった。
途端に部屋に立ち込めるにおいを自覚した。ケイタイを握る手が震え始めた。
なんで、このタイミングなんだ。
あのひとを思って行為に耽ることなんて数え切れない。いつものようなことだった。
そのいつも以上の罪悪感でいっぱいになって目に涙が溜まる。今にもこぼれてしまいそうだ。
告白する勇気も開き直る勇気もないくせに手近なものには手が伸びる。
自分でも呆れたけど、震える指がメールを開封した。
『熱帯夜で眠れないよー>< おまけになんか昔怪我したとこまで痛んでくるしサイアク;ー;
そっちはどう?眠れてる?』
読まなければよかった、と思った。あまりに明るい調子の文面は眩しすぎて自分の影が余計に濃くなるよう。
ドロドロとした感情が一層粘り気を増す。罪悪感は深まる。涙はとうとうこぼれる。劣情は、その勢いを増した。
知らされた今を取り込んだイメージは箍を壊して押し寄せてくる。自制が効かない。
混乱しきった頭と裏腹に体には節操がない。こんなの嫌だって思いながらも自身の熱に手が伸びている。
手放したケイタイの光るバックライト。そこに映る文章を唇噛み締めながら涙でぼやけた視界で見ていた。
「眠れてるわけがないよ。眠れてるわけがないじゃないか・・・。
それもこれもみんな、・・・みんな、」
今はもう、真っ暗に融けて読めない。
428 :
懸想の夜:2009/06/29(月) 22:46:59 ID:viMVeQR50
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
デソワでした。お目汚し失礼しましたー
429 :
幸福 1/6:2009/06/30(火) 16:05:11 ID:REkZD3uW0
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|│l> play. │|
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( ,,゚) ピッ ∧_∧ ∧_∧
/ つ◇ ( ・∀・)ミ (` )
. (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
| ┌‐^──────────────
└──────│幸福の王子で801。
└───────────────
430 :
幸福 2/6 :2009/06/30(火) 16:06:45 ID:REkZD3uW0
綺麗だ、と僕は思った。
緑色の宝石から、沢山の涙が溢れて落ちてくる。
大きなもの、小さなもの。それらを必死で避けながら、僕は上を見上げ、彼をじいっと見つめた。
「……貴方は、誰?」
とうとう、涙が僕の羽根に当たった。ぶるぶると震えてから、もう一度、月光に照らされている彼の顔を仰ぎ見た。
「私は、幸福の王子です」
「とても、幸せそうには見えないけど……何で、泣いてるの?」
僕が訊くと、王子様はぽつりぽつりと話し始めた。
王子様は、生きているとき、涙なんか知らない生活を送っていたんだという。
まるで常春みたいな、暖かくて、幸せな毎日を送っていたんだそうだ。
宮殿に住んで、ダンスを踊る。綺麗な花がいっぱい咲いている。
宮殿の周りには高い塀が張り巡らされていて、王子様は外の世界を知ることなく、幸せの中で死んだ。
「……死んでから、私はここに置かれた。世界は美しくなんてなかった。
綺麗なものは確かにあるけれど、醜いものもたくさんある。
私の心臓は鉛でできているというのに、私は泣かずにはいられないんだよ」
王子様は、低くて心地よい声を持っていた。目を閉じながら、僕は彼の話を聞いていた。
「つばめくん。ずっと向こうにある貧しい通りに、病気の男の子と、疲れ果てたお母さんがいる。
男の子はオレンジを食べたいと言っているのだけれど、お金がないから、お母さんはオレンジを買ってあげることができないんだ。
だからどうか……私の剣の柄から、ルビーを取って、あのお母さんに渡してきてくれないか。
私は、脚を動かすことができないから……」
431 :
幸福 3/6 :2009/06/30(火) 16:07:29 ID:REkZD3uW0
話を聞いて、僕の胸は痛んだ。でも、僕は南へ行かなくちゃならないんだ。首を横に振って、僕はそう答えた。
「お願いです、小さなつばめくん」
僕は目を開けた。動くはずのない王子様の顔が、悲痛に歪んでいるような気がした。
ここは寒くて、台座は冷たくて嫌で。でも、王子様が泣いているのを見ているのは、もっと辛く悲しかった。
「うん、分かった。今日一晩、僕はここに泊まることにするよ」
「ありがとう、つばめくん!」
赤いルビーを柄から取り出して、僕は民家へと飛び立った。
ルビーを机に置いてから、僕は熱に魘されている男の子の顔を僕の翼で扇いだ。男の子は微笑んで、「気持ちいい」と言った。
早く元気になって欲しい、と思う。何故だろう。胸が、とても温かかった。
「それは、良いことをしたからですよ」
王子様の声が気持ちよくて、僕はいつの間にか眠ってしまっていた。
次の晩、王子様はとんでもないことを言い出した。
「もう一晩、私の傍で眠ってくれませんか。そして、この私の瞳を取り出して、あの若く貧しい脚本家のもとへ届けてはくれませんか」
僕は、別れの挨拶をするつもりでここに来たのだ。それから、なんだって?瞳を?
「私の瞳は、サファイアでできています。このサファイアを、あの青年へ渡したいのです」
「ぼ、僕は、南へ行くんだ。そんなこと、できない」
「お願いです、つばめくん」
「だって、そんなことをしたら、王子様の目が」
「私など、どうなってもよいのです」
「王子、様……」
王子様の冷たい首筋に、顔を埋める。こんなに温かい心をしているのに、この人の体はなんて冷たいんだろう。知らず知らずのうちに、涙が溢れた。
「……ぼくには、でき、な……っ」
「……つばめくん……、どうか、私の言ったとおりに……」
月に照らされた、王子様の横顔。なんて綺麗なんだろう。サファイアが、涙に濡れている。
僕はくちばしを開いて、王子様の瞳を銜えた。王子様が笑っているみたいに見えて、僕も頑張って笑った。
悲鳴みたいな音をたてて、サファイアが抜ける。
あとに残ったのは、闇みたいな色の丸い窪みだけだった。
脚本家にサファイアを渡した僕は、また、王子様の足元で眠った。王子様は嬉しそうだった。
寒い風が吹いてきて、少し震えた。
432 :
幸福 4/6 :2009/06/30(火) 16:08:14 ID:REkZD3uW0
「王子様」
次の日の晩、僕は言った。
「僕はもう行くよ。仲間たちが、待っているから」
今にも、雪が降ってきそうな晩だった。虫たちの声もしない。街をいく人々の服も、以前とは違う。
王子様は、寂しそうに笑った。少なくとも、僕には王子様が苦笑しているように見えた
「あそこにいるマッチ売りの女の子に、このサファイアを届けて欲しいんです」
「嫌だ、僕は行く。もう、王子様の言うことなんかきかない」
「あの女の子は、マッチを溝に落としてしまったんです。何も持たずに帰ったら、お父さんにぶたれてしまう」
「……僕には、関係のないことだ!確かに、王子様の瞳をあの子にあげたら、あの子はぶたれずにすむかもしれない。
でも、王子様は?この綺麗な瞳を失くしたら、何も見えなくなっちゃうじゃないか!」
「つばめくん……」
僕は、王子様の緑色の瞳に、こつん、と額を当てた。月光を反射する、この人の瞳がすごく好きだった。
「私の目を、外して……?」
王子様が、何でもないことのように言った。
あの女の子がぶたれるのは嫌だ。でも、貴方の目が見えなくなるのはもっと嫌なんだ。
言えぬまま、僕はくちばしで瞳を挟んだ。
マッチ売りの女の子は、嬉しそうに笑っていた。
月にサファイアを透かし、「綺麗!」と踊っていた。
もう、あれはただの“サファイア”で、あの人の瞳ではなくなってしまったのだ。あの瞳は、あの人の体にあってこそ、一番輝いていたのに。
「つばめくん」
王子様の顔にできた、闇のような二つの穴。
悲しい。悲しい。悲しい。どうして。
「泣かないで、つばめくん」
目が見えていないのに、どうして泣いているって分かるんだ。
「私はね、幸せなんですよ。男の子が、青年が、女の子が、笑ってくれて、幸せなんです」
悲しくて堪らなくて、王子様の頬に頬を摺り寄せた。また、一段と冷えてしまったような気がする。きっともうじき、雪が降る。
「……僕は、ずっと王子様の傍にいるよ。そして、貴方の代わりに色んなものを見ることにする」
433 :
幸福 5/6 :2009/06/30(火) 16:09:07 ID:REkZD3uW0
暗闇の中で聞こえるのは、可愛らしい、彼のさえずりだけだ。
「王子様!あのね、南の国にはね、珍しい色の果物がいっぱいあるんだ!すごく甘くて美味しいんだよ!
それから、おっきなおっきな川もある。海みたいな川だよ!その上をね、仲間みんなで飛ぶんだ!」
弾むように語る彼の声。途端、それが止んだ。
「……雨が降ってきたよ、王子様。男の子が二人、道の隅でひもじそうにしてる……」
肩に乗っていたつばめくんが、私の脚の間に蹲るのが分かった。
「つばめくん……私の体の金を剥がして、その子たちに渡してきてくれるかい?」
つばめくんは、もう何も言わなかった。金を剥がす気配。静かに、町へと飛び去った。
つばめくんは、何も言わずに私の体から金を剥がして町へと飛んだ。
何度も何度も幾日も、私のいうとおりにしてくれた。もう、私の体には、一枚の金も残っていない。
びゅうびゅう、と風の音が聞こえた。
「……王子様……雪……雪が、降ってきた……」
掠れた声だった。
そうだ、つばめくんにはこの気候は寒すぎるのだ、と思った。
「雪、って……初めて見た…………王子様の瞳みたいに綺麗だ……」
「つばめくん……」
「ねえ、王子様……貴方の手に、口づけても、いいかなあ」
らしくないつばめくんの言葉に、体のどこかが軋む。
おそらくそれは、警鐘だった。
「とうとう南へ飛び立つんですね。美味しい果物や仲間、綺麗な川を見に行くんですね。……ねえ、つばめくん。口づけるなら、唇にしてはもらえませんか?」
私の体が動いたとしたら、私は彼を抱きしめていただろう。
「私は、貴方を愛しているんです」
「……王子様……」
ぱたぱた、と力のない音が聞こえた。小さな羽ばたき。それは、消えかけた蝋燭の火に似ていた。
「僕が行くの、は……南の国じゃない……」
「つばめ、くん……?」
「僕はね…………眠りの国の隣にある、死の国へ、いくんだ……」
私の片頬を包み込む、柔らかい羽根。ぱさついた感触に、そしてつばめくんの言葉に驚愕している暇もなく、彼は私の唇に口づけてきた。
「僕も、貴方のことを……愛してるよ……きっと、貴方以上に……」
ぽとり。
私の足元に、彼が落ちた。
434 :
幸福 6/6 :2009/06/30(火) 16:11:10 ID:REkZD3uW0
――お母さん、あの王子様、みすぼらしいね
――まあ、本当ね
――この町に、こんなみすぼらしい像は必要だろうか。ねえ、市長
――そうだなあ、うーん
――ああ、鳥の死骸まである!これはやはり……
遠くから声がする。もしかしたら、近くからなのかもしれない。私には分からない。ねえ、どうしてこんなことになったんだろう。
一番大切なひとを、幸福にしてあげられなかった。
『僕も、貴方のことを……愛してるよ……きっと、貴方以上に……』
つばめくん、せめて、貴方の体を抱きしめたかった。つばめくんがこんなに寒さに弱いだなんて、知らなかったんだ。
胸が割れる音がする。心が割れる。ぴき、ぴき、となって、もう、元には戻らない。
貴方の話をもっと聞きたかった。
貴方の傍にいたかった。
貴方を抱きしめていたかった。
貴方に触れていたかった。
貴方に、幸せになって欲しかったのに。
「つばめ、くん……っ」
瞬間、私の体の中で、鉛の塊が弾けた。
***
どれくらい、真っ暗闇の中にいたんだろう。
「起きて」という声がして、私ははっと目を覚ました。
何故か、目が見えるようになっている。起き上がり、瞬きをしてみて気づいた。私は、“普通の人間”になっていた。
「王子様、僕が分かる?」
ちょこちょこと歩いて、一羽の鳥が私の膝に乗った。見間違うはずがない。それは、つばめくんだった。
「つばめくん、どうして……!」
つばめくんは目を細めて笑った。その動作に、胸がどきんと跳ねる。
周りを見渡してみると、そこは、美しい花が咲き乱れる庭園だった。
「僕たちはね、天使に助けてもらったんだ。これからは二人、ずっと一緒にいられるんだよ」
艶やかな羽根を持っている、小さな体を掴まえる。
手のひらで包み込み、思う存分抱きしめた。
435 :
幸福 :2009/06/30(火) 16:12:56 ID:REkZD3uW0
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|│ロ stop. │|
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ピッ ∧_∧
◇,,(∀・; ) ageてしまった、ごめんね
. (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
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└────────────────┘
>>435 泣いた。塩水で顔がひりひりするぜ畜生!
原作だけでも泣けるってのに…
ハッピーエンドでよかったです!GJ!!
>>435 偶然なんだけど、昨夜眠ってる時に夢でこの話を見てたんだよー
なんか、すごい嬉しかった ありがとー
>>429 泣いてしまった。こういうの弱いんだよ。くそーGJ!
>>435 久々に文章で泣いた。
萌えたし感動しました。ありがとう。超GJ。
>>435 まさか、こんなとこで泣かされるとは…GJ!
>>435 いいお話読ませてもらいました
GJです!
そのものズバリで検索して出てくる文章とほとんど変わらないように思える
ものすごい遅レスですが
>>150 ありがとうございます!
後から来た奴と消えた奴のスピンオフとか読んでみたいです
>>444 自分もそう思ったけど初読の人にはいいんじゃないの
>>446 そういう問題…?
