モララーのビデオ棚in801板41

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1新板設置について相談中@新板スレ
.   ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ | 
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
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    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    (__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板40
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1219336416/

ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり

保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/
2新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/19(金) 01:53:55 ID:cI66+RtV0
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★

1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。

(1)長時間に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>3->>7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。

※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。

相談・議論等は避難所の掲示板で
http://s.z-z.jp/?morara
3新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/19(金) 01:54:11 ID:cI66+RtV0
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/19(金) 01:54:35 ID:cI66+RtV0
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

5新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/19(金) 01:54:51 ID:cI66+RtV0
テンプレ2
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └───────────────

          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘
6新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/19(金) 01:55:09 ID:cI66+RtV0
テンプレ3
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
7新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/19(金) 01:55:23 ID:cI66+RtV0
テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
8新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/19(金) 01:55:47 ID:cI66+RtV0
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________
9新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/19(金) 01:56:08 ID:cI66+RtV0
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)
10クトゥルー神話 くとぅ×にゃるら様 1/3:2008/09/20(土) 02:54:10 ID:DjDTHcNU0
>>1乙!そして早速投下。

くとぅるー神話のくとぅぐあ×にゃるら様で擬人化っぽい表現有。
もう何番煎じかわからないけど気にしたら負けかなと思っている。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 焼け落ちるン・カイの森を眺める一つの人影があった。全体的に黒っぽい「それ」は瞬き一つせず、
――といっても真実それに瞼があるかどうかは定かではないが――森を見ていた。
 ン・カイの森は「それ」の住処だった。黒々と広がる、赤の似合わぬ森だった。
 それら全てはもはや過去形でしか語れない。
 「それ」の住処を燃やした原因は今、「それ」の隣で「それ」を見ていた。
 在るかどうか疑わしい瞼をひと時も閉じず、熱心とも言える興味深さで、森を見る「それ」を見ていた。
「そう笑うなよ」
「これが笑っているように見えるのか」
 燃え滾る視線をちらりとだけ受けとめて、「それ」は怒りに顔を歪ませた。
「違うのか?」
「違う」
「じゃあ何だ?」
「憤怒だ」
「へえ!」
「〈生ける炎〉よ、我はこう見えても怒っておるのだ」
 ――ふうん、そう! それは知らなかった!
 心底驚いたような声色で、〈生ける炎〉はまるでにんげんのように肩をすくめた。
全体的に赤みを帯びた人影だが、それが踊る炎のせいかはわからない。
 心底楽しい、にんげんならそう形容する表情になって、〈生ける炎〉が「それ」に一歩近づく。
11クトゥルー神話 くとぅ×にゃるら様 2/3:2008/09/20(土) 02:56:03 ID:DjDTHcNU0
「家、燃えちゃったね、ニャルラトテップ」
 ニャルラトテップ――それが「それ」の名前だろうか。聞いたことの無い響きで、
少なくともこの場ににんげんがいたらニャルラトテップとしか発音しようのない、そんな音の連なりだった。
 ニャルラトテップと呼ばれたそれは、頬に伸ばされた〈生ける炎〉の手を強く振り払って、
それにしては珍しく一歩、ほんの少し後ろに下がった。
「その名を呼ぶな」
「どうして?」
 〈生ける炎〉はちょこんと首を傾けた。
「名前なんて僕らに欠片の意味も無いし、どう呼ばれようがニャルラトテップは気にしないじゃないか」
「意味など無い。故にどう呼ぶか我には関わりの無いこと。
だがそれを呼ぶのが〈生ける炎〉であるという点で、我はそれを拒否する」
「ニャルラトテップ」
 〈生ける炎〉が感極まって叫ぶ
「ニャルラトテップが僕を特別扱いしてくれるだなんて、嬉しい!」
「我は最悪の気分だ。この炎をどけろ、〈生ける炎〉」
 〈生ける炎〉の高まりに合わせて背後から足元から肩から腕から、
幾本幾百幾千本もの炎の火柱が立ち上り、ニャルラトテップの身体を愛撫するように這い回る。
炎はニャルラトテップの黒衣を焦がし、その下の素肌と柔肉を蹂躙する。
 ニャルラトテップはため息をついた。その仕草はどこかにんげんくさかった。
崩れ落ちた身体を〈生ける炎〉の腕が抱きしめる。その動作でさらにニャルラトテップが炎に包まれ、
ニャルラトテップは全身で不快感を表した。
「我をどうする気だ」
「家の無い君を、我が家に招待する」
「何ゆえに」
「ニャルラトテップの●※♪をз!ン△して*◆$%Ωに@&#×Лするために」
「帰る」
 にんげんには表現しようの無い異次元、神で無ければ不可能な、
下品で苛烈きわまる〈生ける炎〉の妄想だった。
ニャルラトテップは激しく身をよじり腕の拘束から逃げようとするが、
〈生ける炎〉はますます強くニャルラトテップを抱き込んでしまう。
12クトゥルー神話 くとぅ×にゃるら様 3/3:2008/09/20(土) 02:57:59 ID:DjDTHcNU0
「じゃあ言い方を変えよう。
べ、別にニャルラトテップを泊めてやりたくて泊めてやるんじゃないんだからねっ」
「意味がわからぬ。何だそれは」
「ツンデレというにんげんの文化。
おかしいな、これでニャルラトテップは僕のことが大好きになるはずだったのに」
 〈生ける炎〉はううんと首をかしげている。
それを見るニャルラトテップの目は氷点下より冷え切っていた。
「〈生ける炎〉は我に好かれたいのか?」
「いいや全く。僕は僕のことが大嫌いで殺してやりたいと思っているニャルラトテップが好きだ」
「愛しているぞ〈生ける炎〉よ」即座にニャルラトテップが答える。
「だからといってデレデレなニャルラトテップも嫌いな訳じゃないよ? むしろ大歓迎。とても興奮する」
「どうしたら〈生ける炎〉と互いに憎み合えるか皆目わからぬ」
 ニャルラトテップの声は平坦だったが、どこか疲れが滲んでいた。力を抜いて身体を預ける。
「おお、これが噂の犯らせてくれる合図って奴だね?」
「死ね。否、我が殺す」
 身体を預けたのは単に抵抗するのが面倒になっただけに過ぎない。
 住処まで着いたら、こいつを殺そう。
 住処が気に入ればそこに居つき、気に入らなければ他の場所を探せばいい。
 だがまずは不愉快な言葉をまきちらす口をふさごうと、
ニャルラトテップは唯一動く首を伸ばして己の唇で〈生ける炎〉の口をふさいだ。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
スレの住人の方のアイディアを使わせていただきました。ありがとうございます!
13新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/20(土) 10:20:34 ID:rfOQTZHH0
>>10

すげえwwその発想はなかったwwwくとぅぐぁたんカワユス。
名前欄で、くとぅるふ×にゃるら様と勘違いしたのは秘密。
朝からすごいもん見ちゃった、GJ!
14十銅 60K×66K:2008/09/20(土) 17:58:17 ID:3ZPRP+9l0
>>1姐さん乙です!
調子に乗ってまた来ました。
長いのでこちらを使わせていただきます。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  十銅 60K乃邑先輩×66K
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  微妙に前スレの続きだったりして。。。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
15十銅 60K×66K  1/9:2008/09/20(土) 18:00:46 ID:3ZPRP+9l0
「相談したいことが、あるんスよね」

行きつけの店でせっかく奢ってやったプレミア物の焼酎を、ちっとも旨くなさそうにちびちびやりながら、
四つ下の後輩はやっとのことで切り出した。
ほーら、また始まった。
急に黙り出したから、そんなことではないかと予想はしていたけれど。

「なんやー今度は。ケガか。仕事か。選手生命か」
「そういうんじゃなくて」
「んなら、とうとう4人目の母ちゃんでも現れよったか」
「・・・ぜんぜん笑えないっス、それ」

本気でカチンと来たようなので、笑ってごまかしておく。
こいつは、ホントに十銅家かと思うくらいナイーブで、すぐに怒るし、すぐに気に病む。
今度は一体、どんな厄介事を自ら抱え込んだのか。

「・・・あの」

ほとんど氷が溶けてしまったグラスを見つめながら、重たげに口を開く打芝。
こいつが目を見ないで話すなんて、珍しいこともあるもんだ。
よほど後ろめたいことを話すつもりなのか、と内心辟易していると、思いがけない言葉が続いた。

「あの。・・・十銅を辞めたがってるヤツを、止めるには、どうしたらいいんスかね」
「はあ?」

思わず、間の抜けた相槌を打ってしまった。

「えーと。それは、ボケか? 俺は突っ込んだらええんか?」
「真面目に言ってんスよっ」

やっとこっちを向いた目が、本気でマジモードなものだから、俺はいよいよもってうんざりする。
だったら、余計に始末が悪い。何を今さら。
16十銅 60K×66K  2/9:2008/09/20(土) 18:01:55 ID:3ZPRP+9l0
「そんなもん、おまえ。どうもこうもないやろ。そもそも他人がどうこうできる話か」
「でもっ」
「誰か知らんけど、そいつに相談でもされたんか?」
「・・・それは、されてないですけど」

また、視線を外す。なんとなくそれが気に入らなくて、つい言い方がきつくなる。

「なら、尚更や。おまえが首突っ込む話やないわ。相談されたんなら、そいつはただ止めてほしいだけやろうから、
いくらでも止めてやったらええ。されてもいないのに、悩むだけアホらしいわ」
「でもっ・・・俺は辞めてほしくないんスよっ!」

酒で少しかすれた打芝の声が、ひときわ大きく響いた。さほど広くはない店内の心地よいざわつきが、一瞬静まり返る。

知らずに、ため息が出た。
まったく。久々に二人で、ただ楽しく飲みたかっただけだってのに。
誰のことを言っているのかなんて、容易に想像がつくからこそ、余計に腹立たしい。

「出るで、宇ッチー」
「え?」
「ええから」

.
.
.
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17十銅 60K×66K  3/9:2008/09/20(土) 18:02:53 ID:3ZPRP+9l0
手早く会計を済ませてから、無言のまま大通りまで出て、タクシーを拾った。
顎でしゃくって乗るように促すと、打芝は少し不服そうな顔をしながら、黙って乗り込む。
ホテルまでの行き先を告げて、後部座席に深く身を沈めると、打芝が待ちかねたように口を開いた。

「何で帰るんですか。俺の話はまだ、」
「あんな誰が聞いとるかわからん場所でする話やないやろが。目ダル取ったヤツにプライベートなんかないて、
4年前に思い知ったと思っとったけどな」
「別に、コソコソする必要なんか」
「自分のことならええ。身から出た錆や。でも人のことはアカン。どんな尾ひれがつくかわかったもんやない」
「それくらいわかってます、だから名前は言わないで、」
「アホ。おまえの交友関係に当てはめたら、誰でも速攻で検討つくわ」

打芝の顔色が変わる。
もちろん自分も検討がついている。そう言外に仄めかしたのが伝わったのか。それ以降ホテルに到着するまで、
打芝は黙りこくったまま、ただ自分の膝頭を見つめていた。

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18十銅 60K×66K  4/9:2008/09/20(土) 18:03:53 ID:3ZPRP+9l0
「突っ立っとらんで、座れば」

部屋に入り、内線でルームサービスを適当に頼んでいる間も、打芝は閉めたドアの前に立ち尽くしたまま、動こうとしない。

「あの・・・すいませんでした」

やっと、自分でしでかした失態に気づいたらしく、借りてきた猫みたいに背中を丸めてうなだれている。
よしよし。やっと反省したか。

「俺、その、かなりてんぱってて。ホント、すいませんでした」
「ホンマや。どう責任取ってもらおうかな」

本当は、素直でよろしい、と頭のひとつも撫でてやりたいところだが、それでは面白くない。
ちょうどよくベッドもあることだし、とほくそ笑んでいたところに。
思わぬ、深刻な台詞が返ってきた。
19十銅 60K×66K  5/9:2008/09/20(土) 18:04:41 ID:3ZPRP+9l0
「でも、俺。ホントに、あいつには―――――――圭二には、辞めてほしくないんです」

まったく。興ざめとはこのことだ。

「まだ続くんか、その話」
「先輩が言ってることはわかります。人の人生に首突っ込んじゃいけないって」
「ちゃんと聞いとるやないか。もっかい同じ事言わせる気か思たわ」

ちゃかしながら、自分の声が思いのほか低くなっていることに気づく。
でも打芝は、自分の話に夢中で気付いていない。
こちらを向いているというのに、その目は一体どこを見つめているのやら。

「でも、でも圭二は、なんつうか、誰かが背中を押してやればまだやれるんじゃないかって。
ペ金行きだって、友達のおかげだって言ってたし」
「次はお前が、その役目だって? 主将としての責任感?」
「そんなんじゃなくて・・・圭二は、だって」
「オトモダチだから、か?」
20十銅 60K×66K  6/9:2008/09/20(土) 18:05:26 ID:3ZPRP+9l0
ぐだぐだした言い訳を遮って揶揄を吐き捨て、苛立ちに任せて手にしていたルームサービスの
メニュー表を床に叩きつけた。
その大きな音に、ビクリと震えて、打芝が口を噤む。

鈍感もほどほどにしないと、それは悪意となんら変わらない。
気付けや、いいかげんに。

「あ・・・あの」

小動物のようにビクビクと、こちらを窺うように口ごもる。その態度さえが鼻に衝く。

この苛立ちは、あれだ。
玩具を横取りされた子供が泣き喚くのと同じ、低次元な独占欲。
自分に心酔していることを恥ずかしげもなくさらけ出すこの目が、今は、自分を見ているふりをして
別の方向を向いている。
たったそれだけで、こんなにも腹が立つ。

「したらさっさと帰ってオトモダチゴッコせえ。当て馬扱いしよって、ボケが」

自分でも自嘲するほど幼稚な罵声を浴びせると、見る影もなくうろたえる。
そうだ、少しは反省したらいい。
この俺をこんなくだらないことで怒らせたのだから。
21十銅 60K×66K 7/9:2008/09/20(土) 18:06:18 ID:3ZPRP+9l0
「そんな・・・そんなつもりじゃ」
「大体さっきから聞いとれば、圭二圭二って女みたいに。なんや、やけぼっくりに火でもついたか」

深い考えもなくただ勢いで、下世話な揶揄のつもりで放った台詞だった。
こいつが傷つきそうなことを敢えて選んで言っただけ。

―――――――ところが。

打芝は面白いほどに動揺して、目を泳がせた。その顔が一瞬で耳元まで紅潮する。

「は・・・? おい、おまえ」
「あ・・・その」
「なんやその顔。・・・寝たんか、まさか」

紅潮した顔が、この世の終わりのように歪む。

まさかのビンゴ。あまりの展開に、ムカついていたことすら吹き飛んだ。
今夜はどうも、想定外のことが起き過ぎる。
22十銅 60K×66K  8/9:2008/09/20(土) 18:07:05 ID:3ZPRP+9l0
「マジでか。いつ」

間抜けな俺の問いに、打芝はもう逃げ出したいとでも言うように、後退り、ドアに背中を押しつけた。
ここまで来て、逃がすわけがないのに。

「いつやって」
「・・・合宿の、前に」
「ヨリ戻したんか」
「そんなんじゃっ」
「でも、ヤったんやろ?」
「・・・・1回、だけ」

消え入りそうな声で、白状する。
目を伏せて、掴まるところもないドアにしがみつくように、両手を後ろ向きに押し付けて。
膝は震えて、今にも崩れ落ちそうだ。

ゾクゾクした。
まるで、残酷な死を悟った一匹の二十日鼠。
その姿に、たまらなく興奮を覚える。

「なんやそれ。1回やったらええの。ご都合主義もええとこやな」
「そ、そういう意味じゃっ・・・」
「ずいぶんと尻軽になったもんやなぁ。恐れ入ったわ」
「ち、違います、俺、すげえ飲んでて、それで」
「そう言い訳すんのも計算の内やろ。いくら予防線張ったってやったことには変わりないわな」
「先輩っ・・・!」

矢継ぎ早に責め立てられ、もはや涙声で、必死に俺を呼ぶ。
23十銅 60K×66K  9/9:2008/09/20(土) 18:08:27 ID:3ZPRP+9l0
そんなことをしたって、俺が悦ぶだけだと。まだわからないのか。
逃げ道なんてあるわけがないのに、必死にもがいている瀕死の鼠。
だから先回りして、全てのごまかしを否定し嘲ってやる。

「あーそうか。ムキになって引き止めんのもそういうことか」
「そういうって・・・」
「都合よく使える男をそばに置いておきたいってわけや。その方法を俺に聞くんやから、大したタマやな」

喘ぐように何度か口を開いた後。
打芝はとうとう、膝をついてその場にへたり込んだ。
放心しきって見開かれたその双眸から、堰を切ったように大粒の涙がこぼれ出す。

やっと諦めたか。最初から素直にすればいいものを。
いや、それじゃつまらないか。

俺は殊更に慈悲深い表情を作り、ゆっくりと手招きをした。

「おいで。おまえの言い訳、聞いてやるから」


適当な言い訳なんか聞いてもつまらない。
聞きたいのは、おまえが奥底に隠し持っている恥ずかしくて惨めな本心だけだ。
そしておまえの望みどおり、その繊細でひ弱な心を抉ってずたずたにして、死にたくなるほど泣き喚かせてやる。


24十銅 60K×66K:2008/09/20(土) 18:10:56 ID:3ZPRP+9l0
 ____________
 | __________  |  
 | |                | | 甘えっ子な66Kは乃邑先輩にお仕置きされるといいよw
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オシオキヘンハマタコンド
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
25新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/20(土) 18:19:30 ID:Kg1Pog430
>>14
GJ
お仕置き編待ってるから!待ってるからあああああ
26新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/20(土) 19:04:04 ID:/zzjvVqP0
>>14
姐さん待ってたさぁーーーー!!
お仕置きじゃぁーーーー!
萌えすぐるーーーー!
27新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/20(土) 19:05:58 ID:0dBHAceF0
>>14
待ってました姐さぁぁぁん!!!
待ちこがれすぎて自家発電中だったですがもう廃棄だ!!!
萌え過ぎて現在2828が止まりません。
60KのドSっぷりがたまらん・・・お仕置き編待ってます!
ああ、放置プレイ状態・・・
28新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/20(土) 19:50:52 ID:/zzjvVqP0
>>27
いや姐さん聞き逃しませんぜw
廃棄処分禁止!
仕上げてこちらに陳列するようにwww

>>14
何度もすみません!姐さん最高!!
マジで待ってますからホント待ってますから!
うおおおお・・・
29新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/20(土) 19:56:16 ID:L3+BItR2O
>>10
奴らが可愛く想えるようになる日がくるとはー!
口封じに、萌えました
30新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/20(土) 20:09:40 ID:RdkSTj1fO
>>14
ききききたこれェーーーーーーーーー!!!!
60Kが鬼畜すぎる!!66K逃げて、いや逃げないでww
続編が楽しみすぎて酸欠になりそう(;´Д`)ハァハァ
31新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/21(日) 00:13:55 ID:HfwYDg9q0
>>10
GJ。
>>11後半から>>12のやり取りクソワロタww
天然ボケくとぅたんとマジ答えにゃるら様にやられました。
32俺と変態の日常的非日常 1/2:2008/09/21(日) 07:39:44 ID:W3XnpTbCO
オリジ貼らせて頂きます。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

何やってんの、なんで舞ってんの。超軽やかなステップで。
いつものキリリとした顔で真剣に人の家で。
なまじ顔が良いだけに様になってるのが嫌だよ。
キモい。キモいよあんた。常々変態だと思ってたけど遂に壊れたか。
華麗にターンしないで。バレエなんてどこで覚えて来たの。創作? ああそう、凄いよ。キモいけど。
で、なんで舞ってんの。人ん家でキモ華麗に。
何々、通販で買った物が届いた。そこまで歓喜する物なの? ちょっと見せて。

『これでアナタも大変身☆ ドキドキコスチュームセット!〜熱ーい夜のた・め・にv〜』

そうかい、そこまで変態かい。見なかった事に……。
ん? 「君の物だ」って?
いやいやいや、いやいやいやいや。
33俺と変態の日常的非日常 2/2:2008/09/21(日) 07:43:43 ID:W3XnpTbCO
無理だよあんた。俺は男だよ? せくしー★ナースとかラブラブ☆メイドとかドキドキ女王様! とか着られないから。
大体サイズが……特注? ええー、そこまでやったの?
ていうかいつまで舞ってんの。疲れないの。怖いよ。
あ、止まった。
……え、何してんの。デジタル一眼? おー格好良い。今度触らせて。
いや、あんたじゃないから。脱ぐな。見せるな醜いモノを。
……何で真顔で鼻血出してんの。さあ、て言われても。
着ないよ。全力で拒否するよ。こっち来んな。
頭の位置変えないでにじり寄って来るな。鼻血拭け怖い! パントマイマーか!
うわっ、壁際!? 畜生誘導しやがって。
止めろ変態! こんな日に限って緩い服だし!
ナースは嫌だ! メイドも無理!
ホントに止めてえ!
ぎゃああああぁぁぁ!!!



……もうコイツとは別れよう。捨てよう、こんな変態。
あれ、この考え、何回目だ。
畜生、……惚れたが最後かよ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
衝動のままに書き殴った。
失礼しましたor2
34新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/21(日) 09:55:23 ID:NaQEHMNH0
>>32-33
萌え吹いたwwwww
いいぞもっとやれ
35風と木の名無しさん:2008/09/21(日) 11:14:10 ID:lq2hbFs00
>>32
>ああそう、凄いよ。キモいけど。
吹いたw
変態攻め大好きの自分にはたまらない(;´Д`)
36新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/21(日) 12:43:39 ID:yScMhfFs0
>>14
ちょ、今読んで十銅に目覚めましたwww
そうかそうか、打芝は甘えんぼなのかぁ〜って刷り込まれたw
この三角関係禿萌え(燃え)です姐さん!!
ちっこくて階級も一番下な先輩が攻め攻めしいのが良いw
37新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/21(日) 14:38:21 ID:+ce3W/E3O
>>32
GJです!
AAの八頭身×>>1さんでビジュアル浮かんだよw
38新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/21(日) 20:03:50 ID:CP5JMn5v0
>>1姐さん、乙でした。
久々に?すばせか、ハネメグの短編置いていきます。
例によって未プレイ者、ネタバレ嫌いな人、濃いエロが見たい人、
原作で接点ないキャラ同士のカプが苦手な人はバックプリーズ。


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 小説書いてて、はみ出した1シーンだって
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 長くないけど、いちゃつき気味
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
39すばせか ハネメグ 1/5:2008/09/21(日) 20:04:31 ID:CP5JMn5v0
肉体の感覚と共に刻み込まれた記憶は、
肉体の変容と共に忘れ去られるものらしい。

あらゆる欲の坩堝と化した肉体に触れた時の、
息の詰まるような切迫感を覚えている。
後朝に味わう紫煙も珈琲も、渇きを癒すことはなく
喉に粘りつき絡むような味であったのも覚えている。
だが、その前はどうであったのか。
情念と我欲の渦中で、自分は何を思っていたのか。
もう、覚えていない。

纏わりつく情を、欲を、忌避していたのか。
それとも、肉体の交わりに没入し、耽溺していたのか。
あるいは、全てを冷静に受け止めていたのか。
今となっては、もう、思い出せないのだ。
40すばせか ハネメグ 2/5:2008/09/21(日) 20:05:02 ID:CP5JMn5v0
首筋に、乾いた唇の感触。
一瞬遅れて、身体の奥底から湧き立つような熱。
痺れるような感覚に、我知らず小さな声が出る。
それが聞こえたのか、首筋に顔を埋めたまま彼は笑った。
無精髭と温かい息が、強く、甘く、皮膚を撫でる。

胸に触れる武骨な手、彼の接触は思い出させる。
自と他の境界が薄れ、互いの情が交わる営みも
あるいは、そう悪いものではなかったかもしれない。
自分の、他人の、情、欲、そして互いの肉の快楽。
寄り添い合うそれは、忌まわしいものなどではなく
ごく自然な、心地良いものであったのかもしれない。

人間であろうと、なかろうと。
生者であろうと、なかろうと。
己と他の境界は、侵すものではない。
時が来れば、自ずと融け合うものなのだろう。
どこにでもあるような、陳腐な考えだと自分でも思う。
だが、彼といる時だけは、不思議とそれを信じられる。
41すばせか ハネメグ 3/5:2008/09/21(日) 20:06:01 ID:CP5JMn5v0
ふと、顔の片側に温かさを感じた。
見れば彼の手が、何かを求めるように頬を撫でている。
骨張った指が、こめかみに沿ったフレームに触れた。
熱の交わりには、冷たいそれが邪魔だとでも言いたげに。

「少し、待て」
上体を起こし、彼が触れていたそれを片手で外した。
外界の光を、他人の視線を遮るサングラス。
24時間、常時着けているわけではない。
独りでいる時や休息の時、外すことはいくらでもある。
だが、まさか誰かのために外す日が来るなどとは、
着けるようになってから一度も、考えたことがなかった。

しかも、促したのは彼の方だ。
その事実に、求められていることを実感する。
奇妙なことに、甘い言葉や深い口付けよりも、
組み敷かれ、服を脱がされて受ける愛撫よりも、
たった一つの、ごく小さな装飾品を外すようにという
ささやかな要求の方が、その実感を強く持たせるのだ。

目を開けられないのは、眩しさのせいだけではない。
外界の光よりも強く、心に射し込むのは彼の眼差し。
言葉を持たぬそれは、彼の想いを何より雄弁に伝える。
閉じた瞼の上からでも、十分感じ取れるほど。
その証拠に、ひとたび瞼を上げ、直視すれば――
真っ直ぐな視線から、今度は、目が離せない。
42すばせか ハネメグ 4/5:2008/09/21(日) 20:06:33 ID:CP5JMn5v0
緩めた上衣の隙間から、胸に触れたままの彼の手。
体温、心拍、あらゆる生の象徴が希薄となった身体。
それでも彼の手は、身体は、温かいと感じられる。
何を生み出すことも、残すこともないこの行為にも、
好ましい意味があるのだと、思い出させてくれる。

重なる唇。
交わる吐息は、珈琲の味がした。
抱き締められるままに身を任せながら、ふと思う。
この後朝にも、やはり珈琲を飲むことになるだろうか。
彼の隣で飲むそれは、どんな味がするのだろう。

ふと、彼の唇が離れた。
「……どうかしたか?」
不思議そうに、顔を覗き込まれる。
ほんのわずか、気を逸らしただけであっても
彼にはすぐ、本当にすぐ伝わってしまうらしい。
だが、考えたことまでは、さすがにわからないだろう。
簡潔に、珈琲が飲みたくなった、とだけ伝えると
彼は宥めるようにこちらの頭を撫でた。
「後で、淹れてやるよ」
言われて思い出す、彼はその道のプロなのだった。
望めばきっと、美味い一杯を淹れてくれるだろう。
とはいえ、それを味わうのはもう少し先になりそうだ。
43すばせか ハネメグ 5/5:2008/09/21(日) 20:07:52 ID:CP5JMn5v0
「今は、こっちだけ見てな」
両手で頬を包まれ、彼の瞳に視線を合わせられる。
穏やかな口調には、有無を言わせぬ響きがあった。
彼は基本的に飄々として、悟った風に振舞う男だが、
時折こうして、独占欲と呼べそうな何かを覗かせる。
間近で関わるようになって、初めて知った彼の側面。

記憶の中の、他人のそうした感情は息苦しいものだった。
だが不思議と、彼が向けてくるそれに不快さは感じない。
むしろそれを快く思い、受け入れようとさえしている。
それは、相手が他の誰でもない、彼であるからなのか。
あるいは気づかぬうちに、自分の感性が変わったのか。

いずれにせよ、今度は忘れないでいようと思う。
身体の記憶が変わるというなら、心に刻んでおこう。
彼の温もりも、眼差しも、珈琲の味も、全て。

こちらから口付けを仕掛けると、彼は驚いたようだった。
わずかに見開かれ、それからゆっくりと細められる瞳。
その表情を愛おしげと評するのは、さすがに自惚れか。
だが、心地良さそうなその顔から、視線を外せない。
戯れのように舌先を触れ合わせては、息を継ぐ一瞬さえ。

忘れるまい。
目に映る彼の姿も、耳に響く息遣いも、全て。
この世界から自分が消滅する、その時まで。
44新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/21(日) 20:09:12 ID:CP5JMn5v0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ むーしゃ!むーしゃ!
 | |                | |     ピッ   (・〜・ )  ハネメグ〜♪
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

読んでくださった姐さん方、ありがとう。
45土奇玉獅子ネタ ナマ注意:2008/09/21(日) 21:28:35 ID:waF4/Fhv0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ナマなので注意なんだぜ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  すごい言己事を読んじゃった…
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
懲りずにスマン。
昨日の言式合の言己事を読んでいたら、こんな風なのを見つけてしまった。
何を狙ってるんだサソヌポ…!
46土奇玉獅子ネタ ナマ注意 1/4:2008/09/21(日) 21:29:18 ID:waF4/Fhv0
誰にも打てないけど、お前だけは打てるんだと、お前が耳元で言う。
夢みたいな話だが、現実ときたもんだ。
こりゃあ悪かねえ。
うん、悪かねえな、おい。

張り詰めた投朱戦の真っ只中に、投朱の体調を気遣うのも女房役の役割だ。
特に無失転同士の、これだけ緊迫した状況が続けば、投げた王求数以上に疲労が肩にたまり
始める。息が切れて腕が振れなくなる。
無意識に数えていた王求数をコーチに確認して糸田川は頷いた。8回で100球を越えた。
交代の目安としてはそろそろだ。数週間前に同じマ宇ンドで120王求近く投げていたが、
まさか毎回それを強いるわけにいかない。
プロとして年間通じて投げぬくことを考えれば、至極当然のことだ。
だがあの性格。しかもここはあいつの地元。
プロになってから、一度も勝ったことが無いこの地元王求場だ。
ああ、降りろって言ったらこりゃあ絶対手こずるな、と思いながら穂葦を探す。ベソチ内に
姿は見当たらない。
どこだ。がちゃがちゃとプロ手クタ姿のままベソチを抜ければ、その王求場独特の歓声の
こもりがすっと薄れるベンチ裏の、口ッカールームへ続く通路の真ん中で、へばっている姿を
見つけた。
「穂葦」
声をかけると、タオルを頭から被って通路に崩れおちていた左ウスポーは、ただ右手を上げて
応えた。
微かに肩が上下している。青い湯にフォー務のラインが揺れている。荒い。
そして左手はもう、動かすのも億劫なんだろう。限界だな、糸田川は舌打ちに似た感情をおぼえる。
「お前はよくやった」
「…交代か?」
「おー」
乾いた声でそうか、と以外にも穂葦はあっさり引き下がった。わあああ、と誰かの歓声がまるで
遠い国のことみたいに聞こえる。
47土奇玉獅子ネタ ナマ注意 2/4:2008/09/21(日) 21:30:04 ID:waF4/Fhv0
「次は勝たせてやる」
「…あー、うっすーく期待しとくわ」
「おい、俺だって悔しいんだぞ」
「わーってる。つか、でも俺、もうノーノーくらいでしか勝てねえ気がするわぁ」
ぷはーっとやっと天を仰いで、穂葦が苦笑いしながら顔を上げる。少し薄暗い蛍光灯の下、汗まみれ
の痛んだ髪がしなびて、帽子の型もくっついている。
疲れ果てている、という言葉が浮かんだ。
それから、見殺しにしてる、という直感も。
いや今日は相手が悪い、と思いながらも糸田川は、知らず知らず苦虫を噛み潰したような顔になって
いた。相手のAース級投朱の、さらに今年一番のピッ血ングと言っていい。
ただしこっちのチームのほぼ全員がキリキリ舞いさせられているその王求に、何故か自分だけはタイ
ミングが合っていた。とは言え得点できていないことに変わりはなく、だから余計に歯がゆい。
ああこうなれば第一才丁席のあの打王求が、あと10cm高く舞い上がって、世ンターのグリーン藻ン
スターを越えてさえいてくれたら。
こいつに1点でも、援護をやることが出来ていたら。
「…くそ」
「おい」
視線を外して唇を噛む、ふとコンクリートの壁の自分の影に、もう一つが重なった。気付けば穂葦が立ち
上がって、ごつ、と自分のメットを拳で突いてきた。
「…」
全く強くは無い仕草。
そして何を考えているのかわからない顔で、じっと自分の顔を見ている。
「…穂」
名前を呼びかけるより先に、手が伸びてきた。ぱさぱさの髪が細川の、これも自分では知らない疲れの
出た頬に触れる。
そして声が至近距離で聞こえた。
48土奇玉獅子ネタ ナマ注意 3/4:2008/09/21(日) 21:30:56 ID:waF4/Fhv0
糸田川は動かなかった。その言葉は、わあわあという歓声にちっとも紛れないで、鋭く脳に直結した。
「輪田を打てるのは、お前しかいない」
絶対打てよ、と。穂葦は呟く。何かの感情を押し殺しているようにも、全くの無意識から出たことのよう
にも聞こえた。
しがみ付かれる腕の力と、寄りかかる体重がゆっくり体に染みこむ。
やがて体の奥底に沈みこんで、何かの塊になった。
「穂葦」
「悪疲王求打ちの真骨頂、見せてみろや」
穂葦は言いながら、顔を決して上げない。
疲れてんだ。多分。だから、こんな風に言えんだろ、お前。
少し手を伸ばしたかったが、我慢した。
「…あー。見てろ」
ぐっとそのまま、僅かに動いた拳を握り締めた。ちょっとだけ眼を閉じて言った。
続きは俺が打ってから、だ。そうだ、だから見てろ、見てろよ。お前が言ったんだから、見逃すなよ。
「見てろよ」
打ったら抱き締めてやる。
勝ったら思いっきり、抱き締めてやるさ。
49土奇玉獅子ネタ ナマ注意 4/4:2008/09/21(日) 21:33:24 ID:waF4/Fhv0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 言己者さんは何を考えてたんだろうね
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
一部伏せ忘れ…orz

しかし脚色しましたがw、ほぼ内容は 言己 事 の ま ま の 実 話 です。
こっちを萌えさせてどうするつもりなんだとしか…。
ベソチ裏で「(穂葦に)すがりつかれた期待に応えないわけにいかなかった」
って…
そして奴のホムラソで勝ってしまうあたり、ドラマですね…。

でも感特含め皆本気でかすかにしか期待してなかった27w
50新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/21(日) 22:15:55 ID:SvJjmYtb0
>>45
我慢がかえって思いの強さを見せ付けます…燃、萌えるっす、姐さん!

イ犬兵の決着弾、言己事もソッコー読んできました 
汽車、言葉の選択まつがっとるw いいぞ、もっとや(ry
51新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/21(日) 22:28:03 ID:q3GZOFH0O
>>33
こういうの本当好きw姐さん乙です。
52新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/21(日) 22:28:37 ID:zpz4tTB+0
>>45
GJ!
姐さんのおかげで別チームサポなのに興味シンシンで困りますw
53新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/21(日) 22:53:01 ID:6kWA/+P0O
>>45
姐さんGJ!
自分も他ファソですが今朝の新聞見て一日中妄想してますたww
糸田川かっこいいよ糸田川
54ナマ 庭王求 差品×序子(逆視点):2008/09/21(日) 23:15:23 ID:p/aZgdKD0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 今度は兄ちゃん視点で前回と同じ話です。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  兄ちゃんのイメージ違ったらゴメン
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
55ナマ 庭王求 差品×序子 1/4(1set目):2008/09/21(日) 23:18:31 ID:p/aZgdKD0
 その日は少し苛ついていた。詳細は忘れたが、何か些細な事だったような気がする。思い出すだけで
苛々が増しそうなので、俺は深く考えるのを止めた。だが、一度ざわついてしまった心に平静を取り戻
すのは意外と手間がかかる。何か手っ取り早い手段は無いものかと思案し始めた時、ふと一人の青年を
思い浮かべた。其奴は真面目で誠実で、その癖に妙に人を和ませる術を持っている男だった。彼奴と逢
えば、少しは解消されるかもしれない。それぐらいの簡単な考えで、俺は其奴に連絡を取る事にした。

 其奴とはさほど細目に連絡をする間柄ではないが、そもそも俺にはそんなマメに遣り取りをする相手
は居ない。自分勝手だとか我侭だとか腐る程言われても、俺の性格に合わないのだから仕方が無い。
彼奴の予定を熟知している訳ではないが、ツアースケジュールやそのエントリーを考えれば、何処に居る
かは何となく察しはついた。恐らく、そう遠くない所に居るだろう。もし居なければ早々に諦めて他の
手段を探すだけだ。

 そんな唐突な俺の連絡にも其奴は動じる事もなかった。元々の性格なのか、それとも俺のペースに慣
れてしまったのかは分からないが、奴は付き合い易い相手だった。うざったくない程度に聡くて、そし
て何より素直だ。俺の乱暴な要求にも困ったような顔をしたりはするが、基本的に従順に応えてくれる。

 簡単な会話を幾つか続けて其奴の声を聞いているうちに、何となく落ち着いた自分に少しだけ驚いた。
そこまで苛ついていたとは思っていなかったのだが、俺は安定を求める程度にはやはり不安定だったら
しい。取り合えず奴の所在地を聞き、逢える距離に居る事は分かった。
56ナマ 庭王求 差品×序子 2/4(1set目):2008/09/21(日) 23:21:39 ID:p/aZgdKD0
 「逢える、な。」

 俺は思ったままを口にする。俺は別に逢う事を強要したつもりはないが、俺の言葉は何処か威圧的な
響きを伴うらしい。確かに、俺は逢いたいという思いで連絡をした。しかし、それはまだ問いかけてい
ないつもりだったのだが、一瞬の間を置いてから奴は素直に了承をする。此奴は体調が悪いだとか用事
があるだとかは正直に言うので、その間が何を意味するのかは俺にはよく分からなかった。いつもなが
らの俺の横暴さに戸惑っただとか、その程度ならいい。俺に逢いたくないという理由がないのなら構う
事はない。俺は適当に思い浮かんだ場所と、そこまで辿り着く時間を告げて、話を切り上げた。

 全く我侭で自分勝手な男だと我ながら思う。世間からも当然のようにそう評されているだろう。彼奴
もそう思っているのかもしれないが、面と向かってそれを批判された事はなかった。奴は俺のありのま
まを見て受け入れてくれる、数少ない人間の一人だった。7つも年下の彼奴にもしかして甘やかされて
いるのかと思うと、それはそれで情けなくもなってくるのだが、それも仕方が無いのかもしれない。

 彼奴は俺が指定した時間に特に口を挟まなかった。という事は、いつものように恐らく先に部屋で
待っているのだろう。彼奴は俺を待つ時間が好きらしい。俺には到底理解できないが、どれだけ遅れて
も文句一つ言わない。何かを言うとしても、遅かったね、と無邪気な笑顔で逢えた事の嬉しさを表すよ
うな男だ。そこまでされると、さすがに俺でも余り待たせたくはないと思う。実を言うと俺は彼奴のそ
ういう穏やかで邪気のない部分に弱い。こんな事は決して誰にも言いたくはないが、自覚はあった。
57ナマ 庭王求 差品×序子 3/4(1set目):2008/09/21(日) 23:24:30 ID:p/aZgdKD0
 約束の時間より僅かに遅れて、俺は部屋の前に到着した。ノックをすると中から人が動く気配がして、

今開けるからという彼奴の声と共にロックが開錠された。その瞬間、俺は何かに突き動かされるように
して室内へと入り、ぎゅ、と奴を強く抱きしめていた。我ながら自分の行動に驚く。それ程に俺の神経
はささくれ立って切迫していたのか、とぼんやり思いながら、同じように驚いている様子の其奴に口付
けた。欲しい、というただ愚直な欲求に従って、思うが侭に俺は奴の唇を貪る。呆気に取られていたの
か途中まで無抵抗だったが、奴も積極的に俺に応えてくれた。少しずつ、俺の中で何かが解れていくの
を感じる。

 「時間が無いの?」

 僅かに視線を落とし気味に、奴が問いかけてくる。そう問われる意味が理解出来ずに俺はただ少々俯
き加減の奴を見下ろしていた。すると、じ、と奴は視線を持ち上げて俺の目を見つめてくる。打算も何
も潜まない、綺麗なブラウンの瞳がそこに在った。

 「急いでいるのかと思って。」

 そういえば衝動のみに身を任せて、性急過ぎたかもしれない。此奴がそんな事を咎めているとは思わ
ないが、これでは面食らうのも当然だろう。大人気ない、という単語が俺の脳裏に浮かんだ。

 「別にそういう訳じゃない。お前は?」

 「僕のスケジュールも空っぽだったから平気だよ。」

 思わず言い訳めいた口調で答えると、苦笑される。別に奴は嫌味を言っている訳では無いのに、益々
俺は大人気なく表情を歪ませていた。
58ナマ 庭王求 差品×序子 4/4(1set目):2008/09/21(日) 23:26:48 ID:p/aZgdKD0
 「不満か?逢いに来たんだから、当然だろう?」

 「それは僕が欲しかった、って意味?」

 「それ以外に何がある。」

 人懐っこい笑顔を浮かべて冗談のように奴は言うが、腹の探り合いなんて面倒な事は嫌いだ。俺はス
トレートにそう答える。他に理由なんてない。此奴以外には出来ない事を望んで、俺はここに来たのだ。

お前が欲しくないならくる訳がない、と思いながら答えると、奴は黙り込んで俯いてしまった。俺は何
か拙い事でも言ったのか。奴がどんな顔をしているのか知りたくて、ぐい、と少し手荒に奴の顎を持ち
上げた。

 「何かおかしいか?」

 「いや、何も。嬉しいだけ。」

 奴の驚きの表情が、ふわりと笑顔に変わる。それなら何も問題ないじゃないか。俺は奴の手首を掴ん
で、そのままベッドへと導く。余り乱暴にならないように多少は気をつけてはいるのだが、俺の中の衝
動が強すぎて抑えが利かなくなりそうだ。もし万が一、此奴が俺に抵抗を示したら、どうなるだろう。
抵抗どころでは無く、拒絶されたらどうなってしまうのだろう。自分が何をしでかすか想像するだけで
恐ろしくなりそうだったので、俺は考えるのを止めた。

 「だったら大人しく俺に付き合え。」

 やっぱり俺は我侭で傲慢だ。しかし、それでも嫌な顔もせずに付き合ってくれる此奴が堪らなく可愛
くて、そしてありがたいと俺は同時にそう思っていた。
59ナマ 庭王求 差品×序子(逆視点):2008/09/21(日) 23:28:27 ID:p/aZgdKD0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ イチドキルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 関係ナイガ妹優勝オメ!!
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
60新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/21(日) 23:34:02 ID:VK6KZux60
>>45
他ファソだが燃え(萌えじゃない)ました!!
かっこえええええ!!!!
61新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/21(日) 23:37:00 ID:0aaUWE4z0
>>45
同じく燃え!!そして萌え!!
友情としても、同志としても、たまらん関係ですね。
GJ!!
62新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/21(日) 23:38:50 ID:0aaUWE4z0
すません連投
でも、糸田川に力いっぱい抱き締められたら、
帆阿氏さん大丈夫ですかww?
63新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/22(月) 00:13:04 ID:SRS2oH27O
すみません、全スレから続きです。利例犬×次男

「ん〜、た…かひらさ……!!?うぉおおっ戻ってるーー!!!鷹平さぁあんおはよぉおお!!!」

「待てっっ!!!;」


昨日の犬にしたようにそう言い放つと、ビクッと反応して彼は黙る。その間に昨日の大型犬を探してみたが、どこにも、いない。

改めてつかぽんに問うてみた。
「昨日は……」
「昨日は………犬………やってました……」

頭がぐらぐらした。
そんな馬鹿な話があるものか…
64新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/22(月) 00:14:19 ID:SRS2oH27O
しかし昨日の可愛いわんちゃんは何処かに消えて、代わりに目の前には素っ裸の後輩。
これは………
色々考える内に目の前の犬が口を開く。

「鷹平さん、服…貸してもらえます?あと……」

「あと?」

「あと、やっぱり俺、鷹平さんが大好きです!!」


また頭がぐらぐらした。
また忙しい一日が始まるのに、朝からどっと疲れたような気がする…

でもどこか幸せなのは…


とりあえず昨日の言い訳を朝食をとりながら二人で考えることにしようか。


FIN
65新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/22(月) 00:17:00 ID:SRS2oH27O
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・)イジョウ、ジサクジエンデシタ!

寮生活だったらどうしよう。
全スレに引き続き、見苦しい真似おぅおぅ(´;ω;`)失礼しますた。
66新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/22(月) 00:19:37 ID:Lo99mvXXO
某在β反王求団 3105です
あんまりエロくないです

|>PLAY ピッ ◇⊂
67sweet:2008/09/22(月) 00:24:22 ID:Lo99mvXXO
いつ果てるとも知れないマシンガントークに疲れはてた赤☆が去った後、残された平里予は独りでポツンと座っていた。
ここは移動中の新幹線の中で皆はそれぞれのやり方で時間を過ごしている。
新大阪迄の僅かな間に少しでも睡眠を取りたかった赤☆は隣に平里予が座った瞬間泣けてきた。今日も眠れない…
いつもなら3時間付き合うのだけれど、この日は限界だったらしく
「絶対についてくるな!」
と言い残し遠い席に逃げて行った。
仕方ない…手荷物の中からチョコの入ったプレッツエルを取り出し封を切りバリバリ音を立ててかじり始めた。と、その時陽気な声が頭上から聞こえてきた。
「ひーらの何シテル?」
イスケだ。
「何っていわれても。」
イスケは隣に座り込みヒトツチョウダイとか言いながら平里予の菓子をつまみ出した。
童顔で言葉がたどたどしいイスケは幼く見える。菓子をパクパク食べる姿は子供みたいで笑ってしまう。
「最後のヒトツよ」
慌てて箱を覗くとプレッツェルが一本しかない!急いで口に放り込み、これは俺のと笑ってやる。
しかしイスケも負けてない。平里予がくわえてる反対側からバリバリとかじりつき全部食べてしまった。
さらに勢いそのままに平野の唇に吸い付き舌で口内の菓子までさらっていった。
呆気に取られる平里予にもう一度軽いキスをしたイスケはニコニコと立ち上がり笑顔で礼を言い去って行った。
「ご馳走サマ。最後のが一番美味かったヨ」

68新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/22(月) 00:25:16 ID:Lo99mvXXO
□ STOP ピッ ◇⊂


諦めたらそこで試合終了だよ
69新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/22(月) 01:15:17 ID:Q2TyV8jjO
>>65
テンプレ読めないなら投下しないでほしい
内容もアレだし読みたくないひとだっているはずだよ
70新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/22(月) 01:36:29 ID:D34CckeZ0
>>45
他ファソですが、テレビで丁度ホムラソ打った瞬間を見てただけにニヤニヤがとまらないw
そして言己事も見てフイタw
良い関係だなこの2人。燃え萌えですGJ!
71新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/22(月) 01:45:00 ID:XAB5Ri81O
>>63
萌えただけに、ローカルルール把握しといてほしかったお(´・ω・`)
72新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/22(月) 02:24:54 ID:IwX8/ubF0
>>33
GJ。何となく、とあるゲイ任さん達のようで思わず関西弁で脳内変換されますた。
73盗撮は犯罪です1/2:2008/09/22(月) 08:39:34 ID:/wnNUEYsO
>>32の続きになるのかな
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


こんちゃ。あんたん家来るの久し振りだね。
うん、何となく不吉な気がするから普段避けてるんだ。でも最近ようやく意味がない事に気が付いたから諦めた。
うん、どこでも一緒だ。……一緒に居たいという意味では無い。一人の時間は大切だ。だから手錠と轡をしまえ!
冗談だって言われても信じにくいんだよ。真顔だし。
…………いや、好、きでは、ある、けど、……それとこれとは別というか。
いや……まあ、……痛く無いなら……今日は嫌だよ!
そ、それより! 何か見せたい物があるとか言ってなかったっけ? ほら、ん?
「だろうな」て。か、隠し撮りデスカ。思わずカタコトだよ。
いつからなの? 十年位? そうか。……一度死んでくれないか。いや、殺させてくれないか。一瞬で済ませるから。
……ああ、ごめん、取り乱した。忘れて。
74盗撮は犯罪です2/2:2008/09/22(月) 08:44:26 ID:/wnNUEYsO
でもさ、これはちょっと。怖いよ。「愛だ」……言い切った。素直に喜べ無いんだけど。でも、ああどんどんドツボに……。

うわーカメラ目線少な。一体どうやって撮っ……いややっぱり聞きたくない。
んー? 秘蔵の秀作達? 嫌な予感がするなあ。というか大体想像が付くよ。

っっぎええぇぇえ!
なっなななな何てモン撮ってんだよ!! これっ! ひぃ! もう見せるな!
ああああ、こんな、こんなに世に生まれ出た事を後悔する日が来るとは。
いっそ死んでしまいたい。いやもう死にそう。恥死にそう。
……「死ぬ時は二人一緒に」?
そうだね。あんたみたいな変態ほったらかしにしたら危なすぎる。
あーあ、本当にずっと一緒だね。まあ、もう良いや。潔く人生を諦めますよ。
愛してるよ。
……あら、あんたでも照れるんだ。ふふん、良いもん見た。

ん? あら? え、怒った? ちょっとちょっと、手錠を引っ込めて。謝るからさ?
「怒っていない」なら勘弁してよ。「愛おしいだけだよ」て。その愛は俺には荷が重いよ!
ちょっ、ちょっと待って! あっ、やだやだやだ! やめっ…うっ! ひやっ、あああっ。
ああっもう! いいい痛くしないでええぇぇぇ!!!



