>>550 原作版なのかドラマ版なのか悩むところ…。
ドラマの方なんだろうけどw
あと、
>>1 (2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>3-
>>7辺り)を入れて下さい。
次からは気を付けようぜー。
>>551 >>552 すいませんでした。
今PCが使えなくて、携帯だとどうやってテンプレをコピペするのかやり方が分からなかったんです。
ルール守れなくてすいませんでした。
多分改行も上手くいってなくて萎えるかもですね…。
反省します。
後これも書かなくてすいませんでした。ドラマの方です。映画も原作も見たこと無いです。
ごめんなさい…。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
!!!!!
やり方わかりました!ありがとうございます!
寛大な姐さん方に感謝します。
テストは相応のスレでやってくれ
テンプレがあると知りながら「ケータイだとコピペわかんなーい。いいよね?」
で書き込み。注意されるとスレでおためしvかよ。
これだから携帯厨は。
おおお801光臨
久し振りに降臨見た
是非IDスレに行ってくれ
>>558 そういう姐さんもIDごとGJしてるよ!
いやーなんかスゴいな
そろそろ長編注意?
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 初めてのビデオ棚だから色々許して欲しい。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| わかる人がいるのかな。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ピッ
携帯を切った後、その場で考え込む。
「ヴァンプ様、レッドのやつは何て?」
後ろにいた戦闘員1号が問いかけた。
「・・レッドさん、風邪ひいて寝込んでるんだって。だから今日の対決は中止。」
振り返らずにヴァンプはそう答えた。
今日はいつもの通りサンレッドと怪人率いるフロシャイムは対決を予定していた。
しかし約束の時間になってもレッドが現れなかった。
毎回対決については文句ばかり言うレッドだったが、約束をすっぽかすことは無かった。
日にちを間違えたのかもー・・・と不安になったヴァンプは、携帯電話からレッド宅
(正しくはかよ子宅)に連絡を入れてみたのだが。
「大丈夫かなァ・・・レッドさん。かよ子さんは研修で数日家を空けるって言ってたし・・・
ついこの間まではかよ子が熱を出して寝込んでいたばかりだ。
もしかしたらその風邪がレッドにうつったのかもしれない。
宿敵とはいえ、気になりだしたらどうしようもなく。
「・・・・ちょっと私行ってくる!」
「えっ、ちょっ、ヴァンプ様ーーっ?!」
戦闘員2号に持っていた槍と盾を手渡すとヴァンプは走り出した。
「・・・おまっ・・今日は対決は止めだって言っただろうが・・・っ」
ドアを開けたレッドはあからさまに怒りの口調で第一声を放った。
「分かってますよ!今日はレッドさんの様子を見にきただけですから!」
いつもならレッドにビクビクしているヴァンプだったが、
今日は相手が病人ということも手伝ってか、多少強気だった。
失礼しますと、ズカズカと家の中に入る。
「あ!っおい、こら!」
止めようするレッドをすり抜けてリビングに入る。
「やっぱり!来て正解!」
ヴァンプはため息をついた。
色々散らかり放題の部屋に、ここで寝ていたであろう毛布や座布団が置いてある。
「ちゃんとお布団で寝なきゃダメですよレッドさん、
ああ、何これ〜冷凍ピザ?食欲があるのはいいことですけどもっと消化の良いもの食べなきゃ・・・」
「おまっ・・・母親かっつーの!うっせーよ!いーから帰れ!」
煩いヴァンプにイライラしてレッドは頭を抱える。
風邪のせいでただでさえ頭痛がするというのに。
「この状況を見て帰れませんよ、折角来たんだし。」
そう言いながら手に持ったものを目の前に差し出す。
スーパーの袋に、卵やら水が入っていた。
「それに宿敵のレッドさんが風邪なんかにやられちゃ私だって困りますから」
