モララーのビデオ棚in801板45

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1風と木の名無しさん
.   ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ |  </LトJ_几l_几! in 801板
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
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   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_|| / |/    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |[]_||
    |[][][][][][][]//||  | ̄∧_∧     |[][][][][][][][].||  |  ̄
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    (__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板44
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1229421717/

ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり

保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/
2風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 05:42:48 ID:JcrBgp3b0
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★

1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。

(1)長時間に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>3-7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。

※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。

相談・議論等は避難所の掲示板で
http://s.z-z.jp/?morara
3風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 05:43:30 ID:JcrBgp3b0
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 05:43:52 ID:JcrBgp3b0
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 05:44:15 ID:JcrBgp3b0
テンプレ2
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └───────────────

          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘
6風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 05:44:38 ID:JcrBgp3b0
テンプレ3
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ
7風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 05:44:59 ID:JcrBgp3b0
テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
8風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 05:45:23 ID:JcrBgp3b0
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________
9風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 05:46:07 ID:JcrBgp3b0
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)
10風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 05:49:19 ID:Ou0pTc0q0
>1乙
前スレの人どうしたんだろう
投下したいけどできないww
11木目木奉  プロの目(※沢から見たウキョ):2009/01/21(水) 06:28:37 ID:Ou0pTc0q0
前スレの人が戻ってこないので投下しちゃいます。

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |>PLAY.       | |              
 | |                | |           ∧_∧板ミ→瓶では感想ありがとうございました。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 今回はちょっと視点を変えて…
 | |                | |       ◇⊂    ) __  インフルで出勤停止なのに優雅にこんなもん書いてごめんなさい。
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | タミフルが効いてよかった
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
12風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 06:30:06 ID:oLIYDaTkO
1乙です
前スレ547さんありがとう。
ジャンルマイナーな上に内容がカプ未満なんで、レス貰えて幸せでした。

前スレの方は
新スレの存在に気づかず寝てしまったのかも。
萌えないの人みたく後から現れる可能性も
あるンジャマイカ。
13木目木奉  プロの目 1/5:2009/01/21(水) 06:30:10 ID:Ou0pTc0q0
どうも、私警視庁乾式課の※沢守と申します。

就職難といわれるこのご時勢。有難い事に毎日忙しく働き続けております。
非常にやりがいのある仕事であることはあるのですが…
毎日刑事や乾式が働きづめというこの社会の現状を思うと少し複雑といいますか


あと、少しだけ空いた時間にふと思い出してしまう、逃げてしまった女房のこと……
…いやはや、失礼致しました。話が脱線してしまいましたね。


本日も私、一課の方々に隠れて匿名係の椙下警部に捜査資料を運ぶ使命を果たしておりました。
冬の寒さの所為でしょうかこう、なんと言いますかどことなく寂しさを感じてしまう今日この頃。



そう、瓶山さんが居ない と言うことが一番の原因でしょうか。
表面上では椙下警部と板ミ刑事は何事も無かったかのように見えますが。
ふむ、まあ素人目にはわからないでしょうな。
私プロの乾式の目はごまかせません。
例えば…
14木目木奉  プロの目 2/5:2009/01/21(水) 06:31:29 ID:Ou0pTc0q0
「※沢さん」
「はっ!!」


いつの間にやら椙下警部が背後に立ってこちらの様子をを伺っておりました。
危ない危ない。


「何やら考え事をなさっていたようでしたので」
「ああ、いえいえ、例の件ですが新事実が浮上いたしまして…」
「被害者の爪に付着した皮膚組織のことでしょう。丁度それを伺おうと思って来たところです」


「さすが椙下警部、情報がお早い。説明する手間が省けました。どうぞ、こちらが検査結果です」
「ありがとうございます」
「くれぐれも…「くれぐれも板ミ刑事達にはばれないように…ですね。心得てますよ」

「ふむ。無用な心配でしたね。表立っては行動できませんがこうしてこっそりとご協力させていただきます」


椙下警部は薄く微笑み、内ポケットから新宿末広亭の座席指定券をちらつかせております。
いやはやわかっていらっしゃる。
まあ、そんなものなど無くても私は椙下警部へ全面的に協力してゆく所存でありますが。
いや、まあ。はい…でも いただけるというのなら…いやいやそんな決して賄賂などでは。
15木目木奉  プロの目 3/5:2009/01/21(水) 06:35:20 ID:Ou0pTc0q0
「※沢さん」
「へぃ?」


いそいそと指定券をポケットに仕舞っている時に椙下警部から声を掛けられ
思わず気の抜けた声が出てしまいました。お恥ずかしい限りです。


「プロの乾式の目からは僕はどういう風に映っているのでしょうかねぇ」
「…はっ」

「何事も無かったかのように見えるとおっしゃられても、実際、何事も無いのですから そのように振舞う他ありませんよ」
「…」


どうやら途中から口に出してしまっていたようで。
もう滑り出してしまった言葉。取り戻すことはできないとわかってはいるのですが
思わず口元に手を当ててしまいます。

人間の習性とでもいいましょうか。私、背中に軽く汗をかいてしまいました。
なんとかその場を取り繕うと思案をするわけですが…
椙下警部には全く通用しないでしょうな。無駄なあがきだと分かっております。ええ。


とりあえず指定券はしっかりとポケットの奥に仕舞わせていただきました。
流石に今更返せといわれても手放すには惜しいものですので。
16木目木奉  プロの目 4/5:2009/01/21(水) 06:38:15 ID:Ou0pTc0q0
「差し出がましい事とは思いますが、あまり 個人の事まで詮索なさるのはどうかと思いますがねぇ、僕は」
「以後、気をつけます」
「仕事熱心なところは、僕は評価しているつもりですよ」
「ありがたきお言葉、痛み入ります」


プロの乾式の目はごまかせませんよ。椙下警部。
貴方が僅かに饒舌になる時は図星の時。
付き合いの浅い連中はそのポーカーフェイスに騙されてしまうのでしょうがね。





「おっと、もうこんな時間ですね。それでは、何かありましたらまたよろしくお願いいたします」
「了解致しました」

思い出したように時計に目をやり、椙下警部は資料を持って颯爽と乾式を後にしました。
…と思ったらすぐに戻ってきて扉から顔をのぞかせております。

「今の話は、他言無用で」
「そちらも、了解致しました」

ふむ、気づいたことに気づかれていましたか。
私もまだまだ ということですな。
17木目木奉  プロの目 5/5:2009/01/21(水) 06:39:24 ID:Ou0pTc0q0
ポケットからちらりと取り出してみた夜の部座席指定券。
仕事もひと段落ついたところです。早速帰り支度をば…。




おっと、そろそろ捜査に行き詰った一課から連絡がくるかもしれません。
携帯の電源を切っておきましょうか。
椙下警部が私にこれを渡したということは今日中に解決するという事。
とりあえず私の役目はこれにて終了ということで。

私はささっと一課の前を一過して末広亭へと足を運んだのでございます。



お後が宜しいようで。



 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ※沢さん難しいね
 | |                | |     ピッ   (・∀・;) お粗末!
 | |                | |       ◇⊂    ) __ 今回だけ許して。
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | 無事投下できたら真面目にインフル治すんだ…!
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |  いつか板ミ編も書きたいよね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
18風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 09:05:07 ID:HlQtA0Ha0
>>9
姐さんGJ!いまや乾式、ヒマカ、大小が心のオアシス…。
早く元気になって板編を投下プリーズ!!
19風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 09:47:16 ID:oLIYDaTkO
>>17
邪魔してごめんなさい。
カンキツさん可愛いのに切ないよ。
お大事にね
20ヴェネツィアものの人:2009/01/21(水) 09:58:45 ID:Q5disdrc0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < 前スレの人だよ
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ごめんね、スレ占領しちゃってごめんね
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 一応最後まで投下させてください
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
21ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 10:00:24 ID:Q5disdrc0
「ひっ……!」
いきなりアルベルトさんは僕を抱き締めた。その腕の強さはあの夜を更に強烈に思い出させる。身体中の
血管に氷が流されてたような錯覚に陥ってしまいパニックになった。何も分からず、ただ僕を押さえ
つける手を引き剥がそうともがく。
「…だっ…!やだやだやだっ!離しっ…!やめて!嫌だっ……!」
ぼろぼろ泣きながら多分、僕は酷いことをした。叫んで突き飛ばそうとしたり、殴り付けたり、酷く
傷つける言葉で罵ったり…噛みついたりもしたと思う。でもアルベルトさんは僕を離さなかった。
何度もごめん、ごめんと壊れたレコードみたいに繰り返して。僕を抱き締める腕の力だけは強いままで。
僕はずっとアルベルトさんの腕の中で泣いていた。


「……痛くないですか?」
月が高くなった頃、少しだけ血の滲んだ手の甲を撫でながら僕は聞いた。アルベルトさんはいつもの
穏やかな仕草で僕の背を撫でてくれる。
「……離せばよかったんです。」
散々暴れた僕はもう疲れ果てて動くのも億劫になっている。でもアルベルトさんは僕を離さないでいた。
今だって僕の頭を撫でていてくれる。怖いとか、嫌だとかいう気持ちはまだあったけど、それでも
さっきよりずっとずっと心は静かになってた。
「……何であんなことしたんですか。」
アルベルトさんは答えない。
「とっても怖かったんです…」
アルベルトさんはまだ答えない。
「…何で…何も話してくれないんですか…」
何度も何度も聞いた。それでもアルベルトさんは何も答えてくれない。諦めにも似た感情が込み上げる。
その時、僕の唇が意思とは無関係に動いた。
「…僕は…あなたが好きだったのに……」
自分でも驚いた。でもそう口にして、初めてはっきりと気づいたんだ。
22ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 10:04:33 ID:UwJsPCzv0
僕はアルベルトさんが好きだった。
ずっと一緒にいるうちに、いつの間にか、好きになっていた。
その気持ちはシーモやルイージに感じてるような友情とか親近感なんかじゃない。
もっともっと強くて熱くて大切な気持ちだ。
あんなことされて、恐くて悲しくてどうにかなりそうだったし、二度と会いたくないと思った夜もあった。
でもきっと心の奥底の方ではアルベルトさんが好きだって気持ちが消えずに残っていたんだ。
だからアルベルトさんに真実を、本当のことを聞きたくてどうしようもなかった。
自分でもおかしいと思うけれど、酷い目にあってなお、僕はアルベルトさんに嫌われたくない、
また一緒に同じ時間を過ごしたいと思っていた。
(僕は馬鹿だ……)
アルベルトさんは黙ったまま、何も答えてはくれない。
また目の奥がじんと熱くなってくる。
「……俺は、君を愛してる。」
時間が止まった。
風も、波の音も、葉のざわめきもみんな止んだ。
ゆっくり伏せていた顔をあげて、アルベルトさんを見た。月明かりに照らされたその顔は、泣き顔にも
笑い顔にも見えた。
「君が好きだ。最初は僕と同じ瞳を持ってる君に興味を持っただけだった。僕は孤独だったから。
独りでいる時間をなくしたかった。」
よくわからない。アルベルトさんが、僕を?
「でも、君と過ごすようになってから変わったんだ。あんまり君が純粋だから。あんまり君が優しいから。
『独りは嫌だ』から『二人じゃなきゃ嫌だ』に。――だからユーキが俺以外の人間に盗られてしまうと
思ったら…いてもたってもいられなかったんだよ。」
くしゃりとアルベルトさんが笑った。僕はそれを呆然と見ていることしかできない。
「最悪だろう?子どもだってこんな質の悪い我が儘なんて言わない。
ましてや、力ずくで奪うなんてこと――」
そこまで言うとアルベルトさんはずっと僕を抱き締めてくれていた手を離して立ち上がった。体が急に
冷たい風に晒される。その時アルベルトさんの温もりが僕から離れていくのを嫌と言うほど
感じさせられた。
23ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 10:09:40 ID:UwJsPCzv0
「ユーキ。いくら謝っても償いきれないのはわかってるけど、俺の気持ちだけ伝えたかったんだ。…最後までエゴだらけでごめん。」
僕はまじまじとアルベルトさんを見上げた。寒くて寒くて仕方なかった。なのに、胸の奥だけ熱くて
死んでしまいそうだった。

好きだ。

ただそれだけなのに、その言葉を聞いただけでとめどなく感情が湧き上がる。
「君の望む罰を受けるよ。警察に行こうか。それとも、気が済むまで殴る?一層ココを刺してみるかい?」
アルベルトさんはそう言ってとんとん、と自分の胸を指でつついた。
「僕は…そんなこと……っ……」
そんなこと望んでなんかいない。
そう言いたかったけれどダメだった。
先に涙が零れだして、声がでなかった。
だから僕はアルベルト思いっ切り抱き付いた。
抱き付いたというよりも、タックルしたという方が正しいかもしれない。アルベルトさんはよろけて尻餅をついた。
「ユーキ……」
「アルベルトさんっ……アルベルトさんっ……アルベルトさんっ………!」
僕はもう一度アルベルトさんの胸で泣いた。
今度は突飛ばしたりせず、逆に絶対離すもんかとしがみつきながら。アルベルトさんは驚いていたみたい
だけど、そんなの気にしてられなかった。
きっと今こうしないとアルベルトさんは二度と僕の目の前にいてくれなくなる。そう思った。だからどんなに身体が震えてもこうしなきゃいけないって思った。
「ユーキ……僕は君に最低なことをしたんだ。」
「…っ…はいっ…すごく、いや、で…したっ……」
「僕は君を傷つけたんだよ。」
「…は…いっ……すっごく…くるし…かった…です…」
「僕は許されない罪を犯したんだ。」
「…っ…はい…すごく…すご、く……こわかっ、た………」
「……それじゃあどうしてユーキは僕を抱き締めてくれるんだい?」
そんなの一つしかない。近過去でも、半過去でも何でもない。この気持ちは『今』のものだ。
今、ちゃんと伝えなければもう二度と伝えられないかもしれない。
24ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 10:10:03 ID:UwJsPCzv0
「…っ……っ……好き、ですっ…アルベルトさんっ……」

僕は自分の言葉で、自分の気持ちを精一杯の思いを込めて伝えた。
「『スキ』…?」
アルベルトさんは不思議そうな、不安そうな声で聞き返してきた。僕は一気に胸の中に詰まって
いたものを吐き出した。
「そうです、『スキ』です。アルベルトさんが好きです。大好きです。アルベルトさん、
アルベルトさん、好きです。好きなんですっ……!」
次の瞬間、アルベルトさんは信じられないくらい強い力で僕を抱き締めて、大声で泣き出した。
「ユーキ…済まない……!ユーキ…ユーキ……愛してる、愛してるユーキっ!……」
静かな僕とアルベルトさんだけの秘密の場所で、僕とアルベルトさんはずっとずっと抱き合っていた。


くしゅん、とアルベルトさんがくしゃみをする。もう大分夜もふけて、僕達の身体は思ったよりも
冷えていた。さっきまで涙で濡れていた頬なんか寒さもあって真っ赤になっていて、僕達はくすくす
笑った。
「無理をさせたね……ゴンドラにコペルタ(毛布)があるから。行こう。」
アルベルトさんに手を引かれ、僕はゴンドラに乗る。差し出されたコペルタはアンゴラのようで、
ぱちぱちと静電気が起きた。僕は肩にそれを羽織り、アルベルトさんはコペルタと一緒に置いてあった
ピーコートを着る。
「家まで送るよ。」
その言葉を合図に、ゴンドラはゆっくりと動き出す。波とそれを割る船首の水音が気持ちいい。
コペルタのお陰で寒さも大分和らいだ。
「あ…そうだ。まだ大丈夫かな……」
ふと僕は鞄を探る。教科書や筆箱をかき分け底を覗き込むと、鈍い金属の肌が見えた。
「アルベルトさん、少しいいですか。」
「何だい?」
きょとんとした顔でアルベルトさんは僕を見た。
「約束しましたよね。いつでもどこにでも、って。」
その一言でアルベルトさんは僕が何を言いたいのか分かってくれたみたいだった。いつか見たような
優雅なレモ捌きで向きをかえて、ゴンドラはゆっくりと海を進んだ。
25ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 10:12:30 ID:UwJsPCzv0
「やっぱり沖は風が強いね。」
「でも星がきれいです。」
ゆらゆら揺れるゴンドラの上で僕達は並んで座っていた。二人して膝にはコペルタ、肩にはコートを
かけると肌寒さは殆んど無くなった。僕はルイージから貰った魔法瓶を取りだし、中身をカップに
注いだ。ふわりと甘酸っぱい香りが辺りに広がる。
「……凄い。まだ温かいです。」
「さすが日本製,保温力抜群だねえ。」
くつくつと笑いながらアルベルトさんにカップを渡す。アルベルトさんはそれを受けとると少し香りを
堪能してから口に運んだ。
「ミエーレ(蜂蜜)とリモーネ(レモン)たっぷり。エルバ(香草、薬草)もいい。
素晴らしいヴィンブルレだね。」
ぐいっと飲み干すと、アルベルトさんはお代わりをする。結構気に入ったみたいだ。
「ヴェリタスとルイージのお母さんのアモーレ入りの特製だそうですから。」
それを聞くとアルベルトさんは大笑いをした。よくわからないけど、ツボに嵌まったらしい。
「あははははは、なるほど、なるほどね。マンマのアモーレか。それは体に良さそうだ。
くっくっくっ…だけどヴェリタスの方はどうなんだろうね?ははっ、風邪に聞くなんて話は
聞いたことがないけど。」
ついに涙まで浮かべながらアルベルトさんは言った。…本当に息が苦しそうだ。
そんなに笑わなくてもいいのにと言おうと思ったけれど、アルベルトさんが笑っていてくれるのは
嬉しいから、僕は言うのをやめた。その代わり視線を手にした魔法瓶にやりながら僕はそっと囁いた。
「……少なくとも僕は、元気になりました。」
一瞬の沈黙。風の音だけが聞こえた。
「本当のこと、教えてくれてありがとうございます。アルベルトさん。」
僕はそのままアルベルトさんの肩に身体を寄せて頬擦りした。アルベルトさんはその温かい手で
僕の肩を抱いてぐっと抱き締めてくれる。心地いい体温がじわりじわりと僕の身体全体に伝わっていく
のが分かった。
26ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 10:12:53 ID:UwJsPCzv0
「……まだ僕が怖い?」
「……はい。」
「もう二度としない。絶対傷つけるようなことなんかしない。誓うよ。」
「……はい。」
自然と僕達はお互いに見つめあっていた。
きれいな勿忘草の瞳に僕の姿が写っている。それがなんだか嬉しかった。
ゴンドラを揺らす波のように、ゆっくりと僕達の距離が無くなっていく。あと少しで距離がゼロに
なるという時、急にアルベルトさんがびくりとして止まった。
「……?」
不思議に思い、首をかしげる。アルベルトさんは目を附せ、何か躊躇うように視線を巡らした後、
小さな声で僕に聞いた。
「…ユーキ、その…キスをしても…?」
怯えたような声に驚いたけれど、僕を気遣っていてくれるんだと気付くとその声も視線も全てが愛しく
なった。僕は答える代わりに目を閉じる。澄んだ波の音と頬を撫でる風の中に僕達はいるのだと改めて
感じる。ふいに甘い香りがした。
それから温かくて柔らかな感覚が僕の唇を包んだ。

アルベルトさんの唇は、甘酸っぱい、ワインの味がした。
27ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 10:19:28 ID:UwJsPCzv0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < 以上ですだよ
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < ご迷惑おかけしました
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 二度寝してくるよ!
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!      
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ
28風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 13:18:39 ID:0q+k8EcOO
長編乙
でもだからこそ番号はふっといてほしかったかな
29風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 17:33:57 ID:J3aeQw7j0
>>1
さるったのかと思って、500超えてるのにしばらく気付かなかったわ

>>28
同意
30風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 22:36:33 ID:iI5htfg+O
>>11
姐さんGJ!
見事に※沢さんの声で脳内再生されました。
お大事に!
31オリジナル 戦争モノ 0/9:2009/01/22(木) 02:32:33 ID:Yk1CJYtsO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナルの仮想戦争モノ。敵国同士の組み合わせ。



多分死ぬなら死ぬで数日前に運命は決まっていただろうし、今更じたばた足掻くつもりも無いが、
生きている限りは頭を動かし考え抜く。それが自分の矜持だが。
それにしても何日経ったか、果てさて。随分と腹も減った。
ごつごつした壁、幾重にもはりそこかしこを走るパイプ、もう何度も何度も追ったそれを見ながら目を
閉じる。
小窓の一つも無く薄暗いのは、ここが船倉の奥の奥だからだとはわかっていた。冷たい鉄壁に耳を
当てれば、聞きなれぬ重機の蠢く音が常に聞こえる。
これを聞きにきたのが目的だった。だが、伝えには帰れぬだろうと思う。運がよければ生きて彼の
国へ俘虜として送られるのがせいぜいであろうし、運が悪ければ甲板から凍結する冬海へ突き落と
されるだけ(その前にこの身には弾丸のいくつかが食い込むことだろうが)、と、降伏した数日前は
思っていた。
あまりにも巨大な軍艦に、潜入前息を呑んだ、それが最後の生々しい記憶だった。下っ端曹長の
仕事としては、あまりにも巨大で手に余ると心の中では嘯いた。
32戦争モノ 1/9:2009/01/22(木) 02:34:12 ID:Yk1CJYtsO
そのとき河口から海へ渡る北風の、まさに耳を切るような冷たさも覚えている。
黒々とした海に海面との境界のない夜空は、また吸い込まれるように黒かった。そしてさらにずんと
それは、まるで切り立った崖のように眼前にそびえて、小船の上の自分を圧倒していた。
追い詰められたとき、己の口笛と引き換えに逃がした副官のあいつだけでも、うまく戻れていれば
いいのだが。
「そうでなければ、僕が浮かばれぬ」
ジュノは声に出して笑った。独り言を言うのも久しぶりだった。
壁から耳を離せば珍しく、人の声らしきものが聞こえる。どこからか。ずりずりと這いずって、べたりと
閉じきったままの固い扉に耳を寄せる。
「…サン、…ぎる」
「いや…、…だ」
公用国語なら少しはわかるが、彼の国の言葉には詳しくない。士官学校も出てはいない、たたき
上げの自分だ。
だが二人以上の声だということと、その会話が少しずつどうも近づいてくるというのはわかった。
がたがたと足音。こつこつと足音。軍靴のかかとの音か、ならばこれは、身分のあるやつ、それも
二人。
「僕の運命も…決まったか?」
33戦争モノ 2/9:2009/01/22(木) 02:36:26 ID:Yk1CJYtsO
一人で言う最後の冗談、とジュノがふっと片頬をゆがめた時、身を寄せていた扉ががちゃんと重い
音を立てた。身を離せばゆっくりそれが開く。廊下側はまぶしい。
「…俺は、こいつを開放する」
その影の一つがぽつりと言った。公用国語だった。
「城山サン。あんたは…」
「誰が何と言おうと、この艦内の指揮官は俺だ」
もう一つの影が割ってはいる。だが先に言った方の、その声には聞き覚えがあってジュノは息を
呑んだ。
あの中尉殿じゃあないか。
このふねは、それ以外にもいくつもの小艦を引きつれ、艦隊の具合を取っていた。だが意外だった、
拘束された自分の生け捕りを命じたあの中尉殿が、まさか指揮官とは。
声も見た目も若かった。
割って入ったほうは目つきが鋭いが、これまた若い。いや中尉よりもいくつか年下か。だがこちらへ
流す目つきの、あふれる敵意は既に軍人のそれで、彼の上官よりもよほどジュノの肝を冷やす。
「たった一人、乗り込んできたような奴だ。大した身分じゃない」
「だから城山サン、甘い。敵の間諜なんだぜ、何を見られたか…」
「井藤」
制され、呼ばれた男は軍帽を脱いで、悔しげに会釈する。
34戦争モノ 3/9:2009/01/22(木) 02:39:24 ID:Yk1CJYtsO
光にやっと目が慣れれば井藤という男は、これはなかなかの男前だとジュノはのんびり思った。
端正な顔にとってつけたような口ひげが、だが意外と似合う。
城山は、中尉のほうは童顔だった。ああ押さえつけられ、ちらり見上げたあの夜から、そう思って
いた。
何だか、僕を殺しそうに無い人だとも。
「ジュノ、きみを返す」
柔らかい声、その中尉が呼んだ。細い目を精一杯丸くした。
いつこの人は、僕の名前を知ったんだ?
上官のこと、大地のこと、川の水や北風の冷たさまでもが、淀んだ意識のそこから一気に蘇った。
戦争のことも、生々しさも。ついぞ忘れていた感覚だった。
「…」
まさかと思った。
開放すると、この中尉は言った。意外すぎて膝ががくがくした、数日間寝転がっていてなまっただけ
ではなく。井藤に引きずり上げられたのは、ちょっとだけ癪だった。
そのまま引きずられるように穴倉のそこから這い出、甲板に放り出された。
一瞬で頬を冷たい外気が叩く。
見上げれば、夕焼け空だった。
「立てるか」
ここも鉄の甲板の、船室の影からリールの影から、いくつもの視線が突き刺さっている。
敵の手の中だと思い知る。
「お手は無用」
35戦争モノ 4/9:2009/01/22(木) 02:40:53 ID:Yk1CJYtsO
「…そうか。きみを開放する…ええと、俺の言葉はわかるかな」
「公国語なら、多少は」
さえぎるものの無い甲板に吹く風は相変わらずの厳しさで、ジュノは少し頬をゆがめた。自分より少
し背の低い中尉は、見るからに仕立てのよい外套の肩をそびやかす。
その肩も、軍帽の頭も、どっぷり燃えるような夕日に照り映えていた。
言葉にも鉛が無く、発音が美しい。戦場でとびかう怒号の気配が無い。
「ジュノ」
多分、生きてきた道が違うんだ。それはわかる。
だが今までこんなに柔らかな声で、僕の名前を呼んだ人はいない。僕の国にもだ。
まるで安らいでしまう、と柄にもなく思う。
「…泣かないで下さいよ、城山サン。権威が地に落ちる」
「わかってるよ、井藤」
「泣き虫中尉、って俺まで揶揄されるのはごめんです」
「泣かない」
傍らから、この寒さを苦にもしない様子で井藤が言った。泣き虫だと、とジュノは一瞬噴出しそうに
なった。
戦場だということを忘れそうになる。
まるで、親しい友人の会話を聞いているような。
「俺には、こんなことしか出来ないけれど」
井藤が静かに、己のそばを通り過ぎる。背後で船室の扉のしまる重い音がする。
36戦争モノ 5/9:2009/01/22(木) 02:42:11 ID:Yk1CJYtsO
運命とかそういうものがあるならば、それが途絶える音のように聞こえる。耳たぶが、川風と海風に
痛い。
中尉がまた名を呼んで、こつんこつんと硬い軍靴の音を響かせながら夕日のほうへ歩いた。
一人だとどうにも頼りない印象を受ける、とジュノは思った。井藤が怖いのは、この人のこの印象を
補うためだなとも思った。やせっぽちでよく喋る自分の副官に、ごつく無口なユファンがいるようなもの。
「俺は、これからきみの国を蹂躙しにゆく」
城山が言った。
「だから、俺にはこんなことしか出来ない」
「…。」
彼は突風に首をすくめる。ジュノは慣れているから平気だ。
この国の寒さは、ああこの人にはつらいだろう。ぼんやり思った。
「きみの大地を踏みにじり、きみの水を汚し、きみの花を散らしにゆくんだ」
柔らかい声だったり、泣きそうな声だったり。
夕日を受ける横顔が、ゆがんでいるように見えたり。
「…中尉殿、老婆心ながら一つ申し上げれば」
「うん?」
「お心をお決めになったのなら、敵の下士官にそのような迷いをお見せになるべきではない」
「…。」
「僕には存外、そのお言葉は堪えます」
「ジュノ」
37戦争モノ 6/9:2009/01/22(木) 02:44:48 ID:Yk1CJYtsO
「さりとて、はてさて偽善…とでも、申し上げれば?僕は斬首となりましょうか?」
戦場に来る人じゃないとつくづく思った。
出会ったのがむしろ、不思議な気がしていた。
「…きみは、よくわかっているな」
ああしかし、この男は、言われなくても知っている、という顔をしている。
そしてさらにふっと微笑んで、子供のように、夕日が美しい、と言う。本当に、戦場に来る人じゃないな。
夕日が綺麗だとか、そんなこと、僕は思ったことも無かった。
「きみの…なんと言ったかな、彼がほら、あそこに」
彼の指差す先の黒々とした小さな影が、赤い水面をぐらぐらと漂う。
それが徐々に人影を成し、また見覚えのある姿にまで近づくのを、二人の男は黙って眺めていた。
「ムグンファ」
「…はい?」
「無窮花も、美しいのかな」
ぼつり呟く声はまるで、どっぷり浸かる夕日の音のほうが大きく聞こえるほどで、ジュノは思わず顔を
上げた。
今度は夕日を背にしている、その男のかおは黒々と、どっと押し寄せる光の逆でその影に濃く彩られ
てはいたが、眼は潤んでいた。泣き虫の中尉殿、と彼の副官が、失礼を承知で言っていたのを咄嗟に
思い出す。
確かに涙腺のゆるい男らしい。
38戦争モノ 7/9:2009/01/22(木) 02:46:45 ID:Yk1CJYtsO
だがそこに嘘はない、直感で感じるのは、そう莫迦にできたことではない。
「この国は、春になれば、一面の景色です」
「…見てみたいが、それは叶わないだろうな」
「中尉殿のお国には?」
「桜という、美しい華はあるけれど…すぐに散る」
「無窮花は、ふた月は咲きます。きっとお気に召すでしょう」
うン、と頷き、ぐしゃぐしゃと顔をゆがめて城山は笑った。天然の愛嬌を備えている、とジュノの心の
どこかがぞくぞく総毛立つ。
最も彼の副官のほうは、そう舐めたものでも無い様だが。
ゆうらり、艦下の水面が鉄を叩くあたりから、遠い叫びが聞こえる。見下ろせばざっと、あの男が敬礼の
姿勢をとり、真っ直ぐ自分を見上げている。
小船にはほか、漕ぎ手と公用旗(このいくさばにおいてそれは中立の意味を成す)を掲げる旗手、それ
だけだ。二人とも見覚えのある顔ではない。
「ここに皇室陸軍、東方第三師団中尉、城山隆介の名において、王軍、慶常道第二陸兵団曹長を
 解放する」
ばっと、似つかわしくないその敬礼で、彼は怒涛のように一気に言ってのけた。
夕日が美しい、だと。無窮花が見たいだと。
ああ、あんたは。
あんた、何でこんなところにいるんだ。
「ジュノ」
39戦争モノ 8/9:2009/01/22(木) 02:47:46 ID:Yk1CJYtsO
いや、意識を飛ばしすぎた。
気付けば泣きそうなその男の顔が思ったよりずっと近く、そしてそれゆえ避ける間もなかった。
童顔の、泣き虫の中尉殿。
まるでくちづけも女みたいな、そう言えば流石に怒っただろうか。皮手袋の指が不器用に、それは生来
のものなのか緊張かはたまた寒さによるものか、見ようによってはいとおしげにジュノの頬を伝った。
ああ、だがこの寒風の中でも、この唇は思ったより柔らかいな、それに温い、などと不遜な言い回しが
浮かんでは消える。
やれやれ、僕は冷静冷酷なのか?それとも思い切り混乱しているのか?
あんたは敵国の中尉殿だろう。何がそうさせたのかは知らないが。
何をどうしたいのかは知らないが。
「…元気で」
ぐしゃぐしゃの顔を上げず、騒がず、しばらくしてぐっと身を離したその男は、およそ軍人らしからぬ声と
台詞を残した。
「きみの、武運と、成功を祈る」
彼が軍靴の音も高らかに甲板を離れた後、まっすぐに夕日の眩しさと、それに包まれる不器用な副官
の姿が嫌でも網膜を焼いた。
「…ジュノさん?」
「ユファン」
「はい」
「僕、今どんな顔してる」
「…心持ち、笑っているとでも?」
「そうか」
40戦争モノ 9/9:2009/01/22(木) 02:49:09 ID:Yk1CJYtsO
落ち着け、焦ると指が震える。
甲板から降りるのは案外一苦労だった。眩しさからか、畜生、縄梯子というのがこんなにも頼りないとは。
よたよたと足が縄を、その締め付ける感触を手掴むのにも一苦労だ。
川と海の面を光が渡る。傍から見れば夕日の圧倒する紅色の中であろうが、当人にとっては輝く命の残り
火に過ぎぬ。
小船が離れ見上げれば、ふねは黒々とそしてじりじりと照り映えながら、無言で川の水を受けていた。
まるで沈黙だね。
もう手が届かぬ。
「…僕、もうひと月は風呂に入ってないんだがな」
本当にもう、離れるだけ。
そして今はまた泣いているであろう、あの男のことを思った。僕の国を滅ぼすと、泣いていた中尉殿。
僕は。
僕のほうも?僕は、あんたの何かを?
「中尉殿ともあろう人が」
「…ジュノさん?」
「全く。そのうち、その涙も凍傷となろうに」
泣き虫の中尉殿、と呟いてみた。
切り裂く北風に、特にそれはきりもまれて消えた気がした。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
41木目木奉  プロの目U 伊丹編:2009/01/22(木) 06:25:22 ID:H7gRD5DN0
>>31
GJです。切な過ぎる…!こういう人たちだってやっぱり人間だもんな!
やっぱり戦争イクナイ




この大作の後にこれって気が引けますがwww板ミ編書きました。
布団の中で雑炊食べながらテレビ見てて…なんかもう…自重できませんでした。

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |>PLAY.       | |            感想ありがとうございます!いつまでも瓶を引きずっててごめんなさいww  
 | |                | |           ∧_∧※沢の口調が相変わらず怪しいですが「プロの目」パートU伊丹編
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  ウキョ→瓶←板 といったところ。 
 | |                | |       ◇⊂    ) __  
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | 明日には職場復帰できそうです。インフル怖いね。
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | 「お前たちも、気をつけて」(オニョダさん風に)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
42木目木奉  プロの目U伊丹編  1/9:2009/01/22(木) 06:27:01 ID:H7gRD5DN0
皆様尾無沙汰しております、※沢です。

いやあ、先日は椙下警部の粋なはからいにより
非常に有意義な時間を過ごすことができました。
やはり仕事のあとの寄席というものはいいものです。
そもそも私と落語の出会いは……


…おっと、またまた 脱線してしまいました。
どうもひとつのことに夢中になるとついつい。治さねばなりませんね。
しかしこの歳になるとなかなか…
椙下警部の言葉を借りるなら私の「悪いクセ」とでも言いましょうか。

いやはやまたしても脱線。
今日も椙下警部に頼まれ、被害者の遺留品を細かくチェックしておりました。
各部署に手配し、必要なものを揃え
こうして今椙下警部の元へと向かっているところでございます。はい。
43木目木奉  プロの目U伊丹編  2/9 :2009/01/22(木) 06:29:24 ID:H7gRD5DN0
5課に足を踏み入れ、がちゃがちゃと鳴る重い箱を抱えながら
目指すはその奥、匿名係。各田課長の脇をすり抜「ちょっとちょっと、俺出番これだけ?」

不意に声を掛けられてしまいました。取り敢えず足を止めてみることに。

「いや、お暇ではないと伺っていたので」
「まあ、そりゃ暇じゃないけどさぁ、今か「では、失礼致します」
「おいおい!そりゃないんじゃないのお?!」

課長との話はまた別の機会に。

「ほんとぉ?じゃあ待ってるからねっ。あ 俺帰るから」

未定ですが。
というか心の声と会話をしないで頂きたい。

私と各田課長のやり取りを聴きつつ訝しげな視線を向ける5課の凸凹コンビの間もすり抜け
ようやく匿名の入り口にたどり着いた次第であります。
44木目木奉  プロの目U伊丹編  3/9 :2009/01/22(木) 06:31:21 ID:H7gRD5DN0
「あれっ」
なんと椙下警部は退席中のようで匿名はもぬけの殻。
「ま、戻ってくるでしょう。すぐに」
大事な証拠品もあるので置いて戻るわけにもいけませんからね。
ふむ、少しの間そこのソファで待たせていただきましょうか。

と腰をおろすべく身をかがめた瞬間。

「あっ!!!」
「あっ」

「乾式の※沢ぁ〜」
「ふむぅ…どうにも懐かしい響きですね」

厄介な相手に見つかってしまいましたな。
私どーもこの人苦手なんですよ。悪人面だし。偉そうだし。

「乾式のお前がどーーーーして匿名なんぞにいやがるんだコラ」
「黙秘致します。それゆえ今後一切発言しませんので、悪しからず」
「ここは取調室でもなんでもねーんだよコラ※沢!オメー警部殿にコソコソ情報流しやがって」

「…」
「黙秘決め込んでんじゃねーよ!」
45木目木奉  プロの目U板ミ編  4/9 :2009/01/22(木) 06:32:36 ID:H7gRD5DN0
「…」
「…」
「……」
「……はぁ〜」

だんまりを決め込む私に盛大なため息をつきながらこの悪人面…もとい板ミ刑事は
私が運んできた遺留品、証拠品の品々を手にし始めました。

「…被害者の遺留品にィ?携帯の着信記録と発信記録…と、…こんなものまで!」
「まあ私も事件の早期解決を願っておりますので。苦肉の策 ということで」
「一課にまわしゃ十分だろぉが」
「お言葉ですが……まあいいか…」
「おい!!言いかけたら言えよ!!!気になンだろ!!」
「…」


「…また黙秘かよ」

イラついたように吐き捨て、遺留品を机に置くと何故か私の向かい側のソファにどっかりと腰掛けました。
ははあ、椙下警部に何か用があると。
どうにも気まずい沈黙が流れます。
椙下警部〜早く戻ってきてください〜。
46木目木奉  プロの目U板ミ編  5/9 :2009/01/22(木) 06:35:31 ID:H7gRD5DN0
覗き込んでいた凸凹コンビもいつの間にか帰ってしまったようで
聞こえてくる音といえば時計の秒針と時折聞こえる板ミ刑事の舌打ちのみ。
私少しばかり下を向いておりましたがちらりと板ミ刑事の顔を盗み見てみました。うわあ悪人面。

「チッ、碌な奴がいねーよ警部殿の周りにはよぉ!お前といい、かめっ……」 

そこまで言いかけ、ごほんと咳払いをする板ミ刑事。
ほほう、なかなか。椙下警部よりも余程分かりやすい。
前回の言葉、撤回しましょう。
この人は素人の目も誤魔化せませんなあ。

「…なんだよ」
「いえ」

「…」
「…板ミ刑事」
「あ?」
「板ミ刑事はバカがお好き という噂を小耳に挟んだのですが」
「……はァ?」

突然の私の言葉に心底訳が分からないという顔で板ミ刑事が睨んできます。
ここはもう少し揺さぶってみましょうか。こんな事滅多にできないし。
47木目木奉  プロの目U板ミ編  6/9 :2009/01/22(木) 06:37:14 ID:H7gRD5DN0
「熱血なバカがお好きだと」
「はあああ?」
「この間ロビーで日ダリ刑事に…」

その言葉を聴いた途端目を剥き、眉間に皺を寄せる板ミ刑事。すかさず追撃といきますか。

「そういえば瓶山さんが辞職する際、廊下で大声で「だあああああ!!!なんっなんだよオメーはよ!!!」
「成る程成る程、重ねて見ていらっしゃったと…「誰もンなこといってねーだろ!!!!誰があんなバ瓶なんぞ!」

「私は別に熱血バカが好き=瓶山さんが好きとは一言も言っておりませんがね」
「……!!!〜〜〜っ!!」

怒りなのか恥ずかしさからなのか少し額に汗がにじんでいるように見えます。
好きという言葉を聴いた途端落ち着きがなくなった様子。
ふむ、体温も1度程上昇、脈拍、呼吸共に上昇…と見受けられます。

手元を見ればスジが浮き上がるほどに拳を握り締めています。
まあこのくらいにしておいてあげましょうか。
にやにやと笑う私をものすごい目で睨みつけていますがちっとも怖くありませんな。
うむ、人の弱みを握って強請りをはたらく輩の気持ちが少しばかり分かったような気がします。


まあこの人から何かをもらおうなどとは考えてませんけど。
第一、趣味あわなそうだし。
48風と木の名無しさん:2009/01/22(木) 06:40:16 ID:uEOpp7QVO
支援
49風と木の名無しさん:2009/01/22(木) 06:44:04 ID:uEOpp7QVO
うむ。セルフ支援したけどやっぱだめか
規制にひっかかりました
解けたら続き投下します
50風と木の名無しさん:2009/01/22(木) 06:46:18 ID:bIjEM4+JO
>>47
姐さんGJGJ!
リアルタイム初めてでドキドキしたよ。
姐さんの乾式タンもイタミンも可愛いよ。
待ってます
51木目木奉  プロの目U板ミ編  7/9 :2009/01/22(木) 17:21:50 ID:H7gRD5DN0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )サイカーイ!!


「おやおや、板ミ刑事に※沢さん、これはまた珍しい 組み合わせで」

さらに重苦しくなった沈黙に耐えかねた頃、書類を手にし、椙下警部が戻ってこられました。
私と板ミ刑事を交互に見やり、意外そうな顔で入り口に立っております。

「あっ…!」
その瞬間板ミ刑事がしまった というような表情を浮かべて立ち上がり、此方に視線を向けてきました。
板ミ刑事の心理を知ってか知らずか、柔らかく口角を吊り上げながら椙下警部が声をかけます。

「板ミ刑事、残念ながら瓶山君からの連絡はまだ入ってませんよ」
「だっ…!!」
第三者がいるこの場でのその言葉は板ミ刑事にとって相当なダメージだったようで、額に手を充て口をぱくぱくとさせています。
ふむ、その様子はまるで酸欠の鯉さながら。
仏頂面の割には多彩なリアクションをみせてくれますね。この人は。

「まあ彼も忙しい身ですし、電話も中々掛けられないと思いますよ。気長に待ちましょうか」
そう言いながら椙下警部は書類を持った右手の手首をそっとなぞりながら柔らかく微笑んでおられます。
……しかし私、少々場違いというか、浮いているような気がするのは気のせいでしょうか。
52木目木奉  プロの目U板ミ編  8/9 :2009/01/22(木) 17:22:48 ID:H7gRD5DN0
「それでは椙下警部、私はそろそろ…」

取り敢えずこの場から脱するべくソファから立ち上がったところで椙下警部に呼び止められました。
「ああ、すみません※沢さん 実はもうひとつ調べていただきたいことが…乾式に向かったところすれ違ってしまったようですね」

「成る程、そういう訳でしたか。こちらに伺う前に一言ご連絡すべきでしたね。それではお預かりします。あ、遺留品は明日の朝までに」
「わかってますよ。どうも、ありがとう」

「では、私はこれで、結果が分かり次第お知らせしますので」
「よろしくお願いします」


椙下警部から渡された書類袋を手に私は匿名を後にしました。
板ミ刑事も先程の椙下警部の暴露で用事が済んでしまったのか
後ろからものすごいスピードの早歩きで近づいてきます。

「※沢ァ〜!今の事は絶対にあの二人には言うなよ!特に背利沢にはな」

あまりに切羽詰った表情で凄んで来るので、私は思わず鼻で笑い
「…寂しいなら寂しいって素直に言えばいいのに」
53木目木奉  プロの目U板ミ編  9/9 :2009/01/22(木) 17:24:28 ID:H7gRD5DN0
言ってやりましたよ、ええ。
てっきり怒鳴られるかと思いきや、はあーとため息をついた板ミ刑事。
あれあれ?やだなぁ、調子が狂うじゃないですか。ねえ。

「…うるせーよ、バカヤロ!」
「あ痛い!何で私が体当たりされなきゃならないんです。理不尽な!」
「るせー!その肉ならたいしたダメージにもならねェだろーがよっ!」

名誉毀損で訴えますよ。大体どうして私の隣でずっと並んで歩くんですかね。
いや全く、訳が分かりませんなこの人は。

「……乾式の※沢ァ〜…」
「なんですか」
「…ダメだ。しっくりこね」

「ああ、そうですか」
「…しっくりこねーんだよ!」
「それなら、匿名係の瓶山ァ〜がしっくりくるかと」


しばし沈黙。


「……俺、お前嫌い」
「ははあ、奇遇ですね。私も嫌いです」

睨み合った後、先を争うように早歩きでそれぞれの部署に戻った訳でございます。



お粗末。
54木目木奉  プロの目U板ミ編:2009/01/22(木) 17:27:29 ID:H7gRD5DN0
 ____________
 | __________  |  1の訂正 尾無沙汰→ご無沙汰
 | |                | |   前半のタイトル伏せ忘れすみません。
 | | □ STOP.       | |                いや、ご迷惑おかけしました。
 | |                | |           ∧_∧ 大小コンビもいいですね。課長は未定w
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ではこれにて。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
55風と木の名無しさん:2009/01/23(金) 01:01:13 ID:1XTDkltO0
>>54
まさかレフトが出てくるとはww
超GJ!芹編も期待してもいいですか
5608単車乗り 「長い夜」 1/6:2009/01/23(金) 02:08:08 ID:BKqy6hZf0
08単車乗り牙ット×渡
擬人化なし。流れ的に本編の序盤辺り?
一応微エロ・微グロ注意

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
5708単車乗り 「長い夜」 2/6:2009/01/23(金) 02:09:08 ID:BKqy6hZf0
卓上のランプがぼんやりと光を放つ、薄暗い部屋の中。
糸を引くような細い音が、流れては切れを繰り返す。
同じ旋律を幾度もなぞるそれは、一向にその先を奏でようとしない。

憮然とした表情を浮かべ、渡はバイオリンを持つ腕を下ろした。
静かになった部屋の片隅から、ばさばさと羽音が近づく。

「どうした渡。また何か悩んでるのか?」
「……別に、何でもないよ」
目の前に飛んできた牙ットを一瞬だけ見て、渡はそっけない答えを返した。
そして自分の反応に驚いている様子を無視して、その場から離れる。

「何でもない割には、全然弾けてなかったじゃねーか」
バイオリンを戻しに行く後を飛びながら問いかける牙ットに
二度目の答えは返さず、代わりに不機嫌そうな表情のまま室内を歩く。

寝室に向かう途中で卓上のランプを消すと、部屋はたちまち暗くなる。
しかし完全な闇にはならず、今度は天頂高く昇った満月と星の光が
全ての窓から部屋をぼんやりと照らす。

「何かあったなら言ってみろって」
「何でもないって言ってるだろ……」
さっきと変わらず周りを飛びながら問いかけは続き、ベッドに腰掛けた渡は
ますます不機嫌さと鬱陶しさを表情に出して答える。
「いや、今日はずっと変だったぞ。特に昼間一緒に外に出たときから――」
「―――っ」
そこまで言いかけたとき、渡があからさまに動揺した様子を見せた。
予想外の反応に少し驚いて、一瞬、沈黙が流れる。

「……あー、なるほど」
全てを察し、牙ットは一人ごちる。
そしてニヤ、と一度笑い、俯く渡の膝の上に降りた。
5808単車乗り 「長い夜」 3/6:2009/01/23(金) 02:10:57 ID:BKqy6hZf0
嫉妬してたのか、お前」
「………!」
直球に言われ、渡の表情が固まる。

「俺様が街行く美人ちゃん達を見てたのが、そんなに気に入らなかったのか?」
「っ……そんなこと」
「“ない”って言ったら嘘だよな?」
言葉を否定できず、渡はさらに深く俯いて黙り込む。
「まー確かに、どの娘もうまそうだったしなぁ」
わざとらしく呟くと、渡は再び不機嫌そうな表情で牙ットを見る。
それを面白がるように笑い、牙ットは方翼を伸ばすと
俯いて近くなった渡の頬をその先で軽く撫でた。

「心配しなくても、俺様は心変わりなんてしねーよ」
急にきた感触と、何時になく優しい声に、渡は少し顔を上げる。
「散々言ってるだろ、俺様が本気で惚れたのはお前だけだって」
「………でも」
まだ不満そうな渡の顔を見上げ、牙ットは溜め息をついて軽く羽ばたく。
自然と差し出された手の上に留まり、二人の距離が近くなる。

「なんだ、信用ならないって言うのか?俺様はこんなにも
お前のこと、可愛がってるのになぁ」
低く囁いて、牙ットは頬に伸ばしていた羽を首筋へ這わせる。
そうしてびく、と肩を強張らせる渡を見てもう一度ニヤリと笑う。

「嫉妬してるのもそうだが、そういう反応がまたそそられる。
……それに、お前の肌の噛み心地は最高だ」
「………っ」
首筋を襲う感触と言われる台詞の気恥ずかしさで、渡は顔を赤らめる。
5908単車乗り 「長い夜」 4/6:2009/01/23(金) 02:12:18 ID:BKqy6hZf0
「そういや、ここはまだだったな。その顔といい、さぞかし
良い噛み心地でうまいんだろうな」
楽しそうに囁きながら、牙ットは羽先で撫でている反対側の
あまり血色の良くない白い肌へ口を近づける。

「ちょ……それやりすぎ………っうわ!」
さすがに身の危険を感じ、慌てて振り払おうとした反動で
渡はベッドへ倒れた。
そこへすかさず降り立ち、牙ットは渡の首筋へ牙を軽く押し当てる。

「き……牙ット……ダメだって……っ」
「そんな可愛い声出して何言ってんだ。そもそもお前、嫉妬してたんだろ?
 なら丁度いい、俺様の愛情が伝わるまで可愛がってやるよ」
「何だよさっきから……っ変なのは牙ットの方じゃないか……!」
「ああ、……今日はキレーな満月だからな。俺様は上機嫌なんだよ」

振り払われぬよう手を押さえ込み、渡の反応を逐一楽しむように煽りながら
牙ットは牙を突き立てた。
6008単車乗り 「長い夜」 5/6:2009/01/23(金) 02:13:59 ID:BKqy6hZf0
「!――――っ」
棘の刺さるような感覚に、渡は体を強張らせる。
そこへ押し当てられた生温かい感触が、本来できるはずの痛みをかき消して
甘い刺激となって全身へじわりと染みていく。
「…………ぁ」
肌に針穴のような傷が生まれ、ほんの僅かに流れ出た血を舌で受け止め
存分に味わってから、牙ットは満足そうに笑う。

「……可愛いぞ、渡」
紅潮した頬を再び撫で、牙ットは心底嬉しそうに呟いた。
その一言で力が抜け、渡は熱くなった息を吐き出す。
熱さと恥ずかしさで揺らぐ意識が目に映り、それを見た牙ットは
呆れたように苦笑する。

「これくらいでのびるなよ、……まだ終わらせるつもりはないからな」
何処か意地悪く、楽しそうに笑う牙ットへ視線を向け、渡は再び頬を染める。
そんな渡の様子を堪能しながら、牙ットは渡へ静かに口付ける。


自分の腕を押さえつける力は既になくなっていたが
渡は心地良い熱に身を任せ、そのまま受け入れて目を閉じた。
6108単車乗り 「長い夜」 6/6:2009/01/23(金) 02:15:00 ID:BKqy6hZf0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
62風と木の名無しさん:2009/01/23(金) 02:19:54 ID:Pxul5nG7O
>>54
イタミソは絶対レフトと瓶を重ねてるよねww
姐さんGJでした!
ニヤニヤの止まらない作品ありがとう!
63吸血鬼と狼男 1/8:2009/01/24(土) 12:24:44 ID:93QA04lI0
オリジナルの吸血鬼×狼男。リバでもおk
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < 糖分低めで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ごめんなさい
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 微グロ注意
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"

二十年前のことだった。
たった一度の出会いが、取り返しがつかないほどに運命を捻じ曲げた。
否――出会いというよりは「災厄に見舞われた」というべきか。
その「災厄」はまだ少年だった男から、文字通り全てを奪っていった。
貧しいが仲の良かった家族、一緒に野山を駆け回った幼馴染、ほのかな恋心を抱いていた二軒隣の家の少女。
それら全てが「災厄」に呑み込まれた。
そして「災厄」の更なる影響を断ち切るために、男は故郷さえも失った。
血と腐肉の匂いが立ち込める村に火を放ち、疲れた身体に鞭打って
泣きながら――やがてはその涙すら枯れ果てて、月の明りを頼りに、
ただひたすら夜の山道を駆けていった。

二十年前のあの日と同じような、不吉なほどに美しい満月が夜空に浮かんでいる。
その冴え冴えとした光を全身に浴びて、男はぎちりと歯を噛み鳴らした。
64吸血鬼と狼男 2/8:2009/01/24(土) 12:27:05 ID:93QA04lI0
一度「印」をつけてしまえば、支配は容易い。
魅了された魂は「印」の主を恋い慕い、如何なる障害があろうとも支配者を迎え入れる。
吸血鬼であるドラコにとって、それは効率よく「糧」を得るための術であり、
またそれ以外の何ものでもない。一度内側に入り込んでしまえば、後は満足するまで喰らい尽くすだけだ。
そもそも、容易く支配を許すような弱い魂の持ち主に興味はない。眷族を増やすつもりは毛頭なく、
喰らった後は残り滓が「目覚め」ないよう、心臓を潰して首を切り離す。それがドラコの流儀だった。

人間のフリをして夜会に潜り込み、美味そうな娘――時には青年に目をつけて魅了する。
その娘に手引きをさせ、舘の中に入り込み、中にいる人間の血全てを啜り尽くす。今夜も、そうなる筈だった。

「ああ伯爵、早くお入りになって」

夜風に揺れるカーテンの向こうで、しどけない姿の若い娘がドラコを呼んでいる。
たとえ聖水や聖灰で結界が張られていようとも、印をつけた者の呼びかけがありさえすれば、
それは力を失ってしまう。そもそも、ドラコのように年を経た吸血鬼の手にかかれば、
ちゃちな祝福を受けたモノなど障害のうちにも入らない。
だが、美味そうな得物を目の前にして、ドラコはバルコニーから先へと進むことが出来なかった。

「これは――何の匂いだ?」

微かに鼻をつくその異臭は、まるで髪の毛を燃やしたような……いや、違う。
髪の毛などではない。この独特の生臭さは、生きた獣の毛の匂いに他ならない。
この匂いがするということは即ち、吸血鬼にとって唯一にして最大の天敵が
すぐ傍にいることを意味していた。
65吸血鬼と狼男 3/8:2009/01/24(土) 12:29:50 ID:93QA04lI0
「隠れていないで姿を現したらどうだ、リカントロープよ」

ゆったりと手を広げ、芝居がかった仕種でドラコは呼びかけた。

「それともこの美しい月の前に、貴様の醜い毛むくじゃらの姿を晒すのは
恐ろしいか?ふふ、無理もない……リカントロープの魂は、月の狂気に
支配されているからな。物陰に隠れているとはいえ、そろそろ理性を保つのが
難しくなってきたのではないか?」

月光を浴びて微笑むドラコの青白い典雅な面差しには、嗜虐的な笑みが浮かんでいた。
確かに吸血鬼にとって、人狼は最大の天敵だ。しかしそれはあくまでも
「同じ条件下で戦った場合、両者の力が拮抗している」という意味であり、
月光で容易く理性を失ってしまう人狼をあしらう術なら、ドラコは幾つも心得ていた。
それに、人狼の出現はドラコにとって好都合だった。このところ少々食い散らかしすぎたせいか、
人間どもの中に「吸血鬼」の噂が流れている。伝え聞いたところによると、つい最近
トランシルヴァニアを根城にしていた血族の一人が、イギリスからやってきた男達に狩られたらしい。
彼らがここまでやって来るとは思えないが、喰ったのは吸血鬼ではなく人狼の仕業だと
思わせることができれば、安全にこの地から離れることができる。

「考えてみれば、我らが天敵同士というのも妙な話だ……どちらも闇の祝福を
受けた身、争う理由はない筈だ。私の『食事』の邪魔をしなければ、『餌』の
一つや二つはくれてやる」
66吸血鬼と狼男 4/8:2009/01/24(土) 12:32:14 ID:93QA04lI0
優雅にそして傲慢に言い放つと、ドラコはカーテンの向こうへと手を差し伸べた。
白い手袋を嵌めたその手首を、不意に下方から伸びてきた鋼色の光が薙ぐ。
胸が悪くなるような音とともにドラコの手首が斬り飛ばされ、庭の茂みのどこかに落ちた。

「貴様……!」

溢れる血潮もそのままに、ドラコは凄まじい形相で屋根の方へと視線を向けた。
ねばつく血の塊はやがて蝙蝠へと姿を変え、ドラコの輪郭と同化する。
腕を一振りすると、断ち切られた袖口の先から、新しい手首が生えた。

「吸血鬼の血は、腐った匂いがするという話だが――なるほど、確かに臭い」

ドラコが視線を向けた先――急勾配の屋根の上には、細身の長剣を手にした背の高い男が
立っていた。人狼の匂いは間違いなく、その男の身体から発せられている。
しかし月の光を浴びているにもかかわらず、男の輪郭はヒトの形を保っていた。
男は人狼の姿をとることなく、地上からバルコニーへと跳躍し――吸血鬼であるドラコにも
視認できないほどの素早さで手首を斬り飛ばし、屋根の上に降り立ったのだ。
その事実に気づいたドラコは、自ら人であることを止めてからはじめて、戦慄を覚えた。

「満月の光を浴びても姿を変えないリカントロープだと……?貴様、一体どんなまじないを
施している!そもそも、リカントロープの大半は二百年前の魔女狩りで、大半が捕えられ
死に絶えた筈だ!この私を傷つけることができるほど、古くて強い血族が残っているわけがない!」
67吸血鬼と狼男 5/8:2009/01/24(土) 12:36:19 ID:93QA04lI0
ドラコの問いに、男は黙って袖口を捲ってみせた。
がっしりした手首には小さな銀の十字架をつけたロザリオが幾重にも巻かれ、ロザリオが
巻きついた皮膚はただれて引き攣れている。そのただれた皮膚の少し上には、ラテン語らしき
文字が刺青で刻まれていた。
男は聖別された銀が齎す苦痛と、聖書に書かれた言霊の力――IESVS NAZARENVS REX IVDAEORVMにより、
己の理性を保っていたのだ。

「貴様、ヴァチカンの飼い犬か!」
「魔女狩りで全ての人狼が処刑されたわけじゃない。吸血鬼を狩る為の切り札として、
ヴァチカンは最も古いネブカドネザルの血族を手元に置いていたんだ」
「ふん、だが貴様がネブカドネザルの直系とは思えんな……純血にしては匂いが薄い。
神の恩寵を捨ててリカントロープの呪いを受けた、志願兵といったところか。
なりたての眷族ごときが、思い上がるなよ」

相手が純血の人狼でなければ、ドラコにも充分勝ち目がある。邪法を使い、自ら吸血鬼となり、
数百年の時を経たドラコの力をもってすれば、人狼の呪いに染められた目の前の男を魅了するなど
容易いことだ。魅了の呪縛を込めた吸血鬼の紫色の双眸が、男を見据えて妖しく光る。
しかし男は魅了の視線をものともせず、剣の切っ先をドラコに向けた。

「無駄だ――ネブカドネザルの呪いは、お前の力よりも強い。お前が俺を呪縛する前に、
この剣がお前の心臓を貫き、首を斬り落とす」
「ふ……虎の威を借る狐とは、まさにこのことだな。いくらネブカドネザルの呪いが
強力であろうとも、貴様自身は後天的なリカントロープに過ぎぬ。所詮は付け焼刃、
果たしてネブカドネザルの呪縛を受け止めるだけの器があるのかな?そら、切っ先が震えているぞ」
68吸血鬼と狼男 6/8:2009/01/24(土) 12:38:13 ID:93QA04lI0
男の目を見据えながら、ドラコは滑るような足取りで近づいた。
バルコニーの手すりを挟んで相対し、男がほんの少し腕に力を込めれば、剣の切っ先が
ドラコの胸を貫く位置でぴたりと止まる。男が喉の奥で、狼を思わせる低い唸り声をたてた。

「少しは骨のある男かと思ったが、所詮リカントロープの呪いに魂を明け渡しただけか。
弱い人間に興味はない――貴様には、月夜の狂気がお似合いだ」

優しげな声で囁くと、ドラコは男に向かってふうと息を吐いた。
甘ったるい腐臭の漂う吐息が夜風にのって、ロザリオを巻いた男の手首に絡みつく。
数珠を繋ぐ糸が一瞬にして朽ち、バルコニーの床に珠が散らばった。
男が獣じみた咆哮をあげ、剣を横に薙ぐ。食いしばった口元から犬歯がせり出し、
首から肩にかけての筋肉がぐうと盛り上がる。
ドラコを睨み付ける目が金色に輝いたが――男の変化は、それだけだった。

「二十年前モそウだっタ……そノ腐ッた匂い、紫の邪眼――オ、前が」

理性と獣性がせめぎあうぎりぎりのところで、男が唸り声混じりに呟いた。
ロザリオの封じを失った今、一体何が男の理性を支えているのか。
69吸血鬼と狼男 7/8:2009/01/24(土) 12:39:46 ID:93QA04lI0
――今は程よく腹も膨れているし、これ以上喰うのも殺すのも手間だからな……
お前は生かしておいてやろう

血と腐臭が立ち込める村の中で、悠然と佇む美しい男。
生気を感じさせない青白い肌の中で、血に濡れたような紅い唇だけが鮮やかに。

――ああ、幾つかは後始末が不充分だったな。心臓に杭を打ち込み、火をかけろ。
でないと目覚めてしまうぞ?そら、もう起きだした奴がいる

優雅な挙措で惨酷な台詞を囁き、紫色の瞳がこちらを覗きこむ。
不吉なまでに美しい満月に向かって飛んでいった典雅な男の背には、蝙蝠のような
翼が生えていた。

男の言葉に従い、二十年前、一番最初に杭を打ち込んだ「起きだした死体」は。

二軒隣の家に住む、歌声の綺麗なマレーネだった。
70風と木の名無しさん:2009/01/24(土) 12:45:50 ID:uAJpyXmP0
?C?
71吸血鬼と狼男 8/8:2009/01/24(土) 12:46:09 ID:93QA04lI0
「ク……はは、そうか。そういうことか」

二十年前の、プロイセンの片田舎で起こした「気紛れ」は、数百年の時を生きたドラコの記憶にも
残っていた。
あの時見逃してやった十五、六の少年が、吸血鬼を狩るヴァチカンの飼い犬となって、
自分の目の前に姿を現した。
普通ならば、いくら憎むべき仇とはいえ、強大な力を持った吸血鬼が相手では、
復讐しようなどという気も起こらないだろう。
それを目の前にいるこの男は、人狼の呪いをその身に受けてまで、自分を追いかけてきたのだ。
嗚呼――これ以上の呪縛が、他にあるだろうか。

容易く支配を許すような、弱い魂の持ち主に興味はない。

服従するだけの眷族など必要ない。

欲しかったのは――そう、己の意思で、この自分を求める存在だ。

なんて――愉快な。

「リカントロープよ、貴様の名を訊いておこう。私はドラコだ」

 ――ヴォルフガング。

殆ど狼の唸り声と化した男の声は、ドラコの問いに確かにそう応えた。
72吸血鬼と狼男:2009/01/24(土) 12:47:30 ID:93QA04lI0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < 以上自作自演でした
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < お粗末さまでした
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < それでは失礼します
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ
73風と木の名無しさん:2009/01/25(日) 02:21:24 ID:gKUevvj1O
>>72
吸血鬼好きなんで面白かったです!GJ
74風と木の名無しさん:2009/01/25(日) 19:18:45 ID:mA7a7DDm0
木目木奉 プロの目の姐さんへ
遅ればせながらGJ!
右手の手首をそっとなぞる警部殿に萌えました〜
課長編も期待しております!
75木目木棒  プロの目1,5 斧ダ→ウ京:2009/01/26(月) 00:02:34 ID:o1sziuiw0
 ____________
 | __________  |   ※沢さん視点じゃないですが
 | |                | |   番外編、プロの目1,5です
 | | |>PLAY.       | |               プロの目1(ウ京編)と2(板ミ編)の間
 | |                | |           ∧_∧
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ざくざく投下申し訳ない。
 | |                | |       ◇⊂    ) __  感想もありがとうございます。
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | 妄想が止まらないよ。
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
76木目木棒  プロの目1,5 斧ダ→ウ京  1/5:2009/01/26(月) 00:03:51 ID:o1sziuiw0
一通のエアメール
 
先日届いたものなのですが。
さて、教えてあげるべきですかねぇ。彼に。








「嬉しい事?」
「何の事でしょう?」

「お前のね。顔を見てるとわかるよ。何かいい事が書いてあったんじゃないかしら」
「いいえ、特には」

都内某所のオープンカフェ。
ウ京と斧田は向かい合うように腰掛けていた。

探るような視線を向ける斧田の問い掛けにウ京はそっけなく返事をする。
ウ京が手にしたエアメールを指差し、斧田は軽く目を細めた。

「どう?瓶山君は元気そうかな?勿体ぶらずに見せなさいよ」
「元気そうですよ…あっ」手紙を開こうとした瞬間、斧田にそれを奪われてしまった。
ウ京は肩を竦めながら紅茶を口にする。

手紙と一緒に一枚の写真。
猿ウィンの子供たちと一緒に
陽に焼けた真っ黒な顔で満面の笑みを浮かべる瓶山の姿があった。
77木目木棒  プロの目1,5 斧ダ→ウ京  2/5:2009/01/26(月) 00:06:53 ID:d1p3edR/0
「あちらは空が綺麗だね」

「ええ、ほぼ手の付けられていない自然。その分過酷です」
「こちらの空はさしずめ人工の空、かしら」


二人は頭上に広がるくすんだ青色を眺めた。


「…どうでしょうねぇ」
「繋がっているなんて、考えられないね」

他愛のない会話を続けながら斧田は瓶山からの手紙を読む。

ウ京に語り掛けるように近況を報告する内容。
斧田は軽く首を傾げた。
そして手紙を斜めにしたり、顔を近づけたり遠ざけたりしている。
その大げさな動作にウ京も軽く首をかしげた。

「…何をなさっているのですか」
「何、僕の事書いてないじゃない」

手紙を読みながら不満をもらす斧田にやれやれといった表情を浮かべると
ウ京は向かい側から手紙を覗き込んだ。


そして文末を指差す。

「ほら、書いてあるじゃありませんか。ここに」
78木目木棒  プロの目1,5 斧ダ→ウ京  3/5:2009/01/26(月) 00:08:37 ID:d1p3edR/0
―皆様にも宜しくお伝えください。




「その他大勢としてひと括りにされるのは不本意かなあ。…ところで椙下」

斧田は不満をもらしながらもどこか楽しげな様子で言葉を続け
至近距離にあるウ京の顔を見つめた。


「何か」
「お前が楽しそうなのは、この一文の所為かな?」

悪戯っぽく笑いながら、今の文章のもう一行下をとんっと軽く指で弾く。



―あ、板ミには宜しくしないでいいですからね!(笑)



「…相変わらずだと思いましてね」
「板ミ君…誰だったかな?」
「瓶山君の…一課の同期ですよ」


簡単に説明をするウ京を斧田は更にまじまじと眺める。
その視線に居心地の悪さを感じたウ京はおもむろに身を引き、僅かに温くなった紅茶に口をつけた。
79木目木棒  プロの目1,5 斧ダ→ウ京  3/5:2009/01/26(月) 00:11:15 ID:d1p3edR/0
「…どちらかというと何か企んでいる目かしら」
「仰る意味がわかりかねますが」

「何を企んでいるの?」
「何も」

ウ京も悪戯っぽく口角を上げ、斧田に笑顔を向ける。

「僕は皆様、なのにお前や彼は別格だね」
「考えすぎです」


「教えてないんだ」
「本日はお会いしてないだけです」
「独占欲?」
「面白いことを仰いますね」
「じゃあヤキモチだ」
「観望長にしてはつまらない表現をなさる」

斧田の言葉にウ京が沈黙する。
斧田はじっと様子をうかがっていた。
暫く後、ウ京が口を開いた。


「…ハンデ…とでも申し上げておきましょうか」
「ハンディ?」
「少しくらい黙っていたって構わないでしょう」
「そうなの?」
「…僕の知らない昔の事をよく知っていますから」

くいっと両方の口角を上げながら、敢えて主語を濁した曖昧な表現でウ京は笑った。
80木目木棒  プロの目1,5 斧ダ→ウ京  5/5:2009/01/26(月) 00:12:10 ID:d1p3edR/0
紅茶を飲み終えたウ京は席を立ち、斧田に一礼する。
斧田は優雅に椅子にもたれながらウ京を見上げた。


「意地が悪いね、お前」

斧田がエアメールを差出しながら肩を竦めてみせる。
それを受け取りながらウ京は目を細め口を開いた。


「おや、とっくに御存じかと思っていましたが」

「育て方、間違えたかしら。まあいいけど、あまりいじめちゃまた孤立するよ」
「ご忠告、有難うございます。ご心配には及びません」

「まあ、孤立したらいつでもおいで。囲ってあげる」

冗談か本気かわからない斧田の言葉に軽い会釈を返すと
ウ京はしゃんと背筋をのばし、しっかりとした足取りで喧騒の中へと消えていった。




「気付いてるクセに気付いていない振りをするところも意地悪だね、お前は」

その背中を見送りながら、斧田は目を細めたのだった。
81木目木棒  プロの目1,5 斧ダ→ウ京  :2009/01/26(月) 00:15:01 ID:d1p3edR/0
 ____________
 | __________  |  名前欄訂正 ○4/5です。
 | |                | |      そういえば観望長って昔は俺って言ってなかった?
 | | □ STOP.       | |              記憶が曖昧だけど。案外一人称って思い出せなかったりするから困る。
 | |                | |           ∧_∧
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ありがとうございました。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
82風と木の名無しさん:2009/01/26(月) 00:36:02 ID:STNhP/e/O
>>81
姐さんGJー!!
そうか、それでイタミソのあれに繋がるんですね、萌えます。
乙でした!
83警察萌え 1/3:2009/01/26(月) 03:57:43 ID:AXzuI4KJ0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

懐かしの洋楽。英国産「世界一」とか言われたこともある3ピースバンド。
メンバー(ドラム)がバンド内を撮ってきたフィルムで作った内情映画より電波受信。
「警察萌え萌え話。「大手レコード本社訪問、案dy男前大作戦」、の巻き」

 (1970年後半、警察はとうとうメジャーレコード会社との契約を取り付けられそうだった。ツアーというドサの最中、
  大手会社の社長と面会する機会を得た彼らは、マネージャーのmyルスの思惑で、「顔つきが優しい」案dyを前面に
  出して話し合いに臨んだ。結果は上々。しかし、その日の夕方、社長秘書からmyルスに連絡が入る…)
(素=素ティン愚(ベース) 酢=酢チュ(ドラム) 案=案dy(ギター) 舞=myルス(マネージャー・酢の兄)

素「myルス、聞いた話によると某社長が夜に案dyとメシ食いたいって、いってきたんだってな」
舞「うわ、誰からきいたんだソレ」
酢「おれだよ、兄ちゃん!」
舞「…伊アンの野郎、後でウメボシの刑だ!」(伊アンは舞の弟で酢チュの兄貴。きっと末っ子の酢に甘い)
素「兄弟の内ゲバは後でゆっくりやってくれ。問題は今だろう! おい、まさか案dyを差し出すんじゃねえだろうな」
舞「差し出すって、別に飯食うだけだろ?」
酢「兄ちゃん、うそついてる目だ」
舞「お前、後でゾウキンの刑にするぞ!」
素「なんで案dyなんだよ! オレじゃないの!?」
舞「ああ、そっちね。お前つくづくナルシーだなあ(pgr)」
素「いいから、案dyじゃなくてオレを差し出せよ! そいつを一発殴ってこの話をご破算にしてやるから!!!」
舞「それじゃ困るんじゃあ!」
酢「案dyには、その話、行ってるの?」
舞「ああ、もうそろそろ用意して車を待ってるんじゃないか」
素「ちょ、それ早く言ってってば」
酢「素ティン愚、待って! 兄ちゃん、話は後で!!」
舞「おい、お前ら! …案dyは、納得してるんだよーって、聞こえないか。おお、もうあんなに小さくなって」

84警察萌え 2/3:2009/01/26(月) 04:00:44 ID:AXzuI4KJ0
(ホテルのフロアを歩く案dyに、素、酢が追いつく)
素「案dy!!」
案「おお、素ティン愚。どーした」
酢「どうした、じゃないよ! 話を聞いたぜ」
素「お前が嫌な思いするなんて、おかしいだろ?」
案「…まともな物言いの、その裏は?」
素「オレが食う前に、他人に食わせてたまるかい」
酢「同意」
案「あのなあ…。ま、いいや。なんかお前ら勘違いしてるよーだが、俺は別にムリヤリ行かされるわけじゃないぞ」
素「は? なんだそりゃ」
酢「案dy、まさか…」
案「あー、いやいや。そんなことじゃなくてw。俺はこんなこと慣れっこだから」
素・酢「慣れっこ?」
案「この世知辛い業界だぜ? 自分で売れるもんがあったらなんだって売ってきたからさ。だから今回のことだって別段どーとも思ってないから、心配すんな」
酢「だって、嫌じゃないの?」
案「(カラカラ笑って)ああ? だーいじょーぶ! 今迄だって、おっさん等が
  俺の上で頑張ってる間、目え瞑って顔作って、10数えてりゃ終わっちまうもん。
  あいつら3分持てば長いほうだからよ」
素「…そ、か?」
案「お、車きたな。んじゃちょっくら、いってくるわ。一人でうまいもん食ってくるから。わりいな!」
酢「ああ…うん」
案「契約、期待してろよ。じゃーな!!」
素・酢「…いってらっしゃーい…」
(車が走り去ったあとも呆然と立ち尽くす2人)
酢「…慣れっこって…」
素「…3分、か」
酢「どんだけスゴイんだ」
85警察萌え 2/3:2009/01/26(月) 04:04:47 ID:AXzuI4KJ0
素「(視線を上に持っていって、なんか数を数えてる)…5分は持つ、と思うんだがなあ」
酢「お前なんか、秒殺だろ」
素「言ったなてめえ! この馬並み「だけ」野郎のくせに!!」
酢「時間が長けりゃいいってもんでもねえぞ、遅○野郎!!!!」
素「なんだと!?」
酢「ああ!!」
 (車がすーっと帰ってくる。中から案dyが降りてきた)
案「なんだ、お前ら。まだいたの?」
酢「ええええええええ!?」
素「なんだ、そりゃああ!!!!!」
案「あ、そうだ。酢チュ。ホレ」
素・酢「?」
案「契約書。仮だけど。myルスに渡しといて」
酢「へえ!?」
素「あ、案dy、さん?」
案「飯ナシだったぜ! まったくシケた話だよなあ。しかも社長の机の上で、たった1分で終了なんだもん(笑)。ダメだねー」
素・酢「…」
案「あーはらへった。メシまだ残ってる?」
酢「ボクの部屋に、ピザとビールが、ありますが」
案「あそ。鍵貸して。んじゃ、食わせてもらうわ。先戻ってるぞ」
素・酢「ハイ」
 (足取り軽く、すたすた前を行く案dyを、言葉なく見送る若造2人)

「案dy・夏男…ギラついたボーカルと、やたらデカくて騒がしい
ドラムの間で目立たないが、秘かにバンド中で、実は一番おっとこ前
なんじゃないかと思われる男…」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

てなわけで、去年ちょっとだけ再結成された警察の若い頃のお話でした。
判らない方も多いと思いますが、ごめんなさい。
86義羅義羅 先エル英世氏:2009/01/26(月) 22:13:30 ID:+nTjgGdo0
今更ですがドラマ義羅義羅。
記憶を頼りに書いたので少しおかしいかも。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「先エル、」

俺は心を決めた。

「俺をリンクに帰して欲しい」

やっぱり、俺はリンクが好きだ。
工兵さんの嘘に勝手に裏切られて気になって飛び出したけど、
工兵さんの嘘はあいつの嘘とは違う。
家族を守ろうとしたんだ。
俺にはもうリンクに帰らない理由が無いんだ。

「お前は馬鹿な先輩をもって幸せだな」

咲きえるは俺の顎を掴むとそういった。
そう笑った顔が瞬間、寂しそうな顔になった気がした。
でもそれはまた笑顔に変わって、じっと俺の目を覗き込んできた。
一瞬、俺はキスされるんじゃないかと思ってしまった。
それ位、何だかその目は真剣に見えたんだ。
でもそれは俺の思い過ごしで咲きえるは街の雑踏に消えていった。

俺はなんだったキスされるんじゃないかなんて思ってしまったんだろう。
いくらあの目が真剣に見えたからって、何で……

もう一度先エルに会ったら、自分のこの気持ちに答えが出るんだろうか。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
87風と木の名無しさん:2009/01/27(火) 00:11:12 ID:sSvMsL3I0
亀だが>>63GJ!
こういうオドロオドロしくて、でもきらびやかなのって好きだな〜。
人外と月と紫と、そして801は、柳に幽霊くらいよく似合う(と思う)。

IESVS NAZARENVS REX IVDAEORVM 
十字架上に掲げられた言葉「ユダヤの王 ナザレのイエス」だよね?
ネブカドネザルってあのネブカドネザル?それとも別人?
なんか色々入ってて、宝石箱みたいな作品だ。
88風と木の名無しさん:2009/01/27(火) 12:40:28 ID:xrampkaqO
遅レスながら>>72

吸血鬼と狼男の組み合わせが大好物なのでwktkでした。
しかも探していた狼男受けで敵対しあう二人…!好み過ぎ!
続きがもしあるのならwkwkでお待ちしています。
89風と木の名無しさん:2009/01/27(火) 15:20:00 ID:cfjHfhwO0
>>83 GJ!
まさか今になってその3人+もう1人の話が読めるとは。
再結成万歳!

