1 :
風と木の名無しさん :
2007/11/04(日) 08:50:01 ID:KLuo+w8s0 . ___ ___ ___
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l⌒LOO ( ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_, _)フ 「 | ロ | ロ |
( ・∀・)、__)  ̄フ 厂 (_,ィ |
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◎ Morara's Movie Shelf. ◎
モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。
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| ̄ ̄ ̄| すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
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前スレ
モララーのビデオ棚in801板30
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1191420762/l50 ローカルルールの説明、およびテンプレは
>>2-9 のあたり
保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://wald.xrea.jp/moravideo/
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★
ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。
(1)長時間に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>3-
>>7 辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。
※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、スレを占拠しないためにも投下ペースや分量を配慮して下さい。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。
相談・議論等は避難所の掲示板で
http://s.z-z.jp/?morara
2.ネタ以外の書き込みは厳禁! つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。 ストーリー物であろうが一発ネタであろうが 一見退屈な感想レスに見えようが コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、 それらは全てネタ。 ネタにマジレスはカコワルイぞ。 そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね! \ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . | | | [][] PAUSE | . | ∧_∧ | | | . | ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ | | | . | | |,, ( つ◇ | | | . | | ||―(_ ┐┐―|| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | || (__)_), || | °° ∞ ≡ ≡ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。 別に義務ではないけどね。 テンプレ1 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | モララーのビデオを見るモナ‥‥。 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| きっと楽しんでもらえるよ。 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
テンプレ2 _________ |┌───────┐| |│l> play. │| |│ |│ |│ |│ |│ |│ |└───────┘| [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::] ∧∧ ( ,,゚) ピッ ∧_∧ ∧_∧ / つ◇ ( ・∀・)ミ (` ) . (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒) | ┌‐^────────────── └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ └─────────────── _________ |┌───────┐| |│ロ stop. │| |│ |│ |│ |│ |│ |│ |└───────┘| [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::] ピッ ∧_∧ ◇,,(∀・ ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ . (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒) | | └────────────────┘
テンプレ3 ,-、 //|| // .|| ∧∧ . // 生 || ∧(゚Д゚,,) < みんなで //_.再 ||__ (´∀`⊂| < ワイワイ i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜 | | / , | (・∀・; )、 < 見るからな .ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )! //:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..| . / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´ / ゙ / / / || | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\ | | / `ー-‐'´ | | ./ |_____レ" ,-、 //|| // .|| ∧∧ . // 止 || ∧(゚Д゚,,) < やっぱり //, 停 ||__ (´∀`⊂| < この体勢は i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜 | | / , | (・∀・; )、 < 無理があるからな .ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )! //:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..| . / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´ / ゙ / / / || | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\ | | / `ー-‐'´ | | ./ |_____レ"
テンプレ4 携帯用区切りAA |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 中略 [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! 中略 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも | | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端 \___ _____________________ |/ ∧_∧ _ ( ・∀・ ) |l8|と つ◎  ̄ | | | (__)_) |\ / ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 媒体も | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。 \_________________________
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ̄ ̄ ̄| じゃ、そろそろ楽しもうか。 |[][][]__\______ _________ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | |/ |[][][][][][][]//|| | ∧_∧ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ ) |[][][][][][][][]_||/ ( )  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | (__)_)
*、 *、 。*゚ *-+。・+。-*。+。* / ゚+、 ゚+、 *゚ ・゚ \ 。*゚ ∩ *。 *。 +゚ ∩ * (´・ω・`) +。 +。 ゚* (´・ω・`) と ノ *゚ *゚ ・ 。ヽ、 つ と、ノ ・゚ ・゚ +゚ * ヽ、 ⊃ ~∪ *゚ *゚ * +゚ ∪~ ☆ +′ +′ +゚ ゚+。*。・+。-*。+。*゚
>>1 にスライディング土下座で感謝しつつ、早速使わせていただきます
絶賛公開中の映画、イ反面ライダー新生初代“次”より1号×2号
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
12 :
1/5 :2007/11/04(日) 09:49:44 ID:bi4fW+A6O
※本編後捏造 数ある行きつけの中でも、その小さなバーはほとんど唯一、素の自分をさらけ出していた場所だった。 けれどここしばらく立ち寄っていなかったのは、迂闊にも本郷に知らせてしまったからに他ならない。 もしも戸を開けてあいつが待っていたらどうしようか、 いやそれに問題はないのだが、そう思うと自然と足が躊躇いをみせる。 店のことを考える度に本郷の姿も頭をちらつき、自身も相当キていると一文字は舌打ちをした。 しかし元凶はあいつだ。自分から良き店を奪った罪は重い。 久しぶりにそこを訪れたのはもう冬も半ばのある夜で、降りしきる雨から逃れてのことだった。 意を決して戸を開く。当然ながらそこに本郷の姿はなく、わかっていたくせに少々拍子抜けする。 当たり前だと安堵すると同時に、これではまるで期待していたみたいじゃないかと自身に毒づく。 『ずっとお前に会いたかった』 この場所この席で言われた言葉が耳に蘇る。思えばこの店に来るのはあの件以来じゃないか。 一体どういうつもりなんだろうか、あの可愛い成りしたお坊ちゃんは。 多分本当に素なんだろう、思い出せばくすりと笑みが洩れた。 結局長居してしまい、店を出るころには雨も弱まり、そして酒もまわっていた。 気分よく歩き始めたところで、強烈な目眩に襲われる。アルコールの為――じゃ、ない。 リジェクションだ。
13 :
2/5 :2007/11/04(日) 09:51:04 ID:bi4fW+A6O
「――ッ、……くっ、は」 どうにか目立たぬよう路地裏までは移動したが、症状は一向に収まらない。 血が沸き立つ。比喩ではない。身体中が熱い。脈が凄い音を立てているのがわかる。 意味がないのを知りながら、浮き上がった血管を押さえずにはいられない。 触れた喉が冷たいのに驚いた。中はこんなに激しく熱いのに。 ふいにヘッドランプのものらしい光が視界を切り裂いた。 「―― 一文字!?」 呼ばれた名前。 冗談だろう? どうしてお前が、ここにいる。 雨が、冷たい。 「なんだか会える気がしたんだ」 世迷いごとを平気で言った本郷は相変わらずで、その柔らかな空気の中に凛と芯を持っている。 それに惹かれて、疎ましくてならない。 「だからってなにも」 こんなときに。一文字は偶然を呪う。吐き出しかけた血を意地で飲み込んだ。喉が焼ける。 「前回は2年もかかったから、次は5年くらいかかるかと思ってた」 結構すぐで良かったと言う本郷に返す台詞が出てこない。 “会える気がして”なんて冗談じみた言いまわしが嘘みたいに甘く聞こえる。 「俺なんかに構ってないで他をあたれ」 一文字はなんでもないように口を拭う。本郷が目敏くそれを見つけるが一文字は気づかない。
14 :
3/5 :2007/11/04(日) 09:52:43 ID:bi4fW+A6O
「つまらないんだよ、お前は酒も飲めないし」 「……どうして隠すんだ」 「なんのことだ?」 一文字は白々しく言う。 「俺にくらい言ったって……見せたっていいだろ」 またこうやって真っ直ぐに。だってお前だって体験したことはないだろう? 「別にたいしたことじゃない」 「言っただろ、俺はお前に長生きして欲しいって」 お前しか友達いないんだから。続ける口調が荒い。一文字は失笑する。 なんでお前が憤慨するんだ、ここで怒るべきは気分台無しにされた俺だろう。 「だから他をあたれって言ってるんだ」 近づいてきた本郷を押し返し、一文字は背を向ける。 「行くな」 「行くなよ、一文字」 それは悲しそうにも怒ったようにも見える顔だった。 「お前がなんて言ったって、俺にはお前しかいないんだ」 「何度も言うがそういう台詞は女に言ってやれ」 苦笑というにはずっと険しい顔でそう返した一文字に、本郷はにべもなく続ける。 「違う、俺は本気で」 「わかったから、な?」 飄々とかわした顔がそのまま、硬直した。こんなにも軽く引き寄せられる身体。 「一文字じゃなきゃ、駄目なんだ。 ――俺が全力で抱きしめても平気な“人間”は、世界で一文字しかいないから」
15 :
4/5 :2007/11/04(日) 09:54:11 ID:bi4fW+A6O
あまりの衝撃に思考が追いつききれなかった。震えが心と身体を駆けぬける。 「……お前、な」 言葉の意味をわかっているのか、この天然が。 「……風見だっているだろう」 「じゃあ言い直す。――許してくれるのは、お前だけだ」 言葉と同時に胸が詰まった。抱きすくめられた力の大きさ、とても強くてけど柔らかな。 「離せ」 「嫌だ」 「お前は俺を買いかぶりすぎなんだよ」 止めてくれ。これ以上、惑わせるな。 振り解こうと挙げた右手から血糊がとんだ。 動揺したその一瞬、本郷がその手を掴む。滴る血を抑えつけるように。 「生きてるならどこにいたっていい、もう二度と会えなくても口もきけなくたっていい」 だけど。 「独りで死ぬのだけは、許さない」
16 :
5/5 :2007/11/04(日) 09:55:59 ID:bi4fW+A6O
本郷は掴んだ手から手袋を外す。どろりと濁った血にまみれた指を躊躇なく自分の頬へ運んだ。 端正な顔立ちに赤い線が走る。 「……こんなに冷たくなって」 手のひらに触れる肌が微かに熱い。言葉がしみるように心を揺らす。 いつものように軽口で嘲ってやればよかったのだろうか、 けれど本郷の真っ直ぐな視線がそれをさせなかった。 「笑っていてくれるなら俺はなんだっていいよ。だけど一文字は……」 「それ以上言うな!」 どうしてお前は知ってるんだ。どうしてお前には起こらないんだ。どうして俺だけが死ぬんだ。 ――こんなに寂しく優しく笑う奴を残して。 「……一文字?」 一文字は掴まれたままの指先に自らの意志で力を込め、 覗きこむようにして呼びかけた本郷の唇に噛みついた。 もうずっと前からわかっていたことだろう? 忘れも出来ず、痺れを切らせた自分の負けか。 驚いたように目を見開いた本郷は、だけど拒絶はしなかった。ただぶつかったようでいて長いくちづけ。 本郷は戸惑ったように舌をのばした。一文字は待ち望んでいたように受け入れる。 くちゅりと場違いに温い音が漏れた。互いを抱く力が強くなるのを背中で感じる。 ああ、本当に、この男しかいないのだ。 初めて死に恐れを抱いた肩に、初雪がひらりと舞い降りて消えた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 勢いでやったが本編には勝てなかった ジャンル柄大きい声では流行れと言えんが、みんなが映画を見に行けばいいと思うんだ
ううっ今一番読みたいものだった…! しかも1号×2号で!あざーす!!!
19 :
1/2 :2007/11/04(日) 23:06:17 ID:SMjpVVP3O
生。某ゲーム誌の某AD。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! なんでもありだ。 警官のコスプレで派出所の前を素通りしたり、木の枝一本で完璧な釣りをしたり、芸人がモンスターの足元で肉を焦がしたり、ヒップホッパーの大事な大事なデータ小鳥と交換したり、ピンロや電マだって平気で出したりもできた。 なんでもありだ。 だったら、俺の腕の中にこの人がいてもいいじゃない。 「離せ、おい。離せって、オズ…、うう…」 声もうまく出せないくらい力も感情も込めてるんだから、いいって事にしておきましょうよ。 ちっちゃいね。ちょうどいい。格闘技ファンのくせに俺に抵抗できない、己の低身長を恨め。そして俺に惚れろよ。
20 :
2/2 :2007/11/04(日) 23:08:51 ID:SMjpVVP3O
ずるずると密着したまま屈んで、額を先に押し付けて固定してから唇を近づけていった。相手が気をつけをした状態で抱きしめておいて正解。 現状からの逃避のつもりか目を閉じるしかなくなったこの人の表情はとても魅力的で、俺が早漏ならば今すぐにでも目の前の黒縁メガネにぶっかけてやりたいほどでした。 しかし段階を踏まなくてはなりません。まずはAから。 「…お前ら、なにしてんねんな」 唇を合わせんとしたまさに直前、扉が開くと同時に現れた甲高い声のジャージ男を、狩りのとき以外で邪魔くさいと思ったのはこれが初めてであります。邪魔ってレベルじゃねーぞ、どうか私に発砲許可を。 その日甲高いジャージ男の相方はちょっと遅刻した。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
まずは前スレ使い切ろうぜ
>>19 超ありがとう
探していたものがここにあった…!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 戦国BASARA、幸村×佐助、リバかも ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 動物死にネタ注意 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
佐助の烏が死んだ。 いくさに巻き込まれたわけではなく、文を持ち帰る途中で猟師に射たれたらしい。 幾本も矢を体に翼に刺したままでふらふらと庭へ舞い降りた。 佐助が近寄ると顔を上げてくぅと鳴いた。 佐助は烏の羽を一度撫でると文を脚からほどき、首を掴んで思い切り握り潰した。 ごきりと音がして、烏はぐったりと力をなくした。 「佐助、何を」 おれは問う事しかできなかった。 佐助は笑っていた。泣きそうな顔で笑っていた。 「…こんなに翼に矢が刺さってちゃ、もう飛べない。 飛べない鳥は、生きていけないからね。せめて俺様の手で、」 それをぼんやりと聞きながら、おれは庭へ出た。 裸足のままだが構わぬ。烏の傍へ行き、そっと羽を撫でる。 大きな烏。おれをぶら下げて飛んでくれた事もあった。 「…墓をつくろう」 「墓?」 心外そうな佐助の声に顔を上げる。 佐助は手を装束で擦りながら、手紙を読んでいた。
「墓なんか要らないよ。旦那は箸が折れたからって墓に埋めないでしょ」 体が冷えてゆくような気がした。 この烏は、佐助の大切な仲間ではなかったのか。 それを箸と同じだと、道具なのだと佐助は言い切った。 「…けれどこの烏は生きていた。箸とは違う」 「同じだよ。だって旦那、こいつの名前知らないでしょう?」 確かに知らないが、それがどう関係があるというのだろう。 この烏は生きて、おれたちの為に働いて死んだというのに、墓も作らぬというのか。 「最初からないんだよ、名前。道具が使う道具に名前なんていらないから」 佐助はわらう。 全てを諦めたような、全てを恨むような、全てを羨むような顔で。 現実味が無くて目眩がする。 佐助は今なんと言った?道具が使う道具?それではまるで、 「…佐助も道具だといっているようだ」 思わず思考が言葉に零れた。佐助が戸惑ったように瞬きを繰り返す。 「そうだよ、俺様も道具だ。忍だからね。 俺様の名前は、刀の銘みたいなもんだよ。同じ作りなら同じ名に」 「黙れ」
唸るように佐助の言葉を遮った。 生きて、ここにある人間がどうして自分を道具だなどと言わねばならぬ。 佐助は道具ではない。人間だ。俺の大切な、 「…旦那?なんで怒ってんのさ」 ぎしりと歯が鳴ると同時、問い掛けられて我に返った。 烏を抱えて立ち上がる。佐助が慌てて叫んだ。 「ちょっと旦那、汚れちゃうよ!何してんの!」 「墓を作りにゆく。名もつける。この烏もお前も、道具などではない」 即答すると、佐助は呆れたように、けれど少しだけ嬉しそうに笑った。 「…仕方ないなぁ、お供しますよ」 あぁ、いつもの佐助の顔だ。 ようやく人心地ついたような気分になりながら、おれたちは二人で山へ入っていった。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ オソマツサマデシタ | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>23 GJ!!
なんという萌えをくれましたか
ありがとうありがとう!
ちょっ…感動したじゃないか!!すげぇGJ!
同じく、萌えっていうか感動したじゃないか…!
今一瞬にして
>>23 の大ファンだ
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 月苦ドラマ『ガソレ才』湯川×草薙 。 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 原作無視でスマソ。 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ちょっと待て。1階じゃない、23階だ。」 「は?」 久しぶりに飲みに行かないかと誘われて、行き着けのホテルのバーで2、3杯引っ掛けた帰りの事だった。 エレベーターのボタンを押そうと指を伸ばすと、湯川が言った。 「部屋を取ってある。」 至極当然のような顔で俺の横から腕を伸ばした湯川は、23と書かれたボタンを押す。 「なんで?」 「愚問だな。」 「愚問…」 「君には僕のこのイライラとモヤモヤに代表される不可解な気持ちを解消する義務があるだろう。 そもそも君の事件を手伝っていた頃はGive and takeだったからまだ良かった。 それがどうだ。栄転の決まった君は僕に内海くんを押し付けて、それきり会いに来る事もない…。 僕は自分の研究もままならないばかりか、すっかりGiveばかりになってしまった。」 湯川はエレベーターの壁に肩肘を付いて、こめかみを押さえながら大げさにため息を吐いてみせる。
このひどく遠まわしでややこしい長台詞を要約すると、つまりは、 「要するにヤりたいの?」 と、言うことになる。 だけどはっきり解り易く明確な言葉にすれば湯川は、 「下品な言い方をするな。」 心外だとばかりに眉間を寄せて俺を睨んだ。 「どう言ったって同じだろ、このむっつりスケベ。」 「男は総じて皆むっつりスケベだ。常日頃からスケベを全面に押し出していたらそれはただの変態だろう。君が逮捕すべき犯罪者だ。」 「屁理屈こねるなよ。」 「どこが屁理屈なんだ。ちゃんと理にかなっているだろう。」 「けど、俺がお前に抱かれなきゃいけない道理がいまだにわからん。大体俺は女の子が好きなんだが。」 黒一色のシックなドアが静かに開く。 「それについては今解明中だ。だが、お互い壊すような家庭も、傷付ける恋人もいないのだから、明確な答えが出るまで君は深く考えるな。」 一足先にエレベーターを降りた湯川が、ムカつくくらい男前な笑みを見せた。
シャツをたくし上げられて乳首を捏ねられた。 執拗に指で揉まれるうちに痛痒さが快感に変わって、直接触れられた訳でもいないのに下着の中のそれが熱くなる。 「なんだかんだ言って感じてるじゃないか。」 盛り上がったスーツの股間を一瞥して嫌味ったらしく囁いた湯川は、尚も俺を追いつめようと耳朶を甘噛みする。 「ん―っ」 身体が震えた。 あぁ、どうして俺がこんな目に…と組み敷かれる度いつも思う。 思うのに、湯川に抱かれるのは確かに気持ちが良くて、認めたくはないけどどういう訳かひどく安心する事さえあって、 かと言って恋人同士という事もなく、そもそも俺は女の子が好きなのに、なんとなくズルズルと何年もこんな関係を続けて来てしまった。 要するにこういうのはとどのつまり流された果てのなし崩し的なセックスと言うんだろか。 世間一般ではセックスフレンドとでも言うのかも知れない。 場合によっては事件解決の助言を目当ての援助交際とか…。 警察官としてそれは問題じゃないかと思い至り、それならセックスフレンドと言う事にしておこうと思った。 「集中しろ、俊平。」 余計な事を考えていたのを咎めるように、湯川は俺の下着の中に手を差し込んで、既に熱くなっていた陰茎を扱きだした。 「ん…っ」 強く握られて上下に擦られると、少しの恥ずかしさと、張り詰めた痛みと、泣きたくなるような快感に涙が出た。 湯川にそうされてるのがなんとなく悔しくて、ただ声だけは出さないように必死で口唇を噛んで堪える。 それならと、湯川は下着の中から俺のそれを取り出し、先走りに指を絡めてぬらぬらと光った亀頭を指先で引っかいた。 気が遠くなりそうだった。
「随分溢れて来る…。」 尿道口をくちりと弄られる。 乱暴に爪先でこじ開けられるひりつくような痛みが、やがて甘いものへと転じていく。 「…あ、…や…っ」 湯川は執拗に亀頭への責めを繰り返した。 どうしよう。 出したい。 ただひたすら出したい。 だけど、亀頭を弄られてるだけじゃ、いつまでたっても射精する事なんて出来なくて、 「ゆ、かわ…、もぉ…」 半ば泣き付くように懇願した。 湯川は勝ち誇ったように笑って、 「どうして欲しいか言ってみるといい。」 なんて、ひどい事を言う。 「この、ひとでなし…っ」 「心外だ。僕はただ、君の口から君のして欲しい事を聞きたいだけだ。君の嫌がる事をするのは本意ではないからね。」 中指でトレードマークの眼鏡をくいっと持ち上げながら真顔で言う湯川を、殴ってやりたいとも思ったけど、 亀頭を握られて弄り倒されている身としては、湯川の言うままに振舞うしかなかった。
38 :
湯川×草薙5 :2007/11/06(火) 16:26:30 ID:y+xYmWEq0
「さぁ、言ってごらん。俊平。」 「…イかせて…くれ…」 「わかった。」 湯川は満足気に微笑むと、俺の股の辺りに跪いて今にも弾けそうな陰茎をその口に咥えた。 「アッ、…ん、ふ…ぅ…っ」 熱い口腔に包まれて、それだけでイってしまいそうになったけど、 さすがにそれは俺の男としてのプライドが許さず、シーツを握って必死で耐える。 何もかも全部吐き出させてやろうという意思がありありと伝わるくらいに、 湯川は俺のそれを舌で嬲りながら顔を上下に動かす。 じゅぷ、じゅぷ、と、イヤラシイ濡れた音と、女みたいな俺の声だけが室内に響いて、それがたまらなく恥ずかしくて耳を塞ぎたくなった。 なんの前触れもなく、ふと強く吸われる。 「ヤ…、アァッ…!」 堪えきれず湯川の口の中に射精してしまった俺は、それをネタに湯川のいいように言いくるめられ、 その日は朝まで寝かせて貰えず、翌日の仕事に差支えが出るまでアレコレされたのは言うまでも無い…。 終
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ ナンバリングミス、正直スマンカッタorz | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>33 ガリレヲキタ━━━(゜∀゜)━━━!!
待ってました!
しかもエロ教授×卑猥刑事…(;´Д`)ハァハァ
帰宅中の電車の中でニラニラが止まりませんでした。
GJ!
>>41 やおい本広げてるわけじゃないしケータイで見てる分には何読んでるかなんてわかんないよ。
>>41 が自意識過剰なんじゃない?
すごい今更だが
>>17 GJすぐる!!心の汗が出た。
あいつらほんとお互い好きすぎ。
>>33 禿げすぎて毛根なくなった…!
ほんとGJ!
この二人エロすぐる!
47 :
【かたわの虎】 :2007/11/06(火) 22:15:23 ID:5ASLThZk0
,-、 //|| // .|| ∧∧ . // 生 || ∧(゚Д゚,,) < 戦国BASARA 伊達×真田 //_.再 ||__ (´∀`⊂| < 連日すみません i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜 | | / , | (・∀・; )、 < 27スレの【めくらの竜】続編です .ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )! //:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..| . / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´ / ゙ / / / || | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\ | | / `ー-‐'´ | | ./ |_____レ"
政宗殿が戦に負け、豊臣軍に捕まったと聞いておれは動揺した。 まさか、あの強い政宗殿が負けるはずがない、おれとの決着はどうなるというのだ。 敗軍の将を生かしておくほど、半兵衛殿は甘くはないとわかっている。 すぐにでも行って、おれとの決着がついていないのを言い訳に助け出したかった。 それなのに佐助が止める。 「もうどうにもならないよ。竜の旦那が仕掛けて負けたんだから」 そのような事はおれには関係ない。 ただおれは政宗殿と決着をつけたいだけなのだ。 勝敗が決まった後は好きにするがいい。 どれだけ主張しても佐助は譲らなかった。 違うでしょう、旦那は竜の旦那を助けたいんだ。 連れて帰りたいんだ。許さないからね、そんな事。 いくら言い合っても埒があかぬ。おれは佐助の制止を振り切って、城を飛び出した。
ひたすらに馬を走らせて稲葉山へ向かう。 ようやく着いたころにはおれも馬もへとへとに疲れていた。 けれど休むことは出来ない。こうしている今も、政宗殿は何をされているのかわからないのだ。 馬を連れて、半兵衛殿を探す。少し歩くと、荷車が見えた。 そのそばには半兵衛殿がいて、荷車の上には縛られた政宗殿が転がされていた。 傷だらけの姿に血の気が引くのを感じながら、おれはゆっくりと近づいていく。 「…おや、珍しいね。どうしたんだい、真田幸村」 半兵衛殿が笑う。いや、哂う。政宗殿は驚いたようにおれを見ていた。 おれは小さく音を立てて息を吸い込むと、一礼した。 そしてここに着くまでに考えていた言葉を吐く。 「政宗殿をお譲りいただきたい」 突拍子もないおれの願いを一笑し、半兵衛殿は荷車に乗る兵士に合図をした。 同時に、馬がゆっくりと歩き出す。 「お断りするよ。あれは見せしめに殺すんだ」 半兵衛殿がおれを見て哂う。ぎり、と歯軋りをして双槍を握る手に力をこめた。 がらがらと車輪が土を擦る音の合間、突然、政宗殿の声が響いた。 「愛してたぜ、真田幸村ァ!」 …愛していた?いったい何を、政宗殿、と叫んで後を追おうとする。 それを遮ったのは半兵衛殿の剣。おれは吼えて、半兵衛殿に向かって突っ込んだ。
散々斬り合った挙句、突然半兵衛殿が引いた。 熱くなるあまり失念していたが、おれの目的は半兵衛殿を倒す事ではなかったと気づく。 けれどそれは遅かった。半兵衛殿が笑う。 「もう今から追っても間に合わない。好きにするがいいさ」 力をこめて半兵衛殿をにらみ、荷車が去っていた方へと走る。 轍を追い、体力が尽きようとも全力で。 追いついてきた佐助が、おれの隣を走りながら言った。 「もう諦めなよ旦那、行かない方がいい」 おれは答えもせず、ひたすらに走る。 段々と何か、鳥の鳴き声のようなものが聞こえ始めた。 …ちがう、これは。 「政宗殿!」 叫んだつもりの声は驚くほど掠れていた。 聞こえてくるのは政宗殿の笑い声。壊れたように高く大きく、時々途切れながら。 その声をあてに、そこへ辿り着いたときにはもう声はしていなかった。 地に突き立てられた木、それに縛りつけられぐったりとしている政宗殿と、群がる獣。 己を失くしたように叫び、獣をすべて切り伏せた。 あちこちを食いちぎられ、ぴくりとも動かない政宗殿の頬に触れたところまでは、覚えている。 おれは何故気づかなかったのだろう。 おれが政宗殿に対し、政宗殿がおれに対して抱いていた感情は何だったのかを。 どうして気づかなかったのだろう。もう、あの人は、いない。 おれはかたわの虎と同じだ。威勢だけはよいのに何一つ出来ぬ。 政宗殿ではなく、おれが死ねばよかったと、ひっそり泣いた。
51 :
【かたわの虎】 :2007/11/06(火) 22:18:26 ID:5ASLThZk0
,-、 //|| // .|| ∧∧ . // 止 || ∧(゚Д゚,,) < お目汚し //, 停 ||__ (´∀`⊂| < 失礼しました i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜 | | / , | (・∀・; )、 < 次回は猿飛→真田になりそうです .ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )! //:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..| . / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´ / ゙ / / / || | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\ | | / `ー-‐'´ | | ./ |_____レ"
52 :
春の嵐 :2007/11/06(火) 22:31:57 ID:clw0nnWq0
>>47 超GJ佐助に激しくときめいた!!
それなのに大昔の平成ライダーが発掘されたので投下
初なんでずれてたらスマソ
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 仮面ライだ空我で51だよ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| エロなしで春のネタかよ しょべえな
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ クウガッテオイシイ?
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
53 :
春の嵐1/5 :2007/11/06(火) 22:33:01 ID:clw0nnWq0
「春の嵐・・・・か。」 雨の後の濡れた路上には淡い桃色の花弁が所狭しと散らばっている。 昨晩は風雨が酷かったからそのせいだろう。 そう思いながら誰ともなしに呟いた。 ゆっくりと視線を頭上の染井吉野に向けてみる。 まだ、本咲きでは無かったためか蕾は幾らか残っていた。 咲き出したとたんに雨に落とされたのでは、あんまりだ。 意味も無くほっとしている自分が妙におかしかった。 近くのガードレールに腰を掛け、もう一度空に顔を向けて目を閉じると、 昨日の嵐が嘘のように晴天が広がっているのが目を閉じていても感じられた。 『青空が好きだった』 そう沢渡さんに聞いたのは何時の事だったろうか。 あの日から自分の中の時間が殆ど動いていないのが分かる。 何かにつけ、そう、今日のように青空を見たりすると思い出さずにはいられなかった。 まだ、風は冷たく春にはなりきってはいないのに、空はただ前向きに青く温かい。 瞳をあけて改めて青空を見ていると不思議と口元がほころんで来た。 「五代。」 そうだ。あの男を見ていると何時もこんな気持ちになった。 大丈夫だと微笑むたびに、心配しながらも何処からか安心感が沸きあがってくる。 帰ってはこないだろう。 あいつは俺たちのために自分の大切なものを失ったのだから。 そして、それを止める術を俺も椿も沢渡さんもだれも持ってはいなかった。 分かっている。分かってはいるが それだけの事だと、どうしても割り切ることが出来ない。 思い出すたびに胸が締め付けられるような気持ちになる。 今、お前はどこで何をしているんだ。 それさえ分かれば少しは気が晴れるのだろうか?
54 :
春の嵐2/5 :2007/11/06(火) 22:40:10 ID:clw0nnWq0
自分を見下ろしている青空が辛くて目を閉じる。 『だって一条さんに会えたから』 最後の笑顔が瞼に焼き付いて離れない。 馬鹿な。そう言いたいのは俺の方だったはずだ。 あの辛く過酷な日々。それでも、何処か楽しかったのは何故だ? 誰かを信用していながら、本気で信頼した事が無かった事を気付かせられた。 こんな風に他人と心を通わせる事が出来る事を、俺は知らなかった。 「五代」 もう一度だけ、口に出して呼んでみる。 「えーなんで分かったんですか?流石、一条さん。」 そうだ。五代ならそう答える。 もう何年もいなかったなんて感じさせない様子で。 「気付かれて無いと思ったんですけど、やー流石流石。」 どっこいしょ。と声がして、隣に誰かが腰を掛けた。 現実に対処しきれなかった。自分の中にいる声がそう答えたと思っていたからだ。 その声は間違いなく五代の、五代雄介の声で。ココにいるはずの無い人間の声だった。 ゆっくりと右に視線を向ける。 「やー桜散っちゃいましたねえ。」 何時ものように、緊張感のない声で五代が上を見上げていた。 「・・・・五代・・・・。」 えへへ。と五代は笑って 「五代雄介ただいま帰りました。」 と右手を額に寄せ、敬礼の真似をした。 「・・・・本当に五代か?」 思わずそう聞くと、 「やだなあ、一条さん。もう俺の顔忘れちゃったんですか?間違いなく俺、ですよ。」 と、真剣なのかふざけているのか分からない何時もの調子で五代は言った。
55 :
春の嵐3/5 :2007/11/06(火) 22:40:43 ID:clw0nnWq0
「ふ・・・・そうだな。これは五代でしかありえない、な。」 「でしょでしょ。やっぱ一条さんは一味違うな〜。」 あまりにも変わらない五代の口調にやっと俺は落ち着きを取り戻した。 「五代、もう身体は大丈夫なのか?」 「ええ、なんかもう。あんな事があったなんて分からないくらいです。 ・・・・・?一条さん?」 大げさ過ぎるほどオーバーに腕を回す五代の頬に俺は思わず手を触れた。 「無理して笑う必要は無いぞ。」 その言葉に虚をつかれたのか、五代はその動きを止めた。 「やっぱ、分かっちゃいますよね。一条さんには。」 俺の手を掴んでゆっくりと下ろしながら、五代は呟いた。 その表情から笑みが消え、辛いような可笑しい様な不思議な表情になったのが辛かった。 「笑いたいんですよ。笑おうと思うんです。でも、手とか、胸っていうか、心の中っていうか、そんな感じのところが『ぎゅっ』って苦しくなって・・・・・」 そう言いながら俺の手を握る手に力が入った。 「顔が強張ってるのが分かるんです。 ・・・・俺、あんまりこんな事なったこと無かったからどうしていいのか分からなくて・・・。 とりあえず、何とか笑ってる風の表情を作る練習はしたんですよ。」 そう言って、もう一度、五代は笑おうとした。 「無理をするな。大事なのは表情じゃない。心から笑う事だ。違うか?」 「・・・・・・一条さん。」 「それに、顔が笑って無くても、俺にはお前が笑っている事は分かるだろうからな。」 えへへ、と言った五代の表情はぎこちないけれど、確かに笑っているように思えた。
56 :
春の嵐4/5 :2007/11/06(火) 22:46:21 ID:clw0nnWq0
「今日はいい天気だなあ。」 青空に向かって五代は大きく伸びした。 「本当はまだ帰ってくるつもりは無かったんです。 でも、ある日空を見て『今、日本は春だなあ。』なんて思ったら、 どうしても桜が見たくなって。 気が付いたら日本に戻っちゃってました。」 「桜なら他に名所がいくらでもあるんじゃないのか?」 「そうなんですよね。そうなんですけど。 どうしてかココに来ちゃったんです。 でも、まあ、散っちゃってたんですけど。」 「まだ咲き初めだからな。また咲くだろう。蕾も多く残っているし」 「あ!!ホントだ!!」 子供のように嬉しそうに立ち上がる様子は以前とまるで変わっていないような気がするのに・・・・・。 視線をそらして、黒く濡れた地面を改めてみる。 薄紅色の花弁が描いた模様が妙に映えていた。 「これはコレで綺麗ですよね。」 気が付くと横から五代が顔を出して同じように足元を眺めていた。 「それにほら!!あそこの水溜り、空が移ってすっごく綺麗じゃないですか?」 「・・・ああ、そうだな。きれいだ。」 こんな事をいったら不謹慎だろうか。 『あの頃が懐かしい』と。 未確認生命体と共に戦ったあの頃。 今と同じように隣に五代がいて、意味も無い安心感が何時も在ったあの頃を。
57 :
春の嵐5/5 :2007/11/06(火) 22:48:18 ID:clw0nnWq0
不意に手に暖かい風を感じた。 「な、何をしている!」 「一条さん、手冷え切ってますよ。まだ寒いんだから、手袋くらいしたほうが良いですよ。 ほんとにもう、相変わらず自分の事には疎いひとだなあ。」 五代がいつの間にか俺の手を持って息を吹きかけていた。 「あ、そうだ、バイク用ですけど俺のこの手袋します?」 「・・・・・・いや、いい。」 こうしていれば十分暖かいからな。そう言おうとして留まった。 言ってどうなると言うのか。 冗談では無く、隣にこの男がいるだけで身体に体温が戻ってくるような気がしていた。 「なんだか楽しそうですね。」 顔を五代が覗き込んでいる。 「いや・・・。お前が青空が好きだと言う話を聞いた事を思い出してな。」 ああ、と合点がいったように五代は上を見上げた。 「今日も綺麗な空ですよね。何だか吸い込まれそうっていうか。自然と笑顔になってくるんですよ。」 「・・・それでも駄目か?」 振り向いた五代の顔は笑ってはいなかったが悲しいものでは無かった。 「少しだけ。もしかしたら、もう少ししたら、こうしていられたら治りそうな気がするんです。」 「こうして?」 まだ、掴まれたままの手に温もりを感じながら少しだけ持ち上げる。 「あれ?まだ握ってましたっけ。」 五代は忘れていたのか、いつものふざけているのか驚いているのか分からないような表情で自分の手を確認した。 もしかしたら気が付いてはいないかもしれないが、その時一瞬だけ口元が綻んだ。
58 :
春の嵐6/5 :2007/11/06(火) 22:49:19 ID:clw0nnWq0
「五代、昼食はとったか?」 「いいえ、まだですけど。」 「久しぶりだしな。土産話でも聞かせてくれないか。・・・・・あ、もちろん俺のおごりだ。」 「え、でも一条さん仕事は?相変わらずビシバシ忙しいんでしょう?」 「今日は休みだったんだが、する事も無くてな。様子でも見に行こうかと出かけただけだ。気にするな。」 『へ〜』と五代は頷きながら俺の顔をまじまじと見た。 「一条さんでも休みの日があるんですね。」 一体、俺はどんな風に見えているのだろう。おかしくて思わず吹きだしそうになった。 それを隠すように俺は五代の背中を押して、立ち上がるよう促した。 「休みくらい俺だって取るさ。さあ、行こう。」 五代と歩きながら、もう一度空を見上げた。 その空は今日初めに見た空とは色が違っているような気がした。
59 :
春の嵐 :2007/11/06(火) 22:50:08 ID:clw0nnWq0
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 長スギ落選シマシタ | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 長ったらしい上に溢れてスマソorz 予想以上に長かったスマソorz
>>47 GGGJ!
連日つーことはもしかして
>>23 の作者さんかな
あなたの文章が大好きです!
まさかめくらの竜まで同作者さんだとは(*´Д`)
>>59 おお、懐かしいモノが。
そういやそういう名前の2人でそういう終わりだったね。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 絶望先生の准望前提の命准、命望、おまけに命×望×准の3P ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| お兄さん壊れている上に鬼畜表現ありのカオスなので充分に注意 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
百遍生まれ変わったってこんな素敵な人にはもう二度と会えやしない。 僕が先生に抱いている感情は恩師への敬愛や思慕の念あってこそすれ、 劣情を伴う懸想ではなかったと思う。でも、思うんだ。 理性の及ばない、僕の深い深いところでは、もしかしたら先生のこと。 連休前の金曜日、めずらしく糸色先生から家に来ないかと誘われた。 実家から貴重な古書が届いたから、と。 僕は一も二もなく頷き、それから思い出したように 「交くんにお土産……何かケーキでも買って行きますね」言った。 それは奇しくも先生の「ああ、交ならいませんよ。倫が泊まりで大阪の方の観劇に連れて行ったので」 という返事を期待していたように自分でも思われてバツが悪くなる。 「じゃあ放課後」、何食わぬ顔で手を振るのが精一杯だった。 秋の暖かな日差しが糸色家の一室に差し込む。 ところどころ擦れて読めなくなっている明治時代の本は、紙も黄ばんでいて頁をめくるとふわりと埃の匂いがする。 灯りもつけずに先生と二人、並んで端から読みふけっていたが、 いつのまにかうっすらと夕闇に包まれていることに気付く頃にはすっかり肌寒くなっていた。 「先生、寒くないですか」顔を挙げて振り返ると、先生は座椅子に腰掛け膝の上に本を広げたまま、こんこんと眠っていた。 僕は自分が読んでいた本を丁重に脇に置くと、何処からか毛布を取ってこようと、先生を起こさないようにそっと部屋を出た。
「望は、いるか」 僕が襖をそろりそろりと開けた時、廊下の端の玄関に、先生とそっくりの顔の男性が立っていた。 そのたたずまいがあまりに闇に同化して人がいるなんて気付かなかったものだから、 僕は一瞬「あっ」と声をあげてしまった。 「命、さん。先生はこちらの部屋でおやすみになってますよ。……なにか」 僕が最後まで言い終わらないうちに、命さんはつかつかと歩み寄ってきて、僕の前に立ち、手首を掴んだ。 「えっと、その」 その行動があまりに唐突だったため、位置は動かないままで重心を踵に移し、その手と視線から逃れようと、後ろに仰け反ってしまった。 「ふん」と何処か不愉快そうに鼻を鳴らすのが聞こえた後は無言で手首を掴まれたまま、隣の部屋に引っ張られた。 今先生が寝ている部屋の手前の和室、そこの畳に突き飛ばされていた。 背中に衝撃があったと思ったのは一瞬のことで、あとはただ、僕に覆い被さった命さんの顔、先生にとてもよく似たその顔が瞳孔にちらついた。 「い、痛いです」 他に文句とか、「何故」「何を」となじる言葉はいくらでもあったはずなのに、僕はただ純粋な痛みを訴えた。 背中でねじり上げられ、命さんがカーディガンの下にしていたネクタイできつく結わえられつつある腕が痛い。 身長差とか年の差とかどうにもならない理不尽な圧力に、僅かに身じろいだがそれ以外の抵抗は出来なかった。 「静かにしないと望が起きるだろう」 相手は口の端を歪めて声もなく笑った。 「何をしてるんですか」 うっと一瞬息を詰め、ようやく声が出たときには制服のボタンが半分はずされていた。 「近頃、可愛い弟にまとわりつく不届き者がいてね」 ――ちょっとお仕置きを。 囁く湿った声を耳に注がれた時、僕は完全に背筋を凍らせていた。
薄暗い部屋の天井と、あかりがついてない蛍光灯から垂れた紐をぼんやり見ていた。 天井の木目を数えながら、下から響く水音と、僕自身のはしたない息づかいの音に耳をつぶった。 声は抑えられていても直に響く快感と、物理的な息の音だけは感覚器官がそう出来ている以上は抑えられない、と心の中で言い訳する。 命さんは何が楽しいのか熱心に僕の下半身を舌で嬲り、時折後ろの孔に指を入れる。 その度に僕は必死でその指と舌から逃れようと不自由な上半身で畳を這って後ずさる。 が、すぐに広げられた両膝を掴んでもとの位置に戻され、僕はただ、背中の後ろでくくられた痺れた拳をぎゅっと握った。 どのくらいこの時間が続いたのか、日はとっくに落ちているので解らない。 その時、襖の向こうでカタリと音がして、先生が目を覚ましたのがわかった。 剥き出しにされた太ももに鳥肌が立ったのがこの相手にも解ったらしい。 ひときわ、僕の内部をまさぐる指の動きを早める。絶対に声をだすもんか、と思ったが、隣の部屋のこと、見つかるのは早かった。
僕はただ見ていた。 さっきまで糸色先生が腰掛け眠っていた座椅子に縛られたまま、先生とお兄さんがまぐっている様子をただ見ていた。 「やめて、兄さんやめて」先生の声が聞こえる。 「久藤くん、見な……でっ」先生の甲高い悲鳴が聞こえる。 「どう、して、こんな。許し」嬌声が聞こえる。僕は目が離せないでいた。 ケモノのように四つん這いになり、後ろから抱きこまれて犯されている先生。 袴の間から覗く先生の白い足も、何かに耐えてふんばるように必死に畳のい草に爪を立てる細い手も、 痛みはあまり感じていないのか、快楽とむしろこの場合屈辱のせいで艶やかな喘ぎ声を途切れることなく紡ぐ唇も、 皆、みな、僕が一度は空想の中で思い浮かべ、こんなことでは愛しい先生に申し訳が立たないと頭を振って打ち消した情景だった。 それが今、僕の目の前一尺ほどで繰り広げられている。 縛られてさえいなければ、手を伸ばさなくとも触れられそうな近さ。 僕の下半身はみっともないほど起ち上がっていたが、秋の冷気に晒されたままの肌がこの熱をある程度は沈めていた。 さっき、命さんに嬲られたままの姿の僕だって先生に負けず劣らず卑猥な姿を曝していると思う。 情けない、そう思ったとき先生と初めて目が合った。淫らな吐息の合間に先生の唇が「久藤くん」と僕の名前を形作った。 でもそれは言葉にならずに、熱を持った息が僕の頬に触れただけだった。それでいい。僕の名前を呼んだら、多分命さんは激怒する。 だからずっと僕は一言も言葉を発しなかったのだ。 「おまえは」 彼の手が優しげに先生の髪を梳く。そして続けて言った。 「望はいつから自分の生徒を誘惑するような悪い子になったんだい」 「ゃっ……ちが……!」 「ふうん、違うのか。じゃあ准くんが望を誑かしたのかな」 「違っ……。ふぁっ……久藤と、は……そんな…関…係で、は」 先生の頬を涙が伝う。あまりの言われように僕もだまっていられなくなった。 「命さん、誤解です! 糸色先生は」 「そう。でも私にはそう見えたのだけれどな」 「違うのなら、そうしてしまえばいい。なんなら手伝ってあげようか」 にこりともせずに命さんは確かにそう言った。
「やだ……やだ、先生、やめて…こわい」 今度は、哀願するのは僕のほうだった。 僕は先生のことが好きだ。こんなに素敵な人はもういないと思っていた。 敬い慕っていたし、健全な男子としても恋い焦がれていた。だけど今は、初めての感覚と痛みに、震えていた。 「ごめんなさい、久藤くん、許して、許してださい」 先生が何度も何度も謝りながら、僕の中に少しずつ入ってくる。 先生の声には涙が混じっていて、苦しそうだった。 先生の意思に(恐らく)反してじわじわと進められる腰の動きは、命さんのせいだ。 命さんは後ろから先生の中に入ったまま、先生を揺さぶっていた。 そのことに僕が今更ながら気付いたのは、孔を貫かれる痛みで一度瞼に火花が散った時である。 先生も、これくらい、痛いんだ。そう思ったらあとは楽だった。 「先生、僕は大丈夫だよ。だから、気にしないでいいです」 先生は後ろで命さんに犯されているので、後ろに引くことは許されない。 驚いたように目を大きく見開くと、ぐいと全てを僕に埋めた。先生は今の僕と同じように、命さんにされている。 ああ、一つだけ違う。僕と先生は正常位の体勢だけれど、命さんはバックスタイルの先生に覆い被さっているんだ。 だから命さんの腕が先生の腰に回されているのが僅かに見えるし、先生の腕は僕の背中に回されている。 何度か触れ合ったことはあるけれどそれは本の受け渡しや軽く肩を叩くとかそういったこと。 先生の腕がこんなに心地よく、甘い匂いがするなんて思わなかった。痛みはだいぶ引いていた。 辛いことがあるとすれば、一つ、座椅子に括り付けられた無理な体勢で腰を浮かされているため腹筋が痛いのと、 先生に僕からは触れることが出来ないことくらい。
「せん、せ……へい…き」 僕はずっと泣き顔の先生に、笑って見せた。 「兄さん、なんで、こんなことさせるんですか……!」 先生が後ろのお兄さんを首だけで振り返って言う。 「そんなことより、望。私の動きに合わせておまえも動くんだ。前立腺が刺激されて前もさぞ気持ちいいだろ」 僕の中に繋がれた熱い先生の楔が動く。でもそれは先生の本意ではない。 背後から揺さぶられる身体がそういう動きを強要されるだけだ。ず、ず、ず、と音が聞こえる。 耳に外部から聞こえる音ではなくて、体内から響く重く低い振動だ。 「ごめ……なさい……」 先生の涙が僕ののど元を伝った。 「ねえ、望。自分の生徒の中はどうだ。腰が自然と動かずにはいられないだろう。今おまえは、最愛の教え子を犯しているんだよ。 これを悲劇(トラ)と言わずになんて言うんだろうね。望が准くんの中で感じればこんなふうにすぐわかる。 ほら、今ぎゅっと中が締まった。もう止まらないだろ。もう一度言ってやろうか。 おまえは、生徒を犯して、その肉壁で快楽を得ているんだ。おまえはそういう人間なんだよ」 腕が自由ならば。先生の耳を塞いでお兄さんの言葉なんか聞かせないのに。 そう思ってわずか上の先生の顔を見つめると、先生はお兄さんの言葉が耳に入っているのかいないのか、 ただただ耳に心地よい声で泣くように喘いでいた。 「…っ、ぁ、あ、も……僕も……気持ちい、……んっ先生だから……、先生だから、嫌じゃない、です……やぁ、ぁ、」 耳に響く声は僕のものか先生のものか。 嫌なのかそうでないのか。トラなのかコメなのか。 生は悲劇で死は喜劇と言った文人の言葉を思い出しながら、 それでも僕はこの愛しい先生を思う気持ちだけは明確に変わらないと感じていた。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 長いのと色々倫理的に問題あってすみません | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
GJ! 考えたことないパターンだったけど、これもありだなと思ったよ テラ乙
>>59 gjすぎる!まさかここであの二人に会えるとは
ちょっくらビデオ見返してくる
前スレに入りきらなかったので改めてこっちに投下させてくらはい。 恥の上塗りで相すみません。 史実のエピに萌えて書いた。 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 細道シリーズの師匠と弟子だってさ。 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 死にネタ注意だよ。 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ マジカヨ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
宿のうすい布団に病んだ青年が横たわっていた。顔色は紙のように白く、数日来ろくな食べ物をうけつけていないため、ひどく面やつれしてしまっている。 そのかたわらで外聞もなく泣きじゃくっているのは、青年よりひとまわり以上も年かさの男だった。 「――いい加減にしてください、芭蕉さん。うっとうしい」 眠ると見えた青年は、目を開くとしっかりした口調で言った。枕元に白湯の入った急須とともに置かれた手ぬぐいをつかみ、男の顔面に投げつける。 「洟を拭いてくださいよ。ただでさえ抵抗力が落ちてるんだから、バイ菌のかたまりを垂れ流されては迷惑です」 辛辣な物言いは常と変わらず、芭蕉は「バイ菌ってなんだよ!」と条件反射的に言い返しながら、顔をぬぐった。 弟子の曽良は、金沢に着いたころから体調を崩していたが、ここ山中温泉まで来て、とうとう倒れてしまった。 はじめのうちこそ鬼の霍乱、命の洗濯ができると思っていた芭蕉だったが、曽良が寝込む日が長引くに連れて、事態の由々しさを悟らないわけにはいかなかった。 これからどうすれば良いのかわからない。曽良の回復がいつになるかも知れず、旅を中断しようにも、江戸はまだまだ遠い。なにより、普段は鬼のごとき弟子が顔を青褪めさせ、マーフィー君のようにぐったりしているのを見るのは、思った以上につらかった。 「曽良君……ごめん」 「……? 何を謝っているんですか」 いぶかしげな弟子を見下ろして芭蕉は鼻をすすった。 「私は、何も出来なくて……」 曽良は何も言わず芭蕉を見上げたが、ふと目をそらし、よそを向いたまま口を開いた。 「伊勢に親類がいます。そこを頼って養生させてもらおうと思います」 「え……?」 「ここでお別れしましょう。僕は明日の朝伊勢に発ちますから、芭蕉さんは予定通り残りの旅程を続けてください」 「そんなっ、そんなのできないよ!」 思わず大声が出てしまう。曽良と別れて旅を続けるなど、考えられなかった。 「わ、私には一人旅なんて無理だよ……」 引き止めるために泣きごとを言う。しかし弟子は、そんなことは予想済みとばかりに、金沢で知り合ったばかりの俳人や行く先の知己の名を挙げるのだった。
「芭蕉さんに一人旅が出来るとは思っていません。当面は、金沢の北枝さんが同行してくれます。大垣まで行けば、如行さんの家に泊まれます。手紙を出しておきましたから、敦賀まで誰か迎えをよこしてくれるでしょう」 何もかも用意周到な弟子だった。思えば、旅費の管理から宿の手配、各地で俳席を設ける段取り、すべて曽良がやってくれたのだ。そうして事務的なことをこなしつつ、曽良が叱咤し、(文字通り)尻を蹴飛ばしてくれたから続けられたような旅だった。 「……ごめん、病人に気を回させて……」 「まったくですよ」 ばっさりと言って、曽良は何を思うのか、起き上がろうとする。芭蕉はあわてて助け起こした。腕をまわした身体は記憶よりも軽く、頼りなかった。白い夜着につつまれた肩が、痩せて尖ってしまっているのを芭蕉は痛ましい思いで見た。 「こんな体で、伊勢まで行けるのかい」 このまま抱き締めて、あるいは縋り付いて、行かないでくれと言おうかと考える。 しかし曽良は芭蕉の腕を押しのける。 「足手まといがいなければ、それくらいの旅はできます」 そっけない応えだった。相変わらず師を師とも思わぬ言いようには、さすがに悲しくなってくる。 うつむいてしまった芭蕉の前で、曽良はきちんと正座し、布団に手をついた。 「――師匠。かえすがえすもお世話いたしました」 「ああ、え…ええ? 曽良君いま師匠って……。ええ!? なにその挨拶?」 あたふたと聞き返すも、曽良はもう知らぬ顔でそっぽを向いている。その視線の先にあるのは、縁側を隔てる障子か、その向こうの夜の闇か。あるいは実体を持たぬ思い出の姿なのかもしれない。 今の言葉が弟子の精一杯の気持ちの表現なのだと、芭蕉には飲み込めた。もとより曽良の決めたことを覆すなど、できそうもない。 「……うん、世話を焼かせたね」 秋の虫が盛んにすだいていることに、今更ながら気づいた。 「都をば、かすみとともにたちしかど――。……長い旅になりましたね」 曽良が静かにそう言った。
翌朝、芭蕉が目を覚ましたときには日が高くなっていた。旅のあいだ毎朝乱暴に蹴り起こされるのが通例だったが、曽良が病気になってからはそれもない。 「はっ、曽良君は!?」 曽良の布団はきちんと畳まれ、荷物はすっかりなくなっていた。宿の者をつかまえて訊くと、 「今朝はやく発たれましたよ」 と言う。 見送りもできなかったのだった。 芭蕉が呆然と立ち尽くしていると、宿の者が呼びかけてきた。 「あの……お連れの方が、これをと」 渡されたのは一葉の短冊だった。曽良の綺麗な手蹟で句が書き付けてある。 ―― 跡あらん 倒れ伏すとも花野原 (このさき道半ばで僕が行き倒れたとしても、秋草を踏み分けて歩いた跡が残っていることでしょう) だからその時は、見つけてください――この亡骸を。 言外にそのような意味を含ませた、遺言にも似た句だった。 「……何だよこれ。俳句うまっ。うますぎるよ……弟子のくせに……」 曽良の字の上に、涙がいくつも落ちて墨をにじませた。
秋風がカサカサと音を立てて渡っていく。 すすきは白髪のように枯れ乱れ、桔梗もおみなえしも萎んで黄色くなり、ただ咲きおくれた白萩がほろほろと花びらをこぼす、寂しげな野だった。 草の海のような野には道どころか獣の歩いた跡すらない。 右も左もわからない場所で芭蕉は途方にくれていた。 「曽良君の嘘つき……。君が歩いた跡なんかどこにもないじゃないか」 心細く呟きながら、枯れ草を掻き分けて歩き出す。 (いや、そうじゃない。曽良君は先に行ってなんかいない……) 夢うつつに思い出す。 そうだった。 曽良はあのあと伊勢で体を治し、大垣まで迎えに来てくれたではないか。 再会できたときはうれしかった。でも、別れていたあいだに作った句を見せたら、風呂の焚き付けにされてしまったっけ。そんなことすら、今となっては懐かしく思える。 いまや記憶ははっきりしたものになった。 みちのくの旅路は何年も前に終わったこと。そのときの思い出をもとに紀行文を書いたこと。紀行文には曽良が良いと言った句しか載せさせてもらえなかった。曽良の作った句も、仕方がないのでいくつか載せてやった。 そして今、上方に向かう旅の途中で病に伏しているのは、自分自身だということ。 自分のたましいは衰弱した体を抜け出して秋の野にいるのだろうか。 「そうだ……これで良い。これで良いんだ。これが正しい順番だ」 誰の踏み跡もない枯野を進みながら、芭蕉はひとりごちた。弟子が師匠に先んじて良いはずがない。やっと、あの不遜な弟子も順序をわきまえたのだ。 小雪のような白萩の花を手のひらに受けて進む。 旅を終えて、江戸に帰ってからはわずらわしいことが多かった。人はとかく派閥を作りたがり、俳諧の世界もその例外ではなく、人間関係に悩まされることが多かった。 その度に、奥州の細い道々を、過ぎ去った時間を恋しく思った。弟子に蹴られたり、溺れかけたり、弟子に平手打ちされたり、悪いキノコにあたったり、弟子にあやうく国外追放されそうになったり、艱難辛苦の道のりだったが、この上なく自由だった。 そして自分はまた旅に出、旅の途中で死のうとしている。 満足すべきなのだろう。 それにしても、死出の道がこんなにもさみしいものだとは知らなかった。
唐突に川べりに出た。三途の川と思しきそこは、なぜか最上川にそっくりだった。あまりに懐かしい風景に、思わず曽良が後ろにいるような気がして振り返る。けれどもそこには、茫々とすすきがそよぐばかり。 芭蕉は急に憤りを覚えた。猛烈に腹が立った。 「普通、ここは引き止めに来る場面だろ……! 『師匠、そっちに行ってはいけません!』って! やい曽良、弟子なら止めに来んかい!」 呼び捨てにしても怒られない代わりに、応えてくれるものもない。 芭蕉はその場にしゃがみこみ、涙ぐんだ。 考えてみれば、曽良が引き止めてくれることなどないような気がした。それどころか、奪衣婆さながらに着物を剥ぎ取られて三途の川に突き落とされかねない。その場面が鮮明に想像できてしまい余計に泣けてくる。 「曽良君、曽良君……会いたいよ」 この期に及んで思い浮かぶのは曽良のことばかりだ。 「この弟子男!!」 叫んだ声がむなしく川面にこだました。 「この弟子男!!」 芭蕉は自分が叫んだ声で目を覚ました。気がつけば魂魄は体にあり、体は病床にあって天井の板目を見上げていた。心配そうにおずおずと覗き込んでくるのは、上方の知人だった。病気の知らせを聞いて駆けつけ、世話をしてくれている。 「どうかしましたか、芭蕉さん……」 「あ……いえ。……夢を、見たんです」 まだ、彼岸には渡らずに済んだらしい。芭蕉は目を閉じて息をつく。まぶたの裏に枯野のまぼろしがあざやかに見える。芭蕉は、知人に声をかけた。 「墨をあたってくれませんか。一句できたので……」 長い夢だった。みちのくの旅の終わり、そして白い萩の花咲く野原。 旅をすれば、行く先々で助けてくれる人がいた。人づき合いを厭うこともあったが、知人にも友人にも――弟子にも、恵まれていた。 この句は江戸にいる曽良に届けてもらおうと思った。良い句ができましたねと、言ってくれるだろうか。 (曽良君、私は君に褒められるのが、何よりうれしかったんだよ……)
深川の、以前は芭蕉庵と呼ばれた小さな家の近くに、曽良は変わらず住んでいる。奥州行脚の旅費を捻出するために、芭蕉は芭蕉庵を売ってしまったのだが、江戸に帰ってきてから時折かつての住居を懐かしんで、曽良の家に泊まることもあった。 その家を上方からの使いが訪れたのは、秋も去ろうとするよく晴れた寒い日だった。 「そうですか」 報せを聞いても曽良は眉ひとつ動かさず、淡々とそう言っただけだった。使者は戸惑いながら預かってきた文を差し出した。松尾芭蕉の最後の句が記されている。 ―― 旅に病んで 夢は枯野をかけ廻る 曽良は長いあいだ黙ってその文字を見つめていた。やがてひっそりと、 「――良い句ができましたね」 と口にした。 「ええ。まったく素晴らしい句です」 使者は己に向けられた言葉と思い相槌を打ったが、曽良は彼を見てはいなかったのだった。たった今、余人の存在を思い出したというように目を瞬く。間を置いて、深々と頭を下げた。 「遠路はるばる、ご足労をおかけしました。……お帰りはお気をつけて」 自身も俳人である使者は、曽良と松尾芭蕉について語り合い、共に行った旅路の思い出のひとつも聞けたらと考えていたのだが、そう言われてしまっては辞去するほかなかった。 曽良は門口まで立って使者を見送った。つましい庭の一角に、萩が時期におくれた白い花を散らしている。 訪問者が去ったそのあと、 「……言ったでしょう。良い句ができればいくらでも褒めますと」 誰にともなく呟く曽良の声を、聞く者もない。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ オシマイ | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 蛇足 文中の曽良の句は出典によって違う(改訂されている)のですが、初案に近いと言われるものをチョイス。というか一番萌えるのを(ry 死にネタでごめんなさいでした。 そして前スレを汚して申し訳ありませんでした。 復活の呪文置いていきます。 つ【アブラカタブラ ホイホイホイ!】
>>72 あの師弟はイイ!萌えましたありがとうgj
ばっしょさーーーーーん! ちょうどDVD見てたとこだよ >72-80 GJ! 間違えて前スレを必死にリロしていたのは内緒だ…
日和なのに視界がぼやけるのは何故なんだぜ?
