モララーのビデオ棚in801板44

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1風と木の名無しさん
.   ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ |  </LトJ_几l_几! in 801板
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]._\______   ____________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_|| / |/    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |[]_||
    |[][][][][][][]//||  | ̄∧_∧     |[][][][][][][][].||  |  ̄
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    (__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板43
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1227186819/

ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり

保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/
2風と木の名無しさん:2008/12/16(火) 19:02:29 ID:hAcmkjP/0
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★

1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。

(1)長時間に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>3->>7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。

※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。

相談・議論等は避難所の掲示板で
http://s.z-z.jp/?morara
3風と木の名無しさん:2008/12/16(火) 19:03:09 ID:hAcmkjP/0
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4風と木の名無しさん:2008/12/16(火) 19:03:42 ID:hAcmkjP/0
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5風と木の名無しさん:2008/12/16(火) 19:04:17 ID:hAcmkjP/0
テンプレ2
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └───────────────

          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘
6風と木の名無しさん:2008/12/16(火) 19:05:36 ID:hAcmkjP/0
テンプレ3
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
7風と木の名無しさん:2008/12/16(火) 19:07:50 ID:hAcmkjP/0
テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
8風と木の名無しさん:2008/12/16(火) 19:08:34 ID:hAcmkjP/0
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________
9風と木の名無しさん:2008/12/16(火) 19:09:08 ID:hAcmkjP/0
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)
10埃.及神話 彫栖×瀬斗6 1/5:2008/12/17(水) 23:21:25 ID:SwVaKEOC0
1さん乙です。早速ですが使わせていただきます。
前スレの続きで埃.及神話の甥×叔父。精神的には叔父の兄(甥の父)←叔父も。
獣面人身神の擬人化など自分設定多数注意。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 衣の長い裾がさらさらと擦れる音をたてながら、瀬斗は朝食の席へ向かう。
 斗々が図ってくれたのだろう、肩につけられた歯形やあちこちに散った赤い痕はすっかり
消え、肌は元通り滑らかに張っていた。外から見れば何が起こったとも知れないのだろうが、
腰の奥が微かに痛むたび、瀬斗の脳裏にはあの絶え間ない蹂躙がよみがえる。甥の細
い指に触れられた肌を晒すのに何となく抵抗を感じ、普段に着ている腰巻ではなく裾の長
い長衣を選んで纏った。白い亜麻の生地は柔らかく身体を包み込み、少しは気分が落ち着
くような気がする。
 忙しく働いていた召使い達が、瀬斗の姿を認めた途端、揃って恭しく頭を下げた。食卓に
ついた瀬斗の前に、次々と朝食の皿が運ばれてくる。あたたかい湯気を放つ豆のスープ。
香ばしく焼きあがった白身魚のソテーにはクミンの香り高いソースがかかっており、その隣
には赤や緑の具材と共にスープで炊きあげた米が形良く盛りつけてある。更にその横には、
純白の器にたっぷり盛られた――瑞々しいレタスの葉。
「――……ッ」
 思わず俯いて口元を押さえた。瀬斗は顔をしかめ、オイルドレッシングをかけられて一層
青々と輝いているレタスを視界に入れないようにしながら召使いに声をかける。
「……おい、これを下げろ。私の食事に金輪際レタスを出すんじゃない」
「は、しかし……?」
 召使いは怪訝な顔をする。それも当然だ、レタスは好物だから毎朝出すようにと命じてい
たのは瀬斗なのだから。
11埃.及神話 彫栖×瀬斗6 2/5:2008/12/17(水) 23:23:29 ID:SwVaKEOC0
「……この私が、出すなと言っているんだ」
「か、かしこまりました」
 レタスの皿が下げられ、代わりにドライフルーツが数種類盛りつけられた小皿が運ばれて
きた。干しイチジクをひとつつまんで口に入れ、ろくに噛みもせずに無理に飲み込む。特有
の強い甘味は好きだった筈なのに、今はその濃厚さが口に粘つくようでひどく不快だった。
絞りたての新鮮なミルクも、何かを思い出させるようでとても飲む気がしない。熱いスープを
一口、二口啜っただけで、瀬斗は食卓に手をついて立ち上がった。
「……下げていいぞ。今朝は食欲がない」
 吐き捨てるように言いながら、瀬斗は胃の中でごぼ、と嫌な音がするのを感じた。


 廊下の角を曲がって執務室の扉が見えたとき、瀬斗はふと違和感を覚えた。執務室の前
にはいつも番の者が二人立っている筈が、今日に限ってそこに人の姿がない。細かな文
様が彫り込まれた重厚な扉が、やけにはっきりと瀬斗の目に映る。
 ――まさか。
 頭によぎった嫌な予感に息を飲む。瀬斗は神経を研ぎ澄ませながら扉の前に立ち、ゆっく
りと取っ手に手をかけた。ひんやりとした金属の感触。自分の手で執務室の扉を開けるな
ど、一体何年ぶりだろうか。意を決して手に力を加えると、微かに軋んだような音がして重
い扉が開いた。
 まず目に入ったのは大きな執務机。その奥の椅子に座す男の人影があった。上下埃及
の王以外座すことのできない筈のそこに座っていたのは――ああ、やはりこの男か!
「あれ、いらしたんですか、叔父貴。意外ですね、今日ぐらいは休んでいても良かったのに」
 彫栖は手にしていたパピルスの厚い束から顔を上げ、瀬斗に微笑みかけた。裸の胸元に
は金の薄い板が何枚も重ねて連ねられた豪奢な首飾りが輝いている。自信に満ちた笑み
は、まるで何十年も前からそこに座っているかのようだった。
12埃.及神話 彫栖×瀬斗6 3/5:2008/12/17(水) 23:25:44 ID:SwVaKEOC0
「何故貴様がそこに……!」
 声を荒らげる瀬斗を彫栖はふん、と鼻で笑い、書類の束を机の上に投げ捨てて、ひどく挑
戦的な目つきで瀬斗を見た。
「人の噂というのは簡単に広がるものですね、叔父貴」
 問いの答えにはなっていなかったが、彫栖の言わんとするところは明白だった。昨日の法
廷で彫栖が語ったことは、既に臣下や兵士たちに広がりつつあるのだろう。つまり、「王は
甥の彫栖に屈してその身を捧げたのだ」と――。
 彫栖はくすくすと笑いながら続けた。
「ここを守っていた番の者も、あっさり私を通してくれました。皆、あなたが王位を退くのも時
間の問題だと思っているようですね。まあ、“ちからつよき瀬斗王”がよりによって甥の夜伽
をしたとなれば、権威も糞もなくなるのは当たり前のことでしょうが」
 あからさまな挑発だった。瀬斗は今にも震えそうになる拳に力を込めて必死で押しとどめ
る。瀬斗が大声で罵倒しようが殴りかかろうが、それは彫栖の高慢な笑みを更に深くするこ
とにしかならないのだ。強く唇を噛んで耐え、瀬斗はやっと低く押し殺した声を絞り出した。
「……そこをどけ。貴様が何と言おうが王は私だ」
 彫栖は面白そうにちょっと片眉を上げ、
「確かに叔父貴の言うとおりだ。少なくとも、今はね」
 意外にも素直に席を立った。そして、執務机の上にあった書類の束を無造作に瀬斗に手
渡す。書類を何枚か捲って、瀬斗は声を失った。
「……っ!」
 見覚えのない数々の報告書や起案は、昨日か今朝早くこの部屋に届けられたものに相
違なかった。王に宛てた書類を他人が先に読むなど、許されていい筈がない。
「そう怒らないで下さい。私にも無理をさせた自覚はありますからね、叔父貴の手間が少し
でも減るようにと思って、ちょっと目を通しておいたんです」
 彫栖は悠然と言ってから、金色の片眼をきらりと光らせてわざとらしく付け加えた。
「それに、どうせ私が引き継ぐ仕事ですから」
13埃.及神話 彫栖×瀬斗6 4/5:2008/12/17(水) 23:29:50 ID:SwVaKEOC0
 彫栖は瀬斗の横から書類を覗き込むようにして、手を伸ばして書類を捲ってみせる。肩に
彫栖の息がかかりそうな近さに、瀬斗は反射的に身体をずらして距離をとった。
「私が見た限りですが、上から重要度順に。こちらは例の大蛇に不穏な動きが見られると
いう報告です。こちらは尼羅の増水期の予測と暦の修正案。こちらは太陽神殿の整備につ
いて。急ぎのものはこの三件でしょうね。太陽神殿については午後に羅亜様とお話をなさる
ということですので、一応最後に必要そうな資料を揃えておきました」
 瀬斗は書類を捲って素早く目を走らせ、そして再び絶句した。今日これから斗々に手伝わ
せて揃えようと思っていた資料が、過不足なく全てそこに揃えられている。執務に関わる膨
大な書類は斗々の手によってこの部屋の棚に丁寧に分類されてはいるが、多岐に渡る書
類の分類は非常に複雑で、何よりも量が量だ。どこにどのような書類があるかは一目見て
簡単に把握できるようなものではない。今日初めてこの部屋に入り、朝から今までに一人で
必要書類を揃えたとすれば、その能力は恐ろしいというより他ない。瀬斗は背筋がぞっと寒
くなるような感覚を覚えた。
「さあ、これで少し時間が空きましたね。せっかくですから一緒に遊びましょうか?追いかけ
っこなどいかがです?」
 一言も発せない瀬斗を意にも介さず、彫栖はいかにも愉快そうに笑って口元を手で隠すよ
うな仕草をした。
「そうですね……叔父貴もこれを見たら、追いかけずにはいられなくなると思いますけど」
 彫栖は冷たく微笑み、その唇をゆっくりと開いて紅い舌をのぞかせた。ぬめったように光る
舌の中央に、何かきらりと光るものがある。硬質に光る羽と六本の足、小さな頭。一瞬本物
の甲虫かと見えたそれは、金と水晶で造られたスカラベ型の印璽だった。
「貴様、それは……っ!」
 咄嗟に手を出したが、彫栖はすぐに口を閉じて片手で口元を押さえた。伸ばしかけた瀬斗
の手が行き場を失って空を切る。
「いけませんね。あんまり大声を出したら驚いて飲み込んでしまうかもしれませんよ」
14埃.及神話 彫栖×瀬斗6 5/5:2008/12/17(水) 23:31:58 ID:SwVaKEOC0
 蜜菓子でも舐めているかのような舌っ足らずな発音が余計に瀬斗を苛立たせた。玉座に
座り、王に宛てた書類を勝手に読むのみならず、玉璽を奪って舌の上で弄ぶなど、ここまで
の不敬を働いた者がかつてこの埃及に存在しただろうか?
「安心して下さい、今夜にはきちんとお返ししますから。これがないと決裁が進みませんからね」
 “今夜”と言った意味ありげな彫栖の目つきに、瀬斗の腰から項までを悪寒が駆け上がっ
た。薄い皮膚に歯を立てられる痛み、身体の奥を侵略される感覚、擦れ合う粘膜の熟れた
ような熱さ――。陵辱の記憶が、生々しく頭に蘇っては消える。瀬斗は吐き気を堪えて唾液
を飲み込んだ。
「ああ……なんだ。随分きれいになってしまいましたね。これは斗々が?」
 ぴたり、と、彫栖の手のひらが瀬斗の二の腕に触れた。瀬斗は咄嗟に動くことができない。
彫栖の手はするすると腕を撫で上げ、肩の衣をずらす。歯形も爪痕も残っていない肌を見
て、彫栖は少し苛立たしげに小さく舌打ちをした。
「せっかく、痕を残すようにしたのに」
 彫栖がすっと肩口に顔を伏せ、直後、唇の感触と鈍い痛みがそこに走る。唇を離したその部
分には、くっきりと赤い痕が咲いていた。
「っ、貴様……!」
「では、また今夜」
 彫栖は餌を独り占めした動物のような満足げな表情で微笑むと、くるりと背を向けて執務
室を立ち去った。

 音を立てて閉まった重い扉を見つめながら、瀬斗はじんと痛む肩の印を指先でなぞる。微
かに湿った感触が、指先に絡んだ気がした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

中途半端なところですが、だんだん書きたいことが増えてきてしまってあと数回で終わりそうもなく、
いつ終わるともしれないものにこれ以上棚を使わせていただくのもご迷惑かと思うので、サイトを作ることにしました。
もし興味がある方がいらっしゃったら、捨てアド晒しますのでこちらまでご連絡下さい。
lettuce_batakeアットマークyahoo.co.jp
今まで読んで下さった方々に、また棚という場に大変感謝しています。ありがとうございました。
15風と木の名無しさん:2008/12/18(木) 13:24:04 ID:3EY7b4lO0
>>10
姐さん長い間乙でした。レタス畑ww

神話の神様たちって普段は一体どういう生活を送っているんだろう、
という長年の疑問が今回の話を読んで氷解した。GJ。
16風と木の名無しさん:2008/12/18(木) 14:14:15 ID:0kfEn2T1O
>>10
お疲れ様!

レタスがトラウマになっちゃった叔父かわいいよ叔父
17風と木の名無しさん:2008/12/18(木) 18:50:16 ID:j2h4Iy730

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ドラマ「相某」昨夜放送分の後日談。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  後輩目線から見た匿名二人(ってかウキョさん)。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄
18憧憬1/2:2008/12/18(木) 18:52:24 ID:j2h4Iy730
決して配属されたくなったわけではない。
当たり前だ。
「人材の墓場」とまでいわれた所なのだから。
・・・いや、ここ数年は違ったが。
組織捜査が主の系札で、傍若無人に、でも間違いなく犯人を挙げて
いった彼ら。

その姿は自由だった。

まぎれもなく、自由だったのだ。
何故彼らが自由だったのか、問われれば俺は最初のうちは警部の名
を挙げていただろう。
それに瓶山先輩が振り回されているのだ、と。
でも今なら断言できる。
二人だからこそ、自由だったのだ、と。
孤独でも孤高でもなく。

そうして散々その姿をみせつけたあとで、先輩はふいに姿を消して
しまった。
俺達の前から。
19憧憬2/2:2008/12/18(木) 18:53:28 ID:j2h4Iy730
もともと俺達と警部の間にそう接点があるわけではないのだ。

生活安全課と捜査一課。
キャリアとノンキャリ。

警部は当然だが俺達の受け持っている事件全てに絡んでくるわけで
はない。
そんな俺達と警部を結んでいた者。
それが瓶山先輩だった。




瓶山先輩が系師庁から姿を消して、警部とも疎遠になったある日。
遠くを行く警部を見かけた。
ピンと張った背筋。
無駄のない歩き方。
たった一人、前を向いて歩く。
その姿に。

(・・・先輩の大馬鹿野郎)
少しだけ、そう思った。

その、痛いくらいに孤高の強さを纏った背中に。
20風と木の名無しさん:2008/12/18(木) 18:57:37 ID:j2h4Iy730

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 正月SP始まる前にやっちまえと思って書いた。後悔はしていない。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


  最初sage忘れたのは反省してます。
  ちょっと逝ってきます。
21風と木の名無しさん:2008/12/18(木) 20:36:38 ID:3f0+dmGy0
>>17
昨日ボロ泣きしたのが蘇ってきた・・・!GJ!
22風と木の名無しさん:2008/12/18(木) 23:01:24 ID:jtxQSx850
>>17
GJ!! 正月SPの間の2分でいいからこういうシーンを入れてくれハム式…
23オナホ 1/10:2008/12/19(金) 00:00:34 ID:9h8Emo420
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナル。現代モノ。その後。


全自動セルフプレジャーマシンといえばドイツのKohlだ。
実験や試作を重ね、膨大な時間とエナジーをかけて生み出された他社の追随を許さないマシン。
それがコール社のセルフプレジャーマシンだ。セルフプレジャーとは平たく言えばオナニーを意味する。
オナニーを大まかに分けると2種ある。手を用いるものと道具を用いるものだ。
道具を用いる場合、「持ってする」か「置いてする」かで動かす部位が異なる。持ってするなら「手」。置いてするなら「腰」だ。
それから価格も異なる。「置いてするタイプ」は値が張る。リーズナブルなのは、オナホを持ち、自分の手で動かす「持ってするタイプ」だ。
「腰」を動かして快感を得たいが、財布が淋しいユーザーのために、持ってするタイプを固定する専用のホルダーも市販されているが、
通は存在感と重量感のある「置いてするタイプ」に挿入し腰を振る事に悦びを見出す。
ドイツのコール社はオナホの世界シェア第1位だ。持ってするタイプも置いてするタイプも
固定用ホルダーも扱っているが、一番人気は全自動セルフプレジャーマシンだ。手でオナホを持って動かすのも、
挿入して腰を振るのもわずらわしい時、スカッと抜いてくれる手軽さ、手で持ち動かすより、腰を振るより心地よい具合の良さ、
それと知らなければ何かわからないスタイリッシュなデザイン、実によくできた語りたくなるマシンだ。
ただ高い。それからメンテナンスも必要だ。より手軽に使える衛生的で心地よい次世代オナホをコール社はいま模索している。
24オナホ 2/10:2008/12/19(金) 00:01:15 ID:9h8Emo420
自社のオナホ部門をコール社に売却した後、株式会社志井商事・代表取締役社長は、
それまでオナホ部門を率いていた息子に今後のビジョンを語った。曰く、餅は餅屋。
コンドーム屋はコンドームを、オナホ屋はオナホをつくるのに邁進すべきだとのこと。
社長は更に言葉を重ねた。時代はエコだ。オナホをコンドームの様に使い捨てるのは時勢にそぐわない。
オナホはロングライフデザインであるべきだ。使い捨てるべきはコンドームでありオナホではない。
「コンドームの志井」はオナニー専用のコンドームをつくる。
「オナホールのコール」はコンドーム着用で使用するネオ・オナホをつくる。
「オナホはコンドームを着用して使用する方がキレイで気持ちいい」という新たな常識を志井のコンドーム×コールのオナホで世に定着させる。
その方向でコールのミハエルと意見の一致を見た。お前はコンドームの志井の名にかけて
オナニー専用のコンドームを開発しろ。チーム・オナ専を率いてくれ。要約するとそんな話だった。
ゲーム好きの株式会社志井商事・代表取締役社長は、「M」で始まる250万本売れたキラーソフトが、
パッとしなかった「P」ではじまるハードの売り上げに貢献した様に、
コールのネオ・オナホを一気に広める起爆剤となるコンドームを開発したいのだと夢の共存共栄を語った。
常務の職を辞し、干される覚悟を決めていた社長の息子は、自分が新チームを任されたことに目を見開いた。
それから一拍ほどおくれて父がコール社の業務執行取締役を「ミハエル」と親しげに呼んだことに驚き、
三拍おくれて、父とコール氏のビジョンに驚愕した。
オナニー専用のコンドームとコンドームを着用した方が具合のいいオナホを、
オナホのプロとコンドームのプロが手を携えてつくる。それはとても素晴らしいことに思えた。
役員からは外れたが志井商事の基幹社員であることは変わらない!
コンドームの志井の社員として胸を張れるオナニー専用コンドームをつくろう。今度こそはと志井は誓いを新たにした。
はくだけで気持ちいい着圧ソックスのように、着けた方が気持ちいいコンドームを、きっと具現化してみせる。
25オナホ 3/10:2008/12/19(金) 00:02:07 ID:9h8Emo420
そういうわけでドイツと日本を往復する毎日がはじまる旨、志井から聞かされた三鷹は眉を顰めた。
ドイツには三鷹の元同僚で志井の元部下であるデザイナー六六六がいる。
六六六はノーマルな男だが志井の奇異な生活改善に乗り出す程度に志井に関心があるらしい。
志井の部屋には六六六がドイツに立つ前、「向こうの部屋には備え付けの家具があって、置き場がないんです。
どうしても手放したくないので帰国するまで預かっていただけませんか? なんなら使ってください」と、
苦しい言い訳をしつつ置いていった寝心地のよさそうなポケットコイルマットレスのベッドがある。
窓際には「処分するのが忍びないんです。ときどき水を……」と置き去りにした大きなオーガスタの鉢もある。
三鷹は思う。預かる志井も志井だ。預かったなら責任をもってオーガスタの世話をしろといいたいが、
志井はときどき水遣りを忘れる。見かねた三鷹が水をやっていると知ったら六六六は嘆くだろうか。
それとも殺風景な志井の部屋にこの南国産の緑が枯れずにあることを良しとするだろうか?
鉢底から根が見えたら鉢替えのサインらしい。この分だと鉢替えも三鷹がやることになりそうだ。
いや、六六六のことだ。鉢替えにかこつけて一時帰国するかもしれない。
逆光にきらめく眩い緑の葉に目を細めながら三鷹は寝袋から這い出した。
六六六が置いていったベッドはカバーをかけられたまま、一度も使われていない。
志井は相変わらず寝袋を常用している。だから志井の部屋に泊まる晩、三鷹は寝袋を持参する。
それぞれの寝袋に入ってアザラシのようにリビングでごろごろする。そんなある意味健全な週末を、最近、三鷹は志井と過ごしている。
26オナホ 4/10:2008/12/19(金) 00:02:49 ID:9h8Emo420
三鷹は通算2度志井にふられた。2度目にふられたとき、半端な幕切れは嫌だとおもった。
志井が自分か六六六かを選べないでいるのがわかったから、当面は親しい友人でいようと決めた。
三鷹は金沢在住だ。小松空港から飛行機に乗り寝袋持参で東京の志井のマンションに遊びに通っている。
普通じゃないのは百も承知だ。本音を言えばまた共寝したい。でも志井の隣で、寝袋で寝るのも悪くない。
志井と同じメーカーの最新の寝袋は三鷹が学生時代に使っていたせんべい布団の数倍寝心地がいい。
六六六が志井にふかふかのベッドをすすめるのなら、自分は寝袋でごろごろ寄り添ってやろう。
三鷹はそう決め、何気に実践している。
デア・シュピーゲル、シュテルン、フォーカス。寝袋に体を突っ込んで寝そべり、ドイツのニュース雑誌をめくっている志井を見て、
六六六が置いていったベッドとオーガスタを見て、もう一度志井を見て三鷹はそっとため息をついた。
志井と六六六の距離が縮まろうとしている。妬けて妬けてしかたない。
コール社に転職してやろうか。なんて思いながらインスタントの珈琲を入れる。
志井がキッチンに常備しているのはインスタントコーヒーだ。
コーヒー好きの三鷹のマンションには、淹れる都度豆を挽くタイプの全自動コーヒーメーカーがある。
コーヒー豆の抽出液を乾燥させて粉末状に加工した、湯をそそぐだけで飲めるインスタントコーヒーは
味も香りも三鷹の好みではないはずだったのに、最近、妙にうまいと感じている。志井効果だ。
27オナホ 5/10:2008/12/19(金) 00:03:27 ID:9h8Emo420
「三鷹、俺にも」
寝袋の中から上目でオーダーされ白いマグにブラウンの粉を入れて熱い湯を注いでやった。
珈琲を飲んだあとモカの匂いのするキスでも交わせたら上々なんだがと思いつつ、湯気が立ちのぼるマグを手渡す。
「熱いぞ」
「うん。ありがとう」
「どういたしまして」
付き合っていた時より近い距離に二人同時に苦笑した。
互いの家も下の名前も仕事も何も知らなかった。訊かないでいられる仲に浸っていた。
あれはあれでよかった。でも、今は志井を知っている。そして惚れている。こっちの方がずっといい。
志井は寝そべったままマグに口付けコーヒーを飲んでいる。三鷹はふーふーと冷ましながらコーヒーを飲む志井の横顔を見つめた。
横顔の綺麗な男だと思う。Eラインが完璧だ。三鷹はコーヒーを飲む志井を見つめつづけた。
志井が飲み終えたマグをカーペット敷きの床に置いたとき、三鷹は衝動に駆られ、寝袋を両手でギュッと握り、中に入った志井ごと引き寄せた。
じたばたと寝袋から飛び出そうとした志井をがばっと捕らえ、寝袋ごといっしょくたに抱きしめる。
突然のことにうろたえ、目を見開いている志井を離したくないと思った。
当面は親しい友人でいようと決めた心がころころ変わってく。恋人面したい。抱きしめたい。繋がりたい。
セフレとは別れて久しい。エロい意味でも志井と繋がりたい。
(六六六じゃなくて俺を選んで欲しい)
六六六がいい男なのは知っている。能工巧匠、また一緒に仕事をしたいと心から思える相棒だ。
だからこんなにも不安で離したくない。
28オナホ 6/10:2008/12/19(金) 00:04:01 ID:5QY2Hi660
「なあ、俺にしとかねえ?」
耳元でそう囁き三鷹は志井を抱きしめる腕に力を込めた。
短調より長調が、切ないラストよりハッピーエンドが大好きだ。己のめでたしめでたしの為に、三鷹は真摯な瞳で本音をぶちまけた。
「志井とセックスがしたい」
覚えている限り、志井とは「能ある鷹は爪隠す」的なセックスしかしていない。
あのセックスを「三鷹のセックス」だと思われたくない。
自嘲し三鷹は「志井と気持ちいいセックスがしたい」と言った。
「付き合っていた時は、トーコーカイセキ系のセックスしかしてなかったんだよ」
深い川は静かに流れる。そういうセックスも悪くはないが時には激流もありだろう。
春の小川のせせらぎや、きらめく天の川を思わせるセックスもしたい。させてほしいことが多々あった。
特技は性技。三鷹は誰にも負けないセックスが出来ると自負している。チャンスがあるなら手持ちの技を披露したい。
(本気の俺を体感して欲しい。俺と愚息を知って欲しい。)その上で志井が六六六を選ぶなら、
三鷹は六六六に花束を贈れる。三鷹は志井に「好きだ」と言い切った。
生まれてはじめて、ひとが自分に恋の告白をするのを聞き、志井はまじまじと三鷹を見た。
「志井は徹底的にオナニーが好きだろ? 気持ちいいことが好きなら、俺にしとかないと」
三鷹はにやりと男くさい笑みを浮かべ、「六六六とだと素敵な純愛経由しねえとエロいこと出来ないぜ」と付け足した。
「六六六は絶対、男は好きにならない。志井だから好きになる。その点俺は好色よ? 男も好きだし、志井も好きだから、奥行きが違うでしょ」
三鷹は志井の耳元で睦言を囁き続けた。
「いつだって悦ばせてやるよ」
三鷹の言葉にボッと亀頭が熱くなり、志井は下着を濡らしながら激しく動揺した。
選ばないことを選んだつもりだったのに、六六六からベッドとオーガスタを預かってしまったあの時、
六六六へと傾きかけた想いが三鷹に傾いでく。
誰かにただの欲情だと指摘されても、三鷹と二コイチになりたい。強くそう思った。
だから志井は脱ぎ捨てた寝袋の上で三鷹と抱き合った。
29オナホ 7/10:2008/12/19(金) 00:04:39 ID:9h8Emo420
もう濡れているそこを晒すよう三鷹に促され、志井は恥じらいながら自分で下着を脱ぐと、
仰向けになり、立てた足を35度ほど開いた。膝頭に手を置かれる。
「志井って隠れ巨根だよなぁ」
じっくりと見られたあと、がばっと足を開かされ、三鷹の舌で濡れたペニスを包まれた。
予期せぬフェラに志井は腰を引いた。途端引き寄せられる。
三鷹の口内に含まれ志井は焦った。先端に舌先が入り込む。亀頭がじんじんと熱い。先走りがぶわっと溢れた。
三鷹にフェラをされるのは初めてだ。付き合っていたときは互いの性器を口にしたりしなかった。
きょう、三鷹の口は志井をくわえ、舌は器用に動いている。
丁寧に舐められ、優しい気持ちを感じた。このフェラは志井が学生時代、遊び相手に時々してあげていた
早くイカせるためのフェラではなく、相手にめいっぱい気持ちよくなってもらうためのフェラなんだとわかった。
瞬間、もの凄く深いところから涙がこみあげてきた。感激と喜悦が極まって、志井は半泣きで喘いだ。
三鷹の舌技に酔った。しゃぶられる快感に身悶えた。もっととねだった。
鈴口に熱いキスをされた。三鷹と目が合った。興奮した。目と目が合ったまま舐められた。感じた。三鷹の頭を抱いた。
音を立ててしゃぶられた。羞恥心を煽られた。強く吸われた。
吸われながら右の陰嚢に三鷹の右手を感じた。左には左手を感じた。両手で優しく包みこまれ、右も左も揉まれた。
陰茎を舐められながらゆっくりと揉みしだかれ、志井はよがった。手の平で転がすように揉まれたそのあとに、
片方ずつ口に入れられ打ち震えた。とろけそうだ。
深いキスをするように吸われ、今までになくかなり濡れた。ぐんぐん情感が高まる。
気持ちよくて気持ちよくて、いまにも、いきそうだ。
なのに、三鷹はここぞというところで志井の股間に埋めていた顔を上げた。
うらめしくて三鷹を目で追う。目と目がぶつかったとき志井は、はじめて三鷹に下の名前を呼ばれた。
「……!」
どこを舐められるよりも感じた志井は三鷹の声でいった。いっぱい出た。恥ずかしくて、痕跡を消したくて、
汚れを拭き取ろうとティッシュに伸ばした手をつかまれる。
30オナホ 8/10:2008/12/19(金) 00:05:50 ID:9h8Emo420
「俺にやらせて」
そう囁かれ、射精直後の常より敏感になっているそこに三鷹の舌を受けた。三鷹に放ったものをキレイに舐め取られ、
志井は羞恥のあまり両手で顔を覆った。やさしく頬張られ尿道に残っていた分を吸い上げられる。
「あっ…ぁあっ」
ゆっくり、とてもゆっくり丁寧にフェラをされ、びくん、びくん、と身体が跳ねた。
息を吸うときにも吐くときにも声が出た。こんなのは、初めてだ。
射精直後のフェラチオはいつものフェラより強烈で頭がまっしろになる。気持ち良過ぎた。
もう、もう今すぐやめて欲しい。
なのに三鷹は志井の会陰にまでキスをした。舌先でつつかれ身体の熱が高まる。煽られる。
何度も舌でなぞられた。会陰は反則だ。会陰を行ったり来たりする三鷹の舌に志井は内股を震わせた。
「あんぅぅ…っ」
いきたくて、いきたくて、たまらない。でもまだ、いきたくない。もったいない。
後ろに挿入されたとき押し出されるように達したかった。
志井は自分がいってしまわないように、顔を覆っていた両手を陰茎に伸ばし、根元をぎゅっと握り締めた。
31オナホ 9/10:2008/12/19(金) 00:06:29 ID:9h8Emo420
三鷹は志井がほっそりとしたオナニストの長い指で濡れそぼった自身を戒めるのを見た。
いつもは涼しげな志井の顔が紅潮している。きゅっと寄せられた眉根がたまらなくセクシーだった。
じっと見つめていたら、潤んだ瞳から音もなくこぼれ落ちた涙が、静かに頬をつたい落ち、口元のほくろあたりで光った。
泣くほどいきたいのを我慢している志井にそそられた。
「出せよ」
そう囁き、三鷹は志井の指にくちづけた。それからギュッとそこを握っている志井の手に、
そっと自分の手を重ねた。
張り詰めた性器を握る自分の手の甲に三鷹の大きな手を感じ、志井の先端からとろとろ先走りが溢れ出す。
陰茎を伝うそれはいつもより量が多く、志井だけでなく三鷹の指も濡らした。
三鷹はわざと音を立てながら志井と自分の手を上下に動かした。
まずは、ゆっくり。次いで三倍速で、激しく。三鷹の手にリードされるオナニーは、
独りで耽る自慰よりはるかに気持ちよかった。快感が津波になって押し寄せてくる。
一瞬で弾けた。身体を波打たせながら志井は果てた。
三鷹はしどけない姿で息を整えている志井の顔を覗き込み、目を合わせて微笑むと、
志井の精液で濡れた手を引き締まった尻の、割れ目に這わせ優しく揉んだ。
志井はオナホで前を愛撫するオナニーが大好きだ。けれどたまには、バイブで後をファックするオナニーもする。
そんな時はいつも主に、仁科に調合してもらった、トルマリンや有機ゲルマニウム等に、
スペイン原産のハーブから抽出した興奮剤を高配合したローションを使用している。
でもきょうは、早々と二度も達し、垂れ流れたものがそこを潤ませていたからか、愛用のローションなしで後孔が三鷹の指を誘いこんだ。
32オナホ 10/10:2008/12/19(金) 00:07:56 ID:5QY2Hi660
後孔にくわえこんだ三鷹の指を感じながら、志井が自分の淫らさを恥じていると、
中指と人差し指に、たっぷり奥を突かれた。
「あっ、あっ、…」
気持ちよくてたまらない。箍が外れた。笑顔がこぼれる。
三鷹の手が動かしやすいように大きく股を開き、志井は夢中になってもっと、もっと、とねだった。
けれど三鷹はぴたりと抜き差しをやめ、2本の指を前立腺に遊ばせた。
三鷹の2本の指が軽やかにリズムを刻む。前立腺の上でコビトがソウルフルなタップを踏んでいるみたいだ。
ビートの効いた三鷹の指の動きに志井は翻弄された。オナホ一筋の志井は、アナルはたしなむ程度だった。
ペニスに比べて感度が鈍いと思っていたアナルが、いまありえないくらい感じている。
こんなに気持ちいいなんて知らなかった。
幸せで死にそうだ。ひくつくアナルからすっかり指を抜かれ、三鷹をあてがわれる。
「あっ、ぁああ!」
三鷹の肩の上に大きく開いた脚を上げ、志井はしっかりと三鷹をくわえた。
繋がっているのがたまらなく嬉しい。セックスがこんなに気持ちいいなんて嘘みたいだ。
こころもからだもぽかぽかする。ぜんぜん日々のオナニーに負けていない。
遅ればせながら知った。セックスも凄くいい。やみつきになりそうだ。
気持ちが盛り上がってきた志井は、アナルから三鷹が抜けてしまわないように
細心の注意をはらいながら、腹筋を使って上半身を起こした。
それから三鷹の目を見つめ、笑顔に定評のある兄の微笑みを参考に素直に笑うと
三鷹のくちびるにあたたかいキスをした。

> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
完! ありがとうございました。
33風と木の名無しさん:2008/12/19(金) 00:49:00 ID:DGs7yvhg0
おや、お帰りなさいと言いかけたら最後ですか。
楽しませてもらいました。ありがとー
欲を言えば六六六なる方の分も読みたかった
34風と木の名無しさん:2008/12/19(金) 01:04:45 ID:0eyaF3zK0
終わったんじゃないのか
しつこいな
35風と木の名無しさん:2008/12/19(金) 01:16:57 ID:ZBo58VbH0
お前がしつけえよアンチ野郎
36風と木の名無しさん:2008/12/19(金) 01:46:44 ID:9+SLZLvV0
>>23-32
前回から楽しませていただいて、急遽まとめた感がちょっと残念だったので
志井常務のその後の幸せが読めて嬉しかったです、ありがとうございます。
自分も六六六の「常務のライフスタイル改善計画」の成就を願っていたクチ
だったんですが、遊び人三鷹の真摯で洒脱な口説きもいいですね。
ちょっとコミカルな感じの根底に、けっこう切実な飢餓感のエロスが
乗っかってる、みたいなバランスがとても好きな作品でした。
37風と木の名無しさん:2008/12/19(金) 02:25:23 ID:uS9ufLm40
>>23-32
ああ、続きが!また読めるなんて思っていなかったので嬉しいです。
最初冷えたスイカだった元常務の唇についに血が通うときが来たのですね・・・
幸せに目覚めた姿はとても可愛らしかったです。
そして三鷹さんおめでとうw
あの冒頭からまさかこんな燃えの漲る話に展開するとは想像できませんでした。
最後の濡れ場も堪能させていただき、どうもありがとうございました!
38木目木奉  板ミ→瓶山:2008/12/19(金) 10:10:44 ID:XLK08D+M0
すみません。前スレ>>596-600に間違って投下してました。
なんとか本編は収まったのでこっちで〆
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 板ミン可愛いよ板ミン
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) しかしショックだ…
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
39風と木の名無しさん:2008/12/19(金) 11:40:53 ID:zNNSyyYh0
>>38
姐さん事件です!!
続きが前スレに貼ってあるんだぜ…
40風と木の名無しさん:2008/12/19(金) 12:45:45 ID:FfA3G7hjO
>>39
だからこっちで〆たんだって
41風と木の名無しさん:2008/12/19(金) 12:47:45 ID:cC+o04qG0
>>32
オナホの姐さんって言うとすげぇやらしいけど、こっそり心の中でそうよんでました
ごめんなさい
でもって、読めて嬉しかったよ。
ギャグ調の語り口なのに萌も燃えもあるのがくぅぅ!って感じで好きだったーよ
最後の幸せエロに禿げました。トゥルントゥルンに禿げました。かわいいよ…
アンチは気にしなくていいからね。あれは字が読めない可哀想な生き物だ。
ともかく、とてもありがとう。


>>38
文章の時点ならKB的におさまると思ったんだよな?わかるよ…
そして、放置するのかと思ったらこっちで終わりテンプレ見つけてふいた。
板ミンと甕ってコンビに開眼しそうだ…。ツンデレ………
42風と木の名無しさん:2008/12/19(金) 16:37:31 ID:Hfd8QKs20
前スレ>>596=>>38さん乙&GJ!!

っていうかもうね、泣けちゃうんですよ。
読んでるだけであれやこれや思い出しちゃって…。
ハァ・・・つД`)・゚・。・゚゚・*:.。
43風と木の名無しさん:2008/12/19(金) 17:46:56 ID:t2Xh0bw30
>>23-32
自分もオナホ姐さんと呼んでました。
前回とても残念に思ってましたが、続きが読めて幸せです。
ほんと、禿萌え!読み応えありまくりでした。こっちが身悶え中。
いいなぁ、セクースの良さに開眼する下りも、三鷹の目線も
台詞も最高です。ど真中、壺でした。ほんとにありがとうございます。
もしまた閃きが降りてきたら、その後もぜひ読ませて下さい。
オナホ話も面白すぎです。
44ぎらぎら サキL×秀世氏 1/7:2008/12/20(土) 02:05:46 ID:e4qYQ6o80
ドラマぎらぎらより。商事視点のサキL×秀世氏です。本ヌレネタのサキL入店前の輪句入りびたり話。
店の営業時間のことがよくわからないので、非二部営業ということにしてあります。
ぬるくですがレイ○未遂表現がありますので、苦手な方はヌルー願います。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「おいおいまた来たよ……」
「今日で何回目だあ?数えてっか?商事」
いや数えてねーし、数えたくもねーけど。

今夜の営業時間もテッペンを越える頃、これが俺ら六本木輪句の従業員の間で決まって交わされる会話になっちまった。
サキLが客として輪句に現れるようになって一ヶ月近くは経つ。
初めは気まぐれっぽく一週間に一回くらいだったのが、最近では毎晩のように入り浸ってる。
毎回指名される秀世氏もさすがに不機嫌の色を隠さなくなってきた。

「……いらっしゃいませ」
「今夜も遊びに来たよ秀世氏。ちゃんと枝客も連れてきてるんだから感謝してよ?」
ニヤニヤと粘着質な笑いを浮かべてうちの店に現れた早々、ヤツは当然の権利みたいに秀世氏の唇を貪った。
途端にキャー、という黄色い声がフロアのあちこちから響く。
「……ッ……サキLてめぇ!マジでいい加減にしろ!」
そう叫んで全力で身体を離した秀世氏は、手の甲で唇をこすりながら肩をいからせてVIP席に向かう。
VIPでしかもフロア全体が見渡せる席、それがここんとこのサキLの特等席になっちまってる。
「これくらいは挨拶のうちだよねぇ?」
満足気に唇を舐めたサキLは、店のお客さんの声援?に応えて手なんか振りながら悠々と秀世氏の後をついていく。
45ぎらぎら サキL×秀世氏 2/7:2008/12/20(土) 02:07:59 ID:e4qYQ6o80
もうサキLは輪句の常連客の間で有名になってる。変な意味でだけど。
ホモネタはまあ盛り上がることがあるんで(女の子はなんでこういうのでキャーキャー言うんだろ?)
従業員の間で演出っぽく使うことはたまにあるけど、ありゃいくらなんでもあんまりだ。
コウヘイさんの様子を伺うと、やっぱりやれやれという顔をしている。
俺ら従業員もはっきりいっていい加減うんざりなんだよね。……こんなVIP席の様子見せられると。

……がっつり肩を引き寄せられ、頬と頬がくっつきそうな所を秀世氏が身体をつっぱらせて堪えている。
指先でヒゲをくすぐられ、嫌がって反対を向くとそこにはサキLのキスが待ち構えている。
もう片方の手はあっちこっちを撫で回して、秀世氏の腰が逃げようとするとすかさずぐいと引き寄せ直す。
サキLにすっぽり抱き込まれてるって感じで、あのケンカっぱやい秀世氏がよく耐えてんな……と見てるこっちがハラハラする。

……ここはセクキャバじゃねぇっつの!

お店のお客さんからも「輪句では男の客と絡むのもアリなの?」って何回も何回も聞かれてる。
誰かヘルプにつければまだマシなんだろうけど、サキLのヤツはそれを許さない。
俺のついてる席からじゃ二人がVIPで何を話してるかは聞こえないけど、秀世氏の表情はよくわかる。

……
「な、なぁサキL、ちゃんと話しねぇか?」
「話?じゃあ秀世氏がうちの店にいたときの話でもしよっか」
「いや、その話は……」
「あの時の秀世氏にはたまらなくそそられたよ……うちの店でちょっとだけ味見させてもらったとき、
お前は自分からキス求めてきたんだよ?泣きじゃくって『俺を壊せ、壊してくれ』ってさ……覚えてないの?」
「やめろ……」
「惜しかったなあ、桂木体制の目がなかったらあのままお望み通りぶっ壊れるまで抱いてやったのに」
「だからやめろって……!」
「ふーん……じゃあ秀世氏の方からキスしてよ。そしたら別の話してあげる」
「お、お前なあ……!」
46ぎらぎら サキL×秀世氏 3/7:2008/12/20(土) 02:08:49 ID:e4qYQ6o80
秀世氏の顔がひきつりまくり、まばたきもしなくなったのを見て、
これはもうヤバい、限界だよ……と俺がやきもきしてた時。

「サキL」

ウチの本部長、コウヘイさんがVIPへ颯爽と入っていった。さすがコウヘイさんだぜ!
コウヘイさんのブレイクが入って、秀世氏も心底ほっとした顔をする。
「サキL、悪いがちょっと秀世氏を返してくれないか?」
「なぁに?指名?」
「そうだ。秀世氏に仕事させてやってくれ、お前も同業ならわかるだろう?」
「まぁ指名されるうちが華だしね。じゃあ秀世氏戻ってくるまでコウヘイが相手してよ?」
「もちろん。それよりお前、こんなに頻繁に輪句に来てて店の方は大丈夫なのか?……」
とすかさずサキLの隣に座って、秀世氏を逃がす。……コウヘイさんナイス!
俺はVIP席から転がるように逃げ出してきた秀世氏に声をかけた。
「お前大丈夫かよ」
「……あああぁもぉ……!頭がおかしくなりそうだっ……!」
話にならない、とうなりながらトレンチで自分の頭をゴンゴン殴る秀世氏の姿がかわいそすぎる。
あーあー……見てらんねぇ。

とはいえ、サキLも根は悪いやつじゃないと思ってた。俺もコウヘイさんも、多分秀世氏も。
やっぱり輪句にくるお客さんと同じで癒しが必要で、癒しが足りねぇからあんな風になっちまったんだって。
そうやってわかったつもりでいたんだ。
47ぎらぎら サキL×秀世氏 4/7:2008/12/20(土) 02:12:27 ID:e4qYQ6o80
問題のその夜のテッペンも、同じように時間が進んでいくもんだと思ってた。
その日は結構客の入りもノリもよくて、気分のいい酒を飲めてた俺は独り言を言いながらトイレに突入した。
「あー飲んだァ……トイレ、トイレっと……」
ご機嫌で用を足そうとした俺の耳に、後ろからゴン、ゴンという音が聞こえてきた。個室からだ。
誰か吐いて苦しんでんのかな、と声をかけようとした時だった。
『……う……うーっ……』
押し殺したような微かな声がした。この声……秀世氏か?
「……秀世氏?お前大丈夫かよ」
そう声をかけた途端に、中からドンッ!とひときわ大きく個室のドアが鳴った。
続いて中で何かがぶつかる音も聞こえる。うめき声のようなものも。
「秀世氏?」
嫌な予感がした。……これはマジでやばい?
咄嗟にドアに飛びついて上によじ登った。
中を覗いてすぐ、ムカつく顔で笑うアイツと目が合った。その下で涙目になってる秀世氏とも。
「サキL、てめえ!」
気づいたら俺は、狭い個室の中にジャンプしていた。

何をどうやったのか覚えてないけど、身体のあっちこっちを壁にぶつけながらどうにかして個室の内鍵を開けた。
秀世氏は間一髪で助けられたと……思う。
けど、便器の蓋の上でぐったりしてる秀世氏を見ると、胸張って助けたぜ、とは言えない気がする。
口の中にはトイレットペーパーが詰め込まれて、黒のスーツの下も脱がされかけてる。ひでぇ……。
「あーあ、興ざめ」
サキLの野郎はそんな捨て台詞を残して平然と個室から出ていこうとしやがった。
48ぎらぎら サキL×秀世氏 5/7:2008/12/20(土) 02:13:42 ID:e4qYQ6o80
「お前……ホント最っ低だぞ!」
俺は迷わずヤツに掴みかかった。
その隙に秀世氏は口ん中の紙くずを吐き捨て、下を引き上げながら黙ってトイレから出てったけど、後姿のいかった肩がその気持ちを表してた。
「秀世氏……」
「お前のせいで逃げられちゃったじゃん」
この目の前でニヤついてる男を殴りたくてしょうがない。けど、こんな鬼畜ヤロウでも客は客なんだ。
「サキLてめえ……ここはお前の汚らしい店じゃねーんだよ!」
「うるさいワンコだなあ……やっぱり生意気だよお前」
「んだとぉ!?」
「あーあ、こんなことなら秀世氏と初めて会った時にさっさとヤっとくんだった」
「てめえ……!」
「……さて問題。俺がじきじきにうちの店の新人スカウトする時の条件てなんだとおもう?」
「そんなの知るかよっ!」

「正解は『俺がヤリたいと思うかどうか』だ・よ」

「……!……」
そう、楽しげに耳打ちされて俺は、頭ん中のネジが全部ぶっ飛んだ。
そこから先のこと、マジでなんも覚えてなかった。
どんくらいたったのか、トイレの床でぶっ倒れてたところをコウヘイさんに起こされた。顔と腹がいてぇ……。
「商事、一体何があったんだ。秀世氏は店飛び出していなくなるし、お前はこんなとこで倒れてるし」
「コウヘイさんっ……俺すげえくやしいっ……!」
あんなに真面目で、一本気で、仲間思いの秀世氏にあんなことしといてぬけぬけとあんなこと言いやがって。
秀世氏もなんであんなやつのために言いなりになって我慢してたんだよ。
俺は絶対、アイツを許さねぇ。
49ぎらぎら サキL×秀世氏 6/7:2008/12/20(土) 02:16:42 ID:e4qYQ6o80
「てめえ!何しにきやがった!」
アイツは秀世氏にあんなことしやがったクセに、次の日またのうのうと輪句にきやがった。
ブチ切れてサキLを店から叩き出そうとした俺を止めたのはやっぱりコウヘイさんだった。

「サキL、ちょっと外で話さないか?」
「……いいよ」

店から出て行った二人は、後から聞いたところによると公園のベンチでこんな話をしてたらしい。

「……商事からお前を出禁にするよう頼まれた」
「出禁ねえ……」
「でも、肝心の理由を話そうとしない。お前と秀世氏、商事と何があったんだ?」
「……別に?酔ってちょっとやりあっただけだよ」
「やりあっただけねえ……」
「あーあ……最近なんか色々うまくいかないよ。全部コウヘイのせいだからね」
「なーんで俺のせいなんだよ……それよりなにがうまくいかないって?」
「まあ色々ね……まったく、人ひとり思うままにできないなんてサキLの名が泣くよ」
「なんだお客さんの話か?お客さんは自分の思い通りにするものじゃなくて……」
「ちーがうよ、客じゃないから困ってるんじゃないか」
「お前でも困ることなんてあるんだな。女の子か?」
「……だってそいつバカなんだもん。どれだけ嫌がらせしても、いつもまともに俺なんか相手しようとしてさ」
「よくわからないけど、サキLはその子のことがとても好きなんだな」
「好き?さあねえ……思い通りにできないから執着してるだけかも」
「好きなら、嫌がらせなんかしないで大事にしてやれよサキL」
「大事ねえ……そういえば大事にするってどういうことなのかなコウヘイ。
仕事では金さえいただけりゃ相手のことなんでも聞いて思い通りにしてきたけど、金が絡まない相手のことはさっぱりだよ」
「自分を大事にできれば、また相手も大事にできる」
「またそれか……それができりゃ苦労はしないよ」
「……なあサキL、ギャラリ亜を辞めて輪句に来ないか?」
「……はぁ?あんた何言ってんの?」
50ぎらぎら サキL×秀世氏 7/7:2008/12/20(土) 02:18:42 ID:e4qYQ6o80
「あそこにいるより、自分を大事にできる」
「簡単に言うなよ。仮にも俺はあそこの代表だよ?」
「お前は相手を思い通りにできないと言ってるけど、本当に思い通りにできないのはお前自身の心なんじゃないのか?
輪句に来ればいつかきっと、その相手も大事にできるようになる」
「……あんたも、あんたの弟分も本当にバカだね」

同じころ、店から出て行った二人の背中を見送って、俺は秀世氏をロッカールームに引っ張り込んだ。

「俺、コウヘイさんにアイツを出禁にしてくれるよう頼んだ」
「……」
「それでいいよな?理由は言ってねえけどコウヘイさんならわかってくれるはず……」
「商事」
勢い込む俺に対して、秀世氏は静かに話し始めた。
「アイツさ、多分俺を試してんだ。どこまでやったら俺が舌巻いて逃げるかって」
「試すって……だからってあんなことするかよ普通」
「俺はここでアイツから逃げたくないと思った。だって多分もうひと息なんだ。
アイツは輪句が居心地いいから自分の店に帰りたくないとか言ってたけど、そうじゃねえ。
きっと枕自体、もうやりたくないと思ってる。俺にはわかるんだ」
「秀世氏……」
「騙して金を取るとかじゃなくて……金のためにどうこうするってわけでもなくてさ……
あんなメチャクチャなヤツでも俺が本当に癒してやれるんなら、身体のひとつやふたつ張ってもいいかなって」
「いいかなって……いいわけねーだろ!そういうの、自己犠牲っていうんじゃねーのかよ」
「いや一瞬な。一瞬そう思っちまったんだよ。だから隙をつかれてあんなとこに連れ込まれちまった」
「お前の悪いとこだぞ、人情につけ込まれんの」
「ああ、二度とそんな風には考えねえけどさ……でもアイツのことは、何とかしてやりてえんだ」
「秀世氏……」

どんだけお人好しなんだよと思ったけど、でも俺の親友の秀世氏はこういうヤツだった。
ってかこういうヤツじゃなかったら親友になってなかったかも、と思い直した。
この少し後、まさかサキLが本当に輪句に入店することになるだなんて、この頃の俺には想像もつかなかったけど。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
51風と木の名無しさん:2008/12/20(土) 12:22:17 ID:nFa5zZm/0
>>23-32
オナホ姐さん
前回の終わり方がいろんな意味で悔しくて悲しかったので、続きが読めて本当に
嬉しいです。
三鷹と同じでハッピーエンドが大好きなので、今回のラストには大満足です。
三鷹と志井とチーム・オナ専に幸多かれ!
いろいろ書かれて辛かっただろうと思いますが、勇気を出して投稿していただき
ありがとうございました!
52風と木の名無しさん:2008/12/20(土) 20:31:37 ID:3BVhy87d0
>>44-50
堪能させていただきました!
ごちそうさまっす!
53音速針鼠 銀+影 1/6:2008/12/21(日) 00:43:28 ID:AjMBKU8lO
音速の針鼠から銀と影。
ちゅーもないし手も繋がないというとんだほのぼのですがご勘弁ください。あと、二匹の名前が一切出てないのでご了承ください。
影は寒がりだといい、というレスを見たときに閃いた話です。銀視点でお送りします。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


さて、クリスマスまでようやっと数日を切ったんだけれど、こうして買い出しに駆り出されて思ったのがどうして世の中は何ヶ月前だとかに早く用意を始めるのだろうか。
ケーキの予約、飾りの買い出し、プレゼントの用意だなんだと。確かに早いに越したことは無いけれど、なんというか、気が早すぎる気もする。

「んー、こんなもんでいいのかな」
渡されたメモ用紙と紙袋に入っている物を見比べながら確認をする。
とりあえず物を取る際にもそれを見ながら買ったから間違いは無いはずだけど。

「うん、大丈夫だな」
「なら帰るぞ」
一緒に買い出しに駆り出された相方はというと、それだけ言ってこっちが返事を返す暇すら寄越さずにさっさと帰ろうと足を早める。
当然そんな事思いもよらなかったオレからすれば、それは慌てて同じようにした瞬間に荷物の中身を零しかねない動作でしかなかった。
「おい、ちょ…あ、待てよ!」

54音速針鼠 銀+影 2/6:2008/12/21(日) 00:46:17 ID:AjMBKU8lO

「ったくさぁ、先に行くなよ。危うく荷物落とすとこだったんだぞ」
「それは君の責任だ」
後ろから少し早歩きで付いてくるオレを尻目にしながら、何を急いでいるのだろうか言葉少なく先にどんどん進んで行ってしまう。
ただ後ろから見ていて分かるのは、なにか不機嫌であるという事だけ。

「…、なんか怒ってんのか?」
「いいや」
…それだけ?
なんというか、たったその一言だけで返されると非常に心が痛む。
別段そこまで繊細な心ではないけど、そうかといって頑丈でもない。傷つくときは傷つく。
けどこいつがこうやって機嫌悪く口数が減るには絶対に訳があるはず。世の中理由無しにそうなる奴などいるわけがない。

「…」
「…」
暫く歩いてはいるが、明ける事の無さそうなひたすらの沈黙が痛い。
こんなに痛いものだっただろうか、あああもう初めてだこんな体験。
なんとか不機嫌の心当たりを探してはみるけど、如何せんそいつは何一つ浮かんできやしない。
帰り着くまでこの痛い沈黙を守ってなければならないと思うと、自分のテンションが一気に下がっていく。

手が荷物で塞がっているからこそ出来ないが、出来るんなら両手で頭を抱えて思い切り叫びたい。

どうしろってんだ!!と。

しかしやれないものはどうしようもないので、仕方なしに頭の中でそれをやって一応満足しておく。
55音速針鼠 銀+影 3/6:2008/12/21(日) 00:50:27 ID:AjMBKU8lO
(しっかし寒いな…)
流石真冬に近い時期ともなるっ身に堪える寒さが続く。
彩度が低くなって灰に近くなった空を見上げながら歩いていると、思わず身震いしたくなるような空っ風が一吹き、地を駆け抜けていった。

「っ、さ、寒ィ…!」
ただそうは言ったけど極端な話、寒さのあまり道端で立ち止まってしまう程でもなかった。
が、不意に足を止めてしまった。
何故って?

目の前にいた奴が足を止めたからだ。
ただ、止めるにも早歩きだったからか勢い余ってさっきみたく荷物を零しかける。
「うっ、ぉっ、お」
「…」
うまくバランスを取り直して惨事は逃れたものの、何故急に足を止めてしまったのだろ
うか。

「どうした?」
「…」

一言呼びかけてみたが一切反応がない。まるで凍ったみたいに固まってしまっている。
ちょっと心配になって、どうしたのだろうと思い隣に並んでその様子を窺う。
56音速針鼠 銀+影 4/6:2008/12/21(日) 00:54:30 ID:AjMBKU8lO
「…?」
「……!」
暫く突っ立っている内にやっと解凍したのだろうか、様子を窺われたからか驚いた表情をしながらオレの顔を見る。

…あぁ…

「もしかしてさ」
「…」
「寒い?」
ぴく、とそれはもう分かりやすいくらいに顔がひきつる。そうか寒いのかやっぱり。
だったらそう言ってくれればいいものを…。とは思ったけど、こいつの性格を考えてみればそう言いそうにもない。
なんていうべきか、他の誰かに弱みを見られたくないタイプというのか。そういう類の奴だ。

「だから不機嫌だったのか?」
「…いや…」と、また口ごもる。
そんなに言うのが嫌なのか?
なんとまあプライドの高いこと。とちょっとした尊敬の念が混じる。
多分オレにそんな才はないだろうから。そうなったら恐らく潔く認めているのがオチだ。

しかしどうしたものだろうか。
寒いなら何か羽織るのが一番良いと思うけど。

「うーん…」
「?」




「そうだ!ちょっと此処で待ってろ!」
「は?」
「寒くてもだぞ、すぐ戻るから!先帰ったら本気で殴るからな!」
「おい、待っ…」
57音速針鼠 銀+影 5/6:2008/12/21(日) 00:57:10 ID:AjMBKU8lO
「た…っ、ただ、いま…」
「あ、あぁ」
行き帰り、終始全力で休みなく走ったもんだから言葉が途切れ途切れになって出てくる。
流石にこれの疲れ様には驚いたのだろう、少しばかり怪訝そうな表情をしてオレを眺めていた。
「うー…、はい、これ」
「?」
またさっきみたいに空っ風が吹いて凍ってしまう前にさっさと物を手渡す。

「寒いんなら首もと暖めるのがいいって、言うだろ?」
「…」
手渡したのは端に鮮やかな緑色のラインが引いてある白いマフラー。わざと嫌がらせでどぎつい柄物にしようかとも考えたが、そうしたら確実に機嫌を損ねる。そうなった後の様子が手に取るように分かってしまう。
結果、気まずい雰囲気が永遠に続く…。それだけは心の底から避けたかった。

別に羽織るものでもよかったかなと思ったが、それにするとなるとサイズとか…はオレに合わせればいいんだろうけど、好みとかあるだろうし、値段が高くなる。
多少、まあ大体3桁の出費ならまだしも、それが4桁ともなると…。
多分怒られる。
58音速針鼠 銀+影 6/6:2008/12/21(日) 01:04:11 ID:AjMBKU8lO
「色とか文句言うなよ?合わせたんだから」

「?、何にだ」
「それ」

とりあえず胸元を指す。それに黒と黒じゃ真っ暗すぎるし、かといって他の色はどうにも似合わない。
それなら、何にでも合う白かな、と。

「君はいいのか?」
「アンタよりかは寒くないと思う」

首もとふっさふさだから…。
正直これくすぐったいんだけど、マフラーぐらいの代わりにはなる…だろう。


「少し早いプレゼントって事でさ」

「…有り難う」
「どういたしまして」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
なんか区切りがもの凄いぶつ切り感・・・もっとまとめて投稿した方がよかった(´Д`;)
それではお邪魔しました。
59風と木の名無しさん:2008/12/21(日) 05:49:20 ID:fDBjzDE70
実に萌えた!禿げた!GJ!
銀影かわいいよ銀影
60風と木の名無しさん:2008/12/21(日) 11:02:10 ID:4na6hO+KO
>>53-58
GJ!
読んでるこっちがあったかくなったよ
一生懸命な銀と強がる影かわええ…
61風と木の名無しさん:2008/12/21(日) 17:09:26 ID:OXovyH4GO
GJ萌えた
銀と影の組み合わせはもっと増えていいと思う
62黒/子のバ/スケ 黒×火×黒 0/7:2008/12/21(日) 19:11:33 ID:y0MYiUGV0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


飛翔新連載の黒/子/の/バ/ス/ケ で火神×黒子×火神。リバ気味。

勢いだけで書いたので展開が唐突だったり反省だらけですが
突き抜け回避祈願も兼ねて投下します
63黒/子のバ/スケ 黒×火×黒 1/7:2008/12/21(日) 19:13:56 ID:y0MYiUGV0
今日も今日とてあいつは影が薄い。

「…火神くん」
「畜生、混んでやがんな…」
「火神くん」
「うお、ぉお!?居たのかよ!」

制服の裾を引っ張られてやっとで隣に並ぶ黒子の存在に気付いた。
もう三日も四日も居るんですから気付いてほしいです、と俺を見上げる黒子は気を抜いたら視界から消えてしまいそうな程存在感がなく、
そして気付けないのはこれのせいでもあるのではないかと思えてくる程、俺と黒子には身長差があった。

「んだよ、今日もか?」

自分の影の薄さを自負しているのなら、昼休みの購買になどわざわざ来るだろうか。
同じように気付かなかった俺に言える台詞ではないが、知る限りでは黒子はこれで三日連続、
カウンターの中に立つ職員に気付かれてはいなかった。

「はい。…火神くん、お願いしてもいいですか?」
「仕方ねえな、ホラ金よこせ」
「すみません」

自分と同じように昼食を求めに来ること人混みの中で声を張り上げ他人からモノを奪取してくる、なんて黒子には到底無理な芸当だろう。
三日前に生徒の群を眺め呆然としていたところに立ち会わせてから、こいつの分も俺が一緒に買いに行ってやることを不本意ながらしてやっていた。
まあ、こいつの分、とは言っても

「今日もあれか、いつもの牛乳か?」
「はあ。…なんで、笑うんですか」
「いーや、精々頑張って追いついてくれよ」

小さなパックの牛乳ひとつ、だった。
弁当くらい持ってきてはいるだろうから、やっとでこいつもバスケ部員らしく身長を気にし始めたのだろうか。
64黒/子のバ/スケ 黒×火×黒 2/7:2008/12/21(日) 19:15:27 ID:y0MYiUGV0
(本気で俺を日本一にしてくれにかかってきた、か?)
あの技術に身長が加わったらキセキの世代ですら軽々と越えられるような―――
と胸が高鳴ると同時に黒子を見下ろせなくなる日のことを何故か想像して、それもそれで不自然だな、と思った。


しかしそれでも22センチの俺との差は当然すぐに埋まるワケはなく、当分黒子とは購買でも顔を合わせた。
部活帰りのいつものハンバーガー屋でも、顔を合わせた。

「…いつも同じところに居んのに、なんで気付けねえんだ?」
「僕には分かりませんよ、そんなの」

僅かに眉を下げていつものバニラシェイクをずるずると飲む黒子の左手の本には、
今日はドッペルゲンガーに怯えながら命を絶っていったという作家の名が印刷されていた。
そして右脇に置いてある鞄から目に入ったのは、

「…3、4、5、6本…」6本、ものあの牛乳のパッケージ。
「え?…わ、人の鞄の中身を盗み見るなんて…火神くん」
「開いてたんだから見えるだろ!」

珍しく慌てた動作で鞄を閉める。冷静なこいつの意外と必死な一面を見れた、というところだろうか。悪い気はしなかった。

「なんだ、そこまでして早くデカくなりてーのか?」
「…はあ、まあ…成長期なんて一般的に言われてる歳ですし、放っといても伸びるのかもしれないですけど」

君との20センチ差はさすがにキツいです、と。
声色こそ平坦ないつもの物言いだったが、先日の"日本一にする"宣言の覚悟を見せつけられ俺のやる気を増幅させるにはその一言は十分だった。

「ならこんなトコでそんなモン飲んでるより、1本でも多く牛乳飲んでた方がいいんじゃねーのか?
まぁ腹壊した時の保証は…なんだよ」目を丸くして俺を見る黒子の視線。
両手で暖めるように持ったバニラシェイクと俺とを交互に見ていた。
65黒/子のバ/スケ 黒×火×黒 3/7:2008/12/21(日) 19:16:42 ID:y0MYiUGV0
「え?これも牛乳みたいなものじゃないんですか?」
「は?」
「だって牛乳の味が…」
「………………」

ミルクとバニラって同じものじゃないんですか?と続けたその声はやはり平坦で、冷静だった。

「…違うんですか」

が、やはり開いた口が塞がらない状態の俺を見て間違いに気付き

「…笑わないでください、火神くん」

恥ずかしいという感情も知っていたようで、初めて頬を赤く染める黒子を見た。

「その冷たいモン飲んで頬冷やせ、身長は伸びねーけどな」
「…からかわないでください」
「はは、もうそれ飲む意味も無くなったか?」
「いえ、味も好きだったのでまた…来ます」

小声でそう言うと一気に飲み干し、ストローが寂しくカップの底の空気をまさぐる音が聞こえた。
とっくに完食していた自分のゴミと一緒に片付け、ここで一緒になった日は
(といってもほぼ毎日会ってしまっているわけだから、毎日そういていることになるけれど)
そのまま二人で帰路につき、時に近場の公園でボールを突くという暗黙の了解のようなものにならって店から背を向けた。


「…バニラは牛乳じゃなかったんですね…冷静に考えたら当たり前か」
「大抵の奴は普通に考えても分かるだろうがな」
「…なにを食べたら火神くんみたいに大きくなれるんですか」

話題を逸らしたつもりだろうが照れ隠しにはなっていない。黒子の歩くスピードが早まる。
66黒/子のバ/スケ 黒×火×黒 4/7:2008/12/21(日) 19:18:44 ID:y0MYiUGV0
四月の風がぬるく顔を撫でた。

「俺はガキの頃から人一倍でかかったしな…とりあえずは成長期頼みと牛乳だろ、オマエの場合」
「…やっぱり、成長任せですか」
「確かにバスケ部の、しかもあのキセキの世代の1人がその身長じゃなあ。好きな女でも出来たって格好つけらんねーだろ」

冗談混じりで言ったつもりだった、のだが気になる話題であったのか、隣を歩く黒子が立ち止まった。釣られて自分も足を止め横顔見遣る。
色素の薄い風に揺れる髪も顔色も、今は落ちきった太陽のせいで全て黒を纏っている。

「…どうした?」
「…ですよね、格好良くいたいですよね」
「ん?」
「好きな相手の前では」

「そんな奴居んのかよ、お前」

クラスや部活の女子生徒に目をヤルこともなく、色恋沙に興味はないものだと思っていた黒子もそういう心配はするものなのか、と感心してしまった。
同時にずしんと重く、身体の真ん中あたりに響いた違和感には気づかない振りを、した。

「…まあ、人並みに」
「そりゃあ急いでデカくなんねえとな、日本でもアメリカでも男が引っ張ってくのは一緒だろう」
「でも、僕なら大丈夫です」

と、制服の裾を掴まれた。
購買で俺を引きとめるときと同じように、
自分はここにいるからと言わんばかりに。
暗闇で見下ろす黒子の表情はやはり読めない。

「何がだよ」
「相手に屈んで貰うようにします」
67黒/子のバ/スケ 黒×火×黒 5/7:2008/12/21(日) 19:21:55 ID:y0MYiUGV0
「そりゃまたみっともねえ…」
「だから」
「あ?」
「だから火神くん、ちょっと屈んで貰えますか?」
「ああ…はぁあ!?」

ああ、今が真昼間だったとしてもこいつの考えることは読めないだろうな、と思えるのは
突拍子もないことをいきなり言われて混乱しているからだろうか。
だって、俺が黒子に合わせて腰を曲げて目線を合わせて、それで、することなんて。


「…待て、お前が俺を好きなのは分かった、それでどうしていきなりキスなんだ」
「…部活に精が出て、頑張れるかと」
「ま、待て、まだ早い」
「…アメリカ帰りにしては意外と堅いんですね」
「そういうことじゃねえ!」
68黒/子のバ/スケ 黒×火×黒 6/7:2008/12/21(日) 19:24:15 ID:y0MYiUGV0
素直に聞き入れられない黒子の望み、それはこいつに好意を抱いてないからだとか、そういう関係になりなくないから、なんて訳じゃない。
率直に動揺、したからだ。きっと。

自分は影になり俺を際立たせ、日本一にすると。
ああ確かに見下ろしてみなけりゃ光から影は見えねえな、といつか思ったのを覚えている。
それでも、見えにくくとも、時々はその表情を盗み見たいと欲張ってみても罰は当たらないだろうか。


「と、とにかく、今は、まだ駄目だ」
「いつなら」
「…と、とりあえず、キセキの世代の3人や4人ぶちのめしてからだな」

それまでお預けだ、と言ってみた。
月を背にして立つ俺が見下ろす黒子は本当に影のようだ。


「見解の相違です」
「は?」
「…ご褒美を楽しみにするだけじゃ、糧には物足りません」
「んな事言っても…」
「じゃあ、今はまだ屈まなくてもいいです」
69風と木の名無しさん:2008/12/21(日) 19:26:51 ID:y0MYiUGV0
あっさりそう言うと黒子はおもむろに俺の手を掴み引きよせ、その甲に軽く唇を触れた。
4月の夜とは思えないほどの人間の熱が、そこから確実に上ってくるのが分かってしまった。


「ば、馬鹿恥ずかしいことすんじゃねえ!女か俺は…!」
「試合に勝てたら、次はちゃんと火神くんに屈んで貰いますからね」
「…畜生……」
「とりあえず今はこれで、頑張れます」


お前がさっさと身長伸ばせば済むハナシだ、と揺れる脳内と火照る顔に耐えてどうにか言い切ると、
一瞬月に照らされた黒子の困り顔が見て取れた。

(…しっかりお前も照れてんじゃねえかよ)



明日から牛乳を両手いっぱいに抱えて飲みだしたりはしないだろうか。
馬鹿なことを考えつつ、仕方ないから購買には一緒に買いに行き続けてやろう、と考えていた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
規制にgkbrしながら投下してました。ありがとうございました。
70風と木の名無しさん:2008/12/21(日) 19:27:47 ID:y0MYiUGV0
>>69の名前欄には
黒/子のバ/スケ 黒×火×黒 7/7 が入る予定でした…orzすみません
71風と木の名無しさん:2008/12/21(日) 20:51:12 ID:3UGcgOyo0
>>62-69
うおおおおおおお萌えたよぉぉぉおおうう!!!
かがみんとクロコは本当にいい凸凹コンビだわ
乙!!
72風と木の名無しさん:2008/12/21(日) 22:01:11 ID:jbwG+Flo0
>>62
GJ!
萌えさせていただきました!
ほのぼのいいね。
73風と木の名無しさん:2008/12/21(日) 23:27:15 ID:IIEJfqQF0
>>62
ちょ、バニラwwwクロコかわいいよクロコ
ごちそうさまです!
74風と木の名無しさん:2008/12/22(月) 00:00:22 ID:ONkzmhoE0
すみません>>62から投下した者です
誤字脱字も多いのですが、それより
>>67の9行目(〜それで、することなんて。)の後に


「お前、な、何を」
「何って…あ、そうか…好きです、火神くん」
「な………!!」
「だから、キスしたいです」

日本人はこうも積極的な人種だったろうか。
待てアメリカでさえこうも唐突に告白とその先を(しかもこんなに無表情に)口に出してきた奴は居ないのではないか。
何かが詰まっていたような気持ちの悪い胸の違和感は、無くなっている。
黒子の台詞を理解して納得したから、だろうか、附には落ちないけれど。


そしてなんとなく、悔しいけれど。


が入ります…orz間違えまくりで申し訳ない
感想くださった方達ありがd!励みになります!
75罰☆ 愚痴→麻酔(1/3):2008/12/22(月) 04:02:49 ID:/MRiqF7b0
ドラマ「チーム罰☆」麻酔と愚痴がこんな一時を過ごしてくれればいいのにーと思って書き殴った。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!