ベー素が遅○はガチだな…。
90芸任 シシミ×ズニア:2009/01/28(水) 13:55:09 ID:gPEmFEi10

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



ゲイニン土利杏子のシシミ×血腹ズニア妄想文です。
ネタ元は「ズニアのすすめの処/刑/の/す/す/め」トークからですが、
100%フィクションでございます。。
91芸任 シシミ×ズニア 1/9:2009/01/28(水) 13:56:29 ID:gPEmFEi10
<1>
「つ/つ/みィッッ!」
久しぶりに会えたと思った瞬間、案の定俺は盛大にど突かれて思わず「すみませ
ん兄さん」と情けない声を出すしかなかった。いきなり出会い頭に叱られること
はよくあるけれど、久々の逢瀬でマックスまで上がっていた俺のテンションがガ
タ落ちするのは不可抗力だった。

------------------

兄さんから電話がかかってきたのは深夜11時を回った頃だった。
ちなみに兄さんとは今をときめくお笑い芸人、千/原/ジ/ュ/ニ/ア/さんのことだ。
ダ/ウ/ン/タ/ウ/ンさんや島/田/紳/助さんの後を継ぐのはこの人しかいないとい
う評価もあるほどセンスと技術のある人で、俺は兄さんを心底尊敬している。
そんな人から電話がかかってくるということだけでもまだ無名芸人な俺にとって
は本当に身に余る光栄なのだけれども、それ以上に俺たちにはもっと人に言えな
い関係があった。

――あ……っ、
一番最後に逢瀬を重ねた時の兄さんの声が脳裏をよぎり、その瞬間に俺の股間は
現金な反応を示す。
俺はごちゃごちゃと雑多に物が置いてあるテーブルの上で兄さん専用の着信音を
鳴らす携帯電話に手を伸ばしつつ、一週間前のことに思いを馳せていた。

――やめぇやっ、……もっ、つつ……みィッ!
目元を赤くして身を捩るその人。兄さんは「もうキツイ」と嫌がる素振りを見せ
るけれど、本当はもっと追い詰められたいんだってことを知っている。逃げ場が
ないとこまで追い込まれて、何もかも搾り取られて、しまいには気絶するような
セックスが兄さんは好きだ。指一本まで動かせなくなるぐらいむちゃくちゃに抱
かれることを好むその人は、自称"ドM"である。
92芸任 シシミ×ズニア 2/9:2009/01/28(水) 14:01:50 ID:gPEmFEi10

<2>
――そう、俺たちはいわゆる"そういう関係"だった。恋仲というか、セフレとい
うか、「俺たちどないな関係やねん」なんてお互いはっきりと示し合わせたこと
はないけれども、セックスをしちゃうような、普通の関係ではないことは確かで
ある。何かのライブで俺のことを兄さんは「ほぼ365日一緒におる奴」と形容
していたけれど、さすがに365日は冗談だとして、それでも一週間に一度以上
は顔を合わせて体を重ねる関係だった。
今日はちょうど「もう一週間も兄さんに会っとらん」と凹んでいたところで、同
居人にウジウジすんなやと呆れられていたりしたとこだった。
テレビでは毎日のようにその姿を確認出来るけれど、やっぱり直接会って抱き締
めたいと思うのが男じゃなかろうか。忙しい人だからこちらから予定を聞くこと
なんて不相応だから絶対にしないけど、それでも「兄さんに次会えるのはいつか
いな」とそわそわしていた今夜。
兄さん専用の着信音が鳴った瞬間、同居人が苦笑するほど俺の肩が跳ね上がった
のは仕方がないと言えるだろう。
すごく嬉しいけれど、あまりにも声を弾ませて電話に出るときっと兄さんから鬱
陶しがられりと思って、出来るだけ平静を装って電話に出た。
「……はい」
受話器からは兄さんの少し疲れた声。
「おう、俺いま日テレの仕事終わってんねんけどいまお前どこにおる?」
「あ、家です」
どこにおる?って聞かれただけで、次に続く兄さんの言葉が分かるから俺の鼓動
は早くなる。
「飯、食った?」
「いえ、まだですけど……」
「じゃあ飯食いに行こうや」
「はい!」
93芸任 シシミ×ズニア 3/9:2009/01/28(水) 14:04:48 ID:gPEmFEi10
<3>
最後だけはどうしても元気の良い返事になってしまった。兄さんが苦笑する気配を受話器の向こうから感じつつも、
俺は名残惜しく電話を切る。
待ち合わせは兄さんのマンションになった。兄さんは後20分ほどで着くというから俺も10分後ぐらいには家を
出ないといけないのだけれど。俺は浮かれつつも、自分がまだジャージにボサボサ頭だということに気付いた。
(風呂入らな……!)
咄嗟にそう思った。久々のデートだ。どうせならばっちり決めていきたい。
10分しか支度する時間はないのだけれど、久方振りに愛しい人に会うんだからこればっかりは譲れない。
(えーと、シャンプーに二分、体洗うのに三分、髪乾かすのに一分で、三十秒で髪セットして……)
途中、計算してる時間が勿体無いということに気付いて、とりあえず風呂に入ることにした。
この時、面倒がらずにちゃんと時間の計算をしておけば、後で兄さんに雷を落とされることもなかったのだけれど。

――お風呂自体はそれこそ10分以内に上がって、後は服を着てバイクで兄さんのマンションに駆けつけるだけだった。
俺の誤算は、服を選ぶ時間を計算に入れていなかったということだ。

「俺のドルガバのシャツはぁッ!?」
俺がクローゼットを覗きながらそう悲痛な声をあげた時、「ん?」と言って振り向いた同居人が正にそのドルガバの
シャツを着ていた。
「なんでお前が着とうとや!」
思わず博多弁丸出しになって同居人に食いかかるも、俺が泣きそうな顔をしていた為か同居人は怯むというより申し訳
なさそうな顔で「あ、ごめんなさい」とスルメイカをかじりながら呟いた。
「あああ〜っ、これ着ようと思っとったのに!」
頭を抱えながらも仕方ないから他の候補を探す。しかし代わりにしようと思ったスウェットもカットソーも見当たらない。
「俺の白いスウェットと黒のカットソーは……ッ!?」
またもや悲痛な絶叫をあげると同居人は申し訳なさそうに「たぶん洗濯機の中……」と零した。
94芸任 シシミ×ズニア 4/9:2009/01/28(水) 14:06:29 ID:gPEmFEi10
<4>
「えああッ?!」
ドルガバの服はクリーニングにしか出さないと決めているのに。やはり泣きそうな顔で同居人を睨むと、マイペースな
同居人は「これ食べる?」と言った体(てい)でかじりかけのスルメイカを俺に差し出してきた。
俺はもうそれこそ涙目で愕然とするしか出来なくて、それでも服は選ばないといけないから悩みに悩んだ末、高級レス
トランにも入れそうな真新しいカッターシャツにネクタイを締めて出掛けることにした。下にはドルガバのパンツを合
わせる。
そしてようやく家を出て駐輪場に着いた時、腕時計を忘れたことに気がついた。
しかし取りに帰る時間が勿体無いのでもうそのまま出発することにする。兄さんとの待ち合わせにどれだけ遅れるのか
確認する余裕もなく、とにかくバイクを発車させる。
途中兄さんから着信があって、路肩にバイクを止め慌てて電話に出ると、受話器からはのんびりとした兄さんの声が聞
こえてきた。
「おう、いまどの辺?」
「あっ、いま兄さんのマンションと俺んちの間ぐらいです……っ!」
「そうかあ、分かった。気ぃつけて来いよ」
兄さんはそれだけ言うとあっさりと電話を切ったのだが、俺は同居人への怒りが完全に帳消しになるぐらい、その声だけ
でうなぎ登りにテンションをあげた。
(もうすぐ会える……!)
兄さんの声は普通だったからそれ程遅れていないのかもしれない。それどころか"気ぃつけて"と気使ってくれる優しい兄
さん。嬉しくてどうしようもなく鼓動が高鳴る。胸が弾んで「フン」と興奮の鼻息を吐き出すと、俺は再びバイクを発車
させた。

それから五分ほどで兄さんのマンションに到着して、俺は駐輪場にバイクを停めると合い鍵を持って兄さんの部屋まで猛
ダッシュした。
(会ったらやっぱり真っ先に抱きつこうかいなあ)
そんな幸せな予感にウキウキとしつつ兄さんの部屋に到着して、呼び出すのも悪いから合い鍵で部屋に入る。
「兄さーん!」
しかし玄関の明かりが点いてない時点で、部屋に兄さんはいないということに気づいた。
(あれ?)
95芸任 シシミ×ズニア 5/9:2009/01/28(水) 14:07:56 ID:gPEmFEi10

<5>
そこで俺は「ちょっと待てよ」と自分自身に言い聞かせた。
(もしかして気付かんだけで玄関で待ってた……?)
よくよく考えたら二人で食事にいくのだから、下で待っていてもおかしくない。
もしそうだとしたら吹きさらしの中、深夜だというのにたった一人でかなりの時間待たせていることになる。
俺は若干焦りつつマンションの玄関へと行きよりも猛ダッシュで戻っていった。
(兄さーん……ッ?)
具体的な時間は確認してないけれど、もう結構な時間兄さんを待たせている筈だ。今度こそ会えるようにと念を送るように
兄さんの名を呼んでみたけれど、しかしその玄関にも兄さんはいなかった。

(あれ……?)

なぜいないのだろう。東京の夜の中、煌々とそびえ立つ高級マンションの玄関には、猫一匹すらいなかった。
俺はある予感に目眩を覚え始めていた。遅刻とかよりももっと深刻で、全然違う、別の予感。すごく胸騒ぎがして俺は一人焦
り出す。
(………もしかして、……………事故……?)
その瞬間サアアと全身から血の気が引いていくのが分かって、俺はいてもたってもいられず駐輪場に停めたバイクに跨りエン
ジンをかけ兄さんを探しに行くことにした。
俺の頭の中はもう頭から血を流して気を失った兄さんの妄想でいっぱいになっていた。なんでいきなりそんな突飛な発想にな
るのかと普通ならツッコまれてもおかしくないのかもしれないけれど、兄さんの場合は前科があるから洒落にならないのだ。
というか普段からも、兄さんがふいに姿を消したり、時には靴紐が切れただけとか、何か事ある度に嫌な予感がよぎってしまう
のは半ばもう俺の癖になりかけている。
96芸任 シシミ×ズニア 6/9:2009/01/28(水) 14:09:22 ID:gPEmFEi10

<6>
いつもの発作を収めるように、無事でいて下さい、と祈るように目を瞑って俺はバイクを発車させようとした、その時だった。
自慢のドルガバ製パンツの後ろポケットに入れた携帯が兄さん専用の着信音と共に震え出したから、俺はいっぱいいっぱいに
なりながらそれを取り出した。震える指で通話ボタンを押して、「無事ですか!?」とか言いたいことが沢山ありすぎてうま
く言葉に出来ないでいると、電話が通じるなり俺の第一声を待たず兄さんの怒号が飛ぶ。
「いまどこやッ!」
「えっ、あ、」
さっきとあまりのテンションの違いに俺はテンパってうまく言葉が紡げなかった。
元気過ぎる兄さんの声。とりあえず頭から血は流していないようだ。そして兄さんがめちゃくちゃ怒っている、ということだけ
はとにかく分かった。

「兄さんのマンションの、その……、げ、玄関にいます……!」
「そっち裏やろおがッ、俺おるのは正門の方やっ!どんだけ待たしとんと思とんねん!はよこっち来いやあッッ!」
「あっ!は、はい……ッ!」
元気どころか今なら殺しても死なないような勢いだった。もう俺はそれこそ限界までテンパって、泣きそうになりながらバイク
で正門へと急いだ。

そして、冒頭の「つ/つ/みィッッ!」に戻る。
とにかく会うなり、一通り兄さんが溜め込んでいた怒りを全てまくしたてられて、俺はしゅんと小さくなるしかなかった。抱き
つくどころの騒ぎじゃない。30分も待ってんねんぞとか、なんで小洒落たネクタイしとんねんとか、なんで車で飯食い行くの
にバイクで正門来んねんとか、とにかくすごい勢いだった。
97芸任 シシミ×ズニア 7/9:2009/01/28(水) 14:11:01 ID:gPEmFEi10

<7>
そして結局食事には行ったものの、兄さんの機嫌はめちゃくちゃ悪くて、俺と一言も口をきいてくれなくて、最悪な雰囲気のまま
食事を終えてまたマンションへと戻ってきた。

俺はもう「今日は無理やな」と考えてた。兄さんとかどうにかなるような甘い空気は一切ない。早めに退散するのがきっと一番い
いと思って、マンションに着くなり「ご馳走様でした」とだけ言ってバイクの停めてある駐輪場へと行こうとしたのだが。
車を降りようとした瞬間、一張羅のYシャツの裾を掴まれて。
驚いた俺が振り返ると、相変わらず不機嫌なままの兄さんが「今日はとことんお前をど突かんと気がすまんわ。部屋に寄っていけ」
と一言。
ああ、説教されるんやなと思ってしょぼんとうなだれながら兄さんの後をついていくと、兄さんは部屋に入ってすぐソファーにドカ
ッと腰をかけて、「エアコン。テレビ。電気。」と言った。

「は、はい」
言われるまま部屋の明かりをつけ、テレビをつけ、エアコンを稼働させる。
言いつけを終えてちらっと上目使いで兄さんを見上げると、フンと怖い顔で俺を見下す兄さん。どうするか考えあぐねているようだ。
「お前には……お仕置きが必要やな」
「お、お仕置きっすか……」
ソファーで持て余すように長い足を組む兄さんのその言葉の続きを、俺は床に正座した状態で恐る恐る待つことにした。
「そうやなあ……」
兄さんはジャックナイフ時代を思わせる怖〜い顔で視線を泳がせて何やら思案する。
「とりあえず……その小洒落たネクタイで、俺を縛ってもらおうか」
「えっ!?」
このドルガバのネクタイで兄さんを縛る。ツッコミどころが多いその言葉に、俺は一瞬どう反応していいか分からなかった。俺は芸人
のクセに反射神経が悪い。だから「お前はダメやねん」と言われてしまうのだろうか。
とりあえず数秒の間にものすごく頭をフル回転させて、一番兄さんの逆鱗に触れないような言葉を探した。
98芸任 シシミ×ズニア 8/9:2009/01/28(水) 14:12:22 ID:gPEmFEi10
<8>
「あ、の……、縛れば、いいんですね」
兄さんは自らの顎をクイと動かして「そうや」という反応を示す。
「ど、どこを………」
そう言った瞬間兄さんの左眉がピクリと上がって、それはそれは低い声でこう言った。
「ネクタイで亀甲縛り出来るかあ…?縛れるっつったらせいぜい手首ぐらいやろ……」
「あ、て、手首ですね」
俺は自分のつけていたネクタイを解くと、「失礼します」と言って後ろ手に兄さんの両手首を縛った。縛るのは特技なのでなんら問題なく
出来るのだが、ドルガバのネクタイは皺だらけになっていた。この地味なダメージが"お仕置き"なんだろうかなんて考えてしまう。

縛り終えると次に兄さんは「乳首舐めろや」と言ってきた。俺にとっては嬉しいだけでお仕置きでもなんでもないけど、兄さんが怖いので
言われるがまま俺は兄さんの乳首を舐めることにした。
兄さんの着ている黒のスウェットを裾から捲りあげて白い肌を露わにすると、小さな突起にそろそろと舌を這わす。左胸の乳首を吸ったり
舌で転がしたりすると、やがて兄さんの口から甘い吐息が零れ始めた。兄さんが小さく身悶えするからそれに合わせて上質なソファーが衣
擦れの音を出す。
「ふぅ……っ、……ん」
兄さんの前髪が揺れて俺はそれを上目使いで見つめる。すごくエロいから俺の股関はすぐに元気になってしまって、パンツのチャックを下
ろして前を緩めようと思ったのに、俺がそこに手を這わした瞬間、兄さんはピシャリと「ダメや」と言い捨てた。
その剣幕に驚いて俺は強めに乳首を噛んでしまい、どちらかというと痛いのも好きな兄さんは悦びの声をあげて肩をビクンと跳ね上げる。
「あァ……ッ!」
99芸任 シシミ×ズニア 9/9:2009/01/28(水) 14:13:46 ID:gPEmFEi10
<9>
俺は仕方なくそのまま乳首を舐め続けることにした。とにかく股関に触るのはNGらしい。なんとなく、"お仕置き"の意味が分かってきた
ような気がする。
両胸が俺の唾液でぐっちょり濡れそぼった頃、今度は兄さんは「しゃぶれ」と言い出した。俺は従順に兄さんのいきり立ったものをズボン
から取り出し、思い切りよく口に含む。完全に勃起していたソレは俺の口内には全部入りきらず、とにかく亀頭と茎は別々に愛撫するしか
なかった。
俺の股関も限界まで張り詰めていて、下手すると先走りがパンツにまで染み込んでいるかもしれないと思った。自慢のドルガバ製パンツが
我慢汁で汚れるというのも、地味にダメージが大きい。
頑張って奉仕しているとやがて兄さんの声は益々大きくなって、ほどなくして俺の口の中で果てた。俺は迷うことなく兄さんの放ったもの
を綺麗に全て飲み干す。溜まっていたのかかなり濃い味だったけれど、それだけオナニーも浮気もしてないってことなので俺からしたら嬉
しいことだ。
兄さんは暫く息を荒くしていたけれど、一度ハアと大きく息をついて上下する肩を落ち着かせ、そして未だ中腰で兄さんを見上げていた俺
を見ると、「お仕置き終わり」と言ってニヤリと笑った。
そして続けてトドメとばかりに「帰れ」と一言。

「えっ!!」
その時の俺の声は本当に情けなかった。子犬が腹を蹴られたような、可哀想な声。
「か、帰れって……」
ぷるぷる震える俺を見て、兄さんはとても上機嫌だ。
「おう、お仕置き終わったんやから帰れ。あ、これは解いていけよ」
そう言って手首を俺に見せつける。

俺は半泣きで兄さんのネクタイを解いて、唇を噛みながらも「帰れ」コールをする兄さんに一礼して兄さんのマンションを後にするしかな
かった。



我慢出来ずにマンションの駐輪場でオナニーしてしまったのは兄さんには内緒の話。
100芸任 シシミ×ズニア:2009/01/28(水) 14:15:47 ID:gPEmFEi10

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

なんかズニアがSっぽくなってしまったけどヘタレなシシミが書けて満足です。
ここまでお付き合いありがとうございました!
お笑いゲイニソのイケメン(かのえいこう)×チャラ男(K)ですが、
赤カーペットのコラボ企画で彼らが演じたコントのシチュエーションで
「自称イケメン芸人と彼に絡んでくるチャラい素人」
という架空の設定上の二人の話です。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ <イケメン視点でカップリング要素は薄いです
やあ、僕イケメン。多忙な毎日を送る僕だけど、なんと今日はオフなんだ。
貴重な休日とくればやっぱり自宅でのんびりと疲れを癒したいところ。
だからさ、こんなとこにいるのはおかしいんだよ。こんな、渋谷のど真ん中なんかに。
「ちょ、あれイケメンじゃね?」
ああ、さっきから道行く若者が朴を見ては瞳を輝かせ写メを撮る。
え、何? 僕のギャグが見たい? まったくしょうがないな。
まあここはリクエストにお応えして、ラーメンつけ麺ボク……って見てないじゃないか!
いい加減にしてくれよ君達!

そもそも何故こんな思いまでして僕が渋谷にいるのかというと、とある男を捜してるからだ。
いつだったかこの通りで会って、この僕を散々振り回した、忌々しいチャラ男。
あいつに一言、文句を言いたい。芸人やってる以上は変な奴に絡まれることも少なくないし、
絡まれてもいちいち覚えてられないぐらい僕もそういうのには慣れちゃってるけど、
あのひょろ長いチャラ男だけは何故か未だに忘れられない。
思い出すたびに、何かこう、胸が熱くなる。これは怒りだ。
もう何週間も経ってるってのに未だ冷めやらぬほどの激しい怒りなんだ。
これはもう、再び奴と会って直接文句を言わなきゃ収まらない気がする。

それにしても、ここらでたむろしてるチャラ男はどいつもこいつもそっくりで紛らわしい。
さっきから何度騙されたことか。中には男か女かすらわかんない奴までいるじゃないか!
邪魔だよ全く! あいつが見つからないじゃないか!
ああもう、雨まで降り出した。天気予報はそんなこと言ってなかったはずだぞ。
くそ、どうするかな……冷静に考えれば、一回会ったきりの奴をこんな風に
あてもなく捜したところで見つかるわけがないんだよな。でも他に目ぼしい場所もない。
いいや、どうせ今日はもう一日を棒に振る覚悟で来てるんだ。
とりあえずどっかで適当に雨宿りでもしながら、作戦を練ろう。
「うーわヤベ、マジ雨ザイルなんだけどこれ!」
うわ、何か変な奴が来たっぽい。走ってきて僕の横に来るなり盛大な独り言だ。
なんだよ雨ザイルって…………ん、あれ? ちょっと待って今の声。もしかして──
「……あれ?」
「あ」
「あっれーもしかしてエイコーじゃね? エイコーだよね! エイコー、チュリッス!」
──あ、ああああ! いた! いたよ! すごい、本当に会えた!
何、何だこの展開? これ、これってもう、もはや運命……!
あ、いや、落ち着け。落ち着け僕。ここで会ったが百年目、イケメンらしくスマートに苦情だ。
「や、やあ……久し振りだね」
「お久しブリトニー! あれ、でもフツーに初対面じゃね? 俺ら」
なっ!? あ、会ったことを忘れてるっていうのか!?
普通、芸能人と会ったらそうそう忘れたりしなくないか!?
ああ、ダメだダメだ。こんなところで取り乱したら色々と台無しだ。落ち着け僕。
「37日前の午後にここで会ったことがあるだろう」
「37ぁ? ちょ、エイコー細か過ぎんべ! どんだけカレンダーだよマジウケんだけど!」
……ああまただ、またその顔で笑うか。心底楽しそうな顔で。僕にとってはそれがとても苛立たしい。
だってほら、現に心臓がばくばく跳ねて暴れてるし、顔も熱い。ものすごく熱い。
「あれ、なんかエイコー顔赤いけどやばくね? インフルってんじゃね?」
インフルってたら家で寝てるよ馬鹿。これは怒りで赤……赤いのか? 僕の顔。
まあいいや、とにかく挨拶も済んだしあとは本題に入るのみ。さあ、思いの丈をぶつけろ僕!
「実は、もう一度君に会いたくてね」
あれ、何かニュアンス違うような気がするな、これ。
「へー」
お前はお前で『へー』って! 他にもっとあるだろうリアクションが! 興味無いのか僕に!
くそ、でも取り乱すな。平常心だ。平常心を保つんだ。
「君と会って以来、僕は君を思い出すたびに胸g」
「あ、ごめんエイコー、それもしかして長くなる系の話?」
「途中で割り込むなよ!」
「だからゴメンつったじゃん。でさぁ、もし長くなんならサイゼリア行かね?」
「は? サイゼリア?」
「俺今すんげー腹減りMAXでさあ、このまんま長トークすんのぶっちゃけダルビッシュ」
「あ。ああ」
「だっからさあ、メシ食いながらゆっくり話せば一石二鳥じゃね? ドリンクバー奢るし」
「……」
前も言ったけど、ファンとそんな食事とかできるわけないだろ? 学習能力無いのか?
……でもまあ、うん、今回は僕の言いたいことまだ言ってないし、
空腹のせいで聞き流されたら意味無いし、だからまあ、うん、しょうがないね。
2人で食事するのも今回に限っては止むを得ない。
しょうがない。しょうがないなあ。しょうがないんだよ。
「しょうがないな……僕としては気が進まないけど君がそこまで言うn」
「おっしゃそんじゃ行こうぜ! エイコーはグラスに氷入れまくっちゃう派?」
「だから話をk」
「やーべマジこれ雨ザイルぱねー! 急ごうぜエイコー!」
だから雨ザイルって何だ、ってそれより手を! 手を引っ張るんじゃない!
何か手をつないでるみたいで僕の心臓がえらいことになってるじゃないか!
誤解するなよ、これは怒りだぞ! 怒りなんだぞ!
「ああ!」
「な、なんだ」
「ちょ、俺今すっげ思い出し……なに二やついてんの?」
「ばっ、ににニヤついてなんかない! 馬鹿か君は! それより何を思い出したか言えよ!」
「あーそうそう、俺らマジ会ったことあんねそういや」
「え、」
思い出したのか? やっぱり、僕とのことは心の中にちゃんと残ってたんだな?
忘れられなかったのは僕だけじゃなかったんだな?
「あれっしょー、あの、エイコーがラーメンつけ麺ぼくラーメーンて電話でやってくれた時」
「だからイケメンが消えてるだろそれじゃあ! でもそう、その時だよ!」
「だーよね! 今すっげ腹鳴ってさーその瞬間こうバシーンきて思い出した」
何でそのタイミングで思い出すんだよ。本当にどこをとってもわけがわからないなこの男は。
「つっても、エイコーみたく37日前とかまではわかんねんだけど!」
「──……」
……何なんだ。何でそんな、さっきも今も楽しそうに笑うんだ。
何で僕、こんなわけのわからないチャラ男なんかの笑顔を、かわいいとか思っちゃったんだ。
おかしい、おかしいだろこんなの。何なんだ。何なんだよ本当に。
「俺いっつもテレビでエイコー見てっから、実際会ったこととか逆にわかんなくなってたー」
ああ、くそ、顔が熱い。繋いじゃってる手も熱い。僕としたことが手汗かいてるじゃないか。
何だこのドキドキする感じ。なんでチャラ男相手にこんな感じになってるんだ僕は。
──そういえば名前、知らない。聞かなきゃ、なんて名前なのか。
だって名前知らなきゃ話の最中も締まんないし。
別に僕が知りたいわけじゃない。必要があるから聞くだけだ。
いつ聞こう。サイゼリア入ってからでいいか。
席着いて、注文してからにしよう。もう目の前だし、店。
ああでも、着いたらこの手も離さなきゃならないんだよな……そっか。
……ああくそ、本当にもう、何なんだこの感じ。




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
107風と木の名無しさん:2009/01/28(水) 20:08:14 ID:MtiPOq9I0
>>101->>106
コラボしてから、結構気になってた二人なので、
めちゃくちゃ萌えましたw
108風と木の名無しさん:2009/01/28(水) 20:20:49 ID:tINE/ntTO
>>90
姐さん超GJ!全裸で待ってた甲斐があった!
ヘタレシシミの可愛さとズニアのエロさにやられますた

>>101姐さんもGJ!イケメン可愛いよイケメン
109風と木の名無しさん:2009/01/28(水) 20:45:39 ID:CkYbPx5z0
>>101
萌えたGJ!
チャラ男の台詞上手すぎ吹いたw
110闇騎士 道化→→→蝙蝠(3/0):2009/01/28(水) 21:23:30 ID:9B45lQU/0
映画闇騎士より、一方通行な道化

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  多少のオリジ設定だってさ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  って言っても映画に無かっただけだけどね
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
111闇騎士 道化→→→蝙蝠(1/3):2009/01/28(水) 21:25:01 ID:9B45lQU/0
ごめん、上のルビ振り間違えたorz


「遊びは終わりだJoker」
夜の帳が下りたゴッ寒シティ。
誰も寄り付かない様な廃墟と化したビルの中で、Batmanが言った。
侮蔑を孕んだ言葉と冷ややかな視線を受けたJokerは、つまらなそうにその男を見上げ、その後おもむろに地面に転がった。
「あーあ、捕まっちまった。」
気を落とした様に言いながらも、Jokerの顔には不気味な笑みが張り付いている。
いつもながら到底理解できない奴だと、Batmanは目の前の敵を苦々しげに見下ろした。
「…これに懲りたら二度とアーカムから出てこない事だ。」
まるで“お前と同じ空気など吸いたくもない”とでも言わんばかりに吐き出された言葉もJokerにとっては嬉しいらしい。
「なぁBatsy、アンタも一緒に来いよ。俺とお似合いだと思わないか?」
自分に熱い視線を送りながら、女に告げるような台詞を飄々と言ってのけるJokerに、Batmanは苦虫を噛み潰した様な顔をした。
「入るのはお前だけだ」
「釣れねぇなァー、…俺がアンタの事どれだけ好きか、分かってないだろう?」
“好き”…Jokerと対峙した日には必ず言われ聞き飽きた言葉に、Batmanは重い溜息を吐いた。
自分をからかう為の冗談なのか…果たして本気なのか。
どちらにせよ男に、ましてや自分の憎むべき敵に言われても全く嬉しくない。
「馬鹿も休み休み言え」
捨て台詞を残し、その場を後にしようと背を向けたBatmanにJokerが言う。
112闇騎士 道化→→→蝙蝠(2/3):2009/01/28(水) 21:25:52 ID:9B45lQU/0
「――なぁBatsy、どうしてアンタは俺を受け入れない?そんなに俺が嫌いか?」
その言葉にBatmanが足を止めれば、Jokerは続ける。
「まぁ嫌われても当然か。でもなぁ、俺が…」
そこで一旦言葉を切ったKokerを不審に思ってBatmanが振り向けば、彼はいつの間にか起き上って座り込んでいた。
不愉快なメイクの施されたその顔から、いつもの笑みが消えている。
鋭い眼光を宿した視線で真っ直ぐに見据えられ、Batmanは妙な感覚に襲われた。
「もし俺がイカれた犯罪者じゃなく、例えばアンタみたいなヒーローとか、デントみたいな検事とか、無能な警察とかだったとしたら、
アンタは俺を今よりもっと見てくれた?…アンタは俺を好きになったか?」
酷く真面目な質問を投げかけられ、Batmanは不本意ながらも考え込んだ。
「…無いだろうな」
ボソリと吐き捨てる様に告げれば、Jokerは一転して嬉しそうに眼を輝かせた。
「だろう?俺がBatmanとしてのアンタしか興味ない様に、アンタも犯罪界の道化師王子なんて呼ばれてる俺にしか興味ないんだよ」
Jokerは立ち上がると、真っ赤な唇にいつもの笑みを湛えながらBatmanへと歩み寄った。
「俺がアーカムへ送られる車を見送ってる時、アンタはどう思う?俺が街で暴れていない夜はどうだ?」
“街が平和で結構だ”…そう言おうとしたが、何故か言葉が喉に詰ったかの様に出てこない。
それを良い事に、Jokerはさらに話を続けた。
「俺がアーカムから脱獄したってニュースを聞いた時は?路地裏で俺の背中を見つけた時、アンタはどう思う?」
“厄介物が増えた”…まるで鉛が喉に流し込まれたかの様に重い。
言いたい言葉が滞り、そのもどかしさにBatmanは眉間の皺を深くする。
113闇騎士 道化→→→蝙蝠(3/3):2009/01/28(水) 21:26:52 ID:9B45lQU/0
「アンタは多分、俺と同じ気持ちだと思うぜ?…“寂しい”“やっと会えた”ってな。」
縛られて自由にならない腕を余所に、JokerはBatmanの顔を下から覗き込んだ。
Batmanは痛い程にその視線を感じつつ、鈍い体を動かしやっとの事でJokerを突き飛ばした。
仰向けに倒れこんだJokerは、さも愉快そうに笑い声を上げた。
独特の動作で唇を舐め、首だけを起こしてBatmanを顧みる。
「好い加減、好きって認めろよ。」
「嫌いに決まっている。」
自分との距離を置きつつ答えるBatmanに「強情だなァ」と返しつつも、Jokerに起き上がる気配はない。
そろそろ本格的に襲ってきた頭痛に眉を顰めながらも、遠くにパトカーのサイレンを聞きとめたBatmanはマントを翻した。
立ち去ってゆく後姿を見送りながら、Jokerは満足そうに眼を細めた。
「…何時か絶対に、気付かせてやるからな。」
・・・
縄で縛られたJokerが警官に促され、パトカーに乗り込んでアーカムへと続く道を送られてゆく様を、
Batmanはビルの頂上から見送っていた。
だんだんと小さくなってゆく車…次に奴がアーカムから逃げ出してくるのは何時になるだろう。
『好い加減、好きって認めろよ。』
ふと脳裏を彼の声が掠めて、Batmanは目を閉じて僅かに首を振った。
「…大嫌いだ。」
その声を掻き消す様に再度否定してみても、響いた自分の声に虚しさを覚えて、Batmanは今夜何度目かも分からない溜息を吐いた。
114闇騎士 道化→→→蝙蝠(4/3):2009/01/28(水) 21:28:35 ID:9B45lQU/0
終わり
初めてだったんで緊張した、とりあえずごめん
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お疲れ様でした
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
115風と木の名無しさん:2009/01/28(水) 21:45:34 ID:jBnyCc4w0
道化→蝙蝠キタ━━━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)━━━!!!!
ナイス…!ナイスツンデレ…!
いや断じて自分の気持ちを無視する蝙蝠があまりにも萌えすぎる
ほんとうにありがとうございました
116風と木の名無しさん:2009/01/28(水) 22:17:30 ID:tW/oreWtO
>>101
禿萌えた。姐さんマジGJ!GJ!チャラ男のセリフ本当にウマスw
二人の会話が、イケメソとチャラ男の声でナチュラルに脳内再生されたよ
117風と木の名無しさん:2009/01/28(水) 22:44:43 ID:58Y6RhvSO
>>110
自分の想いを、
相手がどう思おうと言いまくる道化が素敵すぎますw
118風と木の名無しさん:2009/01/28(水) 23:04:53 ID:g8SLz9WeO
遅レスすまん


>>90
GJ!楽しみにしてました!へたれシシミに萌えたw乙

>>101
新感覚で萌えました!デレた栄光かわええ
GJです!
119428印刷×記者ネタバレ有1/3:2009/01/28(水) 23:31:00 ID:jqJSGTB5O
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )微妙に伏せた。萌え吐き出させてください。
「徹夜で疲れた男の性器は勃起することがある、これ、社会の常識」
「やかましいっ!なんの嫌がらせだこれはっ!」
嫌がらせのつもりなど肩山にはない。
そんなこともわからないのか、と実川を見やる。
ここは肩山の会社のトイレの個室だ。肩山は実川を抱き締めている。
なぜこんなことになったのかと言えば−−。

事件解決後、原稿があがるのをぎりぎりまで待ち、残業。
陽が昇る頃にようやく仕事が終わり帰ろうとしたら声をかけられた。
「終わったのか!」と、実川が笑顔で廊下に立っていたのだ。
KOKにやられた怪我、血がそこかしこにこびりいている服もそのままで、だ。
「……なんでここにいるんですか?」
聞きながら予想はついていた。
「俺が実川だからだ!」理由になってない。
「まさか私の仕事が終わるのを待っていたんじゃないでしょうね?」
「だったらどうだって言うんだ?」
やっぱり。自分が時間ぎりぎりまで締切を延ばしてやったことに恩義を感じでもしているんだろう。そして誠意を見せるためにここで待っていたわけだ。さっさと帰って眠ればいいのに。
120428印刷×記者ネタバレ有2/3:2009/01/28(水) 23:34:08 ID:jqJSGTB5O
「悪かったな、こんな時間まで。世話になった!」
びしい、と指をつきつけられる。
実川は奇行や理解不能な言葉を繰り返すが
きちんと謝ることも礼を言うこともできる男なのだ。
出会ったばかりの肩山にもすでにそれはわかっている。
「別に。自分の仕事をしたまでです」
「つまらん男だな!よくやったと言ってやってるのに!」
実川が肩山の頭に手を伸ばしてくる。
あの女の子のライターにしたようにくしゃくしゃと髪をかき回される。
その瞬間、体を一本の槍で貫かれたような気がした。
締切をのばしてやったこと、めちゃくちゃな取材を見過ごしてやったこと、
元上司を恫喝する様に血の気の多い奴だと呆れつつも胸が熱くなったこと−−
すべて、その社会の常識から外れたすべてを自分が受け入れたのはつまり、その。
「ど、どうした?怖い顔して。冗談がすぎたか?」
こいつに恋してしまったからだ。
恋する相手には寛大になる、これ、社会の常識−−−−。
「おい。って、おいぃぃぃ!」
そんなわけで気付いたら実川の手を引いて、個室まで強引に連れてきたあげく、抱き締めてしまった。
恋する男は暴走する。これ、社会の常識。
「なんのつもりだっ!……おい、なんかあたってるぞ!?なんでそんなことになってる!?」
正直に言うのは少し気が引ける。
そんなわけで冒頭に戻るわけだ。
121428印刷×記者ネタバレ有3/3:2009/01/28(水) 23:36:36 ID:jqJSGTB5O
「なにをそんなに嫌がることがあるんです」
「全部嫌だ!離せ、変態!」
「それは裏腹な乙女心ですか?」
「受け入れたい受け入れらんない。だって軽いと思われちゃう。
伝えたい伝えらんない。だって勇気がないんだもん……ってあほかあああっ!
俺は!本気で!嫌だ!告発するぞお前!」
「なるほど、記事のタイトルは『嫌だと言いつつぬるぬるになっちゃった、
新しい自分と出会う、体は正直な初体験』というところですか」
「んなわけあるかーっ!……ん、んんん!?」
とりあえずキスをした。舌をからめると煙草−−ジタンか?−−の味がした。
「お、い、バカ、や、めろ!なんかしたんなら謝るから!!
おい!おい!寄るな触るなまさぐるな!ぎゃあ!なんだそのでかいの!
……アッーー!」

その後、たまたま実川を目撃した千晶によると、
「あんな死んだ目をしたミノさん、初めて見ました……」
とのことだった。

〜バッドエンド428〜肩山の暴走

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )最初は真面目にやるつもりだったのに
122風と木の名無しさん:2009/01/29(木) 01:45:55 ID:lZznwHv40
>>56-61
なんというエロさ…!!!
余裕のある大人な牙ットかっこいいよ牙ット
嫉妬したり翻弄されたりするシ度かわいいよシ度
人外×人間が好きな自分にはたまらんものがありました、GJ!
123風と木の名無しさん:2009/01/29(木) 02:13:53 ID:UrKib2fL0
>>90
ごちでした。幸せな気持ちになれたよありがとう
124棗フレンドノート 棗×菜鳥 :2009/01/29(木) 13:01:02 ID:y4Stp/aw0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  参りました 投下しに参りました
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  棗攻だけど完全にリードされてるよ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ニャンニャン
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
125棗×菜鳥1/4:2009/01/29(木) 13:01:57 ID:y4Stp/aw0
「ほら、夏目、妖怪たちが見てる」
「…っ」
「あれ、大きくなったね」

悪戯が成功したかのような顔で名取が覗き込んできた。
もはや名取のいう妖怪の存在を確かめる余裕などないけれど。
半ば押し倒されるような形で自分のモノを名取の中に納められてしまった一部始終を
好奇心旺盛な妖怪達にみられていたと考えると――
羞恥と罪悪感と快楽でぞくりと体中を走った震えが官能を刺激した。
頭に靄がかかった様な不思議な感覚に戸惑っていると、追い討ちをかけるように耳元で囁く声がした。

「夏目は観客がいた方が燃えるタイプかな」
「…違い、ます…!」
「うそつき。我慢していないで突いてごらん?」

直接的な言葉に全身がカッと熱くなるのを感じた。
細い糸一本で繋がっていたような最後の躊躇いが、あっけなく消え去る。
頑なに動かさないでいた腰を恐る恐る揺り動かす。
未知の感覚に踏みこむ怖さと期待を隠すため、縋るように唇を重ねた。
舌で撫でるように口内を探る。
始めこそ夏目を煽る為か激しい口付けを積極的に仕掛けてきた名取だが、
今は穏やかな夏目の舌の動きを受け入れ味わっているようだった。
126棗×菜鳥2/4:2009/01/29(木) 13:02:50 ID:y4Stp/aw0
赤みを増した唇を指でなぞる。そのまま顎、首、鎖骨と人差し指を滑らせていく。
今触れているのは、俳優だからと簡単に納得できるような安っぽい美しさではない。
夏目だけに向けられている名取の妖しげな色香が、下腹に熱を帯びさせる。

「…名取さん…」
「……ん?」

感極まって零れ落ちた名前にも、優しく答えてみせる余裕が悔しい。
ふと、飄々と名取の裸体の上を滑っていくヤモリの妖怪を視界の端にとらえた。
後を追うように手を動かすと、小さな尖りに触れる。
ぴくりと名取の体が震えた。ここが感じるのだろうか。
下から上へ捏ね上げる。円を描くように人差し指で擦る。
きゅっと摘むと、夏目へと注がれていた名取の視線が逸らされた。
ほんの少し眉が寄せられている。
体を少し折り曲げて、今度は舌で舐めあげた。
同時に先ほどとは違った角度で猛ったものを進ませる。
擦るように小刻みに動かしながら、乳首に優しく歯をたてた。

「ん、ああ……なつ、め」

いつも淡々と夏目を呼ぶ綺麗な声。思いがけず零れたそれが今は快楽に溢れ掠れている。
強請るように胸が更に押し付けられ、夏目のモノがきゅうっと強く締め付けられた。
127棗×菜鳥3/4:2009/01/29(木) 13:03:24 ID:y4Stp/aw0
「え?……っ、あ!」

やばいやばいやばい。そう思った時にはもう遅かった。
どくどくと早くなる鼓動。頭の中には先刻の名取の喘ぎ声が幾度も繰り返し流れる。
息苦しくて呼吸がうまくいかない。
無意識のうちに奥へ腰を打ち付けていた。
中のモノが大きく質量を増し、カリがぐんと反り返っていく。
抑えきれない心地よさにぎゅっと目を閉じると、中でびゅくびゅくと熱いものが飛び出した。

「…名取さ、…っ」

全身の力が抜けて名取の首元に顔をうずめる。じわじわと顔に熱が集まっていくのが分かった。
一人でいってしまった。猛烈に恥ずかしい。

「………すみません」
「はは、いいよ」

くしゃりと髪を撫でられる。どこまでも優しい手に、泣きそうになった。
勿論羞恥の二乗になるから、本当に泣いたりはしないけれど。
二人で温泉に行ったときに、夢を見て涙を流してしまって、とても恥ずかしかったのを思い出す。
思えばあの時にも、二人で布団を並べて夜を過ごした。
あの時と同じようで全く違う状況が、なんだかくすぐったかった。
128棗×菜鳥4/4:2009/01/29(木) 13:03:56 ID:y4Stp/aw0
「…疲れたかな、風呂にでもいく?」
「え、あの」

静かな名取の声に少しうろたえる。初めてだからと気を使わせてしまったのか、
恥ずかしさに顔を伏せたまま考えに耽っていて誤解をさせてしまったか。
そうはいっても、名取さんはまだ達していない。
腹に当たっているものへ意識を向けると、やっと落ち着いた鼓動がまた音を立て始めた。
名取の勃ち上がったものがほんの少しぬめりを帯びている。
自分のことに精一杯できちんと触れることはしてあげられなかったのに。
質問の答えには答えずに手でそっと名取のものを包む。
濡れた先端を親指でさすりながら、全体を上下にゆすってみる。

「―――あ」

驚いたように目を見張った名取が気持ちよさそうに吐息を漏らす。
まだ名取の中に入ったままのものが再び首をもたげるのを感じながら、夏目は軽く口付けを落した。
中に出したものがくちゅりと卑猥な音をたてるのを聞こえた。

「すみません、次は…がんばりますから。もういちど」
「…光栄だよ」

微かに朱がさした頬と優しい笑顔が向けられた。上唇を舐められる。
今度は一緒に気持ちよくなりたい。この人と一緒に。

どれほど近くにいても壁があるように感じていた名取が、今はこんなに傍にいる。
体を重ねることで想いを伝え合える。抑えきれなくなった気持ちが湧き出てくる。
あいも変わらず言葉で伝えるのは得意ではないけれど、
今は、触れ合った肌から伝わっていく体温が、そして心音が、想いを届けてくれているような気がする。
心が満たされていくのを感じながら、夏目はぎゅっと名取を抱き寄せた。
129棗×菜鳥:2009/01/29(木) 13:04:37 ID:y4Stp/aw0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 以上、お粗末さまでした。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 菜鳥にとっては相当の焦らしプレイです
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
130学怖 風×荒 1/9:2009/01/29(木) 13:55:44 ID:4kGsETRA0
SFCソフト『学/校であった怖い話言舌』 風間×荒井
元作品の特性上若干のぬるいグロ表現有りなので
申し訳ございません、少しでも苦手な方はすっ飛ばして
頂けるとありがたいです

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!





 昼間の喧騒を忘れた真夜中の学校というものは、薄気味が悪いものだ。

 身体の前で組んだ両手に確かな重さを落とす小さな鉄の塊をぎゅっと構え直し、男はきょろきょろと
左右を見回すと周りに誰もいないことを確認してから月明かりが落ちる長い渡り廊下に脚を
踏み出した。
 蒼い月光の下、長い漆黒が足元から映し出される。
 すらりと伸びたその自分自身の綺麗なシルエットに小さく舌打ちを落とした。
 何て事してくれちゃってるの、こう長い影を落とされてしまったら上階にいる奴らに自分の位置が
分かりやすくなってしまうじゃないか、と。
131学怖 風×荒 2/9:2009/01/29(木) 13:57:40 ID:4kGsETRA0
 懐中電灯も持たずわざわざ暗がりを移動しているというのに、月って奴はちっともそこらへんお構い
無しに僕の努力を台無しにしてくれる。まったく嫌になるね、でもそういった綺麗なのに扱いづらいって
所はキライじゃないけれども。
ぶつぶつと呟きながら取り敢えずはさっさと移動してしまおうと月明かりに照らされた長い渡り廊下を
一気に駆け抜けた。
 長身をやや猫背気味に倒して走る男の名前は風間望。3年生の間ではいい意味でも悪い意味
でも有名人の一人だ。甘いルックスとスマートな振舞いは彼の周りの女生徒を悉く虜にして、ナルシスト
且つ電波な発言は彼の周りの男子生徒を例外なくドン引きさせる。
 いつだって飄々とした態度を崩さず適当に面白可笑しく生きているような男の、真夜中の学校で
だけあらわれるもう一つの顔を知っているのは同じ秘密を共有する六人の生徒だけ。

「まぁ、僕は他の奴らみたいに最後に仕留められなくても、適当に得物の怯える顔見られれば満足
なんだけどねぇ・・・」
 止めを刺すのは楽しいけれども、返り血が制服につくのは後々面倒臭いから。独り言のようにぽつり、
と呟き今この瞬間も校内のどこかを逃げ回っている獲物の姿を思い浮かべ舌なめずりをした。
 同じ秘密を共有する者達といっても、己達の間に仲間意識など最初から存在しない。
 むしろ、部活動と称する狩りを楽しむ時には、互いの存在が邪魔に思えることすらあるのだから可笑
しな関係だとつくづく思う。狩場は、広い校内。そして獲物は同じ学校の、生徒。つまり人間。
 殺人クラブという何の捻りもない安易な呼び名で括られた、その歪な集団を束ねる男は今頃どこ
で高見の見物を決め込んでいるのやら。自分にも、他の面子の誰にも腹の内を読ませないその男
を筆頭に今この校内で息を潜め蠢いているのは頭のイカれた奴らばかりだ。

 勿論、認めたくはないけれどおそらくこの僕も。
132学怖 風×荒 3/9:2009/01/29(木) 13:59:19 ID:4kGsETRA0
 人を殺める理由も、それぞれ一様に違っている。
 理解し難い持論で愛する者を殺し永遠に自分の手から逃がさない事を望む女、トモダチ欲しさに
生きているものと死体の境界線すら崩してしまった哀れな男、・・・もっとも殺人よりも獲物と戦うこと
に重きを置いた、命を懸けた真剣勝負そのものに興奮するスポーツ馬鹿も中にはいるけれども。
 金属バットで獲物の脳天を叩き割った後で、生命活動を止めた残骸にはまるっきり興味を失って
しまう同級生の男を思い浮かべ苦笑した。そう、狩を楽しむ為にはこの残酷な仲間達よりも先に獲物
を探しじっくりと甚振らなければならない。有能なハンター達を出し抜き自分が獲物の生殺与奪権を
得ることが大切なのだ。

 ずっと耳を澄ませてはいるけれども、さっきから獲物の悲鳴は一度も聞こえてこない。まだどこかを
ふらふらと彷徨いながら逃げ惑っているか、それとも狭い場所に隠れてがくがくとみっともなく震えて
いるのか。どちらだとしても、すぐにこの天使のような僕が哀れな君に永遠の安らぎを与えてあげる
から安心したまえ、ただその前に少しだけ痛い思いをしてもらうかもしれないけれども。
 でも僕は紳士的で優しい男だからね、同じクラブに所属する一つ年下のあの厄介者に見つかる
よりどれだけ安楽な死に臨めることか。二年生の荒井昭二、あの男はいけない。陰気で糞生意気で
残酷で。何しろ獲物に対して抱いているのは純粋な死に対する知的好奇心を満たしたいという欲求
だけだ。
慈悲の心なんかどこにもありやしないから冷淡に、幾ら獲物が泣いて命乞いをしても少しの手加減
も無しに「実験」を遂行する。この間の実験は、確か「目を刳り貫かれた上に止血を施された人間が
どの程度存命していられるか」、だったかな。まったく綺麗な顔して随分とイイご趣味をお持ちなものだ。
 薄笑いを浮かべながら話していた彼の横顔に、流石の僕もその時は少しばかり背筋が寒くなった。
 他の六人が獲物に残酷な死を与える死神だとするならば、僕だけは獲物に安らかな死を与え
この世の苦痛から開放してあげる事が出来る天使なのだ。だから他の誰よりも先に獲物を見つけて
あげなければならない。
133学怖 風×荒 4/9:2009/01/29(木) 14:01:33 ID:4kGsETRA0
 愛用の銃をしっかりと握り、誰にも見つからず渡り廊下を越した僕はそこで目にしたものに思わず
立ち止まり、ぁ、とも、ぉ、ともつかない上擦った声をあげてしまった。
 階段の影に隠れるように蹲っている小さな黒い塊。はじめは”獲物”かと思ったそれは、自分が
引き摺った黒い血の跡ごと身体を折り畳むように項垂れていた。
しかしそれが今夜の標的などではなく、たった今自分が脳裏に思い浮かべていた人そのもので
あることにひどく驚かされた。
「荒井・・・君?」
 訝しげに名を呼ぶ己に、黒い影は緩慢な動作で頭を擡げそして自分の前に立つのが僕だと
認識すると気丈にも口唇の端で笑って見せた。
「あぁ・・・あなたですか」
 普段と何も変わりない棘を含んだ物言いにこちらも苦笑いを浮かべた。どうしたの君、腹から
そんなに血を流して悠長にしていたら死んじゃうよ?そう暢気に言葉を続ける僕に、彼は鼻で笑うと、
そうかもしれませんねと小さく呟いた。

 さてさて、これは予想外の事態だ。

 狡猾さでは他の追随を許さない彼がこう易々と深手を負わされるような事態に陥るとは。
 誰かを裏切ったのか、それとも誰かに裏切られたのか。
 そもそも自分達の間では裏切りという言葉そのものが相応しくないような気もする。
それぞれが自分自身の欲を満たす為だけに動いているのだから、邪魔になると思えば仲間でも
容赦なく始末する。それが至極当然の事だからだ。
 今時の高校生の標準に満たない華奢な体躯の彼を見下ろしたまま僕はその場に立ち竦んだ。
 このまま放っておけば間違いなく荒井は死ぬだろう、運がよければ失血死、悪ければメンバーの
誰かに見つかり残酷に止めを刺されて。

この腹の傷は鋭利な刃物の類で深く抉りつけられたものだろうか?
獲物を屠る武器に刃物を用いる事を好む奴等の顔が順番に浮かぶ。
厄介だな、と素直に溜息を吐いた。刃物狂といえば一筋縄ではいかない連中のなかでも
とりわけ頭もきれて身体能力も高い数人の顔しか浮かばない、しかも荒井の傍らに転がっている
彼愛用の鎌には一滴の血も付着していない。
手負いは彼だけ、完全に彼の分が悪い。
134学怖 風×荒 5/9:2009/01/29(木) 14:03:30 ID:4kGsETRA0
「荒井君、こりゃ君いよいよゲームオーバーだよ。残念だねぇ、明日から生意気な後輩がいなくなると
思うと僕も寂しくなるなぁ。ま、あの世では精々今より素直になって楽しくやりなさいね」


 動けない標的にそっと照準をあわせて、僕は銃を構えた。
 命の灯火が今にも燃え尽きようとしている男に慈悲を与える為だ。思えばこの後輩とは出会ったその日から
絶望的にうまが合わなかった。こちらのやる事成す事全てに難癖をつけてきて、時には非力な癖に喧嘩を
吹っ掛けてきたこともあった。勿論軽々と返り討ちにしてやったけれども。
「サヨナラ、根暗君」
 そう囁いて引金を引こうとした時、彼は長く伸ばした前髪の間から僕を仰ぎ見、そして笑ったのだ。
 ふつ、と思わず息をする事も忘れてしまいそうな、はじめてみる彼の氷のような冴え冴えとした笑顔に一瞬
頭の中が真っ白になり、慌てて取り落としそうになった銃を持ち直した。参ったな、生を諦めた人間の癖に、
この僕に失う事を惜しいと思わせるなんて君そりゃ反則だよと口の中でぼやき、引き攣る頬を片手で押さえた。


―「・・・なぁ、風間。お前、荒井のことどう思う?」
―「・・・ン?どうしたのいきなり。日野ってああいうの好みだっけ?意外や意外、あ、それともメンバーとして役に
  たっているかって話?それなら・・・」
―「・・・とぼけるなよ、お前」
―目で追ってるの、知ってるんだぜ?そう眼鏡越しの瞳を歪めて笑った男の顔がどうしてこんな時に思い
  出されるのか。
―馬鹿だなぁ、殺人と違って恋愛には先手必勝の法則は成り立たない、むしろ逆なんだよ分かってる
  のかい?先に好きだって認めちゃった方が負けなんだから、僕は負ける勝負なんかしたくないんだよ。
135学怖 風×荒 6/9:2009/01/29(木) 14:06:00 ID:4kGsETRA0
「したく、なかったんだけどね」

 ぼそり、と呟いた僕の言葉に荒井の瞳が薄らと開かれ、なにを愚図愚図しているんだと言いたげに伏せられた。
 そして裏で張られた糸の存在にも気づいてしまった。彼にここまでの深手を負わせた奴はどうして追ってこないの
だろうと、まるで手負いのままわざと逃がして僕と会わせる事を最初から目的としていたような。彼を傷つけた相手
が今僕が思い浮かべている男で間違いないのならば、恐らく彼が仕掛けたゲームの真の標的は

「この僕ってわけかい・・・」
 はは、と乾いた笑いが口唇から零れ落ちた。
 ジジジ、と耳障りなノイズをあげて脳内のスクリーンに表示されている画面が別のものに切り替わる。
 校内に放たれた獲物の命を狩るといういつもどおりの部活ではなく、手負いの想い人を抱えて5人の殺人鬼
が潜む校内から無事脱出する僕だけのゲーム。難易度、急に高くなりすぎじゃない?そう力なく笑う僕を彼は不思議
そうな目で見上げている。日野から今夜の標的は僕だ、と告げられればあの殺人狂達は嬉々として躊躇いもなく
僕も、荒井も始末するだろう。
相手が誰であろうと楽しめれば構わない、そういう奴らだ。
無傷で切り抜けられる確率は悲しいほどに低い、でも。

「クリア後の報酬は恐ろしいぐらいに魅力的。やるしかないでしょ」
 君が僕のものになるのならば、そう心の中で呟き訝しげな顔をしたままの荒井の前で銃を下ろし、その代わりに
制服のシャツを裂いて彼の傷に簡単な止血を施す。呆気に取られたままの痩身を背に担ぎ上げ、自分が愛用して
いる銃を肩越しに彼に手渡した。幾らけが人だといっても後ろからの敵に引金を引くことぐらい出来るだろう?
そういう僕に、彼は呆れたように溜息を吐き「僕がこれであなたの後頭部を撃ち抜くとは考えないんですか?」と
憎まれ口を叩いた。
136学怖 風×荒 7ですが最終/9:2009/01/29(木) 14:10:19 ID:4kGsETRA0
「悪いけど今日は前方だけで僕も手一杯みたいなんだよね、あ、君の鎌は僕が借りるよ、後ろは荒井君に任せた。精々
僕の弾除けとして奮闘してくれたまえ」
 月光を刃先に集めて鈍く光る鎌を、感覚を確かめるように幾度か振ってみる。慣れない得物だけれどもこの武器のエキスパートが
すぐ後ろにいるわけだし、まぁ何とかなるでしょ。
 心が定まれば、後はこの糞ッ垂れなゲームをハッピーエンド目指してクリアするだけ。
 背に感じる彼の重さがどういうわけか、枷ではなくもっと別なもののように感じられて知らず笑いがこみ上げてきた。
 いいね、ゾクゾクするよ最高だ日野貞夫。自分の命が危ういこんな状況ですら興奮に胸躍るのだから、大概僕もまともじゃない。
 タイム制限有り、残り時間を刻むのは時計の文字盤ではなく守るべき相手の腹から引っ切り無しに滴り落ちる赤い雫、のんびり
している時間はないなと僕は自分の両頬を叩き、再び夜の闇の中を駆け出していった。



=====================================================

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ここまで読んで下さった方どうもありがとうございました
137風と木の名無しさん:2009/01/29(木) 14:58:49 ID:dqHw4kUi0
>>119
うわぁ考えてもなかったのに萌えた!!実川可愛いな。
そうか、あれは恋だったのか……ありがとう。面白かった!
13808単車乗り_兄弟:2009/01/29(木) 18:47:16 ID:x1nSO6hm0
08単車乗り_兄弟

仮/面/ラ/イ/ダ/ー/キ/バ
大団円ありがとう&兄弟結婚おめでとう
で見てた間に溜まった兄弟妄想置かせて下さい



|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
13908単車乗り_兄弟:2009/01/29(木) 18:52:57 ID:x1nSO6hm0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ ;)イジョウ、ジサクジエンデシタ!