>>72 超GJ!
日和ーーーーーーーーーーーー!! GJだぜ
>>80 ありがとう切なくなった……
史実のソラくんの句は燃え&萌えだよな
>>72 GJでした!!
日和でこんなに涙ぐんだのは初めてだ(ノД`)
うを、
>>80 さんの話はギャグマンガ日和だったのですか!
てっきり史実の話かと・・・
何か随分バイオレンスな師弟だったんだなーって
普通に読んでたよorz
90 :
家出前夜 :2007/11/07(水) 22:00:09 ID:EMPW1dJU0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 塵と手陳の弟子師匠だよ ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ゴウカーンものが駄目な人はスルーしてね。 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ヌルイデスケド… | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
91 :
家出前夜1/4 :2007/11/07(水) 22:01:17 ID:EMPW1dJU0
夢を見た。 小さな子供が泣いている夢を。 こちらをひたすらに見つめながら声もなく泣く子供が哀れで、愛おしくて、抱きしめてやりたいとおも うのだけれど、身体が動かない。 そのうちに子供の姿がぼんやりと霞み始める。助けを請うような表情の子供に声を掛けることすら、声 帯ひとつ震わすこともできない身体では適わない。じりじりとした焦りと無力感をかみ締めながら、消 え行く子供をじっと見つめていると、消え去る直前に子供の口が短い言葉を綴るように動いた。 声は聞こえなかった。けれど何を言ったのか自分にははっきりと分かるのだった。 『……ししょう』 泣いている子供…、あれは――、早々だ。
92 :
家出前夜2/4 :2007/11/07(水) 22:02:22 ID:EMPW1dJU0
「………」 目覚めて最初に襲ってきたのはガンガンという頭痛。ひどい倦怠感。 枕元からは男のすすり泣く声。 だからこれは夢の続きだと思った。けれどその声が弟子である早々のものだと気付き、早若は状況を認 識した。 先ほど、自分は、この年若い己の弟子に抱かれたのだ、と。 それは無理やりの行為だった。夜半自分の寝室に訪れた早々の、「俺を見捨てんといて下さい」という 懇願を早若がつっぱねた、その結果だった。 思いつめた顔をしていた。師の、夕刻『寝床』で浴びせられたような冷淡な言葉に、その顔を大きく歪 ませて、早々は感情を爆発させたのだ。 それがどうしてこんな行為に至ったのか、早若には分からない。引き倒され、口を塞がれ、衣服を剥ぎ 取られて無理やりに身体を開かされた。 その仕打ちが信じられなくて、何より弟子が道を踏み外すのをなんとか止めたくて試みるあらん限りの 抵抗も、激情にかられた早々には全く無意味だった。体格の差で抵抗はことごとく封じられ、あげくに は大人しくしろとばかりに、頬を2度3度叩かれた。
93 :
家出前夜3/4 :2007/11/07(水) 22:03:05 ID:EMPW1dJU0
張られた頬はもちろん、身体じゅうがひどく痛む。全身が鉛のように重く指の一本すら動かす気になれ ない。早若は、身じろぐこともできず、早々の泣く声をただ聞いていた。 しかしこんな目に遭っていても、早若は弟子を責める気も、恨む気もないのだった。 この男を、ここまで追い詰めてしまったのは自分なのだ。 行為の最中、早々から受けたきつい抱擁は、まるで縋り付かれているかのようだった。 己の欲を満たしているはずの早々の顔は、今にも泣き出しそうに歪んでいた。 その表情があまりにも切なくて、与えられる痛みと同じくらい胸が痛んで……。 苦しさに朦朧としていく早若の最後の記憶は、自分の手が弟子の頭を愛しげに撫でているものだ。 ――泣いている子供を、捨てないでくれとすがり付く子供を、愛しく思わないはずがなかった。
94 :
家出前夜4/4 :2007/11/07(水) 22:04:51 ID:EMPW1dJU0
早若が意識せずに吐き出したため息で、早々は師が目を覚ましたことを察したようだった。 「…師匠!起きはったんですか!?あの…、具合はどうですか!?」 とたんに泣き止み、慌てたように枕元ににじり寄って師匠の身を案じるいつもと変わらぬ早々の調子に 、早若はどう答えたらいいのか分からず、じっと天井を見つめていた。 「………ししょう…」 途方にくれた早々の声。「…っ、師匠…っ、俺っ、なんてことっ……」しだいに涙交じりのそれになる。 首だけを動かして早々を見遣った早若の視線にぶつかると、早々はびくりと身を震わせた。うつむき、 膝に置かれた手がぎゅっと握り拳の形になった。 「すみませっ…、師匠…!」 すみません、許して下さいと許しを請い、しゃりあげて泣く大男。その姿が夢で見た子供の姿と重なる。 泣いている子供をどうにかして安心させてやりたい、と早若は思った。思うように動かない腕をのろの ろと早々に向かって差し伸べていく。 しかしその手は、途中でぱたり、と布団の上に落ちた。 お前が悪いんじゃない、と言ってやりたかった。 そうして、いつものように早々の頭をくしゃくしゃとかき回してやりたかった。 照れたようにはにかんで笑う、大切な弟子の笑顔をもういちど見たかった。 けれど、いまの自分が、泣いているこの弟子にしてやるべきなのはそんなことではないと、早若は痛い ほどに分かっていた。 夢の中のように、消えさせるわけにはいかないのだ、と。 早々の方に向いていた視線を再び天井へと戻し、覚悟を決めるように目を閉じる。 大きく息を吐いて――心底呆れてついたため息だと受け取ってくれるといい、と願いながら――、 そして早若は口を開いた。
95 :
家出前夜オワリ :2007/11/07(水) 22:07:20 ID:EMPW1dJU0
| __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 今日の放送見て妄想してもた。 | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
96 :
90 :2007/11/07(水) 22:14:49 ID:EMPW1dJU0
改行とか酷すぎるね…スミマセンデシタ。
>>90 地理とてキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!GJ!!
若さゆえの暴走…けしからん!もっとやれ!
>90 なんじゃぁあこりゃぁああ! (*´д`*) 萌えたよ、萌尽きちまった・・・。 GJありがとう!
>90 GJ!!!すごいツボな表現が沢山で読んでてキュンとしました。 また是非是非書いて下さいお願いします!
ねえさん方のおかげで遅刻覚悟で朝銅鑼みたいと思うけど2,3分で我慢している。
>>100 動画サイトとか再放送とか録画するとか!
GJGJGJGJ!!!!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 日本昔話 はじまるよー ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 鬼退治に行くから若干バイオレンスだよ | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 血ガ飛ブオ・・・ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
生れ落ちた瞬間から、自身の裡にどうしようもない衝動があった。 日和見な自分の世界では、昇華することも能わない暴力的な衝動が存在した。 人より恵まれた体躯は、きっと作農や商売に使うよりももっと相応の場所があると、そう思っ ていた。 自身がそう思うように、周囲の人間もまた、その衝動を昇華するものを、する場所を探していた。 退屈な世界に、誰もが興奮を求めていたのだ。 誰もが、その暴力性を発揮できる正当な理由を探していた。 「鬼の棲む場所が在る」 孤島に人ではないものが棲んでいるのだという噂は、一瞬にして村を巡った。 鬼は人を食う。 どこかの集落の娘が攫われて食われたのだと、誰かが言った。 安心して暮らせないから、誰かに退治して欲しいのだと、誰からでもなく口にした。 それにいかほどの信憑性があったのか、誰にもわからない。 けれど、それを確かめることは誰もしなかった。 その真偽など、初めからどうでもよいのだ。 戦う前から英雄であった自分は、英雄の名の下に刀を手にし、仲間を集めた。 綱、金時、季武、貞光はいずれも同様腕に覚えのあるものばかりで、けれどそれを発揮する場 所もなく燻っていたもの達だ。
孤島は、美しい場所であった。 降り立った屈強な男達が滑稽に見えるほど、平和で、美しく、光に溢れていた。 鬼は、人の者ではない言語を操る。その金色に輝く頭髪は、太陽光を受けて更に輝いていた。 けれどその姿が、言葉が、やはり彼らは異形のものだというこの上ない証なのだ。 戸惑うように武装した男達を見る彼らは、男達の目的を察することが出来ず、不安げに視線を 向ける。 その時生まれた感情は、衝動以外の何物でもなかった。 無性に、全てを破壊したくなったのだ。美しい場所で微笑むものを、根絶させてしまいたくなった。 突然刀をふるった男達に、彼らは逃げ惑い、泣き叫んだ。 抵抗をする術も持たず、力もなく、ただ斬られていく。 恐らく許し請うているのだろう、下げられた頭をお誂え向きとばかりに刎ねあげた。 奮った瞬間、飛沫を上げる血潮に、鬼も生きているのだと男達は思った。 涙を流す姿に、感情があるのだと思った。 だが、鬼は退治しなければならない。 そうしなければ、こちらがやられてしまうのだから。
村から奪った宝がある。 村から攫った娘がいる。 孤島をくまなく探してみたが、それらは既にない。 宝など、既に金に変えてしまったのだろう。 娘など、もう食ってしまったのだろう。 けれど、鬼が耐えたことにこそ意義があるのだ。もう彼らは鬼に脅かされることなどない。 勝利の証に、鬼の宝を探した。 けれど、鬼は何も持っていなかった。どの家にも、何もなかった。 「……mam?」 一軒のみすぼらしい家の戸板が開く。 一匹の鬼の子が、そこから顔を出した。 ともすれば銀色にも見える金色の髪に、どの鬼よりも空色をした瞳が、男に向く。 「daddy?」 鬼の言葉を喋る少年に、男は刃を向けた。 切っ先を眼前に滑らせ、髪の毛一本分程の間隙で止める。 少年は、微動だにしない。 「……目が、見えないのか?」 「what?」 空色の瞳を向けたまま、不思議そうに首を傾げた。 子鬼は、よろめきながら外へ出る。足元に転がっていた鬼の死骸に躓き、転びかけたのを、男 は咄嗟に抱き上げた。
「thanks」 鬼の言語など分からないが、子鬼が礼を言ったのは分かった。 子鬼が笑う。信頼しきったような顔で、彼は笑った。 至近距離で見ると、その肌の白さや黄金色の髪が、美しく見えた。 微笑みながら子鬼は頬を寄せる。 触れた肌の感触に、その温かさに、男の胸が撥ねた。 どうしても、この生き物が欲しくなった。 本物の金よりも、太陽に透けて輝くこの金色の方が魅力的に思えた。 食めば餅よりも柔らかそうな肌も、すぐ壊れてしまいそうな玻璃のような瞳も、全てが欲しくてたまらなくなった。 「By the way, do not you know where my mom and daddy went to?」 「お前、名はなんという」 「……waht?」 「名前だ。なんという名だ」 困惑した様な表情をする少年に、男は舌を打つ。 少年の小さな手を取り、自身の顔に触れさせた。
「私の名は、『桃太郎』だ。お前は?」 「……」 確かめるように、少年の手が触れてくる。 男はしっかりと顔に触れさせ、再び繰り返した。 「桃太郎、だ」 少年の表情が、明るくなる。理解したのか、嬉しそうに男の名前を口にした。 「モモタロ」 「そうだ。お前は?」 少年の手を、今度は少年の顔へ寄越す。 名を問われたのだと理解したのだろう、少年が自身の名を口にした。 けれど、鬼の言語は人間には聞き取れない。 「仕方ない。俺がお前に名をやろう」 男は嘆息し、少年に名を付けた。 「茨木童子。どうだ?」 理解しているのかしていないのか、少年が笑う。 その笑顔につられて笑っている自身を発見し、男は多少居心地の悪い思いをしたが、それは 決して不快ではなかった。 「茨木」 新しく付けた名を呼び、少年の唇に自身の唇を寄せる。 口吸いの意味も知らない少年は、くすぐったそうに身を捩り、笑い声を立てた。 男は再びつられるように笑い、その幼い唇に誘われるまま口付けた。
109 :
孤島の鬼 :2007/11/08(木) 21:49:19 ID:ub88kyC90
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 昔なつかしマガジソの『牛寺攻の拓』。秀人×緋咲で殴り愛。殺し愛。 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 読み返したら萌え再燃でつい書いたんだってさ。 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ カルイケドリュウケツヤボウリョクビョウシャガアルゾ! | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
Side: 緋咲 ゆらめく光はまるで螢のように。探す甘い水は獲物の血液か。ジ クジクと来栖にアイスピックで刺された腹が痛み、血は流れる。首 のあたりを変に冷たい汗が滴る。誘うように光るテールランプ。腹 立たしくも、パールホワイトのFXの背中を見て走るはめに。 ふざけたヤローだ。いつもいつも叩き付ける拳が伝えていたはず だ。憎悪、嫌悪、激しい破壊欲。むしろそれは殺意だ。殴るたび殺 してしまいたいと思う。この手で葬り去ってやりたいと。お前は知 っているはずだ。この拳から流れ込むその激情を。 それでもお前は、俺を生かす。いつか俺は、そんなお前を殺すだ ろう。互いに血まみれになりながら、罵りあいながら、ただひたす らに殴り合ってそれで喧嘩の終わりに和解するわけでもない。そん な日は永遠に来なくていい。全身の細胞でお前を嫌っている。初め から、因縁なんてどうでもいい。そんなものがなくてもきっと俺と お前は敵だ。世界中のどこにいようと、必ず出会って殺し合う、そ んな最悪の相手だ。 腹にあいた穴が訴える痛みに滲む視界の中で白い背中を見る。ほ んの僅かにふりむいたお前の唇が笑みの形に歪むのを見て、死んじ まえ、と思った。
Side: 秀人 殴り合うたび思うのだ。俺に天敵とやらがいるならそれはきっと この男だと。ほとんど奇跡のように最悪の相性だ。心の底からお前 が気にいらない。初めて対峙したあの日に砕いたお前の拳。次に会 ったときには鉄のボルトとプレートが強化していた拳。それは純粋 な力だ。そんな凶器を身の内に持ってもお前は殴ることをためらわ ない。暴力をためらわない。視界で閃く紫の髪をひきちぎらんばか りに握って引っぱる。俺の叩き込んだ拳は一体どれだけだっただろ う。お前が俺に叩き込んだ拳の数は一体どれだけだっただろう。も う記憶の片隅にすら残らないほどの数。いつだって身体のそこかし こに打ち込まれる容赦のない拳。そこには確実な殺意を感じるのに、 それはお前と戦うとき、歓びにしかならない。 お前を目の前にするとひどく残酷な気分になる。お前の拳は俺の 理性のタガを外していくから。怒りや力の、純粋な塊のようなもの になって、お前を殴る。 不思議だ、お前がこんなにも気に入らないというのに。憎悪でも なく。お前がぶつけてくるような殺意でもなく。お前を殴る瞬間の 胸の内はなぜか甘いのだ。この胸の奇妙な甘さをお前は知っている のか? いや、知らないだろう。お前のそれはきっと、もっと単純 で衝動的で、危うい。だからこそあれほどまでに俺を奮わせる。う つくしい憎悪。そうだ、うつくしい憎悪、そんな言葉が似合う。お 前には。 わざと軽い蛇行運転。誘うように揺らす、テールランプ。腹に穴 をあけたままチェリーピンクのFXにまたがる男の様子を伺えば、そ の冷たい双眸はあの、うつくしい憎悪に満ちていた。不思議なほど 胸が高鳴る。あの憎悪は俺だけのものだ。 他の誰かになんてお前をしとめさせはしない。お前もそんな結末 は望まないだろう? だから今はお前を生かす。いつかお前を制す るために。
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| __________ |
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ モエスギタノデジキュウジソクモジサナイ!
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>112 は(2/2)です。すいません。
しかし萌える…個人的に歴史上最も萌える喧嘩ップルです。
114 :
所有印 :2007/11/09(金) 03:56:58 ID:j9StEjrZO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・) ジサクジエンガ オオクリシマース! コバ/ルト文庫の魔王シリーズより、魔王×賢者です。
「……お師匠様?」 生返事を繰り返しつつ遅い夕食を続けていたはずの相手から、ついに意味を持たない 声さえ聞こえなくなったので、読んでいた本から視線をあげてサルドニュクスは呼び かけた。 やはり返事はない。 連日、文字通り飛び回ってミジャンとジェンの手助けをしているスマートは、体力的 にも精神的にも疲労しきっている。スプーンを握ったままテーブルに上体を投げ出し てそのまま寝入っているようだ。 「お師匠様。また寝違えますよ」 月明かりで読んでいた本を閉じて出窓に置き、ゆっくりと静かにテーブルの傍に移動 する。別に気を使わなくとも彼は魔王であったから、スマートに気付かれぬよう一瞬で 位置を変えることも出来たのだが、そうしなかったのはやはり人間だった時の癖の ようなものだろうか。あるいは魔力の大部分を失った状態だからだろうか。 魔王には分からなかった。 ただ、見つめる視線の先で頭を転がして寝入っている、その疲れ切った肩が呼吸の ために上下しているのを確認する。 背中に流れる鉄色の髪。楽だからとジェンに借りているシャツの衿のなかにも 幾筋か流れ込んでいる。その流れにまるで遊ぶかのように、存在を主張している紋章。 烙印。 自分とは違う界の魔王の。 八翼白金。 それをそこに刻んだ主のことに自然と意識が向かい、知らずサルドニュクスは眉根を寄せた。
途端、死んだように眠っていたはずのスマートはがばりとバネ仕掛けの玩具のように 身を起こした。 「お前なんなんだよその殺気!」 蒼白の顔で謂われてはじめて、自分がまとっていた感情を知る。 死ぬかと思ったわ、ぼやきながら髪に手を突っ込んでがしがし掻き混ぜている スマートに、今度は気を使わずに一瞬で距離を詰める。 立ったまま片手を伸ばす。 「おいコラてめ何する」 「だまっててください」 何をされるかまるで分からない、といった様子で慌てる両手を難なくよけて首筋に 顔を近付ける。ぎくりと肩をはねさせてスマートは固まった。 窓から入り込んでくるわずかな月と星の光に、鈍く輝く鉄色の髪。それにまとわり つく虹色の、所有をしめす紋章。 気に入らない。 こんなものがこの人についているのも不愉快だったが、かといってそれに触れるのも たまらなく厭だった。 渦巻く印の斜め上、髪を払って唇を寄せる。 そういえば魔族には、人間の生気を食らう個体も少なくはない。 自分もおそらく同じように生気を吸収することも出来るのだろう、やってみようか、 そうサルドニュクスは考える。そして、けれど自分はそれをやりたくないようだ、と 感情を客観的に眺めながら、口付けた肌を強く吸った。
「……ッ」 思わず、といったふうに息を呑んだスマートの喉が上下するのが伝わり、知らず自分 も喉の奥を揺らせて低く笑う。 顔を寄せた際の唐突さと同じくらい唐突に解放すると、笑い飛ばそうとして失敗した みたいな中途半端な表情のスマートと目が合った。自分の表情は自分で見ることが 出来ないのでよく分からないが、相手の顔を見るにおそらく可笑しくてたまらないと いった顔をしているのだろうと見当をつける。 「……何してくれてんだ。こんなモンつけてたらしばらく遊べねぇじゃん」 「ちょうどよかったじゃないですか」 良い薬です、と言えば、カスガのことでも思い出したのかバツの悪そうな表情で 右手を首筋にやってさすっている。 「消えたらまたつけますから」 「どーせつけられんなら美人のオネーサン相手がいい」 「じゃあ次は女性型で」 「イヤそうじゃねってかマジ勘弁してください」 心底いやそうにスマートは椅子ごと少し距離をとる。その様子が可笑しくてサルドニ ュクスはまた笑う。 魔力も何もこめられていない、単純な鬱血の痕。 八翼白金の施した装飾めいた紋章と比べて、己のつけたその印はひどく生々しい。 とりあえずはそれで満足したサルドニュクスは、おもいきり渋い濃茶でも飲んだ かのように口をへの字に曲げているスマートにスープのおかわりをすすめたのだった。
118 :
所有印 :2007/11/09(金) 04:03:21 ID:j9StEjrZO
□STOP ピッ◇⊂(・∀・)イジョウ ジサクジエンデシタ!
>>103-109 桃太郎さんテラ鬼畜…
漂着した西洋人の隠れ里が鬼伝説を生んだ
とかそんなムーみたいな日本史奇談が好きなので萌面白く読みました。
この後の少年の運命を思うと哀れですな。
>>114 まさかここでちょーが見れるとは思ってなかった!
新刊読んでこの二人に萌えてたからよけいたまらん(*´Д`)ハァハァ
122 :
風と木の名無しさん :2007/11/09(金) 18:06:11 ID:UbLxyU+E0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 朝どら、四早×早々だよ! ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 夢見ててごめん! | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
123 :
1/7 :2007/11/09(金) 18:07:05 ID:UbLxyU+E0
「まだ落語なんてやっとるんですか」 突然訪ねてきた早々兄さんに質問をする。 案の定兄さんは僕を睨みつけた。 僕は昔から兄さんが嫌いやった。 体ばかりでかくて、頭が悪くて、常識はずれで、 「お前はもうせえへんのか」 「当たり前やないですか」 「何でや。師匠の落語にあんなに感動しとったやないか」 「ハッ」 これや。 僕は思わず笑うてしもた。 何かっちゅうと師匠師匠。アホみたいに繰り返す。 「何がおかしいんや」 「いや。相変わらず早若師匠のことばっかなんですね」 そうやって師匠のことを口にするから。
124 :
2/7 :2007/11/09(金) 18:07:43 ID:UbLxyU+E0
「当たり前やろ。俺にとって師匠は落語そのものなんや」 「ハハハ。師匠が聞いたら泣いて喜びますねえ」 「お前かて師匠師匠言うてたやろ」 「ハッ。早々兄さん、何を勘違いしとるんです?」 僕は師匠なんてどうでもええんですよ。 「勘違いって何や。お前かて師匠にはぎょうさん可愛がってもろたやないか」 「僕が?早々兄さんのように?全く…そういうところも勘違いですね」 師匠は兄さんを特に可愛がっとりましたよ。 兄さんが師匠師匠呼びよるから。噺を教わるたびに目を輝かせるから。 師匠は兄さんに稽古をつけるとき、本当に楽しそうな顔をしとりましたよ。
125 :
3/7 :2007/11/09(金) 18:09:22 ID:UbLxyU+E0
「四早…ええかげんにせえよ」 「何がです?」 「俺はお前の、その人を馬鹿にした態度が嫌いやねん」 「でしょうね」 ほら、困った顔しよった。 言い返せへんのやったら最初から言わんとええのに。 「で、そんな嫌な男に何の用です?」 「…戻ってきてほしい」 「何で?」 「…師匠に、もう一度落語をやってもらいたい」 「嫌です」 そんなことやと思ったわ。 「何でや。お前ももう一度師匠の落語聴きたいと思わんのか」 「さあ?」 「さあ、って。お前は師匠のこと好きやないんか」 「ええ」 早若師匠自身なんて、別に何とも思っとりませんよ。
126 :
4/7 :2007/11/09(金) 18:10:03 ID:UbLxyU+E0
「四早…!」 早々兄さんは今にも僕を殴りかかりそうな勢いでしたが、急に拳を下ろしました。 「…遠慮せんと殴ったらええのに」 「……」 「…出来ませんよね」 昔もそうでした。 兄さんが僕につっかかるたびに、早若師匠は兄さんを止めとりました。 「すっかり師匠に飼い慣らされてしまいましたね」 「…お前は全く懐かんかったな」 「ハハハ」 懐くも何も、兄さんと僕では師匠に対する思いが違うんですよ。 「…四早」 「何です?」 「頼む。戻ってきてくれ。俺はもう一度、あの師匠に会いたいんや…」 「だから…」 僕が会いたいんは師匠やなくて…
127 :
5/7 :2007/11/09(金) 18:11:06 ID:UbLxyU+E0
「平兵衛」 「…は?」 「四早、お前、師匠の‘算/段/の/平/兵/衛‘好きやったろ」 「…」 「お前は師匠の平兵衛に感動したんやろ」 何言うとんのや。 「師匠が平兵衛高座にかけたとき、お前の目ェキラキラしとったやろ」 やめてくれへん? 「師匠の、あのちょっと愛嬌のある平兵衛が…」 「…うるさい」 「え…」 僕はホンマに、兄さんが嫌いや。 師匠師匠うるさくて、でかいアホな犬みたいやった。 でも、
128 :
6/7 :2007/11/09(金) 18:12:43 ID:UbLxyU+E0
「…し、い…」 勢いがつきすぎてお互いの歯がぶつかった。 ひるんだ兄さんは楽に倒せた。 開いた口に無理やり舌をねじこませると、その瞬間力いっぱい投げ出された。 「し…四若…!」 「…平兵衛のこと、軽々しく口にせんといてください」 「なっ…」 「師匠に稽古つけてもろたんすか?個人的に話してもろたんですか?」 兄さんばっかりや。 師匠は兄さんが可愛くてしゃあないんや。 「そんなことはない」 「そうだとしても、口にせんといてください」 僕の大切な平兵衛まで、兄さんは自分のものにする気ですか。 「…兄さん、帰ってください」 そうやないと、噛みつくだけでは済まんかもしれへんですよ。 そう言うと、早々兄さんは僕を睨みつけて帰って行きました。
129 :
7/7 :2007/11/09(金) 18:13:15 ID:UbLxyU+E0
バタン、とドアが閉まる音に反応したのか、飼っている九官鳥がこっちを向いた。 「…餌食べるか」 九官鳥に餌をやりながらつぶやく。 「師匠の平兵衛は僕だけのもんや…」 あの平兵衛に早々兄さんが出会うなんてことは、絶対に許せへんのです。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ …ごめん、四早×(師匠)の平兵衛だった | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ って言うか、最初ageた。ホントすみません。 間接的に四早×師匠だと信じている。
131 :
122 :2007/11/09(金) 18:54:12 ID:9gvZY0+M0
名前間違えた… 師匠に酒ぶっかけられてくる…
うわわわわわ…なにこの萌え過ぎる話…。 4僧切なすぐる… 底抜けにGJ
萌えたし切ないし、どうしたらいいか分かりません! GJ!!
>>114 GJ!まさか新刊読んだあとにこんな萌える投下があるとは…!
以前だったらありえないような魔王の余裕っぷりに萌えました。
135 :
蛍火 :2007/11/10(土) 16:38:32 ID:LMn19xEc0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 封誇示、量真×桐風邪 。 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 原作、実際、個人的設定混ざってスマソ。 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
136 :
蛍火 1/6 :2007/11/10(土) 16:39:26 ID:LMn19xEc0
その部屋の襖を開けると、男の後姿が見えた。 夜の闇に包まれた中庭の方を向き、ピンと背筋を伸ばした正座。実に彼らしい。おそらく 精神集中、眠る前の習慣、瞑想の時間だ。部屋の外から声をかけても返事が無かった。だ から怪訝に思って襖を開けてしまった。よく考えればわかることだ。なのに今の自分の愚 かさはどうだろう。彼の習慣すら忘れてこの時間に訪れてしまったのは、明らかに自分が 平常心を失っている証拠。霧を操るその青年は自分の失態を恥じ、音もなくその場を立ち 去ろうとした。 「どうした」 男の背中が尋ねた。 「入れ。もう終わった」 ゆっくりと男がこちらを向く。畳を擦る音が静かに響く。ひとつだけの眼が、彼の表情を 見止めて小さく笑った。 「気にするな。座れ。夜風がちょうどいい頃だ」 「………失礼。邪魔をする」 穏やかな笑みに少しホッとしながら、彼は襖を後ろ手で閉じると男と並ぶようにして座っ た。暗闇の中を小さな光がひとつ、ふたつ。 「蛍か」 「ああ、この部屋からよく見える。お前の部屋からは見えないか?」 「生憎、見飽きるくらいの緑の木立ばかりだ。いい部屋をもらったんだな」 「年長者の特権かな」 冗談めかしてまた笑う。 「さて、話を聞こうか」 年長者は躊躇っている彼にきっかけを与えた。そうでもしなければ彼は、自分の本心を語 らない。幼い頃からの変化をわかっているからこそ、手を差し伸べた。 「自分の不安定さが許せないか?」 彼は応えない。 「あいつが俺に聞いてきたんだ。金魚が死んだ時、墓にアイスの棒を立てなかったか?っ て。尋ねたら、お前が冷たいって話だった」 彼は答えられない。 「あいつに問いつめられて、何も答えられなかったそうだな。霧にまぎれて逃げたと」
137 :
蛍火 2/6 :2007/11/10(土) 16:40:21 ID:LMn19xEc0
「あいつは子供すぎる」 「その子供に真実を突かれて、答えられずに逃げ出したお前はもっと中途半端だ」 一番の核心を突かれ、膝の上の拳を握った。 「俺はある程度割り切ることが出来る。あいつは割り切ることが出来ないと自覚している。 多分そのまま自分らしく生きるんだろう。だがお前は外見は冷静を装いながら、心の中で は揺れている。違うか?」 「……………」 「言葉にすることも出来ず、態度に表すことも出来ず、隠れてアイスの棒の墓参りか」 思わず目を閉じた。閉じた瞼の裏に、まだ蛍の残像が揺れている。ひとつ、ふたつ、ふわ り、ふわり。虚空の闇を揺れている。 「………お前は、そのままでいい」 静かな声が聞こえた。 「きっと誰にも割り切ることなど出来ん。お前は俺の右腕という立場上、冷静沈着である ことを求められている。ここまでよく務め上げてくれている。今のままで充分だ」 そっと男の手が伸びる。 「お前が誰よりも優しいことは、この俺が一番よく知っている」 節くれだった大きな手が、彼の頭を撫でる。けれど彼は頭を振り、その手を払った。 「でも私は……!私の弱さのせいであの時お前の左眼を……!」 ようやく目を開き、訴えるようにその男の顔を見た。 「私の割り切れない感情のせいでお前の眼を傷つけた。だからこそ、私は割り切らなくて はいけないことを学んだんだ。優しさなんてとうに捨てた。感情なんていらない。ただ与 えられた任務を遂行し、闇に身を潜めるのが我らの役割。私は……!」 ふいに男の手が彼の口を塞いだ。彼は驚いて目を見開く。 「……もういい。お前の考えはよく知っているつもりだ。だが俺はお前の本心もよく知っ ている。俺の眼の怪我は俺の未熟にすぎん。気にするな」 男の手がゆっくりと彼の頬を撫でる。親指で、濡れ始めた彼の目元を拭った。 「繰り返し言う。これが最後だ。俺の眼のことはもう気にするな。お前は今のままでいい。 感情が揺れる、それこそ人間の証だ。人間で無くなったら善悪の判断も出来ん」 「命令を受けたら、善悪の判断など必要ない」 「いつかは必要になる。ただ独りになった時に」
138 :
蛍火 3/6 :2007/11/10(土) 16:41:05 ID:LMn19xEc0
「…………独り?」 「そう、例えば、俺がいなくなった時に」 「お前が………いなくなる?」 いつかは起こるかもしれない、けれど考えたくはない状況を提示され、彼はまた唇を噛み 締める。幼い頃からずっと自分を見守ってくれていた存在が消える。そんなはずはない。 けれど……… スッと男の腕が伸びる。そのまま優しく抱きしめられた。幼い頃からこの胸に抱きしめら れると、それまでの不安が綺麗に消えていった。だが今は、この両腕の強さに別の意味が こめられていることも知っている。 「………あまり単独行動はするな」 「………約束は出来ない」 「今回の敵は強い。特にあの、長い木刀を持つ男………」 「大丈夫。この私の術にかかれば……」 「あいつを甘く見るな」 そのまま畳の上に押し倒される。鋭い眼が彼を見下ろした。 「今回ばかりは俺の言うことを聞け。あいつはただ者じゃない。今までの奴らとは違う何 かを持っている。これは忠告ではない。命令だ。あの男は、全てが違う」 男の目は真剣だった。ただ真っ直ぐに彼の目を見つめていた。その色合いに、ようやく彼 もその言葉の重さを知った。 「………わかった。無理はしない」 「どの程度の無理か、わかったものではないがな」 男がまた小さく笑い、そのまま顔を寄せた。少し厚ぼったい唇が、彼の唇を覆った。 「り、りょう……」 「どうした?」 「戻る。部屋に戻る。邪魔をしてすまなかった」 慌てて体を起こそうとする。だが男は簡単に彼の動きを封じ込む。 「気にするな。ちょうど俺もお前を心配していたんだ。少し付き合え」 言いながら、片手で縁側の障子を閉めた。 「だ、駄目だ」 「何が駄目なんだ?こうやって過ごすのも久し振りだろう?」
139 :
蛍火 4/6 :2007/11/10(土) 16:41:44 ID:LMn19xEc0
「人が……隣の部屋にいるだろう」 「あいつらならもう寝ている。心配ならお前が声を上げなきゃいい」 そのまま男の手が彼の学ランの下へと潜り込む。久々の肌に触れられる感覚に彼は小さく 息を飲んだ。 「お前は………俺だけのものだ」 ボタンを外し、ベルトを緩める。 「お前は、俺のそばにいればいい」 シャツの前をはだける。 「俺のそばを離れたら、お前は………」 昔から感じ取っていたこと。時々夢に見る風景。霧の中へと消えてゆくその姿。雪の如く 白い頬に口元から鮮血を流し、彼の腕の中でこと切れる。ただその名を叫ぶことしか出来 ない無力な自分。仲間の死に対して冷静になれるはずの自分が激しく取り乱し、その骸を 強く抱きしめ何度もその名を泣き叫ぶ。それらがただの夢、幻であってくれれば。 (そんなことは、決して起こさせない) 自分に強く言い聞かせ、彼の唇を中指でなぞる。膝を使って白い足を少し開かせる。彼が 少しだけ抵抗した。大人しくさせる為に、彼の前を強く握った。 「んあっ!」 思わず声が上がった。その声に自分でも驚いたのか、彼は慌てて両手で口を抑えた。男は また少し強めに彼を愛撫する。また息苦しそうなくぐもった声が上がった。 男にのしかかられたままギュッと目を閉じていた彼が、うっすらと目を開ける。そしてま だ自分の腕にまとわりついているシャツから白いハンカチを取り出し、自分の口に咥えた。 ゆっくりと男の指が入ってくる。言葉はない。静かな空間に、ただ微かな彼の息遣いと、 時折庭から聞こえる虫の音と、畳を擦る音だけがある。 言葉など、すぐに消えてしまうものはいらない。その大きな手が彼の頬を優しく包み込む。 そのぬくもりが何より確かなものだ。指が増える。男の唇が彼の肌に落ちる。彼は畳に爪 を立てる。男の長い髪が肌をくすぐる。ふと彼は目を開いた。 「………灯りを」 「ん?」 男が体を起こす。 「………灯りを………消してくれ」
a
141 :
蛍火 5/6 :2007/11/10(土) 16:45:43 ID:LMn19xEc0
「消したらお前が見えない」 「頼む………消してくれ………今の自分を見られたくない」 悩み、揺れて、支えられる姿を見られなくないのだろう。男は彼の気持ちを汲み取った。 「薄明かりでは駄目か?真っ暗にしてしまったら、少々都合が悪い」 「…………出来るだけ、暗く」 彼も男の想いを汲み取った。彼とても、愛しい男の優しい眼差しを見るのが好きだった。 部屋の灯りが消される。小さな行灯ひとつが灯された。それはかろうじて彼らの顔を照ら した。静かに彼の足が開かされる。そこに男の体が割り込む。 「………いいか」 ゆっくりと、男が彼の中へと入ってくる。ガリ、と畳を爪で引っ掻く音がした。 「大丈夫か?」 普段は感じ取れないような優しさで、男が彼を気遣う。彼は返事の代わりに両腕を男の背 中へと回した。その腕に導かれるようにして、男は更に体を進めた。小さく彼の顎が上が り、白い喉がのけぞった。 「……動くぞ」 最後の平常心でそう告げると、男は腰を揺らし始めた。そのたびに彼の小さな呻き声が咥 えたハンカチにくぐもる。 「………っ……あ………はっ………」 少しずつ、男の動きが激しくなる。彼はその動きを受け留めながら、いつも見る幻を感じ ていた。 この男はきっと嵐さえも征する者。尋常ならぬサイキックという力を持ち、我ら一族を導 く者となるだろう。 その時、自分はそこにいるだろうか。 この男のそばにいられるだろうか。 忍びは人知れず生き、戦いの中で死ぬ。その骸は土の上に倒れ、風雨に晒され、弔われる ことなく朽ち果てる。自分もこの世に生を受けた時からその宿命を負っている。 だが。 もしたったひとつの願いを叶えられるなら。 忍びとして生まれた以上、何ひとつ望むことなど無い自分だが、たったひとつ。 死ぬ時は、せめて愛するこの男のそばで。
142 :
蛍火 6/6 :2007/11/10(土) 16:46:43 ID:LMn19xEc0
男の動きが更に激しくなり叩きつけるようにして彼の体を突き上げる。しがみつく彼の腕 にも力がこもる。 「…………っ!」 小さな呻き声と共に、彼の中に熱い迸りが流れ込む。そして彼自身も導かれるようにして 自らの熱を吐き出した。 静かな空間に、二人の荒い息遣いだけが聞こえる。涙を滲ませた目をゆっくりと開いた。 「…………あ…………」 暗闇の中、小さな光がふたつ。ゆらり、ゆらりと揺れている。 「………蛍………」 庭から入って来て出られなくなってしまったのだろう。二匹の蛍が勝手気ままに部屋の中 をつかず離れず揺れている。彼が光を指差すと、男もそちらを見て、静かに微笑んだ。 「どっかの誰かみたいだな」 唇に、唇が重なる。まだ離れていない互いの体に、再び熱を感じた。 「………もう一度、いいか?」 耳元で囁かれる。彼とて、許されるならこの時間をもっと過ごしたい。小さくうなずいた。 背中に腕を差し込まれ、強い力で抱き起こされる。そのまま男の膝の上に座らされ、向か い合う形になる。男の手が彼を支えるようにして抱きしめる。彼は男の両の頬を、白魚の ような指で優しく包み込み、微笑んで見下ろした。男もまた笑みを返す。 「…………お前が、私を作ってしまったんだ」 幸せな告白。 「…………お前が、私の体を、作ってしまったんだ」 どうかこのひと時を、いつまでも忘れることなく。 「…………お前、だけが」 死へ旅立つ時も、どうかこんな気持ちを抱いて。 「その通り。お前は、俺のものだ。死してもなお、俺はお前を忘れない」 再び吐息が乱れてゆく。彼の上げる小さな声に男も駆り立てられる。 明日をも知れぬ命だからこそ、柔らかな髪を振り乱す。 互いの肌のぬくもりだけが、真実を伝えていた。 終
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ オシマイ | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 子供の頃に萌えというものを教えてくれたカプ…… 久々にこのジャンルに戻ってオフ活動しようかな……雀100まで踊り忘れずw
>>135 ×実際
○実写
自分、どういう打刻ミスだ…orz
>>114 萌 え た!!
つーかいつの間に新シリーズとか…うれしすぐる、ちょっと買ってくるわノシ
原作でオサンに平手食らったあとのスン。 893描きたかったのでタイガーの人にしました。越境お許しください。 「お、キレイになったじゃねえか」 シャワールームから出てきたスンシンを見て、男はタバコを灰皿に押し付けた。座れよ、とベッドを指 刺す。 「…どうも」 少しきまり悪げに頷いて、スンシンは花柄のベッドの上に腰を下ろした。 まるで痴話喧嘩のようにスズキと別れてから、ヤケになって雨の街を彷徨っていたスンシンは、今度はヤ クザに絡まれた。いつもならばうまくかわす所なのだが、虫の居所が悪すぎたスンシンはつけられた因 縁に自ら飛び込んだ。 だが、刺された傷が思ったより深かったのと、更に雨で体力を奪われていたのが災いしてスンシンは常 の精彩を欠いていた。それに、相手はプロ数人である。ペストコンディションのスンシンだったとして も、勝てる確立はけっして高いとは言えなかった。まだ血の止まらない腕を鷲掴まれ、痛みに怯ん だ一瞬に脚をすくわれる。 泥水の中に引き倒され、腰に圧し掛かられて半ば諦めかけた時、その男は出来すぎたタイミングで そこに現れた。 ヤクザたちを追っ払うと、男は近くにあったラブホテルに有無を言わさずスンシンを引っ張りこんだ。 男の名は山崎トラジ。新宿流星会筆頭組員で、三年前スンシンに喧嘩のいろはを教えたその人だった。
まさか、アンタに助けられるなんてな」 他所のシマにいるのは珍しいよな、と尋ねるスンシンに、ちょっと師匠の使いでなとトラジは答えた。親 父ではなく師匠?と少し不思議に思ったが、大して興味はないので聞き返さない。 「スジもんは相手にすんなって教えただろーがよ」 ヤクザにはならない、と決めた時スンシンにトラジはそう言った。関わる気がないなら、金輪際こっちの 世界には首をつっこむな。おめえを欲しがってる奴は山程いるんだから、ちょっとのきっかけで引 き摺りこまれっからな、と。 「…今回が初めてだよ。ちょっと、熱くなっちまった」 我を忘れた原因の出来事を思い出して、スンシンは不愉快そうに顔を歪めた。打たれた頬に、熱い感触 が蘇る。 「この傷はどうした。あいつらじゃねえだろ」 まだ血が止まりきらない腕に、タオルをきつく巻きつけてくれながらトラジが尋ねてくる。 「その前にも、ケンカしてたんだよ。相手はヤクザじゃなくてガキどもだ」 「何人だ」 「三人。勝ち目ねえってわかったらナイフ出してきやがったから、ボコボコにしてやった」 報告する口調が、思わず得意げになってしまって、スンシンは胸の奥がずしりと沈んだのを感じた。 「オウ、さっすがは俺の弟子だ。飛び道具出してくるような腰抜けになんて負けるわけねえ」 横から伸びてきた大きな手にぽんぽん、と頭を撫でられて、嬉しい反面で胸が更に重くなる。 そうだ、こんな風に。 きっと誉めてくれると思ってた。 ー褒めて、ほしかった。 「そんで、ヤクザのケンカも買っちまったのか」 勝手に納得して、トラジはうんうんと頷いた。 スズキの事を思い出して、ぼんやりしていたスンシンはぐい、と顎を取られて我に返った。 「…なに」 間近に迫ったトラジの大きな目が、じろじろとスンシンを舐め回すように見る。ぱちりと瞬きをすると、 ふぉお、とトラジが溜息のような鼻息をついた。 「…お前、べっぴんになったなー」
「は?」 「いや、もともとかわいいカオしてたけど、しばらく見ねえうちにこんなぺっぴんになってたとは よ。早く会いに行けばよかったぜ」 この男目は大丈夫か、と一瞬心配になったが、確か視力は5.0近くあると豪語していた事を思い出 した。多分、大丈夫じゃないのは目ではなく頭と下半身の方だ。 「オレは、何回かアンタ見かけたぜ。歌舞伎街とか新大久保で」 「マジか?声かけてくれりゃいーじゃねえかよ、冷てえな」 「『待て待てランジェリー!』とか叫びながら店の外でまでランパブの姉ちゃん追っかけ回してる 奴に、かける声なんてねえよ」 冷たく言い放ったスンシンに、ぶっほとトラジが噴き出した。 「ホント、もう三年も経つのに全然変わってねーなアンタは」 呆れたように呟いた唇を、不意に塞がれてスンシンが目を大きく見開いた。逃げ遅れた舌をさっと絡め 取られて、じりじりと擦り合わされる。貪り食われるように口の中を犯されて、知れず肩が震えて しまっていた。 「、ふ、っ」 濃いキスが苦しくて首を振ると、咎めるように舌に歯を立てられた。溢れた唾液が、音を立てて男 の厚い唇に吸い取られる。僅かにずれた唇の隙間から零れた自分の声が甘ったるくて、スンシンの目元 がさっと朱を引いた。
繰り返される口付けに脳天はぼうっと霞む。気づいた時には背中が、ベッドに沈められていた。 「…な、んだ、よ」 見下ろしてくる端正な顔が、へらへらと笑った。トラジの大きな手が、がっしりと自分の手首をシー ツの上に縫い止めていた。 「助けてやった恩人に、礼の一つもねえって事はねえよな?」 下心ビームカラーの視線に全身を舐め回されて、スンシンはまた呆れたように溜息をついた。 「…アンタ、ホントにまるで進歩ねえな」 三年前、この男にはケンカと一緒に、こっちの方もこってり仕込まれた。オトコは基本興味ねえけ どお前はトクベツ、とか言いながらガンガン犯られた。 食べる寝る暴れるヤると欲求がピラミッドの底辺部分だけで構成されているような男だったが、ま ったく変わっていないらしい。率直すぎて、憎めないのがこの男の得なところだ。 「…条件がある。」 「あんだよ、言ってみろよ」 早くも鼻息荒く顔を近づけてくる男を、スンシンは下から軽く睨み付けた。 「まず、ゴムは使え」 当時、勢いで何度かナマでやられて合わされた痛い目は、到底忘れられるものではない。 「それから、オレは、アンタに『この支配からの卒業記念エッチ』とかわけのわからん理由でやら れて以来、まったくやってねえからな。絶対無理矢理突っ込んだりすんなよ」 中学の卒業式の夜、正確には卒業式の夜から次の日の朝までめちゃくちゃに犯されて以来、この男 には会っていない。何度か危ない目には遭ってきたが、どれもこれもスンシンに手を出すには一万年と 二千年くらい早い連中ばかりだった。 「え、じゃバージンに戻っちまったったって事か!」 そう告げたスンシンに、気のせいではなく嬉しそうに叫んだトラジに、スンシンは内心で大きく溜息をついた。 やっばりコイツは、エロバカだ。
>146 GJ!!! DTじゃなかったのか…www
>>135 ああああありがとうありがとうありがとう
量桐だ量桐だ量桐だーーー!待ってたんですよーーーー!
隣の部屋の人達は多分起きてますよーーー!
>>146 待ってました超GJ!!
続編wktkしながら待ってます・・・!
893キタ―――――!! 続きテカテカしながら待ってます。 スン、かわいいよスン。
「…っ」 暗い照明の下、ぼんやりと浮かび上がった裸体が、寒さにか羞恥にかふるりと揺れた。 常日頃露出している肩や腕はよく日に焼けているが、スンシンの素肌は実はかなり白い。着替えの時、た またま太腿を見てしまったヤマシタが、その白さに興奮しすぎて股間が大変な事になってしまったのはヤマ シタとミナカタだけの秘密だ。 「あいっかわらず、エロい身体してんなあ」 がばりと開かせたバスローブの中の身体を見下ろして、トラジが感心したように呟いた。肘に纏わりつ いたままのローブの布地が、危うい翳りをところどころに落として余計に彼の肌を淫猥なものに見せ いる。 「男相手になんて、俺ほとんどムラムラしねえんだけどなあ」 ホントおめえはトクベツだ、と薄く開かれた唇にトラジが自分のそれを落とした。歯列を舐めた舌先が そこを割って口の中に進入してくる。 音の立つほど舌を吸われて、つとスンシンが眉間を寄せた。唇の端を甘く噛んだ歯に、今度は耳朶をかじ られる。鼻腔をくすぐった香りに、くん、と探るようにスンシンが小さく鼻を鳴らした。 「…な」 「んだよ」 首筋に埋めた髪をぐい、と引かれて、熱心にそこに舌を這わせていたトラジがめんどくさげにいらえた。 「アンタ、香水変えた?」 昔と違う匂いを漂わせている男に、心なしか顔をなんとなく歪ませてスンシンが尋ねる。 「ああ、コレ、香水じゃなくて洗剤のニオイ。今ちっとカタギの家に世話んなっててな、そこのかあ ちゃんがコレ使ってんだよ。こんな所帯くせえニオイじゃハクつかねえってギンには怒られるけどよ、 やってもらってっからそんな文句も言えねーし」 シャツの襟に押し当てた鼻をくんくん鳴らすトラジにふうん、と呟いてスンシンはなるべく浅く息を吸い込 んだ。 それまで、何となく感じていた居心地の悪さは、覆い被さられた時に正体がハッキリした。
トラジの匂いは、同じ、なのだ。 ースズキのシャツの匂いと。 再び首筋に顔を埋められて、思わずスンシンはその肩を押し戻した。ふわっと鼻に広がった『スズキの匂い』 に、どきりと心臓が鳴る。 「…早く、脱げよ」 ちらりと脳裏をよぎった、あの時のスズキの表情を振り払うように、スンシンは乱暴に言い捨てた。 この香りを振りまかれては、彼が頭から出て行かない。 「オウ、積極的だな」 にやにやと舌なめずりをしながら、トラジは自分のシャツの前をはだけた。だがはだけただけで、それを 脱ごうとはしない。 「じゃなくて、全部、脱…」 焦れてシャツにかけようとした手を、思いがけない力で取られてスンシンが目を見張る。 「お前、惚れてるヤツいんだろ」 核心を突かれて、スンシンは思わず黙り込んだ。 「女じゃねえな。お前、女ダメだもんな」 ソープ連れてってやった時も結局出来なかったもんな、と笑うトラジをスンシンがむっと睨み付ける。 「ダメじゃねえよ。…興味沸かねえだけだ」 この年齢の男子らしからず、スンシンは女にもセックスにも淡白だった。原因は、母親への失望によるトラ ウマなんじゃない、と以前親友のミナカタが言っていた。そして多分、それは正しい。 「おんなじニオイすんだろ、コレと」 ただのバカだと思っていた男にあっさり指摘されて、スンシンは真っ赤になった顔を隠すようにトラジから 背けた。
「いいぜ、そいつの事考えてて」 腹の傷をつつっ、と撫でた指が、そのまま身体の中心を捕らえた。 「あ!」 無骨な指が、ゆるく反応を見せていたスンシンに絡みついた。軽く上下に扱かれて、ずくりとそこに熱が 満ち始める。 体液が、ざわざわと波立っていくのを感じて、スンシンはぎゅっと目をつぶった。 そこをゆるゆると嬲っていた指が、するっと付け根に降りた、と思った刹那、濡れた熱い感触が、ぬ るりと自身を包み込んだ。 短く叫んで、スンシンは思わず男の髪を引っつかんだ。 「…っ、バカ!はな、あ、」 丁寧とは言い難い愛撫も、長く刺激から遠ざかっていた身体には過ぎる程だった。食べ物にかぶりつ くようにじゅるじゅるとしゃぶられ、吸われて、蜜道をじわりと汁が伝い降りていくのがわかった。 「も、や、め、たの…、ああ、あ」 下半身が熱くて痛くて、気が狂いそうになる。髪に埋めた指には、もうそこにしがみつく程度の力し か入らない。それでも何とか引き剥がそうと、腿で彼の側頭部を擦るが、硬い髪に内股を撫でられる ような形になって、余計自分を追い詰めただけだった。 逃がれようと身体をよじっても、あまりに頼りない動きは、がっしりと腰に回された太い腕にたやす く封じられた。腰を掴み締める指に、腹の傷跡を擦られて、くっとスンシンが喉を反らす。 いっそ意識を手放せれば楽になれるのに、興奮した身体はスンシンを許してくれなかった。脳が、快楽と 言う指にがっしりと掴まれている。 「いや、だぁ、や」 根元に回された指が、やわらかく揉んでみたり締め付けてみたりと意地の悪すぎる仕草を繰り返す。 吐き出しかけては堰きとめられるたび、スンシンの劣情はひどいものになっていく。 「も、いいかげんにしろよ、ッ…」 半ば涙声でスンシンはトラジに抗議した。この男、そんなに気の長い方でも焦らし上手でもなかったのに と意識の片隅で毒づく。三年で、こっちの方だけは成長があったという事なのだろうか。 「どうして欲しい?」
くちゅ、と音を立ててトラジはスンシンから口を離した。思わず開いた目に、怒張して震える自身と、トラ ジの唇を透明な糸が繋いでいるのが映る。あまりな光景に、目を反らしたスンシンの全身に朱を散った。 「どうもこうも…ッ!」 叩き付けかけた文句は、再び口に含まれた事で途切れた。先程と同じように、じりじりと焦らされて 意識せずに腰がくねってしまう。 「も、許せよ…ッ…」 口では頑なにプライドを固持しようとしても、身体は媚びる様にその痴態をトラジに曝け出していた。 しょーがねえなあ、とスンシンを口に含んだままトラジが笑う。歯に張り詰めていた肉を掠められて、びく んと白い背筋が反り返った。 緩められた指が、乱暴に袋の部分を揉みしだいた。先端が、ぼってりした唇にきつく吸い上げられる。 「ひ、ぁあッ…!!」 快楽の指に、脳を握りつぶされたような衝撃が走った。自分のものとは思えない激しさで痙攣した体 が、壊れた、と千切れた意識の片隅で思う。 荒い息が近づいてきて、まだろくに吐息も次げない唇を覆われた。つんとした独特の味が、舌を刺し てスンシンの濡れた顔を更に歪ませた。なすりつけるように回される舌に、でもすがりつくように舌を絡 ませて応える。 ぎゅう、とばらばらになりかけた身体を繋ぎあわせるように抱き締められた。 鼻を押し付けられたワイシャツから漂う香りに、スンシンの表情がゆるりと溶ける。小刻みに震える腕が、 シャツの背にすがるように回された。 「カワイイ顔すんじゃねえか」 笑うとやっぱ似てんな、と吐息のようにトラジが呟いた。四散した思考のどれかが、それに疑問を投げ ようとしていたが、表面まで浮かんではこなかった。 「…」 名前を呼ばれた。 (スンシンくん) スズキに呼ばれた、と思った。 まだ続きます、スマソ
>>154 裏CP虎龍ktkr!?
スン、切な可愛いよ・・・!