柔らかく暖かな日差しが部屋に差し込む。
喧騒とは程遠い、時折遠くから人の声が聞こえてくるだけの、そんな穏やかな昼下がり。

『彼』は椅子にもたれかかるようにして、眠っていた。

柔らかな光の中、深く、深く、『彼』は眠っている。
ここ最近の疲労がくっきりと色濃く顔に滲んでいるものの、表情自体はひどく穏やかだ。
そんな『彼』を見て、何故か自分の頬も緩んだ。

――――――何故だろう、『あなた』が穏やかな表情をしているのがとても嬉しい。

患者さんが笑っているのを見るのとはまた違う、別の嬉しさがこみ上げてくる。

浮き立った心のまま、午後からの患者さんのカルテを眺めていると、わずかに光が翳った。
窓の向こうを見てみれば、灰色掛かった雲が太陽を覆い隠していて。
なんだか胸が少しざわついて、『彼』の方を見る。
伸びきった前髪が『彼』の表情に影を落とし、心なしかその顔が苦しげに歪んでいるように見えて。
思わずその髪を払おうと手を伸ばしかけ・・・すぐに、その手をひっこめた。
『彼』の貴重な睡眠時間を邪魔したくはない。でも・・・。
76罰☆ 愚痴→麻酔(2/3):2008/12/22(月) 04:04:48 ID:/MRiqF7b0
僕が躊躇している間に、もう一度ゆっくりと柔らかな日差しが部屋に差し込んでいく。
『彼』を優しく包み込むように。
そんな穏やかな陽だまりのなか、ふわりと『彼』が微笑んだ。

「…・・・ん…、…た…ぐち…せんせ・・・」

小さく零れた声に、僕はあっけにとられて、それから静かに笑った。
 

──―――柔らかな日差しは、僕に似てますか?


柔らかく穏やかな日差しを僕だと思う『彼』が少し可笑しくて。
けれど、柔らかく穏やかな日差しを僕だと思ってくれる『彼』が愛おしくて。
イスに持たれかかって穏やかに眠る『彼』の前髪を、
今度は躊躇せずに、そっと横に撫で払った。

「・・・・・・ん・・」

わずかに身じろぎし小さく呻いた後、また『彼』が微笑む。

とても幸せそうに

『彼』が微笑む。
77罰☆ 愚痴→麻酔(3/3):2008/12/22(月) 04:09:26 ID:/MRiqF7b0
「田□先生、コーヒー入りましたよ・・・あら」
明るい富士原さんの声が、『彼』を見て意外そうな声音に変わる。
僕は慌てて人差し指を立て、頭を下げながら小さく声を落とし
「すいません、昼休みの間だけ・・・午後の外来が始まるまでの間だけですから、
 あの・・・寝かせてあげてもいいですか」
そう言った僕に
「いいも何も、ここは田□先生の部屋なんですから」
好きにしてください、と富士原さんは優しく笑い、コーヒーを置いて出て行った。


柔らかく穏やかに差しこむ日差し
遠くから聞こえてくる子供たちの笑い声
広がるコーヒーの香り
イスには穏やかに眠る『彼』

何気ない、緩やかで、ただ穏やかなだけの
だけど、かけがえのない一時。

ふと、思う。


――――――この一時が

――――――『あなた』にとって、当たり前の一時になってくれたらいいのに。


そんな身勝手な願いに少しだけ苦笑して、僕は静かにコーヒーを口にした。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! ありきたりな話でスマソ・・・。
78風と木の名無しさん:2008/12/22(月) 09:50:51 ID:kXqxJG0N0
>>75
愚痴と麻酔!姐さん禿げてつるつるだよありがとう!
禿げてるのに目から水が…
79段段 部長(他家中)×衣柴氏←小唄 1/4:2008/12/22(月) 18:39:54 ID:K3MXePJ80
麻ドラのスカウトが魔性すぎて我慢できなかった。肝スカは男女際限なくモテすぎなんだよ…。
んhkだけど怒られないよね?((((;゚Д゚))))
今日の放送で緊張から汗をかいていた小唄にハンカチを差し出す衣柴氏に萌えたので投下。
一体どこに需要があるのか分からないけど、事務所の部長(他家中)×衣柴氏←小唄です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

初めて蜆汁としての活動内容を衣柴氏から聞いた日から数日経ったある日、
ハンカチを借りていた事を思い出し、差リー三ュージックのビルに向かった小唄。
バイト終わりに向かったためにもう遅い時間。
しかも連絡もせずに来てしまったので衣柴氏はもう帰ってしまっているのではないかと少し焦ったが、
下の受付で聞くとまだ衣柴氏は帰っていないと言う。それに軽く息をつき、小唄は事務所がある階に向かった。

まだ慣れないビルの中をそろそろと歩く。
自分が所属している事務所のあるビルとは言え、ここに入った事自体がまだ片手で数えられる程度であったし、
レコード会社であるという意識も手伝って、今まで感じたことのない独特な空気に呑まれ緊張が取れない。
初めてこのビルに来た時、1人汗をかき平静さを保てなかった自分に
微笑んでハンカチを差し出した衣柴氏は優しかった。
自分の意思を強く、時には強引と呼べるほど押し通すやり方に少々閉口させられる事もあるけれど、
彼の故郷が自分の故郷と近い位置であると分かったのもあるのだろう。
突然湧いた親近感と、どこから来るのか分からない信頼感で
何時の間にか信用の出来る、心を許せる存在になっていた。
80段段 部長(他家中)×衣柴氏←小唄 2/4:2008/12/22(月) 18:41:02 ID:K3MXePJ80
そんな事を考えているうちに、ほとんど明かりの消えた部屋をいくつも通り過ぎ、
衣柴氏のいる事務所が見えてきた。
それにホッとして小唄は明かりが漏れる事務所の扉に近づく。
しかし、扉を開けようとしたその時、中から吐息のような声が聞こえてくる事に気づいた。
思わず怪訝な表情でそっと中を覗き込んだ小唄は思わず息を呑む。
(…いし…ばし…さん?)
そこには痴態を繰り広げる他家中と衣柴氏の姿があった。

事務所のデスクの上であられもない姿で乱れている衣柴氏と
その衣柴氏の体を撫で回し、夢中で腰を打ち付けている他家中。
あの強気で強引な衣柴氏が淫猥な表情で細い体を揺さぶられ、小さく喘いでいる。
絶対的な意思を持っている目も伏られ、曝け出された首筋から肩まで薄っすらと赤く染まっていた。
小唄は驚愕し、その場を早く離れなければと頭の中は必死に訴えているのに、
何故か衣柴氏の乱れた体から目を離す事が出来ない。
今まで見たことない衣柴氏の表情に背中から腰にかけてぞくりと粟立つ。
ゴクリと自分の咽が鳴る音が異様に大きく聞こえる。
唾を飲み込んだ先からカラカラと咽が渇いていく感覚を覚え、小唄は自分が興奮していることに気づいた。
体の先から冷えていくのに、芯はどんどん熱くなる。
81段段 部長(他家中)×衣柴氏←小唄 3/4:2008/12/22(月) 18:42:03 ID:K3MXePJ80
しかし、なぜ衣柴氏は他家中に抱かれているのだろう。
抵抗していない所を見ると彼らはそんな関係にあるのだろうか。
考えてもそんな事は分かるはずがないのだが、疑問は消えない。
だがそれ以上に、衣柴氏を組み敷いている他家中が酷く羨ましく、そして憎い感情が渦巻く。
今すぐにでも自分と他家中を摩り替えてしまいたい。

…他家中に嫉妬し、彼の痴態に興奮している、これではまるで、
自分が衣柴氏の事を好いているようではないかと他人事のように思った。

薄い上半身が仰け反り大きく浮き出た鎖骨に他家中が噛み付つく。
唇を噛み締め声を耐える衣柴氏を見て他家中は薄く笑い、更に腰を奥へと打ち付けた。
そんな情事に嫌悪感しか湧かないのに目が離せないまま結局2人は最後を迎え、
小唄は何とか固まっていた体を動かし、フラフラと家路についた。
82段段 部長(他家中)×衣柴氏←小唄 4/4:2008/12/22(月) 18:42:56 ID:K3MXePJ80
家に着くと、ぐったりとベットへ潜り込む。あの衣柴氏の痴態が脳裏から離れない。
自分達にプロになれると絶対的な自信を持った眼差しで告げてきたあの表情と
先ほどの淫猥な表情が交錯し、2人の情事を見たことにより自覚させられた感情で、軽く混乱してしまう。
しかし、そんな思考とは裏腹に体は酷く興奮し、あまつさえ勃起していた。
そして握ったままだったハンカチを思いつめるように見つめた後、
小唄は我慢が出来ずに自慰行為を始める。
衣柴氏のハンカチの匂いを鼻腔に満たし、痴態を思い浮かべ手を動かした。
そしてそのまま1人精を吐き出す。
激しく息をつきながら激しい自己嫌悪に襲われ、それと同時に衣柴氏への暗い欲望をはっきりと意識する。
―――――あの衣柴氏の細い肢体を組み敷いてしまいたい―――――
次に顔を会わせた時はたして自分はこの欲望を抑えられるのだろうか。
いや、むしろあの他家中と衣柴氏を見て平静でいられるのか…。
その欲望を押さえつけるように蹲り、ハンカチを強く握り締める小唄だった。




初小説なうえ、ベターな内容でスマン。

本ドラマの内容はアレなうえにw衣柴氏も本スレでは嫌われまくってるけど自分は好きだw
肝スカ可愛いよ肝スカ。

お目汚し失礼致しました!
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
83変態戦士 赤×理想の上司 1/4:2008/12/22(月) 22:30:40 ID:NNK8ZKKH0
またまたやっちまった。
この二人が好きで堪らないのに、他に書いてくれる人がいないから自分で補給している。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

8月も半ば、お盆明けの川崎市。
このお盆の間、悪の組織フロシャイムも・・・
きっちり休みを取っていたことは言うまでもない、が。


「あの・・・レッドさん・・」
「あ?なんだよ?」

目の前で、ビールを片手にデーゲームを見ている男に、ヴァンプは恐る恐る話しかける。

「どうして・・・ここに?」
「だーから、言ったろー。かよ子が田舎に帰ったからだよ。」
「だからって・・・」

お盆休みのフロシャイム川崎支部の面子は、皆それぞれ外に出ていた。
そんなわけでこのアジトには、ヴァンプ一人しかいない。
ヴァンプもどこか出かけても良かったのだが、世間もまた休みである、
人混みの中にわざわざ飛び込みに行くようなものだ。
この際アジトの中で、のんびり溜まった家事でも片付けようと考えていた矢先だった。
宿敵、サンレッドがやってきたのは。
84変態戦士 赤×理想の上司 2/4:2008/12/22(月) 22:31:26 ID:NNK8ZKKH0
「あの、レッドさん・・・かよ子さんが田舎に帰られたのはわかりました」
「おー、お、入るか?はいっ・・・あー切れたかァ」

相槌なのか、テレビに向かっての独り言なのか微妙だがヴァンプは続ける。

「で、なんでここに?」
「暇だから。」

一言。
しかし答えにはなっていない。

「暇だったら・・・パチンコとか行けばよろしいのでは?」
逆鱗に触れないように恐る恐る、言葉を選ぶ。
「金がない。」
また一言。
「・・・じゃあご自分の家(かよ子宅)で見られたらいいのでは?」
「ここなら飯が出るし」
出るんじゃなくて、出すんですけど。出さ、されてるんですけど。
つっけんどんなレッドの言葉に作り笑顔さえ引き攣ってしまう。
85変態戦士 赤×理想の上司 3/4:2008/12/22(月) 22:32:10 ID:NNK8ZKKH0
「じゃあ、お腹がすいたら来ればいいじゃないですか、ね。」
とにかく、宿敵の、しかもいつもボコボコにやられてしまう相手のレッドに
長居してもらっては困る。しかも他に誰もいない二人っきりで。
せっかくの休みなのに、気が休まらない。
「私、掃除とかお裁縫とかしなきゃいけないし、レッドさんだって
住み慣れてる家のほうが私といるよりリラックスできるでショ?」
・・・・・・
しばらくの間沈黙が続く。
あれ、もしかして怒っちゃった?ヴァンプの額に冷や汗が流れた。
86変態戦士 赤×理想の上司 4/4:2008/12/22(月) 22:35:40 ID:NNK8ZKKH0
少しして、先ほどからテレビから目をそらさなかったレッドが
視線をヴァンプのほうに向けて答えた。

「俺はお前がいても十分リラックスできるけど?」
当り前のように。そしてまた視線をテレビに向けてジョッキを傾ける。

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

ナニソレ。
馬鹿にされてるのかしら、とヴァンプは複雑な気持ちになった。
結局、自分一人がいたところで、怖くもなんともないと言われてるわけで。
食事に毒を盛ることだってできるのに、そんな心配微塵もしていないのだレッドは。
宿敵なのに。
ホント。
根っから。
もういい。今日は一時休戦。

はあ、とため息をついて、ヴァンプはレッドのテーブル向かい側に腰をおろして
裁縫を始めたのだった。


「あ、レッドさん。お昼はチキン南蛮でいいですか?」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
結局、ヴァンプ様もリラックスして裁縫してる、って姿を想像してくださいw
87風と木の名無しさん:2008/12/22(月) 23:01:35 ID:1q8NcN3y0
>>79
御免、考えたことなかったカプだけどめちゃ萌えたwww
石場氏の華奢な体は折り曲げたくなるよー
続きできたらまたウプしてくださいぉ
88風と木の名無しさん:2008/12/23(火) 01:28:13 ID:9GtBMAEt0
>>83
原作の例の話の補完萌えました!
この二人いつ進展するのかワクテカ
89風と木の名無しさん:2008/12/23(火) 07:12:03 ID:T0ynMQmn0
90風と木の名無しさん:2008/12/23(火) 07:13:58 ID:T0ynMQmn0
ミスった
>>83
GJです姐さん!禿萌えた!
結婚オメww
91照退 Love 1/12:2008/12/23(火) 11:05:58 ID:iGDI2e/g0
照退つづきです。アク禁に巻き込まれてました。その間サイト作りに励んだのですが、説明書見て首ひねってる段階です。(スキルなさ過ぎ)
次回投下する頃には、神話の姐さんを見習ってなんとか作りたいんですが、なんか凄い難しい…。話自体は次回も含めてあと4回あります。結局全11話に。(長っ)
サブタイはジョン・レノソの。前回の投下日の方が命日に近かった。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


オレがどんなにあのキスを大事に思ったのか、あの人はわかってるのか?
ガランとした心で、冷え切った自宅に戻り、退蔵は持ち帰った鞄から札束を取り出した。
空いた靴箱に2千万を詰めてみる。半分近く隙間が空いた。手元に来るまではこんな大金どこへ隠すんだと思っていたが、たいした量じゃない。重さは2kg程だ。
この2千万でいっそ、照とどこかへ逃げたい、と一瞬思いついた。
これまでの事を全部照に打ち明けて、2人で何もかも捨てて、どこか遠くへ逃げてしまいたい。
そんな考えが頭をかすめて、退蔵は溜息をついた。一瞬だけでもバカ過ぎる考えだった。
今ギリギリの均衡を保って綱渡りをしている状態なのに、自分から落ちてどうするんだろう。
そんな事をすれば2人とも、間違いなくすぐに見つけ出されて殺されるだけだ。衝動的に靴箱を蹴って、中の札束をぶちまけた。
あの後、田所へ連絡し終えて資料室に戻ると、照の姿が消えていた。
対策課にもいない。コートも消えていた。通りがかった交通課の同僚が、ついさっき帰って行ったと教えてくれた。
玄関へ飛び出して辺りを見回しながら、退蔵ははがゆくてたまらない気持ちで照を捜した。
なんで逃げるんだよ…。照の心がよくわからなかった。
田所の連絡は、朱龍が近々『退史郎』を警察から組織に戻そうとしていると伝えるものだった。
妙に抑揚のない声で田所は退蔵に告げた。
『おまえは試験にパスしたらしいな。出先から本店に戻すってさ』
重要な事だが今言わなくてもいい。明日になってから聞いてもいい事だと思った。
おかげで照は腕からすり抜けて、行ってしまった。
92照退 Love 2/12:2008/12/23(火) 11:07:17 ID:iGDI2e/g0
翌朝、退蔵が出勤するとすぐに田所が現れた。
「悪いけど、今日は大内と組んで外へ出てくれ」
手短に説明される。昨夜、弁護士が山根組系暴力団に襲撃された。犯人を特定する為、周辺の防犯カメラを捜査課と共同で一斉にチェックする。
借りてこられる物は署内でチェックするが、中には移動出来ない形態の物があった。
「それを大内と手分けして、現場でチェックしてきてくれ」
昨日の連絡と同じように、抑揚のない淡々とした言い方で田所は言った。
「照さんは?」
退蔵が聞くと、田所は一瞬眉を上げてわずかな時間退蔵を見据えてから、
「照は署内だ、もうチェックを始めてる」
と早口に言うと、通りがかった部下を呼び止めてそちらと話し出した。
何かわだかまる物がある。顔を見るだけでもいいから一度照に会っていきたかったが、仕方なくそのまま大内と署を出た。
結局防犯カメラのチェックは夜の8時頃までかかった。
いくつか見たビデオの中で、大通りやマンションのロビーにクリスマスの電飾が光っているのが、やけに目の中に残った。
署内に戻ると全員チェックを終了したらしく、集中が切れたのかみんなくだけた雰囲気でざわついていた。飲みに行くか、という声が上がっている。
その中にすぐに照の姿を見つけた。
見つけると同時に、照の方でも退蔵に目を上げた。
視線が絡んだ。
たぐりよせれば心を引き寄せられそうに、視線が結びついていた。
「みんな焼き鳥んとこでいいか?」
田所の声がした。
「それじゃ行きますか」
誰かが答える。田所が人を割って照の横へ歩いてきた。退蔵と照は視線を外した。田所が照に声をかけている。
「行くよな?」
「いや、おれ残業」
照が田所に言いながら歩き出すのを、退蔵は見てないふりをしながら目の端で追った。田所は低い声になって言う。
「なんで?昨日やってたんじゃねえの?」
「終わんなかったんだよ」
「…おまえ、メシ食ってねえだろ?明日にして今日は来いよ」
「そうもいかない。今食う気しないし、終わったら行くよ」
照は田所と同僚たちに「お疲れ」と言い残して歩いて行った。
93照退 Love 3/12:2008/12/23(火) 11:08:54 ID:iGDI2e/g0
田所が自分の方へ振り向いたのを察して、退蔵は見ないようにした。田所が近づいてくる。
「退史郎、大内、おまえらも行くよな?」
大内が笑顔でハイと答えたのに続いて、退蔵はわざといい笑顔で言った。
「オレは残業です」
田所の目が微妙に細められた。
「おまえ、昨日も残業だったよな?」
「今日中に片づけたいんで、終わったら合流しますよ」
田所が何か言おうとするのを気付かないふりをして、退蔵はその場をすり抜けた。

一人で調書作成に集中している照の姿を、退蔵は少しだけ眺めてから扉を開けた。
照が顔を上げて、なんだか子供みたいな目で退蔵を見つめた。
「飲みに行かなかったのか?」
退蔵は首を傾けて笑った。
「残業手伝いますよ。オレが噛んでるとこはオレが作ります」
退蔵を見る照の視線が昨日と違って柔らかい。それだけで退蔵は心の中が暖まっていくのを感じた。
仕事が全部片付いた時にはまた23時を過ぎていた。照が資料を戻しに行くついでに、退蔵は備品の物置から新品の蛍光灯を取り出して持って行った。
資料室の電灯はまだ付け替えられていなかった。
脚立に乗って、退蔵は照に外した古い蛍光灯を手渡し、新しい方を受け取った。
眩し過ぎるくらいの白い光が辺りに満ちた。
照が古い蛍光灯を箱に詰めている隙に、さりげなく退蔵は内鍵をかけた。静かに呼びかける。
「照さん……」
振り向いた照の顔を両手で包んで、退蔵はゆっくり唇を重ねた。
素直に応じてくれる。照はキスされたまま蛍光灯を握り締めている。退蔵はそれを手からもぎ取ると、そばの机に置いた。
照がぎこちなく、空いた手を退蔵の背中にまわしてきた。
舌で抱き合うみたいに絡ませた。一瞬で夢中になって、またわけがわからなくなる。
照の髪と背中を撫でて、そのまま右手をスーツの内側に滑りこませて、ワイシャツ越しに背中を撫でた。
物足りなくなって、ワイシャツの裾を引き出して、その下から直に体に触れる。
「んっ……」
照が途惑ったように身じろぎした。構わずに指を這わせると、体をよじって唇を離してきた。
「ちょっと待て…」
94照退 Love 4/12:2008/12/23(火) 11:10:23 ID:iGDI2e/g0
肩に手を置いて少し押し返された。退蔵は動きを止めて、じっと見つめた。
「どうかした?」
「…これは…だめだろ…」
口に手を当てて、照は困惑して退蔵から視線を外した。なんで急に素に戻ったのか、退蔵にはよくわからなかった。
「どうして?」
「どうしてって……こんなの、やっぱりおかしいだろ」
照は何故かうろたえている。間近で照の目を見つめて、退蔵は言った。
「おかしくなんかない」
そのまま照のネクタイを緩めて、ボタンをひとつずつ外し出した。その手を照が掴んで止めようとする。
「だから…だめだって」
「なんで?」
「なんでじゃなくて、ちょっと」
もどかしくて、退蔵は両手でちょっと引っ張ってボタンを外した。抗議には耳を貸さずにベルトに手をかけると、照が慌てて両手でその手を掴んでくる。
「やだって、本当にやだから、退史郎!」
叱りつけるように名前を呼ばれて、退蔵は手を止めると、じっと照を見て言った。
「わかった」
ちょっと離れるとスタスタ入口まで歩いて行って、壁のスイッチを押して真っ暗にした。
「電気消したげるから」
「…だからそうじゃなくてさ、退史郎、本当に、」
暗い中、戻って来ると聞かずにもう一度くちづけた。体を引こうとする照に抱きついて、ぎゅっと自分自身を押し付けた。
「……わかる?」
「……………」
踏み出した以上、今更戻れないし戻る気もしない。この線を越えてしまいたい。
暗がりの中で、照はおちつかなくせわしなく視線を揺らした。退蔵は照のワイシャツの前をはだけて、もう一度手を潜り込ませた。
「だめだって……」
照の声がうわずっていた。月明かりでぼんやりと、体が白く浮かび上がっている。退蔵は照の鎖骨に唇を落とした。
「いいよね?」
「よくない……」
そうは言っても、もう声がかわいくなってる。
肌に手のひらを滑らせると、温かくて心地良かった。照の体がびくっと跳ねた。
95照退 Love 5/12:2008/12/23(火) 11:12:19 ID:iGDI2e/g0
「人来るから……」
「来ないって……」
首筋に唇を這わせて、服の下の体をギュッと抱き締めた。
「本当に嫌?」
首筋に唇をあてたまま喋ると、照の体が小刻みに震える。
「……いやだ」
「……そうかなあ……」
手のひらを好きに動かした。
「たい……」
照は呼びかけて途切れさせた。また、名前を間違えそうになった?
じっと見つめていると、照は少し我に返って目を開いて、退蔵と目を合わせた。
「今のは違……」
気まずそうにしてるのが伝わってくる。
「いいよ。どっちを呼んでも」
真面目な顔で退蔵は言った。薄明かりの中、照が驚いて見つめ返してくる。
「えっ…」
「退蔵でも退史郎でも。呼びたい方呼んで」
いいんだ。本当にどちらを呼んでもいい。オレは退蔵で退史郎だから。
「……何言ってんだよ」
混乱して、照は退蔵の目の奥を覗きこんでくる。
「どっちを呼ぶ?」
退蔵は照の耳を噛んで、手のひらで背中を撫でまわした。
「……退史郎……」
そうか。そっち呼ぶよな。そりゃそうだ。
本当に選びたいのは誰なんだ。耳を何度も甘噛みする。
ベルトを外してファスナーに手をかけると、照はまたその手を掴んで止めようとする。
「こーいうの、やっぱり、よくない……」
なんでそんなにためらってるんだろう?
「……はずかしい?」
照の頬を触ると顔が熱くなってる。
96照退 Love 6/12:2008/12/23(火) 11:13:44 ID:iGDI2e/g0
「心配しなくていいから……今日は痛いこととかしないから……」
もう照が反応してるのはわかってる。布越しに指で触れた。
「ちょっ…ちょっと……退史郎……」
照は流されてる。流されて、2人で違う岸辺に辿り着ければいい。
指で形をなぞって、それから直に触って握り締めた。ゆるゆると手の中で撫で上げる。
照は顔を反らして、何かに耐えているようにギュッと目を瞑っている。
浅くて短い呼吸を繰り返している。その呼吸に合わせて手の動きを速めた。
苦しそうに呼吸している。照は何かに抗っているように見える。
越えてしまえば楽になる。
もう先端は溶け出している。手のひらで包み込む。少し力を込めた。
「――――ぅ………んっ………」
表情が変わった。
声が甘い。少し乱暴に手を動かす。照の足に力が入らなくなっている。
縋るように両手で退蔵の肩に掴まっている。荒くなる息遣いを肩先に感じていた。
いきなりスーツのポケットの中で震動があった。バイブ機能にしていた退蔵の携帯が鳴っている。
そんなもの知らない。無視する。
「……ちょっと座って」
脚立に照を腰かけさせた。照の目がとろんとして定まらないのを見て、こめかみにキスした。
携帯は自己主張し続けているが一切無視して、退蔵は照の足元で膝をつくとゆっくり口に含んだ。
「……や、………ぁ………」
照が退蔵の髪に指を差し込んだ。指先に力が入っている。
不思議な果物を舐めてるような気持ちだった。
たべてしまいたい。本当に、ぜんぶたべてしまいたい。
下から上へ舌を絡ませて、吸い上げた。オレと同じところを同じように気持ちよく思ってくれたらいいんだけど。
思いながら舌でなぞって唇で噛むと、口の中で跳ねる。
「退史郎………」
かすかな、切ない声で名前を呼ばれる。
さっきどちらを呼んでもいいと言ったくせに、こうして呼ばれるとまた変な感覚が起きた。
まるで自分で自分の恋人を寝盗ろうとしてるみたいだ。
97照退 Love 7/12:2008/12/23(火) 11:15:06 ID:iGDI2e/g0
その時また携帯が震え出して、いつのまにか一度止んでいたのに気付いた。
照に集中するうちに、また携帯の存在を忘れていく。
「……ごめ……ちょっと、退史郎、離して……」
息を熱く弾ませながら、照が退蔵の髪を撫でる。
「……なに?」
先端に唇を当てたままで喋ると、照の体が震えた。
「……もう無理……終わらせて……」
「イキそう?」
照は目を閉じて、こくんと頷いた。指先で撫でながら退蔵は低く囁いた。
「いいよ。出して。オレ飲むから」
「……無理……」
「いいから。我慢しないで」
指で撫でながら口に含んで、思い切り動かした。照はほとんど苦しんでいるように息を吐く。
照……。
心の中で呼びかけながら、下から上へと鋭く吸い上げた。
「んんっ…………」
照が強張って、それから退蔵の口の中で拡がった。飲み込むと軽く喉が灼けた。
今まで同性とした事はなかったから、したらどうなっちゃうんだろうとずっと思ってた。
何も問題ない。大丈夫。むしろ、今までの誰といる時より満ち足りている。
この人だ。この人で合ってるんだ。
退蔵は喉を鳴らして全部飲み干した。虚脱したような照の背中を、膝をついた姿勢のままで抱き締める。
「すきだ」
「………退史郎」
照は自分の胸に引き寄せるようにして、退蔵の頭を抱え込んできた。
心の中が柔らかく暖まっていくのを感じた。おれのもの。全部おれの。もう一度言う。
「すきだ」
その途端、また携帯が震え出した。
「……電話…?」
けだるい声で照が呟いた。頭を抱きかかえられたまま、退蔵はスーツのポケットから携帯を取り出す。暗がりの中、光って浮かび上がった表示を見た。
田所だ。
98照退 Love 8/12:2008/12/23(火) 11:16:48 ID:iGDI2e/g0
不意に耳の中で、以前言った田所の声が甦った。
『オレはおまえの見張り役だ』
あの野郎。どこかで見てんじゃねえだろな。
しかし田所は今、同僚たちと飲んでいるはずだった。単純に早く来いという催促だとも思えた。
どっちにしろ、知るか。退蔵は電源を切った。
「……切っちゃうのか?」
きょとんとして聞いてくる照に、退蔵は大きく笑いかけた。立ち上がってから、座ったままの照をもう一度抱き締めた。
「今日はもう帰りますか。12時近い」
本当はずっとこのまま一緒にいて、もう少し先まで進みたい。
そう思うけど、もったいなくて全部一度には食べずに、しまっておきたいチョコレートをもらったような気持ちが強かった。
別れ際、最後に振り向いた照は、退蔵の顔をじっと見た。
「信じていいのかな」と迷っているような目。
もちろん信じていい。信じてほしい。退蔵は思いを込めて笑った。

翌朝、退蔵は署に着くと、パトカーの脇で、田所が照にしきりに話しかけているのに出くわした。
照は手元の用紙に目を落としたまま、時折何か言い返している。
傍を通り過ぎようとすると、田所が顔を上げて退蔵に声をかけてきた。
「退史郎、今日も大内と行動してくれるか?オレたち今から出てくから」
「……そうですか」
ずっと感じていた違和感が、退蔵の中で形を取り始めていた。
「わかりました」
田所にしか気付かない程度に、口に薄く笑いを浮かべた。
それを見た田所は、はっきりと敵意を剥き出しにして、退蔵を鋭い目で睨みつけた。
横にいた照は、田所に背中を押されてパトカーに乗り込み、窓から退蔵の顔をちらっと見た。
何も言わなくてもわかった。一瞬目が合っただけで、それだけで十分だった。
愛しあってる。誰にも邪魔なんかさせない。
99照退 Love 9/12:2008/12/23(火) 11:25:55 ID:iGDI2e/g0
夕方署に戻った退蔵は、多分もう照も戻ってるはずだと思って、その姿を探しながら廊下を歩いた。
廊下の長椅子に照が、なぜか子供2人と座っているのを見つけた。
小学2年生くらいの男の子と、幼稚園児くらいの女の子。見ているとその2人と指きりを始めた。
近づいて行くと照は振り向いて、退蔵の姿に気付いてちょっと目を見開いて、それから照れて笑った。
「いいとこに来た。退史郎ごめん、ちょっと代わって」
「…はい?」
「おれ行かなきゃいけないんだ、この子らちょっと見てて」
立ち上がると軽く説明してきた。先日の襲撃された弁護士の子供たちで、今事情聴取を受けている父親を迎えに来たらしい。
こういう場合、大抵は人当たりのいい婦人警官に任すのだけれど、ちょうど人手が無かったようだ。
「おまわりさん、もう行っちゃうの?」
男の子が照を見上げる。
「ごめんなー、次はこのおまわりさんがお話ししてくれるから。…後よろしく」
男の子と退蔵に順番に笑いかけて、照は廊下の途中で一度振り向いてから、去って行った。
まいったな。思いながら退蔵は子供の横に腰を下ろした。それにしても、あの人は子供が苦手だと思い込んでいたが、案外なつかれてたみたいだ。
「…あの人とさ、何お話ししてたの?」
退蔵が少し顔を低くして聞くと、男の子はランドセルを背負ったまま、少し緊張したような顔で退蔵を見た。
「…おとうさんは、悪い人に脅されたけど、負けなくて立派だって。おまわりさんは、そういう悪い人たちからみんなを守るために、毎日がんばってるって言ってた」
照らしい。心の引出しにしまっておく。見ると、女の子は長椅子からずり落ちて、首だけ椅子に乗せている。
「まな。ちゃんと座れ」
男の子が引っ張り上げる。退屈してきたんだろうか。
女の子はだらーんとしたまま引っ張られていたが、急にニコニコ笑い出して男の子に内緒話の形で言った。
「おまわりさんと、メイカイッシュのはなしもしたよ」
「ん?なんのお話?」
退蔵が顔を覗き込むと、男の子が嬉しそうに聞いてきた。
「メイク・ア・ウィッ/シュ・オブ・ジャパンって知ってる?」
「ん?何?知らないな」
メイク・ア・ウィッシュ?願い事?
100風と木の名無しさん:2008/12/23(火) 11:31:09 ID:Yocn9Pkn0
支援?
101照退 Love 10/12:2008/12/23(火) 11:32:15 ID:iGDI2e/g0
「あのね、アリゾナに住んでた7才の男の子は、将来警察官になるのが夢だったの。でも白血病になって、大人になるまで生きられなくなって」
男の子は一生懸命話し出した。
「そしたらアリゾナの警察の人が、その子に制服とバッジとヘルメットを作ってくれて、警察官にしてくれたの」
退蔵は男の子の顔を見ながら聞いていた。
「警察官の格好で、パトロールしたり、ヘリコプターにも乗ったの。それから5日後にその子は死んじゃった。そしたら警察の人たちが、警察官のお葬式をしてくれたの。それでその子のおとうさんとおかあさんと警察の人たちで、メイク・ア・ウィッシュっていうのを作ったの」
「ふうん……」
「それが、難病の子の夢がかなうのをお手伝いするボランティア。それの日本版」
「…そうなんだ。難しい事知ってるんだね」
「おとうさんは毎年クリスマスに、そこに募金するの」
男の子は床に届かない足をブラブラさせながら、笑って言った。
「さっきのおまわりさん、『じゃあおじさんも募金する』って言ってた。『誰か知らない子にクリスマスプレゼントをあげる』って言ってたよ」
退蔵は少し上を向いて、指を組んで、それから男の子に笑いかけた。
「じゃあおじさんもそこに募金しようかな。…おじさんは1万人分くらい募金しちゃおうかなあー」
「いちまんにんぶーん!?」
男の子は大げさにのけぞってウケていた。女の子もよくわかってないのに一緒に大笑いしている。
「1万人分って1万円くらい?」
「さあ〜いくらかな〜」
退蔵は腕を組んで男の子の顔を見て笑った。
「じゃあおまわりさんも指きりしてー」
女の子が小さい小指を立てている。退蔵は両手で子供2人と指きりした。
そこへ若い婦人警官が小走りに近付いて来て、男の子に話しかけた。
「お父さん、もう帰れるって。一緒に行こうか?」
「この人と行くー」
女の子が退蔵の横に来て腕にくっついてきた。退蔵は婦人警官に笑いかけた。
「じゃオレが連れていきます」
「お願いします」
婦人警官も笑いながら会釈すると、元来た道を戻って行った。
102照退 Love 11/12:2008/12/23(火) 12:02:19 ID:iGDI2e/g0
子供2人の手を引いて廊下を歩いていると、男の子がニコニコ笑いながら退蔵を見上げてきた。
「ぼくもおまわりさんみたいに、困ってる人をたすけたい」
そう言って笑った顔は、どことなく照に似ていた。
「みんなが幸せになれるようにしたい」
そう思ってよく見ると、サラサラした前髪や色の白さ、まっすぐ見てくる大きな目が照と重なった。
退蔵は少し笑って、男の子に向かって深く頷いた。

子供たちを父親に引き渡して見送った後で、窓にもたれて退蔵は夕空を眺めていた。
林檎色の雲が薄く流れて行く。それをただ眺めていた。
眺めている間も空の色が変わり続ける。雲の色が濃くなる。
気がついたらそばに照が立っていた。なぜか少し驚いたように退蔵を見ている。
無意識に指の関節を噛んでいたのに、その時気付いた。退蔵は動じなかった。
「兄貴と同じ癖でしょ。2人とも子供の頃から、よくこれで怒られましたよ」
用意もしていなかった答えがスラスラと口から出た。照は驚いていた自分に照れたように俯いて、
「癖まで似てんだな」
と言うと、もう一度退蔵の顔を、まだ不思議に思っているような目でじっと見た。
それから何か考えるように横に目をそらして、そして目を伏せた。
「…何か考え事?」
退蔵がなんとなくしゃがんで下から照の顔を仰ぐと、照は首を振って少し笑って答えた。
「何も。…退史郎こそ、さっき何か考えてたんだろ?」
照に言われて、退蔵は唇をきゅっと結んで、笑って照を見上げた。
「愛について考えてた」
「何言ってんだよ…」
俯いたまま、照は淡く笑っている。
しばらくしてから自分のつま先に目を落として、ぽつんと言った。
「おれたち、なんかやっぱり、おかしく見えるのかな……」
退蔵は照を見て、それから立ち上がって、赤くなっていく空に目を向けながら言った。
「田所さんに何か言われた?」
「……………」
図星って顔をする。
そんなの気にする必要ない。退蔵は照の手首を掴んで、軽く2回振って笑った。
103照退 Love 12/12:2008/12/23(火) 12:04:12 ID:iGDI2e/g0
「明日、休みでしょ?」
手首を掴んだまま、明るい声で聞いた。
「オレも休みに替えてもらいました。本当は明後日だったんだけど」
「……そうなんだ」
「今日、一緒に仕事終わりますよね」
軽く頭を下げて、照の目をまっすぐ見ながら退蔵は聞いた。
「今日ウチ行きたい。行っちゃだめ?」
「……散らかってるよ」
困ったふうでもなく優しい表情で照が答える。退蔵は笑って猫背にして、少し下から顔を覗き込んだ。
「オレの居場所もないくらいですか?」
照は笑った。
「そこまで散らかってない」
退蔵は掴んでいた手首から指を滑らせて、照と指をつないだ。
「行っていい?」
「……いいよ」
退蔵は嬉しくて笑って、嬉しくてつないだ指に力を込めた。
2人は指をつないだまま、しばらく黙ってそこにいた。
空には羽根を広げたような雲が、真っ赤に広がっていた。

つづく。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

本文が長いって出て投下遅れたり、またさるったりで、やたら長文で申し訳ないです。
年内もう1回投下したかったのですが、多分年明け5日くらいまでは無理なんで来年に。年明けにサイト出来てるように頑張ります。
よいお年を。
104風と木の名無しさん:2008/12/23(火) 13:36:49 ID:a5HqQCzKO
>>103

超!GJ!!!!!!!!!
たまらん!たまらんよ〜(*´д`*)
甘甘なのにこの背徳感。
今回飴だったケド、次には鞭が来るんでは、とwktkww
メチャクチャ続きが気になるんで、サイトに移行されたら絶対ヒント下さい!
105風と木の名無しさん:2008/12/23(火) 14:08:50 ID:BZr17A1UO
>>103
GJすぐる!!
次の投下まで2人のこの甘甘な一時を堪能しつつ待ってまつ(*´Д`*)

2人に幸あれ。姐さんもよいお年を!
106黒呼のバスケ 火×黒7/1:2008/12/23(火) 15:37:47 ID:xbEKlW1i0
飛翔のバスケ漫画「黒呼のバスケ」の火×黒
途中黒呼レイープ済みな妄想混じってます


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


電灯の消された体育館から最後の一人が出て行った。
がちゃん、と重い鉄製の扉の閉まる音を用具倉庫室の薄い壁越しに聞いていた
加賀見は浅く息を吐く。

安堵の色の混じったそれが気になったのか、ふと目線を上げた黒呼と視線が噛み合う。
向かい合わせに顔を付き合わせた黒呼は昼間と変わらない、淡々とした口調で呟く。
「先輩・・・帰りましたね」
潤いを帯びた黒い瞳がふたたび静かに加賀見を見返す。
ごくり、と唾を飲み込む。
男のくせに。愛想のカケラもないくせに。なんとも色っぽい顔をする。
加賀見は居心地の悪さを誤魔化すように黒呼の髪を片手で引き寄せる。
壁に背を預けてしゃがんだ加賀見の、足の間でうずくまっていた黒呼は素直に行為を続行した。
加賀見のハーフパンツのチャックを緩め、内側からまだ反応の見られない加賀見のそれを
引き出し、慣れた手つきで扱き始める。
107黒呼のバスケ 火×黒2/7:2008/12/23(火) 15:38:51 ID:xbEKlW1i0
人肌よりやや熱いそれは、まだ柔らかく掴み辛い。
だが、数回擦るだけで弾力をつけ、少しずつ角度を付けて上向いてくる。
生温い粘液が指先をぬめる感触に黒呼の咽喉が鳴った。
頭を傾け、剥けきっている亀頭に唇を近づけ、舌を尖らせて先端をちろりと舐めれば、
頭上に据えられた加賀見の手に無意識に力が篭もり、そのままぐしゃぐしゃとかき回す。
加賀見の、熱の篭もった荒い息遣いも聞こえてくる。
本体よりもよほど正直な下半身ですね、と心中でこっそりと満足しながら、
黒呼は次に裏筋の薄い部分を唇で辿った。
くっきりと血管の浮く竿の途中で吸い付くように舐め、小さな口にカリの部分を咥えこむ。
じゅぷっ、ぐぷりと加賀見の体液と黒呼の唾液が混じり合い、淫雑な音を立てた。

亀頭周りの窪んだ部分を舌でぐるりと巡らせると脇の加賀見の足がびくりと上がった。
口内で脈打つ加賀見の陰茎は、すでに収めきらないほど逞しくそそり立っている。
「お、おいっ・・・!、もうイイ。出る・・・」
「どうぞ」
その言葉を合図に、黒呼は一層強く吸い上げた。
行き場を求めていた熱い飛沫が口内の粘膜を濡らし、甘い痺れが腰にまとわりつくのを
黒呼ははっきりと自覚していた。

名残惜しそうに一旦口を離した黒呼の顎を、溢れた体液が伝う。
その液を躊躇なく舌で舐め取る黒呼の姿を加賀見はじっと見つめていた。
108黒呼のバスケ 火×黒3/7:2008/12/23(火) 15:39:40 ID:xbEKlW1i0
「好きなんです、加賀見君が」
そう黒呼は言った。
加賀見のとって黒呼は、バスケで頂点を目指す目的を同じくする同士であり、
チームメイトであり・・・友人である。
加賀見は黒呼も同じ感情を持っていると思い込んでいたが、彼はその感情に情欲という色も
併せ持っていたらしい。
ふいに合う視線も、分かりづらい嫉妬も独占欲もその表れだったようだ。



本音を加賀見に告白したことで自信を得たのか、黒呼は会う度に返事を加賀見に請うようになった。
僕が欲しいのは加賀見君の気持ちです。加賀見君が望むなら、僕は何だってします。
そう言う黒呼に加賀見が冗談半分で口淫を命じたのはいつだったか。
滅多に揺らぐことのない黒呼の瞳に、絶望がよぎったのもこの時が初めてではなかっただろうか。
黒呼は過去を語ろうとはしないので、この時の黒呼の心境を加賀見は知りえない。
そして、加賀見が黒呼を嫌いきれず、この曖昧な関係を続けているのも明らかだった。
黒呼は加賀見の答えを待っている。・・・きっと今も。
109黒呼のバスケ 火×黒4/7:2008/12/23(火) 15:40:23 ID:xbEKlW1i0
「シャツ、ちょっと汚れちゃいましたね・・・替えが教室にあるんで僕はそっちによって帰ります。
加賀見君はどうしますか?」
シミのついたシャツの襟を引っ張りながら、平坦な声で黒呼が訊ねる。
「・・加賀見君?」
いつもなら、ぶっきらぼうながら何らかの返事は返ってくるはず。
微動だにしない加賀見を訝しんだ黒呼が、再び加賀見の前で膝を折る。
俯いた顔に手を伸ばしかけた直後。
110黒呼のバスケ 火×黒5/7:2008/12/23(火) 15:41:14 ID:xbEKlW1i0
肩に食い込むような痛みを感じ、黒呼は加賀見の下に押し倒され、見慣れない天井や用具の納まった棚、
真剣な加賀見の顔を呆然と見上げることになった。
身長差も体重差もある加賀見相手に抵抗など出来ず、黒呼は目を閉じた。
まさか、想い人でもある加賀見からもこんな仕打ちを受けるとは、不可視な上に運もないのかと黒呼が
なかば諦めの境地に差し掛かった頃。

額やこめかみ、頬に降りてくる唇。初めは、軽く、次第に強く。
思わず目を見開いた黒呼の唇に、加賀見の唇が重なる。
短い口付けの後、ごく近い距離から見つめあい、今度は貪るように口膣を荒らされる。
唾液を分け合うように舌が絡み合い、受け止め切れなかった液体が口の端から零れ落ち、床に溢れる。
加賀見の手が黒呼の髪に滑り込み、隙間を埋めるかのように密着してくるのに応えようと、黒呼も
腕を伸ばして目の前の固い首筋に縋り付く。
恐怖でしかなかった、圧し掛かる体温が今は心地いい。
すっかり息の上がったままお互いの顔を確認し合い、先に目を逸らしたのは加賀見だった。
111黒呼のバスケ 火×黒6/7:2008/12/23(火) 15:44:53 ID:xbEKlW1i0

「・・・・・・しょっぱ・・・てかマズ!」
「まぁ、あんなことした直後でうがいもしてませんから・・・」
律儀に答える黒呼に舌打ちしながらも、加賀見はなぜか黒呼の上からどこうとしない。
「・・・これからは・・・あんなこと以外に、こういうのも・・・してもいいぜ」
「こういうの、って今のですか?」
加賀見が憮然としながらもこくりと頷く。
その頬が耳まで赤いのが薄暗い室内灯を背にしてもハッキリと見えるくらいで、
黒呼の内側からじわじわと笑いたいような、泣きたいような変な気持ちが湧き上がってきた。
こんな気持ちは初めてだった。


「あの、加賀見君」
黒呼は床に肘を立てて、加賀見に顔を近づけた。加賀見は今も絶賛目線を逸らしている。
「今度は僕から“こういうこと”してもいいですか?」
「・・・今やると辛抱できねーぞ」
加賀見の全身から獰猛な雄の匂いがする。それを必死で押さえ込んでいるのだろう。
その獣の首筋に、すりすりと鼻をすり寄せる猫が一匹。

「はい、知ってます。・・・だからこそ、です」
そういって加賀見の頭を抱き寄せ、厚めの唇に齧りついた。
テメー覚悟しとけよ・・・、そんな呻きに微笑みながら。
112風と木の名無しさん:2008/12/23(火) 15:49:31 ID:9GtBMAEt0
sien?
113黒呼のバスケ 火×黒7/7:2008/12/23(火) 16:55:01 ID:xbEKlW1i0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・; )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
連投規制にかかってしまいました・・・orz
スレスト申し訳ありません
114風と木の名無しさん:2008/12/23(火) 18:16:37 ID:ydl+qyl80
>>113
GJ!素晴らしい。
身悶えするほど、萌えました!
黒の艶っぽさにやられたよ。
115風と木の名無しさん:2008/12/23(火) 18:37:55 ID:HpmFFh+BO
>>113
乙!
素晴らしいクリスマスプレゼントをいただいた
116風と木の名無しさん:2008/12/23(火) 18:55:37 ID:wRHcTaUXO
>>113
乙!GJすぎる
やらしいクロコとがつがつしたかがみんが揃ったら萌え死ぬしかなかった
117風と木の名無しさん:2008/12/23(火) 19:26:00 ID:dTKh8Ll+0
>>113
サンタさんはあなただったんですね
雄と猫の描写に、萌えました。GJ!
118風と木の名無しさん:2008/12/23(火) 19:58:29 ID:NzmoG9Ec0
>>103
待ってました!GJ
2人が幸せになればなるほど切なくなるのはなぜだ。
しかし照がかわいすぎるw
119学芸会×3(1/4):2008/12/24(水) 01:09:17 ID:g4+UBB2K0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  すごい久しぶりだモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  相変わらずの設定だモナ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
お邪魔します。懐メロ1960年代米ナマモノデュオ ジェリー×トムです。
前回お邪魔したのは25スレの末尾です。

 ずっと書きたかった、二人の出会いシーン。
恐ろしいことに、エピソード自体はほぼ全てが実在します。台詞も拙訳ながらそのままですww
120学芸会×3(2/4):2008/12/24(水) 01:11:16 ID:g4+UBB2K0
「ヒット曲を出して、学校中で彼らはもちろんすごく人気者だったのだけど、
 二人とも校内での態度はちっとも変わらなかった。
 ジェリーは元気な男の子で。トミーは、うーん……とにかく無口だった」(高校時代の女性同級生の証言)

その1−小学4年生:ナット・キング・コール

 彼とは近所に住んでいるのに、生活圏が重ならない。彼は目立っていた。ヤンキースの地元でフィリーズの赤い帽子を被っている唯一の男の子だったのだ。友人もほとんどいなかった。
 普通ならそれだけでいじめの対象になってもおかしくなかった。それでも彼が意固地になったようにその帽子を放課後取り出してかぶると、それをからかうことはなぜかできなかった。彼はあまりにも「異質」だった。
 彼は歌がうまい。噂話が耳に入ってきた。
 礼拝堂で、彼がまさに天使と称されていること。
 登下校時には、一人でポップソングを歩きながら歌っているらしい。同じ曲を何度も何度も、次々とキーを上げて。

 彼が学芸会のステージで、『みんな若いというけれど』を独唱したとき、小学生でいっぱいの会場は文字通り静まり返った。
 そしてその後、女の子たちの
「トミーって、本当にきれいな声をしているのね」という囁きに満たされた。上級生の席で特に熱心に。
 女の子にもてるには、『歌手』になることだと僕は思った。

 ただその後も、彼自身はもてているようには見えなかった。
121学芸会×3(3/4):2008/12/24(水) 01:12:38 ID:g4+UBB2K0
その2−小学5年生:スティーブン・フォスター

 彼は今度の学芸会の主役を射止めた。女性陣が画策したらしい。
 作曲家フォスターの人生を描く劇の主人公。でも本当のところ彼に求められたのは、節々でフォスター作の曲を歌うことだけ。
 彼が舞台中央で歌い、合間に音を立てて深く息を吸うとき、会場全体は逆に息を詰める。
 画策の中心となった女子児童は、数十年後にもその瞬間を語る。

 しかしやはり、日常に戻ると彼は物静かな優等生だった。
 
その3−小学6年生:不思議の国のアリス

 今回は自分も出演する。目立つ役だ。白ウサギ役。あいつは……「チェシャ猫」だ。掴みどころのない彼のイメージに妙に合っている。
 
 家にあったアリスの映画のレコードをかけ、それに合わせて歌って練習する。
 そのときミュージシャンの父親が子供部屋のドアから顔をひょいと覗かせ、こう言った。
「いいねぇ、ジェリー、お前はいい声をしているよ」

―ああ、自分はとっくに歌い手だった
―とっくの昔にあいつに声をかけていい立場になっていたんだ。

 チャンスは一度だけ。明日試そう。
122学芸会×3(4/4):2008/12/24(水) 01:14:11 ID:g4+UBB2K0
 翌日、彼を校内で捕まえた。彼は僕を怖がっているようだった。彼の肩に手を乗せて視線を合わせたまま深呼吸して、口を開く。
一息に、でも急がずに話し続ける。
「君は僕と会ったばかりと思っているかもしれない。
 …でも僕は君のことを2年の間知っている。君にずっと話しかけたかった。
 
 君には僕を格好いい奴だと思って欲しかった。
 君に会うときには、絶対に君の友情を勝ち取ろうとずっと思っていたんだ」
 
 そして握手を求めて左手を差し出す。
 彼が目を見開く。そして微笑む。彼は左利きだ。そして自分も。
彼が自分の手を握る。その手のひらはとても温かく、柔らかい。
「左利きだったんだ…」彼が感じ入ったように呟く。
「そう、君と同じ」笑って返す。「同じなんだ」

「楽器やってる?」
「ピアノなら」

「……ギターには興味ないか? 僕は結構うまいんだけど。弾けるようになりたいなら、教えられる」
「なりたい!」
「なら一緒に練習しよう」

「うちに来る?
 ワイヤーレコーダーあるから、録音できるよ」
「うわぁレコーダー持ってるのか!? 最高だな」

 彼が満面に笑みを浮かべて頷く。目尻と口の端がつながりそうなほどの笑顔。
初めて見る意外な表情。その笑顔は心に残る。彼はこんな顔も出来るのだ。
ジェリーは思わず周囲を見回す。今の顔を自分以外に見た奴がいないかを確認したくて。

――なぜかは分らないが、他の人間にはその顔を見られたくなかった。
123学芸会×3(5/4):2008/12/24(水) 01:15:28 ID:g4+UBB2K0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 彼の独占欲ほんとにコワス
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
はみ出てすいません。
124チーム罰☆ 麻酔×愚痴(1/11):2008/12/24(水) 05:20:33 ID:1GeNhFxo0
ドラマ「チーム罰☆」麻酔×愚痴 クリスマスによせて
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
1.
 気が付くと、僕は病院の玄関に立っていた。
 誰かを待っているようだった。
 でも、分からない。何時から僕はここにいたのだろう。診察が終わったこの時間、行き交う人は大体が、
終業した関係者かお見舞いに訪れた人がほとんどで、見慣れた人と会うことはほとんどない。そんな中で、
一人で立っていると、なぜか知っている場所なのに心細くなってくる。
帰ってもいいはすだ。でも、待たなきゃいけない。
まるで、大事な約束をしたように。
『…約束?』
 その時
「田愚痴先生、お待たせしました」
 少し足早で、その人はやってきた。僕は思わずその人の名前を呼んだ。
「日室先生」
 名前を呼ばれ、彼はにこっと微笑んだ。私服に着替えた見慣れぬ姿だったけど、長い前髪の奥で光る、
人懐こい目は見間違いがない。
「仕事が立て込んじゃって、すいません」
 背中のバッグを背負いなおして、彼は軽く頭を下げた。ああ、そうだ。僕は彼と約束していたのだ。
もしクリスマスに予定がなかったら、一緒にどこか遊びにいこう、と。場所は会ってから決めよう、と。
「どこ行きましょうか? どこ行きたいですか?」
 どこでもナビで案内できますよ。と彼はポケットから携帯を取り出した。
そこには、タオル地で出来たハムスターのぬいぐるみのストラップがついていた。
「あ、それ…」
「ああ、ハイ」
 僕の指摘に、彼ははにかんで頷いた。それは僕が彼に、プレゼントしたものだ。
 使わせてもらってます。これ、携帯クリーナーにもなるんですね、と彼は指先でぬいぐるみを突っついた。
ゆらゆらと揺れるそれを見て、僕達はなんとなく顔を見合わせ笑った。でも、僕は心の中で首をかしげた。
僕はいつ、彼にそれを渡したのだろう。受け取った時、彼はどんな反応をしただろう。一瞬、思いをめぐらした
だけだったが、すぐには思い出せなかった。
125チーム罰☆ 麻酔×愚痴(2/11):2008/12/24(水) 05:22:47 ID:1GeNhFxo0
「田愚痴先生?」
 日室先生が、かがみこむように僕を覗き込む。はっと我に返って、僕は「なんでもないです」と手を振った。
そうですか? と彼はちょっと気に掛けたようだったが、
「じゃあ、まずメシでも食べにいきますか?」と提案してきた。
しかし、僕はまだお腹が空いていなかった。日室先生も同じだったらしく、呼び水的に提案しただけのようだ。
「じゃ、映画でも…」と言ってはいるが、彼はそんな
つもりはないようだ。僕も、なんだか映画で時間を無駄にしたくないように思えた。
 彼も少し考え込んでいたが、やがて
「じゃあ…あの、ボクが昔よく行ってたコースを辿ってみますか? …アキバ、なんですけど」
 恥ずかしそうに、新提案をあげてきた。僕はそんな様子の彼を見てすごく嬉しくなった。
人を寄せ付けない影をもつ孤独な彼が、人に歩み寄ろうとするなんて…!
「いいですよ! 僕、アキバって行ったことないから、連れて行ってください!」
 僕の言葉に、彼は顔を赤くして「ハイ」と答えた。僕達の短い時間が始まっていた。
126チーム罰☆ 麻酔×愚痴(3/11):2008/12/24(水) 05:24:23 ID:1GeNhFxo0
 何時もTVで見るアキバは、ごちゃごちゃとした人の多い印象を受けるが…それは
まったくその通りだった。
「多愚痴先生、大丈夫ですか!?」
「は、はい!」
 さすがに、この時期! 人の多さは尋常ではなく、しかも色んな格好をした人が
いたり、外人さんも多く歩いていたりで、背の低い僕は頑張っても、人の波に押し
流されそうになる。
「うわ…!」
「先生!!」
 かなり体格のいい人にぶつかられて、後ろに転びそうになった時、前を歩いていた
日室先生がすばやく振り返り、しっかりと僕の手を掴んでくれた。
「大丈夫ですか?」
 ぐいっと身体を引き起こしてくれた日室先生に、すいませんと、僕は謝った。
僕を捕まえてくれた腕の力はとても強く、でもその手は少し冷たかった。
『冷たい…』 僕は、彼が掴んでくれた手を見つめた。どうしてだろう。冬の最中で
手袋を付けていないのだから冷たくて当たり前のはずなのに、凄く気にかかる。
「はぐれたら大変だから…ヘンだけど、あの」
 と、彼はまた手を差し伸べてきた。僕は一瞬ギクリとしたが、彼と手をつないだ。
彼の手が冷たいなら、暖めればいいと思いなおして。
127チーム罰☆ 麻酔×愚痴(4/11):2008/12/24(水) 05:27:41 ID:1GeNhFxo0
その後、色んなところを巡って、やっと落ち着くことができたのはよくあるファストフード店だった。
 「結局、こんなトコロになってすいません」
 日室先生が、注文したメニューを乗せたトレイを持って、向かいに座りながら謝ってきた。彼が食事に、
と目を付けていた店はどこも満員で、席を待つ人が外にあふれていたからだった。
 僕は、いいんですよと、トレイからフィッシュバーガーを受け取った。彼は
ダブルチーズバーガーを手に取る。
ナゲットは彼の注文で、オニオンリングとポテトはLサイズにして2人で分けて食べるようにした。
「色々引き回したけど、疲れませんでしたか?」
「いえ、大丈夫。凄く楽しかったですよ」
 メイド喫茶で赤面もののゲームをやらされたのには参ったけど、というと日室先生はまた声を上げて笑った。
ゲームの時だって笑ってたのに。それに、彼はゲームをやらなかったのだからなあ。でも、パソコンの中身
なんて初めて見たし、古本屋さんでは懐かしい漫画を見つけたし、
「それに…、日室先生が意外とネコ好きだってことも知りましたしね」
僕がそう続けると、彼の顔がまた赤くなった。案内してくれたネコカフェで、ネコがすりよってくる僕に
対抗して何度もネコおやつのガチャポンに走る日室先生を思い出し、僕はつい吹き出してしまった。
128チーム罰☆ 麻酔×愚痴(5/11):2008/12/24(水) 05:31:01 ID:1GeNhFxo0
「本当はネコ飼いたかったんだけど、今の部屋は犬ネコ禁止で…」
 それでハムスターに落ち着いたのだと、彼は言った。初めて飼ったけど、結構人に
慣れるもんですねと話しながら大きな口でハンバーガーを齧る彼に、僕は安堵していた。
よかった、ちゃんと食べてる。オニオンやポテトに手を出しているのも彼だ。
顔を隠すようにカップ麺を啜り込んでいた彼を思えば、今の方がよほど健康的に見える。
「ハムスターの名前は、なんていうんですか?」
 僕の問いに、彼は『え?』と固まった。ちょっとの空白の後、「じぇ、ジェームズ、です」
と、たどたどしく答えてきたので「本当ですか?」とくすぐると「すいません、今、付けました」と
素直に頭を下げた。僕は思わず笑ってしまった。彼もつられて
笑った。そして「ジェームズに」と、紙コップで乾杯した。コーヒーとコーンスープという、世にも
へんてこな乾杯の中身だった。

 最後に来たのは、ある雑居ビルの最上階だった。窓を覗いて僕は、凄い!と声を上げた。その窓からは、
秋葉原の街が見渡せたのだ。明るい光、ビルを飾るかわいい女の子のイラスト、互いに競う電気量販店の
イルミネーション、そのどれもが街に活気を持たせていて、まさに「生きている街」という言葉がふさわ
しく思えた。
「塾の帰りとか、良くここへ寄ったんです」
 懐かしそうに、日室先生が街の姿を見下ろしている。
「勉強とか…いろんなことに疲れたら、ここにきていたな」
 そう一人ごちると、彼は右手を上げ指先で窓に触れた。まるで、街に触れようとするかのように。
129チーム罰☆ 麻酔×愚痴(6/11):2008/12/24(水) 07:21:02 ID:1GeNhFxo0
その横顔に、僕はなぜか背筋が寒くなった。彼はまるで、もう手に入らない夢を想い、恋うている
ようだった。僕は彼の腕を掴んだ。掴まえなきゃいけない。そう思った時、こんな声が、胸の奥
から聞こえてきた。
『そうだ、今度はしっかり掴まなきゃ』
 僕の胸がズキリと痛んだ。錆びたメスで心臓をえぐられたら、こんな痛みだろうと思えるほど。
 彼は、ちょっと驚いた顔で僕を見た。そして僕の様子に息を呑んだようだった。
 僕と彼はしばらくそうしていた。僕は彼の腕から、手を放すことができなかった。
放したらきっと後悔する。なぜかは知らないけれど、それは確かなことだった。僕は怖かった。
もう失うのはまっぴらだ。ああ、でも、なにを失うというのだろう。彼は…日室先生は、
ここにいるのに。
 日室先生の顔が、一瞬泣き出しそうに歪んだ。でもすぐに立ち直ると、震える唇で
笑顔を作り、僕の必死の手に自分の左手を重ねた。
「いいんです」
 彼はそういうと、僕の手をそっと外した。冷たい手だった。暖めたくて、ずっと
掴んでいたのに、とうとう温もりが蘇らなかった哀しい手。
「ボクはこういう風に、友達と一緒に出かけることがほとんどなかった。家と学校と、
塾の往復で、その合間、ここにきていた。ここなら、一人は当たり前に思えたから…」

 でも、本当はやっぱり、誰かと気持ちを共有したかったんですね、と彼は言った。
漫画の店でお互いの好きだった漫画の話やファストフードの店で下らない話で笑ったり
できて、すごく楽しかった。
こんな風に遊びに誘ってくれたことが、本当に
「本当に、嬉しかったんです」
 そう言って彼は笑った。泣きそうな笑顔だった。
僕は首を振った。また行きましょう。今度は休みの日に、ゆっくり歩きましょう。
彼は何も答えない。言葉の代わりに僕の手を、自分の頬に引き寄せた。冷たい、
滑らかな頬だった。僕は彼からの答えが欲しくて、何度も彼の名を呼んだ。
「日室先生。ひむろせんせい!」
 そして引き寄せられた手の平で、彼の頬を包んでいた。
暖めたいのに、その頬は冷たいままだ。
130チーム罰☆ 麻酔×愚痴(7/11):2008/12/24(水) 07:28:25 ID:1GeNhFxo0
「多愚痴先生…」 
 彼の瞳から、とうとう涙がこぼれた。僕の目も熱くなってくる。やめてくれ、ここで『泣いたら、
現実になってしまう』じゃないか!
 今度こそ僕はハッとした。気付いてしまった。ここでは忘れていた、忘れていられた、総てに。
 僕の表情で、彼も総て悟ったようだった。泣きながら、でも困ったように笑う。
「行きたくないけど」
 彼の手が、頬に触れる僕の手を掴む。そして、強く自分の頬に押し付ける。
「…行かなくちゃ」
 その笑顔に向かって、僕は何度も首を横に振った。お願いです、行かないでください。だって、
これからじゃないですか。これからやっと、一人で街を見下ろすなんて寂しい慰めから抜け出せる
はずなのに!
「…いやです」
「多愚痴先生」
「いやです」
「せんせい」
「そんなの、絶対いやで」
 言葉を、最後まで続けることはできなかった。
 日室先生が、僕を抱きしめてきたのだ。
 強く引き寄せ、がむしゃらにしがみついてきた。その力に僕の息が一瞬止まった。
「多愚痴せんせい」
 僕の上に、彼の涙が落ちてくる。冷たい涙。冷たい手。冷たい身体。その理由を、僕はもう
知っている。知りたくもなかったのに。
「もう、できない…約束を、破ることも、守ることも、なにもかも」
 僕を抱きしめている腕が震えている。僕は耳を塞ぎたかった。どうして彼が、こんな哀しい独白を
しなきゃならなかったんだろう…。
「日室先生…!」
131チーム罰☆ 麻酔×愚痴(8/11):2008/12/24(水) 07:34:15 ID:1GeNhFxo0
 僕は彼の両腕を、両手でしっかりと掴みなおした。しゃくりあげそうになるのを、彼の胸に顔を押し付け必死にこらえようとした。
でも、涙は後からあとから流れてきて、息はどんどん上がっていって、彼の服を濡らしてしまった。
僕は自分の無力さが歯がゆかった。なにが心療内科医だ。お前は、目の前の人間の孤独を癒すことも手助けすることもできなかったじゃないか。
寂しい人間を寂しいままに、ただ見送ることしかできないじゃないか! 
ごめんなさい。僕は知らずと、何度も彼に謝っていた。ごめんなさい、なにもできなくて、あなたを助けることができなくて、ごめんなさい、
ごめんなさい…!
「せんせいは、助けてくれましたよ」
 彼の声に、僕は顔を上げた。そこには濡れた顔で優しく微笑む日室先生の顔があった。
「疲れたボクに声をかけてくれて、ご飯を食べさせてくれたじゃないですか。いろんな状況で、ボクのやったことが明らかになりつつあったのに、
信じようとしてくれた。姿を消した時だって何度も連絡を入れてくれて、ボクを引きとめようとしてくれた」
 例え、それが医者としての義務感や、事件を調査する者の使命感からきていたとしても、ボクは本当に嬉しかった。多愚痴先生に出会えて、
世界には嬉しいことが沢山あるんだと分かったんですよ、と彼は僕をしっかりと見ながら話した。
「だから、本当は行きたくない…。先生と、まだまだ話したいことが沢山あったのに」
 僕には、もうなにも言えなかった。彼はもう、自分の運命を受け入れていた。ここで僕がダダをこねても、どうすることもできない。
「…また、会いましょう」
 僕は苦しい息の中で、やっと言うことができた。
「またいつか…必ず、会いましょう。僕があなたを、そして…あなたが僕を忘れない限り」
いいや、本当は忘れたっていいんだ。またそれで、巡り会う時がくるかもしれない。
そうしたら、そうなったら
「今度こそ、僕はあなたを助けます。少なくても、あなたをこんな風に逝かせやしません。絶対に!」
 僕の言葉に、日室先生は呆然とした。まるで思いがけない宝物を見つけた子供のような表情だった。
「それは…やくそく?」
132風と木の名無しさん:2008/12/24(水) 07:38:12 ID:TUR2cXWx0
支援?
133チーム罰☆ 麻酔×愚痴(9/11):2008/12/24(水) 07:48:03 ID:1GeNhFxo0
彼の口から小さく漏れた言葉に、僕は強く頷いた。「約束です」
 そうか、と彼も頷いた。
「もうできないと思っていたのに…約束なんて。でも、できるんですね。こんなボクでも」
 その言葉に僕はもう一度、大きく頷いた。彼はやっと、心から、笑った。そして
「ありがとう」
 と呟くと、もう一度僕を抱きしめた。その胸は不思議と温かかった。
 涙が一粒、僕の髪を濡らした。