改行に失敗していました…
改めて投下します 失礼しました
140風と木の名無しさん:2009/01/29(木) 19:08:33 ID:rVUY37An0
>>138-139
すげーわろたwww
wktkで待ってるよ!
14108単車乗り_兄弟:2009/01/29(木) 19:41:07 ID:x1nSO6hm0
大丈夫かな…サーセンシタ
改めて。7/7+オマケ2/2です。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
14208単車乗り_兄弟1/7:2009/01/29(木) 19:42:19 ID:x1nSO6hm0
 兄さんは他者の心を掴むのがとんでもなく上手い。
 …と、ずっと思ってた。
 いやその、それが完全な間違いだとは今でも思ってないけど、
あの…一応。 だってとにかく他人を自分の意の下に置くってことでは
やっぱりすごい、あの一度兄さんを追放したっていう重役達、
会ってみたらなんかもう絶対服従っていうか。すごかったし。
何したんだろう兄さん。
 でも、僕に対しての、まるで裸の心の痛むところを全部知られてた
みたいな言葉や視線、『大河くん』と『渉くん』だった頃から不思議と
ゆるい糸みたいなものでつながっているみたいだった、
ああいう感じの全てが、どんな相手に対しても発揮されるようなもの
じゃないということには、わりと最近気づいた。
って次郎さんに言ったらすんごく呆れた目で見られた。
 だって。たとえば。僕が、僕のうちに半分ずつ流れる人間と
ファンガイアの血に、世界と関わることを捨てようとしていた時。
 僕なんかのために、たくさんの人たちがやってきてくれて、
色んな事をいってくれたけど、本当に必死で追い出さなくちゃ
いけなかったそれは、兄さんのものだった。
 優しいひとたちの優しい言葉はほんとうに嬉しかったけど、
あの時の僕にとってそれこそが一番受け入れてはいけない
ものだった。はねのけるしか、なくて。
 憑かれたような未央さんの眼差しと言葉は、苦しそうで、
痛々しくて、信じ難かった。僕とどこか似ているのかもと思っていた
未央さんが、まるで知らないいきものに、見えて。
 兄さん。兄さんは。
 鍵も柵も、張り巡らせた大がかりな仕掛けも、
すべて問題にしないファンガイアの兄さんだったから、
…いや、たぶんぼくの心が兄さんを拒んでいなかったからだ。
 兄さんはたびたび僕の前に現れた。
 絶対に相容れない価値観なんだって言い合っても、
次は力ずくだと激昂されても、僕は…、僕達は。たぶん、
本能でお互いを許容していた。
14308単車乗り_兄弟2/7:2009/01/29(木) 19:43:42 ID:x1nSO6hm0
 時々すごく疲れているように見えた兄さんは、そう言う時には
まるでただ僕に会いに来ただけみたいに話をしてくれた。
「ずっとここにいて退屈しないのか渉」とか、
「早く僕の所にくればいいのに」とか、
本気で説得する気があるんだかないんだか、ぽつぽつ言った。
「お前は食べるの好きなんだな」とか、本当に他愛のない話も。
それから。

「この世界の汚さに絶望することがあったろう」

 激するでもなく語りかけるでもなく、ただ知っているというように、
静かにいった。

「たとえ人に囲まれていようが、どうしようもない、
 根本的な違和感を感じることがあったろう」

 この世界にひとりだと。
 ソファの上で膝を抱えて顔を伏せた僕の隣で、
いつの間にか足を組んで、宙を睨んで静かにいった。

「違うか」

 違わない。
14408単車乗り_兄弟3/7:2009/01/29(木) 19:44:11 ID:x1nSO6hm0
 …でも、それは兄さんのものでもあるよね。大河くんの、痛みだよね?
人間はエサとか無価値とか、言っているきみ自身が、いつだって過剰に、
苦しそうに見えた。
 言わないでいてくれる静かな時、僕はただ、君を好きでいられた。
 身を切るみたいな苦しみを抑え込んだ目も、ふっと僕を撫でる手も、
ただ好きで。抱きしめられると泣きたくなる身体から伝わってく
るのは良く知ってる痛みだった。そうだ。僕は兄さんの病を知っている。
『この世アレルギー』。世界が、人が、汚く思えて仕方なくて、傷つけられそうで。
傷つけられて。…一人で。苦しい?痛むの?
兄さん。大河くん。兄さん。
14508単車乗り_兄弟4/7:2009/01/29(木) 19:44:47 ID:x1nSO6hm0

「あのころ」
 正雄が連れてきたネオファンガイアとのごたごたがどうにか
ひと段落ついて、伸び伸びになっていた兄さんの荷物の運び込みが
やっと終わったところだった。
 休憩がてら並んで座りこんだベッドの上、僕は押し倒した兄さんに
囁いた。こめかみからうなじにかけて、好きに這わせてもらってた唇を、
離した合間のことだった。梱包を終えて部屋を見回した兄さんが
あんまり穏やかに笑うから嬉しくて、笑って触れ合ってるうちに、
その…いつの間にか。
 兄さんは「いつのことだ、渉」の代わりに少し目を細めたから、
その瞼もそっと唇でなぞった。兄さんも僕の頬を包んで指先で
睫毛のあたりをなぞってくるから目を伏せる。ちょっとくすぐったくて
笑うと軽く口付られた。
「なんだ?言ってみろ、渉」
「ただ僕と来いとだけ兄さんが言ってくれたら、
ついていってたかもしれなかったなあって」
「言っただろう。何度も何度も、我ながらしつこいほど」
「ただ、って言ったんだよ。余計なものがくっつきすぎてた」
「生意気な。誰より優しい渉君はどこに行った」
「…強くてカッコイイ大河君、だって…」
「…本当に生意気だな、渉!」
 押し倒されていた体勢から一気に僕の体を持ちあげて、
兄さんが僕を組み伏せた。手袋の左手一本に両手首を絡め取られて、
裸の右手ではシャツをたくしあげられた。緩やかに僕に食べられようと
していた兄さんが、蛇の鋭さで僕を見下ろす。
ぞくぞくする。思い切り闘う時と同じ興奮だ。
「余裕だな、渉。その笑顔が壊れるまでなかせてやろうか」
「兄さん、怖すぎ」
14608単車乗り_兄弟5/7:2009/01/29(木) 19:45:15 ID:x1nSO6hm0
 お互いの忍び笑いを身体で響かせながら、噛み付き、舐め合い、
身体に腕を滑らせ這わせ、引っ掻いてまたくっついた。猫みたいだ。
「ねえ兄さん」
「ん」
「今日なに食べたい?」
「は?」
 ちょっとだけ兄さんが優勢なところだったのに、ぽかんとした兄さんの
声がおかしくて、結婚式の時の恵さんを真似してキスを送ってみた。
兄さん、口元だけちょっと笑った。かわいい。
「夕食だよ」
「いや、それはわかるが…。知っているだろう、渉。僕はあまり食べることが、」
「大河君は、アイス、好きだったよね。チューチュー半分こしたり、
 ガリガリ君。ソーダ味」
「!」
 力が緩んだ隙を逃さずに、兄さんの首に腕を回した。
 キング相手にどこまで効くのかわからないけど、思いっきり目に力を込める。
「買ってあるんだ。マスターがお勧めっていってたシャーベット。
 きっとおいしいよ」
「渉…」
「デザートにしよう」
 兄さんが目を伏せた。やっぱり、早かったんだろうか。でも。
「…君と別れた日は」
 ためらいがちに言われた言葉の意味は、なんとなくわかった。
僕達が大河くんと渉くんだった頃のことだ。
 僕のたった一人の大切な友達がある日突然姿を消した日。
14708単車乗り_兄弟6/7:2009/01/29(木) 19:46:26 ID:x1nSO6hm0
「僕がファンガイアの力に目覚めた日だった。力の制御が効かず、
当時周囲にいた人々を僕はひどく傷つけた。覚えていないが、
ライフエナジーも吸った、そうだ」
 淡々と紡ぐ兄さんにどんな風に触れればいいのかわからない。
…情けない。
「僕が我に帰ったとき、僕は両手足を縛られて見たことのない
部屋にいた。そこで僕を止めた島さんが重傷を負って入院したこと、
ファンガイアという存在、そしてファンガイアであるということが
持つ意味を知らされた」
 止めた方がいいんだろうか。でも、続ける方がいいようにも思えた。
 兄さんは、とろい僕の判断なんか待たずに言葉を重ねる。
「定期的にやってくる白い服の男達が僕の血を抜き、点滴を取り換える
回数が数えきれなくなった頃、世界がぐるぐる回って見えるようになって、
何もわからなくなったしばらく後、その部屋を出された」
(『大河さん、ぐるぐる回る乗り物は嫌いだって』)
…いつか、聞いた。じゃあ。
「部屋を出た僕に、島さんは人間の食事を与えた。何の味もしなかった」
「それ以来…?」
「味覚を感じたことはない」
 優しい手が、僕の頬を撫でた。
「渉君に会いたかった。…会いたくなかった。…彼らは僕に、
人間を餌とする生き物の下劣さを教え込んだ。多大な労力をかけて、
僕のうちでファンガイアという存在を徹底的に否定させた。
でも、それは僕だ。その化け物は僕だ。僕はファンガイアだ」
 それも完全なる血統を持った王の第一子。事実として知っていようが
いまいが、ファンガイアの誇りと力の在り方を、血は囁く。
 僕はその声も、知っている。
14808単車乗り_兄弟7/7:2009/01/29(木) 19:47:00 ID:x1nSO6hm0
「…兄さんは、人としての生き方とファンガイアとしての生き方の間で
引き裂かれた…」
「自分の存在の意味を問い続けた。僕の前にビショップが現れ、
 その手を取ることを決めたその時まで」
「その後もだよ。兄さんはずっとずっと苦しんでた」
 人の手に兄を残して消えたファンガイアの母。人としての生を
ファンガイアとしての兄を否定することで 強要しようとした…人々。
キングとしての兄を求めた、人間を家畜と見下すファンガイア達。
 そのどのものたちも、兄さんを愛していなかったのでは、憎んでいた
のでは、たぶん、なかった。二重三重に重なり散り散りになる否定と
肯定の間で、あいしたいあいされたいと、小さなこどもの兄さんが
きっとずっと泣いていた。あの日、ドラン城の豪華な部屋、たったひとり
残されていた本当に小さな赤ちゃんを抱き上げた重さを、
僕はまだ覚えてる。
「辛かったね、兄さん」
 たまらず抱きしめると、あまり甘やかすなと兄さんは笑った。
「すまなかった。こんな話をするつもりではなかったんだが」
「そんなことないよ。聞かせてもらえて、よかった」
「そうか…。ありがとう」
「言ったよね、ずっとそばにいるって。僕が兄さんを愛するよ。
 今までの分も、全部」
「…それは僕の台詞だったはずなんだが…」
 何かしら呟いてる唇を舐めて塞いだ。首元に噛み付いて
全部齧ってしまいたい衝動はぐっと堪えた。なんとか、言葉を探す。
「…やっぱり夕飯、作るね。何がいいかな」
14908単車乗り_兄弟7/7+1:2009/01/29(木) 19:47:29 ID:x1nSO6hm0
「渉」
 兄さんの溜息。しつこかったかな。…うざいとか。そんな。どうしよう。
「本当に生意気な上にしつこくなったな」
 やっぱり。
「ご、ごめん…。だって、あの、せっかく兄さんがうちに引っ越してきた
 最初の日なんだから、お祝いしたくて。ケーキも焼いて。…駄目?」
「…駄目、じゃ、ない。だが、保証はできないぞ」
「食べられるか、わからないってことだよね」
「いや、…料理なんてしたことがないんだ」
「え?」
「手伝っても役に立つ保証はない。いや確実に邪魔になるだろう。
 それでも良かったら、好きにしろ、渉」
 僕から目をそらして少しふてくされたように言う兄さんを、
僕は黙って見つめた。
「…なんだ。何とか言え渉。それとも諦める気になったか」
「兄さん」
「何だ」
 手伝ってくれるんだ。かわいい。だいすき。あいしてる。
口にする代わりに力いっぱい抱きしめた。
「兄さん、料理以外も経験なさそうだもんね。大丈夫、
 僕が教えてあげるよ。心配しないで」
「わ、渉…」
 兄さんの左手の手袋に噛み付いて無理矢理剥いた。
現れた王の印に口付を落とす。手の甲と平と、両方に触れて見上げる。
兄さんは、なんていうか、悩ましげに僕を見下ろしていて、何も言わずに
僕にくちづけた。…この人は僕が守る。
 そう祈りを込めていたのは僕のはずなのに、同じ思いが伝わってきて、
嬉しくて、せつなくて、泣きたくなった。
 何度でも抱きしめて約束を捧げる。そばにいるよ。
 やっと戸惑わずに頷いてくれるようになった兄さんの手が背に回って、
ずっとだ、って囁かれた。もちろん。ずっとだ。
15008単車乗り_兄弟:2009/01/29(木) 19:48:12 ID:x1nSO6hm0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


あふれた!ごめん!
オマケで、やっぱりやりたいおじさんがママンネタです
アホで薄いですがいちおう妊娠ネタなので苦手な方パスで


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
15108単車乗り_兄弟+母1/2:2009/01/29(木) 19:59:12 ID:xM642FY0O
 黒薔薇の聖母とでも呼びたくなる僕の美しい母は、
全てを包み込む慈愛と不思議なあどけなさの双方を漂わせたまま、
いつかのように僕を抱きしめ、「どうでもいいことよ」と微笑んだ。
「男とか、女とか」
「…そ、そう…かな…?」
「ええ。大切なのは魂よ。だからあなたが渉の子を宿したって
何も問題ないわ」
「きょ、兄弟なんだが…」
「強い子が生まれそうね。キングとクイーンとあの人の血を引いて
 いるんだもの」
「それは、ありなのか…?」
「今は、ルークもビショップもクイーンも失われ、キバというキングの力を
もつ二人が並び立っているという、とても特殊な状況。元来個体能力は
強いけれど、生殖能力の低いファンガイアにとって、次代を担う子を
持つのは急務。どうなることかと思ったけれど…。
クイーンの力を与奪できるキングがその役目までもを担うことに
なったのね。えらいわぁ、大河」
「い、いや…」
 これが数百年を越えて輝ける闇と謳われたクイーンの貫録か。
 ほぼ成人まで人間社会の常人教育を受けてきた僕には凄まじく
受け入れ難く乗り越え辛い現象のように聞こえるのだが、それは
僕が未熟だから…なんだろう…。キングとして…。
 ならば乗り越えねばなるまい
15208単車乗り_兄弟+母2/2:2009/01/29(木) 20:03:16 ID:xM642FY0O
 ならば乗り越えねばなるまい。いいだろう。ああ、僕はいいさ。どんな
覚悟もできている。だが、渉は。恐らくは望まずして兄の子の父に
ならなくてはならない僕の弟は…。
 母と話す間、しんと静まり返っていた渉を伺う。
 組んだ両手に顎を乗せ、虚空を睨み付けてぴくりともしなかった
渉の顔はひどく白く固い。
 そうか、受け入れ難いか。そうだよな。
 むしろ一抹の安堵を覚えた僕の前に、渉は突然立ち上がった。
 ひしと両手で両手を握りしめられる。
「兄さん」
「あ、ああ。何だ渉」
「ありがとう」
「何ッ」
 弟の細い顔にひとはけ刷いたように朱が走っていた。美しい。
いや、でなくて。
「僕、生きてて初めて好きになったひとが未央さんで、
あんな風になって…。この先、誰かを好きになったり、
こ、子供をもったり、できるのかなぁ…って、思ってたんだ。
まさおが僕のこと父さんっていってきてくれたけど
なんか、想像つかない、っていうか…。でもわかったよ。
兄さんだったんだね」
「渉…」
「大好きな大河君が、兄さんが、一緒に生きてくれて、
家族をくれるなんて。本当にありがとう。必ず、幸せにします」
15308単車乗り_兄弟+母3/2:2009/01/29(木) 20:05:35 ID:xM642FY0O
 真摯な眼差しと声。渉。すごいな、戸惑いの顔を見るとばかり思ったよ。
君、生まれた時からずっと人間育ちだったよね?これが先代キングから
愛の一文字でクイーンを奪った男譲りの柔軟性と底力なのか。一度
会ってみたかったな…伝説の男。あのまさおが瓜二つだというが、
彼が生まれるのはこの先、あ、産むの俺か。
 少しばかり目眩がした。
 兄さんつわり!?と叫んだ渉に支えられた視界の先で、母さんが
優しく微笑んでいた。あなたしばらくクイーンだからキングの方は渉と
ちょっと交替ね。マジですか母さん。
 まあいい、キングなんてちっぽけなものだ。
 兄さん兄さん大丈夫と一瞬前の貫録が嘘のような弟の背中を
ぽんぽんと叩いてやりながら、心底思った。
 まあいい。ああ、いいかな。
 この先どんなことになろうとも、どうやらもう一人ではないらしい。

□ STOP ヒ゜ッ ◇⊂(・∀・ )イシ゛ョウ、シ゛サクシ゛エンテ゛シタ!
どうしても祝いたかった!色々申し訳ない
おそまつさまでした
154風と木の名無しさん:2009/01/29(木) 21:20:45 ID:g3VA2TYPO
>>141-153
こういう兄弟を探していたんだ…!
ファソ力゙イア的801妊娠に不覚にも納得してしまったw
乙でした!
155風と木の名無しさん:2009/01/29(木) 22:50:22 ID:ebdhyd6y0
>>130-136
こんな所でがくこわ物が読めるなんて!
懐かしいのに新鮮。
姐さんありがとう!
156ときメモGS2 若×氷 質問 1/2:2009/01/29(木) 23:33:46 ID:ogeyol9A0
ときメモGS2若王子×氷上
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


氷上は質問するために化学準備室へ続く廊下を歩く。
前は購買で流行っているパンを持っていくとスムーズに質問をすることができた。
しかし今は――

ノックをしてから扉を開ける。
「氷上君質問ですか?」
氷上は答えの代わりに眼鏡を外して目を閉じる。
そして、いいと言われるまで何があっても目を開けない。
これが質問するときの若王子との約束だった。
若王子が近づく気配、そして唇が氷上にふれた。
最初の頃こそすぐに離れたそれも最近はかなり長い時間になっている。
「…んっ」
唇をなめられゾクリとしたものが背中をかけて、思わず眉をよせる。
本当に…本当に最初の頃は若王子にキスをされていると気付いていなかった。
短い時間だったし、信頼しきっていた。
ただ、キスされていると認識した時も…
こうして今、唇をなめられていても不思議と嫌な感じがしない。
この感情に、やがて名前をつけてしまいそうな自分が氷上は怖い。
だからきつく目を閉じて開けないようにする。
開けたら若王子に全てを悟られてしまう気がした。
やがて、気配が遠のいて、いいですよと声をかけられる。
氷上は恐る恐る目を開け、眼鏡をかけた。
若王子の頬に少し赤みが差して見えるのは気のせいだろうか。
いつものような屈託のない微笑を浮かべた若王子は、まるでこちらを見ないまま話す。
「質問はなんですか?」
157ときメモGS2 若×氷 質問 2/2:2009/01/29(木) 23:35:05 ID:ogeyol9A0
若王子は化学準備室にいることが多い。
校舎の端に位置しているため放課後になるとほとんどの人間は近寄らない。
そんな化学準備室に向かって足音が近づいてきた――

ノックの音がして扉が開いた。
「氷上君質問ですか?」
聞くと氷上は眼鏡をとって瞳をとじた。
若王子は質問したいときは眼鏡を外して目を閉じるように言った。
そして、いいと言うまで何があっても目を開けないように。
これを氷上に約束させた。
若王子は氷上に近づいて、その唇にふれた。
最初の頃こそ唇をさっと触れ合わせれば満足し、すぐに離せたのに最近は出来ない。
「…んっ」
氷上が無抵抗なのをいいことに唇の周りをなめると、氷上が眉を寄せた。
ああ、良い声だ。自分の唾液でツヤツヤと光る氷上の唇はこの上なく淫猥だ。
腕についている風紀の腕章がこっけいに感じる。
本当は氷上の唇だけじゃなく、舌をいれて口の中を蹂躙したい。
身体すべてを自分でいっぱいにしてめちゃくちゃにしてやりたい。
最近そんなことばかり考えている自分が恐ろしい。
きつく目を閉じる氷上の目がもし開いてしまったら、
自分を抑えられなくなるような気がした。
いい加減にしようと思い少し離れると、いいですよと声をかけた。
氷上が少しずつ目を開けて、眼鏡をかけた。
氷上は少しだけ頬が赤くなっていて可愛い。
最近はいつものように笑えているか、心配で仕方ない。できるだけ氷上を見ないように話す。
「質問はなんですか?」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
158風と木の名無しさん:2009/01/30(金) 00:17:17 ID:EeNt4qPl0
>>141-153

静かだけど愛に溢れた兄弟の物語をありがとう!
いつか大河が志摩さんのオムライスも美味しく食べられる日が来れば好いな…

そして遅くなったけど前スレの26と魔竿の話を書いてくれた人にもありがと〜
159ドラマ是似下馬 男娼な封太郎の話 1/6 :2009/01/30(金) 21:47:03 ID:JpzbZHC9P
ドラマ是似下馬より封太郎の過去捏造話。先走っててすみません。
オリキャラ複数登場警報発令。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!





封太郎が初めて両親以外の人肌の温もりを知ったのは、彼が14になった冬のことだった。

凍てつく夜の街角で震えていた封太郎に手を差し伸べ、暖かな食事と寝床を与えてくれた中年の男。
そんな男が自分に向けた欲望を拒む術など、その当時の封太郎が持っているはずもなく。
求められるままに封太郎は、男に無垢なその身体を開いた。
初めて経験する性的な接触、しかも自然の摂理を曲げて男に抱かれるのは、もちろんとても不安なことだった。自分の身体に触れる男の手を封太郎は、恐怖にすら感じた。
それでも自分は、生きていかなければならないのだ。
男の腕の中でガタガタと震えだしそうになる身体を懸命に抑えながら、封太郎はそう思った。
この男が自分に与えてくれた物の対価は、当然払わなければならない。金を持たない自分は、望まれるのであれば身体を差し出すしかないではないか、と。
160ドラマ是似下馬 男娼な封太郎の話 2/6 :2009/01/30(金) 21:48:32 ID:JpzbZHC9P
封太郎を抱いたその男は、悪い人間ではなかった。
一夜を過ごしたその後も封太郎を放り出すことなく、男の別宅だったのだろう、最初に連れ込んだ小さな家に封太郎がそのまま居つくことを許し、生活の面倒を見てくれた。
幾日かおきにその家にやってきて身体を求める以外に、男が封太郎になにかを要求することはなかった。自由に振舞うことを許してくれ、ときおり、
人目を気にして家に篭っていることの多い封太郎の無聊を慰めようとしてだろうか、本や菓子などの土産を手にやって来ることもあった。
最初は警戒を解くこともできず、びくびくとぎこちなく日々を過ごしていた封太郎も、そのうちに男との行為にも、なにより男自身にも慣れ、その訪れを心待ちにするようになって。
そんな穏やかな生活は、けれど長く続くことはなかった。
男の不義に気付き、乗り込んできた妻、青ざめうろたえる男、2人の間で困惑に立ち尽くす封太郎。
「あなた…、まさか、こんな男の子とだなんて……。けがらわしい!!」
おぞましいものを見るような女の目つき。向けられる敵意に耐えかねて、封太郎が助けを求め男に視線を向けると、男は気まずげに目をそらした。
男は決して、悪い人間ではなかったのだ。
封太郎を裏切った……ただ、それだけで。
男は妻に向かって必死に弁明を始めた。そんなはずないだろう、と。
「こんな薄気味の悪い小僧、俺が相手にするわけがないじゃないか」
哀れに思って置いてやってるんだ、そんなことを言う男の口はけれど、その少し前には確かに睦言めいた言葉を封太郎に囁いていたのだ。
言葉――、とくに甘い言葉というものがいかに上辺だけで信用ならないものなのか、封太郎はこの時、よくよく思い知ったのだった。
「うちにはこんな子を養う余裕なんてない」と封太郎を追い出そうとする自分の妻を、男が止めることはなかった。ますます勢いづく女の剣幕に気おされ、
追い立てられながらそれでも封太郎は、部屋を出る直前、振り返りもう一度男を見つめた。
「……………」
ひどくうしろめたそうな表情の男は、封太郎と目が合うとさっと顔を背けた。
まるで封太郎の視線を怖れているかのように大柄なその身を縮こませる、そんな男を哀れむように封太郎は微笑みを浮かべ、つかの間の安住の地を後にした。
161ドラマ是似下馬 男娼な封太郎の話 3/6 :2009/01/30(金) 21:49:22 ID:JpzbZHC9P
再び夜の街をさまようことになった封太郎を拾い上げたのは、またしても欲望にまみれた無骨な手だった。
「金が欲しいんだろ?」と強引に封太郎の手を引いた粗野な身なりの男に、引きずられるようにして連れ込まれた暗い路地裏で、それはほとんど強姦だった。
必死に試みた抵抗を圧倒的な力でねじ伏せられ、憎しみと嫌悪に燃える目で相手を睨みあげることしかできない封太郎の頬を、その男は「その目が気に食わない」と激しく打ち据えた。
「お前みたいな化け物、相手してもらえるだけでもありがたいと思え!!」

化け物―――。

その言葉は、わずかに残っていた封太郎の心の中の、柔らかく傷つきやすい部分を鋭くえぐった。
「………………」
抵抗することを忘れた封太郎の身体を、男は思うまま蹂躙した。
それが男の性癖なのだろう、耳を塞ぎたくなるような言葉でさんざんに罵りながら、相手のことを全く省みない荒々しい動きで封太郎を責め立てる。
永劫に続くようにも思えるそんな責め苦を、封太郎は歯を食いしばって耐えるしかなく。けれど、それが気に入らないとまた殴られて。
耐え切れず途中で意識を手放し、次に目を覚ましたときには、封太郎を襲った嵐は止んでいた。
打ち捨てられるようにその場に置き去りにされていた封太郎の傍らに、それでも散らばっていたのは、数枚の紙幣。
そうして封太郎は、自分の身体が売り物になることを知った。
162ドラマ是似下馬 男娼な封太郎の話 4/6 :2009/01/30(金) 21:50:22 ID:JpzbZHC9P
それからしばらくの時が流れ、成長した封太郎は、身体を売って金を得る人間になっていた。
もっとも身体を売ることだけで生計を立てていたのは幼かった一時だけで、自分が労働力として認められるような年齢になると封太郎はすぐに“まっとうな”仕事に就いた。
それは世間から見れば、日雇いと呼ばれるような底辺の仕事ではあったけれど、機械のように黙々と力仕事をこなす、それは封太郎の性に合っていた。
少なくとも、身を売る商売よりははるかに苦痛でなかった。
それでも封太郎は、苦痛であるその“仕事”の方も続けていた。
金が欲しかったのだ。
生きていくのに必要な、そして自分を決して裏切ったりしない金が。
顔に傷を持ち、つねに陰鬱な雰囲気を漂わせている封太郎ではあったが、そんな彼を買う人間というのはそれなりにいるもので、
成人し、背も伸びて線も太くなり、少年の面影が薄れた今でも封太郎は“仕事”にあぶれることがないのだった。
世の中には酔狂な人間がいるものだ―――。自分の上で夢中になって腰を振る男を無感動に見上げながら封太郎は思う。
今夜の相手は、既に幾度も封太郎を買ったことのある馴染みの客。
見たところとても真面目そうで、春を売る男に関わりあうような人間にはとても見えないその客は、何が気に入ったのか知らないが、月に1、2度のペースで封太郎を買う。
他の客とは違ってその男は、乱暴を働いたり罵倒したりしてサディスティックな欲望を満たすこともなく、ひどく丁寧に封太郎を扱った。
そんな“上客”だったから、封太郎はこれまで幾度もの逢瀬に応じてきたのだが―――。
このところ見られるようになったのは、男の封太郎に対する欲望以外の感情。
封太郎が応じれば彼を食事に連れ出し、たわいのない会話を楽しもうとする。それに封太郎が無反応を通しても機嫌を損ねることなく、彼が食事を摂る様子をにこにこと眺めている。
これまで以上に丁寧に扱われ、男の言葉の端々には自分への独占欲を感じ、封太郎は戸惑った。
欲望を満たす行為の後は、ひどく優しく労られるようになった。睦言めいた言葉を囁かれることもあった。
そしてついには腕に抱かれてそのまま朝まで共に過ごすことを望まれるに至って、封太郎の困惑は最高潮に達した。
自分が引いた一線をこの男は踏み越えようとしている。
この男は、自分の心に触れたいと望んでいる――、そう気付けば募る苛立ちと危機感。
今夜の逢瀬も、本当は気が進まなかった。けれど、どうしてもと男が懇願するものだから。
「……………」
―――もう、潮時だ。心の中そう呟きながら、封太郎は男の背中に手をまわす。
快楽に耐え切れずといった風情で縋りつき、甘えた声で男の名を呼べば、とたんに身の内に受け入れた男の質量が限界まで膨れ上がるのを感じた。
「―――封太郎くん!!」
切迫した声を上げ、きつく封太郎を抱きしめた男が絶頂を迎える。ゆるやかに突き上げながら射精を続ける男の動きに合わせるように、慣れた封太郎の身体も欲望を解放した。
すぐに脱力した男の身体が覆いかぶさってくる。封太郎の胸に顔をうずめ、そのまましばらく荒い息を整えていた男は、身を起こすと、行為の余韻を残した封太郎の顔をまじまじとのぞき込んだ。
じっと目を閉じてその視線に耐えていた封太郎は、男の手が、自分の額にかかる髪をかきあげる動きを始めたのを感じて、嫌悪に眉をひそめた。
醜い己の顔を晒し、見世物になるなんてごめんだ。顔を背けようとするも、いつになく不躾な手にあごを捕らえられてそれもままならず。
いよいよ封太郎は非難の視線を男に向けようと、閉じられた目を開いた。
「――――……」
見上げた先にあったのは、思いがけず真摯な表情。封太郎は小さく息をのんだ。
どこか思いつめたような、震える声で男が囁く。
164ドラマ是似下馬 男娼な封太郎の話 6/7:2009/01/30(金) 21:53:54 ID:JpzbZHC9P

「愛してるんだ、封太郎くん。 この、傷も……、大好きだよ」

君の全てが愛しい―――、そんな言葉と共に、男の手のひらが封太郎の左目を包み込む。
「……………」
真摯な言葉、あたたかな温もり。
けれど悲しいかな、それらを喜びと感じられる心を、封太郎はすでに失って久しいのだ―――。
「……………」
封太郎は男に微笑みかけた。
「―――っ、封太郎…!!」
感極まった声が彼の名を呼び、脱力した身体を抱き起こす。
「封太郎、愛してるよ……」
耳元に改めて囁かれる愛の言葉。痛いほどの抱擁を受けて封太郎の顔に浮かぶのは、いつかと同じ微笑。
それは、憐憫の微笑みだった。
けれどその笑みが、独りよがりな想いに酔い痴れる男に向けたものなのか、それとも温まる方法すら忘れてしまった、凍てつく己の心を哀れんだものなのか……。
自分でも見当がつかないまま、封太郎はいつまでも笑っていた。
165ドラマ是似下馬 男娼な封太郎の話 7/7:2009/01/30(金) 21:55:11 ID:JpzbZHC9P
夜の街をひとり、封太郎は歩いていた。
月は西の空に沈んで夜半過ぎ、先ほどの情交のを残り香を身にまとい、気だるい身体を少しだけ引きずって。
手にした上等な黒い財布を、無造作に放り上げながら。
まるで気に入りのぬいぐるみのように自分を抱きしめ眠る男を起こさないようベッドから抜け出すのは、いくぶん骨の折れる仕事だった。
シャワーも浴びず手早く服を身に付け、部屋を出ようとした封太郎の目に入ったのは、ベッドサイドのチェスト上に無防備に置かれた男の財布。
男にとってはいい勉強になっただろうと封太郎は想う。
安易に人を信じるとどうなるか。簡単に人に心など開けば、どんな痛い目に遭うのか。
これできっと男の目も覚めたのに違いない―――。空に放った財布を受け止め、封太郎はそのまま空を見上げる。
月のない暗い夜空に、ふと男の顔が浮かんだ。
『愛してるよ……』
善良そうな顔、優しげな言葉の響き、抱かれた腕の中の暖かさ……。
「――――っ」
そんなものはまやかしだ。封太郎はその幻影をかき消すように頭を打ち振るった。
先ほどの男もしょせん、自分を金で買った人間。いずれは自分を裏切る時がくる。
あの時のように。
あの男のように―――。
刹那甦った少年の頃の記憶に、封太郎はぎゅっと目を瞑った。
「……………」
痛みに耐えるように目を閉じて、その場に立ち尽くすことしばし。
再び開かれた封太郎の瞳は、夜空より暗い闇の色をしていた。

「……信じられるのは、銭だけズラ…」

自分に言い聞かすように呟いて封太郎は、凍てつく夜の街の中消えていった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

801スレでの「男娼は確実にやってたよね説」に興奮して書いてしまいました…
166風と木の名無しさん:2009/01/30(金) 23:12:59 ID:yw/PcoQgO
>>165
待ってました!
金のために何でもするんなら男娼してない訳なかろー!!!
ハアハアした!ありがとう!
167風と木の名無しさん:2009/01/31(土) 00:25:47 ID:S8JpM+BZ0
>>156
待ってましたー!!ちょ、今からもっかいプレイして触りまくってくる

>>159
もはや公式…w GJ
168風と木の名無しさん:2009/01/31(土) 00:44:32 ID:8OJQVNisO
>>159
超グッジョブです!!
せつないけどたまらなく萌えでした!!!
169風と木の名無しさん:2009/01/31(土) 03:24:19 ID:8h9d3Eck0
愛を知らない封太郎…
萌えさせていただきました!
170砂糖と和歌囃子 (1/3):2009/01/31(土) 14:20:01 ID:THuylp+Z0
最近お忙しなゲ/イ/ニ/ンさんらへの萌へが止まらず吐き出します。
ピンクベストじゃないほうと仲良しな24じゃないほう目線です。

>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


 ああ、頑張って笑ってる。
 Wの、いつもの小動物がくしゃっとなったような顔じゃない。

 ふわふわと盛り上がる宴席。ほんの数ヶ月前なら、側に寄る
事もできないような所謂ギョーカイの花形と同じ席で酒を飲ん
でいて、もれなく付いてくる華やかなオンナノコ達もいて。
そんな女子たちにアレコレ聞かれまくったり、ごくごく自然に
腕を触られたり。
 嘘みたいだな、ナンダコレ。
 先輩の誘いで、今この時期で、僕らは大人の事情に理解を
示すお年頃になっていて。「面倒くせーよな」目配せが届い
たかわからないけど、斜め向かい側に座るWの居心地悪さを
勝手に想像して、何杯めかわからなくなった甘ったるい酒を
一口啜った。

 これから先、オレらがこの仕事を続けていくには、こんな
ふうな時間を何回も通り過ごさなくちゃいけないのかな。
昔だって、気の乗らない席に連れてこられたことはあったけど、
テレビにも雑誌にも1mmも出たことのないオレらに場所なんか
なくて。かといって盛り上げ屋になるほど健気にもなれなくて。
小声で悪態をつきながら、いつの間に抜け出すなんてしょっちゅ
うだった。そのあとファミレスの片隅で、誰に憚ることなく
クダラナイことを延々と喋り倒してた。次の日の仕事なんて無い
のが当たり前の、時計なんか見ないグダグダな時間が
とてつもなく懐かしい。なんて、殴れらそうなことを思う。
171砂糖と和歌囃子 (2/3):2009/01/31(土) 14:23:57 ID:THuylp+Z0
 「ごめん…なさい、ちょっとトイレ行きます」
誰に対しての敬語なのか、張り付いたような笑顔を
誰にでもなく向けたWが部屋を出る。
 「彼、けっこう暗いよね」
 Wの横に座ってた目の周り真っ黒のケバイ女が吐き捨てる
言う。
うるせえよ、馬鹿女。さっきまで、Wに腕絡ませて頭
の先からネチャネチャした声出してたくせに。心の中で思い
切り罵倒して、去り際のWの硬い横顔が気になって、抜ける
ならついてくぜ、と後を追う。
 飲み屋が並ぶビルの中、トイレもエレベーターホールも
通り過ぎた先、非常階段に繋がる重いドアが閉まる音を聞いた。

 カツン、カツンとゆっくり登る背中を追いかけて、声をかける。
 「おーい」
 驚いたようにWが振り向く。
 なんて顔してんだよ。
 上履き隠された小学生か。童顔が3倍増しだよ。こっちが驚くわ。
172砂糖と和歌囃子 (3/3):2009/01/31(土) 14:28:22 ID:THuylp+Z0
 「…あ。Sくん」
 「吐く?」
 「や、吐かない。吐いてもいいけど」
 「無理して吐かんでも。帰る?」
 「うーん…。もう少し耐える」
 「耐えるって。嫌々なの丸出しじゃん」
 「だってイヤだもん」
 「もん、じゃないですよ、30男が」
 「うっせえよ」
 少し、表情が緩む。大丈夫かな。
 年が明けて、TVで見ない日はないほどの忙しさだもんな。
 休めない、寝れない、今日が何日か何曜日かなんてのは
もちろん、自分がどこの局にいるのか、何県に来てるのかが
わからなくなるほどだって言ってた。体力的なことだけじゃ
ない、いろんな人達と関わる機会が膨大に増えて、もちろん
いい人ばかりじゃなくて。
 けど、好きな仕事できるし。そう言うけど。
173砂糖と和歌囃子 (4/5):2009/01/31(土) 14:30:05 ID:THuylp+Z0
 「ここ、何階だっけ?」
 「8階」
 「けっこう低くね?降りられそー」
 外階段、手摺りから腕を伸ばして怖いことを言う。
 「いやいやいや無理だから。降りないで。頼むから」
 「そう?じゃ止めといてやるか」
 「うん。止めてください」
 「なんかさ、オレ…」
 「うん」
 「なんかぁ…」
 「うん」
 「…。」
 「なんでも言って」
 「…Sくん、優しくてむかつく」
 「なんだそれ」

 このまま消えてしまうんじゃないかって、昔から何度も
思わせられた。傷付かないふりをして、わざわざ胸の中の
カサブタを剥いて見せるようなことする癖がある。
 本当は、繊細なくせに。人一倍傷付いてるくせに。
 背中を向けて外ばかり向いてる顔が見たい。
174砂糖と和歌囃子 (5/5):2009/01/31(土) 14:31:27 ID:THuylp+Z0
 もしかして、酔った勢いで、この肩に手を掛けてみる
なんていうのはどうだろう?
 ばーかばーか。オレの馬鹿。
 上げかけた手を引っ込めて、頭を振ったとき、
下から声がする。
 ほらね、神様はそんなに都合よくオレの味方に成りはしない。

 「どうしたんですか?何してるんですか?」
 「なんだよ、オマエは来なくていいよ」
 Wの言葉なんかお構いないしに、ドスドスと大股で登ってき
た奴の胸をトンと叩く。
 「では、選手交代」
 「お…おう」
 おう、じゃねえよ。ちゃんと見ててやれよ、お前が守らなくて
どうすんだよ。口惜しいけど、お前じゃなきゃダメなんだから。
負け惜しみを飲み込んで、階段をなるべく軽やかに降りた。
 駆け寄って、何も言わず、あっさりWの肩を抱くKなんて、
もちろん見ないふりをして。
175砂糖と和歌囃子 (おしまい):2009/01/31(土) 14:33:48 ID:THuylp+Z0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ナンバリング間違えました…orz.
ごめんなさい、猿轡だけわやめてください。

そしてカ/ー/ス/ガの出番が少なすぎてすみません。
だってサ/ト/ミ/ツがいい子っぽいものですから。
ごめんなさい、焼きゴテだけは勘弁してください。
176風と木の名無しさん:2009/01/31(土) 16:02:52 ID:d7GrJMyN0
>>170
姐さんGJ!
Sくんの切なさがひしひしと伝わりすぎだよ・・・
177権造 96×日々 潜/入/捜/査(1/12):2009/01/31(土) 17:18:15 ID:R40xtCS50

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | オリジナル設定大杉らしいよ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  半ナマ&エロにご注意!
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄




「んごおおおおおお……」
「びっ…びっくりした…」
更衣室に入ってきた日々乃の驚く声で、96木はふっと意識を取り戻した。
今の今まで、完全に意識を失ったような深い眠りに落ちていたことに気づく。
丘囃子邸への潜入が成功し、意気揚揚と会議室を後にしたつもりだったが、しこたま飲んだワインのせいで、
実際はよたよたと覚束ない足取りで出てきたのだった。
備品室でもよかったが、瑠魅子にまた小言を言われるのも面倒だったので、署内の昼寝スポットの一つである
更衣室で一眠りすることにしたのだった。
勤務時間中の男子更衣室は意外な穴場で、出勤時と帰宅時以外はあまり人が来ない。
壁沿いに並んだロッカーの間に置いてある長椅子も、なかなかの寝心地だった。
178権造 96×日々 潜/入/捜/査(2/12):2009/01/31(土) 17:20:39 ID:R40xtCS50
「もぅ…どこで寝てんだよ!ったく……」
丘囃子への潜入捜査を96木に奪われ、意味の無くなったテニスウェアを脱ぎに来たのだろう。
日々乃はブツブツ言いながら自分のロッカーの前に行き、ドサッとスポーツバッグを床に下ろした。
96木は黙ってむくりと起き上がり、上着の首元のファスナーをおろしている日々乃の背後にそろりと近付いて、
いきなりガバッと抱きついた。
「ちょ、何ですか!?寝てたんじゃ…」
「脱いじゃうの?折角コスプレしたのに勿体ねぇな。わざわざ瑠魅子に仕入れさせたのに。」
「96木さんのせいでしょ?」
「おお、そりゃあスマンな。じゃ、お詫びにオレがテニスのコーチしてやる。」
そう言ってニヤリと笑い、96木は日々乃の首筋から襟足にベロリと舌を這わせながら、テニスウェアの上から
胸をまさぐる。
「もっ、それ全っ然テニスと関係ないでしょ?ちょっと、やめて下さいよ!」
96木は振り向いて抵抗する日々乃の背中をダンッ、とロッカーに押し付けた。
「痛っ!何すんっ……んあ?」
顔を顰める日々乃の唇を指でこじ開け、96木はむしゃぶりつくように口付けた。
「ン〜!ン〜!」
日々乃は呻きながら首を振り、プハッと息をついて、
「酒臭せっ!」
と小さく叫んで逃げようとするが、96木はがっちり体を押し付けて逃さない
「もーヤダ酔っ払い!」
怒る日々乃の短パンのポケットを探ってメガネを取り出し、96木は無理矢理掛けさせた。
「外すなよ」
そう言って、抗議しかけた日々乃の唇の隙間に舌を捩じ込み、口腔を執拗に愛撫する。
その間にも、日々乃の股下に膝を割り入れ、グリグリと膝頭で刺激を加えていく。
「…ウンッ…ウンッ…」
日々乃の呻きが柔らかくなってきたのを見計らって、96木は拘束を緩めてウェアの下から右手を差し入れ、
左の乳首を親指でコリコリと転がす。
「んっ…んっんっ…んっ……」
やっと観念して、日々乃は甘く鳴きながら口腔内の96木の舌に、自分の舌を絡め始めた。
179権造 96×日々 潜/入/捜/査(3/12):2009/01/31(土) 17:22:38 ID:R40xtCS50
だが、今日の96木は、唇の端から唾液が垂れるほど荒々しく口腔を蹂躙してくる。
更には左の乳首もぎゅっと強く摘まんできて、日々乃は思わず「痛っ!」と叫んでビクついた。
「なんだ?指は痛かったか?」
日々乃は96木を睨んで、こくん、と頷いた。
「じゃあ口でいじってやる、上着まくれ。」
命令口調の96木に口を尖らせながら、日々乃はおずおずとテニスウェアをインナーのTシャツごと胸元まで
たくし上げた。
「ふん、もう固く尖ってんじゃねぇか。」
96木は日々乃の左の乳首に吸い付き、わざとちうちう音を立てる。
「あっ…ハッ…ァ……」
その刺激に思わず声をあげる日々乃をちらりと見て、96木は尖らせた舌先でそれをクリクリと転がしながら、
右の乳首を指の腹でソスソスと柔らかく撫でてやった。
「アァ…あっ…ハァ…アッ!…ゥンッ…んんん…」
敏感な乳首への愛撫に、日々乃はウェアを強く握りしめて耐えようとするが、声を抑えられない。
「こっちもビンビンだな。」
96木は右の乳首に唇を移し、先端をチロチロと舌でくすぐった。
「やっ!…ああっ…ああっ…それっ…ダメッ…ダメッ…でっ…出っ……む…んん…」
急激にせり上がって来る快感に、日々乃は思わずウェアを握ったままの左手で唇を押さえた。
96木は乳首を口に含んだまま、右手で短パンの上から日々乃の昂りをもにゅもにゅと揉み込んだ。
「あっあっあっあっ…ダメッヤメッ…出るっマジでっ…もっ出ちゃっ……アァ…んんっ……」
ビクンビクンビクンビクンビクン……
180権造 96×日々 潜/入/捜/査(4/12):2009/01/31(土) 17:25:11 ID:R40xtCS50
小刻みに震えた後、はぁはぁと息を吐きながら緊張を解く日々乃の体に、96木は自分の体をググッと押し付けて
支えながら、性急にスラックスのベルトを外してファスナーも下ろし、中から脈打つ己の昂りを引き出した。
日々乃の短パンの裾をグイッと引き上げ、ガチガチに昂ぶった怒張を滑り込ませると、
下着の中で精液にまみれて柔らかくなった日々乃のモノに、ぬちゅぬちゅとこすりつける。
ぐちょぐちょの下着の中で、2本の性器がヌルヌルとこすり合わさる感触に、
脱力していた日々乃もまた息が荒くなり、腰が揺れだした。
96木は日々乃の耳の襞に舌を差し込んで濡らし、そこに息を吹き込みながら囁いた。
「犯してって言え。」
「あぁ……へっ!?」
「犯してって言えよ日々乃。」
「なに…を?96木さ…」
快楽にとろけていた目をパチクリする日々乃に、96木は強い口調で言った。
「おねだりしろよ、得意だろ?俺のチ○ポでケツん中ぐちゅぐちゅに犯して下さいって言え!」
「なっ…やだっ!…ヤですよ。犯してなんて…そんな言い方アッ!?」
ダンッッ!!
日々乃の前髪を掴んでロッカーに押し付け、据わった様な眼をした96木は顔をズイっと日々乃の顔に寄せた。
「なぁにカワイ子ぶってんだよ!そんなんで武器ため込んだテロリストに潜入捜査なんぞできるかっ!
 お前なんか直ぐにバレてぐっちゃぐちゃに犯されてポイだ。あんなアブねぇヤツんとこに、お前1人遣れるかっ!」
「…ぇ…!?96木さん?それってどういう意…」
「だから俺が犯しといてやる!」
「はあっ!?えっ?ちょっ!まっ!」
96木は混乱する日々乃の短パンの裾からビュルッと怒張を引き抜き、精液でヌルつく下着ごと短パンを膝まで
引き下ろした。それに右足を掛けて足首まで一気に引きずり下ろし、踏みつけたまま日々乃の左脚を右腕で
グイッと胸まで抱えあげた。
181権造 96×日々 潜/入/捜/査(5/12):2009/01/31(土) 17:27:49 ID:R40xtCS50
そして、いきなり露わになった日々乃の後孔に、むにゅう、とヌルヌルの怒張の先端を押し込む。
「あうっ!」
ほぐされていない媚唇を急激に押し広げられて、日々乃の身体が緊張する。
「ちょっ…そんっ…いきなりって…無理ですっ!入んないっ!入んないからアッ…無理だってアアッ!」
96木は拒絶する孔に抗うように、小刻みに腰を揺すりながら推し進め、カリ首まで何とか収めるが、なかなかにキツい。
「ヤメ…やめて下さい!ヤメて…あっ!あっ!」
この20日程の間に、96木はもう何度も日々乃を抱いていたが、毎回トロトロにほぐしてから挿入してきた。
初めて挿入された時以上の異物感に、日々乃は恐怖に近い不安を感じてるのだろう。黒木の頭にしがみついている。
「クッ…キツう…力抜けよ日々乃。」
日々乃がガクガクと揺すられている間に,結合部ではぬむぬむと96木の怒張が呑み込まれて行く。
「あっ…いあっ…あぐっ…んぐぅっ…ひっ…んん……」
怒張を無理矢理押し込む感覚が、酩酊して霞む96木の眼の裏に、己が雄獣だった頃の記憶を引き出してくる。

『どうだ?痛てぇか?痛てぇのがいいんだろ?もっとひどくして欲しいんだろうが、変態!』
『黙ってたんじゃ分かんねぇぞ?痛てぇのか気持ちイイのか、はっきり言えよ!』
『泣けよ!喚けよ!じゃなきゃ喘げ!よがれ!……ちっ…声出せよ、なぁ…ドМ伸び太……』

『私はあの頃、アレを気持ちいいなどと思ったことは一度も…一度たりともないっ!』
『無理矢理抉られてるのに抵抗しないんですね。やっぱり変態はあなたの方だ、96木警部補!』

数日前の39魔の言葉が甦り、ハッと記憶の奔流から引き戻される。
痛いほどの締め付けの中をひたすら押し入ってきた96木の怒張は、とうとう日々乃の狭い孔道に根元まで
全て呑み込まれていた。
その時初めて96木の耳に、日々乃のしゃくり泣く声が届いた。
「うぐっ…はぐっ…うっ…えぐっ…んっ…んぐっ…」
「日々乃ぉ!?お前…泣いてんのか?」
「んぐっ…な…泣いてないっスよ?…ひぐっ」
伊達メガネの奥の、くりんくりんに見開かれた日々乃の瞳には、たっぷりと涙が蓄えられ、瞬きするとぽろん、
とこぼれ落ちた。
それと同時に、96木を支配していた獣染みた攻撃衝動も、コトンと落ちた。
182権造 96×日々 潜/入/捜/査(6/12):2009/01/31(土) 17:29:13 ID:R40xtCS50
「痛いか?」
日々乃はふるふると首を振り、「痛くは、ひぐっ…ないです。でも……ヤ…だ……。」と答えた。
その、叱られた子供のような泣き声に、96木は思わずフッ…と口元をほころばせた。
「気持ちよくなかったか。そうだな、無理矢理押し込んじまったからな。怖かったか?」
視線を落として、わずかに頷く日々乃に、96木は罪悪感よりむしろ保護欲のような気持ちが湧いてきた。
「お前にはまだSMごっこは早かったか。悪かったよ、俺が悪かった。酔っちまってるからな。」
96木は日々乃の頭を撫でながら、頬や額や鼻先に優しくキスを落とすと、最後に日々乃の唇に啄ばむような
キスをし、あやす様に甘く囁いた。
「いい子だな、日々乃。いい子だ…。お前ん中が俺のチ○ポの形に馴染むまで、じっとしとくからな。」
黙って96木のなすがままにされていた日々乃は、やっと安心してか、自分から96木に唇を押し当ててきた。
少しずつ唇を押し広げて互いの舌を差し入れ、ちゅるっと吸い付き合う。
更に奥に舌を入れるために大きく唇を割り、互いに口腔内を舌でまさぐり合う。
フーフーと互いの欲情を含んだ鼻息が更衣室に響き、やがて96木を咥え込んだ日々乃の腰が揺れ始めた。
その動きに合わせて、日々乃の中がうねり出し、96木の怒張に内襞が絡み付いてくる。
突き上げたくて堪らなくなったが、96木は全部沈めたまま、腰を大きく回し始めた。
二人の息が荒くなり、唇を少し離したが、舌を突き出し唾液がこぼれるのも構わず、ぺちょぺちょと絡め合う。
「…ハァ…あっ…もっ…96木さんっ……」
懇願の響きを帯びた日々乃の声。
「うん?どうした?日々乃?」
甘やかす様に尋ねる。日々乃の口から、言わせなければ。
「あ…もっ…もう…つっ…ぅんっ…」
96木はわざと腰の回転を小さくして、促すように日々乃の目を覗き込む。
「…突いてっ…下さい…」
日々乃のとろけて潤んだ瞳が、96木に命じた。もう一度、獣になれと。
183権造 96×日々 潜/入/捜/査(7/12):2009/01/31(土) 17:35:19 ID:R40xtCS50
「いい子だな、日々乃、いい子だ。」
もう一度唇を合わせてねっとりと舌を絡ませる。ぢゅっ、と強く吸い上げて唇を離し、左足を抱え直す。
96木はそのまま引き抜かずに一度大きく突き上げた。
「ああっ!」
待ちわびた衝撃に日々乃が声をあげる。
96木が半分引き抜いてまた突き上げる。
強い快感に、目を閉じて耐える日々乃にチュッとキスして、今度はカリまで引き抜きにかかるが、
まるで引き留めるかのように内襞が吸い付いてきて、96木の方が快感に耐えねばならなかった。
カリ首で最大限広げられた媚唇が、日々乃の呼吸に合わせて96木の敏感な部分をはむはむと甘噛みしてくる。
(この調子じゃ、俺の方が先にイッちまう…)
96木は加減するのを止めて、ズブンッ、と一気に最奥に突き入れた。
「アーーーーーー……!」
かすれた悲鳴をあげる日々乃を抱きかかえ、続けざまに何度も大きく引き抜いては突き上げる。
  ジュブンッ…びゅるっ…グブンッ…ちゅぬっ…
日々乃の背中のロッカーが、ガションガションと音をたてているが、構っていられない。
96木は一旦動きを止め、少し膝を曲げて潜り込むように体を沈め、今度は下から押し上げるように
早目のペースで突き始めた。
「アンッアンッアンッアンッアンッアンッアンッアンッ……」
普段は96木にツッコミを入れてくる日々乃の小生意気な口から高い喘ぎ声が漏れてくると、
もっと鳴かせたくなって性急に動いてしまう。
「気持ちイイか?日々乃。ん?」
96木は、むしろ自分を抑えるために尋ねた。
日々乃は突き上げに首をガクガクさせて、「うんっうんっ」と、肯定とも喘ぎ声ともとれる声を出したが、
やがて、「イイッ…アッ…気持ッ…ち…イイッ…ですッ……」と、素直に答えた。
揺さぶられて、メガネが少しズレている。
  ズグンッ。
96木の中心が、強く脈を打った。
184権造 96×日々 潜/入/捜/査(8/12):2009/01/31(土) 17:38:05 ID:R40xtCS50
「クソッ…もう限界来ちまったか…うっ…シラフのくせにエロいんだよお前はっ……イクぞ!」
「…ァ…はい……」
日々乃は律義に返事して、ぎゅうっ、と96木にしがみ付いた。
だが96木は敢えて動きを止めて、また尋ねた。
「どこに出したらいいんだ?ん?日々乃?」
「……」
答えは、わかっている。
「日〜々乃?」
「ぁ……の…中……俺ん中に……出して下さい……」
ちょっとだけ拗ねたような口振りだったので、少しからかってやる。
「中でいいのか?まだ就業時間中だぞ?ケツからトロトロ精液垂れて来ちまうぞ?」
「バッ…!! ちゃんと処理します!」
日々乃は96木の肩に預けていた頭をガバッと起こして、メガネ越しに96木を睨んだ。
「ってか、このテニスウェア、署の備品ですよ?汚せないでしょうが。」
「んなもん瑠魅子に洗濯させりゃいいんだよ。」
「できるわけないでしょう?もうっ……」
膨れる日々乃の尖がらせた唇は、今の96木には誘ってるようにしか見えない。
ちうッ、とキスして、ひるんだ日々乃の右足もグイッと抱えあげた。
「なっ!?ちょっ!危ねっ……」
「ちゃんとしがみ付いてろよ。」
反射的に日々乃の長い腕が、96木の首に絡み付いてきた。

  ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ
  ぬぢゅぬぢゅぬぢゅぬぢゅぬぢゅぬぢゅぬぢゅぬぢゅ
  っぢゅっぢゅっぢゅっぢゅっぢゅっぢゅっぢゅっぢゅ

全体力をかけて高速ピストンをぶち込む。
日々乃も、「ァッァッァッァッ…」と小刻みに声をあげていたが、やがてかすれて囁くような喘ぎ声になる。
こすれ合う快感の源から奏でられる淫猥な粘水音と、日々乃の背中が押し付けられているロッカーの立てる音が、
一瞬途切れた。
185風と木の名無しさん:2009/01/31(土) 17:39:53 ID:D8arSg610
4円?
186権造 96×日々 潜/入/捜/査(9/12):2009/01/31(土) 17:40:10 ID:R40xtCS50
「んーーーーーッ!」
「ぐっ……ううッ!」
ドグンッ、と大きく脈打ち、96木の怒張の先から、びゅるびゅると白いマグマが噴き出す。
激しい逆流の刺激に、日々乃の内壁が痙攣するかのように蠢き、筋緊張による締め付けと相まって、
まるで怒張にしゃぶり付かれて吸い上げられるような感覚に陥り、96木は呻いた。
「くうっ…止まんねぇ…」
搾り採られる、とはこのことか。射精が長い。丘囃子と飲んだ、上等のワインの効果なのだろうか?
萎えるどころか、初速の勢いが無くなっても、まだどぷんどぷんと押し出されてくる。
日々乃は96木にしがみついて、全身を震わせている。伊達メガネは、いつのまにか外れて落ちてしまっていた。
二人の腹の間で、日々乃のモノから溢れ出たトロトロの白濁液が、太い糸を引いている。
結局備品のテニスウェアはベトベトに汚れていた。
96木は射精が止まってもしばらく動けなかった。
放出した後の開放感で、全身が甘く痺れている。精液以上に何かを吐き出してしまったのかもしれない。
こんな感覚は初めてだ。
この小生意気で可愛い若者のいやらしく蠢く孔に、自分は一体何を注ぎ込んだのか……
(確かめるのが怖いのか?俺は……)
「はッ…あっ…」
ガクンッ、と日々乃の全身の緊張が解け、全体重が96木に圧し掛かってくる。
使い切った体力では支えきれず、日々乃を抱えたままズルズルとしゃがみこんだ。
軽く尻餅をついた拍子に、ぬぷんっ、とヌラヌラになった96木のモノが抜けると、
日々乃の媚唇から白濁した粘液がドロリ、と出てきた。
187権造 96×日々 潜/入/捜/査(10/12):2009/01/31(土) 17:44:53 ID:R40xtCS50
「んあっ…」
粘液が漏れ出る感覚に日々乃がビクリと跳ねると、内腔から一気に、ビュルッビュルッ、と白濁液が噴き出す。
(なんか、壮絶なくらい、ヤらしい眺めだな……)
元は己の吐き出した獣汁を、思わず人差し指ですくい取り、96木は半開きの日々乃の唇に捻じ込んだ。
嫌がるかと思ったが、日々乃は素直に指に吸い付いて、舌を絡めてゴクリと飲み込んだ。
「うまいか?」
日々乃は96木の指を咥えたまま、
「まずひ、でふ。」
と答えてふふっ、と笑った。両頬の笑窪がペコっと引っ込む。
(ちッ…反抗的なくせに、何でこうもエロカワイイんだコイツは……)
いつも口に出された96木の精液を、口腔内にたっぷり含んで味わう時の、淫蕩な日々乃の顔が浮かんだ。
(ヤべェ、さすがに今日はもう2ラウンド目は無理だ…)
96木は日々乃の唇からちゅぷんと指を抜き、今度は下の唇の中に滑り込ませた。
トロットロにほどけて、指など何本でも入りそうだ。
「え!? も、ダメですってァンッ!」
抵抗しようとしたが、96木が中をグリンッ、と抉った刺激に、日々乃はまた跳ねた。
すると奥からドブンと獣汁が押し出されてきて、96木の手を濡らす。
「俺が掻き出してやるから、お前もしっかり押し出せよ。」
96木は左腕で日々乃を抱き寄せ、頭を抱えて優しく撫でながら、日々乃の中の獣汁を指で掻き出してやった。
「ゥンッ…ゥンッ…ク…ンッ…」
96木の肩に顔を埋め、子犬が甘えるように鼻を鳴らす日々乃を、96 木は時々襟足や肩に口付けたり、
耳朶を甘噛みしたりして励ましながら、あらかた日々乃の中に注ぎ込んだ自分の獣汁を掻きだした。
「こんなもんだろう。動いてりゃ、多少はまだ下りて来るかもしれんがな。」
「…すみません…」
掠れた声で囁いて、日々乃が体を離した。少しの間ぼーっとしていたが、おもむろにテニスウェアの上着を脱いで、
インナーのTシャツだけの姿で立ち上がった。
96木に後ろを見せてロッカーを開け、中から着替えを出そうと屈む。
188風と木の名無しさん:2009/01/31(土) 18:15:54 ID:Nomrp+5WP
支援?
189権造 96×日々 潜/入/捜/査(11/12):2009/01/31(土) 19:07:11 ID:R40xtCS50
床に座り込んだ96木は、眼前で揺れ動くテラテラと濡れ光った日々乃の臀部をぼんやり見つめて、
(こんな細腰じゃ、赤バッヂ着けたところで、1日でマワサレちまうな……)
と鬼畜な想像を巡らせたが、何となく罪悪感を感じて、小ぶりな双丘の片方にチュッ、と口付けた。
ビクッと反応して振り返った日々乃は、もう普段の小生意気な若手刑事の顔だった。
泣き腫らして赤くなった両目以外は。
「96木さんもそれ脱いで下さい。俺、テニスウェアと一緒に洗って来ますから。」
「あン?俺のはいいよ。瑠魅子が洗うから。」
「そっ…そんなもん部下の女性に洗わせるなんて、最悪のセクハラッスよ!?」
言われて自分の服をよく見ると、Yシャツにもスラックスにも、二人分の白濁液がベットリ付いていた。
「こりゃイカ臭せぇーッつって瑠魅子に摘まみ出されちまうな。」
日々乃はヘラヘラと笑う96木に呆れた顔でふうっ、と溜め息をつくと、手の甲を唇に当ててちょっと考えてから
96木に近づき、Yシャツのボタンを外し始めた。
「おっ!? もう一回ヤりてぇのか?」
からかう96木を無視してシャツを引っぺがし、半脱ぎのスラックスに手をかけ、強引に引き抜いた。
「何よスケベ!」
あくまでふざける96木を相手にしないで、日々乃はロッカーから出したタオルで自分の体を拭い、
続いて96木の身体に光る体液の跡を拭き取った。
(コイツ…結構世話好きだよな…態度は反抗的だけど。ま、アレの最中は素直でカワイイからいっか。)
そんな風に96木が考えている間に、日々乃は特捜用スーツに着替えて身支度を整えていた。
汚した衣類をバッグに詰め込み、
「96木さんも早く着替えないと、夏風邪ひいても知りませんよ。明日も潜入でしょ?」
といつものように生意気な口を利いた。
190権造 96×日々 潜/入/捜/査(12/12):2009/01/31(土) 19:08:31 ID:R40xtCS50
「ふんっ、風邪なんか引くかよ、この大事なクライマックスを前にして。まあ、俺に任せとけ。
 明日はアイツの正体をがっつり暴いてやるからな。」
今日の丘囃子邸への潜入で、事件解決の扉に手をかけたという確信が96木にはある。
異様な興奮がずっと己を包んでいるが、それはワインのせいなどではない。明日、その扉を抉じ開けてやるのだ。
96木が日々乃の中にほとばしらせたもの。己の中から湧き騰がって来たそれは、肉食獣の咆哮なのだ。
日々乃は、パンツ一丁で気勢をあげている96木を一瞥して、
「あんま調子のって失敗しなきゃいいんですけどね…じゃ、俺、先に出ますから。」
と更衣室を出ようとしたが、ふと、長椅子の下にあるものを見つけて拾い上げた。
さっきまで自分が掛けていた、伊達メガネ。
日々乃は96木の元に戻り、「あの…96木さん、これも備品なんで、返しておいて下さい。」と手渡した。
「あん?俺が返すのかよ。」
「どうせ備品室行くんでしょう?そのまま戻しておいて下さいよ。汚れてないですから、それは。」
そう言って日々乃は、今度は真っ直ぐに更衣室を出て行った。
96木は手渡された伊達メガネを透かし見て、
「日々乃の野郎…メガネ掛けさせたまま顔にぶっかけてやればよかったぜ……」
と呟くと、似合わないメガネを自分に掛けた。
191権造 96×日々 潜/入/捜/査 おわり:2009/01/31(土) 19:11:48 ID:R40xtCS50
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 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 自家発電し過ぎて漏電スマスタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) あと長くてスマソorz
 | |                | |       ◇⊂    ) __ 支援下さった方に感謝!
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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192LA ジャック/工ド:2009/01/31(土) 20:18:30 ID:vobliZ7R0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | L.A. 少し映画よりかも…
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  バド工ドもじゃっくエドも好きです
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
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193LA ジャック/工ド 1/4:2009/01/31(土) 20:19:52 ID:vobliZ7R0

「おまえは親父さんを恐れているのか」

お互いの身の上話と昔話の途中での質問だった。
「そうかもしれない」
おれは安ウイスキーで喉を焦がしながら視線を逸らした。
「だったら、どうして刑事になんかなったんだ」
ゆらゆら揺れる紫煙。
下手糞なアコーディオンがぶつりと途切れて、ジャックの声が鼓膜にダイレクトに届く。
柔らかなテノール。
こういう声に大抵の女は弱いっていうことを彼は熟知してて、それが身に染み付いているという感じだった。


『“名誉のバッジ”再放送をご覧の皆様。
 悲しいニュースから、今日で1年が経ちました。
 口ス市警の我らが愛したヒーロー、J・ヴィンセンス。
 あなたのことを、我々は永遠に忘れないでしょう』

194LA ジャック/工ド 2/4:2009/01/31(土) 20:20:58 ID:vobliZ7R0
滑らかな話術。ハリウッドにお似合いの気障で柔らかい物腰。
LA.P/Dでは別の名前を持っていた。ゴミ缶に悪党を投げ込む男。ごみ缶ジャック。ビッグV。
おどけていて、はぐらかしているのに、何故かいつも悲しくて、寂しい感じのする男。
孤児院で過ごしたことは過去のひとつに過ぎない。
スキャンダルも。酒も。ベンゼドリンも。
"テスト飛行"でぶっ飛んでいた病室での、苦しげな告白も。
彼の解剖書のページの1枚に過ぎない。
分析するにはあまりにも深くて、複雑で、謎が多い。

だから惹かれたのだとしたら? 彼を思い出すことは、彼の墓を掘り返すようなもの。
いつだって苦痛を伴う。

テレビは戯言を垂れ流している。
慎み深いBGMと、悲しげな表情に白いパウダーを塗りたくった男と女とホモの役者たちが、
ヴィンセンスの聖なる戦いを讃えている。
テレビを切った。
暗い部屋は、更に暗くなって、静まり返った。
195LA ジャック/工ド 3/3:2009/01/31(土) 20:25:20 ID:vobliZ7R0
この1年、本当にずっと――仕事以外の何もしていない。
あの男をこの手で葬るために、全ての時間をささげているから、他のことは何もしていない。
お前の墓参りも。カレンがきっと許してくれなかったとしても。
心の中で祈りを捧げることすらしていない。

おれは彼を死に追いやった本当の黒幕を知っている。
おれは彼を死に追いやった運命に手助けした1人。
おれは彼の死を無駄にしないためにここに残った唯一の男。
それなのに捜査は行き詰っている。お前を失ってからの時間が長くなっていくだけ。
もう1年が経つなんて。

1年ぶりに、彼の名前を口にした。

「ジャック」

挫けそうになっている情けないおれを、ゴミ缶の中に放り投げてくれ。
それから、抱き締めて欲しい。ゴミ缶の底の中で。
今夜、夢の中で――おれと一緒に、あいつを殺そう。
196LA ジャック/工ド 終:2009/01/31(土) 20:26:17 ID:vobliZ7R0
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 | | □ STOP.       | |               
 | |                | |           ∧_∧ ヴぃんセンスのイメージがかなり映画寄り?
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) タイトルの分母間違えました…すんませんorz
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

197:LA ジャック/工ド ↑1/4と2/4の間です:2009/01/31(土) 20:34:50 ID:vobliZ7R0
「ならなきゃよかったのに」
 おれの笑い声が店の中に響いた。
「そんなこと言うのはあんたが始めてだよ」
「そうか。“初めての男”ってフレーズは好きだぜ」
「おれをこんな風に扱うのもあんたが始めてだ」
「こんな風って?」
「おれのことを気難し屋扱いしない」
 最後のひとつの氷が溶けた。
 おれの心の一番手前にいつもある氷も、今日は店の扉をくぐった瞬間から溶けている。不思議な感覚。
 多分その夜のうちに、おれたちは最初のキスを交わした。


□ STOP ピッ ◇⊂(;∀; ) ヒー
分母がおかしいと思ったら1つ入れ忘れていました…確認不足すみませんorz
198騎士ライダー:2009/01/31(土) 23:51:12 ID:ceWVQvHU0
懐かしい海外ドラマから。
エロとか全くないです。
…だって、車だもん…。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
199騎士ライダー1/3:2009/01/31(土) 23:57:20 ID:ceWVQvHU0
「じゃあね、マイケル。土曜日が楽しみだわ。」
美しい女性が微笑んで、車から降りていった。
マイケルも笑ってみせて、女性を見送ったが、好意で笑った訳ではない。
彼女は、現在マイケルの追っている事件の首謀者だった。
土曜日に再会した時には、彼女は犯罪者としての証拠を突きつけられているだろう。
「…帰ろう、キット。」
『はい、マイケル』
車の中にはマイケルしかいない。返事をしたのは彼の車。
高性能のCPUを積んだスペシャル・カー。【騎士2000】=キット。
マイケルの操作を必要とせずに、帰るべき場所へと走っていく。

『マイケル』
「…ああ、何だキット?」
『これで土曜日を過ぎれば彼女とはお別れですね』
「ああ、そういう事になるな。…いい女とはお別れする運命にあるんだ俺は。」
大した感慨もなくマイケルが答える。
こんな事は毎度繰り返して、もう慣れっこだ。
例え犯罪者でなくても、事件を解決した後には知り合った女性とは付き合ったりしない。
「…仕方ないさ、もうプライベートは諦めてるよ。…お前以外の車に乗る予定もないしな。」
『そうですか』
「もし恋人が出来ても、お前の中でキスするのは躊躇うだろ。」
『私は躊躇いませんが』
「…お前がキスしてる女の体内活動を逐一報告する車じゃなければな。」
『私は私の中に居る人間のバイオリズムについて報告をしただけです』
「…頼んだ覚えはないんだがな。」
勿論、キットがマイケルの許可もなく、他人の前で喋るような事はしない。
精密な部分にブロックをかけて、大人しい「ただの車」の振りをしている。
自分の主人であるマイケルと、自分に乗り込む人間の生命について注意深く観察を怠らない。
キットはプログラムの通りに行動している。…筈だ。


200騎士ライダー:2009/02/01(日) 00:13:02 ID:A1AH/nAJO
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!