それとも替え歌と同列なのか…
448 :
435:2009/07/02(木) 07:11:41 ID:w1+R33TqO
書いた者だが、主な話を変えたくなかったので、「こうだったらいいのにな」という感じで書いたんだ。
ここではこういう動作が入ったんじゃないか、とか。
大好きな棚を荒れさせたくないので、後はスルーして頂けるとありがたいです。
449 :
435:2009/07/02(木) 07:44:50 ID:w1+R33TqO
それと、なんじゃこりゃと思わせてしまった方々、すみませんでした。
>>448 自分は原作に沿ったオリジナルとして読んだよ〜
後半感動したし乙です
ここから投下ドウゾー↓
801CP的な意味でちょっと投下迷ったんだけど、
意味不明な映像や切れ端も収納してるってことでここに・・・。
同じネタ続くけど勘弁願いたい。幸福の王子異説です。
元ネタは「日/本/語はな/ぜ美/し/いのか」黒/川/伊/保/子著
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
王子様の銅像は、町の高い高い台の上にそびえていました。
<幸福の王子>
人々はそう呼んで見上げました。
王子の一生はたいそう幸せでした。
亡くなってから立てられたその銅像も、純金の箔で全身を包み飾られ、
目にはキラキラとサファイヤが輝き、剣の柄には真紅のルビーがはめ込まれ、
朝に夕に、また月明かりにも幸せそうに輝いていました。
それでも月日は流れ、王子は少しずつ少しずつ、くすんでいっていました。
ある夕暮れ、一羽のツバメがこの町に飛んできました。
寒い冬を暖かい南の国で過ごすために長い旅に出るところです。
ツバメは今夜の寝床にしようと王子の足元に降り立って身を寄せました。
そうして、いざ眠ろうと目をつぶると、ぽつんぽつんと冷たい雨粒が頭の上に落ちてきました。
ツバメはびっくりして、慌てて目をあけるとそれは雨粒ではなく、王子の流した涙でした。
ツバメはちょっと怒って王子に文句を言いました。
「ねぇ、きみ。僕は雨露がしのげるだろうって、きみの足元にやってきたのに、どうしてきみは
涙なんか流して僕を濡らすんだい?」
王子はすまなそうに答えました。
「ああ、きみ悪ぃな。でも、ここから見える世の中が悲しくて、泣かずにはいられないんだ。
なぁ、ずっと向こうの小さな家が見えるか?あそこの母親は熱病で苦しんでいる。
小さな息子はお母さんにオレンジを食べさせたいと思ってるんだ。だけど、家は貧しくて日々の生活にも困ってる。
ねぇ、きみ。夜が明けたら、あの家の男の子をここに連れてきてくれないか。」
ツバメは遠くに見える窓の明かりをぼんやりと眺めながら、「今は暗いから明日になったらだよ」と王子に返事をしました。
そして、ツバメはとても眠かったので王子の足元で目を閉じました。
翌日、ツバメは約束どおり王子の下に男の子を連れてやってきました。
でも、男の子は母親のことが心配で気が気ではありませんでした。
そわそわと落ち着きのない男の子に王子は少し笑っていいました。
「きみ、お母さんにオレンジを食べさせてやりたいんだろう?」
男の子は黙ってうなずきました。
「きみのお母さんが元気になったら、雑巾とバケツを持ってまたここに来てくれ。
約束が守れるなら、俺の金箔を少し分けてやってもいい。」
男の子はどうして王子がそんな条件を出すのか不思議に思いましたが、
お母さんにオレンジを食べさせてあげたかったので、しばらく考えてもう一度うなずきました。
そうして、「あんまり目立たないところから剥がしとってくれよ」という王子の言葉に従って金箔を少し剥がしました。
男の子はそれでオレンジを買うと大急ぎでお母さんのところへと帰っていきました。
その様子を見ながら、ツバメはひらりと少しくすんだ王子の肩に止まりました。
「きみは一体何を考えているんだい?」
王子は少し意地悪そうに笑って「春になったらわかるよ」と答えました。
「さぁ、きみにはもう一つ頼みたいことがあるんだ。きいてくれるかい?」
ツバメは肩をすくめていいました。
「旅立ちに間に合うならね。」
王子はまた笑ってツバメにいいました。
「俺って、とっても素敵だと思わないか?輝くサファイヤの眼、全身金箔張りの豪華なつくり・・・」
ツバメは最初こそ楽しげに王子の自慢話を聞いていましたが、
次から次へと出てきては延々と続く王子の自慢話にほとほと呆れかえってしまいました。
そして、とうとういつ終わるとも知れない話をさえぎって聞きました。
「それで、きみは一体どうして欲しいのさ?」
「もちろん、きみがこれから立ち寄る町々で俺の話をしてきて欲しいのさ。この町には世にも珍しい立派な像が建っているって。」
ツバメは王子の自慢癖に呆れましたが、王子のする自慢話は聞いていてそれなりに面白かったので、
まぁそれくらいならと承知して、南の国へと飛び立っていきました。
そして三日後、王子の下にあの男の子がやってきました。
手には約束どおり雑巾とバケツを持っています。
「この間はありがとう。おかげでお薬が買えて、母さんはすっかり元気になったよ!それで、僕はどうしたらいいの?」
「その雑巾とバケツで俺のことをピカピカに磨き上げてくれ!」
男の子はうなずくと雑巾で王子の体を磨き始めました。
夕暮れ時になると、王子はまた金箔をちょっぴり剥がしてもらって、
(王子はやっぱり「目立たないところから剥がしてくれよ」と言います)男の子はそれでパンを買って帰ります。
そうして、二人は毎日を過ごすようになりました。
男の子が体を磨く間、王子はやっぱり自慢話をしていました。
王子の話が面白くて男の子はクスクス笑います。
そうすると王子はますます自慢話に花を咲かせます。
絢爛豪華な王宮のこと、すばらしい王様のこと、美しい王妃様のこと、自分がどんなにかっこいいか、
また戦いでどんな手柄を立てたかなど、王子の自慢話はつきません。
そうして一ヶ月が過ぎた頃、町には南の方からの旅人が増えてきました。
そうです。旅人たちはあのツバメに自慢話の好きな美しい王子の噂を聞いて一目見てやろうとやってきた人たちです。
町の広場で人々はピカピカに磨き上げられた王子の像を見てみんな眼を見張りました。
こんなに美しい像は自分たちの町にはありません。いいえ、きっと世界中を探してもここだけでしょう。
王子はぽかんと口を開けて見上げる人々を見て自慢げに男の子に言いました。
「ほらな、俺はとってもカッコイイだろう?」
「僕がピカピカに磨いてあげてるからでしょう?」
「もちろん、きみのおかげさ!」
男の子はやっぱりクスクス笑いました。
やがて春が来てあのツバメが帰ってきました。
すっかりきれいになった王子の肩に止まって、ツバメは広場を眺めました。
周りには人、人、人の大行列です。よく見ると、あの男の子が旅人たちの解説役をかって出ている様子も見えました。
「やぁ、ずいぶん人気者になったね!」
「もちろん、きみがあちこちの町で俺のことをふれ回ってくれたおかげさ!」
王子の言葉にツバメは少しびっくりして言いました。
「それじゃあ、また南の国へ行くときは違う町を通ってきみの自慢をして歩かなきゃ!」
「ああ、是非ともそうしてくれ!」
こうして町はあちこちから王子を見に来る旅人たちで賑わい、段々と豊かになっていきました。
今日も王子は朝に夕に、また月明かりにも幸せそうに輝いています。
「ほらな、やっぱり俺はとってもカッコイイだろう?」
「僕がピカピカに磨いてあげてるからでしょう?」
「もちろん、きみのおかげさ!」
言い合って二人はクスクス笑いました。
今日も世界中から<幸福の王子>を見上げに人々が集まってきます。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
名前欄がめちゃめちゃなのは堪忍してください・・・orz
黒/川女史の私がもし幸福の王子なら、仕事にあぶれた人々に招集をかけるだろう。
「私をピカピカに磨きなさい」と。
という、文から妄想してみました。
上の話が好きな人には申し訳ないけれど、少しやりきれないと思った方には
こんな考え方もあるんだよーと思っていただければ。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 本編ED後の話です。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 多少設定が強引かも…
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
木々が芽吹き始め、いっそう深みが増した森の中を足早に進んでいく。
時折魔物の気配が漂ってはいたものの、こちらに近づかんとする輩はいない。
ま、当然だろうなと青年が少し得意げになりながら進んでいくと、少し小高い丘に辿り着いた。
視界に移る石碑の方へと寄り、手元に携えていた小箱を傍に置き、紅い花を墓前に供えて腰を下ろす。
「――無事帰ってきたぜ、親父…お袋……」
石碑には、エブラーナ王と王妃の名が刻まれていた。
エッジが自国に戻ってきた矢先、洞窟にて生活を続けていた民達の表情は一変した。
感極まってその場に泣き崩れる者、喜びで居ても立ってもいられない者、奥にいる仲間達へ彼の帰還を伝えに行った者――――先刻までのが嘘のようである。
いや、‘本来あるべき姿を取り戻した’と言った方が正しいのかもしれない。
数年前、エブラーナはある者によって統率された軍勢の奇襲を受け、城を堕とされた。
以来、山奥に身を潜め、塗炭の苦しみを味わいながら生きてきた。
その一因に、王と王妃が行方不明になってしまったことが挙げられる。
国を統べるべき人がいなくなり、民衆の心に不安が募るようになったのだ。
それは彼らの罪ではない。エッジもそのことは十分理解している。
皆に不安を抱かせないようにするため、辛い時も励まし気丈に接し続けた―――だからこそ活気付いた民達を見て、彼は久しぶりに安堵していた。
「若様!!」
聞き慣れた声が辺りに響き渡る。
声の聞こえてきた方へと歩を進めると、向かい側からも、紺のローブを纏った老人が覚束ない足取りで寄って来た。
「よう!元気か爺?」
「当然です……―――よく……無事戻ってきてくださいました………!」
「おいおい、何もそこまで涙ぐまなくたって…」
予期せぬ状況に、思わずエッジは目の前の彼の肩を軽く叩いた。
この老人、エッジと血縁関係は無いものの、彼が幼き頃の教育係を勤め、今は良き理解者として傍についている。肩を叩かれ、老人は涙を手で払うと、俯けていた顔をさっと上げた。
「いやはや、歳は取りたくないものですな。涙脆くなって敵いませぬ。」
「俺もいつかはそうなるのかねー」
「情に厚い方は概してなりますぞ。」
そういうもんか?と、彼は首を掻きながら思った。
「―――――――――若様。」
暫しの沈黙の後、老人は思い立ったように声を発した。
「ん?」
「例の件なのですが…」
そこまで聞いて、エッジは自分が彼に依頼していたことを思い出した。いつの間にか、先程までとは打って変わった表情になっている。
「あァ…そうだったな……――――どうだ?順調か?」
「皆の協力のおかげで、数日前に既に完成しております。」
彼は柔らかな物腰で答えた。
「後は遺留品を納めるだけで―――――――」
感謝の念を述べ、洞窟の奥に保管してもらっておいた両親の遺留品と献花用の花を受け取って、今此処に来ている。
陽はもう沈み始めており、時折吹く野風がエッジの白銀色の髪を靡かせていた。
そこに建てられた石碑は見た目以上に厳かなもののように映る。
元来、石碑とは無機質であるのが常だ。だがこれはそうでない。
恐らく国を統べる責任による重圧――――父の負っていた重圧が表れているのだろう。
これからは王子としてではなく国王として、エブラーナ復興に尽力していくことに誓いを立てる。
彼は、手元に置いてある小さな箱に目を遣ると、徐に手に取った。
中には、怪物にされた両親が最期に残していった、遺骨とも云うべき粉と指輪が二つ納めてある。
「……もっと………俺が歳喰ってからやるモンだろうが…ッ……」
思わず発したその声は、稜々とした風にかき消された。
立ち上がって自分の両肩と首を覆っていた外衣を取り、小箱をそれで包む。長い間着用していたものを手放したのは、彼なりのけじめのつけ方を意味していた。
―――――――石碑を開けようとした直後、不意に、気圧されるような気配が周囲に漂った。
(!――俺以外に誰か近くに―――――――――!?)
さっと腰に携えていた二刀を外して構え、背後に振り向く―――やや遠くに霞がかった箇所が見えた。
どうやら姿を見せる気はないらしい。その場から相手の様子を窺う。
「………何者だ?姿ぐらい見せやがれっ!」
こちらも負けじと威圧の言葉を投げかける。
静寂に包まれ、梢の擦れる音がした。
変わらぬな 王子 いや、エドワード―――。
「!?」
喜悦を含んだその声を聞き、思わず自分の耳を疑った。
何で“あいつ”がこんなところに…?
額にかいた汗がつうっと滴る―――――――――――――――――――それもつかの間、泰然自若な物言いの主は、エッジの前に突如現れた。
優に大の大人を超える巨躯、激情の発露を彷彿させる深紅の衣―――忘れる筈がない、あの姿。
「―――――へっ、久しぶりじゃねぇか………」
構えを深くして、エッジが応じる。
「…………ルビカンテ」
そう呼ばれた男は、悠然と彼を見下ろしていた。
――予期せぬ邂逅
驚きの色を完全に隠せていなかったが、現状を理解した後、エッジは再び精神を研ぎ澄ました。
「何でテメェが………此処に居やがる………?」
少し哂ったかと思うと、彼の問いに答えることなくルビカンテは片方の掌に気を溜め始めた。ごうっ…と鈍重な音をたて、みるみる内に熱気流を束ねていく。
まずい。
瞬時に判断し躱そうとしたが、彼は自らの異変に気づいた。
どういう訳か両足が動かない。まるで地に縫い付けられたように。
「ちっ…!」
エッジは咄嗟に刀を交差し、胴の前に据えた。
「警戒せずともよい」
んなことできるか。そう思った直後、ルビカンテの腕が伸ばされる。
衝撃を和らげようとした―――筈だった。
視界に入ったのは、束ねていない方の腕。
彼の身体は刀を突き抜け、エッジの顔の寸前で止められていた。
同時に先程の熱気流は雲散し、両足も動かせるようになっていた。
…どうやらコイツに動きを封じられていたらしい。
「お前達との闘いで身体は失ったからな、触れることも叶わぬ。」
「ッ!?―――――……バカ野郎っ!そういうことは最初に言え!!」
構えを解いたエッジは、やや吼えるように言った。
余りに予想通りの反応が返ってきたことを好ましく感じた。
このようになると解った上で行動したのではない。
無意識の内に、目の前の彼を嬲ってしまったのだ。
そんな自身を、ルビカンテは心の中で嘲笑した。
彼に出会ったことで生じた感情は恐らく、この先も纏わり続けるのだろう。
――――無論、それも悪くはない。
「…………で、俺の質問への返事は?」
平静を取り戻すと、素っ気ない言い方でエッジは再び問うた。
「エブラーナは炎の地脈の真上に位置する大陸――――――お前達に敗れた後、気づいたらこの地にいたのだ。」
「成る程な……それでドロンと化けちまったのか。」
納得した表情で、彼の顔を再び覗く。
「…?」
黙り込んでしまったルビカンテを訝しげに見上げる。彼の視線は他でもない、自分の両親の石碑に向けられていた。
エッジはそのことに気がつき、彼に背を向けると何も言わずに其れの方へと歩き出した。
「――――――バブイルで私の言ったことを覚えているか?」
沈黙を切ってルビカンテの発したその言葉に、彼の足が止まる。
目の前から直に射してくる陽の光は、まるで自身に胸の内を明かすよう促しているように思えた。
「我ながら見苦しい真似をした。お前の両親への責は私にあるというのに。」
「……」
「…済まぬことをしたな。」
直後、俯き加減の彼の頭が少し上がった気がした。
謝罪の言葉を受け、暫し立ち止まっていたエッジは再び歩き出した。
その姿を見て少し違和感を覚える。この者の性向の事だ、きっと己の感情を露にするだろう。そう思ったのだが。
「ルビカンテ」
刀を鞘に収め、石碑の蓋をどかしたところでエッジは口を開いた。
その口調に荒ぶる気振いは感じられない。
「俺は――――あのときの自分をよく覚えてる。血が滾って、腑が煮え繰り返りそうだった……いや、とっくになってたかもしれねぇな。お前への憎しみで。」
両親の遺留品を手に取り、石碑中に納めて蓋をした後エッジは彼の方を向いた。
「けどよ…いつまでも憎んでるって訳にもいかねぇんだ。俺並かそれ以上に辛い思いをした奴だっているし、何より国王が私情を挟んで国を治めるなんざ、民に悪ぃ。」
双眸に強い光を宿しながら彼は答えた。
「―――そうか。」
「あとな、二度もお前をブッ飛ばしたら、正直吹っ切れちまったんだ。」
余りに眩しい。
エブラーナ落城の指揮を執った張本人であるこの自分に、何故このような表情を見せるのか。
人間から魔物に醜く成り下がった、この俺に。
(この者に強く惹かれる理由―――――――そういうことか。)
ルビカンテは、人としての理性がまだ自分にも残されているのを幸甚に思った。
エッジは再び碑前に座り、祈りを捧げていた。
その後姿は、かつてとは異なった印象を彼に与える。
「親父、お袋。エブラーナは任せてくれ。俺は皆を支えられる王になる、だから――――」
一瞬、間を置く。
「………安らかにな。」
そう言うと、彼は息を深く吐いてその場に寝転んだ。
日没後は魔物の活動が活発化する。万一に備えて、もう帰らなければいけない。
「エドワード」
ルビカンテが彼の元へと寄ってきた。
「何だよ?」
「お前に渡しておきたい物がある。」
言うや否やエッジの手元に、紅い紋様の入った外衣が現れた。
驚いて、思わず手に取ってみる。
「私が人間だった頃に使っていた物だ。今となっては不要だが、捨てられないでいる。」
「――――――何だ?普通のより…暖けぇ…」
「耐久性もそれなりにあるからな。」
すくっと立ち上がって、エッジは試しに其れを着けてみた。着け心地は悪くない。
心なしか、身を護られている気がした。
「良い感じだ。有難く使わせてもらうぜ。」
「お前は魔道士でないのに唯一軽装だったからな。敵ながら見ていて不安だった。」
「っ………忍者は機動性重視だから重てぇのは駄目。考えりゃ分かんだろッ!」
それだけではない。
そう言おうとして、ルビカンテはやめた。
国王となれば、流石に軽装ということはあるまい。
加えて、もし口にしてしまったら、今の自分への苛立ちを抑えられないと思ったからだ。
今となっては虚妄の躯しかない事への苛立ちを―――。
「………っと、―――それじゃそろそろ行くわ。」
軽く上体を捻った後、エッジは軽く手を掲げて彼の横を通り過ぎていった。
大半が闇に溶け込んだ緑林。
其処へ向け、数m進んだその時――――――――――
“お前ならばなれる。”
直接脳に響いた言葉。
ほんの一瞬、今のルビカンテの言の葉に他の者の声色も含まれていたのは思い違いだろうか。
「―――――――当ったり前だっ!!!」
快活に応えると、エッジは地を蹴り、そのまま森の中へと消えて行った。
橙色の陽は尽く、地平の下へと帰っていった。
あらゆるものが影を潜める中、宙高く浮かんだ月は雲間から輝々たる光を降らしている。
背後に振り返ることなく、ルビカンテは天を仰いだ。
(直ぐにはこちらに来るなよ エドワード)
偲ぶすがら、月の陰りは消えていた。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ナガスギタカナ・・・?