「日室先生…」
 自分の声で、僕は目覚めた。そこは自分の部屋で、僕は天井を向いて眠っていたのだ。
 むっくりと起き上がる。顔が冷たい。眠りながら泣いていたようだ。壁のかかっている、25日のところに
印を付けたカレンダーを、僕は久しぶりに見ることが出来た。そして、夢の残滓を思い起こし、重いため息をつく。
そうだ、これが現実だ。日室先生は殺人を犯し、僕の同期でもある同僚に、ビルから突き落とされてしまった。僕が
来るのを待ちながら。
 今、チーム罰☆は疑惑と懸念の真っ只中にある。その渦の中心に居るのは気流先生と成美先生であると僕と白取さんは
思っているが、それすらもはっきりとした確証をもてないでいる。
 患者さんが死に、そして、チームの中からも死者が出た。一体いつまで、こんな哀しいことが起き続けるのだろう。
 僕はカーテンを思い切り大きく開けた。かなり冷えたのか、窓は真っ白な霜に覆われていたが、僕の視線は霜の中に残る、
小さな跡に止まった。それは、5つの小さな点だった。
134チーム罰☆ 麻酔×愚痴(10/11):2008/12/24(水) 07:51:47 ID:1GeNhFxo0
僕は、自分の指先をその点に当てた。ぴったりと重なるそれに、一つの光景が重なる。
昨日見た夢で、彼がビルの窓に触れていた指先…。
「そうなんですか? 日室先生…あなたなんですか?」
 ガラスに残る指先に、僕は問いかけていた。
あなたは、交わした約束を守るために、ここにきてくれたのですか? そして、
つい手が伸びてしまったのですか? まるで、あの時のように。
「せんせい…」
 指先を合わせたまま、僕はまた泣いた。そうだ、あのストラップ。渡した覚えが
ないはずだ。何故なら僕が彼のご両親に頼んで、彼の棺に入れてもらったのだから。
『約束、できるんですね』
 彼の声が耳に蘇る。そうです、日室先生。この約束があるかぎり、あなたは一人
ではありません。そして、僕も。
「かならず、終わらせます」
 その手を掴むように、僕は自分の手を握った。もうこれ以上、死なせてはいけない。
 彼のような事件を、もうおこしてはならない。
 その時、僕の携帯が鳴った。白取さんからだ。
135チーム罰☆ 麻酔×愚痴(11/11):2008/12/24(水) 07:59:12 ID:1GeNhFxo0
『もしもし、愚っ痴ー? 起きてた?』
「はい、おはようございます。どうしました?」
『ケース27のビデオで、気になるところを見つけたんだけど、出て来れる?』
「はい、30分待ってください。すぐ用意して出ます」
『15分だ。それと、こっち来るときなんか買ってきて。腹減ったから』
「また泊り込んだんですね? 分かりました。30分待ってください」
『…いうようになったねえ、愚っ痴ー。分かった。30分ね』
 携帯を切って、僕は顔を上げた。見つけてみせる。ケース27の秘密を。もう、不幸は沢山だ。
笑顔が見たい。それが誰のでも。
「事件を、止めてみせます」
 胸の中にいる人にそう告げて、僕は自分の部屋を出た。
 
 いつか果される約束を前に、胸を張って彼の人に会えるように。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 

麻酔をアキバ君にしてしまい、大変申し訳ない。性格もヘンだし。クリスマス関係ないし。
その他いろいろな捏造、そしてかなり長くなってしまったことを陳謝します。 
136風と木の名無しさん:2008/12/24(水) 08:36:04 ID:4wGXi/ZH0
>>119-123
トムジェリ久しぶりにキテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
出会いのときからすでに執着してたのか。萌えるなぁ。
137風と木の名無しさん:2008/12/24(水) 08:55:16 ID:6TXzYU6iO
>>135
泣きました。そんなやり取りをホントにしてればいいとオモた
一瞬、で、電車○…?がよぎったけどww
とにかくgj!姐さん、マジでありがとー!
138専能 銭×九嶋愛 1/7:2008/12/24(水) 08:57:31 ID:/mt7BdxB0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「R/D 潜/脳/調/査/室」ジ/ェ/ニ/ー/・円×久/島AI。
愛のないリョウジョーク。それしかやってない。スレでネタ貰いましたどうも。

 彼の大きな右手が、私の肩を強く掴んだ。鷲掴みにされ、スーツのジャケットに皺が寄る。
 もし私が痛覚を人間並に持ち合わせていたならば、それなりに痛いのだろうか。しかし今の私では単に「指が食い込んでいる」感覚しか持ち得ていない。
 そして彼は私の肩を掴んだまま強く引く。車椅子に腰掛けている格好の私を、そこから引き摺り落とした。
 私の意識はAIで、その身体も全身義体だが、その両脚は全く制御下になく両腕を動かす行為も一苦労だ。
 私の創造主兼マスター兼――オリジナルたる人物が、そう言った制御系プログラムをインストールしなかったからだ。自分が使用していた義体を私に流用していると言うのに。
 だから私は無理矢理に身体を動かす強い力には抵抗出来ない。そのまま車椅子の足元に座り込む格好になる。膝を曲げ、脚全体を絨毯の床につけて広げた。肩を掴まれている事でバランスを取らされ、私は倒れ込まずには済んでいた。
 今までの私は車椅子でデスクについている状態で、彼はその隣に来ていた。そこで引き摺り落とされたものだから、私の視界には床の他にはデスクの下部と車椅子と、そして彼の両脚が映っている。
 私は俯き加減になる。ぎこちなく右手を動かし、膝や太腿の辺りをゆっくりと撫でた。あくまでも上は見ない。――彼を見ない。
 不意に彼の右手が私の肩から離れてゆく。上体が僅かに揺れた後に解放された事になるが、私の身体では独りで車椅子に戻る事は難しい。だから黙って俯いていた。
 そうしているうちに、衣擦れの音を私の聴覚が捉える。次いで、金具が擦れる音が微かにした。
139専能 銭×九嶋愛 2/7:2008/12/24(水) 08:58:26 ID:/mt7BdxB0
「――では、君には、いつものようにして頂きましょうか」
 穏やかな声が上から届く。しかし私は俯いたままだった。そこに、頭を押さえ込まれる。大きな手が今度は私の頭頂部に当てられていた。無理矢理に顔の向きを変えられる。
 彼は一歩踏み込んできて、その時に何かが私の頬に当たった。独特の感触を持つそれが、押し付けられる。私はそれを横目で見やった。
 逃れようにも、頭を押さえつけられている。そもそも立ち上がれない私に何が出来るのか。我ながら、口許が歪む。私は伏し目がちに、どうにか顔を動かす。彼が押さえる方向へと自ら向いた。動かない両腕は軽く手を床に立てるようにする。
 彼の左手により根元を摘むように衣服から取り出されているその先端に、私は唇を寄せる。舌先で突付くように舐めた。そのまま唇を開き、軽く含む。半ば勃ち上がっていたそれは、既にある程度の硬度を保っていた。
「先端だけではなく、全て銜え込んで貰いたいものですな」
 相変わらず穏やかな声が降り注いでくる。しかし有無を言わせない調子だった。態度としても、頭を押さえる手に力が込められる。
 私はされるがままに、口を進めた。大きく口を開き顔を傾け、その内部に彼の剛棒を導いてゆく。
 私はかなりの身体的機能を限定されているAIだが、それは会話機能に特化したためである。つまり、口ならば人間と同様に動かせる。こう言う事ならば、違法運用の風俗用アンドロイドの如く、可能だった。
 私は既に諦めている。だから瞼を伏せ、何も考えずに行為を進める事とした。擬似的に分泌される唾液を含ませた口腔を動かし、吸い上げる。その内部では舌を這わせてゆく。
 ――全く、彼も全身義体だと言うのに。彼は擬似的にでも行為が可能となるタイプの義体を使用している。それは彼は私と違い、脳核だけは生身の人間であるからだろう。人間特有である原初の欲求を捨て去っていないのだ。
 そして彼は人間であり、私はAIだ。AIで動くアンドロイドは、人間の命令には余程の事がない限り逆らえない。しかし、私が彼に従うのは、その行動原理に支配されての事ばかりではなかった。
140専能 銭×九嶋愛 3/7:2008/12/24(水) 08:59:20 ID:/mt7BdxB0
 私の口内で彼の剛棒が膨張し硬度を増してゆく。私はそれに口を大きく塞がれた状態となる。眼を閉じているせいか、口を動かす度に発せられる湿った音が頭に響いて感じられた。口許が唾液にまみれ、微かに喉を伝う感触がする。
 私のAIでは味覚は感じられないのだが、口内に粘り気のある液体が混じり込んで来たのは判った。早く終わらせてしまおう。そう思った時だった。
 唐突に私のAIに、優しい笑顔を浮かべた青年の顔が思い浮かんでいた。彼はそれなりに長い黒髪を後ろに纏めて結び、翻している。まるで私の隣に座っているかのような位置で笑いかけてきて――。
 …何故だ、何故ここで彼が思い浮かぶんだ。これもまた、私のオリジナルの記憶か。
 私の創造主は、自分の脳核が活動を停止した際に、自らの義体に仕込んでいたAIにその記憶を継承させて起動するように設定していた。それが私と言う存在だった。
 だから私が持つ記憶は、オリジナルの彼と同等であるはずだった。しかしそれは私が体験した記憶ではない。だから、私の意志とは関係なく、不意に去来する事がある。今回もそうらしい。
 だが、起動して数ヶ月に過ぎない私にとって、この青年の存在だけは、特別で――。
「――どうしました。私を銜え込みながら考え事とは余裕ですな。私に抱かれるまでは何も知らなかったくせに、今では手慣れたものです」
 淡々とした声が私の思考を中断させる。私はその声に我に帰り、瞼をゆっくりと開いた。上目遣いでその先を見る。
 薄笑いを浮かべている厳つい顔の男がそこに居た。彼は私に、自分を満足させるべく強要させている。この視界が、今の私の現実だった。
 その口角が上がる。そして私は押さえ込まれている頭に痛みを感じた。そこにあった彼の右手が更に力を込め、私の髪を鷲掴みにしていたのだ。
 私はかなりの機能を限定されているAIだが、頭部においてはほぼ人間通りの設定になっている。頭部に人間の脳のようにAIが搭載されている以上、衝撃などから逃れなければAIが物理的に破壊されてしまうからだ。
 人間同様に、触覚や痛覚はその助けとなる。だから、それらは頭部に限っては生きている。髪を掴まれると、当然ながら痛いのだ。彼は私の髪を引き、ぐいと持ち上げた。角度が変わり、口内で剛棒の硬さが意識される。
141専能 銭×九嶋愛 4/7:2008/12/24(水) 08:59:52 ID:/mt7BdxB0
「別の事を考えながら銜える分には構わないのですよ。君にとっては好きでもない相手のものですからな。只、そのせいで口がお留守になるのは困り者です」
 彼はそう言いつつ、左手を私の頬に当てた。その親指で、銜え込まされている私の唇をなぞる。私はそこから、思わず微かに声を漏らした。その時、彼の顔に浮かんでいる笑みが、厭な印象となった。
「仕方ありませんね。君がやりたくないのなら、私がやるしかないではないですか」
 彼はその笑みを含め、そう言う。両手で私の顔を固定した格好になっていたが、そこに一気に腰を突き込んで来た。
 粘膜が擦れる音と共に、彼の先端が、喉元まで到達する。流石に私も顔が歪むのを感じた。そして掴まれた髪を引かれ、彼が中程まで引き抜かれる。そこにまた腰を叩き込まれた。
 私は生身の人間ではないから多少の無理は利くが、乱暴に喉の奥まで犯される感触には苦しさを覚える。私はもう好きにさせる事にした。元々力は入らない身体だが、更に力を抜いた。
 髪を掴まれ持ち上げられるだけにする。半ば膝で立つ格好になり、腰が浮く。垂れ下がっていた腕は床から離れた。彼に腰を突き入れられる度に湿った音とくぐもった声が上がる。
 瞼を伏せたその奥に、あの青年の顔が浮かんだ。こんな状況だというのに。しかしそれを打ち消すように、私の現実は激しく腰を動かしてくる。口一杯に膨張したそれが抽送を繰り返し、私を苛む。
 一際深く突き入れられた所で、彼の動きが不意に止まる。声を殺すように唸った瞬間、私の喉の奥で勢い良く何かが放たれた。髪を掴む手にも力が込められる。それは熱い液体で、傷付いた私の喉を灼く。
 既に口内深く銜え込まされている所に液体が大量に放たれてきた。そのため、口の隙間から唾液と混ざってそれが零れ落ちる。
 顔を持ち上げられているために、口から零れたそれは喉を伝ってゆく。粘り気のある液体だからか、私の肌はそれを感じ取っていた。襟元やネクタイを汚さなければいいのだが。
142専能 銭×九嶋愛 5/7:2008/12/24(水) 09:00:26 ID:/mt7BdxB0
「ああ…零さずに、全て飲み干して欲しいものですな」
 僅かに困ったような調子を含ませて彼はそう言い、私の頭を押さえ付けてくる。そして私はそれに抵抗しない。
 私には味覚は備わっていないはずだが何故だか苦味を感じる粘り気のある液体を、喉に送り込んだ。口を塞がれている格好のため、嚥下した際に喉が鳴る。それを何度か繰り返し、口内に溜まった液体を出来る限り飲み込んでゆく。
 彼も全身義体である以上、それも擬似精液である。人間の食物を摂取出来ないタイプの私だが、この程度の量の義体の分泌液ならば分解する事が可能だった。だから心配する事はない――精神的な問題は別として。
 私が飲み干す様を見下ろしていたとおぼしき彼は、満足げな声を出した。そして髪を掴む手を一気に引く。私の口を犯し続けていたそれをずるりと引き抜いた。痛む喉や口がやっと解放される。
 そのまま彼は髪からも手を離す。膝立ちになっていた私は支えを失い、その場に座り込んだ。絨毯が私を受け止める。頭ががくりと落ちるが、突っ伏さないだけのバランスは取れていた。
 そして私はどうにか右手を持ち上げ、喉元を押さえた。滅茶苦茶に突き込まれていた喉が痛い。粘り気のある液体が喉に絡み付いている感がして、私は俯いて咳き込んだ。絨毯に白い液体が数滴落ちる。手の甲で口許を拭う。
 呼吸の必要はない身体だが、今は荒い息をついている。それに伴い、視界も濡れていた。苦しい。
 人間を模した義体である以上、そう言う機能自体は備わっている。私のAIが対応していないだけだ。しかし今の私は苦しさを感じているから、義体がそれに応じた反応を見せているのだろう。
 そんな状況の私を暫く見下ろしていた彼だったが、そのうちに私の肩を再び掴んだ。私の傍に屈み込み、私の膝の下に腕を差し込む。彼はまるで私を介助するかのように抱き上げ、車椅子に座らせた。私もそれに従う。
143専能 銭×九嶋愛 6/7:2008/12/24(水) 09:01:32 ID:/mt7BdxB0
 その間も私は彼を見ないようにしている。視線を逸らしていた。彼は屈み込んだまま、私のシャツの襟元に手を掛ける。色々と乱れたネクタイや襟元を整えていった。
 そんな中でも私は時折咳き込んでいた。口許を震える手で押さえる。
「まるで人間のように苦しむものなのですな。紛い物の分際で」
 意識して見ないようにしている辺りから、笑みを含めた声が聴こえてくる。彼の手が上がり、私の唇をなぞった。そこはまだ濡れたままで、糸を引くものも含んでいた。
「――で、そろそろ、彼には本当に抱いて貰いましたか?」
 その言葉に私は目を見開いた。唇を噛み締める。そこに彼は顔を近付けて来た。頬を撫で回す。
「彼は相変わらずこの部屋に来ているようですね。今では、君は私とこう言う関係にあると言うのに…まあ知らない方が幸せでしょうな」
 薄笑いを浮かべた彼は、そう言った後に、軽く触れるように私の唇に自分のそれを重ねてきた。
 しかし、それだけだった。私が嫌がり顔を背けようとすると、すぐに彼は顔を引き剥がす。肩を竦め、意外そうな声が続いた――本来は意外などとは思ってもいないくせに。
「おやおや…まさかまだ、キスすらして貰っていないのですか?やはり彼にとって君は、単なるAIに過ぎないのですな」
 改めて言われなくとも、そんな事は判っている。
 あの黒髪の青年は確かに私の元を良く訪れる。しかしそれはあくまでも私が管理している資料閲覧のためであり、それ以上の事はない。
 彼が愛してやまなかったのは、この義体の元持ち主の、私のオリジナルだ。私はオリジナルと同じ容貌で、同じ記憶を受け継いでいるが、彼にとっては別人なのだ。それは私と顔を会わせた直後に看破しているのだから、相当なのだろう。
 しかし、私は既に彼の事を――。
 これは、オリジナルの記憶に影響されているのだろうか。それとも私の起動時間中に発生した感情なのだろうか。全く判別がつかない。
144風と木の名無しさん:2008/12/24(水) 09:02:08 ID:K8N1G4BL0
>>103
萌えました!次回も楽しみです。
145専能 銭×九嶋愛 7/7:2008/12/24(水) 09:04:30 ID:/mt7BdxB0
 私は纏まらない考えを抱きつつ、沈黙している。それを横目に、現在隣に居た男は立ち上がった。私の頭に手を乗せ、軽く髪を弾く。
「またいずれ、楽しませて貰いますよ。君は私のいい慰み物だ」
 そんな嘲笑めいた声を残し、彼は訪れた時のように静かにこの室内から去って行った。
 そしてこの部屋には私のみが残される。車椅子に座ったまま、デスクを横にして俯いていた。味覚を感じないはずなのに、粘つく口の中に苦いような感覚がする。
 ――もう私の使命は終わったはずではないか。あなたの研究データを、あの親友を始めとした信頼する人間達に伝えると言う命題は。
 なのに、何故私は未だに起動しているのだ。
 そもそも何故、私を単純なデータサーバにせず、わざわざチャットプログラムを基礎にAIとして設計したのだ。
 何故、遺す記憶を、研究データのみにしなかったのだ――。
 問い詰めようにも、設定変更を申し出ようにも、私のマスターはもうリアルには居ない。それを思うと、絶望が思考を侵食してゆく。
 私は動かない両手をどうにか起動させ、顔を覆った。掌で目を包み込む。塞いだ視界の向こうにふと浮かび上がるのは、優しげな笑みを浮かべている黒髪の青年の姿。しかしその笑顔は私ではなく、オリジナルの彼のみに向けられているのだ。
 彼の心は絶対に私の方を向いてはくれないだろう。あの男が言うように、私は紛い物なのだから。
 こんな気持ちを抱いているのだから、いっそ自己矛盾の末にシャットダウンしないだろうか。役目を終えた私など、壊れてしまえばいいのだ。
 そうなれば、私を慰み物として犯し続けるあの男の苛立ちも解消されるだろうに――もしかしたらそれが彼の狙いなのだろうか。
 指の隙間から、部屋の入口となっている自動扉を見やる。こんな気持ちに至っていると言うのに、あの青年の訪れを、私は待ち望んでいた。――彼には絶対に明かせない喉の痛みを抱えつつ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
AIたんは「黒髪の青年」に対してはキスして欲しい程度のプラトニックな初恋気分しか抱いてなかったのに、
色々とむかついてた銭のおいちゃんに襲われて性的にも精神的にもいぢめられてすっかり諦めてしまった後の話だと思え。
146風と木の名無しさん:2008/12/24(水) 12:26:55 ID:H+qAhSLx0
>>135
麻酔愚痴せつねえええええ・゚・(ノД`)・゚・
でも萌えた!ありがとう姐さん!!

>>137
自分も電○男が頭をよぎったw
147風と木の名無しさん:2008/12/24(水) 13:43:18 ID:0n6QjLT4O
>>138
待ってました!
初恋気分でキュンキュンしてたういういしいAIたんメモリーの美しさと
色々な意味でいじめられて可哀想で仕方ない現実の対比が萌えます…!
銭いいぞもっとやれ
148風と木の名無しさん:2008/12/24(水) 19:47:10 ID:7NU15mWF0
>>103
お待ちしてました!甘々ですな〜♪
萌えまくりました!次が楽しみです!
149風と木の名無しさん:2008/12/24(水) 20:01:50 ID:F0H6HaER0
>>135
泣いた…!!麻酔…!!・゚・(ノД`)・゚・
150風と木の名無しさん:2008/12/24(水) 21:43:36 ID:IxOmIBvM0
>>135
麻酔愚痴乙!
夢での逢瀬に切なすぎて泣いた…
麻酔愚痴に未来あれ!
151風と木の名無しさん:2008/12/24(水) 22:24:37 ID:QSPx+HRlO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジ。2レス。なんだこれ。



「よォ!! 一年ぶりだなァ!!俺だよ俺!!」

ニタニタと玄関先で笑いながらそう言い放つ「奴」の姿を確認するや否や
俺は「奴」の顔面を全力で殴りつけ、
大人しく倒れこんだところを、腹から背中まで右足貫通させる勢いで踏みつけた。

「おう久しぶりだな、ところでよ、昨年『二度と俺の前現れるな』って言ったの覚えてるか?」

「まァそう言うなよ、どうだ今年もちっちゃいカットケーキ買ったのか?
 赤い帽子かぶったコンビニの兄ちゃんから気まずい顔してシャンメリーも買ったんだろ?
 ケーキ二つ入りだろ、一個くれよ、一緒に食おうぜ」

「いい事を教えてやろう。今夜の俺は最高に機嫌が悪い、今すぐ黙れ、黙らんと殺す」


「外食の予定キャンセルされたからってそんなに落ち込むなよ(笑)」

「よぉぉぉぉし!! 殺す今殺す今年こそは絶対に貴様を殺す!! 死ねッ!!!」

踏みつけていた足をどかし、胸元をつかんで引きずりあげる。
「奴」は憤怒に染まった俺の顔を見てげらげら笑いながら
無防備になっていた腹部に拳をめり込ませた。
浅いが充分な衝撃が内部に響き、呼吸が止まる。と同時にぐらりと世界が揺れる。
「奴」が力の抜けた俺の手を払いのけ、もう一度、今度は膝でボディに一撃食らわせてから
俺の頭をつかんで地面に叩き込んだのだ。
152風と木の名無しさん:2008/12/24(水) 22:29:05 ID:QSPx+HRlO
細かく痙攣しながらうずくまる俺に、「奴」は心底あざけるような、
それでいて子供みたいにきらきら輝く満面の笑みを向けた。

「無駄だって。お前は永遠に俺には勝てない」

どうやらそのようだった。
悔しいが俺はここ数年、毎回「奴」に負けている。

「お前が泣こうがわめこうが俺は毎年必ず来るよ。
 嬉しいだろ? だってお前、子供の頃から俺が大好きだったもんな?
 ――おっと、もうこんな時間か。じゃ、また来年。な?」

ちゅ、と投げキッスのまねをしてから、「奴」は悠々と去っていく。


クリスマスなんか大嫌いだ。
あまりのダメージに呼吸すら上手くこなせない状態で、俺は精一杯震える手を持ち上げ、
去っていく後姿に向けてせめて中指を突きたてた。




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

クリスマス×(というかvs?w)喪男。
カッとなってやった。カップル爆発しろ。
153風と木の名無しさん:2008/12/24(水) 23:57:15 ID:o9zFxzcn0
>>151-152
ワロタwww
いいなぁ こーゆーのww
毎年じゃれてればいいよw
154風と木の名無しさん:2008/12/24(水) 23:59:13 ID:o9pbnuhbO
>>151
なんだこのときめき…!
やばい、クリスマス×喪男やばい

しかしカップル爆発ワロタw
155風と木の名無しさん:2008/12/25(木) 00:16:26 ID:QAeoCFNTO
>>151
これ好きw
保存した
156風と木の名無しさん:2008/12/25(木) 00:39:02 ID:VLre2xXH0
以前神話スレで挙がった洗礼者ヨハネ×イエス様です。
※使徒ヨハネとは別人です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
157黎明 1/6:2008/12/25(木) 00:40:02 ID:VLre2xXH0
 あの日、天が開き、神の霊が白い鳩となって彼の上に舞い降りて来た。
 私はそれを見た。
 天から声が聞こえた。「私の愛する子。私の心に適う者・・・・」
 私はそれを聞いた。

 一年で最も夜の長い季節。だが、ちょうど今時分を境に、太陽は少しずつ、その力を取
り戻してゆく。
 まだ夜の明けきらぬ冷気の中、清冽な水で顔を洗い、いつもの駱駝の毛衣に着替えて寝
室に戻った。もう目を覚ましたかと思いきや、彼はまだ、純白の寝間着を着たまま、寝台
の上で寝息を立てていた。
 そのあまりに無防備な寝姿に、子供の頃を思い出す。彼に関する最も古い記憶は、ちょ
うど今のようにすやすやと安らかに眠っている顔だ。母に連れられて、親戚のマリアの家
に遊びに行った時のこと。暖かい春の日で、戸外だった。私と六ヶ月違いで生まれたとい
う彼は、母と私が訪れた時、既に遊び疲れていたらしい。黄金の日溜まりの中、マリアの
膝の上で安心しきって微睡んでいた。
 幼かった当時、母親というものはみんなうちの母のように年老いているものだとばかり
思っていた。だから、マリアのような若い母親もいるのだと知って驚いた。あんなに若く
て美しくて、ヨセフのようなしっかりとした頼り甲斐のある夫もいる。そして何より、誰
からも将来を期待されるほど利発で、誰からも愛されるようなかわいい息子がいるのだ。
これ以上は何を望むべくもないほどに幸せだろうと思われた。実際、母も繰り返しそう言っ
ていたし、マリアもその都度、「ええ、本当ね」と微笑んでいた。
 それなのに、彼女が時々、ふと寂しそうな顔をするのが子供心にも不思議だった。幼い
息子を見つめる彼女の瞳が、慈愛に満ちていながらもどこか哀しげな色を帯びていたのが
強く印象に残っている。
 「おはよう」
 気がつくと、彼が寝台の上に身を起こし、ぱっちりと開いた目で私を見ていた。子狐の
ようにキラキラ光る円らな瞳は子供の頃からそのままだ。
 「何顰め面してるの?」
158黎明 2/6:2008/12/25(木) 00:41:31 ID:VLre2xXH0
 「私はいつも」
 顰め面してるんだ、と言おうとしたが、彼が私を掴んで引っ張り、唇を吸ったので、で
きなかった。
 満足するまで、一頻り唇と舌とを味わった後、彼がつくづくと言う。
 「ヨハネのキスってプラムみたいに甘い。不思議だな。普段あんなに厳しく人々を戒め
てるのと同じ口なのに」
 なんでこういう台詞を照れもせず、子供みたいにあっけらかんと口にできるのか、理解
し難い。
 私が居心地悪そうにしていると、更に追い討ちをかけてくる。本人は至って天真爛漫な
もので、そんな自覚は一切ないのだろうが。
 「ヨハネって結構女の人にモテそうな気がするけど、どうなの?」
 おまえほどじゃないよ、と言おうと思ったが、やめた。
 「さあな。女性には潔癖だから」
 男性にはもっと潔癖だったつもりなんだが。
 「どうする?こっちには全くその気がないのに、一方的に惚れられたら。しかも、『首
を刎ねてでも、思う存分キスを楽しみたい。生首ってポータブルOKだし、死人の唇って
ひんやりしてて気持ちいいの〜。応えてくれないのはちょっと寂しいけど、もう憎たらし
いことも言わないし、断られる心配もないしね♪』とか、そういうちょっとマニアックな
趣味のスイーツ(笑)だったりしたら」
 軽口を叩きながら、私を寝台に引きこみ、皮帯を解き始めた。折角着たばかりの毛衣を
さっさと脱がせにかかる。こんなだらしのないことは、以前の私なら大嫌いだった。いや、
今でも大嫌いなのだが、彼相手だとなぜか悪い気持ちはしない。
 「・・・・このご時世に、縁起でもないこと言わないでくれ」
 「こんな恐ろしげな、ごわごわチクチクしたもん着てないで、もっとこざっぱりした、
肌触りのいいもの着ればいいのに。私みたいに。ラビはビジュアルプレゼンテーションも
大事なんだぜ」
 「おまえの方こそ、その革新的すぎる所がいのち取りにならなきゃいいが」
159黎明 3/6:2008/12/25(木) 00:46:09 ID:VLre2xXH0
 天使の羽で織ったような、滑らかで柔らかい素材の寝間着の上から、固くなった乳首を
指先で探り、キュッと摘まんだ。彼が溜め息をつき、裸の肩に頭を寄りかからせてくる。
緩急をつけながら、指の腹を使って二つの乳首を擦り上げてやる。直に触れてほしいのだ
ろう、息を乱し、私の手を掴んで寝間着の中へ導こうとする。だが、私はすげなくその手
を拒む。
 彼は起き上がり、顔を曇らせて私を見た。
 「私はいずれヨハネの所を巣立って行かなくちゃいけないのに、冷たいんだね」
 「エッチなら夕べ、あんなにしたろ」
 「いや、そういう問題じゃなくてさ」
 彼がまじめに話したそうだったので、口調を変えた。
 「そう。あなたはもうじき、神の子として、より多くの人々を救う為に旅立たなくては
ならない。私などに関わっている暇はない」
 私の弟子の中にも、彼こそ預言されたメシアと信じて慕う者たちがいる。その者たちが
私の元を離れ、彼に従いたいと言うなら、快く送り出すつもりだ。
 確かに、私と彼とは近い血で繋がっている。私は彼に水で洗礼を授けた。そして、何を
どう間違ったか、男どうしでありながら、こうして心と体が結ばれる運びにもなった。
 しかし、本来ならば、私は屈んで彼の――いや、その方の履物の紐を解くにも値しない
存在なのだ。
 こちらの胸の内を悟ったかのように、彼は私の頭を抱えて胸に引き寄せた。干した海草
のように黒くて強い癖毛を、まるで小さな子供にするように、愛おしそうな手つきで撫で
てくれる。
 「そんなことない。ヨハネは私にとっても神にとってもみんなにとっても、とても大切
な人だよ。ううん、大切じゃない人なんてこの世にはいないよ。でも、私にとってのヨハ
ネは本当に特別な人なんだ。
 約束する。私が将来、沢山の人を教え導くようになっても、なかなか訪ねることができ
なくなっても、もう二度と会えなくても、ヨハネのことはずっと愛してるし、尊敬するし、
心に懸ける。弟子にも、他の人にもそうするように言うよ」
 それから、私の目を覗きこみ、勢いこんで言った。
160黎明 4/6:2008/12/25(木) 00:46:46 ID:VLre2xXH0
 「だから、もう一回、しよ」
 「それが言いたかったんかい!」
 再び彼を寝台に横たえ、寝間着の胸元をそっと開いた。私の愛撫を待っている所に顔を
寄せるが、乳首は疎か、乳輪にすら触れないように、周辺をゆっくりと舌でなぞってゆく。
不服そうに身動きするのを見て小さく笑い、上下の唇で柔らかく乳輪を食んでやる。彼が
切なげな声を上げて初めて、そそり立った乳首を舌の上で転がし、舌先で何度も弾き、両
の乳首を代わる代わる強く吸い立て、貪った。
 清らな顔に苦悶にも似た色を滲ませ、掠れた声で途切れ途切れに私の名を呼ぶ。それを
見聞きすると、もう矢も盾もたまらなかった。引き千切るように寝間着を剥ぎ取り、生ま
れたままの姿にすると、夢中で彼を掻き抱いた。首筋に、胸に、腹に、肩や背中や太腿の
内側までも、点々と愛を刻みつけ、呻き声を上げながら、屹立する男根にしゃぶりつく。
 いつものことだが、結局何もかも、彼の思い通りだ。思えば子供の頃から、二人で遊ぶ
時も、大勢の時も必ずそうだった。ふと我に返って苦笑いする。
 彼の頬に軽く口づけ、枕の上に扇のように広がる、しなやかな茶色の髪を指で梳いた。
 「おまえはやっぱり預言通りの、ユダヤの王、いや世界の王になるよ」
 「何?急に何言ってるの?」
 息を弾ませ弾ませ、無邪気に問いかける。曾て私が頭の先から爪先まで洗い清めてやっ
た男。その晩、当然のように私の褥に潜りこんで来た男。
 拒まれるなどとは露ほども疑っていなかった。実際拒まなかったのだが。
 彼にとって、私は初めての男性だったようだった。私にとっても彼が初めての男性だっ
たのだが。
 あの晩、
 「ヨハネと会うの久しぶりだけど、思い出すね。子供の頃、よくこうやってくすぐりっ
こして、転げ回って遊んだり、同じベッドで眠ったりしたじゃない?」
 と言った彼に、
 「そんなに早熟だった覚えはないが」
 と返したものだ。
 「・・・・ヨハネ・・・・早く」
161黎明 5/6:2008/12/25(木) 00:47:51 ID:VLre2xXH0
 彼が私の充血した部分を強く掴む。
 「待ちなさい。まだ・・・・」
 彼の亀頭から滴る雫で、奥に通じる部分をよく湿してやる。
 彼の体をこれっぽっちも傷つけないよう、ゆっくりと慎重に、腰を沈めてゆく。彼だけ
のものではない、無論私だけのものでもない、全人類の為にある、大事な体だ。
 彼を世になど出すことなく、こうしてずっと一緒に過ごせたら、ずっと私の元に留めて
おけたら、いつまでもこの腕に抱いていられたら、どんなにいいことだろう。
 だが、それは神の御計画に反すること、叶わぬ望みだ。
 彼を繰り返し突き上げながら、深く唇を合わせ、舌と舌とを絡ませ、握り合わせた手を
強く強く、敷布に押しつける。
 その代わり、今だけは、この一時だけは、二人だけの世界だ、ナザレのイエス――。

 頬に冷たいものが触れ、彼が涙を流しているのに気づいた。
 「どうした。痛かったのか」
 「・・・・ううん」
 彼はかぶりを振って、私の肩に顔を寄せ、尚も静かに声を殺して泣き続けた。
 「私には、最後に大きな仕事がある。それが何かはまだはっきりとはわからないけど、
その時――私が愛する人たちに裏切られて、天の父さんからも見捨てられて、一人ぼっち
でとても苦しい、惨めな思いに耐え忍ばなくちゃいけない時、あなたはもうこの世にいな
い、そんな気がしたから」
 彼の肩を抱き寄せ、やさしく髪を撫でてやった。
 「怖いのか。寂しいのか。荒野で悪魔を打ち負かしたおまえが?」
 「・・・・うん」
 と頷き、洟を啜って、「ちょっとだけ」と付け加えた。
 彼を強く抱きしめてから、その顔を覗きこみ、頬の涙を手で拭いてやった。
 「大丈夫。おまえなら世界を救える。世界を明るく変えられる。千年、二千年後の人々
だって、おまえに励まされ、勇気づけられるさ。だっておまえはその為に来たんだろう?」
 私の血族。私の幼馴染み。私の恋人。私の最も輝かしい後輩。
162黎明 6/6:2008/12/25(木) 00:48:23 ID:VLre2xXH0
 そして、私の最も偉大な師であり、やがて私の罪をも洗い流し、救って下さるお方――。
 彼はまだ長い睫を濡らしたまま、無理に微笑んでみせた。その健気な様子に、胸が痛く
なる。
 「そうだよね」
 空元気を出して寝台から滑り降りると、衣服を身に着けに隣の部屋へ行こうとする。
 「出かけるのか」
 「うん。今日はアンデレが兄さんを紹介したいって言ってたから。漁師って大工と違っ
て早起きなんだよな〜、いやんなっちゃう」
 「服着たらな、ちょっと台所の戸棚の上見てみろ」
 そう声をかけて、彼が驚きの叫びを上げ、私の贈った杖とストールを持ってこっちに戻っ
て来るのを待った。
 「ヨハネ、これ、私に?どうして?」
 「おまえの誕生日だろ、今日」
 彼は今初めて、そのことに気づいたような顔をした。それから、嬉しそうに私に抱きつ
いて来た。

Fin.
163風と木の名無しさん:2008/12/25(木) 00:49:08 ID:VLre2xXH0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

タイトル、「二千年と八年前から愛してる」にしようかと本気で思った。
164風と木の名無しさん:2008/12/25(木) 09:27:21 ID:DIjnWY2i0
>>119
待ち続けた甲斐があった!
私だけ作品を見つけ損ねてるんじゃないかと心配してましたw

子供心に秘めた想いに萌えた。出会いもドラマチックだったんだなあ。
165風と木の名無しさん:2008/12/25(木) 17:13:41 ID:QAeoCFNTO
>>162
サロメネタワロタw
神話スレとかあったんだ、ちょっといてくる
166知恵の実 ぐりむ×りんご 1/10:2008/12/26(金) 00:49:50 ID:DiF5Af59O
週刊じゃんぷ四・五号読み切りのAPP/LE
6年後ぐりむ19歳さとし23歳
2人で何回も地球の危機を乗り越えたあと、さとしが人間化してその後の話

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



数ヵ月前、僕はアップルとしての能力を無くした。
そういうことは 今まで何回かあったけれど
(というか、能力の復活で僕達は地球の危機を知るのだ)
今回はそれとはわけが違うらしい。
生物学的にも完全に人間になった。というか、「人間に変身したまま」固定されたとか。

といっても、僕の生活が変わったわけじゃない。部屋の監視カメラや、定期的な検査が無くなっただけだ。
住んでるところも、前と変わらない。
ぐりむは、「良かったな!」なんて言いながら涙目になっていたけれど。
167A知恵の実 ぐりむ×りんご 2/10:2008/12/26(金) 00:51:40 ID:DiF5Af59O

むしろ変わったのは、彼の生活の方だった。
APPLEの研究が終了したと知れると、あらゆる方面から新しい研究の依頼が山のように来たのだ。
そういうわけで、彼の毎日は鬼のように忙しい。前は一日中一緒だったのに、今では家にすらたまにしか帰ってこれない。
僕はいつも通り、テレビを見て音楽を聞いて過ごすだけ。


『来週もまた見て下さいねぇー!じゃん!けん!』

「あ、負けた…」


毎週見てるアニメが終わったので、とりあえずテレビを消す。
そして、問題集に手をつける。
なんだかんだあって小さい頃学校に行けてなかったので、
グリムの勧めで勉強を始めたのだ。
初めの方は 僕が九九も言えないのにびっくりされたけれど。

「んー?ここは、なんでこうなるのかな」

グリムを手伝うことが出来れば、と思って始めた勉強だけど、道はまだまだ長いみたいだ。この問題は、あとでグリムに聞こう。
168知恵の実 ぐりむ×りんご 3/10:2008/12/26(金) 00:52:57 ID:DiF5Af59O
*****

しばらくすると、使用人さん達がバタバタし出した。グリムが久しぶりに帰ってきたみたいだ。

「おかえりー」

ぐりむの部屋の扉を開ける。
彼はもうパジャマに着替えていた。

「ただいま」

「あ、植えてたきゅうりの花が咲いたよ。」

「そうか…」

「あとね、メイドの赤城さんがねー」

「ふーん…」

「それでね、あのアイドルが引退するんだって」

「………」

「それから、えっと……
 …あ、そうだ。今日数学でここがどうしても分かんなくてー…」


169知恵の実 ぐりむ×りんご 4/10:2008/12/26(金) 00:54:50 ID:DiF5Af59O

そう言って差し出されたプリントは、
グリムにとっては説明するのも面倒臭くなるほど簡単な問題だった。

「申し訳ないが今日はもう寝たいんだ。
 そんな下らないことに構ってられるか!」


あ、やばい。
なんか語尾がキツい感じになっちゃった。

グリムは しまったとサトシを振り向いたが、
彼の目線は既に下を向いていた。

「あ、」と口を開いて謝罪の言葉を出す前に、向こうが先に謝ってきた。

「あ…そうだよね、ごめん。おやすみ……」

なんでだよ、今の状況は明らかに僕のほうが悪いだろ。なんで謝るんだよ。



パタン、と閉められたドア。急に静かになる部屋。
追いかけて弁明すべきだと分かっていたが、
そんな気力も体力も、グリムには無かった。もう3日も寝ていないのだ。
ふらふらと、ベッドに落ちるように倒れ込む。
眠りの闇に沈みながら、グリムは反省する。
世界的な難問に向かいあって疲れきったグリムに
サトシの質問はくだらなく思えたのは事実だが、
あまりの疲労のせいで言葉を選べなかったのは失態だった。
やはり睡眠は脳のために必要だ。仮眠くらいは摂らなければ。
それからあいつには、明日の朝 謝って夕食は一緒にする約束をしよう……
170知恵の実 ぐりむ×りんご 5/10:2008/12/26(金) 00:56:22 ID:DiF5Af59O
***

目を合わせることなくドアを閉める。
彼は今日機嫌が悪かったみたいだ。
勉強のこといろいろ聞くの、ひょっとして迷惑だったのかな。
そのまま、自室に向かう。
グリムのことは頭から閉め出し、次に見るドラマのことを考えることにした。
いつものように、寝支度を済ませて飲み物を用意して、テレビの前でスタンバイする。
だけど、いつもと違う。楽しくない。ドラマが全然面白くないのだ。
先週はヒロインが幼なじみに告白しかけたところで終わって、続きが待ち遠しかったのに。



『これは、友情だと思ってたの…』

画面で女優が泣いている。
それを無感動に眺めるサトシは、自分がテレビを見ずにグリムのことを考えてるのに気が付いた。
ドラマに集中しようとするけれど、どうしてもできない。
寒色系の感情が、心の中を支配する。
どうして僕は悲しいんだろう。
今は部屋の中のお気に入りの場所にいて、好きなテレビを見て、楽しいはずなのに。


171知恵の実 ぐりむ×りんご 6/10:2008/12/26(金) 00:57:03 ID:DiF5Af59O
前は、こんなんじゃなかった。
グリムに出会う前は、テレビと音楽さえあれば満足できていたのだ。
今はどうして、こんなに辛いのだろう。


電気を消して真っ暗な部屋の中。
画面の光が、サトシの顔を薄ぼんやりと照らしている。
ドラマは更に展開していく。

『こんなに辛くて、悲しいなら、最初から出会わなければ良かったっ……!』



「…出会わな、ければ……」


心に突き刺さる台詞。まばたきを一つ。
女優がドアを閉めたのと、サトシが立ち上がったのは、ほぼ同時だった。



172知恵の実 ぐりむ×りんご 7/10:2008/12/26(金) 00:57:54 ID:DiF5Af59O
****

翌朝、サトシは部屋から消えた。

そのことを使用人から告げられると、舌打ちをして大急ぎで支度をする。
久しぶりにぐっすり眠ったから調子がいい。

「坊っちゃま、どこへ行かれるのです!?」

「決まってるだろ!あいつのとこだよ!」

「しかし、今日はご予定が」

「そんなもんお前らでどうにかしろよ!」

バァン!と執事の鼻先でドアが軋むほど盛大に閉めて飛びだす。
正直言うと、今日の仕事を休むと「そんなもん」程度の損害では済まないのだが。
何よりも優先される最重要事項のために、グリムはできるだけ急いだ。


173知恵の実 ぐりむ×りんご 8/10:2008/12/26(金) 00:59:02 ID:DiF5Af59O
目的地は決まっている。あいつが向かう場所なんて一つしか無いじゃないか。
向かう場所は日本・東京郊外・だだっ広い空き地。
6年前、あいつの家があった場所だ。

案の定、サトシはそこにいた。
初めて他人と共同生活をした、僕にとっても思い出深いその場所は
もともとボロかったせいもあり すっかり崩れて今は外壁のみになっていた。
そして幾多の地球の危機を救ってきたヒーローは
瓦礫の一つに腰かけて どこを見るでもなく ボーッとしながら音楽を聞いている。
丸まった背中とか、擦って真っ赤な目元とか、先が少し傷んだ長い髪の毛とかがみじめで、みじめで。
やっぱり迎えに来て正解だったと思うのだ。
174知恵の実 ぐりむ×りんご 9/10:2008/12/26(金) 01:00:36 ID:DiF5Af59O

「おい、お前はいつまで経ってもアホタレだな」

「グリム…」

「お前の行動範囲なんか把握済みだ。
 どうして施設を抜けたんだよ」

「…ごめん、自分でもよく分からないんだ……」

「あ?」

「あのさ、どうしてグリムは僕と一緒にいるの?」

「何だよいきなり。
 つか聞くなよそんな事。
 お前は俺の、友だ…いや違う。家ぞ…これも違う」

「?
 じゃあ何なの…」

「うるさい!言語化することが難しいんだ!
とにかく、法律的にもお前の家はここじゃねーよ。帰るぞ…って何で泣くんだよ!」

「僕…もうAPPLEじゃないし。研究対象じゃ、ないし」
175知恵の実 ぐりむ×りんご 10/10:2008/12/26(金) 01:02:59 ID:DiF5Af59O

その言葉に、グリムはさらに眉を寄せた。

「研究対象だから傍にいたと思ってたのか!このバカ!!
 なんでわかんねーんだよ!!」

「分かんないよ…もうあっち行ってくれないかな…
 僕、またここで暮らすから…」

「ああその通りにしてやるよ分からずや!!」

そう言うと彼は背を向け、振り返らずその場を後に「だぁぁああ!!!んなことできるわけないだろぉぉお!」

…せず、険しい顔でズンズン早足で向かってきた。

176知恵の実 ぐりむ×りんご 11/10:2008/12/26(金) 01:04:57 ID:DiF5Af59O

荒々しくサトシの腕を掴んで立たせると、くるっと向きを変えてまた早足で歩き出す。
急に引かれてつまずきそうになった。強く掴まれた手首が痛い。

「いたいよ」

「悪い。…悪かったよ。」

そう言いつつも力を緩める気はないらしい。振りほどけそうにない。
痛い。いつの間にこんなに力が強くなったんだろう。
見下ろしていたつむじも今は見えなくなってるし、肩幅だって彼の方が大きいかもしれない。
ピンと伸びた背筋も、つり上がった眉も、僕とは正反対だ。

「あー…。今やってる仕事が、もう少しで一段落しそうなんだ。
 このままじゃ体を壊しそうだし、引き受ける仕事の量も減らすつもりだ。だから…」


彼に引っ張られながら、…不思議と、幸せな気分になっていく。
彼の手が与えてくれる、痛みと暖かさ。
きっとこれからも 色んなことを彼に教えてもらうのだろう。
星座とか、経済のしくみとか。痛みと暖かさの混じった感情なんかも。
今気づいた。僕は寂しかった。
好きな音楽と、好きなテレビと、もう一つ必要だったのは……



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

グリムは自分の気持ちにうっすら気づいてるけど別の名前を付けようとしていて、
さとしはそもそも自分の感情に無頓着(言われないと気づかない)で恋とか言われてもピンとこない感じ
177風と木の名無しさん:2008/12/26(金) 01:11:24 ID:mVawTP0w0
>>166
GJ!!!
ひょっとしてこの間ジャンプスレに書かれてた姐さんですか!?
すっごい萌えました。ありがとう!
178風と木の名無しさん:2008/12/26(金) 01:16:27 ID:RbOhveDzO
すみません携帯から失礼します

>>166
うわぁぁぁぁぁまさかAPP/LEがここで読めるなんて!
姐さんGJ&ありがとう!
好きな作品なんです、そしてひそかに萌えていたんです
本当に嬉しかったありがとう!
179芸人 枡陸 1/5:2008/12/27(土) 17:09:14 ID:YA4ypuB30
コンビ組んで長いわりに、ネタ見せに恵まれてない気がする2人。
エチもなし、需要があるかも分からないネタでスマソ。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 久々の、TVでの漫才だった。
 今人気の、短い時間でネタを見せ、どれだけ笑いを取れるか競う番組―結果?もちろん最高の評価。
当たり前や。俺ら、芸人や。どれだけピンの仕事が増えようと、バラエティのレポートの仕事ばかりが
スケジュールを埋めようと、芸人は、芸を見てもらってナンボ、それで笑ってもらってナンボ。そう常々
思っていたから、今日は力、入ったで。相方の突っ込みも、切れがまったく鈍ってない。普段は滑って
ばかりで、皆から「おもろない」とか言われてるけど、俺だけは知ってる、わかってる。こいつは
ホンマは、おもろい。俺のボケをうまく拾い、一つ頭高いところから突っ込むタイミングの絶妙さ。
時々、マジで次に突っ込む段取りを間違うときもあるが、それが全然白けさせない。むしろそれすら
ネタかと思わせる。得なヤツや。結構ハンサムなのにまったくモテないのが不思議なんやけどなあ。
 袖に引っ込んで、結果を聞いて、俺らは思わず腕と腕をあわせた。『どうや!』と、お互いの目が言っていた。
 その時、ゲスト審査員の誰かがこんなことを言った。
「陸多くんが仕事してるのを、初めてみましたよ」
 俺は耳を疑った。なんやて、なに言ってんのやこの人?
 
180芸人 枡陸 2/5:2008/12/27(土) 17:11:37 ID:YA4ypuB30
つまり、いつもはつまらない陸多がちゃんと漫才が出来てる、笑いが取れてる、そういいたいんか?
 信じられヘンことに、司会の兄さん方もうっすら同意している。俺のはらわたが一瞬煮えたぎった。
冗談じゃない。俺ら、どんだけコンビ組んでると思とんのじゃ。TVに出てなかっただけで、もう営業
しまくってたんやで。例え客が特売品目当てで集まってきてるスーパーででも、耳がホンマに聞こえ
てるかよう分からん老人ホームででも、もう漫才が出来るトコと思えたら、どこでもいってしゃべ
くってたんやで? そん時だって、俺の隣には、この相方がいたんや。腐りそうになる俺を、あの
整ってるわりに間抜けな顔で「まあまあ」と宥めて、次の仕事に連れてってくれたんや。言っておく
けど、俺はわがままや。それに、笑いには真剣や。そんな俺が、心底「おもんないヤツ」と、こんな
長い間、組んでいられるか? 冗談やない。まったく、笑えへんで!
「キッツいなあ〜、言われてるなあ〜オレ」
 自分への厳しい言い方を、相方は苦笑いしながら肯いている。おい、やめや。お前、自分でも
「おもんない」思てんのか? まったく、どれもこれも、沢山の人に俺らのしゃべくりを聞いて
もらえないのが悪い! この状況が悪い! 世界中に知らしめたいで。「俺の相方は、おもろい
んやど!」「お前ら、バカにできんのやで!」と。
 畳敷きの楽屋に戻っても、俺の気持ちは晴れなかった。むしろ、気持ちは落ち込んでいた。
 つまり、俺がコイツのおもろいところを、全然伝えきれてない、ってことか。
 だから、皆はこいつの本当のトコを知りえないんか。
出前の冷たい弁当を「ウマウマ」とほおばる相方を見ながら、俺はとてもじゃないが飯を
食える気分にはなれなかった。こんなに長く組んでるのに…ふがいないなあ、俺。
「どしたんや?」
 弁当から顔を上げて、相方が俺のヘンな空気に声をかけてきた。ほっぺにおべんとつけて。
まあ、無邪気なやっちゃ。
 俺は、少しだけ笑った。あ、いけね、とあいつは自分のほっぺに指をのばす。
「なあ」
 俺はつい声を出していた。
「俺ら、これからもずっと、漫才続けられたらいいなあ」
 そしたら、お前のおもろいトコ、いっぱい出してやれるのになあ…。
181芸人 枡陸 3/5:2008/12/27(土) 17:16:24 ID:YA4ypuB30
アイツは、一瞬黙った。顔色がサッと変わる。
「どうした?」
 その変化があまりに急激だったので、今度は俺がヤツに尋ねた。ヤツは…いつもは俺のアホみたいな言葉に、
へらへら笑って肯くヤツなのに、この時はいきなり持ってた弁当をバーンとテーブルに叩きつけて、俺をギッと
睨みつけてきたんや。
「…お前、ヘンなこというなよ」
 すくみ上がってる俺に、ヤツはズイっと近寄ると、まっすぐな強い視線を合わせてきた。
「へ、へんなことって?」
 ヤツは、ハーっとため息をついた。そして「あのな」と言葉を続ける。
「おまえ、時々そんなこと言うよな? 「俺ら何時まで漫才できるかな?」とか、
「ずっとコンビ組めてたらええなあ」とか」
「…え、そう?」
 全然覚えてない。
「オレはな、お前にそう言われるたび、胸の奥がギクーっ! とすんねん! なんやお前、
解散でも考えとるんか!?」
「まさか!!!!!」こればっかりは、声が出るで!
「それとも、残された命があと数ヶ月とでもいうんか!?」
「なんでやねん!!」
 おいおい、俺が突っ込んでどうする。しかし、ヤツの表情は真面目やった。真面目に、
真剣に、俺だけに訴えている。

「だったら、いちいちそんなこと口に出すの、やめてんか!! オレはな…ええか、オレはな、
自分がおもんないことぐらい、分かっとんねや。だから、皆にそう言われたって気にならへん! 
…いや、ちょっとは気になるけど。まあええわ。とにかくオレはな、オレは、つまらんと
言われてもいいんや。でもな、お前がたまーに口にする、そんなヘンな…寂しくなるような
コトの方がコタえるんや! オレが、唯一おもろくなるのは、お前の隣でだけなんやで! 
そこんとこ分かっとるんか!?」
182芸人 枡陸 4/5(数え間違い):2008/12/27(土) 17:21:12 ID:YA4ypuB30
「…うん」これにも、素直に肯く。そうや、それは確かに…そうや。
「だったらそんなアホなこと言わんと、新しいネタの一つも考えんかい!! ボケ!!!!」
 あー、もったいな! 弁当どうしてくれんねん! とヤツは真っ赤になった顔のまま、
乱暴に俺の弁当をひったくった。「罰やで! 腹ペコで次の仕事にいけや!」と、俺の顔も
見ないで、ヤツはガツガツと弁当に噛み付いた。
 半ば呆然としながら、俺は相方のそんな様子を眺めた。今、言われた言葉が頭の中でリピートされる。
 俺はにんまりと笑った。やっぱり俺の相方は、お前で正解や。
「なあ、陸多」
「ナンや!」
「俺たち、いつまでも頑張ってこうなあ」
「だから…っ、そういうこと言うなて」
「だけどさ…ホンマそう思うんや。俺達、このままずっとさあ」
「だからやめや、いうとるやろ!!」
「でもさあ、俺ら」
「あああああ、もう!!!!!!」
 食い散らかした弁当を放り投げ、ヤツは後ろにひっくり返った
 俺は声を上げて笑った。な? 俺の相方はおもろいやろ?
 誰ともつかない相手に心でそう告げて、俺は相方と自分にお茶を入れた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

 赤/絨/毯の再放送を見て、瞬間的に思いついた。
 書いたことに後悔はしていない。してはいないけど、レス数数え間違えた!
4/4が正解です。すいませんでした。ちょっと吊ってくる
183風と木の名無しさん:2008/12/27(土) 21:18:19 ID:t3xVG9ZMO
>>182
GJ!このふたりが読めるとは思わなかったよ。ありがとう(´∀`*)
184風と木の名無しさん:2008/12/27(土) 22:55:48 ID:TZZ7Zy+80
>>79姐さんのおかげで毎度朝からムラムラしてしまうww
185風と木の名無しさん:2008/12/28(日) 01:44:35 ID:zEdlZT5B0
もい
186罰☆ 義兄弟 1/3:2008/12/28(日) 13:53:57 ID:FfvoJrQpO
「必要ない」と言われて病む義弟。と云うレスから発展させてみました。
エロなしです…。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


夜更けの病棟。廊下ね反対側からりょうが歩いてくるのが見えた。
俺を見て足を止めるりょう。無表情の様だが違う。
目が強い怒りで光っている。声をかけられる状態ではない。
逡巡する俺に向かってりょうが大股で近付いてきた。
俺の腕を掴むと、強引に引っ張って歩く。資料室のドアを開けると
思いきり力を込めて俺を引っ張り込んだ。
「…りょう?」
黙ったまま、両手で俺の胸ぐらを強く掴む。
「…出来るもんか…!」
絞り出す様な声で呟くと、全身の力で体当たりされて
二人で固い床に転がった。仰向けの俺の体にりょうが跨る。
「…よせ…」
「…退かせばいいだろ、力ずくで。」
きつく光る目で俺を見据えてりょうが言う。
「…簡単だろ?義兄さんが僕を退かせばいい。」
「…。」
笑顔とは呼べない表情で、りょうが薄く笑った。
「…出来る訳ないよね?…義兄さん。義兄さんが僕なしで
生きていける訳なんかないんだ。」
187罰☆ 義兄弟 2/3:2008/12/28(日) 14:19:33 ID:FfvoJrQpO
「りょう…俺は…。」
「嫌なら抵抗したらいい。…出来ないでしょ?義兄さん?」
黙った俺の唇に、りょうが強い力で唇を重ねた。
乱暴に舌を突っ込んでくる。りょうの舌が口内を蹂躙する。
応えない俺の舌を誘う様に吸う。だが…甘い感覚は起こらない。
りょうの舌が引き抜かれたと思った瞬間、唇に痛みが走った。
噛み付かれた唇の端から血の味が伝わった。
「…義兄さん…。」
問う様に名を呼ぶりょうに、俺は何も言う事が出来ない。
りょうが唇を首筋に押しつけてくる。そのまま強く吸い付かれる。…跡をつけている。
荒っぽく俺のシャツのボタンを外し、胸元をはだけると、迷わずキスを落とした。
強く強く胸板に跡をつけていく。愛撫とはまるで違う。
ただ激情のままに俺の体に口付けてくる。
「…りょう…。」
胸元から顔をあげたりょうを見つめる。りょうの瞳が揺れた。
「…義兄さん…義兄さん…!」
服の上から肩を思いきり噛んで来た。力を込めてぎりぎりと歯を立てる。
「…っ…!」
激しい痛みにただ耐える。今のりょうを止められる術などない。
188罰☆ 義兄弟 3/3:2008/12/28(日) 14:42:23 ID:FfvoJrQpO
ふっと、りょうが噛み付くのを止めた。顔をあげ、じっと俺を見つめる。
「…痛いだろ?義兄さん。痛いよね?…」
「でも僕を退かせないんだ、…義兄さんには…。」
俺から目を逸らすと吐き出す様に言い放つ。
「…出来る訳無い…!義兄さんが僕なしで何も…
…出来る訳ないんだ!…そんな事、出来るもんか!」
俺の胸に強く手をつき、りょうが立ち上がった。来た時と同じ様に
大股で歩き、そして乱暴にドアを閉めて、出て行ってしまった。
俺はのろのろと起き上がり、痛む肩に手を置いた。
…りょうの言う通りだ。…りょうが側に居ない俺に何が出来るだろう。
だが…。
俺とりょうとの間にある秘密。俺達を結び付けていた秘密が
不安を呼び起こす。りょうを信じなければならない…。
りょう…俺は…。
続く言葉が浮かばない。暗い部屋の中、ただ黙って目を閉じる。
目を閉じても、真実は此処にある。
…痛みを伴う真実が。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


ヤンデレってきついですね…。修行しますです(´・ω・`)
189風と木の名無しさん:2008/12/28(日) 15:20:13 ID:FfvoJrQpO
ぐああ!今見返したらいきなり最初の
「廊下の」を間違えて
「廊下ね」と書いてるorz
恥ずかしくて死にたい…。吊ってきます。
190風と木の名無しさん:2008/12/28(日) 20:04:45 ID:ilExcF9vO
>>176
GJです!まさか見れると思ってなかったから嬉しい!
その後が楽しみだ(´Д`*)
191段段  小唄→衣柴氏 1/3:2008/12/29(月) 00:51:19 ID:2hwjnrCo0
スイマセン以前>>79で麻ドラ小説投下した者です。
年明けでタンバリン解雇宣告受けるらしいので、その放送までの無法地帯にやりたい事やってやる!ww
とりあえず>>79の続き的なものです。レモンの蜂蜜漬けにやられたorz

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

その日は初めてのボイストレーニングの日だった。
野ゾミと目グミに付いてスタジオにやってきたが、
タンバリン担当である小唄とギター担当である旬はやることがなく、
部屋の隅にある椅子に座り衣柴氏と共に見学することになった。
小唄は深く考えずに衣柴氏の隣に座ったが、すぐに後悔した。

距離が近い…。

体と顔は真っ直ぐと正面を向けているのだが、
衣柴氏の長い睫毛、赤い唇に細い首筋と目線が体をなぞってしまう。
以前、他家中と衣柴氏の情事を目撃してから、自分の衣柴氏への感情を気づいたこともあって、
小唄は衣柴氏への態度が徐々に変わっていくのを自覚し始めていた。
ふとした瞬間に触れ合う手にすら息が止まってしまうほどに。
しかしあの真っ直ぐで自分を曲げない衣柴氏が他家中とその様な関係にあったというショックもあった。
自分の感情に気付く前は男として純粋に憧れていた。
その憧れの人物が男と、しかも上司と体の関係にあったのだ失望感も強い。
だが、その事に失望する反面、その憧れの対象へ欲情しているのも事実で。
あの情事を思い返し、時には頭の中で他家中と自分を入れ替えた自慰行為を何度もしていた。
終えた後は罪悪感に苛まされるが、止められそうにもない事も自覚している。
普段の衣柴氏からあの淫猥な表情は影も見えない。
だから、あの時の事はもしかしたら夢だったのではないかと僅かに思うが、
その矢先に他家中の衣柴氏を見つめる視線の中に欲望を見つけてしまうから
小唄はその視線に他家中への嫉妬と衣柴氏への渇望を憶える。
憧れと失望と嫉妬と欲望。あの日から感情が心の中でせめぎ合っていた。
192段段  小唄→衣柴氏 2/3:2008/12/29(月) 00:52:11 ID:2hwjnrCo0
「小唄」

思考の渦に取り込まれている中、いきなり飛び込んできた声に飛び上がる。
「小唄?」
二度目の声に怪訝な様子を捉え慌てて声の主へと振り向いた。
声の主である衣柴氏も多少驚いた顔をしている。
「なっ…なんかね?」
「大丈夫か? ボーっとしてたみたいだけど…」
「あ、ああ、ボイストレーニングってこげなモンなんだってちょっと集中して見とったんだが」
そんな小唄の言い訳に衣柴氏は笑顔を浮かべた。
「そうだな。小唄たちには初めてだらけだもんな」
「目グミも野ゾミちゃんも大変そうだけん、俺ボーカルじゃなくて良かったー」
はははと若干引きつった笑いを見せると一緒に軽く笑った衣柴氏は
「なに言ってるんだ」と冗談交じりに小唄を諌めた。
その表情に安堵しながら胸を撫で下ろし、正面に目線を戻すと目に入るのはボイストレーニングの指導者である絹皮の言葉に神妙な表情で頷いている目グミと野ゾミ。
雰囲気から察するともうすぐ終わりそうだ。
193段段  小唄→衣柴氏 3/3:2008/12/29(月) 00:55:12 ID:2hwjnrCo0
「あ、そうだ。これ」
「ん?」
また衣柴氏から声を掛けられ、今度は普段通りに振り向く。
そして気付くと小さな紙袋を渡されていた。
「…? これは?」
「レモンの蜂蜜漬け。蜂蜜は咽にいいからね、みんなで食べて」
「レモンの蜂蜜漬け…」
なんだか高校の部活のマネージャーみたいだな、
なんて思いながら紙袋の中を覗き込むと家によくある半透明のタッパーが入っていた。
まさに思い浮かべていたそれだ。そしてそのまま思った事が咄嗟に口に付く。
「…もしかして、手作りかね?」
それは当たっていた様で、衣柴氏が僅かに含羞んだ。
あまり見られないその表情に心臓が高鳴る。
「手作りっていっても、レモンスライスして蜂蜜に漬けるだけだから、そんな大したもんじゃないよ」
成人もとうに超えている、まして年上の男性に対してこんな事を思うのはおかしいのかもしれない。
だが、小唄はそんな含羞む笑顔を見せた衣柴氏を可愛いと思った。
そしてそれと同時にその優しさが嬉しくてじんわりと心が熱くなる。
そうだ、今までだって結局衣柴氏は優しかったではないか。
こうして自分達の事を気に掛け、いろいろな事に手を尽くしてくれているのは事実であり、
自分はそんな衣柴氏に惹かれているのは真実なのだ。
他家中との事はショックだが自分が想い続けるだけなら、と思うことにする。
自分自身の気持ちの確認が出来た小唄はなんだかスッキリとした気分で衣柴氏に笑顔を向ける。

「あとで皆で食べるけぇ!だんだん!」

「ああ」

衣柴氏の大きな目がゆっくりと細まり、白い歯が覗いて綺麗な笑顔が返され、
そんな笑顔を見ながら今はこれだけで充分だ、小唄はそう思った。
194段段  小唄→衣柴氏 終:2008/12/29(月) 00:56:09 ID:2hwjnrCo0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

蜂蜜漬け食べたいよ蜂蜜漬け。
あと前回コメントしてくれた方ありがとうございました!
みんなみんな肝スカが好きになぁれ。
195風と木の名無しさん:2008/12/29(月) 01:30:26 ID:BQeHVpir0
>>186
禿げちゃったよ姐さん!!
荒れ狂う義弟が子供みたいで悲しいね
でも萌え
196風と木の名無しさん:2008/12/29(月) 01:33:48 ID:DaAYLujn0
>>186-189
時間あけ過ぎ
まさか書きながら投下してんじゃないだろうな?
内容とか誤字とかよりそっちの方が気になる
197風と木の名無しさん:2008/12/29(月) 02:46:51 ID:L9xHxlom0
>>194
続ききてたぁぁぁぁぁGJ姐さん!
年明け怒涛の展開が楽しみだyo
石場氏さんしかし魔性すぎるw
あの細い体小唄になってうしろからハグしたいw
198風と木の名無しさん:2008/12/29(月) 07:13:34 ID:5EHN+yJi0
>>194
再度おつです姐さん!!
もはやィ芝市さんがお偉いさんといるだけで何かイケナイものを妄想してしまうw
芸子遊びと称して遊ばれてたんですねきっとわかります。
199風と木の名無しさん:2008/12/29(月) 12:03:42 ID:54ED2LcEO
>>194
禿萌しました姐さんありがトン

ちなみに意志橋さんの中の人は
演劇ユニの相方とできてるとか言われちゃう人だったりしますw
200風と木の名無しさん:2008/12/29(月) 12:06:49 ID:Cw2T192NO
>>186
禿げますぅ。
あの時の義弟の病みっぷりを思い出して萌え…。
201風と木の名無しさん:2008/12/30(火) 18:24:51 ID:uCb3wKxs0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ペルソナ4 ネタバレ含む二周目捏造です
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  某ペルソナ→主→足。主の名前は説明書デフォ
 | |                | |             \ ただしやおい成分は3行くらい・・・
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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2021/6:2008/12/30(火) 18:25:22 ID:uCb3wKxs0
 全てが終わった。
 人の心を、絆を、可能性を否定し弄ぼうとした存在は、この世界から去った。
 彼と仲間、そして彼の従えるペルソナによって、町を覆っていた陰鬱な霧は晴れ、
人々を脅かすおぞましい犯罪にも終止符がうたれた。
 学業をこなしつついびつな家族の仲を取り持ち、友人達の心を解きほぐし、自らの
信念を貫いてひたすら前へ前へと突っ走ってきた結果、あっという間に一年が過ぎた。
 一年――それが、この町で彼に与えられた猶予だった。
 表向きの目的も、秘密の命題も……全てを終えて、月森孝介は稲羽を去った。

 田舎から都会へ。孝介は頬杖をつき、列車の窓から一年前とは真逆に流れていく
風景を眺めていた。
 彼の手には、去った町で得たかけがえのない絆の証として、出立の直前に仲間達と
撮った写真がある。まぶしいほどの笑顔の仲間達に囲まれ、自分も笑って写真に
おさまっている。
 だが、精一杯の笑顔をしたつもりだったが、まるで幼子のように屈託無く笑う皆に
比べるとどうしても見劣りしてしまう。
 ――心の底から笑うことができない。
 事件は解決したし、さらに根底にあった忌まわしい存在も打破した。
 それでも。孝介はまだ、全ての溜飲を下げることができずにいた。
 もともとポーカーフェイスで通っていたので仲間達には悟られていないはずだ。
皆とは何の禍根も残さず笑顔で別れ、そしてただ自分一人で小さなわだかまりを抱えて、
こうやって本当の家路についた。
 その原因が何なのかも、そしてそれを解消することがもはや不可能なことも、孝介は
重々承知していた。それゆえのわだかまりでもあった。
 自分と対になるような人格を具現化した彼――忌まわしい神の手の上で踊らされ、
本来ならば決して行わないような凶行を遂げてしまった哀れな青年。
 おとぼけでお人好しで、そしてただ人並みに闇を抱えていた青年。
 たとえ他者に背を押されたとしても、実際に人を殺めたことには違いないと観念し、
今は町で起こった災いを全て自分によるものだと申し開き、法による裁きを待つ身のはずだ。
 これ以上自分にできることは、もう無い。
 だが、一人でこうして電車に揺られていると余計に考えてしまう。
 彼の凶行は絶対に許されるものではない。それでも、それでも――
2032/6:2008/12/30(火) 18:26:01 ID:uCb3wKxs0
 稲羽を摸した心象風景の中で力を出し尽くし倒れた彼は、まるで憑き物が落ちたかのように
すっきりとした顔をしていた。
 それは、心の底の願望を歪められ引き出され、そして孝介が助けてきた仲間達が見せた
表情と何ら変わりのないものだったのだ。
 それが、孝介の脳裏から離れなかった。
 果たして自分のやったことは彼への救済になり得たのだろうか。
 こうするしか他に無かった。これが最善だった。孝介はずっと自分にそう言い聞かせてきた。
 たとえどれだけ悔いが残ったとしても、時間は遡ることは決して無いからだ。
 彼とて今の状況を従容として受け入れているのだ。たとえ自分が今更何を思おうと、何一つ
として変わることはないのだ。
 去年の年の瀬からずっと、そう言い聞かせてきた。毎日そうするうちにやがて自分の中でも
妥協という名の決着がつきそうだったというのに、昨日の出来事でまた認識を改めざるを
得なくなった。真実を知った今、また一人で苦悩する日が始まりそうだった。
 次第に緑の気配が薄くなっていく風景を眺めながら、稲羽での出来事を一つ一つ思い出し、
そして彼のことを想う。
 そうこうしているうちに、不意に孝介はふわりと暖かい眠気に襲われた。
 前日の戦いのせいで、だいぶ疲れがたまっていたようだ。堂島家に帰宅してからも叔父に
悟られまいと普段通りにふるまっていたのもあり、そのしわ寄せが一人になった今、一気に
訪れたようだった。
 列車が目的地に到着するまではまだまだ時間がある。孝介は写真を片付け、シートに
背を預けて力を抜いた。
 列車の鈍い振動が心地よく、孝介の意識は瞬く間に沈んでいった。最後に想ったのは、
やはり彼のことだった。