そういうとヴァンプは今度はいそいそと寝室に行き、布団一式を畳に敷いた。
「はい、レッドさんここに寝て」
「・・・・・」
呆れて何も言えない。
大声を出した所為か熱も上がったようだ、頭がボンヤリしてきた。
レッドはまた大きくため息をつくと、観念して布団に入った。
「・・・ん、・・・ドさん。」
耳元で声がする。
「レッドさん」
目を開けるとそこにはヴァンプが正座をしていた。
「私、帰りますね。甘酒と卵粥を作っておいたのでお腹がすいたら温めて食べて下さい」
随分深く眠っていたらしい、時計を見ると数時間経過していた。
リビングをみると綺麗に片づけられているようだった。
かよ子の片づけなんかよりよほど丁寧だ。
鼻には甘酒のとてもいい香りが感じられる。
「一晩寝たら、だいぶ良くなると思いますから。あとお薬は飲んで下さいね。」
まだ頭はぼーっとしたままだ。
ただ、何故か妙に安どしている自分がいて。それに気づいたレッドは無性にイライラが込み上げてきた。
「熱は・・・まだ高いですね」
水を触っていたヴァンプの冷たい手がレッドの額に触れた。
その瞬間、レッドの手がヴァンプの腕を掴んだ。
「・・?!」
「どういう・・・つもりだよお前は・・・っ」
「俺は敵なんだろ?いつもあれだけコテンパンにされてるくせによ」
「ちょ・・っ、レッドさん痛・・っ」
ギリギリと掴む手に力が入る。
「なのにそんな俺がいる家に一人でノコノコとやってきやがって・・・
武器や防具も置いてよ?ああ?!なめてんのか?!」
「・・・・っあ!」
ぐっと腕を引かれたかと思うと、ヴァンプは布団に押し倒されていた。
冷汗が出た。こんなに怒りを露わにしたレッドは初めてだった。
「もっとこてんぱんにやられなきゃ分かんねェのか・・・」
「レ・・・レッドさん?!」
「・・・・そんなら・・・滅茶苦茶に傷つけてやるよ・・・」
ボソリとそう言ってレッドの顔がヴァンプに近づいてきた。
ゆっくりと、顔と顔がつきそうになる、瞬間。
「−−−−−−−−−−っあーーー!」
「どわっ!」
突然とんでもない力でヴァンプがレッドを押しのけた。
レッドが風邪の所為でいつもより力がなかったのかもしれない。
「レッドさん!ほら熱!またすごい上がってる!」
「・・あァ?」
そういうとヴァンプはレッドの額に手を置いてまた叫んだ。
「ほらほら!もー寝てなきゃダメ!」
倒れたレッドに布団をかけてヴァンプはポンポンと叩いた。
「今日は大人しく寝て!対決は今度でいいですから!」
「た、対決・・・」
こいつ、今のも対決って言いやがった・・・
唖然としているレッドを余所にヴァンプは立ち上がる。
「今度はちゃんと怪人も連れてきますから!もちろんレッドさんが全快してからですけど。
風邪ひきなヒーローを倒しても、自慢にもなりませんし、そもそもフェアじゃないです」
また、悪の組織らしからぬセリフを言いながらヴァンプは振り返らずに出口へ向かう。
「今日は帰ります、お大事にレッドさん」
一人ぽつんと残されたレッドは、天井を見ながらまた本日何度目になるか分からない溜息をついた。
「・・・馬鹿か・・・俺は・・・」
「あ、お帰りなさいヴァンプ様〜」
アジトにつくと戦闘員たちが迎え入れてくれた。
「どうでした?レッドのやつ。」
「うん、だいぶ熱があったけど、大丈夫。明日には下がるんじゃないかな」
「それはよかったっスねー、また対決の日取り決めましょうね」
「そうだねー」
いつも通りの会話をしていたが、ふと戦闘員1号が首をかしげた。
「ヴァンプ様?顔が赤いですよ??レッドに風邪、うつされちゃったんじゃないですか?
ヴァンプは自分の手を頬にあてて、その熱を確かめた。
「・・・うん、そうかもしれない・・」
熱も、そして止まない動悸も、風邪の所為だと。
二人は自分に言い聞かせるのだった。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 正直スマン
| | | | ピッ ( ∀ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
よ く や っ た !!
ヴァンプ様かわゆすぐる
萌えた!
今486KBです。姐さん方、気をつけて!
