モララーのビデオ棚in801板36

このエントリーをはてなブックマークに追加
1風と木の名無しさん
.   ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ | 
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]._\______   ____________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_|| / |/    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |[]_||
    |[][][][][][][]//||  | ̄∧_∧     |[][][][][][][][].||  |  ̄
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    (__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板35
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1202497347/
ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり

保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/
2風と木の名無しさん:2008/03/12(水) 00:19:28 ID:Utn+/PXr0
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★

ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。

(1)長時間に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>3->>7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。

※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、スレを占拠しないためにも投下ペースや分量を配慮して下さい。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。

相談・議論等は避難所の掲示板で
http://s.z-z.jp/?morara
3風と木の名無しさん:2008/03/12(水) 00:20:34 ID:Utn+/PXr0
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4風と木の名無しさん:2008/03/12(水) 00:21:36 ID:Utn+/PXr0
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5風と木の名無しさん:2008/03/12(水) 00:22:55 ID:Utn+/PXr0
テンプレ2
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └───────────────

          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘
6風と木の名無しさん:2008/03/12(水) 00:24:00 ID:Utn+/PXr0
テンプレ3
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
7風と木の名無しさん:2008/03/12(水) 00:24:53 ID:Utn+/PXr0
テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
8風と木の名無しさん:2008/03/12(水) 00:25:39 ID:Utn+/PXr0
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________
9風と木の名無しさん:2008/03/12(水) 00:26:20 ID:Utn+/PXr0

   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)
10風と木の名無しさん:2008/03/12(水) 00:30:47 ID:aFY2am8m0
>1
すばやいスレ立て乙です。

乙ついでに前スレ>>534の感想も。
考えたことのないカップリングだったけど、
見事にこのカップリングもええんちゃうかと思わされてしまいました。
警部補側からの話も見て見たいなぁ。
11前スレ534 有/栖/川/有/栖作家編(鮫×アリ):2008/03/12(水) 00:33:50 ID:Utn+/PXr0
容量いっぱいになりつつあるのを気付かず投稿…。
新スレ誘導出来ない状態にしてしまって申し訳ありませんでした。
あと、マカーなので、テンプレAAがちゃんとコピペ出来ているかも不明です。
ズレてしまっているようでしたら、修正版を再度コピペしていただけると有り難いです。

そんなわけで、
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

馴れ初め話にすらなってない…orz
12墓場喜太郎 水城→喜太郎?:2008/03/12(水) 02:27:42 ID:jNXlpfGF0
>>1
乙です!
テンプレAA窓でもちゃんと表示されてるので大丈夫だと思います。

早速だけど、寝る前に投下させていただきます

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

水城が片道切符でアレする前のお話。
親子愛で終わっちゃったような気がしなくもない。
13墓場喜太郎 水城→喜太郎? 1/5:2008/03/12(水) 02:28:59 ID:jNXlpfGF0
「じゃあな、喜太郎。明日もまた同じ時間に来るからな」
地獄へ遊びに行った帰り、家に着く前に父さんと別れる。
本当はまだ全然遊び足りないのだが、いくら寝る時間が遅くなっても
朝がくれば、やれ学校だのめしだのと、いつもと同じ時間に叩き起こされてしまう。
高揚した気分とは裏腹に、眠気が限界だった。
そーっと玄関の戸を開ける。明かりはついていない。
音を立てないよう、忍び足で寝室まで向かった。
ああ、まぶたが重い。
滑り込むように寝床に入ると、頭まですっぽり布団を被って目を閉じた。

…ん?

背中になにかが当たる感触。はて?
まぶたをこすりながら、布団から顔を出して振り返る。
暗がりで顔はよく見えないが、後ろで寝息を立てているのは育ての親である水城に違いなかった。
どうやら寝ぼけて彼の部屋に転がり込んでしまったらしい。
「なんだ、ぼくの部屋は隣か」
一度潜り込んだ布団から這い出るのは困難だ。
いっそこのまま寝てしまおうかとも考えたが、なんとなく居心地の悪さを感じ、
気だるい体に鞭打って腕に力を入れる。
……。…あれ。

動かない。
14墓場喜太郎 水城→喜太郎? 2/5:2008/03/12(水) 02:30:01 ID:jNXlpfGF0
いつの間にやら、水城の腕の中に捕らわれていたらしい。
しっかり抱え込まれており、喜太郎の力で脱出するのはなかなか困難だろう。
「さて、どうしたもんかな」
考えあぐねていると、ふとしたいたずら心が頭をもたげてきた。
目の前にあった水城の手の甲を口元に引き寄せ、キャラメルでも舐めるように
ペロペロと舌を這わせる。
「……う、…」
密着した体がわずかに身じろいだが、それだけだった。
きっと驚いて跳ね起きると思ったのに、つまらない反応だ。
しかし今ので腕の力が緩まった。やっとこの監獄から抜け出せる。
いい加減に、自分の寝床で心置きなくぐっすり眠りたかった。二度言うが、眠気が限界なのだ。
今度こそ、と力を入れて体を起こす。
……起こしている、はずなのに。どういうわけか、ますます歯が立たない。
どうやら喜太郎を拘束していた腕が、より強固になっている。
「…こいつは、強敵だぞ」
どんな夢を見れば、こうなるんだろう?
そもそも、この人は本当に眠ってるんだろうか。寝ぼけているにしては
抱き締める力が強くて、ちょっとやそっとじゃ解けそうにない。
眠くてたまらないのに。
人間のあったかい体温なんかで包まれたら、脱出するよりも先に眠気に負けてしまうじゃないか。
赤ん坊じゃあるまいし、こんな状態で朝を迎えるのは癪だ。
「…なんで、こんな…ばかにつよ、く…。…………」
水城の腕を何とかどかそうと抵抗していたが、そう長く持たないうちにコロリと負けてしまった。
15墓場喜太郎 水城→喜太郎? 3/5:2008/03/12(水) 02:30:43 ID:jNXlpfGF0
寒気を感じて、水城はいつもより早く目を覚ました。
外はまだ暗い。もう一度寝なおそうと、肩からずり落ちた布団に手を伸ばす。
布団を引っ張り上げると、そこには小さく丸まって眠る喜太郎の姿があった。
「どうしてここに、喜太郎が…?」
俺が寝ている間に入ってきたのか?
いや、たしか昨日は家に着いた時点で既に日付が変わっていたはずだ。
よもや一緒に寝るためだけに、わざわざあんな時間まで起きて待っていたとでもいうのだろうか。
「まさか、なあ…」
小さい頃こそ懐いていたものの、近頃は反抗的な態度が見え隠れするようになってきた。
そんな健気な事をするなんて、にわかには信じられなかった。

…そういえば。

浅い眠りの中で、懐かしい夢を見た。何もかもが喜太郎の生まれた日にそっくりで、
ただ一つ、喜太郎が赤子ではなく、六歳の姿であった所だけが違っていた。
自分を頼るような目で、手の甲をペロペロと舐められた。
罪悪感とも憐憫の情ともつかぬ感情に襲われ、雨でびしょ濡れになった
喜太郎の体を、強く抱き締めたのを鮮明に覚えている。夢にしては、生々しい記憶だった。
「…赤子も六歳も、そう変わらないか」
反抗的になってきたとはいえ、まだ小学校に上がったばかりの子供だ。
たまには一人で眠るのが寂しい夜だって、あるのかもしれない。
それに、このところ碌に喜太郎の相手をしてやれていなかった。
例の幽霊患者が原因で会社が傾き、ずっと立て直しに追われていたためだった。
元を辿ればこの子の両親が元凶であったりするのだが、それで喜太郎を責めるというのも
酷な話だろう。
「…寝顔を見るのは、本当に久しぶりだな」
構ってやれなかったことを反省し、鬼太郎の頭に持っていこうとした手が
くい、と引っ張られた。
16墓場喜太郎 水城→喜太郎? 4/5:2008/03/12(水) 02:31:31 ID:jNXlpfGF0
「……あ…」
小さな手が、浴衣の裾を握り締めているのに気付く。
水城の腕の中から抜け出そうと格闘した形跡にしか過ぎないのだが、水城の目には
ますます喜太郎が甘えたがっているように映った。
胸の痛みが、一層はっきりとしたものに変わる。
(…これでは普通の子と、どこも変わらないじゃないか)
誰かを責める口調で呟く。責める相手など、自分の他にはいない。
普通の子を育てるように、父親らしく喜太郎に接したいと思う。
されどふとした時に幽霊族の性質を垣間見せられると、つい身が竦んでしまう。
たぶん、喜太郎は自分の怯えに気付いている。驚かれると分かっていながら
怪異な振る舞いをして、楽しんでいる節があるのだ。
自分の不甲斐なさに、思わず苦笑する。
多忙を理由に喜太郎を放って置いてしまったのも、怪異を恐れた逃げに他ならないではないか。
この子を不気味だと思うのは、自分の主観でしかない。
幽霊の子であるというだけで、人間の子と同じに親を頼りにするのには変わりないのだ。

布団を掛け直してやる。目が覚めたら、話をしよう。俺はこの子の父親なのだから。
返事がないのは知りつつ、おやすみと小さく呟いて頭を撫でる。
同じ布団で寝ていたせいかいつもより高い体温を抱きながら、自分も目を閉じた。
17墓場喜太郎 水城→喜太郎? 5/5:2008/03/12(水) 02:32:30 ID:jNXlpfGF0
「…ん……」
…朝か。
地獄から帰ってきて、布団に潜り込んで、そしたらおじさんの布団で、眠くてたまらなくって…
それで腕の中に閉じ込められて、そのまま眠ってしまったんだっけ。
徐々に意識が浮かび始め、うっすらと眼を開いた。
新聞を広げる水城の背中が、目に映る。背広姿に着替えているから、起きてだいぶたつのだろう。
「…あ、やっと起きたのか。おはよう、喜太郎」
喜太郎が目を覚ましたのに気づき、布団の側へ歩み寄って腰掛ける。
「…おはようございます」
「昨日は、どうしたんだ?俺の布団に入ってくるなんて、珍しいじゃないか」
どうした、と言われても。あなたが掴んで離さなかったからです。
…と、返したいが、寝ぼけて水城の腕の中に飛び込んだのは自分だ。
正直にそれを言うのは気が引けて、かといって都合のいい嘘をつくような発想も浮かばず、
曖昧な表情で黙り込んだ。それを水城はどう解釈したのか、目を細めて笑みを浮かべる。
「こっそり忍び込むような真似をしなくても、一緒に寝たのに」
頭を撫でられる。…なにか勘違いしてやしないだろうか。

(…それにしても、しまりのない顔だなあ)
怯えを含んだ顔しか知らなかったから、なんだか新鮮だった。ただ同じ布団で寝ていただけなのに。
水城がなぜこんな顔をするのか喜太郎にはまるで理解できなかったが、もう一押しすれば
キャラメルの一個でも出てきそうな様子だったので、よしとすることにした。
胸の中に心地よい感覚が広がっているのは、頭を撫でられる感覚が気持ちよかったから
なんかではなく、きっとそういうことなのだと思うことにしたのだった。
18墓場喜太郎 水城→喜太郎? 5/5:2008/03/12(水) 02:34:35 ID:jNXlpfGF0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

勘違い水城萌えの衝動に任せて、ついでに喜太郎にもデレてもらおうとしたらよく分からない話になった。
19風と木の名無しさん:2008/03/12(水) 12:07:18 ID:+grrCAtwO
>>12
萌えた…新しい道を発見したよ。
20風と木の名無しさん:2008/03/12(水) 22:23:07 ID:2ZTVmVBHO
親子愛が素晴らしい!萌えた!
GJ!!!
21ある一つの作り話3 前編:2008/03/13(木) 20:32:27 ID:zzsadQ+40
>>1乙です!棚にはいつもお世話になっています。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
白犬学園パラレル、第三弾。唄+太と呉羽×唄。
長いのと、ヘタレなのとで前編(非エロ)と後編(エロ)に分けて投下させていただきます。
22ある一つの作り話3 前編 1/8:2008/03/13(木) 20:37:09 ID:zzsadQ+40
「なんか手伝えることある?」 ジャージの袖を肘までまくりあげながら、咲ちゃんが言った。
「えっとね」 準備室から運んできた水槽を、俺は注意深く床に下ろす。大き目の水槽が2つ、寄り添うように仲良く並ぶ。
「ケージの蓋を開けて、一匹ずつウサギを水槽に移して」
「オッケー」 
咲ちゃんは中腰になり、ケージの上蓋を外すと、ウサギに向かって両手を伸ばした。
 真ん丸い目を警戒するように光らせるウサギを、咲ちゃんは慣れた動作で抱きかかえる。
 首の後ろの皮を片手でつまみ、もう片方の手でお尻を支えるように持つ。
 暴れる暇も無く、ウサギはあっという間に水槽の中に移送させられてしまった。
 さすが普段から動物に親しんでいるだけあって、咲ちゃんはこういうことに慣れている。
 いつだったか、両手で両前足だけを持ち、宙ぶらりんになったウサギを抱え
 「見て見て久佐乃! ウサギってこんなに伸びるんだよ!」と妙なことに感激した挙句、抵抗されて脱走されたどこかの数学教師とは違う。
 ウサギは学校中を駆け回り、俺たちも放課後の校舎をぜいぜい言いながら走った。
 せっかく見つけて手を伸ばしても、そのたびにウサギは小バカにするように飛び跳ね、俺たちの視界の外へ颯爽と逃げていくのだ。
 走り疲れてボロ雑巾のようになった俺たちを見かねたのか、咲ちゃんはウサギを捕まえ、生物室に届けてきてくれた。
 俺は感動するのと同時に、事の原因を作った多村にたっぷりお灸をすえてくれ、と咲ちゃんに頼んだ。
 咲ちゃんはにっこり笑い、竹刀を持って多村と一緒に体育館へ消えていった。その後2人がどうなったのかは、今もまだ知らない。
 とにかく、動物のケージの掃除をするときは咲ちゃんに手伝ってもらうことにしている。
 剣道部の顧問だから忙しいことも多いけど、彼もまた『常連』の一人なのだ。
黒机の上には、ちゃんと『咲山T 生物室』と底に書かれたマグカップが載っている。
23ある一つの作り話3 前編 2/8:2008/03/13(木) 20:37:57 ID:zzsadQ+40
「一匹につき一つの水槽なんだね」 二匹目のウサギを抱えて咲ちゃんは言う。一匹目は真っ白、二匹目は真っ黒の体毛だ。
「オスとメス、一匹ずつだからね」 ケージの金網を取り外し、すのこを持ち上げて俺が答える。
「ケージも一匹ずつだし」
「つがいは出来ないんだ」
「じゃあ、どうしてつがいが出来ないのか分かる? 生物の先生」 咲ちゃんは俺に目配せして、軽く笑った。
 俺もつられるように笑った。そして、先生らしく背筋をぴんと伸ばして答えた。
「ウサギは、一年中が発情期だから」
「正解」 水槽の中に二匹目のウサギが下ろされた。敷き詰められたワラの中に、ウサギは泥のようにもったりと沈む。
「同じケージで飼ってたら大変だよ」
「この部屋がウサギまみれになってしまう」
「また多村が逃がしちゃうよ」 俺は学校中の部屋と言う部屋に脱走ウサギが溢れかえっているのを想像した。あまりぞっとしない。
「咲ちゃん知ってる? 万年発情期の動物って哺乳類ではウサギとヒトだけらしいよ」
「意外だね」
「放っておくと、ペニスが腫れるまで交尾し続けるんだって」
「可愛い顔してやる事は結構エグイよね」
 黒机の横の流しでケージの床を洗いながら、俺は水槽を見た。
 ガラスの中で、ウサギはきょとんとした顔でキャベツを食している。あの表情ではおいしいと思って食べているのかどうかも分からない。
24ある一つの作り話3 前編 3/8:2008/03/13(木) 20:38:38 ID:zzsadQ+40
「そういや政宗。政宗のクラスの、問題児のことだけど」
 突然の『問題児』の響きに、俺は声を上げて驚いてしまった。ケージを流しから引っ繰り返しかけた。咲ちゃんは何事かと目をぱちくりさせた。
「ど、どしたの? 大丈夫?」
「ごめんごめん、大丈夫」 
「ならいいけど。あの問題児――呉羽くんだけど、最近あの子ちょっと変じゃないか?」
「え」
「俺は政宗と違って、体育の授業のとき見るだけだけど。まあ、彼がサボったりやる気が無さそうだったりするのは前からだったんだよ。残念ながら。
 その度に竹刀で叩いてお仕置きしたりしたんだけど」
 顔を引きつらせた俺を見て、咲ちゃんは慌てて「地面をだよ! 地面を叩いて怖がらせたんだよ!」と訂正した。
 しかし、彼だと言い間違いで終わらないこともありそうだから恐い。
「えっと、とにかく」 咲ちゃんは仕切り直した。「この頃の呉羽くんは、何か様子が違う」 
 俺は咲ちゃんを見つめた。スポンジを握る手に、いつの間にか力が篭る。
「サッカーしてても、マラソンしてても、呉羽くんはいつだって違う方向を向いてるんだよ。もう余所見なんてもんじゃない。
 明らかに、どこかある一点を、見つめてるんだ」
「それは、どこ?」 言いながら、馬鹿な質問をしたと思った。答えなど聞く前から分かっているのに。
 咲ちゃんはジャージの袖をまくり直し、床を指差した。
「ここだよ。この、生物室」
25ある一つの作り話3 前編 4/8:2008/03/13(木) 20:39:20 ID:zzsadQ+40
 前から気づいていないわけではなかった。生物室で授業をしている最中、ふと外を見ると、彼の視線と鉢合うことが幾度もあった。
 窓ガラスの遥か向こうで、彼はスニーカーのかかとでサッカーボールを弄びながら俺を見ていた。
 俺のよく知る、相手を射すくめるような強い目だった。
「何かあったの? 呉羽くんと」
 俺はうつむき、ケージの床をスポンジで強くこすった。汚れがこびりついて、なかなか取れない。
「何も無いよ」 ケージの隅に、汚れはシミのように張りつき続けている。水で流しても洗剤を使っても上手くいかない。
「彼、言いたいことがあるような顔だったけど」
「どーだっていいよ。あんな子のことなんか」 そんなことより、汚れが落ちないことの方が深刻だ。
 背後で、咲ちゃんが溜め息を吐くのが聞こえた。
「やっぱり何かあったんだ」
 返事はしなかった。答える義務なんて、俺には無い。
 蛇口からますます激しく水を流し、スポンジを動かした。
 プラスチックのケージを水の柱が叩きつける。水滴が飛び跳ね、白衣に引っかかった。
「政宗は、俺の前では嘘が下手だ」
 咲ちゃんの声は呆れるのが半分、面白がるのが半分、という感じだった。
 ハンカチ代わりのクッキングペーパーに手を伸ばそうと隣の机を見ると、床の水槽がちらりと目に入った。
 二匹のウサギは相変わらずのポーカーフェイスで、恐ろしいほどのろい速度でキャベツを食べ続けていた。
26ある一つの作り話3 前編 5/8:2008/03/13(木) 20:40:26 ID:zzsadQ+40
「先生。俺は、先生の『声』を使いたいんです」
 俺の部屋で、俺のソファに座り、俺の手首に結び付けられた俺のネクタイをほどいた呉羽くんはそう言った。
「……は?」 出てきた声は予想以上に間抜けだった。
 でも仕方無い。突然訳も分からず押し倒され、身体を弄くられたのだ。今の俺はろくに状況を掴めていない。
「俺、音楽やってるって言ったっすよね」 呉羽くんは髪の毛を後ろでくくるように両手で集め、また散らした。シャンプーの匂いが微かに部屋に漂った。
「こう見えて俺、けっこう経験積んでるんす。で、人気も出てきたことだし、ちょっと自分でCDでも作ってみようと思ったわけです」
「はあ」
「そんで、せっかくだから一曲くらい誰かとコラボしたいと思ったんす」
「へえ」
「でも、同じヒップホップの奴らじゃつまんないし、ここは一つ意外性のある人と組みたいじゃないすか」
「はあ」 そういうものだろうか。
「で、相手が決まんないままボンヤリ過ごしてたんすよ。誰がいいだろ、誰がいいだろって。そこで、あのライブハウスで、先生を見た」
 呉羽くんの目がキラリと輝いた。
「脳髄を揺さぶられる声、とか言うんすか? とにかく澄んでて、エロくて、ヤバイ声だったんすよ。
 俺一瞬で分かったんです。『ああ、この人は本物だ』って」
 呉羽くんは少しも余所見せず、真っ直ぐに俺を見てくる。矢のような視線だ。恥ずかしくて目を逸らしたくなる。
「家に帰った後、すぐに曲が浮かんだんです。バラード系の。
 それで、完成したメロディーを、頭の中で先生の声で再生させてみたら……」
 呉羽くんはぐっと右手の親指を立て、ウインクした。
「バッチリでした」
 こんな芝居がかった動作も、なぜこの子がやると様になるのだろう。俺がやったら腹を抱えて笑われそうなのに。
「そういうわけで、先生には俺とコラボしてもらいたいんです。曲だってもうあるんです!」
「ちょっ、ちょっと待ってよ! 呉羽くん」 俺は慌てて口を出した。
 呉羽くんの言い分は、ともすれば『私のお腹にはあなたとの間の子どもがいる。だから結婚してくれ』と言い出す女性のそれに通ずるものがある。
27ある一つの作り話3 前編 6/8:2008/03/13(木) 20:41:13 ID:zzsadQ+40
「呉羽くん、俺は内緒で音楽やってるって言ってたよね?」
「学校には、でしょ?」 呉羽くんは平然と言う。「先生、皆の前で歌うことすらしてないんだから大丈夫ですよ。バレやしません」
「で、でも、そんな突然言われたって、上手くいくと思えないんだけど」
「大丈夫」 彼は得意げに自分の胸を叩いた。
「その為に今日、俺は先生の部屋に来たんですから。さっき実験してみて、その結果確信しました。
 俺の曲と先生の声が合体すれば、無敵です!」
 めいっぱい胸を張り、なぜか俺に向かって両手を広げ、呉羽くんは威風堂々と言い切った。
 この清々しいまでの自信は、一体どこからやって来るのだろう。少しは俺にも分けて欲しい。
「と、言うわけで」
 急に呉羽くんが身体を動かした。ソファに倒れっぱなしの俺に馬乗りになり、鼻先が触れそうな距離まで顔を近づけてくる。
 どきりとした。ついさっきまで俺たちがしていた行為を思い出し、身が固くなる。
「先生。俺と、コラボ、してくれますね?」
 呉羽くんの口調には、相手を服従させるための威圧感と、年上の者へのわずかな媚びが混ざっていた。
 彼は一音一音、子どもに言って聞かせるみたいにゆっくりと発音した。
 俺の目の前で、彼の唇とその中の舌が活発に動くのが見えた。
 キスの記憶が蘇り、思わず唾を飲む。クリームの溶けたあのコーヒーは、今も彼の口からほんの少しだけ香っている。
「先生?」
 呉羽くんの手が伸び、俺の顔に触れる。手のひらの熱が頬から伝わり、皮膚の奥まで染みこんでいく。
 この手に、この指に俺の身体は翻弄されたのか。そう思うと、胸が熱くなる。瞬きができなくなる。
「コラボ、してくれます、よね?」
 呉羽くんは首をかしげ、楽しそうに唇の端を吊り上げた。明らかに俺の反応を見て笑っている。
 教え子にからかわれるなんて、俺はなんてヘナチョコなやつなんだ。
 こんなの、教師失格じゃないか。
28ある一つの作り話3 前編 7/8:2008/03/13(木) 20:42:11 ID:zzsadQ+40
 だけど、次に俺がしたことは、呉羽くんをぶん殴ることでもお説教で説き伏せることでもなかった。
 俺はほとんど自然に、居眠りしている人が船を漕ぐ時のように、首を縦に振っていた。
 呉羽くんの目は、見ている方が気後れするほど意欲に満ち溢れていた。
 あんな目を前にして、ハッキリとノーと言える人間なんて、きっと世界中の何処にだっていない。
 俺の返事を見ると、呉羽くんはニッカリ笑い、歯を見せた。
「そう言ってくれると思ってました。さっすが先生っすね!」
 何が『さすが』なのか、俺には分からなかった。
「じゃあ、今日はもう帰ります。曲についての話は、また今度で!」
 そう言うと呉羽くんは俺の体から速やかに離れ、床に落ちていたギターを拾い上げた。
「え」
 彼の重みから急に解放された俺は、身体と一緒に頭まで軽々となってしまった気がした。
「も、もう帰るの?」 
「帰りますよ。すぐに終わるって言ったじゃないすか」 ギターハンガーにギターを戻し、彼が振り返る。
「この後もバイトあるんです。俺も結構忙しいんすよ?」 ぐるぐると腕を回しながら、彼はさも疲れているような顔をする。
 まるで、これ以上俺のために裂く時間は無い、と言うかのように。
「で、でも、ちょっと待ってよ」 俺にはまだ聞きたいことがあった。
「呉羽くん、キミは結局俺と音楽の話をしたよね? なのに、何でさっきは『音楽の話をするために来たなんて、ウソに決まってる』って言ったの?」
「え? あ、あー」 呉羽くんは眉をひそめ、肯きながらこめかみに指を当てた。そう言えばそんなこと言ったよな、みたいな顔だった。
「あれはハッタリっすよ」
「へ?」
「先生の『声』を聞くきっかけが欲しかったから。その為のハッタリです」
 呉羽くんはカバンを肩に載せ、玄関に向かってのしのしと歩いていく。
 彼の背中を見ながら、俺は彼がこのまま帰るのはどうしても納得いかないと思った。
 コーヒーは口を付けられていないまま大部分が残っていたし、コラボの話だって半強制的に決められたようなもんだ。
 それに、呉羽くんにあちこち触られたせいで、俺の身体には未だ熱のカタマリみたいなものが残っている。
 彼が帰ったなら、俺はどうやってこれを処理すればいいんだ?
29ある一つの作り話3 前編 8/8:2008/03/13(木) 20:43:19 ID:zzsadQ+40
「く、呉羽くん」 俺はほとんど叫ぶようにして言った。彼が振り向いた。
「帰り道分からないだろ? 送っていくよ」
 俺はソファから転がり落ちるようにして離れた。スーツの上着を引っつかみ、よろめきながらリビングを出る。
 玄関に立った呉羽くんは、俺の姿をじっと見ていた。彼の目は、何か弱くて哀れなものでも見るかのように冷え冷えとしていた。
「一人で行けますよ。バイト先も、そんなに離れてないし」 呟くように言い、更に、
「そんなカッコじゃ、先生も外出れないだろうし」
 俺は初めて自分の格好を見渡し、愕然とした。
 シャツのボタンは全て外れ、裾はズボンからだらしなくはみ出ている。裸の肩が呉羽くんにめくられた時のまま、ぱっくりとシャツから露出している。
 慌てふためく俺を冷ややかに見ながら、彼は決定的な言葉を放った。
「先生」 俺は顔を上げた。
「いつまで勃ってんすか?」
 呉羽くんは薄く笑った。ガラスの破片みたいに鋭利な笑顔だった。
 彼はローファーを履き、軽く会釈をして、ドアノブを押した。猫の鳴き声みたいな音とともにドアが開き、呉羽くんの姿は外へ吸い込まれた。
 ドアが閉まる音がするまで、俺は一歩も動けなかった。
 彼の笑みの冷たさと対照的に、俺の身体はますます熱を帯びていった。
30ある一つの作り話3 前編 終り:2008/03/13(木) 20:47:45 ID:zzsadQ+40
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
四のウサギネタは最新曲PVから。あの持ち方はびっくりした
次からアッー!な後編に移ります。もしかすると、いつかの真夜中辺りに、投下されてるかもしれません・・
31風と木の名無しさん:2008/03/14(金) 13:30:45 ID:eFWa/Q+C0
>>30
悶々として待ってます
32風と木の名無しさん:2008/03/14(金) 14:37:33 ID:z/q4O02RO
>>30
私、いつまでも待つわ
33風と木の名無しさん:2008/03/15(土) 01:03:55 ID:cFLYShoQ0
>>1乙です

>>30の投下を正座でwktkしながら
勢いで突っ走ったブツを投下。
・某ゲイニソさん達。生モノ注意。
・山梨落ち無し意味無しのまさにやおい。勢いだけで構成されています。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
34風と木の名無しさん:2008/03/15(土) 01:06:19 ID:cFLYShoQ0
「お前、ほんま信じられへんわ」
普段着に着替えながら仏頂面をした相方が呟いた。
またか、控え室に戻ってくるまでに十回以上は言うてるで
口には出さずに内心溜め息を吐く。
「だってソファ欲しかってんもん。L字の三人掛けのデカイやつ。」
衣装を棚に掛けながら今日何度目になるか分からない答えを返す。
「それでも売れへんやろ普通。しかも俺まで売るし。」
控え室に戻ってからも、まだ怒っているのか俺と目を合わそうとしない相方を見る。
あぁ、それで怒ってたんかな?
「だって一人捕まったらボーナス出んねんで。一気に夢の高級ソファに近づくやん。」
「うっさいわアホ。もうお前信じたれへんからな。」
怒ったようにカチャカチャとベルトを鳴らしながらズボンを引き上げる。
これはまずい。狩人に獲物として相方を差し出したことが余程怒りに触れたらしい。
ソファを逃した上このまま放置して、相方の機嫌をこれ以上損ねるのは俺としても避けたい。
衣装を戻した棚を閉めて、まだ着替えている相方の背中に抱き付く。
俺より少し背の低いこいつには圧し掛かられているように感じているかもしれんけど。
長年の付き合いが不快感を取り除いてくれたのか、相方が更に怒ることはなかった。
「ごめんな。」
素直に謝って未だ仏頂面を保つ横顔に頬をすり寄せる。
着替えかけのシャツのボタンを止める手がぴくりと動いた。
35風と木の名無しさん:2008/03/15(土) 01:07:44 ID:cFLYShoQ0
「お前が捕まっても、俺が逃げ切ればいいと思っとった。
 でかいソファ買って、お前と一緒に座ってな、お前が疲れたら俺の膝で横にさせたいなって思ってん。」
首筋に唇を這わせながら続ける。
「お前と座るソファが欲しかってん。でも正直お前の気持ち考えてへんかった。ほんまごめんな。」
ちゅ、と頬に口付て離れる。
止まっていた相方の手がまたボタンを掛けだした。
椅子に座って着替え終わるのを待つ。
謝ったことで、少しは機嫌なおしてくれたかな?
お前と座るソファが欲しいってのは嘘ちゃうよ?
考えながら相方の背中を見つめていると
「…今回は許したる。なんか、よう考えたら俺もソファ欲しさにやったかもしれんし。」
小さく呟く相方の耳が赤くなるのが見えた。
可愛い。
やばい、めっちゃ可愛い。
抱きしめたくなるのを堪えて、ようやく「ありがと。」って言うた。
36風と木の名無しさん:2008/03/15(土) 01:08:15 ID:cFLYShoQ0
帰り道、すっかり暗くなった辺りを見回して「腹減ったな、はよ帰ろ。」
そう言った相方の手を握って「そやな。」って返した。
ちょっとビックリしたみたいで握られた手を眺めてたけど、にって笑って握り返してくれたのが嬉しかった。
そのままぶんぶんと子供がするみたいに腕を振って歩く。
なんやろ、俺、犬みたいに思われてんのかな。
楽しそうに歩く相方は飼い犬連れた子供みたいに無邪気に笑ってるし。
まぁ、それでもええねんけどな。実際、こいつが笑ってくれると俺も楽しいし。
三十路越えたおっさんがこれは可笑しいやろ、って笑いあいながら歩く。
ぽつりと出た「ずっとこんな風でおりたいなぁ。」って相方の言葉に
正直少しびっくりしたけど、「そうやなぁ。味噌汁は頼んだで。」って返す。
そうゆう意味やないし、って笑いながらも、「まぁ味噌汁ぐらいやったら作ったるわ。」
って返してくれたのに嬉しくなってまた笑った。

俺、こいつと居ったら一生笑って過ごせそうな気がする。
喧嘩もするやろうけど、その度絆も深くなって。
俺から言うたら馬鹿にされそうやったから、聞こえんくらい小さい声で言うた。
「ずっとこんな風に居ろうな。」
37風と木の名無しさん:2008/03/15(土) 01:10:12 ID:cFLYShoQ0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

L字で膝枕は無理があるんじゃないかと今気付きましたorz
38風と木の名無しさん:2008/03/15(土) 13:09:22 ID:VgUk2hltO
>>33-37
萌えたー!GJ!(´Д`*)
39ある一つの作り話3 後編:2008/03/16(日) 02:31:02 ID:4u2p2kKd0
日曜の深夜に危険物を投下します。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
・白犬学園パラレル第三弾。ナマ注意
・なんかもう(性的な意味で)やっちゃった感全開、アッー!な後編。その辺は十分注意してください
・アッー!だけど本番ではなく、唄のソロ。でも呉羽×唄として読めます。
・この物語はフィクションです。実在の人物・事件・団体とは一切関係ありません。念のため。
40ある一つの作り話3 後編 1/6:2008/03/16(日) 02:32:12 ID:4u2p2kKd0
 呆然と、廊下に立ち尽くしていた。
 顔を下ろすと、ズボンから伸びた黒い靴下が見えた。俺は、スリッパも履かずリビングを飛び出してきたのだ。
 足の裏がフローリングに当たって、妙にひんやりとする。
 数日前床にワックスをかけたばかりだ。滑らないよう気をつけながら、ゆっくりと歩き出す。
 リビングに戻ると、俺はソファに向かって仰向けに倒れた。どすりと、砂袋を落としたような大きな音がした。
 背中にまだ温かいヒトの体温を感じる。俺のものだろうか、それとも彼のだろうか。
 両手を顔の上に置き、息を吐いた。こんなに肺に空気が溜まっていたのかと驚くほど、長い息だった。
 指の隙間から蛍光灯の白い光が差し込んでくる。目を刺される感覚がしたので、瞼を閉じる。
 暗くなった視界の中で、チラチラと呉羽くんの顔が浮かんだ。
 笑っていたり、考え事をしていたり、人を弄ぶような顔だったり。いろんな彼の表情が映った。
 スライドショーみたいに俺の中に映りこんでくるのは、呉羽くんの顔だけじゃなかった。
 彼の声まで、勝手に俺の脳の隙間に侵入してきて、頼みもしないのに繰り返し再生してくる。
 時計の音しか聞こえない広いリビングで横になっていると、余計彼の声は存在感を持ってくる。
 まるで、今も俺のすぐ隣に彼が座っているかのように。
 呉羽くんの、弾んだ声、拗ねた声、淡々とした声。
 そして、さっき、耳元で俺に囁いたときのような、低くて色気のある声。次々と響き渡っては、俺の体中を侵食していく。
『先生』
 ソファの上で押し倒されたあの時、俺は、彼に食われてしまうのかもしれない、と本気で思った。
 喉が渇き、身体が硬直した。まつげの先まで動きが止まってしまった気がした。
 早く逃げ出さないと、取り返しのつかないことになってしまう。俺の動物としての本能がそう言っていたのだ。
 だけど、俺は動けなかった。恐いから、なんて理由ではなかった。
 イヤじゃなかったのだ。俺は、心の底から呉羽くんを拒むことが出来なかった。
 彼の声の響きに、耳に吹きかかる息の熱さに、身体の上を這い回る指の動きに、俺は蕩かされていた。
 本当に、彼に触れられてもイヤじゃない、って思ってしまったのだ。
41ある一つの作り話3 後編 2/6:2008/03/16(日) 02:32:52 ID:4u2p2kKd0
「……信じられん」 思わず独り言を零し、自嘲気味に笑う。
 呉羽くんの声は止まない。目を閉じていても、たまに開けても、彼はあの余裕に満ちた声で俺に呼びかけ続けてくる。
 『先生』
 架空の彼にそう呼ばれるごとに、俺の身体はちょっとずつ微妙な変化を起こし始めた。
 顔がジワジワと火照ってくる。腰の奥に、耐え難い疼きを感じてくる。
「……う」 目をきつく閉じた。両脚をくっつけているのが苦しくなって、左脚をソファの頭に載せる。
『先生、どしたんすか?』
 俺を見下ろしながら、小さく首をかしげる、呉羽くんが見えた気がした。
『どっか具合でも悪いんすか? 俺に出来ること、なんかあります?」
 確かに聞こえる。呉羽くんが、いつもの一段上から見るような声で話しかけてくるのが、俺には聞こえる。
 だけど、決して目は開けられない。目を開けた瞬間、俺の想像が作り上げた『彼』の姿はたちまち消えてしまうからだ。
 右手をシャツの中に滑らせる。おぼつかない動きで、さっき彼の触れてきた場所を一所懸命まさぐる。
『先生、ココ弱いんでしたっけ』
 彼の声がする。胸の上に手のひらをかざす。人差し指と中指で乳首に触れて、軽く押しつぶしたり、こね回したりしてみる。
 自転車のポンプを押すと空気が出てくるみたいに、俺の口からも掠れた声が吐き出された。
『エロい声っすね』
 呉羽くんはからかうように言った。『先生、意外と感じやすいんすか?』
 想像の世界の彼は、なかなか意地悪だ。現実の彼は、どうなんだろう。
 ほんの少し、知りたいと思う自分が、とても怖い。
42ある一つの作り話3 後編 3/6:2008/03/16(日) 02:33:32 ID:4u2p2kKd0
 口を薄く開け、ここにいるはずの無い彼を呼ぶ。
「く、れば、くん」
『先生』 俺の中の彼は、すぐに応えてくれる。
 セ、ン、セ、イ。
 たった四つしかない、至極単純な音の並びなのに。
 彼の声で発せられたというだけで、俺の身体の軸は溶けてしまいそうになる。
『ねえ、先生』 
 幻の彼は、いつか聞いたような言葉をもう一度口にする。
『先生の頭ん中って、どんだけエロい事が詰まってんですか?』
 胸や腹を撫で回しながら、俺は彼の質問に答える。センセイ、だもんね。  
 ――知りたいなら、今から俺が言うこと、ぜんぶやってみなよ。そしたらキミにも分かるよ。呉羽くん。 
「くれば、くん」
 彼は、俺に近づき耳を傾ける。
 幻の彼は、現実の彼が言ってくれなかった言葉を口にする。
 ――先生は、どこを、さわってほしいんですか?
 俺は、瞼の裏に住む彼に向かって呼びかける。
「……ココ」
 センセイ。
 並び替えたら、セイセン。生鮮、聖戦、性腺。確か、プラナリアにも性腺ってあるんだっけ。
 どこまでもつまらないことを考えながら、右手は、ゆっくりと身体の中心へ向かう。
 瞼を閉じ直して、深く息を吐いて、自分に強く言い聞かせた。
 これは、『彼』の手だ。
43ある一つの作り話3 後編 4/6:2008/03/16(日) 02:34:12 ID:4u2p2kKd0
 五本の指の間に、生ぬるい液体が絡みつく。
 最初に現実の『彼』に迫られたときから、俺の身体は変化を始めていたのだ。
 ベルトを外し、ファスナーを下ろし、ようやく外気に晒された俺の性器は、先走りを浴びてグチャグチャに濡れていた。
『なんだ』 呉羽くんが笑う。
『やっぱり先生って、エロかったんじゃないすか』
 うるさい。子どものクセに、生意気言うな。
 虚構の彼に、現実の俺が顔を赤くして言い返す。滑稽なやり取りだとは思うけど、止められない。
 だって、ココは、呉羽くんが一度も触れてくれなかった場所なんだから。
 そして、たぶん、俺が一番彼に触れて欲しかった場所でもあるんだから。
 もちろん、こんなこと、絶対本人には言えないけど。
 握り締めた手を、徐々に上下させる。
 水気を帯びた、品の無い音が耳に響く。それと同時に、腰の内部に、チクチクとトゲで刺されるような感覚が起こる。
「ふ、う……っ」 塞ぎきれない声が、鼻から抜けていく。やけに高くてしまりのない、女みたいな声だ。
『気持ちいいんすか?』 首筋の辺りに、呉羽くんの気配がする。うなじの産毛に触れそうな距離に、彼の唇がある。
 絶対いないけれど、いるはず無いんだけれど、確かに、必ず、ここには『彼』がいる。
「んっ、も、もっと、強く……」
『これじゃ足りないんすか? 先生』 呉羽くんは呆れるように言う。彼の吐息が首筋を撫で上げる。架空の感触に、俺の背筋は震える。
『ホントやらしいんすね、先生って』
 楽しそうに笑って、『彼』は濡れた手のひらを素早く動かす。
「っ! く、ふ、あぁっ……!」
 俺は電気ショックを浴びたみたいにビクビクと身体を捩らせ、声をあげた。
 快感に意識を持っていかれそうになりながらも、俺は『彼』のイメージを守ることだけは逃さなかった。
 今俺の性器を触っているのは、他ならない『彼』なのだ。
 たとえ一瞬でもそれを忘れてしまったなら、もう『彼』はずっと戻ってこなくなるような気がした。
44ある一つの作り話3 後編 5/6:2008/03/16(日) 02:34:48 ID:4u2p2kKd0
「はぁ、あ……呉羽くん」
『先生』
 俺の右手が濡れているのはなぜか。俺の左手が胸元を弄くっているのはなぜか。
 意識してはいけない。まともに考えてしまった瞬間、何もかもが終わる。
『先生。キスしたい?』
 目をつぶったまま俺は首を縦に振った。そして、バカみたいにでっかく口を開いて、呉羽くんに向かって舌を伸ばした。
 舌と唾液をこすり合わせ、大げさに音を立てる。唇の先から唾液が零れ、つぅ、と下顎に垂れる。
 手の動きはますます速くなり、俺の息遣いは笑えるほど不安定になってゆく。身体が熱い。心臓が、バクバク言っている。
 腰に引っかかるズボンが邪魔だ。左手で強引にズボンを掴み、一瞬だけ右手も使って、膝の辺りまで下着ごとずり下ろす。
 左脚をソファの頭にどっかりと載せ、思いっ切り両脚を開く。それから、また俺は『彼』の愛撫を受けることに集中する。
 こんなあられもない格好、本物の呉羽くんに見られたらどう思われるかな。
 失望されるだろうか、バカにされるだろうか。
 でももうどうでもいいや。
 彼は、今、ちゃんとここにいるんだから。
『先生』 俺の喉をくすぐりながら、呉羽くんは言った。
『優しくされるのと、ヤラシクされるのと、どっちがいいっすか』
 囁くような彼の声が、俺の身体の芯を刺激する。
 快感はすでに、満ち潮のようにゾワゾワと身体を駆け上がってきている。てっぺんまで、あと少しだ。
「あ、や」 口から出たのは、もはや言葉とも呼べないあやふやな音声だった。
 それでも、瞼を固く閉じ、口から涎を垂らし、震える肩に力を込めながら、俺は言った。
「やらしく、して」
 言いながら、さすがに、自分で自分を笑った。
 ああ、もう。
 俺ホントに、気持ち悪い人だ。
45ある一つの作り話3 後編 5/6:2008/03/16(日) 02:35:20 ID:4u2p2kKd0
 呉羽くんは俺の性器を握り直し、じゅぶじゅぶ音を立てながら擦り上げた。
「はっ……ひ、あ、ぁっ!」
 腰がボールのように跳ね上がっては、ソファの上でバウンドする。太股に力を入れすぎて、足がつりそうになる。
『先生』
「ふ、ぁ、も、くれ、ばくんっ……」
『先生』
 頭が真っ白のモヤに包まれてゆく。もう、何も考えられない。 
「も、や、あぁ、くればくん、くればくんっ……!」
 引きつりそうだった足の筋肉が、わずかに弛緩する。
 昇りつめた波は、ほんの一瞬だけ収まり、その後、何倍にも大きなうねりになって俺を叩きつけた。
「く、うぁっ、あっ、あぁっ……!」
 みっともないうめき声と一緒に、熱のカタマリが放出された。
 手のひらに、べっとりと熱いものがまとわりつく。射精が終わるまで、俺の性器はひくひくと生き物みたいに痙攣し続けた。
 肩を上下させながら、乱れる息が整うのを待った。
 ソファの上で、俺は、少しずつ少しずつ、身体から波が遠のいていくのを感じた。
 吐き出したものの熱さと引き換えに、俺の頭にはすうっと冷気が戻ってくる。
 閉じきっていた目を、そろそろと開けた。
 当たり前だけど、部屋の中には俺一人で、さっきまで狂ったように名前を呼んでいた人間なんて何処にもいなかった。
 目だけ動かし、テーブルの上のティッシュケースを見つけ、手を伸ばした。
 喉が痛い。息を吸い込もうとするたびズキズキと痛む。かなり大きな声を出してしまったのだろう。
 もし、万が一、呉羽くんがバイトに行くとかウソをついて、ずっと俺の部屋のドアの前で聞き耳を立てていたとしたら。
 俺の声は彼に筒抜けで、勘のいい彼に俺は、今まで俺のやってたことを全て見抜かれてしまうのだろう。
 そうなると、きっと大変なことになる。手のひらの精液を、寝転がったまま拭き取りながら、俺はぼんやりと懸念する。
 それでも。
 一方で、いっそ何もかも聞こえてしまえばいいと思う自分も、何処かにいた。
46ある一つの作り話3 後編 終り:2008/03/16(日) 02:40:17 ID:4u2p2kKd0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
唄先生の本性、表れたり!
正直これは投下していいのかちょっと悩んだ
姐さん方が萌えてくれたなら、それが何よりなんですが……
あ、お話はこれからも続きます。
47風と木の名無しさん:2008/03/16(日) 02:59:18 ID:KI7oVjEQ0
オリジナル、人付き合いスキル高→不思議系?
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 人あしらいには自信があるつもりでいた。学生時代は友人作りを意識したことなどなかったし、
クラスのリーダーから無口な女子まで誰に話し掛けても当然のこととして許されていた。
一番の盛り上げ役は誰かに譲っても、実際になにかを始めるときにはいつのまにか中心で
人脈を駆使することになる。恋人というのは気がついたらそこにいるもので、追いかける恋なぞ
ストーカーと同義だ。よほど執着の深い人間なのか、もしくはどれほどの下手を打ったのか。
 ……そう思っていたのに。

「ほんとに俺でいいの?」
 最初にこう言ったのは俺ではない。これだけでも異常さがわかろうというものだ。半年間顔しか
知らなかった人間に飲みの席で話しかけ、必死になって話の糸口を探し当て、二次会が終わった
ところでさらりと別れようとする相手――しかも男――の家に押しかけたあげく強引に次の約束を
取り付けるなどかつてない。きっかけは何かささいなことだった気がする。いつも一人でいる
くせにチームワークのときは雄弁だとか、趣味の話になったときに、はにかみながら、俺のほかに
社内に知ってる奴はいないんじゃないかと思っていたアングラなバンドが好きだと言ったとか。
 半年のうちに興味が湧いて、こいつのことを知りたくなって、飲み会のその日に家まで押しかけたときに
さっきの台詞を言われた。そのときはただ笑った。お前そんなに友達がいなかったのか、と。
 そして、今回も、この台詞を言ったのは俺ではなかった。
「お前、今の状況わかってんのか?」
 奴の肩越しに気配がちらりと笑う。笑うのだ、このうえ。
「……ん、まあ、ちょっと面白い状況だねえ」
 いつもそうだ。「面白い」、こいつはいつもそれしか言わない。俺が笑ったときも泣いて縋ったときも、
こいつは冷静に俺を観察している。そのとき奴が笑っていようが怒っていようが変わらない。変わらないのだ。
――今まさに犯されようとしている最中であっても。
 もう一度首に噛みついて舐めあげたときも奴は笑っていた。少なくとも、奴の咽喉からこぼれた息は
そのように聞こえた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
48ボカロ vanilla レンカイ :2008/03/16(日) 03:34:43 ID:oqa4coKN0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

某カロイド でカイレン レン誘い受
49vanilla 1/5:2008/03/16(日) 03:35:48 ID:oqa4coKN0
何度目か数えるのも忘れた部屋に足を踏み入れた。内心どきどきしながら。
「レンが来るなんて久しぶりだね。なんか食べる?」
しゃがみこんで冷蔵庫の中を物色している、その背中に、そぉっと抱きつく。
腕にゆっくり力を込める。暖かい背中に頬をすりつけながら
「兄さん・・・」
べたべたの甘い声で耳元に息を吹き込むように囁く。
「兄さん・・・ねぇ、して?」
振り払われないのをいいことに、耳の後ろから首筋に唇を這わせる。
「レン、止めなさい」
振り払われはしないけれど、口だけの拒否でもない、そんな感じ。
今日は無理かな。
「ごめん、俺もうこんな…だからお願い」
いきり立つ熱い部分を背中に押しつける。
我ながら浅ましいとは思うけど、そこまでしてでも俺はこの人に抱かれたい。
こんなに好き。
「…たのむから」
しかたないなぁ、とため息混じりの呟き。
俺は、落ちた、とこっそりほくそ笑んだ。

ベッドに腰掛けた兄さんの足元に跪いて、それにむしゃぶりついて舐め回す。
兄さんの指が髪に絡む。
時折、力が入る。
それも嬉しい。
上を向く欲望の象徴。
誇らしさにも似た快感。
「あ…ふ…、ぅく、ふっ、は…ぁっ」
息を継ぐ間も惜しい。
このまま窒息してもいいくらい。
もっと俺をいっぱいにして欲しい。
ぴちゃぴちゃという湿った音に自分の荒い息と兄さんの息づかい。
幸福感に気が違いそうになる。
50vanilla 2/5:2008/03/16(日) 03:36:48 ID:oqa4coKN0
不意に、顎と腕を掴まれてベッドに引き上げられる。
自分の唾液で汚れた俺の口元を不器用そうに親指がぬぐう。
一瞬、愛されているのではないかと夢を見る。
「ん…っ」
俯せにされ、腰を高く上げさせられて。
…違う、させられてるんじゃないな。
自分から早く頂戴とねだるように尻を突き出している。
早くここに頂戴、と。
冷たいジェルを乗せた指の感触。
吐息が漏れる。
一本じゃ足りない。
押し広げられる感覚がもどかしく、それもよくて。
もう、何をされても快感に変換されていく。
「あ…っ…、あ…も、っと…もっと、たくさん…っ、奥まで挿れて…あ…っ」
「少し、大人しくしてないと声が枯れるよ」
「ダメ…っ、だって、いい…んだも……っあっ…んっ、は、やく…っ」
体が軋む。
壊れる。
頭の方はもうとっくにいかれていて、追いつかない体に苛つく。
「レン、力、抜いて」
「…んっ…あ…っ」
無理に押し込まれる感覚に呻いたのは一瞬だけ。
視界が白く弾けて滲む。
強く、深く打ち込まれる熱いカタマリ。
声をあげ、幾度めかの波をやりすごすして。
のまれてしまうにはあまりにも甘美。
もっともっと、揺られていたいから。
顔を見たくて体を捩れば、そのまま体勢を変えられる。
女の子とならこっちが正常位なんだけど、男じゃ入れる場所が違うからバックからより少し辛い。
「んっ…ふ、ぁ…っ、はぁ、あ…っ」
体の上で苦しそうにも見える、眉根を寄せてかたく目を閉じている生真面目な顔。
額に浮いた汗が全てを物語っている、そんな感じだけれど。
51vanilla 3/5:2008/03/16(日) 03:38:01 ID:oqa4coKN0
「にいさ・・・、あ…ぁん、あっ…も、も、っとぉ…っ」
体が溶ける。
焦燥で気持ちが焼ける。
「あ、っつ、あ…ぅ…っ、は、ぁっ、はぁ、あっ、あ…んっ、あ……っ」
ふっと視線が落とされる。
視線が絡む。
溺れる人みたいに首に腕を回してしがみつく。
右腕で俺の脚を抱えあげて、左腕で腰を抱く。
深く繋がって、ぐいぐいと何度も押し込まれて。
「あ、あ…っ、や、ぁっ、あっ、あんっ、あっ、あ…ふっ、い…、い…いっ、あ、もぉっ」
早く、絶頂まで連れて行って欲しくて、夢中で腰を押し付けて擦り付けるようにして。
これ以上じらされたら本当に気が狂う。
「に、さ…っ、あっ、っ、や、もうっ、はやく、ね…っ、もぉっ」
「…いって……、ほら、レン。良いんだろう…?」
「…ひ…っ、あ…っ。あっ、あ、あ、あ…っ、あ、あぁ…っ、んっ」
熱いものを放つ。
恥ずかしいくらいにびくびくと体がはぜる。
それにあわせるように兄さんが微かにうめく。
こんなに熱くなって汗かいて、声をあげて気持ち良くなって。
こんなにきつく抱きしめても何でこの人俺のものじゃないんだろう。



「レン」
「んー?」
「なにか着ないと冷えるよ」
「ねぇ」
ベッドの上から床に座る俺にかけてくれる優しい声。
きっと、俺がこうして押しかけてこなかったら。
俺が迫ってねだることをしなければ。
この関係は終わって、何もなかったのと同じようにまたこの人は俺の隣で歌うんだろう。
もう終わりにしよう、なんて言葉も必要無いくらい、何も始まっていないんだから。
52vanilla 4/5:2008/03/16(日) 03:38:54 ID:oqa4coKN0
「兄さんは、なんで俺と寝てるの?」
「どうなんだろう」
「ふーん」
そんな返事になっていないような答えでも真実だからしょうがない。
飾りも騙りもできない兄さんらしいや。
「レンは」
「え?」
「じゃあ、レンはどうして、その…」
「んー…」
愛してるから、なんて言えない。
ただ困った顔をされるだけなら余計に胸が痛む。
「わかんないや」
「…わからないのに」
「ごめんごめん、でもさ、ほんっとに俺もよくわかんないのよ。でもほら、やっぱ気持ちいいし。女の子とはこういうのできないしさー」
軽い口調。
そんなに重いものをあんたに預けようとしてるんじゃないんだよ、つまらない、ホントにたいしたことじゃないんだよ、なんて感じに。
だけど。
「…俺はさー、うん、好きでこういうの?してるけどさ、やっぱ、その」
言うな。
自分の中で声がする。
傷つきたくないから軽く、なんでもないことみたいに話してたのに。
言うな、黙れ。
でも、だけど、止められない、溢れる不安。
「…やっぱ、さ…その、迷惑かな…?」
膝を抱えている俺の悲痛な思いにも気づかないで兄さんは前髪をかきあげて。
「迷惑だとか思ってはいないよ」
照れもせず、特になんてことのない天気の会話をするように、普通の口調でそう告げた。
「…兄さん」
愛してるよ、ホントにあんたのこと、愛してる。
愛しくてたまらなくて抱きしめたい衝動にかられた、けど、それは我慢して俺は自分の膝を強く抱いた。
それだけの言葉がこんなに嬉しいなんてどうかしてる。
それだけの言葉でこんなに嬉しいなんてきっとこの人には一生わからないだろう。
53vanilla 5/5:2008/03/16(日) 03:42:05 ID:oqa4coKN0
「腹、減ってない?」
「そうだね」
「さっきは食べる前にヤっちゃったから今度はちゃんと食べようか、持ってくるよ何味がいい?」
「バニラ・・・って動けるの!?」
真っ赤になった顔を見られないようにダッシュで冷蔵庫まで向かう。
途中スキップしかけるくらいに。
今はもうすこしこのままでいいや。




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

あれぇ?・・・カイ×レン&レン×おんにゃのこ の二股レン設定
(レン→おんにゃのこが本命だと思い込んでる兄さんだけどそれはレン→兄さんのカモフラージュ的な)
の筈が完全デレデレンに・・

途中で息切れして終わらせ方がグダグダなのであとは各自脳内補完願います。
54風と木の名無しさん:2008/03/16(日) 09:28:17 ID:lW3ZAVcP0
>>47

萌えた。必死な攻カワユス
今後ともガンガン翻弄されるといいよ!
55Call my name! (0/5):2008/03/17(月) 12:29:34 ID:3UF+p/9J0

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )

ナマ注意!
某クイズ番組のおばかさんたちで、知→真→秀で知真(知)です。
悲恋で知がかわいそうなめにあってます。真は黒いです。
本当に一部ですがェチィもあります。
以上の条件を踏まえてそれでもOKな方はどうぞ読んでください。
56Call my name! (1/5):2008/03/17(月) 12:30:51 ID:3UF+p/9J0
誰にでも優しいのは皆を平等に愛してるから?
でも逆を言えば誰も愛してないってことなのかな。
だったら一緒に寝てもらえる僕は特別?
ううん、それは違う。だって、

「好きなんだ。」

って、いくら真面目に言ったところで、

『今なんか言ったべ?』

って、いつもいつもはぐらかされるんだ。



僕の気持ちなんてとっくに気づいてるくせに、何もわからないふりをして、
無邪気な笑顔でどんどんどんどん人の心の中に入ってきて、
何もかも与えてくれそうで何一つ与えてくれないあなたは、


なんて残酷。

57Call my name! (2/5):2008/03/17(月) 12:31:35 ID:3UF+p/9J0
「だからぁ・・・・・好きなんです。」
『何が?』
「だから、僕は、ゆうにぃのことが――。」
『あーーーっ!』

ほらまたこのテンションだ。
真面目な気持ちを話そうとするといつもこうなんだ。

『このプリン食っていい!?』
「・・・・・・・・・・・。」

瞳をきらきらと輝かせながら、満面の笑みで尋ねてくるあなたが憎い。
そして、彼の魂胆を知っていながら、つい許してしまう根性なしの自分はもっと憎い。

「もう〜〜〜・・・・・・。食ってるし・・・・・・。」

あーあ。
行為の真っ最中はこれでもかってくらい必死にしがみついて、
「好きだ好きだ」って何回も言ってくれるのにな。

『んまぃっ。』
「・・・・・・・・・・はぁっ・・・。」
58Call my name! (3/5):2008/03/17(月) 12:32:16 ID:3UF+p/9J0
彼の気持ちの1ミリだって僕には向けられていない。それなのに続けてしまう肉体関係。
お互いに傷つくだけだから早くやめてしまえばいい。それはわかってるんだ。

終わらせるのは何も難しいことじゃない。むしろ簡単なんだ。
「もうこういうのなしにしましょ?」って言っちゃえばすぐに終わる。
彼は簡単に切るんだろう、一瞬もためらうことなく。

僕は・・・・・、僕は、そうだとわかっていながら、
彼の何も手に入れることなどできないとわかっていながら、
でもせめて一瞬だけでも求めてくれるのだと必死にこの関係にすがっているのだから最低だ。

『お前もほしい?』

プリンを一口分スプーンにのせて、笑顔でこちらに手を伸ばす。
ゆうにぃ、それは元々僕のなんだよ。

「ほしい。」

「ゆうにぃの・・・全部がほしいよ。」


心ごと、全部ほしい。

59Call my name! (4/5):2008/03/17(月) 12:33:04 ID:3UF+p/9J0
「脚・・・もっと開いてください。」
『ぁ・・・・あ・・・・。』

どんなに深く攻め入っても、どんなに奥まで満たしてやっても、まるで振り向いてもらえない。
指先の動きや息遣いの一つだって見逃さないようにずっとずっと見てるのに、彼はいつもいつもぎゅっと両目を固く閉じている。
そして、行為の最中に決して名前を呼んでくれない。
どこがいいとかどうしてほしいとか全部全部大きな声ではっきり言ってくれるのに、
どんなに恥ずかしいことを言わせても、必ず応えてくれるのに、
名前だけは一度も呼んでもらえない。

「好きです!好きです!僕は、あなたのことが・・・!」
『俺も好きだよ!俺もっ・・すげ・・ぇ・・・す・・・・ぁ・・・あっ・・・!』


絶対に呼んでもらえない。


理由はなんとなくわかってる。
彼をいつも見てるんだもの、彼の見てる人が誰なのかくらい、嫌でもわかる。



『はぁーーーーっ、疲れたぁ・・・・。』
「ゆうにぃ・・・・・。僕はゆうにぃのことが――。」
『さ、寝んべ?』
「・・・・・・・・・・・・・・・うん。」

好きなんです。
60Call my name! (5/5):2008/03/17(月) 13:02:19 ID:3UF+p/9J0
一緒に寝てもらえる僕は特別?
ううん、それは違う。

特別なのはあの人。
彼の気持ちを知っていながら、彼に何もしないあの人。

一番愛されたい人に愛してもらえなくて、
寂しい身体を慰めるために僕のところに来る彼の魂胆を見抜いていながら、
代用されていることに気づかないふりをしてでも彼を欲しがる僕ではなくて、

彼の気持ちを知っていながら、それを利用するようなことは絶対にしない、あの人。



「ゆうにぃ・・・。」
『んー・・・?』
「ほんとに・・・・・本当に好きなんだ・・・・・。」


『・・・・・・・・・・・・・今なんか言ったべ?』


僕の気持ちなんてとっくに気づいてるくせに、何もわからないふりをして、
無邪気な笑顔でどんどんどんどん人の心の中に入ってきて、
何もかも与えてくれそうで何一つ与えてくれないあなたは、なんて残酷。
61Call my name! (end):2008/03/17(月) 13:04:19 ID:3UF+p/9J0

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )

途中連投規制にあってしまい長々と時間をとってしまって本当にすみません!
大変ご迷惑をおかけしました。
62風と木の名無しさん:2008/03/17(月) 14:36:36 ID:RUCvlEM+O
>>55
ごちそうさま!
63風と木の名無しさん:2008/03/17(月) 14:36:53 ID:JW7i1T/F0
>>55-61
萌えたと同時にちょっとせつなくなったよ。GJ!
64風と木の名無しさん:2008/03/17(月) 16:12:14 ID:8iYTv1S3O
>>55
GJ!萌えをありがとう!!
65風と木の名無しさん:2008/03/17(月) 17:49:04 ID:Texg34XjO
>>55
ぐわー!新しく何かが開いた!自分の中で!
萌えをありがとー!
66風と木の名無しさん:2008/03/17(月) 20:29:24 ID:5BB8QJuRO
GJ!禿萌えた!
もしかして、タイトルは薬/中/熊/猫の最新アルバムから?
671/2:2008/03/18(火) 02:20:23 ID:YXxQM1SwO
|>PLAY ピッ◇⊂(・∀・ ) ジサクジエンガ オオクリシマース!
夜中にやってる方の鬼たろー のつもり。
鼠×偽→鬼 のつもり。

名前なんか呼びたくない。
『あいつ』何て呼び方すらもったいない。
あんな奴、『あのバカ』で十分だ。
そうさ。
あのバカさえいなければ僕は僕でいられたんだ。
あのバカさえいなければ、僕が唯一僕だったんだ。
『偽』なんて不愉快な呼ばれ方なんてされず、僕だけが僕だったはずなんだ。
あの慈悲深い女性を地獄に落とすこともなく、頭を丸める事もなく、とばっちりでとんでもない化け物に殺されかける事も無かった筈だったのに。
挙げ句、臭い鼠の下僕だなんて。
ちくしょう。

「なんであのバカが秘書で僕がメイドなんだ」
「うるさいねぇ。呼び方なんてどうだって大した変わりは無いだろ?」
なら、どうして。
こんなことの相手を僕だけがしてるんだ。
相手をしてるのは僕なのに、どうして行為の間中僕じゃなくあのバカの名前を呼ぶんだ。
『だったら本人に直接言うこと聞かせりゃいいじゃないか。あのバカだって今じゃあんたの下僕なんだろ?』
喉元まで出かかっていながら、何でか口に出せなかった。
あんな臭い鼠が間近にいたからだ。酷い臭いに口も開けなかったんだ。
ちくしょう。

とにかくあのバカに関わってからロクな事が無い。どんどん悪くなってく気すらする。
そうさ。
だからあの時だって、あんまりクサクサしてたから気晴らしに一口、ほんのちょっとコーヒーを失敬しただけなのに。
なんでこんな目に会わなきゃいけないんだ。
682/2:2008/03/18(火) 02:22:23 ID:YXxQM1SwO
溶ける。
体が溶ける。
ああ、溶けた。
溶けきった。
ちくしょう。

あのバカが台所に入って来た。
バカ、今来るな。
溶けきった僕を見て悲鳴をあげて逃げていった。
ああ、ああ。そういう奴だよな。
ひょっとしたら心配してくれるかも、地獄を自由に行き来するくらいだからもしかしたら助けてくれるかも。
そんな事チラとでも思った僕もバカだったのか。
ちくしょう。

逃げてく背中。僕とは違うもの。
そうか。
あのバカがいてもいなくても、僕は僕だったんだ。
偽でも代わりでもない、僕。
あんなにぴりぴりしないで一緒にいる事も出来たかもしれない。
消え始めた意識の中で初めてこんなことに気付くなんて。

ちくしょう。

□STOP ピッ◇⊂(・∀・ ) イジョウ、ジサクジエンデシタ!

なんかもう色々ごめんなさい。
お邪魔しました。
69風と木の名無しさん:2008/03/19(水) 00:22:27 ID:tHs/gGvG0
GJ!偽セツナス!


ところでしをんの王でどなたか書いてくれませんか…
70蛇に睨まれた蛙 (0/5):2008/03/19(水) 10:45:22 ID:b8/apHdT0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )

ナマ注意!
某クイズ番組のおばかさんたちで、知真です。
内容はスイーツ。
71蛇に睨まれた蛙 (1/5):2008/03/19(水) 10:46:22 ID:b8/apHdT0
だめ、だめ、お願いだからそんなに見ないで。

『ねぇゆうにぃ。』
「っ・・・。」

この間が耐えられない。どうしよ、見てる。すごい見てる。

『僕とキスしたい?』

笑顔だ。笑顔か?笑ってるよな?口元を見る限り笑ってる。
うっすらと視界に入る目元も確かに笑ってる。

『ねぇ。』
「・・・・・・・・・・・・。」

鼻先の触れ合う距離、時々お互いの息がぶつかってる。
こんな空気になるのが嫌で逃げ回ってたのにいつの間にか部屋の隅っこに追い詰められた。
勝負事はいつでも逃げ腰になった時点で負けだってわかってたのにどうして逃げちゃったんだ、俺のバカ・・・!

『ゆうにぃ。』
「あ・・・・・。」

どうしよ、どうしよ。ほんとにどうしよう。
何か言ってもキスされそうだし、何も言わなくてもキスされそう。
っていうか、何をしてもしなくても隙をつかれた時点でおしまいだ。

こういうの何って言うんだったっけ?ほら、あれだ。最近習ったべ。
なんとかになんとかされたなんとか、なんとかになんとかされた・・・・・って、
こんなこと考えてる場合じゃねぇ!
72蛇に睨まれた蛙 (2/5):2008/03/19(水) 10:47:25 ID:b8/apHdT0
『キスしたい?』
「・・・・・・・・・・。」

なんで、なんで唇ばっかり見んの?それすごいいやだ、すごい困る。
超緊張する。どうしたらいいの、こういう時どうしたらいい?
あいつが唇ばっか見るから、俺もついあいつの唇ばっか見ちゃう。
見たくないけど、一度見ちゃったから、

そこから目を放した瞬間キスされそうでほんと怖い。

だいたい俺にばっか聞いてんじゃねぇ!したいのはお前でしょ!?
だったら早くしちゃえばいいじゃん!

・・・・って言いたいけど、言ってる間にされそう。

もう邪魔!どいて!
そう言ってあいつの身体を押しのけて早く立ち上がればいい。

・・・・けど、手を伸ばした瞬間にされそう。

あれ・・・・・・・、俺もしかして勝ち目ない?なんか負けることばっか考えてる?
その時点で負け?
違う違う!この後の展開をあらかじめ予測して勝算を割り出してるだけ!そうでしょ!?

『ねぇ、ゆうにぃ。』

まっ、待って!待って!ちょっと考えさせて!!
73蛇に睨まれた蛙 (3/5):2008/03/19(水) 10:48:27 ID:b8/apHdT0
「っ・・・・・。」

待って、考えさせてほしいけど、それはそれで困る。
お願いだからそんなに見ないで、見られるとそっちに意識が集中しちゃうんだって!

『強がり。』

あっ、あーーーっ!すっげぇ笑ってる。悔しい〜〜、悔しいけど何も言えねぇ。
それがまた悔しい〜〜。

『ほんとはしたいんでしょ?』
「・・・・・べ・・・・別に・・・!」
『また〜〜。』

『どの口が言ってるの?』

わっ!!

・・・・・・・・あ・・・・・あれ・・・・?あ、あぁ・・・なんだ、抱き寄せられただけか。
びっくりした、キスされたかと思った。

ん?

だ、抱き寄せられた!?やばい!もうほんとに逃げらんねーべ!!
74蛇に睨まれた蛙 (4/5):2008/03/19(水) 10:49:18 ID:b8/apHdT0
だめ!それだめ・・・!