 いつしか、孝介は夜空の中に一人で立っていた。
 現実の夜空では無い。ただ幾千幾万の星々が瞬く不思議な空間だった。浮いているのか
立っているのかも定かではない。感覚がぼやけているようだった。
 夢の中でいつの間にかビロード張りのリムジンに乗っていたりすることが頻繁にあったため、
さほど驚きはしなかった。だが、リムジンの内部でも無く、そしてテレビの中の美しい世界でもない、
初めて訪れる場所だった。
2043/6:2008/12/30(火) 18:26:37 ID:uCb3wKxs0
 不測の事態に強すぎる、とよく仲間に言われたものだ。孝介は慌てることなく
周囲を観察した。そしてふと、この空間のことを思い出す。
 ここは、孝介のペルソナが生まれる場所――自分の心の中だった。
 思い出したとたん、不意に背後に気配が現れた。
「我があるじよ」
 落ち着いた男の声。孝介は振り向いた。そして思わず声を漏らす。
「ヨシツネ……!?」
 そこにいたのは、二本の小太刀を腰に差し、朱塗りの甲冑に身を包んだ武者姿の
青年だった。立っているだけでさまになるというのをまさに体現しているような
荘厳で優美な佇まいである。
 その青年は、孝介のかけがえのない戦友でもあった。
「私が貴方をお招きした次第」
 そう言って、孝介のペルソナの一つである英霊ヨシツネは身をかがめて孝介に
向かって頭を下げた。まるで孝介の女友達にひけをとらないほどの美しい黒髪が
肩から滑り落ちる。
 ヨシツネの出現で一瞬慌てたものの、孝介はすぐに落ち着きを取り戻し、そして
顔を上げたヨシツネに向かって微笑んだ。
「お前達には本当に感謝してる。改めて礼を言う機会があって良かった」
「ええ。私は貴方の心の一部なのですからそのようなことは承知しておりますとも」
 ヨシツネも優美に微笑む。
「しかし……いきなりどうしたんだ。お前がここに俺を招いたと言っていたが……」
 孝介の問いに、最強の英霊は一呼吸間を置いてから、静かに告げた。
「彼を、救いたいのでしょう」
「――!!」
 孝介は目を見開く。
「私どもは貴方の一部。貴方がどれだけかの男のことを想っていたか、心を痛めて
いたか、全て分かっております」
「……」
 自分が隠していた願望を他者に言い当てられる――仲間達が体験したシャドウとの
対面がいったいどんな気分なのか、孝介は今になって初めて思い知った。決して
気持ちのいい物では無かった。
「そ、それでももう俺にできることなんか無いじゃないか。あいつは人を殺した。その償いはしないと――」
2054/6:2008/12/30(火) 18:27:42 ID:uCb3wKxs0
「時を戻せるとしたら、貴方はどうなさいますか」
「――!?」
 うろたえながら絞り出した言葉が、ヨシツネの静かな声で遮られた。
 時間は巻き戻せない。それこそが、孝介が心のもやに対して折り合いをつける
ための一番の言い訳だった。だが、絶句している孝介の前に立つペルソナは、
まるでそれが可能だとでもいう風に続けた。
「その代償として、貴方は全てを失うことになるでしょう。これまで築いてきた絆も、
そして力も。全てをはじめからやり直せるけれど、同じことを繰り返すという苦痛にも
耐えなければならない」
 何も言うことが出来ず口をぱくぱくとしている孝介を、いつしか笑みを消した
ヨシツネが真っ直ぐに見つめてきていた。その眼差しは真剣で、決して冗談を
言っている様子では無かった。
「それでも、もし、再びこの時を――お仲間や、かの者との時間をやり直せるとしたら、
どうなさいますか」
「……」
 孝介はうつむく。そして、考える。心の底ではとうに決まっているが、それを表に
引き出すのはそれなりの勇気が必要だった。
 うまくいかないかもしれない。また助けられないかもしれない。
 それでも。
 少ししてから孝介は顔を上げ、そしてヨシツネを見上げた。悪鬼を一瞬で斬り伏せる
最強の英霊は、きっと孝介の決意が既に分かっているのだろう。優しい眼差しが返ってきた。
「できることなら、やり直したい。あいつの歪みが弾けきる前に、助けてやりたい」
「そう仰ると思っておりました」
 ヨシツネは頷いた。そして、なぜか一歩足を前に進め、孝介との距離を詰めた。
「実は、先程全てを失うと申し上げましたが」
 息がかかるような距離に迫られる。現実の伝承では小柄な男だったとのことだったが、
孝介のペルソナとして在るためか、ヨシツネの身の丈は孝介とほぼ同じくらいだった。
 不思議そうにヨシツネを見る孝介に向かって、ヨシツネは籠手に包まれた手をゆっくりと
伸ばしてきた。そして指先でそっと、孝介の頬に触れる。
「遮る物が無いときに貴方に触れるのは初めてだ。柔らかい」
「ヨシツネ……?」
 確かに今はテレビの中ではないのでクマ特製の眼鏡をしていない。だが、そういう問題ではない。
2065/6:2008/12/30(火) 18:28:52 ID:uCb3wKxs0
 流石に予想外の事態でうろたえる孝介に、ヨシツネは柔らかい声で囁いた。
「私が、おりますゆえ。たとえ貴方が全てを失っても、何度やり直すことになっても、
私がずっと、貴方のお側におります。貴方を、お護りします」
 そう言うと、ヨシツネはおもむろに身を乗り出してきた。伝説にまでなっている
美貌が肉薄する。
「――!」
 するりと身を引いたヨシツネは、ぽかんとしている孝介にほんの一瞬満悦の
笑みを浮かべてから、静かに跪いた。
「貴方の盾として、剣として――そして、友として。共に参りましょう」
 ヨシツネが詠じた瞬間、星空だったはずの周囲が光に包まれ、そして孝介の
意識は再び掻き消えた。


「!」
 びくりと痙攣し、孝介は目を覚ました。
 列車の振動の感覚が戻ってきた。どうやら音も振動も何もかも分からなくなる
ほど熟睡していたようだ。
 寝過ごしたかと思い慌てて時間を確認するが、寝入ったときからそれほど
経ってはいなかった。孝介は安堵の吐息を漏らし、再びシートにもたれかかる。
だが、再び「あること」に気づいてがばりと身を乗り出す。
 窓の外を見ながら、孝介は呆然と呟いた。
「これは……」
 風景が、逆に流れていた。稲羽を発ったはずの列車に乗ったはずだというのに、
この方向に進むということは再び稲羽に向かっていることになる。
 孝介はあたりを見回す。何の変哲もない特急列車だ。少なくとも自分以外に
その異変に気づいた乗客は居ない。
 孝介はふと、自分の手を見た。
 孝介の手には、仲間達と撮った最後の写真ではなく、一枚のメモ用紙が握られて
いた。そこに書かれているのは叔父の――堂島家の連絡先だった。
 それを見た瞬間、孝介の中で、何かが弾けた。夢の中で聞いた優しい声が耳に蘇る。
『時を戻せるとしたら――』
 そして、全てを悟る。時が遡ったのだ。
2076/6:2008/12/30(火) 18:30:45 ID:uCb3wKxs0
 ここは稲羽行きの電車の中で、自分は今年、2011年から堂島家に一年間預けられ
――そして能力を得て、町の人を、彼を、救うのだ。
 きっと稲羽では叔父も、友も、自分のことを忘れて――否、忘れるも何も、もとより
何も知らないのだろう。自分だけが同じことを繰り返すことになるのだろう。
 だが、その中で因果を断ち切って、その先にある彼の手を取り、赤黒い闇から
引き上げなければならない。
 課せられた、課した使命は重い。だが、必ずやり遂げる。
 孝介は使命を胸に秘め、静かに目を閉じた。

 夢の中で、何があっても側に居ると言ってくれた友の唇が触れた左目の瞼が、ほのかに
温かい気がした。
 


 やがて孝介は再び稲羽の地に立つ。
 かけがえのない、最強の友を従えて。
208風と木の名無しさん:2008/12/30(火) 18:32:28 ID:uCb3wKxs0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ クリスマスハモチロンヨシツネトデート
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
209それにしてもこの受、ノリノリである 0/6:2009/01/01(木) 01:32:09 ID:lCnHTSMh0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  オリジナル 年下攻×変態受のイメクラ話
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  過去の女関係が1行出てくるので注意
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) < 正月ネタは皆無です
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
210それにしてもこの受、ノリノリである 1/6:2009/01/01(木) 01:33:26 ID:lCnHTSMh0
「キヨセン、前この塾通ってたってマジ?」
「うん、マジ」
「誰に教わってた?」
「今いる先生だと塾長とか安藤先生とか」
「そんだけ?」
「あと最後の1年は早川先生にも教わってたな」
「へー、その頃から怖かった?」
「超怖かった」
「やっぱ静かに怒るの?」
「いいから黙って解け、お前こないだの模試Cランクだったんだろ」
「キヨセンが喋るからだろ、バーカ」
「人のせいにすんな、バーカ」

「清瀬先生、ちょっと静かにしていただけませんか」
「あっ、すみません。声でかかったですね、気をつけます」

「……怒られてやんの」
「お前が黙ってやらないから」
「キヨセンにはイゲンがたんねーよ、イゲンが」
「威厳なんて持って生まれるもんだから仕方ないだろ」
「早川先生にわけてもらえば?」
「わかったから、ほら、手を動かせ」
211それにしてもこの受、ノリノリである 2/6:2009/01/01(木) 01:34:22 ID:lCnHTSMh0
「清瀬、今日はこれ着てしようぜ」
「これどっから見つけてきたんですか……」
早川さんが持ってきたのは、俺の高校時代の制服だった。
「押入れの上の衣装ケースに入ってた」
「じゃあそれは!」
彼が着込んでいる白衣を指差して問いただすと、彼は唇を尖らせて言った。
「いま大学で使ってんの。似合うだろ? かっこいいだろ?」
「完全にイメクラじゃないですか」
細い縁の眼鏡に白衣の組み合わせが、彼の言葉通り妙に板に合っているのが悔しい。
「早川さんの変態」
「でも惚れたのは清瀬だろ」
皮肉っぽい笑顔で痛いところを突かれた。
あぁ、それは確かな事実だ。しかし――
「なんかもう詐欺ですよね」

高校3年の時、当時生徒として通っていた個人指導の塾で、
アルバイトの講師をしていた早川さんと出会った。
当時の早川さんはそれはもう良い男だった。
銀のフレームの眼鏡に隙のないファッション、わかりやすいけれどけして甘くない指導。
怠ければすぐに見抜かれたし、努力すればごく少ない言葉で褒めてくれた。
死ぬほどバカだった俺がそれなりの大学に行けたのは早川さんのおかげだ。
ほのかな恋心を抱いて、今度はアルバイトとして塾に勤めることになった。
「講師と生徒」から「先輩と後輩」になり、なんと「恋人と恋人」になることもできた。
そして俺は真実の早川さんを知ることになる。
早川さんは決して「ちょっと冷たくて良い男」ではなかった。
「仕事とプライベートをきちんと区別するド変態」だったのだ。
212それにしてもこの受、ノリノリである 3/6:2009/01/01(木) 01:35:11 ID:lCnHTSMh0
「やっぱ学ランっていいよなぁ」
早川さんは俺の金ボタンを留めながら、うっとりした口調で言う。
「ちょっと、塾講師がそんなこと言っちゃまずいでしょう」
保護者や塾長にでも知られたら一大事なのだが、彼は全く悪びれない。
唇を尖らせて、今はブレザーしかいないじゃんと反論された。
確かに数年前に俺の出身校の制服が変わってから、近隣の学校はブレザー一色だ。
「俺のこともやらしい目で見てたんですか」
「さあ、どうかな。そっちはいつも物ほしそうな顔してたよ」
何気なくとんでもないことを聞かされ、俺は飛び上がった。
そういう関係になったのはアルバイトを始めてからのことだ。
高校時代は叶うはずがないと思い、自分なりに秘めているつもりだったのだ。
「早川さん、そんな前から知ってたんすか」
「“さん”じゃなくて“先生”って呼べよ」
真剣に尋ねているというのに、早川さんはマイペースを崩さない。
「俺、質問してんですけど」
「呼びなさい」
早川さんは仁王立ちをしたまま、ソファに座っている俺を見下ろしている。
イメクラモードにスイッチが入った彼とまともな会話をすることを諦め、
しぶしぶながら付き合うことにした。
「早川先生……」
そう呼ぶと、彼は薄く笑って顔を近付けてくる。
「な、白衣着てんの見てどう思った?」
学ランの襟元に人差し指を差し込んで、早川さんは俺の喉を撫ぜた。
ぞわりと鳥肌が立つ。
「どう思ったか言いなさい」
そのまま人差し指で顎を持ち上げられ、目が合った。
「……めちゃくちゃかっこいいなって」
「最後まで全部」
「めちゃくちゃかっこいいと思いました」
早川さんの器用な右手が、制服の一番上のボタンを外した。
213それにしてもこの受、ノリノリである 4/6:2009/01/01(木) 01:35:59 ID:lCnHTSMh0
「他には?」
「今すぐやりてぇって思いました」
俺は半ばやけくそになって言い捨てた。
そのまま早川さんの腕を引き寄せて口付けようとしたら、軽く頬を叩かれた。
「悪い子だ」
早川さんの目が心底楽しそうに光っている。
もし高校時代にこんなことをされてたら、それこそ堪らなかっただろう。
「早川さんだって悪い先生だ」
「ふぅん、俺の何が悪いって?」
「純情な生徒を誘惑して……っ!」
早川さんの膝が俺の股間に入ってきて、俺の訴えは途切れた。
絶妙な刺激を与えられ、思わず彼の白衣を掴みこんでしまった。
「純情? こんなに勃起してる子を純情なんて呼んでいいものかな」
二つ目のボタンが外され、彼の手が服越しに俺の胸を滑っていく。
「この変態教師……」
「まだ口の聞き方がわかってない」
膝を強く押し付けられて、思わず荒い息が漏れた。
「高瀬、お願いしてごらん。俺とやりたいんだろ。ちゃんと言えたら相手してやるよ」
三つ目、四つ目のボタンも外れた。
今や早川さんは壁に片手を付き、俺に体にのしかかっている。
その首筋から薄くつけた香水が薫ってきた。
高校生の頃、この香りだけを頼りに店に行って、早川さんと同じ香水を買った。
塾のない日はそれを付けて、少しでも彼を思い出そうとした。
本当に純情な生徒だったのだ。
「早川先生としたいです」
「何を? お勉強? それともゲームかな」
俺の考えてることなんてとっくにわかっているくせに、彼はこうやって白を切る。
まったく嫌になる、こんな男に惚れてしまったなんて。
「おれ、早川せんせいと超セックスしたいです」
わざと大声で言ってやったら、早川さんが一瞬素になって笑った。
「よくできました」
彼が最後のボタンを外すのを待ちきれずに、その唇に噛み付くようにキスをした。
214それにしてもこの受、ノリノリである 5/6:2009/01/01(木) 01:37:20 ID:lCnHTSMh0
そうだ、俺はずっと欲情してたんだ。
出会ってから今までずっと、この人を抱きたくてしかたなかった。
一人でする時も、好きだと言ってくれた優しい女の子とする時も、
達する時はいつも早川さんの匂いを思い出していた。
冷たい横顔が好きだった。時折肩に触れられると、そこがいつまでも熱を持った。
同僚になってから、今まで彼が隠していた部分をひとつひとつ知っていく度、
早川さんとの距離が縮まっていくようで嬉しかった。
「先生、好きだ……」
あの頃言えなかったことを、もう一度伝えたいと思った。
「先生、気持ちいい?」
あの頃から変わらない気持ちを受け止めてほしかった。
「先生、キスしたい」
今まで我慢していた子供みたいな台詞も初めて言ってみた。
なんとなく、制服を着ていれば許されるような気がした。
そんな道理があるはずはないのだが、それでも言いたかった。
早川さんは嬉しそうだった。体の反応を見ればすぐにわかる。
もっと彼主導の行為をしたがるかと思ったのだけど、意外にも俺の言葉に応えてくれた。
「高瀬、今日可愛いなぁ」
早川さんの中に入ってすぐ、体が慣れるまで待っている時に、彼が俺の頭を抱きよせてそう言った。
俺はなんだか泣きたくなった。とてつもなく幸せだった。
鼻をすりよせると、彼が幼い子にするように俺の背中を叩いた。
彼の背中の下には皺だらけになった白衣があったし、俺も学ランとシャツをまだ羽織っていて
明らかに異常な状態ではあったのだが、それでもこんな日がずっと続けばいいと思った。

しかし早川さんはド変態なので、そんな愛に満ち足りた普通のセックスで満足してはくれなかった。
その後、いきそうになる度に頬を張られ、生徒が教師より先に行くなんて許さないと凄まれた。
かなり良い気になっていた俺は、半泣きになって許しを請う羽目になった。
「いかせてください」「動いていいですか」「お願いします」、この言葉は何度言ったかわからない。
最後の射精の瞬間は、彼をきつく抱いてせんせい、と呼んだ。
そして、目が眩むほど強烈な快感が訪れた。
215それにしてもこの受、ノリノリである 6/6:2009/01/01(木) 01:38:16 ID:lCnHTSMh0
「キヨセン、初めてエッチしたのっていつ?」
「18歳」
「えっ、それ高校ん時? 大学の時?」 
「大学受験が終わってから」
「マジかよー、気持ちよかった?」
「でもやっぱ一番好きな人とする時が一番気持ちいいよ」
「ニヤニヤすんなよ、気色わりーな」

「清瀬先生、ちょっと静かにしていただけませんか」
「あっ、すみません。昼間からする話じゃありませんね、気をつけます」

「……また怒られてやんの」
「お前が受験生のくせにエロいことばっか聞いてくるからだろ」
「早川先生ってモテそうだけど、なんか性欲薄そうじゃね?」
「バーカ、あーいうクールに見える奴が一番ムッツリなんだよ」
「バーカ、キヨセンなんてもう隠しもせずにエロじゃねーか」

「清瀬先生」
「はい、本当にすみません!」

「ほら見ろエロセン」
「もう良いからほら、さっさと解けよ」
216風と木の名無しさん:2009/01/01(木) 01:40:01 ID:lCnHTSMh0
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置換忘れで攻の名前が「清瀬」「高瀬」と変わってますが、正しくは清瀬です。
推敲不足ですみませんでした…
217風と木の名無しさん:2009/01/01(木) 01:48:16 ID:Q+BOy0JR0
完結した某熱血パロロワから
 関西弁探偵×死神雀士 死者スレにて
読み手も男ばっかなのにもう誰向けなのか需要というより知ってる人いるのか
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
218外側の世界 1:2009/01/01(木) 01:52:04 ID:Q+BOy0JR0
どこ、とはっきりとは分からない。ただ此処に居るという感覚。死んだ筈だが生きている。
脚もある。手は勿論。消し飛んだ体は確かに存在している。そしてそれは死を悼んだ仲間も同じ、生きて愉しげにはしゃぎまわっている。
とにもかくにも一つに成った筈の俺達は再び個々の勝手な意思を持って遊んでいる。多分、この先長いことそうなんだろう。
なぜ、と言われても分からない。
ただ感じる。俺達は元の世界に帰ることもなくこの曖昧な場所で互いが互いを忘れるまで遊び続けるんだと言うこと。
以前なら冗談じゃないと泣き付く所だろうが、今は嫌じゃない。むしろ、そうあるべきだとさえ思える。
だって俺達は粉々に消滅して一つになった。それがまたこうして顔を合わせている。
一度死んで、それがまたこうして生きている。ならもう死ぬことはないだろう。怖いことなど何もない。
しかし…そもそも、生きとるって何や?
なーんて…そんな事でも考えんとかんとカオス過ぎて笑ろうてまうわ。

ベンチに腰掛ける。公園の隅みたいな所や。向こうに遊園地が見えて、ピンクの髪した子と眼鏡の白学ランが手ぇ繋いで歩いてく、そんなのが見える場所。
多少テキトーな事言うたって構いやせん。そうだと誰かが言えばそうなるような所なんやから此処は。
ジャリ、軽い音を響かせてアイツが歩いてきた。見なくても煙草の匂いでわかる、振り返れば、ほら。
「よぉ。麻雀は飽きたんか」
219外側の世界 2:2009/01/01(木) 01:55:28 ID:Q+BOy0JR0
「クク…いつまでも終わらない東場に泉が休憩と言い出しただけだ…お前こそ…」
いつものように喉の奥で笑って話を振ってくる。
確かに俺はさっきまで、こいつの後ろで神がかった運の麻雀対決を眺めてた。それこそ何時間も。
「流石にただ見とるんも疲れるっちゅうもんやろ」
「飽きたのか…?」
「…再開するとき声かけろや」
まぁ、くきくき笑うオッサンと組んでるのも、ヤバい筋肉のオッサン達が眺めてるのも、ぴったり張り付いてる大首領の存在も気になるしな。
…気になるって何がぁ?
知るかいな。暇潰しやろ。フラグたった女もおらんし俺。ここしかない。こんなカオスな場所で、眺めるんがコイツの背中。だけ。
かぁー。しけた死後の過ごし方やな。
当の本人は、関係ねぇな、とでも言いたそうに隣に腰掛けると、慣れた手付きで新しい煙草に火を点した。匂いが改めて強くなる。
それにしても。
「…変なとこやな、此処」
「変?」
「せや。味方も敵も一緒くた、皆死んだ筈やんか」
「死んだから此処にいる…ということだろうな」
「いやオカシイやろ」
「確かに可笑しい。狂った発想だ……まさに狂気…面白い」
「面白いことあるか、どんな頭の回路しとんじゃ。こちとら天国を期待しとったっちゅーに」
「ふーん…天国なんて行けるつもりか?」
「やかましわ」
死んでも嫌な奴。好かれてる(オッサンにだが)のが信じられない。
死ねっつったり生きろっつったり、人の命を簡単に使いよる。
それには自分自身も含まれるんやからそらぁ始末が悪い。筋が通ってるつもりなんやろう。アホか。
ぶちのめしたいのは敵の親玉よかお前や。スカした面しよって。馬鹿っ高い鼻へし折ったろか。
220外側の世界 3:2009/01/01(木) 01:59:10 ID:Q+BOy0JR0
「少なくとも俺は此処を気に入っている」
「そらぁあんだけ楽しく遊んどったらな。趣味なんやろ麻雀」
「それに仮に天国があるとして万が一アンタが天国に行っていたら」
「万が一言うなや失礼なやっちゃ」
「二度とこうして話す機会もなかったろうな」
……それは少し、いや、とても…寂しい。
「……急にネガティブなやつやな」
連絡が途絶えた時、思った事は「もっと話したかった」という願い。直接言った訳でもないのにそれを口にした赤木にどきりとした。
「天国とやらになんか行けるような人間でもない」
「…そないな事言うたら、俺かて、そうや」
此処で『生きて』いるけれど、確かにこの手で消した命がある。天国になんて自分だって届かない。
忘れていた胃の辺りがずしりとする感覚に、悟られないよう僅かに眉をひそめた。
赤木は煙を細く吐き出しながら「そんな所信じてもないしな」と軽く笑ってみせる。
ならネガな事言うなや、胃が痛い。
「此処は良い…誰もどんな死に方だろうと此処に来る…まるで誰かの願望の表れのような強引な世界…なら、こちらも好きに行動するだけだ…」
「何やそれ、誰かの妄想で此処が出来とるっちゅうんか」
「かも、しれないな…!」
「誰やねん。JUDOか?他に神でもおるんか」
「さぁなー…」
赤木は上を向き開いた口から丸い煙を作り出して、肩を竦めた。
「さぁって…」
気の抜けた返事にこちらも完全に脱力する。キツネに化かされたような気分。イライラする。
別段嫌なものでもないが、好いものでも勿論ない。飄々とした赤木の受け答え、声、視線、冷静な男。馬鹿正直な程に歯に絹着せぬ物言い。
嫌では決してないけれど。
221外側の世界 4:2009/01/01(木) 02:01:54 ID:Q+BOy0JR0
「…変な奴やお前」
「アンタも劣らない…」
劣らないって事は自覚はあるんやな。尚悪い。
「ぬかせ。はーっ、疲れるやっちゃ」
「そうか…俺もだ」
売り言葉に。
「お前みたいなの見た事ぁないわ」
「アンタみたいな男も珍しい」
買い言葉。
短い言葉が、心地良かったりして実は全く疲れてない。
「けっ、胸クソ悪いわ」
「俺はそうでもないな…」
「…、は、さよか」
先にそう折れられては困る。殴りたいくらいヤな奴でいて欲しい。これじゃ俺がただ暴言吐いとるだけになる。
瞬間的な居心地悪さにチラと様子を伺うと、微妙にニヤついた目と視線がぶち当たった。
…わ ざ と か。あぁやっぱりヤな奴。
「……、」
コツン、苛立ち紛れに靴を蹴ると、ほんの僅かだけ眉が上がった。
コツン。軽い振動が右足に伝わってきた。
「蹴るって事は…蹴られても良いって事だろ…?」
横目で視線を送り、コツン、コツン、ガキみたいにお互いやり返す。
「った!」
足の甲を鈍痛が襲う。か、踵で踏みよったか…
「ククク…」
「お前踏んだやろ、この」
意地になってやり返してやろうと脚を持ち上げる。両足は卑怯、あくまで勝負は片足で行う…!
…ガキか、俺等。
視線を横に移す。赤木は珍しく煙草をくわえたまま、下らない遊びに意識が向いてるようだった。
…ガキやな、俺等。
222外側の世界 5:2009/01/01(木) 02:05:51 ID:Q+BOy0JR0

ふと、今まで気にした事もなかった赤木の歳なんかが気になり出した。年下だったら何か怖い。でも年上という感じもしない。
死ぬなと言ったった時のあの表情は、子供みたいやったし。
白髪が目元にかかる横顔は…アホなガキと言っても多分間違いないやろ。

余計な事を考えていたせいか、ぎゅうと足の甲を押さえられた。踏まれた所がじんじんと熱くて痛む。
…ピンクやら紫やらの髪を見たせいか特段今更驚きもしなかったが。
つ、と瞬きと共に赤木の目が此方に向いた。遊びに熱を無くした俺への抗議かもしれん。
白い髪に白い肌、同じく色素が抜けたような淡い薄茶色の瞳は、近付けばビー玉のように澄んでいて怖いくらいだった。
「……八鳥?」
何も言わんと面の観察をしてた俺にいぶかしげに言う。左手を伸ばしてくわえた煙草を取り上げてみた。
黙ったまま睨むような視線を返すから、此方も観察を続ける。
睨み合ったあの時はもっと、紅く攻撃的に光っていたのに。

本当に吸い込まれそうなくらい…どうにも穏やかな色だ。

胸ぐらをひっ掴んで、首を傾けて唇を押し付けてた。
「………!」
触れる、離す。
また珍しい表情をしていた。それだけで満足だ。
「はは…できた。意外と邪魔にならんもんやな、顎と鼻」
笑って言ってやれば、タバコの灰がぱらりと地面に散った。
「見た目より柔い唇しとるやん」
「…なん…だ」
「さ、なんやろな?」
親指で煙草のフィルターを弾いて灰を落とし、半開きの口に戻してやった。
223外側の世界 6:2009/01/01(木) 02:07:45 ID:Q+BOy0JR0

マジで何やろか。
気持ち悪、男に何をしとんねんワレ。
でも可笑しい。いつも馬鹿みたいに落ち着いとるこの顎オバケが目を大きく開くのが楽しい。
その為にまた触りたい。口だけじゃなくて、なんや、こう、もっと色々。
…気持ち悪。俺。

「…本当に、聞いた話とズレてる奴だ」
煙草を手に取ると細く煙を吐き出す。それを追って視線を遊園地に向けた。あぁ、誰も見とらんで本当良かった、と今更思う。
「人の趣味まで聞いとったんか」
アホぬかせ自分、そんな趣味ないわい。滅多な事言うな。
赤木はいつものように喉で笑うと、それは初耳、と可笑しそうに言った。
さして意味もない。それが伝わっとるんやろうな。愛のコクハク、なんて大層で気味悪いモンじゃぁ到底ないって分かって笑ってる。
俺も告白するようなコイツへの愛なんぞ無い。大首領にはあるかも知らんけど。

ふ、と軽く笑って立ち上がる気配にそっちを向く――よりも先に襟を掴まれた。
「ぅ、え?」
奴の指に放り出されたタバコが、宙を舞って音もなく落ちる。
ドラ猫でもひっ掴むように襟を持ち上げられ、苦しいと顔をあげれば。
「、……な…」
乱暴に襟を解放されて、浮き上がりかけたケツがどすんとベンチに戻った。
「さて…クク…なんだろうな」
折り曲げた腰をぴんと直すと軽く小首を傾げて、人を小馬鹿にしたような笑い方をする。そのままの面で踵を返して歩いて行った。
224外側の世界 7:2009/01/01(木) 02:17:31 ID:Q+BOy0JR0
…あぁ、腹立つやっちゃ。
それでも何か腹の底が疼くような気がして、いよいよ自分も終わってきたなと思いながら湿った感触の残る唇を指先で撫でた。
ジャリ、ジャリ、音を立てながら背中が小さくなる。麻雀を再開するんだろうか。ベンチに貼り付いたようだった腰をゆっくりと上げる。
地面で煙を吐き出し続ける煙草を拾った。奴の背中を眺めながら一口大きく吸ってみる。
旨いものでもない。でも憎たらしい匂いが肺一杯に広がって笑いが込み上げた。
時間は無限にある。死んで尚生きているのだから。何もこの悪ふざけに慌てて意味を求める必要もない。ただ、今はただただ…
あぁ、憎たらしい嫌な奴、クソッタレが、

「めっちゃ好きじゃボケェ」

タバコを投げ捨て靴先で火を消した。とんでもない台詞が口から零れた気もしないでもないが、まぁ構いやせん。
きっとずっと一緒なのだから、あいつと居たら楽しいに違いない。
腹が立って苛立って、いけ好かなくて意外にガキで、だけど一緒に居たい話をしたい。

この曖昧な場所で、互いが互いを忘れるまで。

「…ぜーったい、どついたる」




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
…白い死神の方、伏字にしてなかっ…orz
そしてこんなピンポイントなところにツボった同士は恐らくいない…OTL
オメヨゴシ スマソ
225風と木の名無しさん:2009/01/01(木) 12:30:20 ID:SesB2AKoO
>>217
GJ!!
正月早々新たな世界が開いちゃったよ
ちょっとまとめサイト行ってくる
226ミハシ投手1/14:2009/01/01(木) 19:01:37 ID:n+HJ5JgY0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

オレ
ミハシ
歳?
16
まぁ今年で16
捕手?
まぁ
当たり前にいる
てか
いない訳ないじゃん
みたいな
捕手は
普通
てか
オレが投げてあげてる
みたいな
227ミハシ投手2/14:2009/01/01(木) 19:02:31 ID:n+HJ5JgY0
組んで5ヶ月
捕手の名前
アベ
歳?
15歳
多分
顔?
まぁ普通
人より目はタレてるかな?
性格?
まぁ横暴
捕手だって
嫌な奴
ばっかだし
みたいな
228ミハシ投手3/14:2009/01/01(木) 19:03:21 ID:n+HJ5JgY0
なんか
オレ捕手いたんだけど
飽きた
みたいな
んで今の捕手
まぁ
アベに
出会ってさ
乗り換えた
みたいな
てか
オレ
捕手いなかった事
あんまないし
当たり前
みたいな
中学から今まで
捕手尽きた事
ないし
向こうから
寄ってくるし
別に
オレから誘ってる訳じゃないし
捕手ってさ
オレみたいに
コントロール良かったら
磁石みたいに
くっついてくる
みたいな
229ミハシ投手4/14:2009/01/01(木) 19:04:11 ID:n+HJ5JgY0
今の捕手だって
オレが
前の捕手
なんか冷たくて
とか
言っただけでさ
お前を
ホントのエースにしてやる
だって
みんな言う事
同じだっつ〜の
学校で
習ったのかよ
こういう風に
言いましょう
みたいな
バカみたい
だから
オレが全部
主導権
みたいな
フラレた事?
ある訳なくない?
オレが
230ミハシ投手5/14:2009/01/01(木) 19:04:57 ID:n+HJ5JgY0
でさ
アベは
布団
入れてくれるし
おにぎり
増やしてくれるし
雨降った時
上着掛けてくれるし
楽だよね
ちょっとさ
甘えただけで
これだもん
まぁ
気持ちもわかるけど
オレみたいな
いい投手
ほっといたら
他の捕手に
持ってかれるし
みたいな
俺頑張らなきゃ
って思わなきゃ
逃げられる
みたいな
当たり前だし
てか
これが
普通だろ
みたいな
231風と木の名無しさん:2009/01/01(木) 19:16:27 ID:E3TbNBeE0
しえん
232風と木の名無しさん:2009/01/01(木) 19:42:23 ID:dZjFl4Jl0
しえん?
233 【小吉】 【505円】 :2009/01/01(木) 19:43:53 ID:E3TbNBeE0
あけおめ
234ミハシ投手6/14:2009/01/01(木) 20:07:26 ID:n+HJ5JgY0
友達?
まぁ
普通にいるし
最近やたらと
ヒット打ってるけど
早いっつ〜の
15歳で野球極めてさ
何先ばしっちゃってる訳?
そんなに早く上達したらさ
飽きる
みたいな
みんな合宿の時なんて
死ぬまで
オナニーしまくり〜
とか
言ってたクセにさ
誰が先に
捕手100人切りするか
争ってたクセにさ
みんな普通に
夏越えれば
真面目?
みたいになってさ
今度は
死ぬまで野球一途〜
とか
言っちゃってさ
てか
そんなの
普通に無理
みたいな
235ミハシ投手7/14:2009/01/01(木) 20:08:12 ID:n+HJ5JgY0
一途とか
ある訳ないじゃん
みたいな
逆に嘘くさくない?
野球だけ
一生好きって
絶対
無理だっつ〜の
成績表見てみなよ
数学
現国
オーラル
やばいし
勉強した事ない
言う奴
オレ普通に
嘘だろバ〜カ
って思っちゃうし
今一途でも
成績表
3つも4つも真赤な「1」あったら
もぉ
その時点で
野球ばっかやってていいんだっけ
みたいな
だったら最初から
言うなって
話になるじゃん
236ミハシ投手8/14:2009/01/01(木) 20:08:32 ID:n+HJ5JgY0
マジ投?
普通に
ありますけど?
てか
投げる試合
み〜んな
マジ投
なぁんて
ある訳ないじゃん
何?
マジ投って
本気の投球で
マジ投?
ないない
10億くれたら
マジに
なってあげる
当たり前じゃん?
だって
オレだよ?
みたいな
237ミハシ投手9/14:2009/01/01(木) 20:09:34 ID:n+HJ5JgY0
でも
気付けば
アベとはもってる方かもね
大体オレ
2〜3ヶ月で終了すんだよね

でも
14歳の時1年くらい
続いた捕手いた
キンタマケースつき
みたいな
しかもそいつ
超陰険でさ
オレ
サイン覚えたのに
出さね〜の
しかも
そいつと
組んでる時に
バッカスカ打たれて負けたし
しかも
そいつ
腕折るって壁蹴った
みたいな
超ウケるし
あ〜
あの頃には
戻りたくない
とか言ってみたけど
オレは
あの頃から
変わってないし
238ミハシ投手10/14:2009/01/01(木) 20:09:58 ID:n+HJ5JgY0
まぁ
でも
ケツバット
されたトコロで
変われないじゃん?
強気とかさ
堂々と
出来ないじゃん?
今は
まぁ週に3回くらい?
のペースで
こっそり投げてるけど
後は
昼休み
角材乗ったりとか
オレ
けっこう
忙しボーイ
なんだよね
別に
誰にも
迷惑
かけてないし
みたいな
239風と木の名無しさん:2009/01/01(木) 20:19:32 ID:0//STEVIO
支援?
240ミハシ投手11/14:2009/01/01(木) 20:20:55 ID:n+HJ5JgY0
手袋を脱ぐ
目にうつる
指先の
タコ
ウケるよね
マメが
ズブ
って
つぶれてさ
マヂ
痛いのとおりこして
びっくりしたよね
なんか
死ぬかと思ったよね
てか
これで投げれるオレ
超凄いって
友達に
爆笑されたし
オレも
よく投げれたって
マヂ思った
みたいな
だけどさ
困ったのが手袋脱いだ時に
タコ
見えるっつ〜の
ちょっと
恥ずかしいじゃん
みたいな
241ミハシ投手12/14:2009/01/01(木) 20:21:30 ID:n+HJ5JgY0
手のタコ
見てたら
アベが来た

『オレはお前が好きだよ!』

いきなり
タコが見えないように
オレの手を
握りしめる

『だから何?』

意味不
なんですけど?
アベの手は
オレのタコを
気にしてる
もしかしてオレが
がんばってるって
思ってるわけ?
努力なんて
してないっつ〜の
ピッチャースキだから
投げる事すら
普通?
みたいな
242ミハシ投手13/14:2009/01/01(木) 20:22:04 ID:n+HJ5JgY0
でも
勝ちたい
って言ったら
勝てるよ
って
オレのこと
ホントに
認めてくれてるんだって
思ったら
アベの手を
握りしめて

『オレもアベくんがスキだ』

だって
笑い話じゃん?
243ミハシ投手14/14:2009/01/01(木) 20:23:14 ID:n+HJ5JgY0
でもまあ

オレ

アベの投手

だからさ

ねぇ


『サイン出してよ』


『いいよ』


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

しょうもないネタなのに長すぎて書き込めなかったorz
何度も支援すいません
244風と木の名無しさん:2009/01/01(木) 20:39:36 ID:s+UEm+kpO
>>226->>243
あの、大変不勉強で申し訳ないですが
これの元ネタ何ですか?
野球なのはわかったけど…。
245風と木の名無しさん:2009/01/01(木) 20:49:24 ID:u9u/LUYDO
「アタシ彼女」だっけかな?
ケータイ小説で最優秀賞
246風と木の名無しさん:2009/01/01(木) 20:55:31 ID:u3nbn9vK0
>>244
お/お/きく/振/りか/ぶ/って

ちなみに原作はこういう性格じゃないよw
247風と木の名無しさん:2009/01/01(木) 21:02:09 ID:s+UEm+kpO
>>245
dです。
いろんなのがあるんですね…。
248風と木の名無しさん:2009/01/01(木) 21:30:58 ID:DryDROnUO
>>217
これは…微笑動画で紹介みたいなの見掛けて気になってたんだよね
ぱろろわとかは読んだ事無いけど興味持ったよGJ!
249てがみ:2009/01/01(木) 23:51:04 ID:rQHmkpfe0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  新年早々早速兄弟もの投下するよ!
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  死にネタ,戦争ネタだから嫌いな人は注意してね!
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ エロも無いで注意しいや!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

250てがみ:2009/01/01(木) 23:51:37 ID:rQHmkpfe0
拝啓

兄さん、御無沙汰して居ります。御変わり有りませんか。此方は寒さが身に堪えます。
ざりざりと霜柱が音をたてる度、兄さんが風邪をひいてやしないか、うっかり氷で転んでや
しないかと心配して居ます。直ぐに文をと思っては居たのですが、中々切っ掛けが掴めず、
今やっと筆を取ることが出来ました。悪筆ですが、勘弁してやって下さい。


此処に来てからと言うもの、良く子供の頃を思い出すのです。
五つの時初めて家にやって来たものの、見た事の無い様な御屋敷に唯々縮こまって居る私を、
今日から僕がお兄ちゃんだよと貴方が抱えてくれましたね。からからと貴方が笑うものだから、
ついつい私迄笑ってしまった事を昨日の事の様に覚えています。
251てがみ:2009/01/01(木) 23:51:58 ID:rQHmkpfe0
私等引き取れば醜聞にも成るだろうに、お父さんもお母さんも、そして兄さんも、
妾腹の私に本当に善くして下さいました。私をどうにかしてしまえと言う親類や、
やれ夜鷹の子だとからかう子等から庇って下さった御恩、いくら感謝しても仕切れません。
しかし幼い頃の私は酷く性根の曲がった子供でありました。叔父さんが舶来の御菓を
兄さんにだけくれたこ時、私は不貞腐れて下ばかり向いて居ました。また兄さんとお母さんが
睦まじくしているのを見て、お母さんはとても良くしてくれてると言うのに、産んでくれた
母が恋しいと部屋で泣いていました。あの頃の私は寝床と三度の飯を貰って居るだけでも
有難いと言うのに、如何に自分が恵まれているかも承知して居なかったのです。
でも兄さんはいつも優しく、甘いものはどうもいけないと菓子を半分分けてくれ、
夢見が悪いから兄と一緒に寝てはくれまいかと、私が寂しく無い様に同じ床で寝てくれましたね。
小さな私にとって、兄さんの然り気無い、優しい嘘は本当に嬉しかったのです。
252てがみ:2009/01/01(木) 23:52:25 ID:rQHmkpfe0
また昔から病弱で良く寝込んだ私を兄さんは付きっきりで看病して下さいました。
せっせと生姜湯やら葛根湯を飲ませてくれたり、汗を拭いてくれたりして下すったのも覚えています。
その深い情は幼心に酷く心地良いものでありました。
私はそんな兄さんに何とか御返しをしたく色々思案しました。兄さんの背が急に伸びて、
背中やら足やらが痛むと言ってた時を覚えていますか。痛みには樟脳の膏薬が効くと聞いた
ものだから、私は急いで買って来ていいからいいからと兄さんの体に一罎丸々塗り込めて
仕舞いました。その日兄さんは痛い寒い助けてくれと一日中風呂に入る羽目になりましたっけ。
今考えると滑稽至極で笑い転げてしまうのだけれど、小さい私は兄さんにとんでもない事を
してしまったと泣き喚いたんでしたね。その時も兄さんは嬉しかったよと頭を撫でてくれました。
石鹸の匂いのする、ふやけ過ぎてぶよぶよになった手、今は可笑しくて可笑しくて仕方が
無いけれど、あの時はその手が暖かくて大きくて、本当に掛け替えの無い大切なものだど感じました
。多分それくらいの時からでしょう。私は兄さんの手が好きになりました
頭を撫でてくれる手。
私を抱えてくれる手。
いつも私に差し伸べてくれる手が大好きで、独り占めしていたくて仕方有りませんでした。
253てがみ:2009/01/01(木) 23:52:49 ID:rQHmkpfe0
そんな下心も有り、私はまた何とか兄さんに喜んで貰おうと、懲りもせず検討違いの恩返しを
繰り返していました。結局、私が馬鹿なものだから迷惑をかけっぱなしのまま、録に恩返しは
出来ませんてたけれど。けどわかって下さい。兄さんの笑顔が見たかったのです。ずっと兄さんの
ソバにいたかったのです。

だから兄さんが大學に行く時、新調した外套をどうだ格好良いだろうと
見せてくれた時、思わず泣いてシマいそうだったのです。本当は喜ぶべきなのに、兄さんが遠くに
行ってしまうのが嫌で嫌で仕方無かったのですから。しかし当然私の我がママでどうこう出来る
類いの事では無いので、兄さんは東京に行ってしまいました。
兄さんが東京にいた四年間、私なりに兄さんに顔向け出来る様に、またお父さんお母さんの
御役に立てる様にと家の手伝いをしました。だけれども一所懸命しては居たものの、力及ばず
満足に出来ないでいた私は申し訳無いやら悔しいやら情け無いやらで胸が一杯でした。そんな不器用で
軟弱な私を支えてくれたのも兄さんでした。今だから言えますが、私は当時毎晩兄さんからの手紙を
何遍も何遍も読んでいたのです。繰り返し読み返すと、自然にまた明日は上手くやれるよう
頑張ろうと言う気になれたのです。兄さんが居てくれたから、私は何とかやって来れたのです。
254てがみ:2009/01/01(木) 23:53:29 ID:rQHmkpfe0
しかしそれは裏を返せば兄さんが居なくては私は何も出来ないと言うことでした。
兄さんが帰って来てからと言うもの、私は兄さんに頼りきりで、穀潰しも良い処でした
東京でより一層立派になった兄さんに比べて、自分は何と無能なことか。それでも兄さんはお前は
良くやっているよと誉めて下さいました。お前は本当に働き者で孝行者だと。そして私はその
優しさに甘え、兄さんの隣でのうのうと暮らしていまう始末でした。
私は本当に駄目な弟です。
私は自分をハじました。
ドうしてもっとウマくやれないのだろうと。
255てがみ:2009/01/01(木) 23:54:07 ID:rQHmkpfe0
そんな時でした。
  
私に赤紙が来たのは。
兄さんは商談で遠出していたからご存知無いでしょうが,居間にいたお母さんにそれを見せた時、
お母さんは泣いてくれました。お父さんも黙ってはいたけれど、酷く狼狽していたことが
感じられました。それだけで私は嗚呼、私は本当に大事にされていたのだなあと涙しました。
そして私は戦に行く事を決めました。これでやっと御恩が返せる、家の御役に立てると思ったからです。
アチラに行って、戦って、おトウさんお母さん、そして兄さんがイる國を守れるとしたら何れ程
幸せでしょう。私はスぐに腹を決め、支度を始めました。余り物に頓着しない質なので、部屋の整理は
うんと楽で、三日もアればズイ分とさっぱりしました。
そう言えば  私が文机の中を片付けていた時でしたね。血相を変えた兄さんが部屋に飛んで来たのは。
兄さんはマっ青なカオをして赤ガミが来たのかと聞きましたね。私がうんと言うと兄さんは
体が壊れてしまうかと思うホド強く私を抱き締めて、行くなと言ってくれました。
それから私の頭をガシガシ掻いて大丈夫だ僕が何とかしてやる、 お前がそんな辛い目に遇う必要は
ないと泣いてくれました。私はあの時初めて兄さんの涙を見た気がします。
そのナミダを見て、私の思い  はより強くなりました。
兄さんを守りたいと思ったのです。
だから私は兄さんの手をホドき、言葉は有ガタいのですがやっぱり行きますと言いました。
256てがみ:2009/01/01(木) 23:54:34 ID:rQHmkpfe0
その後


その後、兄さんは無理矢理ワたしに口付けたのでしたね。呆気に取られて私は抵抗出来ず、
頭がぼうっとするまで其のままでいました。気付いたときは畳の上に二人して倒れ込んでいて。
それから兄さんは消え入りそうな声でお前を好いているのだと言ってクダさいました。
刹ナ、何を言われているか分からなかったけれども、頭のモヤがハレると同時にそのイ味が判りました。
反射的に私は兄さんを突き飛ばしていました。あれからまともに兄さんの顔が見れず、
口をキくこともデ来ませんでした。最期まで結局、話も出来ず、コこに来てしまいました。
でもわかって下さい。兄さんがニクくてしたわけでは無いのです。
つまり、その、巧く言えませんが。    

     もし、万が一、断袖の仲を、とのことならば、まだどうにかなったかも知れません。
   しかし私と兄さんは血はツながっていなくとも兄と弟。タダでさえ私は生まれで家に
    
 迷惑を掛けてきた身。その上サラに顔に泥をヌるような真似なドどうして出来ましょう。

だからどうか、どうか私を許してください。
きらわずにいてやって下さい。
今生の頼みですから。兄さん、
お願いイタします。
257てがみ:2009/01/01(木) 23:54:50 ID:rQHmkpfe0
ああ、いけません。手が悴ンデ
うマく字がカけない。 昨日、
アイテの兵子を一り殺めました。 

怖くて怖くてくて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて

きようの昼、うたれました。
もうだめだと云われました。
先ほどグン医どのからモルヒネをイタダきました。
キノう、私なんぞの為にワザワザ  貴チョウな物シをさいて下すったのです。
きっと楽に逝けるこトデシょう。
ですから兄さん、どうかアイツは苦しんでいったんじゃあないかと泣かないで下さい。
私は兄さ んの涙が一トウ 嫌いでタマらないのです。
さい期まで出来のワるいおとうとでごめんなさい。
兄さん、
ごめんなさい。
ごめんなさい。
どうか,どうかお元気で。



      けい具


追呻   
 先刻、月をミました。目が赤くニゴってよくみえませんでしたが、
 なんだかイヤな月でした。兄さんのとなりでみた月はあんなにキレイだったのに。
   
 ヘンですね。

258てがみ:2009/01/01(木) 23:56:46 ID:rQHmkpfe0

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )以上終了。皆はハッピーな新年迎えてくれよな!
259風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 00:09:55 ID:boOf1CXT0
>>249
うわぁあ泣けました!切ない、切ないよ兄弟…(つД`)
260風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 00:24:51 ID:CyUQ9cNgO
あれ?なんか目から鼻水が…
261風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 00:29:04 ID:fjYQAF9R0
これは感動
262風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 00:40:24 ID:WIdGGao/0
新年から泣かせないで下さい…感動
263風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 00:45:53 ID:anuqUO7c0
>249
新年早々、いいものを読ませていただきました。
切ないけど、すごく良かったです。
弟 いいよ 弟
264風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 00:59:50 ID:A4n97p8xO
みんな。
夏.目.漱.石
月が綺麗
でググってみてくれ。
弟切ないよ弟
265風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 01:04:09 ID:KlVWjx+p0
>>210
亀だけどすごく良かった!
学ランと白衣と眼鏡というのがクリティカルヒットだった
ありがとう!
266風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 02:12:33 ID:k2OmXwWyO
>>249
やばすぎだ…4つ穴から汁が止まらん
弟の見た月がまた…

よいものをありがとう
267風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 03:34:37 ID:NhWaJoUWO
>>249
目から水が止まらん ありがとう
結ばれて欲しかった…!
268風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 03:57:27 ID:kuNTu8i4O
>>249
新年早々良作をありがとう…!これは涙…?泣いているのはry
269風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 11:38:43 ID:dyWqjTsG0
>>264にも密かにGJと言わせて頂く。
270風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 11:51:26 ID:NZBENNLD0
>>249
久しぶりに感動した
ありがとう
月が綺麗ですね、と同義のことを
最後にそう言えてよかったと思った
271風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 12:14:37 ID:k2OmXwWyO
今ぐぐってみたよ
そうか…そうだったのか…!また汁が出てきた
>>264禿d
272風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 13:53:59 ID:Jh5xxzDtO
>>249
ああああ時制やら文字やらが段々おかしくなるのが
弟が弱っていくのを見るようで辛いよ…
273風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 19:05:50 ID:WEEl2i4+O
>>249
泣けた…
>>264
というかググってみたらそういう意味だったのか更に泣ける。
274風と木の名無しさん:2009/01/02(金) 19:43:45 ID:dbHoT7bM0
泣いた……やっぱ平和が一番だよね、と柄にもなく言ってみる。
軍医モルヒネあげてくれてありがとう。
275オリジ 誕生日の話 1/3:2009/01/03(土) 00:08:55 ID:cpWtfl8S0
サイトは持っているけれど載せるのにはあまりにも抵抗があったので3レスほどお借りします。
一言で表すなら「エロになりかけたけど失敗したそれ」
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「何か、してほしいことはあるか?」
聞くと、晴樹は目を見開いて、少し照れながら破顔した。
「この状況で、それ聞くってどうなの?」
俺は今、晴樹をベッドの上で押し倒している。無理やりではなく、
いつもの習慣とその場が作り上げた雰囲気からの、なるべくしてなった状態だった。
「プレゼント、コッチ関係しか選択肢ないんだ?」彼はまだ小さく笑っている。
「嫌か?」嫌なわけではないだろう、と確信を得たうえで言ってみる。「他に思いつかなかったんだ」

今日は彼の誕生日だった。盛大に祝おう、とは思わなかった。
四捨五入すると三十路に繰り上がるような年代の男が、ケーキやらプレゼントやらで本気で喜ぶとは思えなかったし、
逆に俺がそれをやられても、やはり慣れていないその状況に戸惑うだろうと思った。
前にこの考えを晴樹に伝えると、「榊はこういうイベント事には冷めているね」と言った。
非難する口調ではなく、「君らしいよ」と優しい顔で笑った。

だからといって恋人の誕生日を素通りするのもおかしい。そのくらいの常識は俺にだってわかった。
どうせ誕生日が始まるその時間帯は、俺と晴樹はベッドの上だと確信があったので、俺は無難にこの方法をとった。
そして今に至る。
「嫌じゃない、嫌じゃないけど」俺が真顔で訪ねたせいか、彼は少し慌ててそう言った。
顔を赤く染めながら俺を見つめる晴樹が愛しかった。首筋に顔をうずめて軽く吸い付く。耳元で晴樹の小さな声が聞こえた。
「あ、待って。わかった、榊」服の下に手を滑り込ませたところで、漏れた声を隠すように大きな声で晴樹が言う。
どうしたのだと思い体を起こすと、そのまま晴樹は俺の胸に手を当て、突き放してきた。
晴樹はそのまま俺の下から足を抜いて、少し後ろに下がり、体勢を整えた。
276オリジ 誕生日の話 2/3:2009/01/03(土) 00:10:18 ID:/+QOpLwH0
「じっとしててくれ」俺のシャツのボタンを外しながら晴樹はそういう。
晴樹は顔を見られたくないのか、俺を見ることなく、ずっと俯いていた。
けれど耳が赤いのが見えているので、どんな表情をしているのかは考えずともわかった。つられて俺も体が熱くなる。
シャツが開かれ、晴樹の手が直に俺の胸に添えられる。晴樹はその真っ赤な顔を上げて俺を見た。
てっきり何かを言おうとしてるのだろうと思って言葉を待っていたら、キスをされた。
頬や額、瞼や耳にと晴樹の唇がどんどん降りてくるので、俺は驚く暇もない。
視線があうと、晴樹はまた「じっとしてて」と小さく言った。軽くうなずく。口元が綻んでいるのが自分でもわかった。
彼の唇が首筋に降りてくると、音をたてて軽く吸われた。めずらしいな、と思う。
俺から彼につけることがあっても、その逆はあまりなかったように思う。
「いつも、綺麗だなと思っていたんだ」俺の鎖骨を指先でなぞりながら彼が言う。
その指の感覚に、胸の奥から熱くこみあげる気持ちがうまれた。
押し倒したい。
軽く息を吐いて落ち着こうとする。
ここまで自分は理性がなかったのだろうか、と考えて、いつもは俺ががっつくように彼を組み解いているので、
彼から触れてもらうことがほとんど無かったことに気づき、自分に少し呆れた。
「僕も男だから、好きな人には触りたかったんだよ」と苦笑交じりに晴樹が呟いた。
意図的なのかそうでないのか、彼の手が胸の突起を触っていた。思っていたとおり、そこは感じなかったが、
晴樹が触っているのだと思うとまた体のしんが熱くなった。晴樹はかまわず、これまでの仕返しとでもいうふうに跡をつけていった。
277オリジ 誕生日の話 3/3:2009/01/03(土) 00:12:06 ID:/+QOpLwH0

このまま下も触ってもらえるのだろうか、と少し期待もしたが、
晴樹は腹辺りまでキスマークをつけると、俺の背中に腕をまわしてピッタリと抱きついてきた。
正直、ズボンの前がキツい。早くどうにかしたい。というよりも早く晴樹を抱きたい。
晴樹は俺の首に顔をうずめている。表情は見えないが、雰囲気的に押し倒してもいいかもしれない。
けれど、まだ晴樹の許しが出ていない。俺から触っていいという許可が。一体いつまで俺は「じっとして」いればいいのだろうか。

「榊」耳元で晴樹の声がする。熱い息がかかって、背筋が震えた。「あの、さ」
「本当は、最後まで、自分でやってみたかったんだけど」
言いながら、晴樹は自分のズボンのチャックに手をかけた。晴樹のそこも、膨らんでいた。
「でも、やっぱこれだけは、ちょっと、怖いかな、…っていう」ゆっくりとズボンを脱いでいく。「ええと、だから」
晴樹と視線がまっすぐに合う。濡れた、色気のある瞳の色をしていた。
「ここからは、手伝ってもらって、いいかな」最後のほうはもう俯いて顔をそらしていた。やっぱり耳は赤かった。
「そう言ってくるのを待ってたんだ」晴樹の顔に手をそえ、強引に前を向かせて噛み付くようにキスした。
晴樹の柔らかい唇を感じながら、今度こそ俺は晴樹を押し倒した。
ここから俺は実況の説明を放棄する。




「晴樹」
「ん」
「誕生日、おめでとう」
「…普通、先に゛言う゛んじゃな゛いか゛な゛ぁ…」


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、残念な作品デシタ!
途中からヤケクソになってるのがよくわかる
278風と木の名無しさん:2009/01/03(土) 01:51:24 ID:ZhaICrhx0
>>277
残念とか言うなよw
なんか可愛いぞ!
ニヤニヤした!
279ヴァイキー(HELLOWEEN)×カイ(GAMMA RAY) 1/5:2009/01/03(土) 07:41:55 ID:A3bYTa3j0
南瓜初期メンバー2人。
ナマ、やまなしおちなしいみなしのただヤッてるだけ注意。
携帯からなので、改行等おかしかったらごめんなさい。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

彼の情事はいつも肩を抱くことから始まる。
次いで顎に手をかけ、彼の普段の仕草からは考えられないような優しい動きで、
啄むようなキスを2度、3度。それがお決まりのパターンだ。
今夜も例に洩れないその動きに、カイはくすりと笑みをこぼした。
すかさず「どうした?」という問いが返ってくるが、返事は静かに首を振るだけで済まし、
何も言わずに彼――マイケル・ヴァイカート――の胸に顔を埋めた。
ただ単に好きなだけなのだ、知り合ってから何年も経つというのに素直に「したい」とも言えず、
こうして遠回しな表現で意思を伝えてくる彼の不器用さが。
ただし、そんなことを口にしたら彼は絶対に拗ねてしまうだろうが。
「ベッドへ」
ぽそりと耳に囁かれた、その少々照れを含んだ声で立ち上がったカイは、
寝室へと続くドアを開ける瞬間にちらりと壁に掛かった時計を見た。
日付が変わるまであと15分。つまりは、2009年まであと15分。
去年はバンドのメンバー全員で楽しくカウントダウンしながら新年を迎えたものだったが、
今回はそうはいきそうにない。カイは密かに再び笑みをこぼした。
280ヴァイキー(HELLOWEEN)×カイ(GAMMA RAY) 2/5:2009/01/03(土) 07:44:39 ID:A3bYTa3j0
服の中で素肌を撫でる手が心地良い。しかし、そのこちらを安心させるような手つきにうっとりとしていると
いつの間にか一糸纏わぬ姿にされている辺り、この男は抜け目がないと思う。
負けじと自分も相手のシャツのボタンに手を掛けるが、先程とは打って変わって
激しさを増したキスに翻弄されてしまい、仕事は中々はかどらなかった。
その間に、まるで赤子をあやすようだった彼の手つきも少しずつ不穏なものとなっていく。
「ん……っ」
不意にその手が胸の突起を掠めた。つい漏れてしまった声に、
ヴァイカートは手を動かすのを止め、にやりと笑って唇を離した。
「どうした?」
先程とは違う、答えなどとうに確信しきっているような声。
じろりと彼を睨みつけるが、にやにやとした笑顔は止まらない。
「手が」
「手が?」
「……焦らすな」
まだ彼の肩に引っかかっているシャツを引っ張り、首筋を舐め上げた。
ふるり、と彼がかすかに震えるのが分かる。知っている、この男は首筋が弱い。
「……ぁあっ!」
そして負けず嫌いだった。既に固くなっているその突起を、口に含まれ舐められた。
たまらず声を上げれば今度は吸い上げられ、もっと、と頭を抱き抱えれば甘噛みされた。
もう片方の、舐められていない方の突起はというと、指で摘み上げられたり、かと思えば
押しつぶされたりとやはり執拗な責めを受けていた。余りの快感に視界がぼやける。
281ヴァイキー(HELLOWEEN)×カイ(GAMMA RAY) 3/5:2009/01/03(土) 07:46:05 ID:A3bYTa3j0
まだ行為に及んでから少ししか時間が経っていないというのに、
既に目には涙が滲み始めていた。体がどうしようもなく熱い。
中でも一際熱くなった体の中心を彼の下腹部に押しつけると、すぐに向こうも同じ動きを返してきた。
お互いに固くなったそこを擦りつける。彼のズボンに、溢れた先走りが染みを作っていく。
布で隔てられてこそいるが、その感触や熱は十分に伝わった。
同じなのだ、彼も自分も。同じくらい、今この時に興奮し、欲していた。
ようやく彼の口と手が胸を解放し、今度は先走りに濡れたそこに触れた。
ぐちゅぐちゅと遠慮無く扱き上げられ、ただ擦りつけるだけよりも強く、直接的な快感が背中を走った。
気持ちいい。気持ちよくてたまらないのだが、でも。
「ヴァイキー……ッ」
「何だ」
「そこ、じゃなくて、」
それだけでこちらの意図は十分に伝わったようだった。
ベッドまで行く際に既に用意していたローションを取り出し、指と、そして後孔にも直接塗り込める。
ぬるりとした独特の感触に顔をしかめるのも束の間、すぐに指がそこに侵入してきた。
「んん、う、ぁ、あ……」
彼の節くれだった指が内部を探り出す。最初1本だった指はすぐに増え、
バラバラに動いて中をかき回し始めた。その指が前立腺を掠める度に、
果ててしまいそうになるのを必死に堪えるのだが、それも長くは続きそうになかった。
282ヴァイキー(HELLOWEEN)×カイ(GAMMA RAY) 4/5:2009/01/03(土) 07:47:56 ID:A3bYTa3j0
「ば、いき、早く、もう、もう……っ」
おそらく彼もその言葉を待っていたのだろう、まだ履いたままだったズボンと下着を素早く脱ぐと、
カイの足を肩に担ぎ、その張りつめた中心をひくつく後孔にあてがって――一気に、突き入れた。
「あぁあっ!」
そのまま激しく抽送を繰り返す。その度結合部がぐちゅりぐちゅりと水音を立て、
中心は2人の腹に挟み込まれて自然と擦れ、限界が近いにも関わらず絶え間なく刺激が与えられ続けた。
「ぁあっ、あっ、ごめ、ぅ、あ、あっ――!」
我慢も虚しく絶頂を迎えてしまった。しかしヴァイカートの動きは止まらない。
達したばかりの体に、彼の動きによる刺激は強すぎる。すぐに軽く2度目の絶頂を迎えた。
それでも彼の動きは止まらず、それどころか、彼も限界が近いのだろう、ますます激しさを増していった。
噛みつくように口づけられ、お互いに舌を絡め合う。上と下、両方の水音が耳の奥で響いた。
まるで溺れているようだ、とカイはぼんやりと頭の隅で思った。いや、実際溺れている。
この不器用で、されど限りなく優しい男に、自分はとっくの昔から、
それこそ彼とバンドを結成した頃からずっと溺れていたのだ。
考え方の違いから衝突し、彼の元から離れて別のバンドを結成しても、
そうして連絡が途絶えていっても、ずっと、ずっと。
そう思うと、今こうして彼と繋がっているのが奇跡に思えた。
愛しい。彼のことが愛しくて、たまらない。ずっと潤んでいた瞳から、涙が一筋こぼれ落ちた。
283ヴァイキー(HELLOWEEN)×カイ(GAMMA RAY) 5/5:2009/01/03(土) 07:51:02 ID:A3bYTa3j0
「あ、ああっ、ヴァイキー、ヴァイキー…ッ!」
「……ッカイ……!」
ぐぐ、と一際深く腰を打ち付けられた。
中を熱いものが満たしていく。同時に自らも3度目の絶頂を果たした。
彼の顔を見上げた。何の含みもない、純粋な微笑みがそこにあった。
顔を近づけられるに任せて、今回何度目か分からないキスを交わした。優しい、キスだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

お目汚し失礼いたしました。
284ドラマ版罰☆ 役人×愚痴:2009/01/03(土) 20:32:35 ID:vv7MCeqD0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ドラマ版 罰☆ 役人×愚痴
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  エロ有です苦手な方はご注意を
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
第鉢話ラスト部分、義兄義弟が資料室にビデオテープを取りに来るシーン。
実はすでに役人愚痴コンビが部屋の中にいたのに、
なぜか部屋の電気は真っ暗だった。というシチュから妄想はじめました。
285ドラマ版罰☆役人×愚痴(1/9):2009/01/03(土) 20:33:38 ID:vv7MCeqD0
case27のビデオテープを取りに資料室へ向かった。白取さんと二人でこっそりと。
目的のテープを首尾よく手に入れ、いざ部屋の外へ出ようと思ったら廊下に誰かの気配を感じた。
耳を澄ますと足音が響いている。
まずい、誰か来る。隠れなきゃ。
焦る気持ちとは裏腹に僕は硬直する。扉を前にたたずんでいると背後から白取さんの舌打ちが聞
こえ、強引に腕をひかれた。
「あいたっ」
資料棚の影に乱暴に押しやられ、僕はゴツンと壁に額を強打する。ふらつく姿勢を立て直してい
る間に、部屋の電気がパッと消えた。白取さんが電気のスイッチを切ったようだ。暗闇の中、
ギュっと身体を押される。
「ぐっちーもっとそっち行って」
白取さんが同じ場所に避難してきた。
「こっち壁です、もういけませんっ」
小声で言い返す。壁と白取さんとの間に僕の体は挟まれてしまう。苦しい、と抗議しようとした
瞬間、扉の向こうに足音が近づいた。
「…物音がしたが…気のせいか…」
警備員らしき声が小さく聞こえる。僕と白取さんは息をひそめた。しかし警備員は資料室の扉を
開けて確認することもなく、踵を返した。その足音が遠ざかり、やがて階段に消えてからも5秒
…10秒。僕たちはたっぷり30秒間様子をうかがう。
ようやく安全を確信して小さく息をつく。暗闇の中、白取さんも息をついたのがわかった。
「ああびっくりした。危なかったですね」
「あのさぐっちー、緊急時に硬直するのやめてくれない?」
「しょ、しょうがないじゃないですか。誰かに見つからないようにこっそり行動することなんて
慣れてないんですから。…あいたたた」
「なに、どしたの」
「さっきおでこを壁にぶつけちゃって…」
「隠れただけで怪我したの?一体どれだけどんくさいのぐっちーって」
大げさに貶められて僕は憮然とする。けれど意外なことに僕の額を白取さんは撫でてきた。まず
僕の頭を捕まえてから、額に指を滑らせる。僕のぶつけた個所を確かめるようにやさしく触れる。
もしかして心配してくれたのだろうか。