>>563 自分でもびっくりするほど萌えた
ニヤニヤが止まらん
ありがとう
次スレ立ててみる
ごめん、ダメでした
行ってくる
ダメだった。申し訳ない
行ってみる
すまん、ホスト規制だった
立ててみる
>>584 乙であります!
現在、488KB
長編はもう厳しいかな?
うん、5話以上の話は次スレの方が安全だと思う。
ゲェム四2八の刑事×研究者
未クリアだけど、台所イベで萌えすぎて止まらないから書いた
今後キャラ変わっていったら大笑いですが…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「いやだ。はずかしい」
ソファで半ば寝転がったような体勢のO沢が、着衣を乱されて小さく訴えた。
そこには数時間前までにあった家事原への警戒心、不快感、苛立ち…といったマイナス方向への感情は伺えない。
ただ戸惑ったように見上げてくる。
抗う素振りすら見せずただ『いや』と言われて、それが心底から拒絶するものだとは誰も思うまい。
それこそ数時間前の彼であれば、逆毛を立てた猫のような態度で怒鳴り、逃げ出したことだろう。
「本当に嫌なんですか?…本当に?」
じっと目を見つめて問いかけると、まるで催眠術にかかったかのように返事をする。
「…はずかしいから、いやだ」
「つまり行為自体は嫌ではないと?」
逸らそうとする視線を許さず尚も問うと、O沢は曖昧に首を動かす。
肯定とも否定とも取れるそれは、彼の心の動きそのものであった。
「では、恥かしくない様にして差し上げましょう」
家事原は自らのネクタイを外すと、それを使って素早くO沢の目を塞いだ。
何をされるのかと身を固くし、起き上がろうとする身体を押しとどめ耳元で囁く。
「見えなければ、恥かしくないでしょう?」
言葉に、呪縛される。
急に塞がれた視界の不安感よりも、暗闇の安堵感が大きい。
(どうしてしまったというのだ、私は…)
ほんの少し前まで【不愉快な男】としか思っていなかった家事原の言うがままになり、それを拒絶しない自分が不思議で仕方がない。
(疲れているのだ…何も、考えたくない)
娘の誘拐、社内の陰謀、苛立ちを隠そうともせず投げ付ける妻…
O沢の身に立て続けに降りかかる災難により、プライベートな空間と時間は侵され、心を休める暇もない。
(何も、見たくない)
内なる欲求に従い、ネクタイによる目隠しの下の瞼を閉じる。
(何も、考えたくない)
自分は疲れすぎているのだと、上手く働かない頭で思う。
未だ生死すら分からぬ娘に心のどこかで詫びながら、思考を閉じた。
言葉もなく横たわるO沢を家事原が見下ろす。
その顔は真剣そのもので、奥底が読めないという意味では数瞬前と同じだが、まったく別の顔だった。
O沢を休ませる、その作戦は成功しそうだ。
昨夜から起きた【事件】により、O沢の神経は痛め付けられ、ほんの少しの刺激でもあっけなく切れてしまいそうだった。
【事件】は解決の糸口を見せず、今後どのくらい時間を要するのか見えてこない中、彼に潰れてもらう訳にはいかない。
(手のかかることだ)
天才というイキモノは、その才と引き換えにするかのように何処か欠けた、変わった人物が多いがO沢も例に漏れないようだ。
ただそれは彼の場合、極度な世間知らずといった態のもので家事原の目にはかわいらしくも映る。
先の見えない事件の渦中、不謹慎と思いつつも芽生え始めたO沢個人への興味を自覚せざるを得ない家事原であった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
後悔とは後ですること!
でも反省はしている
さぁ、クリアに向けて再開するぞ
>>590 バナナ刑事と天才キター!!
天才の言い回しがスゲー萌えました!
台所のシーンは、天才の右腕も混ぜても、非常にいいイベントですよね!
ごちになりました!
>>590 14:00終了後ご覧ください
>>590 私は家事原×研究者に大興奮です
(ノ`△´)ノ
自分の領域に踏み込まれたくないと願っていたはずの研究者だけど
戸惑いつつも身を委ねるなんてエロ過ぎます
バナナgj( ̄へ ̄)
それにまさか棚で見れるとは思ってもいませんでした、本当にありがとう!