抱き締める腕にどんどん力が入ってくる。相変わらず唇だけを見られてる。
どうしよ、どうしよう。心臓バクバクいってんの聞こえちゃう。

『キスしたい?』

どうして唇ばっか見んの?すげぇ恥ずかしいからやめてよ。

『したいでしょ?』

違う、違うの。したくねーって。いや、それも違う。ちょっと待って、
自分で何考えてんのかわかんなくなってきた。

『したそうだよ?』

お願いだからそれやめて。唇ばっか見ないで。
身体中が熱くって、指先までチリチリする。

「はぁっ・・・・・・ぁ・・・・。」

・・・・・・・あれ、あれ?もしかして俺、


『感じてる?』

75蛇に睨まれた蛙 (5/5):2008/03/19(水) 10:50:45 ID:b8/apHdT0
もうだめ・・・・・。完全に読まれてる・・・・・・。
完全にノックアウトだし完全にコールドゲーム。

『ゆうにぃ。』

なんだっけ、なんか昔の歌にあったな。「唇見つめないで 心の中が読まれそう」って。
あれってほんとだべ・・・。

『僕と、キスしたい?』


「・・・・・・・・・・すげぇしたい。」


『じゃ、ちゅーすんべ。』

そう言って俺の口癖持ってかれて、にっこり笑った後に唇が押し当てられて、
目を開けたまま、お互いに口元を見ながら何回も何回もキスをして、舌もいっぱい入れて、入れられて、
胸もいっぱいになって、すげぇ苦しくなったところで顔を少しだけ離して、やっと目が合った。

『ゆうにぃ。』

また唇に目をやる。


『最後まで、したい?』


だめ、だめ、お願いだからそんなに見ないで。
76蛇に睨まれた蛙 (end):2008/03/19(水) 10:53:19 ID:b8/apHdT0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )

前回は知が可哀相すぎたので今回は幸せに(笑)
知は唇を見ることで心の中を読んでいるのではなく、唇を見ることでその気にさせているという。
確信犯で鬼畜な(愛あり)知とどうしてもその策略のどつぼにはまってしまう真、みたいなのが個人的にすごい好きです。
最後まで読んでくださってどうもありがとうございました。
77風と木の名無しさん:2008/03/19(水) 15:27:13 ID:znPR/ziA0
いいよいいよー
今回は知が幸せそうでよかった!真もかわいいなあwww
78風と木の名無しさん:2008/03/19(水) 21:42:06 ID:wksHHo8d0
>>76
もうなんかご馳走様!
知真で見るのは悲恋系が多いから嬉しい
文章ももの凄く大好き!
追い詰められた真と追い詰める知とふたりのえろかわいさが…
とにかく最高!すみませんテンション高くて
791/4:2008/03/20(木) 01:19:21 ID:hmV1UKhR0
なんかふと思いついたオリジナルもの
純朴な田舎者青年×都会の高校生

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


名前忘れたけどとりあえずどっかすげえ田舎の『シヤクショ』で仕事してる5個上の兄貴から、メールがきた。
【俺の友達、今度しばらく俺の部屋に住むから、軽く掃除しといてくれ】
は? なんで? つか何でオメーのツレがウチで暮らすんだよ。マジわけわかんね。
ってことでめんどいからシカトしてたら、電話ってきた。んで、無理矢理ショウタク? ショウダク? させられた。
あークソ、マジうぜえ。昔っからオーボーなんだよクソ兄貴。っあ゙ーめんどくせえ……
けどバックレたら後々もっとうぜーことんなっから、しょうがなく俺は兄貴の部屋を適当に掃除した。
途中で母ちゃんが布団も換えとけとか言ってきて、んなのテメーでやれよババア! っつったら殴られたし。クッソ。

──三日後、しばらくうちで暮らすとかいうその兄貴のツレがやってきた。
「どうも、井中勝平です! お世話になります!」
うーわ、とりあえず超ー声でけぇ。近けえっつの。じゅーぶん聴こえるっつの。
つか、何だそのダッセェ服。ありえなくね。それでここまで来たことが逆にすごくね。
しかも名前がイナカカッペイってダジャレかよ。マンガかっつの。
「あ、君が渋谷くんの弟さんのカイくんだね! 高校三年生だったよね、若いなあ! とにかくよろしく!」
だからマジでけーんだって声が。んで、近っ! ちょ、なに超接近してきてんのこの人。距離感の狂いっぷりありえねーんすけど。
「あー……ども」<BR>
なんかマジめんどくせー通り越してもう関わんの無理な気ぃしてきた。
だから適当に流したのに、イナカッペ野郎いきなり人の手ぇ握ってブンブン振りやがんの。
握手! とか言って。握手じゃねーよ。いてーんだよバカ力。すげぇ笑ってっしよ……
「カイくん、お兄さんとよく似てるね! いやあ、なんか昔っから知ってる気分になるよ!」
なんねーよ。いまだかつてないほど初対面だっつの。
「これから暫く、よろしくね! あ、俺のことは気軽にカッペイって呼んでくれていいから!」
「……」
あー、なんかもうマジ無理。オール無理。
802:2008/03/20(木) 01:21:34 ID:hmV1UKhR0
カッペイの奴は家に上がるなり速攻で父ちゃんや母ちゃんと和みだして、
晩飯ん時とかなんかお前マジ初対面でそれありえねーだろってくらい完璧に馴染んでた。
「カッペイくんならこのまま一生うちにいてほしいわ〜」とかババア言ってっし。
冗談じゃねーっつの。こんなんずっと家いたら俺が出てくわ。

で、メシ食った後がまた更にうぜえ。
「カイくん、これからしばらく一つ屋根の下に暮らすわけだしさ!
 お互いのことよく知るために、今日は色々お喋りしよう!」
とか言っていきなり人の部屋きやがんの。ウ……ッゼェェ! マジかよこいつ!
あーでも兄貴にしつこく言われてっしな……【俺の友達に失礼なことしたら、お前わかってるよな?】って。
あのクソ兄貴は怒らせるとマジでやべえ。だから俺は、正直むかつきまくるけど逆らえねえ。かわいそ過ぎだろ俺。
って気付いたらもう俺の前、座ってっし。カッペイ。超笑顔で。こえーよ。
つか、とりあえずそのジャージがありえねーんだけど。胸んとこ刺繍あんだけど。「3年1組 井中」って。
こいつ兄貴とタメってことは、もう23だろ? なに高校時代のジャージ着用とかしちゃってんの?
813:2008/03/20(木) 01:22:46 ID:hmV1UKhR0
「イナカさん、それ……気に入ってんすか? 高校のジャージっすよね?」
「カッペイでいいって、カイくん! あとこのジャージはね、うん、着心地が好きなんだ。中学の頃のだよ!」
中学かよ! そういや小せえっつかビミョーにピチピチんなってっけど、中学のジャージいまだに着てんなよ!
「カイくんは家で着る服もオシャレだね〜、まさに東京ボーイって感じだね!」
「……はは、そっすかね……」
東京ボーイってなんだよ……つーか、うーわ。すっげ笑ってっしカッペイ。爆笑してっし。めんどくせえー。
「俺はイマドキな若者ファッションとか疎くてね〜、渋谷くんによくアドバイスもらってるけど、からっきし!」
あー、確かに兄貴とは違うよな系統……あいつの着てる服とかカッペイ着たら無理あんだろ多分。
……って、ダッセェ服とダッセェ頭で気付かなかったけどよく見たら顔自体は結構イケてんのな。それはそれでムカツクなオイ。
「とにかくさ、今日は一晩中語り明かそうな! エイエイオー!」
エイエイオーって使いどころ違くね?
「お、お〜……」
って俺もつられて言っちゃってっけど。つーか、一晩中このノリと付き合うのか……やべ、地獄じゃんそれ。
______________

そっからマジで色々と話すハメんなって、シラフじゃやってらんねーってんで酒が入ったせいで、
兄貴とカッペイが友達んなったキッカケとかそういう普通の話ばっかだったはずが
「実は俺、この年まで男女交際とかしたことないんだぁ……」なんつーカッペイの衝撃事実まで発覚した。
つーか、え、マジで? 23で彼女いたことねーの? てことは、童貞?
「え、じゃーカッペイさん、セックスとか……」
「セッ……!? いや、その、それは、だってホラ、俺はその……キ、キッスすら……」
「マジすか!?」
うーわ、童貞どころかチューもしたことねーんだと。つか「キッス」って。その小さい「ッ」いらなくね。
カッペイ超赤くなってっし。おいおいおいおい、こいつマジであの兄貴のツレか? キャラ違い過ぎね?
だってあいつ普通にヤリチンだったぞ。今は知んねーけど。でもマジで仲いーらしいしな……謎だ。
824(4分割超えますスマソ):2008/03/20(木) 01:24:00 ID:hmV1UKhR0
「カイくんは、やっぱり経験済みなんだ?」
「まあ一応」
「そっかー……そうだよなあ……イマドキの若者だもんなあ……東京だし」
いや東京だからとかあんま関係ねーと思うけど……つかマジへこんでんよカッペイ。
さっきまでのテンションどうしたよ。酒飲んでからのがテンション下がってんじゃん。
「や、でもカッペイさんよく見たらイケメンじゃないすか、その気んなりゃ彼女ぐらい作れるっしょ」
なんて風に普通に慰めたりとかしてんのは、酔ってるせいか? 俺。
「いやあでも、仮に彼女ができてもさ、未経験だといざって時にダメそうで不安なんだよ……」
「んーなもん、どうにでもなるもんすよ!」
「そうかなあ」
「そっすよ、つか不安だったらアレっすよ、フーゾクとかで練習すりゃいいじゃないすか」
「キッスの練習もできるかな?」
「んなの、キスぐらいなら近く歩ってる奴でも相手にしちゃえばいんすよ」
「えぇっ!? と、東京ってそうなの!?」
「そりゃもう、誰でもブッチューっすよ!」
あ、俺、酔ってるわマジで。なんかもう言ってることワケわかんねーもん。
その辺の奴と適当にチューとかあるわけねえっつの。俺言ってっことテキトー過ぎてウケる。
っかしーな、いつもこんなすぐ酔わねーのに。でもマジで酔ってる。しかもかなり悪酔いくせえ。
「か、カイくんも、誰とでもキッスできちゃうの?」
「えーもう、男でも女でも誰でもカモンすよ」
「……っじゃあ、れ、練習させてくれる?」
「おー、いっすよ! じゃんじゃんしちゃって下さい!」
直後。
「っ、」
思いっきり歯がぶつかって痛くて下っ手くそなキスをカッペイにされた。
835:2008/03/20(木) 01:25:02 ID:hmV1UKhR0
そっから、気付くと朝だった。
俺いつ寝たっけ? 確かカッペイの童貞発覚して、俺超酔ってて、んで……
うわ、おい、なんかチューとかしなかったか……? うわ、うーわ。マジかよ俺。
そうだ、なんか変な流れでカッペイとチューしたっつーかされたんだ。
うわキモッ! ありえね、男とチューしちゃってんじゃん俺! つーかすんなよカッペイも。
あんなアホな話なに信じちゃってんだよ! ……あー、まあもういいけどキスだし。
いつもよりしっかり歯ぁ磨いて忘れるとしよう。幸いにも感触とか覚えてねーし。
「ん゙ー……」
とりあえず携帯見たらまだ5時とか表示されてんの。早朝過ぎだろ。二度寝するっつの。
つかカッペイどしたんだ。部屋戻ったか? あっれ、俺マジで記憶飛んでんな……
あー、まあいい。今とりあえず眠みぃ。カッペイとかどーでもいいわ……寝直そ。

……。
…………?
…………なんだこれ。
いや、今ちょっと体動かしただけなんだけど、そしたら瞬間、すっげー痛み走ったんすけど。
しかもなんか、よくわかんねーけどなんか、ありえない感じの痛みだったんすけど。
腰と何か、え、ケツ? ……は? なんで? ケツって寝違えたりすんの?
846(ラスト):2008/03/20(木) 01:26:38 ID:hmV1UKhR0
……え、ちょ? 今気付いたけど俺、なんで裸だ? 寝るとき脱いだか?
あれ、俺って酔うと脱ぐタイプだったのか? 知んなかった。マジかよ。
やべーな、今まで知らなかったトビラ開いちゃった感じ? なんてな。
つか何だよ、ちょっと邪魔なんすけど抱き枕。なんか狭めーっつの。逆に寝づらいっつの。
このクソ抱き枕……抱きまく、ま、…………いやいやいや、抱き枕とか持ってねーし俺。
つーか抱き枕じゃねーしこれ。これ、人じゃん。よく見たらカッペイじゃん。
んだよカッペイかよ。裸のカッペイが俺のベッドで一緒に寝てるだけかよ。
しかも相変わらず距離感おかしーし。何この密着。むしろ俺が抱き枕かっつー勢いじゃん。
まあとにかく裸のカッペイが一緒に寝てるだけってことで、安心して二度寝に……
──……裸の? カッペイが? 一緒に……?──

え、あの、ケツが痛いのって、まさか──



「……っぎゃああああああああああ!!!!!!!」
今まで知らなかったトビラ、マジで開いちゃってたらしい。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
85風と木の名無しさん:2008/03/20(木) 10:32:07 ID:FWwWvkCx0
>>48-53
ありがとう!面白かったー!
こういう関係もあるんだな、と新しい萌えを発見できた。
もっと早く棚に来れば良かった!!遅い感想でごめんな、ごめんな…
86風と木の名無しさん:2008/03/20(木) 11:54:13 ID:HUxchSRu0
>>84
GJ!こういう頭とノリが軽いタイプの受け、かわいくて好きだw
87武/装/錬/金 パピカズパピIV:2008/03/20(木) 23:02:17 ID:YuYwnEvZ0
武/装/錬/金 前スレ49-53の続き。
間が開きすぎて出だしから意味不明気味。

※設定捏造、流血、キャラ崩壊注意。
鬼畜主人公が嫌な方、ヒロインな蝶が好きな方はスルー推奨。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
88武/装/錬/金 パピカズパピIV 1/11:2008/03/20(木) 23:03:03 ID:YuYwnEvZ0
 ――ドクン。
 ――ドクン。
 降り積もった心の澱がゆっくりと負の変質を起こし、虚ろな身体に規則正しく供給されてゆく。
 世界が血の色に染まる。何もかも、赤い。自分も、自分の上に跨る男も。
 何かを予期したかのように身を固くする男を、赤い視界の中でただ無感動に眺めた。

 ――本性。本性を見せろと言ったのか。その口で。
 理不尽な現状を強要する男への苛立ちが湧き上がる。
 
 この男はいつも肝心なことを話さない。
 勝手に言いたいことだけを言い、やりたいことだけをやる。こちらの気持などお構いなしに。
 言うに事欠いて、本性。笑わせる。
 本性など、この男だって見せてはいない。
 自分は知っている。目の前の男が、その裸の心を常に虚飾で鎧っていることを。
 この男はやりたいようにやる。なら、自分もそうして何が悪い?

 左胸に置かれた手が不意にがくりと力を失い、均衡を崩した男が胸の上に倒れ込んだ。
 機を逃さず強引に身体を入れ替える。
 相手が体勢を立て直す隙も与えず、邪魔な虚勢の象徴を一気に剥ぎ取った。
 最後の防壁を失った黒瞳が驚愕に見開かれる。

 あの春の夜以来はじめて見る、自分が殺した男の素顔。
 その端正な白皙がはっきりと狼狽の色を浮かべるのを見て、昏い悦びで胸が満たされた。

 渇ききった心と身体が潤い、隅々まで力が充実してゆくのが感じられる。
 わずかな掠り傷の痛みは跡形もなく消え去った。
 こんな簡単なことに気づかなかったのが馬鹿みたいだ。
 隠されたものは暴けばいい。
 理解できないものに悩む必要などない。
 喰らい、己の血肉とし、同化すればよいのだから。
89武/装/錬/金 パピカズパピIV 2/11:2008/03/20(木) 23:03:56 ID:YuYwnEvZ0
「――武、×…×××…ッ!…」
 数瞬の間動きを止めていた男が、ようやく己の状況を認識したのか身体の下で暴れ出す。
 その四肢は骨を欠いたかのようにまるで力が入っていない。
 組み伏せて深々と穿ち、衝き上げる破壊衝動のまま蹂躙するのに何の障害もなかった。
 筋張った白い首が仰け反り、声にならぬ苦鳴が洩れる。
 他愛ない。
 戦うにも値しない。狩りですらない。
 一方的な略奪であり、搾取だった。
 武器を作る必要もない。だってほら、自分には、
「……×…ッ…!」
 こんな立派な爪があるじゃないか。
 男の脇腹に走る亀裂に己の赤銅の指が易々と食い込み、軋む音を立てて赤の面積を広げる。
 ごぷり、と男の口からも赤が溢れ出す。

 生命の赤に満ちた世界の中にあって、なお際立って鮮やかな赤。
 何と素晴らしく、活きの良い、獲物だろう。
 指先と身体の芯に感じる内部のエネルギーは熔岩に似て熱く、甘露のごとく純粋だ。
 抵抗の意志を失わずもがき足掻く健気な姿がたまらなく愛おしい。
 そうだ、この獲物は自分のものだ。誰にも渡しはしない。誰にもだ。
 この甘美な生命の炎が燃え尽きるまで、その全てを余さず喰らい尽くそう。愛を込めて。

                *

 至福の時は拍子抜けするほど早く終わりを告げた。
 ぐったりと横たわり浅く弱々しい息を吐くだけになった獲物を見下ろして、少し残念に思う。
 こうしている間にも喰らっているのだ、そう長くは保つまい。
 名残を惜しみながら楔を抜き、最後に感謝の意を表して、獲物の口から零れた生命の残滓を舐め取る。
 刹那――

 ぞくり。
 本能的に感じた脅威に全身が総毛立った。
90武/装/錬/金 パピカズパピIV 3/11:2008/03/20(木) 23:04:49 ID:YuYwnEvZ0
 得体の知れない重圧感はすぐ眼下から発せられていた。
 死に瀕した獲物の瞳に、恐怖や諦念の色は微塵もなかった。
 そこにあったのは剥き出しの、怒りと、殺意と。
 胸を抉られるような、
 ――哀しみ。

“忘れるな”
 不意に天啓のごとく脳裏に声が響いた。

 喰らえ。
 別の声が身体中を駆け巡り、急激な眩暈に襲われる。

“これ以上人間離れするなよ”
 喰らえ。
“選択肢なんてのは他人に与えられるのでなく、自ら作り出していくものだ”喰らえ。
“お前がどの様に決めようと、俺はお前との――を諦めない”喰らえ。喰らえ。

 異なる二つの声が頭蓋に反響し、頭が割れるように痛む。
 何か、何かとても重大なことを自分は忘れている気がする。
 全身から汗が噴き出す。喰らえ。瞼の裏が赤い。喰らえ。頭が痛い。
 喰らえ。そうか、喰らえばいい。喰らえばきっと、この頭痛も――


“お前とはいずれ必ず決着をつける。そうしないと俺の心が羽撃けない”
 喰らえ。喰らえ。喰らえ。喰らえ。喰らえ。喰ら



 ――――黙れ!!!!
 
91武/装/錬/金 パピカズパピIV 4/11:2008/03/20(木) 23:06:06 ID:YuYwnEvZ0
 全霊を振り絞り、一方の声を退ける。
 そうだ。自分は大事な約束をしていた。あの傲慢で自信に満ちた、どこか寂しい声と。

 何を言っている。弾き出された声が不平を鳴らす。
 自分とは、つまり俺のことじゃないか。

 ――オマエが俺……オレ?なら、このオレは何なんだ。
 オレは俺だ。声が答える。
 全てを喰らうものに名など必要ない。オレがそう望んだんじゃないか。喰らえ。
 ――!違う、オレはそんなこと望んでない!俺は、いやオマエはオレじゃない、オレは――オレは。

 自分の名を思い出せない事実に愕然とする。
 今の自分は獰猛な獣に肉体の主導権を奪われようとしている、何か、だった。

 内なる獣が意志の軛から逃れようと不規則に暴れ、跳ね回る。
 嘔吐感が込み上げる。まともに息ができない。抑えきれない。喰らえ。
 駄目だ。喰らえ。また取って代わられる。喰らえ。嫌だ。喰らえ。喰らえ。
 喰らえ。喰らえ。喰らえ。誰か。喰らえ。
 ――誰か、頼む。オレの、オレの名を呼んでくれ。

 境界を失いかけ恐慌をきたした自我が瞼を抉じ開け、赤い世界に救いを求める。
 組み伏せた獲物と目が合った。

 獲物が――脅威が――男が、静かに口を開いた。



「俺の名が、判るか。武/藤力ズキ」
92武装/錬金 パピカズパピ:2008/03/20(木) 23:39:25 ID:Hy3APAVxO
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

PCでの書き込みがなぜか反映されないので、すみませんが少し間を置きます。
93武装/錬金 パピカズパピ:2008/03/21(金) 01:14:08 ID:bU1BQfpYO
□STOP ピッ ◇⊂(・∀・;)

棚にだけ書き込みが反映されない現象が続いているので
一旦完全停止。度々ご迷惑をおかけします。
94武/装/錬/金 パピカズパピIV 5/11:2008/03/21(金) 11:27:27 ID:FwbJKgp/0
「……ちょう、の――攻、…爵」

 目の前の男を正しく認識し、力ズキは自分が何者かを思い出す。
 世界が弾け、元の色彩を取り戻した。

                *
 
 まだ耳鳴りが治まらない。
 犬のように呼吸をするたびに肺が悲鳴を上げ、こめかみがずきずきと痛む。
 左胸の獣はなおも早鐘を打って暴れ続けていたが、やがて諦めたのか、再び全身に血液を送り出す
役割をおとなしく演じ始めた。
 滝の汗が顎を伝い、眼下の男に滴る。
 血と汗に塗れ、記憶の中よりも蒼白な蝶/野の顔は、恐ろしく冷静にこちらを見つめていた。
「やっと目が覚めたか。寝惚けるにもほどがある」
 赤黒く汚れた唇の端を上げ、にっ、と満面の笑みを浮かべて両の腕を下ろす。
 自分の喉がいつの間にか長い指に掴まれていたことにはじめて力ズキは気がついた。
 あと少し正気を取り戻すのが遅ければ、この男の最後の力で首の骨を折られていただろう。
 どうみてもそんな力が残っているようには見えないのに、理由もなくそんな確信があった。
 死の恐怖は感じなかった。それよりも――

「――ぁ、……あ……、オ……レ、」

 熱病に罹ったようにがたがたと震え出す。
 いっそ無惨といってよいほどの蝶/野の姿。
 脇腹の傷は最初に見たときよりも大幅にその亀裂を広げ、肩口にまで達している。
 夥しい量の血液と、それ以外の体液が床と彼自身を汚していた。
 肌の亀裂のない部分には無数の歯形と爪痕が赤い模様を加えていた。
 血糊に粘つく己の指を見るまでもない。赤い世界の記憶はおぼろげに留めている。
 全て、自分がやったのだ。
95武/装/錬/金 パピカズパピIV 6/11:2008/03/21(金) 11:29:45 ID:FwbJKgp/0
「ゴ、メン――ゴメン、蝶/野……!」
 懺悔と自分への恐怖に涙が溢れて止まらない。
 快楽と共にこの男を殺しかけた。
 どこまでが自分で、どこからが黒い核鉄の暴走だったのか思い出しても判然としない。
 あるいはあの獣は左胸ではなく、心の奥に潜んでいたのだろうか。
 いや、どちらだろうと同じことだ。これほど深く融合してしまっては。
「謝るよりも、まずそこをどけ」
 泣きべそをかきながらうわ言のように、ゴメン、と繰り返す力ズキを押し退け、蝶/野が半身を起こす。
「予想より進行が早いようだ。お前が化物になるまで、もってあと1週間というところだな」
 冷酷な余命宣告が力ズキの胸に刺さる。
 あまりに淡々と容赦のない現実を突きつける蝶/野の様子が、かえって力ズキを少し落ち着かせた。
 ひとつの決意が身体の震えを止める。
 以前から決めていたことを実行に移そう。――きっと、今がその時だ。

 涙を拭い、力ズキは蝶/野から身を離した。
「本当に、ゴメン。蝶/野」
「多少のイレギュラーはあったが、この程度は想定の範疇だ。さほど影響はない」
 蝶/野の台詞も決心を固めた力ズキには聞こえていなかった。
 立ち上がり、床に脱ぎ捨てられた下着から核鉄を拾い上げ、蝶/野に手渡す。
「オマエには今まで迷惑掛けた。謝って謝りきれるものじゃないけど、オレのために色々すまなかった。感謝してる」
「何だと?」
 距離を置き、左胸に手を当てる。これが最後だ、暴走するな、と強く念じながら。

「武装/錬金」

 黒い核鉄が力ズキの意志に忠実に呼応して原子の配列を変え、山吹色の光を放つ突撃槍が現れた。
 攻撃の意志のないことを示すため、床に横向きに置いて蝶/野の方に滑らせる。
「――これは何の真似だ」
「オマエの手で完全に破壊してくれ。オレの、命だ」

 蝶/野の顔が凄まじい憤怒に引き攣った。
96武/装/錬/金 パピカズパピIV 7/11:2008/03/21(金) 11:32:12 ID:FwbJKgp/0
 自分が間もなく人間でなくなると知った最初に決めていた。
 足掻いた末どうにもならず怪物と化したときは、人々に害を加える前に自分自身に始末をつけると。
 槍をどこかの火口に投げ込むか、それで駄目なら他の生命のない遠い場所で独り朽ちるのを待つ
つもりだったが、今この男が相手だったのもきっと運命だ。

「こんな形でしか約束を守れないけど、オマエの気の済むよう好きにしてくれ」
「ふざけるな」
「すまないと思ってる。本当に」
「謝るな!」
 爆発した蝶/野が突撃槍を床に叩きつける。
「お前は――貴様は、そんな生温い覚悟で俺に取引を持ち掛けたのか。貴様は所詮その程度の偽善者か」
 空っぽの胸がずきりと痛んだ。
「オマエには何を言われても仕方がないよな。本当に、すまない」
「……ッ」
 ぎりぎりと歯軋りの音。怒気に空気が揺らぐ。
「こんな――こんなくだらない男に俺は殺されたのか」
 ゆら、と幽鬼のように血みどろの蝶/野が近づき、両手が再び力ズキの首に掛けられた。
「貴様には失望した。武/藤力ズキ」

 喉にゆっくりと力が加えられ、気道が圧迫される。
 静かに目を閉じた力ズキの瞼の裏にあの夜の光景が、口元に微苦笑が浮かぶ。
 この男とはこれで、おあいこだ。
 酸素の供給が途絶えた脳裏に大切な人々の顔が次々とよぎり、最後にそれは凛々しく儚い少女の顔になった。
 ――ゴメン、斗/貴/子さん。一心同体の約束、オレ、やっぱり守れなかった。
 でも、暴走して彼女をさっきのように壊してしまうぐらいなら死んだ方がましだ。
 だから、これでいい。この胸の痛みも、じき感じなくなる。
 勝手な願いだと承知しているけれど、彼女だけは、生きて――

「貴様の息の根を止めた後、俺はあの女を喰い殺してこの世界を燃やし尽くす」

 力ズキの目が見開かれた。
97武/装/錬/金 パピカズパピIV 8/11:2008/03/21(金) 11:35:59 ID:FwbJKgp/0
「好きにしていいんだったな。せっかく貴様が黒い核鉄を提供してくれたんだ。この病んだ身体を
脱ぎ捨て、死の苦痛も飢えもない強靭な肉体を手に入れるとしよう」
 こんな大事なことを忘れていたなんて。
 過去にこの男は世界に対して昏い眼差しを向け、自身をヴィク夕ー化する野望を語っていたのだ。
 まだだ。死ねない。この危険な男を残しては。
 遠のきかけていた意識を奮い起こし、残忍な笑みを浮かべる男を睨みつける。
「ん?面白い目になってきたじゃないか。だがもう遅い。自分の無力さに打ちひしがれて死ね」
 痩せた腕を振りほどこうとするも鋼のようにびくともしない。どこにこんな力を残していたのか。
 首に食い込む指は急速に圧力を増してゆく。折る気だ。
 不意にそのままぐい、と引き寄せられ鈍い衝撃が唇に走ったかと思うと、鉄の味と何か別の苦味を
伴った塊が捻じ込まれてきた。
 迷うことなく歯を立てる。新たな鮮血の味。
 弾かれたように唇を離した蝶/野を突き飛ばし、呼吸を整えるより早く床に転がった突撃槍に飛びつく。
 手加減して斃せる相手ではない。躊躇う暇などない。
「エネルギー、全開!」
 紫の空間を裂いて眩い山吹の閃光が迸った。

 蝶/野は身構えもしなければ、自分の核鉄を拾い上げる素振りも見せなかった。
 太陽光にも似たエネルギーの塊に目を細め、血の滲む舌で唇を舐めて、言った。
「戦れるじゃないか、偽善者。――合格だ、武/藤力ズキ」
 この男には似つかわしくないほどに清々しい、ひどく達成された満足げな笑みで。

「――!……」
 力ズキの中に全ての理解が満ちる。

 ぎりぎりで逸らした矛先は、蝶/野の前髪数本を蒸発させただけに止まった。
 武装を解除し、一気に脱力した力ズキはその場にへたり込んだ。
 ――なんて男だ。隠しごとの正体は、これか。

 何もかもこの男の計算ずくだった。
 試されていたのだ、自分は。その本性を。おそらくは最初から。
 蝶/野/攻/爵がその並外れた執念を燃やし、斃すに足る人間・武/藤力ズキか、否か。
98武/装/錬/金 パピカズパピIV 9/11:2008/03/21(金) 11:37:38 ID:FwbJKgp/0
「どうした?戦らないのか」
「……今がオマエの望む決着の時か?」
「まさか。後からもっと美味いご馳走が喰えるというのに、痛みかけなんぞ食指も動かん」
 にやにやと見下ろす男に、やはり、と確信を深める。
 いいように掌の上で踊らされていた悔しさでまた涙が滲んできた。
「……オマエ……メチャクチャだ」

 今思えば合点がいく。
 最初にこの男が仕掛けたのは、ヴィク夕ー化進行が顕著な自分の状態を見たときだった。
 消耗の極限で変身したとき力ズキが元の自我を保てるか、それとも心まで化物と化すか。
 それを見極めるためだけにこの男は、自らの生命を丸ごとチップに替えて賭けた。
 力ズキの体力を削り変身を誘発するため、こんな回りくどい搦め手まで使って。
 あの不可解に揺れる瞳と、力ズキが正気を取り戻したときの満面の笑み。
 あれは何か途轍もなく危うい賭に挑み、勝った者の表情だったのだ。
 自分に対する執着心は知っていたが、ここまで常軌を逸しているとは。この男は狂っている。

「――オマエ、」
「ひとを侮辱するのも大概にしろよ貴様」
 鼻先に突きつけられた指とその向こうの瞳に自分以上の激怒を見て、力ズキは抗議の出鼻を挫かれた。

「貴様は既に選択肢を選んだんだ。そして俺に取引を持ち掛けた。俺は承諾した。それが全てだ。
この期に及んで言いだしっぺの貴様がふらふら迷うな。挙句に俺との決着をあんなふざけたやり方で
放棄して、死ぬだと?――馬鹿の一つ覚えみたいにぺこぺこ謝れば済むと思うな!!」
 一気にそこまで言い、激昂した蝶/野は盛大に吐血した。
 力ズキが言葉を差し挟む隙もなく血だらけの口でまくし立てる。
「苦痛や犠牲を恐れて戦いに全力が出せるか。何か多大な勘違いをしてるようだから言ってやる、
ありがたく拝聴しろ。この俺が貴様のために動いたことなんかただの一度も、ない。全て、
蝶サイコーの、俺が!人間の貴様を、斃すためだ!自惚れるな!終いには貫き殺すぞ」

 ああ、そういえばこういう男だった。怒涛の剣幕に圧倒されながら力ズキは思う。
 狂気にしか見えないその行動原理は、常に冷徹な理性と彼なりの確固たる信念に基づいている。
 そして彼の言うことは、いつだって悔しいほどに正鵠を射ているのだ。
99武/装/錬/金 パピカズパピIV 10/11:2008/03/21(金) 11:41:04 ID:FwbJKgp/0
 この男の協力を得て最も犠牲の少ない選択肢を選び、ヴィク夕ーとの決戦の準備を進めてはきたが、
怪物化への不安やこの男に対する負い目を感じてどこか及び腰になっていたことは否めない。
半端な覚悟で戦えるほどヴィク夕ーは甘い存在ではなかった。しかし――
「……オレが戻らなかったらどうするつもりだったんだよ」
 確実に入手可能な白い核鉄がひとつきりで冬眠フラスコも未完成の今、黒い核鉄が両方とも
力の暴走を始めたら世界の破滅だ。ヴィク夕ー単体ですら現在戦団は苦戦している。
「貴様を殺るまでだ」案の定の即答。
 嘘でもはったりでもないことはさっき身をもって知っていた。
 肩で息をする蝶/野はようやく口元を拭い、少し落ち着いた声で、
「いいか、お前がしっかりと正気さえ保ってれば身体が化物になっても終わりじゃないんだ。
適当な所で待機させたお前を、フラスコが完成次第放り込めばいいんだからな。
バ夕フライが完全に変身したヴィク夕ーを100年間眠らせていたのを忘れたか?」
「――あ」
 言われてみればその通りだ。
 怪物化の進行はそのまま人間としての生の秒読みだと思い込んでいたが、現に今白い核鉄を
ヴィク夕ーに使って人間に戻そうとしているのだ、力ズキに同様の処置が施せない道理はない。
 この男が冬眠フラスコを完成させた時点で、カウントダウンに以前ほどの深刻な意味はなくなる。
 それでこの男は決戦を前に、力ズキの人としての意志の強さを確かめたかったのか。
「……はは」
「何がおかしい」
「オマエも無茶だけど、確かにオレ、どうかしてた。――なあ、オレ達何やってるんだろな、素っ裸で」
 全身血や汗やその他で汚れ、互いによれよれだった。
「判ればいい。安心しろ、全裸で武装/錬金を振り回す変態は意外と世にありふれている」
「見たことないぞ、そんな奴。っていうか、やっぱりオマエには言われたくないな」

 何だか一度にいろんなことがありすぎて感覚が麻痺したのか、もう笑うしかない。
 このずけずけと容赦のない切り口。これでこそ、コイツだ。
 さっきの自分は全くどうかしていた。
 覆面がなくてもこの男は何ひとつ変わらない――少なくとも自分の前では。
 自分が蝶/野と呼び、彼がそれに応えるとき、彼はいつだって蝶/野/攻/爵その人だったのだから。
100武/装/錬/金 パピカズパピIV 11/11:2008/03/21(金) 11:44:06 ID:FwbJKgp/0
 思えばこの男はいつもこうだった。
 ひとりの人間として己の信念を貫こうとする力ズキを、どこか満足げに偽善者と揶揄し、
力ズキが人の道を外れようものなら、やはり偽善者と怒り狂って糾弾するのだ。
 あの夜の決着に固執する彼は、力ズキの精神が変わることを決して許さなかった。
 力ズキを試し狂気の淵に落としかけながらも、その心を折ることを何より恐れていたのだろう。
だからあれほど内心で葛藤しながら目で訴えていたのだ。
 俺を殺したあの夜の貴様を忘れるな。武/藤力ズキの偽善を、貫き通せ、と。


−−−−−−−−−−−−−−−−−

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )ヒドイオチ

ライバルっぽい何かを書きたかった。後悔していない。
収拾しきれなかったので近日中にあと一話だけ投下させてください。
しばらく書き込めず長々と大変失礼しました。
101風と木の名無しさん:2008/03/21(金) 13:14:44 ID:18ODrClK0
>>100
GJ! 面白かった。残りも楽しみにしてます。
102風と木の名無しさん:2008/03/21(金) 13:49:56 ID:M7i1rDnx0
>>79-
遅レス失礼、なんか異様にツボったよgj!
チャラい受け萌えるw

>>88-
乙&gj!読み応えあってたまらん
私も続きwktk楽しみにしてます
103風と木の名無しさん:2008/03/21(金) 15:04:18 ID:u5SncggMO
>>100
おおおおお…なんか目から汗が出てきたよ姐さん…
続きを正座して待つよ!
104鉄球走 処刑人×元騎手:2008/03/21(金) 19:26:09 ID:Nqx7wQwI0
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│鉄球走 処刑人×元騎手 スレで出たドM&ビッチな元騎手なので注意
                └───────────────
105鉄球走 処刑人×元騎手1:2008/03/21(金) 19:26:47 ID:Nqx7wQwI0
ぼくは気持ち良いことが好きだ。
それを与えてくれるなら、相手が男だろうが女だろうが関係ない。
当初は男に抱かれることに抵抗があったけれど、今はそんなこと全く気にならなくなった。
なぜなら、与えてくれるものが快感なら、どっちだって構わないと気付いたから。
それに、ぼくがちょっと気のある素振りをみせれば男の方から勝手に誘ってくる。
本当、男ってバカだ。ぼくを含めて。

ぼくはセックスできれば良いだけだし、相手もそれは同じ。
そう思っていたから、だから今晩も食後のひと息もそこそこに歓楽街に繰り出した。
今夜の相手は、二十代半ばから後半くらいの男。
なんか羽振りが良さそうだったし、案の定金を湯水のように使ってくれて、文句のつけようがなかった。
でもそれはあくまで金使いに関してであって、ぶっちゃけアッチの方は微妙だったのだけれど。

宿に戻って来た時に見たロビーの時計は、すでに日付が変わっていた。
早く寝ないと明日、というか今日に響くのは分かっているのだけれど、どうにも物足りない。
あの男は決して下手くそではなかったが、身体の相性があんまり良くなかったみたいだ。
微妙にずれたところを責めてきて、ぼくはすぐに飽きてしまった。
ジャイロのベッドに潜り込んで、してもらおうかな。
彼は巧いし、相性も良いからきっと凄く気持ち良くなれる。
何て思いながら部屋に向かっていると、憮然としたジャイロが仁王立ちでドアの前に立っていた。
今日は別部屋なのに、一体どうしたんだろう。

「……帰ったか」
「ジャイロ、どうしたのさ。不機嫌そうな顔して」
「いいからとにかく入れ」
「う、うん」
ルームキーで解錠し、こじんまりとした部屋に入る。
冷えた屋外や廊下と違い、やっぱりここは暖かい。
これでセックスして、そのあと毛布に包まって朝まで眠ったら、最高なんだけどな。
106鉄球走 処刑人×元騎手2:2008/03/21(金) 19:28:03 ID:Nqx7wQwI0
「……で? 今日はどこ行ってた」
ぼくを車椅子からベッドに移し、自分は備え付けの椅子に座ったジャイロが低い声で尋ねてくる。
何言ってんの、今更。
ぼくが快楽主義者で、セックス狂いなことくらい分かってるくせに。
「歓楽街に行ってたけど、あんまり良くなかったら帰って来た」
正直なぼくの言葉に、ジャイロは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「いい加減やめろ、その習慣」
「どうしてさ。レースの支障になるようなことは、してないだろ」

体調管理くらい出来てる。
騎手時代だって、遊び呆けてても次のレースの予定に合わせて行動していたし、練習にも打ち込んでいた。
それなのにジャイロは、ぼくの返答がお気に召さないようだ。
「レースには支障が出てねえが、俺は気に食わねえ」
ああ、君の住むイタリア半島にはカトリックの総本山があるもんね。
やっぱり民族性として、君もぼくが品行方正な人間だとありがたいわけ?
「違う、そうじゃねぇ」
だけどジャイロの答えはノー。
それじゃあどういう意味だよ、うざったいな。
言いたいことがあるならさっさと言えよ。
まどろっこしいのは嫌いなんだ、ストレートに言ってくれ。
「俺以外の男に抱かれに行くんじゃねぇ、って言ってんだよ!」

「……何言ってんのさ、君。馬鹿じゃないの」
理解不能な発言に、ぼくは呆れてしまった。
「君とセックスするのは気持ち良いから。それだけだよ。
 ぼくは最初からそのつもりだし、君もそれでオッケーしただろ?」
「ああ、そのつもりだった。それで構わねぇって思ってたさ」
ジャイロの表情はどこか苦しそうだ。
どうしてそんな顔をぼくに向けるのさ。
「けどな、今は違う。お前がどっかに行くたびにイライラすんだよ。
 俺だけ見てろ、俺以外のヤツのところに行くんじゃねぇ。
 今だって、お前の首に首輪とロープつけて無理矢理傍に置いときてぇくらいだ」
107鉄球走 処刑人×元騎手3:2008/03/21(金) 19:29:16 ID:Nqx7wQwI0
何故か、その言葉に背筋がゾクゾクした。
それも悪くないかもしれない。
君だけのペットになって、君だけに腰を振る奴隷になるのって、想像するだけで楽しそうだ。
「いいよ、それ凄く気持ち良さそう。早速やろうよ。
 ぼくに首輪をつけて。ぼくに好きなだけ命令して。ぼくの中に沢山出してよ」
「俺が言いたいのはそういうことじゃねぇ!」
直後、ぼくの身体はベッドに倒れ込んだ。
頬がじんじんして、口の中に鉄の味が広がったのを感じて、ジャイロに殴られたのが分かった。
何で殴られなきゃいけないんだろう。
ぼく、何かおかしいこと言った?

「俺はよ、ジョニィ。お前が欲しいんだよ。お前が好きなんだよ。
 お前にはそういうのが分からないかもしれねぇけど、こういう感情だから、独占したいんだよ」
ぽかんとしているぼくを、ジャイロが抱きしめる。
「ジョニィ、『好き』だ。お前が他の人間のところに行くの、耐えられねぇよ」
ジャイロの言っている意味は、どういうことなんだろう。
その『好き』というのは、ぼくの中の『好き』とは違うの?
君とのセックスが『好き』だから寝るのとは違うの?
「違うさ。お前そのものが『好き』なんだよ。だからお前と一緒にいたいんだ」

ジャイロの手がぼくの顎を捉えて、引き寄せる。
彼とはよくキスしているはずなのに、今回のはとても優しくて、心がくすぐったい。
これがジャイロの言う『好き』なんだろうか。
108鉄球走 処刑人×元騎手4(おわり):2008/03/21(金) 19:30:09 ID:Nqx7wQwI0
「…殴って悪かったな」
まだひりひりしている頬を撫でるジャイロの手が、すごく暖かい。
君の手は、こんなに暖かかった?
触られた頬だけじゃなくて、頭の芯や、心にまでその温もりが伝わってくるようだ。
「お前が理解するには時間がかかるかもしれねぇけど…。でも、俺が『好き』だってことだけは知っててくれよ」
「……うん」


覆いかぶさってきたジャイロは、今までで一番ぼくを大切に扱ってくれた。
まだ物足りなかったのもあるんだろうけど、ぼくもこれまでセックスしてきた中で一番気持ち良くて、
あっという間に達してしまった。
まるで空っぽのグラスが、少しずつ満たされていくような感覚。
これが一杯になる頃には、ぼくはジャイロの言う『好き』を理解できているんだろうか。
「ジャイロ」
「うん?」
「よく分からないけれど、君がこんな風に抱いてくれるなら、君だけのものになっても良いよ。駄目かな?」
「……ああ、今はそれで良いさ」
閉じ込める腕の力強さと穏やかな笑顔に、生まれて初めてぼくの胸は高鳴った。
109鉄球走 処刑人×元騎手:2008/03/21(金) 19:31:09 ID:Nqx7wQwI0
          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) 元騎手の性格改変しまくってスマンorzでも書いてて楽しかった…
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘
110四月一日 (1/4):2008/03/21(金) 23:32:14 ID:cZuvMqUY0
当日に投下できないから今書き逃げしていくよー。
オリジナルで弟x兄。淡白で切ない感じ。やや暗いエンド。

兄の上に弟がまたがってるよ。ベッドの上からスタート。

|>PLAY ピッ◇⊂(・∀・ )


「大好き」
 兄は唐突に言った。
「お前が好き。超好き。死ぬほど好き」
 僕をまっすぐに見て、まくしたてる。
「触ってほしい。てか、今すぐ欲しい」

 おかしいと思ったのと、今日の日付を思い出したのは、同時だった。

「――つまりは、僕のことが嫌いなんだね」
「お、知ってたか」

 知ってたよ。今日がエイプリルフールってのも、兄が俺を嫌いなのも。

「でも初めは信じてたよ。嬉しかった。今はすごい不愉快」
「安心しろ。俺も同じく不愉快だ」
 兄は口元を歪め、短く笑った。僕はそっと唇を重ねる。
「僕は好きだよ。あ、これは嘘じゃないから」
「どうだか」
「ひどいなあ」
 僕は苦笑して、手を再び動かし始める。

 兄は抵抗しない。
 昨日僕の大切なプラモを壊したから、今日は抵抗なしって約束だから。
111四月一日 (2/4):2008/03/21(金) 23:32:40 ID:cZuvMqUY0
 僕は兄の上の服を脱がし、胸に唇を寄せる。
 乳首を舌の先でつつき、目だけで兄の様子を伺う。
 兄は壁の方を向いて、つまらなさそうに眉をしかめていた。
「……さんざん弄って開発しようとしてるのにな、乳首」
「そこで感じる男なんていないだろ」
 兄は俺を見下すように見て、また壁に目を戻した。
「でも、ここはすごい感じるよね」
 俺はズボンの上から、兄の性器を掴んだ。
「っ……俺、インポじゃねぇし」
「でも人並み以上に敏感って感じ」
「普通、だろ」
 揉んでいくと、だんだんとズボンの前が膨らんできた。兄はキツいのか、
何か言いたげな目で僕を見る。
 僕は気付かないふりをして、ズボン越しに性器に刺激を与える。

 兄の息が、次第に乱れてきた。
 僕は兄のズボンのホックを外し、チャックをゆっくりと下ろした。膨張した
性器が邪魔になったけど、それをぐいぐいと押して、なんとかチャックを全て
下ろす。
 ズボンを脱がせると、兄はいよいよそっぽを向いた。僕はきちっと着ているのに、
自分だけ全裸というのは、やはり恥ずかしいのだろう。
「……くそっ」
 兄が小さく悪態をついた。頬が少し赤い。
112四月一日 (3/4):2008/03/21(金) 23:33:05 ID:cZuvMqUY0
 僕は兄の性器を、直接触る。
「ッ……」
 兄は短く息を呑んだ。
「ほら、やっぱり敏感じゃん。僕の触ったとき、僕そんなに反応しなかったでしょ」
「んなもん……」
 後が続かないのか、口をつぐんだ。
 僕は構わず、兄の性器を握って上下に扱く。
「もう勃ってきた」
「いちいち言うなッ」
「……ってことは、逐一報告しろってこと?」
 兄は怪訝な目で僕を見た。
「だって今日はエイプリルフールでしょ。言うなってことは、言えってことだよね」
「エイプリル、フールは、午前、までだ」
 兄は性器を扱かれながらも、荒い息の合間に反論する。
「それも嘘と解釈する。よって一日中エイプリルフール。ビバ天邪鬼」
「屁理屈、こねんな……!」
「残念。僕って真面目だから」
「気持ち悪ぃんだよ! こんな、男同士で、兄弟で! ぅあ、あ……!」
 今までより強く握って、上下に動かす。
「っう、あ、やめッ……やめろ……!」
 兄はシーツを強く掴んだ。射精感に堪えているようだ。
「『やめろ』ってことは、『やれ』ってこと?」
「んなもん……!」
 性器の根元を強く握って、黙らせる。
 そのままもう片方の手で、竿の部分に指を這わせた。
「あ、やっ……手、手ぇ、はなせッ……!」
「はいはーい」
 僕は軽く返事をし、根元をもっと強く握った。
「やめ、ろ……! だ、だめ……やめッ……」
「『もっと』?」
 カリ部分に爪を立てた。兄の肩がビクッと跳ねる。
 性器は限界ギリギリまで張っていた。兄は胸を上下させ、荒い呼吸を繰り返す。
113四月一日 (4/4):2008/03/21(金) 23:33:42 ID:cZuvMqUY0
 親指の腹で鈴口を押さえ、ぐりぐりと動かして刺激を与える。
 兄はシーツを固く握っていた。
「違ぇ、よ! あっ……いや、だ……!」
「『いい』の? こういうの好き?」
「あ、あぁ……はぁっ、あっ……クソッ……!」
 兄は両目を固くつむり、唇を震わせながら呟いた。
「も、もっと……」
 兄は僕の天邪鬼を逆手に取り、初めから逆のことを言った。
「もっと、しろ……! いい、気持ち、いい、からッ……!
 普段絶対言わないような、おねだりの言葉。
「何? 聞こえない」
 僕は根元を押さえる手に力を入れた。
「うあっ……あぁ、も、もっと、って、言ってん、だよッ……!」
「俺のこと嫌い?」
「好き、好きだから……あ、あぁっ……!」
「僕も大好き」
 僕は根元を押さえていた手を放し、兄の手を膨張しきった股間に導いた。
「自分でイってよ」
「くそ、なんだよ、くそっ……!」
 兄はプライドよりも性欲を取った。
 大きく股を開き、喘ぎながら自身の性器を扱く。

 射精がおわってぐったりする兄を見ながら、
「嘘、かぁ……」
 僕は独り、呟いた。


□STOP ピッ◇⊂(・∀・ )
114風と木の名無しさん:2008/03/22(土) 01:38:50 ID:nnGYCdHx0
>>113 萌え たー!(*´∀`*)はあはあはあははあは
兄貴かわいいよ兄貴
115風と木の名無しさん:2008/03/22(土) 02:01:03 ID:9f9dadgrO
>>113
ごちそうさまでした。
美味しくいただきましたw
116風と木の名無しさん:2008/03/22(土) 03:24:31 ID:MKOnd6YrO
>>113
GJです!弟せつねぇなぁ
117空の勇/者×隊/長:2008/03/22(土) 16:51:25 ID:Bj7UK2fh0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 日ノ出社90年代アニメ「伝説の勇/者ダ・ガーソ」からス力イセイ八゙ー×隊長です。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 勇/者は全員擬人化してるということでお願いシマス。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧  イマサラスギルジャンル…
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
118空の勇/者×隊/長(1/3):2008/03/22(土) 16:52:29 ID:Bj7UK2fh0
「ただいま」という軽やかな声がして、星司が玄関を抜け居間に入ってくる。
 ソファに身を預け、意識を外界に飛ばしていたス力イセイ八゙ーは、その声にはっとして立ち上がった。通り
に面して大きく取られたガラス窓から、翳り始めた夕陽が長く射しこんでいる。茜色の景色の中で、この家の
一人息子はカバンをテーブルに放り投げ、たたたっと軽やかに彼のほうへ向かってきた。
 成人男子を模した姿のス力イセイ八゙ーより軽く頭一つ分は背の低い体が、ぼすんと腕の中に飛びこんでくる。
 不満げに見上げてくる目の色に、彼はようやく自分がまだ「おかえりなさい」を言っていないことに気づいた。
慌ててどもり気味に口を開けば、一転、星司は機嫌良さそうにニッと笑った。
「なんだよ、ぼんやりしちゃってさぁ。なんかあったのか?」
「い、いえキャプテソ。南米地方の空の状況がどうなっているか、意識を凝らしていたもので」
 すぐに気づけませんでした。申し訳ありません。
 しがみついてくる小さな身体を離し、律儀に頭を下げる。子供は「何も異常はなかったんだな?」と確認し、
ス力イセイ八゙ーがそれへ「はい」と返すのを待って、またぎゅっとしがみついてきた。上体を倒したままで低い
位置にあるス力イセイ八゙ーの頭が、星司の胸元に抱えこまれる。
 夕方の冷えた空気が、星司の羽織る上着の中にまだ残っていた。枯れかけた樹木の乾いた匂い、澄んだ
大気の清清しさ。本来の姿で空を飛ぶとき、いつも感じる母なる自然の大いなる気配。敬愛する隊長の身体
にそれを感じて、ス力イセイ八゙ーを頬を緩めた。きっとランドバイソンは星司から大地の匂いを、ダ・力゙ーソは
潮騒の気配を感じるのだろう。私たちらしいという思いは、無意識に彼を微笑ませていた。
「あ、そうだ。ス力イセイ八゙ー、おまえちょっとそこ座れ」
119空の勇/者×隊/長(2/3):2008/03/22(土) 16:53:09 ID:Bj7UK2fh0
 ぱっと抱擁を解いて、星司がス力イセイ八゙ーの肩を押す。たたらを踏むようにして押しやられた先は、先程
まで腰かけていたソファだった。座面に膝裏を取られて、勢いそのまま腰を下ろしたス力イセイ八゙ーを追うよ
うに、星司がその膝に身を乗り上げてくる。身長差がなくなり間近に星司の顔を見つめる羽目になったスカイ
セイ八゙ーは、動揺して頬を赤くした。それへ「大人しくしてろよ」と言い置いて、星司がおもむろにキスしてくる。
ぽかんと呆けた彼の口の中に、子供の柔らかな舌が滑りこんだ。
 ちゅ、と可愛らしい水音が、二人の接した口元で上がる。間近にあり過ぎてぼやけた視界の中で、星司は目
を閉じていた。顎を掴んだ手に押さえこまれて後退ることもできずに、されるがまま口内を貪られる。
「キャプテソ!?」と喚きたくとも「大人しくしてろ」と言われた手前それもできずに、ス力イセイ八゙ーは覚束ない
手で星司の肩を掴んだ。てのひらにすっぽりと収まる細い肩に、訳もなく胸の奥がぎゅっと強張る。一時外さ
れたくちびるから吐息が零れて、濡れた口元を強く意識した。次いでまた、口を塞がれる。
 嚥下しておくのを忘れた唾液を舌で掻き混ぜられた。ぬめる舌肉が絡み合わされ、引きこまれて齧られる。
首を傾け、いっそう強く押しつけられるくちびるの熱に、頭の中が白く塗りつぶされた心地がする。
 大人しくしていろと言われたことも忘れて、思わず自分から星司の口内を味わうべく舌を動かしたスカイセイ
バーは、「いてっ!」と上がった突然の声に身を強張らせた。ぱっと振りほどかれた手を追えば、星司が口元を
覆っている。顰められた顔に血の気の引く思いで、彼は慌てて頭を下げた。
「すっ、すみません! キャプテソ! 命令を守れずに……っ、どこかお怪我を!?」
「あー……、違う。違うって。おまえの所為じゃないから、そんな必死になって謝んなって」
 上顎切っちゃっててさー。おまえも舐めたとき気づかなかったか? 結構スパッといってたんだけど。
120空の勇/者×隊/長(3/3):2008/03/22(土) 16:53:55 ID:Bj7UK2fh0
 まだ少し痛むのか、顰めた眉はそのままでス力イセイ八゙ーが謝るのを止めた星司は、むすっと頬を膨らませ
た。「口ん中だから絆創膏張るわけにもいかねぇし」とぼやく相手に、ス力イセイ八゙ーも「それはさすがに無理
でしょう」と返すほかない。
 それまで交わしていたキスの余韻も何もなしに舌打ちした星司は、また唐突にス力イセイ八゙ーのくちびるへ
と顔を寄せた。「だから練習。な?」という脈絡のない発言にぎょっとする。
「お、お待ち下さい! キャプテソ!!」という制止は、今度はなんとか間に合った。
「待てってなんでだよ?」
 思わず星司を膝から下ろし、ス力イセイ八゙ーはテーブルを挟んで反対側のソファに身を移した。それを目で
追って、子供は不服そうに鼻を鳴らす。「逃げるな!」と言われてはそれ以上距離をとることもできずに、それ
でもなんとか内心の動揺を押し静めて、彼は疑問を投げかけた。
「あの、その、自分にはキャプテソにキスをされる理由が分かりません! い、いったい何が練習なのですか?
 口の中を怪我されたなら尚のこと、そういったことは控えられたほうがよろしいと思うのですが」
「うーんと、今日ヒカルから貰った飴を食べてたらさ、欠けてたとこで上顎切ったんだ。だから」
「だから?」
「だーかーらー! 欠けてるの分かってて食べてたのに口の中切っちゃったってことは、飴を転がす舌の使い
方が悪かったってことだろ? ならキスして上手く舌を動かせるようになれば、飴食べても何も心配いらない
じゃん!」
121空の勇/者×隊/長(4/3):2008/03/22(土) 16:54:26 ID:Bj7UK2fh0
 だからつき合え。つき合えったら練習につき合え。
 行儀悪くもテーブルを一跨ぎにしてやってきた星司に、ス力イセイ八゙ーは顔色を青から赤へ、めまぐるしく
変えた。星司なりに懇切丁寧に説明したつもりなのだろうが、子供の理論は全く彼に理解できない。できない
なりにしかし、星司にキスを迫られて現金にも喜んでしまう自分が自分で滑稽だった。
 敬愛すべき隊長というだけでなく、まだ年端のいかない子供を相手に何を考えている。
 そうは思っても、再びにじり寄ってきた子供に抱きつかれれば、その肩を抱きしめずにいられない。嬉しげ
に頬を緩めるその姿はス力イセイ八゙ーだけでなく、ダ・力゙ーソやランドバイソンが相手でも同じだ。不在がちの
両親に捨て置かれて寂しい心を、自分たちに甘えることで埋め合わせているのだとは分かっている。それで
もこの子供を愛しく思う気持ちに変わりはなかった。それらはけして、命令されて生まれた感情ではない。
「しかしキャプテソ。理由は分かりましたが、それは何も自分が相手でなくても良いのではないですか?」
「? なんだよ、それ」
「ですから、こういったことはダ・力゙ーソやランドバイソンの帰りを待って、彼らを相手にでも……っ!?」
「莫ぁ迦」
 言葉の終わる前に鼻をつままれて一時中断せざるを得なくなる。呆れたふうに溜息をついた子供はスカイ
セイ八゙ーが黙ったのを受けて、さらにもう一度「莫迦」と罵った。不貞腐れた顔にじろりと睨まれて、居心地悪
く身を揺する。三度「莫迦」となじった子供は、齧りつくようにしてス力イセイ八゙ーの口を塞いだ。
「俺がいま、おまえとキスしたいんだよ。キスの練習するのにおまえが良いって俺が思ったんだから、余計な
ことなんて考えんな。……それとも、ス力イセイ八゙ーは俺とキスしたくない?」
 ほんの数センチの距離で囁かれる言葉に、異論も反論もほろほろと崩れ去っていく。
 わずかな遠慮が理由の言葉にここまで強く反論されて、自然と口元に笑みが浮かんだ。愛しさのまま抱き
しめれば、彼我の差などすぐになくなる。身を寄せてくる相手の身体を抱きしめて、彼は幸せを堪能した。
122空の勇/者×隊/長:2008/03/22(土) 16:55:15 ID:Bj7UK2fh0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オワリ。初投稿でした。3回で終わらなかったですゴメン。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「モリワキ面会だ」
刑務官に促され面会室の椅子に腰をかけた
目の前にはアクリルだろうか、行儀良く穴のあいた透明の壁。
そして微かにそこに映る後ろ側は薄汚れたノートに何をそんなに書くことがあるのだろうか、ひたすらにペンを滑らせる若い男

そして古臭い椅子がただ待ち惚けるかのようにあるだけ

どのくらいただ座っていたのだろうか
普段の癖で、薄汚れたスエットの袖に目をやり、自分は流れる時間さえも知る権利がないのだと、自嘲気味に口をひきつらせたところで『ギィ』と音を立ててドアが開いた
それとは反比例的に、音もなくはいってきた男は、「やぁ、待ってましたよ」と言わんばかりの丸椅子に挨拶をかわす事もなく腰をかけた。

あんなに部下に慕われていた筈の自分を一番に訪ねて来た者が彼だった事に、張り付いた自嘲的な笑みは声として漏れていた。
いきなり笑いだした僕を制する風もなく
「元気そうで何より。少しは反省されましたか?」
ここでの社交事例であろう言葉を発した。
別に僕は彼と仲良くやろうとも思う訳はないので
「貴方、僕に『犯罪者になる人は優秀であるにも関わらず、何処か満たされていない』そう言いましたよね?」
暇潰しがてら、彼の素をみてやろうとふっかける事にした

「ええ、言いましたね」
フワリと造られた笑顔は、被虐心をくすぐった
「それは、ご自身の事ではと僕には思えるのですが?失礼かとは思いますが、貴方どのくらい女性とシて、いや失礼。お付き合いされてないのかなと」
「と、言いますと?」
僕のふっかけた下世話な会話にも、彼は笑顔を崩すことはなかった
「貴方のところの金髪の彼、貴方の事を面白おかしく話してましたよ。そんな会話で女を落とせるとでも思ってるんですかね?」
「あぁ、話が少しずれましたが、あんなただでかいだけで使えない男を周りに置いている時点で、貴方も自分の力を過信している。それに彼の言葉を使えば
『女に縁がなくって、頭の中は仕事ばっかり。唯一の楽しみは似てもいないモノマネを披露すること』
とても満たされているとは思えない」
一息にそう言った僕を見る彼からは笑顔は消えていた
「間違ってますねぇ、私の楽しみはまだある。人助け。わかりますか?」
真面目な顔でそう答える彼に、そこかよと思いつつ
「それ、なんの冗談ですか」
そう口をついたのと同時に
「夜回り先生です、あなたも読みます?なんなら差し入れますけど?いいですよね?」
彼は今度は不敵な笑顔を浮かべつつ、僕の後ろにいる男に問いかけた
男はノートから顔を上げ「3冊までなら」といい。すぐに元の位置へ視線を戻した
「私と貴方は同じ人種だと、つまりそう言いたいんですか?なら、貴方もモノマネしますか?そうだなー。なら手始めにキタヨシオ、どうです」
そういいながら、彼は手を口許に当て「おいしい」と、いつか見たモノマネをしていた
「似てないですね。なら質問を変えましょうか。なんであんな使えない男と一緒に仕事をしてるんですか?貴方ならいくらでも一緒に働いてくれる人いるでしょ。」

「似てない。それは、私と貴方が。ですよね。感ですよ、全て。初めてあいつと会った時、「こいつなら」と、そう思った。」
それは、自分の抱いていた彼の印象からあまりにも掛け離れた言葉だった

「それじゃあ、まるで恋だ」

別に馬鹿にするつもりでもなかったが、口をついて言葉がでていた
「今回の件だって、直感だ。これは保険金詐欺。そして犯人はワシヅミズホ…ではない。その感だけを頼りに、貴方が犯人であるというところまで辿りついた、と。
「俺の感はハズレない」
だけどね、自信はないんだよ、全くね。だからこそ、そこにたどり着くまではなんだってする。自分の身分を偽り、どんな手を使ってでも情報を入手し、走り周り殴られようが蹴られようが鍵となる人物に近付く
。まぁ、俺は痛いのは嫌だから、そこはあいつがやるんだけど。そして、俺の感は外れない事が証明される。」
構わず言葉は続けられた。目の前の透明な壁が色を持ってしまい、僕の姿など見えていないかのようだった
「だったらなおの事、もっと頭のキレる人間や身体能力の高い人間を相方にしたほうが効率がいいとおもいますけど」
それは、無視の様な状態に耐えれなかったとでもいうのだろうか、自分でも驚く程に冷たい声だった
「さっきもいったけどね、私には自信がない。例えば頭のキレるやつに自分の考えを否定されれば、迷いも出てくる。
それに身体能力の高い奴?そんな奴目立ってしまって逆に足手まといだ。サンドバックになろうが、精神的にも肉体的にも受ける衝撃が少なく、回復の早いタイプ。あいつはそれを満たしている。それに、俺の言う事をきちんと理解し、俺に共感する。
あいつはバカだ。だけど、だからこそ俺を裏切らない」
やはりそこに、僕の姿は見えていないのだろう。第3者に話していた筈の語り口が、いつのまにか彼自身を引き出し吐き出させていた。
圧倒的な敗北感。論理的な考えで周りの人材を固め、非のないハズの全ての計画。それが"感"などという形のないあやふやなものに敗けていただなんて…

「モリワキさん、貴方も…感で動いてみたらいい。」
そう言った彼の視線は僕の事を貫いていた。
"それじゃあ、まるで恋だ"自分の呟いた声が、今度は自分の頭の中を渦巻く。
「そうですね、そうしてみます。」
負けじと、こちらから真顔で彼を見つめる。
彼はまたフワリと笑い、腕時計をたしかめ
「まぁ、とりあえず真面目にやってこっから出る事だな。」
そういって椅子から立ち上がった
後ろの男が慌てて、顔をあげたところを見るとまだ面会の時間は残っていたのだろう。

彼は来たときと同じく挨拶する事もなくドアから出て行き、彼の座っていた丸椅子は「ヤレヤレ、また退屈な待つだけの時間を過ごすのか」と文句を言っているように思えた
アクリルの壁にはノートに全て書き終え筆を置いた男の姿が写っていた。
「そんな物さぁ、書いて意味あるの?まるで男同士の恋愛物語じゃない。まぁ、あんたが楽しいならいいけど。」
振り向きざまにそう言葉をかけると、「何言ってんだこいつは」とでもいいたげな視線を向けられ、仕方ないと
「まぁ、真面目にやって早くここから出るわ」
それを呟くと同時に「当たり前だ」でも言うかの様にコンクリート部屋へと続くドアが開いた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
稚拙な文+めちゃくちゃな句読点で申し訳ない
130バト炉輪 19+11:2008/03/23(日) 00:41:30 ID:3KQ0qIY6O
場トロワの男子19番と11番
気持ち19×11です
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


とにかく自転車を漕いでいた。
香川は無駄に山がたくさんあるから困る。
杉村の祖母の家近くなら田舎で人が少ないという理由で、その付近で初日の出を見ることにしたのだ。
一回いつもの面々で旅行と称して自転車で来たことがあるから、このあたりはだいたい分かる。
貴子サンごめんよと呟きながら、またペダルを踏み込む。坂道はなかなかつらかった。
真冬の朝だが、額に汗がにじむ。
すでに白んでいる空を見て、もう一息と自転車を進ませた。

一昨日に電話で決まったことだったが、それ以前も以降も女子との約束は全て振った。
杉村は友達だ、と彼女たちに説明するも、疑いは晴れなかったようだ。
まあいいけど、とまたペダルを踏んだ。
枝だけの木々の列を見ながら、終業式で杉村と話したことを思い出す。

『笑い』は、――――

それは七原や豊が何かにつけよく笑うのとは違う。そこまでは分かる。
しかしそこから先は分からない。
大人になれば分かるのかもしれないし、何かしら壮絶な体験をすれば分かるのかもしれないし。
とりあえずその壁が童貞卒業でないことだけは確かだった。
131バト炉輪 19+11:2008/03/23(日) 00:43:46 ID:3KQ0qIY6O
あまり整備されていない山道は冷えきっており、人の気配を連れてこない澄んだ空気は心地よかった。
すう、と肺いっぱいに吸い込み、また前を見て自転車を走らせる。
途中、熱心な政府支持派らしい家があった。県議会や某政党のポスターが外壁にこれでもかと貼られていた。集落から外れて建っているようだが、それでもその印象は強烈だった。
空気がまずくなる、と早々にその前は通りすぎた。
ふと上を見ると、さっきよりも空が明るく、近くなっている気がした。
もうすぐ杉村が待っているだろう場所に着く。
やっぱり少し遅れてきた自分を見て、いつもみたいに困ったような笑い方をするのだろうか。
その笑いは何になるのだろうか。
七原が馬鹿をやっても、豊が変な顔をしてみても、そうやって笑うのだ。
もし今一緒にいて、先ほどの気色悪い家を見たとして、自分が何かしら汚い言葉を吐いたとしても、そう笑うのだろうか。

きらきらとした光がまっすぐ射し込み始める。
やばいと思ってペダルを思いきり踏んだところで、視界の先に人影が見えた。
ガードレールのそばに立つその長身の姿は杉村に違いなかった。
やった!だとか嬉しい!なんて可愛らしい歓喜は沸き起こらず、ただ、杉村だとだけぼんやり思った。
こちらには気づいていないようだ。
ちょっと木々の開けたところのガードレールにもたれて、きっといつもの仏頂面なのだろう。
ぐんぐんペダルを漕いで、そこに早く着けと急ぐ。
ようやく杉村がこちらを向いた。気づいたらしい。
にやりと口角を吊り上げ、盛大にベルを鳴らした。

『笑い』の答えは二人ともたぶん分からない。
それでもまた今日杉村と会えばそんなことは問題でもなんでもなくなるだろう。
きらきらした光は先程より強く明るくなっている。
杉村の顔が分かる距離になったところで自転車を降り、「アハッピーニューイヤー!」とわざとらしく叫んでみせた。
逆光の中、やっぱり杉村は困ったように笑うのだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
132地理 1←4 (1/2):2008/03/23(日) 01:21:51 ID:1xn8EXj50
・半ナマ注意。朝の連ドラ。
・一番弟子←四番弟子の片思い。先週金曜の1シーンから妄想。
・関西弁が心許ないですがご容赦を。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


愛妻家の兄弟子が、目の前で盛大に惚気ている。
『腹が立つのでやめてください』
思わず喉まで出掛かった言葉を飲み込んで、その重苦しさに肩を落とした。
人の気も知らないで、などと言える義理はないのだ。
一度とて想いを伝えたことも、この先伝えるつもりもないのだから。

「兄さん、こないだの賭け、僕の勝ちでしたよね」
ふと思い出した風を装って切り出した。
「やっぱり覚えとったか…。しゃあない、一食分な。うどんか?そばか?」
「今、食べたいもんがあるんですけど」
「なんや」
「オムライス」
一瞬大きく見開かれた目が、次第に細くなる。好きな表情だ。
「お前がそんなん言うの意外やなぁ。草草ならわかるけど」
「作ってくれはりますか?」
「おう、まかしとき。おかみさん直伝のオムライス、久しぶりに作ったるわ」
珍しく可愛げあるやん、とかなんとか言いながら、楽しそうに頭を撫でてきた。
そうして人の髪を掻き乱しておいて、また丁寧に手櫛で梳いて直す。
とてもこの人らしい触れ方。
それに居心地の悪さを感じるのは、自分の中にやましさがあるからだ。
133地理 1←4 (2/2):2008/03/23(日) 01:22:30 ID:1xn8EXj50
「うち今食材ないんで、買うてくださいね」
「おう」
「米もないです」
「…米?」
「5kgのでええです」
「ええです、やあるかい。白飯買うてったらええやんけ、炊き上がるまで時間掛かるし」
「ものはついででしょう」
「お前、さては最初から米狙いか。まぁた算段か!」
兄さんは呆れたように笑っている。交渉成立。

そう、算段ですよ。
二人きりで居る時間が少しでも長くなればいいと、そんなせこい了見の。

好きだと言って困らせるつもりは毛頭ない。
生涯自分の胸の内だけに忍ばせておくと決めている。
ただ今日は、こんなみみっちい算段をしてでも傍に居てもらわないと、なんだか遣り切れない気がした。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
134風と木の名無しさん:2008/03/23(日) 04:31:58 ID:rVsYGrIx0
>>132
萌えた!
姐さんGJです。
135風と木の名無しさん:2008/03/23(日) 16:49:05 ID:eJOvtDxa0
>>123
まさか余塩が見れるとは
ありがとう禿げ萌えました!
136風と木の名無しさん:2008/03/23(日) 22:17:09 ID:4Ndhi88RO
>>123
ヨツオ喜/多ー!GJです
愛されてるな金髪w
137風と木の名無しさん:2008/03/23(日) 23:29:58 ID:BTuj9RQw0
>>123
おお!!アチタの北ヨツオじゃないか!GJGJ!!
ちゃんとあの声で台詞が再生されたよ!!
138キタヨツオ ヘイキタヘイ:2008/03/24(月) 00:01:17 ID:8t6koN1LO

流れでキタヨツオ投下
飛び降り断念後の例の手繋ぎに見えるシーンで禿萌えたあまりに書いたやつ
短すぎてごめんなさい
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!