286ドラマ版罰☆役人×愚痴(2/9):2009/01/03(土) 20:34:28 ID:vv7MCeqD0
「たんこぶにはなってないね。よかったじゃん。…にしても、やっぱぐっちーってちっちゃいねぇ」
僕ははじかれるように頭を振った。少しでもいい人かもしれないなんて思った僕が馬鹿だった。
僕は諦めて白取さんを促す。
「また誰か来ると面倒ですから行きましょう。真っ暗な部屋にずっといるのも気味悪いですし」
「うん。…と、その前にぐっちー」
いったん動きかけた白取さんが再びこちらを向いた。名前を呼ばれ僕は顔を上げる。
「暗闇って、なんか変な気分になるよね?」
心なしか楽しそうな白取さん声が聞こえる。
「へ?…うわっ」
ふ、と耳に息をふかれ、くすぐったさに思わず首を引っ込める。暗闇の中でもその反応は伝わった
のだろう。白取さんの笑い声が聞こえる。
「ねぇ、変な気分になるよね?ならない?」
「へ、変な気分ってどういうことですか?」
本能的な警戒心から身を引く。引いたところで背後は壁だった。まずい、と思った一瞬後には僕は
白取さんに抱きすくめられていた。
「どういうことって、こ・う・い・う・こ・と」
突然胸に引き寄せられ僕は目を見開く。白取さんの胸の中はYシャツ糊の清潔な香りがする。体格差
からすっぽり彼の腕に包まれてしまった僕は、目を白黒させて硬直してしまう。
僕の額に指が触れる。ぞくっとして首をすくめる。その指は前髪をかきあげ、髪の生え際を撫でてき
た。額に何かが触れる。かすかな息を感じてそれが白取さんの唇なのだと気づく。同時に額に軽くこ
すれる無精ひげ。
「あっ…」
額を軽く吸われて思わず声が漏れてしまった。鼓動が早鐘を打つ。白取さんは僕の耳に口元を寄せさ
さやいた。
「ぐっちーこういう状況でやらしい気分になんない?」
287ドラマ版罰☆役人×愚痴(3/9):2009/01/03(土) 20:35:00 ID:vv7MCeqD0
「…え!?」
カっと全身が熱くなった。僕はあわてて否定しようとするがうまく言葉にならない。
「ねえぐっちー」
「そんなの、な、な、なるわけないじゃないですか」
「ええそぉ?動揺してるみたいに聞こえるけど?」
「し、してませんよ。それより腕離して下さい」
「じゃあ僕がそういう気分にさせてあげよっかなぁ」
僕の言うことなど無視して白取さんはごそごそ手を動かした。白衣の中に侵入してきた手が、僕の
腹部をまさぐる。下腹部をなぞり、そのままズボンの股間へ。
「ひっ!?」
ズボン越しにいきなり自分のモノを握られて僕は悲鳴を上げる。引いた腰はうしろの壁に当たって
それ以上後退できない。僕は必死に身をよじった。白取さんは僕の動揺におかまいなく股間を撫でる。
「ちょ!ちょっと……ぁあっ」
ぎゅ、とソレをあからさまに握られる感触。脳がしびれる。驚きの後にゆっくりと腰から快楽が走
ってきた。僕は素直に反応してしまいそうになる自分に気付き、あわてて抵抗する。
「や、やめてください!」
「しっ、そんな声出したら誰かに聞こえちゃうよ?」
言われて、僕は反射的に手を口で塞いだ。しかし股間を触られて黙っていられる男などいない。
塞いだ指の間から小さく声が漏れてしまう。
「…うぅっ…ん」
白取さんはそんな僕の反応が楽しいのか、右手で僕のモノをさすりながら笑いをこぼす。
「大きくなってきたよ、ぐっちー」
「あっ…、あっ、…そ、そんなに触ったら…」
白取さんに弄ばれて形を確かにしていく下半身。僕は恥ずかしさに歯を食いしばる。
288ドラマ版罰☆役人×愚痴(4/9):2009/01/03(土) 20:35:27 ID:vv7MCeqD0
下を向いた僕の顔を、白取さんの鼻先が促すようにつついてくる。
つられて顔を上げると唇が触れた。逃げる前にかみつかれるようにキスされる。
「っ…んんっ…」
息苦しさに、僕は白取さんのスーツをつかむ。息継ぎの合間を狙って口内に舌が入ってくる。異物
の感覚に背筋が震えた。がっちり後頭部と身体をホールドされた僕は抵抗できない。
「う…、ふっ…ん…」
くちゅくちゅ音を立てながら白取さんの舌が卑猥に動く。上顎、内頬、舌先、歯の裏。今までそん
な所をなめられた経験のない僕は体の力が抜けてしまう。力を振り絞って顔をそむけても、舌は頬
をつたって追ってきた。それは僕の舌に絡んでくすぐるように舐めていく。誘導されて舌先を唇か
ら出すと、待ち構えていた唇に啜りあげられた。
「っあ…ふあっ…っ」
吐息と唾液が喉の奥まで流れ込む。息苦しさに涙がにじむ頃、湿った音を立てて唇が離れた。
「はぁ、はぁ…。…な、何するんですか…!」
身体を抱きすくめられたまま声を上げる。意識とは裏腹な情けない声。顎まで垂れた唾液に気付き、
僕はあわてて口元を手でぬぐった。顔が熱い。
「感じてるくせに。ココこんなになってるよぉ」
言いながら白取さんは指の動きを止めず攻めてくる。ズボンの上から形をなぞり、揉む。他人の
無遠慮な刺激にいじられているうちに、ムクムクとソレは勃起していた。
「や、めて、くださ…あ、や…っはあっ…」
ぐりぐりと執拗に僕を責めあげる指。
上ずった声が漏れているのを自覚するが、止めることができなかった。抗いがたい快楽の波に理性
が吹き飛びそうになる。
289ドラマ版罰☆役人×愚痴(5/9):2009/01/03(土) 20:37:33 ID:vv7MCeqD0

かちゃりと僕のベルトの金具が鳴り、ズボンが下された。そのまま当然のように下されそうになる
下着を僕はあわてて掴む。消えそうになった理想が一気に引き戻される。
「だっ、だめです白取さん、それはだめ」
「いまさら抵抗してもだーめ。大丈夫、ちゃんとしてあげるから」
僕はブルブル首を振り、へっぴり腰の体制で下着を死守する。白取さんの手はなんとか僕の下着を
下ろそうとしたが、僕の方がかたくなだった。
「もーしょうがないなぁぐっちーは」
白取さんの声が急に下にさがる。しゃがみこんだのだと気づいた時には、力づくで両腕を下半身か
ら外されていた。一瞬のすきを突いて下ろされる下着。ひんやりした外気にさらされる僕自身。
羞恥心と恐怖に膝が震えた。

「!!ひっ…、や、やめて、白取さんっ…!」

僕のモノを熱い温度が包み込む。白取さんが銜えこんだのだ。ねっとりした感触の中にちろちろと
動く舌先。
信じられない、白取さんが僕のモノを口に。
強い刺激と背徳感にめまいがする。
唾液の卑猥な音を立てて、彼は僕自身にしゃぶりつく。
「し、白取さ…、あ、ああっ…んっ、ふあ…!」
彼の口の動きと同時にビクビク反応してしまう身体。腰を抱え込まれ身動きが取れない僕は、
思わず白取さんの髪をつかみ引っ張った。白取さんは一瞬口の動きを止めて、それでも僕のモノか
ら口から離すことなく何か言う。
「いひゃいよ、うっひー」
苦笑いの吐息とともに動く舌が妙な刺激になって、さらに僕を責める。僕は自分の服の袖を噛んで
声が漏れるのを抑える。目を閉じるとたまっていた涙が眼尻からこぼれた。
「んっ、ん、んーっ!…っく、ひくっ…ぅっ」
白取さんの顔の動きが前後するたび、同時に僕の内腿を彼の無精ひげがなぞる。チクチクした痛み
がまた別の刺激で僕を責めてくる。自分でコントロールできない快楽に戸惑いつつも、もう逆らう
ことなどできなかった。
絶頂へ達するまであと少し。しかしその前に白取さんは口を離した。
とたんに失せた刺激に僕は言葉を失う。
290ドラマ版罰☆役人×愚痴(6/9):2009/01/03(土) 20:38:47 ID:vv7MCeqD0

白取さんは立ち上がり、僕の顔の輪郭を手でなぞった。重ねられる唇。歯を割って侵入してきた舌
は、さっきよりもぬるぬるしていてかすかに生臭い。その正体はすぐにわかる。僕の先走り液だ。
モノを爆発寸前まで責められたのだから先走りくらい出るのは当然なのだが、それでもそれを白取
さんの舌から自覚するのはあまりにも恥ずかしかった。僕は高ぶる感情に思わずまた涙をこぼした。
「ぐっちー泣いてんの?」
僕の涙を指で感じたのだろう白取さんは、子供をあやすように妙にやさしいトーンで聞いてくる。
その声に混じるわずかな逡巡。
「口は、さすがに嫌だった?」
「んっ…、あ、違…」
僕はふるふる首を振る。僕は嫌という感情だけで泣いたのではない。それももちろんあるけれど。
つう、と僕の先端から内腿へ先走りの液が伝う。放置された僕のモノは、ぴくぴくと脈打って続き
を待っていた。
「違う?違うのに何で泣いてんの?」
不思議そうに尋ねる白取さんに、僕は涙声で言う。
「違…からっ…。嫌じゃないですから…、途中で、やめないでくださいっ…」
行ってしまった恥ずかしさに、白取さんの胸に顔をうずめる。最後の刺激が足りないために、果て
られない。拷問に近い辛さだ。白取さんはしばらく無言だったが、やがてくすりと笑いをこぼした。
「ああそれで泣いてたんだぁ。オッケー、わかった」
白取さんの片手は再び僕の下腹部をまさぐりはじめたが、今度はなぜか肝心の部分には触れてくれ
ない。僕は息を詰まらせて身をよじる。わざとポイントをずらしてくすぐってくる白取さんの指先
に、意地悪な意思を感じる。
「し、らとり、さんっ…!」
「なぁに〜ぐっちー」
…この人、わざとやっている。白取さんを睨みつけるが、暗くて表情が測れないのが悔しい。
でも僕ははたと気づいた。僕が白取さんの表情を見られないということは、白取さんも僕の表情は
分からないということだ。
僕は決意して自分の右手を自分自身へ持っていった。白取さんの指先を押しやってどかす。白取さ
んの「お?」という意外そうなつぶやきが耳に入ったが、構っていられなかった。
最後までやってくれないなら自分でやるまでだ。どうせ僕の表情は見えないのだから、今なら恥ず
かしいことだってできる。
291ドラマ版罰☆役人×愚痴(7/9):2009/01/03(土) 20:40:07 ID:vv7MCeqD0
「っ…、あっ、はぁっ、はぁっ…んっ…」
僕は自分自身を握り、ゆっくりと自慰を始める。暗闇というシチュエーションが僕を大胆にさせて
いた。漏れる声を止めようともせず、僕は自分自身で上り詰める。しかしもう少しで果てるという
時にがしっと手首をつかまれた。
思い切り拗ねたような声が聞こえる。
「ちょ、ちょっと自分でやるなんて反則だよぐっちー。もう、ちょっとからかっただけなのに、本
気で怒んないでよね」
はあ、と、あきれたようなやため息。
「まあ、そういうとこがたまんないんだけどねぇ」
白取さんの手が僕のモノを握った。強い刺激に僕は思わず彼の肩口にしがみつく。
急に、その手が動いた。
「っは!ああっ…、やあっ、あああっ…!んんっ、や、ああっ白取さ…んっ!」
しごいているのに突き上げるような動きは僕の体を壁に押し付ける。僕の声と呼応するように、彼
の手の動きは一気にピッチを上げた。身体がガクガク震える。乱暴とも思えるその手の動きに待っ
ていた絶頂が急にやってきた。
「あっ離し…、離して白取さん!僕、このままじゃ……!」
急に暴れる僕を白取さんは抱え込む。耳元にやさしいささやきが聞こえた。
「いいよ、ぐっちー。出して。いいから」
「ふっ…!あ、ああああっ!!」
ビクンと体が大きく震え、僕は白取さんの手中に放った。
「あっ…ああっ……っ」
身体でコントロールできない痙攣が数回起こり、僕はそれに合わせて精を吐きだす。白取さんは僕
が全部果てるまでリードしてくれた。
やがてごそごそと何やら動き、僕のモノに布の感触が触れる。どうやら白取さんがハンカチで僕が
出してしまった液をふき取ってくれているようだ。
白取さんの胸に体重を預け、荒い呼吸を静めていく。
292ドラマ版罰☆役人×愚痴(8/9):2009/01/03(土) 20:41:31 ID:vv7MCeqD0



ぐっちー、とやさしい声がかけられる。
何度か頬に白取さんに無言でキスを落とされているうちに、真っ白にもやがかかっていた思考が回
復してきた。
暗い。
そういえばここは暗闇の資料室だった。
「はっ」
その事実に僕は我に返る。
僕は体勢を立て直し、下ろされていた下着とズボンをあわててあげた。腰にうまく力が入らず、
ガクっと白取さんにもたれかかってしまった。白取さんの苦笑いが聞こえる。
「そんな今さら焦んなくっていいよ。それよりさ、今度は僕にしてよ」
「へっ?」
「自分だけ気持ちよくなるなんて不公平だよねぇ?ぐっちーのかわいい声聞いてたら僕も興奮して
きたし。ああでも大丈夫。口、とは言わないから」
僕はベルトを締める手を止め、愕然とその言葉を聞いた。白取さんの言葉がぐるぐる回る。口とは
言わないから。え?口でなければ何なのだ。ナニを、どうしろと言うのだ。まさか彼がやったよう
に、手で…?
右手をつかまれた。
嫌な予感が心をよぎる。嫌だ、怖い、無理だ。僕の足がすくんだ。
「…………っ…うぅ…」
「ぐっちー?」
「…う、うぐ…、ひっく……。白取さん、ご、ごめんなさ…。僕、できません」
「ええ?なんで」
「だ、だって僕、あの、まだ…無理です。白取さんの、を扱うなんて、そんなこと…」

293ドラマ版罰☆役人×愚痴(9/9):2009/01/03(土) 20:41:59 ID:vv7MCeqD0

「………」
小さく声が漏れるのが聞こえる。僕は彼を傷つけてしまったのではないかと、あせってフォロー
した。
「あ、あの、したことないんです。他人のを触るなんて。ていうか、男性とこういうことになっ
たのも初めてで。…だから、気持ちよくしてあげれる自信ないし…。あの、だ、だから許して下さい…」
ぶ、と白取さんが噴き出した。声をあげて笑う。
「なぁに、勘違いしてんのぐっちー。違うよ、キスだよ。ぐっちーからほっぺにキスが欲しかった
だけだよ」
「え?」
「いくら僕でもいきなり同じことをぐっちーに求めたりしないよ。なのに……ふふふ。気持ちよく
してあげる自信がないって…ちょっ…。なぁに考えてんの。大胆すぎるよぉ」
「…!」
勘違いに愕然とし言葉を失った僕の肩を、白取さんは楽しそうにバンバン叩いた。暗くて顔は見え
ないが絶対、心底楽しくてたまらないという笑顔で笑っているんだろう。
僕は墓穴を掘った自分に唖然としていた。
ひとしきり笑ってから白取さんは続ける。
「でもさぁそういう答えをくれるってことは、いつか僕にお返ししてくれる可能性もあるってこと
だよねぇ。ぐっちー?」
耳元で割と本気のトーンで囁かれ、僕はビクリと身をすくめた。
「あ…ありえません!」
僕がそう言うのと同時に資料室の扉が開いた。僕たちはあわてて口をつぐみ物陰に隠れる。
かすかな物音がして資料室の電灯がつく。僕はまぶしさに目を細める。白取さんは書棚に隠れるよ
うにして身をかがめた。
入ってきたのは白衣を羽織った男が二人。

桐流先生と成美先生だった――。


294ドラマ版罰☆役人×愚痴:2009/01/03(土) 21:03:45 ID:vv7MCeqD0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ムダニ長カターヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
役人愚痴エロ系マイノリティなのかな。
穢しちまってたらスミマセン!
でもエロい役人が好きだぁぁ〜〜
295風と木の名無しさん:2009/01/03(土) 21:15:39 ID:X13GASAc0
>>284
愛を感じた!
手でどうこうがすごく好きだ…そして勘違いなぐちさんかわゆすぎる。
ほっぺにキスして欲しいやくにんさんもきゅんきゅんする…!なにそのおねだり…!
ありがとー!幸せな気持ち!
296風と木の名無しさん:2009/01/03(土) 21:36:07 ID:MCdRisTz0
>>284
いやいやエロも全然ありですよ!
ものすごく萌えました…、ありがとうございます!
297風と木の名無しさん:2009/01/03(土) 22:08:29 ID:Od4sbmsaO
>>284
ねねねねね姐さん!!!
あ、ああ、ありがとう姐さん!!
凄い読みたかったよおおおぉぉ役人愚痴いいいいいい!!!
嬉しくて死にそうです。萌え過ぎて気が遠くなりますた…。
愚痴かわいすぐるぅう!
役人愚痴好きすぐるおぉ!
ありがとうございます。姐さん大好きです!
298風と木の名無しさん:2009/01/03(土) 23:52:43 ID:loMxlg3g0
※某戦争映画の登場人物ですが、ナマなため名前が出ておらずオリジナルみたいになってます。
※戦争映画で尚且つ死んでしまう人物の話なので戦争、人命、死などの要素が入ってます。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
299戦争映画1/2:2009/01/03(土) 23:53:22 ID:loMxlg3g0
男は、ぽつりとまるで独り言を呟くようにして名を呼んだ。
それは、共に過ごし、この”任務”に就いてから死んでいった二人の戦友の名だった。
任務に対してまだ些か疑問と不満があるだけに、荒む心は普段の比ではない。
「あいつらや俺たちの命は、そんなにも軽いのか?」
「……」
男の目の前には、また別の男が立っている。
鍛えられた肉体を持ちながらもいくらか線の細い彼は優れた狙撃手で、
厚い信仰心によるものか神の力にも似た狙撃の腕と、獣のように強く鋭い光をたたえた瞳を持っている。
「差なんか無いさ」
同じ重みだ、どれも命なんだから──と、狙撃手は冷たくすらある落ち着いた声でそう、男に対して言葉を返した。
こんな状況では口にするのも憚られるような正論をそれでも真っ直ぐにぶつけてきた狙撃手に、男は肩を竦める。
「前から気になってた」
「なにがだ」
「お前は、どうしてそうまでして強くいられる?」
「俺には力があるから、それだけだ」
狙撃手は不敵に笑った。その顔を見た男の中で、ふと思い出された過去の記憶。
彼は以前に一度、見たことがあった。目の前にいるこの不遜な仲間の逢引きの現場を。
狙撃手の逢引き相手は同性で、その現場を見た時、男は心の底から驚いた。
男同士で、なんて野暮なことは言う気にもならなかった。
信仰心の厚い狙撃手がその信仰における禁忌を犯しているのには驚いたが、
それよりなにより驚いたのは、相手が自分の良く知る”鬼の軍人”だったこと。
まさかよりによってあの二人がと、混乱する頭は彼に声を発することすらさせなかった。
──何だ、まだ知らなかったのかお前?──
驚く彼を見て、数日前に死んでしまった戦友がさも可笑しそうな顔で笑っていた。
300戦争映画2/2:2009/01/03(土) 23:53:44 ID:loMxlg3g0
「もう、大尉に抱かれることもできないかもな」
「国にいる間に充分抱かれた」
「……言うじゃねえか」
気まぐれにふっかけた言葉にもさらりと返され、男は堪らず苦笑を零し、そして思い知った。
この狙撃手には、しっかりと刻まれているのだということを。
奪った命の重みも、受けた傷も、この男がまっすぐに見つめ続けたあの大尉の残した痕も、熱も。
目に見えるもの見えないもの、そのどちらともが、深く深く刻まれている。
「……何だ」
無意識に近い動作でゆっくりと抱き寄せた体は自分よりも小さく腕に収まるとはいえ、
軍人として鍛えられているため硬く、抱き心地も良くはない。男は考える。
──大尉はこの体を、何度抱いた? こいつは、何度、彼に抱かれた?──
そして、すぐにまた、馬鹿な感傷だと今度は自分自身に対して苦笑を漏らす。
「思ったよりいいガタイだ」
「当たり前だ」
「ああ」
狙撃手は相変わらず動揺した様子もなく、男の腕の中で身じろぎひとつしない。
可愛げのない反応にしかし男は、はっきりと実感した。
自分も相手も、まだちゃんと生きているのだということを。
_______________
鐘楼は砲撃を受け、そこにいたはずの狙撃手の跡すらもうどこにも無い。
銃撃音と爆音にまみれた中で、彼もまた、敵味方大勢の兵士と共に死んのだ。

……そっちはどうだ? いつか拾ったあのナイフで、お前の言った通りにパンを切るといい。
心の中で、かつて狙撃手の逢引きに驚く自分を見て笑った友人に呼びかける。
数日前に命を落とした彼はきっともう、こんな場所よりずっと穏やかなところでまた同じように笑っているのだろう。
男は続けて、友人に語る。生意気な狙撃手と再会したら、俺が行くまで少しだけ待ってるように伝えてくれ──と。
「俺は、生まれつきツイてんだ、……くそったれが」
きっと死ぬまで忘れないし、忘れることだってできないだろうと男は思った。
失った仲間の顔も、敵の顔も、戦渦の中でたった一度だけ抱き締めた狙撃手の抱き心地の悪い体のぬくもりも。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
301風と木の名無しさん:2009/01/04(日) 02:46:39 ID:ZTSyj4pPO
>>300
無性に萌えた。
こういう静かでじんわりと切ない感じの話、大好きだ。
良いもの読ませてくれてありがとう。
302風と木の名無しさん:2009/01/05(月) 02:35:05 ID:BovnNztlO
今さらすぎるけど>>209
変態受けは正直今までキたことがなかったんだが、早川に禿げた
清瀬の年下らしさも堪らないし、モブの高校生も気になる。
新境地を開かせてくれてありがとう
303ドラマ罰☆ 役人×愚痴:2009/01/05(月) 14:01:18 ID:2EyDBz7F0
えーと、年末からぼちぼち書いてたんですがアク禁で駄目でした。
やっと解けたので投下します。>>284姐さんに勇気頂きました。
エロ有りです。ちょっと長いです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
304ドラマ罰☆ 役人×愚痴 1/9:2009/01/05(月) 14:04:55 ID:2EyDBz7F0
搭乗医大の件が一段落して、僕と田愚痴先生の共同捜査に一応の幕が降りた。
田愚痴先生…ぐっちーは、最後まで泣いて、結末に悲しんでいたが
それでも、事件の真相が明らかになり、なるべくしてなった結末を見届けて
やっと穏やかな顔を取り戻した。

そして今、グッチーと僕は並んで僕の家の前に居る。

「おじゃましまーす。」
明るい声で挨拶したぐっちーが部屋にあがってくる。靴を揃えようとしているけど、
両手が買い物で塞がってるのでなかなか上手くいかない。
「靴はいいよ。僕が後で直すから。」
「あ、はい。」
「そっちがキッチンねー。」
「はーい。…って、…散らかってますね…。」
「まあねー。」
「普通、誰か来る時って少し片付けないですか?」
「いや、グッチーに素の僕を見て貰いたいなーと思って。」
「…。あの、僕、料理してますから、リビング片付けて下さいね。」
料理の準備を始めるぐっちーを眺めつつ、片付けをする。理由があってそこに置いて
あるんだけど、自分以外には散らかって見えるんだろう。
食材と調理用具を用意し終えたぐっちーが振り返って言う。
「白取さーん。エプロン貸してください。」
「え…。家にはそんなハイカラなもんは置いてないよ?」
「…ハイカラ…。ないんですか。」
仕方ないや、と調理を始める。ぐっちー。後姿を見ながら激しく後悔した。
…しまった…!なんでフリルの純白エプロンでも用意しとかなかったんだ…!
僕の後悔を余所に、キッチンに火が入り、油の温まった匂いが広がった。
本当にどの位振りだろう。家に自分以外の人間が居るなんて。
昨日、夕食の内容を話したら、「野菜が少なすぎます!」と文句を言うので、
「じゃあ作りに来てくれる?」と聞いたらあっさり「いいですよ。」と答えた。
こんなに簡単に家に呼べるなら、もっと早く言えばよかった。
305ドラマ罰☆ 役人×愚痴 2/9:2009/01/05(月) 14:06:29 ID:2EyDBz7F0
キッチンで料理をするぐっちーの後姿は心なしか楽しげに見える。
自分の家で楽しそうに動く人が居る。それを眺めるのもとても楽しい。
…たまにこんな事があってもいいよな…。たまにじゃなくても全然いいけど。
「白取さん。片付け終わりましたかー?」
「…鋭意継続中でーす。」
しまった。ぐっちーに見とれて手がお留守になってた。
「片付け終わったらお皿用意して下さい。大きいの3つと中くらいを2つ。」
「はあい。」
しばらくして調理が終わり、皿に色々な料理が盛られていった。成る程、宣言通りに
野菜が多い。まあ別に嫌いで食べない訳でもないし、ぐっちーの料理が旨いのは
知ってるので、不満はこれといってない。
テーブルに料理とビールを並べ終わって、2人で座り、一緒に手を合わせて
「いただきます。」と声を揃えた。…ああ、いいな。こういうの。
厚揚げと竹の子の煮物に手を出す。口に含んで、びっくりして思わず声が出た。
「ぐっちー…!」
「はい?」
「…ものすごく旨い…!」
ぐっちーが嬉しそうに笑い、自分の料理を頬張った。自分でも良い出来だったらしい。
鶏肝の七味焼きがまた感心する程旨い。美味しく味わってる横で、ぐっちーが
ビールのタブを開けたので、ジョッキを差し出す。
「…何ですか。」
「何って。注いで、ビール。」
「…当然の様にジョッキ出さないで下さいよ。」
とかぶつぶつ言いながらビールを注いでくれる。…こんなところが可愛いなあ。
ジョッキに注ぎ終わったぐっちーが、自分は缶から直に飲んでいる。
手元のジョッキを見て、飲もうとした手が止まった。
…なんだこれ。
306ドラマ罰☆ 役人×愚痴 3/9:2009/01/05(月) 14:07:56 ID:2EyDBz7F0
「どうしました?」
「いや…。」
どうしましたって…。ぐっちー。この注ぎ方、完璧すぎないか?
量った様にバランスよく泡とビールが分かれている。きめの細かい泡が、こぼれない
ぴったりの位置で、ジョッキの縁に盛り上がっている。…このスキル。どうしたもんだろう。
いつものビールなのにやけに美味しく感じる。
「ねえ、ぐっちー。」
「はい。」
「僕んとこにお嫁にこない?」
「いきません。」
至って真面目にぐっちーが答える。あながち冗談で言ってる訳でも無いんだけどね。

美味しく料理を味わっている内に、少し汗をかいているのに気がついた。
エアコンが効いているのと、料理とビールで体温が上がった様だ。
羽織ってたものを脱ぎながら横を見ると、ぐっちーもうっすら汗ばんでいる。
「セーター脱いだら?エアコン下げてやんないよー。」
「…はぁい。」
セーターを脱ぐと、小さなぐっちーがまた少し小さめになった気がする。
あまりの可愛さに吹き出すと、ぐっちーが気づいてむくれた顔をした。
「なんですかっ。」
「何にも言ってませんよー?服を脱ぐと縮んでくんだなーとか言ってないよ?」
「今言いましたよ!もー!ちっちゃいちっちゃい言い過ぎなんです!」
「だってちっちゃいんだもん。嘘言ってるんじゃないでしょー?」
「嘘とかそーゆー事じゃないですっ!僕のこと何だと思ってるんですかっ。」
「えー?可愛い恋人だなーと思ってるよ?」
「こっ…!?」
赤くなって絶句するぐっちーを横目にビールを飲む。ああ旨い。
むくれたままビールを飲むぐっちーが横に居て、テーブルには美味しい料理と
冷えたビール。夢みたいな平和な状況に気持ちが柔らかくなる。
307ドラマ罰☆ 役人×愚痴 4/9:2009/01/05(月) 14:10:04 ID:2EyDBz7F0
皿の上があらかた片付いて、ビールの残りを飲み干す。横で缶から直飲みしている
ぐっちーの喉元が少し赤い。しみじみと眺めてると、居心地悪そうに僕をちらっと見る。
小動物の様な仕種にまた吹き出しそうになるのを堪えた。
見つめるのを辞めない僕に、何だか少し困った様な声でぐっちーが言った。
「あの、…ビール、無くなったから、持ってきますね…。」
「いらないよ。」
何故だか席を立たれるのが嫌で、ぐっちーの手を掴んで止めた。掌に収まる小さな手を
握る。
手を振り解こうとせずに、ぐっちーが座りなおした。
「あの…。」
「ん?」
「あんまり、こーやって、手を握るって、しないですよね…。」
「しなかったね。だから今してるよ。出来ればこれからもしたいなと思ってるよ。」
「あ、あの…。」
少しだけ俯いて、何か言葉を探している様に見える。
手を握ったまま、ちょっと近づくと、顔をあげて口を開いた。
「あの…白取さん、僕…。」
「何?」
続きが聞きたいのに、言葉が止まってしまった。
「言いなよ。何?」
「…。」
「…言わないとキスするよ?」
ぎくっとして、ぐっちーの顔がみるみる赤くなった。耳まで染めて身体を固くしている。
…これで言わないって事は、いいって事だよね?
顔を近づけるとぐっちーがぎゅっと目を瞑った。可愛いけど…。
「ぐっちー。もうちょっとリラックスしてくんない?」
「う…はい…。」
身体が強張るのが少し緩んだのを確認して、唇を重ねた。
小さくて柔らかい官職に、まるで子供と帰すしている様な気分になる。
軽いキスで済ませる気はさらさらないので、次第に深く口付けていく。
308ドラマ罰☆ 役人×愚痴 5/9:2009/01/05(月) 14:11:50 ID:2EyDBz7F0
戸惑うような舌を絡ませると、掌の中から力が抜けた。流される様に
僕の舌に逆らわず、されるがままに口の中の動きを許している。
キスしたまま、少し身体を支えてゆっくりと押し倒す。「…ん」と小さな声が聞こえた。
嫌がってる風には聞こえない。そっと胸に手を置くとびくんと身体が反応した。
唇を離そうとするのに構わず続ける。心臓の音が手に響いてくる。
早鐘なんてもんじゃない。まるで不整脈を起こしているみたいに震えている。
「んん…!」
胸の上の手を退かせようとぐっちーの手が動く。拒みたいらしいけど応じるのは嫌だ。
もっと触って確かめたい。僕の思考を独り占めするこの存在を確かめて感じたい。
直に肌に触れようとシャツを捲くると、今度ははっきり身をよじって抵抗した。
繋がる唇を振りほどかれ、キスを中断されてしまった。
「しらっ…しらと、…り、さんっ…」
「…なあにぃー?」
「い、い、意思、確認とかっ…せ説明、とかっ…ないん、ですかっ…」
「ええー?こんな時にまでインフォームドコンセントー?ぐっちー真面目すぎー。」
「ここ、心の、準備とか…あの…」
「あー…。どーしてもって言うんなら、これからするコト最初から最後まで口頭で
 説明してもいいけど、面倒だから行為を続行します。以降中止なし。
 わかりましたかー?」
「…ふえぇ…」
情けない声をあげる口をまた塞ぎなおす。シャツの中に手を滑り込ませて撫で上げる。
予想以上の肌の熱さに期待が胸に湧く。小さすぎる胸の突起に指が触れると
ぐっちーの身体が大げさなくらいにびくりと跳ねた。
「んんん!ん、ん…!」
繋がったままの唇から泣いてるような声が漏れる。甘いものが混じった声に
のぼせるみたいに欲が生まれる。…もっとその声が聞きたい。
舌を解き、唇をそっと離すと、はあっと大きな息を吐いた。突起に触れた指を
つっと動かすと、あられもない声をあげた。
309ドラマ罰☆ 役人×愚痴 6/9:2009/01/05(月) 14:13:12 ID:2EyDBz7F0
「あ…あ!やぁっ…ぁあ…!」
捲り上げたシャツの下、突起を弄る指を止めず、もうひとつに口付ける。
唇と舌で小さな形を確かめて味わっていく。全身を使って呼吸する身体が更に熱くなる。
「…ゃ…やぁ…あっ…白…っあ」
僕の頭をぐっちーが縋るように掴む。力の入らない指が髪をかき混ぜる。
まるで拙い愛撫を受けているようで、胸が熱くなる。
「…ぐっちー。」
「…ん…ぁ…は、ぃ…。」
「好きだよ…。」
「…は…ぃ…」
小さな身体を、指で、手で、唇で、舌で、触れて、撫でて、口付けて、舐めあげる。
柔らかな喘ぐ声と、乱れていく呼吸で快感を知らせてくる。
どうしようもなく愛おしい。涙も汗も息も何もかもが甘く感じる。
愛しい。この震えて喘ぐ身体と繋がりたい。一番熱い体温を感じたい。
僕がどれだけ熱くなっているか、その身体に伝えたい。
唇を重ねてうっとりさせる動きで舌を絡ませる。脇腹の手を滑らせて、ジーンズの
ボタンを外す。弾かれたように唇を離したぐっちーが弱く拒む。
「…や…だめで…す…や、だ…」
涙声に煽られる。なるべく乱暴にならない様に、とは思うけど優しくしすぎると
夜が明けてしまう。チャックを下ろすと、躊躇わずに下着ごと足から引き剥がした。
「や…やだ!白取さ…!」
「…何が、嫌?…」
「…は、ずかし、ぃ…っ」
顔を真っ赤にしてふるふると全身を震わせている。熱い頬に口付けしながら
中心に手を伸ばす。何処よりも熱い部分に触れると、ぐっちーの息が一瞬止まった。
短い悲鳴に似た声をあげて、ぼろぼろと涙を溢れさせた。
310ドラマ罰☆ 役人×愚痴 7/9:2009/01/05(月) 14:14:30 ID:2EyDBz7F0
硬く熱い中心が脈打つのが掌に伝わってくる。先端はもう溶け出しそうに泣いている。
ゆるく手を動かしただけで達する寸前にまで張り詰めた。
「ぅ…うぅ…っん…!」
震える身体で必死に堪えている。…我慢する顔も可愛い…。
「…ぐっちー」
「…んん…!」
「…いいよ。ほら。我慢なんて無理でしょ?」
「…ごめ…ん、なさ…ぃぁあ…っ!」
掠れた声をあげて手の中で熱が弾けた。はあはあ、と荒く浅い呼吸を収めようと
しているけど、上手くいかないらしい。絶頂の余韻で火照る頬に涙が伝っていく。
普段からは想像もつかない表情に喉が鳴った。
足を少し開かせ、掌の中の熱の名残を後ろに塗りつける。何をされるか察した
ぐっちーが目に涙を溜めたまま、僕の顔をじっと見つめた。
「…し…」
「…僕も我慢なんて無理だよ…。そう思わない?…」
「…あ…」
怯える唇にひとつキスをして、自分のスラックスのチャックを下ろす。我ながら
この状態でよく耐えられたと思うくらいにきつくなっている。
…本当に我慢なんて無理だ…。逃げて引く腰を捕まえて足を開かせて熱い自身を宛がう。
一息に、とはいかないようだ。羞恥のあまりに顔を涙で濡らして、小さな身体を
強張らせている。が、乱れる息をなんとか整えようと胸を上下させている。
…聞かなくてもいいかもしれない。でもやっぱり聞きたくて、耳に囁く。
「…いい?」
震えながら、…それでもこくんと頷いた。
「…よかった…」
心からの本音を口に出した。自分の口元が緩むのが判った。
「好きだよ、ぐっちー。」
心を込めて耳に口付けながら言う。唇に触れる耳朶が熱い。軽く噛んで、舌を差し込む。
「…ひあ!」
途端に呼吸が乱れ、身体の強張りが少し抜ける。隙をつく様に体内に侵入していく。
少しずつ、ゆっくり埋めていく。繋がる部分が眩暈がする程熱い。
311ドラマ罰☆ 役人×愚痴 8/9:2009/01/05(月) 14:16:51 ID:2EyDBz7F0
「っう…あ、あぁ…あ、っ…」
意味をなさない声をあげて、苦しげに意気をはきながら、それでも僕を受け入れようと
懸命にこらえている。…健気すぎる姿に、身体の熱が果てしなく上がっていく。
「…ふっ…」
全部を埋め終えて、大きく息をついた。いつの間にか滴るほど汗をかいている。
小さな身体に汗が零れ落ちる。それだけの事で、ぐっちーが全身を震わせて喘いだ。
「…は、…んぅ…っ」
内壁の収縮する動きに耐え切れず、腰を少し押し込むと涙声の悲鳴があがった。
「…ぃ…たい…し、らとっ…」
ゆっくり動かすが、ぐっちーには辛いらしい。キツく絞り込まれて昇る熱に夢中に
なっていく。決壊寸前のぐっちーの核心を感じて理性が消える。
「…しぁ…とぃさあ…ぁ!」
「……ん、っ…!」
ぐっと押し込んで、刹那に放熱する。どくどくと小さな身体を充たす様に体液が
流れ込んでいく。ぐっちーの身体ががくがくと大きく痙攣した。
「あ、あぁ、あっ…あ、あ!」
甘い声を張り上げて、組み敷いた身体がぴんと張り詰めた。中を一際ぎゅっと
締め付けると、小さな悲鳴と一緒に熱を散らして、糸が切れる様にくたりと脱力した。

果てた後に少し遠くなった意識が、ゆっくり戻るのを気持ちよく楽しんで深く息をした。
息を整えながらぐっちーを見ると、目を閉じて、ゆっくりと呼吸をし始めている。
「…ぐっちー。…シャワー浴びようよ。…ちょっと、汗かきすぎたから…。」
「…ん…うん…。」
疲れた声で返事をするけど、起き上がらない。…駄目だ。本当に寝てしまいかけてる。
「…ぐっちー。」
…返事をしない。…諦めて、小さな身体を抱き上げると風呂場に向かった。


312ドラマ罰☆ 役人×愚痴 9/9:2009/01/05(月) 14:24:35 ID:2EyDBz7F0
半分寝ている身体を抱えながら、2人いっぺんにシャワーを浴びる。
ぬるい水流で手早く汗を流して、また抱えて風呂場から出る。
まるっきり子供のように、タオルで拭かれて、僕のシャツに着替えたぐっちーが
立ってもいられないらしく、同じく着替え終わった僕の胸に凭れる様に抱きついてくる。
大して重くもない身体を抱き上げて、ベッドへ向かう。
横たわって向かい合う、手のかかる、愛しい恋人の閉じた目の横、髪の生え際を
小さく指で撫でる。
ふと、ぐっちーが薄く目を開いて、シーツを蹴る様に動いて、唇を軽く重ねた。
「…白取さん……大好きです……」
はにかんだ顔で呟くと、シーツに頭を押し付けて、今度こそ本当に眠りに落ちた。
幸せな気持ちで、眠るおでこにキスして、手を握る。
「…これからも、したいと思ってるよ…。」
さっき言った言葉をもう一度繰り返して、満ち足りた気持ちのまま目を閉じた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
えーとえーとえーとなんというかそのごめんなさい
なんか色々おかしいかもしれない後悔しないけどいやしますけど反省もします
でも罰☆が大好きです…
313風と木の名無しさん:2009/01/05(月) 23:27:48 ID:eh9VjgoHO
こ…ここここここここの世の極楽か、ここは!!!!???

ここに理想の白愚痴が連続投下されるなんて…!
鼻血が出そうだ!
どの作者さんも超GJ!
314密/室からのダッシュツ2 1/4:2009/01/05(月) 23:36:19 ID:kQD7Ihfu0
マイナーゲーだけど1も含むゲーム本編のEDの完全バレなのでやってない人は注意
ロボ→主なED後捏造話

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

もう消えていいと思っていた。
自分が死んでも、彼を助けられたからそれでいいと思っていた。
それなのに、自分はまだここにいる。


遠く、地球へ向かうあの子の乗るポッドが見える。
「また一人、脱出に成功した・・・」
美しいあの青い星と同じように、焼きついて消えない記憶が私にはある。
昔のことだ。
自分と同じ境遇の一人の男が、何故か自分の意識の中に入り込んだ。
私は彼に手を貸し、共に脱出への道を探した。
数々の困難を乗り越え彼は帰った。あの地球へ。
「・・・結局、結末は私と同じでしたが・・・」
あれから数年、彼はまた奴等の宇宙船へ連れられてきた。
息子らしき子が後からきたが時既に遅く、彼はもう死んでいた。

そう、死んだのだ。
命を懸けて脱出させた彼は、もういない。
315密/室からのダッシュツ2 2/4:2009/01/05(月) 23:37:02 ID:kQD7Ihfu0

あの日、私が共に脱出できないと知って彼は驚きの表情を見せた。
当然だろう。ほとんど初対面の相手が、どうしてそこまでしてくれる?
普通だったら絶対に、命なんて懸けたりはしない。
でも、ただ一緒にいたわけじゃない。体を共有した仲だ。
これは予感じゃない、確信だ。絶対に私たちは今以上に仲良くなれる。
だから助けた。
ロボットの体である事をこれほど喜んだ事はない。この体だからこそ彼を助けられる。
宇宙という海の中で泳ぎながら彼の無事を祈った。
意識が途絶えようとしたその時、彼の声が聞こえた気がした。

『                       』

聞こえないはずの声が、あの時確かに聞こえた。
あの時から、自分はずっと捕らわれている。
未練がましく、ここに留まり続けている。
316密/室からのダッシュツ2 3/4:2009/01/05(月) 23:37:41 ID:kQD7Ihfu0

変わる瞬間など、予想もしていなかった。
けれど、それは今目の前にある。

「幽霊ってこんなのなんだな。いや、まさか最後の最後でミスをするとは思わなかったよ」

死んだはずの男がここにいる。
まあ、自分も死んでいるのだからおかしな事ではないが・・・

「何故、ここに?」
「まだ成仏するには早いからさ。見てきただろう、お前は」

「俺が未来を変える瞬間を」

あの日、女性と一緒に脱出した彼が最後に自分に語った真実。
信じられないものだったが、脱出手順を理解しすぎていた事などがそれで納得できた。

「俺が・・・いや、今度は俺の息子が未来を変えにまた戻ってくる。俺が生きている未来のためにな」
「・・・そんなに上手くいくのですか?」
「不可能だ、なんて事はもう何度も突破してきたんだ。今回だって上手くいくさ。
それに、いつまでもお前を俺の心の中に閉じ込めておくわけにもいかないしな」
もうあの頃の面影は微かにしか残っていないのに、その笑顔は十数年前の彼と同じだった。

『お前のこと、俺の心の中から脱出させないからな!』

あぁ、ずっと忘れられなかった。
あの時からずっと、この瞬間を待ち続けていた。
317密/室からのダッシュツ2 4/4:2009/01/05(月) 23:38:35 ID:kQD7Ihfu0

「お前に頼らなくても、あの過去で脱出できるだけの知識は手に入れたつもりだ。
あの怪物を倒す方法もな。生き返ったらまた過去に戻ってやり直す。また脱出するんだ。
でも、今度は最後にお前を宇宙に置き去りになんてしない。お前も一緒だ」

「・・・私は、貴方と違ってまた色々と知らないままですよ?」

覚えているのは本人のみ。
過去の私はまた、彼を知らない私なのだ。

「それでも、助けるって決めたから」

先のことは分からない。でも、この先のことは知っている。

「だから一緒に帰ろう。俺たちの地球に」

あの日一つの体になった瞬間から、彼と共に歩むことは決まっていたのだから。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
次回作には鬼畜なパズルがなければいいな
318面フィス×面フェンティス(1/7):2009/01/06(火) 01:45:25 ID:0aYm9kj40
怪物猿人のコント「神/々/の/遊/び」から、左×右
何億年も騙し騙されてるかと思うと萌えました。
あの格好じゃなくて服着てる設定です。スイマセン
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

薄暗い地下室の中にブルーランプの光が冴えて、椅子に座った若い男の白いシャツを
染めた。
階上のカジノの喧騒は分厚い天井にさえぎられて全く聞こえない。コンクリートが
むき出しの床の上を、高級な革靴がこつこつと歩き回る。
「え!?黙ってちゃわかんねえだろうが!?金持ってねえじゃねえだろ、なあ?
痛い目見てえのか」
黒いスーツに身をつつんだ男が、罵声とともに手近の椅子を思い切り蹴飛ばした。
若者は椅子の立てる騒音にもまったく表情を変えず、怒鳴り散らす男のガラの悪い顔
を興味深げに観察していた。
「いいか、お前さんの負け分、百五十万キッチリ払ってもらわねえと、な?」
途端に男の声が不穏な猫なで声に変わる。
「それとも」
男の分厚い手が、若者の胸元に伸びた。
「身体で払うか?」
何を暗示しているか明白なそのいやらしい動きにも、若者は大きな目に侮蔑の色を
浮かべただけだった。
「え、なんとか言ったらどうだ!?」
そう言われた白いシャツの男は、始めて口を開いた。
「私は、神だ」
予想外の台詞にスーツの男は毒気を抜かれたように押し黙ったが、やがて我に
帰って、眉間に青筋を立て怒鳴り始めた。
「ふざけんな、ああ!?おちょくるのもいいかげんに……」
319面フィス×面フェンティス(2/7):2009/01/06(火) 01:46:11 ID:0aYm9kj40
「人間が興じる、賭博というものには前々から興味があった。しかし、これほど、
楽しめるものだとは予想外であった」
「はあ?テメエ頭おかしいんじゃねえのか?」
「神はサイコロを振らない、とお前たちはいうが、それは間違いだ。少なくとも私は、
確率の魅力を愛している」
調子を変えず淡々としゃべり続ける若者にしびれを切らしたのか、スーツの男は彼の
胸ぐらをつかんでぎりぎりと持ち上げ、その体を床に投げ捨てた。わき腹を打った
鈍い音がした。スーツの男は即座に若者の肩をつかみ、あおむけにして無理やり
自分の方へ向き直らせた。
「痛い目見なきゃわかんねえようだな」
ドスの効いた脅し文句と共に、男は若者のシャツを乱暴に引き裂いた。布の裂ける
嫌な音がして、裸の胸があらわになる。
細い外見とは裏腹に、彼の胸には程よく筋肉がついて引き締まっていた。
サングラスの男はその整ったラインに喉を鳴らした。
「思ったよりいい身体してるな、楽しめそうだぜ」
若者はこの緊迫した状況にも関わらず、無表情でつまらなそうに天井を見つめて
いたが、男が唇にキスをしようとすると眉をひそめて顔を反らした。
「何をする、無礼な。私は神だぞ」
「ガタガタうるせえ、まだ状況がわかってねえようだな。テメエはこれからオレに
ヤられるんだ」
男はちらりと分厚い鉄の扉を見やる。
「いくら叫んでも外には聞こえねえ。なめた口叩きやがって、失神するまで犯し
続けてやるぜ」
「………本当に救い難い男だ。お前のような罪人は、死をもって、償うより他にない」
スーツの男はその台詞を無視して、彼の首筋を舐めようとした。しかし、男の舌が
彼の肌に触れるか触れないかというときに、彼が低い声で不思議な呪文を詠唱し始めた。
「全ての神よ、そして、全ての生命よ、彼に、死という恐怖を、味わわせろ。
彼に死という恐怖を――○×△□……」
320面フィス×面フェンティス(3/7):2009/01/06(火) 01:46:50 ID:0aYm9kj40
後の方の台詞は聞き取れなかった。その低い声が不思議な波動を持って地下室中に
響き渡り、それと共に、彼にのしかかっていた男が突然苦悶の叫びを上げて
のた打ち回った。
「うおっ!?ぐわああぁ、なんだ、身体が、や、やめろぉ……ううっ、お前は……
いったい、があぁあぁぁ!!うあああああああ!!?」
スーツの男は全身を痛々しくわななかせ、身体をくの字に曲げて断末魔の叫びを上げた。
しかし、その叫び声は不意にぴたりと止んだ。
そして男はゆっくりと起き上がり、こちらに向き直った。
「私だ」
「お前だったのか」
サングラスを外しスーツを脱いだ男は全くの別人に変わっていた。そしてなにより、
先ほどまでの野卑な印象はかき消え、その全身からは不思議な威厳がにじみ出ていた。
「また、騙されたな」
「まったく気づかなかったぞ」

面フェンティスは、目の前の男の見慣れた顔をつくづくとながめた。彼はこの
パターンで何億回も彼に騙されていた。その度に次こそはと誓うのだが、いまだに
リベンジは果たせずにいたのだった。
(また、騙されてしまったか)
若干の悔しさを感じながら起き上がろうとした面フェンティスは、急に見えない力に
押しとどめられた。
彼には、面フィスの仕業だとすぐにわかった。
「なんの、真似だ」
「少し、そのままでいろ」
「なぜだ」
321面フィス×面フェンティス(4/7):2009/01/06(火) 01:47:18 ID:0aYm9kj40
答えない面フィスの口元がかすかに笑った。
寒々とした部屋の冷気がふわりと動いて、二人の周りにかすかな風が生まれる。
相棒が何をしようとしているのか、聡い面フェンティスはすぐさま悟った。
彼は眼を閉じ、相手が近づいてくる気配を感じていた。
キスが終わった後、面フェンティスは静かに眼を開けた。
「なぜ人間は、愛の行為として唇を合わせるのだろうか」
「知らぬ」
「お前でも、知らないことがあるのか」
「お前も知らぬのだろう」
その言葉に何と言い返そうか面フェンティスが考えているうちに、また唇をふさがれた。
二人はぎこちない動きで何度も口づけを交し合い、そのうちに面フェンティスは
面フィスの背に手を回して互いに求め合った。
「この身体で交わるのも、たまには良いだろう」
「この身体は、面倒でいけない」
「だが、実感があって良い」
面フェンティスの背中は押し付けられた床の冷たさを感じていた。互いの服を
脱がしあうという面倒な手続き、それも交わりを高めるための一手段のように働いた。
確かに面フィスの言うとおり、このような不自由さは天界の交合には無縁のものだった。
熱い面フィスの手が相棒の下肢に伸びていき、伸びた爪が皮膚を擦りあげる。
そこから見えない力が偽物の身体の中へ染み渡り、感じやすい神経を直接刺激した。
「面フィス……力を使うのは、卑怯だぞ」
湧き上がってくる疼きと戦いながら、面フェンティスは目を伏せる。
面フィスの手のひらから湧き出すオイルを奥処に塗りたくられ、彼は沈黙して
確かな快感に酔った。
自らの手で懊悩している相棒の顔を、面フィスはじっと見つめていた。彼はコイトスの
最中も滅多に声をあげなかった。
面フィスはそんな彼を乱したいと思った。

322面フィス×面フェンティス(5/7):2009/01/06(火) 01:47:49 ID:0aYm9kj40
先ほど制止された首筋へのキスを実行しながら、面フィスは裸の胸と胸を合わせて
愛しい神の体温を感じた。獣のような荒い喘ぎが聞こえ、やがて面フィスはそれが
自分の息音であることに気づいた。
自分がこれほどに興奮していることに驚きながら、彼は自分のペニスに潤滑油をまぶした。
「入れるぞ」
「好きに、するがいい」
そう言いながらも、面フェンティスは軽く脚を上げて挿入を助ける。
その両足を更に割って、面フィスはそこへゆっくり身をしずませていく。
「…………っ」
面フェンティスは軽く顔を歪ませた。
面フィスはそれでも容赦せずに、相手の脚を抱えて引き寄せ交わりを深める。
少しずつ探るように愛撫を進めながら、やがて二人は一定のリズムを見つけて溶け合った。
「面フェンティス」
「何だ」
「……呼んだだけだ」
やがて耐え切れなくなったのか、面フェンティスは横を向いて顔を反らした。
面フィスはこみあげてくる愛しさに戸惑いながら、相棒の首筋に口づけし、何度も
腰を打ちつけた。
「面フィス……頼みがある」
急に、面フェンティスが揺らいだ声を上げた。
「何だ」
「耳を、ふさいでくれ」
「なぜ、そんなことを言う」
彼は答えずに押し黙った。
「声を出したいなら、出せばいい」
「お前に、聞かれたくない」
「私は聞いてみたいがな」
律動の激しさに面フェンティスの上体は揺れ、前髪は滅多にかかない汗で濡れていた。
323面フィス×面フェンティス(6/7):2009/01/06(火) 01:48:17 ID:0aYm9kj40
面フェンティスは、いつも出し抜かれている相方に更なる弱みを見せたくないと
思った。しかし心のどこかで、彼は自分が面フィスに負けるであろうことを知っていた。
やがて彼は、青い光で染まる床の上で背を反らし、陥落の声をあげた。
「ああ……面フィス……」

面フェンティスはその昔、白い森で交わした情交を思い出していた。

戦いの後の高揚がそうさせたのだろうか、あの時も、いつも冷静な面フィスがなぜか
同意も取らずに自分を押し倒し、本能のみで交わる獣のように自分を犯した。つぶれた
草のにおいがあたりに立ち込めていた。面フェンティスはそんな相棒の姿に驚きながらも、
その仕打ちに充足感を覚えていた。
今の官能はその時の感覚に似ていた。肉体は熱く融けながらも魂は澄み切っている。
身体の奥に体液が吐き出されたのを感じた面フェンティスは眼を開け、自分を
抱いている神の姿を見た。
「大丈夫か」
「平気だ」
独り言のようなその台詞が地下室に響く。
二人はしばし無言で見つめあった。面フェンティスは手を伸ばし、面フィスの髪を
優しく撫ぜた。
互いの想いを確かめるために、二人は不完全な言葉を使う必要などなかった。
熱い息を交わして視線を合わせるだけで、全てが読み取れる。
「上の世界に、帰るか」
「そうするとしよう」
324面フィス×面フェンティス(7/7):2009/01/06(火) 01:49:11 ID:0aYm9kj40
面フェンティスが起き上がろうとすると、面フィスがその背を支えた。続いて甘い
口づけが交わされる。
ブルーランプの明かりが煌々と照り輝いていた。
「暇をもてあました」
「神々の」
「……情事」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
白い森云々とか完全捏造ですが、この二人いいです。
お目汚し失礼しました〜
325風と木の名無しさん:2009/01/06(火) 01:51:43 ID:BDsGd0Nc0
>>324
リアルタイムで読めた^^
笑いすぎて死ぬかと思ったww
まさかこの2柱のやおいが読めるとは!
姐さんGJありがとう
326風と木の名無しさん:2009/01/06(火) 02:09:12 ID:EvXhiyzkO
>>324
あなたも神か…
萌えワロタありがとう
327風と木の名無しさん:2009/01/06(火) 02:38:06 ID:9Fmb4io20
>>324
腹筋崩壊しつつ
萌えたのは初めてです
姐さんすばらしいww
328野生のDMCシリーズ:2009/01/06(火) 04:04:42 ID:5g2I/oPH0
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

注意書き

・DMCスレでの「野生のネロ」「野生のバージル」をSS化してしまいました
・基本はジョークです。多分、クレド×ネロです
・超展開のストーリー、突っ込みどころ満載です
・疲れている方はお読みにならないでください。おなかをこわします
・いろいろほんとにごめんなさい
329野生のDMC(1/21):2009/01/06(火) 04:06:36 ID:5g2I/oPH0
寒い寒い、冬の1月のことです。
雪降るフォルトゥナの街に、ちいさな一羽の小鳥がふらふらやってきました。

この鳥は、人間の言葉で「ルリツグミ」と言います。
ふわふわしたコバルトブルーの羽根に、赤いえりまきを巻いたような、
小さい鳥は、降りしきる粉雪に体をぶるぶると震わせながら、
薄暗い夕闇の中を必死に羽ばたいていました。

小鳥の坊やは、ミティスの森のねぐらに帰る途中で、仲間とはぐれて、
ひとりぼっちで迷っていたのです。
しかも、鳥は暗くなると目が見えなくなってしまうから、
いくら真っ暗な空を飛び回っても、森にはどっちに行けばいいか解りません。

くちばしにも、風切り羽にも、冷たい雪霜がたくさんこびりつき、
小鳥は泣きだしたい思いで夜の空を飛びました。
しかし、小鳥の坊やの気持ちを裏切るようにして、雪はどんどん、どんどん、
空から降ってきます。

坊やはとうとう飛び続けることができなくなり、
とにかく雪の当たらない、あたたかい場所で休みたいと思いました。
330野生のDMC(2/21):2009/01/06(火) 04:08:18 ID:5g2I/oPH0
下を見おろすと、ちょうどそこには人間の建てたお屋敷があって、
窓辺には、ほんわりと明るいランプも灯っています。
凍えた小鳥は、お屋敷の屋根から生えた、ひょろながい煙突に夢中で潜り込み、
やっと一息つきました。

しかし、安心できたのもつかの間です。
今度は煙突の下から、もくもく、もくもくと熱い煙が沸いてきて、
その全身をいぶしはじめたのです。

きっとお屋敷の人間が、まさか小鳥なんかが潜り込んでいるとは知らないで、
暖炉に火を入れてしまったのでしょう!
小鳥は熱い煙にまかれて、ケホケホと咽せました。

「助けてくれ!助けて!」

さて、暖炉に火を入れたばかりの、お屋敷のお嬢さんは、
煙突の方から、ピイピイと小鳥が大騒ぎする声が聞こえたので、
おどろいて薪の火を消しました。

するとどうでしょう、とたんに一羽の青い小鳥が、
煙突の下からぽろりと降ってきたのです。
羽根の先をすこし焦がして、熱い煙をたくさん吸い込んで、
苦しそうにあえいでいる小鳥が……

「まぁ、なんてこと!」

お嬢さんは煤だらけの小鳥を、ほっそりとした手で暖炉から掴みだし、
冷たい水に浸したハンカチで、羽根を拭いてやりました。
それでも小鳥はよほど苦しかったのか、ぐったりとしています。
331風と木の名無しさん:2009/01/06(火) 04:08:34 ID:3q1CWCRxO
>>324
姐さんGJ…!!
禿萌えわろたwww
332野生のDMC(3/21):2009/01/06(火) 04:11:14 ID:5g2I/oPH0
お嬢さんが泣きそうになりながら、一生懸命に小鳥の手当をしていると、
部屋の扉を開けて、気むずかしそうな顔つきの男がひとり、
お嬢さんの様子を見にやってきました。

「キリエ、いったいどうして暖炉の火を消してしまったんだ。
こんな真冬の夜だというのに、部屋が寒くて、かなわんではないか」
「クレド兄さん、煙突に小鳥がいたの。煙にまかれて死にそうよ」

キリエと呼ばれたお嬢さんは、涙ながらに、ぐったりした小鳥を差し出しました。
小鳥を受け取った男は、むぅと唸ると、すぐに取って返しました。

さて、このクレドという男は、
実はフォルトゥナの魔剣教団の、教団騎士隊の、騎士団長などという、
まぁ……ありていに言えば『立派なひと』でした。
しかも慇懃で、とても真面目一途な方でありましたので、
焼き鳥になりかけたツグミなんか、どうでもいいとは考えたりしませんでした。

クレドは、ピクニック用のカゴに、柔らかいタオルを敷いて小鳥を入れ、
ついさっき帰ってきたばかりの寒い雪道を、
ふたたび延々と歩いて、教団本部の医務室に小鳥を連れていきました。

煙を吸って苦しんでいたルリツグミは、
体を丁寧に手当てしてもらって、やっと息をするのが楽になりました。

「……腹がへったよ」

うっすらと目覚めた小鳥の口から、かすかなチイチイという声が聞こえました。
男は、バスケットの中でうずくまっている小鳥の頭を、
指先でそっと撫でてやりました。

「食欲があるのはいいことだ。これならすぐ元気になるだろう」
「アンタ、誰?ここは何処だ?」
333野生のDMC(4/21):2009/01/06(火) 04:13:09 ID:5g2I/oPH0
「私はクレド。ここは魔剣教団の医務室である。ツグミの子よ、
お前は愚かな小鳥だから、私の家の煙突に潜ったりするので、焼き鳥になりかけたのだ」
「そんなの知るか。寒かったんだよ……腹へった……」
「分かっている、今、食べるものを用意してやる。待っていろ」

こうして騎士団長のクレドと、妹のキリエお嬢さんに拾われた小鳥の坊やは、
暖かいバスケットのベッドに寝かされて、大事に手当してもらいました。

毎日、アワだのヒエだの、ダイコンの葉っぱだの、
牡蠣の殻をすり潰した奴だの、リンゴの皮だのといった、贅沢なごちそうを食べさせてもらって、
お水もたくさん飲んで、小鳥はみるみる元気になっていきました。

そうして3週間もすると、小鳥の坊やは寝かされていたバスケットから出て、
部屋中を飛び回れるほど元気になりました。

「兄さん、見て、ネロが飛んでいるわ。焦げた羽根も生えそろったのよ」

元気になった小鳥を見て、キリエお嬢さんも嬉しそうです。
いつのまにか、お嬢さんはこの鳥に「ネロ」という名前をつけていました。
小鳥もまんざらではないようで、名前を呼ばれると、すぐに飛んでいきます。

「ネロ、ネロ、おやつをあげましょう。おいでなさい」

お嬢さんが、甘いオレンジを手にして、ネロを呼んでいます。
いつもは忙しいクレドも、
日曜日は仕事がお休みのようで、雪景色を眺めながらコーヒーを啜っています。

ルリツグミというのは、甘い果物が大好きなので、
呼ばれたネロはすぐにやってきてオレンジを剥いてもらいました。
334野生のDMC(5/21):2009/01/06(火) 04:14:46 ID:5g2I/oPH0
「美味い、美味いよ、これ。もっとオレンジ食べていいか」
「いくらでも食べていいのよ」
「あぁ……だけど俺、体がちっちゃすぎるから、
どんだけ頑張ってもオレンジ一切れしか食べられない。胃袋がすぐ満杯になっちまう」

小鳥はオレンジをつつきながら、悲しそうに嘆きました。
なにせ、ティーカップと背比べをするくらい、体がちいさいのです。
大好きな果物をいくらたくさん貰っても、
ぜんぶ食べきることができず、残してしまうのがオチなのです。

いっしょうけんめいオレンジを啄んでいる、そんな小鳥を横目で見ながら、
クレドは何か考えているようでした。

「クレド、どうかしたか?さっきからアンタ、俺の方ばかりじっと見てるけど……」
「ネロ、ひとつ聞きたいことがある。
火傷した体は、ずいぶん元気になったようだが、これからお前はどうするのか。
森のほうに帰らなくていいのか」
「……そうしなくちゃいけないんだろうか」

向き直って、慇懃に問いただすクレドに、
ネロはオレンジをつつくのをやめて、しょんぼりとします。

「仲間のもとに帰りづらい理由があるのか?
どうした、言ってみろ、すぐに追い出すつもりはないから」
「……森は辛いところなんだよ」
「ほう」
「アンタたち人間は、俺たちがどんだけ辛い思いをして、
あの森で暮らしているかなんて、ちっとも分かんないんだろうけどな」

クレドが指を差し出すと、小鳥はちょんと飛び乗ります。
335野生のDMC(6/21):2009/01/06(火) 04:16:21 ID:5g2I/oPH0
「俺たち、ルリツグミはな、すごく弱い鳥なんだよ。
いつでも他の鳥に虐められているんだ。虐められて虐められて、
仲間がたくさん死んでいくんだ」

「それはいったい、どういうことだ」

「なあクレド、あんた、スズメに虐められたことはあるか」
「馬鹿げたことを言うな。あんな愛らしいスズメどもに、誰がくやしい思いをするものか」

「俺はいっつもしてるさ!……だってあいつら、
俺の仲間たちがこさえた巣から、卵や雛をさらって食べるんだ!」
「なんだと?」

クレドは驚きました。指に乗ったルリツグミの体がぷるぷると震えています。

「クレド、聞いてくれ――俺、まだ仲間の中でも若い鳥だから、好きに結婚させてもらえないし、
嫁さんとか貰ったこともない。交尾……とかも、やってみたいけどしたことない。

でも俺、身内の奴らが結婚したら、巣作りとか子育てとか、がんばって手伝うんだ。
ツグミの夫婦は体がちっちゃすぎて、
ふたりだけで、何羽もガキ育てるのはたいへんだからだ。

でも、俺たちが赤ん坊たくさん増やそうとすると、すぐにスズメが邪魔をするんだ」
「邪魔を……?」
「そうさ、あいつら悪魔みたいだ……わざわざ俺たちの巣のそばに、
奴らが巣を作ったりするんだ。
俺たちの卵や赤ん坊を目当てにな。で、ちょっと目を離したすきにさらって食べちまう。

俺、がんばったさ、あいつら追い払わなきゃってな!
だけど、体がちっちゃいもんで、逆につつかれたり羽根毟られたり……もうイヤだ…」
336野生のDMC(7/21):2009/01/06(火) 04:18:04 ID:5g2I/oPH0
震えているネロ坊やを、クレドは痛々しい思いで見つめました。
クレドはスズメも可愛くて好きですが、
実は、スズメというのは、ルリツグミの住んでいる森には本来いなかった鳥なのです。

その森に人間たちがやってきて、木を切って住みやすくしたところ、
弱いツグミは追い出され、外からやってきた強い小鳥たちがツグミの一族を虐め、
追い詰めるようになってしまいました。
幼子がどんどん殺されて、ネロの仲間はどんなに悲しい思いをしたことでしょう。

「クレド……俺、強くなりたい。もっと力が欲しい。いっそ人間だったらいいのに!」
「人間?――馬鹿な、お前みたいなルリツグミが、
いったいどんなことをすれば、人間などになれるというのだ」
「わかんねーよ、そんなの!でも俺、強くならなくちゃいけないんだよ!