あああ、もうお婿に行けない……。
いや、もう人生投げたんだ。こうなったら本気で変態の嫁になってやる!
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
レスくれた姐さん方ありがとう。
75新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/22(月) 12:36:46 ID:IvtS4c5WO
前スレ543
禿萌えた!可愛い(*´∀`)
相合い傘いいよね。

>>73
変態すげぇwwwwww
GJです!
7672:2008/09/22(月) 13:03:04 ID:/wnNUEYsO
すみません抜けているところがありましたorz
正しくは


何か見せたい物があるとか言ってなかったっけ? ほら、ん?
大分たまったから御披露目に? 何が。

……何だいこりゃあ。「全て君の写真だ」うん、見たら分かる。
問題はさ、何で俺の写真がこんな大量にアルバム化されてるかって事だよ。
そんな沢山撮られた覚え無いんだけど。

「だろうな」て。か、隠し撮りデスカ。思わずカタコトだよ。


こうなります。ごめんなさい。
77新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/22(月) 19:53:00 ID:laj83JJcO
>>72
変態GJwww
愛されてて良かったなwww
78ナマ 庭王求 差品×序子(逆視点):2008/09/22(月) 20:54:31 ID:1EJV/x790
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 友人に見せたら騙されていた!と言われた。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  そんな逆側視点。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
79ナマ 庭王求 差品×序子 1/4(2set目):2008/09/22(月) 20:56:24 ID:1EJV/x790
 口付けを再開させると、奴も懸命に応えてくれる。噛み付くようにキスをしながら、俺は何かが
満たされていく感覚に少し戸惑っていた。俺にこんな感情を植え付けていくような奴は、此奴の
他には居ない。俺の頭を芯から熱く狂わせながら、俺の心の底まで静かな安らぎをくれる相手を、
俺は此奴以外に知らなかった。

 その存在を確かめるかのように、俺の手は奴のシャツの裾を潜って直に肌に触れる。必要な
筋肉だけがついた、無駄の無いアスリートの肢体がそこに在る。幾ら俺よりも年下だからといって、
こういう状況で触られる事に慣れていない訳ではないだろうに、それでも此奴は俺の手に敏感な
反応を返す。それが面白くて、俺は好き勝手に奴の身体を撫で回した。くすぐったいのか、それとも
もう感じ始めているのかは分からないが、掌で胸元に触れる度に俺の腕の中で奴の身体がゆらゆら
と揺らぐ。

 ようやく唇を離して改めて顔を見ると、奴はあまり日に焼けていない肌を仄かに上気させていた。
俺が仕掛けたキスが乱暴過ぎたのか、少し苦しそうに息を吐いている。その様が何だか微笑ま
しく見えて、思わず少し笑ってしまった。すると、ぎゅ、とそれまで瞑っていた奴の瞳が開かれて、
何処か縋る様な視線で俺を見る。そんな目で見られて、俺が平静で居られると思っているのだろ
うか。俺を態と煽ろう等とは此奴は微塵も考えもしないだろうが、たまに少し疑いたくなるぐらいに
恣意的に思える。しかし、此奴はいつだって素直な表情を俺に見せているのだろう。なので、俺を
感じて身も心も熱くしてくれているのかと思うと嬉しいような気がして、つい口元が少しだけ緩むの
を感じる。
80ナマ 庭王求 差品×序子 2/4(2set目):2008/09/22(月) 20:59:07 ID:1EJV/x790
 「どうした?お前はそんなに我慢が利かなかったか?」

 軽く揶揄してやると、きょとん、と奴は無防備な表情を浮かべて俺を見つめていた。だからそう
俺を煽るなと言いたくなるのを堪えて、俺はまず自分を落ち着かせようと浅く上下する奴の胸の
ボタンを一つずつ丁寧に外す。下まで全て外し終えると、奴は袖から両腕を抜いて俺の首の辺り
に自ら抱きついてきた。そうして僅かに身を起こしたので、邪魔になったシャツを退けてやる。
しかし、それでも奴は俺から離れようとしないので、俺は奴の耳元に口を寄せて更に奴をから
かってやった。

 「そんな顔をして誘うのは、まだ早いんじゃないのか?」

 全く自覚が無かったのだろう。う、と小さく呻くような声と共に腕に力が入り、肩の辺りに顔を埋め
てくる。此奴は本当に分かり易くて可愛い奴だ。俺に顔を見られたくなかったのだろうと簡単に推測
出来る。安堵と愉悦が同時に込み上げてきて、俺は喉の奥で笑った。身体を密着させたまま奴の
身体をベッドに押し沈め、足を開かせてその間に割り入る。自分の太腿の辺りを奴の下肢の中心に
押し付けると、既に奴が興奮しているのが伝わってきた。

 「貴方、が……ッ。」

 「俺が?俺のせいか?」

 切れ切れに奴が反論しようとするが、零れ落ちる喘ぎでままならないようだった。奴の腕から
抜けて見下ろすと、少しだけ悔しそうな表情を浮かべていた。一方的に昂ぶらせられたのが
屈辱的だったのだろうか。俺は別にそんなつもりは毛頭無かったんだが。
81ナマ 庭王求 差品×序子 3/4(2set目):2008/09/22(月) 21:01:44 ID:1EJV/x790
 「貴方が、そうさせるから……ッ。」

 「お前は俺より我慢強いはずだろう?」

 また揶揄してやると、今度は言葉に詰まって困ったような表情を見せる。それが堪らなく可愛くて、
思わず俺は笑みを浮かべていた。どうして此奴はこうも俺に火を点けるのが得意なのだろう等と
思いながら、俺は上衣を脱ぎ捨てて奴の唇にキスを落とす。そのまま舌を這わせながら顎から
辿って首筋を伝い、喉元に軽く噛み付いた。ひく、と奴の身体が揺れる。俺たちは肌を人目に晒す
機会が少なくも無いので、キスマークが付かない程度に鎖骨の辺りを緩く吸い上げると、奴は甘い
喘ぎを小さく零した。

 その響きが耳に心地よくて、俺はそれをもっと引き出そうと奴の胸元を弄る。態とゆっくりと舌先で
苛めてやると、期待どおりに奴は押し殺した吐息を漏らした。そうして俺の頭を抱きかかえる。奴の
指先に俺の髪が絡まり解ける度に、何だか頭を撫でられているようでくすぐったい気分になった。
このまま温い愛撫を続けて戯れるのもいいかもしれない。そう思いながらも、俺の脚は奴の熱の
中心を擦り上げて追い立てている。きっと此奴とならば、俺は別にどちらでも構わないんだろう。
熱く狂ったように性急に求め合うのも、緩やかな児戯で甘ったるく求め合うのも。

 しかし、その両方を与えられている奴は、もう堪え切れなくなってきたらしい。言葉にはしないが、
先程から、ぐいと腰を押し付けてくる。布越しに奴の昂ぶりを感じて、俺もそうそう我慢が利く方では
ない。だが、まだ遊んでいたい気持ちもあるのも事実だ。ここは此奴の言うとおりにしてやろうかと、
そう思って俺は問いかけた。
82ナマ 庭王求 差品×序子 4/4(2set目):2008/09/22(月) 21:03:16 ID:1EJV/x790
 「どうした?」

 胸元に唇を寄せたまま囁くと、ひく、と奴の身体がまた揺らめいた。本当に限界が近かったのなら
無理をさせてしまったな、と多少の後悔の念が過ぎる。しかし、奴は俺の問いに答える代わりに、
抱え込んでいた俺の頭を引き寄せてキスを求めてきた。奴から積極的に口付けを強請るのは珍し
く、ぬるりとした熱い舌が懸命に俺を貪ろうと動くのを、あやすように俺は応えてやった。そうして
奴が満足するまで口付けてから、ゆっくりと唇を離した。

 「早、く……ッ。」

 喘ぎに掠れた声で、切なげに眉根を寄せて、目元を僅かに潤ませて奴が告げる。そんな可愛らし
い哀願をされて、俺が応じない訳がないだろう。思わず軽く笑いながら、奴の下肢に手を伸ばした。
手探りでベルトを外して下衣を剥ごうとすると、奴も俺に触れてくる。恐る恐るといった手付きで俺の
熱の中心を探り当て、奴は僅かにだけ安堵のような表情を浮かべた。興奮しているのはお前だけ
じゃない。お前のせいで俺だって相当の我慢をしているんだと、言葉にするまでもなくそう思いなが
ら、俺たちは衣服を全て脱ぎ捨てて抱きあった。俺の熱さを感じて欲しくて腰を押し付けると、奴は
背を撓ませて喘ぐ。

 「お前の方が俺よりも欲しがりじゃないか。」

 それでも俺の矜持が奴に揶揄の言葉を投げかける。本当は同じか、否、此奴以上に俺の方が
欲深いに決まっているのに、だ。俺はどうしようもなく我侭で自分勝手で、ただ一方的に此奴を
求めているのではないかと、時折不安に苛まれる。しかし、此奴はそんな事はないのだと、いつも
教えてくれた。それは些細な言葉だったり、何気ない態度だったり、奴自身の身体が示す反応
だったり、全てを持って此奴は俺に応えてくれるのだ。今も、熱を孕んだ奴の中心を握り込むと、
びく、と大げさなまでに身悶える。よっぽど我慢していたのか、幾度か強く擦り上げてやると程なく
して享楽に表情を歪めながら奴は俺の掌に快楽の熱を放った。
83ナマ 庭王求 差品×序子(逆視点):2008/09/22(月) 21:04:19 ID:1EJV/x790
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 前ヨリ長クナッチャッタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・;)  兄チャンモ大会ガンバッテ!!
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
84やさ/ぐれ/ぱ/ん/だ 1/2:2008/09/22(月) 22:52:16 ID:aY5XwWDH0
ぱんだ×人のつもりだけど、あんまりCP色はないです
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


先日、あいつの誕生日を聞いた。

これはあれか、誘い受けってやつか? 面白い・・・乗ってやろうじゃねえか。
その日はふーんと軽く流した俺は今日、一人で買い物に出てきていた。
あーそうか、じゃあパーティーでもやるか!じゃつまらん。
こう、ドカンと一発でかいプレゼントで驚かせてやらんとな!
ドカンとなだけに土管でも・・・って、それはさすがに不味いな。プレゼントとしてもオチとしても。
じゃあこうズドンと一発・・・って、殺してどうする!
・・・・・・考えてる暇があったら、さっさと見てまわるか。


・・・・・・よく考えたら俺、金持ってねぇよ。ってかパンダが買い物できるわけねーじゃん。
85やさ/ぐれ/ぱ/ん/だ 2/2:2008/09/22(月) 22:53:32 ID:aY5XwWDH0
「で、歩き回ってる間に雨まで降ってきて、風邪ひいちゃったわけですか」
「わけです」
「気をつけて下さいよー。とりあえず、何かしてほしいことあります?」
「んー、じゃあさ、お前のあれ、ほら、以前熱唱したアルプス一万尺でも歌ってくれよ」
「え? でもあれじゃ子守唄にはならないと思いますけど」
「いいんだよ、お前の歌なら何でも」
「・・・・・・じゃ、歌います」


「ってあれ? よく考えたら僕の誕生日なのに、こっちがあげちゃってません?」
「おいおい貰っただろ〜、病気のパンダの傍で歌うっていうレアな体験を」
「え? これプレゼント?」

(でも、確かにレアだなぁ・・・)

「なんなら病気のパンダに襲われる被害者Aという体験もしてみるか?」
「それはいりません」


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ぱんだと人は仲良しすぎると思うんだ
86新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/22(月) 23:58:25 ID:Q1FCdzsC0
>>84-85
ぱんだキター!
ツンデレぱんだ、可愛いよ! ご馳走様!
被害者Aを想像すること小一時間…
87ナマ 庭王求 差品×序子(逆視点):2008/09/23(火) 00:02:31 ID:1EJV/x790
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 今回も3セットのストレートで終わりです。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  長々と失礼しました;
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
88ナマ 庭王求 差品×序子 1/5(3set目):2008/09/23(火) 00:03:50 ID:B4q1q3hv0
 はぁ、と奴は熱い吐息を零す。少しは楽になれたのか、解放の余韻を残したままで奴は蕩けた
ような表情を浮かべて俺を仰いだ。ゆっくりと触れるだけのキスを落とすと、安心したかのように
奴の身体から力が抜けていくのが分かる。俺に全てを委ねているつもりなのだろうと判断して、
俺は行為を進める事にした。俺はなるべく奴に負担をかけたくないと思っている。精神的には勿論、
肉体的に傷つけるなんて以ての外だ。此奴は俺と同じプロの選手で身体が資本なのだから、当然
の事だろう。それでも此奴は俺に身を任せてくれるのだから、それが俺に対する信頼の証のようで
単純に嬉しかった。

 決して傷つけてしまわないようにと思いながら、俺は奴の双丘の奥に手を伸ばす。用意しておい
た潤滑剤と先ほど奴が放った体液で塗れた指で、未だ閉じられた場所を慎重に探った。ゆっくりと
そこを撫でると、今までに幾度も俺を飲み込んだそこが少しずつ解れてくる。頃合を見計らってゆっ
くりと指を入れると、奴の身体が僅かに強張った。だが、それはすぐに弛緩して、俺の行為を助長
させる。徐々に奴の身体が馴染んでくるのを確かめながら、俺は奴に俺自身を受け入れさせるため
の準備を進めていった。たまに苦しそうに呻いたり、切なげに喘いだり、大袈裟なまでにびくんと
身体を揺らしてみたり、一々見せる奴の反応に俺は注意を払う。辛そうなら止めてやろうかとも思っ
たが、俺の腹の辺りに当たる奴の熱の塊が、ここで止められると余計に辛いと主張し始めていた。

 「平気か?」

 俺に抱きついて愛撫を甘受していた奴の耳元で囁き、そのまま耳朶に噛り付く。奴は軽く仰け反る
ように背を反らせながら、小さく頷いた。奴の身体はすっかりと解れ、俺の指を三本も飲み込んで
ひくついている。心の準備も出来ているらしい。それならば、と俺は自身にゴムを被せて潤滑剤を
馴染ませてから奴の両脚を開いた。これからの快楽への期待と、それに本能的な恐れもあるのか、
奴は縋るような、それでいて艶めいた目で俺を煽る。まだ、だ。まだ俺の欲求を本能のままに解放
するには早い。もう少しだけは我慢をしなくては、と自分に言い聞かせながらゆっくりと、奴に俺を
埋め込んでいった。
89ナマ 庭王求 差品×序子 2/5(3set目):2008/09/23(火) 00:05:03 ID:B4q1q3hv0
 「ぅ、あ……ッ。」

 時間をかけて俺の全てを飲み込ませると、奴が上擦った嬌声を漏らす。俺の我慢もここまでだった。
熱くきつく蕩けるように包み込まれる感触に引き擦り込まれ、奴が息を整える間さえ待てずに腰を
打ち付ける。何度も、何度でも、ただ此奴が欲しくて俺は求め続けた。仰け反る首筋に吸い付き、
また噛み付く。その刺激に反応して上がる喘ぎを唇で塞ぎ、それさえも欲しがりな俺は飲み込んで
しまう。全て奪ってしまいたいという支配欲が、俺を突き動かしていた。そうして俺は此奴から、他で
は得られない快楽を与えられる。最早、どちらが支配しているかなんて分からなかった。分からなくて
も良い。ただ、此奴が俺の腕の中にさえ居てくれれば、それで良かった。

 しかし、ふ、と奴の視線が宙を彷徨う。恍惚の表情を浮かべながら奴は享楽に咽いでいるのだが、
視線が俺を通り抜けているように何故か感じた。此奴は今、何を見ているのか。そう思った瞬間、
言いようも無い感覚に囚われる。俺ではない何かを見ている此奴に対する頭の芯が痺れるような
熱さを伴う怒りと、背筋から血の気が一気に引いて行くような……これは、何だ。分からずに、俺は
奴を見つめた。恐らく困惑よりは怒りの方が強くて、睨みつけていたかもしれない。それぐらいに俺
はいつの間にか苛ついていた。

 奴の視線が、再び俺を捕らえる。ほんの僅かの間だったが、俺の中ではそうは思えなかった。
今までとは変わったであろう俺の表情に気が付いて、不思議そうな顔をした奴の腰を力任せに掴み
上げる。そしてそのまま強引に体位を変えた。あ、と奴が悲鳴のように小さく鳴いたが、そのまま俺
に跨る格好になる。未だに奴は俺の豹変の理由が分からないようだった。俺にだって良く分から
ないのだから、当然だろう。ただただ苛々だけが募って、快楽の続きを求めて動きたがる奴の腰を
掴む手に力が入った。そして、俺はそのまま動くのを止める。奴の内部は俺を求めて収縮を繰り
返して締め付けてくるが、それも無視した。先ほどまであれほど溢れていた劣情が、苛立ちの前に
まるで消え失せてしまったかのようだった。
90ナマ 庭王求 差品×序子 3/5(3set目):2008/09/23(火) 00:06:25 ID:B4q1q3hv0
 体勢を維持出来ないのか、奴は俺の腹の辺りに両手をついて苦しそうに喘いでいる。そして、
どうにかしてくれと、困ったような熱に浮かされた視線で奴が俺を見つめていた。しかし、俺はどう
しても納得出来なかった。

 「何を見ている……?」

 自分の感情の意味が分からずに苛々する。その苛立ちに任せて、下から強く突き上げた。奴の
身体は再び与えられた悦楽の歓喜に震えているが、その表情は複雑だった。俺と同じ混乱の中
にでも居るのだろう。もっとぐちゃぐちゃに乱れて、本当の事を教えてくれ。俺はそう思いながら、
先ほどよりも乱暴に何度も突き上げた。快楽なのか、苦痛なのか、それとも俺に対する恐怖なの
か。震えて掠れた声で、奴は途切れ途切れに答えた。

 「見て……た。僕の、中の……貴方、を。」

 此奴の中の俺、という言葉に、ある記憶が思い起こされる。昔、俺に憧れていたらしい此奴と
打ち合った事があるという、俺にしてみれば他愛も無い思い出話だ。しかし、此奴にとってはとても
大切な思い出らしく、幸せそうな顔をして語っていた。俺は、過去の俺と比べられていたのか。それ
とも、過去の俺の方が此奴にとっては良いとでも言うのか。俺は自分の顔が歪むのを自覚していた。

 「俺は……お前にとって、過去の遺物か。」

 言ってしまってから、また背筋から血の気が引いていくような感覚に襲われる。これは、もしかして
恐怖、なのだろうか。今ここに居る俺を見てくれない此奴に対する、恐れという感情。この俺への
否定に等しいそれに気が付いた俺は、目の前が真っ暗になるような錯覚に陥る。そんな俺を現実に
引き戻したのは、呼気が少し乱れてはいたが落ち着いた奴の声だった。
91ナマ 庭王求 差品×序子 4/5(3set目):2008/09/23(火) 00:07:55 ID:B4q1q3hv0
 「そんな事……ない。昔も、今も、変わらない……よ。僕も、貴方も。」

 「変わっているだろう。色々と、な。」

 俺は感情の入らない声で、まるで拗ねた子供のように反論していた。それでも奴は真面目に答え
てくれる。奴の声は、静かで柔らかく、そして温かく俺の心に響いた。

 「変わらない。僕にとって……貴方は、何にも代える事は……出来ないんだ。」

 そう言って慈愛に満ちた表情で微笑む奴の姿に、俺は安堵と共に自分の世界を取り戻していた。
失われたと思っていた熱が急激に甦り、また俺は我侭で傲慢で自分勝手な俺になる。奴を持ち
上げるようにして俺は自身を引き抜くと、奴の身体を返して後ろから覆いかぶさった。そうしてから、
ゆっくりと奴を貫く。身震いするかのように奴の背が揺れるのを見て堪らなくなり、背中に何度も
口付けた。奴はうつ伏せたまま必死に身を起こそうとしているのか、力が入って浮き上がった肩甲骨
にも口付けを落として噛り付く。シーツに顔を伏せて懸命に喘ぎを堪えようとしているようだが、それ
でも零れ落ちる嬌声が俺を際限なく煽っていた。奴が悦楽を感じている証であるそこを握り込み更に
扱き立ててやると、くぐもった甘ったるい吐息と共に奴の中が俺を締め付ける。俺自身に絡みつく
熱さを感じながら、それを突き崩すかのように俺は夢中で奴を攻め立てた。もう苛立ちは全て忘れて
いた。ただ享楽に二人で溺れる。そうして俺の掌で奴が絶頂を迎えたのを感じた瞬間、きつく俺自身
を締め上げられて俺も奴の中で果てた。
92ナマ 庭王求 差品×序子 5/5(3set目):2008/09/23(火) 00:09:16 ID:B4q1q3hv0
 身も心も、すっかりと晴れたような心地よさを感じながら、俺は奴から身体を離した。簡単に
後始末をし、奴をその場に残してバスへと向かう。熱いシャワーを頭から浴びながら、やっぱり
俺には此奴が必要なのだと今更ながらに実感していた。素直で誠実な此奴を俺が好き勝手に
利用しているだけだと誰かに言われようが、俺には必要なのだ。そして、文句を言う権利がある
のは、奴だけだ。軽く汗を流してから部屋に戻ると、その奴は未だベッドに伏せたままだった。
少し負担をかけ過ぎただろうかと柄にも無く心配になり、シャワーを浴びるように声をかけて身を
起こすのを手伝ってやる。

 引き上げてやろうと両手を取ったが、奴はベッドの縁に腰掛けたままで静かに俺を仰いでいた。
神妙な顔つきで、真面目に俺に告げる。

 「本当は、僕は変わってしまった。」

 自分の眉間に皺が寄るのが分かった。変わらない、代える事が出来ないと奴が先ほど言った
事が嘘だったとは思えないのだが、続けて何を言われるのか聞きたくない気持ちが湧き起こる。
それでも俺は聞かなければならない。例えそれが拒絶の言葉でも、だ。純粋に俺を理解してくれる
此奴の気持ちを踏み躙るような真似を、決して俺はしてはいけない。それだけは許されない事だと、
こんな俺でもそう思う。しかし、奴は笑顔を浮かべていた。何処か嬉しそうな、はにかむような静か
な微笑み。それは俺の好きな奴の表情だった。そして、奴は俺に告げる。

 「貴方への想いは募るばかりだよ。」

 「馬鹿な奴だな、お前は。」

 想像とは逆の意外な嬉しい言葉に、やはり俺は横暴に本音で答えた。それが一番俺らしい
返答だろう、と込み上げてくる愛おしさと共に思いながら。
93ナマ 庭王求 差品×序子(逆視点):2008/09/23(火) 00:10:22 ID:B4q1q3hv0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヤッパリ俺様ナ兄チャンガイイ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  メンタル弱クテモw
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
94新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/23(火) 00:11:57 ID:9JtGd3r80
某在β反王求団 12→26です。
お目汚し失礼。
|>PLAY ピッ ◇⊂
95新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/23(火) 00:12:48 ID:9JtGd3r80
ほんの数時間前まで大歓声に包まれていた身には、深夜の静けさがしみる。
窓を閉めて走る車の中、感じるのは己の鼓動とかすかなあの人の気配。
隣でハンドルを握る先輩は何の曲か分からない鼻歌を歌っている。

いつからか、試合の後はこの人の車で送ってもらうことが当たり前のようになった。
劇的な勝利の日などは興奮して熱く語ることはあるが、元来無口な俺は、二人きりで何を話せばいいのか分からない。
特に今日みたいに、二人とも打たれて負けた試合の後には。
だから、今日も俺は眠ったふりをする。

車は赤信号で停止し、先輩は俺の方を見る。
「ナベ?……また寝とるんか。しゃぁないのぉ」
くすりと笑った気配と廣島弁を心地良く感じていると、ポンポンと頭をなでられた。
俺が寝ている(ふりをしている)といつもそう。どういうつもりか分からない。
一緒にいても沈黙が続くだけなのに、俺なんかをいつも車に乗せてくれるのはどうしてだろう。
考えれば考えるほど分からなくなるから、考えることも止めてしまった。
気づかれないようにそっと見ると、あの人はいつもと同じ笑顔を浮かべていた。
96ナマ里予王求 1226 2/2:2008/09/23(火) 00:14:16 ID:9JtGd3r80
本当ならこの人は、王求団をしょって立ち、誰よりも最初にマウンドに立つ資質があるはずだ。
チィム事情によって今は俺と同じ役割だけど、俺はこの人が投げるのを少しでも長く見ていたいと思う。
柔らかな笑顔からは想像もつかない気の強さで、テンポ良く投げ込むのを見るのは心地が良い。
それにチィムが勝った時、この人は心から嬉しそうに笑う。
俺はその笑顔を見たいから、今日もなんとか試合の流れを変えようとしたのに…上手くいかなかった。
あともう少しで、一番高いところに行けるのに。チィム全体を焦燥感が包んでいる。

それでも歓喜の瞬間、大歓声の中で、一番近くでその笑顔を見たいから。
明日もまた、全力で投げよう。
そう思い、そっと目を閉じた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
さっき通しナンバー入れ忘れましたorz
自分もあの笑顔が見たいです。頼むから勝ってくれ…
97新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/23(火) 00:17:16 ID:VSctolBn0
>>94
GJ!
26の笑顔はほんと癒されるもんな…
12もほっこりしたらいいよ。
98新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/23(火) 01:54:55 ID:XtqWKAIfO
>>43
大人のエロスにハァハァしつつも、切なさにきゅんとした
いつも素敵な萌えをありがとう!
GJです!
99新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/23(火) 10:29:11 ID:0AcAtsSw0
>>87
萌えただけにゴミつきが気になるんですが・・・
100新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/23(火) 12:49:37 ID:G+QVj+YI0
ゴミってなに?
101占い結果→X-02:2008/09/23(火) 13:56:29 ID:A9MnTPyP0



 某パックマンとこの会社の戦闘機ゲームから シリーズは0
※当然のことながらいろいろ捏造バンザイ\(^o^)/

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |> PLAY.       | | 
 | |                | |           ∧_∧ 妖精×相棒ダッテサー
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

1021/7:2008/09/23(火) 13:57:20 ID:A9MnTPyP0

薄暗いリノリウムの床に自分の靴音だけが硬く響く。つややかな床の跳ね返す光はどこか自分の心を映したように冷ややかだ。
いや、もしくは『彼』のかもしれない。

此処に来る際渡された鍵を、いや、鍵束を鳴らす。
ここの独房は重要人物のためと連中は言っていた。そのためだろう。此処に至るまで、くぐったドアに釣り合わぬ数の鍵を使った。
そしていま鉄格子の前に立ち、6つ目の鍵を使おうとしている。

「Yo buddy. You still alive?」

何時もの口癖、それを太い鉄棒の向こうに横たわる人物に投げかける。
ただ其の言葉だけで、鉄柵の住人が誰だか解る。この妖精こと、ラリー・フォルクが『相棒』と呼ぶ人物は彼だけであるのだから。

「随分いいようにヤられてたじゃねえか ん?」

じゃらりと重いそれに続き、きしむ金属音。がしゃんと耳障りな音の後、靴音は『彼』の目の前で止まる。

「なぁ Cipher 」

その声でようやく『彼』はその伏せた瞼をゆっくりと持ち上げた。
1032/7:2008/09/23(火) 14:00:15 ID:A9MnTPyP0
この鬼神を捕らえることが出来たのは全くの偶然、いや奇跡とさえ言っていい。
かの「円卓」で勇名を馳せ、そして敵はおろか味方にさえ恐れられた翼の持ち主を。
報告によれば、小競り合い中に飛び回っていた連中が見つけたそうだ。
見ためはさほど損壊しているように見えなかったが、どうやらエンジン部がいかれたらしく、ベイルアウト。
その後地上で意識を失っているのを回収した、ということらしい。
ベイルアウト中に近く、といっても生身から見たらさほどでもない距離でだが、被弾し大破した戦闘機の破片を
浴びたらしい。脚にやや深めの傷や、その身に打撲を負った上風に煽られたとの見解だ。『彼』にとっては全くの不運であったのだ。

「しかしオマエほどのエースが墜ちるとは。」

それに損傷と捕縛のオマケつき。その身に負った傷は、当時の状況としては当たり所が悪ければ死に至るほど、それほど危険なものであったのだが。
墜ちて運が悪いのか、それともその程度ですんで運がよかったのか。

「いずれにせよ”こっち側”にとっちゃとてつもない”幸運”だったがな。」

喉奥を震わせながら笑う。からかう様な響きを含んだ声にもまるで興味がないのか、沈黙を保ったまま彼、サイファーは
先と同じように目を閉じた。
元からそう口を開くような者でなく、実は喋ることができないのかと思われたほどだ。
その寡黙な男は怒りの片鱗すら見せず、ただひたすらピクシーがそこに存在しないかのように振舞っている。

「まあいいさ 本題は此処からさ。」

その頑固なまでの態度に苦笑しながらサイファーの傍らに腰を下ろしピクシーは再び口を開いた。

「おまえ、このまま”こっち”に来いよ。」

捕らえただけとしても莫大な効果を持つその存在。
どこの軍のパイロットもその名を知り、恐怖する。それだけの人物を引き入れればどれだけ事が楽に運ぶか。
彼に関してのあれこれが自分に任された。それが今現在どこの誰よりも、”片羽の妖精”が彼に最も近しい人物である
と評価されている証拠である。『円卓の鬼神』の伴侶だったからこそ自分はここにいるのである。

1043/7:2008/09/23(火) 14:01:22 ID:A9MnTPyP0
「お前の腕がどれだけのものか、一番よく知っているのは俺だ。
 そしてそれをこのまま潰すには惜しいと思っている。 」

その言葉にようやくサイファーはこちらを向く。
その瞳は温度を孕まぬくせに、やたら焦がすような光を放つ。
−絶対零度の灼熱− おかしな言い方だがそれが一番しっくりと来る。

裏切る以前に一度だけ垣間見たことがある。 機体から降り、ヘルメットを取り去るわずかな瞬間だけのあの光。
一瞬だけ覗いた、二つ名にふさわしいその獣の瞳で。

「何度請われようが、脅されようがお前たちと飛ぶつもりはないよ」

そういい、一度目を伏せ、再びその獣の目をのぞかせながらサイファーは言った。

「"Solo Wing (片羽)"」

かつて呼んでいたPixyとではなく、二つ名を熱のこもらぬ声で言う。
それは彼の傍らにいた頃には決して聞くことのない声色であった。
そのしっかりと響いた声を聞き、ピクシーはわけもなく愉快な気分になった。

「よくもまぁそんな体で威勢のいいこと言えるなぁ、お前。」

さすがは相棒だ、とつぶやきながら頬に触れ、そして掌で順に下の方へと体をなぞる。
既に複数の人間に嬲られたその体には、暴力と恥辱の痕が色濃く残っている。殴られたのか口の端は切れ、血が滲み
かさぶたに、シャツの襟元からは喰いつかれたためか歯型が、脇や腹をまさぐるとかすかに顔を歪めた。
これは殴られでもしたのだろう。捲くれば青痣があろうことは診なくても解った。
拷問と、そして捕らえた男に対する畏怖、優越感、支配欲。
それらがこうしてその体にすべて刻まれている。
刻まれているものこそ、全てが彼に魅了されている証であった。

もっとも自分もその一人であるのだろうが。
1054/7:2008/09/23(火) 14:02:34 ID:A9MnTPyP0


触れた素肌が湿り気を帯びている。べつにそんなつもりはなかったのだが、その吸い付くような触覚にふとその体を
慰めてやろうという気分になる。確か今日も数時間前何時ものように嬲られてたはず。
体は清められているが、収まらぬ熱を熾火のようにいまだその身に宿している。

相棒は再び引きずり出されたそれに、迷惑そうに顔をしかめた。そりゃそうだろう。ほうっておいて無理やり収めようと
していた欲をたたき起こされたのだから。

「全く、えげつないとは思わないか?」

日を追うごとにきつめの薬が使われているのだろう。その効果も時間も寄り強く長くなっていく。
快楽漬けにし悦楽と支配欲を満たすのだ。それも一人の男に夢中になって。全くばかげている。

徐々に温度と赤みが増し、吐かれる吐息が悩ましくなっていくのに満足しながら片手を下腹部に、しかも下着の
中まで侵入させる。じかに触れる手にびくりと体をこわばらせるが、空いたもう片方の手で顎を掴み押さえ込む。
何日も手入れをしてないためか所々短く髭が生え、指にちくりとした感触を与えた。
髭を毎日綺麗に剃る奴だから、普段こんな顔を見ることはなかった。しかし新たに見ることのできた、自分の知らない顔に
満足し、舌でざらりとゆっくりと舐め挙げる。

潜り込ませた片手が濡れてきた所で、ピクシーはサイファーの足首を掴む。
慣らすようなことはしない。それが必要ないほどその場所は使い込まれている。
下着ごとズボンをずらし、掴んだ腕に力をいれ脚を開く。
あれほど犯されても棄て切れなかったのか。最初の衝撃への恐怖に、閉じた瞼と掴んだ足がわずかに震えていたのが
たまらなく愉快だった。
1065/7:2008/09/23(火) 14:04:43 ID:A9MnTPyP0

存外自分が嫉妬深いということが意外だった。あまり執着するのは好かないくせに。
サイファー捕縛の知らせを聞いたときは心底驚いた。ゴルトの二番機に連れられて見れば、既に隊の連中がおっぱじめてる
最中だった。
複数の男に囲まれ、床に捻じ伏せられ、後ろから揺さぶられる。俺たちが部屋に入るのを確認すると、犯されたままに、前髪を
掴んで顔を無理やり顔を上げさせられた。その目はどこか虚ろにゆれている。

「鬼神も羽をもいでしまえば容易いものだ。」
「・・・薬か。」

隅の机にはゴムバンドと空の注射器。それを見、顔を顰めると「ただの媚薬だ」と言って奴は笑った。
しかし、この相棒の様子を見れば、相当ギリギリな物に違いないのだろう。

相棒を遠巻きにただ見つめていた。しばらくしないうちにフラッシュが光る。この痴態をカメラに収めているのだ。
それをどうするつもりかなんてのは、いくつかのお約束がすぐ頭に浮かんできたので聞かずにおいた。
使用用途がどうなるのであれ、サイファーにとってはありがたくないことに使われるのだろうから。

鬼神がベルカのけだものたちに貪られる。しかし鬼神はいくら嬲られても嬌声の変わりに艶を帯びた息を吐くばかりだ。
時折「ぐっ」といったような、詰まるような声も混じる。かなりトんでいるはずだろうに、無理やり押し殺しているのか。
さすがは鬼神、といった所であるが。
1076/7:2008/09/23(火) 14:06:49 ID:A9MnTPyP0

「お前も混じらないか?”妖精”」

取り囲んだ一人が誘いかける。さっき突っ込んでた奴は達したのか、体液まみれの体を床に転がされている。
最後に見た姿とはえらい変わりようの、まさにボロ雑巾といったような有様だ。
人に見られてスルような趣味は持ち合わせていないんで、誘いには軽く首をすくめるように返した。
こっちの意図が通じたのか、そいつもこっちに興味をなくしたようにその狂宴にもどった。

「用件はコレだけかい? ならおれはさっさと戻らせてもらうぞ。」

呆れたように溜息交じりで言う。ただの強姦現場を延々と見続けるほど俺は暇じゃないんだ。
隣にいるゴルトの二番機はそういう俺の顔を見ると、含み笑った。

「かつての相棒が嬲られるのを見ていられないのか、もしくは・・・?」


からかうような口ぶりに、あほらしい、と返し、この部屋の出口に向かう。
ただ、部屋を出る前にもう一度見やったとき、意識も殆ど飛んでいるはずの相棒と目が会った。
そしてその相棒が何かを呟いたのを―


 ― ラリー ―



見てしまった。

声にならなくとも唇がそう動いていた。彼は呼んだのだ。根拠もないが、自分には呼ばれたことが確かに解ったのだ。
それを見たとたん腹の底から何かが湧き上がってきた。それを必死で押さえ込みながら、俺は扉を後ろ手に静かに閉じた。
1087/7:2008/09/23(火) 14:09:07 ID:A9MnTPyP0

そう、あれは紛れもなく嫉妬だったのだ。自分は腹を立てていた。誰にもその体を触れさせたくないと、それは自分だけの物だと。
そしてそれが当然のことだと、彼の隣に並んでいたときから無意識のうちに思っていたことに驚く。
己のこの執着に。その対象であるサイファーは気の毒だなと他人事のように思う。
こんな奴に捕まっちまうたぁ、己の不運を呪うしかないな。 なぁ相棒?

「なぁ呼べよ。俺を。」

それも”片羽”ではなく、かつて呼んでいた名で。加減せず突き上げながら顎を掬い取り、こっちを向かせる。
熱に浮かされたその目に、こちらまで熱を伝染されそうだ。
濡れた唇が開き淫らな舌が除く。それがどう紡ぐかを思い描けばたまらない気持ちになった。

「”Pixy”」

それを言い終わるか否かのうちに、開いた唇に舌をねじ込み絡めとる。
息すら奪うよう口付けながらただ絶頂の時を待っていた。




もう聞きなれた格子の扉が閉まる音。
がしゃりと硬い錠の音を聞き、振り返らずに来た道を戻る。

”Pixy”

先ほど無理やり言わせた自分の名。ただ淡々と従わせるまま呟いた音。
其の声を何度も頭の中で繰り返し再生しながら、まだ決別する前の二人の時間を思い返す。

その回想の中、いつも自分をそう呼ぶ彼の声が、どれだけ甘さを孕んでいたことか。
ここにいたってその事実にようやく気がついたのだ。
109X-02 Wyvern:2008/09/23(火) 14:12:31 ID:A9MnTPyP0


 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 捕虜ネタっていいよね!と言うry
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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お付き合いありがとうございました
いろいろ無理やり詰め込んだ感が否めなくてすまん しかもかいといて長いorz
エスコン増えないかなまじで
110新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/23(火) 15:31:16 ID:s71gD0WM0
捕虜ネタ最高です!
0すきだー
111新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/23(火) 17:24:57 ID:+fNDs2rsO
>>84
ぱんだー!!
人もぱんだも超かわいいw
112新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/23(火) 20:09:25 ID:9m5qhYeNO
>>101
元ネタは分からないけど、物凄く萌えた。
113拾壱・弐拾壱 1/2:2008/09/23(火) 21:53:40 ID:kddjrfb40
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
極寒の地の玉求団、拾壱・弐拾壱です。


彼は眠っているように見えた。

また、両手を組み、その手を額に当て、頭を垂れる姿は祈りを
捧げているようにも見える。

「Hサシさん」

オレは、声をかけた。

このチームの、絶対的リ利ーフ工ース。前半戦の好調さとは
裏腹に、ここ最近は疲れの影響なのか、打ち込まれる事が多い。

一体、この身体のどこに、こんな力があるのか。
自分は規格外だとしても、プ口里予王求線種としては小柄な体躯。
それでいて、誰にも投げられないようなボール。それが、彼の
現在の地位を築いた。

だが、今その小さな身体は悲鳴を上げ、彼の持ち味を奪っている。

それでも彼は、泣き言の一つも言わずに投げ続けるのだ。
まるで、いつ倒れてもいいかの様に。
114拾壱・弐拾壱 2/2:2008/09/23(火) 21:56:53 ID:kddjrfb40
「Hサシさん」

オレは、もう一度彼の名を呼んだ。彼はそこで初めて
オレの存在に気付いたようだった。

「出番か?コー千は?」

「オレに呼びに行けって言わはりました」

嘘だ。オレが行きたいと言ったのだ。ふーん、と笑った顔は、
お見通しだと言っているようだ。

「八回108玉求か。完等するんじゃねーの?お前」

「あと、もう一回投げますからね。バテました」

ニヤニヤとした笑いを浮かべながらそう言うと、彼は立ち上がり、
オレの腹に肘を入れながらこう言った。

「だらしねーな、お前」

いつものフレーズに、思わず抱き締めたくなる衝動を抑えながら、
更に憎まれ口を叩く。

「オレの完等捧げるんすから、3人で抑えてくださいよ!」

彼は何も言わずに右手を上げ、マ宇ンドへ向かって行く。
それをオレは、眩しい思いでただ見つめていたのだった。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
昨日の仕合見て勢いのみで書いた。後悔はしていない。
115虎01×05:2008/09/23(火) 23:01:54 ID:tNq4rRmj0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  在阪王求団 0105です。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  またぐだぐだだよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
116虎01×05・1/3:2008/09/23(火) 23:04:18 ID:tNq4rRmj0
自分の名前には『鳥』という字が入っているけど、本当は俺じゃなくて、この人が本当の鳥じゃないのかと、
平里予さんを見て俺は思う。

 今日の試合、何度も平里予さんは鳥になった。
 右へ左へ飛ぶ姿に、俺は何回、見惚れたことだろう。
 ロッカールームに戻ると、その手前の扉、冷えた廊下に汗だくの身体を投げ出したまま、平里予さんが天を仰いでいる。
「大丈夫ですか?」
 と俺が尋ねると、
「赤☆さんは?」
答えではなく、質問を彼は返してきた。
 俺は周囲を見渡し、
「頭を冷やしにいったみたいですよ。そうとう悔しかったみたいだし」
と、引き分けの責任を全て背負った選手会長の行方を告げた。
 そう、と平里予さんは俺に答えると、
「赤☆さんが塁に出られないなら、俺が仕事しなきゃいけなかったんだ。だけど、できなかった」
と膝を抱え、うずくまる。「赤☆さんを傷つけた」と更に呟きながら。
 それを見、
「平里予さんだけじゃないでしょう?そういうなら俺だって、繋がなければいけない時に打てなかった。他の人達だって
そうです。野王求はチームプレイなんですから」
と俺が言うと、
117虎01×05・2/3:2008/09/23(火) 23:06:18 ID:tNq4rRmj0
「トリはホームラン打ったじゃない?あれがなきゃ負けてたよ?」
と顔は伏せたまま更に呟いた。
 そんな平里予さんに、俺は少しの苛立ちを覚えながら、
「じゃあ、平里予さんは、俺が今日のヒーローだって思ってくれてるんですか?」
と尋ねると、
「実際そうじゃん」
と彼は答える。
 その言葉に、俺は、ひとつ咳払いをすると、
「じゃあ、ヒーロー賞くださいよ」
と言うと、「何?」と彼は顔を上げた。
 その瞬間、俺はかすめ取るように、彼の唇にキスをする。
 一瞬の出来事に、平里予さんは目が点になったが、俺が彼に何をやったかを悟った瞬間、顔を真っ赤にして立ち上がった。
「な、ななな、いきなり何するんだよ」
「何ってヒーロー賞ですよ」
 俺も立ち上がり、彼を見つめながら、さも当然そうに言うと、
「……でも、こんなの不意打ちじゃないか……」
平里予さんは少し泣きそうな顔で言った。
「自分が”俺がヒーローだ”って言ったんでしょ?それに……」
「それに?」
「あんまり俺の前で”赤☆さん、赤☆さん”言わないでくださいよ。俺があなたのことアイシテルの知ってるくせに……」
 すかさず抱きしめた彼の耳元で「嫉妬しちゃうでしょ?」と呟くと、彼は一瞬身体をじたばたさせかけたが、すぐにおとなしくなり、
「……ごめん」
とぽつり呟く。
118虎01×05・3/3:2008/09/23(火) 23:07:13 ID:tNq4rRmj0
 そんな彼の肩を優しく叩きながら、
「今日は負けなかったんです。それでいいじゃないですか?今日の悔しさは明日にぶつけましょ?ね?」
と言うと、
「そうだね……」
彼は頷く。だが、すぐに顔を上げ、まっすぐに俺を見ながら、
「でも、やっぱり赤☆さんが心配なんだけど!」
と言うので、俺は軽く額を小突きながら、
「大丈夫ですよ。あの人には別に”精神安定剤”を用意しておきましたから」
と告げると、
「精神安定剤?」
「そう。とびっきりの奴をね。だから大丈夫ですよ」
と俺は言い、平里予さんはまたゆっくり頷いた。
 まだ半信半疑そうな彼の頭を俺は撫でながら、
「”まだ負けたわけじゃない”。明日からですよ。明日」
と俺は自分にも言い聞かせるように呟く。
 それに、平里予さんは頷きながらも、
「そうだね。あした、あした!」
と笑い、俺も微笑み、頷いたのだった。
119虎01×05:2008/09/23(火) 23:09:11 ID:tNq4rRmj0