| | | | ピッ (・∀・ ;)
| | | | ◇⊂ ) __
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
生まれて初めての作品なのでエロなしにしました。
墓の位置が違うのは、続編が発売される以前に書いたからです。
拙いとは思いますが、読んで下さったら幸いです。
オリジナルでイカせてください。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
彼と出会いは一年前。僕がこのクラブで働き始めたのと同じくらい。
グラスの回収や灰皿の取り替えなんかをしている最中、変なのに絡まれてた彼を助けたのが最初。
次の夜店に来ると、お礼だと言ってビールをおごってくれた。仕事だから気にするなっていうのに聞かなかった。
あの時断わるべきだったんだ。ほとんど毎日やってきては僕に声をかける。
仕事でフロアを回っている僕にとって、彼は少々厄介な客となった。
客なので邪険にもできない。顔見知りの客は沢山いるけれど、こんなに話しかけてくる奴はいない。
「また絡まれたくないから、おまえのそばに居たがってんじゃないか?」
と、ボスはおもしろがって言う。どいつよ、と聞くので壁際に座っている彼を指差した。
「あいつか。何かさあ、おまえに似てない?」
言ってる意味が分からなかった。けれど、改めて彼を見て驚いた。
いつも暗いフロアで会っているから、気がつかなかった。
元々身長や体型は似ていたけれど、着ている服は前はネルシャツとかじゃなかったっけ。
鋲つきの太いベルトやコンバース。リストバンドの色も同じ。
髪だって確か金髪でウェーブがかかってたはずだ。なのに今は僕と同じ黒髪でストレートになってる。
真似してるんだろうか? バーカウンターを仕切るタニアにも聞いてみた。
「うーん、似てるかもね。でもあんなのよくあるファッションだし、自意識過剰じゃない?」
あなた、ナルシストなとこあるからなあ、といって笑われた。それならいい、気のせいかもしれない……。
「そのバンド好きなのかい?」
前に僕が着ていたものと柄は違うけれど、同じバンドのTシャツを着ていた。
「うん。ファンなんだ。君もだよね」
ボスが似てるなんて言うものだから、気になってしょうがない。
試しに、よく知らないメタルバンドのダサいTシャツを着てみた。もちろん好きでもなんでもない。
周りはおもしろがってくれたし、まあ、おまえだから、と笑ってくれた。
なのに彼はしばらくして、大まじめでそのバンドのTシャツを着てきた。
やめてくれと言いたい。でもたぶんタニアのように、自意識過剰と言われるに違いない。
その代わり、彼を完全に避けることにした。客だとかなんだとかもう気にしていられない。客一人失ったって痛くも痒くもない。
クラブに居ながら、彼はフロアで踊るでもなく、僕を目で追っている。無視すりゃもう来ないだろう。
でも彼はあきらめなかったらしい。
「新しくバイトで入った子だよ。今日からフロアで働くから、色々教えてやって」
開店前、ボスが紹介したのはまぎれもなく彼だった。びっくりする僕と彼を交互に見て、ボスはのんきに大笑いする。
「いや、ホント似てるなあ。双子みたいだ」
彼は何も言わず、僕に笑いかける。
明るい場所で彼を見たのは初めてだった。瞳の色が透き通るくらいのブルーで、染めた黒髪がとても不思議な印象を与える。
僕は元々黒髪だし瞳の色も茶色。どうせもう少ししたら、カラーコンタクトでも入れてくるに違いない。
もう、無視することもできなくなった。彼のそばにいて、彼を見つめて、仕事を教えなくちゃならない。
最近はちょっとした仕草まで似てきたものだから、常連の客や、果てはボスまで僕らを間違えるようになった。
誰かが僕の名前で話しかけてきても彼は否定せずに、むしろ喜んで喋っていた。
僕が呆気にとられて見ていると、おどけて僕の真似をしてこちらを覗き込む。
悪びれた様子もないので、何だかどうでもよくなってきた。
「もしかしたら、あなたになりたいのかもね」
カウンターで休憩してると、タニアが言った。自意識過剰だって言ってたくせに。
「昨日ね、あの子と寝たの」
「え?」
「でもさ、ベッドに私といるっていうのに、あなたのことばっかり聞いてくるんだよね。まあ、上手だったからいいけど」
誰とでも寝るんだな、と言うと、あれ、嫉妬してる? と笑った。嫉妬? 一体誰に?
僕になりたいってどういうことだろう? でも彼が僕になりかけているのは確かで、今日も右腕に同じタトゥーをしていることを知った。
よくあるツタの模様だけれど、位置まで同じだ。
だから彼が仕事帰りに、見せたいものがある、と僕を部屋に誘ったときも、これ以上驚くようなことはないだろうと思っていた。
これ以上似せるところなどないと。でも、それは間違いだった。
彼の部屋にあったもの。それは僕の写真。それも部屋中にびっしりと。
ありとあらゆる角度から、着ていたTシャツや、首にかけたペンダント、耳元のピアス、腰のベルト、指輪、僕の全てが写っている。
もちろん腕のタトゥーも撮られていた。
呆然としている僕を、彼は嬉しそうに見つめている。
「君に受け入れてもらいたかったんだ。でも、君は誰も受け入れない。だって、君が好きなのは君自身だから。
君が愛してるのは君自身だけ、だろう? 開店前の誰もいないフロアで、鏡ばりの壁にキスしてたよね」
「見てたのか」
「まるで恋人にでもしてるみたいだった。タニアが言ってた。ベッドで君はずっと目をつぶっていて、彼女を見もしないって。
おまけに君からは何もしてこないってさ。ずっと自分のことを考えてたんだろう? わかるよ。君はとてもきれいだもの。だから、確信したんだ」
部屋中に貼られた写真。そうだね。何が驚いたかって、部屋を覗かれたのかと思ったから。
ここは、僕の部屋と全く同じだから。
まるで10代の女の子がアイドルのポスターをベッドサイドに貼るように、叶わない恋に心を締めつけられながら、僕は自分の写真を眺めてる。
そして、鏡に映った自分にキスをする。
「僕を抱きしめていいよ。好きにしていいから」
言われるままに僕は彼を抱きしめる。僕を抱きしめる。結局、こうなることを望んでたのかもしれない。
仰向けにベッドに寝た僕の腰を、鏡から出てきた僕が撫でる。
「こんな所にもタトゥーがあるんだ。大丈夫、明日彫ってくるよ」
温もりを持った身体が覆いかぶさってくる。僕は熱に浮かされたように自分の名前を呟いた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ありがとうございました。
>>472 ダークハッピーエンドというか
緩く深く病んでるのがたまらん(*´Д`)
GJ!
>>457 視点を変えたことで、また違う面白さが出てて良かった。
GJでした。
>>303の続きみたいなもの。
同い年の補首と当主、プラス年上の屋主がモデルですが・・・。
もう、何だ。オリジナルということで。好きな子で想像して頂けたら。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ネオンの瞬く夜の街を窓から見下ろしながら、つい何時間前のことを思い出すと身震いがした。
自分達の拠点の倍以上の観衆の中にいた高ぶりの火種が、まだ体に残っている。
ガタンと自販機からボトルが落ちる音。
反射した窓の明かりの中に彼の姿が映る。
「お疲れ」
「ああ」
はにかむように笑う彼。今日は船初だった。
あの津波のような歓声の中で連敗を防ぎ、流れを振り切ることができた。
今晩彼はぐっすり眠れそうなので安心した。自分は部屋に戻って明日の要点を確認しなければならない。
彼はペットボトルの蓋をあけ、一口飲んだ。「今日長かったな」
「ああ」
勝ったといっても一方的な試合だったわけではない。
仕合後のミーティングはいつも以上に課題が挙げられた。
思い返してひとつ溜息。
自分もペットボトルをもう一本買って部屋に戻ろうと、自販機のある狭い通路に入った。
「あのさ」
背後から彼の声。
「お前さ。何か、欲しいものある?」
ガタンとボトルの落ちる音。
「買う前に言えよ」
「うん・・・」
そうではない、という煮えきらない返事。
「何で?俺誕生日ずっと先だし」
笑いながらボトルを取って見上げると、彼は窓の外を眺めていた。
何気無い気まぐれなのだろう。
じっとその端正な横顔をみつめる。あの時のように、少し開いた唇。
そうだな、もらえるなら。
まるでそんな自分の心の声を聞いたかのように、彼はこちらに顔を向けて、ふっと笑った。
「今何考えたかわかったんだけど」
「へ?」
自分達は長時間顔を合わせて意思疎通しなければならない仕事ではあるけれども。
そんなことってあるのだろうか。
「嘘だろ」
もう一度笑いかけるも、彼は答えず、近付く。そして隣の自販機に背中を預けて、目を閉じた。
え。
この状況は一体。
「続き」
その呟きに、何週間前の駐車場での出来事を思い出した。
腕を広げて何か言おうとしたが、言葉が出ない。
ああどうしよう。
念の為、廊下を覗いて誰もいないことを確認する。
彼の正面に立つ。肩を掴もうとしたが、ペットボトルが邪魔だったので、そっと床に置く。
意味もなく手をひらひらさせてから、彼の肩を掴んだ。彼はびくりと震えて、眉間にしわを寄せた。
固いなあ…と思いながら、自分の手にも力が入りすぎていたことに気が付く。
離して、もう一度そっと掴む。
そしてゆっくり顔を近付けた。
触れた唇から、脳の奥までピリッと電気が走るような感覚。
彼の背後の自販機が唸っている。
彼はギュッと唇を閉じていた。
もう少しリラックスしてくれたら良いのに。
・・・。
これだけだろうか。
これだけじゃ済まないよね。
触れるだけじゃないよね。
ふと、彼の肩から力が抜けた。そして唇がわずかに開く。
それが彼の合図なのだろうと思い、吸い付くようにして唇を覆った。
「わっ!」
突然胸を突き飛ばされ、背後の自販機に強く背中を打つ。
「って…!何だよ、いきなり」
「お前がいきなり入れてくるからだろ!」
「入れるだろフツー」
「入れねえよ!」
彼はぐいっと手の甲で口を拭った。その仕草が気にくわなかった。
「じゃあ何で口開けたんだよ!」
「息止めていたから…苦しかったんだよ」
どうやら、目を閉じた時から息を止めていたらしい。
「お子様かよ…」
「だ、だって…もしそこまでして…」
拗ねるように、うつむく。
「万が一変な感じになったらどうするんだよ」
「どうするって…」
もし、そうなったら。俺の部屋の方が近いかな。
突然ドスッとお腹に痛み。彼の拳が命中し、思わずうずくまる。
「…考えていること、わかるんだけど」
「そ、そっちが誘ったんだろ」
「お前は明日もあるだろが!」
「これで済ませる方がタチ悪いわ!」
「そうそう、もうさあ、最後までやらせたらいいんじゃないかな」
「何図々しいこと言って…え?」
二人は顔を見合わせる。今、二人とは違う声が聞こえた。聞き覚えのある訛り。
二人が廊下に出ると、小さな影がひとつ。
「…あの、いつから」
「チューしてる所から」
「うわあああ!」
当主は頭をかかえてしゃがみ込んだ。
「良いなあ、若いって」
年上の屋主は二人の間を通って自販機に小銭を入れた。
「あの…声、結構聞こえてました?」
つい熱が入って、声が響きわたっていたことを思いだし、念の為確認してみる。
当主も恐る恐る顔を上げた。
「うん、フロア中聞こえてたんじゃないかな」
突然、当主は立ち上がった。その表情はこわばっている。「おい」と声をかけるも振り向かない。
廊下を歩く早い足音。そしてドアの閉じる音が静かに響いた。
「といってもまだ皆それぞれ食べに行ってるんじゃないかなー」
「言うのが遅すぎます…」
小さな世万舵者は唇の端を少し上げる。わざとだ…。
「まあ、頑張りなよ。失敗は若いときに経験しとく方が良いよ」
「失敗前提なんですね…」
屋主は頬をゆるませた。
「当主って、繊細で身勝手だけど、付き合ってみると面白いもんだよねえ」
ゆったりとした口調。けれど甘さはない。この屋主が当主から慕われる理由を実感する。
「あいつなりに慰めたんじゃないかな」
「え」
「お前今日また長かっただろ」
勝っても尽きない課題。長くなるミ一テイング。
頑張りとか努力なんて、結果が伴わないと何の意味もない。
けれど戦いの中で向かい合うその人は、すべてを知っている。
一番の味方。
「ごほうび、だよ。きっと」
呆けた顔をしてしまったのかもしれない。
屋主は自分の顔をみて、また楽しそうに笑って、その場を離れた。
一人になって、もう一度、窓から夜の街を見下ろす。
じゃあ、いつかその先も許されるのかな。
想像してニヤけていることに気が付き、口元をおさえた。
そうか、自分は期待しているのか。
掌で自分の両頬をぱちりと叩く。
「よし、明日も踏ん張るか」と部屋に戻ることにした。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
寝惚けてナンバリングミスしてしまいました。スマソ。
踏ん張ってください…。
あるネタからのオリジナルです
神話モノ、エロ無し
読み難い点はお許しを・・・
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
時に正しい事も程度を過ぎると悪となる。
お前をそうさせたのは私。
それは全て唯一人を見る様にさせる為。
奴は多くの兵達と共に現れた。
それでもこちら側よりは少ない。
ほとんどの者は私の軍勢だからだ。
「貴様は我が娘を拐い、挙げ句は…絶対に許さぬ!」
武器を持った大将が真っ先に向かって来る。
怒りで満ちた形相。
しかし奴とは違い私の心には嬉しさがあった。
王の相手は面白い。
少しばかり、おちょくり反応を楽しむ。
「王よ、娘を取られ悔しいか?」
「どうした?それでは勝てんぞ?」
「ぐ…うぅ、うおぉっ!!おのれインドラぁ!!!」
完全に目の前の相手しか見えていない。
そうだ。
他の誰かではなく、このインドラを考えていれば良い。
それが例え敵意だとしても。
だが、永遠に続けていく事は出来なかった。
長い戦いの最中で私の思いが変わったからだ。
奴にどう言われたとしても戦わない…もう戦いたくない。
何より奴は追われる身となった。
近付く事も叶わないだろう。
しかし暫くして私の所に訪れた。
来たからには当然捕まる。
六腕の自由は奪われているが暴れる様子もない。
いったい何を考えている、捕まる事を気にはしないのか。
真意を確かめようと私は奴を引き連れ、森へ赴いた。
二人だけなら話もしやすいだろう。
歩きながら問い掛ける。
「敵の元に来るとは…。お前の目的は…」
「何故だ。何故、心変わりをした!」
出た言葉に驚いた。
まさか、終いにするのを知ったのか。
そして此所へ?