ごめんなさい!!!
パソがぶちっと切れました…!!
また改めて投下させ直させてもらって良いでしょうか?
申し訳ありません!
出直して来ます。すいません…。
どうぞ他の姐さん方投下なさって下さい…。
201風と木の名無しさん:2009/02/01(日) 00:57:25 ID:7j8ViX47O
あうっ
騎士ライダー大好き。待ってますぅ。
202風と木の名無しさん:2009/02/01(日) 02:00:30 ID:7esDkYIhO
>>199
まさか最萌えコンビが読めるとは…!
パソコン直るまで待ってる!!
203風と木の名無しさん:2009/02/01(日) 03:24:04 ID:yfD+TM5FO
>>197
姐さん!ジャックが格好いいよ。
工ド切ないよ
gjGJ!
204特異×谷部 特異と谷部のダラダラ日記:2009/02/01(日) 04:55:11 ID:4mSB3w+G0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 某TVでやつらが絡んでから需要の無い萌えが止まりません
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  カッとしてやった ほぼ書き逃げです
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
205特異×谷部 特異と谷部のダラダラ日記1/9:2009/02/01(日) 04:56:43 ID:4mSB3w+G0
収録後のロケバスで特異は奇妙な感覚に襲われていた。
先程の出来事が頭から頭から離れない。八部のことである。
いい先輩だ。後輩を引き連れて飲みにも誘うし、相談にも乗るようだし。
ただなんとなく掴みどころがない。良く言えば落ち着いているのだろうが。
そんな八部に出会った当初から特異は好感を持っていた。
しかし収録中、いきなり自分の頭を抱き寄せてきた八部に、フリと分かっていてドキリとしてしまった。
頭より先に行動していつも後悔するのだが、今日はなんだか酷く馬鹿をやらかしたいらしい。

「このあと飲み行きませんか」
さりげなく誘うと八部はキョトンとした顔を見せたあと、いつものふやけ顔をした。
「なんやねん、めずらし。別にええけど」
「じゃー局戻ってから電話しますわ」
「俺おまえのケータイ知らんぞ」
「はい、赤外線赤外線…」
そういえば番号も知らなかったかと笑いが込み上げる。勢いとは怖い。

仕事を終えてから居酒屋でおち合った。まずは軽く酒を入れつつたわいもない話。
「おつかれさん。どうやの、最近」
「やー…まぁ、そこそこですよ。引っ越ししたくらいですかね」
「売れたらそらな。やっぱM1て凄いねんな。ぶっちゃけモテるやろ」
「モテますねぇ」
「いさぎえぇわぁ、腹立つ」
酒も入って程よくいい気分になっている八部と合わせつつ、次の手を考える。
女を口説くのとは違うのだから内心慎重になっているのだが特異には何故か根拠の無い自信が沸いていた。
206特異×谷部 特異と谷部のダラダラ日記2/9:2009/02/01(日) 04:57:27 ID:4mSB3w+G0
居酒屋に入ってから2時間、特異は行動に出るため席を立った。
「ん、帰るか〜」
「いやぁ…、八部さん、うちで飲み直しませんか。こっから近いですし」
「おまえんち?わうわう見れんなら行く」
「なんで」
「りーがえすぱにょーら」
ああ、サッカー…
連れていく口実が出来たのはラッキーだ。そのままタクシーに同乗させ、特異の自宅へと向かった。

自宅に着いて居間に招き入れる。
八部とそう変わらない量を飲んでいたが、特異の意識は酷く冴えていた。
一方八部は泥酔してないものの、多少足元がふらついている。
「見れんやん、サッカー」
「次来るときは入れときますから」
「なんや、新居自慢かい」
一服している八部をソファーに残し、缶ビールを取りにキッチンへ向かう。
今から俺はなにをするのだろうか。よくわからない。
ただどうにかしてやりたくなったのだ。どうしようもないじゃないか。
つまみとビールを差し出すと八部は美味そうに酒を一口含んでから煙草をふかした。
一瞬の出来事がスローに動く。
柔らかに動く喉仏を、そのまま首を掴んで引きずり倒したくなった。
ゆっくりと吐き出される煙をぼんやりと目で追いかける。
煙が宙をさ迷い消えた瞬間、気がつけば八部が床に寝転んでいた。
いや、寝転んでいるのではない。自分が押し倒したのだ。
ああ今、自分の手は彼の首を掴んでいる。先程の妄想ではない、現実だ。
煙草の灰がフローリングに静かに落ちた。
理性というのは儚いもので、結局我慢など出来ないのが性であった。
207特異×谷部 特異と谷部のダラダラ日記3/9:2009/02/01(日) 04:57:54 ID:4mSB3w+G0
心拍の早さが異常だ。
当たり前の様に抵抗されると思っていたが、八部は素直に組み敷かれている。
思わぬ反応に胸の早鐘を鳴り響かせたまま、特異は固まってしまった。
しばらくして静寂を裂いたのは八部の方であった。
「…重いからのけや」
「いやです」
自分が優位に立ちたい性分は変えられず、こういう切り返しは素早くできるらしい。
八部は呆れた視線で特異を見据え、大きな溜息を一つついた。
「自分な…こんなおっさん構ってもちっともおもろないで…。遊ぶんやったらもうちょい良い思いしぃや」
「いや…その」
「…ロケ終わりから欲求不満ねやら誘うなボケ」
そう吐き捨てて目を閉じてしまった八部の喉元に触れていた手を、恐る恐る鎖骨まで滑らせる。
シャツに手をかけた時、ぼそりとつぶやく声が聞こえた。
「フローリングは痛い」
208特異×谷部 特異と谷部のダラダラ日記4/9:2009/02/01(日) 04:58:27 ID:4mSB3w+G0
お互い明確な事を伝えないまま寝室へ移動した。
クッションを背に仰向けになっている八部に跨がるような格好となる。
シングルのベッドに大人2人は少々狭い。
「…触ってええですか」
「いやや言うたらやめんのかいな」
やめるわけない。自分でも随分と白々しい質問だと思う。
八部の薄い肩へと手を伸ばす。
全身にえもいわれぬ興奮が駆け巡っている。もう自制が効かなくなっていた。
目を閉じ浅く呼吸をしている唇に吸い付くと、彼は小さく笑った。
「キスなんて…恋人にしたりぃや。場違いやぞ」
体の関係を今から求めてくる奴に感情移入したくないのか。
そっけない態度を取られるほど深溝にはまるのに、あなたはそれに気づかない。
少し意地になり、再び口づけをする。
深く咥内の舌を絡め取ると八部は幾分顔をしかめた。
特異の腕を掴む手に力が入る。離れると一回むせてから、ガキ、と言ってまた笑った。
シャツに手をかけたが脱がす余裕もなく、ボタンをいくつか外し胸元の飾りを甘噛みする。
少し荒くなってきた呼吸音が耳鳴りのように特異を侵食した。
自分の手によって彼が乱れる様を早く見たい。
下着ごとズボンを剥ぎ取り、八部自身に手を伸ばせば、
「、っぁ」
官能的な声を漏らした。
209特異×谷部 特異と谷部のダラダラ日記5/9:2009/02/01(日) 05:10:31 ID:4mSB3w+G0
筋肉の無い細い内股を撫で回しながら軽く抜いてやると、トロトロと先走りが特異の手を汚す。
八部の体が震えているのが恐ろしく興奮させる。
下半身がキツい。たまらなくなって自分も下着を脱いだ。
特異のそれは触ってもいないのに十二分に勃ち上がり、目の前の男の恥態に歓喜していた。
「俺、なんか見て、っ…、興奮するんか、ものず、き…はっ、」
「する、するって、やらしいもん八部さん」
八部から溢れ出ている精をかき集め、その下の蕾へと手を這わす。
他人に触られた事などないであろう場所に違和感を感じたのか、八部の尻が少し浮いた。
サイドテーブルの引き出しからローションを取り出し、多めに出した。
薄く開いた目は特異の行動を追う。
ローションを指と八部の尻に塗りたくると、冷たさと不快感からか彼の内股がヒクリと揺れた。
八部が何か言おうとした前に中指を埋め込み、奥をまさぐった。
「う…あ、ああ、気持ち、わる…」
「そのうちようなるから」
突き進めた中指が前立腺を擦ったところで、電気を流されたかのように体が跳ね、
八部のあられもない声が部屋に響いた。
八部自身ビックリしたらしく、手で声を抑える。
「駄目やって……、声、聞かせてよ…ええ声で鳴いてるあんたが見たい」
「はっ、クソ、…死ね…、」
中を掻き回しながら、空いている手で口元の手をどかす。
力の入っていない手はすんなりと言うことをきいた。
2本目を入れると、八部はとうとう目尻に薄く涙を溜めた。
210特異×谷部 特異と谷部のダラダラ日記6/9:2009/02/01(日) 05:11:05 ID:4mSB3w+G0
時間をかけて馴らした挿入部の粘膜は既にふやけ、グチュグチュと卑猥な音を漏らす。
指をキュウキュウと締め付ける感覚と、引き抜く際の入口からドロリと出てくる粘液が特異の下半身を大きくした。
出し入れを早くし、良いところを何度も擦ってやれば、我慢していたであろう、はしたない媚声が溢れた。
「ひっ、あぁ!あっ、や…あぁ」
「イく?イきそう?イくとこ見せて、」
「っ…このっ、変態…っ!あ、あああっ、」
薄い睫毛がパサパサと揺れ、少し背中を反らしたと思えば、八部は呆気なく吐精した。
イった反動で全身がビクビクと痙攣している媚態はとてつもなくいやらしい。もう限界だった。
イったばかりの八部の腰を両手で掴む。
尻に特異自身の欲望をあてがうと八部は目を見開いた。
「待っ、やめ、」
もう待てない。充血しヒクつく場所に己をズブズブと飲み込ませていくと、たまらない快感が背中を駆け抜けた。
先程の吐精でまだ痙攣の収まらない中は、締まりがよく絡み付いてくる。
体中の熱がすべて集まっているかのような熱さに酔いしれ、特異は一層雄を膨らませた。
指とは比べものにならない質量に八部は気を飛ばしそうになった。
先程の余韻が色濃く残る中で強すぎる快感に堪える。
まともに息をすることもままならず、口からはヒューヒューと掠れた呼吸が漏れた。
腰をがっちり捕まれ、特異の腕にしがみつくしか今をやり過ごせない。
己の腕を必死に掴む八部を恍惚とした脳でたまらなく愛しいと感じた。
211特異×谷部 特異と谷部のダラダラ日記7/9:2009/02/01(日) 05:12:03 ID:4mSB3w+G0
「八部さん、めっちゃ気持ちいい」
中に挿れた衝撃を馴染ませるため、特異は動かずに首筋に舌を這わせた。
半ば酸欠になっている八部の上下する腹はあばらが浮いており、掴んでいた腰も可哀相なほど薄かった。
揺さぶったら壊れるんじゃないかとさえ思う。
思えば身長も特異より7cm程小さく、改めて見るとなんだか酷く加虐心をそそられた。
幸薄そうな薄い耳をなぶればフラフラと首に手を回してくる。ああ、くそ、なんて様だ、たまらない。
様子を見ながら腰を上下にスライドさせると甘い喘ぎが特異の聴覚を犯す。
だらしなく開かれた唇の端からは唾液が滴り落ちており、普段の彼からは想像も出来ないほど淫らでいやらしい。
「あんた、やらしすぎ…、っ、めっちゃ吸い付いてくる」
「はっ、あぅ…言、うな、あほぉ…」
半ベソ状態の八部を抱き起こし膝に乗せる。
重力で更に深く繋がったせいで八部の四肢がのけ反った。
後ろ倒れそうになる細い体を支え、敏感な部分を何度も突く。
「うわ、や、ああぅ、ふぁ」
背中が弓なりになり、晒された鎖骨に吸い付く。
無数の赤い花を散らせ、特異は征服感にゾクリと体を震わせた。
「あかん、も、いくっ…なぁ、中で出してもええ、なぁ…」
理性のカケラも残っていないのか、言われたことを理解もせずに虚ろな目でコクコクと頷く八部にキスをした。
快楽の波に飲まれ、特異は八部の中にありったけの精を注ぎ込んだ。
下腹部に熱い射精感を感じ、八部もビクビクと痙攣し吐精した。
212特異×谷部 特異と谷部のダラダラ日記8/9:2009/02/01(日) 05:12:27 ID:4mSB3w+G0
あのあと意識を飛ばした八部を無理矢理引き戻し、
何度かの絶頂を味わったせいで、朝起きた時、八部はぐったりしながら悪態をついていた。
「やりすぎやねん…加減てもん知らんのかおまえは…」
煙草をふかす手に押さえた跡を見て特異は少し申し訳なくなった。
「すんません…でも八部さんがやらし「おまえ口縫うぞ」
一括されてしゅんとなった頭をしばらくしてポンポンと叩かれた。
「そらモテても彼女できんけやわ…身がもたん」
八部自身に欲情したことをよく分かっていないようで、特異はなんだかいたたまれなくなり少し落ち込んだ。
最初は仲良くなるだけで良かったが、次に触れてみたくなり、一度でいいから抱きたくなった。
今は一度で諦めきれるわけでもなく、期待している自分がはたから見れば呆れた男に写るだろう。
ふと、行為中に八部の体を見て心配したことを思い出した。
「…八部さん、ちゃんと食うとんの」
「…なんで」
「もうちょい太った方がええですって。なんかヤってて折れそうやって思て…」
「おかんかお前は。大きなお世話や…おまえこそ、その腹どうにかしろや。…当たんねん」
「……ああ、突っ込んでる時…ええやないですか。八部さんよがってたし」
八部は眉間のシワを更に深くし不快な顔をした。
特異はニヤニヤといやらしい顔で八部の腹部あたりにごろんと寝転び反応を伺う。
特異を睨みつけながら
「趣味悪い」
とだけ言い放った。
213特異×谷部 特異と谷部のダラダラ日記9/9:2009/02/01(日) 05:13:00 ID:4mSB3w+G0
なんだかこういう朝も悪くない。ただ、またあるかは別の話だ。
なし崩しに流された感のセックスはあとが悪い。
こんなことは一度きりかと内心諦めの様な想いが特異の頭にふわりと浮かんだ。
お互い大人なんだから、無かった事になるんかな。
谷部さんにとってはちょっと遊んでみただけやろな。

「おまえ今、いらんこと考えてるやろ」
ふいに声をかけられ、特異は目を丸くした。
「顔に出すぎ」
ふぅ、と煙草の煙をもろに顔にかけられゲホゲホとむせる特異を見て、今度は谷部が意地の悪い顔をしている。
「お前のせいでシャツが台無しや。ちゃんと洗ろうてうち持って来い」
「…ええんですか」
「なにがやねん」
勝ち誇ったような顔をする谷部に、特異はまたドキリとした。
来るものは拒まず、去るものは追わずの様な谷部に言葉はないが、多分恋をした。
谷部の真意はともかく、だらだらとした恋愛にこれから少し楽しくなりそうだ。

1週間後。
クリーニングに出して綺麗になったシャツを持って、特異は谷部宅のインターホンを押した。

END...?
214特異×谷部 特異と谷部のダラダラ日記:2009/02/01(日) 05:28:28 ID:OeYPxIkGO
□STOP ピッ◇⊂(・∀・)イジョウ、ジサクジエンデシタ!

特に接点がないお二人さんに萌えてしまった自分を呪いそうですorz
しかしくたびれたおっさんは実にいいですね…いやまったく
215マイナー邦楽&ナマモノ要注意:2009/02/01(日) 09:21:08 ID:nDfAwDplO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
以前揺揺定刻話でスペース拝借した者です。
もうだいぶ前になりますが、昨年りきっどfinalで胎盤した辺辺図六弦と姫カットのサラツヤキューティクルならびが余りにしっとりしてて萌えたので…。
すいません、もう一度だけ投下させて下さい。
216時よ止まれ 1/6:2009/02/01(日) 09:23:30 ID:nDfAwDplO

艶のある暗闇から謙虚に覗く青白い顔や、枯れ枝みたいに細くしなやかな体のせいか、最初は童話の悪役が共通して持ち合わせてる独特の不気味さすら感じられた(あれじゃ仕方ないと思わないか)と言うのに、才能の力は本当に恐ろしい。
今なら恥ずかしいセリフを喚きながら薄い胸板に飛び込んで骨が軋むまで抱き締めることも出来そうだ、なんて。この商売やってると、いくつになっても思春期が足元にあるから困る。むせかえる程の甘酸っぱいにおい。

(なんですかこれ。情熱?情熱ってこんなめんどくさい形してましたか?)

口に出せる筈もなく、胸の中で繰り返す自問自答。気の抜けたビールが舌の上から喉に落ちては、グズグズの胃袋を退屈そうに濡らすのに対して、先ほど生み出された重低音は耳から決して消えることなく、脳と血管に生き生きと絡みついて鳴り続ける。
予習はばっちりしてきた、少なくとも無知な訳じゃなかった、のに。あっと言う間にとりつかれ、鷲掴みにされ、虜になった。脳天から爪先へ一直線にぶっ刺して、体中の器官と言う器官を惜しみなく巡り巡って、最後には素っ気なく肌をなで上げられて、終わり。卑怯だ。

.
217時よ止まれ 2/6:2009/02/01(日) 09:26:05 ID:nDfAwDplO

「キララさん酔ってるんですかキララさん」
「うるさい」
「…すんません」
あんな演奏聞かされて、酔わずにいられるか。その直後あんな笑顔見せられて、飲まずにいられるか。拗ねるメンバーを押しのけて隣に座る。
「お疲れさまです」「あ、お疲れさまです。…えーと」
「ナカバヤシです」
「そう。ごめんね、いつも」
下の名前は忘れないのにと、申し訳なさそうに下がる眉と、後ろ髪を縛ったせいで露わになった白い首の、淡さ。漆黒からぬるりと浮き出たグラデーション、眩しい。
「いや、下の方でも全然」
「名前、可愛いね」
あなたの方が可愛いです。くしゃりと歪む目尻や、危うい曲線を生む唇が。…俺は何を考えてるんでしょう。
「そうですか?」
「うん。あの衣装は?」
「私物です」
「すごい、似合ってた。髪もキレイだし」
あなたの方がキレイです。その長さでその年で、どうしてそう美しく保てるんですか。…そして俺はどこを見てるんですか。
「いやあ…」
「若い頃ああいうの出来なかったなあ。自分達を客観的に見れなくて」
「結構好き勝手やってますけど」
「ん〜、でももっと不器用だったし…」
「……」

.
218時よ止まれ 3/6:2009/02/01(日) 09:27:33 ID:nDfAwDplO

至近距離にあるのに遠い横顔。沈黙の時間と比例して細くなるその目に、自分がまだ毛も生えてなかった時代の記憶に映っているのだと思うと、途方もない寂しさが急に押し寄せた。切なくも、懐かしく。

(なんだっけ、これ)

あれだ。海の向こう、太陽が沈む場所にもまた、うんざりする程の人間と世界が存在していると知った時の、絶望。当時の自分が知っていた全てから裏切られたような、幼さを斜め上から嘲笑われているような。
…さっきからえらく子どもじみている。
「あ、ごめん。ボーっとしてた」
「…いや、こっちも」
違うんです。こんな思いをしたくて話し掛けたんじゃないんです。あなたに二度も謝ってもらうつもりなんて全然無かったんです。
俺はただ…。
「あの、ベース、すごかったです」
こんな、散々聞き飽きているであろう種類の言葉を、わざわざその耳に届かせるために。不味くなったビールで喉を潤して、赤くなってるかもしれない顔を上げて。
「…ありがとう」
恥ずかしいのはこっちの方なのに、どうしてそんな照れ笑いを浮かべるんですか。
「ホントに。前に見た時とまた違って」
「あー、覚えられないんだよね」
「え?」
「だから、毎回違う」

.
219時よ止まれ 4/6:2009/02/01(日) 09:30:32 ID:nDfAwDplO

さっきまで「神」とか「鬼」とか形容したくなる動きをみせていたのに今は手持ち無沙汰にこめかみの髪と絡み合う指や、ほんの少し前はクールな状態で強張っていた顔が苦笑いの形に綻ぶのを見て、何となく禁忌に触れてしまったような罪悪感と優越感が込み上げている、ような。
「逆にすごいですよ、それ」
「…他の人がどうやってるのか知らないんだよね」
「俺もよく知ってるわけじゃないですけど」
つまり、陶酔しているんだ。
「…惚れましたよ」
自分達の演奏に合わせられるベーシストなんていないと思ってた。それは驕りでも何でもなく、自分達の行き着いた音楽がそういう形をしていたから。不要なまま完成したんじゃなくて、ハナからここに来る予定だったから。…でもあなたが、そんな風に弾いてしまって。
「考えさせられました」
例えば、自分達が15年早く産まれていたら。あるいは、あなたが15年遅く産まれていたら。どんな影に紛れても絶対誰よりも先に見つけて逃がさない、なんて、タチの悪い妄想ばかり。
「なんか、照れるね」
「本音ですよ」
社交辞令も作為も何も無く、ただありのままの胸の内を。
「…うん」
「…あの、だから」

.
220時よ止まれ 5/6:2009/02/01(日) 09:33:15 ID:nDfAwDplO

口を開いたはいいが、後に続く言葉なんて全然持ってなくて、それでもこの貴重な一時を終わらせたくなくて、ギリギリの声をひねり出す。
「…いつか」
「お取り込み中すんません!」
「ーはい?」
まさに不意打ちと言ったタイミングでギラギラと刺してくるメンバーの笑顔。さっきの小心者バージョンは何処にやったのだろう、そんなアホ面さらして。
「カメカワくん記念撮影するよカメカワくん」
「イチローくん、飲み過ぎ…」
…すいません、土下座したくなるくらい皆さんのこと忘れてました。
「早く撮ろうよ〜!」
「はいはい」
手を引かれてふらふらと立ち上がる後ろ姿は、何度見てもギョッとする。ブカブカに余ったパンツの生地、女みたいに細い腰。ほどかれた豊かな黒髪、天使の輪。…慣れない。
(いい年したオッサンなのに…)
「ナカバヤシくん」
わざわざ呼びに来た割には、立ち上がらせただけでとりあえず任務完了したらしい。すぐに放置してバタバタと先に行ってしまった背中を見送って、今度は本当に2人きり。
「あ、はい」
「…今日は、特別テンション高かったかも知れない」
「そうなんですか?」

.
221時よ止まれ 6/6:2009/02/01(日) 09:36:30 ID:nDfAwDplO

少し俯き勝ちの顔は、青白いのがデフォルトなんだろうか。見る度にどうにか出来ないか無駄に考えてしまうのだけど。
「君達が、カッコ良かったから」
「……」
「頑張らなきゃ、とか、思ったかもしれない」
分からないけどね、と小さく付け足して、また背を向けて歩き出した。微かにゆれる黒い波、いつもより曲がってる気がした猫背。
「カメカワさん…!」
さすがに飲み過ぎたのか、例の青臭い感情が邪魔をするのか、きっとそれ以上にあなたの音のせいなんだろうけど、とにかくみっともない程もたつく足を無理矢理動かして、華奢な手首を掴んだ。
「大丈夫?」
(…細いなあ)
この手でどうしてあんなに重厚で大胆で繊細で…違う、今はそれよりも。
「…いつか、セッションして下さい」
正直これが自分の本心かどうかは判らない。ただ、このまま一方的に終わってしまうのが寂しくて、苦し紛れに開いた唇から漏れた言葉に過ぎないのかもしれない。
「…うん、いいね」
でも、あなたが笑って受け入れてくれるなら、もうこれ以上望むことなんて無いです。
「お手柔らかに」
「何言ってんですか、全力出しますよ」
「…怖いな」
(こっちこそ)
今、自分が不気味な種類の笑顔を浮かべていても、お願いだから逃げないで下さい。あなたに追いつきたい健気さで頭がいっぱいなんです。


END
222風と木の名無しさん:2009/02/01(日) 09:37:40 ID:nDfAwDplO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
何か色々とすみません…。
貴重なスペースありがとうございました!
223騎士ライダー:2009/02/01(日) 10:00:45 ID:ZZuzBZI/0
パソの機嫌がいいうちに投下します。
懐かしい海外ドラマから。
手際が悪くてごめんなさい…

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
224騎士ライダー1/2:2009/02/01(日) 10:04:13 ID:ZZuzBZI/0
「じゃあね、マイケル。土曜日が楽しみだわ。」
美しい女性が微笑んで、車から降りていった。
マイケルも笑ってみせて、女性を見送ったが、好意で笑った訳ではない。
彼女は、現在マイケルの追っている事件の首謀者だった。
土曜日に再会した時には、彼女は犯罪者としての証拠を突きつけられているだろう。
「…帰ろう、キット。」
『はい、マイケル』
車の中にはマイケルしかいない。返事をしたのは彼の車。
高性能のCPUを積んだスペシャル・カー。【騎士2000】=キット。
マイケルの操作を必要とせずに、帰るべき場所へと走っていく。

『マイケル』
「…ああ、何だキット?」
『これで土曜日を過ぎれば彼女とはお別れですね』
「ああ、そういう事になるな。…いい女とはお別れする運命にあるんだ俺は。」
大した感慨もなくマイケルが答える。
こんな事は毎度繰り返して、もう慣れっこだ。
例え犯罪者でなくても、事件を解決した後には知り合った女性とは付き合ったりしない。
「…仕方ないさ、もうプライベートは諦めてるよ。…お前以外の車に乗る予定もないしな。」
『そうですか』
「もし恋人が出来ても、お前の中でキスするのは躊躇うだろ。」
『私は躊躇いませんが』
「…お前がキスしてる女の体内活動を逐一報告する車じゃなければな。」
『私は私の中に居る人間のバイオリズムについて報告をしただけです』
「…頼んだ覚えはないんだがな。」
勿論、キットがマイケルの許可もなく、他人の前で喋るような事はしない。
精密な部分にブロックをかけて、大人しい「ただの車」の振りをしている。
自分の主人であるマイケルと、自分に乗り込む人間の生命について注意深く観察を怠らない。
キットはプログラムの通りに行動している。…筈だ。
225騎士ライダー2/3:2009/02/01(日) 10:11:50 ID:ZZuzBZI/0

ただ、マイケルが先程の女性とキスした後に、その女性の中でナントカいう物質が分泌されている、
と聞いてもいない事を報告してきたのが腑に落ちない。
官能の後の生理現象を「車から」聞かされて、白けない男なんか居ないだろう。
「…まあ、お前に女性の魅力を教えても無意味だろうよ。」
『魅力については理解しかねます。ですが好みを判断する事なら出来ます。』
「好みだって?」
『ええ。あの女性について言うなら、私の好みではありません。』
「……はあ!?」
キットにそもそも性別など存在しない。当たり前だ。車なのだから。
ただ、男性のように認識できる音声がマイケルと会話をしているだけにすぎない。
…キットに女性の好みがあるなんて初耳だ。
「…待て、キット。お前の基準は知らないが、何故彼女が好みじゃないんだ?」
『彼女は私の計器類に無遠慮で触るからです。ブロックの不備はありませんが多少の調整を必要とする事を煩わしく感じます』
「煩わしい、ねえ…。」
『そして、マイケル。あなたの生理的パラメーターに異変が起こるのが心配です』
「…心配?…」
『ええ。彼女のような女性に触れられているマイケルの体内では』
「待て!待て!ストップ!それ以上言わなくていい!」
マイケルは声だけでなく、手も振って制した。
…つまり、マイケルが好みではない女性と接している時のパラメーターについて
キットは心配しているのであって、マイケルの好みイコールキットの好み…?
頭がこんがらがりそうだ。…だがそれは、キットの好みと言うべきものだろうか?
「…好みで言えば、彼女は嫌いじゃない部類だぞ?…俺にとっては。」
『そうでしょうね。私は女性について顔面や体つきで判断をしませんから』
それでは話が繋がらない気がする。
「俺は、お前の部品の一部じゃないぞ?…そりゃあ、お前には助けて貰ってはいるさ。
だからって、お前に俺の生理的パラメーターとやらを心配される理屈はないだろ?」
『勿論です。あなたは自身でメンテナンスが出来るのですから』
「…。」
226騎士ライダー3/3:2009/02/01(日) 10:15:09 ID:ZZuzBZI/0

『私が気をつけているのは、マイケルの生命活動です。それを脅かされるのは私にとっては危機と呼べるものです』
…何となくはぐらかされている様に聞こえる。尤もらしいことを言って核心について逸らしているようだ。
キットとは長く付き合ってはいるが、こんな事を聞くとは考えてなかった。
「…キット。お前、妬いてるんじゃないだろうな?」
『なんですって?』
「俺が好みの女と一緒に、お前に乗るのが面白くない、って事か?」
マイケルは茶化して言った訳でもないが、キットの対応にはやや首を傾げたくなる。
「…おい。…キット?」
『マイケル。運転を手動に切り替えます。ハンドルを握ってください』
「…何故だ?」
『マイケルの質問に答える為には負荷が掛かります』
「負荷!?」
『ええ。このトートロジーに対応する為にはシステムを総動員させなければなりません。
このまま自動操縦を続けながら計算を行うと、最悪の場合計器類がダウンする可能性があります』
「ちょっと待て!俺はそんなに難しいことをお前に聞いたのか?」
『ええ、マイケル。私に向かって「妬いているのか」と聞くあなたについて分析しなければなりません』
マイケルは首を振ってため息をついた。
…俺は何とも面倒な車に乗ってるな。
「…ああ、わかった。運転は俺がするからお前は好きなだけ分析してろ。」
『お願いします』
高性能のスペシャル・カーの言う理屈について、何となく理解しがたいものを感じながら
マイケルは家路へとキットを走らせていった。
227騎士ライダー:2009/02/01(日) 10:28:04 ID:ZZuzBZI/0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

なんだか改行に失敗して変に手間取ってしまいました…。
お恥ずかしい…。
書きながら走馬灯全回転でした。
リメイクとかしないですかね…。
228風と木の名無しさん:2009/02/01(日) 11:53:30 ID:7esDkYIhO
>>223
とても萌えさせていただきました!GJ!
やっぱり2人(?)の関係はいいなあ
229風と木の名無しさん:2009/02/01(日) 12:25:18 ID:95rcUwz/0
>>204
超GJでした!!
自分も某番組のあの一瞬でかなり萌えたので、頭禿散らかしました…!!
230風と木の名無しさん:2009/02/01(日) 14:32:57 ID:7BUoPbMPO
>>204
GJ!
エロい八部と内心乙女チックな特異を楽しませてもらいました。
231風と木の名無しさん:2009/02/01(日) 18:13:05 ID:fcD7fsBq0
>>223
GJ!懐かしいなぁ〜
2人(?)の会話楽しいです、
脳内再生(音声はもちろん吹き替えの声で)されました。
とっても和み萌えました!
232風と木の名無しさん:2009/02/01(日) 19:25:47 ID:pOZSmRN30
>>223
GJ!あの声で再生されました!かわいいな〜。
いちいち分析するキット萌え。

あと、騎士ライダー2008ってのが米で放送されてるそうですよー。
当時のマイケルの人も出てるそうです。
233風と木の名無しさん:2009/02/01(日) 19:56:57 ID:Acckc7D6O
>>204
GJ!
あなたのおかげで私の中の何かが目覚めました
もしあるのなら、続きをwktkして待ってます!
2341/5:2009/02/01(日) 21:00:44 ID:e3rmSh0H0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
残念なオリジナルが長々と失礼するよ!
オッサン×オッサン


 仕事帰りにコンビニに寄って、ケーキを買った。ついでに発泡酒じゃないビールと乾き物、
明日の朝食用のパン。頼まれてた牛乳。あとタバコ。
 安い汚い狭いの三拍子が揃ったボロアパートに帰ったのは午後八時。家には明かりがついて
いて、俺はホッと安心する。ドアを開けようとしたらご丁寧に鍵が掛かっていて、もたもたし
てたら家の中から錠を回す音がした。
「おかえり」
「ただいま」
 目線がそのまま俺の手元に落ちて、眉間に皺が寄る。また無駄遣いしてってお小言はなくなっ
たけど言わなくなっただけで目で語るようになった。まあそういうの感じ取れるようになったの
は良いことだよな。
 寒い廊下を進んで小さい台所の小さい冷蔵庫を開ける。
 奴は俺の後ろに立ってうろうろしている。
「なにそれ」
「ビール」
「違う」
「ケーキ」
「なんで?」
「お祝いだから」
「なんの?」
「……三十年経ちました」
 覚えてないかなって期待しながら奴の目を見ると、うろたえたみたいに彷徨ってた。
 三十年経ちました。
 お前が死ぬ死ぬ詐欺して、俺が殴って引き止めて、病室のベッドで無茶な約束してから、三十
年経ったんです。
 ご近所や会社の変な噂も何度かの死ぬ死ぬ詐欺再発も乗り越えてみれば全部笑い話。
2352/5:2009/02/01(日) 21:01:16 ID:e3rmSh0H0
 奴は少し俯いて、白いビニール袋を覗き込みながら言う。
「そっか……お前も老けるはずだよな」
「お前のが年上じゃん、ジジイ」
「まだオッサンだ」
「俺もオッサンだけどオッサンを誇るなよ」
「うるせーな」
 そうやって笑うと目立つ目尻の皺、増えたよなぁ。体力も落ちたし、もう取っ組み合いの喧嘩
とかしなくなって何年経つだろ。諦めたみたいにお前は最近おとなしくて、日曜のドラマとたま
に行くドライブだけが楽しみなんて、ほんとつまんない大人になったもんだ。
 しかしとりあえず腹が減った。奴の老いをシミジミ感じている暇はない。俺は冷蔵庫から目線
を奴に戻して、
「メシは? なんか食った?」
「いやまだ。今日は俺当番だから、なんか作る。ヤキソバでいい?」
「ケーキまで買ってきたのに色気ないよね。いいよ」
「なんで一回文句言うの直んないの?」
「はいはい。野菜なんかあったっけ、もやしある?」
「あるよ。玉ねぎ切るの手伝って」
 ピーマンが苦手だとか、テレビのCMをじっと見ていられないとか、洗濯物を畳むのが下手とか、
部屋の角をいつも掃除し忘れるとか、玉ねぎを切るのが苦手だとか、どうでもいい駄目な部分を
集めて抱えて三十年。
 高校の友達は中小企業で課長になって、奥さんと子供二人と郊外に一戸建て買ったんだって。
 大学の友達は小さい会社起こして、一年中走り回ってるって、大変だけど楽しいって。
 飲み屋の兄ちゃん、今度結婚して家業継ぐんだって。
 俺にもお前にも訪れたかもしれない幸福な人生を、俺もお前も選べなかったけど、周りから
見たら最低の底辺の人生だろうけど、俺の人生は無駄じゃなかったよ。お前はどうだろう。
 不味いヤキソバしか作れないお前。
 玉ねぎ切れないお前。
 腕に傷跡あるお前。
 こんな安アパートで男と二人暮らしのお前。
2363/5:2009/02/01(日) 21:02:02 ID:e3rmSh0H0
 ヤキソバを作る後姿をぼんやり見ていたら、見慣れた顔が振り返って、
「ビール用意して、ヤキソバできた」
「あいよ」
 この匂いはまた焦がしてんのね、どうでもいいけど。
 焦げが少ない部分を寄せ集めて、俺に渡してくれるのね、いつもそうだけど。
 ちゃぶ台の定位置に座って、俺はビールをグラスに注ぎ始める。箸とヤキソバを持ってお前は
ちゃぶ台の前に立ち、少し躊躇ってから席に着いた。
 それから目の前に先に置かれた皿を見て、すっと俺の方に押し出してくる。俺は無言でそれを
押し返す。この勝負の勝ち方も三十年やったんで分かってる。
「押すな、こぼれる」
 先に文句言った方が勝ち。
 ほれそっちの焦げ満載の皿を寄越せと手を出すと、渋々渡してきた。
「じゃ、乾杯」
「乾杯」
「いただきまーす」
「こっち食ってくれればいいのに」
「まじー」
「ほらみろ。絶対文句言うと思った……」
「にげー。でも慣れた」
 そう言いながらバクバク食べると、奴もこっちも苦いと言いながらもそもそ完食した。
 ビールの勢いが残ってる内に早いところ済まそうと思ってケーキを持ち出す。我が家には
フォークなんて高尚なものはないので、箸だ。せめてもの心遣いで新しいものを出してやる。
「箸かよ……コンビニでもらったフォーク、使ってないやつなかったっけ」
「ない。てかもう手づかみでいっか」
「せめて皿とかないの?」
 心遣いの箸は却下されて皿を所望されても、皿は焦げ臭いヤキソバで汚れてシンクに転がって
いるあの二枚しかない。
 強引にいただきますと宣言して白いスポンジとクリームに齧り付くと、諦めたように奴も小さ
く口を開けて食べ始めた。やたら甘いだけで美味しいのかどうかも分からないケーキを一口食べ、
奴はぽつりと呟いた。
2374/5:2009/02/01(日) 21:02:39 ID:e3rmSh0H0
「甘い」
「うん甘い」
「……三十年、経ったんだ」
「うん経った」
「……じゃあさ、やめる?」
 クリームで手をベトベトにしながら、奴は小さくそう言った。
 病院のベッドで話したことは、もうあんまり覚えていない。ただ俺は罵倒しながら奴の命を三
十年分もらった。引きずり回して連れ回して使い倒して死なせてやろう、そんぐらいにしか思っ
てなかった。
 俺の憧れた人間は死んで、情けなく惨めで無気力な人間が生まれ、俺の手に落ちた瞬間だった。
 残ったケーキを口に放り込み、指に付いたクリームをティッシュで拭きながら俺は奴の顔を見る。
 奴はもたもたとまだケーキを食べていて、俺はティッシュボックスを差し出しながら言った。
「三十年一緒にいたけどさ、お前は使えない奴だったな」
「――最初にそれは確認しただろ。それでもいいってお前が言ったんじゃないか」
「うん、いいよ、もう全部いいよ」
 でも三十年は長かったなぁ。どれだけ昔のお前に焦がれただろう。夢見て、現実に怒って、目
の前のお前に八つ当たりして、喚いて引っ叩いて蹴っ飛ばして、死ぬな死ぬなと泣き縋って。
 お前の人生ってどうだっただろう。俺と過ごした三十年が無けりゃ、まだいい人生だっただろ
うか。あの時終わっていれば、綺麗な人生だっただろうか。
「まだ、死にたい?」
 三十年封印していた質問を投げかけると、奴はちょっと驚いた顔をして小さく首を横に振った。
 振ってから、自分の答えに今さら驚いた様子で俺を見つめてきた。俺も驚いた。その目の奥に、
俺の憧れた人の面影を見た気がした。
「だよな」
 震える声で追い討ちかけるみたいに確認すると、喜んでいいのか悲しめばいいのか分からないっ
て顔で奴は頷いた。憧れた人の面影はもう消えていたけど、俺はなんだか嬉しくなって、続けて
言った。
「なあ、それならさ、もっかい三十年やろうよ、今度のはもっと――」
 もっと、なんだろ。
 平和だとか? 今も充分平和だ。
 幸せだとか? 今も充分幸せだ。
2385/5:2009/02/01(日) 21:03:32 ID:e3rmSh0H0
 なんだろう。もう一度、三十年をどう過ごせばいいだろう。お前が頷いてくれるような理由、
今回も見つけないといけない。そうじゃないとほら、ケーキもビールも用意したってのに無駄に
なっちまう。
「もっと、愛のあるやつ」
 言った途端に俺はガチガチに固まって、奴も目を見開いて固まった。
「……愛?」
 聞き返されても恥ずかしすぎて同じ言葉を繰り返すなんて出来ない。
「え……いや……愛って、お前……いや、なに……冗談?」
 冗談だよなって確認するお前が真っ赤になってるから俺も真っ赤になってる。
 おかしいな俺の恋心は、三十年前に相手がいなくなって終わったはずなのに。同じ顔の別人に
なったお前を、好きになるなんて出来ないと思っていたのに。
「……冗談?」
 もう一度、縋り付くような弱弱しい声で尋ねられて、俺は首をギシギシ軋ませながら横に振っ
た。涙が出そう。涙が出そうだ、三十年間こんな風に泣くことはなかったのに、涙が。
 
 殴って蹴って罵って喚いて縋って三十年、これからは平穏な愛の三十年。




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
2chでたまに見る「氏んできます」「(いいことホニャララ)というわけで生きとけ」みたいな
やり取りに萌えたんだけど上手く書けぬぁい
枯れたオッサン萌え、年下×年上萌え、とつぶいて逃げる
今は後悔している
239ふたりの、居場所 1/3:2009/02/01(日) 21:47:34 ID:Z2DgQCn10
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



懐かしい寂しさの中で目が覚めた。
以前はこの感覚が寂しさだなんてことも知らなかったのに。

胸のどこか底の方にあるはずの温かいものが抜け落ちたようなさみしさだ。
寂しさから救ってくれるはずの人を探す。
いつも胸の奥にいる、温かい人。 いつも隣に佇む背の高い人を。


なのに。

ベットの半分側ががら空き。
目が覚めて自分しかいない。

喉の奥の乾きを堪えつつゆっくり指先をシーツに滑らせる。
そこに残る温かさにほっとしてやっと呼吸ができるようになる。
安心で涙が浮かんできた自分が、酷く可笑しい。

泣く事なんて今まで−−殆ど、無かった。
どれだけ運に突き放されたような人生でも、苦とは思わなかった。
ただ、そういうものなんだ、自分の人生はこうなんだ、とどこかで勝手に納得していた。

だから自分が寂しいんだなんて思う事は無かった。

240ふたりの、居場所 2/3:2009/02/01(日) 21:49:53 ID:Z2DgQCn10


親友と、妻を奪われるまでは。

奪ったのも、奪われたのも・・・
「ふふ…、、」

久し振りに薄暗く、極端な考えをしだした自分が今度は少し懐かしくてまた可笑しい。
薄く瞼に浮いた涙を拭いながら半身を起こすと、ベランダに居る彼の姿が目に入った。

ほんの数歩離れただけの距離。
この距離で寂しさを感じるなんて。


ガラスの向こうの彼は、自分にあきれ返っているこの中年に気が付くと、満面の、でも少し照れくさそうな笑顔を向けてくれる。

「今日も寒いよー、温暖化って嘘なんじゃねーの?」

寂しさ分の距離を長い足であっさりと跨ぎ越えて、しなやかな体がするりとベットに滑り込む。
外気で冷やされた指先が裸の脇腹をくすぐる。

「雪が降らねーかなって見てたんだけど、今日も寒いだけみたいだな。」
「雪?」
「いや、去年はさばかすか降ったじゃん?」
「……そういえば。寒かったですもんね。 …そっか、一年経つんだ」
「一年だよー早いよな」
「早くて…長かったですね。」
「…ああ。長くて、あっという間だった。…今年は降らないのかな、雪」

柔かく腕が首に回され、抱きしめられる。
241ふたりの、居場所 3/3:2009/02/01(日) 21:56:59 ID:Z2DgQCn10

少し乱暴に、でも不思議なくらい優しく抱きしめられる。
泣くのとは違うんだけど、泣きそうになる。
こころの底に澱のように蟠っている寂しさが溶け出して行くように泣きたくなる。

「へーたさん。」
「ん?」
「おれ、この一年でやたら寂しがり屋になっちゃったよ。」
「いいんじゃね?」

見なくても彼が笑うのが分かる。にやり、と笑うのが。

「オレだって甘えん坊だし。」

まわされた腕に頭をのせると、段々と力が抜けていく。
腕の中で、そうする為に誂えられたかのように身体が自然になじんでいく。

居心地のいい場所。
ここが、おれの温かい場所。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

一年たったんだよねー
スレで一年一年言ってたので妄想してました。
反省はしないけど後悔はこれからする。
242風と木の名無しさん:2009/02/01(日) 23:02:12 ID:DZBu0W1u0
>>234-238
超GJ。にやにやした
243風と木の名無しさん:2009/02/02(月) 00:01:32 ID:O/6KiFnc0
239-241
きゃー。
この2人がまた読めるとは。ありがとうございます。
244風と木の名無しさん:2009/02/02(月) 00:12:32 ID:3FQkgFG20
>>234-238
長年連れ添ったカップルは甘いだけでない味があって良いですね
しんみりと萌えました。
245風と木の名無しさん:2009/02/02(月) 00:45:19 ID:gzcXgyUI0
>>234-238
こういうのすごい好きだ。面白かったし、萌える。
おっさん同士の雰囲気もだけど、終わり方とか全体的に好きだ。
246風と木の名無しさん:2009/02/02(月) 05:46:28 ID:mtphrR6O0
>>234
おっさん萌えにはたまらん。
最後、おっさんと一緒に泣きそうになったよ。
心からGJ。
247風と木の名無しさん:2009/02/02(月) 11:59:33 ID:ZJs+p9Md0
昨日の全GOテヌスに萌えすぎた
去年の最終ランキング1×2←4
1レスで済む短さw
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

いつもならば分析以外で他人の試合を態々見ることはしなかった。
なのにこうしてテレビモニターの前でじっとその画面を食い入るように見つめている。
画面の中の試合はもう直ぐ終わろうとしていた。

ゲームセット
その瞬間、勝者と敗者が決定する。
残酷なほどはっきりと。

昨年その玉座を今日の勝者に譲ったとはいえ、自分にとっての王はずっと「彼」だった。
尊敬し、憧れ、追いつきたいと願い、去年は指先が届き、漸くその視界に入れたと思った。
「彼」とのプレイほど自分を昂ぶらせるものはなく、試合を重ねるほどに執着にも似た思いばかりが募っていく。

そして今年
その横に立ち、完全に彼を王の座から引き摺り下ろすのだと
そんなふうに決めていた

なのに

あの会場の暑さもなにもかも、直ぐに思い出せるのに
自分は部屋で、自分以外の相手と戦う「彼」の姿をただ見ているだけ。

あの涙を流させるのは、できる事なら自分でありたかった。
そしてそれを拭うのも自分でありたかった。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
248風と木の名無しさん:2009/02/02(月) 16:22:58 ID:1YLP5wsmO
>>247
姐さんGJ!
おおもう今回も燃えて萌えた
映像見たかったぜ…
249風と木の名無しさん:2009/02/02(月) 21:57:17 ID:A2OuiKZj0
>247
GJ!!!
昨夜は笛寺の泣きっ面にきゅんきゅんした
250警鐘 夜影(夜→影):2009/02/03(火) 04:14:58 ID:LCItdVqZ0
週間飛翔連載中の警鐘。
兄貴は受けだと信じてやまない。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 整髪料の香りの残る頭を抱きしめる。額の傷跡に舌を這わす、それからくちづけ。
目じりのそれにも、頬のそれにも。
唇を重ねれば、逞しい腕に抱きしめられる。

ひとつ、ふたつ、シャツのボタンを外すのを眺める。消えない傷跡、いくつも。
ひとつ、ひとつなぞる。

「痛かった?」
「覚えてねえ」

歯を立てる。跡をつける。腕にも指先にも。
子供のわがままだけど、これであんたは俺のもの。
頭を撫でられる。大人の余裕が少しむかつく。

「なあ、あんたは全部俺のものだよな 」

「ああ くれてやる 」

頭のてっぺんからつま先まで全部おれのもの

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
自家発電継続中。アゲハのキャラがつかめない。
251是似解場 時計兄ちゃん×封太郎 1/5:2009/02/03(火) 04:35:34 ID:91LqtTwA0
先週のドラマ是似解場。

なんであんな人気のあるところで、足に怪我してる封が
時計兄ちゃんを頃せたのか。
なんでドラマではそこら辺ちゃんと映さないのか。
そう思ったので真相を捏造してみた。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「もう2人…殺してるんですよ。」

何を言われたのか分からなかった、言葉の意味が頭に入ってこない。
この得体の知れない男は何を言っているのか。
自分はただ、美紅似家から去れと、そう言っただけなのに、答えになっていない、意味が通らない、それなのに、いやに確信ありげに人の目をじっと見て…。
「本当に、ごめんなさい。」
そこで初めて師等革は、封太郎の目と、ありえない近さで見詰め合っていることに気付いた。

何か言おうとするのに声が出ない、どこか恐ろしい高さの淵に立って、底の無い穴を覗き込むような、眩暈のする感覚。
全身の神経がささくれ立って、警告を発する。
(逃げろ!今すぐここから、コイツから離れろ!!)

だが、本当に断崖の淵に立たされた人のように、師等革の足はガクガクと震え、身動き一つ、見詰め合う目を逸らすことさえできないまま、
封太郎に左腕をつかまれてしまっていた。
振り切りろうと思うのに、動くことが出来ない、逃げられない、と思った刹那、ふっと張り詰めた空気が緩んだ。
252是似解場 時計兄ちゃん×封太郎 2/5:2009/02/03(火) 04:37:16 ID:91LqtTwA0
封太郎が薄く笑っている。

「嘘ですよ。」

うそですよ、うそ、ですよ、うそ、嘘。

音の羅列が言葉として認識されるのに暫く掛かった、同時に周囲の喧騒が、師等革の耳に戻ってくる、
車の排気音、行きかう人々の声に、はしゃぐ子供たちの声、ここがまだ明るい時間帯の公園だとようやく思い出して、
安堵のあまり力が抜け、自然に背後の木にもたれかかる格好になった。

胸部に圧迫を感じた。
封太郎が、左手をつかんだまま、師等革の胸にもたれかかり、じっと自分を見つめている。
「嘘ですよ、本気にしましたか?」
さっきまでとは打って変わって、いやに親しげな笑顔でそう言われ、我に返った師等革は、改めてまじまじと封太郎を見た。
(コイツ、こんなに背が低かったっけ?ああ、そうか、今は僕にもたれているから。コイツ、足が…)
「痛むのか?」
当たり前のことをつい聞いてしまうと、封太郎は師等革を見つめたまま、不思議そうに首をかしげ、それから今度は歯を見せてにっこりと笑った。
「あなたに心配してもらえるとは思いませんでしたよ。」
「…あ…あるわけ無いだろ、心配とか…そんな…」
上手く否定できなくて、師等革は焦った、が、その言葉は思いがけず、封太郎に打撃を与えたようだった。
「…そうですよね、僕がどうなろうと興味ないし、どうでもいいんですよね、師等革さんには。」
恐ろしく沈んだ声で言うと、初めて師等革の目から視線を外して俯いた。
253是似解場 時計兄ちゃん×封太郎 3/5:2009/02/03(火) 04:39:52 ID:91LqtTwA0
襟元からあらわになった白い首筋が覗く。
(軽いな、コイツ。)
何故かフイにそんなことを考える、美紅似家に近付こうとする封太郎を警戒している時には気が付かなかった、
儚げな線の細さが突然意識されて、師等革を落ち着かない気分にさせた。
「分かりました、師等革さんの言うとおり、僕はどこかへ消えます。」
封太郎が再び顔を上げた、底無しの暗い穴のようだと思われた二つの目が、今は悲しげに潤んで、すがるように師等革を見上げている。

何も言えず、目を逸らすこともできない師等革の左腕から、封太郎の手がどけられ、腰に回される、もう片方の手も同様に、
封太郎の手を離れた杖が、カランと地面に小さな音を立てた。
支えを失って師等革に全体重を預ける封太郎の体はやはり驚くほど軽く感じられた、むき出しの白い首筋が妙に痛々しく、艶かしい、
今すぐ突き放してこの場を去るべきだと、頭では分かっているのに、そのあまりの無防備さが、かえって師等革を怯ませる。

「母が死んで、僕は預けられた施設をすぐに脱走して、それからずっと、この歳まで、1人で生きてきました。」
師等革の胸にもたれたままの封太郎が、さっきの続きを話し出した、言葉を切って、じっと師等革を見つめ、再び言葉を継ぐ。

「………ねえ、師等革さん、僕……どうやって生きてきたか分かりますか?」
254是似解場 時計兄ちゃん×封太郎 4/5:2009/02/03(火) 04:42:20 ID:91LqtTwA0

「………ねえ、師等革さん、僕……どうやって生きてきたか分かりますか?」
「いや…派遣とか…?」
師等革の答えに封太郎は驚いたように目を丸くし、次の瞬間吹き出すと、そのまま師等革の胸に顔を埋めて震えだした、声を殺して笑っているらしい、
細い肩が小刻みに上下して、封太郎の息遣いが、密着した師等革の身体に伝わる。
「…そんな…当時僕、小学生ですよ…派遣って…捕まっちゃいますよ、僕も、雇う方も…。」
笑いながらそう言って、また師等革を見上げた、笑顔のままだが、どこか暗い影が射しているように見える。
「そうですよね、想像もつきませんよね、あなたのような人には。」
師等革に近々と顔を寄せ、耳元に囁くように言った、ぞくり、と師等革の背が小さく泡立つ。

「本当に、金のためなら、何でもできるんですよ、僕、誰とでも…。」

封太郎の右足が、ゆっくりと両足を割って、いつの間にか質量を増した師等革の中心に押し当てられる。
「…君は…。」
何か言いかけて初めて、師等革は口の中がからからに乾いていることに気付く、初めて封太郎に会った仲間内のクルーズで、
師等革の腕時計を盗んだのではないかという疑惑を晴らすため、次々と着ているものを脱いで、無造作に手渡してきた時の封太郎の姿が、
白く細い身体が鮮明に思い出された。
「不思議なんですよね、僕はこんなに醜いのに、何故か買う人が結構居るんです。」
喋りながら、薄く開いた唇が、そっと師等革のそれに一瞬重ねられ、すぐにまた離れた。
「嫌、ですよね、師等革さんは、こんな得体の知れない…。」
言い終わらない内に、突然景色が封太郎を中心にぐるりと回り、気が付けば師等革は地面に封太郎を押さえつけ、のしかかっていた。
255是似解場 時計兄ちゃん×封太郎 5/5:2009/02/03(火) 04:45:03 ID:91LqtTwA0

「…師等革さん?」
夜毎見知らぬ男達に開かれた身体、嫌悪と表裏一体の激しい情欲が、師等革を突き動かしていた。
乱暴に封太郎の胸元をはだけ、顔を埋める。
「…っや…師等革さん…師等革さ…やめ…こんなとこ…で、嫌…」
弱々しい声も、押し返そうと肩をつかむ細い指も、火に油を注ぐ役にしか立たなかった。
「誘ったのは君だ…金なら好きなだけやる、何でもするんだろう。」
自分でも驚くほど、野卑な台詞を口走り、封太郎の抵抗を抑え込む。

「人が来ます!」

師等革の動きが止まり、呆然と封太郎を見つめた、師等革にはだけられた胸元を押さえて、封太郎は笑っていた。
「だから、ね?師等革さん、この続きは…」
胸元を押さえていた手が、師等革に向かって伸ばされる、白い胸元が師等革の目を射抜く。
「誰も来ない所で…」
催眠術に掛かったかのように、ふらふらと、師等革はその手を取り、引き寄せた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
256Gガン 弟子←師匠(1/5):2009/02/03(火) 06:38:59 ID:oRwBcfMN0
今年放映15周年だそうで、見直してみたら師弟に燃えて萌えたので勢いで投下
最初から最後までネタバレ満載注意!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「お会いしとうございました……っ!」

そう言ったきり泣き崩れた弟子は、一年前に別れた時とどこも変わってはいなかった。
むしろ、厳しい修行にも滅多に見せたことのなかった涙を
ぽろぽろと止め処なく流しながらすがってくる姿は、昔よりも幼くすら見える。
震える手に手を重ねてやりながら、そんな事を考えていた。

*****

その晩、儂は一瓶の紹興酒をさげて奴にあてがわれた部屋を訪れた。
生き残った人間も着実にその数を減らせている今、
都庁ビルには空き部屋だけはたっぷりと残っている。
ここもそのうちのひとつであり、以前は小規模な会議室として使われていたようだった。

開け放たれたままのドアの向こうで、弟子はぼんやりと窓際にたたずんでいる。

「どうした、明かりもつけんと」

廊下からの光を頼りに蛍光灯のスイッチを探し、オンに切り替えた。
確かに明るくはなるが、この光は冷たい。

「師匠……。いえ、外を見ていただけです」
「そうか。……ひどいものだな」
「はい……」
257Gガン 弟子←師匠(2/5):2009/02/03(火) 06:40:51 ID:oRwBcfMN0
明かりをつけたために、窓ガラスは部屋の中の光を反射し
鏡のようになって窓の外の景色を見せはしない。
しかし、この外に広がる光景は既に目に焼き付けられていた。
デスアーミーに痛めつけられるまでもなく荒廃し、腐りきった大地。
新宿だけでも、香港だけでもない。
いまや世界中にこれと同じ光景が広がっているのだ。

「ところで師匠、何かご用ですか?」
「ああ。お前、今日はもう身体は空いておるのか」
「はい、暇ですよ」
「ならば少し付き合わぬか。お前も飲める歳になったのだろう」

そう言って瓶を目の高さまで持ち上げてちゃぷんと揺らせて見せると
奴は少し驚いたような顔をしたが、すぐに嬉しそうに笑ってうなずいた。
その笑顔も昔のままだった。


しばらくののち、瓶の中の酒は残りわずかになっていた。
それほど速いペースで杯を開けたわけではないが、
再開に伴った大方の近況報告は互いに夕方までに済ませてしまったため
今更話が弾むという事もなく、時折当たり障りのない言葉を交わしながらの静かな酒宴だった。
体の血の巡りが良くなっているのは感じるが、酔ったというほどでもない。
対する弟子は目元のあたりを赤く染め、グラスに口を付けるペースが落ちてきている。
さほど酒を、それも紹興酒など飲みなれていないのだろう。

「師匠が酒を飲んでいるのはあまり見た事がなかったけど……さすがにお強いんですね」
「ふん。こんなもの、飲んだうちにも入らんわ」

先ほどから何が嬉しいのか、やたらと機嫌よさげに顔を微笑ませながら
さすが師匠だなぁなどと呟くのを見ていると、胸中に何とも言えない感情が湧き上がってくる。
憐憫、愛しさ、焦燥、悲しみ、様々なものがないまぜに。
そしてその原因は自分がこれから成そうとしている大事にある。
258Gガン 弟子←師匠(3/5):2009/02/03(火) 06:41:35 ID:oRwBcfMN0
こうなってしまったものは仕方がないと思っている。
こちらとて、まさか弟子とデビルガンダムとの間に
そのような因縁があったとは思いもよらなかったのだ。
ドモンがどうあれ、今更計画を止めるわけには行かない。しかし……

「ドモン、お前は………ひとりは平気か」

ほとんど独り言のように漏らした問いに、奴は不思議そうな顔を浮かべた。
しかし、少しの逡巡ののちに軽く目を伏せると
酒で赤く潤んだ目を揺らめかせながら口を開く。

「……はい。母は死に、父は冷凍刑……残った兄は……
 いえ、あの男は、もう俺の兄などではありません。孤独には慣れました」
「ふ。その割には、儂に会いたかったと言って泣くのだな」
「そ、それは」

指摘してやると更に赤くなってうつむいた。
先ほどさんざん泣いて、落ち着きを取り戻した今となっては
本人としても恥ずかしいことをしたと思っているのだろう。

「師匠があんまり突然行ってしまったから……
 それに、まさかこんな所で会えるなんて思ってもなかったし」
「…………」
「師匠、俺まだ、師匠に教わりたいことがたくさんあるんです」

明日からまた稽古つけてくださいね、と続けるその口はあまりろれつが回っておらず
だいぶ酒が効いているのが分かった。
半開きにされた眼が、時折重たそうに瞬きをしながら光を通さない窓の向こうを見やる。
259Gガン 弟子←師匠(4/5):2009/02/03(火) 06:42:18 ID:oRwBcfMN0
どこを見ているとも付かないその視線の先を追いながら
儂はその窓の向こうに、いつか遠い未来の夢を描いた。
空は青く輝き、緑は濃く大地を覆い、海は清く透き通る夢を。
何十年、何百年先とも知れぬそのはちきれんばかりの自然の光の中で
ただひとつ聳え立っているのは、デビルガンダム……いや、アルティメットガンダムと
その主となった弟子のはずである。
この若く健全な身体を生体ユニットとして組み込ませたのち……
上手くすれば、眠ったようにしたまま永遠を過ごさせてやることが出来るだろう。
悲しみも孤独も感じることなく、まどろみにいだかれ、美しい地球の中心で。

しかし、最悪の場合ドモンが自分の意識を保ったままあのガンダムと融合してしまうこともありえる。
そうなった時……
儂の理想とも言えるその夢の中で、ただそのことだけが不憫でならなかった。

いや、どうなるかはまだ分からない。
あれは自分の判断により自己進化を続け、その最終形態は誰にも分からない。
そしてこの弟子にしてもまだまだ成長途上だ。
未知数が多すぎる………

「師匠?どうかしましたか?」

この笑顔を、近い将来むしり取らなければならない。
真実を告げなければならない。

「いや……何でもない」

その時、この子は果たして理解してくれるのだろうか。
260Gガン 弟子←師匠(5/5):2009/02/03(火) 06:43:46 ID:oRwBcfMN0
*****

「この儂を……まだ、師匠と呼んでくれるのか………」

あの時、伸ばした手を拳で拒絶されたあの時、夢は本当についえたのだと思った。
この悲しみはついぞ伝わることがなかったのだと、絶望した。

しかし、今儂を抱いているこの腕は、強く逞しい。そして温かかった。

それだけで何もかもが――
あの、戦って、戦って、戦い抜いた日々の果てに刻まれた悲しみが
癒されていくように感じる。この温かい腕のおかげで。

もう何も心配はいらないだろう。

自分が手ずから育て上げた最高の武闘家と、
戦って、戦って、戦い抜いた結果としての敗北。
そこには一片の悔いも未練もない。
ただひとつ、思うことがあるとすれば……

「もしも、あの新宿でお前と出会わなんだら………」

あるいは――もしも、あの新宿でさえ出会わなければ
これほど深く傷つけることもなく
激しい憎悪も絶望も知らぬまま
昔のように、静かに暮らさせてやれたのだろうか。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
師匠は弟子を生体コアにして地球上から人間を消す気でいたけど
それって要するに他の人はいなくなってもドモンだけは生きてるってことで、
すさまじい愛だなと思って書きました
261風と木の名無しさん:2009/02/03(火) 07:01:18 ID:XREo8qVXO
Gの話をここでみられるとは…!!gj
262風と木の名無しさん:2009/02/03(火) 07:48:28 ID:N7OMMAtsO
>>256
ちょっ、おま、ぬおおおお!!!!
朝っぱらから世界の片隅で萌えを叫ぶうううう!11!!!
東/方/不/敗がステキオヤジすぐる……( ´;ω;`)

しかしじゅうごねんか……ふふ…orz
263風と木の名無しさん:2009/02/03(火) 08:12:54 ID:GwlRHDjy0
>>251
また是似下馬キターー!
時計兄さんを誘惑する封太郎が、手馴れていすぎで禿げた
本編に殺害描写がなかったから、妄想し放題で美味しいよね!
GJでした。ごちそうさまでした。
264風と木の名無しさん:2009/02/03(火) 17:48:11 ID:Wimw6K4eO
>>251
是似下馬、ゴチでしたー!!!!!w
何この可愛い子!!
本当禿げる…www
265風と木の名無しさん:2009/02/03(火) 21:27:04 ID:xBfGnPBDO
>>239
出遅れましたがGJ!!
静謐、ってこういうことを言うのかな…素敵な雰囲気に萌えさせていただきました。
甘えへーた可愛いよー。
266ygo goz:2009/02/03(火) 23:57:21 ID:j+WG/3iD0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ygo gozの小ネタ。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  yousayとrallyでほのぼの系。
 | |                | |             \
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267ygo goz:2009/02/03(火) 23:58:37 ID:j+WG/3iD0
allyが風邪をひいた。
昨日、土砂降りに遭ったのが原因らしい。rallyは「みんなにうつしたくない」と言って看病を拒んだが、
幼いrallyの体力では自然治癒は難しいと判断したので、俺が看病に当たる事にした。

「yousay…」

眠っていたrallyが目を覚ました。
俺は無言でrallyの熱っぽい顔を覗き込んで、そのちいさな額に掌をのせた。

「yousay、寒い」

身を縮込ませるようにして、rallyが言った。

「…まだ熱が上がるな」

有るだけの上掛けをかき集めたが、擦り切れて薄くなった毛布では、十分な保温効果があるとはいえなかった。
何も言わずに、じっとこちらを見るrallyの目を見つめながら、どうしようかと俺は思案した。

268ygo goz:2009/02/04(水) 00:00:44 ID:j+WG/3iD0
「yousay…」
「ん?」
「……やっぱりなんでもない」
そう言うとrallyは目を逸らした。
俺はなるべく柔らかな笑みを浮かべて、rallyの頭を撫でた。

「どうした」
「なんでもない」
rallyは再び何でもない振りをしたが、今度は何も訊ねずに、俺はrallyの頭を撫で続けた。
その感触が心地良いのか、やがてrallyはウトウトし始めた。

「yousay…」
「ん?」
「あのさ…お願い、なんだけど」
rallyはそこで言い淀んだ。
俺はrallyに顔を近づけて、眼で続きを促した。
「オレが寝てる間も…そばにいてくれる?」
俺は微笑って、「ああ」と頷いた。
「rallyが良くなるまで、傍にいる」
「…ごめんね、yousay」
「気にするな」
ふと俺は思い付いて、上着を脱いだ。
「これを着てろ」
「いいの?」
「ああ」
rallyはのろのろと身を起こして、俺の上着に袖を通した。