「キタさん」

オレンジ色の太陽が溶けて夜に混じり始めている。キタさんは名残惜し気に廃屋を見ていて歩き出そうとしない。
139キタヨツオ ヘイキタヘイ:2008/03/24(月) 00:02:43 ID:8t6koN1LO

ただ一つの自由だ、と言った。でもそれは違うと思う。
いつだってキタさんは何かを押し付けられてきたけれど、それを貧乏くじだと思った事なんてなかった筈なんだ。いつだって、どこにだって行けた。
それでも行こうとしなかった。こうして追い詰められるまで行こうとしなかった。
もし俺ならとっくに逃げてる。

140キタヨツオ ヘイキタヘイ:2008/03/24(月) 00:13:42 ID:8t6koN1LO


「行こうぜ、キタさん」

ふくふくした手を握る。父親は嫌いだった。だけど一つだけ。時には頭を撫でて、時には頬を叩いたその手が好きだった。
逃げる事しか知らなかった。それを間違ってると指摘されたかったのかもしれない。

「ヘイタさん」
「ん?」
「お父さんを許せたのは、俺のおかげなんかじゃないですよ」
「……」
「あなたが、大人になった証拠だと思います」
141キタヨツオ ヘイキタヘイ:2008/03/24(月) 00:15:21 ID:8t6koN1LO

どろどろのオレンジ色が目に染みて視界が滲んだ。キタさんが戸惑っているのが空気で伝わる。俺はまだまだ子供だった。






STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )
以上です
ありがとうございました

142風と木の名無しさん:2008/03/24(月) 03:56:22 ID:ixPdBad1O
>>132
モエさせていただきました。
しかし正直先週の月曜のあの戯れから
4人兄弟子+メガネはもうどうにでもなれー!って感じになってますw
あと一週間かー………
143越境(1/3):2008/03/24(月) 05:58:44 ID:rYpyqYGs0
外伝プレイして萌えた勢いのまま投下
場皿の小十郎×政宗で、小十郎視点
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


目を開けて隣を見ると、政宗様が安らかな寝息を立てていた。
俺の気持ちを知ってか知らずか、その顔はとても穏やかで、昨日驚く程積極的に俺を求めてきたなんて嘘の様に思えた。


「命令だ。……俺を抱け」
そう言って昨晩、政宗様は用事があって寝所を訪れた俺に縋り付いてきた。
「ご冗談を」
そう言って首に回された腕を解こうとしたが、政宗様は俺の言う事など聞き入れてくれなかった。
「俺はもう……お前の主というだけで、自分の気持ちを抑えられねぇんだ」
そんな事を言っても、気持ちだけで越えられる程、俺とこの方との差は小さくはない。
身分だけでなく、主従という関係さえも、越えられない絶対的な差として存在しているからだ。
「貴方に仕える者として、貴方ご自身の為に命令を聞く事は出来ません」
いつもこの主を嗜めている時の様に、出来るだけ静かに言い聞かせる。
こうきっぱりと言うと、この主はいつも文句を言いながらも引き下がってくれるのだ。
しかし……今は、俺の言う事を聞く所か、俺の肩に顔を埋めて切なくなる様な声で反論した。
「お前はいつもそう言って俺を遠ざけるんだな」
144越境(2/3):2008/03/24(月) 05:59:53 ID:rYpyqYGs0
「遠ざけてなどおりません。私は貴方の為を思って」
「それが遠ざけてるというんだ!」
政宗様は俺から腕を離し、左目を手で覆い隠して俯いた。こうやって左目を隠す時は大概泣いている時だ。
ああ……貴方を泣かせるつもりはなかったんだが。
「政宗様」
涙を止めようと出来るだけ優しい声で名前を呼んだが、政宗様は目を隠したまま答えなかった。
「政宗様」
再び呼んだが矢張り答えず頭を振っただけだった。
「政宗様」
三回目で、ようやく小さく低い声で俺の声に答えた。
「俺はお前の近くにいきたいんだ」
それは切実な、絞りだした様な声で、俺の心に響いた。
「お前の主としてだけじゃなく、お前の特別な存在として近くにいきたいんだ」
「貴方は今だって私の大切な存在です」
「違う。それじゃねえんだよ……」
政宗様は左手を外し、赤く染まった左目で俺を見つめた。それから、おもむろに俺の首に手を回し、俺に口付けた。
それは俺にはあってはならない出来事で、一瞬何が起こったのか分からなかった。
「政宗様……」
何をされたのか確かめる様に赤くなった左目を覗き込む。
その目は俺が呑まれる程に真剣だった。
「俺はお前が好きだ」
俺にだけじゃなく、自分自身にも言い聞かせる様なはっきりした声でそう言った。
「お前が……俺を嫌っていなくて、俺を想ってくれているのなら……俺の為に命令を聞いてほしい」
145越境(3/3):2008/03/24(月) 06:01:00 ID:rYpyqYGs0
それは自分以上に主を想う俺が、決して拒否出来ない言葉だった。
俺は政宗様を他の誰よりも想っている。この方を嫌うなんて、俺に出来る筈が無い。
俺がこの方に仕えている限り、決して嫌いになる事などない。
「なぁ、小十郎。俺が……嫌いか?」
その問いは訊ねられるずっと前から、答えが決まっていた。
「貴方の事が嫌いなら、私は貴方にお仕えしておりません」


俺が着物を着込んだ後も、政宗様は目覚める気配がなかった。
そう疲れる程相手をした憶えは無かったが、手加減をするのは得意ではない。
「申し訳ありません。政宗様」
未だ眠る主に正座して頭を下げておく。
それは自分の行為に対するものなのか、それとも主従を越えてしまった事に対するものなのか、自分でもよく分からなかった。
しかし、頭を上げて主の顔をみた時、言い様の無い感情が胸に込み上げてくるのが分かった。
その感情をこれから受容するべきなのか、それとも矢張り拒絶するべきなのか。
どちらが敬愛する俺の主にとって良い事なのか。俺にはまだ判断がつかなかった。
しかし、少なくとも昨日言われた事だけは、主を慕う従者としても、俺自身としても忘れられない様に思えた。
「俺はお前が好きだ」なんて、貴方に仕えてきてこれ程嬉しい言葉はない。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
月曜の早朝になにやってるんだ自分wwww
読んでくれた人ありがとう
146真夜中の、キタヨシオ 1/2:2008/03/24(月) 09:52:19 ID:SV/AaTkd0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

冷たいベンチの隣に座ったのは、さっきまで邪気のない様子でバットを振り回してた男だった。
連慮しながらも好奇心を抑えきれない様子で手元を覗き込んで来る。
「良かったらどうぞ。」
「良いんですか?有難うございます。うわ、嬉しいな〜。」
読みさしのコミックを差し出すと嬉しそうに両手で受け取った。

「いや、懐かしいな〜若い頃好きだったんですよ。コレ。」
ずり落ちてくるメガネを押し上げて改めて見返すと、隣の男は丁寧にページを繰っている。
いい年してるおっさんなのに、子供のように幸せそうだ。
「野球もやってたんですか?」
「いえ、全然。バッティングセンターも初めてで、さっきも失敗しちゃいました。
あんなにいきなりボールが飛んでくるなんて、ねえ、驚いちゃいますよ。」
「あ。僕もバッティングセンター初めてなんですよ。」
「本当ですか?奇遇だな〜。」
えへへ、とまた笑う。

「キタさん何やってんの。」
不意に上から不機嫌な声がした。
見上げると、背の高い男が不機嫌そうにこちらを見下ろしていた。
147真夜中の、キタヨシオ 2/2:2008/03/24(月) 09:55:13 ID:SV/AaTkd0
「あ、ヘイタさん。」
反対に見上げる男はやっぱり子供のように幸せそうで、輝いている。
「探しちゃったじゃん。行こうぜ。」

背の高い男は、メガネの奥の奥まで見透かそうとするような圧のある視線をよこしてくる、思わず目礼を返すと、鼻先であしらわれた。
親子、にしてはまったく似ていない、友人、にしてはタイプが違いすぎる。
なんなんだこの二人、と見比べていると、ヘイタは有無を言わせずにベンチの上の荷物を肩に担いで歩き出してしまう。

「ヘイタさん、待ってくださいよー。 あ、これ・・・。」
慌てながらも、コミックを両手で返してくる。
「いえ、よかったら、どうぞ。」
「え、でも・・・いいんですか?」
「僕も貰い物なんで、どうぞ。」
「有難うございます。えへ。」

最初とあまり変わらない会話の後、キタさんは小走りで後を追う。

「ヘイタさん、待ってってばー。」
「キタさんさぁ、あんま知らねー人と話すなよ。・・・騙されやすいんだから。」
「えーそんなこと・・・。」
「ま、いいけどさ。」
並んだ二人はお互いのリス゛ムで歩き始める。

148真夜中の、キタヨシオ 3/2:2008/03/24(月) 09:56:10 ID:SV/AaTkd0
「今日さ、そっち行っていい?」
「あ、はい構いませんよ。」
「じゃあ泊まる。」
「え!泊まりですか?」
「何?ダメ?」

何なんだ、あの二人。人を妙に幸せで、寂しい気持ちにさせて、行ってしまった。
背中に、二人で歩く確かな絆を見せたまま、扉を開いて夜の街に踏み出して行った。。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

分割ミスったor2
149某加イド1/2:2008/03/24(月) 12:53:01 ID:QxK/FoQL0
某加イドのマスカイマス。お約束な問いに答えるカイト。二人の関係はチューまで。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「もし、俺じゃない誰かが、お前のマスターだったとしたら…、
お前は俺のことを好きになったりなんか、しなかったんだろうな」
「マスター…」
俺は何も言えなかった。だって、本当にそうなんだから。
ボーカロイドは所有者であるマスターのことが一番大事。
性別なんか二の次で、愛するっていうことでさえ自然なんだと思う。
そのベクトルが敬愛に向かうのか、己だけのものにしたいという欲望として発露するのか、
それはマスターや環境に左右されるとしても。
「確かに、多分それは間違いじゃないです」
あぁ、マスターの顔が歪んでいく。
「でも! 聞いてください、マスター! それでもこの気持ちが、こんなにも強くマスターを求める気持ちが、
最初からあったわけじゃないです。ずっと一緒に過ごしてきて、たくさんの色んなことをマスターが教えてくれたから、
初めて会った時なんかとは比べようもないくらいマスターのことが好きなんです。
この俺の気持ちを育てたのは、マスター以外にありえないんですよ!!
……だから、好きだという気持ちの原点は例えすり込みでも、この気持ちの大きさまで疑うようなことは、言って欲しくない」
「カイト……。ごめん」
「今までそう思っていたのなら、これからは『これほどボーカロイドに愛されているのは俺しかいない!』くらい強気でいてください」
「……うん。ごめん。……ありがとう」
マスターがぎゅっと抱きしめてくる。苦しいくらいに。だから、顔は見えない。──見ない。
ふるふると震える肩も、押し殺したような声も、俺は聞いてない。
今まで、一度も泣き顔を見せたことのなかったマスター。
きっと、俺の前で泣いてしまった自分を後で恥ずかしく思ってしまうだろうから、俺は見ないふりをする。
150某加イド2/2:2008/03/24(月) 12:53:34 ID:QxK/FoQL0
どのくらい抱きしめ合ってたんだろうか。呼吸の落ち着いたマスターが、小さく身じろぎする。
少し体を離すと、マスターと目が合った。
いつも凛々しくて格好良いマスターだけど、今は……普段と大分様子が違っている。
泣き腫らした目が真っ赤で、潤んでいて、普段マスターの性格を可愛いなと思うことはあっても、
見た目はいつも格好良いなと思っていたのに……何故だかとても可愛いと、そして色っぽいな、とそう感じた。
でも、そんなこと言った日には怒って離れてしまいそうだったから、何も言わず静かにマスターに口付けた。
ねえマスター。いつもあなたの方からキスを仕掛けてくれましたよね。それがとても嬉しいことだと、今、分かって貰えましたか?
目を開けてマスターを見れば、そこにはバツが悪そうな、照れた顔。ああ、なんて可愛いんだろう。
「カイトのくせに…」
小さくそう紡いだ言葉も、この距離なら逃さず聞こえるんですよ。
今度は深く口付けると、あとはくぐもった声だけが耳を打った。

「あとで……」
「はい」
「また、レッスンしよう。今日は、一緒に歌おう」
「はい」

でも今は、それよりもあなたの温度を感じたい。そう言ったら、「そんなことは分かってる」と返された。
お互い、歯止めがきかなくなりそうな、そんな空気を感じながら、どちらともなくベッドに身を沈めた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

この後マスカイマスで初エチー…だと思う。
ごめん、エロを書く才能がないんだ。
151風と木の名無しさん:2008/03/24(月) 21:18:35 ID:7RotpHzdO
>>146ほんわか萌えた!ありがとう。
本当にありそうな感じがまたいい…(´∀`*)ホンワカ
152風と木の名無しさん:2008/03/24(月) 22:10:13 ID:lOhy5zACO
>>150
ちきしょう!萌えた!
153真夜中の、ヤシ北 1/3:2008/03/25(火) 20:31:22 ID:ddMXinLI0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

当然だけれど、新宿にも春はくる。
バッティングセンタ―の重い扉を開いてほんの少しだけ柔かい温度になった夜中の街に二人で踏み出す。
寒い、雪のよく降った冬を越して、今はキタさんが、キタさんが生きて一緒にいる。
「え!泊まりですか?」

そのキタさんは、不安げに後ろを付いてくる。
なんだよ、シノブは泊まらせるくせに。
さっきだって全然知らないヤツと親しげに喋って――と、訳のわからないまま言葉を荒げそうにになるのを抑える。
「何?ダメ?」

キタさんが他の誰かと話したり、目の届かないところに行くのが、異様に怖い。
いっそのこと抱えて、周りにいる人間に、見るな、触るな、話し掛けんな!と怒鳴りつけて
そのままどっかに仕舞い込んでしまいたくなる。
リカにはそんな風には思わなかったのに。
ただ、自分の女が、自分のせいでどうにかされてしまうのは男の沽券に関わる、と意地になっていたのに。
なのに、キタさんのためなら、そんなつまんない意地も、プライドもかなぐり捨ててもかまわないと思う。

「あーなんか都合悪い?ならやめとくけど」
「や。そんなんじゃないんです。・・・ただ。」
「あ?何よ?」
「そろそろあの部屋、お返ししないとなーと。」
「え、そんなのいいよ、最初に言ったじゃん。好きに使えって。」

どんなに小さくても些細なことでも、繋がりが切れてしまうのは怖い。
何があっても切れてしまう関係じゃない、という自信が無い。
154真夜中の、ヤシ北 2/3:2008/03/25(火) 20:32:12 ID:ddMXinLI0
「ヘイタさんには貰いすぎなんです。」
キタさんは、俺には出来ない真っ直ぐな瞳で見返してくる。

「これ以上してもらうとお返しできません。」

なんだよそれ。
俺のほうがよっぽど貰ってるよ。
こうやって隣で歩けるだけで十分なのに。
十分すぎるほど幸せなのに。
あんたはそうやって真っ直ぐな瞳で、真っ直ぐ笑う。

「・・・カレー。」
「え?」
「キタさんのカレー。」
「は・え?へい「キタさんのカレー食わしてよ。」
「ええ・・・あの?ヘイタさん?」
「そんでいいや、お返しとか。」
「え?あああのあの へいたさん?!」
「俺が食いたい時に食わせてよ。それでオアイコ。」
「ヘイタさんが食べたい時にですか?」
「そう。そのかわりコレからずっと。約束な。」
「ええ〜そんなぁ」

そんなんじゃ足りないですよ、とか言ってるキタさんを後ろに歩き出す。
「いいじゃん俺がそう言ってんだから。 今日食える?」
「あ・はいちょっと買い物行けば大丈夫です。」
「そっか。 深夜営業のスーパーがこっちにあったはず。」
「あ・そこって、キナコ餅ありますか?」
「キナコ餅?さあ?ってか、カレーとキナコ餅ってどんな組み合わせだよ。」
「だって、ヘイタさん好きでしょ?すごい幸せそうな顔して食べるじゃないですか〜」
155真夜中の、ヤシ北 3/3:2008/03/25(火) 20:33:24 ID:ddMXinLI0
胸の奥がぎゅーってなって、鼻の奥が熱くなって、照れくさくって他の話題を探す。
「お袋さんのカレーも旨かったけど、キタさんのは別格だったもんな〜。」
「そうですか?えへへ。」

喰いついてやりたくなるような笑顔を浮かべてキタさんは笑う。
「それ言われると嬉しいな〜腕によりかけちゃいますよ〜。」
嬉しそうに顔の前で両手をすりあわせる。
と、その掌に目を落とす。

「消えたな。」
「ええ。消えました。」

柔かそうな掌には、傷跡はもう無い。
「いいんです。 ・・・もっと、大事なものが残りましたから。」

その手を、もう片方の手で包むように握る。
そっと、そこに俺の手を重ねて見る。恥ずかしくなって直ぐ離したけど。

振り仰いで見ると、行く先のビルの谷間に柔らかな色をした春の月が覗いていた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

>>146の続き、ヘイタ目線でした

てか、146はEDのPVの唄の人目線でしたー
分割ミスに気を取られて肝心の説明忘れてましたor2
156風と木の名無しさん:2008/03/25(火) 20:58:57 ID:9gaLul9v0
>>146>>153
GJ。ともにハゲ散らかすほど萌えさせてもらいましたありがとうございます。
もう今度から曲聞くだけで絶対ニラニラしてしまうよwww
157風と木の名無しさん:2008/03/25(火) 21:42:33 ID:rXX3jS0D0
>>138 >>153
GJ!GJ!ヘイキタフィーバー嬉しすぎる。
独占欲強いヘータいいなー
キタさんと話噛みあったり噛みあわなかったりしてればいいよ
158風と木の名無しさん:2008/03/26(水) 00:00:40 ID:cS8YAyEtO
>>146にも>>153にも萌え散らかりました、ありがとう
159風と木の名無しさん:2008/03/26(水) 00:04:28 ID:1VOKQRap0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < 昭和の大事件ドラマ
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < 元刑事と悪魔だお
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 微妙にエロ有
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
160悪/魔/の/よ/う/な/あ/い/つ 1/6:2008/03/26(水) 00:05:56 ID:G9gU7Udk0
この場所にはいくつかの顔がある。
ホステスたちの笑い声と、酒と唄、そして理性などとうに失った者達が集まる場所でもあれば、
はたまた、横浜を牛耳る闇の帝王が部下を携えて”ゴッドファーザー大会”を開く場所でもあり、
そのどちらの顔でも無い時は、まるで廃墟のような静けさの中で来るべき者を、カウンターに立つ者を、椅子に座ってくれる者を、唄

を歌う者を、ただひたすらにその時が来るまで、その夜が来るまで静寂を保つ場所でもある。
先程までの騒がしさとはうって変わって、その場所は徐々に静寂を取り戻し始めた。
ここがまた本来の姿を見せるのは、次の夜だ。その夜に備えて、ホステスや店員は帰路につく。
「良ちゃん、またね!」
「おーい、良、今度の月曜だぞ、覚えといてくれよ。今度は社長も誘ってさ。じゃ、またな!」
うん、うん、と二つ返事で適当にあしらい、ロッカーを閉めた。
ガチャッっという音が、がらんとした空間に響く。彼はこの瞬間が好きだった。
この場所の今日一日の役目を自分が終らせた気がするのだ。この音と共に此処は一時の静寂へと包まれる。
主を待つかのように。
161悪/魔/の/よ/う/な/あ/い/つ 2/6:2008/03/26(水) 00:06:49 ID:G9gU7Udk0
(小便でもしてさっさと帰るか・・・・・)
ホープを銜えて用を足し、手を洗う。いつもとなんら変わらない光景。
眼前の鏡に写る相手はいつも何かけだるそうで、何を考えているかわからない。
”一体何を考えている?”そう自問するのだが決して返って来る事はなく、その言葉がぐるぐると寂しく回るばかりだ。
立てかけていたギターケースを抱え、ウェスタンドアに手をかけた時だった、彼よりも少し早くそのドアを開ける者がいた。
その者は”キィ”、という音と共に彼を少し押しのけて入ってくる。ゴッドファーザーお出ましか、そしてこの場所の”主”の。
「良、まだいたのか。」
「ああ。」
「一杯・・・・飲んでいかないか?」
杯をくいっと上げる手振りをして、”主”は微笑んだ。だが、それに快く答えるような気分じゃなかった。
「疲れてんです。」
俯いたまま立ち去ろうとする良の腕を、褐色じみた手が締め付ける。
「野/々/村さん、俺疲れてんだ。」
だが、その手が緩む事は無く、石の様に動かない。
何をしたいのか真意を確かめようにも、黒眼鏡の奥から覗く瞳は無機質でよくわからず、
ただひたすらに良を捕らえたままだ。
「・・・・・しつこいな、離せってんだよ。」
大きく身体を揺さぶると、やっと口を開いた。
「まぁ、待てよ。待て。ほら、覚えているか?覚えているだろう?」
「何が?」
つまらない謎解きのような口調と、答えのわからない子供を焦らす様に、欺くように、
自分の優位を見せ付けるようなこの態度には、度々いらいらさせられる。
162悪/魔/の/よ/う/な/あ/い/つ 3/6:2008/03/26(水) 00:08:05 ID:G9gU7Udk0
「良・・・・・・・。」
褐色じみた手に力が篭もり、逃れようとする良を洗面台へ押さえつけた。
不気味な笑みを浮かべると、その唇が良の耳元でうごめく。
「お前がまだ孤児院に居た時だよ、思い出したか?お前に、教えてやったじゃないか。」
「そんな事・・・・・今更・・・・・」
「お前、女みたいに喚いただろう。覚えているか?気持ちよかっただろう?どうだ、あれから自分でしたか?しただろう?」
「ふざけんなっ!くだらねぇ事話しやがって。どけよ、痛いんだよ、離せってんだ!」
普段は手加減しているのか何があってもぐっとこらえて、毎回向こうから引くものなのだが、今日はそうはいかなそうで、
もがけばもかぐほど、逆に押し戻されているような感じだった。
「思い出したか?なあ、良・・・・・・。」
片方の手が下腹部を伝い、ゆったりと躊躇いがちにジッパーをじりじりと下ろすと、そのままするりと秘部へと滑り込んでくる。
狭い肌着の中で肌の感触全てを確認するように、それは上下左右にうごめく。
耳元に佇む唇はもう何も告げず、隙間から漏れる吐息が良の耳殻をじっとりと湿らせ、熱く照らした。
”ほら、この手でしごくんだよ。”
言葉が脳裏を駆け巡る。自分が男相手に、兄同然だった相手に恥態を曝け出してしまった事も同様に。
この男はあの後きっと後悔しただろう。そしてこの後も。そんな事はわかっているのに何故このような行為をするのか。
不可解な男だ。とにかく、この野/々/村という男と居るとイライラするのだ。
163悪/魔/の/よ/う/な/あ/い/つ 4/6:2008/03/26(水) 00:09:01 ID:G9gU7Udk0
「どうだ?思い出したろう?」
「・・・・・・・・・」
もう、諦めてコトが終るのを待つしかない、と抵抗するのも止め、洗面台に浅く腰掛けるようにして男の背に腕を回した。
いつも奴がよこす”雌豚”に抱かれる時のように、何も考えずに。それが一番楽な方法だった。良にとって。
首元に吸い付くように、くちづけながら、中心をしごく。急に大人しくなった良の事をどう思っているのだろうか。
眼鏡越しでなくてもこの男の思考は掴み辛く、ただ一つ明確なのはこの時間は避けられないという事だけだった。
「あ・・・・・・・・・・」
”何も考えてない”のに、中心は熱く熟れて窮屈な肌着の中を、男の手を、湿らせていく。
”雌豚”に抱かれる時よりも反応が早く思えた。
しっかり感じてしまう自分が滑稽で、阿保らしくて、思わず口の端が吊り上ってしまう。
何も考えずに・・・・・・気持ちとは裏腹に、下半身としてはこの邪魔なジーンズと、下着という障害を
とっとと取り払って欲しいようで、だからといって男に脱がせて欲しいなんて言える筈も無く、
そんな欲望を振り払うように”無”に徹するしかない。
「こんな所、誰かに見られたらあんたどうすんだ?」
「そんな事、今は考えなくていい。」
空いている手が良の髪を撫でる。まるで子供にでも先の言葉を言い聞かせるように。
しごいていた手が、離れそのまま袋の後ろへと指が伸びると、男がにやりとした。
164悪/魔/の/よ/う/な/あ/い/つ 5/6:2008/03/26(水) 00:09:44 ID:G9gU7Udk0
「なあ、今までの女はここを使ったことあるか?」
本来ならば、出口としてしか使われない穴の周辺を水気を帯びた指が愛撫する。
予想だにしない行動に良の体は強張った。
「使ったことあるわけないだろ。そんなと・・・・・・」
全て言い終わる前に、決して心地良くはない感触が内部を侵して行く。
背に力なく回していた腕も強張って、背をがっしりと捕らえてしまう。完全にペースを男に持ってかれた感じがした。
内壁を緩ませるように、ゆっくりと抜き差しする感触に耐えられず、その度にきつく締め上げてしまう。
「嘘じゃないみたいだな。」
「・・・・・っ・・・あ・・・・・・」
鼻で笑ったような言葉と同時に指を引き抜くと、膨張しているそれを乱暴に上下に擦る。
急な快感がどっと押し寄せて、我慢できずに男の手を濡らした。急に達してしまった体が恥ずかしくて、どうにもならなかった。
「・・・・・・もう・・・・十分だろ・・・・。」
「良・・・・・・このまま・・・・・・」
165悪/魔/の/よ/う/な/あ/い/つ 6/6:2008/03/26(水) 00:10:08 ID:G9gU7Udk0
男が良のズボンに手をかけ、何かを言いかけたが、突然の”キィ”という音が二人をヒヤリとさせる。
「良?何してるの?」
不思議そうな顔をしている少女が一人。
破れかけた服に、腕には黒い猫を抱きながら、二人の顔を伺うようにそろりそろりと近づいてくる。
「良、明日も唄、頼むぞ・・・・・・」
「ああ、うん・・・・。」
適当に見繕った言葉と共に男はすぐに身を離すと、少女を押しのけ、手をすすいでさっさと出て行ってしまった。
「良、何やってたの?」
本当に見てなかったのか、それとも良を試しているのかは解らない。
良と二人きりになれた少女はニッコリと笑った。
「そうだ、良、お花買って!」
166悪/魔/の/よ/う/な/あ/い/つ 終了:2008/03/26(水) 00:11:20 ID:G9gU7Udk0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < なんだか
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < エロが微妙で
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < すまんかった!
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
167ぬ/ら/り/ひ/ょ/ん/の/孫 夜三代目×鴆:2008/03/26(水) 00:25:46 ID:nDxf6mo00

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ぬら孫で夜リクオ×鴆だって
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  登場一週目から鴆にハマるとは
 | |                | |             \           思わなんだよ
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   
168ぬ/ら/り/ひ/ょ/ん/の/孫 夜三代目×鴆 1/5:2008/03/26(水) 00:27:27 ID:nDxf6mo00
あの日、命を助けられてからというもの、何度こうして酒を酌み交わしただろう。
夜気でひやりとした木の感触が心地よい縁側に腰掛けた鴆は、隣に座るリクオを横目で見やりながら、手にした盃を一息にあおった。
するりと咽喉を落ちていく冷酒は真水のようにさらりとした口当たりながら、至極上等な香りを放っていた。
一口飲めば上級品だと分かるそれを、けれど惜しむことなく豪快に飲み干す。
酒に酔いでもしなければ、二人だけの場をもたすことなどできる気がしなかった。
横に居るだけで感じる、あまりにも強大すぎる絶対的な妖気。
それを身に浴びるだけで、全身の毛がぴんと逆立ち毛穴の一つ一つが張り詰めるような感覚がした。
空になった盃に酒を注ぎ足すのも忘れ、思わずぼんやりとそちらを見つめてしまう。
凛とした怜悧な横顔は今宵の月よりよほど美しく、知らず知らずのうちに溜息が出そうなほどであった。


その姿を目に映すたびに、強く決意する。
――――自分はこの人のために生き、この人のために死のう、と。


信頼していた手下達に裏切られ屋敷を焼け出された鴆は、新たな住居の目星が付くまでの間、奴良家の客人として厄介になっていた。
あの夜のことを何も覚えていないらしい『昼間の』リクオには相変わらず苦手意識を向けられているようであったが、
皆が寝静まった頃に過ごす『夜の』リクオとの時間を思えば、その程度のことなど何の苦痛にもなりはしなかった。
花や月を肴に静かに酒を飲み、ぽつぽつと僅かばかりの会話を交わすその時間は、鴆にとって至福のひと時だったのだ。


「なぁ、鴆」
艶かしいまでの色気に満ちた声で突然名を呼ばれ、鴆は真横へと視線を向ける。
次の瞬間、すっくと伸ばされたリクオの腕に肩を絡め取られ、そのままずいと身体を引き寄せられた。
近すぎる顔に一瞬ぎょっとし、反射的に顔を逸らしそうになるのを力ずくで制止される。
不敵な笑顔でこちらを見やる相手の濡れた唇に、鴆はリクオの意図を悟った。
じっと自分を凝視するリクオの笑みは酷く妖艶で、それだけで氷のように固まってしまいそうだ。
二人の視線が虚空で交錯し、ねだるような甘い息がリクオの口元から微かに漏れ、鴆の首筋をくすぐった。
169ぬ/ら/り/ひ/ょ/ん/の/孫 夜三代目×鴆 2/5:2008/03/26(水) 00:28:29 ID:nDxf6mo00
   

瞬間、このまま彼を押倒してしまいたい衝動に駆られ――。
――すぐさま、一瞬でもそんな事を考えた自分を縊り殺したくなった。
唇の端に、くすりと自嘲的な笑みが宿る。
そんなことは絶対にできないのに、どんなに恋焦がれていようともできるわけがないというのに。

永遠にも思えるほど長く、けれど現実には一瞬でしかない時間のあと、鴆は全身を捩って顔を横へ逸らした。
色事慣れしていない生娘のようなその反応に、視線の先にある双眸がむっとした様な色に変わっていくのが分かる。
「オレとするのは嫌だってのかよ」
はっとするほどに力強い腕で身体を引き戻され、ねめつけるような視線に射抜かれる。
その瞳が持つ圧倒的な熱に流されそうになる自分を押し留め、鴆は自嘲するようにふっと笑った。
「……そんなわけ、あるかよ」
「それなら」
「そんなわけねぇだろ。オレは、アンタの下僕になるって誓ったんだ。
 老い先は短いかもしれねぇけど、それでもアンタのためにこの身体を、命を使うって決めたんだ。……けど、」
責めるようなリクオの口調を無理に振り切って、鴆は心底悔しそうに歯噛みする。
ぎりぎりと噛み締められた奥歯が悲鳴のような音を立て、闇夜を占める静寂を荒っぽく引き裂いた。
嘲りばかりが含まれた唇を漸く緩めた鴆が、ぽつりと一言、声を漏らした。

「けどオレの種族は、同族以外とは交われねぇ」

そうして淡々と、至極当然のように鴆は続きを語る。
「……俺たち鴆の体液は、一滴飲み込むだけで胃の腑が焼け爛れる猛毒だ。
 免疫のねぇ相手が口吸いなんてしようもんなら、声を上げる間もなくお陀仏だぜ?」
「鴆……」
その言葉に対し静かに瞳を細めたリクオの顔を、鴆はどこか愉しげな想いで見やっていた。
物言わぬまま、口惜しそうに、或いは切なそうにそっと目を伏せるリクオの姿。
それは、鴆がこれまで見た彼の中で最も感情に溢れているように思えて、
彼にこんな表情をしてもらえるというだけで十分だと、妥協や強がりでなく本心からそう思えた。
170ぬ/ら/り/ひ/ょ/ん/の/孫 夜三代目×鴆 3/5:2008/03/26(水) 00:29:09 ID:nDxf6mo00
   

己の身体は、焦がれた相手とまともに愛を確かめ合うこともままならないような毒の塊だ。
情人相手に口付けることも、繋がることも出来ぬ、致死性の猛毒薬。
好いた人ほど、愛した人ほど側に置くのが恐くなる、そんな抜き身の刀のような呪われた身体。
それが自分達、鴆という妖怪の暗くも怖ろしい本性で、けれど――――。

――――けれど、だからこそ余計に強く欲するのだ。
この血の最後のひとしずくまでも、心底惚れた相手のためだけに使いたいと。
己の寿命を犠牲にしてまでも手に入れた、ひどく強力な毒の身体を、ただ一人『その人』に捧げたいと。

「オレの唇はお前にはやれねぇよ、リクオ」

真っ直ぐに視線を向けてそう言うと、鴆はリクオの手を無理やり取って、己の胸元へと引き入れた。
サラシを解いた刺青だらけのその肌は、お世辞にも手触りがいいとは言いがたいざらりとした感触だった。
蝋細工のように白く滑らかなリクオのそれとは天と地ほども違う自身のそこに、しかし鴆はリクオの指先を招き入れる。
どくどくと波打つ左胸の真上にその掌を翳させると、未だ黙ったままのリクオから瞳を逸らすことなく続けた。

「けどな、その代わり、それ以外はみんなお前のもんだ。この血も肉も、何もかもをお前にくれてやる」

重なり合った手の下から、音を立てて脈打つ心臓の鼓動が感じ取れる。
リクオを前にした今の状況に興奮しているのか、そのリズムは常時より僅かに早くなっているように思えた。
掴んだ手首を更に強く握りこみ、もう一度リクオを見つめる。
瞳の先に居る彼は、それでもまだ沈黙を貫いていたものの、鴆は何も気にしてなどいなかった。
ただ、この強く美しい相手のために自分の全てを使える事に対する喜びだけが、今の彼には存在していた。

「だから」
「……何だ、その理屈は」
171ぬ/ら/り/ひ/ょ/ん/の/孫 夜三代目×鴆 4/5:2008/03/26(水) 00:29:59 ID:nDxf6mo00
   

けれど鴆の決意の言葉は、腹立たしげなリクオの声に途中で掻き消された。
随分と苛立っているらしいのがよく分かる声音で、リクオは鴆に反論する。
「テメェ如き弱い妖怪の毒なんぞが、俺に効くかよ」
「……リクオ」
宥めるように優しく告げた名も、リクオの言葉を止めるには至らない。
更に目付きと語調を強め、彼は鴆へと掴みかかるようにして食って掛かる。
「オレを誰だと思ってやがるんだ。三代目を……ぬらりひょんの名を継ぐ男だぜ。それが……」
その必死な形相に、思わず鴆のほうがたじろぐ。
けれど、いくら力のある妖怪であろうとも、こればかりは無理な相談なのだ。
鴆の毒は、殺す相手を選ばない。リクオほどの力を持った相手でも、身体を内から腐らせるこの毒液の前で無傷ではいられない。
そのくらいのことは、リクオにだって分かっているだろうに。
駄々をこねる子供のようなその姿に、流石に声を上げようとした口を開きかけた鴆は、しかしリクオの次の言葉に固まった。


「……好きな男一人抱くこともできねぇで、一体どこが強ぇってんだ」


ぽつり、と。
リクオが口にしたその言葉に、背筋がぞくりと撫で上げられる。
それほどに、その台詞は彼にとって重く苦しく、けれど一方で天にも昇るほど誇らしいもので――。
どくどくどくどくどくどく。鼓動が、先ほどと比べ物にならないほど早鐘を打つのを感じた。
横に座るリクオに対し、言い知れぬほどの愛しさが今まで以上に込み上げてくる。
172ぬ/ら/り/ひ/ょ/ん/の/孫 夜三代目×鴆 5/5:2008/03/26(水) 00:31:26 ID:nDxf6mo00
 
「リクオ」
名を呼んで肩を抱き、リクオの身体を強くこちらに抱き寄せた。
どことなく悄然とした表情でされるがままになっている彼の長い髪をそっとくしけずり、呆れたように告げる。
「……ったく、欲張りな男だな、テメェは。
 裏の世界を丸ごと手に入れようって奴が、そんな小さなもんに拘るんじゃねぇってんだ」
さらさらとした手触りの後ろ髪を梳きながらそう言った鴆に、リクオが「ふん」と小声で返す。
そのままぷいと横を向くと、リクオは鴆の着物をぎゅっと指先で掴み上げた。
指に込められた力はひどく強く険しくて、まるで絶対に離したくないとでも言うようだ。
「そんなに強く握らなくても、オレぁどこにも行きゃぁしねぇよ……」
「…………」


その台詞に無言で返しながらも、リクオは掴んだ着物の端を手放そうとしない。
その力強さを感じながら、鴆は一人、心中で思っていた。
ああ、オレがこいつに惚れたのは、きっとこういうところなのだろうな、と。
強く気高い妖怪の長でありながら、どこか子供らしい幼さを秘めた彼だからこそ、自分は囚われたのだ、と。
そしてやはり、自分はそんな彼のためにこの生涯を尽くそう。


彼が一番欲するものだけは、一生かかってもあげられない自分だからこそ、他の全ては彼に捧げよう。
そうすることが唯一、彼へのせめてもの償いになるだろうから。



173ぬ/ら/り/ひ/ょ/ん/の/孫 夜三代目×鴆 5/5:2008/03/26(水) 00:32:35 ID:nDxf6mo00
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ぬら孫萌えるYO
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
174風と木の名無しさん:2008/03/26(水) 00:33:24 ID:daI4xhXZ0
>>166
GJ!深夜に禿げ萌えました
リョウちゃんのツンツンっぷりがこれまたイイ!(・∀・)
175風と木の名無しさん:2008/03/26(水) 01:03:08 ID:SYgvmHm40
>>173
萌えた…!!
同人でネックになるかと思ってた猛毒設定が
うまいこと使われてて鱗落ちた。
禿げるほどの萌えをありがとう
176風と木の名無しさん:2008/03/26(水) 02:46:43 ID:Zue+kEw6O
>>173
禿萌えた
ぬ孫は作品的にも(腐な)読者的にもいろんな意味で展開早いな…
177風と木の名無しさん:2008/03/26(水) 04:48:00 ID:1w54+sizO
>>173
ぬらりktkr
そして朝っぱらから萌えた。
178風と木の名無しさん:2008/03/26(水) 13:05:49 ID:dhSNMCiJ0
>>173
禿げた
175の言うとおり、猛毒設定上手かったよ…!
179風と木の名無しさん:2008/03/26(水) 22:55:14 ID:tZt8wwjl0
>>173
素晴らしい。
禿萌えました。いい鴆をありがとう
180部屋に何か居る 大岡さん×俺:2008/03/27(木) 10:39:28 ID:KVzJZ0oe0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 

オカ板発「部屋に何か居る」より 大岡さん×俺
朝チュン展開
181部屋に何か居る 大岡さん×俺1/3:2008/03/27(木) 10:39:59 ID:KVzJZ0oe0
本日の大岡さんの頭は狼だ。
ネットで検索したところ、何となくだがホッキョクオオカミっぽい気がする。
毛が銀色で格好いい。他人(?)事ながら悦に入っていると、
ついさっきまで背後でしていたはずの物音が聞こえなくなっていた。
ちらりと振り返ると、ちょっと離れて本を読んでいたはずの大岡さんが立っている。
慣れたとはいえ、いきなり背後に立たれるとさすがにびびる。
懐に日本刀が内蔵されていると知ってからは、特に。

何を見ているのだと聞かれたので、俺はモニタを指差した。
今のあんたの頭、これに見えると言うと、彼は一つ首を捻っただけだった。
いつも不思議に思うのだが、大岡さん自身、自分の姿はどう見えているんだろう。

そういう大岡さんこそ、さっきまで何を読んでいたのか聞いてみる。<br>
イトコの姉ちゃんが置いていった、赤頭巾の絵本だという事だった。<br>
何となく振り返って確認する。つかあれ、俺のじゃね? 姉ちゃん、どこから出してきたんだろう。


それにしても、赤頭巾を読むウルフヘッドとは。
シュールだ。大岡さんを見てドン引きの赤頭巾を想像して、俺は吹いた。
騙して襲うどころか、一緒に花も摘んでもらえないだろう。

面白かったかと聞くと、どうも絵が少なくて物足りなかったらしい。
話の筋は、と聞くと「覚えた」という答え。相変わらず変な読み方だ。
会話しながらも狼の画像から目を離さない大岡さんに、俺はうろ覚えの台詞を引用してみた。

──大岡さん、大岡さんの耳は、どうしてそんなに大きいの?

お前の声をよく聞くためだよ、と返事が返ってきた。
本当に暗記したらしい。俺はおかしくなって後を続ける。
182部屋に何か居る 大岡さん×俺2/3:2008/03/27(木) 10:40:49 ID:KVzJZ0oe0
──大岡さん、大岡さんのお口は、どうしてそんなに大きいの?

今度は返事がない事ので不安になり、振り返ろうと思って気が付いた。
何か肩があったかい。で、重い。そういう感じがするという次元ではなくて、リアルに肩を掴まれている。
優しい拘束に、俺は硬直した。耳元に寄せられた感触は、獣にはありえない滑らかさ。
囁く声は、紛れもない大岡さんの……

『それはね、お前を食べるためだよ』

ぞっとした。立て続けの怪異に麻痺して、忘れていた恐怖を思い出す。
首を噛まれて、俺は本当に食われるんだと思った。
走馬灯と言えるのかどうか、俺が死んだ後の事を想像した。

クリスがまた無茶して返り討ちに合わなきゃいいとか、イナゴが友人とこに居つかなければいいけどとか、
色んな意味で泣きながら俺の部屋を片付けてくれるだろう姉ちゃんに申し訳なくなりながら、俺は溜息を吐いた。

──やっぱこういうオチになるのかと諦めた俺の願いはただ一つ、あんまり痛くしないでほしい、だった。
そして、大岡さんならまあいっか、と思った。目は閉じなかった。
183部屋に何か居る 大岡さん×俺3/3:2008/03/27(木) 10:41:20 ID:KVzJZ0oe0
結果から言うと、こうしてこんな事を打ち込める程度には生きている訳で、俺の心配は杞憂となった。
よかった。最後に願った願いも叶えられた。あんまり痛くはなかった。キツかったけど。
食われるという俺の直感は正しいような、そうでもないような。
まあ、食われた事は食われた。性的な意味で。 
嫌悪感は今のところ無い。その内吹き出してくるかもしれないが。

真っ最中の大岡さんの頭部は、人の形だった。
全く見覚えのない顔だったので、多分あれが本当の大岡さんの顔なんじゃないかと睨んでいる。
というのも大岡さんの頭部、あれはどうも、俺の記憶から引っ張り出されてきているようなのだ。
その時大岡さんから受ける印象に、一番相応しい姿を記憶の中から幻視している、ように思う。

しかし俺にはあんなシブイ色男の知り合いなどいないし、テレビや何かで観た記憶も無い。
何より、あの感触。
あんなリアルな感覚を残してくれて、偽物ですとか言われても困る。
つー事で、あれは大岡さんの素顔だと思う事にした。以上。



……ってこんな事カキコできる訳もないし。
俺は下書きを入力していたメモ帳のウィンドウを消去した。

背後でニヤニヤしてる大岡さん(今はフクロウ)の気配がうざい。
振り返って睨みつけると、イナゴとマモノが揃って大岡さんに体当たりしていた。
理由は知らんがいいぞ、もっとやれ。
声に出すのはちょっと怖いので、心の中で応援しておいた。

色々あって疲れたので、今日はもう寝る。
嫌悪感はまだわかない。大岡さんなら、まあいっか。またそう思った。
184部屋に何か居る 大岡さん×俺:2008/03/27(木) 10:41:52 ID:KVzJZ0oe0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

俺氏の口調を把握し切れず。申し訳ない。
185部屋に何か居る 大岡さん×俺:2008/03/27(木) 10:45:45 ID:KVzJZ0oe0
うわ、何か消し忘れたタグがorz
重ね重ね申し訳ない。
186寂しい優しさ:2008/03/27(木) 14:17:53 ID:C4jq+8elO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

※ナマ注意!!!※
某六角形クイズ番組のおバカさんでおなじみの恥×心→羞です。
悲恋で、恥も心もかわいそうなことになってます。恥の一人語りで、心は回想の中でしか出てきません。
187寂しい優しさ1/4:2008/03/27(木) 14:18:47 ID:C4jq+8elO
 カーテンのすき間から朝日が入りこんできて、僕を照らした。光を避けるように寝返りをうってあくびをする。どうせ今日は午前中の仕事はないから、まだ寝ていられる。

「ゆうにぃ……いま何時……?」

 一応時間を知りたいと思って、隣で寝ているゆうにぃにたずねた。なのに、返事がない。

「ゆう……かみじ…さ、ん?」

 重たいまぶたを開いて隣を見たら、ゆうにぃの姿がなかった。シングルベッドだから下に落ちたのかと思って身体を起こして確認したけど、やっぱりいなかった。
 昨日抱いた後に一緒に寝たはずなのに、いない。いつもなら一緒に起きて他愛のない話をするのに、いない。
 狭いベッドに男二人だけど、ゆうにぃのために必死に壁際に寄ってあけたすき間。そこを触ってみたら、ひんやりと冷たかった。
 ゆうにぃも今日は午前中の仕事はないはず。ぐるぐると色々な考えをめぐらせてみたけど、考えるより身体が動いた。
188寂しい優しさ2/4:2008/03/27(木) 14:20:44 ID:C4jq+8elO
 起き上がってテーブルの上の携帯を取り、確認する。
 着信、無し。
 メール、無し。

「何も言わないで帰るなんて今までなかったのに……」

 ふと冷蔵庫に目をやると、見覚えのない紙が磁石ではられていた。

『ごめん』

 その紙には、たった三文字、だけど重くのしかかる言葉が書かれていた。よく見なくたって分かる。
 この字は、ゆうにぃの字だ。
 まだ軽く眠っていた脳が一気に目を覚ました気がした。勢いよく冷蔵庫に近付いてはずそうとしたら、磁石が落ちて、カンっと音がなる。特に珍しくもないその音がやけに胸にしみて、僕はその場にしゃがみこんでため息をついた。
 この“ごめん”に込められた意味が、なんとなくわかってしまった。普段はそんなことないのに、ゆうにぃの事だけには敏感な自分がおかしくて、憎くて、たまらなかった。
189寂しい優しさ3/4:2008/03/27(木) 14:21:45 ID:C4jq+8elO
 最初は恋なんかじゃなかった。好きだったけど、恋じゃなかった。
 なのに、ゆうにぃのあの人を追うあの瞳を見てから、俺の世界は揺れに揺れた。
 叶わないと知りながらも、あの人を目で追うゆうにぃ。そんなゆうにぃを、ただ口を開けて見つめる僕。
 そして揺れた末に、思わず押し倒してしまったあの日。嫌がるゆうにぃを抱いたこと、今でも後悔してる。
 でも僕は、その時に気がついたんだ。ゆうにぃの事が好きなんだ、って。ない頭で散々悩んだのに、最後は身体が教えてくれた。

 「気にすんなって! 大丈夫、今は嫌じゃねーし」こう言ってへらっと笑ってくれたゆうにぃ。優しいゆうにぃ。だけど無理してるってわかってた。僕、敏感だから。
 それでもいつも僕の想いに応えてくれるかのように笑ってくれて、僕はそれに甘えていた。ゆうにぃだけを見ていた。
 だから、時々見せる陰りのある笑顔が切なかった。あんなに可愛らしく笑う人の本当の笑顔を奪ったのは、僕。でもやめられなかった。やめたくなかった。いつか好きになってくれるんじゃないかって思ってた。
190寂しい優しさ4/4:2008/03/27(木) 14:23:18 ID:C4jq+8elO
 でも心の奥では、いつか終わりがくるってわかってた。当たり前。お互いの気持ちのバランスが取れてないんだもん。
 そのバランスが崩れたのが今日だったって話で、悲しくなんかない。

「はず…なんだけど、なあ……」

 視界がぼやける。
 床に落ちている、ゆうにぃからの最後のメッセージが書かれていた紙もぼやける。

「ううっ……うっ……」

 ぽたっと音がして、紙の文字がにじんだ。そのにじみはじんわりと広がり、紙が小さかったからか、すぐに全体が濡れてしまった。
 ゆうにぃも、僕の中に突然ぽたりと落ちてきて、ゆっくりじんわりと広がり、気付いたら心のすべてが奪われていた。好きになってた。愛してた。

 許されるならもう一度、ゆうにぃを抱きしめたい。僕にくれた寂しくて温かいその優しさごと、背中からそっと抱きしめたかった。


 本当に、本当に大好きです、ゆうにぃ。僕のこと、少しでも想ってくれてありがとう。
 大好きです。
191寂しい優しさ:2008/03/27(木) 14:25:54 ID:C4jq+8elO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

心視点でも書いてみみようかなと思ってます。読んでくれた方、ありがとうございました。
192風と木の名無しさん:2008/03/27(木) 18:07:13 ID:wAR5exUc0
せつねえ〜!GJでした!
チはいつでもかわいそうな立場だなあw
193風と木の名無しさん:2008/03/27(木) 18:57:13 ID:aeogJZ6lO
>>191
GJ!普段はち受派だけどちしんも有だと思ってしまったww
切な萌えたーやっぱりちには可哀想な片思いシチュが似合うのかな
194風と木の名無しさん:2008/03/27(木) 19:48:26 ID:7wPpe7gzO
心臓がもきゅもきゅされてしまった、萌死にそうだ…orz 
読みやすくて素敵なお話GJですた!
195風と木の名無しさん:2008/03/27(木) 21:05:50 ID:Blgupz8cO
おつです!
切なくてキュン死にしそうでした
良ければ心視点でも書いて下さいー
萌えを有難う!
196風と木の名無しさん:2008/03/28(金) 00:02:01 ID:T1CcXjjS0
>>173
萌えました!
197風と木の名無しさん:2008/03/28(金) 02:56:42 ID:qJGnCdExO
>>181-183
萌えました!!
まさか、ここで大岡さんと俺氏ネタが見れるなんて……
よし。ちょっくら元ネタ読み返してくる!
198風と木の名無しさん:2008/03/28(金) 14:07:23 ID:BGtezVfj0
>>181
やばいやばいやばい
すげえ萌えた!私も見返してくるノシ
199真夜中の、調金:2008/03/28(金) 18:47:56 ID:qRY2JJaA0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

スギモトさんはカッコイイ。
そんなスギモトさんに良く似た男が居た。

埃一つ無いコートにスーツ
プレスの利いたスラックス
糊の利いたYシャツ。
もう一枚の皮膚のようにそれを着こなす男。
ばねを仕込んだような細身で、しなやかな身体。
隙を与えず、常に優位に立って、うそ臭い笑顔の向こうの頭ン中はいつも物凄い勢いで回転している。
多分、−−絶対オレとは違う世界を見ている。
ディスプレーに飾ってあるみたいで、隣にいても時々現実感が無くなる。
本当はオレが触ったりなんかしちゃいけない存在なのかもしれない。


もう直ぐ真夜中の時間が来る。
この、小さなスペースを除いてフロアーは明かりが消えている。
大きな窓の外のビル群も、かなり明かりがまばらになって、暗い夜を映し出している。

こんな時間までグダグダ会議やらなんやらしてるってゆーのもご苦労さんな話。
特に用がある訳じゃないのにその会議の終わりを待っている自分もご苦労さん。

暗闇の中からスギモトさんが帰ってきた。
そのコートを受け取ると、わずかに煙草の香りがした。

知ってるのは、きっとオレだけろうな。
この人が一仕事終えた時に、自分に許すたった一本の煙草のことを。
結果を話すこの人は、この程度じゃ俺の経歴に傷なんてつかない、と笑う。
目を通しておけよ、と嫌になるほどの資料を机の上にぶちまける。
200真夜中の、調金 2/4:2008/03/28(金) 18:49:52 ID:qRY2JJaA0
「ええ〜〜!一仕事終わったら、って・・・」
「うるせぇ!次の仕事始まってるだろうが!」
ビシィッと定規でこちらを指す。どっから出してきたんっすか、それ。

しぶしぶ目の前の新たな資料に手を伸ばす。
適当なのを取って見ても意味なんて分からない。
読んで置かないと、また殴られるし、仕方ない。
なんて可愛そうなオレ。
今回の仕事はマジで割に合わなかった。
スギモトさんだけならともかく、他のヤツにまで殴られるなんて・・・

と、今回のことを思い返してしまう。
目の前でいわゆる逮捕劇があったり、今日はとっくに頭パンクしてんのに。

がりがり頭を掻きながら、もう一人の男を思い出す。
手触りの悪い金髪が指に絡む。
「あいつ、何がしたかったんでしょうね。」
目の前で逮捕されたのに、なんだかイマイチ納得できない。

「ん?モリワキか? そりゃーおまえ、勿論・・・」
「・・・?」
「どっちだろうな?」
「・・・」
うかつな事言うとまた殴られるからな。
「会社か?ミズホか?」
「両方っすか?」
「・・・おまえ、馬鹿だけど時々、稀に良いこと言うな。馬鹿だけど。」
二回言った、馬鹿って二回言った。ヒデェ。
201真夜中の、調金 3/4:2008/03/28(金) 18:50:38 ID:qRY2JJaA0
でも、もしココに居るのがオレじゃなくてあいつだったら?
説明されても意味の分からなかったトリックを、暴いたのがスギモトさん。
立てたのが、モリワキ。
もしこの二人が組んでいたら? オレとじゃなくてスギモトさんと。
そしたら、スギモトさんはもっともっとスゲー事になっちゃうんじゃない?
オレ、むしろ足、ひっぱってねえの?
こんな馬鹿なオレじゃなくて…

「まあ、ミズホって事は無いなー。」
「???」
何の話っすか?
「Sだもんなあの二人。手に入れたところで上手くいくわきゃー無い。」
そういう問題っすか?
「俺もSだからな、モリワキみたいなタイプじゃダメだ。」
「何でダメなんすか?似てるからですか?」

ばちん

的確に傷を打たれた。
202真夜中の、調金 4/4:2008/03/28(金) 18:55:08 ID:qRY2JJaA0
傷を抑えて床に蹲ってると、頭上から冷静な声が聞こえてくる。
「ま、似てるとダメってのはあるかもな。 自分と同じタイプのヤツとだと楽すぎて怠けちまうしな。
理解しがたいくらいの方が、発想が広がっていいもんだ。なあ?」
分かりません。スギモトさんが何考えてるんだかイッコも分かんないっす。

「あと、それからなその頭、いい加減直してこい。」
「あたま??」
「おうよ、その金髪。悪目立ちしてんぞ。」
ええ〜〜!ヒデェ! むしろ、いかにもチンピラっぽくて逆に警戒されないからって、人のこと無理やり金髪に染めさせたあんたがいうか?
「あんたってなんだ?こら!」
束になった書類が飛んでくる。

「大体『チンピラっぽくて逆に警戒されない』なんつー与太話信じる方がアホだろうが!
おまえも理解しがたい馬鹿だな?!」
じゃあなんでさせたんですか!
「金髪美女とヤんのが男の夢だからにきまっとろーが!馬鹿!」

デスクに座ると、スギモトさんは椅子を回転させて後ろを向く。
いまなら、何をしてもそんなに怒られないような気がして、そっと、後ろから近づいてみる。
馬鹿だから、夜景を映している窓がそのまま鏡がわりに自分を映してるなんて気が付かなかった。

「仕事しろ!」

ばちーん

「何でですか?一仕事終わったら、って言ってたじゃないですか!」
「次の仕事始まってるだろうが!」

203風と木の名無しさん:2008/03/28(金) 18:57:08 ID:qRY2JJaA0

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

夜中のオフィスにSMカポーの声がいつまでも響いていましたとさ。
お馬鹿さんはノロケとかいちゃこらとか自覚してないのがいい!
204風と木の名無しさん:2008/03/28(金) 22:31:35 ID:6mr+1c7y0
>>199
またキタヨツが見れて嬉しい!禿げもえ!しかもチョーサイン!
昨日金の髪はスギモツが染めさせたって妄想してたから
オマオレかとおもた
205てんなる ラ/フ/ァ/ミ/カ :2008/03/29(土) 01:53:43 ID:QyIob1Ga0
75億光年向こうの恒星が爆発したら光が今地球に届いたという話を聞いて、
なぜか真っ先に浮かんだのがラ/ファエルさまで・・・
素敵すぎる攻め様なので今まで手を出せなかったのですが、勢いで書いてしまいました

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
20675億年越しの恋 (1/4):2008/03/29(土) 01:55:58 ID:QyIob1Ga0
「1万年と75億年まえからあ、い、し、て、るぅう〜♪」
「・・・ただいま帰りました。」


ミ/カエルが帰宅すると、いつものようにギターをかき鳴らす音がしていた。
大家にまた文句を言われることを考えると、頭を抱えたくなる。


「おかえりミ/カエル。今日も楽しかったかい?」


そんなミ/カエルの胸中など知っていようと気にすることもなく、ラ/ファエルはにこやかに彼を振り返る。


「ええ、おかげ様でのえるも無事帰宅しました。」
「そう。それはなによりだね。」
「なによりです。が!ラ/ファエルさま、今日こそは言わせていただきます!」


キッと効果音がつきそうな勢いで眉を釣り上げ、ラ/ファエルと向きあう。
にもかかわらず、叱られる張本人は嬉しそうに片羽をふるふると震わせる。


「・・・なんです?」
「いやいや、続けて?」
「そんな笑われたりしたら・・・こちらが無駄な労力を費やしていることを否が応にも自覚して嫌になります。」


どうせ言っても聞かないし。
にこにこ微笑むラ/ファエルに毒気を抜かれ、ため息と共にその場に座りこむ。
ラ/ファエルの腰かける窓辺に、頭を預けた。
すかさず髪に伸びる手を、ミ/カエルに避ける気力はなかった。
20775億年越しの恋 (2/4):2008/03/29(土) 01:57:25 ID:QyIob1Ga0
「君がいちいちきちんと反応を返してくるからね、つい嬉しくて。いつもゴメンね。」
「自覚があるなら自粛してください・・・僕はともかくご近所にご迷惑です。」
「あとで肉じゃがでも作って配ってよ、ミ/カエル。」
「イヤですよ・・・」


髪を梳く指先にされるがままになりながら、ミ/カエルは安定する自分を感じる。
この人はちゃらんぽらんとしていて何故こんなにも大きいのか。
嫉妬と憧憬が入り混じったような未消化の感情を持て余しながら、身を委ねる。


「75億光年か」
「? ああ、先ほどの歌・・・?」


突然呟いた言葉に、ミ/カエルが瞳をあげる。
にっこり笑んで、ラ/ファエルはミ/カエルの隣にずるずると腰を降ろした。


「なんでもね、75億年前に爆発した時の恒星の光が、最近になって地球に届いたらしいよ」
「はぁ・・・なにやら壮大な話ですね。」
「ふふ、人っていうのは愚かだねぇミ/カエル」
「そうでしょうか?というよりも何がです?」
「光にまで時間の拘束を当てはめようとする。すべての事象に自分達の概念を押し付けようとするところがさ。」
「人は万能ではありません。力弱き者だからこそ、周囲のことを知識として知ろうとするのでは?」
「なるほど?君は人間タイプだね」
「・・・遠まわしに僕を愚かだとおっしゃりたいんですか?」


一気に機嫌の悪くなったミ/カエルの身体全体を包むように、ラ/ファエルの翼が背をさする。
20875億年越しの恋 (3/4):2008/03/29(土) 02:00:52 ID:QyIob1Ga0
「すべて知ろうとする。頭で理解しようとする。何故?君はもう知っているのに。」
「知っている?」
「光が眩しいことも、輝きを与えることも。その瞳は知ってるだろ?」
「はぁ・・・ですが、というか、え、僕は光に関してはですね・・・」
「触れあえばあたたかいことも、ぬくもりが心地良いことも。」
「ら、え、」


見つめあって、その軽いような重いような声の音に聞き入っているうちに、ミ/カエルの身体は徐々に傾けられていく。


「君の身体は、もうたっぷり知ってるはずなのに、頭で理解しなければ気が済まない?」


至近距離。
辛うじて焦点があうかあわないか。
『たっぷり』をやけに強調して、ラ/ファエルは歌うようにミ/カエルに囁く。

完全に押し倒される形で床に背をつけたが、背中に畳の硬い感触はない。
それどころはフワリと柔らかなそれは紛れもなく。


「っわ!」
「わ、なに、どしたのミ/カエル。」


がばりと首根っこにしがみ付いてきたミ/カエルに驚きながら、ラ/ファエルはぬかりなく腰を撫でる。


「つ、翼に、失礼しました・・・!」
「えー?ああ、だいじょぶだよ。痛くない。時々僕が自分で乗っかって寝てるの知ってるだろ?」
20975億年越しの恋 (4/4):2008/03/29(土) 02:02:18 ID:QyIob1Ga0
「そうかもしれませんが・・・そういう問題ではなく、なんというか・・・」
「そこは気持ちの問題なの?」
「う・・・」


必死に抱きついて離れようとしないミ/カエルを抱きつかせたままで押し倒す。


「頭で理解しても気持ちで理解しても、身体で知っていても。どこかしら不安なんだね。」


ゆっくりと、しがみつく腕を解かせて再び翼の上に横たえた。


「アンバランスで一生懸命で。とても愛おしいよ。人も、・・・君も。」


ふわりと額に落ちてくる口づけをミ/カエルは拒まない。
ただいつものように少し不安そうに、瞳を揺らしただけだ。


「ら、ラ/ファエルさま・・・」
「いいよ。それが君だもの。頭と心と身体と。すべて使って、自分の納得のいくように生きなさい。」
「そんなのん気なことを言っていてはいつまで経っても・・・」
「だーいじょうぶ。人は時間を束縛しきれていないからね。『永遠』という時間は、無限だよミカエル。」


せっかく作った甘い雰囲気をぶち壊し兼ねないミ/カエルの言葉を遮り、ラ/ファエルは微笑む。


「とりあえず75億年くらい、ゆっくりと僕に触れてみればイイよ。焦ることはないさ。」
21075億年越しの恋:2008/03/29(土) 02:04:56 ID:QyIob1Ga0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


最後名前伏せてないしなんか色々とダメ
私のはこんなになってしまいましたが、本家は素敵にエロくて素敵なんです!
211風と木の名無しさん:2008/03/29(土) 03:31:23 ID:7Cr41cZR0
>>205
GJ!
元ネタ全く知らんのですが、天使好きなんで読ませてもらいました。
ラファ様、なんか飄々としてて素敵だな〜。さすがは(?)癒しの大天使。
翼がなんかエロい。羽毛百パーセントであったかそう&気持ちよさそうだ。

しかし、七十五億年か・・・・。気の長い話やねw

212風と木の名無しさん:2008/03/29(土) 19:52:58 ID:w/p17vhl0
>>210
最近このアニメを知ったのでうれしい。

しかし一万年と七十五億〜は噛みそうだwww
213葛藤:2008/03/29(土) 23:15:47 ID:Cs1idmh10
某デスメタルギャグマンガ

魔王×信者


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

214葛藤 1/4:2008/03/29(土) 23:16:44 ID:Cs1idmh10

今日も夜がやってくる。俺を最も苛ませる、夜。
「よし、今日こそは……」
フンと鼻息を出し気合いを入れ、いい加減年代物のビデオデッキにテープを差し込む。
するとそれは少し時代遅れな機会音を立てながら、自動的に青い画面を映し出す。
著作権がどうこうなんて言うつまらないページも早送りする余裕がないほど、
俺は画面を凝視しながら、「今日こそは…」などと呟いていた。


俺の悩み。
それは、夜、寝ている間に起こる。
俺をいま最も悩ませ、最も打ちのめすそれは、まるでストーカーのようにしつこく
しつこく俺を苛み、とにかく、精神衛生上、至極よくない。
何しろ、それが起こった次の日は、罪悪感で1日中のた打ち回るような思いを
しなくてはならないし、思わず自分で自分を殺したくなりたい衝動にも駆られて
しまうぐらいなのだから。
215葛藤 3/4:2008/03/29(土) 23:18:12 ID:Cs1idmh10

「ダメだダメだ、今はこいつだけに集中するんだ…… ほら、お前の好きな人妻モノ
じゃないかっ、余計なことを考えるな!」
女は益々喘ぎだし、先ほどより一層腰やら上半身をくねくねビクビクと動かしている。
ええと、集中しろ、とにかく集中だ。うん、手マンの後は…このまま挿入だ、うんうん、
ほら見ろ入るぞ。
ん?なんだ貧相なチ●ポだな …ク/ラ/ウ/ザーさんのに比べればなめこサイズじゃねえか。
ク/ラ/ウ/ザーさんならもっと超魔界級のデスペニスで女を裂く勢いで犯すんだぜ………
じゃない、じゃない!、っAVに集中……集中、ほらバックでパンパンやってるぞ、
なんだ情けない腰使いだな、ク/ラ/ウ/ザーさんならもっと、俺みたいなゴツい男ですら
簡単に組伏せて、俺を後ろから強引に突いて……あ、ヤバいイきそう…後ろから能天まで
突き抜けるようなぶっといデスペニスで俺の体をかき回して……俺が気絶しても超絶倫に
犯し続け…………
216葛藤 2/4:2008/03/29(土) 23:20:20 ID:Cs1idmh10
****すみません、2と3をあげる順番を間違えました****

「今日こそは……絶対に…絶対に……」
―――しかしその残酷な現象は、ほぼ毎週のようにやってくる。
俺はフフンと咳払いして、大半の人が早送りするであろう冒頭部分を、いまだ
真剣に凝視していた。ただし凝視しているだけ。
画面には女子高生が映っているが、俺の頭には何も入ってこなかった。
「今日こそは、ク/ラ/ウ/ザーさんで、…む、むすむす、むせ………なんかしないよ
うに………………」
気合いで呟いたつもりなのに、“ク/ラ/ウ/ザーさんで夢精”なんて自分で言葉を
放った瞬間、頭に着火したかと思うぐらい、顔がブワアッと赤くなる。
“ク/ラ/ウ/ザーさん”を意識した途端、画面に漸く写りだした下着姿の女性なんか、
本当にどうでもよくなってしまうから半ばパニックになりかけた。
またヤブ蛇になってしまいそうなことに混乱しながら、すかさず残っていた理性
を総動員して、「いかんいかん」と両頬をバッチンとはたき、ぶるぶるぶると
勢いよく首を振り、目をカッと見開き、画面の女性に集中する。
『ふぅ………あア………ッん、』
ブラウン管では、かん高い声を発しながら、女性がビクビクと肩を震わせていた。
彼女は男に乳首を舐め回されていて、それがたまらないのか、気持ち良さそうに
上半身をくねらせている。
「しゅ、集中……!」
もう下はパンツだけだし、ティッシュだって側にある。準備万端、いつでも発射OKだ。
『ああ………あア………ん』
女性は先ほどよりいっそう腰をくねらせている。
男優の指が女性の体内にズブズブと侵入していく。
いま流行りの薄消しというやつで、女性器の形が丸分かりだ。殆ど違法に近い。
「くう、汚いマ●コだな……、ク/ラ/ウ/ザーさんにやつざ……っじゃないじゃない!」
またもや変な方向に思考が飛んでしまいそうになったことに慌てて、首を縦に降ったり横に降ったり。
217葛藤 4/4:2008/03/29(土) 23:22:01 ID:Cs1idmh10
「うわああああああっっ」
我に返って絶叫した。いかんっ、また危うくク/ラ/ウ/ザーさんをオカズに抜いてしまうとこだった……!
なんということだ!なんと恐れ多いことを!
俺は半ば自分に絶望しつつ、頭を抱えた。
柔らかい体を駆使して、ガンガンと頭を畳に叩きつける。
画面では、アンアンパンパン元気に宜しくやっている。
しかしもう性欲は一気に萎えた。それどころじゃない。
危うく俺は大罪を犯すところだったのだから…!