続き待ってます(テカテカ)
い息が、舌が、指がスンシンに絡みついてくる。濃厚な愛撫に身体はもうぐずぐずに崩れ落ちて、吐息 まじりに悪態をつくぐらいしか、抗う術は残されていない。 彼が動くたびに、その香りがスンシンの鼻を掠める。 好きな香りでない。 きちんと糊の利いたシャツから立ち上るその香りは、スズキへの妻の愛情そのもののように感じるから だ。 でも、確かにそれはスズキの一部だった。 スンシンが好きな男の一部だ。 彼をどう思っているのか、わからずにここずっと自分を持てあましていた。 会う度に、彼の存在が自分の中で大きくなっていっているのには気づいていた。 あの香りを嗅ぐ度になんとなく胸の奥が重くなったり、腹立たしいような気持ちになったり。 彼の事を考えると落ち着かなくなったり、本に集中出来なくなったり。 この気持ちは、平凡で幸せな家庭を持つ彼と、その家族への羨望だと思っていた。 でも、今やっとわかった。 自分は、彼が好きなんだ。 こんな風にキスして、腕を回して、肌を吸って。 こうやって抱いてほしい。 そういう事を含めた、不純物まみれの好意を、自分は彼に抱いている。 もっと、近くに彼を感じたい。 彼が好きだ。世界で誰より、なによりも好きだ。 彼に愛されたい。触れられたい。触れたい。 愛したいし愛して欲しい。
一行目切れちゃった… 熱い息が、舌が です。orz
こんな風にキスして、腕を回して、肌を吸って。 こうやって抱いてほしい。 そういう事を含めた、不純物まみれの好意を、自分は彼に抱いている。 もっと、近くに彼を感じたい。 彼が好きだ。世界で誰より、なによりも好きだ。 彼に愛されたい。触れられたい。触れたい。 愛したいし愛して欲しい。 求められるままに、口を開いて彼のものを迎え入れる。 飽きるほどに教えこまれたそれを、身体はちゃんと憶えていた。舌を絡ませ、歯を立てて彼の遂情を促す。 頭を撫でられるのが何だか気持ちよくて、熱心に奉仕すると舌にじわりと苦い液体が広がった。彼の限界 が近づいてきているのに気付く。 「…ホント、似てんなあ…」 上がる息の合間に、トラジがまた呟いた。どうやら自分だけでなく、彼も違う人間の事を考えているらしい 事に、滑稽なものだとスンシンは内心で苦笑した。ちろりと上目遣いに見上げて唇で締め付けてやると、わか りやすく口の中のものが反応した。喉の奥に押し入ってきたそれにえづいて、思わず口を離した次の瞬間、 顔に熱いものをぶちまけられた。 「は、あぁっ…!」 吐き出した己の二度目の劣情が、どろりと腿の付け根を伝い落ちた。それを追うように這い降りた指が、 悪戯に腿の内側をまさぐる。 「ん、や、」 唇が、指に苛められているのとは逆の腿をちゅっと吸い上げる。さすがに鍛え上げられていないそこに、 やんわりと紅い花が咲く。
濡れた指が、後ろに押し当てられた。ぎくりと強張るそこをゆるゆると撫でながら、先端がゆっくり入 り込んでくる。反射的にすぼめた口が、関節にごりっと当たった。 「あっ」 ぐりぐりと、そのまま指がそこで回される。他人に身体をこじ開けられる恐怖に、スンシンは震えた。 「キッツイな、コラ。マジでバージンに戻っちまったんだな」 悪態のように呟きながらも、太い指は、外にもやさしくスンシンの中を探っていく。その指があまりにも熱 くて、唇から甘い息が零れるのを止められない。 「んっ、んっ、ーあ!」 二本目の指に、ある一点を押されて肩がびくっと跳ね上がった。息が、ひときわ甘くなる。 「ここ、イイんだよな」 かつて自分の身体を知り尽くしていた男が、思い出したとばかりににやりと笑った。 「そこ、い、やだ、…ッ」 まさに、的を射たりとそこを責められて、いやいやとスンシンが首を左右に打ち振るう。二度も吐精した筈 の自身は、震えながらやんわりとまた頭をもたげ始めていた。 「おめー、マジでとんでもねぇな」 開発した俺もビックリだぜ、とトラジが心の底から感心しているような口調で呟いた。大きく回されて 引き抜かれて、突然の仕打ちに腰がぶるりと震える。 「や」 引き攣った脚を、大きく割られて膝を上へ押し上げられた。指への未練で、口を閉じきれずにひくひく と震えているそこに、猛りに満ちた男根を埋め込まれる。 「ひああ、ッ…!」 太い部分をずるりとたやすく飲み込んでしまって、スンシンは悲鳴を上げてシーツに爪を立てた。のけぞっ た白い喉は、ひくひくと震えている。 「うっわ、スゲエ」 奥へ奥へと誘い込むように収縮する粘膜に、トラジが息を詰めた。ねっちりと吸い付かれて、すぐにも熱 を吸い取られそうな錯覚を覚えて、必死に堪えようと深呼吸を繰り返す。 「ちょ、待て待て待て」 三擦り半は流星会の名折れだ、とよく意味のわからない事を呟いてトラジが腰を引き掛けた。
あ、あともうちょっと…!! もう少しお付き合いくださいスマソ
「やだあ、っ」 意識の殆どを熱に犯されたスンシンが、普段の彼からは想像もつかない表情で、声で喘ぐ。きゅっと抉れの 部分をきつく締め付けられて、ぶっふぉー、とトラジは詰めていた息を噴き出す羽目になった。 「ま、まーて、って!ゴムつけんの忘れたんだよ!」 約束しただろと焦った声を上げるトラジに、条件を出した筈のスンシンがいらない、と首を振る。こんなに火 照った身体を放置されたら、本当におかしくなってしまう。 「わかった、でもちょっと力抜け!ちゃんとすっから!」 どのみちこの中途半端な状態じゃどうにもならねえだろ、と呻いてトラジが自分の肩口にスンシンの頭を押し つけさせた。深く息を吸い込んだスンシンの肩から、僅かに力が抜ける。そのタイミングを逃さず、トラジが 己を奥まで呑み込ませた。 「あ、あっ」 腕の中に抱きこまれた身体が、ぴんと弓なりに反り返る。深く繋がったそこが、ぐじゅ、と卑猥な音を 立てた。掴まれた腰を揺すりあげられて、スンシンが目の前の肩に爪を立てる。 「おっさ、んっ…!」 赤く染まった唇が叫んだのは、その名前だった。 「え、おっさんなの、お前の惚れてる相手」 ぶっふ、と塗れ場に似つかわしくない表情でまたトラジが噴き出した。 しかし、もはや波に攫われてしまったスンシンの耳には届かない。 「おっさん、おっさん…っ」 涙が、ぽろぽろと閉じたままの瞳から零れ落ちる。スンシンが首を振るたび、きらきらと光を弾きながら雫 が舞った。
そんな筈ないのに。
彼が自分なんて抱く筈ないのに。
でも、自分を包むこの匂いは彼のもので。
頭の中では、もう彼に抱かれている自分しか想像できない。
彼の腕の感触も、素肌の体温も何一つ知らないのに。
「…」
(スンシンくん)
彼の声しか聞こえない。
「…、…」
(可愛いよ)
彼の熱しか、感じられない。
「…すきだ」
彼の匂いのするシャツを、きつく握り締めながらスンシンはうわごとのように繰り返した。
「オッサン、オレ、あんたが好きだよ、っ…!」
気持ちいい?とあの優しい声に聞かれた気がして、夢中で頷く。身体の中を遠慮なく暴れまわる彼が、酷く
憎くて、悔しいくらいにいとおしいと思った。
互いの身体の間でくすぶっていた劣情が、大きな手のひらに搾られる。意識が白く弾けそうになった刹那、
身体の奥がざらりと灼かれたのを感じた。
身体の上で、どさりと男が脱力する。早すぎる鼓動が、重なった胸をどくどくと伝わった。
「…俺も好きだよ」
額に落ちた唇が、聞いた事ない名前を落としたのを記憶の最後に。
スンシンは、スズキの匂いに包まれたまま、その意識を闇に預けた。
うーわー
時間かかった割にこのていたらくorz
もっと修行してきます…
>>158 裏タイドラです。タイガー片思い。
どうでもいいけどテンプレぐらい読もうぜ あと投下はできるだけまとめて。深夜とはいえ、5時間スレ占領状態だぞ
ごめんなさい気をつけます… ちょいと浮かれすぎてた。
>>167 面白かったけどスレ占拠はいただけないな。
途中で「もう少しです」とかお断り入れるのもイラネ。
テンプレで囲って一区切りして時間あけるといいよ。
ついでにちょっと長すぎ。実質13分割だもん。
次回があったら気をつけれ。
>>167 あんた、テクはいいけどかっつき過ぎw
スジはいいんだから、いっそひと晩くらい時間あけて
焦らすのも乙なもんだ
重ね重ね申し訳ないです。 しばらくPC開けなくなるので焦っちゃったりもしてました。 ホントKYでorz 肝に銘じます。ご迷惑かけました。
>>170 時間とスレ占領は確かに…だけど
激しくGJ!!萌え死にましたありがとうございます!
落ち着いてまた書いて下さいね。私は待ってます。
テンプレ読んでなかったのか無視したのか知らんがルールは守ってな〜 反省してるみたいだからいいけどさ。スレ私物化みたいになっちゃうとね。 おまいあっちでもちょっとテンパってたろwもちつけw でも何か自ザンルの書き手さんな気がする…
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 地理とて珍弟子師匠だよ。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|
>>90 の弟子視点だからゴウカーン注意報発令。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 「コンセプトハメロドラマ」ダッテサ…
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
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夜明け間近の神社の境内に、早々はひとりだった。 最低限の身の回りのものをまとめた風呂敷がひとつ、背中には大切な座布団をくくりつけ、 早々はたったいま、長年住み込んでいた早若の家を出てきたのだった。 師である早若から、「出て行け」と今までに何度言われただろうか?土下座で懇願されたこともあった。 それでも3年間、早々は決して早若の元を離れようとはしなかった。 けれど、今回ばかりはもうどうしようもないのだ―――。 暗闇の中、早々はただ項垂れる。
ここ最近、早若の荒みようは目に見えてひどくなっていた。 何かから逃げるように増えた酒の量。落語に関することを全て拒否する頑なな態度。 今日も、向かいの居酒屋で酔いつぶれた早若を迎えにいった早々に投げつけられたのは、 落語を否定する言葉と、師の飲んでいた酒。 そして……、早々を拒絶する言葉だった。 どうしても信じることができなかった。だから早々は、夜も更けた早若の部屋に訪れ、懇願したのだ。 自分を見捨てないで欲しい、と。 嘘だと言って欲しかった。いつものように頭を撫でて、微笑んでほしかった。 側に居てもいいのだ、と安心させて欲しかった。 けれど師の態度は昼間と変わらず、再び投げつけられた拒絶の言葉――。 目の前が真っ赤になった気がした。自分に背を向けた早若を引き倒し、早々は衝動のままに師の身体を貪った。 激情が去り我に返った早々が見たものは、自分の下でぐったりと意識を失ってる早若の姿。 その身体には無数の情痕。身を引くと、抜け出た場所からは血の色の混じった白濁の液が。 それは、早々が、師である早若を引き裂いてしまった、紛れもない事実だった…。
176 :
夜明け前3/5 :2007/11/12(月) 08:10:33 ID:IKHK3QfA0
どんなことを言われても揺るがない自信があったのに。 どんなことがあっても、側に居続けようと誓っていたのに。 側に居て、できることならば支えてあげたいと、そう願っていたのに――。 けれど早々に突きつけられているのは、早若からの拒絶に逆上し、そんな師を陵辱してしまったという現実。 行為の跡を清め、手当てをした後も目を覚まさない早若を見つめ、早々は涙を流す。 どうしてこんなことをしてしまったのか、などと言うつもりはない。 ――早々は、いつの頃からか師である早若に、道ならぬ想いを抱いていたのだから。 逆上して、我を忘れた思考の片隅に、どうせ離れなければならないのならいっそのこと、 という思いが無かったとは言い切れない。無理やりとは言え思いを遂げた瞬間に、 自分の中に昏い喜びが湧き上がったことは否定できない。 そんな自分が許せなくて、師の側に居続ける資格などないのだと思い至って、 早々は早若の枕元に控えながら、嗚咽を抑えることができなかった。 やがて早若が目を覚まし、許されることはないと分かっていながら、早々は師に許しを請うた。 早若の返答は、ふかぶかと吐き出されたため息だった。 「・・・・・・わしも落ちたもんやな」 掠れ声で早若は呟いた。とうとう弟子の慰みもんに成り下がるとはな、と。 そのあまりの言いように早々は言葉をなくした。そんな弟子を見上げる師の顔は、自嘲の笑みに歪んでいた。 「まあお前がそういうつもりなら、それでもええけどな…、しかしお前も酔狂なやっちゃ…」 「やめてください!!」
捨て鉢なことを言う師の声は、けれどかすかに震えて消え入りそうだった。 浮かべる薄ら笑いに反して、その目からは涙が流れていた。 ひどく追い詰められた目をしていた。そんな目をさせたのは、他ならぬ早々なのだ。 「もうええです…もう、ええですから……」 もう駄目だ、と早々は思った。 もう本当に、自分はこの人の側には居られない、と。 自分が側に居ることで早若を苦しめるのだ。自分の、落語への思いが、この人を追い詰めるのだ。 大切な師のことを。 ―――大事に思う人を。 早々の目に新たな涙があふれた。 けれどこれ以上みっともない泣きざまを師に見せたくなくて、早々はただ早若に向かって深く頭を下げた。 畳に付いた手の上に、ぱたぱたと涙が落ちる。 その涙をぐい、と拭うと、早々は立ち上がった。努めて見まいとする師の姿が、それでも視界の隅に映る。 その、自分を見上げる師の顔が――、ふわり、と笑ったような気がして……。 胸の痛みに耐えられず、早々はその場から逃げ出した。
178 :
夜明け前5/5 :2007/11/12(月) 08:14:36 ID:IKHK3QfA0
そうして、早々は師の元を飛び出したのだった。 言えなかった言葉は書置きに残してきた。きっと隣人の喜代美が見つけて、早若へと伝えてくれるだろう。 不思議と心の中は凪いでいた。悲しいだとか、悔しいだとかいう気持ちはすでになかった。 しかしどこにも行くことができず早々は、こうして早若の家近くの神社でうずくまっている。 月も隠れた夜明け間近の神社の境内。外灯の明かりは頼りなく、もちろん早々の他に人の気配はない。 まるで迷子の子供だ、と早々は自分の状況を苦く思う。けれども、どうしたらいいのか分からない。 だって本当に、早々には師匠だけだったのだ。 師匠の落語だけが、早々には全てだったのだ。 それを取り上げられてしまったら、早々には生きていく術がないのだ。 しかし、そんな早々の存在が、師を苦しめる。 それでも、自分は―――。 堂々巡りの思考に縛られ、早々はここから動き出すことができない。 そのまま、どのくらいの時間が経ったのか、辺りが次第に明るくなりだした。 白々と明けてくる空を眺めながら早々は、いつまでもここに居るわけにはいかない、と思った。 どれだけ考えても、行き着く結論は同じだった。 早若の元を離れて、落語を続けていくことができるのか定かではない。 自分がそうすることで、師はまた苦しむのかもしれない。 それでもやはり、早々は、落語を諦めることができない。 落語をしていたいのだ。 早若の、落語を。 だから自分にはきっとまだやれることがある、と早々は立ち上り、朝日の差し込み始めた神社の境内を後にした。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 妄想なので原作との整合性の無さはご容赦を… | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 途中なんどかageてしまってすみませんでした。 おおっとぉ!放送が始まった!!
>179 超超GJ!!! 今回のも素敵です。切な萌え。 また是非読ませて下さい…!
>>179 姐さんの前作を読んで、思わず先週の地理トテを見てしまいました。
新たな萌えをありがとうございます。
>>179 切ないーーー!!超萌えた!
気が向いたらぜひ続きをお願いします。
今度は早々にうれし涙を流させてあげてください・・・
>>179 GJ!!
また書いてくれるの待ってたよ!!
師匠の気持ちを考えて出て行く早々に萌えた…
>>135 つるっぱげになるほど萌えますた!
是非オフに出戻ってきてください。
ドラマと原作の合体で、自分の理想の量桐です!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 1話直後のスレの流れに妄想止まんなくてSP ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ヲガタ×カヲル 皆様ネタ自ネタ混在ゴチデス | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ エロナイヨゴメンヨ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
186 :
1/4 :2007/11/13(火) 00:05:48 ID:eaNZjLZP0
今日の仕事は少し嫌なものも見たせいか、土砂降りの雨の感触 と血のにおいと肩に置かれた手の生温い温度と歪んで笑ったあの 口の形が頭をガンガン叩いて離れない。 「どうもスカっとしないんすよねぇ」 「だからってビールばかり飲むな。明日も非番というわけじゃな いんだ。使いもんにならないのは困る」 「大丈夫ですよ。このまんま眠れなくって徹夜で出勤されるより マシでしょ」 至って本気で言ったのに、俺の前に転がっているビール缶をざ っと目で追った上司は少し眉をひそめた。 「寄ってます」 「うん?」 「眉。人が不満を示す時の一般的表現の一つだ」 「…隠す気もないからな。いいから食っとけ。体がもたんぞ」 ガンとテーブルに置かれた皿の中身は出来立ての炒飯にでかい 目玉焼きが乗っけられいた。
187 :
1/2 :2007/11/13(火) 00:08:02 ID:eaNZjLZP0
今日の仕事は少し嫌なものも見たせいか、土砂降りの雨の感触と血のにおいと肩に置かれた手の生温い温度と歪んで笑ったあの口の形が頭をガンガン叩いて離れない。 「どうもスカっとしないんすよねぇ」 「だからってビールばかり飲むな。明日も非番というわけじゃないんだ。使いもんにならないのは困る」 「大丈夫ですよ。このまんま眠れなくって徹夜で出勤されるよりマシでしょ」 至って本気で言ったのに、俺の前に転がっているビール缶をざっと目で追った上司は少し眉をひそめた。 「寄ってます」 「うん?」 「眉。人が不満を示す時の一般的表現の一つだ」 「…隠す気もないからな。いいから食っとけ。体がもたんぞ」 ガンとテーブルに置かれた皿の中身は出来立ての炒飯にでかい目玉焼きが乗っけられいた。 「あんま食欲ないんすよねー…」 「贅沢言うな。ただでさえ今日はエネルギー使っただろう」 手際良くスープのカップも並べていく上司の手をぼんやり眺めた。エネルギー。まあ、確かに。 殺意じみた感情をやっと鎮めた所にタイミング良く表れたこの人は、いつもの、なんだか黙って隣いられやいいやって思わせるような目で、「何してるんだ」と、ぼけっとしていた俺に投げた。「帰るぞ」。 ビールありましたっけと返したら、お前が飲んでなきゃあるだろと返ってきたから安心して、…いや、満足して立ち上がった。いつ買い物したのか覚えていない一人の安アパートに帰るのも、ましてや『実家』へ向かうのはもっと御免だ。 …また脳裏に欲しくもない映像がよぎった。
188 :
2/2 :2007/11/13(火) 00:08:40 ID:eaNZjLZP0
これだけ酒摂ってもまだ脳髄麻痺してないらしい。気分の悪さが顔に出たのか、普段なら食欲をそそってるに間違いない炒飯と鳥がらスープの匂いを押して、慣れた気配が近づいた。左肩を強い手で掴まれる。 「大丈夫か」 ああ、気持ち良いな。俺の欲しい感覚が俺の全部に向けられている。目を開くと、いつもは切れ者で通してる人の顔が俺が心配だと全力で語っていた。 「…何ニヤニヤしてる」 「名前呼んでくださいよ。なまえ」 「…メシ食ったらな。酔っ払い」 「あーヒデー」 くつくつ笑ってると、深くていつもより少し熱い溜息が聞こえた。 「薫」 顎を掴まれて唇を重ねられた。 いつもより少し熱い、でもアルコールのせいではっきりと俺よりは温度が低いそれも舌も心地良くて夢中で吸った。そうだ、唇。舌。ここが口蓋、喉頭。また舌。歯茎。歯の裏。歯。また舌。唇。ひとつひとつのパーツを舌先から感じ取り、また脳へ、全身へ。 呼ばれる名前はセックスの合図だ。まだ耳の奥で痺れている。全部感じ取るのに一杯で動かすのもおっくうな両手を、でも欲しいから首に回した。なのに、完全に捕まえる前にするっと離れていってしまった。 「ちょ…っと、尾形さん」 「飯食ったら、食ってやるよ」 「えー…」 「なんだ、不満か」 不満だ。あと中途半端にくさい台詞へのアンチテーゼのつもりでもあったのだが、笑って頭をぐしゃぐしゃかき混ぜられると、なんだか毒気を抜かれた。 「じゃあ…、…いただきます」 「うん」 改めて並んだ料理に向き合うと、いつも通りにものすごくうまそうに、なっていた。 俺は箸を取ると手を合わせた。その俺を見てる人が少し安心した風なのは、呼吸や鼓動や脈拍や体温やどれかに集中するまでもなく、わかる。全部感じられる。 食に幸あれ。食い終わったら食ってくれるそうだけど、きっと全然足りないから俺が食おう。飯かっこみながら、そんなこと思った。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 1/4ハシッパイダヨゴメンヨ… | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 色々スマンカッタ…。適当に改行してよろです
元ネタ知らんが禿げた
>>189 名前と配役しか知らんが禿げた
ゴチソウサマ…(*´Д`)
>>189 待ってたよ姐さん!!
二人の会話がナチュラルすぎて禿げた
その後は各自補完しろってことですよね?ww
ごちそうさまでした(*´д`)
>>189 バカバカ!毛返してよもう!!毛根も危ういってのにコノヤロウ!
だいしてる(*´Д`)
>>189 二話しか見てねーけど禿萌えた
やっぱ毎週見ることにするよ
189>>目玉焼き乗せ炒飯にGj。なんか読んでたら腹が鳴った
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 海外ドラマ「英雄達(要英訳)」日本人二人旅だってさ ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ヲタリーマンな日本人超能力者の | | | | \ 日本語が怪しい同僚視点で設定捏造らしいよ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ エロドコロカ、カポーカモアヤシイゾ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
バレるはずのないイカサマでマフィアを怒らせて、二人まとめて郊外の道路脇に捨てされた。 砂漠や荒野の真ん中でなかっただけマシなのか。それとも単に面倒だったか。 ともかくそれもこれもすべてヒロのせいだ。 あいつがアメリカに行くとか言い出さなければこんなことにはならなかったのに。 いやアメリカに来たのはともかく、どうして超能力があるのにあんなアッサリやられてしまうのか。 ヤツアタリだと分かっていたけどヒロと喧嘩別れになった。 俺としてはちょっとコラシメテヤロウくらいの気持ちでヒロを置き去りにしてカフェを出たが、 意外にも奴は追いかけては来なかった。 さてここからどうやってベガスに戻ろうか、と途方に暮れながら戻る手段を探している間に、 ちゃっかりとした性格のヒロは自分だけさっさとどこかの車に乗せてもらうことにしたらしい。 超ムカツクってやつだ。本当にヒロはああいうとこは抜け目がない。 それから色々あったが別行動の末に結局元々いた場所まで戻ってきた。 ベガスに来たかった目的も俺なりに未練がなくなったし、そろそろ本来のヒロの旅に付き合って やってもいいかと諦めも出てきた。 スーツケースを引きずってレンタカーを止めておいた地下の駐車場に足を踏み入れる。 暗い駐車場の中にぽつんと残った一台の車。後部のドアを開けて座り込んでいる 丸顔の日本人がションボリと肩を落としていた。 おそらく一人で行こうとしたが、どうもできなかったのだろう。様子を見れば容易に想像はついた。 普段は変なことばかりを自信マンマンに言う男がしょげているのがおかしくて少し笑った。 彼はこちらを見ようとしない。しょうがないな、と俺は諦めた。 「また、漫画家に電話しようか」 彼はようやくこちらを見ると、口元を少し歪めて笑った。実はけっこう寂しかったんだろうと思う。 でも彼はそういう時には何も言わない。
ヒロと俺は日本で出会った。俺達は今では一緒にアメリカに旅行に来るほど仲の良い友達だ。 彼よりずっと英語の得意な俺は今回、通訳として彼の旅にくっついてきた。 いや、どちらかといえば強引に付き合わされてきたんだけれども、 俺にも俺なりのシタゴコロというか目的があったのだからあまり文句は言えない。 日本からの直通便で着いたLAXでNY行きの飛行機に乗るはずが、車で行くと唐突に彼が 言い出した時にはどうなるかと思ったが…ていうかそういう予定なら最初からそう言え! と前から何度か繰り返している気もするのだが、興味のあること以外は抜けているヒロは そういったことは気にしない。そういう性格だから友達が少ないんじゃないかという気もするが、 それに関してはこちらも余り触れたくない話題なので口にしたことはなかった。 とりあえずラスベガスを通っていくというので、俺は彼に従うことにした。 「…ベガスはもういいの?」 「用事は済んだよ。だからこの先は付き合ってアゲル」 俺が、君に、付き合ってあげる。 わざとそういう言い方を選んだ。ヒロはまたちょっとだけ笑いながら、そっかと言う。 「そしたら、付き合ってもらおっかな」 ありがとねアンドー君。そう呟くヒロの笑顔がやっといつものものに戻った。 それを見て、俺は彼と出会った頃のことを思い出す。 詳しく説明すると長くなるけど、俺は日本語があまり得意じゃない。 生まれたのは日本で、両親も血統的には立派な日本人のはずだが、物心がついてこのかた 日本で生活した記憶がほとんどないのだからしょうがない。 原因は主に両親の仕事の関係によるが、義務教育を過ぎてからは自分の意志でもあった。 たまに祖父母の家に寄る形で日本にも滞在していたことがあるし、幼少時には日本の学校に 編入した経験もあるのだが、海外生活が長いせいか日本の生活に慣れることが出来なかった。 そのくせ日本を離れて生活している時には、自分でも意外なほどに日本人だと誇っていたし 日本贔屓の日本通だと自分では思い込んでいたのだから不思議なものだ。 両親の仕事が落ち着いて日本に定住したこともあり、大学を出る頃には何故か俺は 日本に帰国して日本の企業に勤めようと決めていた。
学校のように閉鎖された環境での集団生活は苦痛でしかなかったが、会社勤めならなんとか やっていけるような気がしていたのだ。ましてや今はインターネットも普及しているし、 英語の堪能な俺ならきっと会社でも重宝されると何故か思い込んでいた。 そうして今の会社に就職してから、俺はようやく間違いに気付いた。 子供の頃から日本語を習い、たまには日本でも生活し、日本の学校にも通ったことがある。 そう自負していた自分の日本語が、意外と通用しないことに就職してから気がついた。 何しろ周囲の人間が俺の日本語を耳にすると顔に「?」を貼り付けて首を傾げることが多い。 最初はわからなかったが、その原因が言葉だと気付くまでにそう時間はかからなかった。 そのくせプライドは高かったから、誰かに日本語を教えてほしいと言い出すことも出来ず、 俺の日本語は正しいと思い込むことで強がっていた。 このまま未熟な日本語で日本の会社に勤め続けるか、それともスッパリと辞めて どこか近くの国で日本語も出来る英語人として暮らすか。本気で悩み始めた頃に、 俺はヒロに出会った。 その頃もヒロは今と変わらずオタク丸出しの変人で、けれどもそんな自分を気にするでもなく 自由にのびのびと変人ライフを生きている男だった。 『君、英語が得意なんでしょ?』 それがヒロが俺に最初にかけてきた言葉だ。丸い顔にメガネをかけた、これといって特徴のない 平坦な顔の日本人。…とはいえ俺も日本人なのであまり人のことを言える顔ではないが、 とにかくヒロはパッと見た瞬間には本当に平凡な日本人に見える。それは今も変わらない。 しかしメガネの奥のつぶらな瞳をキラキラ輝かせてこちらに迫ってくる姿に、俺は瞬間 気圧されてしまったことを今でもよく覚えている。 『ね、英語得意なんだよね?あのさ、そしたらこのマンガ読める?』 ヒロはこちらのことを気にかけるでもなく、持ってきた英語のコミックを目の前に広げて尋ねてきた。 『…………読めるよ』 子供向けのバカバカしいマンガを読めるかと聞かれて、俺は正直バカにされているのかと思った。 こんなもの簡単に読めるに決まっている。俺の日本語がおかしいからとバカにしているのかこの男。 俺のヒロに対する第一印象はそうしたものだった。
しかし今になって考えれば、俺はその頃、出会う人のほとんどに最初は悪い印象ばかり抱えていた 気がする。言葉に対するコンプレックスから卑屈な状態になっていたのだ。 『読める?読めるなら、俺にこれがどんな内容か…その、内容よりもどういうニュアンスなのかを 教えてほしいんだ!』 どうしてそんなことを俺がしなきゃいけないんだ? 正直かなりうんざりした。その頃の俺はとにかく誰かに日本語をしゃべるのが嫌で、なるべく口を開かないようにとそればかりを考えて暮らしていたからだ。 けれどもヒロはそこで俺が思いっきり嫌な顔をして見せても、他の日本人のように「空気を察したり」 はしない男だった。 『あ、ひょっとしてこれって面倒くさい内容なのかな?そんな難しい話には思えなかったんだけど… ここからここのページまでの、このキャラのニュアンスがちょっとわかりづらくてさ』 ヒロは輸入コミックのページをめくりながら一方的にまくしたててきた。 なんて自己中心的な男なんだと呆れながらも、俺は諦めて彼の話に付き合うことにする。 おそらく彼の用件を済ませなければ解放してもらえないと気付いたからだ。 『どこ?』 俺がページに目を向けると、彼は嬉しそうな顔をしてコミックをひっくり返して見せてきた。 『この辺から…ここら辺までかな。スラングなのかな?辞書に載ってない言葉も混じっててさぁ』 ヒロが知りたがっているコミックの内容は俺には難しいものではなかった。 けれどもそれをヒロに説明するのが困難だと、話し始めてすぐに気付くことになる。 彼に説明するには俺の中にある日本語があまりにも少なすぎた。それが当時の悩みの 主な原因だということも気付いていたが、本当に俺は日本語が下手だった。 俺はどうにかして自分の知っている言葉を駆使してヒロに伝えようとしたけれど、 途中で急に嫌になった。 こんなことをしても無駄だ。きっと俺の言うことは伝わっていないし、ヒロは俺の日本語の あまりの下手さに驚いただろう。 大抵の日本人の反応がそうだった。そして彼らは気の毒そうな眼をしてこちらを見るのだ。 俺にはそれがとてつもなく嫌だった。
きっとヒロも今頃は俺をそういう目で見ているに違いない。 そう思うと急に考えるのがバカらしくなった。言葉について悩むのもバカらしくなった。 もうこの会社を辞めよう。そして別の生き方を探そう。 悔しさに涙がこみあげそうになりながら、コミックの文字を睨み続けた。 『………ねぇ、どうしたの?』 急に黙り込んでしまった俺にヒロは不思議そうな声で尋ねた。 それがあんまり無邪気な声だったので、俺は思わず相手を見た。 『急に黙っちゃって、どうしたの?ここってそんなに説明が難しいとこ?』 ヒロは……ヒロはまったく、気にしていなかった。 驚いたことにヒロは俺の日本語がどうとか、そういったことを気にする男ではなかった。 『君は……』 口を開いて出てきた俺の声は、妙に掠れたものだった。 乾いた口の中を潤そうと唾を飲み込んでから改めて口を開く。 『君は、俺の日本語が変だって、思わないのか?』 俺は思い切って下手くそな日本語で尋ねてみた。 その時には認めざるを得なかった。俺の日本語は、とても下手くそで、変だと。 ヒロは丸い顔の中の黒い目を丸くすると、不思議そうな表情のまま首をかしげた。 『変?変って、どういうこと?』 『だって、変だろう。俺の日本語は、ヘタクソだ』 半分ヤケになってそう言ったが、ヒロは首をかしげるばかりだ。 『下手、かなぁ?まぁ確かにリューチョーではないけれど、俺はそんなにおかしいとは思わないよ。 俺の言うことをわかってくれるみたいだし、一所懸命に説明しようとしてくれてるじゃないか』 リューチョーってなんだろう?と思ったけれど、悪い言葉ではなさそうだった。 ヒロが俺の言葉について、悪い印象を抱いていないことは理解できた。 『君ってさ、日本より海外での生活が長いんだろ?それならそれくらいのナマリはあっても しょうがないと俺は思うよ。それだけ話せるなら日本語なんて暮らしていたらすぐにわかるように なるし、それよりも英語がぺらぺらなんてすごいじゃん!』 明るい顔で言うヒロを、俺はすごいと思った。 日本にも俺を認めてくれるやつがいて、しかもこんな近くにいるなんて、奇跡だと思った。
『ねぇねぇ、もしよかったら、これから俺に英語教えてよ!俺、アメリカのマンガとか読めるように なりたいし、ドラマや映画も自分でわかるようになりたいんだ』 趣味のためならなんでもするオタクのヒロは、マンガを読むために英語が勉強したいと言う。 彼に頼まれる形で俺達は友達になった。 俺はヒロにマンガやドラマを説明しながら、彼に日本語を教えてもらう。 ヒロはそれをいつも感謝し、ありがとうと言いながら俺に日本語を教えてくれた。 押し付けがましい態度もなく、けれども辛抱強く俺の日本語に付き合って会話してくれるヒロは 俺の師匠でもある。本人に言ったことはないけれど。 ヒロはSFも大好きで、俺も知らないような難しいSFの英単語を知ってたりする。 マンガとドラマの好きなオタクのヒロはいつもちょっとおかしなことばかりを言っている男で、 俺はそれには少しうんざりするけれども彼のことは嫌いじゃない。 そうして気がついたら何故か彼は物凄い超能力を手に入れていて、俺は彼にくっついて アメリカまで来てしまった。 これは世界を救う旅だと彼は言う。 どこの映画だよと俺は思うが、彼に言っても多分気にしてはもらえないだろう。 「これはお前の旅じゃないか」 NYの漫画家に電話した勢いで浮かれているヒロに話の流れでついうっかりと漏らしたけれど、 そうしたら彼は予想外に真剣な顔でこう行った。 「違うよ!これは俺の旅じゃなくて、俺達の旅、なんだよ」 超能力なんかなくったってヒーローになれるんだ。 真顔でそういうヒロはちょっとカッコイイ。けれども凄く変人だ。 変人でもいいかと俺は思う。俺だって日本じゃある種の変人だけど、ヒロはそんなこと気にしない。 だから俺もヒロのことは気にしない。変人だって俺の大事な友達だ。 「それじゃ、そろそろ行こうか」 俺は車のエンジンをかける。ヒロは車の運転が出来ないくせに、こんな車なんか借りちゃって、 そのくせさっきまで俺達は別々に行動していた。 俺がいなかったらどうするつもりだったんだろう? でもきっとヒロならどうにかしていたかもしれない。 何しろ彼は超能力ヒーローなのだから。 俺達の旅はまだまだ続くらしい。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 初投稿デス。オソマツサマデシタ | | | | ピッ (・∀・;) 思イッキリハミダシチャッテスイマセン | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 「英雄達(要英訳)」の5話〜6話くらいのニポンジンズの旅に絡めてみました 同僚のアンドー君は中の人がニポンジンじゃないので日本語怪しいとこを 過去とか捏造してみましたスイマセン
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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>>197 姐さん終わったばっかりだけど眠いので投下。
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>>185 姐さんの勢いに乗ってSP
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ヲガタ×カヲル 申し訳ないほど短いです
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| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ヤッテル最中ナノニエロクナイ… orz
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
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「猪上、やめろ」 「っ、やです」 「いのう、っ」 言葉を塞ぐように、吸い取るように、猪上は唇を無理やり緒方のそれに押し当てて口内を貪る。 鋭くさせた感覚での口付けは先ほどとは比べ物にならない気持ちのよさを猪上に与える。 体の中にある緒方のモノもさっきよりはっきりとその状態を感じ取れて、腰が自然と揺らめいた。 体中が蕩けてしまいそうな快感の中でも猪上は目を閉じようとしない。 (フォトグラフィックメモリーは視覚を重点に覚える) (ちゃんと覚えておきたい、緒方さんの何が俺を気持ちよくさせてくれるのか、 どうすれば緒方さんが気持ちよくなるのか) (俺が、壊れる前に) (俺が、SPを辞めなきゃいけなくなる前に) (俺が、この人から離れなきゃいけなくなる前に) 涙が湧いてくる感覚に息が苦しくなって唇を離した。 「猪上」 「名前、呼んでください」 少し歪んだ視界の向こうに眉根を寄せた緒方が見えた。 (違う、見たいのは、覚えていたいのはそんな表情じゃない) 「お願い、します、そう、いちろう、さん」 「・・・かおる」 能力をフルに起こして、その唇の動きを、声を、脳に焼き付ける。 微かに覚えた目眩を振り切って、猪上はいつの間にか止めていた腰の動きを再開させた。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ ムシャクシャシテヤッタ、反省ハシテル | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>206 起きててよかった…!!GJGJ!!
カヲル切なかわいいよカヲル
なんか胸がぎゅーっとしちゃったよ
>>207 姐さんGJ!
週初めから多大な萌えをありがとう。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 某週間漫画から担当×漫画家らしいよ ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| プラトニックで別れ話みたいなもんだから苦手な方スルーヨロ | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) オモワズヤッチャッタ… | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
トン、トンと出来上がった原稿を机で整えると眼鏡をかけたスーツの男はそれを簡素な茶封筒に押し込み、古びた鞄の中に収めた。 おいおいそれそんな乱暴にしないでくれる、俺が命削って描いてんだからもっと宝物に触るみたいにさぁと言えば小火田先生位描ける様になったら考えてやる よと不可能なことを返してきた。 知ってんだろお前、付けペン使うのメンドクサイし、しょっちゅう描き分けが出来てないだの雑だの言われてる事。てか主にお前が言ってることだし。 あーこんな担当もー嫌だーチーズ蒸しパンになりたい 傍らに置いて有る煙草に手を伸ばし一口吸う。きっと原稿あげて煙草を吸うこの瞬間が至福の一時ってやつ。 「お疲れさまでした。そんじゃ俺これ社に持ってくし」 「おーついでに冷蔵庫の中に入れてあるプリン取ってくれる?」 アシくんが買ってきてくれたプリン〜と王様気分で命令すると、立ち上がった男は心底めんどくさそうな顔をして台所へ向かう。 テメーいい加減ここ掃除しろ!だの、五郎さんが出るぞ!だの言ってくるけど今は完全に無視。だって俺今大業を成し遂げた王様だから。五郎さんが出てもお 前が退治しに来てくれる事知ってるから王様は何にもしません。 「あ」 何そのすげー間抜けな声。 「何?五郎さん出た?」 「プリンさっき食っちゃったんだけど」 ・・・は?
「ハァァァァァァ!?」 プリンプリンプリンプリン!!! テメー何してくれてんだこのチンピラモンチッチー!!! 俺が!俺がこの瞬間をどんだけ楽しみにしてたと思ってんだァァァ!!! 人様の冷蔵庫の中身勝手に食っちゃいけませんって習いませんでしたかァァァ!!! 俺の至福の一時はプリンを持って完成すんだよォォォォ!!! 「お前が早く原稿上げないから腹減ってたんだよ」 「俺のほうが100万倍腹減ってたっつーの!お腹と背中がくっ付いて離れねーくらい仲良しなんだよもう!てか何回人様のプリン食えば気が済むんですかこの類人猿がァァァ!!!」 「テメーが類人猿だろうが」 そういって男はゴミの山に立てかけてあった鞄を掴み台所を出て、玄関で革靴を履き始めた。 チョイ待て話はまだ終わってねーだろうが! 「じゃ、今度お前が食いたがってたプリン買って来てやるよ」 「は?あ、あそこの50個限定のやつ?こないだテレビでやってた」 「店が社から近いしな。ま、その代わりネームと交換な」 頑張れよセンセーと嫌味な笑みを浮かべて男はドアの向こうへ消えた。 「プリンじゃしゃーねーなァ・・・」 じゃ、一眠りしたらネームやりますかーと軽く伸びをして台所を出ようとした瞬間。何かブニュリとしたものを踏んだ。しかも素足で。 予定訂正。ネームの前にやっぱここ掃除する・・・ けど、その前に一眠り。風呂入って寝る。 あ、寝たらコンビニにプリン買いに行かなきゃなぁ・・・
思いっきり惰眠を貪っていたら、携帯の着信音で目が覚めた。 布団から出ずに転がってあった携帯に手を伸ばし、着信。やっぱり聞きなれた担当の声がした。 「おーどしたー?」 深い眠りから動き出さない重い頭を抱え、二三度目を擦る。 時計を見ればさっきから数時間しかたっていない。いつもならこんな時間に連絡してこないのになーと不思議に思いながら耳を傾ける。 「先生、今すぐそっち行かせてもらいますから」 「へ?あ?え?」 その切羽詰ったような言い方で一言だで通話が切れ、ただプーップーッと機械音だけが耳に残る。 その機械音で脳が少しづつ覚めて行くのが怖かった。 十数分後インターホンが鳴った。 男は霧雨の中を走ってきたらしく、そのトレードマークみたいになってる眼鏡が水滴で濡れていた。 髪もぼさぼさで、スーツもよれていて、ハーッハーッと深呼吸を繰り返している。 カッコつけのこいつらしくねーなと思いながらもタオルを投げてよこす。たぶんまだ綺麗なやつだと思う。たぶん。 中に通して、さっきまで原稿を見ていた場所に座らせる。 いつもなら座らせた瞬間に「ゲンコーどこまで進みましたァ?」だの言い出すのに今日は何も言わずにその荒れた唇を閉じて座っている。 「・・・」 「・・・」 チッチッチッ、と時計の時を刻む音だけが室内に流れる。 無音に耐えかねて机の上に置かれていた煙草に火を点ける。 なんだか数時間前より不味い気がした。 「・・・なんか有った?」 これで何もなかったらそれもそれで不気味だ。 男はゆっくりと面を上げた。 何だろう、ついにアニメPTAの策略で打ち切り?漫画自体打ち切り? それとも集えい社になんか有った?いやいやまさかあんな大会社がなぁ・・・ それともそれとも
「担当変わることに、なりました」 予測できなかった言葉に頭の中が白くなる。脳が停止したみたいに。 そいつはポツポツとこれからの事だとか次の人のことだとか引継ぎに関することだとかを話し始めた。 ただぼんやりと男が全てを話し終えるまで見ていた。 「すげー出世じゃん!」 海賊王になんのかお前 「その新しい担当ってお前よりマトモだろうな」 どんな人だろうがその人はお前じゃないけど 「お前なんてただのモンチッチだもんな」 そんで俺の担当 「そんな心配しなくったって大丈夫だって。お前は俺のカーチャンか」 大丈夫なわけないっしょ ずっとお前が俺の面倒見てくれたからここまできちまったんだよ。 6年間って凄くね?だって赤ん坊だって小学校行くんだよ。タイミング次第じゃ小学生から大学生になんだよ。モンチッチだって結婚するよ。 そりゃアニメ化もするよゲーム化もしちゃうよラノベ化もしちゃうよ。 あれもこれも全部お前が居たから出来たんだよ?お前が居なきゃ俺なんかさっさと北海道帰ってチャッピーと楽しく暮らしてただろうよ。 どうすんだよ、これから。お前が居なくなったら、どうすんの俺? けど今だけは 「お疲れおーにし」 笑ってやろうと思った。 すっげー満面の笑みって奴でコイツを安心させてやんなきゃって思った。 「今まで」 笑え、笑え、笑え!
「「ありがとうございました」」 仄暗い部屋に二人の声が重なる。 まるでドラマみたいに綺麗に。 ああ、駄目だって思った瞬間。溜まりに溜まった水分が、一滴。頬を落ちて視界を歪ませた。 これからお前の居ない日常が始まる。 もう毎回雑だの言われない。もう憎まれ口叩く奴は来ない。もう俺のプリンも無くならない。 もう馴れ馴れしく「ソラチ」って呼ぶインテリチンピラは居なくなる。 そんな日々を望んでたのに、いつの間に手放せないくらい手に馴染んでいた。まるで愛用のペンみたいに。 コイツじゃなきゃ漫画描けないって。なぁどうしてくれんの? なぁ、プリン買ってきてくれるって言ってたじゃん、 そんでそのプリン食いながらバカな話とか、たまにゃ真面目な話したりしようや。 お前がこんなの読みたいって言ったら八割方描いてやるからさ、口喧嘩しながら話考えたりしてな。 けど、わめき倒してお前じゃ無きゃヤダと言えるほど子供ではいつの間にか無くなっている事だけは知ってて。 薄汚く成長した大人は、ただ全てを受け入れるため一度だけ男の名を呼んだ。 窓の向こう、霧雨はいつの間にか本降りに変わり、灰色の町を濡らしていた。
| __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ | | | | ピッ (・∀・ ) 改行大杉ッテオコラレタヨ ハミデテスマン | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
>>216 乙!
自分もこないだの作者コメント欄読んだときに衝撃を受けたよ…
やっぱりテラ萌エス。ありがとう。
>>197 GJ!
ドラマ見てないけど日本語と英語教えあうのに萌えた!
>>216 GJ!
自分も担当替えには衝撃を受けたから、いいものを読ませていただきました。
切ないなぁ。ありがとう。
>>216 乙でした!チーズ蒸しパンの一人語り切ねぇ…禿げ萌えました。
ありがとう。
>>216 GJ
ちょっと切ない話ありがとう。こういう話もいいな
>216 GJ…! 私も衝撃を受けたので、いいもの読ませてもらいました。 やっぱり好きだー
224 :
SP2話後 :2007/11/13(火) 19:02:39 ID:KESDUKz/0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | SP2話後辺りのヲガタ×カヲルだよ ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| SP続いて申し訳ない | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 5年振リ位ニ文章 | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 書イタヨ | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
225 :
1/5 :2007/11/13(火) 19:03:53 ID:KESDUKz/0
「井ノ上ぇ今日暇?飲み行かない?」 「あーすんません、今日は予定あって…」 チッと笹元の舌打ちが聞こえる。黙っていれば相当な美人なのに、 なんでこんなにもこの先輩は男らしいのだろう。 VIPの予定にキャンセルが起きて、久しぶりにある事すら忘れる定時に上がれる事になった。 飲みに行きたい気持ちも勿論あるのだけど。 「じゃあいいや。今度奢んなさいよ。お疲れー」 「…お疲れさまです」 こちらの返事は聞こえているのかいないのか。次なるターゲットは山元に移ったようだ。 井ノ上はぼんやりと山元が笹元に引きずられる様を見ながら、 久しぶりに娘と会えるという石駄と挨拶をすませる。 すると、入れ替わるように呼び出されていた係長が帰ってきた。 「尾方さん」 「俺もこれで今日は上がりだ。井ノ上は?帰らないのか」 「…今日家行っていいすか?」 「お前が良ければ」 にやりと笑って、余裕のある大人の態度が気に食わない。 でも言葉の真意くらいシンクロなんかしなくとも知っている。 ―何時振りだろう。二人の夜を過ごすのは。
226 :
2/5 :2007/11/13(火) 19:04:38 ID:KESDUKz/0
背広をハンガーにかけて、ネクタイを外したら、そのまま誘導されてソファに押し倒される。 「ちょっ…急すぎません?」 「明日も仕事だからな。仕事に支障を出すわけには行かない」 「全然ムード無いっすね」 「ムード出してからでいいのか?」 「っ!!い、いいです。続けて、下さいっ、ん…」 Yシャツの裾から尾方の右手が侵入してきて、肌を撫でながら、胸に辿り着き、突起を押し潰す。 左手は布の上から下半身をやわやわと遊ぶように触っている。 自分で意識するまでもなく、勝手に尾方さんとシンクロしてしまい、 快感と興奮で感情がコントロール出来なくなる。 「ん、あ、ぅ…尾方さ…っ」 「ムードが欲しいなら名前で呼べばいいだろう」 (狡い。卑怯だ。自分だって呼べと言っても滅多に呼んでくれないのに) ぎっと睨み付けた途端、また尾方さんの意識が傾れ込んでくる。優しく動く指。肌の温度。熱い吐息。 いつもより早い心臓の鼓動だって、全部、解る。 (―好きだよ、薫) あぁ、もう駄目だ。なんでこんな時に限ってそんな声が聞き取れるのか。 ちゃんと顔も見たいし、一挙一動も感じていたいのに、何も解らなくなる。 ただ快楽だけが頭を占領して、自分では何も考えられない。 「―っ!ぁ、そう、いちろう、さんっ!」
227 :
3/5 :2007/11/13(火) 19:05:28 ID:KESDUKz/0
「…大丈夫か?」 「…大丈夫じゃないです…」 まだ、回数を重ねるつもりだったのに、思った以上に辛そうな井上に尾方はぎくりとする。 久しぶりの夜で、彼の体に負担がかかりすぎたのだろうか。 しかも彼は何日か前に目眩を起こし病院に行った身だというのに。 もっとやさしくするべきだったかと、落ち着かせるように髪を撫でると、 井ノ上は、うぅ、と腹を押さえ、こちらをじっと上目遣いで見つめながら口を開いた。 「尾方さん、俺お腹空きました。もー腹減って死にそうっす。卵焼き食べたい、甘いやつ。」 そうだった。彼はこうして空気の読めない面があるのだった。 「…俺はしょっぱい方が好きなんだけど」 「えー、甘いのがいいです。尾方さんの卵焼き美味しいんだもん」 「じゃ、朝はしょっぱいのだからな」 飯食ったら再開するぞ、と井ノ上の耳元で囁いて、ブランケットをかけてやり、 尾方は夕食を作りにキッチンへ向かった。
228 :
4/5 :2007/11/13(火) 19:06:02 ID:KESDUKz/0
トントンと心地よいリズムで調理の音が聞こえてくる。 その音は中々熱の引かない体に心地よく響き、徐々に落ち着きを取り戻させてくれる。 手伝いに行きたかったが、横になっていても時折歪む視界のせいで、 立ってしまったら、目眩を起こしてしまいそうで立つ事が出来なかった。 (尾方さんに嘘ついちゃったなー…) 先日の検査の結果をただの過労と偽って申告した。尾方は全てを信じていなかった様子だが、 井ノ上は現場から外されるわけにはいかないのだ。彼から離れる訳には。 尾方と総理の関係も薄々は気付いている。 もしかしたら、尾方が優しくしてくれるのは、自分を利用しているだけかも知れない事も。 それに、自分だって、尾方が関わっていようと、総理への憎しみは消えない。 (…思ったより、堪えているのかも知れない) 行きたくも無い病院に行ったせいで、嫌な記憶ばかりが蘇り、薬を貰っても安眠出来る事は無かった。 総理に関わっているかも知れない尾形に、深入りするのは良くないと解っていても離れられない。 もう長い間一人暮らしはしているけれど、熟睡できるのは尾方が隣にいる時だけだ。 (尾方さんが居なくなったら、どうなるんだろうな俺は) SPという職業柄、尾方の身に安全はないのだと、身に染みて解っている。けれど。 (それだけは、絶対にさせない) 自分の為に料理を作ってくれる尾方の後ろ姿に被るように、 フラッシュバックしてくる記憶を、抑え込むように片手で顔を覆った。
229 :
5/5 :2007/11/13(火) 19:06:34 ID:KESDUKz/0
上げた手の動きに気付いたのか、尾方さんが料理の手を止めて、こちらを伺う。 「どうした?眩しいのか?眠かったら寝室で寝てていいぞ。メシが出来たら起こしてやるから」 「や、平気です。尾方さん、お母さんみたいっすよ」 「お前を産んだ覚えはないがな」 「じゃあお父さん」 「父親が子供を抱くのか?寝呆けてるんだろう、お前は。 いいから寝ていろ。眠れないんだったら、目を閉じていればいい。それだけでも体には違うからな」 俺はお前の親じゃないよ。そう言う癖に、子供を見るように柔らかく苦笑した顔で、 尾方さんはそう言って料理に戻った。 ―甘い卵焼きは小さい頃から好きだった。 もういない、おれのお母さんとお父さん。 記憶にある姿と尾方さんはどちらにも似ていないけど、似ているんだ。 甘い卵焼きだって、母さんが作ったのより、尾方さんが作ったやつのほうが旨いけど。 厳しいけれど、総べて許してくれるようなやさしいところが。 似ているからこそ、失われるのが何よりも怖い。 もう目の前で誰かを失いたくない。そんなのは俺だけでいい。 護ってみせる。 尾方さんだけじゃなく、笹元さんや石駄さん、山元さんも。 もう誰も傷つかないように、親が遺してくれた能力で走り続ける。 自分がどうなろうとも、そんな事はどうだっていい。 そうだ、例え尾方さんが全て仕組んでいたとしても。 いつかは、一人でだって眠れる筈だから。
230 :
SP :2007/11/13(火) 19:07:22 ID:KESDUKz/0
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ モロモロ甘クテゴメンネ | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
SP姉さん方まとめてGJ!!
>>197 GJ!
だいぶ先だけど、ヒロくんにとってアンドーくんが特別な存在だって
分かるエピがあるよ。
>>216 やばいもうこの二人萌えるわ。禿げたじゃねーかコノヤロー
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 飛翔アメフト漫画の三兄弟の、長男×次男です。怪しいチョコの話。 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ゴカーンではないけど何か無理やりだよ。でも未遂だよ。 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ もしかしたら続くかもしれません…… | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「これこれこれ!!見てみーこれ!!」 晩秋の肌寒い朝、騒がしい黒/木の叫び声が廊下にまでこだましている。 何事かと思って小走りで教室まで向かうと、黒/木が、呆れ顔のト/ガや真っ赤な顔のセ/ナに板状の何かを見せ付けている。 「んだよ朝っぱらからうるせーな」 「おっ来たんか十/文/字!これ見てみ?すごくね?チョコのくせにエロくね?」 うひひと笑う黒/木が俺に突き出したその板状のものはどうやらチョコレートらしい。金髪で巨乳のねーちゃんの、かなりきわどいポーズのイラスト。 「そりゃーエロいけどよー、騒ぎすぎだっつーの」 ジャンプを開けたままのト/ガが面倒くさそうに呟く。 「……そっ、そのチョコ、どうしたの?」 そういうものにあまり免疫がないのか、俯いたままでセ/ナがおずおずと尋ねる。 「貰ったんだよ姉貴の彼氏に。何か旅行行ってたんだって、ハワイに」 そういってさも貴重なもののようにいかがわしい包みを頭上に掲げる。すげーなーやっぱハワイはエロいなーとか何とか呟く黒/木を尻目に席に着く。 こいつが騒いでる時はたいていろくでもないことを思いついたときか、ろくでもないものを手に入れたときだということを忘れていた自分に腹が立った。 「じゃ、黒/木/浩/二/、ハワイの味、堪能しまーす!あ、やらねーぞ、悪いけど」 あんなに興奮していたくせに、いとも簡単にぱりぱりと軽快に包み紙を破いて捨てるところがなんとも黒/木らしいとか、わざわざ宣言してんじゃねーよとか、 それに誰もくれなんて言ってねーよとか、色々アホらしくて吹き出しそうになるのをこらえながら、俺の足元に落ちてきた包み紙を何気なく拾い上げる。 下品な赤のゴシック体のパッケージ。スラングだらけのそれを何となく流し読みするうちに、何やら芳しくないことが書いてあることに気がついた。
「……おい、黒/木……それ食って……大丈夫なのかよ」 パッケージから顔を上げる頃には、黒/木は半分以上食べ終わっていた。 「はぁぁあ?何で?」 口の周りのチョコを指で拭きながら黒/木が大きな目をキョトンとさせて俺を見る。 その間にもバリバリと齧っているから、俺が読み取った不穏な単語の説明を始める前に黒木はその黒光りするチョコレートを食べ終わってしまった。 「あ……」 「んー、ハワイの味も大したことねぇなぁ。何か薬臭くてイケてないわ」 「……薬……やっぱそれ……」 食ったらヤベえよ、と言ったところでチャイムが鳴り、担任が入ってきた。俺は手にしていたパッケージを慌てて丸めてポケットに押し込む。黒/木はさっさと自分の席に着いて、何事もなかったように隣の奴に話しかけている。 まだ黒い欠片を口の横につけたままの黒/木を見ながら、俺はさっきのチョコレートがジョーク商品かなんかか、俺の勘違いであることを祈った。 ところが、俺の英語力はまんざらでもなかったらしい。 もともと英語は嫌いじゃない。文法を組み立てて文章を作るのはパズルのようで面白いとさえ感じるし、好きなバンドの歌詞の意味が分かるようになるのも楽しい……とかそんなこと考えてる場合じゃなかった。 二時間目の途中あたりから、黒/木がそわそわしだした。頭をかきむしってみたり、自分の顔をぺちぺちと叩いてみたり、やけに長いため息をついてみたり。 いつも休み時間になるとト/ガか俺の机まで来て、しょーもないことでわーわー騒いでるくせに、今日は自分の机に突っ伏している。 ジャンプ二巡目のト/ガも、黒木の異変に気づいたらしい。俺の机まで来て、気持ちトーン低めの声で俺に話しかけてきた。 「何か……黒/木様子おかしくね?」 「あー……そうかも」 「あんな怪しいチョコなんか食うから、腹痛でも起こしたんじゃねぇか?」 さすがにト/ガとはいえ、あのパッケージのことと、そのせいでこれから黒/木に起こるであろう惨劇を説明するのは可哀想で、俺はあいまいに相槌を打つ。
ジャンプを置いてト/ガが立ち上がり、黒/木の席まで行く。 だいじょーぶかよオメーとか何とか言いながらト/ガが黒/木の肩に触れた瞬間、ガタン、と大きな音を立てて跳ね上がった。 黒/木の顔が赤い。肩で息をしながらうっせー触んじゃねーと怒鳴り散らす。 トガは少しむっとした顔をして、んだよ心配してやったのにと、自分の席に着いてまたジャンプを広げてしまった。 それを見届けた瞬間、黒/木の顔が少し緩んで、小さく息を吐き出した。乱れた前髪を自分で触るのも辛そうだ。 極力自分の体に触れないようにしながらまた机に突っ伏す黒/木の姿を見て、やっぱりあの時強引にでも食べるのをやめさせるべきだったと後悔した。悪いな、黒/木。 3時間目になると黒/木の異変は目に見えてひどいものになった。 机から顔を上げようとせず、は、は、と浅い呼吸を繰り返している。隣の女子も黒/木の様子に大丈夫?と小声で話しかけるが、今の黒/木には返事する余裕もないようだ。 「―黒/木、どこか具合が悪いのか」 さすがに教師も只の居眠りではない事に気付いたらしい。 返事をしない黒/木を見て、本当に具合が悪くなったのだろうと判断したのだろう。 「このクラスの体育委員は?」 「あ、俺す」 偶然だが、本当に俺でよかった。 立ち上がって黒/木の手を取る。一瞬ビクついたのをゆっくり握り締めてやると、黒/木は真っ赤な顔で俺を見上げて少しばつの悪い顔をしながらゆっくりと立ち上がる。 心配そうに俺と黒/木を交互に見つめるト/ガやセ/ナに、大丈夫だからと目で合図して、俺は半ば黒/木を抱きかかえるようにして教室を出た。
「……じ/ゅ、も/ん/じ……オレ、保健室、は」 「分かってる」 「……え?」 授業中のしんとした廊下に、二人の低い声と、黒/木の荒い息遣いだけがこだまする。 「屋上、行くぞ」 「……なん、で」 「誰にも見られないだろ。それともトイレ行くか」 不意に黒/木が立ち止まる。充血した目を丸くさせて、羞恥と驚愕で震えていた。 「何で、わかんだよ」 「お前が今朝食ったチョコだよ」 ポケットから包み紙を取り出して広げる。黒/木には絶対分からないであろうその説明。 「これ食ったら欲情すんだよ。ここに説明が書いてある」 「だってこれ……チョコ、なのに」 「何か薬混ぜてんだろ。とにかく抜かなきゃ治んねーよ……てか抜きたいんだろ?」 黒/木は何も言えずにその場にへたり込む。反論する気力もないほど切羽詰っているんだろう。 「……屋上、行く……トイレ、は、ウンコしてるとか、思われたくねーし……」 小学生かよって思わず突っ込みたくなったけど、悪友相手にこんな醜態を晒さなければならない黒/木に同情して、 俺は肩を貸したまま誰にも見つからないようにそっと屋上への階段を昇った。
昼前だというのに屋上の風はきつく、冷たい。 背筋を震わせながら給水タンクの近くまで黒/木を引き摺って行ってから、ドアの鍵を閉めた。これで誰も来る心配はない。 俺は寒くて身震いしているというのに、黒/木の顔は傍目から見えるほどに汗ばみ、呼吸するのも辛そうだ。 タンクに寄りかかって浅い呼吸を繰り返しているのを見ながら、本人は辛くて堪らないんだろうが、薬のせいとはいえ、 ここまで性欲が昂ぶった状態だと、普通のオナニーでもさぞ気持ちいいんだろうなぁとか馬鹿なことを考えてしまって、 しかも目の前の黒/木が、普段のアホ面からは想像出来ないような切ない表情をしているもんだから、何故だか俺までやりたくなってきてしまう。 アホは俺か。黒/木なんか見て何勃ちそうになってんだっつの。 「俺はこの裏にいるからな、終わったら言えよ。―さすがに最中見られんのはやだろうし、ってか、俺も見たくね……」 これ以上黒/木の顔を見ていられなくなって、タンクの裏に下がろうとした俺の腕を熱い手が掴む。 「まっ……十/、文/字/……オレ、もう限界、で、から、だ……いう、こと、聞かない…… ……だか、ら……てつだ、って……っ」 震える唇から唾液がつ、と垂れる。それが光を反射した瞬間、俺の中で何かすっげぇ大切なものがすっ飛んでいった、様な気がした。
右手で俺の腕を掴んで、左手で焦れたようにベルトの金具を外そうとしている黒木をタンクに押し付ける。 両手をまとめて掴んで強引にキスした。 熱い。風邪でもひいたかのように口の中が猛烈に熱い。舌の奥のほうに例のチョコレートの甘みと薬臭さが残っていて思わず顔をしかめた。 それでも逃げようとする舌を絡め取って、歯列をなぞると、くぐもったようなため息が漏れる。 「―『手伝って』なんか、やんねぇ」 「っなん、でぇ……」 「俺も気持ち良くなりたいからだよ」 トロンとしていた黒/木の目が俺の顔を捉える。何を言っているんだこいつというような顔をしていたのが、その言葉の意味を解するにつれて混乱と恐怖に見開かれるのが面白い。 本来なら見たくもない親友のあられもない姿を見て欲情している自分への苛立ちとかが全部黒/木に向けられる。 何て自分勝手なんだろうと思いながらも、俺は嗜虐的な気分になっていくのを抑えられなかった。 左手で黒/木の両手を押さえつけたまま右手でベルトを外してそのまま手を結んだ。 俺の下で黒/木はざけんなとか何してんだとか抗議の悪態をついているが、その声も吐息交じりで艶が入っているもんだから俺としては興奮剤にしかならない。 ズボンだけ下ろすと、黒/木のものはすでに完勃ちに近い状態で、先走りがボクサーパンツに染みを作っている。 パンツの上からそっと握るだけで、黒/木は腰をねじってよがった。 「こんなんでイキそうなんのか」 「……ば、か……ろ……んんーっ!」 先端を爪で引っかいただけで、黒/木は痙攣してイってしまった。パンツにじわり、と生暖かい大きな染みが広がる。
「あーあ、お前どーすんのこれ」 弛緩してぐったりしている黒/木の脚に割り込んでパンツも脱がせる。 内側に吐き出されたばかりの白濁がべっとりと糸を引いた。指で掬って射精したばかりの黒/木に塗りつけると、途端にピクリと反応があった。 これぐらいで萎えられちゃ堪らない。俺のはまだ出してなくて爆発寸前なんだ。 「やっぱ薬ってすげーのな、お前まだまだイけるんじゃね?」 「ぅう……じ/ゅ/、も/ん/じ/の……ば、かやろー」 「でもまだまだ出したいんだろ?」 素直になったほうが自分のためだぜ、と耳元で囁くと、黒/木ははぁっと吐息を漏らしながら、恨めしそうに俺を睨む。 「―お前、か、ト/ガ、じゃなかったら……ぜってー、殺して、る」 「そりゃどーも」 「で、も……ト/ガ、には……言うな、よ」 言える訳ねーじゃん俺だってこんな変態じみたことしてんだ、と思ったけど、黒/木が泣きそうな顔で見上げてくるもんだから、またまた嗜虐心をそそられて 「……じゃぁ、俺も気持ち良くさせてくれたら、言わねーよ」 とびきり意地悪く、口元吊り上げて言ってやった。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ はみ出しちゃってごめんなさいorz | | | | ピッ (・∀・;) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 三兄弟のアホの子がかわいくて書いた。後悔はしていない。 どマイナーな上に、本番までたどり着かなくてすみません。
あわわ…何個か伏せ忘れ発見orz 自分寝ぼけすぎ……ジャンピング土下座でお詫びします。
302 名前:名無しさん@恐縮です[] 投稿日:2007/11/13(火) 08:55:49 ID:9UuuwcpQ0
>>275 801板のホモ小説に期待してる
あの板がかつてないほどゲイスポの注目を集めそう
なんだか知りませんが期待されてます
>230 > そう、いちろう、さんっ! で犬を思い出した自分に凹んだ。
萌えに任せてSS初挑戦。 ガン00のツナ茶。 エロなし捏造上等。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 無人島の木立ちに隠れるように設えられた格納庫で、ガンダムマイスター達は次のミッションに備えて待機していた。 最低限の広さしかないとあって、休息のために与えられたのは、ベッドが二つやっと入る程度の二人部屋。 そのうちの一つで仮眠をとっていたティエリアは、扉の開く音と共に人の気配を感じて、浅い眠りから意識を浮上させる。 しかし、入ってきた人物を確認するのも億劫だと言わんばかりに、背を向けたままでいた。 先刻から一言も発しないその人物が誰かは想像に難くない。 ――と、不意に掛け物を捲られ、ついで背後に潜り込む、小柄な感触。 こんなことをする奴は、一人しかいない――いや、一人で十分だ。 「……君のベッドはここじゃないだろ、刹那」 すげない言葉を投げても、当の刹那には効いている風もない。 それどころか、背後から抱き締められ、肩口に顔を埋められた。
――けれども、何故か、その腕を振り解く気にはならなくて。 自分の裡の、理解できない感情に、戸惑う。 「……暖かい」 肩越しに耳を擽る声には、僅かな安堵がこもっていた。 振り返って、文句の一つも言ってやろうと身動ぐと、柔らかな感触が頬に触れた。 「……」 離れ際に、刹那の唇が僅かに、動く。 「……刹那?」 返事はない。 ――代わりに、微かな寝息が聞こえてきた。 「――」 小さく、溜息をつく。 そして、刹那の手に、自分の手を、そっと重ねる。 ――抱き締め返すのはまだ、照れ臭いから。 今は、これくらいで丁度良い。 不思議と満ち足りた思いで目を閉じると、眠気はすぐに訪れた。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 正直スマンカッタ
秋の夜長に待ち望んでいたツナ茶ktkr!!!!(*´Д`)ハァハァ
>>247 タソGJGJ!!!