自身がどうなるか分かっているはず、なのに。
ずっと前から想っていた―
「もう、お前と戦う事に疲れた。…だからしないと決めた」
「…!…勝手だな…本当に。これでは俺が何をしていたのか分からない…!
…考えを直しは…っ」
言い終わる前に木に押し付け、その話す口を塞いだ。
すぐ離れようとするのを肩を掴み動きを止める。
力で敵うはずもなく、諦めたか。側面からも喋ろうとはしない。
目の前にいる者だけ―
互いの唇を幾度も重ね合わせ、そして額、頬、胸へゆっくりと口付けをする。
「…はぁ…ん…」
感じているらしく、息が荒くなっていくのが分かった。
私はお前を―
恐らく、こうするのも最後になるだろう。
静かに目を瞑る顔は鬼ではなく今までにない表情だった。
それを見て、ふと思った。
争わない、そう言ってくれるか?
「…アスラ王。今後、戦いはしないとするならば…」
「……」
無言で見詰め返してくる。
そうか、未だお前の内に宿るは怒りや憎しみか。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>483 GJ!
六本腕の人、最近人気のようですがこんな所でもお見かけするとは。
>側面からも喋ろうとはしない。
萌えワロタ。なんかかわいい。
>>463 このカプ昔から好きだったから、すごい萌えた!
ありがとう!!
下手リアの□シアと工ストニアで怖い話?
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
━━こんにちは工ストニアです。
IT大国らしくけっこう頻繁に掲示板を利用するんですが
ある日いつも巡回してるところに行ったら、見慣れないキリル文字。
なんだかちょっとイラッとしちゃって、ほんの軽い気持ちで煽っちゃったんです。
『ここは工ストニアのサイトだぞ。工ストニア語使えこのアル中め』ってね。
そしたら相手の癪に障ったみたいで、思いっきり連投して罵ってくるんですよ。
工ストニア語の完璧な文法でね。やれば出来るじゃないかこいつって思いつつ、その必死さにニヨニヨしてました。
『明日君のところへ行くからね』って。
馬鹿みたいですよね、稚拙にもほどがありますよ。
まぁ荒らしは相手しないのが得策ですし、明日も仕事があったので無視して寝ました。
そうそう、次の日急に仕事内容の変更があって、□シアさんの出張に付き合うことになったんです。
上司の付き添いするのって、気を使いすぎて疲れますよね。
いつもの掲示板で愚痴を書こうと思って、出張先のホテルでパソコンを開きました。
そしたらまた居たんですよ。昨日の荒らしが。
『まだ居たの?』ってレスしたら、
『こんばんは。今日は君のところへ行ったよ』って返事がきました。
なんだこいつって思って『証拠見せてよ』って書き込んだら、そいつは僕の1日の行動を書き始めたんです。
上司について出張行ったことはもちろん、何時の便に乗ったとか、昼食に何を食べたかまで、かなり細かく。
猛烈に気持ち悪くなっちゃって、窓の外見たり、
ドア開けて廊下をキョロキョロしてるとちょうどそこに通りかかった□シアさんが。
「何してるの?」って聞かれて訳を話したら、なにそれって笑われちゃいました。まぁ当たり前ですよね。
でも僕があまりに切羽詰まった顔をしてるんで「そんなに怖いなら今日は僕のトコで寝る?」って言ってくれました。
スパルタでいつもは怖い上司だけど、戦わせたら敵無しって感じの人なので、今回ばかりは有り難かったです。
□シアさんはけっこう体が大きい人で、ダブルルームをとってたので二人でも寝られるんですね。
男二人ですが並んで横になって、一応その日はゆっくり眠れました。
次の日、周りを警戒して行動してたんですが、怪しい人影は見当たりませんでした。
こう見えても僕 軍にいたこともあって、気配とかそういうものには一般人より敏感だと思ってます。
その日の仕事も無事に終わって、
なんだ、昨日のは偶然だったんだきっと。と自分に言い聞かせつつ
僕の手は勝手にパソコンを開けていました。
緊張しながらボタンを押す手が震えます。
信じたくなかったのですが、またあの書き込みがありました。
昨日と同じく、詳しく僕の行動が載ってあります。
襟がよれてたのを上司にこっそり指摘されたとか、そんな至近距離でないと分からないことまで書いてあります。
冗談じゃない!僕は半分パニックになって、
『どこにいるんだ!誰なんだよ!』と書き込みました。
すると『知りたい?今駅にいるから行くよ』って…
こんなときに限って□シアさんは居ません。ダブルルームの広さが今は恐怖です。
思わずベッドに潜ってシーツをかぶって、その中で画面を見ました。
その間にも"彼"は確実に部屋に近づいて来ます。
『今お店の角を曲がったよ』
『ホテルに着いたよー』
『ロビー抜けました』
もうやめてくれ!!!
それでも更新ボタンを押す手が止まりません。
『エレベーター乗ってます』
『君のいる階に着いたよ』
『廊下長いなー』
そしてついに
『 今 君 の 部 屋 の 前 に い る よ 』
同時に、ドアが音を立てて開きました。
「あれ?工ストニア?どうしたのそんなとこで」
「□シアさーん!」
□シアさんでした。ホッとしすぎて、ぶっちゃけ泣いちゃったかもしれません。
抱きつきそうになったんですが、僕のキャラじゃないので止めました。
とりあえずこの人が来たからにはもう安心です。
「ベッドの中でパソコンなんてお行儀悪いね」
「あ、すみません」
「じゃあ、電気消すよー」
「はい、おやすみなさい」
□シアさんも出張で疲れていたらしく、すぐにベッドに潜りこんで来ました。
パソコンを片付けようと思って、その前に1回更新すると
『 今 君 の ベ ッ ド の 中 に い る よ 』
□シアさんが微笑んでいました。隣で、携帯を握って。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>492-498 GJ!これは怖いwww
確かに、この二人でやるのがいちばん怖さ際立つネタだw
でも、抱きつくSトニアにも萌えたことは秘密。
いいなww恐いなこんな目に合わされるのw
>>482 ものすごい萌えた!
2828が止まらないぜ・・・ありがとう!
503 :
妄執:2009/07/05(日) 01:50:19 ID:2E3zxU6V0
・映画版 無宇
・銀行員X神父 前提ですが、反対でもオケーww
・神父視点。からみは有りませんが女性が出ます。注意。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
504 :
妄執1/3:2009/07/05(日) 01:51:50 ID:2E3zxU6V0
「神の御前に全ての罪を告白し、懺悔なさい。」
私は今日もこの懺悔室に縋り流れ着いた、
罪に震え戦く子羊の、か弱き言葉に耳を傾ける。
朝から降り続く雨と、普段この教会内に響き渡っている
庭で遊ぶ子供達の笑い声が聞こえないせいか、
部屋の中は薄暗く、空気はじっとりと肌にまとわり付き、
私はそっと顳?を押さえた。酷く頭が痛む。
「…どうしましたか?恐れる事は有りません。神に全てを告白なさい。」
柵の向うの人影は俯いたまま一向に言葉を発しない。
顳?に添えた指越しに、相手を見遣る。
ベールを被っている、肩のラインから推測するに女性の様だ。
「…さぁ、」
囁く様に促すと、柵越しに唾を飲み込む音が聞こえ、
吐息まじりに子羊は小さく頷いた。
「私は、彼を殺してしまうかもしれません。」
「私には彼しかいないのです、彼だけいればいいんです。
彼は私を愛してくれました。何も無い私を。
私の頬をなで、微笑んでくれました。
私の体を何度も何度も、触って、口付けて、抱いてくれました。
私の中は彼で満たされ、彼だけしか見る事が出来なくなりました。
彼は私のすべて、私の命、私の神になりました。
…だけど、彼は違う。彼の中心に私は居ない事に気付きました。」
先程より雨音が激しくなったみたいだ、女性の声が聞き取れない。
顳?が痛い。吐き気がする。
505 :
妄執2/3:2009/07/05(日) 01:54:34 ID:2E3zxU6V0
「彼は私といても時々遠い目で
何かを考えている事が多くなりました。
私を抱いている最中でさえ、
心が何処かに彷徨っているのが分かるのです。
私は彼に気に入られる様に、何でもしました。
彼は喜んだ様に微笑みます。愛していると囁いてくれます。
でも、彼の中は私だけじゃない。私だけを見ている訳じゃない。」
啜り泣く女性の声が鼓膜に張り付き、脳を浸食する。
だけど、彼女の言葉の意味が理解出来ない。
耳鳴りがして、頭がぐらつく。きもちがわるい。
「…あの女。」
子羊が呪詛を吐く。
「あの女がいるから!彼は私の物にならない!
私だけの物にならないなら、いっそ…いっそ、」
じっとり粘つく湿気が首筋に絡み付く様が不快で、
緩めた詰め襟の間に、冷たい水気を含んだ空気が流れ込み
やわやわと喉元を締め付ける。昨日の夜の彼の様に。
506 :
妄執3/3:2009/07/05(日) 01:55:23 ID:2E3zxU6V0
「殺してしまいたい。彼を殺して私も死にたい。
あの女の目の届かない所へ隠してしまいたい。
でも殺したくない。彼に触れられなくなるのは嫌。
でも殺したい。私から心が離れる前に。」
耐えきれない吐き気にうめきながら、懺悔室の壁に頭を擦り付ける。
胸に下げたロザリオを握りしめ、空いた左手で片耳を塞ぐ。
彼女の言葉が理解できないんじゃ無い。理解したくないんだ。
だって彼女の懺悔は私の…俺の
「すてないで。」
やめてくれ。
「すてないで。愛して。私だけを見て。」
もう、やめてくれ。これ以上俺の中を暴かないで。
「すてないで!すてないで!すてないで!すてないで!すてないで」
この世で一番罪深い子羊は俺だ。彼女は俺の鏡だ。
両手で顔を覆い罪の満ちた小部屋の中で俺は泣いていた。
「俺だけを見て。すてないで。ユ…キ…」
507 :
妄執:2009/07/05(日) 01:56:21 ID:2E3zxU6V0
初日みて堪らなくなってやった。
初投稿なのでつたなくて申し訳ない。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
すいません、なんか文字化けしてます。
顳?は"こめかみ"です。OTL
生 鯨任 ~野武士拳特異×平和叉由です
ドマイナーなカプで申し訳ない
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
同い年の当主と概屋主がモデル。プラス内屋主ふたり。
といっても書いている内に、頼りない記憶やらねつ造やらで
誰を書いているのかよくわからなくなりました・・・。
>>150の番外みたいなお話。
前スレの625の続きにもなるような。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
互いに昏い欲を吐き出したあと、僕が一息つくよりも早く特異君はベッドサイドの煙草とライターに手を伸ばした。
カーテン越しの外の明かりに照らされた部屋に、小さな灯りが密やかに灯る。
「…寝煙草はあかんよ」
「んー?」
小さく注意するとちらりとこちらを見たが、特に気にする様子もなく彼はゆっくりと煙を吐き出した。漂う紫煙が部屋に広がるのを、見るともなくぼんやりと追う。
「どうだった?」
唐突に問いが投げられた。一拍遅れて今終えたばかりの行為の感想を求められたのだと気づく。
ちょっと考えた後、意外と普通やった、と返すと、「何それ」と顔をゆがめるようにして笑われた。高い頬骨が濃い陰影を作るその顔はやはり男前だ、と関係ないことを一瞬考えた。
「いや、普段あれだけサイコっぷりを披露してはる特異君なら、その、」
「こっちの方も普通じゃないと」
「うん、まあ」
特異君はふっと笑うと僕の頭を大きな手でくしゃりと撫でた。思いがけない優しい仕草に柄にもなくどきりとする。
ぱさついた髪をゆっくりと指先が梳いていく。
「最初はね、そんなに酷いことはしないの。で、時間をかけて徐々に馴らしてって、」
「あー、彩辺も似たようなこと言うとったわ
「マジで?」
あのド変態と一緒かよ、と特異君はくくっと喉を鳴らした。
普段あれだけサイコ呼ばわりされているのに変態と言われるのは心外らしい。やはり変わった男だ。
「あ、でもな、彩辺は相手がもう無理や、ってなったらそこで止めるんやて」
「何だかんだ言ってあいつは紳士だからな」
もう短くなった煙草がぎゅっと灰皿に押しつけられた。
「でも俺は違うよ」
まるで世間話でもするようなごく当たり前のようにさらりと言い放たれた言葉。ただ、その一言に背筋にぞくりと冷たいものが走った。
「紳士なんかじゃないから」
髪を撫でていた指がつっと顎に触れた。そのまま首筋をなぞり、更に下へ向かおうとする手を止めようと慌てて口を開く。
「明日も早いから…」
「大丈夫だって、な?」
慣らさなくちゃいけないだろ? と耳元で囁かれ、す、と身体の力が抜ける。
「嫌…」
やて、と言いかけた口を生温い唇に塞がれた。薄く開いた口の隙間から舌とともに苦い煙草の味が流れこんでくる。
肩を掴んだ手にゆっくりと力がこもり、上半身がベッドに沈む。ぎし、とかすかにスプリングが軋む音が聞こえた。
煙草の匂いにゆっくりと脳が侵され、思考がぼやけてくる。歯列をなぞる舌先が不意に抜かれ、思わず特異君を見上げる。彼はいつも通り濁った目でうっすらと微笑んでいた。
生産性のない愚かな行為だ。そんなことは彼も僕も分かりきっている。
ではなぜこんなことに溺れているのか。煙草で濁った僕の頭に答えは浮かばない。
分かっているのはただ一つ、今僕は彼を求めていて、彼もまた僕を求めている、ただそれだけ。
再び降ってきた口づけを受けながら、そっと彼の背中に手を這わせた。
>>509 510です。ごめんなさい!書き込みが遅いので重なりました。
終わるまで待ちます。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
少し前に書いたものなので、現在特異が禁煙中だということには目をつぶって下さい。
以前誰萌スレで吐き出した時に賛同して下さった姐さんに捧ぐ。
そして
>>510姐さん、被ってしまってすみませんでした。
>>514 こちらこそ失礼しました。
色っぽい描写が羨ましいです。GJ!