「あったかい」
そう言ってrallyは笑顔を見せた。
俺は無言で頷いて、毛布をめくってrallyの横にもぐり込んだ。
269ygo goz:2009/02/04(水) 00:01:47 ID:QwJzLhOe0
「ゆ、yousay?!」

rallyが驚きの声を上げる。
「今日は一緒に寝よう。…その方が暖かいだろう」
「でも、それじゃyousayにうつっちゃうよ!」
「構わないさ」
俺は宥めるようにrallyの頭を撫でた。
「言ったろ、傍にいるって」
rallyは一度口を開きかけたが、少し照れ臭そうな表情をすると、「うん」と小さく頷いた。
「yousay、ありがとう」
「…もう寝ろ」
rallyは素直に横になると、ぴたりと俺の胸に体を寄せた。
俺は毛布を掛け直してやると、rallyを抱きしめるように腕を回した。
「おやすみ」
「ん。おやすみ、yousay」
俺はゆっくりとrallyの頭を撫でたり、軽く背中をたたきながら、rallyが眠りに落ちるのを待った。

程なく、規則正しい寝息が聞こえてきた。
俺は、とんとんと背中を撫でる手を休めずに、朝が来るまで、自分より速いrallyの呼吸を数えていた。
270ygo goz:2009/02/04(水) 00:03:18 ID:QwJzLhOe0

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 以上です。yousayと爆弾魔さんのシリアスエロが読みたい…
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271風と木の名無しさん:2009/02/04(水) 13:54:52 ID:Rt+aVYAr0
>>251
亀ですが是似下馬GJ!
ずぶずぶと時計兄さんを罠に嵌めて行く様が…。
封には全く萌えさせられる
272風と木の名無しさん:2009/02/04(水) 23:21:50 ID:PrzEHnVQO
>>256
亀ですがGJ!
まさかGを読めるなんて。
師匠の深過ぎる愛に涙。
師弟萌えご馳走様でした!
273HELLOWEEN サシャ×ヴァイキー (1/9):2009/02/04(水) 23:53:17 ID:eKLRDfcN0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  シリアスなのか甘いのか分らなくなりました
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ほんのり死にネタ注意
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274HELLOWEEN サシャ×ヴァイキー (2/9):2009/02/04(水) 23:54:38 ID:eKLRDfcN0
玄関のドアが閉じられるのと、シャツの襟を思いきり下に引っ張られるのとは、ほぼ同時だった。
頭が下がり、そのまま強引に押しつけられた唇を拒むはずもなく舌を絡ませ合う。
水音が止んだのは、そろそろキスだけでは堪えきれないと相手のコートに手をかけた瞬間だった。
「ここは玄関だ」
く、と苦笑の声が彼の濡れた唇から漏れる。
「だって」
あなたが珍しく自分からこんなことをするから。そう言い掛けて、ふと彼の様子が
いつもよりどこかおかしいことに気づいた。本人は平常を装っているつもりなのだろうが、
その目の奥にある狼狽の色までは隠せない。普段の飄々とした雰囲気も、今は鳴りを潜めていた。
――ああ、またか。
心の中でそう呟くと、なるべく相手が安心してくれるように笑顔を心がけ、
「コーヒーでも淹れるよ」と部屋の中に招き入れた。

年に数回、こういう期間があった。何事にも動じないように見える彼が、急に弱々しく、不安定になる日。
原因は分かっている。自分が彼のバンドに加入するよりずっと昔に起こった、
ある悲痛な出来事だ――即ち、当時のドラマーの自殺。
「あなたは悪くない」。何度も僕は彼にそう言い聞かせた。おそらく僕なんかが
彼にそう説得するずっと前から、周囲の人間も同じようなことを言ってきたに違いない。
しかし今なお責任の所在と非難の矛先を彼に向ける人物が確かに存在するということも、
また否定の出来ない事実であった。何より彼自身が、自分を追い詰めることを止めようとしなかった。
それこそ何年も何年も、バンドが立ち直り、事件が人々の口に上ることが滅多に無くなっても、ずっとだ。
僕がそのことに気づいたのは、確か彼への想いが通じてから半年ほど経った頃だろうか。
ただでさえ通じにくい電話やメールへの返信が近頃ぱったりと止んでしまったので、
心配になり、電波越しではなく直接会って話そうと彼の自宅へと向かったのだ。
すると家主は確かにそこにいるようなのに、いくら声をかけても玄関のドアすら開けてもらえない。
「何かあったのか」と扉越しに問えば、返ってくる答えは「何でもない」の一点張りだった。
275HELLOWEEN サシャ×ヴァイキー (3/11):2009/02/04(水) 23:58:45 ID:eKLRDfcN0
ただ幸い「自分のことが嫌いになったか」という問いに対してだけははっきりとした口調で否定されたので、
それだけを頼りに、僕はたとえドアを蹴破ってでも彼の顔を一目見たいという衝動を押さえ、
彼の憂鬱が終わるのをただひたすらに待ったのだった。憂鬱の原因を打ち明けられたのは、
彼が僕の電話に再び出てくれるようになってから更に1週間ほど経ってからだ。

『声が……声が聞こえるんだ。忘れるはずがない。あいつの声だ。きっと、あいつの最期の声だ。
……“恨む”と、ただ一言それだけだった。だがしかしそれが何度も繰り返されるんだ。
恨む恨む恨む。お前を、恨む。日々の繁忙に呑み込まれて、俺が一瞬でもあいつのことを忘れかけると、
その声は必ず聞こえてくる。見てるんだよ。あんなことがあったというのに
今なおのうのうと生き長らえている俺を、あいつはきっと天の上から、
今でも憎しみの籠もった目でじっと睨み続けているんだ――』
そんな訳がない、あなたに今聞こえているのは単なる幻聴だ。
彼はあなたのことを決して恨んでなんかいないし、今はきっと天国で安らかな日々を送っているはずだ。
確かに、あなたの言動で彼が傷つくようなことがあったかもしれない。でもそれは
あなたに限ったことではなく、もし仮にそれを「罪」と呼ぶのなら、あなたの罪はとっくに償われている。
あなたが作った、数々の素晴らしい楽曲。あなたの音楽で、一体どれだけの数の人間が救われたことか。
ならばそれを「償い」と言わずして、果たして他に何と言うのか――。
彼の両肩を掴み、僕は懸命にそう諭した。しかしそのような僕の必死の行いに対しても、
彼は力無く頭を横に振るだけだった。悔恨、恐怖、不安、怯え、絶望。ありとあらゆる負の感情に淀み、
濁り、光を失ったあのときの彼の瞳の色を、僕は今でも忘れることができない。
その後は電話やメールはともかく、少なくとも彼の部屋への出入りを拒否されるようなことは
一度も無くなったのだが、このように、錯乱状態にある彼が自ら僕の家までやってくるのはこれが初めてだった。
276HELLOWEEN サシャ×ヴァイキー (4/11):2009/02/05(木) 00:01:13 ID:eKLRDfcN0
結局僕が彼にコーヒーを淹れてやることは叶わず、向かったのは僕の寝室だった。
彼曰く「コーヒーを飲みたい気分ではない」らしい。別段コーヒーでなくとも、紅茶なり酒なり出せるものは
いくらでもあったのだが、そのことは彼には告げず、何も気づかないふりをして彼の拙い誘いに乗った。
彼が今望むことを、出来る限りしてやりたかった。
彼の服を脱がせ、自分も身につけていたものをベッド脇に放り投げると、
そっと肩を押して、彼をベッドに押し倒した。彼の顔中の至る所に唇を落とす。額へ、瞼へ、頬へ、鼻先へ。
肝心の唇には触れない。すると普段ならにやりと笑って「焦れったい」と自分から何かしら仕掛けてくる彼だが、
今回ばかりはただ黙って目を瞑り、僕の愛撫を受け入れるだけだった。背中に回された腕の力ばかりが
痛いくらいに強い。――これは相当弱ってるな。そう感じざるを得ないほどの、彼らしからぬ行動だった。
耳に唇を寄せる。既にほんのり赤くなっているそれの輪郭を確かめるように舌を這わせると、腕の中の肩がびくりと震えた。
「さっきは一体どうしちゃったの」
耳の中に息が吹き込まれるように囁く。ごくり、と彼が息を呑むのが分かった。
「中に入るなりいきなり、さ」
べろりと全体を舐め上げた。ひ、と小さく悲鳴のような声が上がる。
「凄く嬉しかった。……愛してる」
サシャ、とかすかな声で名前を呼ばれた気がした。声の代わりにとびきり深い口づけで返事をする。
2人の唾液が混じり合う水音と、出口を失ってくぐもった彼の声だけが耳の奥で響いた。
歯列をゆっくりとなぞり、上顎を舐め上げる。口内の奥の方に潜む彼の舌を捉えて、己のそれをきつく絡めると、
自分の動きに合わせるように、彼も同じように舌を絡め返してきた。
やはり普段とは違う、素直な彼の行動に情欲が煽られる。このまま力任せに抱いてしまいたい。
そんな衝動を抑えて、あくまで優しく、宥めるように彼の左胸に触れた。
277HELLOWEEN サシャ×ヴァイキー (5/11):2009/02/05(木) 00:03:24 ID:37+NOwby0
「……っふ……ん、ぅ……」
赤く色づいた小さな中心を指で探り当てて押しつぶすと、かすかだった彼の声の音量が増した。
親指で、硬くなり始めたそれを慈しむように撫でる。時折きゅ、と摘み上げれば、堪らないというように
背中の腕にますます力が籠もった。唇を離し、「流石に痛いよ」と苦笑混じりに抗議する。
すると当の本人は言われて初めて自分の腕の力の入り具合に気づいた様子で、少々慌てながら腕を解いた。
自由になった体をずらし、左の突起をいじる手はそのままに、右胸のそれを口に含む。
舌先を尖らせてつつくと、耳に入ってきたのはもう声を妨げるものなど何もないはずなのに、
相変わらず音が篭もったままの彼の嬌声だった。ちらりと視線だけ動かして、彼の顔を見遣る。
どうやら、口元を自身の腕で塞いでいるようだった。
「だからいつも言ってるでしょ。声、我慢しないでってば」
手首を掴んで腕を彼の顔から引き剥がそうとするが、向こうもこれだけは譲れないようで、
なかなかそれに従ってはくれない。彼の一向に諦めるつもりが無い様子を見てとると、
それならばとサシャは握られた彼の拳に舌を這わせた。
ぴったりとくっついている指と手の平の間に舌を差し込む。そのまま手の平の見えている部分を
舌で何度も往復してやると、拳は徐々に解れ、頑なだった彼の腕の力もだんだんと緩んでくるのが分かった。
すかさず手首を引き上げる。ようやく彼の顔から腕が外れていった。
しまった、とでも言いたげな表情の彼と目を合わせたまま、掴み上げた手に再び口をつけた。
一本一本、丁寧に指をしゃぶっていく。皮膚が薄い水かきの部分を、少々強めに舌で押すように舐める。
手がふるりと震え、快感からか、彼の目がスッと細められていった。
ふと思いついて自分の左手を彼の口元に近づけると、一瞬戸惑ったように口元をもぐもぐさせたのち、
まもなく彼も僕の指を舐め始めた。最初は辿々しく先の方に舌を這わせていただけだったのが、
行為に慣れたのか、次第に大胆な動きになっていく。
278HELLOWEEN サシャ×ヴァイキー (6/11):2009/02/05(木) 00:04:53 ID:37+NOwby0
成る程、あまり意識せずにやっていたのだが、指を舐るという行為はなかなか扇情的なものだと思った。
ちらちらと唇から時折顔を覗かせる赤い舌が、何とも言えず淫猥だ。
その動きがあまりにそそるものだったので、人差し指をかぷりと甘噛みされた瞬間
堪らず親指を口内にねじ込み中の舌を摘み上げると、恨めしげな瞳で見上げられた。
「ごめん」と謝り素直にそれを解放すると、今度はいつもは舌でしていた口内への愛撫を、指を使って行う。
内壁を軽く押すように刺激し、指を避けて引っ込んでいく舌先を追って爪でくすぐってやると、
今度こそ何の隔たりもなく、艶を含んだ彼の声が耳に届いた。
「ぅ……ぁ……」
「やっと聴けた」
思わずにっこり微笑むと、非難めいた目でじろりと睨まれた。上気した顔でそんな目をされても、
こちらが余計に煽られるだけなのだが。きっと本人は、そんなことには全く気づいていないのだろう。
「ねぇ、そろそろ下も触って良いかな」
再び彼の耳元で囁く。
「あなたに触れたくて仕方がないんだ。……声も、もっと聴きたい」
「……そういうことは、あまり口にするもんじゃない」
さらりと頭を撫でられた。指先はそのまま下へと降りていき、ゆっくりと背骨を辿っていく。
照れ隠しの中にうっすらと欲を滲ませた彼の行動に、身体の芯が熱くなる。
ちゅ、と啄むような軽いキスを1度だけすると、すっかり勃ち上がって涙をこぼし始めている彼の中心に
手を這わせた。中断していた胸への愛撫も、唇と舌で再開する。
先程とは打って変わったような、甘い喘ぎ声が室内に響きわたった。
「うぁ……ぁ、あ………っ、ぅ、…んん」
竿を扱き上げ、親指で先走りを亀頭に塗り込める。鈴口をぐ、と押してやると、上擦ったような
高い嬌声が上がった。胸の突起を軽く吸い上げると、それだけで体が跳ね上がる。
いつの間にか頭に添えられた手は、もはや更なる愛撫を強請っているのか
それとも阻止しようとしているのか分からなかった。
279HELLOWEEN サシャ×ヴァイキー (7/11):2009/02/05(木) 00:06:20 ID:37+NOwby0
「ひ……っ、ぅ…は……ぁ…………ぁあっ」
ぐしゃりと思いきり髪を掻き乱された。手の中の中心が波打つ。吐き出された彼の欲望の残骸が、指に絡みついた。
胸元から顔を離し、彼を握っていた己の手を眺める。はぁはぁと肩で息をしている彼を尻目に、
そのしとどになった指先をぺろりと舐めると、彼がぴくりと反応するのが分かった。
「『汚い』?」
彼が何か言い掛ける前に、そう口にした。おそらく発言を言い当てられたのだろう、
眉間に皺を寄せ、かすかに見開かれた瞳が戸惑いがちに揺れた。
「――して、そんな」
「サシャ?」
「……ううん、何でもない。おいしいのにね」
しまった、声に出していたか。再び不安の色を帯び始めた彼の表情に気づき、
慌ててかぶりを振るともう1度指についた白濁を舐めとった。粘っこい苦味が口の中に広がる。
世間一般ではあまり好かれることのないこの独特の味も、彼のものだと考えると本当においしく感じてしまうのだから
我ながら酔狂だと思う。だがそれも、やれやれといった表情で、しかし同時に満更でもない様子で
溜息を吐く彼を見られるのだから悪くない。
ちょっと待ってて。そう一言彼に声をかけ、サイドボードに予め置いておいたローションを手に取った。
とろりとしたその液体を、指と、彼の秘所に垂らす。
ぬめる指で秘所に触れると、きゅ、とそこが縮んだ。緊張がほぐれるよう、くるくると円を描くようにして揉んでやる。
すると程なくして彼の腰が切なげに揺れ始めたので、その動きに誘われるまま、おもむろに中指を埋め込んだ。
ゆっくりと何度か抜き差しし、そのまま人差し指も挿し入れる。今まで何度も同じ行為を繰り返されてきたそこは、
彼の艶を含んだ声と共に2本目の指も容易く呑込んでいった。
「ぅん……っは……ぁ、あ……あぁ………んっ」
指先を鉤の形に折り曲げ、中をひっかくように刺激する。
探り当てたしこりをぐりぐりと執拗に押し上げれば、声は更に艶を増した。
280HELLOWEEN サシャ×ヴァイキー (8/11):2009/02/05(木) 00:07:45 ID:37+NOwby0
「ひ……ぁ……そこ、は……っ!…ゃ……あっ」
再び存在を主張し始めた彼の中心を口に含んだ。彼の顔を見上げれば、
まるで「信じられない」とでもいうような顔つきをしている。だがその表情も、すぐに快楽に溺れ、歪んでいった。
昴る熱の塊を根本まで呑み込み、思いきり吸い上げた。ほとばしる先走りを嚥下する。苦い。その味が愛しい。
もっと味わいたいと口を上下すれば、彼の中の指がぎゅうと締め付けられた。きつくなったそこをこじ開けるように3本目の指をねじ込む。
口内が、彼の吐き出した生臭い体液でいっぱいになった。躊躇せずそれも飲み干す。
「何、イっちゃうほど気持ちよかった?」
「な……っ!だってお前が」
様々な液体に塗れた口元を指で拭ってにやりと笑いかければ、顔を真っ赤にして抗議された。
だがそれも「嬉しいんだけどね」と一言付け足してやると、向こうはあとはもう呆れ果てた表情でこちらを見るばかりだ。
「あまり40代に無理な運動を強いるな……。体が持たん」
「ごめん、最低あと1回はイかせる予定なんだけど」
若いお前とは違うんだから。そう肩を竦める彼に、さらりとひとこと言ってのけると、その両膝を掴んで脚を開かせた。
露わになったひくつく蜜壺に、固くなった己の先端をあてがう。
「そんなことだろうとは思ってたがな」
参ったもんだとくすりと笑う彼にやはり笑みを返し、そのままゆっくりと体を進め、自身を彼の中へと埋めていった。
「ん……ふ……っ、ぁ、あ」
奥まで収め終えると、視線で彼にもそのことを告げる。そして今度は抜けるぎりぎりまで腰を引くと、再び中に突き挿れた。
同じ動きをゆっくりと繰り返す。彼の体温を、出来る限り味わっていたかった。
すると向こうは向こうで、もう離さないとでもいうように僕の腰に脚を絡め、自らも腰を揺らし始めるのだから堪らない。
大事に、決して壊すことのないように彼を抱こうと思っている心とは裏腹に、
目の前の彼の媚態に腰の動きは否応無しに速まっていった。
「あ、ぁあ……っは、ぁ……っ!サ、シャ……、サシャ……ッ!」
「……ッミヒャエル……」
熱に潤んだ青灰色の瞳が僕を見つめた。眉根は悩ましげに寄せられ、
薄く開かれた唇は唾液に塗れててらてらと赤く光っている。美しいと、ただそれだけ思った。
281HELLOWEEN サシャ×ヴァイキー (9/11):2009/02/05(木) 00:09:09 ID:37+NOwby0
腕を僕の背中に回して必死に縋り、与えられる快楽に耐えようとする彼の姿はとても頼りない。
そしてその身に重くのし掛かった苦悩を思うと、急に酷く居たたまれなくなった。何故あなたは、未だ自分を責め続けるのか。
「ミヒャエル……ッ、あなたは決して、汚くなんか、ない……っ!」
彼の瞳が驚きに見開かれた。熱に思考を支配されていく中、やはり首を振って
僕の言葉を否定しようとする彼の頭を、僕はその頬を手のひらで包み込むことで阻止する。
どうかそんなに自分を否定しないで、僕の言葉を信じて。
後悔と罪悪感の鎖で雁字搦めにされてしまったあなた。そんなあなたがいつか自分自身を解放することが
できるようになるまで、心の闇を取り払えるようになるまで、僕は何度でもこの言葉を繰り返そう。
何度でも、何度でも、喩えそのせいで声が枯れてしまったとしても。
それであなたが救われるのならば、声の1つや2つ失ってしまっても僕は一向に構わない。
「あなたは、汚くなんかない」
瞼の縁に溜まった涙がこぼれ落ちる前に、唇でそれを吸い取った。もし今ここで僕なんかに泣き顔を見られたりしたら、
あなたはきっと、あとで自分自身を恥じてしまうだろう。あなたの心の負担を、僕はこれ以上増やしたくない。
「――っ!」
瞬間、より一層強く締め付けられた。堪らず精を吐き出す。腕の中の彼の体がびくびくと痙攣し、
同時に腹に生温かいものを感じた。どうやら、彼も同じく絶頂を迎えたようだった。
くたりと力の抜けた彼の体を、僕はきつく抱き締めた。まもなく聞こえてきたかすかな嗚咽に、
僕は決して彼の顔を見るまいと、その肩口に顔を埋めた。
282HELLOWEEN サシャ×ヴァイキー (10/11):2009/02/05(木) 00:10:07 ID:37+NOwby0


目を覚まして辺りを見回すと、未だ夜は明けていないようで、どこもかしこも真っ暗だった。
起き上がろうとベッドに手を付き力を込めるが、自分をしっかりと抱き締めている腕に気づき、諦めて再び枕に頭を沈める。
――不覚だったと思う。彼の顔を見た瞬間気が緩み、思わず泣きそうになるのを隠して咄嗟に彼に口づけた。
それが非常に不味かった。情けないことに、消耗していた精神は彼に変わらず優しい唇だけでなく、
更なるものを求め始めたのだ。行為の最中では、彼に何度も醜態を晒してしまった。
“あなたは汚くなんかない”。達する寸前、彼が幾度となく繰り返していた言葉が頭から離れない。
「――俺は、許されるのか」
ぽつりと呟かれた言葉に返事はない。肯定や否定の声はおろか、自分を苦しめるあの声さえ、
今はぴたりと止んでいた。深潭なる闇だけが、そこにあった。
独り言など。そう自嘲の笑みをこぼすと、再び目を閉じた。隣で眠る恋人の温もりに、不意に涙腺が緩む。
いつの間に、自分はこんなに涙脆くなったのだろう。
呆れたものだと再度自分を嘲りつつ、ヴァイカートは全てを覆い隠す闇に感謝した。
283HELLOWEEN サシャ×ヴァイキー (11/11):2009/02/05(木) 00:10:50 ID:37+NOwby0

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  何かもう色々とすみません…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ヴァイキーには幸せになって欲しいです
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |  
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
284風と木の名無しさん:2009/02/05(木) 00:17:33 ID:37+NOwby0
言い忘れましたが、冒頭2スレのナンバリングを間違えてしまって
申し訳ございませんでしたorz
285風と木の名無しさん:2009/02/05(木) 01:23:42 ID:22XOAXhZ0
世間様が騒がしい折に空気読まずに投下

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  日曜8時の時代劇ネタ。
                      正直、第一回後にフライング捏造したものなのでいろいろ矛盾があるよ。                      
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ぬるくトラカツ。時間軸はトラ結婚後。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
286転地 トラ→カツ2:2009/02/05(木) 01:23:59 ID:22XOAXhZ0
なのに、この近しく、しかしひどく遠い存在と二人きりで屋形の庭を眺めようとは。
覚えず頬を緩めかけて、蔭寅は先ほどから場が沈黙に支配されていることに気づいた。
共に並んで坐したものの、蔭勝はこの気まずい空気も堪えぬようで、じっと外に視線を据えている。
おそらく蔭寅が口を開かねば、一刻でも沈思したまま平然としているのであろう。
この穏やかな時も悪くはない。だがこのまま何もせぬでは、いずれ↑田のうるさい家臣どもが駆けつけて静けさは

かき乱され失われるであろう。
そこまで考え、蔭寅は唇を湿し蔭勝に向きなおった。
「蔭勝殿。このように人を介さず会うのはめったにないこと。ゆえにこの機に忌憚なくそなたの心が知りたい」
蔭勝がわずかに首を傾ける。それを諾と受け取って言を継ぐ。
「正直、わしのことをどう見ておる」
漠然とした、けれど直截な問いは、家臣らの介在で紛れ惑わされて、蔭寅が直に尋ねなければ決して得られぬもの

。そして蔭寅がなによりも気になることだった。
方丈の質として差し出された身でありながら、蔭勝と同じ御屋形様の養子という立場にある我が身。
さぞや複雑な念を抱いていよう。
周囲はそれこそ口をきわめてそれぞれに勝手な憶測を語る。ほとんど蔭勝が悪意を抱いていると確信して。
曰く、蔭勝は蔭寅様を憎んでいる。目障りと思っている。蔑んでいる。↑田衆と常に追い落とそうと企んでいる。
たとえ浴びせかけられる悪意が真実であったとしても、蔭寅はおのが心が崩れない自信があった。裏切られ、切り

捨てられることには慣れていた。
だが、それゆえに蔭寅は知りたかった。本人の気持ちを、蔭勝自身の言葉で。
じっと待つ蔭寅の前で、ようやく蔭勝は口を開いた。
287転地 トラ→カツ1:2009/02/05(木) 01:24:21 ID:22XOAXhZ0
蔭勝が、一人でいる。常にはあらぬ場に偶さかに居合わせた蔭寅は、迷わず歩み寄った。
「蔭勝殿」
良く通る声に、ゆっくりと首を巡らす。蔭勝はこちらを認めてわずかに目を瞠ったがそれ以上のなにものも静かな

面には浮かばない。嫌悪も、もちろん喜びも。相も変らぬ無表情。
胸の内で吐息をつくと、蔭寅はそれを押し隠しにこやかに笑んだ。
「おひとりでおわすとは珍しい。少し、わしと語りませぬか」
言って蔭勝が応じるより先に板の間に坐して差し招く。いささか強引ではあったが、蔭勝は何も言わず蔭寅のすぐ

隣に腰をおろした。
外に向かって開け放たれた空間で、二人、並んで見るともなしに整えられた庭を臨む。
「……」
昼下がりの穏やかな空気の中、蔭寅はそっと隣を窺った。
何を考えているかわからぬひとつ年下の義理の兄弟は、冷めた面持ちで端然と坐している。
ほんの手を伸ばせば届く間合いのみを挟んだ傍らで。

……このような好機はそうあるものではない。
普段は小姓上がりの者どもが蔭勝を十重二十重に取り囲んで、守るふりをして蔭寅との間に強固な壁を打ち立てて

いる。
何から守ろうとしてか。この蔭寅を敵と任じてのやりようか。
冷笑と共に考える。が、嘲弄し挑発しても彼ら↑田衆の態度は揺らがない。ただひたすら、一途に殿をお守りする

というわけだ。
そうしてあまり語らぬあるじの代弁者とばかりに吠えたて此方にやたらと噛みつくので、それを振り払っているう

ちに蔭勝との距離は離れている。黙した蔭勝の真意を測ることもかなわず、おのれの心を吐露することもできず、

右と左に別たれていくよりないのだ。
288転地:2009/02/05(木) 01:25:56 ID:22XOAXhZ0
早々にレス順間違えましたorz
1と2の書き込み逆です。スミマセン
289転地 トラ→カツ3:2009/02/05(木) 01:26:32 ID:22XOAXhZ0
「そなたとは御屋形様の養い子同士。御屋形様の御為、共に手を取り助け合うべき者と考えておる」
訥々と語り、不足を補うかのように付け加える。
「それから。花とは良い夫婦になって欲しいと願っている」
評定の場以外で蔭勝が蔭寅にこれほど語ったのはほとんど初めてといって良い。
だが蔭寅は落胆した。例え貴重ともいえる言といえど、通り一遍の型に嵌った句になんの価値があるものか。
「そのような言葉、わざわざ聞かずともわかっておる。わしが聞きたいのはそなたの心。そなたが真にわしに向け
ている思いを問うておるのだ」
きつい声音で言い放つ。
と、蔭勝は下を向いた。

「――わしは、おぬしのように弁が立たぬゆえ」
口の重い蔭勝の言葉は、そんな言い逃れのようなもので。
「弁が立たぬと申せ、胆のうちには思うこともあまたござろう。それが人というもの。それをわずかでもよい。
言葉にしてわしに語ってみてはどうか」
少し語気を強めて促しても、それ以上には蔭勝の口は動かない。
「それとも。そなたのうちには言葉にするべき心がないというか。虚しかないというのか」
焦れた蔭寅がぶつけた言葉に、蔭勝は初めて頭をあげ目を合わせた。
「――」
静かなまなざし。侮蔑のような物言いにも揺るがぬ面は、無言のまま蔭寅の言葉を否定していた。
蔭勝に心がないわけではない。この武骨な男が虚なはずもなし。ならば胸に虚を抱えているのはむしろおのれだ。
煽るように重ねた言葉が、逆におのれを追い詰めていく。
290転地 トラ→カツ4:2009/02/05(木) 01:27:42 ID:22XOAXhZ0
そうだ。
何も語らぬ蔭勝の周りには、けれど人が絶えない。知らず家臣が集い輪になる。幼少から繋がる主従といえど、彼
らが心より蔭勝を慕っているのは誰の目にも明らかだ。強い、絆がそこに在る。
……いや、小姓上がりの家臣とはこれが当然だというのだろうか。
当たり前の主従の交わりなどとは無縁な蔭寅には、わからぬ。わからぬから、無視できぬ。
そして心を分かつ家臣がおらぬからこそ、自らことばを操り他者に心を明らかにせねば生きられぬ。そうとしか生き
てこれなかった。
唇を噛みしめ、蔭寅は知らぬうちに落ちていた視線をあげて蔭勝を睨み据える。蔭勝の心を探るつもりがおのれの
うちにある疵を見つけてしまったゆえか、ひどく攻撃的な気分になっていた。
「虚でないならば、そなたが語らぬのは、周りで騒ぐ者が多いゆえではないか。あれらがそなたが語るべき時をも奪
い、勝手に心の内を忖度してしたり顔をしているのではないか」
そうだ。あれらは目障りだ。我らの邪魔をする。
特に賢しらに吠えかかる一番年少の子犬。あからさまに我に対抗心を剥きだしで気に喰わぬ。
「そう、あの鐘継などだ。何かと口を挟み、こうるさくてかなわぬ。どうであろう。蔭勝殿、少しあれを遠ざけてはいかが
か」
蔭勝が眉を寄せる。端然とした顔に初めて陰りが生じた。
視線を床に落として、再びこちらに向けたのは常とは違うきつさを帯びたまなざし。
「確かに。あれはいまだ年若くいたらぬところも多々ある。が、鐘継はわしの大事な家臣だ。よく勤めてくれておる。あ
やつの処遇をあれこれと指図されるいわれはない」
きっぱりと言い切り、これ以上の口出しは許さぬと挑むような眼が蔭虎を射た。
291転地 トラ→カツ5:2009/02/05(木) 01:28:29 ID:22XOAXhZ0
「――」
ようやく蔭勝の口から生の感情を引き出したというのに、いらだちが募った。たかが一家臣のために珍しく言葉を重
ねることに理不尽な怒りすら覚えた。
目の前の男は、寡黙と言われおのれを語ることすら惜しむのに、ひとりの小姓上がりの郎党のためには懸命に抗弁
するというのか。

「そんな言葉は聞きたくない」
そう告げて、動いた理由はわからない。気がつけば蔭勝の腕を引き、仰のいた唇に口づけていた。
乾いた膚の感触。そんなものにひどく安らぎを覚える。
だが不可思議な心のうちを鑑みる間もなく、我に返った蔭勝に押し退けられた。
間近で、互いに見つめ合う。
そこで逃れた腕を手放せばまだ冗談と流せたかもしれない。
だが距離を取ろうと肘を張る蔭勝を、蔭寅は再び引き寄せた。抱え込んだ体は案に相違しておのれより細かった。
体格を生かし、ぬくもりを腕の中に閉じ込めて今一度唇を合わせる。
顎を捉え、深く。
何故、この者に手を伸ばしてしまうのか。
心から敬愛する美城様の甥で、同じ養い子という立場ではないか。
誰よりも愛おしい花の実兄ではないか。
彼とのきずなは深く、切れることはない。
なのに、何故こうも焦り苛立つのか。
292転地 トラ→カツ6:2009/02/05(木) 01:29:46 ID:22XOAXhZ0
ああ、おのれは。
今生で初めて得た安住の地を失いたくないのだ。この地。この越後を彩る永尾↑杉のすべての人をおのが手にした
いのだ。蔭勝ひとりが黙したまま、蔭寅とは別の場所で何も語らず家臣に囲まれてそこに在るのは不満なのだ。
深い口付けを蔭勝が嫌ってもがく。わずかに離れた唇が漏らす吐息が蔭寅の頬に触れる。
先の言葉と違い、吐息のひとつさえおのがために発せられたものと思うと心が躍る。そして欲深なおのれはさらに
はっきりとしたものを引き出そうとて抱く力を強める。

「…っ」
息苦しさにか、腕の中で蔭勝が激しく身じろぎする。そこでようやく蔭寅は顔をあげた。
「怒りがあるなら、言葉でぶつけてみよ」
至近にある蔭勝のうなじに唇を寄せて囁く。
「口に出して言わねば、わしは止まらぬ」
「放っ…せ」
ようようのこと、蔭勝の口から漏れたのはあまりにも短い一言。だが蔭寅は得たりと口の端をつりあげた。黙して語ら
ぬ口を開かせ、おのが為に音を紡がせるのはなんと心地よいことか。
「そうじゃ。そうやっておのれの心を吐かれるがよい」
浮き立つ心を抑えて、言葉を待つ。だが返されたのはやはり味気ないもので。
「なんと言われようと、わしの語る言葉は変わらぬ。そなたとは、御屋形様に共にお仕えすることを至上としている。そ
なたには、花と良い夫婦になることを心から願っておる」
けれど続く言葉に蔭寅は眼を瞠った。
293転地 トラ→カツ7:2009/02/05(木) 01:31:08 ID:22XOAXhZ0
「ゆえに、そなたとこれ以上深い仲になる気はかけらもない。だから、放せ」
思わずまじまじと見直した顔は、至極生真面目なものだった。だが、朴念仁、と呟きたくなるような顔の中で潤んだ
瞳と赤く濡れた唇が別人のように艶めかしい。
蔭寅はくっ、と唇を歪めた。
「面白い!それが今のそなたの本音というわけか。――なるほど。確かにそなたは虚ではない。胎のうちは俗人と
同じか」
腕を解き、身を起こすと自由になった蔭勝が大袈裟なほど距離を取る。
その常とは違う慌てた動きにさらに溜飲が下がる。
存外、自分も単純だったというわけだ。
「さて。今日のところはここまでにしておこう。この続きはまたの機会に」
「続き……?」
座り込んだまま、どこかぼんやりとした呟きにわざとらしく返す。
「また、語り合う時もあろう。その折に。――これ以上事を進めて子犬に噛みつかれては敵わぬゆえに」
袖を払い立ち上がる。ふわりと笑みを頬にのせて、蔭寅は。
ひどく愉快だった。
294転地 トラ→カツ おまけ:2009/02/05(木) 01:31:50 ID:22XOAXhZ0
「殿…?」
一人たたずむ影を見つけたのは鐘継だった。
「これはしたり。おそばに↑田衆の誰一人としておらぬとは」
歩を速めてあるじのそばに寄ると、平伏して、はたと首を傾げる。
いつも通りの寡黙な主君の姿だ。鐘継を前にして表情が動かぬのも同じ。
ただ、なにか……常は周囲にまとう静やかな空気が乱れ、惑っているような。
「殿。この鐘継がおらぬ間に、何事かございましたでしょうか」
答えを求めて、無駄と知りつつ頭をあげて正面から問う。
わずかな差異も見逃すまいと見つめる前で、蔭勝が瞬きをした。と、がたん、と音を立てて板べりに座り込んだあ
るじに鐘継は眼を瞠った。
「と、殿!?いかがされましたっ」
腰を抜かしたような有様に只事ではないと慌てて腕を伸ばす。しかし鐘継の手に頼ることなく蔭勝は一人で姿勢を
糺し立ち上がった。
「大事ない」
背筋を伸ばし、それだけでは鐘継が納得せぬと思ってかぼそりとつぶやく。
「少々、驚いただけだ」
何に、と疑問を貼りつかせた顔で見上げても蔭勝の面にはなにも浮かんではいない。先ほど垣間見せた動揺も、波

を静めた水面のようにすばやくどこぞへ仕舞いこまれている。
「殿…」
半ば追及を諦め、吐息まじりに声をかけた鐘継はふと口を噤んだ。
鼻腔を擽る、かすかな残り香。
衣服に焚きしめた香。鐘継にはとんと縁のない風雅な、特徴的な香り。
「これは。蔭寅様の…?」
295転地 トラ→カツ おまけ2:2009/02/05(木) 01:33:04 ID:22XOAXhZ0
問いの形を取ってはいたものの鐘継はすでに確信していた。この場にはつい先まで蔭寅がいたのだと。
蔭寅が蔭勝と二人で相対していたのだ。
「殿。まこと、なにがあったのです。万一、蔭寅様がなんぞ殿を御不快にさせたというならば、それがし許せまぬ。た
だちに蔭寅様のもとに参り談判してまいりまする。殿のお気が済むためならば、この鐘継、蔭寅様になんとしてでも…」
「――」
必死に言い募る間もどこかぼうっとした風情の蔭勝に、鐘継は口を噤んだ。
「と、の」
ゆっくりと呼ぶと見下ろす蔭勝がはっと瞬いた。
「泣くな」
「は。泣いてなど、おりませぬ」
あるじの指摘に慌てて声を張る。だが知らぬ間に涙声になっていた。
「泣いておる」
「――。殿が悪いのでございます」
「そうか」
雅義が聞いていたならただちに叱責するような鐘継の抗弁に、しかし蔭勝はかすかに苦笑したようだった。
「蔭寅殿のことはよいのだ。まことに」
「なにが、よいのでござりましょう」
「そなたたちがおるゆえ。わしはこのままで良い」
「――」
納得した風情で黙したあるじを、鐘継は涙の滲んだ情けない目で振り仰いだ。
これ以上はなんとしても話の続きは聞けそうもなかった。だがこれでも寡黙な蔭勝にしては言葉を多く割いた方で

ある。それだけで満足せねばなるまい。
蔭寅との間には何かがあった。動揺させるような何かが。
それはとても気にはなりはしたものの、それでも蔭勝がこうして↑田の者と共にあってくれるならば取りあえず鐘

継は満足だった。
296風と木の名無しさん:2009/02/05(木) 01:33:57 ID:22XOAXhZ0
コピペ失敗といい、重ね重ねスミマセン。
____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ムックでの印象よりドラマはトラカツもトラカネも仲良さそうです。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) コンナニ仲悪クナイヨorz
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
スミマセンスミマセン。トラは軍神も戦闘員サマもハナもカツももちろんドーマンも好きなんだと思います。ナガオウエスギ萌え?
デモコレジャ、タダノ変ナ人ダヨ
297生テ二ス 一位×二位 1/2:2009/02/05(木) 10:43:38 ID:kEf+Thqm0
全ごうテ二スで二位の人の涙にたまげて、萌えすぎた。
一位の人×二位の人ですが、二位の人がヘタレで若干黒め、エロ有。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


客室のドアが閉まる僅かな時間すら待てないと言わんばかりの勢いで激しく口付けられた。
少しは待てないのかという意味を込めてその身体を押し返そうとした腕ごと強く抱きしめられて、更に深く舌を絡め取られる。
口付けの合間に繰り返される「アイシテル」という言葉。
何時もなら口にする「自分もだ」という言葉が、今日はなぜか出せなかった。
一途に、ただ一途に自分に思いを寄せてくる彼を、自分もまた愛しいと思っていた。
その気持ちが今日の結果で変わったわけではなかったけれど、今日だけは自分の感情を制御できそうにない。
だから立ったまま飽くことなく続けられる口付けから一旦逃れ、行為の更なる続きを求めてベットへと誘った。

「っあ、ぅ……」
身体中、何処も彼処も確かめるように触れられ、唇が落とされる。
その度に身を戦慄かせ、声を零し縋り付く。
いつも以上の激しさで自分を求め、支配していく行為。
指が彼を受け入れる部分に触れゆっくりと侵入を開始すると、十分に濡らされたその部分はどうしようもない圧迫感を与えながらも容易く飲み込んでいった。
傷付けぬようにと慎重に入り込んだ指が緩く不規則に動かされる度、それはどうにも逃げようもない快感となって自分を縛る。
「っぅ、も、やだ、それ…い、やだ…」
焦れるほどゆっくりとしたペースは自分を追い詰めるためのものでなく、何度行為を重ねても消すことの出来ない身体を開かれるときの苦痛を少しでも減らそうとしてのものだと分かっている。
それでも…緩やかなその刺激に自分ばかりが狂わされていくようで羞恥心が疼いて懇願の声を上げさせた。
それを聞いた為か、耳元に唇を寄せ自分の身体を気遣う言葉が囁かれる。
自分勝手な理由でお互い止めようもないところにきているというのに上げた、無意識の睦言にすら似た声にすら掛けられた優しさに居たたまれずに反射的に彼の顔を見ればそこには
一心に自分を求める瞳。
298生テ二ス 一位×二位 2/2:2009/02/05(木) 10:44:05 ID:kEf+Thqm0
あまりにも熱くて焼き尽くされそうだ。
彼のそんな視線にぶつかるたびに感じる眩暈にも似た酩酊感。
何故その視線を向けるのが自分なのか、尋ねてみたくなるーーーそれを口にすることは、決してないであろうけれど。

そっと瞼を閉じる。
今は何も考えたくない。考えられないようにして欲しい。
そんな自らの感情に従い、その腕を彼の頸に回し囁いた。
彼が、彼自身が欲しいのだと。
その言葉にーーー彼は逆らわない。

大きく足が開かれ、そのあまりの姿勢に羞恥を覚える間もなく熱い高まりが押し当てられ貫かれ
「!イッ、い、あぁあ、あっ!」
衝撃の大きさのままに高い声が溢れた。
熱に焼かれバラバラにされ、融けてしまいそうだ。
圧倒的なその感覚。
望んだ通り、何も考えられなくなる。
彼が動くたび始めのうち確かにあった痛みも圧迫感すらも薄れて、全てが快感へと転換されて揺さ振られるままに声を上げ続けた。
それを恥かしく思う理性すら疾うになくしていたというのに…

ふいに目尻に落とされた優しい感触。
あふれて零れた涙をそっと吸い上げる唇。
これ以上その優しさで追い詰めないでほしいと、身勝手を承知で思ってしまう。
乱れるばかりの思いを抱え、止まらない涙を流し続けた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


一位の人が抱き寄せたとき、いつちゅーするのかハラハラ見てたYO!
あの後なんにもなかったとは言わせない二人の世界だったZE!
299風と木の名無しさん:2009/02/05(木) 18:29:53 ID:K8X250ZC0
>>297
こないだwowつけたら丁度表彰式やっててスピーチで泣き出した人に禿げた
試合一切見てないのに最後まで見てしまったw
300風と木の名無しさん:2009/02/05(木) 20:47:09 ID:Rxjm1Bk+O
>>285 もっすご好みの寅勝に、全身つるっつるに禿げた!
続きは〜・・・の寅の台詞通り、この続きを期待してしまうw
301風と木の名無しさん:2009/02/05(木) 21:03:55 ID:lnU37HneO
>>285
虎勝みたかったよ虎勝。
ぜひ虎様には続きをお願いいたしたい。
302風と木の名無しさん:2009/02/05(木) 22:19:10 ID:165lnzMx0
>>297
萌えたよ!萌えた!
なんか普段泣きそうにない男の人の涙は萌えますね〜
303風と木の名無しさん:2009/02/05(木) 22:24:48 ID:lYiGWIWBO
>>297
禿げ萌えたYO!なんだこの切なさは
抱き寄せたシーン見たかったぜ…
304風と木の名無しさん:2009/02/05(木) 23:11:03 ID:594T/NE30
>>285
姐さんGJ!めちゃめちゃ禿げあがってもう毛根すらない。
自分もなにげに続きを期待していいですか…?
305今から米ッコの箱畳む 1/3:2009/02/06(金) 01:12:03 ID:bp6IBqP70
まとめブログ読んでて萌えたので投下。元ネタはこれ。tp://ksklog.blog108.fc2.com/blog-entry-903.html
作中の1と4はそれぞれレス番の人で、4×1。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


 今から別れ話をする、と1が言った。4は初めその意味が分からなかったが、
まばたきを数回するうちに1が言いたいことを理解した。
 1が言った言葉に含む意味など何もない。1は、4と、別れたいのだ。

「俺さ、綺麗好きなんだよ。知ってるだろ? なのにお前は家を散らかしてばっかりだ」

 伏せ目がちに1が坦々と話す。暇さえあればあちこちを掃除していた彼の手は、
今は後ろで組まれていて見ることはできない。

「給料日前だって言ってるのに、お前はコメッコばっかり買ってくるし」

 ちらりと1の目線が、4が持っていたさきほど買ってきたばかりのコメッコに移る。
今更隠すのも白々しいかなと感じたが、なんだかいたたまれなくて、とりあえず上着のポケットに突っ込んでおいた。

「アマゾンで買い物馬鹿みたいにするし」

 口を尖らせて喋っているのが見えて、こんな状況なのにからかってやりたいな、と4は思う。
子供みたいな1の仕草は、4にしてみれば可愛いと思える行為だった。
「お前可愛いなあ」と言おうと口を開いたところで、1が4より先に声を発する。

「この前だってなんだよあのCDの量。HMVでセールやってたからって、ちょっとは考えて買えよ」

 CDラックを埋める大量のCDは、4の趣味で揃えたものだった。
1はそのCDに対して、よく「場所を取るからいらないやつは処分して欲しい」と言っていたが、
いかんせん4にとっては全部必要なCDだったので、結局CDは部屋の一角に居座ったままだ。
306今から米ッコの箱畳む 2/3:2009/02/06(金) 01:14:12 ID:bp6IBqP70
「明日古紙回収の日なんだ。これ捨てて、俺もそのまま出て行く」

 そう言って1は畳まれた箱たちを指差す。HMVの大きなダンボール箱に、アマゾンの小さめの箱に、コメッコの箱。
コメッコの箱だけ意外と多くて、4はほんの少し「確かに買いすぎたかも」と反省をした。
 言いたいことはもう言った、とばかりに、1が4をじっと見つめた。
その顔は無表情で、何を考えているかは一見分からない。
けれど4には、その表情が何を物語っているのかすぐに分かった。

「お別れはもういいのか」

 4も1を見つめ返して、はっきりとした声で言う。
1は一瞬眉をひそめたが、即座にそれを隠し、何もなかったかのようにまた無表情で振舞う。

「お別れは済んだ。箱ももう畳んだし寝る。……おやすみ」

 強制的に会話を終わらせて、1は寝室に向かおうとした。
しかし横を通り過ぎる1の腕を、4は逃すまいときつく掴んで自分の方を向かせる。
さっきのような眉をひそめた1の顔がそこにはあったが、今度は隠すことはしなかった。
その1の顔から4が目を逸らさずにいると、見る間に1の顔がくしゃくしゃに歪んだ。今すぐにでも泣き出しそうだ。

「っ……なんだよっ!! 離せよ、もう話は終わったんだ!!」

 別れ話をし始めてから、初めて1が大きな声を出した。
もう夜も遅いので、4が唇の前に人差し指を立てて「静かに」というハンドサインをする。
それを見て1がぐっと唇を噛んだので、4は唇の前に立てた人差し指をそのまま1の唇まで持っていく。
下唇を顎の方へ引っ張って、「唇噛んじゃだめだ」と言ってにこりと笑った。
307今から米ッコの箱畳む:2009/02/06(金) 01:15:11 ID:bp6IBqP70
「俺さ、1のそういうところ好きだよ。
綺麗好きなところも、お金の管理しっかりしようとしてくれてるところも、
顔に出したら負けだって思ってる子供っぽいところも」

 子供っぽいという単語に反応して、1が大きく口を開けた。
また大声を出すつもりだと瞬時に気づいた4がてのひらで1の口を押さえると、
むおっと空気が押し込まれる音がして、ごめんごめんと笑いながら謝る。

「何でもすぐに片付けなくていいよ。俺らの関係もさ」

 第一俺別れたくないし。そこまで4が伝えたところで、1が顔を顰めて「ふざけんな」と小さく言った。
その後胸の中におずおずと納まってきたので、差し当たり出て行かれるのは免れたかなと、4は1の背中に腕を回した。
 
 遠慮なしに自分の肩で涙を拭っている1の姿を見ながら、これお気に入りのパーカーなんだけどなぁと4は心の中で笑った。
1が泣き止んだら、俺のお気に入りのCDをかけて一緒にポケットの中のコメッコを食べよう。そして今度は箱は自分で畳もう。
それが少しでも1への愛情を示すことになるといいんだけど。そう考えながら、4は1の髪にキスをした。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

4のレスいい味出しすぎ。
308風と木の名無しさん:2009/02/06(金) 03:44:26 ID:u5ULYZigO
>>305
姐さんの読んで元スレ読んで、もう一回姐さんの読んで禿げ散らかった。
元スレの不思議で和やかな雰囲気そのままで萌えました。
子供っぽい1と一癖ありそうな4もイイ!
GJでした!
309鳴ライ+α:2009/02/06(金) 06:19:54 ID:WFaajH530
小説読めた記念に。
葛葉ライドウアバドン王 鳴ライ+α

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |   エロあり&鳴海が変態ど変態
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  未プレイ&プレイ済みは軽いネタバレ?要注意
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


310鳴ライ+α 1/8:2009/02/06(金) 06:22:19 ID:WFaajH530
↑訂正 未プレイ&プレイ中はネタバレ注意かも


「あの、……今日は、ちょっと、やめませんか?」
 食べ終えた食器を目の前の男の分も腕に抱えながら、ライドウは震える体を収めつつ、軽く視線をさまよわせ言った。
「なぁに? ライドウちゃんってば、そんなに店屋物が嫌だったの?」
「そういうわけでは、ありませんが……ちょっと、気がかりなことが」
 確かにライドウは先刻、この事務所の経営状況から考えて何もない日は自炊すべきだ、と鳴海に切々と訴えかけた。
 が、その言葉を左の耳から聴きながら、右の耳に受話器を当てて二人分の鰻丼を注文をするのが鳴海という男だ。
 ライドウ自身も、これについてはどこか諦めかけている。
 そういえば、どうして二人きりの食事なのにわざわざ隣に座るのか、と聞いたことがある。
 鳴海の答えは『俺がお前を見てる顔を見られたくないから』だった。やはり全く意味が分からない。

 食器を片付けるそぶりを見せているライドウなどお構いなしに、右隣に座る鳴海は、その細い腰に手のひらを這わせていく。
 ただ学生服のラインをなぞるだけのそのしぐさが、毎夜刷り込まれた行為の始まりを予感させる。

「鳴海、さん……! 本当に、今日は……」
 軽く頬を染めながら、ちいさくいやいやと首を振る。
「だから、片付けとかそういう面倒なことは、明日の朝学校に行く前にやればいいだろう?
 全く、お前はいつまでたっても融通が利かないなぁ」
「そうじゃなくて……ちゃんと、理由が……」

 鳴海は、あくまでも食い下がるライドウの手から重ねられた器を奪い、目の前の来客用のテーブルに乱暴に置いた。
 そのがちゃんという音が鳴ると同時に、空いた手を強引に引かれ、瞬く間に奥の部屋へと連れ込まれる。

「これ以上嫌だなんて言ったら、今度はあっちの板間で押し倒してやるからな」
 最近ようやく手に入れてからは、ずっと愛用しているらしい日本製のベッドへ肩を押し付けられながら、ライドウは
(ああやはり、この人の欲を押しとどめる言葉は存在しない)とその柳眉を顰めた。

 これまた乱暴に閉じられた扉の向こうから、呆れたような猫の鳴き声がひとつ、にゃあと聞こえた。
311鳴ライ+α 2/8:2009/02/06(金) 06:23:04 ID:WFaajH530


 制服のボタンを性急にはずし、真白い肌に満足げな笑みを浮かべながら、鳴海はやはり手のひらでゆっくりと胸板に触れていく。
 顔に似合わずごつごつした骨の目立つ大きな手が、何度も何度も乳首を掠める。
「っ、……」
「ライドウちゃんはさぁ、本当に声を出すのが嫌いだよね」
 くすくすと小ばかにしたような声を上げ、さらにベルトに手をかける。
「でも何ていうんだろう……、そっちのほうが、征服欲みたいなもの? くすぐられるなぁ……」
 ことさらゆっくりとベルトを抜き、下から現れた褌を、その膨らみを両手で包んだ。
 すぐには解かず、弄ぶように上から形をなぞるのが、鳴海の好みらしい。後日ライドウが自身で洗濯をする度、
顔から火が出るほど恥ずかくなるため、一度、止めてほしいと抗議をしたことがある。
 結果、どうすることを止めてほしいのか、どうして止めてほしいのか、口で説明するまで何度も何度もそのままで絶頂を迎えさせられた。
 以降ライドウは、鳴海のやり方に決して口を挟まなくなった。

「ねえ、今日も、一度このままで出すよね?」
「…………、っふ……」
「ライドウったら、何とか返事してくれないとつまらないんだけどな」
「…………」

 ライドウは、厚みのある西洋敷布団に爪を立て、声を漏らさぬよう震えながら快感をやり過ごしていた。
 いつもどおりといえばいつもどおりなのだが、なぜだか今日の仕草はいつもよりも必死に見える。
 必死に見えて、泣かせてやりたくなる。

312鳴ライ+α 3/8:2009/02/06(金) 06:23:50 ID:WFaajH530
 ふくらみの先端を執拗になぞる手を止め、鳴海はあっさりと褌を解き、生まれたままの姿のライドウの両足を持ち上げ奥の蕾に息を吹きかける。
 ひ、と細く声を漏らすライドウに構うことなく、そのまま体温の高い舌を中へと進ませた。
 高い位置から唾液を流し込むように舌を丸めた後、入り口の襞を指で広げ、出来る限り奥まで入れていく。
 筋肉のついた太ももに挟まれたものが、鳴海の目の前で切なそうに揺れている。

「今日はさ、ライドウが俺の言うことを聞くまで、こっちには触らないことにしたから」
「なっ……!!」

 十分に塗れたそこに舌の代わりに指を入れ、適当に内壁をくすぐる。どこに触れても感じるのか、
鳴海が片手で支えるライドウの膝が、指の動きに合わせて動き出す。

「たまには俺のお願いも聞いてよ。ね、ライドウ」

 最後にぐるりと内壁を引っかき、気がつけば3本も入っていた指をゆっくり抜きさる。あんなに広がりきっていた襞が、
抜いたとたん即座に口を閉じるのがライドウに良く似ている、と鳴海は声に出さず心の中で思う。

 つかんだままの足を丁寧に下ろし、自分のズボンのチャックを下げた後、一度ベッドから降りてライドウを背後から起こす。
 いつまでもイカせてもらえないせいか、心臓が早鐘のように鳴り、何をされているのかも定かではないライドウは、
後ろに腰掛ける鳴海が、膝裏に手を差し入れ、自身を見た目からは想像もつかないような力で持ち上げた時、ようやくはっと我に返った。

「鳴海さ、……? 何を……」
「このまま、俺の上に乗ってよ、ライドウ」
「──っ!!!」

 意図を問う言葉も、否定の声も、あげる暇を与えられなかった。
 そもそも聞くつもりなんてなかったのだろう。鳴海の言葉とほぼ同時に、開かれたライドウの秘所に彼のものがつき立てられた。


313鳴ライ+α 4/8:2009/02/06(金) 06:24:53 ID:WFaajH530
「っ、あ……!!!」
「どう? 痛い? 痛くはないよね? 気持ちがいいよね?」
「う、は……っ、……!」

 突き立てられた瞬間、鳴海の手から離れた自分の体重が全て、繋がる箇所にのしかかる。
 構えることさえ出来なかったあまりの衝撃に、ライドウは言葉を忘れたようにぱくぱくと口を開閉する。
 そんな仕草を笑いながら、慣れる暇も与えず鳴海が腰を上下に動かし始めた。

「いいね、いつもより凄くいい。でも、ライドウはまだ後ろだけじゃいけないんだよね」

 ライドウの腰を固定する手はそのままに、鳴海の右手が背中から腰を伝って太ももへ、そしてそそり立つ若い証に触れる、気配がした。

「ホント、大変だねぇ」

 悪戯な指はへその下を軽くなぞった後、何事もなかったように背面へと戻っていった。
 望んでやまない刺激が与えられると確信していたライドウは、血が出るほど強く唇をかみ締めながらいっそう大きく震えた。

「いきたい? ライドウ」
『いきたい?』

 ふと、同じ言葉が別の音で、同時にライドウの耳へと飛び込んでくる。
 一つは聞きなれた、後ろで息を荒げる男のもの。では、もう一つは、幻聴か。

『君は、何をしてほしい?』

 鳴海がライドウの白い首を舐めると共に、先ほどの幻聴が別の言葉を告げてきた。
 鳴海ではないことは確かだ。こんな近距離で、耳のそばで、声を聞き間違えるはずがない。
 では、誰だ? では、何だ?
314鳴ライ+α 5/8:2009/02/06(金) 06:40:37 ID:WFaajH530
 唇と同じようにかたく閉じたまぶたを、恐る恐る開く。目を開けたら、そこに何があるのか、誰がいるのか、
うすうす感づいているライドウには、その行為がとてつもなく勇気がいるものだった。

「っと、なんだよライドウ突然締め付けないでくれよ。それともあれか? 抜かずに二回戦に突入してほしいってことか?」

 意図せずに身を縮めてしまったライドウの目の前に、薄く微笑みながら佇んでいるのは、どこかにふらりと現れては、
いつの間にか姿を消している、金髪の青年だった。

『こんにちは。随分と、楽しそうだね』
「な、なん……!!」
「なんで? なんでってそりゃあ、お姫様のご要望にはお答えするのが男の務めってもんだろ?」

 鳴海はどこか楽しそうに、激しく突き上げるのをやめ、緩やかに全体で内壁をこする動きへと変えた。
 金髪の青年の姿も見えず、声も届いていないらしい鳴海の、妙にかみ合わない返事を殆ど聞くこともできず、笑顔のまま
ベッドへ上ってくる青年から目を背けることがかなわない。
 青年が足元にいつも手にしている鞄を置き、ベッドへ音もなく、質量も感じさせずに上ってくる。
 
 静止するまもなく、皮の手袋をしたままの手が自身の性器の根元をきつくきつく握り締める痛みの中で、ライドウは昼間
ミルクホールで出会った青年との会話を思い出していた。
315鳴ライ+α 6/8:2009/02/06(金) 06:41:32 ID:WFaajH530
『今日は、いつも一緒にいる男はいないようだね』
「鳴海さんがここに来る用事はありませんから」
『そう……君は、ここへ何かを求めに来たんだね』
「何か……? まあ、何かしら新しい情報があれば、と」
『そして、何もめぼしい物はなかった』
「残念ですが」
『そうだね……じゃあ、僕が、君のために出来ることは、なにかあるかな』
「…………いえ、特には」
『そんなことはないだろう。君は今日これからまた、僕と会うよ。そして、出来ることを教えてくれるはずだ』
「これから、ですか」
『そう。きっと、必ず』




「それよりも、どう、ライドウ。気持ちいいからいかせてほしいって、言いたくなってきた?」
 ぐるぐると巡る過去への思考が、鳴海のとんでもない発言によって、逃げようのない現在へと押し戻される。
 後ろには、深く繋がったままあえてゆっくりと円を描くように中をこする鳴海が、そして、誰もいないはずの目の前には、金髪の青年が、
指の輪でがっちりと射精を押しとどめたまま、ライドウの性器の先端を別の手で楽しそうに引っかいていた。
「あ、ふ……っ、もう、もう許して……」
「言いたく、なってきた?」
『言ったら、決してこれを離さないよ』
316鳴ライ+α 7/8:2009/02/06(金) 06:42:12 ID:WFaajH530
 一体どうすればいいというのか。ライドウは目に浮かべた涙をぼろぼろと零しながら、堪えていたことも忘れ、色を含んだ声を漏らす。
「そうだなぁ……じゃあ、俺の名前を呼んだら、いかせてあげるっていうのはどう?」
『……じゃあ、僕の名前を呼んだらこれを外してあげるよ』
 鳴海の言葉を聞いてから、金髪の青年が意地悪そうに耳元に直接囁きかけた。どちらを選ぶべきか、殆ど真っ白になったライドウの頭では考えられない。
 後ろの動きがだんだんと激しくなり、それに呼応するように前の性器も強くこすられる。
「さあ、呼んでごらん」
『さあ、呼んでごらん』
 一際深くまで突き入れられ、ライドウの背が美しい曲線を描く。それでもなお精を吐き出せないのはどうしてか。


「……あ、ああっ……ルイっ……!!」


 尿道口を尖った爪でくじられた瞬間、ライドウは絶頂を感じながらその名を呼んでいた。


『よくできました』






 次に目を覚ましたとき、同じベッドの中で神妙な顔をしてこちらを見ていた鳴海が最初にはなった言葉は。

「……ルイって誰だよ、ライドウ……!!」

 それから数週間、ライドウは何度真実を説明しても信じてもらえない恋人から、謂れのない責め苦を受ける羽目になった。
317風と木の名無しさん:2009/02/06(金) 06:45:45 ID:WFaajH530
行数数え間違ってたみたいで一つあまった…ここで終わりです。
ちょっと前スレで見かけたネタだったような記憶がありますが、
今日までどうしても萌えと妄想が迸ってとまらなかったので、たまらず文章に。


 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 必死で書いてたらこんな時間だよ! ねる!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
318風と木の名無しさん:2009/02/06(金) 18:34:51 ID:4z34f2/H0
>>309
ここで読めるとは思ってもみなかったプロセス。
禿萌えた。ついでに鳴ライに目覚めた「きっかけ」を頂いた。ありがとう!
319オー/ドリー カス×ワカ:2009/02/07(土) 20:53:21 ID:8TM4VO4i0


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |   芸/人 オー/ドリーのカスガ×ワカバヤシだモナー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ただの馬鹿話ダカラナ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ホントウニ バカ ナ ハナシダ ゴルァ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
320オー/ドリー カス×ワカ 1/4:2009/02/07(土) 20:54:07 ID:8TM4VO4i0
腐女子の皆さん、妄想でお逢いして以来ですね。
この間ね、うちのワカバヤシがとうとう本当に引っ越しをしたんですよ。ええ?
つまり、そうです。
カスガはめでたくワカバヤシ家のインテリアになりました。
玄関でワカバヤシのお出迎え、お見送り。キスをしてあげようと思いましてね。
どんな事があっても、わたくしカスガはインテリアとして胸を張って笑顔を絶やさないと、誓います!
入居第一歩を踏み入れた途端、ワカバヤシの言う事を聞かずインテリアとして玄関に立ちました。
インテリアとしての第二の人生は希望に満ち溢れていました。
ところがどうでしょう。
玄関とは意外なほど寒いのですよ奥さん。
「カスガ〜?もういいからこっち来いよ馬鹿」
一時間ほど立って居たらさすがに体が芯まで冷えたようです。
インテリアカスガの手を引っ張ったワカバヤシの手がとても熱く感じるではないか。
その手のぬくもりにさっそく心が折れました。
引っ張られるままリビングへ来たカスガは、ワカバヤシに叩かれながらこたつへと潜り込んだのでした。
ありがた〜い
「引っ越しネタ変えていこうと思ってさぁ、」
ワカバヤシはカスガにぬくもりを与えながら、隣りに座りいつものネタ帳を見せてきました。
まじめな男なのです。この男は。不器用でまじめな男なのです。
わたくしカスガはワカバヤシを尊敬しておるのです。敬愛しておるのです。
近付いた人に誤解されやすいから人見知る、人見知るから誤解される、このメビウスの輪からドロップアウトするには
「聞いてる?」
こんなにかわいいのにね。
おっと、つい頭を撫でてしまいました。
すばやくカスガの手を振り払うワカバヤシはやっぱり突っ込みの方があっていたんだろうね。
「インテリアネタ考えたのはアナタですよ」
「だからってさぁ」
「インテリア型用心棒でいいじゃないか。玄関に立ってここを進みたかったら俺を倒してから行けっていう」
「弱いくせに」
321オー/ドリー カス×ワカ 2/4:2009/02/07(土) 20:54:41 ID:8TM4VO4i0
ワカバヤシはよく笑います。
たまにネタの最中に止められるくらい笑っている事があります。
カスガはそれが一番好きです。誰も笑わなくてもワカバヤシが笑えば、面白いと思うんです。
「でもちょっとどん詰まってんだよねぇ」
まじめな男は新ネタを考えあぐねているようです。
「そういう時はさ、もうまったく別の事をするといいんじゃないか?」
「何何?」
「まったく別の事をしてたらあっとひらめく事もあるんじゃないか?」
「あーなるほどね。んじゃご飯でも食べる?」
「乳首をいじってあげよう」
「何いきなり」
「俺が変態なのは知ってるだろ!!」
「!!」
ワカバヤシはとても素直です。ストレートなのです。思った事がそのまま顔に出て声に出ます。
歯に衣着せぬ発言は、人にとっては様々な感情を抱かせますが、カスガにとっては大好きな要素です。
「も、やめてぇーよォー!!」
おっと、インテリアカスガはすっかり冷えていたので、手もまだちょっと冷たかったようです。
ワカバヤシのスウエットの腹の部分から手を突っ込んで乳首に触れると、肌が粟立ち、ブルッと震えました。
「お前はここが弱いな?」
「ほんとまずい!普通に勃つって」
カスガ的には最後まで致す事に何ら抵抗は無いのですが、ワカバヤシには抵抗があるようです。
すりすりと乳首をいじる手にワカバヤシの手が引っかかっておるようですが止める様子はありません。
「乳首が好きだな?」
「気持ちいいけど、やばいんだって〜」
やばくたっていいじゃない オスだもの    かすを
「カスガが好きだな?」
「好きだけどさぁ…これちょっと違うでしょ〜?」
ワカバヤシは本当に素直だな。かわいくてしょうがないカスガのアイドルだ!食べちゃいたいよ!
322オー/ドリー カス×ワカ 3/4:2009/02/07(土) 20:55:15 ID:8TM4VO4i0
「今日はドロドロになるまで乳首攻めだ!」
「なんで…ちょっとこれさぁ逆にネタ作れなくなっちゃうんじゃないのぉ?」
それは困る。でもネタ作れないほどになっちゃうところも見てみたいではないか。すりすり、すりすり、
「まずいよ。勃起しちゃう」
「いいですよ。なんなら出してあげましょうか?」
「馬鹿野郎」
へっ!!
ちゅっと音を立ててほっぺたにキスをすると、ワカバヤシが吹き出しました。
カスガもニヤニヤします。
「お前はほんとにかわいいなっ!!」
「気持ち悪ぃけど…悪い気はしねぇよ!」
今日は叩かれません。少し寂しいです。でも、叩く余裕が無いワカバヤシ君もかわいいものですね。
硬くなった乳首をぐりぐりいじっているうちにワカバヤシは何も言わなくなりました。
ただジッと乳首をいじられています。こうなるとわたくしインテリアカスガにも自我が芽生えるというかですね、
ワカバヤシを制覇したいと。そう思えてくるではありませんか。
抵抗される隙を与えないよう一瞬でズボンに手を入れてみました。
「!!何やっ…そーれは駄目だって!」
「ワカバヤシのここ、こんなになってますよ。」
「なんだよそのお決まりのセリフはよー!駄目だって、離せよ」
「嫌だ!!」
「こっちが嫌だよ!!」
ほんとにね、これじゃネタ作りじゃなくて子作りですよ。
と言ったら怒られそうなので、言いませんけど。
力技ならカスガはワカバヤシに負けるわけがないのです。ワカバヤシはインテリアにも勝てません。
邪魔なズボンを無理やり腿のあたりまでずらします。
「あ、ん、もォーー!!」
「あーんってアナタねぇ。カスガを煽るのはやめてください」
「あーんなんて言ってねぇだろ勘違いすんな殺すぞ馬鹿野郎」
「やめてください殺さないでください」
323オー/ドリー カス×ワカ 4/4:2009/02/07(土) 20:55:49 ID:8TM4VO4i0
ワカバヤシの抵抗を阻止しながらもカスガの手はワカバヤシのデリケートゾーンを激しく上下に擦り続けます。
インテリアだけどカスガも興奮してしまいます。
「カスガほんとに!ほんとにもう、カスガ」
「そのままお行きなさい」
「あーーもーーーほんとに…汚れちゃう、ティッシュ取って!」
新居ですしね。
言われた通りカスガはティッシュを用意しつつその時を待ちます。
もうワカバヤシは抵抗しませんので、片手にティッシュ、片手にちんこです。
「んっ…」
かわいいなぁ。手の中の物体の反応が、限界が近い事を知らせます。
「押さえてっ」
ワカバヤシが精液が出るので亀頭にティッシュをあてがってくださいとわたくしに伝えます。
そこは出ちゃう〜とかの方がカスガ的には萌えるんですが。
言われた通りティッシュをあてがうと、すぐにその中に衝撃が走りました。
無防備にイった瞬間のワカバヤシの顔を目に焼きつけました。しばらくはこれをおかずにできそうです。
「あ」
「気持ち良かったですか」
「来た。」
「はい?」
「ネタ!ちょっとどいてカスガ」
えーーーーカスガの興奮はこのまま?
本当、このワカバヤシというのは空気の読めない男です。
でも真剣な顔でちんこ出したままネタ帳に何やら勢いよく書き始めたワカバヤシを見たら、笑えてきました。
ワカバヤシ君、カスガは本当にアナタが大好きです。
「手に力入んない」
出したばかりですからね。
力の入らない手を振りながら、忘れないように必死でペンを動かすアナタが好きです。
しょうがない、インテリアカスガはトイレで致すとしましょう。
さっきのワカバヤシを思い出しながらね。
324風と木の名無しさん:2009/02/07(土) 20:56:21 ID:8TM4VO4i0

 ____________
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 | | □ STOP.       | |               本当に馬鹿な話でした。
 | |                | |           ∧_∧ 読んでくださってありがとうございました。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
325風と木の名無しさん:2009/02/07(土) 21:16:44 ID:bLVDs5tt0
>>324
ネタが盛り込んであっていいよいいよー萌えたよ
また書いてくださいな
326風と木の名無しさん:2009/02/07(土) 21:29:45 ID:HI8PmAaq0
>>324
イイヨイイヨー(*´Д`)
327風と木の名無しさん:2009/02/07(土) 21:33:01 ID:Iy/ExowUO
どうしても粕が脳内再生されて吹く
328風と木の名無しさん:2009/02/07(土) 21:35:33 ID:z17FLllo0
>>324
姐さんGJ
笑えるのに禿げ萌えた〜!!
329風と木の名無しさん:2009/02/07(土) 21:53:03 ID:C9LZ5zSV0
>玄関とは意外なほど寒いのですよ奥さん。

誰が奥さんだこら頃すぞ。
ばっちり粕画で脳内再生したわwwwあああ禿げるww
姐さんGJ好きです結婚してくだs(ry
330風と木の名無しさん:2009/02/07(土) 22:04:25 ID:REHShxlvO
>>324
GJ!!!禿萌えました
331風と木の名無しさん:2009/02/07(土) 22:10:23 ID:9phSFsRt0
>>324
まだ奥さんじゃなくお嬢さんと呼ばれていたいとかそんなことはどうでもいい。
萌えたんだどうしてくれるんだ。
新居でイチャコラしてればいいですよねwww
332風と木の名無しさん:2009/02/07(土) 22:14:21 ID:zODbMbhxO
gj!一文目から笑ったww
333風と木の名無しさん:2009/02/07(土) 22:16:22 ID:+hIKIjnBO
>>324

ヤブァイw
今までまったく腐萌えしてなかったのに、何かに目覚めそうwww
乳首ストとしても超GJ!を送るしかない。
姐さん、愛してるw
334風と木の名無しさん:2009/02/07(土) 22:37:48 ID:F43wOJum0
>>324
さすが、無敵艦隊www
よろしければ続編もお待ちしてます
335風と木の名無しさん:2009/02/07(土) 22:47:20 ID:CaWaWs1OO
>>324
あああああGJ!!!
粕も和歌も忠実にキャラ再現されていて、とても萌えた(*´Д`)ハァハァ
マジで実録を粕が文章に起こしたみたいだ。
336風と木の名無しさん:2009/02/07(土) 23:28:12 ID:QaauKzLaO
>>324
ナマ芸人ネタ苦手だけれど、これは笑った、しかも萌えた!
ありがとう、姐さん。
知らない世界へ足を踏み入れた気分だ。
337ふゆの、ふたり 1/3:2009/02/07(土) 23:41:49 ID:o/EJ+Un30
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

手に入れてきたものと失ったものを引き比べれば明らかに失ったものの方が多い。
誰かの命を賭けてまで失うまいとした事もあったが、
自分の命を懸けて守り通そうと、初めて誓った。


一番最初に見えてきたのが自分の掌だと気がついた時、一気に目が覚めた。
体中の総てが凍り付いてしまうような恐怖。
考えるより先に体が跳ね起きベットを飛び出す。

一体全体なんで今更? 一体どこへ行こうと?
腕の中にいたはずのあの寝顔はどこへ行った?
疑問と恐怖に捕まらぬ内に身体だけを動かす。
一足飛びに上着を掴み、ケータイと財布を確認しながら半ば体当たりでドアを開けかけた時、ベランダに肌着姿の背中が見えた。

「……んだよっ…クソッ」
どうしょうもねぇな、オレ。
もうどうしょうもねぇんじゃないの、オレ。
ゆるゆると息をはきだし、ソファに上着を投げ出してもう一度溜め息をつくと、自分の指先が冷え切ってる事に驚いた。
さっきまで寝床にいた身体は冷え切って堅くなっている。

338ふゆの、ふたり 1/3:2009/02/07(土) 23:42:40 ID:o/EJ+Un30
サッシを開ける音で北さんは振り返った。
「なーにしてんの?」

隣に並んで、北さんが今までしてたように空を見上げてみる。
冬の、うす曇の空。
「えへ、お天気悪いから、今日こそは降らないかなーって思って。」
そう言う北さんの口の端から白い息の塊が、薄くこぼれて消えた。

「…?」
「ゆき」
「ああ…雪。」
「あんまり寒くもないしなー」

寒いよ。
あんたが隣に居ないってだけでこんなに寒くなったよ。

後ろから腕を回して抱きしめる。
北さんはゆったりと背中越しに体重を預けてくれる。
冷えて固まった体が、重みと温かさでゆっくりとほぐれて行く。
北さんのこの身体を受け止めるだけの為の存在になりたい。

今まで、手に入れたものも多い。 その分手の中から零れ落ちていったものも多い。
なくしたものの中には、大事なものも、二度と手に入らないものも、多分あっただろう。
でも、一番大事なものは今この腕の中にある。
もしかしたら、なくしたものの幾つかは取り戻せるのかもしれない。

339ふゆの、ふたり 3/3:2009/02/07(土) 23:44:43 ID:o/EJ+Un30


ふいに鼻の奥にこみ上げてきた熱いかたまりを無理やり飲み込んで、北さんのちょっと…結構広い額に鼻を押し付けてひとつ鼻をすする。
こうやって寄り添うだけの為に生まれてこれればよかったのに。

「寒いの、好き?」
「嫌いじゃないですけど・・・」

くつくつと腕の中で声を抑えて北さんは笑う。

「寒くなるとへーたさん鼻の頭赤くなるでしょ? あれ可愛いんだよなー」

振り仰ぐ北さんの目は相変わらず子供のようにきらきらしている。

「また見たいなーと、思ってたんですよ。」


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
               イツニナッタラモウソウッテトマルンダロウネ!