ぜひクリア後の続編も期待したいなo(^▽^)o
埋めがてら、ゲェム4二8、研究助手×研究所長
連投になってしまい申し訳ない
×というより、助手→所長です
なかなか時間が取れず、まだ15:00までしか進んでなくて、だから色々間違ってるかもしれませんが
萌えの暴風雨が止まらない…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
(何故だ…)
警戒心の強いひとだった。
いや、警戒心が強いというより、他人が自分の世界を侵すことを何より嫌うから誰も近付けさせないようにしている、そんなひとだった。
だからゆっくりと近付いて、彼の視界に自分がいることが普通だと思わせることから始めた。
我ながら気の遠くなるような計画
身近で共に働く彼は、まさに天才という名に相応しい男だった。
それを素直に認められず、自分だって負けてはいない、負けるはずがないと何度も思った。
しかし、折々に触れるその才能の煌きを目の当りにする度に打ちのめされ、
所詮自分は秀才止まりでこの男に勝つことはできないのだと、自らのプライドを粉々にする【事実】を認めざるを得ない。
酷い屈辱感だった。
同時に、研究以外での彼が如何に不器用で何もできないかを知る。
できない…のではないだろう。
正確には研究以外のことには興味がなく、必要に駆られないとやらない、やりたがらない。
その必要の最低ラインが普通の人間と著しくずれていることに気付きもしない。
食事ですらよく忘れ、あまり楽しむこともせず、必要な栄養素を的確に摂取できるのであれば短時間で済ませられるサプリメントで十分なのにと思っている節があり、
研究に携わっていない時の彼はまるで植物のように静かだ。
そんな彼に近付くのは以外に簡単だった。
助手という立場であれば尚のこと。
彼の厭う煩雑な事務作業をやってやることから始める。
次第に自分の存在に慣れ、感謝しつつ様々な事を委ねるようになっていった。
あまり人間になれていない、天才という名の歪な生物をゆっくり手懐けていく。
…何れは自分の手からしか餌を食べなくなるほどに躾けてやりたいと………
それがどうだ………
目の前の光景に、眼球の裏が深紅に染まるほどの怒りを覚える。
昨夜会ったばかりの、ほんの少し前には自分に『嫌な男だ』と愚痴を言っていたその相手に…
少し拗ねた顔
はにかんだ様な微笑
自分が長い時間をかけて手にしてきたそれらを、いとも容易く差す彼が憎い。
…憎くてたまらない。
/////////////////keep out//////////////////
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
badendに向けて一直線w
感想くださった方、本当にありがとう
同士がいて、ものすごーく嬉しいです
596 :
木目木奉 板ミ→瓶山 :2008/12/19(金) 10:00:50 ID:XLK08D+M0
____________
| __________ |
| | | |
| | |>PLAY. | |
| | | | ∧_∧ 色々ショックだったけれども禿萌えたので投下
| | | | ピッ (・∀・ ) 勢いで書いたので変なところがあったら申し訳ない。
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
597 :
木目木奉 板ミ→瓶山 1/4:2008/12/19(金) 10:01:35 ID:XLK08D+M0
彼は居なくなってしまった。
行ってしまったのだ。
とても遠い場所へ。
「まぁた携帯見てやがる」
少し離れた所から様子をうかがっていた身裏は背利沢に打ちした。
「先輩が辞めてからよく見てますよね」
肩を竦め、背利沢が小声で言葉を返す。
二人の視線に気付くことなく板ミはその大きな身体を縮め
両手で持った携帯を睨み付けていた
携帯を開き、顔をしかめ、何か操作をするがすぐにイラついたように携帯を閉じる…
瓶山が辞職してからここの所毎日のように見る光景だ。
「…いっつも何やってるんでしょうね」
「メール…って訳でもなさそうだな」