同い年の当主と概屋主がモデル。プラス内屋主ふたり。
といっても書いている内に、頼りない記憶やらねつ造やらで
誰を書いているのかよくわからなくなりました・・・。
>>150の番外みたいなお話。
前スレの625の続きにもなるような。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
街の明かりは夜の帳を白く照らし続ける。
飲食街の人混みから離れると、ひっそりと寂しい通りに出た。
隣を歩く小柄な彼は「あの店、美味しかったな」と自分を見上げる。振り向かず「そやね」と答えた。
目の前に映るのは、閑散とした通りではない。
フイ一ルドで自分を越えた、白の放物線が何度も浮かんだ。
悔やんでも悔やみきれない、あの時。力の入れ方、指先、足の踏ん張り、気持ち。
自分が抑えれば、絶対に負けないのに。
この上背は、この腕の長さは、何の為にあるんだろう。
今一緒にいる同い年のコイツは、小さな体で、懸命に役割を果たしているのに。
「あれ」
自分の足音しか聞こえないことに気が付いた。隣に彼がいない。
しまった、違う道入ったかな、と振り向くと、少し距離を置いて彼がしゃがみ込んでいた。
驚いて駆け寄ると、足元に猫がいる。近寄ると猫はピクッと震えて、素早く姿を消した。
しゃがんでいた彼は残念そうにため息をついて立ち上がった。
「お前さ」
彼は猫の去ったあとを眺めていた。
「もちょっとゆっくり歩けよ」
昨年のシ一ズン後のキヤンプのことを思い出す。
練習場から宿舎まで距離があり、通常ならバスを利用するその道のりを、
二人で歩いて帰ったことがあった。
あの時、歩くのが早いとか遅いとか、気にしてなかった。
ただ、二人で歩いていたら、そのまま一緒に宿舎に着いていた。
下から腕が伸びてきて、頬に彼の指が優しく触れる。
「怖い顔してる」
ふっと笑みを浮かべ、こちらを見上げる。
その手首を掴むと、彼は笑いながら逃れようとして腕を引っ張った。
これ以上離れないよう、もう片方の腕も取る。
「…いや、冗談。冗談だって。離せって。ごめんごめん」
「前に言ったやん。下か見つめたらアカンて」
「だから、そーゆー冗談ダメだって」
トテトテと足音が聞こえた。
振り向くと、先ほどの猫が通りに戻ってきた。
気を取られた隙に、手を振り払われた。
「そういえば今日お前が来る前に、大船主さんと大大船主様が来てたよ」
「へえ、見たかったな」
「次は早く来いよ」
落ち込んでないで。
最後の言葉をはっきりと言わずに、彼は駆け出す。
猫はまた姿を消した。少し先で彼が足を止めて振り向いた。
空を仰ぐ。街のひかりを受けとめる夜空。
「冗談か…」
空に向かってひとりごと。
「冗談やと思ってるんなら、もう少し付き合ってくれてもええのにな」
少し時間を戻した、別の通りでの話。
***
「あーえらい目遭ったわ。つかお前何でいつの間にいなくなっとんねん!」
小柄な先輩が肩を叩く。
「付き合い良すぎなんですよ。あ」
二人の目の前に猫が現れた。
「うわっ、なんや!」
「びびりすぎ・・・」
その猫の背後に見えたふたつの影。先輩はその影に気付かず、しゃがんで猫に手を差し出していた。
影のふたり。
男が、小柄なひとの両腕を掴んでいた。
小柄なひとは今日店で会った。もうひとりは。
・・・連れって、あのひとだったのか。
トン、と足音をたてて一歩前に進む。猫は逃げるようにトテトテと、彼らに向かって駆けた。
「お前なあ」と苦笑いする先輩を余所にして、くるりと振り返る。
「あれ、どうしたん」
「そこのコンビニで水買って帰ります」
「じゃあ俺も行こ」
振り向くことはできなかった。
「・・・また先を越された」
夜空から流れた風がふわりと背中を擦った。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
・実写版 無宇
・夕鬼×画頼です
・原作未読で映画もまだ1回しか見てないので、おかしい所があったらスルーして下さい
・軽いですが暴力表現あります
・エチなし
神父のエロかわいさに禿げ上がりました
拙い文章ですが読んで頂ければ嬉しいです
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
立花の遺体を片付けた後、血で汚れた画頼をそのままにしておく事もできずとりあえず自宅の風呂場に放り込んだ。
30分以上経っても風呂場から出てこない画頼を不審に思い、まさかショックで倒れているのではないかと風呂場を覗くと
そこには血まみれの服を着たまま立ちすくむ画頼の姿があった。
「血が落ちないんだ・・・夕鬼・・・」
虚ろな目で呟く画頼に、チッと舌打ちすると夕鬼は自らの服が濡れるのも構わず風呂場に入り込んだ。
「いつまでこんな水浴びをするつもりだ」
「血が・・・」
「服を脱いで浴びれば落ちる」
冷たいシャワーが肌に触れるのも構わず、夕鬼は画頼のシャツに手をかけた。
冷え切ったその体。
その肌の冷たさに眉を顰めると、夕鬼は画頼の服を強引に引き裂いた。
ボタンが弾け飛びタイルの上に転がり落ちる。
程よく日に焼けた胸元に続き、滑らかな肩が露になると夕鬼は目を細めて画頼の姿を見つめた。
水滴が肌の上を勢いよく滑り落ち、赤く染まった体を清めていく。
すべての血が流れ落ちると露になるのは体の隅々まで付けられた所有印。
その痕を夕鬼が確かめるように指先でなぞると、画頼の体がピクリと震えた。
「ゆ/う/き・・・」
血の気のない唇が自分の名前を呼ぶ。
いくら自分の欲望で汚しても、その手を血で染めようとも、消して失われない穢れのない魂。
唯一自分に悪夢のない眠りをくれる存在。
「お前は俺のものだ」
子羊のように震えるその体を抱き寄せて耳元に毒を流し込む。
「だから、離れるな」
「・・・夕鬼・・・」
「お前は俺だ、そうだろう?」
丸みを帯びた顎を掴んで俯く顔を無理やり上げさせる。
おそるおそる見上げてくるその目を覗き込んで夕鬼は冷笑を浮かべた。
「逃げるなよ、画頼」
「・・・逃げてなんか、いない」
「ならいいけどな」
「夕鬼・・・どうしてこんな事を・・・」
涙を浮かべた瞳が揺れて、頬を伝って零れ落ちる。
そこへ唇寄せ、舌先で雫を舐め取ると夕鬼は満足そうに微笑んだ。
何者にも穢されない綺麗なその涙が、夕鬼の渇きを癒してくれるたった一つのもの。
尚も言葉を紡ごうとするその唇を夕鬼は半ば強引に自らのそれで塞いで、もがく画頼の体をタイルの壁に押し付けた。
逃げようとする画頼の腕を頭上で一括りにして深く唇を合わせる。
このまま抱き壊してしまいたい・・・。
画頼と触れ合う度に感じる暗い衝動に逆らう事なく、夕鬼はゆっくりとその首に手をかけた。
「んっ・・・や、めろっ・・・」
頚動脈の辺りを優しくなぞると合わせた唇の隙間から弱弱しい声が抵抗する。
「このまま・・・俺だけのものになれよ」
ひどく優しい声で囁くと夕鬼は指先に力を込めた。
深く舌を絡めて呼吸のすべてを奪うように口付けを交わす。
「っ、いや、だっ・・・!」
「っ!」
舌に鈍痛を感じ夕鬼が眉をしかめる。
力が弱まった一瞬を見逃さず、画頼は夕鬼の体を突き放した。
肩を揺らしながらハアハアと荒い息をつくと、画頼は夕鬼の顔を思いっきり睨み付けた。
「・・・画頼」
形のいい唇が冷酷な笑みに歪む。
「もうやめてくれ・・・」
どこまでも美しい夕鬼の顔を見つめて画頼は尚も涙を零す。
「もう、嫌なんだ・・・」
顔を覆って泣きじゃくる画頼を見下ろしながら夕鬼は顎を伝う自らの血を指先で拭った。
血に濡れた指先を表情をなくした氷の瞳が見つめる。
その次の瞬間、夕鬼の拳が画頼の裸の腹に減り込んだ。
「ぐはっ・・・!」
突然の痛みに思わず呻いた画頼の無防備な体に、次々と容赦のない暴力が降り注ぐ。
「俺に逆らうな」
傲慢な支配者の瞳で夕鬼が命令する。
前髪を鷲づかみにされて頬を打たれる画頼は、もはや抵抗する気力も体力もなく夕鬼のなすがままだ。
口の中を切ったのか画頼の唇からも血が零れ落ちて顎を伝う。
夕鬼はその様を見て恍惚とした顔で笑った。
「俺のそばからいなくなるなんて許さない」
「・・・ゆーき・・・」
「どこかへ行くなら、その足を切ってやる」
「・・・どこへも、行かない。俺は、お前の傍でしか、生きて、いけないから・・・」
静かな画頼の声に夕鬼はピタリと殴る手を止める。
「ゆ/う/き・・・俺はどこにも行かないよ・・・」
だらりと垂れ下がっていた手を持ち上げて、画頼はそっと愛しみを込めて夕鬼の頬に触れた。
「画頼」
すべての色を失くした声。
しかしその中に含まれた少しの怯えを感じ取って、画頼は優しく微笑んだ。
「傍にいてくれ、夕鬼」
前髪を掴んでいた力が弱まり、代わりに強い力で抱きしめられて画頼はああ幸せだなと思う。
それが歪んだ幸せでも、決して認められないものだとしても画頼には関係なかった。
ただ夕鬼がいてくれれば・・・。
薄れていく意識の中、画頼はただ一人の名前を呼び続けた。
「手放せない、お前だけは絶対に・・・」
自分の腕の中で気を失ってしまった画頼を見つめながら夕鬼は呟く。
額にかかる柔らかな黒髪をかき上げてやると、どこか幼さを残した顔が露になり、その丸みを帯びた輪郭を夕鬼はそっとなぞった。
震える指先を気を失っている画頼が感じ取る事はない。
「俺から離れるのは許さない」
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
もうちょっと詰めれましたね
何か無茶苦茶ですみませんorz
勢いだけで書いてしまいました
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
※時間旅行の数年後設定です。
※無理やりな部分があります。
※かなり想像部分があります。ご注意ください
「先生…あんまりです…」
外国に引っ越していたハズのルークがなぜか目の前にいる。いや、落ち着くんだ私。
昼間から寝ぼけるとは随分だな。英国紳士失格ではないか…。
「で、なぜ私の夢にルークが居るんだい?」
「何をとぼけてるんです?そんなことより、僕がいない間に随分と部屋が散らかりましたね…」
目の前のルークはため息をつきながら、やれやれといったふうに首を振る。
「君は部屋の汚さを指摘しに、出てきたのかい?」
「…あーもーなんでもいいです。とにかく、この散らかり様は酷いです。片付けをしましょう、先生」
そう言って、ルークは床に散乱する紙を拾い始めた。
私はというと、苦手な掃除を夢に見るほどだから、現実はもっと凄いのだろうと想像するだけ。
やれやれ、起きたら片付けでもするかな。
私は椅子に腰掛けると、せっせと紙を拾い、まとめていくルークを見つめる。
「おや、ルーク。君は少し身長が伸びたかい?」
そういえば、トレードマークの水色の帽子はそのままだが、着ている服もどことなくシャープなラインになっている。
夢なのに、随分と現実的じゃないか。
ぼんやりとそんなことを考えていると、ルークは照れたような怒ったような顔をする。これは照れているな。
「そ、そりゃあ…身長も伸びますよ。成長期でしたから」
ルークは片付けの手を休めると、ゆっくりと私に近づいてくる。
目の前で立ち止まる姿は、確かに以前よりも見上げる角度が大きい。
「…どうかしたのかい?」
「……」
「…ルーク?」
しばらく沈黙が続くのは、ルークが言葉を探しているからだろう。
「…先生は…なぜ僕に会いに来てくれなかったんですか?」
今にも泣きそうな顔だ。あの日、ルークが船に乗り込む数十分前の顔と重なる。
しかし、似ているもののそれは確かに違うもので、別れてからの彼は身心ともに様々な経験をし、成長したことが分かる。
「行けなかったんだ、仕事が忙しくてね。申し訳ない」
とは言うものの、ルークの表情を見ていると、信じてはいないようだ。
確かに、忙しさが100%の理由ではない。負い目…というものを感じてもいるんだ。
「先生にとっては…子どもの遊びにつきあっていただけですか?」
「そんなことはないよ、ルーク。言ったじゃないか、『君との旅は、いつも楽しかった』とね」
「…でも、手紙だって、僕が出す物に返事を書いていただけでしょう?」
「おや、そうだったかな?君はとてもこまめに手紙をくれていたね」
「誤魔化さないでくださいっ」
仕方ない。観念しようじゃないか。
「私はね、自分がもしかしたら間違いを犯したかもしれないと、思うことがあるんだ」
そう切り出すと、私は彼と過ごした3年間を振り返った。
△ △ △
ソファに座るルークは、神妙な顔で私の話を聞いている。
私自身も自分を振り返りながら話しているためか、時間が随分経過した。空の色が赤くなっているのだ。
「私と違って、若い君の貴重な3年間のほとんどを、君は私と過ごしてしまった。私自身、その状況を利用していた部分もあるんだ。君はとても優秀だったからね」
ルークの表情は変わらずで、話を先に促す。私は苦笑いを返すしかなかった。
「本来なら、もっと違った、例えば友人なんかもできていたと思うんだ。年相応のね」
「僕が自分から選んで、先生の傍にいたんです。先生に言われたわけじゃありません」
間、髪いれずに返すルークの拳には力が入り、微かに震えているようだ。
怒りだろうか、それとも軽蔑だろうか?どちらにせよ、私は受け止めなければいけない。
「子どもだった君から、選択肢の多くを奪ったことには変わりないさ」
ルークがやって来る前に入れた紅茶は冷え切り、香りも飛んでいるが、かまわず口にすると、大きく深呼吸をした。
相手のことを思いやり、自分の気持ちを押さえつけることもまた、愛情の一つだと思っていいだろうか。
さあ、これで終わりにしなければいけない。
「すまなかった、もう、私にかまうことはないんだよ、ルーク」
私は座るルークの横に立つと、彼の頭を撫でた。
「君との時間は、本当に楽しかった」
これは本当だ、紛れもない真実だ。この気持ちは今も変わらない。
ただ、これ以上私の我侭でルークを縛りつけることは出来ない、してはいけない。
私を見上げるルークはどこかぼんやりしている。そろそろ夢が覚める頃だろうか?