へーちゃんの鼻が赤くなるのは、寒いからじゃなくて泣くのを堪えてるからなんだけど、
それを北サンはわかってなくて〜、と言う事で書きたかったんですが・・・
上手く書けなくてすみません。

あと、北さんの寝巻き?はアンダーシャツでも下着でもなく肌着!だと思う。

_  ∩                   _ ∩
( ゜∀゜)彡 肌着! 肌着!        ( ゜∀゜)彡 肌着!  肌着!
 ⊂彡                   ⊂彡


340風と木の名無しさん:2009/02/07(土) 23:52:28 ID:P9+H6lb70
>>324
姐さん超絶GJ!
自分の中で今までにない感じがしたw
脳内で忠実に再現されるって・・・自分オワt
341風と木の名無しさん:2009/02/08(日) 00:25:54 ID:B68lLP4SO
あの声でしか再生されないwwwwww
萌えるのに笑えて苦しかったw
『ヘッ!』もこらえきれんかったw
342風と木の名無しさん:2009/02/08(日) 00:30:11 ID:y+uSDdse0
343風と木の名無しさん:2009/02/08(日) 01:10:21 ID:tweoq53OO
>>337
GJ!
自分は死ぬしかないと思い込んでたあのキタさんが
こんな風に幸せになっててくれたら嬉しいなぁ
344風と木の名無しさん:2009/02/08(日) 01:32:16 ID:7HLqdwaN0
>>337
わきゃ〜っ。
またこの2人が読めてうれしいです。

すごっくホッコリさせて頂きました。
345風と木の名無しさん:2009/02/08(日) 01:54:25 ID:AGSLcYQSO
>>324
超GJ
かすを、最初なにか分からなかったけど
理解して梅酒フイタ
次回作期待してます
346MR10周年「悪魔」  1/4:2009/02/08(日) 03:38:11 ID:vsRI0lIt0
平成バイク乗り10周年で司×Uスケ。
僅かですが一部ノマカプ要素(Uスケ→姐/さん片思い描写)有り。苦手な方はご注意ください。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

まだ粉塵の舞う廃ビルの中。変身を解除したク/ウ/ガ――小/野/寺/ユ/ウ/ス/ケは
溜め息をひとつ吐くと、壁に凭れかかるようにその場に座り込んだ。
心臓が早鐘のように打っている。
幾ら未確認と呼ばれる怪物グ/ロ/ン/ギを倒せる力があるとはいっても、不死身ではない。
傷付けば血も流れる。
「…姐/さん、来なかったな」
ぽつりと呟く。
いつもなら現場にいる筈の警察が今日は居ない。
普段は姐/さんと呼び慕う八/代刑事から情報をリークして貰っていたユ/ウ/ス/ケだったが
今回はグ/ロ/ン/ギの言語を解する異世界からのラ/イ/ダ/ー・門/矢/士の推理を元に
次に彼奴らが現れそうな場所で待ち伏せをしていたのだ。
一応連絡は入れておいたが、間に合わなかったようだ。
「ちぇっ」
俺の頑張ってるとこ、見て欲しかったのに。
なんだか疲れた。
けれど戦いを終えたばかりの身体は熱を持っていて落ち着かない。
そうだ。八/代に連絡を入れなければ。
数回のコールの後、機械的な声が聞こえた。留守電にメッセージを残し、携帯を閉じてポケットにしまう。
その時、ふと降ろした腕が股を掠めた。
「…っ」
不意にもたらされた甘い痺れにユ/ウ/ス/ケは息を飲んだ。
身体が熱い。
347MR10周年「悪魔」  2/4:2009/02/08(日) 03:40:37 ID:vsRI0lIt0
ジーンズの上からそろそろと撫でてみる。
冷えた腕を擦るような緩い愛撫。
だが、それではすぐに物足りなくなってしまい、ユ/ウ/ス/ケはパンツの中に右手を滑らせた。
次第に堅く勃ち上がっていく雄がジーンズを持ち上げる。キツい。
今日はもう八/代も警察も来ない。
ツカサはここから少し離れたもう1つの候補地で張っている。
つまりここに居るのは自分だけということだ。誰も来ない。
熱に浮かされた頭でぼんやりとそう判断した彼はファスナーを降ろして自身を取り出した。
先端から滲みだしたモノを指に絡ませ上下に手を動かす。
「ん…」
拙い自慰ではあるが、ただの性欲処理ならこれで十分だ。
手のスピードを早めていくユ/ウ/ス/ケが行為に没頭し始めたその時、
「おい!どこに居る?」
不意に聞こえた声に、彼は飛び上がった。
「うわっ!!」
思わず間抜けな声が上がる。それが逆に彼の居場所を教えることとなってしまう。
あの声はツカサだ。
こんな所を見られる訳にはいかない。
急いで身なりを正そうとするユ/ウ/ス/ケだったが、慌てれば慌てるほどもたついて上手くいかない。
そうこうする内に足音はどんどん近付いて来て…
――見られた。
348MR10周年「悪魔」  3/4:2009/02/08(日) 03:42:33 ID:vsRI0lIt0
「……大体わかった」
無表情で呟くツカサに、間抜けにも股間にぶら下がるものを出したままユ/ウ/ス/ケが掴みかかる。
「何が“大体わかった”んだよ、何が!?そもそもお前なんでこっちに居るんだ?!!」
「お前がこんな場所で一人でおっぱじめる変態ってことだ。あとムスコのデカさも。
 何で俺がここに居るか?夏/みかんがこの建物で爆発があったって言うからな。
 つまりお前がグ/ロ/ン/ギを倒したってことだと思ったんだが…そういう趣味だったとはな」
「ちっがーう!そういうわけじゃなくってだな…」
「汚いモノ丸出しにされたままで言われても説得力がないな」
「うッ…!」
確かについさっきまでこの場で「そういうこと」をしていたのは事実だ。反論出来ない。
「汚いとか言うな」
悔し紛れに小さい声で呟く。
ツカサの方は聞いているのかいないのか、顎に手をあてて何やら考えている。
兎に角出しっぱなしのモノを仕舞おうとズボンに手をかけたユ/ウ/ス/ケの耳に、信じられない言葉が聞こえた。
「でもまぁ…手伝ってやらなくもない」
「……は?」
思わず手を止めて目の前の男を見上げる。
「そこに座れ」
言うが早いかツカサに肩を押され、ユ/ウ/ス/ケはその場に尻もちをついた。
「ってぇ!おい、何す…」
「この俺が手伝ってやるって言ってるんだ。大人しくしてろ」
素早く靴と靴下を脱いだツカサの右足がユ/ウ/ス/ケの股間に伸びる。
親指が、まだ完全には萎えていなかったモノの裏筋を撫で上げると、身体が震えた。
「ッ…って、何してんだよ?!やめ……ぁ」
つま先がくびれをくすぐるように掠め、踵が陰嚢を優しく揉みしだく。
かと思えば足の裏をぴったりと竿に沿わせて撫で上げる。
手とは違う、厚い皮膚の感触。
巧みなツカサの愛撫に雄はすぐに固さを取り戻し、天を仰いでている。
「うぁ…も、…めろ…」
349MR10周年「悪魔」  4/4:2009/02/08(日) 03:43:34 ID:vsRI0lIt0
そうは言うものの、いつの間にかユ/ウ/ス/ケは自ら腰を振り、ツカサに熱り立った欲望を擦りつけていた。
「…っは、ん…」
我慢できず再び先端から溢れ出した涙が熱い肉棒を伝う。
それはツカサの足にも伝わり、足指の裏が濡れる感触に彼は顔を顰めた。
足裏だけが濡れるというのはあまり気持ちの良いものではないだろう。
糸を引いて足が離れた。
「……ぁ」
思わず惜しむような声を上げるユ/ウ/ス/ケを見て、ツカサが口の端を釣り上げる。
「なんだ、やっぱりまだシテ欲しいんじゃないか」
「ちがっ…!」
反射的に否定の言葉が口を吐くが、焦れているのは明らかだ。半端に熱を持たされ刺激を求める己に手が伸びる。
が、すぐにツカサの手が伸びてきて、その手を押しとどめた。
先端を覆うように添えられたその掌が亀頭を撫でる。バラバラに動く指が陰茎を辿り、左手が袋を包む。
「く…っ、や…」
両手で与えられる刺激に更に膨張した肉棒は血管を浮き立たせびくびくと震えている。
筒状になった右手が竿を上ったかと思うと、くびれをぐるりとなでられ、今度は根元に向かっていく。
一方では左手の中指が蟻の戸渡りを行き来する。
「……め、だって…そんな……あ」
「どうかな。イイんだろ?」
心底意地の悪そうな声が、耳元で囁く。
「イけよ、ほら」
長い指が鈴口を引っ掻いた。
「んッ…ぁあーーーーー…っ」
熱い飛沫が飛び散る。

「……この、悪魔…ッ」
息も絶え絶えに言いながら、ユ/ウ/ス/ケはその場に崩れおちた。
350MR10周年「悪魔」  オマケ:2009/02/08(日) 03:45:22 ID:vsRI0lIt0
数日後、ベッドに寝転がっていたユ/ウ/ス/ケはふと股間に手を伸ばした。
特にどうということはない、男なら誰でもある生理現象だ。
暫し竿を握り上下に摺りあげていたその手が鈴口に伸びた。
――と、その瞬間。
「うわぁあ!何でアイツが出てくんだよッ!!?」
慌てて手をひっこめる。
だが、既に固くなっていたソレは萎えることもなく、むしろさらに質量を増していく。
「ぁ…ぃやだ…」
思い出すまいとすればするほど、先日ツカサにされた事が次々と思い出される。
「やめ…っ」
それだけですっかり勃ちあがってしまった自身を目にして、ユ/ウ/ス/ケの顔が羞恥に染まる。悪循環だ。
気付けば己の手は、妄想の中のツカサの手を辿るようにユ/ウ/ス/ケを蹂躙していた。

いつの間にか悪魔は彼の中に忍び込み、その心を侵し始めていた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

まだ3話前なのに萌えと燃えの嵐とか嘘だろ?
UスケのDT臭がたまらなく萌えるんだぜ。
351風と木の名無しさん:2009/02/08(日) 14:09:26 ID:uDQByC560
>>324
姐さんGJ!
不覚にもラストに泣いてしまった…
続編待ってます
352風と木の名無しさん:2009/02/08(日) 15:22:36 ID:3td/Wso90
353風と木の名無しさん:2009/02/08(日) 17:12:44 ID:7cJaUZ7XO
>>351
そろそろ空気嫁
354風と木の名無しさん:2009/02/08(日) 19:42:34 ID:yMZTxlDgO
>>350
GJ
今朝ちょっとそいつらに揺らいだばかりだったので
ありがたい
355『接待』オサーン×ゲイ能人 1/13:2009/02/08(日) 23:13:25 ID:L6JPeeNm0
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
勝手がよくわからないですが、利用させてもらいます。
ちょい鬼畜な感じの接待ネタですエロってますスミマセン。




「カシスオレンジ?ははは、おまえやっぱり女だろ」
「…………」
さっきから何度『おまえ女だろ』とからかわれただろう。
stはそのたびに、応えに困ってあいまいに笑った。
何か飲めと言われて、カシスオレンジしか飲めないと答えた。
強い酒は身体が拒否する。笑われようが、飲めないことは正直に言うことにしていた。
言っておかないと…ろくなことにならない。
「ほら」
「あ……はい」
stは、今夜接待する相手を値踏みしつつ、慌ててグラスを合わせた。
 ――カラン

 この男はどんな仕事くれるんかな……。
 もし先輩のためだったら、すげーやだな……。

356『接待』オサーン×ゲイ能人 2/13:2009/02/08(日) 23:14:30 ID:L6JPeeNm0
指定された部屋に入ると、stは機械的に上着のボタンに手をかけた。
慣れるほどの経験はないが、自分がすべきことは理解している。なまじ整った顔は青白く、無気力な人形のようだった。
「おい、誰が脱いでいいと言った!」
いきなり、男に怒鳴られた。
「え……?」
stは驚いて、首から引き抜きかけたインナーをおろす。
少し気が早かっただろうか。それとも自分で脱がせたい人なのかな、とstは思った。
 なんか、めんどくさい……。
エライ人というのは、変わり者が多い。最近やっと、わかりかけてきた。
もちろん思ったことは顔に出さず、ここは得意な『演技』でやりすごす。
「すいません勝手なことしました。着てた方がいいですか?」
みんなが褒めてくれる極上の笑顔を作り、媚びてみた。わざと上目遣いに、男と視線を合わせてみる。
「しゃべるとやっぱり、男だな」
「……え?」
「顔は女だから、面白いんだよ」
「…………」
 なんだこいつっ……。
stはイラつきそうになるのをこらえて、あいまいに笑った。
 女みたい、女だろ、女…、女。
 こいつ、そればっかりだ……。
それが自分の売りだから、ほめ言葉のひとつとはわかっている。でも、何度も繰り返されればバカにされてる気がしてくる。

男は、stの父親ほどの年齢に見えた。
stより体格も良く、並べば少し見下ろせる。
男は、stがさっきからイラつき出したのに気づいていた。
357『接待』オサーン×ゲイ能人 3/13:2009/02/08(日) 23:16:10 ID:L6JPeeNm0
接待と称してやってくる『芸能人(貢ぎ物)』は、別に珍しくもない。押し売りもあれば、気に入って呼ぶ場合もある。
今日のは、TVで見かけて気に入って手回しした。
女まがいの可愛い顔をした、駆け出しの俳優だ。
案の定、こういうことに慣れてはいないが経験はある、というタイプらしい。
従順そうに見えて、嫌々なのが透けて見えた。顔に似合わず無気力系なのだろう。
ちょっと色気をだして股間をしゃぶれば、さっさと終わると思っている顔だ。もちろんそれで通る世界なのは、わかるが…。
 …オトナを舐めてると痛い目に合うってことを、教えてやらないとな。
男の笑いは、そういう意図を含んだ忠告だった。
哀れなstは、それに気づくことはできなかったが――。


男の大きな手が、ぐいっとstの胸ぐらをつかんで引きよせた。
「う…………」
目を合わせたまま唇をねっとりなめ回される。キスではなく、ぴちゃぴちゃ音を立てて舐められた。
左の口角から右へ、舌先ですーっとなぞられると、stの背中がいたずらに波打った。
「口あけろ」
「うぁ……は、あい…っ」
stが答えるのを待たずに男の舌が口内へ入り込み、唇の裏側までねちねち嬲る。
唾液が流れ込んできて、喉がぐうっと音を立てた。
男は無意識にひけていたstの腰を、乱暴に引き戻す。密着したモノは勃ちあがりかけていて、ぐりぐり押しつけられた。
息が上がり、お互いの身体が火照ってくるのがわかる。
「うっ、ぁ……」
やっと解放されたstの唇は、唾液でべちゃべちゃだ。
「男の唇じゃねーよ、エロすぎる」
言いながら、乱暴に胸をなで回す。
「やらしいなあ、なんでこの顔して男なんだおまえ」
358『接待』オサーン×ゲイ能人 4/13:2009/02/08(日) 23:17:35 ID:L6JPeeNm0
インナーの中に潜った手が、小さな乳首をひねりあげた。
「ここに、おっぱい付けてこいよ」
 …………っ!
そう言われて思わず口答えしそうになり、stはあわてて言葉を飲み込んだ。
挑発されている、と思う。
くやしいから自分から身体をすりよせて、首をかしげて媚びた。
「女のひとの方が、好きなんですか?」
「そりゃ、そうさ」
あたりまえだと言いながら、男は両手でstの尻をまさぐる。
「……でもボク、女じゃないし」
「見りゃわかる」
「じゃあ…ボクでいいんですか?」
「おまえに興味あるから、呼んだんだろ」
男にそう言わせて、stは満足気にほほえんだ。
「興味もってくれて…うれしいです」
stはわざとらしく目を伏せ、頬を染めてすがりつく。
それを見下ろす男の眉が、さもおかしそうに跳ね上がった。

「口で、させてください」
ベッドに脚を広げて座る男の前で、stは膝をついた。
ファスナーに手を伸ばすと、なぜか拒まれる。
「ダメだ」
「……え?」
「そんな言い方じゃダメだろ、stくん」
男はニヤニヤと跪いたstを見下ろしている。
「…ボクの口でよければ、舐めさせてください…」
もっと丁寧に言えばいいのかと、stはあらためてお願いした。
すると乱暴に顎をつかまれ、太い指で唇をつままれる。痛みに顔をゆがめると、男がぐっと顔を近づけて、こう言った。
「おちんちん、しゃぶらせてください、だ」
「…………っ」
 こいつっ…どんな悪趣味だよっ…!
359『接待』オサーン×ゲイ能人 5/13:2009/02/08(日) 23:18:25 ID:L6JPeeNm0
屈辱で、stのぷっくりした唇が震えるのを、男は見逃さない。
stは要求された言葉を口にしようとして、なんども唾を飲み込んだ。嫌悪で、思うように声が出てくれない。
「さっきまで、得意な芝居でごまかしてただろ。これくらい言えよ、大根役者」
「なっ……!」
沸騰した怒りが理性を上回り、stはとうとう顔をゆがめて男を睨んだ。
だが、顎を捕まれていて身動きできない。
「仕事が欲しくないのか?…どうだ?」
怒りと打算のせめぎあいで、stの頬がピクっと痙攣する。
これまでの相手が優しかっただけだと、ようやくstも理解した。
業界に巣食う魑魅魍魎たちは、怖い、のだと。
男には、従うしかない。
愛想笑いも作れないまま、stはかすれた声を出した。
「ボクに…このおちんちん、しゃぶらせ…て、ください……」
「聞こえねーよ。AV女優になったつもりで言ってみろ。直々に演技指導してやる」
男の指が、stを解放する。
でも、恐怖と屈辱と怒りでその場から動けない。
わなわな震える唇だけが、男の命令に必死に従う。
「い…淫乱なボクに、この大きなおちんちんしゃぶらせ…てください、お願いです…」
「泣くほどのことかよ」
「……泣いてません」
stの大きな黒目がちの瞳は、今にも涙が決壊しそうなほど潤んでいた。
男はやっと、満足そうにうなずいた。
「よし、しゃぶれ」


360『接待』オサーン×ゲイ能人 6/13:2009/02/08(日) 23:21:10 ID:L6JPeeNm0
stは柔らかな舌を突き出し男のペニスに舌を這わした。根本から先の方へ、ハーモニカのように唇を動かす。
両頬の奥から唾液を絞り出し、唇全体で竿に塗りたくった。
 ぷちゅ、くちゅ。
わざと大きな音をたてる。たいていの男は、そうしたほうが喜んでくれるからだ。
「うぷ……ぅ、あ…」
それから大きく口をあけて、かりの部分を頬張った。中で舌を円を描くように這わして、先端を細かく刺激する。
「フェラの才能あるじゃねーか、おまえ…」
必死でしゃぶり続ける様を上から見つめる男の声が、興奮していた。
stはただ、男が早く射精してくれることを願って奉仕し続ける。今はこんなこともう、さっさと終わって欲しかった。
 早く…早くイケよ、出せよ……はやく…。
そんなstを嗤うように、男は栗色の髪を両手でぎゅっと掴み、激しく腰を振り始めた。
「うぐっ…ぇっ…」
男は激しく腰を動かして、stの唇と舌の感触を味わっている。硬く勃起したペニスが唇を出入りする度に、水っぽい卑猥な音が響いた。
「いいぞ…いい子だ、……上手いな…」
男の興奮が、痙攣するペニスから直接伝わってくる。
「ぉ…ぇっ……」
stは両手をだらんと下げて、成すがままだった。ガクガクと揺らされて、気が遠くなりかける。
ただ男の射精のために口を使われる、綺麗な人形と同じだった。
「うぉっ……!」
男の激しい動きが急に止まった。
腰がびくっと痙攣し、精液がほとばしる。
「ぅあっ……げぇっ…ぇ」
射精途中で口から引き抜かれ、跳ね上がった先端を頬に擦りつけらる。
飛び散った精液は白い涙みたいに頬にこびりつき、stの可愛い顔を穢した。

 なんで…このシャツ着てきたんだろ……。
男はstのインナーを引き抜きながら、乱暴にstの顔を拭いた。
 これ、お気に入り…だったのに……。
男の精液とstの涙を吸い込んだインナーが、部屋のすみにうち捨てられた。
 もう…二度と着らんねーし……。
 …お気に入りなのに……。
 …お気に入り…なのに……。
361『接待』オサーン×ゲイ能人 7/13:2009/02/08(日) 23:22:52 ID:L6JPeeNm0
stは押しつけられたベッドから、白い天井を見ていた。
ここまで虐められて、もう裸のまさぐり合いで終わるとは思っていない。
アナルセックスは覚悟している。
でも、できれば非道いダメージは受けたくなかった。
 痛いの…やだ……。
「はぁ…あっ……」
裸に剥かれた身体を男にまさぐられ、stの息づかいも荒くなっていた。
「こーんな可愛い顔で、こんな立派なもの持ってちゃ反則だろ」
股間に手を伸ばされ、反射で身をよじる。
イカされるのかとぼんやり思ったが、そうじゃなかった。
「うわぁっ……やっ!」
いきなり裏返され、尻を乱暴に持ち上げられる。
「いつもなら腰を振らせるんだが、今日のオレは機嫌がいい。ヒィヒィ泣かせてやるからな、stくん」
「あぁ…ひどくしないでくだ…ぃ…お願いで…」
肉付きの良い尻に、ダラダラとローションを垂らされる。
焦ったstのみじめったらしい懇願を、男は楽しそうに否定した。自分のペニスにもローションを塗りたくりながら。
「ボクのオマ○コにおちんちん入れてください、だろ」
「ぅああ…ヤだっ!!」
耳元でささやかれて、悲鳴をあげる。
屈辱に耐えかねて逃げようとするstにのしかかり、男はなおも命令した。
「さっさと言い直せ、ほら!」
「やだやだっ…無理っ…」
シーツをつかんでもがいているstの、なけなしのプライドだろう。
どうやら、死んでも言いそうにない。
362『接待』オサーン×ゲイ能人 8/13:2009/02/08(日) 23:23:51 ID:L6JPeeNm0
「フンっ」
男はつまらなそうに鼻を鳴らし、stの尻を引き寄せる。
そして、ぬめって光る勃起をアナルに当てると、乱暴に腰を入れた。
「ひぃ………ぃ……っ…!!」
stが、飲み込んだ悲鳴を喉に詰まらせてシーツに突っ伏す。
「なに…してんだ、下手くそっ…!ちから抜けっ!」
 ピシャッ!
男が乱暴に、尻をひっぱたく。
stの白い尻に、男の手形が赤く浮き上がった。
「はぁ…っ…ぁ……」
呼吸を必死に整えながら、stが身体の力を抜く。怪我も痛いのも嫌なら、相手に合わせるしかない。
男相手のセックスの仕方を、最近ようやく身体が覚えてくれた。
「うっ…う…すいませ…でした」
「そうだ、エライぞ…」
興奮した男は舌なめずりしつつ、stの盛り上がった尻を鷲掴みにした。
そして、硬くなったペニスを容赦なく奥までぶち込む。
「うぅあああああぁっ…!!」
すぐに激しいピストンを開始して、華奢な体を前後に揺する。
ローションがベチャベチャ音を立て、ベッドが大きく軋む。
「あっ、あっ……ぁっ…」
stは身体全体を突き上げられるたび、嗚咽を上げて責めに耐える。

363『接待』オサーン×ゲイ能人 9/13:2009/02/08(日) 23:24:49 ID:L6JPeeNm0
「んっ……っ」
そのうち、ペニスの先で快いところを擦られて快楽の火が灯った。
 くちゅ…。
stの身体が熱を帯び、男の陵辱を受け入れ始める。
嗚咽も、喘ぎに変わりはじめた。
「どうだっ…気持ちよくなってきたか?」
「あぁ……はぃ……いいです…」
「よし、じゃあ…こっち向いて顔見せろ」
「うっ……」
繋がったまま仰向けにさせられて、stは顔をゆがめた。
汗でぬめった身体が覆い被さってくる。
その首に両腕をまわし、腿を両側から男の腰に当てて、stは服従の意志を表した。
今のstには、それ以外の選択肢はなかった……。

 ――キュイーッ。
 ――カシャッ。
なけなしの快楽に気を紛らわせていたstが、驚いて目を開けた。
聞き慣れた音に、一気に血の気が引く。
「何すんだっ、やめろよぉっ……!!!」
携帯の写メの音だった。
信じられないという表情で首を振り、繋がったままstは男につかみかかる。
そんなの、シャレにならない。
「落ち着け…おまえの携帯だ、ホラ」
汗だくの男は、おもしろそうに手に持った携帯を振って見せた。それは確かにst自身の持ち物だった。
いつの間に、荷物から抜き取られていたのか。
「今日の記念を、残しておいてやろうと思っただけだ」
「いいですっ……けっこうです、イヤだっ!」
「遠慮すんな。ブログ用のお宝にでも大事にとっておけ」
「イヤ……あああぁっ、あっ、ああ……!」
男は片手でstのペニスをまさぐりつつ、激しく腰を使った。
そうして、泣き叫ぶstを楽しそうに撮り続ける。
364『接待』オサーン×ゲイ能人 10/13:2009/02/08(日) 23:25:58 ID:L6JPeeNm0
「さっき…オレの言うことをきかなかった罰だ、ははっ…ふっ」
男は容赦のない激しいピストンで、stを責め続ける。
「あ……あぁ…あ、あ、あ」

 もうやだ…やだ…やだ……たすけて。

その一瞬、たいせつな仲間の顔がよぎる。
「ううっ……」
耐えられなくて、涙がぽろぽろこぼれ落ちた。
たいせつな人の顔を思い出した自分に、stはひたすら嫌悪した。
泣き顔を見られたくなくて、いやいやするように顔をふる。
「……うっ…っ……っ」
今まで必死に耐えてきたものが壊れて、素にもどってしまった。

子供のように涙をぬぐうstに、男の中で何かが目覚める。
「…………」
stを覆う衣は、すべて引き剥がした。
こいつはもう、文字通り丸裸だった。
勝ったと思った瞬間、征服したstが可愛くてたまらなくなった。
誰かにこんな思いを感じたのは、とても久しぶりだった……。

「悪かった…虐めすぎたな」
stの両手首をつかんで、自分の首に回させる。
男は、携帯を窓際のソファに放り投げ、stの体に覆い被さった。
stは、かすかにその白い体をよじる。
が、男の力には抗いようが無い。
「おまえ、かわいいな……」
男は、仰向けのstの首筋に厚い唇を押し付ける。
そして興奮ではちきれそうなペニスで尻肉を広げ、肉襞をこすってお互いの興奮を煽りはじめた。
365風と木の名無しさん:2009/02/08(日) 23:41:02 ID:qKrwR7+e0
支援?
366『接待』オサーン×ゲイ能人 11/13:2009/02/09(月) 00:01:31 ID:L6JPeeNm0
「あうぅんっ……!」
体の内側を満たされる感覚に、stは満足げな鳴き声を漏らしてしまった。
もう悔しいのか、悲しいのか、気持ち良いのか、わからなかった。
stの反応に満足して、男は本格的に腰を使いだす。
「あ……あ、あっ、あっ、あっ!」
stの身体が、男の下で弓なりに反り返る。
「いいぞ…絡み付いてるな……」
男はstの反応に満足しながら、さらに腰の動きを加速させた。
接合部分のたてる卑猥な音が、空虚な部屋に響く。
そのうちすっかり快楽に支配されたstが、男の背中に強くしがみついてきた。
長い脚が男の動きに合わせて揺れ、爪先が宙を蹴る。
「んぁっ……いい…やだっ……」
お互いの腹に擦られたstのペニスも固く立ち上がり、絶頂を迎えようとしている。
「くっ…よしっ……出すぞっ!」
男が歯を食いしばって射精をこらえながら、stも絶頂に導こうとする。
二人の結合部から濁った汁があふれ、シーツに滴り落ちた。
「おおっ…!」
そう叫んで、男が深く腰を沈めた。
直腸の奥に、浴びせられる精液の感触。
「…ぁ……あっ……ぁぁ、ぁ、ぁぁぁ」
stは掠れた声をあげ、ひくひくと体を痙攣させた。
挟まれた腹の間から、stが放った精液が流れ落ちていた。
二人の息の音だけが、冷たい部屋に響く。

今夜の接待も、無事に終わったのだ――

367『接待』オサーン×ゲイ能人 12/13:2009/02/09(月) 00:02:28 ID:wJ64Mip80


「心配するな、全部消しといた」
身支度を終えたstに、男が携帯を投げてよこした。
「はい…ありがとうございました……」
それを受け取って、丁寧に頭をさげる。
少しの間、沈黙があった。
「それじゃあ……」
「待て」
帰ろうとしたstを、男が呼び止める。
「おまえ、オレのオンナになるか?」
それは男の専属の愛人になるか、という誘いだとstは受け取った。
少し意外な気がした。
今日の自分の醜態を、この人は気に入ったらしい。
「それは……考えさせて…ください」
やんわりと、失礼のないように辞退する。
「まあ…そうだろうな」
男は自嘲気味に笑った。
「楽しませてもらったよ」
「ありがとうございました」
もう一度深くお辞儀をしたstは、ドアに向かって背を向けた。
そして一度も振り返らずに、部屋を出て行った――

368『接待』オサーン×ゲイ能人 13/13:2009/02/09(月) 00:03:24 ID:wJ64Mip80


ひとりきりのエレベーターが、地上へ向けて降下している。
stはぼんやりと天井の照明を見上げていた。
「おじさん落としても、意味ねー……」

 本当に落としたいヒトは、別にいるけれど……。

「バカみてー……」
ずるずると、壁をずりおちて床に座り込む。

エレベーターは座り込むstを乗せ、静かに落下して行った。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
連投引っかかってますた……
なんか色々スマンカッタ!!!orz

369風と木の名無しさん:2009/02/09(月) 00:20:27 ID:nvBAK2vp0
>355-368
あああああありがとうございました、涙でそうです。
時々あるブログの空白が1つ埋まった気がします
stの頑張りが本当にstぽくて萌えました。
ルックスはいいのに、仕事以外無趣味で出不精なst、幸せになって欲しい。
ごっつ感謝です!

あ、続きとかはありえたりしますか?
stが好きな相手…タメなのに大人なtmでも無人島に連れて行きたいmsyでもドンと来いです。
370風と木の名無しさん:2009/02/09(月) 00:34:08 ID:YvXFgIV00
>>350
GJ!ごちそうさまでした。
足コキってこんなに萌えるものなんだ・・・!
371風と木の名無しさん:2009/02/09(月) 01:29:30 ID:wr7yKko8O
>>355
GJ!
まさに読みたかった文章がここにある、という感じです
酷いことされてるのに接待相手に失礼がないように
言葉使いに気をつけてるのっていいですね
372風と木の名無しさん:2009/02/09(月) 01:31:19 ID:UdaecQyb0
>>355-368
GJ!結構鬼畜っぽいの好きなので嬉しいデス。
stのいじらしさに萌え。本当に落としたいヒトとハッピーになれたらいいなー
たぶんアノ人かなと勝手に脳内再生してますた。
373風と木の名無しさん:2009/02/09(月) 08:36:24 ID:pjEcbn1Z0
>>355
ゴチです!
すごく読み応えありました!
stの健気な根性に目から汁が…
最期のエレベーターの中のstが堪らんかったです
374風と木の名無しさん:2009/02/09(月) 08:37:51 ID:pjEcbn1Z0
あ、「最期」じゃ縁起でもないですよね
「最後」です、ごめんなさい orz
375風と木の名無しさん:2009/02/09(月) 09:07:37 ID:Cs6ujrwM0
>>350
ツカサに悪魔の形容がハマりすぎる
GJ

>>368
ゴチでした
姐さんの勇気に乾杯
376風と木の名無しさん:2009/02/09(月) 13:29:44 ID:4YFXUuXt0
勇気って何?
芸能人を中傷→逮捕?
377風と木の名無しさん:2009/02/09(月) 13:56:21 ID:YeXFOrIz0
>>376
ここのはフィクション
378風と木の名無しさん:2009/02/09(月) 15:46:24 ID:+//0X9SD0
>>376
取り扱ったのがジャニだったのでは
379風と木の名無しさん:2009/02/09(月) 16:10:58 ID:GA4hhO8N0
D-BOYSはワタナベエンターテインメント(ナベプロ)
380風と木の名無しさん:2009/02/09(月) 16:32:26 ID:4kzYUUaZO
正義気取りの嵐はいらないよ
381風と木の名無しさん:2009/02/09(月) 18:23:47 ID:qQlrdCyi0
この荒らしははまもなくあぼーんなのでスルーでお願いします
382高得点 めぐえみめぐ 1/10:2009/02/10(火) 07:18:01 ID:2cPWyZH10
李盆にて連載中の某4コマのキャラ男体化です。
一応めぐお×えみおのつもりで書きましたがぜんぜん逆でもいけます。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

昼休み、えみおは廊下を歩いていた。
朝練のとき部室に弁当を忘れてしまっていたのでそれを取りに行っていたのだ。
時計を確認すると四限の終了のチャイムがなってから結構な時間がたっている。
いつもなら教室で皆と昼食をとっている頃だ。

昼休みはそう長いわけではない。

このままでは昼食を食いっぱぐれてしまうかもしれない。そう思いえみおは少し歩みを速めた。

ガタッ

その時、ちょうど今通り過ぎたばかりの空き教室から何かが倒れたような音が聞こえてきた。
この辺りは日当たりがあまり良くなく昼休みを過ごす場としてわざわざ選ぶ物好きはそういない。
なので気になって、立ち止まってみると小さな悲鳴が聞こえた。
驚いたが何かあったのなら助けなくてはとドアに近付き中の様子を窺ってみると微かに人の声がしてくる。
383高得点 めぐえみめぐ 2/10:2009/02/10(火) 07:19:40 ID:2cPWyZH10
そっとドアを開けてみる。
教室を見渡してみると見慣れた色素の薄い頭があった。

「何してるんだ?」

派手な頭は友人のめぐおだった。知り合いだったことに少しホッとして声をかけた。

「誰…?」

めぐおがこちらを向いて声をあげた。めぐおの位置からでは入口は見えにくくそこに居るのが誰だか判らなかったようだ。
だがえみおはそれに答えられないほど驚いていた。
教室内が薄暗く最初はわからなかったがめぐおは一人ではなかった。
黒髪の華奢な人物を押し倒していた。いつも楽しそうにめぐおが追い掛けているリカちゃんだ。
普段はなんだかんだでリカちゃんもめぐおのいじめのようなものに立ち向かっている。だからどうしても制止せずに流してしまうことが多い。
だがこれはさすがにいつものことでは済ませられない事態だ。強姦は絶対に止めさせなけければならない。

「めぐおっ!何してんだ!」
「あ、なんだ、えみおかぁ」
384高得点 めぐえみめぐ 3/10:2009/02/10(火) 07:20:34 ID:2cPWyZH10
えみおの動揺した声にも関係なくめぐおはマイペースだ。
変わらずリカちゃんの上にのったまま口を塞いでいる。

「とりあえずめぐおはリカちゃんから降りろ!」
「えー」
「えーじゃない!」

えみおに言われ渋々ながらもめぐおがリカちゃんの上から降りた。と思ったらリカちゃんが立ち上がり

パンッ

とめぐおに一発平手打ちをして去って行った。教室を出てめぐおから見えなくなるまでは凜として歩いていたが廊下に出た後は凄い速さで走って行った。プライドの高さから涙は見せていなかったが怖かったのだろう。

「まったく…」

嘆息してめぐおを見る。

「リカの奴…顔叩きやがって…。絶対泣かしてやる!」

どう考えても自分が悪いのに自慢の顔を叩かれたのがよっぽど気に入らなかったらしく、かなりご機嫌斜めだ。
近くの机を蹴り倒している。
385高得点 めぐえみめぐ 4/10:2009/02/10(火) 07:21:31 ID:2cPWyZH10
「おまえ最低だな…。俺、強姦魔の友達なんか嫌だぜ」

呆れたように言ってえみおはまた溜息をついた。
もっと言いたいことがあるような気もしたけれどめぐおが聞くわけがないのでやめておこう。

三度目のため息をこらえてそういえば何で此処にいるんだっけと考え、手に持った弁当の存在を思い出す。早くしないと昼休みが終わる。

「めぐお、教室帰ろうぜ。昼飯まだだろ?」
「うー、リカめ…」

さっきよりはましになったようだがまだ機嫌は悪そうだ。

「めぐおはいくらでも相手がいるだろ。なんで嫌がってる子のところに行くんだよ?」
「だってたまには手応えが欲しいじゃん?みんな俺のこと好きになるし。だからリカはいいんだよ」
呆れながら言った言葉にそんな答えが返ってきてえみおは軽く呆然とした。
リカちゃん可哀相だなーなどと意識を飛ばしていたらいつの間にかめぐおが目の前にいた。かなり近い位置だ。
386高得点 めぐえみめぐ 5/10:2009/02/10(火) 07:22:30 ID:2cPWyZH10
じっと顔をみられて居心地が悪くなる。

「どうした?早く教室行こうぜ」
「んー…」

まだめぐおは顔を見ている。

「ほら、行くぞ」

その空気に耐え切れなくなって視線を逸らしドアへ向かう。が、急に腕を掴まれ教室に引っ張り込まれてしまった。手から弁当が落ちる。
驚いて振り向こうとした瞬間、自分より背の低い筈のめぐおに見下ろされている。背中が少し痛い。押し倒されていた。
387高得点 めぐえみめぐ 6/10:2009/02/10(火) 08:09:51 ID:2cPWyZH10
「めぐおっ?」

訳が分からなくて問うようにめぐおの名を呼ぶ。

「えみおってやっぱ政宗センパイに似てるよな」
「それは兄弟だからな…」

こんな状態で何を言いたいのか分からなかったがとりあえず返答する。

「うーん…」

めぐおは何か悩んでいるようだ。
えみおはこの体制では何もしようもないのでめぐおの結論が出るのを待つことにした。
めぐおはすぐに結論を告げた。

「リカに逃げられちゃったのはえみおのせいだし、責任とって変わりになって」

えみおは言われた瞬間に思考が停止した。

「…は?」

混乱の極みの中でやっとのことそれだけを返せた。
388高得点 めぐえみめぐ 7/10:2009/02/10(火) 08:10:44 ID:2cPWyZH10
「だーかーら相手してって言ってんの」

めぐおは満面の笑みで言った。

「なっ…!ふざけんな!」

えみおはやっとめぐおの言っていることを理解して暴れようとした。だが力ではめぐおのほうが劣っている筈なのに器用に押さえられてしまう。

「もー大人しくしててよ」
「無理に決まってんだろっ」
「何で。キモチよくしてやるぜ?」
「バカか!そういう問題じゃねえっ」
389高得点 めぐえみめぐ 8/10:2009/02/10(火) 08:11:41 ID:2cPWyZH10
至近距離で言い合いをしている間にもめぐおはえみおのシャツのボタンを外していく。

「めぐおっ」
「あーもー集中出来ない」

じゃあさっさと離せ退けろ止めろと思い口にだそうとした、ら

「んっ…!」

キスされた。驚いて固まっていると舌が入ってくる。上顎を舐められ舌を絡ませられる。しばらくそうした後出ていって最後にちゅっと唇どうしを触れさせ離れる。

えみおは呆然とした。

「奪っちゃった」

めぐおは意地の悪そうな笑顔を浮かべ耳元で囁いた。
それ古いなどと考えている場合ではないが驚く出来事の連続で処理能力が極端に低下している脳味噌ではしかたない。

「なっ…ほっ…」

言葉にならないで口を動かしていると

「…顔、真っ赤」

とめぐおが言ってきた。さらにどうしようもなくなってしまう。
390高得点 めぐえみめぐ 9/10:2009/02/10(火) 08:12:32 ID:2cPWyZH10
「ぅ…む‥ふぁ」

そのまま固まっているともう一度キスがふってきた。

「…かーわいい」

めぐおはそういいながらえみおの肌蹴たシャツの中に手を入れようとした。

その時。昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴った。めぐおは急に動きを止めてえみおに聞いた。

「次の授業何だったっけ」
「……保健」

えみおがなんとか思い出しぎこちなく答えるとめぐおは焦ってえみおの上からどいた。

391高得点 めぐえみめぐ 10/10:2009/02/10(火) 08:15:47 ID:2cPWyZH10
「ヤバイ!でないとボスに殺されるっ!」
「は…?」
「急がねえと!えみお先行くぜっ」

めぐおはそう言うとドアの方へ走って行った。
そのまま廊下に出ようとしたところで振り返り

「…続きはまた今度な!」

と言いえみおにウィンクを残して今度こそ出ていった。

えみおは呆然としていたがしばらくしてから

「ふざけんなっ」

と青筋をたてて呟いた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
すいません、分割ミスりました…。多杉・・・
駄文読んでくださってありがとうございました!!
392照退 しるし 0/13:2009/02/11(水) 11:49:39 ID:Hdio8yPx0
照退つづきです。なんとかサイト出来たんで(すごいやっつけですが)次回からそっちに移動で、今回の投下で最後にします。
最後だと思うとつい長くなりました。また連投規制かかると思いますがすいません。
10年前の設定ということで、10年前流れてた曲を今までサブタイにしてたのですが、今回はミスチノレのちょい前の曲で。歌詞が退史郎そのままだった。
それと、千夏(女)が地雷かもしれないので注意。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
393照退 しるし 1/13:2009/02/11(水) 11:50:46 ID:Hdio8yPx0
 照の家に行く前に、カウンターだけの薄暗いバーで少し酒を飲んだ。
 退蔵が照と2杯目を飲んでいると、いきなり退蔵の携帯が鳴った。また田所だ。
 電源を切っときゃよかった、と心の中で舌打ちをしつつ、席を外して退蔵は電話に出た。
「あと一週間でおまえは組織に戻る事になった」
 前置きもなく田所に告げられる。
「それはまた急な事で」
 煙草を吸いながら、他人事のように退蔵は言った。田所は抑揚のない声で聞いてきた。
「おまえはどうケリをつけるつもりなんだ?」
「………」
「わかってるだろうけど、組織に戻った後は絶対、照とは会うなよ。…それはわかってるんだよな?」
「わかってますよ」
 ぶっきらぼうに答えると、何かまだ言いたげに田所は言い淀んでいたが、退蔵はそのまま通話を終えた。
 それと同時に電源も切った。思い切り水を差された気分だった。
 今はこの事は何も考えたくない。目の前にいる照の事だけ考えていたい。
 席に戻って5分後、2人は店を出た。
 2人とも店に入る前は妙にぎこちなかったが、帰り道にはお互いに軽口が出るようになっていた。
 照の部屋に着く。玄関に入って明かりを点けながら、暖かい光の中で、ちょっと笑って照が振り返った。
「ほんと、何もないんだけど…」
 靴も脱がないまま、退蔵はその振り返った顔に手を伸ばして、頬と耳を手のひらで覆った。
 それから引き寄せてギューッと抱き締めた。
 途惑って見上げてきた照を、真面目な顔で見つめ返して、首筋に唇を落とす。
「…あのさ。…風呂入ろうよ」
 照が腕を掴んで少し押し返すように離れるので、退蔵は少し笑いを含んだ声で答えた。
「あ。一緒に入る?」
 それを聞くと照はちょっとびっくりした目をした。じーっと退蔵を見た後で、下を向いてだんだん赤くなってきて、
「それは、やっぱり別々で…」
と口ごもった。笑い出しそうになって、思わず退蔵はグーで照の脇腹をグリグリ小突いた。
394照退 しるし 2/13:2009/02/11(水) 11:52:29 ID:Hdio8yPx0
 先に退蔵がシャワーを浴びて、入れ替わりで照が浴室に行く。戻ってくるまでの間、退蔵は寝室に一人でそわそわしていた。
 しばらくして、扉の前に照が来た気配がした。入ってこない、と思ってたら細く扉が開いて、ちょっとだけ顔を覗かせる。
「あのさ……」
「ん?」
「電気消してもいいかな」
 退蔵はまた笑いそうになりながら言った。
「いいよ」
 答えると一瞬間が空いて、それからスイッチに手が伸ばされて、電気が消えた。
 真っ暗闇に気配が近付いてきて、ベッドの傍にうっすら人影が見えた。すぐに布団の中に滑りこんでくる。
 やたら処女っぽい。暗くて見えないのをいいことに、退蔵はちょっとニヤついた。
 ものすごく照れてる気配が伝わってくる。あまりにも照れくさそうにするから、明かりを消された時になんだか可笑しくて余裕が出来たつもりだったのに、こっちまで照れてきた。
 退蔵はベッドサイドのライトに手を伸ばした。
「ここの明かり、点けてもいい?」
 小声で聞いてみる。
「……いやだ」
 小声で返事が返ってくる。明かり全くなし?見たいのに。
 だったら触って確かめる。
 そっと指を伸ばすと肩に触れた。手探りで指を動かすと、髪の先にたどりつく。頭を撫でてそれから両手で引き寄せた。
 抱き寄せると、照の手が背中にまわされてくる。温かい。
 体温を感じると、ぞくぞくぞくと何かが立ち昇ってきた。
 したい、と思った。照れてるとか関係なく、したい。照の顔を見ながらしたい。
「…明かり、点けたい」
「…………」
 黙ってるので勝手にスイッチを入れた。
 オレンジ色のぼんやりした灯りで、照の顔を見た。ちょっと目をそらすので、瞼に少し遠慮がちに唇をあてた。
 それからこめかみ。頬。耳たぶ。首筋。鎖骨。
395照退 しるし 3/13:2009/02/11(水) 11:54:00 ID:Hdio8yPx0
 手のひらで頬を撫で、その手を首筋へ滑らせ、肩をなぞった。
 不意に照の唇が退蔵の頬にあたってきた。それからずれるように唇に。
 お返しするように退蔵も、柔らかく唇をついばんでそっと舐めた。そのまま前歯に。ゆっくりと舌に。
 舌がふわっと絡まった。滑らかで柔らかい。何かのデザートみたいな感触。
 体を押し当てると、ちょっと逃げようとされた。それを追って、自分のを照の体に擦らせた。
 照の指が伸ばされて、そこに直に触れてくる。指先だけちょっと。それから手のひら全体で。
「…………」
 ぎゅっとされると、もうじっと出来ない気持ちになる。あちこちキスした。音をたてて唇を押し当てる。
 照の手が緩やかに動いていた。退蔵も手を伸ばそうとすると、またちょっと逃げる。
 照は布団の中に潜っていって、ゆるゆる動かしながらそこに自分の顔を寄せていく。
 小さい声がした。
「口でさせて」
「…無理しないでもいいよ」
 退蔵は照の頭を撫でた。照はちょっと上目遣いに退蔵を見た。
「無理してない」
 唇が先の方に触れた。やんわり唇だけで噛まれて、思わず照の髪をくしゃっと掴んだ。
 先だけ温かく這われる。柔らかく撫でまわされる。キスの時の動き方。
 ちょっと迷ったように、ためらいがちにゆっくりと呑み込まれていく。
 舌が下から上へ這い上がる。下から上へ。また丁寧に下から上へ。
 なんだか大事そうに、一生懸命してくれる。してる行為とはうらはらな、無垢な動き。
 初めてすることだから、やっぱりどこかぎこちない。だけどそれが、なんか却って、
「ちょっと、ちょっと待って」
 急に危なくなって、退蔵は焦って照の肩に手を置いた。気を抜くと、思いがけず高みに上っていた。
 照は口から離したものの、まだ少し唇を当てている。退蔵はうわずった声で言った。
「入れたい」
「…………」
 照は黙って退蔵を見ている。
「指、入れてみていい?」
「………うん」
396照退 しるし 4/13:2009/02/11(水) 11:55:51 ID:Hdio8yPx0
 退蔵は照に向かって笑いかけて、ベッドの上を寝そべったまま移動した。端からベッドの下に手を突っ込んでごそごそする。
「え?何?何してんの?」
 照が身を起こす。退蔵は手探りで見つけて、振り返ってもう一度照に笑いかけた。
「ローション。持ってきちゃった」
「……やらしいよ」
 照が笑った。笑ってくれるとなんだか気持が楽になる。自分も笑いながら、手のひらに垂らした。それを軽く手の中で握って温めてから、手のひら全体を使って入口を撫でていった。
「…………」
 宣言しといても、やっぱり照の体が引けている。少し押さえつけるような形になった。
 そうすると余計、照の体に力が入っている。
「力、抜いて…」
 言葉だけじゃ無理だろうから、またキスする。一瞬ふっと力が抜けても、指を押し当ててなぞるとまた少し緊張している。
 人差し指の先だけ。少しずつ入っていこうとする。
 キスをしている舌まで、力が入って緊張している。
「嫌?」
「……ううん」
 照はゆるく首を振った。もう一方の手で髪を撫でながら、指を進めた。
 顔を見ていると、息を詰めて、薄明かりの中でぎゅっと目を瞑っている。
 時々熱を帯びた目をうっすらと開ける。それが罠にかかってじっと耐えている動物みたいな目に見える。
 添い寝したまま、その顔をじっと見ていた。顔を見ながら指を少しずつ入れていった。
 やっと人差し指が全部入ったけど、めちゃくちゃきつい。……入るのかなこれ。
 指を入れたままローションを上から足してみた。続けて中指を試してみる。
「……ん――――」
 また体に力が入ってる。照の額に自分の額をあてて囁いた。
397照退 しるし 5/13:2009/02/11(水) 11:57:13 ID:Hdio8yPx0
「痛い?」
「……ううん」
「ゆっくりやるから……」
 指を動かしながら進もうとすると、照の体が上へ少し、逃げるようにずり上がった。
 なんだか見てるとやたらと興奮する。つい、指を無理に進めて、目に不安そうな光が宿るのをじっと観察してしまう。
 中指を半分入れながら、人差し指で中をそっと探った。照の息が弾んできた。
「んっ……ぁ…あっ」
 声が可愛い。ここかな。
 指で内側をこすり上げると、体がビクッと跳ね上がった。
「……ここ、いい?」
 照は答えないまま息を弾ませている。周辺を全部触って確かめて、一番反応があった部分を何度も触る。
 急に中指が全部、呑み込まれるように入った。いっそ薬指もそのまま入れてみる。
 照がもがくように背中を揺らして、荒く息を吐く。
 我慢がきかなくなってきた。
「入れたい……」
「……………」
 多分まだ早い。でも抑えられなくなっていた。
 指をゆっくり引き抜いて、自分のを押し当てた。照はちらっと困ったような目で見上げて、それからおとなしく待っている。
 背中を後ろから抱き締めるように覆い被さる。
 先がうまく入らない。やたらとキスしながら動いてたら、不意に体が沈み始めた。
「……あっ!………んんっ」
 照の息が乱れてきた。注意深く、痛みのないように沈めていく。沈みながら、
「ぅわっ……」
 思わず声が出た。すごい。きもちいい。
 頭の奥が痺れてきた。なんだこれ。めちゃくちゃきもちいい。
 もっと慈しみたいのに、ついがむしゃらに動いてしまう。
398照退 しるし 6/13:2009/02/11(水) 11:58:38 ID:Hdio8yPx0
 照の体が上へずり上がっていく。引き戻すように動くと、退蔵が肩を掴んで戻すたびに、照の体が逃れるように上へ跳ねた。
 気付いたら、ベッドのヘッド部分に頭をぶつけそうなくらい上まで来てる。
 体を掴んで、一気に下まで引き戻した。
 その時体が深く合わさって、照が声にならない悲鳴のように息を吐いた。
 無我夢中でガツガツと打ちつける。
「いたっ……」
 照が小さい声で口走った。
「ごめん…」
 反射的に謝りながらも止められない。だめだ、止まらない。退蔵は目を閉じて、自分の動きを緩める努力をした。
「ごめん……痛い……?」
 ゆっくりと揺する。
「ん……大丈夫……」
 はーっと大きく息を吐いて、照は揺すられるのに任せている。
 少しつらそうだ。でも気持ちいいって目をしてる。そして、それは表情にあまり出さないように、出来るだけ押し隠そうとしてる。
 声を出さないように息を殺していることに気付いた。
 声、出させてやる。
 内側からねっとりこすり上げるように腰を回した。
「ぅんっ……」
 照がもがくように指でシーツを引っ掻いて、それからぎゅっと握った。退蔵は、その手を自分の手で上から包み込んだ。
 照の内部を自分自身で撫で回す。
 照がはっと息をひとつ吐く。撫でながら揺すり上げると、肩がそれに合わせて揺れる。
「…ぁ…や、……あっ!……ちょ…待っ……あっ……」
 一度声を出してしまうと止められなくなったように、ひっきりなしに喘いだ。
「あ、あっ……あっ…ああっ…」
 声が可愛い。凄く可愛い。
 だめだ。オレがだめだ。また止まらなくなってきた。きもちいい。
 しあわせ過ぎてどうにかなりそうなんだ。
「照さん…照さん…」
399照退 しるし 7/13:2009/02/11(水) 12:00:00 ID:Hdio8yPx0
 いつのまにかお互いにお互いを激しく打ちつけ合っていた。
「退史郎…」
 腕に縋りつかれて、泣きそうな声で呼ばれた。
 一瞬、変な焦燥感が沸いて我に返った。まただ。どうしても慣れない。
 その名前を呼ばれると、『兄』と『弟』で、同時に一人の恋人を共有してるみたいなんだ。
 照は、死んだ『退蔵』とは別の人間として、もう一度最初から『退史郎』をすきになってくれたはずだった。
 その『退蔵』も『退史郎』も、どちらも自分のはずなんだ。
 なのに何が不安になるんだろう。
 誰のものなんだろう。今合わせている、この体も、心も。
「照さん、こっち向いて…」
 一度体を離して、仰向けにさせた。顔を見る。
 顔を見ながら何度もキスをする。そのまま、またゆっくり体を沈めた。
 心臓の音が体全体を通して伝わってくる。2人の鼓動の音が重なっている。照の鼓動の方が少し速い。
「照さん…」
 かすれた声で名前を呼ぶと、ぎゅっとしがみついてきた。
「退史郎…」
 うわごとみたいに答えてる。
 誰をすきなんだろう。『退蔵』と『退史郎』の、どちらをよりすきなんだろう。
 波に揺られているように体を揺する。2人でもがいて溺れていく。
 意識がぐらぐら揺れた。きもちいい。あいしてる。もう余計なことは考えなくていい。
 揺らいだ意識ごと、どこかへ持っていかれそうだ。
 どこかへ。どこへ?どこへ行くんだろう。
 オレたちどこへ行くんだろう…。
「照さん、照さん…」
 なんでこんなにもどかしいんだろう。
 全部手に入れても、まだ完全じゃない。手に入れても手に入れても、まだ足りない。
 心はどこまで求めたら終わりが来るんだろう。
 不意に、照の体がガクガクガクと震えた。
「照っ…」
 腕の中から逃さないように、しがみつくようにきつく抱き締めた。
 頭の中で強烈に光が閃いた。じんわりと拡がっていく。
 白い、しあわせな光。
400照退 しるし 8/13:2009/02/11(水) 12:01:47 ID:Hdio8yPx0
 ぼんやり抱き合いながら、お互いの呼吸が静まっていくのを意識していた。
 目が合って、2人でなんとなく笑った。
 満ち足りていた。…それなのに、どこか心もとなかった。
「照さん、さっき…」
「ん?」
「本当は逃げたかった?」
 照はきょとんとして退蔵を見てきた。
「ううん。…なんで?」
 退蔵はベッドのヘッド部分を指差した。
「何度も上に体がずり上がって、ここに頭ぶつけそうだったから」
 照はぼーっとヘッドを見て、それから布団の中に首まで潜り込んで、声をたてずに笑った。
 それを見てつられて笑いながら、何故かよくわからない切なさを感じていた。
 ここまで辿り着いたことで却って、心を完全に手に入れるなんて無理かもしれないと気付いた。
 今、ここでこれを聞くべきじゃないんだろうな。
 そう思いながらも、退蔵の口から言葉が紡ぎ出された。
「もしオレが退蔵みたいに、…兄貴みたいに、急にいなくなったらどうする?」
 照の口が小さく開いた。バカげた質問をした。こんな時にわざわざ聞いて、悲しい気持ちにさせる必要なんてないのに、なんで聞いてしまうんだろう。
「いなくなったら悲しい」とでも言わせたいのか。
「いなくならないでほしい」と言われたら、どう答えたらいいんだ。
 それに、そのどちらも退蔵が照に対して思っている事だった。
 照はどちらの答えも言わなかった。天井を見ながら、小さい声で言った。
「思い出す」
「……………」
 退蔵は薄明かりの中で、じっと照の顔を見た。照は目を合わせながら、言った。
「退蔵のことも、退史郎のことも。いつも思い出す。ずっと思いだす」
 静かな部屋の、暗がりの部分に、その言葉が深く響いた。
「それだけで、多分、おれはずっと生きていける」
「……………」
401照退 しるし 9/13:2009/02/11(水) 12:03:26 ID:Hdio8yPx0
 退蔵は手を伸ばして、照の指を掴んだ。切羽詰まったように言葉が出た。
「少しの間、いなくなっても、オレは絶対帰ってくるから。絶対照さんとこに帰ってくるから」
 突然感情が溢れ出た。ぎゅっと指を掴む。
「約束する。絶対に戻ってくる」
 照は本当に幸せそうに笑って、指を握り返してきた。
 昂った気持ちのまま、急に泣きたくなって、退蔵は照をぎゅっと力一杯抱き締めた。