ク/ラ/ウ/ザーさんをオカズにするという大罪を……!!


結局、抜かないままオナニーを終えたのだった。
そしてそのまま意気消沈して眠り、案の定。

一週間出さないでいた為に、危惧していたことが起こるのだった。
「あ……あん………ク/ラ/ウ/ザーさん………」
妄想の続きを夢で見てしまい、夢精。
次の日、また俺は罪悪感で死にたい気分いっぱいに一日を過ごさなければならなくなるのだった。
218葛藤:2008/03/29(土) 23:22:51 ID:Cs1idmh10

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


すごい緊張しすぎて2と3を間違えてしまいました。。
本当にすいません・・・

219風と木の名無しさん:2008/03/30(日) 00:09:43 ID:wIk9Tj+B0
>>205
裸夫ぁエロ、じゃない、ラファエルったら口説き上手
220風と木の名無しさん:2008/03/30(日) 00:55:47 ID:Drv3hIgkO
>>218
乙!最萌えのカプで最高に萌えた!
前回は赤いファンの夢かw
221風と木の名無しさん:2008/03/30(日) 01:58:37 ID:ZX+7p4boO
>>218
ありがとう!最新刊読んで胸をかかじる程に萌えてたカプだ!
222Thank you for loving it:2008/03/30(日) 15:05:05 ID:pi7QTT7pO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

※ナマ注意!!!※
某六角形クイズ番組のおバカさんでおなじみの恥×心→羞です。
>>186の心視点で、やっぱり悲恋。
223Thank you for loving it 1/4:2008/03/30(日) 15:06:12 ID:pi7QTT7pO
 なんだか肌寒くて目が覚めた。むくりと起き上がって窓の外を見たら、ぼんやりと明るくて、なんだか切ない気持ちになる。こんな感じのことをセンチメンタルっていうのかな?
 隣を見るとでかい身体を小さくして静かに寝ている直樹の姿。シングルベッドだからって気を使って、いつも直樹は小さくなって俺の場所を作ってくれた。
 何回下で寝るからいいよって言ったっけ……。その度に「だめです! 近くにいたいんです。ゆうにぃの側にいたいんです……」なんて言って抱きついてくる直樹が可愛かった。愛してるって、身体全体を使って表現してくれて、嬉しかった。
 だけど。

「――もう、限界、かな……」

 幸せそうに寝息をたてる直樹を一度見て、俺は立ち上がった。
 無造作に投げ捨てられた服を拾って、身につける。腰パンがズリ落ちないようにキュッとしめたベルトが、気持ちも引き締めてくれた気がした。

 適当な紙とペンを探して、テーブルに向かう。
 直樹が起きる前にここを出ないと、そう思ってペンを握ったけど、その思いを拒むかのようにインクが出てくれなかった。
224Thank you for loving it 2/4:2008/03/30(日) 15:07:16 ID:pi7QTT7pO
 直樹に押し倒されたあの日、俺ははじめて直樹の想いを知った。
 俺なんか好きになったって、仕方ないのに。男だし。お前みたいないい奴がむくわれない恋しちゃってんじゃねえよ……。自分もそうだから、無性に直樹が愛しく思えた。
 そして俺は、嫌がりながらも直樹の行為に流されてしまった。愛されてみたかった。その幸せを味わいたかった。
 あと、かわいそうな奴だな、そう思ったから。俺サイテー。でも、それはそっくりそのまま自分に返ってくる言葉でもあった。
 かわいそうな俺。かわいそうな直樹。
 俺たちはお互いに自分が哀しくなる方向へと歩んでいた。俺は元からむくわれない。直樹は俺さえよければ幸せになれる。
 ウソなんてつきたくなかった。だけど、ウソをついてでも直樹だけは幸せにしてやりたかった。お互い似たような恋をしていて、気持ちがわかってて。だったら俺は直樹を好きになる。『偽りの幸せ』そう言われたらおしまいだけど、それほどまでに俺たちは苦しかったんだ。
 俺と出会った人はみんな幸せになるんだぜ?直樹を幸せな気持ちにしてやって何が悪い。

 ――まじでサイテー。
225Thank you for loving it 3/4:2008/03/30(日) 15:08:59 ID:pi7QTT7pO
 その後も直樹は全力で俺を愛してくれた。俺の想いを知っていてもおかしくないはずなのに、いつもまっすぐでキラキラしていた。
 いつもマネージャーにはあんなにわがままなのに、俺にはわがままなんて一切言わない。“好き”に全力疾走している直樹がまぶしかった。
 だから時々見せる、あの切ない表情がたまらなく俺までもを切ない気持ちにさせた。

 幸せ?ううん。偽りの幸せ。むしろこれは――不幸だ。

 俺が直樹の前から姿を消したら、直樹はどう思うだろう。サイテーな奴だって思うかな?いや、きっと『ありがとう』とか言っちゃうんだろうな。
 俺は嫌になったから別れるんじゃないよ。これ以上一緒にいたら、直樹は幸せと苦しみを一緒に飼うことになる。そんなの、嫌だろ?

 やっとインクが出るペンを見つけてメッセージを書き終えた俺は、立ち上がって直樹の側に行った。
 ベッドの前にしゃがんで直樹の頭をなでる。

「俺……キャッチャーなのに、直樹の心を読みきれなかった。ごめんな……」



 そっと立ち上がり、もう二度と触ることのないドアを開けて、また同じように閉めた。
226Thank you for loving it 4/4:2008/03/30(日) 15:09:35 ID:pi7QTT7pO
 俺が直樹の心を読みきれなかった?俺はいつからウソばかりつくようになったんだろう。
 直樹の心なんか、すぐにわかる。だって直樹は俺と同じ想いをしている。
 もし俺が直樹だったら、こんなの哀しすぎるけど、仕方ないって思うだろう。もし直樹が俺だったら、こんな風に別れるだろう。

 雲のすき間から太陽が顔を出した。自然と俺を照らす。ウソつきな俺を。

「これでよかったのかなぁ……」

 返事をしてくれる奴なんか誰もいないのに、太陽に向かって問いかける。
 雲が風で流れていく。きっと本日は晴天なり。なのに、俺からはどしゃ降りのしょっぱい雨がとめどなく流れていた。
227Thank you for loving it:2008/03/30(日) 15:13:09 ID:pi7QTT7pO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

心の気持ちがあまり考えられなかったのですが、結局は恥と心がお互いの事をちゃんと話していればこうはならなかったのかな…という感じです。もし次書くときは幸せにしてあげたいです。ありがとうございました!
228風と木の名無しさん:2008/03/30(日) 23:28:20 ID:WRvHikVeO
>>227
切なすぎって萌えながら泣きました
心サイドも書いてもらって嬉しいです、おつでした!
229cute! 1/4:2008/03/30(日) 23:36:32 ID:T8XmU+Wf0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
※ナマ注意!!
ヱフワソ マ/レ─シ/アGP後のウィリ・ヌコ×カジキ。


最悪な週末だった。
こんな時もあるさ、今回の反省点を活かし、次のレ─スに向けての〒ストに集中しよう。
口に出すのは簡単だけど、そう簡単に気持ちは切り替えられない。
前回のあのレ─スで僕らはかなり盛り上ってたから、その落差も半端じゃなかった。
レ─ス後のミーティングを兼ねた食事もなんとなく雰囲気は重い。
努めてポジティブな振りをしていたけど、不完全燃焼なこの気持ちのやり場がどうしてもみつけられなくて、僕は少し早めに席を立った。

「じゃ、僕はこれで。みんなお疲れ様!」
軽く手を上げて挨拶をし、返って来る声に笑顔で答える。扉を後ろ手に閉め、我慢していたため息をつく。
数歩歩き出したところで
「二コ!」
背後から声をかけられて僕は足を止めた。
声をかけてきたのはチ─ムメイトの日本人だった。
「僕も部屋に戻るよ。ご一緒してもかまわないかな?」
こちらの返事も待たず、ずんずん歩いてきて僕の横に立つ。漆黒の瞳が僕を映して人懐こく細められる。
「あー疲れた!あんなハードなレ─スは久しぶりだよ。干からびて死ぬかと思った」
「…お疲れ」
のん気な力ズキの言葉に、どこかそっけない返事を返してしまう。
彼の事がキライなわけじゃないけど、同じテンションで会話をするには、僕は少しナーバスになっていた。
「二コも疲れたでしょ。…今日はもう、部屋で寝ちゃうの?」
「そのつもりだけど…」
力ズキはそう、とだけ言うと後は黙って僕の横を歩いた。
230cute! 2/4:2008/03/30(日) 23:37:33 ID:T8XmU+Wf0
力ズキは僕が知っているどの日本人よりも賢くて優しい。正しい『気の使い方』ってのを知っている。
今みたいに、僕がナーバスになっているのをすぐ気づいてくれるし、わざと明るく話しかけたりジョークを言ったりして元気付けよう、なんてつまらない事もしない。
ただ黙ってそこにいる。僕は純粋に、彼に好意を持った。

僕はレ─サ─の顔から一人の男の顔に戻って、力ズキに言った。
「良かったら僕の部屋で少し飲まない?明日はオフだしさ」
力ズキは驚いたような顔で僕を見た。
「いいの?」
「もちろん」
笑顔で答えると、力ズキはくしゃりと顔を和ませて大きく頷いた。
それを見た僕の心は何故か温かくなって、沈んでいた気持ちもふわりと浮き上がるような感覚を味わった。
ほんの少し年上であるはずの彼の嬉しそうな横顔が可愛く見えた…っていうのは、もちろん誰にも内緒だけど。


彼を部屋へと招きいれ、ハーフサイズのボトルを手渡す。
力ズキはそれを手に戸惑っていたようだけど、僕も同じボトルを開けてそのまま口をつけると力ズキも納得したように口をつけた。
ソファーに向かい合わせで座り、ある人のゴシップネタだとか、レ─スクイ─ンの下着がどうだとか、お互いにアルコールが身体を侵していくのを感じながら他愛もない話をした。
力ズキは見た目どおりというか、あまり酒に強いタチではないらしく、すぐに首まで赤くなって身体をふらつかせながらゲラゲラと笑いっぱなしだった。
231cute! 3/4:2008/03/30(日) 23:38:41 ID:T8XmU+Wf0
そのうち力ズキはコクリコクリとうたた寝を始め、僕は慌てて彼のそばに行って肩を揺すぶった。
「おい、力ズキ!寝るならベットに行ってからにしなよ!それともシャワーを浴びてくるかい?」

──ねむいよぉ…──

「?」
力ズキが何やら呟いたが、それが日本語だったので僕にはよく分からなかった。
でも初めて彼が日本語を話すのを聞いた僕は、その言葉の雰囲気が愛くるしくて、もっと聞いてみたくなって、そっと力ズキの耳元に唇を寄せた。
「力・ズ・キ…」
ビクリと力ズキの肩が揺れる。
ゆっくりと顔を上げた彼の潤んだ瞳が僕を映して、僕はだいぶ昔に覚えたあの日本語を呟いた。

「カ、ワ、イ、イ、ネ」

その言葉の意味は良く知らないけど、女性を喜ばせるという事だけは知っていた。
それを男である力ズキに言ってどうにかしようと思ったわけじゃない。でも何故か、酔っている力ズキを見たらどうしても言ってみたくなったんだ。

──二コだってかわいいよ──
消え入りそうな声で力ズキが答える。急に照れたように顔を伏せて、それから突然、僕の頬にキスをした。
「ッ……!?」
すごく驚いたけど!…驚いたけど、悪い気分じゃなかった。
だから僕は、猛烈な勢いで恥ずかしがっている力ズキを強引に捕まえて、今度は僕から力ズキの頬にキスをした。
232cute! 4/4:2008/03/30(日) 23:39:32 ID:T8XmU+Wf0
ああ、きっと僕らは酷く酔っている。
真っ赤な顔の力ズキと、やっぱり真っ赤になった僕は互いに目を合わせられず、身体の触れ合う箇所が熱を持っているのを感じながら不思議な時間を過ごした。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
スレの空気全然読めてなくてスマソ。
しかも文体が妙な翻訳みたいで更にスマソ。
233風と木の名無しさん:2008/03/31(月) 01:38:11 ID:NJxlhKwh0


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  今日観たショーの中のお話だってさ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 萌え滾るあまり形にしたくなったらしい。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ デモ ヒョウゲンリョクブソク…
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

234風と木の名無しさん:2008/03/31(月) 01:39:30 ID:NJxlhKwh0
自らの作品に命を吹き込むことのできる人形師がいた。
シルクハットにフロックコート、怪しげな仮面に精緻な彫刻の施されたステッキ。
甲高く靴音を響かせ、妙にゆっくりとした速度で闇の中を歩く。

ふと彼は左手に持っていたトランクを下ろし、丁寧に蓋を開けた。
どことも知れぬ薄暗い路地裏である。その中から取り出したのは六体のマネキン、
そして一体の操り人形。それは特に端正な姿をしている。
掌に乗るような大きさのそれらを並べて一瞥すると、男は闇の中へ歩き去った。

どこからともなく鐘の音が響き、月明かりが差し込む。人形たちが人の姿をとって踊り始めた。
しかし操り棒に紐で吊られて身動きが取れない操り人形は、仲間の楽しげな
姿を見つめるだけだった。椅子から立ち上がり、仲間に加わろうとしても、
自らを結わえる紐のためにごく制限された範囲でしか動くことができない。
235風と木の名無しさん:2008/03/31(月) 01:40:29 ID:NJxlhKwh0
磨き上げた硝子玉のような瞳で操り棒を見上げる人形に、マネキンの一体が
ふと気がついた。椅子に近づき、慣れない仕草で人形と紐をつなぐフックを
ひとつずつ外してやる。両手、両足、そして首。
自由になった人形は未だに信じられないような面持ちで椅子から立ちあがり、
踊りに加わった。雲間から漏れる月明かりを浴び、しなやかに動く手足。
その跳躍は誰よりも高く美しい。人形はマネキンの手をとり、感謝を伝えるように微笑んだ。

瞬間、雲が月を覆う。怯えたように動きを止める人形たち。
いつの間にやら姿を現した人形師は、操り人形本体のフックに紐を結わえ直した。
操り人形を解放したマネキンの本体を睨め付ける。男はそれを手に取り、球体間接を捻じ切り
真っ二つに折って石畳へと叩きつけるや、再び闇の中へと消えた。

操り人形は絶望に染まった瞳で倒れ付すマネキンを見つめる。手を伸ばすも、一定の
距離までしか届かない。彼は操り棒を見上げた。

――これさえ。これさえなければ、もっと近くに。

人形は自らの命に繋がる紐を引きちぎった。一歩、また一歩、ぎこちない動きでマネキンに近づく。
手が届いたその瞬間、人形はマネキンに折り重なるように倒れた。
236風と木の名無しさん:2008/03/31(月) 01:44:07 ID:NJxlhKwh0
人形師は五体のマネキンをトランクに入れると、操り人形を手に取った。
途端、ぷつり。か細い音と共に紐が切れ、人形は石畳へ崩れ落ちた。
男は冷ややかな目でそれを見下ろし、溜め息をつく。
シルクハットをかぶり直すと、甲高い足音を響かせながら、闇の中へ溶けていった。


 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |                あの世界観が再現できない・・・
 | |                | |           ∧_∧ お目汚し失礼しました
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
237風と木の名無しさん:2008/03/31(月) 02:00:30 ID:I3nm8LnL0
>>229
エフワソ知らんが萌えた
gjです
238風と木の名無しさん:2008/03/31(月) 19:46:17 ID:qOp57Vgr0
>>229
ヌコもカジキもかわえぇぇぇ!!!
そしてさらっと日本語で口説いちゃうヌコ色男だよヌコ!
GJでした!
239風と木の名無しさん:2008/03/31(月) 22:59:34 ID:LdkuEwah0


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 一応、二次で 弟×兄 
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ドマイナーな上、恥ずかしいからかなりぼかして書いてます
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

240『反吐』  弟×兄 1/3:2008/03/31(月) 23:03:10 ID:LdkuEwah0
吐き気がする
気持ち悪い
頭が痛い
嗚咽が止まらない
動かない体を無理に引きずって部屋から出た
早く逃げ出したい
早く忘れたい
部屋の薄暗さも 埃っぽさも 血の匂いも
細い長い指で触れられた感触も 耳にかかった生暖かい吐息も
ついさっき起こった事の全てを
忘れて、しまいたい


いつも通りだったはずだ
昨日と変わらない一日を今日も送るはずだったのに
なのに、何故そうなってくれなかったのか
悪い夢であってほしい
何かの冗談であってほしい
でもそれが真実である事は自分の体が一番よく知っている
体中に走る打擲の傷と、縄の跡
血の滲んだ手首
全身に及ぶ疲労感
下半身の鈍痛
脳裏に鮮明に焼き付いて離れない、あいつの顔
耳にこびりついて離れない、あいつの声
抵抗する俺をねじ伏せて好き勝手に蹂躙した挙句
「愛している」
なんてほざきやがった
いつもと変わらない優しい声、穏やかな笑み
忘れたい
忘れてしまいたい
思い出すだけで背筋が凍る
241『反吐』  弟×兄 2/3:2008/03/31(月) 23:04:59 ID:LdkuEwah0
震えが止まらない
動けない
俺にとってあいつは血を分けた弟だった
本当にそれだけで、大切な存在だった
ただ、それだけだったのに
何が奴をここまで駆り立てたのか
どこで俺とあいつは狂ってしまったのか……


「ここにいたのですか。探しましたよ」
「!?」
聞き覚えのあるその声にハッとして振り向くと、俺を苦しめた張本人がそこに立っていた。
「気がついたと思ったらすぐに飛び出してしまうから……もう少し余韻を楽しむ暇をくださいな」
済まなかったと詫びの一つもして見せるかと思ったが、これだ。
「よくもまぁぬけぬけと俺の前に顔を出せるな」
いつもと寸分変わらぬ、飄々とした奴の顔を見ていると、恐怖よりも先に怒りが込み上げてきた。
「失せろ。お前の顔は二度と見たくない」
「フフッそう悲しい事を言わないでください。私は兄者に何度でも会いたいと思っていますよ。
まぁこの狭い家の中じゃ、嫌でも顔を突き合わせなければ生活できませんが」
「……何のつもりだ」
「何がですが」
「貴様がさっき俺にした事が何なのか、分かっているのか」
「ええ」
奴はそう頷くと、俺の両腕を掴んで体を床に押し付けた。
「ひっ!」
情けない悲鳴が上がる。
「愛していると、あの時も言った筈です」
242『反吐』  弟×兄 3/3:2008/03/31(月) 23:06:15 ID:LdkuEwah0
奴はそのまま囁いた。温い息が耳元に掛る。
普段ならありえない程近い位置にある互いの顔。
思わずゾクリと身震いした。
「私の情夫になってくれませんか?兄者。私ならあなた以上に梁山泊を上手く治めてみせる」
「ほざけ!冗談も大概にっ……」
「嘘でも冗談でもありません。私はずっとあなたしか見えていなかった。本当はずっと胸の内にしまっておくつもりだったけれど、
でも限界です。好きなんです。もう抑えきれない」
そう言って、早く逃れようと暴れる俺の体を力ずくで抑え込んで唇を重ねてくる。
「うっ!?」
そのまま舌をきつく絡めて何度も口内を犯す。
それはほんの数秒の事なんだろうけれど、酸欠になりそうな程に長く、苦しく感じられた。
口元を汚す二人分の唾液も、生暖かいザラついた舌も気持ちが悪い。
突然、唇が離れ、呼吸が楽になる。
「ゼッ……ハッ……ァ」
肩で大きく息をして、涙目で奴を睨みつける。
「私を怨んでくれても憎んでくれても構いませんよ」
「……?」
目の前の男はそうポツリと呟いて口端に笑みを浮かべた。
「少なくともその時は、あなたは私のことしか考えられなくなるのだから」
「…………」
「愛していると言ってくれなくても構わない。それでも私は兄者が好きなんだ」
「さ……」
「だから、さ」
ギッ
体にかかる力が一層強くなり、手首に奴の爪が食い込む。衣類の下の肌に触られる。
「あなたには、私だけのものでいてほしいのです」
その顔はいつもと同じように穏やかな微笑みを浮かべていた。
ただ、その眼は狂気に満ちていた。
243風と木の名無しさん:2008/03/31(月) 23:12:17 ID:LdkuEwah0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お粗末さまでした
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

鬼畜美人な攻めとそれに苦しめられる虚勢張りな受けを妄想して書いたけれど玉砕しました。
244風と木の名無しさん:2008/03/31(月) 23:12:53 ID:Burw7vb00
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

※ナマ注意です!※
極寒の地にも春が来た王求団です。八・四壱・八な感じで。
日曜深夜ローカル番組での四壱発言がネタ元だったります。ネガ気味。スマソ
245八・四壱・八 1/3:2008/03/31(月) 23:14:19 ID:Burw7vb00
 事の後、折り重なったまま息を整える。休日前日だけの、つかの間の情事。

 彼の体温を心地よく感じながらも、いつもと違う様子に戸惑う。

 通常ならば、息が整った時点でさっさとシャワーを浴びに行ってしまうのに、今日はなかなかそうはせず、いつまでも俺の上に居る。いぶかしげに様子を伺うと顔も見ずに「なに」と言う。

 「どうしたの、何かあった?」
 「別に」
246八・四壱・八 2/3:2008/03/31(月) 23:16:40 ID:Burw7vb00
 Eリカ様か、と笑おうかと思ったが、あまり茶化すような雰囲気でもない。

 「本当に、どうしたのMック。」

 彼の柔らかい髪に指を絡め、くしゃくしゃとかき回してやると、嫌がって手を払おうとする。気にせずさらにくしゃくしゃにしてやると、観念したようにぼそっとつぶやいた。

 「こないだのテレビ……日曜の。」

 そう言われてもピンとこず黙っていると、拗ねたようにさらに続けた。

 「最後とか。あまり簡単に言って欲しくないんだけど。」

 ああ、と思い出す。

 「それ、他のヤツにも言われたよ。でも、言い直したでしょ?『残りのシーズン』って」
 「Mツ山さんの番組でも、なんか言ってたじゃん」

 なんでそうやって言葉尻を捉えるの、と笑ってやるけれど納得した様子を見せない。そんな彼が可愛くて、ちょっと意地悪な事を言ってみる。

 「まあ、俺ももういい年だしね。いつ最後の年になってもおかしくないでしょ?」
247八・四壱・八 3/3:2008/03/31(月) 23:19:33 ID:Burw7vb00
 一瞬、彼の身体が硬くなるのを感じる。

 「Yキオさんだって、40までやったんだから。Aツさんだってできますよ。」

 彼は、ぱっと見は冷静で群れなさないようだが、実はかなり人恋しいタイプではないかと思う。だからこそ、こんな関係が成り立っているのだろう。
 しかし、正直な事を言えば声をかけてもらえるのならメジャーだって挑戦はしてみたい。それに、言葉に出したとおりいつ何が起こるかだって分からない。それは自分だけではなく、スポーツ選手であれば誰にでも起こることだ。

 だけど、それ以上の事は言わなかった。そして、普段に無くしおらしい所を見せている彼が安心するように、こう言ったのだ。

 「大丈夫、俺はチームの事しか考えてないから。」

 その言葉を聞いて納得したのかしないのかは分からなかったが、彼はわずかに頷いた。そして、初めて俺の方に顔を向けた彼は、ゆっくり俺に口づけた。

 「……。いいですか?」

 俺は、ちょっと飽きれたようにわざとらしくため息をつくと、答えの代わりに彼の身体に手を回した。
248八・四壱・八:2008/03/31(月) 23:20:46 ID:Burw7vb00
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

なんか女々しくなってスンマせん…orz
249風と木の名無しさん:2008/04/01(火) 04:05:25 ID:1y491AOf0
                ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < 下町 ボケ×ツッコミ寄り
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < 関西弁おかしいです
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 普通に小説を書いてからボケの名前→『相方』
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!   突っ込みの名前→『自分』、コンビ名→『このコンビ』
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|   に変換したんで一部不自然です
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
250下町1/3:2008/04/01(火) 04:05:52 ID:1y491AOf0
「なんやねんその格好」
「・・・服貸せ、服」
相方が文字通り身包み剥がされた状態で自分のマンションを訪れたのは真夜中すぎ。
「口紅ついとるで」
「ちっ」
「嘘や嘘」
「・・・アホ」
それで大方察しは付いた。最近道頓堀界隈で噂になっている美人局。小心で慎重なくせして下半身はいい加減なこいつが引っかかったなんて、あまりにもらしすぎると思わずにやけると、相方は不機嫌に「ネタ合わせに来たんや」と言い捨てる。
「どこの世界に裸でネタ合わせするコンビがおるんや」
「グローバルスタンダードやねんて」
「なに言うとんねん」
雑誌を捲りながらも、それなりに突っ込めてしまっているのはもはや職業病。一方相方は勝手に自分の部屋の箪笥を漁り、トレーナーとトレパンを見繕っていた。
251下町2/3:2008/04/01(火) 04:06:19 ID:1y491AOf0
「金貸せ」
「トイチな」
「何でやねん・・・って言うかお前3千円貸したやろ昔。それ今返せ」
「はあ!?何言うとんねん?」
「忘れたん!?うわ〜マジ引くわあ」
「借りてへん、借りてへん」
「お前な・・・ええか!?アレは高2のとき・・・」
きゃんきゃん喚く相方を適当にいなしながら、そういえばこうやって二人きりで話すのは久しぶりだとたそがれる。
デビューしたての頃は仕事がなくて、学生時代の友達はみんな働いたり学校に行ったりで、だからものすごくふたりだった。
ただ、相方が面白いということ、それを自分が理解していること、それだけがすべてだった。
すべてが一変したのは2丁目劇場ができてから。
女子中高生に注目されて、連日連夜アイドル並みに騒がれて、テレビのレギュラーが増えて、観客はみんな自分たちを見に押しかけた。それはただ、自分たちを見るためだけの観客だった。
このままでいいはずがないと言うことは、すぐに気付いた。面白いから。このコンビは、相方は、相方を生かす自分は、アイドル芸人で終わってしまうはずがないくらい面白いのだから。多分、世界一。自分が認識する上で最高の笑いが、常に存在し続けていた。
だから、もっと、理解させなければならない。それが自分の仕事なのだから。それを引き出し、理解させ、膨らませるために、自分は生まれてきたのかもしれない。相方のためだけに。
252下町3/3:2008/04/01(火) 04:06:41 ID:1y491AOf0
「ほら、タクシーチケットあるから帰り」
「・・・鍵もないねん」
「どうするん」
「マネージャーに預けてるから、朝イチで持ってこさせる」
明日のスケジュールを思い出す。午前中はオフ。ということは、相方もそうだ。
一緒なのだから。常にふたりは一緒で、それはもはや、同一なのかもしれない。自分は相方の笑いの最大の表現者ですらあるのだから。
だから、と気に相方異常に早く、相方の結論に到達する。
「東京、行くで」
刹那、相方が自分を見た。
相方も知っている。きっと、自分と同じくらいに。ふたりがこのコンビであるということを。どちらかの意志は、どちらの意思でもあるという事を。
「自分がいいって言うんなら、行くわ」
「なんやそれ」
気恥ずかしくて笑ってしまうと、相方も笑った。これは世界一面白いことだけど、きっと、世界中の誰にも理解できないのだろう。
「口でしてくれたら行くわ」
「アホ言いな」
「アホちゃうわ」
冗談みたいに言われた言葉。
「してくれへんの?まっちゃんしそびれたんやで〜」
それがどのくらい冗談じゃないということを。
そしてその答えに、おそらく相方は自分より早く到達しているのだろう。
253風と木の名無しさん:2008/04/01(火) 04:07:12 ID:1y491AOf0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < 豪華で言ってた
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < 美人局のエピソードって
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 大阪時代でしたっけ?
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
254風と木の名無しさん:2008/04/01(火) 15:43:51 ID:kMETrV4A0
>>239
文庫毎月刊行、今月最終刊の小説で妄想してしまって、
腐とは切り離してたはずなのに、不覚にも萌えた
GJでした
255風と木の名無しさん:2008/04/01(火) 20:41:47 ID:XgRSbqpdO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

某カロイド
カイト→マスターの恋人というアウトっぽい話
2561/4:2008/04/01(火) 20:42:25 ID:XgRSbqpdO
 俺と預かりものに嘘を吐き、大切な人は逝ってしまった。
「マスターから、連絡ありましたか?」
 仕事から帰り、着替えを済ませると、アイツからの預かりもの──カイト──が俺に声をかけた。
「……いや、無いよ」
 郵便物を確認するふりをして、カイトに笑顔を向ける。
「そうですか」
 明らかに残念そうな表情で、カイトはため息を吐いた。
「まだ一年じゃねぇか、アイツも忙しいんだろ」
 海外に長期出張だなんて嘘を吐いて、俺の恋人は病院へ行った。苦しむ姿は見せたくないからと、俺とカイトの前からいなくなったのだ。
 それから半年後、アイツが死んだと知らされて、俺は一日家を空けた。次の日帰ると、カイトは寝ずに待っていたらしく白い顔で迎えられ、少し後悔した。
 アイツから預かった大事なボーカロイド。
「歌いたいなぁ」
 カイトが呟いたその言葉に、俺はパソコンを起動させる。アイツから預かったものはカイトだけじゃなく、アイツがカイトに作った曲全て。
2572/4:2008/04/01(火) 20:43:12 ID:XgRSbqpdO
「歌ってみろよ、聞きたい」
 適当に曲を選んで再生させてやると、カイトは嬉しそうに微笑み、背筋を伸ばし、そっと目を閉じる。
「    」
 柔らかいメロディーと、少し高くて透明感のある声が綺麗で、俺は聞き惚れる。アイツらしい、少し夢見がちな歌詞も手伝って、昔を思い出してしまった。
「……なんで、泣いてるんですか?」
 気付くと頬に涙が伝っていた。溢れ出す気持ちを止められなくて、俺は思わず顔を両手で覆い隠す。
「──」
 名前を呼ばれ、その声の近さに驚いて顔を上げると、困ったような、泣きそうな、そんな表情をしたカイトが目の前に居て、俺の涙を指で拭ってくれた。
「あなたは、マスターの大事な人です。だから僕にとっても大事な人です。あなたはマスターと一緒にいるとずっと笑顔だったのに、僕がそばにいたら、辛いですか? 僕がいたら、悲しいですか?」
 カイトが俺の両頬を包み、唇にキスされる。アイツみたいに、俺を慰めた。
2583/4:2008/04/01(火) 20:44:15 ID:XgRSbqpdO
「……僕じゃ、ダメですか?」
 頬にあてられたままの手に、俺の手を重ねる。どんな意味で言っているのか、カイトの考えが幼稚なものならば、俺は笑ってこの手にキスをしよう。
 もしも、恋人の真似事をしたいという意味ならば、俺は……どうしたらいいのだろうか。
「カイト、俺とアイツの関係って、わかるか?」
 青い瞳が揺れる。眉が寄り、綺麗な唇がへの字に歪んだ。
 頬から手のひらが離れ、俺はカイトの指を掴んだ。
「恋人だと聞きました」
「わかって、聞いたのか?」
 そのまま、カイトは俯く。
「好きなんです、あなたが」
 掴んでいた指先が、俺の指に絡んで離れない。
「マスターは……もう帰って来ないのでしょう?」
 その言葉に、いつから、とか、なぜ騙されたふりをしていたのか、とか、聞きたかったけどそれは後にして。
「……うん、もう会えない」
 カイトはしばらく黙って、ゆっくりと俺に抱きついてきた。
2594/4:2008/04/01(火) 20:45:53 ID:XgRSbqpdO
「マスターは、僕の気持ちを知っていました。僕があなたに好意を持っている事、知っていてあなたに託したんです」
 騙されていたのは、俺の方だったのだと、その時気付いた。
 カイトの温もりと、思い出にあるアイツの温もりが重なる。アイツが育てたボーカロイドなんだ、アイツの分身みたいなカイトが、アイツみたいに俺に惚れるなんて、おかしくは無いのかもしれない。
「なぁ、カイト……俺はまだ、アイツが好きだよ。アイツ以外考えられないくらい」
 離れそうになる体に腕をまわし、言葉を続ける。
「でもアイツはもういない。いない人間を想うのって、辛いけど……忘れる事はしたくない。だから、待ってくれないか? 俺がアイツと別れられる日まで」
 肩にあるカイトの頭が頷いた。
「待ちます、ずっと、ずっと……」
 強く抱きしめられると、なぜだかまた涙が出てきて、そのままカイトの腕の中で泣かせてもらった。
 うそつきな恋人が残したものは、目に見えないものばかりで、俺はその大きさを把握してないけど、いつかその向こう側に行けると信じて生きていく。
260風と木の名無しさん:2008/04/01(火) 20:48:24 ID:XgRSbqpdO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

やっぱりアウトかな?w
261糸色望 木野×久藤:2008/04/01(火) 21:53:08 ID:Nxsr/UXHO
さよなら糸色望先生より、負けず嫌い図書委員×本好き。
クド受というマイナーにどはまりした。サイトあるかな…


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )初携帯からで、投下下手だったらゴメソ!
262糸色望 木野×久藤1:2008/04/01(火) 21:54:18 ID:Nxsr/UXHO
 一体どんな言葉を尽くしたら、

「上に乗れよ」
「え?」
「上に乗って動けって言ってんの」

 僕たちのこの思いは交わるのだろう。


――no way to say.


「、っん」

 息苦しい体で無理矢理体勢を入れ替えた。しかし彼の望む形を果たして、待っていたのは思いがけないほどの快感で。

「重くない?」
「別に、ヘーキ。…どうよ?」
「…ゾクゾクする」

 いつもの箇所に自然と彼の当たる感触。もっと、と思うまでもなく腰を振っていた。

「っぁ、あぁっ、あっ」
「…っ…久藤」

 どうしよう、声が。
263糸色望 木野×久藤2:2008/04/01(火) 21:55:50 ID:Nxsr/UXHO
 奥にスイッチでもあるように、リズミカルに口から飛び出すのを抑えられない。
 予想外なことはしたくないのに。木野が思っていた「久藤准」の枠から出たくなどないのに、全く。

「やぁ、あ、木野、きのっ」

 気持ちいい。キモチイイよ、木野。木野――
 こうすれば木野ももっと喜んでくれるだろうか?
 これで木野の言葉通りになっているだろうか。
 語りかけたいことも、問いかけたいことも沢山あるのに、喉は甲高い嬌声で埋まってしまっている。

「ぁん、あっあ」
「っ…そんな動くな」
264糸色望 木野×久藤3:2008/04/01(火) 21:56:17 ID:Nxsr/UXHO
 不意に腰を掴んで止められ、理由がわからず不安のこもった目をうっかり下に向けてしまった。
薄い青のシーツの中に、普段きっちりセットしているだろう木野の髪がばらばらに乱れている。
順調に高まっていた快楽も急に途絶えて、はしたなくも彼の抑えの下で蠢きそうになる下肢。

「そんなんされたら、持たねえ」
「…いいよ、中でいって」
「ふざけんな」

 反動をつけて木野の上体がはね上がってきた。苦もなくそんなことのできる腹筋が僕の腹部に沿わされ、
ごく間近にその顔があるのを認めたと同時に、低い声で囁かれれば背筋が粟立つ。
265糸色望 木野×久藤4:2008/04/01(火) 21:59:38 ID:Nxsr/UXHO
「もっと楽しませろよ」

 ああ。
 その声が好きだ。
 僕をいいようにするその指先も。僕を支配したくてしょうがないくせにその実いつも切羽詰まっている
その目も。僕の目をまっすぐに見れずに伏せられた睫毛の長さも。
 ああ、木野が好きだ。
 木野のことが。
 とても口には出せないけれど。

「やっ、」

 一瞬強く唇を吸われて、直後に反対側に押し倒される。短く声が漏れてしまったのは弾みで中が擦れたためで、衝撃はない。
266糸色望 木野×久藤5:2008/04/01(火) 22:00:51 ID:Nxsr/UXHO
柔らかいベッドの上でさえ、上手に回されていた腕によって背中が守られて
いたのに気づき、嬉しかった。が、木野の上で、その体を挟んで正座していた両腿の前面の筋肉が
急に目一杯伸び、慌てて膝を折る。

「どこで…」
「え?」

 降ってくる掠れ声に問い返すと、はっきりした声で言い直された。ああもう

「どこで、ああいう動き方とか覚えてくるわけ?」

 冗談めかすことに完全に失敗しているのに、彼自身は気づいているのだろうか。
 どうしてそんなこと言うんだろう。
 心中問いかけてはみるけど答えは随分前に見つけてしまっているんだ。

「木野は、さ…」

 覆い被さってくる彼の、少し汗ばんだ顔から目を逸らす。
267糸色望 木野×久藤6:2008/04/01(火) 22:02:33 ID:Nxsr/UXHO
 木野が好きだ。全身で僕にぶつけてくるその温度も、
 苛立つくらいに分かりやすい気持ちも。

「どうしてそんなに僕のことが好きなの?」
「なっ…」

 耳まで真っ赤になった木野の顔を見て、こういうのを逆上と言うのかなと思った。小説ではよく
見るけどあまり実際にはお目にかかることはないし、自分が逆上したことも多分ない。
 手首を乱暴に掴まれた痛みで思考が中断した。
 痛い。痕になりそうだ。

「痛いよ…」
「誰がお前のことなんか!」
「そ、」

 そう?と訊こうとして、中を突き上げられたのに声が詰まった。
 木野は僕の弱点を正確に突いてくる。多分把握してしまったのではなく、僕たちは自然とそうなるんだ。
どちらがどちらに合わせたのでもなく、そういうふうにきっと生まれついた。僕は木野しか知らないけれど、
きっとそうなのだと何となく思っている。
268糸色望 木野×久藤7:2008/04/01(火) 22:08:20 ID:Nxsr/UXHO
「僕をっ、好きな木野なんて、大嫌いだ…っ」

 僕をそんなに深く愛するから、
 木野は僕の全てが信じられないんだよね。

 僕はどこにも行かない。
 僕は木野しか知らない。
 知らないままでいい。
 木野にもっと要求されたい。
 木野が望むならどんなひどいことでも大抵は聞いてしまうだろう。
 でもそんなこと、僕は言葉にしない。
 言葉を紡げば紡ぐほど、疑われてしまうのを知っている。木野のために物語を作れば作るほど、最後は彼を憤らせてしまうように。

 もっと僕を欲して。
 木野の言う通りにしたい。喜ばせたいんだ。
 でも僕をそんなに求めないで。
 これ以上求めすぎて僕を拒まないで。
269糸色望 木野×久藤8:2008/04/01(火) 22:09:06 ID:Nxsr/UXHO
 木野は切れ長の目をまん丸にして僕を見下ろした。

「…ほんとか?」
「…うん」
「久藤、」
「苛々するよ、木野」

 できるだけ優しく、にっこり笑ってみせた。下半身の感覚が邪魔をしたが、概ね上手くいったろう。
 木野は僕を好きすぎて、僕を疑うことで僕の気持ちから逃げている。
 それが勘にさわる僕も、多分木野を好きすぎるんだ。

「…久藤、好きって、何なんだよ」
「中学生みたいだね、木野」
270糸色望 木野×久藤9:2008/04/01(火) 22:09:47 ID:Nxsr/UXHO
 またからかってみたつもりだったのだけど、今度は木野は逆上しなかった。
 ただ、僕をぎゅっと抱き締めて、存分に体温と匂いを感じあってから、信じられないくらい柔らかい愛撫をくれた。

「久藤…俺は、俺がお前にこうゆうことするのは、」

 胸の突起を舌でまさぐりながら、木野は戸惑いがちな言葉を発する。十分予想可能な、それでいて手に入らない言葉。
木野も僕が既に予想済みなのに気づいていて、でもだからこそ言えない言葉。
 ほんの僅かな期待は案の定裏切られ、木野は最後まで言わず、誤魔化すように突起をつねった。
僕はそれに反応して鳴くだけ。それでいいんだ、お互いに確信犯なただの駆け引き。
 でも今日は、せっかく木野が勇気を出してくれたから、僕が代わりに続きを言おうか。
 だって言葉でだけは僕の方が上でしょう。


「木野、好きだよ」


271糸色望 木野×久藤10:2008/04/01(火) 22:10:40 ID:Nxsr/UXHO
 顔を上げた木野は、時間が止まったような表情をしていた。
 分け目が乱れて覆い被さる長い彼の前髪をそっとかき分け、続ける。

「好きだよ。木野にも、もっと好かれたいと思ってる」

 額から頬に辿り着いた僕の指が、木野の手のひらに抱き止められる。
 だからそんなに、分かりやすく感動しないでよ。
 でも今回はちょっと嬉しいかな。

「お前、さっき言ってたのと」
「うん?」
「…や、いいけどさ、別に」

 頬に寄せられる唇に気恥ずかしい思いをし、紛らすために「信じる?」と訊いた。

 木野の答えはなかった。
 ただ答えに困ったことを何より雄弁に語る口づけ。

「いいよ、…しよ」

 思わず出た溜め息は諦めじゃない。
 彼は言葉が苦手だ。けれどそれは僕だって実は同じこと。

 僕たちにできるのは狂ったように呆けたように体を重ねることだけで、それを僕たち二人はよく分かっているだけだ。
272糸色望 木野×久藤おわり:2008/04/01(火) 22:13:41 ID:Nxsr/UXHO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )ムダニ ナガイ!



やってるだけです、という注意書を入れればよかったと今気づく。
好き好き言っててアホみたいな本屋達ですみません。反省は後でする。
273風と木の名無しさん:2008/04/02(水) 01:42:06 ID:wW6HUqNvO
型月と成田のエイプリルフール企画便乗三次創作。
4/1には間に合わなかった。許してくれ

|>START
274風と木の名無しさん:2008/04/02(水) 01:47:49 ID:wW6HUqNvO
21世紀、アメリカで起こったそれは、確かに一つの奇跡であった。
間違いだらけの悲劇、スノーの災厄、第6次、第5.5次、――
あるいは、単に『フェイク』と呼ばれることになる聖杯戦争。真なる
術式を持たぬイレギュラーだらけの贋作――それを考慮した上でも、
この聖杯戦争自体の破壊を望む参加者の多さは異常と言える。
異常なサーヴァント、異常なマスター、全てのマスターに浮かぶ
鎖を象った令呪。それらの真の意味が明かされる時――都市と、
人と、ヒトならぬモノたちの、壮絶な消滅が――始まる。

「娘。我は――この地を灼くぞ」

怒れる英雄王、

「らいだーさん、わたし、ゆめをみたのよ。おおかみさんと、
きれいなひとのゆめ……あのひとはだあれ?」

眠れる少女、

そして――この場を用意した一団と、物語を書き上げ見届けるべく
マスターの制御を離れはじめるキャスター。

彼らはそれぞれに真実と会逅し――物語は幕切れへと突き進む。

「我の寛大に泣き叫ぶがよい。本来の法に照らすなら彼奴らの不遜、
億の億倍の死をもってしても償えぬ」
「仮にも雑種がこともあろうに我が唯一の友に軛をかけ――雑役に
服する奴隷へと堕とそうとはな!」


275風と木の名無しさん:2008/04/02(水) 01:50:35 ID:wW6HUqNvO

――悲しまないでくれ、我が友よ。少なくとも今回は永遠の別離
ではない。英霊の位にある限り、僕らは二度目の再会を繰り返す
ことができる――
――かつてあった――あるいは、これからあるかもしれない全ての
有り得た聖杯戦争で、僕は君と巡り会うことができる。君はもう
孤独ではない。僕はもう泣かなくて済みそうだ――
――ああ、なんてことだ。君らしくもない。これではあの時と
あべこべじゃあないか――
――また会おう、我が唯一の友よ。遥かな未来、もしくは悠久の
過去で、共に巡り逢おうではないか――
――またいつか、どこかの聖杯戦争で。

Fake/hollow apocrypha
発売は未定です!

276風と木の名無しさん:2008/04/02(水) 01:53:57 ID:wW6HUqNvO
□STOP

時間がなくて練りが甘い。通し番号忘れてすまんかった。

277風と木の名無しさん:2008/04/02(水) 02:02:54 ID:Mc+Cs4aW0
>>244
しおらしい8が噴くどころか色気ムンムンでたまらん!!!
最近この二人の親密度が高くなっててひとり萌えてたので読めて幸せでした!GJ!
278風と木の名無しさん:2008/04/02(水) 08:15:23 ID:n8B7CJtH0
>>261
准ク受ktkr!とってもみなぎりました
テラGJ!
279風と木の名無しさん:2008/04/02(水) 09:12:07 ID:CtV+Anz+0
>>244
感謝感激!今調子悪いので書いてもらえてうれしい、またお願いします!
280風と木の名無しさん:2008/04/02(水) 21:15:57 ID:it5Gwk7V0
>>249

下町ktkr!!!ありがとう!!!
あの二人はほんとニコイチ感がたまらん。
281風と木の名無しさん:2008/04/03(木) 16:53:46 ID:sU6uPI320
>>256
自分的にはセフセフw 良かったよ!
282風と木の名無しさん:2008/04/03(木) 21:44:06 ID:FV/sVAwHO
>>255
セフセフ!むしろGJ!カイトにすっごい萌えた!!

>>261
まさかここで准受を目にするなんて!!GJでした!
283青の策略:2008/04/04(金) 00:22:31 ID:fsrRALLh0
はるか昔にあったウルトラマンガイアというものの藤宮が我夢を篭絡するお話です。
知ってる人が多いか不安ですが、序章を投下します。時間が無いので、

では|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )
284青の策略1:2008/04/04(金) 00:23:47 ID:fsrRALLh0
「ハァ…ハァ….ああっ」
ベッドの上で1人の男が悶え続けていた。男の名は高山我夢
「ああっ…んんっ」
XIGの隊員であるはずの我夢が何故こんな事になっているのか、
話は2時間ほど前にさかのぼる。

我夢は藤宮と対峙していた
その時怪獣ゲシェンク出現の報を受け、現場に向かおうとした瞬間に
藤宮に腹を殴られ意識を失ってしまった。
気付けばトランクス以外を脱がされ後ろ手を縛られベッドの上だった。

「藤宮!いったい何のつもりだ!」
我夢は不利な状況をもいとわず叫んだ。
「何のつもり?君の意識を変えるためさ」
藤宮はあっさりと言ってのけた。
「こんな事をして僕が気持ちを変えるとでも思ってるのか!」
「僕は君が口で僕の信念を理解してくれると思っていた。だがそれは間違いだったようだ。
しかし暴力に訴えても君の意識は変わらないだろう。
だから君に自発的に意識を変えてもらうことにした。」
そして藤宮はポケットから注射器を取り出してかざして見せた。
「これが何だか分かるか?これは中枢神経に直接訴えて人間の生殖機能を通常の数倍に活性化させる。
いわゆる媚薬のようなものさ、そこらの媚薬とは比べ物にならない位の効果がある。
女でも…そして男でもそれは変わらない。」
藤宮は得意げに語って見せた。
285青の策略2:2008/04/04(金) 00:24:32 ID:fsrRALLh0
「な…に?」
我夢は愕然とした。媚薬…?我夢だって男である。そういう系の雑誌は見る。
だがあまりそんな異性との関係に縁が無かった我夢はそんな物はそっち側の世界のもので、自分には全く関係ないと考えていた。それが今自分の目の前にある。
「そ・・・そんなものを使ってもっ」
「それは使って見れば分かるさ、」
藤宮は我夢の腕に注射器を差し込み始めた。
「やっ、やめろ!」
しかしそんな抵抗空しく薬品は我夢の体の中に入り込んでいった。
「効果は暫くすればあらわれる。二時間後にまた会おう。我夢。」
藤宮が立ち去ってから暫くしてその薬の効果は顕著に表れだした。
「ううっ、体が・・・」
体が・・・熱い。我夢は今まで感じた事の無い感覚に襲われだした。
体中の血が性感帯に集まりだしていくような、そんな感覚に、
286青の策略3:2008/04/04(金) 00:29:28 ID:fsrRALLh0
「ううっ、体が・・・」
体が・・・熱い。我夢は今まで感じた事の無い感覚に襲われだした。
体中の血が性感帯に集まりだしていくような、そんな感覚に、
「っぁ、あぁっ、あっ」
我夢は次第に体をよじり喘ぎ声を上げ始めるとそれに比例するように我夢のものや乳首が立ち始めた。
「はああっ、ああっ、ああああっ」
ついに薬の効果が本格的に現れだした。
我夢は快感の濁流に飲まれ始めた。体を動かして逃れようとするが
足と腕を縛られていては動ける範囲は少ない。
それどころか体を動かすたびに、体が布に触れるたびに快感が襲ってくる。
今まで異性との経験が無い。いわゆる童貞だった我夢には初めての刺激だった
「ああっ、ハァアアアアッ、ふうううん」
我夢の体は汗ばみ始めていた。ウルトラマンになって以降運動神経の無さは改善され始め
体つきも自然によくなっていった。その体が快感に震えている。
「はあっ、ああっ、」
だがそれも単独でイクには僅かに足りなかった。
(こんな状態が続いたらっ・・・僕は・・・)
こんな状態が永遠に続くかと思われたとき、部屋のドアが空き、この事件の元凶が表れた。
「藤宮ぁ」
「随分気に入ってもらえたようだな、我夢」
藤宮は不気味な笑みを浮かべながらその場に立っていた。
287青の策略:2008/04/04(金) 00:30:20 ID:fsrRALLh0
なんか読みづらかった気がするけどキニシナイ、
続きは明日ということで、
288風と木の名無しさん:2008/04/04(金) 20:44:41 ID:kN66TEu90
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

>>283では無いが他の人に分かりづらそうだから貼っとく
289青の策略:2008/04/05(土) 02:02:18 ID:gZfsy5mV0
続き投下します。>>288氏ありがとうございました。

では|>REPLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )
290青の策略4:2008/04/05(土) 02:02:48 ID:gZfsy5mV0
「我夢、君にひとつ教えておこう。ゲシェンクは君がそうやってベッドの上で
喘いでいる間に周辺を破壊し尽くして地下に去って行った。」
藤宮は我夢の羞恥心を煽ろうとする

「次に奴が現れたときには君にも手伝ってもらうよ、我夢」
「ハァハァ…、な、何度言ったら分かるんだ…、ぼ、僕は…こんな事には屈しない!」
我夢は喘ぎながらも必死に言葉をつむいだ。しかし
「ほう、これでもかな?」
クイッ
言うと同時に藤宮は我夢の乳首を摘み上げた
「ふわあああああっ」
今までをはるかに越える快感、その快感の前に我夢の反抗は無力だった
「あははは、我夢、口では反抗していても体は素直だなあ」
「うううっ」
我夢はいい知れぬ屈辱感に包まれていた。感じたくなんかないのに体が言う事を聞いてくれない。
自分の体が自分の体じゃないような錯覚を受ける
その様子を藤宮は満足げに眺め、そして自身も服を脱ぎ始めた。
「我夢、悪いが僕にはあまり時間がない。早めに堕とさせて貰う」
「何をするんだ!やっ、やめろおおっ」
291青の策略5:2008/04/05(土) 02:03:41 ID:gZfsy5mV0
「や・・・やめろお・・・ふううう」
ヌルヌルヌル
「ハァハァ…ああああっ」
サラサラ・・・ クイッ
「はあああ、はひぃっ・・あ・・あっあっ・・・」
藤宮は身動きできない我夢に絡みつくように全身を愛撫した。
乳首や股間だけではなく脇腹、耳、首筋、足の裏、我夢のありとあらゆる敏感な部位を
ローションを使って巧みに攻め立てた。
乳首をつまみトランクスの中に進入しあそこをしこる。首筋などを舐め攻める
「我夢、気持ち良いだろう…」
「ぼっ、僕は・・・ひゃっ、気持ちよくなんか・・・はああああん」
最早我夢は口ですらまともな反抗が出来ない所まで追い込まれていた。
もうすぐだ。もうすぐで堕とせる。藤宮は確信した。
しかし、その一方で藤宮は軽い失望感を覚えていた。今まで自分の信念に反抗し
命を削ってまで人類を守ろうとした男がこんな簡単に堕ちて良いのか?
だが使命を守らなければ地球は滅ぶ、手段なぞ選んではいられないのだ
藤宮はこの考えを排除して我夢に甘い囁きを続けた。
「我夢、楽になろうぜ、もう突っ張る必要なんてないじゃないか・・・」
我夢はうつろな目で
「ぼくは・・・ぼくは・・・ 僕は地球を、そして人類もどちらも守る!
君の考えに乗るつもりは全くない!」
我夢の目に光が戻りつつあった。

そうだ。それでこそ高山我夢だ。藤宮は僅かに笑みを浮かべた。
藤宮は我夢への攻めを本格的なものにした。バックの中からバイブローター
を取り出し我夢の乳首にセットし尻の穴にもバイブを差込みながらさらに激しく責め始めた。愛撫も今まで以上に力を入れ始めた。
「あっ!んんんんんうっ!あっ、いひっ、いやっ、あ!・・・んふううう」
薄暗い部屋に青年の喘ぎ声が響きつづけた。
292青の策略6:2008/04/05(土) 02:04:20 ID:gZfsy5mV0
「あ・・・あっ、ひやっ、はあああっ、ああああああああああああああっ!」
我夢は何度目か分からない絶頂を迎えた。

藤宮の度重なる責めにより我夢の目に戻りつつあった光は再びよどんでいた。
口でうわごとのように、僕は・・・と繰り返していた。自分を失わないようにしてるのか
そろそろ潮時だ。藤宮は遂に自分のものを我夢の目の前に差し出した

「もう、終わりにしようじゃないか我夢・・・」
尻にバイブをさすのと挿入するのでは意味が違う。自身の分身を我夢の中に入れる事で
我夢を絶頂に導いた時、我夢は藤宮の前に屈服するのだ。

さすがに我夢もこれを見た瞬間激しく抵抗しだした。
「藤宮!やっ・・・やめろ!やめてくれえええ!」
「終わりだ。」
ズブズブズブッ
「んああああああああっ!あっ!あひっ!いっ、あ゛あ゛あッッ!」
パン!パン!パン!
「あああああっ!うわあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッ!」
我夢は絶頂を迎え、ついに気を失った。
「我夢、君が目覚める頃には僕と君は同志だ。」
293青の策略エピ:2008/04/05(土) 02:05:07 ID:gZfsy5mV0
1週間後XIGコマンドルーム
我夢が行方不明になってから1週間が経過した。
コマンドルームに我夢を心配しない者などいなかった。しかしゲシェンク追跡のため
我夢捜索に回せる人員が少なくその行方はようとして知れなかった。
「K―3地区に怪獣出現!1週間前に現れ付近を破壊した怪獣と同一個体と断定!」
「チームライトニング出撃!」
報を受けコマンダーが素早く指示を出した。
そして現場についたライトニングが怪獣に攻撃を仕掛けようとした次の瞬間、
赤の光が怪獣を守った。
「何だ!?あっ、あれは!」
「ガイアっ」
人類の守護者ウルトラマンガイアの出現に喜ぶ面々、
しかしガイアが次の瞬間取った行動は驚くべきものだった
「デュワッ」シャッ
ドカ〜ン「うわああああ」
なんとガイアはライトニングを次々と撃墜したのであった
「なんで?ガイア!なんでよ!?」
コマンドルームの面々はこの光景に呆然とする他なかった。

丘の上からこの光景を眺める1人の男がいた。
「我夢はもう君たちの知っている男じゃない。ふふふふ、あはははははは」
その男藤宮博也は勝ち誇った笑みを浮かべた。
294青の策略:2008/04/05(土) 02:06:17 ID:gZfsy5mV0
[][] STOP ピッ ◇⊂(・∀・)


まあこんなものです。感想かいていただければうれしいなあなんて、
295風と木の名無しさん:2008/04/05(土) 03:02:53 ID:aqnVzP4J0
・・・・・・。
296ある日の友引高校:2008/04/05(土) 03:19:59 ID:gnVjqtGu0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  うる☆やつらの当たると面倒と4人組の会話文。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  でもそれぞれのキャラの書き分けはしてません。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ショウセツジャナクテスマソ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__). 
297ある日の友引高校:2008/04/05(土) 03:20:38 ID:gnVjqtGu0
「あーヒマだ」
「まったくだ」
「またベン天様とか来ないかなー」
「そんでもってお往きちゃんも一緒に来たりしないかなー」
「蘭ちゃんもなー」
「またUFOでも呼び出すか?」
「よせよせ、また世界恐慌を引き起こしたいのか?」
「いやいや今度こそ」
「もうええっちゅーんじゃ!あの後どんだけ親に怒られたか」
「世界恐慌をそのレベルで語るな」
「あーそれにしてもヒマだなー」
「何言っとるか。ヒマが一番じゃ」
「まあ確かにな。この世で一番不幸な男が言うと説得力あるわ」
「不幸とは何だ!ラ/ムさんと一緒に暮らしておいて何が不満だ!」
「今そのラ/ムがいなくて何事も無さ過ぎて暇だというとるんじゃ!」
「そういやラ/ムちゃんが実家帰るの多いよなぁ」
「宇宙人だから色々あるんじゃね?」
「意味が分からん。宇宙人だからって何の理由があるっちゅーんじゃ」
「貴様ラ/ムさんにいったい何を!!」
「わーもうなんだかんだ理由付けて刀振り回すのやめい!危なくてかなわん」
「こいつがラ/ムさんに無理難題を押しつけ、あまつさえとてつもなく卑劣な事をしたに違いない!」
「わわわ!やめいっちゅーに!」
「こいつの妄想癖にも困ったもんじゃなー」
298ある日の友引高校:2008/04/05(土) 03:21:27 ID:gnVjqtGu0
(閑話休題)

「そういや商店街に今日開店した牛丼屋があるらしいぜ」
「またあれだろ。看板だけ付け替えて新装開店っちゅー」
「あそこしょっちゅうやってるな。そんなに客入らんのか?」
「まあまあ、そう言ってやるな。店なりに商売上の戦略ってもんがあるんだよきっと」
「しかしこう頻繁ではなあ。新鮮な喜びも薄れて行くわ」
「で?開店記念に何かやっとるのか?」
「確か牛丼一杯百円とか」
「それを早く言え!皆の者、参るぞ!いざ行かん、友引商店街!」
「まったく、これだから貧乏人は…」
「面倒、お前も来い」
「なんで僕まで!」
「ああいう庶民の味に慣れておくのも上に立つ者として大事だぞ」
「そーそー。お前んとこのソバ屋、なんだっけ?来来軒?あそこの味の向上にも繋がるぞ」
「な、なぜそれを!?」
「自分でそう言っとったじゃないか。よーし行くかー。財布も捕まえたことだし」
「貴様はじめからそれを!」
「良いから良いから。はーい終ちゃん参加しまーす」
「気安く呼ぶな!誰が貴様らに奢るなど!」
「あはは、面倒クンごちそう様ー」
「腕を引っ張るな!まだ行くとは!」

そんな今日も仲良し六人組。
299ある日の友引高校:2008/04/05(土) 03:24:14 ID:gnVjqtGu0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ コミックス今持ってないので細かい設定が違うかも。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
お目汚しスマソ。
いつか映画美しい夢(要和訳)で面あたのすっごいエロ書ける様になりたい…。
300風と木の名無しさん:2008/04/05(土) 11:33:38 ID:aQmQbJFZO
|>PLAY ピッ◇⊂(・∀・ ) ジサクジエンガオオクリシマース!
元ネタはあるようなないような。

元々体格にも体力にもこういう事への欲求にも差があった。
しがみついてくる腕の力やその反応で、もう色々限界なんだろうなとわかる。
でもまだ駄目。
だって今日はまだ聞いてない。
追い詰められて言葉はなくなり声だけになった中、喘ぎに紛れてつむがれる唯一意味を持つ言葉。
私の名前。
まだ呼んでもらってない。
いい加減可哀想かな、とも思う。
でも聞きたい。
乱れに乱れて息も絶えだえな中、懇願するように囁くように、叫ぶように君の声で繰り返される私の名前。
可哀想かなと思いながらも聞いたら聞いたでもっと欲しくなるんだろうな。
ん?今……いや、駄目だな。聞き取れなかった。ノーカウント。
君には悪いがここまできたならどうしても聞きたい。
止めるつもりも諦めるつもりもない。
このままだと、またまともに声すら出せなくなるぞ。
だから、早く、私の名前を。

□STOP ピッ◇⊂(・∀・ ) イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お邪魔しました。
301風と木の名無しさん:2008/04/05(土) 14:25:57 ID:FqRPWcOhO
>>294
感想求めるならスレ違いやし。
SS評価スレにでも行って叩かれてこいや
302風と木の名無しさん:2008/04/05(土) 15:49:32 ID:gE/mx2pJ0
>>296
禿げ和んだ
ごちそう様ー
303風と木の名無しさん:2008/04/05(土) 15:57:03 ID:DBYTR+mH0
>>300 元ネタわからんけど禿げ萌えました。ありがとう
304風と木の名無しさん:2008/04/05(土) 16:20:43 ID:tVjZXJk40
>>273 亀でスマン。まさかここで読めるとは…!
姐さんありがとうバサカとランナーに禿げました
305風と木の名無しさん:2008/04/05(土) 18:58:16 ID:xG878f9f0
>>300
自カプに置き換えて読んだら
禿げ萌えてツルッパゲになりました(*´∀`*)ありがd!
306風と木の名無しさん:2008/04/05(土) 21:44:02 ID:Re25yeaV0
>>301
「感想下さい」系のコメントに対してやたら過剰反応する人がいるのはどうしてなんだろう。
そりゃまあ運が悪かったらそのまま流れてしまうことも多いけど、
みんな感想書いてるんだし、べつにスレ違いではないと思う。
307風と木の名無しさん:2008/04/05(土) 21:56:19 ID:dKup74Fd0
>>306
単純にイタイからでしょ?過剰反応が起こるのは。
みんな言わなくても感想かいてるんだからねだる必要ないんだし
308風と木の名無しさん:2008/04/05(土) 22:28:43 ID:0DJLVxWUO
・テンプレを読まない
・中断してスレ占拠
・他人に中断AA書かせといて礼もなし
・投下が目的であり馴れ合いが目的ではないスレで感想求める

確かに運悪く感想つかないで流れる場合もあるが
今回は中身の善し悪し以前に感想つけるのも憚られる作者なんじゃない?
309風と木の名無しさん:2008/04/05(土) 22:50:41 ID:eshmpJsL0
>>309
まるっと同意だけど、中断AAについてはちゃんとお礼言ってるよ。
310風と木の名無しさん:2008/04/05(土) 23:01:27 ID:T1evaIkg0
それ以上の意見は感想板へどうぞ。
311風と木の名無しさん:2008/04/05(土) 23:16:30 ID:0DJLVxWUO
>>309
おお本当だ
あまりにサラッとで見落としてた
申し訳ない
312風と木の名無しさん:2008/04/06(日) 02:48:41 ID:BBozm4Kg0
>>261
堪能しました。新カプに目覚めました
紀乃かわいいよ紀乃
3131/4:2008/04/06(日) 04:33:03 ID:Epd7/fpI0
今日見たテレビスレと目茶池に触発されて
衝動のまま書いた 反省はしていない

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

僕のクラスは、はたから見たら引くほど、派手だ。スターぞろいにもほどがある。
僕は地味な方で、他校の女子生徒にはそこそこ騒がれるのに、このクラスでは影が

薄い。
その上副任の左野先生にはなぜか睨まれている。
「GOさん、結局一日休みだったな」
「そうなんだよ。だから俺、授業で当てられたとき相当焦ったよ…教えてくれる人居な

いから」
GOさんと石ガキさんの意外な友好関係に驚きながらふと前の席を見ると、武ださん

がサッカーボールで遊んでいた。
…テスト一日前とは思えないな…。
「今日GOさんのお見舞い行こう!」
スギウラさんがいきなり叫んだので、武ださんのヘディングが途切れた。
方向がそれたサッカーボールが沿道さんに当たって、前方では笑い声が凄い。
…そうか、GOさんのお見舞いなんて恐れ多い気もするけどクラスメイトだもんな。
「じゃあとりあえず、薔薇買ってくるね」
「いやあ…薔薇はGOさんちにあるだろ」
「ちなみに…」
城先さんと吾妻さんの会話の中に、反田くんの薀蓄話が加わって…もうごちゃごち

ゃだこれ。
3142/4:2008/04/06(日) 04:35:20 ID:Epd7/fpI0
「おい仲田! 富士森も何帰ろうとしてんだよ」
「明日テストだから…」
「あっちゃんが帰るって言うから…」
「お前冷たい奴だなー! 大体富士森お前もなあ腰ぎん」
あ、まずい。また始まった。
そこそこ優等生の加糖さんは、新学期早々テストで仲田さんに惨敗してから、仲田さ
んによく絡んでいた。
仲田さんは超進学校から来た優等生で、勉強量からいっても仕方ないと思うけど、
加糖さんは納得していないらしい。
僕は結構仲裁に入ることが多い。ということで、今日もご多分にもれず声をかけた。
「ちょっと二人とも落ち着いて」
「そうだそうだ」
富士森さんが適当な支援をしてくれるのもいつものこと。
GOさんが居ないせいか、今日のいざこざは少し長引いた…。
3153/4:2008/04/06(日) 04:36:41 ID:Epd7/fpI0
「四人とも遅かったけどどうしたの」
「あ、ちょっと色々」
「ああまた喧嘩?」
吾妻さんの言葉に答えているのは僕だけで、残りの三人は黙り込んでいた。
しかし、GOさんの部屋に入った途端皆騒ぎ出した。
「すげえ!」
「俺らの部屋こんなんじゃない!」
「このベッド凄いですね。柄も派手で格好いい。ちなみに正造さんの枕カバーはいちg」
「え、お前何で知ってんの」
あっ、石ガキさんが反応するのは原則禁止の「ちなみに〜」に乗った…。
「いらんこと言うなよお前」
ギャーギャー言っていると「ちょっと着替えてくるよ」と言ってバスルームに行ったGO
さんが戻ってきた。
「すいません気遣わせて」
加糖さんがサラリーマンのように言った。
GOさんはとにかくスターの微笑みで風邪薬を探していた。
「GOさんが風邪薬飲んでる…」
「ほんま…」
「何かすいませんほんとに、僕らそろそろ帰ります」
申し訳ない気がしたので、皆を連れて帰ろうと思って言った。
すると後ろの方から花の香りが近づいてきた。
「GOさん…これGOさんが早く治るのを祈って薔薇を買ってきたんです。薔薇の花言葉は」
何やら城先さんはホストじみたトークをし始めた。
「ほら帰るぞお前ら。渡部が珍しくしゃべったんだから聞け」
「じゃあGOさんお大事に誕生日にはGOさんの好きな花を教えてもらえればそれを」
城先さんはまだ何か口説き文句のようなことを言っていた。
3164/4:2008/04/06(日) 04:37:36 ID:Epd7/fpI0
帰り道では、全員何となく幸せな気分に満ちていた。
加糖さんは「何道端で復習してんだ」と仲田さんを小突きながらも笑っている。
少し前で吾妻さんが転んで「HAHAHA」と外国人風に笑っている。
その更に前でスギウラさんが彼女と電話。
沿道さんは珍しく反だくんの「ちなみに〜」に興味津々で聞いている。
このクラスにはなじめないと思ってたけど、結構いいクラスだし楽しいかも…。
…と思っていたら武ださんが蹴ったサッカーボールが僕の頭に当たった。
石ガキさんが腹を抱えて笑っている。僕も笑った。
このクラスには不思議な力がある。
例えば僕に、明日は思いきって左野先生に相談でもしてみるかと思わせるような。
…でもやっぱり左野先生に相談はやめとくか。