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| 某スレ
>>466 ようやく。
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>>93 神と
>>114 神に敬意を表し
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「わ!」 大きく開いた口から、これまた大きな声が飛び出す。 その元凶となった人物……もとい・悪魔は、何食わぬ顔で『閉ざされていた』はずの窓を通り抜け、ふわふわと宙に浮いていた。 「こ、こら、メフィスト2世っ!」 慌てて床に落としていた衣服を拾い上げ、半裸の肌にあてがう。そんな様子に、悪魔の笑みは深くなるばかり。 「き、着替え中に入ってくるなよぉぉっ!」 「あーに言ってんだか。いっつも一緒に風呂入って、体の洗いっこしてる仲じゃん」 風も無いのに揺れるマントをひるがえし、メフィスト2世は音もなく降り立つ。 「そ、そーゆー問題じゃないだろう?」 唇を尖らせ、真吾は脱いだばかりの赤いシャツを被る。ちぇ、という小さな声は、とりあえず無視だ。 「だいたい、何で入ってくるかなぁ!?窓、カギかけてたじゃない」 空を飛ぶことも出来れば、瞬間移動めいた事も出来る悪魔にとって、何の封印も結界も施されていないただのガラス戸など、そりゃあ無いに等しいのかも知れない。 だが、だからといってホイホイといつ何時でも入ってきていいワケではない。 そんなわけだから、2人はちょっとした約束をしていた。 窓が開いてるときは、入っても大丈夫。 閉まってたら、必ずノック。 応答が無かったら、たとえ鍵が開いていても入らない。 ……まぁ、御覧の通り、この約束はたびたび破られるのだが。 「だってさぁ、なんか楽しそうな事、してたじゃん」 びく。 真吾は大げさなほどに肩を跳ねさせた。その原因は今、真吾の足元に鎮座している。 「着ねーの?」 「君が居なくなったら着る」 「えー」 「えーじゃありません」 「ぶー」 「ぶーでもない!」 「ケチー」 「何でそうなるのさっ」
元々丸い顔をさらに丸くして膨れる2/世に、真/吾は深い溜息を吐く。 「今日はもぅ、厄日だよぉ」 かくんと首を垂れ、真/吾はすべての元凶を睨んだ。 誰が言いだしたのか、今年の学校祭では『クラス対抗・美女姿は誰だ!』という、何とも馬鹿馬鹿しい大会が企画されていた。 初めのうちは誰も本気にしていなかったのだが、頂点を極めたクラスには豪華商品が出るとのアナウンスが出てから……一部の生徒が大盛り上がりを見せているのだ。 で。 「ジャンケンで負けた、と」 「一発目で全員に負けてね」 周りの手が全て開いているのに、自分だけが固く拳を握り締めていたあの瞬間が忘れられないと、真/吾はまた溜息を吐く。 「それで、女物の服とかカツラとかがこんなにあるのか」 「選んでいいよって皆、言ってたけど……」 まるで自由があるかのような言い回しに、半ば騙されたも同然だと真/吾は紙袋を視界の外へ追いやる。悪魔はそれをひょいと取り上げて、中を漁り始めた。 「ほー。これ、誰かクラスの女の子のか?」 「たぶんねっ」 可能ならばもうこの話題を封印したい真/吾だが、興味を持ってしまった相手にはそんな気は微塵もない。 「んー、これとかどうよ?」 「そ、そんなの着れるわけないでしょっ!」 超ミニのスカートに、前も後ろも大きく開いたノースリーブのシャツ。もしも胸と肌に自身のある女性が着たならばそれはそれは素晴らしい事だろうが、残念ながら真/吾にはそんな武器はないわけで。 「えー?んじゃあこっち」 「何でそれなのさっ!」 次に引きずりだされたのは、ゲームセンターの景品にありがちなサテンのナース服。愛らしいピンク色と、サテンのつやつやとした輝きがいかがわしさを倍増する一品だ。 そんな物を真/吾が喜ぶワケもなく、ナース服も間髪開けずに却下された。 「えー?なら、こっち」 次に選び出されたのは、セーラー服だった。当然のように女物だが、スカート丈は膝上だし、布地もしっかりしている。先程のナース服のような安物ではなく、れっきとした正式な制服である。 「それならまぁ……」
この服なら、まだ我慢できるかと真/吾はそれを受けとる。衣裳の決定が更衣とセットだと思っているのか、2/世はいそいそと真/吾に背を向ける。 さっきの彼の言を借りれば、全裸すら晒し合う仲である二人が、今更着替え程度で恥じらうのも遠慮するのは不自然という事になるのだろうが、そのくせいざ着替え (真/吾は着替えるなどとは一言も言っていないのだが)となると背を向け配慮を見せる2/世に、真/吾は気付かれないように笑った。 「絶対、振り向いちゃダメだからね」 「あーい」 念のために釘をさし、真/吾は再びシャツを脱ぐ。あれだけしつこかった残暑が足早に去り、金木犀の蕾がほころびだした、このところはめっきり涼しくなった。トレードマークとも言える赤の半袖シャツも、そろそろ着納めになりそうだ。 「……んしょ」 長袖のセーラーを被り、袖を通す。着慣れない厚手のそれは、ちょっとごわついて暖かかった。 お次は、スカート。一瞬躊躇したものの、ぼやぼやしていると……今は大人しく背中を見せているこの悪魔が、何をしでかすやわかったものではない。 しぶしぶながらにスカートを手に取った真/吾には、残念ながら、ズボンをはいたままスカートを着るという発想はなかった。 「まーだー?」 「も、もうちょっと」 約束どおりに背を向けている2/世は、肩越しに聞こえてくる布擦れの音やちいさな金属音だけでも胸が高鳴って仕方ない。 あの真/吾がセーラー服を着て、可愛くないはずが無いのだ。おまけにこの調子ならば、ほぼ確実に『赤面恥じらい』のオプションがもれなくついてくる事だろう。 考えただけで、顔が緩んでしまう。 「き、着たよ」 お待ちかねの終了宣言に、2/世は光より早く振り向く。そこには、想像を遥かに超えた光景があった。
律儀なメシア様は、わざわざカツラまで被っていた。顔は耳まで赤く染まり、どれほど恥ずかしがっているかが手に取るようにわかる。思ったよりも丈の短かったスカートを、 行き場を失った手が必死に下へ下へと引っ張っている。手に負けず劣らず落ち着きのない大きな瞳はくりくり動いて彷徨い、ちらと2/世を見ては注がれる視線の熱さにきゅうと目を閉じた。 日常にはありえない更衣の為に用意された姿見の鏡が、後姿を移しているのがまた罪深い。鏡の中だけを見れば、そこに映っているのは紛れも無い美少女の後姿で、 前を守ろうとするあまり完全フリーの無防備なそれは、正に襲ってくれといわんばかりのスカート丈が強調されてしまっているではないか。 「……まいったね、こりゃ」 ごくん、と音を立てて唾液を飲み下し、2/世は眼前に突如現われた美少女に改めて見入った。 いやはや、まさか、これほどまでとは。いい意味で、期待を裏切られた気分だ。 「ちょ、み、見すぎ……」 熱い視線を一身に受け、真/吾はいよいよ落ち着かなくなる。ちらりと流し見た鏡に映る自分の姿は、とてもじゃないが見れたものではない。のに、この悪魔は実に嬉しそうな顔を飽きる事無く真/吾へと向け続けている。 「んー、いいじゃんいいじゃん。似合う似合う」 「嬉しくない」 「可愛い」 「嬉しくないッ」 「ていうか、うまそー」 「……は?」 ごっくん。もう一度、喉を鳴らして2/世は大きく頷く。その意味を掴みかねた真/吾は、赤く染まったまま小首を傾げた。 「うまそうって、…………ちょっ!」 気付いた。 「ガマン限界っ!」 遅かった! 「うわぁ!」 がばっ。 真正面から飛びかかってきた相手を避けきれず、真/吾はされるがまま押し倒されてしまう。後ろがベッドだったから良かったようなものの、これが床だったら頭を強打しているところだ。 「ちょ、メフィスト2/世っ!」
圧し掛かってきた悪魔を振りほどこうと、真/吾はやや大きめな声を出す。が、相手はにまにまと笑んだ顔を近づけながら、シルクハットをぽいと放り投げただけだった。 「えへへ、なんか新鮮」 「あのねぇっ」 「真/吾のこと押し倒してんのに、女襲ってるみたい」 「……」 (後で気絶するまでソロモンの笛、吹いてやるぅぅぅっ!) いそいそと手袋を外し始める2/世に、真/吾の脳はもう『事後のオシオキ』しか考えようとしない。……このところ、この後始まるであろう行為への抵抗感が薄れてきている、気がする。 「なあ、これってさ、ガッコのみんなの前で着るワケ?」 「そりゃそうだよ、コンテストだもん」 互いの吐息が触れ合う距離で言葉を交わせば、相手の表情の微妙な変化を見逃すことなど無い。元より顔に出やすい彼なら、なおの事。 「ちぇ、もったいねー」 女物の制服に包まれた体を抱き締め、2/世は溜息を吐く。その背中に諦め半分で手を回し、真/吾もまた溜息を吐いた。 「僕だって、ヤだよ」 「こーんな可愛くておいしそーな真/吾、他のヤツに見られるなんて、やだ」 真/吾の溜息が深くなる。 この悪魔が、こんな事を言うから。事あるごとに、こんな事を言うから。 (拒めないんだよなぁ……) 向けられる好意は常に真っ直ぐで、淀みも濁りも無い。若干、方向性が斜め上45度ほど常人とは違うほうへ修正されているが、それは彼が人間ではないという事を考えれば相殺だろう。 「僕は純粋に、恥ずかしいしバカバカしいし、やだ」 「んじゃあさ、当日、オレが何かしよっか?」 唇を尖らせて不快を顕にする真/吾に、2/世が悪戯っぽい笑みを浮かべた顔でそう告げる。悪魔の提案なんて真面目に受けてはいけないはずのものだが、真/吾はそれを聞いてみる事にした。 「どんな事?」 「例えばー、真/吾の出番が来たら停電起こすとか、稲光が光るとか、それとか……そうそう、瞬間移動で浚っちまうのもいいなぁ」
あんぐり。提案を聞いた事をちょっと後悔した真/吾だったが、名案だろうと笑う2/世に邪険な言葉をかけることは出来ない。何せ、押し倒されているんだから。 「それはちょっと……」 「えー?んじゃあさ、いっその事、女になっちゃうとか」 「……それ、何か違う気がする」 否定的な意見を続ける真/吾に、2/世も唇をとがらせていく。その先っちょがチョン、と触れ合って、2人はほぼ同時に噴出した。 「あーあ、もう、諦めるからいいや」 「えー?」 腹を決める決意をした真/吾の顔に、2/世は何度も唇を落とす。幾度となく降ってくる口付けに、真/吾は気の抜けた笑みを返す。 「ねえ、ホントに可愛い?」 言うな言うなと止めたことを聞いてみると、相手は僅かに驚いた顔をしてから大きく頷いた。 「ん、すっげー可愛い」 「そっかぁ。どうせやるなら、優勝しなきゃワリに合わないでしょ?」 押し倒された拍子にずれたカツラを脱ぎ捨てて、真/吾は降り注ぐ視線に甘い視線を返してみる。2/世の笑みは深くなり、キスもゆっくりに、そしてねちっこく変わった。 「真/吾が俺以外を誘惑するとかハラ立つけど、でもまぁ……やるならトコトンだよな、やっぱ」 スカートをたくし上げ、2/世の手がするりと内股に入り込む。下着の上を這う不埒な手に真/吾がうっとりと目を閉じると、それはもう、開始を許諾する合図。 「ホント、真/吾が女の子になっちゃったみたい」 分厚い生地の中に手を入れ、弄るように動かすと鼻奥から高い音が漏れてくる。眼下の赤らんだ頬や潤った瞳に、2/世は体温が上がっていくのを感じていた。 「女の子だったら、困るんじゃないの?」 目を閉じたままそう口にすると、2/世がくすくすと笑いをこぼす。 「そーだな。俺ら、いきなり子沢山だぜ」 「あ、あのねぇ」 ばかばかしい事をいう悪魔の頭を軽く叩いて、真/吾は眉を寄せてみる。しかし相手は懲りもせずに、不埒な手を楽しげに動かした。
「ん」 下着の中で徐々に熱量を上げていくそれの形を確かめるように、手が滑らかな動きで上下する。じわりじわりと下肢に広がっていく疼きに身をくねらせて、真/吾は熱い息を吐いた。 「あー、手袋ジャマッ」 乱暴な動きで手袋を脱ぎ捨て、スカートをめくり上げる。下から現れるのは見慣れた白いブリーフだが、今日は妙に新鮮に感じられる。 「なぁなぁ、当日はさ、イチゴパンツにしよーぜ」 「そ、そんなトコ誰も見ないでしょっ!ぁん」 何をバカな事をと躯を起こす真/吾だったが、直後に再会された愛撫にあっけなく陥落する。上肢を支える腕がじわじわと力を失い、真/吾は再びベッドの上に横たわった。 「俺が見る」 ぺち。 思わず、手が出た。 「いてー、ひっどいなぁ真/吾ぉ」 「ひ、ヒトのスカートの中、覗くなんて宣言しないでよねっ!」 「真/吾のだから見たいのにー」 「だっからその言い方は反則だってばああ!!」 ぺちぺちと何度も2/世の頭を力の抜けた手で叩き、真/吾はいやいやと頭を振るも、それは2/世の笑いを誘うばかり。 「へへへ、濡れてきた」 「言わないでよぉぉ」 おばかな言い合いを続ける間も、2/世の手は絶え間なく動き続ける。下半身を支配する熱は速度を上げ、真/吾の語尾に絡みついてそれを甘く変えていく。 「えへへ、いただきまーす」 しみのできた下着を引っ張り、中から貌を覗かせた熱塊にそっと息を吹きかけると、それだけでソコはびくびくと震える。同時に四肢にくんっと力が入ったのが解った。 持ち主よりも相当素直なソコが望んでいるであろう事をすべく、2/世が口を開き舌を伸ばす。それが触れた途端、真/吾は弓なりに背を反らせた。 「んぅ!」 熱く、ぬめるものが敏感な部位を舐め上げる。特に弱い部位ばかりに集中する刺激に呼吸が乱れ、喉奥から漏れる声が耐え切れなくなる。 投げ出された下肢の、つま先が握り締められては緩められ、内ももがひくひくと震えた。
「あ、ンッ、……ンンッ」 着ている服の所為か、今日は漏れる声がやけに恥ずかしい。何とか押さえ込もうとしても、与えられる熱が甘ったるい音色になって決意を飲み込み押し流してしまう。 「ンッ、ぁ、はぁ、ぁア」 大きくて熱いものが、敏感な器官に絡み付いて離れない。誘うように揺れ始める腰を止めることより、口から溢れる嬌声を飲み込むことを優先したい真/吾だが、どうにも思うように行かない。 そうこうする内に、すっかり『捕食』されてしまった。 「ンッ、あ、に、せ、モッ、も、やぁ、ンンッ、だ、めぇ」 口で拒絶の単語を並べても、半端に脱げた靴下をひっかける足は相手の体を捉えるように絡みつく。にたりと人の悪い笑みを浮かべた悪魔が刺激を強めると、ベッドが一際大きくぎしぎしと鳴いた。 「ンンンッ!も、アッ、ぃ、ダ、メ、で、ちゃぅ、でちゃうぅ!」 熱っぽい息を開きっぱなしの口から吐き、真/吾は強く瞼を閉じる。追い出された涙が零れて耳を掠め、シーツに染み込んでいく。 「いいぜ、イけよ」 短くそう告げて、2/世は一瞬の開放に震えるソレを完全に口内へ収める。真っ赤に充血した先端からどくどくと脈打つ幹まで全てを舌で包み上顎とで挟み、きつく吸い上げると同時に震える秘腔に指を突き入れた。 「ァッヒァッ!!」 甲高い声を上げて、真/吾はビクンッと腰を跳ねさせる。まだ幼い熱から噴出す迸りを、2/世は一滴残さず全て飲み干した。 「ぁ……も……っ」 相手を捕らえるように絡んだ下肢に気付きもせず、真/吾は解放の余韻に浸る。欲液をすっかり吐き出して力を失ったそこを口内から開放し、2/世はべろんと唇を舐めた。 「真/吾、おいしい♪」 「……バカ……」 熱に浮かされた瞳に映るのは、まだまだ足りないと言いたげに笑む黒衣の悪魔。 手袋こそ外しているが、蝶ネクタイの一つも緩んでいないのが妙に頭にきて、真/吾は力の抜けた手を相手へ突き出し赤い布を掴むと力任せに引っ張った。 「お」
しゅる、と心地いい音がしてそれが解ける。愛らしい抵抗を見せた手を掴み、2/世はその指先にちゅっと音を立てて口付けた。 「真/吾はどこもかしこも美味しいなぁ」 「なんだよぉ……自分、ばっかりぃ」 なにやらご不満な様子の真/吾を自分に都合のいいように解釈し、悪魔はにこりと微笑んで真/吾の眼前に貌を思い切り近付けた。 「んじゃ、次は俺をゴチソウするぜ」 満面の笑みで視界を遮り、真/吾がほぼ機能しなくなっている思考を奮い立たせる隙に下肢を抱え上げる。現状に気付いた真/吾が目を丸めるが、抗議の声は唇で、逃げを打つ躯はそのまま貫いた。 「んんんんーっっ!!」 受け入れる悦びを知ってしまっているソコは侵入者を熱烈歓迎し、淫らに蠢く内壁が隙間なく相手を包み込み奥へ奥へと誘い込む。 「ンッ……」 合わせた唇の間から相手の口内に舌を侵入させ、上から下から犯していくとシーツを握り締めていた手が2/世の背中へと這い上がってくる。 申し訳程度にひっかかるカツラが気持ち悪いのか、しきりに首をすくめる真/吾の頭からそれを奪い去り、ベッド脇に落としてやると肉壁が更に力を強めて熱塊をきつく抱き締めた。 このまま思い切り突き上げて、淫らな音色を楽しみながら果てるのも良かったのだが…… 「♪」 折角、と告げるイタズラ心に、2/世は素直に従った。 「ふぁ、へへ、真/吾、あれ見てみろよ」 キスを中断してそう言うと、すっかり蕩けきった視線がゆるゆると示された方を向く。そこには、あの姿見が。 「!?」 縦に長い鏡に映っているのは、下肢を抱えられ、右足に下着を引っ掛けたまま、自らを組み敷く悪魔に必死に縋りつく自分の姿。 桜色に色づいた双丘は大きく左右に割り開かれ、谷間の蕾は熱い塊を根元まで飲み込みヒクヒクと震えている。悪魔の肩越しに鏡に写る自分と目が合って、真/吾は思わず息を呑んだ。 「ぁ、締まる締まる」
2/世が何か言っているが、それどころではない。彼と愛し合う自分の姿を見るのは、これが初めてだった。 鏡の中の自分は、滑稽なほどに必死になって2/世を求めていた。奥深くまで飲み込んで『捕食』しているのに、それだけでは足りないと全身が叫んでいるようだ。 背に回された手や、抱え上げられた格好から相手の腰を掴む下肢、真っ赤に染まった貌、熱の塊を美味そうに飲み込む蕾。その全てが、彼を愛していると声にならぬ声で叫んでいた。 「絶景だろ」 鏡の中に気をとられる真/吾の耳を舐め、2/世はゆるりと腰を動かす。生み出されたピンクの電流が脳を叩いて、真/吾は鏡の中の自分を見詰めたまま大きく口を開いた。 「ンぁアッ!」 2/世が腰を引くと、蕾から熱塊が引き出される。その動きにつられて、ピンク色の肉がめくれて貌を覗かせる。 しかしそれは次の動きで中へ押し戻され、その動きが繰り返されるたびに背に回った手は相手の背中を引っ掻き、腰を抱える足がびくびくと震えて空を蹴った。 「アッ、や、にせ、ンッ、すご、ぃ、よぉぉ」 鏡の中の自分は、本当に女になってしまったかのようだった。愛しい男と1つになる悦びを謳歌する、1人の女だった。 そんなにも自分はこの悪魔を愛しているのだと、今更ながらに思い知らされる。 この悪魔は、コトあるごとに『真/吾はかわいい』だの『真/吾はエロい』だのと勝手な事を繰り返すと思っていたが、今の自分を見てしまうとそう言われても仕方が無いように思えてきた。 細胞の1つ1つが、確かに愛を叫んでいる。何億という真/吾が、一度に彼への愛を叫んでいるのだから、それを愛しく思わないほうがどうかしている。 それはこの悪魔も一緒だ。どう頑張っても完全にひとつになることは出来ない躯を必死に重ねて、繋ぎあわせて、飢えた貌をして迫ってくる。 真/吾が欲しい、真/吾が欲しいと口で、行動で、言葉で言葉にならない言葉で必死に伝えてくる。 それこそ、滑稽なほどに。
「ぅアッ、真/吾、スゲッ、締まるぅ」 次第に余裕を失っていく2/世の動きが無遠慮に、そして激しさを増していくと、室内はもう大変な騒ぎだ。 グチュグチュと水音が響き、真/吾は甲高い声を上げながら2/世の背中をかき抱く。甘ったるい喘ぎを聞かされ続ける2/世も吐息に熱持った声を混ぜて吐き、更に激しく腰を打ちつけた。 「ぁッ、アンッ、に、せ、も、っとぉ!」 「く、ぁ、ハッ、しん、ご、真/吾っ、真/吾ッ」 2人の腹の間、狭い空間で扱かれる真/吾の自身が涎を垂らし始めると、とうとう真/吾の理性が姿を消してしまう。 「ンァアアッ!あ、スゴっ、おくぅ、おくっ、すごぃぃ!!」 2/世の動きに合わせて腰を跳ね上げ、少しでも奥へ、奥へと誘う真/吾に、誘われるがまま2/世は腰を打ちつける。強い締め付けに根元から絞り上げられ、熱塊は質量を増しながら淫路を押し開いては去り、またこじ開く。 「へへ、へへへ、お、俺も、スッゲ、イイッ」 「ンンッ、にせぇ、も、もっと、いっぱい、いっぱいぃ!」 悲鳴に近い声に応えるべく、2/世は猛然と動き続ける。水音が一層大きくなり、真/吾はソレがさっき見たあの場所から聞こえてくるのだと思うや否や、何かが弾ける音を聞いた気がした。 「アッ、も、ダメ、い、イクぅ、で、ちゃぅぅ!」 「お、俺も、ヤバッ、も、ぁ、クゥッ!!」 急激な締め付けに2/世が腰を引こうとするが、腰の後ろでがっちりと交差された真/吾の下肢の拘束を解くことは出来ず、熱いマグマを全て真/吾のナカへと注ぎ込む。 どんなに突き入れようとも触れることの無い場所を熱い流れが叩くのを、真/吾は白濁した意識の中で感じ緩く笑んだ。
真/吾が目を覚ますと、外はもうすっかり暗くなっていた。 「……寝ちゃったんだ」 のそりと起き上がった真/吾は、自分がいつもの赤いシャツと茶色の短パンを着ていることに気がついた。 暗がりの中に目を凝らすと、あの紺色のセーラー服がきちんとハンガーにかけられて壁際に吊るされているのが見えた。 ぐるりと視線をめぐらせて自分の隣を見れば、2/世が大口を開けて寝入っていた。 時計を見れば、もう相当遅い時間を指している。今夜の夕食は、ばっちり食べそびれてしまった。 「後で2/世に、死神屋につれてってもらおうっと……」 くう、と小さく腹が鳴くのを聞いて、真/吾は再びベッドに横になる。 「……♪」 よく眠っている愛しい人の頬にそっと唇を寄せて、真/吾は体を摺り寄せて目を閉じた。 なお。 問題の女装コンテストは、停電と謎の発光事件、そして急な嵐によって中断に追い込まれ、真/吾のセーラー服姿が披露されることは無かったという。 【おしまい】 ____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 長時間&長々とスマンカッタ | | | | ピッ (・∀・;) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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265 :
1/4 :2007/11/15(木) 01:41:56 ID:rnEL9uu00
身体のつくりを変えられてからというもの感覚が鋭敏になっているのは明らかで、 しかしまさかこっちもそうだとは、まあわかっていた気はしたが、予想外だった。 っていうかこれでは逆効果でなかろうか、なに考えてるんだあいつらは。 「それは違いますよ」 甘ったるい声がする。 「だって痛みには耐えうるようになっているでしょう? 快感は痛みと紙一重、脳内麻薬で制御されているはず、貴方の思考の問題です」 風見はわかったような口を聞いて、一文字の首筋を舐めた。 浮き上がった血管を辿るように徐々に下へと降りていく。 「悪趣味だな、お前は」 「貴方にだけは言われたくないな」 ニヤリと笑った風見に一文字は唇だけで笑い返す。それを合図にして二人は口づけた。 「まぁ、自分で言うだけあって腕はまあまあだな」 勿論それは誉め言葉でなく皮肉で、風見は少しだけ眉を顰めた。 「後悔させてあげますよ、今の言葉」 「上等だ」 もう一度くちづけると絡めとるように舌を触れあい、互いの背中に指を滑らせた。 浮き上がった汗が染みいるように伸ばされ、それに伴い甘さがつたう。 「本当にこのままでいいんですか?」 「だから、やれるものならやってみろ」 いつだって受けて立つと言っているだろう?そう続けた一文字の身体は既にほとんどが曝され、 かろうじて腕と膝下だけで衣服をひっかけている状態だ。 全部脱いでいるわけでないのが逆にそそるなと言った風見を小馬鹿にするように一文字が言う。 「男相手にそそるもなにも――」 「・・・・・・なにしてるんだ?」 柔らかな声に二人は動きを止めた。
266 :
2/4 :2007/11/15(木) 01:44:08 ID:rnEL9uu00
戸の前に立っていたのは間違えようもなく本郷だった。 つかつかと歩いてきた彼はもう一度何してるの、と問う。 風見は突然のことにもあまり動揺せず一文字の背中から離した自分の指を舐め、 一瞬惚けていた一文字はすぐに気を取り直し、悠然とした笑みをたたえて言った。 お人好しで真面目な男を少々からかってやるのも悪くはない。 「こんな身体じゃ女も抱けないからな」 ちょっと遊んでいただけだ、一文字が言った瞬間、二人の間に割りいるようにして一文字の上に 覆いかぶさった本郷は、少しすねたような顔をして言った。 「へぇ、風見にはあっさり見せるんだ。俺にはずいぶん隠してたのに」 身体のことを言っているのだとすぐに察しがつく。子供かお前は。 そもそもお前が無理矢理露呈させたから今ではこうして開き直っているのでないか。 「生きているなら叶う限りの快楽を体感したいからな」 「そう」 一文字はそこでようやく、優位に立っているのは自分でないことに気づいた。 「あれだけやったのにまだ満足してないんだ」 「あれだけ?」 口を挟んだ風見に見向きもせず、本郷は一文字に口づけた。かなり強引に。 むりやり割りいられて口腔を弄っていく舌がざらりとして、その端正な外見と対象的だ。 「っ、」 長い指先が腰骨を撫で、その感触に背中がしなった。脇腹、背中、胸、足。 本郷が指を滑らせるたび、一文字はまるで苦痛に耐えるような顔で必死に声を堪えている。 風見は驚くというより狐につままれたような顔をしてそれを見ていた。 先刻まであれほど愛撫を繰り返しても、気持ちよさそうな顔こそすれども 常に余裕の態を示していたのに。 「……やめろ、本郷」 途中で口に指を突っ込まれたため、その言葉は正確には発音されていない。 本郷はそうして一文字の口内を侵しながら、反対の指では乳首を弄った。 その手を徐々に下らせ、陰茎へと進めてゆく。
267 :
3/4 :2007/11/15(木) 01:45:37 ID:rnEL9uu00
「本郷!お前、指噛み切るぞ!!」 「できないくせに」 言った本郷は風見に向かって視線を送る。消えろなのか見ていろなのか、どうも後者のように感じる。 そうして本郷が指を抜いた瞬間、一文字はもう弛緩しかかっていた身体に無理矢理力を込めて 反転させる。逆転して押し倒される形になった本郷はさすがに目を見開いた。 「……お前が煮え切らないから悪いんだろうが」 「……は?」 全部言わせるのか、と一文字は息をつく。もっとも既に軽く息が上がっていたので 気持ち程度にしかならなかったが。 「なにを心配してるのか知らないが、やるなら最後までやれ。」 本郷の指は、力は優しい。こちらを抱きしめ満たそうとする温かな力は悔しいけれど愛しい。 だけどそれだけでは、到底足りない。 「それって」 「抱けって言ってるんだ」 口をつぐんだ一文字は頬を染める。だからお前は生娘か。一文字は構うものかと行為を続けた。 「ちょっ、一文字!?」 「……もう、限界なんだよ」 悪どく笑ってみせた一文字は自分で身体を開きはじめる。痛みは大きかったけれども、 リジェクションに比べたら他愛もない。顔をしかめると顎に本郷が触れてきた。 やけに深刻な、けれどどこかとろんとなにかに浸ったような顔をして、キスを促す。 触れた舌が熱かった。そこから溶けていきそうに気持ちが良くて、何度も角度を変える。 「思う存分引っかいていいから」 どうせすぐ治るし。笑んで囁いた本郷は一文字の緊張が解けたのを確認するとゆっくりと動き出した。 「…ぅ、っ」 「きつい?」 違う、と一文字は喉の奥で短く言う。キスの時もそうだったが、無垢な顔しておいてこの男は。 「……そこ…が、」 「ここ?」 素直に頷く一文字がなんだかとても新鮮で、愛おしさがこみあげてくる。 どうか沈んでほしくて色濃く浮いている血管の上を執拗に撫でると、それさえも快感に繋がるのか 一文字はうなされたように首をふった。
268 :
4/4 :2007/11/15(木) 01:46:43 ID:rnEL9uu00
「まずい、な」 これは、我慢できないかもしれない。 「本郷」 ぼんやりしていると名を呼ばれた。伸びてきた腕が頭をつかまえる。もう一度キス。 触れ合えば理性はどんどんとんでゆく。二人は貪るように互いの舌を絡めあい、 一文字は朦朧としてきた意識をかろうじてとどめ、そのまま風見に向かってにやりと笑ってみせた。 展開について行ききれなかった風見はただぼんやりとその一部始終を見ていた。 いや、正確には思考がぼんやりしていただけで、身体はしっかりと反応していたのだけれども。 甘い台詞はなかった。特別な仕草もなかった。派手に喘いでいるわけでもない。 それでもこんなにあてられるような色気があるのは二人がそれだけ固く結ばれているからだろうか。 見ているこっちがもだえてしまいそうな。 風見は思わず喉を鳴らした。 あんなに清潔な本郷が、あんなに余裕ぶった一文字が、あんな風に戦う二人が。 さっきまでの暇にかまけた遊戯や駆け引きではない、身体の芯に火がついたように、 心が体が火照って渇いている。 気がつけば手が動いていた。行き場のないもう片方の手が自分を抱く。 倒錯した状況の中でふと顔をあげ、見下ろすように笑んだ一文字と目が合った瞬間、 風見は自身の中でなにかが砕けるのを感じた。 「な」 脱力した体で荒く息をしていると、声が降ってきた。顔をあげればベッドでは一文字が倒れていて、 ということは今の声は。 「俺の親友に手、出して、どうなるかわかってる?」 一瞬周りが完璧な静寂に包まれ、囁きかけられた言葉が背中を駆け下りた。 恐る恐るそちらに視線を移動すると、本郷が人の良すぎる顔で笑っていた。 「ああ、別に怒ってるわけじゃないから。どうせ一文字が挑発したんだろうし」 ただ。 「あいつのここに痕つけたのだけは、責任とってもらおうかな」 本郷は自分の首筋を指差してにこやかに言った。 最初から叶うはずなどなかったのだと、風見は二人と出逢った日の事を遠く思い出した。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 出たネタ片っ端から拾ったらこうなった | | | | ピッ (・∀・ ) 雑文でごめんみんな愛してる | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
誤字脱字の嵐で申し分けない 3/4で頬を染めたのは一文字じゃなくて本郷ですorz
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 応援団2 田×菊と森×杉×森 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 田菊はエロで森杉森は台詞ばっか | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ エロモネタモリョウホウカキタッカッタンダ… | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
夕日と朝日の合同合宿、第一日目。 一日の一通りが終わったあとの、新人二人の部屋。 今日という時間が、残りわずかというその時、事件を起こした。 「えっ!? ちょ、ちょっと待っ……!?」 拒絶の声は、聞こえないふり。敷布団の上に、無理に彼の体を倒してから、 自らもその上に覆いかぶさる。有無すら言わせず、唇で唇に蓋をした。 「んぐっ!? んむぅ……んぅっ…!!」 少し開いた口から舌を捻りこんで、さらに深い口付け。 上顎をなぞり、舌の裏をなぞり、先端を先端でつつく、逃れようと喉の奥に下がった舌を 引っ張り出し絡めとる。蹂躙される側の口の先から、飲みきれなかった唾液が一筋こぼれた。 「ふ……はっ…! …た、田中く……!」 「――好きです」 唇を離し、一旦、相手の呼吸が落ち着くのを待つ。そして告白。 すぐ下の体が、ふっと息をのむ気配を見逃さない。 瞬きのなくなった瞳に、一瞬だけ自分の姿を映すと、再び唇を塞いだ。 ―朝日町・サイド部屋― 「いや〜、若いっていいなあ、なあ森山」 「杉田、お前に部屋割りを任せた、俺がアホだった」 「心外だな。二人きりにさせたからといって、ああなるとは限るまい?」 「よそ様の新人に『うちの菊池は君のことを考えながらオナニーしてますよ』と吹き込んだあげく、 『田中君からのアクションをずっと待っているんですよ』と、たきつけ、隠しカメラで部屋の様子を のぞき見るような奴に、心外も糞もあるか」
「誤解だ森山。俺の目を見ろ、そんなことを言うような奴に見えるか?」 「お前の目なんざ見えたことねえよ。糸目だかつぶってんだか、よくわからんし…… ……つか、目はあるのか?」 「あるに決まってるだろハゲ。お前の毛根じゃあるまいし……」 「ハゲじゃねえっ!! 剃ってんだボケぇっ!!」 ※※※ 「……くぅ…あっ……はぁっ…!!」 Tシャツを限界までたくし上げられた後、左の突起を舌と口で嬲られる。 口に含まれた突起をきつく吸われ、放し、また吸われ、舌根まで使って押しつぶされる。 反対側は、親指で左右に弾かれた。 「あっ!? 待っ…!?」 余っていた右手が、下のほうへと伸ばされるのを見て制止するも、間に合わない。 スウェットに、そして下着に差し入れられた手が、昂ぶりを直接にぎりこむ。 ビクリと彼の体が跳ね、突き刺さるような嬌声が部屋に響いた。 「…ぁうっ! ……同時に……んぅっ…!!」 逃れようと身をよじるが、すぐに手と口は追いついて、鋭敏な部分をしつこく攻める。 抵抗すらできずに、上と下の両方を愛撫され、ただ声をあげることしかできなかった。 ※※※ 「……なあ、菊池を助けなくていいのか? 襲われてるだろこれ」 「安心しろ、互いに自分の片想いだと信じていた両想いだ。過ちからスタートしただけであって、問題はない」 「そのスタートを選んだのはお前だろうが! なんで、わざわざ合宿中にさせるんだよ!」 「旅の恥はかき捨てというだろう?」 「前科は残る」
「それはともかく、俺たちもどうだ? 初々しい二人にクるものがあるんじゃないか?」 「クるには来たが、お前をみたら急速に萎えた」 「そんなこと言って、すでに下はSAY YESと歌い始めているだろうに」 「名曲を汚すなよ……」 「さあ来い! 俺たちの間に余計な物など何もない!」 「あえて言うならお前だ」 「ふざっけんなアゴ割れ男! ハゲろ!!」 「黙れっ!! とっくにハゲ……あ、いや、俺の頭髪の与奪をお前に決められてたまるか!!」 ※※※ 「うあ…っ! あ、あ……はあう…っ!!」 あお向けに寝かされたまま、前後に貫かれ、嬌声は悲鳴にちかいものになった。 ガクガクと揺さぶられる振動に、意識が朦朧と混濁する。開きっぱなしの口からは、飲み忘れた唾液が ひとすじの流れとなって、端から真横へと落ちていた。 「はあ…っ! あっ…田中く…!」 「――菊池くん」 止まない律動の最中、ふと上から声がふった。 激しい行為とは対照的な、静かな声。 「……ずっと………やっと……」 “ずっと”“やっと”何だろう? 『ずっと好きだった』? 『やっと手に入れた』? どっちだっていい。確かなのはひとつ。『僕はずっと好きだった』『君とやっとふれ合えた』 ※※※ 『…ふっ……うっ…!』 『はあ…ん…っ! 激しっ……!』 「おいおい、不毛な争いをしている間に、こいつら折り返し地点をとうにすぎ、もうゴール手前だ」 「よし、俺たちも負けじと式でもあげよう。国外で」 「そんな金ねえよ」
「ふん! 金などすぐにできる。金持ちの強欲じじいを落とすぐらい朝飯前だ」 「簡単に体を売るな。蟹かマグロの漁船にでも乗ってこい」 「……タコなら目の前にいるけどな」 「暗にハゲと言ってんのかよ! もう俺の頭はほっとけ! ついでに俺のこともほっといてくれ!!」 「わかった」 「そうか、やれやれ……」 「こっちで勝手にやらせてもらう」 「あ? …なっ!? 閉じていたまぶたが開い……ぐおおっ!? か、体が動かねぇ――ッッ!!?」 「悪いが、金縛りをかけさせてもらった」 「説明それだけかよ! 納得でき……う、うわああっっ!? 来るな―――ッッッ!!?」 「ふっ、よく鳴く小鳥だ……」 「俺の何を見て例えたんだよ! (ゴソゴソ)ひいっ!? 止めろ止めろ止めろッッ!!?」 『あ、待って…! 止めないで……!』 「うっせえぞ菊池っっ!!!」 「ハハハッ、ディスプレイにつっこんだって聞こえないぞー?」 「黙れ! 放せ! (ゴソゴソ)ぎゃあああっ!? 逃げろ俺の精子じゃなくて動け俺の足―――!!?」 …… …… …………【×】ブッブー!(逃走失敗)
大浴場に人影二つ。ちゃぷりと音をたてて、二人同時に湯に浸かる。 「あー…すごかった、田中くん……」 「…………」 肩まで沈めながら、放心したように呟く菊池。対して田中は、今だかけるべき言葉を捜していた。 「ごめん」は無責任だし、「ありがとう」は変だ。さりとて「それほどでも」と言う訳にもいかず。 そんな田中の葛藤に気づいているのかいないのか、菊池は無邪気な顔でふり向いた。 「あ、田中くん、もう一度好きだって言ってほしいです!」 「んなっ…!?」 笑顔で落とされた爆弾に、田中の驚愕がエコーになって浴場に響く。 その時、ガラリと物音。風呂場の人影が一つ増えた。 「おー、仲いいなあ、お前ら」 「うおわっ!?」 「す、杉田さん!?」 思いがけない人物の登場で、二人の叫びがきれいに重なる。 だけど、そんな反応は予想していたのか、特に驚き返すこともなく、杉田は桶に湯を汲み体に浴びせた。 「ど、どうしたんですか杉田さん…? こんな夜中に……」 「それはお前らにも言えるだろうが。ま、俺のほうは、単純に汗を流しにきただけだ」 「汗? 応援の練習でもしてたんですか?」 「5回連続で激を飛ばした。森山と一緒に」 「えっ! 森山さんも!? あれ? でも、それじゃあ……」 森山さんは? そう問いかけてふと口をつぐむ。 にやりと口元を緩めたその顔(心なしかハリとツヤがある)が、やけに怖く見えたからだ…… その夜、森山は三途の川でセミの鳴く声をきいたという。
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>>247 うお、ツナ茶キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
GJです!
ほんわかした〜
伝説を検証する番組の海外ナマで投下。 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | アシスタントの男二人・鳥×今 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 日本語に違和感あったらスマソ | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
ト.リ.ー.とグ.ラ.ン.トは番組の収録を終えた後、二人で飲みに行く事にした。 最近はスタッフや他の共演者も交えて飲むことが多かったので、久しぶりに二人で飲むのもいいだろうということになったのだ。 行きつけの大衆居酒屋で、仲のいい同僚同士は最近の仕事の話や、スタッフの愚痴なんかで楽しく飲んでいた。はずだったのだが。 「君は肌が綺麗だよな」 グ.ラ.ン.ト.は、時計の針が12時を回ったあたりから、どうもト.リ.ーの様子がおかしい事を感じていた。 「アジア系は肌が綺麗というのは本当なのかな?番組で検証したいね・・・・・・。そしたら君の肌にたくさん触れられるかも」 ラテン系の血がそうさせるのか、ト.リ.ーはよく女の子にはこういう冗談を言うことがあった。 初めのうち、グ.ラ.ン.トは冗談だろうと笑い飛ばしたのだが、どうも冗談にしては度が過ぎている。 なにせ10分間はこの調子なのだ。 グ.ラ.ン.トは不安になりかけていた。 この状況ではト.リ.ーが自分を口説いているみたいだ。 それともト.リ.ーは酔うと性別の判別も見失うくらい人を口説きたい衝動に駆られる傾向でもあるのだろうか。 しかし、グ.ラ.ン.トの見た限り、ト.リ.ーはそんなにたくさんのアルコールは口にしていないし、目つきもしっかり定まっていて、酔っているという風でもなかった。 「人種に触れるような題材はデリケートだからな。無理じゃないか?それより昨日スタッフに借りたDVDで面白いのがあって・・・」 「面白いDVDもいいけど、君を見続けることのほうが有意義だな」 話をそらすことは出来ないようである。 「手も綺麗だし・・・・・・」 そう言ってト.リ.ーは、テーブルの上におかれたグ.ラ.ン.トの上に自分の手を重ねた。 「うわあ!」 グ.ラ.ン.トは思わず大声をあげて、跳ね上がらんばかりの勢いで自分の手を引っ込めた。 「何するんだよ!」 「何って?」 慌てるグ.ラ.ン.トを気にも留めない様子で、ト.リ.ーは頬杖をついてグラントを見返した。 「君、その、どうしたんだ?酔ってるのか?冗談ならもう滑ってるからやめて欲しいんだが・・・・・・」 「僕はまだ酔うほど飲んじゃいないぜ?それに冗談なんか言った覚えはない」 「じゃあ何なんだよ!」 「君を口説いてるに決まってるだろ」
グ.ラ.ン.トの混乱は頂点に達した。 酸欠の魚みたいに口をパクパクさせて言うべき言葉を捜しているが、何を言って良いのか分からない。 「驚いてる顔も可愛いな。そんなに目を開いてたら瞳がこぼれ落ちるよ。とりあえず落ち着いた方がいいな。 そんなに驚かせるつもりはなかったんだ、ごめんよ」 ト.リ.ーは言いながら、とりあえず飲め、とグ.ラ.ン.トにグラスを渡した。 グ.ラ.ン.トはグラスを受け取ると、中身を一気に飲み干した。そうすると少し平静を取り戻した。 「えっと、だから・・・・・・、冗談だろ?」 「だから冗談じゃないって」 「僕を口説いてる?」 「ああ」 「何故」 「君を愛してるからさ」 聞かなければいいものを、決定的な言葉を聞いてしまったグ.ラ.ン.ト.は更にショックを受ける事になった。 「まあ、驚くのも無理の無い事だろうな。自分でも驚いた。ずっと自分はヘテロセクシャルだと思ってきたし・・・・・・。 でも君が、その大きな瞳で僕を覗き込んで微笑むたびに僕はどきどきしてしょうがなかった。 君の表情が子供みたいにコロコロ変わるのが愛おしく思えたし、君の肌や、髪に触れたいと思った。これは完全に恋だろう?」 グ.ラ.ン.トはト.リ.ーの話を呆然とした気持ちで黙って聞いていた。 「僕だってずいぶん長い間悩んだんだ。君がゲイじゃないのは知ってるし、そもそも僕だって男を好きになるのは初めてだ。 自分はずっと女好きなラテンアメリカンの1人だと思っていたから。でも、昨日決めたんだ。 君に気持ちを伝えようってね。そして伝えるからにはモノにするよ」 しばらくの沈黙の後、グ.ラ.ン.トがゆっくり口を開いた。
「残念だけど、君の気持ちには答えられない」 「どうして?僕のことが嫌い?」 「好きだよ。でも同僚として、だ」 「じゃあいいじゃないか」 「よくないよ。君も言ってた通り、僕はゲイじゃない」 「僕もそうだった。でも君を愛してる。君だって、僕を愛するようになるよ」 グ.ラ.ン.トは困り果ててうつむき、ため息を吐いた。ト.リ.ーは微笑を浮かべてグ.ラ.ン.トを見ている。 「明日からもずっと顔を合わせるんだぞ?どうしたらいいんだ・・・・・・」 「急に襲ったりしないから安心してくれ、無理やりするのは趣味じゃないから」 「あたりまえだ」 「でも・・・・・・」 ト.リ.ーはそこで言葉をとめた。不意の沈黙にグ.ラ.ン.トが顔を上げると、ト.リ.ーの顔がすぐ目の前にあった。 そして、唇に唇を軽く押し付けられた。 グ.ラ.ン.トはまたしても目を見開く羽目になった。頭が混乱し、体が硬直して、運動機能は停止した。 それは一瞬の出来事だったが、とても長く感じられた。 「これくらいはしてもいいよね?ロシアじゃ挨拶だっていうし」 「なっ」 「ここはおごっておくよ。じゃあ、ばいばい、ハニー」 未だに固まっているグ.ラ.ン.トを残して、ト.リ.ーは席を立った。 グ.ラ.ン.トが「誰がハニーだって?」とつぶやけるくらいに回復するころには、ト.リ.ーの姿は完全に見えなくなっていた。 おわり
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>>264 ただひたすらにGJ!!!!!!
12のラブっぷりにあてられる後輩不憫だよ後輩
>279 面白そうなので元タイトル英語でおすえてください(ググれなかった)
>>285 ぁゃしぃ伝説byでぃすかばりー・ちゃんねる。
そーか、この二人でもイケるのか、と開眼した。GJ。
とすると、主役のオヤジ二人でもイケそうだな。
288 :
風と木の名無しさん :2007/11/16(金) 01:32:24 ID:RgHS+w+00
>>283 GJ!