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 虎戦士に幸福がありますように
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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120新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/23(火) 23:24:18 ID:epb7dFhr0
今日の九時ごろからやってた番組の、ツッコミ(中ムラ)×ボケ(二氏本)
半生注意
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ベッドの上で、二氏本の無駄な長髪を撫でる。そのまま押し倒すと、二氏本は消え入りそうな声で「うわあ、マジか」なんて言った。
何でこうなったのか、なんて今となってはもうわからない。コンビ愛と普通の愛は別物だって、部長はいつも言っているけれど。
ボーダーラインはいとも簡単に切れてなくなってしまったようだ。まるで俺が二氏本を連れ出したあの日みたいに、劇的に、急激に。
「二氏本」
「…はい」
「何で敬語やねん。そんでまた何で無駄に声高いねん」
くすっと笑って、ボケということにしてやる。…多分、緊張しすぎてそうなったのだろうが。俺はゆっくりと二氏本の眼鏡を外して、傍の棚に置く。今日の二氏本はいやに静かだ。
ボケがそんなんでどうすんねんとからかってやろうとして、やめた。代わりに髪に口付けを落として。
(いやにシリアスな雰囲気に耐えられん。…これは国民のサガやから仕方ないか)
唇を髪から耳に移して、そうして少しの間を置いた後、耐えられずに唇を合わせた。妙に甘い味がして、離した瞬間襲ってきた現実感が恐ろしくてもう一度口付ける。
…コンビでこういうのは反則だろうか。でも二氏本の両親だってコンビであり夫婦なわけだし。
二度目のキスから介抱された二氏本の顔は、ほのかに赤かった。
「なあ、いいよな。」
一応確認を取ってみる。…が、二氏本は何も言わないし、目を瞑っている。しかも何やら寝息を立てているではないか。
「…って、寝るなや!」
思わずつっこめば、へへ、と二氏本がいたずらっぽく笑う。ちゃう、真面目に!真面目に!と俺が必死になれば、少しの間の後、ええよ、と蚊の鳴くような声が聞こえた。
夜は、まだ長い。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
偶然見たのに、不覚にも萌えてしまったよ。
121新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/23(火) 23:42:42 ID:MHJwZ7ex0
>>119
GJです!
トリが☆に渡した精神安定剤がいやに気になるんだが・・・w
122新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/23(火) 23:50:39 ID:FdNJDkXoO
>>120
禿萌えました!姐さん続きをぜひお願いします!!
123新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/23(火) 23:53:59 ID:wmePhV3gO
>>119 GJ!
トリよ、どん様の監督賞も貰っちゃいな
124新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/23(火) 23:59:34 ID:o86l4RL40
>120
萌ました〜。コンビ愛=夫婦愛ですね分かります
125新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 00:13:35 ID:qxlgfTCp0
>>120
ドラマ放映中におそらく外部の人間が煽りで立てたスレで
まだ放映中なのに萌えたと実況レスしてた人ですよね
126新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 00:25:32 ID:tH9NeYpwO
>>120
も、萌えた!ありがとう
127新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 00:31:00 ID:hZgU3DyvO
>>120
仕事早すぎる!GJです!
関西弁いいよ関西弁
ぜひとも次は本格的な長さでがっつり読みたいです
続きを超期待!!
128新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 00:53:05 ID:dFrzrKQb0
ひっそりと ショ-ギ界 生物注意報 フカ, ハ/ヴ, ウ/ティです
すんません、長いっす
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
129夜話1/9:2008/09/24(水) 00:54:31 ID:dFrzrKQb0
酩人、杜家。最強の挑戦者、八部。
今期の酩人戦は宿命のライバルと言われるふたりの対/局となり、ショウギ界は空前の盛り上がりを見せていた。
そんな周囲の空気をよそに、じっくりとした序盤戦から駒もぶつかり合わないまま30手にも満たない手数で酩人戦第一局一日目は圭寸じ手となった。
しかしそれは逆に明日の戦いの激しさを予感させ、圭寸じ手が決まった瞬間控え室に集まった関係者一同は大きく息をついたのだった。
数時間後、和服をスーツに着替え緊張に強ばった頬をほぐしながら両対/局者は関係者会食の席に並んでいた。食事が終わってもしばらくの間軽い会話や挨拶に付き合って大広間を漂う。
頭脳の格闘技にも例えられるショウギの対/局では、異常なまでの集中と緊張から適度に頭を切り替えなくては戦い抜けない。
しかも酩人戦は二日制18時間の七番勝負、タイトル戦の中でも最も過酷な戦いである。
そんな時にはこういう気楽な会話が何よりの良薬であることを経験豊富なふたりはよく知っていた。
(あ、今日は早いな…)
杜家は、視界の端にあちこちに会釈をしながら会場を後にする八部の姿を捉えた。
130風と木の名無しさん:2008/09/24(水) 00:55:49 ID:fCt4bhaO0
>>101
元ネタはわからんが禿げ萌えた!
名前呼ばせるとこに独占欲が見えてたまらん
131夜話2/9:2008/09/24(水) 00:56:16 ID:dFrzrKQb0
小学生のころから友人として、またライバルとしてしのぎを削ってきたふたりだが、タイトル戦を争うようになってからプライベートでの付き合いはほとんどなくなっていた。
しかし対/局中の関係はむしろ果てしなく濃密になっていく気がしている。
指し手の一手一手、かすかな身じろぎや表情から心を読み合い、数ヶ月に渡ってお互いのことだけを考え続けるのだ。
広い会場のどこに八部がいても杜家は分かるし、八部もそうだと疑いもせずに信じている。
関係者に気を使う彼にしては早めの退出だが、恐らく見た目以上に疲れているのだろう。どこかフワフワとした足取りが、彼の消耗度を物語っていた。
何しろあの華奢な身体で別のタイトル戦も同時進行で戦っているのだ。そのことを考えると杜家はいつも自分の大きな身体が申し訳ないような気持ちになってくる。
自分ももう少ししたら切り上げようと、手にしたグラスを干した。
杜家は気づかなかったが、その時八部の姿を追って移動した影がある。
ニコニコと言い訳を口にしながら、そのがっしりとした小柄な人物は会場を抜け出していた。
132夜話3/9:2008/09/24(水) 00:56:59 ID:dFrzrKQb0
しばらくしてから杜家はシャンパンの泡のような会話にケリをつけてエレベーターに乗り込んだ。しかし歩く廊下に違和感がある。
どうやら階を間違えたかとルームキーに刻まれた数字を確認して苦笑した。
その瞬間。
目の前のドアが弾けるような勢いで開き、彼は立ちすくんだ。
血の気の引いた顔で飛び出してきたのは早めに引き上げたはずの八部だった。
「え」
杜家の眼が、ほんの少しだけ見開かれた。
肩からずり落ちそうに乱れた仕立てのいいグレーのジャケット。
首に引っかかっているだけのネクタイ。
なぜかシャツのボタンが外されて、いや、いくつかは失われ、いくつかは引きちぎられたように切れかけた糸の先にかろうじてぶら下がっている。
はだけられた胸の、日に当たらない白い肌に散った赤い痣のような…。
133夜話4/9:2008/09/24(水) 00:57:34 ID:dFrzrKQb0
八部は、杜家の姿を見てぎょっとしたように一瞬動きを止めた。
顔を隠そうとするかのように右腕を上げる動きが、妙にのろのろとして見えた。
ぬっと部屋の奥から何者かの腕が伸びてきてノブにかかったままの八部の左腕を素早く絡めとる。
杜家は金縛りにあったように動けない。部屋に引きずり込もうとする腕にバランスを崩されながら、八部のかすれた声が押し出された。
「杜家…くん!」
その知的で繊細な風貌からは想像もできないほど攻撃的で独創的な棋/風で史上最強の棋/士とまで言われ、20年に渡ってその細い身体でトップ戦線を戦い抜いてきた孤独な男。
誰にも弱みを見せない彼が、助けを求めるように自分を呼んでいる。
しかも、他人行儀な『杜家さん』ではく、まだ若く屈託なく笑い合っていた頃の呼び方で。
杜家は猛然と閉じかけたドアに飛びつき片足を突っ込んでこじ開けた。
部屋に入れまいと杜家を挟んでドアがギリギリと閉じられる。無我夢中でその腕を払って、大きな身体を強引に部屋にねじ込むと、杜家は後ろ手にドアを閉じた。
134夜話5/9:2008/09/24(水) 00:58:13 ID:dFrzrKQb0
八部は、杜家の姿を見てぎょっとしたように一瞬動きを止めた。
顔を隠そうとするかのように右腕を上げる動きが、妙にのろのろとして見えた。
ぬっと部屋の奥から何者かの腕が伸びてきてノブにかかったままの八部の左腕を素早く絡めとる。
杜家は金縛りにあったように動けない。部屋に引きずり込もうとする腕にバランスを崩されながら、八部のかすれた声が押し出された。
「杜家…くん!」
その知的で繊細な風貌からは想像もできないほど攻撃的で独創的な棋/風で史上最強の棋/士とまで言われ、20年に渡ってその細い身体でトップ戦線を戦い抜いてきた孤独な男。
誰にも弱みを見せない彼が、助けを求めるように自分を呼んでいる。
しかも、他人行儀な『杜家さん』ではく、まだ若く屈託なく笑い合っていた頃の呼び方で。
杜家は猛然と閉じかけたドアに飛びつき片足を突っ込んでこじ開けた。
部屋に入れまいと杜家を挟んでドアがギリギリと閉じられる。無我夢中でその腕を払って、大きな身体を強引に部屋にねじ込むと、杜家は後ろ手にドアを閉じた。
135夜話5/9:2008/09/24(水) 00:59:05 ID:dFrzrKQb0
杜家の部屋より少し小さめの間取り。落ち着いた色調は同じだが調度類は乱れて争いの跡を示している。
ソファに突き飛ばされた格好でぐったりと身体を埋めている八部。手足が力無くばらりと投げ出され、まるで人形のようだ。
そして八部と杜家の間で腕を組んでいる、がっしりした骨組みの小柄な男。
ひとつ年下の棋/士、鱶裏だった。
「おやおや」
鱶裏は薄く笑いながら大柄な杜家を見上げた。
「こんなところで、酩人が何を?」
杜家はとっさに言葉が出ない。ふと、いくつかのパーティ会場で八部を眺めていた鱶裏の粘りつく視線を思い出していた。
136夜話6/9:2008/09/24(水) 00:59:45 ID:dFrzrKQb0
昔から対八部戦に相性がいいと言われ、八部に対して挑発的な言動をしてきた男だ。
実力は折り紙付きながらなぜかタイトルに縁がなかったが、去年ついに八部からタイトルのひとつを奪い話題をさらった。
その男が、なぜ八部を部屋に引きずり込んで-----。
う、と軽いうめき声を発してもがくように八部が上体を起こした。
わずか数時間前まで対/局室で向かい合っていた挑戦者に杜家は思わず鱶裏を押しのけて駆け寄る。
八部の細い肩を支えるように杜家の大きな手が包み込む。
「何なんです、これは」
小憎らしいほど悠然と構えた鱶裏と眉根を寄せた八部に交互に視線をやりながら、杜家はうなるように声を絞り出した。
「さあ、何でしょうね」
鱶裏も唇を笑いの形に歪めたまま、開き直ったように睨み返す。
137夜話7/9:2008/09/24(水) 01:00:53 ID:dFrzrKQb0
あまりにも直接的に連想されるイメージを杜家は必死に脳裏から追い払った。
しかし考えまいとすればするほど、八部の乱れた服や薄く滑らかな胸の筋肉に見せつけるように散らされた赤い印がフラッシュバックしてくる。
まるでひどい悪手を指した時のように背中に嫌な汗が伝った。
何なのだ、これは。考えたくない。こんなことによりによって八部が巻き込まれるなんて、あってはならない…。
不意に八部がふらふらと立ち上がった。それを庇うように慌てて杜家も立ち上がる。
いつも八部が対/局を終えた後限界まで消耗してしまうのを彼はよく知っていた。
ましてや明日も対/局は続くのだ。それを思うと経験したことのないほどの怒りが突き上げてきた。
頭が沸騰して鼻血が出そうだ。この一年の集大成としてふたりが作り上げるはずの最高位の対/局、神聖な舞台は誰にも邪魔させない。
138夜話8/9:2008/09/24(水) 01:01:54 ID:dFrzrKQb0
「行こう」
杜家の低い声に八部はうなずいた。
「置いていきなさいよ、その人を。用事はまだすんでないんです」
鱶裏の声が飛んだ。
「用事? 何の用事です」
「私たちの事情は杜家さんには関係ないでしょう」
「私は八部君と対/局中だ。関係ないのはあなたの方だ」
「それはどうでしょうね、八部さんに聞いてみたらどうです」
含みのある言葉を発しながら八部に粘着質な視線を注ぐ鱶裏。つられて杜家もちらりと八部を見た。八部は毅然と頭を上げ、表情を殺したままゆっくりとネクタイを首から外してポケットに突っ込んだ。細く長い指でジャケットのボタンをきっちりとかける。
そして、きっぱりと言った。
「事情も、用事も関係もない。ありがとう杜家君、行こう」
強い声だった。その眼には対/局の場以外では決して見せない、人を睨み殺せそうな激しい色があった。杜家は、肩にかけた手にそっと力を込めた。
139夜話9/9:2008/09/24(水) 01:03:15 ID:dFrzrKQb0
「そういうことだ」
「無粋なことですね…まあ今日ここで騒ぎにしたいわけじゃない…しかし、ねえ、杜家さん」
髭剃り跡の濃い顎を撫でながら思わせぶりに言葉を切った。
「いっそ、あなたもやってみたらどうです?」
「何だと?」
嘲るような声に、杜家の顔に一気に血が昇る。その手の中で八部の身体が強ばるのを感じていた。
「この人も生身の人間だと分かったらもっと勝てるかもしれませんよ?
 どうもね、あなたたちは皆でこの人を大事に大事にして、だから肝心なところで勝てな…」
最後までは言わせなかった。床に殴り倒された鱶裏は唇の端に血をにじませたまま、おかしくてたまらないとでもいうように身体を震わせて小刻みに笑い続けていた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
すんませんすんません我慢できずに拙いものを…
しかも>>134は重複です、大事なことなので二回言ったわけではありませんorz
140新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 01:39:42 ID:EYrHb8XGO
>>128
姐さん、禿 げ ま し た
もうツルッ禿げですよ!
まさか岸達の萌えがみられるとは!
ああ、素敵wwありがとう!
141ダイヤのエーヌ 2年生バツテリ一 1/6:2008/09/24(水) 02:11:09 ID:K9gOFoMd0



                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  2年生ズが好きなんだ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  マイナーでゴメンよ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あんまり801っぽくないのもごめんなさい。
みゆ×ノリ、ノリ×みゆ?
142ダイヤのエーヌ 2年生バツテリ一 2/6:2008/09/24(水) 02:11:48 ID:K9gOFoMd0
高木交野王求は三年間しかない。
そしてそのうちの一年はもう終わった。残り三分の二になっていた。
二年ともなれば中間学年で、後輩と先輩の間、難しいことも増えてくる。
去年は我武者羅で許されても今年は結果も求められるし、そして来年どうなるかも自ずと決まっていく。
そう、去年は投げさせてもらえることも勉強だった。プロに入った怖い卒業生にも、何度も怒鳴られた。
今年は、違う。
「先発は、…」
決意と裏腹に肩は震えていた。監督に自分の名を言われれば、明日だっていつだって投げる、そして結果を残す。
ただ、エ一スと目されていた先輩の怪我は本当に予想外だった。夏の大会のつい目の前に。
それは監督も、チ一ムの誰もが感じているはずだ。現に明日の言式合の先発を、それを告げるまでのこの間はどうだ。
迷いはないが、任せられる恐怖はあった。
言われれば投げる。抑える。
投げなければ、抑えなければ。
投げられるのか?抑えられるのか?
俺に出来るか?
「…降る谷!お前でいく」
俺に出来るのか?川上ノリ史!?
「…っ」
すっと、ナイフのような宣言が極度の緊張の中震えて聞こえた。
降る谷?
「…ふ」
自分じゃない。自分じゃない。
お前は必要じゃない、と言われた気がする。
川上の耳は周囲の音からさーっと引いていた。聞こえない、何も聞こえない。
周囲は周囲で、自他共に認める二番手等手の川上を差し置いて、この春入学したばかりの一年坊主に任せると言う
監督の発言に、少なからずざわめいていた。
強豪木交らしくミーティングの時は、部員で食堂が満員になるほどだ。そこに集まった選手たちが、それぞれひそひそ
ざわざわと声をあげる。当然だ。
明日から夏の香子園予選。それを全くの未知数の、あんな奴に?
聞こえない。聞きたくも無い。
143ダイヤのエーヌ 2年生バツテリ一 3/6:2008/09/24(水) 02:12:41 ID:K9gOFoMd0
強面の監督は、しかしこういった場合の説明は的確だった。いける所まで降る谷で引っ張り、最後は川上に頼る、という。
自分の名前が呼ばれたときだけ、耳の神経が戻る。
そんな川上の耳に届く。エ一スを欠く以上、この夏は継当勝負、と。
「川上」
また名前が聞こえた。俺だ。
思わずがたっと椅子から身をおこしかけると、サングラスの監督が言う。いつでも行けるよう頼むと。
「…は、はい」
これはあの人の手のひらの上か?と思わないでもなかった。
けれど投手として、言式合で投げる喜びに勝るものはなかった。



「よ、ノリ」
「ん?」
寮の二段ベッドの下で今週の週刊ベ一スボ一ルを読んでいたら、聞きなれた声がしたので顔を上げた。
同学年で捕朱で、もちろん天才捕朱だから入学して直ぐあっさりレギュラ一になった眼鏡ヤロウだった。
「一也」
「ちょっといいか」
「いいけど」
よっと起き上がって腰掛けると、美幸一也はへへへと小さく笑いながらポ力リス工ット缶を差し出した。
一本は自分、一本は川上用らしい。嫌な予感がする。
だって、こいつが下心無しに親切にするわけが。
「…お、サンキュ」
「凹んでねぇな?」
受け取ろうとした瞬間、だ。
「…何が」
「今日の話」
美幸は相変らず笑いながら、ああ人を試すような余裕のある例の笑みで、川上を居心地悪くさせた。
とすんと座り込んだ相手の目を見ることすら、何だかしてはいけないことのようにも感じる。
ぶし、と缶を開けて黙って一口。
144ダイヤのエーヌ 2年生バツテリ一 4/6:2008/09/24(水) 02:13:36 ID:K9gOFoMd0
「…凹んでねぇか、うん」
美幸は言った。
しばらくお互い黙って、二人しかいないのにまるで別々の星にいるように、気配を別にしていた。
「だからお前はダメなんだ、ノリ」
笑うも何もない。馬鹿にするでもない。
美幸はあっさり呟いて、ひゅうと口笛を鳴らした。
「んだと?」
いきなりの言葉に、川上はムッとした。もう直ぐ夏で窓を開けても今日は蒸し暑い。
ポ力リの冷たさは喉を過ぎた瞬間消えて、今は気温とそのムカつきのほうが勝る。
丸い頬をさらに膨らませてしまった。するとまた美幸に、直ぐ顔に出すなと言われた。
「…うるせえよ」
「引っ込むなよ、怒れよ。今日だってそうだぞ、降る谷に先発取られて悔しがれよ」
「仕方ねえだろ、チ一ムの方針なんだからよ」
「負けてるって思ってんだろ」
「何が!」
「降る谷に、負けてるって思ってんだろ、ノリ」
ぺこっと、缶が凹んだ。怒りで無意識に、握る右手が震えていた。
いつも誰かの気配のする寮が今日はやけに静かで、その言葉が体に焼きごてで刻まれるかのように、ごまかされない。
たらりと汗が背を伝う。Tシャツに染み込む。
傍らの雑誌がぐしゃぐしゃに、なっている。
美幸はもう、笑っていない。眼鏡越しに冷たいまでに強い目で、空にしたらしい缶を弄びながら、じっと見ている。
試合中にはバツテリ一でも、あまり顔ばかりは見ていない。でもこの目は否応無しに覚えている。
「…負けてるだろ。降る谷は…何だあの王求。反則だ」
天才だ、と言うのだけは、それだけは癪だった。
けれど降る谷の剛速王求は、同じ投手だからこそわかる。天賦の才能、言いたくはないけれど、認めたくはないけれど、畜生。
俺には投げられない。サイドス口一だから、なんてのは言い訳だ。
そんなの関係ない、力の差という歴然とした物のことだ。
145ダイヤのエーヌ 2年生バツテリ一 5/6:2008/09/24(水) 02:14:27 ID:K9gOFoMd0
投げたくても投げられない。
そしてどうにもならない。
「…俺がいるのに、かぁ?」
御幸が言った。至極自然に聞こえた。
「は?」
「俺が受けてんだぞ、ノリ」
俺を誰だと?眼鏡の目が薄く笑っている。いつもの、嫌みったらしい笑みではなかった。
ころんと、美幸が投げた缶が部屋の畳の隅っこへ転がった。くずかごを外して、途端に美幸はありゃ、と呆けた声をあげる。
ニ塁へなら、その強肩と鬼のようなコント口一ルを見せるくせにと、何だか笑えた。
「へったくそ」
「違えよ、な、ノリ。負けねえぞ」
「ん?」
「俺の言うとおり投げてりゃ、お前は負けない。誰にも負けてない」
「…すげ、自信」
「東京ナンバ一ワンキャツチャ一だからな」
にやあ、と歯を見せた。悪がきそのままここまできた、そんな風だ。
どうやら意外と言うか何と言うか、美幸は励ましているらしい。この俺を?
川上は思わずつられて笑って、頭をかいた。
美幸の自信はわかる。それだけのことをやってきている。
だが自分だってこの強豪木交で、三年間言式合用ユ二フォ一ムとセ番号を獲ることの無い人たちに比べれば、真っ直ぐ前に
進んできた自負がある。そうだ、コント口一ルを生命線と自覚して、急なリリ一フ登木反にも何度も応えてきた。
いつでも、先輩みんなが怖かった。監督なんて勿論のこと。
ただその一王求に、全神経を集中して、指先から離れる瞬間までいとおしむかのように投げてきた。
いつだって俺は、誰かの願いをかなえてきたんだ。
「…ばっか。違う」
「ノリ?」
笑っていたら、小さく声が出た。違うな、と思ったそのままに、声が出た。
別に先発にこだわってない、と言うと、美幸はまたダメだな!と呆れた顔をする。
146ダイヤのエーヌ 2年生バツテリ一 6/6:2008/09/24(水) 02:15:00 ID:K9gOFoMd0
「それがお前の悪いとこ!プレッシャーに弱すぎ」
「プレッシャー?」
「だから先発、怖いんだろ」
「…んー、まあ、それはある。でも」
ふと、自分の手を見た。ゆっくり握ったり開いたりした。
右手の指には硬くなったマメと独特の癖がついていて、そうやればいつでも何かを思い出す。
この手で俺は、誰かの願いを。
抑えて欲しい、後一人で勝てる、あと一球だけ頼む、色んな願いを受けてきた。
「リリ一フが好きだ」
川上は言った。自然と笑みがこぼれていた。
「ピンチが怖くない」
嘘になるが嘘じゃない。
俺は誰かの、救世主にすらなる。
「…変なこと、笑いながら言うなよ」
へへへと鼻をこすると、じっと見ていた美幸はやがてやれやれと立ち上がって、少し肩をすくめた。
帰るわ、とまるでほとほと呆れたかのように手をヒラヒラさせる。
「ん、ポ力リサンキュ」
「ノリ」
「あー?」
「お前、強えな」
笑わない美幸の声だけが聞こえた。
再度寝転がって、へろへろになった雑誌を持ち上げたときだ。部屋の扉の前で立ち止まった背中が少し、見えた。
「そういうピツチャ一、結構嫌いじゃないぜ」
俺はよ、じゃさいなら。
美幸は言って出て行く。がちゃんとドアの閉まる金属製の音がする。
網戸から入ったらしい羽虫が、ぶうんと部屋のどこかを飛んでいた。
ふと、猛烈に嬉しくなった。頬から耳まで、真っ赤になって熱を持つほどに。
147ダイヤのエーヌ 2年生バツテリ一 :2008/09/24(水) 02:16:02 ID:K9gOFoMd0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ノリかわいいよノリ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
くらもっちーも入れて2年生トリオ大好きだー
通じ合ってないようで通じてると信じてるw
オリジしか書いたことないのに突然ナマモノにトキめいてしまい、
萌えを消化させたいのでこちらに初投下させていただきます。
至らないところがあったらすみませんです。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  犬の勝利を予想して書いたんだけどね…
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  
 | |                | |             \ テイウカ、ジナンノアレハヨバイセンゲンナノカ…
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
149on your mark 1/5(犬→次男):2008/09/24(水) 02:58:45 ID:2tZQkykc0
 走る姿を美しいと感じたのは、あの人が初めてだった。
 いや、初めてというより唯一だ。
 目標にしたいと思ったり、圧倒されるほど力強い走りに衝撃を受けた人は他にいたけど、他人の走る姿に純粋に見惚れた経験は後にも先にもあの人独りだけだ。
 勝負したら負けない。俺のほうが絶対に速い。
 そう胸に言い聞かせても、トラックを駆け抜ける姿に全神経が目となって惹きつけられた。
 長い足から繰り出される大きなストライド。細身の身体がまるで風のようにしなやかに軌跡を描いていく。
 それは残像となって目の奥に焼き付いてしまった。
 以来、大会に出るとあの人の姿を真っ先に探している自分がいた。
 とにかくあの人の走る姿が好きだった。
 レースで何度か競い合ううちに親しく言葉を交わせるようになり、スプリンターとしてだけでなく、走ることへのストイックなまでの想いにも惚れ込んだ。
 歳も一つしか違わないからこの先もライバルになると確信していたし、たぶん口にしなくてもあっちも同じ気持ちでいてくれたはずだ。
 そう、間違いなく俺たちは世界を目指すスプリンターの同士だった。
 なのに、いつからか普段でも気になって、会えればそれだけでめちゃくちゃ嬉しくて、
そのくせ本人を目の前にするとなぜか緊張して、自分のレース以上に心臓のバクバクが止まらなくなり――俺は恋に落ちたことをやっと自覚した。
 そうか、俺は鷹比良さんのすべてが好きなんだ。
150on your mark 2/5(犬→次男):2008/09/24(水) 03:01:17 ID:2tZQkykc0
 そろそろウォーミングアップを切り上げようかとふと横に目をやると、少し離れた場所で鷹比良さんと浅腹さんの二人が談笑しているのが見えた。
 鷹比良さんの表情を伺うと、甘さを含んだ瞳が穏やかに輝いていた。伍厘の閉会式のときもあんな表情してたなと思い出し、少し胸が痛くなった。
 あのときは気を利かせたつもりでわざと二人にさせた。もちろん本当は俺だって一緒にいたかった。
 けど−−鷹比良さんの気持ちを考えたら、なんだか二人きりにしてやりたくなったのだ。
 結局、鷹比良さんは気持ちを伝えたのだろうか。でもあれから二人の間に特に変化は見られなかったように思う。
 自分の恋心を自覚してまだ間もない頃、俺は鷹比良さんの視線の先にいる存在にも気付いてしまった。
 知ったときは正直言って敵わないと思った。
 レースでこそなんとか勝てるようになったけど、浅腹さんの持つ功績や人望や人柄を考えれば、俺はまだまだあの人に追い付いてさえいない。
あの人は俺にとってもものすごく偉大で、それこそ神様のような人だ。憧れてるし、尊敬もしてる。嫉妬心すら沸いてこなかった。
 それどころか俺だってあの人のためにもメダノレを取ろうと必死だった。
 リレイでのメダノレ獲得は浅腹さんの夢であり、鷹比良さんの夢であり、そして俺の夢でもあって。あ、もちろん据え継さんも。
 そしてその夢は本当に実現した。
『浅腹さんにメダノレを』という気持ちは最後まで諦めないで貫いた鷹比良さんだったけど、自分の恋の成就は最初から諦めていたのかもしれない。相手を思いやれる優しい人だから。
 でも、俺はただの意気地なしだな……。鷹比良さんを追って同じ企業にまで就職したけど、未だに一歩が踏み出せない。
151on your mark 3/5(犬→次男):2008/09/24(水) 03:03:33 ID:2tZQkykc0
 小さくため息をついたあと、雑念を払うように目を瞑り頭を振った。
 今はレースに集中しよう。
 一度肩で深呼吸をしてからそのまま二人に近付いた。
 俺に気付いた浅腹さんのほうから声を掛けてきた。
「調子良さそうだな」
「ええ、今日は浅腹さんにきっちり引導渡すつもりっすから」
 今日のレースは絶対に負けられない。この人でさえ叶わなかった夢を、今後は俺が掴みにいくのだから。
 俺の言葉を聞くと、浅腹さんは満足そうな笑顔を見せて頷き、肩をポンと叩いて去っていった。
 鷹比良さんはその後ろ姿をしばらく見つめていたが、ふいに俺のほうを振り返った。
「足の具合、もう大丈夫なのか?」
「大丈夫っす。かなり調子いいし」
「うん、期待してる。日本短距離界のエースは束ポンだから」
「鼻先で負けるって言ったくせに……」
 昨日言われたことが面白くなくて軽く睨むと、いたずらっぽく笑った。
「あれは願望」
「もっとひでえ……」
「でも複雑なんだよな。浅腹さんには勝ってほしいけど、束ポンが負けるところも見たくないから」
「なんすか、それ?」
152on your mark 4/5(犬→次男):2008/09/24(水) 03:04:43 ID:2tZQkykc0
 投げやりぎみに言うと、鷹比良さんは俯き加減に少し首を傾げ、考え込むような表情になった。
「国内だけじゃなくてさ、世界戦でも束ポンが負けるのを見るのはすごく嫌なんだよな。無茶なこと言ってるとは自分でも思うけど……。他の人だといつも少しでも上位に食い込んでほしいと思って見てるのに、束ポンのときはとにかく負けてほしくないって思う。なんでだろうね」
 最後はにっこりと笑って俺を見る。
 なんか、それってけっこうすごいことをさらりと言ってると思うんだが……。
 意識してしまったら心臓が大きく脈を打ち始める。
「それって俺だけ?」
「うーん、そうだね」
 つまり俺だけ特別なんだ。ってか、これってじつは期待していいんじゃないか。もしかして本人気づいてないだけで、意外と俺に惚れてたりしないか?
 自分に都合良すぎる妄想かもと思いつつも、なんだかニヤニヤが止まらない。
 鷹比良さんはそんな俺の考えに気付くはずもなく、「良いレースにしよう」と笑顔で離れていった。
153on your mark 5/5(犬→次男):2008/09/24(水) 03:06:19 ID:2tZQkykc0
 スタート時間が近付いてきても、さっきのやり取りが頭に浮かんで口元が緩みそうになって困った。
 さすがに浮ついた気持ちじゃまずいと、気を引き締めるように両手で顔を強く叩いた。大きく深呼吸してスタートラインに着く。
 よーし、もう俺は決めた。この想いを諦めない。これからは全力で鷹比良さんにぶつかってく。今はその心が他の人に向いてたって、最後に笑うのは俺だ。
 もっと良い色のメダノレも鷹比良さんも両方手に入れたいなんて、俺ってかなり欲張りらしい。でも夢は追い続ければ叶うってことは、浅腹さんを傍で見ていて身を以って知ってしまったから。
「On your murk!」
 スターターの号令が掛かった。両手両足の先まで神経を行き渡らせ、呼吸を整える。
「Set!」
 腰を上げ、前を見上げた。
 もう前しか見えない。迷いはない。ただ全力で走るだけ。
 そう、いつか絶対あなたを振り向かせるときまで。
 秋空に乾いた銃声が響くと同時に、俺は勢いよく前へ飛び出した。
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ジツハドノカップリングモ萌えナンダ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

お粗末さまでした。攻め受けはご想像におまかせします…
155新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 05:58:43 ID:HYJU6Rg00
>147
うお〜。二年生好きだ〜。
ありがとうございます!
156新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 08:48:17 ID:LsHhqmVD0
>>128
亀でスマヌ

ショ-ギ界ネタを棚で見られるとは思ってなかったよ
目覚めそうだーーー!!
157新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 09:20:39 ID:c64rpqr2O
>148
ぎゃー!素敵な萌えをありがとうです!
ポジティブすぐる犬がいい!もっと綺麗な色のメダルも鷹平さんも君なら手にいれられる!
158新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 11:21:19 ID:mJB/mWluO
昨日引退したパパに片想いの次男、犬に片想いの長男です

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
1591:2008/09/24(水) 11:22:42 ID:mJB/mWluO
終わってしまった
今までこれほど終わってほしくない大会があっただろうか

浅原さんの引退試合

俺がリレーメンバーとして傍にいられた時間も、もう終わり
彼は、大切な家族のパパに戻ってしまった

何度も想いを伝えようと、この気持ちを口に出そうと思ったことか、わからない
ただ、毎回言おうとする瞬間、彼の子供たちの顔が浮かんだ
俺はあの無垢な笑顔を壊したくはなかった
せめて家族ができる前に自分の気持ちに気付いていたかった
そうすれば、こんなに悩むこともなかったかもしれないのに

1602:2008/09/24(水) 11:23:40 ID:mJB/mWluO

部屋の扉をノックする音が聞こえた
扉を開けに行くと末次さんだった
「どうしたんですか?もう休んでると思いましたよ」
「風呂は入ったんだが一人は落ち着かなくてさ」
ああ、そうだった
昨日まで浅原さんが末次さんと同じ部屋だったから、今夜は末次さん一人なんだっけ
俺と同室のツカポンは俺と入れ代わりで風呂に入ったばかりだった
「ツカポンはもすこしかかると思いますよ?」
末次さんが顔を見たかったのはツカポンだとわかっているから、末次さんを部屋の中に招き入れながら俺は言った
「別にいいよ。高比良とも話したかったし…わるかったな、昨日」
1613:2008/09/24(水) 11:24:37 ID:mJB/mWluO
「なにがですか?」
思い当たることがない
「部屋変わってやれなくてさ」
ホテルに着いたときには浅原さんと同室は末次さんと決まっていたから、しかたがないことなのに
「同じ部屋じゃなくて、よかったですよ」
そう、よかったのだ
昨夜の俺はツカポンがいたから、ふつうでいられた
浅原さんの傍にいたら何するかわかったもんじゃなかった
「今までの関係も努力も打ち壊さずにすみましたから」
俺がそう言って笑うと、ベッドに腰を下ろしていた末次さんはつらそうな顔をした
俺が浅原さんを好きなことに気付いても、それまで同様の付き合いをしてくれた末次さん
俺が浅原さんのことで泣きたくなったとき、一晩中口を聞いてくれたのも末次さんだった
「今までの迷惑かけました。わざわざ俺を浅原さんの隣にしてくれたりとかいろいろしてくれてありがとうございました」
1624:2008/09/24(水) 11:25:25 ID:mJB/mWluO
俺が頭を下げると末次さんは苦笑いだけを浮かべた

「ねえ、末次さん?」
「なんだ?」
「末次さんは告白してくださいね」
「……」
「あいつは軽蔑したりとかはたぶんしませんよ。今ならまだ結婚してないし…」
枯れていたはずの涙が再びあふれてきた
末次さんが俺の気持ちに気付いたように、俺も末次さんの気持ちに気付いてしまったのだ
同じような苦しみを持った気持ちに
「…俺みたいになってほしくないですよ。俺は伝えたかった……本当は…」
伝えたかった、けど伝えられなかった
いや、伝えてはいけなかったんだ
それでも自分の想いを伝えたいという気持ちが強すぎて
「…きだ……って、つたぇ…」
嗚咽でうまく話せない
163新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 11:25:48 ID:H24XjZht0
>>128
神様ありがとうごさいます!
生きていて良かったと、心底思います。
1645:2008/09/24(水) 11:26:10 ID:mJB/mWluO
「頑張ってたよ、おまえは」
抱き締められ頭をポンポンと叩かれる
「あの浅原さんが決勝で思いっきり出れたのは高比良のおかげだろ。それだけ信頼されるようになれたんだから」
選手として役に立てば強くなれば傍にいられると頑張ったのは確かだ
それも金同メダルという信じられない結果に繋がった
でも、俺は虚しかった
メダルより浅原さんは遠いのかと打ちのめされた
「末次さん…」
「ん?」
「話かえようとしても無理ですよ」
「へ?」
俺は末次さんの手から鍵を取ると、靴を履き隣の部屋の移る支度をした
「高比良?…まさか」
「末次さん、こっちの部屋で寝てくださいね。あとで携帯だけ持ってきます」
1656:2008/09/24(水) 11:27:12 ID:mJB/mWluO
そう言って扉を閉めた俺の背中に末次さんの悲鳴のような声が聞こえてきた
こんな話をした直後だからきっと意識してしまうだろうなと、このあとの末次さんを想像して吹き出してしまった

涙はどこかに消えていた

自分は叶わない恋をした

けれど叶う恋だってあるんだから

末次さんには叶う恋をしてほしい

せめて幸せになってもらいたい

俺の幸せを願ってくれた人だから
166新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 11:28:26 ID:mJB/mWluO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
パパ引退でSS少なくなるなと淋しく思ってたり
また書きたいです
167新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 12:12:05 ID:q8G+d+Ki0
>>113
遅レスだけど…泣いた(⊃Д`)
やっぱ頼もしいリリー笛ースが好きだ
168新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 12:47:13 ID:k1g4g1/q0
>>113
89ネタが続いて嬉しい! そしてセリフがらしくていい!
169新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 16:00:45 ID:i01qagMhO
>>148
次男と犬の可愛さにハァハァ
萌えさせて頂きました、ありがとう
170新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 21:42:10 ID:1soUH0doO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ナマモノ注意。
走って世界で三番目になった四人組より、犬父犬。

171想いの苦さ 1/4(犬父犬):2008/09/24(水) 21:44:45 ID:1soUH0doO
 宿泊しているホテルの部屋に、お言葉に甘えて押しかけた。
 ベッドの真ん中に、片膝を抱えて腰を下ろした。浅原さんもベッドの上で胡座を掻いて、二人で向かい合う。

 他愛もない話ばかり振ったけれど、変にあれこれ考えている自分を自覚していた。
 いつしか、昨日のレースの話に。俺にとっては、きっちり引導を渡せなかった、心残りがある。
「俺の抜けた穴を埋めるんやろ?」
 北京の後から、俺が繰り返し口にしていたことを言われた。少し、きまりが悪い。
「頑張れよ、楽しみにしてるわ」
 カッと熱が顔に、目鼻に集まる。
「『頑張れ』なんてっ」
 真っ直ぐ目に入れた顔――なんてサッパリした笑顔だろう。
「……聞きた、く、ない」
 駄目だ。途切れ途切れになってしまう鼻声。涙腺がイカれたみたいに、この一か月、泣きっぱなしだ。
172想いの苦さ 2/4(犬父犬):2008/09/24(水) 21:45:29 ID:1soUH0doO
「そんな、他人事みたいに……っ」

 貴方が一線を退いても、そこで俺や他の仲間との絆が切れる訳じゃないけれど。一緒の空間を「走る」ことは、二度と、無い。
 それが堪らなく寂しい。
 みんなそうだった。俺らは普通じゃない、「走る」生き物だから。

「お前、北京から自分でも言うてたやろ。最後だから」
「わァってますよっ」
 遮った声は、駄々をこねる子供のようになってしまった。
 十三歳の差は埋められない。貴方は先を行く。わかっていたことだ。
「俺はぁ……俺らはいつだって、アンタの背中を、追うしか、なくて」

 貴方の歳までとか、貴方の記録を越えたいとか、そういうこととは別で。
 憧れていた、ずっと。初めて貴方と走った日から、その背中に焦がれて。

「ずっと、追っかけて……追っかけて……」

 ぶちまけた想いを、貴方は拒まないでくれた。
 嬉しかったけれど、その器の大きさに空恐ろしさも感じたことを、貴方は知らないでしょう?

「背中、なぁ……」
 俺の言葉を反芻してから、口を噤む。
173想いの苦さ 3/4(犬父犬):2008/09/24(水) 21:46:53 ID:1soUH0doO
 俺は俯いて、視界を歪ませる涙を拭った。
「そんなら、背中に抱き付いてきたんかなぁ、お前は」
 顔を上げる。
「周りみんな蹴散らしてガシイッ」
 飛び付くように抱き付きながら、悪戯っぽく言われる。
「って感じやったな」
 俺はたたらを踏むように後ろに片手をついて、二人分の体重を支えた。
「……離さんかったらええよ」
 耳元に、穏やかな声。
「俺は、お前を置いてこう、なんて思ってへん。なんも変わらんよ」
 宥めるように背中を優しく叩かれて。
「お前が好きやから、な」
 何度味わっても、その大きな手の感触は嬉しかったけれど。

 ……あぁ、やっぱり、わかっちゃいない。

 仕方ない、こういう人だから。
 そのマイペースっぷりが、愛しくて、少し憎たらしかった。
 置いていくとかじゃなくて、俺を求めてほしいのに。俺だけを見てほしいのに。貴方のペースなんて、その大きな器なんて……崩してしまいたいのに。

 脳裏にちらつく四人家族の笑顔に、横目で見るこの人の笑顔に、肥大した醜い願いは出口を失う。
174想いの苦さ 4/4(犬父犬):2008/09/24(水) 21:47:40 ID:1soUH0doO
 両思いのはずなのに、ヘタな片思いよりも苦しい。なんて相手に惚れてしまったんだろう。

 この苦しみは、これから強くなるのか、何か変わるのか。考えそうになって、やめる。
 貴方の方こそ離さないでよ、もっと強く抱き締めてよ、息が詰まるくらいにさ。せめて今は、この苦しみを麻痺させてほしいから。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
175新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 22:34:03 ID:mJB/mWluO
犬ぅぅぅ!!
すげぇ萌えたよ
父は受けにしか見えなくなってるが、なんでこの四人って報われない恋愛が似合うんだろ
素敵なSS読ませてくれてありがとう
176ナマ注意 土奇玉獅子2747 魔法の夜1/5:2008/09/24(水) 23:33:20 ID:tpzKgj7w0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  内股一本って感じだったね…
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  無事でいてほしいね…
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

魔法の数字がなかなか減らないのですが、それはそれとしてもえらいことに…
丈夫が取り得だけど、だけど、無事でいてくれズン何処ォォォォ

そして途中から中継で追いきれなくなった47の動向が気になりました
怪我ネタなんで、不愉快な方はすみません
177ナマ注意 土奇玉獅子2747 魔法の夜2/5:2008/09/24(水) 23:34:56 ID:tpzKgj7w0
全く今年は、というか最近は、呪われてんのか俺の左肩は、と糸田川は痛みに眉を顰めながら舌打ちをする。
先だってがっつり死王求を食らった場所、なのに乱闘で吹っ飛ばされ、よりによってその場所から地面に突っ込んだ。
あの瞬間は、さすがに一瞬息が止まって意識が飛んだ。痛いとか痛くないとかじゃなく、俺は死ぬ、と思った。
それを言ったら背後の穂葦はいたく不満げに返してくる。
だからお前が言うな、左ウスポ一でも無いくせに、と。
うるせえよ、と言ったが、実はもう反撃する気力も無かった。
肩の芯から、常に重く暴れまわる蛇のようなものが腕全体から肺までを締め付けて、息苦しいくらいだ。
とりあえず冷やせとユ二フォ一ムをひん剥かれ、特大のアイスノンをあてがわれてはいるが、効いている気は全くしない。
さっき、トレ一ナ一が病院へ行こうと車を用意しに走り去った。ああ、早く帰ってこねえかな。
ずぐずぐと痛みが蠢くたび、ため息しか出ない。
口ッ力一ル一ムの壁からは、まだ続く外の言式合の震えが、こもった歓声だけでなく伝わってくる。
ぶるぶる、びりびり、わあわあ、全てが遠かった。
あとひとつ、あとひとつも、恐ろしいほど遠い。
こんなに遠かったか?と考えても、過去の記憶が痛みに邪魔される。なかなか減らない魔法の数字。
お前はブノレペンはいいのかと、言ってから糸田川は自分の馬鹿さ加減に押し黙った。何言ってんだ俺は。
例の、ゼロにならない魔法の数字。今日決められなかったら、まだシ一ズンは続くのだ。
そうなればまだまだ、これからも帆足は先溌の柱。総力戦になってでも勝つ、ような、そんな言式合展開じゃない。
「…ヤキ回ってんぞ」
「んだな…」
「受身、取れてりゃな」
「俺ぁ柔道家じゃねえんだよ」
かといってひょいと覗きにきただけにしては、じっと傍らに座り込んで何をするでもない穂葦の考えが読めない。
最初はちょいと自分の肩を覗き込んで、失礼にも「うわ」と他人事のように言った。
いや、他人事なんだ、確かに。前も言ったけど、お前の利き腕でなくて良かったとは思ってんだ。
しかしそれでも、少しくらい心配したらどうだと言いたくなる。どこまでも無表情に穂葦は、肩をすくめただけだった。
178ナマ注意 土奇玉獅子2747 魔法の夜3/5:2008/09/24(水) 23:36:42 ID:tpzKgj7w0
「…戻んねーのか」
そういう時、細い目はまぶしいものを見るようにさらに細められて、余計機嫌が悪そうになるのだ。
「あー。後で戻る」
「知らんぞ、感動の瞬間見逃しても」
「…そうやな」
淡々と、淡々と、穂葦は背中合わせで何か言っている。
昔自分がつけていた、あの47番が裸の背の肌に触れていた。
よくよく耳を澄ませば、かっとばせだとか打てだとか、そんな声の塊が悲痛に聞こえる。
「…今日ダメだったら、明後日か?」
「そうなるか」
「木レ幌で、公戦か」
「先溌、多分俺かな」
一足先に今日の結果からリタイヤした身としては、その熱気が少々胸に痛い。
そんな冷静な言葉で現実を見つめようとしては、また混乱する。痛みと息苦しさが頭の中をマーブル模様にする。
「キメるぞ」
「お?」
穂葦がぼそっと言った。何か言うたび、背中の番号が擦れるのがわかる。
多分全く同じ姿勢をしてるんだろうと思う。膝に両のひじを突いて、頭をたれて、何かに耐えている。
そこであれっと思って、糸田川は顔を上げた。
俺は痛みに、でもお前は何に?
「…穂葦?」
もしかして、お前も痛いのか?
振り返ると案の定、その耳と髪はじっと俯いている。
「穂葦、聞こえなかった」
「うるせえな」
ぎょろっと本当に不機嫌そうに、その細い目が斜めに見上げてきた。そして帆足も振り返る。
ベンチの片方と片方だ。男二人の座席としては少々狭くて、だからこの姿勢は、案外近い。
というか、至近距離だ、久しぶりの。
「聞いとけ、アホ」
「あぁ?」
「俺らで、決めんぞ」
言うなり穂葦の手が、糸田川の顎を掴む。有無を言わせぬその左腕が伸びてきた。
179ナマ注意 土奇玉獅子2747 魔法の夜4/5:2008/09/24(水) 23:37:40 ID:tpzKgj7w0
俺の左は、もう万策つきかけている。
だけどお前のそれは、本当に最期の武器なんだ。
顎を掴まれて、ひきつけるように引き寄せられる。
「…っ」
荒い息の、噛み付くようなキスが来た。それすらも左から。
切り札、だ。
お前の左は、俺にとっても、お前にとっても。
「…治しとけや、明後日までに」
キスの間も多分穂葦は目を開けていただろうと思う。ふっと息を吐いて離れても、全く視線がねじれていない。
「治るか、馬鹿」
「意地と根性で治しよれ!」
さっきぶつかってきた、吐息そのものも飲み込んだ。舌で気づかれないように、荒れた唇を舐めた。
ああ、甘くはないんだろう、多分これは、たったそれだけじゃない。
痛い肩をかばうように上半身を捻り向かい合おうとすれば、どん、と最後は突き飛ばすように、穂葦の左手が胸を突く。
「お前と組むからな」
「って、お前が決めるな、それは缶督がだな」
「やかましい。俺が決める、だからお前も出て来い」
言葉と裏腹に穂葦は顔を伏せた。まだ糸田川の胸についたままの腕から、何かが伝わってくる。
震えてはいない。熱くて重い。
やっぱりお前も痛いんだろうと直感で思って、でも言わなかった。
俺の痛みだ。俺の痛みのことだ。
ただ何かを押し込まれているような、焼けた赤い鉄の楔のような、確かな繋がりがあった。
そこから体に入ってくる何かが、締め上げてくる痛みから、肩を自由にする。軽くなった気がする。
呪いを解く。
お互いの痛みを溶かす。
「なあ、覚えとけ」
「…ハム、苦手の癖に」
それがほぼ、心臓の真上を突いている。
呪いを解く。
俺たちを自由にする。
突然どくどくと、その自分の心臓の音が聞こえた。遠ざかる歓声なんて聞こえなくなった。
お前の命は俺が預かるとでも、言いたいのかと思った。
180ナマ注意 土奇玉獅子2747 魔法の夜5/5:2008/09/24(水) 23:38:17 ID:tpzKgj7w0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ これで先溌が違う人だったら大笑いだネ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

リアルタイムネタなので明後日が怖いっちゃ怖いですが、妄想と捏造のファンタジー
ということで許してください
しかし自分で妄想しておいてあれですが、もしこれが実現したら萌 え 死 ね る