□STOP ピッ◇⊂(・∀・ ) イジョウ、ジサクジエンデシタ!
失礼しました
317風と木の名無しさん:2008/04/06(日) 11:04:00 ID:oys7hwUA0
>>316
仕事早いですね!GJ!
昨日の放送見てほんのり感じてた萌えが超増大しました
ありがとう!
318j×優 1/3:2008/04/06(日) 15:11:33 ID:MG6YXaZy0
悠/ギ/玉 五Dズ jack×優勢
ちょっと失礼、通らせていただきますよ。

>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

奴の−不同優勢の、決闘ではめったに見ることのできない「そそる」表情を、その行為で
は終始見ていることが出来た。普段は不敵に確信めいている優勢の大きな瞳は、俺の熱
に揺さぶられてか弱く震えているし、決闘で俺を苦しめる手は、今はとても小さく見える。
後ろから激しく突き上げると、優勢は子猫みたいな声で鳴いた。俺と同じ龍が刻まれた腕
で必死にシーツを掴む姿が嗜虐を煽ることを、多分こいつは知らない。
「は……う…ぁっ…!」
全力で挿入を繰り返し、優勢がいい声で鳴く様をじっくりと観察する。あの仲間どもに見せ
る大人びた影は微塵も見当たらず、ただただ熱さに流されるままだ。シーツは既に汗や
粘液に塗れ、それを掴む優勢の指も汚れていた。汚したのが俺だと思うと、ぞくぞくと背
骨に何かが走るのがわかる。
奪いたくなったのだ。すました顔したライバルの大事なものを。手始めに奴の一番の宝
物であるバイクとカードを奪い、全然物足りなかったので今度は処女を奪ってみた。信じ
られないかもしれないが、そんな単純かつ傲慢な理由で。
優勢は簡単だった。一度密室に閉じ込めて無理矢理に犯したら、それからは俺との行為
を自分から望むようになったのだ。無知な猫はまんまと俺の手によって手なづけられた
わけである。決闘をはじめとして、静かながらも攻撃的な面を見せる優勢だが、ベッドの
中では驚くほど従順で、大人しい。それでいて快感を与えてやれば、とろけるような可愛
らしい声で喘ぐのだ。
319j×優 2/3:2008/04/06(日) 15:11:59 ID:MG6YXaZy0
「……っん…、ぁ、……ぅ…くぅ……っ!」
「いい声だな」
耳元で声を潜め軽く挑発すれば、優勢が嫌がるようにわずかに首を振る。何が嫌なものか、
これだけ激しく声を上げておきながら。何度交わろうと、最後の砦を崩すことは奴の
プライドが許さないらしく、言葉だけは強気を保ったままだ。だから幾度も繋がり、削って
ゆく。必要のないプライドも、取り澄ました理性も。手を伸ばして腰を引っ掴み、更に深く
結合するように揺さぶれば、かぶりを振って嫌がっていた顔は一気に気持ちのいいもの
に変わる。瞳が澱むように潤み、唇から引っ切り無しに苦しそうな、けれど嬉しそうな吐
息と声が漏れ上がる。
「…ぅ、あ……っ…あっ…」
優勢の涙声の喘ぎは、最早拒否なのか懇願なのかわからない。こういう瞬間がたまらな
いのだ。優越という名の欲情が全身から湧き出て、こいつをもっと鳴かせてやれと叫ぶ。
獣のような激しい欲望が、優勢を喰らう様に噴き出て来て止まらない。それこそ、肉を貫
きたい、そんな荒い欲望。空調の利いた寒々しい部屋の中、俺と優勢の情欲、体だけが
熱を放ち、二人をどうしようもなく絡め合わせる理由になっている。こんな状況に慣れてし
まった自分が愚かしくて笑えてくる。だがこんなにも美味そうな餌を目の前にして我慢が
出来る程、俺も大人ではない。
「…そろそろ、いくか?」
ぼそりと息を吐くみたいに尋ねれば、身に染みた屈辱を味わうような複雑な表情が返っ
て来る。しかし初めの内は後ろだけでは達せられず苦労していた優勢も、今は後ろだけ
で達してしまうのだから世話がない。今更すぎるんだから、そんな意地なんて捨ててしま
えばいいと思う。ただ悦楽だけを求めて、俺を欲しがれば、もっと行為の効率は良くなる
し、快感も増すというのに。
320j×優 3/3:2008/04/06(日) 15:13:01 ID:MG6YXaZy0
頭の端でそんないつもの問答を過ぎらせながら今までで一番強く突けば、優勢はことも
なく達し、かくりと脱力するのだった。ほどなく俺も達し、ずるずると怠惰のまま引き抜く。
思い切り空気を飲み込みながらどこか満悦そうな表情の優勢を見ていると、まるで恋人
との行為の後の様な錯覚を起こす。ここに微塵も愛などないのに。
優勢はただ溺れたいだけなのだ、覚えてしまった快楽に。…まるで、新しい玩具を与えら
れた子供のように。
「優勢、起きろ」
未だ夢の中のような優勢の腕を掴み、顔を上げさせる。色っぽく息を吐き俺を見る優勢に
俺は耐え切れなくなりそうになるが、顔を背けてじっと耐える。処理をして来いと告げると、
言う通りにシャワールームに向かった。こういう時、バカがつくほど素直な性格は有難い。
…しかし、普段から清潔に気を使う俺と、同じライダーでも熱中するあまりに最低限のこ
とにしか気を配らない下級暮らしの優勢との交接だから、ベッドからは殆ど優勢の匂いし
かしない。部屋中に漂う汗の香りが、さっきまでの行為をたまらなく思い出させて、俺は
俯く。シャワールームからは、事後を告げる水音だけが響いていた。優勢にとって大事な
もの、奪ってやった筈なのに、たまに俺の方が奪われ踊らされている気分になる。多分
それは、それだけ俺が傾倒している証拠だ。

□STOP ピッ◇⊂(・∀・ ) イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お粗末さまでした。 失礼します
321プ藪 1/3:2008/04/06(日) 15:21:16 ID:1pMlFvfaO
近々退任予定の某国の大統領のお二人です。
ナマで若干の絡みがあるので注意してください。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )トウキョクガコワクテモ ジサクジエンガ オオクリシマース


「ところで、今、時間は空いてるかな?」
彼は必ず会談の後にこう聞いてくる。それは随分前から当然のこととなっていた。
今回は会談の行われたホテルの相手の部屋に出向いて、前回は、その前は・・・
あまりにもそのようなことが多いのでいちいち記憶の片隅に留めて置くことを彼らはしなかったが。
そして、会談の相手は必ずこう返す。
「長旅でお疲れでしょう。早くお休みになっては?」
そう答えたほうの男は、またか、という風に、あるいはもう勘弁してくれという風に目の前の男から視線を逸らし、
目を伏せ、肘掛についた手を頬に当て気怠そうに顔を傾ける。それももはや慣例のこととなっているのだ。
しかし、何故かその言葉や仕草が、わざわざ出向いてきた方の男には、誘っているように見えてしまうらしい。
確かに彼はそのように言われて引き下がったことは一度もなかったし、現に厭われているというのさえ気付いていないようだった。
「私が疲れているところなんて、ワロージャ、君は見たことあったかい?ただ、久し振りに会ったんだ、
つもり積もった話もたくさんあるんだ、酒でも飲んで話をしないか。勿論、報道陣の前じゃ話せないような・・・」
能天気そうな方の男は、そう言っておもむろにもう片方の男に近付き、肘宛てに掛けられた腕を掴み、その掌に指を絡めた。
この男はいつもそうだ。人目につかないプライベートの場となると、相手を「ワロージャ」と呼び、強引に自分のものとしようとする。
しかし、ワロージャと呼ばれる男は、素早くその手を振り払う。
322藪プ 2/3:2008/04/06(日) 15:24:40 ID:1pMlFvfaO
「ミスター・プレシデント。冗談は大概にしてくれ。ようやく仕事から解放されて、
何故またこれから貴方の酔狂に付き合わなきゃいけない?残念ながら私はもう眠いんだ。」
そう言うが、疲れて面会する気にはなれないと言ったその男のスーツ姿は、その割には全く乱れていない。
来客を想定されたように、会談のときと何一つ変わっていない。
それに、このようにあしらってもその男がすんなりと承諾することがないと知っているのだ。
「何故って・・・私は眠くないし、君に会えるのが嬉しいんだ。」
理由にもなってない言葉を吐いて、性懲りもなくまた、振り解かれた手に触れ、今度は指先に軽くキスをした。
結局、このように相手のことなどお構いなしで強引なところが彼の政策信条に滲み出るため、他国のメディアから批判されるのだろう、
と、冷たい眼で相手を一瞥してからワロージャと呼ばれる男は、またその手をさっと引いて、次は相手を見据えて言った。
「だから、乗り気ではないと言っただろう。」
さすがにそう言われると、今まで何も相手の言動を気にしてなかった男も、少し苛立った表情をする。
「くそ、これじゃ何のためにここまで来たのか・・・」
「ただ、私をその気にさせれば別の話じゃないか?」
先程の冷たい眼が、妖しく光る。この澄んだ薄い灰色の眼は、相手を試しているのだ。
「・・・勿論、君をその気にさせるよ。」
さっきまでの苛立った顔はどこへやら、男はワロージャの腕を掴み、ベッドまで連れて強引に押し倒した。
あたかも盛りのついた犬。そのようにしか見えないのが可笑しくて、組み敷かれたほうの男は、相手に気付かれぬようほくそ笑んだ。
323藪プ 3/3:2008/04/06(日) 15:29:38 ID:1pMlFvfaO
ワロージャと呼ばれる男の躰は決して華奢ではない。背こそそれほど大きくないが、柔道とサンボで鍛えたという均整のとれた身体だ。
その上に、まるで大型犬のような男が圧し掛かり、相手の唇を荒々しく奪う。舌が口腔を弄り、歯列をなぞる。
何度も色素の薄い唇を吸い、啄み、まるで呼吸をするのさえ許さないようだった。
唇が一旦離れ、漸く呼吸ができると思ったその時、再度深く口づけられ、荒々しい情を受け止めていた男の襟にあったネクタイに手がかけられた。
しかし、彼は眉を顰め、素早く唇を離し、首もとで動く目の前の男の手を制止した。
「駄目だ。まだ私は寒いんだ。私を凍えさせる気なのか?」
じっと対峙していても簡単に感情が掴めない、そんな眼で彼は訊ねる。
そういう風に見据えられた方が凍える思いをするような気もするが、銀の色をした永久凍土の眼の奥には明らかに緋色の野心が燃え盛っている。
しかし、目の前にいる狗のように単純な男は、それに気がつかない。
「分かった。君のお望みのままに。」
男は、相手の耳元に舌を這わせ、余すところなく味わうように舐めてゆき、幾つもの朱いしるしを白い首筋に残した。
本当に犬のような男だな・・・あたかも自分のものと言わんばかりに自分の印をつけ、待てと言われれば動きを止め、
良しと言われればすぐに飛びつく従順な犬だ。ただ、それが祟って忠実すぎる。
もっと張り合いがなければ面白くない。楯突いてこなければ躾甲斐がない。
男は組み敷かれながら、笑いを押し殺すように眼を細めた。
「ジョージ、あんた素敵だ。さあ、脱がせてくれ。」

この男、もう少しすれば、自分を見たら跪かずにいられなくなる。

そう思うと同時に、赤い痕の残る首もとのネクタイが緩められ、彼は満足そうに一つ大きく呼吸をしたのだった。



□STOP ピッ◇ >>321ハ トウキョクニヨッテ レンコウサレマシタ

1/3だけうっかりミスでカプ表記間違えました。お目汚ししつれいしましt ギャアー
324風と木の名無しさん:2008/04/06(日) 16:48:16 ID:5XcvOn2YO
>>313
昨日の番組で妄想したのは自分だけじゃ無かったかw
それぞれの個性が出ててすごく萌えました(*´Д`)
325風と木の名無しさん:2008/04/06(日) 16:56:59 ID:CNO9o/hb0
>>321 罪状 国家機密漏洩罪

超GJーーーー!!!
ワロージャ様美しい・・・・。悪魔のように繊細に、天使のように大胆に。
ベッドに腰掛けて、藪に無造作に足を突き出して靴を脱がせる所を見てみたい。

対照的な藪の鈍感っぷりがいかにも本人ぽくて笑えたw
326325:2008/04/06(日) 18:27:40 ID:4BVELXXR0
× 靴を脱がせる
○ 靴を脱がさせる
327風と木の名無しさん:2008/04/07(月) 00:07:27 ID:NOc3FeF60
>>321
おいおい、永久凍土のくだりカッコよすぎだろ。

元KGBでしたっけあの人?
眉一つ動かさずに、「殺れ」とか言ってそーだよなー、と前から思ってた。
328風と木の名無しさん:2008/04/07(月) 00:25:38 ID:qUrkbd7x0
>>321
すごい萌えた!あの方のあの美しい額のごとく萌えたんだが…
だがしかし、薮犬があまりにもあまりで笑いが止まらないw
329風と木の名無しさん:2008/04/07(月) 00:38:58 ID:pFxwu5W6O
>>321
超GJ!!
だか謎の宅配便に注意しろよ!出ちゃダメだからね!
330秋山×清原 1/3〜5:2008/04/07(月) 20:58:01 ID:A7DhLJQCO
某年忘れの試合前らしいよ。エロ有り。
通し番号に自信ないので下から見て避けてください。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

コンクリートが剥き出しの控室。
その冷たい壁に身体を押し付けられ、清原は唇を吸われていた。
秋山の熱く濡れた舌はその荒い呼吸に急かされるように無遠慮に
口内を這い回る。
遠くで聞こえる歓声は、今行われてる試合のものだろうか。
それにしても今日はイキナリ過ぎる、と清原は心で思った。
他の奴らに控室から出ていけと言い放ち、二人きりになった途端コレだ。

「……アホ、試合前に何サカっとるんや」
「俺はいつでもあんたにサカってますよ?」
そう言ってニヤリと笑うと、秋山は先程まで味わっていた清原の
口唇をぺろりと舐める。
「オマエ…!」
いつもは尻尾振ったように清原さん清原さんと、好きなんです、と
犬コロみたいに寄って来るくせに、あんた呼ばわりされては
文字通りナメられたようでシャクに障った。
331秋山×清原 2/4:2008/04/07(月) 21:02:19 ID:A7DhLJQCO
一発ドツいたろうと腕を振り上げる。
が、密着するように秋山に抱き付かれて手を止める。
「オイコラどけや…」
しかし秋山は清原の胸に顔を埋めたままじっとしている。
まるで縋り付くように。
「……アキ?」
動かなくなってしまった秋山の表情は見えないが、清原は唐突に
思い当たってハッとした。
そうだ。試合前だ。
自分だって若い頃は大舞台やチャンスの前に、普段より緊張した
ものだ。よく見れば、秋山の肩が微かに震えているように見える。
こんな時自分はどうしていただろうか。どうして欲しかっただろうか。

清原は秋山の頭を抱えるように抱きしめるとそっと呟いた。
「……オイ、続きは無しか?」
秋山の肩がピクリと動いてその瞳を合わせてきた時、清原は自分を
少し後悔した。そうだ。試合前だ。
今から殴り合う男の瞳は、仄暗く燃える炎のように残虐な光を
帯びていた。
「……ウォーミングアップ、付き合ってくださいね…?」
332秋山×清原 3/4:2008/04/07(月) 21:04:10 ID:A7DhLJQCO
引き締まった尻の肉に当たった箇所がパンパンと卑猥な音を上げる。
内壁を引きずり出されるように引き抜いたかと思うと、また奥まで
一気に貫かれる。
繰り返される動きはいつもより激しく清原は喘ぎを抑えられなかった。

「うおっ、うっ、あッ、あ…!」
「清原さん、そんなやらしい声出してたら外に聞こえてまうで?」

クスクスと笑うようにヤユされて身体が熱くなる。
怒りや悔しさを感じたからだと思いたいが、この男にこうされる事を
受け入れているのは事実で、それを望んでしまったのも事実だ。
(違う、俺はただ…)しかし後ろから突き上げられる衝動と快感に
何も考えられなくなっていく。

秋山の手が前に回され清原の屹立を撫でる。溢れた蜜で先端を
擦られ清原は高い声で喘いだ。
「ああ…いやらしいなあ?こんなにヌルヌルしとる」
「やめッ!うあっ…ぁ」
「清原さん…清原さん…好っきや…」
低く囁かれるその言葉に、清原は振り向いて秋山の汗にまみれた顔に
手を伸ばそうとした。
だが絶頂へ向けた突き上げに揺さぶられ、ただ嬌声を上げること
しかできなかった。
333秋山×清原 4/4:2008/04/07(月) 21:06:45 ID:A7DhLJQCO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

あのぬるぬるは清原のせいだそうです。
負けたのは腰使い過ぎたからだそうです。
嘘です。
某HMバンドの2人です。スレの設定があまりに神だったので思わず投稿。
無理矢理シチュ・エロ途中まで・一部死にネタ有り注意。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「僕はあんたのことが好きなんだ」
“何だって?”そう聞き返そうとしたときには、既に俺はベッドに押し倒されていた。

『あとで部屋に行っていい?話があるんだ』
思えばあの時から、自分は彼を警戒しておくべきだったのだ。
俺は気づいていた。いつからかは忘れたが、彼の俺を見る目が、バンド加入時と
は違ったものになっているということに。そして気づいていながら、その変化を
無視し続けた。
怖かった。メンバーチェンジを重ねながらも、確実に頂点へと上り詰めて行った
俺たちのバンド・ハロウィン。そんなハロウィンに、恋愛という感情が紛れ込ん
でいるなんて、考えたくもなかった。……だからこの想いは、永久に胸の内に秘
めておくのだと随分昔に誓ったのだ。
そう、俺はマーカスを愛していた。バンドを結成して2、3年も経った頃だった
だろうか。彼の優しい笑顔と温かな人柄に、俺は次第に惹かれていった。
しかし彼もまた、ドラマーのインゴを愛していた。今となっては分からないが、
多分インゴも同様に彼を想っていたのだと思う。優しい、優しい関係だった。
インゴが酒と薬に溺れていったときも、それを理由に自分が彼をバンドから解雇し
たときも、マーカスは誰も責めたりしなかった。ただ一途に彼を想い、彼がその
命を自ら断ち切ってしまうまで、彼の部屋に懸命に通い続けた。そしてその時、
自分は悟ったのだ。マーカスの目が俺に向けられることは、二度と無いだろうと。
それなのに、今この年若いギタリストは自分に想いを馳せ、またその想いを達成
しようとしている。彼の目を見ていると、まるで自分の昔押し殺したはずの感情が
再び抉り出されるようで、それがとてつもなく恐ろしかった。
「おいサシャ止め……っ、ぅ」
着ていた黒いシャツのボタンが次々と外され、あっという間に上半身が肌蹴られる。
抵抗しようともがくと、両手首を頭上に固定されてしまった。拘束を解こうと更に
暴れるも、さすがに一回り以上も若い彼の握力には敵わない。全く緩む気配の無い
彼の力を感じ、腕の解放は早々に諦めた。ギターを生業とする自分にとっては、
無理に力を入れて、この両手を駄目にしてしまうことが何より怖かった。
「ん……っ、ふ、ぅ……っ」
噛み付くように、乱暴に口付けられた。舌で歯列をなぞったかと思えば、次には
逃げ回る己のそれをきつく絡め捕られる。唾液が頬を伝って、
首筋に這い落ちていった。
その間も、胸をまさぐる手は止まらない。やっとのことで唇を解放されると、同時に
胸の小さな突起を摘まれた。
「ぅあ……っ!」
自分でもどこから出てきたのか分からないような、甲高い声が部屋に響く。
「ここ、弱いんだ?」
「や、め……、っ、んっ」
自分の嬌声に気を良くしたのか、更に摘まれ、押し潰され、かと思えば優しく指で
撫でられる。ぬめり、とした感触は舌か。
熱い。体のどこにも上手く力が入らない。ただ、未だにズボンの中に収まったままの
己の中心が、酷く苦しくてならなかった。
不意に、その中心を布越しに撫でられた。ざわりという感覚が背筋を駆け抜ける。
カチャカチャという音と共にベルトが外され、ズボンのジッパーが下ろされると、
ずるりと下着の中から先走りに塗れた己が引摺り出された。
「あ……」
「勃ってる」
「っん、ぁ、あっ」
躊躇無く握り込まれ、そのまま上下に扱き上げられた。ぐちゅぐちゅと立つ音に、
羞恥心を煽られる。抵抗することなど、とうに忘れていた。絶え間無く与えられる
快楽に合わせて、はしたなく、まるで女のように喘ぐことしか出来なかった。
「ねぇ、ミヒャエル」
サシャの手の動きが速まっていく。
「僕はね、」
ピンと引きつった自身の脚が、限界が近いことを知らせていた。
「ただ、あんたが好きなだけなんだよ」
視界が、爆ぜた。
「……サシャ?」
達してから最初に見たものは、あれだけ自分の体を弄んだはずの彼の涙だった。
「……っ、ごめん」
謝罪と共に、拘束されていた両腕を解放された。血をずっとせき止められていた
からか、手の感覚が無い。しかし軽く手首を回してみると、途端に強烈な痺れが
襲ってきた。良かった、これなら大事には至らないだろう。
今までずっとのしかかっていた彼の体も、ゆっくりと自分の体から退けられる。
泣いているサシャが心配なのと、体が急に軽くなって何故か寂しくなったのとで、
ズボンを軽く履き直すと、ベッドにぽつりと座っている彼の隣りに自分も腰掛けた。
「いくら好きとはいえ、いきなりこんなことするのは最低だね」
「サシャ」
「しかもあんたの自由を奪ってまでだなんて、本当に最低だ」
「サシャ、聞いてくれ」
「最低だよ……」
「……サシャ」
頭を垂れて、う、と嗚咽を漏らし始めた彼の背中を擦ってやる。
「なぁ、サシャ。俺には好きなやつがいるんだ」
「知ってるよ。あれだけあんたを見てたんだ。……マーカス、だろう?」
「知っていて、こんなことをしたのか」
ピクリ、と彼の体が動いた。
「止められなかったんだ。マーカスを見て寂しげに笑うあんたが、
どうしようも無く悲しくて、切なくて、愛しくて堪らなかった。
……あんたが、欲しくて堪らなかった」
「……そうか」
「でも、だからといってこんなことして良い訳がない……!」
ぱたり、涙が床に落ちる。
「……なぁ、サシャよ。もう一度言うが、確かに俺はマーカスのことが好きだ。……でも」
でも、お前がそれでも良いのなら。それで、お前が満たされるなら。
放っておけなかった。彼が自分に寄せている想いは、自分がマーカスに抱いているものと
全く同じだったのだ。こんなに苦しい思いをするのは自分だけでいい。
汚いのも、不毛なのも、これだけ純粋な涙を流すお前には似合わない。……だから、
全部俺が引き受けよう。全部俺が受け止めよう。
サシャが顔を上げた。涙でぐしゃぐしゃになっている。そんなに思い詰めていたのか、と
思わずクスリと笑いをこぼすと、顔を寄せて彼の唇に軽いキスをした。
すぐにもっと深いそれが返って来る。体が再びゆっくりと押し倒される。しかし
それは先程のものとは違い、制止を呼び掛ける声も、愛撫する腕から逃れようと
抵抗する体も無かった。
カチャリ、ベルトの音が鳴った。まだ軽く痺れる腕を、俺は彼の首に絡めた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

1人だけ苗字なのに違和感を感じたので、ヴァイキーの呼び名は名前にしました。
それでは失礼しました。
339風と木の名無しさん:2008/04/07(月) 23:39:50 ID:v7AJyMKu0
>>333
すまんこう言っていいのかわからんがクソワロタ
340風と木の名無しさん:2008/04/08(火) 00:39:22 ID:v10zH7TWO
>>334
サシャのミヒャエル呼び萌えたwGJ!!
341風と木の名無しさん:2008/04/08(火) 01:01:21 ID:FMDez/Bk0
>>334
GJ!
ミヒャエルのあの蚊の鳴くような声で再生されましたww
342風と木の名無しさん:2008/04/08(火) 01:03:28 ID:uAeYIcViO
>>334
おおうGJ!乙です!イイヨーイイヨー
泣いちゃうサシャイイヨー(;´Д`)
343風と木の名無しさん:2008/04/08(火) 02:09:41 ID:0TFDhN200
>>333
なんだか新しい世界が萌え広がった
344風と木の名無しさん:2008/04/08(火) 02:24:52 ID:zGuZNIYaO

345風と木の名無しさん:2008/04/08(火) 08:11:33 ID:/0e9VA0TO
>>334
毛根死んだ、ツルッパゲー
まるでアーライ様の(mdr
346Cheers for Tears T:2008/04/08(火) 11:17:28 ID:DpUEKy0I0
*半ナマ注意 映画「ス/ル/ー/ス」より ネタバレ内容なので未見の方はスルーを。
*『女は嫌いだ、むしろ犬か山羊か少年の方が…』というマイ口の台詞から。
  マイ口以外の登場人物はオリジナル。
*完結しています。途中中断あり。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

  Every Knave will have a slave, You and I must be he.
   みんなとりつかれるようになる おそらくきみかそれともぼくか
   あんなにひどい彼なのに              − マザ一グ一スより


そういえばマイ口・ティンドルが死んだってね、言い出したのはクリスだったか
レキシーンか。いつもの<ヘラジカの角笛亭>に集った顔ぶれの誰かだ。
間違ってもぼくではない。
23時を過ぎていて、座はとうに白けていた。20代の頃とは違い、一晩中飲み明かせる
体力は減退し、家庭持ちの者は頻繁に入る家族からのメールを頻りに気にしている。
これで今夜はお開きに、と誰でも一言いえば、自堕落ぶりたがるアーロンだって従ったろう。
話の接ぎ穂のつもりが、そのニュースは上等でもない好奇心をくすぐる
興味深い事案として、忽ち歓迎された。
「死んだって、あのマイ口がかい? おやじが危篤と聞いてもドッグレース場に
行きたがるようなヤツなのに?」
「ねえ待って。それより<誰に>殺されたの?」
ローズが大仰に顔を顰め、ノーと口を窄める。しかしアーロンとクリスは
すかさず同意した。在りし日のマイ口が見事に偲ばれる反応だ。
347Cheers for Tears T:2008/04/08(火) 11:19:02 ID:DpUEKy0I0
アーロンと付き合い始めて間のないローズは、女性同盟のレキシーンに教授を
乞うよう目配せすると、『ちょっとお化粧を直してくるわね』と席を立った。
残されたぼくたちは目の前の空のグラスをしばらく見つめ、どうしたものかと
互いの思惑を推し量る。
「真面目な話、本当なのか、その、マイ口が?」
明日と明後日の週末を利用し、ヘレフォードの実家まで生れたばかりの赤ん坊を
見せにいかねばならないと、店に着いた早々こぼしていたクリスが煙草に火をつけた。
「おれも詳しいほどじゃないが、確からしい。ギルは何か聞いてないか?」
アーロンに促されたぼくは肩を竦め、目を丸める。今初めて聞いたよ、
と驚きで声もでないフリならお手の物だ。
「又聞きだから話半分で聞いて欲しい…」
と話だしたクリスによると、マイ口はやはり殺人の犠牲者となり、老いさらばえて
自慢の美貌を失う前にあの世へ召されたそうだ。
「で、誰の手にかかったんだ? もちろん痴情絡みだろう? どこで発見された?」
「まぁ待てよ。ええと…(懐から旧式の電子手帳を取り出すクリス)
 ああ、了ン卜゙ノレ一・ワイ勹邸だ」
「ワイ勹? 誰だそりゃ」
「物書きさ。いわゆるベストセラー作家で、TV映画になった著作も多い」
これは差し障りない情報なので、会話の潤滑としてぼくは正しく補則してやった。
「凄い豪邸住まいでな。ハイテク警備システムで管理されてるとは思えん
 カントリーハウスの外観なんだと」
「作家ならギルは詳しいんじゃ?」
348Cheers for Tears T:2008/04/08(火) 11:20:33 ID:DpUEKy0I0
水を向けるアーロンに、ぼくは申し訳ない顔をし、
「あいにくうちの弱小出版社では執筆依頼すら門前払いされるひとだよ、ワイ勹なんて」
そう答えるに留める。実際百科事典部署にいるぼくは地下の倉庫で目録整理を任されているという、
過分な左遷をされてからはベストセラーの動向にも無縁になっていた。
「そんな売れっ子作家とマイ口を結びつけるといやあ…」
「女と金以外にあるもんか。ワイ勹はまさか両刀とか?」
「さあね。マイ口なら60過ぎの爺さんを腹上死させても不思議じゃないが。
 で、その家で何があった?」
「…銃で撃たれたそうよ」
手洗いから戻ってきたマキシーンが座り、居心地悪そうなローズを隣へ招く。
塗り直したばかりの真っ赤なルージュにショートピースを咥えると、
ローズが点けたライターを差し出した。手元が微かに震えている。
化粧を直してきただけでは、どうもないようだ。
「誰から聞いた、マックス?」
「先週のサンに載ってたわ」
怖がらないで、とでも微笑むように、マキシーンの細い指がローズの頬を掠める。
マキシーンは酷く楽しそうだ。本当は真っ先に言いたくてたまらなかったのに、
彼女の氷の忍耐力は決して心情の動揺をおもてへ漏らそうとはしない。
マキシーンがいかにマイ口を憎んでいたかを思うと、ぼくは今でも胃の辺りが重くなってくる。
「なぜすぐに言わなかった?」
「被害者の名前は載ってなかったの。あたしも今知ったとこよ。
 美容師兼日曜俳優なんて所詮無名の一般人ですもの。
 ワイ勹の知名度に比べたらゴミみたいなもんでしょ?」
349Cheers for Tears T:2008/04/08(火) 11:22:41 ID:DpUEKy0I0
「だがゴシップのキャストとしては大分有望なんじゃないかな」
あら、と意外そうな目を向けるマキシーンの口元が何か言いかけ、ぼくの周囲を
訳知り風に見た。
「亡くなったひとをそんな風に言うなんて…」
「気にするな、ローズ。君はマイ口を知らないから」
「そうよ。庇ったところでその真心を換算しないと相手への対応をいくらでも
 変えられるのがマイ口という人間なの。見かけはボー・ブランメルみたいに
 綺麗だけど、両足はいつも溝板に突っ込んでいて、それを自慢にしていたわ」
アーロンとクリスが下卑た口笛を吹いた。
「それよりギル、あなたがマイ口を悪し様に言うなんて」
「別に悪口じゃないよ。マイ口はずっと有名になりたがっていた、たとえ一日でもね。
 ほら、ボウイの、あれが大好きでいつも歌っていたじゃないか」
誰でも英雄になれる、一日だけなら、妙な節をつけアーロンが合いの手を入れた。
「最初で最後の大舞台だったかは知らないけれど、全国紙の一面に有名人の被害者として掲載されたなんて、いかにも彼らしいね」
「一面なんかじゃなかったわ。タブロイドの三面記事よ」
深く煙を吸ってから、マキシーンは唾でも吐き出すように剣呑に言った。
「それで、肝心の理由がまだだ。どうして作家爺さんはその、マイ口をヤっちまったんだ?」
アーロンがTVドラマのチンピラを装ってわざと下卑た口調になったのを、
ローズは本気で疎ましいらしく睨みつけている。
「誘ったベッドで足を開かなかったのか?」
「よしなさいよアーロンったら!」
350Cheers for Tears T:2008/04/08(火) 11:24:42 ID:DpUEKy0I0
可哀想なローズを差し置いて、マキシーンは満足したように喉奥で笑い、
クリスも吹きだした。静観しているぼくに助けを求める視線をローズは投げたが、
その救命信号をぼくは無視した。
見なくても彼女が裏切られたように目を剥いているのがわかる。
「それがちょっと違う。ワイ勹の女房を寝取ったんだ」
「なんだ、そうなのか?」
「つまらないでしょ? ほらご覧なさいギル、これのどこが有望新人扱い
 になれるというの。三流ゴシップ誌とはいえ、ね?」
アーロンの様子から、勿体ぶった割に大したことではなかったと判断される
マイ口の所業でも、この5人の中で一番若い20代前半のローズにしてみれば、
不倫はまだ充分嫌悪できる不純行為なのだろう。とうとう彼女は口を噤み、
両手を膝の上に揃えて俯いてしまった。
「寝取ったってことは、マイ口の射程距離も随分底上げされたってことかな」
「ワイ勹の女房はワイ勹より20も年下さ」
「まぁ色ボケ爺さんの情熱殺人なら当然必要な設定ね。金と名声で買った美女を、
 息子ほどの若造に奪われる」
「ところがこの美女が曲者で、贅沢三昧が身についてるもんだから、マイ口の顔と
 身体だけではもたなくなった。そこで爺さんとの離婚で貰える慰謝料当て込み、
 ヤツみずから交渉に行ったところをズドン、でジ・エンドってわけ」
ローズがあまりにも可愛らしく身を竦めるので、ぼくはだんだんイライラしてきた。
「そしてとどのつまりは消えてなくなった…」
「よしてギル、マクベスに悪いわ」
「なぜマクベスなの?」
「そうだ、せいぜいライサンダーか無理してパッサーニオだろ?」
351Cheers for Tears T:2008/04/08(火) 11:26:42 ID:DpUEKy0I0
「もうやめて! わたし帰る!!」
宣言するローズの声は鼻水交じりで、クリスがアーロンに追いかけないのか?
という視線を向けたが、ヒールを鳴らして店のドアを出て行く恋人を
見送っただけで、彼は座りつづけている。
「可愛い子で羨ましいことね、アーロン」
「女に靡く素養持ちじゃおれの手に余る」
マキシーンが悪びれなくアーロンを見返している。とても嬉しそうだ。
だがアーロンの声音も別段不快という風でもない。
「まぁ。そんな小さい器じゃ遅かれ別れてたわね。あなた、相変らず自分は棚に
 上げてるの?」
「意味がわからんが」
「とぼけなくていいわ。テレンス・トーンブリッジにマイ口を紹介したのが
 あなただって、あたし知ってるのよ」
それならぼくも知っている。ついでにマキシーンがヘンリーレガッタの優勝チームで
主将を務めたテレンスと、既に2度デートしていたことも知っていた。
テレンスは生れが良い割に、見た目が’80年代始めのエアロビクスブームに便乗した
インストラクター風の野暮ったいスポーツマンだが、コーパスクリスティカレッジを
出ているマキシーンには理想的だった。当然セックスに最適と踏んだからで、
むしろオツムの出来は先刻のローズぐらいがちょうどいいと考えていた。
実際テレンスはホラティウスの詩を寝物語に育った美人のマキシーンと
連れ立って歩くのをひととき喜びはしたが、いっしょにベッドを過ごす相手には
マイ口を選んだ。
352Cheers for Tears T:2008/04/08(火) 11:29:07 ID:DpUEKy0I0
アーロンはテレンスと同じスポーツジムに通っていて、トレーナーも同じだ。
マイ口がしばらくしてそのジムのゴールド会員証を格安で作らせた頃、マキシーンは
チェルシーのレストランでテレンスとのディナーを予約していたが、
直前になり彼から断りメールを携帯電話で受け取った。間が悪い時は重なるもので、
愚かなテレンスはメイフェアホテルからマイ口と連れ立って出てきたところを、
店へわざわざ出向いてキャンセルしたマキシーンに見られてしまう。
「おれがマイ口と寝ていたと言いたいのか?」
「テレンスとも楽しんだ?」
「ふざけるな!」
どうしてひとは真実を衝かれると激昂するようにできているのだろう。
気の毒だが今の抗弁で、アーロンはクリソ卜トソの『ズボンの染み』ゲート事件を
担当した弁護士でも呼んでこない限り、勝ち目はないだろう。
「マイ口に男をとられたからって見苦しい真似は止せよ、マックス」
「あなたにそう呼ばれると虫唾が走るわ」
「ヒステリーと月経の相互作用に関する論文でも書くか?
 だがリサーチ相手を間違えてやしないか、え?」
「品性下劣な男でも友達だからあなたを哀れんであげてよ。
 そりゃローズも不満なはずだわ、5分と保たないんじゃ、ねえ?」
見る間にアーロンの顔面が青ざめたかと思うと、すぐにドス黒い赤に変色した。
賑やかなことだ。
こういう時のクリスは逆に面白がって、絶対アーロンを擁護しようとはしない。
それどころか『5分』なんて気にするな、問題は保持力じゃなくDNA細胞の
優劣だけだからな、と手酷い当て擦りを言う始末だ。
軍配は悠々とマキシーンに上がり、敗残兵のアーロンは最終答弁もさせてもらえず
スゴスゴ退場していく。
353Cheers for Tears T:2008/04/08(火) 11:31:07 ID:DpUEKy0I0
「マイ口がまだどこかで笑ってるんじゃないか?」
ニヤニヤするクリスの妙に芝居がって低めた声に、マキシーンは鼻でせせら笑った。
グラスのペリエを飲み干すと、縁にべったりとルージュ痕が残って、
ぼくはうんざりと目を逸らす。
「でも変だな、マックス」
「何が?」
「ギルさ」
マキシーンの口元には皮肉っぽい笑みが浮かぶ。
「何もおかしいことはないわ」
「だってマイ口はおれたちの中で一番ギルを信用していただろう?」
「信用じゃないわよね、ギル?」
マキシーンは誘導尋問のプロか何かか。スコットランドヤードへ出向でもするのだろうか。
とはいえ、大分脱線もしたがどうせ話すことになると、ぼくにはわかっていた。
情報を仕入れたクリスと、素晴らしい補填に加え、知る価値もない者たちの
一掃までしてくれたマキシーンには知る権利、いや知って共に嗤い、
かつ不愉快になる懲戒を分かち合わなくては。
「信用と利用は違うようでどこか似ているのかもしれないな。相乗効果があるせいかもね」
「もう御託はいいのよ、ギルバート。あなたなら、主ならず我の代理人として
 鮮やかなる復讐を代行せしめん、でしょう?」
「君の想像力は下方修正すべきだよ。ぼくがそんな御大層な決断に関われると
 思うなんて、過大評価もいいとこさ」
354Cheers for Tears T:2008/04/08(火) 11:32:58 ID:DpUEKy0I0
「弱ったな、帰らなくちゃならないのにギルの告懈を聞くまでは動けなくなってきた」
と、少しも困っているようには見えないクリスは、ウェイターを呼び
ワインリストを持ってこさせようとしている。わかっている、マキシーンはアーロンに
挑んでまで捨て身の自白を引き出せた。本当はその証拠を盾に自分で決着をつけたかったのに、
それを出し抜かれたのが彼女には悔やんでも悔やみきれないのだろう。
その萌芽から経過、そして決意と実行によって成立した<終止符>が、
マキシーン本人の契機や考えていたシナリオよりも愚劣で浅はかで
見下げ果てていればいるほど、彼女自身の平安は確実となるのだ。
だからぼくは話してやる。墓にまで持っていくほど価値のないマイ口という
愛すべき俗悪な魂の消去に、光栄にも携わることのできた
ぼくのささやかなストーリーを。


[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
355Cheers for Tears U:2008/04/08(火) 12:36:46 ID:DpUEKy0I0
>>354からつづき |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

                  ◇

男が欲しくなれば、マイ口は決まってギルバートへ連絡をした。ソーホーに出入りするのは
嫌がるうえ、道端でハスラーを拾うのも病気を理由に身震いしながら御免だねと
のたまうマイ口に、ギルバートはもはや斡旋業者に成り果てている身分を自覚していた。
「ネットで検索すれば5分も待たされず派遣されてくるだろうに」
「止してくれよ。写真だけで相手を決めるなんて僕の主義に合わない」
主義が聞いて呆れるが、どうせ意味もわからず使っているだけなのだ。
それにマイ口はハイテク機器が苦手で、いまだにパソコンの操作ができない。
相応のサイトに接続し、登録して、課金制度を理解するにはおそらく来世紀まで
待たなくてはならないだろう。
だからギルバートはマイ口から連絡がくると、大して楽しくもなくなっている
オールドコンプトン・ロードへの進軍に従卒として赴かなくてはならない。
今回は付き合っていた不動産屋の女社長が仕事でマヨルカ島に行くのに
連れて行ってもらえなかったから面白くないと、呼び出しがかかった。
『ダーリン、わかって。仕事なのよ。あっちであなたの相手をしている暇はないわ。
 わたしがあなたをひとりきりにして、寂しい思いをさせたがるとはまさか思わないでしょう?
 だから、ね? いい子だから、しばらくの辛抱よ。お土産に素敵に日焼けして
 戻ってきてあげる、いいわね?』
「あのババあ、自分だけイイ思いしようって肚さ。さんざん僕にイイ思いさせてもらったくせに…」
「で、マダムのカードで男遊びしようってのかい」
「いけないか?」
356Cheers for Tears U:2008/04/08(火) 12:39:31 ID:DpUEKy0I0
「悪いと思わないきみに言うことは何もないね」
何を言われたのか一瞬わからないという風に首を傾げるマイ口は、闇に潜んでもいない
たくさんの蛾を既にひきつけていた。恋人にするにはこれほどそぐわない不誠実という
痘痕を、えくぼどころか詩的ですらない声音と安っぽい睦言でコートする必要も
なく、その美貌ですべてを凌駕し、ほんの短期ならそれはもう理想的で
ロマンティックな夢の伴侶になってくれるマイ口・ティンドル。イーストエンドの
公立校からの付き合いだからもう10年以上になるが、こうして幻滅させられるたび
ギルバートは、誰と寝てもまだ知らない友人との愛の行為と勝手に比べることの
できる愉悦を保留できる喜びを見出し、情けないこの堂々巡りを恥部と自認している。
友達とは寝ない、それがマイ口の流儀であり、ギルバートの聖域であった。
ただしその不可侵圏ではあらゆる不徳が淫靡を肥料に大輪の食虫花を咲かせているわけなのだが。
マイ口はギルバートと並び歩いて、とても楽しそうだった。こういう時のマイ口は
本当に気安く、話しているだけで幸せな気分にしてもらえ、感じの良さにかけては
バッキンガムパレスの近衛兵さえ交替中に頬を緩ませかねない。ほんのついさっき、
年上女の情人を口汚く罵っていた同じ口で、スクールガールも恥らうような
世迷い言を吐くのさえ厭わない。
「ねえギル、本当に気持ちのいい夜だね。ほら、みんなとっても楽しそうに
 笑ってるよ。何がそんなに嬉しいのかなあ。あ、今のひと、僕に笑いかけてたよ!
 ちぇっ、声かけてくれりゃあいいのに、残念だなあ!」
母親ほどの中年女性に囲われるのが生活のためとはいえそれほど嫌なくせに、
需要と供給の永遠則がマイ口の本質を強引に矯正させ、結果こうした自堕落なジゴロに替えた。
馬鹿な男なのである。だがその馬鹿さ加減が亢進すればするだけ、マイ口の魅力を
光り輝かせるという罪深い悪戯を、自然は時々恥知らずにもやってのける。
357Cheers for Tears U:2008/04/08(火) 12:42:16 ID:DpUEKy0I0
美しい器はできるだけ軽やかに、その短い謳歌を長らえるべきなのだ。その好みは
いつでも実質を伴わず、表面的な整合性を取り繕い、実存よりも視覚的効果こそ重要であると、
無謀なほど暴力的に定義されてきた。
そぞろ歩きという名のマイ口の顔見世興行が飽きると、彼はギルバートにある店への案内を乞う。
何度も通っているのに、まだマイ口は<ギルバートの連れ>と呼ばれるのを好み、
決して店の店員や常連客たちと旧知のようにはなりたがらなかった。
そうしたお高くとまった風情さえ、マイ口には許された。
『まぁマイ口、久しぶりじゃない、どうしてたの? うちならいつでも大歓迎
 なんだから、もっと頻繁に顔を見せに来てちょうだいな。あら、何もあなたを
 客寄せパンダにしようってんじゃあないわ、とんでもない! アタシたちがどれだけ
 あなたに会いたがっているか、ねぇギル、このつれない坊やに言ってやってちょうだい……』
逞しい剥き出しの二の腕も露にした上半身裸のマッチョ“ママ”ことローラは、
マイ口が嫌がらせにローランという本名を連呼しても唯一機嫌も損ねず
聞き流してやる。他愛のないマイ口の悪ふざけを看過しても、彼が店にいるというだけで
どれほど場が華やぎ、彼が来店しない週末の倍近い売上があるという事実が示す以前に、
ローラはこのミステリアスな美青年を愛でたくてたまらないのだ。
そして、ちやほやされるのが何よりも好きなマイ口がますます増長し、口さがない連中が
まことしやかに呆れ果てた虚像の伝説を吹聴してまわる。幸福なこの循環の中央に
いられる限り、マイ口が女だけの愛のために生きようとは思わないし、この賞賛の
快楽をより強烈なものにするためにも男の愛だけのものになるわけにはいかなかった。
どうしようもないほど軽薄なこの男の隣で、自分は何をしているのかといえば、
絵に描いたように忠実で有能な引き立て役なのだ。ギルバートは店の誰ひとりとして、
自分を見ている者がいないのは解っていた。マイ口といっしょでなければ、
ローラですら気づかなかったと悪びれずにコロコロと笑う。
358Cheers for Tears U:2008/04/08(火) 12:45:28 ID:DpUEKy0I0
おまけにもっと悲惨なのは、この下僕風情にギルバート自身さして口惜しくもないことだ。
恐ろしいまでの惰性と鈍化だった。彼のようになりたいなどでは当然なく、
彼を誰かの慰み者にする妄想の方がよっぽど愉快で、むしろ彼を独占したいとも
思わない矛盾に、もう少し懊悩してもよさそうなものだと思うのだが、ギルバートはただ、
このまやかしの親友ごっこが形成しているありもしないマイ口との信頼関係に
展望などないと知りながら、敢えて甘んじていられる無軌道を愛してやまなかった。
放蕩息子を帰還させてはならない、聖書のヤツらだって結局失敗したではないか。
そのプリンス・チャーミングは、惜しげもなく下々の者たちへ癒し以上の笑顔を振り撒き、
まやかしの愛を一心に受け止め、我が世の夏の陽盛りを満喫していた。
涼しい顔で荒んでいくばかりの心に疲弊を覚え始めたギルバートは、そっと場を離れていく。
けぶるようなスモークに遮られる通路の照明の下で、湿って淀んだいくつもの過呼吸が
上昇気流を立ち込めさせる。息苦しくて、股間を解放させる必要があるが、
そこでギルバートはどこまでも透明になれた。
トイレの小便器へ立ち、背後の個室から周囲憚らぬオルガスムの長い叫びが聞こえ、
入れ替わり出ていく客達の下卑た笑いを誘う。フリーライブショウのカメラが
どこかにない方が今時珍しいのだが、オーナーのローラはそういう搾取にかけては
ほんの少しばかり融通の利かない気質だった。
あぶれたギルバートを察して這わされる手もあるが、それを彼は丁重に遠慮し、
元来た方向でない通路を歩む。奥まるほどに幅は狭くなり、濡れた肩や皮膚に
直に触れると、報復とばかりに下半身へ獰猛な手が重ねて伸びてくる。
放出される性の濃密なエッセンスが霧状に立ち込めて、ギルバートの普段過敏でもない嗅覚を
否応も刺激していく。
ようやく非常階段へ逃れ、彼は深呼吸した。夜気が冷たく心地好い。汗ばんだ掌を
確認すると、甲は得体のしれぬ粘液でテラテラと濡れていた。
おぞましさに力一杯腕を振ると、傍らで蠢くものがある。
359Cheers for Tears U:2008/04/08(火) 12:47:05 ID:DpUEKy0I0
「あっ…と、すまない! いると思わなかった…」
蹲る少年が顔を上げおそるおそる見返している。
雑居ビルの狭間で、電光は遮られている。星が輝くことはない街で暗がりを敢えて
選び、決して心地好くもない非常階段の踊り場に潜んでいた子供へ、
所在の意外さを謝罪する自分の空々しい応答にギルバートは我ながら冷笑しかけた。
「その…ここで何をしているの、きみ?」
「あなたこそ」
尤もだ。
「中は蒸すからね。…きみは寒くはないの?」
安っぽいのか高級なのか、合成繊維を信奉するティーンエイジャーの大半が好む
アノラックは、どう見ても春先の宵には不十分だ。室内にいるなら別だが、
脛を抱える腕の震えを見ると、ここで膝を折って大分経つのだろう。
「中へ入ったほうがいい。大丈夫、そっと店を出ればバレないよ」
「何か知ってるの?!」
少年の突然の叫びに、ギルバートはつい辺りを窺ってしまった。
「いや。偽IDで店に入ったんじゃないのか? 出ていけなくて困っているんだとばかり…」
「…階段上ったんだ。おれ、追われてるから…」
「追われて? 誰にだい?」
それを口走るほど、少年も愚かではないらしい。
「わかった。とにかくここじゃそのうち耳や鼻が凍って取れちゃうよ。
 この店じゃなくて、どこか暖かいところでミルクでも飲もう」
360Cheers for Tears U:2008/04/08(火) 12:50:17 ID:DpUEKy0I0
「……ないで…」
「え、何か言ったのか?」
「こども扱いしないで…」
と、涙を浮かべる円らな瞳で見つめられ、否と言える者がいるなら
その者は己の薄情を猛省すべきだ。寒さに血の気をなくした少年の
真っ白な顔に浮かぶたくさんのそばかすは、若さを失う代わりに消えていく刻印で、
ギルバートをなぜかとても遣る瀬無い気持ちにさせる。華奢な首、無色の産毛を宿す
滑らかな顎の線、少しベタついているが新芽を綻ばせる若木に似た香りを
立ち上らせる鳶色の髪。少年は訳を言わなくてはならない不安で相手は拒みたいのに、
全身が救済を求めている。
「わかった。とにかく立って。今夜はぼくのところでやすめばいい。あとは朝になったら考えよう」
「…警察に言ったりしない?」
「はぁ…約束する。ほら、ぼくまで冷えてきた。早く早く!」
ギルバートは自分の口調が妙に滑らかなのに驚いていた。相手の若さが理由だろうが、
少年の庇護欲を掻き立てる拠所なさが警戒の必要を締め出しているのかもしれない。
この子は確かに目を引く愛らしさだが、マイ口とは断じてカテゴリーを
異にするものだ、それぐらいの良識なら彼にも持てた。別に下心でこんな風に
恩着せがましい世話を焼くのではない、そう自分へ言い聞かせる側から、
疚しさを正確に伝える心中がギルバートには疎ましい。
「おなか空いてないかい、きみ。ぼくはペコペコだ」
まだ俯いている少年の頭頂には、つむじがふたつ渦巻いていた。その渦巻きが
頼りなく上下してから、ようやく緊張を解いて信用を示す細面がギルバートを見つめる。
361Cheers for Tears U:2008/04/08(火) 12:52:09 ID:DpUEKy0I0
「何を食べようかな…きみは何がいい? あ、まだ名前を聞いてなかった。
 ぼくはギルバート、ギルでいいよ」
「おれは…アレックス……」
「そう、よろしくアレックス」
こくり、と小さな頭が揺れて、少年は初めて寒さを厭うようにギルバートへ寄り添った。
いじらしい。抱きしめたい、そうギルバートは思ったが、自制心を無くすほど
酔ってはいない今にこれほど感謝することも二度とないだろう。
「嫌なら目を瞑って。ぼくが手をひいてあげるから」
原始情欲の園と化している通路を目にしたアレックスの脅えが、ギルバートとの
密着部位から漏らさず伝わってくる。この子は外にどれぐらいいたのだろう。
誰かが自分のように気まぐれを起こして非常ドアを開けるたび、扉の陰で息を殺していたのだろうか?
この推測はギルバートへ容易に罪悪感を募らせた。やはり相応しい年齢まで
見せなくて良い世界は隔絶されるべき、らしくもなく彼は馴染みのない正義感を
多少得意にも感じ、背筋が反れてしまう。
「アレックス? もう嫌なものは見えないよ」
覗き込むと、アレックスはギルバートの左手に必死で掴まり、ぎゅっと瞼を閉じていた。
そこがゆっくりと目覚めるように開く。だが瞬間目を眩ませるカウント不能の
ライトに射抜かれ、咄嗟に右手が顔を庇った。耳をつんざく打ち込みのレイヴチューン、
上半身を噴き出る汗に濡らすか、羽とレザーを纏って無心に踊り狂う、
ある切実な願望を共有した男たちの群れ。
「…なんならまだ目を閉じててもいいんだよ?」
「ちょっとギル! 何あんたその赤ちゃんは!?」
金切り声に向けばローラの般若顔が突進してくるところだ。
362Cheers for Tears U:2008/04/08(火) 12:54:06 ID:DpUEKy0I0
「ああ勘違いしないで。この子はそういうんじゃないから」
「当然でしょ! まったくどうやって忍びこんだのかしら。セキュリティに確認しなくっちゃ」
鼻息荒いローラにアレックスが益々萎縮しているのがわかる。
「だから違うって言ってるだろ。このフロアの上階は確か中古レコード店だね?
 そこの非常階段で一服してたら9時閉店って知らずに閉め出されちゃったんだってさ。
 ここの通路はバックルーム仕様だから出るに出れなくて仕方なく外にいたんだよ。
 おわかり?」
「あら、そうだったのね…」
ギルバートの珍しい力説にローラが気圧されているという光景を、
周囲は面白がっていたようだ。みるみる客が集まりだしたのでしまったと思ったが、
ギルバートはその後方から王侯のように様子見するマイ口の注視を見つける。
ますますぴったりと身体を寄せるアレックス以外を、マイ口は見ていなかった。
嫌な予感がしたが、ギルバートはその効果を狙ってわざとゆっくり近づいて来る
マイ口に浮かぶ微笑で、これから何が起こるのか覚ってしまった。
「ギル、ずいぶんだな。僕には新しいともだちを紹介してくれないつもりか?」
ダンスフロアのどぎつい照明など、もう目ではない。マイ口のキラキラと輝く
ペイルブルーの瞳に見つめられ、アレックスは何か言いたそうに唇を開いたが、
声にするのは忘れてしまったようだ。
なぜマイ口が誰かを魅了するほど簡単なことを、条理は脅威と制定できないのか。


[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
363風と木の名無しさん:2008/04/08(火) 13:53:58 ID:DpUEKy0I0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

絡みスレで注意を受けたのでこれでやめます。
不快にさせてどうもすみません。
364先生×佳:2008/04/08(火) 23:15:08 ID:mNG8euiNO
ー部屋の中には、二人の息と性の匂いが立ちこめていた。
「…先生、なんか飲まない?喉乾いちゃった…」
佳はゆっくりとベッドから起き上がり、だるそうに身体を横たえたままの
長髪の男に尋ねた。
「あぁ〜…ビール取ってくれ」
髪を掻き上げながら、男は佳を見つめた。
「しっかし…まさかなぁ。」
「なぁに?」
「今更、俺を誘うと思わなかったよ。お前の身体が昔と
殆ど変わらないほど若いのには驚いたね」 
「…先生みたいにオジサンじゃないもん」
悪戯っ子の様な微笑みを浮かべて佳はビールを手渡した。
「オジサンで悪かったですね…」
ビールを飲みながら機嫌悪そうに余所を向いた男に、佳はおもむろに
身体を近付けた。
「でも上手だったよ。すごく気持ち良かったもん」
佳は嬉しそうに、ベッドの中で脚を絡めた。
機嫌の良さそうな佳の顔を見ると、つい男の表情も緩む。
「…………そりゃ、どーも。」
365先生×佳A:2008/04/08(火) 23:16:16 ID:mNG8euiNO
グッとビールを飲み下し、感情を悟られまいと顔を背ける。
佳は、そんな彼の様子を伺いながら、さらに身体を絡めた。
「…ねぇ、もう一回しよ?」
楽しそうに言う佳に、先生は信じられないといった表情を向ける。
「まだやんのか?!明日早いのわかってるだろ?」
「まだって…まだ1回しかしてないじゃん!」
「…1回すりゃ、十分だろ?」
―二人の見解には相違があるようだ。しばらく二人で見つめ合う。
「信じられな〜い!俺の身体に火を点けたのは先生なのに!!」
「お前から誘ったんだろうが!…ったくやってられん」
先生はビールを飲み干して、佳に背を向けるようにして布団を被ってしまった。
「おやすみ」
「まさか本気で寝ちゃうの?!」
「お陰様で、どなたかと違ってオジサンなもんですから」
「…拗ねてんの?」
「い〜え…」
先生はくぐもった声で答えた。本当にそのまま寝てしまいそうな
先生を見つめていた佳はとうとう業を煮やした。
「…〜〜もういいっ!!」
怒った佳の声が聞こえる。諦めてくれたか、いや怒らせたか…と、
先生がちらりと佳の方を見ると、佳は一気に布団を捲り上げ、
先生の肩を掴んで一気に彼を仰向けにした。
「な…何しやがる!」
「その気になってくれないんなら、その気にさせてみせるもん」
佳は自信たっぷりといった表情で彼を見下ろし、彼の身体の上に
またがった。
「絶対、イイって言わせてみせるから…」


366先生×佳B:2008/04/08(火) 23:19:11 ID:mNG8euiNO
「おい、止せよ…」
先生は思わず逃げようとする。
「いいじゃない。俺に愛撫されるの、嫌?」
そんな訳が無い事は承知で敢えて聞いてみる。軽く胸の辺りにキスを落とし、
挑発的な目付きで先生を見つめた。すると先生は観念したように、
佳の背中に腕を回した。
「…言っても止まらねぇんだろ?」
そう呟いた先生を、佳は勝利者の微笑みで見つめ、とびきり濃厚なキスをした。
くちゅくちゅと、漏れ出てくる音と息遣いはあくまでもいやらしい。
「んん…」
佳は思う存分先生の唇を楽しむと、ぐちゅ、と音を立てながら唇を放し、
「さっきは先生にしてもらってばっかりだったからね…。」
そう言うと、首筋を舐め上げ、彼の弱い、耳の後ろに下を這わせる。
「………っ!」
必死に嬌声を堪えようとする彼を見るのが好きだ、と佳は思う。
普段、失態など滅多に見せないクールな彼の、自分しか知らないであろう
一面を見るのは、佳の愉しみの一つでもあった。
そのまま身体を丹念に愛撫し、勃ち上がった彼自身にちゅっと口付けた。
「その気になってくれた…?」
「…見りゃわかるでしょうが。」
「ふふ…嬉しいな」
佳は上体を上げると、ベッドサイドに手を伸ばした。
「俺も我慢できないや…」
そう言うと、佳はコンドームを口で開けると中身を取り出し、
口で器用に、彼自身にはめてやった。余りにいやらしい光景に思わず息を呑む。
367先生×佳C:2008/04/08(火) 23:20:59 ID:mNG8euiNO
「先生…コレ見るの好きでしょう?」
「あぁ…好きだね」
それを聞くと佳は満足そうに、先生に馬乗りになったまま、
ローションをたっぷりと自身の指で塗り込めた。
「欲しい…。…いい?」
先生の物を掴んであてがうと、先生もそれに答えるように、
佳の腰を掴んで呟いた。
「…楽しませてくれ」

佳はゆっくりと、腰を沈めた。その少し辛そうな表情は、
彼をすっかり呑み込んだ後に愉悦の表情に変わった。
「は…ぁっ。入っちゃった…」
「動けよ。…楽しませてくれるんだろ?」
そう言うと先生は、煽る様に、佳を下から数回突き上げた。
「あ…ぁっ」
「…動かねぇの?」
「ん…っ動くよぉ」
佳は彼の腰の辺りに両手を付くと、腰を動かし始める。
「ん…は…ぁっ。あ…」
佳は、深く沈み込む度に喘ぎ声を漏らした。
苦しい様な、快楽に溺れる様な、どんな言葉でも表現仕切れぬ佳の表情は、
誰のどんなそれよりも先生を煽った。髪が汗で張りついても、
掻き上げようともせずに一心に行為に没頭する佳は、とてつもなくセクシーだ
「あぁ…っ先生…」
嬌声を上げて喘ぐ佳のそれは、はち切れんばかりに張り詰めていた。
先生は、にやりと笑ってそれに手を伸ばし、思いっきりこすり上げてやる。
368先生×佳D:2008/04/08(火) 23:21:54 ID:mNG8euiNO
「ひ…っ!!あぁ…!」
「やられてばかりいるのは性に合わないんでね」
「やめっ…!」
「腰、止まってますよ?」「や…もたな…」
「頑張って…。楽しませてくれるんでしょ?」
「い…じわる…」
身体を捩らせて悶える佳を、先生はくっくっ、と笑いながら見つめた。
「実に楽しいね…」
先程まで、もう一回やるのか?とごねていた男とは思えぬ言い分だ。
だが、こうなってしまえば先生も止まらない。
「さ、そろそろ…フィニッシュといきますか…」
先生はそう呟くと、思いきり下から腰を突き上げて、彼を追い立ててやる。
「いや…っあ!」
首を振る佳を無視して先生は、どんどん佳を追い詰めていく。
「イケよ…」
「………っあぁ!!!」
一際大きな声を上げ、佳は痺れるような快楽の中で、絶頂に達した。
それを見届けた先生は、ぐったりとした佳を身体の下に組み敷き、
欲望を放った。佳の身体がびくびく、と震える。
「………満足したか?」
先生の声を聞く余裕の無い佳に、先生はそっと呟いた。

369先生×佳E:2008/04/08(火) 23:23:14 ID:mNG8euiNO



佳は機嫌良さそうに、フロント近くのソファに腰掛けていた。
スタッフは慌ただしい様子で動き回っており、チェックアウト出来るのは
まだ少し先になりそうだ。年は、英字新聞をめくる佳を見つけ、隣に腰掛けた。
「おはよう、佳」
「あぁ、おはよう。早いね」
「佳こそ!それに今日は…」
「?」
「朝から随分と機嫌が良さそうじゃない?」
年が佳の顔を覗き込むと、佳は堪えられずに微笑みを向けた。
「…わかる?」
「わかるよ!朝から何か良い事あったの?」
「朝じゃないよ。昨日の夜ねぇ…」
「ん?」
「…………フフフッ」
「??」
―年が思わず仰け反ってしまうのは、あと30秒後。

370先生×佳F:2008/04/08(火) 23:23:54 ID:mNG8euiNO
先生は重い身体を引きずるように、エレベーターに向かった。
一晩を過ごした相手は、機嫌良さそうに、一足先に部屋を出て行ってしまった。
並んで部屋を後にするのは決まりが悪いので、それはありがたいのだが…。
「あの野郎、3回もやらせやがって…。高校生かっての…」
思わず独り言が漏れる。同じ年の彼と、体力の差をまざまざと感じさせられた。
エレベーターに乗り、壁にもたれかかると、しばらくして博が乗ってきた。
「あぁ、先生、おはようございます」
「……おはよ」
「?なんだかいつもより元気が無さそうな…」
「…気のせいです」
「ならいいんやけど…」
博は目線を先生から外し、空を見つめた。

371風と木の名無しさん:2008/04/08(火) 23:25:27 ID:esi4cFNM0
>>364

( ゚ Д゚)<テンプレきちんと読んでから投下してくれ
372先生×佳G:2008/04/08(火) 23:28:27 ID:mNG8euiNO
すると博は、はっと何かに気が付いた。
「オレら、同じ階に泊まってたはずなのに、先生、既にエレベーターに乗ってましたよね?」
「…気付くな」
「オレらが泊まってた階より上の階に部屋があったのって…」
「…気付かんでいい」
「佳の部屋に泊まってたの?」
「気付くなと言ってるだろうが!」
先生は怒ったような、気まずいような表情で声を荒げた。
「へ〜え…。仲良いね昔から」
言い方に刺があるような気がしたのは気のせいだろうか?
「おかげさんで…」
「しかし今も続いてるとは思わへんかったな。」
「腐れ縁てやつですかね…」
「20年来の愛、でしょう?」
博は嬉しそうに笑った。フロントに向かいながら、博はふと考えてみた。
佳と先生は昔からの仲だ。1年近く離れ離れになっても、
二人は会えば肌を重ね、同じ空気感を保ち続けてきた。
佳はなぜ彼を選んだのだろうか。一つ間違えば、バンド内に気まずい空気が
流れるだろうに、ずっとそのリスクを犯し続けてきたのは何故なのか。
以前から不思議に思ってきた事だった。しかし、先生の顔を見た時、
その、いつも変わらぬ表情を見た時、博は、ある考えに辿り着いた。
そう、とても単純な事に。
「先生」
博は先生の肩を引き寄せ、彼の耳に唇を近付けて囁いた。

「先生って、そんなに『イイ』んやね。俺も試してみたいな…」

そう呟くと誰にも気付かれぬように、軽く、羽が触れる程度のキスを耳にした。
373先生×佳(終):2008/04/08(火) 23:28:50 ID:mNG8euiNO
先生の肩からずるりとバッグが落ちる。驚いて何も言えぬまま立ち尽くし、
スッと自分の前に出た博を見ると、赤い舌でチロリと唇を舐めながら、
自分を微笑んで見つめていた。
「今度ね…」
そう言って足早に去っていく博の背中を見つめながら、
先生は、自分が安眠できる日々はしばらく来ないだろう、と悟った。
「…………は〜〜……」
後に残るのは溜め息のみ…。



374風と木の名無しさん:2008/04/08(火) 23:31:33 ID:mNG8euiNO
>>371
すみません。以後はテンプレ通りにします…m(__)m
ご迷惑をおかけしました。
375風と木の名無しさん:2008/04/10(木) 11:22:55 ID:E1QoNdaqO

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

376博と先生・前編(1/3):2008/04/10(木) 11:24:07 ID:E1QoNdaqO
飛行機に乗り込み席に座ると、少し遅れて博がやってきた。
「あ、先生と隣か」
「そうみたいだな。」
「良かったぁ…」
ホッとしたように呟いて、博は席に座る。
「何が良かったんだ?」
不思議そうに先生が博の顔を覗き込むと、博は何か企んでいるような
微笑みを浮かべて、先生を見ずに言った。
「こないだの話」
「こないだぁ…?」
思い出そうとしても思い出せない。思わず首を傾げると、
博は通路を挟んだ隣の隣の席に居る佳の方に目をやった。
「二人が仲が良さそうで、羨ましいなぁ…って話…」そう言って微笑むと、通路側の、佳の隣の席に座る年が、
不思議そうに首を傾げた。自分に微笑んだと思ったのだろう。
ようやく思い出した先生は顔を強ばらせて、固まったまま博を見た。
「お前…あれ本気…?」
「…本気ですよ?」
博は周りから見えぬ様に、そっと先生の太ももに指を這わせた。
愉しそうな博の表情が予想以上に色っぽく、先生は思わず息を呑む。
377博と先生・前編(2/3):2008/04/10(木) 11:25:27 ID:E1QoNdaqO
「お前…っ止せ!」
周りに聞こえぬ様に小さく注意するが、博はやめる気配が無い。
「ええやん…誰にも見えへんよ」
「そういう問題じゃ…!」しばらく揉めていると添乗員が通り過ぎる。博はすっと指を引っ込めて、
そのまま離陸するまで黙って座っていた。