「あ、まさか板ミ先輩。結婚相談所からの電話待ってるとか」
「馬鹿、それならもっとウキウキしてるだろ」
「ああ、そっか……」
二人の相談を他所に
携帯をポケットにしまった板ミは軽く息をはくと席を立ち、一課から出ていった。
598 :
木目木奉 板ミ→瓶山 2/4:2008/12/19(金) 10:04:11 ID:XLK08D+M0
「なんか……」
ばたんと閉められた扉の音を聴き、ぽつりと背利沢が呟く。
「張り合いなくなったっていうか…」
「…警部殿は今もなんら変わりなく現場に勝手に入ってくるけどな」
老眼鏡を下にずらし、板ミの去った扉を見つめながら身裏も口を開いた。
「…やっぱり瓶山がいないとなあ……」
「板ミ先輩とのアレがあるから匿名って感じでしたよね……」
もう聴くことのできなくなったあのやりとりを思い出しながら、二人は小さくため息をついた。
__
「匿名係の……瓶山ぁ〜…」
板ミは誰も居ない男子トイレの小便器の前で、ぽつりと懐かしくなってしまったフレーズをつぶやく。
そういえばこのトイレで身裏と共に瓶山と会話した覚えもあった。
「……へっ、なぁに言ってんだ。思い出すな。バカが…」
自分に言い聞かせる。
瓶山が居なくなってから、現場に椙下がくるとうっかり瓶山の姿を探してしまう自分に気が付いてしまっていた。
「居なくなってせーせーすらぁ。はっ、あのバ亀」
そして、何事もなかったかのように振る舞う椙下に、こちらが動揺してしまった。
心にぽっかりと穴が開いたような喪失感。
同じ匿名の相棒であるはずの彼だって感じていないはずがないというのに。
自分だけ聞き分けのない子供であるかのように感じることも
自分の中での瓶山の存在の大きさを実感してしまうことも気に入らなかった。
何もかもが面白くない。どうしてこんなに振り回されている気分になるのか。
どうして特亀なんぞにこんな気持ちにさせられているのか。
599 :
木目木奉 板ミ→瓶山 3/4:2008/12/19(金) 10:05:23 ID:XLK08D+M0
あの時廊下ですっぱりと別れを告げ、素直になれない自分なりに背中を押して送り出したつもりだ。
女々しく引きずるのは趣味じゃない。
冷水で洗った手でバチンと頬を叩き、正面の鏡を睨み付けた。
気合いを入れ直す。
死んだら一番に化けて出てやると言った瓶山の顔を思い出し、板ミは ハッ、と鼻で笑った。
一課に戻る途中で再び携帯を開く。
もう解約してしまい、使われていない瓶山の番号が表示されている。
そういえば……昔ふざけて音声案内のマネをしたことがあったことを思い出した。
そう、捜索の現場から引き上げるときだ。
匿名を積み忘れたあの時の瓶山の怒った声。今思い出しても笑える。
あのやりとりも懐かしい。
……ああ、ダメだ
何もかもが瓶山につながってしまう。
忘れようとするほうが無理なのだ。
板ミは苦笑した。
「消せるかよ…バカヤロ」
肩を竦め、結局またそのまま携帯を閉じる。
消去することはもうやめた。
「忘れたくねぇよ…瓶山…」
携帯を握り、ぎゅっと目を瞑る。そしてゆっくりと息を吐いた。
そうだ、こんなことで自分を見失うべきではない。
600 :
木目木奉 板ミ→瓶山 4/4:
再び両手で頬を叩き、自分を奮い立たせる。
死んでも化けて出るといった相手だ。
生きてりゃ必ずまた会える。
そうだ、次に会うときは瓶山を顎でこき使う時。
出世した自分を見せてやる。
新たな決意を胸に意気揚揚と少しだけ足音を強く立てながら瓶山と別れた廊下を歩いていった。
「あ…先輩…」
一課に戻ってきた板ミを見て、背利沢が声をかける。
板ミは顔を顰めたまま背利沢の方へ歩み寄ると
「何ぼけっとしてんだコラ!背利沢ァ!鑑識行って例の資料取ってこい!」
力強くその頭を叩いた。
「でっ!!!…ぁ!?は、はい!!」
叩かれた背利沢は頭を押さえながら訳もわからず走りだす。
「・・・訳わかんねぇぇぇ〜!!」
思わず不満を口にするが、拳を振りかざし威嚇する板ミを見てあわてて一課を飛び出していく。
「やぁっと戻ってきたか…」
板ミの様子になにかを悟ったのか、身裏はその様子を見て軽く笑ったのだった。