夢でここまで、気持ちを伝えることが出来るんだ。こんどは現実でも伝えなければ…。
「…先生は、僕が嫌いですか?」
「そんなことはないさ、大好きだよ」
出来ることなら、愛していると伝えたいが。
「それでもっ、あの時みたいに、僕に何も言わずにどこかに行ってしまうんでしょう?」
「…ルーク…」
「…先生、いつまで僕を子ども扱いするんですか?ここへだって、一人で来たんですよ」
「子ども扱いしているわけではないんだがね…」
「し、して…してるじゃないですか!!」
声を荒げるルークは私の腕を勢いよく振り払った。
「おっと」
「先生はそうやって、結局は何も教えてくれませんでしたね。先生のことだって、ほとんど僕知りませんでした!」
「それは誤解だよ、ルーっぅわっ!!」
何を考えているのか、興奮したルークは勢いのままに私を床に押し倒した。
あと少しずれていたら、机の角に頭を強打していたかもしれない。シルクハットが脱げてしまったよ。ルークはまだまだ英国紳士には遠いようだ。
「痛いじゃないか、ルーク…悪ふざけはいけない」
「…先生…聞いて、ください。…僕、本当に先生が…好きなんです」
「ルーク…?」
ルークの目に溜まった涙が今にも零れ落ちそうになる。人前では泣いてはいけないと、言ったはずなんだが。
「もう…何も知らない子どもではいたくないんです…」
言うが早いか、ルークは私の頬に手を添えると、そのまま顔を近づけてきた。
触れたルークの唇は熱く、私よりも高い体温だと実感させられる。
「なにを、馬鹿な…」
私の唇に指で触れると、ルークの目からぽたりと雫がこぼれた。
「もう、ここには来ませんから、…今日…今だけ…許してください」
そう呟くルークの表情には悲嘆や欲情が表れて、かつての少年との違いを痛感させられる。
「…やめなさい、ルーク。君はどうかしてっ…」
馬乗りになった今のルークを避けるのはどうにも難しいようだ。正気に戻そうにも、そもそもこれは私の夢だ…。
…私の願望か…、これは…!?
「先生は、夢だと思っていればいいですよ。こんな最低な助手なんて、そもそも居なかったんだ」
再度ルークは私の唇に自分のを重ねた。その繰り返される稚拙な口付けに、ルーク自身が息を弾ませて真っ赤になっている。
「…っはぁ…、っ…」
見兼ねた私は、彼の隙をついて上半身を起こす。その反動で今度はルークが後ろへ倒れてしまう。
「…わっ…!!」
「ああ、すまない。ルーク、大丈夫かい?」
私が起こそうとルークの腕に触れると、彼の腕がビクリと震えるのが分かった。
「ぁ…、ご、ごめんなさいっ。すみませんっ、ぅ…っ…ふぇ…」
ルークの目からは洪水のように涙が溢れ、羞恥で真っ赤にした顔を、もう片方の腕で必死に隠している。
謝罪の言葉ばかりを繰り返しているために、まるで私がルークをいじめているようではないか。
「すみませっ…、っん…」
今度は私から唇に触れる。求められたからには、それなりにお相手しなければなるまい。
英国紳士としてはね。
しかしルークはと言うと、その行為に強張った腕で私の胸をなんとか押し返そうとするだけ。
「…ん、や…め…」
何を止めろと言うんだ。そもそもルークが望んでいたことではないのか?
嫌々と首を振るのを顎を掴んで押さえると、微かに開いた口に自分の舌を滑り込ませた。
角度を変えては、より深く舌を絡めていると、ピリリと痛みが走る。どうやらルークに噛まれてしまったようだ。
「痛た…」
「…せ、先生は、僕みたいな気持ちじゃっないのに…」
気が動転しているのか、泣きすぎて引付を起こしているにも関わらず、言葉を続ける。
「なんで…っこ、こんな…」
「君が、そう望んだのではないのかい?」
ルークのネクタイを引き抜くと、それをソファの上に無造作に置く。
最後に会ったときまでは、ネクタイはしていなかった気がする。
そこからもルークの成長を感じ、場に相応しくないが微笑ましくなってしまう。
涙が止まることはないようだが、急に青ざめ、大人しくなったルークのジャケットとベストの前を開ける。
そのまま躊躇いなく、シャツのボタンも外して胸元を肌蹴る。
そんなに泣いていたら、いつか干からびてしまいそうだよ。
キメの細かい肌を舌で這い、時折、痕を残しては震えるルークの反応を楽しむ。
「サスペンダーは、もう使わないんだね」
「……」
視線は逸らしたまま、反応すら返ってこない。まあ、期待はしていなかったが。
私は、ふっとため息を吐くと、どうしたものかと思案する。
「ルーク、君ね。泣くほど嫌なら、ちゃんと抵抗したらどうだい?それとも容認している?」
私としては、このまま進めてしまってもいいのだがね。
しばらくの沈黙後、涙も枯れ果てぐったりしたルークが呟いた。
「…先生が、こんなことをする理由が…分かりません…」
それはそうだろう。そもそも君は私の気持ちを聞いたこともないじゃないか、そこだよ。
「なぜだろうね。さっきの君の行為に腹を立てて、仕返しのつもりでやっていると?それとも慰め?」
「…ちが…うんですか…?」
「…君は私をそんな男だと思っていたのか…」
これはとんだ誤解だ。
「そもそも君は、私に気持ちを尋ねもしないで、早合点しているだけじゃないか」
「……」
「ルーク、私を見なさい」
涙に濡れたルークの頬をそっと撫でると、先ほどから逸らしていた視線が、やっとこちらを向く。
「はは、ウサギみたいに目が真っ赤じゃないか」
こんな状況でも茶化してしまう私を、ルークはウサギの目で睨みつけてくる。
「これは失礼。ちゃんと、全てを君には話すよ」
△ △ △
「さっきの言葉は本心だ。現実問題、君は私といたことで年相応の経験は出来なかった」
「だから…っ!」
「まあ、聞きなさい。…一方で、大人社会に居るために、随分と背伸びを強いていたことも確かなんだ」
そうだ、当時は会う人間の多くは大人で、彼の子どもらしさを必要とする者はほとんど居なかった、一番近くで、彼を知る私でさえ。
「だから、まだ間に合うんじゃないか、そう思って私は君から離れようとしたんだ。手紙のこともね」
「…それは…先生のエゴです…」
「そうかもしれない」
私は肩の力を抜いた。伝えたいのはここじゃない。ここからなんだ。
「その反面、私は君を離したくないとも思っている。だから求められるままに、こうして、君を抱こうとしているわけさ」
「…そんなの…嘘だ…」
「…そう思うかい?…君の気持ちもね、実は、随分前から気づいていたよ」
「なっ…んで…!」
「君には…分かるかな。この年になるとね、恋愛というものに臆病になるのさ。ましてや君とは年が離れている。君が心変わりしたとき、私は割り切る自身がないんだよ」
なんと自己中心的な考え方なんだ、これでは英国紳士失格だ。
「私はもう、失うのが嫌なんだ」
「…そうやって、今度は子どもでいろと言うんですか。僕がどれだけの間、先生を好きだったのか、知っているんでしょう?」
「ルーク…」
ルークは私の腕をしっかりと握り、けっして離そうとはしない。
「先生が怖いなら、僕は先生がいなくなるまで傍に居ます。先生の最期だって見届けます。これならどうですか?」
その瞳からは彼の真剣さが伝わってくる。よくよく考えれば、相手の気持ちをしつこく疑うなんて、私らしくない。
「君には負けたよ…ルーク…。これからは、私の、恋人でいてくれるかい?」
「もちろんです、先生」
ルークの唇に再び触れると、目じりに溜まった涙を指で拭う。
抱え込んでしまっていた彼の足を降ろすと、その扇情的な姿から視線を逸らした。
「ルーク、君は紅茶2杯分は泣いているんじゃないか?紅茶を淹れてこよう」
立ち上がろうとする私の袖を引く腕は、当たり前だがルークしか居ない。
おや、ルーク、顔が真っ赤になっているがどうかしたのかい。
「先生…あの、もし…僕の我侭を聞いてもらえるなら、この先を…」
ルークはその先を言おうとはしないが、ここは大人の余裕で察するべきだろう。
いつもの癖で、シルクハットを直そうとするが、空振り。…私も相当、動揺しているようだ。
「仕方のない子だね」
代わりとでも言うように、私はルークの脱げかけた帽子を傍のテーブルへ静かに置いた。
△ △ △
△ △ △
「ところで先生、まだ夢だと思っていますか?」
「まさか、それにしても、君はどうしてここへ?」
「あれ、先生に手紙でお伝えしましたよ、留学するって」
「…どこへだい?」
「ここへ」
「こことは?」
「先生の大学へ」
思わず紅茶を吹いた私。
「うわっ!先生、汚いじゃないですか…」
「すまない…、で、初耳なんだが…私の大学へ?」
「だから手紙で伝えましたよ」
「せ、専攻は…」
「もちろん、考古学ですよ、だから先生の恋人、兼、助手です」
その晴れ晴れとした表情に私は言葉を失う。なんと計画的な…、とんだ英国紳士だ。
まあ、彼がいいのなら、それでいいのだろう。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>528 GJ!
三作目をクリアしてから、胸に穴が空いたようだったんだよ…!
この二人はそうでなくっちゃなぁ!
ごちそうさまでした。
>>477 GJ!続き見られて嬉しいです。
「考えてること、わかるんだけど」というのが夫婦(バッテリー的な意味で)ぽくて良いです。
半生注意!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )06船体 銀×青
ぼくの体温は下がりやすい。
今だってほら、居眠り中の映二は何も言わないけど、サロンの効き過ぎのクーラーに指先がやられてる。
エヌを押すつもりがエムを押して、全く違う検索結果。
指先の回復を願って、掌でぎゅっと握り、ノートパソコンを囲うようにテーブルに置いた。
するとうつらうつらしていた映二がふと目を覚まして、なにか言いたそうにぼくを見た。
階段を無視して、高い空間から飛び降りると、べたっと勢いよくぼくの右手に触れる。
いや、手を置いた、のかな。
…あたたかい。
眠るために枕として組まれていた指が、解かれたばかりの熱を伝える。
どうしたの、ってきいてみると、冷てえ、だって。寝起きの掠れた声は何故だかぼくの胸をあっためた。
例えば、ふたり留守番中のサロンの扉が開くと、彼の手は散々ぼくに熱を移して引っ込んでしまうのだろう。
そうしてぼくの右手は二度と、エヌとエムを間違うことはなく。
誰も帰ってこなくていいよなんて考えてしまうのはきっと、彼の寝ぼけた体温がぼくには熱すぎたからで。
微熱を、齎してしまったわけで。
まあ、ぼくだけがこんなにも彼を好きだなんて考えたくないだけで。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ ) 何年たっても好きなんだ!
スレ容量が微妙なところなので、そろそろ新スレ立てときますか
おkだったら立てますよ
新スレ立て乙!
ばいばい猿さんはもう大丈夫なのかな?
>>528 GJ!
数年後話って、ありそうなのに見かけないから嬉しかった!