スラでさえ探すのが難しいのに、まさか棚で鳥今が読めるとは
思わなかった。ありがとう。
>>277 ゲーム未経験で全く知識無いんだけど
かわいらしいエロ幸せカポーと噛みあわない漫才カポーの対比に萌えた
「下はSAYYES〜」噴いたw
これは買ってこなければなるまい、応援団2
>>277 ゲーム絵で脳内妄想させていただきました。
キャラがそのまんま!オチもGJで笑わせていただきました!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 三兄弟 長男×次男。チョコの話の続きです。 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 次男視点で書いたらアホっぽくなっちゃったよ。 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 一応最後までやってます。 | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「……じゃぁ、俺も気持ち良くさせてくれたら、言わねーよ」 そう言って、十/文/字がニヤリと笑う。くそ、何でこいつこんな意地悪そうな顔してんだ。 ていうかさぁ……この状況は、ナニ? オレはどうやらやばいチョコを食ってしまったらしい。 2時間目の途中あたりから、体が熱くなってきて、やべぇやべぇと思ってるうちにどんどん下腹部に違和感を感じた。 休み時間にトガが心配して様子見に来てくれた時も、何でもなく肩に触ったト/ガの手の感触が気持ち良過ぎて勃っちゃって、つい怒鳴ってしまった。 3時間目がいつ始まったのかは分かんねぇけど、体が熱くてぼんやり突っ伏してたら、先生が保健室に行けって言ってくれて、 十/文/字がオレを担いで廊下に出たところで、そうだ。 あの包み紙を見せられて、このチョコレート食ったら欲情すんだとか何だとか説明されたんだっけ。 そんで、屋上に連れて来られたはいいけど、オレの体、言うこと聞かないぐらいやばくて、咄嗟に十/文/字に手伝って、って言ったんだ。 そしたら突然、十/文/字の目つきが変わった、ような気がした。 てか、気じゃなくてホントに変わったんだよな?何か訳分かんねぇままキスされて、ぼやーっとなったところに手、縛られて、パンツの上から触られて、イかされた。 ところがオレの下腹部はまだまだ収まってくれそうにない。 出したばっかなのにまだまだイき足りない。萎える暇もなく十/文/字に触られて、また感じちゃってんの。 男に触られてイくなんて、情けなくて恥ずかしくて、泣きそうになるのを我慢しながらト/ガには言うなって頼むのが精一杯。もーやだ、死にそう。
で、この状況。 目の前には見たこともないようなギラギラした目の十/文/字。 オレはこれから、掘られんの?こいつに?悪友で親友のこの男に? ホントなら、こんな情けねぇとこ、こいつやト/ガにだけは、ぜってー見られたくないはずなのに。 薬のせいで、オレ、頭おかしくなってんのかな? 早く気持ち良くなりたくて、早くこの苦しいぐらいの興奮から抜け出したくて、この状態から助けてくれるならどーにでもなれ、って思った。 っていうかむしろ、さっきの十/文/字の手が冷たくて死ぬほど気持ちよくて、しかもこいつのそこそこ男前な顔がオレと同じように切羽詰って、 しかもしかも、十/文/字が発情してんのはこのオレを見てるからであって……
「十/文/字が、気持ち良くなったら、オレにももっと、してくれんの?」 イったのと、薬のせいでだるい体を起こして、テント張ってる十/文/字の股間に触れる。 一瞬びっくりしたように十/文/字は腰を引いたけど、すぐにオレの手を掴んで自分のものに押し付けてきた。 「誰のせいでこんなんなったと思ってんだよ。責任取りやがれ」 自分で言ったくせに、照れて顔真っ赤にしながらそっぽを向いた十/文/字がやたらエロくて、たまらず抱きついた。 そんでそのままさっきされたみたく押し倒して、パンツごとズボンを脱がしてやった。 そっと握って、ゆるゆると動かすだけで先走りが滲んできた。 自分のもの以外のなんか触るの初めてだけど、いいところはあんま変わんねーらしくて、自分でするみたいに裏筋なぞったり、先っちょいじったりしてるうちに、十/文/字の口から吐息が漏れるようになった。 横向いて、眉間にしわ寄せてるその顔見てるだけで、オレも気持ち良くなってくる。 「っ……もういいから、つ、ぎ、交代……」 オレとしては十/文/字がイく顔を見てみたかったけど、半勃ちのオレのをまた掴んでくるもんだから、力が抜けて、そのまま十/文/字に寄りかかるように崩れ落ちた。
「ちょっと、指舐めて」 やっぱ、入れんのかよって思ってちょっと怖くなったけど、言われるままに差し出された人差し指を舐める。 オレの出したのがついててちょっと苦い。舐めてる間にも左手でしごかれて、声が出そうになったから思わず十/文/字の指を噛んだら、いてぇって叱られた。 「……最初、痛いかも、力抜けよ」 冷たい細い十/文/字の指が入ってくる。思ったより痛くない、けど、たった指一本ですげぇ圧迫感。 中で遠慮がちに動く指の感触が生々しくて、思わず腰が引けた。 その時、電気が走ったような気持ちよさが下腹に響いて、思わず叫びそうになる。 ……あー、何かエロ雑誌で読んだことあんぞ、これ。ナントカ腺っていう、すっげ気持ちいいところ…… 「―ここ、か」 満足そうな十/文/字の声。さっきまで遠慮気味だった指の動きが途端に大きくなった。やばい、今度こそ声抑えらんねぇ。 「ぅあっ……じ/ゅ/、も/ん/、じ……そ、こ、きもち、いいっ!」 「前立腺ってんだ、覚えとけ」 笑いをかみ殺したように耳元で囁かれる。ついでにこれ噛んどけって言われて口の中にハンカチみたいなのを突っ込まれた。 オレはもう返事できなくて、首を縦に振って十/文/字にしがみつく。
「そろそろ……いくぞ」 いつの間にか二本に増えてた指がずるり、と引き抜かれて、代わりに十/文/字の熱いのがあてがわれる。 オレがしごいてやったの随分前だった気がするのに、全然萎えてない。 「―息吐いて、力抜けよ……」 さっきまで余裕っぽかった十/文/字の声が上ずってる。 あ、と思った瞬間、さっきまでとは比べ物になんない太さと熱さのものが押し込まれた。 「いっ……い、たい十/文/字!む、り、これ、無理―!」 「うぁ……っ、締め付けんなバカ!俺だって痛ぇ!」 力抜けって、と十/文/字がちょっとだけ腰を浮かして、そっとキスしてきた。 ケツの痛みを感じないように、口の中にゆっくり入ってくる舌に感覚を集中させる。上あごら辺を舐められてすげぇ気持ち良い。 十/文/字は両腕で頭をそっと抱いてくれた。気持ち良いのと十文字がカッコいいのとで、何でか泣けてきた。 「―ちょっとずつ、動かすかんな」 また少しずつ、十/文/字のが中に入ってくる。ひたすら力を抜いて、オレは涙でぼやけた視界のまま、歪んだ空と十/文/字の金髪を見る。 「っふあっ……!」 十/文/字の先っちょが前ナントカ腺ってのをかすめたような感覚が股間に響く。 今度は純粋に気持ちよさだけで涙が零れて頭の奥が熱くなってしびれた。
―そっからは実はあんまよく覚えてない。ただひたすら気持ち良くて、もしかしたら声とかもいっぱい出てたかもしんねぇ。 結局、オレは前でイったのかケツでイったのかよく分かんねぇまま記憶ぶっ飛ばしたっぽい。 最後らへん、十/文/字、十/文/字って、とりあえず名前ばっかり呼んでたら、十/文/字にヤベーお前かわいいとか何とか言われたのだけ覚えてる。 目が覚めると、薬の効き目はようやく治まってた。さっきまでは感じなかったけど、風がやけに冷たい。 後処理めんどくせーとか思ってたら、先に起きてた十/文/字がトイレットペーパーを持ってきてくれてたので、重たい腰を上げてパンツとかを拭いた。 ……これ見られんのが一番情けねーな…… 「……もう4限も終わるな」 腕時計を見ながら十/文/字がつぶやく。さっきまでものすごいことやってた、ってか、オレを掘ってたくせに、顔を見るともういつもの十/文/字に戻っていた。 「……ずりー、十/文/字」 「ハァ?何が?」 「何でオメーばっかカッコいいんだよ、バカ」 オレばっか恥ずかしいところ見られてるうな気がしてムカつく。何でこいつはこんなにいつでも余裕しゃくしゃくなんだ。
むしゃくしゃしたので残骸のティッシュを投げつけてやると、テメ何してんだと足で蹴られた。 その顔がまた意地悪く笑ってたから余計に腹が立って、オレはそのままよろける足に鞭打って、さっさと教室に戻ろうと歩き出す。 「ト/ガには悪ぃけど、俺だけの秘密なー」 思わず振り返ると、お前のイった時の顔は、意外にかわいいぜとか言われて、今バット持ってないことを本当に後悔した。 それなら、オレだって、ト/ガには悪いけどオレだけの秘密だ。 かわいいって言われながら抱きしめられた瞬間は、十/文/字、お前に惚れてたぜ。
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>>299 すっげぇ禿げた(*´Д`)GJ!起きててよかった〜
>>277 大 成 功
ごちそうさまでした(;´Д`)'`ァ'`ァ
302 :
続・夢現 :2007/11/16(金) 18:49:23 ID:mPIE3J9m0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| モ.ノノ.ケ 某スレ
>>220 だよ
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 個人的な解釈を多分に含むので分かりづらかったらゴメン
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| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ エロはなしだよ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
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「ひとつ。訊いてもいいですか」 お蝶の背を見下ろし抵抗する意思が無い事を見止め、男は手を止めた。切っ先の狙いは定めたまま、沈黙で先を促す。 「のっぺらぼうは、なぜ。…なぜ私を助けてくれたのでしょう」 お蝶の言葉で男は悟る。 お蝶の居る世界は、モノノ怪と化したお蝶が作り出したもの。ただ一人で飯事をしていただけだと言うのに。彼女の殺した家人、彼女を厳しく育てた母。敦盛。それらは自らの妄執が作り出した仮面であると言うのに。 すべてが己の作り出した幻影に過ぎないと言う事に気づいていないのか。 「救われたなどと、思っているのか」
男が無感動に吐いた言葉はただの疑問。何の他意も含まれてはいない。それゆえ、その声は薬売りの内に尚更冷たく落ちた。 男にはお蝶の理が認識できていても、理解はできないのだ。モノノ怪を斬るためにそれは不要なものであるから。 殺し続けた家人を、己を苛み続けた母親を、己であると認めた今でさえ、敦盛だけは自分とは別のものだと認識する。その哀しくも滑稽な、か細い想いがいかほどに彼女を支えているのかを、男は理解できないのだ。 言葉を続けようとする男を、薬売りはそっと、しかし反論を受け付けぬ強さで押し退けた。 突然の薬売りの暴挙に男が戸惑う気配を感じつつ、それでも薬売りは口を開いた。 「強いて言うならば」 薬売りの息が詰まる。何が言いたいのか、それが分からない。ただ、彼女の妄想を守ってやりたいと思ってしまったのだ。 形、真、理が明らかになった今、それ以上の追及は必要ないではないか。知らずに済むのなら、それでいいではないか。夢を見たまま開放してやってもいいではないか。わざわざすべてを叩き壊すこともないではないか。 数瞬の内に薬売りの脳裏に思考がひらめく、それはお蝶に対する、というよりも己自身に対する言い訳でしかないのかも知れない。自嘲の形に口元が歪んだ。 「恋でも、したんじゃないですかね…。あなたに」 お蝶の望んでいたもの。憧れていたもの。理を満たすもの。彼女を認め、受け入れるもの。 お蝶がはっと顔を上げる。 「叶うわけなどないのに。哀しき、モノノ怪だ」 そう、叶うわけなどない。己で吐いた言葉だと言うのに、それはじわりと、薬売りの胸の内を灼いて落ちていく。彼女と己の違いは一体なんだ。お蝶と、敦盛。己と、存在を同じくする男。事実を認めながらも想いを捨てることの出来ない己のほうがよほど、モノノ怪染みている。 薬売りの言葉を、お蝶は呆然と、大切な宝物を優しく包むように繰り返す。そう、それでいい。その想いを抱いていけるのなら、きっとお蝶は自由なのだから。 自己満足だと覚めた己が呟くのを宥め、目を閉じる薬売りの意識を押し退け、男が肉体を支配するに任せる。 涙に震える声でお蝶は「ありがとう」と虚空に向かって囁いた。
気づけばそこは屋敷の土間である。 薬売りの視線の先を鶯が高らかに声を上げて飛んでいく。土間を抜けた廊下の先からは乱痴気騒ぎの声が響いていた。 薬売りは傍らに転がる煙管を取り上げ、上がり框に腰掛けた。薬箱から売り物の葉を取り出して詰め、火をつけた。 一口吸う。薬売りの咽には少しばかり刺激が強く、目が潤む。だが、悪くはない。春の温い風に吐き出した紫煙が紛れて消えるさまを茫と眺める。 もう一口吸ったところでチリ、と耳慣れた鈴の音が鳴り、横合いから褐色の手が煙管を奪っていく。薬売りの傍らに立ったまま、胴に入った仕草で紫煙を吐き出しながら男が言った。 「なぜ、あのモノノ怪に肩入れをした」 先ほど邪魔をされたのが気に入らなかったのだろう、やや憮然とした男の声に薬売りは苦笑した。 「ふふ、年甲斐も無く、親身になってしまった」 土間の扉の向こうに広がる裏庭を眺めたまま曖昧に微笑する。 廊下の先から聞こえていた声が遠のいていく。壁に描かれた梅の花が落ちていく。鶯が羽を失い温い風に溶けていく。お蝶の夢によって存在していた屋敷が、現し世に侵食され急速に元の形に戻るべく朽ちていく。 「あなたには理解し難い…ことでしょうね」 呟く薬売りの顎を煙管の吸い口が捉え、持ち上げる。存外間近に、薬売りと視線を合わせるようにしゃがみこんだ男の目があった。思わず息を飲んだ薬売りを、眇められた赤い虹彩と金の瞳孔が見つめる。 その瞬間に薬売りの顎を捉える煙管の吸い口は強固な枷となる。男の目に薬売りは支配され、視線を逸らすことが出来なくなる。
「恋とは、なんだ」 道端に生える草の名前を訊くような何気ない問い。他意がないからこそ尚更小憎らしい。その答えを強請り、口づけを求めるこの男のなんと軽薄なことか。 男がそれを、人の想いを理解できないからこそ、表裏一体となって薬売りが在るのだ。それを理解出来たのなら、想うことが出来たのなら、薬売りの存在する意味などないではないか。 それとも、目と鼻の先で目を細めるこの男は既にそれを知っているのか。知っていて、薬売りに問うているのか。精一杯の皮肉を込めて睨み、吐息を吐きつける。 「さて、なんでしょうね」 唇が触れ合おうとしたその時、散り行く梅の花びらと共に男の姿は掻き消える。お蝶の夢の名残が消え失せ、現し世が傲慢なほどに確かに顕現する。 膝に落ちた煙管を拾い上げ着物が焦げていないか確認した薬売りは、朽ちた庭に視線を戻した。荒涼とした庭を、それでも春の茫洋とした日差しが照らし、風は変わらず温く柔らかい。 傍らに置いた薬箱の中でカタリと音がした。風に舞い立つ埃に目を眇め、また薬売りは煙管を口に運ぶ。 己の内だけで一方的に繰り返される、茫洋とした形にも表せぬもの。年月を経る内に朽ちて形を失くすかと思ったそれは、皮肉なことに年月を減る程に熟れた濃密な匂いを放ち薬売りを更に酩酊させる。逃げ出したいと願うのに、それに囚われて居たいと求める。 それはお蝶の想いに重ねるほど美しいものではないだろう。あんな風に、風に舞う花びらのような可憐な存在と比べるのも憚られる。 こんな不毛な想いを一体己以外の誰がわかると言うのか。それとも、誰しもがこんな想いを抱えているのか。 吐き出した煙を追い、視線を空へと向ける。 「しかし」 飛び発った鶯はどこへ行ったのか。風と戯れる鶯を夢想する。鶯は小さく、しかし力強く朗らかに求め続けた自由を唄う。 「誰も、いない」
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ うーん、まとめきれてない。。 | | | | ピッ (・∀・;) お付き合いありがとうございました。 | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>299 やんちゃ高校生可愛いよー
前のも合わせてごちそうさまでした!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | も/や/し/も/ん 蛍→直.保 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| アニメ4話直後のお話だって | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ カモスゾー | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
生まれながらに菌が見えるという特殊な能力を持っている沢.木.直.保は、入院が大嫌いだ。 病院には様々な患者が訪れ、出来ればお目にかかりたくない菌を平気で撒き散らしていく。 下手に菌が見えるせいで、直.保にとって療養を目的としている筈の入院は、拷問に等しい。 だが、幸い大した病気ではなかったので、すぐに退院出来たが唯一の救いだった。 まだ暮らし始めて一ヶ月程度しか経っていないアパートなのに、不思議と懐かしく感じる。 生活感の欠片もない病室とは違って、綺麗とは言いがたいが生活感が溢れているからだろう。 「やっぱ自分の部屋が一番だなぁ」 直.保は入院中からずっと強張らせていた顔の筋肉を漸く緩めて、しみじみと呟いた。 開放感を象徴するかのように、直.保は床に鞄を置いて、畳の上にゴロリと寝転がる。 大きく深呼吸をし、消毒臭くない家の匂いをめいっぱい吸い込んだ。 「ほんと沢.木は病院が嫌いなんだね」 退院の付き添いをしてくれた直.保の幼馴染である蛍は やっと綻んだ直.保の表情を見てクスリと苦笑を漏らした。 病院内でずっと刻まれていた皺はすっかりなくなり、いつもの直.保の顔に戻ったことで 蛍にもやっと、直.保が退院したのだという実感が湧く。 蛍はほっと一息つくと、肩の力を抜いて直.保の横に胡坐を抱えて座り込んだ。
「蛍だって菌が見えるようになったら、病院なんて行きたくなくなるって」 「残念だけどその気持ち、一生理解出来そうにないよ」 「………………だな」 蛍は肩を竦めてさらりと受け流すと、直.保が少し拗ねたように口を尖らせた。 大学生にもなってもまだ、彼は時折こうして子供っぽい仕草を見せる。 髪の毛を安っぽい金髪に変えても、それは昔と何ひとつ変わらない。 変わったのは、僕の心。 今こうして、沢.木を見守る視線に特別な感情を含ませるようになったのは、いつからだっただろうか。 幼い頃から、沢.木は力のせいで友達が少なかった。 だが僕は、物心ついた頃から彼と一緒だったせいか それに対して気味が悪いなどと思ったことは一度もない。 沢.木にとって僕は、力を知った上で一緒にいてくれる数少ない存在だ。 だから彼も僕を頼り、無条件に信頼を寄せてくる。 彼に頼って貰えることに優越感を覚えたが 大人になるにつれて、それだけでは物足りなくなってきた。 高校にあがった頃には、この何とも言いようのない感情の正体に気づいてはいた。 幾度となく、気のせいだと己を否定してみても 童顔というに相応しいあどけない沢.木の顔や、自分の名を呼ぶ少し高めの声 沢.木を包む全ての要素の前では、全てが無駄に終わる。 どう足掻いたところで、僕は沢.木が好きなのだ。
蛍の横で寝転がったままの直.保は、視線を宙に彷徨わせ すうっと手を伸ばし、指先で何かを摘む仕草をした。 幼い頃から散々見慣れた光景だ。 彼は蛍がどう目を凝らしても見えない菌を、いとも簡単に摘み上げる。 すぅっと目を細めて、穏やかな表情で指先を見つめていた。 心の中で菌に対して『ただいま』とでも言っているのだろうか。 そこは、蛍がどう足掻いても届かない、直.保だけの領域。 ずっと傍にいたのに、ずっと想っていたのに。 沢.木が自分の力に対して思い悩んでいても、力になってやれない自分が歯がゆい。 僕も沢.木のような力があったら、彼の全てを理解してあげられるのだろうか。 彼だけの領域に踏み込んで行けただろうか。 だが、そんな空想論に浸っていても仕方がない。 ただ、これだけは言える。 僕は情けない事に、そこらじゅうに蔓延する無数の菌に嫉妬しているのだ。 視線を、隣に寝そべっている直.保に向けると 蛍の思考を他所に、彼は指先で何かをつついたりするような仕草をして微笑む。 彼と、僕の見えない菌達だけが共有する時間。 目の前に僕がいるのに、僕だけが疎外された気分に陥った。 自分だけを蚊帳の外に追い出して、穏やかな時間を過ごしている彼らを見ていると腹立たしい。
目の前にいるのは、誰なのか。 沢木を大事にしているのは誰なのか。 それを沢.木に思い知らせてやりたい。 だが、それは諸刃の剣。 想いを告げたら、幼馴染というぬるま湯のような関係が破綻するのは、火を見るより明らかである。 蛍は今まで築き上げてきた関係が崩れてしまうのが怖くて 己の抱く感情を沢.木に告げず、親友として側にいることを選んだのだ。 だけどもう限界だった。 蛍はおもむろに、菌を掴んでいるであろう直.保の手を取って馬乗りになった。 「うわっ、蛍っ!どうしたんだよ!?」 突然圧し掛かってきた蛍に、当然ながら直.保は驚き、抗議の声をあげる。 「ねぇ沢.木。今、君の目の前にいるのは、菌だけ?」 「何言っ……」 自分の視線を捕らえる幼馴染の黒曜石のような瞳は、ひどく真剣な色を湛え 肩を押さえ込む両手が小さく震えているのに気づいて、直.保は言葉を失い困惑する。 蛍が冗談でこういう事をするような人間ではないのは、直.保が一番よく知っている。 徐々に近迫り来る蛍の顔は、瞬きをするのも惜しい程整っていて、直.保は思わず見惚れてしまう。 蛍の憂いを含んだような表情をこうして間近にすると 中性的な雰囲気を纏っているのだと、改めて思い知らされた。 女っぽいという言葉は蛍にとって禁句ではあるが これだけ至近距離で整った容貌を見せ付けられては 幼馴染ですら、動揺を隠せないのは無理もない。 すぅっと伏せられた瞳が妙に色っぽく、直.保はらしくなく心臓を高鳴らせた。 あ、こいつ、睫毛長げぇ………… 今更ながらに新しい発見をした瞬間 直.保の無防備な唇に暖かくて柔らかいものが触れた。
「っ!!」 その正体に気づいた途端、直.保は慌てて身を捩って逃げようともがく。 だが、両肩を掴んでいる手は思いのほか強く振りほどけなかった。 顔の割には物凄い力で、まんまと直.保を捉えた蛍は 強引に唇を舌で割って、唇よりも熱い口腔内に進入を果たし 驚き戸惑う彼の舌をいとも簡単に捕らえた。 「んんっ!!」 己の舌に絡んでくる軟体動物に、直.保は躯を振るわせた。 蛍の舌は口腔内で器用に蠢き、逃げ惑う舌を捕らえては、絡めて吸い上げる。 直保は余りの唐突な出来事に、これがファーストキスだという事実に気づくまでに時間が掛かった。 キスに慣れていない二人は鼻だけでは上手く呼吸する事が出来ず 息苦しくなってとうとう、蛍は直.保の唇を解放した。 ゼロだった距離が離れた瞬間、名残惜しそうに銀糸が互いを結ぶ。 それは、蛍自身の未練でもあるかのように。 「け、蛍……お前……っ」 直.保は呼吸困難に陥ったせいなのか、それともキスという行為のせいなのか定かではないが 顔を真っ赤にしたまま、掌でぐいっと唇を拭った。 だが直.保の言葉を遮ったのは、キスの直後とは思えない程 恐ろしいまでに静かな蛍の声であった。 「…………僕は、君にしか見えない奴らなんかに負けない」 衝動的にとはいえキスという行為に及び、静かに言い放った蛍に激しい後悔の念が押し寄せる。 何故こんなことをしてしまったのか。 蛍は馬乗りの体勢のまま、直.保の唾液で濡れた唇をきゅっと噛み締めた。 いくら後悔をしてみても、もう後戻りは出来ないのだ。 だが蛍の頭の中は真っ白になってしまい、次に紡ぐ言葉が思い当たらない。 直.保も呆然と蛍を見上げたまま、呆然としたままだった。 二人は暫くの間黙り込んでしまい、周囲の空気も硬直してしまった。
先に口を開いたのは、直.保だった。 直.保は、視界を少しだけ遮る自分の前髪をかきあげ 目の前をクリアにしてから恐る恐るといった風に声を掛けた。 「な、なぁ蛍……それってさぁ………………やきもち?」 直.保の言葉を聞いた瞬間、蛍の頬は朱色に染まった。 強引に唇を合わせてきた前後も、普段通りの表情だったのに 己の嫉妬を指摘された途端に、みるみるうちに顔色が変わっていく。 どこかズレた蛍の基準がおかしくて、直.保は思わず吹き出してしまった。 「ぷぷっ……」 「な、何がおかしいっ!」 終いには茹でタコの如く耳まで真っ赤にした蛍が いくら声を荒げた所で効果などありはしない。 「だってお前、カワイイんだもん……くくくっ」 「カワイイって言うなよ…………」 目に涙を浮かべてまで爆笑する沢木に、蛍は心底悔しそうに呟いた。 それがまた、直.保に更なる爆笑の起爆剤となり 隣室にまで響きそうな大声で笑い転げた。 先程まで室内に蔓延していた重苦しい空気は何処へやら。 何だか、上手いこと直.保に丸め込まれたような気がする。 蛍は釈然としなかったが、今はとてもじゃないが自分の想いを伝えるようなムードではない。 でも、直.保は未だに馬乗りのままでいる蛍から逃げようともしないし 自分を軽蔑するような態度も一切示さない。 これは、前向きに捕らえていいものだろうか? その答えが出るのには、まだ少し時間が掛かりそうだった。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 原作未読でスマンカッタ | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ さっき6話を見たらこの話の設定崩壊/(^o^)\ナンテコッタ 捏造気味だけどまだまだ順調に蛍直にかもされているので 気が向いたら今度はエロ投下しにきます
いいから原作読んで来い、話はそれからだ
御無沙汰してないけどしてます。映画スレ14の441です。 勢い余ってつい書いてしまった。反省はしていない。 (微鬼畜注意とだけ言っときます) ちょっとシュールな番外編 匿名希望氏×シラス |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ある日の昼下がり。徹夜明けの仕事を終えて、うちのボスのペントハウスから引き揚げ る途中、空にできた裂け目から何か黒くてでかいものが降って来て、ボンネットにぶち当 たった。 驚いて外に出てみると、なんとそれは人間の男だった。映画でしか見たことのないよう な、昔の修道士のなりをしている。話に聞いたことがある色素欠乏症というやつなのか、 髪の毛も肌も雪みたいに真っ白だ。だが、何よりびっくりしたのは、そいつの顔も体も、 まるで鏡でも見ているように俺とそっくりだってことだ。奴は俺の顔を見て、地面に尻餅 をついたまま、スペイン語らしい言葉で何か喚き立てている。その声まで俺と同じ、寝起 きみたいな掠れ声だ。 何となく気に入ったので、そのまま奴を担ぎ上げ、車に積んでマンションまで持って帰っ た。 嫌がる奴を銃で脅しつけながらベッドに押し倒し、二本の手錠で両手を支柱に拘束した。 はあ?何が私は神の使いです、私にエッチなことすると地獄に堕ちますよだ。地獄が怖く てこの稼業がやってられるか。 鼻先が触れあいそうなほど近々と顔を寄せ、自分の両目を指さして言う。 「俺の目を見ろ」 サイドテーブルには素敵な道具がズラリと並んでいる。俺がナイフやハサミを取るのを 見て奴は怯えるが、こいつは奴を素っ裸に剥くのに使うだけだ。多分な。 次にピンセットをチョイスする。そいつでちょっと乳首を摘まむと、もう早ギンギンに おっ勃ててやがる。だが、乳首しか責めてやらない。道具や指で散々弄くり回す。 「何だこのおっぱいは。男のくせになんでこんなエロいおっぱいしてんだよ」(実は俺 もなんだが、それは内緒だ) チンポコが勃つと、太腿に巻いたヘンテコな棘つきのベルトが肉に喰いこむのか、奴は 足から血を流して悶絶してやがる。シーツが赤く染まる。おぼこ娘や生理中の女じゃある まいし、汚え野郎だ。でも俺は親切な男なので、留め金を手に取って穴一つ分きつく締め 直してやる。
ブランデーのポケット瓶を取り、乳首や首筋に滴らせ、じっくり味わって飲む。奴のチ ンポはもうはち切れそうなほどでっかくなって、透き通った分泌液をみっともなく垂らし ながらヒクヒクしてやがる。自分じゃ触りたくても触れないものだがら、奴は泣きべそを かいて俺に懇願する。もうちょっと粘ってくれりゃいいのに、他愛ないものだ。禁欲って やつのせいかね。 「どこをどうしてほしいんだ?」 と尋ねる。 「スペイン語じゃわかんねえよ。英語喋れよこの淫乱」 更にいびる。 「何?聞こえねえよ、もっとでかい声で!」 聖職者のくせしやがって、奴があられもない言葉を口走る。だが、勿論してやるわけが ない。代わりに、神や宗教に関する思いつく限りのスラングで罵倒して罪悪感とやらを煽 り立てる。奴は涙ぐみ、下唇を噛んで上目遣いになる。その恨めしげな面がとてつもなく そそる。 奴は真っ白けな全裸を晒しているが、俺は上も下もスーツを着たままだ。モノだけ引っ 張り出して奴の頬をぺちぺちしてやる。続いてフェラさせてみる。 「ん・・・・あはっ・・・・おまえ・・・・うっ、巧いな」 歯を立てたら思う存分リンチしてやろうと思ってたのに。坊さんのくせに、こいつ経験 あるんじゃないのか。時を置かず、俺は奴の口の中に盛大に噴射する。奴の唇の端から飲 みきれなかった精液が流れ出ている。何とも卑猥だ。 東洋の毛筆の先にそいつを含ませ、色々されて真っ赤に腫れ上がった乳首に両方とも、 こってり塗りつけた。ショートケーキの上に載った苺に砂糖菓子をまぶしたみたいになる。 「ミルク出してんじゃねえよ。このイヤらしいチチ牛がよ」 とからかうと、いい年こいて赤くなってやがる。 俺としたことが、ちょっとかわいいと思ってしまう。いや、だめだ。恋は人を太らせる。
サイドテーブルから鳥の羽を取って、全身をくすぐる。でもチンポだけは相変わらずお 預けだ。その周辺や乳首、丸出しの腋の下は思いっ切りやるけどな。やがてそれにも飽き たので、ぐったりとなった奴を放っぽり出して居間へ行く。 ソファでナッツ入りの菓子を食べながらTVを観て大笑いする。それから、隣に座って いたアレルギー持ちのガキに素知らぬふりで菓子を喰わせ・・・・あれ?何か勘違いしてたみ たいだ。ヤクは最近やってないんだが、幻覚でも見たのかな。悪い悪い、このくだりは無 視してくれ。 番組が終わった。二、三日前から気になってたので掃除機をかける。ついでに洗濯もす る。 洗濯物を干した後、疲れていたのか、ソファで一時間ほどうたた寝をしてしまった。柄 にもなく、ガキの時分、試験で苦労した夢を見た。俺は古典が大の苦手だったんだ。未だ に、シェイクスピアだのミルトンだの聞くだけでジンマシンが出るね。あり得ないと思う が、もしうちのボスが通信教育で文学士号を取ったなんて言い出したら、たとえあの人が 相手だろうとキレる。それくらい嫌いだ。 そうだ、思い出したぞ。あのオールドミスの国語教師め、「カンタベリー物語」の暗誦 にカコつけて俺をイジメ抜きやがって。俺がつっかえるのを見て笑いやがったクラスメー トは、後で呼び出して一生立てなくしてやったが、思えばあの件をきっかけに俺はグレ始 めたんだ。ええと、何ていったっけ。ちょっと度忘れしてしまって思い出せないんだが、 あんなくだらねえもの書き散らしやがった奴はあの世で会ったらただじゃおかねえ。 そんなつもりじゃなかったのに、つい俺の過去を語ってしまった。本筋に戻ろう。
やっと寝室に戻って、また一頻り手を替え品を替え遊んでやる。俺が奴のケツにぶちこ んで動き始めると、奴も一緒に腰を振り、チンポを俺の体に擦りつけてあんあん言ってや がる。やっぱり相当経験豊富なようだ。俺のように敬虔で品行方正な人間から言わせれば、 つくづく、罰当たりな野郎だぜ。いや、冗談抜きで、隅に置けねえよ、ブラザー。敬服の 印に、奴の唇に唇を重ね、舌と舌を深く絡ませた。これは俺がどんなにせがまれても滅多 にしてやらない行為だ。ありがたく思えよ。も一つ大サービス。ブランデーを呷り、俺の 唇を杯代わりに奴にもしこたま飲ませてやる。 イク寸前、チンポを引き抜いて、奴の顔面にドバッとぶっかけてやる。それでも奴はお 構いなしに恍惚としている。なんか冷てえと思ったら、いつの間にか、奴も大量にお漏ら ししてやがった。 この腥(なまぐさ)坊主が、俺の高いスーツを汚しやがって。 そんなわけでまた、たっぷりお仕置きしてやった。 そして思った。今度誰かをいたぶって楽しむ時には、ちゃんと服を脱いでからにしよう と。 おしまい。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 観客「腥坊主!?ナツコ、その訳はねえだろう!」
327 :
梅は咲いたか :2007/11/17(土) 12:44:00 ID:gG4VWZE20
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 連ゾクドラマ 地利と手鎮。 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 長男×四男です。 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
稽古の中休み。着物姿のままで縁側にへちゃりと座って、ぼんやりと 庭を眺めている双玄兄さんの横顔は、疲れていながらも充実感が漂っている。 多分僕が来た事にも気づいてはらへんのやろう。 それがちょっと寂しい気ぃもしたけれど、殊更足音を立てる様な子供じみた 真似もせずに、そっと兄さんの隣に腰をおろした。 そこでやっと気づいたらしく、兄さんが庭から僕に視線を移した。 「四双か」 「お疲れですね」 「久々に真剣に稽古したからなぁ。お前もやろ」 「まぁ」 相変わらず愛想ないなぁ、と双玄兄さんは溜息交じりに呟いた。 すんませんね、愛想なくて。 口の中だけで呟いたけれど、流石は兄弟子というべきなのか、双玄兄さんは 僕をやんわりと小突いてくる。全然痛くない。 「悪いて言うてんのとちゃうで」 「わかってますよ」 ホンマに気ぃ使いですね、この人は。 いっつも双々兄さんと小双雀兄さんの壮絶に頭の悪い喧嘩を止めて、無愛想で 鬼みたいな性格やって言う俺の面倒までみて、総領弟子やからって割りに合わんのと ちゃいますか。 ほなえぇねん、なんて顔立ちによぉ似合った穏やかな笑みを浮かべた双玄兄さんの 隣にいるのは、正直な所居心地が良かった。 「しかしお前、離れてる間も稽古欠かさんかったんやな」 「そうでもないですよ。もう忘れてましたわ」 「嘘言いなや。聞いとったらわかるわ」
「それなら、兄さんかてそうですやん。ちゃんと口回ってはるやないですか」 「そうか?」 「高座でもそれだけ回れば言う事なしなんですけどね」 「……ほっとけ」 口調は怒ったみたいやけれど、兄さんは本当に怒ってはる訳やない。しゃぁない やっちゃなぁとでも言いたげにまた庭に視線を向けてしまう。 別にかまへんのやけど、ちょっと物足りないんですよ。 双玄兄さんの丸っこい目は昔っから不思議やった。僕が自分でも無意識に張っている 虚勢の様なものの向こうっ側に置いている気持ちを、いとも簡単に目の前に引きずり 出して来はるんですから。 理由は自分でもわからへんけど、嫌やと思った事はありませんでした。 今回かって、俺が上っ面だけで拒んだ噺を、本心ではやりたがっているのに気ぃ 付いてくれたのは双玄兄さんやったんですから。 こっちを向いて欲しいと、そんな……師匠の気を引こうとする双々兄さんみたいな 稚気が頭をもたげる。 「……兄さん」 「うん?」 「再開した時から言いたかったんですけど、そっち格好の方が、安いスーツより 似合おてはりますよ」 「……お前もな」 軽口を流して、全然力の篭っていない拳で、兄さんはもう一度僕の頭を小突いた。 またこうやって兄さんと、……兄さん達と一緒にいられる。 僕が喜んでるのを、兄さんはわかっていてくれはるんでしょうね。 痺れを切らした双々兄さんが呼びに来るまで、僕と双玄兄さんは二人で 小春日和みたく穏やかな日差しの中、ぼんやりと庭を眺めていた。
330 :
梅は咲いたか :2007/11/17(土) 12:46:05 ID:gG4VWZE20
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 萌えだけで書いた。反省はしていない | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>330 リアルタイムでktkr
あの放送のあとだとすごい和むー。
GJ!
>>330 GJ!!
今日の放送見てうれし泣きしたあとに、
いいもん読ませてもらって更にほっこりしたよ
>>321 うおおGJです!!
匿名希望氏は元ネタ知らないけど、淫乱シラスたんに禿げ萌えた
友人と話してて禿げ萌えたので豆乳! _________ |┌───────┐| |│l> play. │| |│ |│ |│ |│ |│ |│ |└───────┘| [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::] ∧∧ ( ,,゚) ピッ ∧_∧ ∧_∧ 濡場ト濡場ノ間ッテ舐メテンノ? / つ◇ ( ・∀・)ミ (` ) . (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒) | ┌‐^────────────── └──────│戦国場皿 館×佐だよ マイナーカプでまかり通る!
ボンヤリとした頭で考える。いつからこんな風になったんだっけ?と。 大きくたくましいその腕は背後から佐助を抱きしめたまま離さない。 その温もりがもたらす安心感に佐助は心の奥底にある黒いしこりがゆっくりと溶け出すのを感じていた。 「佐助のこのように無防備な姿を見ることできるのは儂だけであろうな。」 信玄は満足げにそう呟くと佐助の首筋に口付けた。 「ちょっと大将、駄目ですよ。もう戻らないと。」 「夜はまだ長い。焦る事もあるまい。」 確かにまだ深夜。だがこれ以上疲弊して寝すごすなんてことは避けたかった。 普段なら寝過ごすなんてありえない。 だがココでなら、信玄の腕の中なら話は別だ。 更に続けようとする信玄を払いのけて脱ぎ捨てた忍び装束に手を伸ばす。 背後の布団の方から大げさなため息が聞こえてきた。 「相変わらずじゃのう。」 「大将ももっと危機感持ってくださいよ。」 急いで装束を身に着ける。例え駄目だと分っていてもごり押しされたら抵抗できない事は分りきっていたから。 襟元までしっかり閉め、手足の防具を付けていると額当てが見当たらないのに気が付いた。
「あっれー?何処にやっちまったかなぁ?」 佐助はボリボリ頭を掻きながら、見ないようにしていた背後に視線を走らせる。 額当ては夜着を一枚羽織ったまま胡坐を掻いている信玄の向こうに落ちていた。 「あ……っと」 それ、取ってもらえませんか?そう言い掛けて佐助は口を噤んだ。 佐助の視線を追って額当てを見た信玄の口元がにやりと歪んだのが見えたからだ。 仕方なく布団の周りを歩いて後へ回る。額当てに手を伸ばすと半ば予想していた事が起こった。 「……大将返してください。」 「まだ、おっても問題なかろう。」 いや、あるでしょう。あるでしょうよ色々とね。 そもそも甲斐の虎ともあろうお人がなんですか大人気ない。とかね。 本気出せば楽勝で取れるとは思うけどそれもどうなのか。 何だかもうしょうがないような気持ちになりながら佐助は信玄の持つ額当てに手を伸ばした。 信玄の空いている腕が佐助の腰に巻きつく。引き寄せられて至近距離で見る信玄の顔は満足そうだった。 「ったくもうコレで最後ですからね。」 慣れた手つきで折角着込んだ衣装が剥ぎ取られて行く。 ホントに明日起きれるのかね…… 佐助は小さくため息をついた。
_________ |┌───────┐| |│ロ stop. │| |│ |│ |│ |│ |│ |│ |└───────┘| [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::] ピッ ∧_∧ ◇,,(∀・ ) 濡場くどくなるから苦手なんだ . (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒) | | └────────────────┘ なんかもう微妙でゴメンなさいw 第二衣装で妄想していただけるとありがたい
ううう最後のテンプレ直前に回線途切れた時間かかってスマソorz
>340 案ずるな、GJじゃった
麻銅鑼 地理と手陳。 世間の流れをまったく読まずに、弟子2→シショ←弟子4。 ただの兄弟ケンカ・・・。 カプなしエロなしですスマソ。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「師匠、お出かけですか?」 昼下がり、稽古が終わり兄弟子の早玄にお茶を淹れていた早々は、廊下をやってきて縁側から庭に出た早雀に 声をかけた。 「あぁ、今度の高座のとこにな、ちょっと挨拶行ってくるわ」 「ほな俺もお供します」 次いで自分のお茶を淹れたばかりの早々は、熱い湯気を立ち上らせる湯のみには目もくれず、さっさと立ち 上がって早雀の後について庭に下りた。その背中に冷ややかな声がかけられる。 「ええですよ、草々兄さん。僕が行きますから」 見ると、早雀の上着を持って小奇麗に身支度を整えた弟弟子の椎早が下りてきたところだった。そのまま早々を 通り越し、す、と早雀の隣に並ぶ。その一連の動作が何か小憎らしく、早々は眉間に縦皺を刻みつつ聞いた。 「なんや椎早、なんでお前が行くねん」 「なんでも何も、師匠がついて来い言わはったんです」 「うん、今度のとこな?椎早上がるん初めてやろ。挨拶がてら顔見せしとこ思てなぁ」 早々の睨みなどまったく効いてない涼しい顔で、何でもない事のように椎早は言った。早々がちら、と視線を 送ると早雀も軽く答えた。
理由として一部の隙も無い回答に、一旦は引き下がろうと思いかけた早々だが、師匠の隣に立っている椎早が 勝ち誇ったような顔をしている気がして、つい食い下がってしまう。 「ほな俺も一緒行きます」 「何で「ほな」やねん。お前は今回演らへんとこや。別に顔見せせんかてええやないか」 「それに、そない大勢で押し掛けたら、先方に迷惑ですよ」 勢いのみで言ってくる早々に早雀は苦笑いしながら答えた。更に椎早がごく模範的な補足で嗜めてくるので、 早々はますますムキになって言い募った。 「じゃ椎早、お前が残れ」 「頭大丈夫ですか?話聞いてますか?僕が挨拶行かな意味ないでしょ」 大仰にため息をついて、心底呆れたように首を振りながら椎早は早々を見上げた。口べたなのは知っているが、 ここまで無茶な事を言い出すとは思わなかった。どの道、口ゲンカで自分に勝った試しはないというのに、学習 しない兄弟子だ。
「お、まーたやっとるわ早々のやつ」 師匠を除き険悪な雰囲気が漂いつつある庭先の光景を、特にする事もなく眺めていた早玄の前に、胡早雀が ひょいと腰を下ろした。目の前にある早々のお茶を勝手に飲んでいる。 「"兄さん"つけなあかんで、胡早雀。しっかしあいつも成長せんなぁ。師匠追っかけ回すの」 「四六時中探しよりますからね、親父を。もう病気や」 兄弟子に対する態度を窘められても、大して気にしてない風で菓子鉢のかりんとうをつまんでいる胡早雀に、 仕様が無いと小さく笑って早玄もかりんとうに手を伸ばした。 「椎早も気の毒にな、あれじゃどっちが弟かわかれへん。早々はちっとは弟弟子に譲るいうんを覚えんとな」 「そら無理でしょ。あいつアホやし」 「まぁなぁ、アホやもんなぁ」 どうしようもあれへんなぁ、と揃って口に出して、お茶をすすった。 「そもそも今日は僕が師匠に呼ばれてんです。兄さんは関係ないんです」 「関係ないてなんや!」 切り捨てるような椎早の言葉に早々が声を荒げると、静かに早雀が諌めた。 「早々ー、聞き分けないこと言いな。今日は残っとき」 「師匠…せやかて」 「師匠、行きましょう。遅なります」 話は終わったと見なした椎早が早雀に声をかけて門へ向かう。寂しそうに自分を見る早々に、早雀はちょっと 笑いかけて、椎早の後に続いた。その背中を見た途端、たまらず早々の口から言葉が飛び出した。 「俺、師匠の側に居りたいんです!」 居間の方から何か噴き出すような音がしたが、早々には聞こえてなかった。
「……ぶわっははははは!!」 静寂を蹴散らしたのは、早雀の大笑いだった。門柱に寄りかかり腹を抱えて笑っている。 「え!?なんで笑うんですか師匠!?」 予想したあらゆるリアクションから完璧に逸脱した早雀の大爆笑に驚いた早々は、笑いの波に呑まれている 早雀を呆然と見ていた。ふとその隣で、こちらも負けずに呆然と自分を見ている椎早の顔が、心なしか赤らんで いるのに気付いて更に驚いてしまった。 あの万年鉄面皮がこんな普通の人間みたいな表情するなんて。 「…って椎早、お前は何赤うなってんねん?」 早々に指摘されて我に返った椎早は、すぐに顔を逸らして隠すように片手で口元を覆った。 不意打ちとはいえ、普段から本心で思っている事だけに、まるで自分が師匠に告白してしまったような気がして 無性に焦った。声に出して聞くとかなり恥ずかしい。しかもその顔を見られてしまった。痛恨だ。 「…なってませんよ。それより、大声で恥ずかしい事言わんといてください」 「ぶっ、…くっくっくっく」 不機嫌に眉根を寄せて吐き捨てる椎早の顔はもう普段どおりの顔色だったが、そのセリフの直後に隣の早雀が 新たな笑いの発作に襲われ、少々バツの悪い顔で早雀を横目で見ている。
早々はといえば、自分たちのやりとりの何が早雀のツボにはまっているのかまったく見当もつかないので、 とりあえず当面の敵である弟弟子の相手をすることに決めた。 「何がや。俺は師匠が好きやからいっつも側に居りたい言うただけや」 「好きとか勝手に足さんといてくれますか。ほんまに恥ずかしい人ですね」 「お前に言うたんちゃうわボケ!俺は師匠に言うたんや!」 「はっはっは…早々、お前はほんっっまにアホやなぁ」 そこまで聞いて、未だ笑いが収まらない早雀が、満面の笑みでしみじみと言い放って早々の頭をわしゃわしゃ 撫でまわした。早雀のそのくせが大好きな早々は椎早へ噛み付く事も忘れ、つられてへらへらと笑っている。 理由は何でも良い、師匠が自分に笑ってくれるのが嬉しい。いつも側にいたい。 居間から呆れて眺めている兄弟子と弟弟子には、千切れそうにぶんぶん振り回される尻尾が早々の尻の辺りから 生えているのが見えた、ような気がした。
師弟がほのぼのと笑いあうその横から、椎早が声をかけた。赤面顔など最初から表情として持ってない、と言わ んばかりに冷徹な眼差しで早々を睨み上げている。 今日は師匠が自分に付き合ってくれるはずなのに、何故初っ端からこんなこっぱずかしい邪魔をされなければ いけないのか。被害を被ったのは自分だけで、本人はノーダメージなのがまた腹が立つ。これだから脊髄反射で 生きてるアホは嫌いなんだ。 「師匠、こんなどアホなんかほっといて行きましょう」 「ん、いこか椎早」 促された早雀もあっさり早々から手を離し、二人は連れ立って門を潜っていった。 「え?あ、ちょ…師匠!」 残された早々は手を振る後姿が鳥居の角に消えていくのを見送るしかなかった。 渋々居間に戻る間、自分は師匠に「ほんっっまにアホ」と笑顔で返されるような事は言ってないはずだが、と 思い出し首を傾げていた。 「…あれ、お前の兄弟子やで胡早雀」 「…あれ、あんたの弟弟子ですよ早玄兄さん」 腑に落ちない表情でのそのそと歩いてくる早々を見て、早玄と胡早雀は疲れたように苦笑し、微妙に生温く なったお茶をすすった。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! ヤマなしオチなしイミなしで正直スマンかった。早々がアホの子すぎたなぁ・・。
>>342 GJ!!
みんなかわええ!
毎日こんなことやってたら師匠の身持たないなw
>>342 超GJです!
次男のあけっぴろげな愛も
四男の秘めた愛もそれぞれ萌えますな(*´Д`)
>>342 むしろ流れど真ん中ですよ!GJ!GJ!
すごく可愛いです。実際この二人は師匠好きすぎや思います。
また師匠を巡るバトルを是非お願いします!
>>342 私のひとつの理想の形かもしれないですw
すごく可愛かったです!
>>347 超GJ!!
禿げ萌えました(*´Д`)
一門みんなかわゆすぐる!
>>342 超GJ!
ここの姐さんたちの影響で、何年かぶりに麻銅鑼を見始めた
なんなんだあの男若草物語w
遅刻覚悟で毎朝萌えす
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )朝銅鑼、地理とて陳 四弟子と一弟子と瞼の裏の師匠 週末放送を見たら萌えが止まらなくなりました
それは、間が悪かったとしか言いようのない場面だった。 偶々用事で出向いた先の近くに彼が住み込む店があり、偶々頃合いのいい時間だったので、 どうせなら一緒に稽古に向かおうか、と。 そんな軽い気持ちで訪れた件の店の前で、自分は予想だにしなかった修羅場に行き会ってしまった。 当事者は二人。 一人は身なりもきちんとした年輩の男。 そしてもう一人は……自分が尋ねようとしていた当の本人。 店の前で何やら揉めている現場を呆然と見遣り、固まってしまった自分に、彼が気付くのには さほど時間はかからなかった。 ふとした拍子に流した面倒そうな視線の先に自分の姿を見咎めた瞬間、彼の切れ長な目に 驚きと同時にある物騒な光が閃く。そして、 嫌な予感がした。 そしてその予感の通りに、 「兄さん!」 彼はいつも自分を呼ぶ呼び方から適確にある部分だけを取り除いた形で声を上げると、 その勢いのまま男の手を振り解き、立ち竦む自分の方へ駆け寄ると、瞬時この腕を取ってきた。
「なんやったんや、あれは!」 夕暮れ時の橋の上、自分を尻目に飄々と先を行く背中に向け、その時草弦は堪らぬ詰問をぶつけていた。 しかし、 「なんやって、何がですか?」 問われた相手、恣意草の口調は相も変わらずしれっとしたもので、それに草弦の憤りはますます 昂ぶる羽目に陥った。 「人の事、いきなりやらしい呼び方しくさって!」 「やらしいって、草弦兄さんは草弦兄さんやないですか?何か変なとこでもありましたか?」 「わざわざ固有名称部分だけ削って呼ぶんがやらしい言うとるんや!」 「そうでしたか?咄嗟やったんで気付きませんでした。」 嘘や、絶対わざとに決まっとる。 人の問い詰めを軽々と交わして、そんな風に嘯く可愛げの無い弟弟子の背中に、草弦は再度歯噛み する思いを味わう。 確かに、確かに彼が自分を兄呼びする事は芸事の世界ではごく普通の事ではある。 しかしそれがすんなり世間で通用するかと言えば、それはまたまったく別の次元の問題で。 それが証拠に自分はあの時、恣意草と相対していた男に思いっきり怪訝な目を向けられた。 無理もない事だろう。 容姿においてそこそこ人並みな自分に対し、この弟弟子は些かクセはあるものの、概ね美形と 呼んでいい範疇の整った顔立ちをしている。 そんな彼と自分が一見して実の兄弟に見えるとは到底思えず、それでもあの時相手の男がバツの 悪そうに立ち去ったのは…… 「いったい誰やったんや。」 おそらくは何らやましい事があったからで…… 知りたいような知りたくないような、そんな複雑な思いを抱えながらそれでも草弦は恣意草に問い質す。 しかしそれにも最初、恣意草は事を煙に巻くような返事しか返さなかった。
「別に。ただの知り合いです。」 「嘘つけ。あれのどこがただの知り合いや。」 「嘘やないですって。」 「だったら、どう言う関係の知り合いか言うてみい。」 「……まぁ、ただの“ゆきずり”の知り合いです。」 「そう言うのは知り合いとは言わん!」 やはり案の定な結論を出され、草弦は瞬間頭を抱えたくなる衝動にかられる。 いや、別に人の云々の路のアレコレに口出しをするつもりは欠片も無い。 いくら弟弟子とは言え、彼は実社会で言えば最早それ相応の年の男ではある訳だし、だからそれに ついて言及するのは無粋もいい所だと言うのはわかってはいるのだが、しかしそれでも、 「なんで男……」 正直、自分の常識の範囲を超える事態に頭がついていかなくて、思わずそんな呟きが口から零れる。 するとそれを聞き取った恣意草が、この時おもむろに顔を背後に向けながら問うてきた。 「女やったら良かったんですか?」 「…っ、そういう意味やない!」 苦手な分野を攻められ、からかわれているとわかっているのに、それを更に煽るような直情的な 返事しか返せない。 しかしそんな草弦に、恣意草はこの時不意にその目元を和らげたようだった。そして、 「ほんまに、そんな気にしてもらうような事やないんですよ。」 一瞬の笑みの後、すぐさま顔を元に戻し、その歩みを止めぬまま、恣意草は言葉を続けてゆく。 「名前もなんも知らん、本来はそれっきりやった相手です。こっちかて何も言わんかったんに、 どこで住所調べてきたんやろなぁ。正直ちょっと怖い所もあったから、草弦兄さんが来てくれて 助かりました。」 しかしそう言われたところで、納得も安心も出来るものではない。 それ故、押し黙ってしまった草弦の沈黙をどう受け取ったのか、この時恣意草は続けざまにこう 告げてきた。 「お礼、せなあきませんか?それとも何か口止め料、必要ですか?」 どちらかと言えば低く、独特な響きを持つ恣意草の声。 それが突然、張りのある艶を帯びる。 それは草弦の過去の記憶の中、彼が高座に上がった時の物にひどく良く似ていて、だから、 感じた胸の動悸と共に、さすがに鈍い自分でもこの話題、この瞬間においてその意味を取り違える事は なかった。
「あっ、阿呆な事言うなやっ!」 それ故、慌てて否定の声を上げる。と、それに恣意草は後ろを振り返らぬまま小さく噴き出した ようだった。 「ええ、わかってます。冗談です。」 「おまっ…」 「僕は、人の家庭を壊す趣味はありませんから。」 「はぁ?」 「それは師匠のとこを見てたらわかりましたでしょう?」 クツクツと咽喉の奥を震わせて恣意草が笑う。 そしてそのいっそ陽気な声の明るさに引き摺られるように、ふと思い出した彼の過去の姿は、 確かにいつも暖かい光の淵にあった。 皮肉屋で、生意気で、人との関わりに常に一枚の膜を張っているような印象を持つ末の弟弟子。 それでも彼は、あからさまに相手に対する好意や独占欲を表に出す他の兄弟子達とはまた違う形で、 己が師匠を慕い、その側に寄り添う女将さんを受け入れ、少し距離をおいた場所からそんな光の 中心を静かに見守るような男でもあった。 それだけで十分なのだとばかりに、仄かな笑みを引き締めた唇の裏に隠して、いつも彼らを 少し離れた場所から見遣っていた。 「だからあれは、ちょっと気が迷っただけです。」 思えば先程の男の年の頃は、師匠と同じくらいか。ならば、 「あの頃は……ちょうど寒うなり出した時やったから。」 草弦は対比のように思い出す。三年ぶりに再会した時に訪れた、彼の部屋の光景を。 窓を締め切り、カーテンで光を遮り、雑多に投げやりに物の溢れた空間に蹲り、息を潜めていた彼。 家族を養うという逃げ道のあった自分に対し、彼にはあの後、行き場がどこにも無かった。 だから心に負った傷を癒せぬまま慕った人を恨み、己の感情を殺し、それでも閉塞していく絶望と 孤独に押し潰され、追い詰められ……それを暴かれた瞬間、彼は壊れたように泣いた。 堰き止められぬ感情に流されるまま泣きじゃくる、あんな子供のような彼の姿を見たのは、 あの時が初めてだった。 要領が良く、計算高く、何かにつけ大人だと思っていた彼が懸命に縋り付いていた最後の希望が、 あれ程ささやかなものだと知ったのは、本当にあの時が初めてだったのだ。だから、
「……ええんか…?」 かつての居場所に帰り、昔垣間見せていた柔らかさを徐々に取り戻しながらも、それだけで 満たされたと言い切ってしまいそうな、意外なまでに欲の無い末の弟弟子に、ついそんな言葉が口をつく。 それに彼はこの時、ようやくその足を止め、ゆっくりと踵を返してきた。 不思議そうな恣意草の顔がこちらに向けられる。 「草弦兄さん?」 「それで…それだけでおまえは本当にええんか?」 その顔を見遣りながら、それでも自分は何を言っているのだと思った。 こんな風に煽って、自分に責任が取れるのかとも思った。 そしてそんな困惑が素直に面に出ていたのだろう。 瞬間、こちらを見遣っていた恣意草の口許には、殊更偽悪的な笑みが浮かび上がった。そして 「なんですか?草弦兄さん、僕に家庭壊して欲しいんですか?」 「……っ、違うっ、そうやなくて…!」 彼がわざとそんな物言いをしているのだと言う事はわかっていた。 しかしそれに対し上手く切り替えせず焦りどもる自分に、彼はしばしの沈黙の後、やがて 静かな呟きを告げてきた。 「ええんです。」 「……恣意草…」 「ほんまにええんです…少なくとも今年の冬は、一人で凍えんでも済みそうですから。」 そう言って彼はこの時、一人視線を上に投げた。 だからそれにつられるように、草弦も己が頭上を仰ぎ見る。と、 視界いっぱいに広がっていたのは、淡い朱に染まった秋の空だった。 暖かに燃える色のそれに、まだこれから訪れるだろう厳しい冬の気配は見えない。だから、 「行きましょう、草弦兄さん。」 せめて今だけは、まだこのままで。 告げると同時、彼の背が返される。 生意気で、意地っ張りで、そのくせ人一倍繊細な彼の矜持。ならば、 「厄介なやっちゃな…」 見守ってやるのが、せめてもの兄弟子の務めか。 思うと同時、草弦の足も踏み出される。 そしてその歩調は、気付けば先を行く彼に追いつこうとその速度を早めていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 反省は多々あるが後悔はしていない…
>>360 GJ!つるっつるに萌えたよ!
このSSの恣意草が自分の脳内公式キャラクターとして
設定されました。
>360 GJ!すごく素敵です。
>360 GJ! 切なすぎて萌えた。ダメだ、私も恣意草の キャラこれで決定だ・・。
>>360 ソーコーニーケーにGJ!
自分の妄想を形にしてもらえたかのような、最高の萌をおおきにです。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | SP1話後辺りのハラカワ→ヲガタ×カヲルだよ ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 女絡み嫌いな人はスルーヨロ | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ エロモナイヨ・・・ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ;) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
「原河さーん、これ、経費で落ちませんかねぇ?」 甘えた様な、困った声で、4係の警護班の問題児が、椅子に座ったままスーッとやってくる。 原河は机の上の書類から顔を上げ、またかと表情で答えると、問題児・井ノ上が広げたシャツを見つめる。 左前身ごろ、ちょうど肝臓の上辺りに、焼け焦げた孔がまあるく開いている。 「何? タバコでも落としたの?」 「違いますよー。職務中にちょっと。」 「んー。」 原河は井ノ上からシャツを受け取る。分かってはいるのだ。 伊達に庶務係の巨大なお局として、SPと呼ばれる連中から一目置かれている訳ではない。 どう見ても、それは銃で出来た痕である。25、いや38口径だろう。 これ程の口径ともなれば、幾ら服務規程で義務付けられている防弾チョッキを着用した上からの着弾とは言え、その衝撃は相当なものだろう。 見れば、井ノ上は右手に包帯も巻いている。 「?」 黙って立っているだけで、女にもてそうな顔立ちの男は、椅子の上で足を開いて座り、両手を足の間、椅子の座面のふちに置き、上目遣いで小首を傾げた。 そうしていると、まるで子供の様にも見える。 ちょっとイラッとした原河は、わざと遠い目をして言い放つ。 「職務中の破損だと、理由を明記してもらわないと無理ですよ。」 「いやーちょっと・・・それは、そこを原河さんの力でなんとか。」 井ノ上はそう言って、両手を合わせて拝み倒しに出てきた。 つまり、上から公にするなと言われていると言う事か。 原河は思わず喉元まで出てきた、大きなため息を我慢する。 『SPは動く壁』。例え拳銃で撃たれても、命さえ無事ならただの壁の破損だ。 公にしようがしまいが、上の胸先三寸である。 ━━━━ あの人は納得しているのだろうか? 原河はそう思って、4係の係長席にそっと視線を動かす。
係長の尾方は、渋い顔で書類を見ている。 東大卒でありながらノンキャリとして現場を選んだ変り種で、警視庁創設以来の伝統『SPは動く壁』を変えようとしているのは何となく伝わってくる。 尾方の丹精な横顔は、井ノ上とのこの騒ぎを、皮膚感触で捕らえている。 つまり、尾方も遠からずどうにかしてやってくれと思っていると言う事か。 原河が今度こそため息をつこうとした瞬間、井ノ上がボソリと言った。 「あ、あの人は無事ですよ。」 「は?」 井ノ上はニコリと笑う。 「原河さん、あったかいですねぇ。外の警備、ついてきてくださいよ。」 井ノ上がそう言って笑うと、筋肉をつけた自分の腕よりも、二倍はある原河の二の腕辺りをポンポンと叩く。 井ノ上は、尾方を見た原河の体温の微妙な上昇を感じ取ったらしい。 原河は、4係の紅一点、笹元に習って舌打ちをしたくなった。 ついでに「なめるなよ小僧」とも言いたくなる。 しかしそれをこらえる代わりに井ノ上に眉を寄せて言った。 「でも井ノ上さん、こういう理由の分からない破損や伝票多すぎますよ。 こっちの身にもなってください。尾方係長にクレーム出しますよ?」 そう言った瞬間、井ノ上の身体がピクンと跳ね、椅子の上で背中を丸めて膝に手を置いて頭を下げた。 「いやすんません、それは、本当に、すみません。 でもっ、尾方さんが悪いんじゃないんです。俺が・・・不注意で・・・。」 まるで叱られた犬の様だ。 井ノ上はションボリとしながら、ボソボソと必死で「尾方は悪くない」と言い続ける。 そこへ、尾方が助け舟を出した。
「井ノ上、ちょっといいか。」 「はいっ。」 井ノ上は、一瞬尾方と原河の顔を忙しく見た後、椅子の背を片手に持って歩いていく。 尾方は原河を見つめると、一つ会釈をした。 『すまない』。そう言っている様に原河は感じた。 尾方が少なからずその様に納得しているならば、きっと上も分かっている筈だ。 原河はため息を我慢して、一つ会釈を返すと、この「訳の分からない焼け焦げたシャツ」の経費請求書を作り始める。 「井ノ上、怪我はもういいのか。」 「はい。全然大丈夫っすよ。」 原河は、書類を作りながら、二人の会話を皮膚感触で捕らえる。 刑事に勘があるのなら、SPにも勘があるだろう。そして、恋する女にも勘はあるのだ。 「そうか・・・無理はするな。」 「大丈夫ですって。」 尾方の声が、あんなに優しそうに響くのを、原河は他に知らない。 井ノ上の声が、あんなに絶大の信頼を持って響くのも、原河は聞いた事がない。 少なくとも発砲される様な修羅場を共に乗り越えているとは言え、そんな仕事上の間柄だけだとは思えない。 一瞬、手に持ったシャチハ夕の三文判をヘシ折ったらスッキリするかと思ったが、原河は力強く判子を押した。 そして、上長判待ちの箱へ入れると、今度こそ、深い深いため息をついた。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 番号間違えた。正直スマ(ry | | | | ピッ (・∀・ ) お握りさん事件以来好きだからやった | | | | ◇⊂ ) __ 後悔はしていない |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
>>366 三行目 ×肝臓 ○膵臓
なんかもうイロイロやっちまって・・・_| ̄|○@366
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 海外ドラマ「英雄達(要英訳)」日本人コンビ ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ヲタリーマンな日本人超能力者と | | | | \ 日本語が怪しい同僚の以前の話らしいよ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 同僚の名前の件ダッテサ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「アンドー君、アンドー君」 今日もいつもの能天気な声が近付いてきた。 一番最近俺の友達になったヒロ・ナカムラだ。 同じ会社に勤める彼とは毎日顔を合わせている。 「あのさ、アンドー君、聞きたいことがあるんだけど」 ヒロが丸い顔をヒョイと覗かせてそんなことを言う。 「なに?」 俺はベガスのニッキーに送るメールの文面を考えながらゾンザイにヒロに尋ねた。 「アンドー君は、ミスターマサハシなの?」 「そうだよ」 ナニを今更言い出したんだろう。俺はヒロにちらりと視線を向けた。 ヒロは不思議そうな顔をして、頭の周りに「?」が沢山飛んでるのが見えた。 「アンドー君は、ミスターアンドーじゃないの?」 俺は黙ってスーツの社員章をヒロに渡した。 そこには俺の正式な名前が日本語で記載されている。 椙橋 安道 それが俺のIDネームだ。 「マサハシ…ヤスミチ?」 今でもどうも慣れない自分の名前に俺は溜息を落とす。 「昔の友達がヤスミチを発音できなかった。俺も苦手だった。 それでアンドーって名乗るようになった」 「そっか。それでアンドー君なんだ」 ヒロはただ納得して、いつもの笑顔で頷いた。 「カッコイイじゃん、アンドー君」 ありがとうの代わりに肩をちょっとすくめて俺はまたパソコン画面に視線を戻す。 ヒロはマンガ大好きの変わったオタクだけど、俺はヒロのことがキライじゃない。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 同僚の名前設定があまりに凄かったので | | | | ピッ (・∀・ ) 思わず書いた。後悔はしていない。 | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | 漢字は捏造した。スイマセン | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>374 カンドーした!