何とも言えぬ空気感に耐えかねて、先生はトイレ、と言って席を立った。
とは言え、用を足したかったわけではない。しばらく時間を潰したら
席に戻ろう…と壁にもたれ掛かっていると、コンコン、とノックされた。
居座るつもりもないので外に出ようとすると、そこに立っていたのは博だった。
「博…お前」
先生が抗議しようとすると、博はそのまま中に押し入り、後ろ手に鍵を掛けた。
「何しやがる!」
「しーっ。声が漏れる…」博は先生を追い詰め、身体をぴったりと密着させた。サングラスを取り、
いきなり唇を重ねた。あっという間に舌が侵入してきて、
先生の口内を這い回る。余りに激しい口付けに、息が苦しくなる。
「はぁ…っ…博…お前…!」
「…その気になってくれた?」
博は唇を放し、頬にキスしながら囁いた。
378博と先生・前編(3/3):2008/04/10(木) 11:26:30 ID:E1QoNdaqO
「お前…こんな所で…!!」
「興奮せぇへん?機内のトイレの中って、一度やってみたかった…」
AVの見すぎだ、とつっこみたかったが、大きな声を出しては、と堪える。
博は先生の反応を気にせず、体中をまさぐり、キスを落としていく。
「興奮してきた…?」
「バカな事…っ」
「…佳じゃないと、やる気にならない?」
「そんな訳…ねぇだろ…!」
それこそ、バカな事、だ。身体を密着させ、自分の身体を愛撫する博は、
堪らなくセクシーだった。洋服越しでも、全身から色気を漂わせているのがよくわかる。
だがここは機内だ。先生は理性の糸を手繰り寄せ、何とか暴走しかかる
自分を制した。
「何も、こんな所で…っ!!ベッドですりゃいいだろうが…っ!」
そう言った後、しまった、と口を押さえても遅かった。博の思う壺だ。
「ふ〜ん……ベッドでならええんやね…そーぉ。」
そう言って微笑むと、先生の雄をジーンズ越しにするりと撫で、
「今夜、ホテルでね…」
と耳元で囁くと、博は後ろ手にガチャリと鍵を開けた。
先に出て、と先生を促して博はトイレに残る。一緒に出ていくのは
余りにまずい。いたたまれない気持ちになりながら席に戻る。
しばらくすると、サングラスを掛け直した博も席に戻ってきた。
ゆったりと座ると、先生を見ずに、満足そうに声を洩らす。
「…楽しかったぁ」
そう言われた先生は、頭を抱えるしかない。
「……………………よござんしたね」
博は、フフッと嬉しそうに微笑んだ。その隣で先生は気まずそうに目を瞑る。
佳が二人を見つめているのには気付かずに。
379風と木の名無しさん:2008/04/10(木) 11:27:16 ID:E1QoNdaqO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
380心を縛るのは:2008/04/11(金) 07:26:00 ID:da7LKAS90
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  戦国BASARA、幸村×佐助。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  愛憎・切断有なので注意
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ キワモノダナ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
381心を縛るのは 1/5:2008/04/11(金) 07:26:40 ID:da7LKAS90
いくさの最中に、佐助が消えた。
その報せを聞いて、心配ではあったもののおれには何も出来る事はなく、
ただひたすらに生きて帰ってくることを信じるしかなかった。
佐助は、日の本一の忍だろう、ならば死ぬなどあり得ぬ。
幾度も幾度もそう繰り返し、自分に言い聞かせていた。

そして佐助は戻ってきた。幾つも幾つも大切なものを失くして。

佐助が帰ってきたのは五日後、おれが身の入らぬ鍛錬をしている最中だった。
藁で組んだ的に向かい、突きを放つ。その合間に、どこからかどさりと音がした。
不思議に思って辺りを見回すと、丁度おれの背後に佐助が倒れていた。
慌てて駆け寄り、抱き起こすと妙に軽い。よく見ると、服を着てはいるものの
右の袖はだらりと垂れている。下穿きも途中から厚みを失くしていて、思わず息を呑んだ。
「佐助!」
目を閉じている佐助に、不安になって叫ぶ。どうやら死んではいないようだ。
おれの叫び声にぎゅうと眉が寄る。その反応に安堵して、抱き上げた。
ただでさえ軽かった体が、今はまるで人形でも抱いているようだ。
382心を縛るのは 2/5:2008/04/11(金) 07:27:12 ID:da7LKAS90
ぎしり、噛み締めた歯が音を立てた。自分の部屋へと連れて行き、布団へと寝かせる。
嘘であってくれと、半ば願いながら服を脱がせていく。
露になった体は、服の上から見たとおりに右手と両脚がなくなっていた。
切断面は清潔な包帯で覆われ、血も止まっているようだ。
右手は肘の上、右足は膝の上、左足は太ももの半ばからがすっぱりと斬り落とされている。
これのせいで、佐助はすぐに帰ってこなかったのだろうか。
この体ではもう忍の仕事をするのも、戦に出るのも無理だろう、
だが佐助はおれの大切な仲間だ。友だ。
こんな事くらいで、受け入れられぬとでも思ったのだろうか。
佐助をこんな目にあわせたのは誰だろう。許さぬ。
同じ目にあわせるのではぬるい。四肢を斬り落として戦場に放置しても足らぬ。
怒りと戸惑いで考えが定まらず、何も言えず、佐助をじっと見つめる。
そ、と手を伸ばして、佐助の髪を撫でた。小さく名を呼ぶ。
体が冷えてはいけないと布団をかけようとしたとき、佐助がうっすらと目を開いた。
「…だんな?」
ちいさな、力無い声。返事をしようとしたが、それを遮るように言葉が続く。
「どうして、あんたは無傷なのに」
「…佐助?」
何を言っているのか、おれが無傷な事が腹立たしいのか。
問いかけるより早く、佐助がまた目を閉じる。その後はいくら呼びかけても目を開けず、
次に起きるときをひたすらに待つ事になった。
383心を縛るのは 3/5:2008/04/11(金) 07:27:34 ID:da7LKAS90
   

いつものいくさのはずだった。油断していたのだと思う。
背後から迫る手裏剣に気づけなかった俺はまず右腕を深く切り裂かれ、
烏に捕まって逃げようとしたところを槍で突かれ刀で切られ、足を失った。
命からがら戦場から逃げ出し、ほっとしたところで右腕が千切れて地面へ落とされた。
薄れていく意識の中で、誰かに拾われた事は覚えている。
こんな襤褸雑巾を拾ってどうする気なのかと問うた事も。

目を開くと、竜の旦那の部屋に居た。まさか夢だったのかと、体を起こそうとして
右腕が無い事に気づき、やはり夢ではなかったのだと落胆する。
どうして俺は奥州に居るのか、誰が連れてきたのか。傷口は治療の跡があるが、
これは誰がやったのか。こんな体でこれからどうやって生きていけばいいのか。
ぐるぐると疑問が頭を回る。一つずつ整理して行こうと深呼吸をした。
治療をしたのも、ここへ連れてきたのもきっと竜の旦那だろう。
どうして助けたのかは分からない。俺にこれからどうしろというのだろうか。
仕事の出来ない忍など、生きている意味が無いというのに。
俺がこんな目にあうのはやはり報いだろうか。数多くの人を殺め、手を血に染めた報い。
どうやら熱があるらしい、ぼんやりとした視界を彷徨わせながら思う。
床がきしむ音に、そちらに目を向けると右目の旦那が部屋へと入ってきたところだった。
俺が目を覚ましている事に気づいた右目の旦那は、安心したように溜め息を吐き、
塗らした手ぬぐいを絞りながら「寝ておけ」とだけ言った。
384心を縛るのは 4/5:2008/04/11(金) 07:28:09 ID:da7LKAS90
動かない、動けない俺の額の上に冷たい手ぬぐいが乗せられる。
心地よくて息を吐いた。そのままゆっくり目を閉じる。
部屋から出て行こうとする気配に口を開いた。
「ね、俺がこんな事になったのって、報いかな」
問いかけると、ぴたりと気配が移動するのをやめた。暫し迷うような間の後、声がする。
「…お前が報いを受けるなら、お前の主も俺の主も俺も、報いを受けなきゃおかしいだろう」
違いない。小さく笑って、そのまま睡魔に身を任せる。
ぼんやりとした意識の中で、死ぬな、と言われた気がした。

どうして俺なんだろう。俺なんかよりも、旦那の方がよっぽど大勢を殺しているじゃないか。
罪の意識を感じる事も無く、ただひたすらに目標だけを見据えて犠牲になる者の事など
すべて無視して。自分が足を置いている場所が骸の上だと気付きもせずに。
それなのにどうして、どうして俺だけが報いを受けなければならないのだろう。
俺はもう仕事も出来ない、生きている意味が無い、旦那は五体満足だ。
恨めしい。思うだけならば許されるだろう。俺は昔から、武将って生き物が大嫌いだ。

次に目を覚ましたときには何故だか俺は武田へと帰されていて、それどころか
旦那の部屋の旦那の布団に寝かされていた。
看病してくれていたのだろう、布団の傍に正座した旦那がこくりこくりと船を漕いでいる。
額に乗せられていた手ぬぐいを左手で取り、枕もとの水盆へと突っ込んだ。
絞る事が出来ないからそのままにしておく。
起こすのも悪い気がして、じっと旦那の顔を見る。さすけ、と微かな声で言われて
心臓が跳ねた。寝言だと分かっていても驚いてしまう。
旦那はどうして俺を看病なんてしているんだろう。
役に立たない忍なんて捨ててしまえばいいだけなのに。
385風と木の名無しさん:2008/04/11(金) 07:33:17 ID:bM0Q9/2SO
支援
386心を縛るのは 5/5:2008/04/11(金) 07:36:16 ID:da7LKAS90
 
ぼんやりと旦那を眺めていたら、突然がくりと旦那が倒れてきた。
避けられるわけもなく反射的に目を閉じたが、いつまでたっても衝撃が無い。
おかしく思って目を開くと、目の前に旦那の顔があった。
心配げだった旦那が、輝くような笑顔になる。驚く俺など無視だ。
「佐助!心配したのだぞ、目を覚ましてくれてよかった…!!」
そうしてその笑顔のままでぼろぼろと涙を零す。俺の主はなんて真っ直ぐなんだろう。
顔に落ちてくる旦那の涙にまぎれて、俺も少しだけ泣いた。
「駄目だよ旦那、こんな手負いの役立たずの為に泣いたりなんてしたら」
「佐助は俺の大切なひとだ。役立たず等ではない」
…旦那には敵わない、と溜め息を吐いた。この人は、大事なものしか見えていないのだ。
だから俺をこんなに心配してくれる。だから俺は、こんな体でも死ぬ事は出来ない。
これから先ずっと、生き地獄を味わわなければならない。

ねえ、大嫌いで大好きな旦那。いつかは俺を解放してくれるかな?
387心を縛るのは:2008/04/11(金) 07:36:37 ID:da7LKAS90
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お目汚し失礼しましたー
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
388Solitude, or something like that.:2008/04/11(金) 14:49:03 ID:1aYQgV1m0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

銀魂の銀時×沖田→土方です。土方は出てきません。
ミツバ編後です。
389388:2008/04/11(金) 15:12:34 ID:PijMadEWO
携帯から388です。
何故か書き込めなくなりましたorz
すみませんが次の方お願いします。
390風と木の名無しさん:2008/04/11(金) 21:06:02 ID:jfmK/Gfu0
>>318
亀ですが禿げ萌え!文章の運びうまいな!
優勢可愛いよ優勢。
このカプは…(・∀・)イイ!

また気が向いたら書いてくれると嬉しいです!
391風と木の名無しさん:2008/04/11(金) 21:40:28 ID:hobGZRIe0
>389
鯖規制かな?丼米〜。
三つ葉編で沖田受けに開眼したので銀沖超読んでみたいw
392風と木の名無しさん:2008/04/12(土) 01:42:49 ID:35QNgoj8O
>>380
GGGGGJ!!
この主従で愛憎とか好みすぎる
ごちそうさまでした!
393エフ壱 ■×黄身(×別輝)1/6:2008/04/12(土) 15:05:09 ID:kS2F+1/A0
初めての投下で心臓バクバクです。不備があったらゴメンナサイ。

ナマモノ注意。音速スレ 149姐さんのネタに乗っからせていただきました。
黄身×別輝(別輝×黄身?)に横槍を入れる先生。
149姐さん、ステキなネタを冒涜して申し訳ないです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「ハナシあんだけど」
不機嫌な表情の黄身が、赤いチ―ムキャップの下から睨みつけてくる。
「君に待ち伏せされるとは光栄だね。私達がもっと親密だった頃にも、
あまりなかったように思うが。二人きりの時間を持つことならいつでも大歓迎さ」
そ知らぬふりで微笑いかけると、彼はやりにくそうに視線を外した。
394エフ壱 ■×黄身(×別輝)2/6:2008/04/12(土) 15:05:59 ID:kS2F+1/A0
話の内容など聞かなくても分かる。小生意気な最年少ドライバ―の件だろう。
最近はあの小僧が黄身の周りをちょろちょろしている。
本人たちは恋人同士のつもりだろうが、傍から見ているとあまりのアンバランスさに
嗤うしかない。
放っておけばよいのだが、私とあのチビとは同じチームにいるようなもので、
その浮かれぶりが何かと目に入る。あまりに目障りなので、昨日ちょっとからかってやった。
しおらしいところでも見せればまだ可愛げもあるだろうが、強情な顔で睨んでくるので、
泣かせてやろうかと思ったものだ。さすがにそいつはやめたものの、黄身が私に苦情を
もって来たということは、か弱い子羊を装って涙ながらに訴えでもしたか。
くえないガキだ。
「そーゆーんじゃなくて…!あんた、あいつに余分なこと吹き込んだだろ。
いい歳して大人気ない事するなよ」
「おやおや、これは酷い言われようだ。私が何を言ったか、君は本当のところを
知っているのかな?一方の言い分だけを鵜呑みにして他方を糾弾するのは、
あまり公平なやりようではないと思うが。私には釈明の余地も無しかい?」
身に覚えのある私にとって、彼の非難は至極正当なものだ。
しかしそんな事はおくびにも出さずに、逆に彼のやり様に異議を申し立てる。
395エフ壱 ■×黄身(×別輝)3/6:2008/04/12(土) 15:06:35 ID:kS2F+1/A0
もともと他人のする事に関心が薄く、抗議や非難をすることに慣れていない彼を
煙に撒くことなど簡単だ。案の定、トーンダウンした声に躊躇が混じる。
「…じゃあ何て言ったんだよ」
しぶしぶそう言った黄身の顔に、早くも後悔の色が浮かぶ。
私がこういう機会を逃さないことを、彼は十分承知しているはずだ。
「事実と、それに基づく私の見解さ。君の身体はこんなにも感じやすくて、
しかも快楽を得ることに貪欲だ。経験の浅い坊や相手に本気で満足できるのか、
甚だ怪しいものだと思うという事を…そう、もう少し明確に表現したかな」
言うが早いか彼の腰を抱き寄せ、うなじに手をかける。
抵抗する身体を抑え込むのは簡単ではないが、こちらも鍛えているし、
こんなシチュエーションは慣れたものだ。壁と自分の体の間で上手く相手の動きを
封じて見せると、彼の焦りが増すのが分かった。
壁一枚向こうには、自称モ―タースポ―ツ・ジャ―ナリストのゴシップ記者達がいる。
こんな場所で私に詰め寄るあたりが彼の若さだ。本気で暴れて騒ぐわけにいかない環境では、
私の思う壺だということに、追い詰められてから気付く。
396エフ壱 ■×黄身(×別輝)4/6:2008/04/12(土) 15:07:12 ID:kS2F+1/A0
そして気付いた時には既に手遅れだと、本人も分かっているかもしれない。
彼の身体を熟知した私の手が肌の上を彷徨うのに、抗いながらも反応を見せている。
不本意なのだろう、その苦しげな表情を、身体の火照りが裏切っている。
恋人だった頃、嫌がる彼を無理やり抱いたことは無かった。だから私の手を拒もうとする
黄身というのはあまり見たことがなく、それだけに妙にこちらも煽られる。
夢中になりそうで、危うい。
つい調子に乗って唇を重ねた時には、まだ自分に余裕があったはずだった。
だが慣れた手順で彼の舌を絡め取ったのをきっかけに、理性が飛んだ。
抱き込んだ身体は、二人が甘い関係だった頃よりひとまわり大きく、硬い筋肉に鎧われている。
しかし指に絡むしなやかな髪も、すぐ朱みが差す北欧人特有の肌も、柔らかな舌先の動きも、
あの頃と変わらない。――そう、彼の舌先がいま、私を求めている。
そのことに気付いた瞬間に、自分の体温が急激に上昇するのを自覚した。
397エフ壱 ■×黄身(×別輝)5/6:2008/04/12(土) 15:07:44 ID:kS2F+1/A0
互いの身体に夢中になっていた数年前まで気持ちが戻っていたのは、彼も同じなのだろう。
私も彼も、急流に溺れもがく者のような必死さで貪りあう。
まるで性交そのもののような淫らな口付けの合間に、熱を帯びた腰がこすれあう。
さすがに頭の片隅で警告音が鳴り響いた。いくらなんでも、こんなところで
始めるわけにはいかない。ホテルの自室で話を聞けば良かったと思ったところで、今更だ。
これは千載一遇のチャンスで、今を逃せば彼を抱くことなど二度と望めないかもしれない。
それでも身を切られるような思いを振り切って、私はどうにか身体を引き離した。
その瞬間、黄身の手は私を引き止めようとし、眼差しは行為の続きをねだった。
だが視線が合ったとたんに自分を取り戻したのか、真っ赤になって私を突き飛ばす。
あまりに予想通りの反応で、苦笑が漏れる。
「まぁ、こういう事さ。君が坊やとの幼稚な情事に満足できなくなったら、
私のところへ来ればいい。いつでも歓迎するよ」
ありもしない余裕を装って見せると、黄身が無言のまま睨みつけてくる。
ああ、その壮絶な色気を何とかしてくれ。私のやせ我慢はそんなに堅固ではないのだから。
398エフ壱 ■×黄身(×別輝)6/6:2008/04/12(土) 15:10:01 ID:kS2F+1/A0
視線を外す口実がほしくて、足元に落ちた彼の帽子を拾い上げる。
そしてそれを、今度は彼の口実に使うことにする。
「君が来るまで、このキャップは私の部屋で預っておこうかな。いつでも取りに来てくれ。
じゃあ、良いレースを」
早々にその場を立ち去る私の背に、下品な罵りが投げられる。
それは彼自身の余裕のなさを表しているようで、私を喜ばせた。

当分はありもしない来客を待って週末の夜を過ごすことになるが、それも悪くは無いだろう。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

落ちてないよ_| ̄|■
テルへの評価が厳しいのは、先生目線だからでゴメンナサイ。
レエスのない週末は、妄想と反省をくりかえして過ごします。
399風と木の名無しさん:2008/04/12(土) 15:33:52 ID:rFSDRo2+0
>>393
GJ!!これは萌える!
誰かこのネタでSS書いてはくれないものかとずっと思ってました。
■黄身いいなぁ何時までたってもこの二人の妄想は尽きんw
黄身の余裕のない態度がカワユス。
ありがとうさんでした!!
400vanilla 5/5:2008/04/12(土) 19:00:22 ID:idi0RIXB0
>>393
なんと・・・新しいジャンルに目覚めてしまったような気がするYO
姐さんGJ
久しぶりにネットサーフィンの旅にでてしまいそうだ。
401風と木の名無しさん:2008/04/12(土) 19:01:02 ID:idi0RIXB0
あ、名前欄はスルーしてくださいorz↑
402その先にあるもの(1/6):2008/04/12(土) 20:36:02 ID:ixGtK4Bj0
ナマモノ。蟻羽間

|>PLAY ピッ◇⊂(・∀・ ) ジサクジエンガ オオクリシマース!



その日の打ち上げはいつも以上に盛り上がっていた。
オレは相変わらずカルピスを飲み、蟻野はウィスキーのグラスを重ねていた。
「酒、飲めないわけやないんやろ?」
「飲めなくはないけど、酒飲むと具合悪ぅなるからな」
「ふぅん」
こいつが目を細めるのは良くないことを考えている時だ。
オレは悪い予感がした。
蟻野が手に持っているグラスをオレに渡す。
「飲んで」
「これ、ロックやん」
「うん」
「吐いてもええんか?どうなっても知らんで」
「飲んで」
オレは蟻野をじとっとした目で見た後、手に持ったグラスの中の酒を飲み干した。
「・・・・・・・・・」
「おー、いい飲みっぷりやね」
オレは意識を失い、そのままテーブルに倒れた。
店の女の悲鳴が聞こえた気がした。
403その先にあるもの(2/6):2008/04/12(土) 20:36:37 ID:ixGtK4Bj0
目覚めると見知らぬ白い天井。
病院の個室か。
腕には点滴。
オレの他には蟻野しかいない。
「大丈夫?」
「蟻野・・・?」
「ごめんな、あれから大変だったんやで。酒を飲んで倒れてそのまま全然意識戻らんくて。あのまま夜間もやっとる病院連れてきたんや。したらすぐ入院することになってな」
「ああ」
「酒飲めないなら断ればええのに」
「オマエが飲め言うたんやろが。・・・今何時?」
「3時。病院に連れて行く口実で抜け出してきた」
「主役二人がおらん打ち上げってどうよ」
「確かめたかったんや。オマエがどんなことでも僕の言うことを聞くかどうか」
「だから飲めないの分かってて酒飲ましたんか」
「うん」
「オレはオマエが望むならどんな命令でも聞くよ。オマエが望むことならなんでもするよ。それは分かるやろ?」
404その先にあるもの(3/6):2008/04/12(土) 20:37:13 ID:ixGtK4Bj0
「尾形と付き合うことにしたんやろ」
「ああ。なんか昔のオマエのようやな。前はオレに好きなヤツが出来ただの付き合う相手が出来ただの知ればえらい嫉妬してたやろ。昔の蟻野は酷かった。オレ、殺されるんやないやろかと思うてたしな。急性アルコール中毒って知っとるやろ?」
「知っとるよ」
「酒を飲む前にそれがちょっと過ぎったんや。結婚してからはそういうの無くなったと思っとったのにな」
「昔はね、僕にはオマエしかおらんかったから。今はオマエには僕しかおらんかったはずやのに」
「一人でおるのは嫌やからな。尾形可愛ええしな」
「結婚したから人間的に成熟せなあかんなぁと思って自粛しとったんやけど、たまに確かめな気が済まんのかなぁ」
「確かめるって、オレがオマエのもんかってこと?」
「うん」
「どうしたらオマエが納得出来る?脱げ言うなら脱ぐし、ここでせぇ言うならするよ」
「ええよ、せんでも。病院やし」
「でも実際付き合うってどういうことなんやろなって思うよ」
「どゆこと?」
「一緒に映画見に行ったり旅行したりするのは、何も付き合わなくても友達でも出来るわけやろ?」
「やっぱりセックスするかどうかの違いちゃうん?僕が望めば何でもするように、尾形が望めばオマエは何でもするんやろ?」
「あのな。尾形が酒をロックで飲め言うてもオレは飲まんよ。あいつはそゆこと言わんしな。オレ、そこまで主体性無いように見えるか?無茶するのはオマエが望むからやで?オマエの望みでも巡り巡ってオマエが困るようなコトは流石にやらんけどな」
405その先にあるもの(4/6):2008/04/12(土) 20:37:53 ID:ixGtK4Bj0
「例えば一緒に住もうとかそういう?」
「そういうのや。で、オレが尾形と付き合うてもオマエは困らへんやろ?」
「僕が望めば何でもするなんて、まるでセフレのようやな」
「セフレっておるけど、むしろそういうやつって何で付き合わへんのやろなって思うよ。いや、オレらは無理やけどな。オマエは結婚してしもうたし。ま、オマエが選んだ人ならオレは何も言わんけども」
「で、キスしようとした時に拒まんかったらなし崩し的にそのままいくやろ?」
「オレはオマエに求めてほしいからな」
「尾形に嫉妬しないわけじゃないよ。だから今オマエがこういう状態になっとるわけやし」
「あれやな、首輪つけてて鎖に繋がれてるようなもんやな」
「嫌?」
「嫌やないけども」
「羽間口くんが何処に行っても間違いなく最終的には僕のところに戻ってくると分かっただけでも酒飲まして良かった思うてるよ」
「どうせ明日か明後日には退院出来るやろ」
「だからあんまり言わんことにする。付き合うな、とかね」
「あんまりっつーか初めてオマエの口からそれ、聞いたな」
「そか?」
「そやねん」
「恋愛って難しいね」
「オレらのこういう関係は恋愛なのか?コンビとしてもおかしいしな。歪んどる」
406その先にあるもの(5/6):2008/04/12(土) 20:38:32 ID:ixGtK4Bj0
「それは羽間口くんがそう望むからやろ?」
「なんか永遠に片想いしとるようやな。オレばっか」
「キスして」
オレは体を起こし、屈んだ蟻野の体に腕を回し、口付けをする。
砂漠でオアシスを発見した旅人が水を求めるように舌を絡めて唾液を飲み込む。
長い長いキスの最中は息が詰まる思いだった。
「これでええか?」
「上出来やな。こんな顔を他のヤツに見せるの、嫌やな」
「そう思うならオレを繋げとけよ。離れられんように」
「退院したら、尾形が見てる前でオマエを思いっきり犯してやりたいな」
「そう望むならしたらええ」
「オマエの可愛い声を聞かせて、僕が散々やった後ならしてもええって言うわ」
「どんだけ悪人やねん。実際にするのを想像してたらゾクゾクしてきたわ」
「決まりやな。病院でなければこのまま僕の気の済むまで目茶苦茶にしてやりたいけども、ま、それも無理やし。楽しみにしとけ」
「尾形も可愛そうにな」
「僕の羽間口くんに手ぇ出したのが運の尽きやわ」
「今に刺されるぞ、オマエ」
「そんな根性無いやろ、あいつ。それに僕が刺されそうになったらオマエが体を投げ出して僕を守ってくれるんでしょ?」
「オレら、歪んでるな」
「退院するの楽しみやわ。・・・エロい顔。期待しとる顔ってなしてエロいんやろ。そんなに僕とするの、好き?」
「ああ。オレはオマエのもんや」
407その先にあるもの(6/6):2008/04/12(土) 20:41:26 ID:ixGtK4Bj0
その日の夜は眠れなかった。
まるでオレはお預けを食らっている犬のようだ。
結婚しているから、そんな言葉も全く効力を持たないのが立証された。
都合のいい時だけ相手をされるセフレか、もっと言えばダッチワイフか。
オレはとうの昔にあいつが望むものに成り果てていて、それでいいと思うオレがいる。

退院後、尾形を家に呼び、オレと蟻野の行為を見せた時に歪んだ顔をされた。
深淵の淵を見せて、後輩の心の傷を深くして。
周りを傷付けながら、オレ達は生きている。
オレは傷付けられたいからそれでもいいけど、オレらに関ったのが運の尽きやな、とも思う。

(このまま、堕ちるとこまで堕ちようか)
その先にあるものは?



□STOP ピッ◇⊂(・∀・ ) イジョウ、ジサクジエンデシタ!
408風と木の名無しさん:2008/04/12(土) 22:33:03 ID:B4PlV4ym0
>>402
萌え禿げた・・・GJです!!
でもだれか彼を幸せにしてあげて・・(泣)415の日とかに・・あと3日しかないけど。
けどこういうの大好きです(爆
409Solitude, or something like that.:2008/04/12(土) 23:39:21 ID:HRqXEpNc0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

銀魂の銀時×沖田→土方です。土方は出てきません。
ミツバ編後です。
388で初めて書き込みしようとして撃沈しましたが、再びチャレンジ。
上手くいくか心臓バクバクいってますw
410409(1/11):2008/04/13(日) 00:07:11 ID:Dwa4W3mGO
「…旦那、」
悪い夢から醒めたように、沖田はゆっくりとこちらを見上げた。
開ききった瞳孔に、ゆらりと光が戻る。焦点を銀時に合わせると、
沖田は眩しそうに目を細め、そっと伏せた。

沖田の瞳は髪や肌同様色素が薄い。

天人が持ち込んだ磁器人形によく似ていると銀時は思った。
一部上流階級者の間で好まれる精巧な愛玩である。
何が楽しいのか彼らはそれに服を着せえ髪を梳かし時には化粧も施し、
自分の子供や恋人同然に可愛がるのだそうだ。

無反応な人形相手にままごとをして何が楽しいのかね。
まったくセレブの考えることは庶民にはわからないねえと鼻で笑っていたものだ。

それなのに。

自分は今から、その人形を抱こうとしている。



Solitude, or something like that.
411409(2/11):2008/04/13(日) 00:10:52 ID:Dwa4W3mGO

「何も、考えんな。」
耳たぶを啄みながら呟くと、面白い様に沖田の体が跳ねた。
窮屈そうにしっかりと下肢を締め上げている袴の帯をほどいてやると、
部屋中にしゅるりという衣擦れの音が存外大きく響いた。
沖田の瞳は伏せられたままだ。薄暗い明りを受けて、睫毛の形に影が落ちていた。

「何も考えなくて、いいからさ。」
言いながら、解いた締め紐で目隠ししてやると流石に困惑した様子が伝わったが、
大丈夫、考えるなと銀時が宥めると、小さく頷き、沖田は再び人形に戻った。


以前の沖田はこんな風に、まるでお人形のように、ただ大人しく可愛がられるような性質ではなかった。
大人しく可愛がられるどころか、ただ手を伸ばしただけで手酷い呪いでもかけてきそうな、そういう男だった。
しかし姉を亡くしてからというものの、以前のような沖田のサディスティックな性質はすっかり成りをひそめ、
まるで別人のようになっていった。
あの神楽がいくら挑発しても、さらりとかわしてしまう。
―銀ちゃん、あいつやっぱりどっかおかしいアル。…壊れちゃったのかな。
複雑な表情でそういう神楽に対して、銀時はただ黙って頭を撫でてやることしかできなかった。
412409(3/11):2008/04/13(日) 00:15:33 ID:Dwa4W3mGO
それでも隊務はきっちりとこなしているらしく、
相変わらず真選組は江戸の破壊活動…もとい江戸の治安維持に勤しんでいる。
以前はちょくちょく顔をみせていた万事屋にもとんと現れなくなったので、
瓦版やかぶき町ニュースで彼らの忙しない公務の様子を追っていた。
「お手柄?! 一番隊隊長、またしても攘夷過激派を一斉確保で満面の笑み」
という見出しの記事には、不謹慎にもピースサインで映る沖田の写真が載っていたが、

それを満面の笑みと呼んでいいのか銀時には分りかねるた。

近藤や土方はといえば、努めてミツバの死に触れずにいるようにみえた。
それが彼らの優しさであると充分すぎる程に知っていたが、
銀時には彼らが彼女の死と沖田の苦しみから目をそむけているだけにしか思えなかった。
四十九日もとうに過ぎた。しかし、誰もが忘れられずにいることは明白だった。
毎日が淡々と過ぎていった。不気味な程、平穏な日々だった。

そんな中だった。

ある深夜、小腹が空き糖分調達に向かった時だった。
袋に詰まった菓子をつまみながら銀時が夜道を歩いていると、
すぐ脇の小道から嗅ぎなれたいやな匂いが鼻をついた。

血だ。
それも、おびただしい量の。
413409(4/11):2008/04/13(日) 00:22:45 ID:Dwa4W3mGO
(…人の夜食タイム邪魔すんじゃねーよ。クソが。)
悪態を付きながら、それでも足が向いてしまう自分を銀時は呪った。
仕様がない、厄介事に首を突っ込むのは自分の専売特許なのだと、諦めにも似たため息をつく。
気配を消して、小道に入り込むと、より濃密な匂いがつんと鼻をつく。
それにしてもすごい匂いだ。あたり一面に充満している。


「…あっ…うわあああああああ!」」

―男の震えた声がする。
…一体何が起こっている?電灯がほんのわずかに差し込む小道に目が慣れるまで少し時間がかかった。
―4人、いや、5人…?
人が倒れている。
血だまりだ。

「…ひっ、ぃ…!たすけ…」

浪人風の男が地べたにへたりこんでいる。
腰が抜けているのだろう。刀を持つ手は震えており、失禁しているようだった。その男ののど先に、刀を突き付けている男がいる。

暗くて姿がよく見えない。
「…おい、」

銀時が声をかけた瞬間。
一筋の光が闇を裂いた。

男の首がぴぃんと飛んだ。
見とれるような太刀筋。

ああ、これは。
414409(5/11):2008/04/13(日) 00:24:22 ID:Dwa4W3mGO
「…お前…」

呆然と立ち尽くす銀時を、男はゆっくりと振り返った。
その顔は赤く染まっていた。
まるで失った血色を他人の血で補おうとするみたいに。
渇きを、潤そうとするみたいに。

「奇遇ですね、旦那ァ。」
こんな所で、何してんですかィ。
その男、沖田は、悪びれない顔で銀時に近付いてきた。
当然ながら無傷だ。すべて返り血らしい。

「―あぁ?夜食買いに来たんだよ、悪ぃーかよ。」
銀時もいつもの調子で返してやると、
そうですか、旦那もつくづく間が悪いお人だと綺麗に笑う。

「でも、そんなんだといつか巻き込まれて死にますぜ?」
「厄介事に首突っ込むのが俺の商売なんでね、生憎。」
「はは。そーでしたね」
滴る赤いものをぴっと払い、慣れた動作で刀を鞘におさめると、
近頃の連中は過激派ばかりでいけやせん、体がいくつあっても足りやしねぇ、と沖田はぼやいた。

「一番過激なのは君だと思うけどねー。」
転がった死体を横目で見やる。運が悪い奴らだ。
「あはは。旦那にそう言われると、光栄だなァ。」
たいして面白くもなさそうにくつくつと笑う。
その笑い方がやけに鼻につくのは何故だろう。
415409(6/11):2008/04/13(日) 00:27:10 ID:Dwa4W3mGO
「…邪魔して悪かったよ。後片付けあんだろ。じゃあな。」
なんとなしの苛立ちを隠せず、銀時は踵を返す。

まったく、いやなものを見た。
さっさと家に帰って糖分補給してクソして寝ちまえば、こんな事ぁすぐに忘れるだろう。

寝るに限るぜ、寝るに。

足早にこの場を立ち去ろうとすると、着流しの裾をきゅっと掴まれ、身動きを封じられた。

「…あんだよ。」
思わず振り返ると、すぐ後ろに沖田がいて驚く。
二つの大きな瞳がこちらを真っ直ぐ見ている。
銀時は思わずたじろいだ。

「旦那、待ってくだせェ。ちょっと頼みがあるんですがね、」
「…あ?」

――万事屋ってなァ、本当になんでもやってくれるんですよね?


とても嫌な予感がした。銀時の勘は良く当たる。

416409(7/11):2008/04/13(日) 00:34:08 ID:Dwa4W3mGO
薄暗い明りの中で、銀時は月を眺めていた。
遠くからは三味線の音と、時折それに混じって妓の甲高い笑い声が聞こえた。
手持無沙汰にしている銀時の頬を、時々ぬるい風がそよそよと撫でていった。

沖田に指定された見世である。
胡散臭い見世で、案内も暖簾も出しておらず、銀時は困惑した。
しかし沖田に聞いた通り、軒先には蓮の花の模様の入った提灯がぶら下がっていた。
戸惑いながらも戸をたたくと、先の女将が顔を出しこの座敷へ通されたわけだ。

沖田は何故こんな見世を知っているんだろう。
胸糞の悪い想像がよぎり、頭を掻き毟る。
あのガキどーいう生活してやがるんだよ、と悪態をつく。
居心地の悪さを誤魔化そうと、用意された膳会席に箸をつけると品の良い、いかにも上等な味がした。
ついでにと酒を煽ると、なんともいえない心地のいい酔いが回る。これもいい酒だ。
おそらく、素面では色々と不都合があろうと沖田が手配したのだろう。
本当にどういうガキだ、あれは。
繊細な細工が施された煮物の人参箸でつまみ、丁寧に敷かれた赤布団とを見比べため息をつく。
布団はひとつ。もちろん、枕もひとつ。
(…まじかよぉぉおおお…)
417409(8/11):2008/04/13(日) 00:41:02 ID:Dwa4W3mGO
あの晩、早々に帰ろうとした銀時を沖田は引き留めた。

振り返った銀時に、沖田は信じられないことにこう言った。
自分を抱いてくれないか、と。

一瞬、声に詰まった。
適当な冗談でも言って誤魔化そうと思った。
だけど、あまりにもきつく着流しの裾を掴むものだから。
悲痛な声で言うものだから。
冗談になど、できるはずがなかった。
それに何よりも銀時は、その深い紅色の瞳から目をそらすことができなかったのだ。


「旦那、待たせました。すみません。」
回想に身を委ねていた銀時は、その声を受けて意識を戻した。
遠慮がちに襖が空いた。沖田だ。

「…おぅ。」
何と言っていいかわからず、銀時は沖田を見やった。
あの晩のような隊服ではなく私服の袴を付けており、彼の幼さを引き立てていた。

「今日は、仕事は。」
「非番です。」
「…そうか。」
それ以上何を話せばいいのかわからなかったので、酒を勧めた。
未成年ですぜィ、と一応体裁を取り繕うとする沖田に、
今日はおっかねぇおまわりさんが非番らしいからねと猪口を渡すと、
あんた悪ィお人だ、と無邪気に笑い、一気に飲み干した。
言う割りに小慣れた飲みっぷりである。本当にどういうガキだ。
418409(9/11):2008/04/13(日) 00:45:52 ID:Dwa4W3mGO
「…来てくれるとは、思いやせんでした」
「どうしてだよ。来たぜ?」
「はい。…だから、安心しやした。」
言いながら、銀時の肩に遠慮がちに頭を寄せてくる。
整髪料を付けていないさらさらとした髪からは、あの晩とは違い清潔な匂いがした。

「沖田くんたらもうお酒まわっちゃった?」
「そういうことにさせてください。…旦那、」

今度は首に手をまわし、ねだる様にぎゅっと抱きついてくる。
子供は体温が高いものだが、こいつはやけに冷たい体をしている。
…そうだ。こいつはまだ18だ。
人は切るは酒は飲むはしかもドエスだが、ほんの18歳のガキなのだ。
銀時はたまらなくなって小さな頭を撫でた。
指をすり抜ける髪の色は薄く、薄暗い明りを受け飴色に光るその様は、彼の姉のものによく似ていた。

「旦那…頼んます。」

沖田に言われるまでもなかった。
言い終わると同時に、銀時は沖田の口を塞いでいた。歯列をなぞり舌を絡め口内を犯すと、それだけで沖田の体が震えるのがわかった。
少し愉しくなってより深く舌を絡ませると、苦しいのか眉を顰めた。
その表情が妙に加虐心を煽って、焦らすように刺激を加え、今度は下唇を舌で遊んでやる。
むずがゆい刺激に沖田はふっと息を吐いた。
419409(10/11):2008/04/13(日) 00:49:19 ID:Dwa4W3mGO
「俺、結構イケそうかも。」
「ふ。そりゃあよかった、」
息を荒くしながら、沖田はにっと笑った。
男とのセックスに抵抗がないわけではなかったが、
それでもどうしてなかなか、イケそうなのだ。
そんな自分に銀時は驚いた。

「それにしても、どうして俺なわけよ」
首筋に吸いつきながら、襟元に手を入れ中を探る。
胸の飾りを少しきつくつまんでやると、小さい声が漏れた。
「…どうしてっ…て…」
今度は舌で転がして、めいっぱい焦らしてから甘噛みしてやる。
沖田はもどかしげに銀時の肩に手を掛け、もう一度深く口づけた。
それだけで下腹部に甘い熱が湧き上がるのを、お互いに自覚した。

「あんたなら…旦那なら俺のこと、めちゃくちゃにしてくれそうかな、って。そう思ったんです。」

目を伏せ少し後ろめたそうに言う沖田を見て、銀時の頭にふっと嫌な考えがよぎった。


…おいおい、ちょっと待て。もしかして。


「―ああ。そういやお前の周り、めちゃくちゃ過保護な野郎ばっかりだもんな?ゴリラとかさ、」

アイツ、とか。

「っ!」
言った瞬間、びくりと跳ねた体が答えになっていた。
やはり、銀時の勘はよく当たるのだ。
420409(11/11):2008/04/13(日) 01:05:23 ID:Dwa4W3mGO
「あーあ。そういうこと。」
「…すみません。」
気まずい空気に銀時は大きくため息をついた。

「謝んなよ、萎えるから。」
「っ、」
言い終わるより早く、沖田の肩を乱暴に布団に押し付け、
閉じられた下肢の間に自らの足を割りいれた。
「沖田くんさあ、」
白い首筋をきつく吸うと、赤い斑が浮き出た。
あの男はこれを見てどう想うだろうかと、少し意地の悪い考えが頭に浮かんだ。
こんな趣味の悪いことを考えるという事は、自分は今苛立ってんだなぁと銀時はぼんやり思った。

「なんも考えなくて、いーから。」

―銀さんにまかしておきなさい。
沖田が少し笑った気がした。

その後、要望通り滅茶苦茶に抱いた。
目隠しされた沖田は、銀時に抱かれながら何度もあの男の名を呼んだ。
それが腹立たしくてとにかく手ひどく抱いたが、それで満足のようだった。

事が終った後沖田は泣いた。
姉上ごめんなさいと、何度も泣いた。
壊れたように泣きじゃくるかわいそうなその人形を、銀時は抱きしめられずにはいられなかった。
もっと泣けばいいと思った。

泣けばいい。何も考えずに泣けば。

月明かりの中、生温い風が二人の頬を撫でていった。

(孤独か、それに等しいもの。)
421409:2008/04/13(日) 01:10:11 ID:Dwa4W3mGO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

長々と投下してしまい申し訳ありませんでしたあわわわorz
PCから投稿できず、携帯からちびちび書き込みました。
緊張しすぎてまだ心臓バクついていますw

>391に投下する勇気をもらいました。ありがとう。
422風と木の名無しさん:2008/04/13(日) 01:32:17 ID:UKls7+/70
>>402
もう、ヤンデレってこの二人の為にある気がしてくるわ…
切なくもやらしい…GJ!
423某「ムテキノカタワ」F×N(前編):2008/04/13(日) 02:17:49 ID:miH1wDWF0
以前書いていたSSが発掘されたのですが、
今のところ萌えを吐き出せる場所もないので
弔いの意味も込めて投下させてください。

時系列はDの事件直後。
一応名前はイニシャルに、口癖はそのまま残しました。

元ネタは、今でもとても好きな作品です。

そんなわけで
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
424still/life(前編) 1/6:2008/04/13(日) 02:19:06 ID:miH1wDWF0
 さらさらと衣擦れの音がする。
 場末のラブホテルのシーツは安物の糊が利いて固く、手触りもよくなかったけれど、そ
れでもNと名前も知らない女をしずかに包み込んだ。
「悲しいのね」
 行為の最中だろうか、直前だったろうか。女がそう言ったのを覚えている。その台詞を
吐いた女の方が今にも泣きそうな表情で、Nの顔を覗き込んだからだ。
 かなしいのね。
 Nはその言葉に頷かなかった。とりあえずは体温が心地よかったから、そのまま女の身
体に甘えた。

 あの冬の日からこっち、何故だかNの周りには女が絶えなかった。
 ぼんやりと道端に座っているだけで誰かしらは話しかけてくる。
 うす暗い路地裏の話ならば、派手にやらかしていた自分たちの顔は女にもそれなりに売
れている、で終わりなのだ。しかし真ッ昼間の清潔な通りで、見知らぬ女に声をかけられ
ることも何度かあって、さすがに面食らった。
 彼女らは一様に優しく温かく、訳知り顔で詮索はせず、そのくせNに「何かあった」こ
とだけは執拗に確認した(「何かあったのね、悲しそうね、つらそうね」)。
 そうしてすぐにやらせてくれた。

 多分、彼女らは悲しがりたいのだ。そう思ったのは、そんな日々がしばらく続いた後だ。
 落っこちないぎりぎりの位置でNの内面を覗きこんで、悲劇の気配を探す。そうして自
らの心に風穴を開けることなく「かなしい気持ち」を満喫する――それはおそらく、彼女
らにとって一種の遊びだった。

 それならそれで構わなかった。自分を悲劇のヒーローに仕立て上げたいなら、勝手にそ
うすればいい。
 やさしく、寛容で、いつくしみが深くて、そしておそろしく薄情な女たち。
 彼女らにいたわられるのは、実際、ひどく楽ちんだった。

 ようやくDが女の切れなかった理由に納得いったりして、小さく苦笑した。
425still/life(前編) 2/6:2008/04/13(日) 02:21:02 ID:miH1wDWF0
 結局その夜はラブホテルに宿泊して(女が気前よく払ってくれた)、Nがそこを後にした
のは太陽が高く上った後だった。繁華街は真昼の光に晒されて、所在無さげに息をひそ
めている。夜になれば種々の人々が闊歩して電飾が騒ぎ立てるそこも、かつては何より
刺激に満ちていた路地裏も、今はただみすぼらしさと安っぽさを強調するばかりだ。どこに
寄る気にもならなくて、結局は午前のうちに部屋に向かった。

 かなしいのね。
 光に追い立てられるように通りを歩きながら、Nはその言葉を反芻した。
 かなしい?
 わずかに首を傾げる。
 正直なところ、その言葉が自分の中の何を指すものか、Nにはぴんとこないのだ。

 鉄錆びた階段を上り、小汚い安アパートの扉にのろのろ鍵を差し込む。と、がちりと耳
障りな音を立てて鍵が止まった。
 鍵が開いている。
 そう思うのとほとんど同時に、もう一人の悪友の顔がひらめいた。ここにやってくる人
間としては、少なくとも空き巣より確率は高い。
「不法侵入、じゃネーノ?」
 軽口を叩きながら扉を引き開ける。よく知った煙草の匂いが鼻を掠めた。閉めっぱなし
のカーテン越しの、うすぼんやりした陽光が部屋を満たし、そこにちらちらしたテレビの
明かりがせわしく動いていた。

「ようF。うちのテレビがそんなに好きなら、言ってくれればよかったんじゃネーノ?」
 ベッドに背を預け、古びたブラウン管の前に陣取る不法侵入者に声をかける。Fは目だ
けでちらりとこちらを向いた。
「そっちは随分この部屋で寝るのが嫌いみたいだな。また女のところか」
「いや、今日はホテル」
 答えながら靴を脱いで、ベッドへと向かう。侵入者は部屋主のために道をあけるそぶり
すらも見せない。仕方がないのでFを跨ぐようにしてベッドによじ登り、そのままどっさり
横たわった。
426still/life(前編) 3/6:2008/04/13(日) 02:22:08 ID:miH1wDWF0
「元気そうで何よりだ」
「おかげさんで。どっかのFさんがすっかり鳴りひそめてるもんだから、みんな俺に回っ
てくるんじゃネーノ」
「くだんね」 
 ぽつぽつと、お互い言葉を落とすようにしゃべる。表情は見えなかった。
 Fは片膝を立てて胡坐をかき、こちらを振り返りもせずに手の中のコーヒー缶に指先を
コツコツとぶつけている。からっぽのスチール缶の空虚な音が、Nの耳にちくちく突き刺
さった。缶の口には煙草の吸殻が、何本も突き立てられていた。

 ああ。こいつと話すのは久しぶりだ。

 ベッドにうつ伏せになりながら、Fの背中を眺めてそんなことを思った。
 あの、騒々しくわけのわからない冬の日とその後始末から後、二人はまるで申し合わせ
たかのように連絡を取り合わなくなっていた。
 FはNに近づいてこなかったし、NはFに話しかけなかった。二人とも、自分たちが二人で
ある事実を、わざわざ顔を合わせて確かめたくはなかったのだ、と思う。
 それなのにこいつはこうしてやってきた。手が触れるほどの距離にある背中は、硬く強
張って見えた。

「…なんか用があって来たんじゃネーノ? 待たせて悪かったけど」
 Fが黙って缶を弾くばかりなので、Nが切り出した。Fはちらりと目だけでこちらを見た。
「別に用ってほどでもねーけどさ。お前が無茶してるって聞いたから、どんだけ無茶して
んのか見物に」
「なんだそりゃひでえな。止めてくれてもいいんじゃネーノ、トモダチがいのねえ」
「俺が止めて聞いたことがあんのか、お前らが」

 お前らが。

 Fが、自分の発言に自分で息を呑むのが聞こえた。それを新しい煙草に火をつける、そ
の動きにすら焦りが見て取れる。
 Nは僅かに目を細めた。ああ、その繊細さはいっそいとおしいくらいだ。
 そうだな、おれらは、おれとDはいつもそうやって一緒くただった。
427still/life(前編) 4/6:2008/04/13(日) 02:24:07 ID:miH1wDWF0
「なあ」
 Fは振り返りもせず、何、と聞き返した。
「Fさ、ずっとこの部屋いたんじゃネーノ? ひとりで」
 ひとりで。三人で馬鹿話をしていたこの部屋で。後半の言葉は飲み込んだ。
 Fの肩がぴくりと動いた。振り返ろうとしたのかもしれない。けれど結局こちらは見な
かった。
「おう」
「……何考えてた?」
 Fが今度こそ振り返った。
「なんて言ってほしいんだ」
「いんや? 他意はねーんじゃネーノ?」
 仰向けに寝転がったまま、はは、と小さく笑ってみせた。
 Fの眉間に深く深くしわが刻み込まれるのが、目の端でわかった。じゅ、と小さな音が
して、さっき点けたばかりだったはずの煙草が一本、缶の叢に消えていた。
「……お前はさあ、いつまでそうやってんだよ、N」
「Fが説教、珍しいこともあるんじゃネーノ」
「お前が、……辛いのは、わかるけど」
 Fはそういってから、自分の言葉に妙な顔をした。しばらく言葉を捜すように視線を泳
がせる。
「なんでもねえ。  ……クソ、」
 結局何を言うのもあきらめて、Fは誰に向けたかわからない悪態をついて立ち上がった。
「帰んの」
「おう。どーせてめーは寝るんだろ、これから」
 すたすたと大股に玄関へと向かう。Nは寝転がったまま、ぼんやりと遠ざかってゆく気
配を追った。
 安物の錠を上げる音がして、外の空気がふわりと流れ込む。

「…どこにいても落ちつかねーしさ、飲みにでも行こうと思ったんだよ」

 不意にFがそう言った。Nは腕だけで上半身を起こし、もうほとんど閉まりかけている
扉の向こうの、Fの顔を見た。
428still/life(前編) 5/6:2008/04/13(日) 02:25:18 ID:miH1wDWF0
「…何?」
「昨日、12日」

 その声がするが早いか、水の向こうのように遠くでバタンと扉の閉まる音がした。あと
には煙草の匂いと大量の吸殻だけが残る。
 呆けた頭は、Fの言葉を処理するのにいくらか時間を要した。
 12日。それは何かすごく重大な日付だった。重い頭は記憶を掘り起こし、そうしてよう
やく結論に辿り着く。

「……ああ、……そっか、もう3ヶ月か」

 思わず身を起こして呟いた。わざわざ誘いに来て一晩待つなんて、存外にあいつも几帳
面な男だ。そういうセンチメンタルな事柄には、いつも一線をひいて関わらないのが得意の
立ち位置だったのに。

 お前が辛いのは、わかる。そうFは言っていた、気がする。

 つらい?
 
 Nはまた鈍く首をかしげた。
429still/life(前編) 6/6:2008/04/13(日) 02:27:02 ID:miH1wDWF0
 渦なら、ある。
 女と寝ても、酒を飲んでも、なにをしても、Nの腹の中にはつめたい渦があった。 

 あの時。
 力いっぱい走ったものだから、喉の奥は鉄錆びた味がしていた。奴の躊躇いない拳がめ
り込んで、腹がひしゃげたのじゃないかと思うほど苦しかった。奴が叫んだ言葉の尻尾が
路地裏にこだましていた。冬の空気が動くのを邪魔した。アスファルトがしんしんと冷た
かった。
 あの怒鳴り声、表情、ナイフを掲げた腕の強張り。へんに曲がった指先や、あいつがみ
ずから腹に突き立てた銀色の、皮膚に食い込んでいくあの音のない光景。

 それらがないまぜになって、腹の底で渦巻いていた。 
 そのつめたい渦が、Dにまつわるすべてだった。

 Nは細く細く息をつきながら、仰向けにどさり身体を投げ出した。
 目を閉じても目蓋が光を透かすせいで、不確かな闇がふわふわと広がるだけだ。
 煙草の匂いが奇妙に意識された。Dが死ぬ前、三人でいたときから、いつも知っていた匂いのはずだった。

4307/6:2008/04/13(日) 02:28:55 ID:miH1wDWF0
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

お邪魔しました。許されるようであれば、後編もいずれお邪魔できればと思います。
431風と木の名無しさん:2008/04/13(日) 02:39:27 ID:l2ObfItwO

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

432(1/6)博と先生・中編:2008/04/13(日) 02:40:37 ID:l2ObfItwO
―――その日はコンサート会場の下見と簡単なリハーサルやインタビューの
仕事のみだったが、移動と打合せに疲れた面々は皆、呑む元気など無い様で、
先生は酒を呑みに行きたい気分だったのだが、
博との約束もあるので早々に部屋に戻ってきた。
シャワーを浴びながら、先生は佳と初めてそういう仲になった日を何故か
思い出していた。若かりし頃、酒に酔った勢いも借りて…といった感じに、
なんとなく始まって、なんとなくこの関係を続けてきた。そこには確かに、
彼等しかわかり得ない意味と『何か』が存在するのだが、
博には関係の無いことだ。そう、関係は無い…と先生は思った。
たとえ自分が佳以外の男と寝た事が無くても、佳が頑なに他の男からの
誘いを断り続けて来たとしても。
「しかし、何で今更俺と寝たがるんだか…」
首をかしげながら体を拭いていると、チャイムが鳴った。
「……おぉ」
「ちょっと早かった…?」
「いや、丁度シャワーを浴び終わったとこだから。まぁ、入れよ…」
「どーも」
博は、心なしかウキウキした様子でベッドの方へ歩いていく。
「俺、シャワー浴びてきたから…」
そう言うと、服をするすると脱ぎだした。
「もうやる気か?気が早いな…」
「だって、なんや落ち着かへんくて…」
博は少し照れながら、先生の方に歩み寄り、肩口に腕を伸ばした。
433(2/6)博と先生・中編:2008/04/13(日) 02:41:55 ID:l2ObfItwO
「だって、男とするの初めてやし…」
「……………………今、何と?」
「え?」
固まって動けなくなった先生を不思議そうに見て、博は首を傾げた。
「いや、だから………今、何と仰いました?」
「え?だから、男と寝たことが無」
「それであんな風に誘ってたのかぁ?!」
驚きの余り、思わず言葉を遮ってしまう。しかし、信じられない。
男と寝た事が無いのにも関わらず、あれ程巧みに、妖艶に、自分を誘うとは…。
「…恐ろしい奴…」
「?」
博は相変わらず不思議そうな表情だ。先生は、半ば呆れた様に笑うと、
博を抱き寄せた。
「まぁいいか…。ここに来たっていう事は、俺が初めての相手でもいい
って事なんだろ?」
「勿論!っていうかそれがいいから来たんやし」
そう言うと、博は軽く先生にキスをする。先生は彼の服に手を掛ける。
「じゃあ…全部脱げよ」

ベッドサイドの明かりに照らされた博の身体は、余りに美しかった。
佳の、まるでアンドロギュヌスの様な、思わず触れずにはいられない
肉感的な美しさではなく、研ぎ澄まされたナイフの刃先の様な、
危うい美しさ―――。それはまるで、“みだりに近づいてはならない”
と、理性に訴え掛けられる錯覚さえ覚えてしまう位の。
却って彼に触れることを躊躇わせる程の。
先生が思わず戸惑っていると、博は微笑を浮かべて先生の髪を掻き上げた。
「…どうしたの、先生?」「いや…」
どうしていいかわからなくなった、などとは言えない。
「……どうして欲しい…?」
434(3/6)博と先生・中編:2008/04/13(日) 02:43:32 ID:l2ObfItwO
「どうして欲しいって…」
博は先生の顔を引き寄せ、ぷちゅっ、っと音を立てる様に唇をついばんだ。
「……たくさんキスしてほしい。俺の全身にキスをして…舌を這わせて…
撫で回して…欲しい。先生の愛撫をたっぷり味わいたいし、
俺の身体もたっぷり味わってほしい」
そこまで言うと博は、脚を先生の身体に絡めながら、ダメ?と囁いた。
「お前………」
先生は、自分の理性の糸がぶちり、と切れるのを感じた。
博の身体をかき抱いて、荒々しくキスをする。まるで飢えた獣が、
獲物に貪り付くかのように。いやらしい音が部屋に響いた。
先生は唇を放して、博をキッと鋭い眼光で見つめた。
「お前……どうなっても知らねえぞ…!こんなに煽りやがって!」
そう言うと、彼の望み通りに全身をまさぐり、博の乳首を強めに吸い上げた。
「あぁ…っ!嬉しい…!」博はその感覚に思わず歓喜の声を上げる。息つく暇なく繰り返される
執拗な愛撫に、博は先生の髪を掴みながら悶えた。
「あぁ…っあ…!先…生…ぁ…っ!」
身体を捩らせ、快楽に溺れる彼を見て、先生はひどくサディスティックな
感覚に陥る。こいつを滅茶苦茶にしてしまいたい。
快楽に喘ぐ博は、激しい愛撫の合間で先生を見ると、普段決して見せない、
彼の欲情した表情に興奮した。眉間に皺を寄せ、肉食獣の荒々しさで
自分の身体を貪る先生は魅力的だった。うっとりと先生の髪を掻き上げ
下半身を見やると、先生の雄はかなり大きくなっていて、少々辛そうに
見えたが、本人は博の身体を貪ることに夢中になっているようだった。
435(4/6)博と先生・中編:2008/04/13(日) 02:45:23 ID:l2ObfItwO
「先生…っ」
「…なんだ?」
「辛く…ない?」
「何が…ぁ?」
「それ…」
博が指差すと、先生は博の身体から唇を放し、ニヤリと笑いながら
自分のそれを掴んで見せた。
「そうね…ちょっと辛いね…。」
「…フェラしてもいい?」
そう言われて、先生は少々面食らった。今、正にそれを言おうと思っていた。
「積極的な奴だね…。ホント、初めてとは思えん…」
先生は笑いながら体勢を変え、座った自分の脚の間に顔を埋めるように促した。
「歯を立てるなよ…」
「大丈夫。……うわ、他人のを間近で見るの初めてや…」
「…嫌になったか?」
「まさか」
博は微笑みながら首を振ると、ぱくっと躊躇うことなく、口に含んだ。
くちゅくちゅと音を立てながらしゃぶり始める。先生は満足そうに息を吐き、
博の白い背中を撫でた。余りにも細い、その白い体躯。目を閉じて
味わうように自分の雄を口に含むその淫美な表情…。うっとりと眺めていた
先生だったが、ある事に気付いて彼の口を放させた。「ぷ…ぁっ。どうしたの…?」
先生は、待ってて、と博を制すと、ボディー用オイルを持ってきた。
「肌の乾燥用と、こーゆー時用に…。ほら、もう1度くわえて」
先生は態勢を戻すと、博の頭を股間に押しつけた。博は嫌がらずに、
言うとおりにする。先生はそれを確認すると手を放し、オイルを博の秘部辺りに
ボタボタと垂らした。
「…っ!?」
「解さないと入らないでしょ…?」
先生は丁寧に指を差し入れて、中をまさぐる。指が弱い部分に当たる度に、
博は悶えて声を洩らす。だが先生はその度に、ちゃんとしゃぶりなさい、と
彼を促した。腰をもじもじと動かしながら悶える彼の姿は、目に毒だ。
436(5/6)博と先生・中編:2008/04/13(日) 02:46:22 ID:l2ObfItwO
「やべ…もたな…」
そう言うと先生は、堪え切れずに、射精してしまった。
驚いた博が口からそれを取り出すと、白濁した液体が博の顔と髪に飛んだ。
「悪い…っ!平気か…?」
先生は心配して声を掛けたが、博は顔に精液がかかってしまったことを、
嫌がるどころか悦んでいるようにすら見えた。
「博……?」
「顔にかけられちゃった…フフ…熱いね…。コレが先生のかぁ…」
博は指で顔に掛かった精液を指で掬い取ると、先生を見つめながら、
ちゅっと舐めた。先生は思わずゴクリと喉を鳴らす。
「…仰向けになりな」
先生が促すと、博はそれに素直に従う。一つになるために、先生が丹念に
解してくれるのを、博はうっとりしながら見つめていた。
「気持ちええ…。もう痛く無いよ、先生」
そう言うと、床に手を伸ばして、自分のズボンからゴムを取り出して、
先生に渡した。先生のそれは、博の痴態による視覚効果か、再び質量を増している。
「もう平気やから…」
「…痛くても知らねぇぞ?」
先生は彼の脚を大きく広げ、ゆっくりと博の身体に沈み込んでいった。
「狭…っ!もう少し、緩めろ…!」
「あ…あぁっ…あ!!そんな、無…理…っ!」
初めての痛みと圧迫感の為、博の余裕な態度はとうとう消え失せ、
先生の背中にしがみつきながら、身体を捩って首を振った。
「先っ生…!痛ぁ…っいやぁ…」
「自分から、煽ったんだから…文句を言うな…!………入ったぞ、全部」
はぁっと先生が息を吐くと、下から博は涙を浮かべた目で見つめた。
「気持ち、良くして…ぇ」「…………努力させて頂きます」
そう言って笑うと、なるべく痛がらない様にと、気を遣いながら腰を動かし始める。
437(6/6)博と先生・中編:2008/04/13(日) 02:47:24 ID:l2ObfItwO
腰の動きと共に、博の精液の付いた髪が揺れるのがたまらなくセクシーだ。
こうして彼を貪っていると、彼を汚しているのだ――、という、どす黒い征服感に
支配される。それは半ば心地良いものだった。博は、最初は痛がっていたが、
彼の弱い部分に当たる度に、次第に顔を上気させ、熱い吐息を洩らすようになっていた。
「気持ちイイか…?」
「…んっ……なんか……」
「ん……?」
「なんか、身体が、熱い…っ」
それを聞くと、先生は満足そうに微笑い、更に腰を深く進めた。
「あ…キスして…」
「いくらでもしてやる」
博はそう言う先生を強く抱き寄せ、激しく貪り付いた。まるで餓えていた様に。
「ん…っん」
舌を絡めながら悶える博の雄は先生の腹に擦れて、更に昂ぶっていく。
限界は近い。何度も先生の名前を呼ぶ。
「イキたくなってきた…?」
「はぁ…は…っ!!」
「イイ顔してるねぇ…」
「いやぁ…っ」
「たまらんね…」
「そんな…見ないで…っ!」
「いや、焼き付けますよ…?こんなイイもん見せられちゃ…」
「先生……一緒に…っ!」
「あぁ…一緒に…」
博は、悶えながら何度か先生の名前を呼ぶと、背を大きくしならせ、
一際大きな嬌声を上げた。「――――あぁっあぁぁっ!!」
「…最高だね…」
先生は、博が絶頂に達する 姿を満足そうに見つめると、自らも絶頂に達した。
438風と木の名無しさん:2008/04/13(日) 02:49:17 ID:l2ObfItwO

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
439風と木の名無しさん:2008/04/13(日) 08:20:40 ID:haFJUcm10
>>409

GJです!!
このジャンルに嵌りそうです
440風と木の名無しさん:2008/04/13(日) 10:12:15 ID:CyFsbIbn0
>423
元ネタはわからないが惹かれる。
ぜひ投下してくれ。
441風と木の名無しさん:2008/04/13(日) 10:37:18 ID:8t+YjoUz0
>409-421
ちょ、テラクォリティタカス…!
情景描写がお上手ですね。マジGJ。
めちゃめちゃ切ない…銀さん男前すぎ。
442風と木の名無しさん:2008/04/13(日) 16:55:11 ID:adFvC0+MO
>>430 GJ!
後編も是非!
狂・犬組ですよね。
今でも好きだー!
443風と木の名無しさん:2008/04/13(日) 20:36:35 ID:DeMP2Fve0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

※ナマ注意です!※
極寒の地にも春が来た王求団です。
拾四・弐です。
444拾四・弐:2008/04/13(日) 20:38:52 ID:DeMP2Fve0
 一体誰なんだ。こいつに変な事を教えたのは。

 イニング後にダッグアウト裏へ下がった途端、キスを求められた。

 さすがに面食らって、なんでだ!と叫んだら、精神安定のためにはキャッチャーがピッ
チャーにキスするんだろう?と逆に聞き返された。なんじゃそりゃあ。と、思わず日本語で
返事をしてしまった。
 さらに聞いてみれば、なんのことはない。先日の選抜高校野球のバッテリーがやってい

たと言うのを誰かから聞いたらしい。

 俺も、すぐにイライラするのはどうにかしたいと思っていたんだ。いい手だろう?と笑顔

で奴は言う。何がいい手なんだ、そんなことでキレなくなるモンなのか?
 しかたねぇなあ、と軽く頬にキスをしてやると、そうじゃない、といきなり唇を奪われた。

 思考停止。 みるみる顔が熱くなる。

 そんな俺の様子を見て、俺は大人だから。と、満足そうな顔でベンチへと戻って行った。

まさか、これを定番にする気じゃねぇだろうなぁ。思わず俺は、天を仰いだ。
445拾四・弐:2008/04/13(日) 20:40:27 ID:DeMP2Fve0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

改行失敗_| ̄|○
446風と木の名無しさん:2008/04/13(日) 22:51:17 ID:57E5ORn40
>>393
遅ればせながらGJ! 萌えました。
長年、スポーツとしてのこのジャンルのファンで、
ここだけは腐心が入る隙のない聖域だったのに…。

ああ、■先生がエロくて素敵すぎるよ…!
_ト ̄|■
447風と木の名無しさん:2008/04/14(月) 11:09:58 ID:3l62zPgm0
>>443
GJ!最近街腎線種萌えなのでウレシイ!また書いてください
448風と木の名無しさん:2008/04/14(月) 23:15:41 ID:Y/9iDY9C0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
449【米菓】名探偵が何でも解決します【通り】:2008/04/14(月) 23:16:37 ID:Y/9iDY9C0
【米菓】名探偵が何でも解決します【通り】

11 名前:Dope ◆くぁwせdrftgyふじこlp [sage] 投稿日:2008/04/13(日) 21:55:12 ID:WktkkTkr0
   ライヘンバッハですか。標高が高くて滝でも有名な美しいところですね。
   ところでそのダイレクトメールは怪しい旅行会社ではありませんか?
   最近は格安を謳って申し込み金を集め、倒産したり夜逃げする会社もあります。
   慎重に調べてくださいね。安心できる旅行にしたいでしょうからw

12 名前:sage[] 投稿日:2008/04/14(月) 21:15:42 ID:Dvd/BrK+0
   ネットで調べてみました。格安!などの謳い文句もない安定した会社のようです。
   スイスの旅行記を書いたブログなども読んで、自分の中ではほぼ決定です。
   ツアーでは二人きりになれないので、自分で計画を立てたいと思います!
   今度のGW、5月初旬を考えていますが、予約や手配など間に合うか心配です。


探偵らしい発言しなきゃと心掛けるホムズ。ツアーパンフを取り寄せるスコットランドヤードの面々。
おみやげは名物のメレンゲ菓子がいいなあ〜とwktkするベイカーストリートイレギュラーズ。
450風と木の名無しさん:2008/04/14(月) 23:17:01 ID:Y/9iDY9C0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
451風と木の名無しさん:2008/04/14(月) 23:55:24 ID:DV1ytWtM0
>>448
ごめん、ちょっと作品の趣旨がよくわからなかった。
勿論、米菓通り221のBに住んでる愛すべき英国紳士は知っているけど。

これコピペだよね?IDもwktkしてるw
452448:2008/04/15(火) 00:03:06 ID:ukHn/x1A0
>>451
すみません、慌てて連張りしなきゃと思って>>448に説明入れ忘れました…
お察しの通り米菓通り221B住民の探偵と医者です。本スレから続いてます。
お互い身分を隠して2ちゃんに書き込んでいる…という想定です。
コピペではなくオリジナルです。失礼しましたm(_ _ ")m
453風と木の名無しさん:2008/04/15(火) 01:50:38 ID:AnRivWij0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
454あくまでも冷静な俺の朝の様子@:2008/04/15(火) 01:51:14 ID:AnRivWij0
朝起きたら布団の上、黒の長袖上下に黒い髪、涼しげな顔立ちをした美男子が俺の腹の上に座り込んで
目を細めながらなあと鳴いた。
頭が可笑しくなったのかと思った。
病院へ行った。
頭が可笑しくなっていた。



全く、一日欠席しただけで三日にわたって補修とは
大学の先生達も心が狭い。
人の頭が可笑しくなってるんだぞ、もっと寛大な処置をとってくれてもいいんじゃないか?
そもそも日付をあわせてくれ。一日で終わらせてしまいたいよ。
何故三日にばらけさせるんだ、全くさ・・・
精神病院からの帰り道、講師から届いたメールの文面を睨みつけながら、
俺はそんなことを考えていた。
不測の事態でもいつもどおりを貫けるというのは、俺の長所中の長所だと思う。
俺はそこんところに一種の自信すら持っているから、
自分の頭が可笑しくなったんじゃあないか?と思っても、慌てふためいて寝巻きのまま病院に駆け込んだりはしない。
ちゃんと身嗜みを整えて、予約の電話も入れてから行った。
今朝の俺は、全く落ち着き払っていた。
455あくまでも冷静な俺の朝の様子A:2008/04/15(火) 01:51:53 ID:AnRivWij0
まず俺は慌てず騒がず、美男子を俺の腹の上から下ろすことにした。
俺の鼻に何の興味があるのかぐんぐん近づいてくる顔を、わっしと掴んで後ろに押した。
むずかる様に首を振るが、かまわず押すと非難がましい一瞥をくれた後、布団の脇にぺたりと座った。
まあ、うん。良し。