シ一ズン最後までどこのチ一ムも無事で、みんな頑張れ!
181新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 23:48:48 ID:pGoGyW290
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
某コピペから生まれたオリジ
182ヤクザだけどクッキー焼いちゃいました1/2:2008/09/24(水) 23:50:08 ID:pGoGyW290
今日も無事一仕事終えた俺は、鉛臭い身体を引きずりながら事務所へと戻った。
時間はもう夜中の3時。
この時間ともなれば、さすがに舎弟達は全員寝ているだろう。
電気を点け、穴の開いてしまった背広を脱ぎ捨て黒光りしているソファーに腰掛けた。
ネクタイを緩めながらくしゃりとよれてしまっている煙草を取り出して、火を点ける。
その瞬間、奥の方からガタンッと何かが落ちたような物音が静かな室内に響いた。

「ごっ、ごめんなさい…っ!」

聞こえてきたのは、先月から組員になった新入りの慌てた声。
―――名前は、何だったけか。

ソイツはペコペコと頭を下げながら、落とした物を拾い集めていく。
銀色のボウルやおたま、泡だて器……。
あまり、この事務所では見かけない料理道具達。

「…おい新入り。何やってたんだ、こんな時間に」

ふーっと煙草の煙を吐き出して、問いかけた。
俺としては当たり前の事を聞いただけだったのだが、そいつの肩は大げさなくらいビクッと大きく跳ねた。
徐々に顔が赤くなって、きょろきょろと目を泳がせる。

…あやしい。
あやしすぎる。

ふと見れば、背中に何かを隠し持っているようだった。
煙草を灰皿に押し付けて立ち上がれば、またソイツはびくっと反応する。
俺とは20センチ程違うであろう身長差のせいで、自然と見下ろすようにしてそいつに目線をやった。

「おい、背中に何を隠しているんだ。…出せ」
「いっ、嫌です!兄貴でも無理……うわっ!!」
183ヤクザだけどクッキー焼いちゃいました2/2:2008/09/24(水) 23:54:50 ID:pGoGyW290
ソイツから無理やりブツを奪うまで、そう時間はかからなかった。
チャカでも隠し持っているのだろうという俺の予想は大きく外れ、手の中には綺麗にラッピングされた箱が一つ。
妙な時計音もナシ、振ってみても変化はなくコロコロと軽い音がするだけ。

「ご、ご…ごめんなさい…っ。それ、っ、兄貴にあげようと思って…クッキー…」
「クッキー…?」

しゅるっと赤いリボンを解いて箱を開けると、中には円形をしたお世辞にも美味しそうとは思えないいびつな形のクッキーが5個。
所々黒くなっており香ばしい匂いもなく、するのは焦げ臭い匂いだけ。

「ほ、本当は、ちゃんと型とって綺麗にやりたかったんスけどっ、ほら、職業柄なんか型買いに行くの恥ずかしくて…ッ」

まだ何も聞いていないのに、ソイツは顔を真っ赤にしたまま早口で話し始めた。
……ちょっと待て、俺が聞きたいのはそこじゃない。
何故クッキーなのか、何故俺に渡そうと思ったのか、何故こんな時間まで作っているのか
聞きたい事は山ほどあるのだが、楽しそうに話すソイツを見ているうちに何も言う事ができなくなってしまった。

「…あの、やっぱり迷惑ッスか…?」

無言だった俺に気がつき心配になったのか、不安そうにソイツは俺の顔を覗き込んできた。
大きめの目をパチパチとまばたきさせて、問いかけてくる。その姿が妙におかしくて、軽く吹いてしまった。

「…いや、嬉しいよ。…ただ、礼はもっと作るのが上手くなってから言ってやる。分かったか?分かったらもうさっさと寝ろ」
「はっ、はい!ありがとうございます!!おやすみなさいっ」

俺の言葉をきいた途端、不安そうだった表情が一転して笑顔になり、何度も頭を下げられる。
そのまま料理道具を全部腕に抱えると、パタパタと駆けて奥の母屋の方へと姿を消して行った。
…お前が礼を言ってどうするんだ。まったく。
名前も知らない、ただの下っ端組員にここまでされたのは初めてだった。しかも、手作りクッキーだなんて。

「……次会ったら名前でも聞いとくか」
無意識のうちに呟いていた言葉は、誰に聞かれるでもなく静かな室内に響いただけだった。
184新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/24(水) 23:56:21 ID:pGoGyW290
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
185新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/25(木) 00:05:13 ID:ik0bjSGX0
>>176
ここが2chでなければ感想メールを原稿用紙十枚単位で差し上げたい。避難所へカモン。
27が投げられたのを見た時は本当に息がとまったよ。
サンヌポあたりに47が消えた動向が載ることを期待w
186二人部屋(長男+次男→犬) 1/3:2008/09/25(木) 00:08:11 ID:lkhJ/7YgO
世界三番目の4人
某書籍を読んだら妄想が広がりました
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「疲れたー!」
束腹はまるで自分の部屋に帰ってきたかのように荷物を放り出してベッドに転がった。
「束ポン、ここだと荷物邪魔」
「あ、すいません」
起き上がって腕を伸ばし、ズルズルと荷物を自分の方に引き寄せてから今度は俺の座っているベッドへうつぶせに倒れ込む。
「こら、あんまりはしゃぐな」
「いいじゃないですか、練習は明日からだし」
束腹の言う通り、今日は移動だけで練習は無い。
同じ国内とはいえずっと座っている移動はそれなりに身体に疲れを与えるから。
出発した時には眩しかった朝日は窓の向こうで穏やかな夕日に変わっていた。
「俺と鷹比良さんって、大抵同じ部屋ですよね」
座ったまま荷物を整理していた俺に束腹は顔だけ上げてそう言った。
確かに年が近いせいか合宿ではいつも相部屋だ。
「何、たまには違う人とがいい?」
「いやいや、そんなことないです。鷹比良さんと相部屋が一番落ち着くんで」
187二人部屋(長男+次男→犬) 2/3:2008/09/25(木) 00:10:04 ID:lkhJ/7YgO
そう言うとうつぶせだった束腹がくるりと半回転してぐーっと伸びをした。
束腹は他人とコミュニケーションを取る時、こんな風に親しい人に対しては妙に距離を縮める傾向がある。
まぁそんな所も嫌いではないのだけれど、と思いながら何の気もなしに彼の頭を撫でようとすると誰かが部屋のドアを開けた。
「お、いたいた」
その顔が見えた瞬間、彼に触れようとしていた手をさっと引っ込める。
「スエシグさん!」
束腹が体を起こして嬉しそうに笑うとスエシグさんもそれに応えるように笑った。
いつも使うこの部屋が実は三人用だということを知ってか知らずか、スエシグさんはいつもこうやって俺達の部屋にやってきて寝泊まりする。
「どうしていつもいつも、この部屋に来るんですか!」
「だって嫌なんだよ、一人部屋」
「スエシグさん寂しがりやですもんね」
楽しそうに彼をからかう束腹はあ、と声をあげた。
「俺、歯ブラシ忘れちゃったんでそこのコンビニ行ってきます」
束腹が財布をひっつかんで出て行った後、僕はぼそりとつぶやいた。
「…一人が嫌なら他の部屋に行けばいいじゃないですか」
「別に一人でも平気だけど、二人きりにすると危険かなーって」
188新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/25(木) 00:10:06 ID:c+cDY8MD0
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
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189二人部屋(長男+次男→犬) 3/3:2008/09/25(木) 00:12:33 ID:lkhJ/7YgO
「危険って…何ですか、それ」
「さっき寝っ転がってる束腹の横で満更でもなさそうに笑ってたのは誰?」
「…俺です」
俺が観念するとスエシグさんは勝ち誇ったかのようにニヤリと笑った。
「ま、そういう事だ」
「だからってここで寝なくても」
尚も言い返そうとする俺を見て、スエシグさんが一つ提案をした。
「わかった、じゃあどっちと相部屋がいいか束腹本人に聞こう」
「いいですよ」
それなら、先程もう答えが出ている。
今度は俺が確信を込めて笑った時、バタバタと大きな足音と共に部屋のドアが開いた。
「つかは」
「あのっ、今そこで浅腹さんに会ったんですけどもし夕飯がまだたったらみんなでメシ行かないかって!」
まるで尻尾でも振り出しそうな、輝かんばかりの笑顔の前では用意していた台詞もかき消されるほかなかった。
「ね、早く行きましょうよ!」
「…行くか、久しぶりに」
「…そうですね」
俺とスエシグさんは互いに顔を見合わせて力無く笑った。
水面下の攻防は、とりあえず東京へ持ち越されることになりそうだ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
最後はパパが全部持っていきました
感動も何も無くてすみません
スレ汚し失礼しました
190新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/25(木) 00:16:32 ID:F+AL9UoK0
>>181
似たよーなのを保管庫で読んだような…
191檻07×虎53:2008/09/25(木) 00:43:54 ID:6kLzOQiM0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  関西王求団の方々。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  <<115-119の続きです。

 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
192檻07×虎53 1/5:2008/09/25(木) 00:45:13 ID:6kLzOQiM0
『情けな……』
 赤☆は甲子園の廊下の、照明の光が薄暗い場所を選ぶと、座り込み頭を抱えた。
 木黄浜との試合、せっかく投手陣が点を防いで、サヨナラのチャンスを作ってくれたのに、
自分は何も出来ずに終わってしまった。
 今日の試合、最後の打者となってしまった自分。
 だが、それ以上に自己嫌悪に陥る原因を作ったのは試合終了後だった。
 11回裏から、その声は届いていた。
 そして、12回裏。
 勝利に向かい、走り出そうとした中、それを遮るように心のない声が聞こえた。
 その性質上か、自チームの観客は気性が荒く、眉をしかめるような言葉が降って来ることも
ある。もう何年もこのチームに在籍しているのだから、それは重々承知していたけれども。
 まず走り出しを阻害されたばかりか、試合終了後も声は続き。
 自分だけならばまだ許せた。
 だが、その声は、他の選手の、阪神タイガースの野球を否定し、罵倒したものであったから、
選手会長として、どうしても許せなかった。
『でも、あっこまで釣られることなかったかも……』
 広サワコーチに制止され、スポーツ新聞の記者を振り切りながら、球場の廊下を歩き、歩き
きった頃には、血が上った頭も冷え、後悔だけが残った。
 ロッカールームを出る際、トリ谷に、
「どこにいくんですか?」
と声をかけられたが、目もあわせられないまま、
「頭を冷やしてくる」
とふらふらとここまで歩いてきたのだけど。
193檻07×虎53 2/5:2008/09/25(木) 00:45:55 ID:6kLzOQiM0
「……っ!」
 突然、鈍くしびれるような痛みが首から背骨にかけて走る。
 時限爆弾はあきらかにその秒針を進めていて、自分の選手生命を減らしていく。
 だが、今は倒れるわけにはいかない。たとえ、傷だらけになっても走りつづけないといけない
のだ。
『……それを皆にわかってほしいって思うのは、俺が甘いのかな……』
 首をさすりながら、ため息だけをひとつ吐き出す。
『俺、明日から……、野王求やってけるのかな……』
と赤☆が、自嘲の呟きを心の中呟いた時、
「赤☆さん、見つけた」
信じられない声がして、思わず顔を上げ、その視線の先にいた人物に絶句した。
「ハマ……、なんでここに?」
「試合を見に来てたんすよ。俺、今、登録抹消中で暇やから」
 あっけらかんと答えるハマ中に、赤☆は立ち上がると、
「来るなら言えよな」
とハマ中に言うと、
「ヒミツにしてくるからおもしろいんじゃん?」
笑顔で答え、赤☆に言った。
「赤☆さんに会おうと思って探してたら、トリに会ってさ。そしたらこっちの方に消えたって
言うから。すぐに見つけられてよかった」
 相変わらず笑顔で言うハマ中に、赤☆は、なんて言ったらよいのかわからず、
「……そう」
とだけ答えると、ハマ中は、最上級の笑顔で「赤☆さん」と名を呼ぶ。
 その声に反射的に顔を上げると、次の瞬間、その大きな腕の中にすっぽりと抱きしめられていた。
「ハマ……!」
「”大丈夫だよ”」
 声を上げようとした瞬間、降ってきた優しい声に、赤☆は絶句する。そして、
「俺は、何があっても、赤☆さんの味方だし、赤☆さんの傍にいるから。……チームは離れちゃったけど
心はずっと赤☆さんの傍に置いてるつもりだし」
 ハマ中の胸に顔をうずめているから、表情は見えないけれど、その口調から容易に想像できる。
 赤☆が唯一安心できる笑顔。その優しげな微笑が。
194檻07×虎53 3/5:2008/09/25(木) 00:46:49 ID:6kLzOQiM0
「ハマ……」
 名を呟いた瞬間、熱いものがこみ上げ、思わずそれは涙となり滴り落ちそうになる。
 だが、すんでのところでそれを抑えると、こぼれないように、さらにハマ中の胸に顔をうずめると、
「……知ってる、よ」
と精一杯の強気な口調で言葉を返すと、くすりと微笑む気配を感じた。
 ハマ中の指が赤☆の髪をなぜる。そのくすぐったいような感覚に目を細める。
 何度も往復するハマ中の指。その度に、ささくれだった赤☆の心の棘を取り去っていくようで……。
「俺、お前がいなくなってもしかしたら自分で思ってた以上にキツかったのかも」
とぽつりと呟くと、
「そうだろうね。赤☆さんってば、俺のコト大好きだし」
謙遜もせずハマ中はさらりと言い、思わず顔を上げると、相変わらず優しい微笑みのハマ中を目があった。
 途端、頬に朱が走るのが自分でもわかってしまい、思わず目をそらす。と、
「でも、俺も一緒なんやけどね。赤☆さん大好き。本当は今すぐにでも阪ネ申に帰りたい。だって、赤☆
さんのそばで野王求したいもの」
ハマ中は言い、赤☆は「でも……」と答えにならない言葉を返す。
 と、ハマ中は、子供のような笑顔を見せ、
「なんてね」
と言うと、すかさず赤☆の唇にキスをした。
 ふいうちの口付けに、赤☆は思わず目が点になる。と、それを見、ハマ中は、にやっと笑うと、
「赤☆さん、かわいい」
と言い、思わず赤☆は拳を握り締めた。
 不穏な気配をハマ中は感じると、「ごめんごめん」と笑う。
 それに、赤☆は拳の戒めを解くと、またひとつため息をついた。
 そんな赤☆を見、ハマ中はその顔をじっと見つめると、
「阪ネ申の底力が去年までここにいたから俺が良く知ってる。赤☆さんたちは、ここで終わるような人たち
じゃない……。だから、”日本シリーズやろうね”」
と言い切り、赤☆は再び目が点になった。
195檻07×虎53 4/5:2008/09/25(木) 00:48:25 ID:6kLzOQiM0
「ハマ……」
「本当は今年の春先にはこんなこと言えるとは思わなかったけどね」
 苦笑するハマ中に、赤☆は何度も頷くと、
「そうやな。やろう、関西ダービー」
とハマ中に言い、ハマ中もまた頷いた。
 
「帰ろうか。これ以上冷えると身体に悪いし」
 いまだ抱き合ったまま、ハマ中は言うと、
「お前、明日はなんか用事あるのか?」
と赤☆は尋ね、「別に」と答えると、
「じゃあ、今日は俺んち泊まってけよ。俺達にガンバレっていうなら、前祝いでいいからご褒美くれ」
テレもせず赤☆は言い、「なあに?」とハマ中は答えると、
「抱き枕。多分、今日はなかなか眠れそうにないから」
赤☆は視線をそらし、ハマ中はjくすりと笑った。
「何?一緒に寝るだけでいいの?」
 面白そうにハマ中は尋ねると、
「……いかがわしいことすると、明日野王求できなくなるだろうが」
と睨みを効かせながら赤☆は言い、「そうだね」とハマ中は返す。そして、もう一度、今度はゆっくりと
口付けすると、
「了解しました。今日は俺が赤☆さんの抱き枕です」
と言い、「わかればよろしい」と赤☆もまた頷いた。
 
 
196檻07×虎53 5/5:2008/09/25(木) 00:49:03 ID:6kLzOQiM0
刹那、流れる風。
 それを受けながら、
「赤☆さん、大好き」
とハマ中は言い、
「……俺も」
と赤☆もまたテレながら答える。
 そして、心の中思った。
 残り少ないペナンとレース。だが、自分には心の支えがある。
 それがある限り、自分はどこまでも走っていけるだろうと。   
197檻07×虎53:2008/09/25(木) 00:52:12 ID:6kLzOQiM0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ またナンバリング間違えた(汗)☆さん今日
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) タイムリー2本。やっぱ、あの人すげえ。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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198新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/25(木) 01:04:41 ID:JDvfmilZ0
>>197
乙です!GJ!
精神安定剤がわかってすっきりな上に萌えまで頂いちゃって・・・
199新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/25(木) 01:09:38 ID:ZSI+lcBX0
>>176
背ファソですが、キヨツさんに萌えさしてもらってます!
無事で、今度こそ決められるといいですね・・・
200新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/25(木) 02:42:56 ID:0+StedzhO
>>176
こちらも他ファンですが
むちゃくちゃ萌えました 泣けました
どうかご無事で…!!
201新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/25(木) 12:30:38 ID:CoUYEq03O
>>197
姐さんGJすぐるよ!!
真っ昼間に萌えたじゃないかwww

だから昨日は猛打s…(ry
202十銅100K→66K:2008/09/25(木) 21:28:25 ID:L/kLeIUO0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ぐだぐだな100Kの一人語りだけどね
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  初投下でドキドキしてるらしいよ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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203新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/25(木) 21:29:55 ID:hp97gVCv0
>>176
自分も他ファソですが、姐さんのSS読んでから
明日の予告線発見て、勝手にドキドキしてるw
大事に至らなかったみたいで良かった!
204十銅100K→66K 1/2:2008/09/25(木) 21:31:09 ID:L/kLeIUO0
夜明け前―――というよりまだ深夜の空気の中。
ひたすら海に向かって車を走らせる。
この空間が大好きだ。


俺とあんたを繋ぐものは十銅しかない。
いつかタタミの上で戦えなくなったら、
俺とあんたの繋がりなんて消えてしまうのだろう。
簡単に終わってしまうのだろう。
ずっとそう思っていた。

でも、見つけたんだ。
俺と、あんたを繋ぐ、一本のリーシュコード。

波を見つめる瞳。
立ち上がって得意そうに俺を見る顔。
失敗して照れたときの口元。
・・・そして、海から上がった後の、冷えてるのに火照った体。
海でのあんたは、俺しか知らないあんた。
ねえ、そうでしょ。

205十銅100K→66K 2/2:2008/09/25(木) 21:31:56 ID:L/kLeIUO0
海がある限り、繋がっていられる。
波にのまれても。溺れても。
絶対に離さない。


こうやってあんたを乗せたまま海に突っ込んでしまったら、幸せかな。
なんて不謹慎なこと考えたりなんかして。


海まで、あと少し。
助手席にいるあんたは、さっきからカーステに合わせて鼻歌を歌ってる。


――――ああ俺、泣きそうだ。
206十銅100K→66K:2008/09/25(木) 21:34:42 ID:L/kLeIUO0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |              しょーもないSSなのに改行大杉で2レス・・・
 | |                | |           ∧_∧ 100Kのブログに触発されたらしいよ。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


207新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/25(木) 21:41:21 ID:ArsqdnR40
>>202
姐さんー!!乙乙乙!!!
死ぬほど萌ゆる!
もっともっと十胴を・・・ハァハァ
208新しい呼び名1/2:2008/09/26(金) 00:02:06 ID:7zSQNIYxO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

金同メダルとった4人ですよ
ギャグですが正直こんな話してたら嫌です



「塚ポソ、塚ポソ!!」
高比良さんが俺を呼ぶ
別にいやではないけど、オリソピックのウイニソグラソで、その呼び方しなくてもいいじゃん
せっかく余韻に浸ってたのに
世界の舞台で選手として戦えたのがうれしかったのに
ただのバカな後輩に戻ってしまう
「高比良さん、ここでまでその名前で呼ばないでくださいよ〜」
並んで歩きながら俺がいうと今までのどんな笑顔よりうれしそうな笑顔で笑って言う
「いいじゃん、塚ポソは塚ポソだろ」
「そうですけどぉ」
一緒に並んで歩いていた浅原さんに助けを求めると浅原さんまで楽しそうにこう言った
「塚ポソでいいやろ、俺だって塚ぽんって呼んでるやん」
む〜〜
俺だって浅原さんのこと父さんっていつも呼んでるけど会場にいるときは浅原さんって名前で呼んでるのに

209新しい呼び名2/2:2008/09/26(金) 00:08:56 ID:7zSQNIYxO
「じゃあなんて呼んでほしいんだよ、犬とかでいいのか?」
「ちょ、末次さん?!」
犬って、犬ってひどくない!?
「お、いいなぁ、塚ポソ犬っぽいし」
「浅原さんまで!?」
「パトラッツュか、ラッツーか、どっちのほうが合いますかね?」
「高比良さんまでぇ〜」
3人しておもしろがって言い合ってる
「そんな名犬じゃないでしよ、こいつですよ」
名犬じゃないって犬確定!?
いつも冗談あまり言わない末續さんが言うから余計まじに聞こえる
「ですよね〜、どっちかというと」
「「「ポチ!!」」」

え、ええぇぇ
ポチってポチって!!
しかも口そろえて言ってるし
浅原さんなんか納得してうなずいてるし

「ポチ、散歩コースはこっちだぞぉ」
「ポチ、ご褒美は骨だぞ、よかったなぁ」
「ポチ、犬なのにオリソピックでメダルだぞ、すごいなぁ」
呆然とする俺を横目にそんなこと言いながら歩き続ける偉大な先輩たち

「塚ポソでいいです!塚ポソでいいですから、ポチはやめてくださいっ!!」
「あはは、ポチ〜」


「塚ポソですっ!!」


それからしばらく俺はポチと呼ばれ続けた
210新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 00:09:40 ID:mctx50omO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

なんか本当にゴメンナサイ
211新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 00:20:02 ID:dazT5XSLO
>>180
明日のY告S発がマジで帆さんだったのでニヤニヤがとまりません
他ファンだけど明日はすごい勢いで帆さんを応援するよ…!
212新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 02:02:10 ID:LCsQsSYt0
世界で3番目になった四人の、三人ともパパ大好き!という話
パパ引退の超陸上後、関係者での打ち上げが終わってその後という前提です
語り手は次男。エロい要素は無し、途中からしんみりな感じ


 ____________
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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213Crying babies(利令・三人→パパ)1/6:2008/09/26(金) 02:03:14 ID:LCsQsSYt0
 帰りのバスが出発するのを待っていると、束原が携帯片手に近寄ってきた。
 体をかがめ、ことさらに、声をひそめる。
「末次さんからメールっス。三人で反省会するから集合!って」
 三人。
 ――あの人がいないことが、今更ながらに思い知らされる。

 ホテルの末次さんの部屋は、小さな丸テーブルに120度の角度で椅子と一人がけソファが
セッティングされていた。
「末次さんはどこ座るんスか?」
「俺がこの部屋の主なんだから、一番広いベッドに決まってる」
「そうやってあぐらかいてると、牢名主に見えるんですけど」
「座長って呼べよ!さぁ反省会始めっぞ!」
 合図代わりに缶ビールのプルトップがプシュッと音を立てる。
214Crying babies(利令・三人→パパ)2/6:2008/09/26(金) 02:04:03 ID:LCsQsSYt0
「まずは束ポンから」
 指名された束原は肩を一つすくめて切り出した。
「勝つ気でいったんスけどー……浅原さんの最後のレースに、こう花を添えたいっつーか、
そういうのを考えてたら頭と体が上手く連動しなかった感じ?で、足つっちゃうし」
 花を添えたいというのは、盛り上げたいということだろうか? この後輩の日本語感覚が
いまいち把握出来ない。だいたい、盛り上げるというのなら例の三冠王が来たし、リレーの
四人が揃った時点で相当盛り上げに貢献したと思うんだけど。
「花を添えるとか余計なこと考えっから攣るんだよ、阿呆ポン」
 この上なく直球なツッコミは、末次さん。
「普段使わないところを使ったからじゃないの?」
「ちゃんと使ってるっスよ! だいたい鷹平サンこそ何なんですか、7位て!」
「詩的なコメント出してたよな?『目に焼き付けておきたいという時点で負けだった』って。
目に焼き付けるのは観客の皆さんだろうが」
「三走的には、後ろ姿を追って走るのが自然なんで」
「追い付けてねーじゃん。駄目じゃん」
「……追い付けてなかったのは末次さんも一緒じゃないですか。ていうか俺ら全員、
あの人に負けたし」
「はぁ、負けたっスねー……」
「……最後まで、勝ち逃げされたな俺ら」
 情けねェの、と末次さんが呟き、カッコ悪ーと束原が天を仰ぐ。

215Crying babies(利令・三人→パパ)3/6:2008/09/26(金) 02:04:53 ID:LCsQsSYt0
 自分はといえば、持ちタイムがこの四人の中で一番悪いせいもあってか(そもそも自分は
このレース、最後に巻き込まれたクチだ)、負けて悔しいというのはそれほど無かった。
束原か末次さんが勝って、短距離界の次のエースがお披露目できて、あの人が安心すればいい、
と思ったけど。でも、最後に地力の差を見せつけるところがあの人らしくて凄いな、とも思う。
 それにしても、この言いようの無い喪失感。ビールなんかで到底収まるもんじゃない。
 皆、それを語り埋めたくて集まったんじゃないのか?
「――もう、挽回する機会も与えてくれないんですよね」
 がくりとうなだれた束原の口から、小さく「浅原さん」と呟く声がこぼれ落ちた。
 その声が、涙声だとわかるまで多少時間がかかった。
「……まだ泣き足りねーのかよ」
 しょうがねェな、と末次さんが2本目の缶を開けてやった。束原は確か、明日小学校を訪問しに
行く予定だったはすだけど、大丈夫なんだろうか。差し出されるままに、束原は2本目を
ヤケ気味にあおる。
「……だって、いなくなっちゃうんスよ。俺がガキの頃からずーっと走ってて、ずーっと二本の
アンカーで。それが、明日からもう走りませんよって、そんな、」
 たった2年しか、一緒にいられなかったのに。
 束原は、そう言うとまたしゃくり上げた。
「……2年だろうが、4年、8年だろうが一緒だよ」
 悲しいのは。
 末次さんに目線でふられて、自分もうなずいた。

216Crying babies(利令・三人→パパ)4/6:2008/09/26(金) 02:06:44 ID:LCsQsSYt0
 4年前、初めてリレーメンバーに選出されてから、ほとんどの大会であの人にバトンを渡した。
 最後のバトンパスになるとわかっていた1ヶ月前のあの時が、一番泣きたかった。
 これが最後と思うと、もう、
「――悲しかねェ」
 末次さんが2本目を自分の前に置いた。黙って開ける。
 口にしたビールは、初めて飲んだ時のようにほろ苦くて、
 じんわりと、こみ上げる思いに染みていく。
 ――あの人が、物理的にいなくなってしまうわけじゃないのに、
 どうしてこんなにも、いなくなることが辛いんだろう。
「――いつかこの日が来るってわかってたけど、いざ直面すると脆いもんだ。
泣いたらみっともなかろうに、あの人を前にしたら、今までのことがぐわーっとあふれて、
止まらんくて、ただ涙だけが、」
 あの時の末次さんは、ほとばしる思いが全て涙になったみたいだった。
 それから、声を振り絞って。……その時、二人の間には二人にしかわからない感慨が
満ちているようで、
 羨ましかった。
 思いは人それぞれ、比べられるものではないとわかっていても、二人の時間の濃密さが、
羨ましかった。それでも、心のどこかで、
 あの人に最後の最後で、最高のバトンパスと、最高のアンカーとしての仕事をさせてあげられた
という自負が、自分をどうにか支えている。
 ――自分には、それしかない。末次さんのように長く濃密な付き合いも、束原のように、
専門種目が同じという後継者の関係も、自分には無いから、
 あの後ろ姿を目にすることが、幸せだった。
 そう、幸せだったのに、どうして、
217Crying babies(利令・三人→パパ)5/6:2008/09/26(金) 02:07:39 ID:LCsQsSYt0
「……泣きたいんなら、今のうちに泣いた方がいいっスよ、鷹平さん」
 鼻をすんすん鳴らしながら、やけに冷静な声で束原に言われて、知らずきつい声が出た。
「指図すんなよ、後輩のくせに」
 手荒に叩きつけた缶の中で、揺れる水音。
「だって、後輩から見てもバレバレなくらい、我慢してるから。……本当に、スタート前チラ見する
だけでよかったんスか?そりゃ鷹平さん的には伍輪の方が感動したでしょうけど、最後っスよ?
あの人と走るの。あの人が、競技者として向き合ってくれるのは最後だったんだから」
「――わかってるッて!最後最後ってうるさいんだよ!じゃあ、」
 どうしたらよかった?ぶざまだと笑われても泣き崩れるべきだったか?
 束原のように素直に抱きつくことも出来ない、末次さんのように見つめ合うだけで以心伝心な
わけでもない、自分はただ、
「……ッ」
 あの人が迷い無くスタートを切って、バトンをもらって走ってくれれば、
 それでよかった。
 あの時、最高に幸せだったから、
 今はもう、
 ……泣くしかない。
「今のうちに泣けるだけ泣いとけ。涙に、理由なんかないんだから」
 泣けば気が済む、と末次さんのさとす声が聞こえた。
「……浅原さんを惜しんで泣くのは今日限りだ。明日からは、浅原さんのいない競技生活が
否応なしに始まるんだから。……俺たちは、新しい戦いを始めなきゃいけない」
 2本目のビールを空にした。全部涙になれと思いながら。
218Crying babies(利令・三人→パパ)6/6:2008/09/26(金) 02:08:20 ID:LCsQsSYt0
「――そういや、終わった後、帰り際、セミの鳴く声聞きました」
「マジっスか?」
「うん。……聞き間違いかと思って耳を澄ませたけど、それっきり聞こえなかった。空耳だった
のかな」
「けど今日は日中暑かったから、鳴いたとしてもおかしくないな」
「ね。名残かも知れないですね」
 あの夏の。



 あの夏は、終わろうとしている。
219新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 02:09:23 ID:LCsQsSYt0
          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) Don't cry,babies...
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘
220新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 02:20:48 ID:UR7IKXlF0
>212
GJ!GJ!!
起きてて良かった。
良いもの読ませてもらったよ。
おかしいなパパン。モニターの文字が滲んでるよ…
221新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 02:39:11 ID:SxAi85FA0
ここんとこヌポーシネタが大豊作ですな
222新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 03:12:16 ID:UwdXIFaaO
もう本にして欲しいと思うくらい泣けたよ…
素晴らしいです
223新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 03:50:48 ID:+jkCJuPIP
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | しゃちほこ球団 D8→D7だってよ。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 需要が皆無じゃないモサ?
 | |                | |            \
 | | |> START.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧   
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  ハ,_,ハ
 | |                | |       ◇⊂    ) ';´∀`';  ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) c  c.ミ. _||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  u''゙"J   ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
224夜級 しゃちほこ球団 D8→D7 1/3  :2008/09/26(金) 03:53:38 ID:+jkCJuPIP
ベンチであんたのプレーしてる姿を見てて、正直「俺なら…」とか思ったりする。

肉体的援助とか、トンネルとか。まあ他色々。

別にあんたが嫌いって訳じゃない。高めを上手く捌いたり、バット投げたりするのカッコいいし。
同じポジションを争う相手だけど、魅力的だと思う。

ただ、俺が惹かれるのはそういうことだけじゃないんだ。

たとえば枡マスコットと戯れるあんた。すげー優しい顔してるの自分で気づいてるのかな?
その横で度荒にかまいながら横目でチラリと覗き見る俺…何やってんだろ。


悶々としながら一人歩いていたら、ずしりと肩に何かの重みが…。

「ヒ裸夕!」

本人登場かよ…。

肩に断りもなく腕をのっけられて
それに俺は付き合うようにして俺も腰に手を回す。

いわゆる密着状態ってやつ。

自然とにやけてくる俺の顔をあんたは楽しい顔と認識してるんだろうか。
微かに香ってくるあんたの匂いにドキドキする

…って、いやいやいや 俺にそんな趣味はないぞ!
そもそもにやけるって何だよ。有り得ない!
225夜級 しゃちほこ球団 D8→D7 2/3  :2008/09/26(金) 03:55:05 ID:+jkCJuPIP
「ボール」

「え?」

葛藤してる合間にいつの間にか俺の肩は軽くなり
重さの張本人は右手の白いグローブをパクパクと開け閉めさせていた。

「キャッチボール、ハヤク」

「あー、OKOK」

ボールを投げ交わしながら少しずつ後ろへ後ろへ後退していく。
無表情というか、何も考えてなさそうな抜けた顔を見て、俺の中にちょっとした悪戯心が湧いた。

ある程度離れたところで
わざと膝ぐらいの高さに投げてやると拍子抜けしたように球を取り逃した。

「トンネル?」
と俺が時事ネタでにやにやと笑ったら

あんたは苦笑した後、意地悪そうに笑って
そのお返しと言わんばかりにライナー性の球を投げきて俺をテンパらせた。

審判に暴言を吐いたりする選手にダメだって言える大人な一面がある反面で、こういう子供っぽい一面も兼ね備えてる。

だから俺と気が合うのかななんて思ったり。
226夜級 しゃちほこ球団 D8→D7 3/3  :2008/09/26(金) 03:56:23 ID:+jkCJuPIP
しばらくのキャッチボールの後、あんたはその球を客席の中に投げ入れた。
ライトスタンドの最前列。別に肩が弱いからとかそういうわけじゃない。

…多分。



ベンチに帰ってメンバー発表。そこにはセンター6番比良多の文字が。


試合開始が近づいてくる。
ドクドク脈打つ心臓のせいか、落ち着かない気分になっている俺の背中を叩いて
あんたは笑顔で

「ヒ裸夕、イショケ、ガンバロ」
って。
あんた、前と日本語の上手さ変わってねーじゃんとか思ったけど

なんか すげー嬉しかった。


この試合絶対勝つぞ。

あんたと笑顔でハイタッチしてやる。


俺アホだから、必死で打って守ることくらいしかできないし
他にどうすればいいのかわかんないけど。さ
227新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 03:59:29 ID:+jkCJuPIP
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  実話と創作が混ざってめんどくさいことに
 ____________  \        
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           
 | |  |□ STOP       | |            
 | |                | |           ∧_∧   
 | |                | |     ピッ   (・∀・; )  ハ,_,ハ
 | |                | |       ◇⊂    ) ';´∀`';  ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) c  c.ミ. _||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  u''゙"J   ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
228新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 09:50:07 ID:94ywNBPAO
野球だ陸上だスポーツばっかり・・・
229新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 09:54:53 ID:v6W6NOaO0
>>223
需要ここにありますw
何というほのぼの。
230新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 10:53:56 ID:MXFpGG0W0
ちょw
最近の豊作っぷりに今まで普通に観てた里予球が妄想無しに観れなくなってきてるww
231新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 11:26:41 ID:GIWhN9cD0
>>223
良いものを読ませて頂きました姐さん!!
232笑顔が眩しい。色んな意味で1/2:2008/09/26(金) 14:00:21 ID:aBD/gRSMO
空気を読まずに変態投下します。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


あれ、珍しい。笑ってる。楽しそうだ。隣のクラスの人だよなあの人。
仲良いのか、接点無さそうだけど。……俺と居るとき、あんなに笑わないよな。
うわ、何考えてんだ俺。あの変態外面は良いし、多分大した話じゃ無いだろう。うん。うん? 今なんか不穏な気配がしたような。気のせいかな。

いらっしゃい。今日の夕食は肉じゃがでござい。
いただきます。美味い? 良かった。実は芋から芽が出てて。問題無いようだ。
……そう言えば、さ。今日隣のクラスの人と話してたけど、友達? 「素晴らしき同志だ」? なんじゃいそりゃあ。
あ、もしや変態仲間かい。うわあ、あの人爽やかそうなのに。じゃあどこかに被害者が居るんだねえ。
233笑顔が眩しい。色んな意味で2/2:2008/09/26(金) 14:02:48 ID:aBD/gRSMO
で、つう事は昼間のあれは変態談義? 止めてくれよ学校で。人に聞かれたら事だよ。
「問題無い」? それなら良いけど。……言っとけど変態交流会に俺を巻き込むなよ。平和な学生生活を送りたい。


ご馳走様。完食どうも。あー会話の内容は知りたくないよ。不吉な予感がする。
「ならば行動で」って。その不敵で不気味な微笑みはなんだい。キモい。
洗い物が、ちょっと、抱えないで、手に泡が!
脱衣所に入るなよ。泡が服に付く!
ちょ、華麗な手つきで脱がさないで。
ていうかその笑顔怖いよ。いつの間にか腰抜けてるんですけど。はあ、「愛の力」。
……俺はもう何も言わない。腹括ったからもう気が済むまで愛してよ。
でもさ、その笑顔は引っ込めてよ。集中出来ないからさあ?


疲れた……。あーあ、日に日に浸食されている。抵抗感が薄れてる。
……ドレスより白無垢が良いな。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
需要あるかしら、これ。
234新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 14:10:56 ID:umAY6w/+O
>>232
すっかりほだされてる語り手がたまらんです。
白無垢とか諦めすぎw
235新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 17:10:02 ID:QITO4fQF0
>232
かわえぇ。めっちゃほのぼの。
攻めが、電波ユンユンなら、3倍萌える
236( ゚д゚ )はメイドロボのようです(0/3):2008/09/26(金) 22:00:53 ID:FuiADMh0O
( ^ω^)そんなわけでブーン系注意です
( ^ω^)ジョルジュ長岡( ゚∀゚)×ミルナ( ゚д゚ )だおー

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
237( ゚д゚ )はメイドロボのようです(1/3):2008/09/26(金) 22:03:51 ID:FuiADMh0O
 それは、巨大な箱であった。

( ゚∀゚)「………」

 人を入れてもなお余裕のありそうな高さ、幅、及び奥行。
外装は白色の包装紙で、下の方には宛先と品種だけが記されている伝票が貼られている。
それによると、色気も愛想もないこの巨大な宅急便は、「PC部品」であるらしかった。

(;゚∀゚)「(……オリエント工業?)」

 このサイズのPC部品に関する知識、なし。
 PC部品を注文した記憶、なし。
 宅急便が届く予定、なし。

 どう考えても自分の物ではない荷物は、しかし「ジョルジュ長岡様宛」であった。
顎に手を当て、箱の天板を見上げて、ジョルジュは思案する。

( ゚∀゚)「……とりあえず、開けるか」

 躊躇したのは、約3秒。
簡素な包装紙を破り、更に現れた箱に菓子折りのようだと間抜けな感想を抱いて。
ジョルジュは箱の蓋を開けた。

( -д- )
( ∀)     ゚ ゚

 いた。確かに人はいた。
 黒と白からなる服に身を包み、緩衝材の隙間に窮屈そうに――緩衝材をいくら詰めたところで、箱の中の空間が広いことに変わりはないのだが――身体を預けて、眠る。
その姿は、どこからどう見ても、
 
238( ゚д゚ )はメイドロボのようです(2/3):2008/09/26(金) 22:06:04 ID:FuiADMh0O
(;-∀-)「……俺様は何も見なかった」

 ぱたん、と。
妙に可愛らしい音を立てて箱は再び閉ざされた。

(;゚∀゚)「マジで人かよ……っつーかそれよりも――」
「……おい」
(;゚∀゚)「!!!」

 箱の中からの声に、ジョルジュは慌てて蓋に背中を押し付けた。
もちろんそれで事態が変わるわけもないが、冷静な理性とは裏腹に、身体は反射的に動いていた。

「どうせそこに居るんだろう?返事をしろ」

 押さえ付けた蓋が、低音に合わせて震える。
いません!いません!!と。
叫ぶ代わりに激しく振った頭のせいで、その振動が声だけでなく内部から叩かれているせいでもあるのだと気付くのに少し遅れる。
背中越しのノックを感じて、ジョルジュは蓋に体重をかけ、息を殺した。

「……居留守、というやつか」
(;゚∀゚)「………」
「まぁいい。そこに居ると思って話すぞ」

 ノックが止まる。

「音声認識は済んだ。お前が望もうと望むまいと、お前は俺の主だ」
(;゚∀゚)「(うっそーん!!)」

 衝撃的な告白に、ジョルジュの顔から血の気が引いた。
 
239( ゚д゚ )はメイドロボのようです(3/3):2008/09/26(金) 22:07:37 ID:FuiADMh0O

「だから」

 言って、澱みなく箱を振動させていた音が、ためらうように止まる。

「……お前が俺を望まないのなら、俺には行く場所が、ない」
( ゚∀゚)「………」

 声はやはり低く、そして、悲しげな音をはらんで蓋を震わせた。
 だからどうした、と。
ジョルジュは確かにそう考えた。
行く場所がないからと言って、それはうちに置いてやる理由には、なり得ないのだ、と。
自分はお前に来て欲しいとは、ほんのこれっぽっちも考えていないのだ、と。
 身も蓋もない、現実的な思考。
しかし、「冷静な理性とは裏腹に」、やはり「身体は反射的に動いていた」。
 箱に体重をかけていた身体を浮かせ、蓋を開けるべく振り返る。
ジョルジュが手を伸ばすより早く、がたりと、箱が揺れた。

(;゚∀゚)「うぉっ!?」

 蹴飛ばされた蓋がジョルジュの顔面を襲い、床へと落ちていく。
早朝の光を浴びて、白黒の服の男は窮屈な箱から外界へと、四肢を伸ばした。

( ゚д゚ )「改めて。おはようだ、ご主人」

 その姿は、どこからどう見ても、メイド服に身を包んだ成人男性だった。
 
240( ゚д゚ )はメイドロボのようです(*/3):2008/09/26(金) 22:09:28 ID:FuiADMh0O
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
241新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 23:32:20 ID:eJ578TX00
>>158>>170>>212
まとめてしまって申し訳ないが、姐さん方GJ!!!!
利例はパパ絡みだと途端に切なくなるなー。
それがパパの大きすぎる包容力故にというのが、また泣けるっっ(⊃Д`)
罪作りだぜパパ・・・。

242新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/26(金) 23:37:02 ID:WxlQaDno0
>>240
なんか好きだー!
ジョルジュいいヤツだなぁ。流され受けの予感w
冥途男のビジュアルは木枯らしさんで再生されてるんだが
243新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/27(土) 01:34:38 ID:BvMGPWAu0
(゚д゚)がこんなに可愛く思えたのは初めてだw
>>236GJGJGJ
244新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/27(土) 02:25:27 ID:59o5rsBF0
ウ.ッ.ド.ハ.ウ.スのジ.ー.ヴ.スシーリズで
ジ.ー.ヴ.ス(執事)×バ.ー.ト.ラ.ム・ウ.ー.ス.タ.ー(主人)です

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
245恋煩い1/8:2008/09/27(土) 02:27:08 ID:59o5rsBF0
「ところでジ.ー.ヴ.ス、褒美は何が良い?」
麗らかな午後。僕は自室のソファで寛ぎ、機嫌よく紅茶を啜りながら、横に立っている執事のジ.ー.ヴ.スに問い掛けた。
ジ.ー.ヴ.スは本当に出来た執事だ。馬鹿な若主人には勿体無いと言われたら、僕も同意せざるおえない。
今日も僕が悪友から押し付けられた無理難題に頭を悩ませている最中、手を差し伸べてくれたのは
ジ.ー.ヴ.スだった。どんな騒動も彼の知略にかかれば、暗闇に光が灯り物語は終焉を迎えるだろう。
しかし、今日はいつもと勝手が違った点がある。
そういった騒動に巻き込まれる直前、どういう訳か僕とジ.ー.ヴ.スは険悪な雰囲気であることが多いのだ。
別に、ジ.ー.ヴ.スが時間通りに食事を運んでこなかった(そんなことは絶対に有り得ない!)とか
ジ.ー.ヴ.スが愚鈍な僕に腹を立てていたりという事ではない。いや、ジ.ー.ヴ.スが腹を立てているのは
事実かもしれない。しかし大抵は僕の履く靴下の紫色をジ.ー.ヴ.スが睨むだとか、
僕が選んだネクタイとスーツの相性を見て、ジ.ー.ヴ.スが悲しげな表情になるとかそういったことだ。
だが、ジ.ー.ヴ.スが気に入らないからといって、彼の言う通りの装いにするのは、僕の思想に反する。
紳士たるものが、執事に飼育される立場になって良いのかと。英国紳士なら誰もが頷いてくれる筈だ。
ただそれと同時に、そんな嗜好や思想の対立なんて、ジ.ー.ヴ.スが解決してくれた事件や、
与えてくれた安息の前では小さいことだとも僕は思う。その度、僕は己が信条を折り、
お気に入りの靴下やスーツ・ネクタイの処分を彼に命じる。
それが僕達の間でのみ通じる暗黙の了解であり、お詫びであり、褒美でもあるのだ。
246恋煩い2/8:2008/09/27(土) 02:28:04 ID:59o5rsBF0
話は逸れたが、今回はそういった対立もケジメも無かった。そこがいつもと違う点だ。今着ている、
黒の縦縞が入ったグレーのスーツと、それに合わせた濃紺のネクタイは彼の見立てによるものだし、
この前独断で購入した帽子も「僭越ながら、フォーマルな装いには不向きではありますが、
海辺の行楽にはよくお似合いかと」と、珍しく褒められた。
だから、服の処分に代わる褒美をジ.ー.ヴ.スに与えなければならない。
問題解決も仕事のうちだと言えばそれまでだけれども、僕はそこまでセコくないし
「ありがとう」の言葉だけでは居心地が悪い。その場その場で、貸し借りなしにしたいというのが本音だ。
「褒美、でございますか」
ジ.ー.ヴ.スは言い淀んだ。イエスであれ、ノーであれ、光の速さで質問に答える彼にしては珍しい反応だ。
およそ悩みとは無縁であろう頭脳を持つ、この男も悩むのか。低い声と無表情こそ平時と変わらないものの、
ジ.ー.ヴ.スの人間らしさに僕は嬉しくなった。チラリとこちらの様子を伺うような顔。僕は気が大きくなった。
さぁ、何とでも言い給え!金でも何でも―――金?
そうだ、この思い切りの悪さや考えている姿。大金に違いない。
「給金を倍にして頂きたいのです」とか「実はお暇させて頂きたいと思っておりました」と言われたらどうしよう。
最悪な事態を想像してしまい、一瞬で間逆の心境へと陥ってしまった。
前者は僕の資産では若干厳しいが問題はない。しかし「もっと良い条件のところへ参ります」という後者だったら困る。
実際、彼をもっと良い条件で雇いたいという人は大勢いるのだ。
ジ.ー.ヴ.ス無しの生活なんて考えられない。僕が爽やかに目覚めると同時に朝食を運び、
僕の靴を文句無く綺麗に磨き揃え、スーツに丁度良い着心地のアイロン掛け出来るのは、彼だけだ。
相談役としてだけでなく、歩き方から料理まで執事として完璧なジ.ー.ヴ.スがいなくなったら
僕の生活に朝は来ないだろう。
247恋煩い3/8:2008/09/27(土) 02:28:54 ID:59o5rsBF0
まだ答えないのか。早く答えろ!
オ.ッ.ク.ス.フ.ォ.ー.ド時代、多大な迷惑を掛けたであろう教授達の気持ちが、
ほんの少し理解出来たような気がした。それ程この沈黙が長く苦痛に思えたのだ。
「ご主人様」
「何だ?」
動揺を悟られないように気を配り過ぎて、尊大になってしまったことを
ほんの少し反省しながら「決まったか?」と言った。
「はい。ご主人様に触れても宜しいでしょうか?」