これからはそのように脳内補完しておくw
さりげなくニッキーの名前が出て来るところもなんか嬉しい
376 :
魔法 :2007/11/21(水) 21:24:28 ID:wIN4zj0SO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
いまさら前スレ
>>505-508 の続きです。
某葡萄バンドの元四弦×唄です。ナマモノ注意。
元四弦が脱退後、二人が連絡をとっていないという設定です。
相反した感情がめぐり続けているのを、眺めることしか出来ない。諦めることも縋ることも出来ずに、どこにも辿りつけないまま、胸の中を回っている。それはもう日常だった。
会いたかった。けれど会えないだろうことは分かっていた。だからこのままで、よかった。
日常の中で彼を思う。そのくだらなさも愛しさも、大分前から気付いていた。
377 :
魔法 2/6 :2007/11/21(水) 21:25:56 ID:wIN4zj0SO
吸い殻を携帯用灰皿にねじこんで、立ち上がる。最近はどこもかしこも禁煙なので、こういう人気のないような道で吸うのが常だった。誰もいない道で煙草を吸うことが単純に好きなのかもしれない。 軽く伸びをして歩き出そうとしたとき、背後からかけられた声に固まった。 「田i中くん!」 ばく、と心臓が大きく一度跳ねる。ちがう、違う、そんなはずはない。頭が真っ白になってうまく考えられない。中途半端に虚空を見つめたまま、動けなかった。 こんなところで会うはずはない。ああけれど、このなつかしい声は。 ぎこちない動きで振り返ると、とても懐かしい顔があった。
378 :
魔法 2/6 :2007/11/21(水) 21:27:13 ID:wIN4zj0SO
ガードレールに腰かけて、ぼんやりと街灯の光を見つめる。となりでは彼が煙草を吸っていた。火を点ける動作、煙を吐き出すときの遠い目、全てが懐かしかった。 「みんな元気?」 「…まあぼちぼち」 「はは、そうか」 何がおかしいのか、目を細めて笑う。締め上げられるように胸が痛んだ。 彼の見た目は、年月の流れを物語っている。昔と同じ姿ではない。けれど雰囲気が、声が、しぐさが、あの頃のままなのだ。昔と同じように話しかけて笑う、それはおれが夢見た姿だ。 だめだ。甘えて縋りついてしまいそうになる。許してくれ と言ってしまいそうだ。
「……田i中くん」 おれは、変わってしまった。縛られたままでいたかったのに、そうはなれなかった。閉ざされていた部分が開かれていく。その変化を、心の底から喜ぶことは出来ない。どこかに罪悪感があった。 彼がそれを望まないであろうことは分かっている。けれど置き去りにしてしまうようで、恐ろしいのだ。 いっそ恨んでほしい。全てお前のせいだと罵って、刻み込んで逃れられないようにしてほしい。それは永遠になる。 「おれは、田i中くんを恨んだことなんか一度もないよ」 その言葉に弾かれるように振り返ると、彼は優しく笑っていた。やめてくれ。そんな笑顔を向けられる権利なんて、ない。
380 :
魔法 5/6 :2007/11/21(水) 21:29:54 ID:wIN4zj0SO
「……嘘や」 「嘘やない」 あんまりにも静かに彼が言うので、おれは泣きそうになった。おれはあんたから逃げた。そしていつか、あんたを忘れていく。鮮明に思い出せることが少なくなって、引きつれるような胸の痛みを忘れて、なんでもない顔で歩いていく。 「あれは仕方のないことやった。誰のせいでもない。それにおれは田i中くんが、」 ああ、だめだ。泣いてしまう。 「好きや」 身体を折って膝に頭をこすり付ける。肩がみっともなく震えているのが自分でも分かった。けれど止まらない。 こんな単純な言葉で救われてしまう。何が変わったわけでもないのに、これを望んでいたのだ、と思えた。
381 :
魔法 6/6 :2007/11/21(水) 21:32:19 ID:wIN4zj0SO
「ゆるして、くれるんか」 声もひどいものだった。掠れてくぐもって、彼に届いたかどうかも怪しい。けれどちゃんと伝わったらしかった。 「許すよ」 涙が止まらなかったせいで顔は上げられなかったけれど、恐らく彼は笑っているのだろう。柔らかく笑っておれの背中を見つめながら、煙草を吸いながら、あの頃のようにおれに罵られるのを待っているのだ。 だからおれは涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げて、アホ、と言って笑った。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イロイロ スイマセンデシタ!カンサイベン ワカラン!
>>376 続きktkr!!!!
私も大好きでしたよ、この2人。切ないなぁ
>376 うわー、この二人いまだに大好きだ。いいなぁ。二人の感じが出ている。 縛られることを望む棚化がツボにハマった。
384 :
,1 :2007/11/22(木) 21:53:46 ID:u1XwPWZr0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | バトロワの三村×瀬戸←杉村だって ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 書き手は、今更このジャンルに再燃しまくっているらしいよ | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
その日、シンジの家へ赴いたのにこれといった理由はなかった。 しいて言うなら、それが小学生のころからの日課だから、とでも答えるのが正しいか。 なんにせよ、豊にとってそれは取り立てて特筆すべきでもない、いつもどおりの行動だった。 日曜の朝から約束もしていない相手の家へ行くというのは、本来それなりに非常識な行為なのかもしれない。 けれど、九年越しの幼馴染などというのは殆ど空気に近い関係で、豊にとってシンジの家はもう一つの我が家のようなものなのだ。 最早互いに、相手に対しては『遠慮する』なんていう概念は無いに等しい。 それは他人から見ればおかしな間柄なのかもしれないが、少なくとも自分達にとっては心地よいものだった。 豊には、自分が他の誰よりもシンジの側にいるという確信があったし、その想いは九年間揺らぐことがなかった。 シンジは顔もいいし背も高いし、運動神経だって素晴らしい。 城岩中学三年B組の『ザ・サードマン』は何でも出来る凄いヤツで、その周りにはいつだってたくさんの人が集まってくる。 それは例えば仲のよいクラスメイト達とか、熱心な部活の後輩とか、ミーハーな女子生徒の一団とかだったりするのだけれど、 例えシンジがどれほど大勢の人に囲まれていても、豊は別段そのことについて考え込んだり寂しがったりはしなかった。 なんと言っても、自分とシンジは最も大切な親友同士なのだ。 他の皆とは、一緒に過ごしていた年月の長さも、その関係の深さもあまりに違いすぎている。 ……それは豊にとってちょっとした誇りで、同時に彼が唯一安心できるための要素でもあった。 そう、自分とシンジは親友なんだから、と。 だから、たとえ何があってもずっと、自分はシンジの一番でいられるはずなのだ。 眠い目を擦ってふわりと生欠伸を噛み締めながら、無用心にも施錠されていないドアを勝手に開けた。 インターホンすら鳴らさずにずかずかと玄関へ上がりこみ、ドアの真正面にある階段を駆け足で上る。 腕の中に抱えたゲームソフトは発売されたばかりの新作で、昨晩一人でプレイしたときはあまり面白いと感じなかった。 でもきっと、シンジと対戦でもすれば感想も変わることだろう。 シンジというオプションがつけば、どんな駄作だって見違えたように楽しくなってしまうのだから。
早足で最上段まで上り終え、廊下を歩いた先にある彼の部屋に入ろうとドアノブに手を掛ける。 瞬間、シンジのものではない声が内側から微かに響いてきて、豊は眉を顰めた。 悲鳴のように苦しげなその声はどうやら女の子のものらしく、 郁美ちゃんがいるのかな? などと極々呑気に思いながら、しかしそれ以上は深く考えずにノブを捻った。 「……えっ」 薄く開いたドアの隙間から飛び込んできた光景に、豊が思わず小さく声を上げる。 目の前で起こっているのが何なのか脳の理解が追いつかず、鼓動が音を荒げて逸りを増した。 「シン、ジ……?」 無意識にそう口にしていたが、視線の先の相手は現在の行為に没頭しているのか豊の存在には気付かない。 豊が覗き見ているその先で、シンジは馬鹿みたいに真剣な表情で顔いっぱいに汗を掻きながら、小柄な女の子を抱いていた。 シンジの身体の下で切なそうに腰をくねらせているその少女が、隣のクラスの女子生徒であるのを遅まきながら思い出す。 見ちゃいけない。そう思っているのに、眼前の情景から双眸を逸らすことが出来なかった。 豊は叫びだしそうになるのを何とかこらえて、扉の隙間から僅かに見える二人の姿を光の無い瞳でぼうっと見つめた。 嫌な汗が首筋からふつふつと沸いて出て、シャツの襟をべたつかせる。 背中を這い上がる怖気に全身をぶるりと震わせて、豊は自嘲するように薄く唇を綻ばせた。 ああ、そうだよね。シンジくらいもてる男なら、こういうことをしてて当然だよ。 何も休日の朝から、特に取り得の無い幼馴染とレースゲームなんかしなくても、もっと楽しいことは世界にいくらでもあるんだ。 そんな風にぼんやりと思考しながら、豊は室内の二人に気取られぬよう、そっとドアを閉じた。 余計な足音を立てないよう細心の注意を払って階段を下りると、振り向きもせずに玄関から離れる。 何もしていないのに無性に気分が悪くて、頭の奥にぐらぐらと揺れるような感覚があった。 胃が、錐で穴でも開けられたかのようにキリキリと痛む。 せり上がってくるむかむかとした吐き気に思わずしゃがみ込み、倒れこみそうになりながら草の陰に胃液を吐いた。 そうしているとどうしてか、目の端に溜まっていた涙までぽろぽろと零れはじめる。
こんなことで泣くなんて自分は大馬鹿だと思いながら、それでも耐え切れず、ひっくひっくと咽喉をしゃくり上げた。 両目から溢れた透明な水滴が、真っ直ぐな二本の筋になって頬をつぅっと伝う。 それを上着の袖で乱暴に拭うと、空気が抜けたかのようにだらりとした膝に、無理やり力を込めた。 ふらふらしながらも何とか立ち上がり、自宅へ帰るためゆっくりと歩を進める。 両足を交互に出すというただそれだけのことがひどく億劫で、自分の歩く速度がナメクジが這いずるのと同じかそれ以上に遅く感じられた。 細く息を吐きながら、豊は先ほど見た光景を何とか脳内から消去しようと試みる。 けれどそれはどうしても不可能で、鉄版で焼き付けられてでもいるかのように豊の脳裏から離れようとしなかった。 汗で額に張り付いた少し茶色がかった前髪や、器用そうにくるくると動く指先。 シーツに投げ出されたすらりとした肢体に、間断なく漏れ聞こえた荒く獰猛な息遣い。 そういったものの全てが、豊を捕らえて離さない。 全身の臓器を押し潰しそうな鋭い痛みが体中を駆け抜けて、拭ったばかりの涙が再び滲み出る。 自分は変だ、と心からそう思った。 親友の性行為を盗み見てこんな感情を抱くなんて、きっと頭がおかしいに違いない。 おれは女の子じゃないのに。シンジの恋人なんかには絶対になれないって分かりきっているのに。 ――――あの子の代わりにあの場所にいたいと、こんなにも強く願ってしまうなんて。 可笑しくなんてないのに口の端から笑声が零れて、豊は「ああ、やっぱり自分はどこかが壊れているのだ」と感じた。 生気の感じられない顔を俯かせ、ふらつきながら歩く。 「おい、瀬戸か?」 突然、肩をつかまれながら背後からそう声をかけられて、豊は力なく後方へと振り向いた。 声の主がシンジでないのは分かっていたし、出来れば今は誰とも会いたくなかったのだけれど仕方ない。 それに振り返った先に居たのは、声を聞いて半ば予想していたとおり、親しいクラスメイトの一人であるヒロキだった。 小柄な豊は勿論、シンジと比べてもなお長身のヒロキは、豊の顔色を見るなり眉を顰めて呟いた。 「随分具合が悪そうだな。何かあったのか?」 「そう? 別に、なんでもないよ」
無理やり肺から搾り出したような声でそう答えると、ヒロキは頭を振って豊を正面から見据えた。 その返答に細く溜息をついてから、大きな掌で豊の両肩を優しげに包み込み口を開く。 「そんな真っ青な顔で言われてもな。三村は? 一緒じゃないのか?」 「……っ」 シンジの名前を聞いて、反射的に心臓が軋んだ。 それでもヒロキにあまり心配をかけてはいけないと、先ほど以上に小さくなった声で、豊は必死に言葉を紡ぐ。 「どうしてシンジの名前が出てくるのさ? 別におれ、シンジといつも一緒にいるわけじゃないよ。 シンジにはシンジの友達とか彼女とかがいるし、おれ一人をずっと構ってるわけないじゃんか」 「……あいつが聞いたら憤死しそうだな。あいつには、お前以上に大切な相手なんかそうそう居そうにないが」 そう告げられるものの、豊にはヒロキが何を言っているのか分からなかった。 だってシンジには彼女がいて、今現在その相手と素晴らしくエキサイティングな時間を過ごしているはずなのだ。 それに考えてみれば、バスケの練習に精を出している時も、シューヤたちとロックの話で盛り上がっている時も、シンジはいつだってとても楽しそうで。 それはつまり、チビで運動神経も成績もお世辞にもよいとは言えない自分なんか、シンジにはいてもいなくても同じだという確かな証明だ。 もしかしたら、一番の親友だというのすら自分ひとりの勝手な思い込みに過ぎなくて、 本当は、小学生からの腐れ縁だからという理由で仕方なく、シンジは自分に付き合ってくれているのかもしれない。 一度思考の天秤が傾けば、あとは悪いほうへ悪いほうへと全てが流れていく。 豊は潰れそうな心に悶え苦しみながら、じわりと滲んでいた涙がまた溢れ始めるのを感じた。 一旦流れ出したそれは、もう先ほどのように無理にとめることすら出来ない。 「そんなわけ、ないよ。シンジはおれなんか、何、とも……」 泣き崩れその場に膝を折りそうになる豊を支えたのは、鍛え上げられたヒロキの両腕だった。 暖かいそれが豊の細い背中へ回され、その痩身をがっしりと包み込む。 「……三村に何か言われたのか?」
「ううん、ただおれが勝手にショックを受けただけ。シンジの一番はおれじゃないんだなって思ったら、ちょっと悲しくて。 ……バカだろ? おれみたいに何のとりえも無いようなヤツ、ただ幼馴染ってだけでシンジの友達になれたのにね」 「瀬戸……」 豊の視線の先で、ヒロキは何事か言おうと口を開きかけたように見えた。 けれど結局何も続けようとはせずに、彼は無言のままその長い腕で豊を更に強く抱き締めた。 背中に感じる指の力強さに、思わず呼吸するのも忘れて顔を上げる。 目を向けた先にあったのは今までに見たことが無いほど真剣なヒロキの瞳で、豊は小さく息を呑んだ。 燃え盛る炎の塊のように熱をもった指先でぎゅっと豊を抱き止めたまま、ヒロキが告げる。 「――――俺なら、瀬戸を一番にできるよ」 「ヒロキ? 何、言って……」 「瀬戸の一番は俺じゃないけど、俺にとっての一番は瀬戸だから」 ヒロキの端正な顔が豊へと迫り来る。次の瞬間、二人の唇がほんの僅か掠める程度にだけ重なった。 豊は逃げることも出来ずにその行為を被ると、自分の口唇に残った濡れたような感触に、漸く今起こった事態を把握する。 けれどヒロキがそんなことをする理由はてんで思いつかなかったし、冗談にしてはちっとも笑えなかった。 ただ、ヒロキが言ってくれた言葉だけはやたらと心に響いて――。 「一番?」 「そう、一番」 泣いた子供をあやすように穏やかな笑みを浮かべて、大きな掌でぐりぐりと豊の頭を撫で回す。 そうしながら、ヒロキは豊の耳元に顔を近づけて再び囁いた。 「俺のウチおいで、瀬戸。俺が瀬戸を誰よりも好きだってこと、教えてあげるからさ」 「分、かった……」 自然と咽喉から飛び出したその言葉に、誰よりも驚いたのは豊自身だった。 けれどこんなにふらふらのまま帰ったらきっと妹が心配するだろうから、ヒロキの家で少し休ませてもらえるなら確かにありがたい。 そしてそれ以上のことを考えるには、今の豊は疲れすぎていた。 ヒロキが自分にキスした理由も、一番がどうこうという言葉の意味も分からなかったし、積極的に分かろうという気にもならない。 それでも一つだけ確実に言えるのは、自分がヒロキをそれなりに好きだという事実だけだった。
尤もそれは本当に単なるクラスメイトとしてで、それ以上の意味も意図も全く持って含まない感情だったのだけれど、 疲弊しきっていた豊にとって、自分を心配してくれるヒロキはとても頼もしい存在に思えて、そのまま縋りついてしまいたくなったのだ。 「行こ、ヒロキ」 震える指先でヒロキの袖口を掴んで弱弱しく引っ張り、そう促した。 それに反応したヒロキが歩き出すのをどこか他人事のように眺めながら、豊は細く息を吐く。 ――――今はもう、何も考えたくなかった。 ○ ○ ○ 視線の先に、両足を揃えてベッドにちょこんと腰をかけている瀬戸豊の姿があった。 それは杉村弘樹にとって以前から仄かに夢見ていた光景で、こうして実現した今も現実だとは信じ難かった。 肩を落とし、どんよりと虚ろに青褪めた表情の瀬戸を目の前に、弘樹は胸の詰まるような想いを感じる。 瀬戸にこんな表情をさせているのが三村であるのは、確実だった。 当然だ。他の誰であっても、瀬戸の心にこれほどまでの影響を与えることは出来ないだろうから。 それがとてつもなく悔しくて、けれど今はそんな瀬戸を介抱できるチャンスに少しばかり心躍った。 「……三村と何があった?」 意を決してそう尋ねれば、瀬戸は突然触られた兎みたいに肩をびくんと上下に動かした。 円らな瞳で恐る恐るといった感じにこちらを見上げ、蚊の鳴くような声で少しずつ話し始める。 「オレ、さっきシンジの家に行ったんだ。ゲーム……しようと思って。 でも、シンジの部屋に行ったら中に女の子がいて、……二人でエッチなことしてた」 喋りながらまた涙ぐみだす瀬戸にタオル地のハンカチを差し出して、弘樹はくしゃりと前髪をかきあげた。 瀬戸は渡されたハンカチで目元を軽く擦ると、真っ赤になった瞳をこちらへめいっぱい向けて吐息する。 疲れきったような陰のある顔で薄く笑って、彼は弘樹に告げた。 「シンジはさ、かっこいいしもてるから、そういうことしてて当たり前なんだ、けど……」 「けど?」 「けど、それ見ておれ、苦しくなったんだ。 シンジはおれの事、ただの友達の一人だと思ってるんだろうけど、おれは……」 その後に続く単語が何なのか弘樹は確実に当てられる自身があった。
だが余計な口を挟もうとはせずに、黙ったまま相手の話を聞き続ける。 弘樹の視線に気付いた彼は少しばかり口を噤んで押し黙ると、たっぷりの時間をとってから悲しそうに笑んで言った。 「おれ、女の子だったらよかったのにな。ほら、シンジは女の子が好きだからさ。 おれが女だったら、遊びだったとしても、おれにもそういうことしてくれたかもしれないだろ?」 ぽつりと呟く瀬戸に「それはお前の思い違いだよ」と弘樹は心中で突っ込みを入れた。 三村が誰彼構わずファンの女子達の相手をしているのは、単に彼がどうしようもないほどの女好きだからではない。 彼は、行き場の無い劣情を吐き出す相手として、周囲の女子を利用しているに過ぎないのだ。 あまりにも自分の側にいすぎるせいで、抱き締めることすら出来ない最愛の存在。 瀬戸豊へ抱く己の感情を、押し留めるために――――。 ……まったく、この二人ときたら、どうして互いに相手の気持ちに気付かないのだろう? 傍から見ているだけの自分ですら、彼らが実のところ両思いであるのが手に取るように察知できるのに。 そう一瞬苦笑しかけて、それはつまり自分がそれほど彼らを見続けてきたということなのだと分かり納得する。 そうだ。三村がずっと瀬戸の側にい続けてきたように、自分もまた、ずっと瀬戸を見つめ続けてきた。 唇から漏れていた苦笑いが、冷笑のような氷点下の凍った笑みへと一瞬にして色を変える。 もし今自分が三村の本心を教えてやれば、きっと彼らは互いのすれ違いを乗り越えて幸せなカップルになれるだろう。 けれど弘樹はそんなキューピッド役になどさらさらなりたくはなかったし、なるつもりもなかった。 「瀬戸、さっき言ったろ。俺なら瀬戸を一番にするって」 そう口にしながら、瀬戸の細い両腕を頭の上へと片手で纏め上げ拘束する。 ベッドの上に押倒される格好になった瀬戸が驚いたようにぱちりと瞬きをして、長い睫がぱさぱさと揺れ動いた。 「俺は瀬戸が男でも女でも、そんなのどっちでもいいよ。瀬戸がいてくれたら、それだけでいい」 先ほどした触れるだけのキスとは違う、濃厚な口付けを交わす。 上下の唇の間からぬるりと差し込んだ舌で器用に咥内を舐めてやれば、身体の下の瀬戸がふるふると全身を震わせた。
歯列をなぞり、逃げようとする相手の舌を強引に絡め取って吸い上げる。 びくんびくんと肩を揺らす瀬戸の戸惑ったような表情に、後から後から情欲が湧き上がるのを感じた。 「ヒッ、ロキ……、やだぁっ」 涙混じりの声でそう名を呼ばれた瞬間、何かがぞくりと背筋を這い上がり、理性が霧散していく。 室内に響き渡った甲高いその声は耳に心地よくて、もっと啼かせたいという欲求だけが脳内を埋め尽くした。 腕を押さえているのとは別の手で乱暴にシャツを捲り上げ、新雪のように真っ白い肌を電灯の明かりの下へ露にさせる。 思わずごくんと咽喉を鳴らせば、恨めしそうな瀬戸の視線が下から自分を貫いていた。 その、泣きはらして赤くなった目元ですら、今の弘樹を止める理由にはならない。 むしろ、より熱情をそそられて、弘樹はもう一度深く瀬戸の口腔を舌で犯した。 たっぷりの唾液をどくどくと送り込んでやれば、瀬戸は苦しそうに身悶えしながら必死でそれを嚥下する。 けれど飲み込めきれなかった一筋がつぅっと首筋のほうへ落ちていって、弘樹は目を細めながらそれを舐め取った。 咽喉元を襲う濡れた舌先の感触に、瀬戸が「ひっ」と声を上げて左右へ身体をばたつかせる。 それを片手で軽々と抑え込んだ弘樹が、こらえ切れない笑い声を滲ませて耳元へ囁いた。 「怖くないから大丈夫だよ、瀬戸」 「やっ、ヒロキ……、どう、して……?」 そう尋ねた瀬戸の表情が心底わけが分からないと言いたげなものだったので、弘樹は心外だと言うように顔つきを変える。 怒ったような、けれど寂しそうな顔をした弘樹は、瀬戸の耳朶をぺろりと一舐めして呟いた。 「言っただろ。俺が、お前を好きだってことを教えてやるって」 「でもっ……」 「三村はお前を抱けないだろうけど、俺なら抱ける。……豊が望むこと、俺は何でもしてやれるよ」 その台詞に、瀬戸の動きが一瞬停止する。 「え……」とか言葉にならない声を上げて、瀬戸はおずおずと弘樹を見上げた。 その先にある弘樹の大真面目な瞳に射竦められたのか、なんと答えればいいのか迷っているうちに、弘樹は再び口を開いた。 「だから、瀬戸。俺のものになりな」 ――――三村信史のものじゃなく、俺のものに、さ。
大きく開かれた襟から覗く鎖骨の辺りに唇を寄せて、少々強すぎるくらいの力で吸引する。 あの三村ですら触れていない清純な箇所を侵しているのだと思うと、目の前がくらくらするほど興奮した。 我を忘れて瀬戸に覆いかぶさり、今にも引き千切りかねない勢いでシャツのボタンとズボンのベルトを外す。 「あっ……、っく、ヒロ、キぃ……っ!!」 叫んで暴れる彼を気にも留めずに抱きかかえると、思いやりなんて到底感じられない乱雑さで、その全てを奪い尽くした。 ○ ○ ○ 月曜の朝、三村信史は情事の翌日特有の気だるい倦怠感を振り払ってだらだらと家を出た。 まだ眠い頭で、昨日のお相手であった少女の小柄な身体や細い腰をぼんやりと思い出す。 笑ったときの目元がどことなく豊に似ているコで、突き上げたときの高い声も驚いたとき豊が出すそれをどこか想起させる。 信史にとって、セックスの相手にする少女達は皆豊の代替物だったし、今後もそれは変わらないだろうと思えた。 けれどそれは、仕方の無いことだ。 自分をあれだけ慕って懐いてくれている、あの純粋な幼馴染にこんな欲望を打ち明けることなど、どうして出来るだろう。 あの、折れてしまいそうな細腰や白いうなじに自分が欲情しているなど、豊に言えるはずも無い。 そんな事を暴露すれば、豊に軽蔑され、怯えられてしまうことは分かりきっている。 だからせめて、一生胸のうちに秘めておかねばならない劣情の代わりに、彼に似た女子達を抱くのだ。 それが、何の意味も無い無駄な行為だと分かっていても。 少し前に大切な試合が終わったばかりだったので、喜ばしいことに今朝は久々に朝練がなかった。 豊と一緒に登校しようと思って家へ寄れば、しかしインターホン越しに返ってきたのは 「お兄ちゃんなら、もうとっくに出ちゃったよ」という無愛想な声だけだ。 朝に弱い豊がこんなに早く学校へ?と少々不審に思ったものの、きっと委員会の仕事か何かがあったんだろうと肯定的に解釈する。 豊を待つ時間を考慮して早めに家を出てしまったせいか、学校に到着したのは始業時間の随分と前で、教室には未だ人気がなかった。 部活がある人間はまだ練習が終わっていないのだろうし、そうで無い人間はそもそもまだ登校途中だ。
信史は自分の席に荷物を置くのより早く豊の座席をチェックして、そこに彼のカバンが既に掛けられているのを見咎めた。 一体どこへ行っているのだろうと思いながら出入り口の方へ目をやったのと同時に、がらり、と大仰な音を立てて扉が開いた。 「あ、シンジ……」 驚いたような顔でこちらを見ながら席へつく豊に、信史はいつもどおりの調子で話しかける。 「随分早いじゃねぇか、日直の仕事でもやってたのか?」 「ううん、そうじゃないんだけど。たまには早く来るのもいいかなぁって思って」 しんと静まり返った教室で、そう答える豊の表情は常になくおどおどとしていて、信史はその姿を奇妙に感じた。 まるで自身から視線を逸らしたがっているようにびくびくと身体を強張らせた豊に、不信感を募らせる。 「……ん?」 視界に入った僅かな違和感に、一瞬首を捻る。どこがおかしいのか分からないが、しかし確かに何かがおかしい。 けれど、それと同時にはっとした顔つきで首筋に手をやった豊を見て、その違和感の正体に辿り着いた。 「豊、それ……?」 豊の首筋にあったそれは丸く小さな赤い痕で、つい今しがた付けられたかのようにありありとその存在を主張していた。 どうせまた布団をちゃんとかけずに寝て、眠っている間に虫にでも刺されたのだろう。 そう思い込もうとするけれど、冷静さを失いきれない脳みそが「どう見ても違うだろ」と自分自身へ訂正を求めた。 微かに見え隠れするそれが昨日自分が女の子の太ももにつけたそれとよくよく似通っているのに思い至り、絶望する。 けれどまさか豊がそんな。ありえない、とばっさり斬り捨てて笑おうとするものの、どうしてか上手く笑顔が作れない。 「シンジ、分かんないの? こういうの、シンジの得意分野なのに」 混乱する信史とは対照的に、豊は感情を感じさせない冷たい口調ですらすらと告げた。 悪いが俺は虫博士じゃないんだよ、とそんな軽口を叩こうとして、まったくもってセンスの無い言い回しだと自嘲する。 だが、だからと言ってほかに思い浮かぶ台詞もなく、仕方なく信史は阿呆みたいにぽかんとした表情のまま無言でいた。
「キスマークだよ。シンジだったら知ってるでしょ……、っていうか、どうせ付けたことだってあるんでしょ」 いやそれは確かにあるか無いかと聞かれたら勿論あるのだが、問題は俺ではなくなぜ豊にそんなものが付けられているのかだ。 ごちゃごちゃと空回りする思考の隅っこで、『豊が誰かと付き合いだした』という答えが浮かんだが、問答無用で却下した。 そんなことを認めて平気でいられるほど、俺の神経は図太くなかったから。 けれど瞳の先で豊が告げた台詞があまりに衝撃的で、俺の神経は結局ずたずたに切り裂かれた。 「俺だって、してるんだよ。……シンジが昨日してたみたいなこと」 「豊……? 何で」 何で知ってるんだ、とそう続けようとした瞬間、後ろの扉から練習を終えた女子バレー部の一団がぞろぞろと入ってきた。 そのせいで、それ以上二人きりの話を続けることは出来なくなり、しかも気付いたときには既に豊の姿が室内になかった。 どうやら、いつの間にか前の扉から脱兎のように飛び出してしまっていたらしい。 信史は豊を追おうとしたものの、今行っても逃げられるだけであることを了解していた。 頭を抱えて机に突っ伏し、クラスメイト達には気取られぬよう平静を装って、その実内面は激情に身を任せる。 誰だか知らない豊の相手に対し止め処ない嫉妬が溢れて、けれどそれ以上に自分の不甲斐なさに歯噛みした。 思い立って立ち上がり教室を出ると、屋上へと続く階段へ駆け足で向かう。 埃っぽいそこに人気が一切無いのを確認すると、 ――――三村信史は声を押し殺し、己の情けなさに泣いた。 「馬鹿野郎、豊……。俺が、どんな想いで……くそっ!!」 嗚咽交じりの声で一人呟く信史の言葉は、力任せに壁を叩いた拳の音でかき消された。 薄く血が滲んだ甲は見るからに痛々しかったけれど、まるで自分の身体では無いかのように何の感覚もしなかった。 ただ、引き裂かれそうな胸を襲う激痛を除いては、何も。
396 :
,1 :2007/11/22(木) 22:11:02 ID:u1XwPWZr0
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 計算違いで1レス少なくて済みました。それにしても、なぜ久々に書いたのが欝ネタなのか……。 でもやっぱ、この三人は大好きだ。特に豊ハァハァ。
>>396 自分は杉村×三村スキーだが萌えたよGJ!
最近再燃してるのにサイトは減少していくorz
>>396 姐さん本当にGJ。二人の不器用さと杉村のいやらしさに悶えた。
バトロワももう10年近く前の作品なんだよなぁと思いつつ続編を勝手に期待。
400 :
運盗人 :2007/11/24(土) 00:30:51 ID:1/dntt0nO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「運盗人(要英訳)」より、名加藤×優勢。 突如ネタが降りてきた。読切の記憶は曖昧…
,-、 //|| // .|| ∧∧ . // 生 || ∧(゚Д゚,,) < ガ.ン.ダ.ム.0.0より //_.再 ||__ (´∀`⊂| < 旗×公、稲×炭酸が前提の i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜 | | / , | (・∀・; )、 < 公×炭酸です。 .ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )! //:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..| . / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´ / ゙ / / / || | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\ | | / `ー-‐'´ | | ./ |_____レ"
402 :
運盗人 :2007/11/24(土) 00:38:17 ID:1/dntt0nO
バカやって暴れ回ってた頃、酔った勢いだったか何かで一線を越えて以来、 この関係は途切れ途切れに続いている。「仲間」から、「雇用主と従業員」 あるいは「仲介役と仕事人」に変わっていった俺たちの関係。その陰にある、 もうひとつの関係。 愛している訳でもない――親愛の情なら少なからず無いこともないが―― 男を抱くのは、所謂相性というヤツか。女でなく、無性にこの男が欲しくなる瞬間、 というものがある。 ここ数年、優勢の身体から女の香りは全くしない。全身全霊掛けて愛した 女を失ったこいつは、二度と女を抱かないのかもしれない。あの時以来、 こいつの全身全霊はあの子に向けられるばかり。 そこかしこを探るように撫でながら、衣服を取り払っていく。 抑え気味の嬌声、持て余したように額に載せられた片手。毎度のように、 誘うでもなく、抗うでもなく。 それでも、普段とトーンの違う声で上がる喘ぎや、紅潮した頬、快楽で微かに 歪んだ顔、全てこちらを飽きさせない。今も、下半身に直結するような興奮を 煽ってくる。 下着も脱がせたところで、ほとんど密着していた身体を起こし、組み敷いた男を まじまじと見下ろす。 「……ぁんだよ。視姦のつもりかっての」 短くはない付き合いの中、大概のことはとうに試した。この程度で視姦 といっても、こいつには大して効かないなんてことは、承知の上。ただ、 今更ながらふと思うことがあっただけ。 「素っ裸に手袋だけ、ってのは、なかなかエロいよなあ」 「あ?」 もともと色素のやや薄い瞳と体毛、加えて日に焼けておらず白い肌。 色褪せたように白っぽい全体に、皮手袋だけが黒。 「女子高生の靴下だけ脱がさねえ、ってのあるだろ?あれみたいなもんかね」
403 :
401 :2007/11/24(土) 00:43:02 ID:O5IeVVdV0
ごめんなさい、投稿のタイミングかぶっちゃったからあとでやり直します。 割り込んですまない。
404 :
運盗人 :2007/11/24(土) 00:46:34 ID:1/dntt0nO
優勢はあからさまに顔を顰める。 「いつから変態になったんだ、テメエ。手袋フェチかよ」 「だとしたら、お前のせいだぜ?」 殺し文句めいた台詞に合わせ、嘘臭さを隠さず気取った笑みを向けてやった。 優勢の眉間の皺は一層深くなる。 「下らねえこと言ってっと、これ外してやるからな」 鼻先に拳の形の皮手袋を突き付けられた。 「腹上死か。悪くねえなあ」 笑いながら、その手をとった。こちらにとってもあちらにとっても最後の砦、 皮手袋を引き抜く。 怯えたように、微かに身を強張らせた優勢。 露わになった手首から先は、全く日に焼けていないため、一際白い。 細長く骨張った指に口付ける。the kiss of death …破滅をもたらすもの…… この口付けで吸い取られる運は如何程か。 「…やめろよ。んな死に方されたら、夢見が悪くなるに決まってんだろ」 心なしか威勢の欠けた声で悪態を吐き、手首を捕らえていたこちらの手を 振り払う。手袋も奪い返された。 憮然とした表情で手袋を嵌め直す優勢の顎を捕らえ、唇を奪う。舌でなぞれば、 受け入れるようにその唇が隙間を開けた。そこに差し入れた舌を相手のそれと 絡ませ、顎の内側を舐め回す。 「ふ…はぁっ……ん、ふっ…」 「……っは…」 互いに互いの唇を散々貪ってから、揃って少し上がった息の合間、耳元で 忍び笑い混じりに囁く。
405 :
運盗人 :2007/11/24(土) 00:47:29 ID:1/dntt0nO
「どうせ殺されるなら、一生覚えててもらいたいもんだけどな?」 こいつが運を奪って殺してきた奴等と同列に並ぶのは、御免だ。 短くない付き合い、今まで奪われずに済んでいるのは、こいつも少なからず こちらに情を感じているから、そう思っても、見当違いではないだろう。むしろ、 見当違いではない、と思いたいのかもしれない。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 一ヶ月が長いなぁ…
>>400 邪魔してすみませんでした。
改めまして。
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. // 生 || ∧(゚Д゚,,) < ガ.ン.ダ.ム.0.0より
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < 旗×公、稲×炭酸が前提の
i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < 公×炭酸です。
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
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|_____レ"
何やってんだろうなー、とつくづく思う。 ふらつく頭を少し持ち上げて俺の上に乗っかってる奴を軽く睨んでやると、そいつは 「何かね?」 と金色の髪に縁取られた顔に余裕たっぷりの笑みを浮かべて俺を見下ろす。 くそ、嫌味な奴め。こっちは口を開くだけでくたびれるってのに。 「何がしたかったんだよ、お前」 「何が、とは?」 「だから、これにどういう意味があったんだっての」 まったく、どうしてこんな状況になったんだっけなあ。鈍ったままの頭を巡らせてみる。 はじめはただ酒を飲んでいただけだったはずだ。 そうだ。始まりはこいつの誘いに乗ったことだったっけか。 「暇なら私が取っている部屋にくるかね。酒くらいはご馳走しよう」 こいつがいつも連れ回してる技師らしき男は今日は不在のようだった。 向こうも暇を持て余していたようだし、俺も断る理由はなかったから、二つ返事でOKした。 思えばこの時点ですでに間違っていたのかもしれない。 まあ、今更言っても後の祭りだけどな。 「パトリック・コーラサワー。君の生き甲斐はなんだ?」 グラハム・エーカーは唐突にそんなことを訊いてきた。 なんの脈絡もなくいきなり質問されたって答えようがねえってのに。訳わからん奴だ。 だから正直にそう返してやったら、奴はあからさまに呆れた顔をした。 「どうやら、君に論理的な説明を求めた私が愚かだったようだ」 うわむかつく奴! 常に上から目線なのも気に入らねえ。 「テメエ喧嘩売ってんのか、ああ?」 「そんなつもりはない。正直な感想を述べたまでだ」 ……どうやらこいつは無自覚に人の神経を逆撫でするタイプみたいだ。 軽く小突いてやろうと拳を突き出したら、そのしなやかな手でゆるやかに絡め取られた。 そして何をトチ狂ったか、俺の手の甲に、唇を落とす。 一瞬、頭ん中が真っ白になった。
「何してんだァ!?」 慌てて手を引っ込めようとしたが、強く握り込まれていて自由にならない。 それどころか更に腕を引っ張られ、奴に顔を寄せる形になった。 「まあよかろう。君みたいなタイプには口で説明させるより身体に訊いた方が早い」 瞳を覗き込んで、そうのたまう。 「君と私は似ていると思うのだがね」 「何言ってんだお前?」 俺の問いには答えず、おもむろに唇を重ねてくる。 今度は一瞬どころじゃなく硬直した。 ああ、俺、こういう他人の話を聞かずに自分の次元で事を進める奴って大っ嫌いだ。 ま、俺も周りから見たら大概そんな感じなのかもしれねえが。 とにかくこの状況はなんだ。 まさか、誘われてるんだろうか。俺は男で、奴も男なのに? 「どうかな?」 唇を離し、挑戦するような目を向けてくる。 ああ嫌だ嫌だ、勘違いじゃないらしい。マジだ。こいつは本当に何を考えてるんだ。 俺の返答を待っているのか、何も言ってこない。俺はしばし考える。 はっきり言えば、嫌悪感は当然ある。これがムサい野郎だったら悩むまでもなくお断りだ。 しかしかなりの酒が入っていたせいか、ヤケッパチな気分も確かにあった。 普通なら相手をぶん殴って帰るだけのものを、わざわざ逡巡しちまったのがいい証拠だ。 この時点ですでに俺も正気の沙汰じゃなかったんだろう。 けど、まあ、こいつは顔だけならいいし、ちょっとくらいならいいか。 そう結論づけて、返事の代わりに奴の頭を抱え込んで今度は深く口付けた。 ソファにもつれ込んで、奴の服を脱がせていく。 と、途中で腕を掴まれて止められた。 「そう急くな。順序というものがある」 「は? って、うわっ」 押し退けられて身体を起こした途端、両肩を押さえつけられて立場が逆転した。
ソファに仰向けになる形で、俺に跨るグラハムを見上げる。 奴は俺の服を丁寧に脱がしながら、首筋から胸へと唇を滑らせる。 完全に肌蹴た俺の身体を掌でまさぐり、腹を通過して、ベルトまで差し掛かる。 相変わらず唇と舌で胸を弄びながら、奴の手はベルトを外し俺の分身へ……。 ちょっと待て。おかしくないか。 どうにもさっきから、主導権を握られっぱなしの気がするんだが。 まさかとは思うが、しかし。 「お、おいおい待て待て」 人が考えている間にもどんどこ進めていく奴の額を押し返すと、興を殺がれたような顔をして、 「無粋だな。何だというんだ」 と、不機嫌を隠そうともせず言う。 散々躊躇ったが、意を決して訊いてみた。 「なあ、まさかとは思うが……もしかして、もしかしてだな。……俺が、抱かれる側なのか?」 「無論」 ああ。 なんてこった。 なんてこった! 俺が認めたくないことを、気のせいであって欲しいと思ったことを、さらりと肯定しやがった。 まるで質問にさえ値しないとでも言いたげにあっさりと。 その上、逆に訊き返してくる。 「まさか、君が私を抱く気だったのか?」 「いやあ、だって、流れ的にそうかなーと思ってたんだけど」 「生憎私は男に抱かれる趣味はない」 俺だってねえよ。 駄目だ、こいつとはまともな会話ができそうもない。マイペースにも程がある。 二の句を告げずに黙ってる俺を見下ろして、奴は言った。 「で、どうする。やめるか?」 その声音には微かに揶揄の響きが感じられて、ついカッとなって深く考えずに反論しちまった。 「だっ、誰がやめるか!」 俺のバカーッ! 失敗した。完全に間違えた。ここでやめとくべきだったんだ。 臆病風に吹かれたと見られたくないという、俺の強情もこのときばかりは逆効果だったのに。
とっさに後悔しても遅すぎた。奴は意地の悪い笑みを浮かべて、 「なら、続けるぞ」 手の中に握り込んだ俺を再びしごき始めた。 こうなりゃ腹を括るしかない。もう自棄だ。 「好きにしやがれ馬鹿野郎!」 せめてもの抵抗として奴の耳元で絶叫してから、さっさと終わることを願って目を閉じた。 俺も軍人だし、体力には相当の自信があった。 訓練中の負傷もザラだし、痛みには慣れているつもりだった。 けど、このザマはなんだ。 「お……ぉ、おまっ……っ、ちったァ加減しろ……」 「無理を言うな。こちらとていっぱいいっぱいだ」 息も絶え絶えの俺の抗議も、一刀に斬り伏せられた。 最悪だ。こいつの態度も疲弊しきった俺の身体も腰の痛みも何もかも最悪だ。 しかも、 「おえええええええええ」 絶え間なく襲い来るどうしようもない吐き気。正直泣きたい。 もう嫌だ。もう絶対、もう二度と、金輪際男になんて抱かれるもんか。 「ここで吐いてくれるなよ」 グラハムの言葉はにべもない。ちったあ労るとかできないのか。そもそもお前のせいだろうが。 「げええええ、マジ吐きそう」 「……情事の後くらいもう少し色気のあることを言えないのか君は」 俺に何を期待しようってんだこの馬鹿。 バカアホクソ虫。いっぺんくたばれ。 畜生、最大限に罵ってやりたいのにこれ以上言葉が浮かばない。 語彙の少なさを思い知らせやがって。本当にむかつく野郎だ。 と、心中では散々毒づくも、実際文句を口にする気力もなくなる程消耗しきっていた。 深呼吸をして息を整え、目を瞑ってしばらく身体を休めることに専念する。 まったく、何やってんだろうなーとつくづく思う。 こんな辛い目に遭ってまで、どうしてこんな奴の真意を知りたいと思っちまうんだか。
だいぶ落ち着いたところで、ふらつく頭を少し持ち上げて奴を軽く睨んでやると、 「何かね?」 と金色の髪に縁取られた顔に余裕たっぷりの笑みを浮かべて俺を見下ろす。 「何がしたかったんだよ、お前」 「何が、とは?」 「だから、これにどういう意味があったんだっての」 さっきのたまっていた、生き甲斐だの俺と自分が似ているだのという話。 わざわざ俺を抱いた理由。 これがどういう意味を持つのか、どういう繋がりがあるのかがよくわからなかった。 グラハムは少し考えるそぶりを見せてから、ゆっくりと口を開く。 「イナクトに乗って自分はエースだと豪語する君がね、酷く楽しげだったからさ」 「はあ、わけわかんねえ。それと抱くのとどんな繋がりが」 「だからそう急くな。君はまず人の話を最後まで聞くということを覚えたまえ」 こいつにだけは言われたくない台詞だったが、言い分は確かなので口を噤む。 「MSを操縦している時の君は実に生き生きとしていた。 ところが地上にいる今の君はどうだ。 常にどこか不機嫌そうで、地に足が着いていない印象を受ける。 だから思った。きっと君は、魂の半分は今でもコックピットの上に残したままなのだろうと。 そしてそれは、私も同じことだ」 奴の指摘は……事実だった。 俺の心は、いつだってコックピットの中にある。 モニタ越しに見下ろす地上の風景。 俺自身が機体と一体になったような、操縦しているときのほぼ陶酔と言っていい程の高揚感。 あの感覚は何物にも代え難い。 地上にいるときには焦燥感にさえ似た孤独を覚えるのだ。そして改めて痛感する。 俺の居場所は、俺の愛する世界は、コックピットの中にしか存在し得ない事を。 「確かにその通りだ。あの席こそ俺の為だけに用意された場所だ。 何があろうと、あの場所だけは誰にも絶対渡さねえ……!」 無意識のうちに空を掴むように伸ばしていた俺の手をグラハムが取り、自分の頬へと寄せた。 「ああ、やはりMSの話をするときの君は良い顔をするね」 そう言って笑う奴の表情も、遠くの恋人に想いを馳せるかのように幸せそうだった。
ようやくこいつの意図が見えた気がする。俺もこいつも、同じ穴の狢ってわけだ。 ま、MSに乗っている時が最大の喜びなんて、こんな変態はそうはいないだろう。 で、ここからは俺の予想。 きっとこいつは似た者同士の俺を抱くことで、空虚なもう半分の魂を埋めようとしたんだろう。 クサいとは思ったが、試しに訊いてみる。 「で、心のスキマは埋められたかよ?」 「……いや、駄目だな。虚しさが一層増しただけのようだ」 俺の予想は間違ってなかったらしい。 「だろうな。俺ももう、何かの代わりに抱かれるなんて御免だ」 「そうだな、悪かった」 と、それまでの余裕ぶった態度はどこへやら、急に疲れた顔になって俺の胸に倒れ込んできた。 突然の出来事にびっくりした。 こいつがこんな弱々しい顔を見せるなんて初めてだ。 俺はどんな態度を取ればいいのか、なんて言葉をかければいいのかわからず戸惑う。 もしかして、これが奴の素なのだろうか。 普段の凛として自信に満ちた、余裕ありげな振る舞いが実は演技だとしたら。 本当はただ見栄っ張りなだけで、実際は生きていくだけでいっぱいいっぱいなのだろうか。 人の話を聞かないのは、聞いている余裕がないだけなのかもしれない。 この予想が正しいかどうかは知らない。 だが何となく奴が哀れに思えてきたから、頭を撫でてやった。 俺たちはお互いの足りない部分を補い合える存在にはなれない。 けど、こいつにはいずれ、欠けた心を埋めてくれる何かに出会える日がくればいいと思った。
,-、 //|| // .|| ∧∧ . // 止 || ∧(゚Д゚,,) < 本番は冗長になりすぎるためカットしました。 //, 停 ||__ (´∀`⊂| < どうやら私は炭酸に夢を見すぎているようです。 i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜 | | / , | (・∀・; )、 < 8話には出番あるかしら……。 .ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )! //:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..| . / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´ / ゙ / / / || | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\ | | / `ー-‐'´ | | ./ |_____レ"
>>406 うはああああああああGJGJ!!
炭酸可愛いよ炭酸
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 球/団マス/コット 熊×コアラ&31×コアラだモナー ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 擬人化無しだカラナ | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ エロモナシダゴルァ!! | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ;) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || | 某動画で見られるシーンを色々繋げてねつ造しました。 エロ様視点です。
ド荒君。 名古屋に住んでる真っ青なかわいいコアラ。 今日はその子に逢えるっていうんで、すっごく楽しみだったんだよね。 見境ないなーなんてよく言われるけど、だってみんなかわいいんだからしょうがないじゃないか。 僕のはご挨拶も兼ねてるしね。 さっそくターゲット発見♪ わくわくしながら近づく。後ろ姿はまずまず。腰が細いねぇ。 「やぁ。ド荒君だよね。僕はB/B!君の噂は僕の国でも…ってどこ行くの?」 あれれ、話しかけたのに聞こえなかったのかな。不思議な歩き方でフラフラと行ってしまった。 しばし見物してみようかな。聞いては居たけど、なるほど、フリーダムな感じ。研究が必要そうだ。 一歩歩く度にお尻についた大きくて丸い尻尾がヒョコヒョコ動く。 いいお尻。後で触っておこう。今日はなんだか楽しみだなぁ。 それにしても、落着きが無い。キョロキョロ顔を動かしてフラフラ歩き、何かを見つけては指さして何か言っているみたい。 そんなに喋ったって、人間には聞こえないのに。そんな事どうでもいいのかな。 警備の人のマネをしたり、女の子の持っている旗を奪って振ってみたり。 お客様に向かって変な動きをしている。面白いなぁ。こういう楽しませ方もあるんだなぁ。 僕も負けていられない。 おかしな動きをしているド荒君の元に再び駆け寄った。 「ね、君、面白いね。」 くるっとこっちを向いて、何故かプークスクスと笑う。僕今別に面白い事言ってないんだけどな。 どこかオヤジ臭い動きでまた向こうへ行こうとするから、思わず肩を掴んだ。 「僕と遊ばない?」 ナンパっぽかったかな? あれ?ド荒君が何か言っているみたいだけど、僕にもわからないぞ?そういう種類かな? 大人なのか子供なのかわからない不思議な雰囲気の子だな。 でもプロポーションは抜群だ。美味しそう…特にこのお尻はいいよね。 ひょいっとお尻を触ってみれば、大げさにイヤン!と胸と股間を隠すポーズをして、おかまのポーズをしてくねくねと腰をくねらせた。 かわいいな!言葉はわからなくても通じるもんだなー
「このしっぽかわいいね」 グッと掴めば、グルッとまわって嫌がった。ここ性感帯かな? 手をあげてペタペタと逃げていく。後ろからタックルして倒したら、死んだように動かなくなった。 ここは乗るべきだろう。両手を合わせて祈ってみた。ご臨終でーす。 …まだ動かない?よーしじゃあ心臓マッサージだ。ついでに胸を揉んでみた。あれ、我慢? よーし人工呼吸だ。ついでだから、舌を入れてみた。お客様には見えないようにべろりと口内を舐めた。 驚いて飛び起きたド荒君は口元を押さえてさらに胸元を押さえて僕を非難するように指をさしてくる。 あまりにもかわいいから手を叩いて笑っちゃった。 飽きないなぁ。かわいいなぁ。よかったら唇を奪った責任取りましょうか? じりじり逃げるからズンズン近づいてまた捕獲しようとしたら、名古屋の選手が居る方へ駆けて行ってしまった。 待て〜なんて、やっちゃおうかな。 ん? その選手の中にこちらを見ている人が一人。31番の人。誰だろう。 ド荒君もまっすぐにその人に向かっていく。 31番の人はどっしりとベンチに座っていて、ド荒君が駆けて行っても動こうとしないでスッと視線を逸らした。 つれないの。僕にはド荒君の短い尻尾がちぎれんばかりに揺れてるように見えるんだけどな。 ド荒君はそのままその選手の前の壁にぺとっとくっついて座った。 大きい靴にちょこんと乗るお尻がやっぱりかわいい。その中心にある尻尾がもっとかわいい。 ド荒君が31番の人にしきりに何か話している。あのジェスチャーの様子から行くと、僕にキスをされた事を伝えているんだろう。 …伝えなくても、あの人見てたから知ってるよ。 でも31番の人は一生懸命なド荒君にあまり関心を示さないで、飴の袋を開けている。 ド荒君も諦めらのか、手を出して飴ちょうだいって言ってるみたいだ。 31番の人、シカト?聞こえてるでしょ?あ、やっと飴あげたみたいだ…て、ド荒君がっくり?ん?空の袋?あはは! 怒ってる怒ってる。意地悪されちゃって。でも愛されてる証拠だよね。 怒り飽きたのか、選手の荷物をあさり始めたぞ。こんな益子ット見た事無い!猫みたいだー。 あ、31番の人がド荒君の頭にボール投げつけた。こんな事される益子ット見た事無い!!