次に俺は、こいつに関して少し情報を仕入れなきゃいけない。と考える。
なんせ摩訶不思議な状況だからな、状況把握には何でもいい、情報が必要だと思うんだ。そうだろ?
例えば夜に空き巣に入ったら、俺がいたので朝まで腹の上に座り込んだ後なあと鳴いてみた。とか
これは駄目だな。警察を呼ぶ。
だが例えば夜に酔っ払って帰ってきたらうっかり部屋を間違えたお隣さん。が、とりあえずなあと鳴いてみた。
うん、ありえるんじゃないか。俺は昨日玄関の鍵を閉め忘れたとしたら?辻褄は合うし、しようのない事だ。
警察は呼ばない。一緒に朝飯でも食ってからお引取り願おう。

「あんたはどうして俺の腹の上に居たんだ?」
「にあ」
「日本語はできる?」
「まーう」
「良し、出来ない。」
456あくまでも冷静な俺の朝の様子B:2008/04/15(火) 01:52:33 ID:AnRivWij0
可能性は二つに絞られた。
俺の頭が可笑しいか、こいつの頭が可笑しいか。
・・・一緒に朝飯でも食ってから病院行こう。
美男子に唇を突っつかれて、それが鬱陶しくて振り払いながら
俺はとりあえず布団を出る。
たたもうと片端を持ち上げると、何を思ったか美男子の奴が飛び乗った。
俺は布団たたみを続行。美男子が布団に挟まれる。
そのまま部屋の隅まで押して動かすと、モゾモゾ這い出た美男子が得意げに俺の方を見た。
朝飯何があったっけ。納豆あったっけ。
とりあえず顔と歯を洗い、昨日炊いた飯を茶碗に盛り、
納豆がなかったんで卵かけご飯。人類の英知の結晶ですね。
「なあーん」

美男子は俺の愛猫、祥太郎さんのご飯茶碗の前に良い子で座っていた。
・・・あー・・・把握した。

「祥太郎さん」
「なーん」
「見知らぬ美男子」
「なーん」
「お前どっちにも返事すんなよ、わかんないだろ」
「なあーう」
「バーカ、バカ猫」
「まーう、なああん」
「なんだとテメー、言ったな!」
457あくまでも冷静な俺の朝の様子C:2008/04/15(火) 01:53:17 ID:AnRivWij0
いや、なんて言われたか判らないけどそういうフィーリングってあるじゃん。
お座りする美男子を乱暴にひっくり返し、腹をわさわさわさーッ!ともみくちゃにする。
美男子は両腕と両足で俺の腕を抱え込み、噛み付きとキックを繰り出してきた。
甘いな、痛くないぜ!体制を変え頭を掴むと、眉毛のあたりをぐりぐりした後、髪の毛を思い切り乱してやる。
「ぐるるるるるる」
「参ったかこら祥太郎さん、参ったと言わないか!」
「ぐるるるうん にゃるるるる」

ああ駄目だなこいつ、喜んでるわ。いつもの事だけど。祥太郎さんはMだな。

しかしまいった。
祥太郎さんならとりあえず、危ないことはない。他人って仲じゃないからな。
でも祥太郎さんが美男子って事になると、カリカリをあげられないじゃないか。
美男子が床に這いつくばって猫用のカリカリを食べ、中の下の俺が卓袱台で卵かけご飯を食べる。
こんな不条理がこの日本で、許されていい筈がない。
俺が卵かけご飯を食べるなら、美男子は目玉焼きとトースト、ないしコーンフレークを食べる権利があると思う。
目玉焼きは勿論、サニーサイドアップとか洒落た名前を持ってる感じの。

「祥太郎さん、飯どうする。ご飯食える?」
「・・・・・」
「おーい」
「・・・・・」
「にゃーん」
「やーお」
「食えないよなあ。食ったためしが無いもんな。」

じゃあうん、美男子が食べても祥太郎さんが食べてもセーフなもんを探そう。
ハムとか。後・・・ハムとか。ハムとかじゃね?美男子は煮干は食べないだろ。
「ちょっと待っててな、祥太郎さん。冷蔵庫見てくる」
「あにゃあーあ!」
「うん。わかったわかった」
「なー」
458あくまでも冷静な俺の朝の様子D:2008/04/15(火) 01:54:40 ID:AnRivWij0

「祥太郎さん、納豆と豆腐がある。より正確に言えば納豆と豆腐しかない。俺は和食党なんだ。」
「・・・・・」
「折角美男子なら、豆腐の良さは知っておくべきだと思うんだ。」
「・・・・・」
「納豆はアウトだけど、美男子に豆腐はセーフだ。白いだろ。
問題は祥太郎さん的にどうか、っていう・・・」

祥太郎さんは突きつけられた豆腐から顔を逸らした。
俺は負けじと鼻面に豆腐を近づける。
また逸らす。若干イライラした感じに逸らす。
でも俺は負けない。

祥太郎さんは畳の上で、豆腐を土に埋めるような仕草をした。



「なーまーいーきーだぞ祥太郎さんこの野郎!祥太郎!お前なんか祥太郎だ!」
「にゃあうっ まうっ」
でこを叩いた後わきの下と下腹をくすぐりの刑。
身をよじる祥太郎さんの頭をぐりぐり撫でていると、その手を取られてべろべろに舐められた。
「今更おべっか使ってもそうはいかん!」
ほっぺを持ってむにーっと広げた後、俺のアゴで頭頂部を圧迫してやる。
そうすると祥太郎さんは、今度は首筋を舐めてくる。
俺も負けじと祥太郎さんの頭を持ち直し、そのすっと通った鼻筋に噛み付いてやった。


「どうだ!」

「ごろろろろろろろ」
459あくまでも冷静な俺の朝の様子E 終わり:2008/04/15(火) 01:56:06 ID:AnRivWij0
祥太郎さんの頭越しに、電源の入ってないパソコンに映った
さっきまで美男子の鼻に噛み付いていた俺と、
俺の右頬を一心不乱に舐める美男子が見えた。



そして俺は、至極冷静なまま近所に精神病院はないかググった。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
この後主人公は冷静に、ブラックジャックにこんな病気あったなあ、なんて思ったりする。
460風と木の名無しさん:2008/04/15(火) 08:37:52 ID:pFWAJf6+0
>>454
萌えて禿げ上がった

ありがとう
枯れた萌え花
また咲いた

十年後でも良いので続編希望
俺待ってるよ
461風と木の名無しさん:2008/04/15(火) 10:53:25 ID:LpNpOdfdO
>>454
ココティンおっ勃っちまったじゃねーか!
バカバカ!GJ!!
462オカ板 ナナ藤:2008/04/15(火) 12:46:10 ID:gyn6G5V3O
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
463オカ板 ナナ藤1:2008/04/15(火) 12:49:33 ID:gyn6G5V3O
もういいのだと、言う声がしている。
寝乱れたシーツはその儘に、藤はずり落ちた上掛けを羽織り直す。
だらだらと、微睡み続けて居たかった。
休日の朝、入浴の為主が消えたこの部屋では物音一つしない。
喧騒は遠く、自分の体は倦み疲れている。
明け方まで留め続けた意識は泥のような眠りを欲していた。
窓辺に架けられた学生服が部屋に影を落とす。
長く着られていないそれはこの部屋の主人の物だ。
彼は病気を理由に長く学校を休んでいる。
だから藤は見舞いと称してこの部屋に上がり込むのだ。
そして昨日の様に無言の儘肌を合わせる。
行為には慣れない、何時まで経っても。
夜に蠢くものを恐れ続ける心のように。
自分を抱く彼が怖ろしくて仕方が無いのだ。
けれど、こうやって又のこのこと近付いてしまう。
初めての夜、血走った目をしてナナシは「逃げろ」と藤に告げた。
逃がしたくない、逃がさないだから逃げろと。
しかしその苦悩にこそ藤は引き留められた。
骨ばった手が自分を寝台へと縫い付けたのは次の瞬間だった。
その日からこの行為を繰り返し続けている。
全く幸福な交わりではなかった。
病んだ者特有の熱を孕んだ眼差しをしたナナシは見知らぬ男のように藤の体を弄った。
体を合わせれば違和感が容赦なく恐怖として肌を震えさせた。
結局の所自分はノーマルで、体より精神が同性を受け入れなかったのだ。
464オカ板 ナナ藤2:2008/04/15(火) 12:51:10 ID:gyn6G5V3O
けれどそれでも藤はナナシを求めた。
抱かれた嫌悪感が薄れた頃合いを見計らっては彼の家を訪れた。
日に日に不健康さを増していく級友に、教室で笑い合えていた頃の面影はない。
それでもナナシはナナシで。
彼を救う手立てを持たない藤は、それ以上を望んではいけなかった。
そしてその度に打ちのめされる藤を彼は貪欲に求めた。
快楽と嫌悪に振り回される中で藤はボロボロと涙を零し続けた。
それに対してナナシは何も言わなかった。
そして何度目かの朝、藤は唐突に気付く。
自分は彼を愛している訳では無い。
ただ、居なくならないで欲しかった。
藤は彼に纏わる忌まわしいもの全てを呪った。
避けられない別離が鼻先まで来ていることに気がついてしまった。
それだけを望んでいないのに抗いようも無く恐怖は実感を伴う。
ナナシが完全に奪われてしまうその時。
自分は自分の儘でその後を居れるだろうか。
未だ訪れぬ己の中の虚ろに藤は想像を馳せる。
それはとても忌まわしい未来だった。
465オカ板 ナナ藤:2008/04/15(火) 12:53:31 ID:gyn6G5V3O
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
最新作を読んで萌えの儘書きました。
もう一回読もう…。
466風と木の名無しさん:2008/04/15(火) 16:59:24 ID:SZ9wdXOC0
>>462
GJ!!
こういうの好きです
467風と木の名無しさん:2008/04/15(火) 22:51:29 ID:+4Cn9DGu0
半ナマ発ご当地ヒーローコミック(オガワ版)より、ボス×幹部。ヤってるだけ。
※この文章はあくまでもコミックのキャラのエロパロであり、中に人なんていません。
ほんとごめんなさいほんと。ごしゃでけれ……

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
468ボス×幹部1/2:2008/04/15(火) 22:52:30 ID:+4Cn9DGu0

「あ」
 光が差し込む。男の立つ廊下には蛍光灯の白い明かりが満ちていた。
色の抜かれた長い髪に昆虫の複眼を思わせる大きなサングラス、両手の指には文字入りのリング。
シャツとジャケットこそ着ているが、派手な色柄はとても社会人の格好ではない。日暮れの早いこの土地には
およそ不釣合いな身なりを人工の光で炯炯と照らしあげ、若者は部屋を覗き込む。明かりのない室内は暗い。
「なァんだ、ここにいたの、ダンナ」
「……ホリーか」
 大儀そうに振り返った男の身なりは、若者のどこかちぐはぐな洒落かたとは対照的だ。
整えられたあごひげと撫で付けられた長髪、深くデスクチェアに沈んだ体格の良さは壮年を感じさせない。
かっちりとしたスーツは鋭い目つきとあいまって周囲に無言の威圧感を放っている。
「何しに来た」
「んー、何って言うか……おねだり? 最近遊んでばっかだったからさー、エネルギー切れってやつ?」
「……何だァ、そりゃ」
 男は書類に目を戻す。眉間に皺が増えたのは書類のせいか、それとも闖入者のせいだろうか。
「ダンナさ、最近“お仕事”がんばってるじゃん? ボクもうお腹すいて力が出ないのよ」
 机に歩み寄った若者は、男の膝に乗り上げる。うんざりと目をやった男の顔を覗き込み、にまりと笑ってみせた。
「ひとくち分けてくんないかなー、って」
「……何とでもへ」(好きにしろ)

「ん、ンぅ……!」
 椅子が軋む。若者が荒い息を吐く。
「は……、ぁ、ひ、ッさしぶりだわコレ……」
「普通にしてりゃあ使わねがらな」
「ひ……ひッど。今、ボクの、こと、馬鹿にしたでしょ」
「自力で動けねぐなるまで遊んだらって(遊ぶだなんて)、馬鹿ケでなくて何と言う」
「な、ぅ、ンあっ」
 喉を晒してのけぞる若者も、彼の肩越しに書類をめくる男も、双方ともに人ではない。
 この地の実りに感応し、平和と繁栄を呪う陰の気の化身。人類の天敵たる怪人である。
469ボス×幹部2/2:2008/04/15(火) 22:53:03 ID:+4Cn9DGu0
「ちょ……ちょっとダンナ、集中してよ。繋がんないじゃない」
「……とっとと済まへれ」
 舌打ちをして、男が身じろぐ。若者の体ががくんと跳ねる。男の腕を握り締める両手の8つのリング、
右手にLOVE、左手にHATEの文字が震える。切なげな声をあげて身をよじる彼を、男はちらりと見下ろした。

「……は、ァ……あー、やーっぱ濃くていいわあー……」
「馬鹿ケ。自分の精気、人から貰ってなんとする」(どうする)
「だぁって、ガス欠んときはちまちま吸うより濃いの貰ったほうがおいしーんだもん」
 べたりと胸にしなだれ、あくまでも軽薄な若者に男は溜息をつく。
「……ま、ええわ。今日はオマエ、予定あったべ。精がついたとこで、ひとっ走り暴れてこい」
「えェ〜?」
「『えェ』でねぇ、オメの仕事だべしゃ! 本っ当にオメがだ(オマエら)、オレが始めねば誰も
やらねんだからな!」
 顔を顰めて吐き捨てた首領に苦笑して、若者は身を起こす。
「はいはい、行ってきますよ」
 身支度を整え、背筋を伸ばして、彼は振り返る。
「ま、元気も出たことだし、ちょっくら寄り道でも……」
 振り返りざまの衝撃が、顎を掴まれたものだと気付いたときには遅かった。漲っていた力が吸い出される。
精気が舐め取られてゆく。ひどく近くで、男の喉がぐびり、と鳴るのを聞いた。
「ッは」
「……あ……」
 へたりこんだ若者に、男は告げる。
「余ってんなら返してもらう」
「……けち」
「ケチでけっこう、県民に足りない点だぁな」
470風と木の名無しさん:2008/04/15(火) 22:53:40 ID:+4Cn9DGu0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
セクロスじゃないよ! エロい栄養補給だよ!
郷土の誇りを汚した自分がとても情けない。
オガワ版のホリーが可愛すぎた。今は後悔している。
471風と木の名無しさん:2008/04/15(火) 23:27:18 ID:lDwoliQh0
>>470
ちょwwww
まさかのネイ画ーで801!!どでんした!!
後悔しなくていいよGJだよ!
472風と木の名無しさん:2008/04/16(水) 00:19:57 ID:zLF+lz3H0
>>467
キリタンソードで貫かれますたwwwww
473風と木の名無しさん:2008/04/16(水) 02:01:28 ID:vtbE/WBYO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
474(1/3)博と先生B:2008/04/16(水) 02:04:01 ID:vtbE/WBYO
絶頂に達した後の二人は、しばらく身体を重ねていた。先生が身体を
ゆっくりと持ち上げると、全身にじっとりと汗を滲ませながら、
ぐったりと身を横たえる博が目に入る。薄く白い胸が、息をする度に上下
していた。このまま見ていたい気分だったがそうも行かないので、
ゆっくりと身を離そうとする。すると博は先生の腕をつかんで首を振った。
「いやぁ…抜かな…いでぇ…」
「いや、抜くなっつっても、このままって訳にはいかねーだろ…?」
先生は彼を気にせず、ズルリと萎えた雄を引き抜いた。
「あ…いやっ…!」
その引き抜く感触にすら感じて、博は悶えた。残念そうに、先生を見つめる。
「……なんか、ずっと入れときたい気分になるね…」
「そうか……?」
先生は、優しい目をしながら、博の髪や顔に付いた精液を拭き取ってやった。
「辛くなかったか?」
「大丈夫…最初は痛かったけど…でも、予想してたよりずっと気持ち良かった」
そう言って楽しそうに笑う博の髪を掻き上げてやる。
すると、ピンポーンとチャイムが鳴った。誰だろう…と首をかしげながら
先生はベッド降り、腰にタオルを巻いた。ドアに向うついでに冷蔵庫を開け、
博の分のビールをポンと投げると、自分もビールを空けて覗き窓を見る。
「…………げ」
先生は顔をひくつかせながら恐る恐るドアを開ける。そこには、
どこか機嫌の悪そうな佳が立っていた。
「こんばんは」
「佳……何しに来た…?」
「…来ちゃダメなの?」
「いや、ダメって事はないが…」
「じゃあ、お邪魔します」
そう言って、半ば強引に部屋に入ってきた。佳は部屋の中を見て、眉をひそめた。
475(2/3)博と先生B:2008/04/16(水) 02:05:04 ID:vtbE/WBYO
「遅かったか…」
そう言って佳はため息を吐き、サングラスを外した。博は佳の来訪に驚いて、
とっさに布団で一糸纏わぬ身体を隠した。
「佳さん…どうしてここに…?」
「………今朝、飛行機の中での二人が何となくおかしかったから。
トイレから戻ってきた辺りも、飛行機から降りた後の博の先生への目線も…。
何となく気になって」
「……お前、昔から妙に勘が良い時があるよな…」
「どうも。…やっぱり思った通りだった…」
3人の間に気まずい空気が流れる。それを壊したのは博だった。
「…………で、どうしたいんですか?」
「…止めるつもりだったの。…何となく、何か、嫌だったから」
「……で、今はどうするつもりなんだ?」
先生は、どこか厳しさを感じる目で佳を見つめる。佳はそれを意に介さず、
博の方へ詰め寄り、一気に布団をはぎ取った。博は驚いて息を呑む。
「……………」
佳はただ黙って博を見つめた。――怯えた表情の美しさ、余りに細く華奢な体躯、
汗ばむ白い肌、その肌に残る無数の赤い点…。
「随分、沢山愛されたんだね…」
佳は、身体にキスマークを残されるのを嫌がったので、当然先生にも
付けられた事は無かった。しかし、こうしてハッキリ先生の熱情の跡を見て、
佳は、胸の内に黒い炎が上がるのを感じた。
―――しかし、それを上回る別の感情が生まれるのも感じていた。
「……おい、佳!」
佳は、先生に手を掴まれて、ずっと名前を呼ばれていた事に気が付いた。
「気が変わった」
「…え?」
「最初は、どうしてやろうかと思ったけど…気が変わった」
476(3/3)博と先生B:2008/04/16(水) 02:06:44 ID:vtbE/WBYO
「…佳…さん?」
「博、綺麗だねぇ」
「おい、佳…」
佳は問いかけには答えず、スルスルと服を脱ぎだした。口元に微笑がこぼれる。
「俺も混ぜて…?」
「はぁ…っ?」
先生は思わず素っ頓狂な声を上げた。何を言いだすんだこの男は、と。
「混ぜてよ…」
佳は赤い舌をチロリと出す。あっという間に下着一枚になってしまった。
「博は、俺とするの、嫌…?」
そう言いながら佳は、博の腰の辺りにまたがり、真っすぐに彼を見下ろす。
「嫌………?」
そう熱っぽく言う佳の見事な身体に、博は思わず息を呑んだ。
「………嫌や無いです…」
博は、その身体に触れてみたいと素直に思い、手を伸ばす。
佳は淫美な微笑みを浮かべると、博の身体に重なった。
「触りたい…?博。触りたかった…?」
「うん…。すごい、スベスベしてる…」
「フフッ…博の肌も綺麗だよ…」
そう言って、博の首筋に顔を埋める。思わず博は甘い声を上げてよがった。
「…………………もしもーし」
「…?」
二人が顔を同じ方向に向けると、そこには壁に凭れ掛かって腕組みをする
先生が居た。
「俺は置いてきぼりかい?」
「あ、忘れてた。……先生も混ざる?」
「何でお前が俺に聞くんだよ!……ったく、しょーがねーなぁ…」
先生は、ため息を吐くと、ビールをぐいっと呑んで呟いた。
「楽しみましょうか…」
477風と木の名無しさん:2008/04/16(水) 02:07:16 ID:vtbE/WBYO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
478風と木の名無しさん:2008/04/16(水) 02:42:33 ID:opJSa6mmO
>>470
GJ

やっぱ本屋で漫画買うべきだったと
本気で後悔した私がいる
479風と木の名無しさん:2008/04/16(水) 10:51:09 ID:WJwnHHyL0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

立夏伊大附属、先輩たちが大好きな2年のお話。
480庭球皇子 1/2:2008/04/16(水) 10:52:22 ID:WJwnHHyL0
 最近、赤也が額にヘアバンドを巻き始めた。
「ワカメじゃ無くて、ヒョータンナスビのようだね…アレは」
 ──幸村が、かしゃりとシャッターを切った。

 かと思えば次の日に、剣道部へ行って練習に参加してきたという。
 パイプで作り防具を着けた打ち込み用の人形(ヒトガタ)、“面胴くん”を破壊、
報せを聞いた真田は立ったまま15秒ほど失神した。
「いったい何としたことだ! 赤也! あの大馬鹿者!!」 
 ──立海大附属が青学に倣い、グラウンド百週を課したのは、
後にも先にもこの一幕だけであった。

 授業中にもよく挙手をするようになった。
「……当てられるととたんに周章狼狽、滅茶苦茶な答えをしているそうですが」
 ──紳士こと柳生比呂士、頭の痛い様子である。
481庭球皇子 2/2:2008/04/16(水) 10:53:37 ID:WJwnHHyL0
「……え、と。こうッスか── プ、リッ」
「違うンじゃなあ。もそっとこう唇を突き出しんしゃい、ブーたれる時みたいに」

 縦書きのノートを使い始めた時は、柳はさすがに先回りして
筆を使わぬようたしなめた。
「柳先輩、どーしてッスか!
 別にいいでしょー、俺が筆使ったって! 先輩の特許じゃあるまいに!」
「先輩だけに専売の──…と、此れは兎も角。
 筆は止すがいい、赤也。お前の字で筆を使えば、俺も勉強を見てやれなくなる」
 ── 一方のその日、千葉の片隅で盛大なくしゃみが何回も響いた。

 駄菓子屋にも良く立ち寄っている。
 ブン太はこれを歓迎して、毎日のように赤也を引っ張りまわしている。

 ジャッカルは自分の苦労性も真似されればとふと考え、
いやいやそんな役回りはひとりで十分だと思い直した。
 赤也が日焼けをしはじめたことだけ、ほほえましいものだと見守っている。

「だって──そりゃあ、その。
 ……好きな人たちと、同じことがしてみたいじゃないッスか!」
 ──赤也はそう答えて、照れくさそうに笑った。
482風と木の名無しさん:2008/04/16(水) 10:55:12 ID:WJwnHHyL0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

立夏偉大唯一の2年生ルーキーは、
先輩たちから(いろいろな意味で)可愛がられていて欲しいと思う。
後、千葉でくしゃみをした人は友情出演です。お邪魔しました!
483風と木の名無しさん:2008/04/16(水) 22:37:08 ID:/Q040M5GO
>>467
ちょwwwおめ今日買ってきたばっかだ
いぐやった!
まんず燃えだっけ!GJだ!
484ゆうひの、ヘイタ  1/3:2008/04/17(木) 18:13:23 ID:+PD3zqsS0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |> PLAY.      | |
 | |                | |           ∧_∧ コネクリマワシテポエムニナッタダヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


誰かが言ってた。
世界中を旅した誰かが、
新宿の夕日は世界一美しいって。

俺もそう思うんだ。


新宿は、季節も時間も感じさせない街だ。
気が付いたら毎日は過ぎ去って過去になってる。
過去に得た物も失ったものも、全部飲み込んでいくのがこの街なんだ。
だから、アホみたいにでっかくて汚れきってる。
そんなこの街に俺自身も飲み込まれて無くなってしまいたかった。
485ゆうひの、二人 2/3:2008/04/17(木) 18:14:27 ID:+PD3zqsS0

新宿に夜が来るその前。
ほんのひと時だけど、一気に世界が変わるような時間がある。
空一面が、色に染まる。
赤とかオレンジとかピンクとか紫とか、メ一杯の色になる。
あの中にはきっと名前も無い色もあるんだろうな。
あの夕日の下だと、この街も少しは愛せる気がしてた。


でも不思議なんだけど、
住み慣れた、この薄汚い街が…今は……



今まで知らなかった、けどやっぱり俺は愛されてたんだよな。
誰かと触れ合って芽生えた優しい気持ちも、俺自身が裏切ってきたんだよな。

このでっかい街の中でなら、愛なんて持たなくても寂しさを紛らわせて生きていけると
――そうやって生きていけば良いんだと思ってた。



なあ、喜多さん。
喜多さんが思い浮かべる夕日は、
喜多さんが思い浮かべる夕日は、あの日の、あの廃屋で見た夕日なのか?
あのすべてが終わり、すべてが始まり、すべてが変わったあの日の
二人だけで見た溶けていくような大きな夕日。

486ゆうひの、二人 3/3:2008/04/17(木) 18:16:19 ID:+PD3zqsS0

俺が思うのは、
今日喜多さんと見ている夕日。
明日、喜多さんと見る夕日。

不思議なんだけど、
住み慣れた、でっかくって汚れたこの街が小さく、綺麗になったように見えるんだよ。
喜多さんが隣に居るだけで俺自身を飲み込んだこの街も、俺自身も。
愛せる気がするんだよ。
許せる気がするんだよ。

あんたが居るだけで生きてる気がするんだよ。



 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ シュウリョウダヨ オチガツカナカッタダヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
487風と木の名無しさん:2008/04/17(木) 22:27:41 ID:Ey1dCCsu0
>>484
新宿と言う街が好きになったwww
超乙。萌えをありがとう。
488風と木の名無しさん:2008/04/17(木) 22:33:13 ID:tT1rjNnK0
>>484
半ナマだけど人物名伏せなくてもいいんですか
489風と木の名無しさん:2008/04/17(木) 23:12:41 ID:pUhQ59+40
>488
その質問をなぜageでする?
スルーして下さいという意図だったなら謝るが。
490風と木の名無しさん:2008/04/17(木) 23:32:42 ID:wKcHBKj80
>>484
GJ!
丁度、北さんのサントラを聴いていたので、さらにグッと来ました。
ぬげー萌えたっす。
491風と木の名無しさん:2008/04/17(木) 23:54:45 ID:+PD3zqsS0
>>484です
人名…忘れてた!今まではちゃんとしてたのに!恥ずかしいっす。
ゴメンナサイ or2<スキニシテ デモサゲテネ
492風と木の名無しさん:2008/04/17(木) 23:57:15 ID:+PD3zqsS0

うああああああああああああああ
タイトルも間違えてるし。




乙&萌えた ありがとうございます
照れくさいです嬉しいです
493風と木の名無しさん:2008/04/18(金) 00:06:55 ID:5VjgaXwG0
>>491
いやいや、伏せなくてもOK。問題ない。
むしろ保管庫収録の際に困るので伏せない方がいいです。
494風と木の名無しさん:2008/04/18(金) 02:50:19 ID:C+Jw5Pzu0
伏せなくていい理由なんてあったっけ
495風と木の名無しさん:2008/04/18(金) 02:57:41 ID:3UWvgz1NO
496風と木の名無しさん:2008/04/18(金) 03:43:45 ID:vYTEaTgL0
>494 管理する側がってことだろ
497風と木の名無しさん:2008/04/18(金) 03:56:10 ID:Zm0yVlVc0
伏字って強制だっけ?
498風と木の名無しさん:2008/04/18(金) 04:05:10 ID:yvPJ/YVr0
伏字の要・不要についてなら専スレがあるので移動してください
499風と木の名無しさん:2008/04/18(金) 06:45:13 ID:BN6RsDh90
あらかじめ伏せとけば、伏せろ伏せるなの下らない論争を見なくて済むってことです
500風と木の名無しさん:2008/04/18(金) 08:22:11 ID:sOd+5FVV0
テンプレに伏せ推奨とかないんだし、別にいいんじゃないの?
伏せたい人は伏せる
伏せない人は伏せない
それにどうこう言うこともない
501801ピカラット(1/2) 英国紳士×英国少年:2008/04/18(金) 13:59:04 ID:LpkLKDQAO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

萎えスレから、某ナゾトキ英国紳士×英国少年に改変しました。
会話文ばっかりで見辛いかもしれません。




「ん、何を読んでいるんだいルーク?」
「あ、先生、今女性の間で人気の男性同士の恋愛を描いた小説を……」
「ああ、そういえばこんなナゾがあるよルーク」


このナゾのひらめき指数は 801/801ピカラット


「攻めは繋がってすぐ受けの中で軽く射精し、結合部のすべりをなじませたんだ」
「射精ってすぐにできるものですか? それに、軽く射精ってなんなんでしょうね」
「まあ、形式美みたいなものだよ。 その後腰を『毎分15回を5分続けたあたりか
ら速度を上げていき、1分おきに 毎分25回、30回』と攻めはリズムを変えて
いった」

「さて、15分後、攻めは毎分何回腰を振らなくてはならないだろうか。 また、それ
までに何回腰を振ったか、その回数を求めなさい」

「なんだ、計算すれば簡単にナゾ解明ですね先生!」
「さあ……それはどうかな?」
502801ピカラット(2/2) 英国紳士×英国少年:2008/04/18(金) 14:03:49 ID:LpkLKDQAO
 
 
「先生、15分後攻めは毎分65回腰を動かし総回数は500回です!」
「残念」
「えーっ!? 何故ですか先生?」
「確かに計算上での答えは500回だ。 しかしルーク、君は攻めの体力を考慮してい
たかい?」
「……!」
「そう、攻めは10分後にはすでに達してしまうんだ。 だから15分後には攻めは腰を
動かしていないから答えはどちらも0回になる」
「なるほど……そこまでは考慮していませんでした。 さすが先生!」
「英国紳士としては当然のことだよ。 という訳で、ルーク」
「何ですか先生……てうわっ! な、何をするんですか先生!」
「ナゾを解明出来なかったからね。 『お仕置』だよ、ルー」
「え、そ、そんないきなり触っ……いっ……」
「大丈夫、痛くはしないよ。 英国紳士としてはね……」


ナゾより何よりこの展開が理不尽だ!とルーク少年は心の中で思いましたとさ。
503風と木の名無しさん:2008/04/18(金) 14:05:23 ID:LpkLKDQAO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

棚に投下初めてなのでどこかおかしかったらごめんなさい。
504風と木の名無しさん:2008/04/18(金) 14:17:45 ID:2GQXxKUq0
ちょ!萎え物件投下したの私だが棚物件に昇華するとはスゴス!w
しかし1分間に65回振れるのだろうか…w
505風と木の名無しさん:2008/04/18(金) 14:44:30 ID:tHupPBy80
>>503
いやいやいやw
萌えと笑いと元ゲーネタが上手く融合しててGJ!
506風と木の名無しさん:2008/04/18(金) 19:27:51 ID:H0jiP90aO
>>503
こういうの好きだーGJ!
とりあえずレイトンやってくる
507風と木の名無しさん:2008/04/18(金) 20:47:36 ID:5VjgaXwG0
>>499
それなら、伏せろ伏せろと強制しなければ最初から荒れないのに。
508風と木の名無しさん:2008/04/18(金) 22:47:27 ID:z3FA4j9E0
>>503
面白くて萌える上にネタも上手く昇華されててマジGJ!
ルークはナゾが解けない度に教授にお仕置きされるといいよ性的な意味で
509風と木の名無しさん:2008/04/19(土) 01:40:32 ID:J75ks4si0
801系新板設置要望スレ
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1208401555/

801創作板、つまりエロパロ板の801版みたいな新板を作るかもしれないそうな。
510風と木の名無しさん:2008/04/19(土) 02:06:57 ID:rA8vZVsh0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | しゃちほこ糾弾の0602 ナマモノ注意
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 06がオープンエロで02がムッツリエロな話
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 増えないかな
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )   このカプネタ
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
511棒王求06×02 1/7:2008/04/19(土) 02:09:09 ID:rA8vZVsh0
―どうしてこんな事に?
粗木は目の前をうごめく肌色の画面と隣で平然としている井場田を交互に見るように
チラチラと視線を彷徨わせた。




「いえ、俺は別にそこを見ていたわけじゃ…」
「別になんも言ってねーだろ」
粗木はただ単純に井場田の部屋の収納に設置されたスライド式の本棚に感心していただけだ。
自分の部屋にもこんなものが欲しいな 等とぼんやりと考えながらガラガラと動かしていた。

そこに並んでいたDVDなど全く見えていなかったのに。

「男はみんな観てるもんだろ?」
「それは…まあ確かに普通ですけど…俺本棚が気になってただけで…」
「本棚ァ?そんなんどこにでもあるだろうが。相変わらず変なトコばっか興味持つのなお前」

本当のことを言っているのだから何も後ろめたいことなどない粗木だが
変な勘繰りを入れられたりからかわれたりするとやはり多少は動揺してしまう。

「まあどっちでもいいけどよ。久々になんか観るかなぁ…遠征中溜まるし」
「…有料チャンネルあるじゃないですか…」
「バカ、観られる時間帯に好みのが無かったりすんだろうが」
512棒王求06×02 2/7:2008/04/19(土) 02:09:49 ID:rA8vZVsh0
すでに経験済みの男の意見だ…
粗木は井場田のこういうオープンな部分が恥ずかしくもありうらやましくもあった。
ラジオでも堂々とアダルトなDVDの話をするなど粗木にはできない。

「…別に今じゃなくてもいいじゃないですか」
「別に今でもいいだろうが。その気になったら気持ちはかえらんねぇよ」
「まあ…確かに…じゃあ俺リビングに…」
「お前どういうのが好きだっけ?」
「はい?!」

いきなり自分の性的嗜好を尋ねられ、粗木は声を裏返らせた。
思わず棚に並ぶDVDを凝視してしまう。
友人とこういう猥談で盛り上がることは確かにあるが、先輩である井場田にそんな話を振られると
流石に畏まってしまい、無駄に意識してしまう。
どこか意地悪な表情の井場田から視線を外し、再びDVDの棚を見つめる。

「…なんていうか…激しい嗜好のものが…多いですね…」
「性嗜好は人それぞれだろ」

男の支配欲を擽るようなタイトルに粗木も少しだけうずいてくる。
元々家庭に入ると関白な粗木と元々自信家で少々サディストな部分を持つ井場田の嗜好は微妙にかぶっていた。

「……じゃあ…これ…」
湧き上がる欲望を抑え切れなかった粗木は、1本のDVDを選んでいた。
513棒王求06×02 3/7:2008/04/19(土) 02:10:38 ID:rA8vZVsh0
「…」
演技なのか悲鳴なのかわからない女優の声が響く部屋
粗木は今の異常な状況に困惑しきっていた。

目の前には肌色と、ボカされた局部のアップ。
それがグネグネと妖しく蠢いている。
思わず視線を外すと隣にはじっと画面を見つめている井場田の横顔が目に入った。
食い入るように見つめている井場田に、少しだけどきりとした粗木は
「あっ…あの」
思わず声を掛けてしまった。
「…何?」
井場田は画面を見つめる視線を外すことなく粗木に返事をする。

井場田さんは興奮しているんだろうか?
いつも冷静な井場田さんが今、目の前のこの映像で欲情しているのだろうか?
そんなことを考えると粗木の体温はどんどん上がってくる。
別に相手を人間扱いしていないわけではないが、そういう「普通」の一面を見てしまうと
普段の井場田とのギャップにどうもドキドキしてしまう。

「コレって…こんなに薄いボカしならいっそ無くてもいいと思いません?」

いきなり何を。
突拍子もないその言葉に流石に驚いた井場田が粗木のほうに視線を向けた。

「……そりゃ、駄目だろ…裏ビデオじゃねーんだし」
「……… です…よね…ぇ…」
514棒王求06×02 4/7:2008/04/19(土) 02:12:15 ID:rA8vZVsh0
気まずい。

画面も井場田の顔も見られなくなり、耳まで赤くした粗木は首を垂らし
胡坐をかいていた脚をじっと見つめた。

この状況はいいのか?
大きなベッドの上に二人で胡坐をかき、アダルトDVDを鑑賞する。
女性が相手の時もあるのだろうか?
色々な妄想が粗木の頭を駆け巡った。
しかしすぐに我に返り、頭を振り自分の中の下世話な妄想をかきけしてしまう。

部屋に響く生々しい音声がさらに気まずさを高めた。

「粗木」
「はい!!」
不意に井場田に声をかけられ、粗木は弾かれたように顔を上げた。
視線がかち合う。
今度はさっきとは逆に逸らせなくなってしまった。

「ティッシュ取ってくれ。そこの」
「…は…?」

井場田が指差す方向へ視線を向けると、粗木の後ろにちょこんとティッシュが置かれていた。
浅いため息と共にティッシュの箱を掴み、再び井場田のほうへ向き直る。

「サンキュ」
「…ぅわ!」
視界に入った井場田は完全に前を寛げ、自身を露出させていた。
同性だからといってここまで自然体に振舞っていてもいいのだろうか。
粗木は軽いめまいを感じた。
515棒王求06×02 5/7:2008/04/19(土) 02:12:58 ID:rA8vZVsh0
「…ん…」
隣で固まる粗木を他所に、井場田は自身を擦りあげている。
その目はすでに画面を見てはおらず、何かを考えるように瞑ったままで、その眉間には皺を寄せている。
特に激しく興奮しているでもない、ただの処理だと感じられるその行為に
なぜか粗木は少なからず安心していた。

「……っぐ…」

小さなうめき声と共に井場田の身体が僅かに震える。
その後ゆっくりと大きな息を吐いて井場田がベッドに仰向けに倒れこんだ。

「はーーーー。すっきりした」
「…隠しましょうよ。前くらい…」

もうどうすればいいのか解らなくなった粗木は、ベッドの上で青コアラ並の哀愁を漂わせていた。
体育座りをしながら困ったように井場田を見つめ、小さくため息をつく。

「消す?」
「…はい、俺はもうおなか一杯です」
井場田は何事も無かったかのようにDVDを消し。リモコンをベッドに放り投げた。
ベッドヘッドのウェットティッシュを一枚取り、べたつく手を拭く。

いつもここで一人…
もやもやとしたものが頭に広がっていきそうになるのを何とか抑えこみ
考えないようにするために、粗木は今更ながら先ほどのスライド式の本棚のことを考え始めた。

しかしそのもやはじわじわと粗木の脳を侵食し始め、絶えられなくなって思わず目を瞑る。
その瞼の裏さえも粗木を裏切ったかのように先ほどの出来事を鮮明に映しだした。
516棒王求06×02 6/7:2008/04/19(土) 02:14:10 ID:rA8vZVsh0
駄目だ。もう寝かせてもらおう。
疲れたからといえば、あまり干渉してくる性質ではない井場田は眠らせてくれるはずだ。
幸いもう風呂もいただいたし歯も磨いた。
寝てしまえばこの不毛な感情も消えてしまうはず。
たとえ夢の中で苦しむことになろうとも。現実よりはずっと楽に思えるだろう。

「すみません、井場田さん。俺…眠くなってきたんで先に眠らせてもらってもいいですか?」

先輩を差し置いて眠るなんてとんでもない気もするが、今は仕方が無い。
粗木は井場田のように振舞えない。
ましてや自慰行為などこの状況では、井場田のように完全に処理として割り切ってしまえる自信が無い。

井場田にコンロトールしてもらって初めて粗木の本能は正しく機能する。
粗木が勝手に飛び出そうとも井場田はきちんと先へ進めてくれる。
自分の本能を自分で上手くコントロールできないなど、情けない話だが事実なのだ。

「疲れたか?ベッド使っていいぞ。俺リビングに居るから」
「…はい、ありがとうございます」

心底申し訳なさそうな粗木に井場田は笑って答える。
粗木は十分に大きなベッドの隅っこにもぐりこんだ。
きっと徹夜で自分のフォームや相手チームの情報を研究するのだろう。
身体にも勿論目にも悪いから程々にして欲しいと粗木は常日頃から思っているのだが、それを言うのは憚られる。

粗木は井場田ではないから。

当然のことだが、その言葉が今の粗木にはとてもつらい。
何でも割り切る井場田は、自分のことさえも仕事上のパートナーだと割り切っているのではないかと粗木は考えてしまう。
517棒王求06×02 7/7:2008/04/19(土) 02:14:39 ID:rA8vZVsh0
俺はお前じゃない。
関係ない。
そう言われてしまったらどうしよう。
不安だが、思い切って尋ねてしまったらきっと怒られるだろう。
怒られて、そして何も教えてくれないまま普段の生活に戻るのだ。

「…あんまりくだらねーこと考えてたら怒るからな」

不意に声をかけられ、ぱちりと部屋の電気が消される。
思わず粗木は顔を上げ、部屋の入り口を見た。
キッチンから届く光の所為で逆光になった井場田の顔は笑っているのか怒っているのかわからない。
目を細めてみても暗闇に慣れていない目では見えなかった。

「…井場田さ…」
「隣で寝てもいいのか?」

今度は声の調子から確実に笑っているのがわかった。
「えっ?!」
「どれだけ端で寝てるんだよ」
その言葉に、思わず顔が赤くなる。
布団に入ったままもぞもぞと動き、僅かに中央の方へと移動した。

「今日はちゃんと寝るからそのまま開けとけ」
粗木の心を読んだかのような返事に驚いていると再び声をかけられた。
「1時間だけ外すから、ちゃんと抜いとけよ」

そのままドアが閉められ。完全に真っ暗闇になった部屋に粗木はひとり取り残された。
布団からちょこんと頭を出し、寝室の外の様子を窺った後、粗木はそっとティッシュに手を伸ばす。

頭のなかのもやが濃くなっていく気がした。
518風と木の名無しさん:2008/04/19(土) 02:15:34 ID:rA8vZVsh0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |               ムラムラしてたのバレバレでした
 | |                | |           ∧_∧ みたいな話。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) お粗末さまでした。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
519風と木の名無しさん:2008/04/19(土) 02:42:26 ID:zRr0hCORO

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

520(1/7)博と先生C:2008/04/19(土) 02:43:30 ID:zRr0hCORO
しかし、楽しそうな先生は、椅子を持ってくると、そこに腰を据えてしまう。
「え…先生、混ざらないの?」
佳は不思議そうに先生を見つめた。
「それもいいけどな…。でもあんた達がそうやって絡んでる『画』って
イイんだよね。休憩ついでに眺めさせてもらうよ」
そう言って、先生は満足そうに微笑んだ。
「……いいよ先生。よぉく見とって、俺らの事…」
博は、先程までの妖艶さを取り戻し、先生にニッコリと微笑み掛けた。
佳も、その博の表情を見て気を取り直す。
「そうだね。俺もたっぷり博と楽しみたいし…」
そう言いながら、博の乳首を軽く指で転がしてみる。
「あ…っん…」
博は甘い声を漏らして、わずかに身じろぎした。反応の良さが楽しくて、
佳は愛撫を更に激しくしてみる。鎖骨に唇を落とし、つつぅ…と舐めてみる。
「佳…さぁん…」
首を軽く振る姿も悩ましい。反応も良いので、つい面白くなって、
先生が残した赤い点と同じ場所を吸い上げてみる。すると、博は更に
悩ましげな声を出した。
「あぁ…ん…いや…」
自分の背中を撫で回しながら身を捩る博は余りに魅力的で、佳は心から、
怒りに任せて部屋から追い出したりしなくてよかった、と佳は思った。
そうして愛撫を繰り返している内に博は、態勢を変えよう佳の手を掴んだ。
「佳さぁん…俺もしたい…」
そう言って佳の指をぐちゅぐちゅとしゃぶる。佳はそれに微笑みで応えて、
博の下になり、彼を抱き寄せた。
―――博はうっとりと佳を見つめ、髪に指を絡める。柔らかなこの髪に、
滑らかな美しい肌に、心行くまで触れてみたい、と博は前々から思っていた。
先生に抱かれてみたい、と思った時の様な激しい欲望とは違う、感情。
521(2/7)博と先生C:2008/04/19(土) 02:44:32 ID:zRr0hCORO
躊躇う事なく、佳の肌に舌を這わせる。若い女の様に瑞々しく、肌理の細かい
肌は、想像よりずっと素晴らしかった。そのまま全身にくまなく愛撫を施していく。
「博……いいよ…気持ちイイ…っ…」
佳は満足そうに息を吐き、博の髪に指を絡める。
――こうして、二人は暫くの間、睦み合い、脚を絡め、激しく唇を貪り…
どちらが上とも下ともなく、絡み合っていた。余りにも艶めかしい姿で。
「…あんた達…イイねぇ…」
先生が思わず感想を漏らした。こんな良いものが見られるなら、
只の傍観者も悪くない、と。
「でも、二人とも辛いんじゃない?」
先生は二人の下半身を指差した。興奮した二人の雄はすっかり立ち上がって
しまっている。佳と博は思わず顔を見合わせた。
「ホンマや…佳さん、どうする…?」
「どうする、って…?」
「どっちが、入れる方…?」
佳は答えに窮した。自分も博も受け身しかやった事がない上に、
彼相手なら、どちら役でも楽しそうだと思ったのだ。博も、同じ事を考えていた。
「ど、どうしよっか…」
佳が悩んでいると、ある物が目に入り、佳は急に閃いた。
「博、イイ考えがある…」
そう言って佳はおもむろに立ち上がると、自らの下着を脱ぎ捨てた。
そして、ベビーオイルを手に取って、博の身体に馬乗りになる。
「どうするんですか、佳さん…」
不安そうな博に佳は愉しそうに微笑み、オイルをボタボタ…と博の下半身にかけた。
「こうするの…」
佳はそのまま博と身体を重ね、自分の雄と博の雄を擦り合わせた。
博は、初めての感覚に、思わずたじろいだ。
522(3/7)博と先生C:2008/04/19(土) 02:45:25 ID:zRr0hCORO
「あ…いやっ…何コレ…」
博は戸惑いながらも、悶えた。
「…気持ち、イイでしょ…?擦れる感覚が、結構好きなんだ…」
佳は腰をこまめに動かしながらうっとりと囁く。博は快感に悶えるが、
その動きがより快感を増していた。佳の身体に脚を絡め、より腰を密着させる。
「気持ち…イイですね…」
「でしょお…?」
「んっ…今度は…俺がこっちに…っ」
二人は態勢を変えながら、それでも腰だけはぴったりと密着させて絡み合う。
ぴちゃ、くちゃ、と部屋に響く猥雑な音が心地良い、と先生は思った。
…目の前で繰り広げられているのは、極上のショー。自分の目を楽しませてくれる、
気質の違う美男二人が、愉悦の表情を浮かべ、喘ぎながらお互いの欲望を
確かめ合っている。激しく唇を奪い合い、時には見つめ合って微笑んでいる。
「ん…佳さぁん…!」
「気持ち…イイね、博…凄く可愛い顔してる…」
「そん…な…佳さんも…」
「………………あんた達、二人とも最高だねぇ」
そう言いながら、傍観者を止めた先生が立ち上がった。
「傍観者に撤してようと思ったけど…我慢出来ねーわ」
そう言いながら先生は、佳の膝の上に乗っている博の横に腰かけた。
「…今更、混ぜてあげないよ…?」
「冷たいこと言うなよ、佳…」
先生は博に目線を移し、彼を後ろから抱える様な態勢になった。
「博は混ぜてくれるんでしょ…?」
先生は博の肩口に軽くキスをすると、両方の乳首を摘んだ。
「あぁっ…!いや…っ!」
博は背をしならせて嬌声を上げた。逃れようとしても二人がそれを許さない。
「あぁ、ダメだよ博…」
先生は、優しい声で博を宥めたが、決して指の動きを緩めようとはしなかった。
523(4/7)博と先生C:2008/04/19(土) 02:46:28 ID:zRr0hCORO
「そうだよ、博。せっかく気持ち良くしてもらってるのにさぁ…」
佳は、博の腰を掴んで動きを止めようとはしない。先生と目線を交わすと、
更に追い詰めようと深く口付けた。
「んんっ…!!んぅ…っん…!」
「…イイ声してるね…博、もうイキそうかい?」
身悶えながら、目尻に涙さえ浮かべる博は、コクコク、と何度も頷いた。
先生は博の乳首を弄りながら、佳に目線で合図した。博の限界は近い。
「…いいよっ、博…イッちゃいな…?」
唇を放した佳にそう言われると、博はより一層甘い嬌声を上げながら、
絶頂に達した。それを見届けた佳も、彼の腹にぶつける様に吐精した。
勿論、一番満足なのは、二人の姿を心行くまで眺められた、先生。
「全く、い〜い眺め…」


―――博と佳は、先生に促されて、オイルと精液でべたべたになった
身体を洗う為にシャワーを浴びた。先に出てきた博を見た先生は、
好都合だ、と言って、手招きして何事か耳打ちした。聞いた博も楽しそうに、
二人で笑いながら佳が出てくるのを待つ。
「……あ〜気持ち良かった…。あれ?どうしたの二人とも」
キョトンとした表情の佳を、ベッドに腰掛けた二人はまぁこっちに来い、と誘う。
「いやぁ〜、博ばっかり可愛がられるのも、不公平じゃないかと思ってね…」
そう愉しそうに言う先生は、ゴソゴソと自分の服を探る。
「博にも、お前のイイ姿を是非見せてやりたいし…」
「そうそう、俺、見てみたいわぁ…」
「だから、言うことを聞きなさい?」
にやりと笑って立ち上がった先生の手には、自らのジーンズのベルト。
「え…何すんの…」
「わかってる癖に…」
先生は、ベルトをぴしゃりと鳴らしながら、佳に近づいた。
524(5/7)博と先生C:2008/04/19(土) 02:47:45 ID:zRr0hCORO
「座って手を後ろに回しなさい」
先生の口調は優しいが、ノーと言わせない迫力を感じさせる。
「え…嫌だよ。それで縛ろうっていうんでしょう?…嫌だよ」
「…座って手を後ろに回しなさい」
先生は佳の意見を意に介さず、ただ繰り返すのみだ。それでも佳はプイッと
顔を背けて言うことを聞かない。先生は、はぁっとため息を吐いた。
「…そのまま強情を張るなら、2度と抱いてやらねえぞ」
「…嘘だね」
「嘘じゃねぇさ…」
そう言って、先生は博を抱き寄せた。博は目を丸くする。
「博がいるからね、俺には。…いいよぉ、博は。お前より若いし、可愛いし、
従順だし、感度も良いし、色っぽいしよ…。何もお前が居なくても…」
狡猾さを感じさせる笑みを浮かべた先生を見て彼の考えを悟った博は、
先生にしなだれ掛かって、挑発的に佳を見つめた。
「そうだよ、先生。俺で十分じゃない…?ねぇ、佳さんなんか放っといて、
俺ともう一回しようよ…」
そう言うと、先生の頬をペロリと舐めた。
「そうだな、そうするか…」
先生がそう言って、身を翻そうとした所で、佳がそれを止めた。
「わかったよ!!やれば良いんでしょ…?好きにすれば良いじゃない…!!」
佳は怒りながらも、彼の言う通りにする。今までならこんな類いの脅しは
効かなかっただろうが、博の魅力を知ってしまった今では、不安にもなる。
本当に捨てられるのでは、と。
「最初っからそうしてりゃいいんだよ…」
満足そうに言うと、先生は佳をベッドの中央に座らせ、両手をベルトで固定した。
二人は両手が使えなくなって不安そうな佳を挟んで座り、彼に微笑み掛けた。
「安心しな、佳。無理に犯そうとは思わねぇよ…」
明日はゲネプロだ。下手に痛め付けたらドラムなど到底叩けない。
「そんな事しなくても、十分苦しめ…いや、楽しませてあげますから…」
525(6/7)博と先生C:2008/04/19(土) 02:48:55 ID:zRr0hCORO
先生と博は、不安がる佳を楽しむかの様に、丹念な愛撫を始めた。
二人同時に乳首を吸い上げると、佳は一際高い声を出して背をしならせた。
快楽を与えられば与えられる程、両手の自由が利かないのがもどかしい。
先生は、佳が何も掴めない様に、敢えて枕や掛布団を彼の手元から離していた。
博は佳を後ろから抱き抱えて、耳たぶをくわえる。
「い…っやぁ…、博っ耳は…ぁ」
「……佳さん、可愛ええ…」
博は、愛撫を続けながらうっとりと囁くが、先生は機嫌悪そうに言った。
「おい、佳、足をバタ尽かせるな!」
どうやら、悶えた佳の脚が先生の体に当たったらしい。先生は、佳の脚を
ぴしゃりと叩くと、彼の中心部分に手を伸ばした。
「足癖の悪い奴はお仕置きだね…」
先生は佳の雄の根元を少し強めに握る。佳は一瞬で顔色が青くなった。
「何をされるかわかったみたいだな…」
「やめて……」
「博、口に突っ込みな」
先生がそう言うと博は立ち上がり、悪戯っ子の表情で、自分の雄を佳の口に
押しつけた。先生は、佳の根元を握りながら、ペロリと舐め上げる。
「…俺が何を言いたいか、大体わかるよね、佳。…博をちゃんとイカせるまで、
自由にしてやらないよ…?」
「……っ!!」
佳は悔しさと恥辱の交じった表情を浮かべると、博の雄をくわえた。
先生はふと思った。佳が他の男の物をくわえているのを初めて見たが、
存外悪くないものだ、と。そして佳の雄をしゃぶることに集中する事にした。
「…っ佳さんって、フェラ、凄い上手…」
博は少し驚いた様に声を漏らした。甘い責め苦の最中でも、
佳の舌と唇の動きは余りに巧みだ。
「…そりゃあ、私が長年掛けて仕込みましたから…」
先生は自信有りげに呟く。佳はそれを聞いて顔を紅潮させた。
526(7/7)博と先生C:2008/04/19(土) 02:50:05 ID:zRr0hCORO
佳の反応に気を良くした先生は、更に佳を追い詰める為に強く佳の雄を
吸い上げてやった。佳は身体をビクンと跳ねさせるが、口を決して離さない。
「…すごい…腰を引いても、頭がついてくる…」
博は思わず感嘆の声を上げた。
「…そりゃあ、博をイカせないと、佳もイケないもんね〜…」
先生はおどけた口調で言うが、決して手の動きを緩めない。
しかし、佳は限界が近いのか、脚をばたつかせて必死に先生に訴えた。
「んん…っ!!んぅ…!」
「何…イキたいの?ダメだよ泣いたって…」
先生は飄々とした態度で、佳の弱い部分を丹念に舐め上げた。
「ん…んっ!」
「佳さん、俺、イキそうかも…っ…」
博は一瞬、苦しそうな表情になった後、佳の顔に勢い良く吐精した。
「げほ…っけほっ…先…生」
「…………よくできました」
先生は口を離すとニッコリ笑い、佳の雄を握っていた手を緩め、一気に擦り上げた。
「あぁ…っ!!!……ッぁあ!」
佳は身体を大きく震わせると、悲鳴に似た嬌声を上げて絶頂に達した。
「佳さん、めっちゃセクシー…」
「…博も気に入った?」
二人は顔を見合わせて笑った。半ば気絶した佳を見下ろして――――。



527風と木の名無しさん:2008/04/19(土) 06:41:54 ID:rmIBVqJt0
>>518
うわGJGJ、この二遊間コンビめちゃくちゃ好きなんです!!(≧∇≦)
いいモン読ませていただきました!
528オカ板 兄ケイ1:2008/04/19(土) 09:41:58 ID:IcUV7H3hO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
529オカ板 兄ケイ2:2008/04/19(土) 09:43:23 ID:IcUV7H3hO
昨晩、悪趣味な兄と前職場の馬鹿共に前触れも無く部屋を強襲された。
男三人の食欲に一人暮らしの冷蔵庫は無惨にも食い尽くされてしまった。
近い距離でも無いのに、後輩達は月に何度かこう云った暴挙をしでかしてくる
けしかけるのは悪魔の様な兄だが蹴り飛ばされると分かっていて尚懲りない後輩共も大概阿呆だ。
そう言えば昔から行動力だけはある奴らだったと、小動物じみた童顔を脳裏に浮かべた。
鬱陶しいが突き放せない。
そんな自分に嫌気が差しながら近場のコンビニでアルコールを仕入れる。
もう少し先に行った所にスーパーが有るのだが、この雨ではその距離すらも疎んじてしまう。
雨は嫌いだ。
客の傘と靴で濡れそぼるマットを踏むと蛙の断末魔めいた音がして眉を顰めた。
いらっしゃいませーと、明るいが覇気の無い声をかけてきた店員は今は知り合いらしい高校生と何事かを話している。
店内には彼らと自分しか居らず、水と幾ばくかの食べ物の匂いが混じり合った空気は何処か停滞している。
朝から降っている雨に今更、雨宿りに飛び込んでくる客も居ないだろう。
じゃれあう若者を横目で見て雑誌のコーナーに足を留めた。
530オカ板 兄ケイ3:2008/04/19(土) 09:44:42 ID:IcUV7H3hO
二、三適当な雑誌を見繕い酒と共に会計を済ます。
ありがとうございましたーと店員の間延びした声を背にコンビニを後にする。
昼過ぎに蹴り起こした後輩連中は、せめて後片付けぐらいは済ませているだろうか。
途中弁当屋で四人分の弁当を買う。
代金は愚兄に請求する心積もりだ。
どうせ嫌な顔一つせず払うだろう。
想像の中の温和な表情に拳を叩きこむ。
しかし、その整った顔がズタボロになった絵が頭に描けず忌々しげに舌打ちを一つした。
乱暴者の自分が唯一勝てなかった相手。
屈辱極まりないが今でも勝てる気がしない。
奴曰わく「溺愛している弟に手を上げるなどとんでもない」らしいが、寧ろ殴られた方がマシな報復を返してくるので真の悪魔だと思う。
それだけでなく普段から「可愛い」だの「美人」だの侮辱でしか無い言葉で自分を形容してくる。
それは後輩達の前でも例外ではなく、最近あの二匹の自分を見る目が悪い意味で変わってしまった事実に頭が痛い。
その都度しめてはいるが、それを上書きする人間が居るからいたちごっこだ。
会わせるのではなかったと今更ながらに思いながら目と鼻の先になった自宅へと足を進める。
行き先で見慣れた長身が雨の中傘を差し佇んでいた。
見なくても分かるにやけた顔から目を逸らして荷物の全てを兄へと差し出した。

「シズは甘えただなぁ」

苦笑いをされて、繊細な手で頭を撫でられる。
やはりこいつは嫌いだと、傘に傘をぶつけ舌打ちをした。
531オカ板 兄ケイ4:2008/04/19(土) 09:46:31 ID:IcUV7H3hO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
計算をツンデレヒロインにしたかった。
今は反省している。
532風と木の名無しさん:2008/04/19(土) 12:23:26 ID:Uw/HcJh80
>>518
好きカッポーキターw
GJです!ありがとう!
533風と木の名無しさん:2008/04/19(土) 19:58:13 ID:bXnzVBlkO
>>528->>531
GJです!
ツンデレヒロインイイヨー
534風と木の名無しさん:2008/04/19(土) 21:49:56 ID:/CujX2ka0
>>511-518
つるっ禿げた。
ごちそうさまです。
535「無敵のカタワ」F×N(中編):2008/04/19(土) 22:44:51 ID:kepaGmRq0
リライトしてたらどんどん長くなってきたので一旦ここで出します…
エロもラブもないです申し訳ない。
前編>>423-429

感想くださった方、ありがとうございます!
元ネタご存知の方も、ご存知ではないのに読んでくださった方も、とてもうれしいです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
536still/life(中編) 1/5:2008/04/19(土) 22:47:07 ID:kepaGmRq0
 その夜、眠りすぎてだるい手足を引きずるようにしながら、Nは再びあのみすぼらしい
街へと舞い戻った。街は、昼の居た堪れなさなどなかったようなふりでそこにある。
 そこかしこのけばけばしい電飾、アルコールか何かの化学反応を借りたヒステリックな
笑い声。夜の中で、ようやく息が出来る類の人々。
 まるででかい水槽に潜るような、地下に向かう薄汚れた階段も変わらなかった。煙草で
濁った安くさい酒の匂いも一緒だった。
 とてもよく知った店だった。そうして、果たしてあの悪友はそこにいた。

「F」

 後ろから呼びかけると、Fがほんの少し身じろいで一瞥をくれた。ほんとうに、真っ直
ぐ人の顔を見ないやつだ。それもずっと変わらなかった。Nは僅かに苦笑した。
 三ヶ月やそこらじゃあ、本当に、何も変わりやしない。
 ただDだけがここにいないのだった。

 その日は久しぶりに二人で並んで酒を飲んだ。一日遅れの月命日の弔いのつもりか、そ
うではないのか、お互いに何も口にしなかった。Nは常にないハイペースで強い酒を呷り、
Fが嫌そうに口の端をゆがめた。
「…おい、飲めねえような酒飲むなよ」
「うるせぇよ。こんくらいいける、っつうの。お前こそもっと飲めんじゃネーノ」
「弱ぇやつの飲み方なんだよ、そういうの」
「は。ほっとけ」
 ただぽつぽつと、当たり障りない軽口ばかりが沈黙を埋めた。アルコールはNの中をぐ
るぐると駆け巡って、指先や耳が熱っぽく潤む。それでも芯は奇妙に覚めていた。腹の中
のあの渦の冷たさがいつも意識をひきとめて、そういう自分にNは辟易する。誤魔化すよう
に、卓の上に上半身を預けて目を閉じた。
537still/life(中編) 2/5:2008/04/19(土) 22:48:01 ID:kepaGmRq0
 あの冬の日以来、Nは、誰に何を聞かれてもDについて話さなかった。
 牧師にも警察にも世話になったばあさんにも、Fにであってもだ。
 いつもは回りすぎるくらい回る口が、その一点に関しては貝になった。

 さまざまな聞き方で、さまざまなことを聞かれた。
 Dがどんな様子だったのか、何を言っていたか、どう思ったかどう思っているか。
 「何意地になってんだ」
 そう忌々しげに吐き捨てたのはFだったろうか。それでもNは黙った。

 沈黙を守らせたのは、この上なく単純な理由だ。
 だって言葉を知らなかった。

 怖い、悲しい、悔しい。
 一体全体、どの言葉をつかえば伝えることが出来るのか、Nには見当も付かないのだ。
 指先から冷えてゆくようなあの喪失を、ぐるぐると今も腹で巻くつめたい渦を、世界にぽっかりと開いた穴を。
 さみしい、つらい、恋しい。 
 手持ちの言葉は、どれひとつとして事態に追いついてこなかった。
 だから黙った。それだけだ。
 Dの死はかたちにならないまま、渦となって繰り返し繰り返しNの中で反響していた。
538still/life(中編) 3/5:2008/04/19(土) 22:48:49 ID:kepaGmRq0
「匂いをさ、」
 ポツリ、と呟いた言葉は、うまくFに届かなかったようだ。何だって、とうるさそうにF
がこちらを見る。頬をべたつく卓に押し付けて、NもFを見上げる。
「匂いを思い出せネーノ、あのときの」
 あのときの。Fが眉をしかめるのが見えた。それでも聞こえない振りを決め込むつもり
なのか、グラスを傾けて黙ったままだ。
 もとから言葉の少ない奴だ。けれど、今は前よりもずっと、何を考えているのかがわか
らなかった。この渦が、こいつにもあるのだろうか。抱えてこうして涼しい顔でいるのだ
ろうか。
「あいつさあ、俺の目の前でナイフぶっ刺しやがったんだぜ、絶対、あったはずなのに」
「やめろ」
「何で。お前教えろって言ってたじゃN、あの時あいつが何を」
「もういいっつってんだろ!」
 自分の声が、なんだかひどく平坦なのが分かった。Fの顰めた眉も、苛立つ声音も、Nに
何も伝えてこない。まるでぷっつりと、目の前のこの男の心が分からなかった。なんだろ
う、以前はこんな風じゃなかったのに。
「…F、お前さあ」
 Fがひどく痛そうな顔で、それでも何だよ、と返事を返す。
「お前、あのとき泣かなかったよな」
 Fのグラスの中身が、がちゃりと不自然にゆれるのが分かった。その黒い目をまばたき
もしない。
 …ああ。
 その深い狼狽で、ようやくNは満足した。
539still/life(中編) 4/5:2008/04/19(土) 22:50:32 ID:kepaGmRq0
 したたか酔っ払って重心の定まらないNを半ば引きずるようにして、Fが店を出るころに
はもう夜中の2時を回っていた。
 Fは結局あの後石のように黙り込んで酒を舐めるばかりで、それでもNを置いてはいかな
かった。もとからこんな風に義理堅い男だっただろうか。思い出せなかった。春の夜更け
はまだひやりと冷たく、歩くたびに頬に触れる外気が肌の表面ばかりを撫で回していく。
 向かう道はFの部屋へと向かうものらしかった。うまく歩けないNの体重を引き受けるよ
うにして、Fはだらだらと歩く。時々Fの踵とNのつま先がぶつかった。
「お前、どうしたいんだよ」
 不意にFがぼそりと呟いた。何が、と言おうとして、うまく声が出ずに、あぁ、とうめ
くような声で返した。
「何がしたくて、そんなふうなんだ」
 Fは真っ直ぐ前を向いている。相変わらずNの顔を見なかった。これじゃあ誰に言ってい
るのかわからない、と思う。自分に向かってしゃべっているのか、俺にしゃべっているの
か、それとも。
 片手にNを抱えているせいで、Fは煙草を取り出せなかった。口を開いては閉じて、迷う
ように僅かに歯の裏を舌で舐める。口に出すべきじゃあないのかもしれない、と思う。そ
れでも、どうしても、ずっと頭から消えなかった疑問があった。なあ、N、お前はさあ。
「あいつと一緒に、死にたかったっつーのか」
 じゃり、と石を軋ませる音がして、Nの体重がずるりとFから消えた。まさか倒れたか、
とFは慌てて振り返る。
 Nは、一人で道端に立ち尽くしていた。体重を支えきれなくて、よろと道端の電柱に背
を預ける。そうして、僅かに笑んだ。
「……そういう手も、あったよなあ」
 Fは、思わずその顔を殴り飛ばした。
540still/life(中編) 5/5:2008/04/19(土) 22:52:55 ID:kepaGmRq0


 あの恐ろしく寒い冬の日、あいつは自分で自分を殺した。
 悪知恵がきいて腕っ節も強い、最高にキレた無敵のカタワ。
 多分、あいつにとっては男も女もみんな敵だった。でも、なんでだろう。
 世界を丸ごと向こうに回して平然と笑うあいつの、隣にいたつもりだったのだ。自分たちだけは、――自分だけは。

 なあ、F、お前は知ってるのかなあ。
 おれたちも結局おんなじに、あいつの敵でしかなかったよ。





[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

ちょっと801板作品としてアレなので、後編なるべく早いうちにお邪魔します
541風と木の名無しさん:2008/04/20(日) 00:29:35 ID:749P/ddBO
>>540
GJ
続き楽しみにしてます。
542風と木の名無しさん:2008/04/20(日) 01:42:53 ID:L/JxlKTS0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | すばせかヨシュネクです 
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  クリア後妄想が止まらなかったので、プレイ予定の方は閲覧注意
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ gkbr
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


543すばせか ヨシュネク1/13:2008/04/20(日) 01:47:35 ID:L/JxlKTS0

「落し物を届けにきたよ」

何しにきた、とつっけんどんに発した第一声に返ってきたのはそんな台詞だった。
相変わらずにやにやとイヤミな笑顔でそう言う奴の表情は、嫌になるくらい見慣れたもので、
同時に痛いほどに探し求めたものだ。
あのときから。
そいつは風に揺れるカーテンが視界にちらつく俺の部屋の窓枠に、
月をバックに楽しそうに腰掛けている。
寝る前の戸締りはいつもちゃんとしてるんだけどな。
こいつに常識などは通用しない、ということは、いつの間にか開錠された窓の鍵が物語っていた。
寝ようとしてベッドに腰掛けた体勢で止まった俺を、こいつは楽しそうに眺める。
俺は、視線を逸らして窓枠を見つめた。