僕は今とんでもない聞き間違いをしたので、聞き直した。
「……今、何て言った?」
「触れても宜しいでしょうかと申し上げました」
聞き間違えではなかったらしい。金銭面のことしか考えていなかった僕は、予想外の返答に驚いた。
「それが褒美か?遠慮しなくて良いんだぞ」
帽子だってスーツだって僕のサイズを直接測らなくてもピッタリのものを用意する男が、今になって直接
触って調べるとは到底思えない。ジ.ー.ヴ.スなりのジョーク、という事だろうか。
あまりの無欲さに「それでしたら給金を倍に」という条件を出されても、今なら二つ返事で快諾してしまいそうだ。
「遠慮等しておりません」
些か拍子抜けしたものの、僕は「いいぞ」と言った。
ジ.ー.ヴ.スが少し安心したような、それでいて緊張しているように見えるのは気のせいだろう。
「失礼致します」
そう言ってジ.ー.ヴ.スは中世の騎士のように屈むと、僕の頬に右手を添えた。
僕は居心地が悪くなり、窓へと視線を移した。それがまるで開始の合図だったかのように、
ジ.ー.ヴ.スはそっと撫で始めた。特に会話がある訳でなく、時計の針の音だけがいやに響く。
僕はされるがまま、じっとしていた。
248恋煩い4/8:2008/09/27(土) 02:29:34 ID:59o5rsBF0
しかしどんな時でも、ウ.ー.ス.タ.ー家の人間は好奇心を忘れないらしい。
ジ.ー.ヴ.スはどんな顔をしながら撫でているのか、気になりだした僕は、逸らしていた目を
こっそり戻してみた。意外というか予想通りというか、ジ.ー.ヴ.スはいつもと変わらない無表情だった。
しかし、端正な顔は改めてよく見ると心臓に悪い。しかもこんな至近距離だ。
ジ.ー.ヴ.スが瞬きをしたので、僕は慌てて頭ごと視線を逸らした。
その時ようやく、僕はとても緊張している事に気付いた。そういば、ネクタイを締めるときや
髭を剃るときに触れられる事があっても、触ることを目的として、触れられたことは
今まで一度だって無かった気がする。

何だ、何が目的だ?しかし、あまりにも遅過ぎた。それを今更尋ねるのは、馬鹿らしいことのように思える。
別に困る事でもないし、ジ.ー.ヴ.スがそう言うのなら、何かの得になるか、きっと正しいことなのだろう。
僕は考えることを止めて、流れに身を委ねる事にした。そうだ、彼が間違ったことなど今の今まで、
一度でもあっただろうか。そう自分を納得させると、急に力が抜けてきた。
時折耳や首筋に指が触れるのは、くすぐったいので止めて欲しいが
ゆっくりと撫でられるのは気持ちが良い。緩慢な反復作業は人を眠りへと誘う。
何が面白いのかジ.ー.ヴ.スから「ふっ」と、吐息に近い笑い声が漏れる。
「どうした?」閉じかけた瞼を無理矢理開けて、ジ.ー.ヴ.スを見た。さっきから聞いてばかりだ。
ジ.ー.ヴ.スは質問に答えず「ありがとうございました」と言うと、ゆっくりと手を離し立ち上がった。
「もういいのか?」
「ご主人様?」
ジ.ー.ヴ.スはお辞儀をしている最中だったので顔は見えなかったが、
言葉には「今何と仰いましたか?」というようなニュアンスが含まれていた。
驚くのも無理はない。これじゃあ、ねだっているみたいじゃないか!
急に恥ずかしくなった僕は、ジ.ー.ヴ.スが答える前に「眠くなったから夕寝する」と宣言した。
ベッドという緊急避難場所へ潜り込み、会話を強制的に終わらせたのだ。
249恋煩い5/8:2008/09/27(土) 02:30:15 ID:59o5rsBF0
これ程、雨というものを恨んだことはない。
最近あの褒美をよくよく思い出すのは、散歩にも出掛けられず暇なせいだ。
それ以来、ジ.ー.ヴ.スが僕に仕事以外で触れることはなかった。
褒美という形式だったのだし、当たり前のことかもしれない。
そもそもあれは褒美だったのか。あのとき、その意図を尋ねなかった事に
僕はとてつもなく後悔していた。今更「どういうつもりだったんだ?」とは言い辛い。
なんせ一ヶ月は経っている。返答が返って来るなら、まだ良い。
「何のことでしょうか?」と忘れら去られている可能性もあるのだ。
気持ち悪がられることより、忘れられている方が恐かった。記憶力の良いジ.ー.ヴ.スが
忘れる物事なんて無いと思うが、忘れた振りという可能性もある。僕とジ.ー.ヴ.スであの褒美の重さが違ったら少しショックだ。
ジ.ー.ヴ.スの気持ちや意図が気になるということは、認めたくないが、そういうことなんだろう。
だけど僕のこの気持ちだって、正真正銘本物とは限らない。別にそういう仲になりたい訳でもない。多分。
ただ、ジ.ー.ヴ.スの気持ちを知りたい。その後は状況と雰囲気によりけりだ。
どうすれば、スマートに尋ねられるだろうか。その後の生活に支障をきたすようでは駄目だ。彼に去られては困る。
やり取りを想像しては溜息を吐く、それが僕の仕事になっていた。

「そうだ!」
名案を思いついた僕は、ベルを勢い良く鳴らした。
僕の案はこうだ。「褒美をやろう」と言って、前と同じ答えだったら、その時、ジ.ー.ヴ.スに理由を聞けば良い。
例えば「そういえば前もそんな褒美をやったな。どうして触るんだ?」と気軽なノリで。
もし違う答えだったら、ジ.ー.ヴ.スにとって僕に触れた事は過去の事で、特に意味なんてない事の筈だ。
要求を適当に飲むなり断るなりして、ジ.ー.ヴ.スの本心を聞く事を諦めれば良い。
血迷った僕の想いも無かった事にする。僕の負けは無い賭けだ。
250恋煩い6/8:2008/09/27(土) 02:30:56 ID:59o5rsBF0
「ジ.ー.ヴ.ス、褒美をやろう」
「ご主人様?」
何の脈略も無く、そんな事を言い出す主人を不審がっている。
僕はジ.ー.ヴ.スの目を見て、僕の作戦が名案でも無ければ、そんなに大した案でも無い事に気付いた。
せめて、詩や恋文のように一晩寝かせてからにするんだった。いや、一晩では駄目だ。
何か一悶着あった後にでも言えば良かった。しかし、後悔してももう遅い。
「君が言いたい事はよく分かる。ただ、その……そうだ!身の回りの世話を良くやってくれているだろう」
「お褒めに預かり光栄でございます」
「うんうん」
「しかしながら、それがわたくしの誇りでもあり仕事なのです。お気持ちだけで十分でございます」
「そうか、そうだよな。じゃあ」
この話はお終いだ、と僕が続けようとしたそのとき、ジ.ー.ヴ.スは被せるように
「ですが……どうしても、と仰るのでしたら」と言い出した。
「何故、そのようなご発想に至ったのか、存じ上げたいと思います」
僕は耳を疑った。
「な、何故って、さっき説明しただろう?」
「では、質問を変えさせて頂きます」
表情を変えることなく、ジ.ー.ヴ.スは言った。
「ご主人様はわたくしの事をどのようにお思いなのでしょうか?」
何故僕が聞かれる立場になっているんだ!
「参考までに、君の意見から先に聞こうじゃないか」
「ご主人様」
ジ.ー.ヴ.スは恭しく僕の手を取って、甲に口付けた。
僕の気持ちを知っていて、ここまで期待させておいて、その癖、僕の口から言わせる気か。
これが単なる勘違いだったら、恥ずかしさで死んでしまいそうだ。
しかし、こうなったジ.ー.ヴ.スは梃子でも折れないのは、主人の僕が一番よく知っている。
そして結局先に折れるのは、いつも僕だということも。
251恋煩い7/8:2008/09/27(土) 02:32:02 ID:59o5rsBF0
「すまない、ジ.ー.ヴ.ス。褒美なんて嘘だ。冗談だ」
先を促すジ.ー.ヴ.スの瞳。これでは駄目なのか。
「僕は君の意図を知りたかった。何でこの前、触れたのかを。そのときの気持ちを。意味は分かるな?」
「申し訳ございません。心の機微には疎いもので」
こんなに説得力の無いジ.ー.ヴ.スの言葉を、聞いた事がある奴はいるだろうか。
可憐な少女が知らない振りをするならまだしも、お前が言うのか!やけになって僕は言った。
「僕は、執事としても人としても君の事が好きだ!だから君の気持ちを知りたいと思う!」
いっそ「命令だからさっさと答えろ。気持ち悪いと思うなら出て行け!」と怒鳴りたかったが
口の中がカラカラで、心臓は緊急時のベルのように鳴り響き、顔は熱いのに体は冷えていて
思うように声も言葉も出なかった。

「順序立てて、申し上げさせて頂きます」
ジ.ー.ヴ.スの右手が僕の頬に触れた。命令でもなく。褒美でもなく。
だったら、これは何なんだろうか。嫌なら嫌で我慢して従うのでなく、さっさと答えを言って欲しい。
誤解し、期待したまま浮かれるのは御免だ。
「褒美というお言葉を聞いたとき、悪い事ばかり考えつきました。
その為、失礼ながらわたくしは色々と知りたいと思料致しました」
「触る事でか?」
ジ.ー.ヴ.スの考える悪い事にも興味はあったし、色々に何が含まれるのかも気になったが、
それよりもその知りたかった結果とやらを、早く知りたかった。僕は先を促した。
「その時はよく分かりませんでした。ただ、ご主人様が物思いに耽る回数が増えたことに、喜びを感じました」
「人が悩むことが嬉しいのか!」
「この件に限らず、ご主人様の苦悩に満ちたお姿は、常日頃から大変好ましいと感じております」
「ジ.ー.ヴ.ス!」
ふざけるなと、僕の気があともう少し短かったら彼を殴っていただろう。
「いえ、今回の件に関しましては悩まれるお姿だけについてではありません。
ご主人様が一日中、わたくしめについてお考えになっているのかと思うと、不思議と心が満たされていったのです」
ふっとジ.ー.ヴ.スが微笑んだ。
「わたくしも、ご主人様をお慕い申しております」
252恋煩い8/8:2008/09/27(土) 02:32:44 ID:59o5rsBF0
これは反則技だ。長い付き合いの中で、ジ.ー.ヴ.スの笑顔のようなものは何度か見た事はある。
けれども僕に、しかもこんな柔らかい笑顔なんて。初めて見たかもしれない。
僕は驚きのあまり、怒りや喜びどころか全ての感情を持って行かれてしまった。
「ご主人様」
ジーヴスの右手が肩にゆっくりと滑り落ち、そっと僕の背中に回った。
「ジ.ー.ヴ.ス?」
今までの割れ物に触れるような力が一変して、強く僕を抱き寄せる。ソファから床へ崩れ落ちた僕は、
危うく膝を痛めるところだったが、そこは流石ジーヴスと言った所か。思った程の衝撃は無かった。
抗議の声をあげる前に、僕はジ.ー.ヴ.スに口を塞がれた。ちょっと待て、リードするのは主人である僕の役目だろう!
角度を変えて、ジ.ー.ヴ.スは僕の舌を執拗に追い掛けてくる。
くすぐったさと息苦しさに思わず身を捩るが、ジ.ー.ヴ.スは手加減しないどころか、
わざと音を立て僕を煽った。背中をさすられると、声にならない呻き声が出てしまうのが恥ずかしい。
ようやく開放されたときには、既に僕の体は息を吸う事しか出来なくなっていた。
ジ.ー.ヴ.スは仕上げと言わんばかりに僕の唇を舐め、耳朶を噛み、甘い囁きを耳に流し込む。
「君は愛を囁くときも、表情を変えないのか」
ジ.ー.ヴ.スの余裕が憎たらしくて、僕は息絶え絶えになりながらも皮肉を言った。
「ご命令とあらば如何様にでも」
「……君の好きなようにするといい」
「かしこまりました、ご主人様。ありがとうございます」

あの褒美を持ち掛けられた時から、ジ.ー.ヴ.スにはこうなる事が
分かっていたんじゃないだろうか。それとも彼なりに悩んでいたんだろうか。
悩んでいれば良い。もしそうでないなら、今からでも遅くは無い。僕と同じくらい悩め。
恋煩いで夜も眠れないジ.ー.ヴ.スを想像して、僕は笑った。
253新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/27(土) 02:44:30 ID:2iTfY8QCO
連続投稿規制に引っ掛かったので、最後携帯からになりますが
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
254新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/27(土) 03:39:32 ID:9HAgbjN90
>>244
うわーここでこんなのが読めるなんて!
すごいすごいありがとう!
執事かしこいよ、かっこいいよ
ご主人かわいいよ
もっと書いて下さいvv
255新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/27(土) 07:07:20 ID:DSjIwGOnO
西にあるネ申王求団53←5←1です。
ありきたりかつぬるいです…。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
256友達のうた(虎53←5←1)1/4:2008/09/27(土) 07:10:12 ID:DSjIwGOnO
試合の準備をしようと、階段を降りる。
カンカンと、それは静かな廊下を木霊した。
移籍してきて半年、ようやくこの音にも慣れてきたかなといった感じだ。

今日も一緒にスタメンだったらいいな〜…なんて、
淡い期待を抱きつつ、それを思うと鼻歌なんか歌っちゃったりして。

…でも、そんな僕に聞こえてきたそれは。
足と息とホンワカした気持ちを止めるのに充分だった。

「……うん、元気でやりぃや、ハマ」

は、ま………。

そう、優しく言ったのは…赤星さんだ。
姿が見えなくても、すぐ分かる。
だって今、僕に鼻歌歌わせてたのは赤星さんだから。

赤星さんは人目を避けるように、階段の影でケータイを耳に当てていた。
考えなくても、話の相手はきっとあの人だろう。
…僕とトレードになった、あの人。
257友達のうた(虎53←5←1)2/4:2008/09/27(土) 07:13:16 ID:DSjIwGOnO
僕よりほんの少し背の高い赤★さん。
僕が入団して、何だか嬉しそうにしてたっけ…(そんな気にすることないのに)。

そう色々思い巡らせていると、ピッという音が聞こえた。
そして頭だけだけど、こっちを向いたのが見えた。
…やば、こっち来る!
それが電話を切った音だと察知した僕は、急いで身を隠した。
丁度良く大きな荷物があって、悲しいかな僕の体はしっかり隠すことができた。

会長といえども、赤★さんはそんな僕に気づかず、
ケータイをポケットにしまい、足早に通りすぎていってしまった。

何となく気づいてほしかったような、ほしくなかったような。

緊張から開放された僕は、ユニフォームについた番号を見つめた。

…そういや、この番号前に付けてたのって………。

ぎゅ、とその番号を握り締めた。
「………僕、なのに」

「何やってんスか?」
「ヒッ!!」
258友達のうた(虎53←5←1)3/4:2008/09/27(土) 07:15:09 ID:DSjIwGOnO
唐突に声をかけられて、僕は悲鳴にも似た上ずった声を上げた。
恐る恐る振り返ると、其処には不思議そうにこちらを見下ろしたトリがいた。

「な、なんだトリかぁ〜…」
これが鉢さんだったら、色々大変なことを僕はこの半年で学んでいた。
だからトリだったことに安堵し、膝を抱え顔を隠す。
「何だとは何ですか、失礼ですね」
「悪い悪い…で、何?」
「それはこっちが先に聞いたんですけど…」
呆れたような顔をして、トリは自分の頭に手をやった。
「あ、そっか…ははは」
(故意ではないが)驚かされたことで、何だか力が入らない。

これは…僕の勝手な感情だ。
今この番号を付けてるのは僕なんですよ!だなんて…言える訳なく。

「何でもない、一人かくれんぼ」
「…は?」
上手くもない誤魔化し方であると認める。
ニヘと笑い、不自然であっても、早急にその場を去ろうと立ち上がった。
259友達のうた(虎53←5←1)4/4:2008/09/27(土) 07:17:05 ID:DSjIwGOnO
…でも。
左手を捕まれ、それは失敗に終わる。

「な、何?」
何故後輩にこんなにドギマギしなきゃなんないんだ・・・。
目が合わせられず、視線を意味もなく泳がせた。
するとトリは何を考えているのか、じぃとこちらを見つめたままだったが、
数秒後、僕の左手は解放された。
「………何でもないです」
そっか。じゃあ…先行く」
「はい、また後で」

お互いぎこちなく、会話を終える。
少し走って、僕はトリから逃げた。
背中の視線に気づかないフリをして。



それからというもの、何となくトリを目で追ってるような気がして。

そんな時赤★さんを見ると、何か悲しくなった。
260新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/27(土) 07:19:17 ID:DSjIwGOnO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


今日勝ちますように!!
261新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/27(土) 08:12:03 ID:mdQmmoKm0
>>244
元ネタわかんないけど、うわああ、萌えましたっ!
執事いいよ執事。
262新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/27(土) 09:47:40 ID:0c7x7rA2O
>>244
ジーヴス、萌えました
次回から腐ィルター掛けずに読めない
サイト探しに旅立つよ
263新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/27(土) 11:58:12 ID:yz7vV1roO
遅れ馳せながら>>236GJ!
ブーン系らしい文体がいいなぁ…続編にwktk
264新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/27(土) 12:16:44 ID:zHY8evlA0
>>244
同じく、元ネタ知らないけど萌えました
好きなジャンル来るかなーと覗いてて良かった。
265新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/27(土) 14:36:17 ID:G5JrCqbxO
>>244
うゎーい萌えた!原作の二人は前から気になってたけど
これで心置きなく萌えフィルターかけられる。続き待ってます
266新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/27(土) 15:56:41 ID:2RynYO8o0
>>244
原作は萌えまでいかなかったけど萌えた!
ご主人様可愛いなぁ
267新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/27(土) 16:36:39 ID:zEqbD3/Y0
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
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   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
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  |            ┌‐^──────────────
  └──────│前スレ>>450の続きでDMC佐治×根岸
                └───────────────


268DMC 佐治×根岸:2008/09/27(土) 16:39:19 ID:zEqbD3/Y0

どうしてだろう
どうしてこんな事になってしまったのだろう
僕はただ先輩が、根岸先輩が好きだっただけなのに
”好き”なだけで留めておこうと思っていたのに
それ以上を望んじゃいけないって分かっていた筈なのに
気付いたらその、大好きな先輩を組み敷いていた


ある日の下北沢であの人を見つけた。
「あっ……」
懐かしい歌声とギターの音、それに大学の時と変わらない笑顔がそこにあった。
「根岸先輩!」
気づけば僕は小走りであの人の元へ駆けていた。
先輩が音楽を続けていてくれた事、何も変わらずにいてくれた事
もう再会は果たせないと思っていたのにまた逢えた事
全てが本当に嬉しくてしょうがなかった。
「やっぱり根岸先輩だ!お久しぶりです!」
「さ、佐治君?!」
僕が後ろから声を掛けると根岸先輩の肩がビクッと震えた。
声も裏返ってるけど……そんなに驚かなくてもいいのに。
「大学の時以来ですね」
「う、うん。そうだね。佐治君も元気にしてた?」
「はい!」
269DMC 佐治×根岸:2008/09/27(土) 16:40:36 ID:zEqbD3/Y0
面と向かって話をするのはひさしぶり。
懐かしさと照れくささで最初はぎこちなかった会話も、時間が経つにつれてすぐにいつもの調子を取り戻していた。
「佐治君もバンド組んでるんだって?テトラポット・メロン・ティだよね」
「えっ知っててくれたんですか?!嬉しいなぁ」
「う、うん。サリーマイラブでしょ?あれは本当にいい歌だね」
「ふふっ先輩にはまだ敵いませんよ」
「そんなことないよ……」
急に先輩は少し沈んだ声でぽつりと言ってため息をついた。
「こんな人通りの多い道で演っても僕の歌は誰一人引き留められない」
「根岸先輩?」
「でも君は、君の歌で大勢の人に認められてるじゃない」
「僕は……」
先輩の言う通り、街を行き交う人達は足を止めることなく通り過ぎていく。
だけどあなたにはそんな悲しそうな顔してほしくない。
「でも、僕は根岸先輩の歌が大好きです。」
昔から音楽が大好きだった。
だけどあなたに出会わなければ、この世界に来ようとは思わなかった。
先輩が僕の歌を好きだと言ってくれたから。
大好きなこの音楽を続けていればいつか会えるかもしれないって思ったから。
だから僕はどんな困難にぶつかっても諦めずに続けてこれたんだ。
「佐治君、ありがとう」
根岸先輩は昔と変わらない、いつもの顔で笑ってくれた。
ずっと見たくてたまらなかった、僕の一番好きな笑顔。
270DMC 佐治×根岸:2008/09/27(土) 16:43:31 ID:zEqbD3/Y0
あの頃と同じ
あの頃から根岸先輩はギターで、僕はタンバリン。
昔を思い出した
根岸先輩といるだけで全てがキラキラに輝いていたあの頃の
届かないと知っていても恋い焦がれて狂おしくて切なくてたまらなかったあの胸の痛みを。

―僕はまだ、諦めきれない。

「あ、もうこんな時間」
気がつくと空が赤く染まっていて、随分と長い時間が経っていた事を知る。
「先輩といると楽しいから、時間が経つの早く感じますね」
「僕も同じ事思ったよ」
「あ、今日はこれから予定とかありますか?」
あくまで平然を装って、僕は勇気を出して切り出した。
「僕の家ここの近くだから、良かったら一緒に夕飯でも。話したい事、まだ沢山あるんです」
これが事の始まりだった。


「えっ……と、あの、その……」
根岸先輩が仰向けになって僕を見上げている。
「さ、佐治君、どうしたの……?重いよ……」
困惑した表情。
テーブルの上には空のビール缶が2,3本と、先輩の飲みかけのグレープフルーツ味の酎ハイ。
最初から下心があって誘ったんじゃない。
身の回りの事や大好きな音楽の事を飲みながら語り合ううちに、抑えきれなくなった。
「も、もしかして……酔ってる?」
「ビール2,3本程度じゃ酔いませんよ」
頭は正常。否、いつもよりよく回る。
271DMC 佐治×根岸:2008/09/27(土) 16:45:18 ID:zEqbD3/Y0
「先輩、僕ね結構もててたんですよ?大学の時…今もだけど可愛いって結構言われていたんですよ」
「なに……?」
「でも一度も彼女、作った事ないんですよ。これからもその気は無いです。何故か判りますか?」
「……」
根岸先輩は何も言わず首を横に振る。
僕は構わずに一人で話を進める。
「こないだ、雑誌の取材で相川先輩に会いました。根岸先輩は携帯もメールもアドレス変わってないって言ってた。
僕が何度かけても出てくれなかったのに。それに、遊園地で会った時も……」
あの時を思い出す。
「どれだけ僕が、根岸先輩に会いたかったか分かりますか?」
どんなに望んでも届かなかった声を今、聞いている。
どんなに伸ばしても届かなかった手を今、掴んでいる。
「その間、僕がどんな思いでいたか分かりますか?」
伝えずにいようって思っていた。
そうでなければ今の関係が壊れてしまうから。
でも、溢れる思いを止められなかった。
叶わない願いだと諦める気持ち以上に、声が枯れるほど愛を叫びたかった。
我慢しながら”いい後輩”をこの先も続けるくらいなら、終わってしまってもいいと思えた。
根岸先輩が好きで好きでたまらなかった。
「ずっとあなたがっ……!」
胸一杯に詰まってて、ずっと言えなかった言葉が、涙と共に溢れ出した。
「あなたが、好きでした」
ぼろぼろと泣き崩れる今の僕は、きっと凄く無様で情けない姿をしているだろう。
「わかった……もう、わかったから……泣かないで、佐治君」
今まで黙っていた根岸先輩が口を開いた。
涙で濡れる僕の頬を拭う手が、とても温かくて優しい。
結局僕はそのまま思う存分泣き続け、気付かないうちに眠りについていた。
272DMC 佐治×根岸(根岸視点):2008/09/27(土) 16:46:05 ID:zEqbD3/Y0
「ずっと、あなたが好きでした」
その告白と共に泣き崩れた佐治君。
あのままじゃお互いに姿勢が辛いから、今はとりあえず2人揃って床に横になってるんだけど……
佐治君、泣き疲れて寝ちゃったみたいだし、これからどうしよう?
いきなり押し倒されて最初は凄くビックリしたけど、今はそれ以上に驚いてるよ。
ごめんね佐治君。連絡取らなくて。
君には合わす顔が無かったんだ。
僕がやっているのは自分のしたい事と違う音楽だから。
しかも好きでもないのにやりたくもないのに売れてるなんて、本当に最低だよね。
そして、思いに気付かなくてごめんね。
”僕の歌が好き”って言ってくれる君が僕も大好きだよ。
だけど、僕から音楽を取ると君はもう振り向いてくれないのかなって思うと不安だった。
君が好きなのは、”ミュージシャンとして尊敬できる先輩”である僕だと思ってたから。
僕が知らなかっただけで、ずっと君は音楽込みでこんな僕を想っていてくれたんだね。
本当にありがとう。
さっきから謝ってばっかりだけど、それしか言えないよ。
明日、朝起きたらどんな顔して佐治君に会ったらいいんだろう?
……あ、メールが来てる。
和田君からだ……あっ、明日福岡に遠征だった!
で、集合が……朝の5時?!打ち合わせもしたいからって、早すぎだよ!
こんな事があった後で何も言わずに居なくなるなんて、逃げるみたいで格好悪いよ。
でも、こんな朝早くに僕の都合で佐治君に迷惑掛けるわけにはいかないし。
あぁごめんね。せめて机の上は片付けて帰るからね。
じゃぁ、おやすみ。佐治君。
根岸視点 終
273DMC 佐治×根岸:2008/09/27(土) 16:47:31 ID:zEqbD3/Y0
次の日、目が覚めると根岸先輩はもういなかった。
どんな顔で会ったらいいか分からなかったから、ホッとしたような気もしたけど、悲しかった。
いきなり押し倒して、泣いて、一人で勝手に盛り上がって……
もう、なんか僕って最低だ。
2日酔いと自己嫌悪で痛む頭を抱えて、僕はのろのろと立ち上がった。
「あれ?」
テーブルの上がいつの間にか片付いていて、ラップのかかったお皿がその上にのせてあった。
ガラスの小鉢にはレタスとトマトとシーチキンのサラダ。
白いお皿の上にはハート型にケチャップが掛けられたオムレツ。
そして小さく折りたたんだ手紙。
「これ、根岸先輩が……」
手紙はやはり昔と変わらない丸っこい文字で書いてあった。
”ごめん。用事があるから先に帰るよ。また今度、ゆっくり会おうね”
あぁやっぱり先輩は優しい。
ひどい事してしまったのに、もう終わりだと諦めかけていたのに
やっぱり僕は根岸先輩が好きだよ。
「また、会えるかな」
274DMC 佐治×根岸:2008/09/27(土) 16:50:45 ID:zEqbD3/Y0
      _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
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         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) 押し倒といてキスもなしかよ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘

何か続きそうな感じですがこれで終了です。
中途半端でごめんなさい。
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 優章決定戦に先発したけど負けてしまった帆っさん
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| でもぬこさんオメ〜
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

とりあえずぬこビールかけオメ!
でもまだシーズンは続くのだよ!
キスしたときの反応で、その日の機嫌がわかったりする。
けれど言ったことは無いしこれからも言うつもりは毛頭無い。
そんなもん教えたらむしろこっちの損だ、と糸田川は思っている。敢えて言ってやるほど、俺ぁ親切じゃねえよ。
言葉巧みにその気にさせるとか、そういうのがとんと苦手なものでまあ本当に毎回毎回、苦労するのはこっちだ。
だからそれはそれで、いわゆるフィフティフィフティという類。
今はまだ、体の芯がまだ何かに酔ってるな、と思う。二日酔いとはまた少し違う高揚感、ハレーションの残り。
髪まで染みとおったビールくささがシャワー3回でやっと抜けて、その後なお残った重だるいような、
落ち着かないようなうねりがその気にさせたのは、自分だけじゃなかったとは思うんだが。
「…穂葦」
「んあー?」
「人の上で寛ぐのはヤメロ」
「あ、悪い」
確かに、確かに俺が上になると重いのはわかる、わかるけどな、と糸田川は諦めのため息をついた。
少しもたげた首をばすんと落として、ホテルの部屋の薄暗い天井をまた、じっと見つめる作業に戻る。
「…悪いとか思ってないだろ」
呟いてもやっぱり穂葦は微動だにしない。
いくら自分よりましとは言っても、ガチガチの筋肉質の、プロのスポ一ツ選手が軽いわけが無い。
まだ痛む左肩には触れてこないのが、唯一の心遣いと言ったところか。
まあこれはこれで、悪くは無い。悪くは無いんだが、重い。べったり居つかれるというのは、思った以上にずっしりくる。
鼻先に触れそうで触れない穂葦の髪は、これまた何度も洗ったのだろう、普段ならありえないような優しい匂いがした。
考えてみれば首周りに触れる腕とか、特に筋肉のしなやかさは好きだなと思う。
自分の固く集まったようなものとは違って、投朱の腕は、それだけで芸術品だと思っている。
それはきっと、自分が捕朱頭だからなんだろう。多分。
「なあ」
取り留めの無いことを考えながら、密かに楽しんでいたりしたところに、動物的勘で察知したのかいきなり穂葦が声をかけてくる。
「…んだよ」
「何考えてる?」
「それは、俺が聞きたい」
自由になるほうの腕で(実は打撲も痛むは痛むが)がしがし目をこする。今何時だとか、本当にどうでも良いことを考える。
今さっき一発かましたところに、まだ体が密着してるときている。余計な反応をしたら即、こいつにばれることこの上ない。
重いだるいあれ、がまだ腰の辺りに残っている。
「俺か?」
「お前以外誰がいんだよ。さっきから人の上で」
「何で打たれたか考えてた」
「…今?」
「まあ、うん」
穂葦が喋ると、ダイレクトに皮膚から声が伝わる。
一足先に熱が消えてしまったのか、それとも元来の性格のせいか、まるで何ごとも無かったかのような言い方だ。
「…」
糸田川は絶句した。が、あーやっぱりか、と思わないでもなかった。
思えば最初から素直すぎた。というか、今考えればあれは上の空ってやつだ。
俺はとことん捕朱頭だが、こいつはとことん投朱脳だ。ああ、知ってはいたが、やっぱりそうか。
大体キスしたときの反応でわかるんだよ、お前は。
しかし最初から上の空で、何で打たれたか考えながらやってたって、今の今までお前というやつは。
腕を目の上において呆れたふりをした。半分呆れたのは正しい、でも半分落胆したのはばれたくない。
まるで昨日のゲームと、その後の胴上げみたいな。
「そりゃ、お前が悪い」
「…んだな。抑えてりゃ、なあ」
もっと美味い酒が飲めたなー、と穂葦は呟く。
ビ一ルかけでは馬鹿みたいにはしゃいでノリノリだったくせに、納得のいかないことはとことん考えてたんだろう。
「…俺がいなかったから?」
ぼんやり、糸田川は言ってみた。穂葦の左腕がピクリと動く。
結果として負けゲ一ムになってしまって、でもそれをベンチから見ていただけの身としては、穂葦の言い方も少々堪えた。
出ろと言われていたのに出られなかった負い目も、ほんの少しある。それから、俺だったらもしかしたらという自尊心。
自信過剰になりがちなとき、よく周囲にガツンと言われたりはする。けれどこれに関しては、譲れない部分もある。
俺だったら、お前を最高の投朱にしてやれたかも、って思ってんだ。ギンには悪いけどな。
「あほ。お前がいなかったら並ピー、みたいに言うな」
「そこまでは言ってないだろ。じゃなくて、お前がもう少し低めを意識してりゃ」
「だーっ言うな!古傷を抉るなっ」
「古傷か?たった一日前の」
「うるっさい!」
ついに穂葦ががばっと身を起こした。
じーっと睨みつけながら、言い返せないが腹が立つ、と顔に書いてあって笑える。
証明を暗くしているせいで、あまり光は無いのだが、目の力は強い。負けず嫌いの塊だ。
被っていたシーツの波が、やがてその背中を滑り落ちた。
「…」
まるでそれが合図のように、穂葦は一つ息をついて、やっと体を完全に起こして傍らに滑り降りた。
「あの失点は、俺のミス」
言いながら散らばっていたTシャツを頭から被る。
滑らかな筋肉が覆いつくされて、暗い光の中だからこそ、その陰影は際立って波打った。
「穂葦」
「それ以上でもそれ以下でもねえ」
俺の罪は俺が負う。お前にはお前の十字架があるだろう。
意外にも、まるで笑っているような声と背中を、糸田川は見ていた。
言外の意味は肺腑に堪えた。焼け付く味が広がって、声にならなかった。
がさごそ、その辺に落ちていたものを身につけて、穂葦が部屋の隅っこにしゃがみ込んだ。
がちゃこんとホテル備え付けの小さな冷蔵庫からポ力リ缶を取り出して、これ貰うぞ、と軽く振り返る。
ベッドからゆっくり起き上がって、糸田川はがりがり頭をかいた。
「…」
そりゃあそうだ。
その通りだ。
だけど俺は、痛みすらも共有する瞬間のことを覚えている。
舌で味わった肌のように、忘れやしない。
「…俺が出てりゃあな」
「おい、だからお前とは関係ないっつの」
「うるせ。独り言だ、こっちの」
ぷしっとプルリングをむしる音。
パンツ一丁でウロウロすんなって、いつも言ってるだろうによ。
「俺が出てたら、ソロくらい打ってた」
「…」
「…誰も打てないときは、俺の出番だ」
お前に援護をやれてたら、それでチャラだったな。
お前に多くは与えてやれないけど、傷跡を埋めるようにしてやりたい。だから自信過剰だと言われるのはわかっているが。
穂葦がまあそうだな、お前そういう宝くじみたいなトコあるし、と言う。笑みが混じっている。
手傷を、そのままにしておきたくはない。
「馬鹿にすんな」
「ありゃ。独り言じゃなかったか?」
「それは終わりだ。…穂葦」
実は自分も枕元にずっと置いていたものがある。部屋が暗かったから、お前に気付かれなかっただけかもしれないが。
お前に多くは与えてやれない。でも掠った傷は、そのままにはしておかない。
「とりあえず、そこ座れ」
「…マジか」
「木レ幌の反省は、木レ幌のうちにだ」
昨日のス湖アブックを広げると、ポ力リ缶をくわえながら、相変らずトランクスのまま間抜けな帆足がうげげと変な声をあげる。
明日にはまた違う日が始まるんだ。
そして今、体の芯はまだ何かに酔っている。
「…っしゃ、やるか!しゃあねえ」
ホテルの椅子をがすがす寄せてきて、穂葦がさっとベッドランプを明るくした。奇妙な笑みはとっくに消えていた。
ポ力リスエットはまだ手に持ったままだ。
もうビールには手を伸ばさなかった。
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 真夜中お仕置ミーティングだよ!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 

どのテレビも打撃で打ち勝ってきたとアピールしていたのに、ビールかけで
「投朱のおかげでここまでこれた!投朱陣サイコー!」とのたまった糸田川さん

テンション高くノリノリで場を締めたくせに、その言式合で勝てなかったのを
実は一人落ち込んでいた穂葦さん

どっちも萌え…
しかし枠も中路も安も栗もかわえええええかった…
つくづく幸せ行事ですねえ…
281新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 00:13:06 ID:Mzc3xtfDO
最近スポーシ系のやつばっかでつまらん
282新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 00:17:42 ID:2hrujyvC0
>>275姐さんのおかげでそのCP好きになりますた(゚∀゚)
元々同い年スキーなので尚更!
283新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 00:29:01 ID:oRcM569rO
>>281
じゃあおまいさんも自分の萌えをぶつけるんだ!さあ!w

ヌポーツネタは時事ネタだからねー
増えるには増える理由があるわけで。
私は楽しみにしてるんで皆様どんどんやっちゃって欲しい。
もちろんそれ以外もカモンw
284新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 00:37:57 ID:s5OuLrxFO
ヌポーツも虹もオリジナルもなんでもバッチコーイ


>>275
待ってました姐さん!
麦酒かけ全部はしごしたけどみんな可愛かった(*´∀`)
〆でちとすべりぎみな歩芦さんに萌えますた

しーえすでこの電池が見れたらよいですな
ズン何処の肩が早くよくなりますようにナモナモ
285新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 00:59:40 ID:gwMAYVoE0
>>274
おぉ〜っ!ちょっと切ないのが大好物の身にはたまらんです!
押し倒しといてその後何も起きないのもまたいいもんです。
二人ともかわいいなぁ〜、また映画見に行っちゃおうかなぁ。
続いてくれちゃったりしちゃったりなんかしたら嬉しいです。
286新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 01:12:30 ID:0kO5hK3XO
>>275
やった〜待ってました!!超GJ!
姐さんの書く2747大好きだー(*´д`)
287新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 01:32:36 ID:3HmoB/k20
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

お話中失礼します。
801系新板に関する投票のご案内です。
今晩(28日)深夜1:00より、下記スレにて投票を実施しています。
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1222514230/
801創作を扱う新板の案もあります。
詳細は投票スレのテンプレを参照してください。
ご質問等は新板要望スレへお願いします。
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1218705502/
新板に興味のない方はスルーしてください。申し訳ありません。

スレテンプレの使い方間違ってたらすみません…

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
288新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 02:06:46 ID:S/GNy4hLO
>>275
ままま待ってました姉さん…!堪らん!
他ファンですがこの電池に目が話せません
ビイルかけではしゃいでいたズンさん、
複雑な気持ちだろうがしいえすで弾けてくれ!の前に肩をお大事に…
289新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 09:05:13 ID:+m9zPRhIO
>>281同意

>>283
前に自分の萌えを投下したら、たまたま三つくらい重なって
ブーイングされてから投下出来ずにおりますが
290新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 09:12:11 ID:xDM5bNWp0
誰かの萌えは誰かの萎え
ここは21歳?以上の大人の場所
スルーも出来ないならお帰りなさいな

前回重なってたなら今投下したら?
それこそ別ジャンルが読みたいひとがいるかもしれないよ?

>>274
サジくん切ないけど、でも両思いでよかったです。
続きを期待していますw

>>275
待ってました。相変らず良い関係だ〜。
エロいのにエロくなくて、なのに萌えw
291新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 10:34:46 ID:h6px0cdU0
流行り廃りは確かにあるだろうけど、
たとえばナマモノの投下が多いからといって
二次ジャンル好きのROMが消え去ったかというと
別にそんなことはなかったぜ!……という認識でいいんだよね?

>>289
誤解を招くような言い方をあえてさせてもらうけど、
ブーイングされたのは、本当にジャンルだけのせい?
本当に萌えられる作品なら、後からでもレスあるはずだし
ジャンル外の姐さん方だって注目してくれるはずだよ。
292新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 11:23:18 ID:Xd0mIptj0
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 | ここはBLで!    |
 |_________|
    ∧∧ ||
    ( ゚д゚)||
    / づΦ
293新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 11:50:17 ID:h6px0cdU0
最終話 希望を胸に すべてを終わらせる時…! 8・0・1第1巻は、発売未定です。 夢野カケラ
ヤマト「チクショオオオオ!くらえサイアーク!新必殺音速SS連投!」
サイアーク「さあ来いヤマトオオ!オレは実は一本読んだだけで萌え死ぬぞオオ!」
(ザン)
サイアーク「グアアアア!こ このザ・ナマモノと呼ばれる四天王のサイアークが…こんな小僧に…バ…バカなアアアア」
(ドドドドド)
サイアーク「グアアアア」
ゴクアーク「サイアークがやられたようだな…」
キョウアーク「ククク…奴は四天王の中でも最弱…」
レツアーク「人間ごときに負けるとは魔族の面汚しよ…」
ヤマト「くらえええ!」
(ズサ)
3人「グアアアアアアア」
ヤマト「やった…ついに四天王を倒したぞ…これでベルゼバブのいるビデオ棚が開かれる!!」
ベルゼバブ「よく来たなSSマスターヤマト…待っていたぞ…」
(ギイイイイイイ)
ヤマト「こ…ここがビデオ棚だったのか…!感じる…ベルゼバブの萌えを…」
ベルゼバブ「ヤマトよ…投下する前に一つ言っておくことがある
お前は人が萌えるのに『自ジャンルのSS』が必要だと思っているようだが…
別にジャンル違いでも、萌える作品には萌えられる」
ヤマト「な 何だって!?」
ベルゼバブ「そして今流行のジャンルは 増えてきたので油断すれば埋もれがちだ
あとはお前が好きなジャンルで投下するだけだなクックック…」
(ゴゴゴゴ)
ヤマト「フ…上等だ…オレも一つ言っておくことがある
このスレには特定ジャンルの作品とそのファンしか存在しないような気がしていたが
別にそんなことはなかったぜ!」
ベルゼバブ「そうか」
ヤマト「ウオオオ イくぞオオオ!」
ベルゼバブ「さあ来いヤマト!」
ヤマトの萌えが棚を救うと信じて…! ご愛読ありがとうございました!
294新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 12:35:09 ID:/NS0KsMGP
>>293
ちょっと説教臭さとやっつけ感が強すぎる。
一番の問題は、読みたいとは思わせられない全体の文章配置。
元ネタの秀逸さ(笑)に頼りっぱなしなのに生かせてないところ。
295新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 12:42:10 ID:+m9zPRhIO
>>291
普通に良レス貰えたよ
他の人も好感触だったし、文章上手かったよ
今のスポーツ連投のが凄いのに、何でなんだと疑問に思う
296新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 13:10:11 ID:oRcM569rO
>>295
もう絡み行けば?
あなたの過去作品の出来は知らないけど、今の空気読めなさは異常。
ブーイング食らったっていうのも、あなた自身に問題あったんじゃないかって勘ぐりたくなる。
ついでに言うと、今のレスからあなたの文章力が素晴らしいとは感じない。

連投って思うなら今また投下したりしたらいいじゃない。
ぐだぐだ言うなら見なきゃいいでしょ。


では次の萌えドゾー↓↓
297新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 13:41:45 ID:UANx+3NTO
>>274
GJ!二人とも可愛いよ。映画で葱萌えしましたが、この二人良いなぁ。
何にもしてないのがまた禿ます。
是非ともその後の二人をまた書いて欲しいです。
298新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 13:43:35 ID:OtbBk732O
>>295
うぜえぇええぇ
死ねよボンクラ作者www
299新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 14:34:11 ID:YTUVGA9s0
空気を読まずひっそりと ショーギ界 生物注意報
終わったばっかの王/位/戦
フ/カ, ハ/ヴ なんとなく>>128の続きのような?
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
300ぉぅぃ1/5:2008/09/28(日) 14:35:46 ID:YTUVGA9s0
さっきまでの激しい終/盤戦の名残か、頭の中をザラザラと流れていく符号がまだ止まらない。2三桂不成、3一角、2二角…5七と、7八飛に…8五桂、いや6五桂…
ひとつひとつの手から枝分かれしていく無数の手順が、切れ切れに意識のあちこちで瞬く。
あまりに分岐点の多すぎた激しい将/棋に脳がまだ検討をやめてくれないのだ。
八部は痺れた頭でぼんやりと考えていた。
去年と同じだ。
七番勝負を一勝三敗の角番から凌いでフルセットに持ち込み、最終/局でねじり合いになって、ギリギリの局面で勝ちを逃した。
そして…
たった今自分を負かした男の手が、和装の襟元から差し入れられて対/局に疲れた身体を乱暴に嬲っていることも、去年と同じだ。
301ぉぅぃ2/5:2008/09/28(日) 14:37:34 ID:YTUVGA9s0
後手番の激戦を凌ぎ切ってタイトルを防衛した、その余韻に頬を紅潮させたままズカズカとやってきた鱶裏にそれと分かっていて何故扉を開けてしまったのか自分でも分からない。
ちょうど一年前、同じ相手に八部は負けてタイトルのひとつを奪われた。その夜部屋を訪ねてきた鱶裏に何をされているのか分からないまま押し倒された。
それ以来何度か馴れ馴れしく伸ばされてきた腕を振り払ってきたはずだった。
なのに何故今日は、去年起こったことと同じことを予定調和的に繰り返してしまっているのか。
まるで終/局後の感/想戦やインタビューをこなすのと同じように淡々と流れに乗ってドアを開けてしまった。
鱶裏は勝者の権利とでもいった顔で部屋に入ってチェーンをかけると、前置きもなく八部をベッドに引き寄せた。するすると手慣れた調子で和装の紐が解かれていく。
何をされるのか分かっているのに操られているかのように身体が動かない。
一年ぶりですね、とニヤニヤ笑いながら鱶裏は八部の眼鏡を取り上げた。度の強いレンズの下から意外なほど大きな鋭い瞳と長いまつげが現れる。普段は対/局者しか見られない、その表情。
302ぉぅぃ3/5:2008/09/28(日) 14:38:54 ID:YTUVGA9s0
「あの時は杜家さんに邪魔されましたからね」
笑いを含んだ声。
不意打ちのように出された名前に八部の肩がビクリと跳ね上がる。我にかえったように身体をひねり、腕から逃れようとした。
八部よりも背の低い鱶裏がそれを鼻で笑って軽々と押さえ込む。
中途半端に和服をまとわりつかせたままの身体をまさぐりながら袴をたくし上げた。
「杜家さんとはあの後寝たんですか?」
純粋で誠実な友人を侮辱されて鳥肌が立った。
のしかかってくる身体に腕を突っ張らせて引きはがそうとしたが、鱶裏は意にも介さない様子で八部の身体をひっくり返し、もがく腕を後ろ手にひとまとめにした。
盤上にスイスイと伸びて強手を指してくる優雅な指が自分のゴツゴツとした手に押さえつけられるのを見て満足げな吐息を漏らす。
「悔しいですか?」
耳元に注ぎ込まれる囁きまでも、去年と同じだ。
切迫してくる男の呼吸を、八部は歯を食いしばりながらもどこか遠くに聞いていた。
303ぉぅぃ4/5:2008/09/28(日) 14:39:41 ID:YTUVGA9s0
今日は時間がないのが残念ですね、と慌ただしく行為を終えると鱶裏は簡単に身じまいをした。ぐったりと眼を閉じた八部の額に浮かんだ汗を指先で拭う。
「悔しいですか?」
もう一度言われたような気がした。
しかしそれは空耳だったかもしれないし、鱶裏がドアを閉めた音だったかもしれなかった。

しばらく動くこともできなかったが、長年のプロ生活で身体に刻み込まれた義務感が八部の意識をかろうじて現実に戻した。
外された眼鏡を手探りで探しあて、時計を見る。
夕食会までもう時間がない。引きずるように身体を起こした。
304ぉぅぃ5/5:2008/09/28(日) 14:40:48 ID:YTUVGA9s0
痛いほどシャワーの勢いを強くし、顔を上に向けて熱い湯の流れを受ける。
無性に誰かの名前を呼びたかったが、呼べなかった。
この歪んだ流れを断ち切ることは、自分一人でしかできない。
いつだって自分や杜家や差等は盤外で何をされようが、盤上で決着を付けてきた。それが自分たち世代の誇りだ。
今年は失敗してしまったけれど、また一年かけて今度こそ自分の手で誇りを取り戻さなければならないのだ。あの男を叩きのめして、あの腕を毅然と撥ね付けるために。
勝つことも負けることも星の数ほど積み重ねてきた。
それでも悔しいか?
死ぬほど悔しい。
それなら、まだ戦える。
シャワーを止めてブルブルと頭を振った。
ガシガしと身体を拭き、シャツに腕を通し、スーツを身に着ける。
すでに始まっている次の戦いのために八部は再びぐいと頭を上げ、部屋を出て行った。
305新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 14:41:47 ID:YTUVGA9s0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>128にレスくださったかた、ありがとうございました
一応枠組み的にオチがついた? お粗末様でした
306新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 15:35:50 ID:on2avOB70
>>299
GJ!燃えました!!
一人雪辱を誓うハブタン(・▽・)イイ!!
でも、シャワー中に呼べなかった名前が気になるんだぜ
307新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 16:14:31 ID:IZUocJFm0
>>299
神が再降臨!萌え死ぬ、マジで萌え死ぬ!
呼べなかった名前は、Mさんだとさらに萌え
308新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/28(日) 16:40:15 ID:Q3OFZSCA0
>>299
初めてこのザンルで萌えた!
これはイイ!
ありがとうございます!目覚めたー
309喪心の赤 0/7:2008/09/28(日) 23:46:45 ID:jFrL8wTdO
なまもの。完全捏造です。ダメな方はスルーしてください。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
310喪心の赤 1/7:2008/09/28(日) 23:48:15 ID:jFrL8wTdO
建物の玄関で鉢合った彼に、なにも食べてないならこれから一緒に食事に行こう、と誘われて、断る理由が思いつかなかった。
今にも自分の手を取り引っ張って行きそうな勢いだったので、おとなしく付き合うことにしたのだ。
空腹時に正しい判断を下すことはとても難しい。