痛い!って、また怒ってるけどこれは当り前だよね。選手の物に手出しちゃだーめ。 31番の人がド荒君に何か言っている。ド荒君がまた手を差し出す。あぁ。「そんなに飴が欲しいのか」って言ったのかな? 「これが最後の一個」 って言ったんだろうっていうのは、なんとなくわかった。で、驚いた。 31番の人がド荒君の頭に腕を回したと思ったら、顔を近づけた。えっキス…?! ギクリとド荒君の体が揺れた時に、31番の人が止まった。…あーびっくりした。 31番の人は自分の口に指を入れて飴を取り出すと、そのままド荒君の口に押し込んだ。 間近で見つめあう二人。あの人睫毛なっがーーい。あっド荒君また頭ぶたれた。 31番の人はそのまま立ち上がると、さっさと素振りの練習に行ってしまった。 残されてハッとしたド荒君は口を押さえたりイヤンのポーズしたりほっぺを両手で包んだり目を隠したり、 もう、全身で照れてます!!ってアピールしてる。 っへーー!やるねぇ。 ひとしきりアピールしたら落ち着いたのか、またフラフラと歩き出す。 すかさず近づいた。 「ね、あの人の事好きなの?」 くるっと振り向いたド荒君からはほのかなキシリトールの甘い香り。 ド荒君はプリッとお尻を突き出して僕に手でマークを作って見せた。 親指同士をくっつけて、残りの指も全部くっつけて、下に向けている。なんだか玉ねぎの形みたいだけど、きっとハートだろう。 「あぁ、そうなの。良かったね。今のは僕のおかげかな?」 今度はヤンキーみたいにメンチ切って顔を近づけながら凄んでくる。 ああかわいい。 名古屋にはこんなかわいい子が居たのか。よし、僕のお気に入りの中に入れちゃおうっと。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ にわかなので色々間違っているかと思います。 | | | | ピッ (・∀・ ) すいません。ありがとうございました。 | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/前途シリーズ ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、冒険者×ヴァンパイアです | | | | \十五回目です。久々投稿。 | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「レイン」 暗く、カーテンの閉め切った部屋。 「レイン、起きているか」 ヴァンパイアは、ベッドの上で横になっていた。 深い眠りについているようで、ロウッドの言葉に反応しなかった。 このまま寝かせてやりたいが、それでは飢えたままになってしまう。 ロウッドは、ヴァンパイアの肩を何度か揺らした。 「ん…、ロウッド…?…血の匂いがする…。怪我でもしたのか…?」 「いや、違う、吸血してきた」 「ふふっ、もうすっかりヴァンパイアだな」 「いいから、血を吸え」 ヴァンパイアの口元にしゃがみこむ。首を見せてやると、ヴァンパイアは、そ、と首に噛み付いた。 「ヴァンパイアになると、血ってのはあんなにも美味いもんなんだな。お前の血は極上だった」 「んくっ、ん、ああ、甘い、よ」 ごくん、ごくん、と白い喉がなる。 その光景に、ロウッドもつばを飲み下した。 (いかんいかん、興奮してる場合じゃない) 胸はドキドキと、高鳴っていた。 もしかしたらヴァンパイアに聞かれてしまうかとも思った。 「あー、ヴァンパイアになって思うんだが――」 ロウッドはわざと話題を変えた。 無防備なヴァンパイアの姿を見ないようにしながら、必死だった。 「んっ、うん」 「ヴァンパイアって何年生きるんだ?」 ヴァンパイアの舌が、ぺろりとロウッドの首をなめた。 「知らない」 「え?」 「物心ついた時に父と母はいなかった。仲間に年齢を聞いても、五百年生きてるだとか、三百年生きてるだとか、まちまちだ。大体眠ってすごす場合が多いらしいがな」 「ヴァンパイアは眠らなくても」 その先を、ヴァンパイアの人差し指が封じた。
「ヴァンパイアは年をとらない。ヴァンパイアは死なない。ただ生きるだけだ、人間なら ば大体百年生きればいい方だろう。後は死ぬ。だが生きることに疲れたヴァンパイアは、 誰にも見つからないような場所で眠りにつく。途中で人間に見つかって、眠ったまま首を 切られても、心臓を抉り出されても、数日で再生する」 「なんだかゾッとする話だな」 ヴァンパイアは、くすっと小さく笑った。 長く生きてきて、死ぬことのない生き物ゆえの余裕だろうか。 ヴァンパイアは死ぬことがない。永遠に生きるのだ。永遠に。その文字に、元、死せる 生き物であったロウッドは青くなった。 やはりそう簡単にはヴァンパイアになってはいけなかったのかと思う。 それでもあの時、死ぬ間際、ヴァンパイアをおいてはいけないと強く思った。 それが愛なのかもしれない。 「私はお前が本当の仲間となったことが嬉しい。眠るときも、行動するときも、ずっと一 緒だ」 ヴァンパイアは、甘えるようにロウッドの腕に頭を預けた。 甘えているヴァンパイアを見る。 心の底から嬉しそうな、笑顔。 ならば彼のために生きようと、心に決めた。 「私は物心ついて二十年で、眠りに付いたのだ」 「二十年?ずいぶん早いな。何か嫌なことでもあったのか?」 「目の前でな、私によくしてくれたヴァンパイアが殺されて。彼はすぐに復活すると知っ ていたが、殺されたことがショックで眠りに付いた。自分もああなるのかと思って。五十 年ほどかな。外が五十年でだいぶ変わっていたことに驚いた」 「そうだろうな、変わるだろうよ。百年なんて眠ったらどうなるんだろうな」 自分でいって、ふと考えた。 百年後も二百年後も、自分は変わらない。ヴァンパイアとともに、生き続ける。 それがどういうことか、もしかしたら死ねないことは苦痛かもしれない。 だからヴァンパイアは眠るのだと、そういっていた。 ちらりとヴァンパイアを見る。 相変わらず、嬉しそうに頭を預けていた。
(レインと一緒なら、大丈夫か…) そう思って、ヴァンパイアを抱きしめた。 ヴァンパイアも嬉しそうに、抱き返してきた。 この笑顔だけは守らなくてはならない。 ある日のことだった。 「疲れた」 と、ヴァンパイアが言った。 赤い目はまっすぐこちらを見つめている。 それは家でのことだった。 「レイン?」 ロウッドは、ヴァンパイアの髪をなでた。 アレから何年が経っただろうか。もう二十年は経っているだろう。暗殺と討伐、退治、冒 険に明け暮れる日々。 本来ヴァンパイアになっていなかったら、ロウッドは引退してもいい年だ。 それだけの時間が経った。
ロウッドが年をとらない事を、密かに訝る者もいる。 「どうしたんだ、レイン」 「お前とはなれたくない。一緒にいたい。でも、疲れた。戦いに、疲れた」 戦いに疲れた。 それはロウッドも感じ始めることだった。 ロウッドは、ヴァンパイアに微笑みかける。 「なら、何年か休むか?」 いや、と、ヴァンパイアは首を振った。 「眠ろう、ロウッド」 それは一夜の眠りではなく。 百年の眠りを表していた。 「百年、眠るのか」 「それくらい眠れば我々を知っている人間も死んでいるだろう。一緒に、眠ってくれない か?」 ロウッドは考え込んだ。 確かにこのまま旅をしていれば、人間でないことがばれてしまう。 だが、人間だったロウッドにとって、百年の眠りはあまりに長かった。 「少し、考えさせてくれないか」 こんなとき、すぐにヴァンパイアに応える事ができない自分が不甲斐なく思える。 だが、百年。 百年なんてあっという間だろうか? ロウッドは考え込んだ。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 二月以来です | | | | ピッ (・∀・ )そろそろ完結するので | | | | ◇⊂ ) 少々お付き合いください |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
426 :
黒蜜 埋と2 :2007/11/25(日) 22:12:10 ID:HWSFnpdc0
,-、 //|| // .|| ∧∧ . // 生 || ∧(゚Д゚,,) < 案素呂HPの論議中に浮かんだんだな //_.再 ||__ (´∀`⊂| < 山も落ちも意味も無い気がするけど i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜 | | / , | (・∀・; )、 < 短いけど折角なので。 .ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )! //:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..| . / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´ / ゙ / / / || | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\ | | / `ー-‐'´ | | ./ |_____レ"
427 :
黒蜜 1/1 :2007/11/25(日) 22:14:45 ID:HWSFnpdc0
「あっ、メフィ/スト/2/世さん、おはようございます!」 「あっ、2/世さん!おはようございまぁす!」 学校に着く度、教室を出る度、こんな事になる。 人気者の君の事だから仕方ないんだろうけど、このところ、ちょっと気になる。 「んあ、おはよー」 女の子には優しくしちゃう君は、ちょっと鼻の下を伸ばして挨拶を返す。そしたら……ほら、ほらほら。 女の子が次から次に寄ってきて、僕と君はあっという間に引き離される。 きゃあきゃあと黄色い声が飛び交う中心で、君はお得意のリップサービス。 髪切ったんだ、似合うじゃん、とか。口紅の色、変えた?とか。そんな事をよくもまぁ次々と。 2世の言葉に一喜一憂する女の子の輪から少しはなれたところで、僕はぼんやりと2世を見やる。 毎朝毎度の事だから今更どうこうってのは無いんだけど。 でも、昨日の夜、僕に跨って『俺が愛してるのはお前だけだから』って言ってたのはウソ?なんて思ってしまう。 家を出る前に、僕の隙を突いて奪ってった唇も、お遊びなのかな、なんて思ってしまう。 きっと。今。 この場所で。 一番女々しいのは、僕だと思う。 嗚呼、いつの間にこんな感情を飼う様になったんだろう。 おどろおどろしい独占欲。嫉妬心。際限無い欲求は、僕の中でぐるぐると渦巻くけど外へ出て行くことは無い。 いつか、きっと。 僕は、この感情に、殺されると思う。
428 :
黒蜜 埋と2 :2007/11/25(日) 22:16:47 ID:HWSFnpdc0
,-、 //|| // .|| ∧∧ . // 止 || ∧(゚Д゚,,) < なんかおどろおどろしい終わり方だけど //, 停 ||__ (´∀`⊂| < たぶんこの後、ベッドの上で格闘してハッピーエンド i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜 | | / , | (・∀・; )、 < 案素呂に再利用したら書くかも。 .ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )! //:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..| . / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´ / ゙ / / / || | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\ | | / `ー-‐'´ | | ./ |_____レ" 嫉妬する埋が書きたかった。反省はしていない。
>>415 ktkr!!!ワーイヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノワーイ
ド荒かわいいよ、キモかわいいよド荒
,-、 //|| // .|| ∧∧ . // 生 || ∧(゚Д゚,,) < 月区ドラマ『ガソレ才』 //_.再 ||__ (´∀`⊂| < 草薙×湯川はじめて物語 i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜 | | / , | (・∀・; )、 < 送り狼だってさ .ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )! //:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..| . / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´ / ゙ / / / || | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\ | | / `ー-‐'´ | | ./ |_____レ"
本庁への栄転祝いと今までの捜査協力の感謝を兼ねて、草薙から飲みに誘われた 帰り、水を飲みたいという彼を部屋に上げた。 グラスを取ろうとしたその時、後ろから抱きすくめられた。 「湯川…」 声もでない。アルコールの混じった吐息がかかる。 「ずっと…愛してた…」 大きく胸が脈打ち、息が詰まりそうだ。 遠い昔に胸の奥底に隠す様にしまいこんだ感情が、溶けて溢れ出してしまいそうな月夜 だった。
もつれる様に床に押し倒される。 揉み合う間にスイッチにあたったのか明かりも消えてしまい、ほの青い月光が差すのみとなった。 下腹に手を差し入れられ息を呑む。 「…やめろっ…草薙っ」 しかし脊椎を駆け昇る久方振りの刺激が後頭部を痺れさせる。 思いの外顔の側で草薙の声が聞こえた。 「昔からずっと好きだったんだよ…!」 この男は栄転の昂ぶりと酒の勢いを借りて、積年の思いを遂げようとし ているのか。 突然の狼藉に納得がいった。
いつの間にかベストのボタンは外されシャツははだけてたくし上げられている。 女好きの草薙らしい手管だと感心しつつも身体はままにならない。 執拗なまでの愛撫に、堪え切れず手に触れたラグを掴む。 「あ…ぁっ」 首筋や肩先に触れる感触と荒い呼吸を感じた。 ぼんやりしてしまう頭で草薙の顔を思い浮かべる。 つい先程まで笑顔で飲んでいた彼が今 どんな顔で必死で僕の身体を貪っているというのだろうか。
だが今僕の敏感な部分に触れているのは草薙なのだと改めて認識すると、 更に僕は昂ぶった。何かをつかんでいないといられず、 身体を少し動かして彼の頭や肩口をきつくつかんだ。 かつて草薙に、口に出すのも憚られる様な感情を抱いた事がある。 それを恐れ、気の迷いだと心の底に固くしまいこんだ。 忘れたふりをしていた。 しかし捜査協力の為彼と行動を共にするうちにそれは知らぬ間に膨らみ、 今夜溢れようとしている。 彼の官能に抗えないのはその僕の情動のせいだ。
身体の中心に鋭い刺激を感じ、思わず下肢を屈曲させる。 「草薙!…あせるなっ…優しく…っ」 痛みと快感を同時に味わう事など今までの経験には無かった事なので思わず言ってしまう。 「んっ…あ…」 指と唇による絡み付く様な快楽にやがて僕自身にも限界が見えてきた。 身体全体に草薙の重みを感じ、僕は脚を掲げられた。 「湯川…湯川っ…」 先程の僕の声を聞いていたのかいないのか、草薙が繰り返し僕の名を呼ぶ。 彼もまた今夜理性を振り切り情動を解き放った。 そして理性に引き戻されぬよう懸命に僕の名を呼ぶのだ。 僕と同じように。 「草薙…」 彼の背に手を回すと、思わぬ肌の滑らかさに歓びを感じてしまう。 耳朶を舐められただけで背筋を官能が走る。 闇の中唇を求めようとしてもままならず、硬い歯をぶつけてやっと 互いを見つけ絡ませ合う。 鈍い痛みに混じる快感と不思議な幸福感が僕を包んだ。
いかなる夜にも朝はやってくる。 「…何があった?」 「見ればわかるんじゃないか?」 目が覚めた途端僕と目が合った草薙は、互いのあられもない姿を見て 血相を変え口をぱくぱくさせて謝りだした。 「…お前にこんな事するなんてまさか…本当に悪かった。すまない…」 平謝りという言葉がぴったり合う程ひとしきり謝られた後、僕は言ってやった。 「ところでどうだった?」 事後に僕がかけてやった布団をぎゅうと握りしめ、 顔以外も紅潮させて恥ずかしがる彼を眺めるのも悪くない。
「…怒ってないから、もう謝らなくていい」 つと、草薙が虚を突かれたように顔を上げる。布団から覗く彼の身体は塑像の様で、白い太陽の光に晒され輝く。 「それより仕事は?今日は非番なのか?」 みるみるうちに顔色を変えて、脱ぎ散らかした衣服を身に着け始めた草薙が呟く。 「えらい疲れた…」 「当たり前だ。アルコールを大量に摂って激しい運動をして疲労が残らない訳ないだろう。 おまけにアルコールは勃ち難くするんだからかなり無理してたはずだ」 「…本当にすまんかった…」 「だから大丈夫だから早く行け」 草薙が振り返りこちらを伺う様な眼差しで言う。 「なぁ、また訳わからん事件が起きたら、行ってもいいか?」 「物事には必ず理由があり訳解らん等という事は無い。 だが研究にさしつかえる程持って来られてはたまらない」 眉をしかめて答えた。 「お前、いっつもそう言ってるよなぁ」 草薙はいつもの様に明るく笑って、 じゃあな、と軽く挨拶をして急いで出ていった。 ずっと愛してた。彼は昨夜そう呟いた。だが僕こそがずっと彼を愛していたのだ。 生物として非建設的で非合理的であるから、いいや大切な親友を失いたくないから、 認める事のできなかった僕の思いを彼は救ってくれた。 なんという確率の低い幸福だろう。 けれど、合いに来て欲しいなどとは言えない。 何故なら僕は湯川学だから。
,-、 //|| // .|| ∧∧ . // 止 || ∧(゚Д゚,,) < 生まれて初めてSS書いた… //, 停 ||__ (´∀`⊂| < ありがとうございました。 i | |,! ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜 | | / , | (・∀・; )、 < ナンバリングミスすんません。 .ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )! //:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..| . / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´ / ゙ / / / || | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\ | | / `ー-‐'´ | | ./ |_____レ"
生。某ゲーム番組、運送×とんち |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「やっぱり止めときませんか」 相手の肩に手をかけたときに発せられた言葉でまともな思考が蘇った。 なんとなく、もしかしたら仲間と会えるかと思って足を運んだらタレントさんの尻拭い中のこいつがいた。 挨拶もそこそこにゲームを続ける声がエロくて腹が立つとか、ついでにうっかりチンコも立つとか、彼女ができないとか、お姉ちゃんのいる店に行かないとか、好きな人はいるにはいるけどどうにもならない相手だから早々に諦めているとか、じゃあ俺がとか、よかとですかとか。 もちろん寝不足のテンションだけでここまで来たわけじゃない。 叶わない恋としてずっと慕い見守っている人がいる、のは、こいつだけじゃなく俺も同じだったから情は動いた。 そもそもその場のノリだけで男相手にホテルのベッド、お互いパンツ一枚で向かい合わせに座っていられる性格でもないのだ。 でもいいじゃんもう勢いで。どうせ気まずくなるなら線越えた方がいいじゃん。 だいたいこんな毒々しいほどメルヘンに満ちた部屋をわざわざ選んだ時点で現実逃避なんだ、ネズミ国で夢に酔う男女と同じ。どこを見てもひどいピンク。三十路だよ俺は。 沈黙を怖がって相手が言葉を付け足す。 「俺は……変態ですけど、とうじまさんは普通じゃないですか。申し訳なかとです」 「……普通か……」 「はい」 「そうでもないよ」 言い切って唇と唇を合わせた。
少なくとも同性の後輩にためらいなくキスができるほどには壊れているのだ、と知らしめるように舌で唇の内側を撫でる。 そうすると鼻から漏れる荒い息が好きで意地悪く奥まで舌を入れると、一際強く吸い付かれた。 えづきそうになった相手が反射的に唾液を飲み込んだ際に、深く入れていた舌が巻き込まれたらしい。 唇を離して二人で軽く噎せた。 「あの、本当に……」 「甘えとけって。まず何したい?」 まだ何か否定を口にしようとするのを遮れば、困った笑い声が上がって俺の心臓をくすぐった。 「と、とうじまさんのチンポ舐めたいとです……」 半分くらいを口に含んで舐める光景はまさに奇妙で、いやに慣れた感があって、思わず相手の性癖を邪推してしまう。自分の事を変態なんて言うくらいだからそうとうな経験してんだろうか。 それにしてもこいつのフェラチオは、舌への感触が心地よくてそれをもっと欲しがり動かし求めているようなそれだ。刺激ばっかりが強くてビリビリするだけ。 いたずら心でちょっと腰を引いて抜いてみると、密着している唇が捲れて赤い内側が見えた。退く動きを特に気にかけない様子で湿った唇が追いかけてきてまたさっきと同じような位置までちゅるりと飲み込み、吸いつく。 こいつの場合、吸いついたのも相手を気持ちよくするためのテクニックなんかじゃなくてただヨダレが零れるのを防いだだけなんだろうけど、それでも俺に熱の塊のような息を吐かせるのには充分だった。 「なあ、口に入れないで、舌だけでやってみて」 「あ、はい」 言ったとおり忠実に、赤い舌はそっと唇から出てカリを何度も往復した。 開け放しの口から滴ったヨダレに濡れてる顎髭を指先で撫でてみる。
肌が白い。 若さを主張するような引き締まった白い肌、がっしりした顎に無精髭まで生やした青年が下着一枚だけの姿で俺の性器にむしゃぶりついている事実が支配欲を高ぶらせる。 「ん……だめだわ。出ちゃいそう」 「ぁい」 めちゃくちゃ気持ちよかったんだけど、出ちゃいそうってのは嘘だった。 触れたくなった。 仰向けにさせた相手に覆い被さるみたいに体勢を変える。 パンツは俺が脱がせた方がいいのかな、と思って見てみると、しゃぶってるときに滲んじゃったんだろう先走りが布地の紺を一部だけ濃くしてて俺は慌てた。 「あっ、濡れちゃってる」 「ごめんなさい、俺、あの、ごめんなさい」 「え? いやごめん。ていうか謝らなくていいよ」 俺が早く脱がしてやればよかったんだよ、と続けると半開きの口から気の抜けた声みたいな息みたいな音が聞こえた。 意味を伴わない吐息にはそろそろ慣れたから気にしないでボクサーパンツのゴムに手をかける。 下ろす最中、立ち上がってるチンコの先っぽに偶然ゴムが引っかったのがなんだかおかしくて、外れない程度に引っ張ってその抵抗を楽しんだ。 「遊ばんとってくださいよお」 困惑の苦笑いで耐えてたもの
よく考えたら女の子よりもわかりやすい反応だな。なんかエロくてたまんない。 「くそ、いのうえ、好きになりそうだ」 「そんっ……そんなとこ見てから言わんでください!」 耳が真っ赤になって、脚を曲げて隠そうとする。ねじ入れた膝で阻止して手の平で前髪をめくり、額に唇を押しつけた。 「好きになったら困る?」 「……俺は……」 目を合わせて言い直すと悔しそうになんか言い放ってかけるけど、我慢ができなくて聞き終わる前に唇に噛みついた。 顔を離すと見える、少し不機嫌な顔は無視する事にする。自分にしがみつく手が承諾を表していたからいいだろう。
後ろ使えるらしいから、とにかくヌルヌルにしてくださいって言葉に従って金玉の下くらいからローションを垂らして馴染ませ、指が一本入ることを確認してボトルの先端を中に埋めて粘液を注入する。 ただひたすら力を抜こうとしていた体が、注がれた粘液を出してしまわないようにしながらも挿入される一本の指を飲み込む。相手の呼吸は複雑になるばかりだ。 「はあ、はあ、あ……あ、うう」 「つらい? つらかったら言いなね」 「は、い……まだ、普通です」 時間をかけて熱を上げていった。指は三本まで増えて、広げるためにバラバラにかき回してたのを三本揃えて抜き差しする動きに変えると相手の目つきから余裕が消える。苦痛からではなく、待ちきれないと。 それを汲んで歯で袋を開封して両手使ってコンドームをはめ、袋は横を向いて適当な場所にペッと吐き飛ばした。 威圧するみたく強い視線で眼を見つめながらぴたりと先っぽを当てたら、ローションでとろとろになったそこの筋肉が時々ひくつくのが薄いゴム越しに伝わってきて興奮した。 無意識だったけどずいぶん長い間そうしていたらしく、たまらず相手が抗議とも呼べない口調で遠慮がちに懇願する。 「あの、もう、入れてください」 「入れるだけ?」 遠慮がちとはいえあまりにあっさり言うので、しつこいとは思ったがまた行動を先延ばしにしてしまった。 これだからおっさんは、みたいなこと思われて嫌われたらどうしよう、聞いてからすぐに後悔した。やだな、フォローすら浮かびやしない。早いとこ入れちゃえばよかった。 「……入れて、ズボズボしてください、一緒に気持ちよぉなりたかとです」 「ははははは」 思わず声に出して笑ってしまったのは照れ隠しのためだ。 嫌うどころかこんなに尽くしてくれるのが嬉しくて、たとえそれが今だけの性欲からくるものだとしても嬉しくて、ひとつ大きく息をついて真剣な面持ちで見つめ直すと相手は何も言わず頷いてみせる。 その目の縁は欲望とこれまでの刺激により赤く染まってて、俺にとってはそそるという言葉以外なんてみつからなかった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! ごめんなさい
>>430 姐さんGJGJGJ!!!!!
朝からスレ開いて良かったよ!送り狼最高
情けない刑事に萌えたw
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 生。弟→兄注意です。
449 :
1/3 :2007/11/26(月) 21:09:22 ID:HDc8HJg20
日ごろ体を動かして発散しているから、だけではなく ぼんやりした自分の性格的なものもあるのか、そういうのは 薄い方だと思う。 でも、やっぱりまだ若いし。 たまにはそんな衝動も来る。 寝入りばなのベッドの中、そっとパジャマ代わりのジャージの 上から触ってみる。 (最近してなかったしなー…少したまってんなぁ) しかしいいおかずがない。雑誌もこの間捨ててしまったばかりだ。 でも体の奥にくすぶった熱を冷まさないと眠れそうにない。 (明日も練習早いしなぁ…) 無理やりもやもやと、イメージを膨らませようとしてみるものの あまり気分が乗らない。 柔らかくて暖かい背中…に触れてみる、と 抗うように身をよじって声をあげる。 『こら…ナオ』 (――え?) びくりと反応する。 (普通に女の子をイメージしてた筈なんだけど…) イメージの中で自分が組み敷いているのは 『ナオ、くすぐったい』 (兄…ちゃん…?)
450 :
2/3 :2007/11/26(月) 21:10:27 ID:HDc8HJg20
ジャージの中で自分のものが持ち上がったのを感じる。 深く考えずに、下着の中に手をいれて直に触れていく。 よくする風呂上りのマッサージの時の、感触を思い出す。 身長はいつの間にか自分が追い越してしまってはいたけれども、 同じ位の体格。運動をしている男の体。 でも暖かくて、手触りのいい肌。紅潮した頬に、潤む様に見上げる目。 いつも真面目でしっかり者のお兄ちゃんからは想像もつかない姿に 体温が上がるのを感じる。 首筋にキスをして、そのまま耳を甘く噛んで、内股へ手を差し入れて… 快感に身をよじる兄に声を上げさせて。 それにひどく興奮する。 『俺だけなんて…嫌…っだ』 息も絶え絶えの兄が、自分のそれに優しく手を添えて… 『一緒に…』 「っく…!」 頭の中が真っ白になり、体の力が虚脱する。 自分の手の中に吐き出してしまったものを拭き取ると、ぼすっと頭から布団を被る。
451 :
3/3 :2007/11/26(月) 21:11:12 ID:HDc8HJg20
(えええええええええ) 頭の中が酷く混乱している。 (これってこれって…) 兄を敬愛しているのは本当。少しブラコンが入っている自覚もなくはない。 …けれども (お兄ちゃんをおかずにしてしまった――) 事実が重く頭にのしかかる。 男で、そのうえ血のつながった兄で…社会常識とか倫理とかで考えると 許されないことなんだろう。 けれども、その箍を外して考えてみる。 (お兄ちゃんに、ああいうことしたいのか…俺?) 他の誰かの物になる兄を想像する。…嫌かもしれない。 じゃあ自分の物にしてしまいたい?そうじゃない、物じゃない。 (好き…なのか――) すとんと胸の中のどこかに、その言葉がはっきりとした解答のように落ちてくる。 いつも自分の前を歩いて、時には微笑んでこちらを振り返って手を差し伸べて 兄は自分の『光』だ。 理屈よりも先に、体が理解していたというのも自分らしい気がする。 認めてしまえば、一気に気が楽になる。 世間に認められないとか、兄にこの気持ちが知られたらとかは そのときになって考えればいい。 自分の気持ちには嘘はつかない。 そう心に誓うと、布団へと潜り直し目を閉じた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! お兄ちゃんが萌えなんだああああ。 そして激しく男前になってきた弟。 来季もwktkです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 戦国BASARA伊/達×片倉です。 投稿初めてなので不手際あったらごめんなさい。
伊達「あーあ、わざわざ秀吉に頭下げるのだりー」 片倉「そうは言われましても政宗様、参戦の遅延に秀吉様はお怒りと伝令が」 伊達「ここは白装束決め込んで頭下げるしかないか」 白装束を着る政宗。 その凛々しい姿に片倉は感嘆しつつ言い様の無い熱情を覚えた。 片倉「政宗様…!」 伊達「なんだ?小十郎?」 片倉は政宗を壁に押しつけ強引に白装束の襟元を開いた。 伊達「!?な、何をする小十郎!?」 片倉「なんと素晴らしき体…ああもう我慢なりません!」
小十郎ははだけた政宗の乳首を舐めた。 先端を時に甘噛みしながら舌をねっとりと絡み付かせる。 政宗「oh…小十郎…はぁ、感じる…感じるぜ…」 激しく吐息を漏らしつつ政宗は喘ぐ。 片倉は政宗の白装束を両手で乱暴に開いた。 そこには鍛えぬかれた締まった肉体があった。 そして、白い褌は既に己の存在をこれでもかと言わんばかりに 起立していた。
小十郎は褌の上から起立した政宗の一物を咥えた。 政宗「止めろ!小十郎!これから秀吉公に会いに行くのに!」 小十郎はそんな政宗の言葉を無視して政宗自身の先端を舐め続けた。 みるみる内に政宗の褌は小十郎の唾液で濡れ、政宗自身の形が浮き彫りになった。 政宗「止めろと言うのが…はぁ…聞こえないのか!小十郎!」 だが小十郎はそんな政宗の命令を無視して政宗の褌を剥いだ。 起立した政宗自身が露になった。
小十郎は露になった政宗自身を咥え、上下に動いた。 時に先端を舐め、時に裏筋を舐め、玉袋を優しく撫で、手で政宗自身を掴んで上下に激しく揺さぶった。 政宗「止めろと命令しているのが…はぁ…き…聞こえないのか?小十郎?」 激しく息を乱し頬を上気させながらも気丈に政宗は小十郎に命令した。
だが小十郎はひたすら攻め続けた。 政宗「うう…出る!はぁ、あああ…あ、あ、イクッ…!」 政宗自身から白濁液が噴出し小十郎の顔に降り注いだ。 政宗「な…何故こんな真似を…お前ともあろうものが…」 小十郎「秀吉公に馳参じ頭を垂れるのは、筆頭にとって屈辱ではないかと。 ならばせめてこの小十郎めが政宗様の気持ちを良くしてから、と。 非礼御免仕りまする。」 顔に政宗の液を垂らしたまま小十郎は土下座した。 政宗「そちの心遣い、感謝する…」 政宗は小十郎に接吻した。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>452 キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
こんなところで、りうの華兄弟が見れると思わなかった!姐さんGJ!
お兄ちゃんかわいいよ、お兄ちゃん
>>406 うっはああああああ最高でした姉さん!!!!!炭酸もいっぱいいっぱいの公もかわいすぎるよGJ!!(*´Д`)
462 :
439 :2007/11/27(火) 20:11:05 ID:v43R9h/HO
今更ながら、442の3/5の最後の方が切れてるのを発見したので保管させて下さい。 こんな事でスレ消費すみません。 困惑の苦笑いで耐えてたものの、とうとう痺れを切らした相手の声がかかってようやくきちんと脱がしてやる。 濃い体毛は汗でしっとりしてて、チンコは硬くなってた。
463 :
寂しい心 :2007/11/27(火) 20:19:29 ID:gCTBAbd00
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | モノノケ 黒い人×薬売り ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 微グロ(?)なので苦手な人は気を付けて | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ハツトウカデスヨ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
真っ暗な中で、薬売りは一人立っていた。 周囲に視線を巡らす。 そこには周囲には何もない。 暗闇だと、自覚する割には白い自分の手が良く見えた。 着物の淡い青も、知覚することが出来る。 つまりは、ここは暗闇ではないということだ。 「やれやれ…なんでしょうかね…」 呟く声。 聴覚も大丈夫だ。声は思ったより反響しなかった。 つまりはそれほど広くない空間にいるということだ。 一体、ここはどこなのだろう。 「お前の心の中だ。…見事に、何もない」 声にしない疑問は、誰かによって答えられた。 背後から聞こえてきた声に、振り返ろうとする。 だが、力強い腕に抱きとめられ、それは叶わなかった。 「…」 薬売りは無言でその腕を見下ろす。 浅黒い太い腕。その腕には金の色が踊る。 「貴方は…」 軽く体を捩るように背後を見れば、意外に近くにあった黒い瞳と視線を交わした。 「…俺のいる場所は、少し、あるようだがな」 にこりともしない、偉丈夫。 「貴方、しかいないとは…なんと、まあ、寂しい心、なのでしょうねぇ…」 まるで他人事のように口を動かす薬売りに、白髪の男は肩を竦める。 「まったくだ。同情しよう」 「それはそれは…どうも、ご丁寧に」 ぬけぬけと答えながら、薬売りはさてどうしたものかと思考を巡らす。
背後から抱きしめる男は、そっとそんな薬売りの首筋に、唇を落とした。 首筋に感じる吐息に、薬売りはわずかに身じろぎをする。 「なに…してるんですか」 「さあ。なんだろうな」 淡々と答えた男は、薬売りの服に手をかける。 手馴れた様子で、帯を解き裾から手を中に差し込む。 冷たい手のひらが素肌を撫で上げ、薬売りは自分の肌が粟立つのを感じた。 「人の、心の中で…好き勝手していいと?」 「お前の心の中だ。俺の存在はお前によって作られ、動かされている。…ということもあるだろう」 指先が、胸の突起を捕らえ、抓るようにしながら引っ張る。 耳をぬるりとしたものが触れる感触。 舌で舐められていると気付くが、薬売りは眉間に皺を寄せただけで動かない。 「なる、ほど…」 つまりは自分が望んでいると言いたいのか。 薬売りはふっと笑い、服を剥いていく男に向き直った。 見上げてくる薬売りに、男はその華奢な顎を掴み、持ち上げる。 屈んだ男と、交わす口付け。 男は、そっとその色づいた唇を舐めた。 わずかに開いたところを見逃さぬように、肉厚な舌が侵入してくる。 「…ん…」 呼吸さえ奪われそうな接吻に、薬売りは目を閉じた。
縦横無尽に動く舌に、口の中を弄られ、体の熱は上がっていく。 着ているというよりは、纏わりついているといった方がいい状態の、薬売りの着物を男は放り投げ、ゆっくりと押し倒す。 口付けは長い。舌を絡め取りながら、男は薬売りの足を大きく開かせた。 半勃ちになっているものを捕まれ、薬売りの体はわずかに震えた。 自分の体の変化を、面白いように感じながら、薬売りはうっすらと目を開く。 男の目には、欲情が宿っていた。 その目を見つめ、薬売りは口の端を上げる。 「!」 男が、急に身を引いた。 顔をしかめ、口元を手で押さえる。 薬売りはそれを眺めながら、口に含んでいたものを吐き出した。 赤く、鉄くさい。 薬売りによって噛み切られた男の舌は、ぼとりと床に落ちる。 それに合わせるように、男の口元から血が流れ落ちた。 「…てっきり、貴方の血の色は、黒いものと、思っていました…」 「ひさま…!」 言葉を上手く発音できないでいる褐色の偉丈夫に、薬売りは薄い笑みを向ける。 「さあ、これに懲りたら…悪さをするのは、やめるんだねぇ…」 薬売りは、自分の口の端を伝う男の血を指で唇に塗った。 赤い唇を歪ませて、薬売りは言葉を続ける。 「今回は、私だからいいものを…人が相手だったら、清め晴らすところだ…」 「…」 悔しそうに睨みつけてくる男。 その外見にヒビが入り、ぼろぼろと崩れ落ちていく。 「人に仇なすのはおやめ。『夢魔』」 「ギャッ」 姿を暴かれ、其れは煙となって消え去った。 薬売りの夢から逃げたのだろう。
「やれ、やれ…」 落ち着いて寝てもいられない、と着物を羽織る。 と、視線を感じて顔を向けた。 「…」 褐色の肌。白髪。金の隈取。 先ほど追い払ったはずの男が、またそこにいた。 腕を組み、暗い空間にまるで壁があるように、寄りかかっている。 しつこいものだと、薬売りは眉根を寄せる。 不機嫌そうな薬売りを見て、男は近づいた。 唇を伝い、顎を汚している赤い液体を指で拭う。 そして、薬売りがしたように、自らの唇に塗りつけた。 赤い唇で、目を細めて笑う。 「あんた…」 薬売りが呟いた時、暗かった世界がだんだんと明るさを増し始めた。 まるで夜明けを迎えたような。 「…おい」 男は薬売りを見たままただ立っている。 互いに動いているわけでもないのに、だんだん距離が遠のく。 「おい」 薬売りが鋭い眼差しを向けて呼びかけると、男は口を開いた。 何か告げるが、それは薬売りの耳には届かない。
「おい!」 イラついたように、薬売りは声を出した。 「きゃ!」 女の、短い悲鳴。 その方に視線を向けると、加世がひっくり返っていた。 「び、びびびっくりしたあ!」 薬売りから距離を取るように後ずさりながら、胸に手を置いている。 「…」 起き上がって、薬売りは周囲を見た。 木の天井。障子。畳。自分の寝ている布団。 なんてことはない。泊まった宿の部屋だ。 「薬売りさんが起きてこないから、起しに来ただけなのにぃ!急に怒鳴ることないじゃないですか!」 頬を膨らませて怒る加世に、薬売りは口を開いた。 「それはそれは…どうも、ご丁寧に…」 「もー!絶対そんな風に思ってないでしょ?!」 知らない!と加世はばたばたと走り去っていった。 それを見送り、薬売りは自分の唇に指を伸ばす。 ゆっくりと下唇を撫で、ぎゅっと拳を握る。 「なる、ほど…」 あながち、間違いではないのかと息を吐く。 それから薬箱を見た。 寂しい心。 そこにいる、モノ。 「同情、されたんでしょうか…ね」 最後の言葉を聞き逃したのを惜しく思いながら、薬売りは着替えのために起き上がった。
469 :
寂しい心 :2007/11/27(火) 20:24:25 ID:gCTBAbd00
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ オソマツサマデシタ | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>469 GJ!GJ!!GJ!!!
禿萌えたっ!!姉さんありがとうっ!!
噛み付く薬売り→朱引きの唇がツボ過ぎる!夢魔設定がたまりません!GJ!!
472 :
風と木の名無しさん :2007/11/28(水) 08:31:21 ID:ARVHDKQ7O
病床(ただの風邪だが)の私には刺激が強過ぎる!最後までやられるかと思ったよ薬売り! この勢いで米炊いて食い散らかしてくる!風邪治してくる!姐さんGJ!
JOJOの奇妙な第四部。 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | スレで開眼した噴上×エニグマの少年(本)。 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 初投下らしいよ。 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) ドキハラ | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
杜王町立図書館。通称、茨の館。そこに一冊の本があると言う。 その本は、手にした人間の未来が書かれていると言う。 その本は、手にした人間の過去が書かれていると言う。 本の噂は都市伝説と同じく曖昧で、実際に本を手にした人は居ないと言われている。 本を手にした人間はその後すぐに死んでしまうから、と言うのがお決まりの終わりだった。 つまらない噂だが、火のないところに煙は立たないと言うように、その噂には火元があった。 言葉を発する本。本のタイトルを【エニグマ】と言う。 図書館はしん、と静かだった。司書官が数人、受付にいるだけで殆ど人の姿はないと言っていい。 時々本の好きな学生が姿を見せる以外、図書館に人は居なかった。 そんな場所で、彼は一際異質だった。それもそうだろう。彼は杜王町でも有名な暴走族だ。 暴走族が平日の昼間から図書館に来るなどと誰が想像出来るだろうか。 学校の授業をサボりに来たと言う風にも見えなかった。不良がヒマを潰す場所と言えばパチンコか可愛く線を取ってもゲームセンターが妥当な線だ。 彼は、受付で司書官に貸し出し禁止の本の名前を告げた。 本のタイトルは【エニグマ】と言った。彼は閲覧記録の用紙に名前を書いた。噴上裕也。その名前は既にその用紙の記入欄の半分ほどを埋めてあった。
女子高生態の間で流行の噂があった。 『茨の館の蔵書の中に、未来を教えてくれる本がある』『うめき声を上げる本がある』 『暗号の本があって、そこに自分の未来の伴侶の名前が記されている』など々々。 「うめき声を上げるくらいしかあってないんじゃないか?」 独り言のように噴上裕也は語りかけた。 ページをめくると右隅に落書きがあり、『だまれ』と書いてあった。 「可愛くないな」 左のページの隅にはやはり『うるさい』と落書きがあった。 宮本輝之輔。その名前を知ったのはつい最近。 お前の名前は?と問うと、文字の羅列からその名前を見つけた。当の本がそう教えてくれたのだ。 あの忌まわしい一連の事件の、ほんの一端の事件でその少年と出会った。 敵同士だった。自分達は敵である少年を倒した。 その『元少年』は今、ひっそりと町立図書館の片隅に並んでいた。 こうして日の目を見るのはほんの時々、誰かが彼を指名した時だけだった。 「呻く本がある、その本には暗号で自分の未来が載っている……本の名前は【エニグマ】」 本の中身は、ただ無秩序の文字の羅列だった。 時々文字は横を向いたり上下逆さまだったり、反転したり鏡写しだったりする。 時々文字の羅列から外れたページの隅に、落書きがあった。 落書きは、唐突に現れたり、消えたりした。
「助けられるモンなら、助けてやるんだけどな」 ページの隅には『おまえに期待してない』と落書きがあった。 どんな顔をしているか、容易に想像がついた。 ちょっと目を細めると、開いているページの文字の羅列が顔の表情のように見えたりもした。 そっぽを向いて、それでも期待していないなんて顔ではなかった。 整った顔をしていたな、と思い出す。鋭い切れ長の目だった。 触ったら容赦なく手のひらに穴が開くんじゃないかってほどの鋭さだった。 「お前とは案外気が合いそうなんだよな〜」 ページをめくった先、一行目の文頭は『うそつき』だった。 ページをめくって、本と語り合う。 語りかけの答えが本の中に、無秩序に思える文字の羅列の中にあった。 「俺はお前の事が少し好きになった」 そのページの文末は『やめろ』。 次のページの文頭は台詞カッコのついた『「おまえなんかきらいだ」』だった。 「お前のにおいが結構好きだ。紙のにおい、本のにおい、図書館のにおいだな」 行の一番上だけを読むと『きしょくわるい』だった。ページ隅の落書きはなかった。 「素直じゃないところも、かなり好きだ」
ひとしきり本のページをめくって独り言を呟くだけ呟いて、 落書きが現れなくなったのを合図に、噴上裕也は本を閉じた。 ぱたんと本を閉じた音が微かに『いくのか』と聞こえたような気がした。 適当にページを開いてみると、本の閉じ部分に『またこいよ』と落書きがあった。 「それ流行のツンデレか?」 そう呟いたら、瞬きの間に落書きはなくなっていた。 「本当は、持って帰りたい。俺だけの本にしてやりたい」 本を手にとって背表紙の辺りを、泣く子にしてやるように優しく撫でる。 開いていたページの文字の羅列の中、斜めに文章を読むと 『 こ こ か ら つ れ だ し て ほ し い 』 そう読めた。 受付で本を返すと、噴上裕也は図書館を後にした。 辺りは西日によってすっかりオレンジ色に染まっていた。 程なく彼の【スタンド】、【ハイウェイスター】が一冊の本を手にして横に並んだ。 『暗号の本があって、そこに自分の未来の伴侶の名前が記されている』 本のタイトルは【エニグマ】だった。 □ STOP ピッ ◇⊂(´д`;)イイイイ、イジョウ、ジサクジエンデシタ!オソマツサマ!
テラGJ!!!ツンデレエニグマ萌えタァ!!!
すげー遅レスだけど
>>72 GJ!!泣かせやがって。・゚・(ノД`)・゚・。
GJ! 雰囲気が素敵でした!
噴宮GJ!!ツンツンしたエニグマ本可愛いよ。寂しかったんだろうなあ
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 工ムゼ口 木冬父×久澄 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| エロ練習作ですが・・・・・・ | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
絹のようだ、と久澄は思う。 暗がりの天井からたらたらと落ちてくる長い髪は、ほのかに光っては久澄の肌をくすぐる。 それが酷く柔らかくて、心地良くて、思わず強く引っぱってしまった。無意識のうちに。 途端、首筋辺りに落とされていた吐息が声にかわるのがわかった。 「…可愛い所もあるようだな」 「う、るせー」 楽しそうな、けれども普段よりずっと低い声が久澄の耳を打つ。 緊張と羞恥でかすれた久澄とは対照的な、熱い、熟れた声だった。 それだけで久澄の体はかき乱されるような感覚に陥るというのに、相手はただ小さく笑うだけなのが気に入らない。 時折首筋に弱く吸いつかれてはじっとりと舌で舐め上げられたり、腹や太股を大きな手のひらで撫でられたりする度に久澄は固く目を閉じて唇を結んだ。 絶対に声など上げたくなかったし、何より木冬の顔など恥ずかしくて見ていられない。 木冬父と見つめあう自分を想像するだけでも背筋がゾッとする、と以前久澄は思ったものだが、今久澄の内に渦巻くのはそれによく似た、けれども違う感情だ。 それが余計久澄を混乱させている。 男とするのなど当然初めてだ、と久澄が言ったら(と言っても久澄に女性との経験があるわけではないが)、ならゆっくりしてやろうと返ってきた。気に入らない。 そもそも久澄などもうシャツが上半身に引っかかっているだけだというのに、木冬は襟元のボタンを二つ三つ外しているだけなのも気に入らない。 「……なぁ、脱げよ」 指先に絡む滑らかな髪を緩く引いてみる。 久澄と木冬の間には確かに埋まることのない大きな壁があるが、それでもどこかで対等でいたいと久澄は思う。 ささやかな抵抗を感じた木冬はまた笑うと、顔を上げてするすると自分のシャツに手をかけた。 ──気に入らない。
節くれの目立つ指が残ったボタンをあっという間に外してゆく。 久澄の上で露わになるその体は意外にしっかりとしていて、ほんのりと香水の甘い香りがした。 いつの間にか慣れ親しんでしまった匂いだ。 密かな緊張の続きの生活の中、この香りを吸うといつだって安心していた。 それは紛れもない木冬の匂いで、それを意識した途端胸が苦しくなったのを久澄は今でも覚えている。 ぼんやりとその光景を眺めていた久澄は、しかし木冬の指先がためらいなくベルトにたどり着いたところで慌てて目をそらした。 こんな状態になっておいて今更とも思うが、別に望んで見たいわけでもないはずだ。そう、この行為は不自然でもなんでもない。当然だ。 やがて金属のかち合う音や布擦れの音が響いて、久澄は思わず今の自分を想像した。 久澄のズボンはとうに下着と一緒にベッドの下だ。情けない、としか言いようがない。 いよいよ恥ずかしくなってきて、久澄は出来うる限りシーツに顔を押し付ける。 顔が熱くてしょうがなかった。 「脱いだぞ」 耳元で囁かれて、久澄は体を震わせる。 こぼれ落ちる金糸がひやりと頬を掠めていった。 同時に降りてきた指が久澄の顎を捉えて、そっと上向きに導く。 向き合った木冬は相変わらず唇の端を上げてゆっくりと久澄の唇を撫でた。その指があまりに優しくて、妙に気恥ずかしくなった久澄はシーツを握る。
「んなこと、言われなくたって……」 わかる、と紡ごうとして、柔らかな唇に遮られる。思わず目を見開いた久澄は、至近距離で木冬の顔を見つめた。 すぐに木冬の顔は離れ、また近づく。一瞬目が合うと木冬の目の縁が緩んで、それを最後に久澄はそろそろと目を閉じた。 熱を孕んだ木冬の手が久澄の頬を包む。何度も触れ合わせる内に互いの唇は唾液で濡れて、静かな部屋に小さく水音が響いた。 呼吸を忘れる程口付けに溺れる久澄が息を継ぐタイミングに合わせて、木冬が舌を滑り込ませる。 熱い舌先が触れ合うと、久澄の指は知らぬ間に木冬の髪を絡めとった。 まるで縋るように指先に力を込めて、久澄は僅かに声を漏らす。 木冬は丁寧に舌で口内をなぞってから、もう一度ざらついた粘膜を探った。 奥で小さくなっているそれを絡めとって吸い付くと拙いながらも必死に応えようとする。 その姿はあまりに幼く、不器用だ。それ故に、零れる吐息が愛しいと木冬は思う。 名残惜しげに音を立てて唇が離れると、久澄は深く息を吐き出した。 肩で息をする久澄を鼻が触れ合いそうな位置で見つめて、木冬は久澄の髪をなでながらもう一度言う。 「優しくしてやろう」 焦点の定まらない視界の中、それでも木冬が笑っている気がして、久澄は気に入らない、と呟いた。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 読みにくい上に微妙でスマソ | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | モ//怪・異端な薬売り→ハイパー。 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| こんなのもアリと思って貰えれば僥倖。 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ エロハナシダコルァ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
488 :
渇仰1/5 :2007/11/29(木) 01:03:10 ID:sYui7Hd20
「…本気か」 「…本気、ですよ」 どことも知れぬ空間、闇色に包まれたそこは先が見えず無限に広がっている ようにも思えるが、声はやたらと篭もって狭い密室にも思える。地面と空中の 境界線もないので、自分が立っているのか浮かんでいるのかさえ定かではなかった。 低く無感情な声に真意を問われ、薬売りは僅かに口端を吊り上げる。 迷う素振りさえ見せないその返答に、目の前の人影は訝るようにその目を 覗き込む。 嘘などいとも容易く貫いてしまうその視線にも、怖気づくことなく返る視線は ただひたすらに真っ直ぐだった。 「我と契れば、お前は人の形を失う。我の望むまま物の怪を斬るため、 輪廻の輪さえ外れて彷徨う事になるのだぞ」 形と、真と、理。これから永い時を刻む真、自らの内に潜めたたった一つの理。 それに比べたら、形を失う程度のことがどうだと言うのだ。 「構いません、よ…」 またも躊躇いの欠片さえない返答、彼が呼吸をしていたら、深い溜息の一つ でも零していただろうか。 「…もう現世(うつしよ)で逢う事は叶わぬぞ」 「全て承知の上…」 感情など灯るはずのない目に、一瞬迷いのようなものが見えたのは驕りだろう。 褐色の力強い腕に引き寄せられ、最後の口付けを交わす。 彼がヒトに近い姿をとってくれた事に感謝した。 合わせた唇は熱さも冷たさも感じなかったが、ただ思いのほか柔らかいと、 薬売りは見当違いな感想を持った。
489 :
渇仰2/3 :2007/11/29(木) 01:08:04 ID:sYui7Hd20
金色の隈取が奔流のように、腕から、唇から、脚から、触れた部分全てから 入り込んで来る。 力の証でもあるそれは、ヒトが受け入れるには余りに大きすぎて、全身が侵されて いくようだった。まるで身一つで大海原に投げ出され、海水を全て飲み干せと 言われているようだ。 「…あ、…ぁ…」 引き攣る声を絞り出すと同時、耳は尖り、全身の至るところに赤い隈取が走り 現れていく。身体が目になってしまったかのように、ありえないところまで視界が広がる。 いつの間にか、あるのかどうかすら分からない地面に膝と手をついていた。 姿の見えなくなった彼の気配はみるみる薄くなり、自分という器の中に蕩けていく。 固い音がして、ついた手の先に短い剣が落ちた。 これで。 これで。 まだ整わぬ息の中、薬売りは笑った。声はなかった。 彼の存在が、確かに自分の内に在る。 人と神が相容れぬものだというなら。 私のものにならないというのなら。 二度と現世で会えずとも良い、触れ合えずとも良い。 他の誰のものにもならないよう、幽閉してしまおう。 私という檻に。 これで、私が生きている限り、貴方は誰のものにもならない。
490 :
渇仰3/3 :2007/11/29(木) 01:09:14 ID:sYui7Hd20
突如視界が開けて、失われていた五感が戻ってくるような錯覚を覚える。 自分が先程まで立っていた大木の根元に座り込んでいる事に気付いた。 木の葉を通して幾らか和らいだ日差しや、遠くで響く鳥の声や、木々を揺らし 遊んでいく風も、何も変わっていない。変わったのは己のみだった。 傍らに置いていた薬箱、いつの間にか握り締めていた剣を棚の一つに仕舞い こもうとしたところで、柄についた小鬼のような顔がかたかたと動いた。 笑っているように見える。 『お前もこれで、ヒトから見れば立派な物の怪だな』 頭に直接響く声は、彼のものだった。 笑みを模る紅の下で、色の無い薬売りの唇が本当の笑みを浮かべる。 穏やかともいえた。 「いえ、…私はただの、薬売りですよ」 愚かにも神に焦がれた、ただの、薬売り。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 捏造しすぎた。今は反省している | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 最初のナンバリング間違えた…正しくは1/3です。 自分焦りすぎだ。すみません。
>>491 もう抜ける毛がないよ、姐さん(´Д`*)ハァハァ
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 今日俺 イトミツ?というより メツハシ→イタウ ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| メツハシ視点。報われません。 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 某曲をモチーフに、っつかモロですorz | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
赤い赤い血が滲む。指先を見つめる。 心臓がドクンドクンと脈打つ度に、傷跡からズキンズキンと痛みが走るようで。 これっぽっちの傷くらいで、何でこんなにイテーんだよ。 駅から出て、最初の角を曲がったところで見慣れた黒髪が塀から飛び出しているのを見つけた。 足音を殺してそっと近付く。息を殺して間合いを詰める。伊/藤が気付く気配はまるでない。 朝だから気ぃ抜けてんのか、それともコイツがバカだからか。 もう少し近寄ると、伊/藤は何か嬉しそうに鼻歌なんか歌ってやがる。 調子が外れてるのか、合ってるのかどうか分からないその曲を俺は知らない。 更にもう少しだけ近付くと、少し頭を屈めて、ずっと手元ばかり見ている。 あ、今コイツ、ゼッテーニヤついてやがる。情けねー顔してる。後ろ頭でもお花が飛んでるのが分かる。 こういう時の伊/藤は、 気に食わねぇ。
496 :
風と木の名無しさん :2007/11/29(木) 02:41:26 ID:bWomBqIg0
本当は後ろからイキナリくすぐってやろーかと思ってたけど、気が変わった俺はそっと靴を脱いで、歩調に合わせてひよひよ揺れるウニ頭目がけて思い切り放った。 パコーン、と、気持ちのいい音が響く。伊/藤はフギャっと情けない声を出しながらよろけた。 「ッテメーッ、あにすっだよイキナリ!」 「テメーの後姿が気に食わんかったからじゃ」 思ったとおりの事を言っただけなのに、伊/藤は怒りを通り越して呆れた、とでも言うように、盛大な溜息をつく。 「朝から血の気盛んねオマエ」 「オメーがバカ面でニヤニヤしてるのが腹が立っただけじゃ」 「あのなぁ……何でそんなことでいちいち腹立て……」 急に何かに気付いたような素振りで、伊/藤は慌ててその右手を隠す、が、一瞬遅かった。 素早さで俺に勝とうなんて100年早えー。 伊/藤が言い終わらないうちに、その手を掴み、大切そうに握られていた紙切れを掠め取る。 テメーコノヤローとか何とか言いながら突っかかってくるのを一蹴して、その二枚の名刺ほどの大きさに、小さな文字で印刷された文字を読み上げる。 「東/京/デ/ィ/ズ/ニ/ー/リ/ゾ/ー/ト/2デーパスポート……」 その横にはご丁寧に、見覚えのあるキャラクターがこっちを向いて笑っていた。
「何だこれ、どーしたんだよこれ」 「返せ!!」 「8800円!?ウオー高ぇー」 「返せってんだろ!!」 「2デーって二日か?二日もあんなトコ行くんかオマエ」 「頼むから返してくれよぉー、こればっかりは、ホント」 いつもなら俺の頭の一つでもドツいてくる伊/藤が手を合わせて頭を下げてくる。 そこまで必死になんのか。 情けねーのな。 「京/子と行くんか?」 「京/ち/ゃ/ん/、誕生日だからさ。奮発したんだよ」 伊/藤は細い目を益々細めて、今回だけはゼッテー邪魔しないでくれ!と懇願してくる。 情けねー。マジで情けねーぜ。 こんな事ぐらいで、胸がズキズキ痛む自分が。
「二日あんならよ、次の日は俺が遊んでやってもいーぜ」 「……いやいや、そうじゃなくて、ラ/ン/ド/とシ/ー/両方行くんだよ。」 「―次の日は京/子の誕生日じゃねーじゃん」 「カンケーあんのか、それ」 「そりゃこっちの台詞だな。誕生日ぐれーで、んな奮発するよーなもんでもねぇだろうが」 伊/藤はさすがにムッと来たらしい。眉間に皺寄せながら、とにかく返せ、とつっかかってきた。 ムキになるところがますます気に食わない。身をかわして、からかうように右手を頭の上でひらひらさせてみる。 「―三/橋!」 急に真剣な声で呼ばれて、一瞬立ちすくんだ。その隙に伊/藤の手がその二枚の紙切れを引っ手繰った。 指から抜けるときに、しゅっと鋭い音がして、あ、と思った瞬間、赤い血が人差し指を伝う。 「―!っ悪ぃ……」
俺の手を伊/藤が掴む。 本当なら思いっきり一発かましてやりたいのに、血が滲んだ人差し指を、伊/藤が口元まで持っていくのを見ながら、呆けたように突っ立っていることしか出来なかった。 足元がふらつく。頭の中は、さっきの伊/藤の声がぐるぐる回っていた。 口に含んで、舌でそっと舐められる感覚。傷口を這うように動く。 その甘いような感覚は、痛みと共にじんじんと指先を伝わって、心臓まで到達しそうだ。 思わず顔を上げると、伊/藤と目が合った。俺の顔を見て、ぎょっとしたように指を離す。 「……や、何か痛そうだったし、血垂れそうだったから思わず舐めちまった。ごめん、痛かったか?」 「……ば、っか……気持ちワリーんだよこのカッパが!」 「……言われてみりゃー、だな、男同士だし……」 本当の本当に、こいつはなにを考えてんだ。
「そーいうことはな、京/子にしてやんのが普通だろ」 背を向けて、学校とは反対方向に歩き出す。 「おっおい、ガッコは?」 「指が痛ぇから、フケる」 「お前なー」 「うっせぇ、俺の気が変わらんうちにそのチケット持ってさっさ行きやがれ」 それだけ言って、俺は咄嗟に走り出していた。 もしかしたら最後の言葉は声が震えていたかもしれない。 もしかしたらそれを伊/藤が気付いたかもしれない。 そしてもしかしたら追いかけてきてくれるかもしれない。 そんな地球が滅亡するよりも低い確率のことを考えながら、まだ薄く滲む赤い血を見ながら、胸の痛みを忘れるように必死に走った。
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ 2レス目ナンバリング&sage忘れ。すみませぬ…… | | | | ピッ (・∀・;) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>387 大アリだよ…!お陰で目が覚めた
GGGGGGJ!!!
503 :
502 :2007/11/29(木) 06:29:13 ID:9JFiiOEaO
>>494 GJ!
イトミツ好きなので涙が出るほど萌えた!
2人らしいかわいらしいやり取りがお上手なだけに、
切なさ倍増でした…
>>482 あの作品は健全に楽しんでいたけど開眼した。エロイヨー!!!!