教授も弟子も可愛いよ
>>537 まさか、今さらここでそうたとえいちゃんの話を読めるなんて。
自分も何年たっても大好きです。
・映画版 無宇
・画頼×夕鬼で夕鬼襲い受け
・ぬるいけどエチありです
・場面的には立花の遺体を片付けた後
ほとんど勢いで書いたのでおかしい所あると思いますが、
夕鬼受け好きな方に楽しんでいただければ幸いです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ベッドの縁に腰掛け放心した様子でどこかを見つめる画頼の頬を、夕鬼の手の平がするりと撫でる。背後から伸ばされたその腕は、画頼の頬を指先で辿ると、「やめてくれ」と力なく響く制止にもぶれる事無くそのまま顎を伝って首筋にたどり着いた。
僅かな間の後、両の腕は画頼の首に回され、同時にその背に夕鬼の体重が預けられる。猫のように肩口にすり寄せられる夕鬼の頭に、珍しく甘えているのだと気を緩ませかけた画頼の耳もとに夕鬼の低音が静かに響いた。
「シャワーを浴びたのに血の匂いが消えないな」
そんなあんたも素敵だ、と続いた言葉を、画頼は回された腕と共に振り払った。立ち上がり、夕鬼のいるベッドから離れて対峙する。冷たく微笑んでこちらを見つめてくる夕鬼に罵倒を浴びせようとするも、言葉が出てこない。
「どうしたんだ、早く遊ぼう」
夕鬼は上着を1枚脱ぎベッドに放ると、ほとんど音もたてずにフローリングの床に降り立ち、壁に追いつめるようにして画頼に近づいた。
「あんなに血を浴びたのははじめてだろう?」
興奮した?と聞きながら、夕鬼の手が画頼のシャツにかかる。着替えたばかりのシャツのボタンが上から一つずつ外されてゆく間、画頼はぎゅっと目を閉じて夕鬼から顔を背けた。
やがて、露になった画頼の肌に夕鬼が唇を寄せる。感触を確かめるようにして触れるその唇を、画頼は夕鬼の肩をつかんで引き離した。
「……夕鬼、もうやめてくれ……こんなこと……」
眉間に罪悪と恐怖とを刻んだ画頼を、夕鬼は顔を上げて見つめる。握りしめられた夕鬼の拳に気づいた画頼の体は、次の瞬間、床に叩き付けられるようにして倒れこんだ。
「ゆう、き……?」
何が起こったかまだ理解できていない様子で画頼が勇気を見つめ返す。夕鬼は無表情でそれを一瞥すると、倒れた画頼の体をひきずるようにして今度はベッドへと放った。
「お前はいつも口ばっかりだ」
そう告げると、夕鬼は画頼の体の上にのしかかった。先程までの情を含んだ手つきとは打って変わって、ほどんど乱暴な動作で画頼の服を剥いでゆくと、むき出しになったその性器の上に跨がり、自らの後ろにあてがう。
「よせ、夕鬼……っ!ゆ、き……っ!」
にやりと笑って見下ろしてくる夕鬼に自身が飲み込まれてゆく。下腹部から沸き上がるような快楽に、画頼はシーツを握りしめて耐えた。
「本当に嫌なら、もっとちゃんと拒絶しろよ」
「ゆう…き…っ!」
「でもお前には絶対できないだろうけどな」
笑い声をあげながら夕鬼がゆっくりと腰を動かし始める。
画頼はシーツを握っていた手を離すと、羞恥と戸惑いに涙でぐしゃぐしゃになった顔を覆おうとするが、夕鬼に腕を掴まれ阻止される。
「隠すな。ちゃんと俺を見ろ」
そう言った夕鬼の顔は、もう笑ってはいなかった。
体の上で自ら腰を振る夕鬼の体を画頼は見つめる。尚も溢れ出る涙でそれは歪んでいたが、それでも美しいと画頼は思った。
白く細いその体にそっと腕を伸ばす。筋肉がついているため決して病的には見えないが、それでも徐々に痩せているように思えるその体に、胸の奥を抉られるような想いに駆られる。先日の発作といい、この体といい、夕鬼の体は蝕まれているのだ。奥の方から、確実に。
ふいに、画頼の体におおいかぶさるようにして夕鬼が体重を預けてきた。その顔には相変わらず冷めたような笑みがはりついており、うっすらと汗ばむ体もひやりとしているが、瞳の奥にはどろどろとした情欲が渦巻いている。
涙で濡れた顔はそのままに、画頼は両手をもたれかかる夕鬼の背中に回した。夕鬼の律動にあわせ下から突き上げてやると、首筋を夕鬼の熱い吐息がかすめた。
(ああ、イエズスよ、我らの罪を赦し給え。我らを地獄の火より守り給え。またすべての霊魂、ことに主の御憐れみをもっとも必要とする霊魂を天国に導き給え)
夕鬼の綺麗に浮き上がった背骨をロザリオの球をたぐるようにしてなぞりながら、画頼が祈りを唱える。だが、脳を侵してゆくような快楽に、祈りが最後まで唱えられる事はなかった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>546 映画はまだ見てない(フォモ設定が無くされたと聞いてちょっと…でも多分見る)ので
原作のテヅカ絵で想像して萌えました。乙。
てか、原作のエチ−もこんな襲い受けばっかですよねw
>>543 GJGJ
この2人はどっちが突っ込んでもおいしい
黒子のバスケの『火神→(←?)黒子→キセキの誰か』っぽい小説です。
ちょっと黒子視点で切なめです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
部活帰りにいつものバーガーショップへ足を運ぶのがここのところ日課になっていた。
そして今日も火神と2人で他愛の話をして帰る途中、ふと今日が七夕という事を思い出し、空を見上げる。
「火神君、今日が何の日か分かりますか?」
「あぁ、そういえば今日が七夕か」
火神は空を見上げ、天の川が見えねーな、と呟いた。
「七夕は雨が多いんですよ。今日みたいに…雲ってはいますが少しでも星が見える方が珍しいんです」
「そうなのか?」
「でも雨が降るのは織姫と彦星が再会を喜んで流した涙のせいだとも言われているんですよ」
「ふーん」
興味なさげな相槌に話が一旦途切れ、互いに空を見上げる。
曇り空は月までも朧げにし、雲間からは微かながらも星が見える。
織姫と彦星を結ぶ天の川は見えないが空の上では彼らは逢えたのだろうか。
そんな事を考えていると脳裏に一人の人物が思い浮かび、自分自身に嫌悪感を抱いた。
「黒子?どうかしたのか?」
「すみません、ちょっと考え事をしていて」
態度には出さないが火神君はボクの事を心配しているらしい。
頭に置かれた手が労わるように優しく髪の毛を乱す。
そうだ、今目の前にいるのは『あの人』ではない。
クラスメイトであり、同じ部活動の―――新しいボクの光。
火神君なら一年に一度しか逢えない恋人達をどう思うのだろうか。
くだらないと笑うだろうか。願わくばそうであってほしい。
何故だか今すぐ、彼を想う自分を否定してほしかった。
「火神君は好きな人と一年に一度しか逢えなくなったらどうしますか?」
「はっ?」
「……ただの好奇心です。気にしないでください」
再び空を見上げれば分厚い雲は月を隠し、星までも隠そうとしていた。
彼は答えを考えながら空に片手を伸ばし何かを掴むように手を握った。
「くだんねーけど、俺だったら無理矢理にでも逢いに行くな」
「火神君らしい、ですね」
「本当に好きだったら一年なんて待てねーよ。だから…って黒子はどうなんだよ」
聞きたかった言葉が聞けたはずなのに何故だか胸が酷く痛んだ。
相変わらずボクの頭を触る手つきは優しいがそれすらも痛い。
そして何よりも、彼の言いかけてやめた言葉が、痛い。
そんな痛みを忘れようと質問の答えを考える。
もしも大切な人と一年に一度しか逢えなくなったら?
それはきっと想像している以上に悲しくて寂しいのだろう。
でも禁忌を犯して大切な人と二度と逢えなくなる事も悲しい。
自分はどれだけ弱虫なのだろうかと嘲笑する。
一年に一度。必ず逢える事が保障されているのならばそれでいい。
逢えない時間は寂しく、互いの成長を不安に感じる事もあるのかもしれない。
でも、それでも、いい。
むしろ無理矢理逢ったらそれこそ想い人を裏切る事になってしまうのではないか。
それはただのエゴだと言う声が聞こえたが一年に一度必ず逢えるのなら待っていたい。
「火神君。ボクは一年に一度、必ず逢えるならそれでもいいとも思います。それまでずっと、待っていますから」
彼に一語一句選ぶように丁重に答える。
そう、待っていればいい。必ず逢えるのだから。
黒子の切なげな言葉は火神の耳には届くがその想いは『あの人』にも火神にも届けられることはない。
黒子はまだ自分の気持ちには気づいておらず、この気持ちを誰に宛てているのかさえも分からなかった。
「もう少しわがまま言ってもいいと思うぜ」
優しげな声で囁かれ、優しい手つきでまた髪の毛を乱される。
そのまま両肩に置かれた手はほんの少し熱を含んでいて、無性に泣きたくなった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>552 GJ! 黒子が切ない…。そしてかがみんが男らしいです!
554 :
証拠1/2:2009/07/08(水) 02:29:45 ID:dD8ymKlE0
お借りします
オリジナル、ほぼ会話(?)のみです
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「
「あ、やっ」
こうしていろんなところを触っていると、
「っ、やめろ・・・・や、だ・・・っ」
必ずこうして嫌がりだす。
「うぁ・・・ん、んんっ、」
声だって我慢しようとするし(いや、できてないが)、
「っあ! ・・・あ、あっ、だめ・・・だ、も、」
文字通り逃げ腰だ(いや、逃げられたことはないが)。
「ふ・・・ぅ、ううぅ、ああぁあ」
まあ、それも途中までの話だから、
「あああ、あっ、っ―――!」
あまり気にしてはいないのだが。
」
555 :
証拠1/2:2009/07/08(水) 02:31:12 ID:dD8ymKlE0
「どうだ」
「どう・・・・って・・・・」
「やめろというのをやめてみないかという俺の提案におまえがまともに取り合おうとしないから、証拠を撮ってみた」
「・・・・この、おまえの声は」
「解説だ」
「・・・・」
「どうだ」
「・・・・」
「どうした?」
「どうした?じゃねえええええええええええ!!!」
「なんだ?」
「なんてこと、なんってもん作ってんだよ!得意げな顔しやがって・・・」言いながら彼はどすどすと部屋を出、「死ね!!」とドアを閉めた。
「ドアは死なないが壊れるぞ」
「うるさい!!つーか意味不明なんだよ死ね!!どっか行け!!」
今まさにどこかへ行きつつある奴がそんなことを言うものだから、まったく力が抜けてしまう。
「・・・・やれやれ」
提案が受け入れられる日は、遠そうだ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ああ、しまった名前欄変えるの忘れてましたorz
>>555は証拠2/2です
スレお返しします
昨日ビデオ棚の使い方が分からずwikiに直接投下してご迷惑をおかけしました。
どこの誰に謝ればいいのか分からないのでとりあえずここで謝らせてください(´・ω・`)
申し訳ありませんでした・・・orz
もしよろしければ改めてこちらに投下させて頂きたいのですがよろしいでしょうか。
・カプはダ/イ/の/大/冒/険で魔王×長兄です。
・鬼畜エロあり
・ラーヒュンに続く予定
ドマイナーですがどうしても書かずにはおれませんでした。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
熱い・・・
体中がどうしようも無く火照って仕方がない。
森の中にぽつんと立っていた小屋。
恐らく木こりや狩人が使うために立てられたであろうそれが今宵の宿だった。
長旅で疲れた体をベッドに預けてしばらく・・・
身体の奥底から疼いてくる衝動に、銀髪の青年が端正な顔を悩ましげに歪めて苦しんでいた。
色素の薄い身体が赤く染まり、紫水晶の様な瞳が濡れた様に光を帯びる様は扇情的な光景だった。
青年の名をヒュンケルという。
かつては世界を滅ぼさんとした魔王軍の一人
そして今は世界を救ったアバンの使徒の一人
ヒュンケルは自分の体の熱を鎮める様に冷たい剣に縋った。
頬を柄に当てるとひやりとして気持ちが良い。
そのまま熱をやり過ごそうとしたがどうしてもうまくいかない。
こんな夜は久々だった。
力なく身体を起こすと、隣で眠る半魔の青年が目に入る。
唯一無二の友であり、宿敵であるラーハルト。
魔族独特の青い肌は、どこか無機質な冷たさを帯びていて、火照った身体には心地が良さそうだ。
無意識の内に手が伸びる。
彼の髪に手が触れる寸前、電流でも走ったかのように飛びのいていた。
(いけない・・・俺はなんという浅ましい事を・・・)
うっすらと戻ってきた理性で何とか自分を律すると、夜風に当たる為に小屋の外へ出た。
思いのほか明るい外の様子に、空を見上げてみれば丸い月がこうこうと辺りを照らしていた。
そのあまりの眩しさに足元が崩壊していくような不安を覚える。
暗闇に慣れた目が無数の星をとらえるようになった頃は情けない事に立っている事すらできず、
近くに大きな影をおろしている古木に縋りついていた。
何故自分は生きているのか。
氷の様な能面を張り付けながら、破壊と欲の衝動に度々流される。
猥らな熱を持て余している自分が堪らなく醜悪に思えた。
月はそんな自分を咎めるわけでもなく、ただただじっと見下ろしてくるばかりだ。
銀色の光を余す事無く降らせながら。
--------------------
『おいで・・・』
あれはいつの事だったろう。
かつての師、ミストバーンにその手を引かれ、薄いベールの向こう側へとその足を踏み入れたのは。
大魔王バーンは尊敬に値する素晴らしい人だと思っていた。
彼はこの地上を消すだけの『理由と信念』があった。
その思想に惹かれ、この剣を、この身を捧げた。心酔していたと言ってもいい。
言われるが儘にに人を殺し、その返り血を快く受けた。
戦場から帰ったヒュンケルを、バーンはこの上無く喜び、労ってくれた。
そして人の血に濡れた少年は差し出された枯れ木のような手に恭しく口付けた。
『お前は本当に美しい』
モンスターの元で育った少年には美醜の区別がつかない。
だから何をもって自分が美しいのか分からなかった。
しかしバーンはヒュンケルの目が好きだとはっきりと言ってくれた。
それからこの瞳は少年にとってかけがえのない宝になった。
アバンの曖昧な言葉や慰めより、バーンの言葉は幼い少年の心にひどく重く響いた。
もっと愛されたい。単純に愛情に飢えていた少年はバーンに言われた事ならどんな事でもしてみせた。
町をいくつ焼いても、人をいくら殺しても、少しも心が痛まなかった。
いや、痛み過ぎて麻痺した心を誰かに癒してもらいたかった。他でもない、バーンに。
『お前の体をよく見てみたい』
ある日突然ベールの向こうにいるバーンからそう言われた。
魔王の姿を見ることはたとえ六大団長といえど禁忌とされている。
その枯れきった手に口付ける時すら目を開ける事が許されない。
少年は純粋に驚いた。
『傍に行ってもよろしいのですか』
記憶の中に幼い自分と父の、楽しかった思い出の日々が蘇える。
重く落ち着いたバーンの声。自分を労ってくれる言葉。
今度はその胸にこの身を抱いて自分の頭を撫でてくれるのだろうか。
期待に満ちた目でベール越しのバーンに伺いを立てる。
すぐさまバーンの声が返ってきた。
『許す。』
ヒュンケルはミストバーンに腕を引かれ、ベールの向こうへと足を踏み入れた。
そこにいたのは魔王と言うにはあまりにも年をとった老人だった。
だがその身体から発せられる覇気と、ギラギラとした瞳の強さが見る者全てを圧倒する。
身体が震えてうまく言葉が出ない。
そんな少年の身体を後ろから抱えるようにして己の身に縫いとめる師。
(ミストバーン・・・何を?)
混乱する頭を落ち着かせる間もなく、布の裂ける音が辺りに響いた。
『あっ!!』
白い肌に走る鮮血。
ぷくりと腫れあがったそれは身体の線をなぞる様に滑り落ちる。
今度こそ恐怖で身体が硬直する。
『美しい・・・』
感嘆するような響きと共に、バーンが自分のすぐ傍へと寄ってきた。
本能が囁きかけてくる。この男は危険だと。
しかし少年にはどうしようも無い。
恐怖で歯をカチカチと鳴らしている少年を尻目に、バーンはその傷に舌を走らせた。
『ひっ・・・』
その舌の熱さに身体が震える。
『ふふ・・・随分と可愛い声で鳴く。』
『あ・・・』
口元から自分の血を滴らせ、悠然と笑む魔王に対し、ヒュンケルは喉の奥から恐怖の喘ぎを漏らすばかりだった。
『今宵は存分に可愛がってやろう。』
背後に控えていたミストバーンの身体がピクリと動いた気がした。
--------------------
明るい照明のもと、ヒュンケルは一糸纏わぬ姿で上質の絹の上に横たえられていた。
これから起こる何か恐ろしい予感に、全身がじっとりと汗ばみ、ただでさえ白い肌がいっそう青白く見えた。
その上には黒い影が重く圧し掛かる。
『人間は醜い生き物だ・・・脆弱な身体故、獣の様な劣情を絶えずその身に滾らせている。』
バーンはそう言いながら大きな掌で白い肌をなぞる。
恐怖によって敏感になった肌が、言いようの無い感覚をヒュンケルに伝える。
『あうっ!!』
『ふふ・・・良い身体だ・・・その容姿にこの肉体・・・まさに魔性を名乗るに相応しい。そうであろうミストよ。』
『・・・・・・。』
バーンの問いかけにミストバーンは少し離れた所から冷たい視線を送るのみ。
『ふ、こんな時にまで律儀な奴め。』
バーンの手が余す事なく少年の身体を這う。
そのたびに少年は喘ぎとも苦痛ともとれる声をあげながら陸にあげられた魚の様にその背を跳ねさせた。
そしてその身体がだんだんと熱を帯びてくる事に少年は言いようのない恐怖を覚える。
やがてバーンの手が止まり、その手が自分の身体から退けられると、何とか呼吸を整える。
違う・・・求めていた熱は・・・こんなものじゃない。
『バ・・・バーン様・・・も・・・もうやめ・・・』
必死に声を絞り出そうとしたその矢先、いきなり身体の中心を握りこまれた。
『はうっ・・・』
全身に電流が走った様な錯覚を覚える。
知らぬ間に息が上がった。首を振ってその妙な感覚をやり過ごそうとしたが無駄だった。
背骨から痺れる様な宙に浮く様な、なんとも歯痒い気分に歯を食いしばる。
突然その顎に手をかけられ、無理矢理バーンに顔を覗きこまれた。
『いい表情をする。』
そのままバーンは手を上下に動かし、無理矢理少年の快楽を呼び覚まそうとする。
『いっ・・・あ・・・あうっ!・・・はッ・・・あ・・・!バ、バーンさまっ・・・お願いですもう・・・!』
『いい声だ。心地が良いぞヒュンケル・・・』
そのまま先端に爪を立てられる。
『ーーーーッ!!!』
バーンに顔を覗きこまれながら、声に成らない叫びを上げて少年は達した。
幾度も人を殺して抱かなかった罪悪感が、じわじわと少年の心を覆っていく。
荒い呼吸と共に涙が頬をつたっていった。
バーンはさも愛おしげにその滴を舐め取ると、そのままねっとりとした口付けを少年の小さな口に落とした。
『ん・・・』
宥める様に背に回された手に、少しずつ緊張が解けていくと思われたその時。
『いっ・・・!!』
冷たい何かが身体の奥を抉った。
排出にしか使われないその部分を無遠慮に突き進むのが何なのか、何を意味するのか
モンスターの中で育ってきた少年には見当もつかない。
胃を突き上げるような不快感に生理的な涙が溢れる。
『かはっ・・・』
痛みと恐怖で痙攣する白い身体。
未知の領域に足を踏み込み驚愕で見開かれたその瞳、銀の虹彩、紫の瞳孔。
全てがバーンの歪んだ美意識を満足させた。
思わずその首を刎ねて鮮やかな血の飛沫を見たい欲に駆られる。
その危険な欲望を律し、自分の手の内で危うい生を享受している脆い存在をじっくりと嬲る。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
長いのでちょっと間を置きます。続きは早朝か明日の夜・・・。
もうしばらくおつきあいください。
うおお
ヒュン可愛いよヒュン
GJ!