 2日後、退蔵はまた大内と組まされて外に出ていた。
 田所は徹底して、退蔵を照と離そうとしているように思えた。おかげでここ数日、署に戻ってくる度に照の姿を探すのが習慣になっていた。
 コートも脱がずに人気のない廊下をうろついていると、後ろから声をかけられた。
「退蔵」
 田所の声に、眉を顰めて振り返った。声を低くして言う。
「…いいんですか。その名前を呼んで」
「退史郎なんて人間、実際には存在しない」
 廊下の真ん中に突っ立って、田所は退蔵を睨みつけていた。退蔵も睨み返す。
 退蔵は死んだ。退史郎は存在しない。じゃあオレは誰なんだ。
「ここでは退史郎って呼ばなきゃまずいでしょ」
「それも後5日の事だ。…おまえ、わかってるよな?署を離れたら絶対照とは会うなよ」
 うんざりする。
「何度も言われなくてもわかってますよ」
「本当にわかってんのかよ。命に係わるぞ」
「なんでそんなに念を押すんですか。田所さん、どうかしたんですか?」
 田所の顔を見ながら、退蔵はわざと嫌な笑い方をしてやった。
「なんでそんなにイラついてんですか」
 田所の目の奥が怒りで光った。
 簡単に挑発に乗ってくる、と退蔵は思った。勝ち誇るような気持ちで、両手をポケットに突っ込んだ。
 激昂するかと思ったが、田所は抑えた声で言った。
「おまえは異常だよ」
「…何がどう異常だと思うんですか」
402照退 しるし 10/13:2009/02/11(水) 12:04:53 ID:Hdio8yPx0
 退蔵は冷たい目で田所を見据えて、言い放った。
「あんたも似たようなもんじゃないのか」
「…オレは違う」
 田所は両手を握り締めて声を絞り出した。
「おまえとは違う、オレはそんなんじゃない、オレはただ、あいつが心配だから、」
「やっぱりそっちですか。照さんの事ですか」
「…………」
 言葉を失って黙り込んだ田所に、退蔵はからかいを含んだ声で言った。
「それが本音なんだ。よっぽど心配なんですよね」
「……おまえは…」
 殺意を感じさせる目つきで、田所は退蔵を睨みつけてきた。
 その時、T字に突き当たった先の廊下に人の気配を感じて、2人はその先を見つめた。
 照が通り過ぎていくのが見えた。2人には気付かず、すぐに消えた。
「…………」
 それを見送って、退蔵と田所は目を合わせた。田所はまた表情を無くしていた。
「どうせあと5日だ」
 退蔵はその言葉に対して、唇を釣り上げて笑った。
 そのまま照の行った方に歩いて行く。田所はその場に立ち止まったままだった。
 田所の事は気にせず、角を曲がる。さっき見た時、照はコートを羽織っていた。突き当たりは屋上への階段だ。
 屋上へ出たんだろうか。立ち止まって、退蔵は階段を見上げた。
 ―――もう、言ってもいいんじゃないか。
 退蔵は思った。もしかして、なんとなく照も気付いているんじゃないのか。
 今なら、全部話してもいけるんじゃないか。
 潜入捜査をしている事をバラしても、今の自分なら、照は信用して全部任してくれる気がした。
 全て話してしまえば、もうこれからは何も隠さなくていいし、照と完全に離れる必要もなくなる筈だ。
 田所がどう思おうが関係ない。
 退蔵は一段ずつ階段を上がっていった。
 上からは、声ははっきり聞き取れないが、なんだか言い争っているような気配がする。
 一人じゃなかったのか?退蔵は屋上の扉を開けた。
403照退 しるし 11/13:2009/02/11(水) 12:06:38 ID:Hdio8yPx0
「照さん」
 声をかけると同時に、もう一人いたのが千夏だと気付いた。
「…何やってんですか、こんなとこで」
 やばい。2人を見て笑顔を作りながら、気まずさを感じた。今まで千夏の事は完全に、心から抜け落ちていた。
「じゃ、その話はまた後で」
 照が話を切り上げたらしく、千夏に言うと背を向けてすぐにドアへ向かうので、退蔵もそのまま一緒に出ようとする。
「退史郎くん」
 千夏に呼び止められて、退蔵は振り向いた。千夏は真っ直ぐ退蔵の目を見て、どこか挑発的に言った。
「久しぶりよね、顔合わせるの」
 退蔵は顔をそらした。また邪魔されるのか。軽はずみに自分から手を出したくせにそれも忘れて、退蔵は苦々しく思った。
 みんな寄ってたかってオレの邪魔をしてくる。
「あたしずっと、退史郎くんのこと考えて、待ってていいんだよね」
 何も知らずに馴れ馴れしく話しかけてくる千夏が、不意に憎くてたまらなくなった。
「うるせんだよ」
 吐き捨てるように言うと千夏の顔色が変わった。
「…んだよ、ちょっとそういう関係になったからって、彼女面しやがってよ」
 乱暴に言うと、後ずさる千夏に向って一歩ずつ歩いて行った。完全に八当たりをしていた。
「オレそういう女が一番大っ嫌いなんだよ」
 言いたい事を言って、千夏の表情が強張っていくのを見ると、心のどこかがスッとした。
 今更千夏にどう思われようが、もうどうでもいい。思いつくまま口にする。
「女ってのはどうしてそう、独占欲が強いんだろうね」
 口に出してしまうと全部、自分の事を言っているような気もしたが、それは棚に上げておく。
 照の肩を抱くと、連れて千夏から離れながら退蔵は言った。
「やっぱり男の気持ちは男しかわかんねーんだろな」
「…やめろ、退史郎」
 いさめるように照は言うが、なんだか嬉しそうな態度だと思う。
 肩にまわした手をずらすと、後ろから羽交い締めで照をぎゅっと抱き締めた。
404照退 しるし 12/13:2009/02/11(水) 12:08:18 ID:Hdio8yPx0
 そのままの姿勢で、退蔵は振り返って千夏を睨んだ。
「いいか、あんたなんかよりな、この人の方がずっとオレの気持ちわかってくれてるんだ」
 何をオレはこんなにむきになってるんだろう。
 ちらっと頭の隅で考えたが、退蔵はもう千夏の方は見ずに、目を閉じて照の肩に頬を押し当てた。
「オレはこの人が大好きなんだ」
「やめとけ。…やめとけ、人見てる」
 照は向かいのビルを見ている。
 別にかまわない。誰にどう思われようともうどうだっていい。抱いた手に力を込めた。
 その時、背後で何か動くような音がして、2人は振り返った。
 千夏が、自分のこめかみに銃を突き付けている姿が目に飛び込んできた。
 照が声を上げた。
「千夏君、バカな真似はやめろ」
「…もういいの。こうするしかないの」
 キッと静かに睨みつけると、千夏はゆっくり後ずさっていった。
 退蔵の心に後悔がじわじわ押し寄せていた。オレは酷いことをしたんだ。
 辛くて苦しいのは自分と照だけだって思い込んでいた。この子にも心があるんだよな。
 その事を忘れていた。
「やめろよ」
 大きく左手を伸ばして、千夏に歩み寄る。照が後ろから声をかけてきた。
「おい、退史郎、やめとけ」
「大丈夫ですよ」
 退蔵は照を振り返って言うと、更に千夏に近づいて手を伸ばした。千夏の銃を持つ手が震えていた。
「やめとけ。…こっち寄こせ」
 きっと本当に撃つ気はないはずだ。ショックからくる子供っぽい当てつけだ。
 退蔵が手を差し伸べると、千夏はゆっくりこめかみから銃を離した。あと少しで拳銃に手が届く。千夏の手が下ろされていった。
 突然両手で構えると、千夏はいきなり退蔵に向けて発砲した。
 灼けつくような熱さと衝撃で、後ろへ倒れる。
 妙な既視感を感じた。『退蔵の殉職』をもう一度再現しているようだ。
 あの時と違うのは、今回は実際に激痛があるという事だ。
 体の痛みとは裏腹に、変に冷静な気持ちだった。走り去る千夏や駆け寄る照が、現実感を欠いて見えた。
405照退 しるし 13/13:2009/02/11(水) 12:12:12 ID:Hdio8yPx0
「しっかりしろ!…しっかりしろ、退史郎」
 照に抱き起こされて、退蔵は少し笑ってみせた。
「…バチあたっちゃいました」
「ばかやろう」
 引き寄せられると、体に痛みが走った。シャツに血が広がっていく。激痛の中、今しなきゃいけない事を冷静に判断した。
 2千万がまだ少し残っている。
「照さん、頼みたい事があるんですけど」
 痛みを堪えて、スーツの内ポケットから通帳を取り出して照に渡した。
 メイク・ア・ウィッ/シュ・オブ・ジャパンに、目立たないように何回かに分けて振り込んでいた金が、まだ残金400万あった。
 これを片づけてしまわないとまずい。照に託す。
「おまえ、この為に…」
 照は金の使い道に対して、善い解釈をしてくれている。ずるいかもしれないが、照がそう思ってくれている事が嬉しかった。
「子供たちと、約束しちゃいまして…」
 退蔵は言いながら、偽善的だな、と心の中で自嘲した。
 照さん、すいません。オレはそんなにいい人間じゃないです。
 オレは結局いつも、あんたと自分の事しか考えていない。
 ―――こうしている間にも僅かな時間で、どんどん寒くなっていく。体の感覚が無くなってくる。麻痺した頭でぼんやりとうろたえた。
 息が苦しい。声を出しにくくて咳込んだ。
 オレ死ぬのかな。こんな時に、こんな風に。
 大事なことはまだ何も伝えられていない。首に掛けていたロケットを引きちぎって、照に手渡した。
「…お願いします」
 ロケットの中には照の写真がある。それでわかってもらいたかった。
 それが今までの自分の、全てのしるし。
 急激に、泥の中に引き込まれるように意識が沈みだした。
 …もう少し、一緒にいたいのにな。
 目の前が暗くなる。瞼が重くて目を閉じた。
 暗闇の中を、何度も照が呼びかけてくる。その声はひどく遠くから聞こえた。

406うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
407照退 しるし バイバイ:2009/02/11(水) 12:17:21 ID:Hdio8yPx0
あっ、言い忘れてた。
これ死にネタじゃないよ!つづくよ!
(もともと第一話が10年後だしね)
ごめんそれだけ書いとく。長々スマン。
408風と木の名無しさん:2009/02/11(水) 13:40:38 ID:GrDajBo6O
wwwww
409風と木の名無しさん:2009/02/11(水) 14:21:33 ID:rxjE9AQC0
いっつも楽しみにしてました!おつです
410風と木の名無しさん:2009/02/11(水) 14:43:47 ID:fzt3Dx8A0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 大昔ここに上げた某国民的アヌメの続きらしいよ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 13年後くらい?えらい時間飛んだな
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
411高校卒業1:2009/02/11(水) 14:47:04 ID:fzt3Dx8A0
春日.部防.衛隊が十年振りに再結成されて三年。
いよいよ僕達にも卒業の時がやってきた。
僕は日本で一、二を争う一流大学に合格し、マサ.オ君は関西の大学へ入学する。
ボ.ーちゃんは東北の国立大学に行くことになり、
ネ.ネちゃんは都内のミッション系お嬢様女子大への進学が決まった。

そしてあいつは、アタマは良いのにあんまり勉強しなかったから、
成績ギリギリのままエスカレータで付属大学に進学することになった。
「だってオラ、風.間君と一緒に居たかったから高校受験頑張っただけだったし」
何言ってんだ、お前ももうちょっとやる気を出せば僕と一緒の大学に行けたかもしれないぞ、と言うと
「ああ、そっか。そういう手もあったなあ〜。ちょっと残念」
とつまらなそうな顔をした。
412高校卒業2:2009/02/11(水) 14:47:46 ID:fzt3Dx8A0
卒業式の前日には、春日.部防.衛隊全員で遊園地に行くことになっていた。
卒業式の翌日には、みんな新天地を目指し出発することになっている。
マサ.オ君とボ.ーちゃんは大学近くのアパートを借りなければならず、そしてかろうじて通学可能なネ.ネちゃんも女子大近くにレディースマンションを借りることになったため、自宅通学組になる僕としん.のすけだけが、卒業式後の予定がなかった。
しん.のすけは早くからエスカレータで進学を決めていたので、僕達が受験に追われていても学校に隠れてバイト三昧だったようだ。
たまにメールをすると、あれだけうっとうしいほど「風.間君、風.間君」と懐いていたあいつが、今では「バイトで疲れてるから」とそっけない返事ばかり。
学校で会った時に「何のバイトして疲れてるんだ?」と聞いてみたこともあるが、なんか適当にはぐらかされる。
あいつ、どうも年末から様子がおかしい。
僕だって、たまにはしん.のすけとゆっくり話をしたいのに。

卒業式の前日。登校日だが学校は一時限目で終わりだ。
僕達春日.部防.衛隊は一度帰宅後、着替えだけして駅に集合し、そのまま遊園地に行く手はずになっていた。
久し振りにみんなとゆっくり遊べるし、そしてしん.のすけとも近況を語れるだろう。
待ち合わせ場所の変なオブジェ前で四人の到着を待っている間、この三年間が走馬灯のように思い出された。
413高校卒業3:2009/02/11(水) 14:49:01 ID:fzt3Dx8A0

「高校の入学式の時に風.間君の青春はオラに任せとけとか言ったよな、あいつ」
事実あいつが来てからの僕の高校生活はまさしくバラ色だった。
クラスは一度も一緒になったことはなかったし、僕は勉強、
あいつは部活の剣道やボクシングジム通いで忙しかったけど、
しん.のすけは忙しくても必ず一日に一度は僕と一緒の時間を作ってくれた。
それは僕が塾から塾へ行く間のささやかな時間だったり、
朝の登校の慌しい時間だったり、移動教室の合間だったりしたけども、
持ち前の明るさでいつもたくさんの友達に囲まれているあいつの
ちょっとの時間でも独占できるという優越感が、僕には何よりも嬉しかった。
高校の入学式の日、あいつは僕にこっそり耳打ちした。
「風.間君、二人だけの時はトオ.ルって呼び捨てしても、いい?」
「………二人っきりの時だけだぞ」
「嬉しい、トオ.ル! いつも俺と二人っきりで会いたいんだね! 
やっぱりトオ.ルは可愛くていい子だなあ〜」
「気持ち悪い言い方するなら禁止にするぞ!」
「ええ〜やだ〜! ごめんね、ト〜ルちゃん!」
「………絶対禁止!」

414高校卒業4:2009/02/11(水) 14:51:22 ID:fzt3Dx8A0

思い出してちょっと笑ってしまうと、
「もう、風.間君変!」
といつの間にか来ていたネ.ネちゃんにじと目で睨まれた。
「さっきからなんか怒った顔したり笑ったり! 一人で百面相なんてしないで、私まで恥ずかしいわよ」
「ごめん、つい。皆で出かけるの久し振りだからさ」
僕としては正直な気持ちを語ったつもりだったけど。ネ.ネちゃんに鼻で笑われた。
「フン。本当はしんちゃんのこと考えてたでしょ。
風.間君はね、昔からしんちゃん絡みの時だけは百面相するのよ」
「ええっ! そんなことないよ!」
あわてて否定するけどネ.ネちゃんはしたり顔だ。
「あのね風.間君。いい加減、あなた達ケリつけた方がいいわよ」
「………何のケリ?」
思い当たらなくて思わず首をかしげると、ネ.ネちゃんは更にじと目になった。
こういう表情は昔から変わらない。
「風.間君って言わなきゃ分かんないほど馬鹿じゃないと思ってたんだけどな、ネネ」
「何なんだよ」
「お勉強だけ出来ても、それだけじゃダメ」
「何の話なんだよ」
「だから………これ以上は言わないから、あとは自分で考えなさいよね。
今日これから何の話だか分かるはずだから」
ちょっと険悪な雰囲気になりかけたその時。
「お待たせ〜風.間く〜ん、ふ〜っ」
耳に息を吹きかけられとたんに腰が砕けた僕の肩を支えるようにして、真横にしん.のすけが立っていた。
「ネ.ネちゃんもお待たー。じゃ、皆そろったし、行こうか」
しん.のすけと一緒に来たのか、マサ.オ君やボ.ーちゃんもいる。
ネ.ネちゃんもいつの間にかさっきまでの険悪なオーラをひそめてニコニコしていた。
「こらしん.のすけ、肩を抱くなよ!」
「いいじゃん減らないし〜」
「お前がやると何だか減る気がするんだよ!」
僕の怒鳴り声などどうでもよさげに、しん.のすけはさっさと二人分の切符を買い、
切符を交互に自動改札に入れて、肩を抱いたままホームへ滑り込んできた電車に乗り込んだ。
415高校卒業5:2009/02/11(水) 14:52:13 ID:fzt3Dx8A0



「風.間君、あれ乗らない?」
しん.のすけが指差したのは、この遊園地の一番の目玉である大観覧車だった。
平日の昼前からフリーパスでひとしきり空いている絶叫マシンに乗りまくって、
あたりはすっかり薄暗くなっている。
まだ三月中旬だから、この時間になると少し肌寒くなってきた。
「寒いったらないわ!」と不快感あらわのネ.ネちゃんはなだめるマサ.オ君とボ.ーちゃんを
引き連れて園内の喫茶店にさっさと行ってしまった。
残ったのは、僕としん.のすけだけ。周りの客もだいぶ少なくなっている。
「何で僕となんだよ…夜の観覧車なんて、男が二人っきりで乗るもんじゃないだろう」
みんなで乗ればいいじゃないか、と僕がふてくされて言うと、
「トオ.ルと二人だけで乗りたい」
思いがけず真剣なしん.のすけの表情が目に入った。
なんだかとても断れる雰囲気ではない。しん.のすけの目が据わっている。
「……分かったよ。乗ればいいんだろう、乗れば」
しぶしぶ返事をすると、しん.のすけはいきなり子供のようにはしゃいで喜んだ。
「やっぱり優しいなぁト〜ルちゃん! 素敵な思い出作りましょうねぇ〜!」
「寄ーるなーーーーー!!!!」
体を覆い被せるように僕の背中に張り付いてきたしん.のすけを懸命に引き剥がしつつ、
こいつは図体は大きくなっても13年前と変わらないなあと思う僕がいた。

416高校卒業6:2009/02/11(水) 14:52:49 ID:fzt3Dx8A0

ガラガラの大観覧車にすぐに乗れた僕達は、
東の空に瞬く星と、西の空にわずかに残った夕焼けの残照を堪能した。
しん.のすけは夕焼けの茜色と夜の色が混じった微妙な色彩を眺めているのか、何も言わない。
心なしか、顔色が悪いように見える。
さっきまで観覧車に乗れるとあんなにはしゃいでいたのに。
心配になって「どうしたんだ?」と訊いてみるが、何も言わない。
「おい、しん.のすけ、お前高所恐怖症だったか?」
あまりに無反応なので、しん.のすけの肩をつかんで揺すってみた。
「………トオ.ル」
「何?」
「俺は別に、高所恐怖症じゃない。ネ.ネちゃん達には………
俺達が観覧車で二人っきりになれるよう、前もってお願いしといた」
「ハァ?………なんか僕に話でもあるのか? 話なんか別に観覧車じゃなくてもいいだろうに」
急に、ゴンドラが大きく揺れた。
向かい合わせに座っていたしん.のすけが、乱暴に僕の横に移ったからだ。
観覧車は、まだ四分の一も回っていない。

417高校卒業7:2009/02/11(水) 14:53:33 ID:fzt3Dx8A0


「話は、ある。大事な話」
膝の上に乗せていた僕の拳を掌で包み込むようにして、ひどく真面目な顔でしん.のすけが告げる。
「何だよ、早く言えよ」
しん.のすけの掌は思いもかけず大きくて、その熱さに僕はおののいた。
なんだか、怖い。振り払えないほどに。
目の前の男が、知らない人のようだ。
緊張してるのか、僕は。
何かを期待してるのか、僕は。
しん.のすけが何を言うのか、想像したくないのに、でも期待している。
心臓がガンガン鳴りだした。隣に座るしん.のすけに聞こえそうな程に。
一気に体温が上がっていく。急に高熱が出た時のように、手足は冷たいけど、体幹が熱い。
―――――怖い。
「俺が…怖い?」
耳元で囁かれて、その声のあまりの低さに思わず身を引いた。
また大きくゴンドラが揺れる。
揺れの為にしん.のすけの手を払って安全バーにしがみついた、
その瞬間彼にキスされていることに気づいた。
どれくらいそのままでいたのか。
唇はゆっくりはずされて、そのまましん.のすけは僕を掻き抱いた。
僕の肩に顔を埋めたまま、うめくような声で。
418高校卒業8:2009/02/11(水) 14:54:15 ID:fzt3Dx8A0

「トオ.ル……好きだ。13年前から」
「男同士だから忘れようと思っても、ダメだった」
「だから、必死で勉強して、トオ.ルの高校に行った」
「この三年間、とても幸せだった」
「トオ.ルがいたから、何でも頑張れた」
「大学は一緒のところには行けないって最初から分かってた」
「また、お別れになってしまうけど」
「俺はやっぱり終わらせたくない」

そこまで言って、彼はそっと僕から身を離した。

「こんなオラは……風.間君は嫌い?」


そこには今にも泣きそうな顔をした、5歳の子供が居た。



419高校卒業9:2009/02/11(水) 15:07:01 ID:n9bhYxcO0
「はい到着でーす」
係員の明るい声とともに、音を立てて観覧車の扉が開かれた。
いきなり現実に引き戻された僕は、幾分おぼつかない足取りで地面に降り立つと、
そこには三人が待っていた。
ネ.ネちゃんはしん.のすけの青い顔を見て、いきなりムッとした表情になった。
ボ.ーちゃんとマサ.オくんは、なぜか心配そうに僕としん.のすけを交互に見ている。
そして僕の後から降りてきたしん.のすけは、顔も上げない。
五人に、妙な沈黙が流れた。
「あんたたち……」
長い沈黙を破ったのは、ネ.ネちゃんのドスの効いた声だ。
「もう一回、乗って来なさい」
何もかも分かっているような顔をしたネ.ネちゃんを見ていると、
そうしなければならないような気もしたが。
「いや、いいよ。ここで」
僕は覚悟を決めて、しっかりとしん.のすけを見た。
のろのろと顔を上げるしん.のすけは、観覧車の逆光のせいもあって表情が分からないが
本当に迷子の5歳児のようだ。
しん.のすけを見据え、ネ.ネちゃんに背を向けたまま、僕は決意した。
「僕だってケリをつけなきゃ。お勉強だけだったら駄目だもんな。そうだろう? ネ.ネちゃん」


「しん.のすけ、僕だって……お前と同じ意味で好きだよ、ずっと前から」

END
420風と木の名無しさん:2009/02/11(水) 15:11:33 ID:YufXHRJX0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  連投規制でID変わりました
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) スマソ・・・タブンコノAAモズレテルヨ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

421風と木の名無しさん:2009/02/11(水) 16:12:13 ID:HnKYNy6xO
>>406
バカスwww
荒らされてまえ
422風と木の名無しさん:2009/02/11(水) 16:25:13 ID:QIZ3sna10
ヲチ目的の請求メールがわんさか行くよ。バカ過ぎるwww
423風と木の名無しさん:2009/02/11(水) 16:30:36 ID:TMbifW1u0
>410−>420
乙です
萌える展開なはずなのに何故か
矢.島ボイスで再生された\(^0^)/
424風と木の名無しさん:2009/02/11(水) 16:57:31 ID:JAOZvtWk0
>>410-420
サンクス!
しん風は純でも萌える〜!
ごちそうさまでした!
425風と木の名無しさん:2009/02/11(水) 21:27:33 ID:n4Qwx2Jp0
>>406
必見
ttp://my.chiebukuro.yahoo.co.jp/my/myspace_ansdetail.php?writer=kotakojimio

>大人なのに、中二くらいの年頃がよくする痛い行動や発言をするからこそ中二病というのです。

>実際の中二世代が痛いのは子供から大人への成長過程であって、
>急に髪型を気にしたり母親をうざがったり、洋楽マンセーで日本のバンドをばかにしたり、
>自分を特別だと思ったり程度の行動は生温かく見守ってやったらいいのですが、
>とっくに成人しているのに中二病だと、誰かに指摘されるまでは治らないです。
>みんなに指摘されてもわかってない場合すらあります。
426@バク/マン。 なかい×ふくだ 1/9:2009/02/11(水) 21:48:00 ID:lE81fxrdO
週姦少年じゃんぷ連載中のバク/マン。
中×福です

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


真城がアシスタントを辞めた頃からだろうか、売れない漫画家 いや、雑誌には載ってないから
漫画家ですらないアシスタント中井(33歳)にはここ最近、習慣となりつつある行為があった。

「ハァハァ(;´Д`)」

それはアシ用寝室でのアレ。
20年ほど付き合ってきた恋人(右手)との触れ合いのひとときだ。


中井の右手(あっ、だめっ!他に人がいるのにぃっ…)

中井(へっへ、興奮してんだろ?この変態が!)


この部屋にいる「他の人」とは、嫌味しか言うことができない、小生意気な若造のことだ。
ToLoveるをおかずにしているあたり、まだまだ青いな、はっはっは。
いや、妄想の中では小生意気な少女だ。
性別転換しただけで嫌味もツンデレと見なすことが出来る、俺はなんて頭がいいんだ。
(…女体化、ふたなり、百合、ショタ、なんでもおかずにできるようになってしまった33歳童貞。
ちなみに喪男板の名スレ、大童帝国軍では"大佐"として部下の尊敬を集めている人気コテである。)
427Aバク/マン なかい×ふくだ 2/9:2009/02/11(水) 21:48:42 ID:lE81fxrdO
始まりは…というか、きっかけは数日前の夜だった。

「中井さん メシ行きませんか」
「あ、ああ」

正直行きたくなかったが、真城くんと食事をしたのにこいつとはしないのは大人の対応ではない。
さらに断れない性格も災いして、嫌々ながら一緒にファミレスに行って枕を並べた。
気まずさで胸が重くなったあの日 俺は若かりし頃の痛みを思い出した。



……

………


先生「二人組作ってー」


A「ちょw中井とかよww」
B&C「じゃんけん負けたんだからしゃーねーだろwwまぁ頑張れプゲラ」
中井「…」

………

……


428Bバク/マン なかい×ふくだ 3/9:2009/02/11(水) 21:49:44 ID:lE81fxrdO


あれ…なんか目から水が

とにかくその日の夜だ
次の日バイトがあるとかで早々に寝入ってしまった福田
なかなか寝付けない俺

ふと寝返りをうってあいつの方を向くとそこには




散らばる長い髪
そこから覗く白いうなじ
あとシャワーしたばかりだからシャンプーの匂いが…

(こ…これは…)

そう、肩まで布団を被っている長髪の18歳は
肩幅が隠れているせいで 後ろから見ると女に見えたのだ

おにゃのこと一緒に寝ているという錯覚に 女性経験の無い俺の息子はおっきおっき
同時になんともいえない敗北感に襲われた。やっぱり女欲しいよー


しかしこれは大変なことになった
このままでは眠れない
かと言ってテントが張ったこの状態で 外に出るわけにはいけない
考えられる選択肢はただ一つ…
429Cバク/マン なかい×ふくだ 4/9:2009/02/11(水) 21:50:40 ID:lE81fxrdO

というわけで、仕方なく ほんとにやむを得ない事情であったため
その日はこっそり抜いて寝たわけだが、なんというか、かなり良かった…ので
こうして習慣になりつつあるというわけだ。


ちなみに福田はバイトとアシスタントの疲れからか 眠りは深く
夜中はぐっすりだから心配無い…はず




と、脳内でモノローグ作ってる間にフィニッシュが近づいて来たぜ!

「ハァハァ(;´Д`)」

「んー…」

福田は唸って寝返りを打とうとしている
おいおい、さすがの俺でも野郎の顔を見ながらフィニッシュはしたくないぜ?
と思いつつもだんだん速度が早まるMYハンドであった。

430Dバク/マン なかい×ふくだ 5/9:2009/02/11(水) 21:51:15 ID:lE81fxrdO


「中井さんってホモなんスか?」


そう、目が合った瞬間、
時間が止まったとしか言いようがなかった。


つまり、寝返りをうった福田の目はばっちり開いていて
俺は一瞬心臓が激しく跳ねたのち 冷や汗が吹き出し
追い求めていた絶頂ははるか彼方へ飛んで行ってしまったということだ。


「くぁwせdrftgyふじこlp」
431Eバク/マン なかい×ふくだ 6/9:2009/02/11(水) 21:51:54 ID:lE81fxrdO

高校生のころ、親に見られた時よりも状況が悪い!
魂が出ている俺にさらに追い討ちをかけてくる福田。


「っていうか中井さんって童貞?(笑)」


「たまに『女欲しー…』とか寝言で呟いてるときあるし…キモいんスよね」


「一回首に触ってきたことあったでしょ?」


「けっこう前から気付いてたけど可哀想すぎて突っ込めなくて」


セリフの吹き出しから矢印が出てきてブスブスと刺される。
ついでに10tと書かれた石が次々落ちてくる。
そして更にトドメの一言

「一回だけ抜いてあげるんで、金輪際やめて下さいよ、」
432Fバク/マン なかい×ふくだ 7/9:2009/02/11(水) 21:52:35 ID:lE81fxrdO

はた、と我に帰ると、そこには上半身だけ布団に潜っている福田が見えた。
一応「ダメだよ」とか言いながら制止するフリだけはしてみる。

「あっちの意味で襲われんじゃねーか心配で寝れねーよ」

もぞもぞと動く度に俺の太ももに接触して肌の感触を残していく。
分厚い布越しに聞こえる声はくぐもっていて、股間にせまる手の気配が感じられて、


「(;´Д`)ウッ!」


アレに触れたか触れないかの瞬間、情けなくも射精してしまった。


「うっわ…!」


低く叫ぶ声が聞こえた。きっと布団の中では目が点になっていることだろう。
あまりの情けなさにちょっと死にたくなった。
お互い数秒間固まったのち、のそのそと布団から体を抜く福田。

罵声を浴びせられるかと身構えたが、様子がおかしい。
433Gバク/マン なかい×ふくだ 8/9:2009/02/11(水) 21:53:21 ID:lE81fxrdO

「目に、入った…」

白いものを顔じゅうに引っ付けて、痛そうに目元を覆っている。

「ご、ごめん福田くん!」

「…前見えねぇし……最悪だ……」

とりあえずそこら辺にあった布で顔を拭いてやり、洗面所へ連れていく。

「あれ?福田先生どうしたですか?大丈夫ですか?」

「あ、いや、トーンカスが目に入ったそうでね、なんでもないんだ。はは……」

「……………」
434Hバク/マン なかい×ふくだ 9/9:2009/02/11(水) 21:56:40 ID:lE81fxrdO
次の日の嫌味は輪をかけて酷かったが、
福田の洗い過ぎて真っ赤になった目を見ると むしろ勝った気分にしかならない。
これからも たまに洗面所での半泣きみたいな表情を思い出して、優越感に浸ろう。


【その日の中井さんの書き込み】

105:中井大佐 ◆bAkmaNcOG. 2009/02/09(月) 17:01:48 0
お前達に聞きたいことがある
男と経験した場合は、除隊なのだろうか

106:('A`) 2009/02/09(月) 21:52:25 O[sage]
>>105
大佐、後ろの穴なら大丈夫でありますゞビシッ

110:('A`) 2009/02/10(火) 16:19:27 O[sage]
大佐ww

111:('A`) 2009/02/10(火) 18:12:22 O[sage]
>>105
俺のケツをどうぞ!

105:中井大佐 ◆bAkmaNcOG. 2009/02/10(火) 18:14:58 0
そうか
じゃあちょっと行ってくんよwww


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
中と福がこれからも ちらほらと出てきますように
2人でアシスタント頑張れ
435風と木の名無しさん:2009/02/11(水) 22:42:43 ID:UMMK4u+yO
URL届くの楽しみ〜
アンチ原内だから晒して晒して晒しまくってやるぜ
436カカル×イルヤ 1/6:2009/02/11(水) 23:32:28 ID:ISurhe8b0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「藍色の夜」でカカル×イルヤ。エロなし。トロとウニが好きでした


砂飛竜はのびのびと砂漠の空を飛ぶ。翼はない。手も足もない。
頭は首に、首は胴に、胴は尾へと流れ、風になじむ。
全身を覆う白い毛を風に長くたなびかせながら、砂飛竜は青い空を行く。
成獣は大人の男を背にのせ、空を飛べるほど大きく長い。
カカルは砂飛竜で町と町を往復し客や荷物を運んでいる。つまりは運び屋だ。
カカルが飼っている2頭の砂飛竜はつぶらな藍色の瞳と
風になびく長く白い毛を持っている。気性が極めてやさしく人懐こい竜たちだ。
カカルが鼻面を撫でてやると目を細めてあまえ、
野営の夜は、やわらかな毛で覆われたからだで、長椅子のようにカカルの背を受け止める。
ちょっと前、カカルはありえない客を拾った。運び屋の相場も飛竜の乗り方も知らない
世間知らずのくせに、妙に大人ぶった口をきく、金髪のガキだ。
あまりのいけすかなさに、目深にかぶったローブから除く金色の髪と瞳の美しさに
瞬間見せられたことを、カカルは速攻でなかったことにした。
カカルに往復5日はかかる砂漠の果てオハの精霊殿まで行けと命じた生意気なガキは、
己はコーガの精霊殿の祭司だと名乗った。ガキの見た目はせいぜい12、3歳。
ありえねえだろと思った。廃墟と貸した精霊殿が魔物の巣になる前に清めて崩すため、
祭司であるところのガキは砂漠の果てのオハを目指していた。
もともと共にくるはずだったコーガの祭司長が病で他界したため
独りでコーガを出たらしい。前金をくれと言ったカカルにガキは、
きらびやかな首飾りを差し出した。
437カカル×イルヤ 2/6:2009/02/11(水) 23:33:26 ID:ISurhe8b0
「多すぎる。半額でいーんだよ半額で」
タチの悪い運び屋なら金だけとって砂漠におきざりだぜと忠告したカカルにガキは、
憂いを帯びた横顔でそうしたければそうすればいいと呟き、横柄につけたした。
「それで全財産だ。とりそこねたら、もう何もでんぞ」
ガキの言いぐさにカカルはむっとし言い返しかけたが、間髪いれず
「客のすることにいちいち口を出すな。ただの運び屋のくせに」と怒鳴りつけられた。
「マジにおきざりにすんぞ てめ」
苛立つカカルをなだめてくれたのは2頭のやさしい竜だった。
(そんなにおこんなよ)
(血管、切れんぜ)
翌日、2頭の飛竜にそれぞれまたがり、カカルとガキはオハの精霊殿目指し飛び立った。
端整な顔立ちの金髪のガキはイルヤという名を持っていたが、
道中カカルはガキと呼び続けた。ガキ、ガキと繰り返し呼んでいると
藍色の夜に42歳だと告げられた。12、3の頃から成長が止まったように
外見上は年をとらなくなったのだそうだ。異形なものとして扱われ、
無常を知っている42歳のイルヤにしてみれば、ガキは20代後半に見えるカカルだった。
438カカル×イルヤ 3/6:2009/02/11(水) 23:34:09 ID:ISurhe8b0
カカルはイルヤの告白に沈黙した。
日が昇り朝が来て、ふたりは飛竜でオハの精霊殿を目指した。
砂漠を吹き抜ける風に乗り2頭の飛竜は砂丘を超える。
その日はよく晴れていたが、うだるような暑さはなかった。
白い毛を風にたなびかせながら飛竜は飛んだ。
風の音をききながら飛竜の背で感じる風はここちよい。
風紋を織り成す砂の絨毯の果てにオハの精霊殿が見えてきたとき、
イルヤは決心をかためていた。本殿を術で崩し自分も残る。きょうオハで死ぬ。
儀式を終え、あとは短剣で胸を突くだけという時、カカルに水をさされイルヤは語った。
私の知る、私を知る、さいごのひとりが死んでも今のままでいるのか?
年もとらず、ずっとこの姿のまま、ひとりで。
そのほうが死よりもずっとおそろしい。
あたりまえに年を重ねることができない人生に絶望し、
涙をながしながら命を絶とうとしたイルヤをカカルは死なせなかった。
見た目は20代後半だが、カカルは当年とって88歳。
田舎のコーガでは「長命な種」は珍しかったかもしれないが、この街にはカカルをいれて
まだ3、4人いるのだ。イルヤは決してひとりではない。
439カカル×イルヤ 4/6:2009/02/11(水) 23:34:47 ID:ISurhe8b0
成長だってする。自分たちの種は10年おきぐらいに、
5日間ほど成長に集中する成長期がくるのだ。おそらくイルヤは2回ぐらい成長期を
すっとばしてしまっただけなのだ。何も知らず、知ろうともせず、
なにもかも思い決めてしまうのはまだはやい。
心が寂しいままで死なせたくない。深くそう思った。
数奇ではあるけれど消して不幸ではない。人より長生きするってことは、
自分の足で人より遠くへ行って、自分の目で人より多くを見ろって
言われているんだと思うから。イルヤにそう伝えたかった。だから助けた。
そうして助けた金髪のガキはカカルの家で遅れてきた成長期をむかえ、
美しい青年になった。短かった髪はキラキラと長く流れ、手足もしなやかに伸びた。
カカルに知らなかった事を教えられ、毒気を抜かれたイルヤはきれいな顔を朱に染め、
自分のことさえ知ろうとしてこなかった己の青さに悶えた。
「まーねー、しゃーないやね、ガキはね」
カカルは恥ずかしがるイルヤを面白がり、
きれいな赤に染まったかんばせを肴に杯を傾けた。
めでたしめでたしだ。めでたくない事があるとしたら、オハの精霊殿から
本を運び出すために予定外の往復をしたり、砂嵐で足止めをくらったため、
預かった首飾りではどうにもならないほど赤字が出たことぐらいだけだった。
440カカル×イルヤ 5/6:2009/02/11(水) 23:35:24 ID:ISurhe8b0
けれどイルヤにはたっぷりと時間がある。カカルは思った。
借した金は利子つきでゆっくりと返してもらえばいいだろう。
「しばらくは、あちこち……行って見ようかと、私はひどく世間知らずのようだから……」
イルヤはカカルにそう告げ旅立った。
カカルは戸口に立ち、キラキラ光る柔らかそうな金色の長い髪が見えなくなるまで、
イルヤを見送った。もう、二度と死に急ぐようなまねはして欲しくない。
たとえ何があっても。例えば、時の流れの中で愛や恋を失ったとしてもだ。
人より「長命な種」が人に惚れたときに覚える切なさは半端ない。
愛するひとと一緒に年を取ることは決してできないから。
この先「ただ一緒に年をとっていくこと」ができない苦さに直面しても、
誰を看取っても、自分を憐れんで欲しくなかった。
人より長生きするってことは、自分の足で人より遠くへ行って、
自分の目で人より多くを見ろって言われているんだと思うから。
そうして、歩みつづけていたら時には見たくないものも、
見なくてすむものも見なきゃならないこともある。
けれど、そう簡単には目を瞑って欲しくないのだ。前を向いて生きて欲しい。
もう、二度と死に急ぐようなまねをして欲しくない。
カカルは弟を思いやる兄のような眼で、イルヤの背を見送った。
441カカル×イルヤ 6/6:2009/02/11(水) 23:36:43 ID:ISurhe8b0
見聞を深める放浪の旅を続けながら、イルヤは行く先々で働きせっせと金を貯めた。
カカルに借金をちゃんと返したい。そうして言いそびれた礼を言うのだ。
イルヤにとってカカルはまぎれもなく恩人だ。
カカルと巡り合えなければ、きっと狭い世界で悟った気になったまま、
オハの精霊殿で命を絶っていた。ガキだガキだと呼ばわれるたび、見た目はガキでも、
42歳だと憤慨していたけれど、カカルの目に映る自分がどれだけガキだったか、
いまなら恥ずかしいほどわかる。
まとまった金を手にカカルに会いにいった日、出迎えてくれたカカルの笑顔と、
懐っこい2頭の砂飛竜にイルヤはとてもなごやかな気持ちになった。
ずっと会いたかった。旅をしながら、たまらなくカカルに会いたくなる夜が幾夜もあった。
自分をよくよく知っている風なカカルは、己を知らないイルヤにとって眩しかった。
憧憬だと言い聞かせてきた思いが、もしかしたら恋心かもしれないことに
再会したその日、イルヤは気がついた。
金貨の入った袋を手渡したとき、イルヤのほっそりとした指先がカカルの手に触れた。
年甲斐もなくときめいた。もう40を超えている、いい大人なのに恥ずかしかった。
ちゃんと礼を言いたかったのに、どもってしまう。
茜色の朝のように頬を染め、しどろもどろになりながら
イルヤはカカルに「ありがとう」を言った。「好きだ」はまだ言えそうにもない。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
捏造ごめんなさい
442風と木の名無しさん:2009/02/12(木) 01:13:55 ID:Iqcw46BgO
>>441
なんか見覚えがあると思ったらあとりさんの短編か!懐かしい。
原画で再生されたよGJ!
443生:ゲイニソ:オサレism収録後:騎士s:2009/02/12(木) 03:11:58 ID:nNAIpKUj0
生注意、ゲイニソ騎士sです。
先日放送されたオサレismの
ハ/ナ/ワを取り合う元相方と現相方のバトルに萌えすぎ
SSまで書いてしまうという
とんだミ/セ/スを犯してしまいました。

エロ無し、ハ/ナ/ワ目線、相思相愛で

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
444生:ゲイニソ:オサレism収録後:騎士s(1/4):2009/02/12(木) 03:13:02 ID:nNAIpKUj0
尾紗礼izmの収録が終わった後、
久々に会った昔の相方と、近況報告やら今後の激励やら軽く立ち話をしてから、楽屋へ戻った。

先に部屋へ帰っていた現相方の槌谷君は、静かに一人、机に向って座っている。
ただ、何か雰囲気がおかしい。ADから返却されたネタ帳を前に、ムッとした表情で固まってる。
・・・多分、今の槌谷君は相当機嫌がよろしくない。

(まぁ、原因は、どう考えてもさっきの元相方登場のせいでしょうが。)

さすがに何か言わなきゃいけないと思い、とりあえず正面に座った。
でも、目の前の相方の表情は全く動かず、ずっと下を向いたまま。
重い沈黙が部屋中に充満してて、とにかく気まずい。
収録中に、元カノ今カノに挟まれた修羅場みたいって言われてましたが、
・・・残念ながら、修羅場はまだ終わってなかったようです。

ただ、じっとしてても埒が明かない。意を決して声をかける。

「あの・・・、すみませんでした。」
「・・・なぜ謝るんですか?葉縄さん、何も悪いことしてないじゃないですか。」
「いや、さっきの収録のせいで、かなり気分を害されているのかな、なんて思いまして。」
「・・・全然そんなことないです。いつもどおりです。」
「もしかして、怒ってますか?」
「・・・だから、別に怒ってません。それに怒る理由もないです。」
「でも、いつもよりあからさまに機嫌悪いですよね、槌谷君。」
「・・・」
「・・・」

また沈黙。相方は相変わらず下をむいたまま。
445生:ゲイニソ:オサレism収録後:騎士s(2/4):2009/02/12(木) 03:14:15 ID:nNAIpKUj0
次に何を言うべきか、考えあぐねていると、
しばらくしてから、思いつめたような、観念したような声で、
相方がゆっくり話し出した。

「あのですね・・・本当に、怒ってるとか、そういうのはないです。」
「・・・はい。」
「ただ、確かに、穏やかな気分でもないです。」
「・・・申し訳ないです。」
「いや、だから、謝らないでください。
葉縄さんは悪くないんです。
・・・何と言うか・・・。
前の相方さんが出てきただけでね、
こんなに動揺して、落ち込んでる自分に、正直ものすごく戸惑ってるんです。
それこそ表情を繕って、
愛想笑いをする余裕も無くなる位、心が痛くなったのも事実で・・・。」

と、それまでずっと手元ばかり見ていた槌谷君が
すっと顔をあげ、何時間かぶりに目が合った。

「でもね、だから、その・・・逆に今回の件で身に染みて分かったんですよ。
僕は、葉縄さんが心底大好きで、
葉縄さんは、僕にとって失い難い、大切な存在なんだなって。」
446生:ゲイニソ:オサレism収録後:騎士s(3/4):2009/02/12(木) 03:15:38 ID:nNAIpKUj0
・・・・・・。
あ、マズイ。
まさか、真顔で面と向かって、プロポーズばりの熱い告白をされるとは思わず、
予期せぬ出来事に、ものすごい勢いで顔が赤くなるのがわかる。

そんな僕の顔を見て、
槌谷君自身も、自分が結構なことを口走ってしまったのを、ようやく自覚したらしい。

トレードマークの眼鏡がくもるくらい、茹で蛸のように真っ赤になって、

「あ、いやっ、その、違うんです!
そういう好きじゃなくて、ああいうスキっていうか、あれ?一緒か?
いやいやいや!とにかく違うんですよぉ!」

と、照れて半分パニックになりながら、何か一生懸命弁解している。
そんなめったに見られない槌谷君の取り乱してる姿を見ているうちに、
彼には申し訳ないものの、ちょっぴり笑えてきまして。
いやいや、ホントお茶目ないい相方だと思います、フフフ。

(さてと。
それでは、こちらもきちんと言わないと、不公平ですよね。)

恥ずかしさを紛らわせるためか、
あわあわと妙な動きを続けている相方の手をとる。
ちょっと落ち着いたのを見計らって、じっと眼を見つめ思いを伝えた。
447生:ゲイニソ:オサレism収録後:騎士s(4/4):2009/02/12(木) 03:17:20 ID:nNAIpKUj0
「槌谷君、僕も同じ気持ちです。
君が横にいてくれるから、ここまで来られたし、
ツッコミが君だから、僕も、安心して思う存分ボケられるんです。
ありがとう。
これからも末永く、よろしくお願いします。」

深ーく深ーく、最敬礼のお辞儀をする。

「…ハイ、こちらこそ・・・。
こちらこそ、ずっとずっとよろしくお願いします、葉縄さん。」
そう言いながら、そっと、でも、しっかりと、握り返してくれた手に強い信頼を感じました。

「じゃ、今日は久々に二人で飲みにでも行きましょうか。」
「そうですね。はい、喜んで。」

そういって、いつものように明るく返事してくれた彼の顔は、
ちょっと涙で目が潤みつつも、最高の笑顔でした。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

この2人を見てると先輩後輩って関係性がいいって思う
「さん」「君」萌え〜
448JPGR 1/3:2009/02/12(木) 03:22:40 ID:mk6MCFhC0
今では教科書にまで載ってる英国産ビックグループの若い頃って
ワリと可愛かったのですよ。といいたかっただけです。すんません。
Hもナイ。需要も不明。ちょっと通りますよw。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

<Fan-Fan Fabulous Four Mop-tops! >

 その日は珍しく、取材もコンサートも、なにもない日だった。
 とはいえ、新しいアルバム制作も控えていたのでオフにもならず、午後の一番つまらない時間に、いつものスタジオで
レコーディング前の打ち合わせをしなきゃならなかった。
 ウィンストンとジェームズの作詞作曲組が、先にスタジオに入ってはいたが、さして作曲が進んでいるわけでもなく、
顔でも合わせたらなんかネタくらいは見つかるべえかと、お互い思っていたらしいので、ほんとにまったくお話にならなかった。
 なんとなくギターを掻き鳴らしたり、ピアノをデタラメに弾いては見たけれど、どーにもなんにも浮かばない。
 ま、こんな日もあるさと二人はお気楽モードに入った。今日はもう打ち合わせにもならないが、二人ともジョジーやリチーに
連絡を入れようとはしない。これはつまり「俺らがこの寒い中、スタジオに出張ってきたんだからお前らも道連れだ!」ってことで(笑)。
 オトナって、なんだろう。
 アコギをべんべら弾いてるウィンストンの横顔を、ぼーっと見ていたジェームズは、その髪にきらりと光る一本を見つけた。
ん? と顔を寄せて確かめる。こ、これは、確かに…!
「ちょ、ちょっとまった。ウィンストン」
「んあ? なんだいきなり」
 おにゃのこみたいなかわいい顔をいぶかしげにしかめ、ジェームズはウィンストンの髪に指を突っ込んだ。思わずびっくりして、
ギターを取り落とすウィンストンでしたw。
「なにすんだいきなり!」
「いや、あのね」
 ジェームズはそういいながら件のウィンストンの髪の毛を指先につまんで、ピッと引っ張る。
「いてっ!」
 プツッと音がして、頭に小さい痛みが走る。ほら、とジェームズがウィンストンに見せたのは…。
「白髪?」
「だね」
 
449JPGR 2/4:2009/02/12(木) 03:29:10 ID:mk6MCFhC0
 ちょっと涙目のウィンストンが意外そうに言うと、ジェームズが笑いながら頷いた。ウィンストンはかなり
ショックだったようだ。
「ええ、うそだろ!? 俺まだ24だぜ!!」
「いやあ、苦労してんですねえw。まあ、いつか出るものですから気にしないキニシナイ」
 なぜか上機嫌に見えるジェームズをウィンストンはじとっと見た。
「…そういうお前はどうなんだよ」
「え、僕?」
 キョトンとジェームズは自分を指差した(このブリ野郎ww!)。大きな目に楽しそうな光を浮かべて、彼はケラケラっと笑った。
「僕はそんな心配ないよ。今日だってちゃんと鏡見てきたし」
「ホントか?」
「大体、僕はウィンストンより2歳下だしね。この歳で2年違うって大きいよ」
 この歳ったって、まだ20代じゃねえかお前ら、と突っ込みたいのも山々だがここは押さえて。ウィンストンもこの言い方には
カチンときた。ぐいっとジェームズを引っ張ると、彼の頭を抱え込んで、ぐしゃぐしゃとかき回し始めた。
「なにすんだよ、ウィン!!!!」
「うるせえ! お前も白髪がないかどうか、見てやってんだ感謝しろ!」
「うあああ止めて止めて、せっかくのセットが台無しだああああ!!!」
「ナニがセットだ、気取るな小僧!!」
「これからジェーソと会うんだってば!」
「ならば『新しい髪形です』とでも言っとけ!」
 ゲラゲラ笑いながら手を止めないウィンストンに、彼の膝の上で横になっている状態のまま、ジェームズも手を伸ばした。
そして『この野郎』とばかりにウィンストンの髪に両手を突っ込み、ばっさばっさと引っかきまわす。
「やるかコラ!」
「やったがどうした!」
 そんなジェームズに、ウィンストンは「オラア!」と床に彼を押さえつけると、髪の毛も服装もごっちゃごちゃにしてしまう。
ジェームズも「もー、どーでもえーわ」と思ったのか、床の上で手足をバタバタさせながら、ウィンストンと激しく揉み合う。椅子は
倒れるテーブルの上のお茶はこぼれる、ギターもベースも脇にすっとぶ、じゃれっぷりだった。
 その時
450JPGR 3/4:2009/02/12(木) 03:33:28 ID:mk6MCFhC0
「ちゃーっす…て、なにしてんの? 二人とも」
 マフラーを取りながら、ジョジーが入ってきた。そして部屋の様子に気付くと、コートを脱ぐ手を止めて
床に転がる二人に声をかけた。
 その声に、二人の動きがピタっと止まった。そしてまるで示し合わせたように、同時に顔をジョジーに向ける。
「な、なに?」
 4つの目線をまともに受けて、ジョジーは思わずたじろいだ。イヤンな予感が背中に走る。
 ウィンストンとジェームズの顔付きが、ねずみを見つけた猫みたいになった。
「ジョジー」二人同時に、呼びかける。
「へ?」逃げたらいいかと、身構える。
 しかし、半瞬遅かった。
「お前も「リバプール若白髪同盟」に入りくされ!!!!!」
 勝手な言い草は、ウィンストン。
 光りより早く、腕を伸ばしたのはジェームズ。
「うわわわわわっ!!!!!」
 たちまちジョジーも引っ張り込まれて、今度は二人からごちゃごちゃにされるハメに陥った。
 仕立てのいいコートからボタンが飛び、セーターが延ばされ、髪の毛もぐしゃぐしゃにされる。
「なんなんだよお!?」
「なんだもヘチマもねえ! オラオラオラア!!!」
「アハハハハ、もおどーにも楽しいねえ!」
 コンチクショー! と泣き笑いのジェームズに、毒っ気たっぷりに笑うウィンストン。ワケも分からず巻き込まれて
半殺し状態のジョジー。そんな3人入り乱れてのてんやわんやの最中、今度はリチーが「うぃーっす」とやってきた。
 しかし、3人が打ち合わせもせずドタバタ仲良く喧嘩しな状態であるのを見ると、挿し入れでもってきた
フィッシュ&チップスをつまみながら、のんびりとコーラをすすりつつ観戦モードに突入した。
 椅子にゆったり腰掛け、タバコをくゆらすリチーの前で、ウィンストンがジェームズの胸倉をつかみ、
ジョジーがウィンストンの足を取り、ジェームズがジョジーの足を引っ張り上げる。
 ジェームズの手がウィンストンの顔を押さえつけウィンストンがジョジーの髪を引っ張り、ジョジーが
ジェームズの腕に噛み付く。
451JPGR 4/4:2009/02/12(木) 03:39:29 ID:mk6MCFhC0
 時に2対1、1対1対1、3体同時に展開する戦線に「見事だなあ」と感歎をもらすリチーだった。
「いやあお前ら、仲いいなあw」
「来てたんなら見てないでどーにかしてよ!!」
 などといいながらさりげなく戦線離脱を試みるジョジーだったが、あっさりと襟首つかまれて引っ張られる。
「おう、リチー! てめえも「若白髪同盟」に入れてやろうか!!!!」
 もはや「世界のアイドルグループの一員」とは思えぬ態のリーダー青年が呼びかけてきたのを
「いや、オレ、染めてるから」とあっさりスルーできるのは苦労人ゆえの機転なのか?
「ああズルイよ、リチー!!」
「なるほど、今度はそう答えるわ」
「うわはははは、今度があるかい、こんなもん!!!!!」
 誰がどの台詞をいったか知らないが、とにかく騒ぎは収まることはなく、それを生暖かい目で見守るリチーは、
時に拍手を、時に野次を飛ばしつつも「これで金貰ってんだから、世間に申し訳ないなあ」と、一人まともなことを
思っているのだった。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

4人の名前は、それぞれのセカンドネームだったり愛称だったり、並び替えだったり。
世間では「ヒゲボーボーのおっさんたち」としか認識されてないのがまったくもったいないと
思うのだよ! では。


452風と木の名無しさん:2009/02/12(木) 03:49:58 ID:x7knUk7i0
>>448
これは貴重だw
楽しませてもらいましたw
453風と木の名無しさん:2009/02/12(木) 05:29:23 ID:dtmlmNV6O
>>447 なごみ萌え!お互いに信頼している関係が素敵です。
二人とも手がきれいだから手の描写はおいしいw
454風と木の名無しさん:2009/02/12(木) 07:56:02 ID:kR4dna6BO
>>448
ぎゃーwFab4好きにはたまらんですwジェーソw
エチーなくてもこの4人が集まると和みます
455あいぼ セリ板(0/8):2009/02/12(木) 15:11:36 ID:zhmdGuUz0
あいぼ、セリ板を投稿させていただきます。ちょっと長くてすみません。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
456あいぼ セリ板(1/8):2009/02/12(木) 15:12:25 ID:zhmdGuUz0
 もう何度目になるだろうか。
体の関係を断り続けてはや二年。
後輩のセリはイダミを誘う度、袖にされるのに慣れてきていた。
それでも自分に向かってくるそのひたむきさに、イダミは心を動かされているのも事実だ。
もし次があったなら……自分は彼に体を許してしまうかもしれない。
そう思うイダミだった。

「先輩、今日ちょっと飲みに行きません?あした非番ですよね」
 セリがいつもの無邪気さで誘う。絶対飲みだけで終わらないのは分かっている。
いつものパターンだ。飲みの後、ベッドに誘ってくるのは。
「……ああ」
 それを知った上で付き合う。なんともいびつな関係だ。
 キスは、何度かした。
セリはイダミを好きだという。けれど自分はどうなのかわかりゃしない。
それでも飲みを断ることはできなくて、のろのろと後を付いていく。
残業で、二人に手を振って見送ってくれるミウにどこか助けを求めるような視線を送り、
腕を引いてくるセリをいさめた。
「ぐいぐいぐいぐいひっぱってんじゃねえよ!」
今にも頭をはたきそうな勢いでイダミは言った。
「ひえっ……スミマセン」
 一応セリは頭を下げる。
けれどそれはかたちばかりのもので、本心は今すぐにでも抱きついてくるような
図太さを持ってることは、二人の間では暗黙の了解だった。
457あいぼ セリ板(2/8):2009/02/12(木) 15:13:14 ID:zhmdGuUz0
 いつもの居酒屋の座敷で、飲んで他愛もないことを話していると、
ただの先輩後輩の関係が安定しているように見えてイダミはほっとする。
ペースを崩されているばかりじゃ先輩の威厳がない。
それにむこうのペースになると、どこまでも付いて行ってしまいそうで、怖い。

 ラスト一本にしようと二人で頼んだ日本酒の燗をちびちびとやっていると、テーブルの向こうからセリが顔を近づけてきた。
「先輩、このあと予定あります?」
「バカ。帰って寝るだけに決まってんだろうが」
 だいたい夜の十時から入る予定なんて……とブツクサ言っていると、
セリがテーブルの上のイダミの骨ばった指をいつくしむように撫でながら、言った。
「じゃあホテル行きません? ラブホ」
 セリが軽いノリで話しかけてくる。気負った感じを見せない奴だ。
「ぶ……ぶぁーか!何度もいってるじゃねえか。俺はお前に掘られる気はねぇの」
「掘られなかったらいいんですか?」
「え」
 セリがにこにこしながらイダミの片手を握りしめた。
「俺が掘られる側ならいいんでしょ? じゃあ決まりで」
「へ?あの……」
 イダミが言葉を失っているとまだ半分ほど酒が残っているのに、セリはさっさと会計を済ませていた。
458あいぼ セリ板(3/8):2009/02/12(木) 15:13:54 ID:zhmdGuUz0
二十分後。
イダミはきれいに整ったラブホテルのシーツの上に腰かけていた。
脚がわずかに震える。情けない、と思いながらも次の展開におびえていた。
セリはシャワーを浴びている。一緒に入るのを断固拒否したのだ。
漏れ聞こえる水音に心臓をバクバクいわせ、とにかくセリが戻ってくるのを待った。

「よかった。ちゃんとまだいる」
 腰にオレンジ色のタオルを巻き、髪を拭きながらセリは浴室から出てきた。
「逃げかえられちゃってるかと思いましたよ」
 上半身裸の彼につい目を奪われ、イダミは体をこわばらせた。
まんべんなくついたセリの柔らかい筋肉に、グラウンドでの勝負は負けると確信してしまった。
(剣道だけじゃなく、柔道にも励めばよかった……)
 そんな思いをよそに、セリはイダミのネクタイへと指を伸ばしていた。
しゅる、と解いてベッドの脇にあるラブソファへ投げた。
そのままイダミが硬直しているのをいいことに、シャツやらベルトやら、脱がせては放り投げていく。
ぱさ、ぱさ、と物が落ちる音がいやに大きく聞こえる。
残すところスラックスだけになった時点でやっと我に帰ったイダミは、
「ふ、ふふふふ風呂ッ!」
 と、叫んでシャワーを浴びに行った
459あいぼ セリ板(4/8):2009/02/12(木) 15:14:37 ID:zhmdGuUz0
「あぶねぇあぶねぇ……」
 あのまま流されていたら、セリに掘られるところだった……。
浴室の湿気に安堵の溜息をついて、冬なのにかいてしまったじっとりとした汗をシャワーで流した。
(あいつ本気で俺にヤられる気でいるのか?)
 幾度となく浮かんでくる疑問を反芻する。セリには迷いがないように見えた。
 
 時間を稼ぎたくてシャンプーまでしてしまった。
 性欲はある。ただそれをセリに向けていいものか、悩んでいる。
独り身が長いせいか、つい期待してしまうところもある。
自分のことを慕ってくれる人間。そんなのがいるとつい全てを預けたくなってしまうのだ。
難儀だ、と呟いた。男同士はこんなにもやっかいなのか。
自分がこれまでしてきた恋愛、これから望む恋愛とはかけ離れたものだった。
それでもセリは自分に付いて来てくれた。どんなに振り落とそうとしてもぐっとしがみついて
自分の方へ好意が向くようにしてきた。
完敗だ。
「くそっ」
イダミは自分の負けを感じた。ほだされた、といってもいい。
まっすぐぶつかってくるセリに負けたのだ。
シャワーを止め、腹をくくって浴室を出た。
なるようになれ。
そう呟いた。
460あいぼ セリ板(5/8):2009/02/12(木) 15:15:23 ID:zhmdGuUz0
 風呂を出るとセリが有線のチャンネルをいじって遊んでいた。
クラシック、Jポップ、演歌、羊を数える声、般若心経……
 イダミに気付いて振り返るとニッと笑って「これ面白いっすね」と言葉を投げかけた。
「あ、ああ……」
 ぎこちなく返事をし、その場で立ち尽くす。
 しばらくそうしていると、立ったままのイダミに気付いたセリが、声をかける。
「先輩、座りましょうよ。何で立ってるんですか」
 セリと同じように腰にオレンジのバスタオルを巻いたイダミはベッドの隅の方にちょんと座る。
セリの行動を警戒しているようだ。手を出し始めるべきは、自分なのに。
 そうこうしているうちに、イダミの背中にセリの腕が伸びてきた。
「わっなにすんだ!」
 背中からぐっと抱きしめられて、イダミは慌てた。
「先輩は俺に手ェ出さないんですか? それなら俺からいきますよ」
「え、ま、まてよ」
 セリの手がイダミの胸板をさする。小さい突起を探るように動いて、見つかるとそこを執拗にこねた。
「……う、うう」
 イダミの押し殺した声が部屋に響く。いつのまにか有線は止められていた。
461あいぼ セリ板(6/8):2009/02/12(木) 15:16:35 ID:zhmdGuUz0
「そんな唸ってばかりじゃなくて、かわいい声きかせてくださいよう」
 セリが冗談めかして言う。
「かわいい声が良かったらてめえの声でも聞いてろバカ!」
 とっさに言ったイダミの一言が、セリの動きを止めた。
「何? 俺の声かわいいって思ってくれてるんですか?」
 うれしいなあ、といってそのまま手をタオルの隙間から侵入させた。
 イダミの意識は抵抗するが、内ももが期待に震える。
先端から優しく触られると信じられないような快感が生まれた。
長い間他人に触れられることなどなかったから、その快感は数倍にも膨れ上がった。
「ん……ううっ」
 セリの指先は巧みに昇りつめさせる。肩を震わせると首筋にキスが落ちる。
「先輩、フーゾクとかいかないから、誰にも触られてないんでしょ?
 このままいっちゃってくださいね」
最後にまた首筋に吸いつく。セリの髪の毛が耳たぶをくすぐって、イダミはどんどん追い詰められていく。
462あいぼ セリ板(7/8):2009/02/12(木) 15:17:17 ID:zhmdGuUz0
(このままじゃ結局ヤられちまう……でももういいか。どっちがどっちなんて。めんどくせえ)
 投げやりにそう思う。セリの愛撫に身を任せていると蕩けてしまいそうだ。
 するとセリはイダミの体を少し後に倒し、前に回り込んで口づけた。
 ここにきてやっとキス。
 反則だ、とイダミは内心悶える。唇が触れている間、その柔らかさに心惹かれていた。
「お前、お前……」
 唇が離れると早速イダミは文句を言おうとするが、なにも出てこない。
セリは微笑んだまま、そのままイダミをベッドへと押し倒した。
覚悟をきめてぎゅっと目をつむるイダミ。しかし、またもやセリの優しいキスで誤魔化されていく。
そのまま目をつむっているので不思議に思い、セリは声をかけた。
「先輩? どうしたんですか?」
 もうイダミの頭の中はぐるぐるだ。なんと声をかけたらいいかわかっていない。
「もういい!!」
 突然の大声。セリは目を白黒させた。
463あいぼ セリ板(8/8):2009/02/12(木) 15:18:01 ID:zhmdGuUz0
「ど、どうしたんですか。俺、何か悪いことしましたか」
 セリは急におどおどし始めた。
「もういいっつってんだよ。どっちがどっちとかもういい! 好きにしろ!」
 そういってセリに抱きついた。
「……責任はとれよ」
「先輩が俺にベタボレする責任ですか?」
 セリが笑って言う。イダミは真赤になったまま視線をそらした。
「大丈夫ですよ。先輩のこと好きですから」
 そらされた頬にキスをすると、ごく軽い平手打ちが返ってきた。
それでこそイダミ先輩だ、とセリを安心させた。

そしてイダミはセリに抱かれた。久々に手に入れた、他人のぬくもりだった。
外では初雪が降り始めていた。
イダミにとって新しい季節の始まりだった。
464あいぼ セリ板:2009/02/12(木) 15:20:48 ID:zhmdGuUz0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

「あんあんいうセリに『気持ちいいからやってみましょうよ!』と言われ受けに回る板」
というのを書いてみたかったのですが、リバできませんでした。
でもセリの声はかわいいというスレの影響を受けた意見を取りいれてみました。
お目汚し失礼しました。
465風と木の名無しさん:2009/02/12(木) 17:47:34 ID:fpd8ZG0o0
>>455 うおー二人ともかわええ…萌えますた!
466風と木の名無しさん:2009/02/12(木) 23:11:34 ID:hDjpbF7M0
>>455 すごい萌えをありがとう
467蛙軍曹/紫赤(1/3):2009/02/12(木) 23:24:26 ID:SYI0gYuiO
読みたかったので書いてみた紫赤。

|>PLAY  ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



結婚する、と、彼は言う。
私の弟だ。
結婚? お前にはまだ早い、
と、折角訪ねてくれた彼に、私はそっけなく答えた。
にいちゃん、こういうのは順番じゃないよ、
と、ギロロは言った。幸せそうに綻ぶ顔を、私は真っ直ぐに見る事が出来なかった。

ギロロが結婚する。
いつかくる筈だったその事実を、私は受け止める事が出来ない。
私の中で彼はいつまでたっても無垢な子供だ。
その弟が、結婚。
先を越されて悔しい訳ではない。
過去への感傷でもない。
ただ、彼の相手の女を憎いと思った。
横取りされたような気分になった。
横取り? 馬鹿な。
ギロロは弟だ。

考え事をしている私を、ギロロは不安げにみていた。
私は取り繕うように、
「もう遅い。今日は泊まっていけ」
と、促した。
468蛙軍曹/紫赤(2/3):2009/02/12(木) 23:25:54 ID:SYI0gYuiO
夕食は店屋物で済ませた。折角だから、と言って、布団はギロロが並べてひいた。実家にいた頃のように。交代で風呂に入って、床につく。
「昔みたいだ」
と、私の弟は満足そうだった。私はと言えば、先ほど感じた喉元を伝うような不快感に未ださいなまれていた。
「……ギロロ」
「何だ」
「寝たか」
「寝てはいない」
何か言いたかった筈だ。何か。なんだったのだろう。
「ギロロ」
「何だ。眠れないのか」
「違う。…いや、そうだ」
「ガルル?」
「お前、私と、その結婚する相手とどっちが大事なんだ」
「ガルル、お前何を言ってるんだ」
呆れたとでも言う風に、ギロロはため息をついた。今ならまだ冗談ですむだろう。しかし、そうする事を、私自身が拒んだ。
「答えろ」
「答えるまでもない質問だろう。あんたはにいちゃんで相手は相手だ」
「兄に向かってあんたとはなんだ」
「あんたはあんたで十分だ。頭を冷やせ、ガルル」
469蛙軍曹/紫赤(3/3):2009/02/12(木) 23:30:51 ID:SYI0gYuiO
「頭を冷やすのはお前だ。
誰が運動会を見に行った?
参観日も保護者面談もだ。
進路だって、お前が新しい武器を買う時だって、なんだって私が面倒をみてきたじゃないか。
お前が、…お前が、軍隊でも馬鹿にされないように、にいちゃん出世だって頑張った。
その新しい女と、俺と、どっちが…」


「にいちゃん、俺達、…兄弟だろう?」


□ STOP  ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

中途半端でスマソ。
紫赤萌えを発散したかったんだ…。
ありがとうございました。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「どうした、跡部」
ぽんと頭を撫でられたのが嬉しくて、ぎゅっと抱きついた。
「監督、」
「ん?」
ふわりふわり、監督の香りがする。
「!、すいません!」
「なにがだ?」
「あの、いきなりこんな…しわになったし…」
「お前に抱きつかれて嫌な気はしない。
スーツのしわなど、この幸福感に比べれば些細なことだ」
慈しむような視線に、跡部の顔がほころぶ。
「なにか飲むか。紅茶でも」
「ミルクティーがいいです。あったかいの。」
「砂糖は多めだったな?」
「、監督!」
はははと笑って。そんなたわいもないやりとりが好きだった。
ソファーに座って待っていろと言われて、ふてくされたようにはーいーと返事をした。

なんでもできる跡部だが、いつもいつも授業の全てを理解できるわけではない。
今日は数学。教科書とノートを取り出して、問題番号を丸でかこっている場所を確認する。
授業を聞いていれば分かるのだが、実際解いてみると不正解になる。
結局、分かっていないのだ。問題に慣れるため、さわさらとペンを走らせる。
ふわり漂う香りに顔をあげると、カチャリとカップが二つテーブルの上にやってきた。
「ありがとうございます」
「あぁ。…数学か」
「はい、?」
監督の眉間に少ししわが寄った気がして、跡部はいぶかしがる。
「あまり得意ではないからな。まぁ、そこそこの点数はとれていたが」
「嫌味ですか」
「お前も同じようなものだろう」
ティーカップに口をつける監督を見て、同じく一口喉を通すと、
ふわりふわり幸せな気持ちになる。ふ、と肩の力が抜けた。
片手でさらさらとペンを走らせて、答えを見つつやったのだから、正解なのは当たり前なのだが。
「ん、正解だな」
柔らかく笑って、たった一問正解しただけなのにそんな嬉しそうにしないで欲しい。
当然だと話すとなるほどと分かったらしく、教科書とノートを取り上げられた。
「え、ちょ、」
「少しむこうを向いていろ」
「いや、」
「いいと言うまでこちらを向くなよ」
「はい」
不思議に思いながらも、楽しそうな監督に、ついつい従ってしまう。
(あの顔は卑怯だぜ…)
気配が消えて、また戻ってきた。がさごそと紙がこすれる音がする。
さらさらと、ごりごりと、薄くペンを走らせているような、違うような。
「いいぞ、跡部」
「はい」
振り返ると、真っ白な紙に一問、監督の文字で問題が書かれていた。
「解いてみろ」
「はい」
さらさらとペンを走らせる。先ほど解いたのと同じ問題だ。数字だけ変えてある。
「…。」
「さっきもそこでつまづいていたな」
「!、」
まさか気づかれているとは思わなかった。なんとなく、納得がいかない部分があって、
写す際にも引っかかっていたのだ。
(さすが、監督だ)
超えられない存在を嬉しく思いながら、跡部は再びペンを走らせた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
472風と木の名無しさん:2009/02/13(金) 02:26:21 ID:BBTxWov8O
>>421>>422

バカはおまえらだよ。
何のためのフリーメールだ。
473風と木の名無しさん:2009/02/13(金) 02:28:51 ID:01hzapDV0
>>472
なんという遅漏
474風と木の名無しさん:2009/02/13(金) 03:21:19 ID:2DtsqHTH0
>>421>>422>>472にしか見えんな
まあどうでもいいけど