彼と食事にくるのは特に珍しいことではないが、日常的なことでもない。
何度か来ている全席個室の居酒屋も、彼と二人でくるのはきっと、初めてだった。
隅の席に案内され、彼がメニューを開く前に店員にいくつか注文をする。
特別、嫌いな食べ物はなかったはずだし、一秒でも早く、なんでも良いから口にしたいのは同じだろう。

「よく来てんの?」

店員が持ってきた烏龍茶を一気に飲み干して、氷をくるくる回しながら、正面に座った彼が訊く。
首の動きだけで肯定すると、ふうん、と気のない答えが返ってきた。
興味がないなら訊かないでよ。文句の一つ二つでも言ってやろうと思ったが、
すでに彼の関心は他に移り、鼻唄まじりにメニューを広げていたので機会を失った。
今日はとても機嫌がいいらしい。
311喪心の赤 2/7:2008/09/28(日) 23:50:57 ID:jFrL8wTdO
頼んだ料理が次々と並べば、あとは出された順に皿をきれいにしていくだけでいい。流れ作業のような行為。
これも仕事のひとつだと言う先輩たちがどうにも理解できなかったのは初めの数ヶ月だけだった。
車にガソリンを入れないと動かない、自分たちもそれと同じだ。
こういうものは頭で理解するのではなく、体感することがいちばんなのだと知った。

「いつから行くんだっけ」

ちょっと駅まで買い物に行く、くらいの軽い口調で、彼が話を切り替える。
気楽なものだと思う。こっちは相当の覚悟と決意が必要なのだというのに。

「来週から」
「いつまで」
「十一月のはじめまで」
「ふうん」
「おまえ自分から聞いておいてそれ? 興味あるの?」

ほんとうに、調子のいい男だ。絶対に顔で得をしている。
真面目なやつだと思っていたけれど、真面目に付き合っていたらこちらが持たなくなる。
312喪心の赤 3/7:2008/09/28(日) 23:52:42 ID:jFrL8wTdO
「あっちで切れないから、髪、切ってから行った方がいいって、言ってたよ」

帰ってきて真っ先に切ったって、と、同期の名前を出して、こちらに左腕を伸ばしてくる。
前髪から即頭部へと移り、無造作に無遠慮に、指先が髪を絡め取っては離してゆく。
右手は箸を離さずにいるから、おそらく意識をしているわけではないし、
特別な意味があるわけでもないのだろう、分かっている。
彼とはそれなりの付き合いをしてきているのだから、知っている。
時と場合を考えず、平気で人に触れてくる、その面倒な癖を、なんとか早く自覚して矯正してほしい。

「伸びた?」
「…おまえに比べたら、そりゃあ、長いんじゃないの」

箸を置いて、意志を持った右手で彼の左の手首を掴んで遠ざける。
触れた彼の体温がやけに高く感じたのは、効きすぎた冷房のせいだろうか。
313喪心の赤 4/7:2008/09/28(日) 23:53:44 ID:jFrL8wTdO
たいして気にした素振りも見せずあっさりと引き下がった彼は、新しい皿に箸を伸ばしていた。

「あいつフォローしてから行ってよ、へこんでたから」
「…なに」
「調子落とされるとおれもみんなも困るんだよね」

一息入れる間もなく話が切り替わり、他人事みたいに軽い調子で告げられたものだから、
聞き逃してしまいそうになった聞き逃してはいけない言葉。

「なんで、」
「盛大に誕生日祝ってくれるんじゃなかったんですか!」

声真似をしているつもりなのか、普段の声から若干トーンをあげて、彼が口をとがらせてみせる。
正直、あまり似ていないから反応に困るのだが、そんな自分を見て、またすこし、笑った。

「だって、自分で決めたんじゃないし」

まだ終わっていないのに、自分だけ持ち場を離れるようなものだと思う。
向こうで次にむけて頑張ってこよう、という思いも、もちろんしっかりとあるけれど、
思い描いた成績が残せなくて、あのひとや首脳陣を失望させたまま、
今年はもう取り返すチャンスは廻ってこないし、今後、与えられるかもわからない。
一日一日が勝負で、結果は数字にしっかりと表れてしまう、それがやりがいにもなれば重圧にもなる。
314喪心の赤 5/7:2008/09/28(日) 23:54:43 ID:jFrL8wTdO
行きたくない、そういった思いも奥底にないわけではない。
まだ終わっていないのに、自分はもういらないのだと、そう宣言された気持ちにならないわけがない。
無念とか悔しさとか、言葉にできないもやもやした思いは、告げられたあの日からずっと胸に残っているが、
彼にも誰にも、絶対に、相談なんてできなかった。


だって、おまえや、あいつは、最後までずっとここにいるんだろう。

「どうにもできないんだけど」
「だから、おれに文句言ったんじゃないの」
「…そうだね」

彼へ愚痴っているくらいなら可愛いもので、むしろ、これくらいが年相応の反応なのかもしれない。
普段の付き合いで、年齢を意識することはないので忘れがちだったが、
オンとオフの切り替えが驚くほど上手いくせに、気を張っていない時間はほとんどないのではないだろうか。
どこかでうまく他人との距離を測っていて、こちらが困惑するようなわがままは、なにも言わない。
そういうところは、もっと、彼を見習ってもいいのに。

「おまえには、なんか言ってなかったの?」
「……、おみやげは、食べられる物の方がいいです」

しばらく考えても特になにも出てこなかったので、正直に答えると、けらけらと正面の彼が笑いだした。
なにが面白いんだか理解できずに不愉快で、机の下で脛を蹴ってやったら更に笑った。
315喪心の赤 6/7:2008/09/28(日) 23:56:08 ID:jFrL8wTdO
ああ、やっぱりこいつはマゾヒストだったのだ。そうでなければただの馬鹿だ。
相方が馬鹿だなんて致命的にもほどがあるのだが、自分の命運の半分はこの男が握っている。

ひとしきり笑ったあと、時計をみた彼が会計用の卓番札を手に取った。
そろそろ帰ろうか。聞いてきた彼より先に立ち上がる。
居酒屋で一口もアルコールを口にせず、12時前に店を出るのはすこし悔しいが、自分にも彼にも、明日がある。

「かえる。つかれた」
「なんで」

心の底から不思議だという表情をした彼に、自分の考えていることを理解してもらうのには、あと何年必要なんだろう。
316喪心の赤 7/7 おわり:2008/09/28(日) 23:57:44 ID:jFrL8wTdO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
317新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/29(月) 01:36:47 ID:OHnVvBRYO
映画「闇騎士」より。
映画と原作のJok3rの違いについて考えてたら纏まらなくなったので>>8を免罪符に見切り投下。
かなり私見が入った『人間』Jok3r注意。パラレルワールドだとでも思ってくれ…。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ダンペン デスガ
318新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/29(月) 01:37:48 ID:OHnVvBRYO
 扉を蹴り飛ばした5atmanの目に入ったものは、寝床から跳ね起きる男の影だった。
 5atmanが部屋へと踏み込むその数瞬で、男はベッドサイドから拳銃とナイフを掴み取る。
パイプベッドの向こうに滑り落ちるようにして、彼は襲撃者から距離を取った。床に降り
立つやいなや、彼は即座に寝床を横倒した。銃撃に備えて簡易バリケードを築いた彼が
発砲を待ち受ける僅かな間に、5atmanは男を急襲する。異変に気付いて男が拳銃を
構えた時にはもう遅い。
 5atmanは難なく拳銃をもぎ取って、ナイフが握られた左手と男の襟首とを同時に掴み上げた。
 マスクの奥で燃える目と、落ち窪んで血走った目がにらみあう。薄いマットレスと
スプリングを挟んで、彼らは何度目かの――そして、ある意味初めての対面を果たした。
「……ルームサービスは頼んでねえぜ」
「まだ目が覚めないのか? お前の役割は客じゃない。今回の注文はお前のテイクアウトだ」
 応えた5atmanは、目の前の男をしげしげと眺めやった。
 そこにいたのは、男だった。
 白塗りもない。口紅もない。もしこの顔だけを見せられたとして、Jok3rであると
断言できる警官は、市警全体を探してもはたしているかどうか。緑がかったもつれた髪と
口角の無残な切り傷だけが、かろうじて道化王子の片鱗を残しているといえた。薄汚れた
パイプベッドを盾にナイフを握りしめるその男の顔には、赤くニキビが浮いている。
派手な化粧がないぶん、口角の傷跡が目を引いた。これで声に聞き覚えがなければ、己の
空振りに歯噛みしたところだ。横倒しになったベッドサイドからぶちまけられた中に
食用油のボトルがあるのは、まだらに脂じみた顔と床に放られたぼろ布から推測するに、
化粧落としに使われたためだろう。――むろん、今も替え玉の可能性はゼロではない。
 男は舌を鳴らした。
3192/3:2008/09/29(月) 01:40:16 ID:OHnVvBRYO
「寝込みを襲うたあ大胆なお誘いだ。相変わらずお前は駆け引きってやつを分かってねえな。
お付き合いってのはもっとスマートにやるもんだ。化粧のヴェールを剥ごうだなんて無粋だぜ」
 男の軽口を、5atmanは決然と無視した。
「逃げようなんて気は起こさないことだ。自慢の傷がまた増えるぞ」
「逃げる?」
 驚いたように繰り返した男は、裂けた口角を歪めた。
 彼は掴まれた手首をもぞつかせる。逃げられる前に押さえ込もうと一気に緊張した5atmanを
尻目に、両の手首をそろえた彼は、それを5atmanへと差し出した。
「どうして逃げなきゃいけない? 捕まえてくれよ。俺は、ずっとそうしてほしかったんだ」
「なら、今度こそアーカムに永住するんだな」
 鼻で笑った5atmanは、低い呟きを聞きとがめた。
「本気だぜ」
 うそだ。
 喉元まで出かけた否定の言葉は、男の発散する鬼気に呑まれて消えた。
 5atmanは――“ブルース”は立ち尽くした。

「なあ、頼むぜ、ダーリン。一生のお願いだ。俺の片割れ、俺のかわいい真珠、愛しい愛しい
コウモリちゃん(Batcake)……」
 真珠。
 あの日の悲鳴が甦る。血まみれの真珠が一粒ずつ道路に落ちて、とぎれとぎれの悲鳴をあげる。
優しかった母の悲鳴が、厳しく頼もしい父の悲鳴が――毎晩毎朝夢に見る、ブルース・
wayn3の抱える“恐怖”が甦る。
 ――泥のような狂気を纏って、男が、笑う。無表情に似た満面の笑顔、楽しげにも
寂しげにも見える道化の笑みで、笑う。
3203/3:2008/09/29(月) 01:41:25 ID:OHnVvBRYO
「明日の新聞の一面に、派手に晒してくれるだろう? 『ゴッサムの怪人(Phantom of The City)、
空前の快楽犯罪者を逮捕!』。それでこそ俺の5atmanだ。これで俺は本物の『Jok3r』になれる」
 いやだ。
 いやだ。やめてくれ。
 Jok3rは、こいつは、こんな人間だったろうか。
 知らない。こんな男は知らない。こんな、ただの、“男”は。
 こんな、弱弱しい、まるで縋るような、助けを求める狂人のような、悩める神経衰弱者のような、
まるで“ただの人間”のような、まるで――まるで自分と変わらない、ただの人間なんて、知らない。
「――黙れ」
 低く押し殺されたブルースの声に、“男”の肺が痙攣した。いや、もしかしたら
笑ったのかもしれない。落ち窪んだ目と引き攣った口元は、ふとした瞬間にふとした仕草で
『Jok3r』の表情を見せる。
「俺はお前に憧れてたんだ。俺みたいなけちなこそ泥じゃない、本物の恐怖、本物の怪物に。
お前は輝かしい恐怖、お前は闇夜を往く騎士、俺の――」
 いやだ――
 悲鳴が聞こえる。聞こえる。
 “ブルース、恐れるな、ブルース――”
 “闇と一つになるのだ、おまえの恐怖を克服しろ――”
 あの夜の悲鳴が、幼いブルースの、自分の、自分の、悲鳴が――
「俺の――」
 やめてくれ――
「――『ヒーロー』――」
 悲鳴が――

「黙れ――!!」

321新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/29(月) 01:43:11 ID:OHnVvBRYO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )コレダケ・・・・・・?

ナンバリングミススマソ。
322新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/29(月) 02:04:50 ID:3mIumWfp0
>>317
映画見てないけど萌えた!文体とかもかっこよくて好きだGJ!
323新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/29(月) 09:39:27 ID:uGAMYlUdi
>>317
うわあいろんな意味で素顔のjok3rに萌えましたっ…
緊張感がたまらなかったです
324新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/29(月) 14:04:28 ID:snyrb6rP0
>>317
蝙蝠と道化の新たな一面を拝めました、萌えた!ありがとう!
325新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/29(月) 19:11:06 ID:P3DhgvovO
>>16
書かれてるふたりがすごく好みだー
元ネタすげー気になる…

>>21
このジャンル初めて読んだ!
他の方も書いてたけど文章も素敵、萌えたよー
326新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/29(月) 22:30:02 ID:UTxxBeD2O
>>317
映画見てないが萌えた
GJ
327新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/29(月) 22:49:58 ID:9gJHUbFd0
ナマスポ続きですみません…

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | β反ネ申のきゃわいい二人、かなりぬるいよ 
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  初投下で緊張してるんだって
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


長い規制で投下できなかったので、少々古いネタです… ご容赦ください。
328なま 寅5→寅53 1/5:2008/09/29(月) 22:51:00 ID:9gJHUbFd0
 眠れなくて何度も寝返りを打った。眠れない理由はいくらでもあって、それらに囚わ
れるといつの間にか朝を迎えることになってしまいそうなので、俺は目を閉じ、しあわ
せなことだけをイメージしようと努めた。
 今季チームは好調で、皆が目標に向かってひとつになり日々邁進し、とてもいいム
ードでここまでやってきた。
 だがここにきて、目の前にひっそりと開いた暗い穴が、気づかぬうちにひとり、また
ひとりと、俺たちの仲間を飲み込んでいく。
 例えば、前半戦、繋ぎのバッティングで貢献した新加入の粗井の離脱、例えば、こ
こ数年勝利の方程式でチームを幾度も救ってくれたJFKの、近年にない不調。
 そして、古傷を抱えたままの自分。ここまで来たら自分のことなど構っていられな
い、たとえ選手生命が縮まったところで構わない、と連日先発出場を志願してきたが、
果たしてこれでよかったのかと考える。考え始めると、暗い穴はさらに大きく口を開
け、俺の前に立ち塞がる。いや、むしろ俺の場合、穴に張った薄氷一枚の上に乗っか
っているだけかもしれない。
329なま 寅5→寅53 2/5:2008/09/29(月) 22:52:03 ID:9gJHUbFd0
 また寝返りを打つ。しあわせなイメージが続かない自分が、心底恨めしかった。
 そこに携帯電話の着信が鳴った。電源を落としていなかったことに、俺は思わず舌
打ちをした。正直出る気はしなかったけれど、いつまでも鳴り続ける音はやかましく
て、かといって電源を切ってしまうほどの強い気持ちは俺にはなくて、結局、小さな
機械に手を伸ばしディスプレイを開けた。
 相手は、平里予だった。
「…あ、すみません。寝てました?」
 わかってるならさっさと切れよ。そんなことはもちろん口に出さず、俺は正直に応
えた。
「いや、寝るところ。何」
「えっと、じゃあ特に用は無いんで、寝てください」
 なんだ、それ。用が無いわりにはしつこく鳴らすんだな。
 今年新たにチームに加入したこいつに、俺は、選手会長と言うこともあり、積極的
に声をかけ、何かと世話を焼いてやった。そんな俺の様子を見て、鉢さんらは「自分
よりちっこいのが入ったからうれしくてたまらんのじゃろ」とからかったけれど、もちろ
んそんなことだけじゃなくて、こいつが思った以上に活躍し「今年のβ反ネ申は一、
二番が機能している」と評されるのが素直にうれしかった。
 こいつもハッスルプレーが売りで、数年前命がけとも言えるダイブで大怪我を負っ
たくせに、うちでも守備に走塁に果敢に飛び込みまくっていて、俺は密かに心配して
いる。そもそも俺の首の痛みも、ダイビングキャッチがきっかけで負ったものだからだ。
 
330なま 寅5→寅53 3/5:2008/09/29(月) 22:52:42 ID:9gJHUbFd0
「いいよ、別に。お前の声、聞きながら眠るのも悪くないし」
「え…」
「だから、喋らなくなったら切れよ。遠慮せずに寝るから」
「…えっと、今日、飯行ったんですよ。皆で」
 それは知っている。行って騒いで、しばし野球のことを忘れる時間が必要だったか
もしれないが、どうしてもそんな気分になれなくて、誘われたのに断ったからだ。
 自分の部屋にひとり戻った俺は、見飽きたDVDを前に、切り替えが巧くできないこと
にイライラしただけで、やっぱり行けばよかった、と後悔する羽目になって、自分で
苛立ちの種を増やしたことにうんざりしていた。
 俺は適当な相槌を打った。
「皆で言ってたんですけど、やっぱり」
「みんないるのか?」
「さすがにこの時間までは…」
 この時間にかけてくる非常識はどいつだよ。もちろん口には出さない。
「やっぱり、赤★さんに元気出してもらいたいから…」
「ああ、わかってる。悪いな、皆に心配かけて」
 俺は相当とげとげしい言い方をしたのだろう。平里予は蚊の鳴くような声で、すみ
ません、と謝ってきた。
「これは俺の問題だし、いつまでも皆に迷惑がかかるんなら、俺にも考えがあるし」
「…すみません」
「いちいち謝んなよ。俺の八つ当たりだから」
331なま 寅5→寅53 4/5:2008/09/29(月) 22:53:15 ID:9gJHUbFd0
 平里予がふっと息を漏らしたのがわかった。
「おまえ、笑ったな」
「…すみません。なんかうれしくて」
「えっ」
「俺も八つ当たりしてもらえるようになったのか、と思ったらうれしくて…」
「何それ。そんなんがうれしいなんて、おまえMじゃねえの」
 ばかじゃねーの、と俺は声を上げて笑った。こいつも、ははは、とのん気に笑って
やがる。
「おい、なんでお前も笑ってんだよ」
「すみません」
「謝るなって」
「だって、赤★さんが笑ってくれると、うれしくて」
「…やっぱりばかだろ」
 そうだな。俺、笑ってたな… 鏡を見て確かめようと思ったが、なんとなく恐くてや
めた。
「もう切るぞ」
「眠くなりました?」
「何が」
「言ったじゃないですか。赤★さんが寝たら、切りますよ」
「…電話代の無駄遣いだな」
「困らないくらいは、もらってますから」
「やっぱりばかだろ。おまえ」
 その後平里予は俺を笑わせようと、深夜テレビで見たお笑い番組の話をし始めた。
そのあまりのくだらなさとやつの必死さに、俺はつきあいで笑ってやっていたが、それ
もそのうち深夜独特のテンションのせいで、やつが何を言ってもおかしくなってきた。
 調子に乗ったやつが言った。
「いまからそっち行っていいですか」
332なま 寅5→寅53 5/5:2008/09/29(月) 22:53:51 ID:9gJHUbFd0
「いま? なんで」
「一緒に寝られたらもっとうれしいかなー、なんて」
 ばか過ぎるぞ! と俺はウケにウケて大笑いし、携帯電話を握り直し大きく息をつい
た。こんなに笑ったのは久しぶりだった。
「もしもし。もしもーし!」
「うるさい。聞こえてる」
 よかった、と小さく笑ったこいつは、俺を眠らせるつもりがあるのか。
 とにかく、気持ちが軽くなったのはこいつのおかげだ。
「なあ、言いたいことがあるから…」
 俺は一旦言葉を切った。やつの息を呑む音が聞こえる。
「…やっぱり明日、顔見て言うわ」
「ええー、いま言ってくださいよー」
「うるさい。明日って言ってんだろ」
 平里予はいつまでもぶーぶー言っていたが、こういうことは顔を見て言った方がいい
に決まってる。いまの俺もにやけているかもしれないが、明日はもっととびっきりの笑
顔で言ってやろう。
 ただ一言、ありがとう、と。

333新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/29(月) 22:54:41 ID:9gJHUbFd0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 最後までがんばれ!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

勝利おめ! 弟の復活で俄然盛り上がる! 兄が盛り上がり過ぎです!
334新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/29(月) 23:12:10 ID:RslTCDQD0
>>327
ほのぼのしました!GJ!
ちっちゃいのかわいいよちっちゃいの
335新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/30(火) 00:21:44 ID:pM1J9aGaO
>>327
うぉぉ萌えた!
ちっこいのの必死加減かわゆすw
336生物注意:2008/09/30(火) 00:51:20 ID:CdOMGYRJO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

金同とった4人から次男犬次男です
337新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/30(火) 00:52:39 ID:CdOMGYRJO

「そんないじけるなよ」
「いじけてないです」
うん、いじけてないね
でも自分が許せなくて腹は立ってるみたいだ
「リレーも総合もいい成績だったし、次頑張れよ」
ツカポソは足の故障で個人種目は棄権した
爆弾というほど大きな怪我ではないけれど、走れなかったショックは、やはりあるみたいだ
「高比良さんはいいですよ、一位だったし、けど俺は、また…」
浅原さんの引退レースでも、足が吊ってしまいうまく走れなかったツカポソは、直後のこのレースにかけていた
だからこそ、悔しいんだ
それはわかるけど、仕方がないではないか
終わってしまったレースだ
振り返り、次回に活かすのは必要だけれど、ツカポソのはどう見たって子供が楽しみにしてた遠足に行けなくなったあとみたいな、そんな雰囲気
さてとどうしようか、この子供
ツカポソが子供っぽくなったときはとことん子供に接するようにする、偉大な先輩たちに教わっていた
とはいえ、俺は子供の扱いなんてわからない
……こんな感じかなぁ?

「ツカポソ、ぎゅーしてあげるから、おいで?」
338新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/30(火) 00:53:43 ID:CdOMGYRJO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

姐さん方のこいつらがまだまだ見たいです
339新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/30(火) 01:01:01 ID:OZzNpvF+0
>>338
GJ!
てか姐さん、暴風雨の番組見てたろw
340新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/30(火) 07:56:52 ID:7ALFtOysO
>>327GJです
うおおおおーちっさい2人可愛い過ぎるぞ
341新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/30(火) 10:12:59 ID:XZbALQt80
>>281
ファンタジーとか続いてる時にはこっちがうんざりしてるんだから、たまにはいいじゃん
懲りずに変態がこんにちは

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


いい天気。気温も爽やかだし散歩でもしようかなあ。コンビニで何か買って、公園でちょっとしたピクニック的な。
うん。けってーい。

「どうせなら弁当を作ったらどうだ」? うーん、そうだね。サンドイッチ用のパンがあるし。具も多分ちゃんと……。

……ん? どこから声が?
どーこかなー? 三木島くーん? あー、思いも寄らない所から出て来たねえ。俺のベッドの下から。ずるっと。あんたいつから潜んでらしたの。
夕べ俺が寝てから。あんたは忍者かい、ええ? 三木島草助君よ。
「愛の守人だ」。……ようし分かった取り敢えず一発殴らせろー。
まったく硬い顔だ。手が痛いよ。で? 何の為にそんな所から。……ねえその笑顔止めてくれよ。怖いよ。もっと爽やかに笑えない?

……あー、止めて。ごめん、悪かった。
いや、格好良いけど、何て言うかこう、あんたじゃ無いみたいな。ごめん。
いつもの顔が良いよ。そうそう、うん素敵。
さーて、今からサンドイッチ作るから。べたべたするんじゃないよ。
あーもー晩には構ってやるから、お預け!



腰がっ……ちくしょーここぞとばかりに。体力魔人め……。
俺が弱いのかなあ。鍛え直そうかなぁ……。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
344新板設置について相談中@新板スレ:2008/09/30(火) 20:10:40 ID:Mvipfwjx0
>>342

いつものことだがGJ!このテンポ大好きだww
思えば変態の本名、初登場じゃね?
345新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/01(水) 00:28:33 ID:nwV+UtWyO
>>342
ありがとう!楽しみにしてました。
三木島くんはすごいイケメンなのに変態、ってイメージがあります。
鬼畜笑い→別人のような爽やか笑い→鬼畜笑いの流れが目に浮かぶようで…!
本当面白いです。
346新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/01(水) 03:09:41 ID:uDQB1crSO
>>299
遅ればせながら萌えた〜!GJ
久しぶりに棚あさりに来て思わぬ萌えをいただきました
前編とあわせて一気読みできて幸せ
347学園戦争 磯っぷ×多き 1/5:2008/10/01(水) 05:43:33 ID:OBEsXu86O
DVD見たら萌が止まらなかったんです…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「おつかれー!!」

いつも通りラグビー部の練習も終わった。

「またな、磯っぷ!」
「うん、おつかれさま」
着替えも終わり、いつの間にか自分の役割となっていたラグビーボール磨きをとボールへ手を伸ばした。
「…ん、おつかれ」
レギュラーになれない分だけでもと始めたが、1人、また1人と居なくなる部員の背中を見送るのはやはり寂しい。

「…今日もありがとうね」
誰となく話しかけながらボールを優しく、丁寧に磨いていく。

「まだ居たのか」

声に驚き顔を上げると、
「オオキくん…」
ボールを磨きながら、練習がどうとかコーチのあれは笑えるとかくだらない話をして。
中学生の頃からオオキくんはツッパってたけど、こうやって僕に優しく接してくれた。
病気がわかった時も、誰よりも心配してくれた。今だってそうだ。
348学園戦争 磯っぷ×多き 2/5:2008/10/01(水) 05:45:06 ID:OBEsXu86O
「〜でよォ、多岐沢の野郎がよ」
「ねぇオオキくん」
「あ?何だよ」
彼は話を遮った事に眉間に皺を寄せた。
「僕、オオキくんが好きだよ」

多岐沢先生の様に、目を見つめて。

「うぅん、代介。代介が好きだ」

オオキくんは驚いて口をぱくぱくさせて、仕舞にはボールを落とした。

「おまっ!!……っ何言ってんだよ」
落としたボールを追いかけながらオオキくんは視線を外す。
「代介には感謝しているんだ」
はい、とボールを渡して続けた。
「だから…どうしても伝えたくて」

えへへ、なんて笑ったら額にボールが当たった。
「痛っ!」
「お前ェ頭の病気で一緒に思考までやられたか?」
それともトロエンでか?とまた口の端をあげるオオキくん。

「俺だって、感謝しているんだぜ?お前ェが居なきゃ今頃俺はただのツッパリだったろうしよォ」

言うとプイと顔を逸らした。
349学園戦争 磯っぷ×多き 3/5:2008/10/01(水) 05:48:07 ID:OBEsXu86O
彼はいつも強がる時に1人になったりして本心を見せない。
そんなオオキくんの本音を聞けた気がして、思わず抱きついていた。

「オイッ!どうしたん…」
「代介が居れば死なんて怖くないんだ」

ぎゅう、と強く抱きしめたらオオキくんは静かになった。

「まぁいいけど……つか痛ぇよ」
「あっ、ごめっ」

そうだ。ラグビーボールを受け止める時のように、卵を抱くように優しく…

「お前なぁ、こういうのは好きな女にやれよ」

馬鹿にしたように言われて、
「僕は代介が好きだもの」
「だから〜〜!!」
「代介は僕のこと好き?」

あぁ、抱きしめなければ良かった。
きっと今頃、ツッパった彼からは想像出来ない顔になっているに違いない。

「…好きだよ、このやろぅ…」

まさか、返事が返ってくるとは思わなかった。

350学園戦争 磯っぷ×多き 4/5:2008/10/01(水) 05:50:26 ID:OBEsXu86O
余命僅かな自分への同情だろうか、彼なりの優しさと考えていたら。

「勘違いすんなよ、これは同情じゃあねぇ…」


だから死ぬなよ。



どちらともなく口づけていた。

次第に深くなる口づけの合間、代介の頬が一筋に光る。

彼は初めて僕に涙を見せた。


「っ死ぬな…磯っぷ…っ!」
「まだ死ねないさ…君の晴れ舞台を見てないもの」
「磯っぷ…」
「相模第一…勝ってね、僕の為に」
「…馬鹿やろう…っ!!」



オオキくんの泣き顔はくしゃくしゃで、折角の男前が台無しだった。
351学園戦争 磯っぷ×多き 5/5:2008/10/01(水) 05:54:47 ID:OBEsXu86O
死ぬ前に恋がしたい。

そう願ったけど、するんじゃなかった。
ますます死が怖くなるなんて夢にも思わなかったんだ。



ねぇ神様、

僕は彼のためにまだ死ねないんだ、

あと少しだけでいい、生きていたいんだ…


オオキくんの暖かい唇に触れながら、僕はそう祈るしかなかった。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

352新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/01(水) 08:20:45 ID:JcDcJRYS0
>>347-351
GJ!萌えです!!
昔は純粋に感動してみていたけど、あのドラマも萌えがごろごろ転がっていましたよね(*´∀`)
若飛翔のニート漫画でニート×ヤクザ(襲い受けです
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


その日、及川の事務所には彼と弁天が二人揃って沈み込んでいる姿があった。
原因は及川が一方的に”恩人”と慕っているニートの浅野辰也。

辰也が童貞であることを知った時、及川は妻である弁天で筆おろしをさせてやろうと考えた。
自分にとっての恩人が、いずれは国と喧嘩するほどの器を持ったニートだと確信している相手が、
未だ女を知らないがためにいまいち自信を持てずにいるのだと思い、心配してのこと。
結局はよその組のカチコミによって未遂に終わったものの、その時の騒ぎにおいて
及川と弁天は辰也のおかげで命を助けられたかたちになったため、今では弁天自身も
愛する夫のため、そして辰也のために、文字通り一肌脱ぐつもりでいる。
だがそれでも現状、辰也の童貞は守られたまま。迷惑がられているのだということには
全く気付かず暴走する二人はそれゆえ、いつまで経っても辰也に童貞を卒業させてやれないのは
自分達が不甲斐無いせいだと思い、こうして落ち込んでいるのだった。

「やっぱりウチに魅力が無いさかいに……」
「アホ抜かせ、お前はええ女や。辰っつんの相手になっても全く引け取らん」
「せやかて、辰也さんは全然」
「そこがあの人のすごいところなんや。この年でまだ操を守っとる一途さといい、
お前ほどの女を前に靡かん硬派さといい、やっぱあの人はいずれこの国と──
いや、世界や宇宙を相手に喧嘩しよるニートになるお人や!」
「ほんまにすごいお人なんやなあ辰也さん……けど、童貞卒業させて自信持たせたりたいんやろ?」
「そうなんや。しかしお前でもあかんとなると──はっ!」
突然、及川が目を見開き大声をあげた。驚いた弁天は、あんたどないしたんと心配そうに尋ねる。
そんな彼女に、及川はぶるぶると震えながら、掠れた声を絞り出してぼそりと言った。
「わかったで弁天……」
「なにをよ?」
「辰っつんがお前に手ぇ出さん理由や」
「ええっ! そ、それって何?」
「あの人はきっと、女より男の方が好きなんや」
「そ、そんな……」
「俺かて信じられへんけどな、ここまで来たらそれ以外考えられん。
……なんちゅうこっちゃ……俺は、恩人の性癖にも気付けんボンクラや……」
「あんた、泣かんといて」
椅子から崩れ落ち、床に膝をついて涙を流す及川に、弁天も涙を流しながらそっと寄り添う。
彼女は同時に、辰也だ男色である以上は自分はもう何もできないのだと打ちひしがれてもいた。
そのことを悟り、及川は細い肩をそっと抱く。そして、言った。
「いや、ええんや弁天。遅なったとはいえ、気付けたんや。そんなら今から取り返せばええ」
「あんた……?」
「弁天……俺はお前を愛しとる。せやけど辰っつんのことも尊敬しとる。
──あの人にやったら、何されても構わんぐらいに」
「! あ、あんたまさか」
及川は弁天に向けて微かに笑うと、ゆっくり立ち上がった。そして、覚悟を感じさせる声ではっきりと告げる。
「弁天、いってくるで」
向かう先は辰也の部屋。弁天の瞳からまた涙が溢れた。悲しんでいるのではない。
そうまでして恩人に報いようとする男気に、感動して涙が止まらないのだ。
「あんたぁ! 気張りや! うちも辰也さんやったら安心してあんたを任せられるから!」
背後からかけられた弁天の声に、及川は振り返らずに片手をあげた。そして、事務所を後にする。


しばらくすると、慌てた様子の部下達がばたばたと駆け込んできた。彼らは皆一様に、
若頭が一人でどこに行ったのかと弁天に尋ねてくる。弁天は涙を拭い、目を真っ赤にしながらも毅然として叫んだ。
「ええから、お前ら今すぐ町中の店からボ○ギノール買い占めてきぃ!」
なぜ痔の薬を、と思いながらも、悠長に質問できる雰囲気ではなかったので、部下達は急いで薬局に駆けて行く。
及川と常に一緒にいる勘吉だけはなんとなく事情を察したようで、「しゃーすぞコラァ……」と
いつもよりほんの少し寂しげな裏声をあげつつ彼もまた商店街へと走っていった。
数時間後に戻ってくる及川の、裂傷した肛門を少しでも癒すために。

_________

「ば、バカ! やめろコラ!」
「ええんや辰っつん、もう隠さんでもええんや……」
「何の話だ! 急に来て人のことふん縛りやがって!」
いつものようにだらだらとテレビを見ながら突っ込みを入れていた辰也は今、
突然あがりこんできた及川によってベッドに両手と両足を縛りつけられていた。
姉は会社、母も店を臨時休業にして婦人会の催しに出ているのでどちらも不在。
誰に届くこともない辰也の叫び声はただ空しく部屋の中だけで響き、消えた。

「大丈夫や辰っつん、ここ来る前にきっちり浣腸してきたし、
風呂も入って尻の穴までピカピカにしてきたから」
「意味がわからん! 何する気だよ及川!」
「せやから辰っつんの筆おろし」
「まだ言ってんのかよ! お前の嫁と初体験すんのは無理って何度も……、? そういや弁天は?」
「あいつは留守番や」
「じゃあ筆おろしって一体……」
はたと、辰也の動きが止まった。しかし頭は回転する。
──単身やってきた及川。目的はまたしても自分の筆下ろし。及川は浣腸もして尻の穴までピカピカ。──
辰也の頭の中で電子レンジのような音がした。顔が一気に青褪める。そして、絶叫。
「ぎゃぁぁぁあふぅっ」
だが、語尾が吐息のようになった。叫んだのとほぼ同時に、及川が辰也の下半身を膝まで裸にし、
平常どころか縮こまっている性器をいきなり口に含んだために。
突然の、そして初めての感触に硬直するが、すぐ我に返る。だって相手は及川なのだ。
「や、やめろって!」
辰也は必死に身を捩り抵抗した。だが及川は辰也への奉仕を続ける。
指や舌を巧みに使って愛撫を施し、激しく性感を追い立てた。
初めてされるフェラチオにより抵抗空しくぞくぞくと快感が這い上がり、
いつのまにか反応を示していた辰也の性器ははあっさりと吐精してしまった。
うっ、と低く唸りながら及川の口元に勢いよく精液を飛ばす。
「ぎょうさん出たで辰っつん、でもまだ元気みたいやな。まあ本番はこっからや」
「ほ、本番ってお前……まさかマジで」
いつも通り思い込みで突き進む及川は、ここで自らも服を脱ぎだした。
そして、どうやら持参してきたらしい潤滑剤を取り出すと、自ら足を開き肛門に塗りたくる。
辰也は本気で気を失いかけた。というより、気絶したくなった。もはや抵抗する気力もない。
ああ俺は男相手に童貞喪失するのかと、己の人生をただただ儚む。
「うう……ニートなうえに初体験の相手が男だなんて、どんだけしょっぱい人生だよ……っ」
「た、辰っつん何で泣いて……!? そうか、泣くほど限界なんやな!すまん辰っつん、もうすぐやさかい!
及川は急いた手付きで己の肛門を尚も指で犯していく。ちげーよバカ、と力無く突っ込む辰也はしかし、
無意識に今の及川の姿をじっと見つめてもいた。男が自分で自分の尻の穴を弄っている姿など、
ノーマルの自分には嫌悪の対象でしかないはずなのに、なぜだか、目を奪われて離せない。
「っう、……っはぁ、……っ」
辛そうながらもどこか艶めいた声に、心臓が動きを速める。
何かの間違いだと、辰也は自分自身に言い聞かせた。



「おっしゃ……ほないくで辰っつん」
「いや、ちょ、マジやめろって! つーかそもそも俺ら男同士……」
「ここまできてまだ俺を気遣ってガマンとは、あんたほんまに男の中の男や」
「日本語通じねえー! っうふぁ、」
「ぅぐ……!」
仰向けで動けない辰也の上に跨った及川は、ゆっくりと腰を落とし、辰也の性器を自分の中に沈めた。
互いの口からは同時に吐息が漏れる。辰也のそれは、自慰しか知らなかった自分が初めて味わう強い快感によるもの。
及川の方は、尋常でない痛みによるもの。だが彼は歯を食いしばりながら必死に耐え根元まで体内に収めた。
「はぁ……っ、っは、いったで……っ辰っつん……っ」
「う、はぁ……っあ、あちぃ……っ」
「どや、はじめてのセックスの、味は……」
及川の問いに、辰也は「きもちいい」と正直に答えそうになり慌てて堪えた。
男相手に挿入して快感を得ている今の自分を認めたくなかった。
自分はノーマルだ、こんなの気持ちいいわけがないと、何度も何度も頭の中で繰り返す。
「辰っつん?」
「う、るせぇよちくしょう……っこんな……、お前っ、ホモだったのかよ……っ」
「はは、違うで辰っつん。俺はノーマルや」
「嘘つけ! ノーマルな奴がこんなことするか!」
「それは、相手が辰っつんやからやで」
「は、ぁ?」
「俺にとっての辰っつんは最高の男で、大の恩人や。
 他の男なんぞ、抱くんも抱かれるんも願い下げやけど、辰っつんやから……
 恩人のためやったら、こんなことぐらい屁でもない」
及川は強がるが、その顔は痛みによってやはり辛そうに歪んでもいて、
辰也はなぜか胸の奥を締め付けられた。被害者の立場だというのに、心が痛む。
血の繋がった家族でもないのに、ここまで自分のことを想ってくれる及川に、感情が揺さぶられる。
「ん? ……はは、辰っつん今ちょっとデカなったな、中で」
「んな、なってねえ!」
「でも急にきつなったで」
「なっとらん! 断じてなっとらん!」
恥ずかしがることないと言って及川が腰を使い出すと、一層の快感が辰也を襲った。
自分の手で擦るのとは全然違う。狭くて熱い肉壁に性器を締め付けられる気持ち良さは想像を越えていた。
相手は男なのにと葛藤しながらも、肉体が得る快楽と興奮が思考を麻痺させる。

辰也はちらりと及川を見た。相変わらず辛そうな顔で、そして性器だって全く反応していない。
なのに、必死に腰を振っている。全ては辰也のために。
「お、い……っ痛いんだろ、も、無理すんなよ……」
「……アホやな、辰っつん……俺はヤクザもん、やから、こんなもんよりもっと痛い目、
 何べんもみとる、んや……せやからこんなん、全然平気、なんや」
「でも」
「それ、に……俺が一番、痛かった時、助けてくれたんは、辰っつんや」
「え?」
「前も言うたけど、ほれ……3年の、とき……庇ってくれたやろ……」
あん時、本気で嬉しかったんや──及川は痛みに歪む顔で不器用に笑った。
辰也の心臓が、さっきよりずっとはっきり、そしてきつく締め付けられる。
あれは違うんだと、本当は自分のせいなんだと、再会時にも言えず、今もまた言えなかった。
あの時は、ヤクザになった及川に真相がバレたら殺されると思ったから。
そして今は、ここまでさせておいて今更言えるはずがないという気持ちと、
及川が自分に向けるここまでの好意を、失いたくないと思ってしまったから。
今の及川は、普段のいかにも極道といったスーツやサングラスが無いせいか、
額に傷痕は隠しようがないがそれでも元の端正な顔立ちが年相応な雰囲気を取り戻させている。
そして中身は、馬鹿だ。勘違いと思い込みで暴走して、ヤクザの幹部のくせにニートを本気で尊敬して、
こんなかたちで自分の身を差し出すほどに慕っている。とことん馬鹿なのだ。辰也の視界が滲んだ。
「おいか、わ、縄ほどいてくれ」
「でも、そしたら辰っつん……」
「そうじゃなくて、俺にだって理想の初体験があんだよ! こんな縛られたまんまなんてごめんだ!」
「そ、そうやった、辰っつんは確か竜宮城で乙姫にエロいサービスを……」
「そそそそれはもう忘れろ! そんなんじゃなくて、お、俺は、ちゃんと二人で気持ちよくなりてーんだよ!」
そう叫び、真っ赤になった辰也を、及川は驚いた様子で見つめた。そしてまた、微かに笑う。
「……ほんまに、辰っつんは優しい男やなあ」
違う意味でも惚れてまいそうや、と小声で呟きながら、及川は辰也の両手と両足を縛る縄をほどいた。

_______


「ほな辰っつん、ワシは帰るさかい」
ベッドの軋む音と二人の荒い息、そして微かな嬌声が響くことで濃厚な情事の空気に満ちていた部屋は、
ゆっくりと日常へと戻りかけていた。服を着直した及川も同様で、さっきまで全裸で乱れていたのが嘘のように元通り。
辰也だけがまだ戻りきれずに、下着だけ穿いた状態で呆然とベッドに横たわっている。
脳内に渦巻くのは今更な後悔と、未だ信じられずにいる往生際の悪い感情。しかし全ては現実だ。
辰也は及川と寝たのだ。それも途中からは自分から及川に性器を突き立て、夢中で、何度も彼の中を味わった。
「しっかし、男にケツ貸すんは正直さすがのワシもびびっとったんやけど、存外よかったで辰っつん!
まさかこのワシがあんな何回もイかされるとは……辰っつんは下半身も男の中の男なんやな」
及川の明け透けな感想に、辰也はますます落ち込んだ。俺の馬鹿、愚息の馬鹿、と自己嫌悪に拍車がかかる。
「とにかく、辰っつん」
「何だよ……」
「辰っつんは元からええ男やったが、これで更に一歩進んだんや。
これからはいつもみたいに謙遜せんと、その男っぷりに見合う自信を堂々と持ってくれ!」
満足げに笑う及川。彼は本気で嬉しかった。念願だった恩人の童貞喪失を遂に達成させてやれたこと、
そして、その相手が自分であるということが無性に嬉しくてたまらなくなっていた。
最初は辰也のためにという気持ちだったが、今は自分が相手でよかったとそんな気持ちにすらなっていた。
そしてそんな心情が伝わったのか、辰也は何も文句を言えずただ力無く頷くだけ。

「惚れた相手とくっつくまでにまた溜まったら、いつでもワシを呼んでくれて構わんでの、辰っつん」

最後にそう言い残し、及川は帰っていった。
一人になった辰也は依然としてベッドに横たわったまま。
汗や精液で汚れたシーツもそのままなので寝心地は決して良くないのだが、
シーツには汚れだけでなく及川のつけている香水のにおいも一緒にしみついていて、
そのせいでなんとなく起き上がれずにいた。さっきまでこのベッドで、
この汚れたシーツの上で、あの男が自分に喘がされていたのだ。
そう思おうと、妙な気分になってくる。
──溜まったら、いつでもワシを呼んでくれて構わんでの──
「うわああああ呼んでしまいそうだあああ! ちくしょう俺はノーマルだぞボケー!
 でも気持ちよかったんだよばかやろおおお! 及川のアホー!」

複雑な心境を持て余し、辰也はどうすることもできず絶叫した。
あとからあとから涙が溢れてくる。その涙の意味も、今は考える余裕すらない。
彼はただただ叫ぶことしかできなかった。そして彼の悲痛の雄叫びは、
尻に若干の痛みを残しつつも満たされた様子で事務所に戻った及川が
弁天や勘吉、子分達、そして仕入れ業者の倉庫と見紛うほど大量のボラ○ノールに
出迎えられている瞬間も近所中に響き渡っていた。




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )オジャマシマシタ
すいません途中まで間違って及川の一人称をなぜか「俺」で打ってて
直し忘れたまま投稿しちゃったので一部の一人称は脳内変換してください
カジテツファンの人(自分もだけど)すみません
363新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/01(水) 21:29:24 ID:9n7MkGOV0
>>353-362
原作知らないけど萌えた
公式で試し読みしたら興味出たので本屋行ってくる
GJなものをありがとう姐さん!
364新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/01(水) 22:17:12 ID:J7hkUt1l0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ギ.ャグマ.ンガ日禾口のSM師弟で蕎麦。
以下3レス消費
「かたかた」
365新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/01(水) 22:19:02 ID:J7hkUt1l0
 知ってますか芭蕉さん。

 「あれ、曽良くんどうしたの?」
夜半、薄らと目が覚めて見ると月も失せた時刻に明かりはまだ煌々と焚かれてい

て、何事かと身を起こした。
「芭蕉さんこそどうしたんです、明日寝過ごすようなら置いて行きますよ。」
緩い顔で笑う師匠の手には筆が握られていて、何を書くでもなく悩ましげに宙を

泳いでいる。
「うん、記録をと思ったんだけどね……さっぱり筆が進まないや。」
苦笑しながら、筆を拭う様はどこか嗜虐をそそり、ぼくは立ち上がりかけたその

欲望を眠気のせいにした。
「でも眠れないんだ、今日は歩き足りなかったのかな。」
続けざまに師匠は言い、わざとらしく頬を掻いた。このだめな俳聖は存外に繊細

らしく、最近はましになったが旅の始めは慣れない環境に眠れない日が続いてい

たようだった。今日も何か、何らかの調子が狂ってしまったのだろう。
366新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/01(水) 22:22:03 ID:J7hkUt1l0
「ならぼくが眠らせてあげましょうか。」
道具を鞄に仕舞い終えた師匠にそっと近付く。案の定、ヒッという短い悲鳴が聞
こえた。
「い、いいよ遠慮しとくよ……。」
そうのたまう師匠を無視し、折角敷いたのに皺ひとつない布団へ押し倒した。
「殺さないで、やめて曽良くん、明かり落として大人しくしてるから……。」
俳聖はぼくから必死に顔を背け、涙目で訴える。ご丁寧にすんすんと鼻を啜る音
まで聞こえるが暴れたりはしなかった。耳元へ口を寄せて
「殺しません、ぼくって信用ないですね。」
言って顔を上げると、師匠はばかみたいな顔でぼくを見ていた。
「曽良くんが笑った……。」
譫言みたいに人の顔をじろじろ見ながら言うものだから掌で師匠の目許を覆って、
五月蝿いですよ、とだけ言った。背中の下敷きになっている帯をどう解こうか
など考えているのを知らないでばかなその男はまた緊張感のないことをのたまっ
た。
「うふふ、照れてるんだ、曽良くん。」
目許はぼくが覆っているので、口許でめいっぱい幸せそうな笑みを零してこう、
言った。ぼくはどうしていいか分からなくなり目隠しをやめた。芭蕉さんの目が
ぼくを追う。
367新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/01(水) 22:24:00 ID:J7hkUt1l0
「最近曽良くんの喜怒哀楽が解るようになったんだ。」
自慢げにそう言って、師匠が身体を起こそうとした。止めようと思ったけれど、
思い直して。