>>563の続きになります。
ダ/イ/の/大/冒/険でバーン×ヒュンケル。
それではドゾー。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
『・・・はっ・・・はぁっ・・・・』
ゼイゼイと荒い呼吸をしながら意識が遠のきそうになる少年。
しかしバーンはその少年の瞳の奥にチラチラと燃える暗い炎を見た気がした。
けして弱い所を見せてなるものかという、精一杯の虚勢。それを見てバーンは面白そうに口を歪める。
『大したものだ。それではそろそろお前にもいい思いをさせてやろう。』
そう言うと少年の中に埋め込んだ己の指をクイッと動かしてやる。
『は・・・あぁっ!?』
コリコリとした前立腺の裏側の辺りをしつこく弄る。
その度に少年の身体が面白い様に跳ねた。
ただの生理反応だと分かっていても、この気丈な少年が自らの肉体の異変に驚き顔を歪める様は愉快だった。
『ふ・・・うっ!!あ・・・あぁっ!ん・・・く、ううっ!!』
少年はするすると滑る絹のシーツに必死で縋りつきながら身をくねらせる。
先ほど熱を放ったばかりの敏感な身体が自分の意思を拒む。
少しでも気を抜けば霧散する理性をギリギリのところで縫いとめながら少年は
生まれて初めて味わう快楽の波に翻弄された。
バーンの弄る部分からは聞きたくもない淫靡な水音がクチュクチュと響く。
『凄い乱れ様だぞヒュンケル。ふふ・・・いつもの氷の刃の様なお前の姿からは想像もできん。
普段のお前しか知らぬ皆の前でお前を抱いたらどれほど楽しかろうな。』
『・・・・・・!!』
羞恥と怒りで少年の顔が赤く染まる。
冴え冴えとした涼しげな瞳が射る様な力を持ってバーンを睨みつけた。
その瞳にバーンは堪らなく欲情する。
ここ数百年・・・あるいはそれ以上・・・
けして感じる事の無かった高揚感が背筋から這い上がってくる。
無意識に乾いた唇を嘗めると、その腕に捉えた愛しい者をさらに追い上げるべく、
痛いほどに起立した灼熱の棒を少年の後孔にぴたりと添える。
絶望にもにた色をその瞳に浮かべ、それでも尚鋭い視線をむける少年。
バーンはその少年の眉間に口付けると、そのまま少年の膝裏を掴み、その身体を折る様にして己の身体を進めた。
『はぁっ・・・はぁっ・・・ん・・・うぅ・・・』
苦痛をやり過ごす方法を熟知した身体が苦も無くそれを飲み込んでいく。
はたしてそれは少年にとって幸運だったのか不運だったのか。
狭い肉壁にきつく締めあげられながらバーンはくぐもった笑みを洩らす。
対して肉体を制圧された敗北感に打ちのめされた少年は歯を食いしばりながらも涙を流した。
今度は生理的な涙ではない。悔し涙だ。
顔を隠そうとしたが腕が動かない。違和感に眉をしかめると頭上から己を見下ろしている師の姿が目に入る。
(闘魔傀儡掌・・・!!)
絶望的な思いでガクリと首の力を抜くと、突然凄い力で身体を揺さぶられた。
己を侵食しているバーンの肉棒がさらに深くへと侵入している。
得体のしれない感触に腹の筋がひくひくと動いた。
身体は先ほどバーンに教えられた動きを覚えている。
ヒュンケルは内心焦った。
自分の意思に反する肉体の反射に戸惑いを覚える。
しかしそんなヒュンケルの戸惑いなどバーンが気に留める訳もない。
いったんギリギリまで己を少年の身体から引き抜くと、そのまま再び強く打ち付ける。
『あうっ!!』
衝撃と共に言いようのない快楽が背骨に響く。
信じられない思いで真上にある黒い影を見つめた。
これはいったい・・・なんだ・・・。
少年の問いに答えてくれる者はいない。
かわりに新しい玩具を与えられた子供の様にバーンはヒュンケルを翻弄した。
浅く深く抜き差ししながら、少年のもっとも感じる部分を探し、
少年の身体を開発していく。
やがて少年が感じる場所を心得たのか、時には激しく嬲り、時にはじわじわと焦らしながら
ヒュンケルの欲を煽った。
その様子は弱い獣を甚振る肉食獣にも似ている。
『ふぁっ!ぁあっ!ん・・・くぅっ!!』
少年の腹は自らの吐きだした精に汚れ、
接合部からはバーンの吐きだした精が溢れ厭らしい水音を響かせている。
こんなにも汚れた、浅ましい、獣の様な行為だというのに、それでも全身を痙攣させながらその快楽を味わおうとする己の身体に怒りが湧いた。
バーンが深くに突き込む度に、己の肉体はその精を一滴でも逃すまいときつくきつく締めあげようとする。
本当にこれが自分の身体だというのか。
嘘だと言ってほしい。
バーンに無理矢理身体を開かれたのだと心に言い聞かせようとしても、快楽に従順な己の身体が、抗おうにも抗いきれない自分の欲がヒュンケルを打ちのめす。
ひくひくと白い身体を震わせながら赤い舌を覗かせて酸素を求める。
鋭い光を放っていた瞳は曇り、涙が膜を作っていた。滲んだ世界の中で己の肉体が加えこんだ熱だけがやけにリアルだった。
やがてとどめを刺すような深い深い一突きが突き込まれた。
『ぁあああーっ!!』
掠れた様な高い叫び声が自分の物だなんて思いたくなかった。
しかしその悲鳴と共にヒュンケルの世界は全てが真っ白に染まり、続いて痺れる様な快楽がつま先から脳まで雷の様に奔った。
白い小さな身体は数回ビクビクと跳ねると、やがて全ての力を失った様にパタリと地に落ちる。
そのままヒュンケルの意識は深い暗闇の底へと沈んでいった。
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ベッドの上で意識を失っている少年には目もくれず、ミストバーンはバーンの身体を清潔な布で拭う。
『殺さないのですか・・・』
『殺すには惜しい。ふふ・・・久々に面白い物が手に入った。』
『随分とお気に召した様ですね。』
『ああ。中々いい目をする。澄ました顔をして淫らな所も気に入った。そして何より・・・』
『何より・・・なんです』
『美しい。少年の姿も悪くないが、成長した姿が楽しみだ。』
『・・・・・・。』
師とバーンの話を朦朧とした頭で、それでも確かにヒュンケルは聞いていた。
そして複雑な思いを抱いていた。
愛に飢えている自分を、自分の望んだ形とは違うにしろ、愛してくれるバーン。
そして成長した姿を楽しみにしているという事は、それまで自分はこの恐るべき魔王の寵愛が受けられるという事。
ヒュンケルの心には愛に飢えた等身大の子供の心と、それとは不釣り合いなしたたかさが渦巻いていた。
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あれから自分はその身体を使って生き抜く新たな術を見つけた。
そしてそれに何度も助けられた。
プライドを捨てなければ人の身では生き抜く事ができぬ魔族の世界。
結局自分は自らの手で葬った師や、バーンによってその命を繋いできた。
全く皮肉なものだ。
過去の自分を思い出しながらヒュンケルは自分の身体を強く抱きしめた。
欲を満たす事のできない夜はどうしようもない虚無感も同時に襲ってくる。
ひょっとしたらただ人肌が恋しいだけなのかもしれない。
ふと眼を開けると誰かが自分にかかる月の光を遮っている事に気づく。
「ラーハルト・・・」
「まったく、共に旅を始めて数カ月も経つというのにつくづくお前という男が理解できない。」
「理解などしなくていい。」
静かに放った拒絶の言葉に、ラーハルトが膝を折って自分を覗きこんでくるのが分かる。
内心舌打ちをしながら、かねてから思っていた事を尋ねてみる。
「・・・なぜ俺を旅に誘った」
「わからん」
そういいながら大きな手で白いヒュンケルの頬を覆う。
「いや、分かりたくなかったという方が正しいか・・・」
「何を・・・」
「お前の全てを暴いてみたかった。と言ったら?」
「冗談はよせ。」
「その能面の様な顔を醜い欲望で乱してみたかった。」
そういうとラーハルトは質の悪い笑みをにやりと浮かべた。
思いの外艶を含んだその表情に飢えた獣の喉がコクリと鳴った。
そう獣。自分の中で眠っていた、飢えた醜い獣。
「お前は誇り高い戦士だ。・・・もしその様子を見たら、きっと・・・」
全てを言う事ができずにヒュンケルは唇を噛む。
せっかく手に入れた、同じ憎しみを抱える友。
魔族にも人間にも交われない悲しみを共有できるただ一人の。
失いたくない。それならなんだって我慢できる。
今この身を焼く汚らわしい欲情の炎も。
しかし・・・
「お前はどんなに乱れてもきっと美しい。」
言われてヒュンケルはハッとしたようにラーハルトを見つめ返す。
銀色の瞳が不安げに揺れていた。
ラーハルトの言葉はいつぞやのバーンの言葉を思い起こさせる。
身を投げ出す様にその胸に縋りついてきたその身体を、ラーハルトはしっかりと抱き締めた。
二人の身体を月が照らす。その光の色はバーンが褒めてくれた少年の瞳と同じ。
銀色をしていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
おつきあいくださりありがとうございました!
GJ!!
ぜひそのまま続けてラーヒュンもお願いします。
ベテランさんと若手さん。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ドアが開いた時、どうかその人ではありませんように、と願ってしまった。
鏡の中でこちらを伺う彼と目が合った。
洗面台には水が溜まり、その中でタオルがゆらゆら揺れる。
話かけようか迷うが、用を足してる最中は失礼だし、
年下のこちらから声をかけるのも図々しいだろう、と言い訳をいくつか頭の中で羅列しておく。
何より。
数日前に起こった、仕合中にぶつかるアクシデントが、気まずさに拍車をかけている。
あの時、彼はしばらく立ち上がらなかった。
冷静に体におかしい所がないか、自身で確認をしていたのだろう。
大スタアの彼の体には、彼以外の思惑が無数に絡むのだ。
用が済んで、隣の蛇口前に彼が立った。
また鏡の中で目が合った。
「大丈夫ですか」
意図せず、声をかけてしまった。視線に引きずられたのか。
相手は「ん?」と何のことかわからない様子を見せる。
わかっているくせに。嘘に慣れた表情。
「あの…」
自身の首に触れると、「ああ」とうつ向いて笑った。「何てこたない」
彼はこちらの手元を見下ろす。水を出しっ放しだったことに気付いて慌てて蛇口をしめる。
平静を装うために、思わず繋いでしまった言葉。
「心配してました」
あ。しまった。
これは。
言ってはいけない。
襟首を掴まれ、強く引き付けられたかと思うと、そのままの勢いで壁に押さえつけられる。
背中を強く打ち、息が止まる。喉の奥に鉛が詰まるような感覚。
襟首を掴んだ腕で、圧迫するように胸を押さえつけられる。もう片方の手のひらに喉を掴まれた。
鋼のように固い腕。
抵抗は、できない。
このひとには誰も。誰も。
首をなぞられて、肌が粟立つ。
「お前なあ」
服を捲り上げられ、ざらりとした手のひらが触れる。
「嘘が下手やな」
***
みずのおと。
ああ、やっと終わってくれた。息苦しさから解放されたことがわかり安堵する。
見えたのは広くがっしりとした背中。彼は水で手の汚れを落としていた。
自分も早く頭から水を被ってすべてを洗い流したい。
だが床に沈んだ体を起こすことができなかった。力が入らない。
「変わらんな」
欲望を吐きだした男は、一転晴れやかな表情になっている。
思わずその表情を曇らせたくなる。
「…あのひとは、これ、知ってるんですか」
名前を言わなくてもわかるだろう。彼の一番可愛がっている後輩。
彼から笑みが消えた。思案する表情。
流石にもう一度やられるときつい。
逃げられるか、と足に力を入れてみた。
「知らんよ」
目を細めて、また笑う。
「すぐ沈むヤツを沈ませても、おもろないしな」
きゅっと蛇口を閉める音。ひらひらと手を振った。
「沈まんヤツは、どこまでやったら沈むんか楽しみや」
まるでヒ一口ーになった時のような爽やかな笑顔。
このひとは、正気じゃない。
「久々やったし、加減できんかったけど、明日に残さんようになあ」
ドアが閉まり、一人になった。芳香剤の香りが鼻につく。
壁伝いに手をつき、踏ん張ると、何とか立ち上がることができた。
洗面台に両手を着く。濡れたタオルが水を含んだまま置かれていた。
鏡を見ると、やつれた表情の男がいた。髪に汚れがついていたので、タオルで拭き取った。
ドアが開き、小柄な男が入ってきた。「まだ帰ってなかったんだ」と一言。
鏡を見て、立ち止まった。心配そうにこちらの顔を下から覗きこむ。
「何か、あったのか」
流石にあんなことがあった直後。異変に気づくのは当り前か。
優しく肩に触れられる。善意だけの眼差しに、立ちくらみを起こしそうになった。
その手を握り返しそうになるが、思いとどまる。
沈むものか。
タオルを取って、強く絞った。
「何もないです」
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
省略した所は姐さん方の豊かな想像にお任せしますよ。
亀ですが
>>555 なんかこういうの好きだ。
場面が思い浮かんでニヤニヤしてしまいました。
こえた?