クレド、アンタは魔剣教団の騎士長なんだろ?
だったらお願いだ、俺も、アンタの騎士団に下っ端でいいから入れてくれ!」
「な、なんと、無謀なことを……」

クレドは、ずきずきと痛み出した眉間に手をやり、むぐぅ、と唸りました。

魔剣教団の騎士達は、毎日が戦いの日々です。
恐ろしい魔界からやってきて、悪逆非道の限りをつくす恐ろしい魔物どもと、
命がけで戦わなくてはならないのです。

まさかちっちゃなティーカップほどの体しかなく、武器は爪楊枝の先っちょみたいな嘴で、
スズメにさえやられるネロ坊やなんかに、殺し合いをさせるわけにはゆきません。

しかし、今まで大事に手当してやった可愛いネロが、
こうやって必死に哀願するとなると、なにか特別な「小鳥用の特訓」をつけてやるくらいは、
してやってもいいんじゃないか、と思えてならないのでした。
そんなものがあれば、ですが……。
337野生のDMC(8/21):2009/01/06(火) 04:22:31 ID:5g2I/oPH0
いっぽう、ネロの方は本当にやる気で、くりっとしたちいさな瞳を輝かせています。

「クレド、俺をいっぱい稽古して、俺を強くしてくれよ。スズメを逆に追い払ってやるのさ」

「……まぁ、せいぜい頑張ってみることだ……だが、
私が面倒みてやれるのは稽古だけだ。
さすがに、お前を実戦で、悪魔とやりあわせるわけにはゆかん」

「馬鹿言うな!俺は勇敢なんだ、雛と卵を護るためなら、悪魔とだって戦える!
そうだ、あの『兄貴』とかいう奴も、俺は追い払わなくちゃいけないんだ!」

「……『兄貴』?」
「そう、『兄貴』って呼ばれてるんだ、なんでか知らないけれどな。
最近ミティスの森に出てくるようになった、やたら手強いオオワシの奴だぜ」

ぴょんぴょんと跳ねながら、真剣に訴える青い小鳥に、
クレドはいささか頭痛薬が欲しくなりました。

「ちゃんと聞けよ、クレド。『兄貴』って奴は、マジでおっかない奴なんだから」
「……」
「あいつはたった一羽で、悪魔を100匹殺すんだ。
いつでも赤い服を着た、怪しいオッサンと一緒のワシで、そのオッサンの肩に留まって、
鋭い目つきで、餌になりそうな悪魔を探してやがる。凶暴な奴なんだ」
「……キリエ、俺にアスピリンをくれ」

常識人のクレドは、とうとう頭痛を我慢できなくなり、ぴぃぴぃ鳴きさわぐネロを、
服のポケットに突っ込むと、読みかけの新聞を片手に立ち上がりました。

「あ、この野郎、クレド!ちゃんと聞いてるのか!
ほんとに凶暴なんだぞ兄貴って奴は!
アンタら人間だって、兄貴に殺されるかもしれないんだぞ!俺の話を聞けよっ!」
338風と木の名無しさん:2009/01/06(火) 04:38:21 ID:vfzup7vvO
さるった?
339328:2009/01/06(火) 06:23:36 ID:5g2I/oPH0
ご迷惑おかけして申し訳ありません。
当方、うかつにも連投規制にひっかかりました orz
いったん投稿を中止させていただきますので、
どうか投稿をお待ちになられている方、お気になさらず投稿なさってください。
重ねがさね、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした…
340風と木の名無しさん:2009/01/06(火) 06:51:09 ID:9Fmb4io20
>>339
ドンマイさるることはよくあるぉ
341風と木の名無しさん:2009/01/06(火) 10:22:35 ID:CJWnQBO0O
>>318姐さんGJ!
モエワロタ!
良いもん読ませてもらったよ!
342大鳥 粕若 1/2:2009/01/06(火) 21:02:09 ID:kXhArpX90
お邪魔します。ナマモノにつき苦手な人ご注意…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



体中のあちこちがミシミシと音を立てるように痛んで、目が覚めた。
頭の中でどんだけ罵詈雑言を吐いてみた所で、現状は変わりはしない。
隣ですやすやと眠る男を、本気で頃そうと思いたち首に手をかけてみる。
「んー」
「…」
「何!?何頃そうとしてんの!?」
「起きたかよバカ野郎」
「えー!?えー!?」
「お前マジで氏ねよ」
「何が!」
「すっげぇ痛ぇんだけど」
「…どこがでしょうか」
ぎくりとした顔で敬語になる辺り、身に覚えはあるらしい。
「どこもかしこもだよ」
「申し訳ございません…」
「氏ね。300回くらい痛い氏に方で氏ね。」
「何かもう、テンパっちゃって」
「童貞かっつーんだよ。ガッツガツしやがって。いい年こいたオッサンがよ」
言いながらがしがし脇腹を蹴ると、全裸のまま痛がるのが面白かったので、
話を続けながら軽く蹴り続ける事にする。じわじわ痛がれば良いと思う。
343大鳥 粕若 2/2:2009/01/06(火) 21:04:52 ID:kXhArpX90
「男とヤんのは初めてだよ!」
「…そーいうのはさ、どーなんだろな?女と1回ヤれば非童貞、
同性との初めてのそーいうアレって…何つーの?初体験?未知なる経験?」
「普通は、同性とはあんまり、ヤんないと思うぞ…」
「じゃあお前は何なんだっつーんだよ」
「粕画ですよ」
「ネタじゃねーんだよ真面目に答えろよ。頃すぞ」
「………お前だからじゃねーの」
「聞こえねー」
「…若囃子だからビンビンに勃ったし、若囃子だから無茶苦茶してやりたくなって、
若囃子だから気絶しそうなほど良かったです、でいいかよこの野郎」
聞き返したのもわざとだし、まぁ、取りあえずは許してやることにする。
「何で最後偉そうなんだよ氏ねよ」
「…にやけてんじゃねーよ」
「るせー」
くるりと背中を向け、小さく身を縮める。
甘い顔なんざ見せるのは、一瞬だけでも多いくらいだ。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
いきなり事後で申し訳ない…頃さないで下さい。焼後手だけはやめry
344風と木の名無しさん:2009/01/06(火) 23:00:02 ID:YER1xr4qO
>>342
おお姐さん、ありがトゥース!!
そんな状態でも悪態つくのを忘れないツンデレ和歌さまw
345風と木の名無しさん:2009/01/06(火) 23:20:07 ID:YY6XNYKyO
>>342
禿げすぎてしまったのでもうテクノカットにもできません
346風と木の名無しさん:2009/01/06(火) 23:23:59 ID:m7eq4MzuO
>>324
姐さんほんとGJ!!
爆笑しつつ凄い勢いで萌えた
347風と木の名無しさん:2009/01/06(火) 23:26:19 ID:d2ykTGG90
>>342
姐さんありがとう!
相変わらず和歌はツンツンしてますなw
348風と木の名無しさん:2009/01/07(水) 00:07:05 ID:u8ytXmDFO
>>342
姐さん、萌えをありがとう!
尻に敷かれながらも、和歌をご機嫌にさせる方法を
(多分無意識に)熟知している無敵艦隊粕画w
和歌のツンツンっぷりも堪りませんな…
349風と木の名無しさん:2009/01/07(水) 00:35:21 ID:idO/NJlP0
>>342
禿げ上がった 自分が300回くらい市ねそうだ…
姐さんありまとう!
350風と木の名無しさん:2009/01/07(水) 00:59:06 ID:mU7amr5hO
>>342
姐さん!頃す気ですか!
今禿げて萌えて死にかけましたよ!
いいもの読ませて貰いました!ありがトゥース!!
351風と木の名無しさん:2009/01/07(水) 01:16:21 ID:cHW6gg5BO
感想ばっかですいません
しかし一言だけ
>>342
女王様な和歌の可愛さにもう頭皮ツルツルです!
352風と木の名無しさん:2009/01/07(水) 02:19:22 ID:+6rkUcsYO
>>342

大鳥投下めっちゃ待ってたー!!
粕画ですよにワロタwww
もう和歌もらしくて可愛いよ、和歌可愛いよ…!
また投下待ってます姐さぁん!
353愛某 匿名係 1/2:2009/01/07(水) 14:06:14 ID:irYARWC00
801本スレの話題がけしからんくて、カッとなってやった。
半生だから苦手な方注意。 愛某の匿名係二人。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「ネクタイ絞めて…これでよしっ、と!」
「瓶山君、襟の後ろが立っています」
「え…あ、ほんとだ。ありがとうございます卯京さん!」
「いえいえ」

瓶山がわざとらしく大袈裟に敬礼をすると、椙下はそちらを見て小さく頬を緩めた。

「今日は随分と、張り切ってらっしゃるようですねぇ」
「そりゃもうなんてったって、潜入捜査ッスから!待ってましたーって感じですよ。
 ほら、なんかこう…ワクワクしません?
 いやね、そりゃあ仕事だからワクワクというと語弊があるかもしれませんが、
 そういう警察官心をくすぐられるものというかなんというか…」
「あまり調子には乗らないでくださいよ?」
「その辺の心配は、御無用です!」

丁度スーツの胸ポケットの辺りを、ツンと人差し指で突いて忠告。
ふにゃりと緩い笑顔を浮かべながら、もう一度敬礼をされた。
いつものことすぎて最早ため息も出ない。
貴方が心配無用と言えば言うほど心配になる、こちらの事にも気付いて頂けたら良いのですけれどねぇ。
口には出さずに、冷めかけた紅茶と一緒に飲み下した。
354愛某 匿名係 2/2:2009/01/07(水) 14:07:03 ID:irYARWC00
「それより折角スーツなんだしなぁ…」
「どうしました。私の顔に何か付いていますか?」
「いや……んー!すみません、卯京さん!ちょっとお借りします!!」
「な、なんですか瓶山君!―っわ!?」

近寄ってきた亀山に、ひょいと眼鏡を奪われた。
口角を上げてそれを装着する。

「えへへ、一度かけてみたかったんスよ。どーッスか…って、きっつ!!」

自慢げに目を細めた後、開いた亀山が叫ぶ。
それからぱちぱちと瞬きを繰り返して、閉じた。

「他人の眼鏡を勝手にかけるからですよ」
「う、右京さんって…かなり悪いんスね…」
「そうですよー。ですから、」

ガタンと席を立つ音と、コツコツとこちらに近づいてくる足音。
恐る恐る目を開く。
355愛某 匿名係 3/2:2009/01/07(水) 14:08:16 ID:irYARWC00
「このくらい近くでないと何も見えません」

ぼやけた視界の至近距離真正面に見えた顔に驚いて、素っ頓狂な声と共に後退りをしてしまった。
距離が離れると表情は分からないけれど、くすくすと笑う声が聞こえた。
呆気に取られたまましゃがみ込んでいると、再度足音と影が近づいてくる。
そして、影も同じ高さにしゃがみ込んだと思ったら手を伸ばされて、
かしゃりという音と同時にクリアな視界に戻る。
最初に見えたのはいつものあの人の含みのある笑顔。

「意外とお似合いでしたよ、この眼鏡」

優しいトーンで一声かけると、ポケットから眼鏡拭きを取り出して丁寧に拭く。
それからいつもの定位置に眼鏡を戻し、腕時計を見た。

「おや、もういい時間ですね。行きましょうか、亀山君。
 ほらほら。いつまでもそんな所に座っていないで」

貴方の大好きな潜入操作ですよ、とコートを差し出してきた。
どうも、とそれを受け取るとやっと立ち上がる。
足早に歩き出す後ろ姿を、軽い駆け足で追い掛けた。

(右京さんの眼鏡無しも、案外良かったんだけどなぁ...)

一時だけ見えた幻に思いを馳せながら。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
改行多杉と怒られて3/2になった。
愛某ハマってまだ日が浅いから、変なところとかあったらすまん。 眼鏡イイヨイイヨー!
356風と木の名無しさん:2009/01/07(水) 14:28:36 ID:eekW4j+kO
>>355
姐さんGJ!瓶もウキョさんも可愛いよ!
ウキョさんの年上小悪魔っぷりがいいよ!



…でも、ウキョさんは瓶と話すときは「私/貴方」じゃなくて「僕/君」なんですぜ。
細かいところが気になってしまうのがry
357風と木の名無しさん:2009/01/07(水) 16:24:00 ID:yxD7ztN0O
>>355
萌えました
カオちゃん可愛いし、
ウキョさんも小悪魔なのに天然ぽくてイイヨイイヨー

姐さんありがとう
358風と木の名無しさん:2009/01/07(水) 17:43:40 ID:re4JSt4G0
>>355
瓶が卒業したというのに幸せイチャコラなもん投下しおって!けしからん!
ウキョさんの眼鏡無しで微笑むのがリアルで脳内再生されてしまった、ありがとう
359風と木の名無しさん:2009/01/07(水) 22:01:43 ID:RHPEuh2BO
>>342
大鳥禿萌えた!つか粕和歌に萌えてるのが
自分だけじゃないと分かって安心したw
もっと読みたいけど、このジャンルハマったの初めてだから
どう探せば良いか解らないんだな…orz
360風と木の名無しさん:2009/01/08(木) 11:23:14 ID:2qeKfpcXO
>>328
本スレのクレネロ鳥妄想に和んでたんで
続き楽しみにしてますノシ
361段段 他家中×衣柴氏 1/6:2009/01/08(木) 17:00:32 ID:r/+aJfFH0
3度目の投稿です。度々スイマセン。
最近の衣柴氏さんの絆されっぷりと今日の他家中部長の悪人ぶりがけしからんので投下。
いきなりエロです。あと軽くレイープ描写もあったりするので苦手な方はヌルーしてくだはい。
上司鬼畜注意報!

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

事務所の奥、普段は会議室として使っている小部屋で衣柴氏は扉に背を向け、
棚から資料を取り出していた。
他家中はそんな無防備な背中を見つけるとそっと近づく。
そして真後ろに立つと細い腰を掴み、なんの前置きもなく首筋に唇を落とした。
それに衣柴氏がピクリと小さく反応してゆっくりと首を傾け、
前髪が僅かに影を作ってじわじわとその顔から色香が滲み出してくる。
長い睫毛が添えられた流し目が他家中を捕らえれば、堪らず堰切って唇を貪った。
勢いが余って衣柴氏の背中が資料棚に思い切り押し付けられ、僅かに顔を顰める。
そんな顔にまで煽られ息をつく暇もなく舌を挿し込み口内を蹂躙していると、
ズルズルと棚に背を預けたまま衣柴氏が崩れ落ちていくので、
それにあわせて他家中も唇を合わせたまま腰を下げ、そのまま床に押し倒した。
静かに音を立てて衣柴氏の腕が床に落ちたのをきっかけに
口の端から漏れた唾液を舐め取りながら顎から首筋へと舌を這わせる。
ヒクリと上下した喉仏に歯を立てながらシャツのボタンを外していき、
薄い胸板が現れると今度は色づいた胸の突起を舌で押しつぶした。
まだ反応していないそれを執拗に舐めればだんだんと主張するように硬くなる。
それに気をよくして歯を立て、もう片方も指で捏ね繰り回すとビクリと大きく反応した。
「んっ…!」
思わず声が漏れた衣柴氏の顔を窺うと、
耳から目元から首筋から全てが赤く染まった淫猥な表情がそこにあった。
他家中の下半身にグッと血が集まる。
(…これだから、コイツは止められへんねん)
ニヤ付く顔を隠そうともせず再び舌で胸の突起を攻め、
そのまま手をベルトに掛けるとを音を鳴らしながら外し始めた。
362段段 他家中×衣柴氏 2/6:2009/01/08(木) 17:01:20 ID:r/+aJfFH0
最初に手を出したきっかけは戒めだった。
新人の若造のクセに少々生意気な目をしていたから、懲らしめてやろうと思ったのだ。
床に押さえつけ、嫌がる体を無理やり開いて、下半身を突きたてた。
突き立てるたび苦痛に歪む顔が愉快だった。
散々犯した後、何が起こったのか分からず呆然としている衣柴氏を見下ろしながら
他家中は自分の衣服を整えながら考える。
きっともう衣柴氏は会社には来ないだろう。
プライドの高いこの男の事だ、男に犯されたなどと言えるはずもないから
ずっと一人で犯された傷を負って生きていくのだ。
その様子を想像すると可笑しくて仕方がない。
低く笑い声を立てながら他家中は一人部屋を出て行く。

しかし、他家中の予想は大きく外れた。
衣柴氏は会社に出てきたのだ。
しかも犯す前となんら変わらず自分と会話を交わすので、
昨日の事は夢だったのかと一瞬錯覚させられるほどだった。
だが、他家中は自分を見つめる衣柴氏の視線の中に怒りが含まれている事に気付く。
あの生意気な目が自分なんかに屈服などしないと強く伝えてくる。
なるほど、自分が想像していたよりずっとこの男のプライドは高かく、尚且つ面白い。
他家中は面白い玩具を見つけたと言わんばかりに笑った。
そして、他家中は衣柴氏に取引を持ちかけたのだ
「俺に体を差し出せば、仕事はお前の自由にさせてやる」と。
予想通り衣柴氏はその取引を呑んだ。
やはりあの生意気な目で強く自分を見つめながら。
363段段 他家中×衣柴氏 3/6:2009/01/08(木) 17:02:14 ID:r/+aJfFH0
そこから月日が経過すると、衣柴氏は仕事で成果を上げ始めた。
言われた契約は必ず取って来るし、難しい取引も順調にこなしている。
そして二人の体の関係も数えていられないほどの回数をすでに重ねていた。
しかしある日、衣柴氏を見る目の違う男がいることに気付く。思わず他家中はほくそ笑んだ。
衣柴氏の色香は日々色濃い物へと変化してきている。
そしてそれを衣柴氏は自ら使い始めたのだ。
自分の思うが侭に墜ちて行く様子に他家中は笑いが止まらない。


そして今も。

膝立ちになった他家中のモノに衣柴氏が根元から舌を這わせている。
他家中の怒張を煽るように丁寧に先まで愛撫し、そのまま口に含んで吸い上げた。
思わずため息の出そうな技巧に一体どこで憶えてきたのかと問いたくなる。
今まで体は数え切れないほど重ねたが、こんな事を教えた憶えはない。
現に今も他家中のモノを口で奉仕している衣柴氏は自らの手で後ろを解し始めていた。
そんな痴態に煽られ更に怒張が張り詰める。
他家中はすっかりと快楽に染められた衣柴氏を見て鼻で笑い、
口に含んでいたモノを衣柴氏の髪を掴んで無理やり取りだす。
そしてそのまま強引に仰向けに押し倒すと、
膝を抱え込んで張り詰めた怒張そのままにゴムも着けずに無理やり進入させていった。
「んっ…あ…!」
入った衝撃に思わず仰け反った衣柴氏の咽が晒される。
他家中は乾いた唇を何度も舐め狭い中を突き進んだ。
「もうすっかり男も馴染むようになったなぁ?
 一体どれぐらいの男と寝たらこんなんなるんやろなぁ?」
すっかり全て収まったモノを緩く揺さぶって下卑た笑いを浮かべると、
衣柴氏の顎を掴み強い力で自分の方へ向けさせた。
364段段 他家中×衣柴氏 4/6:2009/01/08(木) 17:03:16 ID:r/+aJfFH0
「はっ…ぁ…」
苦痛からなのか、快楽からなのか衣柴氏の整った顔は歪められ、
口からは途切れ途切れの息が漏れるばかりだ。
「誰にでも体開いて…一人じゃ満足できんへん、とんだ淫乱やな」
屈辱的な言葉に顔を背け、顎を掴んでいた手を振りほどく。
そんな衣柴氏の態度に心底面白そうに笑いを漏らした他家中は
壊れてしまいそうな細い腰を跡が付くほど強く掴みこんで、
そのまま激しく腰を打ち付け始めた。突然の強い衝撃に衣柴氏は目を見開く。
「あぁああっ!」
激しい攻めに耐えても漏れてしまうのであろう声が引っ切り無しに部屋に響いた。
ギリギリまで引き抜いては最奥まで思い切り突き上げられ、
その度に内膜が捲られ蠢き腰に痺れる様な感覚が駆け巡り、衣柴氏の腰も無意識に揺れる。
それに満足した様子で他家中は口を歪めるとラストスパートをかけた。
「あっ…! んっ! っあ!」
衣柴氏も突き上げられながら自らの手で股間を扱き、追い詰める。
そして一際大きく腰を打ちつけた所で他家中が中で爆ぜ、
体内に流し込まれる生暖かい感触に身震いしながら、衣柴氏も最後を迎えた。


事が全て終り、お互い後始末と身支度を整えた所で衣柴氏が口を開いた。
「他家中部長、デビューさせたい二人がいます」
先ほどの情事など微塵も感じさせない事務的な口調だった。
他家中はそれになんだか白けつつも、とりあえず言葉だけ返す。
「なんや? またスカウトか?」
「はい。以前松江に行った時に」
「ま、エエけど」
自由にやらせると取引してるからあっさりと許可は出したが、
そのスカウトした人物と言うのが気になって振り向いた。
すると、何故だか光を湛える衣柴氏の瞳に思わず釘付けになる。
「…それは、どんな子なん…?」
口角が上がり、含んだ笑みのまま衣柴氏は口を開いた。
「双子の、デュオです」
365段段 他家中×衣柴氏 5/6:2009/01/08(木) 17:04:06 ID:r/+aJfFH0
あれから衣柴氏は双子のデビューに奔走した。
それによって会社にとって大きな損失を受ける所だったが何とか防ぎ、
度重なる障害も飛び越えて、やっと無事に第一弾のCD発売まで漕ぎ着ける事ができた。
本当にやっとという思いで他家中は肩で息を衝いた。
しかし、双子率いるバンドのデビューより気になる事が一つ。

最近、衣柴氏が変わった。

体の関係は以前と同じように求めれば拒むことはないけれど、やはり何かが違う。
以前までの衣柴氏の事後は抱かれることで
へし折られたプライドによって目の中に後悔の影が落ちる。
衣柴氏はそれを隠そうとしていたが、
他家中はその隠そうとする態度にも征服欲を満たされ、満足感を得ていたのだが。
しかし最近ではどれだけ体を犯しても衣柴氏の目にはその暗い影が落ちない。
それどころかあの双子を見つけた時のままの僅かな光が宿り続けている。
あの4人のためならどれだけ自分が汚れても良いとでも思っているのか。
今までは自由にやらせてきた。
だが、結局衣柴氏は自分の掌で動いているだけだったのだ。
衣柴氏の全ては掌握していた、はずだった。
はずだったのに、
衣柴氏が双子をデビューさせると言い出してから、掌の上からはみ出し始めたのだ。
なぜだか分からないが他家中の中で苛立ちが生まれ、4人が疎ましく思えて仕方がない。
もちろん衣柴氏の言うとおりに彼女らは金の卵だと思ってはいるが、
衣柴氏をじわじわと侵食し変化させていく4人の影響は、
他家中にとってはやはり鬱陶しい物でしかなくなる。
だから他家中は度々双子だけで良いと口添えをしてきたのに、
衣柴氏は一体どうやって絆されたのか4人でデビューすることに拘り、譲らなかった。
あの4人をデビューさせるという宿命のためだろうか。
366段段 他家中×衣柴氏 6/6:2009/01/08(木) 17:05:42 ID:r/+aJfFH0
そんなのは衣柴氏らしくないと他家中はイラつきを隠せずに奥歯を噛み締める。
気に喰わない。今までは利害が一致してきたから衣柴氏を自由にやらせてきたのだ。
利害が一致しなければ自由になんてさせる必要はない。
伸びてきた不都合な芽は踏み潰すまで。しかし、ちゃんと必要な芽は残さねばならない。

(…これは俺が直接動かなアカンな)

他家中は静かに練習スタジオの外で一人ギターを弾く旬に近づいた―――――。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

毎度ベターでスイマセン。

本編で部長に小唄を解雇しろとか言われるんだけど、
出来なくて揺れに揺れて切ない顔する衣柴氏が早く見たい!
写真とか握り締めて泣いちゃえばいいよ!!

…さて、インテの原稿に戻るか…orz
367風と木の名無しさん:2009/01/08(木) 17:25:04 ID:8Sn0mBW8O
>>366
待ってたよ姐さん!
メガトンGJ!!
プライドの高い意志橋が、情に流されるとどういう顔をみせるか禿楽しみ
続きも待ってるよ〜ノシ
368愛某 杉三? 1/3:2009/01/08(木) 22:37:16 ID:0K1uRrXrO
スレの3浦さん香水話に萌えてやってしまった…
半生・マイナーカプ(?)なのでご注意を

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

廊下を珍しく1人で歩いていた椙下は、漂ってくる甘い匂いに気づいた。
珍しい匂いだ。なんで、こんなところで漂ってくるのだろう。
その疑問は、廊下の反対側から賑やかな声とともに知れた。

「誰のセンスが悪いって?!」
「だーかーら!香水が悪いなんて言ってねぇよ!」
「つけ過ぎなんですって!きっついんですよ!」
「3回くらいしかつけてねぇよ!」

賑やかな声の正体は、いつもの3人組だった。

「それは『体全体』に、でしょうか?」
「!?」

会話に夢中になっていた3人は、突然参入してきた椙下に驚いた。
369愛某 杉三? 2/3:2009/01/08(木) 22:39:57 ID:0K1uRrXrO
「コロンをつけるのは、初めてでしょうか?」

そんな様子も意に介さず、椙下が3浦に尋ねた。

「コロンだとよ…」
「きっと、チョッキもベストって言い換えるんでしょうね…」
「初めてですけど、何か?」

後ろでぶつぶつ言ってる2人を無視して3浦が答える。

「コロンはつけ過ぎてはいけません。少しでいいんです。例えば、手首の内側」

椙下は、左手で右の手首を指差しながら説明する。
3浦も、つられて自分の手首を指差す。

「それから…首のあたり」

そう言って椙下が、三浦の首筋をすっと撫でた。

「!!?」

突然のことに、触られた3浦だけじゃなく、後ろの2人も硬直した。
370愛某 杉三? 3/3:2009/01/08(木) 22:42:46 ID:0K1uRrXrO
「そして、耳の後ろ…」

そう言って、今度は耳元へ口を寄せようとした、が

「「う、わーっ!!」」

本能的に危険を感じたイタみと芹澤が2人を引き離した。

「雨京さぁ〜ん、何してんすか?こんなとこで」

丁度そこへ瓶山が来た。
椙下だけでなく、イタみ達もいることに気づくと「何やってんだ?おまえら」と、顔をしかめた。

「まあいいや。そんなことより、雨京さん。まだやること残ってるんですからぁ〜…」
「おや、そうでしたね。すいません」

何事もなかったかのように話す椙下と瓶山に、3人は完全に置いてけぼりをくらっていた。

「あぁ、そうだ。3浦さん」

最後にもうひとつだけ。と、口癖を言いながら、振り返った。
371愛某 杉三? 4/3:2009/01/08(木) 22:46:07 ID:0K1uRrXrO
「せっかくの贈り物です。ちゃんと使ってあげてくださいね」


角を曲がって、振り返って3人がいないことを確認すると、瓶山は椙下に尋ねた。

「あれ、3浦さんのだったんですか?」
「そうみたいですよ?」
「だって、あれ、嗅いだことありますよ。あれって…」
「…まぁ、あの人が自らつけることはないと思いますからね」
「ですよねー。でも…」
「意外ではありますね」
「です、ね」

2人は顔を見合わせて笑った。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
色々とごめんなさいorz
372風と木の名無しさん:2009/01/08(木) 22:48:33 ID:vol9vouUO
>>371
リアルタイムで遭遇!
初めてのカプだが、なんだこの気持ちは…!
これが……萌え……!?
姐さんGJでした!
373風と木の名無しさん:2009/01/08(木) 22:49:47 ID:AZROGBTt0
>>368
萌え転がった
ありがとう!!
374栄養素X 寄与受 「mosh!」 1/8:2009/01/08(木) 23:57:00 ID:DrpRTtn10
ベース×悪魔のつもりがただの悪魔受けになってしまった…
痴漢ネタだったりご都合主義なのでダメな方は逃げてください
ちなみにナ/ナ=舜です

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

日差しがジリジリと身体を焦がす、夏の暑い日。
夕方になっても太陽光は和らぐことがない。
…今日は舜率いるヴィジュアル系バンド、「ヴ/ィ/ス/コ/ン/テ/ィ」のライブ当日。
清/春は、別に舜のやっている音楽に興味があるわけではなかった。
ただ、退屈で、面白い事でもあればそれでいいだけ。それだけだった。
375栄養素X 寄与受 「mosh!」 2/8:2009/01/08(木) 23:57:45 ID:DrpRTtn10
アマチュアにしては広いこのライブハウスは、オールスタンディングだ。
…やがて照明が落ち、歓声がライブハウスを揺るがす。
ヴ/ィ/ス/コ/ン/テ/ィの登場。
と、同時に・・・
「うわ!」
雪崩れるように後ろから人が押し寄せ、その波に逆らえずに流される。
清/春は完全にモッシュピットに飲み込まれてしまった。
熱くて、苦しい。何だよこれ!!
それなのに・・・何故か、高揚した。
演奏が始まる。フロアが、揺れる。
無理矢理に乗せられて、それでも舜たちの奏でる音楽に侵されて、
嫌じゃない自分なんて…ありえない。
(こうなったら…とことん暴れてやろうじゃねェのぉ?)

オープニングから二曲目へ、ボルテージの上がるハイテンポな曲が続く。
後ろから押されて、前に寄りかかり、爪先立ちの状態になる。
辛いはずなのに、嫌なはずなのに。
こういうのも悪くはない。
会場の一体感がたまらなくキモチイイ。
(ヤベェよ、これは…)
376栄養素X 寄与受 「mosh!」 3/8:2009/01/08(木) 23:58:26 ID:DrpRTtn10
しっとりとしたバラードを挟んで、続いてのイントロは…一番人気の、アップチューン。
会場のテンションが最高潮に達する。
清/春も汗だくになりながら、拳を掲げ曲に合わせて飛ぶ。
楽しい…
そう、思ったとき。
(えっ?)
後ろから手が伸びてきて清/春のパーカーがめくり上げられる。
モッシュの熱狂感も合わせて、すぐには事態が把握できない。
為すがままに滑らかな腹を撫でられる。
曲はサビに入って、周りは皆狂った様にステージを見つめている。
誰も気付くはずは無い。
(…身動きが、とれねェ)
その手はするすると下に伸び、暴れた事で既にかなり落ちかけているボトムスを、
下着ごと下ろしてしまった。
「…!何すんだよ、テメェ!!」
ライブ用の大型アンプに周りの歓声や歌声。清/春の抗議の声などかき消されてしまう。
背後の男も臆することなく、清/春の双丘を掴み、そして…
「う…あああぁぁっ!」
内部に粘性の高いローションを注入すると、小さな器具を挿れる。
暴れようとしても、周りの熱気で全く動けない。
服を整えられて、男にぴったりと張り付かれたままで、清/春はどうしようもなくなってしまった。
377栄養素X 寄与受 「mosh!」 4/8:2009/01/08(木) 23:59:07 ID:DrpRTtn10
(気持ち悪い…早く、コレを何とかしねぇと…)
何度も抜け出そうとするも、後ろの男に阻まれる。
モッシュピットの熱気と、ライブの爆音と、…徐々に身体を蝕む快楽。
思考が奪われてゆく。
(何で、こんな…ナ/ナのライブなんて、来るんじゃなかった…)
ドラムとベース、低音の響きに恍惚とする。
ただ早く終わることを願う。

アクトが終わっても、解放されることは無かった。
モッシュこそおさまったものの、アンコールがかかり、
清/春は…息も絶え絶えの状態で男に寄りかかっていた。
性器は完全に勃ちあがり、涙を零している。
当然動ける状態ではない。
やがてヴ/ィ/ス/コ/ン/テ/ィのメンバーが戻ってきた。
MCをつとめるのはリーダーの舜。それを、清/春は焦点の合わない目で見る。
「みんな…今日はありがとう」
歓声が起こる。
「俺達の音楽…限界まで楽しんでるよな?」
舜が煽るほど会場は熱を上げてゆく。
「じゃあ…新曲いくぞ!聞いてくれ!!」
その時、何故か、目が合ったような気がした。
378栄養素X 寄与受 「mosh!」 5/8:2009/01/08(木) 23:59:48 ID:DrpRTtn10
新曲はbpmの速い、どこかダークな曲。
エロティックなボーカルに合わせてベースがうねる。
…それを聞く余裕は清/春には無かった。
さっき舜と目が合ったときから…おかしい。体内で道具が蠢いている様な気がする。
それはまるで、清/春の身体に馴染もうとするかのように…
「う…あぁ…」
周りに支えられていなければ立っていられないだろう。
射精していないのに、何度も何度も絶頂感が襲い掛かる。
あまりの快感に涙が流れた。
(もう…ホント、ヤベ…)
清/春の意識が途切れる、その直前。
379栄養素X 寄与受 「mosh!」 6/8:2009/01/09(金) 00:00:25 ID:DrpRTtn10
突然後ろの男が居なくなった。
倒れそうになる清/春の腕を誰かが引っぱり上げ、モッシュピットから連れ出す。
「…カ/ベ」
「大丈夫か?清/春!」
「……」
「とりあえず裏へ行くぞ」
肩を担がれて、何とか裏へ向かう。
「お前に…その、悪戯していたやつはhajimeが表へ連れて行った。今頃は…」
それならそいつに命があるかどうか怪しい。
「とにかく…Emergencyだ。悪く思うな」
楽屋のソファーに横たえられて、ショートパンツと下着を下ろされる。
その刺激だけでもかなりマズい。
「カ/ベっ…見るな、声も聞くんじゃねェ」
「見ないとどうなっているか分からん」
ひくひくと性器が痙攣する。見られていると思うと死にたくなる。
さらに足を持ち上げられ、後ろまで丸見えになる。
「これか…清/春、力を抜け」
「無茶、言うな…あああっ!」
ぬるりと玩具を抜き出され、清/春はまた達した。
解放を求めていた白濁が顔にまで飛ぶ。
そこまでで、清/春の意識はブラックアウトした。
380栄養素X 寄与受 「mosh!」 7/8:2009/01/09(金) 00:01:01 ID:DrpRTtn10
「……」
どうして自分は、こんなところで寝ているんだろう。
気が付くと、心配そうに見つめる舜の顔があった。
「仙/道…」
「…んなシケたツラしてんじゃねーよ。ライブ成功したんだろ?
まっ、オレ様的には超つまんねーけどよー」
「…悪かった。オレがもっと早く気付いていれば、こんな…お前に…」
……。
「なーにマジになっちゃってんの?オレ様がこの程度でへこむと思ったら大間違いだぜ!!」
「仙/道…お前、気付いてないのか?」
何いってんだ、ナ/ナの野郎?
「…泣いてるぞ、お前」
「ハァ?」
気付かなかった。本当に。何で、オレ様が、ここで泣くんだ?
「…これは、別に」
舜は一つため息をつき、立ち上がる。
「今度からは裏で見ろ。絶対だ」
「いやだね」
「何ッ?」
「だって、裏からだったらナ/ナの間抜け面が見えねーじゃん?
そーれーにーぃ、今回みたいな事になっても、すぐに気付いてくれんだろォ?」
「…本気で心配したオレがバカだった…」
381栄養素X 寄与受 「mosh!」 8/8:2009/01/09(金) 00:01:44 ID:DrpRTtn10
その後も、清/春は懲りずにモッシュピットに突っ込んで行って舜をヒヤヒヤさせた。
さらにダイブを覚えて出入り禁止になるのは…もう少し後のことである。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ありがとうございました。
地の文をナナにするか舜にするかで困りました…
382風と木の名無しさん:2009/01/09(金) 00:42:43 ID:niFEkqPcO
>>317
超亀ですがd
ついさっきEND6を迎えた自分には感涙モノでした!
383風と木の名無しさん:2009/01/09(金) 07:07:39 ID:Ks7VM3ehO
>>371
姐さんGJ!
ベストで吹き出してしまいながら萌えたよ
384イタズラ1/3:2009/01/09(金) 19:07:15 ID:D1DOc63S0
お邪魔します。ナマモノ注意!
54歳のおっさん‘sです。Girlらしいよ!


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


それはいつもの軽口だった。

コンサートの合間のMC。ほんの繋ぎで、意味のない会話。
「真ん中さん。本当に、気をつけて下さいよ。あなた一人の身体じゃないんですから」
眉間に皺を寄せて、まんざらでもなさそうに左が言うものだから、少しからかってみたくなっただけだ。
「そうなの?じゃ誰の?」
上目使いで聞いてみる。
「…はい?」
「だから!俺のじゃなきゃ、誰の身体な訳?」
左は、ぐっと言葉に詰まり。
「…っっ。み〜んなのですよ!!」
サングラスに隠れた瞳が泳いでいる。ぷぷっ。可愛いなあ。
それで満足して、そしてすっかり忘れていた。
385イタズラ2/3:2009/01/09(金) 19:08:27 ID:D1DOc63S0
コンサートも無事終了し、疲れ果てて楽屋へと向かう。
今年も良い一年だった。
ほくほくと、心が満たされる。
心地よい満足感で幸福だ。
「ご機嫌だね。真ん中」
背後から、疲れきって掠れた左の声。
振り向かずに、ゆっくりと後ろに重心を傾ける。
「…っと。危ないだろ。バカ」
トンっと左に背中を預けて、くすくす笑いながら瞳を閉じる。
左のため息が、髪をくすぐる。
「なぁ?」
「…ん?」
386イタズラ3/3:2009/01/09(金) 19:09:19 ID:D1DOc63S0
半分眠りそうになりながら、返事をする。
背中の温もりが心地いい。
「…お前…本当に、この身体が誰のモノか知りたいか?」
「……!!……」
そっ…その無駄に良い声でっっ、みっ…耳元で囁くなっっ
眠気も吹っ飛び、耳を押えて飛びすさる。
「なんつって♪」
鼻歌を歌いながら去ってゆく背中に、思いっきり脱力した。

ひ〜だ〜り〜ぃ〜。覚えてろよ!!


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

なんて事が、あったらいいな…
新年早々、スミマセン。
387風と木の名無しさん:2009/01/10(土) 22:21:01 ID:BSUExfwn0
>>381
かかかネ申…GJGJGJ
ここで寄与受見れるとは思わなくて泣いたw
388カラ兄  スルメ×次男:2009/01/11(日) 00:41:19 ID:1tI4dyB60
お邪魔します。
衝動のままにドスト・F・スキーの兄弟物語から、4th×2nd。
いや、ナマじゃないですw

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
                 …チョットナガイカモ
389カラ兄  スルメ×次男:2009/01/11(日) 00:43:47 ID:1tI4dyB60
 意識が戻ったのは、突然だった。
「…う…」
 頭が、ガンガンと痛む。霞む目を擦ろうとしたが、腕は動かない。背で、括られている。
 尻の下の固い感触と、埃っぽい空気が、人の出入りの無い部屋を思わせる。少しずつ鮮明になる
意識をめぐらせ、状況を探った。
 …今日は、兄の裁判の日だったはずだ。出かけようとした時、一通の手紙に呼び出され、愛着など
微塵も無い生家に足を向けた。人気の無い屋敷内を歩いていた時、背後に気配を感じた。
 振り向こうとして、後頭部に衝撃を感じ…そしてここにいる。
 殴られたらしい頭部がまだ鈍く痛む。
 ―ここはどこだ。
 目の前の床の一部。僅かに、茶色く変色した染みが見える。
 ―父の血か…?
 ここは、兄に殺された父の寝室だ。
 目眩を警戒しながら、体を前に倒してみる。肩がぎしりと軋み、痛んだ。腕は寝台の脚に括られている。
立ち上がることは不可能そうだ。ここに来るまでの道には、雪が積もっていた。温められていないこの部屋は、
少し冷える。
 眼鏡は、殴られた時に飛んだらしい。不便というほどではないが、いつも肌にある感触が無いと言うのは、
不思議に落ち着かない。
 自分にこんな事をして得になるやつは誰だ?兄の裁判の日に、大した証言も持っていない自分を拘束して
喜ぶ人間は誰だ?
 あれこれ考えていたところ、正面のドアがギィーッと乾いた音を立て、開く。
 その奥から、一人の若い男がゆらりと顔を覗かせた。自分を見下ろし、その乾いた口角を吊り上げる。
「…きっと、来て下さると思っておりましたよ…イワン様」
「…スメルジャコフ…!」
 父の、使用人。自分を呼び出したのはこの男だ。
 スメルジャコフは、彼特有の、あの自分の顔色を伺うような上目遣いでひょこひょこと部屋に入ってくる。
顔を合わせるたび、異様なほど馴れ馴れしく自分に媚びるこの小男が、また同じ目をして自分を熱っぽく見つめて
いる。イワンは警戒した。
「…どういうつもりだ。何故俺を呼び出して…」
390カラ兄  スルメ×次男:2009/01/11(日) 00:46:56 ID:1tI4dyB60
 スメルジャコフは深深と頭を下げた。いつも彼が自分の仕える人間にそうするように。
 20数年、しっくりと染み付いた使用人の見本のようなお辞儀だった。そして、言った。
「これで…旦那様の…フョードル様の遺産…そして、カテリーナ様も。全てが貴方様の物になります」
 妙に粘っこい口調だった。言いたいことはわかる。だが、この状況はイワンには理解できない。
「だから、これはどういうつもりだ。人を呼び出しておいて」
 恭しい態度で、スメルジャコフはイワンを見下ろしている。イワンの脳裏にふと疑問がよぎった。そもそも
スメルジャコフは、また発作を起こして倒れた筈だ。床に臥せっていると聞いていた。
「仮病だったのか…?」
 その問いに、スメルジャコフは微笑んだ。また、口元が吊り上がる。
 かすかな苛つきを感じながら、イワンは目の前の使用人を睨み付けた。腕を動かすと、不自然に引っ張られた
肩がぎしり、と軋む。
「これを解け」
「まだ、駄目です」
 イワンの端整な顔に怒りが上る。こんなばかげたことに付き合う時間も暇も無い。その怒りを感じ取ったのか、
スメルジャコフは取り繕うような猫なで声を出した。
「私の尊敬し、敬愛するイワン様…貴方様だけに、あの日、本当に起きた事をお伝えしたいのですよ」
 本当に起きた事?どういう事だ。イワンは眉を顰めた。
「真実だと?親父を殺したのはミーチャだろう?」
 だが、スメルジャコフは首を横に振った。ゆっくりと。
「ドミトリィは…あの男はフョードルを殺してはおりません」
「何だと!?」
 愕然としたイワンの前で、スメルジャコフはあの夜の事を語り出した。

 ―あの夜、恐ろしい衝動に駆られたドミトリィは確かに屋敷へ来た。手に硬い棍棒を持ち、父、フョードルの寝室の窓まで。
 そして、スメルジャコフを脅して得た合図。グルーシェニカがフョードルの部屋へ入るための合図を使って、父を騙した。
 だが、駆けつけた執事のグレゴリーに阻まれ、ドミトリィの振った棍棒はグレゴリーの頭を直撃した。
 倒れたグレゴリーの頭から流れる血を見て動転したドミトリィは、その場から逃げ出した。
391カラ兄  スルメ×次男:2009/01/11(日) 00:50:21 ID:1tI4dyB60
 そして、スメルジャコフはフョードルが無事なことを知り、フョードルを殺害した。ドミトリィがするはずだった様に。
 グレゴリーは生きていた。ドミトリィを目撃し、ドミトリィに殴られ、ドミトリィが犯人だと確信したまま…。

 スメルジャコフは、それだけを語り終えた。
 イワンの顔から血の気が引いていた。それでは、父を殺したのは兄ではなかったというのか。自分の呼吸が
震えるのを感じながら、イワンは何とか言葉を絞り出した。
「だが、父の持っていたあの金は…」
 父の枕元からは、3000ルーブルの金が消えていた。それは、父を殺したミーチャが奪って逃げたと、自分は
そう聞いている。金を奪う動機もあった。そして逮捕された時、ミーチャが実際に金を持っていたことも。
「それなら…」
 満足そうな笑みで、スメルジャコフは懐から札を取り出した。
 目の前で語られ、起こっている信じ難い事実に呆然としているイワンの前に座り込み、僅かに乱れた襟元に
手を伸ばした。
「何をする!」
「この金は貴方様の物です」
 懐に金を入れようとするスメルジャコフの手を、イワンは身を捩って避けた。
「やめろ!」
 拒否を受け入れないスメルジャコフの手から逃れようと、イワンは自由になる脚を振った。
 蹴飛ばされ、尻餅をついたスメルジャコフはポカンとした顔で、息を荒げているイワンを見つめている。
撥ね付けられた札がひらひらと埃っぽい床に落ちた。
「何故…拒むのです?」
 当然の事をしたまでだ、というスメルジャコフを睨むイワンの顔は怒りに染まっていた。
「そんな金など誰が受け取る!?父を殺して…お前は一体何のつもりだ!」
 イワンの怒りに、スメルジャコフは困り果てたようにおそるおそる立ち上がった。神経質にズボンの埃を払い、
伺う様な目でイワンを見る。
「私はただ…イワン様、貴方様のためだけに…」
「ふざけるな!」
 激しい怒声にスメルジャコフが怯んだ。イワンは更に声を荒げた。
「そんな…金や女を目的に人を殺して…そんな事、俺は認めない!許せるわけがない!ましてやそんな風に奪った
金など!」
 だがその言葉に、スメルジャコフの顔にあった困惑が皮肉っぽく歪む。
「殺せ、と言ったのは貴方様なんですよ?」
392カラ兄  スルメ×次男:2009/01/11(日) 00:51:18 ID:1tI4dyB60
 何を言っているんだ?この男は。
 自分が?父を殺せといった?一体いつ?
 この男は、頭がおかしい。イワンがそう確信した時、スメルジャコフははっきりとイワンの目を見て、言った。
「貴方様の心がそう言ったのですよ」
 底冷えのするような目の光だった。
「私が一番愛しているのはイワン様…貴方様。だから私には貴方様の望みがわかった…カテリーナ様と財産とを手に
する貴方様の望みが…だから私は貴方様に代わってフョードルを殺し、ドミトリィに罪を着せた…全て、貴方様の
望んだことです。二匹の毒蛇が共倒れになるのを望まれたのは…」
 頭が冷たくなるような感覚だった。その言葉の全てをイワンの感情が激しく拒否する。
「違う…違う!違う!!」
 搾り出すような叫びだった。
「どうして…どうしてお前が…!」
 ―父を殺した―。
「私は、貴方様のためならどんなことでもします。イワン様は私の救世主だ…私と同じ、いや、私が信じたいと
思っていた言葉を、私に投げかけて下さった」
 ―この世に神などいない。神の罰など存在しない。全ては許されている―
「その言葉に、私がどれだけ救われていたか…」
「だからって…どうして父を…!」
 涙声になる。
 言葉を続けようとしたイワンの声を、スメルジャコフが遮った。
「…フョードルは殺されて当然だ!人間のくずだ!」
 血走った目で叫ぶ。両脇で握り締めた貧相な拳がぶるぶると震えている。浮き上がった血管が切れるのでは
ないかとイワンはふと思った。
「あの男は、私を決して認めなかった…道具のようにこき使い…汚い言葉を投げかけ…私だって、私にだって、
こんな貧乏くじを引かなければ、貴方がた3兄弟と同じ権利があるのに!」
 こんな状況ながら思わず笑いが漏れた。イワンは戸惑いを含んだ笑いをスメルジャコフに向けた。
「俺達兄弟と同じ権利だと!?使用人の分際で…!お前は何を言ってるんだ?」
「私だって…貴方様のように与えられ、学ぶ権利があった」
「笑わせるな!」
 冷酷に言い放ったイワンを見つめるスメルジャコフの目は、どこか哀れむような色さえ帯びていた。
「…イワン様は、消えた女の噂をご存じないのですか?」
「…?」
393カラ兄  スルメ×次男:2009/01/11(日) 00:53:07 ID:1tI4dyB60
 スメルジャコフは、静かに語り出した。20数年前、この町を放浪していた女の事を。
 出自もわからず、名前も知らず、子どもの頭しか持っていなかった女。町を徘徊し、眠くなれば道端や草むらで
夜を明かしていた。
 そんな野良猫のような女を、ある日面白半分に慰み者にした男がいた。町一番の好色家で、成り上がりの貴族。
 フョードル・カラマーゾフ。
 女は、その結果としてフョードルの屋敷の納屋で赤ん坊を産み落とし、死んだ。

 話が進むに連れ、イワンは心臓が嫌な鼓動を強めるのを感じていた。恐ろしい予感が、少しずつ形になっていく。
「その子は…子どもはどうなった…」
 してはいけない問いかけが口を付いて出た。声は、震えていた。
 思考が噛み合わない。予想できる答えを、頭が拒否しているようだった。
 スメルジャコフの口が恐ろしく緩やかに笑みを形作る。
「…目の前にいるじゃないですか…」
 ぎらぎらとした、光。その目線が、これが茶番でも何でもない事実なのだと語っていた。
 スメルジャコフは、一歩一歩、確かめるように踏みしめながらイワンに歩み寄る。
「やっと言える…」
「や…やめろ…来るな…!」
 後ずさろうとするが、寝台に縛り付けられた体ではどうにもならない。必死に身体を捻りその視線から逃れようとする。
 スメルジャコフの手が伸びて、イワンの肩を掴んだ。顔を背けたイワンの耳元で、粘つくような声が、言った。
「私の…兄さん…」
 頭が冷たくなる。スメルジャコフの声は震えを含んでいた。歓喜の、戦慄きだった。
「神など信じない…兄さんが私の救世主だ」
 スメルジャコフが離れたのを感じ、イワンはそろりと視線を戻した。目の前で、少し屈んだスメルジャコフが、
もそもそと自分の質素な服を緩め、それを露にしていた。だらりと垂れた、己自身。
「何、を…」
 イワンの見ている前で、スメルジャコフは自らのそれをゆっくりと両手で包み、上下に擦り始めた。
 その目は、真っ直ぐにイワンを捉えている。そして、笑っている。イワンの背筋に言い知れぬ悪寒が走った。
 その視線から逃れたい。
「俺を見るな…」
 スメルジャコフは座ったイワンを跨ぐように立った。さっきのように蹴り飛ばしてやろうか。イワンは身構えた。
だが、膝が震える。
394カラ兄  スルメ×次男:2009/01/11(日) 00:54:20 ID:1tI4dyB60
「どうして拒むんですか…」
 視線から逃げ、目の前のその光景を拒むようにイワンは硬く目を閉ざした。長い睫が微かに震える。
「私も、兄さんと同じカラマーゾフなんですよ…」
 のろりと伸びた片手が、イワンの髪を掴んだ。
「俺に…触るな…!」
 首を振って逃れようとしたイワンは、頬に当たった生暖かい感触に身体を硬直させた。
「…っ…!」
 スメルジャコフは、昂り始めたそれをイワンの頬に押し当てていた。
「私の救世主。私に兄さんは汚せない…誰にも、あなたは汚せない…だからこそ、愛して止まなかったんだ…私を許し、
認めて下さるただ一人の兄さんを…」
「俺はそんな事望んでいない!」
 頬に当てられたそれが、スメルジャコフの手の動きも、恐らく膨れ上がっているであろう快感も、全てをイワンに伝える。
「兄さんが望んだのですよ。フョードルの死も、ドミトリィの失墜も…殺したのはあなたの殺意。私は喜んであなたの化身になった」
「黙れ!」
 血を吐くような叫びだった。
「お前が父を殺したのは、個人的な恨みじゃないか!お前と俺は違う!」
「同じです…同じなんですよぉ…!」
 スメルジャコフはますます息を荒げる。恍惚すら含んだ叫びが笑いに変わり、先端から溢れ始めた液体がイワンの顔を濡らす。
「やめろ!!」
 髪を強く掴まれ逃げ場の無いイワンは必死に濡れていく顔を背ける。スメルジャコフはイワンの頭を抱え込むように
して一層激しく自らを追い立てた。
「ほぉら!兄さん!見てくださいよぉぉぉ!!私にもあなたと同じ血がぁぁぁぁ!!」
 ―狂っている。
「兄さんだって…同じですよ…」
 ―俺も、同じ。
 その静かな言葉に、自分の中で絡んでいた何かが、少しずつ解けていくような気がした。
 目の前で、白い光が弾けた。

395カラ兄  スルメ×次男:2009/01/11(日) 00:55:32 ID:1tI4dyB60
 スメルジャコフは、大切な硝子細工にでもに触れるように恭しくイワンの腕を縛る縄を解いた。イワンは、何の抵抗もせずに
うなだれていた。
 頬をぬるりと伝う汚れを拭いもせず、呆然と中空を見つめ、その薄い唇は微かに震えている。
 スメルジャコフは、持っていたハンカチを引っ張り出し、イワンの顔を汚す粘質な液体を丁寧に拭った。一点の汚れも、
あってはならない。顔を拭う布にも、時折肌を掠めるスメルジャコフの指先にも、イワンは反応を示さない。やがて作業を終え、
汚れたハンカチを放ったスメルジャコフの手が、イワンの乱れた前髪を整える。
 イワンが、掠れた様な声で何か呟いた。それを聞き取ろうと、スメルジャコフはイワンの口元へ耳を寄せた。
「…ミー、チャ……」
「何ですって?」
 イワンが呟いているのは、兄の名だった。親殺しの罪を着た兄の名。イワンが微かに顔を上げる。
「ミーチャは、無罪だ…俺は、行かなきゃ…」
 イワンはよろけながら立ち上がった。そのままドアへ向かおうとする。スメルジャコフは慌ててそれを引き止めた。
「お願いです…ここにいてください。そうすれば、何もかもうまくいきます。全てが兄さんのものになるのです」
 だがイワンの目に、目の前の男は映っていない。
 必死に止めようとするスメルジャコフを押しのけ、散らばった札を誇りと一緒くたに踏んで、イワンは部屋を出て行った。

 外の空気に冷やされた冷たい窓の内側から、スメルジャコフはイワンの消えた道を見つめた。薄灰色に広がる空。
 雪の積もった小道に、少し乱れた足跡が長く尾を引いている。
 スメルジャコフは、自分の中にある感情を、彼独特の几帳面さで並び替えた。
 崇拝する思想、自らの中の神に尽くして、私はあの男を殺した。
 しかし、私は失った。失ってしまった。私の救世主を。私の全てを。私の血を。
 
 ―主人を失っては、生きてはいけない―





□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
396風と木の名無しさん:2009/01/11(日) 02:00:36 ID:8TPmtgqM0
乙!
今丁度読んでたところだったからすごい萌えた
397風と木の名無しさん:2009/01/11(日) 06:23:21 ID:OX01UHWl0
>>395
あの…面白かったけどネタばれ注意はしといてねー
398風と木の名無しさん:2009/01/11(日) 13:52:44 ID:xZSHtFL/O
>>384
GJ…!萌えた!
399風と木の名無しさん:2009/01/11(日) 14:11:47 ID:Lyd6Kh+tO
395乙
萌えた。
ち、ちょっとカラマーゾフ読んでくるわ。
400風と木の名無しさん:2009/01/11(日) 14:42:30 ID:vxDE90fd0
>>384
姐さんGJ!
新年早々萌えたよ。

401B/B・31×ド荒:2009/01/11(日) 16:55:05 ID:SPVGXw3B0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
球/団益子ット  北の熊B/Bと竜31と有袋類(ド荒)です。
B/Bを某動画厨にしてしまいました。すいません。
シーズン中に書いてあったのですが規制で書き込めず、ずいぶん古いお話しになってしまいました。
某日、神/宮での実際の様子より。
唾くろうの友情出演あり。しかし初書きのため偽物臭いです。すいません。
402B/B・31×ド荒 1/3:2009/01/11(日) 16:55:42 ID:SPVGXw3B0
最近ネットで動画を見るのが趣味のB/Bです。こんにちは!
忙しいから時間がある時だけね。僕の動画をはじめ、いろんな益子ットの動画をチェックしてるよ〜
ド荒君と31番の彼の最近もチェックできるから動画って素晴らしいよね。



今日はこの動画を見てみようか。

……
あれぇ?いつのまにこんな若い間男が…
相変わらず名古屋の国ではかわいいド荒君と31番の彼が仲良く喋っている…と思ったら。
ド荒君と彼の間に入ってド荒君にべったりくっついてる8番の男の子が居た。
今までも4番の彼や24番の彼とか他にもいっぱい居たけど、ここまでべったりな子は初めてだな〜
31番の彼は定位置に座ったまま、話しに加わる事もないみたい。
だけど時々ド荒君が話の合間に声(ジェスチャーでね)かけたりして。31番の彼とも話したいの丸わかり。悔しいね。
31番の彼もその時は一言二言返してるみたいだけど、何か変な空気〜
よそよそしいっていうかさ〜なんていうか…お互いの気持はわかりきってるけど素直になれない小学生みたい。
じれったいなぁ。僕みたいに紳士的に押し倒せばいいのに。
8番の子かわいいなぁ。ねぇねぇ見て見てってお子ちゃまみたいにくっついてる。不思議だなぁド荒君がちょっとお兄さんに見えるよ。
意外とスキンシップ多いし、これ、あれじゃない?ワンコ系っていう続柄にいる子じゃない?
怖い怖い。こういう断りにくそうなかわいい子相手だと流されそうだよねド荒君て。
ま、見た所この子はド荒君に対してそういう感じでは無さそうだね。
31番の彼、つまんなそう。ふーん。
駄目だよ〜素直にならないと。人と人はすれ違うよ。人とコアラだってすれ違うと思うよ。
でもこの場合お互いわかってそうだから心配はいらないだろうけどね。ああ悔しい。
じれったいなぁ。そうだなぁ僕がこの場に居れば…うーんとやきもち焼かせて、ド荒君を引っ張って行ってあげるけどね!

しょうがない。今度神/宮行くらしいし、唾くろう君にメールしとこうか…
403B/B・31×ド荒(友情出演・唾くろう) 2/3:2009/01/11(日) 16:56:39 ID:SPVGXw3B0
というわけで、ど荒せんせいが〜じん/ぐうに〜きた〜!
きのうび〜/び〜からめ〜るがきたから、きょうは、いけめんも/りのくんと、ど荒せんせいとのなかをとりもつんだぬ。でへへ。
まずはど荒せんせいに、ふく/ちくんのしょうかい!あっふく/ちくんまで、せんせいに、ちょっかい!!?ぼく、ちょっと、しっと!!
「ど荒せんせい。いちばん、なかよしのせんしゅを、しょうかいして〜。いば/ちん、じゃないよ!?」
おう、こいよみたいなじぇすちゃ〜で、さっさとあるきだした、ど荒せんせい。
いくさきには、31ばんの、かれ!やった〜〜〜〜〜!!!!!
ど荒せんせいったら、まっすぐむかうんだもん、ちょっと、てれちゃった!!
(おいこら、おいも/りのてめえ、こいつ唾くろうっていうんだよばか。)
みたいなかんじで、唾くろうを、しょうかい!てれかくし!
「どーも。」
どーも!って、あっあら/きくんが、わってはいってきた!きょうも、いけめんだね!

も/りのくんとは、あんまりしゃべれなかったけど、やくめは、はたしたきがするからいっか〜〜〜!!!

ちょっと、とおくから、みまもってみようっと。
すっかり、ふたりのせかい・・・。
ど荒せんせい、も/りのくんのそばを、はなれない。でも、も/りのくんのほうは、あんまりみない。ふふふふっ
も/りのくんは、ど荒せんせいを、みてるよ・・・。ど荒せんせい、きづいてる?
ときどき、ちらちら。じれったいな〜。ぼくとふく/ちくんだったら〜・・・・・でへへ。
404B/B・31×ド荒(友情出演・唾くろう) 3/3:2009/01/11(日) 16:57:13 ID:SPVGXw3B0
ど荒せんせいがいがいと、しゃいだから、も/りのくんのほうから、いっぱいはなしかけてあげなきゃ、だめだよ〜。
も/りのくんも、しゃいっぽいけど!
ど荒せんせいのうしろに、かわ/いこ〜ちが〜きた〜!
あっど荒くんのだいじなしっぽを、ぽいん、てした!も/りのくん、それみて、えがお!
おお・・・かわ/いこ〜ちがつくってくれた、きっかけで、さんにんで、おはなし。
(みんなおれを、かめらでとってる。みんな、おれめあて)
なにいってんだ、このばかは。みたいな、かいわとみた!
ど荒せんせい、うわさにはきいてたけど、てんぐじゃ。てんぐのしわざじゃ〜〜〜〜!!
(ほらも/りの、しきゅうしきはじまるぞ。なに、のろのろしてんだ、はやくこい!)
も/りのくん、さりげなくばっとでど荒せんせいを、おうだ!ど荒せんせい、おおげさに、いたがる!
いいな〜。ぼくも、ふく/ちくんのところ、いこうかな〜。って、もうげ〜むが、はじまるんだった・・・・・。

よし、び〜/び〜にほうこくの、め〜る、そうしん!!


喜びの報告メールが来ちゃったよ。
まったく、世話が焼けるよねぇ。
なんで僕がライバルに力をかさなきゃいけないんだろ。
ま、でも、ライバルはライバルらしくしていてほしいよね。
そうじゃなきゃ勝った時の喜びも少ないからね!
さて、今日もちょっと時間が空いたから動画でも見ようかな〜。
ん?始球式??あら、いっぱいあがってる…。


…みなさん、さすがだよねぇ。
405B/B・31×ド荒(友情出演・唾くろう):2009/01/11(日) 16:58:38 ID:SPVGXw3B0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
406風と木の名無しさん:2009/01/11(日) 19:58:32 ID:0zgKfuYl0
>>388
某過激団見に行ってたからフイタw
でも萌えたよ。GJ!
407外側の世界 7:2009/01/11(日) 22:05:16 ID:SHtqpDSm0
>>217 つwづwいwたwww
死神の独り言。関西人出てきません
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
408煙草一本分の問題 1:2009/01/11(日) 22:06:57 ID:SHtqpDSm0
それは、感覚としては知らない物ではない。
が、赤木はそれに名を付けた事がない。だから少しだけ戸惑う。
唇が触れた。その程度の現象に何と思うこともない。不意討ちに多少驚きはしたが、ただの冗談だ。
たとえその先の行為でも動揺を誘うには足らないだろう。
では何故、それを返してやりたいと意地になった?

赤木は少し、困ったように眉をひそめた。
ずっと避けてきた。命が続いたならば、この先も何かに深く心を通わすことを避けただろう。
この数十時間の異常な環境の中でさえ、他人よりも勝利という結果に心を注いだ。それなのに。
いや…その中で何か自分が変化したのかもしれない。
世の中は不変ではない。目まぐるしい程。自分も所詮はその一部なのだから、絶対に微動だにしないと言い切るのはあまりに陳腐な考え。
とは言え、単なる仲間に強く心を囚われるなんて経験がない。今までも…
…仲間?

そんなもの、今まで居たか…?

根本的な疑問に自分で失笑する。
背を預けるような“仲間”なんて知らなかった。
自惚れだと言われても、共に戦ったとしても仲間などではない、いつだって自分は共闘した者より優っていた。
409煙草一本分の問題 2:2009/01/11(日) 22:12:58 ID:SHtqpDSm0
そしてまた…自惚れだと言われても構わない、自分達は信頼のおける“仲間”であった。
下らないとは今なら思わない。
ただの賭けとしては分が悪すぎるあのギャンブル――…
…とにかく託した、無責任に、なんとかするだろうと信頼した。勝てると信じた。

…初めての“仲間”とやらに、舞い上がっている……そんなところか…

客観的に自分を見下ろせばそう難しくはない。半分を切った煙草が少々惜しいくらいだ。
そして八鳥と言う特定人物に引っ掛かっている理由。

…単に…そう、気に入っているから…だ。

よく回る筈の頭は、ようやっと一本分もかからない簡単な答えを弾き出した。
偽りない言葉で、あの状況下で、自分に言葉をかけてくれた。
自分は無線機越しでさえ余計な言葉を割いたくせに、その言葉が心を打ったのだ。
…そういうことだ、と煙草を地面に落とす。

しかしすぐに溜め息のようなものを静かに吐き出した。
結局何に一番戸惑っているのかといえば、そんなありふれた一瞬の感覚に名を付けようとしている自分に、だ。
共闘の喜びや言葉が嬉しかった、そんな表現ではなく。八鳥がした悪戯にまで理由を求めようとしている。
理由もなにもあるものか。冗談と分かっているのにも関わらず…
それは何故?

ざり、と地面で火花を散らす。
どうやら一箱かかっても答えは出ないようだとぼんやり考えていた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
随分人間くさい死神。家庭菜園並みの自給自足で申し訳。
410風と木の名無しさん:2009/01/11(日) 23:29:01 ID:lag5I1Gp0
>>401
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
おおおお久しぶりに読めてすごい嬉しいっす
間男8番www
最終試合近くの二人と一匹の奇妙な空気とか萌えてましたw
唾と不区地くんは言うことないっす。GJ姐さん!
411388:2009/01/11(日) 23:41:50 ID:pxnw1WFF0
>>397
ご指摘ありがとうございます!
確かに、ネタバレ注意しとかないと駄目ですよね…。
本当にすみません!
412天気のヒーロー 青×赤 1:2009/01/12(月) 00:48:35 ID:+0RoPYbe0
某太陽のヒーローアニメにて雨のヒーロー(というかホスト)が出てきたので、
つい妄想が暴走してしまい一気に書き上げてしまいました。
自家発電な青×赤ですが、同じ青×赤好きに届くと嬉しいです。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「仲間だったから信頼されてるって事なんだろーけどよ、ちょっとは警戒してくれよな」
赤いマスクを二割増し程度いつもより赤くして、気持ちよさそうに寝息をたてている赤を見て青は苦笑するしかなかった。

青のマンションで赤と青は思い出話に花をさかせつつ飲んでいたのだが、赤が静かになったと思ったら酔いつぶれていた。
足元に転がる酒の缶や瓶の量からみて二人はかなりの量を飲んでいた事が分かる。
赤の名誉の為に言っておくが赤は酒が弱いわけではない、青がホストという仕事上、赤よりも飲みなれているのだ。

いつまでも床に転がしておくわけにはいかないので、青は意趣返しと称して赤をお姫様抱っこでを寝室へと運ぶ。
そしてそっと寝台に寝かせ、自分は寝台に腰をかける。

自分よりも小さい赤とはいえ成人男性を軽々と抱きかかえスマートにやってのけるあたり、ホストをやっているとはいえ彼もまたヒーローだった。
413天気のヒーロー 青×赤 2:2009/01/12(月) 00:49:49 ID:+0RoPYbe0
赤は傍若無人であったが憎めない男で、人を惹きつけた。
なんだかんだ言いながら怪人達と仲良くやっており(上司の方針というのもあるのだろうが)、同じヒーロー達からも好かれている。
青はそんな赤が気に入らなかったが、解散してみると赤の周りの奴らが気に入らなかったという事に気がついてしまった。
しかし、その気が無くても惹きつける赤をタチの悪い『嫌な奴』だと青は思う。

太陽に焦がれ空を見上げる者達からの視線を遮る様に、雨雲は空を覆い太陽をすっぽりと隠す。
全て遮ってしまえば太陽が見つめる事ができるのは雨だけ。
そんな独占欲を。
「……お前が俺の気持ち知っているわけねーよな」
一時は忘れようとしていたが、声を聞いて、再会した事により想いはより強固なものへと変貌していた。
青は赤の耳に触れるか触れないかギリギリまで口を近づけて常連の女の子達に囁くような、否、それ以上に甘く。

「俺だけしか見えないようにしてやる」

そのままそっと耳に口付ける。


この時青は気がついてなかった。
二割り増し程度赤かったマスクが更に赤くなっていた事を!!

(……ば、馬鹿野郎っ……///)


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
414義羅義羅 冬麻×悠樹 1/11:2009/01/12(月) 01:25:19 ID:QBGPwJqB0
義羅義羅4話で冬麻×悠樹。陵辱シーンとエロがありますので、お嫌いな方はスルーお願いします。
注意:視点がころころ変わります。連投規制にかかってしまったら、ご遠慮なく次の投下をしてください。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

冬麻。
俺の同期で一番の親友で一番のライバル。
店で俺は営業用の笑顔を貼り付けて、偽りの恋をささやく。
嘘で固めた俺とは対照的に、冬麻の笑顔はいつも本物だ。
本物な分むらがあるけれど、表裏の無い冬麻に癒される客は多い。
端正な顔立ちに、黄金の髪の色そのままに明るく熱く激しい気性を秘めた、きらきらと輝く瞳。
完璧なマナーを身につけた紳士的なエスコート。
年上の上客が多いのも頷ける。
わずかの差で上回っても、いつも背中に冬麻の存在を感じている。
負けたく無い。認められたい。俺たちは、一番身近でいつも張り合っていた。
俺たちの巣、凜区が変わってしまうのが嫌だった。
だからこそ、あんな裏切りをしでかしてしまった。

*

悠樹の接客は気配りが細やかで、とにかく甘い。
整った綺麗な優しい顔に、ゆるくウェーブのかかった髪をはらりと垂らし、いつも客の目を真正面から見つめる。
あいつの目力は半端無い。その目で見つめて、甘い言葉をささやく。
普通なら歯の浮きそうな台詞でも、あいつが口にすると媚薬のように客の目がとろけていく。
お祭り騒ぎの俺と違い、女を酔わせるのが格段に上手い。酒ではなく、あの目で。
同期なのにいつも涼しい顔で上を行く。
表には出さないけれど、内に秘めた上昇指向はかなり強い。
そんなところも含めていつか抜いてやると、そう思っていた一番身近な目標だった。
俺の戦友。あいつもそう思っていたはずだった。
だからこそ、悠樹の裏切りは許せなかった。
415義羅義羅 冬麻×悠樹 2/11:2009/01/12(月) 01:26:08 ID:QBGPwJqB0
*

何も覚えていない。
そう。何も……。
自分に言い聞かせる。
そうやって自分で自分を騙そうとすればする程、切れ切れのおぼろげな記憶が浮かんで消えない。

冬麻から俺に指名替えをしたエミと飲んでいたはずが、途中からふっつりと記憶が途切れている。
思い出せるのは───。


煌煌とした照明に浮かぶ逆光の暗い顔。
飢えた獣のような貪欲な視線が突き刺さってくる。
体中を這い回る手。
おぞましくて汚らわしい感触。
でも、それ以上に耐えられないのは。
その手の感触に悦びの声をあげている……俺自身だった。
あられも無い声をあげていたのは俺。
うつ伏せに体を返され、押さえつけられ、後ろから無理やり貫かれる苦痛を味わい、その奥に潜む快楽を知らされた。
耐え難い痛みに喘いでいたはずが、もっと深いところへの責めをねだる声へと変わる。
靄がかかったような意識の中で、苦痛以上に俺を苛むのは、この世のものとは思えない程の甘美な快感だった。
何か薬を盛られたのは確かだ。
酒には強い俺が、たった一杯で意識が無くなるなんてありえない。
断片的なおぞましい記憶の裏に、震えるほどの快感がつきまとって俺を苦しめる。
その快感が、たとえ薬によってもたらされたものであっても、それに感じ悦んでいた自分の浅ましい体が許せない。

そんな事を話せる訳が無い。だから俺は繰り返した。何も覚えていないと。
誰に話せるだろう。
陵辱され恥辱にまみれながらも、体は悦んでいたなどと。
いっそあれはただの夢だったと思いたかった。
でも……。
俺の体に赤く残る痕、腰周りに散りばめられた忌まわしい陵辱の証がそれを許してはくれない。
416義羅義羅 冬麻×悠樹 3/11:2009/01/12(月) 01:26:52 ID:QBGPwJqB0
オーナーと航平さんに、何度問われても同じだ。俺には言えない。
仲間が信じてくれない事も、今の俺には些細な事だった。あんな話、俺だって信じられない。
しかも一度店を裏切っている俺のしでかした事だ。信じてもらえないのは当然の罰だ。

今は一刻も早く店を去りたかった。
誰よりも、冬麻の前から。

汚い物を見るような目で見られる事よりも、穢れてしまった体を冬麻の目に晒す事の方が耐えられない。
こんな事で自分の気持ちは知りたくなかった。
冬麻。太陽のような冬麻。
できることなら過去へ戻り、冬麻と張りあっていた自分を消し去りたい。
決して近付きすぎないで、静かにそっと横顔を見つめていれば良かった。
アポロに恋焦がれ、向日葵になってしまったクテュリエにすら俺はなれない。
見つめ続ける資格すら無いのだ。俺なんて消えてしまえばいい。

航平さんが信じてくれた時は嬉しかった。
でも、全てを打ち明けられない辛さで、喜びも半減した。
もういい。俺が辞めれば凛区はまた落ち着く。そう思っていた。
だから全てが潤の罠だと分かった衝撃は大きかった。怒りと共に、口に出せない疑問が胸に渦巻く。


あの男は潤だったのか?