>>482 おおおおおお
大好きなカプだ、まかさこで読めるとは
gjgj
ご馳走様でした〜〜〜
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 某昭和の大物suta-と周りの方々のお話 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| スター受けで、ベース、ギター攻めかな | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「俺、もう音楽やめるわ」 その言葉が、今も身体から離れない 「・・・なんか、疲れてしもうて」 「お前の出てるドラマにな、出してもらうことになった」 「役者っちゅうのも、面白いかもしれんな」 乾いた笑いとともにつむぎ出される言葉を、彼は、どんな顔で 吐いたのだろうか。 思い出せない。遠い過去でもない筈なのに。
熱に霞んだ視界に、初老の男の姿が映る。 その男は自分の胸を叩き、腕をとって針を刺し、最後にこう言 った。 「風邪と、過労ですな」 聴診器を外して、医者は後ろにいたマネージャーに答えた。 栄養剤と解熱剤をうっておきました」 マネージャに振り返り続けて言う。 「薬は処方しておきますが、安静にしているのが一番でしょ う」 「・・・そうですか」 苦虫を噛み潰したようなマネージャーの顔を見て、医者はベッ ドに横たわる男に憐憫の思いを感じた。 分刻みに働くことを宿命付けられたスーパースターには、一時 の安らぎも彼にとっては枷に過ぎないというのだろうか。 やつれた影を映した表情をもう一度振り見て、医者は立ち上が った。 「とにかく、熱が下がるまでは動かさないように」 もう一度複雑な表情のマネージャーに念を押して、医者はホテ ルのドアを開けた。
「あの」 「・・・分かってますよ」 医者は答える。 「ちゃんとホテルマンに聞きますから」 皮肉を込めた笑いを含んで。 「通用口から出るように」 「・・・・・お世話に、なりました」 マネージャーの言葉に手を振って、医者はドアを閉めた。 マネージャーのため息だけが部屋に残る。 熱狂的なファンが、今の彼の状態を知ったらどう動くか 分からない。全ては念を押しておかなければいけないのだ 視線をベッドに横たわる彼に向けながら、小声で呟いた。 「・・・明日が移動日で助かったな」 視線の先の男は眠っているのか、何の応えもない。色を失った 唇から、時折苦しげな息が漏れる。 世間を騒がせ、狂乱させ、時には苛立たせる美貌も、今は 無防備にこの部屋で倒れ付している。 「今年は一日も休まないと言ったのはお前だろうが」 つい悪態が漏れる。聞こえないように。 元々仕事に関しては実直な男だったが、今年はやけにしゃかり きになっていることは、少々懸念していた。 今回のことが、彼にとって良い自制になればいい。 マネージャは、そう考えることにした 「・・・・・・ゆっくり休めよ」 そういって、彼に背を向けた。 「・・・・・・今度いつ、こんなに眠れるか分からないからな」 哀しい台詞を残して、部屋を後にした。 最上階にある、スイートルームを。
同じホテルに宿泊しているが、バッグバンドである彼らは彼と 違って、平均的な階の平均的な部屋をあてがわれている。 それでも、彼が「自分のバンド」を銘打ってくれているだけ、 他のスタッフより格段に待遇が違うのだが。 その中のリーダーである男の部屋にメンバーが集まり、マネー ジャーから彼の容態を告げられた。 「とりあえず、明日のスケジュールは変わらず移動、あいつ に関しては、経過しだいだが別行動の可能性もあると思ってて くれ」 「・・・わかりました」 全員がしんねりと首をうなだれて、マネージャーの言葉に頷い た。 「それから、今夜は余程のことがない限り、ホテルから出ない で欲しい、どこから嗅ぎつかれるか分からないからな」 人気アイドルが病気でダウン。それだけで格好のマスコミのネ タになる。虎視眈々とどこかで彼らを狙うものはここかしこに いるのだから。 その言葉に、もう一度全員が頷く。 「・・・分かってますよ」
それじゃ、といってマネージャーは部屋を出て行った、彼はこ れから、事務所への対応、明日以降への仕事への状況把握とや ることは山ほどあるのだ。 「あーあ、今日は缶詰かよ」 ベッドに寝そべりながら、メンバーの一人が苦笑を漏らした。 「ぼやかないぼやかない」 誰かが諭した言葉に肩を竦めながら、身体を起こした。冷蔵庫 から缶ビールを取り出し、プルトップを空ける。 「・・・・・あいつ、大丈夫かなあ」 口をつける前に、ふと口についた言葉。返事は無い。 沈黙が、部屋を包み込んだ 熱のせいで深い眠りにつけないまま、夢とも過去ともつかない 景色を見る。 夜の河原に仰向けに横たわる二人、流れる川のせせらぎの音を ずっと聞いていた。 「明日は東京かあ」 「そうやな」 彼が答える。 「やっていけるかな」 「何とかなるもんやろ」 彼が笑う。 「お前がおるから、何とかなるやろ」 そう言って笑った、彼の笑顔。覚えているのに。
どうして、どうして、どうして 「・・・・・寒い」 両腕を抱きしめても、冷たい腕に温もりはなく。 「・・・・・・・寒いよ」 目じりから一筋、涙が零れた。 「・・・・・今回は特例だからな」 「分かってます、感謝します」 マネージャーからマスターキーを受け取る。 おせっかいだと分かっていながら、どうしても見過ごすことが 出来なかった。 部屋に入ると、広い部屋に震える子供が涙を流していた。 どうして、どうしてと誰かを求めながら。 「おい・・・」 思わず駆け寄り、手に触れる。びくりと彼の身体が跳ねた。 「あ・・・・・・」 こちらに振り返る。 微笑んでいた。 「戻って・・・きた・・・?」 手を、強く捉まれる。 「ここに・・・おる・・・・?」 泣きそうな顔で、微笑んでいる。何処にもない、誰かを見詰め。
それでも 「ああ、ここにおる」 そう言うしか、なかった。 彼の笑みが崩れた。 「・・・・・・嬉しい・・・・・」 うれしい、うれしい、ここにいてくれる、ずっと側にいてくれ る。 つかんだ手が、引き寄せられた。彼の手が、背中に回る。 熱に浮かされた胸に抱き込まれる。 「離さない・・・もう二度と」 それは誰を言っているのか、分かってしまった。 それほどにまで、求めていたのか。そう思うと、胸が締め付け られる。 両手で彼の顔を包み込む。熱で曇った瞳には、自分の姿は映っ てない。 「そんなに・・・」 辛かったのか、寂しかったのか。
激情が身体を走った。 思わず唇を重ね合わせた。彼の身体が一瞬強張る。それでも、 すぐに緊張がとけた。 なすがままに唇を吸い合わせてくる、全てを受け入れるかのよ うに。 唇を離すと、彼は笑っていた。 「なんだ・・・」 幸せそうに、微笑んでいた。 「こうすれば、よかったのか・・・」 少し哀しげに、 「皆にされること・・・・お前もしたかったんやな・・・」 そう呟きながら。 思わずの彼の胸元に目をやる。明らかに情交とわかる、跡が見 える。 「お前・・・・・」 彼は呟く、 「そうか・・・・・」 熱にうかされて、 「そうすれば・・・・・・」 そうすれば お前は音楽、続けてくれたんやな 「ごめんな・・・・」 彼をきつく抱きしめた。骨も折れよ言わんとばかりに。
求めた者と違う人の胸の中で、彼は何度も謝罪の言葉を口にす る。 決して届かぬ、謝罪の言葉を、求める言葉を、罪の言葉を。 その言葉を聞くものも、彼の哀しさをいとおしいと感じるもの で。 でもその思いは、側にいても、決して彼には届かない。 誰にもどうすることの出来ない想いは、互いの涙で洗うことも 出来ずに、彼はただ、愛しいものを想って、かりそめの夢の中 で笑っていた。 かりそめの腕の中で。 泣き出しそうな声で。
初めての棚投下なので、お見苦しいところがあると 思いますが勘弁してください。 途中改行変になっちゃったよママンorz
____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ エチシーンカキタカッタナ | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
やまだたいちのミラクル _________ |┌───────┐| |│l> play. │| |│ |│ |│ |│ |│ |│ |└───────┘| [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::] ∧∧ ( ,,゚) ピッ ∧_∧ ∧_∧ / つ◇ ( ・∀・)ミ (` ) . (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒) | ┌‐^────────────── └─────│たいち→やじま TVに向ってやじばさん連呼し過ぎな理由。 └───────────────
オールスターゲームまでに・・・・・・、オールスターゲームまでに・・・・・・。 そう思いながら太一は、木にバッドを打ち続ける。矢島に言われたとおり手首を鍛える為に。 「ぃでっ!!」 太一は木に跳ね飛ばされ尻もちをつき、バットがころころと手放した方向に転がる。立ち上がってバットを取ろうと思ったが、痛い手首で支えられなく、腰が上がらなかった。 太一は顔を歪ませる。 太一は矢島に言われてから毎日練習をしているが、まだ一度もバットを木に固定できた事はなかった。頑張ってはいるが、もともと弱点の部分だったためか、なかなか強化できないでいた。 思わず涙が出そうになり、急いで顔を上げた。そうしたら、木々の枝の間から月が顔を覗かせていた。太一はきょろきょろと辺りを見回す。 既に夜だった事に今更ながら気づいた。何時もの事だが、練習していると時間の概念が無くなる。 そう言えばろくに食事もしていない。チームメイトの平田か誰かが呼びに来たような気がするが、よく覚えていなかった。 木々の暗闇の中、注意深く目を配せると、近くの木立にオニギリと水筒があった。誰か置いておいてくれたのだろう。 太一は手首を上手く庇い、そこまでハイハイで移動すると、お皿に掛っているラップを外し、オニギリを頬張った。
水筒のお茶を飲んで一息吐く。何気なく強化途中の手首を見て、矢島の事を思った。 ―――やじまさんなら、練習止めさして、ご飯一緒に食べてくれるだけどな。矢島には入院以来会っていない。 お見舞いに行きたかったが、手術まで絶対安静のようで、お見舞いに行ける時間や人数が制限されていた。それに、試合や訓練等で忙しい太一には難しかった。 太一は寂しくなって、もう一度泣きそうになりながら鼻水を啜った。 矢島は太一に対しての練習や訓練を、丁度良い感じでコントロールしてくれる。平田なんかも調整はしてくれるが、平田は要のキャッチャーとしてチーム全体を見ていたりするので、ほぼ太一専属コーチと化している矢島とまでとは行かなかった。 それは仕方がない事だし、自分が好きで練習しているから恨み事は思いつかないが、矢島が居ないとこんなに違うものかと思った。 「会いたいなー。」 太一はぽつりと声に出して思いを呟いた。 それと同時に、そんな事を思う自分にびっくりした。弟の泰二以外に、傍に誰か居て欲しいと思ったのは始めてかもしれない。 太一は野球が絡まなければ結構人見知りだった。弟の泰二以外の人間と一緒に何かしたいと思ったのは、監督の三原だけだ。アストロズを優勝させるという誓い。でも、これは泰二も絡んでいるので、一概にそうとも言い切れない。太一は首をひねった。 そして矢島を思い出す。怖い顔一つしないで、何時でも微笑んでいる。 自分の話を良く聞いてくれて、協力してくれて、とても褒めてくれる。
あの大きな手で、頭を撫でらるれるのがすごく好き。 ―――やじまさんに撫でて欲しいなー。痛い手首を摩って欲しいなー。 太一は少し赤くなりながら、いつもの白昼夢よろしく妄想の世界に旅立とうとした。 しかし、手首が痛いのを思い出し我に帰る。 今、矢島は自分の傍に居ない。 ―――もしも、もしもずっと居なくなったら? ふと思った事に、白昼夢の妄想で赤らめた顔が一瞬で青くなった。 『おまえは矢島にビョーキをうつして殺そうとしてるんだ』 前に矢島の友人で、タイガースの相原が言っていた言葉を思いだした。 アストロズのみんなは太一に対して、矢島の病気は少し心臓が悪いだけで、手術をすれば治ると言っていた。しかし、本当はもの凄く死にそうなくらいに悪いのではないか?それも自分のせいで? 太一は震えだした。 ―――手首、まだ出来ていない。 アストロズを優勝させるには不可欠だと矢島は言った。自分と泰二と三原監督で、アストロズを優勝させると誓った。だから今は訓練して、練習しないとダメだ。 ―――でもどうしよう、、、おれのせいで死んじゃったら、死んじゃうの? 太一はぽろぽろと涙が出てきた。
―――今度の試合はいつ?手首が出来るのはいつ? これが一番大切な筈なのに、太一はそれよりも矢島の事を考えていた。 ―――手術はいつ?矢島が帰ってくるのはいつ? 太一は慌てて立ち上がり、夜の闇に駈け出した。 夜、夜中。 矢島の病院まで来た太一は、やっとの思いで来たのにどうしたら良いか困った。 外来正面入り口は当然閉まって入れない。夜間受付はあるだろうが、太一の頭には無かった。 外から病院を見上げる。病室は覚えていた。入院の帰りに見上げたら、一緒に来ていた平田が教えてくれた。 ―――お外から昇ろう。 太一は至極単純に考えた。危ないという考えは無かった。石田と崖を登ったそれがあるので、なんとかなるだろうと。 ちょっと怖い思いをしたが、なんとか矢島の病室の窓に辿り着いた。個人部屋だからか幸いに、室外機置き用に狭いベランダが付いた。太一は手すりに座り窓を覗く。カーテンが閉まっていて中の様子は伺えない。取り合えず軽く窓を叩いてみた。 当然中から反応は無いだろうと、太一は何故だか冷静に思った。 ここまで勢いで来てしまったが、もう時間が時間だし、矢島が起きているわけがない。やっぱり反応は無いので太一は溜息を吐く。 そして来たルートを戻ろうと手すりに立ち上がり、壁伝いに下ろうとしたら、いきなり矢島の部屋のカーテンが開いた。
最初、矢島は目の前の外の景色として月を見たが、それを少し隠すように小さい人影があった。 いや、何か居ると思ってカーテンを開けたから、居るのは驚かなかったが、居るのが太一だったので解った瞬間、心底驚いた。 「やじまさん!!」 にわかに信じがたかったが、太一の大きな声がした。ホンモノだ。 「―――た、たい―――!?」 太一が手すりでぴょんぴょんジャンプしたから、驚く以前に心臓に悪すぎる。「やじまさん!やじま、わぁ!!」 「!!」 矢島が慌てて窓を開けたら、太一は手すりから足を踏み外した。 太一が落ちる寸前、矢島の手が太一を掴んで引き寄せた。太一の身体の小ささと矢島の腕力で助かった。矢島は太一を掴んでぶら下げたまま、窓辺からベランダに身を乗り出した格好で溜息を吐いた。 「どうしたんだ太一?どこから来たんだ?」 矢島は太一を部屋に入れるとちょっと困った顔をして太一に訪ねた。しかし、太一は顔を真っ赤にして矢島の足にしがみ付いていて、自分の名前を呼ぶばかりだった。 これはどうしたものかと思いながらも、太一が来てくれたのは正直嬉しかった。入院以来、全く会っていなかった。 だから、久しぶりに矢島は太一の頭を優しく撫でる。そうすると太一は矢島の名前を呼ぶのを止め、矢島の方を見上げた。 太一は頭の上を撫でられるより、額から髪を掻き揚げるように撫でられる方が好きだ。矢島は何の躊躇も無くそうしてやると、太一は普段大きな眼を珍しく細めて気持ちよさそうにする。
―――猫みたいだな。 矢島はよくそう思う。 太一はあまりの気持ちよさに、そのまま身を預けそうになったが、撫でられていて思い出した。 「あ!やじまさん!おれ、おれ、、、大丈夫?ビョウキ平気?手術いつなの?オールスターゲームでれる?」 太一は矢継ぎ早に質問した。焦って質問する太一を矢島は静かに見つめる。 「もしかしてダメ?なの?ビョウキおれのせい?どうしよう、、、おれ、おれ、、、。」 太一は不安になって泣き出す。鼻水を垂らして、先ほどとは違い、大きい目をめいいっぱい広げてぼろぼろと涙をこぼした。 「おれのせい、、、おでのせいで、、、やじばさん、死んじゃうー。」 矢島は本当に困った。 太一の質問、矢島の病気は簡単なモノでは無い。オールスターゲームどころか、手術してもこの世に居られるかどうかも解らない。 「死ぬかもしれないが、太一のせいじゃない。」 矢島は太一を見つめて静かに言った。太一は衝撃的な矢島の言葉に驚く。 「死、ぬの?」 太一は音にならない言葉をなんとか取り出して口に出した。 「解らない。死ぬかもしれないし、死なないかもしれない。」 矢島は答えれる正しい答えを言う。太一には自分の事で嘘を吐きたくないと思った。 「何で?何で?何で?おれどうしたらいい?何したらやじまさん大丈夫になる?」 太一は矢島の顔を見て必死に聞いた。しかし、矢島はにっこり笑って答えなかった。
「死なないよね?」 太一はゆっくりもう一度聞いてみた。矢島はそれにも答えない。 「指きりのやくそく、うそ?」 答えてくれない矢島に、太一は更に聞く。 「それは嘘じゃない。」 矢島は返した。 今度は矢島が、太一とは正反対に冷静に質問してきた。 「・・・太一、強い手首はできたか?」 太一は慌てて答える。 「うわ!ごめんなさい。手首、、、まだ。」 鍛えている手首を握りしめ、もう片方の手で手首を抑えた。 「そうか。大丈夫、強くなるまで根気強くやれば良い。」 矢島はゆっくりそう言うと、太一をベッドに腰かけさせ、自分も隣に腰をかける。そして太一の鍛えている手首を取り、優しく撫でる。 太一は幸せな気持ちになる。矢島は自分がして欲しい事を、して欲しい時にちゃんとしてくれる。 「太一、俺は約束したよな?一緒に優勝するって。」 「うん、うん。」 うっとりしはじめた太一に、矢島は話し始めた。 「俺が教えたこと、おまえは正しく守って、それが出来ている。この手首もそうだろう?訓練はちゃんとしているだろう?」 「うん!やってるよ!」 「俺が教えている事全て、お前が叶えてくれる。だから、一緒に戦っているのと同じなんだ。解るか?」 太一はコクコクと頷いた。
「太一が今よりもっと強くなることで、アストロズは必ず優勝できる。、、、俺がその場に居なくても、俺と一緒に優勝したのと同じなんだ。」 そう言って矢島はまた、にっこり微笑んで太一の頭を撫でた。 それとは反対に、太一は顔を歪ませ叫んだ。 「嫌だ!!」 矢島は驚く。 「嫌だ嫌だ!やじまさん居なくなったら嫌だ!一緒に優勝しないと嫌だ!」 太一は矢島に抱きついた。 「おれ、おで、、、やじばさん居ないと、練習とか優勝、出来ない。一緒に、傍に居でぐれないど、、、ずっと一緒に、、、。」 太一はまた、わあわあと泣き出した。 太一の言葉に、矢島はなんとも言えない気持ちになり、思わず太一を抱きしめた。強く、強く抱きしめる。 「やじばざん?」 太一は涙を止め、苦しい隙間からどうしたのだろうと矢島を呼ぶ。しかし、矢島は答えない。しばらくして、矢島は絞り出すように声を出した。 「俺も、太一とずっと一緒に居たい。」 それを聞いた太一は、嬉しくてドキドキしてきた。 「うん!うん!ずーっと一緒に居よう。それで、一緒にアストロズ優勝させよう!」 こんどは太一の方が強く矢島の首に抱きついた。 「だから、だから矢島さん居なくならないよね?死なないよね?」 太一は矢島の首から離れ、矢島の顔を見る。抱きしめられているので近いので、矢島の額に太一の額が付く。
「やくそく、守るよね?」 太一は矢島の目を見据えてそっと聞く。 太一の潤む瞳や、普段聞かない、切なく、囁くような問いかけをする唇が愛おしいと矢島は思った。自分はこれを失いたくない。 「おれにできること、ない?」 太一の問いに、矢島は静かに微笑んで、ひとつのお願いをした。 「約束は守る。だから、太一にひとつお願いしたい。俺がもし、もし死にそうになったら、太一の大きい声で、俺の名前を呼んでくれないか?」 何時でも元気が良い、太一の大きな声が矢島は大好きだった。 「太一の口から出る元気の良い声が聞こえると、手術もがんばれる。必ず約束も守れる。」 その矢島の言葉に、太一は顔をぱっと輝かせて頷く。 「うん!うん!おれ!かなーりよくわかった!やじまさんのおねがい、必ずまもるよー。」 太一は嬉しくて、また矢島の首に強く抱きつく。 「おれの声聞いたら元気になるよね?元気いくらでもあげる!やじまさん大好き!」 太一は高まる自分の気持ちをどう表現しようかと思ったが、考えより先に行動に出ていた。 大好きと言い終わった瞬間、太一は矢島の唇に、自分の唇を押しあてていた。矢島は何が起こったのか解らず、そのまま硬直した。 「やじまさん、絶対、ぜーったいやくそくね!手術がんばって、オールスターゲーム一緒にでようね?優勝しようね?ずーっと一緒に居ようね?」 太一は唇を離し、捲くし立てるように矢島に言った。矢島は何をされた考えが及ばず、コクコクとびっくり眼で頷くしかできなかった。 「よし!おれ、がんばって強い手首作るもんねー!」 太一は矢島から降り、入って来た窓を開けてよじ登った。 「おれ帰るよやじまさん!おれもがんばる!やじまさんもがんばってね!」 太一はそう言って、もと来た道を去って行った。 矢島は太一が目の前から居なくなってしばらくして、慌てて窓の外を見まわしたが、太一の姿は何所にも無かった。 矢島は今更ながら顔を真っ赤にし、妄想だか現実だか解らない出来事を胸に、遅い夜のベッドに入って眼を閉じた。 おしまい
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>521 GJ!GJ!!! 萌えたよ!ありがとう!
>>509 バリバリ昭和世代なのに誰かがわからんもどかしさにちょっと萌え
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
彼に会う前に一戦交える羽目になったのは予定外だった。 「お前それ大丈夫かよ?血ィ出てんじゃねーか」 案の定、顔を合わせるなり見咎められる。 手を取られ、袖の裂け目から覗く傷に口を付けられた。 傷口を探る舌の動きが、出血を促す動きに変わる。 あぁやはり、と苦笑する。 久し振りに訪れた魔界の気に中てられている。 溢れ出る血を啜り、嚥下する音。 「そんなことをしていたらいつまでも血が止まらない。そろそろ放してくれ」 しぶしぶ、といった様子で顔を離すのが可笑しくて、思わず笑みを零す。 「血がダメならこっち、いいか?」 下方を指差しながら言われた。 「こっち?」 指と同時に下へ向けられていた視線が、戻ってくる。 「飲みてーんだ」
呆気に取られ、一瞬言葉を失う。 だが人をして沈着と言わしめる頭脳はすぐに冷静さを取り戻し──取り戻した上で、いいですよ、と答えていた。 異様な熱心さで舐られている。 込み上げてくる感覚を、深い溜め息で遣り過ごす。 歯が掠める度に息を詰める。 視線を感じ薄く目を開ければ、自分を窺う両の目とかち合う。 重なる視線はそのままに、歯を立てられる。 背筋に震えが走った。 このまま噛み切られてしまったら、という恐怖。 同時に感じる、倒錯的な快楽。 「───ッ、」 極める瞬間湧き上がってきた笑みは、自嘲かそれとも、歓喜だったのか。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>509 GJGJ!!
受理タン儚げでいいっす
ギターの人セツナス
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|│l> play. │|
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( ,,゚) ピッ ∧_∧ ∧_∧
/ つ◇ ( ・∀・)ミ (` )
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└──────│某スレ
>>550 からのお風呂ネタ
.|せっちゃんの風呂嫌い捏造気味。
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「わああああああっ!!」 盛大な水音と共にロック/オンの悲惨な悲鳴が響き渡る。 4人の舞スターの内、ただ一人脱衣所で待機していたティエ/リア・アーデはその悲鳴に耳を塞ぎ、 眉間にしわを寄せてため息をついた。 「こらっ、刹/那! 暴れないで……っ、言うことを聞いてよ!」 「うるさい! オレは……風呂くらい一人で入れる!」 普段は穏やかなアレ/ルヤが、声を荒げて刹/那を羽交い締めにする。 刹/那もまた普段の冷静さを忘れ、泡まみれのあられもない姿でじたばたと暴れ回っていた。 しかしきちんと鍛えたアレ/ルヤの腕はビクともせず、 夢中でばたつかせている手足に洗面器やら石鹸箱やらが当たって浴室内を飛び回っている。 そんな刹/那の必死の抵抗の最中、冒頭で浴槽の中へ投げ込まれたロック/オンの頭に石鹸が当たり、 ゴツッと鈍い音を立てた。 アレ/ルヤがその音に振り返ると、頭の先までずぶぬれになったロック/オンが浴槽の中で怒りに震えていた。 「嘘つけっ! いつもシャワー室で水被るだけで仕舞いにするくせに!」 案外に大人げないロック/オンが浴室内に響き渡るような怒声をあげる。 あまりの剣幕にアレ/ルヤは、まるで自分が叱られたようにびくりと首を竦めてしまった。 刹/那は図星を突かれたためか、突然暴れるのをやめ、憮然とした顔のままアレ/ルヤの腕の中で収まった。 不機嫌ながらもアレ/ルヤの両腕におとなしく抱えられるその様は、まるで悪戯を叱られた後の猫だった。
「ちゃんと髪はシャンプーで、体は石鹸で洗わないとダメだよ。 水だけじゃ汚れは落ちないんだから」 「言われなくても、そのくらい分かってる」 アレ/ルヤの優しい声にもつっけんどんに低く唸り返す。 アレ/ルヤはこれ以上刹/那に何を言っても無駄なような気がして、ロック/オンに目配せをした。 ロック/オンも浴槽から這い上がりながらアレ/ルヤを見やり、お手上げだという様に肩をすくめた。 アレ/ルヤはそれを見て同じように肩をすくめ、ため息をついて刹/那を拘束していた腕を解いた。 「しょうがないな……。 今日はなんとかキレイになったからいいけど、これからは一人で頭も体も洗うんだよ? 泡が目に入るのが嫌なら、今度地上に行ったときにシャンプーハットを買ってきてあげるから」 アレ/ルヤの許しの言葉に、刹/那がこっそりと安堵した次の瞬間、 まだ泡にまみれた刹/那の頭に洗面器いっぱいのお湯が被せられた。 「わっ」 「〜〜〜〜〜っっ!!」 突然の出来事に刹/那が声もなく体を硬直させ、ギュッと目を閉じる。 おかげで泡は目に入らずにすんだが、刹/那は鬼の様な形相で振り返り、ギロリとアレ/ルヤの背後を睨みあげた。 そこには、大人げなく洗面器片手に仁王立ちになっているロック/オンが同様の表情で刹/那を見おろしていた。 「次はねえからな」 まるで戦場で敵を狙い打つときの様に冷酷な声を出すロック/オンをフンと鼻で笑い、 刹/那はアレ/ルヤの膝の上から立ち上がって浴室を出て行った。
その後1 録荒 「ったく刹/那のヤツ、手間かけさせやがって……」 もうもうと立ちこめる湯気が濡れた服と肌にまとわりついて気持ちが悪い。 ロック/オンは雫のしたたり落ちる前髪を掻き上げ、浴槽の栓を抜いて用済みの湯を流した。 刹/那の風呂嫌いはマイスターになった当初から手を焼かされてきた。 水浴びだけでもするようになったのは刹/那的には大きな進歩なのだが、現代人の衛生管理レベルにはほど遠い。 初めは、土煙の中から突然現代都市生活に放り込まれて戸惑っているだけだと思っていた。 しかし違うのだ。 刹/那は風呂が嫌いなのだ。 とりわけ石鹸やシャンプーのような薬剤を嫌う。 最初にシャンプーを頭に垂らしてやったときなどは、声なき悲鳴を上げて頭をぶるぶると振って嫌がった。 まるで犬か猫だ。 確かその時も自分たちは水浸し、泡まみれになって大変な思いをした気がする。 戦争を終わらせる前に、俺の育児戦争が終わるんだろうか……。 ロック/オンはそんなことを思ってため息をついてしまった。 そんなロック/オンの横でクスリと笑う声がした。 アレ/ルヤだ。 アレ/ルヤはロック/オンの育児に疲れ切った横顔を見つめながら苦笑のような笑みを浮かべていた。 ロック/オンがその視線に気付きアレ/ルヤの顔を見ると、アレ/ルヤは小さく、お疲れ様と囁いた。 先ほど似合わない大声を上げたからだろうか。少し声が掠れている。 ロック/オンはアレ/ルヤの長い前髪が頬にぺたりと張り付いているのに気づき、それが自分が刹/那に引っかけたお湯のとばっちりだと悟った。
「アレ/ルヤ、大丈夫だったか? 悪ぃ、びしょびしょになっちまったな」 厚めの前髪を指先で押し上げてやると、濡れた髪の間から金色の瞳が覗いた。 不思議な色合いの瞳はいつ見ても目を奪われる。 アレ/ルヤはロック/オンの指をくすぐったそうに避け、少し楽しげに笑った。 黙っていると冷たく見られがちなアレ/ルヤの容姿は、笑うと花が綻んだように可憐なのだとどれだけの人間が知っているのだろうか。 ロック/オンは男性に対する表現として適切ではないと思いながらも、アレ/ルヤの笑顔を愛らしいと思っていた。 少し困ったように眉尻を下げて微笑む彼を、抱きしめてやりたいといつも思う。 そしてロック/オンはただ一人アレ/ルヤからそれを許されているのだ。 この特権を使わない理由はない。 「君だってびしょびしょだよ、ロック/オン。ほら、髪が張り付いてる……」 ロック/オンは額に伸ばされるアレ/ルヤの指をおもむろに掴み、自分のほうへ引き寄せた。 ロック/オンの突然のアクションにアレ/ルヤは不意を突かれ、ロック/オンの方へ姿勢を崩す。 「ロ、ロック/オン……?」 訝しげなアレ/ルヤの瞳をじっと見つめ、ロック/オンは極力顔を近づけてアレ/ルヤの名を囁いた。 「アレ/ルヤ……」 低く篭もり、セクシーな響きになるロック/オンの声に、アレ/ルヤは彼の意図を知る。 ロック/オンの左手がアレ/ルヤの腰に回り、濡れたシャツの裾から侵入してこようとする。 「ロック/オン……、ぁっ……」 アレ/ルヤの目尻が恥ずかしげに赤く染まっていくのを、ロック/オンは間近で視認する。 (まぁ、こんなご褒美があるなら、子供のお守りも悪くないかもな……) ロック/オンはそんな風に溜飲を下げ、満足げに笑みを零した。
その後2 茶説 逃げるように浴室から待避した刹/那は、そこで待ち受けていた意外な人物に少し動揺した。 ロック/オンやアレ/ルヤのする茶番にもっとも興味を抱かなさそうな男が待っていたからである。 「逃げてきたのか、刹/那・F・セイエイ」 嫌みったらしくコードネームをフルネームで呼ぶティエ/リアを、刹/那はロック/オンにしたように殺気だった目で睨んだ。 「貴様には関係ない。そこをどけ、ティエ/リア・アーデ」 負けじとフルネーム呼びで応対するが、ティエ/リアの顔に特別な反応はなかった。 相変わらず、感情の読めない無表情で刹/那を見据えている。 「俺は俺の任務を遂行するだけだ」 「なんだと」 無機質に放たれたティエ/リアの言葉に刹/那が呻く。 任務、という単語に警戒心を強める刹/那の少し丸まった背筋からティエ/リアは猫を連想したが、 それを表情に出すことはなかった。 「ミス・皇からのミッションだ。お前が風呂を出た後のサポートをしろと、な」 まだこの茶番が続くと知って刹/那は激昂する。 「余計な……お世話だ!」 素早い身のこなしで刹/那はティエ/リアに蹴りを繰り出す。 しかし刹/那の足裏がティエ/リアの顔に届くよりも先に、ティエ/リアの華奢な指が強い力で刹/那の足首を掴んでいた。 足を引こうにも引けない不安定な体勢で刹/那は悔しそうに唇を噛みしめた。
そんな刹/那の額に、堅い鉄塊が突きつけられる。 黒い装甲と直角に曲がったシルエット、重さのある圧倒的な威圧感……。 懸命に無表情の仮面を被ろうとする刹/那を見て、ティエ/リアは微かに唇を歪め酷薄な笑みを作る。 「おとなしく髪を乾かされろ。さもないと濡れたコードで感電させるぞ」 脅しつけるように銃口、ではなくドライヤーの排気口を刹/那の額に押しつけると刹/那の顔が目に見えて引きつる。 ドライヤーはシャンプーを凌ぐ刹/那の天敵であった。 顔に吹き付けられる熱風を想像しただけで刹/那の背筋に不快感が走る。 刹/那はドライヤーをはね除けて後ろへ飛び退き、入り口を背にしてティエ/リアを威嚇する。 「オレに触るな……っ! こんなもの使わなくても……」 「言っておくが、濡れた髪のまま外へ出ようとしたら……君を後ろから撃つ」 そう言ってドライヤーを構えるティエ/リアの目は真剣だ。冗談を言っている風でもない。 冷酷なティエ/リアのことだ。このまま背を向ければ、たちまち後ろ手を捕まえて、 刹/那の意思にかかわらず、ドライヤーの熱風を当てることだろう。 そんなことになるぐらいなら、自分でやったほうがマシだ。 「こ、このくらい自分で出来る!」 情けなく震えてしまう喉を叱咤し、刹/那は虚勢を張る。 自分でやれば加減が出来るぶん、恐怖も薄れると思ったからだった。 ティエ/リアは刹/那の進言に少しだけ目を開き、次いで凄絶な笑みを唇に敷いた。 「ほう。ではやってみろ」 投げて渡されたドライヤーの重みを噛みしめながら、刹/那はドライヤーに目を落とした。 こう断言した以上、もはや刹/那に逃げ道は残されていない。 しかし刹/那は自分でドライヤーを扱ったことがなかったのだ。
長く垂れるコードは電源に差し込めばいいのだとして、肝心のスイッチはどこにあるのだろうか。 ドライヤーのグリップ部分には3つの窪みがあるだけだ。 どれがどの操作に対応するのかはグリップに印字されていたようだが、擦れて既に解読不能になっている。 ティエ/リアに大口を叩いた以上、使い方を聞くことなど出来ず、刹/那は途方に暮れて立ちつくしてしまった。 そんな刹/那を眺めながら、ティエ/リアは呆れてため息をつくしかなかった。 「……分からないな。何故君のようなお子様がガソダ厶舞スターなのか」 それから、めっきり静かになってしまったバスルームから漏れる声と物音に頭痛を催し、 こめかみを押さえてもう一度深くため息をついた。 _________ |┌───────┐| |│ロ stop. │| |│ |│ |│ |│ |│ |│ |└───────┘| [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::] ピッ ∧_∧ ◇,,(∀・ ) 連番ズレタorz . (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒) | | └────────────────┘
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 某スレのアレ。
一瞬、何が起きたのか解らなかった。 突如、視界を覆った黒。危ない、という聞き慣れた声。甲高い悲鳴。無茶だ、という声も混じっていた気がする。 どん、という鈍い音。追うのはばしゃ、という水音。 また、悲鳴。そして、闇が晴れた。 「メフィスト2/世っ!」 そう叫んだのはこうもり猫だったか。そこで初めて、闇の正体が彼だと知った。 今まさに右方向へと視界から消えていく、白いシャツが頂く真っ赤なネクタイが、やけに大きく思えた。 「いやああああっ!」 悲鳴。鳥乙女だろうか、それとも幽子か。悲鳴の理由が見つからない。 否。脳が拒絶している。 「よくもメフィスト2/世をぉっ!」 怒りに顔を真っ赤に染めた妖虎が土ぼこりをあげて駆け出す。 勝利の笑みを浮かべんとしていた悪魔は、次の瞬間には真っ青な炎に包まれていた。 「ギャァァァァァァァァァァ!!」 断末魔。耳をつんざく、嫌な音。だがそれが、一つではない。 「…………え?」 足元。足元に、黒い固まり。真っ赤なじゅうたんに横たわる、黒衣の悪魔。 元より白い肌を青白く変えて、彼は虚ろな目で主を見ていた。 「よ、か、っ……た」 ごぼり。赤黒い液体が、気味の悪い音を伴って吐き出される。そんな姿を見てもなお、主の脳は現実を理解しようとしなかった。 「メフィスト2/世っ!」 駆け寄ってくる仲間達。その中央で、黒衣の悪魔はひうひうと空気を吐き出した。 「死んじゃダメだモン!」 百目が縋りつく。が、地に転がった白い手はぴくりとも動かない。 「だ、旦那ぁぁっ、しっかりぃっ!おいこらピクシー!早く薬、薬を作れよこのグズッ!のろまっ!とんとんちきっ!」 こうもり猫が急き立てるが、双子の小鬼はうなだれたままメフィスト2/世を眺めるばかりだった。 「メフィスト、2/世?」
やっと、声が出た。皆が弾かれたように振り向き、やがて力なく2/世の方へ向き直る。 倒れたまま動かない、真っ赤なじゅうたんをどこまでも広げる悪魔に、真/吾はそっと触れた。 「へ、へ、ごめ、な」 ごぶり、ごぼり。言葉を押し出すたび、赤暗色が地面を叩く。 生暖かいそれに触れて、真/吾はようやく眼前の悪魔が死に行こうとしているのだと理解した。 「いやだぁぁぁぁっ!!」 縋りつく仲間を掻き分け、真/吾は2/世を抱き起こした。その胸には、致命傷となった大きな刄が、背中から貫通していた。 「やだ、やだよ、2/世、何で、そんな、やだ、いやだ、2/世、2/世っ!」 何度名を呼んでも、赤く汚れた唇は動かない。虚ろな瞳はどこを見ているのか定かでなく、だらりと垂れた両腕も動く気配はない。 「いやだ、いやだよ、2/世、目を開けて僕を見てよぉっ!」 膝をついて座り込めば、生温い液体が下肢を汚す。彼の体から流れ落ちたそれの中で、真/吾は声のかぎりに叫んだ。 「……………………」 それに、応えたのか。ただ垂れているだけだった右手が、ゆるゆると持ち上がり真/吾の頬に触れる。 驚いた真/吾が見たのは、精一杯の笑みを浮かべた愛しい悪魔。 震える唇は言葉を紡がず、声にならない3つの音を静かに形作った。 シ ン ゴ 頬をゆるく撫でていた手がふいに力を失った。ずしりと重みがかかり、真/吾は重量を支えきれず2/世の体ごと血液のじゅうたんに突っ伏す。 ああ、と声が上がって、真/吾は目をむいた。 「に、せい?」 聞こえない吐息。 伝わらない心音。 閉ざされた瞳。 薄く開いたままの口。 それが何なのか、解らない真/吾ではなかった。
「メフィスト2/世さぁんっ!」 幽子の甲高い悲鳴を待っていたかのように、全員が泣き出した。……ただ1人、真/吾を除いて。 徐々に温もりを失っていく体を抱き締めたまま、真/吾はただ震えている事しか出来なかった。 泣く事も、忘れて。 ▼ 葬儀は、その日の夜に行われた。葬儀といっても、棺に彼の体を納め、そこに皆で花を添えて、土葬するだけの簡単なものだ。 「土葬、なんだね」 両手いっぱいの花を抱えた真/吾が呟くと、メフィストが小さく頷く。 「火葬するのは、とんでもない罪を犯した悪魔だけじゃよ」 自分よりも早く逝ってしまった1人息子を見下ろしながら、ぽつぽつと並べられる言葉にさえ、仲間たちは肩を震わせ俯く。 泣き腫らした目元をこすり、棺に花を入れる百目は何度も首を左右に振って、その度に付き添う鳥乙女がそっと小さな体を抱き締めていた。 12人の仲間からいっぱいの花を貰った2/世は、言われなければそれと解らぬほどきれいな顔をしていた。血を拭い、軽い化粧を施した肌は死人のそれとは思えない。 「メフィスト2/世、まだあったかいもん!まだ、生きてる、もぉん!」 「そうね、でもね百目ちゃん、あったかいけど、2/世さんは、もう、死んでるのよ」 同じく目を腫らした幽子がそう口にして、最後の一輪を2/世の手元に手向けた。 そこでいよいよ耐え切れなくなったのだろう、はじかれたように走り出すとそのまま部屋を飛び出していってしまった。 「あっ、幽子!」 既に献花を終えていたユルグが後を追い、部屋を飛び出す。ドアの向こうから、押し殺した泣き声がかすかに届いた。 「さ、悪/魔く/んの、番よ」 涙をぬぐって笑いかける鳥乙女に、しかし真/吾は笑い返すことが出来ない。泣く事も、出来ない。 無表情のままゆっくりと棺へ歩み寄り、花に埋れた第一使徒と対面した。 別れの言葉はおろか、今までの楽しかった思い出すら思い浮かばない。頭が、意識が、考える事を、思い出す事を必死になって拒絶している。
自分をなだめる言葉も、自分を慰める言葉も思い浮かばない。ただ淡々と花を捧げ、記憶にあるよりも随分硬い頬に触れて棺から離れた。 棺が閉じられても、それが大きな穴に下ろされても、その上に土がかけられても、真/吾が泣く事はなかった。 短い葬儀を終え、会話もなく見えない学校へ戻った面々は、満足に言葉を交わす間も無くそれぞれの部屋へと消えていった。 1人、大広間に残った真/吾は、何をするでもなく椅子に腰掛け、本人も気付かぬ間にある場所へ視線を送っていた。 集まれといっても、なかなか傍に来なかった彼。2人きりなら不要なほど傍に来るくせに、いざ皆と集まるとなると妙に距離を置く事があった。 そんな時、いつもそこに座っていた。己の身長の何倍もある大きな窓、それも部屋の奥のほうにあるそれの窓枠に腰掛けて、外を見ていた。 片足を上げてよりかかるようにして、決して長くない足をわざわざ見せ付けるように格好をつけて座るのが常だった。 そうでなければ、空中に座している事も多かった。鳥乙女や家獣、こうもり猫よりもよっぽど空中に居る時間が長かったように感じる。 そうでなくても木の上だの何かの上だの、とにかく高い場所に居る事が多かった。 「……」 メフィスト2/世という存在が完全に抹消された世界で、真/吾の思考はくるくるとよく回った。先ほどまで、頑なに沈黙していたのがウソのようだ。 だが、恐らくは。あのまま沈黙していてくれたほうが、よかったのだろう。 要らぬ事まで、考えてしまうから。 「……立ち止まって、いられない……」 言い聞かせるように呟いた直後、視界が歪んだ。 「ッ」 目から熱いものが零れ落ちる。彼がこの世を去ったのだと知った瞬間から今の今まで、気配すら無かったそれが後から後から溢れてくる。 「ぅ、ッ、く、ぅ、ッ、にせぇ……ッ」 色が変わるほど強く両手を握り締め、真/吾はテーブルに突っ伏した。
「1人に、しないって、約束したじゃないかっ……!ずっと、ずっと一緒だって、何があっても守ってくれるって……!」 拳でテーブルを叩き、クロスを握り締めて頭を振る。溢れ出る涙が言葉を歪め、吐き出す言葉が不明瞭になっていく。 その間も、思考はくるくる回り続ける。真/吾が望まずとも、くるくると、くるくると。 「にせぇ、にせぇぇっ……!」 2/世に会いたい、2/世と一緒に居たい、泣いている場合じゃない、前に進まなきゃ、自分こそがしっかりしなきゃ。 2/世が居なくなってしまった、2/世に会いたい、ここで立ち止まればこの悲劇が繰り返される、前へ進まなきゃ、前へ、前へ、前って、どこ? 混濁した思考が無数の言葉と現実を混ぜ合わせる。どれだけの間そうしていたか解らないが、あるとき真/吾は絶望に歪んだ顔を上げ室内を見回した。 「……違う」 室内には誰も居ない。恐らく、きっちりと閉じられたドアの向こうにも誰もいないだろう。 「僕が、1人なんじゃない」 乱暴に涙を拭い、真/吾は椅子を降りる。もう一度室内を見回して、彼から貰った最初の贈り物である唐草模様の風呂敷マントの裾を握り締めた。 「2/世が、1人ぼっちなんだ」 辿り着いた事実を口にした途端、背筋を冷たいものが滑り落ちる。冷たい土の下で眠る2/世を思い浮かべた真/吾は、迷う事無く足を踏み出した。 いつの間にか、外は真っ暗になっていた。時計は見ていないが、もうそれなりに遅い時間だろう。 こんな時間の悪魔界を1人で動き回るなんて正気の沙汰ではないと知ってはいたが、そんな事に構っている暇は無かった。 幸いにも、外はさほど寒くは無かった。自宅の窓から見るのとは違う、赤々と光る月を見上げて、真/吾は見えない学校を抜け出した。 行き先は、当然、彼が眠る場所。歩調は見る間に上がり、とうとう真/吾は走り出した。
「言って無いのに、2/世に、何もまだ言って無いのに……」 きり、と音を立てて歯を食いしばり、真/吾は先を急ぐ。 「お礼なんて全然言い足りないし、他にも言いたい事、いっぱいあったのに……何より僕、2/世に、一番大事なこと、言って無いのに」 墓地までは、さほど遠くない。それでも辿り着いた時には、すっかり息が上がってしまっていた。 「まだ、はぁ、まだ、何も、全然、言って無いのにっ」 地面に膝を突き、真/吾は土を掘り返し始めた。つい今しがた被せられたばかりの土は柔らかく、素手でも容易に掘り進められる。 だがそれでも、棺の蓋を外すにはそれを覆う全ての土を取り除く必要がある。爪に土が食い込んでも、皮が剥けても、構わずに手を動かし続けた。 手を汚すのが土なのか自らの血なのか解らぬほど汚れきった頃、ようやく棺の蓋に手が届いた。 より一層速度を上げて土を掘り返し、追いやり、真っ赤な月明かりを浴びながら全ての土を取り払った。 「は、ぁ、はぁ、はっ、あ、に、にせぇっ」 棺の蓋に手をかける。少々重たくはあったが、何とか……邪魔者を取り除いた。 「2/世……」 彼はまだ、花に囲まれて眠っていた。鼻先にラーメンを近づけたなら起き出すのではないかと思うほど、安らかな寝顔だ。自ら掘り返した土の上に座り込み、真/吾は涙を浮かべたまま笑った。 「2/世、愛してるよ」 語りかけても、何も返ってはこない。それでも真/吾は、微笑みかけたまま言葉を投げかけ続けた。
「僕ね、すごく感謝してるんだよ。君に。君、僕と出会ってから、満足に家に帰って無いでしょ?ずっと僕の傍に居て、僕のこと、守ってくれたよね。 助けてくれたよね。僕が宿題のノート忘れた時、取ってきてくれたよね。僕が本に夢中で階段を踏み外しそうになった時、さりげなく助けに来てくれたよね。 僕に何かあった時は、必ず駆けつけてくれたよね。まだあるよ、僕にラーメンを持ってきてくれたり、スコーンだっけ、おやつを分けてくれた事もあったよね。 君がつれてってくれた場所、沢山あるけど、全部覚えてるよ。君の背中、とっても乗り心地よかったよ。こんな事言ったら家獣が怒るかもしれないけど、家獣よりもずっとずっと乗り心地、よかったよ。 だから僕、君に乗ってあっちこっち行くの、大好きだよ。君と色んな所に行って、色んな事して、笑ったり、ケンカしたり、考えたり、悩んだり、とっても楽しかったよ。 ねえ2/世、聞いてる?僕、ホントに君の事が大好きで大好きで、とってもとっても愛してるんだよ?」 真/吾は恐る恐る棺の中へ降り立つ。眠る彼の体を踏まないように気をつけながら2/世の上で四つん這いになると、きっちり閉じ合わされた唇に自らのそれを押し付けた。 「おかしいよね、男なのに、男が好きなんて。でもね、僕ね、本気で君に恋してたよ。君が来るとドキドキした。君を見たらドキドキした。君に見られたら、もっともっとドキドキした。 君と一緒に居るのが楽しくて、君と一緒に居られない授業がすごく嫌で嫌で仕方なかった。他の皆も大切だけど、君は、ホント、特別なんだよ」 冷たい唇に何度も口付けを落とし、真/吾は冷たい体を抱き締めた。どんなに強く抱き締めても、もうあの優しい心音を聞く事は叶わない。 「……なのに、君を、独りぼっちにしちゃった」 冷たい胸に頬を寄せ、真/吾は目を伏せる。涙が零れて、2/世の白いシャツに小さなしみを作った。 「どうしよう、このままじゃ、僕、君を本当に独りぼっちにしちゃう」
抱き締めたこの体は、いつかは朽ち、土へと還っていく。魂を失って、更にこの体まで失うなんて、とても耐えられなかった。 それが、解っていたから。あの時、真/吾は考えることを拒絶していたのだ。 「ねえ、どうすればいい?どうしたら、君とずっと一緒に居られる?約束したもの、僕だって、君を1人にしないって約束したんだもの」 どんなに問いかけても、答えは返ってこない。閉じ合わされた瞼に口付けて、真/吾は必死になって考えた。 「どうしたらいいんだろう、どうすれば、君とずっとずっと、一緒に居られるんだろう」 失うなんて考えたくも無い。その為には、何か決定的なものが必要だった。 誰に奪われる事も。 誰に邪魔される事も。 誰の干渉を受ける事も無く。 彼と、共に在り続ける方法。それが早急に必要だった。 「…………!」 考えに考えた結果、真/吾はある物語を思い出した。 ドジな猫と、生意気な魚のお話。 宙返りの1つも満足に出来ない、ドジな猫は、兄猫達に笑われ、母には呆れられる毎日を過ごしていた。 そんなある日、小さな池で小生意気な魚と出会った。 2人は、友達になった。 2人が仲良くなるにつれて、ドジ猫は立派な猫に成長していった。 ドジ猫と呼ばれていたのがウソのように、宙返りもジャンプも華麗にこなすようになった。 だが、ある日。魚の事が、兄猫に知れてしまった。 母猫は、魚を獲る試験をすると言い渡した。それは、友達が殺されるのを見守るか、または自らが彼を殺すか。いずれかを選ばなければならないという事だった。 2人は毎日毎日、考えた。悩んだ。 試験が目前に迫ったある日、魚は言った。死ぬ覚悟は出来た、と。取り乱す猫に、魚は言った。 殺されるなら、君がいい。と。 君に、食べられたい。と。 君とひとつになって、ちっぽけな池を飛び出し、君と一緒に、どこへでも行って、色んなものを見たい、と。 猫は涙を拭い、応えた。 ぼくは、あなたを、たべます。と。
試験の日が、来た。兄猫達は、ずぶ濡れになって魚を追い回した。魚も負けじと潜り、飛び跳ね、攻撃を避け続けた。 とうとう末っ子……かつてドジ猫と呼ばれた猫の番になった。 猫は優しく友に語りかけ、戦い、そして―――― 魚と、ひとつになった。 「……ごめんね、2/世」 そっと頬を撫で、唇をなぞり、真/吾はもう一度口付けた。 「僕、君を、食べるよ。君の全部、食べるよ。食べて、君と、ひとつになるよ。君を独りぼっちになんかしない、僕と、いっしょになろう?」 真/吾の問いに答える声は、当然無いけれど。 真/吾には、彼が笑ったように、見えた。 そうと決まれば、ここから彼を連れ出さなければならない。どう考えても、一度に全てを食べ尽くす事なんて出来はしない。食べ尽くすまでの間、彼を隠せる場所が必要だ。 「……とにかく、ここを離れないと」 墓穴から空を見上げ、真/吾は噛み締めた歯の間から息を吐く。こんな所を誰かに見られたら、それこそ一大事だ。 「2/世、大丈夫だからね、今度は僕が、君を守るからね」 横たわる愛しい人にそう告げて、真/吾は一足先に墓穴を出た。2/世と1つになるには、まずこの棺から彼が姿を消した事を悟られない様にしなければならない。 棺から2/世を連れ出して、蓋を閉じ、元通り土を被せて形を整えるだけでも、一仕事だ。 「絶対、2/世と一緒に居るんだ……!」 大切に抱き締めていた想いの為に、彼の為に、真/吾は傷だらけの手に土を取った。 「手伝おう」 「!?」 心臓が口から飛び出すかと思った。恐る恐る振り向いた先には、かつて自分が憧れた悪魔が立っていた。 「メフィ、スト」 一体、いつからここに居たのか。何処から何処までを聞いていたのか。全てを知ってしまっているのか。自分が、彼を、食べると宣言した事も、知ってしまっているのだろうか。 青ざめる真/吾の前で、メフィストは1つ大きな溜息を吐くとステッキを取り出して軽く振った。 「ほれ、早く乗りなさい」
乗れと言われて示された方を見ると、魔導カーがあった。そこにはもう、眠ったままの2/世が腰掛けているではないか。 墓穴を見ると、そこはもう真/吾が来る前の状態に戻されていた。 「え、メフィスト?」 話が掴めず困惑の表情を浮かべる真/吾に、メフィストは笑顔とも困り顔ともつかぬものを向ける。 「さ、話は後じゃ。まずはここを離れよう」 そっと背中を押されて、真/吾は2/世の横に乗り込む。3人で乗るには少々窮屈だが、今はそんな事は言っていられない。 「行くぞ」 「……はい」 物言わぬ2/世を抱き締めて、真/吾はメフィストの運転に全てを任せた。 魔導カーは夜の闇を飛び、辿り着いた先はメフィストの家だった。 何をどうしていいか解らぬ真/吾を魔導カーから下ろすと、2/世の遺体を抱きかかえ、何も言わずに歩き出した。 「ここ……」 広い屋敷の中を歩き回り、案内されたのは天蓋つきのベッドが中央に堂々と座する部屋だった。 「せがれの寝室じゃよ。このところ、ずっと使われてなかったがの」 この豪華な部屋が使われないでいた理由をよく解っている真/吾は、ベッドへ横たえられる2/世をただ見詰めるだけだった。 「悪/魔く/ん」 「……はい」 次は、何だろうか。身構える真/吾に差し出されたのは、小さなナイフだった。 「食べすぎには注意するんじゃぞ」 あっけにとられ、真/吾はナイフを受け取るのも忘れてメフィストを見上げていた。 2/世を食べると宣言した事を聞かれていた事よりも、メフィストがそれをあっさりと許した事が驚きであったし、信じられなかった。 「わしゃ、せがれが望んでいるであろう事を、叶えてやりたいだけじゃよ」 メフィストはそう告げて、真/吾にナイフを握らせると部屋を立ち去った。戸が閉ざされ、2人きりとなった室内で、真/吾はナイフを握り締めたままベッドへと近づいた。 ナイフを強く握り締めたままベッド脇に立ち、ベッドに横たわる愛しい悪魔を見つめる。彼を土の下から救い出す際に傷つけた手を撫でれば、乾いた土がぱらぱらと絨毯の上に降った。
「こんな汚い手で触ったら君、怒るよね」 何か手を洗うことの出来るものは無いかと室内を見回すと、壁ぎわに小さな観葉植物らしきものとジョウロがあった。物は試しとジョウロを手に取ると、それはずしりと重かった。 「汚い水でごめんね」 ややひからびた植物の上で手を洗い、早足で2/世の元へ戻る。再びナイフを手に取り、さあどこから食そうかと視線を泳がせた。 食べやすいのは指先だろう。ごくりと音を立てて生唾を飲み、しみ一つない手袋に手を掛けた。 然したる抵抗もなく外された白布の下には、青白い肌があった。この手が、真/吾を守っていた。支えていた。引っ張っていた。 繋いだ事もある。殴り合いの喧嘩になったこともある。突き放したことも、引き寄せたこともある。 その手を、今から。 「ちょっと、痛むかも」 死後硬直さえ解けた手を握り、その左手の小指にナイフを当てた。ずぐり、とでも言えばいいのか。何とも言えぬ音を残して、小さな指は切り離された。 「……」 赤黒く汚れたナイフを握ったまま、真/吾は左手を解放して小指を拾い上げた。 「2/世……」 自分のそれより幾分小さな指。緩やかなカーブを描く腹にそっと口付け、意を決して口内へ招き入れた。 冷たい固まりが、口の中にある。歯を立てるのが申し訳なくて、でも丸呑みに出来る大きさでもなく、飴のように舐めながら迷う内、じんと舌が甘く痺れてきた。 「……?」 痺れ始めた舌はやがて確かな甘味を感じ始めた。随分暖まった指に歯を立ててみると、甘味は一層強まった。 「……ッ」 大粒の涙が零れ落ちる。固く閉じ合わせた目蓋を震わせて、真/吾は指を咀嚼した。 「2/世、美味しいよ、2/世っ」 ナイフを握り直し、再び左手を持ち上げる。始めの内こそそうして切り分けていたが、やがてまどろっこしくなって直接歯を立てた。
文字通り、真/吾は2/世を貪った。肉を齧り、骨を噛み砕き、滲み出る体液や血液を啜った。口や顔、シーツに至るまでが汚れていくことも気に留めず、腹が満たされるまで口を動かし続けた。 「はぁっ、はぁ、はっ、はぁ、はっ、はぁっ」 満腹を感じ、ベッド脇に崩れるように座り込む。上がり切った息を整えることもままならぬまま、悪魔を見やるとまだ左腕を根元まで失ったのみだった。 「これじゃあ、時間が掛かりすぎる……」 肩を上下させ、真/吾は涙と体液で汚れた顔を拭う。悪魔の体がどれほどで腐りだすかなど知りもしないが、いくら何でも一週間も二週間もこのまま、という事はないだろう。 だが、食べられる量には限界がある。真/吾はもともと、大量に食べる方ではない。 最大限の努力をするなれば、毎日の三食を全て……彼にする。これ以上はない。 その為には、一日に食べるだけの骨肉を切り分けて持ち帰るか、或いはここに来なければならない。見るからに食肉でないそれを、大量に持ち歩くのは良策とは言えない。 だが、連日連夜、家で一切の食事を摂らずにいるなどという事が、果たして可能だろうか。夜は頻繁に抜いていたが、朝というのはあまり経験が無い。それを連日となると、不要な詮索を生みかねない。 「君と、一つになるって決めたのに……っ」 無理をすれば、まだ食べられる。が、無理とは祟るもの。 「……2/世」 「やはり、その辺りが限界か」 戸の開く音もなく侵入を果たした人物に驚きもせず、真/吾は縋りついた悪魔の体を抱き締める。 「悪/魔く/ん」 亡骸の父が優しく肩を叩き、振り向くように促す。おずおずと振り向いた真/吾が見たのは、寂しげな笑みを浮かべるメフィストの顔だった。 「悪/魔く/ん、どうか、せがれを一緒に連れて行ってやってくれ。その為なら、何でもしよう」 一緒に。その音を聞くや、真/吾はこみ上げるものを耐え切れずぼろぼろと泣き出した。 一緒、一緒と繰り返し、何度も何度も頷いて、声を上げて泣いた。
▼ 朝は普段より相当早く起きて早く行かなければならないと理由を付け、何も食べずに家を飛び出す。そのまま学校へは向かわず、メフィストと合流し、魔界へ。 昼は先生に呼ばれているだのと言って仲間の輪を抜け、やはりメフィストと合流して魔界へ。 夜は夜でいつもと同じ調子で、調べものがあるだのと言ってしまえば誰も干渉してこない。それをいい事に、また魔界へ行く。 右腕。右足半分。残り半分。左足半分。残り半分。腰部分。内臓半分。残り半分。胸。 3日かけて喰われ続けた2/世の体は、とうとう頭部を残すのみとなった。 この3日間、2/世以外に口をつけた固形物など無い真/吾は、もう涙を流す事も無かった。 あの部屋へ行くたびに、どんどん自分と2/世がひとつになっていくのが嬉しくて、楽しくて仕方が無かった。 「とうとう、頭だけになっちゃったね、2/世」 微笑む真/吾は、2/世の頭をそっと持ち上げて口づける。化粧を落としたその顔はやはり死人のそれだったが、もう悲しむ事ではない。これを食べてしまえば、願いが叶うのだから。 一人にしないと誓った。 ずっと一緒だと誓った。 誰にも渡さないと誓った。 全てが、成就する。 「いただきます、2/世」 微笑さえ浮かべ、真/吾は2/世の頬に歯を立てる。びりびりと痺れる舌で肉を撫で、唾液と混ぜ込んだ肉を飲み下す。 痺れはじわりじわりと全身に広がり、真/吾はベッドに倒れこんで『食事』を続けた。 「2/世、とっても美味しいよ。ほら、もうすぐ、一緒になれるよ?」 骨を齧り。 「この目で、ずっと、僕だけを、見ていてね?」 眼球を噛み砕き。 「きっと君も、我慢してたよね?もう、言っていいんだよ?」 薄い唇は丸呑みに。 「ずっとずっと、囁いていてあげるから、聞き逃したりしたらダメだよ?」 耳は軟骨の食感を存分に楽しんでから。 「君の骨、とっても丈夫だよね。ラーメンばっかり食べてるわけじゃなかったのかな?」 骨はそのつど、小さく噛み砕いて。
「知ってた?脳を食べたら、記憶を共有できるんだってさ」 根気よく削り続けた骨の間から、淡いピンク色の塊が覗いた。脂肪と神経細胞の塊であるそれに骨の間から舌を伸ばして、表面を撫でるように舐めた。 「君が何を見て、どんな事してきたのか、全部見ちゃうからね?」 骨に歯を立てて穴を広げ、頭皮と髪も一緒に飲み下す。やがてぽっかりと空いた穴の中に、つやつやと光る脳が姿を現した。 「いただきます」 にこりと微笑んで口を開き、ピンクに口付けるときつく吸い上げる。 その瞬間、舌と体の痺れは頂点に達した。 「ぁあ……」 肝臓を食んだ時と同じ、濃厚かつ滑らかな口当たりに震えが走る。もう二度と普通の食事なんて出来ないのではないかと思いながら、真/吾は脳を啜った。 その間にも骨を噛み砕き、肉を齧る。 じわじわと小さく軽くなる顔に、一体何度口付けたのだろう? 「……あぁ、もうこれで最後だよ、2/世」 『食事開始』から30分。真/吾の手の中には、角と少量の髪、ちいさな脳の欠片と一塊の肉を残すのみとなった。髪と肉を絡めて咀嚼し、脳はその後でじっくりと味わった。 残ったのは角だが……これが骨より硬く頑丈で、とてもじゃないがトンカチ等で砕かないと食べられそうに無かった。 「……君、角って結構敏感だったよね……トンカチなんかで殴ったら気絶しちゃうよね……」 付着していた頭皮も全て綺麗に食べつくされた骨を優しく撫で、真/吾はその先端に音を立てて口付けた。 「まぁいいや。これは君と僕が1つになった証だよね」 手の中にすっぽり納まってしまう角を優しく撫でて、真/吾は主を失ったベッドの上に四肢を投げ出した。 恐ろしく満ち足りた気持ちだった。ほんの数日前、気が狂うほどに泣いたのがウソのようだ。彼と1つになった、彼の全てを手に入れたのだという事実が、あの日の彼のように真/吾を優しく包み込んでいた。 「これでずっと一緒だね、メフィスト2/世」
うっとりした顔で角を舐め、引く様子の無い痺れに身悶える。細胞の一つ一つにまで彼が行き渡って、抱き締められているかのようだ。 「愛してる、愛してるよ、メフィスト2/世。ずっとずっと、君だけだよ」 もう何処にも居ない悪魔に愛を囁いて、真/吾は満ち足りた息を吐いた。 笑うようになった真/吾を、仲間達は安堵の目で見ていた。 辛い出来事だったけれど、乗り越えたんだと。 だから、誰も気付かない。 あの土の下に、彼がもう居ない事に。 真/吾の笑顔の真実に。 『お守り』と称して持ち歩くモノの正体に。 「ずっとずっと、ずーっと……一緒だよ、2/世」 真/吾が毎晩、そう囁いている事も。 【das ende】 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 最初に注意書くのスポーンと忘れてたorz この手の話が苦手なのに読んでしまった姉さん達、誠に申し訳ないorz