 起き上がる顔を寄せて、唇を奪った。

 過度に驚かさないように軽い口付けを心掛けたつもりだったが、接吻というそ
の行為自体が彼を驚かせるのに十分だったらしい。目を真ん丸に見開いてぼくを
見たあと、一瞬、顔を青くして、次に一気に頬を染めて見せた。
「…………。」
師匠は、何も言わなかった。暴れたり、泣き喚いたり、怒ることもまして照れる
こともせずにただぼくの顔をばかみたいに見据えている。その視線に先にいたた
まれなくなったのはぼくの方で、これ以上押すことも引き下がることも出来なく
なって、ただ
「おやすみなさい。」
師匠を引き倒すように布団に倒れ込んだ。

 その後芭蕉さんにキスされる夢を見たのは覚えているが、目が覚めるとぼくは
自分の布団で一人で眠っていたものだから、実際、どこからが夢だったのかは終
に判然としないままだった。それなりに幸せな夢だったことは言い切れる。
368新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/01(水) 22:26:00 ID:J7hkUt1l0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ひとつめおかしな改行になってしまった……orz
「かたかた」は「かたえ」とか「片思い、片思い」をかけたつもりでした。
スペースお借りしました。
369新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/01(水) 22:56:53 ID:ILi4c31DO
>364
ありがとう、萌えに萌えました。
元の漫画を知らないが、読みたくなりました。
370新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/01(水) 23:10:50 ID:n29l/PkTO
>>353
テラGJめちゃくちゃ萌えた!
及川のアホ一途さがたまらん(*´Д`)
しかしまさか家事テツの801を読める日がくるとは思わなかった…
感激した。これぞ棚の醍醐味だなあw
姐さんありがとう
371新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/02(木) 00:14:22 ID:4+q479w4O
>>364
両思いイイヨイイヨー
片思い多いカプだから禿げた!姐さんGJ!
372新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/02(木) 01:31:41 ID:pUriwrfe0
07単車乗り映画No3、当然見てないので全て捏造。スイマセン。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
373未来の話 1/4:2008/10/02(木) 01:33:14 ID:pUriwrfe0

やたらパーツの噛み合わせの悪いキスをして。
ゆっくりヤツの体をベッドに横たえる。
前と何にも変わらねえ。正直、今回は無理だと思っていたから、ヤツが俺の部屋を訪ねて来た時にはかなり驚いた。

「髪、伸びたな」
「ちょっと無精しちゃって」
「少し男臭くなったか」
「する気なくした?」
「んなわけねえだろ」

ふふふ、と笑う唇にもう一度キスを落としながら、じわじわと下半身を探る。
たいして触ってねえのにソコはもうキツそうで、ちょっと遊んでやったらあっけなく吐き出しやがった。
イく顔見て落ち着いたから、もうやめるか、と聞いたら、なんで、と不審そうな顔をする。んじゃ、遠慮なく。
けど、なんだこれ、ずいぶん固くて慣らすの大変じゃねえか。

374未来の話 2/4:2008/10/02(木) 01:34:55 ID:pUriwrfe0

「・・・・ねえ、ひょっとして、いじわるしてる?」
はあっ?何言ってんだ。こっちの苦労もしらねえで。
「バカ、痛くされてえのかよ」
「僕なら大丈夫だから。早く」
「煽んなこのやろう」
「・・・・はやく・・・・」

おい、そんな顔すんな。こっちの我慢も限度があるんだ。舌打ちしながら、まだ充分に慣れてない場所に無理矢理ねじ込むと、
「あうっ」
案の定痛そうに顔を歪めてのけぞった。
「ほら言わんこっちゃない。止めるか?抜くか?」
「だいじょうぶ、だって、いったじゃないか。ぼくのことなんて、どうでもいいよ、心配しないで・・・う・・・・」

一瞬すげえ嫌なこと聞いた気がしたが、とりあえず目の前の体が欲しくてしかたない俺は、知らない振りをして勝手知ったる場所を蹂躙した。
へっ、まだしっかり覚えてるぜ。狙った反応がいちいち的確に帰ってきて、俺も自然と盛り上がっちまう。いけねえ、壊さねえようにしねえと。
それにしても、今日はずいぶんと素直だな。前はもっと恥じらいってもんがあったのによ。
こっちの限界が来て、ヤツの前をゆるりと撫でると、震えながら俺と同時に達した。あーあ、あちこちベッタベタだぜ。

375未来の話 3/4:2008/10/02(木) 01:35:40 ID:pUriwrfe0
違ったのは、後だった。
いつもは終わるとフワンと幸せそうな顔してたのに、今日のその伏せた目はなんだよ。体を固くして、なにじっと考えてやがる。
「おい」
沈黙に耐えられなくなって、俺から口を開いた。
「なんか言いたいことがあるなら、言やあいいじゃねえか」
「・・・僕の奥さん、見た?」
ああ、そこか。ようやく今気がつく俺も、とろいっちゃあとろい。

「いいや。興味もねえし」
「そう」
「りょうたろう、あのな」
「モモ、好きだ」
「へっ?」
「僕は君が好きだ。なのにどうして・・・・」
こいつの涙を見るのも久しぶりだ。弱虫に見えるが、アノ最中以外は、実はこいつはめったに泣かない。
後から後から溢れる涙の雫を指でそっとすくって舐めてみたら、塩っぱくて苦い味がした。
なんであの時、俺は自分を抑えることができなかったのか。今でも夢に見ちゃ、うなされる。
自分のことを棚に上げて、他人のことばかり気遣うこいつが煩くて、あの時思わずキスで会話を止めた。
そして、嫌がるこいつを押し倒して・・・・覚えているのは、頭がゆだるほど気持ちよかったことと、後で死ぬほど後悔したこと。
同性で、しかも人以外のものに初めて抱かれて、犬みてえに頑固で誠実なこいつが苦しむのは、分かりきったことだったじゃねえか。
376未来の話 4/4:2008/10/02(木) 01:37:01 ID:pUriwrfe0

「おめえはこれまで変身して戦って、何を勉強したんだよ。時間が経てば、気持ちなんて変わるんだ。変わらなきゃやっていけねえ」
「だって」
「それに、好きなんて簡単に言うが、それは初めての相手に懐いてるだけじゃねえのか?ペットみてえによ。もっと回りを見やがれ。
 これだから子供は嫌なんだよ」
「違う」
「違わねえ。第一な、俺の相手がおめえだけだと思うなよ」
「え?」
ヤツの目がすっと細くなる。俺の嘘は、いつもこいつには一発でバレちまうんだ。
「なんだその目は。こ、こう見えてもなぁ、行くところに行きゃあ俺ぁすげえモテモテなんだぜ」
「・・・わかったわかった」
「ハナっから信じてねえなっ、このヤロウ!」
頭をはたく振りをしたら、ヤツの表情がふっとほどけた。それそれ、そうこなくちゃ。
ヤツの視線が天井を見つめてさまよう。そして、諦めたように目を閉じると、息を大きく吐いた。
「モモ、ごめんね」
「なにが?」
「・・・・僕が、誰かを幸せにできると思う?」
「そいつは、俺が保証する」
「ありがとう。これで、最後かな」
「ああ、最後だな」
「ごめん、もうちょっとだけ」

両手で目を隠して、良太郎は小さく嗚咽を漏らす。
俺は泣かない。大人だから。いつかの未来で、こいつが幸せなら、それでいいさ、と自分に言い聞かせて。
377新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/02(木) 02:37:07 ID:pUriwrfe0

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ああすっきりした。
378新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/02(木) 07:36:59 ID:gcRJ6VKOO
ネ申王求団とらの托ハチ。
とても托い先生には敵わいませぬがw

|> PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
379とら托ハチ 1/3:2008/10/02(木) 07:39:07 ID:gcRJ6VKOO
試合前のシートノック。
順番待ちをしていた俺は、鉢さんの綺麗なバッティングフォームを
一秒足りとも見逃すまいと言わんばかりに、熱心に見ていた。

「………あのさ、言ってもいい?」
一緒に待っていた赤☆が、そう俺に聞いてきた。
「何?」
「…怒るなよ」
「怒んないよ別に笑」
「…確かにお前って、托いよな」
傍からみれば、チーム内いじめとして捕らえられてもおかしくない。
赤☆の冷ややかな目線がそれを増幅させる。
でも、俺は何のことやらサッパリ分からず、眉をしかめ考えた。
380とら托ハチ 2/3:2008/10/02(木) 07:40:43 ID:gcRJ6VKOO
「えー…そっかなぁ、てか、どこが?」
「どこって……鉢さんのこと、見すぎじゃない?」
「そうかなぁ〜……まぁ、見てるのは確かだけど」
「しかもいっつもあんなに言われ放題でさ〜…怒ったりしないの?」
俺の答えを不服そうに、赤☆は頬を膨らませて顎を拳に乗せた。
「ま〜ねぇ〜…俺に構ってほしいだけだから♪鉢さんは笑」
ニヤッと笑った俺に対し、赤☆は心底疲れきったような顔をした。
「あっそ、聞いた俺が馬鹿だったわ……(どう茶化してもダメだわ、こいつは…)」
そう言うと、赤☆は鉢さんと入れ替わり、ゲージに入っていってしまった。
381托ハチ 3/3:2008/10/02(木) 07:41:41 ID:gcRJ6VKOO
汗だくの鉢さんがカッコよすぎて、そして、それが夕日を浴びてキラッキラしてて、
俺は眩しさに目がくらんだ。
目を閉じた瞬間、脳天に痛みが走る。
「イテッ!」
鉢さんの力強い腕が、オレの頭にチョップをお見舞いしたのだ。
でもそんな痛みも心地よくて、俺はまたも幸せに満ちた。
目を開けると、夕日を背に意地の悪そうなニヤリとした鉢さんの顔が見える。
あー俺を見て笑ってるんですねっ鉢さん!
それだけすると、鉢さんはタオルで汗を拭いつつ、
ベンチの方へ行ってしまった。

特に会話は交わさなくても、俺には分かりますよ、鉢さん。
頑張れって、応援してくれてるんですよねっ♪

そんな風に応援されちゃ、全部柵越えしちゃいますよ〜★
(また赤☆が冷ややかに俺のこと見てたけど…何だろう??)
382新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/02(木) 07:42:39 ID:gcRJ6VKOO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジウ、ジサクジエンデシタ!


痛々しい托さんがスチww
383新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/02(木) 07:49:27 ID:c0PVnIfSP
DMCジャギ×クラウザー エロあり似非シリアス。無駄に長いです。
ジャギ様片思い風味


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
384DMCジャギクラ01:2008/10/02(木) 07:50:36 ID:c0PVnIfSP
アンプに叩きつけられたギターが断末魔の悲鳴を上げた。
その不協和音をねじ伏せるような絶叫が響く。
それは、この場を支配する魔王の咆哮。

「次に地獄の門が開くそのときまで、我が名を胸に刻み待てェェェ!!!」

呼応して沸き起こる歓声。
自分を崇め讃えるその声に背を向けて、魔王はステージを後にする。
今宵もそうして宴は終わる。
ステージを降りても魔王の――、クラウザーの威厳は失われることはない。
圧倒的な存在感、ひれ伏したくなるような威圧感をまき散らしながら歩き去るその背中は、けれどたまらなく魅惑的で。
俺は引き寄せられるように手を伸ばすのだ。いつもいつも。
人々から恐れ崇められている魔王の身を、喰らうために。
385DMCジャギクラ02:2008/10/02(木) 07:51:26 ID:c0PVnIfSP
初めて根岸を――、いや、クラウザーを抱いたのもライブの後だった。
その日のライブは荒れに荒れた。
俺たちの演奏に興奮したファンの一部が乱闘を始め、曲の盛り上がりとともに、やがてそれがライブハウス全体に広がっていったのだ。
カミュの打ち鳴らす地鳴りのようなドラムの音、それに寄り添いながら攻撃的なメロディラインを展開していく俺のベース、その上で自在に暴れまわるクラウザーのギター、そして地獄の底から響くようなデスボイス。
激しさを増していく暴力の応酬、それを煽るのが俺たちの音楽。
そんな狂乱の渦の中、ふいにステージに飛んできた物は何だったのだろうか。クラウザーの頬をかすめたそれは、魔王の肌に傷をつけた。
白い頬に一筋の血が流れ、その色に俺は目の眩むような興奮を覚えた。
音楽と暴力に酔いしれ、何もかもが熱狂に歪んで輪郭を為していないような世界の中、その白と赤のコントラストは鮮烈に過ぎて、俺の心を一瞬にして奪った。
あの赤を舐めとりたい。そんな欲望が頭の中を支配して。
いつ幕が引かれたのかも定かではないライブがはねて楽屋に向うクラウザーの後ろ姿に、俺は耐えきれず手をのばしていた。
386DMCジャギクラ02:2008/10/02(木) 07:53:24 ID:c0PVnIfSP
不意打ちのようにしてクラウザーを引きずり込んだのは機材置場だった。乱雑に物が置かれた薄暗い部屋の中、壁に縫いとめられたクラウザーの表情は、コープスペイントのせいで良く分からない。
「……貴様、なんのつもりだ」
けれど、地を這うその声が、目の前の男がまだ“クラウザー”であることを知らせていた。
それでいい。そうでなくてはいけない。鋭く見上げてくる視線を受けとめながら、俺はたまらなくゾクゾクした。
俺が欲しいのは、魔王である男の血なのだから。
白い頬を汚している赤に、口を寄せる。
唇で触れた頬の肉が一瞬、怯えたように固くこわばった。けれど、クラウザーは抵抗しなかった。
舐め上げると口の中に広がるのは、錆びた鉄のような血と薬品めいたメイクの味。それでも俺にとってはこの上なく甘美なもので。
流れる血の軌跡をたどって首の方まで舌を這わせば、クラウザーの身体は大きく震えた。
見上げた瞳がどんな色を帯びていたのかはよく覚えていない。
ただ、クラウザーの手が、魔王の腕が俺の頭をかき抱いて。
黒く艶めいた唇が誘うような笑みの形につり上げられたのをきっかけに、俺は再びクラウザーの肌に喰らいついたのだった。
387DMCジャギクラ04:2008/10/02(木) 07:54:15 ID:c0PVnIfSP
こうして俺は、魔王を抱いた。
そして行為の後、俺はひどく後悔した。
激情が去ってみると、俺の身体の下でぐったりと横たわっていたのはまぎれもない、俺のバンドの仲間なのだった。
流れる涙でにじんだメイクが、この男がクラウザーという悪魔なのではなく根岸崇一という人間であると教えていた。
押し入った箇所から流れる血が、俺がこの男を半ば無理やり抱いてしまったのだという事実を突き付けていた。
酷いことをしてしまったと思った。
自分がこんなことをしでかしたのだと信じたくなかった。
そして俺は、卑怯にもその場を逃げ出したのだった。
傷ついた根岸を放って。
もちろんそのことだって死ぬほど後悔した。
根岸にどんな顔をして会えばいいのか、どう謝れば許してもらえるのか考えあぐね、根岸に責められ詰られる想像をしては、憂鬱な気分になって。
そして気がつけば、あの時の根岸の様子を思い出している自分がいるのだ。
苦しげに歪ませた表情の艶めかしさ、耐えきれずといった様子で漏れた声、俺の腕の中でしなる身体……。振り払っても振り払ってもしつこく頭の中に居座り続け、夢にまで見るようになったそれは、触れ合った身体の熱さまでも再現されているようで。
その生々しさに俺はひたすら困惑した。
そうやって悶々と過ごした次のライブまでの日々。当日、激しく糾弾されることはもちろん、バンドをクビになることすら覚悟して楽屋のドアを開けた俺を迎えたのはしかし、いつもと変わらない態度の根岸だった。
388DMCジャギクラ05:2008/10/02(木) 07:56:14 ID:c0PVnIfSP
「和田くん? 早く支度しないと始まっちゃうよ?」
この前のことを謝ろうときっかけを探して口ごもる俺に、根岸は不思議そうに首をかしげて見せすらして。
普段は気弱で純朴な根岸崇一、そしてステージの上ではこの世界《ライブハウス》に君臨する魔王クラウザー。
この男はまったく変わらなかった。
もちろん、この男の口からあの日のことが話題に上ることはなく、俺たちの関係もなんら以前と変わることはなかった。
無かったことにしてくれるつもりなのだと、そんな根岸の態度に初めのうち俺は安堵していたのだ。
けれど、根岸を見るたび頭をよぎるあの日の痴態が、くり返し見る夢の生々しさが、俺を追い立て、狂わせた。
無かったことになどしてやるなと。
この男を喰らってしまえ、と。
根岸の背中に再び手を伸ばしたのは、やはりライブの直後だった。
前回と同じように機材室に連れ込みぶつけた欲望を、こいつは黙って受け入れた。
俺の愛撫の手を戸惑うことなく受け入れ、享受すらしているその様子はやはり、“異常性欲の持ち主であるクラウザー”そのもので。
こいつは根岸じゃない、クラウザーなんだ。
俺は思った。
そして、そう認識すれば、この状況もなんら異状なことではないように思えた。
俺たちは悪魔だ。倫理観などあるわけがない。
欲望のまま振る舞うこの状況こそが日常なのだ、と。
389DMCジャギクラ06:2008/10/02(木) 07:57:44 ID:c0PVnIfSP
そうやって俺が自分の欲望を肯定してから、この関係は続いている。
ライブが終わるといつでも2人して機材室に籠もる俺たちのことを、周りの奴らはどう思っているのだろう。社長あたりはクレイジーだと笑っているのかもしれない。
けれど、嫌悪されたとしてもべつに構いはしないのだ。
だって俺たちは魔界の住人。嫌悪と忌避の声こそが、最高の称賛。
だから俺は今日も己の欲望を、醒めきらないライブの熱狂を、クラウザーの身体に叩きつける。
「…っ、クラウザー、おまえ、すげぇ…、いい顔っ、してんぜ…っ?」
俺の身体の下、きつく目をつむって快楽に耐えている様子のクラウザーをうっとり見下ろしながら抽送の合間に囁けば、ぎり、と噛みしめた奥歯の間から、挑発的な言葉が返ってきた。
「…くだらんことをほざくっ、余裕があるっ、なら…っ、もっと俺を……っ、悦ばせてみろ…っっ!」
望みのままに、と打ちつける腰の動きを強めれば、とたんに上がる高い声。俺の腰に絡みついてくるしなやかな両の足。
クラウザーの身体はおそろしく魅力的だった。
始めのうちは不慣れにぎこちなくもあった身体は、今ではすっかり俺の愛撫になじんで、たまらない快楽を与えてくれる。
何より、ファンの間で至高の存在とされているこの男を組み敷いているという事実は、俺の征服欲をおおいに満たしてくれる。
そして、男に抱かれ、痴態を晒しながらこの魔王は、気高くも美しいのだった。
支配しているつもりの俺の方が、気づけばいつだってクラウザーに夢中になってしまうのだ。
俺はきっとこの男の魔力に操られているのに違いない、そう錯覚してしまうほど。
この男はまるで麻薬だ。喰らっても喰らっても、まだ欲しくなる。
俺はきっと、クラウザーに溺れている。
けれど、クラウザーは―――…。
390DMCジャギクラ07:2008/10/02(木) 07:58:56 ID:c0PVnIfSP
「……っ、ふ…、んっ…あぁ……っっ!!」
俺の律動に合わせて腰を揺らめかせながら、堪えきれないあえぎ声をもらしながら、けれどクラウザーは俺を見ない。
目を閉じ、時には顔を背けて、俺という存在を拒絶するかのように。
身体は明け渡しても心まで許すつもりはないのか。
それとも快楽をむさぼるだけのこの行為に、悪魔である俺たちに、心は必要ないとでも言うつもりなのだろうか。
“下半身さえあればいい”
俺の脳裏に、ふいにこの男の作った曲の一節が浮かぶ。
この場にひどくふさわしいはずのその言葉。
ただ快楽に耽る俺たちを表すには、ぴったりな言葉だ。
それなのにその歌詞を思い浮かべたとたん、俺の心に満ちてくるのはひどく空虚ななにかで。
俺はクラウザーの身体を抱き起こし、膝の上に抱え上げた。
「……ぅぁぁあっっ!!」
体勢が変わって辛いのだろう身もだえする身体を押さえつけ、黒い唇を塞ごうとすると、むずがる子供のように首を振り、口づけを拒むクラウザー。
身を焼きつくすような焦燥の炎が、俺の心の中に燃え上がる。
顔を背けたクラウザーの晒された首筋が、俺に捧げられた供物のようで。
衝動のままに俺は、その白い首筋に喰らいついた。
391DMCジャギクラ08:2008/10/02(木) 08:00:55 ID:c0PVnIfSP
この身をいっそ喰らってしまえば…
クラウザーの全てを俺の中に取り込んでしまえたら……。
そうしたらこのどうしようもない焦燥感は、消えてなくなるのだろうか―――。

「うあ゛あ゛あ゛ぁぁぁ………っっ!!!」
腕の中、大きくのけ反ってクラウザーが叫ぶ。それは悲鳴というよりは、ライブのときのデスボイスのようだ。
俺が与えるこの責め苦も、けれどこの男にとっては快感を成すものに過ぎないらしい。
痛みに身体をこわばらせ、地獄の底から響く咆哮を上げながら、それでもクラウザーは絶頂を極めるのだった。
俺を咥えこむクラウザーの内部のきつい収縮が、続けて俺にも最後を促す。
「………っ、う…っっ」
絶頂の余韻に小さく痙攣する身体を抱きしめ、その首筋に喰らいついたままクラウザーの中に欲望を注ぎ込む俺の姿は、傍から見ればきっと獲物を仕留めた肉食獣めいていることだろう。
………実際に捕えられているのは、俺の方なのだけれど。
そう。俺はもう、どうしようもなくクラウザーに捕らえられてしまっているのだ。

――身体だけじゃなく、この男の心も欲しいとすら思ってしまうほどに……。
392DMCジャギクラ09:2008/10/02(木) 08:02:26 ID:c0PVnIfSP
欲望を吐き出し、興奮が醒めてしまえば、魔法は解ける。
さっきまで淫靡な空気に満ちていたこの密室にも、遠く追いやっていた日常が戻ってくる。
ここは魔界でもなんでもない、雑然としたライブハウスの機材室で。
乱雑に置かれた機材に埋もれ汗まみれで抱き合う俺たちにかけられた魔法も、もはや解ける寸前なのだった。
それでもしばらくの間は、俺たちが吐き出すせわしない息遣いが部屋のなか響いて。
「………っ、はぁ…っ」
ぐったりと俺に凭れかかっていたクラウザーが、最後の力を振り絞るといった様子で体内の俺を引き抜きながら身体を起こすと、力尽きて傍らに転がる。
事後の気だるさを楽しむ間などあるはずもない。俺はひどく後ろめたいような気分になってクラウザーを見遣った。
手加減なく噛みついてしまった首筋には、やはり俺の歯型がくっきりと残っている。
「…悪い、痛かったよな、これ……」
その痛々しい跡に、俺はおずおずと手を伸ばした。
「大したことはない、触るな」
そうやって、俺の労わりの手をクラウザーが払いのけるのはいつものことだった。
「……用が済んだのなら、早くここから去れ」
そしてこの台詞も。
393DMCジャギクラ10:2008/10/02(木) 08:03:49 ID:c0PVnIfSP
俺への興味などすべて失ったというようなとりつくしまもないその態度が、俺の心を萎縮させる。
俺はのろのろと立ち上がり、横たわるクラウザーを見下ろした。
気だるげに身体を投げ出し虚空を見つめ、どこかへ心を飛ばしてしまっているクラウザーは、きっともう俺の呼びかけに応えることはないだろう。
もはや俺は言われるままに、この部屋を出ていくことしかできない。
俺はクラウザーに背を向け、出口へと足を進めた。

この部屋を出てしまえば、そしてこの衣装を脱いでしまえば、完全に魔法は解ける。
俺たちは悪魔なんかじゃない、ただの人間、和田真幸と根岸崇一に戻ってしまう。
ここであったことなどまるで忘れてしまったかのように振る舞いながら、次のライブを待って―――。
そしてまた同じことを繰り返すのか。
ライブの熱に浮かされたのだと、悪魔同士に倫理観などないのだとうそぶいてクラウザーを抱いては、その心が手に入らない焦燥感に身を焦がして――――。
本当にそれでいいのか?
このままの関係を続けることしか、俺にはできないのだろうか?

扉のノブに手をかけながら、俺はじっと項垂れた。



ガシャン、と鉄製のドアが閉まる重々しい音が、部屋のなか響いた。
394DMCジャギクラ終わり:2008/10/02(木) 08:05:16 ID:c0PVnIfSP
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ジャギ様のキャラが激しく違う上に、ラスト投げっ放しですみません…
395新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/02(木) 08:22:14 ID:O7zTG6a4O
>>378
托鉢キター!
托いさんは本当に托いですね(誉め言葉)
何があってもそれは自分への愛情という
自信に満ちた托いさんが眩しいです
396新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/02(木) 12:25:30 ID:a9T+d2A9O
>>353-361
やべぇ今までカジテツは腐抜きで普通に読んでたけど
353のおかげで辰也×及川に開眼した
優しい辰也とアホ健気な及川に萌えまくった・・・グッジョブ
397新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/02(木) 12:40:06 ID://7lqElA0
>>373
元ネタしらんかったんですが切な萌え・・・。
GJ!!
398新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/02(木) 17:47:40 ID:1cibjoO60
>>244
遅レスだけど、凄く萌えた!
原作知らないから読んでみるよ
399新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/02(木) 21:17:54 ID:T+8DLB4F0
>>383
ジャギクラ萌えた!本当にありがとう!!
400風と木の名無しさん:2008/10/02(木) 21:33:47 ID:ikYK6z440
>>383
男前かついやらしいクラウザーさん萌ええええ!
ごちそうさまです!
401新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/02(木) 21:41:18 ID:B0AMNzTNO
文体は萌えるが
二人ともあのメイクかと思うとワロスw
でもそれがまた(・∀・)イイ!!
402堕ちた所が出発点1/2:2008/10/02(木) 23:32:09 ID:IbotwtnDO
ラスト・ヘンタイ
ふいんき(ry違うかも

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


高校生活ももう終わりか。騒がしかったような平和だったような。楽しくはあったけど。
しかしどうしようかねえ。進路、まだ決まって無いよ。ニートは嫌だけど、就職も進学もそそられなくて。

草助。あんたは決まってる?……はい? 「海外で就職が決まった」?
ええぇ! なにそれ。聞いてないよ! いつ決まったの何で決めたのいつ行くの何で黙ってたの「昨日決まったやりたい仕事だから三週間後に今日言うつもりだった」
一気に有り難う。ごめん混乱してた。国はどこ? イギリス。遠いような近いような。
……俺は、どうなんの。冗談じゃないよ。赤ん坊の頃からずっと隣に居てさ、ずっと親友で、その内何かうやむやに付き合い始めて、それでもあんたは俺が好きだし、俺だってあんたが――草助が好きだから、それで良いんだって。
403堕ちた所が出発点2/2:2008/10/02(木) 23:35:24 ID:IbotwtnDO
あんた変態だし腹立つくせに俺よりずっと凄くて、……ずっと、一緒に居るんだって、居たいって、思って、たのに、……あーもう! ぐちゃぐちゃじゃんか! 卒業式でも泣かないタイプなのに! もう訳分かんないよ……あんたの上着で顔拭いてやる……。
なにさ。「誰が置いていくと言った」? え、ちょっと、どういう意味?

「お前も一緒に行くんだ、陸斗」

え、ええええ!? ほほほ本当に? 嘘じゃなくて? 真実?
……うーわー、超恥ずかしい! 何だったのあの涙。何だったのあのシャウト。生き恥だ。一生の汚点だ。
……ごめんなさい。うん、一緒に行きたい。草助と一緒に生きたい。
変なの、何かあんたがキラキラして見える。格好良い。
……変な意味じゃねえぞこの変態! ぶち壊しだよ!




「さあ、これで高瀬川陸斗は三木島陸斗だ」
「男同士じゃ入籍出来ませんっつの。養子縁組みも嫌」
「紙ぺらの上など気にしない。事実があれば良い」
「白無垢でもドレスでもボンテージでも着せるさ。いくらでも……ふふふ」

「……早まった、のかな……ま、良いか!」


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

お付き合いありがとう御座いました。
変態よ、永遠に……!
404新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/03(金) 00:02:58 ID:twO5jfSYO
>>402
変態シリーズ読んでて楽しかった〜
ハッピーエンドGJ!!
お疲れさまでした
405新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/03(金) 01:34:09 ID:2JNIhm010
>>372
GJ!萌えました…切ないですね
涙はこれで拭いておきます つ□
406新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/03(金) 03:43:50 ID:Ahnapr6x0
>>402
変態シリーズGJ!
テンポよくて面白かった。
萌えさせてもらいました!
407新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/03(金) 03:59:52 ID:ts/akRVlO
>>405

>>372
> GJ!萌えました…切ないですね
> 涙はこれで拭いておきます つ□
408新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/03(金) 11:22:37 ID:SdlENab7O
「スカイ・クロラ」より、土岐野×函南。
映画観賞、原作本は「スカイ」と「ナ・バ」読了。
特にどっちベースってことでもなし。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
409雨に流される 1/3 (スカイ・クロラ土岐×函):2008/10/03(金) 11:23:41 ID:SdlENab7O
「この雨じゃあ、バイクは借りられそうもないな」
「今日も行く気だったんだ」
 函南の記憶では、土岐野は昨日も一昨日も一昨昨日も、バイクで外出し、外泊したはずだった。一昨日は、函南を後ろに乗せて。
 雨粒の打ち付ける窓から、土岐野は離れ、下のベッド――寝転がって本を読む函南の傍らに腰掛ける。
 影を作られ、明かりの当たるところを求めてモゾモゾと動く函南。
 その腕を、土岐野が捕らえた。
「何?」
 函南が本を視界から外す。
 土岐野は函南の両手首を掴みながら、ベッドに上がり、膝立ちで彼の腰を跨いだ。函南の顔の横で、手首をシーツに押さえ付ける。
「こういう気分なんだ」
 土岐野の声が降るのとほぼ同時、函南の手から本が落ちる。
 キルドレのわりに背丈のある土岐野は、腕力で函南に勝る。引いてみても手首は抜けない、跳ね除けることもできない。
「クスミの代わり?」
 函南は少し眉を顰めた。
「んー。今日はそれもある」
「今日、は?」
「お前のことをもっと知りたいって、前から思ってたから」
 函南が初めて見る、わざとらしく真剣な眼差しと大人ぶった微笑。女の子には受けるのかもしれない、とぼんやり思う。
「抱かないとわからないようなことが、必要?」
 台詞には反語の意を込めて。
410雨に流される 2/3 (スカイ・クロラ土岐×函):2008/10/03(金) 11:24:33 ID:SdlENab7O
 土岐野は顔から力を抜き、片手だけのホールドアップのポーズ。
「諒解。もっと率直に、正直に言おうか」
 再び両手で函南をシーツに縫い留め、互いの吐息の湿度を感じるほどに顔を近付ける。函南にとって見慣れた笑み、慣れない距離感。
「お前が好きだよ、カンナミ」
 「正直に」の意味は、函南の読みから外れていた。返す言葉を準備していない。
 沈黙の中で、土岐野の眉尻が下がっていく。
「……断固拒否なら、大人しく引き下がるけど」
 手首を締め付ける力が緩んだ。
「いいよ」
 逆に、手首を掴み返す。
「僕も、そういう気分になった」
 土岐野は目を弓なりに細めて微笑んだ。
「なら、一人でするよりは、二人の方がいいもんだ」
「そうかもね」
 土岐野の顔から微笑がストンと抜け落ちる。
「あれ。お前、経験あり?」
「男と? ……どうだったかな」
 今度は呆れたらしい苦笑が浮かんだ。いつもに増して、表情がクルクルと変わる。
「ま、初めてって解釈させてもらうさ」
 土岐野の右手が丸い頬を撫でる。それを合図にしたように、函南は瞼を伏せる。土岐野が唇を重ねた。

 シャツを脱ぎ捨てれば、現れるのは生白い肌。厚い筋肉の無い、子供の体。
411雨に流される 3/3 (スカイ・クロラ土岐×函):2008/10/03(金) 11:25:52 ID:SdlENab7O
 函南の肌を辿る土岐野の手は、この上なく優しかった。

 散らかった上のベッドから、小さなボトルを取ってきた土岐野。
「ここまできといて、今更だけど」
 言って、函南の汗ばんだ額に貼り付いた前髪をかき上げる。
「カンナミ、お前が抱かれる側ってことでいいの?」
 今更心配するような声色の土岐野が可笑しくて、函南はクスリと息を漏らして答えてみせる。
「トキノは、そういうガラじゃないだろ?」
「…よくわかっていらっしゃる」
 軽い音をたてて額に口付けが落ちた。

 日付が変わり、雨は激しさを増していた。遠雷の音が響く。
 仰向けの函南、函南の胸に片腕を預けて横向きに寝る土岐野。二人とも、瞼を閉ざしている。
「お前が好きだよ、カンナミ」
 寝言のようにポツリと。この夜、土岐野は繰り返し函南の名を呼んだ。それ自体が睦言か何かであるかのように。
「僕も、トキノのことは好きだな」
 その言葉に目を開け、函南を見つめる。瞼を閉ざし、唇を微かに開いた、静かな横顔。こちらも寝言であったかのよう。
 土岐野の顔に微笑が広がった。
「あぁ…光栄だね」
412新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/03(金) 11:28:25 ID:SdlENab7O
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

原作の雰囲気を出したかったんだけどな。
413新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/03(金) 16:01:30 ID:omqnTCsmO
>>383-394
ジャギクラ萌えました
ジャギ様切ないよ
クラウザーさんは何を思っているのやら…
414新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/03(金) 20:10:07 ID:dvs/BJRs0
>>412
映画の方しか見てないけど、彼らの雰囲気はとてもよく出ていた。
GJ
415新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/04(土) 02:20:59 ID:XSQcUJBX0
>>412
GJ!!!良かった!!
416新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/04(土) 09:36:19 ID:2wp3eRAMO
>>412
自分もこの2人でこういう妄想したことあった!カタチにしてくれてありがとう!萌えた
417タイミング 1/7:2008/10/04(土) 16:58:06 ID:/Vjxh2z80
・ナマモノ注意
・北の大地の芸能事務所 東川江別
・文中の M:東川 O:江別で伏字にしてあります

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
418タイミング 2/7:2008/10/04(土) 17:00:43 ID:/Vjxh2z80
昼下がりの撮影現場。昼食の時間はやや過ぎているが、あと1カットだけ撮るらしい。機材のテストのために小休止を
告げられた。昨夜も遅くまで書き物をしていたし、撮影も朝早くから。疲労感はさほどでもなかったが、神経がささく
れ立っていた。

Oがスタジオの隅に設えられた席に座ると、マネージャーがすかさず飛んでくる。小腹が空いていたので、温かい飲み物を
頼む。荷物から取り出したのは携帯電話。撮影中は切っていた電源をメールを打つために入れる。途端に手の中で携帯
が震えだす。何かアラームを設定していただろうか、と一瞬だけ慌てた。画面の中に表示されているのはMの名前と笑顔。

何のことは無い、メールを打とうとしたOと電話をかけてきたMのタイミングがぴったりと合っただけだった。

「あ、もしもし?ようちゃん?」
いつもながら電話口であってもMの声は大きい。この分では周囲のスタッフにも通話内容が筒抜けになってしまうだろう。
廊下に出るために立ち上がった。ちょうどマネージャーが飲み物の紙コップを手に戻ってくる。
「うん。どうしたモリ?」
「ちょっとさー聞きたいことがあって」
会話を続けながら、腕の動きだけで意思を伝える。廊下にいるから、何かあったら呼んで。相手は小さく頷くと、紙
コップを渡してくれた。
419タイミング 3/7:2008/10/04(土) 17:03:05 ID:/Vjxh2z80
廊下に人はいなかったが、自分が話す声は響く。声を潜めた。そんな事は知らないMの声はそのままの大きさだ。
「今、話してて大丈夫?」
「リハ中だから、あんま時間無いけど」
「良かったぁー。ようちゃん、オレの電話よく出てくれるよなあ」
「俺、モリの電話に出なかったことないんじゃないか?」
「そうかも」
Mがなぜか頭上の雨雲を追い払えるように、OがMからの電話に出られないこともまずない。ここ数年のOは多忙を極めてい
るのにだ。二人の間の小さな奇蹟、といつも思っている。
「うどん作っててさ、ようちゃんから貰ったダシを使おうと思ったんだよ」
「うん」
「味足りないんだけど、醤油とか入れていいの?」
「ダシってこないだあげたヤツ?」
「そうそう」

先週、スケジュールが半日だけ空いた日があった。ロケ弁続きの日々で、さっぱりとしたものが食べたくなり、気晴らし
も兼ねて買い物に出た。外で人目を気にしながら食事を摂るよりも、自宅で好きなものを作って食べる方が気楽だから。
行き先はよく足を運ぶ高級食品スーパー。
420タイミング 4/7:2008/10/04(土) 17:05:26 ID:/Vjxh2z80
刺身用の魚と野菜をカゴに入れる。酢を切らしていたことを思い出し、調味料売り場へ向かった。日本全国から集められ
た用途も値段もさまざまな調味料を眺める。老舗メーカーの酢を選んだ後は、見るともなしに売り場をうろつく。麺つゆ
のコーナーを見つけた。讃岐うどん用の濃縮ダシも並んでいる。明日、札幌に帰るからMへのお土産にしよう。そう考え
ると、カゴの底にダシの小瓶を横たえた。

事務所で会ったMにうどんダシを手渡した。贈答用のラッピングなどはされていない、スーパーの袋に入れただけの小瓶
を手にMは大喜びしてくれた。
「いっつも釜玉だから飽きちゃっててさー!いやー助かる!ようちゃんありがとう!!」

そのダシを使っているのだろう。味が足りないというのには首を傾げたが。
「ちゃんと書いてある割合通りに薄めた?」
「あ、そんなの書いてあったのかー。適当に水で薄めちゃったよ」
「しょうがないなあ。味を見ながら醤油足してさー」
電話の向こうのMは台所に立っているようだった。ポチャポチャという水音がかすかに聞こえた。
「入れてみたぞ。少ししょっぱくなった」
「ああそうだ。味醂があるなら、少し入れてみてよ」
「少しって?」
「お玉に三分の一ぐらい」
「ちょっと待ってろぉー」
足音と共に冷蔵庫を開ける音も聞こえる。
421タイミング 5/7:2008/10/04(土) 17:07:54 ID:/Vjxh2z80
「入れた!なんかいい匂いがしてきた!」
そこまで話したところで、スタジオのドアが開いた。マネージャーが小さく手を振っている。時間になったらしい。
視線を送り、了解の意を伝える。
「ごめん、モリ。時間無いんだわ。そろそろ切る」
「もうちょっとだけ。お酒とか入れないでいいの?」
ドア近くに立つマネージャーの焦り顔が見える。身振りだけで中に入ってもらうように頼んだ。マネージャーは心配そ
うな表情をしたままドアを閉めた。
「入れないでいい。あとは醤油だけ。ホントもう電話切らないと」
「折角ようちゃんにもらったダシだしさ、美味しく作りたいんだよ」
苛立ちが募る。知らず知らずのうちに手に力が籠もり、紙コップが少しだけ歪む。
「それなら奥さんに作ってもらえばいいだろ」
言葉を放った瞬間に後悔した。

Mが結婚した後も関係を続けているだけでも十分に酷いのに、当てつけの様に妻の存在を口にしてしまった。完全に八つ
当たりだ、と。

数秒の間がひどく長く思えた。
「カミさん、今いなくてさー。いたら作ってもらうんだけど」
さらりと流した。こういったMの余裕があるから、Oは甘えてしまう。子供っぽい我侭や苛立ちをぶつけても受け止めてく
れる優しさ。この優しさが、却ってOを苦しくさせる。
422タイミング 6/7:2008/10/04(土) 17:10:35 ID:/Vjxh2z80
「そうだよな。ごめん、モリ」
謝罪の言葉は、Mの妻にも宛てたもの。
「こっちこそごめん。忙しい時に電話しちゃって」
「また同じダシ買っておくよ。モリが東京来た時に俺が作ってごちそうするから」
「分かった。じゃ」
通話を終え、電源を落とし、携帯電話を閉じた。
Mが次に東京に来るのはいつだろう。その日までに少し奮発してでも良いワインを買っておく、と心の隅にメモをとる。

早足で歩き出す。
恋人のための食卓を調えようと思いをめぐらす35歳の男ではなく、海辺のレストランのマスターを演じるためにドアを
開けた。
423タイミング 7/7:2008/10/04(土) 17:13:05 ID:/Vjxh2z80
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
424新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/04(土) 17:32:17 ID:c8vM11XiO
>>372
素敵な萌えをありがとうございます!
今日映画観てきたのでより切なく感じました…
425ナマ注意 土奇玉獅子 2747約束の話 1/5:2008/10/05(日) 00:56:07 ID:HvAzcdPrO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
通常日程終了記念。ツンデレほのぼのを…!