懸命に思い出そうとしたが、脳裏に浮かぶ顔は逆光に暗く霞んでいて、いくら見つめてもはっきりしない。
「俺は虎珀の清龍だぞ。こいつらみたいな雑魚と一緒にするな」
そう言って潤は出て行った。
潤が立ち去った後、俺たちは全員で徹底的に話し合った。言いたい事を全て吐き出し、改めて結束を誓う。
俺も、もう過ぎた事を考えるのは止め、ここでこいつらとやり直そうと思った。
あの夜の記憶は封印してしまおう。それが一番いい。
その決心を嘲笑うように、ミーティングを終え一番最後に店を出た俺の前に、どこからともなく潤が現れた。
417義羅義羅 冬麻×悠樹 4/11:2009/01/12(月) 01:27:32 ID:QBGPwJqB0
「よお、悠樹。悪かったな」
「お前!よくもあんな事を……」
軽い調子で悪びれた様子も無い態度に、怒りが湧き上がって来るのをこらえるのがやっとだった。
こんな奴を殴っても何もならない。相手にするだけ無駄だ。
「お前に用は無い」
背中を向けて立ち去ろうとした俺の肩に、馴れ馴れしく手がかかる。
「そんなつれない事言うなよ。俺たち、一夜を共にした仲じゃねーか」
ねちっこいささやきが耳に刺さる。声に遅れて、衝撃が走る。
あの夜の、あの顔。逆光の黒い顔は潤だったのか。
記憶の中の、黄色い光の中に浮かぶ黒い顔に目の前の顔が重なる。
膝が崩れそうになり、気力を振り絞り必死に体を支える。全身におぞましい手の感触がまざまざと蘇る。
今、口を開けば叫びだしてしまいだった。両手を口に押し当てる。
「お前も楽しかったんだろ?」
畳み掛けるように潤が笑い、俺の腰に手を滑らせた。ちょうど、赤く残る忌まわしい痕をなぞるように。
限界だった。体ががくがくと震え、目の前が屈辱と怒りで赤く霞む。


*

「潤、お前ここで何をしている?」
店のそばで二人を見かけた俺が声を掛けると、潤は舌打ちをして走り去った。
「悠樹、どうした?何を言われたんだ?」
残された悠樹に問いかけても、蒼白の顔で両手で口に当て、がくがくと震え返事をしない。
尋常では無いその様子を見て、俺は黙って悠樹を凛区に連れて行き、ロッカールームのソファに座らせた。
熱いコーヒーを淹れ、手にカップを持たせる。
震えながらも幾度か飲み込み、やがて少し落ち着いた様子になった。
「泰正さんの所に行ってきた帰りだったんだ。お前と潤がいて驚いたよ」
何気なく話しかけても、下を向いたままだ。
「悠樹、何があったんだ?俺に話してくれないか?」
悠樹の動揺と逡巡が手に取るように伝わってくる。俺は黙って待った。
418義羅義羅 冬麻×悠樹 5/11:2009/01/12(月) 01:28:15 ID:QBGPwJqB0
ソファの向い側で、蒼褪めた悠樹が重い口を開いた。
手にしたカップに向かって、あの夜どんな目に遭ったのかを訥々と語った。
潤の遣り口の汚さに腹が煮える。
しかし、ずっとうつむき加減で話していた悠樹が、顔を上げてきっぱりと言った言葉に胸を打たれた。
「俺が迂闊だったんです。冬麻に勝ったと思って浮かれて……。自業自得です。でも、騙されたのが俺で良かったと
思ってます。冬麻が、あいつがこんな目に遭わなくて本当に良かった」
俺の目を真っ直ぐに見つめ、すっと背筋を伸ばし、きっぱりとそう言い切った悠樹の姿はとても美しかった。
冬麻を思う強い気持ちが迸るように、目に力が戻り、唇には微笑すら浮かんでいる。
「あいつがこんな思いをしなくて済んだから、もういいんです。誰にも言わないで下さい。冬麻には少しの負い目を感じ
させたくないんです。あいつは何も悪くないのに、こんな話を聞いたらいい気持ちはしないでしょう?何も知らない方が
冬麻の為です」
その強い意志に圧倒されそうになりながらも、悠樹の頼みに頷くことは出来なかった。
「そうか?本当にそれが冬麻の為になるかな?本人に聞かないと分からないだろう」
ドアに向いて座っていた俺は、しばらく前からドアが細く開き、その陰に誰かいることに気付いていた。
そしてさっき悠樹を連れて店に入る時に、遠目に冬麻の姿を見た気がした。
「冬麻、いるんだろ?入って来い」
弾かれたように悠木が振り向き、ゆっくりと開いたドアから冬麻が入ってきた。
「冬麻……」
さっきまでとはうって変わって打ちひしがれ、目を背ける悠樹に、冬麻が歩み寄った。
俺は音を立てないように、二人の邪魔にならないようにとそっと部屋を抜け出した。

*

全てを聞いた俺は、航平さんの呼ぶ声に従ってロッカールームへと足を踏み入れた。
入れ違いに出て行く航平さんに肩を軽く叩かれたが、応える余裕はなかった。
顔を強張らせた悠樹が俺から目を背ける。そんな悠樹を、構わず抱き締めた。
「悠樹……悠樹、ごめん。俺…何も知らなくて……」
黒髪を撫でながら、謝罪の言葉が口を衝いて出る。
こんな言葉に何の意味があるのか。
419義羅義羅 冬麻×悠樹 6/11:2009/01/12(月) 01:28:46 ID:QBGPwJqB0
悠樹の身に降りかかった事など何も知らず、罵声を浴びせ、自分だけが被害者のようなツラを下げていた
俺が、いくら謝ったってどうにかなるのか。
責めてしまった申し訳無さと潤への怒り、あくまでも俺を気遣う事への感謝、知らせてくれなかった事に対する
歯がゆさ、幾つもの感情が噴き出して、でも何よりも、辛い思いをした悠樹を信じられ無かった自分が情けな
くて、涙で目の前が霞んだ。
「ごめん……ごめん、マジで」
震える声で何度も繰り返す俺に、悠樹は優しく言った。
「冬麻は何もしてない。俺の自業自得だよ」
「自業自得なんて事あるかよっ!」
思わず叫び、体を離して悠樹の顔を見た。諦めと自嘲を宿した、傷付いた顔。
見つめていると、潤とエミへの怒りや自分への憤りよりも強い思いが湧き上がってくる。

愛しい。守りたい。もう他の誰にも触れさせない。

昂ぶる感情を出来るだけ押さえ、悠樹の顔を両手で包んだ。
そっと近付き唇を合わせた。軽く触れ、離した途端に切なくて、また触れる。もっと。もっと。もっと。
「…ん……とう、ま…」
キスの合間に漏らす、吐息のような悠樹の声が俺を煽る。
何度もキスを繰り返し、唇を深く合わせ舌を絡める。
それでも足りない俺が唇を首筋に移すと、悠樹の体がびくっと震え、喉の奥で声にならない息がひっと
ひきつれたような音を立てた。
体を引き、首元を両手で押さえ、蒼白な顔で全身を細かく震わせている。
「ご、ごめん……俺…冬麻に触られる資格なんて、無いんだ」
強い恐怖と羞恥、己自身への激しい嫌悪が入り交じった表情の中で、だがその目は確かに俺を求めて
狂おしい光を放っていた。
一瞬首にふれられただけでこんな状態になる程の目に遭ったのに、それでもお前は、俺が無事で良かった
と言い切ったのか。
どんな思いで、ああもきっぱり言えたんだ。
畏れとも感動ともつかない気持ちに、言葉がうまく出てこない。
悠樹の怯えを煽らないように、ゆっくりと片手をその頬にあてた。
目を合わせ、ありったけの思いを込めて、向き合った。
「悠樹、大丈夫。……大丈夫だから。俺を信じて……俺の、悠樹」
420義羅義羅 冬麻×悠樹 7/11:2009/01/12(月) 01:29:29 ID:QBGPwJqB0
*

俺を見つめる冬麻の真剣な目と、低くささやかれた言葉で、俺の震えは嘘のように治まった。
恐怖が消え、冬麻への強い思いだけがここにある。
優しく、泣きたくなるほど優しく冬麻の手が触れて、服を取り去った肌に熱い唇が落ちてくる。
繰り返し俺の名前を呼びながら、体中のあらゆるところに冬麻の唇が触れ、その度に痺れるような感覚が走る。
冬麻の指と唇で、全身が清められていくようだった。
鼓動が早くなり、呼吸が荒くなる。体の芯から熱いものがこみ上げてきて、自分のものでは無いような甘い声が
止まらない。
長い時間をかけた丹念な愛撫の後に、仰向けになった俺に冬麻がゆっくりと入ってきた。

恐怖も嫌悪もどこにも無かった。ただ一つになれた喜びだけがあった。
絡ませた指も、額に浮かぶ汗も、弾む息も、なにもかもが嬉しかった。。
冬麻の顔を見上げながら、心の奥底の深いところから湧き上がるように涙が溢れて、止まらなくなった。
俺の涙をみて、冬麻は慌てた顔になる。
「悠樹、痛いか?……ごめん、俺、男とするの初めてだから…加減が分からなくて…」
心配そうに言う冬麻に、思わず泣き笑いになった。
金色の短い髪に手を伸ばしくしゃくしゃにかき混ぜ、汗ばんだ首筋を抱え込み、鼻先を付き合せる。
「冬麻、愛してる」
言った瞬間、俺の中の冬麻の量感がぐっと増した気がした。冬麻が俺に触れ、動かしながら、一気に突いてくる。
どんどんと高みに追い詰められていく。息が苦しい。限界寸前まで押し上げられた時、冬麻の動きが止まった。
「悠樹」
目を開けると、苦しげな冬麻の顔があった。
「悠樹、俺もお前を愛してる」
その言葉に、目の前が真っ白い光に包まれたようになった。
押し上げられた高みを越え、そのまま一気に深いところまで落ちていく。
何度も何度も、体全体が波にさらわれていくような余韻の中で、俺たちはずっと抱き合っていた。
421義羅義羅 冬麻×悠樹 8/11:2009/01/12(月) 01:29:56 ID:QBGPwJqB0
*

翌日、サリナさんにお詫びに行った後、凛区に向かいながら悠樹に言った。
「一緒に住もうぜ。俺の部屋に来いよ」
一日も離れたくなかった。悠樹もそう思っているはずだ。自信満々の俺に対し、悠樹の表情が曇る。
「それは……出来ない」
後頭部を殴られたようなショックを受けた。昨日の夜は何だったんだ。
悠樹はそんな俺の顔を見て、向こうを向き、肩を震わせた。
泣いているのかと思った次の瞬間、くっくっくっと小さく笑う声が聞こえた。
「そんな、そんなにショック受けなくても……冬麻、真に受けすぎ…」
「てめえ!何笑ってんだよっ!俺が真剣に言ってんだろっ」
馬鹿にされたと思ってカッとなり、仲間の手前慌てて声を落とす。
幸い、みんなは俺と悠樹の小競り合いなんて日常茶飯事とばかりに、誰も気にも留めていない。
「どういう事だよ?」
と詰め寄ったまでは良かったが、急に不安になった。我ながら情け無いけど蚊の泣くような声で聞く。
「俺と住むの、嫌か?」
「冬麻の家に住むのが、嫌。かな」
「え?」
意味がよく分からない。
「だって冬麻の部屋、汚いし。俺の部屋の方が広いよ?」
悠樹の言葉の意味がじんわりと染み込んでくる。
にんまりと猫のように笑いながら、悠樹が俺の顔を見ている。
「てめえ、回りくどいんだよっ!」
安堵と喜びを隠すために、わざと乱暴に悠樹の首に手を回した。
「痛いって」と言いながら、悠樹の頬と耳が赤く染まるのを見て秘かに満足した。
サリナさんに許してもらい、意気揚々とした凛区のホストたちの中で、俺と悠樹が一番浮かれていたのは言う
までもない。

422義羅義羅 冬麻×悠樹 9/11:2009/01/12(月) 01:30:30 ID:QBGPwJqB0
*

絡みつくひんやりとした長い髪。
違う。
やわやわとした白い肌。
違う。
耳につく嬌声。
違う。こんなものが欲しいんじゃない。

最初は裸に剥いて朝まで寝かせておくだけの予定だった。
エミから連絡を受け、バーで潰れたあいつをホテルの部屋に運んだ。
ベッドの上に下ろし、じっくりと顔を見た時に気が変わった。
薬のせいか、微かに眉根を寄せ荒い息をついている姿に妙にそそられた。
エミを追い出し、服を脱がせ、口移しで媚薬を飲ませる。
充分に回った頃に手をかけた。
どこに触れても薬の効果以上の反応を見せる、敏感な極上の肢体。
快感で身をよじり、引き締まった白い体を火照らせ、全身が汗ばんでいる。
意識はほとんど無いままに、快楽を与えられる薬を選んだ。
それなのにあいつは、薬でぶっとんだはずの意識の中でも時折自分を取り戻し、俺を真っ直ぐに睨みつけた。
決して屈しないと誓うかのように歯を食いしばり、目に強い光を浮かべた。
その美しさに目を奪われた。
ぼんやりとした意識の中で墜ちまいとする姿が美しければ美しいほど、叩きつけて踏みにじりたくなった。
華奢な体、柔らかな物腰、甘い綺麗な顔からは想像もつかない程の凛とした誇り高さが、いっそう俺を駆り立てた。
深く抉るように責め、前に手を回し弄ぶ。
食いしばった歯の間から、やがて甘い息が漏れ、切れ切れに吐息混じりの細い声を漏らす。
その征服感が心地よかった。

あれ以来あいつの面影が頭から離れない。
俺は抱いていたエミの体をベッドに投げ出し、かけられる声も無視してバスルームへ向かった。
蛇口をひねり、冷たいシャワーを頭から浴びる。
肌に残る生暖かい感触を洗い流す。
423風と木の名無しさん:2009/01/12(月) 01:35:39 ID:4ozSPrLO0
 
424422:2009/01/12(月) 01:44:13 ID:0/1yHHELO
すみません。さるったので、また出直してきます。ありがとうございました。
425義羅義羅 冬麻×悠樹 10/11:2009/01/12(月) 02:31:51 ID:QBGPwJqB0
ついでにあいつの事も頭の中から洗い流したかったのに、出来なかった。
忘れようとすればする程、もう一度触れたくなる。
力任せに引きずり堕としたつもりでいたのに、搦めとられたのは俺の方なのか。
服を引っ掛けて、振り返る事もなく部屋を後にする。

向かったのは六本木。一時は毎日出勤していた凜区の見える電柱の陰に身を潜めて待った。
あいつが、悠樹が仕事を終えて出てくるのを。
エミをレイプした件で訴えるという計画が失敗し、虎珀もクビにされた俺は、何度かここに来て悠樹を見つめた。
一度、あいつは俺に気付き、さっと顔色を変えて走り去った。
その後しばらく、俺のつけた傷が癒えない獲物を見て、昏い満足に浸った。
やがて、見覚えのあるホストたちがぱらぱらと出て来た。
あいつもすぐに冬麻と連れ立って出てくる。二人の様子を見ていると、遠目からでも以前と違うのが見て取れた。
騒動の後にあったピリピリとした緊張感が消え失せ、穏やかな空気に包まれている。
歩きながら悠樹が冬麻に向ける目線に、全てを委ねた全幅の信頼があった。
微笑みかける目には甘えと、それが全て受け入れられる事を疑いもしない傲慢ささえ存在している。
そしてそれを許し、受けとめ、慈しむ目で冬麻が悠樹を見つめる。
揺るぎない関係が、そこにあった。

身動きもできないでいた俺の視線を感じたのか、悠樹が周りを見渡し、俺を見つけた。
以前俺を見た瞬間に蒼ざめて歪んだその顔に、今は何の感情も浮かばない。
静かな、ただ静かな落ち着いた表情で見返してきた。
冬麻からの「どうした?」との呼び掛けで視線を外し
「ううん、何でも無い。帰ろ」
そう言うと冬麻にぴったりと寄り添って歩き去った。
もう完全に手が届かないと思い知らされた。
あいつは完全に乗り越え、たとえ今力づくで体を奪ったとしても、その心は傷さえつかないだろう。
冬麻がいるかぎり。
欲しかったのは体では無かったのだと、今分かった。
あの目線。あの信頼。あの、心の全てを投げ出すような愛情。
俺が欲しかったものがすぐそこにあった。俺が決して手に入れることが出来ないものとして。
渇望と敗北感に打ちのめされ、俺はいつまでもそこを動くことができなかった。
426義羅義羅 冬麻×悠樹 11/11:2009/01/12(月) 02:32:42 ID:QBGPwJqB0
どれくらい経ったのか。気が付くとエミがいた。
俺の手をそっと取り、温かい手で包むと「行こう。冷えちゃうよ」と言った。
いつか、この気持ちが只の気の迷いだったと思える日が来るのだろうか。
確信が持てないまま、その温かい手を振り払う事もできず、ただ立ち尽くした。

*

「いらっしゃいませ!ようこそ、凛区へ」
店は今日も盛況だ。
笑い声やシャンパンコールが飛び交う中、俺は今日も甘い言葉をささやく。
俺を指名してくれる彼女たちが少しでも楽しい時間を過ごせるように。
本物の恋はあげられないけれど、以前の俺には無理だった、もう少し上質なものを彼女たちに捧げよう。
日毎夜毎に冬麻から受け取る愛に、少しだけ似たものを。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

長々とすみません。
ありがとうございました。
427風と木の名無しさん:2009/01/12(月) 07:30:25 ID:Ay5LG0onO
>>407
まさかの続きキタ━━━(゜∀゜)━━━!!
このロワは読んでいて萌えまくってたよ
428風と木の名無しさん:2009/01/12(月) 10:58:19 ID:1IuERGyv0
>>246
GJ!萌えた!!
ちょっと録画見直してくるわ。
429展恥人 鐘次×影活様:2009/01/12(月) 12:59:46 ID:r654itB10
09年鯛賀ドラマ「展恥人」に萌えを誘発されて書いてしまった………。
鐘次×影活様です。
初投稿なんでお手柔らかにお願いします。

もともと影活様中受スキーなので日本史や戦国時代に詳しい方、本当にすみません。
突発的に書いたし、間違っているところ沢山あるかと思います(´;ω;`)
そしてまだ二話しか放送してないんで、完全に展恥人でもないし、ちょっと創作戦国儀気味です。
もう一回すみません。って言っときます。

半ナマにお気を付けください。
苦手な方はスルーお願いします。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
430展恥人 鐘次×影活様 1/5:2009/01/12(月) 13:04:59 ID:r654itB10
雪国生まれで、雪には、寒さには慣れている、
……はずだった。
でも今夜は本当にどうしようもない寒さで。
身体の末端が痺れるような感覚に、身を縮める。
越後の国の国主・上椙影活は、布団の中で目をぎゅっと瞑った。
眠れない。
昨日も寒かったではないか。一人で眠れたではないか。
幼いころからこんな夜は何度も経験しているではないか。
「…っ、」
真っ暗で見えるはずはないのだが、自分の呼吸が冷たい空気に触れ、白く濁るように感じた。
あぁ、もう。
少し布団の中で身じろぐと、足の指先が体温の届いていない部分に触って、慌ててもっと体勢が丸まる。

鐘次―――――――――――――………

影活が大阪に自分の代理として行かせたのだった。
雪の冷える夜でなかったらこんなことは考えなかった、と影活は言い聞かせる。
会いたい。鐘次の体温が欲しい。何より寂しいのだ。
欲求が満たされないことは明らかで、せめて夢だけでもと思うのだが、寒くて目が冴える。
「儂を寝かせないつもりか。」
ふと呟いた。
しん、とした部屋の闇に言葉は消えた。
この情けない状況に我ながら嫌気がさし、子供のように拗ねるのはやめて、寝ようと思う。
鐘次は悪くないのだから。
悪いのは冬だ。
影活は大人しく瞼を閉じた。
と同時に遠くが騒がしい。
目を閉じたまま耳を澄ます。
どうせ開けても暗闇ならば、無駄に目を使うよりも耳に集中したほうがよい。
431展恥人 鐘次×影活様 2/5:2009/01/12(月) 13:07:59 ID:r654itB10
「猶江殿!お早いお戻りですな!」
「あぁ!!雪で多少手古摺ったが。殿はもうお休みか?」

勝手に両目が開く。 鐘次がいる。
屋敷に家臣が誰もいないのであれば布団から大声で彼を呼ぶのだが、そんなわけもいかず。
屋敷には家臣が大勢いるし、影活は上椙家当主なのだ。
「今夜は冷えるな!」
どたどたという男くさい足音と共に鐘次の声が段々大きくなる。
声も足音も大きい。
主が寝ていると思うのならもう少し配慮をしたらいいものを、と思い影活は心中笑った。
鐘次らしい。
「まさかこんな大雪になろうとはな。」
「猶江殿、大丈夫でしたか?」
「あぁ、俺は大丈夫だが馬と和泉澤がどうだったか。」
「そうですか。」
「それより御館様は寒がりだからお休みになられたかどうか気になっていた。」
鐘次の声に影活はどきりとする。
もしかしたらあの襖を開けて、彼が入ってくるかもしれない。
寒さだけでない、どこか甘い痺れが体に走る。
期待している。
だが響く声と足音は影活から遠ざかった。 手前の角を曲がったか。
期待は期待のまま終わった。
よく考えればわかること。
不義を何よりも嫌う彼が主君の休んでいる部屋にずかずか入ってくるわけがない。
大声を上げればよかった。

音もなく、鐘次を悩ませたという雪が降り続いているようだ。
静かだが、雪国で育った影活にはわかる。
板戸と障子を開けたら、雪囲いの向こうには障子の紙よりも白い雪が全てを覆っているはずだ。
こういう日は徹底的に籠るか、徹底的に体を動かすかに限る。
鐘次が来てくれないのならば、眠れない今、一人で積極的に体を動かすしかないじゃないか。
432展恥人 鐘次×影活様 3/5:2009/01/12(月) 13:18:14 ID:r654itB10
厠だ、となぜか自分に言い訳をつけて布団から出ようとしたとき、襖が開いた。
「影活様、」
襖の隙間から洩れる光りと共に、小さく呟くような鐘次の声がした。
「か、ねつぐ、」
光が眩しくて、影活は目を細めた。
「あ、すみません、」
彼はすぐ襖を閉めた。そして先程の足音とは打って変わっての忍び足で、静かに影活の枕もとまで来た。
「眠れませぬか。」
「ああ。」
「でしたら鐘次が此処に居りますゆえ、火鉢を持ってきましょう。」
鐘次はひらめいたとばかりに立ち上がろうとした。

「鐘次。」
影活が言った。無口な影活が己の名前を呼ぶとき、大抵何か要求がある。
「影活様?」
「火鉢はいらぬ。」
「殿?」
立ち上がりかけた鐘次はそのままの姿勢で。
何を自分の主君を欲しているのか。さすがにもう暗闇に目が慣れて、鐘次は主を見つめた。
「影活様、布団に入ってもよろしいですか。」
どうしてこの人は自分に言わせるのだろうか。いじらしい。恥ずかしいのだろう。本当に可愛らしい。
自分は家臣なのだが。下手をすれば不義なのだが。
影活は何も答えなかったが、少し身体をずらした。
鐘次はその主君の姿に微笑むと、「失礼いたします」と布団に入った。
雪の中を馬で駆けていたという鐘次は、少し汗ばんでいて温かだった。
「外におりました私よりも、影活様のお身体のほうが冷たいですよ。」
鐘次は笑顔のまま縮こまっていた影活の身体を抱きしめた。
「お前は馬に乗っていたのであろう…。」
「あ、そうでした!だから私の体温のほうが高いのですかね?」
鐘次が帰って来た、と影活は実感した。
433展恥人 鐘次×影活様 4/5:2009/01/12(月) 13:22:12 ID:r654itB10
雪が屋敷に重く降る。
「今戻りました。ものすごい大雪でございますよ、影活様。」
「…。」
「きっと影活様がお寒い思いをしていらっしゃるだろうと思いまして、もしお休みでしたらこうしようと思っておりました。」
「…。」
「あ、…あ、すみません。大阪におりましたら急に影活様に会いたくなりまして。予定より早く馬を駆ってまいりました。下心大有りですな。ですがお休みになってらっしゃらなかったので…。」
「鐘次。」
「すみません、こんなに喋って。お休みください。」
「鐘次、構わん。」
「影活様?」
「儂もお前を待っていた。」
影活は抱きしめてくる鐘次の胸に言葉を吐いた。
「お前の子供のような体温を欲していた。」
「私の体温………。」
今日の影活はよく喋るとか、その身体が冷たくよほど寒かったのだろうとか。
些細なことがどうでもよくなって。
かわりに、この乱世でこうして抱き合えるという広大なことが切ないほど嬉しくて。
あぁ、俺は欲に流されるのだ、と鐘次は思った。浅はかな人間だ。

「影活様、」
「…。」
「申し訳ございません。鐘次は、殿を抱きとうございます。」
丁度、喋る鐘次の唇が影活の額に当たる。
「影活様…。」
熱い唇が押し付けられる。ぐっと鐘次の腕に力が入って、影活は彼の体温をこれ以上ないほど感じた。
「どうして謝るのだ。」
影活は鐘次の胸からついと顔を上げ、鐘次を見た。
「影活はすでにお前のものであろう。」
今夜の彼は喋りすぎだ。悪いのはこの主と雪だ、と鐘次は思い、主君を組み敷いた。
434展恥人 鐘次×影活様 5/5:2009/01/12(月) 13:27:22 ID:r654itB10
――――――――――――――――――――――…………………

眩しくて目が覚めた。
「ン…っ……、」
鐘次が布団の中で身じろぐと影活はいなくなっていた。はっと覚醒し、身体を起す。
「影活様!!!」
「どうした、五月蠅い。」
「あ、あ…、はぁ。」
板戸を開ける影活の声を聞いて鐘次は肩の力を抜いた。目を瞑り、ほうと息を吐く。
「殿が見当たりませんと鐘次は――――
「慌てるな。お前が儂から離れぬのと同じよう、儂も離れぬ。」
自分の言葉を封じた主君の声に、兼続は主を見つめる。
驚いた。こんな言葉を今無口な主から聞けようとは。
幼少の折にした約束……。
あの日もひどい雪で―――――――――

影活は呆けた家臣の顔を見て、すぐに窓の外へと目線を移した。
長い睫毛がぱさりと動いた。
「雪じゃ、鐘次。」
「はい。」
冷たい凛とした空気の中だったが、不思議と寒さを感じなかった。
まだ身体の芯は冷めていなかった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
鐘次の体温が高いのはワンコだからだよ………。

度胸と技量がなくてエロ書けなかった。全然801じゃない…orz
ドラマ毎週見たほうが801だ…( iдi )
無口「…。」の殿のせいで改行大杉エラーが出まくって、読みにくい長い文章になってしまい、すいません。
お目汚し失礼いたしました!
勢いだけでほんとすみません!ちょっと逝ってきます…。
435風と木の名無しさん:2009/01/12(月) 13:39:46 ID:35f3gVlM0
>>434
初リアルタイム…しかも雰囲気あってすごくいい。GJ
タイガは興味なかったが今年は見るか…そろそろHDが死ぬな
436キム×空:2009/01/12(月) 20:32:22 ID:iNmM+r/c0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  キム/タクと唐/沢がドラマで共演したらという妄想からだモナー
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  勝手に作ったオリジナル作品だカラナ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 棚15からダラダラと続いてるぞゴルァ!!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) キム×唐だゴルァ!!
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___※本人とはなんの関係もありません
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
簡単なあらすじ
容姿端麗・性格も良く仕事のできる木村。30過ぎても結婚しない理由は
40過ぎの×1男、空沢に惚れていたからだった。
離婚の寂しさ、経済的な理由でルームメイト募集の広告を出した空沢。
やってきたのは木村だった。そこから二人の共同生活が始まった。
Bまでしてやった←今ここ
437キム×空 1/3:2009/01/12(月) 20:32:57 ID:iNmM+r/c0
ああまったく冬だ。
日が落ちたら途端に寒い。
会社帰り、ずれた青いマフラーを鼻まで戻しながらあの人の食べたい物なんかを想像して今日も家路を急ぐ。
俺たちは相変わらずこんな生活が続いている。
今日みたいな寒い日には湯豆腐と熱燗かな。それか、鍋とか…おでんは時間かかるから休みの日だな。
鍋と言えば。この間初めて豆乳キムチ鍋を作って出した時の空沢さんを思い出す。
「字面が悪い」とかぶつぶつ言ってたけど、一口食べたら目がカッて開いてさ。
「木村これめちゃくちゃうまいな!」って、子供みたいに喜んでさ。
ああいう所が好きだ。うどん入れたらテンション上がってた所も好きだ。

「何ニヤニヤしてんだよ。」
「あ、空沢さん」
多分さっきの横の通りから来て俺を見つけて駆けてきたんだろう。
帰り道が一緒だから外で会う事も珍しくはない。
でも同じ家に住んでいる事はまだ周囲には秘密の状態だから、外で会っても一緒に帰るなんて事は無い。
珍しいな。話しかけてくるなんて。
そのまま「さみぃな」なんて言いながら俺の隣りを歩く。
少しベージュがかった白いマフラーがなんだかかわいい。あんまり中年の男はその色使わねーんじゃないかな。
「…いいんすか」
「…いいよ別に」
主語は無い。
でも意味は通じたみたいだ。今日は何故か、一緒に帰ってもいいらしい。…やった。
寒いだけだった夜の空気が澄んでいるように感じる。
こういう時片想いってまじ楽しいよね。こんな事でもう俺ドキドキしてるし。
いっつも同じ家で過ごしてんのに。いつもと違う所で逢うと、なんか新鮮。
438キム×空 2/3:2009/01/12(月) 20:33:34 ID:iNmM+r/c0
「あーほんと寒いな。木村、早く家帰ろう」
うわっ俺だけかよ。
まぁそうだろうけど。でも今のなんかちょっとよくね?「早く家帰ろう」だって。
つか今日なんなの?なんで一緒に帰ろうと思ったの?
なんで隣りに居てくれてんの?
もうすぐ大通りを抜けて人が居ない通りに入る。
そしたらすぐに俺たちの住むマンションだ。はえーよちくしょう。
昨日スーパー寄っといて良かった。豆腐ならあるからやっぱ湯豆腐だな。まっすぐ帰れなかったらきっと途中で別れちゃうし。
なんか無いかな。こんな事めったにないんだからさ。なんか…。
通りを一歩入ると、街の喧騒は途端に静けさに変わった。
だいぶ前に仕事帰りの女性が居るけど…他、後ろには誰も、居ない。
悪い癖か。
女の子と付き合ってた頃はこういうの得意だったもんで、すいません。
俺はスルリと空沢さんの手を握った。
「おまっ…やめろよっ」
「大丈夫誰も来てませんから」
「おかしいだろうが…」
「たまにはいいでしょ。」
「家でいくらでもできるだろ」
「へー、いくらでもしていいんですか?」
ギュ、と手を握り直すと、空沢さんは黙った。
家でいくらでもって。そんなにした事ねーよ。なんだかんだ結局あんた拒むじゃん。
「……」
「今日は湯豆腐です。」
「……いいな。」
「あと熱燗。」
「…おう」
「もう風呂洗ってあるんですぐ溜めますね。先入ってください。」
「…至れり尽くせりだな。」
「あなたが好きなもんで。」
439キム×空 3/3:2009/01/12(月) 20:34:11 ID:iNmM+r/c0
ああもう家だ。
マンションの入り口で、俺は手を離した。
明かりの下で空沢さんを振り返ってようやく俺は気がついた。
「…ちょ、…あのー、空沢さん……顔、真っ赤なんですけど」
「…言うな馬鹿。」
何?そんなに恥ずかしかったわけ?でも黙って繋がれてたわけ?
振りほどけばいいじゃん。なんでそこ許してんの?
強い酒でも飲んだのかってほど顔の赤くなった空沢さんが居心地悪そうにマフラーを取った。
「俺はもう4・0・過・ぎ・て・ん・だ・よ」
小声でそんな事をいう。恥ずかしがってるの全開でかわいい。
あー、手を繋ぐとか、若者のやる事的な?
でもそのままで居てくれたんだ。あなたはいつも、「許す事は肯定」、だったよね。
「お前はいつも…俺をこういう扱いして…」
だんだん声が小さくなった。
少し黙っていたから顔を覗き込んでみたら、伏せられていたでかい目がちろりと俺を見た。
「……悪いか」
いつまでもこういう扱いに慣れなくて悪いか、ね。悪いわけねーし。初々しくていいよ、なんて言ったら怒りそうだから言わない。
でも一応さ、俺たちもっと人に見せられない事もしてるよね。変なとこで恥ずかしがるんだよな〜
でも、慣れたらなんでも許してくれんのかなぁ。
「木村の馬鹿」
ああもう、早く家に帰ろう。
早く家に帰って、この続きしよう。今日はどこまで許してくれんのかな。

俺たちは同じ部屋に帰るべく、一緒にエレベーターに乗った。
440キム×空:2009/01/12(月) 20:34:48 ID:iNmM+r/c0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |                   
 | |                | |           ∧_∧      相変わらずな二人です。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )     一年以上ぶりとなりましたが覚えていてくださったら光栄です。
 | |                | |       ◇⊂    ) __  読んでくださってありがとうございました。
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |  
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
441風と木の名無しさん:2009/01/12(月) 21:13:38 ID:/2WMtJwmO
>440
お久し振りです…!!
最早こいつらには会えないもんだとばかり…
可愛いおっさんらに全力でGJ!
もし良かったらまた続けてほしい
442風と木の名無しさん:2009/01/12(月) 21:21:03 ID:VtBxIGG2O
>>440
姐さん待ってました超GJほんとGJ!!
443428:2009/01/12(月) 21:58:30 ID:2XiBlTtP0
すみません、アンカーミスでした。
>>428>>426あてです。
444風と木の名無しさん:2009/01/12(月) 22:12:09 ID:EgLE5+HS0
>>412
姐さんまじでGJ…!!
青赤いいよ青赤ハァハァ
気づいた青にがっつり食われる赤も見てみたい…!
445風と木の名無しさん:2009/01/12(月) 23:21:46 ID:7eEsdgRHO
>>440
待ってました…!!
ずっと好きでした。
姉さんありがとう!禿げます。GJ!!!
446風と木の名無しさん:2009/01/12(月) 23:32:33 ID:9QpNKuUlO
440
お久しぶりです!またこの二人が読めるとわ!
大好きです!!
できればまた続き読みたいです。二人ともかわええ…
447風と木の名無しさん:2009/01/12(月) 23:39:37 ID:9QpNKuUlO
ごめんなさい!あげちゃった
448風と木の名無しさん:2009/01/13(火) 01:55:29 ID:JvsbGS2LO
>>440
キム空キテタ━!!!!!
ずっと待ってましたありがとー!
この二人のもどかしい感じが大好きです。
これからもずっと待ってます。
449この世で最も萌えない801:2009/01/13(火) 06:48:46 ID:TdSX5BFL0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
酒に酔った勢いで作ったものです。
苗スレネタ&死にネタなのでご注意下さい。
日本語でおkは仕様です。

あと、萌えません。
450この世で最も萌えない801 1/5:2009/01/13(火) 06:49:34 ID:TdSX5BFL0
受けは苦戦していた。
このあたりを支配する8935人は頭が良くて強かった。
応戦しようとした途端、受けの背中を取られた。
「あっ!ちっくしょ・・・」
膝をついたらあっというまに囲まれた。
「だれかっ・・・助けてくれっ・・・ポリスメーーーーーン!」
やみくもに武器を振り回したが意識が薄れてゆく。がくっ。
(怖い…!フルボッコにされる…!)
その時だった。
「お前ら、そんなトコロで何を4手居るん駄!」
ドキュソ!! ドキュソ!! ドキュソ!!
受けをレイーポしようとした8935人に 攻めが単独、銃を乱射して皆殺しにしてしまった。 全裸で。
「FAX YOU…ゲームオバー…だな」


「俺の奢りだ。ここって最近開店したばかりのお前が好きそうな
 オーガズムガニックレストランなんだ。気に入るといいが」
受けもようやくお膣機を取り戻したようだ。
「どうだ、受け。気分転換にはなって?」
受けの体、随分痩せたな…と、ヒ素化に思いながらコーヒーを飲んだ。
「お前が( ゚д゚)に行ってから、もう半年か……」
半年前まで相棒を務めていた受け。
コードネームはセツ。
漢字で書くと排泄の泄(セツ)。
女の子みたいな名前だけどキレイな受けには案外似合っていた。
「攻め・・・突然だがksssしてくれないか?」
451この世で最も萌えない801 2/5:2009/01/13(火) 06:50:27 ID:TdSX5BFL0
「本当にいいのか?」
「野望なこと言うな」
受けはスクッ…と笑った。
「寂しいのなら、…そう言え」
「今夜・・・泊めてくれないか」
「受、分かっているのか?男の部屋に泊まるというのは・・・」
「うん・・・攻めとホムーラン打つ・・・」
※「ホームランを打つ」とは英語で「セクロスする」という意味の慣用句です。

夜は予報通り、台風が接近してきたようだ。
濡れながらも、攻めのマンションに着いた二人。
「雨は神様の涙なんだよ」
台風さえも受を愛撫したがる。
「台風の目が…神様が見てる」
「台風も、俺たちの行為で興奮しているのさ。見せ付けてやろうぜ」
顔を後ろに向けようとすると、耳に生暖かいモノが這った。
「うわ、なにをする、やろめ!」
ゾクリと背筋が氷ついた。だが、BB弾を食らったハトのように怯んではいられない。
受けは抵抗するが体格差で簡単に抑え込まれ、加えて攻めの、どうみても顔面神経痛を患っているようなふいんき(ryに圧され、抵抗をやめる。
「受け……俺はいつだって、お前を一番大切に思って(ry」
452この世で最も萌えない801 3/5:2009/01/13(火) 06:51:07 ID:TdSX5BFL0
攻めの手が受けの服を掴み、力任せに引っ張ると釦が弾け飛んで、隠された濃い体毛をまとった陶磁器のような白い肌が(ry。身体を隠すと同時に、攻めから逃げにかかると。
うなじを、柔いモノが撫でていった。
それが舌だというのはすぐにわかった。
「痕をつけないとな…」
肌に軽く歯をたて吸い付き、丁寧に所有印を捺していく様子に、ただ奮えるしかない。
ギュッと目を閉じて身を硬くすると、
「こちらを、向け」
実は行為がはじめての受けは、緊張していた。
(どうすれ媒介引数いんだ…)
「受け」
強引に身体を反転させられ組み敷かれるが、顔を背けて目は微塵切りのタマネギほどにも開けない。
「勝手に俺の前から消えて、ごめんなさいの7文字も言えないとは。そんな奴だったのか、お前は?」
「んく…っ!」
そのとき、受けの全身に痺れが走った。
意識を失う程ではないが、力を入れることが出来ず崩れ落ちた身体を、攻めが抱き上げる。
「おい、どうした!?受け、俺に何か隠しているのか?」
「俺の余命、16年だと宣告されたんだ」
受けはその中世的な顔に儚げな笑みを広げた。
「こんなことなら、離れるべきではなかったな。俺が、愚かだった」
453この世で最も萌えない801 4/5:2009/01/13(火) 06:51:41 ID:TdSX5BFL0
水虫を噛み潰したような低い声。
「受け」
「俺…死ぬまでに、攻めとしたい…」
どうしてもやめられない。止まらない。
だが、攻めの手が首に触れた時、受けはその手の冷たさに驚き、そして恐怖により手を興奮したチンパンジーの如く振り払って、無様に逃げた。
が、すぐに服を引っ張られ、のけぞったところで抱き締めるように胸元を両手で掴まれると。あたかも空港職員が平気な顔をして乗客のスーツケースを放り投げるようにしてベッドに投げ出された。
服がバリ!バリバリ!バリーン!バリーーーン!と破かれる。
犯されるーーー。
もうそれしか頭に浮かばなかった。
「ヒャウック…ヒャウック…フェーーーーーーーッ」
何も言葉にならない。
後ろから覆い被さってきた攻めの手が、ズボンをずり下ろしてシャツの中に滑り込む。
「やっ…、やあぁ…っ! キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
蟻の巣走りを撫でられれば、身体は歓喜で打ち震える。
「ああうっ、あっあぁ、もぉ…蒙古令嬢はらめぇ」
受けの体は確かに反応していた。股間にあるモノは5mもそそり立ち、小さいそれが主張を始めた。
伊丹と会館の熱に浮かされ、ろれつの回らない受けを揺さぶる攻め。張りつめた性器を握り、射精を促すように強く上下に扱いてきた。
「んっんむーっ、んんーーーっ!////」
腰が勝手に浮き上がって戦慄く。
「んううーっ! んんっんんーー…&e!!////」

454風と木の名無しさん:2009/01/13(火) 07:10:32 ID:lQpPsaGmO
449です。エラーが出たので、次の方どうぞ。
455風と木の名無しさん:2009/01/13(火) 09:22:06 ID:jv9d8et6O
支援になるかな?
456風と木の名無しさん:2009/01/13(火) 09:40:50 ID:YmtnYn+JO
支援
457風と木の名無しさん:2009/01/13(火) 17:37:38 ID:zfZtQgrwO
>>449
腹筋崩壊したwwww
続きが読みたいです。切に。切に!
458風と木の名無しさん:2009/01/13(火) 19:20:09 ID:HD1fKE7u0
>>449
笑い過ぎて死にそうwww
続き待ってます!
459風と木の名無しさん:2009/01/13(火) 22:10:00 ID:m2Uq2BKD0
>>449
な ん ぞ こ れ wwwww
続きヨロ!(`・ω・´)ゞぴっ
460風と木の名無しさん:2009/01/13(火) 22:38:45 ID:/b8bPBvU0
>>449
「もぉ…蒙古令嬢はらめぇ」
カフェオレ吹いたwwww
461風と木の名無しさん:2009/01/13(火) 23:04:03 ID:z18vuD7lO
>>449
笑いが止まらんwwww
腹抱えながら読ませてもらった。
いいもんに出逢えたよww
全裸で続き待ってる。
462風と木の名無しさん:2009/01/13(火) 23:19:09 ID:YEM+ATQ10
>>449
ごめんなさいの7文字がシンプルにきたwww
続き待ってるわっふる
463風と木の名無しさん:2009/01/14(水) 00:15:25 ID:v4XachZL0
>>449なんという最高傑作
464風と木の名無しさん:2009/01/14(水) 00:15:38 ID:CFQ3MR0r0
>>449さんが現れないようなので…。
割り込みすんませんです。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  日曜8時の侍ドラマネタだモナ。 呼称はドラマに準じているので史実とは関係なしサ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  退場したお小姓ズへの妄想補完でできた産物。しかもエロなし意味なし
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

○月×日
サカトの城主であるキヘージ様の小姓としてウントーアンにあがることとなった。家の期待に添うべく、励まねばならぬ。
○月×日
キヘージ様に初めておめもじする。とても緊張した。
お目にかかったキヘージ様は、僭越ながらご聡明な質であるように見受けられる。対面の場では残念ながらキヘージ様
からの御言葉はなかった。同じく小姓となるフジマル、マタゴロー、サンスケ、ヤキチと、これよりキヘージ様の小姓として起居を
共にすることとなった。中ではわしが一番年長のようだ。
我らをお導き下さる和尚様は非常に学問の造詣が深い方という。教えを受け、少しでも役に立つ身になれるよう努め
ねば。
○月×日
キヘージ様は物静かな方だ。朋輩の小姓と比しても浮ついたところがない。またわしよりも弱年であるのに読破されて
いる書物の中身は大人顔負けである。わしもキヘージ様に倣い研鑽を積むつもりだ。
○月×日
今日、初めてキヘージ様より御言葉をいただいた。感激のあまり満足のいく返答をできなかったのが悔やまれる。
不審に思われなかっただろうか。不安だ。キヘージ様のご期待に添えるよう立派な小姓となるべく精進したい。
○月×日
キヘージ様はご立派な方だが、我ら小姓と打ち解けているとは言い難い。物静かに、我らが相撲をしているのを眺めつ
つ書を紐解いているような方なので仕方ないとはいえ、起居を共にしていてもキヘージ様とその他の小姓とで分かたれ
てしまっている。これは主従として望ましくないのではないか。
そこでわしは考えた末、キヘージ様と小姓ひとりひとりが接する機会を作ることにした。
ウントーアンでは日々の行水が許されている。このキヘージ様の行水の際に小姓が交代で背中をお流しすると決めたのだ。
○月×日
夕餉前に、キヘージ様に呼び止められた。昨日、わしが決めた行水当番について異存があるという。
ここでは皆、和尚様を師と仰ぎ、修行を積む場。分け隔てなく過ごすべきだとのご意向だ。
もちろんキヘージ様の優しいお心は理解している。だが敢えて異を唱えさせていただいた。
確かにこのウントーアンではキヘージ様も小姓も皆同じ扱いだが、身分が違う。立派な小姓として、またいずれは家臣とし

てお仕えするためにもけじめは必要である。そして小姓としての振る舞いに慣れておくことも我らの為になる、と申し
上げると、しぶしぶとではあるが納得いただけた。
○月×日
小姓仲間に愚痴を言われる。
行水当番の件だ。キヘージ様は無口な方ゆえ、背中をお流ししている間の沈黙が気まずいのだ、などと言う。愚かな

ことだ。寡黙な方だからこそ、日々近くで接し、そのまなざしやお顔の色ひとつで主の心を察せるように務めるのが
小姓ではないか。それには行水の最中など一番お心に触れやすい機会というもの。すべては心がけ次第、そなた

たちも励め、と放り出す。
○月×日
今日、新しい小姓がやってきた。齢五歳のヨロクという。あまりに幼く物言いも不遜なので驚いたが、対面された御屋
形様は気に入られたようだ。これから我らと共に学ぶことになるが、大丈夫なのだろうか。
○月×日
朝餉の後、ヨロクが突っかかってきた。ただでさえ舌足らずの口調が激高しているためわかりにくかったが、どうやら
行水の当番から外したのが不満らしい。ヨロクの小さな手でははっきり言ってキヘージ様の背中を流すのは無理だ。そ

の心意気は買うがキヘージ様のご迷惑になりかねない。そう説得したのだが失敗してしまった。
もう頼まぬ、と叫んで泣きそうな顔で駆けていってしまった。
その顔が胸をついて離れず、どこへ行ってしまったのかと落ち着かなかったが、その後の講義に顔を出していたの

でほっとした。
年の離れた朋輩というのは扱いが難しい。
○月×日
今日も朝からはりきって起床。しかし、キヘージ様はわしよりも早く目を覚まされているようだ。さすがである。
我ら小姓と一緒に寝起きをされているが、そのきちんとした生活態度には頭が下がる思いだ。
蒲団をあげている最中に厠へ駈け込んでいく者、二名。敢えて名は伏せる。キヘージ様の小姓ならば廊下は走るなと

言いたい。
○月×日
和尚様の講義の最中、キヘージ様が見事な解釈をされた。やはり我らのご主君にふさわしい器と感じ入る。
ヨロクは講義の間も落書きに余念がない。だがなかなか大胆な絵を描くので、将来、闊達な人物になるやもしれない。
○月×日
小姓仲間で裏の川に釣りに行く。キヘージ様をお誘いしたが断られる。ご主君抜きが気楽なことは確かだが、聡明な
キヘージ様は我らの空気を察してわざと遠慮されたのではないか。また幼すぎて仲間外れにされたヨロクが行きがけに
追いすがったことも気にかかり、皆は楽しんでいたようだがどうにも落ち着かなかった。心に惑いを抱えたまま釣っ

た魚を持ち帰ると、和尚様に殺生を叱られてしまった。やはり、迷いのある心というのは万事よくない。
年長者であるのだし、いま少し周囲に気を配りキヘージ様やヨロクもフジマルやマタゴローたちと共に楽しみを見つけられるよ

う努めようと思う。
それがのちのお家のためにもなるはずだ。
○月×日
春日の御屋形様より鉄砲が届く。クリバヤシ様らが寺を訪れ鉄砲を披露してくださった。その威力の凄まじさに驚く。
これからの武士はこういったものも使いこなさねば戦には勝てぬ。
久々の人の訪いは嬉しい。御屋形様より下された菓子を皆でわける。見たこともない甘い菓子。砂糖が入っている

のだろうか。
夜、キヘージ様にヨロクが無礼をはたらいていたので咎める。だが同じ家臣とはいえ幼い者にきつく言い過ぎたかもし

れない。
○月×日
近頃、ヨロクの様子がおかしい。かねてより強い気性であったが、今は我らとも馴染まずおのれ一人のうちに籠って

いるようだ。先日の件が響いたのだろうか。やはりわしはまだ修行が足りぬ。
○月×日
マタゴローとヨロクが喧嘩をする。
マタゴローは根は優しいのだが少々ひねくれた物言いが多く誤解されやすい。喧嘩の原因も元はマタゴローが体の小さい
ヨロクを手伝おうとしてのことだったのだが、ヨロクには伝わらず大喧嘩となってしまう。わしも二人の間に入って止めよう
としたが、逆に油を注ぐ形になってしまった。
マタゴローとヨロクは和尚様に叱られ、罰として雪の中薪取りに行かされたようだ。
同日夜半
何かを感じて目が覚めた。寒さ厳しい深更。キヘージ様とヨロクがいない。夜具の温みからしてかなり前に抜け出したらし
い。急ぎ和尚様に知らせようと部屋を訪れると、灯りがともっており和尚様は起きておられた。二人のことは既にご存
知のようで徒に騒がぬよう言い含められる。問いたいことは多々あったが致し方ない。部屋に戻るが寝られるはずも
なし、まんじりともせず朝を待つ。
○月×日
キヘージ様とヨロクは朝になると何事もなかったように我らと朝餉を共にした。だが朝まで部屋に戻って来なかったのを
わしは知っている。和尚様が語らぬならばこの件は誰にも密すべきなのだろう。
だがおのれ一人のうちに秘密を抱えていると、どうにも気になる。さりげなく二人に注意していると、昨日までと異なる
ことに気がついた。
どこかぴんと張った弓のようであったキヘージ様の佇まいがとても穏やかなのだ。ほとんど笑わず自ら語られぬのは
相も変らぬのだが、どこか違う。静かなまま、力が抜けたとでもいうのか。自然体なのだ。一方のヨロクも、今日はマタゴ
ローと笑いながら仲良く水汲みなどをしている。これまで誰とも交わろうとしなかったというのに。
これはいかなることなのか。しばらく様子をみなければなるまい。
○月×日
キヘージ様とヨロクはあの一夜以来、良い方に変わってきている。
寡黙なキヘージ様であるが、我らの輪に自然と溶け込み以前のような緊張を強いることはない。こういう空気は小姓に
も伝わるのか、これまでは出来得る限りキヘージ様の御用を避けていたフジマル、マタゴロー、サンスケ、ヤキチも、我先にと参
じようとする。
しかし真っ先にキヘージ様に駆け寄るのはヨロクなのだ。幼いヨロクには御用が勤まるはずもなく終いには誰かが手を貸さ
ねばならなくなるのだが、それにしても。キヘージ様は四六の失敗も優しいまなこで見守ってくださっている。むろん、以
前から慈愛に満ちた寛いお心をお持ちと承知していたが、それを皆に示すことが下手であったと思う。
何があったのかはわからぬが、幼いヨロクがキヘージ様の心を溶かしたものらしい。年長者としてキヘージ様のお力になれ
ずに終わったのは残念だが、キヘージ様が心穏やかに過ごせるならばそれは喜ばしいことである。
もちろん、頑なであったヨロクを素直にさせたのがキヘージ様であるのは言うまでもない。ますますお仕えし甲斐のあるお
方だと認識を新たにした。
○月×日
御屋形様がキヘージ様を春日山に召されたという。勿体なくも我ら小姓も揃ってお連れ下さるという。ありがたいことだ。
これからは春日山でキヘージ様にお仕えすることになるだろう。ウエスギの者にサカトの者は、と侮られぬようにせねばなる
まい。
不肖アヴェジンスケ、これから先何十年となろうともキヘージ様の御為、おのれを精進し忠誠に励むことをここに誓おう。
470風と木の名無しさん:2009/01/14(水) 00:22:54 ID:CFQ3MR0r0
 改行失敗した…orz
____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 長々とスマンデス
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 勢いで書いた。今は反省しているからフォモ協会は番外小姓編を
 | |                | |       ◇⊂    ) 放送するべし。__
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
471風と木の名無しさん:2009/01/14(水) 00:40:30 ID:U4IfEhfmO
乙乙!

主従とは良きものぞ。
しかし駄目だ、この後の歴史を思い出して最後の結びに涙が出てしまう。
472風と木の名無しさん:2009/01/14(水) 01:17:33 ID:esaLtFrP0
わしはこんなSS、読みとうてたまらなかったのじゃ! GJGJ!
小姓たちのせいかつカワユス
473風と木の名無しさん:2009/01/14(水) 06:06:45 ID:MrPFXCZDO
>>470
よき仕事にござった
言葉遣いが巧みであらせられること、本家以上と感じ入ってござる
474風と木の名無しさん:2009/01/14(水) 07:53:27 ID:OA8PAKJkO
>470
超GJ!
省略されたお小姓時代は、我々に好きに妄想補完しろ、というホモサピエンス協会の配慮ですよね!
土曜再放送が楽しみだ!
475風と木の名無しさん:2009/01/14(水) 10:02:54 ID:u+/i5PM7O
>>440
遅レスごめんなさい。
キム空シリーズ、大好きで何度も読み返してました。続編が読めて本当嬉しいです。
また書いて頂けたら嬉しいです!
476風と木の名無しさん:2009/01/14(水) 15:48:30 ID:dGLHBm5J0
亀だが>>449テラGJ!

>日本語でおkは仕様です。
いや、姐さん方そこまでアホじゃないからw

ああもう、一つ一つ突っこめないのがもどかしいww とりあえず、濃い体毛と5mがツボった。
清水義範センセイが2ちゃんにハマって、更に801を書いたらこんな感じになりそうだ。
って、もしかしてセンセイ?
477風と木の名無しさん:2009/01/14(水) 16:40:07 ID:SFwgLrVO0
>>449
萎えをまとめるなwwwww
478風と木の名無しさん:2009/01/14(水) 18:07:04 ID:D4wRE4PD0
混ぜるな危険wwwwwwwwwww
ということで>>449続き待ってるよw
479417:2009/01/14(水) 21:53:13 ID:/IewADnP0
すみません、脱字を見つけたので訂正させて下さい。
12行目
× 今、口を開けば叫びだしてしまいだった。両手を口に押し当てる。
○ 今、口を開けば叫びだしてしまいそうだった。両手を口に押し当てる。
480風と木の名無しさん:2009/01/15(木) 07:48:26 ID:lkCVKELw0
>>449
早く続きが読みたいwww
481ムマの天蓋・ネクロノミコソ 1/2:2009/01/15(木) 22:43:23 ID:sOVaR9db0
需要もねぇ!供給もねえ!な、携帯アプリゲームマの天蓋・ネクロノミコソのハヤミ×ジソネタ
ちょっとネタバレあります
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


夢魔の天蓋の下
ゆめまぼろしのうたの中で

声を 確かに聴いたんだ。




休みの日
さんさんと降り注ぐお日様の光はまぶしくて
光は洗濯物を乾かして 夜にぼくらを包んでくれる布団はふかふかになる
ただ、そこにあるだけで幸せになれるような
まるで魔法のような休みの日

そんな魔法の欠片であるお日様の光が、ドアの隙間からきらきらと漏れ出ているんだ。
すぐ、あの光にふれたい
お布団の上で寝転びたい。

なのに、ぼくはこんなにも暗いところに閉じこもって――

閉じこもるということは、一人でいたいこと
閉じこもるということは、誰にも会いたくないということ
なのに、なのに
こんなわかりきった場所で
こんな場所にいるということは、そう。相反する。
一人でいたいこと、誰にもあいたくないということ
そして
482ムマの天蓋・ネクロノミコソ 2/2:2009/01/15(木) 22:44:34 ID:sOVaR9db0
「ジン、泣いているの?」


欠片だったお日様の光が、その声とともに一気にあふれ出した。
眩しさに目がくらむ。
くらり、くらりと
その刺激が、まるで心臓までも貫いているような。

お日様の先にいるひとは、いつもと変わらない様子で語りかける。
慈しみ、見守り、包み込み

「あなたは、優しい子だから」

剥き出しの肉の香りのままで、あのころと変わらない言葉を――。




夢の中、占い師
占い師は言う、貴方に理解者が
理解者は滅し、貴方は一人


理解などされない、ハナで笑うジン

そして時が訪れ、あの男ととであい
そして、そして




物語の終焉はやはり、ハッピーエンドなどありえない
483風と木の名無しさん:2009/01/15(木) 22:46:07 ID:sOVaR9db0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ ;)ハイハイ フンイキフンイキ
484チーム罰☆ 役人→愚痴←麻酔でGO! 1:2009/01/16(金) 05:26:01 ID:DdWHL4n00
各自の性格も捏造もいいところ。
こういう「おふざけ」が嫌いな方には、心からの謝罪を。
いろいろ混ざって、すいません。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「好きなんです、多愚痴先生!」
 そう言って、麻酔医・日室が愁訴外来にいた多愚痴医師を押し倒したのは、昼休みが始まったばかりのまっ昼間だった。ご飯を食べに立ち寄った日室だったが、
たまたま外来に多愚痴しか居なかったことが、この無謀な行動を起こした起因でもあった。
「え…ええっ!?」
 思わず、2人分のコーヒーを取り落としてしまった多愚痴だった。2杯分のコーヒーを手にかけてしまって「うわ、あっつい!」と飛びあがったところを
抱きしめられて、そのまま診察に使われてもいる広いテーブルに押さえ込まれてしまった。抵抗しようにも身体の大きさが違いすぎる。身動きすら取れない。
「ん…っ!!」
 そのまま多愚痴の唇を奪った日室であった。しかし…、元がノーマルであるため、ここからの仕様が分からない。キスした時は夢心地であったのが、
一気に困惑の様子を見せる。
「?」
 自分の上で、固まった若者に当惑して頭を上げた多愚痴だったが、我に返しちゃならんと、訳も分からず何度もキスを繰り返す日室。お陰で
多愚痴は酸欠を起こしてぼーっとなっていた。勝負の分かれ目である。しかし…というか、当然というか、受ける方が酸欠を起こすなら、
責める方も酸欠になっている訳で(笑)。2人でクラクラになっているその時
「なってないなー、まったくなってない」
 突然の声に、ビクッとしながら振り向くと、そこには腕を組んで眉間にシワを寄せた白取捜査官が立っていた。
「ししししし白取さん、い、いつから?」
 日室の下から多愚痴が、真っ青になりつつ問いかける。
「いつからって、ひむろんが愚っ痴ーを押し倒したところからだよ。だめだなあ、ひむろん。それじゃ愚っ痴ーはオチないよ」
「ひむろん…」
 微妙な顔で受ける日室に、ハイハイどいてと白取はまんまと美味しい位置につく。
485チーム罰☆ 役人→愚痴←麻酔でGO! 2:2009/01/16(金) 05:29:57 ID:DdWHL4n00
「いいかい、押し倒してキスするまではよかった。(愚「よくないですよ!」)でもそこからがポイントなんだよ。
いいかい、まず」
 こうキスをして、と、白取が自然に多愚痴の唇に自分のを重ねた。多愚痴と日室はそれぞれの表情でそれを受けたが、
白取はあっさりと無視して、話を進めた。
「ゆっくり…相手の心を酔わせるんだよ…、あせらないで、じっくり、ね」
 そう呟きながら、白取はねっとりと大人なキスを多愚痴に施す。日室は思わず白取を突き飛ばそうとしたが、白取の下で
表情を変えていく多愚痴に、つい目が行ってしまう。
 チュッ、とワザと音を立てて顔を離すと、白取の方は満面に喜びを表していたが、多愚痴の方は目を閉じて、ぐったりとしている。
その顔は酸欠というには艶めかしかった。
「ここまで丁寧にしたら、相手はまずこうなるから、そこで軽く相手に、我に帰ってもらうんだ」
 そういって優しく多愚痴の頬をなぜると、ピクッと多愚痴の目が開いた(白「ホラ、たったこれだけの刺激でも、
身体が反応するようになったろ?」)。
「ここで、相手の目をじっと見つめる…。いいかい、決してモロに欲望を出さないで、優しく…でも、目に力を込めて」
 そういいながら、白取は例の眼力で多愚痴を圧倒する。多愚痴の心象の変化が伝わってくる。その緊張感に日室の胸が熱くなる。
「しら…とり、さん?」
 多愚痴の呼びかけに、白取はにっこりと微笑んだ。緊張が解けた。不思議な開放感が多愚痴と日室を包む。
「そしたら、ここで…」と、どんどんとペースを掴んでいく白取と、顔を中心にいろいろされてつい声を上げてしまう多愚痴の
2人を見ていて、ハッと日室は我に帰った。
 そうだ、元はといえば、自分が多愚痴先生に迫っていたハズだったのに!
「…ハイ白取さん! ありがとうございました!!!!」
 音が立ったら「ドカーン!!」といいそうな勢いで、日室は白取を突き飛ばした。思いっきり戸棚に額を打った白取には目もくれず、
日室は多愚痴を見下ろした。
「日…むろせんせい」
 潤んだ視線と濡れて光る唇に、思わず日室の喉が鳴った。
「多愚痴先生…!」
 そして、そのまま美味しくいただこうとした時
486チーム罰☆ 役人→愚痴←麻酔でGO! 3:2009/01/16(金) 05:33:32 ID:DdWHL4n00
「ひむろん、講義は終わってないYO!」
 額を真っ赤にした白鳥が、自分の時とは正反対の方へ、おぼこい青年を跳ね飛ばした。診療用ソファに、したたかに向う脛を
打って、日室は言葉もなく足を抱えて跳ね回った。
「まったく、ひむろんは油断ならないなー。ねえ愚っ痴ー?」
 妖艶に笑って、白取は再び多愚痴に挑もうとした。その時(ry
 何度かお互いをどつきまわし、青あざを作ったあげく、とうとう日室と白取は言い争いまで始めてしまった。
「白取さん、もう十分ですからどうぞ功労省にお帰りください! 結構なご教授、ありがとうございました! 
つーか、終了! もう帰れ!!」
「なんだよひむろん! 大体ここまで愚っ痴ーを美味しくしたのは僕でしょお? ひむろんはまだ若いんだから、
ここは年上に譲るのが常識ってもんじゃないかなあ!?」
「だから、「ひむろん」ってなんですか!? 人を勝手にヘンな呼び方しないでください!!」
「日室だから「ひむろん」だろ? それくらいもわかんないの!?」
 話が下らない方に進んできたこともあって、ここで一番先に正気に戻ったのは多愚痴だった。
彼にしてみれば、いきなり身近な人間2人に襲われて、そしてなんだかわからないけど、どうやら自分を巡って
口争いが始まってしまった。端で見ているなら楽しい状況だが、渦中の本人にしてみれば、いたたまれないこと夥しい。
「あの…2人とも」
 掴み合いになりそうな勢いの日室と白取の間に入ろうと、多愚痴は必死になった。んがしかし、2人とも多愚痴の
一つ頭半は背が高い。そんな、雲の上での喧嘩に割って入ろうとしても無理な話だった。それでもなんとかしようとしても…。
「愚っ痴ー、ちょっと黙ってて(脇にポイ)」「多愚痴先生、待っててください(襟足掴まれてポイ)」
 いい大人がいつまでも言い争う姿を前に、多愚痴は呆然と頭を掻いた。そして、今、自分に出来ること…とりあえず乱れた
衣服を整えることにした。貴重な昼休みが終わろうとしている。口喧嘩は終わりそうもない。どうしたものか、と多愚痴がふと
入り口のドアを見ると…
「あなたは…!」
 そこには、母性の塊のような笑顔が、困った状況を見つめていた。
487チーム罰☆ 役人→愚痴←麻酔でGO! 4:2009/01/16(金) 05:39:02 ID:DdWHL4n00
「もうこうなったら、多愚痴先生に決めてもらいましょう!!」
「ああ、そうだね。それが一番だ!」
 ぜいぜいと息を荒げて、白取は日室の提案を受けた。仕立ての良いスーツがよれて、ネクタイも曲がっている。
対する日室の術衣も、クタクタにシワがより、すそがほつれてしまっていた。
「多愚痴先生!」「愚っ痴ー!」
 しかし、お互いが同じ場所を振り返ったところに多愚痴の姿は無く、代わりに
『いいかげんにしなさい!』と筆で大書きされたA3方眼紙が2人の目に飛び込んだ。
 思いっきり肩透かしを食らった男2人に
「多愚痴先生は、もうここにいませんよ」
 と、優しいが怒りを含んだ女性の声が届く。
「え?」「富士原さん!?」 そこには、昼休みを終えて職場に戻った有能な看護師が、この部屋では珍しく
番茶を啜って座っていた。
「多愚痴先生は、午後の往診に行かれましたよ。かわいそうに随分疲れたようすで…」
「往診? じゃあすぐには戻らないな」
「田愚痴先生!!」
 駆け出そうとした日室に、思わず白取が釣られた。怒涛の勢いでドアに向かった矢先
「…おわっ!!」「うわあっ!?」
 思わずつんのめって、ドアと鼻が仲良しになった2人だった。
 見ると、しゃがみこんだ富士原が、どこの柱とも知れない場所にくくりつけた縄をピンと引っ張っていた。
 ……ちょうど大人の足元の高さの、縄を。
「なにするんですか…?」
 ちょっと情けない声で白鳥が抗議する。日室は痛みで何も言えない。
 そんな2人に、自身の腰に手を当てて富士原が立ち上がった。見ていた2人は、思わず彼女が変身するのかと身構えた。
「お二人とも、ここは心療内科愁訴外来です」
 しかし、変身なんぞするはずもなく、富士原女史は歳の功の迫力を湛えて、非常識な者共を見下ろした。
「そして、お二人はここの担当ではありません。直ちに昼休みを取って、各自の仕事場に戻ってください!
 多愚痴医師はまだ仕事が残っています、外来患者さんもやってきます! 多愚痴先生の邪魔をなさらないようお願いします!!」
「いや…仕事の邪魔なんて…」「ボクはこれから愚っ痴ーと調査を…」
「お黙りなさい!!」 ぐずる生徒に活を入れる口調だった。
488チーム罰☆ 役人→愚痴←麻酔でGO! 4:2009/01/16(金) 05:40:04 ID:DdWHL4n00
「もうこうなったら、多愚痴先生に決めてもらいましょう!!」
「ああ、そうだね。それが一番だ!」
 ぜいぜいと息を荒げて、白取は日室の提案を受けた。仕立ての良いスーツがよれて、ネクタイも曲がっている。
対する日室の術衣も、クタクタにシワがより、すそがほつれてしまっていた。
「多愚痴先生!」「愚っ痴ー!」
 しかし、お互いが同じ場所を振り返ったところに多愚痴の姿は無く、代わりに
『いいかげんにしなさい!』と筆で大書きされたA3方眼紙が2人の目に飛び込んだ。
 思いっきり肩透かしを食らった男2人に
「多愚痴先生は、もうここにいませんよ」
 と、優しいが怒りを含んだ女性の声が届く。
「え?」「富士原さん!?」 そこには、昼休みを終えて職場に戻った有能な看護師が、この部屋では珍しく
番茶を啜って座っていた。
「多愚痴先生は、午後の往診に行かれましたよ。かわいそうに随分疲れたようすで…」
「往診? じゃあすぐには戻らないな」
「田愚痴先生!!」
 駆け出そうとした日室に、思わず白取が釣られた。怒涛の勢いでドアに向かった矢先
「…おわっ!!」「うわあっ!?」
 思わずつんのめって、ドアと鼻が仲良しになった2人だった。
 見ると、しゃがみこんだ富士原が、どこの柱とも知れない場所にくくりつけた縄をピンと引っ張っていた。
 ……ちょうど大人の足元の高さの、縄を。
「なにするんですか…?」
 ちょっと情けない声で白鳥が抗議する。日室は痛みで何も言えない。
 そんな2人に、自身の腰に手を当てて富士原が立ち上がった。見ていた2人は、思わず彼女が変身するのかと身構えた。
「お二人とも、ここは心療内科愁訴外来です」
 しかし、変身なんぞするはずもなく、富士原女史は歳の功の迫力を湛えて、非常識な者共を見下ろした。
「そして、お二人はここの担当ではありません。直ちに昼休みを取って、各自の仕事場に戻ってください!
 多愚痴医師はまだ仕事が残っています、外来患者さんもやってきます! 多愚痴先生の邪魔をなさらないようお願いします!!」
「いや…仕事の邪魔なんて…」「ボクはこれから愚っ痴ーと調査を…」
「お黙りなさい!!」 ぐずる生徒に活を入れる口調だった。
489チーム罰☆ 役人→愚痴←麻酔でGO! 5:2009/01/16(金) 06:09:07 ID:DdWHL4n00
「うわ、まちがって2重投稿してしまった。なんかレス削除しようにも
上手くいかない…。どうもすいません。
取り合えず、続き」

「なんですか、いい大人が揃っていながら、あろうことか職場でこんな不埒な行いに及ぶとは、情けないですよ!!」
「不埒、て…あの、富士原さんはどこらへんから見てたんですか…?」
「(突っ込みを入れた日室をキッと睨みつけ)やるんだったら、病院以外のところでおやりなさい!! まだこれでも
やる気があるなら、ですけども!!」
 そういいきると、自分の背丈よりも倍はありそうな男どもを外来から軽ーく、追い払ってしまった。
さすが富士原である。多愚痴ではこうはいかない。
 追い出された2人は、すごすごと廊下を歩いた。昼休みはもう5分で終わる。白取はまだしも、
日室は昼食ヌキで午後の激務に戻らなければならなくなった。
「これというのも、白取さんがよけいなことを…」
「ひむろん、ちょっとうるさいよ」
「だから「ひむろん」はやめてくださいって!」
「もういいよ。それより、このままだったらボクら病院で愚っ痴ーに会うのが、難しくなるんじゃないの?」
 ビクッと日室の肩が跳ねた。それは…嫌だ。しかし、あの筆の筆跡(「いいかげんにしてください!」)
からみて、かなり怒っているのは明白だ。
 頭を抱えた日室に、顎に手を当て考え込んでいた白取がある提案をしたのは、日室の医療用PHSが昼休み
終了を知らせるアラームを鳴らしたのと同時だった。

 ぐったり疲れた多愚痴が、職員用玄関を出たのは終業から2時間も経ってからだった。仕事自体は
そんなにも溜まっていなかったのだが、あの後例の2人が、まったく姿を見せなかったのが気になっていた。
『ちょっと、やりすぎたかな…』
 「いや、そんなことはまったくないから」と肩を叩きたくなることを思い悩み、多愚痴はため息をついた。
富士原は『懲りるような人達じゃ、ないですよ』と言ってくれたのだが…。
 その時
「多愚痴先生」
 聞きなれた声がかかった。
490チーム罰☆ 役人→愚痴←麻酔でGO! 6:2009/01/16(金) 06:12:26 ID:DdWHL4n00
「え?」
 見ると、私服に着替えた日室が、寒空の下ポツンと佇んでいた。
「日室先生…」
 ほっとした気持ちで、多愚痴は日室を見たが、すぐに表情を硬くした。「あっさり許しちゃ
いけません」との、富士原からの御達しだった。
「なんですか? 僕は、謝りませんよ」
 なんとか怖い声を出して、多愚痴は言い切った。日室は哀しげに眉をひそめたが、すぐに「ごめんなさい」と、
頭を下げた。
「あの後、富士原さんに言われて、ボク達、反省したんです。多愚痴先生、先生の仕事場で、あんなことをして
申し訳ありませんでした」
 もう絶対、あそこであんな行いはしません。ですから…これからも、先生の外来に言ってもイイですか?
 これはボクも白取さんも、同じ気持ちです。と日室は後に続けた。誠意と本気が、そこからは感じられた。
「いいんですよ、わかってくれれば」
 今度こそ、ホッとして多愚痴は表情を緩めた。
「お二人の気持ちは…ありがたいんですが、あの場所は僕の場所であって、僕個人の場所ではありません。
そこのけじめをつけたいんです」
「じゃあ、いいんですか? 許してくれるんですか?」
 必死の眼差しで、日室が尋ねた。思わず多愚痴はくすっと笑った。なんだか、日室がかわいいと思った。
「許すだなんて…。でも、そうですね。ハイ。許します」
「じゃあ、ボク達の気持ちも分かってもらえたんですか? 『あの場所ではしない』っていう…」
 なんで同じことを繰り返すんだろうと思いつつ、多愚痴は一つ肯いた。
「じゃあ、あの場所以外ならいい、てことなんですね」
 明るい笑顔と明るい口調の日室の言葉に、ついウンウンと肯いてから、多愚痴は『…ん?』 っと
首をかしげた。しかし、隙も見せずに日室が携帯でどこかに連絡を取った。
「ええ、はい…引き受けてくれましたよ! 病院でも会ってくれるって…ハイ!」
491チーム罰☆ 役人→愚痴←麻酔でGO! 7:2009/01/16(金) 06:15:38 ID:DdWHL4n00
 相手もすぐに出たのだろう。僅かな返事の後、携帯を切ると、ものの5秒も経たないうちに、なんだかすごい
黒塗りのリムジンが、多愚痴達の前に現れた。
 そしてドアが開くと、ピカッと光る革靴を突き出して、白取が颯爽と降り立った。
 訳も分からず唖然とする多愚痴を尻目に、日室が「じゃあ、行きましょう!」とその手を取った。
え?え? とおたおたする多愚痴に、白取が「どうぞ」と車内へ促す。
「え…と、これはどういう」
 リムジンは、中も凄かった。対面の座席には小さくはあるがテーブルが付き、その上にはシャンペン
グラスが3つ並んでいる。その他にチーズやアボカドなどのつまみが乗り、車の中とは思えない強い
明かりを受けて、きらきらと光っていた。多愚痴はそんな中を、白取と日室に挟まれた形で小さくなっていた。
「ですから」と日室が説明する。
「病棟内では駄目なら、病院の外ならいいんだろうってことになって」
「それで、ボクとひむろんが協定を結んだの。病院の中ではお互い抜け駆けしないってね」
「ぬ、抜け駆け?」
 嫌な予感をひしひしと感じつつ、多愚痴が聞き返した。にっこりと2人は笑うと一つウン、と肯いた。
「もうこれからは、病院の中では多愚痴先生の迷惑になることはしません。多愚痴先生も納得されましたよね?」
「なら、これからは病院の外でお互い張り合おうってことにして、今日はまあ、ライバル関係とかは抜きにして、
お互いに愚っ痴ーと目一杯過ごそうって話になったのさ」
「…じゃあ、今、向かってるのは?」
 そう、なんかなりゆきのままに連れ込まれてしまったが、多愚痴はこの車の行き先を知らないのだ。背筋に氷が
走ったのを彼は感じた。
「そう、この車は」
「多愚痴家に向かっては、おりません」
 2人が示し合わせたように、台詞を吐く。
「車は、これからの3連休を迎えるべく、都内某ホテルに向かっております」
「そこで1泊してから、次は熱海の温泉に迎います」
「そこで、改めて「温泉、グルメ、愚っ痴ー」の3大リラクゼーションを、我々は堪能する予定です」
 なんだか、口調がどっかのローカルバラエティのようになった2人だったが、会話の内容のオソロ
シサに多愚痴が気付いたのは、車が随分と走りこみ、とうとう高速に乗ってしまった頃だった。
492チーム罰☆ 役人→愚痴←麻酔でGO! 8:2009/01/16(金) 06:24:53 ID:DdWHL4n00
「いや、ちょっと待って! これは拉○だよ!!」
 両サイドから、シャンペンだつまみだと差し出してくる2人を跳ね飛ばして、黒いガラスで隔たれている
運転席に向かい、多愚痴は思いっきりガラスを叩いて怒鳴った。
「運転手さん、バック! バック!!!!」
 その声が届いたのか、ガラスがすーっと開いた。そこには60歳ほどのおじさんが、困ったような
はにかんだ笑顔を多愚痴に向けて、すぐにすーっとガラスを戻した。
 呆然とした多愚痴だったが、2本の腕に袖を引っ張られて現実に戻った。彼は再びガラスを叩いた。
「ちょっと…あなたもそんな、人の良さそうな顔をして!! 待って、車を止めてって!!」
「多愚痴先生…あの、部屋に入ったら、ベッドの隣で寝てもいいですか? なにもしませんから(ウソ)」
「日室先生〜!」
「ハイひむろん、落ち着いて。ホラ、愚っ痴ー。口開けて。黒海産のキャビアだよ。食べたことない
だろうから驚かないようにね」
「失礼なこと言わないでください!!」
「あれ、食べたことあるの?」
「…ないです」
 じゃあ、いいじゃん。ほら、あーん…と金のスプーンを突き出してくる白取と、
「こっちもおいしいですよ」と、とろりとしたカマンベールチーズを差し出す
日室の間でかき回されながら、多愚痴はこれからの3日間を思い、目的地に着くまでに
合計10回、運転席のガラスを叩くのだが、その声が届いたためしはなかった…。

 ちなみに、多愚痴家には白取からの「ネズミーリゾート3日間宿泊付き」チケットが
届いていることすら、多愚痴は知らなかったりする。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

なんかいろいろ混じってますが、こういうのが許せない方は、まとめてあぼーんしてください。
でも、たまにはこういうのもいいかな、と。
ダメ?