>>469
萌えたよ
ありがとう
475風と木の名無しさん:2009/02/13(金) 09:31:02 ID:jFmZ7FHj0
ヴィジュアル的に中井は無いはずなのに
文章が面白くてスイスイ読んでしまったw
楽しかった、ありがとう
476風と木の名無しさん:2009/02/13(金) 09:32:12 ID:jFmZ7FHj0
ヤベあげてしまった
ごめんなさい
477ライドウ小話0/4:2009/02/13(金) 10:51:53 ID:tJ+d68r40
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ライドウアバドン、ツナツグと鳴海。ライドウを巡る山なし意味なしオチ無し
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  別件依頼ネタバレ含むですよ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
4781/4:2009/02/13(金) 10:53:17 ID:tJ+d68r40
 絶好の花見日和だった。
 空はどこまでも青く晴れ、白い雲がゆらゆらと浮かび、さわやかな風が吹き抜け、色とりどりの花が咲き競う。
 バスケットにサンドウイッチでも詰めて出かけたらどんなに楽しいことだろう。
 ――いや、大学芋だな。紅茶と大学芋を詰めて、あの書生と……。
 爛漫の霞台を見回した後、嘆息しながら、ツナツグは空を仰いだ。
 そんなとき。
「こんにちは、ツナツグさん」
 凛とした声。白皙の美貌。人間離れしていると言っても良いほどの整った顔立ちは表情に乏しく見えるが、
よく見ると口角は上がっている。それが彼の笑みであることに気付いた者だけが得ることのできる、
他者よりも彼のことを知っているという優越感はたまらない。
「あれ……?」
 そう。目の前に立っていたのは、つい先程自分が共に在りたいと思っていた当の書生だった。
 自分の妄想がついに幻覚として見えてしまったのかと思って一呼吸。
 三度瞬きをして、目をこすって、一呼吸。
 それでも眼前の少年が消えないことに気づいて、ツナツグはようやく飛び上がらんばかりに驚いた。
「って、ラララライドウ君!?」
 思わず後ずさりして背後の車にドスンと尻をぶつける。その衝撃にびくりとして今度は前に退き、そして、
「あわわ――」
 息がかかるほど近い距離で、彼を眺める羽目になってしまった。
 軍人にあるまじき狼狽をしている自分に動じることなく、しかし少し心配そうに見上げてくる少年――
帝都を護る最強のデビルサマナー、14代目葛葉ライドウは、十数秒の後ツナツグがどうにか落ち着きを
取り戻したのを見てから、形の良い唇を再び開いた。
「近くに寄ったものですから、ご挨拶をと思いまして」
「そ、そうだったんですか……、いや、みっともないところを見せてしまったな、はは……いや、元々
もうこれ以上は無いってくらいサマナーとしてみっともないところを見せてしまっているか」
 デビルサマナーとして軍に属しているツナツグだったが、かつては深い呪いを受けてその能力を
封じられていた。それでも悪魔関連の事件などにはサマナーとしての見解を求められることもあり、
そういった類の事件に狙われやすい要人の警護などを任されていた。
4792/4:2009/02/13(金) 10:54:16 ID:tJ+d68r40
 今はこの若き葛葉ライドウによってその呪いは破られ、ツナツグはかつてのように仲魔を使役
することができるようになってはいたのだが、これまでの勘を取り戻すため、そして鍛錬のためにも
しばらくはそのまま今の仕事を続けることにしていた。
 いつかは、この少年を護ることができるほどのサマナーに。その想いがツナツグを強く強く支えていた。
護りたい、頼られたい。――今はまだ、口に出すどころか思うことすらはばかられる。
『春の陽気で怠けておるのではないか』
 にゃあ、とライドウの足下の黒猫が鳴いた。
「お恥ずかしい限りです、ゴウト殿」
 猫に向かって頭を掻いてわびる姿は、事情を知らぬ者の目には滑稽に映ることだろう。
 ライドウの目付役として黒猫の姿で彼に従っているゴウトの言は、デビルサマナーにしか理解できない。
「そ、それでライドウ君、今日はこれから――」
「おおい、ライドウ」
 ツナツグがなけなしの勇気を振り絞って「予定はあるか」と聞こうとした矢先、呑気な声がそれを打ち消した。
「……鳴海さん」
 首を巡らせ、背後からのたのたと近付いてくる白いスーツ姿の男を見るライドウ。
 「俺はやるときはやるんだぜ」と飲み屋の女を口説くときだけ真面目な顔をするような、冴えない男だった。
「もう済んだよ。こんなところに長居したくないから早く帰ろうぜ」
 言いながら、その男――鳴海はライドウに並ぶ。そしてようやくツナツグに気付いたのか、その世の中を
舐めたような目つきのまま、ツナツグに会釈してきた。
「ああ、こちらが」
「はい、軍属サマナーのツナツグさんです」
「やあどうも。鳴海といいます。『うちのライドウ』が世話になってます」
 うちのライドウ。やけに、強調して言われた気がした。いや、自分がこだわっているだけか――。
「いえ、世話だなんて……」
「それじゃ、今後ともよろしく」
 謙遜すら最後まで言わせずに、鳴海とやらはライドウを促して立ち去ろうとした。
 ライドウがそれに抗い、ぺこりと頭を下げてくれたのは救いだった。
「それでは」
「あ、あの、ライドウ君っ」
 外套を翻し去ろうとしたライドウを、ツナツグは慌てて呼び止めた。
4803/4:2009/02/13(金) 10:55:18 ID:tJ+d68r40
「……はい」
「今度、お花見――じゃなかった、鍛錬に付き合ってくれないか。この近くに桜――、
いやいや、屋外の鍛錬にいい場所があるんだ」
 きょとんとするライドウ。見つめられ、どんどん頬に血が昇るツナツグ。彼の足下の猫と、少し奥から
振り向いている男がどんな顔をして自分を見ているのか、確認したくもなかった。
「はい、分かりました」
「!」
 ライドウが口角を上げてそう応えてくれたため、ツナツグの気分は一気に浮上する。ただでさえ眩しい
春の陽気が、きらきらと瞬くようだった。
「では、今度予定を確認してまた伺いますね」
「よ、よろしくっ」

◆◆

 そしてライドウは鳴海と共に去っていった。
 遠ざかっていく白と黒の人影を見送りながら、ツナツグは思う。
 約束は取り付けたけれど、何だか釈然としない。
 白い背を、やや睨みながら思う。
 ああ、肩を抱くなんて。『うちの』だなんて。なんで、いかがわしいあの男があんなに親しげに。
 あれじゃあまるで――

◆◆

「いやはや、分かりやすい人だったなァ」
「……?」
「いや、こっちの話」
 霞台からの帰路、鳴海はまるで童子の遊戯を見守るかのような笑みで呟いた。
 そして、先刻見た若きサマナーを思い浮かべる。
 憧れと恋心を混同しているような、純朴な青年だった。隣を歩く黒い書生に向ける眼差しは、サマナー
として以上の物が込められていることはほぼ間違いないだろう。
 鍛錬にかこつけてライドウを花見に誘うだなんて、まるで――
4814/4:2009/02/13(金) 10:57:10 ID:tJ+d68r40
◆◆

『パトロンじゃないか』
『恋する女学生みたいだ』

◆◆

「本当にダメダメだなぁチミは。読心術、教えてあげようか?」
 突如背後に現れた、小さな悪魔。
 霞台を歩く間自由にさせていた、外法属のモコイだった。
 ブーメランを弄びながらくるくると回るモコイを見下ろし、ライドウは鳴海に先に行くよう言ってから
足を止め、問いかける。
「モコイ。どうした?」
 するとモコイは踊りをやめ、まあるい目でライドウを見上げてきた。
 人間に言われると腹が立つような偉そうなことでも、この仲魔に言われたのなら憎めない。
「んーとね、なんだかとっても、トライアングルなわけ」
「……?」
「いろいろと大変だねぇチミ。ところでトライアングルの次って何て言うんだろうね。
 数を数えるのも大変だなぁ」
 きょとんとするライドウをよそに、読心術を得意としているモコイはひとり、ふふんと得意げにするのだった。
482風と木の名無しさん:2009/02/13(金) 10:58:39 ID:tJ+d68r40
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 実は本命が閣下だなんて言えない
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
483風と木の名無しさん:2009/02/13(金) 14:52:41 ID:tGJcc2wcO
普段ライドウスレしか見てないけどたまたま開いたスレで放映中だったとは私は本当にツイている
484風と木の名無しさん:2009/02/13(金) 18:08:05 ID:UoWnCUq9O
>>477
GJ
パトロンと聞いて何かが目覚めそうだ
485クロニクノレオブタ''ンジョンメーカー2:2009/02/13(金) 18:58:27 ID:tlJ5kR1I0
クロニクノレオブタ''ンジョンメーカー2ネタでギャグ。
マイナーな上に会話だけ。主人公と館長で、他のゲームのネタ含む。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

館長「それじゃダメくん、今日も一日がんばってくれたまえ!」
主人公「ちょっ、嫌な略し方しないでくださいよ!」
館長「じゃあデフォ名で呼ぼうか、アントリオンくん。それじゃ、さばくのひかりでも出してくれたまえ」
主人公「出ませんよ!!」
館長「そういえばあれは産卵時だったか」
主人公「生みません!! ・・・とりあえず、普通にタ''ンジョンメーカーって呼んでくださいよ。
    そうじゃなきゃもっとこう普通に略してください。DMみたいにアルファベットで、とか・・・orz」
館長「何へこんでるんだい? 一緒にやろうじゃないか、テ''ュエルスタンバイ!」
主人公「ちょっ、人が思っても言わなかった事あっさり言わないでくださいよ!! しませんよ!!」
館長「なら君の弟子とはがっつりするのか?」
主人公「・・・弟子に手を出したりなんてしませんよ。何でそんな話に・・・」
館長「なら怪しい雰囲気になれそうな少年とか?」
主人公「未成年に・・・そもそも男に何するっていうんですか。何もしませんよ」
館長「なら私とするということだな!」
主人公「何でそうなるんですか!」
館長「何故しない!!」
主人公「何でそっちがキレてるんですか!?」
館長「君を食べたいんだ!!」
主人公「どさくさに紛れて何言ってるんですか!!」
館長「知らないのかい? アントリオンを食べるとマイティーガードを覚えられるんだよ」
主人公「貴方は別に戦闘もしないでしょう! いい加減、最終幻想から離れてください!!」
館長「なら君にくっつくぞ?」
主人公「・・・もう、何なんですか貴方は・・・」


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ちなみにこのゲーム、弟子(女)のデフォ名がセシルだったりする
486ヴォ椅子 元ヤンとオタ0/2:2009/02/13(金) 20:09:08 ID:BIKg46Bw0
 ふじのげつく。仲間が増えるといいな。
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
487ヴォ椅子 元ヤンとオタ0/2:2009/02/13(金) 20:10:45 ID:BIKg46Bw0
|「ん〜〜〜〜っ」
 積まれた資料や課題と戦うこと数時間、さすがに疲れてきた。大きく息を吐いて、
意味もなく声を出しながら伸びをする。向かい側で跳意さんが立ち上がり、キッチンに
向かった。
 時刻はもう夜中。そういえば、こうやって跳意さんと勉強するのも珍しくなくなって
きている。なんだかんだで、皆して僕の部屋に集まることも多い。なかでも跳意さんは、
よく僕にレポート手伝えって言ってくる。…怖いから、言われると逆らえない。
 資料をまとめ直していると、コーヒーの香りがしてきた。顔を上げると、跳意さんが
マグカップを2つ持って立っている。
「ほらよ」
「あ…ありがとうございます」
 テーブルに置かれたのはカフェオレだった。見るからに熱そうなそれを、火傷しない
ように冷ましながら口に含んだ。…うわ、甘っ!
 ちょっと驚いて跳意さんを見る。テーブルの向こうで、跳意さんがにやっと笑ってい
た。
「疲れたときには甘いもんだろ」
「そうですね。美味しいです」
 カフェオレに限らず、跳意さんは料理が上手い。それに色んなことを知っている。
 最初は本当にすごく怖かったけど。見かけからして怖そうだし、何かあったら胸倉
掴まれてたりして。でも解剖に立ち会って倒れちゃったり、地震に慌てたりする。
 一緒のゼミになって、近づいてから分かったことがたくさんある。そう思ったら、
勝手に口が動いていた。
488ヴォ椅子 元ヤンとオタ0/2:2009/02/13(金) 20:11:32 ID:BIKg46Bw0
「跳意さんって、見かけの割に優しいですよね」
「…どういう意味だよ」
 低い声が聞こえた。ヤバイ! 僕また変なこと言った!
 思わずマグカップをテーブルに置く。同時に襟首を掴まれた。そのまま跳意さんに
捕まえられて、僕は内心で冷や汗を流していた。
「すみません悪い意味じゃないんですっ」
「だからどういう意味だって聞いてんだろ」
 耳元に響く声。煙草の匂い。頭も身体も硬直して動いてくれない。
 とにかく謝らないと…。
「その、あの…すみません」
「…ふん」
 跳意さんが、掴んでいた襟首を放した。手荒に放り出されて倒れそうになったけど、
なんとか立て直す。不機嫌になった跳意さんが目の前にいて、申し訳ない気持ちになった。
 僕のこと殴ったりしない人だって、今では思うけど。やっぱりまだちょっと怖い。
でも…これからもっと一緒にいたら、怖くなくなるのかな…。
「ん? おい撤兵、これ」
 カフェオレを飲んでた跳意さんが、資料の間から紙を引っ張り出した。
「あ! それ昨日コピーしたやつです。すっかり忘れてました!」
「んだよ、こんな大事なモン忘れるなっつの」
「すみません。でもこれなら終わりそうですよ、もうちょっとです」
 顔を上げると、跳意さんは少し笑ってくれた。僕はほっとして、まだ残っていた
カフェオレを口にした。甘くて優しい味だった。

 …跳意さんのこと、もっと知りたいって、そう思った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
489風と木の名無しさん:2009/02/13(金) 20:12:04 ID:BIKg46Bw0
すみませんナンバリング間違えました orz
490風と木の名無しさん:2009/02/13(金) 20:38:27 ID:f+nOsA8k0
>>486
おおお今一番気になるカプが見られるとは!!姐さん有難う!!
これで月曜日まで生きていけるわ
491風と木の名無しさん:2009/02/13(金) 21:16:18 ID:9PPyOVeG0
>>486
姐さんありがとう
ほのぼのカップルで癒されました。
恋の匂いがしてきます。
492生 白ぬこ 0/5:2009/02/13(金) 22:33:22 ID:hWruvocTO
生注意、キャソプ中のお約束バレンタインネタ。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

もうすぐバラバラ、になる前に、久しぶりに二人そろってコンビニに行った。
コンビニと言えばコンビニなんだが、あまり長居できなくて夜にはさっさと閉まってしまう、
地方にはよくあるタイプのやつなので、急いで買出しを済ませる。
九里山が、買出しジャンケンで負けたのだ。全くウチの同僚どもは人使いが荒いったらない。
まあ荷物持ちとして引きずられてきた、ブービーだった自分も運がなかったんだが。
「やっさんは何も買わんの?」
「んー」
買出しは後輩に任せて、レジ近くでぱらぱら雑誌をめくっていると、プリンやらジュースやら
ポッキーやらを山と抱えたその男前が、欲しいものは無いのかと聞いてくる。
「俺はパス」
「何で」
「だーって、もう荷物まとめてあんだもん。増やしたくないよ」
「あ、そか」
もうすぐバラバラ。ええと、明後日からは本当にバラバラだ。
もうすぐ片丘は、このキャソプ地から離れる。他の何名かのチ一メイトと一緒に、世界大会へ
向けての合同合宿に移動するのだ。
だからもう自分の荷物はあらかた詰めなおしてある。
493生 白ぬこ 1/5:2009/02/13(金) 22:34:49 ID:hWruvocTO
使い捨てていいシャツとかタオルが、いくつかその辺りにあるだけだ。九里山が頷く。
「そやねえ、やっさん誕生日もひとりぼっちやねえ」
九里山が肩をそびやかした、ようだった。自分の誕生日のことを覚えていて、そして茶化している。
あと数日あればその日も一緒だったんだろうけど、まあそんなこと仕方がない。どうだっていい。
いつも生意気なこの後輩を顎で使えないのは残念だけれど、どうせシ一ズンが始まったら、嫌でも
いくらでも隣にいるんだから。
「何だよそれ!那かじが祝ってくれるってったぞ」
「あーはいはい」
「流すな!さっさと買えよ、雨降ってんだから早くかえろーぜ」
今日は朝から天気が今ひとつで、ぱたぱた降り出した雨はやっぱりまだまだ冷たくて、春の
訪れには程遠いことを思い知らされた。
人恋しくなるなあ、と片丘はぼんやり思って、目はテレビ雑誌のどうでもいい番組表を追って
いた。人恋しい、もあるけれど、不安もある。緊張もしている。
何も知らない世界に飛び込んでいく、足がすくみそうだ、自分でも笑える。
春が近いとは言え、まだ寒い。まだ足りない。
「やっさん、出よう」
何かが始まるけれどそんな季節だ、二月は。
494生 白ぬこ 2/5:2009/02/13(金) 22:36:30 ID:hWruvocTO
「…げー、結構降ってんなあ、明日室内か?」
「あー、かもねえ」
店を出た途端湿気た冷たさが鼻をさして、九里山は首筋を差されたのだろう、思わず首をすくめ
ている。だからまだジャージだけじゃ寒いだろうって言ったのに。
忠告を聞かなかったのはこいつのほうなので、片丘は自分だけマフラーを巻きなおしても悪いとも
思わない。そういうもんだ。
広げた傘にぱらぱら、弾ける音がする。
「ほれ、半分よこせ」
「ん、ちょ、待って待って、その前に」
「…何だよ、これ」
濡れるぞ、と差し出してやった傘の下で、はいよと九里山が何かを押し付けてくる。箱の角のような
ものが、マフラー越しに首に当たる。
店を出てしまったのでよく見えない。次の街灯の下までは。
「たんじょび祝い、前倒しで」
「…はあ?」
やっと九里山が自分の傘を広げて、変な格好で抱えていた買出し袋を持ち直して笑った。
ぽつんと立っている街灯が、また大分先にぽつん、ぽつん。車も人ももうこの時間はめったに通らない。
「大丈夫やって、マジでちゃんと今度ええもん送るから!これは一応、の前倒し!」
だってソレお前、と片丘は何ともいえない顔で、少し冷えた指で自分の頬をこすった。
495生 白ぬこ 3/5:2009/02/13(金) 22:38:02 ID:hWruvocTO
そういえば、さっきのレジ近くで山となっていたそれ。この季節に相応しく、ピンクだの赤だのの
リボンでラッピングされたそれ。
どうせなら可愛いファンからでも手渡されたい、きらきらしたシールもついている、そんなそれ。
「何でチョコ…」
「レジの横にあったし、これでええかなて」
夜の中のぽつぽつ立っている明かりの中で、九里山は言う。
「そんでバレンタイン明日やん?安なってるから得やーんって」
そしてはい、とわざわざペットボトルの入っているほうの、重い袋を押し付けてくる。この後輩め。
にっこり笑って、ああこいつは、こういう風にすると人が断れないのを無意識に知っている。
「バカかお前。安くなるのは明日の晩からだ!」
「…あ、マジで!?」
「あーああ、損したな」
「何でや損はしてへんわ!やっさんにあげるんやし!!」
人通りの少ない、建物もまばらな街灯の下。
九里山の振り回す傘のしずくが飛んでくる。真っ暗な空の下で、それが頬に当たる。
冷たい。足りない。恋しい。
まだニ月。
「…だから荷物増やしたくないってんだろ!何でこんなでかいの買うんだ、何個入ってんだよ」
「一応お祝いやから」
「喰いきれねえ!」
496生 白ぬこ 4/4:2009/02/13(金) 22:41:54 ID:hWruvocTO
バカ、とそれで頭をはたけば九里山は笑った。普通に笑った。
何一つ変わらない。変わるわけが無い。
もうすぐバラバラ。ちょっとそんな風になったところで。
「半分喰えよ、だから」
別にそんな風に離れるくらい、何だってことはないけれど。
あんたが、お前が隣にいないなんてことくらい、俺は別に大丈夫なんだけど。
「え?せっかくあげたんに意味ないやんか」
「別にいいの、だって持ってけないだろーが!」
振ればその箱は、がさがさとばらばらと、にぎやかな確実な音がした。
まだ雨が降っている。春の雨にしては、まだまだ冷たくて寒くて一人なら寂しくなる。
まだ寒い。まだ足りない。
ちらりと見えた、九里山のジャージの裾はもう濡れていた。それも以前から、よく見慣れていた
ものだった。
もうすぐバラバラ、になる前だ。
「責任とれ、責任」
うん、大丈夫なんだけど。
でもとりあえずこのこれは、二人で山分けにしてから行こうと思うんだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ナンバリングミス!
497風と木の名無しさん:2009/02/13(金) 22:48:19 ID:752AKj700
業務連絡です。
保管庫管理人より感想板に収録方法についてのお知らせがあります。
内容は、「保管庫インデックス補完計画」スレを見ていただきますようお願いします。

あと、感想板に広告書き込みが増えているので、管理人さん見ていたら
削除していただけると助かります。
498風と木の名無しさん:2009/02/14(土) 02:11:29 ID:7rstIaE8O
>>492
姐さん待ってた!大好きだ!
きっとお互い寂しいんだろうなと思ってました
悶えましたありがとう
499クリスマス・プレゼント 1/3:2009/02/14(土) 02:17:08 ID:2LPhwcEzO
※半.ナ.マ注意


携帯から失礼します。
ホ/ー/ム・ア/ロ/ー/ン/2より、マ.ー.ブ×ハ.リ.ー×マ.ー.ブ
さっき観た金曜ろーどしょーの悪役コンビにうっかり萌えて、勢いで書いてしまいました。
2で捕まったその何日か後くらいの設定です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「チクショウあのクソガキ…また邪魔しやがって…!」
再び刑務所へ舞い戻った強盗コンビの一人、ハ.リ.ーが、いまいましげに呟く。
檻の内側の声は冷たい廊下にわずかに響いて消えた。
「クリスマス・プレゼントの交換も出来なかったしな。」
そう片割れのマ.ー.ブが真面目に同意すると、ハ.リ.ーにその脇腹を小突かれた。
「うるせェ、子供じゃあるめェしプレゼントなんざどーだっていいんだよ! バカな事ばっか言ってっとその頭のコブ増やすぞ!」
「プレゼント交換、楽しいよ?」
すかさずハ.リ.ーが鋭く睨んできたので、ささっと自身の額の傷を両手で隠した。
5回もレンガをおみまいされたそこは、えらい事になっていた。
「…クソ、刑期も最初より延びちまったし怪我は痛むし…クリスマスなんて昔から本当ロクな事ねェな!」



500クリスマス・プレゼント 2/3:2009/02/14(土) 02:18:45 ID:2LPhwcEzO
自業自得を棚に上げ憤慨するハ.リ.ーだったが、怒ったってどうにもならない事も知っているので、チッと舌打ちを一つ落として黙った。
「……クリスマスに良い思い出ないの?」
遠慮がちにマ.ー.ブが尋ねる。
ハ.リ.ーは顔をさらにしかめフンと鼻を鳴らすだけで、いつもの怒号どころか返事すら返さなかった。
しかしその無言は恐らく肯定で、そういえば小学校もまともに行けてなかったんだっけ、といつだったかハ.リ.ーが言っていた事を思い出した。
「……プレゼント交換、楽しいよ?」
「、………。」
先程と同じセリフを言ってみた。
今度は目線すら寄越さなかったが、構わず続ける。
「きっとこの先の何回も一緒にクリスマスを過ごすんだし、せっかくだから俺が楽しませてやるって。」
脳天気にヘラリと笑う。
これでも長年連れ添った相棒だし、元来の性分も大いに手伝い、情なんて移りまくっていた。
悲しそうな顔よりは嬉しそうな顔が見たいと、お互いが罪人だとはわかっていても、それが素直な感情だった。

501クリスマス・プレゼント 3/3:2009/02/14(土) 02:20:59 ID:2LPhwcEzO

「…嫌々だけどな、」
こんな所で何度も聖夜を過ごすなんて、という言葉とは裏腹に、ハ.リ.ーもつられて笑ってくれた。
苦笑いの様なものではあったが、それでもマ.ー.ブはほっとした。
「そんじゃまた脱獄でもしちゃう?」
声を抑える事もせず冗談交じりでで提案する。
ハ.リ.ーは一瞬キョトンとしたが、そうだなァ、と返答する。
「俺もお前も傷はまだまだ癒えそうにねェし、疲れも溜ってるしなぁ… ま、プレゼント交換とやらを体験してみるのもいいかもな。」
今度こそ普通に笑ってくれたので、マ.ー.ブはヘヘヘと笑い返しながら、来年のクリスマスが楽しみだなと心を弾ませた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

本当はもっとアメリカンな言い回し入れたり、本編で何度かハ.リ.ーの言ってた「どけェ、うざったい!」ってセリフを入れたかったんだが…無念orz
それでは読んで下さりありがとうございました。

502風と木の名無しさん:2009/02/14(土) 11:40:03 ID:CcXYirBmO
>>501
GJGJ!かわいいよこの2人…!
憎めない悪役って萌える

昨日の映画見ててほんのり萌えてたから読めて嬉しい
503チーム罰☆ 麻酔×愚痴:2009/02/15(日) 01:59:49 ID:Elm5vizQ0
バレンタインに寄せて。1レスのみ。別スレ風で。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

☆「あ、 ふぉも」と呟いた 瞬間 。1?☆
214 :風と木の名無しさん:200X/02/14(土) 23:54:20 ID:0tm+bAcst
本日夕方、渋谷のファストフード店にて遭遇

A:細身で長身。かなり池面だが本人、まったくそれに気付いていない感じ。
B:男性にしては低めの身長。 目がきりっと大きい、野生的な感じ。でも気は優しそう。

二人とも映画の帰りによったらしく、こちらが座ってる席と、衝立をはさんだ隣に着席。ひとしきり映画の話で盛り上がった後、
AがBにプレゼントを渡した。驚きながらも、中身を開けるとかなり上質なカシミヤのマフラーが。B、凄く嬉しそうに感謝しつつも、
「実は僕も」とAに紙包みを。その時のAの嬉しそうな顔! 見ているこっちが赤面しそうなくらいだった。中身は羊皮の手袋で、
さっそくつけてみたりと大変なはしゃぎっぷり。公共の場というのに完全に「キャッキャうふふ」状態の二人を禿げ上がりながら
観察を続けていると、Bが「マフラーをつけて帰りたいけど、タグが取れない」と残念そうに呟いた。するとAが、しばし口ごもった後、
「ウチでタグ、取っていきませんか?」と提案。え? とBが聞き返したら、Aの顔が見る見る真っ赤に。すぐにBも真っ赤になったが、
なんと小さな声で「ハイ」と返事。A、こんな返事を予想していなかったらしく、ぐっと息を呑んだ気配。その後ちょっと慌てた感じで
Aが「じゃ、行きましょか?」と席を立つとBも「あ、ハイ」と頷いて、そのまま退出。思わず二人の姿を追うと、通りに面した大きな窓の
向こうで、AがBに手を差し伸べて、Bもおずおずつないでいた。自分のコーヒーが冷え切ったことも気付かないほど萌え上がっていたのだが、
ふと周りをみると近隣の女性客達も砂を吐ききった表情でぐったりしていた。さもありなんと頷いて店を後にした。

それにしても件の二人、お互いを「先生」と呼び合っていたが、学校関係者だろうか。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ヴァレンタインに関しては、麻酔愚痴の電波が届いていたのだが、投下するかどうか悩んだんだぜ! 
いやーこんな状況に遭ってみたいわマジで。とりあえず今日はがんばれ、ます(ry !!
504鳳 粕×和歌:2009/02/15(日) 02:20:32 ID:fvMarL9u0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |   芸/人 オー/ドリーの粕×和歌だモナー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  論派ー寝起き前話だって
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
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505鳳 粕×和歌:2009/02/15(日) 02:21:19 ID:fvMarL9u0
「なんでここにいるんだよ」
目の前に立っていたのはさっきまで舞台に立っていた相方だった。
ホテルに到着。明日も早い。このまま泥のように眠って朝を迎えるはずだった。
それよりにより,明日は朝イチで論派―の寝起きドッキリなのだ。
こいつ、粕画はなにがなんでも部屋に戻って就寝してもらわないと困る。
テレビ番組に出始めたはこのほんの何ヶ月間の出来事。
まさかテロ朝の看板番組のコーナーに出れるようになるなんて、万年M−1、2回戦落ちの糞虫以下のポンコツ芸人の俺たちには信じがたい状況だ。
コーナーは簡単、論部―さんと阿保木さんが寝起きの粕画を襲って写真を撮るというだけだ。
その直後俺が登場して、「早朝ドッキリでした!」・・・のはずだったのだけれど・・・
ホテルにチェックインしたのがもう真夜中すぎ、シャワーでも浴びようかと服を脱ぎ始めた時に突然奴が俺の部屋を訪ねて来たのだった。
「なんだよ」
俺の不機嫌な顔を見てもいつも顔色ひとつ変えずズカズカ部屋に上がり込んでくる。
「あーもー、明日早いだろ?こっちもネタまとめとくからさっさと帰れ」
「和歌囃子、風呂に入ろう」
・・・人の話を真面目に聞いたためしがないのは慣れているけれど・・・・
「馬鹿!!!」
いつのまにか粕画はトランクス一丁になっていた。
舞台の上の姿勢とはまた違う、自信を湛えた笑み。胸こそ張っていないけれど、こいつの根拠のない自身に、俺はいつも挫かされ、打ちのめされ、相方がポンコツ扱いされたあげく、どうにかこうにか形になったのだった。
もがき続けて、血へどはいて、はいつくばって、もう俺達、論派ーのどっきりだぞ!
わかってんのか、このポンコツ!!

506鳳 粕×和歌 2:2009/02/15(日) 02:23:19 ID:fvMarL9u0
「わーか、ばやしー」
呆気にとられているうちに粕画はユニットバスに湯を張っていた。
「早く入ろう」
「・・・・・なんで別々の部屋取ってまで同じ風呂入んなきゃいけねぇんだよ!」
「同じ部屋なら、風呂も一緒に入れるだろう?」
当然、といったいつものあの表情。
この根拠のない自信。
俺は大学を出て30になる今までずっとこの無意識過剰男と20代という華々しいはずの年代を通り過ぎてきた。実際は地獄だった。
同級生が結婚して子供作って家建てて、それでも俺らはオーディションでスベり、ネタ見せでスベり、たまのライブや営業やライブでスベってきた。
それでも粕画はキセキなんていうのはそのうちやってくるものだと悠長だった。俺にはそう見えた。
俺がいくら当たり散らして「解散!」と言い出したところで、粕画は俺のあとをおってくる。これのくりかえし。
俺はこいつの保護者じゃねぇぞ!
それでも今の漫才のカタチを見つけたとき、突破口が見えて、キセキが起きた。
俺たちはドロップできた。メビウスの輪からドロップしたのだ。遂に!
それでも粕画は変わらなかった。
俺には自信過剰で、頑固で、でも従順だった。
それは学生時代から変わらない、変わらないんだ!

507鳳 粕×和歌 3:2009/02/15(日) 02:24:14 ID:fvMarL9u0
はーい、お客さんかゆいところはございませんか?」
「泡が垂れ来て見えねぇんだけど・・・」
クソ狭いユニットバスの浴槽で粕画は俺にシャンプーを施していた。
自分も一緒に洗ってるもんだからぼたぼた泡が体に落ちてくる。
・・・・・・なにやってんだ俺・・・・
「じゃぁ、そろそろ流しますかね」
粕画が俺の言うことを絶対聞くように、俺は粕画のやることにあらがえない部分がある。
絶対こいつを操縦するのは俺だという認識が強くあって、こいつを誰より面白くするのは俺以外いない。
でも、でも、じゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ
シャワーの水流が視線を遮る。
髪や、体の泡が流れおちていき、狭い浴槽内は出しっぱなしのシャワーの湯気が視界をぼやかす。
「じゃ、こっち向いて」
「あ・・・」
生返事をする前に粕画が俺の身体をひっくり返して、向かい合う格好になっていた。
ブスッとした表情の俺の顔を両手で包みこんで一瞬、触れるだけのキス。

「なにすんだよこの馬鹿!!」
「なにって、キスですよ」
「わかってるよ!殺すぞコノ野郎!!」
狭い浴槽から勢いよく立ちあがろうとしたものの、足もとが滑っておぼつかない。
すると粕画がゆっくり立ち上がって俺を抱きしめた。
「なにそんなに慌ててるのかね?」
「あ、慌ててねーよ。お前がいきなり、そんな、風呂入ろうとか、なんか言い出すから・・・」
別に俺たちが「そういうこと」になったのは今に始まったことではないので、俺の言っていることは支離滅裂だ。
つまり、朝までに帰らないと、ドッキリが、
とはいえこのことを本人に伝えるのはトップシークレットであり、ガチ企画なのだ。
時計を見ると、もう2時を回っていた。

508鳳 粕×和歌 4:2009/02/15(日) 02:26:13 ID:fvMarL9u0
浴室を出て、バスタオルを肩にかけた粕画はマッパでペットボトルの水を飲み干していた。
参った。
こいつが自分の泊まるのなんて今に始まったことじゃない。
今更追い出す理由も見つからない。

俺は浴室の洗面台でどうにかして奴を朝までに部屋に帰らせる術を考えていた。
でもこういう時に限ってなにもいい案が思い浮かばない。
うーーーーーーーーーーーーーーーーーん。

「こっち来ないと風邪ひくぞ」
突然粕画が俺を引きずってベッドの上に放り投げた。
そして、あたりまえのように、儀式のようにまた軽いキス。
なんでこいつはこうして当たり前にズカズカ俺の入ってくるんだ?
それを拒めない俺はなんなんだ?
こいつをコントロールできるのは俺だけだ。
こいつを面白くしてやれるのは俺だけだ。
だからこいつは俺のものなのだ。

俺のものなのに、この所有物はさっきから体中にキスをしてくる。
撫でまわしてくる。
舌で乳首を転がされて、思わず声が出る。
「・・・・ばかっ・・・」
駄目だ、いつものパターンだ、このままだと明日のロケが・・・・
「ん?他になにか考えてるわけ?」
粕画のあの、真っ直ぐすぎる眼光が俺を覗きこむ。
「和歌囃子、上の空ですね」
体制を変え、ひざまずいた粕画が俺の股間に顔を埋めた。
509鳳 粕×和歌 5:2009/02/15(日) 02:28:18 ID:fvMarL9u0
わ、ちょちょ、そこはダメだって!!」
「粕画といる時、他の人のこと考えてた?」
舌でイカされるのかと思ったが、粕画は俺のイチモツを掴んで詰問してきた。
勝手を知ってる粕画の手の動きは緩急が絶妙で、、、正直、、、自分でする時より絶妙だった。
「なにそんなにうわのそらなの?答えなさい」
「別に、そんなんじゃねぇよ・・・はぁ、ちょと、粕画、やめろって・・・」
「じゃあ、なに?」
「だから、ちょっと疲れてて」
「ふーん・・・」
手の動きが止まり粕画は立ち上がり、腰かけていた俺を押し倒した。
そして腰をもちあげ、いきなり、そこ、後ろに指を突っ込んできた。
「なぁにすんだよ!ばか!!離せ。ちょ・・・粕・・・」
「和歌囃子が粕画に隠し事なんかするからですよ」
右手は相変わらず俺のイチモツを擦りあげ、左手は指を蠢かす。
覆い被されるともうダメだ・・・
肌と肌が密着して、息が交じる。
510鳳 粕×和歌 6-終わり:2009/02/15(日) 02:30:32 ID:fvMarL9u0
でもかすかに蒸気しながらも攻めている粕画の表情は余裕があった。かき回されている指が、確実に俺の中の前立腺を刺激した。
「わ、ちょ、、、ちょ・・・やばいんだけど・・・粕画っ」
「どうですか?」
「どうもこう・・・はぁ、このヘンタイ!!!!」
「そうですよ、粕画は変態ですけど。こんなんで感じてる和歌囃子さんの方が」
粕画の指が、手の動きが一層激しくなる
「変態だと思うんですけどね」
ダメだ・・・出そうだ・・・
「で、なに?」
「ちょっと・・・粕・・・ティッシュ・・・」
「なんか隠し事があるでしょう?言わないとイカせてあげませんよ」
粕画の両手の動きが緩やかになっていく。
「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
なんで俺が、こんな性欲のバケモノの言うことを・・・・ダメだ、もう、

「このあと、お前の部屋に早朝ドッキリが・・・・だから、帰ってくれ・・・・」
息も切れ切れにそう呟くと、粕画は「ほう」と呟き、ティッシュで手を拭きながら洗面所に入っていった。

「じゃあ、この部屋にはいれないわけか」
「・・・おう」
「マズイな」
「だから、帰れよ、今晩は」
「わかった」
すると粕画は驚くほど速く荷物をまとめて部屋をあとにした。
やっと、ほっとした・・・けれど。
「覚えてろよ、あの馬鹿野郎」
悪態をつくのは奴が部屋が去った後に呟くのが精いっぱいだった。


511風と木の名無しさん:2009/02/15(日) 02:33:17 ID:gVxsybqZO
>>503
ありがと!ありがと!いや、萌えた
かわいい二人の姿にへんな笑いが出たよww
癒された
512風と木の名無しさん:2009/02/15(日) 04:23:35 ID:PJQb5mWI0
>>503
自分も砂を吐ききった気分です!
ちょっとひねりのある、いいもの読ませて頂きました!
513風と木の名無しさん:2009/02/15(日) 10:05:55 ID:BAA6yJMh0
>>503
ちょwIDで誰だかわかるジャマイカwww
キャッキャウフフ状態が目に浮かぶようww
手ぇつないで帰ったんだ…そっかそっかw
姐さんありがとう。幸せな気持ちだ〜
514風と木の名無しさん:2009/02/15(日) 12:10:18 ID:YSxIN4nK0
>>503
恥ずかしくも幸せそうな二人をありがとう!
切ないイメージが強い二人なだけに
こういう砂吐きで可愛い二人を読めて嬉しくなった!
515風と木の名無しさん:2009/02/15(日) 16:41:01 ID:CqL3xVqh0
>>504
ありがとう。萌えた。大好きだ〜!!!
516風と木の名無しさん:2009/02/15(日) 18:32:53 ID:hgUaFKi60
>>504
粕画の変態っぷりが、そういう感情のもとに
発動すると思うと萌える。
GJでした!
517昇天 司会者と紫 1/3:2009/02/15(日) 23:43:39 ID:mUXNNqyS0

昇天 司会者と紫。復帰おめでとうございます。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

控え室に戻るなり、唄丸はわざと苦渋の面を作って樂太朗に向き直った。
「乱入するならするで、事前に言っておきなさいよ」
「ごめんなさい」
舞台の上とは打って変わった素直な態度で、樂太朗は頭を下げた。
唄丸とて本気で怒っていた訳でもなければ、樂太朗が茶化す気持ちで入ってきたのではないと理解している。
本心を言えば記者団の質問に答える際に飲み物がなくて少し困っていたのを見て取って気遣ってくれた
気持ちと、彼が自分の復帰を心から喜んでくれているのが伝わってくるから、嬉しかったのだ。
けれど唄丸は簡単には笑ってやらなかった。大先輩として苦言を呈しておかなくてはいけない時もある。
「しかもそのチャラチャラした格好、年を考えなさい、年を」
これは甲斐の無い説教だと分かっている。年齢を感じさせない樂太朗は若い頃とほぼ変わりなく
すらっとしていて、上質な洋服を奇麗に着こなしている。今日も光沢のある深い紫色の生地のジャケットに、
落ち着いたトーンのシャツ、それにピンクのネクタイと、下手をすれば悪趣味になりそうなものを粋に
まとめている姿はかなりの伊達男っぷりだった。若者の――――樂太朗を若者と呼んでもいいかは別として、
下の世代のファッションに疎い唄丸でも、彼をお洒落であると思うし、似合うとも思っていた。
尤も、もっと声を大にして年を考えなさいと言わなくてはならない人間が唄丸が会長を務める協会には
いるのだけれど。
樂太朗がにやっと唇の端を引き上げる。
「今、翔太の顔が浮かんでたでしょ、師匠」
「うるさいよ」
「やだなぁ。人間、図星を刺されると怒りっぽくなるんだから」
「……翔太が落ち着きがないのが悪いんですよ。あたしはね、亡くなった柳翔師匠に頼まれてんですから、
心配もするでしょ」
「そうですね。でも翔太はあれでいいんじゃないですか?やっと弟子も取ったし、鯛平達の良い兄貴分だし、
士の輔みたいな親友もいるし」
「そりゃそうだけど」
518昇天 司会者と紫 2/3:2009/02/15(日) 23:44:15 ID:mUXNNqyS0
翔太の師匠である翔昇と唄丸は旧知の間柄だった。柳昇は長く芸協の理事も勤めていたし、
その愛される人柄を好ましいとも思っていた。弟子である翔太もその気質を受け継いでいて、
人好きのする性格とふわふわした所は翔昇によく似ている。問題はその落ち着きのなさ。
家庭でも持てばとやきもきする気持ちを持っているのは唄丸だけではない。
「翔太はいいですね」
「何が」
「唄丸師匠にも心配してもらえて」
そんな事を言い出した樂太朗は笑っていたけれど、何処か寂しそうにも見えた。樂太朗の師匠の円樂は、
勿論存命ではあるが噺家としては引退した身。樂太朗はこれから円樂襲名という大仕事を控えていて、
師匠を頼りに思いたい気持ちと自分が円樂一門の柱にならなくては……という気持ちの両方の間で
揺れる事もあるのだろう。幾つになっても師匠は師匠。親が親であるのと同じなのに。
唄丸は自然と表情を緩めて樂太朗を見た。
初めて会った頃はまだ学生だった。アルバイトのつもりの鞄持ち。聡明な光を宿した眼はそのままだけれど、
今と比べると随分幼かった彼を鮮明に思い出す。
あぁ、大きくなっちゃって。そんな感慨を抱いた。
「あんたの事だって、円樂さんに頼まれてるんだからね。それにあんたは……」
「俺は?」
「付き合いが長過ぎて、あたしの弟子みたいなもんでもあるだろ? 直接の弟子じゃないけれど、
自分の弟子みたいにも、息子みたいにも、歳の離れた友人みたいにも、……大切な相手だと思っているよ」
「……はい」
唄丸の、心からの言葉を間違う事なく受け取って、樂太朗は小さく頷いた。拗ねた自分を恥かしく思うのか、そ

っと睫毛を伏せながら。
そんな樂太朗を眺めながら、唄丸の手が無意識に背広のポケットを探りかけた。
あっ、と思ったけれど、もう遅い。目敏くそれを見つけた樂太朗は、今しがたの殊勝さは何処へやら。
やれやれと肩を竦めた。
「禁煙するんじゃなかったんですか、師匠」
「……しますよ」
「煙草、置いてきましたよね」
「全部捨てましたよ、人聞きの悪い」
519昇天 司会者と紫 3/3:2009/02/15(日) 23:45:13 ID:mUXNNqyS0
罰が悪くて、僅かに視線を逸らしたのは、ポケットの中にライターを入れっぱなしにしていたから。
煙草そのものを入れていなくて良かったと、こっそり安堵する。見咎められでもすれば、何を言われるか
分かったものじゃない。禁じられると逆に欲しくなるのが煙草と酒というのは、昔から変わらぬ人間の性。
唄丸だって例外ではない。ただ、あんなに苦しい思いをする位ならばやめると思っているのも本当だけれど。
「煙草じゃないよ」
「偽りじゃないでしょうね。生半可な演技じゃこの番屋は通せませんよ?」
「禁酒番屋じゃないんだから」
古典の一席に引っ掛けた樂太朗の牽制に、唄丸は苦笑いだ。
樂太朗は今後唄丸の喫煙を許さないだろう。ある意味で弟子よりも唄丸の身体を心配している部分がある。
突然の病に倒れた円樂を見ているのだから。
それに唄丸には大役が残っている。大名跡を襲名するこの男を、寄席の舞台へと
押し上げてやらなくてないけない。寄席を離れて久しい縦川流と円樂一門。昔程きつくはないけれど、
この二派に対してアレルギーを持つ噺家は少なくない。守
ってやるとは言わない。共に矢面に立ち、堂々と受け止めてみせる。江戸時代の佇まいを残すあの場所に、
樂太朗はきっと似合うだろう。
唄丸はポケットからライターを取り出すと、樂太朗の掌にそっと乗せた。これが最後の未練。
煙草よりも大切な未来が此処にある。
「うっかり吸わない様に、見張っといておくれ」
「分かりました」
一生見張りますから覚悟して下さいねと嘯きながら、大切なものを包む仕草で樂太朗はライターを握る。
手の中にあるのがただのライターではなく、唄丸の決意だと知っているかの様だった。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
520風と木の名無しさん:2009/02/16(月) 00:52:46 ID:Z8CnuO40O
>>519
姐さんGJ!
小学生のころからこのふたりがなぜか好きだったんだけど20年近く経とうという今、
ようやくこのふたりに萌えてたからだって気づいたよ…orz クサッタショウガクセイダッタンダナ
ふたりともカワユスなあ、姐さんありがとう
521風と木の名無しさん:2009/02/16(月) 00:53:43 ID:nQXaWuUN0
>>517-519

すっきりまとまってて、読み口さわやか!
しかも師匠も、どの弟子達も、男前!!
勉強になりました。GJ!
522風と木の名無しさん:2009/02/16(月) 03:10:43 ID:MJc57Thl0
>>517-519
かっこいい男達だな〜
いい物読ませてもらった
ありがとう!
523風と木の名無しさん:2009/02/16(月) 10:57:02 ID:k4u0gbhf0
>>517
二人が目の前にいるようだった。
801とか関係なく読める作品じゃないかな…GJ。
524風と木の名無しさん:2009/02/16(月) 11:56:01 ID:qdA8VQ+80
>>517
GJ過ぎる
525風と木の名無しさん:2009/02/16(月) 12:40:02 ID:B8Qxg39s0
>>517
姐さんGJ!!

526風と木の名無しさん:2009/02/16(月) 14:59:54 ID:r+4m/zeM0
容量、そろそろですか??
527風と木の名無しさん:2009/02/16(月) 15:01:48 ID:VVIQb+qT0
480kbか、そろそろやばいかもね
528風と木の名無しさん:2009/02/16(月) 15:14:11 ID:isXGKUmQ0
すいません、そしたらどなたか次スレおねがいします
529風と木の名無しさん:2009/02/16(月) 16:21:34 ID:HtbBRoLr0
530風と木の名無しさん:2009/02/16(月) 17:14:23 ID:FcoCWqP20
スレたて乙ー
531ガソダムZZ ジュドカミ1/4:2009/02/17(火) 00:13:23 ID:2DiKRZfs0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

昔萌えてたガソダムZZ
34話「カミ一ユの声」その日の夜の話

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白い戦艦は静かに夜空を進んでいた。
戦艦内の医務室で、ジュド一はベッドに横たわる小さな少女に語りかける。

「プノレはさ、人の気配っていうのかな、空気っていうのか…
ええと…上手く言えないけど…そういうのって分かるのか?」
うまく言葉に出来ず頭をぐしゃぐしゃとかき乱すジュド一を見て、プノレは微笑んだ。
「分かるよ。目を閉じていても遠く離れても、その人の纏う空気みたいの、分かるよ」
言葉ではあいまいになってしまうイメ一ジが確実に伝わるのは
彼女も『二ュ一タイプ』と呼ばれるものだからだろうか。

「俺、Zガソダム盗もうとした時、コクピットが妙に気になっていてさ」
その気配は、ア一ガマの正式なパイロットとなり、Zに乗って戦っていてもずっと感じていた。
「今日、何故気になっていたのか分かったんだ」
プノレが隣のカ一テンに目線を向ける。
「カミ一ユだったんでしょ?」
隣のベッドで静かに眠っているであろう彼の名。
「……うん」

戦列から離れたZガソダムの元パイロット・カミ一ユが
空襲の最中に行方をくらましたと連絡を受け、ジュド一達は手分けをして彼の探索を開始。
防御の薄くなった隙を突かれア一ガマが襲撃された。
留守を守っていたプノレが整備中だった不自由な機体を駆りながら必死に戦った。
孤独な戦いを強いられた彼女の心の中にメッセージを送り導いたのは、
まさに彼らが探していたカミ一ユ本人の声だったのだ。
532ガソダムZZ ジュドカミ2/4:2009/02/17(火) 00:14:31 ID:2DiKRZfs0
彼はダブリンの海辺で波に濡れるのも構わずに座っていた。
ここからプノレに声を届け、戦いを助けていたのだろうか。
振り返った彼の纏う空気は、間違いなくコクピットで感じたものと同じだった。
あの気配はカミ一ユだったんだ。
Zガソダムはカミ一ユの愛機だもの、そりゃそうだよな。
ずっと引っかかっていた疑問がじわりと融けていった。
けれど胸の奥に柔らかな痛みが残る。今まで感じた事の無い、得体の知れない感覚だ。

「ジュド一」
「ん?」
「ジュド一の痛み、私にも伝わったよ」
大きな緑の瞳が更に見開かれたのを見て、少女は俯いた。

ジュド一はまだ分からないんだね。
ジュド一とカミ一ユの間に地球の重力みたいな力があるのを。
自覚したら、怖いよ。
自分でも訳が分からないくらい、引き寄せられてしまうんだもの。

切ない表情を浮かべるプノレに、ジュド一が慌てた。
「ごめんな。ケガ治ってないのに話し込んでしまったな」
戦闘中に負ったケガを気遣いながら、体を支えゆっくりとベッドに寝かせる。
上掛けを直し、頭をそっとなでるジュド一の掌から彼の温もりが伝わってきた。
「おやすみ。ゆっくり休めな、プノレ」
「うん、おやすみ…カミ一ユの意識が醒めてるみたいだから、様子見てみてね」
「え?話し声で目が覚めちゃったのかな。隣みてから部屋に戻るよ」
「うん…」
533ガソダムZZ ジュドカミ3/4:2009/02/17(火) 00:15:14 ID:2DiKRZfs0
目を閉じたプノレの微かな寝息を確認してから、静かに立ち上がり白い仕切りをそっと開ける。
カミ一ユは虚ろな視線を天井に向けていた。
「ああっ、やっぱり起きてた…ごめんな。もしかしたらうるさかったかな」
脇にあった椅子に腰掛けそっと話しかけると、目線をゆっくりとジュド一に向けてきた。
その瞳は何度も味わった宇宙の無限さ、底の無さと同じで心もとない不安を感じさせる。
上掛けがもそもそと動き、カミ一ユは左手をそっと差し出してきた。
引き寄せられるように掌をそっと重ね、指を絡める。
「なんだか初めて会った時みたいだね、カミ一ユ」

Zガソダムを盗みにア一ガマに潜入したあの日、病院への移送車の中で静かに横たわる彼を見つけた。
それがカミ一ユとの初めての対面だった。
虚空を見つめる瞳。手をかざしてみても何も反応が無くて、ちょっと怖かったのを覚えている。
少しでも生きている反応が欲しくて、口元に掛かる上掛けをのけてみると、
遠くを見ていた視線を確実にこちらに向けてきた。
何故あの時、彼が差し出した手を取ったのだろう。
今になってみると不思議に思うけれど、あの時は何も疑問を持たずに指を絡ませた。
そうしてふれ合った掌から、一瞬にして宇宙に飲み込まれたのだ。
暗い青と瞬く星の光。彼が見せてくれた宇宙のビジョンを鮮やかに思い浮かべながら、
ジュド一は目を閉じて心の中で語りかける。
534ガソダムZZ ジュドカミ4/4:2009/02/17(火) 00:16:04 ID:2DiKRZfs0
ブライ卜艦長やア一ガマの人達からあんたの話を色々聞いたよ。
あんたも大切な人たちを護りたかったのに、戦争でたくさん失ってしまったんだね。
だからこんな風に心が壊れてしまったんだ。
俺も…妹を失ってさんざん泣いて、あんたのような悲しみを抱える人を
これ以上増やしては駄目だって、ようやく分かったんだ。

ジュド一の言葉に反応するかのように重なった手がじわりと温かくなる。
Zのコクピットに乗るたびに感じた穏やかな波動が、体中を駆け巡る。

あんたは…Zに導かれた俺を護っていてくれたんだな。

彼の優しさをもっと受け止めたくて、握りしめた手を額に押し当てた。
俯いた瞬間雫がこぼれる。静かに一筋だけ。涙は妹を失った時に枯れたとばかり思っていたのに。
優しい思いに包まれて流れる涙があることを、ジュド一は初めて知った。

「もう一度会えて良かった。ずっとあんたに会いたかったんだ、俺」


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

儚げな電波カミ一ユと、純粋にヌータイプの先輩を慕うジュドがたまらなく好きですた。
535匿名係帳 杜脇→只乃 杜脇一人H 1/10:2009/02/17(火) 01:07:13 ID:uimHNDIa0
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
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       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│男女エロの描写が含まれてるので注意
                └───────────────
536匿名係帳 杜脇→只乃 杜脇一人H 2/10:2009/02/17(火) 01:07:32 ID:uimHNDIa0
壁に貼り付けた集音器から、派手な喘ぎ声が届く。

毎度の素行調査任務に、只乃と杜脇、二人で乗り出して3日目だった。
このホテルに入るのも3度目になる。
若い女にハマって、会うたびに財布の中身を搾り取られている男の変わり映えの
しない行動と、女のわざとらしい大げさな喘ぎに、只乃はすっかり飽きているらしい。
隣の部屋であんあんと始まったのを確認してすぐ、盗聴を杜脇に任せてイヤホンを外し、
只乃は寝てしまった。
女の演技を聞き分ける耳を持ってない杜脇は、下半身がより単純なせいもあって、
横になろうとする只乃にちょっと文句を言ったきりで、あとは夢中で聞き耳を立てている。
行為は毎度長い。
ご休憩の3時間をフルに使うのが分かってるから、只乃も悠々と寝られるのだ。
女のほうもよく付き合っていると思う。 …支払われてる金額に見合う苦労でもないが。
特に尾行の収穫がないのもあって、そんなことを考えてるうちに、只乃はすぐ眠りに引き込まれた。
537匿名係帳 杜脇→只乃 杜脇一人H 3/10:2009/02/17(火) 01:07:56 ID:uimHNDIa0
「うっわ、何してんだろ…、すげぇ声」
聴いてるだけで、頭の中が妄想でいっぱいになってくる。
ホテルに着くまでもべたべたといちゃついていた女の顔と、AVや何やらで培った
脳内データが合わさった妄想が繰り広げられて、杜脇の呼吸は荒い。 というか、
既に下半身にキている。
盗聴を一人で押し付けられた杜脇のほうは、そんな感じで真面目に不真面目に、
イヤホンに耳を傾けていた。
時々ちらちらと只乃のほうを見るのは、只乃が本当に眠っているのか疑っているからだ。
こういうエロティックな物事に弱い杜脇は、こんな声を聴いていながら、平然と眠れる只乃が
信じられない。
横になってから数分も経たないうちに、只乃は寝息を立てはじめていた。
「(本当に寝てるんだ…)」
と少しばかり尊敬の念を深めた途端、音が途切れていたイヤホンから、さらにあられもない
声が聴こえ始めた。驚いて向き直ると、声以外にも粘性の水音と、肉の打ち合わされる
激しい音がする。
いよいよ本番が始まったらしい。
「おわ……」
意味も無く、壁に耳を近づけてしまう。
どんなリズムで突かれているのかを聴かせたがっているような断続的な嬌声と、体液の
ねばつく生々しい音は、隣室で行われていることをリアルに想像させる。
Gパンの前がきつくなってきた杜脇は、トイレに向かおうとイヤホンに手を掛け、…思い直した。
いつもは只乃が隣にいるから、わざわざトイレまで行かないといけないのだ。
只乃が起きて気づかれたら怒られるかもしれないが、起きて見ている前でやろうとしている訳では
ないのだし、どうせなら声を聴きながらのほうがいいに決まってる。
思いつきを自分に納得させると、申し訳程度にためらってから、杜脇はジッパーに指を掛けた。
538匿名係帳 杜脇→只乃 杜脇一人H 4/10:2009/02/17(火) 01:08:15 ID:uimHNDIa0
控えめに前をくつろげて、下着の中から自分のものを取り出す。窮屈でやりにくくはあるが、
只乃の横で、あまり堂々とやるわけにもいかないという微妙な遠慮だった。
ふぅ、と息を吐き出す。
只乃の様子を窺い、変わりがないのを確認すると、耳に意識を集中した。
タイミングを計って、女の喘ぎに合わせるようにして扱き上げる。
妙な昂揚感が強い。声を漏らさないように堪えながら、また只乃を窺う。
女の声をリアルタイムで盗み聞きながらという状況もあるだろう。しかし理由の多くは、きっと
後ろめたさからだ。
例えその場を見つかったとしても、別に強く怒られる訳でもない。一人遊びを見られて恥ずかしい
というほどの仲でもない。長い付き合いだ。 裸の付き合いだって、同じくらい長い。
それでも隣で何も知らずに寝ている人間がいるというのは、強い緊張感と、それに伴う快感を
もたらした。
もし異様な雰囲気に気づかれて、只乃が目を覚ましたら。
あの横顔が目を開ける。それから杜脇の気配に向かって目を向けるだろう。
見られる。
思わず、漏れる息が震えた。
途中でやめられるような状態じゃない。 今、見られたら。
背を丸めて脚の間で扱いていても、何をしてるかなんて一目瞭然だ。先走りが全体に広がって、
だんだん音も大きくなってきていた。
軽い罪悪感はスパイスになるものだと聞いていたが、まさかそれくらいでこんなにも悦くなる
ものだとは思わなかった。
くらくらする。これじゃあ、いつ、殺しきれなかった声で起こしてもおかしくない。
539匿名係帳 杜脇→只乃 杜脇一人H 5/10:2009/02/17(火) 01:08:35 ID:uimHNDIa0
『お前、ホントに単純だよな。こんなもん何度も聴いてるだろ?』

ほんのちょっと前、横になる前に只乃が言っていた台詞が、不意に脳裏に蘇る。
『ほっといてくださいよ、先輩だって最初は熱心に聴いてたくせに』
『ちょっと聴けば判るだろーが。 演技だよ、演技。真面目に聴いてんな』
そう言って只乃は足を上げ、からかうように杜脇の膨れた股間を靴先でくいくいと押した。
『ちょっ…!!』
焦って股間をかばう杜脇をけらけらと笑いながら、イヤホンを放り出すと只乃はごろりと
ベッドに転がった。
『せ、先輩…、まさか寝ちゃうんですか』
『二人揃って、膝を正して聴かなきゃいけないようなもんじゃねぇだろ。どうせいつもと変わらねえよ』
『そんなの分かんないじゃないですか』
『何かあったら、お前が知らせりゃいい。 んじゃ任せた』
『………』
ひょいと手を振って、只乃は目を閉じた。
540匿名係帳 杜脇→只乃 杜脇一人H 6/10:2009/02/17(火) 01:08:54 ID:uimHNDIa0
「…………っ、はぁっ、 く……」
慌てて股間を隠したのは、只乃に踏まれると思ったからじゃない。
本当にやばかったからだ。
靴裏で刺激されて、自分はマゾだったのかと勘違いしそうになるくらい、大きく反応した。
だから反射的に隠した。 気づかれちゃ、まずいと思ったからだ。

「…は、 ぁ、はぁ…、ぅ…っ…ふ」
上体を折り曲げて、頬を枕に押し付ける。
乱れた呼吸がシーツから跳ね返って、さらに息が苦しくなる。
気がついたら、顔は只乃のほうを見ていた。いや、さっきからずっとだ。
女の声は聴こえているが、目は只乃の横顔をずっと辿っている。
やばい。
頭のどこかで警鐘が鳴っている。 何がかはわからないが、何かヤバい。確実に。
でも目を逸らせない。
起きそうだったら、すぐに気づきたいからだ。目を覚ますかもと思うと興奮するからだ。 ――確かに
その通りだったが、既に何かが違っていた。
起きろ、気づけ。
起きるな、何も見るな。
相反する望みが同時に頭を回り、それにも煽り立てられて手の動きが激しくなる。ぐちゃぐちゃと
すごい音がする。
本当にまだ気づかないのか? 瞼は震えもしない。
音が気にならないのかもしれない。隣で同じような音が繰り広げられてるからかも。
…でも、寝ているふりをしているだけかも。
もうどっちだっていい。 限界は近い。

視線を逸らせないのはもう解かっていたから、むしろ食い入るように見ていた。
女の声は聴こえているのかどうか、よくわからなかった。自分の立てている音のほうがでかくて。
「……っ…!」
くる。あと一押しで。 絶頂感を前に、息を詰める。
その、 視線の先で。
541匿名係帳 杜脇→只乃 杜脇一人H 7/10:2009/02/17(火) 01:09:17 ID:uimHNDIa0
「――……ッく、ぅ…!」
勢いよく、枕の上まで飛んだ。
自分の顎にもかかった。Gパンにも。
タイミングが外れて、手のひらで先端を覆う暇もなかった。
「…んー……」
「ぅ、わ…、ぎゃあぁ…っ」
必死になってボックスティッシュに手を伸ばす。数枚むしり取るが、間に合わなかった。
拭くより早く、目を覚ました只乃が身を起こす。
「――ん。
 ………おい…、杜脇、お前なぁ…」
「す、すみません」
渋面で鼻をつまみ、もう片方の手でぱたぱたと臭気を払う仕草に、杜脇はぜぃぜぃと息を切らし
ながら心底頭を下げた。 謝罪の理由はちょっと違う。
「横着してんじゃねえ」
べしっ、と額を叩かれて、もう一度頭を下げる。
「す、…すいません……」
内心、いくら謝っても足りないと思っていたが、不審がられるのもマズかった。
早く話を切り替えなければと思うが、何も浮かばない。余韻と、一気に正気に戻された混乱で、
全部吹っ飛んでいる。
と、只乃のほうから話を振ってきてくれた。
「おい。そっちの状況はどうだ」
言われてようやく耳に嵌まったままのイヤホンの存在を思い出す。
「…え、ぁ、ま、まだ続いてます。第二ラウンドっぽいです」
「ま、時間からすりゃそんなもんか。まだ終わりそうにないな」
「そうですね…」
「しょうがねーな。 じゃ、ちょっくらタバコ買い足してくるわ」
「あ、はい」
「今度は真面目に聴いてろよ」
笑う声でからかわれる。
杜脇は身を小さくして、神妙に「は、はい」と答えるしかない。
542匿名係帳 杜脇→只乃 杜脇一人H 8/10:2009/02/17(火) 01:09:39 ID:uimHNDIa0
財布の入ったコートを掴んで、只乃が部屋を出て行った。

それでやっと、息をつく――間もなく、急いで窓を開けに走る。
只乃はタバコと理由をつけていたが、実際には臭いの残る部屋で寝直したくなかったのだろう。
軽く考えていたが、とんでもないことをしてしまった。 というか、とんでもない結果がついてきて
しまった。 だが、それについては、まだ考えるのを保留したいところだった。
窓を出来る限り開け放ってから(全開できない造りだった)、サイドボードにあったおしぼりで、
飛び散った飛沫を拭き取る。
その途中で青ざめた。
出しっぱなしだった。
適当に拭って身支度を整えると、ほどなくして、只乃が帰ってきた。

「変化は?」
「無いです。…あの、ホントにすみませんでした」
「あぁ、もういい」
換気はそれなりに効果があったらしく、只乃は気にした様子もなく、またベッドに寝転がった。

「…先輩、また寝るんですか?」
「別にいいだろ。連日で疲れてんだよ」
「それ言ったら俺だって…。……別にいいですけどね」
「そーだろうよ。 元気いっぱいじゃねえか」
「っ…、 ……勘弁してくださいよー」
思わず俯けていた顔を上げると、只乃はもうこっちに背を向けて寝る体勢に入っていた。
「んじゃな。 おやすみ」
「………はい」
543匿名係帳 杜脇→只乃 杜脇一人H 9/10:2009/02/17(火) 01:09:57 ID:uimHNDIa0
…複雑だったが、安堵のほうが濃い。
自分でも整理しきれていない状況で、只乃に知られるなど、これ以上厄介な要素に出てきて
ほしくはない。

心臓が、さっきより強く脈打ってる気がする。
ぶんぶんと頭を振っても、さっき見た映像が頭を離れない。
――タイミングが、悪かった。 いや、良かった。…違う、圧倒的に悪い。
こともあろうに、達く直前に。
只乃が目を覚まし、だが目を開ける前に―――、口が開いて……なぜかあくびをした。

開いた口から舌先が覗いた。
閉じたままの目元、睫毛の合わせに、うっすら涙が浮いた。
……それだけだ。
言ってみればそれだけのことで、だが、充分に致命的だった。

殴られたあとのように、心臓が重く脈打つ。 速く、強く。
傷みの深さを訴えるような脈動は、これからその傷が、時間を置いて効いてくると言っている
ようだった。
544匿名係帳 杜脇→只乃 杜脇一人H 10/10:2009/02/17(火) 01:10:16 ID:uimHNDIa0
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545風と木の名無しさん:2009/02/17(火) 10:12:36 ID:Hyfe+1XV0
現在497kb。
546風と木の名無しさん:2009/02/17(火) 13:20:47 ID:YtB0yexDO
うめ?
547風と木の名無しさん:2009/02/17(火) 14:47:15 ID:MxBRis4uO
548風と木の名無しさん:2009/02/17(火) 17:43:34 ID:GHsJnIsS0
>>517-519
この2人大好きですご馳走様
549風と木の名無しさん:2009/02/17(火) 19:24:35 ID:c7yujKtC0
>>535
うおお原作知らんが萌えた!GJ!
550風と木の名無しさん:2009/02/17(火) 20:45:23 ID:s99p/2ssO
うめうめ
551風と木の名無しさん:2009/02/17(火) 22:13:45 ID:YzLUl6tx0
うめうめ
552風と木の名無しさん:2009/02/17(火) 22:25:58 ID:D81R9KsE0
梅の花がほころぶ季節になりました
553鳳  粕×和歌 :2009/02/17(火) 22:39:57 ID:ZVMJ+DJ00
                 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |   芸/人 オー/ドリーの粕×和歌だモナー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 歌へた王前話だって
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
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554鳳  粕×和歌 1
やぁ、腐女子の皆さん、本物の粕画ですよ。



先日の歌へた王で、どうやら世間の皆さまも和歌囃子もまたポンコツであると知られていたのではないでしょうか。
東洋一の突っ込み・粕画もこの風潮により、鳳がさらに飛躍していくことを望んているのですよ。
どうやら土器喜屋武サトミツ君あたりを誘ってカラオケの練習をしたようです。
ふむ、それなら粕画も和歌囃子の練習につきあおうじゃないかと、収録前に彼が訪れているというカラオケBOXを訪れてみました。
粕画が現れた時、驚いていたのはサトミツ君でありました。
もう、夜も深くなっていましたからね。






この百合コンビの仲の良さは粕画も公認なのですよ。なんという懐の深さ。
いえね、だって、サトミツ君の和歌囃子への執着など、女子高生の百合妄想にすぎないレベルであると粕画は見抜いております。
粕画のへの欲望はガチです。私は和歌囃子がいなければ一生をポンコツ芸人として過ごすことなどは無理でございます。和歌囃子との別れを避けるためならば、1000円札を握りしめ、ストーキングすることなど、何の問題もございません。

「なんだテメー、俺のこと笑いに来やがったのか!?」
カラオケBOXの狭い一室で、和歌囃子はサトミツ君を従え、何回も何回も何回も「奇跡」を歌っているようでした。
これがまた何度聞いてもうまくもならず、壊れるわけでもなく、ひどいものであります。
私は数回でゲンナリいたしましたが、サトミツ君はずっとつきあっていたようです。
「砂糖君、、明日も早いんだろう?あとは私が和歌囃子につきあっておくから、もう帰ってもいいですよ」
するとどうでしょう、サトミツ君の「今頃相方が現れやがってなにカッコつけてんだこの野郎」的な視線を感じました。
ふふん、そのような攻撃に屈するほどヤワな粕画だと思っているのかねサトミツ君。
この万年中二病のガラスの30代を扱えるのかね。粕画はそんなガラスの30代に扱ってもらっているのだ。君みたいな眼鏡イケメンに負けるわけにはならないのだ。
「うちでネタ合わせがあるから、サトミツ君は帰りなさい」