まだまだこれから秋は長い、とそれを嬉しくも思いつつゆっくりコップを差し向ければ、
穂葦も笑って返してきた。
とりあえず、と。まずは今年もお疲れさん、と笑う。
がちんとお互いの盃がテーブルの真ん中で交わう。
早速牛タンに箸を伸ばす穂葦に、今年はどうだったかと聞くと、まずまずかなとのんびり
した返事が返ってくる。
その言葉を糸田川は反芻した。口に放り込んだ先付けと一緒に、少し黙って意味を味わう。
「…まー、贅沢言ったらあと3勝はしたかったけど。それはしゃーない、ってか」
食うか喋るかどちらかにすればいいのに、シ一ズン終了の開放感からか先発としての
役割を果たした安心感からか、穂葦は饒舌だ。まだ酔いが回るには早い。
「自己最多将狙い?」
「そうそう、でもずっとロ一テでやれたし、今年はまずまずってやつだ」
肩の痛みがないというのは、それだけで雲泥の差だったのだろう。右側とは明らかに筋肉の
発達が違うその腕を、糸田川はぼんやりと見た。その後で自分のコップをぐいと空にする。
426ナマ 約束の話 2/5:2008/10/05(日) 00:59:41 ID:HvAzcdPrO
「なあ、焼酎いっていい?」
「早いなお前」
「今日はいいじゃねえの、今日は」
穂葦もさっさとビールを空にして、おねーさーん!と店員に声を掛けている。メニューを
ひらひらばたばたさせている。
にやとこちらを見て、大シ召も声かけてやればよかったな、と言った。馬鹿、嫌がらせかお前。
サ∃ナラ負けの敗戦投朱を飲み屋に誘うって、どんな強心臓だ。
「嫌がらせじゃあっりませーんー。同期の心遣いでっすー」
「…何のキャラだよ!」
わいわいとした飲み屋の空気になじんで、穂葦は今日は本当に良く笑う。
テーブルの木目に指を這わせて、斜めに座って、力が抜けている。珍しいというか、久しぶり
というか。
まだこの秋は続くんだが、これだけ腑抜けて大丈夫なのかとちらり頭を掠めるほどだ。
そして逆に、知らず知らず張り詰めていたこの半年のことを思い知る。自身の、やっと癒え
かけた肩の痛みなどについても。
「で、防御律2点台になった感想は?」
「ん?」
そう問うと、穂葦が今日はじめて、妙な顔をした。そりゃお前、と言いかけてその後軽く眉を
顰めて黙り込む。
シャツに中途半端な長さの髪を埋めて、襟首のあたりをすくめてしまう。
「?」
427ナマ 約束の話 3/5:2008/10/05(日) 01:03:56 ID:HvAzcdPrO
どうしたよと聞けば、そこでますます穂葦は口ごもって視線を落とした。
竹を割ったような性格のこいつにしては珍しい。
夢の防御律2点台、だと思う。それだけ投げ抜いてきてその結果という、一流ピッチャ一の
勳章のようなもの。
特に今まで4点台あたりをウロウロしていた穂葦にしてみれば、格段の進歩だ。
女房役としても至福この上なく、それがやっぱり嬉しくて言ったのに、何だこの微妙な反応は。
「…豚トロ、冷めるぞ」
「え、ああ食う」
「いきなりどうした、止まって」
「…いや、うん、お前、ワザと言ってる?」
「は?」
「あー!覚えてないならいい、あんまり突っ込むな!」
やってきた焼酎を片手に、がつがつとまるでヤケ食いだ。
俺何か変なこと言ったか?と聞いても、適当にしか返ってこない。
覚えてない?何の話だ?
「なあ穂葦」
「しつこいな!お前がシ一ズン前にしょーもないこと言ったの、思い出しただろが!」
「はあ?俺がぁ?」
「お前や!」
食べ終わった串で人を指して、穂葦は半分顔が引きつっている。相当地雷な話題らしいが。
ああ焼酎一気飲みはやめろ、喉にくるだろ、ほら案の定咳き込んで。
428ナマ 約束の話 4/5:2008/10/05(日) 01:06:45 ID:HvAzcdPrO
「…お前、今年俺が取られたら、取られた分だけやるとか言ってたろ」
「あ」
「ほんま、お前最悪」
おねーさん!もう一杯!!
ガラガラの声で穂葦は叫ぶ。完全に背中を向けてグラスを振り回して、リアクションが子供並だ。
そういえば、そんなことも言ったかと。いや当然真面目な場ではなかったはずで。
多分睦言のひとつとして言ったような、気が、しないでもない。うん。
だって俺は穂朱で、お前は当朱だからさ。
そんな風に言われたら、絶対タダじゃおかないって思うはず。
糸田川は口元が自然に緩む。
「…いや、お前は最高だけど?」
しかしそんなネタを今更思い出すか、お前。心の中では笑えて仕方ない。
わざとゆっくりグラスを振れば、氷の触れ合うカラカラという音に、完全に拗ねた穂葦が振り向いた。
睨むというか半眼で、ああ殴りたいとその目が言っている。目尻はもう赤い。
「今年のお前は、最高だ」
もう一度、静かに言った。それは本音だった。
知ってるかなお前は。お前の王求が、俺の目の前でどんな風に曲がるかを、落ちるかを。
ぶっちゃけると、お前は俺の穂朱人生の中で、初めてかつ最高のパ一ムボ一ラ一だ。
429ナマ 約束の話 5/5:2008/10/05(日) 01:09:37 ID:HvAzcdPrO
言えばいい気になるのがわかっているから、そう簡単には言わない。言ってたまるか。
けれど静かには思う。それは揺らぎ無いってことだ。
お前は、最高だ。
だから静かに言う。
「とりあえず」
ゆっくり振り返って、穂葦の目がこちらを真っ直ぐ見た。
「その台詞は、1か月後くらいにまた聞きたいもんだな」
いつも思う。お前の目つきには光なんか関係ないなと。
朝でも夜でも、こんな飲み屋のだるい照明の中でも、カクテルライトのス他事アムにおいても。
「…上等」
それが言えるなら、腑抜けてなんかいない。
知ってるかなお前は。俺は18メートル離れてても、お前の目はしっかり見てんだ。いつだって。
上等だ。極上だ。
1か月後、この秋が終わったときでも、その先でも俺に何度でも、そう言わせてみせろよ。
「それから」
「?」
「…小数点から下は」
「下?」
「…、小数点以下は切捨てで頼む!」
その目を途端に伏せて帆足は言って、一気に頭からテーブルに頭から突っ伏した。
マジで3回とかもう無理だし、マジで勘弁、とへたりこんで頭を抱えた。
「んー…まあ、そこまで言うなら、まあ…どうすっかな」
「お前鬼か!」
「まあ、今日はよろしくいただくとする」
430ナマ 約束の話 終わり:2008/10/05(日) 01:12:50 ID:HvAzcdPrO
また口元が緩むのと、心の底から笑いたいのを我慢して、糸田川は返した。
わざと真面目な顔でおもむろに手掌を合わせると、拝むな!とまた穂葦が凹む。
後でそのとき耳元で、もう一回、あの台詞を言ってやろうと思った。どんな顔をするやら、楽しみだ。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
2回は出来るらしいです。
カウントミスりました、すみません。
431新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/05(日) 01:28:40 ID:EENb2by+O
>>425
うおおー!
リアルタイム投下に出逢えた幸せ!
姐さんたまらんよ!来期(と言わずお麩)もよろしく!
432新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/05(日) 02:15:21 ID:hUC1bGywO
>>425
ねねね姐さん待ってましたぁぁあ
なんですかこの胸キュンは…ズンが男前すぎます
いやいやありがとうございます
433ナマ参拾参粉 大←茂→六?:2008/10/05(日) 03:20:58 ID:ppFcAfDh0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  参拾参粉探偵のgdgd小説?です
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  生ものにつきご注意ください
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
大俵←茂手木→録朗? 大俵←録朗?? 誰が攻めかは書いてる自分にもわからんw
434ナマ参拾参粉 大←茂→六?1/4:2008/10/05(日) 03:22:12 ID:ppFcAfDh0
「いやぁ。事件も解決したし、探偵も無事だったし、万々歳だな」
倉間録朗探偵事務所に大俵の豪快な笑い声が響く。
「へぇー!事務所の中ってこんな風になってたんですか!」
いつものメンバーに紛れ、茂手木は物珍しそうにあたりを見回した。
「そうか。茂手木は初めてだったか」
「はい!連れて来ていただけて光栄です!」
ビシッと敬礼する茂手木が、自分のお気に入りのフィギュアを力強く
握り締めているのを横目で気にしながら、録朗は自慢の眼鏡をかけ直した。
「僕の退院を祝ってくれるのは有難いことですが、何故ここなんですか…?」
「まぁそう言うな。急なことで場所が用意できなかったもんだから」
「入院してたって言っても、ただの検査入院だったからねぇ」
「ま、ちゃんとした快気祝いは今度開いてやっから!な、飲めや歌えや!」
理科子が作ったと思われる不恰好な『録朗君退院おめでとう』の横断幕が掲げられた下には
出前と思しき和洋中ごちゃ混ぜの品々が並べられている。
「…いただきます」
「もー!何だかんだ言って、嬉しいんじゃないのー!」
「何だ探偵、素直じゃないなぁ」
「お、俺も、録朗さんが退院したお祝いに呼んで頂けるなんて……っ!ちょっと、はしっ」
「「走んなくていい」」

てんでバラバラなリアクションをとりながらも、それぞれ録朗の無事に安堵し、喜んだ。
録朗もまた、この暖かい空間に戻ってこれたことが何よりも嬉しかった。
435ナマ参拾参粉 大←茂→六?2/4:2008/10/05(日) 03:24:10 ID:ppFcAfDh0
「ちょっろ大俵ー!酒!酒足んないわよー!」
「おい、飲みすぎだろ」
「らによ!こんらめれらい日に飲んれ、らにが悪いろよ!」
「…理科子君。大酒飲みでその上酒癖が悪いとなると、さらに婚期が遅れますよ」
「うっさい!いいから、ろっろろ酒もっれこいやぁ!」
宴も終盤に差し掛かり、先ずはアルコールが切れた。序盤からハイピッチでグラスを開けていた
理科子は、もはや呂律も回らなくなり、目も据わってしまっていた。
「ったく。しょうがねぇ女だな」
「警部!自分が行きます!」
仕方なく立ち上がった大俵を遮るように茂手木も飛び上がる。
しかし、いつものように敬礼した先は、まったく見当違いの方向を向いている。
「…あぁ。いい。お前は大人しくしてろ」
「ぜやぁぁぁ」
「だから、大人しくしてろって!」
壁に向かって突進していく茂手木の腕を掴んで制止させ、大俵は大きな溜息を吐いた。
「探偵。ちょっとそこのコンビニまで行って来るから、こいつ頼むわ」
「いえ、警部!自分がっ…」
「茂手木、お前は怪我が治ったばかりの探偵の警護だ。わかったな?」
「っ!はい!」
「じゃ、探偵、頼んだわ!」
すっかり出来上がってしまっている茂手木を言いくるめ、大俵は事務所を出て行った。
「…頼んだと言われましても」
「録朗さん、自分がついてますから!安心してください!」
「それは、どうも…」
茂手木からキラキラした笑顔を向けられ、録朗は助け舟を求めて理科子に視線を向ける。
「…寝てる」
436ナマ参拾参粉 大←茂→六?3/4:2008/10/05(日) 03:26:14 ID:ppFcAfDh0
買出しに行かせるだけ行かせてすっかり夢の世界に旅立っていた理科子を、録朗は恨めしそうに見つめた。
思い返せば、録朗と茂手木はあまり会話らしい会話をしたことがなかった。
ましてや、二人きりだなんて、恐らく初めてと言ってもいいだろう。
「……」
元々あまり人付き合いのいい方ではない。かと言って、この煮詰まった空気は耐えがたい。
何とか会話の糸口が見つからないかと、録朗は視線をさまよわせたが、先に口火を切ったのは茂手木だった。
「でも、本当にご無事で良かったです」
「え?」
「もし俺の銃で録朗さんに万が一のことがあったら…。俺、そんなの耐えられません」
「あ…」
茂手木の真剣な表情に、あの日のことがフラッシュバックした。
そう言えばあの日もこの熱い刑事は、自分のために随分と取り乱していたような気がする。
「心配をかけてしまったみたいで、すみません」
「そんな!元はと言えば、俺がしっかりしてなかったから…。」
茂手木は大きく頭を振った。そして、常より更に真剣な瞳が録朗を捕らえる。
「でも…」
「えっ」
いきなり両手を握られ、驚く録朗に構わず、茂手木は熱の篭もった声で宣言する。
「これからは、何があっても、絶対俺が録朗さんをお守りします!」
「あ、はい。ありがとうございます」
毎度のことながら、茂手木のストレートすぎる表現は、あまりにも真っ直ぐすぎて
録朗をくすっぐたいような照れくさいような不思議な感情にさせる。
「約束です」
「…じゃあ、お願いします」
何だか不思議な会話だと自覚しながらも、目の前で満足そうに笑う茂手木に
録朗も何やかんやで絆され、釣られるように笑った。
437ナマ参拾参粉 大←茂→六?4/4:2008/10/05(日) 03:27:44 ID:ppFcAfDh0
「おぉい、帰ったぞーって、何だぁ?男同士で手なんかつないで」
「警部!お疲れ様です!」
「お前らそんな仲良しだっけ?」
「…誤解の生まれそうな言い方はやめて下さい」
大俵から指摘されて、ようやくまだ手を握られたままだったことに気づいて、
いい歳した男同士が何やってるんだと今更ながらに気恥ずかしくなる。
「…?あの、茂手木さん?」
しかし、手を離してもらおうと力を入れてみてもまったく手応えがない。
困惑する録朗を他所に、茂手木は片方だけ手を放すと、今度は大俵に向かって伸ばした。
「いやぁ。仲良きことは美しきかな。結構結構って、うわ、何だ!?」
「警部!俺、警部のことも大好きですよ!」

「……ん?」
「……警部のこと『も』?」

一方は録朗、もう一方は大俵の手を握りながら、尚も茂手木は屈託のない顔で笑う。
「何だか俺、すごく気分がいいです!やっぱりちょっと走ってきます!」
勢いよく駆け出す茂手木を尻目に、録朗と大俵は呆然と立ちすくむ。
「…酔っている上でのあの言動と捉えていいんですよね?」
「そうじゃなかったらどうなるんだよ。恐ろしいこと言うな…」
取り残された二人は、お互いに探りを入れるように見つめあう。
しかし、深く追求したら怪我をするように思えて、すぐに目を逸らした。
「大体さ、俺は、ボン、キュッ、ポンのお姉ちゃんがいいよ」
「……僕は」

大俵の呟きに、もう一度だけ、録朗は弾かれたように大俵のくたびれた背中を見つめた。
438ナマ参拾参粉 大←茂→六?:2008/10/05(日) 03:28:14 ID:ppFcAfDh0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お粗末様でしたorz
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今日(もう昨日か)、ドラマが放送されないことがものすごく寂しくて書いてみた
でも攻めキャラがいなくて激しく苦労したw
誰が攻めかは私が教えてもらいたいくらいだ
439新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/05(日) 11:38:06 ID:/Fkw2rmUO
>>433
ネ申 降 臨
本当にありがとうございましたすごい萌えました
440新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/05(日) 20:23:15 ID:2hcfs9hC0
>>433
禿しく乙です。
某科学者SPで刃物のようなもののクダリで「痩せた鰹〜」を思い出すくらい寂しいですよ。
441ボカロ、マスター×がくぽ←レン 3:2008/10/05(日) 23:23:15 ID:HTFBbVNa0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 忘れた頃に続きを書く。それが自分。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 第三回です。感想ありがとうございます!
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
442ボカロ、マスター×がくぽ←レン 3:2008/10/05(日) 23:24:13 ID:HTFBbVNa0
場所はコンビニ、バナナを探し回るがくぽと、漫画を立ち読みして笑っているレンがいる。
「兄者!ばななを探すぞ!」
「待ってー、この漫画読み終わったら」
客たちはがくぽのいでだちと、レンのことを兄と呼んでいることに違和感を覚え、じろじろと眺めている。
それに気づいたレンは、漫画を棚に乱暴に戻すと、見ている客たちに向かってにらみつけた。
「俺の弟は見せもんじゃねぇんだよ」
ここでも喧嘩を売る気らしい。
それに気づいたがくぽは、あわててレンを果物を少量売っているコーナーへと引っ張っていく。
「兄者、喧嘩はしてはならぬと主から聞かされおる。さ、我ではどれがばななかわからないから、兄者の好きな果物を持って籠に入れておくれ」
「んー」
まずはりんごを手に取る。なかなかにうまそうだが、これではない。次にバナナを手に取る。いくつかバナナがおいてあり、一番食べごろなのはどれだろうと物色する。
「その黄色いのがばななか」
「うまいんだぞ、後でお前にも食わせてやる」
こういうときだけは、兄のいい顔をする。
にっこり笑うと、背伸びをしてがくぽの頭をなでてやり、レジへと急いだ。
会計をしている最中、レンのバナナしか籠に入っていないのに気づく。
「がくぽはなにもいらないのか?」
「主が料理を作ってくれているのじゃ。それで十分」
マーボーナスというものが何かわかっていないがくぽにとっては、毎日がマスターの手作り料理が楽しみだった。
「ふーん」
実は、料理ならレンも得意だ。
がくぽがまるで料理や家事ができないのに対して、レンは家事は得意だった。
そんなことを本人は知る由もないが、がくぽが喜ぶのならやってみようかと密かに思うレンであった。
443ボカロ、マスター×がくぽ←レン 3-2:2008/10/05(日) 23:25:41 ID:HTFBbVNa0

「うぃーっすただいまー」
「帰ったぞ、主」
がちゃりと扉を開けると、甘辛いにおいが漂っている。
「お帰り、二人とも」
マーボーナスができたらしい。
器に入れて、テーブルの真ん中に置いている。
「俺、バナナだけでいいわ。ほかの食べ物に興味ない」
「せっかく三人分作ったのに」
ぶう、と、マスターはむくれているが、がくぽはマーボーナスを見て喜んで席に着いた。
その様子を見て、レンは笑顔を浮かべた。
「がくぽ、俺の分も食えよ」
「兄者、ありがとう」
箸を手に取ると、がくぽは美味しそうにナスを食べ始めた。
そうだ、がくぽはナス類なら食い尽くしてしまうのだった。
「がくぽ、ご飯も食べるんだよ」
「うむ、わかっておる」
ご飯を受け取ると、ものすごい速さで食い尽くしていく。
ゆっくりバナナを食らうレンとは大違いだ。
レンは、ずっとがくぽをソファに座りながら眺めていた。
444ボカロ、マスター×がくぽ←レン 3-3:2008/10/05(日) 23:27:01 ID:HTFBbVNa0

「え!料理教えてほしい?なんでまた」
「お前がいないときのがくぽの食料を作るためだ」
しかしここでマスターは考える。
見たところ料理は上手いか分からないが、ここでがくぽの好みを教えたら、がくぽをとられてしまう。
そうだ、そうに違いない。とられてしまったら取り返すのに苦労してしまう。
「がくぽ、悪いけど洗濯物干しておいてくれる?」
「分かった」
がくぽが洗濯物を持ってベランダに出たのを確認すると、レンに小声で嘘を吹き込んだ。
「がくぽはね、胡瓜が好きなんだ。逆にナスが嫌いだからね」
「…」
そう聞かされて、つい先ほどのことを思い出す。
 確か、料理の中に胡瓜はなかったし、嫌いなはずのナスが入っていた。
さらに、昨日もナスをくれるからマスターのことが好きだとか言ってなかったか。
しばらくすると、がらら、と、簡単に洗濯物を干し終えたがくぽが戻ってくる。
洗濯物の干し方はめちゃくちゃだが、まあ、手伝ってくれたことに対して感謝はする。
「おいがくぽ。お前胡瓜が好きでナスが嫌いなのか?」
「いや、好きなものはナスだが?」
「やっぱり嘘じゃねえかよてめえ」
マスターの股間に、見事にレンの蹴りが入る。
「っぐあっふ!」
金的を食らって痛みにのたうちまわる。
自業自得である。
445ボカロ、マスター×がくぽ←レン 3:2008/10/05(日) 23:28:36 ID:HTFBbVNa0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 友達にBL小説を見せたら、
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )BLじゃないほうが驚く。
 | |                | |       ◇⊂    ) __といわれてしまいましたorz
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
446新板設置について相談中@新板スレ:2008/10/06(月) 00:31:28 ID:bZs1rAk6O
>>445
続きキター!
ここのマスター家のレンは本当に強いなあw
447風と木の名無しさん:2008/10/07(火) 09:57:37 ID:BdFyZQ1B0
>>445
マスター哀れwww レン容赦ないけど
その分がくぽを可愛がってるのが伝わっていい
448土鬼云鬼 1/2:2008/10/08(水) 18:57:41 ID:WyExVrXK0
王子愛されのエース→王子。でもあんまりCP色はない。キャラ完全捏造なので注意。
PSP版プレイ記念に書いてみた
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「身長が伸びない・・・」

エースは一緒に身体測定していたいとこの声に振り返ると、そこには予想通りがっくりと肩を落としている王子の姿があった。
「あんなに転がしてるのに・・・」
「や、転がして大きくなるっておかしいだろ」
「でもー、僕ちょっと伸びたよー」
のんびりとした声を出して、王子と同じくいとこのジュンが測定結果を見せてきた。

少し前の事だが、ある島でみんな集まって、いつも通り王様の代わりに塊を作っている王子に協力して過ごした時がある。
偶に王子と交代して塊を転がすのだが、結構大変な作業で、これも息子の仕事だからといつも張り切っている王子は正直凄いと思う。俺があの王様の子なら完全にぐれてるね。あれをがんばってやっても身長伸びないしなー。
なので、今回も伸びていない自分の身長に少し敗北感を感じながらその測定結果覗いてみると、確かに以前とは違っていた。
449土鬼云鬼 2/2:2008/10/08(水) 18:59:21 ID:WyExVrXK0
「って、1oだけかよ!!」
「ジュンすごーい!」
「ちょっと待て、そこで感心するってどこまで純粋なんだよお前! こんなの測定器の誤差に決まってるだろ!!」
「? そうなの?」
「王子、ちょっとは人を疑った方がいいぜ」
とは言ったものの、王子が人を疑ったりするとあの王様との関係が酷いことになりそうなので、やっぱり王子は今のままがいいのかもしれない。

「疑う必要なんてないよ。みんな良い人たちで、みんな大好きだから」
「わーい、ありがとー」
「・・・サンキュ」

こんな、好意に満ちた笑顔を真っ直ぐにこちらに向けてくれるのだから。



「ハーイ、王様一人で待っててもう飽きちゃったー。帰るよー」

でもこの人はもうちょっと変わるべきだと思うんだ。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
王子可愛いよ王子。マイナーですまん
450風と木の名無しさん:2008/10/08(水) 21:53:38 ID:lPFcxxBAO
>>448
GJ!
だよね王子は愛されてるよね。
まさかまさかの土鬼云鬼、ありがとう!
451オリジナル 1/2:2008/10/08(水) 23:39:16 ID:mMVb2/050
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!  

「健太、健太」 
 呼ばれて振り返ると、飛鳥がすっごい困った顔で首をかしげてた。 
「なんだよ?」 
「これ、ピースが足りなくない?」 
 そう言って床に置かれた板を指差す。その上にはほとんど完成してるパズルがあった。 
 うん、オレが渡したパズルだ。どっかの遺跡かなんかがプリントされてる絵がきれいで 
きっと飛鳥も好きだろうなーって思って買ってきて渡したやつだ。 
 ……ってオイ、それ渡したの1時間前だぞ?しかも1200ピースのでっかいやつだぞ? 
「いっくら探してもないんだよねー…不良品かな?」 
「さ、さあ?」 
 あんまりおどろきすぎて声がひっくりかえった。 
 だって、あんだけあったパズルが、あと1ピースで完成っての見せられたら、びっくりするって。 
「まさか健太、ピース隠してないよね?」 
「オレが渡したのは新品のパズルだぞ!」 
「そうだよねえ。もう、あと一つで健太に何でも言うこと聞いてもらえるのに」 
 飛鳥が残念そうに言う。 
 こいつがパズルをするまえにしたかけのことだ。 
 そういや今日中に完成させられたら、オレが何でも言うこと聞いてやるって言ったら 
みょうにはりきってんだよな。こいつ。 
 こいつがパズルやってるそばでマンガ読んでた間、何度も何度も「本当に何でも 
きいてくれるんだよね?」って確認してきたぐらいだ。 
 ……そんなにオレに言うこと聞かせたいのか、どSめ。 
452オリジナル 2/2:2008/10/08(水) 23:40:48 ID:mMVb2/050
「なー、飛鳥」 
 考古学者の飛鳥の両親がつけた名前は、昔は女の子みたいだっていじめられてたけど 
今はすごく気に入ってるらしい。オレが呼ぶと、にっこり笑って何?と答えるくらいだ。 
「さっきから気になってたんだけどさ、お前、オレにどーいう命令する気だよ」 
 正直、今週おこづかいを使いすぎててピンチなんだ。金に関してのこととなったら 
今すぐというのは無理だ。貯金箱作ってがんばらなくちゃいけなくなる。 
 けどオレの心配は、きゆうだった。 
「お金とかいらないから大丈夫だよ」 
「ならいいけど。どーいうのか決まってんの?」 
「うん」 
 飛鳥が笑ってうなずいた。 
 なんだろう。ばつゲーム的なのかな。いやだなー、ハゲづらかぶって町内一周とかだったら。 
いや、飛鳥はそういうことしないや。……となると、全然オレの予想がつかない。 
「ねえ、健太」 
「ん?」 
 すっげー真剣な顔して、飛鳥がオレを見た。こんな顔、今まで見たことないくらい、笑いのカケラもない 
表情で、心臓がはね上がった。 
 こういうの、なんていうんだっけ。 
 ええと、うんと。 
 …あー、はとが豆鉄砲くった、だ。 
「呼んでみただけ」 
 さて、探そうか、と空っぽの湯飲みをおいて、飛鳥が部屋の中をまた見回し始めた。 
 ベッドの下とか本棚の間とかのぞいて、ないだろうかって探してる。 

 オレは自分のケツの下にピースがあることを言うことも忘れて、ただばくばく激しい心臓を手でおさえてた。 

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 
何々やったらいうこと聞いてあげるのシチュエーションはやっぱり 
何度見ても萌えるんだよなあ。
453風と木の名無しさん:2008/10/09(木) 10:01:20 ID:3/ISE4Ql0
>>448
大好きなゲームなので、すっごい嬉しい!
王子もメイツも王様もかわいいなぁ
454オリジナル1/3:2008/10/09(木) 12:47:13 ID:vn3hzkYyO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「最近さ、青い物増えたよね」
俺の対面であんかけ焼きそばを啜っていた男がぽつりと言った。
さっきから食いながらきょろきょろとしていたのは家の中の青い物を探していたからだろうか。
「別に、気のせいじゃない?」
俺は対面の男と視線を合わせないようにあんかけ焼きそばを食べる事に専念する。
視線を合わせてしまえば、俺の感情などすっ飛ばして自分が欲しい答えを掠め取って行きやがるからだ。
大体この対面で俺を見つめ続ける男は、酷く底意地が悪い。
普段はきらきらとした美少年で、誰にでも優しく品行方正であるのに、人目が無いのを確認すると、一気に豹変するのだ。
優しげな微笑みには影と毒が滲み、俺に向けられる視線には明らかな見下しの色が出る。
本人はそんな事は無いと言うが、その声色に既に小馬鹿にした雰囲気がある。
まあ俺が容姿やら処世術やらが随分男に劣っているせいでもあるのかもしれないが。
それでも何度かぶん殴ってやろうかと思ったが、筋力にすら差があるので迂闊に逆らえ無い。
455オリジナル2/3:2008/10/09(木) 12:48:19 ID:vn3hzkYyO
「前はさあ、赤とかモノクロばっかりだったよね?」
いつの間にかあんかけ焼きそばを片付けていた男は、また部屋の観察をしていた。
他人の家をじろじろと見回すのはマナー的にどうなんだ。まあそんな事を気にする性格では無いのだろうが。
「今まで気にしてなかっただけじゃないの。ちょっと模様替えしたし」
麺と反比例して皿に残っているあんをイカで寄せながらひたすら皿を見つめる。
目は合わせない。意地でも。

確かに青は増えた。
基本的に俺が好むのは赤やモノクロセピアカラーで、今まで家には殆ど青は無かった。
まあ増えた、というより増やした、と言った方が正しいんだろうが。
ただ単に嗜好の変化で増やしたのならば逃げはしない。変化の根底にあるものが問題なのだ。

青は男の色で、だから増やしているから。

特別男が青に執着しているという訳ではなく、俺の中だけの偏見のような物なのだが、それを差し引いてもこの男には青が似合うと思う。
特に、空の青さが。
時間や気候によってがらりと表情を変える様も、多面的なそれと当てはまる。気がする。
456オリジナル3/3:2008/10/09(木) 12:49:20 ID:vn3hzkYyO
「アクセサリーにも青い石増えたよ。今のピアスも」
最後の砦、ウズラの玉子も食べ終わり、なるだけゆっくりと皿を洗う俺の背に、思いの外近くから声がかかる。
それと同時に右耳元の髪が掻き上げられ、耳に指が触れる。
身を捩って逃げようとするが、左側からしっかりと腕が回っていてろくに動けない。いちいち行動が嫌味なんだよ畜生。
「青も似合ってるけど、やっぱりカヤちゃんには赤が良いと思うなあ」青が似合わないのは分かっているが、人の耳を弄びながら言うことじゃねぇだろう。
「……っ……いい加減っはなっせ……よ……!」
死ぬ気で金的でもしてやろうかこの野郎。

「なーんか赤ってさ、カヤちゃんの色って感じがするんだよね」
くすくすと含み笑いをしながら離れて言う。
もうとっくに洗い物は終わったけれど、何故か動けない。
赤が俺の色って……。好んではいるけど、似合っているんだろうか?
自分の色なんて考えた事なんて無かった。


もしも、もしも俺の色が赤なら。
夕暮れ時、僅かに差し入る茜色程に、男の青に赤は、入るだろうか。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
受けの片想いが好きです。
457スルー或いはキャッチ (Now井隅×Miss太) 1/2:2008/10/09(木) 15:54:38 ID:JCnNfS9T0
ナマです
北国発 全国的ローカル旅番組のタレント×社長

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


正直言って、一体大井隅君や富士村さんが
何が面白くて笑ってるのかわからないことは多い。
掛け軸の虎退治しかり、
温泉入って「いやぁああああ」しかり、
腹太鼓の大相撲しかり。
面白いとはさっぱり思わないんだけれど、
やっている当人と笑っている当人が
身も世もないくらい大笑いして楽しそうなので、
まあいいか、と特に異議を唱えるでもなく流している。
そういう感覚っていうのは、わからなければ説明されようと
所詮理解はできやしないものだし、
楽しそうな人につられて楽しくなるってのも本当だから。
458スルー或いはキャッチ (Now井隅×Miss太) 2/2:2008/10/09(木) 15:55:38 ID:JCnNfS9T0
そんなわけで。

一体大井隅君が何を指して
「社長、なまら可愛い」だの
「そういう色っぽい目やめてください」だの言ってるのか
さっぱりわからないんだけれど、
そう言いながら僕を抱き締める当人がひどく幸せそうなので、
まあいいか、と流しているのだ。

幸せそうな君につられてね。僕まで幸せになるよ。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
459風と木の名無しさん:2008/10/09(木) 16:01:04 ID:06bQPgsH0
>>454GJ
うわ〜ド真ん中ストライクです!
青の人が全部わかってて、赤の人に絡んでるのでも
勝手に第三者の存在を想像して赤の人に絡んでても良い
萌えました
460容儀者χ 油→石 1/3:2008/10/09(木) 22:45:19 ID:jBMD4OIQ0
映画のネタバレ注意です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「すまん、邪魔したか?」
油川が部屋に入ると石上は丸めていた背中を起こし、
片眉だけをわずかに上げて驚いたような表情を作った。
いや、おそらく彼の精一杯の驚きを表現したものだったのだろう。
それでもたどたどしく立ち上がると、
油川が脱いだコートを前回かけられなかったハンガーへとかける。
こういうものを用意していた時点で、石上は自分自身どこかで、
彼の訪れを望んでいたのだと気づいて、
油川に見えないようにあざけるように笑った。
「……なんだ、来るなら連絡してくれれば……」
「前と同じ時間だったから大丈夫だと思ったんだ。すまない」
石上が言い切る前に油川は彼の言葉をさえぎり、肩をすくめてから謝罪をする。
案内されるでもなく、前回と同じように押入れを背に当然のように座り込むと、
何か反応を求めているかのような笑顔を作った。
「どうしたんだ、油川」
油川の座っている目の前に同じように座り込むと、ようやく油川への催促へと移る。
会う約束など当然しておらず、話題があるわけでもない、
数学の問題を解けといわれれば石上は喜んで解くのだろうが、
あいにく今日の油川はかばんすら持っていない。
口頭で伝えることも彼の頭脳を持ってみればおそらく可能なことだろうが、
それもおそらく違うだろう。
「前回来たとき、よく眠れたんだ」
油川の発した冗談のような言葉に、石上は返す言葉どころか、
反応方法すら浮かばず、
「はぁ」とだけ声を漏らした。
そんな彼の反応に気づいたのか、自分を正当化するためなのか、
油川は少し強い語調で続ける。
461容儀者χ 油→石 2/3:2008/10/09(木) 22:46:07 ID:jBMD4OIQ0
「石上。これは冗談でも、なんでもない。
 前回ここに座って君の背中を見ながら眠ったとき、とても気分が良かったんだ」
「……変なことをいうな」
困惑したように、座り込んだ油川を見つめる石上の視線は、
考えあぐねているように斜め上へから対極へと移動し、
動揺を押し込めるように大きく息をついてから、ようやく口を開いた。
「君が普段どんな生活をしていたかは知らないが」
否定の言葉を言いそうだった唇は、言葉を捜すように閉じられ、
それから「仕方がないな」とはにかむように笑った。
「ありがとう。
 何か君の興味を引くようなものを持ってこれたらよかったんだが、
 あいにくみつからなくてな」
座り込んだまま、油川はリラックスするように壁に体重を預けた。
硬質な壁はとても眠るのに適しているとはいえない。
当然研究室のソファのほうがまだ眠るのに適しているというのは
油川にとっても明白な事実だった。
「気にしないでくれ。正直多分、うれしいんだ、油川が来てくれて」
そういいながら膝立ちで油川の横まで行くと、照れ隠しなのか鼻を擦る。
「そうだ、前……君は言ってただろう、若々しい僕がうらやましいって」
彼の様子を横目で確認しながら、油川は言った。
「ああ、言った。でも……それは忘れてくれ」
「いや、ひとつだけ言わせてくれ。僕は……容姿の変化こそがすべてじゃあない。
 いや、容姿のことばかり気にする……
 それが女ならその女はやめておいたほうがいい。
 今の君は十分魅力的だ。
 僕にとっては石上鉄也は愛すべき天才のままだ」
462容儀者χ 油→石 3/3:2008/10/09(木) 22:47:13 ID:jBMD4OIQ0
「愛すべき」そういったときに石上は自嘲するかのような笑いを漏らし、
押入れの中から取り出した毛布を油川にかけると、
油川に声をかけずに問題をおいていた机のほうへと移動し、
ぎぃと音をさせながら椅子にすわった。
「君は、疲れてるな」
振り返ると、わざとらしげに眉間にしわを寄せ、油川へと視線を向ける。
だが、その感情は隠しきれていなかったらしく、
わずかに息が詰まったような言い方に、彼自身肩をすくめていた。
「疲れてなんてないさ」
ほころんだ石上の表情に油川は満足げに笑うと深く腰を落とす。
「でも、眠りにきたんだろ?」
「……ああ、そのとおりだ」
そうだな、と油川は言って、毛布を首筋まで手繰り寄せた。
 
しばらくして、石上が突然振り返って油川が起きているのを確認すると、
感情の少ない彼の表情を彼に向けて、突然つぶやくように言った。
「さっきのは……油川にしては論理的じゃない言い草だな」
「すまない、眠いんだ」
照れ隠しでもするかのように油川は彼の言葉をさえぎる。
「なんだ、それじゃあ、考えてもいなかった言葉だったのか?」
冗談にしようと、わざと軽い言葉で言うと、珍しく油川からの言葉は遅く、
躊躇するかのような間のあと、シンプルな言葉が返ってくる。
「そうだな、寝言だ」
「そうか、じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」
そういうと、油川は、机に向かっている石上の背中を、
振り向きはしないその背中を網膜に焼き付けるかのように瞬きすらせずに見つめていた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
463100-1 王子ネタ:2008/10/10(金) 03:03:41 ID:C52DSDXW0
 ____________
 | __________  | ナマモノ注意です
 | |                | |
 | | □ PLAY.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 本スレ姐さん達のネタから
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )頂きましたです…
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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464100-1 王子ネタ 1/4:2008/10/10(金) 03:05:14 ID:C52DSDXW0
「うーん…」
目を開けると、僕を覗き込む丘村さんの顔。
どうやら収録が終わった後、楽屋で眠ってしまったようだ。
それにしても身体がやけに重い。
まるで腹に重石でも乗せられてるような…と、首を持ち上げて自分の腹に目をやると
「ちょ、丘村さん、何してはるんすか」
丘村さんが馬乗りになっていた。
「てか何ちゅー格好してるんすか!」
よくよく見ると丘村さんは肩にマントをつけ、
よくあるカボチャパンツに白タイツの王子様スタイルでご丁寧に王冠まで被っている。
「お前は誰に口を聞いているんだ」
「誰って、丘村さんですやん」
王冠が重いのか、頭からずり落ちそうになっている。
「丘村とは誰だね、私は工ドワード王子だ」
「はぁ?!」
「はぁとはなんだね失礼な。私は君を向かえに来たのだ」
「工ドワードて、おもっきり日本人顔ですやん」
「ごちゃごちゃ言うな!早く起きて出発するぞ」
「出発?!」
「いいから、私についてきたまえ」
僕の腹から下りた丘村さんは赤いマントを颯爽と翻して楽屋を出る。
何かの企画だろうか、とりあえずついていくしかなさそうだ。
それにしても、たったっと歩いていく後姿はどこか風格があって、白タイツのくせにちょっと格好良い。
465100-1 王子ネタ 2/4:2008/10/10(金) 03:06:04 ID:C52DSDXW0
どこ行くんすか、ちょっと歩くの早いすよ」
「もたもたしてると置いていくぞ」
暫く歩いて、ある所で立ち止まる。
「どうしたんすか」
「ここから先は目を閉じるのじゃ。決して目をあけてはなりませぬ」
「なんか語尾おかしいっすよ、キャラ設定ふわふわしてますよ」
そういうと、ちっちゃい王子はムッとして眉間に皺を寄せた。
「さっきから煩いぞ、早く目を瞑りたまえ」
「でも目瞑ったら歩けないです、僕」
「…じゃあマントの端でも握っていたまえ」
言われた通りにマントの端を掴んで目を閉じると、その上からアイマスクをつけられた。
「いくぞ」
突っ込む暇もなく、また歩き始める。
歩幅は僕より狭いはずなのに、こけそうになる程早足だ。
必死について行きながら、変な格好の丘村さんとそのマントの端を掴む自分を想像して
これはかなり滑稽やろうな…と考えていると、また丘村さんが立ち止まった。

「ちょ、急に止まったら危ないじゃないすか」
「すまない。じゃあコレに乗りたまえ」
身体を押されて、乗り物に乗せられる。
ばたん、と扉が閉まる音は確かに聞きなれた音だった。
「これ、丘村さんの車じゃないですか」
「いや違う。私の馬車だよ、谷部くん」
「馬車すか!」
エンジン音がして、馬車という名の自動車が走り出す。
「僕どこに連れてかれるんですか」
「不安なのか」
「いや…まあ不安っちゃ不安ですね」
「そうか、じゃあマントの端でも握っていたまえ」
さっきと同じ台詞を吐いて、僕の手にマントを握らせる。
どこへ行くのか、何の番組なのか、なぜ王子なのか。
疑問は沢山あったが、大人しく車に揺られていた。
466100-1 王子ネタ 3/4:2008/10/10(金) 03:06:36 ID:C52DSDXW0
さあ、着いたぞ」
手を引かれてどこかの部屋に入る。
「靴と服を脱いで待っていてくれ」
「服も?!」
「そうだ」
言い残し、玄関らしき所に僕を置いて丘村さんはどこかへ行ってしまった。
服を脱ぐって、どこまで脱いだら良いのだろう。
「なんだ、早く服を脱ぎたまえ」
脱ごうかどうしようか迷っている内に戻ってきた丘村さんは、
有無を言わさず僕のシャツに手をかけて次々ボタンを外していく。
「ちょ、ちょお待ってよ!何よ!!」
「いいから、下も脱いで」
仕方なしにズボンも脱いで下着姿になった僕に、なにやら別の服を着せていく。
「よし、これで準備OKだ。さぁ行こう」
次の瞬間、足がふっと浮いた。
「えぇッ、何なに?!」
「大人しいしとき」
どうも、所謂お姫様抱っこをしてくれている様だが…
「めっちゃフラフラしてません?」
「いや…お前意外と…重たいなぁ」
一歩進む度に落ちそうになるので、僕は思わず丘村さんの首にしがみつく。
「もうヤバイって、落ちるって!ムリやって!!」
「大丈夫大丈夫」
467100-1 王子ネタ 4/4:2008/10/10(金) 03:07:11 ID:C52DSDXW0
はぁはぁ言いながらなんとかソファに僕を座らせると、
「まだ目ぇ開けたらあかんで」と低く言ってアイマスクを外した。
次の瞬間ふっと顔が近づく気配がして、声を出す間もなく丘村さんの唇が僕の唇に触れた。
どれくらいそうしていただろう。
口をひらくわけでもなく、ただ触れ合ったままふたりとも微動だにせずにいた。
漸く顔を離した所で「もう、目ぇ開けてもええよ」と丘村さんが僕の髪を撫でた。

目を開けると、丘村さんが「誕生日おめでとう」と囁いた。
見ると、テーブルには蝋燭の灯されたケーキと、彼が作ったであろう料理とワインが用意されている。
「丘村さん…これ……」
驚いた僕の顔を見て満足したのか、
「王子様のキスで目覚めた気分はどうかね」と笑った。
どうかねもこうかねも、突っ込むべきか甘い気分に浸るべきか迷ったけれど
「…まぁ悪くはないですね」とだけ言った。



「さぁけど丘村さんが王子様で僕がお姫様なんすね」
玄関で着せられたドレスのまま、ワインに口をつける。
「うん。なんで?」
似合ってるで、と丘村さんが嬉しそうに言うもんやから
「いや、別に…」
どちらかというと、丘村さんの方がお姫様っぽいと思うのだが
それは言わずに心の中にしまっておくことにしようか。
468100-1 王子ネタ:2008/10/10(金) 03:09:31 ID:C52DSDXW0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ちょっと早めの谷オメでつ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
469風と木の名無しさん:2008/10/10(金) 03:19:50 ID:C52DSDXW0
>>465>>466の一行目のかぎかっこ 「 が抜けてました
読みにくくて申し訳ないです!
470風と木の名無しさん:2008/10/10(金) 09:31:10 ID:+ANB2dGuO
>>469
GJ!朝からいいもん読まさせていただいた。
かわいいねーかわいいよ。
471ナマ 白ぬこ王求団 1411:2008/10/10(金) 21:15:38 ID:V68l5HHgO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
しーえす前合宿ネタ。お約束のオチで。




自分がお人よしなのは重々承知しているが、それでもこの扱いはひどいのではないかと思う。
さっきの対戦ゲームの時だってそう。よってたかって自分のキャラクターを袋叩きにされ、
もちろんダントツの最下位だ。
しかもそれをひどい!とでも言おうものなら、逆にゲラゲラ笑って追い討ちをかけてくるから
性質が悪い。
そんな風に散々騒いで食べ散らかして、しかも自分の部屋でなくてここで寝こけるなんて、
本当にこの先輩達ときたら。
「ちょっとー!カズさん!起きてくださいよ穂葦さんも!もー!」
自分の寝床から毛布もシーツも引っ張り下ろして、それに包まって丸まっている先輩達をゆする。
けれど案の定というか予想通りというか、ホテルの床に大の字になっていたり完全に丸まって
いたりする相手方は、斧寺の小さな怒声くらいではさっぱり目を覚ます気配がない。
逆にこうなると、人の部屋をそうと思わないで心底リラックスしてしまえるあたり、この人達だ
なあと妙に感心もしてしまう。
しかしこのままでは自分が寝られない。明日も練習はあるというのに。
472ナマ 白ぬこ 2:2008/10/10(金) 21:18:27 ID:V68l5HHgO
せめて空になったビール缶とか、ポテトチップスの袋くらい片付けて欲しいんだが。
「…あははー、寝ちゃってますねえ」
「もー…どうすんだよー。俺どこで寝たらいいんだよー」
傍らでニコニコとその後輩が笑う。
がさがさとビニール袋にゴミを集めたり机の上を片付けたり、唯一マトモな対応をしてくれている。
「ていうか毎晩なんだけど」
「そうですねえ」
「…でもちゃんと起きるんだよな、この人たち。毎朝」
「ねー、スゴいっすよね」
もうすぐ日本シリ一ズをかけた戦いが始まるわけで、その前にチーム全員で気合を入れなおすための
この合宿だ。
よって昼はそれなりにハードな練習メニューをこなしているにはいるんだが、夜があまりにも暇すぎた。
野王求に集中しまくれる環境すぎて、本当に出かける場所もなく見る番組もなく、必然的にやることと
いえば誰かの部屋に集まり、騒いで遊んで、疲れ果てて眠るのみ。
ただそのターゲットにされているというのは、やっぱり自分がお人よしだからなんだろうな、と斧寺も
そこは半分諦めている。
別にそういう風に扱われるのは嫌いじゃない。むしろ楽しくもある。
473ナマ 白ぬこ 3:2008/10/10(金) 21:20:28 ID:V68l5HHgO
けれど後輩の悲しさというか自身の性格ゆえか、どうも最後の最後で貧乏くじを引きがちだ。
「カさん、ちーかーらーさん!これまとめちゃっていいですか?」
「…へ?あ、頼むよ。…だから二人ともここで寝るんですかっての!?」
ゆさゆさ揺さぶっても左腕二人はびくともしない。全くこのサウスポ一どもめ。未知の生物だ。
「騎士―」
「はいはい」
「お前もういいよ、あと俺片付けとくから、寝て来な」
「え?あー、大丈夫っすよー」
「良くないって、お前明日投げるんだろ?」
体中でゴミ袋を抱きしめて何してんだと、可愛い後輩の頭を撫でてやれば、騎士は騎士で何だか決まり
悪そうに笑う。
必死で小さく潰そうとしているのはわかるんだけど、そういう行動がいちいちどこか可愛いやつなんだ。
「…それは、カさんもでしょーが」
「俺はね、連続とか慣れてんの。肩もいい感じに仕上がってきたしね」
先溌と中津ぎでは、同じピッチャ一でも調整法が違うから、それは満更嘘ではない。
先日ビールかけの後、この左腕の片一方(と例のあの後輩)に噴水に突き落とされひいた風邪も、大分
ましになった。
なおもぐりぐり頭を撫でてやると、長い髪がぐしゃぐしゃになる。
474ナマ 白ぬこ 4:2008/10/10(金) 21:22:58 ID:V68l5HHgO
そんな困ったような騎士の顔が、斧寺は好きだ。
「…なあ」
「はい?」
「もしかして、あんまりお前寝れてない?」
パジャマがわりのスウェットの、そんなもったりしたラインの下からもわかるくらい、そこで騎士の肩は
跳ねた。
「…あの」
ぶえっくし!
背後でチ一ム最年長の左腕が盛大にくしゃみをする。あわてて背筋を伸ばして振り向くが、それ以上の
反応は無い。
「カズさんて、…風邪なんか引かないで下さいよおー」
斧寺は仕方なく、さらに自分の毛布を床まで引き摺り下ろしてやる。ますます寝床が寝床でなくなっていく。
むにゃむにゃもごもご、起きているときも何だかとぼけた人ではあるが、寝顔のだらしなさは超一流だ。
「…ほんとすごい。カズさんも、穂葦さんも、カさんも」
「?」
振り返ると騎士はまだ、ゴミ袋を抱えたままぼんやりしていた。
「だって俺だけ、初めてだから」
「騎士」
「すごい緊張する」
ああもう、ゴミ袋と一緒でかまわない。斧寺は手を伸ばした。
思い出した。本番には強いくせに、それまでの間考えて考えて、緊張して緊張してしまうこの性格のこと。
そういえばそうでもあった。抱きしめてからさらに思い出す。
475ナマ 白ぬこ 5:2008/10/10(金) 21:25:32 ID:V68l5HHgO
2年目のこいつには、初めての大舞台になるということ。
「…そういえば、そうかな」
「枠だって、やったことあるけど。俺だけやったことなくて」
じっとされるがままの騎士の声が、ちょうど肩口のあたりから聞こえる。震えてはいないけれど、硬い。
ぽんぽんと背中をなだめるように叩いたら、ゆっくり息を吐いた、その息の音も聞こえた。
常勝と呼ばれた事があるこのチ一ムにいれば、大概の人間は度胸が据わってくる。
秋にはペナソトを手にするのが普通だし、もちろん日本シリ一ズまで出るのが当然、といった空気が、
周囲だけでなくどことなく漂っている。
それが去年一度だけ覆されて、その渦中にいた騎士だ。誰よりもこの季節を待ち望んでいただろうけれど、
逆にその重圧も想像以上なんだろう。
だから言うんだ。
「緊張で寝られない?」
「…あんまり、考えたくないすけど。何であんなリラックスできんのかなって…」
「そりゃ、あのヒトらは場数が違うから」
「力さんもマイペースじゃないですか」
「…うん、そうかも」
上手く言えやしない事実に、斧寺はため息をついた。
何て言えばいいんだろう?出てしまえばどってことないとか?
いや、それは違うな。
476ナマ 白ぬこ 6:2008/10/10(金) 21:28:08 ID:V68l5HHgO
穂葦さんやカズさんならいざ知らず、俺が言うこと自体おこがましい。
騎士はこう見えて、言うべきことはちゃんと言ってくる。
普段はほやほや笑っているだけのことが多いが、自分の考えはちゃんとあるし言う奴だ。
「だいじょぶだよ」
逆に結局こんな風に、いつもチープな台詞しかはけない自分がいて、だから斧寺は二重に凹んだりする。
俺じゃ力になれないな、その上気の利いたことも言えないんだ。
「皆それなりに大変だけど、皆頑張ってるから、だいじょぶなんだ、うん」
「…」
「振り返ったら皆いるって、そう考えたら気楽にならない?」
「わかっちゃいるん、すけど」
「…あー…後ろにいるのが俺だと、逆に不安か…」
「んま、ったそういうこと言う!」
ごりごり、語気が強くなった騎士が、額のあたりを捻って鎖骨を攻撃してくる。
駄々っ子のようで、素直で、真っ直ぐだなあと思う。何が可愛いって、この性格だ。
この根性だ。
実は凄く強いんだ。
「…俺、楽しみにしてんだって」
「何をすか」
「お前が投げるの」
「…」
「お前、カッコいいからさ」
本音で言うと、こういうこと。それは全く嘘なんかじゃない。
477風と木の名無しさん:2008/10/10(金) 21:31:32 ID:lCSlo7FWO
>469
>マントの端
二回言うところが(・∀・)イイ!!
478ナマ 白ぬこ 終:2008/10/10(金) 21:33:22 ID:V68l5HHgO
そんな強いお前だから、俺なんか力になれないってよく思ってる。だから何が出来るかを考えてる。
ずっと見て、理解しようとしている。細かい癖、言う前のタイミング、ちょっとした息づき。
「そんでやっぱり可愛いし」
「それは、嬉しくないです」
「ごめん」
「力さんいっつも言ってます」
「んでさ、寝るとこないんだけど、俺」
「そですね」
「…そっちの部屋、行っていい?」
嫌なら嫌って言うだろうって、変な自信があった。
だから言わないってことは、頷かなくっても、嫌じゃないんだなってわかる。ちゃんとわかる。
わかるよ、お前のことならさ。
それだけは、誰にも負けない。


次の日ブノレペンで、斧寺はいきなり穂葦に力いっぱい蹴りを入れられた。
「口説くんはええけど、TPOをわきまえんか、アホ!」
「い…っへっ?」
「そんで下手くそ!」
「…うぉ、お、起きてたんですかー!!??」
うげげと見遣れば傍らで、石居はにやにや笑って何も言わない。
絶句する斧寺を放置して、そのままキャッチボールを始める未知の生物2体。
「…」
やっぱりこの人たちには敵わない。
踏んできた場数が、色んな意味で違いすぎる。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )
479風と木の名無しさん:2008/10/10(金) 21:39:36 ID:br8firmP0
>>460
2人のやりとりがすごくいいです。
背中を見つめる物理学者にぐっときました。切な萌え
480477:2008/10/10(金) 21:42:11 ID:lCSlo7FWO
割り込んでしまい申し訳ありませんでしたorz
481風と木の名無しさん:2008/10/10(金) 21:51:46 ID:PT1XkjX60
>>471
1411が可愛くて仕方ないよ
寝た(ふりしてる)左腕二人もいい!
とりあえずCS四人とも頑張っておくれ
482風と木の名無しさん:2008/10/11(土) 02:05:25 ID:5iEDb/1gO
>>471
おおお待ってました!
いいなぁこのほのぼのコンビ
他フアンですが気になって仕方ありません CS皆さん頑張ってくれー
483風と木の名無しさん
>>471
禿萌えた
カ者も騎士も可愛すぎる・・・