493チーム罰☆ 役人→愚痴←麻酔でGO! :2009/01/16(金) 06:33:11 ID:DdWHL4n00
眠い頭で投稿してたから、おかしなところに気づかなかった。
愚っ痴ー先生が大書きした言葉は「いいかげんにしてください!」が
正しいです。「この世でもっとも萌えないスレ」を地でやってしまった。
反省。
494風と木の名無しさん:2009/01/16(金) 09:43:38 ID:StrJTvjl0
>>484
ものすごおおおおおおく楽しかったよ姐さん。
なんかこういうのも好きーw
役人も麻酔も愚痴が好き杉るwそして富士原さんぐっジョブ杉るw
愚痴はたっぷり可愛がってもらえばいいよ!
495風と木の名無しさん:2009/01/16(金) 11:09:41 ID:khCJKFP+O
>>484姐さんありがとう!
楽しくて幸せな気持ち!
>「温泉、グルメ、愚っ痴ー」の3大リラクゼーション
ちょw堪能したいそんなリラクゼーションw
そして流石です富士原さん!GJ!
2人とも楽しく遊んだらいいと思うよ(愚痴で)w
496風と木の名無しさん:2009/01/17(土) 19:10:35 ID:Mt7Kdfj10
>>484
ありがとー
3人、か…。いいな…ゴクリ
497風と木の名無しさん:2009/01/17(土) 19:28:19 ID:Wm07in4NO
>>484
ナイスです姐さん。
順番に堪能するんでしょうか仲良く堪能するんでしょu(ry
3人で良い休日を!www
498天土也人 マサキチ語り 兼次×影勝様←アベ:2009/01/17(土) 22:21:06 ID:lh4SWTRC0
はいはい、気の早い私が通りますよ。鯛賀は明日がやっと三話目なんですがね…。
今の時点で萌えが溢れて溢れて。これからが思いやられますな。

429の天土也人の続きっつーか、あの夜のスピンオフです(;´Д`)
429の兼次×影勝様のエチーを家臣の安部マサヨシだけどキチが出歯亀してます:(;゙゚'ω゚'):
そしてマサキチ語りで話が進むよ。まだ桂山マサキチ出てきてないのに…。
いろいろすいません。

またしても半ナマ注意です。苦手な方はスルーお願いします。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
499天土也人 マサキチ語り 兼次×影勝様←アベ1:2009/01/17(土) 22:22:02 ID:lh4SWTRC0
大事なものを奪われると、人間は残酷なことであろうと、なんでもできてしまうという。
突然理性の箍が外れるというか、なんというか。
とにかく、大事なもののためならどんなこともできる、という気が湧いてきてしまうらしい。
戦いはあまり好きではない。
「無駄な」とは言わないが、人間が傷ついたり死んだりすることは良いこととは思わない。
だから今まで、「殺してやる」とか「こらしめてやる」とか考えたことはなかった。
主君のため、影勝様のために働いていただけだった。

だがあの夜、私は始めて真っ黒などろどろとした感情を持った。
自らではどうにもできず、消えてくれないその汚いものは「殺意」だった。
しかも敵にではない。同志、共に影勝様に仕えている仲間に、である。
とても人間的だと思えないその気持ちを無くしたい、忘れたいと思うのに消えない。
唇を強く噛み、白くなるまで拳を握り締めるだけしかできなかった。


わが主君植杉影勝様は無口で聡明な方。私たち家臣の前に出てもほとんどお話なさることがない。
だが家臣の皆が殿のことを好いている。
忠義の仲を大切になさっており、大切に我々を扱ってくれるからだ。また幼き頃から仕えているから。
なにより、景勝様は美しく気品がある。無駄なお話は一切なさらないところも深窓の姫様のようで。
こんなことを思っているなんて、もしばれたら大変なことになるが。
ただ何からでも殿を守ろう。戦からも、謀反からも。そう思っていた。
ところが――――――――………
500天土也人 マサキチ語り 兼次×影勝様←アベ2:2009/01/17(土) 22:23:28 ID:lh4SWTRC0
越後の冬は底冷えがする。
あの夜、私は厠に行きたくて目が覚めた。
ひどく寒くて、殿が寝付けないのでは、と思い、遠回りだが殿の寝室の前を通ることにした。
そもそもその判断がよくなかったのだが。
廊下を歩いて行くうちに、高い、嬌声のような声が聞こえてきた。

「ンっ…、あっ――――、」
荒い息遣いと布の擦れる音。最初驚いたが、段々なぜか恥ずかしくなった。
殿が喜久姫様と閨を楽しんでいらっしゃるのだろう、と思い、私は静かに、でも早く通り過ぎようとした。
しかし、襖が少し、そう本当に少し開いていた。私は衝動的に部屋の中を、見てしまった。
人間のサガと言えばそれまでだが、不義であるし、自分にとっても不幸の種だった。
わずかな灯明の元、殿の上に男の背中があった。
「!?」
眉間に皺が寄るのが自分でも分かる。
知りたいという欲が私を支配し、家臣という意識が薄れていく。
私は中の二人に気づかれないように手持ちの明かりを消した。

「ぁ、ンっ!か、ねつぐ…、」
「影勝様っ、」

「兼、次…?」
欲と好奇心は消え、怒りが私を支配する。わずかに残った理性が私を此処に踏み止まらせていた。
開いた襖から見えた横顔は見覚えのある者。
なんと殿の高揚した裸体の上に図々しくも乗っているのは、幼いころからの同志、尚江兼次だった。

「ぁ、も……、兼、つぐっあっ!」
「はぃ?」
殿が男にしては甲高い声を出して喘ぐと、兼次がその白い肌を舐め上げる。ぞっとする。
昼間はあんな、どの家臣よりも殿に忠実だという顔をしておいて。
今の兼次は征服に燃えているただ一人の雄だ。
そして部屋の細い灯明が、ほのかなのに殿を妖艶に見せる。いや、見えない部分が余計私をそそらせる。
私は兼次を視線で殺しながら殿を見ていた。
501天土也人 マサキチ語り 兼次×影勝様←アベ3:2009/01/17(土) 22:24:46 ID:lh4SWTRC0
殿の彫りの深い顔立ちが際立って見える。
兼次は殿の下半身に手を伸ばしているようだ。
「ふ、ぁ……ぁ、ぁっ!!」
いつもは無口な殿の口から、聞いたことのない可愛らしい嬌声が上がる。
「影勝様、なぜ、お泣き、にな、るのです。お辛いのな、ら、兼次はここで止めます、よっ、?」
「おま、えっ…、」
意地の悪いことをいうな、というような顔をして殿は兼次の腕を掴んだ。
右の瞳から涙が流れ落ちるのが見える。
あの誰よりも忠義を重んじる同志は、信じられないほど不敵な顔をした。
「主君を攻め立てることは不義ですからね、」
兼次の手の動きが止まる。
と、殿は肩で息を吐いて奴を見上げた。
「かねつぐぅっ、」
兼次は名を呼ぶ殿の顎をひょいと上げさせると、短いが深い接吻をした。
私は身震いした。
「続けたほうがよさそうですね。」
「ひぁっ!!!!」
そして兼次は、ふふと笑うと殿の両脚を掴み、顔をその中心へ……、

どうして!!
私がこんなひどい光景を見ることになったのだ?
兼次が殿のお相手をしている?
どうして…。
「ぁっ!あ、アァっ!!!」
殿の鳴き声が私を思考から呼び戻す。
「昼間はお話、なさらないのに、影勝様、は、夜は、お喋りですねっ。」
「あ、も…、兼、つ、ぐっ!こ、いっ!…はぁ、んっ、」
「もう、よろしいですか?」
殿は白い裸体に兼次が吸ってできたであろう赤い斑をつけ、荒い息の中小さく震えていた。
長い睫毛が揺れ、奥の濡れた瞳が男を誘う。
兼次に向けてだし、廊下から私は見ているのだが、殿の色香に惑わされそうになる。
あんなに間近で見たらいったいどんな気持ちになるのだろう。
502天土也人 マサキチ語り 兼次×影勝様←アベ4:2009/01/17(土) 22:28:11 ID:lh4SWTRC0
「影勝様、お許しください。もう、兼次は止められそうにございません。」
あぁ、お前もそう思うのか。
兼次は掴んだままだった殿の脚を引きよせた。
すると影勝様は、今まで翻弄され欲に溺れていたように見えたのに、
「よい。」
と、兼次の頭を撫でた。
情事中なのに慈愛に満ちていて、信頼がその目に、その手に見えた。
それに対し兼次は眉を顰め、一気に殿を貫いた。
「っ、うっ!」
影勝様かのけ反り、美しい喉仏が兼次の前に露された。
鼻から抜けるような嬌声、しなやかな紅潮した体躯、長い睫毛に縁取られた誘う視線…。
私の知らない殿がいる。兼次の前にだけ現れる違う顔。

私は気持ちが冷たくなって、その場を後にした。
そういえば厠にいくのだった、と思いだした。
冷えた廊下をとぼとぼと歩く。私の心はあの殿に吸い取られたようだった。

なぜ兼次なのだろう。
私も一心に殿にお仕えしてきた。忠義を第一にしてきた。
あの様子では今夜が初めてではないことは明らかだ。
ぐるぐると疑問と失望と嫉妬がめぐる。
二人の主従の関係は肉体で保たれているのか?とか、それとも私こそが真実の忠義をしていると喜ぶべきか。
とか。
兼次が憎い。あれをなくしてしまいたい。殿の前から消さなければならぬ。殺してやりたい。
と思う。
だがこの感情は、影勝様の家臣としての忠義なのか、それとも…。
ただ自分が兼次になり代わりたいのではないか。
あいつに代わり、殿の体をかき抱き、薄い唇を奪いたいだけではないのか。
普段無口で寡黙な殿が、肉欲に濡れた目線で私を見ることを望んでいるのではないか。
あの甘い甲高い声でこの名を呼んでほしいだけではないか。
明日から影勝様と兼次をどんな目で見ればいいのだろうか。
虚ろな目線を黒光る廊下に落とし、私は歩いた。
503天土也人 マサキチ語り 兼次×影勝様←アベ:2009/01/17(土) 22:28:48 ID:lh4SWTRC0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
桂山マサキチの一人称が分からんし、語りだから殿に対しての敬語が削れちゃった(;゚д゚)
ぬるエチだしいろいろすまんかった。萌えが番組より先行してしまいました。
最後に、429のお話にコメントくれた棚と天土也板のお姐様方ありがとうございました。
504風と木の名無しさん:2009/01/17(土) 23:39:20 ID:M/Gb05Bj0
>>498
姐さんGJ!!1!
2話でマサキチに萌えたところだったんで
どストライクで萌えさせて頂きました!明日の3話も楽しみだw
505風と木の名無しさん:2009/01/18(日) 09:08:31 ID:2Cz4aumB0
>>498
GJ!GJ!!
前回のも萌えたんだけど、コメントするタイミングを逃してたんだ……!
今日の三話が楽しみでならない。
506風と木の名無しさん:2009/01/18(日) 09:51:18 ID:iDUoC+oeO
>>503
超GJ!
このお小姓ズは削れた部分も多いだけに、妄想広がりんぐだよね!
出来上がってる主従カポーもイイヨイイヨー(*・∀・*)
507風と木の名無しさん:2009/01/18(日) 09:56:51 ID:2kSw6TyJ0
>498
朝から禿萌え
508オリジナル 伝書鳩 0/4:2009/01/18(日) 22:19:35 ID:IX4Qw9iu0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  歴史を参考にしたファンタジーです
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  辻褄があってない部分は勘弁…
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
509オリジナル 伝書鳩 1/4:2009/01/18(日) 22:21:18 ID:IX4Qw9iu0
――19621年――

親愛なる君へ
お元気ですか? 僕たちは叔母の家で元気でやっています。
叔母と従兄弟らはよくしてくれます。西の暮らしは快適です。
ただあの夜、切符を渡してくれた君の蒼い顔を思い出すと胸が痛みます。
大変なことだっただろうに、本当にありがとう。
東の生活はあいかわらず苦しいと聞くけれど、体を壊してはいないだろうか。
君は昔から病気がちだったから、僕も妹もそればかり心配しています。
もしもこの手紙が届いたら、体調だけでも教えてください。
この鳩はもうすっかり家を覚えているから、空に放してやれば僕のところに帰ってきます。
とても賢い鳩なんだ。頭が丸くて、銀目が可愛らしいだろう?
なんだか君を思い出すよ。鳩に似てるだなんて可笑しいかな。
ではまた。

ハロー
君の素晴らしい鳩のおかげで、君たちの無事を知ることができた!
これは僕にとって、あの壁が出来て以来、最良のニュースだ。
小さかったあの子も、背が伸びただろうか。
僕があげた赤い手袋はもう小さくなってしまったかな。
元気でやっているようでとても嬉しい。
僕も軍で鍛えられて、ずいぶん丈夫になったよ。風邪だってひいてない。
今は壁際で西へ向かう人たちがいないか監視している。
西へ向かう「東の人」を、「東の兵」が見張っているんだ。
まったく馬鹿らしくて嫌になる。
この間、同僚が壁を越えようとする親子を撃った。
子供はちょうどあの子くらいの歳だったんだ。
僕はまぶたを閉じさせてやることしかできなかった……。
あの子の笑い声が聞きたい。また君と歌いたい。
いつかまた会えることを信じている。
それまで元気でいてくれ。
510オリジナル 伝書鳩 2/4:2009/01/18(日) 22:22:13 ID:IX4Qw9iu0
――1971年――

親愛なる君へ
妹に恋人が出来ました。同じ学校に通う少年です。
嬉しいような寂しいような、複雑な心境ですが、
頬を薔薇色に染めた妹を見ると、これで良かったのだという気になります。
君からの手紙を読む度、その思いは一層強くなります。
これは秘密にしていたことだけど、妹の初恋の相手は君なんだ。
君からもらった手袋は、ずっと前にサイズが合わなくなったけど、
まるで宝物のように大切に仕舞ってあります。
君は気付かぬうちに婚約者候補を失ってしまったわけだ。同情するよ。
嫌な事件もあるけれど、僕たちが生活に困らず朗らかに笑っていられるのは、
君のおかげであり、叔母たち家族のおかげであり、
僕たちを生んでくれた、東に眠る両親のおかげでもあると思います。
この街が、この国が、再び一つになることを、僕は切に願っています。
それから、君が幸せになることを。
ではまた。

ハロー
あの子ももうそんな歳になったのか。
きっと美しく成長していることだろう。まったく残念なことをしてしまった!
東でも、君や僕と同じように、平和を望んでいる者は多い。
今は武器を持たない兵士もいて、争いを嫌う若者たちは増えてきている。
まだ軍にいた頃に手紙に書いた、僕の目の前で撃ち殺された親子のことを覚えているかい?
あの時のことを、休暇を使って僕の店を尋ねてきた兵士たちに話したんだ。
同じ地に生き、同じ血を分けた人間の命を奪うことに比べたら、
痛みを知ろうとしない者から受ける中傷や暴力なんて少しも怖くない。
西も東も関係なく、僕たちは一人の「人間」であるはずだ。
そう言ったら、彼らは真っ直ぐな目で頷いてくれた。
国家が何を言おうと、軍が何を言おうと、心さえ忘れなければ必ず壁は崩れるんだ。
僕も君とあの子の幸福を心から祈っている。
キスを送るよ。
511オリジナル 伝書鳩 3/4:2009/01/18(日) 22:23:45 ID:IX4Qw9iu0
――1983年――

親愛なる君へ
僕の愛しい甥っ子の手形を送ります。
妹も順調に体力を取り戻し、我が家には常に幸せな笑い声が響いています。
赤ん坊はなんとも言えない良い匂いがします。
この小さく柔らかい体の中に、とてつもない生命力が隠されていることを僕は知っています。
早く君に紹介したいよ。あまり泣かない強い子だ。
東では秘密警察が激しく動いていると聞きました。
この手紙の返事も、もし危ないようなら遅くなっても構いません。
鳩はもう3代目になるけれど、とても賢い奴だから大丈夫。
それから、今、君のために絵を描いています。
拙いものだけれど、完成したら受け取ってほしい。
描いているのは、壁から見た西側の様子です。
壁がなくなったら、君がいる場所からはこの景色が見えるはずです。
もし鳩を飛ばすまでに時間があれば、君もぜひ絵を描いてください。
それでは。

ハロー
素敵なプレゼントをありがとう。
小さな楓の葉のような手形に自分の手を重ねてみたら、恥ずかしいことに涙が出てきそうになった。
あの子は、男にはとても出来ない偉大な仕事をしてくれた。
ありがとうと伝えてくれ。
僕は風景の絵が苦手だから、自分の手を描いてみた。
(顔を描いてしまうと、万が一この手紙が見つかった場合に君たちにも迷惑がかかるかもしれないからね。)
あれから20年以上経って、僕もすっかり皺が増えた。
白髪も生えているし、声が掠れることもある。
君と会っても、気付いてもらえなかったらどうしようか?
いや、僕がどんなに変わっても、君が僕を見つけられないわけがない。
鳩のような銀の目が目印だ。覚えておいてくれ。
僕も君をすぐに見つけるよ。約束だ。
512オリジナル 伝書鳩 4/4:2009/01/18(日) 22:25:13 ID:IX4Qw9iu0
――1989年――

親愛なる君へ
ああ、君はもうニュースを聞いただろうか?
最後まで東の地を見守ると言って、国境へも行かなかった君だけれど、
あれを聞いたらきっと飛び出してくるだろう!
僕もこれから壁に向かいます。
君の銀目を必ず探し出すよ!

ハロー、レオ
4代目は宿り木にとまって、、たった一羽、僕の遅い帰りを待っていてくれた。
まったく、あの夜は気違い沙汰だった!
しかし今までのどの夜より輝かしい夜だった。
ゲートを越えた瞬間、君からもらった絵のとおりの風景があった。
そして喜びを叫ぶ、人、人、人。
西も東も関係ない、心さえあれば壁は崩れる。
必死に自分に言い聞かせていた夢のような言葉が、現実になった。
レオ、君に感謝したい。
君はあの場にいた数万人の中から、本当に僕を見つけ出してくれた。
30年近く、手紙の上でしか言葉を交わせなかったというのに、
君は僕を見つけ、僕も君にすぐに気付いた。
僕はずいぶん年を取った。もちろん、君も同じだけ年を取った。
しかしそれが何だというのだろう!
僕たちは再び出会い、壁は壊された。
東西は一つになり、新たな時代が訪れるだろう。
あの子の息子こそが、その時代の主役になるはずだ。
この手紙を書き終わったら、すぐに荷物をまとめて君の家を尋ねるよ。
また4代目は僕の到着を待つ破目になるわけだ。災難だね。
最後に、今さらかもしれないが――
誰よりも君を愛している。
                                   アルバート
513オリジナル 伝書鳩:2009/01/18(日) 22:26:48 ID:IX4Qw9iu0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>509の一行目は 1961年 の間違いです。初っ端からすみません。
514この世で最も萌えない801 :2009/01/18(日) 22:47:03 ID:yPs1CL0H0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  <<449です
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  先日は大変失礼いたしました(汗)
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
515この世で最も萌えない801 5/5:2009/01/18(日) 22:48:22 ID:yPs1CL0H0
攻めは受けの中で律動を続ける。
スッパァッンパパァンパンパパンパン!
パンパンパンパパスパパスッパーン!
パパンパンパァンパンパパパァンパパァーン!
最後の一突き与えると同時に受けは攻めの皇帝液の勢いで月まで飛んだ。
「ピャーーーーッ!!!!!!」

「ぁいやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
やがて白湯と一緒に受けの体が戻ってきた。
「白いオシッコ出ちゃった、俺病気なの?」
「これが精通だ」
攻めは受けをやさしく抱きしめた。
「黒百合のような俺の受け…。これからはずっと一緒だ。ずっと、お前が俺を守る・・・」
無意識のうちに、受けの頬をぽつーりと涙がこぼれた。
心臓が異常なほど鼓動を刻む。
ドックンドックンドックンドックンドックン……トクントクントクン…
「愛してるってイエ―\(^∀^)/―イよ」
そして受けは攻めの腕の中で般若の如くふわりと微笑みながら最期を☆迎えたのだった☆


「このあと色々合って攻めは新しい相棒と恋人になりました」

続く
END
…かもしれない。
516この世で最も萌えない801 :2009/01/18(日) 22:50:52 ID:yPs1CL0H0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
以上です。
萎えスレ住人はいくつネタを知っているでしょうか?


色々あった相棒編は、気が向いたら…作ってみたいかも。
517風と木の名無しさん:2009/01/19(月) 00:05:01 ID:czEUnD2QO
>>516
I某ネタは書いてくれなくていいです嘘です書いてください
萎えスレより愛を込めて禿げ乙ww
518風と木の名無しさん:2009/01/19(月) 00:14:06 ID:eRUsFl/80
>>513でじんわりしてたら
すぐ下の>>514で急激に萎えたwwwww

でもお二人ともGJです!w
それぞれ楽しませていただきました!
519風と木の名無しさん:2009/01/19(月) 00:22:24 ID:Bq69KyU+0
>>513の感動の直後>>514からの流れに腹筋が崩壊したw
なんちゅうタイミングでやってくるんだwww

お二人ともGJ!!
520風と木の名無しさん:2009/01/19(月) 02:53:28 ID:xhv6arHDO
>>518>>514
映画とかで使われる「笑いと感動の渦」という言葉の真髄を見た
521風と木の名無しさん:2009/01/19(月) 03:02:20 ID:KWsSXD0P0
>>513でいい話だなーと浸っていたら
>>514の「愛してるってイエ―\(^∀^)/―イよ」で全部ふっとんだ
両氏ともGJすぎる
522風と木の名無しさん:2009/01/19(月) 03:13:51 ID:wv8hypDuO
>>513
ハッピーエンドで良かった…、本当に良かった…!
523風と木の名無しさん:2009/01/19(月) 03:16:10 ID:qJULUNrRO
>>513
ヴンダバー!
海外文学翻訳調というか、丁寧で静かな雰囲気がすごく好きです
手紙なのに情景も浮かんでくるようでした

>>514
腹がよじれたwwwwwwww
524風と木の名無しさん:2009/01/19(月) 04:58:10 ID:vnMcT3D40
>>513
泣けるぅぅぅ!
良いお話をありがとうございました!
525風と木の名無しさん:2009/01/19(月) 08:48:37 ID:Ss5Yxno20
>>515
>ピャーーーーッ!!!!!
酔い子の片方の人の声で再生されてしまった
526風と木の名無しさん:2009/01/19(月) 11:46:15 ID:14qWFj5B0
ビャーッってwwwww
527風と木の名無しさん:2009/01/19(月) 21:18:26 ID:P4St0d0T0
>>514
今日一番の笑いをありがとう
般若のごとくふわりと微笑む受けに死ぬほどワロタ
どんな顔なのか想像もつかんww
528風と木の名無しさん:2009/01/19(月) 22:09:45 ID:3BUgeF1q0
粕我しか出てこない
529風と木の名無しさん:2009/01/19(月) 22:25:41 ID:SUBLmvZd0
>>528
ソレダ!wwwww
530風と木の名無しさん:2009/01/19(月) 22:33:02 ID:utYzSs/VO
へッ!!
531風と木の名無しさん:2009/01/19(月) 22:45:29 ID:qRYthNoTO
安心して下さい、
彼女 は 居ませんよ
ヘッ!!
532リプレイ風:2009/01/19(月) 23:30:24 ID:Wov550nCO
とあるオフラインセッションの様子のようです

GM 進行役。神経性胃炎
田中 PC1(戦士兼主人公)。GMをおちょくるのが大好き
野村 PC2(魔術師)。GMを困らせるのが大好き
三井 PC3(賢者)。チームの良心
※員TRPG初心者だよ!むしろ書き手が初心者だよ!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
533リプレイ風2:2009/01/19(月) 23:31:00 ID:Wov550nCO
GM「こんばんはー」
田中「こんー」
野村「ばんわー」
三井「こんばんは」
GM「みんな準備は?」
野村「おk」
GM「では、本日はよろしくお願いいたします」
田中「あいさ。よろしくお願いします」
野村「宜しくお願いします」
三井「よろしくおねがいします」


ここでGMから、各自のキャラシートにチェックが入ります。


GM「…。おい、田中」
田中「なんぞー?」
GM「なんでハンドアウト無視すんだよ!男キャラっつったろ!(#゚∀゚)」
田中「男じゃん」
GM「いくら工事前でもカマは男とは言わねーよ!」
田中「ムッさい男とか萎えるわー。俺は見た目だけでも美女がイイ」
野村「その発想はなかった」
GM「…だ、ダメだこいつ、早くなんとかしないと…」
田中「フヒヒwww」
534リプレイ風3:2009/01/19(月) 23:31:56 ID:Wov550nCO
GM「あと野村!」
野村「イェッサー」
GM「お前も女装ショタ:ヒロイン希望とか、反応に困るもん出してくんなよ('A`)」
野村「男の娘と言ってください。いやむしろ、女の子にタマタマついていただけですよ?」
GM「上手い事言ったつもりかこの檻信者が!」
野村「フヒヒwww」
三井「なんというカオス(笑)」
GM「三井に比べてお前らときたら…なんでそんなに俺を苛めるの?馬鹿なの?死ぬの?(俺が)」
三井「…ていうか、二人とも自分達がロールする事忘れてる気がする」
田&野「アッーーー!?(゚д゚)」


GM「…というわけで、セッションを始めます」


三井「いい笑顔だなぁ」
田中「ま、待つんだGM!」
野村「早まるなGM!」
GM「アーアーキコエナーイ(゚д゚∩)。精々二人でイチャついてみせるがいいよ?」
三井「よろしくおねがいします(笑)」
田中「ちょ…」
野村「おま…」
三井「よろしく、おねがいします」
田&野「………よろしく……お願いします…orz」


でも続かない。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
535風と木の名無しさん:2009/01/20(火) 01:36:51 ID:yBzeiHvV0
>>533
ちょwww萌えたwwwww
536風と木の名無しさん:2009/01/20(火) 02:06:44 ID:19qeejEaO
>>533
まさかうちの卓のGMじゃないよなw
ああここが2ちゃんで(ry
537風と木の名無しさん:2009/01/20(火) 02:21:42 ID:l9rfz1IP0
>>533
笑いつつ燃えたwww
538チーム罰☆ 愚痴×麻酔(リバーシブル)3/1:2009/01/20(火) 05:08:40 ID:xg75tY0e0
この2人は、上下関係ナシと思うのだが。
ケモノ道かもしれません…。
全編モノローグで進みます。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 

 ふと眼が覚めると、君の寝顔があった。
 ぐっすりと寝入っていた。

 何もかも、初めての夜だった。覚悟をしていたはずなのに、何度も
 君と顔を合わせて、「どうしよう」とお互い声もなく訊きあった。

 でも、僕のなれない慰めにも、君の息は熱を帯びて
 僕を包む腕や体が、熱くなっていくから。

 無我夢中で、君のいろんなところにキスをした。

 君の長い指先が
 たどたどしく、僕に触れてきて
 優しく撫で上げてきた時、僕は思わず声を上げてしまったね。
 「痛くないですか?」 って聞いてきた君の目は…とても、艶っぽくて
 その眼に映っているのが、なんだか恥ずかしくなって、つい強く抱きしめてしまった。
 
  
539チーム罰☆ 愚痴×麻酔(リバーシブル)3/2:2009/01/20(火) 05:11:33 ID:xg75tY0e0
 初めての夜、初めての君。
 君の白い肌に溺れこみ、君の匂いに酔っ払ってしまいそう。
 もっとたくさん、困らせたい。
 もっと、僕を困らせてほしい。
 これが始まりの、夜だから。

 軽く寝息を立ててるね。耳をくすぐる、優しい音。
 カーテンの隙間から月の光が差し込んできて
 君の寝顔を照らす。
 髪の一筋を光らせ
 一所懸命につむる瞼を、白く浮かび上がらせる。
 ふいに、胸が熱くなる。
 夢ではないことを、本気で祈りたい。
 君がここに、いることを。

 「…?」
 「起きちゃった?」
 「あれ…? 寝ちゃってました?」
 「うん、気持ち良さそうにね」
 「…」
 「どうしたの?」
 「なんだか、夢みたいで」

 「…」
 「どうしたの?」
 「なんだか、夢みたいで」

 「夢じゃないよ。…だから、その」
 「?」
 「…もう一回、しよっか?」
 
540チーム罰☆ 愚痴×麻酔(リバーシブル)3/3:2009/01/20(火) 05:15:12 ID:xg75tY0e0
 
 困った笑顔が、綺麗な顔に浮かぶ。
 初めて見る顔。すごく…かわいい。
 傍に引き寄せ、そのまま顔を近づける。キスの途中で薄目を開けると、君はとても気持ち良さそう。
 顎を上げて、深く口付ける。君の肩が、小さく震えた。そしてそのまま…
 「今度は、ボクにさせてください」
 僕を見下ろす君の姿が、月の光を受けている。
 僕は、肯くヒマさえなかった。
 
 君だったら、いいよ。
 お互い、食ったり食われたりして
 幸せな気持ちになれる。
 いっぱい君を食べて
 いっぱい君に食べられて
 おなかいっぱいになってから、眠ろう。

 「…多愚痴さん」
 「ん?」
 「好きです」

 その言葉の答えは「(このあとの)お代わりリク」でいいですか?
 日室 貢一朗くん。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
 
 初めて他人のものを扱うのは、力加減が分からなくて痛くしてしまいがち。
 これからは気をつけて、麻酔医さん。
 

541チーム罰☆ 愚痴×麻酔(リバーシブル):2009/01/20(火) 05:18:38 ID:xg75tY0e0
あー、しまった。>>539で台詞がダブった。
吊ってくる。
542LA バド×エド 1/4:2009/01/20(火) 12:24:43 ID:xOOvppyfO
PCがイかれたため携帯から失礼します。
L.A.コンフィデソシャル本編終了後のエドの独白のつもりです
原作・映画両方入ってます
女ネタがダメな人はスルーして下さい

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


あれ以来、リンには毎月手紙と共に百ドルを送っている。
だが、リンはその一切を次の月には送り返して来ていた。
結局リンが受け取ったのは、あの訣別の日にバッグに投げ入れた汚れた金だけだった。
もしかしたら彼女は気付いているのかもしれない。
私が拒絶され続けようと金を送り続ける理由を。

リンは聡明でしたたかな女だ。あのバド・ホワイトの全てを受け入れることのできる恋人であり、母親なのだから。
アリゾナの平和な街の自分の築いた家で、彼との静かな生活を守っているのだろう。
543LA バド×エド 2/4:2009/01/20(火) 12:26:00 ID:xOOvppyfO
しかし同時に私は相反する思考を巡らせる。
あのバド・ホワイトが、果たして静かな田舎街に留まっていることができるのか、と。
彼の強暴性と純然足る正義は、
このかりそめの華やかさを持つ混沌の街でこそ、あやうい均衡を保っていられたのだ。
ロサンゼルスの警官だった彼が、妻に暴力を振るうろくでなしをめったうちにしてあらゆる脅迫をしても、
それは彼の任務として受け入れられた。
しかし今の彼は守るべき妻を持つ一家の主だ。
行き過ぎる暴力が畏怖の対象になるのは当然のことで、
それに正当な理由があろうとも彼等はその街にいられなくなる。
牧歌的な土地はそういった他排性を持っているものだ。
544LA バド×エド 3/4:2009/01/20(火) 12:27:21 ID:xOOvppyfO
だから私は想像する。
いつの日か彼が、内に秘めた暴力性を剥き出しにして、荒々しくこの本部長室を蹴破ってくるのを。
手には私が送りつけた金を床に投げつけてばらまきながら言うのだ。
「いったいなんのつもりだ!?
恩でも着せたいのか!こんな金が無くても、俺とリンはちゃんと暮らしていけている!
おい、なんとか言えよ!」
「本当にそうか?」
「何?」
「今、家計をささえているのはリンの裁縫業だろう。
お前は警官しかやったことのない能なしで、その足と性格では肉体労働だってままならないはずだ。
今、リンに何かあったら、お前に何ができる?
残るのは俺の金だけだ。
最初にリンに用立てたのも俺だ。
結局お前達は、俺の金なしでは先の保障もない暮らしをしているんだ」
プライドを傷つけられた彼は私の襟首を持ち上げ、あの太い腕で力いっぱい顔面を撲つ。
私の身体は吹っ飛び眼鏡も歪んで壁にぶつかって転がるだろう。
545LA バド×エド 4/4:2009/01/20(火) 12:28:55 ID:xOOvppyfO
そして情けなくも座り込んだ私は、頭を振って視線を上げ、ぼやけた視界の中で思うのだ──ああ、彼が帰ってきたと。

バド、ロサンゼルスに帰ってこい。君の席はいつだって空いている。安定した収入と保険が、リンを守ってくれる。
私も協力する。

君は、優秀な刑事なのだから。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


初めての投稿で不手際ありましたらすいません
546風と木の名無しさん:2009/01/20(火) 15:29:14 ID:I9Hzesbf0
>>538>>540
初々しいなー。可愛いなー。ラブラブだなー。
ああなんかいいなあ、幸せだなあこういうのも。
姐さんごちそうさまでした。
547風と木の名無しさん:2009/01/20(火) 21:08:22 ID:C2KwYPp40
>542
おおお…!LAの話が読めるとは…!
姐さんGJGJ
548MR牙 魔竿→26→0108 1/3:2009/01/21(水) 01:09:26 ID:9FFD/ib30

他カプ書こうと思ってたけど、スレの魔竿な流れに萌えたので。
26→0108前提の魔竿→26です。
百合と魔夜の名前も出ますので、女の影が少しでも見えるのが厭な人は注意。

会話メイン。エチはありません。
                                             
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


俺はじいちゃんが嫌いだ。

じいちゃんはスゴい人だったらしい。
パパもばあちゃんも口を揃えて「素晴らしい人だった」と目を細めるような。
じいちゃんの子じゃない伯父さんも、赤ん坊の頃助けられたとかで、彼のことを認めているそうだ。
世界にその名を轟かせた天才バイオリニスト。若くして謎の引退。
ス/ト/ラ/デ/ィ/バ/リ/ウ/スの弟子でもあったばあちゃんとの共同製作で名器ブ/ラ/ッ/デ/ィ・ロ/ー/ズを遺し、
そして、愛する女性と息子を護る為、戦士として死んでいった―――
そんなじいちゃんに俺はそっくりらしい。
549MR牙 魔竿→26→0108 2/3:2009/01/21(水) 01:10:25 ID:9FFD/ib30
「…そんっなにすっげーひとだったのかね」
飾り棚にそれは大層大事そうに飾られたバイオリンを見ていると、自然と悪態が口をつく。
「…何がだ?」
その言葉とともに漂ってくるコーヒーの薫り。
「滋郎おじさん!べ、べつに何でも…」
「……乙矢のことが気になるのか?」
「っ!」
バイオリンから顔を背けて何でもない振りを装ってみたけれど、この鼻の良い狼にはお見通しだったらしい。
耳元で囁くように、愉しげな声が問う。滋郎おじさんは意地悪だ。
「……だって」
「…だって?」
「皆じーちゃんじーちゃん五月蠅いんだよ!素敵だったとか、尊敬してるとか!」
じーちゃんはもう居ないのに。
ここに居るのは俺なのに。
「……ホントにそんなにカッコ良くてステキでパーフェクトなスゲー人だったのかな。じーちゃんて」
くくっと笑いを堪えるような声が聞こえた。
「…確かに、凄いと言えば凄かったな。乙矢は」
「そんなに?」
やっぱり俺じゃじーちゃんには敵わないんだろうか。
「ああ。あれほどの男はそういるもんじゃない……が」
滋郎おじさんの細い目が更に細められる。
「格好良くもなければ素敵でもパーフェクトでもないぞ」
「…はぁ?じゃあ実際どんな人だったのさ、じーちゃんて」
「乙矢、乙矢って五月蠅いのは嫌だったんじゃないのか?それに、俺より魔夜や亘に聞いた方が良いと思うが」
「ばーちゃんやパパはじーちゃんのこと褒めてばっかだもん」
それに…
「俺は滋郎おじさんの口から聞きたいの!」
「……後悔してもしらんぞ?」
そう言ってまた笑った滋郎おじさんの顔は、獲物を前にした獣を思わせた。
550MR牙 魔竿→26→0108 3/3:2009/01/21(水) 01:11:58 ID:9FFD/ib30
「乙矢は…そうだな、まず…馬鹿だ」
「馬鹿?」
「そうだ、大馬鹿だ。天才バイオニストだか何だか知らんが、あれはただの馬鹿だ。
 無鉄砲な所もあるし、阿呆なことばかりやっていたな。糸こんにゃくが食えんしコーヒーも飲めん」
「…滋郎おじさんコーヒー好きだもんね」
このヒトはコーヒーばかり飲んでいる。しかも余程気に入った味でなければ金も払わないというからタチが悪い。
じーちゃんやパパたちが常連だったお店のコーヒーは最高級品だとも言ってたっけ。
「それに何より女癖が悪いな」
「うそっ?!」
ばーちゃんは元々フ/ァ/ン/ガ/イ/アのクイーンでキングって人と結婚して大河おじさんもいたのを、
別れてじーちゃんとくっついたってのは聞いてたけど、じーちゃんが浮気症だったとかそんな話は聞いたことがない。
「昔…乙矢と出会った頃だ。俺が惚れた人間の女がいてな」
その言葉にズキンと胸が痛む。
「乙矢もその女に惚れていて、毎日のようにアタックしてたんだが、その傍らで女とみれば片っ端から口説いたり
 …彼女の前でもだ。まぁいろいろあってな、2人は同棲する仲になった。…が、最終的に乙矢は魔夜と結ばれた訳だ」
「はぁ?何それ?!ばーちゃんは好きだけどさ、それ立派な浮気じゃん!
 その女も見る目ないけど…俺ならじーちゃんより滋郎おじさん選ぶって!」
「全くだ。こんなにいい男を差し置いて」
本当にその通りだ。
滋郎おじさんは男の俺から見ても色気があって格好良くって…なのに、なんで。
なんでその滋郎おじさんはじーちゃんなんかに。
「……だが、乙矢は強かった。強くて…でかい男だった」
それ以上言葉では言い表せないかのように、そうゆっくり呟いた滋郎おじさんの目が、飾り棚に向けられる。
ブ/ラ/ッ/デ/ィ・ロ/ー/ズを見つめるその瞳は愛しさに満ち溢れていた。


やっぱり俺はじーちゃんが嫌いだ。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
551ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 01:56:47 ID:rIPOZg990
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  作者はありあを見てたらヴェネツィアもの書きたくなったんだって!
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  これ書く前に珈琲プリソス1号店(ハン流ドラマ)見てたから
 | |                | |             \ 脳内はお花畑ご都合主義状態なんだよ!
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 下らないのに長いから注意してね!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
552ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 01:57:21 ID:rIPOZg990
そこは気を付けなくては簡単に見逃してしまうような小さな道を通り抜けたところにある。
多分、テニスコートの半面くらいの広さ。石畳の敷き詰められた地面から生えた木がぽつんと
あるだけ。古びた建物の壁や階段がついた石垣のようなもの、今は使われていないだろう
橋の脚などで四方を囲まれた.
――いや、違う。四方じゃない。日が沈む方向、そちら側を向けば見事な木の緑と雲の白、
そして空と海の青だけが広がっている。こんなに純粋で自由な風景はこの街にはそうないだろう。
やっと見つけた、僕の安らぎの場所だった。

「君、よくここに来るね。ストゥッデンテ(学生さん)?」
そうアルベルトさんが話しかけてきたのは、夏のはじめだった。長めの弛いウェーブがかかった
榛色の髪。勿忘草色のやらわかな瞳。少し日に焼けた肌。きっと女の人は放っておかないだろう
整った顔立ち。僕のアルベルトさんへの第一印象は「僕と対極にいる人」だった。その時
アルベルトさんは目の前の海でゴンドラの上でレモ(櫂)を弄っていた。
僕はてっきりここにいるのは、もっと言うならここを知っているのは僕だけだと思っていた。
混乱して、気の弱い僕はついついどもってしまう。
「え?あ、あの、えと、僕…?」
「チネーゼ(中国人)じゃないよね。コレアーノ(韓国人)とも発音が違う。」
アルベルトさんは優しく笑いながら僕を眺めていた。
「は、はい。ええと…ぼ、僕はジャポネーゼ(日本人)です。」
「あはは、やっぱり。ナカタやナカムラみたいな話し方だからね。名前は?」
僕は答えていいものか迷っていた。まだ不馴れな街で、見ず知らずの人に名乗ることは
気が引ける。暫く答えあぐねていると、アルベルトさんはからからと笑って自分の頬を人差し
指でつついた。
553ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 01:57:48 ID:rIPOZg990
「大丈夫だから落ち着いて。僕はアルベルト。ご覧の通りただのゴンドリエーレ(ゴンドラ漕ぎ)
だよ。君があんまりよくここに来るから気になってね。世間話でもと思ったんだけど。
君が気を悪くしたなら謝るよ。」
アルベルトさんの言葉に僕は少し警戒を解く。アルベルトさんが言う通り、当時の僕はよく
その場所に通い詰めていた。それを知られていることに対しては少し不信感はあったけれど、
アルベルトさんの笑顔は悪い人のものじゃないと感じた。
「…僕の名前は優貴です。半年前、ヴェネツィアに来ました。」
まだ覚束無いイタリア語で自己紹介をすると、アルベルトさんは
「こんにちは、はじめまして」と日本語で返してくれた。
「あはは、ゴンドリエーレの試験の時に日本語も勉強したからね。なかなかのもんだろう?」
人懐っこい笑顔と口調は僕にとって居心地の悪いものだった。きっと、その時の僕はそれを
隠さずに顔に出していたと思う。けれどアルベルトさんはそんなことには構わず、ゴンドラを
岸につけて近くの木にロープを巻き付けた。それからさも自然なことみたいに僕の側まで
来てしまった。
「さてと、ユーキ。僕はそろそろプランズォ(昼食)に行くんだけど。お近づきの印に一緒に
どうだい?いいトラットリーア(食堂)を知ってるんだ。」
アルベルトさんは僕の肩を抱いてそう促す。僕は身を強張らせたものの、運悪くお腹の虫が
鳴いたせいでアルベルトさんの誘いにのる羽目になる。

それがアルベルトさんと僕の最初の思い出だった。
554ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 01:59:30 ID:rIPOZg990
僕は両親の仕事の都合でこの街に来た。父と母はついに憧れの街で大好きな仕事ができると
はしゃいでいた。それはそうだろう。父と母にとっては僕よりも大事で大好きな仕事なんだから。
僕は昔も今も放りだされたままだ。
僕は日本とは全く違うこの街にはじめはとても戸惑った。
言葉も違うし、文化も違う。僕が生まれ育ったのは緑に囲まれた街だったけれど、ここは海に
囲まれた街。何もかもが異質で、僕はとても落ち着かなかった。水の都ヴェネツィア。
アドリア海の女王。確かにここは美しい街だ。だけど僕にとっては決して安らげる街ではなかった。
元々人付き合いも苦手な僕は学校でも孤立しがちだった。クラスメイトはみんないい人たちばかり
だったけれど、不安や気まずさから僕の方から皆を避けていたんだと思う。
迷路のようなこの街の構造も嫌いだった。
すぐにでも逃げ出したいのに、それを許してくれない。焦る僕をまるで嘲笑うかのように石と水は
街へと僕を閉じ込める。空に救いを求めても、それは狭く切り取られていてますます閉塞感が増す
だけだ。
だから僕は必死に探した。
広い空を。
自由な海を.
555ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 02:01:45 ID:rIPOZg990
「……僕といて楽しいですか。」
一度思いきって聞いたことがある。
「嫌だったら何度もこんな風に顔を突き合わせて食事なんてしないよ。」
アルベルトさんは少しも笑顔を崩すことなく切り返してきた。
「ユーキはどうなんだい?いつも付き合ってくれてるけど。」
面白そうにアルベルトさんは聞いてきた。何かを期待した目だ。
「……わかりません。」
それが僕の嘘偽りのない答えだった。何となく後ろめたい気がしてそっと俯く。きっと
アルベルトさんは気分を害したに違いない。
「よかった。」
だけど答えは意外なものだった。よかった、だなんて。恐る恐る顔を上げてみる。
「嫌われていたらどうしようかと思ったよ。」
やっぱりアルベルトさんは笑っていた。どうしてアルベルトさんはこんなに笑うのか分からない。
僕はこの街に来てから、心の底から笑った記憶がないのにアルベルトさんに比べて、僕はなんて
つまらない、嫌な人間なんだろう。また暗い気持ちが込み上げてきた。同じテーブルで向かい合い、
同じカプチーノを飲んでいるのに、アルベルトさんと僕はこんなにも違う空気を纏っている。
やっぱり僕は、ひとりぼっちだ。
寂しくて悲しくて、逃げ出してしまいたかった。
556ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 02:06:51 ID:rIPOZg990
とても寂しかった。辛かった。毎日が孤独との戦いだったから。
でもその戦いはある日突然終わりになったんだ。

その日アルベルトさんがチェーナ(夕食)に誘ってくれた。
「僕はこの街は嫌いだよ。」
いつもの柔らかい口調。多分、アルベルトさんは少しお酒が入っていたと思う。
「小さい頃泣きそうになりながら街を走り回ったんだ。街中ぎっしり詰まったみたいな石造りの
家のせいで、空は狭く閉ざされて息ができなくなりそうだった。うるさい観光客でごった返してる
中、必死に走ってピアッツァ(サン・マルコ広場)まで出るんだけど、そこもバシリカ(寺院)だ
パラッツォ(宮殿)だでがっちり固められてる。そしてダメ押しのカンパニーレ(鐘楼)。高いところ
から僕を見下ろして、空を遮った挙げ句これでもかって威圧してくる。
まるで僕を閉じ込めるみたいにね。」

まるで心を覗かれたような気がした。まさか、ひまわりみたいに笑う人が僕と同じ思いを
抱いていたなんて。

「僕はこの街は嫌いだ。」
いつもの柔らかい口調で語る、いつもとは違う鋭い言葉。
「変だと思うかい?」
はじめて見るアルベルトさんの笑顔以外の表情。
困ったような、悲しいような、そんな顔だった。僕は首を横に振り、アルベルトさんの言葉に答えた。
途端にアルベルトさんは笑った。
それは曇りのない笑顔で、僕は目が眩んでしまいそうになったことを覚えている。

うっかりしていると、すぐに知らない場所に迷い込んでしまう。すると僕は突然言いようも
ない孤独感に襲われる。冷たい石に四方を囲まれ、閉じ込められたかのような錯覚に陥る。
上を見上げても酷く狭い空しか見えない。どこからか聞こえる水音は気味の悪さすら感じさせた。
普通の人はこの美しい街に対してこんなこと感じないんだろうけど。僕と似た感覚を
アルベルトさんも感じていた。何だか僕はホッとして、嬉しくて,少しアルベルトさんに
親近感を感じるようになった。
僕は、ひとりぼっちじゃない。
ひとりじゃないんだ。
557ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 02:08:14 ID:rIPOZg990

それから数日後。僕は初めて仕事中のアルベルトさんを見かけた。優雅なレモ捌き、とでも
いうんだろうか。普通ゴンドリエーレは中腰になってレモを漕ぐのに、アルベルトさんは背筋を
ピンと伸ばして鼻歌を歌っている。かっこいいともきれいとも違う。やっぱり優雅なんだと思う。
「アルベルトさん。」
僕が呼び掛けるとアルベルトさんはふざけて投げキスをする。一緒にゴンドラに乗っていた
きれいな人も手を振ってくれた。少ししてアルベルトさんが一段落つくと、僕は途中で買った
カルツォーネと飲み物を持って側に駆け寄っていった。
この所、夏のヴァカンスで街中に人が溢れている。アルベルトさんも忙しそうにあちこちゴンドラで
駆け回っている。だから本当は僕なんかと食事なんかしてる暇は無いんだろうけど、アルベルトさんは
わざわざ時間を作ってくれいていた。
「ああ、ありがとう。まだ温かいね。」
「はい。さっき買ってきたばかりですから。今日もあそこで食べますか?」
その僕はきっと散歩に連れていって欲しくてたまらない犬みたいだったんだと思う。アルベルトさんは
少し吹き出して、僕の頭を撫でてくれた。
「そうだね。それもいいけど、今日はちょっと遠出してみないかい?」
「遠出、ですか?」
そう言うとアルベルトさんはぐいっと僕の腕を引っ張ってゴンドラに乗せた。そしてびっくりして
いる間にゴンドラはどんどん出発してしまった。
ギイッ、ギイッという規則的な音と共にゴンドラはどんどん進んでいく。それは街を縦横無尽に
走るカナル(運河)に向かってではなく、逆の――
「アルベルトさん、そっちは沖ですよね?」
「言ったろう?遠出だって。とっておきの場所があるんだ。」
アルベルトさんは悪戯っぽく笑う。
よく考えて見ると、アルベルトさんのゴンドラに乗るのは初めてだ。何だか緊張する。自然と
顔が下を向いたけれど、不安からちらりとアルベルトさんを見る。思いがけず視線が合ってしまい、
僕はまた下を向く。アルベルトさんがくすりと笑う声がした。きっと落ち着きの無い僕がおかしかった
んだろう。少しだけ恥ずかしくて頬が熱くなる。
558ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 02:11:43 ID:rIPOZg990
「どうだい?ユーキ。」
アルベルトさんの声がすうっと大気に溶け込んで、僕の回りを包む。僕はその大気を吸い込み、
音の波を作る。
「………きれい、です……」
ありきたりな言葉だけど、それしか言えなかった。アルベルトさんは語り続ける。
「君にも見て欲しかったんだ。この空と海を。君は僕と同じだから。そして、君は僕の大切な
人だから。この場所を知って欲しかった。」
アルベルトさんが振り返る。日だまりみたいに暖かな眼差しはどこまでも深いやすらぎを
与えてくれるようだった。
「ユーキ。何度だって行こう。あの場所にも、この海にも。君が望むならいつだってどこに
だって僕が連れていくから。君の望むところへ。君と僕の二人で。」
「アルベルト…さん…」
ふいに涙がこぼれた。アルベルトさんはそっと僕を抱き締めてくれた。
その腕が、胸が、堪らなく愛しかった。
559風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 02:11:51 ID:s7vAa0XA0
支援?
560ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 02:12:25 ID:rIPOZg990
あれから僕は少しだけクラスメイトや近所の人と話すようになった。アルベルトさんと一緒に
過ごす内に、この街と人を好きになれる気がしたからだ。それに、あの場所へ行けばアルベルトさんが
いてくれる。アルベルトさんがいてくれると思うだけで、不安もどこかに消えてしまった。
もっともこの街の人々皆いい人達ばかりだから、すぐに僕を受け入れてくれたから、心配なんてする
必要なかったけれど。
特に同じクラスのルイージとシモーネは待ってましたとばかりに僕を歓迎してくれた。
「チャオ、ユーキ!週末空いてるか?」
ルイージが真顔でそう聞いてきたのは金曜日だった。続けてシモーネが必死の形相で捲し立てる。
「よく聴け!ソフィアとエンリエッタが明日クラブに行かないかって誘ってきたんだ!しかも
お前連れてきたらアレッサンドラも呼ぶって条件付きだ!サンドラだぞサンドラ!!!」
「シーモはサンドラ狙いだかんな。お前絶対参加ってことで。いいな?ちゃんとキメてこいよ!」
ルイージとシモーネは何だかやたらと盛り上がっていた。訳が分からずボーッとしていたけど、
結局僕の意思なんて関係なく話は進み、土曜日の夜、街のクラブに行くことになってしまった。
相手はシモーネが熱を上げているアレッサンドラと、スピーチ部にいるソフィア、それから最近よく話す
ようになったエンリエッタ。僕達はさり気なくシモーネとアレッサンドラを二人きりにして援護射撃する。
もし上手くいった場合シモーネが合図をするから、僕達は先にソフィアとエンリエッタを家まで送って
行く、というシナリオらしい。
ちょっとアレだけど、これは所謂、グループデートなんだろうか。こんなの初めてだ。
少し胸の辺りがそわそわする。
するとルイージは嫌らしい笑顔で耳打ちしてきた。
「あのな、エンリエッタ。アイツ、お前のこと気に入ってるみたいだぞ。」
その瞬間、心臓がどきりとした。
561ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 02:13:41 ID:rIPOZg990
「そう。良かったね、ユーキ。」
いつもの場所で、いつものように学校での出来事を話すとアルベルトさんはそう言った。
アルベルトさんがあっさりそう言うものだから、僕は少しがっかりする。てっきり気を付け
なさいとか、何か忠告してくれるものだと思っていたからだ。その後の会話もいつものようには弾まず、
どことなく気まずい雰囲気だった。
今日はアルベルトさんの機嫌が悪かったんだろうか。
不安や後悔の混じった感情が襲ってきて、僕は黙り込む。
アルベルトさんも何も話してはくれなかった。
日が沈みそうになった頃、その沈黙をアルベルトさんが破った。
「ああ、そうだ。ユーキ、今晩飲みに行こう。」
思いがけない提案に、僕はどう答えていいかわからなかった。
「構わないだろう?ユーキ。」
いつもとは違う凄みのある低い声。表面的には僕に選択権があったけれど、実際には僕にはそんな
権利は与えられていないんだと思い知らされる。僕は黙ったまま、頷くしかできなかった。
562ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 02:18:11 ID:rIPOZg990
その晩僕はアルベルトさんと少し大人っぽい店でお酒を飲んだ。
一応18歳にはなっているから法律的には問題なかったけれど、お酒は苦いし喉が焼けてしまいそうで
とても美味しいものだと思えなかった。
しかも初めて飲んだせいだろうか。体が上手く動かない。頭も霧がかかったみたいだ。
何とかアルベルトさんに連れられて、店を出たのは覚えている。
そしてその後ゴンドラに乗せられたことも覚えていた。アルベルトさんに声をかけたけれど、返事はない。
僕は気だるさと心地よいゴンドラの揺れに負けて、すうっと眠りについてしまった。
563ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 02:19:14 ID:rIPOZg990
暫くして、胸に妙な感覚を覚えた僕は目を醒ます。
「…ん…アル…ベルト…さん…?ぁっ……」
ぴちゃぴちゃという水の音。ゴンドラが水を割っていく音とは違う音だ。
そして同時に襲ってくる奇妙な感覚。思わず身体をぶるりと振るわせた。
僕は眠い目を擦り辺りを見回す。
周りを壁で囲まれた、やっとゴンドラが通れる程度の狭いカナル。僅かに月明かりが差し込んでいる
程度の不気味な場所だった。
「静かに。暴れない方がいい。この時期の海は冷たいからね。転覆でもしたら大変だ。」
「え…アルベルトさ…ぅんっ…ここ…僕達…?」
アルベルトさんは人差し指を口にあて、しいっと息をはいた。
「騒がない方がいいよ。――まあ、多分ここなら叫んでも誰も気付かないけど。見つかったら
大変だよ。レイプした方はもちろん、された方も周りからこっ酷く扱われるから。」
「…アルベルトさんっ…?…何、を…っひ……!」
性器に触れられて上ずった声が出てしまう。そのままゆるゆるとかかれると腰が抜けてしまい
そうになった。固さを増していく自分が恥ずかしくてしかたがない。ぐちゃぐちゃと音がして
下着が濡れていくのが分かった。
「何、で…お願っ…あぅっ…やめて…くださっ…」
564風と木の名無しさん:2009/01/21(水) 02:46:34 ID:0CesWnZ70
支援?
565ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 03:07:35 ID:rIPOZg990
お酒のせいか、身体が動かない。抵抗出来ない。
怖くなって僕は涙を流しながらやめてほしいと懇願した。でもアルベルトさんはやめるどころか、
滑った指で僕のアソコをいじり始める。いくらお願いしてもアルベルトさんはやめてくれなかった。
いつもの優しいアルベルトさんじゃない。今僕に覆い被さっているのは全く知らない、怖い人だ。
そうであってほしい。僕は必死にアルベルトさんにしがみついた。
「叶うはずないのに、僕もバカだな。」
ぽつりとアルベルトさんが呟く。
「どうして君なんかと逢ってしまったんだろう。逢わなければこんなこと望まなかった。」
意識が朦朧としていて、アルベルトさんが何を言っているのか理解できない。でも、それでも
わかるほど悲しいアルベルトさんの声に、僕は酷く驚いた。
「はぅっ…やぁっ…アル…ベルトさ…何、言…?」
アルベルトさんに問いかけたつもりだった。でもアルベルトさんの耳には届かなかったようだ。
「……叶わないなら、絶望を味わうのなら、せめて――」
アソコに熱いものがあてがわれる。それが男のモノだということはすぐにわかった。
そういう知識がなくても、本能的にこの先どうなるからわかる。
僕は叫んだ。
「いやですっ…何で…!?ひぁっ…だっ…だめ…!やめてくだっ…!助けて…アルベルトさん…!」

「絶対に忘れられないようにしてやる。」

そう甘く耳元で囁かれた瞬間、熱い塊が僕を引き裂いた。
566ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 03:08:25 ID:rIPOZg990
「大丈夫か?風邪だって聞いたけど。」
久しぶりに学校に行くと、早速ルイージとシモーネが話しかけてきた。心配してくれる二人に、
無理に笑顔をつくって答える。
「うん…何とか、ね…」
「この時期の風は冷たいから、ちゃんと暖かくしなきゃダメだって。」
「エンリエッタも心配してたぞ。」
優しい言葉が、逆に心を抉る。
風邪なんかじゃない。
もっと辛くて、悲しくて、苦しい――悪夢だ。
いきなり僕を押さえ付けて、無理矢理乱暴した。
どんなことされたとか、はっきり覚えていない。
けど、僕はただ痛くて、怖くて、悲しくて、ずっとアルベルトさんの名前を呼んでいた
ことだけは覚えていた。
気付けば家のベッドで寝かされていた。
ぼやけた記憶からは何もわからない。
アルベルトさんも酔っていた?それならあれはただの事故なんだろうか。それともなにか他に
理由が?もしかしたら僕が何か機嫌を損ねるようなことをしてしまったんだろうか?
いずれにしろあの行為そのものは異常としか言えない。
だったら何故アルベルトさんは――僕はぐるぐる終わる筈のない思考を巡らせていた。
僕がまた黙り込んでしまったからだろう。ルイージは場を取り繕うようにそそくさと自分の鞄を漁り、
何かを取り出した。とん。目の前に置かれたのはステンレス製の魔法瓶。予想外のものに
思わず目を丸くしてしまう。
「ヴィンブルレ(ホットワイン)だよ。マンマがお前に持ってっやれってさ。」
「お、さっすがロベルタおばさん!『いいワインはいい血を作る』って言うしな。」
「そーそー。ユーキもこれ飲んで元気出せって。何てったってイタリアのワインは
『ヴェリタス(真実)』が入った特別製だ。そこに俺のマンマのアモーレ(愛)が入ってる。
これ以上効くヤツなんてないぜ〜。」
In vino veritas。
真実はワインの中にあり。
多分、その諺を踏まえた言葉遊びなんだろう。
でも今の僕にはその言葉がとても重くのし掛かってきた。
567ヴェネツィアもの:2009/01/21(水) 03:08:58 ID:rIPOZg990
真実。

あの時、何故アルベルトさんはあんなことをしたのか。アルベルトさんはあの時、何を考えていたのか。
――真実が知りたい。そんな気持ちがもたげてきた。
「真実…か……」
そう呟いた僕に、ルイージはそれは違うと、大袈裟な身振りと映画のような台詞回しで、
あくまでマンマのアモーレが効くんだと釘を指した。
その言葉に僕は少しだけ笑った。


あの細い道。
いつもはそこを見つけるだけで胸が踊っていたのに、今はそれが嘘だったように気が重い。
それでも僕は石のように固まった足を引き摺って歩みを進めた。そこにアルベルトさんがいる
保証はなかったけれど、アルベルトさんと会うためにはここに来るしかない。そんな気がした。
一歩一歩足を前に運ぶ。いつものように視界が開けて、あの場所がそこに現れた。
飛び込んできた視界に、アルベルトさんはいない。落胆と安堵を同時に覚える。
「もう来ないかと思ったよ。」
ギクリと心臓が跳ねる。上の方から声がした。声の方を見れば、予想通り――「
言ったろ?いつもここからユーキを見てたって。」
橋桁のない橋脚の上。夕日を浴びて微笑んでいるアルベルトさんの姿がそこにはあった。
とん、とん、と崩れた煉瓦を階段がわりにアルベルトさんは下へと降りてくる。そしてそのまま
僕の前まで歩いてきた。実際にアルベルトさんと対峙すると、体が石になったみたいに動かない。
体はあの時のアルベルトさんをしっかり覚えていて、恐怖で身が竦み上がってしまう。
568ヴェネツィアもの
「こんなに会わなかったのは久しぶりだね。」
「……は…い……」
僕はアルベルトさんの顔を見ることができなかった。ふいにアルベルトさんが手を伸ばす。反射的に
後退り、壁に背を預ける格好になる。さっきまで真実が知りたいなんて偉そうに思っていたのが嘘
みたいだった。
「……俺が怖い?」
アルベルトさんの問いに答えられない。僕は俯いたまま黙っていた。
「『沈黙は是なり』…この国の諺だよ。」
少し悲しい声色でアルベルトさんが言う。僕はなんとか強張る顔を上げて、アルベルトさんを見た。
いつかみた、悲しい笑顔で僕のことを見ている。ただ、その笑顔はあの時、この街を嫌いだと告白した
時よりも、きつく僕の心臓を締め付けられた。胸があまりにも痛くてその場に踞る。ぎゅっと瞼を
閉じれば目尻に涙が浮かんできた。

「ユーキ!」
すぐにアルベルトさんは駆け寄って来てくれて、背中を抱いてくれる。微かにその手が震えている。
優しいその腕に身体を預けたくなった。けれど誰かが耳元でこの手が僕をめちゃめちゃにしたのだと囁く。
その声に僕は恐怖を思いだし、自分の身体を抱き締める。
「どうして……」
やっと出た声は酷く掠れていた。それでも胸に力を入れて肺から空気を押し出す。
「あんな、酷いこと………」
そこまで言ったら涙が溢れて止まらなくなった。後から後から頬を熱いものが流れ落ちてきて、嗚咽が
零れる。
「っ…嫌いなら……そう…言って下さ……もう……」
「違う、違う…ユーキ、そうじゃない……」