今更。
本当に今更何をしにきたんだ、と意思表示するように顔をしかめてやる。

ところがこれもいつものことで、俺が嫌そうにするほど、
こいつは楽しそうに笑顔を輝かせるのだ。嫌なやつだ、本当に。
前代未聞の3回連続で行われた死神のゲームから、もうそれなりの時間が経っている。
それはつまりこいつがコンポーザーという正体を明かし、俺の前から去ってから、ということだ。
それなりというのは、学ランだった俺の制服が、ブレザーに変わる程度に。
俺はこいつにゲームをしかけられ、否応なくグリップを握らされ、
そして銃口を向けることすら躊躇った俺に引き金が引けるはずもなく
負けた。
負けたはずなのに、渋谷を崩壊させたがっていたこいつの意思に反して
渋谷は今だ健在のままだ。
単に気が変わっただけなのか、それとも渋谷を崩壊させようとしたことすら
こいつの気まぐれだったのか、俺には分かるはずもない。
分からないまま、ただ渋谷を歩き、家に帰り、日常を過ごした。
いつだって俺にはこいつが何を考えてるかなんて分からなくて、
振り回されておしまいなのだ。
544すばせか ヨシュネク2/13:2008/04/20(日) 01:49:44 ID:L/JxlKTS0
だからUGからRGに帰ってきたあとも、姿を見せないこいつを探して、求めて、
渋谷を彷徨った。
戻ってきた日常に追われながら、シキたち新しい友人に恵まれながら、
いつだってどこかにこいつを探している俺がいた。
あの時、何のためらいもなく俺に銃口を向け、引き金を引いたこいつの姿を
俺は絶対に忘れない。笑っていた、こいつの顔を忘れない。
忘れようとしたって、その瞬間は未だに夢に見るほどで、忘れさせてなどくれない。
悪夢といって差し支えないものである。
いつでもこいつを探して、ときに安眠すら妨げられて、うなされて、
俺はもうほとほと疲れてしまっていたのだ。
こいつが何を思っていたかなんてどれだけ考えても分からなくて
今更こうして俺の前に現れた目的なんて知る由もない。
引き金を引く瞬間のこいつの笑顔の理由すら俺に計れるキャパシティを超えていて、
だから、今のこいつの笑顔の意味だって分からない。
分からないから、ただ窓枠を睨みつけて言葉を待つしかなかった。
「ネク君の新しい門出だったから喜ばしいことだけど、不法投棄はよくないな」
聞き捨てならない言葉に思わず顔を向ける。
ニコニコなどと可愛らしいものではなく、やはりにやにやと嫌な笑いを浮かべたまま
発せられた言葉は咄嗟には把握しがたいものだった。
どうしてこいつはいつもこう回りくどい言い方をするんだ。直球じゃだめなのか。
そういえば落し物とか言ってたな。最近落としたものなどあっただろうか。
もともと自分の私物にさほどこだわるタチではないため、何か落としていても気づかないかもしれない。
が、よく見るとこいつの首筋に似つかわしくない
見慣れたものがまとわり付いているのに気がついた。
ヘッドフォンだ。俺の。
夜特有の暗さやら、逆光やら、突然現れたこいつに驚かされたなんてもんじゃないやら
こいつの嫌味な笑いに気を取られたやらで目に付かなかったが
たしかにそれは以前まで俺の身体の一部とも言えるほどに馴染んでいたヘッドフォンである。
少し前に、UGからRGに戻ってきたあのときに
今まで他人を拒んできた自分への決別の意を込めて外した。
それがなぜか、こいつの首元に納まっている。
545すばせか ヨシュネク3/13:2008/04/20(日) 01:51:14 ID:L/JxlKTS0
「落し物って、もしかしてそれか?」
いつ縮められるとも知れない、やつがぶらぶらと足を揺らしている窓枠との距離を測りつつ
首元を指差してやると、よくできましたと言わんばかりの満足そうな笑みで返された。
やめろ、お前のその笑いはむかつく。
「ネク君の決意の表れはもちろん尊重したいところだけど
僕、煙草のポイ捨てとか許せないたちなんだ。特に、僕の渋谷ではね」
俺の身体の一部は捨てられた煙草と同レベルか。
「でも今更ネク君には不要なものだし、かといってそのままにもできないから
僕が貰うことにしたんだ。今日はその報告ってとこかな。
あと、充電器がないからそれも貰いにね」
なんともばかばかしくて、呆れて、思わず溜息が出てしまった。
そんなことのためにこいつは俺の家まで来たのか?
今まで散々人に探させて、影すら掴ませなかったくせに。
あまりに脱力して頭を抱え込みたい気持ちをこらえつつ、こめかみを押さえた。
ああ、そう、そうだな。不法投棄は悪いことだよ。全くもって一分の反論の隙すらないよ。
もちろん俺だって、道端にヘッドフォンを置き去りにするなんてこと
煙草のポイ捨てより非常識だなんてことは把握している。
けれど、あれには俺なりの意図があったのだ。
だってあれは。
「……おまえが」
「うん?」
首を傾げるこいつを逃げられないようにまっすぐ見据えて、言ってやった。
「あれは、お前が拾って俺に届けに来ないかと思って、あそこに置いてやったんだ」
一瞬スミレ色の瞳が大きく見開かれた。お、あんまり見ない表情だな。
「……まさか本当に来るとは思わなかったけど」
正直な話、俺だって驚いているのだ。まさか俺の目論見どおりにこいつが動くとは。
ただ、ほんの少しだけ。たった一握りの希望を込めてやっただけだった。
いつも俺にはひねくれて先手を打って、しっぽすらつかませなかったこいつが
なんでこんなときだけ俺の思ったとおりになるんだ。
まあ、時間の経過と共にやっぱりだめだったなと諦めていたところなのだけれど。
来るならもっと早く来いよ。ばかやろう。
546すばせか ヨシュネク4/13:2008/04/20(日) 01:53:34 ID:L/JxlKTS0
「……く、」
 くくく、と珍しくこいつが喉で笑ったのが分かった。
 いつだってフフンと嫌味に鼻で笑うのが常なのに、これは本当に珍しいかもしれない。
 なんだ、マジ笑いか?
「く、はは……っこれは、とんだシンデレラだね」
 笑いを噛み殺しながら言われた言葉に、思わず眩暈がする。
 シンデレラだって?俺のことか?
 相変わらずわけのわからない気障な言い回しにこめかみを押さえるゆびに力を込めつつ
心の奥底でどこか安心した。
 変わってない。俺の知ってるヨシュアと、何も変わってない。
 そんな些細なことでこいつを許しそうになる自分を、必死に戒める。
 許してない。俺は、まだこいつを許してない。

「じゃあ、そんな計算高いシンデレラにぴったりかどうか
 ガラスの靴で確かめてみようか?」

 窓枠から、律儀に靴を脱いだこいつが室内に下り立つ。
 向けられた視線にあのときの銃声がフラッシュバックして、身構える。
 縮まる距離に、後ずさろうとして座った体勢が少し崩れただけだった。足が上手く動かない。
 気持ちばかり、後ろに手をつく。
 背筋が震えた。
 まだ、距離がなくなることに心の準備ができていない。
 今まで散々手の届かないところにいたのに、あっさりこんなに近くに来るなんて
ずるいじゃないか。
 ぐるぐると葛藤するこっちの気持ちなんて知ったことかと言わんばかりにさらりと無視して
伸ばされた手が頬に触れた。
 ちらりと目を向けると、膝が触れそうなくらい近くにたたずんでいる。
 ゆっくりと耳にかかる髪を掻き上げられた。
 思わず溜息が出そうな感触に、ぎゅっと目を瞑る。
 そのまま離れたと思ったら、すぐに何かが頭に乗せられて、耳を塞がれた。
547すばせか ヨシュネク4/13:2008/04/20(日) 01:55:26 ID:L/JxlKTS0
 耳を覆うクッションと、少し頭が圧迫される懐かしい感触。
 ヘッドフォンに押された髪を後ろに梳くのは、こいつのゆびだ。
 やわらかく。壊れ物を扱うように。
 こんなに優しい感触を、俺は知らない。
 無意識にふるふると頭を揺らすと、そのままヘッドフォンの上から耳を押さえられる。
 時々、乱れたらしい髪を撫でられる。
 俺に引き金を引いたその手で、こいつはこんなに優しく俺に触れるのか。
「……たかった」
 ……?
 ヘッドフォンに、こいつのゆびに阻まれて、聞こえない。
 何か、したかった?
 くちびるを読む術なんて知るわけがないから、聞き返そうとすれば
こいつ自身の言葉で遮られた。
「やっぱり、これはネク君によく似合うね」
 今度はくぐもった声が直接響くように聞こえる。
 近くないか?これ?
 恐る恐る目を開けると、予想以上の近さにスミレ色があった。
 跳ね上がる心臓を抑えるために、何か言わなくてはと思った。
 こんなことで動揺してるなんて悟られたくない。
「お、お前は、全然似合ってなかったな」
 失敗した。乾いた喉につっかかってどもった上に、声が震えてしまった。
 くすくすとわざとらしく笑われる。ああ、くそ、ばればれだ。
 顔を逸らそうとしても、ヘッドフォンを抑えられているということは
顔を両手に挟まれているわけで。
 尚且つこいつはわざとらしく、覗き込むように屈んで目線を合わせやがる。
 あとはもう、必死でこいつの愉快そうなスミレ色以外に目を向けるしかできなかった。
「うん、残念ながらね。でも返されても困るだろうから、これは僕が貰うよ。
 音楽は聞けなかったけど、会えない間、これ見てずっとネク君のこと考えてた」
 何を言ってるんだこいつは。
548すばせか ヨシュネク6/13:2008/04/20(日) 01:58:02 ID:L/JxlKTS0
 全然こいつらしくない甘ったるい言葉ばかり並べられて、
 逆にそれがものすごく癪に触った。
「っ……だったら……!」
 感情が決壊するのがわかる。抑えられない。
「だったら、なんで今まで……!顔も見せなかったくせに、なんで今更!」
 こんな風に声を荒げたのはいつぶりだろう。
 あの、最後のとき以来だろうか。
 いつだって、こいつは俺にとっての非日常を連れてくる。
「うん、それは僕も悪かったと思ってるよ。あの後色々と忙しくてね。
 僕、一応コンポーザーなんかやってるからさ」
 うさんくさい。
 こいつの言ってることなんて、嘘か本当かわからない。
 俺に都合のいい言葉なら、尚更。
「俺がっ、どんなきもちでいたかなんて分かってるだろっ」
 でも、こいつは俺のパートナーだから。
 こいつを信頼してるし、言葉も全部鵜呑みにして信用してしまいたい。
 けど。
 こいつはパートナーだけど、どうしたってあのときの記憶がちらつくから。
 また裏切られるんじゃないかと疑う自分がいて、こいつはこいつで
全然信用させようとしてくれない。
「もっ、離せよ……!」
 熱いものが込み上げてきたのが分かって、悟られたくなくて、乱暴に手を振り払った。
 拍子に外れたヘッドフォンがシーツを転がる。
 ぐるぐると考えたってやっぱりこいつを疑ってしまうばかりで、
どうしたらいいか分からない。
「悪かったよ」
 うるさい。そんな言葉が聞きたいんじゃない。
 何を言えばいいかなんて自分でも分からなくて、
でもとにかく何か言ってやりたくて口を開きかける。
 が、こいつの手が動く方が早かった。
549すばせか ヨシュネク7/13:2008/04/20(日) 02:00:26 ID:L/JxlKTS0
 再び伸びてきたその手が、今度はヘッドフォン越しではなく直に耳に触れて
頬を包まれる。
 ひんやりした感触に思わず首を竦めた。
 わけが分からなくて、振り払ってやろうと俺が動く前に、目の前にこいつの顔があった。
 近い。さっきよりもっと近くないか?
 間近にみるこいつの顔は恐ろしく綺麗で、長い睫毛が髪に透けるのに見惚れてしまった。
 閉じられたまぶたに、あのスミレ色が見たいと思う。
 それもすぐに見えなくなって、視界がぼやけるほどに近い距離と
ふんわり、くちびるに温かい感触。
 呆気にとられていた俺は、何をされたのか一瞬分からなかった。
「やだなあ、ネク君。目ぐらい閉じてよ。キスするときのマナーでしょ?」
 何をされたのかも、何を言われたのかも分からない。
 ただ呆然と、目の前にあるスミレ色を見つめる。
 キス?誰が?誰に?
 こいつが、俺に?

 ぼんっ、と幻聴すら聞こえそうなほど、顔が熱くなった。

 俺、今爆発したんじゃないか?
 なんて馬鹿なことしか考えられない。
 落ち着け、落ち着け。
「な、なん……今……!」
「今日は落とし物報告もそうだけど、ネク君にちゃんと伝えたいことがあって来たんだよ」
 わたわたとみっともなく取り乱す俺に構わず、ヨシュアは言葉を続けようとする。
 待てよ、こんなことされて落ち着いていられるやつがあるか。
 頬を捕まえる手はそのままで、顔の距離だって近いままだ。
 ええい、うるさいぞ俺の心臓。
「んだよ、なんで、こんなっ……つか、お前、今何したか」
「うるさいなあ」
 奇しくもついさっき、俺が俺自身に思ったことと同じことを言われた。
550すばせか ヨシュネク8/13:2008/04/20(日) 02:02:22 ID:L/JxlKTS0
 でもさすがに心臓の音まで聞こえるはずはないから
 自分でも何が言いたいのか分からないまま発せられている、俺の言葉に対してだろう。
 こいつの突拍子もない行動に慌てる暇も与えられないとは、こいつ相変わらず
ゴーイングマイウェイだな。
 己の立場に自ら同情しそうになったが、そんな間もなくこいつの顔が近くなって、
あっという間に視界がぼやけた。
 くちびるにさっきと同じ、温かい感触。
 いや、同じじゃない。ぬるりと、湿った感触に口をこじ開けられる。
「ん、や……!」
 思わず逃げるように引けた腰を掴まれた。抱き寄せるように押さえ込まれる。
 いつの間にか、ベッドに片膝を乗せたこいつに抱えられる形になっている。
 顔だけじゃなくて色んなものが近い。
 何だこれ、なんなんだ。
 考えのまとまる暇があるはずもなく、入り込んだ、たぶんこいつの舌が
こちらにはお構い無しに口内を蹂躙する。
「ん、んんぅ……!」
 体勢的に上を向かざるを得なくて、苦しい。
 呼吸もままならない動きに混乱する。こんなときの息の仕方なんて、知らない。
「ふ、はぅ……あっ」
 舌が歯列をなぞる度に、逃げる俺の舌を追いかけて絡められる度に、
ぞくぞくと背中をかけ上がってくる感覚にぎゅっと目を閉じた。
 ふわふわと浮くような気分に、だんだん頭がぼうっとしてくる。
 しつこく追いかけられて、もう何も分からなくなりそうな気がした一瞬前に
くちびるが解放された。
「は、はぁっ……」
 咄嗟に酸素を求めて、貪るように呼吸をする。
「な、ぁ……なん……っ」
「悪いね。何だかネク君が素直に僕の話を聞いてくれなさそうだったから、
 喋れないようにするのが早いかと思って」
 さらっととんでもないことを言うやつだ。
551すばせか ヨシュネク9/13:2008/04/20(日) 02:04:04 ID:L/JxlKTS0
 悔しいことにこいつの言う通り、呼吸に忙しいやら舌も動かせないやらで
喋る気にもなれなかったので、大人しくしてやることにする。
「あのゲームが終わって、ネク君をRGに戻したらもう会わないつもりだったんだよ。
 ここに低位同調するのはなかなか骨だし、会う理由もなかったし、
 何よりネク君はもう僕の顔も見たくないだろうと思ってたからね」
 勝手なことを言っている。勝手な奴だ。こいつは、本当に勝手な奴だ。
 勝手に人の気持ちを決めつけて、なんなんだ。俺が今までどれだけ探したと思ってるんだ。
「でも、RGに戻った君の様子がおかしくて、しばらく見てたんだ。
 日常に戻りながら、ふとしたときにいつも何かを探してたね。
 最初は何を探してるのかと思ったよ」
 何をだと?わざとらしい。
 お前に分からないわけないだろ。
 俺をさんざん利用した、お前が。
「……僕を、探してたんだね。
 それに気付いたら、なんだか些細な雑事なんて放り出して、君に会いたくなった」
 なら、もっと早く来いよ。
 ぼーとする頭で苛立ちながら、顔をしかめた。
「そんなに嫌そうな顔しないでほしいな」
 苦笑したようなこいつの吐息が前髪を揺らす。
 あんなに遠かったこいつが、今はこいつの気分一つでこんなにも近い。
 悔しい気持ちと、やるせない気持ちとが綯い交ぜになって泣きそうになる。
 何より俺を惨めにさせるのは、この距離を嬉しいと思ってしまいそうになる俺自身だ。
「なんでゲームに勝ったのに、渋谷を崩壊させなかったのかって、思わなかったかい?」
 思った。
 スクランブル交差点で目覚めたあのとき、人々の視線が素通りすることなく
俺に向けられていたとき、そばにもうお前がいないのが分かったとき、何より強く思った。
 俺は、ゲームに負けたのに。
 お前を撃つことなんてできなかったのに。
552すばせか ヨシュネク10/13:2008/04/20(日) 02:05:47 ID:L/JxlKTS0

「ほんとはね、最後のあのゲームを持ちかけたときは
 もう渋谷を崩壊させる気なんてなかったんだ」
 は?
 何言ってるんだ、こいつ。
 こいつの言葉はもう俺の許容できるキャパシティを完全に越えていて、
ただ呆気にとられるしかなかった。
 何だよ、それ。
「ゲームの中でどんどん変化していく君を見てたら、いつのまにか気が変わったんだ。
 最初は他人を拒んで世界を閉ざそうとしていた君が、少しずつ自分に向き直って
 世界を広げようとしてるのを見てね」
 なんとなく手持ち無沙汰だったのか、ヨシュアの手が俺の髪を弄ぶ。くすぐったい、
「君を代理人に選んだとき、とても強いイマジネーションを持っているのに
 ソウルはすごく不安定で、まあそれも面白いかと思って半分賭けみたいな気持ちだった。
 でも、彼女たちと出会って徐々に変化する君を見たら、渋谷もまだ変われる気がしてさ」
 梳くように地肌をすべるゆびが気持ちいい。
 くそ、だまされないぞこんなことで。
「渋谷は上の連中も注目するくらいにめまぐるしく変化しているように見えて、
 本当は徐々に混乱を生み出しながら、停滞し始めてた。
 もう『未来』への変化の希望も消えかけていたから、メグミ君とゲームすることにしたんだ。
 でも、ゲームの間に渋谷が変われる可能性に気づいた。
 君が、変わったから。
 メグミ君じゃなくて、君が教えてくれた」
 ふと、俺に向けられているスミレ色が、これまでになく柔らかく、優しい気がした。
 なんだ、これ。こんな色、俺は知らない。
「渋谷自体、あのゲームで色んなものが変わったと思うよ。
 何より、君みたいな人がいるなら、まだ渋谷を残しておいてもいいかなと思って」
 崩壊させるのはやめたのか。
 じゃあ、なんで。
553すばせか ヨシュネク11/13:2008/04/20(日) 02:08:44 ID:L/JxlKTS0
「最後のあのゲームは、なんだったんだよっ……」
 ようやく動くようになった舌を駆使して、声を絞り出す。
 すると、見たこともなかったようなその瞳の色は隠して、あっさりと言い放った。
「だってあのゲームで僕が負けたら、ネク君がコンポーザーになっちゃうでしょ?
 それに、ああでもしないと、騒がしい彼が
 コンポーザーになろうとしてあがきそうで面倒だったし。
 混乱してる渋谷にも、ゲームにも決着着けないといけなかったしね。
 残念ながら、まだこの座を譲る気はないよ」
 憤る暇もなかった。
 とどめに。
「それに、しばらくネク君にはUGじゃなくてRGでもがいてもらおうと思ってさ」
 脱力。
 なんてまさに、今の俺の状態のことかと身をもって言葉の意味を思い知った。
 辞書を引くより明確だな。
 さっきのもっともらしい理由はどこにやった。
 まさか、さっきまでただ煙に巻くためにそれらしいことを言っただけで、
本当は今の下らない理由で崩壊を取り止めたんじゃないだろうな。
 有り得る。こいつならやりかねない。
 もはや脱力して、呆れて、文句の一つも出てこなかった。
 もう許すも許さないもどうでもいい気がする。よくないけど、断じてよくないけど。
 完全に俺の負けだ。戦意喪失だ。棄権する。
「ネク君があの時引き金は引けないだろうなって、なんとなく分かってたんだ。
 でも、そこまで君が僕に思い入れてるかどうかまでは確信が持てなくて、
 それも半分賭けのつもりだった。
 本当は、あのままネク君が引き金を引いてもそれはそれでいいかなって思ってたんだよ」
 俺の髪を弄っていた手が止まる。
 顔を上げると、思いの外まっすぐな視線とぶつかった。
「でも僕が望んだとおり、君は引き金を引かなかったね。
 それが、無性に嬉しくて。
 君を撃つ瞬間に笑うだなんて、不謹慎だって怒られるだろうなって思ったんだけど」
554すばせか ヨシュネク12/13:2008/04/20(日) 02:11:31 ID:L/JxlKTS0
 不謹慎?そんなものじゃなかった。
 夢に見てはうなされるくらい、いくら記憶に沈めても浮き上がってくるくらい、悪夢だった。
 けど。
「もう、いい……お前のしたことは本当に腹が立ったし、今でもむかつくけど」
 せめてもに、目の前のすました顔を睨み付けてやった。

「今ここに、渋谷も、俺も……お前もいるのは確かだから、いい」

 もう、なんだってよかった。
 ここにお前がいるから。
「……あの時、ネク君が勝ったらネク君の好きな渋谷、僕が勝ったら僕の好きな渋谷だって言ったよね?
 僕の好きな渋谷は、君のいる渋谷だよ」
 嘘吐き。お前のことを信じたくって、その瞳に隠れた嘘にまで誤魔化されない。
 そんなやわな関係じゃない
 こんなのこいつの気まぐれだ。俺を喜ばせるようで嫌がることが分かりきっている言葉で、
俺をからかおうとしてるんだ。
 でも、それなら、もう。
 その通りに、乗ってやる。
「ずっと、お前を探してた」
 面と向かってはさすがに言えなくて、すこしだけ俯いた。
「けどいくら探してもお前はいなくて、辛いなら忘れてしまえって何度も思った。
 なのに、気がつくとまたお前を探してて。お前のいない渋谷は、なんだか色あせて見えた。
 だから、」
 恥ずかしくて、早口で続けようとした言葉はこいつに持ち上げられた視界に阻まれた。
 楽しそうな、スミレ色。
 あのときの渋谷の空の色と同じ。
「やだなあネク君。変な顔。そんな顔されると、困るよ」
555すばせか ヨシュネク13/13:2008/04/20(日) 02:13:16 ID:L/JxlKTS0
 押されて、軽い衝撃と、背中に柔らかい感触。
 気がつけば、こいつの頭の向こうに見慣れた天井があった。
「っよ、ヨシュ…」
「本当は」
 抵抗しようとすれば手首を掴まれて、こつん、と額をぶつけられた。
「最後のゲームで、君の中に憎しみの一つでも残ればいいと思ってた。
 もう会わないつもりだったから、せめて。
 なのに、RGに戻った君がもっと複雑な顔してるから、会いたくなったんだ」
 そんな顔をされたら何も言えない。俺がこいつの顔に弱いことなんて、もうとっくの昔にわかってた。
 どんな顔かなんて、俺からはとても説明できない。
「実はね。落し物もつまらない与太話も口実で、今日は君をもらいに来たんだよ。
 代理人としてじゃなくて、君自身を」
 とても説明できないとおもった表情をあっさり引っ込めて、飄々ととんでもないことを言われた。
 その言葉の意味くらい、今の状況を見れば推して知るべし、だ。
「ま、待っ……!」
「待たないよ。ネク君が嫌がらないことくらい分かるからね」
 悔しいけれどその通りだ。誰より、こいつに会いたかったのは俺だから。
 けど、今まで振り回された分、せめてもの抵抗に。
「俺は、まだ許してない…!」
 許さないと思った。こいつを。
 そう思ったあのときの自分を、裏切らないといけない。
 たとえ、おれ自身が望んでても。
 そこまで踏み込むのにまだ、足りてない。言葉が、足りない。
 そのために、聞いておかないといけない。
 奴が口を開くまでやけにゆっくりと、スローモーションのように見えた。
「好きだよ。会いたかった」
 その言葉だけで。
 もう、全部許してしまえ。
556風と木の名無しさん:2008/04/20(日) 02:16:22 ID:L/JxlKTS0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |               ED見たあとのツッコミどころを
 | |                | |           ∧_∧ 補完しようとしてみた。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 今は反省してる。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

途中番号間違えてすまんかったorz
二個目の4/13は5/13です
557風と木の名無しさん:2008/04/20(日) 04:15:39 ID:dcyGOevg0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  某Kingのレストランから、ギャルンソ×オーナー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  最終回後でラブラブ。エロ有り。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 殆どオリジナルだぞ!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
5581:守本レ才ヴォイスでどうぞ。:2008/04/20(日) 04:16:42 ID:dcyGOevg0
近頃ではグルメ雑誌等で都内のフレンチレストランを紹介する特集を組めば
隠れた名店として名前が上がりだした『ベル工切符』。
個性豊かな面々が働くこのレストランのパトロンを勤めるのは
『腹田六郎』という20台半ばの青年だ。
このパトロンの人柄を、店の従業員に尋ねれば
『極度のお人よし』
『鈍感(特に色恋沙汰)』
この二つしか挙がらないような、見た目は平凡な男だった。

しかし、この質問に対して一人だけもう一つ別の答えを返した従業員がいた。
それはこの店のギャルソンを勤める『仙石剛』という
先代オーナーの頃からこの店に携わっている男であった。
彼は、フレンチレストランを経営していく上で何も知識を持っていない
六郎を時に優しく、時に厳しく指導したいわば先生であった。

そんな彼だけが答えた、パトロンの性格。
それは・・・・・・
5592:2008/04/20(日) 04:18:36 ID:dcyGOevg0
「すいません仙石さん、こんな時間にまでつき合わせちゃって」
「とんでもない、オーナー。こうしてフレンチレストランのオーナーとして必要な
知識を身につけたいという事であれば、私も喜んでお付き合いさせていただきますよ」
「ありがとうございます」

仙石の言葉に六郎ははにかみながら礼を言った。
二人は店の奥にある事務室の中で、勉強会を開いていたのだ。
それが今終わり、身に着けていた制服から私服へ着替えようとロッカーの前で
二人は並んでいた。

サラリーマンから、フレンチレストランのオーナーとなり
山あり谷ありでどうにかそこそこ名の知れたレストランにまで
押し上げる事はできたものの、まだまだ六郎の知識は
仙石に比べれば乏しいモノだった。
接客をする事は殆ど無いだけで、極まれに店の最高責任者として
客前に立つこともあるのだ。
そうなった時、せめて恥をかかない程度の知識を身につけておきたいと思うのは
オーナーとしての自覚が六郎に芽生えている証拠だろう。

オーナーの先生役を自他共に認める仙石が、協力を惜しむわけも無く
六郎の申し出に頬を綻ばせ「素晴らしい」の一つ返事で引き受けたのは言うまでも無い。

深夜、誰もいない店の中の更に奥。事務所は静まり返り、二人が着替える時に立てる
衣擦れの音が普段よりやけに大きく聞こえる。
六郎がクタクタになったYシャツを脱ぎハンガーにかけている時
ベストを脱いだだけの仙石の手が、六郎の素肌に伸びた。
5603:2008/04/20(日) 04:23:44 ID:dcyGOevg0
「うわぁっ!?」
「オーナー、少し汗ばんでいらっしゃるようですね」
「せ、仙石さん?」

笑いを含んだ仙石の声。
タンクトップをまだ身に着けているものの、殆ど無防備に近い状態になった
六郎の上半身を仙石はある明確な意思を持って指先でなぞって行く。

仙石と六郎がそういった関係になって暫く経っている。
身体を重ねた回数も仙石の年齢を考えれば決して少なくは無い。
こういった事にトコトン鈍い六郎でも、何度も繰り返されてきた『予兆』に気づき、
既に鼓動を早め、顔を赤らめていた。

「こんな、トコで?」
「こんなトコでも、決して初めてではないでしょう?」
「でもっ・・・ん」
「オーナーが真剣にお勉強されてる姿が可愛らしくて、我慢できなくなりました」
「っ!?」

あっという間に仙石に背後を取られた六郎は、耳元と項に吹きかけられる
暖かい吐息と甘い声に身体を振るわせた。
最後の砦だったタンクトップもたくし上げあれ、胸の突起を弄られると身体の力が抜けていく。
六郎が快楽に弱いという事を身をもって知っている仙石は
既に六郎が自分の手の中に落ちている事を悟った。

「ソファの上でよろしいですか?六郎さん」
「・・うん」

二人きりの、恋人同士の時間しか仙石は六郎の名を呼ばない。
仙石の言葉の意味に気づき、顔を真っ赤に染めた六郎は、
コクリと小さく頷いた。
5614:2008/04/20(日) 04:24:42 ID:dcyGOevg0
さっきまで二人で勉強会と称して向かい合っていた
デスクのサイドに鎮座する、年代モノのソファ。
そのソファの上にタンクトップとグレーの靴下だけという
なんとも言えない格好にされてしまった六郎がそのソファの上に乗り
更に仙石が覆いかぶされば、ソファが悲鳴を上げる。

「んっ、仙石さ、」
「六郎さん・・・六郎さん」

仙石から与えられる快楽に、六郎は身体を震わせ、目じりには生理的な涙浮かべる。
六郎の身体を貪る仙石も熱に浮かされたように、六郎を呼んだ。
仙石は六郎との年齢差を考え、前戯にかなりの時間をかけてくる。
まだ一度も仙石は一度も吐精していないが、
六郎は既に仙石の手によって3度も吐精させられていた。
先ほどから仙石に解されている秘部に早く仙石自身を突き入れてほしいと
六郎は身体を疼かせ、無意識に仙石の身体を抱き寄せる。

「仙石さん、も、我慢できませんよぉ・・・」
「ふふ、六郎さん・・・私もあなたの悩ましい姿を見ていたら、我慢の限界ですよ」

汗が滲む六郎のこめかみに仙石は唇を優しく落とす。
そんな気障な仕草も、六郎はうっとりと受け入れた。
こめかみへのキスが合図のように、仙石は前を寛げ硬くなった自身を六郎の身体に挿入していく。
5625:2008/04/20(日) 04:25:17 ID:dcyGOevg0
「あぁ・・・せ、んごくさん、はぁっ」
「六郎さん」

六郎の中に全てが納まると暫く二人は身体を動かさず、
一つになれた事への喜びを味わっていた。
そのまま仙石は、六郎の額、瞼、鼻先、頬、唇の順番に
自分の唇を落としていく。
唇にたどり着いた時は、そのままねっとりと舌を絡めた。

それから唇が離れると、仙石は身体を動かしだす。
最初はゆっくりと、それから段々と身体の動きが早くなっていく。
それに比例するように、六郎の口から漏れる嬌声の間隔も
短いものへとなっていった。

「ひっ、ぁ・・・あああっ、せんごくさん、せんごくさん!!!」
「っ・・・六郎さん、っふ・・・素敵だ」
「せんご、くさぁ、あっぁ」

二人から漏れる切羽詰ったようなため息と嬌声。
そしてソファがきしむ音。
繋がった場所から漏れる水音。

「も、僕・・・っ」
「私もですよ・・・っは・・・あぁ、六郎さん」

先に達したのは、仙石だった。
六郎の中に溜め込んでいた精を吐き出した。
熱い迸りを感じた六郎は、その感覚に身体を震わせながら
4度目の吐精を果たしたのだった。
5636:2008/04/20(日) 04:26:24 ID:dcyGOevg0
二人は繋がったまま呼吸を整える。
仙石は六郎の肩口に顔を埋めながら。
六郎は涙でぼやける視界に謎のシミを持つ天井をうつしながら。

「素晴らしかったですよ、六郎さん」
「ぼくも・・・気持ちよかったです、仙石さん」

素晴らしい、それは仙石から貰える最大級の賛辞。
自分との行為に仙石が心から満足してくれたのだと思うと
六郎の心はこの時最高に満たされるのだ。

「仙石さん、大好きです」

六郎の無邪気な笑顔と共にやってくるのは仙石にとって
コレ以上無いくらいの殺し文句。
仙石は困った表情を浮かべて、「あなたという人は・・・」と
幸せそうなため息をついた。

『極度のお人よし』
『鈍感(特に色恋沙汰)』

従業員に尋ねれば、この二つしか挙がらないオーナーの人柄。
けれど、仙石だけはもう一つ別の答えを持っていた。
5647:2008/04/20(日) 04:28:07 ID:dcyGOevg0

『誰よりも純粋に人を愛せる』

それは仙石だけが知っている、六郎の性格であり、
仙石が花開かせた六郎の魅力。
それに溺れたのも、また仙石自身。
しかし、それは決して悪くは無い。

年甲斐も無いと言われても、色恋沙汰に年齢は無いのだ。
鈍感な六郎はそういった概念にとらわれる事も少なく
ただ仙石という人間を愛しているのだ。
仙石もまた六郎を愛しているのだから、求め合う事は自然な事だ。

「私も、お慕い申しております。六郎さん」
仙石は六郎以外に見せた事が無い、蕩けた笑顔を浮かべる。

そして六郎の左手をとり薬指に、まるで騎士が主へするように、
恭しく唇を落したのだった。






そんな二人の間から生まれてくる甘い空気が店に蔓延し、
従業員達が「いい加減にしろ」とからかい半分、やっかみ半分の叫びを上げるのは、
また別のお話・・・。
565風と木の名無しさん:2008/04/20(日) 04:30:34 ID:dcyGOevg0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |           
 | | □ STOP.       | |               深夜のテンションで書き上げた。
 | |                | |           ∧_∧ 後悔はしていない。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) でも、最後のオチは反省している。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
566風と木の名無しさん:2008/04/20(日) 08:31:39 ID:u3TWVXgI0
    ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < 下町 >>249のボケ視点
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ボケ×ツッコミ寄り
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 普通に小説を書いてからボケの名前→『自分』
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!   突っ込みの名前→『相方』
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|   に変換したんで一部不自然です
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
567下町1/2:2008/04/20(日) 08:32:08 ID:u3TWVXgI0
相方のことは何でも知っているけれど、だけど時々もしかして何も分かっていないんじゃないかと思ってしまうことがある。相方は不思議だ。
ただ、ひとつだけ確かなことは、自分の事を世界で一番理解しているのは、相方を置いて存在しない。
だから吉本に行こうと言われたとき即諾した。
相方が面白いというからネタを書いて、相方が突っ込むからボケた。
ぜんぶ相方のために。自分はお笑いの道に生きると決めた。そして、その笑いはすべて相方が笑ってくれるため。だから、自分は相方のために生きている。相方のために存在する。
生まれ育ったこの街を捨てるのだって、相方が行こうと言うからだ。
相方のための自分だ。ならば、ひとつくらい、わがままを言ってもいいじゃないか。
「口で」
してくれるくらい、いいじゃないか。
唇をかんだまま、じっと黙っていれば、相方は体大概の事を聞いてくれる。それは自分が相方の所有物だから。飼い犬に飲み水を与えるように、きっと何でも聞いてくれる。
「アホ言いな」
「アホちゃうわ・・・してくれへんの?まっちゃんしそびれたんやで〜」
568下町2/2:2008/04/20(日) 08:32:36 ID:u3TWVXgI0
散歩、予防接種、ドッグフード・・・。一番欲しがっているものを、的確に察知し、満足するように与えるのが飼い主の役目。なら、自分が今必要なものを、相方には差し出す義務がある。
天才的なボケが浮かんだら、いち早く気付いて、適切なネタフリをするように。
「ぶっ・・・なんやねん、お前なんやねん」
相方は笑った。例えば舞台の上で笑うとき、それは脚の笑いを引き出すための突っ込みとしての笑いがほとんどだ。だけど、たまに本当に、どうしようもない笑いが出てしまうときがある。それは、噴出すような、つまり今のような笑いだ。
「お前の相方やろが」
「はっはっは・・・」
これは、仕事の笑い。
「お前が相方にしたんやろ」
「ははっ・・・」
天才的な仕切り男が、この場の空気を変えようと出した笑い。
そんなもの許さない。相方の作り出す空気を裏切り、新しい世界を作るのが自分の役割なのだから。そのためのお前だろう。そんなお前を裏切るためだけに、自分は存在してるのだろう。
笑い声がなくなった部屋、じっと相方を見詰める。
自分にしかありえない、奇妙な間が空いた。
次はなんと言おう。何を出しても相方は処理してくれるのだ。そのための自分なのだから。相方のための自分なのだから。
569風と木の名無しさん:2008/04/20(日) 08:33:02 ID:u3TWVXgI0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < 「長くコンビやってるとどっちがボケでツッコミかわからなくなる」
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < っていってたけど
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < こっちもどっちが受けでどっちが攻めか分かんなくなってます
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
570風と木の名無しさん:2008/04/20(日) 11:27:12 ID:F6EgPkf/0
>>565
うわ、このカプ読めるとは思わなかった
すごく懐かしい!そして萌えました、GJ!!
571風と木の名無しさん:2008/04/20(日) 12:39:39 ID:Fn3XWu8k0
>>565
姐さん素晴らしい!
ちょっとDVD借りてきます!
572ルーキーズ 新庄×御子柴:2008/04/20(日) 15:09:14 ID:kM8xLTVl0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ルキズで新庄×御子柴です。
昨日見てあまりのツボっぷりに萌え死んだので、とりあえずソッコーで書いた。反省はしない。
あと、ちょっと暴力描写蟻なので注意。
573ルーキーズ 新庄×御子柴 1/5:2008/04/20(日) 15:10:11 ID:kM8xLTVl0
日のあまり射さない野球部の部室は、気付けばいつの間にか薄暗くなっていた。
先生に頼まれて片付けの後始末をしていた御子柴は、額に浮かんだ汗の粒をタオルで拭って、ふぅと小さく息を吐く。
既に、雀卓やスロット、ゲームの筐体などが所狭しと並べられていたかつての面影はほとんどない。
溜まっていたグラビア雑誌や空き缶もまとめてゴミとして処分したため、以前の雑然とした雰囲気とはまるで別室のようだ。
その室内をぐるりと見渡して、御子柴は満足そうににこりと微笑んだ。

……これで、また野球ができる。
皆と、あのメンバーと一緒に、きっとまた皆で野球ができる!

勿論、それが簡単な道のりでないことなど分かりきっていた。
自分以外で部を手伝ってくれる気があるのは、今のところ関川一人だけだ。
二人だけじゃ、せいぜいキャッチボールくらいしかできやしない。

それでも御子柴は、前と比べて自分が一歩前進したと感じていたし、その歩みは絶対に止まらないだろうと確信していた。
「そのためにも、今は俺が頑張らないと」
唇に僅かな微笑を浮かべながらそう言った御子芝が、脇においてあった空き缶入りのビニール袋を肩に担ぐ。
肩口へずっしりとのしかかるその重みさえ、今の彼にはどこか心地よい感触に思えた。
そろそろ夕日も沈む頃だ。今日はこのくらいにして、残りの掃除はまた明日の放課後にでも続けることにしよう。
そう思いながら出口へ向かおうとした瞬間、ギィと軋んだ音を立てて部室のドアが薄く開いた。
「あ、先生。ちょうど、今帰ろうとしたところ、で、……」
そこまで声に出してから、漸く気付く。そこに立っていた男が誰であるかに。
自分でも気付かぬうちに掌から力が抜け、手にしていたゴミ袋がするりと指先をすり抜けた。
ガシャンと派手な金属音を立てて、中に詰め込まれていた空き缶が床へと散乱する。
まだ中身が残っていたらしい飲みかけのオレンジジュースが零れ、床一面をびっしょりと汚した。
それを見ながら、「ああ、もう一度雑巾で拭かないと」などとどうでもいいことを、御子柴はぼんやりと思考する。
そうでもしなければ、余計なことでも考えなければ、恐怖で身体が竦んでしまいそうだった。
574ルーキーズ 新庄×御子柴 2/5:2008/04/20(日) 15:11:33 ID:kM8xLTVl0

――――視線の先で、新庄慶が信じられないものでも見たかのような目で御子柴を眺めていた。
御子柴は、自分より頭一つ大きいその相手を臆すことなく見つめ返す。
「新庄、どうして」
「どうしてここに」と、そう続けようとした言葉が遮られる。
新庄は御子柴の問いなど端から答える気がないような顔のまま、一人、ぽつりと呟いた。
「……俺、言ったよな。仲間を裏切る奴は許さない、って」
その怒りに塗れた声に、御子柴の全身からすぅっと体温が失われていく。
先日屋上で殴られたときに感じた圧倒的な力の差を思い出し、指先が強張った。
「なのに何で、あいつの手伝いなんかしてんだよ」
「そ、れは……」
言わなきゃ。何か言わなきゃ。そう思っているのに、喉から言葉が出てこない。
必死で声を張り上げようとしても、漏れ出るのはひゅうひゅうという喘息の発作のような呼吸音だけだ。
そのもどかしさに、自分自身への情けなさに、自分で自分が嫌になる。
「俺より……、俺らよりあいつといるほうがそんなに楽しいか?」
「……ち、がう。違う! そんなんじゃないよ! そうじゃなくて、ただ俺は……」
どうにかしてそこまで言った御子柴は、しかし反論の言葉を思わず途中で途切れさせる。
眼前の新庄が自分に向けている視線のあまりの鋭さに、金縛りにでもあったように身体が硬直していた。
再び声の出なくなった喉に苛立ちながらぱくぱくと口を開閉させる御子柴を、新庄は冷たい瞳でじろりとねめつける。
「何だよ、黙ってちゃ分からないだろ」
新庄の大きな掌が御子柴の髪をぐいと掴み上げ、頭ごとぶらりと空中へ持ち上げた。
引っ張り上げられた髪の生え際がぎりぎりと痛んで、御子柴は耐え切れず小さく声を漏らす。
呻くようなその声音にも、しかし新庄は容赦しない。
むしろ、その叫声を更に大きく響かせんとばかりに強く、髪を握り締める指先へと力を込める。

「――――言えよ。俺らとあいつと、どっちを取るのか」

「しん、じょ……」
咳き込みながら漸くそれだけ口にした御子柴に、新庄は剣呑な目付きを崩さぬまま手を横へ薙いだ。
パン、と乾いた音が部室内に鳴り渡り、一瞬遅れて御子柴の頬にじんじんとした痺れがやってくる。
平手で打たれたのだとそう思った次の瞬間には、既にニ撃目が逆側の頬に放たれていた。
575ルーキーズ 新庄×御子柴 3/5:2008/04/20(日) 15:12:31 ID:kM8xLTVl0
三度、四度、五度。繰り返されるその激痛に、視界がぼやけ、曇っていく。
ぬるりとした感触に驚いて反射的に目をやれば、頬から一筋、真っ赤な血が流れ出ていた。
ぽたり、ぽたりと床に染みを作る血液の鮮やかさに、頭がくらくらするのを感じる。
それでもせめて意識だけは失わないようにと、御子柴は必死に奥歯を食い縛って衝撃に耐えた。
「……なあ、言えよ」
その言葉と共に、再三繰り出されていた頬への平手打ちがストップする。
やっと終わったかと安堵しかけた刹那、腹に一際強い打撃が加えられ、自然と悲鳴がこぼれ出た。
どうやら、振り被られた新庄の脚で胃の辺りを思い切り蹴られたらしい。
身体をくの字型に折った状態で悶絶しながら、涙でぐしょぐしょに濡れた瞳で相手を見上げる。
それでも視界の先の男は、暴行をやめるつもりなどさらさらない表情のまま、御子柴を凝視して言った。
「言えよ。あいつより俺らが大事だって、そう言えよ!!」
そう絶叫した新庄の声は、聞いているこちらの背筋が凍り付くほどに冷え切っていた。
その寒々しさにぞくりと全身を震わせた御子柴が、漸くゆるゆると唇を開く。
先刻の平手打ちで切れたのか、上唇からはじくじくと血が滲み、少し動かすだけで鋭い痛みが走った。
「お、れは……、みんなのこと好きだよ」
「なら」
御子柴の発した言葉に、つり上げられていた新庄の目元がふっと緩んだ。
その瞬間だけ、新庄がいつもの仲間思いで優しい彼に戻ったようだと、御子柴はそう思う。
けれど続けて口から出た台詞に、その顔付きはすぐさま険しいものへと引き戻された。
「でも、先生のことも信じてみたいんだ……。先生、俺に言ってくれた。
 一緒に野球しようって。笑って全員で卒業しようって。だからさ、俺、また皆で野きゅ……っ、あ……っぐ」
必死で語りかけた御子柴の言葉は、新庄の手によって強制的に終了を余儀なくされた。
御子柴の首には新庄の両手ががっしりと掛けられており、そのままぎりぎりと頸部を締め上げられていた。
肺にも脳にも酸素が届かない。苦しい、苦しい、苦しい。苦しくて苦しくて、もう何も考えられそうにない。
圧迫される気道に意識が朦朧とし、周囲の景色がゆらりと霞む。
今にも消え行きそうな視界の奥で、顔をぐしゃぐしゃにゆがめた新庄が御子柴へ叫んでいた。
576ルーキーズ 新庄×御子柴 4/5:2008/04/20(日) 15:14:01 ID:kM8xLTVl0
「あんな奴のどこがいいんだよ」
言いながら、首筋に込められる力が更に強くなる。
ぎちぎち、ぎちぎち。万力で締め付けられるような感覚に、御子柴の意識がついに遠のいていく。
「お前はずっと俺と一緒にいればいいんだよ!! 何でそれが分からねぇんだ!」
一際強いその怒声と同時に、突然、首元へ掛かっていた圧迫が消え去った。
唐突に床へと投げ出される格好になった御子柴は、重力のままに下へ向かって倒れこむ。
ぜぇはぁと忙しく息を吸い込む御子柴に、まだ覆いかぶさったままだった新庄が再び腕を伸ばした。
その行為に反射的に恐怖心を覚え、御子柴は思わず手を突き出して、新庄の両手を払い飛ばす。
けれど二人の間に厳然と横たわる体格の差は、御子柴に抵抗など許そうとはしない。
新庄は軽く御子柴の反撃を受け流すと、すぐ側に落ちていた梱包用のロープを手に取った。
ついさっき雑誌を縛るために使っていたそのロープを、新庄はくるくると巻き取って、御子柴の手首に絡ませる。
赤く跡が付くほどに強くそれを巻き付けられ、御子柴は慄然とした。
何をされるのか分からなかい。
このまま、またあの日のように気絶するまで殴られるのだろうか。それとも、もっと非道いことを?
そう思って肩を震わせていた御子柴は、だから、続いて新庄が起こした行動がすぐには認識できなかった。
新庄は何も言わないまま御子柴に腕を伸ばすと、そのままぎゅっと、その細い身体を抱き締めたのだ。
「え……?」
御子柴はわけが分からず、相手の顔を覗き込もうとする。
けれど、がっちりと抱え込む新庄の両腕と、手首を拘束するロープの戒めによって、それは叶わなかった。
今の御子柴に感じ取れるのは、自分をかき抱く新庄の熱さだけだ。
新庄の全身から発される焼け付きそうなほどの熱が、御子柴の冷え切った身体を温めていた。
すぐ側で聞く彼の心音が、どうしてか心地よい。
「新、庄……」
ああ、もしかしてこのまま気を失うまで締め上げようっていうことなのだろうか。
そう思いながらも、しかし御子柴はそれが絶対にありえないというのを既に理解していた。
だって、自分を抱き寄せる新庄の腕はこんなにも震えていて。そのうえ。
577ルーキーズ 新庄×御子柴 5/5:2008/04/20(日) 15:15:45 ID:kM8xLTVl0
「……泣いてるの?」
こちらの額へぽたぽたと落ちてくる冷たい雫が、何よりも訴えていた。
新庄が何を思っているのか。どうしてこんなことをするのか。本当はどうしたいのか。
それが分かってしまったからこそ、御子柴は今の新庄を非難することも責めることもできなかった。
「なあ新庄、ここは俺たちの部室だろ。見た目が少しくらい変わっても、それは変わらない」
御子柴は、後ろ手で縛られた不自由な腕のまま、新庄へそう告げた。
こんな拘束がなければいいのに、と心からそう思う。
ロープなんてなければ、今、自分が新庄を抱き締めてやることも、涙を拭ってやることもできるのに。
なのに新庄は、自分を縛り付けることを選んだ。逃がさないために、どこか遠くへ行かせないために。
……馬鹿だ、と心底思う。
俺が新庄から逃げられるわけがないのに。一人で別の場所へなんか、行けるはずがないのに。
それなのに、一体なんでこの男は――――――――。

「新庄、何で分からないんだよ。 ……俺たちもこの部室と一緒なんだ。
 先生がいるとかいないとか、そんなことは関係ない。俺たちの関係は、そのくらいじゃ壊れない!」
「――――うるさい!!」
声を張り上げた御子柴に、負けじと新庄も怒声を響かせる。
漸く緩められた腕の力にすぐさま顔を上げれば、新庄はやはり瞳を潤ませていた。
頬に二筋、涙のあとがしっかりと道になって残されている。
「俺はお前を許さない。仲間を裏切ったお前を、……俺よりあいつを選んだお前を許さない!!」
ボグッとくぐもった音が響く。完全に気を失う一瞬前に、再び腹に打撃を喰らったのだと気付いた。

遠ざかる意識の間際、最後に御子柴は確かに見た。
とても苦しそうな、辛そうな新庄の表情を。迷子になった子供みたいな、不安そうなその顔を。
それを目にした刹那、助けなければと切実に思った。
今手を伸ばさなければ、新庄はどこかへ行ってしまう。そんな予感が、咄嗟にした。
けれど、縛られた腕は、薄れ行く意識は、新庄へ手を差し伸べることを良しとせず――――。

      ○     ○     ○

そうして俺は次の日から、大切な人を失った。
あの時手を伸ばせていれば、たった一言でも声をかけていれば、もう少し、何かが変わっていたかもしれないのに。
578ルーキーズ 新庄×御子柴 5/5:2008/04/20(日) 15:16:15 ID:kM8xLTVl0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

あれ見てたら、新庄はどんだけ仲間大好きなんだ……と思うよ!
あの二人は、性格的にも体格差にも萌えすぎる。
579風と木の名無しさん:2008/04/20(日) 20:41:10 ID:rFWslG870
現在485 KB。
投下の際には残り容量にご注意を。
580風と木の名無しさん:2008/04/20(日) 22:26:05 ID:MxxvOHX60
>>542ここでその二人が見えるとは…!
ツンしきれないネク君wも、コンポ-ザーの滲むエロさも大層美味でした。GJ!
581「幼獣」先生×博:2008/04/20(日) 22:31:59 ID:TpZj700n0
容量に注意しながら初投下です。
10/10なので途中で中断するかもしれません。
ナマモノ注意願います。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
582「幼獣」先生×博 1/10:2008/04/20(日) 22:33:32 ID:TpZj700n0
犬猫みてぇな奴だな。
痩せ過ぎた男に、そう思ったのはいつだろう?
酒浸りの記憶を辿ると、痩せ過ぎた男を連れまわす赤毛の怪獣を思い出す。

「可愛いだろ〜」
二日酔いでベロベロの赤毛の怪獣が連れてきたのは、痩せ過ぎて背の高い子供だった。
ウチの姫と呼ばれる大将は例外として
子供とは言え男に可愛いかよと思ったが、顔を見て納得した。
確かに顔は文句の付けようが無い、人形みてぇに整っていた。
赤毛の後ろからじっと見詰めてくる様子は、まるで子供だった。
子供に見えたが、実際は俺と大して違わない年齢と聞いてまた驚いた。
「…どこで拾ってきたんだか、世話はてめぇでやれよ」
と言うまでもなく、赤毛の怪獣は痩せ過ぎた男を連れ回していた。
赤毛の怪獣が酔って暴れても逃げ出さず、おとなしくしかも楽しそうに付き従う様はまるで子犬だった。

赤毛の怪獣は人たらし。
飲みに誘われるのは毎度の事で、顔を出せば赤毛の怪獣の後ろにはいつも痩せた子犬がいた。
痩せた子犬が俺に気付いて、にっこりと微笑む。
…確かに可愛い。
いつの間にか、子犬は俺にも大将にも、大将の幼馴染のフロントマンにまで懐いていた。
特に赤毛とフロントマンは、まるで自分の弟のように痩せた子犬を可愛がった。
「痩せすぎです。たんと食べなさい」「ちゃんと食べてる?」
「ううん、食べてない」
にこにこと人を食った応えをする子犬は、兄貴達が出来て心底嬉しそうだった。
それは、兄貴達も同じだった。

赤毛の怪獣には実の弟がいたが、痩せた子犬とは正反対の肥えた容姿だった。
虚像としての弟は、実の弟よりも痩せて背が高く、化粧で作る必要が無い程整った顔をしていた。
赤毛のコンプレックスだった“過去の太った自分”を見せ付ける実の弟より、
理想の容姿で懐いて来る虚像の弟は、赤毛の怪獣の理想の弟だったのだろう。
そして、赤毛の怪獣の実の弟と理想の弟は、偶然にも同じ名前をしていた。
583「幼獣」先生×博 2/10:2008/04/20(日) 22:35:30 ID:TpZj700n0
フロントマンには実の兄がいたが、あまり仲は良くなかったようだ。
兄に可愛がられなかった弟が実像なら、やはり虚像は兄に猫可愛がりされる理想の弟だった。
フロントマンは可愛がられなかった自分の分まで、理想の弟を可愛がった。
フロントマンと赤毛の怪獣は、方向性は違えど、二人ともコンプレックスの塊だった。

可愛い弟を競って連れまわした兄貴達のせいか、
兄貴達に尻尾を振って懐く様子を見て、容易く手懐けられると勘違いされたらしい。
手懐けようとした輩に向かって、ぴしゃりと対応する様は壮観だった。
犬を懐かせようと近付いたら、猫に引っかかれたのだ。
酷くプライドを傷つけられた男の
去って行く顔が憎悪に歪んだのを確認して、以前飲み友達のおっさんが痩せた子犬を評したのを思い出す。
「…おめぇ本当に敵を作りやすいな」
「正直に言っただけや」
でも変なの、と痩せた子犬が呟いた。
「俺だけの前と、佳さんや秀さんや年さんがいる時とは全然態度違う」
…そりゃそうだろと呟くと、痩せた子犬が続ける。
「俺だって、あんなん佳さんでも秀さんでもないと思ってんのにな」
納得した。
可愛い子犬を品定めしようとしたら、逆に子犬から値踏みされたのだ。
侮った相手から逆に侮られたのに気付けば、そりゃ怒る。
溜息を吐いた自分を心配そうに、可愛い子犬が覗き込む。
「先生、俺悪い事した?怒った?」
「…おめぇに怒る訳ねぇだろ」
途端に長い手足を伸ばして、嬉しそうに頭を寄せてくる。犬ではない、まるで猫だ。
「なんだよ」
「んー、先生癒されるわ」
猫が頭を擦り付けるように懐いて来る。
細い体をしならせ体を寄せる仕草は、やはり猫だった。
こいつは相手次第で、従順な犬にも気難しい猫にもなりやがる。
「…仕方ねぇなあ」
長い黒髪ごと頭をがしがしと撫でてやると、ふと気付いた。
この犬猫の他に、男の癖に妙に色っぽい奴があと一人。
584「幼獣」先生×博 4/10:2008/04/20(日) 22:37:12 ID:TpZj700n0
「よっちゃん!よっちゃんどこ?!」
赤毛の怪獣が大慌てで走って来る。
相変わらずうるせぇ奴だが、相手をしないと余計に騒ぐ。
「そこだっての」
指差す方には、大将と幼馴染のフロントマンがいる。
幼馴染二人が出す独特の雰囲気は、他人が踏み込むのを躊躇う程だ。
途端に赤毛の怪獣がうなり声を上げた。
「えー、何?俺が呼ばれたのに何なの?あれ」
「見ての通りです」
「ちょっと、ひーちゃんちょっと」
赤毛の後ろに隠れるように走ってきた子犬が何?と主人に尋ねる。
赤毛がそっと耳打ちすると、子犬が笑った。
悪戯を企む赤毛と子犬は、まるで絵に描いたような美形兄弟だ。
忠実な弟は痩せた脚を伸ばしてフロントマンへと歩く。

大将とフロントマンが話している手前へ、そっと足を止める。
「ん?ひーくんどうしたの?」
フロントマンが可愛い弟に気付いて、優しく声を掛ける。
こそこそと痩せた犬が耳打ちすると、フロントマンは口を開けて笑った。
大将がその様子を訝ると、途端に赤毛の怪獣が飛びついた。
姫と呼ばれてもそこは大将、赤毛の怪獣がぶら下がっても倒れもしない。
「秀ちゃん来てたの?」
「…さっきからずっといたよ」
赤毛の怪獣は人たらしだが、同時に人も悪い。
大将がわがままなお姫様で、独占欲が強いのも知っていた。
「ごめんね、年くんと話してるからちょっと待ってて」
お姫様はちらりと、幼馴染のフロントマンが子犬と話す様子を伺っている。
そんな事は赤毛の怪獣が狙った事だ。
585「幼獣」先生×博 4/10:2008/04/20(日) 22:38:48 ID:TpZj700n0
「年くんはひーちゃんとお話してるじゃん、ね」
だから、俺と話そ?
嗄れ声で、赤毛の怪獣が囁く。
赤毛の怪獣は、お姫様のお気に入り。
フロントマンは、幼稚園からの幼馴染だ。
大将であるお姫様と、その幼馴染のフロントマンと、赤毛の怪獣。
この三角関係は腹いっぱいなので、俺も子犬も距離を置いているのに
どうもあの赤毛は、子犬の有効利用を見つけたらしい。
赤毛の怪獣の本領発揮である。
長い赤毛から覗く目が、笑った。

「ねえよっちゃん、年くんに聞いてみよう?ひーちゃんとよっちゃんと、どっちとお話したいのか」
「えぇ?!何言ってんだよ?」
動揺したのは、お姫様の幼馴染だ。付き合いが長い分、下手な答えが命取りになるのを知っている。
お姫様の背中に覆いかぶさった怪獣に怒鳴りながらも、お姫様を恐る恐る伺っている。
にこやかだが目は笑っていないお姫様から、幼馴染へ告げた台詞は
「…ねぇ、どっちにするの?年くん」
蛇に睨まれた蛙。
こりゃ、普通の人と誉れ高きフロントマンには無理だろうと思ったその時
ちょいちょいと、普通の人の袖を細い指が引いた。
「…どうしたの?ひーくん」
蛇の視線から逃れやがった。
呆然としたお姫様と俺を尻目に、赤毛の怪獣だけがニヤニヤと笑っている。
そんな光景に気付かず、普通人のフロントマンは可愛い弟に気を取られている。
じっと子供の目で見詰められると、人の良いお兄ちゃんは戸惑ってしまう。
「ひーくん?」
「年くん、お話してぇ?」
586「幼獣」先生×博 5/10:2008/04/20(日) 22:41:26 ID:TpZj700n0
弟がカワイコぶりやがった…!
お前が仕組んだなこの性悪!
と口には出さず、赤毛の怪獣に向き直る。
「よっちゃん、年くん酷いよねぇ。俺はよっちゃんが一番だからね…ってうわぁ?!」
「…知らないっ」
赤毛の怪獣を引き摺って、お姫様が駆け出した。
「よっちゃん?!ちょっと待って、あ、でも一緒だからいっか…」
引き摺られているが、当初の目的を果たしたのだから赤毛は大したもんだろう。
置いていかれた幼馴染はしばし呆然としていたが、すぐに弟に向き直った。
「ひーくん、秀ちゃんに言われたの?」
「…うん」
悪戯が見つかった子供のような弟の頭を、ぽんぽんと叩く。
「仕方ないなあ、もう」
「ごめんなぁ」
いいよ。と優しい兄貴は弟を甘やかした。
この優しいフロントマンは、いつでも誰かを甘やかす。
お姫様でも、赤毛の怪獣でも、理想の弟でも。
それで上手く回る筈だった。例えそれが、依存する関係だったとしても。

酒が昔の記憶を呼び戻す。
酩酊すると鮮やかな赤毛が浮かび上がる。
死に別れた友達だ。
キレイな声で歌う声も聞こえる。
生きているのに、もう会えない友達だ。
更に遡れば、ガキの頃に死んだ親父が現れる。
酒浸りの記憶の中で、別れや死が受け入れられない自分を思い知る。
深く深く落ちて、痛みすら麻痺した時に
静かに寄り添う気配があった。
587「幼獣」先生×博 6/10:2008/04/20(日) 22:43:33 ID:TpZj700n0
ああ、おめぇか。

初めて会った時よりも、げっそりと頬が削げている。
それでも来たのかと、兄貴達を失った犬を見た。
あどけなさは消えても、整った顔はやはり文句のつけようがない。
相変わらず男前だと感心していると、見詰める目は子供のままだと気付く。
「…おめぇ飯食ってんのか?」
我ながら、もうちょっと気の利いた台詞は言えないのかと苦笑する。
泣き笑いの表情で、犬は静かに首を振った。
「…ううん、食べてない」
…だから世話はてめぇがやれっつったじゃねぇかと、赤毛に毒を吐く。
…てめぇは弟が心配じゃねぇのかよと、フロントマンに哀願する。
二度と会えない友達への呪詛だった。

憔悴した犬は餌をくれる主人を待っていた。
「…仕方ねぇなぁ」
食い物はないかと辺りを見回しても、酒瓶しか転がっていない。
酒でも何も腹に入れないよりはマシかと思って、痩せた犬を手招きする。
するりと懐に寄る様は、犬よりは猫だった。
「ほら、口開けろ」
「…ん」
尖った顎を掴むと、赤い唇が開く。
酒で湿った指を差し入れると、猫のように舐めてきた。
ぴちゃ
舌が指を舐める音がする。
猫のざらついた舌の様に、肌が粟立つ。
「…っ」
嚥下する喉の音に我に返った。
ゆっくりと指を引き抜こうとすると、カリッと音がした。
痛覚が、指を噛まれたと知らせる。
588「幼獣」先生×博 7/10:2008/04/20(日) 22:50:48 ID:TpZj700n0
「おいおい、痛ぇよ」
「…」
無言で見詰める目は子供のままなのに、熱を帯びていた。
「俺の指は食いもんじゃねぇぞ?」
「…んっ」
聞き分けの良い子供が、指を離す。
糸を引く唾液が、赤い唇を濡らした。
目の毒だ。
なのに、目が離せない。
濡れた赤い唇を、舌が舐める。
膝を突き、長い首を反らせる仕草は猫の媚態だ。

「…もっと」
「俺の指はそんなに旨かったか」
「…ん」
「大事な商売道具だぞ」
…しばらく休業だけどな。
それより今は、
飢えたコイツに餌をやらないといけない。
骨の浮き出た痛々しい体を、酒に塗れた指が辿る。
白い肌に酒を擦り付けると、甘く鳴く。
鳴き声は、犬でも猫でもなかった。

「…もっと」
痩せ過ぎた体は男にしては細過ぎて、女にしては硬過ぎた。
男でも女でもなく、ましてや犬でも猫でもない
美しい獣が鳴き声を上げた。
589「幼獣」先生×博 :2008/04/20(日) 22:55:36 ID:TpZj700n0
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

前スレ501KBで落ちたので、ここで一旦区切らせて頂きます。
残り8,9,10は新スレへ投下致します。
590風と木の名無しさん:2008/04/21(月) 01:13:35 ID:0Drgu6Oy0
すみません、新スレ立ててきます
591風と木の名無しさん:2008/04/21(月) 01:20:52 ID:0Drgu6Oy0
申し訳ありません
ホスト規制で立てられませんでしたので
どなたかよろしくお願いします
592風と木の名無しさん:2008/04/21(月) 01:22:15 ID:eZJzWB5s0
OK。行ってくる。
593風と木の名無しさん:2008/04/21(月) 01:26:16 ID:eZJzWB5s0
モララーのビデオ棚in801板37
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1208708594/

done.
594風と木の名無しさん:2008/04/21(月) 01:29:35 ID:0Drgu6Oy0
>>592
ありがとうございます
本当にご迷惑お掛けしました
595風と木の名無しさん:2008/04/21(月) 03:19:08 ID:fTGtHPIwO
>>>556
自分の妄想と同じ補完してて吹いた、そして萌えた
私の中の真EDにさせていただきます、乙でした
596風と木の名無しさん:2008/04/21(月) 23:31:18 ID:oQ/IH5wj0
新スレ立ったからこっち落としたほうがいいだろうかうめ
597風と木の名無しさん:2008/04/21(月) 23:39:26 ID:WumWh9wp0
そう思うようめ
598武/装/錬/金 パピカズパピIV 11/11:2008/04/21(月) 23:42:16 ID:wW02ER120
急いで埋めるとかえって鯖負担になるんじゃなかったっけ?
新スレ案内もあることだし、週末あたりまで
落とさないほうがいいんでないかな。
599風と木の名無しさん:2008/04/21(月) 23:43:41 ID:wW02ER120
ぎゃあぁぁぁぁ名前欄消し忘れてた!死にたい。
600風と木の名無しさん:2008/04/21(月) 23:45:08 ID:Ma0/T2Zm0
埋めるスレでよかったね
601風と木の名無しさん:2008/04/22(火) 01:15:58 ID:KAX2r7JQ0
>>598-599
おもしろすぎる
602風と木の名無しさん:2008/04/22(火) 18:54:50 ID:dDtEfbHn0
>>598-599
ありがとう、明日はとても良い事がありそうだw
603風と木の名無しさん:2008/04/22(火) 20:15:37 ID:9xTiF+pm0
>>598に萌えた
604風と木の名無しさん:2008/04/22(火) 20:17:42 ID:XT/zPSqr0
598の人気に嫉妬
605風と木の名無しさん:2008/04/22(火) 20:55:57 ID:9xTiF+pm0
600×598←604ということでよろしいか
606風と木の名無しさん:2008/04/22(火) 21:15:29 ID:WbWozXKO0
「本人のお望みどおり週末まで恥ずかしい姿をみんなに見せてやろうぜ」
という鬼畜攻めはいかがでしょうか
607風と木の名無しさん:2008/04/23(水) 00:21:45 ID:Sj1WV8g60
よし、ゆっくりと埋めてやろう
608風と木の名無しさん:2008/04/23(水) 09:15:13 ID:+a1grciSO
姐さん達の鬼畜っぷりに脱帽した。
急いで埋めに来ない所をみると
>>598はかなりMっ気があると
勝手に妄想しときますね。
609風と木の名無しさん:2008/04/23(水) 23:31:14 ID:dX644GH90
>>598は自分よりもスレや鯖負担が第一な
健気受と考えるんだ
610風と木の名無しさん:2008/04/23(水) 23:46:07 ID:hYZqKjWE0
「鯖に負担がかかるよりは…オレのことはいい…たとえどんなに辱められようと…」
こうですかわかりまs><
611風と木の名無しさん:2008/04/24(木) 00:54:13 ID:Ry+Dc7el0
健気だろうがなんだろうが、とりあえず辱める対象にはかわりないなww
皆でねちねち弄ってやろう
612風と木の名無しさん:2008/04/24(木) 01:04:09 ID:HVgZpkw70
こういうことか


    タプタプ  _, ,_ タプタプ
タプタプ_, ,_  ( ・д・)  _, ,_タプタプ
   ( ・д・)..U)_, ,_  (・д・ )
     ⊃))(`Д´(((⊂  タプタプ
    , ,∩))    ((⊂ ,
,   (   )  タプタプ (   )  タプタプ
      タプタプ
613風と木の名無しさん:2008/04/24(木) 05:20:21 ID:OaQhE63s0
>>612
ちょwwwタプタプってwwwww
614風と木の名無しさん:2008/04/24(木) 07:20:26 ID:4ew/w3VJ0
>>612
>>598に萌えざるをえない
615風と木の名無しさん:2008/04/26(土) 10:19:47 ID:ZGUV/3BF0
   /⌒ヽ  
  / ´_ゝ`)    /⌒ヽ  …週末なので
  |    /    / ´_ゝ`)             
  | /| |     |    /      /⌒ヽ  ぼちぼち
  // | |      | /| |      / ´_ゝ`)           
 U  .U      // | |      |    /       /⌒ヽ  埋めますよ   ・・・・      
          U  .U     二| /| |二-_  -_/_´_ゝ`)二-    - /⌒ヽ= _    _   ・・・・・                                   
                  ̄- ̄- ̄    ─  ─  ̄-      ̄- ̄  ̄-
616風と木の名無しさん


                                                          /⌒ ヽ
                                                 /⌒ ヽ     / ´_ゝ`) ちょっと埋めすぎた…
                                      /⌒ ヽ       / ´_ゝ`)    |    /  
                                     / ´_ゝ`)       |    /     | /| |
              ゴボゴボ     / ⌒ ヽ         |    /        | /| |      // | |
        -/ ⌒ ヽ= _       -_/_´_ゝ`)二-     二| /| |二-     // | |      U  .U
        ̄- ̄  ̄-        ─  ─  ̄-       ̄- ̄- ̄       U  .U